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1965-11-05 第50回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十一月五日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 砂原  格君 理事 田中 正巳君    理事 古川 丈吉君 理事 井谷 正吉君    理事 泊谷 裕夫君 理事 山口丈太郎君       有田 喜一君    大久保武雄君       大竹 太郎君    大橋 武夫君       小島 徹三君    高橋 禎一君       中村 幸八君    岡本 隆一君       島口重次郎君    田口 誠治君       西村 関一君    村山 喜一君       八木 一男君    稲富 稜人君       吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         農林政務次官  仮谷 忠男君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         建 設 技 監         (河川局長事務         取扱)     畑谷 正実君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  金子 任利君         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 岩田 俊一君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      飯原 久弥君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      尾中  悟君         農 林 技 官         (農政局参事         官)      河原卯太郎君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      佐々木四郎君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 松井 芳明君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      福森 友久君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部長)    荒玉 義人君         建 設 技 官         (都市局街路課         長)      後藤 明治君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      重兼 鴨夫君         建 設 技 官         (河川局砂防部         砂防課長)   木村 正昭君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     横手  正君     ――――――――――――― 十月十三日  委員大村邦夫君、落合寛茂君、中村重光君及び  西宮弘辞任につき、その補欠として村山喜一  君、八木一男君、西村関一君及び田口誠治君が  議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員吉村吉雄辞任につき、その補欠として島  口重次郎君が議長指名委員に選任された。 十一月五日  理事大村邦夫君十月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として井谷正吉君が理事に当選した。 同日  理事稻村隆一君同日理事辞任につきその補欠と  して泊谷裕夫君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十一月二日  滋賀県下の台風による災害対策に関する請願(  宇野宗佑紹介)(第二二七号)  新潟県下の台風による災害復旧対策に関する請  願(田中彰治紹介)(第四三五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十九日  京都府の風水害による農林水産被害対策に関す  る陳情書  (第三八  号)  大分県の台風十五号による農林被害対策に関す  る陳情書  (第四八号)  台風二十三、二十四、二十五号による災害対策  に関する陳情書  (第七三号)  兵庫県の台風二十三号による災害対策に関する  陳情書  (第七四号)  集中豪雨による災害対策に関する陳情書  (第七五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  昭和四十年九月の台風等による災害対策      ――――◇―――――
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。  理事稻村隆一君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  次に、理事でありました大村邦夫君がさきに委員辞任され、また、ただいま稻村隆一君が理事辞任されましたのに伴いまして理事に欠員を生じましたので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは前例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、井谷正吉君及び泊谷裕夫君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 楯兼次郎

    楯委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、まず、昭和四十年九月の台風等による災害対策について調査を進めたいと存じます。  最初に、台風第二十四号等による災害対策実施概要について政府から説明を聴取いたしたいと思います。細田総理府総務副長官。
  6. 細田吉藏

    細田政府委員 台風二十四号等災害に対しまして、緊急対策本部を設けまして各般の方策を講じてまいっておりますことは、前回の十月四日の委員会におきまして御報告申し上げた次第でございますが、その後の状況について御報告を申し上げます。  まず第一点は、政府調査団の派遣でございますが、去る十月四日に御報告いたしました際にすでに五班の調査団を派遣いたしたのでございますが、その後、十月十五日から兵庫——兵庫県は第二回目に当たりますが、丹波、但馬、いわゆる山陰方面、それから和歌山県を対象にいたしまして、不肖細田団長となりまして、九名の団員をもって調査団を派遣いたしました。さらに、小豆島地すべりが非常に特異な、しかも非常に大きなものでありました関係から、学術調査団を派遣することに決定いたしまして、十月七日から小豆島肥土山地区地すべり学術調査のために、東京農業大学の小出博教授団長といたしまして、四名をもって構成する調査団を派遣いたしました。調査団はその後二つでございます。  それから天災融資法適用でございますが、昭和四十年九月の暴風雨及び降ひょう天災として指定する天災融資法適用政令を、十月二十六日政令第三百四十一号をもって公布いたしました。  次には激甚災害の問題でございます。十月十二日、閣議決定、十月十五日、政令第三百三十六号をもちまして、昭和四十年台風第二十三号、第二十四号及び台風第二十五号並びに同年九月の降ひょうによる災害激甚災害として指定いたしまして、あわせて、次のような法律にございます諸措置適用すべき措置として指定いたしました。すなわち、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助農地農業用施設林道災害復旧事業及び災害関連事業補助特例農林水産業共同利用施設災害復旧事業費補助特例開拓者住宅等施設災害復旧事業に対する補助中小企業信用保険法による災害関係保証特例中小企業近代化資金助成法による貸付金償還期間特例、商工組合中央金庫の貸付金特例公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助私立学校施設災害復旧事業に対する補助市町村施行伝染病予防事業に関する負担の特例母子福祉法による国の貸付特例公共土木施設農地等災害に係る地方債元利補給、これだけを十五日の政令で出したわけでございます。しかし、これではまだ漏れておるわけでございまして、これは主として農作物の災害調査が手間どりました関係で、いま申し上げたような災害に比較いたしましておくれました関係で、十月二十二日に閣議決定をいたしまして、十月二十六日政令第三百四十二号をもって追加の指定をいたしたわけでございます。この指定いたしました項目は、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置特例、いわゆる天災融資法特例でございます。それから土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助私立学校振興会業務特例水防資材費補助特例罹災者公営住宅建設事業に対する補助特例でございまして、いわゆる激甚関係財政援助等に関する法律のほとんど大部分のものを、以上二段階に分けましたが、適用をいたすことにいたした次第でございます。  なお、現在は、建設省農林省、運輸省等におきまして現地における否定を実は急がせておる最中でございまして、かなりな進捗を見ておるという報告を受けておるのでございます。特に積寒地帯というようなところについては、冬が追ってまいっておりますので、査定についても急ぐように本部のほうで各省に依頼をしておるような次第でございます。  あといろいろ詳細な点はございますが、以上概括を御報告申し上げた次第でございます。
  7. 楯兼次郎

    楯委員長 説明は終わりました。     —————————————
  8. 楯兼次郎

    楯委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口丈太郎君。
  9. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま政令公布状況について御報告がありました。この政令公布は、一体いままでどれだけの地区公布されておるか。それから、政令公布されましても、これが実施されなければならぬのですが、査定がおくれておるということになりますと、政令は出ましても実際にそれが施行にならないわけであります。その査定進行状況は一体どういうことになっておりますか。できましたら詳細に御報告を願いたい。
  10. 細田吉藏

    細田政府委員 建設省関係査定状況お話し申し上げます。  建設省関係の本年一月一日から現在までの発生件数は、件数にいたしまして約七万八千ヵ所、被害報告額で一千四百億ということになっております。それに対しまして現在査定実施中でございまするが、現在まで約四〇%程度進捗を見ております。特にいわゆる積寒地方といいますか、北海道をはじめとし、東北、そういうような雪国につきましては現在まで査定が完了しておりまして、最終的に査定が済みますのは十二月二十五日を目標にして現在やっております。現在まで約四〇%の査定実施されております。
  11. 佐々木四郎

    佐々木説明員 農地農薬用施設の現在の査定進捗状況を御説明申し上げます。  ただいまのところ、農地農業用施設につきましては総額約四百八十億ぐらいの被害額がございますが、これに対しまして、おおむねことしの十二月末をもちまして完了する目途をもって現在査定を進めております。大体ただいまのところ四〇%余りの進捗を見ております。  なお、これにつきましては、被害の特に激甚な地域につきましては、地方農政局並び関係県の技術者援助を求めまして、すでに派遣されておりまして、鋭意現地査定に現在入っております。中でも二十三、二十四号が非常に大きい災害で、ごいますので、この計画概要書をつくることが何といってもまず第一の問題でございますので、この計画概要書の作成のために、いま申し上げました技術者現地に派遣いたしまして査定業務を行なっておる、そういう現状でございます。
  12. 福森友久

    福森説明員 治山施設につきましては、全部査定が終了いたしました。なお、林道施設につきましては、十月初めから開始いたしまして、今月末を目標といたしまして、すべて完了するように、現在査定を鋭意実行中でございます。なお、急を要するものにつきましては、治山林道ともすみやかに予算措置をとりまして重点的に措置するよういたしたい、こう考えております。
  13. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾関係は、二十三号、二十四号で被害が七百四十四件でございます。金額といたしましては四十四億三千五百七十万円に上っております。緊急を、要するものにつきましては緊急査定を了しておりまして、残余につきましては、十一月末日をもって完了する予定で現在査定実施しております。
  14. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 大体建設農林林野庁運輸関係はわかりましたが、文部省自治省関係は見えていませんか。——なお文部省自治省関係にお尋ねしたいのですが、本部長にお尋ねをいたします。  まず、査定が非常にひまどって、特に寒冷地域におきましては罹災者越冬対策までが心配されておる現状であります。すでに十一月に入りましたが、もうこの中ごろになりますと積雪を見る状況にあります。この新潟福井罹災地罹災者越冬対策というのは、きわめて深刻な様相を、調査の結果私どもは慰めておるのであります。したがって、これら特殊の地域につきましては、査定進行はもとより、復旧工事につきましては、再三言明せられておりまするように、本査定前に仮査定によってでも復旧工事を急ぐ、緊急なものについてはそれを急ぐ、こういうことをたびたび私ども承っておるのでありますけれども、実際に現地に参りますと、ここで答弁されているのと現地状況とは全く違っております。こういうことでは何のための災害対策なのか、実際に政治の真意を疑われるような結果にもなっておるのであります。この際、これらの問題につきまして、本部長から私はしっかりとした御答弁を承っておきたい。
  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 査定がおくれておるというような御意見でありましたが、具体的な事例がありますれば、そういうことでまた検討いたしますけれども、概観いたしまして、査定がおくれておるとは思いません。非常に急がせておりますが、今回の二十三号ないし二十四号はたいへんな個所数でありまして、御承知のとおり、査定いたしますについては、それぞれ地元県等において一応の案をつくりまして、それによって査定をするわけでありますから、そうただ飛んで行って簡単にできるというものではないのでございますが、査定は、先ほど概観をおおよそそれぞれ御説明申し上げましたごとく、おくれておるとは思いません。これは従来の例からいいましてやや進んでおると私どもは考えておるわけであります。もちろんそれで満足するわけでありませんで、できるだけ急ぐということはもちろんでございますが、従来以上におくれておるとは思っておらないのであります。  そこで、越冬対策というお話がございましたが、どういう事例か、もう少し具体的にお伺いしないと、あるいは私のお答えすることが的はずれになるかもしれませんけれども、そういう点は、しばしば申し上げておりますように、十分留意をしてやっておるつもりであります。特に、いまお話しのとおりに冬季がだんだん間近になっております。今度の災害は、いわゆる冬が早く来る積雪寒冷地帯といわれる地帯に相当広範囲に災害がありましたので、そういう点を特に心がけてやっておるつもりであります。現在までのところは、いわゆる本査定が済む済まないにかかわらず、応急的な措置は逐次実行させておるわけであります。たとえば、最も激甚でありました福井県の西谷村に至る道路であるとか、あるいは岐阜県の藤橋村ですか、徳山地区に至る道路とか、これはもう完全に道路の交通ができるようにいたしております。そのほか、特に学校等施設が破壊しておりますところは、たとえば西谷村などは、学校を特に下流の大野市に仮設いたしまして、そこで教育をする、あるいは寄宿舎をつくるとか、あるいは、家が破壊しあるいは流失いたしましたものは、これも復旧ができるものはすみやかに復旧する。なかなか復旧困難な状態もたくさんありますから、そういうものについては応急仮設住宅をつくりまして、現にそこに住まいが全部できるようになっております。それは大野市内につくっております。食糧等についてもいろいろ心配をいたしておるわけであります。もちろん、こういう大災害でありますから、すべて満足に災害がなかった状態というものはなかなかつくり得ないのでありますけれども、しかし、最善の努力をいたしまして、この冬のしのぎをしてもらうようにしたい、こういうことでやっておるわけでありますが、もし具体的にどの点が足りないという事例がおありでしたら、ひとつ御指摘を願いたいと思います。
  16. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 いま地名をあげて本部長の御答弁がありました。私ども調査に行きましたときに、一番悲痛な住民の叫びは、越冬のための物資の搬入、それから流失または破壊されました家の修復、それから、特に学校復旧等は十一月に入ればほとんど工事ができなくなる、したがって、至急にこれは対策を立ててもらいたい、こういう要望があったわけであります。その後状況を聞きますと——なるほど、大臣が表面で報告を受けておられるのはそのとおりであろうと思います。しかし、実際には、衣類やそういうようなものだけではなくて、ほとんどあの地域におきましては家屋は九割くらい流失してしまっておる、一時は、土地を離れる、放棄するというような状態にまで思い詰めておったのですけれども、やはり農村のことでありますから、住みなれた郷土というものを放棄していくというなことはできないというので思いとどまって、やはり復旧努力をする、こういう村会の決議をもって当たっておるということでありました。ところが、これらの地域においては、原形復旧等においても——あの川は西谷村のまん中を流れておるのですけれども、そこのあの発電所の付近に鉄筋コンクリートでできた水久橋があるが、その橋がかえってダムになりまして、両側の橋のたもとを破壊いたしまして、一面川原にした。それがまた家屋流失に対して大きな拍車をかけて、ほとんどの耕地はあの橋のために流失したといっても過言ではありません。でありますので、私は、これを破壊してしまって、いま自然に流れておる形のところへ改良復旧をすべきだ、そして土地の分配なども、新しい村づくりのためにこれを再分配するような方法において復旧しなければだめだ、こういうことを私は強く感じて帰ったわけですけれども土地の人もおおむねそういうことに賛成をしているようでありましたか、どうも査定に行きますと、査定官——まあそれは国費をむだに使うとか、あるいは乱費するとか、そういうふうなものを極力戒めるということは、これは話がわかります。そうでなければ困るのでありますけれども、しかしながら、そのことによりまして再度災害が発生するということになれば、またこれは国費むだ使いははなはだしいものがあります。そういう点で、私は、どういう状況になっておるか、それを心配いたしたから質問をしたわけであります。
  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 一般論といたしまして、災害復旧、お説のとおり、いわゆるもとに返したということで、さらにまた洪水等がありますと災害が起こるような状態、だいぶ前には、そういうやり方といいますか、取り扱い方があった時代もありますけれども、そういうばかげたことはもうやらないという基本的な方針で、再度災害が起こらないような復旧工事をする、こういう方針指導をいたしております。これは前に申し上げたとおりでありますが、いまお話し西谷村、これはお説のとおりで、私も実は、非常な大災害でありますから、これに膨大な経費をかけて復旧するほうが適当であるかどうか、あるいはそれだけの経費をかければ、他に適当なところがあれば移転するのも一つの道である、しかし、御承知のとおり、だれしも、住めば都でありますから、そうなかなか墳墓の地を離れるというわけにはいかない、そういう点は、地元の直接関係のある方々村当局あるいは県、こういう方々によく相談されて、将来の計を立てられる必要がある、これは災害当時にそういうお話し合いをして帰ったのでありますが、いまお話のとおりに、いろいろ検討された結果、やはり山の中といえども墳墓の地にとどまったい——一部は他に移転したいという方もあるそうでありますけれども、大部分は、やはりここをもとに返して、そして将来再災害のないような状態をつくってもらって残りたい、こういうことのようであります。そこで福井県では——実は私も、これは率直にいって非常に心配いたしまして、西谷村と、例の揖斐川上流藤橋村ですか、徳山地区、こういうところには特に配慮をいたしております。ようやく最近になりまして村の復興計画というものを立てられまして、それが本部長である私の手元まで福井県から届いておりますので、そこで特に非常災害対策本部の中に建設農林その他関係省の小委員会をつくりまして、西谷村と藤橋村ですか、この両村を特に検討するということで小委員会をつくりまして、そしてその地元で立てられました——相当経費のかかることでありますけれども道路から、河川から、住宅地から、たんぼから、全部合わして大改良をする、こういう計画が提出されておりますから、それを中心に小委員会で検討して、適当な最終案をつくって推進したい。これは恒久策であります。応急策といたしましては、先ほど簡単に申し上げましたように、ほとんどいま完了いたしております。これは事実でありまして、単なる報告だけでございません。これは県当局からの説明であります。山口さんが行かれたのは前であろうと思いますけれども、現在はそういう状態になっておりますから、恒久策としては、再びああいう状態が起こらない対策を進めたい、かように考えております。その第一回の委員会は八日にやるということにいたしております。
  18. 小島徹三

    小島委員 私、関連質問をさしていただきたいと思います。  直接これに関連するわけじゃないのですが、河川管理について、ちょうど大臣もお見えになっていますから、承って、今後の処置をお願いしたいと思うのです。  最近、河川管理につきまして、堤防を直すとか、いろいろなことがされておるわけでございますが、どうも見ておりますと、従来は、排水地というのですか、遊水地というのですか、水のはけ口というような意味で、あった場所が、その辺の地域住民がやかましく言うために、堤防をつくるとか、あるいは、この際住宅が足らぬものですから、どんどん平地に家を建てる、たんぼをつぶしていろいろなところに家を建てる、そこへ堤防ができてくるというようなことで、一たんあちこち改修しておいても、また遊水地がなくなるということで堤防がだめになってしまう、せっかくつくった堤防を越してしまうとか、いろいろな問題が最近非常に起きている。見ておりますと、従来われわれが当然あそこら辺に遊水地がなくてはならぬと思うところに堤防ができたりして、遊水地がだんだんなくなっている。地域の人がやかましく言うからこれはやむを得ないだろうと思うし、建設省としても河川管理の上で堤防をつくられるのでしょうけれども、そこら辺についてはっきりした管理方針を立てて、ここは大きな目から見て遊水地にせざるを得ないのだ、したがって、そこは堤防をつくらない、そのかわりに、その地に散在している多少の家屋政府が補償して移転さしてやるとか、あるいはまた、そこのたんぼが水づかりになって災害が起きたというような場合には政府が特に補償してやるからというようなことで、そういう遊水地帯というものを、あちらこちらにつくらないと、私は、もう大きな河川になってくると、少々あちこちの堤防を面したところでどうにもならなくなるのじゃないかという感じがするのです。ところが、従来は、それを承りましても、そういう予算がないんだというようなことでほったらかされてしまう、そしてまた災害が起きて、そこは非常にひどい目にあっている。また、やかましく言って堤防をつくったために、今度は対岸のほうがひどい目にあうというような例がたくさんあるのですが、その河川管理についても、もう一つ根本的に、遊水地帯をつくらなければならぬものなら、つくらなければならぬのだということをはっきりその地帯の人に言って、そのかわり、国がそれに対しては補償するというくらいの考えを持たないと、ただ一時のがれの堤防をあちらこちら直したところで、大きな河川管理という面からいって最終的な目的を達することができないのじゃないか、私はこう思うのですが、それについて何か将来お考えになってくださる御意思はないでしょうか。   〔「河川法を改正したらいいじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  19. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いまの御指摘のところは、わが国における治水対策上非常に重要な点であるわけであります。最近の災害と申しますか、しばしば当委員会などでも御指摘、御論議がありますように、災害の起こり方がだんだん変化を来たしております。といいますのは、一般論といたしましては、御承知のとおりに非常に土地が狭い、それに、農業関係もそうでありますけれども、あるいは住宅地その他の開発がどうしても行なわれなければならない、何といいますか、土地をできるだけ利用しなければならないという一面があるわけでございます。そういう点と治水の関係が、お話のとおり非常にむずかしい。でありますから、最近は、私から言いますと、自然をいためつけておる、これがおよそ言えることではないかと思います。そういうことで中小の河川に従来起こらなかった災害が起こったり、あるいは山の変更等によって渓谷地帯災害が起こったり、こういう状況があらわれておるわけであります。そういうことで、まあ河川管理といたしましてはそれも必要でありますけれども、それとの兼ね合いをどの点に置くかということが、御承知のような時勢でありますから、きわめて困難なところがあります。いまあちらのほうで河川法の問題がありましたが、この前に河川法を改正いたしますときにもその点が強く論議をされました。従来といえども、やはり自然の状況から、どうしても遊水地帯といいますか、水を遊ばせる場所をとらなければ、堤防だけで海まで持っていくということは、日本の地形上きわめて困難な場所が多いので、そういう点もあるわけでございますが、それがまた、さらに所有権とかあるいは災害とかいうことで別な面から非常に議論がされておるわけであります。しかし、河川法の精神といたしましても、そういう必要な個所は遊水地帯として保存する、こういう河川計画を立てておるわけでありますが、必ずしもそれが満足にいっておらない状態があると思います。特に狭い中小河川においてそれがあるわけでありますから、いまお説のことは私はよくわかりますので十分そういう点は注意をいたしまして河川計画を立てなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  20. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 さきに大臣から御答弁がありましたが、これは昨年の災害復旧の事業に例をとりますと、いままで災害対策委員会で御答弁を願いましたのは、改良復旧を重点的に考えて災害復旧というものをやらなければ、原形復旧をしても、そのもとの形で災害が起きたのだから災害を繰り返すものだ、こういうことで、私どもは非常に意を強うしていたのですけれども、実際に現地に参りますと、査定官が来ると必ず改良復旧を否定してしまって、予算を削って原形復旧をやる。その最もよい例は、これは当たりさわりがあるかもしれませんけれども、私ども兵庫県でいえば、神戸の摩耶埠頭です。写真は持ってきておりませんが、文書で提出はしてあります。とにかく去年二十号台風によりまして、埠頭の、何というのか知りませんが、船を接岸させる突堤のその下が特殊の工法で全然詰まっていない、からになっておる。そこで海水が満潮になってくる、波高が高くなってくる、そうして中でぶつかるということになりますと、その向こうの壁に当たるよりも、波の上に持ち上げる力のほうが、圧搾された空気とともに力を増してくるわけです。したがって、そういうようなことがわかっておるのだから、このコンクリの、ふたによる復旧はだめだ。したがって、これは網状の鉄板のふたにでも取りかえて改良復旧をせねばだめだ。ところが、聞くところによると、現地は私の言ったような復旧計画を出した。ところが、査定官が来てそれを削ってしまって、そうして原形のままの復旧をやっておる。またことしそれをめくってしまった。そして六千六百万ですか、何か、ばく大な経費をまたかけなければならぬ。全くそれはむだなんです。ここで答弁を願ったのと現地で実際の実情を見たのとでは全く違うのです。こんなものは一例にすぎません。そういうことでは、この国家経費の減収でやかましいときに、むだ使いもはなはだしいと私は思う。ここで責任を持って所管大臣が御答弁になれば、それを体して行なわれるべきであるのに、なぜ現地においてそういうここの言明と違ったことが行なわれておるか、ふしぎでならないのです。いわゆる査定官のこれは素質によるのかどうか、激しいことばで言えばそういうことになるのか知れませんけれども、ただ現地で立てた予算を削ってくれば手柄になるのか。あるいは、その設計を見て、これは災害の防止にはならないと考えれば、その現地で立てた予算をオーバーするような予算を立てても、私は、もっと堅実な方法によって査定すべきだと思うのですけれども、一体その査定はどういうような指導をされているのか。ただ現地予算を立てたものを削ることだけが手柄になるのか、一体どっちをとっておられるのか、私はその指導の根本を聞かしてもらいたい。そうでないと、何ぼやったってむだばかりですよ。国費の乱用この上なしということになります。一体どういうふうにしておられるのか。
  21. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そういう事態が起こりますことは、全くお説のとおり遺憾なことであります。私は、ただいま申し上げましたが、再び災害が起らないということを目標にして災害復旧をすべきである、これは法律の精神もそうなっておるのですから、現ににその方針をとっております。でありますから、地方に出かけてよくいまのようなお話を聞きますから、もし具体例としてそういうことがありますれば、こちらに連絡してもらいたいということまで、地元の皆さんに、おいでになった方には申し上げておるような状態であります。ただ問題は、再度災害が起こらないような状態になし得るかどうか、その点の技術者の判断の問題がそこにあると思います。  いまお話しのことは、港湾局長が見えておると思いますから、あとで技術的なことを御説明申し上げさせますが、問題の神戸の埠頭の問題は、まさにいまおっしゃったとおりでありまして、まことに遺憾なことであると私は思います。私は技術のことはわかりませんけれども、何か新しい工法であるとかなんとかといううわさは聞いておりましたが、それは完全に自然には対抗できなかった、こういうことを聞いておりますが、この点については、今度の場合は、港湾局といたしましては、これではだめだ、いまお話しのような新しい対抗措置を講じなければならないということで、いま検討をいたしておるということでありますから、その点については港湾局長から御説明をいたさせたいと思います。
  22. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいま御指摘にもありました摩耶埠頭の今回の災害につきましては、御指摘のとおりで、たいへん申しわけないと思っております。ただ、この復旧につきましては、いま御指摘がありましたような鉄格子に全面的に改良しようという案もあったわけでございますが、昨年度の災害の実情を見ますと、前にございました防波堤も全面的に破壊されたわけでございます。したがいまして、防波堤が復旧されるということを前提にすれば、全部を鉄格子にするということは非常に復旧費が高くつくのではないかというようなことがございまして、全体のうちで十五ヵ所を鉄格子にいたしまして、そのほかのところを原形復旧したわけでございます。その十五ヵ所を鉄格子にしたということは、もし破壊されても最小限度の荷役というものを確保したいというつもりであったわけであります。ところが、ことしの二十三号台風は昨年の台風よりも波が一メートルも高いということで、また同じような破壊を受けました。ただ、鉄塔子にしたところは破壊をされなかったわけでございます。今回は全部を鉄格子にして復旧査定をいたしました。その金額は六千六百万円となっておるわけでありまして、たいへん申しわけがないと思います。
  23. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これは港湾局をつるし上げようという考えで言ったのじゃないのですけれども、去年の災害のときにすでに、これは鉄格子式にしなければだめだと、あれだけ口をすっぱくしてぼくは忠告しておいたのです。現地ではそのとおり計画をしたようです。ところが、査定にやってきてそうして予算を削っちゃった。そして去年三千六百万で復旧したものを、またことし六千六百万もかける。去年それをやっておけば、ことし六千六百万という金は要らない。ほかに回せるわけです。そういうもったいないことをやって国費をむだにするようなことは、私はやめたほうがいいと思うのです。河川についてもそれは言える。だから、あの福井西谷村なんかでも、復旧する場合には、建設省は思い切って——いま小島先生からもありましたが、河川管理の方式として、ああいう村のどまん中を曲りくねって流れている川を一方の山手のほうに押しやって、そうして永久橋をかける、そうすれば私は災害は最小限度に食いとめることができたろうと思う。それをああいうことをやったために村が全部流れてしまったのですから、その査定のときには、いま一例をあげたにすぎないのですけれども、原形復旧のみにこだわってやるということでなしに、査定官も心して査定してもらいたい、私はそういうふうに思うのです。強くそれを要望しておきたいと思います。  それから現在のこの激甚法の改正等につきましては、これは各地ともに要望書が出ておるわけです。いま私のほうでもこの激甚法の案を持っているのですが、先ほど福井県からいろいろ御説明がありました。この陳情書はうまく要点が要約されておりまして、この内容そのものは、私は今日のほんとうの罹災者の声だと思うのです。遺憾ながら、いままで激甚法、けっこうづくめのような法律を出されましたけれども、しかしその法律は幾多の矛盾がある。また、場合によれば、国の復旧の熱意のない、いわば逃げを打っているようなかっこうにも受け取れぬでもない。したがって、この機会にもっとこの法を改正、整備すべきものだ。特にこの災害は農業災害を中心にしておる。そうしてその農業災害は個人災害が多いわけです。ところが、その個人災害に対して、たとえば、各地で農村を回ってみますと、ああいうふうに個人の家に土砂が流入して、一部落がほとんど土砂に埋まっておる。あるいは西谷村のように流れてしまっているところがある。また、家は残っているが、田畑が全部川原になっているところがある。こういうようなところは、個人災害でありますけれども、とうてい個人の力で復旧することはできません。でありますから、何としてもこれは国なり公共の力でもって復旧をしなければならぬと思う。ところが、今日のこの災害復旧に関する基本法並びにその付属法によりますと、そういうものに対しての指導性もなければ、あるいはまた救済性というものが全然ないわけですね。これでは、災害法があってなきかごときものだと私は思う。したがって、これらに対しては根本的に私は法の改正を行なうべきであると思うが、さしあたりそういうことを言うていたのではいまの間に合わないとするならば、これは大臣どうでしょうか、たとえば田畑が一面川原になっておる、こういうようなものを復旧する場合に、その県または市町村の事業として復旧事業を行なわしめる、その査定に従って、この法に基づく、激甚地指定に基づくところの高額補助実施して国がこれを助けてやる、こういうような方法はとれないものかどうか、御所見を承りたいと思います。
  24. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 激甚災害法等の改正をする必要があるかどうかという点については、改正をしないとは考えておりません。ただ、現在の災害について具体的に調査をいたしまして、それに対して現行法で対策を立て措置をするようにいま指導いたしておりますが、もしそれでどうしてもなるほどこれはいかぬという事態が起こりますと、改正すべき点があれば改正したい、こういうことで指導いたしております。しかし、全国の災害状況は、いまお話しの、お手元にあるものは私はまだ見ておりませんが、地方の意見、要望、全部何事もおっしゃるとおりに聞くというわけにはまいりませんけれども、なるほどと思うものは取り上げるという方針で全部これを処理いたしまして、災害対策本部で検討をしておりますけれども、現在のところ、おおむね改正をしなくてもまかなえるという状況でありますから、その状態にいまなっておるわけであります。  お話しの堆積土砂等については、これは全然ないというわけではございませんので、御承知のように、農地等については、これはもちろん計算上出てくるわけでありますけれども農地が堆積土砂等によって埋没した、これを復旧するというときには、激甚法では最高九割まで国の補助が出るわけでありますから、その施行地帯をどうするかということについては、これは農林当局から見えておると思いますから、説明をさせますが、あるいは家屋の中でも、あるいは村の中、そういうものについては、市長村、公共団体がその堆積土砂の処理をする、こういうことになりますと、御承知のとおり、激甚法にも書いてありますように、国の費用を出す、こういうことになっておりますから、そういう処理をいたしますと、あえて法律を改正するまでもないというのが現状でございますので、どうしてもおかしいじゃないか、国民の側からいうと現在の法律でまかなえないじゃないかというような事態が具体的に起こりますれば、検討するという態勢でおるわけでありますが、現状はいまのお話しのようなことはまかなえる、こういう状態でございます。
  25. 佐々木四郎

    佐々木説明員 ただいまの、農地が埋没いたしましたり流失した場合の復旧でございますが、現在の制度では、一定規模以上の災害を受けますと、かりに一戸でも二戸でも、それに対しましては、町村あるいは土地改良区、そういうものが事業主体になりましてこれを復旧することができる、こういうことになっておるわけでございます。
  26. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 具体的に事例をあげて言うてもらわぬと、わからない。
  27. 佐々木四郎

    佐々木説明員 さらにこれに対しましては、一般の普通の災害の場合には五割の補助を国がいたしますし、それから、さらにその被害が非常に大きくなりまして、一戸当たりの復旧の事業費が八万円をこす場合には八〇%、それから十五万円をこすようなさらに大きな被害を受けますと、九割補助という高率の補助適用することができます。さらに、その出しました補助金の差額につきましてはこれは農民の負担になるわけでございますけれども、その負担分に対しましては別に融資の方法がございまして、大体農林漁業金融公庫の低利長期の融資、これは年利五分、償還期間は二十五年、こういうことで、ほとんどその大部分を融資しておる。いわゆる高率補助と、その残りは融資ということで、農民負担はなるべくかけないようなそういう制度でやっております。
  28. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 一応聞きましたが、今度の災害は、従来の災害とは違って、ほんとに激甚災です。ところが、いま説明をされるように、これは基本的な考えとして、農民個々人で自分の埋没または流失しておる田畑の復旧をやれとおっしゃるのですか。それとも、市町村あるいは県等の直轄工事等によって公共団体が行なう場合においては、どういう処置をされるのか。むしろ私は、公共団体が事業主体になってやらなければ、とうてい復旧事業はできないと思うのです。そういう場合には、やはりいまおっしゃったような説明では復旧ができないと思うのですけれども、いかがですか、どういう指導をされますか。
  29. 佐々木四郎

    佐々木説明員 農地関係災害復旧につきましては、農家がそういう被害を受けた場合には、その復旧事業をいたします事業主体でございますが、事業主体は一般に地方公共団体の町村とかあるいは土地改良区、こういうものが事業主体になってその被害を受けた農家の農地復旧していく、こういうやり方をとっております。したがいまして、この復旧にはいろいろ技術的なこともありますし、工事施行しなければならない問題もございますので、個々の農家が自力でやるということにはいたしておらないわけであります。
  30. 楯兼次郎

    楯委員長 山口君、大臣が急用があるそうですから、大臣にあと三名の方が一問ずつ質問をしたい、こういうことですので、簡潔に質問をひとつ……。
  31. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 もう一問で私はおきます。  これは非常災害対策本部長として、この国会にこの災害復旧事業に対して補正予算を提出されるだろうと思うのですけれども、そういうおつもりがあるのかないのか。あるとするならば、その補正予算の構想がまとまっておるとするならば、この国会に出されるのでしたら、もうその構想はまとまっていなければならないと思うのですが、その構想を示していただきたい。  また、いまおっしゃったように、法律の改正は、不都合なことがあれば改正すると言われましたが、もうすでに地方から出ておりますもので、私もこれが全部そのまま認められるものとも思いません。しかしながら、その中で特に民生に関係のある重要なものにつきましては、やはり地方からの声には耳を傾けてやる必要が私はあると思うのです。したがって、そういうものの構想がありますならば、ここでひとつお示し願って、被災地の人々が一日も早く安堵してその復旧事業に携わるようにさせてやりたいと思いますから、いま申し上げた点をお答え願いたい。
  32. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 補正予算の問題でありますが、これは今国会にどうしても出さなければならぬ、かように考えておるわけであります。現在まで予備費が三百億くらいまだ残っておりますけれども、それでどのくらいまかなえるか、それから、これは建設関係ばかりではなくて、農林関係その他たくさんありますから、それを整理中でございます。数字的にどのくらいであるということは、きょうの段階でまだ申し上げかねるわけでありますが、今国会中に成立するように、ほかの補正予算もありますから、出すという方針を立てておるわけであります。  いま建設関係だけで申し上げますと、二十四、五あるいは豪雨災害で一千億余りに報告額がなっておりますが、おおよそそれの七割あるいは七五%くらいが、従来の例による見込み査定額であります。査定は十二月に入りませんと完了いたしませんが、それを待っておるわけにいきませんので、御承知のとおり、これは一ぺんに復旧するわけではありませんから、少なくとも今年度できれば災害額の三〇%くらいはやりたい、こういう構想で補正予算を組みたい、かように考えておるわけであります。  それから法律の改正でありますが、先ほど申し上げましたように、もちろん、こう言っては口幅ったいようでありますけれども、国民の皆さんの窮状をつぶさに心に銘じて対策を講ずる方針でおるわけであります。先ほども申し上げましたように、全国の地元から、従来の災害の例でおおよそわかっておりますけれども、やはり災害ごとに特殊な災害が起こりますから、また希望が出るわけであります。すべての希望と申しますか、いまお手元にあるような要望書いうものを全部整理いたしまして、これを小分けをいたしまして、災害対策本部では、これは全部答えを出すという方針で整理をいたしてやっておるわけであります。その中で、先ほど申し上げましたように、その要望事項はいまの制度でまかなえる、こういう報告であります。ただ、私は基本的には、先ほど申し上げましたように、現在の法律あるいは従来の行政慣習、そういうものだけにとらわれないで、被災者に対するあたたかい気持ちで対策を講ずるという基本方針で検討してくれということで検討願って、いま申し上げたような状態であります。ただ一点だけ、最近は農業構造改善等によって農業のあり方が相当変わってきておりますから、したがって、災害の受け方も様相が違ってきております。この点については、具体例をずっと拾ってみなければ、概論ではできませんので、現在の法律で間に合わない場合があるかもしれない、そういときにはその点は改めるという考え方で、実態を調べてくれ、こういうことでまだペンディングになっておる、こういう状態でございます。
  33. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 大臣の時間がありますから、私はあとの質問を保留して、大臣に対する質問だけ先にやってください。
  34. 楯兼次郎

    楯委員長 大臣は四十五分に行かなければならぬそうです。あと三名おるから、簡単に質問をしてくだい。田口誠治君。
  35. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは、大臣のおいでになるうちにお尋ねします。  いま山口理事のほうから質問を申し上げた内容に関連をするのですが、それは、あそこの岐阜県揖斐郡藤橋村東杉原の被害状況を見て、防災諸法規の改正をする意思なきやどうかという質問がございましたし、あるとしても、当面手をつけなければならない問題があるが、どうだという質問に対して、あまり具体的なお答えがなかった。それで私は、まず藤橋村のあの状況を早急に政府補助として手をつけていただかなければならないことを、伊勢湾台風当時の災害対策と比較をして申し上げて、大臣からお答えをしていただきたいと思います。  藤橋の場合は、家の中へ天井まで土砂が入っておるのと、田畑があの状況のように荒らされておるのとあるわけなんです。したがって伊勢湾台風当時は、こうした個人災の場合は原則として自分でやるのだということはありましたけれども、しかし、そこの市町村長が、とりあえず家の土砂は外まで出しなさい、こう言った場合の外へ出すまでは村の人たちに手伝いをしてもらって出すけれども、出した土砂を指定したところへ運ぶのは補助でやっておるわけなんです。だから、こういうような方法がとってもらえるかどうかというのを確認をいたしたいし、それからもう一つは、まあこれもどの法文でやるのかといえば、別に法律には明記されておらぬ。それで、当面緊急的な行政措置として予算措置を行なってそうした対策を行なってきたわけなんです。だから、今度の場合にもそのことが実施をしてもらえるかどうかということ、これをまず二つお聞きをいたしたいと思います。もちろん、土地の場合には、特別措置法の三条十三号等で、かさかえとか、公共土木とか救農土木、こういう面でやれる面もございますけれども、それでやれない分は、これは別に予算措置を行なっておる慣行がございますので、そういうような方法でやってもらいたいと思うのですが、その点について大臣からひとつお約束の意味で答弁を願いたいと思います。
  36. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ちょっとほかのことで話しておったので、あとで第二点はもう一ぺんお尋ねいただきますが、最初の土砂の問題、これはいまお話しのとおりに扱うつもりであります。これは法律がないのじゃないのであって、現に激甚法の第三条十三号に基づいて、ああいう場合は、率直にいって、助けるという気持でやる、こういう方針であります。  第二問はちょっと私聞き取れなかったので、もう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。
  37. 田口誠治

    田口(誠)委員 第二の点は、土地の場合は、特別措置法の三条十三号等もあって、そしてかさかえ、公共土木とか救農土木とか、いろいろなそういう方法を適用してやれまするけれども、それだけでは間に合わぬ分があったので、これは別に予算措置をしてそして原形復旧へ打っていったんです。それで、その最も重要なことは、とにかくそうした罹災者は当面の収入がないということから、ただいま申しましたような作業に従事することにおいてどれだけかの日当をもらってそして生活の足しにしてきたというのが、伊勢湾台風のときの実態であるわけなんです。だから、こういうことがしてもらえるのかどうかということを聞いておるのです。
  38. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ちょっと土地の場合以外ということがわからないのですが、たとえば、家の中にありますときにも三条十三号でまかなえる、こういう措置をとっておるわけでありますが、土地以外の場合というと、どういう場合のことを…。
  39. 田口誠治

    田口(誠)委員 いまの家屋土地はそれでできるということなんですね。それは伊勢湾台風のときのようにやってもらえるということですね。じゃ、それでよろしいです。そのようにお願いしたいと思います。
  40. 楯兼次郎

  41. 八木一男

    八木(一)委員 具体的な問題は、後ほどの機会に申し上げたいと思いますので、基本的な問題について大臣の御見解と御決意を伺いたいと思います。  いま山口丈太郎委員からの御質問の中で、大臣が相当積極的にこの問題に国民のために取り組んでおられるお気持ちを伺って意を強うしたわけでございますが、大臣がそのお気持ちでも、たとえば財政支出をする大蔵大臣だとか、あるいはまた閣議のほかの大臣とか、あるいはまた、いままでのありきたりの方針でやろうとする公務員の人がいて、このとおりに通じなければ、これは何にもならないと思うのです。それを通じるようにしていただきたいと思うのです。  先ほどの改良復旧、原形復旧の問題でございますが、山口委員が言われたように、これは改良復旧でなければならないというのは自明の理であります。その中で、否定で原形復旧にさせてしまったという例が方々にあるわけです。そういうことはいけないので、こういうような異常災害で各府県から改良復旧を原則にしていただきたいという陳情が来るということ自体が、政治の間違いである。前にその状態災害が起こったのですから、原形では同じような状態で、もう一回災害が起こるのはあたりまえです。ですから、原形でなしに改良復旧でなければならない。原則という陳情が来ておりますが、そうではなしに、そういうことは改良復旧でなければならないという方針大臣の決意で確定をして、そしてそういう否定に当たる人たちに、技術家かエンジニアか知りませんけれども、同じような状態災害が起こったのを、同じ復旧でいいというような、国民の考え方から許されてないことを、技術家というような特権意識で、これでいいんだということを言わせないようにしていただきたい。あらゆる復旧改良復旧であるという原則をぜひ大臣において確立をしていただきたい。その命令が浸透するようにしていただきたいということであります。  それからもう一つは、災害復旧事業について、建設関係農林関係、いろいろなものがありますけれども災害の採択基準が非常にきびしいので、もうちょっとでいろいろな国の対処がしてもらえるのが、してもらえないところがございます。そしてそのくらいの小さなある程度の規模のものであれば、地方行政団体がそれに対処できるんじゃないかというところでそういう境目がもたれていると思いますけれども、御承知のように、昨今非常に地方財政は窮迫を告げて、来年度においては猛烈に窮迫を告げるということがこれはもうわかっておるわけです。そういうことですから、その当時そのようなものであっても、現在の地方財政の窮迫時においてはそのような境目をつくってはいけない、原則的にいえば、境目一つもなしに、どんな小規模の災害であっても、それに対して地方は対処しなければならない。個人はその被害を受けているのですから。ですから、全部をやるのが原則であるという方針をもつて、いまの災害にいろいろな適用する基準を大幅に緩和する方向を、建設大臣としても、この災害対策本部長として、また農林関係や何かについても指導なさって、そういうことをしていただきたいということであります。  それとともに、災害復旧が時間がかかっては、その間においてまた風雨等によって災害が拡大をされます。急速にそういうことが完成をされなければ意味をなさないということになります。  この三点について、大臣の強い決意を伺わしていただきたいと思うし、また、先ほど大臣のおことばにあったように、災害査定基準については七〇から七五が慣例になっておるのを打破するということを言っておられるけれども、そういう打破をする考え方をほんとうに貫いていただきたい。財政当局がいろいろなことでブレーキをかけようとするでありましょうけれども災害復旧を完全に急速にやらないで国民に非常に苦しみを与え、地方行政団体に苦しみを与え、そしておくれることによって災害がまた起こることによって国費を非常に乱費するというようなことにならないように、大蔵省あたりが近視眼的な点を披瀝して瀬戸山さんにブレーキをかけたならば、これは大蔵大臣の福田さんと対決するような気持ちでそういう問題に対処していただきたい、そのような決意についてひとつ伺っておきたいと思います。
  42. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 御激励をいただきましてありがとうございます。そのつもりでやりたいと思っております。  それから、災害復旧を、原形でない、改良しなければならない、それはしばしば申し上げておりますから、その方針でいきたいと思います。  それから、激甚法の適用をできるだけ緩和せよ、これは法律でありますから、法律からはずれたことはできませんけれども、今度の場合は緩和できる限りのことは緩和する、こういう方針でやることで指導いたしておりまして、先ほどお話がありました土砂堆積等については特にそういう配属をするという方針でおるわけであります。ただ、地方財政が全般的にいまお話しのように非常に窮屈であるから、激甚法をないような扱いをするというお話にはちょっと応じかねるといいますか、これはやはり全国きわめて激甚なときには特別な扱いをする、こういうことでありまして、その他の、どうしてもこれに当てはまらないときには、特別交付税あるいは災害に対する起債、これは御承知のとおりに、災害関係は、将来交付税で、時間はかかりますけれども、償還するということでありますから、全部を激甚法でまかなうということになりますと、激甚法のできたゆえんがなくなりますので、その点は御了解を願いたいと思います。
  43. 楯兼次郎

    楯委員長 吉田賢一君。——大臣のほうを先にお願いします。
  44. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 災害地帯の防潮堤の建設計画の問題について、これは細田さんも聞かれてある程度御承知なんですが、実は瀬戸内の明石地区——明石地区といったら、何か陳情的になりますけれども、これはやはり防潮堤建設事業の基本につながる問題になりますので、ぜひ伺って御意見を聞いておきたいのですが、従来は六メートルですか、東部のほうは六メートルの高さでありましたが、六メートルでもやっとある程度防災の効果はあったらしい。しかし、それでも相当被害はございました。これを七メートルにしてはどうだろうか。といいますのは、西部にまだ相当な地域が残っておりますから、そういうことはどうだろうか。ただし、これは技術と経費関係がございます。それからなお、地方の技術最さんのお話では、テトラポットですか、こういう、またのようなものがございますね、ああいった波殺しも一つの方法ではないか。いずれにいたしましても、今後の災害を防止するためにいま一段と再検討する必要があるのではないか。幸い西部の工事がまだ残っておりますので、こういったことでありますので、これは建設大臣としてしかるべき局等に命じていただきまして、再検討することになりましたら、私は、将来の防災のために非常に大きな資産になるのではないか、こう考えるのであります。
  45. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 具体的の場所を私よく承知いたしておりませんから、これは検討することにいたしますが、御承知のとおりに、災害状況というものは、いわゆる天変地異でありますから、刻々変化するわけであります。私どもが防災対策をいたしますときには相当な程度のものを予想いたしますけれども、予想外のことが起こることが現実にしばしばあります。いまの場合はあるいはそれに該当するかもしれません。そういう事例が起こりますと、それを基本にして防災対策を立てる、こういう方針にいたしておりますので、その点は検討をさせることにいたしたいと思います。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点はなお私のほうから具体的な資料として事務当局には申し出をいたしておきますから……。  ほかにありますけれども、お急ぎでしたら、事務当局のほうに伺うことにします。
  47. 楯兼次郎

    楯委員長 山口君。
  48. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そこで私は二、三質問をしておきますが、いままですでに申し上げたように、大ワクとして私は大臣質問をしたのですが、査定方針をもっと末端まで徹底させることが必要だということは、すでに言いましたから繰り返しません。ただ、大蔵省にお尋ねをしますが、さっきから私が申し上げておりますように、地方財務局から査定官が行くのではないかと思うのですが、いま神戸の例を引きましたが、運輸省の海湾局は遠慮して自分の責任のように言っているのですけれども、実際に現地へ行って聞いてみたら、ちゃんと鉄網式の復旧計画を出しているのです。それを査定官がひっくり返している。それはいま港湾局長答弁したように、前の防波堤をつくれば災害はこれでも防げるという仮定のもとに計画を変更させている。そういうことをやるから、また六千六百万もの損害を与えている。これは一例にすぎないのですよ。各現地省庁はああ言うて答弁をしているけれども、実際には河川なんかでも破壊されたところは、前後に十メートルずつ復旧工事をやれば、査定をしてやれば——現地はそういう計画をちゃんと立てている。それを、これは破壊されているそこだけなんだといって削ってしまうものだから、一雨降ればまたそこが破壊されてくる。またそこへ金をつぎ込まなければならぬ。それで、何とかと言うと、金がかかる、こう言う。私どもは何もむやみやたらに現地の声を全部が全部実視できるとは思っていない。それはチェックする責任があると思う。しかしながら、常識をはずれたそういうことをやらしてはいかぬと思うのです。これはやはり大蔵省の査定官のほうにあると思うのですよ。一体どういう指導をしておるのか聞きたいと思いますが、どういうことですか。
  49. 長岡実

    ○長岡説明員 先生おっしゃいましたように、各地で査定が行なわれますときには、大蔵省財務局の出先の災害査定官が立ち会いをいたします。立ち会いをして各省の査定官とその場で意見が違う場合もあるわけでございますけれども、大蔵省としては、現地に出向きます査定官に対しましては、各省と相談をした上でできております災害査定要領というものがございます。この要領によって、各省の査定官も、また大蔵省の立ち会い官も、一つの判断の基準として——ただ、中には、その基準に照らして具体的な事実を判断いたしますときに、やはり立ち会い官の個人差というものが全然ないとは言えませんので、毎年立ち会い官を、全部ではございませんが、中央まで集めまして、基本的なものの考え方等につきましては講習もいたしております。なお、非常に金額的に大きなもの、あるいは技術的な問題で非常にむずかしいものということで、現地におきまして各省と急見が合わない場合には、その現地で結論を出さずに中央まで上げていらっしゃい、中央へ上がってきて大蔵省と本省とで十分に御相談をしましょう、そういう体制にはいたしております。御指摘のような事実が全くあるはずはないというようなことは私は申し上げません。確かに若干はそういう例があるかもしれません。その点につきましては、今後も大蔵省といたしましては十分に指導を続けてまいりたいと思います。
  50. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、こうしたからといって何も大蔵省の査定官に萎縮したことをやれと言うのじゃありませんよ。しかし、あまりにもそういう事例か多いのです。これはただ一例をあげたにすぎない。言い出したらきりがないのですけれども現地の声として、総括的には、いま申したように、どうも査定官が来て削ってしまう。けれども、大蔵省が来れば、やはり一番こわがりますよ。自治省の者は、大蔵省が来るといえば、今度は次に予算をもらうときのことも考えてそうしておこうか——悪いことはわかっていても、そういうことをやる。だから、こういう場合に、こんなものは大蔵省に弁償させなさい。去年やっておけば、ことし六千六百万の損害はないのだから、査定官に弁償させさない。私は技術屋ではない、土木技術者ではないけれども、こういう計画はだめなんだ、こういう構造でやってはだめなんだと、私は、運輸委員会においても、災害委員会においても常に警告しておいた。現地ではそのとおり計画している。それを査定官が削っちゃって、六千六百万も損害をさせた。そういうのは、査定するのなら査定官はもっと責任を持たなければいけない。そういうのは弁償したらいい。無責任きわまりない。だから私は、この査定の問題について——私が言うだけじゃない。砂原先生から関連して査定の問題について……。
  51. 砂原格

    ○砂原委員 山口先生からいま査定の問題についての御意見があったけれども、たまたま私のところにちょうどその実態がある。前年の災害堤防護岸がくずれた。その護岸をもう三十メートルほど延ばしておけばまずその地帯は安全だ、もう三十メートルだけどうか延ばしてくださいということを地元のほうから懇請したが、結局、施工の段階においては、ここまでしか査定になっていないから、これまで以上はできないといって施工しなかった。その施工しなかったところが今年の災害でくずれて、母家が一戸流されてしまったという現実の問題がある。こういうことは、いま山口委員が言うように、一つの常識の問題でもあると思うので、ほんとうに、査定に行かれた人が、接岸のここを強化すれば隣の護岸が非常にゆるんでいるのだから、危険度が高い、下のほうはもうがらがらになっている場所だから、もう三十メートルだけ延ばしておいてやれば安全だ、災害も起こらないで済むのだというような事実があるところでも、やはり査定官としたら、災害を受けた個所だけをという、法を守るという意味から、そういうことについて法に忠実であったというために、思わざる、民家を流失するような悲惨な状況まで起こさすような事態を発生することがあるので、いま大蔵省のほうからの御答弁がありましたが、大蔵省としては、当然、今度災害が起こったら、財務局のほうから、災害に便乗しないようにという警告をやる、それはやるのが忠実なのであって、決して悪いとは思いませんが、しかし、流失したり、そういう災害を来たすことによって大きな損害を再び繰り返すという事態は、国の経済においてはよほど大きな損害になるわけなんで、こういう面については、今後大蔵省のほうも、また査定に出かける農林あるいは建設、いずれの担当の省も、心して災害査定官にひとつ指導をしてもらいたいということを強く私も希望いたしておきます。  それからもう一つは、先ほど山口委員質問された部分農地の問題でありますが、この問題については私もひとつ尋ねてみたいと思う。先ほど農地局のほうからの御答弁によりますと、大きな災害だったら九割までの補助をしてやるんだ、それによって町村あるいは区画整理組合というようなものが復旧すればいいのだ、こういうことであります。そういうことは私も大体伺っておるのでありますが、一例でございますが、たとえば災害によって流失してしまった、そうしてほんとうに災害から免れた個所は一部落のうちわずか三%か二%程度残っただけ、あとは全部土砂が入ったり、あるいは川原になったというような状況になってしまった。そうなれば、その部落は全体的に耕地をつくり直さなければどうにもならない。こういう場合に、残った三%あるいは二%のものも一緒にやってしまわなければ、どうしても完全な農地ができない。段々畑のあるところなどは、ことさら、そういうものを一緒にしなければやっていけないと思うが、その残っておるものに対しては、これは災害でないではないかということになろうと思う。そういう場合にはどういう方法をとるべきであるかということについてお示しをいただきたい。
  52. 佐々木四郎

    佐々木説明員 農地災害に限りませんのですが、原形復旧ということでなしに改良復旧というやり方がございます。その場合に、改良をやっていく場合には、当然その復旧によって従前のその施設土地の効用が回復しなければならぬ。効用というものがもとどおりに回復し、しかもこれは安定して回復しなければならない、再び災害を受けては困る、こういう方法をとっております。したがいまして、かりに災害を受けない場合でも、関連してその工事もやらなければならない、そうしなければ効用が回復しないという場合には、これは復旧工事の中に入れてもよろしい、こういう考え方がありますので、いま先生の御指摘の具体例がどういうふうになっておりますかは存じませんけれども、もしその残りました土地もまとめて復旧しなければいままでどおりの効用が回復しないということであれば、それも含めて復旧ができる、こういうことでございます。
  53. 砂原格

    ○砂原委員 それには同じような補助があるわけですね。
  54. 佐々木四郎

    佐々木説明員 はい。
  55. 砂原格

    ○砂原委員 それから金の問題でありますが、農民のところには融資もしてやる、その支払い期間は二十年か二十五年、これはありがたい話のようです。利息は五分ですか。そうすると、極端に言えば、かりに藤橋村なんかを完全な農地にしようとした場合に、たいへんなことだ。農地につきましても、普通の農民が収穫を得ておるような田畑に復旧しようとするまでには少なくとも十年かかると思う。その十ヵ年かかる間は皆無かといえば、皆無ではなかろう。何ぽかの収穫はある。しかし、利子の支払いをしていったり、自分たちが食っていったり、あるいは肥料の補いをしたり、いろいろなことをやらなければならぬ。それに農民たちが五分の利息を払って、借り入れ金を二十五ヵ年かけて年々元金も払っていかなければならぬ、十年間は収穫はもとどおりにならないというときに、いまの段階はそういう程度の融資の方法で、実際にこういうほんとうにみじめな災害を受けた農民が立ち直るのに、国の援助の方法というものはこれで十分であると、かようにお考えであるかどうかということを伺っておきたい。
  56. 佐々木四郎

    佐々木説明員 農地が埋没いたしましてこれを復旧する場合には、当然その復旧いたします場合に耕土というものを上に入れる、そしてなるべく早く普通の熟田熟畑になるようにやっております。したがいまして、普通の土をだんだん埋めたりあるいは持ってきたりいたしまして復旧するのじゃなしに、水田、畑の育畑、育田になるべく近くなるようにいたしますので、よほど特別な場合でない限りにおきましては、もとどおりになるのにそんなに長期の期間を要するとは考えられない。例外はあるかもしれません。しかもまた、そういうかりに大きな災害でもって農地の埋没、流出の度合いが非常にひどかった、それが非常に金がかかるという場合には、先ほどもお話し申し上げましたように、高率の補助適用されます。この高率というのは、八割とか九割というような律でございますので、その残りが、いまの補助残融資という制度で、しかもこれが非常に低利、長期ということになりますので、一々の計算は具体的にどのくらいになりますか、金額が出てまいりませんとわかりませんけれども、きわめて軽微な負担にしかならないというようなことで、いまそういうことが農家の非常な負担過重になりまして、そしてその復旧事業でも復旧できないというような事態がございましたならば、これは具体的に検討いたさなければなりませんが、いまの農地補助あるいは融資、この制度は、ほかのいろいろな農地関係の事業から比べますと非常に率も高いし、それから融資の方式も有利な条件でございます。これはほかのものと比較いたしまして非常に有利な条件になっておりますので、そんなに過重な負担になるとは考えておらないわけでございます。
  57. 砂原格

    ○砂原委員 私も百姓の子ですが、農民というものはほかに収入がないのです。収入が生まれるのは、田から、あるいは畑から、山林からで、それ以外に農民というものは収入がないのですよ。月給をとってくるわけじゃない。農民はその土地から得なければならない。いまあなたのほうで、それはいわゆる俗にいう肥土、よく肥沃した土を入れるのだと、こう言われるけれども、こういうような状態になって、部落または町ぐるみ流れたところへ、肥満土を一体どこから持ってくるのですか。どうやって入れるのですか。その土を運ぶだけで、もう土地に対する負担というものは高率な負担がかかってくる。また、一部落がそう言ったって、隣のほうで災害を受けていないところの部落があるから、その部落の土をもらってくるというわけには農家というものはいかないのです。とにかく、都市の人が自分の住宅地を大事にするのと同じように、農民は、自分のたんぼにある主ならば、一くわの土でも持って逃げられることは反対するわけですよ。だから、あなた方が机上でお考えになるような、復旧というものはそう簡単なものではないということをもう少し理解してやってもらわぬと——農民たちが一番いいのは、まさ土か赤土だそうだ。赤土を入れて、その赤土に向かって、今度は自分たちがつくったわらとか、あるいは山の草を刈ってきたりなどしてそれを堆肥にして入れるとかして、そういうような努力を毎年毎年積み重ねていってたんぼをつくり上げていくのだから、十年かかるということを私は言う。おまえ方のほうは非常に封建的な農業経営をやるからそうなんだよと言うかもしれませんけれども、いまの者は山の雑草を刈ってそれを肥料にするということさえやらなくなっちゃった。化学肥料でみなやるようになった。だから、ほんとのことを言ったら、田畑はやせるばかりなんです。化学肥料ばかりでつくるものだから、だんだん収穫は減ってくるし、食べてもおいしくなくなってくる。そういうようなことを考えたときに、ほんとうに農民というものはどんな苦しいものであるか、農民はどんなにその土地に執着を持っているか、また、その土地から生み出す収穫によって自分の家族も養い、子供の教育もみんなやっていかなければならぬ、そういう格差がひどい立場にある農民のことにいま少し皆さんが——農民の経営というものは、もう学問的には皆さんが十分な指導をしておられると思う。しかし、それは理論の上に立ってのことであって、実質の問題にそぐわないものが多々ある。こういう面については、こういう大きな災害、激甚災を受けた全国の地方の者に対して、皆さんが、かつての水戸黄門みたいに、ほんとうにわらじがけで現地を見てやるというだけの気持ちで農民に力強い指導をされることを私は強く要望いたして、私の関連質問を終わります。
  58. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 もう私の質問も終わりますが、自治省は見えてますね。
  59. 楯兼次郎

    楯委員長 文部省も来ています。
  60. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 自治省、大蔵省、その他文部省に伺いますが、罹災地学校復旧について、これはどういうふうになっておるか。たとえば激甚地に指定されない個所においても、二十三号台風等によって校舎の倒壊したところもあるわけです。これらに対して文部省はどういう復旧処置をしておられるか。激甚地指定をされておるところば当然高額補助でやれる。激甚地指定に至らないところにおいても、私は例を言えば、三田の小学校において台風で校舎が倒壊してしまった。こういうようなものの復旧についてどういう方針でやっておられるか。  それから自治省にお尋ねいたしますが、本査定を経て復旧をするというまでに、緊急に仮査定もしくは査定復旧を認める、そうして事後査定をやる、そういうことまでも言って積極性を政府は示されているのでありますけれども、そうすれば、当然、今日の地方財政から見まするとこれはたいへん窮屈な財政になってくる。実際各府県または市町村においても非常に財政上苦しい、赤字財政をかかえておるような現状になっておる、したがって、これに対してはつなぎ融資をしても、やはり利子補給——新潟地震のときの田中大蔵大臣の言明は、そういうつなぎ融資をした場合に、その利子をも含めた総額を損害補償の対象として補助をやる、補助の対象金額にする、こういうことであるので、したがって、今度も非常災害対策本部としてはそういう方針でそれをやられると思うのですけれども、各市町村に対してつなぎ融資をどういうふうにやるか。  それから大蔵省に対しては、そういう処置をとった場合、その融資のあっせんもしくは地方起債等が必要な場合、どういう方針をもって臨まれておるか。  以上、三省からそれぞれ御答弁を願いたい。
  61. 岩田俊一

    ○岩田説明員 公立学校災害復旧につきましては、激甚災になりますれば、これは申すまでもなく、かさ上げの援助が行なわれるわけであります。激甚災に至らないものにつきましては、これは公立学校施設災害復旧費国庫負担法という母法がございまして、この母法の規定によりまして三分の二の補助をするということで措置されることになっておるのですが、御参考までに申し上げますと、学校の現在の一回査定状況はおおむね六〇%程度進んでおりまして、大体今月の中下旬には、本年中に発生しました災害は全部一回査定を終わる予定になっております。
  62. 横手正

    ○横手説明員 つなぎ融資のことでございますが、災害がありますと、普通交付税の繰り上げ交付といいますものをそのつど行なっております。これが当面の資金繰り対策というような措置になっておるわけでございます。本年度におきましても、二十三号、二十四号の直後に、十月初めに行なっております。また、今年度に関しましてはこの十一月の初旬に普通交付税の全額を交付することになっております。市町村分につきましては、この二年にすでに五百数十億という普通交付税の残額が交付済みになっておるわけでございます。そうした面からしますと、つなぎ融資の面につきましてそれほどの心配はないのではなかろうかという感じはいたしますが、そういう必要の生じました市町村がありましたら、個々に実情も聞きまして十分検討してまいりたいと思っております。
  63. 長岡実

    ○長岡説明員 つなぎ融資につきましては、大蔵省としては、各財務局に融資のワクを一応設定いたしまして、そのワクの範囲内であれば、個々の地方公共団体から申請がございましても、別に中央まで相談をする必要はない、現地の財務局限りでつなぎ融資を行なえばよい、そのワクを越える場合にはこちらまで上げてきて、そのワクをふやすかどうかをまた連絡をするという仕組みにいたしておりますので、比較的迅速にその体制も整いますし、また、地元の地方公共団体が申請いたしましても、それほどの時間を要することなく融資ができるのではないかと考えております。
  64. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 では、ひとつ要望しておきます。査定についてでありますが、先ほどかられ例をあげましたように、本省としては、必ずしも原形復旧ではなくて、ここで御答弁になっておるように、改良復旧を主にしてやっておられるんだと思うのですけれども、末端にいきますと、何といっても査定官の権限以上に——まあ自治省にしたって、各出先あるいは地方の公共団体にしたら、率直に言えば、やはりその査定官の権限以上に行なわれているのです。だから、こうだと言われたらへいと言わざるを行ないのです。したがって私は、ここで御答弁になったことを、やはり政府方針として査定官にもっと徹底してもらいたいと思うのです。だからといって放漫に流れることは、厳にこれは戒めなければ、際限のないことであります。ですから、私はその点についてはよく了解をしておりますが、しかし、だからといってしゃくし定木的に、だめだとわかっているにもかかわらず原形復旧にして、現地の声を聞かぬような査定をするということは、これは国費のむだになるのです。ですから、そういうことのないように、これは各省ともにひとつ災害復旧に関してはその査定の方法を徹底さしてもらいたいということを強く要望しておきます。
  65. 楯兼次郎

    楯委員長 吉田賢一君。
  66. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は災害対策について各所管省に行政事務の進捗状況をこさいに伺ってみたいのでありますけれども、きょうはお互いに時間がありませんので、この際資料として御要求申し上げて、概要でよろしゅうございますから、右の趣旨に沿うような資料の御提出をお願いしたいと思います。もっとも、事務当局はずいぶんと繁忙をきわめておる最中と思いますので、こういったことの上になおまた資料の作成ということになりますから、この点は実は相すまぬ思いがするのですけれども、どうか概要報告という趣旨に沿うような資料を見せていただけばけっこうだと思います。  一つは、激甚災法に基づきまして農林大臣で各地域を告示しておるはずでございますが、これをひとつお出し願いたい。  第二番目は、激甚災援助法の施行令に基づきまして、今年度三百三十六号、三百四十一、二号のそれぞれの政令が出されております。この内容につきまして、たとえば法第二章あるいは三章、四章、これは五章にもわたりますが、この点は、今年十月一日付災害対策本部で出されました被害調べ、これにはかなりこさいに出ておりますが、二章、三章、四章、五章にまたがりまして、それぞれ公共土木施設とか厚生関係、あるいは堆積土砂、農地、それから開拓あるいは農林水産業共同利用施設、中小企業等々、各般にわたりましてかなりな範囲でただいまの趣旨に沿う資料をお出しいただきたい。  それから三番目に、自治省に対しましても、若干さきの答弁の中にございましたが、地方公共団体の財政膠着の実情にある際に、被害地域はいずれもお手あげの状況と私ども見ておりますので、したがって、それも非常に重要なことでありますから、ただいまの段階におきまして、主として自治省は財政局と思いますが、どのような措置をとっておりますか、地区別に、これも概要でいいから資料として出してもらいたい。  なお、きょうは大蔵省に向かって少し伺いたかったのだけれども主計官お一人だからやむを得ませんので、あなたに申し上げておいて、ひとつよく御協議願いたいと思うのであります。  私どもは、査定官現地に臨んで各対象について査定される、大蔵省からもともに行って査定される、その際に、国の財政の問題は頭に置くべきでないと思っております。あくまでも、法律、規則、ないしは行政の出先としまして、現実に即して、現実の状態をお調べ願うべきだ、こう思うのであります。非常に顕著な一つの例が開拓農民の住宅の問題で、九坪半しかないからこれは補助の対象にはならないというようなことを言うておられる。こういう点につきましても、これは大蔵省当局、財務当局の御意見、当局の担当官の意見かどうか別といたしまして、そういうことを軽率に放言することはいかがかと思います。いずれにいたしましても、山口委員からもだんだんその辺のことが出ておりましたが、大蔵省の背景を持った査定というものが一つの圧力になってはたいへんだと思いますので、いまの点につきまして、財政の事情、予算の問題、そういったことは出先の人は頭に置くことなしに、率直に現実について、ひとつ査定に協力するようにしてもらいたい。これはひとつ御要望申し上げておきます。  以上、私は質問はやめまして、資料提出をひとつ御承諾をしてもらいたいと思います。ちょうど細田副長官が見えておりますので、総理府において総括してもらえましたら、たいへんに便利だと思います。
  67. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま御要請のございました資料につきましては、できる限り、いま御指示ございましたような資料をつくりたいと思っております。ただ一言だけお断わりを申し上げておかなければなりませんのは、天災融資法などについては、これは可能でございますけれども農地とか、その他いわゆる市町村別の激甚地を確定するという点につきましては、早急には実は出てまいりません。先ほどちょっと聞こえませんでしたが、先般出しましたような被害額の資料を、さらにその後変更があったところを出すという程度ならばできますけれども、これが直ちに市町村別にここは農地について激甚地になるというような点につきましては、早急にはいま出てまいらないかっこうでございますので、その点御了承いただきたいと思います。できるだけの資料はお出しいたします。
  68. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 誤解があったらいけませんので申しますが、報告せられておる被害の実態になるかもしれませんが、結局、それよりも、私はそれに対処する被害対策の行政のただいまの進捗の段階、実情を知りたい、こういうことでございます。
  69. 細田吉藏

    細田政府委員 ちょっと聞き取りにくかったものですから失礼いたしました。御趣旨のような資料をできるだけ詳細に出したいと思っております。
  70. 楯兼次郎

    楯委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後零時三十三分散会