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1965-08-05 第49回国会 参議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月五日(木曜日)   午前十時三十分開会     —————————————   委員の異動  八月五日     辞任         補欠選任      柏原 ヤス君     北條 雋八君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山下 春江君     理 事                 北畠 教真君                 千葉千代世君                 松永 忠二君     委 員                 楠  正俊君                 近藤 鶴代君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中上川アキ君                 中村喜四郎君                 吉江 勝保君                 秋山 長造君                 小野  明君                 小林  武君                 鈴木  力君                 北條 雋八君                 林   塩君    国務大臣        文 部 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房長  安嶋  彌君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省大学学術        局長       杉江  清君        文化財保護委員        会事務局長    村山 松雄君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    参考人        日本道路公団副        総裁       佐藤 実政君    説明員        文部省調査局審        議官       西田亀久夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○教育文化及び学術に関する調査  (埋蔵文化財保護に関する件)  (学力テストに関する件)     —————————————
  2. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  埋蔵文化財保護に関する件について、本日、参考人として、日本道路公団総裁佐藤寛政君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下春江

    委員長山下春江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 山下春江

    委員長山下春江君) 教育文化及び学術に関する調査中、埋蔵文化財保護に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中野政務次官村山文化財保護委員会事務局長が、また、参考人として日本道路公団総裁佐藤寛政君が出席しております。  ちょっと速記を中止してください。   〔速記中止
  5. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記起こしてください。  御質疑のある方は御発言を願います。
  6. 小林武

    小林武君 私の質問したいのは二つございまして、一つ登呂遺跡の問題、一つ加曽利貝塚の問題です。初めに登呂遺跡の問題をちょっとお尋ねいたしますが、その前に、八月十五日、私は静岡市に参りまして、登呂遺跡について一応見てまいりました。その際、道路公団静岡県の責任者の方ともお会いしたし、それからさらに現場の出張所の責任者とも会いました。また直接登呂遺跡関係のある静岡市の望月というこのことに関係の方、それから県の長田さんという同じく登呂遺跡関係している方ともお会いして、なお市役所の社会教育課長とも会って大体のことは調べてまいりました。そこで、私はあまり回りくどいことはひとつ抜きにいたしましてお尋ねいたしたいんですけれども登呂遺跡は言うまでもなく、これは指定されている区域については、多少、現在調査発掘をしていますが、このたび調査をしているところが入っているかどうかについてはさだかではありませんけれども、入っていないような気がするのです、飛び地になっておったりして、全区域指定状況ではないようです。そこで、登呂遺跡重要性などということをここで議論する必要もないと思いますからお尋ねをいたしますが、まず、これはあと政務次官にひとつ政治的な御判断お尋ねをいたすことにいたしまして、村山さんにお尋ねいたしたいんですが、登呂遺跡水田あと調査報告について、昭和四十年三月の予備調査、この予備調査報告があったと思いますが、この予備調査報告に従って、史跡である登呂遺跡について、文化財保護委員会としてはどういう態度をいま持っているのかということです。昭和四十年三月の予備調査については、調査に当たりました望月さんから、これについて調査の結果どういうことを一体残された問題としてやらなければならないかというようなことも述べられておりますので、この点についてひとつ見解をお伺いしたい。
  7. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 登呂遺跡につきましては、遺跡の北側の一部が指定になっておりまして、南側地域指定をされておりませんでしたが、その南側指定地域外のところを道路公団高速道路計画されることになりましたので、指定地域外ではございますが、水田遺構その他の遺跡が存在することが予想されましたので、当委員会といたしましても、昭和三十九年二月以来、係官を派遣して静岡県の教育委員会の立ち会いのもとに現地調査を行ないました。さらに、静岡県の教育委員会において約一年間にわたりまして文献調査及び測量調査を行ないました。さらに、本年三月に至りまして、静岡県の教育委員会におきまして予備調査、一部発掘調査をいたしました。これが御質問調査だと思います。この予備調査の結果によりまして、道路予定地のところに南北に走る水路が存在することが予想されましたので、さらに本格的な調査をすべきであるということになりまして、道路公団側から経費の支弁を仰ぎまして、静岡県の教育委員会主体となりまして、今年の七月の二十日から八月の十日まで、もう少し詳しい調査をすることになったのであります。この調査は現在進行中でございます。その結果等を待ちまして本格的な対策を立てたい、こういう段階になっています。
  8. 小林武

    小林武君 ちょっとあなたのおっしゃることはあいまいなんですがね。これはあなたも最近おかわりになったんだから、あまり意地の悪いことを言いたくないから申し上げませんけれども、そういう考え方ちょっとおかしいんじゃないかと思うんですがね。東名道路がつくのだ。これはそうでしょう。その東名道路がつくところを予備調査をやった。予備調査をやって、これは二十日間という日程でやるのですが、あなたは現地をごらんにならぬだろうと思う。ぼくは現地へ行ってみて、二十日間で一体これが調査できるかどうかということになりますというと、これは関係者がなみなみならぬ努力をしてもたいへんだと思う。私もしろうとで、実際そういうことはよくわからないけれども考古学のことはわからなくても、大体、上のほうをとっていろいろやれば、土方の仕事よりももっと悪い苦労の要る仕事です。そういう調査をやるのに、二十間で調査をやるということは、ほんとうのこれは調査らしい調査ではないとこう思うのです。そういう調査らしい調査をしないでおいて、大体そのあとどうするかといったら、結局、本調査をやって、何かをそこで記録しておく、あとは壊破を前提としてやったものだから、破壊にまかせる。これはもう結論でしょう。私は静岡道路公団責任者の方にもお話を聞いたら、そうですとおっしゃった、率直に。破壊前提とする調査です。そういうことで、実は二百万円は出したくはありませんけれども、まあほんとうは百万円、予備調査に三十万円、文部省からは一銭ももらっておらぬと。予備調査に三十万円、本調査に百万円と、こう考えているといったが、このとき、これを静岡調査に当たる職員に話したら、びっくりぎょうてんして、二百万円なければとてもできないというようなことを言った。二百万円で大体短期間のいわゆるほんとう調査らしい調査じゃないと私は思いますけれども、これは私たちだけの意見でなくて、考古学者の間でも、結局、金があればもっとやりたい、こういう考え方ですわね。しかし、金がないのだから、金分だけはやっぱりやらなければならぬという、まあそういう考え方だと私は思います。そういうやり方をやっておいて、とにかく破壊前提としています、破壊すれば、これからの手当ても何もないわけでしょう。あとはこわすだけです。そういうふうに私は聞いてきておるのですが、あなたのほうでは別な手だてを考えていらっしゃるのかどうか、その点明らかにしてもらいたい。
  9. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) この調査は、静岡県の教育委員会主体となりまして、考古学協会等の協力を得て実施しておるわけでございます。期間経費等につきましては、万全を期するためには多きにこしたことはないわけでございますが、一応、教育委員会といたしましては、約二十日間の調査をもって遺跡の概要がつかめるものと考えております。なお、本委員会といたしましても、近く調査期間中に係官を派遣いたしまして、調査進捗状況も見、それから調査団並びにまあ教育委員会あるいは道路公団とも協議いたしまして、その後の措置を検討いたすつもりでございます。で、どういうことをやるかにつきましては、その結果を待ちませんとわかりませんが、一応考え得ることは、指定に値するような遺跡がいま確認されつつある段階でございますので、これをできるだけ破壊はいたしたくないと、かように考えております。まあ文化財保存とそれから開発計画との調整の問題に相なるわけでございますが、道路公団側お願いいたしまして、たとえば、道路公団高速道路は地面に盛り土をしましてつくるのが普通でございますが、盛り土やり方におきまして、遺跡のある部分高架にするというような方法考え得るわけではございますが、どのような方法をとるかは、調査の結果とにらみ合わせまして、さらに検討いたしまして、できるだけ遺跡破壊の程度を最小限度にとどめて保存が極力可能になるように善処いたしたい、かように考えております。
  10. 小林武

    小林武君 村山さんのお話を聞いて、私もたいへん好感をもっていまの答弁を聞くことができました。私が行った当時は、そういうふうにほとんど破壊前提としているということでありましたからいまのような質問をしたのですが、実は高架にできるか、それとも迂回と申しますか、迂回することができるかというようなことにつきましては、道路公団静岡県の責任者に会って実はお話を聞いてみたのです。迂回というのは、しろうと考えでもなかなか容易じゃないし、なかなかできないと思う。しかし、高架にするということはどうでしょうという話を一応私は出してみたのです。そういう点について、いま一応あなたが高架ということをお考えになっているというようなことで、私もこの点については、文化財保護委員会努力なり、考え方についてたいへん敬意を表する次第です。  そこで、おいでいただいた佐藤道路公団総裁に、この点についてちょっとお尋ねをいたしたいのです。私は道路公団の方に会ったときには、これは率直に言って、当時の静岡県の関係者の方よりか、道路公団の方のほうが、その点理解がわりあいにあると感ずるくらいなんです。その点についてはたいへん敬意を表しているのです。そうして、道路公団道路をつくればいいのに、たくさん金まで取られてたいへんだと思ったくらいなんです。なぜ文化財保護委員会がもう少し金を出すことを考えないのかと思ったのです。また、静岡の市にしても、県にしても、自分の県にあるもの、しかもそのものが相当埋蔵文化財として価値があるものであり、学問的にも将来残しておくべきものである民族の伝統であるとか、民族の何とかということを日ごろ口にするような人たちが、この問題についてはもっと熱意を持っているはずだと思うのですが、あまり熱意がない。ところが、現場道路をつくるほうがかえって御理解があるので、私はたいへん敬意を表したのですが、一番の問題点はいまの点だと思うのです。破壊前提としているかどうかという問題ですね。地元の局長さんはこうおっしゃったのです。もしも掘ってみてこれが重要なものであるということになれば、またぐぐらいのことは御相談に応じてもいいというような意味のことをおっしゃった。またぐことが高架なのかどうか私もよくわからない。またぐということは私はたいしたことじゃないと思うのです。高架をやるということじゃなくて、ちょっとそこのところだけまたぐ、私はそのくらいに考えたのです。いま文化財保護委員会としては高架考えるということを言ったのですが、あなたのほうでは、道路公団としてはかなり大きな仕事だと思うのです。予算の上では何倍ぐらいになるのか、四倍になるという話もありますけれども、四倍なのか、三倍なのかわかりませんが、そういうことで配慮する余地が現在残されておるのかどうか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  11. 佐藤実政

    参考人佐藤実政君) お答えをいたします。高速道路登呂遺跡付近を通りますにつきましては、申すまでもございませんが、 この登呂遺跡は、全国数多いいろいろそういうものの中で最も有名であり、したがって考古学上、その他学術上非常に大事なものであるということは私どもも十分心得ております。したがいまして、できるだけそういうものと離して高速道路計画いたしたかった次第でございますが、そういうことを大いに考えたのでございますが、御承知のように、高速道路と申しますというと、付近数キロにわたるいろいろな制約に支配されるわけでございます。まああの付近で申しますというと、西のほうには安倍川、この川をどういうふうに渡るか、それからすぐ東に静岡インターチェンジと申しまして、静岡との出入り口をつくる予定にいたしております。これも使いやすいようにじょうずにつくらなければならない。それから東のほうへ参りまして、この登呂遺跡を通り、さらに東のほうには、日本平と申しますか、相当隆起の部分がございまして、人家の密集地へ入るようなルートでございます、路線でございます。こういうところでございますので、十分その点を慎重に考えまして、私ども基本計画に当たりましていろいろの制約がございますが、許す限り登呂遺跡指定部分からはできるだけ離すように、路線を見てもおわかりいただけるように、南のほうへ曲げて、差しつかえない限り離すように取り計らった次第でございます。そういう次第でございまして、計画の当初から、このものにつきましては十分考慮を払ってまいりたい、こう考えております次第でございまして、ただいま小林委員から御発言がございましたが、あるいはだれか道路公団職員破壊云々ということを申したかにお聞き取りなすったようでございますが、私ども責任者といたしましては、そういう気持ちでなく、できるだけ尊重して、できるならばもっと離したい。しかし、お話にもございましたように、この路線をさらに迂回するというようなことは事実上不可能に近い困難でございますので、ただいまの方針といたしましては、この線に従って、そうしてその実情をよく判断をいたし、もちろん御専門の各機関に御相談し、御指示をいただきまして、そういう大事なものの破壊を来たさないように、できるだけ保存するようにつとめたい、こういう気持ちで当たっておるはずでございます。
  12. 小林武

    小林武君 そこで、その高架のほうはどうなんですか。いま文化財保護委員会のほうでは、これはだんだん重要性が明らかになってまいったということを言っております。高架ということも考慮しているようです。これは文化財保護委員会がそういう慮考をする段階になりますと、私はもう当然現地調査している人たちは、やはりそうあってほしいという念願だと思うのです。でありますから、あなたのほうで、その高架というような話が出た場合には、これに応ずることができるのかどうか、この点ちょっとどうでしょう。
  13. 佐藤実政

    参考人佐藤実政君) あの地点を見ますというと、御承知のように、平たんな水田地帯でございます。水田地帯というものは、私ども土木工事を実施いたします立場から見ますというと、往々にして基礎地盤の悪いところでございます。いわゆる軟弱地盤のところが多いのでございます。それほどじゃなくても、山地よりは水田のほうがどうしても地盤が軟弱である、こういうのが普通でございます。したがいまして、工学的に判断いたしますというと、そういう地盤のところには、普通はコンクリート等の堅固な、がっちりした構造物を建てるよりは、ベースを広くとって、そうして土を盛ったものをつくったほうが、道路なり何なりをつくったほうが、工学上安全であり、経済であり、そのほうがよろしい、こういうことに一般には考えられております。したがいまして、私どもはあの部分につきましては、一応土を盛り上げて道路をつくるという設計をもってただいま進めておる状態でございます。しかしながら、お話もございましたように、また、文部省局長さんからも御説明がございましたように、調査を実施いたしておる段階でございますので、その調査の結果によりまして、重要な問題が生ずるような場合には、各方面、御関係機関と十分協議いたしまして、あるいは盛り土設計を変更し、高架というようなことも考えられますし、なお、それらの具体的な措置につきましては、専門機関方々の御支持をいただきまして、私どもといたしては工学的に設計をひとつくふうしてみたいと考えております。
  14. 小林武

    小林武君 大体いまの御答弁を要約いたしますというと、盛り土をやるほうが経費の面からも、何といいますか、そういう土木工事がじょうぶな点からもけっこうだけれども高架もとにかくこの文化財価値いかんによっては考慮できる。こういうふうに理解してよろしいですね。どうですか。——それでは私から一つ道路公団の副総裁お願いを申し上げたいのでありますが、これは調査の結果、専門方々がどういう結論を出すか、これは出てからのことでございまして、私の想像では接触した限りにおいては、できるならやはり高架にして残したいというのがみんなの意向でございます。したがって、まあ結論的にはそういうお願いをすることの公算がきわめて大だと思うわけでありますが、そういう場合にはどうぞひとつ、道路公団でも文化財の問題については一番関係の深い公団でありまして、特にまた従来も非常にいろいろ私もこの問題で質問してみまして、道路公団はわりあいに政府関係機関のうちでは一番熱意のおありになるところだと考えておりますので、どうぞひとつ高架について、必要だという場合には格段のひとつ御努力お願いしたい。ぜひとも実現するようにしていただきたいと思うわけであります。これをお願いしておきたいと思います。  そこで、今度は村山さんにお尋ねいたしますが、なおそういうことになりますというと、二十日間という、大体八月十五日が期日なんですね、終わりの。二十日間もじき終わるのです。私は直接その後行ってみませんけれども、話を聞きますというと、やはりもっと明らかにしたいこともたくさんあるらしいし、たとえばこの望月さんの書かれた、今後残された問題として三項ばかり出ている中でも、登呂のいわゆる水田あとの範囲の限界をやはり知りたいということが一項になっています。その他確認できた部分を完全に発掘して、完掘して現地の広さ、これは畦畔——あぜやみぞ、畦畔水路の細部の調査などをやりたい。これは従来の調査で行なえなかっただけに重要なことだと思う。それから条里遺構条里ですね、古代の土地制度条里条里遺構遺跡としていかなる形であるか。これは地形や地層から究明したい。この問題については、条里の問題は申し上げるまでもなく、いわめる農村の問題として、土地の割り付けなんかの問題と非常に関係の深いことでございますから、これは明らかにしたいということは、ぼくは当然のことだと、しろうと考えながら考えるわけです。それから登呂水田条里遺構との関係をつまびらかにしたい。これはいま私が申し上げたと思うのですが、水田あと条里遺構との関係をつまびらかにしたい。こういうことになりますというと、私は二十日間のあれで、あの時点だけをちょいちょいとやってみるということでは登呂遺跡ほんとう調査にはならないと思うのです。これが万が一破壊前提としたというような結果に陥った場合においては、全くこれは取り返しがつかないということにもなるということを考えますというと、二十日間というのはどうかと思う。大体この工事はいつごろまで取りかかるということにお考えになっておりますか。この道路工事です。八月十五日に終わらなければならぬという理由はないと思うのです。私は八月十五日に終わらなければ工事が間に合わぬというようなことを聞いて、そうして現地に行ってみたのです。工事のことについてはあまりよく私もどういう準備が要るのかわかりませんけれども現場方々の話を総合してみますというと、実際着工は十一月、その間にいろいろな諸準備があるということでありますけれども、私は着工が十一月の中旬とかというお話でございましたが、そういたしますというと、必ずしも八月十五日で打ち切ってしまわなければならぬということにもならない。問題は、今度は金の問題になるわけです。金はどうするかという問題は、これは道路公団から二百万円とにかく出た、あとは金がないからやめたらいいだろうというようなことを文化財保護委員会がおっしゃることもこれはないのではないかと思いますが、こういう点については、あなたのほうでは、先ほどの話のように、高架にでもしようかというような考え方があるならば、この調査についてはもっと完全なものをする必要があるのではないかと思いますが、一体これはどうでしょう。
  15. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 今回の調査登呂遺跡の全貌をつまびらかにするというようなことはとうていできなかろうかと思いますが、一応、道路予定地調査だけは何とかつかめるのではないかという予測のもとにやっておるわけでございます。なお、直接道路敷地以外につきましては、登呂の近郊におきましてはまだいろいろ調査をするところがあるかも知れませんが、埋蔵文化財調査につきましては今回で終わりということじゃございませんので、県、市におきまして調査を今後も行なうという場合におきましては、さらに当委員会において協力することも可能であろうかと思います。現段階におきましては道路予定地調査は一応今回以外のものは考えておりませんが、何分にも調査結果もまだ出ておりませんことでございますので、この点は調査終了後、前にも申し上げましたように、調査団、県、市、当委員会、十分協議いたしましてその後の対策を立てたいと考えております。
  16. 小林武

    小林武君 いろいろこれから検討してというお話しでございますから、必ずしも打ち切ってしまうということではないと理解していいと思うのでありますが、ただ、私が申し上げていることを誤解しないでいただきたいということです。登呂遺跡の全部を一挙にやれということではないのです。この予備調査その他について、いま言われていることは、道路敷地といいますか、道路によって破壊される場所のことを言っておるのであります。ところがこの部分が一番登呂遺跡の場合には原型保存されている場所だと、こら言っている。ほかのところはかなりいじっているのです。それから住宅が建ったところもあるし、このごろ行ってみると、ほんの付近まで家が建っている、個人の家の中にまでそういうものが入り込んでいる場合がある。だからこの部分が一番原型保存されている、だからここのところが調査をするのに——粗漏の調査といったら悪いかもしれませんが、粗漏だと言っていいと思います。もう少しやっておけばよかったというようなことについて、私が一番神経過敏になってもらいたいのは文化財保護委員会なんです。あなたに、私は卒直に言わしてもらうというと、あなた初めてですから、特に言わしてもらいたいのですが、文化財保護委員会がやはり張り切らなければいかぬと思うのです。大体、一番熱意がないのが文化財保護委員会であるということになるというと、だんだん薄れていって、末端のほうになったら、静岡の話を出しますと、静岡がどうして一銭も出さぬのかと聞いたら、国が出さぬものを県、市が出すことはない、国が一銭も出さぬものをわれわれが出さなきゃならぬ理由はないという、そういう考え方があるのはごもっともだと思います。ぼくに言わせれば、道路をつくるほうが何で文化財のことについてむきにならなきゃならぬのか、いろいろ予算の出し方とか何とかあって、無理もないところもある、それに勢いを得て道路公団から一銭も出さぬということになったらたいへんだから、そういうことを奨励する意味ではありませんけれども道路をつくるところと文化財保護委員会とどっちが熱意があるかということになったら、それは問題にならぬ、あなたのほうがものすごく熱意がなきゃならぬですよ。このことを私は言いたいのです。はなはだ失礼ですけれども文化財保護委員方々はどの程度御心配になっているのか。あなたは当面そういう責任者じゃありませんけれども、とにかくここへ出てきてくださいというと、大体いままでの事務局長だというと、かんべん願えませんかというような話がある。何かここへ出てくるのがおっくうのような人たち文化財保護委員になっておるということは、私はけしからぬと思っている、卒直に言って。卒先してここへ出てきて、いろいろ意見を述べるべきだと私は思うのですけれども、なかなかそういうことにはなっておらぬ。それですから、あなたに大いに張り切ってもらわなければならぬ。文化財保護委員会が大いに張り切るべきだ。このことを申し上げて、とにかくこの問題はいいかげんにしてもらいたくないと思うのです。私はそういう意味であなたにぜひともこのあれを延ばすべきだ、こう思うのです。そこで、あなたにお尋ねいたしますが、どこから一体金が——たとえばそういう発掘に国から金が出ているということがあるんですか。予算のどこから出るんですか、何というあれから出るんですか、ちょっと調べてみたらぼくはわからぬ、予算のことは。この項目の中のどこから出るのですか。
  17. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 現在、埋蔵文化財の緊急調査費につきましては、予算額約三千六百万で、現在約四十ないし五十カ所の調査をやっておるようでございます。予算の科目といたしましては、国宝、重文等防災施設に必要な経費の目の中の埋蔵文化財調査の分が約三千六百万、調査件数は大体年間四、五十件ということでございます。
  18. 小林武

    小林武君 三千六百万あるわけですか。
  19. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) そうでございます。
  20. 小林武

    小林武君 三千六百万のうち、現在どのくらい一体それは出ておるわけですか、これには。
  21. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 予算額は毎年全部消化しておるようでございます。現在年間四、五十件ということになっておるようでございます。
  22. 小林武

    小林武君 まあその程度の答弁でよろしいのですけれども、そうすると、まだ金は出せるということですね。もし調査期間を延長して金がいるということになれば、あなたのところでは出せる。また出さないでいこうなんという考え方がもしあるとしたら、これはとんでもない話だと思う。指定しておいてそれに関係のあるもの——これは指定地域外だというなら別ですけれども指定しておるんですから、指定しておって道路公団だけに二百万円出さして、二百三十万円だか出さしておいて、文化財からそういうものに出すところの補助金があっておりながら一銭も出さぬというようなことは筋がちょっと違いはせぬか、こう思うのですが、出す意思ありますか。
  23. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 本年の埋蔵文化財調査費は、まだ執行残があるということのようでございますので、この今回の調査終了後の結果によりましては可能性はあると考えております。
  24. 小林武

    小林武君 政務次官にちょっとだけひとつ御判断をお聞かせいただきたいわけですけれども、まあ金がある。それから先ほど言ったように十五日というと、もうあと何日もないのです。その点調査が終わってしまってから、さて考えますというような話では、これは私はぐあいが悪いと思うので、いろいろ文部省からも、たしか斎藤さんがおいでになったという話を聞いているんですが、文部省関係の深い方じゃありませんか。斎藤さんがおいでになったという話も聞いておりますから、あるいは八幡さんも顧問でいらっしゃるということですから、その道の大家がいらしているのですから、ここらでやはり何ぼか金を出すということを明らかにして、やっぱり調査はやれるだけのことはやったというようなことはできないものですかどうですか。政務次官、それを御相談していただけませんか。
  25. 中野文門

    政府委員中野文門君) ただいまの私に対するお尋ねでございますが、至急に小林委員の御意図と申しますか、お考えに対しまして、私、役所といたしましてもすみやかに検討いたしたいと、かように思います。
  26. 小林武

    小林武君 それではこの件については、登呂遺跡の全域完全保存のためにというような、文化財保護対策協議会というような団体からぜひ残してもらいたいというような、こういう要望も出ておるわけでありますから、どうかひとつ道路公団と十分御協議の上、十分な御調査をいただいて、そうしてこれはどこにもここにもあるという遺跡ではございませんから、とにかく一千八百年前の水田と、それを取り巻く集落の問題なんですから、これはきわめて重要なものでもございますので、ひとつ調査を十分していただくという、そのためには金を出してもらわなければならぬ。それから道路公団のほうでもかなり弾力性のある態度をお持ちのようでございますから、高架破壊を防ぐような方向にひとつ御努力をいただきたい。受け入れ側の道路公団がかなり積極的な御意見なんでございますから、私はこの点については必ずしも悲観的ではないと思いますので、どうぞひとつその点をお願い申し上げます。
  27. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連。静岡の者でありますが、関連して一、二御質問したいわけです。  地元のほうの様子を聞いてみますと、十日で一応調査を完了して、そうして八日か、九日の日に学者の顧問団会議を開いて今後の問題について意見を取りまとめる、そういう段階に来ておるようであります。したがって、文化財保護委員会のほうへ私たちお順いしたいことは、やはりこの顧問団会議等に出席をして、十分にひとつ——一応、顧問団会議の意見がまとまってどうこうしてからまたこれといろいろ関係を持っていくということは事実上非常に困難な問題だと思うので、したがって、その八日ないし九日に開かれる顧問団会議等に出席をして、十分学者の意見等も聴取しながら、今後の対策について早急にひとつ委員会報告をしてもらいたいと思うわけです。この点についてどういう御意見を持っておるかお聞きをしたいわけです。
  28. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 御指摘のように、現在、八幡教育大学教授、斎藤東大教授、杉原明治大学教授、和島資源科学研究所員、四氏を調査顧問として調査に御協力いただいておるわけでありますからして、本委員会としては七日に係官現地に派遣いたしまして調査進捗状況などを調べさせ、かつ現地教育委員会とも協議し、さらに顧問団の御意見も十分聞いた上で対策と文教を立てる、こういう態勢でいる次第でございます。
  29. 松永忠二

    ○松永忠二君 道路公団総裁お願いをしたいわけですが、いまも小林委員から文化財保護委員会としての協力の要請というものがあったわけでありますが、高速道路をつくる道路公団側にも、こういう事業を行なうために出てくるこうした問題について協力をしていただくということは私はやはり必要なことだと思うわけです。したがって、いまお話のように、十日で一応完了するけれども、十一月まで工事着工という時期はある。したがって、この調査を延期をする必要があるし、そのために相当に資金も必要であるということであれば、こういう問題について、やはり道路公団側でも一歩前進した協力をしていただくということについてお約束をしていただきたいというふうに思うのですが、この点について御意見をお聞かせいただきたい。
  30. 佐藤実政

    参考人佐藤実政君) 登呂遺跡部分工事は、ただいまの予定では、実は九月の上旬に公示入札にかけまして、そして担当する会社をきめて、あそこは世銀関係がございますので、たぶん国際入札手続きになるだろう思いますので、若干手数がかかりますが、工事は十月終わりあるいは十一月になるかもしれませんが、そういう手続が要りますので、ただいまのところでは九月上旬は公示入札にかける予定にいたしております。そういうわけで、実は私どもといたしましては、できるだけ急いであそこのところをまとめるようにいたしたいのでございます。先ほども申しましたように、設計といたしましては、一応、土を盛り上げて道路をつくるという設計準備をいたしておる次第でございますが、一方において調査も行なわれておることでございますので、その調査の結果によりましては、重大な場合には考えなければならぬ、こう思って、大いにその点の配慮もいたすつもりでおりますが、工事までに手数がだいぶかかりますので、この調査は、私どもといたしましては、できるだけ早くひとつ結果がわかるようにお願いいたしたい、こういうことをおそらく現地からそれぞれの機関お願い申し上げておるだろうと思うのでございます。調査が二十日間、こういう予定になっておるそうでございますが、必ずしもこの二十日という数には拘泥いたしませんが、さりとて十月末以降に工事にかかるのだから、もっとゆっくりというふうでもないという事情を御推察いただきまして、できるだけ早くまとめ上げるようにいたしたい。またその点について私どももちろん努力いたしますが、各機関、各専門の先生方にお願い申し上げたい、こう思っておる次第でございます。
  31. 松永忠二

    ○松永忠二君 私お願いしたいのは、そういうことよりは、やはり調査費二百万というすでに御支出があるわけです。もちろん文化財保護委員会がこれを支出をしているということについては、これは当然のことでありますけれども、やはり相当予定した計画の中で実施しているわけですから、したがって、必要以上に重要なものがあるというような、そういうふうな状況が出てきた場合でありますから、やはり金額等についてもなおひとつ文化財保護委員会なり文部省側とよく折衝していただいて、こういう面のやはり積極的な協力をお約束をいただきたいと思うのです。この点についていかがですか。
  32. 佐藤実政

    参考人佐藤実政君) 調査費の金額等につきましては、この種の調査につきましては、この公団道路を建設いたします立場の側からいたしますと、いろいろやっぱり制約がございまして、しかく十分というわけにはいかないのではないかと、こう思うのでございますが、ただいまの御質問の御趣旨はよく体しまして、ひとつ御相談申し上げたいと心得ております。
  33. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点なおひつ御努力を願いたいと思うわけであります。  それから、文化財保護委員会のほうへもう一つお聞きしたいのですが、静岡県だけでもこの高速道路をつくるために二十一市町村が関係して、四十カ所にわたるやはり文化財に関連のあるところが出てきているわけです。この点については、やはり文化財保護委員会としてはすでに調査をされて、そういう資料を持っておられて対策考えておられるのかどうなのか。出てきたところから問題が起こるということじゃなくて、こうした点についてどういうふうな対策をすでにお持ちになってこの仕事を進めておられるのか、この点をひとつ最後にお聞きをしたい。
  34. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 御指摘のように、文化財はまあ全国に多数存在するわけでございまして、これにつきましての調査は、文化財関係で、率直に申しまして、比較的おくれておるということが指摘されております。で、まあ本委員会といたしましては、埋蔵文化財の所在地の調査をまずやりまして、埋蔵文化財の所在地を明らかにする地図を作成しておいて、埋蔵文化財でございますから、何かその地方に工事をするということにならなければ、まあ一応その存在はして、破壊ということには相ならぬわけでございますが、そこにたとえば人家ができてくるとか、あるいは道路等の工事が行なわれるということになりました場合には、所在を確認したものにつきましては事前に関係者とまあ協議をするというようなことで、できる限り破壊を防ぐというような措置を進めております。何ぶんにも非常に多うございますので、さしあたり問題がないものについて、まあ積極的な調査をするというわけにもまいりませんので、問題のないものはまあ存在を確認して、地図をつくって整理しておく、問題が起こり得るものにつきまして具体的な調査をやる、こういう方法で処理をいたしております。
  35. 小林武

    小林武君 もう一つ加曽利がありますが、ぼくのほうは道路公団の副総裁質問ございませんからお帰りいただいてけっこうです。
  36. 山下春江

    委員長山下春江君) 佐藤総裁、ありがとうございました。
  37. 小林武

    小林武君 村山さんにお尋ねいたしますが、加曽利貝塚の問題はすでにいままで十分討論されましたが、前回のいろいろなこの質問の中でこういうことが大体確認されているわけです。調査を行なっていって、いまのところ半分、約一万坪についてはこれはまあ買い上げられておるわけですが、あとの一万坪が問題なんですが、その問題のところで、もしもこの調査をやっていって、これがまあ重要なものだということが確認された場合には別途これを考慮するのだという、こういう大体答弁を得ておるわけです。われわれもそのことを確認しておるわけですが、いま調査をいろいろやられた方々の間から、あるいは千葉県に在住のそういう関係者方々が、ぜひともこれは保存したい、加曽利貝塚を直ちに指定史跡にするとか、全域を買い上げることとか、現地を公園化して野外博物館的施設をつくることとか、いろいろな要望があるのですが、いうなれば、保存したいということなんです。そうすると、これは一万坪くらいのものを買い上げる、まあだれが金出すとか、買い上げるとかいう措置が必要だと思うのです。こういう点については、現在、文化財保護委員会としてはどういう態度をとっているのか、あるいはそういう声があることについて御存じなのがどうか、その点をお尋ねしたい。
  38. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 加曽利貝塚は、御承知のように南北二つの部分に分かれまして、全体で約三万坪ございまして、北の半分につきましては千葉市が買収しまして、現在、都市計画公園として、なるべく原形を保持して保存するということになっています。それから南半分は民間会社の所有になっておりまして、これが工場用地になるというようなことになりましたので、三十九年から二年にわたって、千葉市が日本考古学協会に委嘱いたしまして、緊急に発掘調査をすることになりました。三十九年度は全体で五百万、県、市、国家から金を出し合いまして、予算を計上して調査を行ないまして、その調査は、ことしの三月まで行なわれたわけでございますが、四十年度も引き続きほぼ同額の予算を計上して調査を継続することになっておりましたが、その間に関係者の間から保存をしたいという要望が五月ごろ出てまいりました。御指摘のとおりでございます。この問題をいかに処理するかでございますが、南半分は民有地でもございますし、考古学協会などとも相談いたしまして、発掘調査をするということで御説明したような措置が進んでまいるわけでございまして、これを急に保存に切りかえる。特に買い上げをするかどうかということになりますと、にわかに結論が出ない。かなり大きな問題に相なります。そこで、当委員会といたしましては、一応所有の会社に対しまして、破壊されるかどうかが一番問題でございますので、調査いたしましたところ、会社としても直ちに敷地に工場などをつくるつもりはないが、さりとてあまりその調査を長くやられても困るというような意向もございました。そこで、とりあえず調査を継続すること、それから敷地状況をさしあたりはあまり変更しないということ等につきまして協議をして、大体協力的なお話を承っておるわけでございます。そこで、今後恒久的にどうするかという問題につきましては、ただいま申し上げましたように、これは調査をやるというたてまえで二年間やってまいっておりまして、これを保存に切りかえるかどうかということは、かなり基本的な問題になりますので、千葉県及び千葉市等ともよく協議をしてどうするかをきめたい、こういう段階になっております。
  39. 小林武

    小林武君 まあ、そういう申し入れがあった。保存の申し入れがあった。これについていまのところ態度を決定しかねておるというような現状で、調査はまだやっておりませんね、発掘調査は、本年度においては。これはどうですか、いつまでも調査もやらぬでおくというようなことをやっておったら、会社でもいつまでに一体あれしてくれるのかというようなことになるんではないですか。調査を、やるものはやる、保存する態度をきめるならきめるで、早くやらないというと、相手方は結局企業ですからね。もういつまでも損をさせられてはかなわぬですから、だから私は、早く態度を決定すべきだと、文化財については。あなた方にそういうことを申し上げるのは釈迦に説法みたいな話ですけれども、たとえば日韓の問題一つ取り上げましても、文化財問題というものはたいへんな大問題ですからね。これはある雑誌である考古学者の書いたものをちょっと見たのですけれども、かりに正倉院の中の何かがなくなったというようなことになったら、これはどえらいことです。あるいは法隆寺の壁画にちょっと絵を書くというような人たち、模写する人たち、修理する人たちが事故を起こして焼いたというだけでもたいへんな責任問題です。というふうに、文北財というものはたいへん大鵬にされている。それを一そう大事にするというのがあなたたちの役目です。ところが、出てきたところのそういう、たとえばつぼであるとか、絵であるとかいうようなことも大事であるけれども、また地中に埋没された文化財というようなものも、これもまた重要なものだという認識がなければだめだ。骨とう品のような形で、こいつは値段があるとかないとかいうふうに理解されては文化財もたまらぬ。この辺は日本の文化財に対する考え方というものをやはりある程度考え直してもらわなければならぬところだと私は思うのですが、どうも地面の底にあるやつは、問題でも起きなければかまわないのだというような、そこまでは言わぬけれども、問題がなければあまり取り上げないというような、そういう考え方じゃ困るのであって、やはり積極的にそういうものに対して一体どうするのだということにならないというと、これはたとえば道路公団道路公団で、あるいはその他のいろいろな土木、国土開発に関係のある団体等はいつでも問題が起きると思うのです。問題が起きてからあわててかけつける、かけつけるというと、お前らがそんなふうにじゃまするのじゃ工事が進まぬとかいって、そうして同じ政府部内でも意見が衝突するというようなことが過去にあった。これがいわゆる実力者であったために江戸城の中の重要なあれが調査されないままにこわされたという事実もあるのでしょう。だから私は、あなたたちのほうは神経をもう少し鋭敏にして、文化財というようなものが大事だということを国民にも知らせ、それぞれの関係の諸団体にもよく知らせるというような役目をあなたたちお持ちになっているのだから、私はそういう意味でひとつ十分お考え願いたいと思うのです。そこで、まあいまどうしたらいいかというようなことでは、相手もそれはもうもうけるためにやっている会社ですから、やはりがまんにも限界があるだろう、どうしてやるというようなめどをつけてやらなければならない。急速な解決を必要とする、こう思うのです。私はちょっと予算の面で、たとえば買い上げのことを言うと、平城宮跡のあとの買い上げに必要な経費は、四カ年計画のことしは第三年度ですね。そうすると、来年でもってこの問題は解決する、そうすれば、このことは何ぼ出しておるか、あなたのほうは数字のほうの専門家ですから、四十年度の買い上げは六万三百四十九坪で、これは幾らになるか——三億九千万、約四億ですね。四億出しておる、これを四カ年計画で四億くらいずつ出しておるのですね。そうすると、これが第三年度ですから、来年四十一年度で大体終わりになる。そうすると、こういうところが解決すれば、その次のことは、これはあと一万坪くらい買えばいいはずですから、大体四億幾らの金が浮かんでくれば千葉県とか何とかにいろいろ話をして、これも一つの解決の道があるのじゃないか、こう思うのです。だから、私は態度をやはりはっきりすべきだと思う。学者の間でもいろいろな意見のあることは私も知っておる。この間も静岡へ行ったら、たくさんの学者がいていろいろな意見を言うので、何とかかんとかいう話を聞いたけれども、そんないろいろな意見があるとか、学問上のことで対立するとか、そんなことは問題じゃない。われわれはいろいろやっておる間に、それぞれのいい意見を聞いて保存すればいい。結局、文化財保存のことで仕事をやればいいのですから、その両方のけんかをおもしろがって見ていたり、片方をたきつけたりする必要はない。われわれはそういう態度でもってものを考えれば、これはいろいろな想見も出ておるやに聞いておるのですが、そんなことは抜きにして、ひとつ加曽利貝塚をどうするかということについて結論を出していただきたい。これはどうですか、長くかかりますか。あなたのほうで、委員会の中でお話し合いを持って早急に解決できませんか、どうですか。その点をお伺いいたします。
  40. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 記念物につきまして、国費をもって買い上げ保存という決定をいたしましたのは、御指摘のように平城宮跡がほとんど唯一の例でございます。そのほかにも実は買い上げ保存の要望はかなりあるわけでございまして、加曽利貝塚も今回その種の要望が考古学協会からも出された次第でございます。平城宮跡の買上げは、御指摘のように来年度の予算が順調に成立すれば終了する計画になっておりますが、御承知のように、平城宮跡につきましては、三十万坪のうちで比較的買いやすいところから買い上げてまいったわけでございまして、計画年次としては来年が最終年次でございますが、来年買い上げを予定しておりますところは、比較的人家密集その他買い上げ条件が困難なところが残っております。それにいたしましても、平城宮跡買い上げ問題は早晩解決するといたしまして、残りはどのようなものを取り上げ得るかということは次の課題になるわけでございまして、現在まで御要望を承っておるのを一、二申し上げますと、たとえば近畿地区は長岡宮跡とか、藤原京跡、あるいは九州の太宰府あととか、かなりの件数にのぼるわけでございまして、その中で何が最も緊急重要であって、国費をもって買い上げるかという選択の問題になるのではないかと思います。そういうことで検討さしていただきたいと思います。とりあえずの問題といたしましては、今年度、調査費も計上しておるわけでございますので、処理をどうするかということも、会社側が幸いにしてたいへん協力的でございまして、とにかく敷地に地上物件を建てるような一瞬はない、使うにしても、会社はプレハブの製作の会社でございまして、その材料置場——コンクリートブロックですとか、柱ですとか、そういうものを野積みにする置き場として使うやに聞いております。そういうことでございますとさしあたり緊急に破壊されるというおそれもないわけでありまして、だからといって放置していい課題ではございませんので、緊急に検討いたしまして対策は立てる必要があるわけでありますが、さしあたりの問題をどうするかということと、恒久的な措置として保存の問題をどうはからうかにつきましては、全国的な同種の物件との比較検討、選択の課題として検討さしていただきたいと思います。
  41. 小林武

    小林武君 政務次官にひとつお願いを申し上たいのですけれども、いまの大体質疑の中で御了解をいただいたと思いますし、また前から文教委員として練達の方でございますから、十分御理解いただいたと思います。そこで、いまも答弁がありましたように、いつまでもこれは放置しておく問題でもない。それから、たくさんそういう個所があることも承知いたしております。これをどっちをやれというようなことをわれわれが言うのではなくて、いずれも大事なものであるから、十分その点、金のこと等も相当考えてみなきゃなりませんし、地元のいろいろな受け入れ態勢の問題あるでしょうし、そこらを十分勘案されて、早手回しのほうがいい。私は聞いているところによるというと、必ずしも、この会社もそういうようなことで、のんべんだらりと待っているのではないということも聞いております。ことによると、そこの仕事が終わるというと、そこを切り上げて別の仕事にも取りかかるというようなことも若干聞いております。だから早くやってもらいたい。それから調査の問題については、私もよく知りませんけれども、あなたたちもよく知っているとおり、八月休みなんていうのは、これはもう金をかけないで発掘をやるとすれば、学生のいろいろ手を安く借りることも、八月というのもかなり私はいい機会なんであって、この八月を空費するというようなことではどうかと思うので、これも早目にひとつかかったほうがいいのではないかと、こういうことを考えますので、政務次官としてもこの問題については文化財に十分ひとつお力添えをいただいて、文化財保護委員会があまり後手後手に回らないようにひとつしていただきたいということを御要望申し上げる次第であります。これは要望ですから別に答弁要りません。
  42. 中野文門

    政府委員中野文門君) 十分御意見尊重いたします。     —————————————
  43. 山下春江

    委員長山下春江君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、柏原ヤス君が委員を辞任され、その補欠として北条雋八君が選任されました。     —————————————
  44. 山下春江

    委員長山下春江君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  45. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こしてください。     —————————————
  46. 山下春江

    委員長山下春江君) 文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中村文部大臣。
  47. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 私は先般の内閣改造の際に、文部大臣の重責をになうことになりましたので、この際、一言就任のごあいさつを申し上げたいと思います。  文教のことは、国家百年の大計に関し、国家民族の将来にとって最も基本的な部門でありますので、その責任の重かつ大なることを痛感いたしておる次第でございます。したがいまして、文教委員各位の御協力を賜わりつつ、その重責を果たしてまいりたいと存じております。  わが国の教育は、現に世界的にも高い水準にあると思いますが、なお解決すべき課題がたくさんあると承知いたしております。この機会に、私といたしましては、さしあたり日ごろ考えておりますところの所信の一端を率直に申し上げまして、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  まず教育の質のことであります。わが国の教育は量的な普及度において世界最高の水準にあると思いますが、質的には一そうの改善充実が必要であると考えております。このため、施設設備の整備、教職員の適正な配置等は申すに及ばず、教職員の資質の向上と教職員に対する待遇の改善及び教育課程の刷新充実がきわめて大切であると存じます。  また、青少年の健全育成と不良化防止ということは近時特に重要な課題であると思います。この意味において特に体育の向上と徳育の充実を重視してまいりたいと思います。同時に勤労青少年が教育の機会を得、それぞれ健康に育ち、幸福になることを願わずにはおられません。このため、家庭、学校、社会を通じて教育の諸条件を一段と整える必要があると思います。  家庭教育重要性にかんがみ、いわゆる「かぎっ子」の問題についても大きな関心を持っております。  さらに、私学の振興について一言いたしたいと思います。わが国の教育に占める私学の役割はきわめて大きいものがあります。それだけに、私学の振興はわが国教育にとっての緊要事であります。前国会において私学振興方策調査会の設置が決定を見ましたので、同調査会の調査審議と相まって私学の健全なる育成振興に特に意を用いてまいりたいと存じております。なお、教育の機会均等はきわめて重要な問題でありまして、経済的、地域的に、あるいは身体的に恵まれない子供がそれぞれの能力をつちかい、個人的にも国家的にもりっぱな国民として育つことを心から望んでおります。このため、特に育英奨学事業の拡充、へき地教育の振興、特殊教育の伸展に一そうの努力をいたしたい考えであります。  以上、日ごろ感じておりますことの一端を申し述べ、かつ文教委員各位の格別な御指導御鞭撻をお願い申し上げまして就任のあいさつといたします。(拍手)
  48. 山下春江

    委員長山下春江君) また、文部政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。中野文部政務次官
  49. 中野文門

    政府委員中野文門君) 去る六月八日付をもちまして、私、文部政務次官に就任をいたしました。  御承知のような未熟者でございますが、何とぞ、特に参議院の文教委員会の皆さま方の御指導と御鞭撻をこいねがいまして、簡単でございますが、ごあいさつ申し上げます。よろしくお願いいたします。(拍手)
  50. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  51. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記をつけて。  午前の委員会はこの程度にし、午後二時から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      —————・—————    午後二時九分開会
  52. 山下春江

    委員長山下春江君) これより文教委員会を再開いたします。  教育文化及び学術に関する調査中、学力テストに関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。なお、政府側から中村文部大臣、中野政務次官、斎藤初等中等教育局長、蒲生調査局長、西田調査局審議官出席しております。
  53. 小林武

    小林武君 大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、学力テストの問題を、いわゆるテストという教育的な一つの問題として取り上げるばかりでなく、この前、「福岡県における小・中学校学力調査不実施の経緯ならびに教育行政執行状況に関する調査報告」、こういうものが文部省によって出されております。この点について、これを大体中心にしていろいろな点でひとつ御質問したいと思いますけれども、第一に、この調査報告、これについて、団長である西田亀久夫調査局審議官から、この前、政務次官に同席をしてもらってかなり詳しい説明をわれわれいただいたわけであります。そういう説明をいただいて、さらにこの出された調査報告を見ますというと、第一に、この調査報告は事実に反する。一体この調査報告にある根本原因というような問題、つづめていえば、県教育委員会はこれをやりたかったんであるけれども、県教員組合がいけないからこれができなかったと、いわゆる県教育委員会は教職員組合のために、「重要な教育行政事務の遂行について主体性を喪失して」いる、こういうような把握をしておる。あるいは市町村教育委員会の立場についても、教職員組合と折衡して、明確な実施方針を指示することを要望したが、県教育委員会がただいまのような根本原因によって十分な主体性をもって対処することができなかったので実施できなかったと、こういうことが書かれておる。この点は全く事実に反した、教職員組合を一方的に誹謗したものとわれわれは考えざるを得ない、このことが一つです。  もう一つは、学テの問題について、福岡県の場合については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十四条第二項の規定によって報告を求めているが、この報告の義務を怠った結果になったということで、教育委員会をたいへん追及しているんであるが、一体、福岡県における学力テストに対する福岡高裁の判決というようなものから、一体、学テそのものをどう考えるかということを文部省は忘れてるんではないか、学テそのものに対する認識が文部省の場合に十分でない、この点が第二点です。  もう一つは、これを取り上げたのは、一体、参議院選挙の重要な段階である、しかも、候補者はこの問題を取り上げて、ほとんどこの問題を中心にした政談演説をやっております。選挙演説をやって歩いております。こういう時期を選んで、ことさら選挙に利用するような立場をとったということについてたいへん不満である。  四番目の問題としては、教育委員会等が福岡県議会に対してこういうような調査を出したために、県議会の中において非常に問題が紛糾して、それがやがて教育委員会に対する圧迫となってあらわれた、教育長を脅迫するというようなことまで起こって、教育長並びに教育長の家族が安心して家におられないような状況にまでおちいっているというようなことを私は聞いている。これはいたずらに文部省がこういう根拠のない調査をやって、この問題を政争の具に供したことから起こったものだと、こう考える。  この四点の不満を持っているわけです。それで、私は文部大臣に、まず順次お尋ねをしたいが、この調査に盛られたことは、われわれは事実に反すると思う。いかなる一体事実によって、福岡県教職員組合が、教育委員会教育行政の義務の遂行の主体性を喪失させるようなことをやったかどうか、どういう事実に基づいて、どういう証拠によって一体喪失させているのか、あるいは学力調査が不実施になったのは教員組合の力によるものであるという、こういう一方的な判断はどういうことなのか、市町村教育委員会は一体そういうことをみんないっているのかどうか。その点について、文部大臣は責任のある立場でありますから、抽象的なことではなくて、それだけのことをおやりになったのであるからして、十分報告も聞かれていることと思います。まだ文部大臣になられてあまり日にちもたっておりませんので、無理もないような気もするけれども、少なくとも、あなたはこの間の参議院の本会議においても御答弁をなさっておるようでありますから、ひとつ具体的に説明を願います。
  54. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 県教育委員会主体性を喪失しておるというのは根拠のあることか、こういうお尋ねでございましたが、これは調査に参りました者の調査結果から出た一つ報告書に掲示されました結論でございまして、ここに至りますのには、私自身、調査に実施に参ったのでございませんので、その調査結果を私も報告を聞きましたが、聞いた状況からみて、そう結論づけることは無理からないことであると、かように私自身実は考えております。そこで問題は、しからばどういう根拠に基づいておるかと、こういう点は直接調査に携わった者もおりますし、また、所管の政府委員もおりますから、その者からお答えさしたほうが適当かと思いますので、政府委員の御説明をお聞き取り願いたいと思います。
  55. 小林武

    小林武君 それではお尋ねをしておきますが、これはただいまの御答弁だというと、文部大臣は、調査に行かれた西田亀久夫団長の報告を信じられてやられたということでありますね。私が文部大臣にお尋ねしたいのは、こういう県教育委員会の重要な教育行政の遂行についての主体性を喪失したというような問題を、調査団の団長が一片の報告をしたということだけであたなはお信じになって、福岡県教育委員会にそういうらく印を押されたのですか。私はその態度がわからないのです。県知事並びに県の教育委員会はそういうようには考えておらない。あなたがそれだけの報告を受けたならば、十分これについて検討されて、大臣としての政治的判断を下される、最終的に、そういう用意があってしかるべきだと思う。しかも、これは選挙のちょうどまっ最中であります。そういうときにあれですか、これは一事務的に報告を受けたから直ちにそういう判断をしたと、こういうことですか。いい悪いは別としてあなたのお考えを聞きたい。
  56. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 調査に参りました者の報告にうそがない限りは、そう結論づけざるを得ないと思っております。
  57. 小林武

    小林武君 うそがないということは、どういうことからうそがないと考えられたのですか。
  58. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 調査を行ないました事実関係に間違いがない限りは、そう結論づけるのが妥当であると、私もさように判断いたしております。
  59. 小林武

    小林武君 事実関係に間違いがないということは、具体的にはどういうことを意味することでしょうか。あなたのおっしゃりたいことを私が親切に言えば、こういうことですか。その福岡県教育委員会の管轄下における学力テストが全面的に実施されなかったという事実があったから、そういう報告をあなたが認めたということですか。事実関係というのはどういうことを意味しますか。
  60. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 調査団が参りまして、県教育委員会及び関係の市町村あるいはその他の関係者と直接面接をしまして、実態の調査をした結果、教育委員会としては、もっと自主的に学力調査の実施について教育委員会としての行動をとるべきであったと思うのですが、それがそういう自主的な姿になっていないと、かように見ざるを得ないと思っております。
  61. 小林武

    小林武君 だいぶはっきりしてきたようですが、そうすると、こう理解してよろしいですか。調査に出かけた。県の教育委員会に当たってみた。そうすると、県の教育委員会は、もう端的に言えば、県の教職員組合の圧力のために学力テストは実施することができませんでした。まず、こういう一つの事実があらわれてきておる。あるいは市町村教育委員会にこれを当たって調べたら、これも同様に県の教職員組合が圧力をかけるものだから、あるいはそのために県の教育委員会主体性を喪失してほんとうに指導ができなかったから、だからわれわれはついに実施することができなかったと、こういうことを言う。あるいは学校ならば学校の校長、あるいはPTAならPTAの関係者を呼んで、いずれもそういう回答をしたから、いわゆるそういう事実認識の上に立って主体性を失ったと判断し、その主たる原因はどこにあるかというと、県教職員組合と特異な関係を生むような事実があったと、こう認めたと、こういう  ことですか。
  62. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) こまかい直接の調査状況につきましては、取り次ぎの弁を申し上げるよりは直接その任に当たりました者からお聞き取りいただいたほうが間違いないと思いますが、総括して申しますと、結局、県の教育委員会に対しては、文部省としては学力調査の実施及び報告方を求めておるわけでございますので、すみやかにその実施方法を各市町村教育委員会に付託をして実施に努力をしたけれども、結果的に混乱を生じたとか、その他支障があって実施できなかったというのならばいたしかたありませんけれども、そうでなくて、まぎわまで県教組との折衝に日時を重ねて、そうしていよいよ間に合わぬようになって、混乱を生ずるおそれがあるからということで実施をさせなかった、あるいは市町村の中には実施する用意をもって、そうしてその腹がまえでおったのにかかわらず、調査の結果は、報告を求めないというような通達をもうほんとうにぎりぎりの線にいって通達をしておるというような事情から見て、自主的に動いたけれども実施ができなかったという姿とは実態が全く違っておる、かように私も実は報告を聞いて判断をいたしておるわけでございます。
  63. 小林武

    小林武君 結局すると、先ほど私が質問いたしましたように、県の教職員組合が圧力をかけたと申しますか、その圧力に屈服するような特異な関係教育委員会との間にあるものだから、主体性を喪失して、そうしてついに実施できなかったということを具体的な市町村の場合、学校の場合、その他周囲の教育環境の場合等からあなたは判断したと、こうおっしゃるわけですね間違いないですね。
  64. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) そうです。
  65. 小林武

    小林武君 具体的なことについてはひとつ後ほどやりますが、以上のことに間違いありませんとすれば……。
  66. 小野明

    ○小野明君 ちょっと関連。大臣がそういうことを、調査に行った調査団報告をうのみにされて、こういった勧告並びに異例の大臣談話まで出された。そうして県の教育界並びに県政の上に大混乱を招いておるという点にきわめて私は遺憾の意を表したいと思うのであります。で、いま小林委員が指摘をいたしましたように、県の教育行政の上にはさらに激しい混乱が起こっておるんでありまして、この勧告並びに大臣談話のために混乱が起こっておるんですが、それは県議会において、勧告並びに大臣談話が発表されましたために、自由民主党の県段階の役員あるいは県議団がこの談話並びに勧告を取り上げて、そうして県議会に対しまして教育委員長並びに教育委員また教育長の解任要求決議案を出しておる。おまけにそのためにこういった県議会が、今度の県議会が流会騒ぎまで起こしておるのであります。こういった大きい混乱の上に混乱を重ねた事実が大臣の談話並びに勧告を出したということによって起こっておるんでありますが、こういった事実を大臣は御存じであるかどうか。そうしてこの混乱についてのまず大臣の見解をお伺をしたいと思うのであります。
  67. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 県政の上に、あるいは県議会の状況にどういうことが起こっておりますか、私もつまびらかに存じておりません。しかし、文部省といたしましては、行政組織でございますから、担当官が参りまして精密に調査をして調査報告を出してきたことは信用するのが当然でございまして、まあその結果そういう影響があったことに対する政治的な取り扱い等は、これはやはり県の議会でどうなさるか、それは別途の問題でありまして、われわれの立場としては、やはり調査団調査報告をしたものを信頼いたしましてそれに基づいた態度、行動をとる、これが妥当な処置であろう、かように私は考えております。
  68. 小野明

    ○小野明君 大臣は当然であるという見解でありますが、これがやはり事実に反しておると、こういった調査結果でありますというと、きわめて重大な誤りを大臣はおかしたということになるのであります。私がお尋ねをしたいのは、県教職員組合との特異な関係に拘束され、重要な教育行政事務の遂行について主体性を喪失しておる、この点を、まずどういった事実についてこういった判断をなされておるのか、具体的な事実を御答弁を願いたいのです。
  69. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) ただいまの点は、私から、先ほど申し上げたように、取り次いで申しますよりは、私は結果的にそういう判断をいたしておるわけでございますが、よってきたる資料につきましては担当官から御説明を申し上げまして、皆さんに同時にお聞きをいただき、御判断をいただいたほうがよかろうと、かように存じますので、政府委員からお答えをいたさせます。
  70. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっとその前に、政府委員答弁の前にちょっと関連して。さっきのお二人の委員の御質問に大臣から御答弁があったわけですが、大臣の委員会向けの御答弁であって、これは卒直に申しまして、大臣は結局それほどこまかいことをお聞きになったわけでもないし、また、特にこの問題にそれほど研究をされたわけでもなしに、やはり参議院選挙のさなかではあるし、ただ下からそういった文書を起案して持ってきたから判こをつかれたということにすぎぬのじゃないですか、これは卒直な話ですけれども
  71. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 調査団が戻りましてから文部省として調査報告会を開きまして、私もその席には出席をし、次官以下、各関係官もそろいまして、そうしてその調査報告を聞き、一同で検討した結果でございまして、事務当局が起案したものをめくら判を押したというわけではございません。
  72. 秋山長造

    ○秋山長造君 あとのことに響きますから、もう一ぺん念を押しますがそうすると、大臣は、この問題については、問題の発端からこういう最終的な結論を得るまで実質的に責任を特って関与されたと、こういうことに了解してよろしゅうございますか。
  73. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) さようでございます。
  74. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) ただいまのお尋ねで、報告書に盛られました県教組と県教委との特異な関係ということについての具体的な事実は何か。そのことが主体性の喪失とどういう意味を持つのかというお尋ね理解いたします。  最初の点でございますが、私どもはこれに主体性の喪失ということばを使いましたのは、県の教育行政の最高の責任者と県教育委員会は、そのみずからの教育行政権の執行についての責任者として終始一貫した方針を持ち、責任ある行動をとるべきものである。そのような点に重大な欠陥があれば主体性を欠除しておると、かように考えたわけであります。その場合の県教組との関係において、そのような責任ある行動がとられていないという具体的な例としては、報告書の中に一般的な表現として項目を全体で四つほど述べております。  第一番目は、本来、県教育委員会が行政管理事務として、組合と、いわゆる交渉事項でない学力調査の実施をするかどうかという問題について事実上の交渉関係を持っておるということは、行政機関として私どもはたいへん間違ったやり方であるというように考えております。取り上げる問題が間違っておるのみならず、その組合との交渉のしかたにおいて、県教育委員会が責任ある交渉を遂行するのに、きわめて不適切な方法で徹夜の折衝をやり、しかも調査の前日までそれを実施しているということは、はたして調査を当日実施する意思があったかどうかを疑うに足ると思っております。そのような組合員に対して、事柄のいかんを問わず交渉関係を持つという慣行がどうして生じておるかということについて、他の関連事項を調べてみましたところが、報告書にございまするように、文部省から各学校に配布をお願いいたしました道徳の指導資料なども、三月末に文部省から受け取っておきながら、六月末になって初めて学校の現場にそれを配布するように指示をしておる。配布したのかと県に聞きましたら、配布をしましたと、県の教育長も学校教育課長もそのように明確に申しました。現場の地教委を回ってみますと、配布をする公文書が来たけれどもあとから組合との関係を考慮して、話がつくまでその配布は待ってくれという電話通知で全部ストップしておるということが現場でわかりました。かような資料の配布という問題について、県教育委員会が組合との関係を考慮して、なぜ中止しなければならぬのかということは、私どもとしてまことに意外に感じました。  それから第二番目の事実といたしましては、児教育委員会が、ある市の教育委員会の教員人事問題について一たん了解を与え、発令を容認しておきながら、組合のほうがそれに対して闘争指令をしておるということを理由として、当初の決裁をいたしました同意を保留するという公文書を出しております。このようなことも市教育委員会としては、県教育委員会の行政指導方針に対して、重大な不信を引き起こす原因になると思います。しかもその理由は、組合がこれこれの反対闘争を掲げておるというだけが理由であります。このようなことは教育委員会主体性のある行動とは考えられない、そういうことでございます。  また、最後の例といたしましては、県教育委員会と県教組との交渉の内容については、県教育委員会自体が調製された資料を現地でいただきました。その中に出ております事実を見ますと、県教育委員会は組合側の要求によって、別途、教育委員が協議をした結果、指定校以外の希望校の実施も教育委員会としては期待しないということを、地教委に正式に話をする前に組合のほうに対して県教委の意思であるという回答をいたしております。このようなこともはたして教育行政機関として、組合となぜそのような交渉を持ち、そのような関係をつながなければならぬのかということは、まことに奇異であるという感じにおきまして、これを特異な関係を持つという表現をし、主体性を喪失しておると断定したわけでございます。
  75. 松永忠二

    ○松永忠二君 いまのお話は、二点について少々問題があると思うのですね。県の教育委員会学力テストをやるということについて熱意が全然なかったんだということと、もう一つは、県の教育委員会が教職員組合と話し合いをするというような事実についてこれを否定してかかっているという二点に問題があると思うのです。まず、第一に大臣にお聞きしたいことは、その県教委が学力調査の実施について熱意を全然持っていなかったのか、それとも特殊な事情がそこにあったのか、特殊の事情というのは、たとえば福岡の地裁であるとか、簡裁が学力テストの実施は違法だ、あるいはまた失当であると、こういう判決をしているのです。そういう中で福岡の学力テストが行なわれていこうとしている、こういう特殊の事情の中で県教委が非常な苦心をしていると、こういう事実について、一体、大臣はどういう把握をされておられるのか、この点について御意見を聞かしていただきたい。
  76. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) まあ下級裁判所の判決でありますが、そういう判決が出ておる例もあり、あるいは反対の判決も出ている例もありますが、そういうことを考慮して慎重にやることは、それはあってもしかるべきだと思います。ただ問題は、資料の配布にいたしましても、いま御説明申し上げましたように非常におくれておることと、それから一応、地教委に配布をしておきながら、送っておきながら配布にストップをかけたり、それともう一つ根本的な問題は、若干私ども考え方が違うかもしれませんが、勤務条件等についての交渉ならば、これは私は県教委が県教組との間に交渉を持つことはしかるべきだと思いますが、こういう文部省の地教行法に基づく調査事務で、そういう行政事務について一々そこの意見を聞かなければ資料の配布もさせない、ストップをするという考え方が根本的に間違っておる。主体性があれば、やることはやっておいて、あとから話すとか、あるいは同じ県教組に、事柄は実はこうなっているんだとか、こういう処置をとったということを話されるのもいいとしましても、末端の機関に通知したり、手続をする前に事前に県教組のほうに公式な取りかわし文書か何かで意見を表明しておるという姿は、私は本末を転倒しておるので、そういう点からみても主体性が欠けておる、こう判断するのが正しかろうと、かように思っておる次第でございます。
  77. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の言うのは、いまの主体性の問題についてはもう少しひとつ預けておいて、この報告書の中に断定的に、県教育委員会が学力調査の実施について熱意を有していなかったばかりでなく、こういう断定的なことばを使って、しかもなおかつそういうふうな特殊な事情があるということについては何ら言及をしていない。それから、事実、たとえば福岡県の郡の教育委員会の連絡協議会長が県の教育委員会に対して、本件の特殊性と過去の実績から勘案しての要望書を出しているわけだ。こういうふうに地方教育委員会の本件の特殊性と過去の実績から勘案してというような点で、特に県教育委員会に要望雷を出している事実があるわけです。こういうことになると、この報告書が一方的にやはりこういう断定をして、何ら特殊の事情について言及もしていない。そして、県の教育委員会に対して断定的に、いわゆる主体性を喪失しているという断定を、直ちにそういうふうなことをやるということについて、やはり報告書の中にやや当を失するものがあるのではないか。まずそういう点について、大臣は一体この報告書をお読みになってどういうその点についてのお考え方を持っておられるのか。私は全国の各県の状況とは福岡県の状況は違うと思う。現実にこういうふうな地裁や高裁の判決もあり、またその判決自身も各地教委が非常に問題にしているわけです。こういうことに対して正当な理論づけをしてほしいということを県教育委員会なんかに要望しているわけです。こういう特殊な事情については何ら言及をしないで、初めから県教委は全然学力調査に対して実施の熱意を有していない、そういうこともなおかつ主体性のないということと関連をして、つまり断定をしているわけであって、私はこの点について、一体この報告書をお読みになって、こういうことについて何ら言及していないという報告書の考え方は、大臣としてはどういうふうにお考えになっているわけですか。
  78. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 熱意の問題ですが、本来から言えば、主体性を持って行なうべきことはやっておいたが、結果的にいろいろな紛糾があって一部の区域で実施ができなかったということならばいたし方ないと思うのですが、市町村の中には実施の熱意を持ち、もう待機して待っておったにかかわらず、そういうところまで最後まで引きずっていって、事実上できないような結果におちいらしめたということは、どうも県教委の熱意が欠けておる、こう判断せざるを得ないわけであります。
  79. 小野明

    ○小野明君 関連して。どうも先ほどからお聞きしておりますと、非常に、ごく特異な例をあげながら全体的な性格について、傾向がどうだ、こうだというふうに言われているように感じられてならぬのであります。いま言われたのは、学力テストの問題につきましても、私どもはこれは教職員がやらなければならぬ。そうすると、当然、教職員の勤務の条件の問題であるのであります。当然これは県教委との間に交渉の場を持たなければならぬ、このように私は考えているのであります。いま大臣が言われましたが、地教委のほとんどが、それぞれが待機をしていた、実施を待っておった。しかし、それを県教育委員会の指示によってやめさせた、こう言われているのでありますが、県にはそれぞれ多くの地教委が、数はもちろんあなたのほうで御存じでありましょうけれども、どれだけの地教委が実施を希望し、あるいはどれだけの地教委がもうやめてくれ、中止をしてもらいたいと県教委に要望していたか。地教委の大半が、ほとんどの地教委が、中止をしてもらいたいと県教育委員会に要求をしておるのであります。私どもはこのように把握をしているのでありますが、その点は大臣はどう把握をしておられますか。事実とはなはだしく異なりますから、大臣に御答弁お願いしたいと思います。
  80. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) そういう実態につきましては、政府委員からお答えを申し上げて御理解をいただきたいと思います。
  81. 秋山長造

    ○秋山長造君 大臣はさっき、一切を含み責任を持つ、実質的に関与していると、あなたさっき、はっきり言ったのだから、あなた答えなさいよ。
  82. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 先ほど秋山委員からお尋ねがありました際に、結果的に私は判断をいたしまして、責任をになっておりますとお答えいたしましたので。先ほど申し上げたように、調査官の帰朝を待って報告会を開き、そうして関係官とともに事情を聴取いたしまして、その結果、報告書にありまするような結論を得たわけでございますが、実際に私が自分で調査に出向いたわけじゃありませんから、むしろそういうような数字等については、実際に当たった関係官からお答えをするほうが的確である、かような見地から政府委員  にお答えさせることにいたしたのであります。
  83. 小林武

    小林武君 ちょっとおかしい大臣が一々のことについてよく知らぬということはある程度認め  てもよろしいが、どこどこがどうであったという、そういう報告はあなたに望まない。これは大臣が行かなかったのだし、これは局長にもだめだ。しかし、あなたは先ほど来、主体性を喪失しているというような判断を下す限りにおいては、地方教育委員会の一体幾つのものがテストをやめてくれと要求し、幾つのものがやってくれと要求したのか、その事実を少なくとも報告に基づいてあなたは把握しなければ、談話を発表し、その談話を発表することによってさらに政治的にいろんな問題が起こって、県教育界がてんやわんやになるような状況にまで持っていくということは明らかなんです、この問題は。そういう一体重大な問題をあなたが処理なさったのだから、あなたは一体幾つのだれが反対して、幾つのものが賛成であったという答弁はしなければいかぬ。わからなかったら政府委員からあなたは聞いてもいいから、あなたの口から言わなければいけない。これは一々そらんじなくてもけっこうです。それともう一つ、あなたに念のために聞いておきたい。あなたは、たとえば福岡県の教育委員会の立場になった場合に、幾つかのわれわれから見れば少数の教育委員会はやってもらいたい、こう言った、多くの教育委員会はやめてもらいたいとこう言った。とにかくあなたはどう思っているか知らぬけれども、あなたはたしか前法務大臣であったと思うけれども、法務大臣であって高裁や地裁の判決が出た、これは教育をやっている現場のもの及び地方教育委員会のものとしては、この判決が出た場合に、これはまだ最終的なものでないからどうでもよろしい、こういう考え方を持つのはこれはおかしい。これについてはっきりしたやはり法的な根拠を示してもらいたい。それでないというと、これはとてもみんなが統一して確信を持ってやれないというのは、これはあたりまえだと思う。そんなことを気にするな、無罪か有罪かはっきりするまでは知ったことじゃない、だからやれというのは、だれかの選挙違反みたいになる。そういう物の言い方はできない。あなたがもし福岡県の教育委員会の人であるならば、そういうやるというものとやらないというものと多少あった、そういう場合に、混乱してもかまわないから、とにかくやるものはやれ、やらないものはやるな、そういうやり方をやるのが教育委員会主体性のあるやり方なのか、それとも、何とか統一をして県の教育の事情を統一的に判断をして混乱の起きないようなやり方をするのがこれが主体性なのか、その点のあれをひとつ承りたい。
  84. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 確かに裁判所の判決では下級裁判所の判決としていろいろあるようであります。いま御指摘のありましたような判決もあるし、それと正反対の判決もあるわけであります。したがって、最高裁までまだ行っておりませんから、統一見解は出ておりませんが、文部省としましては、学力調査を行ないます教育課程の問題とか、あるいは教育水準の問題、あるいは教育環境の整備の問題、あるいは学習指導もだんだんくふう改善して、できるだけ教育効果が上がるようにしていかなければなりませんので、そういう必要上学力調査を進めてきておるわけでございまして、その根拠法は御承知のとおりでございます。したがって、県教委とされましては、文部省考えに従って実施をしてもらわなければ困るわけであります。ところが先ほどこまかく市町村の区別を言え、こういうお話でありましたが、それはどの市町村がどうなっているかというこまかいことは、間違うといけませんから、事務当局からお答えをさせますが、特にその中で、福岡県の中でも最も重要な地域である福岡市のごときは学力テストを実施する気がまえで諸般の準備といいますか、そういう心がまえでおったようでありますが、それがもっと早く事前に何かの連絡があれば折衝するとか、交渉するとか、結果的にどう処置するとかという余地があったでしょうが、余地のない時間切れに調査をやっても調査結果を認めない、報告は受けないというような通知をしておりますから、したがって、実施したくもする余地のない時間的な関係等もありますので、そういうことをわれわれ報告の中で聞きますと、事実そうならば、実際この結論は妥当な結論である、こういう実は判断をいたしておるわけでございます。なお、町村等のどういう町村、幾つの町村がどうなっているかというようなことは、直接その任に当たりました者からお答えをすることにいたします。
  85. 小林武

    小林武君 それは答弁にならない。あなたに聞いているのは、福岡市がどうであったかというようなことは、これはあなたの言うことを全面的に認めてもよろしい。かりに福岡市が……、あなたまさか福岡市がやったら、ほかのところがどんなに文句を言っても福岡市に右へならえしなさいということはおっしゃらないだろうと思う。こういうことを言うばかなことは、これは教育行政の場合にはない。あるいはその他の行政でもそうだと思う。県庁の所在地のあれがやったから、ほかのものは右へならえということは、これはあり得ないことだ。だから、県教育委員会の立場になった場合には、自分の管轄のもとにある地方教育委員会が一致して、やっぱり歩調をそろえてやってもらいたいという考え方、統一した県行政をやりたいという考え方は当然だと思う。その場合、歩調を一にするというようなことができなかった理由は何か。それは一つは裁判の問題、私はあなたの裁判に対する考え方には反対なんです。あなたは法務大臣をやられたと私は記憶いたしておりますが、法務大臣というのはそういうお考えをお持ちなのかどうかわからぬ。福岡県という一つの県内において、福岡の高裁、地裁でやられた判決なんです。しかもそれは福岡市の問題なんです。福岡市の問題で地裁と高裁から判決が出た。そうしたら福岡県民はその判決が下級裁判であろうが何であろうが、一体どういうことだろう、この決定に従うのがいいのかどうかというようなことを迷うのはあたりまえじゃないですか。これはあなたの場合、下級裁判の場合はきまっても、その判決は大したことはないのだと、こういうことをおっしゃっているとはまさか思わないけれども、そういうふうに聞こえませんか。まず、そういうものの考え方をぼくはもちろんとりませんが、はなはだもって私は納得がいかない。それに持ってきて、県内でもってやるなという者が多い。これは現地の出身の小野委員が指摘しているとおり、やりたいという者は少数だと、こういう事実の上に立ったときに、県教育委員会は、私があなたに聞いているのは、県教育委員会としては、そうなったらやむを得ないからやるものはやれ、やらぬものはやるなというやり方をやったのが、いわゆる主体性に立ったりっぱな教育行政なのか、それとも何とか一つにまとめて統一ある方向でやりたいという努力をするのが、一体これが県教育委員会の正しいやり方なのか、これはどちらか、それを聞いておきたい。
  86. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 裁判の点については、下級裁判所の判決だから守らぬでもいいと、こういう考えではありません。ただ、この問題については、御承知のとおり、六カ所ほどの裁判所で判決がありますが、四カ所は適法のものであるという文部省の方針を支持している判決があり、二カ所は逆の判決がある、こういう段階でございますから、これは裁判所の見解もまちまちで、まあ結果的には最高裁の結論でも出ない限りでは、どれが正しいかということは一般の人からは判断しかねる事情にあるわけでございますが、とにかく、まあ私ども文部省の立場として見れば、学力調査は、いま、ことし初めて始まったわけじゃありませんし、かっては平穏に全国的にやれた時代もあり、いろいろ推移を御承知のとおり、たどってきておるわけでございます。そこで、先ほど政府委員からも御説明申し上げましたように、こういう問題を初め、たとえば教職員の転任等につきましても、辞令を発行してから組合の異議が出たのでその辞令を取り消したというようなこと、これはこの事態そのものに該当しておりませんが、今回の場合にいたしてみますると、学力調査を実施するについていかに円満に実施する努力をしたとはいいながら、組合側と最終まで折衝を続けていったということは、私どもとしては理解ができないわけでございます。適当の段階結論をつけて自主的に、しからば全県やらないことにしようというならやらないことにしようという結論を出すのも、それは県教委には県教育委員会としての立場でやるわけでありますからやむを得ないかもしれませんが、時間切れになるまで、当日の前日まで県教組と教委と折衝を続けておったと、こういうようなことはどう見ても主体性があってやっておる姿ではないと、こう判断されるのが妥当である、こう私は確信しておるわけでございます。
  87. 小野明

    ○小野明君 先ほど人事の面に大臣も触れられたんですが、福岡県にはほぼ三万の教職員がおります。そのほかの人事は円満にいっている。あなた方だって神さまではない。県教委だってそれだけ多くの教職員の数があって、一つぐらい間違った人事があれば取り消すのがほんとう主体性のある人事行政だと私思う。その一つのことをもって全部の人事を取り消しなんかしているといった印象をこの勧告で与えるし、あなたもそういう考え方を持っている。そこを誤りだと私はまず指摘をしたいと思うのです。  次に、この勧告文を見ますというと、三項には、明確な、地教委の問題ですが、市町村教育委員会は、県教委が県教組と折衝をして明確な指導方針を、実施方針を指示することを要望したがと、こういうふうに書かれておる。最後まであなたが言われる折衝という問題は、県教委の努力であって、これを高く私は逆に評価をしてもらわなければならぬと思うのであります。おまけに一番ここは大事な、何回もここに書いてあるように、四十六都道府県、これは文部省の管轄にあるかもしれぬ、しかし、県教委としては県下にある多くの市町村教委をかかえて、そのうちのどれだけが中止を希望している、こういった問題はきわめて重要な判断の資料にしなければならぬ問題であります。当然あなたが調査団と協議をしたと言われた以上は、その点が一番大事な点であります。福岡市だけはもちろん実施をしたいという希望を持っていました、この一つの地教委は。他のほとんど、他の全部の地教委はやめてもらいたい、こういった希望を持っていたと私は聞いておるんであります。この点を大臣はどのように、こういう重要な、中止するかしないかという重要な判断の基礎になる問題でありますから、この地教委の数、地教委の要望といったものについてどういう判断をされておるのか、大臣にお聞きをしたいと私は言っておるのです。
  88. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 私ども中止に至るまでの経緯を県教育委員会から当初詳しく聴取しようと思いました。そしてその最終的な判断をされた段階における全県下の情勢判断について伺いましたところ、どこが賛成、反対という全体的な数字は県教育委員会もおっしゃっていらっしゃいませんでした。それから私どもは全県的な状況を調べるために十六市の市部の教育委員会の連合会、それから郡部の教育委員会の協議会の方々の代表者から事情を伺いました。これらの方々は、たとえば郡部の教育委員会の協議会の方は、このテストの実施直前まで二回にわたって、郡部の協議会の代表の名においてテストの実施について協議委員会が万全の努力をしてもらいたいという要望書を二度にわたって出しております。そして、それらの協議会の方々が私どもに述べられましたところでは、県から実施の通達をもらった限り、その実施についてのいろいろな困難なり、いろいろな地域状況は、自分たちとして協議会の方々と話をしたけれども、県が、結局やる気があるのかないのかということをはっきりしてもらいたいということで、終始、最後まで県の態度待ちであった。そして御承知の六月十四日の通達によって、県のほうから業務命令もこれは極力避けるように、校長だけで実施することも不正だからよろしくないというように、福岡県でいま学力調査をやろうと思えば、どうしてもとらざるを得ない手段をすべて全部押えられた上で、やる気があるかどうかと聞かれたら、地教委としてはやれませんというお答えをするよりしかたがない。当事者のことばをそのままいま言いますならば、手を縛ったり足を縛って、だるまにされて歩けと言われても歩けませんと言うのが、われわれの感想です。そういう回答を受けております。私どもはそれらの代表者のことばが全般の状況を示しておるものと確信をいたしております。
  89. 小野明

    ○小野明君 事実に反するもはなはだしい私はいまの答弁だと思うのです。私どもが聞いておるのは、ほとんどの地教委が県教委に対してやめてもらいたいと。あなたが調べたのはわずか五つか六つの地教委、そうして日数にしてわずか五日か六日間の調査、これをもって、この事実をもって県教育行政全体が主体性を喪失している、あるいは県教育行政全体が間違っておるという判断をしておる。そのこと自体が私はきわめて軽薄な資料、軽率な判断、これをなさしめた原因だと私は考える。先ほどの人事問題につきましても、多くの、三万近くの教職員をかかえながら、この人事行政というものが適正に行なわれておる。その中でたった一件あった不当な人事、これについて県教委が是正をしたならば人事行政全般が間違っておる、全部を取り消してやっているというような印象を与えるようなあなたは答弁報告をしておる。大臣をして間違わしめたのは、西田団長、あなたを団長とする調査団報告、このことが間違っているから、こういった間違った判断をさしている。県教育行政、少なくとも福岡県の教育行政に関しては県教育委員会がこれはオーソリティーなんだ。それをこれに介入をし、県教育行政の主体性を喪失さしたのは西田調査団、あなただよ。そうしてそれをそのままうのみにした文部大臣、そうしてその勧告あるいは大臣談話、これが県教育行政を混乱におとしいれ、そうして主体性を喪失さした、私はこのように判断をせざるを得ないのであります。したがって、西田さんが会われたのはごく一部の地教委、それも実施方針であなたにおべっかを使おうとする代表者だけに会われた。しかも教職員団体の代表者には、県教職員連盟あるいは県教師会です。わずか二十人あるいは県下の五十名の教師を代表する代表者、これに会われておる。そうして県下二万数千あるいは二万七千近くの教職員団体を代表しておるその責任者には会おうとしていない。またその意見を聞こうとしていない。部分をもって全体を間違えている。ですから、どこどこの地教委が正確に反対の意思を声明したのか、どこどこが学識を実施しようとし方のか、この点を明確に私は調査の結果としてお尋ねをしたい。
  90. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 私ども調査報告が、もし大臣の御判断を間違わせるような、間違った報告をしておれば重大な問題でございますので、お話のように、もしそれらの地教委が実施する、しないということについて、私ども当時におきましては県教委も把握できない、連合会の代表者もそれぞれの地域の方が地域の概況をお話しくださる以上には具体的にできなかった。それは調査の実施の一週間前でございます。そのような状況がその後何らかの具体的な方法でわかる方法があるならば、私どもは追ってもう少し詳しく調べたいと思いますが、しかしながら、この段階における私ども判断からいたしますと、地教委は、県教委がどういう方針でやれというのか、やらぬというのかということの県教育委員会の方針待ちという態度で終始一貫しておったと感じております。県なり市なり地方教育委員会がこれを賛成する、反対するで、やるとかやらぬとかをきめる、そういう動き方をしていなかったと考えております。したがって、全般的な状況について、私どもより具体的な事実があれば、それ自身を私どもにお教えいただければ幸いだと思います。なお、お話の中で、県教組に会わなかったことは、これは私どもは県教組にも、すべての団体にお会いしたいということを考えまして、県教育委員会にその日程をつくってお願いをいたしました。当日の一時間前になって、県教組だけは会う必要がないとしておことわりになりましたので、残念でございます。  それから、なお人事の問題は、何万人の人事の話ではなくって、その人事を取り消したというのが、組合がそれを文句を言って、闘争しようとしているからやめるというような処理のしかた、これは一見して私は県の主体性喪失を判断するに十分なる材料であると思っております。
  91. 山下春江

    委員長山下春江君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  92. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こして。
  93. 鈴木力

    ○鈴木力君 時間がそういう状態なら、きわめて簡単に申し上げるんですけれども、文部大臣にお伺いいたしますが、調査団を出しますときの文部省の基本態度をひとつ伺っておきたいと思うんです。それはですね、いま学力テストそのものが教育的にどうかこうかという議論をいまから始めますとたいへんなことになりますから、きょうはやめます。ただし、教育ほんとうに推進させるというための県教委の努力の状態がどうなっているのかという、そういう立場から調査団を出そうとしたのか。それとも、教育という問題とは全然関係なしに、いわゆる事務的に帳簿づらを合わせようとする、そういう立場からやったのかということを一つ聞いておきたいんです。つまり、それはたとえば報告書によりますと、少なくとも福岡県の教育委員会に対する回答の中に、「純粋に教育的な配慮という名のもとに、」学力テストをやらなかったのがけしからぬという趣旨で書いてある。そうすると、「純粋に教育的な配慮」ということは、学力テストをやるためには無用だという立場で言ったのかどうか。そのことをまず聞いておきたいと思うんです。  それからもう一つは、校長を孤立させておるということを書いておる。これもまあ教育委員会主体性を失ったという理由の一つにしておるのですが、校長を孤立させておるということについては、実は学力テストについては、三十七年ですか、全国の小学校長の校長会で、全校長の意思をもって、学力テストを全廃すべきであると意思表示をした、そういうことがあるはずです。そういうことを無視して学力テストをやろうとすれば、強行しようとすれば、校長の教育的良心と、文部省からの教育をたな上げした行政との板ばさみで孤立をしておるのであって、そういうことの孤立の状態はどう見ておるのか、これは文部大臣からお答えいただきたいと思います。
  94. 千葉千代世

    千葉千代世君 先ほどの西田さんのお話の中に、県教職員組合と交渉するということ、それは過去の実績は慣行によってやっておったけれども、それは間違いだということをあなたはおっしゃったわけなんです。私どもはこれは非常に重大だと思うんです。東京初め多くの県で、やはり教師の勤務条件その他について話し合ってやっているわけなんです。それらも一切否定していくという姿になっていきますと、これは非常に問題が大きいと思うのです。それから、もう一つは文部大臣と会う会わないの問題の中で、よく荒木大臣が言われたように、教職員は地方教育委員会が話し合って、文部省じゃないということを言っておる、これは私は大へん間違っておると思いますけれども、しかし、そういうふうに言っている見解と、いま教育委員会と交渉する、そのことが間違っておるということをおっしゃれば、大へん矛盾しておるわけです。一貫していないわけですが、その点について、これは西田さんがおっしゃったから、あなたが責任を持って答えてくださいませんか。
  95. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) この文章の中に……。
  96. 鈴木力

    ○鈴木力君 ぼくは文部大臣が調査団を派遣する態度を聞いておるのであって、派遣された人の意見を聞いているのではない。
  97. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 調査団を出しましたのは、文部省としては学力調査を長年にわたって実施して、最近は小学校、中学校とも抽出二〇%ということに今年からいたしておりますが、次第に学力調査の趣旨は一般に理解をされて、相当に円滑に実施されておるわけでございます。福岡県だけが今度こういう事情になりましたので、私どもとしてはその点を遺憾に存じておるわけで、どういう事情でそうなったのか。まず県教育委員会に行って、県教委からも事情を承り、また関係の方面からも調査をいたしましてその結論を得たい、こういう趣旨で調査団を派遣いたしましたような次第で、派遣の前からこれをどうするという目標があって派遣したわけじゃない。ただ実態をよく把握して調査結果を明らかにしておきたい、こういうつもりでやったわけでございます。
  98. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 報告書の中で、「純粋に教育的配慮の名のもとに、」と書きましたのは、県教育委員会が六月十四日、各市町村教育委員会に最終的な指導通達を出しております場合に、その中に純粋に教育的配慮のもとに慎重な御審議を願って決定されるようという文章で言っております。私どもがそれを引用いたしましたのは、そのような純粋に教育的配慮というのは形式上の名目に過ぎない、中身は要するに組合の要求するままにそういう名目を立てて、実は全県下中止という方向で指導するという効果をねらっていたというふうに判断をいたしております。
  99. 鈴木力

    ○鈴木力君 ぼくはいまの西田調査官の話、そこが学力テストで福岡県を混乱さしていると思うんですよ。純粋な教育的立場というものを、西田さんは教育学にどれだけの素養があるかわかりませんけれども、行政官の立場から軽々しくそういう判断をして、そうして調査をしたというところにこれを混乱さしているところがあると思うわけです。だから、ぼくがさっき大臣に聞きたかったのも、どの立場で行ったのか、教育をたな上げにしても調査ということの事務の帳簿づらを合わせるために行ったのではないかということを私が聞いたのもそういう意味だったのです。これはまあ西田さんとそういう教育論についてはあとの機会にまたやらなければいけないけれども、そういうような形で、いま行政が教育を圧迫しているというところにこういう問題がたくさん出ているわけですから、したがって、ぼくらから言うと、福岡県の教育委員会ほんとうに純粋な教育的配慮をしてこれをやめざるを得ないという判断をしたというこの要素は、教育委員会の談話や報告からもうかがえる。この辺のところまで一つ調査団として、行政官としての簡単な判断からきめつけられて、主体性がないときめられたところにこの問題のきわめて大きな問題があると思う。何か文部省は、文部省やり方でやっているところは主体性があって、教育的見地に立って独自の行動をとると主体性がない、こういう言い方にいまなっているというところに問題がある。この点についてはひとつ大臣としても考え直してもらいたい、基本方向として。と同時に、さっきから言っているいろいろな問題がまだありますから、そういう問題も明らかにしてやっていただきたい。なお、この調査団が、西田さんが言っておられるように、資料等についてはきわめてはっきりしなかった、はっきりしないままに判断したということですから、それがはっきりするまでは、この通達というものはいまからでもひとつ保留してもらうくらいの配慮をしてもらわないと、事は教育問題ですから、それこそ慎重に取り扱ってもらいたいと思います。
  100. 小野明

    ○小野明君 西田さんの先ほどの答弁の中に、いま鈴木さんの質問に答えた点がある。それと関連をしているのですが、行かれたときに、県教組、福岡県教組があなたと会わなかった、これを拒否したといったようないま報告をされたのですが、これは人間ですから、あなたでも、あるいは大臣でも、あなたの都合のいいときに会いたい、こう言えばだれでも会うでしょうけれども、相手のある問題ですから、これは会えない事情だってあるわけです。調査団ほんとうに県教育行政を見ていくというなら、お百度踏んでも県教組に会うべきです。それをおれたちに会わなかったから不届きだ、こういった態度で調査を進めている。終始一貫してあなたの態度は変わらない。これがこの勧告になってあらわれている。そして向こうに行った報告書をこしらえて県教育行政を混乱さした原因をつくっていると思うのです。この点について私は調査団調査やり方についてやはり反省を求めたいと思う。
  101. 北畠教真

    ○北畠教真君 議事進行について。いろいろ議論は尽きないと思います。また審議をしなくちゃならぬ問題だと思っておりますので、大体向うの理事さんも私の発言の気持はおわかりくださると思いますので、きょうは衆議院の好意に対してあまり無にしたことになるといかぬから、一応、千葉先生の問題に対する答弁があればそれくらいで衆議院にお返しするということでひとつおきめを願いたいと存じます。おはかり願います。
  102. 山下春江

    委員長山下春江君) 北畠委員の御発言のとおりにひとつぜひ御了解を願いたいと思います。千葉委員の御質問に対する答弁二点に対して御答弁を願って、それで慎重審議するために後日に譲りたいと思いますが、御了解願います。
  103. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 千葉先生の御質問の事実関係でなくて交渉対象云々の問題がございましたので、私からお答えいたします。通達に、調査の結果に基づきまして、次官の運営の通達の中にございますように、地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項、これを地公法にきめられておりますような勤務条件云々等の問題と同じように交渉の対象とし、教育委員会の意思決定にそれをかかわらしめるということは、これは地公法に定められている趣旨ではないか、かように考えるわけでございます。
  104. 千葉千代世

    千葉千代世君 いまの件ですね、そうしますと、西田さんがおっしゃったことと違うわけです、あなたたちは否定していらっしゃったから。次に譲りますけれども
  105. 山下春江

    委員長山下春江君) 先ほど御了解願ったので、他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会      —————・—————