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1965-08-12 第49回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月十二日(木曜日)    午前十時二十一分開会     ―――――――――――――    委員異動  八月十二日     辞任         補欠選任      大谷 贇雄君     亀井  光君      浅井  亨君     小平 芳平君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 鹿島 俊雄君                 川野 三暁君                 藤田藤太郎君     委 員                 亀井  光君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 土屋 義彦君                 徳永 正利君                 山本  杉君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 山崎  昇君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (上水道に関する件)     ―――――――――――――
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。  本日、浅井亨君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。また、大谷贇雄君委員を辞任され、その補欠として亀井光君が選任されました。
  3. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 社会保障制度に関する調査中・上水道に関する件を議題といたします。  本件に対し、質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 森勝治

    森勝治君 昨日私が御質問申し上げている点がありますので、その点について御回答いただいてから、同じ水の問題について他の問題を質問したいと思います。
  5. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 先生の昨日お尋ねのございました第一点は、現在、保健所で実施いたしております水質検査の結果、飲料不適判定されても、これを一般的には放置しておるために飲んでおるような場合がある。で、これを現在取り締まる規定がないので、伝染病予防のために好ましいことではないから、そのような規定を考える必要はないかというような御趣旨の御質問であったように思うわけでございます。お尋ねのとおり、保健所が、現在、保健所みずからの意思によりましても、あるいは一般住民の依頼によりましても、水の試験をいたしておるわけでございまして、その結果・結論としては、飲料適、あるいは飲料不適というような判定をいたしまして、検査を求めた人に通知をいたすわけでございます。その場合に、その飲料適なり不適の内容を詳細に伝えれば、また、その指導の適正を期すればその後の処置も誤りなきを期せられるかもしれませんが、しばしば、その後の指導が適正でないために、単に飲料不適であるというようなことで放置しておいて、飲料不適の水をそのまま一般住民がなお飲んでおる、したがって、衛生上好ましくないという事態が実際あり得るわけでございます。で、御承知のように、水質基準飲料適という基準はかなり理想的にでき上がっておりまして、必ずしもその水を飲んだことによって直ちに衛生上有害であるということではなくても、水の一般的な用途の上から、たとえば硬度が高いということで、カルシウムやマグネシウムの量が一定度より多い場合には洗たくその他に不自由でございますので、必ずしも衛生的な見地だけではなく、理想的な水ということから水の基準をきめておるわけでございまして、したがって、そのようにしてきめられた水の基準からはずれておるからと申しましても、直ちにこれがすべて飲めないというわけではないわけでございまして、いわゆる規定で要求せられておる理想的な水のあり得べき性質からははずれておると、こういうような意味合い不適という意味もあるわけでございます。したがいまして、不適と申しましても、劇毒物のようなものが中に包含されておりまして、直ちに飲用を中止しなければならないものもあれば、細菌数が多くても、煮沸すればこれは飲用になるというものもある、あるいは多少鉄分が多いというものもあるということで、それらのことは十分検査をした者が依頼した者に知らせて指導すべきでございます。したがいまして、その結果によりまして不適当な答えが出たから、それによって法律的規制を設けて飲んではならないというような規定をするという前に、行政当局指導努力をする必要があるわけでございまして、先生の御心配のようなことのないように、十分保健所が、水の検査にあたりましては、実際上不衛生なことのないように指導努力をすべきものと、かように思うわけでございます。もしも先生お尋ね原因が、実際上の事例によりましてのことでございましたら、私ども、なおそのような指導の適正を期するように努力をいたしたいと思います。
  6. 森勝治

    森勝治君 ただいまのお答えが私は合点がまいりません。その合点がまいらない第一点は、あなたはこうおっしゃっている、直ちに飲めないということではありません、飲んでもかまいませんと言っているんです。さらに、そのあとことばを続けましてあなたのおっしゃるのは、本来、水のあるべき姿からはずれているだけですと、こういうのです。もしあなたのおっしゃったように、そういう軽度にものを考えたとするならば、もっとも――私のほうから見ますとですよ、あなたの答弁から私が推量してのあなたの答弁は、水というものをその適不適というものを非常に軽く扱っておられると私が考えているわけですが、あなたの答弁からそういうふうに推しはかったわけでありますが、直ちに飲めないということではないということならば、何で好んで飲料適不適というらく印を張るかということです。あなた、保健所は張っているんですよ、飲料不適だから飲んではなりませんと。飲めないということではない。ただ、その地理的環境その他に応じて、あるところでは、農村でも簡易水道補助金をもらってやっているところもある。しかし、市街地においては、依然として井戸水を飲用しているところがある。埼玉県で、具体的にごく卑近な例を申し上げます。埼玉県に熊谷市というところがあります。これは荒川の沿岸でありますが一この地における市街地飲料水は、七割が不適当であります。なぜか、それは最近干ばつとまではいきませんが、非常に水が枯渇しておりますので、地下流水井戸に流れてくる。流れてたいへんな騒ぎになっております。これはこちらのほうへ御報告あったかどうかは知りませんが、たいへんな問題になっている。その他も――私きのうは時間がございませんから、ごく簡単に質問の要点のみを申し上げましたが、御承知のように、東京近郊埼玉県もその一環でありますが、住宅の膨張につれて、沼沢地、あるいはまた地形の低いところ、いわゆる湿地帯、こういうところに次から次へと宅地造成がされております。保健所が、かつてここは飲料水不適だといったところにも、次から次へと人家が立ち並びまして、その水を飲んでいる。しかも、埼玉県は東部地帯、特に鉄道でいいますと、東武沿線地帯低湿地帯であります。ここでは、昨日の会議でも問題になりました未熟児埼玉県で一番この低湿地帯に生まれているという現象もあります。水と未熟児相対的関連は、私はしろうとだから知る由もありませんけれども、そういう問題はさておきましても、いま申し上げた熊谷の例、川口浦和、あるいはまた大宮、草加、朝霞地方における市街地の開発に伴い、飲料不適なところでどんどん水を飲んでいる。これは保健所飲料不適ということでらく印を押した、らく印という表現が悪ければ別なものを用いますが、飲料不適、飲んではなりませんといって指導をしている。病気になりますからおよしなさいと言っている。あなたは、ただ単に成分の表記にとどめるという、これはだめだと言ってスタンプを押すだけだと軽く言っておりますが、私はそんなに軽々しく飲料水のことを考えておりません。したがって、その点のもう一ぺん御答弁をいただきたいと同時に、私は取り締まれというようなことばは毛頭申し上げておりません。住民飲料不適という不良の判定をもらった水を飲む、その飲むのを取り締まれというような大それた発言は私は少しもしておりません。飲まないで済むようによく指導はできないのか、強い行政の施策ができないのか、こういう発言をしておりますので、その点は、ひとつ私の発言は、何も一般住民を取り締まれというような思い上がったことを言ってはおりません。ただ、保健所が、かりそめにも国の行政機関が、たとい末端であろうとも、飲んではからだのためになりませんよといって不適というらく印を押すのでしょうから、それなら飲み屋さんだってそれだけのことは保健所でやっている。あなたは、ただ適不適というレッテルを張るだけで、あとはかまわないと言っている。これでは出先厚生省指導を忠実に行なっている末端出先機関の諸君は、おそらくはらを立てるというよりも、慨嘆これ久しゅうするでしょう。したがって、この問題について、もっと適切なお答えをいただきたい。
  7. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 飲料不適ということばが現在やや誤解を招くことば表現でございまして、実際は飲料用水としての基準不適合であるということのほうが適当であるかと思いますけれども、いま先生からお話のございましたように、飲料不適の個々の井戸は別といたしまして、埼玉県のように、非常に飲料不適の、これはもちろん井戸が非常に浅い場合でございまして、いかなる地域でございましても、二百メートルか三百メートルか深い井戸を掘れば飲料不適地帯でもきれいな水が得られるわけでございますが、一般的に浅い井戸でございますので、そのようなことでは地下水が汚れておって、その地域一帯飲料適の水が得られないという地域があることは御指摘のとおりでございまして、私どもも聞いておるわけでございます。そのような事態に対しましては、当然、保健所は一刻も早く水道を引くというような指導をいたすべきでございまして、そのためにいろいろの市町村に対するアドバイスをする、あるいは行政当局が自分で厚生省に対して報告をし、その設置に対して努力をするようにするというようなことによりましてそういう地帯を減らすように努力をすべきでありまして、従来からそのような地帯を私どもとして優先的に水道設置の場所にいたしておるわけであります。今後ともそういう努力をしてまいりたい。
  8. 森勝治

    森勝治君 私は、もっと積極的なお答えをいただけるものだと思って質問申し上げたのです。私が申し上げたいのは、先ほどの取り締まりということばについてのこだわりを私は申すようですが、そうではなくして、たとえば一つのこれが該当する飲料水質検査をした井戸だとしますと、ここで不適というらく印を押すならば飲んではなりませんよ、しかも、飲む場合にはこれこれの措置をして、いわゆる、ろ過装置なら、ろ過装置をする、こういう指導書か何かをつけてやるような積極的なあり方がほしいと申し上げているのです。飲めないのを飲んでけしからぬ、だからおまえさんから罰金を取るというようなことの指導を期待して私は発言をしたわけではありません。ところが、いま申し上げたように、保健所不適ですよと書くだけ。お酒の一升びんに入れて持っていきますと、その表に、水質検査の結果、これはだめですというだけであります。すべてそうです。もちろんこれは人的配置が少ないというものも大きな原因なんでありましょうけれども、もう少し磁極的に、この水が飲めなければ事後の措置をどうするんだ、公営簡易水道のようなことを言っておられましたが、これではいますぐに間に合いませんよ。だから、この水はいま直ちにどうするか、これは、ろ過して飲めるものなのかだめなのか、こういう適切な措置をしていただかなければ、これは私どもあなた方の行政というものを信頼のあまり、こういうやぼな発言をしたのですけれども、率直に言うと、非常に私は失望しました、こういう水の行政では。特に衛生ということばが、すでに清潔というふうに素朴に理解しておりましたから、水質検査した結果不適だが、飲んじゃ悪いということはありませんとおっしゃられるならば何のための検査か、何のための行政か、疑いたくなる。もう少し積極的な発言をいただきたいと思います。
  9. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 私の説明が不十分だったかもしれませんが、最初にお答えしたのが、いまの先生お話のあった点に対してのお答えであったつもりでございます。従来不適であるということを単純に印を押して通知するだけという場合があって、それは不適当であったということを申し上げたわけでありまして、その不適当なのはこれこれこういう理由で不適当なんですから、それはこういう取り扱いでやるようにという指導が欠けている点がございますので、そういう点のないように努力をいたしたい、こう申し上げたわけでございます。  第二点の、昨日のお尋ねは、荒川水位一定にするために、これはかんがい用水のためでございますが、そのために東京都が取水をやめているという事態があるが、そういうことによって東京都の水はだいじょうぶであるかどうか、こういうお尋ねであったように思います。確かにお話のとおり、東京都は八月九日から荒川からの取水をやめております。それは御承知利根導水路によりまして東京都へ水を取る場合には申し合わせがございまして、利根川の水が栗橋地点において毎秒二百トン以上ある場合、かんがい期においては荒川導水へ流すことができる。もちろん荒川におきましては、荒川の水が毎秒十トン以上ある場合に東京都が水を取れる、こういうことになっているわけでございますが、最近御承知のように、約二週間ほど雨が降りませんので、荒川の水がだんだん減ってまいりまして、十トンを切っているわけでございます。したがいまして、八月九日から取水をやめているわけでございます。その結果、いままで東京都の貯水池の水は増加の一途をたどりまして、八月上旬には一億五千七百万トンまで貯水池に水がたまりましたものが漸次減ってまいりまして、昨日は一億五千三百万トンまで減っております。しかも、昨日一日の貯水童の減少は九十二万トンに達しております。したがいまして、今後このような状態が続きますと、貯水池の水は毎日九十万トシから百万トンぐらい減るかもしれないということを予測いたしております。しかしながら、東京都の長期予報見込みでは、九月二十一日以降に雨量が、過去明治初年からの記録の最低限度雨量でございましても、これ以降かんがい期でなくなりますので、利根川からある程度水が取れるということから、貯水池の水はことしの末にはほとんど満水するということを予想いたしておるわけでございまして、したがいまして、昨年のきょう今日、東京都の水がわずか五百三十五万トンしかなかったものが、今日ではその四十倍ほど、一億五千万トンもございますので、いまのところ、東京都の水不足がにわかに生ずるという懸念はない状況でございます。しかしながら、将来のことを考えまして、現在、各省が寄り集まりまして、毎秒十トンを切りましても、かんがいに差しつかえなければ取れるように、関係各省東京都、その他関係府県相談をいたしておる段階でございます。
  10. 森勝治

    森勝治君 再質問いたします。  いまおっしゃった栗橋付近の二百という話がありましたが、三月にはこの武蔵水路が開通いたしまして約一カ月、四月には水を取ることをやめておることは御承知ですね。しかも、その後断続的に取って、つい一週間ばかり前、この当該武蔵水路ははなばなしく開通式をやったにもかかわらず、わずか開通式をやった四、五日後、すなわち八月の九日には御指摘のように取水取りやめ、こういう状態が現出したわけです。しかも、これがあなたのおっしゃった埼玉県と取りきめした水位基準を下回っても東京都のためにということで、埼玉かんがい用水犠牲を払って毎秒五トンずつずっとお送りしていた。これは御承知のとおり。ところが、あれほど大々的に鳴りもの入りで、武蔵水路によって東京都の水の飢饉が氷解をしたという発表を当局はされたわけでありますが、三月一ぱいだけ取って、四月はだめ、五月もだめ、六月はちょっと入れて、八月の九日に全面ストップということになるならば、あれだけたいへんな金をかけて導入した武蔵水路の使命か完全に生かされておらぬ、私はこういうところに行政の手ぬるさがあると思うのです。いわんや、このことによって荒川下流水質汚染というものははなはなだしいものがあります。したがってあなたのおっしゃるように、まだ昨日現在で一億五千三百万トンですから、あるというので心配ありませんというならば、お答えを素朴に私が私なりに考えて、これをことばにあらわしますならば、何も武蔵水路というのはあわててもうつくらなくてもよかったのだというようなことばが言外に含まれているような気がしてならぬのです。しかも、そのことは、あなたが次に九月二十一日以降の水の確保云々と言われましたが、私が最も心配しているのは、この九月二十一日以前の三カ月間の最も水を欲する時期の問題をどうされるかという、こういうことがわれわれ懸念されますから、このことについては武蔵水路をつくるためには埼玉県も最大の御協力を申し上げたのでございますが、にもかかわらず、埼玉県があらゆる犠牲をしのんで、東京都のために武蔵水路開さくのために御協力申し上げてつくった水路が役に立たないということであるならば、お話にならぬと私は申し上げたいのです。したがって、もちろんこれは工事のほうは水資源公団のほうでしょうけれども、これは活用するのはあなたのほうの所管ですから、今後どういうふうに活用されるか、このままおりますと、東京都との取りきめた水位の問題は復活しませんよ。したがって、当分絶望だと言っている。水資源関係者も、これ以上取れないからだめだと言っている。冬になって水なんて言ったって、これはもう話になりません。したがって、その問題をどうされるか。  それから、私が後段に言及いたしました荒川取水地点から下、すなわち、浦和市の秋ケ瀬の橋以降、川口赤羽に至る、この武蔵水路によって荒川の水を取り上げますから、したがって、沈澱物が非常に下流にありまして、それが水質汚染原因でありますが、著しい水質汚染でありますので、こういう問題についてはどう処置されるのか。これはもう住民もはなはだ迷惑しごくでありますので、こういう問題についてもひとつお答え願いたい。
  11. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 利根導水路の最終の目標は、利根川は年間を通じては相当な多量の水が流れておりますが、常時はそれほど多くなく、しばしばかんがい用水に大部分が使われるという状況でございますが、大雨が降ったようなとき、台風のときなどには相当多量がそのまま海へ流れているわけであります。それらをせきとめましてためておいて、年間通じて利根川多量の水を流している。その余分に流した分を東京都へ持ってこよう、こういうことが利根導水路計画でございます。そのために、御承知矢木沢ダム下久保ダムを目下建設中でございまして、先日開通式をあげましたのは、そのダムから川へ流れてくる水を導水する導水路完成式でありまして、したがいまして、全計画からいえば、目下のところは工事半ばであるわけでございます。そこで、工事半ばでございましても、余剰水は利用いたしたいということで計画を立てまして、したがいまして、ダムができておりませんから、常時多量の水が流れているわけではないのであります。少量のときにはかんがい用水にし、かんがい用水限度をこえたもの東京都へもらう、こういうことでダム完成までを取水しよう、こういう計画であるわけでございます。昨年のこの通水路完成してから今日まで十カ月ほどの間に、この間はそれほど雨が多くない、むしろ記録的に雨の少ない時期でございましたもかかわらず、この導水略だけで取りました東京都の水の量は一億三千万トンに達しているわけでありまして、今日の貯水量が一億五千万トンでございますので、今日の貯水はほとんどこの利根導水路のおかげである、かように言えるわけであります。この完成までの期間は、したがいまして、ある程度計画を立て、非かんがい期にはできるだけ取るけれどもかんがい期にはかんがい優先ということで計画を立てておりまして、したがいまして、常時利根川から水を取ることはダム完成まで、こういう計画を持っているわけでございます。きょう今日一億五千万トンでございますが、かりに利根川から水を全然取らない、しかも、雨が今日のようにないという場合の貯水池の減りは、昨年の経験に徴しましても、一日約百万トンでございます。そういたしますと、今日一億五千万トンでございますので、百五十日分貯水しているわけになるわけでございます。したがって、ことしの九月二十一日以降、過去の経験に徴して最も少ない雨量でございましても、それ以降はかんがい用水が要らないので、利根川から再び水が取れるようになるから、本年末にはほとんど満水に近くなるという予測をいたしているわけでございまして、その意味合いから、きょう今日利根川から取れませんでも、今後の貯水はある程度確保できると、かように見通しているわけでございます。  なお、川の汚染の問題でございますが、これは利根導水路によりまして、隅田川の汚染を浄化するために毎秒三十トン、日量にいたしまして二百六十万トンの水が流れるように導水路が設けられているわけでございます。これはきょう今日はお尋ねのごとく水量が不足いたしておりますので、毎秒五トン程度しか流れておらない。したがって、浄化に不足を来たしている現状でございますが、これも先ほど来申しておりますように、ダム完成後においてはこの問題が十分解決せられる、かように私どもは期待いたしております。
  12. 森勝治

    森勝治君 いまのお話ですと、下久保その他の工事というお話がありましたので、それでは武蔵水路というものが本来の機能を完全に、あるいはまた、完全に近い力を発揮するのは何年先になるのかということです。
  13. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 昭和四十三年四月の見込みでございます。
  14. 森勝治

    森勝治君 それでは、完全な機能を発揮する場合の流水量はどのくらいですか。フル活動を始めた場合の流水量
  15. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) ちょっと調べてお答えします。
  16. 森勝治

    森勝治君 私が一番懸念を持ちますのは、私どもが、かって、ここにも土屋君――同僚がおりますが、県議会におりまして、この武蔵水路開さくについての御協力を申し上げるかいなかという問題について論議いたしましたときには、最もこの武蔵水路に大きな期待をかけられているという説明がそれぞれの関係方面からなされたわけでありますが、いま申し上げたように、落成式ははなばなしくやったが、極言するならば一滴の水も流れなかったということであります。すなわち、八月九日以降一滴も流れていない。ことしの三月一日ですか、開通いたしまして、一カ月だけはなるほど十トン程度の水が流れて、水位が低下したから毎秒五トンにした。そのあとは天を仰いで雨を待つというような、こんな状態であります。したがって、下久保ダムが来年ですか、来年四月と言いましたね。
  17. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 四十三年です。
  18. 森勝治

    森勝治君 四十一年四月とおっしゃったのじゃなかったですか。
  19. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 四十三年四月でございます。
  20. 森勝治

    森勝治君 それでは、あと三年後に完全な機能を本利根導水路が発揮できるのですか。いまのその毎秒何トンというお話は数字だけだというのですか、その点を重ねて〇四十三年の四月になれば、少なくとも当初計画した理想に近い機能が発揮できるかどうか、重ねてお伺いしておきます。
  21. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 完成の暁には、東京都では常時毎秒三十トンとれることを予定いたしております。したがいまして、日量にいたしまして二百六十万トンでございます。
  22. 森勝治

    森勝治君 それでは、後段の質問水質汚染の問題ですが、秋ケ瀬橋から以降、東京都に入るまでの埼玉県の地域の中の沿岸の汚染というもの、これは、なるほど隅田川のお話東京都のお話でわかりましたが、その辺の埼玉県の地域水質汚染の問題――沿岸のよごれ、戸田のボートコースの上流あたりで、取り口の上流あたりから秋ケ瀬橋あたりのそういう沿岸の、本来ならばもっと水が流れているものが、他に導水してしまったのですから、水が流れません。したがって、満潮時になりますと、逆に隅田川の水が逆流してどろどろした水が、水というより、むしろ廃液のようなものが遡上してきます。さかのぼってきます。そうすると、全く埼玉の人は東京都のためになるということで御協力申し上げたことが、そのお返しは臭気ふんぷんたる沿岸の状況ということでは、これはやり切れませんので、その辺の問題についてはどう処理されるのか、ひとつお伺いしたい。
  23. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 荒川本来の水の量は、完成後においては、東京都に取水することなく、残すわけでございまして、利根川からダムによってとれた水だけが東京都に入ることになるわけでございます。それまでの、昨年のごとき異常事態において、埼玉県の御協力によりまして、東京都は、がんがい用水に必要以外の水は荒川の水を東京都へ取水するというようにいたしたわけでございます。したがって、その間、お尋ねのような水質汚染の問題がございましたかもしれませんが、昨今では、したがって、かんがい用水一定限度を下るような事態には取水しないということで、荒川の保全をも東京都の取水は考えておりますし、将来ダム完成後においては荒川の流量には変化を与えないということで取水することになっております。
  24. 森勝治

    森勝治君 それでは、水の問題二点についてお伺いしましたので、もう一点、水の問題についてお伺いしたいのだが、水道に最近は弗素を混入するということを盛んに聞きますけれども、この医学的な根拠と申しましょうか、そういうものは私はしろうとでありますので、素朴にその弗素の効用――いま埼玉県の水道というものは、比較的全国的に見ても大きいと私は考えておりますが、ここで医師、歯科医師こぞってこの弗素投入の問題については反対をしている。片や水道のほうでは、いや、これは虫歯予防でけっこうなんだといって論争を重ねております。両方で発表し、いまビラ合戦の最中であります。ちょっと大げさな表現のようですが、もう医師会、歯科医師会は町に全部、県南水道のやり方は間違っておる、検討の途上において人体に試験的に飲ませるのはよろしくないというように、もう団体の名前において発表しております。そうなると、これから地域住民はのどがかわいても、水は飲みたし命は惜しやで、非常にとまどいますので、この辺についてのひとつ明快な立場をお聞かせ願いたいと思います。
  25. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 水道水に弗素を入れることによって虫歯を予防しようという試みは、すでにわが国において十年以上前から考えられ、世界の各国の中でも、アメリカ、カナダでは一部において実施しております。そのほかの文明国ではあまり行なわれておりませんが、ブラジル、チリ等においても一部実施いたしております。で、わが国がやりましたのは、昭和二十九年から京都の山科で約十年間入れたわけでございます。その結果、日本人の体質でこの実験結果を見てみますと、虫歯がなるほど三〇ないし四〇%減少するという事実がわかったのでございます。これそのものは虫歯予防には確かに有効である、かような結論が出たわけでございます。  そこで、私どもは、これを広く水道水に使うかどうか。費用は相当安いものでございまして、一人一年間に三十円程度で済むものでございますので、非常に有効なものであれば一般に用いるようにいたしたいということで、その検討会をことしの七月に、従来の実績をもとにして専門家に集まっていただいていたしたわけでございます。その結果、結論を先に申しますと、なお検討の余地がある、かようなことになったわけでございます。その理由は、弗素を常時水道に入れることによって水道工学的に水道管を破壊するとか、そのほか水道の浄化機能に影響を与えるかどうかというような点の検討がなお不十分であるという点が一つと、なるほど弗素をある程度の量人体に用いましても、急には変化は起こってこないが、非常に長期慢性に使っておった場合に、はたしてどのような変化が起こるかということに対してなお検討の余地があるので、もしこれを使う場合に、十分住民のからだに注意をして、あるいは水道管の保全等に注意をして、絶えず管理を十分にしながら特に使っていくというのなら別のこと、一般的にこれを広く用いる段階ではない、かような結論が出たわけでございます。
  26. 森勝治

    森勝治君 一番最後の、一般的にこれを広く用いるものではないということは、いま研究の段階であるから、実施ということは考えておらぬということですね。
  27. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) なお検討の余地が残されておりますので、広く一般に奨励する段階ではございませんと、かようなことでございます。
  28. 森勝治

    森勝治君 そういたしますと、具体的に論争いたしております埼玉県の県南水道の場合ですと、もう方針が定まっておるそうでありますから、それで、勢いいま申し上げたようなことで行政指導が的確になされれば、あるいは思いとどまるかもしれませんけれども、猛烈な反撃を食ったものですから、行きがかり上それを実施するということになると、迷惑なのはいわゆる水を用いる市民の方々であります。したがって、とにかく専門家が反撃をするのですから、市民の人は、お医者さんが言うのだから間違いなかろう、しかし、水道だって人殺しをするような水は使用しないだろうと、こう片一方で、大げさな表現だが、市民は考えます。ほんとうに迷惑するのは市民でありますので、こういう市民の不安や論争を専門家の立場で論争が巻き起こされる問題については、いち早く適切な指導をひとつやっていただきたいと思います。ですから、たとえばいまは時期尚早だという御意見でございますが、これが全国的に波及いたしますと、みんなとまどうのは地域住民でありまするから、これの規定と申しましょうか、おたくのほうだけじゃありません。国の方針をそれじゃどうするか、弗素混入に用いるためには云々という、こういう規則、規定というものを設けられるのか、その辺のことをちょっとお聞きしたいと思います。
  29. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) ただいま申し上げましたように、京都の山科で十年間使ってきまして、虫歯予防には非常に効果があって、しかも、住民に障害がなかったという実績がございますので、京都の山科におけるように十分な管理を継続してまいれば、あるいは使用してもさしつかえないかもしれませんけれども、しかし、これは一般的に使用してさしつかえないという範疇では考えられないことでございますので、いま先生お尋ねのように、特にこれを先立って使おうという場合には、よほど十分な管理、注意がないといけないということで、そのような特別な注意をあるいは払えるかということで、実施をしようというところには強く指導をし、その注意の保証がない限り使わないほうがいいであろう、かようなことをいたしたいと思います。
  30. 森勝治

    森勝治君 重ねてお伺いいたしますが、京都の例もおありだそうでありますが、該当する個々の指導でなくて、国はいかにあるべきかということを早く方針を出してもらいたい。それが一番正しいあり方だと思うので、そういう方針に向かわれるかどうか、ひとつお伺いしたい。
  31. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 私どもとしては、いまのところ、全国各地で弗素を使用するという機運にもございませんし、通達で特にこれの基準というようなことを出しますと、かえってそれを奨励することにもなるかと思いますので、個々にお尋ねのような事例が特別にございました場合に指導をしてまいりたい、その意味合い埼玉県の事例に対しても指導してまいりたい、かように思います。
  32. 森勝治

    森勝治君 重ねて、個々の例を出して伺っておりますから私が申し上げますが、私が申し上げた埼玉県南水道では、すでに厚生省にお伺いを立てておるはずであります。したがって、どういう行政指導をされたのか、いまおっしゃれば、おそらく局長のお話ですと、県南水道ちょっとお待ちなさいと行政指導をされたようなふうに私受け取ったんですが、ところが、当該の県南水道は、非常によろしいのだという何か医学的なデータもおありなそうなんで、心配ないと、こうおっしゃっておられるのですね。それはもう賢明なる厚生省のことでございますから、十分かねてから御指導があってしかるべきものと私は考えて愚問をするわけであります。
  33. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) ことしの春、県南水道から簡単な連絡がございまして、その際には、先ほどの委員会の結論は出ておりませんでしたが、慎重にやるべきものであるという、当局としては慎重な、むしろ消極的な話をしておいたわけでございますが、最近そのような結論が出ましたので、早急にその結論を伝えたいと思います。
  34. 森勝治

    森勝治君 県南水道が市民にすでに発表をいたしておるわけです。弗素を混入いたしましても、虫歯予防ということで、医学的にもこれは安全を立証されておるので、こうやりますから御協力を願いたいと出しておる。この出したことについて医師会、歯科医師会の、もちろんこれはあるいは一部の人かもしれませんが、とにかく団体の名前をもって、時期尚早である、医学的にも研究の途上であるので、投入というのはまだちょっとおかしいではないかと、こういう反論をしておるのです。もちろん厚生省行政指導が的確であるならば、こういう発表は県南水道はしなかったはずでありますが、お役所同士の文書のやりとりのあいまいさ、不的確さ、行き違いによって迷惑するのはやはり住民でありますので、これはひとつ可及的すみやかに正しい御指導を、県南水道から連絡がこないからおれは座しているなんて言わずに、具体的に私が該当する水道の名前をここに持ち出したんですから、ひとつ積極的に行政指導をお願いしたい。
  35. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 早急に指導したいと思います。
  36. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと一言。来年度の予算時期が近づいて、大臣にちょっと水道の水の問題が出たから尋ねておきたいと思ったんですけれども、大臣が出てないが、私は、いまのいろいろのお話がありました、東京水資源計画お話がありましたが、簡易水道は四分の一から四割まで条件の悪いところは補助しよう、しかし、人口が今日の合併した市町村になってくると一万以上なんですね、みんな。そうなると簡易水道の適用にはならぬ、上水道をやるわけです。これは人間の一番最初の必要物ですから、水道の問題は各市町村で非常に熱心なんです。また、やらなければならぬことなんだが、上水道に関しては一文の補助金も何にもない。これでは私は内容のこともともかくとして、水道をやるときに国がやはりめんどうをみていくということが大事ではないかと私は思うのです。五万、十万の都市もありましょうけれども、数が多いからといって、それじゃいまの水道計画を立てていくと、十トン当たり四百円くらいとらなければ採算がとれぬような状態なんですね、物価値上がりその他において。そういうことはみんなとにかく住民のもんだから、政府――これは次官によく聞いておいてもらいたいのだけれども、政府の仕事は、私もきのう予算委員会で言ったんだけれども、地方住民が必要として起こす水道事業とか交通利便の事業においては、独立採算制で一切料金でまかないなさい、国のやる仕事の国保は一般会計からつぎ込んで赤字をなくしなさいということは、本末転倒の行政が行なわれていると私は思う。だから、その国保の重大危機に立って、市町村の財政が非常に窮迫をして、これから問題になるわけです。これはあなたの関係ではありませんけれども、しかし、水道の赤字、水道料金の値上げで、どの都市も問題を起こしていない都市はどこもない。だから、私は、やはり地方公営企業法があれでいいのかという問題も検討してもらいたい。そうして、特に厚生行政に関係したものは、単に自治省だけにまかしておくだけでなしに、特に水道の問題については、ある人員以下は簡易水道で、そこから上は上水道だから厚生省は知らぬのだというような財政的援助の問題についてはかってにおやりなさいというだけではどうにもならぬのじゃないか。だから、その点は、それなら長期低利の融資をしてあげて利子補給をしてあげるとか何とかの方法を講じない限り、これはもう各都市で大問題です。だから、国民の保健のためにも、よい水を住民の生活にやらなければいかぬということは当然のことですが、それを市町村としてはやらなければならない。やらなければならないけれども、財源不足でなかなか手がつかない。独立採算でやったら十トン当たり四百円もかかる。そういうことと、それから、現実に水資源のいいところは安くやれる、安くやれるにこしたことはないけれども、何らかやはり上水道に対して厚生省は財源的にも援助とか保護の手を加え、また、適正な指導をしない限り、水の問題というのは、全国的に文化生活を追求する国民からいってたいへんな問題だと思うので、予算をこれから立てられる前ですから、ひとつ努力してもらいたいと思うのですけれども、どうですか。
  37. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) お説まことにそのとおりだと思いますので、一生懸命研究してみたいと思います。
  38. 土屋義彦

    土屋義彦君 都市用水確保のために、厚生省が中心となって水資源の開発調査を大々的にやるとか聞いておりますが、その内容ですね、それについてお尋ねしたいと思います。
  39. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 最近は一都市の問題でなくて、その都市を中心とした一地域の問題として水不足が大問題となってきております。たとえば東京、横浜、川崎等、東京周辺の都市の問題として水不足が問題となり、あるいは大阪、神戸、尼崎等を中心としてあの地帯の水不足の問題となり、また、西では北九州の水不足の問題となるというように、地域的に水不足が大きな問題となつておるわけでありまして、これに対して国としてやはり水源を考えてやる必要があるということから、近年、国の調査費で水源調査をいたしておるわけでございます。本年度は厚生省が二千五百万円の予算で、特に緊急性を要する地域に対して水源調査をいたしておるわけでございまして、明年はさらにこれを拡大して調査をいたしたい、かように考えております。
  40. 小柳勇

    委員長小柳勇君) この件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  なお、閉会中の委員派遣については、すでに委員会で決定いたしておりますが、風水害、労働災害など、突発事故発生の場合の閉会中の調査団の派遣についても、これを委員長のほうに御一任願いたいと存じます。  他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十六分散会