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政府委員(
長野士郎君) 御承知のように、現在の
選挙人名簿の調製は二通りの種類によってできることになっております。
基本選挙人名簿は毎年九月十五日現在で毎年一回市町村の
選挙管理
委員会において
調査をいたしまして、そうして名簿の調製をいたすわけでございます。この名簿につきましては、法律的にも名簿の効力というか、効果というものを確定をさせる必要があるということから、一定の期間、いままでのところでは
基本選挙人名簿等につきましては十一月の五日から十五日間毎年市町村役場その他で名簿を縦覧に供しているわけであります。その縦覧に供しましたときに、
脱漏しているとか、いろいろのところで異議のある人は異議の申し出をして、その
選挙管理
委員会がその申し出を正当であると認めましたときには、名簿を修正する、こういうことによりまして、十二月二十日に名簿が確定するという形になっております。したがいまして、法律的にいいますと、多少木で鼻をくくったような話になりますが、見なかったからしかたがないという議論は法律的に一応可能になります。しかし、現在の
国民感情からいいまして、一定の期間に役場に児に来なかったやつが悪いのだというような言い方が、はたして通用するかどうかということは、確かにお話のとおり問題がございます。と申しますのは、
基本選挙人名簿は市町村の
選挙管理
委員会が職権をもって調製をするということになっておりますので、ただ法の趣旨は、それにもかかわらず完全を期することはできないかもしれない、そういう場合に縦覧期間というものを設けて誤りを直せるような
機会を設けまして、しかも一定期日がきますと名簿が確定するということで法律的に名簿を固めまして、それ以後の
選挙においてそれが用いられる、こういうやり方をとっていきたい。そうでないと名簿の効力といいますか、名簿の効果というものが非常に不安定では困るという
考え方であります。
補充名簿につきましては、昨年とそれからこの前の通常国会におきまして
改正が行なわれましたが、
選挙の
たびごとに従来は一定の申し出期間を設けておったわけでございますけれども、昨年十月以降は、
基本選挙人名簿に載っていない人で名簿に載る資格を持ちました人につきましては、その人が申し出をすることによりまして、
選挙の
たびごとではなくて、昨年十月一日以降は、常時申し出をすることによりまして、そうしてその次の来たるべき
選挙のときにその申し出者を集めまして申し出書というか、申請書というか、申し出書に記載されている人の名前を寄せまして、そうして
調査の上、
補充選挙人名簿をつくるという形になっているわけでございます。
したがって
基本選挙人名簿は、職権で市町村の
選挙管理
委員会がつくって、そうして縦覧に供する、
補充選挙人名簿につきましては、個々の資格のある人がみずから申し出をいたしまして、そうして
選挙に際しましてその
補充選挙人名簿をつくりまして、また一定期間縦覧に供する、その間に異議の申し出があれば
基本選挙人名簿と同じように調製をいたしまして
選挙の前までに確定をする、こういう形になっているのでございます。したがいまして、
補充選挙人名簿、これは申し出をたてまえといたしておりますから、
基本選挙人名簿とやや趣が変わっておりまして、申し出という
制度について
国民が十分に知らないという問題がないかという点は
考えなければなりませんが、申し出なければ名簿には載らないという点が
基本選挙人名節とはやや取り扱いが変わっておるわけでございます。そういうことでございますが、いずれにいたしましても、その
あとで
選挙期日がきまりましてから、ところによりましては
投票入場券というものを配付しないところもございます。まあ配付するところもございます。普通は配付をいたしますところが多うございますが、そういう場合に、自分のところに来なかったということで照会をすると、すでにそのときには縦覧期間も過ぎておりますし、申し出期間も過ぎておるということで名簿にそれを加えるわけにはいかない、こういう結果が出てくるわけでございます。そこで、その点につきまして、いまの名簿のつくり方、
調査方法等につきましても個々の市町村で多少ずつやり方も違っておるようでございますが、何さま社会移動の激しいところでは、そういう点での十分正確な名簿をつくるということが実際問題として非常に困難な
状況がございます。これらの点を含めまして、
選挙人名簿全体をそもそもどういうふうに扱うべきかということにつきまして、この前の
選挙でも各地で、団地住宅の相当の部分の名簿が抜けましたとか、あるいは従来から住まっておるにもかかわらず、その人の名簿がその年に限って、今回に限って抜けておるとか、いろんな問題が起きておるのでございまして、これら一括いたしまして、そもそも
選挙人名簿というものをどのような形で調製をするのが一番世間の常識にも合うし
国民が納得できる方法であるかということを根本的に
検討をしていただきたいと
考えております。