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1965-08-10 第49回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月十日(火曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 倉成  正君 理事 田口長治郎君    理事 長谷川四郎君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君    理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    宇野 宗佑君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       白浜 仁吉君    田邉 國男君       高見 三郎君    森田重次郎君       卜部 政巳君    栗原 俊夫君       高田 富之君    千葉 七郎君       中澤 茂一君    松浦 定義君       森  義視君    湯山  勇君       小平  忠君    中村 時雄君       林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (蚕糸局長)  丸山 文雄君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 八月十日  委員栗林三郎君、兒玉末男君及び松井誠君辞任  につき、その補欠として高田富之君、栗原俊夫  君及び中澤茂一君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員栗原俊夫君、高田富之君及び中澤茂一君辞  任につき、その補欠として兒玉末男君、栗林三  郎君及び松井誠君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第四号)  日本蚕糸事業団法案内閣提出第五号) 請願   一 果樹農業振興特別措置法強化充実に関     する請願唐澤俊樹紹介)(第六八     号)   二 同(井出一太郎紹介)(第六九号)   三 同(小川平二紹介)(第七〇号)   四 同(吉川久衛紹介)(第七一号)   五 同(倉石忠雄紹介)(第七二号)   六 同(中澤茂一紹介)(第七三号)   七 同(羽田武嗣郎紹介)(第七四号)   八 同(増田甲子七君紹介)(第七五号)   九 同(原茂紹介)(第一四六号)  一〇 同(松平忠久紹介)(第一四七号)  一一 異常気象に対する米の生産奨励措置の確     立に関する請願唐澤俊樹紹介)(第     七六号)  一二 同(井出一太郎紹介)(第七七号)  一三 同(小川平二紹介)(第七八号)  一四 同(吉川久衛紹介)(第七九号)  一五 同(倉石忠雄紹介)(第八〇号)  一六 同(中澤茂一紹介)(第八一号)  一七 同(羽田武嗣郎紹介)(第八二号)  一八 同(増田甲子七君紹介)(第八三号)  一九 同(原茂紹介)(第一四八号)  二〇 同(松平忠久紹介)(第一四九号)  二一 不順天候による農作物被害対策樹立促     進に関する請願唐澤俊樹紹介)(第     八四号)  二二 同(井出一太郎紹介)(第八五号)  二三 同(小川平二紹介)(第八六号)  二四 同(吉川久衛紹介)(第八七号)  二五 同(倉石忠雄紹介)(第八八号)  二六 同(中澤茂一紹介)(第八九号)  二七 同(羽田武嗣郎紹介)(第九〇号)  二八 同(増田甲子七君紹介)(第九一号)  二九 同(原茂紹介)(第一五〇号)  三〇 同(松平忠久紹介)(第一五一号)  三一 果樹農業振興特別措置法強化充実に関     する請願下平正一紹介)(第二〇七     号)  三二 異常気象に対する米の生産奨励措置の確     立に関する請願下平正一紹介)(第     二〇八号)  三三 不順天候による農作物被害対策樹立促     進に関する請願下平正一紹介)(第     二〇九号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及び日本蚕糸事業団法案の両案を一括して議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 蚕糸事業団法案につきまして一言質問申し上げたいと思うのでございますが、この法案提出ということに決定をいたしますと、国内業界はもとよりでありますが、国外の業界までが非常に大きな期待を持っておりまして、一日も早くこの成立をはかってくれというような陳情が常に来ております。私は、この事業団法というものがそれほど大きな期待を持てるかどうかという点については、一つの疑問を持っておるのでございますが、しかし何といってもそれほど大きな期待を持っているんだということだけは、当局は十分に認識をしていただかなければならないと思いますし、また、この法案運営にあたりましても、それだけ大きな期待を持たれている以上は、それに報いなければならない覚悟があると思うのであります。それにつきまして、一言質問を申し上げてみたいと思うのでございます。  最近の生糸輸出は著しく不振になっておるようでありますが、その実情はどうか、また、輸出不振の原因となっている大きなものは何であるだろうかという点について御質問を申し上げます。
  4. 坂田英一

    坂田国務大臣 輸出は最近確かに減っておるのであります。三十九生糸年度生糸輸出は約二万八千俵で、前年度の五〇%に減少しております。また、月別に見ましても、最近数九月はおおむね千俵程度に激減いたしております。  この原因といたしましては、一つは、昭和三十八年に糸価の異常な高騰があり、また、本年初めにもかなりの糸価の騰貴があって、海外需要者生糸を使用することに不安を持って、いわゆる合成繊維等に転換するものがかなりあったことが一つ理由であると思います。  二つには、この間に他国産の生糸、特に中共生糸日本生糸に比し安くて、しかも、安定した価格水準できわめて積極的に売り込みを行なったことが第二の理由であります。  第三番目には、一方わが国において内需が強いため、輸出について業界が一般的に積極性を欠いたというようなこと等が考えられると思うのでございます。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 合成繊維化学繊維進出のよって来たる原因はどこにあるか、なぜ化学繊維というものが生まれなければならなかったかということでありますが、三十七億の人類生糸を身につけたくないという人類は一人もおらないのであります。ただ全体の人間供給するだけのものがない。需要供給の上に立って、また、その反面起こってくる経済問題の上に立ってこれをまかなうことができ得ない。こういう上に立って化学繊維というものが誕生した。しからば、われわれ人間にはこれを供給しなければならない使命がある。こういうことで、この操作が生まれてきているのであります。そこで、たとえば、日本生糸輸出不振の原因となっているものの一つ中共生糸安値輸出があるからなのだ、そういう点から考えられるのだ、こういうことでありますが、事業団の設立によって糸価変動を小幅にとどめるというだけでは輸出回復をはかることは非常に困難ではないかと考えます。その辺についてのお考えはいかがでございましょう。
  6. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたいろいろの原因があるわけでございますが、おっしゃるとおり、価格変動を小幅にとめるだけが唯一無二であって、ほかの方策は何にもやらなくていいということじゃないと思います。そこで、中共生糸の、特にヨーロッパ市場に対する進出の問題が輸出不振の原因であるという大臣答弁があったわけでございますが、この問題につきましては、われわれといたしましては、その中共生糸進出したという少なくとも当面の最大の原因といたしましては、日本生糸価格が非常に暴騰しあるいは低落する、それに追従いたしまして中共という国の独特の貿易制度だと思いますけれども、そういう関係からいたしまして、常に日本が高い場合には、やはり高いけれども若干下になっておる。安い場合には、安いながらまた若干下になっている。そういうような操作ができる性格の貿易制度になっておるということも相当大きな即山になろうと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、まずそういう操作ができるということ、つまり、これはやはり日本価格変動が大きいからそういう操作ができるんではないかということが考えられるものであります。そこから出てきましたのが今回御審議を願っております、とにかくその価格を小幅にとめるということに、まずさしあたり手を打たなければならないという観点から、そういう方法を講じているわけでございます。それと御承知のとおり、日本生糸及び中共生糸につきましては、いろいろ品質の問題もございます。一長一短それぞれあるわけでございますし、また、長年の歴史からいたしましても、古くなじまれているものでもございますので、当面、いま申しましたような操作を小幅にとどめるということで、できるだけ輸出失地回復といいますか、そういう方向に持っていきたい。長い目で見ますと、当然国内体制生産性向上であるとか、あるいは関係企業合理化であるとか、そういうことが必要だろうと思うのでございますけれども、さしあたりは、この大幅変動を防止する法律を確立したい、こう考えるわけであります。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 中共もさることながら、現在では朝鮮もしかりであり、ブラジルにおいても相当研究が進められておるわけでありまして、日本の今後の蚕繭に対して大きな脅威的なものがもうすでに横たわっているということだけは見のがすことのできない事実であります。こういう点についも、さらにどうやったならばこれらと対抗することができるのか。申し上げるまでもなく、現在の蚕糸原始産業でありまして、米と同様なる過程に立った養蚕飼育方法をやっております。でありますから、こうなってまいりますと、いわゆる人件費労働賃金高低によっては生産費に大きな相違を来たすわけでありますが、そういう点についての今後の御指導を、生産過程による指導という点に重点を置いてもらわなければならないと考えるのであります。  次にお聞きしたいのは、従来の繭糸価格安定制度運用の経過を見ますと、必ずしも当初の目的どおりの成果をおさめておるようには感じられません。特に高値の抑制につきましては、政府または事業団生糸を保有していないので全く空文に終わるようにも感じられます。新事業団については、この点をどうお考えになっておられるか、その点についてお伺いをいたします。
  8. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいま御質問のございました政府繭糸価格安定法に基づく価格の最高、最低価格支持制度、これにつきましては、歴史的には、確かに制度はあっても機能を果たしてないという事実があったかと思います。今回新事業団になりますれば、現行制度政府操作、つまり、買い入れの基準になる最低価格でございますが、これよりもさらに事業団買い入れ価格の下限が若干上の線におそらくきまることになろうかと思います。そういう意味で、まさしく政府安定帯価格の中の中間安定帯ということばも使われているわけでございます。したがいまして、事業団買い入れ機会も、現在政府制度としてあります最低価格の場合よりは若干あるいは大いにその機会がふえるのではないかという考え方を持っておるわけでございます。そうなりますれば、おのずから価格変動の幅を詰めることによりまして、その外に出る場合においては、下の場合に買い入れの度数もふえることでございますから、場合によっては手持ちも相当持ち得るということが言えるかと思います。また逆に、手持ちが相当持てれば、小幅の中の上を出ます場合には手持ちを放出することによってさらに価格を下げ得る。そういう意味で、現在の政府制度よりもなお機動的に操作することによって価格のバランスに寄与するのではないか、そういう期待を持っておるわけであります。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 つまり最低価格は依然として残されておりまして、そして中間安定帯という点に重点が置かれておるのですから、そういう点については、私は大きな疑問を持たなければならぬと思うのであります。  もう一つ伺いたいのは、事業団生糸買い入れ限度はどのように考えておられるか、その点についてお聞かせを願いたいと思います。
  10. 丸山文雄

    丸山政府委員 事業団買い入れ限度といたしましては、大体一事業年度における総生産量を三十万俵といたしますれば、おおむねその一割程度数量を確保すれば十分ではなかろうかというふうに考えております。これは具体的には政令規定事項でございますけれども、この数量につきましては、この事業団構想関係者の中でいろいろ検討されました過程におきましても、大体その程度数量でもってスタートすれば、まあまあ所期の目的を達成できるのじゃなかろうかということにもなっておりますので、おおむねその程度の数字を考えておるわけでございます。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 三十万俵の一割ですから、三万俵といたしますと、その程度糸価の安定をはかるということはなかなかうまくはいかないのでないかというふうに考えられますが、それはそれでいいといたしまして、最近生糸取引所をめぐって過当投機の傾向が非常に強いということと、これらに対しまして各関連の業界からいろいろ不満の声が陳情となってあらわれてきております。このような悪影響を与えるものならば取引所というものに対しての考え方を変えなければならぬのじゃないかというふうに考えます。極端な論者は、もう廃止しなければならぬのだということを言ってきておりますが、こういう点について、担当の局長さんは、今後どういうふうにお進めになる考えか、承っておきたいと思います。
  12. 丸山文雄

    丸山政府委員 取引川の問題につきましても、やはり御指摘のようにいろいろの立場からの御批判があるわけでございます。これも御承知のとおり、もともと取引所は、たとえば公正な糸価を形成する場であるとか、特に生糸の場合には世界商品でございますので、そういう点から見ましても公開の価格形成の必要があるというようなこと、それから製糸工場立場からいたしますならば、原料である繭を買いまして、これを半年あるいは九カ月というような長期間にわたって糸にしてまいるわけでございまして、その間における将来の不安、そういうものも考慮いたしまして取引所でつなぐという問題もございます。そういう本来的な機能があるわけでございますけれども、御指摘のように、最近ここ一、二年、特に暴騰いたしましたときには、まさにその実際の価格を離れて、かってな相場をつくっておるものではないかという御批判が特に強くなってきておるわけでございます。そういう状態のときにはいろいろ事情がございまして、一口に予想し、一口に申し上げるわけにはまいりませんけれども、たとえば、いわゆる本来の生糸関係業者でない、場違い筋と申しますか、そういうものが多量に入ってきて、価格を荒すということが言われておる時期もあるわけでございます。この点につきましても、先ほど申し上げましたように本来の機能を逸脱しますれば、価格形成自体に非常に弊害がございますので、実はことしの一月から五、六月にかけまして余りましたときには、それぞれ手を打ったわけでございますが、ああいう経験をもとにいたしまして、今後につきましても、極端な、本来の機能を逸脱するような状態が現出するおそれがある場合には、十分に対策をとっていきたいと考えております。  なお、取引所につきましても、これに参加する者の資産の内容の問題であるとか、いろいろな角度からどういうあり方が一番いいかということについて検討をいたしております。ただ、これを廃止するということになりますと、本来の機能までなくしてしまう心配もございますので、いい点は伸ばし、悪い点については今後なお改善を加えることを検討いたすことにいたしまして、適切な対策を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  13. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 取引所というものの使命をもう少しはっきりと認識をしてもらわなければならないと思う。ただ投機目的としたのが取引所じゃないのであって、投機だけの目的取引所というものが設立されたとするならば、これこそ断じて許すことはできません。ですから、そういうように取引所というものの使命を十分に認識してもらって、今後の運営に当たっていただきたいと存じます。  次は、生糸に対する内外の需要の動向を考えた場合は、政府は、先ほどお話を申し上げたように、繭の生産についてどういうふうなことをやったならばどういうように進むだろう、要するに繭の生産について、どういうような見通しを持っておるんだ、こういうことについてお伺いをいたします。
  14. 丸山文雄

    丸山政府委員 まず生糸、したがいまして、いま生糸製品需要でございますが、その需要の伸びというものは、大体世界的に見まして——これはいわゆる国際絹業協会の見解でございますが、年率五ないし六%くらいずつは伸びるはずである。特にアメリカ等における今後十年間の所得水準向上等考えましても、伸び得るという見通しを持っております。これについての供給源は一体どこから出る見通しになるかと申しますと、先ほど質問になりました中国の場合におきましては、三十五年ころから——こちらでも正確なデータをつかんでおりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、いろいろ中国食糧生産事情等を参考にしながら繭の生産事情というものを類推いたしてみますと、大体三十四、三十五、三十六、三十七と、この数年間はほとんど横ばいではなかろうかと考えられるわけでございます。したがって、将来も、もちろんわれわれといたしまして楽観するわけにはまいりませんけれども、そう急激なる上昇はないだろう、そういうことが考えられるわけでございます。そうなりますと、先ほど申しました世界需要の増が、かりに国際絹業協会の見るとおりでありまするならば、総需要供給源としては、日本がやはり相当数量的に負担をすべきであるということが考えられます。そういう点からいたしますと、この価格安定機構等の確立と相まちまして、国内において繭の増産をしてはならぬという理由は毛頭出てこないわけでございますので、今後特に一口に申しますと、林地、林野の開発、それから構造改善事業等の推進によりまして、生産性の高い繭の生産方向に持っていく必要がある、そういうふうに考えております。
  15. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 生産者、つまり農民は繭の高く売れるのを喜んではいないのです。といって、安いのを喜んでいるわけでもございませんけれども、価格高低、つまり繭はつくれば売れるんだという、繭さえつくれば国の力によって買い上げてもらえるんだというような、一つの安定した価格をつくってもらいたいというのが農民の声でございます。したがって、たとえば海外生糸の売れ口が悪くなったというようなことも、日本生糸価格高低があり過ぎる。日本には安定した価格がない。たとえばいま、きょうニューヨークで取引になって何俵売れたからといって、支店から本店の日本にすぐ通知が来ても、そのときはもうすでに価格変動があって、それを引き受けるわけにはいかなかったというような、つまり価格変動というものが生糸の売れ行きの不振になり、生糸生産に大きな痛手を加えるようになってきたものでございます。そういう点を十分に知ってもらわなければならない。よって、今度の糸価の安定というものは、はたしてしからば、これをもってその不安を断ち切ろうというような考え方、つまり政府の親心をもってつくったのが今度の法案だと解釈をいたします。ですから、どうか、申し上げたように、農民は決して価格の高く売れることを喜んでいないのであって、要は、つくればいつでも売れるんだということを考えて毎日の生産に当っているんだということは知ってもらわなければならないのです。  なお、養蚕は春、夏だけの養蚕しかなかったわけでございますけれども、今後科学の進展に伴いまして、人造の飼料、人造のえさによって養蚕というものが年間を通じて飼育されるようになってくるであろうと考えられます。こういうような点についても、皆様方指導いかんによっては、わが国生糸業界の盛運がここにあると考えられます。どうか、そういう点について十分の指導をお願い申し上げたいと思います。
  16. 濱地文平

    濱地委員長 長谷川さん、大臣は十一時半まで御在席のようですから……。
  17. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それではまとめてお伺いしますが、最近、中国生糸相当量わが国にも輸入されておるようでございます。これによって繭糸価格安定制度運用が乱されるようなことはないかどうか、これについての対策はどういうふうに考えておられるか、この点が一つ。  もう一つは、新事業団は、全体として製糸家保護色彩が強い。養蚕農家利益が忘れられているのではないかというような声も非常に大きゅうございます。この二点についてのお考えを御答弁願いたいと存じます。
  18. 坂田英一

    坂田国務大臣 ごもっともでありますが、中共生糸輸入は、現在数量的にはきわめて少量であります。しかも、その品質は非常によくないわけで、低格であって、用途もごく限られており、価格に対する影響はあまりないものと考えられます。中共生糸輸入は、糸価刷り高に推移した時期になされており、今後においても、このような場合にのみ輸入されることが考えられるので、繭糸価格安定制度運営悪影響を及ぼすおそれはまずなかろう、いまかように考えておるような次第でございます。  それから、この日本蚕糸事業団法案は、全体として製糸家保護色彩が濃く、養蚕農家利益のことが忘れられておるのではないか、こういう御質問であったと思うのでございますが、日本蚕糸事業団法は、蚕糸業の経営の安定と生糸輸出の増進に資することを目的としておりまして、決して製糸家保護のみを目的とするものではなく、終局的には養蚕農家利益をはかることを目標とすることは、先ほどお話を申し上げたとおりでございます。なお、今度の法案におきましては、一定の価格で繭を購入した製糸家に対してのみいろいろの法律上の規制を置いておるようなわけでございますから、そういう規制をよく適用してまいりまするならば、十分これらの問題を処理し、そして遺憾のないように、両々相まって製糸繭価もともにこれは保護していけるように思われるのでございます。
  19. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 冒頭に申し上げたように、今度の法案は、養蚕農家をはじめ製糸家はもちろんでありますが、関連しておる機業、こういう人たちが非常に大きな期待を持っております。どうか、この期待に沿うような運営をお願い申し上げまして、私の質問を終わる次席であります。
  20. 中澤茂一

    中澤委員 関連して……。いま大臣質問しないところまで答弁していましたが、これは、そこの点は特に答弁要領の中に重点的に書いてあると思うのです。それは、大臣は、さっき輸入したって数量的にたいしたものじゃないのだから、それは市況を乱すようなことは云々と答弁されたけれども、実際中共生糸が入ってきて投げ売りをやった某製糸家があるのではありませんか。そのために四千六百円まで下がっていったということは、もう実績が示しておる。これは大臣が、質問もないのに、うしろのほうで規制措置を講ずると読んでいましたが、これは私は問題だと思うのですね。この法案というものは、私は蚕糸業振興審議会でさんざんあなたの前で議論したのですが、少なくとも、この法案は、業者が中間自主安定をやろうじゃないか、こういうことで、その製糸家も金を出そう、養蚕家も金を出そう、そして政府の例の基金と合体したものでこの中間安定構想というものは立てられたわけですね。ところが、その立てられた業者の某製糸中共生糸輸入して投げ売りをやって値を下げたという現実があるのですよ。大臣は後段に言われたように、製糸家に対しても規制措置考えると言われたけれども、私は、これは実際蚕糸行政不在だと思うのですよ。ああいう輸入を何にも行政指導せずに輸入させたこと自体に私は問題があると思うのですね。そういう点においては、もっとやはり行政指導というものを強力にやらないと、片方で自主的中間安定構想をぜひやってくれと頼んでおいて、片方で中共生糸輸入して投げ売りをやる、そういうことをされたのでは、この法案を通しても、そういう不心得な製糸業者があるということは、私は断じて許すべきじゃないと思う。行政指導としては、どこまでもこういう製糸会社に対しては、ひとつ懲罰的な何らかの強硬な行政措置をとるべきであると思うのです。市況がいま五千二百円にまた上がってきた、おそらくこの製糸業者はまた輸入をやると見ておる、そうしてその輸入生糸投げ売りでまた糸価を下げてくる、私はそういう事態がまた来るという判断をしておるのです。だから、それに対して行政指道守として、まあ、大臣はあんまり内容のことは知らぬでしょうけれども、ぼくは製糸衣の名前まであげて言うことができる。これは公の席だから差し控えるが、明らかにある製糸会社がやったことは間違いないのですよ。坂田さんにそう言っても、あまりこまかい内容はわからぬと思うので、これは局長でいいが、何か規制措置を講ずる、あるいは行政指導で何とかしなければ、また輸入しますよ。もうこの話はいま進んでいるということを私は聞いています。三、三千俵輸入してきて、またやるということを聞いています。われわれ国会が一生懸命で、製糸団体も、養蚕団体もまとまったのだから、この法案は何とかして一日も早く成立さして中間安定をさせてやろう、こういうふうな親心をもってわれわれが国会で審議していても、片方でそういう自主調整をやろうという業者自体が中共生糸輸入してダンピングをしている、こんな矛盾した話はないと思うのですよ。近いうちに、また輸入されるかもしれない、現にそういう動きをしているという情報も入っておるのです。局長はこれに対してどういう態度をもって臨むか、これははっきりしてもらいたいと思うのです。
  21. 坂田英一

    坂田国務大臣 そういう問題は、私も実はあまり正確に知りませんけれども、十分ひとつ指導的にやっていきたいと思うのですが、なお詳細は局長からお答えさせます。
  22. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいま中澤委員から御質問がありましたこの春の輸入の問題でございますが、特に国内価格を下げるために投げ売りをしたかどうか、そこまではわれわれは確かめておりませんけれども、これは一応推計いたしますると、たとえば四月、六月に相当量入ってきたわけでございます。この場合の国内における販売価格、これは関税及び商社マージンを加えたものでございますが、大体四千八百五十円前後になっているのじゃないかという気がいたします。そうしますと、その入りました中共生糸は下格というものでございまして、こちらの検査上の格づけから申しますると、これはEまでしかございませんから、格づけするならば最低の格づけ、かりにこれをE格といたしますれば、標準生糸との値の差を考えますと、大体二百円程度の差があったということが考えられます。品質の差でございますが……。そうなりますと、大体五千円くらい、つまり標準生糸が五千円くらいの場合に、E格、Fと称するものが四千八百円で入るということになるわけでございます。これが輸入された当時の糸価は五千二、三百円になっておったと記憶いたしております。そういう関係で、やはりこの経緯を見ましても、まず国内生糸価格をべらぼうに高めないということが一つのやはりポイントになるのではなかろうかという感じがいたすわけでございます。もちろん、ただいま御質問のとおり、関係者が長時間にわたって審議した政策の裏をいくようなことは、まさに道義的にこれは問題でございますので、そういう点につきましては、われわれといたしまして、自由貿易でございますので、われわれの関与のしかたというものはおのずから限度はございますけれども、おっしゃるような世論と申しますか、そういうことによりまして自粛をしていただくという方向に今後指導してまいりたい、こう考えます。
  23. 中澤茂一

    中澤委員 いま一問だけお尋ねします。  また輸入しようとしている、そういう情報が入っているのですよ。そういうことをやろうとしている。それで、われわれ、国会で一生懸命こうやって中間安定構想を、業界養蚕団体もみんなまとまったのだから、この法律を何とか一日も早く通して、できるならば予算編成期に政府に要請して、いま少し資金のてこ入れもやってやろう、こういう親心でこの問題を進めているのでしょう。その反面に、これをぜひ通してくれという業者がそういうことをやっているのでしょう。そういうことをどこまでもやるなら、この法律考えなければならぬと思うのです。たとえこの法律を通しても、こういうユダヤ根性的な製糸家がいてやるならば、これは意味ないですよ。その業者はあなた御存じでしょう。だからその製糸会社の社長を呼んで、こういうことをやるなら国会で法律は通さぬ、通らぬと言ってやんなさい。今後もこういうことをやるなら、またこの法律を通す意味もなくなってくるのですよ。ぜひ法律案をお通し願いたい、お通し願いたいと言っていながら、その反面で、かってに中共生糸をどんどん、どんどん輸入して、もうかりさえすれば日本蚕糸業はどうなってもいいという、私はその業者のユダヤ根性をたたきつけなければいかぬというのですよ。それをやらなければ、この法律を通しても意味がない。いつでも中共生糸をどっと入れちゃ、ばっと投げてもうけては、またその逆ビンタでもうけている業者は、名前は言わぬが、こういう社長を呼んで、君がこういうことをやるなら、どこまでも農林省としてはこの法律は知らぬ、このくらいな強い意思表示をやるべきだと私は思う。現にまた輸入をやろうとしておる、情報が入っておるのですよ。だから、その点をよっぽど強力に監督指導してもらわぬと困る。こっちが一生懸命に暑いのに審議して、早く通してあげましょう、予算編成期に、できればひとつ大臣にもお願いして、いま少し資金強化もやって、ほんとうに中間安定できるようにしてやろうと一生懸命やったって、通してくれという裏で本人がそういうことをやっているのです。これは厳重にその社長を呼んで、——私は、ほんとうはあまりひどいことをするから証人喚問して、「なんだ君は」とやろうとしていたのだ。しかし、とにかく坂田さんはあまりそういうこまかいことは御存じないが、局長やそこにいる皆さんはだれがやっているかみな知っているはずなんだ。だからその社長をあなた方は呼びつけて、「法律を通せ通せと言いながら、こういうことを君の社でやるなら法律はもうお断わりだ、」そのくらい強くひとつやってみてください。どうしても聞かぬなら当委員会に証人喚問しましょう。どうです。それをひとつやる意思があるかないか、それだけ明らかにしてください。
  24. 坂田英一

    坂田国務大臣 この法案をどうしても成立して、そこでいままでのいろいろな安定をしているものをぜひとも直していきたいという熱情を実は持っておりますし、中津君も非常な熱情でありますので、でき得る限りその御趣旨に沿うような措置をとっていきたいと思います。
  25. 濱地文平

    濱地委員長 東海林稔君。
  26. 東海林稔

    ○東海林委員 私はたくさん質問したいことがあるのですけれども、大臣の時間があるそうですから、特に基本的なことだけ簡潔に数項目大臣にお伺いして、それからあとは局長その他にお伺いしていきます。  まず第一にお伺いしますが、蚕糸業についてのきわめて重要なこの二つの法案を、今度の臨時国会のような、わずか二十日間という短かい期間の国会に、しかも会期が半ばを過ぎるようなときになって提案する、そういう真意が私どもは理解できないのでありますが、どうしてそのようなことをやったか、まず大臣からお答え願いたい。
  27. 坂田英一

    坂田国務大臣 東海林さんの御質問でございますが、蚕糸事業団法は、この前の国会において早く提案せよという要請が各党からもあったと思うのです。その準備を農林省全体としては非常に急いでおりましたけれども、不幸にしていろいろの法制の整備上おくれておりましたために、その要望に沿うことができなかったのであります。そこで、その後早急にこれらの法案を整備しまして、そして、もうこの前の国会の最後にこれが提出できるところまでまいりましたわけでございますが、もう日がなくなった、こういう経過的な事情がありましたので、この国会には、非常に期日も短かいことでありますが、蚕糸業界としても、いわゆる製糸家のほうも、それから養蚕家のほうも、ひとしくこれは早くやってもらいたいという熱望が非常に濃厚でありまするし、それからまた、この法案は来年の四月早々にこれを着手させたいという考えを持っておるわけであります。ところがこれを着手させるということになりますと、御存じのとおり日本蚕繭事業団ですか、それから日本輸出生糸保管株式会社ですか、その二つを合併する必要がある。そういう手続上、これはやはり少なくとも五カ月、六カ月の期間を要するというようなことがありますので、できればこの国会に一つだけ——いろいろありますけれども、この法案一つだけ少なくとも提案して、そして皆さんの御協力を得てこの際通過を願いたい、こういう趣旨でございますから、どうかひとつよろしくお願いいたします。
  28. 東海林稔

    ○東海林委員 しかし、御承知のとおり、今国会ももうあしたで終わりなんです。きょう審議が始まっておるわけで、本国会で成立するというようなことは、実際問題としてとても困難なことだと思うわけです。  そこで、もう一つこの問題についてお伺いしたいのです。今度の事業団法は、俗に価格中間安定構想だということが言われておるわけですが、この考え方の発送は農林省自体からの発想なのか、それとも、業界の要請としてこういうことになったのか、そのことをお伺いしたい。と申しますのは、昨年の二月、本委員会において、私は時の蚕糸局長に対して、三十九年から新たに増産政策を打ち出したことについて、単にこれは予算的な措置だけでなく法律的な措置を要するのではないかと質問したのに対して、昨年の二月には、いや、いまのところすでに道具はたくさんそろっておるのだ、ただそれを活用していないのだから、従来のそういう法制を活用すればよいので、別にそういう新たなる法制措置は考えていないということを言われたのです。そういう点から考えて、農林省のこれはほんとうの発想なのか、その点疑問があるものですからお伺いしておきます。
  29. 坂田英一

    坂田国務大臣 その点は、むしろ専門家であり、また非常に御熱心なる、このほうの権威であるあなたのほうが私よりよく存じておられるのでありますが、それは農林省としても熱心であり——その経過は存じませんが、非常に熱心であり、それから業界も非常に熱心であり、したがって、両方ともこの問題を熱心に検討したものであると、私はそう理解しておるわけでございます。
  30. 東海林稔

    ○東海林委員 そこで、特に念を押しておきたいのは、いまの大臣の口ぶりから見ても、主として業界から非常に熱心な要望があったのでというような言い方のようですが、しかし、法案として政府が責任を持ってここに提案する以上、かりにこれが成立した暁においての実施については、あくまで政府が責任を持ってやるのだというはっきりした決意がないと、私どもが法案審議するのに困ると思うのですが、その点をひとつ大臣から明言しておいていただきたいと思います。
  31. 坂田英一

    坂田国務大臣 この点は、人後に落ちず熱心に推進していきたいという決意だけは非常に強いということを御了承願いたいと思います。
  32. 東海林稔

    ○東海林委員 では、次の問題に移りますが、蚕糸業の振興についてお伺いしたい。戦後の蚕糸業に対する農林省の態度というものは幾変転していることは御承知のとおりです。終戦直後は旧に復するということで増炭をやった。ところが三十三年、三十四年のあの暴落にこりて、もう人造繊維に押されて生糸はだめなんだと、われわれはそうじゃないということを言うたにかかわらず、長い文書まで発表して、斜陽産業だというような見解を表明したわけです。そして、御承知のように、補助金まで出して桑を引っこ抜かせた。ところが、そんなことで進んできておりまして、三十六年度の農業基本法の制定の際に、私ここで質問した際も、今度は養蚕業は現状維持でいくんだということをはっきり答弁されておる。そうして昨年になって、今度は増産ということを言い出した。したがって、当時、悪口を言う委員は、臨時行政調査会等で蚕糸局の廃止論なんかが出たものだから、蚕糸局を何とか防衛するために、あわてて増産政策を出したのではないかという陰口まで聞かれるような、こういう自信のない蚕糸業についての態度であったわけです。そこで私は、ここでこの法案審議する上においても非常に基本的なことですから確認したいのですが、今後は本気になって長期的見通しに立って増産政策を推し進めていくという、はっきりしたそういう考え方が農林省としてあるのかないのか、その点をお伺いしたいと思います。
  33. 坂田英一

    坂田国務大臣 いまお話しのように、いろいろ変遷はあったように私も思います。過去のいろいろの変遷は別といたしまして、今日の状態からいきますと、生糸需要というものは、おそらく世界全体で五%毎年ずっと上がっていくということが、いろいろの検討の結果研究されておる。これは最小限度それくらいの需要世界的にふえていくということであろうと思うのです。そういう点からいって、やり方によってはもっとそれは期待できるのじゃないか、こう一つは思います。  それから一面、養蚕関係からいきますと、やはり構造改善という点で日本の農村を見ますと、一律一体にいろんなことをやっておることは非常に間違いだと私は思うのです。やはり地方の実態に即して、養蚕の非常に適したところ——それは土壌の点においてだけでなしに、気候の点において、しこうしてまた人的要素において、それから産業の発展のいろいろの過程において、いろいろな点から養蚕を発展させるのにきわめて適した基盤を持っておるというところが少なくないと思うのです。またそういう基盤をつくり得るということさえもあると思います。特に最近の養蚕技術の発展のあとを見ますと、いわゆる省力栽培と申しますか、労力をある程度省略して非常によく発展せしめ得る、しかもまた一面には、われわれ自民党も社会党も協力して山村振興の法律をつくりましたが、その山村の振興という点からいっても養蚕業というものが非常に必要であり、かつまた適しておるという地帯も少なくない、かように思うわけでございます。さようなことでありますので、少なくとも、私は万古不動の姿勢でもって蚕糸業の発展を進めてまいりたいということを申し上げることができると思いますから、よろしくお願いいたします。
  34. 東海林稔

    ○東海林委員 そこで私は、いまの点に関連してこういうことを考えられないか。というのは、いま大臣が言われたように、地域の実情に合った経営形態を考えるべきだということは、私もかねてこの委員会で主張しておるところなんですが、特に群馬のようなああいう軽鬆土地帯では、養蚕でなければどうしてもやっていけないという地帯があるわけです。ところが従来も、ただいま申しますように農林省の腰がふらついておるものですから、農林省が増産すると言ってもなかなか簡単には信用しないのです。これは養蚕ばかりでなしに、最近の自民党政策に対する農民の不信から、政府の言うのと反対のことをやっていれば間違いないという声さえ出ておるくらいですから、ほんとうに農民がただいま政府が言われたような決意を信頼していけるには、はっきりした長期的見通し——養蚕の将来はとうなるのだという養蚕に対する見通しと、あわせてそれに対する農林省の政策を、いますぐ具体化できるもの、あるいは今後具体化したいというようなものを明らかにして、何か蚕糸業白書とかなんとかというものでもいいのですが、将来にとって責任を持てるような、また農民に希望を持たせるようなはっきりしたものを出していただいて、そして農民が安心して養蚕業に精進できるようなことを考えていただく必要があるのじゃないかと思うのですが、この点についていかがですか。   〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕
  35. 坂田英一

    坂田国務大臣 できるだけそういう方向で、またその材料等も、方法油としてはどういうのが一番いいかわかりませんが、私はそういう信念を持っておりますし一そういう考え方を持っておりますから、おそらく間違いない方向に進み得るだろうと確信いたしておるわけであります。
  36. 東海林稔

    ○東海林委員 大臣が参議院のほうでやむを得ない御用で退席でございますので、なお基本的なことについては政務次官からお答え願って、あるいは政務次官限りで即答が困難なときは、また他日大臣からお答え願ってけっこうだと思うのですが、そのようにひとつお願いしたいと思います。  次にお尋ねいたします。今度、日本蚕糸事業団法によって中間安定ということを考えられておるようでありますが、そこで、従来の繭糸価格安定法と今度の事業団法による価格安定についてのおのおのの意図するところ並びにその両者の関連をどういうふうに考えたらいいのか、その点をはっきりしてもらいたいと思うのです。繭糸価格安定法の第一条を見ますと、「生糸輸出の増進及び蚕糸業の経営の安定を図るために、繭及び生糸価格の異常な変動を防止することを目的とする。」こういうように書いてあるわけです。それから今度の事業団法の第一条の目的を見ますと、やはり同じ、「蚕糸業の経営の安定と生糸輸出の増進に資するため、生糸の買入れ及び売渡し、委託による乾繭の売渡し等の操作を行なうことにより、繭及び生糸価格の適正な水準における安定を図ることを目的とする。」この異常な騰落を防ぐためということと、価格の適正な水準における安定、こういうふうにことばとしては区別があるわけですが、しかし、このねらいとするところは、どういうところがこの二つの法案によってねらいとされておるのか、しかも、その両方の関係をどういうふうに一体理解するのがいいのか、そういう点をひとつはっきりまず御説明を願いたいと思います。
  37. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいま条文によって御質問になったのでございますが、まず異常な変動といい、適正な水準といい、どういう考え方に立っておるのかという御質問だろうと思います。どういう場合に異常な変動というかということにつきましては、これはいろいろ議論のあるところだろうとは思いますけれども、そもそもその事業団をつくりまして、適正な水準と申しますか、小幅の変動、安定帯を小幅な変動に詰めるということから考えてみますと、現在繭糸価格安定法に基づきます糸価安定特別会計で操作しておりますいわゆる最低最高の価格、これにつきましては従来から御議論のあるところでございますけれども、とにかく幅が広過ぎるということが問題になっておるわけでございます。そういうことで、この異常な変動というのは相当な幅の変動ということが言えるのではなかろうかというふうに考えられるわけでございます。  それに対しまして、今回この適正な水準に安定させるという考え方事業団をつくり、その操作によって幅を詰めるということになりますれば、やはり当然のことながら、この異常な変動という大きな幅の中に小幅の安定帯を設けて、その中に落ちつくようなことを考える必要があるということで、これは用語上の問題になりますけれども、とにかく異常は大き過ぎるからそれを詰めよう、それがいわば適正な水準ということばで表現されている、こういうことになろうかと思います。  それともう一つは、これは事実の問題でございますけれども、御存じのとおり、現在農協とそれから製糸もしくはその団体との間における繭価協定というものがございまして、そういう水準が、製糸の側からいいますと、いわゆる繭価の最低保証と申しますか、そういうことばがございますが、その価格が、現在繭糸価格安定法に言っております下値の価格よりも高位にあるわけでございます。そういうことからいたしまして、具体的には、現在そういう何者の話し合いできまっておる常識の線、そういうものを中心にして若干上下に動くかもしれない、そういう小幅の中におさまるように制度をつくり、運用しようというのが、表現として、適正な水準に安定させる。事実の問題としては、そういう問題があろうかと思います。
  38. 東海林稔

    ○東海林委員 いまのお答えにもありましたように、繭糸価格安定法最低価格と最高価格との幅が広過ぎて、これでは価格安定の効果が十分期し得ないので、その間に小幅の安定帯を設けて、業者の協力も得て安定させるのだ、こういうようなことでございます。しかし御承知のように、繭糸価格安定法最低価格と最高価格、現在は、たしか差が九万円ばかりあるのですが、以前は四万円程度のこともあったのです。したがって、ただそういう点から考えるならば、最低価格と最高価格の幅を狭めて、そうしてそれと同時に、これが運用に対する国の財政的措置を十分にやるならば、それではっきり私はその目的を達し得るんじゃないかという議論も一応成り立つと思うのです。にもかかわらず、繭糸価格安定法の最低最高の幅だけは、いままでよりも広げておいて、そしてその中に、さらにこういう二重といいますか、そういう形での安定帯を設けるという趣旨は、もう少し説明してもらわないと、いまの御説明だけでは理解できないわけです。というのは、特に私どもはこういう疑念を持つわけです。  価格安定について、いま私が申しますように、最低と最高の幅を狭めて、そうして国が責任を持つとなると、非常に財政的な負担が国としてよけいになる。そこで、一部を関係農民なり製糸業者に肩がわりするのだ、価格安定についての責任を、国が何か他に転嫁するのじゃないかという疑念を持たれるのです。そういうような点が、もしそうでないとするならば、もう少し明確な説明がなければならない、こう思うわけです。
  39. 丸山文雄

    丸山政府委員 御指摘のとおり、この二重の機構をつくるよりも、現在の制度の下取りを詰めれば、それでもって足りるではないかという見解があることは承知いたしております。それにもかかわりませず、こういう制度にしたということにつきましては、一つの問題としますと、先ほど申しましたように、事業団一つの重要な背景といたしまして、たとえば繭の価格の現在行なわれつつある売り手買い手の協定制度、協定による支持制度、そういうものも尊重しながら、自主的に運営をしていくのが最もいいという一つの見解があろうかと思います。それに加えまして、今度は逆に、政府自体がそれに乗り出す場合には、むしろ、現在法律の第一条にどう書いてあるかは別にいたしまして、そういう売り手買手の間における一つの協定なり、取引の中へ政府が直接関与していくという形にもなろうかと思います。おそらくは、あるいはその財政負担がたまらないという問題も伏在はしておるかもわかりませんけれども、理論といたしましては、やはり政府の介入は極力避けつつ、政府の介入は現行制度によってうしろだてにはなる。しかしながら、まつ正面から介入しない。しかしながら、今回考えておりますそういう関係業界の自主的な制度によるものに対するバックアップの形は、もちろんとるわけでございます。そういう形で、言いかえますれば、関係業界の自主的な姿勢を前面に出しまして、政府うしろで応援するという形でつくるのが実際の繭取引なり、生糸の販売等に最も適しているのではないかという考え方に立っておるわけでございます。
  40. 東海林稔

    ○東海林委員 いま局長は、養蚕農家なり製糸家も自主的に繭糸価の安定協力する立場でこういうことを考えたと言うのですが、私は、いまの自主的な立場でということばの使い方にも若干問題があると思うのです。  そこで、これは考え方の問題であるかと思いますが、政府があくまでも介入していって責任を持つというならば、もちろん関係者もこれに協力するということは当然だと思います。しかし、その場合には、ほんとうの意味での自主性あるいは自主調整という形でなら、いまの御説明は理解できるのです。ところが、これはいわば事業団という半官半民のようなことで、何かそこが中途はんぱなんです。業者の自主的な立場からいえば、またこれは違った形だ。そういう意味において、そこがまた一つの疑問になるわけです。ほんとうに、片一方で繭糸価格、安定法によって国がはっきり責任を持つのだ、しかし業者にも協力させるのだという。ほんとうの意味業者の自主的な調整というなら、またそこが観念的にすっきりするのだけれども、片一方で繭糸価格安定法があり、しかもまた、ここに半官半民的なこういうものをつくるところに、いまの局長の言う、自主的ということばを理解するのに非常に困難な点があるのです。そういう点、どういうふうに考えたらいいのか御説明いただきたいと思います。
  41. 丸山文雄

    丸山政府委員 その点につきましては、御質問のとおり、なかなかすっきりした考え方は出しにくいかもわかりませんけれども、たとえば、こういう杉でいわゆる価格支持を行なうという場合において、これが純然たる民間の機構の場合には、いわゆる独禁法との関係も出てくるかと思います。自分らが金を出し合って市場操作をする、価格操作をするということでございますから、おそらく、当然そういう問題も含んでおるということ。それから、これも経緯の問題になりますので、理論的にはあるいはすっきりしないかもわかりませんけれども、経緯といたしまして、御存じのとおり、現在蚕繭事業団というものがあって、これも理想的な機能を持っていながら、あまり活躍しなかった。それがむしろ幸いなんでございますけれども、そこに政府の十億というものが入っている。そういうこともあるから、こういう新しい投資の場合には、その資本金を貸し付けると同時に、業界の出資も仰ぐという意味におきまして、言いかえますと、一種の半官半民的なものであるからこそ、数量の売買操作により価格操作というものがむしろ可能である、そういうふうにも理解できるのじゃないかという気がいたすわけでございます。
  42. 東海林稔

    ○東海林委員 いまの点は考え方でいろいろ議論があるところですから、これはこの程度で打ち切りたいと思いますが、ただ、ここではっきり私が確認しておきたいことは、もう繭糸価格の安定ということについては政府が責任を持つのだという点だけは、はっきりしておいていただきたいと思うのですが、その点は明言できますか。これは政務次目からお願いしたいと思います。
  43. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 最終的な責任は政府が負うべきだと思っております。
  44. 東海林稔

    ○東海林委員 それでは、次に、出資金と運転資金関係について伺いたいと思います。  法律案によりますと、政府は従来の蚕繭事業団に出資しておった十億円と、それから生糸貿易会社の出資が三千万円で、十億三千万円、その他は養蚕農民及び製糸家が出す、こういうことになっておるわけですけれども、関係業者が出す資金という点が明示されていないわけです。これはどういうことになっておりますか。出資額並びに出資を一年でやるのか、それとも何か分割してやるのか、そういう点をまずはっきりしてもらいたいと思います。
  45. 丸山文雄

    丸山政府委員 民間の出資が完了いたしました暁における総出資額は、おおむね二十億三千万前後、大体そういう金額になろうかと思います。それで、今回設立の初めにおきましては、蚕繭事業団政府が出しております十億がそのまま蚕糸事業団のほうに移ります。それから日本輸出生糸保管株式会社の資本金八千万円のうち政府の持ち分となるもの、政府が出資いたしておりますので、解散の際に政府に戻るものが三千万円、この三千万円がそのまま蚕繭事業団の出資になってまいります。それから同じ保管会社に製糸業者が出資しております八千万引く三千万、残りの五千万、これが製糸関係業者の出資分として新事業団のほうにまいります。したがいまして、今後出資のために負担する金額といたしましては、養蚕団体が五億、それから製糸関係が四億五千万、従来のものを加えますから五億になるわけでございますが、そういう形で二十億三千万円の資本金になるわけでございます。そこで、この民間団体の金につきましては、おおむね三カ年間に全部出資を済ませるということでございますので、初年度におきましては、かたく見ますれば、たとえば養蚕は大体二億見当、製糸も二億見当というようなことで発足したらいいのではないかという考え方でございます。そういうことでございますけれども、一度にそれ以上に当初から出資することも一向に差しつかえがございませんので、でき上がった姿としては、いま申し上げましたように二十億三千万円くらいというふうに考えております。
  46. 東海林稔

    ○東海林委員 先ほど長谷川委員の御質問に対して、事業団買い入れることを予定しておる数量は、一事業年度で全出回り量の約一〇%、三万俵というようなお答えがあったわけであります。そういたしますと、この出資金の運転だけではとても足りないので、相当多額の運転資金を調達しなければならないということになるわけであります。その場合の運転資金はどのような方法によって確保することを考えておられるのか、お尋ねいたします。
  47. 丸山文雄

    丸山政府委員 運転資金につきましては、現在の保管会社もそうでございますが、現在予定しております調達先といたしましては、保管会社の例にならいまして、農林中金の余裕金と申しますか、員外利用と申しますか、そういう形で調達する方向で、でき上がりましたら指導したい、こう考えております。
  48. 東海林稔

    ○東海林委員 大体年間にどのくらいの運転資金が要るということを考えておりますか。
  49. 丸山文雄

    丸山政府委員 大体この機能が一事業年度においてフルに動き出した場合、——これはフルに動くことの是非の問題はありますけれども、かりにフルに動いた場合には、いわゆる買い入れ数量が三万俵でございます。それからもう一つは、乾繭保管の機能も引き継いでまいりますので、かりに現在蚕繭事業団で乾繭の受託販売をやろうと考えておる数字が大体三百万。これは総生産量の一割という見当でございますが、この数字は、このような中間安定帯ができますれば、乾繭自体の保管の問題は若干減るだろうというような推計ができると思います。そういう推計のもとにおきまして、かりに百万貫くらい——これはかりにでございますが、かりに百万貫くらい。それで糸自身が三万俵といたしますと、大体生糸で八十億くらい、それから乾繭で五十億くらいの資金が必要になるんではなかろうかというような推定をいたしております。そうなりますと、当初は若干少ないわけでございますけれども、でき上がりました場合には、大体資本金二十億の七倍ないし八倍、設立当初は若干資本金が少のうございますから、八倍ないし九倍というようなことを考える必要があるんじゃないかという感じを持っております。
  50. 東海林稔

    ○東海林委員 この事業量に比べて出資金がこれでいいかどうか、いろいろ問題はあると思うのですが、私感じますことは、今度新たに蚕糸事業団法をつくった場合に、政府は、従来蚕繭事業団なり生糸貿易会社に持っておる権利、その分を肩がわりするだけで新たな支出がないんですね。しかし、一方業者は、一年ではすぐはできないというお話でありますが、製糸家養蚕農家が五億ずつともかく新たに出資するわけですね。政府はゼロで業者にだけ出させる。ばかにこれは政府のほうがずるいような気がするわけです。私は、この出資金が何ぼ要るかという計算はなかなかむずかしいが、ほんとうに蚕糸事業団の活躍を十分にやらせるためには、やはり十分な出資金があるということが非常な強味になるんじゃないか。そこで考え出すことは、御承知のように、昭和三十三年のあの繭の暴落の際に、この最低、最高の価格の大幅な値下げをやって養蚕農民に非常に損害を与えたというようなことからして、三十四年に蚕繭事業団を新たにつくる際に、政府の十億の出資では足りないじゃないか、二十億は出すべきじゃないかという議論が本委員会でもありまして、当時の福田農林大臣は、今後必要があればそういうことも考えるという答弁をされたことも記録に出ておるわけですが、この際こそ、新たに業者に十億出させるなら政府も十億を出して、そうして資金量を十分にするということをぜひやるべきじゃないか。そのくらいの誠意がなければ、先ほどもこの蚕糸事業団の発想はどうも業者から頼まれてやったというような感じがしました。しかし、それにもかかわらず、政府は今後とも責任を持ってやっていくんだということではあったんですけれども、そういう責任を持ってやるということの裏づけとしては、全然自分で新たな出資もやらずに業者にだけ出させるんだということでは、政府の決意のほどなり責任を感じておる程度というものが疑われるような点があるわけです。この際、われわれは、ぜひ前から借金になっておる政府も十億を出すべきだという強い考えを持つわけです。これはひとつ大臣から聞きたいところですが、政務次官から答弁をお聞きしたいと思います。
  51. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 お説はごもっともだと思いますし、現に蚕繭事業団の出資十億、輸出生糸保管株式会社が三千万、計十億三千万が政府出資ということに相なっております。新しい出資ということになりますと、ただいま東海林先生のおっしゃるような御意見が出ると思うんですが、いまの場合、二十億で現在の事業遂行には支障を来たさないという程度の感じを持っておるわけでありまして、将来の推移に応じまして十分に検討し、必要に応じて増資をするということは当然だと思っております。
  52. 東海林稔

    ○東海林委員 次に進みます。いろいろと問題があるわけですが、一応この法案を理解する上に、この条文を見ただけでは大事なところがわからないような点がありますので、そういう点を主としてお伺いしたいと思うんです。  次は、事業団の標準の売り渡し価格及び買い入れ価格、それから基準糸価、基準繭価、このきめ方が実際問題として非常に重要なことになるわけですが、これをどういうふうにしてきめていくのか。大体政令に譲るような形になっているようでありますが、そのきめ方について御説明をいただくと同時に、この相互の関連、繭糸価格安定法の最低、最高価格との関連もあわせて御説明をいただきたいと思います。
  53. 丸山文雄

    丸山政府委員 現在繭糸価格安定法による最低、最高の価格があることは御指摘のとおりでございますが、今度この機構をつくります場合に、この法律でも書いてございますけれども、「繭糸価格安定法第二条の最高価格をこえずかつ同条の最低価格を下らない範囲内において、生糸生産条件及び需給事情その他の経済事情からみて適正と認められる水準に生糸価格を安定させることを旨として農林大臣が定める生糸価格」いわゆる基準糸価、そういうものを農林大臣がきめるわけでございます。ただいま条文をちょっと読んだわけでございますが、大体申しますと、現在最低価格がキログラム当たり四千円、最高価格が五千五百円ということになっておりまして、その範囲内で需給事情等を勘案して基準糸価を農林大臣が定めるということに相なるわけでございますが、このラインにつきましては、これは今後検討すべき事項でございますけれども、かりに四十年度にこれを当てはめてみますと、先ほど申しましたように、製糸家繭価の最低基準が四千五百円であるというようなことも勘案いたしまして、大体このあたりにきまるのが適当ではないかというふうに考えられるわけでございます。この四千五百円が、それじゃどういう位置に立つかと申しますと、たとえば最低価格の四千円からいいますと、一・一二五倍という数になるわけでございます。そこでこの線を農林大臣が基準糸価として一本きめまして、あとは事業団買い入れ価格、それから糸価が上がったときに売るいわゆる標準売り渡し価格、これは制度といたしましては農林大臣が引いた基準糸価を基準にいたしまして、そのときの生糸の需給事情等を勘案して事業団が策定し、それで農林大臣の認可を受けてきめるということに手続上相なりますが、この線につきましても、先ほどの基準糸価の場合と同様、かりにことしだったらどう引くかということになりますれば、おおむね事業団買い入れ価格は基準糸価の五%前後、そこでその価格事業団が貰い入れる。ということは、この基準糸価よりできるだけ下げないということを大いに心がけるのでありますが、そのあたりの場合にその価格買い入れる。それから売ります場合には、これもやはり五%ないしは一〇%、いろいろ問題がございますけれども、大体そういう範囲内で、たとえば五千円程度という価格をきめてそれでもって売る。ということは、その価格よりは上値は上げないということに相なるわけでございます。この場合に、この制度をつくりました以上は、おおむねできるだけこの範囲の中で糸価が落ちつく。したがいまして繭価も落ちつくということを期待するのでございますけれども、万が一の場合には、冒頭に申しました四千円あるいは五千五百円の上下を出た場合には、糸価安定法による買い入れ、売り渡しの機能が働くということになろうかと思います。それからもう一つ、この基準糸価に見合う繭価といたしますれば、大体繭キログラム当たり五百七十円くらいになろうかと思います。やはりこれらの価格をきめますときに、事業団が同時に農林大臣の認可を受けてきめることに相なるわけでございます。そこで繭の場合には、この価格からの保証が得られないときには乾繭の受託販売ということになりましょうし、また、たとえば農林大臣が、その価格以上で買うようにということを、場合によれど何々製糸に対して勧告をするということにも相なるわけでありまして、それでいわゆる適正水準と思われる繭価の水準を守っていくというような働きをしてもらうことになるわけであります。  それと政府特別会計との関係でございますが、若干長くなりますけれども、たてまえといたしては、蚕糸事業団が基準糸価を若干下回って買った場合に、いわゆる買い入れ価格で買った場合には、六カ月間は売った人に対していつでも売り戻す、つまり買った場合には、市場からその数量だけではカットされますけれども、事業団のポケットに入りますと糸価が若干回復してくるだろう、回復してきますれば売った製糸家が自分で買い戻して、それを市場に放出すればいいわけでございますので、六カ月間は買い入れ価格に金利、倉敷料を加えまして買った製糸家に売り戻す。六カ月を過ぎました場合には、あとは価格変動とのにらみ合いで、ことばは穏当ではございませんが、事業団がみずから商売をする。もちろんかってではございませんで、糸価の上昇を押えるために事業団が売るという余地を残してあるわけでございます。しかしながら、事業団が売ってもいいし、また、これは政府が引き受けてもよろしいという、両方をあわせて講じたい、こういうふうに考えておるわけでございます。大体そのあたりが価格と仕組みの関係になろうかと思います。
  54. 東海林稔

    ○東海林委員 ただいまの御説明を聞きますと、要するに、政府がきめる基準糸価というものが非常に大事なように考えられるわけです。これが適正にきめられないと、せっかくこういう機構をつくりましても問題が解決しないのではないかと思います。  そこでお伺いしたいのは、基準糸価の算定方法について一定の算式、方式を考えておられるかどうか、その点です。あるいはそうではなしに、いろいろな情勢から見て審議会等に諮問してきめるというのか。その場合でも何らかの算定の方式があってしかるべきだと思うのですが、その点があるかないかということと、それと基準糸価生産費との関係がどういう関係になるか、その点をひとつはっきりしていただきたい。
  55. 丸山文雄

    丸山政府委員 基準糸価の算定方式につきましては、現在のところ方式をまだ考えておりません。結論的には、これは安定審議会にはかってきめるということになろうかと思いますが、法律が通過成立しますれば、時期的に間に合うように作業をいたしたいと思います。それは別にいたしましても、いわゆる現在の最低保証が四千五百円であるという点から、かりにこのほ四千五百円をいうものをそのままとってみますと、繭生産費生糸生産費のパーセンテージは同じでございますけれども九四・三か四ぐらいになろうかと思います。(東海林委員「最低がね」と呼ぶ)四千五百円の基準糸価でございます。基準糸価が九五%弱ということでございます。
  56. 東海林稔

    ○東海林委員 私はこの法案審議する上において、この基準糸価というものはきわめて重要だと思うのですよ。したがって、この審議をわれわれに求める場合に、少なくとも算式についての案ぐらいはできていないということは私は非常に変に感ずるのですよ。したがって、これはひとつ至急に検討をしていただいて——もちろん最終決定は審議会等の意見もいろいろ聞いてからにしなければならぬけれども、一応農林省としてはこう考えているという考え方がないということは、私は、この法案の一番中心点になるだけに、非常に納得できないのですが、この点はぜひひとつ早急に御検討をお願いしたい、こう思います。  それから次にお伺いします。先ほども出ましたように、事業団買い入れは、さしあたって三万俵というようなお話でございますけれども、この事業団で買っても、さらに値段が上がらないという場合に、政府買い入れができることになっておるわけですが、政府は全量を必要な場合は買い入れることになっておるのですか、それとも、その中の一部を買い入れることになっておるのですか、その点をひとつお尋ねいたします。
  57. 丸山文雄

    丸山政府委員 現在考えておりますのは、三万俵のうち二万俵になっております。これはワクとしてでございますけれども……。
  58. 東海林稔

    ○東海林委員 そういたしますと、この点は従来とだいぶ変わってくるように思うわけですね。御承知のように、従来は保管会社が買い入れまして、それを六カ月以上持っておって、しかも値段が平常にならぬ場合は、それが政府の特別会計に移っていく、こういうことになっておったわけです。今後は三万俵のうち、一応いまの段階では二万俵しか考えていないということになりますと、あとの一万俵については、これはまた事業団の危険負担というようなことになると思うのです。そういう点、どうも繰り返すようですけれども、財政的な負担を何か肩がわりさせるというような疑いを持たれるのですが、なぜ三万俵全量買い入れということにせずに二万俵というふうに、一部を事業団に危険負担させるようなことを考えておられるのか、その理由をお尋ねいたします。
  59. 丸山文雄

    丸山政府委員 一つは、従来の輸出生糸保管株式会社というのが、安定法のたてまえからいたしましても、これはいわば完全な政府の代行機関のようなものだったわけでございます。したがいまして、たとえばある数量買い入れる場合にも、買う前に政府と契約して、そして完全な政府のバックのもとに保管会社の機能が発動しておったということでございます。今回は、この点いろいろ御疑念をお持ちになっておられますけれども、あくまでも関係者の自主性を尊重するということが一つあるわけでございます。最終的には、もちろん政府がバックアップいたしますけれども、そういう意味からいたしましても、これは現在の保管会社に比べますと、別に政府の御用聞きのようなものではない、代行機関ではないわけでございます。  それから政府事業団から買いますのは、あらゆる種類全部買うわけではございませんで、輸出適格生糸に限定して買うということでございます。  それからもう一つは、先ほど価格操作関係で申し上げましたけれども、福も非常に小さいものになるわけでございます。節によりますれば、かりに四千五百円だとかあるいは五千円というものの幅が非常に狭まって、事業自体非常にたいへんだという見方もできるわけでございます。そういうことからいたしますと、売り戻しの時期も相当あろうかと思います。それから、かりに売り戻しをしたあとで残ったものでも、ストレートに筋書きどおり政府が引き受けなくても、事業団自体で最高価格を押える方向に動かし得る数量もあるのじゃないかということが考えられると思います。そういうことをいろいろ考えまして、それは二万俵がどうか、一万五千俵がどうかという問題はありますけれども、とにかく全部肩がわりするということでなくてもいいのじゃないかという考え方の基調に立っておるわけであります。
  60. 東海林稔

    ○東海林委員 いまの点は、またほかの委員からもいろいろと御意見があるだろうと思いますから、一応この問題を提起した程度にしておきます。  そこでもう一つ伺いたいのは、繭糸価格安定法を今度一部改正して「特に必要があるときは、」特別売り渡しができるという規定を入れたのですが、これを特に入れた趣旨はどういうことなのか。「特に必要があるとき」というのはどういうときなのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。安定法の九条の五です。
  61. 丸山文雄

    丸山政府委員 これは経緯は御存じだと思いますけれども、従来、政府の手に入ってしまった本のは、高い場合にも、安定法第二条にいう最高価格でなければ売れないということがありまして、これはいかにも相当高くなった場合でも政府手持ち操作ができないという問題があったわけでございます。そこで、この制度にやや弾力性を持たせまして、輸出を確保するためには輸出適格生糸を最高価格以下でも光れるという道を開いたわけでございます。  「特に必要があるときは、」ということはどういう場合かという御質問でございますが、これにつきましては、一般的な中間安定価格のささえは事業団がやるわけでございます。そこで、一般的な価格のささえが、ある意味においては同時に輸出適格生糸価格のささえになるわけでございますから、そういう事業団自体の活動でもなおかつできなかったような場合、そういう場合に、輸出を確保するために必要なときというような形でこれが運用されていくというふうに考えております。
  62. 東海林稔

    ○東海林委員 それから、事業団が今度助成事業をやる。従来もこういうような関係があったと思いますが、事業団としてやる助成事業というのは、具体的には大体どういうことを考えておられるか、その点をひとつ。
  63. 丸山文雄

    丸山政府委員 従来の蚕繭事業団がやっておりましたのは、最も卑近な話といたしましては、たとえば蚕業普及員に対するオートバイの貸し付けであるとか、あるいは実体的事業といたしまして、政府の補助金と関連しないような角度から、乾繭倉庫に対する補助金あるいは桑園改良のための助成金というようなことをやっております。この事業は、今後も蚕糸事業団の事業として機能上は引き継がれるわけでございます。そこで、今度新しく考えられるものといたしましては、いわゆる流通の問題——輸出の問題も含めてということに相なります。これは具体的にどういうものが出てくるかということにつきましては、まだ実はそこまで検討はいたしておりませんけれども、全くかりの一例をあげますと、輸出振興に非常に寄与した会社に対する利子補給であるとか、そういうものがおそらくいろいろ出てくるのではないか、そういう角度のものが今後助成対象事業といたしまして、具体的には、そのケース、ケースを慎重に検討しなければならぬと思いますけれども、そういう感じのものが加わってくるというふうに御理解願いたいと思います。
  64. 東海林稔

    ○東海林委員 次に、この事業団運営については運営審議会を設けるということになっておるわけですが、これはどういうような人的構成で考えておられるか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  65. 丸山文雄

    丸山政府委員 これは総勢十五人ということでございますが、やはり事業団の出資の関係、それから事業の実態から考えまして養蚕関係製糸関係、適任がおれば、この二つが一番数が多いのじゃないかと思います。それと学識経験者、これも数の多い部類に入っていただく。それから予想します範囲といたしまして、ほかに問屋の関係生糸輸出問屋、地方問屋、いろいろございますが、そういうもの、あるいは輸出商でありますとか、それから織物業者でありますとか、業界といたしましてはそのあたりが選考範囲に入ってくるのではないか、そういうふうに考えております。
  66. 東海林稔

    ○東海林委員 次に、これは政務次官にお聞きしたいのですが、事業団運営については、普通の公団だとか、公社というようなものと違って、いわゆる商売に密着した運営をやらなければならないのですから、役員の選任等についても特にそういう点を考慮する必要があると思うのです。したがって、単に農林省とか大蔵省の役人の古い人を持ってくるとか、あるいは従来の蚕繭事業団あるいは日本輸出生糸保管株式会社の役員をそのまま持ってくるというようなことだけでは、私はこれは十分な運営期待できないのではないかと思うのです。そこで、この役員構成について、基本的にどういう点を重視しながらこれを選任しようというふうに考えておられるのか、その点をこの際はっきりしていただきたいと思います。もし即答があれだったら、あるいは大臣にお尋ねしてもいいのですが、そういう点は、法案を出される以上は当然そういうことについてのお考えがあってしかるべきだと思いますので、できますれば政務次官からお願いしたいと思うわけであります。
  67. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 お説はごもっともだと思うのでありますが、具体的な問題についてはまだ何も煮詰まっておりませんものですから、御趣旨に沿って適材適所で考えていかなければならぬ、そういうふうに思っております。
  68. 東海林稔

    ○東海林委員 それから、今度の新しい事業団の発足に伴って、従来の蚕繭事業団日本輸出生糸保管株式会社の職員が一応失職するということになるのでありますが、これらの両団体の従来の職員の処理はどういうことに考えておられますか、その点をお伺いしたいと思います。
  69. 丸山文雄

    丸山政府委員 従来の職員は、今度の新機構につきましても業務がほぼ似たところでございますので、やはりベテランという意味で、できるだけ引き継ぎたい、こう思っております。
  70. 東海林稔

    ○東海林委員 そこでまた最後に、少し基本的な問題についてお伺いしたいのですが、繭糸価格の安定を期するという今度のこの構想は、要するに、需給の実態に合って適正に価格が構成される、その振幅をなるべく狭くするというようなところがねらいであるわけです。しかし、先ほど長谷川委員も触れましたように、やはり価格問題を考える場合には、価格が適正に形成されるという点について、まず基本的に考えなければならない点があると思うのです。それには、この前の昨年の二月、三月の本委員会における審議でもいろいろ議論が出たのですが、要するに、製糸家が糸を売るその売り方に一番の問題があるというようなことを当時の蚕糸局長は盛んに言われておりまして、そういう点について今後力を入れて改善をしていくというようなことを言われておったのですが、そういうような点について何か具体的に考えがまとまったかどうか。もし、そういう点がまとまったらばお伺いしたいと思うのです。特に、私が申すまでもなく、日本の現在の製糸業の形態を見ますると、非常に進んだ形の近代的な企業もあるが、また依然として古いものもある。その数も非常に多い。したがって、操業日数というようなものも比較的少ないがために経営自体としては非常に苦しい。そこで適正な加工賃を設けて——これは製糸業者ですから、ほんとうなら適正なる加工賃でもって経済を考えていく、そろばんをとっていくのがたてまえであるべきだが、なかなかそれではやっていけないものですから、自然と相場によって、株の変動によってそこらを補っていくというような形が製糸家の中にも非常に出てくる。また、それらのことが反映して、一面、先ほどの場違いの投機家も参加するというような点がありますが、また取引所運営というようなものも、本来のあるべき姿を逸脱したような形が出てきておる。そこに価格の問題で従来から非常な混乱があったと思うわけです。三十八年六月のああいう苦い経験を経たのですが、あの際は農林省は何ら取引所について改善することができなかった。しかしああいう苦い経験を高い授業料を払って得たのだから、今後はそういうことを再び繰り返さないようにしたいということを、昨年当局は答えておられるのです。しかし、ことしの四月、五月の実態を見ますると、確かに三十八年ほどではないが、ややそれに近いような形が依然として出ているわけです。証拠金を引き上げるとか、いろいろ自主規制をやらせておるが、しかしなかなかそうはいかない。また、先ほど中澤委員から指摘されたような、ああいう中共生糸を持ってきて、そうして、それを投機的な商売によってもうけようとしているような製糸家がおるわけなんですね。そういうような実情であるわけですから、単にこういう安定帯を設けて振幅を狭くするというようなことだけではなしに、価格問題を考えるならば、ほんとうにその価格が形成される、そういう機構のところまでいくということが私は基本問題であろうと思うのです。そういう点が今回この法案だけでは明らかでないわけでありますが、農林省としては前からの問題でありますから、どの程度までその検討が進み、対策を講じようとしておるか、そういう点をあらためてもう一度お伺いしたいと思うわけです。
  71. 丸山文雄

    丸山政府委員 価格形成の問題から特に関連いたしまして、売り手、買い手、その場合は、と機屋とか、そういう関係、それからその中に介在する流通機関、そのあたりにもう少しはっきりした線が出てこないと、いたずらに取引所あたりでかってな値段が出てくる、それではいかに中間安定帯をつくってもあまり効用がないじゃないかという御質問だろうと思います。その前段の、取引のあり方につきましては、われわれも同様に考えておるわけでございます。御承知のとおり、たとえば化繊、レーヨンであるとか、ああいうものにつきましては、生産会社が大資本を持っておって、それで売り先もある意味では特定されておる。そういう形の、端的にいいますと、親会社、子会社のような形で価格変動のようなものも相当回避しておるような現状があろうかと思います。この生糸、それから、これに関係する需要者である機屋等につきましては、何ぶんにも、中小企業がほとんど全部といってもいいくらいでございますので、なかなか化繊のような系列化と申しますか、そういう秩序ある流通機構、取得形態というものがまだまだ浸透いたしておりません。それにもかかわらず、やはり価格変動のいろいろ苦い経験から、現在におきましては系列取引、ことばは適当かどうかわかりませんけれども、そういう実態が漸次普及しつつあるようでございます。この点につきましては、われわれといたしましても、こういう傾向を今後、助長していきたいということを考えております。それから、いわゆる売り手である製糸業は、特に中小企業近代化法の指定業種にもなりましたので、こういう機会を利用いたしまして、今後、できるだけそれぞれの設備を近代化すると同時に、いまの御質問のような共同化の方向、共同販売の方向へ持っていく、そういうことによりまして、需要者である機屋のほうとの関係も適正につながるように、そういうことをできるだけ今後調整してまいりたい、こういうふうに考えております。
  72. 東海林稔

    ○東海林委員 いまの点、お答えがありましたように、非常にむずかしい問題ではありますけれども、やはり私は、蚕糸業の振興をはかる上において、いまの生産面においての計画生産といいますか、そういうもの、技術の改善、それから製糸面における製糸企業の合理化といいますか、近代化といいますか、それともう一つ、これはあとで触れようと思いますが、輸出体制の整備、こういうようなことがやはり基本でなければいけないと思うのです。非常に困難であるから、短時日にこれを実現するということはなかなか容易でないといたしましても、せっかく中小企業近代化の指定業種になったというんだから、どういう方向にこれを近代化し、再編成をしていくかという、その方向だけは、農林省としてやはり示すべきではないかと思うのですが、そういう点についてどうですか。政務次官、お考えをひとつお伺いしておきたい。ただ困難だというだけでは困ると思うのです。
  73. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 お説はごもっともだと思いますが、具体的にそういった問題は十分検討して、早急に態度を明示すべきだと思っております。
  74. 東海林稔

    ○東海林委員 最後に、輸出関係のことをお伺いしたいのですが、先ほど長谷川委員が一番初めに質問されたように、昨年は御承知のように四千二百円から四千四百円くらいのわりかた安い値段で、やや一年間は安定したような形であったにかかわらず、しかも、輸出は例年の半分にも満たない、こういう非常に悲しむべき状態であったわけです。昨年私が、農林省がこの養蚕の増産に踏み切った理由といいますか、その根拠を伺った際に、一つは、三十六年に農業基本法をつくって、その後十カ年間の主要作物についての需給の見通しを立てたところが、生糸については大体昭和四十六年度を終年とする十カ年の見通しとしては、年率平均三%程度需要の増加が見込まれるという数字が出た。また、一昨年秋の世界絹業協会の理事会等の意見でも、価格の安定さえ期し得るならば、世界的には五%程度の年率需要の伸びが見込まれる、こういうことが増産に踏み切った大きな理由であるという答弁があったわけです。しかし私は、そのときは、かりに世界需要が伸びても、イコール日本輸出が振興するのでなければ、日本生糸需要は伸びないじゃないか、過去の統計を見ましてもだんだん減ってきている、こういう状態輸出が減っておるのだから、世界的に需要が伸びておったって、それは中共だとかほかの国の生糸はなるほど伸びるかもしらぬけれども、日本生糸は伸びるということにはならないじゃないか、こういうことを私はそのとき指摘したわけですが、残念ながら、昨年の実績は決して農林省が期待するような方向にいっていなかった。特に、繰り返すようですが、価格がやや低いというところで安定しておったのに伸びなかった。先ほど大臣は、その理由として三つのことを述べられました。それは、三十八年六月の高騰のあおりがまだ残っておったというようなこと、中共生糸進出、それから、内需が比較的旺盛なので、業者輸出についての意欲的な努力をしなかった、こういうことを言われたのですが、ただそういうふうに考えていいのかどうか、これは疑問があるわけです。そこで、私はかねがね輸出体制の一本化というようなことをぜひやるべきじゃないか、特に競争相手の中共あるいは朝鮮にしましても、国の統制のもとに、一本的にこれが輸出できるような形になっている、そういうものと競争していく場合に、日本の各商社がお互いばらばらの思惑によって輸出をやっているようなことでは、とうてい太刀打ちができないのじゃないか、こういうことをしばしば言ったわけです。昨年の予算委員会でも私はそういう質問をした場合に、当時の農林大臣も通産大臣も、全く同感である、そういうことについては努力をしますという答弁があったのですが、今日それがどこまで進んでおるか、私は非常に疑問に思うわけです。特に、今回のこの事業団法案について、蚕糸業振興審議会から答申があったわけですが、その審議会の答弁では、やはり生糸輸出体制の確立ということについて、あわせて意見が出されているわけです。それにもかかわらず、今回のこの法案との関連においては、この輸出体制の確立ということについて、何ら具体的な問題が出てないのですが、その点は私は非常に遺憾に感ずるわけです。今回の審議会の答申にかかわらず、これについての具体的な対策が具体化しなかったという点、並びに、今後この点については一体農林省としてはどういうふうに対処しようとしておるのか、きわめて重要なことでございますので、これはぜひ政務次官から御答弁を願いたいと思います。
  75. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 どうも東海林先生のほうが専門家で、私はこの問題は全くしろうとで、過去の経緯もよくわかっておりませんが、私どもの大体のいまの認識では、輸出の非常な減退というものは、日本糸価が非常に変動が激しいということに起因をしておる、だから、糸価を安定することが輸出の減退を回復していく唯一の道だ、こういうふうに実は認識をいたしているわけです。したがって、輸出機関の統一の問題につきましては、しかも一元的な問題については、市場の開発努力がおろそかになるとか、あるいは統制に伴う一つの弊害ができるといったような意見も予想されるようでありまして、そういう観点から慎重に検討する、こういうのがいまの段階のようでございます。御了承いただきたいと思います。
  76. 東海林稔

    ○東海林委員 まあ、蚕糸業の問題は今日に始まった問題でなしに、ずいぶん長い問題で、私が質問しているような問題もしばしば国会でも論議された点なんです。そういう点について、従来蚕糸局の勉強が足りなかったんじゃないかというような気がするわけです。そこで蚕糸局不要論まで出てきたので、あわてて増産政策が出たというふうにまでいわれるくらいなんですが、そういうことのないように、蚕糸局の存廃がどうこうということでなしに、やはり長い歴史のある、日本輸出産業としても重要な地位にあるこの蚕糸業でございますから、そういう点は単におざなりのことでなしに、真剣に今後取り組んでいただきたい。そういうことを最後に要望いたしまして、一応私の質問を終わりたいと思います。
  77. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————    午後二時二十分開議
  78. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。田邉國男君。
  79. 田邉國男

    ○田邉委員 日本蚕糸事業団法につきまして、午前中に長谷川委員また東海林委員からいろいろの角度から質問がなされました。大体政府当局の考え方というものは、およそわかったような感じがするわけでございますが、私も、重複するところは避けまして、二、三質問をいたしたいと思います。  今回、蚕糸事業団法がいよいよ提案されましたことは、これは蚕糸業界こぞっての要望でございまして、むしろおそきに失した観があるわけでございますが、ただ、私どもは、この事業団法の内容を見ましたときに、真にこれで蚕糸業の安定と輸出振興が全きを期せられるかということになりますと、非常に不安の点が多々あるわけでございます。現在、前蚕繭事業団の持っておる資産十億、そして製糸業界から五億、養蚕団体から五億、それから生糸輸出保管会社から約八千万円と私は聞いておりますが、総計で二十億八千万円、それによりまして約三万俵の生糸操作をやろう、それによって糸価の安定をはかるということでございますが、この政府の支出する十億というものにつきましては、いま非常に問題が多いわけでございます。と申しますのは、かつてこの委員会で、昭和三十四年の十二月八日の委員会におきまして、当時蚕繭事業団の設立当時の経過を考えましたときに、現在の大蔵大臣であります福田さんが農林大臣の際に私の質問に対しまして答弁をしておるわけでございますが、その詳細にわたっては私申し上げません。ただ結論だけを申し上げておきますと、当時蚕繭事業団に出しました十億というものは、実際は二十億出すべき性質のものであった。当時繭の値段が千二百円、それでは非常に気の毒だから千四百円にしよう、そして二百円を養蚕農家に還元しようというときに、二百円を農家に返しても総額としてはわずかの金だ、それよりも、この二十億のものを保有して、将来の養蚕家蚕糸業安定のために使うことが必要だ、そういう意味で二十億を農家に還元せずにでき上がったものが蚕繭事業団。ですから、そのときの質問に対しまして、福田農林大臣はこう言っております。「それから、さらに、いきさつから申しますと、これも、私、十億円を追加するということを考えております。その時期、方法等につきましては、一般財政との関係もあり、その必要とする時期のタイミングも考えてやりますが、これはもう予定の計画というふうに考えておる次第でございまして、これを増資する方向において整備拡充して将来に備えたい、こういう考えでおります。」ということを言っております。これは要するに、十億プラスさらに十億ということでございます。  そこで、私は、きょうは福田大蔵大臣、それから坂田農林大臣にも出席をお願いしたわけでございますが、おいでにならないので、政務次官に伺いますが、政府考え方として、蚕繭事業団はやはり製糸養蚕業界安定には十分の期待するものがなかった、そこで、さらに蚕糸事業団に改組して、新しい見地に立って養蚕製糸業界安定をはかり、なおかつ輸出の振興をはかるということでございますから、私はこの際、現在出しておる十億に、近い将来さらに十億出すというお考えが当然出ると思います。その点につきまして政府考え方伺いたい。
  80. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 ただいまの御質問は、午前中に東海林委員からもございまして、一応私なりにお答えを申し上げたわけでございますが、前の経過は私実は存じておりませんけれども、ただいま先生のお話でよくわかったわけです。ただ蚕繭事業団のいままでの活動そのものには十分なものがなかったじゃないか、したがって、十億というものがむしろ要請されなかったじゃないかという考えも持たれるようでありますが、今度蚕糸事業団が、新たにいわゆる生糸の売却、買い取り等の事業を積極的にやろうというわけでございますから、いまの場合大体二十億程度の資本金で一応現状は支障がないのじゃないかという見方をしております。しかし、今後事業を拡大していって積極的に進めていく上においては、さらにそういった必要も生じてくることがあるかと思いますが、そういう場合には十分検討して、最初の大臣の約束を実行していくようにつとめなければならぬ、こういうように私ども考えております。
  81. 田邉國男

    ○田邉委員 政務次官からの御答弁で、近い将来に当然十億を出すようになるのであろう、私は、当然出していただかなければならぬ。今回の蚕糸事業団においては、やはり養蚕家製糸家も出し、さらに予定されております五億の金も、さらに十億にしていく、こういう計画になっておりますので、ぜひ政府におかれても十億の追加出資をお願いしたい。  それから糸価安定の問題でございますが、いまの蚕糸事業団をつくりまして、約三万俵の生糸を買い上げれば、年産全体の生糸の約一割に相当するものだ、それであるから大体安定ができる、こういうようなことを午前の委員質問に答えておられましたが、その点、私は重ねて伺いたい。三万俵の操作をすれば大体いくらという確信がついておられるのか、それとも、それは事業団というものができた当初においては三万俵であるけれども、近い将来においてはこれを五万、十万俵に引き上げていくという構想があるのか、その点をひとつ明確にお答えいただきたい。
  82. 丸山文雄

    丸山政府委員 その点につきましては、未来永劫に三万俵でいいということは申し上げられないかと思います。田邉委員御存じのとおり、かつて特別会計が動き出しましたあとで、やはり買い入れ数量が足りなくて、二年間で十万俵も買ったという事実もございます。そういうことがございますから、将来ともにということまでは見きわめはつきませんけれども、さしあたり、現状の糸価、現状の需給というものを想定しました場合においては、いまからすぐ買い入れワクをふやさなければいけないという状態でもないのではないかというような気がするわけでございます。そういうことでございますので、これはいろいろ御意見のあるところだと思いますが、とにかくこの数量でスタートしてみようという前提に立っておるわけでございます。でございますから、先ほど政務次官のほうから、たとえば資本金についての御答弁がありましたけれども、やはり今後の事業の運営、外部の需給事情の変更によりますと、資本金の問題のみならず、買い入れ数量等の問題もあるいは起ころうかと思います。そういう場合におきましては、なおこの数字にこだわらずに検討する必要があろう、こういうふうに考えております。
  83. 田邉國男

    ○田邉委員 重ねて伺いますが、それでは、もし三万俵買い上げて、なおかつ差があるという事態が起きたときには、どういう措置をおとりになりますか。
  84. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいまの差があるという御質問意味でございますけれども、それでも足りないという場合におきましての操作といたしましては、もちろん事業団の事業計画の変更ということがございます。それからあと、手続といたしましては、午前中もお話しいたしたと思いますけれども、政令の変更、こういうことでございますので、あと予算的な問題としての折衝が残ろうかと思います。そのあたり、事がうまく運びますれば、そのときの事態に対処できるのではないかというように考えております。
  85. 田邉國男

    ○田邉委員 これ以上私は議論いたしませんが、ただ、三万俵では糸価の安定は非常に不可能だということは、私はあり得ると思います。そういうときに、ただいま政令の改正とか、それから資本金の増額とか、いろいろ問題が考えられるということでありますが、ただその時期と方法でございます。私は、やはり生糸価格というものは、現在非常に変動がはなはだしい。その際に、そのタイミングに合った施策というものが迅速に行なわれなければならない。そういう意味で、その点は十分考慮していただいて、そしてこの法案ができて、なるほど非常に効果があるんだという実をひとつあげていただくような運用をお願いしたいと思います。  次にお伺いするのでございますが、現在生糸価格というものが非常に変動しておる、この価格がどうして変動するかということについていろいろの説があるわけでございます。そこで私は、蚕糸局長に、どうしてこういう大きな変化があるのか、変動があるのか、こういう理由があるからこういう変化が起こるという、そのよって来たる原因伺いたいと思います。
  86. 丸山文雄

    丸山政府委員 この問題、御指摘のように、われわれもその原因の探求についていろいろ検討をいたしておるわけでございます。いろいろあろうかと思いますけれども、一つの問題といたしましては、午前中の御質疑にもありましたように、やはり生産者と消費者——糸の消費者でございますが、そういうのがいずれも危険負担の能力がない。したがいまして、生産者自体にも市場調節の能力がありません。それから糸の消費者自体も、これまたそういう資本を持っておるグループではございません。したがいまして、危険負担が方々に分散されておるかっこうになっておるのではないか、いわば、かりに供給側に計画生産ができたといたしましても、これを需要する側に立った場合には、今度は最終製品である着物なら着物という一般大衆の需要との見合いの関係で、なかなか糸の需要者自体が、また計画的供給に応じてそれを消費するようなわけにはいかぬということで、まあ、一口に言いますと、要するに生産から大衆消費に至るまでの流通の問題、そういう問題が一つあろうかと思います。これにつきましては、今後生産者側の共同化であるとか、糸の需要者といたしましては、これはざっくばらんに申し上げれはわれわれの所管ではございませんけれども、そういう面の共同化あるいは共同購入というような問題は、今後大いに追及し、かつ指導しなければならない面ではないかというふうに考えております。そういうことになっております関係で、これもまたよく御議論のありますとおり、取引所というものが本来の機能を逸脱しまして、いわゆる蚕糸業界と全然無関係な部分から買いが入ってくる、そういうことで上げたり下げたり、実情にマッチしない変動を生じておるということが原因のようでございます。しかしながら、たとえば三十八年のひどく上がりましたときには、御承知のとおりアズキが上がってきた、あるいは砂糖が上がってきた、そういう原因もあるようでございます。けれども、上がるからといって常にそういう形をとるわけではありませんので、やはり上がるときのそれぞれの実態を分析してみますと、非常に複雑なケースがあるわけでございます。そういう点につきまして今後どうやって対処するのが一番いいかという点につきましても十分検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  87. 田邉國男

    ○田邉委員 いま局長は、いろいろの例をあげておっしゃっておった。これからまた研究をなさり、そうして十分対処していきたいという話のようでございますが、この蚕糸業というものは、もう日本の戦前からの重要な輸出産業でございまして、今日まで戦後二十年間非常に好調を続け、また暴落をし、また年間でも生糸は非常に高騰をし、また下落する、特に春繭ができて、いよいよ生糸になるというときには必ず値段が下がる、それからまた、夏秋蚕がいよいよ出るとまた下がる、そういうような非常に作為的な操作が行なわれる。その中には、いまも指摘されたように、取引所が一種のギャンブル相場のような様相を呈しておる。こういうものについて農林省は、かつてある程度緊急措置をとられたようであります。私どもが見ますと、いまの生産者にとっては、むしろ取引所というものが有害であって、生強者に直結する何ものもない。こういうような制度がこのまま温存されて、なおかつその取引所における操作によって、また商品の売買をしておる業界だけが非常に利潤を得る。そして実際に生糸をつくっているもとである養蚕家には何の関係もない。ただ影響のあるのは、繭の価格が下がっていくときが非常に影響を受ける、それで養蚕家が繭をつくって全部生糸になって、そして自分たちが何の関係もないころには非常な高騰を示している。こういうような姿というものは、午前中もいろいろと委員からも指摘がございましたが、やはり監督官庁である農林省がこの問題については重大な関心を持って、そして生産農家のことを考える、そして少なくとも、相当の配慮を加えた取引所運営というものをさせる、そういう考え方を基本的にお持ちになる、そして一種のギャンブル相場のようなものが出てくるのであるならば、今後も引き続いてひとつ強硬措置をとる、私はそういう決意があってよろしいと思う。そういう意味において、今後における取引所の不当な価格の高騰、そして不当な下落、そういう事態が起きた場合には、局長はどういう心がまえでおやりになるか、その点を伺っておきたい。
  88. 丸山文雄

    丸山政府委員 取引所の問題につきましても、いろいろ御議論がございます。取引所立場といたしましても、御存じのように、ことしの一月ころから六月ころに及ぶ値上がりの時期に、いろいろ農林省としても指導しまして、第五次段階くらいまでの規制措置を講じさせたわけでございますので、おそらく、やはり取引所といえども、いまおっしゃいますような、いわゆる関係者が暴利をむさぼっているというような目で見られるような事態につきましては、非常に反省をしておるわけでございます。そういうことでございますので、ことしの春の経験を生かしまして、今後もわれわれといたしましては、相当きびしい態度でこれに臨むという考え方でございます。
  89. 田邉國男

    ○田邉委員 そうしますと、この一月、二月に規制をいたしました、たとえば証拠金の引き上げだとか、両建て証拠金の問題、そういうような問題も、取引所が人為的な、需給に関係のない高騰を来たしたような場合には、農林省はそういう措置を引き続いて積極果敢におやりになるという決意であるわけでございますね。
  90. 丸山文雄

    丸山政府委員 対策の内容といたしましては、初めに申しましたように、いろいろそのときそのときによりまして手の打ち方の内容は変わってくると思いますけれども、いま御質問のありましたような事態に備えまして、ふだん検討もいたしておりますし、それからまた、取引所の監査の責めもございますので、そういう面を活用いたしまして、役所といたしましてはできるだけの措置を講じていくという考え方でございます。
  91. 田邉國男

    ○田邉委員 この事業団は、価格の安定と輸出振興ということを目的に書いてありまして、現在の生糸輸出が非常に伸びが悪いということについては、午前中もその点政府は十分認識をされて話をされておりますが、それでは、この輸出振興について、一体政府はどういう考え方をもって今後臨んでいくのか、その対策の大綱をひとつお話ししていただきたい。
  92. 丸山文雄

    丸山政府委員 この事業団に直接関係いたします分といたしましては、先ほど来いろいろ御議論がございますように、価格の安定ということに極力努力をする、極力と申しますよりは、むしろそのために事業団ができるのでございますから、この構想に基づきまして、事業団運営よろしきを得れば、所期の目的価格の面においては達せられると思うわけでございます。  それから輸出の問題につきましては、まさしく、これまた価格の安定だけが万能ではない、重要な問題ではあるけれども、万能ではないということは、これは確かにそのとおりであろうかと思います。そういう意味合いもございますし、またいろいろ従来議論があり、かっこの構想の内容とともに、蚕糸業振興審議会という農林大臣の諮問機関からの答申といたしましては、さらにあわせて、事業団のほかに輸出の振興策というものが出ておるわけでございます。それにつきましては、もちろんこれは役所は人ごとというわけにはまいりません。役所ともども検討をする問題でございますが、一口に申しますと、要するに、輸出数量をそれぞれのメーカーに割り当てるとか、あるいは輸出数量の計画、目標数字をきめるとか、あるいはまた国内価格がかりに高い場合においても、ある一定水準でもって輸出をし、その差額を仲間で埋めていく、言いかえると調整基金制度のようなもの、そういうことが一連の内容として答申されておるわけでございます。この点につきましては、これはなかなか事業団をつくるというような問題と面が違いまして、今後関係業界において十分議論をする必要がある問題でございます。その点につきましては、目下いわゆる養蚕製糸関係の全体の団体である中央蚕糸協会が中心になりましてその案を練っておりますので、もう少し時間がたちますれば、どういう方向にいくか、あるいはどういう具体的方法が出るかということが漸次明らかになるだろうということをわれわれも期待しておりますし、また、われわれもその方向で横から応援をしておる、あるいは指導しておると申しますか、そういう状況になっております。
  93. 田邉國男

    ○田邉委員 いま中央蚕糸協会でもって検討中だということでございますが、私はまことにけっこうなことだと思います。ただ、この蚕糸協会の結論が一体いつごろになるのか。やはり今日まで蚕糸業についてはいろいろと機関があり、また価格安定の機関もあるのですが、なかなかその価格変動というものに対してぴしっときめ手が今日まで私はないように思う。そういう意味で、この輸出振興について非常に具体的な一つの例をあげられておりましたけれども、そういう具体的な例が着実に行なわれるような審議をしていただきたいのでございます。その中央、蚕糸協会にはもちろん農林省も蚕糸局もタッチしておられると思いますが、一体その結論はいつごろ出るのですか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  94. 丸山文雄

    丸山政府委員 目下のところ、いつまでにということには必ずしもなっておりませんで、できれば四十一年の一月ころには輸出振興の具体的仕組みについての結論が出るようにという方向で検討いたしております。
  95. 田邉國男

    ○田邉委員 四十一年の一月に、この輸出振興の結論でなくて、どういうようにやっていくかということの仕組みの結論だというお話でございますが、四十一年の一月といいますと、まだ半年もあるわけでございますから、私は、少なくも来年の一月からはこういうものが実際に動き出して、そうして農家が養蚕業に専念できるような安心感を与えていただきたいと思う。これが一月になったら、また秋のころまでに仕組みの結論を得るこいうようなことになるのが、私は今日までの役所の通弊だと思います。そういう意味におきまして、もちろん関係団体も督励をして、すみやかにこの年内に結論を出すくらいの決意でおやりにならないと、それでは蚕糸事業団をつくりましても、建物だけはつくったけれども中の機械設備はまだ何も十分にしておらぬというようなそしりを受けるわけでございまして、その点についてもっと具体性のある、しかも農家が聞いても製糸家が聞いても、やはり一歩前進しているのだ、たいへんな政府の意気込みだというはっきりした何か目標がそこにあるという、あいまいもこの話はこの事業団の画龍点睛を欠くような感じがするのですが、ぜひその点、もう一歩前進した考え方を持ていただきたいと思う。あえて私は答弁を求めませんが、そういう意気込みで私はやっていただきたいと思います。  いま輸出振興のお話をしたのでございますが、先ほど東海林委員からも御指摘がありましたけれども、輸出振興に伴う中共生糸、韓国生糸日本輸入してくもその対策については、一体政府はどういう考え方で臨んでおるのか、その点を伺いたい。
  96. 丸山文雄

    丸山政府委員 この問題につきましては午前中大臣答弁もありましたのですが、要するに、まず一つの前提といたしまして、この生糸につきましては現在若干の輸入関税がございますけれども、たてまえそのものといたしましては、いわばこれは自由貿易で、別に外貨割り当てがあるわけで毛輸入統制の制度があるわけでもございません。そういう環境の中でこれに対応する措置といたしましては、要するに、日本価格の状況によりまして入ってくるというところが問題なわけでございます。そういう意味で、この事業団等を十分活用いたしますれば価格の安定がはかられる、そうすれば間接的に輸入が行なわれなくなるであろうということでございます。ただ、これも輸入の問題と同じでございまして、あるいはそれだけでは、いろいろ心配をいたしますれば完全ではないかもわからない、そういうことからいたしまして、やはりこれは輸入防遏の手段といたしましても、それから輸出振興衆といたしましても、とにかく国内における生産性を上げ、合理化し、そういうことでもって極力国内的にも国外的にも対抗するように、大ざっぱなことばで申し上げますと、いわゆる養蚕製糸、そういうような供給面の体質改善ということに今後相当力を入れていく必要があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  97. 田邉國男

    ○田邉委員 いまの中共生糸輸入、韓国の生糸輸入対策なんですが、養蚕製糸の体質改善というお話がいま答弁の中にありました。あまり議論めいたことを言うわけじゃないのですが、一体製糸養蚕家が体質を改善していけば中共生糸輸入が阻止できるのか、この点について、私は、局長から、たとえばこういうことをすればなるんだという一つの例を言っていただきたい。私には、どうもそこが答弁のことばのあやとしてはきれいに聞こえるのですが、具体的な問題として私は納得をしたいのです。その点、一つの例をあげていただきたい。
  98. 丸山文雄

    丸山政府委員 たとえば、要するに労働生産性を上げることによりまして、一単位当たりの生産量がふえるというような対策は現実にも講じておりますけれども、そういう面、今後大いに養蚕製糸等につきましてもやっていただく面が相当残っておるのではなかろうか。そういうことになりますれば、価格安定措置と相伴いまして、価格面におきましても対抗し得るというようなことがあり狩ると考えておるのでございます。
  99. 田邉國男

    ○田邉委員 私は、中共の糸に対する日本国内生糸生産合理化、また生産性向上といいますか、そういう問題が非常にむずかしい問題であると思う。やはり共産主義国の生糸価格対策というものは、私は、こういう問題よりも、むしろ政府が一体対共産国の同一製品の価格対策というものをどう扱うか、こういう問題のほうが非常に大きなウエートを占めておる。これについては、やはり直接日本養蚕農家に重大な関係を持つ製品でございますから、この点、農村対策と申しますか、農業対策の一環として、私は、やはり農林省が対中共生糸価格対策というものを一歩前進して考えていただきたい、かように考えるわけでございます。  なお、午前中の答弁によりますと、日本養蚕業というものは、やはり現在適地適産農業として推進をしていけば十分やり得るものだ、なおかつ長期に考えても、やはり生産性向上、また合理化をはかっていけば十分やれる農業だ、こういう話の中に年々五%の需要の増大を推定しておるわけであるから、養蚕業というものは将来ある産業としてやれるのだ、こういうような話をされておるわけでございますが、その一つの節として、十年間というものを長期の一区間と区切りまして、一体農林省は、この養蚕業というものは、養蚕農家が合理的生産をやっていけば将来ある産業として十分安心してやっていってだいじょうぶだと言い切れる意見をお持ちになっているのか、その点、非常に一般の養蚕農家というものは何か先細りの不安感を持っている。それは先ほど申しました価格の問題もありましょう。しかし、需要は伸びておっても、一体養蚕業の将来はどうなるかということについて非常な不安を抱いている。その点について、過去の農林省のやる行政にはいろいろの手違いが起きている。そういう不安感と不信感があるわけですから、この際私は重ねて伺っておきますが、やはり十年の長期見通しとして、安心して養蚕業をやれるかどうか、その点についての政府当局の考え方を伺っておきます。
  100. 丸山文雄

    丸山政府委員 私、まだ就任日が浅うございますので、これから申し上げることは短い期間の私の感じに基づくものでございます。私は、もちろん楽観はできませんけれども、そう悲観をしたものではないというふうに感じております。特に、たとえばこれは十年先ではございませんが、今後四、五年先について一応計数的に見ましても、なお三十八年対比約一三〇%という期待はできるという数字も出てまいります。もちろん、これは無条件にはそうならないと思いますけれども、いろいろな努力を重ねてまいりますれば、ただいまの十年間という期間につきましても決して悲観をする必要はない、こういうふうに感じております。
  101. 田邉國男

    ○田邉委員 私は最後に、これは要望でございますが、事業団の役員の構成についてでございます。従来事業団というものができますと、大体役所から大部分の人が入る。今回の事業団養蚕製糸の団体も約半分の出資金を出しておる、そういう団体でございますし、特に生糸価格というものが非常に国際価格であり、非常に市場の糸価変動の激しいものであります。そういうものについては、やはり業界の経験者と申しますか、エキスパートを多く起用することによってこの事業団運営というものが全きを期せられるかと思います。私は何人入れろというようなことは申しませんが、過去の経験に照らして、この事業団の特質を生かす意味においては、やはり関係団体からできるだけ多くのエキスパートを入れてこの運用をしていただきたい。そうすることによってこの事業団がよりよき効果を発揮するのではないか。それがやはり輸出振興になり、糸価安定に非常に通ずる重大な役割りをなすのだ、かように考えるわけでございます。政府当局におかれては、この点、与野党から強い要望があったことでございますから、その点十分配慮をなさって人的構成をやっていただきたい。  簡単でございますが、私の要望事項を申し上げて、私の質問を終わります。
  102. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 高田富之君。
  103. 高田富之

    高田委員 午前中から各委員よりいろいろ御質問がございましたので、簡潔に御質問をいたします。もし重複しておりましたら、ごく簡単にお述べいただくだけでけっこうでございます。  今度の法案を出されました環境といいますか、一般的な前提といたしまして——局長さんは、かわられて間もないのに、たいへんいろいろ研究されておるわけなんですが、この蚕糸業につきましては、七、八年前の例の大暴落時代からこっち、政府としましても、蚕糸局としても、蚕糸業をどこに持っていったらいいのだということについての基本が非常に、ぐらついておったわけであります。非常に大きくゆれ動いてきたわけでありまして、なかなかこまかい具体的な施策を立てようにも立てようがなかったというのが実相だろうと思う。そういう状態のもとにほぼ十年近い日子を経過しておりまして、最近ようやくある方向に固まりつつあるのではなかろうかと思われるようになっておるわけでございます。そういうやさきに、こういう法案が出ましたことは、私どもとしますと、ここらで一歩前進しようというかまえであろうというふうにとりたいわけでございます。しかし、それにはやはり環境になり、前提となっております蚕糸業についての相当長期にわたる基本方針といいますか、そういうものがきちっとして、その背景のもとに新しい施策を打ち出されるのでないと、土台がしっかりしてないような不安感というものがどうしても伴うと思う。そこで、実は前の通常国会でも、予算委員会の分科会で赤城農林大臣にお尋ねをしたのでありますが、赤城農林大臣は、蚕糸業は斜陽炭業にあらずと断定されまして、今後将来性のある産業として前向きに取り組んでいくのだという、たいへん力強いことばがあったわけです。しかし、ただそういうことばで簡単に言うだけでは、一応関係業者や何かを喜ばせるだけにすぎないのでありまして、もっと科学的に——かつて蚕糸局では二年くらいかかりまして、わが国蚕糸業について徹底的な検討を加えたりっぱな著書を出されておるわけであります。ああいうふうな力作があるわけでありまして、やはり日本蚕糸業というものは、ある意味では斜陽産業であるという前提の上に今後は考えていかなければならないのだということを、理論的に非常に克明に分析されておるわけですね。いまここで私ども考えてみまするのに、最近の状況では、輸出はどんどん減ってくる。しかも、その減りようは少しはなはだしくて、一年ごとに半減していくわけです。この調子でほっておけば、蚕糸業は近い将来輸出炭業ではなくなるかもしれない。蚕糸業輸出産業でないという前提に立って、国内産業としてこれから育成し、それにふさわしい施策を講じていくのか、それとも、そうじゃなくて、だめになってきたけれども、これをまたもとに戻して、徹底的に輸出産業として発展さしていくのか。内需産業としてもどんどん伸びていくわけですから、内需、外需ともに伸ばしていくんだという前提に立ちますと、相当思い切った施策を講じなければそうはならないと思うんですよ。ですから、まずここでお伺いしたいことは、わが国における生糸、絹製品というもののかなり長期にわたる需給の見通しはどの辺に押えておるのか、現段階で政府蚕糸局当局はどういうふうに考えておるのか、それをちょっとお伺いしたいんです。
  104. 丸山文雄

    丸山政府委員 その需要見通しにつきましてはいろいろな見方があろうと思います。現段階における最終的なものというのはまだできておりませんで、数字で申し上げられなくてはなはだ残念でございますけれども、生産のほうの立場から申しますと、先ほど申し上げましたように、大体かりに四十三年をめどにいたしますれば、対三十八年度比一三三と、三〇%程度の増加を期待するということで、今後それに合わした施策をとっていく、こういうふうに考えております。
  105. 高田富之

    高田委員 そうしますと、いまのは内需についてそういうふうに順調な伸びを示していく、こういう見通しですね。
  106. 丸山文雄

    丸山政府委員 内需につきましても順調に伸びるだろうし、それから外需につきましては、御質問にもありましたように、たとえばこの事業団等の操作による価格安定によりまして、ここ二、三年失いました失地を、一挙にはいかなくても、漸次回復するというたてまえで考えておるわけであります。
  107. 高田富之

    高田委員 そうしますと、国内生産量ですが、日本国内における生糸生産量は、昭和三十年から三十九年までの十年間に幾らもふえてないんですね。わずかしかふえてないんですよ。ですから、これをいまおっしゃるように、内需もふえるだろう、輸出もふやさなければならぬということになりますと、これから相当ふやさなかったら需給のアンバランスを来たして大暴騰を来たすだろうと思うんです。いまのように生産はふえない、内需は一割、二割もふえていく、輸出は過去に比べて毎年半分ずつ減ってしまってバランスがとれておるのに、この輸出が減らないでもとに戻っていきますと、生糸は三倍、五倍に暴騰してしまいますよ。五十万くらいになってしまうと思うのです。生産量がずっとふえていないのですが、いまのように潜在的に需要がふえつつあるという見通しに立つと、大増産計画を立てていかないとこれはたいへんなことになってしまうと思うのですよ。何か数字的にありましたら………。
  108. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいまの今後十年という問題につきましては、前のいわゆる所得倍増十カ年計画の数字が基礎になりまして、今後十年というのは、いまのところないわけであります。先ほど私が申し上げました四十三年というのは、いわゆる中期計画と申しますか、そういうものの考え方に立ちましで、それで三十八年対比四十三年度に大体一三三という数字をはじいておるわけでございます。需要につきましては、これは御存じのとおり、一般的に見ますと、国内需要は、たとえば価格弾力性が少ないということが言われておりますので、いわゆる価格関係からの変動の見方というのは非常に困難な面がございます。これはまさに生活必需品とは違いますので、そういう意味日本製品の需要の推測というものは非常に困難でございます。それから世界全体と申しますと、これはまた午前中に御質問が出たのでございますけれども、世界絹業協会、そういうところでいろいろ関係国の将来の伸び等も考えた場合に、おおむね平均的に年率五%くらいずつは伸びるだろうということを申しております。そういう点から申しまして、需要の伸びそのものについては、需要が減るということはございませんが、見方につきましてはいろいろあろうかと思うわけでございます。しかしながら、伸びていくだろうということで、最終製品の消費に対する見方、そういうものと対応する場合に、生産のほうはどういう方法を講ずれば大体年々平均的に伸びていくだろうかということとあわせまして、供給側の面として一応試算しておりますのが先ほど申し上げましたような数字の見通し、こういうことになっております。
  109. 高田富之

    高田委員 いずれにいたしましても、いまおっしゃいますように今後五年間——今後といいますか、もう始まっておるわけですが、ここ五年間で三割三分の増産をしていく、これによって、ふえる輸出、ふえる内需をまかなってバランスをとっていく、こういうことですね。問題は、いままでのところはたいしてふえていないわけです。これを見ましても、三十三年あたりが生産量で一番多かったわけです。現在それよりちょっと少ないけれども、やや同じくらいです。ですから、三十一年ごろからあまり変わらない、こういう生産量の推移をたどっておるわけです。それで、その間に輸出は激減しましたけれども、想像以上に内需は旺盛でどんどんふえてきた、価格としても強含みでずっと推移しておる、こういう状態でございますので、これはよほど本腰を入れた大増産、それこそ斜陽産業どころではない大増産計画を立てまして、よほど力を入れていきませんと、いまあなたのおっしゃるような五年間三三%の伸びで、そうしてバランスをとってやっていくというのは、これは容易ならざることだと思うのです。幸か不幸か輸出が減ったんで、ちょうどバランスがとれておるようなものです。ですから、ここにいまの環境、前提をよく考えて、蚕糸業をどこへ持っていくかということで、ある程度腹を据えまして施策の基本を立てていく、政府の財政支出も当然それに伴うように、また業界の体制もそれに沿うような体制に切りかえてやっていくということにしませんと、何か一部分だけの施策をぽつんと出したということでは問題は解決しないと思うのです。全体の総合計画の中の一環として位置づけられて政府が開拓されていくのでなければならないというふうに実は痛感するわけです。  いまの輸出の減少の問題なんですが、この輸出の減少というものの原因ですね。さっきもそんな活は出たと思うのですが、ここへ来てずっと著しい減少を続けておりますその原因は、一口で言うとどういうことになりますか、何が原因ですか。
  110. 丸山文雄

    丸山政府委員 一つには価格の不安定、それから二番目といたしましては、特に西欧市場における中共生糸進出、これは相互に関連をしている事項だと思います。それから三番目には、要するに内需で景気がいいから、無理に輸出をせぬでもよろしいという輸出関係立場の判断、大ざっぱに言いますと、大体こういうところだ、こう考えております。
  111. 高田富之

    高田委員 確かにそういうことだろうと思うのですね。思うのですが、だからといって、価格さえある程度安定すれば、またもとのようになるかといいますと、そう安易なものではないと思うのですね。いままでは、これは申すまでもないのですが、日本生糸というものは独占的な商品であったわけですけれども、今日はもう状況が変わってしまいました。中共生糸ですが、実はこの数字を見ますと、中国生糸生産量がカッコに入っているのですが、これはどういうことですか、まだはっきりわからぬということでしょうか。もしわかっておったらちょっと訂正して……。
  112. 丸山文雄

    丸山政府委員 お配りしてございます表の中で、カッコの部分はデータがございませんので、はっきりはわからない。ただし、中共における、一般的に言われます農産物生産の状況、そういうものから推定しますと、繭の生産量も大体横ばいではないか、たしか、そう数字が動いていないはずでございますが、カッコの数字が三十四年が七万五千で、三十五年、ここずっとカッコの中が七万五千になっております。そういう推計に基づきまして出ておる数字でございます。したがいまして、端的に申し上げれば、よくわからないということでございます。
  113. 高田富之

    高田委員 あの国は統計や何か秘密でしょうしね、わからないことなんでしょうが、しかし、何とかその情報や何か、もう少し意識的に調査しないと大問題だと思うのですね。もしここにありますようなぐあいに、過去六年間、七年間中共生産量はちっとも伸びていない、こういうことなら大問題じゃないと思いますけれども、これはわからぬと思うのですよ。もう少しお調べ願ったほうがいいと思うのですが、もし中共あたりで、外貨獲得に非常に熱意を入れているときですから、外国からものを買いたいけれども、売るものがないというときに、この生糸であれば手っとり早く日本と十分競争が可能であるということで、大々的に始める気になれば、幾らでもやれることです。中国の国策で輸出五カ年計画を立てて倍にしようとすればわけないですから、これは相当わが国にとりましては深刻な課題でありまして、ぜひこれはお調べ願いたいと思います。具体的なデータは、正式には発表しないでしょうから、寄せ集めでけっこうだと思うのです。しかし、事は非常に重大でございまして、もし中国生糸が、ここにありますとおり六年間ふえていないという前提に立てばですが、もしそうでないということになれば、これは環境はすっかり変わったと見なければならぬ。これは今後ある程度日本価格が安定したとしましても、中国生糸はもっと安定していますよ。年間で一文も変動のない価格で、日本より安く、しかも品質においては、向こうの需要に応じたものを売れるようになったら、ヨーロッパ市場はもうこれは永久に回復できません。アメリカは政治的に買わないでしょうけれども、しかし韓国からは買う。アメリカの場合は、韓国からほんとうに買うものがないでしょうから、生糸でも何でも、できるものはうんとつくらしてどんどん買ってやるぞということになりますね。そうなると、これまた日本よりはるかに、安くできることは言うまでもないので、こういう環境の変化を考えますと、日本輸出が激減しつつあるという現象は、数年前まで、価格さえ安定すれば伸びた時代と違って、いまは価格が安定しただけではだめ、今度は競争相手を圧倒していくだけの体制にならなければ伸びないというように、環境が著しく変わった、きびしい環境になったということを前提とした国内体制を今度われわれは考えなければならないと思うのですね。そうだろうと思うのですよ。ですから、私は、そういう点で環境の変化ということを念頭に置きますと、私の知っておる専門家などは、もうある意味では内需産業と割り切って対策を立てたほうが、実際的じゃないかというようなことさえ言う人があるくらいです。いまくらいの生産量なら、内需で全部こなして問題ない。しかし、これをふやすということになると、なかなかこれは手不足で、安い価格で増産しろといってみたって、他産業と農業の格差は開くばっかりということですから、容易にできないんじゃないがという議論もあるくらいなんです。しかし、もちろん私はそういう消極策ではなしに、せっかく前向きになりかけてきたところですから、もっともっと本腰を入れて前向き施策にしたいことを望んでいるわけですけれども、それだけに問題は深刻だということを、やはり前提に置かなければならないと思うのです。  そこで今度の法案の問題でございますが、これは一つには、価格の安定をはかろうということでございますから、もちろんいま申しましたような非常にきびしい環境の中で、価格の安定だけが唯一の方策でないというぐらいの状況であるということを申し上げたのですが、だからといって、価格安定が非常に大事な問題であることは否定すべくもないわけでありまして、その中心であります。そこでしからば、その価格安定ということだけを第二の問題として考えてみた場合に、いままでの繭糸価格安定法という制度がございまして、これを運用することによって価格の安定をはかり、海外に対しても信用を維持して輸出を振興しよう、こういうたてまえで、ともかく今日までやってきたことは間違いないわけなんです。ところが、その繭糸価格安定法運用のいままでの経験からいたしまして、第一に、関係業界とすれば、結論として、これだけにたよっておれぬ、これだけにたよっておったのではとうてい価格の安定、それによる需要の増進ということははかれないのであって、もっと別のことをもう一つそれにプラスして考えなければならないのだというような動機から、製糸養蚕側で寄り寄り協議をしながら、今度出ておりますような法案の基礎になる考え方をまとめてきたことが一つあろうかと思います。それからもう一つには、私は、政府側からも同じようなことがあるのではないかと思います。これは繭糸価格安定法というものにたよって、政府みずからが運用の責任に当たってこれでやってきたが、これではどうもうまくいかなかった、これだけにたよっているわけにはいかないのだということで、政府みずからも、そこにある意味では——先ほどどなたかから質問があったと思うのですが、ある意味では責任のがれにとられる危険性があるように思うのですが、ここらで、ある意味では別のことを業界の責任でやらしてみる必要があるのではないかというふうに考えてき、あるいはさらにもっと善意に解釈すれば、もっとプラスした、強力なものにしようということを考えてきた、こういうことになるわけだろうと思う。それでこういう法案が生まれてきたということになるのだろうと思いますが、そうなりますと、やはりここらで非常に明確にしておかなければならないのは、いままでの繭糸価格安定法運用において、どこにどう欠陥があり、どう悪いか、どこが足らなかったかということを明確にし、そしてそれを補うためにこういうものをつくってこれを補正させていくのだというところあたりを明確にいたしませんと、何だか責任のがれみたいなことである新しいものをつくり、そっちに逃げてしまうのではないかというふうなことになったのでは、これは非常にまずいわけです。しかし、こういうものが出てきた背景に、先ほど申し上げましたように、製糸養蚕業界をあげて何らかの新しい安定措置を自分たちの力でやろうという意欲が盛り上がってまとまってきたということは非常にいいことだと思う。私どもは、そういう機運を醸成するためには、いっときも早く、こういうものが生まれたら大いに政府もこれに指導援助を与え、育成していくことは非常にけっこうだと思います。思いますけれども、そこら辺の明確な割り切り方がありませんと、ややもすれば責任のがれではないかという議論も出てくるわけでございまして、いままでの安定法の運用にかんがみてどうなんだ、だからこれをこうしたのだといったことについての御見解を簡潔に承りたいと思います。
  114. 丸山文雄

    丸山政府委員 安定法の運用の問題につきましては、これも幾たびか議論されたことでございますが、要するに生糸や繭の価格の安定操作をするための機構としては、まず、前面に出て踊る役者といたしましては、少し行動範囲が広過ぎるということ、したがいまして、上下の行動範囲が広過ぎますために、たとえば現実に高い糸を下げるための現物もなかなか買えないというような問題、それから最近の、いわゆる国内価格の騰落の状況、ひいては御議論のありました輸出価格の問題そういうことをいろいろ考えますと、この現行制度はなくてもいいものではないけれども、とにかく、やはり踊る幅が少し広過ぎるということだろうかと思います。そこで、午前中の質問にもありましたけれども、この制度の幅を埋めることによって、現在のいろいろ需給事情に適した措置ができるのではないかということがあろうかと思います。これも私は一つのやはり重要なる見解であろうかと思います。ただここで、理論としては、それは確かに考えられますけれども、ただいま御指摘のように、たまたま現在の政府にあります糸価安定制度批判の上に立ちまして、せっかく——これは役所のほうをかはっておるわけでございますが、関係業界、役所の意見の一致の結果として、それはそのままにしておいて、もう一つ別の機構として、もう少し小さな範囲で動ける、操作のできる機構をつくろうということになった経緯があるわけでございます。しかもかつ、業界でも出資をしようというような経緯を経ましてでき上がったことでございますので、理論的には確かに現政府の機構の幅を埋めればできるということも考えられようかと思いますけれども、そういう二つのものがあってはならないということも、これまた判断はできないのではなかろうかと思うわけでございます。いいますならば、はなはだ俗な例で恐縮でございますけれども、政府制度は外野であって、事業団は内野である。外野は、内野がトンネルしたときにはもちろん引き受けるというような意味合いにおきまして、この二つの機構があるということは、やはりそれはそれなりに意味があるんではないかというふうに考えます。おそらく、これが現在何らの線もなくして新しく発足することでありますれば、また機構そのものにつきましてもいろいろな考え方があったと思うのでございますけれども、いろいろ現行制度批判の上に立って、さらにこれをつけ加えるということに大体の意見の一致を見たわけでございますので、理論的には若干割り切れないものがあろうかと思いますけれども、これは相関連して、臨むことによりましてかえってむしろ十分な効果も期待できるのではなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  115. 高田富之

    高田委員 いま幅か広過ぎるから、まん中でということなんでしょうが、これは提出されました資料にもございますように、もとはそんなに幅は広くなかったのですね。昭和三十年には生糸の最高が三千八百三十三円で、最低が三千百六十七円なんですね。これが四十年になりますと四千円と五千五百円、こういう開き方になっているわけです。ですから、もとはそんなに開いちゃいなかったわけで、だんだん開かしちゃったわけですね。だから、だんだん開かせてしまって、幅が広過ぎるからというのは、これはちょっとそれだけでは理屈にならないと思うのですね。ですから問題は、この前に政府が苦い経験をしましたのは、あまり幅の広くなかったときなんですが、最低価格が落っこちてきたときに財政支出を百五十億ですか、やらざるを得なかった。事実上なかなかとめられないというような苦い経験がありまして、そのときにあわてて最低価格をさらに引き下げるというような措置まで講じてしまったのですね。そういうのでは、せっかくの最低保証価格がありましても、むずかしくなるとまた下げてしまう。そこまで落ちないようなところまで下げてしまうような方策を講じたのでは、これは事実上ないのと同じなんですね。そういう苦い経験をしてしまったものですから、この安定法によって安心感を与えていく。これ以上上げないぞ、下げないぞと言ってみたところで、どうも言っているほうも自信がない。聞いているほうも自信がない聞いているほうも本気にしないということに実際になってしまったわけです。ですから、この安定法自体は、そういう意味では現存はしているけれども、ほとんど機能しないようなものに近づいておるわけなんですね。ですから、このままにはほうっておけない、こういうことになってしまったわけでありまして、言ってみれば、いま安定法はなくなってしまった、極言すればそういうふうに言っていい状況だと思います。そこで、何かしなければならぬということで、いままでと違ったアイデアに基づいて今度の構想が出てきたわけですね。そうだとしますると、今度の構想については、もう少し力を入れて真剣に取り組まないと、二つあるのだというような観念で、いまおっしゃったように、内野がはずしたら外野が取ればいいじゃないか、二重になっているんだから前よりもっと完ぺきだというようなことでは、ちょっと安易にも過ぎると思います。言ってみれば、外野が昼寝をしていて、うんとへたくそな内野が前に出ているような——だから真剣な外野がいれは、そのほうがよかった、内野が要らなかった。そのようなことになります。新しいアイデアといっても、どうせこれはある意味では安定法のやり直しですよ。だから、これには相当力を入れなければいけないと思うのです。それで性格的にも違うところは、最高でなければ売れない、最低でなければ買えないという形で、ぴしっと縛ってこの安定法はやっているわけで、政府は商売人じゃないから、売ったり買ったりを適宜にやれといったってやれっこないのです。それをやったから失敗したのですね。十八万円で売ってはならない、安いから売ってはならないというけれども、高くなったらたいへんだというので十八万円でぱかぱか売った。売ったあとで二十三万円になって、えらい損をした。えらい値が上がったんです。ですから、政府は商売をやってはいけないという経験を積んだわけです。政府は相場なんかを気にして売ったり買ったりしてはならぬという経験をしたわけでございまして、そういう点からいくと、今度の制度業界のベテランにある程度まかせて、これ以上買っちゃならぬ、これ以上売ってはいかぬというものでなしに、ある一定の線だけは引いてありますが、時価で売ったり買ったりできるようなシステムでしょう。ですから、そういうふうにしてやり方も変えて、そうしてむずかしいけれども、政府としても相当本腰を入れて、これによって価格の安定を実際にはかっていく、こういうのでないと、これをやってもだめになったら、あとには安定法があるんだから適当なところでいいんだなんというのでは、それこそしょっちゅう内野のまたの下をくぐって外野のほうへすっ飛んでしまうというようなことになってしまうので、やはり前の安定法と今度の制度とを生み出した理由というようなものは、ぴしっと明確にする必要があると思うのです。それによって初めて、こういうものをつくったときのこれに対するかまえが出てくると思うのです。そうでないと、二つあると言いますのは、どうもまずいと思う。ですから、これはいつでしたか、前の局長さんちょっと伺ったときに、大蔵省でどうもむずかしいのだ、二つもつくるなんというのは例がない、価格安定は一つ制度でいいじゃないか、こう言われたということをおっしゃいましたけれども、そうではなくて、私は、やはりここで新しくできるもののほうへ重点をだんだん移行していって、これに大きな期待をかけて、政府も本腰を入れていくのだぐらいにしないといけないのじゃないかと思うのです。ですから、そういうふうな考えでおやりになるような方向でさらに検討を加えられれば、もう少し力の入れ方もあるのじゃないか、さっきの十億円の話じゃありませんが、力の入れ方もあるのじゃないかと思いますので、そこら辺についての政務次官、ひとつお考をちょっとお聞きしたいと思います。
  116. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 ただいまの高田先生のお話は、非常にわれわれ参考になったわけでございます。そういうふうな過去の経緯を十分に参考にし、肝に銘じて、そうしてこの事業団の充実に本腰を入れてやらなければならぬ。これでいけなければ、また新しいものができるといったような安易な考え方で取り組んではたいへんだと思います。そういう考え方のもとに取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
  117. 高田富之

    高田委員 いま非常にいい御回答をいただいたのですが、これはほんとうに、どうせこういう新しいものをつくり出す以上は、本格的にこれでほんとうに安定させるぞというかまえでやりたいと思うのです。ぜひそういうふうにやってほしいと思うのです。また、さっきも東海林さんその他の委員の方からそれぞれ主張されましたが、せっかく業界が気持ちを合わせてやろう——これはいまだかつてあまり例のないことなんですね。この業界は、御承知のとおり、非常に複雑で関係者の数が多くて、伝統的にも非常に古くて、なかなかむずかしい業界ですよ。そういう業界において、少なくともすっぽっと一本にまとまってやらなければならぬという気になったということは、非常に画期的だと思うのです。そういうときにしては、政府の腰の入れ方がちょっと足りない。東海林さんでしたかおっしゃったが、そういうふうに見られます。いまの状態では、そういうふうに見られる。だから、もう少し政府もこれに大きな期待をかけ、そうして相当力を入れてバックアップをして、イニシアチブは業界にとらしていく、というくらいのかまえでやらないといけないのじゃないかと思うのです。そのことは、先ほど前提にも申し上げましたけれども、環境が非常にむずかしくなっておりますために、いいかげんなことでやったのじゃ、またぞろだめになってしまうのじゃないかという気がしますね。こういうふうなしっかりした安定装置をつくると同時に、それとあわせて、先ほど来これも御質問があったわけですが、取引所をどうするかという問題になる。これもこの間うち、たいへんいろいろな経験を積まれまして、蚕糸局としてもかなりの実績が上がっているわけですから、こういうところでやはりある程度制度化したものを打ち出す、そうして、少なくとも生糸取引所については、この生糸業界の実情に即応した特殊な運営の規律が制度的にでき上がるというふうなことを、ここらでやはり打ち出す必要があるのじゃないかと思うのです。  そういうような点が一つと、それから、先ほど来申し上げましたように、価格を安くして外国の生糸と競争し、そうして増産をし、安くて増産ができて、内需、外需に対応していこうというには、これはいまのようなおくれた養蚕業の形態、おくれた製糸業の形態、あるいは染色、撚糸、加工、製織、みんなおくれているのですから、これらを相当思い切った近代化をして、かなりコストが低下して、大量に生産できてもうけが上がるという体制に持っていこうというのですから、これまた容易ならざることだと思うのです。容易ならざる課題だと思うのです。ですから、そういう点からいいましても、蚕糸業に関しては予算が幾らもふえない。あるいは農業構造改善事業の中にちょっと顔を出している程度。構造改善事業そのものが第一たいしたことじゃないのですが、もう少し本腰を入れた、やはり原料から最終製品に至るまでの全過程の近代化と増産体制、斜陽産業でございませんと大臣が言うからには、そういう具体的施策を伴い、ある程度の長期見通しと長期計画で財政の裏打ちを立てた蚕糸業体制というものをぴしっと打ち出さなければいかぬと思うのです。もうそういう時期がきていると思うのですよ。それをいままで十年間足踏みしてしまった。あれ以来七、八年足踏みを続けてきたのですから、ここらでやはりそういう全体としての体制を立て直していくという気がまえの長期計画を、蚕糸業自体が持たなければならないと思うのです。その場合には、農林省——ほんとうを言うと農林省だけではまずいと思うのです。これはやはり通産省と一体になったような蚕糸業に対する指導監督行政機関というものがどうも必要になってくると思うのですが、いずれにしましても、私どもはこの問題に関与しまして、例の大暴落以来今日までの推移を見ますと、長い間非常に動揺を続けてきた蚕糸行政が、ここらでやはりしゃんとしなければならぬ。しかも、環境が非常にきびしくなっている、こういう状況のもとで初めて、前向きのこういう法案が出たわけでありますから、これを機会に、ぜひ早急にわれわれの法案は上げたいと思いますが、同時に、それに伴う政府当局の万全のかまえというものを強く要請せざるを得ないのでありまして、きょうは、私もあまりこまかい質問につきましては、重複いたしますからこれ以上いたしませんが、そういう重要問題についての政府のこれからの態度についてはあらためて体系的なはっきりした御言明を大臣からもいただいておきたい、こういうふうな気持ちがいたしますので、きょうは各委員の御質問のあとでいろいろ重複した点もございますが、この程度で私は質問を終わります。ぜひひとつ、以上申し上げましたような点に十分御留意を願いまして、次にはなるべく早い機会にそういった問題についてのお考えをおまとめの上、もう一ぺん御言明を願うというふうにしたいと思います。  一応、以上をもって私の質問を終わります。      ————◇—————
  118. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 次に、請願の審査を行ないます。  今国会において、当委員会に付託になりました請願は、全部で三十三件であります。  これより日程第一から第三三までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  各請願の内容につきましては請願文書表等により御承知のことと存じますし、さらに、先刻の理事会におきまして慎重に御検討をいただきましたので、この際、各請願についての紹介議員の説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  119. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。  本日の請願日程全部は、いずれも採決の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は付録に掲載〕     —————————————
  122. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 なお、本日までに本委員会に参考送付されました陳情書は、食糧自給政策確立に関する陳情書外三十四件であります。右、念のため御報告いたします。      ————◇—————
  123. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及び日本蚕糸事業団法案並びに農林水産業の振興に関する件、農林水産物に関する件、農林水産業団体に関する件、農林水産金融に関する件、農業災害補償制度に関する件、以上の各案件につきまして閉会中もなお審査を行ないたい旨、議長に対し申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  125. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、その調査のため委員派遣の必要が生じました場合には、その調査事項、派遣委員、派遣期間、派遣地並びにその承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は明十一日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会