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1965-10-01 第49回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十月一日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    塚田  徹君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       前田 正男君   茜ケ久保重光君       大出  俊君    角屋堅次郎君       中村 高一君    楢崎弥之助君       受田 新吉君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 安井  謙君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (総務局給与局         長)      瀧本 忠男君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         総理府事務官         (人事局参事         官)      秋吉 良雄君         防衛庁参事官         (長官官房長) 海原  治君         防衛庁参事官         (防衛局長)  島田  豊君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         大蔵事務官         (主計局次長) 武藤謙二郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      辻  敬一君         運輸事務官         (港湾局参事         官)      河毛 一郎君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      町田  直君         建設技官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      鎌田 要人君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告問題)  国の防衛に関する件(リトル・ジョン発射訓練  問題及び板付基地問題)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について質疑を継続いたします。質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 昨日に引き続いて質問をいたしたいと思います。  きのう大蔵省関係答弁者の方が途中からいなくなりましたので、質問を続行することができなかったので、非常に時間的にはもったいないと思いましたけれども、十二時三十分で質問を打ち切ったようなわけであります。きょう、昨日聞けなかった分だけ私が質問申し上げて、あと質問者とかわりたいと思います。  そこで、大蔵省に対してお聞きをいたしたいと思いますることは、これはまだ法規関係課長さんは来ておいでになりませんね。それはおいでになったらすぐ確認させていただくといたしまして、その前にお聞きをいたしたいと思いますことは、これはもう、ことしの人事院勧告の問題と取り組んでいただく場合に、例年と違った考え方を持っていただかなくてはならないということは、昨日も申しましたように、昨年の人事院勧告決定をいたしますときに、議会において、来年は完全実施をするのだという附帯決議がついておるわけです。したがって、これをめぐりまして当委員会においても、正式に政府案審議するときには、完全実施をさせるためにはお互いに相当苦慮しなければならないと思うのです。したがって、けさ理事会でそうした問題の取り扱い提案がございまして、理事会としては、内閣委員会委員長を通じて、そうして議長に申し出て、それから議長から佐藤総理大臣のほうへ、昨年の附帯決議に基づいて本年は完全実施をするように配慮されることを、けさ理事会決定をいたしたわけであります。そういうようなことから、いままで大蔵省考えておられたように、原資のなかった場合には、これは十月実施でも九月実施でもその場しのぎができるんだという考え方は捨てていただかなければならないと思うのです。したがって、こういうようなことから考えまして、大蔵省としては、これを受けて立つにどういう原資調達方法考えておられるか、この点をまずお聞きをいたしたいと思います。
  4. 武藤謙二郎

    武藤説明員 お答え申します。  お話はよく承ったのですが、さて、それではどういう原資調達をするかということでございますが、御承知のように、給与改定のための財源は何で調達する、災害関係は何で調達するというわけではございません。いろいろな財政需要考えまして、そうして昨日も申し上げましたように、まだはっきりした見通しはついておりませんが、減収も考えると、ことしはどうしても従来ずっと続いてきた経常収入歳出をまかなう、この方針は取り得ないかと思います。そこで歳入不足が出るだろう。その歳入不足をどういうふうに調達するか。御承知のように、ことしからそういう事態になるということを早くから予想しておりませんので、ことし歳入不足公債でやるか借り入れ金でやるか。公債でやるということになりますと、どういうふうにして消化するか。また、借り入れ金でやるということになると、どこから借り入れるか。それから、いろいろと望ましくない方法、いろいろ議論が目下財政制度審議会でも分かれているわけでございますが、そういうのを考えて、大体幾らぐらいは調達できるかということも、まだめどがついていない、そういう状況でございます。  そこで、お尋ねの給与改正財源調達をどうするのかということですが、そういう状況ですので、給与改定財源そのものをどうして調達するかということをまだお答えできる段階にございません。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 給与改定による必要財源見通しが全然ない、借り入れ方法公債発行方法等についても、まだ具体的な結論が出ておらない、検討しておらない、こういうことなんですが、昨日の質問で明確になりましたことは、それでは政府はいつ提案するかということについては、例年によって提案をしたいということなんです。したがって、そうなりますと、五人委員会でいろいろと検討していただくといたしましても、問題は大蔵省が受けて立つか立たないかというところに問題の焦点がしぼられてくると思うのです。したがって、今日まで財源のないのをどうするのかこうするのかわからないというようなことでは私は困ると思うのです。したがって、答弁の上では、ただいま答弁のありましたように、まだ結論的なものは全然出ておらない、検討中ということですけれども、この点については、完全実施という考え方の上に立って、そうして検討されておるのかどうかということを念のためにお聞きをしたいのです。と申しますのは、昨日の数字からも出ましたが、九月実施とすると、地方公務員の場合は四百九十二億円だ、完全実施をすると七百四十億円だ、こういう答弁があったくらい九月なり八月なり十月なりというような中間的な実施もあり得るんだというようなことがまだまだ頭の中に離れておらないと思うのです。だから私は、今年審議をするときには、もう中間の実施というようなことは考えずに、完全実施という考え方の上に立って、原資をつくっていただかなくてはなりませんので、こういうような点については、どういうお考え方を持っておられるか、これをまず明確にしていただきたいと思うのです。
  6. 武藤謙二郎

    武藤説明員 お答え申します。  人事院勧告が出ましたあとで、数字を発表しまして、所要額を発表したわけですが、そのときの表に、五月実施ならばどのくらい、九月実施ならばどのくらい、十月実施ならばどのくらい、これは新聞記者から聞かれまして、数字を答えたわけですが、当時そういういろいろな数字を出しましたのは、御承知のように、五月実施は、実施時期を完全に勧告どおりにする、それから九月というのは、去年九月にいたしておりますので、そうすればどのくらい、それからおととしまでは十月でしたので、それはどのくらいかかるかという単純な算術の問題として答えたわけでございます。それで、九月実施や十月実施ということを考えないで、お話趣旨は五月実施ということでひたすらこの問題は考えるべきだという御趣旨だと思います。人事院勧告は完全に尊重するということになりますと、そういうことになると思います。  ただ、たいへん困っておりますのは、もう御承知のことでくどくどしく申し上げませんけれども、ことしから財政事情が非常に苦しくなっております。それから地方財政も非常に苦しいことになります。そういうところで、何月から実施するか、どういうふうに盛り込むか、その点は、総理はじめ、目下非常に心配しておられる、そういう状況でございますので、いろいろな作業はいたしておりますけれども、補正予算全部がこれだけということがきまりませんと、給与のほうだけ先にきめるということは非常にむずかしい、こういう状況でございます。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 事務的な作業の一環として完全実施なり原資がどれだけ要る、昨年のように九月ならどれだけ要る、一昨年のように十月ならどれだけ要る、こういうような事務的な面で作業をされておる程度であって、考え方としては、今年は昨年と違って、完全実施をするのだという、こういう考え方をお持ちになっておられるかということをお聞きしたのですが、いまの答弁の中ではそのように受け取っておいてよろしいですか。
  8. 武藤謙二郎

    武藤説明員 ことしも昨年もそうでしたと思いますけれども、ことしは特に人事院勧告尊重するということですと、附帯決議もございますし、なるべく五月実施ということで努力すべきだと思います。しかし、一方、財政状況を申しますと、これは昨年に比べて非常に苦しい状況にある、そこの兼ね合いでどうするかということを目下検討中でございまして、それは補正予算の大体が固まるときでないとどなたでも断を下せない、そういう状況でございます。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 あなたの答弁の中から私が考えまするに、どうも完全実施、五月実施ということが頭の中に完全にないわけなんです。原資ということは、これは原資がなければ支給できないのだからもちろん大切ですけれども、考え方としては完全実施をするんだというこの考え方をまず持って作業を行なう、こうでなければならないと思うのです。  そこで、今度原資が足りない場合に、その原資をどうまかなうかということが次の段階で出てくるのであって、初めから原資を先に置いて、そうして完全実施というのをあと考えてもらうと、この問題は過去五ヵ年間公務員が苦杯をなめてきた結果になろうと思いますので、くどいようですけれども、私はほんの一口でしたけれども、ただいまの答弁の中には、原資ということが頭にあるだけで、完全実施ということを義務的にお考えになっておられないというように受け取ったわけなんで、そうでなければたいへんけっこうですが、もう一度その点を明確にしていただきたいと思います。
  10. 武藤謙二郎

    武藤説明員 人事院勧告はなるべく尊重したい。そこでもう初めから人事院勧告は値切って何月実施ということで計算するということではございません。しかし、同時に、ほかのほうのいろいろな歳出事情もございますので、そういうものとあわせ考え、また一つ財源調達する方法ともあわせ考えていき、そこで最後にどうするかという決断を下すことになると思いますが、いまのところは、初めから人事院勧告財源はこれだけでいいんだ、九月実施とか、十月実施とかいう金額をきめてかかって計算をする、そういう態度ではございません。しかし、また一方、九月実施にしても、十月実施にしても、ことしの財政事情ですと、非常に苦しい、そういう状況にあることも事実でございます。そこではっきりとどうなんだというお答えがまだできる段階にないので御満足いただけないかと思いますけれども、現状はそういうところでございます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、私は繰り返しお聞きをいたしたいことは、なるべく人事院勧告尊重するという、こういう表現は、これはもう頭から今年はむずかしいのだという頭があるからそういうことばが出ると思うのです。原資というものは借り入れなり公債発行なりその他の方法で、これはやる方法幾らでもあるわけなんですね。原資調達幾らでもあるわけなんです。だからそれをぼくらの考えておるように、大蔵省として大事をとってやられるかやられないかということが問題であって、完全実施という考え方の上に立って、そして原資のほうへ作業を進めていただかなければ、まず原資のほうを先へやって、そうしてこれは何月実施にするのだというようなことになっては困るから、いま繰り返しお聞きをしたのですが、なるべく尊重をしたいということは、これは毎年言われることですが、大蔵省としては毎年のようにお考えになっているかということです。ということは、従来と今年と違うということは、これは附帯決議完全実施をしなさいということが国会で議決になっておるのです。これを聞かないということになりますれば院議を無視するということになりますので、こういうことが政治の上に常識になってはたいへんであると思います。したがって、今年の人事院勧告の問題の実施取り扱いについては、これは非常に重要であろうと思うのです。それだけに、ただいまの答弁としては非常に不満足な答弁であると私は思うのです。繰り返しお聞きするが、完全実施をしなければならないという考え方は十分にお持ちなのであるかということと、その上に立ってまず原資をどうするかという作業にかかられるのか、こういうようにひとつ確認をしておきたいと思います。
  12. 武藤謙二郎

    武藤説明員 お話のように、附帯決議のこともございますので、本年は特に人事院勧告尊重ということは昨年よりも尊重しなければいかぬような状況にあると思います。ところが、また片方、財政状況を申しますと、昨年よりも非常に苦しい状況でございます。そこで、財源は何とでもして調達できるではないかとおっしゃられますけれども、御承知のとおり、そう公債借り入れ金だから幾らでも調達できるじゃないかということにはまいりませんので、従来ですと、経常収入でまかなっていたのを今度はまかなえない。そうしますと、財政としては不均衡、これはまあ何が不均衡かということはいろいろ議論があると思いますけれども、財政だけを見ましてどちらがかたいかということを言いますと、従来の経常収入だけで歳出をまかなっていたときのほうがかたい、健全なやり方だったと思いますが、そういうことはとうてい維持できない、そういう状況になっている苦しい財政事情と、それから人事院勧告について附帯決議も出ている、そういう両方の非常にぶつかり合う要請をどう調整するかということで、なかなか結論が出せないでいるという状況でございます。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでその結論が出せない状況であるというところまで作業を進めておるのですか。一番最初の答弁とちょっと違ってきたと思うのですが……。
  14. 武藤謙二郎

    武藤説明員 人事院勧告尊重すべきだという点、御趣旨のとおりでございます。それからまた、財政事情が苦しいということはよく御存じのことだと思います。そこで、ほかのいろいろな財政需要もございますから、それらを全部かみ合わせてどういう補正予算をつくるかということ、これを目下非常に苦慮いたしております。そういう状況でございます。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは最後に一問だけしてかわりたいと思いますが、財政法上の関係ですが、きのう質問をいたしましたところ、大蔵省がお見えにならなかったので保留をいたしておりまするが、国会完全実施をするということが決定をしたと仮定をいたします。その場合に、大蔵省のほうで原資調達最大努力をしていただいても、たとえば九月までしか支払う原資がない、こういうような場合に、十、十一、十二、一、二、三というこの六ヵ月間を昭和四十一年度予算の中に組み込んで予算化をして、そうして遡及精算をするという方法をとることは、財政法上違法か違法でないかということをまず承りたいのです。
  16. 武藤謙二郎

    武藤説明員 いま法規担当の者がまだ来ておりませんので、よく調べて御返答することになると思いますけれども、御承知のようにいまの予算というものは単年度ということになっておりまして、その年に必要な経費はその年に払う、そういう原則になっております。したがいまして、給与もその年の給与ですから、それを単年度主義原則をくずして翌年度払うということは、だいぶ研究しなければいかぬ問題があるだろうかと思うのでありますが、法律上どうかという問題についてはなお検討したいと思います。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 いまあなたのほうで答弁できるということを委員部のほうから聞きましたのでお聞きをしたのですが、これは災害の場合も同じことが出てくると思うのです。完全にその年の補正予算予算化できない面がありますね。これはそのあくる年の予算の中で予算化をして事業を進めていく。こういうことを災害対策の場合には行なわれるのですから、これは継続的なものというような判断をされると思うのです。したがって、給与の面につきましても、これは当然完全実施、五月から実施をするということになれば、これで五月から実施をする原資をまず大蔵省最大努力をしてあらゆる手を尽くして原資をつくっていただかねばならぬ。もしつくれなかった分ができた場合には、これは来年度予算の中で予算化をして遡及精算をすることは可能であるというように私どもは解釈をしておりますけれども、念のためやはり法規関係の詳しい方から明確にその点を答弁していただかなければ、これは審議の過程におきましてこういう問題が一つの重要なポイントとなって出てくるかもわかりませんので、そういう点でお聞きをしておるわけなんですが、災害対策との関連も考えて私はでき得るというような判断をしておるのですが、外国ではやっておりますので、その辺のところが他の国の財政法と日本とどう相違があって、できるできないというようなことをやはり明確にしてもらいたいと思うのです。
  18. 武藤謙二郎

    武藤説明員 御質問の点、なおわれわれよく研究する必要があると思いますけれども、いまの災害関係、私いま伺っておって感じたことを申し上げますと、災害関係は、その復旧事業をことしの分はことし払って来年また残す、その次の年にまた災害復旧事業が続く、こういうことでございますので、災害復旧事業は来年やる分、再来年やる分がございます。ところが、公務員給与の場合は、災害と少し違うかと思いますのは、公務員のサービスは今年度に提供してしまう。その対価を翌年度に払うというところは違うかと思います。  なお、御質問の点、いろいろと検討すればいろいろな問題もあろうかと思いますけれども、大事な問題ですので、十分検討してから責任のある答弁をいたしたいと思います。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 同じようなことですけれども、もう一つ方法があるわけです。八月実施なら八月実施、九月実施なら九月実施とまず国会できめるわけですね。そうして人事院勧告をあなたのほうの言われる最大限に尊重するということになった場合に、来年の予算措置の場合に——これは名前のつけ方はどういうつけ方になるかわかりませんけれども、実質的には足らぬ分は遡及精算をする、こういう形の予算のとり方というものはできると思うのです。だからこの二通りがあると思うので、この点はやはり人事院勧告の問題を政府提案をしてきた場合、審議する場合に相当重要なポイントになろうと思いますので、明確にしてもらいたいのですが、次長さんのほうでは、ただいまの答弁以上の答弁はいただくわけにいきませんか。
  20. 武藤謙二郎

    武藤説明員 非常に重要な問題ですし、いままでやっていない方法でございますので、法規的にどうなるかということはよく検討して責任のある答弁をいたしたいと思っておりますが、ただいまその用意がございません。ただ実際問題として、来年の財政事情もことしに劣らず苦しいということは、るる申し上げるまでもなくお含みのことと思います。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 来年の財政状態も悪いということはわかっております。わかっておりますが、来年は三兆四千億とかどうとかと新聞に出ておりましたが、事情が悪ければほかのほうをどうでも数字はひねくることはできますし、来年の状態が悪いからそのことができないということにはならぬと思うのです。これは水かけ論の質問になりますが、これ以上あなたのほうで答弁できないということになったらしばらく私は質問——いまメモが回ってまいりましたが、課長補佐見えておりますので、その方がいま私の質問しておることが代弁できるようにメモが来ておるのですが、これはできますか。
  22. 武藤謙二郎

    武藤説明員 よく相談してから責任のある答弁をします。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしましたら、お聞きのような状態でございますので、大蔵省のほうでも担当者も来ておいでになりませんし、そして初めてのケースであるから十分に検討をして回答をしたい、こういうことでございますので、その間私の質問を一部保留をして打ち切らしていただいて、次の質問者と交代いたしたいと思います。
  24. 河本敏夫

  25. 大出俊

    大出委員 ちょっと前もって聞いておきたいのですが、自治大臣が、きのう私直接お話しまして十一時ごろここに来られる、こういうお話であり、けさまたそのようにするからという連絡があったのです。それからもう一つ安井総務長官閣議その他の関係でむずかしいというお話もありましたが、私は実はきのう安井長官が言われたことの中でどうしても訂正をしておいていただかぬと困ることが一点ありまして出席を求めたわけでありますが、大体十一時二十分ないし四十分ごろお見えになるという話だったのですが、その辺をひとつ確認をしておきたいのです。質問の都合上困るのです。
  26. 河本敏夫

    河本委員長 閣議が済み次第出席するそうです。
  27. 大出俊

    大出委員 明らかにしておきますが、安井長官に御出席をいただきたいのは、もちろん根本的にはことしは例年と違って一般公務員の皆さんも地方公務員の方も含めてのがまんがならぬという形の半日ストライキまであるわけですから、したがって、おのおの立場立場は違いますけれども、その計画をあるいは決意をされた方々も、戦いのために戦いを組んでいるわけじゃないわけでありますから、したがって国会審議の場所になっておる事案でもありますから、かつまた附帯決議のこともございますので、できればひとつこれはそう  いう最悪の事態に至らぬうちにまとめなければならない。そうなると年じゅう開いている内閣委員会じゃないわけですから、休会中わずか二日くらいしか開かれぬので、この時期に給与担当責任者が、しかも本年は人事局が設置されておる、したがって担当国務大臣である方がわずかな時間でも出席できない筋合いはないだろうということが一つの問題、もう一つは、先ほど田口委員質問に対しまして、公務員ストライキ権がない代償機関として人事院が設置をされた筋合いなんだ、こういったところは、理屈を申し上げるようだけれども、公務員は全体の奉仕者であるという本来の任務があって、したがって本来的にストライキ権がない。それでは生活が守れないということで人事院がつくられている。法律的に拘束されるものではない、こういう筋の話が出てきたわけでありますが、この解釈、ものの考え方旧来労働省等を中心に政府統一見解を私は予算委員会でも求めたわけでありますが、かつまたILOに出しました法務省がジュネーブに呼ばれたときの文書があるわけでありますが、明らかになっている点と大きく相違いたしますから、ILOのドライヤーレポートがある段階でありますので、明確にしておいていただかぬと困る。したがって、この点は議事録に残っておることだから私は訂正を求めたいし、また舌足らずということであったとするならば、御解明を承りたい二つの用件がございますので、それは確かに忙しい日常ではありましょうけれども、事内閣委員会、しかも衆議院内閣委員会給与の当面の担当委員会が開かれているわけでありますから、万障差し繰っても御出席をいただくのが至当だろうというふうに考えますので、この点ひとつとくとお話しをいただきたいと思います。  ところで人事院佐藤総裁に御質問申し上げますが、どうもやたらにぶつかるようで申しわけないのだけれども、きのうの御答弁でいささかふに落ちぬ点があるので冒頭にはっきりさせておきたいのですが、私の意見だがという前提がありましたけれども、ちょっと私の意見でも困るわけなのです。公務員というのはその賃金において民間賃金に何とか追っついていけばいい、つまり公務員は全体の奉仕者なんだから、そういう意味で民間賃金を何とか追っかけていく、こういう趣旨でできているんだろうと考える。こういう説明があったのですが、これは前回私が質問したときの答弁内容とも大きく食い違いますし、また参議院におけるかつての論争を議事録等を見ましても、公務員の賃金というものが常に民間給与というものを追っかけていくのが公務員給与なんだ、こういうふうに正当化されてしまっては事重大だと考えます。昭和二十三年の十一月三日に人事院ができたときから私は官公労の事務局長をやっておるのですから、総裁よりもその意味では長いわけです。  そこで、私念のために申し上げるのですが、人事院勧告というのは一体どういうわけででき上がっているかといえば、法律的に申し上げますれば国家公務員法二十八条並びに六十四条、これは内容を説明せぬでもおわかりだと思います。それから、ここまで言ってはどうかと思うが、その他一般職の職員の給与に関する法律の二条、これが基準です、基本ですね。そうなりますと、この内容からいたしまして、つまり二十八条の表現、六十四条の関連からいきますと、五%以上の増減の必要があると認められるとき、そうしてそこに至る過程の取り上げ方としては、これはそのとおり読みますけれども、「俸給表は、生計費 民間における賃金その他人事院決定する適当な事情を考慮して定められ、」こうなっているわけです。これ以上に法律はないですね、率直に申し上げると…。そうすると「生計費」と先に書いてあるわけですから、そこで「生計費、民間における賃金」こうなっているわけですね。ところが、あなたの答弁というのは、きまって出てくるのは、民間賃金の中は生計費というのは含まれておるのだ、こういう言い方なんですね。これはそうではない、この法律をすなおに解釈してみたらどうなるのだということを言ったら、あなたは何と答弁したかといいますと、そういうお気持ちが当然あるということを前提といたしまして、私の気持ちも白紙で考えればそういうことであろうという意味で一番最初にちょっと申し上げたのだと訂正をされまして、したがって、公務員法の条文もそういうつもりで読めば、それは読めないことはないじゃないかというお話になってくればそういうことになります、しかし、一方に現実的な立場から見ると、多数の方々に納得していただく意味で民間賃金比較ということを今日人事院がとっておるのだ、こういう説明ですが、法律上は総裁が言ったようなことになっていないと私は考える。したがって、この点を人事院の総裁が、私はこう思うとかってな解釈をされては迷惑なんで、この点をひとつ明確にしていただきたい。
  28. 佐藤達夫

    佐藤説明員 昨日ここで私の申し上げましたことについて御指摘を受けましたことは、たいへん幸いであった。そういういま大出委員のおっしゃったようなつもりで申し上げた記憶は全然ございませんので、もう一度簡単に昨日のお答えの趣旨を申し上げますと、最初に個人的な見解を述べたわけですが、かつての給与制度というものに対するノスタルジアを述べまして、あの時代はよかったということを最初に申し上げて、しかるに、個人的な考え方ではあるけれども、あのころと今日の情勢とはだいぶん変わっておるではないか、公務員給与のあるべき姿というものを適切につかまえて、白紙の上に理想図をかきたい。しかしながら、今日の情勢のもとにおいては、諸般の一般国民の経済情勢を含めての社会の環境というものもあるし、また、場合によっては、公務員だけが特権的地位に立ってうまいことをしておるというような批判も出てくる可能性もあろうということから、ただいまお述べになりましたような公務員法、一般職給与法の条文をとらえて、まず今日の段階においてはと申し上げたいのでありますが、一般の国民の方々の賃金というものをつかんで、公務員もせめてそこまではひとつ一緒にしていただきたい、その辺のレベルまでは保障していただきたいと、非常にオーバーな表現をいたしますから、また誤解されると困りますけれども、一般国民並みということで、官民給与の比較ということが大きな柱になって今日まで給与勧告の際にとられてきたのであろう。この行き方は、いま申しましたような環境から言うと、まず当面やむを得ないことではないか。しかし、過去に対するノスタルジア的な気持ちは、私個人としては捨ててはおりません。たまたま昨日外国の例を申し上げましたが、やはり外国でも民間給与というものを追っかけるたてまえをとっておるというようなことも、その背景として申し上げたわけです。いま条文の問題として、生計費と民間賃金ということを仰せられました。これもたびたびここで御追及を受けておるわけであります。また、いまおことばにもありましたように、民間賃金の中にはやはり生計費なり物価等も織り込まれておるから、まずそれを第一の基準に立てても誤りではないと思います。かたがた標準生計費というものをとらえて、少なくとも八等級二号ですか、高校卒の初任給のところで、それをうしろのささえとして持ってまいっておる。その他の給与の配分についても、常に標準生計費を頭に置きながら数字のあんばいはしておりますということが現状でございす。そういう趣旨で申し上げたのでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 私は勧告内容というのは、きのうやきょうじゃないので、わかり過ぎるくらいわかっておる。それを質問する気はない。ただ問題は、差し迫って総理官邸に公務員の方々がたくさん集まってすわり込んじゃったといういまの時点で、そういうところで開かれておる委員会だから、その中心点を明らかにして解決しなければならぬ筋合いなんです。そこで私は、その当面の責任者の一人でおられる佐藤総裁が、私はあなたをきのうやきょう知っているのじゃないからわかるけれども、公式の場所なんだから、したがって不用意なものの言い方をされることはよろしくない、こういう考え方を持っておるわけです。法律のたてまえからするならば、人事院公務員の生計調査というものを別途行なう体系を立てても悪くもない。違法でも何でもない。そこでその公務員の方々の生計調査の上に基づく、単に民間比較だけではない形における新しい賃金体系が組み立てられて、それが民間給与の基準になったって一向差しつかえない。かつて昭和二十一年を前後とする時代というのは、公務員賃金が民間賃金の基準になっていたわけです。ところが、労働組合法の適用から公務員法その他ができてしまって、ストライキ権がなくなったということのために、一般的に民間賃金も基準が下がってしまった。ストライキ権がないために人事院ができて、勧告実施をされない。だから公務員賃金が下がる。公務員賃金が民間賃金の基準になっていたから、民間賃金も下がった。これが今日、たくさんの労働組合が欧州並みな賃金に引き上げなければいかぬという旗じるしを掲げている大きな理由にもなっているわけですから、そうなってくると、そこのところは公務員の生活を人事院の立場で擁護するということから、しかもストライキ権にかわる代償機関だと私ども考えているのだ。そうだとすれば、そこのところをしっかり踏まえていただかなければ困る。  もう一つは、公務員の方々は何も優秀でない方々が集まっているのじゃなくて、社会的にながめて相当な方々が集まっているので、全体の奉仕者であって、かってなことをすると言われても困るとあなたはおっしゃったけれども、かってなことをするのはする人が悪いのであって、そうだとすると、その方々の生活が、何も民間賃金をいつも追っかけていていつも追っかけ足りない、実施時期はいつも延ばしに延ばされてきているということでいいということにはならぬのです。そういう消極的な気持ちがあるから、人事院勧告なんというのは何べん出しても通ったことがないということになってしまう。ここに私は人事院の重大な責任があると思っている。  そこで一つ聞きたいのだけれども、昭和二十三年人事院勧告が出て以来、何回勧告が出ているのですか。何回完全実施されましたか。
  30. 佐藤達夫

    佐藤説明員 十七回であったと思います。少なくとも私の関知するここ数年間は、完全実施をされたことはない。内容においては別ですが、施行期日において完全実施をされたことはないのです。
  31. 大出俊

    大出委員 総裁が記憶する限りにおいて完全実施をされたことはない、特に期日においては、こういうことになりますと、これはきわめて重大な問題です。そこで、完全実施がされなかったとすれば、その理由、どこに理由があったとお考えになりますか。
  32. 佐藤達夫

    佐藤説明員 まあ私どもも完全実施をしないほうの側ではないわけであります。どういう理由で完全実施をしなかったのかということについて、適切なお答えをすべき立場でもありません。これはしなかったほうの側の方々の事情を私どもも承りたいと思いますが、私どもは大体財政のやりくりがとてもつかなくてという話だけを聞かされておる、それが事実であります。
  33. 大出俊

    大出委員 人事院勧告をする。その勧告実施をされなかった。ことしもされないが、過去を振り返ってみてもされていない。にもかかわらず、その原因を探求する側にない。ずいぶんおかしな話だと私は思う。みずからが責任を持って勧告をした。しかもあなたは、公務員法上のたてまえからいけば、公務員法の第六条に書いてある、人事官というのは、人事院規則の定めるところに従って、最高裁判所長官の面前で宣誓書に署名しなければ仕事をしてはいかぬことになっている。そこまで厳粛な立場に立って、公務員給与あるいは各種条件というものをめぐってそれを守っていく立場だ。それだけの身分保障もされている。そうなると、せっかく苦心惨たんして、よかれと思って勧告をしたことが、一回、二回ならず、記憶の上で完全実施されたことがないというくらいに無視されてきているという事実について、その原因を探求する立場にないと言ってすましていたのでは事は解決しない。もう一ぺん御答弁願いたい。
  34. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもは、ただいま申しましたようにいろいろ原因はあろうと思います。しかしながら、とにかく勧告をした立場におります以上は、この勧告を内容及び時期とも完全に実施していただきたいということを全力をあげて推進すべき立場にあるわけです。その意味においては、いままで私どもはできるだけの努力はしてきたと思いますし、今年も、昨年たまたま声を大にして決意を述べましたけれども、あのような決意で当たっておるわけであります。少なくともことしこそはという意気込みでやっておる、その決意をひとつお聞き取りいただきたいと思います。
  35. 大出俊

    大出委員 そうなりますと、原因その他はあとから申し上げますが、そこまでの決意をされておるとなりますと、私はことばの上だけでは困る。どうもその決意、努力のほどがまだ足りないと私は思っておる。何となれば、実施されていないという現実が何年も続いているわけです。人事院が、実施時期は九月か十月に延ばされてもいいようなつもりで勧告を初めからしでいるのなら別です。そうではないということは、それこそ四六時中総裁の口から聞いている。そうなると、完全に実施されなければ困る勧告を出しておられるのであって、実施していただきたいなどというなまやさしいものではない。実施してもらわなければ困る、こういうたてまえの勧告だと私は思っている。また総裁の答弁からいってもそういうふうに受け取れる。ことしも、きのうからの論議を聞いていると、完全実施されそうもない雲行きが見える。そうだとすると、この辺で人事院は一体いかなる態度をとるべきかということについてお考えになったことがありますか。
  36. 佐藤達夫

    佐藤説明員 どういうお含みでおっしゃっておるのか知りませんけれども、とにかく完全実施の実現を期して邁進しておる、あらゆる努力をしておるということを申し上げて、何をお考えになっておるのか、それを承ってからお答えしたいと思います。
  37. 大出俊

    大出委員 何をお考えになっておるのか承ってからというわけですが、その考え方、気持ちが、またそういうことでは私は困る。だから実施されない、こういう結果になってしまうと思うのです。というのは、人事院はきのうの——私は、これはあとで訂正を求めようとさっき申し上げたのですが、給与担当の国務大臣がきのうみたいな答弁をされたのでは迷惑なんで、したがって私はあとで明確にしますが、ILO等をめぐってたくさんのレポートが出ている。それらのことについてのおおむね結論めいたものが、最近は学者の通説としてもあり、政府の労働大臣を中心とする統一見解としてもあり、つまり代償機関であることに間違いはない。ILOの趣旨というのは、スト権か労働三権か、しからずんば代償機関、どっちかなんですから、代償機関の役割りを果たしていない人事院というものは何だということになる。したがって、昭和二十九年から三十年にかけて出てきた正当防衛論じゃないけれども、これじゃとても食っていけないんだから、ストライキをやるよりしようがない、ここまできてしまうわけです。それがつまり今回の地方公務員、国家公務員の方々の半日ストライキ論争です。そこまでいった責任は一体だれにあるのだ。人事院勧告をしたのだけれども、実施政府国会がしなかったのだから、そっちの責任で、おれのほうは知ったことじゃないというのでは、本来人事院の存在価値はないと思う。そうだとすれば、総裁は決意をして、天下に、実施されなければ人事院として責任は負えないという趣旨の声明くらい、明確にすべきですよ。それでも通らなければおれはやめるくらい言うべきです。それでなければ国民が気の毒だ。どうお考えですか。
  38. 佐藤達夫

    佐藤説明員 人事院は、労働基本権の代償機関であるという意識に常に立って諸般の行動をしておるわけであります。したがいまして、昨日も述べましたように、一つ代償機関と見てよろしい公労委の仲裁裁定、これが毎年、ここ十年近く、完全に四月までさかのぼって実施されておる。一方、一般職の公務員の基本権の代償機関である人事院勧告は、常に施行期日においておくらされておるということはいても立ってもおられぬということを申し上げたのでありますけれども、まことにそのとおりの心境においてあらゆる努力をしておるわけです。したがいまして、たとえば、かつて、思い余って、いまおっしゃるように、ひとつ声明でもぶっ放そうかというような気持ちにもなりかけたことはございますけれども、それはまあ待て待てということで自重しておるわけです。しかしながら、私どもの勧告の発表、これは幸いにして各新聞が毎年大きく取り上げていただいております。これはありがたいことだと思います。われわれとしては、公式に発表する一番力強い形は勧告文及び報告書の発表であろうというところに重点を置きまして、従来、この実施期日の完全実現についてのことは、あまりそういう面に出しておりませんですけれども、たしか昨年だったと思いますが、これはひとつ報告文の中で完全実施を強く強調しようじゃないかということで訴えました。これは大体そのとおり新聞に出ておる。それから、ことしも、御承知のようにこの月報にあげておりますように、ただいま申し上げましたように公労委の仲裁裁定などとの比較も取り上げて、私どもとしても、これはわれわれの気持ちの存するところを明らかにしたということであります。公式の発表としてはこれが一番大きく扱われ、一番力強いものではないか、また正式のものであるという立場で重きを置いておるわけであります。その後はこれをめぐってあらゆる機会にわれわれの要望を各方面に申し上げて努力をしてまいっております。そういうことでございます。
  39. 大出俊

    大出委員 大体もう突き詰めたところを申し上げておきたいと思うのですが、公労法適用の各組合、あるいは職員の場合は、かつて正当防衛論らしきことが論議されて、公労委が今井さんの時代に裁定を出しても実施をされなかったというふうなことから法改正までいったわけですが、その過程で、つまり正当防衛——労働組合というのは自力救済の手段なんだから、みずから救済できないという組織状況では相済まないということで、法律その他の規制についてこれを打ち破るところまでいかなければ生きていけないということで、そういう論議をしたことがあり、そういう雲行きとあわせて、ついに法律改正をされて、今日のような裁定の場合は完全実施せざるを得ない義務づけができたわけですね。人事院の場合には、同じように何回も何回も実施されていないけれども、なおかつ法律的には前進を見ていない、逆に人事院はなくしてしまえなどというばかなことが出てくる、こういう世の中ですね。そこで、ことしの場合には例年と違う、つまり十月の二十二日ころになれば、ここで五月実施ができなければ、全国の公務員の皆さんは異例の半日ストライキをやろうということをきめて、けさ新聞にも出ておりましたが、日教組にしても、自治労にしても、その他の組合にしても、それぞれきめて進んでいるわけですね。そういう気持ちがあればこそ、国家公務員でおとなしい方々、地方公務員でおとなしい方々が、今ごろから総理官邸にすわり込んでしまうなんという、こういうことになるのだろうと私は思う。してみると、人事院が第三者機関的役割りを果たしていない、公労法関係の場合なら公労委が中に入ってきて、そういう場合に事の起こる寸前に、あるいはあっせんであり、調停であり、あるいは労働大臣が職権で拾い上げるということができ上がるわけですけれども、そういうようなものはない。いまの人事院をめぐる法律規定の中にはそういうようなものはない。そうなると、そこで労働者であるという一点に関する限り、民間労働者であろうと公務員であろうと一緒なんだから、そうだとするならば、その意味で、ここまで事態が急迫している段階で、しかもそれが人事院が出した勧告をめぐっての論争なんですから、その根源は人事院にあるわけです。五月実施と書かれたのだから、したがってその責任人事院はやはり負ってもらわなければならぬという気がする。法律的にその種の責任は負いようがないとするならば、総裁みずからが守られている身分というものを前提にして、どうものを判断して天下にものを言う、総裁の責任においてこの種の紛争というというものにピリオドを打たせるという、そのくらいの熱意が人事院になければならぬというふうに私は考えているわけです。一体何年勧告実施されてきたか、こう考えた場合に、私は何もいまそのことを天下に声明しろと言うのじゃないけれども、そういう人事院が出した勧告をめぐって、公務員という身分の立場にある労働者が、ぎりぎりの段階で半日ストライキだ云々だという騒ぎが起こって、世情を騒然とさせる、しかも、片や日韓批准国会だということで、ミックスされて、とんでもないことになるといった場合に、総裁がそれを腕を組んで見ているという手はないと私は考えているので、そこのところを総裁の決意のほどを承りたい、こういうふうに申し上げているわけです。
  40. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大出委員のおっしゃるとおりの意識を持ちながら、かつその責任の重大であることを認識しつつ、あらゆる努力をしておるということは、たびたび申し上げているわけでありまして、あらためてここで申し上げるべきことはございません。
  41. 大出俊

    大出委員 総裁の時間がないようでありますし、その方面の御努力もされているようでもありますから、あまり長い質問はいたしませんが、一つ承っておきたいのです。  たしか勧告の内容からいきますと財源は二百二十三億だったですか、それプラス防衛関係があり、義務教育関係があり、特別会計の中の一般職があり、こういうことだと思うのですが、ところでその財源について総裁に聞くのはちょっと筋が通らぬので、大蔵当局の主計局の次長さんお見えになっているそうですから承っておきたいのですが、大体先ほど田口さんからいろいろな質問が出ておりましたが、私の経験上、その方面はずいぶん長くやっておりますから、したがってここまでまいりますと、関係各省におおむね含み財源だとか節約財源だとか隠し財源だとかいっている中の財源だとか、予備費だとかいうふうなことでいろいろ予定している向きが出てくる筋合いで、私は幾つかの官庁の向きの私のつてを求めて調べてみましたが、私の耳に入る限りでも、百五十億くらいのものはどうやら各省がめどをつけていると見られる。中にはかつてのように予算総則なんかにやみで組んであとで問題になったりしたこともありましたが、翌年はそれが組めないから、予算総則に五%給与改定をするとすれば金はこのくらい要るでしょうなんと書いて、しかしこの予算のときには組んでありませんがと書いて出した省まであった例がありますけれども、ここまでまいりますと、おおむねの見当は私は人事院勧告それ自体の対象となる範囲については容易に考えられるわけなんですが、そこらのところを大蔵省側はどう見ておられるわけですか。
  42. 武藤謙二郎

    武藤説明員 先ほどの百五十億という話は、留保の話だと思います。御承知のように、留保は事業費の関係も含めて千億ということを一度は考えたのでございますが、経済情勢にかんがみて事業費のほうはやめよう。そういたしますと、庁費とか旅費とかそういう系統、あるいはそれに似たもの、そういうもので大体百五十億くらいはいまだ留保の状態になっております。これはまだ最終的にきめたわけではありませんけれども、補正のときの財源に節約という形で充てる、そういうことになっておるのであります。
  43. 大出俊

    大出委員 そういたしますとぴったりおっつくかどうかそれはわかりませんが、こまかく考えればたくさんあるのです。ただ、これをここで論議する趣旨ではないのだけれども、たとえば防衛二法だって通らぬでいままで延びちゃっておるわけですね。そうなりますと、これは予算上はあるはずなんです。そうすると、通って実施をしたって、さかのぼって人を集めるわけにはいかない。だから、とにかく財源措置というのはわかっていることだから、相当な準備がなければならぬというふうに考えている。その辺は人事院の側に聞くのはおかしいのだけれども、総裁、事こういう状態の時期だから、総裁のほうも金額を書いた以上は、各方面の折衝があってのことでしょうから、その辺はどうお考えになりますか。やれると考えて出されたということだと思うのだが……。
  44. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもが勧告、報告にのせました数字は、いまお示しの二百何十億でございますが、これはわれわれのお扱いしております一般職の国家公務員に対応する分だけでございまして、そのほか、われわれの管轄外の国家公務員及び地方公務員関係の出費というものは、全然われわれのほうとしては計算外にしておりますので、少なくとも国家公務員のこの何百億というものは、このくらいのことはもう出ないはずはなかろうというくらいの気持ちは持っておりますけれども、それ以上のことを申し上げると、また多少僭越になりますが、とにかく出していただきたいということ一本やりで言っているわけです。
  45. 大出俊

    大出委員 昨年雨のだいぶ降る中を、私も全国からのぼってきた公務員の皆さんと、昨日このうしろに出席されておった前臼井総務長官はじめ各委員会の方々に次々にお目にかかって、私も公務員の方と一緒に陳情に参加した経験もあるのですが、たいへんな金をかけて、数億の金をかけて、全国からあれだけ集まった方々が、実施時期を早めてくれという行動をされたわけですね。私は、これは人事院勧告一つのルールに基づいて実施をされていけば、ああいうむだな金をかける必要もなし、トラブルも必要はないというふうに思うわけですが、ことしは、そういう経験を経て、それ以上のことになってきている。労働者の意識というものは徐々に高まっていく筋合いなんですから、昨年のあの経験の上に立って考えると、ことしはもっと前進をするのがあたりまえだ。そうなると、どうしてもさっき私が申し上げたような事態がくるかもしれない。先ほど総裁の御答弁では、幸いに私が申し上げているようなせっぱ詰まった気持ちというものと同じ気持ちをお持ちをいただいているということを聞いて、心強い限りなんですけれども、幸いだと思いますけれども、どうかひとつそういう趣旨に従って、事を求めて皆さんが何かやった、やったら処分が山ほど出た、出て実施時期が多少早まった、あるいは前向きになった、しかし処分は処分で片一方で行なわれているということを、これまた人事院が見ている筋合いでもないと私は思うのです。したがって、そういう時期がくることが予測されるとすれば、どうかひとつ先ほどの御答弁の筋からいきまして、総裁の御判断に基づくことには違いありませんけれども、最大限のひとつ御努力を賜わって、代償機関としては不備であるという解釈をILOでももの申し、私どもも考えているのだけれども、それは総裁の責任ではないのですから、みずからの与えられている立場における最大限の御努力を賜わりたい、このことをお願いをいたしまして、総裁に対する質問を終わります。  大体十一時三十五分なんですけれども、自治省並びに安井長官のほうの予定はどうですか。
  46. 河本敏夫

    河本委員長 およそ両大臣とも十二時前後には出席の予定です。
  47. 大出俊

    大出委員 こまかいことは申しませんが、たくさん御質問を申し上げたい論点があるのですけれども、実は御答弁をいただけるのではないかと思うのですが、自治省の方並びに総理府の……。
  48. 河本敏夫

    河本委員長 自治省の参事官、それから総理府の副長官が来ております。
  49. 大出俊

    大出委員 それでは時間がたいへん貴重でございますので、増子さんにひとつ人事局長という立場できのうの——これは安井さんがおられる席ではっきり申し上げたいのですけれども、残念ながらおられませんし、答弁された御本人ではございませんから……。速記を私はちょっと調べてみましたが、私が申し上げることに間違いないので、そういうたてまえで、ひとつそうでなければそうでないということを御相談を賜わって明確にしておいていただきたいことがございます。  ちょっと趣旨を申し上げておきます。きのう安井さんが言われたのは、田口委員から質問を申し上げたことに対しまして、つまり質問の要旨は、人事院というのは公務員ストライキ権を失った代償機関だという趣旨の話をして、したがって完全実施をするのは当然だ、法律解釈はいかようにあろうとも、それが筋だという話をしたところが、安井長官の言い分としては、理屈を申し上げて恐縮だけれどもという前置きのもとに、そうではない、つまり公務員というのは全体の奉仕者だから、したがって本来的にストライキ権というのはない。しかし、それでは守れない、だから人事院という制度ができて公務員を守っていく、こういうたてまえで、しかし、法律的に何ら拘束されているものではない、こういう趣旨の御発言があったわけでありますが、私はこれは事きわめて重大な問題だと考えているのであります。そこで申し上げますが、後ほどひとつこれははっきりものを言っていただきたいのでありますけれども、日にちを申し上げますと、四十年、本年の二月二十日の予算委員会におきまして、私法務大臣並びに最高裁判所の事務総長、さらには石田博英労働大臣等々関係者のおられますところで、ILOとの関連並びに司法行政全般ということでの質問をいたしましたが、その席上で、これから申し上げることは、これは法務省の各種控訴審等の上告趣意書等に載っていることを引例しているのでありますけれども、昭和二十年に例の旧労組法、この時代は民間も公務員も労組法の適用を受けておりましたから、ストライキ権はもちろんあったわけでありますが、これが二十一年の十一月の新憲法の制定、この新憲法の第十五条で初めて、国際的にこれは例がないのでありますけれども、全体の奉仕者という理論が出てまいりました。これから法務省等の解釈が二つに分かれてまいりました。一つは、憲法二十八条によるグループ、組、こういう解釈の方々、それからもう一つは、憲法の十五条、これは二項でありますけれども、十五条による組、グループ、こういうふうに分けてものを考える論旨が出てまいりました。これはさっき申し上げました上告趣意書等にたくさんあらわれております。このことを前提といたしまして、高橋法務大臣に、私は国家公務員というのは一体どっちのグループに入るんだ、こういう質問をしたところが、かわって蒲原説明員という方から、「勤労者の団結権、」——団結権しか言っていない。「団結権、これは憲法二十八条にございます。それから、一般の公務員は、これとは全体の奉仕者という意味で若干違う取り扱いを受けておるというふうに解しております。」、こういう答弁が出てまいりました。違う取り扱いを受けていると解しておりますという答弁が出てまいりました。これがつまり法務省の一方を代表する見解であります。これでいきますと、憲法十五条は全体の奉仕者という定義をしているから、本来的に公務員はスト権がないんだという理論なんであります。したがって、私はこれに対して、法務省がILOに川井さんという人を立てて、これは刑事局の参事官でありますけれども、ILOの喚問にこたえてジュネーブで説明をされた中の引例をいたしました。それはどういうことかといいますと、大臣が来られるまででございますから、ごく簡単に申し上げますと、これは法務省の刑事局参事官、証人川井英良さんでありますけれども、「わが国においても、世界に例を見ない規定といわれる憲法二八条をもって、このことを明言している。そして、労働組合法等の一連の法律において、この基本権の保障を具体化しているのである。」こういう前置きをいたしまして、「憲法二八条にいう「勤労者」に公務員が含まれることはわが憲法の解釈上の通説というべく、したがって公務員も建前としては労働三権の保障を享有するものといわなければならない。しかし、他面、わが憲法は、これも世界に類を見ないといわれる一五条二項の規定を有し、およそ公務員は「国民全体の奉仕者」であって一部の奉仕者ではないと宣言され、このことから公務員は労働三権につき特別の取り扱をうけるのも当然のことと理解されている。」つまり制限されるというわけであります。これが法務省という立場で、刑事局参事官でございますが、証言をされている。このことを例にとりまして、一体政府の統一的見解は何だと言ったところが、高橋法務大臣は御答弁ができない。そこで御相談の結果、かわって石田労働大臣から答弁がありました。それを申し上げます。憲法二十八条における勤労者の中に公務員は入ります。しかしながら、憲法十五条の二項によって制限を受けます。受けますが、これは無条件で制限を受けるのではなくして、それに対してはいわゆる代償措置というものが講ぜられなければならぬわけであります。つまり、労働三権というものは二十八条によって保障されておるけれども、特定の職務にいる人は十五条の二項、あるいは場合によりましては十二条、十三条との関連において制限を受ける場合はあり得るわけであります。しかし、それは無条件ではない、代償機関が明確に保障されなければならない、現にそれは保障されておる、こう考えております。こういうのが統一見解として出てきたわけです。そういたしますと、昨日の、しかも給与担当大臣である安井さんの答弁としては、私も後ほど調べてみましたが、どこから考えても、あれは誤りである。ここまで明確になっているものを、かりにもああいうものの言い方をされるということは、しかも当面代償機関が保障されているという前提であるということを労働大臣が言っているわけでありますから、確かに法律的に完全拘束はいたしません。いたしませんけれども、代償機関たる性格からいけば、最近はILOの問題がやかましく論ぜられておりますし、私もILOに提訴した張本人でありますけれども、ともかくILOの趣旨からいくならば、いまの日本の公務員の労働法規制が不備である、こういう理解が成り立つわけであります。したがって、当面は完全拘束は受けていない。これは事実であります。でありますけれども、法の不備は将来において公務員制度審議会その他において御検討をいただく筋合いかと思いますけれども、当面ここまで論議が発展してきている段階であるならば、代償措置であるということを明確にお考えの上で人事院勧告に対処する、そこに完全実施というものが生まれてくると私は考えておるのであります。その辺のところを大臣がお見えになってから御相談を賜わって明確に御答弁をいただいておかないと、先ほど総裁にもお願いいたしておきましたが、今月の中ごろですか、公務員の皆さんがそういう行動に訴えられたときに、理論的にやはりこれは明確にならない。問題が幾つも残りますから、私は明らかにしておいていただいて、その上で相互の責任というものをじっくり考えて問題の解決に当たるという立場をおとり願いたいし、私どもとりたい、こういう気持ちでございますから、御答弁を賜わるようにお願いを申し上げておきます。
  50. 増子正宏

    ○増子説明員 ただいま御質問の点でございますが、私も実は昨日田口委員の御質問に対する総務長官の答弁を承っておったのでありますが、大出委員の御指摘になったようには私、理解しなかったのでございます。つまり内容的に申しまして、いま大出委員はいろいろと従来のいきさつ等についてお述べになりながらお考えを言われたわけでございますが、総務長官が昨日御答弁申し上げました内容も、実はほとんど違っていないというふうに私、理解したのでございます。すなわち、代償機関ではないという意味で申し上げたのではなくて、公務員はその本来的な特殊な性格に基づいてスト権は禁示されておる。しかし、それでは生活上いろいろな問題があるし、それを守っていかなければならぬので人事院の制度ができているのだというふうに申し上げたわけでございまして、それはことばをかえて言えば、大出委員のおっしゃった人事院代償機関的性格をやはり念頭に置きながら申し上げたというふうに、私理解したのでございます。それから法律的に拘束しないというのは、言うまでもなく、だから、どうでもいいのだという意味ではなくて、先ほど大出委員が言われたように、制度的な、法律的な意味においては拘束力はないということを言われたことであって、この点も大出委員の御見解と相隔たる、あるいは違っておるというものではないように伺ったのでございます。しかしながら、ただいまお話もございましたので、なお総務長官がお見えになりましてからお話ししまして、お答えをいただくことにいたしたいと思います。
  51. 大出俊

    大出委員 時間を考え趣旨だけいま申し上げておいたわけなんですが、つまりこのあたりは、しかとそうだというふうに御解釈を賜わっておきませんと、一つの法律論でもありますから、将来にいろいろな問題を残します。したがって、私は、やはりこれは明らかにして、そういう心がまえの上に給与担当大臣をおやりいただかなければならぬ、こういう気持ちで申し上げているわけですから、くどいようですけれども、ひとつ後ほど大臣から明確に御答弁を賜わりたい。お願いをいたしておきます。   〔委員長退席、八田委員長代理着席〕  質問を続けてもいいのですけれども、どうもちょっと回り道してしまいそうな気がするので、大臣が来るまで質問保留しておきます。
  52. 八田貞義

    ○八田委員長代理 受田委員
  53. 受田新吉

    ○受田委員 大蔵省課長さんおいでのようでございますから……。  この人事院勧告の対象になる一般職の職員の中に検察官が入っておると思うのです。ところが、検察官なるものは法務省で検察官の給料に関する法律なるものを用意して、そちらで裁判官と同様にお扱いされておる。大蔵省としては従来人事院の所管の中に当然入るべき検察官の扱いはどういうふうにお考えになっておられますか。
  54. 辻敬一

    ○辻説明員 検察官につきましては、御承知のように従来いろいろな経緯がございまして、現在体系が別になっております。一般職の給与法の適用を受けませんで、検察官につきましては別建ての法律になっておりますので、私どもといたしましては従来の線に沿って考えてまいりたい、かように考えております。
  55. 受田新吉

    ○受田委員 今回総理府に人事局ができましたが、この人事局の所管の中に検察官が入るか入らぬか、どういう形になっておりますか。
  56. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 お答えいたします。  検察官が一般職であることは御指摘のとおりでございます。ただ、給与体系につきましては、先ほど大蔵省から御説明がございましたように、それが裁判官という特別職との関係、特に任用の形態、そういった職務内容等から考えまして、裁判官との給与体系と均衡するという趣旨がございまして、給与体系が別になって特別な法律を適用されておることは御指摘のとおりであります。  そこで、この検察官の給与体系をどうするかということでございますが、これは検察官の俸給表というのがございまして、その法律の中に、従前いろいろの支給規定をつくる場合に法務大臣と大蔵大臣が協議していろいろきめるということがございまして、それが今度法律を改正いたしまして、内閣総理大臣と協議してきめるということに相なっておりますから、その面におきましても、法務省それから私ども両方がいろいろ相談してきめるということになるわけでございます。
  57. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると今後は大蔵省はタッチしないことになりますか。
  58. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 制度的な面につきましては私どもがタッチし、予算的な面については当然大蔵省も関与するということになっております。
  59. 受田新吉

    ○受田委員 国家公務員法の第二条に特別職の規定が掲げてあって、それ以外のものがこの対象になるとはっきりうたってあるわけです。そうすると、勧告の対象にならないようなものを人事院がかかえておるというそのこと自身が間違いであって、むしろこの機会に一般職からはずして特別職のほうへ検察官は入れたほうがいいのじゃないですか。
  60. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 受田先生も御記憶あるかと思いますが、かつて昭和二十八年でございましたか、あるいは記憶がさだかでございませんが、人事院といたしましては、検察官について給与勧告をした前例はございます。しかしその際にいろいろ問題がございまして、やはり給与体系は裁判官に準ずる特別職体系に非常に近いという点がございまして、現在の別の法律体系になっておるわけでございます。  そこで、これを給与と切り離して、身分的に一般職にするか特別職にするかという問題でございますが、この問題につきましては、従前一般職の法律体系になっておりますが、これを裁判官と同様に、裁判所職員同様に特別職にするかどうかという問題は、いま私からは責任あるお答えはできませんが、検討してみたいと思います。
  61. 受田新吉

    ○受田委員 実質的に一般職へ置いて、勧告の対象俸給表その他には全然タッチできないような職種を置いておいてどういう効果があるわけですかね。この問題は簡単な問題ではなくて、基本的な問題だと思うのですが、結局人事院が、勤務条件その他の面では人事院の所管事項、それから給与、俸給表その他勧告等については全然関与できないような形に置いておくということは、法律的にちょっと問題がある。裁判官の俸給の関係などということは、それを考慮しながら人事院勧告すればいい。政府はそれに伴って法律案をつくればいいわけなんです。別に裁判官とにらみ合わせてあるのでということになれば、大学の総長の問題などもまた別のほうで派生することになってくる。むしろ人事局なるものができてきた以上は、この点人事局が完全にそういう俸給表等も掌握するという形をとらなければならないと思うのですね。はなはだへんてこな職種がここにころがっておる。人事院勧告してはならないという規定はないはずですがね。だから裁判官に準じた俸給表を勧告すればいいわけです。国家公務員法を改正する今後の所管局はどこになりますか。
  62. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 それは総理府でございます。
  63. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、総理府で御用意をされてその問題を解決する道があると思うのですが、人事院が改正案を出すわけにいかないですから……。ちょっと副長官、御答弁を願いたい。
  64. 細田吉藏

    ○細田説明員 ただいまの点につきましては、総理府といたしまして十分検討いたします。
  65. 受田新吉

    ○受田委員 今度の国家公務員給与法改正に際して、そのことは検討しておらなければならぬ。私からもかつて注意したことがある。実際の扱いは大蔵省がいままで検察官の俸給表までも一々タッチして、総理府は全然御存じない間に一般職の俸給がきまっていくという扱いがされておったわけです。特別職は全部あなたのほうですね。外務公務員のような特別職はあなたのほうですね。ちょっと御答弁願いたい。
  66. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 検察官について人事院給与勧告をするということについては、現在の法体系において、やろうと思えばできないわけではない。法律上排除しておりません。したがいまして、過去において人事院が検察官について給与勧告したことはございます。現在の法制のもとにおいては、したがいまして、特別に法律改正を要せずして、人事院勧告しようとすれば法律的にはできるわけであります。  それから外務公務員の場合でございますが、これは総理府は所管しないわけであります。
  67. 受田新吉

    ○受田委員 大臣にも尋ねることがあるから、こちらのあとからやりますから、一応暫定質問を終わりますが、本質問は一時間以内にやります。その点十分研究しておいていただきたい。
  68. 大出俊

    大出委員 大臣、だいぶお忙しいところを多少強引に呼び出しましたが、しかし大臣の古巣でございますから、ごかんべんをいただきたい。  ところで冒頭に一つ承っておきたいのは、何回かの通常国会等で、給与法をめぐり、あるいは勧告取り扱いをめぐり、この委員会が論議をいたしましたときに、永山大臣が内閣委員でおられましたときに、今日の公務員状態と申しますのは、なかなか気のきいた人が公務員にならない、そういうふうなところまできておるのではないか。ところで政府が綱紀の粛正から事務の簡素化、能率化ということを言うけれども、まずみずからがやることをやった上でなければ、そういうことを言うことは筋が通らないのではないか。また言ってもやらないのではないか。ということは、まず政府みずからがみずからの旧来の態度を改めて、人事院勧告の五月実施というものを完全に行なうということが筋ではないか。さらにまた恩給法等の問題、退職年金法等の問題をめぐりましても、旧の公務員でまじめに働いてやめた人たちが、恩給をもらいながら生活保護法の通用を受けているなどという人がいる。こういうふうな論議をされたときにも、政府がみずから行なうべきものを行なわないから問題がいろいろ出てくるということを指摘された歴史があるわけでありますけれども、大臣におなりになって、しかも自治大臣ということなのでわれわれもたいへん喜びました。私どもよりはむしろ筋を通して五月勧告完全実施を終始貫主張し続けられた永山さんのことでございますので、これはこの次の勧告のときには閣内で大いに弁じていただき、論じていただいて、何とか五月実施が実を結ぶかもしれぬ、昨年は大臣が内閣委員時代にお骨折りを賜わりまして、附帯決議がついているわけでございまして、十月が九月に前進をしたとともに、この附帯決議をてこにして、来年はもっと前進させる、そして完全実施させるということで、そういう意欲で決議をしたわけでございますから、そのお気持ちはおそらく私は変わっておられないと存ずるわけでございますけれども、まず、自治省を担当されておる、特に一番むずかしいところをお持ちの永山大臣から、ひとつその辺のお考え方を承っておきたい、こう思うわけでございます。
  69. 永山忠則

    ○永山国務大臣 古巣のこの委員会で、私がこうした責任的地位に立とうとは、どうも予期していなかったところでございますが、日ごろから非常に御後援をいただいている同士の皆さんから激励を受けまして感激いたしておる次第でございます。  私はいまもなお、前から申しておりますとおり、日本丸を運営いたしておる枢軸、大黒柱というべきものは行政官である。もちろん立法、司法、行政とありますが、三本柱の一つでございますので、その推進力が日本丸を高い、高度の知性と特性を持つ方向へ運航するか、低いほうへやるか、あるいは曲がった方向に伸ばすか、運命をきめる重大なる地位にあるのであるから、したがいまして、その給与は、大会社へどんどん優秀なのが取られて、そしてその残りが来るということのないようにせなければいけない。そのためには、まず給与は大会社に劣らないような情勢まで持っていく必要があるのではないか。さらにまた、したがってやめても安心して生活ができ、一生行政に奉仕するという体制を確立する必要があるから、途中で首にしたり、あるいはよそにやるというような体制はとらないことが好ましい。適材適所で、みずから将来のために、やめるのをとめるものではないが、安心して老後の生活ができ、子供の教育もできる体制にやるべきだ。それには恩給、年金関係を物価、生活費にスライドするという体制を確立する必要がある。なお、場合によれば、国家財政関係も見合わせなければならぬけれども、三分の一の恩給をあるいは二分の一に引き上げるとかいったような方向は、西ドイツその他でも先進国はやっているではないかというようなことを申し上げ、またそう思っております。したがいまして、給与勧告はぜひ人事院勧告を実現せなければいけないという、政治の姿勢を正すことが行政の運営を能率化する大きなものではないか、前もいまもそういう考えでございます。
  70. 大出俊

    大出委員 世の中の学者というのは、学説を立てた場合に、どこに変わってもその学説をひるがえすと、みずからの生命を失うというわけでありますが、私どもの場合でもそういうことが言えるのではないかと思うのでございまして、大臣がかつてから言っておられたことは、そのとおり変わっていないというお話で、たいへんありがたいわけでありますが、私は、これは大臣を困らせる意味で申し上げているのではなくて、立場がいろいろ変わりますと、むずかしい制約が出てくることも承知の上で、しかも、なおかつそのあたりも配慮を願って、ひとつ御努力を願うという意味の質問を申し上げているつもりでございますので、どうかひとつそのようにお受け取りいただきたいと思います。  ところで、安井大臣もお見えになって、たいへんお忙しいところどうも恐縮なんですが、給与担当責任大臣でもございますので長い時間はかけませんが、お聞き取りをいただきたいと思うのであります。  まず、地方財政の面から承りたいわけでありますけれども、まず一点は、昭和二十九年の七百億ばかり赤字が出ました時代の地方財政、これが最大の危機とかつて言われたのでありますけれども、今回はそれに次ぐ危機的状態地方財政がある、こういうことが政府関係筋からいろいろPRされているわけであります。ところで、これと関連をして一つ承っておきたいのでありますけれども、地方財政全体の当初計画、財政計画からいきまして、国家予算におおむね匹敵する三兆六千億くらいの額になっていると私は思っているのであります。このうちの一兆三千七百二十億だったと記憶いたしますが、これが給与予算である、給与費である、そういう、計画策定にあたってのものの言い方が行なわれています。国会に提出している地方財政計画の中で明らかになっているわけであります。しかもこの中で前年度対比二八・五%アップという形の一兆三千億という数字になる、一般的にいうとたいへん給与費がふえたんだというように受け取れる言い方であります。ところが、これを調べてみますと、私も当たってみたところが、職員数において一挙に十一万八千名新しく計画に盛り込んでふえているわけですね。間違いない事実だと思います。そうなりますと、いままでは、実際の実態調査云々がここに入っておりますが、たいへんに開きがあった勘定になる。つまり地方公務員の数をうんと小さく見積もって、しかも給与単価をうんと低く見積もって、その範囲で強引に地方財政を押えてしまうという自治省の方針があったわけでありますが、今回は逆に実態調査の結果云々ということばを入れて、一挙に十一万八千人も当初財政計画の上でふやして見積もっている。そして前年度対比一六・五%、何と三六%を占める給与予算給与支出一兆三千億だ、こういうPRのしかたは、私はきわめて不穏当だというように考えるのであります。何か知らぬけれども、給与はたいへんなんだ、給与はたいへんなんだということで、地方財政給与を圧迫する、賃金をストップする、押えるということをやりかねない、あるいは一つ間違えると切り下げる、こういう形はまことにもってけしからぬという気が私はするのであります。  それから、時間の関係がありますからもう一点ついでに申し上げておきますけれども、逆に、それじゃ人件費のほうはどうなっているかというと、これまた私はだいぶこまかく当たってみたわけでありますけれども、時間がありませんのであまりこまかいことは言いませんが、教育行政の部門で見ますと、大体人件費というのが六七%くらいを占めている部門です。警察部門でも人件費というのが非常に高くなっている。この両方で全体の七八%を占めるというような形になっている。一般職の職員の人件費は二〇%にしか当たっていない。そうしますと、これは事業の性格を考えていただければいいと思うのでありますが、学校の教育というのは先生が主体だから、事業費に匹敵するものが人件費なわけですから、あたりまえのことである。警察官だって、皆さん方に簡単に減らせと言ったって、減らせっこない。これも事業費に匹敵するものは人件費なんである。この部門を除いて二〇%が一般職だということになると、声を大にして、地方財政の中の給与費が、給与費が、ということをやたらそこらじゅうPRするということは、何かそこに政治的な意図があるのではないか。つまり国民一般は、自治体の赤字の根源は給料だそうだというふうに受け取る。ここに焦点が合わされたのでは、たまったものではないというふうに考える。そういうことをすると、お百姓さんを苦しめるいなかの悪代官みたいなもので、公務員労働者のほうはとにかくたまったものではない。だから自治大臣がおられるところで、こういうものの考え方は改めていただきたい、こういうふうにまず思うわけであります。この辺のところから、給与というものは、皆さん方はこういうふうに書かれておるけれども、一体どう考えておるのか。ここのところだけはっきりしていただきたい。
  71. 永山忠則

    ○永山国務大臣 いまの計数に関しては、一応事務当局から話させていただきます。
  72. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいまの点でございますが、まず地方財政計画の問題でございます。  地方財政計画につきましては、従来御存じのとおり、地方公務員の人数とそれから給与水準と申しますか、給与単価というものにつきまして、正確な調査がございませんでした。そこで、昨年一年かかりまして、御存じのとおり、この給与実態調査をやったわけでございます。その結果地方財政計画で見込んでおりまする人員と、地方団体が現実にかかえておりまする人員との間には、十九万人の差があるということがわかったわけでございます。その中で、ただいま御指摘になりましたように、十一万あまりのものはことしの財政計画で是正をいたしました。で、残りまだ是正をいたしておりませんのは、それぞれ理由がございます。理由のあるものにつきましては一応そのままにいたしまして、十一万人是正をしたことは、いま御指摘のとおりでございます。  ただそこでもう一つ問題がございますのは、給与単価の点でございます。給与単価の点につきましては、これは従来の単価とそれから今回のラスパイレスで比較いたしまして、国家公務員並みのベースで地方公務員のベースを置き直しましたその単価が、実はいままで地方財政計画で見ておりました単価よりも低いわけでございます。そこで、その出入りの計算をいたしまして、人件費の増というそれだけのベースでございます。というと、人間のふえた分と単価の減った分と大体差し違いぐらいになっておる、こういう形に相なっておるわけでございす。
  73. 大出俊

    大出委員 大体それでいいです。  私は数字を別に取り違えてものを言っているわけじゃない。指摘を申し上げているので、私が幾つか持っておりますから、大体全部数字はわかっております。その理由を聞いているのじゃないのです。つまり、地方公務員の皆さんに対する、特に給与に対するものの考え方、これを実ははっきりさせたいのであります。と申しますのは、先ほども人事院総裁にも聞き、大蔵省関係者の方にも聞いたんだが、国家公務員の側は二百二十三億というような勧告上の数字、これに義務教育費関係あるいは防衛関係あるいは特別会計の中の一般職、こういうふうなものを入れて計算をされているのだけれども、各省ともに当たってみると、私の聞いた範囲、調べた範囲でも百五十億円見当の節約財源あるいは過員欠員調整あるいは予備費の一部などということで見当をつけておる。したがって、総裁も最終的にそのぐらいのことはわかるはずだと言い切っておりましたが、それから主計局の次長も先ほど百五十億については肯定的にものを言っておられましたが、そうすると、国家公務員財源は九月実施をやっても心配はない。そうしますと、地方公務員財源だけが当面の問題である。そこで何かといえば地方公務員の単価が高いのちょうちんのということになる。その考え方の根本が間違っておるのじゃないかということを申し上げたい。その上での措置についてまでつけ加えて申し上げて、ひとつ皆さん方に御努力いただきたい、こういう趣旨でありますから、そういうふうに受け止められ、御答弁いただきたいのであります。つまり、いまお認めになったような形で操作をされている。知らない人が見ると、何か知らないけれども、公務員というものは、特に地方公務員については膨大にふえたわいという見方になりかねない。  もう一点だけつけ加えておきますと、財政規模との比較におきまして考えてみると、公務員給与というものは逆に下がってきているわけです。これはおそらくお認めになると思うのでありますが、数字は時間がありませんから詳しく申し上げせんが、それにしても資料を申し上げてみますと、年度別人件費、これは四十年度地方財政統計年報の数字でありますけれども、府県の段階でいえば、千単位にしてありますから、昭和三十年を四七八とすると、昭和三十七年度で三八二に下がっているわけです。、ずっと下がってきている。大都市あるいは他の市、町村もこういうようなかっこうになっております。人件費部面は財政規模からいきますと、非常に下がってきている。決してふえていない。つまり自治省も押えたのでしょう。今日そういう状態に置かれている。東京都なんかも、全国的にながめてみると、はるかに低い。こういうふうなことが明らかなわけです。  そういたしますと、一番問題になるのは、大都市の場合、国家公務員より地方公務員のほうが少し高いじゃないか、こういう意見が出てくると思うのです。ただ特にお願いしておきたいのは、国家公務員より地方公務員のほうが多少高くなければ、行き手がない。エリート意識が人間にはあるから、してみれば、給料がそう違わなければ、みな国家公務員になりたがって、地方公務員になりたがらない。地方自治体の長官は、むしろ地方公務員の賃金は国家公務員よりも多少高いということで、有能な人材を集めることにしている。そういう過去の歴史がある。そうだとすれば、多少高いのはあたりまえである。これをとやかく言う筋合いのものではない。西ドイツの例でも、中小企業の方々のほうが大企業より、ケルン経済研究所のなにからいっても二割五分名目賃金は高い。もし高くなければ来手がない。そうなってくると、国の国家公務員という権力関係からいって、地方公務員という形を考えれば、地方公務員のほうが多少高いのはふしぎはない。ということになると、以上申し上げた数字からいって、地方公務員給与が云々、けしからぬということにはならない。してみると、残るのは、財政的な問題である。こういうことになると私は思う。  ところで、二十九年以来かつてない大赤字だというその大赤字の原因は何かという点について、長い答弁は要りませんけれども、中心点をひとつ御答弁賜わりたい。
  74. 永山忠則

    ○永山国務大臣 根本の原因については、率直に言うならば、やはり高度経済政策のひずみが出たということではないかと考えるのでございます。
  75. 大出俊

    大出委員 そう答弁されては、深追いはいたしません。そう答弁されないだろうと思って、実は実証しようと思ったが、やめます。仰せのとおり、私もそう理解しております。つまり給与の一般職二〇%というものが赤字の根本原因ではないという解釈を私はとっておるのであります。今回この席は人事院勧告完全実施を論ずる席でありますから、よけいなことは申し上げませんが、そういうふうに理解いたします。  そこで、それじゃ一体どういうことにすればいいのかという問題が出てくるわけでありますが、三、四点指摘をさしていただきたいのであります。  いまのお説のとおり、たとえば市町村の超過負担というのがあります。この超過負担というものは国の明らかな責任でそういう結果になるわけでありますが、きめられているとおり国が分担をしない結果として超過負担が自治体段階でたくさん出てきているわけであります。したがって、そういうふうな点を四つばかり申し上げますが、数字を入れないとうまくないように思いますけれども、なるべく簡単にという意味で申しますが、国庫負担事業にかかる超過負担、この自治省の三十九年度推計で八百六十三億円、これは明らかに超過負担です。これは国が何とかすべき筋合いのものです。自治体の責任ではないと私は考える。  それからもう一点、一兆九千億にのぼるこの自治体の借金、この元利償還、つまり公債費問題ということになります。国の地方自治体に対する財源の措置、これが制度金融に切りかえられておりますね。そこで問題になるのは、行政機関金融の利子なんというものは一体どうなっておるかといいますと、これがかりにもし年間三分ぐらいに引き下がったらどうなるか。とたんに五百二十七億ぐらい浮いてしまう。つまりそういう高いおっつけ方を地方自治体に対してしている。一兆九千億にものぼる借金を自治体にさせて高い利子を払わせている、こういう問題点がもう一つございます。高度成長の結果、ますますそういう傾向になるわけであります。  それからもう一点、地方税の減免問題。やれ工場誘致だ何だという形でどんどん税金をまけている。自治体にはわからない。当然自治体にはね返って入ってくるべきものが入らない。これがばく大もない額にのぼっている。つまり完全に税金を取れば、これによって三千億円以上の自治体の財源が確保されるのではないか、こういう問題が地方財政の面に明確に出てきている。これも高度成長のひずみとおっしゃられればそのとおりです。こういう結果になっています。  それからもう一つ、公共事業その他の形で港湾あるいは産業道路等々数えあげれば切りがありません。工業用水なんかも入ります。そういうかっこうのものがこれまた数字をあげれば切りがないのですけれども、三十六年の四百十五億、三十七年の四百八十七億、三十八年の五百八十億、たいへんな増加傾向を持っているわけです。つまりこういうことが一口に言えば高度成長の欠陥ということになりますけれども、自治体財政を大きく圧迫した根本原因であり、元凶であるということになる。  ところで、もう一つ問題がある。これは締めくくりでありますけれども、交付税率二八・九%、吉武さんがこれを三〇%に引き上げたいということを新聞にうっかり発表をして大蔵省と大論争になった昨年の例、二九・五に上げてみたところで、その意味では解決をしない。言いかえれば、根本的には税源配分に問題がある、こういうことになります。そうなると、私がここで言ってしまったからどうのこうのというわけじゃないけれども、これは大臣が言えばえらいことになるでしょうけれども、やはり昨年吉武さんが陰でいろいろ言っていて、なかなか表面に出さないで、最後に出されたが、今日公務員、特に地方公務員財源をめぐって何がポイントかといえば、結局税源配分をどこかでいじるより手がない。そのことを総理がきめるより手がないと思うのですが、この点どうですか。
  76. 永山忠則

    ○永山国務大臣 地方財政はお説のように非常に苦しい情勢でございまして、府県、特に大都市、都市方面にいたしましても、政府が金を出してくれなければどうもならぬ、事業も一切できないという状態で、私は自治ではなくてむしろ中央集権の権力政治が行なわれんとする情勢になろうとしておるではないか、したがって、それに対しては財源の移譲をしなければ、ただ事務配分だけではどうもならぬじゃないか、思い切った切開手術を要求する、張りこう薬や何かでなおるものではないということを強く主張を続けておるのですが、どうもそれなら何を移譲するのかという問題についてはまだ十分話し合いをつけておりませんけれども、考えれば幾らでもあるじゃないかということで、いましきりに事務当局を督励いたしておるところでございます。
  77. 大出俊

    大出委員 例をあげれば簡単で、いいですか、さっさ私が申し上げました税金の減免分、取らない分、これはさっき三千億と私言いましたけれども、これを補助金に切りかえてごらんなさい。税負担の公平を期した上で補助金を国が出す、こういうことにすればとたんに三千億ぐらい浮いてくる勘定になる、どこから考えても。つまり問題は、政府が政策的にやるという腹をきめるかきめないかの一点にかかっておるということになる。このことに理論的に間違いはない。だからそうなってくると、さっきも申し上げましたように、交付税率の改定をやる、これも明確な一つ方法です。一%上げれば四百億違うのだから、そうだとすれば、大体計画的にどのくらいで返せるかというめどがつく。昨年も百五十億貸しておるはずです。そういうふうに、貸しておいて二八・九を二九・五に上げた。そういう前例がある。地方財政が二十九年以来の最大の危機といわれる根本原因は、高度成長という政府の政策によってきた結果だとすれば、一般職のわずかに二〇%の給与を引き上げるの引き上げないのという問題ではない、そういうことになる。最近日経連でさえ、地方公務員給与を少しくらい押えてみたって地方財政が黒字に転換するものではないということを言っておるわけです。そうなると、そのことのゆえに佐藤内閣は非常な不信をこうむる。この状態の中だから、やはり決断を下す努力をされて、いま私が申し上げたような政治的決断を下されて、地方公務員財源の手当をする、そうして人事院勧告を完全に実施するという筋になる。この点は間違いがない事実ですね。  そこで、私は安井大臣に承りたいのですけれども、いま申し上げたように、地方財政というものが根本原因になっていて、今日簡単に給与改定人事院勧告完全実施に踏み切れない、こういうやりとりになっておるわけでありますけれども、地方財政の根本原因というのはいまやりとりをいたしておりますようなことになっている。国家の財政収支自体の赤字三千億あるいは四千億、赤字公債を出さなければならないかもしれないという。これは不況という名がついて税収が減ってくれば、逆に失業対策とか、やれ生活保護なんという費用さえ出るのだから、赤字になるのはあたりまえです。だから、それにも原因があるのですから、そうだとすれば、政府の側が赤字公債を発行して均衡財政を破るという段階、そうだとすれば、いま申し上げたように地方財政に対しても国が責任を負って決断を下して実施する、その場合に国家公務員の方々の財源措置については大臣来られる前、先ほど来やっておったのだけれども、おおむね財源見通し、措置ができるはずだというところに論議はいったので、そうであるとすれば、地方公務員だけの問題が残るので、そこのところをどういうふうに踏み切って、有史以来ない、それこそさっき人事院の総裁が、私の記憶する限り完全実施をされた時期はないと言ったのだけれども、したがって今回は職を賭してもという気持ちになっておるかと言ったら、そういう気持ちでやる、そこまで話がいっておるわけです。そこで、人事局もできて、それを担当されて責任の所在が明らかになった初めての時期でもあるだけに、安井大臣からそこらのところの考え方を端的に、長いことは要りませんけれども、御答弁を賜わりたい、こう考えるわけです。
  78. 安井謙

    安井国務大臣 人事院勧告につきましては、全面的に尊重するというたてまえは私ども終始持っておるわけでございます。ただ、御承知のとおりの財政状況、ことしは特別な状況でもあるというような厚い壁があることも事実でございます。しかしながら、私どものたてまえは、あくまで全面的に尊重したいということでやるわけであります。いまお話にございましたもう国のほうは財源措置ができるのだというふうになっておるという点につきましては、寡聞にしてまだ私十分そういった御意見を伺っておらないわけでございます。いずれにいたしましても、私どもは本来は全面的に尊重すべきものだということで今後も折衝をいたしたいと思っております。
  79. 大出俊

    大出委員 先ほど私は大臣がお見えになる前にほうぼうの省を当たってみたり、いろいろしておりましたので、節約財源、つまり含み財源と言ったら語弊があると思いますが、百五十億円見当ぐらい、われわれが当たってみても耳に入るのだという話をしまして、主計局の次長さんのほうは節約財源ということばを使われましたが、各省それぞれそういう方向で……。そうなりますと、それが満配になるかどうかは別な問題ですが、地方財政とは違ったニュアンスを持っている、こういう状態だというふうに考えます。もちろん防衛庁だとかあるいは義務教育の方々だとかあるいは特別職だとか一般職だとかいう方々も入りますから、二百二十三億で必ずしもいけるわけではありませんが、しかしそれにしても、おおむねのめど、見通しというものは努力されればつくはずだという、そういうところも考え人事院勧告でもあったということを先ほど総裁も述べていたわけであります。それをいま私は繰り返して、おいでになりませんでしたから申し上げたわけでありますが、そこで根本的な問題で、きのうの大臣の御答弁を私聞いておりまして、増子人事局長に、大臣がお見えになる時間等の関係もありまして、時間の節約の意味で申し上げておいたわけでありますけれども、趣旨を簡単に申し上げれば、つまり、きのうのお話の中に、田口委員からの質問で、ストライキ権がなくなったことに対する代償機関としての人事院なのだから、したがって完全実施をすべきだという主張をいたしましたところ、大臣の答弁の側のほうは、全体の奉仕者というのが公務員の性格だから、本来的にストライキ権というものはない、それなら生活が守れない、だから理屈を申し上げるようで恐縮だけれども、そういう意味で人事院というものがあるのだ、しかしこれは法律的に拘束されるものではないのだ、こういう趣旨の御答弁があったわけです。これはニュアンスが違うといえば、これは言い直していただけばいいのだけれども、かつて私はそこのところをILO特別委員会等で八時間ばかり質問いたしましたときも、だいぶ詳しく解明を求めて、ILOの趣旨——私も提訴者の一人ですから、詳細に申し上げてやりとりをいたしました。それがどうも法務省の上告審の趣意書等の中を見ますと、日本の公務員労働者が二つに分かれている。つまり憲法十五条二項にいう全体の奉仕者という一つのグループが何となくあって、それから憲法二十八条にいうグループが何となくあって、十五条にいうところの労働者、つまり公務員、つまり全体の奉仕者、これは本来的にストライキ権はないのだという、そういう主張が法務省の中にだいぶ強くあって今日に至っているわけであります。これのけじめをつけたいという論争をいたしまして、法務大臣が答弁できませんで、結果的にジュネーブの昨年九月の喚問を受けましたときの法務省刑事局参事官川井さんの論説を引き合いに出しまして説明をいたしましたが、この中には明確に、日本の公務員は全部憲法二十八条にいうところの勤労者である、この解釈が日本の学説として通説になっている。ただしかし、十五条ということによって全体の奉仕者ということで制限を受ける、こういうと筋立ての論証をしているのでありますが、それを引き合いに出したが、なおかつ御答弁がいただけないので、御相談の上で石田労働大臣から統一的答弁をいただいた。その統一した答弁は、長いものではありませんから簡単に読み上げておきますけれども、石田労働大臣が、本年の二月二十日の予算委員会の私の質問に答えた統一見解なんでありますが、「憲法二十八条における勤労者の中に公務員は入ります。」これが前提であります。「しかしながら、憲法十五条の二項によって制限を受けます。」——制限であります。「受けますが、これは無条件で制限を受けるのではなくして、それに対してはいわゆる代替措置というものが講ぜられなければならぬわけであります。つまり、労働三権というものは二十八条によって保障されておるけれども、特定の職務にいる人は十五条の二項、あるいは場合によりましては十二条、十三条との関連において制限を受ける場合はあり得るわけであります。しかし、それは無条件ではない、代替措置が保障されなければならない、現にそれはされておる、」これがことしの二月の予算委員会における最終的な見解でございます。してみると、きのう田口委員が申しましたように、再質問のときに、長官の言う前段の意味は間違いだ、かつて労組法の適用を受けていたのではないか、こういうことを言いましたが、まさにそのとおりで、ILOの解釈もそのとおりでありますし、この点を明確にした上でお考えをいただかないと、どうも昨日のように本来的に公務員ストライキ権はないのだ、だから代償機関といってもどうもおかしいのだという言い方になってくると、これはILO問題がやかましくなっている世の中では通らないと私は考えますので、舌足らずの面があるいはあったのかもしれませんが、その辺は明確にしていただきませんと、疑義を生ずる答弁のままでは——速記録を調べてみましたが、答弁のままでは困りますので、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  80. 安井謙

    安井国務大臣 法律の専門家でありませんので、ちと舌が足りませんで誤解があったかと思います。いま御指摘の石田労働大臣の統一見解なる御解釈に、私は何ら異議を申すものではない。ただ申し上げましたのは、いまの一般の国民に対する奉仕者としての職務上、スト権というものに対する制限が当然できてきている。したがって、それに対しては、しかし生活権を擁護するためには人事院というものがあってこれを守っている。ただ私は法律的に保護がないという意味は、人事院勧告そのものに政府が法律的に完全に束縛されておるという性質のものではない。ではありまするが、しかしこれは精神を尊重すべきものだというふうに考えておるということを念のために申し上げましたわけで、この点につきましてはことばが不足かもしれませんので、御了承願いたいと思います。
  81. 大出俊

    大出委員 大体おっしゃられることはわかりますが、私の申し上げたい趣旨は、以上申し上げたような論争なので、これは法律論でございますが、しかし問題は、今日の日本の公務員労働者の置かれている法規制、労働法体系、そこにたくさんの疑問が生じて、世の中の学者諸君からもたくさんの指摘があり、かつILOをめぐりましてもたくさんの御指摘がある。それを一がいにどうこうというわけにはまいりませんでしょうけれども、しかしできる限り正しいあり方に漸次持っていかなければならぬことだけは事実だろう。しかも信頼の回復ということが一つの課題になっておりまして、昨日岩井事務局長等と、私も前総評副議長ですから、安井さんがお話しになっていることはよく知っております。知っておりますが、それも相互にひとつ信頼を回復しようという、あえて私は相互信頼と申し上げますが、そういう段階にいまきているときだけに、でき得る限り、とにかくもう人事院というものは代償機関なんだから、ILOの言う権利か、しからずんば代償機関だという、その代償機関だという認定ができれば、これは完全実施すべきものであり、そして法律的に不備な点は将来完全なものにしなければならぬ。公労法上の解釈のように、あれも不備なものを直したわけでありますから、したがって、そういうふうに漸進を求めることが、自治大臣永山さんがおっしゃっているように、優秀な公務員ができて、能率的な事務の運行ができてというふうに進んでいく筋合いにもなるわけでありますから、その点を私は、大臣と公務員の代表の方々とのたび重なる交渉の経緯を、印刷したものをここに持っておりますが、五月実施ということで、担当大臣という責任ある立場で、閣内五人委員会等の中で御主張くださるということが最終的にここにありますから、その意味では前向きでありがたいと思っておるのでありますけれども、そこのところをこの機会に、いまのような問題を踏まえた上でひとつ明確に御答弁を賜わっておきたい、こういうふうに考えます。主張された結果として、それがどうなっていくかということについては、安井さんだけが五人委員会を構成しているわけではないわけでありますから、それはそれなりに別途に考えたいと思いますから、御答弁いただきたいと思います。
  82. 安井謙

    安井国務大臣 昨日も申し上げましたように、私どもはその精神として、全面的に時期をも含めて尊重すべきもの、このたてまえに立ってこれからもいろいろと検討を進めていきたいと思っております。ただ現実問題は、これは理屈以外に、近来にない国、地方を通じて財政難である、この大きな壁が存在することもこれは事実であります。それを私どもがどう調整するかということは今後の課題であろうと思います。
  83. 大出俊

    大出委員 いまの御発言で、時期を含めて尊重すべきものだ、こういうお話でございますので、参考までに申し上げておきますが、小平労働大臣が数回公務員共闘の諸君に会った際に、九月実施をしきりに言っておられて、うっかり五月なんかと言うとどうもおこられてしまうという言い分が最初出ていたわけです。ところが昨日来参議院社労等の雲行きからいいまして、やはり五月という実施時期を含めて尊重すべきものであるというふうに動いてきておるように見受けるわけなのであります。先ほどの自治大臣の御答弁にも、旧来の考え方から変わっていないという御答弁がございました。立場を異にされておりますから、それ以上私は迷惑をかけますから追及はいたしませんが、となりますと、さて、官房長官の橋本登美三郎さんがおいでになりませんが、官房長官は何とおっしゃっているかといいますと、おれは五人委員会の行司役なんだから、行司役がどうも先にものを言っちゃうわけにいかぬという、こういう筋合いの御発言なのであります。さて、そうなれば殊るのは、IMFに行っておられて三日に帰ってこられる御予定の福田大蔵大臣が残るわけでありまして、この福田大蔵大臣が最後のきんちゃくを握っておられるので、しきりに大蔵省証券が云々、赤字公債を出さなければならぬ云々という、こういう言い方になっているのだと思いますけれども、五人委員会の大勢としては、給与担当大臣、自治大臣、労働大臣、こうおそろいになって、残る橋本さんは行司なんでありますから、三対一のところにどう行司が軍配を入れるかということになる筋合いだというふうに考えるので、そういう意味でひとつ最後まで御努力を願いたいのでありますが、そこのところを大臣、だめ押しをし過ぎる感じはしますが、心配なので、ひとつ……。
  84. 安井謙

    安井国務大臣 有力なる永山自治大臣がいらっしゃいまして、今回はまことに御一緒になっておるというふうに考えております。ただ、現実の壁というものをほんとうにどうやって解決していくかということが何といっても問題であります。たてまえは私ども全面実施ということでやろうと思います。これはよけいなことでありますが、きょう公務員共闘の方々とお目にかかりまして、いろいろお話をしたのでありますが、いまの代償措置である人事院勧告をいれられなきゃストライキはそのかわりやるぞ、やってもいいのかという御質問もありました。それは私は断然認めるわけにまいりませんというお話を申し上げておることもついでに申し上げておきます。
  85. 大出俊

    大出委員 ヒストリー・リピーツ・イットセルフということばがあります。歴史は繰り返すわけでありまして、二十九年、三十年というときに、いまと同じ公労協の側の正当防衛論なるものが出まして、政府と当時さんざんやり合って、今井さんの時代の公労委の裁定を認めないならわれわれは正当防衛の意味でストライキをやるぞ、いいか、こういうことがあったのでありますが、いみじくも十年たったわけでありまして、今度は公労協の側の方々は、別な法律改正が行なわれて完全実施が行なわれるようになっている。仲裁裁定は完全実施されております。ところで、残っている変わらないほうの人事院の側が実施時期がどんどんおくらされて、いま十年前と同じケースが出てきたということになるわけであります。立場が違いますから、いずれが是か非かということは申し上げません。申し上げませんが、事を好んで公務員の皆さんがたいへんな金をかけて東京へ出てきたり、雨の中を総理府参りをしたり、あるいはすわり込んだりということをやっているわけではないのでありまして、闘争のために闘争をやっているわけではないので、問題は早く解決をすることが必要だというふうに考えるわけであります。先ほど人事院の総裁の側からは、人事院勧告を出して、その勧告をめぐる取り扱い、これでストライキだ、云々だという段階が来る、これを座視して腕を組んでおられるかという私の質問に対して、同じ考え方ですから、何べんか実は声明くらい天下に出そうと思ってきたけれども、自重してきた、こういう御発言もあり、その気持ちには変わりはないということで、問題解決のために自分の置かれている立場に立って考えて、最大限のひとつ今度は紛争回避の努力をされる、という御答弁をいただいたわけでありますけれども、私どもも立場こそ違いますけれども、問題を解決することに最大の重点、力点を置いてがんばっていくつもりでありますから、どうかひとつ、そういう点はいま言われた理屈は理屈として、そこのところは全力をあげてがんばっていただきたいと思うのであります。  さらに永山大臣に一言申し上げておきたいのは、私は三年ばかり前にドイツ労働総同盟の大会に戦後初めての日本の労働代表としてあいさつに行ったのでありますが、そのときにウィリー・リヒターというドイツ労働総同盟の会長で有名な方でありますが、あいさつに来たアデナウアー総理を前に置いて、一年前に賃金引き上げの要求を出して一年間戦ってきた、ところで全国は六%賃金が上がった、特に公務員については、地方の公務員は全部六%上がってしまった、残っているのは、アデナウアー総理、あなたのおひざ元の国家公務員だけが残っている、これだけを、あなたは六%の賃金引き上げに反対だと言われたたてまえ上、最後まで値上げせずに今日まで残している、この大会の総理のあいさつで、あなたは負けたのだ、全部上がっちゃったのだから、最後に残ったものはあなたの手元の国家公務員だけなんだから、いさぎよく六%ここで上げますと言って帰れ、エアハアルト氏から私は、万やむを得ぬ、私は政治的に財政措置する、この話を聞いているのだと言ってあいさつをして、総理のあいさつを迎えたら、まあ地方公務員の皆さんが上がったという以上は、国家公務員の側も上げなければならぬ、まして財政担当のエアハルト君がそういったことになれば、私はここに引き上げるということを申し上げてあいさつをいたしますというので、大拍手で片づいたのでありますけれども、まさに私はそれと同じ意味で、地方公務員の方々を、とかくどうも給与がどうの、やれどうの、税源の配分の面からいっても問題がある、高度成長の中で自治体の負担ばかり多くなる、こういう世の中で、よりこの自治体の公務員の方々を押えるということは、いかがなものか。さっき、口が悪いようですけれども、いなかの悪代官の百姓いじめはやめていただきたいという気持ちがあることを申し上げたのでありますけれども、どうかひとつそういう意味で地方公務員に対する格段の御努力を私はわずらわして、勧告完全実施ということが初めて御努力の結果としてでき上がるというふうにお運びをいただきたいと思うのでありますが、最後でございますが、一言おことばをいただきたいと思います。
  86. 永山忠則

    ○永山国務大臣 公務員に準じて地方公務員は必ず勧告のようにやらねばならぬということを強く大蔵大臣に要求いたします。つけ加えて言えば、一%の節約を大蔵省は各省及び各府県へいっておりまして、これができれば一千億、これはおそらく給与財源に見合うものではないかとぐらい私は思ったのであります。それを解除して、そうしてとにかく地方開発、社会開発をやって、ひずみを是正するという基本方針にのっとって政治は行なわれておるのである、断じて赤字財政ではない。安定成長経済への道をたどるものだ。したがって、政府が金持ちで地方が貧乏するという政治はとらざるところであるから、どうしても財源的処置を政府がいたし、完全実施をするように強力に推進をいたしつつある次第でございます。
  87. 大出俊

    大出委員 たいへんどうもありがとうございました。それじゃこれで終わります。
  88. 八田貞義

    ○八田委員長代理 速記をしばらくとめて。   「速記中止」
  89. 八田貞義

    ○八田委員長代理 速記を始めて。受田君。
  90. 受田新吉

    ○受田委員 大臣にひとつ基本的な問題としてお尋ねしておきたいことは、国家公務員地方公務員給与のアンバランスが一つあるわけです。特に地方公務員の場合は、比較的豊かな都道府県と財政上貧弱な府県との間にアンバランスが出ておる。国家公務員給与水準と比較して、それよりも上位にある都道府県、それより下位にある府県というものの資料を一応用意しておられると思います。これについて、国家公務員の基準よりも下位にある給与水準の府県に対してどう指導しておられるか伺いたい。
  91. 永山忠則

    ○永山国務大臣 下位にあるのは主として貧弱な町村でございますので、交付税等の傾斜配分あるいは辺地債等の財政的処置をいたして、できるだけ財政的援助をするように努力を続けておる次第でございます。
  92. 受田新吉

    ○受田委員 お時間の関係でもう一、二点。地方公務員給与なるものは、国家公務員に準じて条例で定められることになっておます。ところが府県単位でなくて、さらに市町村段階の職員の給与になると、特に貧弱な町村などになると、著しく低水準の給与をもらっている職員があるわけです。これは資料としてお持ちだと思いますから、この機会にそういうはなはだしく低水準にある給与水準の町村職員に大いに希望を与えるためにも、どういう措置を自治省としておとりになろうかということについて御見解を伺いたいのです。資料が一応ほしいのでございます。これはあとから局長さんでもけっこうでございますが、大体基本的に大臣からひとつ御答弁願います。
  93. 永山忠則

    ○永山国務大臣 資料で給与水準より非常に低いのがどのくらいあるかという点は、わかっておると思うのですが、ちょうどいま持っていませんが、概してやはり豪雪地帯あるいは辺地の関係、そうしてさらに合併不能町村、こういうようなところがやはり水準より低いようでございます。したがいまして、豪雪関係等につきましても、基準財政需要額で積雪寒冷補正度を加味するとか、さらに辺地関係におきましては辺地債を特に認めるとか、あるいは本年から特に交付税の傾斜配分、そういう方面に重点的な補正係数をやる。しかし、いずれにしてもまだ不十分でございまいますので、今後さらに財政的処置を強化するように努力をいたしたいと考えております。
  94. 受田新吉

    ○受田委員 私、先般災害地見舞いをしたとき、大臣の御出身県の広島県の奥地、作木村その他をずっと歩いてみましたが、三千とか四千とかいう小規模人口の町村が残っておる。そういうところは、非常な過重の勤務状況でありながらも、報いられるところは少ない。自宅から細々と通うて、兼営農家などのかっこうでやっておいでになる。こういうことは、やはり公務員としては、国家公務員といえども地方公務員といえども、一応公務員の体面を保つ、そして勤務条件ということなども大体同じ形態であるという形からいうならば、当然その処遇を公平にしなければならぬ。傾斜配分などでそういうところへ力を入れようという御意思のようでありまするが、並んだ町村で、一方に大工場などがあって固定資産税等の徴収を大幅になし得る町村と、そういう施設のないところと、並んだ町村の間にも給与差というものは著しくあらわれておるのです。これは日本国のどこへ住んでも、どのような職務を選んでも、公平に日本国民としてのしあわせが保障できるという政治の要諦に反することだと思うのです。この点を今回の地方公務員給与改定にあたって、国家公務員と比較して十分検討をしていただきたい。あなたの、自治大臣としての立場を要請申し上げておきます。  残された問題、少し十分ばかり時間をいただきます。  この人事院勧告に伴う給与措置についての基本的な問題として、まず人事院にお尋ねします。給与局長の御答弁できる範囲でけっこうです。  この勧告というものは、罷業権を持たない公務員の場合には唯一のよりどころが人事院勧告にあるという形がとられている以上は、これは国家公務員という立場を人事院はお考えなんですから、地方公務員のほうは別としても、さしあたり国家公務員の基本的な問題が解決するという形が、人事院としてはとられなければならぬと思うのです。ところが勧告の内容について、きのうからの質疑応答を通じて、人事院が相当深い配慮をしておられることがわかるのでございますが、この国家公務員法の規定によるところの勧告基礎要件としての情勢適応の原則という規定が国家公務員法第二十八条にあり、また六十四条には俸給表の作成基準が示されております。これに一言触れておきたいのでございますが、この一般社会情勢に適応するということと、六十四条の「その他人事院決定する適当な事情を考慮して定め」るということ、これは今回の勧告にどういう配慮がされておられるか、御答弁願いたいと思うのです。
  95. 瀧本忠男

    瀧本説明員 ただいま御指摘のように、人事院勧告は国家公務員法二十八条のいわゆる情勢適応の原則というものに基づいてやることになっております。この情勢適応の原則というものは、これは勤務条件全般についていっておりますけれども、なかんづく給与水準ということについて申すわけでありまするが、この給与水準が、社会一般の情勢と比べてみて公務員が特に不利であるかどうかということが判断の一番核心になる、こういうふうに思うわけであります。そういうことで、一般的に水準の問題としましては、二十八条の趣旨に基づいて勧告をいたす。ただ、俸給表作成というようなことばがございますから、もちろん水準だけでなしに、給与体系の問題にも多少入り込むということになろうかと思うのでございます。ところが六十四条のほうは、これは公務員給与を定めまするときの一つの基準というものを述べておるというように考えるのであります。そこでは生計費、民間賃金、その他人事院考える適当な事情ということになると思います。そういう点を考え公務員給与体系をつくり、ないしはそれを維持改定する、こういう趣旨になろうかと思います。そこで、従来人事院がとってまいりました基本的な考え方といたしましては、生計費、民間賃金ということが、これが二大支柱である。その他人事院考える適当な要件ということは、これは生計費、民間賃金ということを補足いたしまするような一つ考え方である、このような考え方をとってまいっておるのでございます。  そこで、それではその他人事院考える適当な事情ということを考慮して今回の勧告をやったかということになりますと、われわれの考え方といたしましては、特にその考慮はいたしていない、こういうことでございます。
  96. 受田新吉

    ○受田委員 その他適当な考慮はこのたびは払われていない。だから生計費と民間賃金の二本立てできたわけですね。そうすると、初任給あるいは初任給に近い下級公務員の引き上げ率を高めたというような基準は、どこからきたことでございますか。
  97. 瀧本忠男

    瀧本説明員 これは先ほどから申し上げておりますように、民間賃金ということでございます。これは総裁がきのうも御答弁申し上げたのでございまするが、今回の勧告におきましては、初任給並びに中位等級以下の職員の給与につきまして特に配慮をいたすということを申し上げたのであります。そのことは、民間の初任給が上がっておるということと、事実わが国の現在の賃金体系というのが、初任給を出発点といたしまして、漸次昇給制度によって上がっていく。もっとも最近の状況によりますと、昇給ということよりもむしろベース改定によります水準の上がりということのほうが大きいのでありまするが、体系としては、やはり昇給で上がっていく、こういう体系になっております関係上、やはりその辺は前後バランスがとれるように考えていくという必要がございます。ちなみに、今回は消費者物価の上がりというものが去年に比べましても相当のものである。もっともこれは四月が極端に野菜等が高かったために、四月の消費者物価の上がりが極端でありまして、その後漸減しておるという状況でありますが、それはともかくといたしまして、とにかく消費者物価の上がりが非常に大きかった。そういうことは、これはやはり生活上受ける打撃の大きさと思いますが、それは上位等級の人よりも下位等級の人のほうが大きいであろうということも勘案の中に入っておるわけでございます。
  98. 受田新吉

    ○受田委員 特に下級公務員、上厚下薄を押えて、上薄下厚に持っていくという、初級公務員、下級公務員の希望を大いにその勤務の上に反映させるというような配慮というものは手伝っていないわけですね。人事院のそうした勤務条件を、あるいは勧務の意欲を増大させるというような配慮は、その他の事情の中に全然ないわけですか。
  99. 瀧本忠男

    瀧本説明員 ただいま申されまするようなことは、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、二十八条の「社会一般の情勢に適応する」ということで、水準が主であるけれども、背景の問題も多少は入るんだということは申し上げたのですが、むしろそういうことによりまする考慮というものと、それから正当な民間賃金ということの考慮の中に入る。ただ、いま申し上げておりますることは、もう法律に書いてある以前の給与の問題であるというふうにわれわれ考えておるのであります。そこで、その他人事院が適当と考え事情ということになってまいりますると、これはやはりかつて人事院がその考慮を払いまして問題になったことがあるのでありまするけれども、たとえば民間で賃金の不払いが非常に多いとか、あるいは倒産いたしまする事業場が非常に多いとか、そういうようなことを考慮に入れたことがかつてあったわけでございまするけれども、そういうことを考慮に入れるということが、その他人事院考え事情というようなことを非常に広く考えた場合に当てはまるのではなかろうか、このように考えております。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、この二十八条の一般社会情勢に適応させるということになるわけで、その他の事情もやはりそのワクへ入るんじゃないですか。二十九年のあの勧告をやめたときの総裁の御説明にもそういうことがありましたよね。だから、これはやはり人事院のあり方として、その他の事情というものの中には、そういう社会情勢の変化というものが、その他の事情の考慮の中へ当然含まれると解釈していいんじゃないか。そうすると、この人事院というのは、その他の事情は、いま申し上げた二十九年の勧告の説明の部分だけがその他の事情に入るので、その他の事情には、ほかには何にもないということになる。つまり上厚下薄を押えて、下級公務員に特に勤務の意欲をわかせるという事情も、やはりその他の事情の中に入るべきじゃないかと思うのですよね、社会情勢の変化に即応する格好からいって。まあ私の要求でございますから、そういう配慮をして、特に低収入の職員に一応生活の基盤を与えるような意欲をわかしていくという配慮を今後とも続けていただきたい。  そこで、ちょっとだけこの勧告の別表の中にある記録からお尋ねしたいのですが、行政職(一)、(二)、これは大体民間従業員の給与のほうが公務員給与よりも終始高い地位にあります。ところが教育職俸給表、これは一号表も二号表も同様、むしろ民間のほうが低い水準にある。さらに民間のほうが著しく高い水準にあるものは医療職俸給表で、民間従業員の給与が九万円以上であり、公務員給与は六万六千円余である。これが(一)。(二)のほうは、民間が三万九千円とちょっとであり、公務員が三万六千円、また医療職(三)は逆に民間のほうが低い、公務員のほうが高い。つまり比較の上においては全く、ばらばらになっておるわけですね。そうして民間給与との比較からいったらばらばらな措置を人事院はやっておられるわけです。これはどういうことになっておるのでしょうか。
  101. 瀧本忠男

    瀧本説明員 御承知のように、公務員の俸給体系というものは、いわゆる給与というものは職務給的な給与体系というものであるべきであるということが前提に立っておるように考えられるわけであります。ただそこを明確にいっておりませんので、やはり解釈の幅があろうかと思います。そこで現在の状況におきましては、わが国の給与体系というものは、一つ事業場におきまする、一つの勤務いたしておりますそのグループの中における前後左右関係と申しますか、均衡関係と申しますか、そういうものが給与の体系を維持いたします際の非常に大きな要件になっておるということも事実でございます。そういうことを勘案いたしまして、公務員給与勧告いたします際の決定をいたしておる次第でございます。そこでわれわれは、給与を精細に調査いたし、積み上げて、絶対格差を出すという趣旨のために俸給表別の比較をやっておりますけれども、現在はただいま御指摘になりました別表第一の全職種の総合格差というところの五・六%、もっとも今回は一・六というものをこれに加えて七・二というもので改善をはかったのでございますが、ここでは五・六%でございます。この五・六%というものを一応目安に置きまして、そして、しかしそうは言いながら、俸給表別の官民の違いということを圧縮した形において考慮しながら、現在の俸給の体系を考えておるということでございます。そこで、ただいま御指摘のように、かりに人事院が俸給表別にこのとおりにやったといたしますと、先ほど私が申し上げましたように、やはり公務部内の前後関係といいますか、均衡関係というものを完全に保っていくことは非常にむずかしいのでございます。これは申し上げるまでもございません。たとえば、ただいま大学教育関係の方々は、わが国の教員給与は非常に安い、だからアメリカへ優秀な教師、研究者が逃げていくんだということをしきりにおっしゃる。よくわかるのです。しかし現実に調査をいたしてみますと、私学における大学教職員の給与は、公務できめておりますものよりも安いということでございます。しかしこれにこだわっておったのでは、ただいま申し上げましたような事態を解決することはできませんし、また一方調査としては、現にそういうものが民間にありますから、調査はいたします。しかしわが国の私学の経営が苦しい状況にあり、教員給与というものが必ずしも十分でないという事情にある際に、それを直ちにもって公務に当てはめるということもむずかしいという状況でございます。また医療職にいたしましても、お医者さんの給与は都会地よりもかえって辺地に行ったほうが高いという、他の一般の職員に比べますと全然反対の現象がございます。また、これはどういうものかわれわれ給与幾ら上げてまいりましても、たえず相当な格差が出てまいるというような現象もあるということでございます。また看護婦さんにつきましては、公務のほうが高いのでございます。しかしながら看護婦さんの現実の勤務の状況等から見てまいりますと、やはりそういう給与ではたしていいのか、現にそういう給与でやっておっても看護婦さんになり手が非常に少ないというようなことがございます。そこでわれわれはむしろ今回看護婦さんの激務に対して、夜間勤務について特別の手当を考えさせていただこうというようなことを考えている。いろいろくどくど申し上げましたが、要するに現在の状況におきましては、われわれが俸給表別に調べました官民較差を直ちに問題にするということは、どうも現在の公務部内の均衡を保つゆえんでないという現状にかんがみまして、総合格差を問題にいたしながら、なおかつそういう俸給表別の格差関係を頭に置いて、これを圧縮した形で考えていく、こういうことで検討した次第でございます。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 したがってこの俸給表作成は、その他人事院決定する事情という中へこういうのが入る。たとえば私学などが経営が困難であって、薄給の職員をかかえてなお困難である。そのときには教育職員の給与というものを国家でこういう程度に引き上げ、私学の水準をそこへ引き寄せるような、むしろ刺激を与えるような意味において教育職員の俸給表は民間よりはずっといい水準に持っていくべきである。あるいは医師の場合は、民間は九万円以上というものであるにかかわらず国家公務員のお医者さんは六万六千円と、もう三分の二ちょっと程度の給与であるが、これはもう少し処遇を改善しなければいかぬ。いろいろな、民間賃金と生計費以外のものが俸給表作成に手伝っていると思うのです。いまのような二本立てできめたと断定をされたのでは、こういうものの扱い方に、説明に困る事情がありはしないかと思うのですね。これは十分検討を要する問題だと私は思うのです。  このお医者さんの場合など、たとえば自衛隊の医官がなかなか応募者がない。私の郷里に防府という南、北基地という航空自衛隊の基地がある。お医者さんがおらぬものですから、医官がいないものですから、民間のお医者さんに委託しておる、こういう形になっている。こういうことは、医官の定数の問題もありましょうが、公務員のお医者さんではなかなか食っていけないという情勢があるわけでございまするから、お医者さんの処遇改善はこの一両年相当改善をしたようであるが、これらもひとつ十分考慮に入れなければならぬ、こういう問題がある。看護婦さんのほうは民間のほうはむしろ低いが、低いのが間違っておるのだ、公務員の場合はここまでいっておるのだから、お医者さんと看護婦さんとこんなに差が開くということは、民間の病院経営者の心得違いじゃないか。人権尊重の立場から、徹夜、完全看護をすればすばらしい労力を要するのであるから、看護婦さんの処遇は国家公務員並みに引き上げろというような刺激を与える問題にもなるのだから、給与体系というのは、人事院がある程度勤務意欲をわかせるための政策的なものを考慮して俸給表を決定されるという筋合いであるべきだと私は思うのです。これは私の要望事項でございますから、ひとつ御同感をいただいたお考えを承って、−異論かございますか。
  103. 瀧本忠男

    瀧本説明員 ただいま受田委員のおっしゃっておるような気持ちでやっておるわけでございます。ただ六十四条の解釈の「その他」のところで、そういうことを考えれば「その他」のところに入るかどうかということがまあ非常に議論の中心にあったように私は思いまして、それで「その他」のところでは従来人事院はこういう考え方をしておったのでございます、ということを申し上げたのでありまするが、この点はさらに十分検討いたします。ただやっておりますることは、受田委員の御指摘になりますそのとおりのことをやっておるということを申し上げておきます。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ。先ほどちょっと人事局にお聞きしておいたのですけれども、国家公務員法第二条の規定にある一般職の職員を人事院は完全把握していません。これは法律違反じゃないかと思うのです。法律違反を人事院がやっておる。それは特別職の職種がそれぞれ二条に指摘してある中に、検察官なる者は掲げてないのです。その検察官を勧告の対象の外へはずしておる。また大学の総長などは文部省のほうからかってに俸給表をつくって、人事院勧告にないような法律案をおととし出した、そういう事実もあるわけです。一般職の大学の総長、学長を、人事院の意見も聞かぬでかってに文部省などが法律案を出して騒ぎたてるものですから、私はこれに対しては徹底的に追及してこれをついに引っ込めさして、人事院を基準にせよ、人事院勧告に基づいてやるべきだということであのとき非常に強く主張して、結局そのとおりになったわけでございますが、人事院そのものが、一般職をよそのほうにぶんどられて指をくわえておるようなことでは、人事院の権威はなくなります。検察官の俸給表、給与についても、当然人事院は国家公務員法の規定に基づいて対象にすべきである。これを別ワクにするというようなあまりにもだらしないやり方については、人事院の権威のために私は惜しむものです。ひとつ局長さん、御答弁を願いたい。
  105. 瀧本忠男

    瀧本説明員 検察官につきましては、これは一般職でございます。御指摘のような点があろうかと思うのでありますが、現在の状況を申しますと、検察官の俸給等に関する法律というものが定められておりまして、この検察官の給与の改正等は、裁判官の——これは職務の関係上非常に両者の関係が深いということは理解できるのでありますが、裁判官の報酬等に関する法律というものと絶えず均衡をとりながら、人事院給与の改善の勧告をいたしますれば、その改善勧告に見合って一定の方式によりまして、裁判官と検察官の俸給改善は、政府側のほうでほとんど一定方式によって関係を保ちながら改善をここ十年くらいはかられてきたということがございます。その意味におきまして非常に間接的ではありますけれども、検察官の給与決定あるいは維持等につきまして、人事院の一般職の勧告というものが及んでおるということは言い得るのではなかろうか。現に検察官の俸給等に関する法律というものがある。これは五現業の職員ももちろん一般職でありますけれども、国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法というものがございまして、これまたはずれておるという事情があるのであります。理詰めでいえば、これは一般職であってそういう特例法になっておることはおかしいではないか、人事院の当然やるべきことをそれだけ怠っておるではないかという御指摘はごもっともだというふうに思うのでありますが、十数年にわたってそういうことが行なわれており、現に給与決定上それほど支障がないという習慣法的なものがあるという現状から見ますると、そのことが現在非常に不当であるというようにも考えられないのではなかろうか、消極的な意味におきましてでございますけれども思うのであります。  かつて人事院は、昭和二十四年の十二月の勧告と二十五年の八月の勧告で、この検察官等の俸給決定ということが一般職でありながら特別法によっておることは、どうもぐあいが悪いのではなかろうかという勧告をいたしたのであります。この勧告はやはり政府側においてもいろいろ御審議になったことでありましょうけれども、最終的には国会で御審議に相なりまして、二回も勧告をやったのでありますけれども、なおかつ検察官の俸給等に関する法律というものが廃止されなかったという事情もこれあり、そういう経過を経てきておりまして現在では現在の体系ということが、理詰めでいえば人事院が怠っておるようでありますけれども、それほど支障のある事態になっていないのではなかろうか、このように思います。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 いま検察官の俸給等に関する法律の第一条に書いてあることは、検事総長、次長検事及び検事長については、特別職の職員の給与に関する法律の例による、こう書いてあるのです。特別職にしてしまっておるのです。これは問題です。一般職の職員を特別職にするというようなことへ持っていくのはたいへんなことなんです。一般職の検事総長の給与はいま三十万円です。国会議員の場合も一般職の最高を下回らないということがあるのですから、われわれも三十万円くらいにほんとうはいかなければならない。一般職の法律に忠実であろうとすれば、三十万円を下ってはならないということになるわけです。一般職の最高は三十万円ですから、そういうことになってしまう。しかしこれはわれわれとしては、一般職の対象になっていなくて、特別職の職員のかっこうになっておるから、との三十万というものを採用しておりません。そういう意味で一般職の職員を特別職の職員の給与の例によるようなかっこうの法律を認めるというのも、人事院の権威に関するもので、これは私の所管事項だということで、人事院はたとえ国会がどのように扱おうと、国会の情勢などにかかわりなく勧告を、毎年々々検察官俸給表というものを別につくって、国会及び内閣に提出すべきであると私は思うのです基本的に。そのとおりに国会がやらぬ、政府がやらぬでは、政府自身が人事院を無視することになるのです。政府はきょうは責任者はどなたがおられますか。この問題について、局長御答弁願います。人事院は、いま国会のほうでやれなかったとおっしゃってきたが、人事院には基本的に御注意申し上げたが、今度は政府側です。
  107. 増子正宏

    ○増子説明員 ただいまの問題でございますが、ただいま人事院給与局長がお答えしましたような沿革といいますか、経過をたどって今日に至っておるわけでございます。問題は給与の適正化ということであろうと思いますが、検察官につきましては、身分上におきましては言うまでもなく一般職でございまして、この原則は貫かれているわけでございますが、給与の問題につきましては、その職務の内容等からいいまして、裁判官との均衡というような形で、そこに一つの重点があるわけでございます。人事院が一般職というたてまえにおきまして勧告をすること、これは法律上も当然可能であり、その役割りのうちに含まれておると思うのでございますけれども、政府として決定いたします場合には、やはり実際問題として、人事院勧告がないからしないというわけにもまいらない点もあるわけでございます。従来いろいろないきさつがあったわけでございますけれども、少なくとも給与の問題につきまして、検察官について特別法をもちまして、内容的には裁判官との均衡を考慮しながら定めてきたという従来のやり方、これは現在のところにおきましてはやむを得ないといいますか、現実に即したやり方と考えざるを得ないというふうに思うわけでございます。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 先ほどの御説明によると、検察官は今度は人事局の所管事項になっている、そういうことになっております。大蔵省と法務省が相談するのでなくして、今度は法務省と人事局が御相談される。総理府が、総理大臣が相談される、こうなっておる、それはいいですね。
  109. 増子正宏

    ○増子説明員 先般の改正法によりまして、従来大蔵大臣として行なっておりました権限を、内閣総理大臣が行なうということになっておりますことは、御指摘のとおりであります。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 したがってこの機会に、検察官の分は一般職の俸給表のところへこれをみんな入れられて、つまり裁判官との給与を十分考慮しながら、一般職のほうに入れればいいわけなんです。裁判官とのバランスを考えて一般職に入れる、つまり大学の総長などは国務大臣の八割という数字が出ておる。だからやはりそれを考慮しておるのです。そして一般職へ入れてある。したがって、検察官の分もそれを考慮しながら一般職へ入れる、そういうことできちんと統一をとっていただきたい。何だかわからぬようなあいまいな職種があるような独立の法律でいくというと、前の文部省が犯した罪をそのまま認めるということになる。人事局ができたこの機会に、この給与の体系を本質的に引き戻すために、増子局長のもとにおいて、ずばりとこれからやっていただきたいです。そして他の外務公務員あるいは防衛庁などとの問題においても、できれば給与というのは、一応人事局——まだ人事局の所管にないものがあるようですからね。ここに防衛庁の方々おられますけれども、防衛庁の職員の俸給、給与、それから外務公務員というようなものは、人事局の御所管にないのです。これは人事局としてはたいへんさびしいことなんです。たとえ人事局に相談されたとしても、大蔵省のほうで独特の方針でそれをきめていくかっこうになっておる。公務員の全体の体系を保持するために人事局ができた以上は、すらっとしたものにしてもらいたい。局長の実力のほどをお見せ願いたい。  そして人事院は、せっかくこの人事院の権能——特に瀧本先生のこときは、長期にわたって給与担当された日本における功労者ですよ。これはひとつそういう政治的な圧力に負けないで、裁判官の場合の特別立法に負けないで、堂々と一般職の職員として、国家公務員に規定した水準で、要請をしていただきたい。  これで質問を終わるが、最後完全実施の問題で、実施期の問題については、これはあまり財政上とか何とかを考えなくても、基準がぴしっと人事院のほうで出ている以上は、これはやろうと思えば別ワクで計算すればいつでもできるわけです。財政事情というような問題は別の角度から起こってきておる問題ですから、これだけは人事院の要求したものをそのままのむという慣例を、人事局ができた機会に率直にひとつきめていただいて、せっかくの人事局の発足を祝福するような結論が出るように要望して質問を終わることにいたします。
  111. 増子正宏

    ○増子説明員 一般職である検察官の給与法につきまして、人事局ができた機会にすっぱりとというような御意見、御要望でありますが、人事局の仕事はいろいろあるわけでございますし、そしてその任務でございます給与等を中心としまして公務員の人事行政あるいは公務員制度の運用等につきましての政府としての統一の保持という面では、いろいろと私どもの責務を果たしていかなければならぬと思っておるわけでございますが、その過程におきましていわゆる一般職の給与の問題であるから法律は一本でなければならぬというふうには必ずしも考えないわけでございます。内容におきましていろいろ特殊な点を含んでおります場合には、それはそれで別途の法律の形をとるということもあり得るわけでございます。単に一般職の給与であるから一般職の給与法の中でまかなわなければならないという原則もないかと思うわけでございます。しかしながら、お説のように給与というもの、あるいは国家公務員給与というものが、全体としてバランスのとれたものでなければならない、そういう意味で人事局が仕事をすべしという点に対しましては、私ども全く同感でございます。そういう実質的な意味での御期待には、われわれまことに非力でございますが、今後とも一生懸命やりたいと思っておるわけでございます。  それから、なお実施時期の問題につきましても、御説の意のあるところは十分体しまして努力したいと存じます。      ————◇—————
  112. 八田貞義

    ○八田委員長代理 国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まず最初に、富士演習場におけるリトルジョンの発射訓練の問題についてお伺いをいたします。  リトルジョンの性能について、簡単に御説明いただきたい。
  114. 小幡久男

    ○小幡説明員 リトルジョンの性能につきましては、射程が約二十キロであります。それからたまの長さが四・一五メートル、口径は三百十八ミリ。以上でございます。
  115. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今回富士で発射訓練されんとするリトルジョンの部隊はどこですか。
  116. 小幡久男

    ○小幡説明員 指揮系統を申しますと、沖繩の陸軍司令部のもとに第九軍団司令部がございまして、その司令部の下に属します五十七砲兵部隊、英語ではユニットとなっておりますが、日本語では一応部隊と申しておりまして、五十七部隊所属のものでございます。
  117. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは沖繩にはそのリトルジョンは何基いまあるわけですか。
  118. 小幡久男

    ○小幡説明員 沖繩にこの兵器が何基あるかは私は現在情報を持っておりませんが、今回日本に持ってまいりましたのは四基でございます。
  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは防衛庁長官がお見えになりませんので、海原官房長にお尋ねします。沖繩には何基ありますか。
  120. 島田豊

    ○島田説明員 私ども正確な情報を持っておりませんが、四基ではないかというふうに考えております。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 施設庁長官のお答えによれば四基今回の発射訓練に持ってくる、そうすると沖繩に現在あるやつが全部来るということになりますね、そうですね。
  122. 島田豊

    ○島田説明員 先ほどお断わり申し上げましたように、正確なることはちょっと私ども承知してございませんが、一応四基ということに考えておりますが、そうなれば全基がこちらに参ることになります。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では情報としてでけっこうですが、このリトルジョンはいまベトナム戦争に使われておりますか。使われていないとすれば、その可能性についてはどうですか。
  124. 島田豊

    ○島田説明員 ベトナムで使われておるかどうかということは承知しておりません。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは射程二十キロといえば、ある程度局地用に使われるものと思われます。そうすると沖繩で発射訓練をしなくて、やっておるかもしれませんが、今回なぜわざわざ富士に持ってきて発射訓練が行なわれるのですか。   〔八田委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 小幡久男

    ○小幡説明員 沖繩では、この種の距離の射撃を実施する陸上の演習場がないということを聞いております。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは沖繩に持ってきたリトルジョンは、この極東区域においては初めて今回訓練をするということになりますが、そうですが。しかもその地を富士に選んだということになりますね。
  128. 小幡久男

    ○小幡説明員 私も情報ははっきりしておりませんが、日本ではこれが初めてでございます。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 沖繩では発射訓練は全然されないわけですか。
  130. 小幡久男

    ○小幡説明員 現在までの情報では、発射訓練をやったということは聞いておりません。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 やっていないかどうかではなしに、沖繩では二十キロの射程しかないこのリトルジョンがやれないのですか。
  132. 小幡久男

    ○小幡説明員 先ほど申しましたとおり、陸上でこれをやるということは、沖繩ではそういう演習場がないということを聞いております。したがって、射程一ぱいの訓練はやっていないんではないかと思っております。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、リトルジョンの発射訓練については、今後は沖繩のリトルジョンは必ず日本でやるということになるのですね。
  134. 小幡久男

    ○小幡説明員 将来のことはまだきまっておりませんが、今回は十月初旬にやりたいという個別的の申し入れがあったので、了承した次第でございます。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは沖繩にこのリトルジョンはいつ配備されましたか。
  136. 小幡久男

    ○小幡説明員 ちょっとその点はつまびらかにしておりません。
  137. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのくらいの情報は調べたらどうですか。日本で初めて行なうという、このリトルジョンの発射訓練をやるというのに、いつごろこれが沖繩に来たのかくらいの情報は、どうしてとれないのですか。防衛庁はいろんなほかの情報については、予算をたっぷりとってやっていらっしゃるが、これはいずれ臨時国会でやりますけれども、その程度の情報をなぜとっていないのですか。とれないのですか、防衛庁のほうは。どうですか。
  138. 島田豊

    ○島田説明員 従来オネストジョンの部隊がございまして、現在そのオネストジョンの部隊が撤退いたしております。したがいまして、その後に沖繩に装備されたのではないかというふうに考えております。
  139. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではこのリトルジョンはオネストジョンにかわるべき兵器である、そのように理解されておりますか。
  140. 島田豊

    ○島田説明員 戦術的な使用の目的につきましては私は詳細承知しておりませんが、オネストジョンよりももちろん小型の兵器でございまして、むしろ本来は空挺隊等において装備をされるというふうに承知をしておりますので、オネストジョンと同種のものではないというふうに考えております。
  141. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 念のためにお伺いしておきますが、日本の自衛隊としては、将来このリトルジョンを採用する可能性がありますか。
  142. 島田豊

    ○島田説明員 現在のところでは考えておりません。
  143. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは本題に入りますが、今回の発射訓練について、いつどのような形での通告が日本政府にありましたか。
  144. 小幡久男

    ○小幡説明員 日本政府に対しましては、いまからおそらく二週間ほど前と思いますが、リトルジョンというものを大体十月の初旬に発射いたしたい、大体日取りはおおむね次のように考えておる、それから演習部隊の規模とか弾地とかいうものはこういうものでありますというおおむねの通報が政府側にはございまして、それを受け取りまして、実際の具体的な日程がはっきりいたしましたのは十日ほど前でなかったかと思っております。
  145. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その通告は日本政府のどこに正式にあるのですか。
  146. 財満功

    財満説明員 米駐留軍が行ないます演習の通報に関しましては、横須賀の海軍司令部より地方関係当局に出されるものでございます。それも従来の形を申し上げますと、一週間分をかためて一週間前に通知してくる。そうして私どものほうへは県のほうから参るというのが正式のルートでございまして、ただし県に出されるのと少しおくれるという程度で演習通報は私どものところに参っております。
  147. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、正式の通告は日本側では所在する県当局にあるわけですか。
  148. 財満功

    財満説明員 さようでございます。
  149. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、いまの長官の御答弁では、のようであるとか、ではないかというような、確定した返答ではないわけですね。明確には  いつどういう形でということはつかまれないのですか。
  150. 財満功

    財満説明員 私どものほうは、先ほど申し上げました演習通報が県に参りまして、それと同時に、ないしそれより少しおくれて参りました際にその演習通報を検討いたし先方に申し入れをする。これはいかなる種類の演習であるとか、どういう目的を持った演習であるのか、そのようなことをお互いの情報の交換として出すということで、先ほど施設庁長官から通報があったというふうに申し上げた次第であります。
  151. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 昭和二十七年十二月十七日、第三十二回日米合同委員会決定事項の中に日本の基地でそういった訓練をやるときには、七日前に通告をするということになっておりますね。現地日本側代表に七日以前に通告をする、この合同委員会による決定事項の通告の形態とはどういう形態をいうのですか。この七日以前ということがきめてある以上、その通告が時期が非常に重大になっています。
  152. 財満功

    財満説明員 私、ただいま手元にその演習通報の一通を持ってまいりました。九月の二十七日付けで十月三日から九日までの演習を通報してきておるものでございます。これは通常の形によりますと一週間分をまとめて申してきたものでございして、このことをさしております。
  153. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは訓練の期間を九月二十七日に通告してきたわけであります。それでは実際にこの東富士の現地と使用協定をなさっていらっしゃるわけですか。それにはこの合同委員会のやつも含まっておりますけれども、九月二十七日に通告されてきたものは射撃の日時の通告ではないわけですね。
  154. 財満功

    財満説明員 使用協定によりますと、射撃を行なう場合は少なくとも七日前に地方関係当局に通告することに同意する。この通告は、射撃の日時及び使用する地区を含むと相なっておりまして、その点現実の演習通報で通報してきておるわけでございます。
  155. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 十月三日から九日までの期間のうち適当に射撃訓練をやるということで足りるのか、あるいは何日の何時にやるのだという要件が必要なのか、お伺いをいたします。
  156. 財満功

    財満説明員 先方が通知してきておりますものは、一般訓練と射撃訓練というように分けて、射撃の場合に富士演習場のどの地点からどの地点へ向けて撃つということが示されております。この中に時間の問題が入ってございません。したがいまして、私どものほうはこれを先方にただして、そしてそれを現地に伝えるということで補足的な仕事を行なっております。
  157. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、いまそういう内容についての具体的な折衝をやられておる、そして日時がぴったりきまって地区がぴったりきまり、それが通告されたとき、初めてこの七日以前の通告という通告に当たる通告じゃありませんか。ちょっとややこしいけど……。
  158. 財満功

    財満説明員 その点に関しましては、時間の点まではっきりしてということでございますが、これはその使用条件の中へ、登山道を越える実弾射撃は七月、八月、九月を除いて現地において調整の上行なう、この場合射撃中十分な注意をしなければならない、こういうことに関しまして一応通知はいたしてまいります。しかし、その射撃の時間等につきまして、安全にそれが行なわれる時間であるかどうか。一例を申し上げますと、深夜の一時半に行なうとか、二時に行なうというようなことに関しましては、種々先方と当方との意見が食い違う場合がございます。そういうことで、これを調整しなければならないということで、時間はあえていわゆる正式の演習通告には掲げてないわけであります。ただし二十四時間の中で撃つというふうな程度のことは書いてありまして、これはいわゆる射撃の実際の日時という時間に当たるといえば当たるかと思います。また私どもとしてはそれはぐあいが悪いということでさらに具体的な時間を確かめたい、こういうことでございます。
  159. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、地元の人がこの協定違反ということを今度の訓練反対の理由の一つにあげておられます。射撃の日時については何時、何時ということはまだ通知が来てないのですか。
  160. 財満功

    財満説明員 先ほど施設庁長官が申し上げましたように、その点について米側に問いただしましたので、瞬間は私どもではわかっております。そこでこの時間を一応県当局にお知らせして、それと同時にわれわれの手で調整を行ないたいので、米軍との間に話し合いを行なって、ほんとうに安全上適当な時間であるのかどうか、そういうふうな協議をして、そして変更があれば変更通知を出したい、こういうことにいたしております。
  161. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、いまのお話でいきますと、その了解が成り立つまでは米軍は発射訓練はしないというのですか。
  162. 財満功

    財満説明員 そのとおりでございます。
  163. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、その射撃日時は正式には米軍から通告されてきていないということになりますね。
  164. 財満功

    財満説明員 ここで立ちかえりまして、使用条件に触れておきたいと思いますが、この通告の様式につきましては、どういう様式を用いてだれにというふうなことははっきりはしておりません。ただ地方関係当局に通告することに同意する、そこで私がいまここに読み上げましたのは文書による通告でございました。そのほかに電話による通告もあるわけでございます。事実問題としまして私どもから県のほうへ御連絡申し上げる際、一々文書でやらない場合もあるわけであります。今度の富士の射撃演習につきましても、そのような迅速な方法を併用して現地と調整をしておる、こういうことでございます。
  165. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうも私の質問とちょっと行き合わないのですがね。何日の何時にどこでやるという明確な通告は来ましたかということを盛んに私は聞いているんですよ。そうするとあなたのほうは、それについては何か明確に言われずに、いま調整中とか、そういうことばかり言われる。どうなんでしょうか。
  166. 財満功

    財満説明員 時間についても通告されております。
  167. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いつですか。いつの何時ですか。
  168. 財満功

    財満説明員 先生が御質問になりますのは、何月何日は何時と何時と何時にやるのか、こういうことでございますか。——それでは申し上げておきたいと思います。  十月二日は九時半から十一時半の間、それから四日は十三時三十分から十五時三十分の間、十九時から二十一時、五日は朝の六時から八時までの間、七日は十三時三十分から十五時三十分、それから十九時から二十一時、二十二時三十分から零時三十分、八日は六時から八時、これで全訓練を終了するということに相なっておりますが、この日にはそれから時間は、天候その他の事情で変更されることがあるということに相なっております。
  169. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま申されました具体的な発射訓練の日時を通告してきたのは、いつですか。
  170. 財満功

    財満説明員 これは非公式通告ではございましたが、二十七日でございます。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 非公式通告というようなあいまいなあれではなくて、それはこの合同委員会決定事項にいうところの通告なんですか。
  172. 財満功

    財満説明員 先ほど申し上げましたように、二十七日付の演習通報は、実は昨日到着いたしました。そこで、少なくとも一週間前ということに関連して、私どもの側といたしましても一つ疑義が生じております。いま私が読み上げました時間につきまして、それ以前に言ってまいっておりますけれども、県に対する通告、つまり地方関係当局に対する通告としましては、これがおくれたわけでございます。その点について現在調整中でございます。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、問題がやや明確になったのです。昭和二十七年十二月十七日の三十二回日米合同委員会で条件的にきめておる通告としては、昨日お手元に届いた。そうしますと、それからいうと七日の間は発射訓練はできないということになるわけです。とするならば、六日まではできないということになりますね。どうなんですか。
  174. 財満功

    財満説明員 一応着信主義をとるといたしますれば、そのとおりでございます。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その辺は、その合同委員会でわざわざ協議の上、決定事項として出しておるのです。それにあいまいさがあってはならぬと思うのです。何のためにあれをきめたかわからない。その辺はひとつ明確に、六日まではできないのだ、それは一応明確にいたしておきたいと思います。  そこで問題は、いまあなた方が万遺漏のないように調整中であるということは、すでに御承知のとおり、協定なりあるいは立ち入りの問題等の話し合いも、取りきめもあります。そういうものに対する違反だといって反対運動を起こしております。あるいはすわり込みということもいわれている。そういうものを考慮した上での調整を続けておるという意味ですか。
  176. 財満功

    財満説明員 私が申し上げましたことばに少し混乱があったかもしれません。つまり調整と申しますのは、米軍との話し合いで当然変更したほうがよいのではないかという話し合いも、私は調整ということばで申し上げた。それからこの使用条件の中にございます登山道を越える射撃につきましては、七月、八月、九月を除いて現地において調整ということばがここにも出てまいります。先に調整と申しましたのは、米軍との間の話し合いの調整、あとの現地において調整と申し上げましたのは、現地の地方関係当局、県との調整、そちらのほうは射撃中十分な注意を払い、安全の確認を行なうということを主たる内容にいたしておりまして、そのことに関して話し合っておる。その二つのことがただいま同時に行なわれておる、こういうことでございます。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、反対をしておられる地元の了解がつかない限りは、発射訓練は現実の問題としてはこのまま行なわれないのだ、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  178. 財満功

    財満説明員 使用条件にございます調整と申しますのは、私どもとしては、安全措置について関係の向きと同時に話し合うということでございまして、射撃をしてよろしいという地元の許可をいただいて初めて調整が可能であるというふうには、実は考えておらないわけでございます。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が申し上げておるのは、協定的にあるいは法的に許可がなければと言っておるのではないのです。現実の処理方法として、地元との了解がつかなくては実際の発射訓練は行なわれないのだ、そのように解してよろしゅうございますかということを聞いておるのです。
  180. 小幡久男

    ○小幡説明員 現地との調整の問題は、先ほど部長からも申し上げましたように、特に登山道を越える際に協定に書いてあるわけであります。したがいまして、そのことに関します限りは、登山道の安全確保ができるということが何らかの方法において見通しがつくということの確保された状態ということが、私は調整だと思っております。これにつきましては、もちろん地元の方々の御同意を得るにこしたことはございませんが、最小限そういう道路の安全の確保に責任を持たれる県なりその他の方々の責任ある保障を得たいというふうに考えております。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 当然のこととは思いますが、そういう安全を完全に保障し得るという状態ができないと、発射訓練が行なわれないということでしょう。
  182. 財満功

    財満説明員 その趣旨に関しましては、米側にも申し入れをいたしております。われわれとしては、地位協定の範囲内にございますこの射撃演習に関しましては、これを拒否することは適当でないと考えております。しかし、現地の情勢その他で、御承知のとおり全体で約五千万坪にもわたる広大な地域でございます。したがいまして、あとう限りの人を出しまして安全の確認をいたしましても、いわゆる絶対的に安全ということがちょっとできない場合もあろうかと思います。そういう場合には、現地の判断といたしまして、米軍のほうの発射訓練が中止される場合もあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 問題は、二十七年の日米合同委員会できめた使用条件の決定事項、そうしてまた三十四年にきめられております東富士演習場使用協定、そういうものを犯さないで、疑義をなくして、そうして安全が保障された上で初めて発射訓練というものが考えられる、くどいようですが、こう解釈してよろしゅうございますね。
  184. 小幡久男

    ○小幡説明員 御趣旨はそのとおりだと思っております。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 すわり込み等が行なわれておるというのを無視して強行訓練が行なわれるというようなことはないですね。訓練が強行されるというようなことはないですね。
  186. 小幡久男

    ○小幡説明員 その辺のところは事実問題でございますので、どういうことになりますか、ちょっと予見はしにくうございますが、人命に確実に危険があるとわかっておる状態のもとで撃つということは、あり得ないと思っております。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこでこのリトルジョンは、普通弾頭も飛ばせるけれども、核弾頭も飛ばせ得る、これは核兵器なんです。これは御承知のとおりであると思います。今回は核弾頭はもちろん持ち込んでいないという見解でありますが、しからば、この普通弾頭は実際実射訓練なんですか。実弾を使ってやられる訓練ですか。それとも模擬弾でやられるのですか。
  188. 小幡久男

    ○小幡説明員 今度のたまは、実弾から炸薬を相当減らしまして、演習に最低限の必要な程度に性能を落としたたまでありまして、その目的は弾着の観測ということに主眼がある。したがって、そういった性質の訓練弾であるというふうに聞いております。
  189. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その炸薬の量が少ないかどうかは、実弾であるかどうかと関係ないはずですね。実弾であることは間違いないですね。
  190. 小幡久男

    ○小幡説明員 そのたまそのものは実弾だと思っております。炸薬の量が非常に少ないというふうに聞いております。
  191. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、実弾の訓練だ、炸裂の度合いはどうかわからぬけれども。そうでしょう。模擬弾でないのですから。訓練用といえども、実弾は使います。戦争が行なわれていないのだから、実戦に使わぬ以上は、実弾を訓練に使う。あたりまえの話です。訓練だから実弾でないというようなことは言えないです。実弾発射訓練に間違いないですね。
  192. 小幡久男

    ○小幡説明員 威力においては実弾と同じでない実弾でございます。
  193. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで私は、あとの問題がありますからくどくは申し上げませんが、F105の問題、あるいは原子力潜水艦寄港の問題、全部最近の動向は、核は持ち込んでいないけれども、核を使い得る兵器がどんどん日本に入ってきておる。しかもこのリトルジョンは、局地用であります。もし極東で使うとするならば、さっそくいま可能性があるのはベトナムです。そういうベトナムの情勢を背景にして、これが沖繩で訓練されないからという名のもとに日本で訓練をされる。こういう点については、私どもとしては非常な危惧を感ずる。ベトナム戦争への協力を日本政府がやっておる。あるいはこれは局地用——私ともの見解からするならば、今後予想される対朝鮮用、そして総括的には核のなしくずし的な持ち込みに通ずる、こういう危惧を私どもは感じておるのです。そういう点で、そういった法的にはあるいは発射訓練ができても、いまの政治的な情勢を背景にすれば、この東富士で現時点においてこういう発射訓練をさせるということは、政治判断としては、これは日本政府として拒否なさるべきであると思う。法的な問題はさておいて、政治判断としても、いまこのような訓練が富士で行なわれるということは好ましくない、われわれはそう思いますが、どうでしょう。
  194. 小幡久男

    ○小幡説明員 リトルジョンは、先生も御存じのように、射程も二十キロぐらいでございまして、自衛隊の持っておりますりゅう弾砲が射程がやはり十五キロぐらいでございますから、これはそうたいした兵器じゃございません。現に砲兵中隊に所属しております。従来は砲兵としてやっておった役割りを代用する兵器でございます。  それから、ベトナムとの関係お話がございましたが、私も軍事専門家でないので、ちょっと部内の軍事専門家に聞きましたところ、これはやはり密集部隊とか非常に強固な陣地を攻撃する性質のものであるので、むしろそういうふうなゲリラというふうなものには適用しにくい兵器である、むしろ適用しにくいのじゃないかということを、自衛隊の専門家は申しております。また、従来の砲兵にかわるべきこの程度のものを、日米共同防衛条約で施設を提供しておりまして、これをしも演習させないということは、やはり日米共同防衛から見ましていかがなものだろうかというふうに私自身は考える次第でございまして、先生のおっしゃるように、こういうものを積み重ねて核兵器をどうこうというふうな、大きな展望のもとに積み重ねていくというふうな意図は決してございませんので、その点は御安心願いたいと思っております。
  195. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなた方のいまの政治判断としては、こういう時期にリトルジョンが実弾の訓練をするということは好ましいとお考えですか、好ましくないがやむを得ないと考えていらっしゃるのですか。政府の立場としてどうなんですか。
  196. 小幡久男

    ○小幡説明員 これは好ましいとか好ましくないとかという言い方で対処すべきものではないと思っております。やはり日米共同防衛条約というものを結んでおりまして、施設を提供しておりまして、その範囲内で許されるこういった小型の兵器を演習さすということは、その条約の上から見まして当然のことでありまして、これは好む、好まないという問題とは別の問題と思っております。
  197. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたはそうおっしゃいますけれども、あなたの所属しておる佐藤内閣の総理大臣佐藤榮作氏は、B52の板付乗り入れ問題から発展をしました沖繩からのB52の発進問題について、好ましくないと言ったじゃありませんか、あなた方の総理大臣が。そういう政治判断をあなた方は持たなくてはいけませんです。単に法的な問題だけで処理をするということでは、日本国民のいまのベトナム戦争を背景にした危惧はなくならない。単に事務屋の取り扱いとして長官がそういう考えじゃ、私は困ると思うのです。重ねて御見解を承りたい。
  198. 小幡久男

    ○小幡説明員 B52の場合は、相当大きな戦略兵器でございますので、やはり政治的判断を要して考えをきめなければならぬ問題だと思っておりますが、これは二十キロ内外でして、いわゆる戦闘部隊に対する大砲のスタイルのものでございますから、おのずから考えは別になるのじゃないかというふうに私は考えております。
  199. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではこの問題は締めくくりたいと思いますけれども、いまもおっしゃいましたように、ベトナムのいまの戦争の状態から考えると、リトルジョンというのは適当でないのじゃないか、私もそのような感じがいたします。問題は、むしろベトナムの次に考えられておる朝鮮に対する紛争の対策であろう、私は、戦略的にはそう解さざるを得ないわけです。しかも、先ほどから申しましたように、核弾頭をつけ得る核兵器です。これがこういう形で訓練されることには、私どもは断固として反対をします。したがって、現地において地元の方が反対をされておるその気持ちは、よくわかるわけです。したがって、今度の発射訓練の問題については、地元の方々が納得されない以上は、日本政府としては、発射訓練が行なわれないように最大努力をしてもらいたい。以上です。どうです。
  200. 小幡久男

    ○小幡説明員 私どもとしましても、できるだけ善処したいと思っております。
  201. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは次の問題に移ります。  最近、先ほど申しました七月二十八日の緊急避難の名のもとにおけるB52の板付乗り入れの問題、さらにそれが二十九日突如として変更になって沖繩に飛んでいき、六時間もたたない間にそれが渡洋爆撃したというような事実、それから八月三日にはC130が板付に飛んできた。140も飛んできた。中旬になりますと、博多港の中央埠頭の専用使用の申し入れ問題がありました。さらに博多湾に面するブラディー基地に対する弾薬荷上げの申し入れの問題もありました。八月二十三日には、佐世保に原潜の第四回目のパーミットがやってきております。あるいは小倉の山田弾薬庫に対する道路の問題で、防衛道路としての舗装の問題が起こってきております。岩国にはF4のジェット戦闘機が入っておる。最近福岡市を中心として非常に防衛的に目まぐるしい米軍の動きがあっております。福岡市民なり県民は、そういう点でたいへんな平和に対する危惧を持っております。そういう点から、私は二、三の問題について明確にしておきたいと思うわけです。  そこで、運輸大臣がまだ見えておりませんから、大臣が見えるまで確認をしておきたいのですが、午前中運輸委員会で私も質問をいたしました。板付基地の大韓航空、キャセー・パシフィックの乗り入れの問題であります。これは日本の国内の航空会社が、昭和二十六年以来使っております。この使用の法的な根拠は、地位協定の第三条による米軍管理権の範囲内といわれます。今回の国際線の乗り入れについては、その法的な根拠は、地位協定二条四項の(a)といわれました。私は、内閣委員会でここ二、三年来、日本の国内航空が板付を使用しておる、その使用の状態について法的に非常にあいまいである、むしろ共同使用という線を打ち出すべきではないかということを再三要請してまいりました。ところが、それはできないという答弁でありました。しかし、今回は国際線乗り入れ問題が勃発したから、初めて国際線のほうが共同使用ということになりました。たいへん私はこれは遺憾であると思う。自分の国の航空会社の乗り入れについては、あいまいに政府が介在することなく、米軍の管理権の範囲内で米軍と日本の航空会社との取引で、了解で使っている。日本政府は、自分の国の航空会社の問題に介在していない。ところが、外国の航空会社の乗り入れについては、初めて腰をあげて日本政府がそれにタッチをするという形をとっておる。非常に私はこれは遺憾であると思うのです。政府の態度としては、全く逆の態度であろうと思う。もし国際線を共同使用という点で使用させるならば、その前にまず日本の民間航空会社についてその措置をなぜしなかったか。運輸委員会ではその質問をやりました。しかし、この内閣委員会では、あとの問題とも関連がありますから、再度これは確認をいたしておきます。航空局長も来ておられると思いますが、なぜ外国の国際航路の乗り入れのほうを先に共同使用という形で取り上げられたのですか。日本の民間航空をあと回しにして……。なぜです。
  202. 町田直

    ○町田説明員 経過的に申し上げますと、日本航空その他乗り入れをいたしましたのは、かなり前でございます。その時代から、大体実際的にはたいして問題なく過ごしてまいりました。今回外国航空機を入れますに際しまして、関係各省庁と相談いたしまして、こういう形が最も適当であろうという御判断のもとに現在のような形で入れることにいたしております。
  203. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、もうできたことですから、それは問いますまい。問題は今後であります。板付基地が今度の国際線乗り入れについて共同使用になったということ、その内容は、地位協定二条四項(a)による。ということは、米軍の管理下にある板付基地に対して、日本政府が正式に一部使用する権限を有することになっております。そうして日本政府が一応使用するという権利を有して、さらに日本政府が外国の航空会社に使用させる、また貸しをするという形になったと思いますが、そうですが。
  204. 町田直

    ○町田説明員 御指摘のとおりだと思います。
  205. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、板付基地はもはや米軍と日本政府の共同使用の空港になったと解してよろしゅうございますね。
  206. 町田直

    ○町田説明員 共同使用ということばの意味でございますが、合同委員会で合意がなされましたのは、ただいまお話がございましたように、日本政府が使用するという立場のもとに外国航空会社に使用させるという意味の合意であろうと存じます。そういう意味を共同使用というふうに表現いたしますならば、共同使用ということになると思います。
  207. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、日本にある米軍基地と、日本側が共同使用するという場合のほかの例は、どういう例がありますか。重ねてお伺いしておきます。共同使用という場合の法的な根拠は、どこにあるのですか、二条四項(a)のほかに。
  208. 財満功

    財満説明員 二条四項(a)、これは米軍が一時的にその施設を使っておらないときに、日本政府あるいは日本人に使わせる。それから逆に二条四項(b)というのがございます。これは自衛隊の施設を米軍に使用させるということでございます。そのほかに、先ほど先生のおことばの中にありました三条による施設の使用というものとございます。これが地位協定上のものでございます。そこで、いま御質問に相なりました二条四項の(a)で使っておるものという御質問でございます。飛行場について申しますと、木更津の飛行場がございます。ジョンソンの飛行場がございます。それから岩国の飛行場がございます。飛行場といたしましては以上のようなものでございます。
  209. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで私が言っているのは、共同使用という名があいまいだとかなんとか監理部長おっしゃるが、共同使用の一番法的な根拠として考えられるのは、民間航空の場合は二条四項の(a)でしょう。そういうことでしょう。それ以外ないじゃありませんか。一番高度の共同使用の法的な根拠は、それ以外にないでしょう。
  210. 町田直

    ○町田説明員 二条四項(a)という形で使用するということを共同使用という表現をいたす場合には、おっしゃるとおりであると思います。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、米軍基地と日本側が共同使用という場合は、これ以外にないのです。あなたのほうがあいまいにことばを濁している。米軍基地と民間側の共同使用という場合には、二条四項(a)以外にありません。だから、これは板付基地にとっては、ずっと長年市議会も決議をし、私ども国会で追及をしてまいりましたその要望が、やっと今度初めて実現したという事実なんですね。そうですね。
  212. 町田直

    ○町田説明員 実はおっしゃるような意味であるいはそういうことになるかと思いますけれども、管理権という点にまだお話が至っておりませんけれども、管理権という問題から申しますと、今度の使用によって管理権のある部分が日本側に移ったとか、あるいは日本も一緒に管理をするという形にはなっておりませんので、そういう意味では、ただいま御指摘のありましたように、市議会その他の御要望とはたして一致しているかどうかという点については、私は若干疑問の点がございます。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、管理権はあくまでも米軍側に今度の場合もある。日本政府は一部使用することになったが、では、使用することについての日本政府責任はどういうことですか。全然ないのですか。
  214. 町田直

    ○町田説明員 非常に責任論になりますとむずかしゅうございまして、私の判断で正確なお答えができるかどうかわかりませんけれども、ただいま申し上げましたような意味で、管理権が日本側にございませんので、そういう意味において管理に基づくような責任は負い得ないのではないかというふうに考えております。
  215. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 よろしゅうございます。先に移りまますよ。そうすると、今度キャセーなり大韓航空に日本政府がまた貸しをすることになりました。それは何らかの日本政府との間に契約が結ばれたからですか。
  216. 町田直

    ○町田説明員 合同委員会の合意に基づきまして、日本側が使用するという意味で使わせる、こういう形の使わせ方をするということでございます。
  217. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは何の契約もなくて、通告によって使わせているわけですか。
  218. 町田直

    ○町田説明員 そういうふうに存じております。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、板付空港の両外国航空会社の使用については、無料で使用しているのですか。
  220. 町田直

    ○町田説明員 料金の面につきましては、これは別途現在の状態において大蔵省のほうで使用料を徴収いたしておりますので、おそらくそれと同じ形で行なわれるということになるだろうと思います。
  221. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その点も非常にあいまいですね。その使用料を徴収するという根拠もあいまいであります。さらに、この両外国航空会社の使用は、合同委員会の議を経て使用させることになったというお答えですが、では米軍が基地の管理上支障があると判断したときには、どのような手続が要るのでしょうか。
  222. 財満功

    財満説明員 本件、大韓航空及びキャセー・パシフィックの板付乗り入れに関する日米合同委員会における合意は、その中に米軍の基地の運営に支障が生ずる場合には一時使用の停止ないし取り消しをすることがあるということを、合意の中に入れておるわけでございます。したがいまして、米軍の判断、米軍の行動に非常に支障が生ずるという場合には、合同委員会の再びの合意を得ることなく、そのように停止ないし取り消しに相なるものと考えております。
  223. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、この国際線は、米軍が判断をすれば、米軍の判断によって一方的にいつでもこれは廃止されるという運命にあるわけですね。
  224. 財満功

    財満説明員 さようでございます。
  225. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、航空管制もすべて米軍の指示に従うわけですね。
  226. 財満功

    財満説明員 そのとおりでございます。
  227. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、管制上は、日本の国内路線と同じように、常にコントロールされるわけですね。
  228. 財満功

    財満説明員 さようでございます。
  229. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、この問題の最後にお伺いをしておきますが、運輸省としてはいつ日本の国内線を国際線と同じ取り扱いにするか。つまり地位協定第三条によるのではなしに、第二条四項(a)による取り扱いをいつからしますか。国際線はすでに始まっている。このアンバランスをいつなくしますか。
  230. 町田直

    ○町田説明員 関係各省と御相談いたしまして、できるだけ早くさようにいたしたいと私どもは考えております。
  231. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 国際線をそういう取り扱いにするときに、どうして一緒に検討なさらぬのですか。国内線に限っては、また関係各省と打ち合わせてそういう取り扱いをする必要があるのですか。それはなぜですか。どうして日本の運輸省はそれをやらないのです。日本の航空会社のほうに日の当たらない取り扱いをいままで十四年間やってきておって、そして国際線のほうは早く正式の取り扱いをやる。日本のほうはいまから関係各省と協議して早くやりたい、そういう態度は、私どもは納得できませんです。どうして一緒にやらなかったのですか。国際線の処理の場合に話題にならなかったのですか。
  232. 小幡久男

    ○小幡説明員 この点は、私からもお答えさせていただく必要があろうかと思います。  いまおっしゃいますように、われわれも運輸省のほうも、できるだけ御趣旨のように長期に安定して使用できるという体制をとるためには、相当長期間にわたるものはできるだけ二条四項を適用したいと希望しておりまして、努力したいと思っておりますが、特に国際線につきまして逆になりましたのは、いかにも米軍の管理権で、米軍の一存で、外国の飛行機を乗り入れることは米軍の自由になるという体制は困るというところが優先いたしまして、とりあえず国際線だけ先にお願いしたいということで落着したのでございまして、国内線と逆になっているのは、そういう理由からでございます。国内線につきましても、できるだけ早く努力したいというように考えておりますが、その裏にはそういう苦心もありましたことを御了解いただきまして、今後の努力をさせていただきたいと思います。
  233. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから卑屈だと言うのですよ。自分の国内のほうのことはどうして先にお世話なさらないのです。国除線のほうだけ、われわれから言うとそういう優遇的な取り扱いをして、日本のほうはまあまあ身内の問題だからというような……。そうでしょう。いまあなた、どう言いました。外国のほうが米軍の言いなりになるということじゃ困るから——じゃあ、逆に日本のほうは言いなりになっていいのですか。そうなりましょう。だから卑屈だと言うのです。なぜ日本の国内の問題を先に取り上げないか。二条の四項(a)は、一時使用しない場合には日本がみずから使用するか、あるいは日本国民に使用させるということですよ。外国に使用させるというのじゃないのですよ。だからどうして日本の問題のほうを先に取り上げないのです。
  234. 小幡久男

    ○小幡説明員 卑屈ということとちょっと別に考えておりまして、いかにも外国の出入りを米軍がかってにやるということは、卑屈という問題よりもっと大きな、国の独立、自主権というふうな問題と関係するんじゃないかという点のほうがまず先決を要する問題だというふうに考えたものですから、この点は特に先に二条四項にわれわれも手をつけさせたわけであります。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは意見になりますから要約しますけれども、早急に同じ取り扱いをするようにしなくては一これはほんとうに日本のいまの立場を象徴的に示しておる、アメリカとの従属的な立場を。日本の国内航空から見るならば、これは全くもうふらち千万な措置であろうと思っておると思うのです。だから、その差別的な取り扱いの点は、一日も早く直してもらいたい、これを要望いたしておきます。  それから次の問題に移りますが、板付基地の県道の問題が非常に出てまいっております。そこで、道路局長がお見えにならぬので企画課長がお見えになっておりますが、参議院の決算委員会に出られるとのことでありますので、一点だけお伺いしておきます。  板付の県道の問題、御承知でございますか。
  236. 豊田栄一

    ○豊田説明員 承知いたしております。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、あの道路の処理の問題について、道路法上建設大臣が介入する余地があるかどうか。
  238. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  お説の点ちょっと前提がございますが、たしか県道の廃止問題のことかと思います。これにつきましては、法のたてまえ上は、その区域変更や何かにつきましては、道路管理者の立場として県がやることになっておるのが原則でございます。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 管理者は県知事ですね。それはわかっておるのですが、建設大臣がうまくいかないときに介入をする法的な根拠が道路法上ありますか。
  240. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  むしろおことばとはちょっと違いますけれども、やはり現地での円満な解決が前提だと思っております。
  241. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本件については建設大臣は道路法上介入をする余地はないと私は判断をいたしますが、そう解してよろしゅうございますか。
  242. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  非常にデリケートな問題になってきております。私どもといたしましては、いまお答えいたしましたとおり、やはり現地の円満な解決、そういう方向で希望したいと考えております。
  243. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がお伺いしているのは、はっきりしておるのです。デリケートだから聞いておるのです。明確にしておきたい。建設大臣が道路法上本件に介入をする余地がありますか。あるかないかだけでいいです。本件ですよ、この板付の県道問題について。
  244. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  御質問、非常に法律専門の問題でございまして、私そういう点では担当でございませんので、正確なお答えになるかどうか存じませんが、法にはいろいろなあれがございますが、お説の点につきましては、現地での円満な解決をわれわれは希望するというのが現状でございます。
  245. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 答弁になっていないわけですね。それはそれにこしたことはない、政治的にも。ただ、法的に建設大臣は本件に介入する余地はないか。
  246. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  非常にそれはむずかしいのではなかろうかと感じております。ちょっと正確なお答えとは言いかねますけれども、法律の中にはいろいろなことが書いてございます。ただ、その適用の問題が本件の場合にぴしゃりいくかどうかという点につきましては、私ども、非常に問題が現状での把握の程度によりましては正確さが必要でございますので、いきなりここでもってイエスかノーかという意味のお答えがいたしかねるのではないか、かように感じております。
  247. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その点は御存じないというから、聞いたってしょうがないわけです。  それでは、もう一つお伺いしておきます。土地収用法の問題です。公用地も収用の対象になりますか。
  248. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  一応例外的にはなり得る可能性がございます。
  249. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういう例外ですか。
  250. 豊田栄一

    ○豊田説明員 例として恐縮でございますが、たとえば学校とか鉄道、そういう場合に、公益の優先論がございます。そういう場合に、その高さの判断によりまして例外的にいく場合がございますけれども、普通は行なわれないのが原則でございます。
  251. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、特別措置法においては公用地はどうなりますか。
  252. 財満功

    財満説明員 特別措置法においては、そのようなものを規定しておりません。
  253. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、本件の場合は、いま問題になっている板付の県道の場合は、強制収用の対象にはならない、そういうことですね。
  254. 小幡久男

    ○小幡説明員 そういうことはしないつもりでおります。
  255. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうも長官はあいまいな返答をするのです。やらないつもりであるということと、特別措置法でできないということは違いますよ。
  256. 小幡久男

    ○小幡説明員 建設省でお述べになった法理論と同じようでございますけれども、私のほうはやらない。
  257. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの答弁では、私はわかりませんよ。はっきりしてください。
  258. 小幡久男

    ○小幡説明員 先ほど建設省からお話がございましたように、例外的にはいろいろな場合がかりにありましても……。
  259. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本件の場合。
  260. 小幡久男

    ○小幡説明員 やりません。
  261. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本件の板付の県道については、特別措置法は適用されない。それでよろしゅうございます。そのとおりだと思います。そうしますと、本問題については道路管理者である県知事の措置にすべてがかかっておると了解してよろしゅうございますね。
  262. 小幡久男

    ○小幡説明員 そのとおりであります。
  263. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、重ねて航空局長にお伺いをいたします。この問題について、米軍のほうから何か要請があっておりますか。
  264. 町田直

    ○町田説明員 当省なり当局の出先に直接そういう要請はなかったものと存じます。
  265. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 施設庁のほうにはあっておりますか。
  266. 財満功

    財満説明員 ちょっと御質問を聞き漏らしましたので、あるいは違うかと思いますが、県道の問題につきましては、先月の九日でございましたか、この県道を道路復旧ということで県のほうで工事をなすったわけでございます。その結果、オーバーランと交錯する部分につきまして、約十センチ内外低くなりました。そこで米側から、この県道は万一の事故の際にたいへん危険であるので、何とかもとのように——と申しますのは、工事をいたします前の、オーバーランのレベルと同じようになっておったもとのレベルまで返してもらえないだろうかという要請はございました。
  267. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 三十六年のオーバーランあるいはアプローチライトの拡張のときに、県道があるのは御承知の上で拡張をなさった。それであの県道も、実は日本政府に提供してもらいたいという米軍の気持ちはわかるのですけれども、米軍がそのような要望を出してみたところで、事態は何ともならないと思う。そうでしょう。
  268. 財満功

    財満説明員 当時そのようなことがございましたが、米軍といたしましては、できる限り安全に航行を続けたいので、オーバーランと交差する部分とは別に、ほほ同規模の迂回道路を米軍の手でつくったわけでございます。そしてそちらのほうへ路線の変更と申しますか、県道の変更を行なってもらいたいという具体的な行動の後における要請というものがございまして、その点は現在に至るも続いておるわけでございます。
  269. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまのような県道の状態であれば、米軍機の発着には支障はないけれども、民間機の発着に危険があると思われるというような米軍の見解が、航空局に示されましたか。
  270. 町田直

    ○町田説明員 先ほど申しましたように、具体的にそういうものを航空局に示されたことはございません。ただ、現地の施設局長のほうに、内容ははっきりおっしゃったとおりかどうかわかりませんけれども、そういう何かの形の意思表示があったということはございます。
  271. 小幡久男

    ○小幡説明員 いま問題になっていますこの県道の問題は、私もこの前実地に現場へ参りまして拝見したのですが、先ほど米軍から何かの意思表示があったかどうかという問題につきましては、やはりオーバーランというものは、飛行機の安全のために設けたものであることは確かでございます。ここにこの県道がございまして、それが若干でも掘り下げられてオーバーランの他の部面と凹凸を生ずるようでは、これはもうオーバーランとしての機能はむしろ害があって利益がない。もちろん米軍機はこの影響を受けると思います。民間機は、その機種によって直ちにどうこうということは私も判断しにくいと思いますが、先生も御承知のように、この板付の基地は非常にふくそうしておりまして、特殊な利用形態になっておりますので、私はやはり民間機にとりましてもこの問題は好ましくないと判断いたしまして、県道を廃止すべきかどうかは別といたしましても、オーバーランと同じような安全に寄与するようなしかたでこれが保存される。願わくは防衛施設庁で予算をとりまして、いま部長も申しましたように、外周に米軍の使う道路がございますが、さらにこれにわれわれのほうでつけ足しましてメーンルートへ道をつけますから、何とかしてこの県道を廃止してほしいということを県庁に申しておるわけであります。県庁のほうでは、その辺の認識がわれわれから見ますと非常に貧弱でございまして、現在なお実現を見ていないという状況でございます。
  272. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何が貧弱なんです。県庁の考えが貧弱だというのですか。いまのことばは何ですか。
  273. 小幡久男

    ○小幡説明員 私が申しましたのは、飛行機の安全に対する認識が、われわれから見ますと、少し足りないというふうに考えております。
  274. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 冗談じゃありませんよ。あなた方は県道があるのを承知の上で延長しておって、そしていまごろになって、あの県道があるのは認識が足らぬと言うのは何事ですか。承知の上でやっているのじゃありませんか。あなた、取り消してください、そういう認識が貧弱であるなどというのは。見解の相違と言いなさい。冗談じゃないですよ。
  275. 小幡久男

    ○小幡説明員 少しことばが過ぎまして、見解の相違であると訂正させていただきます。意図は、やはりわれわれとしましても県道をいろいろ迂回する道路をつけますので、何とかしてこれを廃止してほしい。やっぱりあそこが将来、民間機と軍用機が併用して非常に特殊な利用形態になっておるという場合に、パイロットが心理的にも心配がないようにしてやりたいというこの念願は、事の経緯は別といたしまして、先生にもわかっていただけるというふうに思いますので、何とかしてこれは努力してもらいたいと思います。
  276. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 質問外のことは言わぬでもよろしい。民間機の発着に影響があるなんという見解を米軍が示すことは、完全なおどかしですよ。板付は、現在県道のところまで滑走路は何メートルですか。明確にしてください。
  277. 町田直

    ○町田説明員 伊丹の滑走路の延長はたしか千八百メートルであり、オーバーランが六十メートル。板付は、私のほうで完全に把握はいたしておりませんけれども、滑走路の延長が約三千メートル、オーバーランは三百メートルであると思います。
  278. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 問題は明白ではありませんか。伊丹の空港が約千六百メートルです。板付はオーバーランを入れなくても三千メートルある。それに、伊丹の空港が危険だから民間機の発着をとめるなんという問題は、起こってないはずです。どうして板付に限って三千メートルもあるのに、たかが県道の問題が起こったからといって、そういうおどかしをかけるのですか。全くのおどかしではありませんか。米軍の考え方がですよ。だから、まさかそういうむちゃな考えを公式に日本政府の運輸省航空局に言ってくるわけはないのです。だから、正式に言ってこないのです。だから、遠ぼえにそういうことをぱっぱっと言っておどしをかけている、事実に反することを。だから、そういう見解が正式でなくてもある場合には、私は日本政府が、運輸省が、民間航空機の発着には支障はないという、やっぱり見解を発表してもらいたいと思います。何もあの三十六年に板付を拡張するときには、民間航空のために拡張するとは言ってたいのだから、米軍の基地として拡張しているのだから……。しかも今回は、米軍の飛行機の発着には関係ないけれども、民間航空のほうがあぶないと思うという見解は、これは何という見解ですか。言語道断ですよ。だから、問題の本質をあまりすりかえないように——長官は民間航空もあるから安全にこしたことはないと言うが、伊丹は千六百メートルじゃないですか。そういうごまかしの言い方をやっちゃ困ります。
  279. 町田直

    ○町田説明員 ただいまの御見解に関してでございますけれども、仰せのとおり板付の飛行場のオーバーランは三百メートルございまして、しかも滑走路の末端からただいま問題になっております県道は八十メートル。したがいまして、法律に基づく設置基準から申しますと、オーバーランは六十メートルということにされておりますので、これによって直ちに民間機が使用する場合に危険であるということにはならないと思います。しかしながら、先ほども施設庁長官から御発言がございましたように、航空機には緊急な避難をするという場合がございます。そういう場合に、現実にオーバーランが三百メートルできておりますと、緊急の、いわゆるエマージェンシーの場合に、そこに接地するということもあり得ないことではございません。そういう意味で、本件は、民間航空にとりましても、その安全を確保する上にこの滑走路のみぞがないほうが好ましいということは、事実だと思います。
  280. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは広いにこしたことはありませんよ。しかし、そこに公益と私益の関係があるから、一定の限界があるのです。そんなこといったら、あなた方は迂回道路をつくっておるというが、あの迂回防衛道路はやっぱりアプローチライトの中ではありませんか。横切っておるではありませんか。また、その迂回道路が危険になると、あなた方言い出さないとも限りません。飛行機はどんどん発達しておる。拡張時には、防衛道路といえども横切っている、切りがない。そんなことを言っておったら、福岡市はどんどんあの町方の中に延長されていきますよ。だから困ると言っておる。県道があってできないならば、あそこの基地はやめてもらいたいというのが、われわれの願いなんです。もしあそこをほんとうに国際空港化するのだったら、基地をやめて、そうしたら、知事は喜んでそれに協力するかもしれないと私は思う。そういう約束があれば、知事はやります、協力します。しかし、ああいう基地がどまん中にあるのは困るということで、一つの抵抗を示しておるのではなかろうかと私は推測します。問題はそこです。平和な国際空港になるなら、いつでも知事は協力すると思います。そういうことです。だから、問題を明確にして一もう答弁は要りません。また変な答弁をされると困る。  次に移りますが、実は博多港の中央埠頭の専用使用の問題この米軍からの申し入れば、いつ、どういう内容の申し入れがあったのですか。
  281. 財満功

    財満説明員 私どものほうで所管しております施設委員会関係から、ちょっと申し上げておきたいと思います。  米側から中央埠頭の一部を優先的に使用したい、もっと申しますと、これを施設区域として使用したいという申し入れが、三十七年ごろに出ております。さらに三十九年の五月に、同じような申し入れが繰り返されております。さらに本年、御承知のとおりの申し入れがあったわけでありますが、私どもとしましては、それの使用につきましては別に米側に不自由をかけていない。そこで、施設区域として提供し、あるいは排他的に優先使用を米軍に許すという必要はないのではないか。ましてや日本側は、港湾施設が狭いことでもあるし、そういう申し入ればお断わりしたいというふうに言っておるわけでございます。
  282. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、一番最近そういう申し入れがあったのはいつで、そして合同委員会にかかったのはいつで、そこでどんな結論が出されたか。時間が長くなっておりますから、要領よくお答え願いたい。
  283. 財満功

    財満説明員 その点、ただいますぐ調べますので、暫時ほかの質問をしていただきたいと思います。
  284. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実は運輸大臣、たいへんお忙しい中においでを願ったのは、先ほども申し上げたのですが、これは運輸大臣の地元でもあり、私の地元でもございます。最近福岡市を中心とする米軍の動きが、非常に激しくなってまいりました。板付のB52の乗り入れ問題といい、C130の乗り入れといい、博多港の専用使用の問題。それで私は、先ほども国際線の開設問題について要望いたしました。運輸大臣見えましたからこの点は重ねて要望いたしますが、午前中の運輸委員会においてもお聞き及びのとおりで、国際線と国内線の取り扱いは、法的な根拠が違うわけです。そこで、本来ならば、国内線の取り扱いについては、地位協定二条四項(a)による共同使用という形を、国内線のほうこそ先に取り上げるべきではなかったか。国際線が来たから国際線のほうをまず先にやるということは、逆ではないか。しかし、現実は国際線のほうを乗り入れについて共同使用の形をとられたから、国内線のほうも一日も早く日陰者の使用の形ではなくて、米軍から使用さしてもらう形ではなく、日本政府から使用さしてもらうという二条四項(a)による取り扱いを早くやってくれと要望したわけでありますが、この点についての大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  285. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国内航空の場合も、いま楢崎委員がおっしゃったように、二条の四項の(a)でやるようなふうに、なるべく早くそれぞれの関係と相談をしまして進めていきたいと思います。
  286. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、運輸省の取り扱いとしては、日本政府から国際線を外国の航空会社が借りておるわけです。そうすると、航空法の上からいって、空港整備法ですか、第何種空港になるでしょうか、板付は。
  287. 町田直

    ○町田説明員 ただいまの状態でございますと、飛行場そのものは米軍に提供してある飛行場でございますので、空港整備法の適用はございません。
  288. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、いまの国際線開設も、いわばやみであるわけですね、わかりやすいことばで一言えば。
  289. 町田直

    ○町田説明員 国際線の路線の免許と飛行場の使用とは別ものでございまして、現在国際線——国内線もそうでございますけれども、路線の免許をいたしましたのは、航空法に基づく免許でございます。また、飛行場の使用につきましては、その飛行場が安全な状態で使えるということがはっきりいたしておりますれば、そういう意味で別にやみということではないかと存じます。
  290. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、いわゆる国際空港あるいは第一種空港ですか、空港整備法による国祭空港であれば、いろんな国の援助があります。しかし、やみであれば、直ちにその整備法からの取り扱いはできないわけですね。
  291. 町田直

    ○町田説明員 おっしゃるとおりでございます。空港整備法に基づきます第一種空港の場合は、設置、管理、すべて国がいたします。そういう空港整備法に基づかないものでございますと、それと別の形態ということになるわけでございます。
  292. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、取り扱いは航空法に準じてなさるのですか。
  293. 町田直

    ○町田説明員 飛行場の取り扱いにつきましては、特例法というのがございまして、米軍に提供しております基地の飛行場につきましては、航空法の飛行場の適用条文が排除されております。そういう意味では、全く別の取り扱いということになるわけであります。
  294. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、現在の板付、つまり大韓航空なりキャセーが乗り入れをしておる現在の板付空港は、空港整備法から見れば、第何種に準ずる空港でございますか。準ずるです。
  295. 町田直

    ○町田説明員 空港整備法の適用のない飛行場ということでございます。
  296. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それはわかっているのです。私は過去その問題を取り上げて、そうして空港整備法に準ずる、たとえば一種空港の場合、一種空港に準ずる国の援助をやる、二種空港の場合、二種空港に準ずる取り扱いをやるというお答えを得ているのです。そういう関係で聞いているのです。
  297. 町田直

    ○町田説明員 御質問趣旨を私取り違えまして恐縮でございますが、米国に提供しております飛行場につきましても、たとえば板付の場合もそうでございますけれども、民航地域を整備するという問題がございます。ただいまも、現在の板付飛行場につきましては、民航地域がございます。そういうところに国の予算で施設をいたします場合、これは法律上明確な規定はございませんけれども、第二種に準じた扱いで扱っている、こういうことでございます。
  298. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 運輸大臣もいまの点をよくひとつ踏まえていただいて、そういう点の努力はやっていただきたいと思うわけです。  博多港の問題について、専用使用等の事態が起こっております。運輸大臣としては、この福岡市がそういう方向に行っている現状について、どのようなお考えをお持ちでございますか。
  299. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、博多港の管理は市長がやっておりますので、市長がそれぞれの関係の筋と話し合いを進めながら法に従って処理をしていると思います。
  300. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 少し形式的な御答弁で満足いかないのですが……。  わかりましたか、さっきのこと。まだわかりませんか。
  301. 財満功

    財満説明員 ただいま手元に持っております記録では、七月十五日、博多の米軍輸送事務所のライト少佐がその旨を港湾局に申し入れました。もっとも、その内容は、そのほかに雁ノ巣の岸壁も使いたいということを言ってきたようでございまいます。なお正確に調べて報告しようと思います。
  302. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほどお尋ねしましたが、それは合同委員会にかけられましたか。そうして結論が出ましたか。
  303. 財満功

    財満説明員 博多の中央埠頭を専用にいたしたいという問題について、合同委員会で討議されたことはございません。私どもの段階で、これは従来、三十七年以来お断わり申し上げている問題でございます。
  304. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、それは承諾が、つまりこっちの日本側の承諾がなくては、米軍はその申し出どおりしないわけですね。
  305. 財満功

    財満説明員 そのとおりでございます。
  306. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その根拠はどこにありますか。
  307. 財満功

    財満説明員 施設の提供の要求に対しまして、私どもはそれを施設区域として優先使用させなくても、従来数年あるいはそれ以上の長きにわたり何ら支障なく米軍がそれを使用してきている。したがって、現在の状況において特段の問題はありません。というのは、従来生鮮食料品、雑貨物等を荷揚げしているわけでございまして、そういうふうなことであるならば、従来どおりで差しつかえないというふうなことに対しまして、米軍のほうでさらに検討を続けているようでございます。
  308. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、日本政府としては、七月十五日の米軍側の申し入れについては拒否をされている。そうですね。
  309. 財満功

    財満説明員 そのとおりでございます。
  310. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、いままでの使用状態で足りるというお考えですが、いままでの使用をやっているその根拠は、法的な根拠は何ですか。
  311. 財満功

    財満説明員 埠頭を使用しておりますのは、相互のコマーシャルベースでございます。
  312. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 コマーシャルベースといいますと、それは地位協定とは関係ないのですか。
  313. 財満功

    財満説明員 船舶の入港に関しましては、地位協定五条によることと考えます。ただ接岸いたしまして、米軍の物資を日本側の施設の中で保管してもらいたいということに関しましては、埠頭との問の契約に基づくものと考えておりまして、このこと自体が地位協定に基づくものとは考えておりませんし、そのようなものに基づくものではございません。
  314. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、米軍の軍用船が日本の埠頭を使う際の、入港する場合の法的な根拠は何ですか、寄港する場合。
  315. 財満功

    財満説明員 一応私どもとしては、地位協定の何条でございましたか、米軍は日本の官庁に与えられるものと同等あるいはそれ以上のと申しますか、便宜を供されるという条項もございますし、そういうことによりまして、港湾管理者等はそれを拒否しておりませんし、埠頭の使用については一般契約に基づいて使用しておる、こういうふうに考えております。
  316. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、五条の一項が考えられるわけですが、この船舶の中に軍艦は入りますか。
  317. 財満功

    財満説明員 一応、私どもとしましては、それは入るものと考えております。
  318. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 船舶の中に入る。そうすると、米軍の軍艦が入ってきて寄港するのは、この地位協定の五条一項による、そういうことですね。——それでは、寄港するだけではなくて、その軍艦が軍用物資を荷揚げおろしをするという権限は、何条によるのですか。
  319. 財満功

    財満説明員 地位協定の有権的な解釈については、これ以上私どもからお答えいたしかねるところでございます。主管庁に尋ねましてお答えさせていただきたいと思います。
  320. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 主管庁は防衛庁ですか。
  321. 財満功

    財満説明員 外務省でございます。
  322. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛局長としてはどう思われますか。
  323. 島田豊

    ○島田説明員 この問題は、ただいま財満部長から申し上げましたとおり、外務省の所管でございまして、外務省の有権的解釈にわれわれが、従うよりほかはないというように思います。
  324. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 外務省来ておらぬから困るのですがね。  では、それ以外のことをお尋ねしますが、この荷物の荷揚げおろしの分について、日本側に調査権がありますか。
  325. 財満功

    財満説明員 たいへん恐縮でございますが、その点についても、私どもから有権的な解釈お話しできないので、お許し願いたいと思います。
  326. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは地位協定に関連して私は聞いておるのです。  では、地位協定の十一条の9の(a)というのは、どういうことですか。防衛局長でもいいです。これは防衛関係でもあるのです。
  327. 財満功

    財満説明員 9の(a)は、実は「日本国の当局及び合衆国軍隊は、日本国政府の税関当局が執行する法令に違反する行為を防止するため、調査の実施及び証拠の収集について相互に援助しなければならない。」これは税関当局が執行する法令に違反する行為に関しての問題でございまして、これは大蔵省のほうかと思うわけでございますので、私どもからお答えすることはちょっとむずかしいので、お許し願いたいと思います。
  328. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうも困るのですね。地位協定でしょう。防衛庁なり防衛施設庁、そのくらいの解釈はちゃんと持っておってもらわないと困りますよ。これは9でいくと、荷揚げおろしの物資について調査する。米軍も協力しなくてはならぬ。そうすると、博多港にやってくる軍用船なり軍艦なりが、もし武装弾薬を荷揚げおろしをする際に、単なる地位協定の五条一項でできますか。それはどうです。——おわかりにならない点は、あいまいでないほうが、よろしゅうございますから、答えられないなら答えられないとおっしゃっていただきたいと思います。
  329. 島田豊

    ○島田説明員 私どもの所管外でございますので、正確な御答弁は申し上げかねます。
  330. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、私がいまから聞く問題は、そういう問題に関係しておるから、ここでわれわれが疑問としておるところを述べますから、控えをとっておいていただきたいと思います。  いま言いましたように、まずその船舶の中に軍艦が入るという見解は、これは示されましたね。そこで、その軍艦なり軍用船が荷揚げおろしするについて、内容の調査をする調査権が日本側にある。これは、税務問題とからんであると私は解釈をするわけです。しからば、その調査をするのは、税務官吏なのか、あるいは海上保安庁なのか。われわれの調査によると、地元の、海上保安部ですか、地元は武器弾薬が荷揚げおろしをされておるということを言っております。もしそうならば、私は五条一項によって包括的にそういうことが許されるはずがないと思う。もしそういうことが許されるならば、日本国じゅうの港という港は、全部軍艦が入ってきて、武器弾薬の荷揚げおろしが自由にできる。軍港とどこが違う。そうなりますと、つまり基地とどこが違うかということになる。もしそういう使用の実態であれば、今回の、あるいはいままで引き続いて過去そういうことをあなた方が許しておるとするならば、これは私は法律違反だと思います。条約違反であり、国内法違反であります。無法にそういうことをさせておるということです。つまりそういう際は、私の見解によれば、特別措置法を通じてその地区の提供を行なわなければならない。そういう手続を踏まなければならない。私はそう思うわけです。特別措置法による土地等の提供の手続がなければならない。土地等の概念の中には、港湾が含まれておるのは御承知のとおりです。だから、特別措置法による港湾の提供をさせる手続を経なくては、そういう使用はできない。ところが、いまやっておるのだ。これは重大な条約違反であり、国内法違反であると思います。もしこの点について御見解があれば、承りたいと思います。
  331. 財満功

    財満説明員 私どもとして、その問題に関しまして意見を申し上げることを差し控えたいと思います。
  332. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ではこの件は、臨時国会でいずれしかるべきときにやりますから、ひとつ明確な御答弁を得たいと思います。現在の使用は全く違法行為である。米軍の違法行為であるし、国側がその違法を認めておる、そのように私は断定をするわけです。だから、早急にこの点は明確にして——私は次回にこれを明確にする前においても、直ちにこの点を解明をして、私のほうに連絡をしてもらいたい。
  333. 財満功

    財満説明員 ただ先ほど申し上げましたように、現在までに私どもが承知いたします範囲内で扱われます物資は、生鮮食料品、雑貨物等に限定されておりまして、それ以上、武器弾薬がこの中央埠頭に荷揚げおろしされたということを承知しておりませんでしたので、その点についてもあわせて調査することにいたします。
  334. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 つまりいまの荷揚げおろしのその荷物の内容について調査する権利があるし、明確にしてもらいたい、こういうことです。  それからもう一つは、いままでの使用が特別措置法を必要としなかったのかどうかということ、さっきの問題と関連しますが、重ねてその点は明確にしてもらいたい。  それから使用の時期の問題です。いまのような使用の形態であれば、これは一時使っているのじゃない。恒久的に使っている。これも違法行為であると私は思う。こういう点を含めて、私は、もしいまのような使用形態を続けるならば、国は当然特別措置法による措置をしなければならない、こう考えます。したがって、いまの使用状態は、福岡市長は違法な使用を米軍にさしておる、国はそれについての指導を誤っておる、こう断定せざるを得ません。この点は、できるだけ早く見解を御連絡いただきたいと思います。
  335. 島田豊

    ○島田説明員 ただいまの武器弾薬の問題につきましては、私も事実関係はわかりませんが、要するに、一般的に軍艦というものは御承知のとおりに治外法権を持っておりますし、その中に立ち入り調査するということは、これは国際法上許されないというふうに考えます。ただ、それが揚陸をする、その関係につきましては、法律的な適用関係はどういうふうになるかということにつきましては、これはなお研究いたしておきます。
  336. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、最後に一問だけお伺いしておきます。  福岡県遠賀郡の岡垣射爆場の問題であります。これは過去数回誤射事件が起こった。岡垣町は全町あげてこの射爆場の廃止運動を行なっておることは、御承知のとおりであります。二十七日にも、ロケットの模擬弾の誤射事件があっております。これは幸いにして人間がおったところから二十メートルほど離れたところだったから人畜に被害がなかったが、危険きわまりない。いま日本に三つの射爆場がございますけれども、特に岡垣については、こういう事態に対して再三米軍には注意しておるにかかわらず、こういう事態が起こっておるのだから、相当強い決意が政府にあってしかるべきである、私はそのように思います。岡垣射爆場の廃止の問題についての見通しなり見解を承っておきたいと思います。
  337. 財満功

    財満説明員 仰せのとおり、米軍が使用しております射爆場は、三沢と水戸と芦屋と三つございます。芦屋につきまして、先般来薬莢、弾帯の投下事件、先般のロケット誤射事件等がございまして、私どもとしても米軍に対し厳重に注意を喚起したところでございますが、これが返還に関連いたしましては、現在米側としては、数少ない射爆場であるし、これを返還するということについては非常にむずかしい。ただ、そのような誤投下、誤射の事件をしばしば起こすことについてたいへん申しわけなく考えておるので、できるだけそのようなことのないようにいたしたい。一例をあげますならば、海軍の飛行機は、薬莢、弾帯を回収する装置を持っておりません。したがいまして今後において弾帯、薬莢を回収する装置のあるF4に切りかえていく、そういうことで、九月の上旬から中旬にかけまして、岩国の飛行場のほうにはそのような飛行機が運ばれてまいっております。その飛行機が芦屋に行って射爆をするということでございます。返還については、現在全然その見通しはない。しかし、誤投下、誤射についてはできるだけ米軍としても努力をしてそのようなことのないようにつとめたいというふうに言っておるわけでございます。
  338. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 返還について、合同委員会へ日本政府からその要望を出されましたか。
  339. 財満功

    財満説明員 御承知のとおり、施設の返還、米側が重要といたします施設の返還を求めます際には、米軍としては具体的に、代替地の要求をいたしてまいります。私ども水戸の問題につきましてまさにその一つの実例にぶつかっているわけでございまして、なかなかその代替地の発見、候補地の選定ということはむずかしゅうございます。そういうような事情がございまして、ただいままで、芦屋の射爆場の返還を合同委員会に求めたということは、いたしておらない次第でございます。
  340. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、代替地がないから返還を要請する気はないわけですね、全然。
  341. 財満功

    財満説明員 ちょっと言い方が逆になって申しわけありませんが、われわれとして代替地を見つけ得る可能性が非常に少ないので、そこで米側にいままでのところ返還を申し出ておらないということに相なっております。
  342. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それだったら、いつまでも周辺の人たちは危険な目にさらされる、それをあなた方は放置しておられることになるのです、結果的に。それでは私は困ると思うのです。代替地があるかないかの問題じゃないのです。危険があるかないかの問題なんです、これは。人畜に危険があるから、返還を要求すべきである。代替地がないから要求できないというような、そういう考えは、私はもってのほかだと思います。あなたがおっしゃったようなああいう装置をした飛行機が、今度誤射をやっておるのですよ。この点私は納得できませんですね、いまのような態度は。
  343. 財満功

    財満説明員 防衛施設庁としましては、現に先ほど申し上げましたように水戸の射爆場の返還を求め、かつその代替地を要求せられ、そのことに関連しまして数年をけみしておる次第でございます。特に九州地区におきまして芦屋の射爆場の代替地として適当な土地を求めるということについて、私どもとして一応事情の探究は行なっておったわけでございますが、適当なるものを発見するに至りません次第で、米軍のほうへも返還ということを正式に申し出て、合同委員会でその話をしたということがないということでございます。
  344. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、岡垣の場合、代替地を求める努力はなさっているのですか。
  345. 財満功

    財満説明員 岡垣の場合の前に、板付の飛行場に関連いたしまして、そのような調査の努力をしたことはございます。これは、やはり適当なるものを見つけることができない状況でございました。したがいまして、重ねて芦屋の代替地の選定ということについて、いままでの範囲内では非常に発見困難という一応の結論に達しておるわけでございます。
  346. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、たいへんその点は遺憾であると思います。代替地の問題ではなしに、重ねて申し上げますけれども、人畜に対する危険の問題であります。それとは関係なく返還を要求すべきであろうと、私は思う。もしそういう態度でないならば、今後起こり得る全事態に対して、政府は全責任を負うことになります。私は、返還要求を強くすべきであるということを主張いたしまして、時間が長くなりましたから、この程度できょうはやめさせていただきます。
  347. 河本敏夫

    河本委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会