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1965-08-04 第49回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十年七月三十一日(土曜日) 委員会において設置することに決した。 七月三十一日  本小委員委員長指名で次の通り選任された。       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    田澤 吉郎君       毛利 松平君    渡辺 榮一君       有馬 輝武君    佐藤觀次郎君       平岡忠次郎君    堀  昌雄君       春日 一幸君 七月三十一日  毛利松平君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和四十年八月四日(水曜日)    午後二時四分開議  出席小委員    小委員長 毛利 松平君       奥野 誠亮君    木村武千代君       田澤 吉郎君    渡辺 榮一君       有馬 輝武君    平岡忠次郎君       堀  昌雄君    武藤 山治君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 岩動 道行君         大 蔵 委 員 大泉 寛三君         大 蔵 委 員 金子 一平君         大 蔵 委 員 谷川 和穗君         大 蔵 委 員 原田  憲君         大 蔵 委 員 只松 祐治君         大 蔵 委 員 日野 吉夫君         大 蔵 委 員 竹本 孫一君         参  考  人         (金融制度調査         会会長)    堀  武芳君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会会長)  岩佐 凱実君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 八月四日  小委員佐藤觀次郎君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として武藤山治君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員武藤山治君同日小委員辞任につき、その  補欠として佐藤觀次郎君が委員長指名小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日は、お手元に配付いたしました名簿のとおり、参考人の方々が出席されております。  両参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございます。本小委員会は、先国会以来融資ルールの問題について調査を行なってきたのでありますが、本問題につきましては、去る七月二十一日、金融制度調査会において答申がなされ、また、全国銀行協会連合会におかれましてもその運用について御検討をなされておると承知いたしております。本日、両参考人より本問題についての御意見を伺いますことは、本小委員会調査に多大の参考になるものと存じます。両参考人におかれましては、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いいたします。  それでは、まず参考人より御意見を述べていただき、その後に質疑を行ないたいと思います。  最初に堀参考人にお願いをいたします。
  3. 堀武芳

    堀参考人 ただいま御指名いただきました堀でございます。どうぞよろしく。  ただいまお話しのように、去る七月二十一日に金融制度調査会大蔵大臣に対しまして答申をいたしましたが、それは、経済安定成長を確保するための企業金融あり方というテーマについての答申でございます。  以下、その要旨を御説明いたします。  金融制度調査会は、昭和三十八年五月に、オーバーローンの是正に関する答申という相当大部のものが答申をされたのでございますが、その後新しい経済情勢に対処するために、昭和三十九年の九月三日と十月九日の二回にわたりまして会議を開きまして、種々対策の検討を行ないました。その結果、当時はまだ金融引き締め政策実施中でありましたが、将来この引き締めが解除される場合に、従来の企業の旺盛な投資意欲金融機関のこれに対する融資態度から見まして、またまた景気行き過ぎが起こるおそれがないとしない。したがって、今後景気行き過ぎないように歯どめを設けて、経済の安定した成長をはかる必要があるというようなことになりまして、経済安定成長を確保するための企業金融あり方というものをテーマとして取り上げまして、この問題の審議特別委員会に付託いたしたのでございます。  特別委員会は、委員六名、臨時委員三名をもって組織されまして、昭和三十九年の十一月五日以降、十一月二十四日、十二月十五日、一月十八日、二月一日の五回にわたってこの問題の審議を続けたのでございます。  その際、わが国景気変動が過大になるのは産業界設備投資動向に大きな要因があると考えられますので、金融機関企業設備資金等融資するにあたりまして、何らかの健全金融ルールをつくるべきであるという点で意見の一致を見まして、健全金融ルール策定中心検討いたしてまいりました。  その間、特別委員会におきまして委員からの強い要望がありまして、健全金融ルール審議の手がかりといたしまして、事務当局から次のような骨子の試案が提出されたのでございます。  その試案内容を申しますと、  一、経済成長先導的部門である大企業設備投資を適正にするために、大銀行大口貸し出し先に対する貸し出し合計額について、その増加分ワクを設けてはどうか。  二といたしまして、主として設備投資の面で将来問題となる可能性の強い業種企業への融資方針等を協議するために、銀行のグループで話し合いの場を設けて、融資の面から投資適正化をはかってはどうか。  三としまして、銀行設備資金融資する場合のメルクマールとしまして、企業自己資金調達比率その他財務比率等に一応の基準を設けて、著しく基準からはずれるような企業に対する融資については、関係銀行間の話し合いによって調整をするようにしてはどうか。  四として、特に大規模な投資計画あるいは大商社に対する融資については、関係銀行が協議して融資適正化をはかるというような方策は考えられないものかどうか。  こういったような内容のものが、審議試案として出されたのでございます。その後の審議では、この試案中心として委員から総括的な論議が行なわれたのでございますが、その間のおもな論点を申し上げますと、銀行のほうの側から、自由経済体制のもとで個別企業自主性を規制するようなルールをつくるということは困難であると考えられるので、金融界内部で何らかのルールを自主的に検討してはどうだろうかというような意見が出ました。また、銀行企業融資する貸し出し総量調整を行なうため、貸し出し額増加率に何らかのワクを設けるような方法検討してはどうかというような意見もございました。また、企業設備投資調整する方法としまして、産業界の自主的な調整機運と対応して金融界にも話し合いの場を設けて、産業金融設備資金全体について協議しながら調整する環境をつくってはどうかというような有力な議論もございました。  このような審議の過程におきまして、特別委員会としては、広く金融界意見を聞きますために、都市銀行各行首脳部と懇談をいたしました。その際、問題の性質上、銀行側で自主的な立場から健全金融ルール検討を行なうということになりましたのでございます。そうした経過につきましては、本年の二月二十五日に開かれました金融制度調査会において中間報告をいたしたのであります。  その後、特別委員会といたしましては、全銀協における健全金融ルール検討経過を見守りつつ、その結果を待っておったのでございましたが、全銀協におきましては本年の三月以降この問題の検討を続けられまして、五月二十日に開催しました特別委員会で、まず全銀協における検討結果のうちで、総論的な部分について中間報告がございました。次いで、七月六日の全銀協理事会におきまして、銀行融資に関する共同準則というものが決定されまして、七月十四日に開きました特別委員会に、全銀協会長である岩佐委員から、その内容と決定に至るまでのいきさつの報告がございました。特別委員会といたしましては、これをもとに検討いたしたのでございます。  銀行融資に関する共同準則につきましては、後ほど岩佐全銀協会長から内容の御説明がございますように承っておりますので、私は省略さしていただきますが、この共同準則前文と具体的な準則から構成されておりまして、企業健全経営銀行健全金融とを自主的に確立することを基本的なねらいとして、秩序のある企業金融を確立するための努力目標内容といたしております。そして、もし秩序ある企業金融が確立されるならば、それが経済安定成長を確保する道に通ずるというわけでございます。  特別委員会といたしましては、この共同準則につき検討いたしましたところ、その具体的な項目である預貸率とか、あるいは財務比率等の定め方、あるいは自主調整融資関係とか、運用委員会——これは今後共同準則によって設けられる委員会でございますが、その運用委員会運営方法というようなことにつきましていろいろと討議を行ないました後に、本調査会に対する特別委員会としての報告を取りまとめたのでございます。  去る七月二十一日に開かれました本調査会におきまして、特別委員会報告について種々討議をいたしましたが、これに基づいて、金融制度調査会として今日まで検討してまいりました結果を大蔵大臣答申することにしてはどうかということになりまして、答申文検討し、作成しまして、七月二十一日付で答申いたした次第でございます。  今回の答申も、形式的には、昭和三十一年に金融制度調査会大蔵大臣から出されております「金融情勢の推移にかんがみ、現在の金融制度につき改善を要する事項如何」という諮問がございますが、その諮問に対する答申ということになるのでございます。答申書はお手元に配付されておりますので、内容はそれによって御了知願えることと存じますが、その要旨を以下申し上げたいと存じます。  すなわち、わが国経済は、過去においてしばしば景気過熱経験しました。これは基本的には企業資金需要が強くて、これに対し金利機能弾力化等に不十分な点があり、また、金融政策運営にも問題があって、総じて金融景気に対する調節作用がおくれがちであったということにもよるのでありますが、さらに、このような状態をもたらした要因一つとして、企業及び金融機関活動自己責任に基づく健全なルールが確立しておらず、とかく借り過ぎになり、あるいは貸し過ぎになる現象を招いたという点があげられます。したがいまして、今後、従来のような過大な景気変動を繰り返さないようにするためには、一方において、政策面金利機能弾力的活用をはかるなどの配慮が必要でございますが、同時に、金融機関及び企業の段階で何らかの健全金融ルール設定し、金融機関及び企業がそれを守って行動をしていく環境をつくることが必要であると考えられます。もっとも、最近におきましては経済活動、特に企業設備投資動向が著しく鎮静化しておりますので、景気過熱を防止し、設備投資行き過ぎに対する歯どめとしての融資ルール策定は、当面緊急性を持たないというような見方もあったのでございますが、しかし、一方、長期的な観点から見ますと、健全金融準則設定することが、わが国経済の今後の運営を行なっていく上になお重要な意義を有するものと考えられますし、むしろ、現在のような時期こそ健全金融準則設定が可能であり、それが慣行化されるものであると考えられるのであります。  このような観点からしまして、全銀協で決定されました共同準則は、融資ルールとしてやや抽象的な感がありまして必ずしも十分なものとは言えませんが、わが国金融経済構造現状から見まして、より具体的なルールをいま直ちに作成するということは必ずしも容易でないと考えられますし、また、銀行によっていろいろと異なる意見のあるのを、何回も協議を重ねて全銀協においてまとめられたものでもありますので、この共同準則実施に移して、今後逐次その改善をはかることが銀行自主性を尊重することにもなり、実効を確保する上にも実際的であると思われるのであります。したがいまして、金融制度調査会といたしましては一応この共同準則を了承しまして、今後の運用実態を見守るとともに、銀行がその運用経験を通じて漸次準則内容充実強化努力することを期待すべきであるという結論に到達した次第でございます。  しかし、この共同準則実施しました場合に実効があがるかどうかということは、準則によって設けられる共同準則運用委員会運営いかんにかかっていると思われますので、金隔制度調査会といたしましては、運用委員会運営につき三点の要望を付することとしたのでございます。  要望の第一点は、共同準則運用委員会運営は弾力的になされるべきであるが、そこで連絡、協議すべき事項については、あらかじめ具体的に定めておく必要があるということであります。第二点は、運用委員会は常に準則充実強化のための実効ある方法検討していくということ。第三点は、運用委員会運営自体金融政策運営と深く結びついているという実情にかんがみまして、金融政策当局と常に密接な連絡をとるということ。この三点でございます。  以上をもちまして、はなはだ簡単でございますが、金融制度調査会審議経過及び結果を御報告いたします。
  4. 毛利松平

    毛利委員長 次に、岩佐参考人にお願いいたします。
  5. 岩佐凱実

    岩佐参考人 いわゆる融資ルールの問題につきましては、先般も皆さま方に御説明申し上げたように、昨年十一月以来金融制度調査会特別委員会で論議せられていたのでありますが、その後、全国銀行協会で自主的に検討することと相なり、本年三月以降鋭意検討の結果、お手元にあるような銀行融資に関する共同準則銀行協会として作成したわけであります。  検討にあたっては、まず融資ルールの取り上げ方、その性格等について、いわば総論的な問題の討論を行ない、次いで、具体的なルールに関して各行意見を持ち寄り、討論を重ねて結論を得たものであります。  前文では、まず、共同準則の基本的なねらいは、企業健全経営銀行健全金融とを自主的に確立することにあることを明らかにしております。経済安定成長のための信用総量調整ということは一般的な財政金融政策役割りであり、私どもの目的とするところは、企業銀行との間に健全な金融秩序をつくることであります。  次に、複雑な生きものである経済的事象を何らかの方程式のようなもので画一的に律するということではなく、共同準則各項趣旨にのっとりつつ、具体的な問題は、経済実態に即して良識と経験とによって判断対処さるべきものであることを述べております。  さらに、準則各項の具体的な推進は、客観的な条件の成熟とかね合いのものであることが述べられております。すなわち、銀行の預貸率の改善の問題にしましても、銀行自体として努力せねばならぬことはもちろんでありますが、財政金融政策あり方その他の金融環境に左右される点も多いのであります。企業財務比率の問題にしましても、企業努力と相まって、企業自己資金充実し、あるいは安定的な資金を調達しやすいような環境醸成することが必要であります。したがって、私どもといたしましては、私ども努力とともに、経済環境醸成についての当局の適切な政策運営を特にお願いしているわけであります。  なお、前文大口貸し出しの問題に触れております。大口貸し出しの問題は、健全金融に関して留意すべき事項一つでありますが、ただ、実際問題として、わが国現状では、企業自己資本蓄積が十分でなく、また、株式や社債による資金調達にも限界があり、銀行借り入れへの依存がある程度高くなるのはやむを得ない状況であります。特に巨大企業の場合には、銀行取引がすでに相当分散されていても、所要資金額が多額にのぼるため、銀行にとっては、なおかなりの大口貸し出しとなっております。今後わが国経済欧米先進国の水準に近づいていくため、また、企業国際競争力強化していくためにも、今後もなお相当投資が必要とされ、企業資金需要も根強いものがあると考えられますが、他面、企業内部蓄積は早急には進まず、また、資本市場からの資金調達も急テンポに増大することが期待されないとすれば、銀行借り入れへの依存も早急には低下しないものと考えられます。もちろん、銀行としても極力その分散化に留意せねばなりませんが、あまり機械的に多数の銀行に分散することは、かえって銀行企業との取引関係あり方らいって問題でもあると考えられます。したがって、結局この問題は、企業自己資金調達力強化銀行の資力の充実と相まって漸進的にその解決をはかっていくべきで、現在のような客観的な条件のもとで大口貸し出しを何らかの形で規制することは摩擦が多く、産業の発展の上からもかえって問題を生ずるものと考えられるのであります。  以上のような判断から、大口貸し出しについて、これを具体的な共同準則として掲げることはせず、ただし、その重要性にかんがみまして、特に前文でこれに触れて慎重な配慮を加えることとした次第であります。  次に、本文の第一項、預貸率の問題でありますが、預貸率の問題は、企業金融の問題と関係も深く、企業財務比率改善要望する以上、銀行としてもみずからその健全化をはからねばならぬという観点から、これを取り上げたものであります。預貸率の改善については環境に支配される点も多く、従来、長期的に見て、特に改善傾向を見ることなく今日に及んでおります。預貸率の改善をはかるため、銀行間で限界預貸率、すなわち、ある期間中の貸し出し増加額預金増加額で割った比率について共通指標をつくるということも議論されましたが、各行事情がいろいろ異なっていて、共通指標をつくることはとうてい困難な状況にあります。そこで、原則として、限界預貸率が残高預貸率を上向らないという大ワクを設けて、そのワクの中で各行がそれぞれの実情に応じて自主的に指標を定めて改善努力することにしたのであります。ただし、預貸率の改善については、共同準則でこれを定めたからといって、それのみで直ちにその改善を期待し得るということではなく、金融環境に影響される点も多いのであります。したがって、われわれの努力のみでは容易に改善を期待し得ないような事態については、当局においても環境醸成について配慮をお願いしたいと考えております。  第二項、企業財務比率の問題。  企業財務比率改善に関しては、特に設備資金との関連で、自己資金調達比率固定長期適合率との二つの比率を取り上げて、その改善努力することとしたわけであります。財務比率改善について何らかの具体的な指標を設けてはどうかという考え方については、種々検討したのでありますが、適切な基準を定めることは困難であり、問題点も多いので、抽象的な規定にとどめたのであります。  その事情を若干御説明申し上げますと、まず、自己資金調達比率固定資産増加をどれだけ自己資金でまかなうかという比率であり、それが高いほど企業経理の安定の上からは好ましいわけであります。この場合、自己資金としては、内部留保減価償却のみを考える場合と、これに増資も加えて考える場合とがありましょう。しかし、自己資金調達比率について具体的な基準を設けるとなると、いろいろな問題を生じます。たとえば、すでに相当自己資本を持ち、財務内容が十分安定している企業の場合には、ある期間における自己資金調達比率が若干悪くても、企業財務内容自体にそれほど影響を与えるものでもありません。したがって、ある期間自己資金調達比率のみをとってその企業が不健全であるとは、必ずしも言えないと考えられます。また、自己資金調達比率をどのように把握するかという問題も、企業設備投資が波を打って行なわれる関係で、期間のとり方で比率が異なるという問題もありますし、また、自己資金といっても、頭金としてあらかじめ用意されているものではなく、将来見込まれる収益も含まれていて、事前に明確に把握することは困難であります。固定長期適合率のほうは、企業自己資本固定負債を加えたものに対する固定資産の割合で、これは、固定資産自己資本なり固定負債なり長期資金でまかなうという考え方であります。  このほうは、自己資金調達比率に比べれば把握しやすいと考えられるのでありますが、具体的な基準設定となりますと、必ずしも簡単でないのであります。すなわち、固定長期適合率実情を見ますと、装置産業のように設備投資の負担の大きい業種固定長期適合率が悪いという傾向がうかがえ、したがって、業種区分なく一律に考えることはできません。また、資産負債の短期、長期区分のしかたなり、あるいは土地の評価の差異というような問題もあり、なかなか表面的な比率だけで企業間の比較を行なうことも問題があります。またメルクマールとしてでも、何らか具体的な比率共同準則できめられると、実際問題として、できるだけそれに合わせようとする努力から、いろいろな波紋を描くということも考えなければなりません。  本来、企業の優劣の判断なり、貸し出し審査の上からの適否の判断というものは、業界全般状況、将来の市場見通し経営者能力生産技術問題等、多角的に行なわるべき問題で、財務比率の問題は判断資料一つにすぎないものであります。したがって、共同準則において特定の財務比率に何らか具体的な基準を設けることにより、実際問題としてその財務比率が必要以上に重視され、いろいろな波紋を生ぜしめる結果となることは、むしろ問題であると考えられます。したがって、これら財務比率改善については、一律の具体的な基準を設けることは行なわず、企業体質強化趣旨に沿ってそれぞれの実情に応じて、特に財務比率の悪いものについてその改善方をはかることにいたした次第であります。  第三項、貸し出し条件適正化の問題。  貸し出しにあたって資金の使途、性質を明確に把握し、それぞれ適正な条件を付して貸し出しを実行することとし、設備資金運転資金相互間の流用等を戒めたものであります。また、返済約定期間についても、企業償還能力との関係で無理を生じ、そのしわが企業間信用の膨張となったり、運転資金へのしわ寄せが行なわれることのないよう、慎重な配慮が望まれております。もっとも、銀行にとって、貸し出し返済約定期間については、本来企業信用力銀行資金性格あるいは経済先行き見通し等によっておのずから限度があるわけのものであって、そういう点を考慮しつつ、極力無理のない返済約定期間配慮する趣旨のものであります。  第四項、設備投資自主調整に対する銀行の協力。  融資ルールの問題が取り上げられた理由の一つとして、設備投資行き過ぎの問題があるのでありますが、その調整方法としては、自主調整を尊重していくべきであるということが私ども考え方であります。そこで(イ)の項目では、設備投資調整が問題となっている業界については自主調整を尊重し、自主調整が行なわれた場合に、その範囲で銀行審査に適合する場合、資金の供給を行なうことをうたっているわけであります。  業界自主調整が容易に成立しない場合には銀行としてどうするかということが問題でありますが、この場合、銀行業界自主調整に立ち入って個別的な問題に干渉するととはなし得ることでもありませんし、またなすべきことでもないと考えます。しかし、銀行としても設備投資調整の問題には深い関心を抱かざるを得ないわけで、状況に応じて企業自主調整に側面的な協力は考慮していきたいと考えているわけであります。具体的には、必要に応じて業界との話し合いの場を設けていくようなことが考えられます。  第五項、商社金融の問題。  商社という特定業界の問題を取り上げましたのは、財務比率の問題や自主調整に関する問題が主として一般産業会社の設備資金に関するもので、商社に直接関係することが薄いものであるので、商社金融については別項を設けたわけであります。もちろん、商社は流通面において重要な役割りを果たしているものであり、特に貿易面での役割りは大きいものでありますから、ここで規定して趣旨というものは、一般的に商社金融を規制するということではなく、一般営業資金以外の投融資資金について、それが過大に及んで財務内容の悪化をもたらすことのないよう留意する趣旨となっております。  第六項、第七項、共同準則運用委員会共同準則の適用銀行。  共同準則運用に関して、共同準則の適用銀行の頭取、社長を委員として構成された共同準則運用委員会が設けられ、相互の連絡協議に当たるものとなっております。別に、具体的な検討機関として、専務、常務級で構成する幹事会が設けられており、すでに一回会合を行なっております。  共同準則運用委員会で協議される事項は、第一項の預貸率の改善に関してその具体的な運営をどうするかという問題、第二項の企業財務比率改善に関する問題、第四項の産業界自主調整への協力に関連して、問題産業の選定及び業界との懇談会の運営等の問題等であります。  なお、適用銀行の範囲は、都市銀行——東京銀行を含めた十三行、長期信用銀行三行、信託銀行七行となっており、地方銀行が除かれておりますが、これは、そもそもいわゆる融資ルールの問題が、都市銀行等の大企業に対する貸し出しあり方をおもな対象として取り上げられたものであり、したがって、共同準則各行につきましても、地方銀行にとって必ずしもそのまま適用することがぴったりしないものもあるからでありまして、地方銀行としてもその精神にのっとって、健全金融を進めていく点には異論のないものであろうと考えております。  以上であります。     —————————————
  6. 毛利松平

    毛利委員長 これより質疑に入ります。  通告がありますので、順次これを許します。堀委員
  7. 堀昌雄

    ○堀小委員 最初に、金融制度調査会の堀さんのほうにお伺いをいたしますけれども、ここにも述べられておりますように必ずしも十分ではない。その点は私もそういう感じがしておるのでありますけれども、実は今後、この問題は金融制度調査会としてはどういうふうになさるのか。この共同準則運用委員会が設けられて、そこでいろいろと、今後の経過については、新たな段階に応じていろんな問題がやはりそこに提起されたり、また、それがそこでコンクリートになったものはまた共同準則の中に入ってくるとか、何かそんなことが起きてくるんではないだろうか。ただ準則準則でこれだけ、運用運用で別だということではなく、だんだんこれが発展を——時間がこういうことになるかは別としても、経済情勢の進展に応じながら、さらに前進をするものだと私は期待をいたしておるのです。金融制度調査会では、今後の安定成長を確保するための企業金融あり方という問題については、まあ一応これでワン・ラウンドは終わったわけでございますが、引き続き、今後の経過についてはどんなふうにお考えになるのかを承りたいと思います。
  8. 堀武芳

    堀参考人 おっしゃるとおり、この準則はこのままでなくて、今後の運用に応じて、また、経済情勢の変化に応じて、だんだんと充実強化されていくべきものであるし、そのことをわれわれはむしろ期待しておるわけでございます。したがいまして、いまの準則にない事柄でも新たに準則に設けられるということは、当然あってしかるべきだと思うのです。ただ、金融制度調査会としましては、先ほども申しましたように、銀行側で自主的にとにかくとったのであるし、また自主的に運営していくというのでありますから、この運営を見守っていくと同時に、その経過は常に金融政策当局連絡してもらいまして、その結果によっては、あるいはまた金融制度調査会がさらに取り上げることがあるかもわかりませんですけれども、いまのところは全銀協運用におまかせして、将来の発展を期待する、こういうことでございます。
  9. 堀昌雄

    ○堀小委員 私もこ前、各行の皆さんがお見えをいただきましたときに——こういう非常にむずかしいものですから、最初から非常にコンクリートな、完全なものができるということはなかなかむずかしいと思います。さっきからここで、たびたび岩佐さんのほうからお触れになっておる財政金融政策あり方によるいろいろな影響の問題、それからまた、環境醸成についてのいろいろな御希望等が出ておるわけでありますから、もちろん私も、そういうふうに最初から完全なものは期待できない。ただ、ここまでやっていただいて、運用委員会で今後具体的な問題についてはかなり御検討が進むと思いますので、またあと六カ月先か一年先には、日本のいまの金融の状態がまた変わり得る可能性は十分あるのではないか、特に最近の政府がとっております一連の政策は、多分にそういうことを予想させる政策がややせっかちにとられつつあるのではないかという感じがいたしますので、そこらについては、私は、あとしばらくは銀行の皆さん方の自主的なお取り計らいを願ってけっこうだと思っておりますが、そういう過熱時期がくる前ぐらいには——いつになるかわかりません。わかりませんが、そういう時期の前ぐらいには、もう一ぺんこの問題は少し——いまは少し逆な時期になっておりまして、どちらかと言うと、設備投資も予想以上に鎮静化しておるといいますか、資金需要の面もある面では非常に鎮静している時期でありますから、それが今度またふえてまいりますときに、実はこれが歯どめとして役に立つわけであります。ただ、そのときの財政金融政策あり方がいまとは違っておりましょうから、たとえば、どうなるかわかりませんが、公債が発行される問題であるとかいろいろな問題が出てまいりますと、ちょっといまの時点だけでは予想できない問題でありますから、その時点ではまた検討させていただかなければならないと思うのです。要するに、私どもが考えましたことは、こういう時期でなければなかなかこういう問題は処理ができないのではないかということなので、その点については、金融制度調査会のほうでも金融当局とひとつ御連絡を願って、時宜に適した問題の取り扱いをお考え願っておきたい、こんなふうに考えます。  私、きょうは、いまの融資ルールの問題とあわせて、堀さんは日本銀行の政策委員でもあられるしいたしますので、当面の金融政策についても、あとでちょっとお伺いをいたしたいと思います。  引き続き、岩佐さんのほうにお伺いしたいのであります。  この中で非常にはっきり出ておりますのは、限界預貸率と残高預貸率の内側に、「この指標各行それぞれの残高預貸率を上廻らざる範囲内で策定することを原則とする。」こういうふうに、はっきりここでこの点は書かれておるわけでありますが、最近の実情は、ちょっと資料で拝見をいたしますと、昭和三十九年三月期で、都銀の月末残預貸率は一〇一・七四、当時は期中限界預貸率は一〇二・〇四、これは全体の平均値ですから、各行別の問題はありましょうと思いますが、こういう時期なら問題は非常に少ないと思うのです。三十九年の九月期で見ますと、月末が一〇四・〇三という全体の平均に対して、期中限界預貸率が一五一・五四、四十年三月で見ると、一〇二・五三に対して一二一・八一と、この期中限界預貸率が平均値では最近非常に高いわけでございますね。ですから、この三%、五%高というのなら中に入るかと思うのです。これは平均だけで見ておりますからちょっと問題があるかもわかりませんが、五〇%とか二〇%違っておるという最近の情勢から、これははたして準則できめられたことが可能かどうか、残高預貸率の内側に入れられるのかどうか、そこの点の見通し、それをちょっと岩佐さんから伺いたいと思います。
  10. 岩佐凱実

    岩佐参考人 その点、いま堀委員から御指摘のあったように、私むずかしい点だと思うのでございますが、これはさっきもちょっと申し述べましたように、銀行だけの努力では必ずしもそういうふうにもいかないという面もございます。いろいろな金融環境、あるいは財政、金融、両方の政策のあり方あるいは運営というようなものと密接な関連を持っている問題だと思います。しかし、そうではありますが、都市銀行といたしましてもこういう線に沿って努力をすべきではなかろうかという一応考え方を持っております。ですから、まあこれはややあいまいじゃないかというおしかりもあるかと思うのですけれども、原則とするということになっておりますので、例外が全然起こらないとは言えないということなんであります。少なくとも、われわれとしてはこの目標でぜひ努力したいと思っております。それは大体一致した意見でございます。
  11. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、いまの財政金融政策あり方というような、これは抽象的でございますね。そこで、いま日本銀行は、これまでは政府保証債のオペレーションというかっこうで資金供給がされておりましたが、この七月からはオペレーションは何かやめるというふうに新聞に出ておりますね。そうすると、いま政府資金の散超、揚げ超に応じての資金供給は貸し出しによるのだということにならざるを得ない。ところが、貸し出しのほうには、やはりまだどうも日本銀行として必ずしもどんどんフリーに出るということでもないということになると、やはりある意味では財政資金関係で非常たタイトになってくることもあるというようなことで、限界預貸率が動きにくい、そういう問題もあるということでございましょうか。そういうことには直接関係はないと……。
  12. 岩佐凱実

    岩佐参考人 いや、いまのお話のような点もあると思いますが、ただ、日銀がとりあえずのところはオペレーションをやめまして、そして日銀貸し出しでやってと言ったのは、私の承知しておりますのでは八月に関してのみの問題であって、九月以降は、御承知のように財政が散超になりますので、その財政が散超になったところで、オペレーションのやり方というものをそこで再検討して、そこから日銀がどういう考え方を出してまいりますか私存じませんが、そういたしますと、今度はまた十二月以降、財政が揚げになります時期に、今度は買いオペレーションというような政策を、どういうふうな政策をとりますか、あるいは日銀貸し出しの政策というものを、どういう政策をとりますか、その辺はこれからの検討問題であるというのが日本銀行考え方のように私は承知しているのでございます。ですから、今後は、日銀が貸し出し政策一本でいくんだということでは必ずしもないと思うのです。ですから、いまそういう問題も込めまして、これは財政と金融のいろいろな、財政がどういう程度に揚げ超になる、あるいは払い超になる、それに伴って日銀がどういう政策をとっていくか、あるいは大蔵当局がどういうような政策をとりますか、私が申し上げたのはそういうものを全部込めての話でございます。
  13. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうすると、いまこういう預貸率だけの面から申しますけれども、この預貸率が改善できるようにするための財政金融政策というのは、具体的に言うと、都市銀行の側としてはどういうことであれば預貸率が改善しやすいか、どういうことになるのでしょう。
  14. 岩佐凱実

    岩佐参考人 それは私にはむずかしい問題で、とても私のあれじゃお答えできない問題だと思うのでございますね。まあいろいろ今後財政がどういうことになりますか、私にもよくわかりません点がありますので……。
  15. 堀昌雄

    ○堀小委員 私はどうなるかではなくて、銀行側として……。ただ銀行に限って預貸率を改善していきたい、いま私がちょっと申し上げたように、原則ですけれども、確かに限界預貸率が残高預貸率の中へ入っていけば、それによって残高預貸率が下がりますから、また下がったやつのワクの中で限界預貸率を押えていけば、いつかは限界預貸率はノーマルな状態になる。これは私、ものの考え方としては非常に合理的な方向だと思っているわけですね。ところが、さっきから伺っていますと、財政金融政策あり方に非常に関係をする環境醸成にひとつ努力をしてもらいたいと、こういう御希望が出ているわけです。そうすると、銀行側としての御希望の財政のあり方金融政策あり方というのは、どうなるかは別です。皆さん方の立場からの御希望というのはどういう形でありますか。
  16. 岩佐凱実

    岩佐参考人 ただ一言お断わりいたしておきたいのは、このいわゆる融資ルールの問題あるいは共同準則の問題というのは、景気が熱していくときの、まあ一つの歯どめ的な役割りに重点を置いて検討されているものなんですね。そこで過去の例を見ますと、景気過熱の——堀先生十分御承知のように、景気が上昇あるいは過熱へ向かいますときは、残高預貸率よりも常に限界預貸率のほうが大きくなるわけでございますね。だから、そういうことがやはり景気過熱というものを起こしやすい、あるいは起こしている一つの原因をなしていたのじゃないか、そういう一つの反省があるわけでございますね。だから、今後そういうことにいかないためには、やはり残高預貸率よりも限界預貸率のほうを低いところに置くという、そういう心がまえが必要じゃないか、そういう観点でございます。
  17. 堀昌雄

    ○堀小委員 おっしゃること、よくわかるのです。ただ、財政金融政策との関連でという点を、さっきお話を承っていると非常に強調していらっしゃるものですから、そこで、その部分が強調されるとするならば、銀行側だけではやりたくてもできないということになるのなら、それでは何かそちらに対して御希望があって、こういうふうな条件になっていればこれは必ずスムーズにいくのだ、そういう因果関係で私この問題を提起したわけです。私は、何も財政金融政策なり環境の問題もあるけれども、しかし、銀行としてはこれは第一当然のことなんでして、融資ルールがあろうがなかろうが、預貸率がいまのような状態でいいなんてことにはならないので、やはり徐々に預貸率が改善されるということは、融資ルールを離れても、サウンドバンキングということでは当然のことでございます。融資ルールとしては非常に役に立つことでありますから、私が今度の問題の中で一番期待しておりますのは、実はここなんです。ほかのところは非常に抽象的でございまして、いまの自己資本調達比率にしても長期固定比率にしても、私は、これもやはりいろいろ考え方はあると思うのです。さっきもおっしゃっておりましたが、たとえば業態別にそういうものをずっと並べてみますと、それだけではいきませんけれども、上から下へあるだろうと思うのです。これは固定長期比率でもあるだろう。そうすると、その中で、少なくともどこかにバルクラインがあって、望ましいのは、同じ業種ではここから上くらいになるのが望ましいというようなことは、それはきちっとは出ないにしてもあるんじゃないだろうか。そうすると、それについて、ちょうどこの限界預貸率と残高預貸率のようなかっこうで、その限界自己資本調達比率なり限界固定長期比率なりというもののふえ方が、こちらの固定なりそれのふえ方の内側へ入るんだというようなことで、何かバルクを引いて入っていけば、徐々にそういうものが、さっきの残高預貸率、限界預貸率の関係のように改善はされるんじゃないだろうか。ですから、私、まだあとの財務比率のほうにも、もう少し御検討をしていただく中ではいろいろな問題が出てくると思います。しかし、それはまあ産業界のほうのことで、皆さんのほうからだけどうしろこうしろとおっしゃってもなかなかいかないのですが、このほうは非常に当然のことだという形で、これが私、今度の融資ルールの一番成果のような感じがするのです。それがここに「原則とする。」というのは、私は例外のほうに比重を置かないで原則のほうに比重を置いて読んだものですから、たいへんいいことだ、ただしかし、現状では、ややこれまでの最近の限界預貸率というのが非常に高くなっておりますから、そこのところはちょっと不安があったもんですから伺ったのです。ですから、その点別に、金融財政政策もあるけれども銀行側としては、しかしこれは大いにやるんだというお話なら、この点で私もう打ち切りたいと思います。
  18. 岩佐凱実

    岩佐参考人 もう一つつけ加えておきたいのは、もちろん財政金融政策と密接な関係もございますし、それから企業資金調達方法とも密接な関係がある。また、言いかえれば、これは資本市場の姿とか、それから公社債市場の姿とか、こういうものがどうなりますか。つまり増資が比較的容易にできるとか、それから社債が比較的容易に出せる、こういうようなものにも関連がございますし、それから銀行経営の姿にも影響がある。つまり大蔵当局の都市銀行に対する店舗行政がどういうふうであろうとか、そういうような問題にもいろいろなものが相関連する問題だと思うのです。ですが、あくまでもこの原則というほうに重点を置いていて、例外のほうに重点を置いているつもりではございません。
  19. 堀昌雄

    ○堀小委員 堀さんのほうにお伺いいたします。いまの岩佐さんのお話の中で公社債問題、特に社債の問題というものが出てくると思うのですが、最近見ますと、日本銀行は、公定歩合はお下げになるけれども、コールを下げるという点についてはややどうも積極性がないような感じがするのです。これは日本銀行当局でないのですから、政策委員のお立場で承ればけっこうなんですが、堀さんとしては——私は、もう少しコールが下がらない限り貸し出し金利を下げろという非常に一般的な要望があるんですが、大体岩佐さんの富士銀行あたりでもあれでございましょうね。公定歩合が下がるということのメリットの分とコールとの関係で見れば、コールがいまのような状態では、公定歩合が下がった部分のメリットよりもコールのほうのウエートが大きいんじゃないだろうか。おたくの場合はよくわかりませんが、大体コール二千億ぐらいじゃありませんでしょうか、そして貸し出しのほうが一千億ぐらいとすれば、その一千億の中の半分ぐらいは貿手か何かで、今度の公定歩合の効果がきいていない。残りの五百億に公定歩合はきくけれども、コールの二千億はなかなか下がらない。取手で見れば一銭九厘ぐらいだということになったのでは、これは金利を下げろということが盛んに言われていても下がらないのではないか。そうすると、やはり日本銀行としては、もう少し積極的にコールを下げるということが、社債その他の流通に役に立ってくるのではないだろうか。雑金融あたりを見ましても、うんとコールを出しているのは、どんどん下がってくれば、どうしたってやはり公社債を買わなければどうにもならぬということになるのではないかと思うのですが、そこらについての政策委員としての堀さんの御意見を伺っておきたいと思います。
  20. 堀武芳

    堀参考人 御指摘のように、政策委員の私見として——政策委員会は、御案内のとおり七名でいろいろ協議した結果まとまる意見ですから、私個人の意見として申し上げておきます。  確かに、金融のひずみのうちの一番大きいのは、御承知のとおりオーバーローンと、それから金利体系が乱れているということでありますが、その金利体系が乱れているうちで一番目立つのがコールレートの高いということでございます。本来コールは、ほんとうに金融がすべて正常化されましたときは、もうこれは銀行の支払い準備金の短期運用となるべきものなのです。そういう点からいきますと、いまのようにまだ投資市場となっているということは、本来のコールの姿ではないと思います。ただ、利率をおっしゃいましたが、昨年の秋ごろまでは三銭以上であった。それがいまは、とにかく無条件で一銭八厘というところまでだいぶん下がっておるわけです。この下げるについては、日本銀行も、金融当局として指導的立場でいろいろと配慮してきているわけなんですが、ただ金利は、御承知のとおり無理に人為的に下げるということは好ましくないので、やはり資金需給によっておのずから下がっていくというような環境にしなければならない。その環境をつくるということは、政策当局としてはできるだけ努力していかなければならぬ問題だというふうに考えるのでございます。でございますので、やはり日本銀行としては、従来もそういう点には関心を持ってきておるわけでございます。ただ、いまおっしゃいましたが、そのコールを出している地方の金融機関の立場、これはコールを急に下げるということになりますと、その立場を非常に考えなければならないというように思われますので、地方の金融機関はできるだけ合理化にこの際つとめて、資金コストを引き下げるように努力するのは当然でありますが、同時に、ただいま御指摘がありましたが、公社債などのようなものを投資物として、そういう方面に向かうようにできるだけ公社債の発行もふやすなり何なりして、そうしてコール市場以外で資金運用ができるような配慮が必要だ。ただ、そういう場合に、地方の金融機関として、万一の場合にそれが資金化できるということが必要でございます。そういう意味からいきますと、公社債を持たして——利回りが相当いいから持たしたというだけではいけないので、やはり必要があるときはそれが資金化できる。したがって、証券市場というものがやはり育成されていかなければならぬ。そういう面の育成と相まって漸次コールを引き下げていく。ここで急に人為的に下げるということではないのですが、かりに下げますとすると、地方の金融機関運用の面が問題になってくるというように考えます。ですから、そういう証券市場の育成と相まって、相当期間もかかると思いますけれども、漸次下げていくべきものではないか、そういうふうに考えるのでございます。
  21. 堀昌雄

    ○堀小委員 まあ、いまの堀さんのお話ではありますけれども、どうも地方の金融機関の経営の問題というのは、その経営の問題として別にあることで、コールの問題というのは、これは金融政策の問題で、金融機関の経営の問題ではないわけでございますから、私は、やはり本来切り離して考えるべき問題ではないかと思います。そうしますと、やはり公定歩合が一銭五厘に下がって、コールが一銭八厘というのはノーマルな姿ではないのではないだろうか。それはしかし、私ども見ていますと、八月にオペレーションをやめるということになったのは、伝え聞くところによると、証券にかなり大きな金を出しているから、全体としては出ておるのだということじゃないのかと思うのですが、これをもう少しオペレーションをやって、銀行に金が入ってくれば必然的にコールは——人為的に下げるわけにいきませんけれども、需給関係からして資金があればコールはとらない。コールをとらなければ当然下がるということになるでありましょうから、もう少しコールが下がるということにならなければ、何か一般に要望されておる三厘下げたのに、けさの新聞を見たら六毛幾らでございますか、六毛一糸か何かしか下がっていないというようなことのようであります。年末になってくれば一厘くらいにはなるでしょうけれども、三厘下げても実際の貸し出し金利は一厘くらいしか下がらないということの中には、いまのコールの問題というのはかなり大きな比重を占めておるのじゃないか。ですから、そういう点は、そういうものもゆるみ、いろいろ私どもの願っておるそういうあるべき銀行の姿になるような方向というほうが、多少ゆがんだ銀行経営——銀行経営といいますか、金融機関の経営を守って、そのために片方があるべき方向にいくのが妨げられるというのは、金融政策としては私は当を得ないじゃないかという感じがちょっといたしますが、その点はいかがでしょうか。
  22. 堀武芳

    堀参考人 従来も、コールがことしになってすでに六厘下がっております。しかし、これは御指摘のような点では、やはりコールを下げるという点には相当日本銀行としても配慮しておるのだと申していいと思うのです。ただ信用機構の維持育成という別の使命からいって、地方の金融機関、出し手のほうがどうなってもいいというわけにはいかぬものですから、そのほうをやはり考えながら、先ほど申したように漸を追うていかなければならないと考えるのでございます。
  23. 堀昌雄

    ○堀小委員 それから、もう一つ岩佐さんにお伺いしたい。これは何だか景気の先行きがはかばかしくなければ、もう一ぺん金利を下げようということもちらほらこの委員会でも出ておるわけですけれども、私は、現在の金利状態でも、いま日本銀行貸し出しを一銭五厘で全部借りられるかといえば、どうも必ずしもそうではないような感じがしておるわけです。それは別に金に色がついていませんから、一銭五厘でどんどん出てしまうと、輸入貿手をそれに振りかえて、ユーザンスをとるのをやめてこっちへとってしまおうというようなことにもなりかねないという点が、すでにそろそろ出てきておる。そうすると、公定歩合がまた一厘下がるということになりますと、非常にそういう点問題になってきて、公定歩合は下がったけれども、なかなか金は貸してもらえないということになりかねないのじゃないかというような感じがするのですが、銀行の側としては、いまのそういう輸入ユーザンスの関係での貿手の問題と普通の貸し出しとか——貿手としては別ですけれども、普通貸し出しはそっちにお金が流れはしないかというような不安を日銀は持っておるのじゃないだろうか、少しそういう意味での締まりぎみな点があるのじゃないかという感じがするのです。それとあとの一厘下げの点についてちょっと……。
  24. 岩佐凱実

    岩佐参考人 いまお話しのように、輸入ユーザンスは据え置きでございます。いまの公定歩合との比較においてはおっしゃるような点があるわけです。しかし、輸入ユーザンスは単に金利だけが低いからどうこうという問題だけでもない点がございます。期間というような問題もございますけれども、これはたいした問題じゃないにいたしましても、やはり海外においてユーザンスを受けるということからくるいろいろなメリットがあるわけなんでございます。ですから、銀行の立場からいいますれば、なるべく従来のままの輸入ユーザンスという形で輸入金融をずっとやっていくということが望ましいし、また私どもとしてはそういう態度で臨んでいるのですが、主として輸入原材料を買います製造業者の立場からいいますと、少しでも金利負担が安いほうがいいというような点もございます。しかし、いまもお話しているように、金利以外のメリットというものも、ことに中間に入る商社の場合にはございます。だから、必ずしもそういう希望というものが現在のところ強く出ているということではないわけです。ですから、若干そういうような影響もあるが、しかし、たいした影響はいまのところ生じていないし、今後においてもそう日本の外貨準備に影響するほどの影響が出てくるとは考えておりません。  それから、二番目のほうの、さらに一厘下げるかどうかという問題です。これは全くの私見になりますけれども、いわゆる景気対策としてのいろいろな施策は財政の面からかなり打ち出されてきておりますし、それから、これも堀先生御承知のように、不況対策としての金利をさらに下げるということは、それほどきき目のあるものかどうかという点に私も若干の疑問を持っている一人であります。それよりも、やはり金利水準がこれ以上下がるということになりますと、国際金利水準とのかね合いの問題もございますししますので、もう少し景気動向を見た上でその問題を考えるなら考えてもいいのじゃないか。いまの段階では実行ということを考える時期ではまだないのじゃないか。それで、今度実行ということを考える場合には、先生御承知のように、金利体系全般をどうするかということにいやでも取り組まざるを得ない、そういう問題もございますから、いま急にその問題を実行するということは、私もちょっと疑問を持っております。
  25. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は私ども、最初の委員会をやったのは六月九日でしたか、そのときに大蔵大臣出席を求めまして、ここでずいぶんいろいろ議論をいたしました。そのときに議論したことは全部御破算になりまして、大蔵大臣が私どもに約束したことで今日残っていることはほとんどないのです。全部つぶれてしまった。実はそのつぶれたのは、非常に財界の御要望が強かったために大臣が少しぐらついた、こう私は見ておるのです。いまの財政をかなり繰り上げたり、あるいは財投をやる、いろいろなことがありますが、これの効果は、こういうものの性質上どうしても第三・四半期の終わりごろまではあまり目に見えたものが出てこないのではないか。そうすると、今度また金利をもう一つ下げろというような、また第二段目のあれが出てくるのじゃないだろうか。どうもそこいらに、非常に私はそういう効果の出ないものを——出ないのがあたりまえなのに、どうも出ないのにまた次というようなことが次々に重なってくるということは、ちょっと私が申し上げましたように、片方には国際収支との関連ということがまたすぐ出てくるだろうと思いますし、いろいろ問題が出てくる可能性があるものですから、そういう点で、岩佐さんは経団連でもいろいろな立場にいらっしゃるから、あまり財界のほうからまた金利を下げろというような話が出てくることは望ましくないという私どもの考えなものですから、きょうちょっとそこも承ったわけです。  それに関連して、政府保証債を出してもらっても、ひとつ都市銀行で引き受けましょうというような岩佐さんの御発言を私どもこの間新聞で拝見したのですが、あれはどういうふうな御真意ですか。
  26. 岩佐凱実

    岩佐参考人 政府保証債の問題ですが、御承知のように七月、八月の公社債市場はかなり活気を帯びたと申しますか、予想以上に順調に消化されているのでございます。ですから九月、十月と大体予定の組んでありますものに民間債をもう少しプラスして出してもいいのじゃないかというような意見も一部にございます。そういう姿を考えますと、政府保証債というものがある程度予定より増額されましても、この消化は必ずしも困難でないのじゃなかろうかという一応の見通しを私は持っているのでございます。しかし、それは程度の問題が非常に重要でございますし、また、それをどこでどう消化するかということが非常に重要な問題でございます。従来民間債と大体五〇、五〇くらいの率で出してきているというのが実情ですけれども、現在の状況から言えば、この五〇、五〇というものに必ずしもこだわらないでいいのじゃないか、しかし、そうだからといって、そう急激に多額なものを出していいかどうか、これはまた非常に問題のあるところだと思う。  それから、いまお話ししているように、その消化の方法につきましても、都市銀行以外のところにある程度引き受けてもらうために——むしろそっちのほうが実際は資金の余力があるわけですから……。そうなりますと、条件というようなものもいろいろそこに問題があるわけですから、その方面の資金のコストとの関連から言いましても、その辺が実際問題としてきめこまかく出される場合においても、いろいろ考えなければならぬ点があるのじゃないか、そういうふうに思います。
  27. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は新聞で拝見したところでは、二千億くらいの政府保証債は引き受けてもいいようなふうに拝見したものですから……。これはおそらくコストから見まして、政府保証債ですから、信金ではもうコストは逆ざやになってしまいますから、信用金庫はとても買えない。その他でも、政府保証債というのはなかなかコストの高いところは買いにくいですから、これは都市銀行が一手に買い取る意思での御発言だな、私はこう見たわけです。そうすると、さっきの限界預貸率という問題は逆になっちゃうわけでございますよ。それだけ外へ出ちゃえば、当然限界預貸率は上がらざるを得ない。いまの債券関係を非常に負担しておられることが、一面都市銀行の預貸率に影響しているということを、この前お越しいただいたときに議論したことがあったと思いますが、そこらがちょっと——一時的な景気刺激対策としてのお気持ちはわかるのですけれども、よそが平均して負担するというよりも、どうしても政府保証債のようなものは都市銀行のような資金コストの比較的低いところでないと持ちにくいという客観的な情勢もございますからね。そこらあたりから見て、かなり積極的、意欲的な御発言だ、こう受け取ったのですが、いまのお話を聞くと、わりに慎重なように承るのですけれども……。
  28. 岩佐凱実

    岩佐参考人 二千億ということは、私、実際言ったこともございませんし、それから一千億というのも私が言ったわけじゃないけれども、一千億ということを新聞が書いたわけです。いまお話しのように、本来資金に余裕のあるところは採算的に見てもなかなかそう簡単には引き受けられないという事情もございますからね。ですが、若干のものならば、従来のものに上乗せして引き受けられるような全体的な金融情勢にはなってきているのだと私は思っているわけです。それが千億といってみたところで、それは一体いつからいつまでに千億なんだという期間の問題もございますからね。
  29. 堀昌雄

    ○堀小委員 ほかの方も御質問があると思いますから、私これで終わりたいと思うのですが、実は、この間森脇事件が出ましてから、要するに匿名預金、架空名義預金その他についての税の関係との問題というのは、大衆が非常に関心を持っていることじゃないかと思います。  ちょっとここに私読んだもので申しますと「たとえば、K国税局が調査したところでは、三十七年度中に簿外預金を主体に行なった脱税行為のうち、銀行が積極的または消極的に関与した事例は九件に及び、その増差所得金額は九百四十七億七千五百万円に上っている。これらのなかには、銀行側は不正を隠ぺいするために積極的に預金操作(数店舗間の付え替え、定期的な名義変更、一定額に達すると他店へ疎開等)や特利を付している例さえみられる。」これはものの本に書いてあることですから、その真偽のほどは私もまだ国税局に確かめたわけではございませんけれども、そういうことが書かれておるわけです。実は五月の十二日に銀行局長の依命通達で「金融機関経営の刷新について」という通達が出されておりますね。その中で私非常に関心を持って見ていますのは、その終わりのほうに「預金、貸出等の計数は、金融機関経営の基礎であるだけでなく、重要な経済指標もあるので、粉飾操作等によりこれがゆがめられることのないよう措置すること。」という一項が入っているわけです。これといまのとは違いますけれども、今度も森脇の脱税については各銀行の名前が出て、そこに架空名義預金として何十億かあったというようなことが実は報道をされておる現状でありますので、ここらについて、やはり金融機関側としてもある程度の自粛というか——正当の預金ならば私どもも問題はないと思うのですが、やや脱税のものではないかと疑われておるものがあっても、まあ、ともかく預金ならもらいましょうということで、ここの中の依命通達を私ずっと見ながら、これまで私どもが懸念しておったことが比較的はっきりと具体的に書かれておる点がたくさんあるわけです。目標額設定の問題とかいろいろなことがあるわけですが、そこらについて、銀行側としてもかなり自粛をしていただかなければならない問題ではないのか。私ここでよく無記名定期その他の問題についていろいろ議論をしておるわけですけれども、それについての岩佐さんのお考えをひとつ……。
  30. 岩佐凱実

    岩佐参考人 無記名定期預金の必要性というものにつきましては、私個人としては資本の蓄積がおくれておる日本の現状においては、これはあくまでも一つの大きな重点を置いて考えていかなければならない、そのためには預金者の心理ということもやはり重点を置いて考えていかなければならないので、無記名預金というものは日本の現状においてはやはりどうしても必要なことではなかろうかというように、私は一つの信念を持っております。しかし、それにいたしましても、無記名預金からよって生ずる弊害というような点につきましては、先年——年と月を私はっきり記憶しておりませんけれども、大蔵省のほうからも、銀行局その他のほうからも、無記名預金に伴って生ずる、いま先生の御指摘になったような点の弊害というものをなからしむるようにというような注意もございましたし、われわれとしても当然そうあらねばならないので、そういう点については、その注意がありました以後において、われわれとしてもそういう弊害が起こらないように十分配慮してやっておりますつもりでございます。それじゃ、そういうものは全然ないのかということになりますと、それは全然ないとも言い切れないかもしれないと思うのでございますけれども、そういうことのないように十分注意してやってはいるのでございます。
  31. 武藤山治

    武藤委員 ちょっと関連で。岩佐さん、無記名預金が現状ではどうしても必要だという積極的な理由が、どうもいまのお話では理解できない。というのは、私らの考えでは、無記名とか偽名とかで積んでおくというのは、結局それは自己資本にも利用できないし、企業資金にもそれは利用できないのですね。大体無記名とか匿名のやつは、みな逋脱されないために積んでいるのですね。だから、それを表に出すと脱税でパクられるものだから、裏の担保なんです。正式な担保にも利用できない。金であって金でないのですね。そういうものをいま制度的に認めているという必要性、いま資本の蓄積ということであなた表現しておったけれども、私は逆じゃないかと思うのです。それで、どうしてもこれは改善を根本的にする必要があるのではないか。ひとつもう一度見解を承りたい。どうでしょうか。
  32. 岩佐凱実

    岩佐参考人 そこのところ、先生のおっしゃる議論も私もわからないじゃないですけれども、無記名預金制度というものがありまして、現在においては、いわば一つの慣習というか、そういう既成なこととして存在しておりますのですね。だから、預金者の人たちは、そういうものを利用することによって、いわば預金者の立場から見れば安心して預金しているという点がございますので、いまの段階においてそういうものを廃止とかいうようなことをしていいかどうかということになりますと、ここで新しく設けるということとかなり違った心理的影響があると私は考えております。だから、現状においては、やはりそれを存続していく必要が私はあると思っております。
  33. 武藤山治

    武藤委員 いま直ちにぱちっとやめるということは、それはいろいろ支障が発生するでしょうけれども、しかし、いまの預金のそういう制度のために、査察に入られて、ごっそりまとめて利子税を取られている銀行も一ぱいあるわけです。とにかく銀行が脱税に協力しているようなかっこうで、企業者が取られるだけでなくて、銀行のほうも利息を全部ごまかしていた、それが発見されてまとめて利子税を銀行側が負担する。こういう例が査察のほうを調べるとあるのです。ですから、私は、もし無記名あるいは匿名を制度として認める場合でも、脱税でないというものをそういう制度に置くのなら文句ないのですよ。だから一定の期間をおいて、国税局ともよく話し合って、何らかの形で過去のそういう脱税された蓄積されているもの、これを一回きれいなものに洗い直す、その方法をひとつ検討する段階じゃないだろうか。そうしないと、いまの制度でずっといくと、銀行側もひどい目にあうし、私らが知っている例では、国税局に踏み込まれたというので、車に帳簿をみな積んで逃げて歩いている銀行がある。そのあとを国税局が追いかけていった。これははなはだけしからぬ話だけれども、そういう事実があるのです。ですから、これは使えない金を持っていたって意味がないのですから、やはりここで一定の期間銀行局も、銀行協会も、国税庁とひとつじっくり相談をして、前向きで何か検討する、一定期間内にいままでのものをきちっとする、今後は脱税の資金でないような無記名預金にとにかく指導をしていく、そういう何らかの検討は、この際私は国民の要望じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  34. 岩佐凱実

    岩佐参考人 その点は、私とは考え方が違うのでございますけれども、いまそういうことを言い出していいかどうかという時期については、多分に疑問を持っております。また、私の立場では、そういうことを言い出すべき時期ではないと考えております。
  35. 春日一幸

    春日委員 関連して伺いたいのですが、いま武藤君が指摘されたように、この匿名預金なるものの本質あるいは発生の淵源となるものは脱税的なものであり、あるいは隠匿財産であると思うのです。そうすると、いま岩佐さんが、そういうような制度が自己資本蓄積のために何らかの機能を果たしているように言われたけれども、事実上表見資本として活用できないのですから、機能がないわけですね。しこうして、その匿名預金あるいはその偽名預金なるものの所有権も、これは不明確だと思うのですよ。会社が脱税したものであるから会社のものであるのか、あるいは社長が脱税したとすれば社長の帰属になるのか、所有権も不明確だと思うのです。しかも、その匿名預金の累積が何兆億という膨大なものであるならば、所有権の帰属不明確なものがそんな大きな金額になっておるということ。それから企業者が企業資本に全然それが効用がないということから考えれば、これはかたがたもってわが国経済をいろいろな形でゆがめておる。あるいは金融不正常、すなわち、企業にとってはオーバーボローイングの一つの原因となっておるし、この制度を続けていっても解消される時期というものはないのでございますね。だから私は、この際政策を論ずるこの機関——大蔵委員会、国会が、この実態というものを直視して、問題解決のために踏み切るべきではないか。いかに踏み切るかといえば、それは負担公平の原則であるとか、出すものと脱税したものの不均衡のそしりは免れないが、しかし、この際わが国経済というものを正常化するという立場、あるいは自己資本充実せしめるという立場からすれば、これを表に出すための特別措置というものに、私は英断をもって踏み切るべき段階ではないか、こう思うのですよ。銀行のほうはそれを預かっておるから、銀行は得だと思うのです。これは預金がそれだけふえますから……。その制度をやめれば、その金はダイヤモンドを買うとか土地を買うとか、消費のほうにいっちゃって、わが国経済活動の中に悪い結果を及ぼしてくるだろうから、やはり預金としてこれは拘束せしめる政策を選ぶべきである。しかし、銀行はそれで預金もふえますし、得ですよ。また、通貨政策としては、そういうことはそういうことでいいと思う。しかし、銀行が得するだけで、その当事者には何も役に立たぬ。絶えずいつも不安な思いでおらなければならぬ。この際、いま持っておるものを時限立法か何かで、二年間かあるいは一年間に表に出したものは国がこれを追及しない、そうして自己資本に繰り入れろ。そうすれば、銀行も堂々とそれを担保にして貸せるし、銀行経営の内容もよくなると思うのですが、こんなことをあなた方政府の仲間と話し合ってみたらどうですか。
  36. 岩佐凱実

    岩佐参考人 もう一つつけ加えておきたいのは、そういう問題をかりに考えます場合においても、ほかに無記名の貯蓄形態というものがございます。そういうものとの関連においても考える必要があるんじゃないかと思います。
  37. 春日一幸

    春日委員 それはそうです。それは名乗り出たもの、あるいは五年間の時効で、もはや国税局の逋脱の対象から離脱したもの、そんなものはいいと思うのですよ。ところが絶えず攻撃のまとになって、恐怖のまとになっておるものというもの、表に繰り入れられないもの、そういうものを救済していく。私は一兆五、六千億、二兆円くらいあると思うのですがどうですか。そういう匿名預金……。どうですかね。
  38. 堀昌雄

    ○堀小委員 無記名は出ているけれども、匿名預金というものは全然わからないですよ。
  39. 毛利松平

    毛利委員長 そんなことはないでしょう。
  40. 武藤山治

    武藤委員 五千億円くらいあるんじゃないか。
  41. 堀昌雄

    ○堀小委員 それは一兆か二兆だよ。
  42. 春日一幸

    春日委員 関連質問はそんなことで、私はあとで質問します。
  43. 毛利松平

    毛利委員長 関連質問、木村君、どうぞ。
  44. 木村武千代

    木村(武)小委員 これはちょっと関連ではないと思うのですけれども、地方へ参りますと、こういう声を聞くのです。公定歩合は下がっても貸し出し金利は下がらない。そうして現在いろいろとそこの問題を考えていられるのは、特に都市、大きな企業だけで、中小企業に対しては何ら恩典がない。地方の銀行へ参りますと、金利は下がらない、貸し出しも貸してはくれない。いままで担保物件は全部出しておるからない。これは金融緩和じゃないじゃないかというような声があるんでございますが、それは中央のほうで、皆さん方お聞きになっておられるのでございましょうか。そういう声が各地方には全部響いております。もしお聞きになっておるとしたならば、これをどうして地方の中小企業にまで金融緩和が行き届くようにいたされるかということをお聞きしたいと思うのです。そうして一面においては、地方銀行においては金がダブついておるということです。しかしよう貸さないというような状態で、三すくみのような状態になっておるというようなことを聞くのです。その声はどこへ参りましても、私どもの選挙区だけではなく、ここにいらっしゃる政務次官がいらっしゃる岡山地方でも、先般、参議院選挙に参りまして、そういう問題を具体的に自民党で解決してもらわないと困るんだ、こういう声を至るところで聞いてまいりました。いわゆる実際の金融政策というものが地方のほうに身近に届いていないのです。その点についてどうでしょう。それをどうして解決するかということをお聞きしたい、こう思いまして、質問いたしておるわけです。
  45. 岩佐凱実

    岩佐参考人 公定歩合が下がりまして、今後それに伴っての並み手というものを一応下がる形に下げたわけですけれども一つの点は、公定歩合が下がったに伴って、それが実効金利、銀行のいわば窓口における金利に直ちにというわけにはいかないので、そこに手形の期間の問題とかいろいろございます。若干二月とか三月とかずれて窓口の実効金利は下がっていくということになると思うので、この五月ぐらいから、実際の窓口の金利もやや下がりつつありますので、これはやはり公定歩合がいまのままであっても九月ぐらいまではずっと実効金利は下がります。ですけれども、それじゃ下がる幅がどうかという問題になりますと、これは必ずしも公定歩合が下がっただけ実効金利というものが下がるわけには実際問題はいかないと思うのです。要するに、実際の貸し出しの金利というのは、それぞれの銀行と取引者との相対の問題でございますから、これを公定歩合が下がったから自動的にというわけにはまいらないというのは、これは実際の経済の動きとして当然なことではなかろうかと私は思うのです。銀行としてもつとめて実効金利を下げるようなことで指導しなければいけないと思いますし、私どもそういう指導をしているつもりですけれども、しかしそれが借り手のほうから見れば、期待しているがごとくにはいかないということは若干あるのかとも思います。  それから、貸し出しが、一向借りられないという点ですけれども、これは金融市場全体としては明らかにゆるんできているわけですが、現在のこういう経済の不況かつ先行きに対する見通しがはっきりつかないものですから、借りられるほうの方々も銀行に金を借りるということに対しては慎重な面も一面あるわけです。それから今度は貸す側の銀行のほうは、やはりそういう状況ですから非常に慎重であるということでありまして、だからそこのところを、いわば貸してもいいものと、貸してはあぶなかろうというようなものを選別して貸していくというような態度が、この数カ月全般的に見まして非常にきつく出ているものでございますから、それで非常に金融はゆるんだといいながら、窓口のところではちっともゆるんでないじゃないか、ゆるんだという感じがしないという、そういう点からきている面も多分にあると思います。だから、景気がこの辺でとにかく底だとか、とにかく安定したとかいうような感じが出てくれば資金の需要も出てくる、それから銀行貸し出し態度もそれに応じてやや積極化するということになるんじゃなかろうかと思いますけれども、いまのところは先生の御指摘のような点があると思います。
  46. 木村武千代

    木村(武)小委員 ところが、それにつきましてそういうような説明をいたしたらわかるのでございますけれども、それと、山一証券に対する貸し出しが非常に民衆に悪い影響を与えておりますね。そういう事情を説明すればわかるのですけれども、しかし、一般には山一証券には貸してくれてもわれわれには貸してくれないじゃないか、こういうふうに非常に地方には悪い影響を与えまして、今度の参議院選挙には非常にわれわれは説明に苦労したわけなんです。
  47. 武藤山治

    武藤委員 堀さんに、制度的な問題としても私はいまの岩佐さんの御意見、説明全く不満なんですけれども、政府は一生懸命中小企業対策をやっておる、金利も公定歩合を下げたから企業負担が軽減されるというふうに鳴りもの入りで新聞ででかでかとやっている。実際の中小企業は金利はさっぱり安くならない、よくなったどころじゃなくて、現状は逆に負担が重くなっているのですね。なぜかというと、信用保証協会の保証料ですよ。大きな銀行までがかなりしっかりした企業に対してまで非常に警戒をしている。みな保証協会の保証をつけてこいというのですよ。保証料を一厘取られると、公定歩合が五毛三糸ぐらい安くなったって何の意味もないわけです。こういう経済環境の中では中小企業は金利高で逆に苦しんでいる。それと、保証協会の保証料収入は、おそらくこの一年を調べると、不況といわれるようになってから逆にふえていると思うのです。こんなばかな、同じ国内で逆な方策がとられているということに対して、私は非常な不満を持っているわけです。これは金融制度論のほうからもちょっと私はメスを入れる必要があると思うのですが、堀さんのお考えはどうですか。実態は……。
  48. 堀武芳

    堀参考人 いまお話のございました、確かに地方銀行の預金金利は下がらないし、貸し付け金利の下げる幅は、都市銀行のように借り入れ金、コールをとっていない関係もあるのじゃないかと思います。下がる余地はないかというお話がございましたけれども、地方銀行としても下げることに努力していることは事実なんです。現在順次幾らかずつ下がってはおります。それから、特にいわゆる預金準備率といって、御承知のとおり日本銀行に無利息で積ましておる預金がございます。それは千億未満のものに対しましては、その率を、定期は従来と同じでありますけれども、定期以外のものは一・五%でありましたものを〇・五%に三分の一に下げた。それだけ無利息でしばるものを減らした。それだけ地方の銀行に幾らかでも負担を軽くさせるということは、やはり金利の引き下げにつながらせるためにやりたわけなんです。ですから、準備率の引き下げの政策も中小企業の方面の金利引き下げを促進するというような意味でとっておるわけでございます。具体的に実際にどの程度まで下がっておるかということは、これは先ほど岩佐さんからお話がありましたように、各銀行事情もございますが、地方銀行も下げていくことになり、また現実に順次下がってはおります。都市銀行だけではなくて地方銀行も下がっております。
  49. 武藤山治

    武藤委員 私の質問はそうじゃなくて、確かに三毛なり四毛なりというのは下がるけれども、保証協会にみなつなげさせる。そうすると保証料で帳消しになって、逆に金利負担が重くなっているということなんです。これにメスを入れて、保証協会のあり方なり不況のときに対する対策というものをやはり制度的に考えなければいかぬ、こういう意見なんです。
  50. 堀武芳

    堀参考人 それはしかし借りるほうから見て、やはり保証をつけてでも借りたほうが、そのときの資金事情らいって必要なんですね。また融資するほうではやはり安全性というものを考えなければならないですから、保証があるからいかぬというわけにもいかないと思うのです。保証があるがゆえにとにかく金融がされているということ、全然金融がつかないよりははるかにいいわけでございます。保証制度については、むろん今後ともできるだけ保証料を下げていくとか、いろいろな努力はしなければならぬと思いますけれども、おっしゃった例だけで保証制度そのものがどうも中小企業のためにあまり働いてないというようなものじゃないと思うのです。
  51. 武藤山治

    武藤委員 あなたの結論でいくと、資本主義というものはそういうものだ、だからさっきの木村さんの話じゃないけれども、自民党が選挙がやりにくくなって、社会党がふえる、そういう不安は終局的に除去できないというのがいまの話の結論なんです。私はそれ以外に制度的に検討すれば中小企業を救済する道はあると思う。制度調査会で前向きの検討をしなければいかぬ、そういう要望です。
  52. 木村武千代

    木村(武)小委員 いま保証協会の実態を申し上げますと、保証を頼みにいきますと、担保がある上に保証協会で保証料を取られるわけです。保証協会も担保を取るわけです。担保を取らないとすれば、顔で行ってあぶないというところでも顔でやればきくわけです。ところが顔で行かなかったら、担保を取られて、担保を取られた上に保証料を取られる。直接銀行へ行ったほうが保証料だけ得をするということも、ちょっと参考までに申し上げておきます。
  53. 岩佐凱実

    岩佐参考人 先ほどの春日委員の御質問に関連してですけれども、三十九年九月末の無記名預金は全国銀行で五千二百二十四億円です。
  54. 春日一幸

    春日委員 それから匿名は……。
  55. 岩佐凱実

    岩佐参考人 これは数字に出ませんから……。
  56. 春日一幸

    春日委員 だから無記名預金が五千億だということは、偽名、匿名というものは推定数字は大体十倍くらいじゃないかと思うのです。
  57. 毛利松平

    毛利委員長 それでは春日君。
  58. 春日一幸

    春日委員 それでは私、時間も迫っておりますので、あるいは問題点を指摘するだけになるかもしれませんが、との答申について私の判断するところを申し述べて御研究を願いたいと思うのです。  この金融制度調査会の自主規制に対する論評は、ここに述べられておりますように、この内容は抽象的なものであって、「十分のものとは言いがたい」ということは不十分なものだということでございますね。あなたのほうの全国銀行協会が、たとえば岩佐さんの出された原案に対する堀さんの批判は不十分なものだ、そういうようなことなんですよ。その点の思想統一をしてかからなければならぬ。  それから、その次のページの第一項に、金融の正常化に関する問題についてはいかにあるべきか。すなわち諸外国にその規範がある、しかしそういう資本主義諸国や先進諸国の規範をわが国において設定するということは「必ずしも容易ではない」——この「容易ではない」ということは、適当ではないということではなくて、非常に困難だということなんですよ。むずかしいということなんです。しかし、いまわが国のオーバーローンとオーバーボローイングの解消を、いかなる困難をも乗り越えてこのことを達成しなければ、わが国産業健全化あるいは金融の正常化ははかりがたい、またそのことがわが国経済の健全なる発展のためには、これもこの二つの問題が大きな時代要請になっておるわけなんですね。いかなる困難をも排除してこのことを達成しなければならぬのに、困難だからあえてこのことを避けておるのです。手段、方法は幾らでもある。外国に慣行があり、制度化されたものがある。だから、それをやろうとすればこれはむずかしい。だからこれはやめようといって抽象論議に終わっておる。まことにもって不十分なものである。不十分なもので、困難を避けたもので、はたして国民が要請しておるところの金融の正常化というものが達成できるか、銀行企業というものの健全化が達成できるかという問題になると、一にかかって運用委員会の善処に期待されておる、こういう結びになっておる。だから、こんなものを出したって、岩佐さんに申しわけないけれども、これはへみたいなものなんですよ、実際の話が。私は中身について一つ一つ分析してみたいと思うのですけれども、ここの中には、銀行業務の第一の責務である預金者の安全確保の責務というものがどこにも書いてない。銀行経営の正常化と銀行の機能というものが預金者の安全保護責務、信用秩序の維持責務、信用調整の維持責務、この三つのものがあるであろうけれども、しいて言うならば、この自主規制の中には信用調整というようなところに若干のねらいが、アクセントが置かれておると見るべきでありましょうが、他の二つの責務については何ら述べられておるところがない、抽象的にも述べられておるところがない。言うならば、意を用いられておる痕跡もとどめていない、こういうことだろうと思うのです。だから、いま当面しておる問題は産業ルールの確立、これは経団連、経済同友会でおやりになっておる産業ルールの自主規制というような問題、産業ルールの確立、同時に金融ルールの確立が国家的要請として相対応して要請されておる。ところがあなたのほうはみずから差し出がましくも、企業健全経営をはかるためには銀行産業企業融資はかくあるべきものといって、みずからの健全経営ということをあえて眼目とはせずして、産業すなわち企業経営のあり方健全化をはかるためにはこんな融資あり方が望ましいといって、問題を取り違えて取り組まれておる気配なきかというこの問題です。その点は私が言い過ぎかもしれないけれども、そのような批判もあるということを念頭に置かれてあとお聞き取りを願いたいと思うのです。  いま銀行でこういう点を直してくださいといって指摘された問題を経過的にあげてまいりますると、大口貸し出しの規制の問題がございます。この問題はここに述べられておるように若干ふえんされてはおるけれども、これはなるたけさせるようにしましょうやというておるだけのことですね。銀行間で大口をできるだけ分散するようにしましょうやというようなことをここに書いておる。二ページには、大口貸し出しの問題は、現在のわが国産業金融実情にかんがみて、これを直すことは当面困難な段階と考えられるが、しかしながら銀行としては、銀行間で話し合いをしてできるだけ分散しようというようなことをいっておるけれども、こんなことは言うだけのしゃれで、実際的にはなかなかむずかしい問題ではないか。すなわち不特定多数の預金者から集めた金を、銀行ではいま系列融資、集中融資、偏向融資という非難はあるけれども、そこの中に事実問題としては大口貸し出しの形をもってあらわれてくる。それでこういう問題は、預金者の安全を保護することのためにも、銀行経営上の危険の分散という立場から考えるならば、大口貸し出しの規制ということは第一義的に取り上げられなければならないし、それは預金者の安全を確保することに通じ、同時に公共的使命を持つ銀行が、その資金を多方面に均てんせしめるという経済効果をあらわしてくるのですね。だから、この大口貸し出しの規制についてこれだけのことをいって、こういう問題は問題として聞いたけれども、いまのところはむずかしいから分散化に留意すべきであるというようなことを言ったって、これは権威あるものとは承りがたいのですね、実際の話が。これはあくまでも集中融資、偏向融資、系列融資の悪弊を是正するという立場から、もう少し自主規制というもの、自主ルールというものはもっとその具体性を帯びるものか、あるいはその規制のカテゴリーを区分して、その目標と手段、目的と手段等を明確にするものでなければいけないのじゃないか、こう思うのです。  それからもう一つは、この自己資本蓄積という問題が何も論じられてはいないと思うのです。富士銀行さんの払い込み資本金はお幾らですか。
  59. 岩佐凱実

    岩佐参考人 二百二十億……。
  60. 春日一幸

    春日委員 自己資本は、株主勘定の積み立ては全部で……。
  61. 岩佐凱実

    岩佐参考人 四百五十億……。
  62. 春日一幸

    春日委員 そうすれば、株主勘定その他のもので自己資本と目すべきものはわずか七百億と見ますか。そうして、おたくがお持ちになっております。要するに預金者に対する債務というのは一兆何千億というふうになりましょうね。そうして一兆何千億という債務を預金者にお持ちになって、自己資本はわずか七百億である。そうすれば、その金をあなた方がどこへ貸そうと、極言すれば、岩佐頭取の自由自在ということではないでしょうけれども、一応権限をお持ちということになるのですね。だとすれば、やはり預金量に対して自己資本比率を高めていくとかなんとかいう自己資本充実の原則、法則というようなものも立てられるべきものである。しかもその問題は経過的に論ぜられてきたことだと思うのですよ。だから、ここではただ単に預貸率の規制というようなことな言っておるけれども、こんなことは問題外だと思うのです。相互銀行でも信用金庫でも預貸率はずっと行政指導で定められておって、ひとり都市銀行だけ定められていなかったということ自体が手落ちというべきかあるいは間違いであったというべきか、そういう問題をわずかにここに補足しようとしているだけで、結局は銀行の使命と、その性格の明確化とか、あるいは自己資本充実の問題、大口貸し出しの規制であるとか、また長期貸し出しの規制だって、これは当然なされなければならぬと思うのですよ。これは度合いの問題だけで、その返済の問題がちょっと指摘されておるけれども、少なくとも長期貸し出しの総額はせいぜい預金の何割をこえてはならぬとかというような問題はもっと具体的に明示されて、少なくとも順守すべき理論、指標として掲げられてしかるべき問題だと思うのです。肝心な問題は全部エスケープしてしまっているのです。これでもってわが国金融制度がいま当面する問題点の解決がはかり得るとか、あるいは銀行法を直さなくてもとか、必要としないとかいうことをいわれても説得力を持たぬと思うし、これでは実効効果が上がってこない。実際の効果が上がれば、われわれはこれを推進して、その推移を期待を持って見詰めるにやぶさかではないのです。これは堀さんが、こんなものだめだなと言っておるとおり、日銀政策委員の方が、これは期待したものとは全然違ってわれわれはどうも十分なものとは言いがたいと言っておるのは、不十分なものであるということである。本来十分なものでなければならぬ、国家の機関が答申する以上は十分でなければならぬ。十分なものでなければ、不十分なものでしかたがないと言ったら、堀さんの見識も疑わざるを得ないですよ。実際の話が、あなたたちは一体何たる連中であるか知らぬけれども、少なくともわが国の商売のもとでは金次第、金融こそわが国産業経済の基盤になるという、その金融制度を正常化するためにはいかにあるべきか諮問を発した。答申されてきたものは、こんなものではだめだ、外国にいい例があるけれども、これをやるのはむずかしかろう、困難はことごとく避けよう、やすきにつけ、そんなものを国会に出してきたって、御両所の責任の所在を疑わざるを得ない。言うてみればそんなことですよ。  以上の批判に対して御見解はいかがですか。堀さんからまず……。
  63. 堀武芳

    堀参考人 確かに不十分であるということは金融制度調査会としても認めておるわけです。しかし、金融正常化というものはいろんな問題がからんでおって、しかもこれを達成していかなければならぬ問題でありまして、融資ルールだけでもって直ちに正常化されるものではむろんありません。いろんな問題とからんでやっていかなければならぬわけでありますが、そういう点から考えまして、とにかくこの際、従来全然なかったものを、ある程度規制するものをつくるということが一歩前進であります。そういう点で融資関係のほうをできるだけ規制していくというようなところ、またほかにも金融正常化のためになすべきことは幾らでもあると思います。そんないろんなものを漸次情勢に応じて進めていって、そうして初めて達成されるものだと思うのです。一挙に大口貸し出しだけを法的に規制しても、それは経済実情に合わなければやはり弊害はかえって出てくるという点もあります。そういう点からいって、この際不十分であっても、しかし今後の運用によっては相当期待していける。やはり一挙にできなくとも漸進的に進めていくべきものである。経済はとにかく生きものですから、やはりあまりに急激な法的規制とかそういうものはすぐにはできない場合があり得るわけです。そういう点を考えまして、こういう程度の準則ではございますけれども、今後漸次具体化されて、そうして充実されていくことは間違いない、そういうところに期待を持っているわけであります。
  64. 春日一幸

    春日委員 端的に申し上げますと、この委員会はこの問題調査のためにアメリカへも行きましたし、ロンドンの銀行協会にも行っていろいろと実態調査をしてきたのですけれども、ぼくらはばかの一つ覚えのように、同じことを言うわけではありませんけれども、アメリカでは自己資本の一割をこえて同一企業融資してはならない、そのマキシマムリミットというのがございます。ロンドンに行って聞いたら、わが国は憲法ですら口伝で伝えられておる、善良なる慣習を厳守する国柄だ、だからそのような法律はつくられていないが、しかし一ところにどんと貸し込むとほかの人が借りられなくなる、借りた人は喜ぶが、借りられない人ははなはだ困る、それから万一貸し出し先に事故があった場合に預金者の安全が保障しがたい、だから預金者の安全を保護するためにも、金融機関の公共性を果たすためにも同一場所へどんと貸し込むようなばかな銀行家はいないものである、あれば次の株主総会でその者を罷免する、そういう善良なる伝統的慣習の上に立ってセルフコントロールがなされておる。アメリカは法律で規制しておる。イギリスはそういう良識によるセルフコントロールがある。わが国昭和三十一年でしたけれども、ここで公取から財閥銀行が大企業貸し出しておる実額を資料提出を求めたら、そのときずっと出てきました。そうすると、えらいことです。その後幾ら出してくれと言っても銀行業務の秘匿事項として出てきませんからそれはわかりませんけれども、その当時の率でずっと高まっておることはこれまたおおいがたいと思うのです。資本主義の本山イギリスやアメリカにおいてなし得ることが、いかに困難であろうとも日本では実情に合わないという断定でもって何らそのことに努力目標を置かないということは、これは適当でないのではないか、金融制度調査会自体の委員の議論としてもかくあるべしというような御答申を大胆になさるべきであって、銀行協会がそういうことはむずかしいと言っておるから、その儀に及ばぬ、あるいはそのことをなしがたい、ただ運営委員会努力に期待するというような、そんな無責任な答申をなさるべきじゃない。ずいぶん御研究なさっておるのだろうから、われわれがとやかく申し上げることではないと思います。そしてまたその中には、私が非常に遺憾に思うのは、銀行の不動産比率の規制というものは何も書かれておりませんが、私は銀行はとにかくほんとうに宮殿パレス、ブリリアンシー、けんらん華麗なものですけれども銀行みたいなものはあんなものすごい建物なんか必要ないんだから、そういうようなものを一定の割合をこえてはできないし、そしてそんなことで過大競争をしないでおこうとかなんとかというものがあってよい。何も銀行なんというものはわが国国民経済の中で生産を行なうわけでもないのですから、金を借りたい人に貸す、預金を預けるというきわめて単純素朴な事務ですから、そんな単純素朴なものを、実際の話が赤坂宮殿——どんな宮殿だって、ぼくら日本じゅう、世界じゅうの宮殿を見てきたけれども、富士銀行の本店よりりっぱなところはないと思うのです。悪口雑言を申し上げて申しわけないけれども、実際の話があれなんかはセルフコントロールの第一目標になってしかるべきだと思うのです。国民感情は何であるかといいますと、町かどの盛り場はことごとく金融機関である。その建物はほんとうに宮殿パレスである。何ということであろうかということです。ものすごくもうかってもうかってかなわないのであろうか、歩積み両建てでもうかるかもしれぬけれども、とにかくそういうことで、私は願わくは堀さんに御期待申し上げたい、また岩佐さんにも御期待申し上げたいことは、もう一ぺん再検討されたらどうかということです。それでないと、国民世論も委員会論議もこれは期待をして、その発展と推移を見詰めるということにはなりませんぞ。これはいよいよ金融制度の自主規制というものが、こんなものではだめである、だからわれわれ国会議員が論じて世論の喚起をはからなければならぬということで、懦夫をして立たしめるというだけのことであって、これはせっかくの答申が国会に期待を持たれぬということが私は重要なことだと思うんですね。
  65. 岩佐凱実

    岩佐参考人 若干春日先生に申し上げておきたいのですけれども、さっき先生のお話しになった健全経営の問題、それから預金者の信頼にこたえるというような問題は、これはもう銀行経営の一番の初歩であり、同時に基本的な問題ですからね。今回のものは銀行融資に関する共同準則という一つの命題についての考え方なり、今後やっていこうということを、そういうことで取り組んだ関係上、そういう基本的な問題はおっしゃられるまでもなくわれわれとして一番重点を置いて考えていかなければならぬ問題だと思います。その中にやはり先生の御指摘になったような自己資本充実の問題とか、不動産比率の問題とか、そういうものも自然と含まれてくる問題じゃなかろうかと思います。その点ひとつ御了承いただきたいと思うのです。  それから大口貸し出しの問題は、先生のおっしゃることもよくわかりますし、それから日本の現状としていかにこの問題に取り組んでいったらいいかというのは、われわれとしても真剣に考え、あるいは取り組んでいる問題なのですが、これはただ、今回の場合の共同準則というものの中においてやったほうがいいか、これはこれとして別個の問題として研究していったほうがいいかという点について、まあいろいろな議論や考え方もございまして、これは別個の問題として考えていったほうがいいであろうというのが大多数の意見であってこれからはずした、こういうことでございますので、ちょっと申し上げておきます。
  66. 春日一幸

    春日委員 こういう懇談会的なところですから私も歯に衣を着せずに申し上げるのですけれども、そういう問題がそういうふうに指摘されておればいいんですよ。たとえば、大口規制の問題、偏向融資、情実融資、あるいは企業の系列の問題、こういう問題を別個の問題としてさらに改善を要するとかなんとかいうことの意思表示がどこかにあればいいですよ。ところが、大口規制の問題をとりあえず取り上げても、その取り上げ方は、あるいは銀行間あるいは他の金融機関との話し合いにおいて分散化をはかるように留意すべきものである、こういうふうに取り上げて、解決の方向を意識的に方向づけておるわけですからね。こんなばかなやり方で、こういう決意表明というか、意思表示というのですか、そういう程度のものでわが国金融ルールの確立という要請にこたえたものといえるかどうかということです。そうして重要な問題についてはこれはもう全然触れてはいない。あなたも政務次官ですからね。もう少ししゃんとしたらどうかと思う。事実こんなもので大蔵委員会に出してくるべきものではない。もう一ぺん差し戻すべきだと思う。実際いかぬですよ。少なくとも出してくるならば、不十分なものだというようなものを出してくるべきものじゃないと思う。不十分なものだったら十分なものにみずから直さなければならぬ。あなた方は自分でつくることをやめて、全銀連ですか、そこへ下請に出して、そこで作業をさせて、これはまだ不十分だけれども出そうなんて、そんなものは職責を尽くしたという形になりませんよ。あなた会長じゃないですか。私ははなはだ遺憾です。こんなもの出してくるべきものじゃない。
  67. 堀武芳

    堀参考人 おっしゃる御意見ももっともな点がございますし、われわれとしても準則だけで決して満足しておるわけじゃないのです。先ほど申したように、今後運用を見守って、そしてそれによって漸次拡充強化されていくということを期待しているという趣旨でありまして、さっきアメリカとかイギリスとかの例を申されましたけれども、あちらは資本市場が非常に発達しておるわけです。そういう点は日本はまだ残念ながら最近まで増資が一時ストップするというところまできているわけです。そういう面から考えまして、アメリカやイギリスと同じような事情になるのには相当期間を要するものじゃないかと思うのです。ですから、やはり日本の経済としてはもう少し時をかして、先進国並みに持っていく必要があるのじゃないか、そういう考え方でこの案を了承したわけです。
  68. 春日一幸

    春日委員 われわれもその点はよくわかるのです。ならば、そういう問題は、ここで論じておるように、公社債市場の確立の問題であるとか、あるいは株式市場の機能の拡充強化であるとか、そういう問題をあなた方が指摘して、その解決のためにさらに論ぜらるべきものであって、公社債市場が確立し得ないものである、株式市場の機能も、これは拡充強化せなければならぬことは焦眉の急であると言われておるが、この問題もなかなかむずかしい問題である、その作業をあえて投げた形で、現在のこの情勢のもとにおいて、産業資金の供給はいかにあるべきかというようなことを論ぜられても、これは私は適当な回答にならぬと思う。これは、銀行はかくあるべし、そのための前提としては公社債市場はかくあるべし、株式市場はかくあるべし、そうして同時並行的に解決することによってこうなるのだ、こういう立体的な答申がされてしかるべきものであって、これもだめだし、あれもだめだから、なし得る限界はこれだ——外国はとにかくそういう形で自己資本と他人資本との関係がああいう状態、したがって金利負担というものが少なくて済む、コストはこうなる、そういう立場からするならば、やはり政策委員会の権威と責任において、そういう問題にもふえんされて政府に向かって問題点を指摘さるべきだと思う。これは私の意見でございますが、御同感願えると思うが、御同感願えなくてもしょうがない。実際はそういうふうにしてもらわなければ、金融問題だけで解決はつかぬことはわかっておる、わかっておるにかかわらず、他の問題の解決にふえんせずして、現在の段階において可能の限界を示せばこれだというようなことでは、私は国民の負託にこたえた答申にはならぬと思う。そのままこれを認めて、ここへ大蔵大臣が出してくるというようなことは、大臣の見識、政府の見識を疑わざるを得ない。遺憾の意を表しまして、これで質問を終わります。
  69. 堀武芳

    堀参考人 おことばごもっともの点はずいぶんございます。ただ申し上げたいのは、証券取引審議会というのが別にございますので、そういう点で金融制度調査会としても、むろん証券市場とか資本市場の育成とかいうような問題は重要になってくるし、それに関する議論もあったわけです。しかし、この際はとにかく景気行き過ぎの歯どめの問題をまず取り上げて、その問題にしぼってこういう答申をしたわけです。これでもってあと何もかも終わったというわけじゃありませんので、金融制度調査会としては、さらにどういう問題を審議するかということは続いて議論される問題になっております。ただ、証券取引審議会との関係がありますから、そういう資本市場の問題についてはやはり向こうのほうが主たる所管になるというように考えます。決してこれだけで満足しているわけじゃありません。
  70. 春日一幸

    春日委員 そういうことをおっしゃると、私はもう一言なければならぬと思うのです。それは、冒頭に書いてあるように、三十一年七月二日、本調査会諮問を受けた、そうして三十九年十一月以降特別委員会を設けてこれについて論じたということになると、その間えらいギャップがある。これはいまおっしゃったように、随時臨機応変にそういう問題の処理をされているというならいいけれども、その辺の関係はどうなっているのですか。
  71. 堀武芳

    堀参考人 従来、まっ先に中央銀行制度というものが取り上げられたわけです。「金融情勢の推移にかんがみ、現在の金融制度につき改善を要する事項如何」ということでございまして、中央銀行制度について相当期間を要して一応答申を出したわけです。その次に、少したちまして、さっき申しましたオーバーロン是正に関する答申というもので、これも二年間かかって検討しまして答申した。そのオーバーロン是正に関する答申というものは、いろいろな各項目にわたる答申が出ておりますが、その中で特に景気行き過ぎを防止するための企業金融あり方検討するというテーマをしぼってやったわけです。そういうふうに、順次問題を緊要性に応じて取り上げておるわけです。
  72. 春日一幸

    春日委員 それもわかりますけれども、あなたも金融制度の専門家でいらっしゃるのでよくわかると思うのだが、問題の実態はやはり資本市場の問題ということに返ってくるとすれば、そういうふうな場合には、金融制度調査会としては、わが国の健全な金融、健全な銀行経営あるいは企業資本の健全なあり方ということをはかるためには、何事をも差しおいて、資本市場の育成あるいは確立、公社債市場、株式市場の機能、これが確立されるのでなければ、こんなことを幾らやったって小乗的なものでだめだ、枝葉末節的な問題になってだめだ、根本的な問題でなければだめだ、こういう答申があっていいと思うのです。そういう答申があれば、証券取引審議会がまたそれを受けて、あるいは政府も国会も、それが大前提になるということになれば、それに取り組もうということになると思うのです。だから私は、決してあげ足をとったり批判的なことを申し上げるわけじゃないのです。こういう懇談的な場所ですから、ひとつ私の感覚と判断を率直に申し上げれば、問題の根本が長期産業資金の調達の場所は資本市場にあるとするならば、その資本市場の機能が現在のところ不十分である、あるいは確立されていないとするならば、その問題をまず解決しろ、こういう答申、指摘があったら、私はかじがまたそっちに向いてくると思うのです。だから、根本の問題がそこにあるなら、根本の答申をされる、そうして現象的な問題があれば、それを前提として、現象をとらえて論ずるならばこうというふうにあってもいいと思う。そんなことをちょっと申し上げました。御参考になれば今後ひとつ御努力願いたい。
  73. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 政府側の立場で一言申し上げておきたいと思うのです。いま春日委員からお話しの点は、金融銀行経営そのもののあり方とか、根本的な問題に触れて貴重な御意見があり、私もそのお話を聞いて共鳴するところきわめて多々あります。ただ問題は、私はこの前からの金融証券小委員会の推移を思い起こし、また特に最近の吹原産業事件を契機として非常に融資ルールの確立という問題が当面の問題として出たから、たまたまこのいわゆる銀行融資に関する共同準則、この各論がついたために大事なものが抜けているじゃないか、こういうおしかりがあったと思うのです。したがって、これはいささか本論から言えば順序は逆になっておりますけれども、これはこれとして、また別途あなたがおっしゃったような根本問題については十二分に検討してもらう。実は、このなかには私もこの前に初めて見たのです。実際は。だから、いまおっしゃったことは、銀行局長もここに来ておりますし、内部的によく相談をして、あるべき姿に前進をするということで御了承願いたいと思います。
  74. 毛利松平

    毛利委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表いたしまして、厚くお札を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十一分散会