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1965-10-04 第49回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十月四日(月曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 小沢 辰男君 理事 砂原  格君    理事 田中 正巳君 理事 稻村 隆一君    理事 大村 邦夫君 理事 山口丈太郎君       逢澤  寛君    有田 喜一君       岩動 道行君    宇野 宗佑君       大竹 太郎君    大橋 武夫君       金子 岩三君    川崎 秀二君       吉川 久衛君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    田村 良平君       高瀬  傳君    中村 幸八君       永田 亮一君    橋本龍太郎君       原 健三郎君    福田  一君       福永 一臣君    藤本 孝雄君       森下 元晴君    井谷 正吉君       板川 正吾君    落合 寛茂君       五島 虎雄君    田口 誠治君       田中 武夫君    高橋 重信君       堂森 芳夫君    泊谷 裕夫君       中村 重光君    永井勝次郎君       西宮  弘君    西村 関一君       三木 喜夫君    吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 瀬戸山三男君  委員外出席者         内閣審議官         (内閣官房内閣         審議室長)   高柳 忠夫君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  金子 任利君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部長)    中尾 龍彦君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部指導課長) 大串不二雄君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 岩田 俊一君         厚生事務官         (社会局生活課         長)      岸野 駿太君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      飯原 久彌君         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農 林 技 官         (農林経済局統         計調査部作物統         計課長)    青木  雄君         農林事務官         (農政局参事         官)      河原卯太郎君         農 林 技 官         (農政局参事         官)      佐々木四郎君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君         農 林 技 官         (食糧庁総務部         長)      田中  勉君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      福森 友久君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部金融第一課         長)      斎藤 英雄君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         運輸事務官         (港湾局参事         官)      河毛 一郎君         気象庁次長   小田部 康君         運輸事務官         (気象庁総務部         主計課長)   石川 昭夫君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         予報課長)   斎藤 錬一君         建設事務官         (河川局次長) 青木 義雄君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      渡辺 隆二君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      重兼 暢夫君         建 設 技 官         (河川局砂防部         砂防課長)   木村 正昭君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    後藤 典夫君         自治事務官         (財政局調査課         長)      中井 猛夏君         消防庁次長   川合  武君     ————————————— 九月二十五日  委員吉村吉雄辞任につき、その補欠として西  村関一君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員舘林三喜男辞任につき、その補欠として  大泉寛三君が議長指名委員に選任された。 十月四日  委員岩動道行君、大泉寛三君、大久保武雄君、  金子岩三君、櫻内義雄君、白浜仁吉君、壽原正  一君、高橋清一郎君、塚田徹君、渡辺栄一君、  井谷正吉君、岡本隆一君、落合寛茂君、坂本泰  良君、西宮弘君、武藤山治君及び玉置一徳君辞  任につき、その補欠として、高瀬傳君、福田一  君、中村幸八君、川崎秀二君、原健三郎君、砂  田重民君、宇野宗佑君、永田亮一君、有田喜一  君、吉川久衛君、永井勝次郎君、田中武夫君、  三木喜夫君、堂森芳夫君、高橋重信君、田口誠  治君及び稲富稜人君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員有田喜一君、宇野宗佑君、川崎秀二君、吉  川久衛君、砂田重民君、高瀬傳君、中村幸八  君、永田亮一君、原健三郎君、福田一君、田口  誠治君、田中武夫君、高橋重信君、堂森芳夫  君、永井勝次郎君及び三木喜夫辞任につき、  その補欠として塚田徹君、壽原正一君、金子岩  三君、渡辺栄一君、白浜仁吉君、西岡武夫君、  大久保武雄君、高橋清一郎君、櫻内義雄君、舘  林三喜男君、武藤山治君、板川正吾君、西宮弘  君、五島虎雄君、井谷正吉君及び落合寛茂君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員板川正吾君、五島虎雄君及び西村関一君辞  任につき、その補欠として、岡本隆一君、坂本  泰良君及び吉村吉雄君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  台風第二十三号、第二十四号及び第二十五号に  よる災害対策  台風第二十四号等による災害対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、台風第二十三号、第二十四号及び第二十五号による被害状況調査のため現地へ派遣されました委員から報告を聴取することにいたします。  第一班につきましては、便宜この席から私が御報告をいたします。  第一班の調査概要につきまして簡単に御報告申し上げます。  派遣委員田村良平君と私の二名、ほかに地元選出議員多数の御参加を得て、去る九月二十七日から十月一日までの五日間、香川県、徳島県、兵庫県及び滋賀県における台風第二十三号、第二十四号及びこれに伴う集中豪雨による被害の実態につきましてつぶさに調査を行ない、高知県につきましては、徳島県庁において被害状況説明を聴取してまいったのであります。  内容の詳細につきましては、後ほど委員会にはかって、本委員会会議録参照として掲載するよう取り計らいたいと存じますが、数々の被災現場を拝見いたしまして、予想以上に激甚状況に深く同情を禁じ得ないものがあったのでありまして、一日も早く激甚法天災融資法の発動など、国の最高援助措置を適用して、被災住民の民生・経済の安定を期さなくてはならないと強く感じた次第でございます。  以上、御報告を終わります。  第二班、山口丈太郎君。
  3. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま委員長から申されました台風第二十三号、第二十四号及び第二十五号による被害調査のため、自由民主党壽原正一君並びに社会党からは私、山口丈太郎、二名が、福井新潟及び岐阜県下におきまする災害状況調査に参りました。地元選出議員多数の御参加を得まして、これら地域調査を詳細行なってまいりました。その詳細につきましては会議録に掲載することといたしまして、委員長においてお取り計らいを願いたいと存じます。  これら各地を視察いたしましたが、各地ともにその惨状は実に目をおおうものがあります。特に福井県西谷村のごときは、全村流失をいたしまして、容易なことでは復旧が困難であると見受けられるのであります。われわれ調査団といたしましても、これら被災地域の一日もすみやかに復旧せられるよう政府に対しまして強く要望をいたす次第でございます。  以上、簡単ではございますけれども、調査概要を御報告申し上げ、詳細につきましては、さきに申し述べましたごとく、会議録によって御承知願いたいと存じます。  終わります。
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 第三班岩動道行君。
  5. 岩動道行

    岩動委員 第三班の調査概要について御報告申し上げます。  本班は、稻村隆一君及び私が派遣され、地元選出議員の御参加を得て、北海道及び青森県を詳細に調査いたしました。  その被害状況並びに要望等の詳細につきましては、委員長手元報告書を提出してありますので、これをごらん願いたいと存じます。  なお、道及び県の要望等につきましては切実なものがあり、一日も早く実現されるようお願いして報告を終わります。
  6. 楯兼次郎

    楯委員長 なお、ただいま報告がございました各班の派遣委員から、内容の詳細について委員長手元にその調査報告書が提出されておりますので、これを会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて派遣委員からの報告を終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  8. 楯兼次郎

    楯委員長 台風第二十三号、第二十四号及び第二十五号等による災害対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村良平君。
  9. 田村良平

    田村(良)委員 最初にお伺いいたしますのは、今次災害現況はいまの時点でどういうふうになっておるか。府県別、それから災害金額等、これは特に二十三号の前の干ばつ等も含めまして、災害別にひとつ現況の御報告を願いたいと思います。
  10. 高柳忠夫

    高柳説明員 お手元にお配りしてございます「昭和四十年台風第二十三号、第二十四号及び第二十五号被害状況」こういう資料がございます。これは十月一日現在でありますが、第一ページには、被害人的損害建物損害等を一括して書いてございます。被害額につきましては、五ページをごらんになっていただきたいと思います。五ページに、私のほうで激甚災特別財政援助に関する法律に関係のある対象数字を取りまとめておるわけでございます。このほかに、各省でそれぞれの事項についての被害額が付加されることになります。五ページをごらんになっていただきますれば、第二章関係公共土木関係で七百四十六億七千五百万円、五条以下二十五条までの関係が約四百億程度でございまして、合計いたしまして千百十二億六千万円となっております。次のページをごらんになっていただきますと、激甚法関係以外の、これはまだ各省によって若干の変動はあるかと思いますが、約三百八億九千七百万円ございます。この中には、国鉄の被害、私鉄の被害、国の官署であります郵便官署被害等が入っております。したがいまして、必ずしも地方公共団体及び農家等個人対象にしたもののみではございません。合計いたしまして、ただいままでに判明いたしております被害総額は一千四百二十一億五千八百万円程度に相なっております。このほかに、五ページに書いてございますように、農作物等被害調査はただいま農林省においてせっかく調査中でございますが、その数字は近日中にまとまる予定になっております。  以上でございます。
  11. 田村良平

    田村(良)委員 ちょっとやかましいものですから、聞き漏らしたかもしれませんが、干ばつについてただいま御報告いただきましたでしょうか。
  12. 高柳忠夫

    高柳説明員 干ばつにつきましては農林省のほうから御説明願います。
  13. 仮谷忠男

    仮谷説明員 干ばつに対する被害は、現在報告されておるところで十六億余りになっております。
  14. 田村良平

    田村(良)委員 それでは、今度の災害の特徴は農林災が非常に多いということ、したがって個人災が非常に多いと思いますが、ただいまのところで政府としてはこれらの災害に対しまして基本的な方針はどのような点をお持ちか、御開陳願いたいと思います。
  15. 細田吉藏

    細田説明員 お答え申し上げます。  今回の台風二十三号、二十四号、二十五号、これに豪雨が伴っておりまするし、また一部、干ばつひょう害等もあるわけでございます。これらにつきまして、政府といたしましては、災害対策基本法第二十四条に基づきまして、九月十七日の閣議におきまして、昭和四十年台風二十三号、二十四号及び二十五号非常災害対策本部を直ちに総理府に設置いたしまして、瀬戸山建設大臣本部長にあてまして、災害応急対策に万全を期する体制を固めた次第であります。非常災害対策本部は、本日までに六回にわたりまして十九省庁二十四名の本部員の参集を求めまして本部会議を行ないまして、必要な諸対策検討とその推進につとめておるところでありますが、その結果、被災住民生活の安定、交通通信回復等に着々成果をおさめつつあると考えております。また、この間におきまして被害状況を詳細に調査をさせますために、災害直後の九月二十日から、関係省政務次官等を団長とする政府調査団五班を特に被害激甚な各府県に派遣いたしまして、現地における実情調査並びに緊急対策推進をはかったのでございます。第一班は兵庫県、第二班が福井県と岐阜県、第三班が近畿の京都、奈良、滋賀、三重、第四班が四国香川徳島高知、第五班が新潟、この五班を出しておるようなわけでございます。  現在までに政府のとっておりまする具体的な措置につきましては、お手元に「昭和四十年台風第二十四号等災害対策実施概要」という書類がございますが、これに各省庁別に詳細にしるしてございますので御承知を願いたいと存じます。いずれにいたしましても、被災者方々が一日も早く立ち直っていただくことができるよう、政府といたしましては万全の措置をとっておる所存でございます。
  16. 田村良平

    田村(良)委員 せっかくの御答弁でございましたが、私がお尋ねいたしましたのは、今次の災害農林災が非常に多い、したがって個人災もたいへん多く出ております。この頻発いたしておりまする農林災に伴う個人災について、政府としてどういうような基本的な施策をお持ちかということをお尋ねいたしたのでありまして、私も調査班として楯委員長とともに各地を回りましたが、みな深刻な要望がございます。これに対して防災会議等におきましては国としてどういうような具体的な救済対策をお持ちかということが、やはり被害地域住民のたっての要望でもありますので、特にこの点について御質問をしたのですが、その点について具体的な御答弁がなかったようでありましたので、重ねてお尋ねをいたしますから、御答弁願いたいと思います。
  17. 細田吉藏

    細田説明員 ただいま申し上げましたのは、きわめて一般的な対策について申し上げたわけでありまして、個々の問題につきましては、いろいろ御質問によってお答えをいたしたいと思っておるわけでございますが、一番基本の問題になりまする激甚災害指定の問題について総理府のほうからお答えを申し上げたいと思います。なお、個々の問題につきましては各省庁からお答え願いたい、かように思います。  そこで、激甚関係でございますが、今般の災害につきましては、台風二十三号からの災害激甚災として指定する方向作業を進めております。ただいまの予定では、明日の閣議激甚災の適用に対する基本的な方向をおきめいただくという線で作業をしておるのでございます。政令につきましては、被害金額等がまだ調査が十分にできませんので、若干おくれると思いますけれども、激甚指定という基本方針については明日の閣議できめていただく、このように準備をいたしておる次第でございます。  申し上げるまでもございませんが、激甚指定の場合に適用すべき措置をも指定いたすことになっておるわけでございまして、現在の時点におきまして、被害額集計結果から、この適用すべき措置のうち、公共土木災害復旧事業等に関する特例、これは法第二章のものでございます。この公共土木災害復旧事業と、農地等災害復旧事業等に係る補助の特例、これは法第五条でございます。それから中小企業者に対する資金融通に関する特例、これは法第十五条でございます。これらの措置については指定をいたすという予定にいたしておるわけでございます。  なお、天災による被害農林漁業者に対する資金融通に関する暫定措置、いわゆる天災融資法激甚指定につきましては、農作物被害額集計をいま農林省で極力やっていただいておるわけでございます。この点につきましては、いま御質問の中にございましたように、農作物被害は非常に大きいのでございまして、数字がただ固まっていないというだけの問題でございまして、指定することについてはもう万間違いがないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  18. 田村良平

    田村(良)委員 激甚災指定方向に沿って作業を進めておるが、いずれ閣議決定を待ちたい、こういうことでありますので、特に申し添えて、二十三、二十四、二十五というように災害を区切らずに、一括して激甚災指定を行なうべきだと考えます。出張中にちらちらとうわさが流れまして、二十三と四は切り離すのだというようなことをいわれて、被害地方々がたいへんに心配をされておった向きもありますので、それはデマであろう、そんな無責任なことを一体だれが言っておるのだということで、われわれは委員長と一緒に否定もし、また御安心をしていただくような方向で進めてまいったわけであります。この点につきましては、いま御答弁がありましたので安心をいたしまして、激甚災指定は間違いない。  それから私、御質問はあとでと思いましたが、ついでに聞いたのですが、天災融資法の問題につきましてもきわめて好意的な善処方を御考慮されておるようでありますから、この点、一応再質問は避けますが、ただ、先ほど仮谷政務次官から御答弁いただきました全国約十六億円に及んでおります干ばつの問題についてこの機会にお尋ねしておきたいのですが、三十六年、三十七年、三十九年と三回の実績に徴しますると、例の応急対策事業助成要綱制定によって設置いたしました排水ポンプ等あるいはかんがい用水ポンプ等の経費につきまして、団体の場合には最高五割というような助成がなされた体験を持っておりますが、このたびは全国的な方向はともかくとして、四国ないし東海、近畿ブロック等におきまする干ばつも、ただいま政務次官から御答弁のあったような状態であります。この機会に特にお願いもしお聞きしておきたいことは、従来の実績に徴しましてこれらポンプの設置に対しまする国の最高助成対策をし得るかどうか、またそのような要綱制定準備をされるかどうか、あわせてお伺いをいたしておきたいと思います。
  19. 仮谷忠男

    仮谷説明員 干ばつ被害十六億幾らにつきましては、農林省は、ただいまの御趣旨に沿って努力をしなければならぬと思って、ただいま鋭意検討中でございまして、最善の努力をして対処しなければならぬと思います。
  20. 田村良平

    田村(良)委員 先輩の理事からあまり長くやるなということでありますが、なかなか大事なことでありますので、長い短いは問いませんが、聞きおくべきことは聞いておかなければいかぬので、お許し願いたいと思います。決して長く引っぱるつもりはございません。  その次は、防災会議の活動についてお伺いをしたいのですが、私の郷里の高知県は、全山農林建設両省地すべり指定地帯であります。先般視察にまいりましたときに、香川小豆島の大きな地すべりを見てまいりました。もはやどうにもしょうがないということで、この地すべり地帯に対して——防災会議というぎょうさんな仕組みで、会長は総理大臣になっておりますが、防災会議があったならば、二十三号台風は防げるかどうか。防災会議のこの台風に対します具体的な措置、ないし防災会議というものは四六時中一体何をされておるか、この点について、御参考までに地すべり問題を一例として御質問いたしますが、明快な御答弁を願います。
  21. 高柳忠夫

    高柳説明員 防災会議は、御承知のように、災害対策基本法防災計画をそれぞれ中央及び地方で立ててやっておるわけでございます。まだ発足早々で、十分にとまではいかない点はあるかと思いますが、今回の災害が広範にわたり、その種類も多岐にわたっておりますので、防災会議決定を経て総理府災害非常対策本部を設けて、国務大臣本部長としてその対策に当たっておるわけでございます。ただいまお話地すべりにつきましては、これは農林省及び建設省がそれぞれ所管いたして、ことに小豆島地すべりにつきましては、過般農林省地区指定を行なって、本年度から地すべり対策の工事を着工する段階に至っておったものでございます。不幸にして今回災害が発生いたしましたので、近々のうちに農林省及び建設省技術担当の係官を現地調査団として派遣する予定になっておりますが、その現地調査をまってさらに根本的な地すべり対策を立てる、こういうように、防災会議が全体として活動する場合もございますが、個々の問題につきましては、それぞれ所管の各省が、専門の技術官もおりますので、そういう方向措置してまいりたいと思っております。
  22. 田村良平

    田村(良)委員 ただいまの御答弁では、地すべり対策については何ら措置されておらぬし、これから技術官が出ていくということであります。それから地すべりというのは、御承知のように、当該地区住民は、連日連夜、一年じゅう、その生活をする限り、危険にさらされておるのでありますから、こういうことこそ、ほんとうの災害を防ぐという意味からも、防災会議としては責任ある体制をとるべきではないかと私は考えておりますが、ただいまのところでは、小豆島をこれから見に行こうかというようなことで、まことにのんき次第な話で、これでは災害地帯は助からぬと思います。この点は防災会議としては今後責任ある善処をしなければならぬ、もう少し責任体制を明らかにすべきであると思うわけであります。  いま災害対策基本法に基づく防災会議お話がありましたが、その法の目的は、国土保全並びに国民生命身体及び財産の安全を災害から保護する目的でできております。そのとおり仕事をされておりましょうか。防災会議は、その法の目的の一番大切な国土保全国民身体生命財産を安全にするために設置されておると私は思います。それが、地すべり地帯という、明らかに五年も十年も前からわかっていることに対して、何ら処置をされておらないということでは、責任を果たしていないではないか、かように考えます。  いま一点は、特に災害地におきまして多い点は、中小規模河川が大はんらんをいたして農耕地その他が非常な災害を受けておりますが、防災会議としては、この問題について河川改修その他国土保全の上からどういう手を打つべきか。これを貧弱な地方財政の市町村や県費支弁の問題にまかしておきますならば、台風が来るたびに年々災害を起こすことは必定であります。こういうことに対して、国土保全の見地から防災会議はどういうような中小規模河川対策をとっておられるかということを具体的に承っておきたいと思います。
  23. 細田吉藏

    細田説明員 最近の災害の非常に大きな特徴と申しましょうか、昨年の豪雨災害あるいは本年の豪雨災害あるいは引き続いて今回の台風災害、これらの災害におきましては、どちらかと申しますと、在来の伊勢湾台風に見られたような、海岸が決壊をして非常に大きな浸水を来たすといったようなこととか、あるいは大河川の河口に近いところで非常に大きな災害が起こるといったような点が、もちろんこれは今回も一部ございますけれども、非常に少なくなっておりまして、いま御質問の中にございましたように、中小河川のはんらんが非常に大きな問題になっておりまして、これが最近の大きな特徴であろうかと思います。さらに、昨年もそうでございましたが、地すべり、それから山くずれといったものが、中小河川のはんらんともちろん因果関係を持っておることでございますが、非常にたくさんになっております。これはお説のとおりであろうと思います。したがいまして、この中小河川の問題につきましては、私どものほうの対策本部長は建設大臣が兼任をいたしておりますが、治山治水計画の一環として今後徹底的に中小河川の問題を取り上げたい、さしあたって、すでに起こりました災害復旧につきましては、単に災害復旧だけでなくて、改良復旧をいたすのはもとより、根本的に計画を立ててこれに本格的に取り組んでまいりたい、かように本部長が申しておりますし、本部といたしましてもそういう考え方でございます。さらに、単に災害が起こったところだけでなくて、全面的に中小河川については治山治水計画の中で再検討をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  地すべりや山くずれの問題でございますが、これらにつきましていままで全然何もしておらないということではないわけでございます。これはもちろん地すべり地帯指定をいたしまして、農林省建設省でそれぞれやっておりますけれども、何と申しましても、最近はこういうものが非常に随所にあらわれてまいっておるというのが現状でございます。これの救済方法は、いまおっしゃいましたように、貧弱な、特に山間部における市町村の財政を非常に圧迫するおそれがあることは、もう御指摘のとおりでございます。具体的な小豆島の問題は、仮谷農林政務次官がこの間行かれましたので、あとからお答えになりますが、全般といたしまして科学的な検討ももちろんしなければなりませんし、また、これらの対策については農林、建設両者が所管になっておるわけでございますが、徹底的な対策を講ずるように実は本部長から本部の各員に対しても強く指示をいたしておるところでございまして、最近の災害状況から見ますと至って不十分でございますので、今後そういう点には十分に対策をとりたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 仮谷忠男

    仮谷説明員 小豆島お話が出ましたから、私から所管の問題としてお答えをいたします。  私も実は現場を見せてもらったわけですが、これは三年ほど前から地すべり地帯として一応農林省指定をいたしまして調査を進め、本年度から本格的な実施に入る予定のやさきにああいう大災害を受けたわけであります。まことにお気の毒にたえないと思っておりますが、今後の問題としては、とりあえず当面の応急復旧を直ちに行なってまいります。それと同時に、根本的な対策を立てなければならぬのですが、さらにその対策を立てるために技術的にあるいは地質学的に根本的な検討をする必要がありますので、早急にそういう意味の技術調査団を派遣いたしまして、応急復旧と並行いたしまして恒久対策を立てていこう、こういう考え方で進めております。
  25. 田村良平

    田村(良)委員 たくさんの御質問者もあることでございますので、私はこれで終わりますが、ただいままでの御答弁を承りましては、やはり従来の災害に対しますいろいろな措置、それの作業が行なわれておるような段階であります。重ねて、これらの善後処置につきましては、住民政府に、あるいは国会に、あるいはそれぞれの委員会に、現地で、ないしはその他の機関を通じて要望しておりますとおり、非常に大きな国民経済基本をくつがえす問題でありますから、それぞれ十二分の御検討を願って、すみやかにこれが具体的な解決策を講じていただきたい、かように考えます。あわせまして、地方財政は、御案内のようにまさに財政のピンチに立っております。したがいまして、従来の災害復旧対策では、これら地方財政がこの災害を二年とか三年にわたって地方自治体の負担において解決することは、むしろこれは困難な実情に現在あると思います。したがいまして、災害対策につきましても、市町村ないし都道府県等のいわゆる地元負担と称するものもこの際大きく考えなければ、この問題の完全な解決策にならない。さらに、たびたび申し上げました個人災につきましても、いわゆる法の全体的の上からこの際あらためて検討すべきではなかろうか。一方では一千万円の対策があるのに、こちらでは百万円の個人災が起こっても何らの救済対策がないというようなことは、今後の非常に重大な問題として立ちかかってくると思います。これらにつきましては私は政府並びに関係機関の重ねての御検討善処を切に要望いたしまして、その他たくさんの関連事項がございますが、多くの質問者がおられますので、私の質問はこの程度で本日は終了いたします。
  26. 楯兼次郎

    楯委員長 次に、山口丈太郎君。
  27. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 いまの質問で、なるほど答弁はうまいこと答弁されたけれども、答弁になっていませんよ。個人災害に対する基本的態度いかん、こういうことを質問しているのに、何も言っていない。つべこべ言ってばかりいる。それをはっきり基本方針を示してもらいたい。  第二は——約束がありますから私は時間とおりやりますが、大体二十三号、二十四号及び二十五号、この台風の中間においては、こういうことがあるのかないのか知らぬけれども、台風前線とも申すべき前線によって豪雨がもたらされ、これによってばく大な損害をしておる。ところが、これらの損害の特徴は、すべて個人災害が主である。したがって、この際、特にほんとうに痛ましい災害を受けておる農村関係個人災害、農地の復旧に対して、政府は一体どういう基本的態度をとっておるのか、これをまずはっきりしてもらわなければ、われわれ災害対策は立たぬじゃないですか。もし今日行なわれておる災害基本法及びそれに関連するところの法律でこれが救済できないというならば、あるいは法律を改正もしくは新設をしてでもこれが基本的な対策を立てるべきだというのは、災害地における皆さんの要望だけじゃありません、今日政界全部の意見なんだ。それに対して政府はあいまい、うやむやなことを言っていてはだめですよ。この二点についてはっきりしてもらいたい。
  28. 細田吉藏

    細田説明員 今回の災害におきましては個人災害が非常に大きい、特に農作物被害が非常に大きい、こういうことについてはよく承知をしておりますし、また御指摘のとおりでございます。個人災害につきましては、現行法上にはいろいろの限界があることも、すでに御承知のとおりでございます。したがいまして、何と申しましても、現在の法体系のもとでは、個人災害につきましては、一部、応急の災害救助法その他の問題はございますけれども、農作物、米麦については農業共済、それからやはり基本的には融資の方法によっておることは、御承知のとおりでございます。したがいまして、これらの融資のワクの拡大あるいは条件の緩和等につきましては、現在の法律で許される限りのことは実施をする段階で激甚法の適用等急いでおるわけでございます。さらに、私どものほうの本部長といたしましては、今回の個人災害が非常に激甚であるという点から考えまして、たとえば、いままで借金をして構造改善事業をやったとかいろいろなことをやった、それが今回の災害でひどくやられておる、借金が返せない、また借りなければならぬ、こういった事態が各地に起こっておるわけでございまして、そういう点から、いわゆる天災融資法特例の現行法上の最大限度までで足りるかどうか、そういう点につきまして災害対策本部といたしましては検討をいたしておる段階でございます。
  29. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 答弁にならぬですよ、そういうことは。そんなことはわれわれ答弁してもらわなくても知っているんです。それは細田さん違いますよ。あなたも災害地を見に行ったでしょう。収穫皆無、全村流失というような重大な災害をこうむっておるところへ、金を貸してやるとは何事だ。そんな政府の態度が一体救済策になりますか。罹災者の今日の惨状を知らない者の言うことだ。何たることだ。それはただ事務的な答弁じゃないか。そんなものなら、そこらの事務屋さんに答弁してもらったらそれでいいんだ。およそ政治に携わる者が——今日政府が立法に対しての提案権を持っておるのなら、法を改正するなり新設するなりしてでもやりますという基本的態度をなぜ示さぬのです。何たることだ。あれだけの災害をこうむって収穫は皆無である。収入が皆無である。その皆無のものに金を貸して一体どうなるのだ。農地が流失し、あるいは農家のあの家が流れて人が死んでおる、それに対して、たとえ半額でも三分の一でも政府が補助して救済してやる、借金の負担をなくしてやるということがなぜ言えないのか。
  30. 細田吉藏

    細田説明員 どうも事務的な答弁で非常にけしからぬというお話ですが、実は農作物と、農地、農業用施設の問題は分けて考えなければならぬと思っております。農地並びに農業用施設につきましては、先ほど田村委員質問に対して御答弁をいたしましたように、激甚法の適用がございますれば、これは法律第五条の問題でございまして、これは補助金がございます。農作物につきましては現行法制上ないということを申し上げたので、したがって、これは共済と、それからあとの営農のための資金融資ということになっておるわけでございますが、この融資とこれまでの借金をどうするかという点について、政府としては、お説のように借金を返せない者をどうするのだということは私どもよく承知いたしておりますので、それらに善処すべくいまいろいろ検討を重ねておりますと、かように申し上げておるわけであります。
  31. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そういう回りくどいことを私は言っておるのではないのです。それは血も涙もない答弁ですよ。もう一ぺん、流れておる福井の西谷村とか、そういうところへ行って見てきなさい。われわれが調査に行ったら、農民の人はへたばっちゃって拝んでいるじゃないか。あの姿を一体どう考えておるのか。金を貸してやるからというような、そんななまやさしいことであれが一体できると思っておるのか。われわれ、これはもう調査団全員一致で、法に不備があるというなら、議員立法ででもやろうという決意をしてきているのです。よろしいか。それだけ私は伝えておく。  次に、大体ここでつべこべ答弁するけれども、実際現地に行ってみたら、何にも届いていません。供出米についても、私の九月二十二日の質問に一体農林大臣はどう言った。時期別供出の問題については損がいかぬように善処いたします、そういう約束をしておきながら、新潟県に二十八日に行って聞いてみたら、まだ通達が来ていません。三十日で締め切りじゃないか。それで現地からわれわれ農林省に電話しろといって、そうして電話さしたら、あわてふためいて、たった三日間だけ延長したという。しかもその延長も、全域にわたっているのじゃなくて、近畿ラウンド、兵庫滋賀、三重、全部除いているという。その理由は何だと言ったら、大阪や東京や、そういう大消費地の食糧事情を潤すような生産県でないから、こう言う。とんでもない話だ。戦時中には、おれらがつくった米を一粒でもよそへ流すと豚箱に入る、そこまでしておいて、いま少し食糧事情が緩和しておるからといって、どこからでも食糧が得られるからといって、そんな冷たい処置が一体どこにある。それなら、兵庫滋賀も三重も近畿地方は一切もう米を出さぬでおこうか。どうなんだ。これをひとつ全地域に及ぼす、こういうことができるものか、できないものか、する気か、せぬ気なのか。それから第二次、第三次の供米についても、これはその地域において、災害復旧その他のために、また早く刈り取りをしてやるというために農民は一生懸命になっているけれども、それができない。したがって、第一次を認めた以上は、二次、三次も当然延長してやるべきだと私は思う。一体農林省はそれをどう考えているか、はっきり答弁をしてやってもらいたい。災害地の農民のかっこうを見てごらんなさい。あなた方は机の上で字を書いているときじゃありませんよ。はっきりしてもらいたい。
  32. 田中勉

    田中説明員 御質問の大筋の問題につきましては政務次官のほうからお答えいただくことにいたしますが、第一期の期末の延長の措置を今度の台風被害によりましてとったそのときの考え方を申し上げたいと思います。  先ほど御指摘がございましたように、確かに、被害を受けた地帯が早場地帯であろうと、ある程度そういう色彩のないところにおきまても、それぞれ地帯によりましては非常に激甚災害を受けておりまして、集荷が例年に比べてたいへんおくれておるという地帯があったわけでございます。北陸四県、それからいま御指摘ございましたように、滋賀とか京都、兵庫、それから関東の三県、こういうことであったわけでございます。その際、私ども従来第一期の時期別格差の延長につきましての大体の考え方は、第一期は、何といたしましてもやはり需給操作というような観点からいたしまして、特に早場中の早場の主産県の出荷が県全体として遅延をいたしますならば、同時にそれはやはり需給操作上大消費地の台所をまかなう関係におきまして非常に影響が出てまいりますので、どうしてもそれらの地帯において物を確保するということがやはり大事である、そういう考え方で従来第一期の問題等につきましては進んでまいったわけでございます。今回の場合におきましても、大体早場中の早場県ということで、おおむね従来ならば第一期に四、五万トン程度の売り渡しがあるというような県等を一応の対象といたしまして、またその県におきまして昨年あるいは一昨年の売り渡し実績が七割以下というような見込みのような県を取り上げまして実は実施いたしたわけであります。したがいまして、今回の場合におきまして、兵庫県、滋賀県等がこの対象にならなかったわけでございます。もちろん、今後におきましてもやはりこの時期別格差の性格の考え方の問題がございます。従来においてそれでは災害対策の観点から全然考えなかったかということになりますと、昨年等の場合におきましては、北海道が第三期に非常に大幅な延長をしたというようなことがあるわけでございます。まあ二期、三期への今後の売り渡し状況の推移等を見ましてなおその辺は検討してまいらなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  33. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 あなた方はそんな考えでおられるのですか。それならば近畿地方は一切米を供出しなかったらどうなる。そもそもそういう考え方が間違っていますよ。そういう考え方は根本的に間違っておるし、それから二次、三次の供米についてどういうふうに考えておるのか。一期でそれを認めたならば、二次、三次にこれを認めざるを得ないじゃないですか。認めるのは当然じゃないですか。そういうことなら、今後近畿以西のものは、どんなに要請されたって、協力しませんよ。そうすると、あなた方農林省は、協力してもらわぬでも、タイからでも台湾からでも、朝鮮からでもどこからでも米は入るからよろしい、こう言うんですか。一体そんな根本的な考え方がありますか。そういう考え方は改めてもらうと同時に、二次、三次の供米の時期についても同様の措置をとってもらいたいということが一つであります。  その次に、いわゆる災害地におきましては、実際かろうじて供出のできる地域にありましても、いわゆる等外米が非常に多いのであります。死米あるいは過剰水分米、青米こういうものが非常に多い。規格外米の買い入れについても、これは前にも農林大臣は、考慮をいたしますという答弁をわれわれにした。それならば、その措置をどういうふうにされるか、これも少なくとも災害地全域にわたって実施すべきものと思うのですが、これらについてどういう考えか。  以上二点を次官からでも答弁してもらいたい。
  34. 仮谷忠男

    仮谷説明員 第一期の延長の問題で一部の県が除外されたということもあって、この点われわれもいろいろ検討いたしたわけでございますが、やはり端境期の需給調整の操作の面から、従来の例にならったようであります。したがって、第二期、第三期をどうするかという問題でありますが、もちろん、これは今後の出荷状況等を十分に勘案いたしまして検討しなければならぬ問題だと思っております。  それから等外米の問題でありますが、すでに、この点につきましては、規格外米の買い入れ措置は一応方針をきめまして各食糧事務所に指示をいたしてありますから、この点は全域にわたりまして措置をいたしたい、かように考えております。
  35. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 その言明を間違いなく次官やってもらわないと困る。全域にわたってやってもらわないと困りますよ。よろしいか。ところが除外されておる。いまあなたの答弁の前段は私はちょっと気に入らぬ。政治家の答弁とは違うのです。少なくとも事務的には、いま法律にきまったとおりしかできないのがあたりまえですよ。それを合法的に政治的に解決するのが政治家の役目じゃないですか。いままでの答弁なら、そんなものは事務屋にまかしたらいい。そうでしょう。高度の政治的配慮というものが必要なんです。それで現地では十日ないし十五日延長してくれと言ったのに、たった三日、申しわけにやった。申しわけでもやったということは、約束の違いがないのですから、それはいいのです。しかし、いまおっしゃった需給関係だけを考えてその地域にだけ手当をするというなら、今後その地域にはずれたところは絶対協力しませんぞ。それで政治としての価値があるのかどうか、こういうことになるのですよ。だから、この点は非常な不満を持っておる。私のところまで不信任とまで言ってきておる。ですから、これをはっきりしてもらいたい。きょうは四日で、きのうで終わったかもしれないけれども、やはりその取り扱いとしてはこれらの全地域にわたって、早く供出する予約をした者については、予約をしたら範囲があるから、その予約をした範囲内において必ず実施するということにしてもらわなければ困る。これはさきに申したように事務屋の人じゃだめですよ。事務屋の人でも、現在きまっておる法律のワク内のものでも、何もやっておらぬ大蔵省に頼んでわずか三日間しか延長できなかった。そんな事務的なものなら、議会も要らぬ、政治力も要らぬのです。どうです。
  36. 仮谷忠男

    仮谷説明員 第一期の問題の御意見は全くお説のとおりだと思うのでありますが、ただ、従来の例から見ましてもやはりそういうふうにやっておるようでありまして、その従来の例を破ることができなかった政治性のなさは、まことにわれわれの不徳のいたすところで申しわけないと思っておりますが、ただ、お説の趣旨は十分に了解いたしますから、今後二期、二期において実情に即して考えなきゃならぬ、かように存じております。よろしく。
  37. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 時間が来ましたから私はこれでおきますが、いま前例前例と言うのでございますけれども、その前例に従えば、全部やられているのです。前例に従ってやっていない。よくいままでの前例を調べてください。前例に従って何もやってないじゃないですか。前例と言うならば、一体どういう前例があるか。私は二十八年から災害があるたびに災害委員会に出ておる。そんなごまかし答弁は聞かぬ。前例と言うならば、ちゃんと前例があるのですよ。少なくとも災害の規模によって決定さるべき問題であって、災害の救済を、ただ平時の大消費地の需給関係でおべっか使っておる、そんな政治がどこにありますか。そんな冷たいものですか。私は二十八年の災害対策委員をやっておったが、与野党ともに議会をあげてあの災害救済のために立法をやった。今日災害基本法ができ、それに関連する法律ができても、まだ政令すら制定していない法律がある。前例と言われるならば、二十八年の災害には、十万円以下の災害であっても九割の補助をしておるじゃないですか。農地の流失あるいは土砂の流入に対して十万円以上の災害に対しては九割の補助をすると法律できめた。そでれ大蔵省はかなわぬのであわてふためいて、基本法をもってやるんだと言っておる。私は自由民主党の人々もこれを否定はせぬと思うが、災害地でこれは与野党ともに地元の議員も含めて一致した意見なのです。もし今日の法律で救済ができぬというならば、新しい法律をつくってでも救済の措置を講じましょうと言って慰めてきておる。そのとおりやらなければだめですよ。それがわれわれに国民から負託されておるわれわれの責任です。でありますから、ひとつそういう考えで、もっと気違いになるくらいの情熱を持ってこの大災害に対処してもらわなければ困る。したがって、二次についても三次についても、その供出時期については御答弁のとおりに間違いなく考慮しこれを実施してもらうことを切に要望しておきます。  以上です。
  38. 楯兼次郎

    楯委員長 次に、田澤吉郎君。
  39. 田澤吉郎

    ○田澤委員 台風二十三号、四号が東北、北海道に大きな被害を与えたことは、すでに報告書の中にあるとおりでございまして、青森県もまたそれに当然に該当するわけでございます。そこで、土木、リンゴ、水稲、畑作物あるいは農林漁業用施設等全般の被害は、青森県だけですでに六十一億一千万にのぼっているわけでございまして、その中でも農林関係、特とリンゴ関係は、農林関係被害五十五億余円の中でも七五%を占める四十六億円に達しているわけでございまして、そこでこの果樹に対する根本的な対策といたしましては、私はどうしても果樹共済制度を早期に実現してまいらないければならないと思いますので、この点をお聞かせ願いたいわけでございます。聞くところによりますと、三十五年から三十七年までを基礎調査の期間としてこの果樹共済制度を研究しており、さらに三十八年から四十年度までを試験調査の期間として設けて、非常に熱心におやりになっているそうでありますが、こういうスピードでいきますと、どうしても昭和四十三年度でないとこれが実施できないような状態にあるように聞いておりますが、できるだけ早くこれを繰り上げてやる方法がないものかどうか、御答弁を願いたいと思うのであります。
  40. 仮谷忠男

    仮谷説明員 ただいまのお説はまことにごもっともでございまして、われわれもそういうことを常々考えておるわけでございます。本年度で大体一切の基本的な調査が終わってしまいますから、明年度は少なくともいずれかに結論を出さなければならぬと思っております。御期待に沿うような結論を出したいつもりで努力をいたしておるのであります。
  41. 田澤吉郎

    ○田澤委員 果樹共済制度というものは、やはり実施をしてみないと、これは実質的にほんとうにこの制度がいいかどうかわからぬものでございますから、研究半ばにしてでもやはり一応基本的なものを出してみる、その後に改正をしていくという方法がないかどうか、それをさらにお尋ねいたします。
  42. 仮谷忠男

    仮谷説明員 何か事務的に検討してみますとこれは非常にむずかしい問題があるようでございますけれども、少なくとも農業基本法で果樹をいわゆる選択的拡大ということで政府責任を持って奨励しておる限り、この問題に対する対策を立てなければならぬことは当然でありまして、お説ごもっともなことでございますから、早急に基本的な問題について検討いたしたいと思います。
  43. 田澤吉郎

    ○田澤委員 次に、リンゴの被害の問題でございますが、リンゴの被害というものは、今回は三十二メートル以上の風がありましたために、果樹の枝折れが非常に多かったわけでございまして、そのために補値していかなければならない状態でありますが、補植用の苗木の購入のための経費、あるいはまた、樹勢を回復するための肥料及び農薬の購入に要する経費、これらの経費を助成してほしいという非常な希望があるわけでございますが、これに対して農林当局はどういう御用意がございますか、お尋ねいたしたいと思います。
  44. 小林誠一

    ○小林説明員 お答えいたします。  今回の青森県のリンゴの被害が相当多額にのぼっておることは現地当局等も認識いたしておるところでございますが、その場合に非常に樹体の損傷が多いという御質問でございますが、これも天災融資法で樹体が農産物と同じように被害として算定されるような改正をいただきましたので、そういう意味でいろいろ経営資金等については天災融資法からも出るわけでございますが、それで樹体が損傷しましてやはりこれを改植しなければならぬというような地帯もあろうかと存ずるのでございまして、過去にもその共同育苗圃について補助した例もあるわけでございまして、それらの点につきましては、実情がさらに判明いたしますれば、実情に即して適切な措置をとっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 田澤吉郎

    ○田澤委員 次に、被害果の問題でございますが、被害果を処理していくためには、どうしても加工が必要なんでございまして、ただいまリンゴジュースあるいはまたジャムとしていろいろ加工してまいっておるわけでございますが、これに対して、ジュースなりジャムというものの販売の問題でございます。これはどうしても学校給食あるいはまた病院給食に充ててまいらなければならない状態に相なっておるわけですが、これらに対する政府のいろいろな対策がございますかどうか。  さらにまた、果樹振興法を改正するにあたりましては、やはり果実の加工という問題を合理的にしていくということも考えていかなければならないと思いますが、これらの点に対して政府の御所見を承りたいと思います。
  46. 小林誠一

    ○小林説明員 果樹の落果処理の問題でございますが、青森県におきましてもこの点についてはいろいろお骨折りをされてその処置を講じておられるように承っております。過日も県知事がおいでになりまして、ジュースの学校給食のお話があったわけでございますが、この問題につきましては、学校給食会なりあるいは文部省ともいろいろ御連絡しなければならないと思っております。ただ、リンゴのジュースをどういうふうにして学校に運ぶが、あるいはその時期とか、いろいろ技術的に困難な問題があるようでございます。農林省だけでは解決できる問題でございませんので、そういうような技術的な解決ができますれば、われわれとしてもなるべく学校給食に乗せられるものば乗せたらいいんじゃないかと考えておりますけれども、何ぶんにも父兄負担になる問題がございますので、その点につきましては、今後関係当局といろいろ御相談を申し上げたいというふうに存じておるわけでございます。  なお、果実の加工の問題につきましては、いろいろ重要な問題でございまして、私たちとしましても果樹の振興上必要なものと考えますので、今後その点については十分研究をいたしまして、適切な結論が出るようなふうに持っていきたいと考えております。
  47. 田澤吉郎

    ○田澤委員 次に、与えられた時間もございませんので、ごく簡単に申し上げますが、天災融資法の果樹に対する発動でございます。これはどう考えておられますか。  それから自作農維持資金融通法の特別ワクも非常に希望が多いわけでございますが、これらも果樹に対してどういう方法をとろうとしておるのか、お尋ねいたします。
  48. 仮谷忠男

    仮谷説明員 天災融資法の発動によって資金の貸し付けはできると考えますし、そのようにいたしたいと思います。  それから自作農資金の問題でございますが、これも果樹自体が自作でございますので適用されるわけでありますから、そういうふうに解釈して適用されるものと考えております。
  49. 田澤吉郎

    ○田澤委員 次に、リンゴと関係がちょっとございませんが、今回の被害の中で、青森県として非常に被害を受けたものの中に開拓地の問題がございます。先ほど皆無作といわれましたが、開拓地全般にわたって皆無作でございます。それは、例をとってみますと、黒石の近くに厚目内という開拓地がございますが、これは十五戸ありまして、水稲面積が五町四反歩あるわけでありますが、これが冷害にあったのはそのうち二町四反歩、それから青立ちが二町二反歩、今回の台風で七反歩やられました結果、全くの皆無になったのでございます。こういう開拓地に対しては、もっと根本的にあらゆる法を発動して進めてまいらなければ、全く開拓地としての営農が成り立たない状況でございますので、これらに対しては特別な法をつくり上げてそして援助をしていかなければならないと思いますが、農林当局のお考えを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  50. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 開拓地に対しましては、この水害の前にすでに冷害等、いまのお話のような事情もございまして、今度の水害もございましたし、特別に開拓地に対してはいま災害の問題につきまして資料を集めて検討いたしております。御了承願いたいと思います。
  51. 田澤吉郎

    ○田澤委員 もう一つだけ。今回の台風二十三号、二十四号の気象レーダーの問題でありますが、青森県では、大体北海道に二十三号ないし二十四号がすでに去ってしまった、青森県の被害はもうないのだという予報があったわけでございますが、それからあと巻き返して青森県に被害が出てまいったわけでございます。ですから、結局、台風をキャッチする一つの機関というものが非常に東北は弱いということを意味するわけでございまして、そこで、東北一帯にさらに気象観測のためのレーダーの設備を必要とするという声が非常に今回の台風を通じて大きく出ているわけでございますが、これらに対してどういうお考えを持っているか、ひとつ関係の方にお答えを願いたいと思うのであります。
  52. 楯兼次郎

    楯委員長 気象庁は呼んでありますが、まだ来ておりません。  それから参考までに申し上げますが、農林大臣と建設大臣はぜひ出席をしてもらいたい、こういう要請をいたしておりましたが、農林大臣は沖繩か何かの帰りで入院中だそうでございます。建設大臣兼本部長は午後の委員会に出席をするということになっておりますので、参考までに申し上げおてきます。
  53. 田澤吉郎

    ○田澤委員 それでは午後お伺いいたします。
  54. 楯兼次郎

    楯委員長 泊谷裕夫君。
  55. 泊谷裕夫

    泊谷委員 お尋ねをする前にひとつ御礼を申し上げておきたいと思うのですが、北海道は昨年も大きな冷害を受けまして、数多い中央からの調査団を派遣していただきましたけれども、今回の災害調査岩動、稻村両議員の派遣を仰いだわけでございますが、朝早くから夜おそくまでぴっしり、ほとんど休むひまなく行程を組んで、現地の苦悩する人々の相談に乗ってくれたということで、現地ではたいへん激励を受けております。この機会をかりまして御礼を申し上げておきたいと思います。  特に細田副長官から御配慮いただきたいのは、千歳市のかつてない災害を受けました美笛地区、千歳鉱山地帯でありますが、この災害査定に立ち会いました宮下査定官の勤務ぶりでありますが、北海道の場合、六時ともなれば薄暗くなって、測量も困難でありますが、懐中電灯を手元にしながら川をこいでこの実測指導に当たり、当該被災者であります千歳鉱山の経営陣に対しても詳細な指導をしてくださるなどの配慮がありまして、現地で感激をしております。この点申し上げて、時を得て副長官からお伝えをいただきたいと思うところであります。  さて、時間の関係もありますので端的にお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず最初に、副長官にお尋ねをしたいのでありますが、先ほど御説明のありました激甚法指定の方法については、あす閣議で御相談をなさるというお話でありますが、この内容についてであります。二十三、二十四号、特にその間梅雨前線を刺激いたしまして集中豪雨を降らせました九月六日以降二十四号、二十五号の終わりまでと理解していいかどうか。この政令が出される場合には当該適用県が設定されると思うのでありますが、今回の場合被害を受けない県というものはほんのわずかでありまして、先ほどの御答弁は、これらを含めて政府としては閣議決定に持ち込まれようというふうに承ったのでありますが、それで誤りがあるかどうか、その点をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  56. 細田吉藏

    細田説明員 二十三、四、五号並びにいわゆる秋雨前線の被害が一緒になっておるのでございます。一部、ひょう害も地域によりましてはございます。これらにつきましては事務当局間には若干いろいろな意見もあるようでございますけれども、私ども、方向としましては全部一括すべきだというふうに考えておりまして、この点は最終的には明日の閣議で判断をしていただく、こういうことにいたしておるわけでございます。  それから適用の府県の問題につきましては、いまどことどこがどうというふうには、私ども数字を持っておりませんが、大体今度のは四十道府県にわたっておるわけでございまして、いわゆる激甚被害を受けた地域については当然これは考えるべきだというふうに存じております。
  57. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ここでどこどこの県ということを尋ねるのは少々無理かと思いますが、今度の災害の情勢にかんがみまして、県別に切って被害額だけで判定しても、全体の問題としては適切を欠く面があるのではないかと思われまして、総体的な流れとしては、二十三なり二十四なり二十五という縦断した立場で大筋を考えられておるというふうに理解をしたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  58. 細田吉藏

    細田説明員 さようお考えいただいてけっこうでございます。
  59. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは、具体的な問題、特に調査団報告書の中から問題として指摘されたものを二、三お尋ねしたいと思います。  北海道の大きな川というと、石狩川の治水には相当力を入れていただいておるのでありますが、この計画の後段に回ったためもありましょう、いままではあまり水害を受けませんでした北海道の長沼町が、五年間連続水の被害を受けまして、特に五年間で七俵当たりの収穫を得た年は一年だけであり、農民は二百万ないし三百万の借財をしょわされまして、現地派遣の議員にも泣きすがるという状態を呈しておるのでありますが、この石狩川水系、夕張川を含めてでありますが、長沼町、広島村、恵庭町、千歳市、この当該四つの個所は、被害を受けました農民が二十日近く自宅に帰れない、こういう状況を呈しておるのでありまして、特に内水排除の設備、これを急速に実施してもらいたいという声が強く打ち出されたのでありますが、従来の計画もありましょうけれども、今度の災害にかんがみまして、この水系の内水排除について早急に急がなければならぬと思うのでありますが、その方針についてお聞かせいただきたいと思うのが一つであります。  これに関連いたしまして、かりに内水排除の繰り上げ施行がされたといたしましても、用いますポンプは、メーカーに発注をいたしまして現地に到着するまでには六カ月を要するといわれておりますだけに、工期の短い北海道としては事前にこれらの買いつけについて何らかの措置を考慮してやる必要があるのではないか。現地に派遣されました調査団もその必要性を強く感じておりますだけに、この問題について特に政府側として配慮する余地がないものか。  この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  60. 青木義雄

    青木(義)説明員 ただいまお尋ねの千歳川関係、そうして長沼町付近の内水対策の問題でございますが、私どもといたしましても、排水ポンプの設置、それから川のしゅんせつ、そういう主として二点につきまして進捗をいたしたいというふうに考えております。現在は馬追運河の排水機場につきまして予算措置を講じてまいっておりますが、来年度の出水期までには完成をはかるようにいたしたいというふうに考えております。あと二カ所ばかり計画もございます。けさ北海道開発局長とも相談いたしましたけれども、そういう点についてもできるだけ促進をいたしたいというふうに打ち合わせをいたしております。  以上でございます。
  61. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまのお答えは、馬追運河のものは現地でも見て、建設省で配慮いただいておることは承知しておるのです。いまお話のありました残り二カ所、それから広島、恵庭、千歳、これらの関係についてお答えがなかったのですけれども、考え方だけでももし述べていただけるならばお聞かせいただきたいと思います。
  62. 青木義雄

    青木(義)説明員 あと二カ所につきましても、できるだけ他の工事費を回すというようなことも万一の場合予想されますが、そういうことでもいたしまして促進をはかりたいというふうに考えております。
  63. 泊谷裕夫

    泊谷委員 北海道の大きな問題点として石狩川水系の内水排除の問題が正面に強く出てきたと思いますので、いま具体的な返事をいただかないにしましても、それらの事情をひとつ御了察いただいて、鋭意繰り上げに御努力をいただきたいと思います。
  64. 岩動道行

    岩動委員 関連。いま泊谷議員から御質問のありました内水排除のポンプのことでございますが、発注してから現地に据えつけられるまでにかなりの長期間を要する。したがいまして、今回の災害を私も現地で見てまいりましたけれども、予算措置としては、今回災害に関する補正予算を政府において組まれる御用意があるかどうか。これは組まれるべきであると私は思うのであります。と同時に、ポンプの発注等につきましては、引き続き何基か設けなければならないので、国庫債務負担行為を活用して、そうして内水排除の土木工事が済むと同時に機械の設置もできるように、こういうタイミングを合わせる方法が必要ではないかと思うのでありますが、この点について建設当局の御方針なりお考えを承っておきたいと思います。
  65. 青木義雄

    青木(義)説明員 ただいまお尋ねの排水機場の設置につきましては、もちろん、その出水期に間に合わせるようにいたさないと効用を発揮しないわけでございます。したがいまして、機場の設置そのものにつきましてそういう出水までに間に合うような計画で当初からやらなければいけないというふうに考えておるわけでございます。不幸にしましてことし出水期に間に合わなかったわけでございますけれども、来年度竣工ということでございますが、それにつきましては、馬追運河の場所につきましては、来年度出水期までに間に合わすということで、必要な予算措置等も財政当局と相談いたしまして講じてまいりたいというふうに考えております。
  66. 泊谷裕夫

    泊谷委員 九月二十二日の委員会本部長にお尋ねをしたのですが、今回の調査でも大きな問題点のありました宅地造成についての規制の問題を再度お尋ねをしておきたいと思います。  函館地区の第三深堀橋一帯が三度にわたって水害を受けたわけでありますが、これはもともと畑地に宅地を造成して、滝の沢川が増水して窓近くまで水がつくというような現象を呈したわけでありますが、こういう俗にいうゼロメートル地帯あるいは七メートルくらいのわずかな低地帯に宅地をつくる場合には、その宅地をつくることそのものにやはり規制を加える、あるいは護岸工事その他の条件がそろわないままに宅地の造成を許容するというところに大きな問題点があるように考えられるのでありますが、この前、建設大臣は、現行宅地法だけで規制が十分だという話でありますが、私の考えでは、宅地造成の規制は、がけくずれ、斜面などの制限がありまして、こういう平地部面については十分でないと思うのでありますが、この点についてもう一度建設省の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  67. 尚明

    ○尚説明員 お答え申し上げます。  仰せのとおり、宅地造成の規制に関します法制は、初めは山地、がけくずれのところだけに法制を施行しました。それは三年ほど前からでございます。それだけではおっしゃるとおり不十分でございますので、平地につきましても地区を指定して災害の防除及び環境の整備のための規制を加え、またその法の適正な施行を促進するということで、昨年法律をつくりまして、この四月から地区の指定を始めております。私、寡聞にして、まだよく調べてございませんが、函館はまだ平地についての規制区域の指定はしていなかったかと思いますが、私どもとしては今後これを励行して、これによりますれば、宅地造成事業をしようとする者は、都道府県知事に設計図等を全部出して、そうしていま申しましたように、安全及び環境の整備ができたものしか許可にならないという形にいたしたいということでありまして、大臣が申し上げましたのは、そのほうが鋭意いま実施を確保しつつあるので、これが確保できれば今後は平地においても規制できるという意味だと思いまして、せっかく私ども努力いたしまして、全国そのようなところにおいては早く地域指定するようにいたさせたいというふうに考えております。
  68. 泊谷裕夫

    泊谷委員 全国的にどうかよくわかりませんけれども、北海道の場合、特に大都市といわれておるところの水害が急激にふえてまいりました。これは宅地の関係と関連なしに見るわけにはまいりませんので、特に御配慮をいただきたいと思います。  次は、札幌から東を結ぶ重要であります国道十二号の霜踏橋の落橋の問題でありますけれども、この現地調査団に対する開発局の説明は、月寒川を直進で流すべきところを、十二号に直角に九十度でぶつかって、それからわずか十五メートルか二十メートル道路沿いに走らせて橋をかけているというのが実態であります。事情を尋ねたところ、これは直進させるところは道有地のためにこの川が直進できなかったという話があるわけでありますが、前回も指摘しておきましたが、土地の問題で建設省あるいは道、あるいは国鉄など関連あります問題について十分調整をはかる必要があると思うのでありますが、これについてどう対処するのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  69. 青木義雄

    青木(義)説明員 月寒川につきましても関連事業という制度もございます。そういう制度も考慮いたしまして、橋梁の位置等につきましても十分調整をはかりまして復旧措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  70. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私の尋ねているのはそういうことではないのです。役所のなわ張りのことを聞いているのです。本来まっすぐ出したい川を、道有地なるがゆえに、一たん九十度でぶつかったものを道路沿いに十五メートルないし二十メートルはわして、その先、開発局の自由になる土地というようなところで橋をかける、こういうのが各所にあるわけです。特に本州の県境であれば陸続きで問題があるかもしれませんけれども、北海道のように津軽海峡で切れているところは、モデルケースとして、農林省建設省だという中央の意思を強く発動せずに、道の開発局なら開発局に治水計画とか治山計画というものの主体性を持たせ、ある程度の権限を持たして、中央の出先機関の行動も律しられるということにすることが、治山治水の大計をつくるのに早道じゃないかと思うのですが、そこまで思い切ってやれるかどうか、また、やれない場合の調整の方法はどうするか、この点についてお答えをいただきたい、こう思うのです。
  71. 青木義雄

    青木(義)説明員 仰せのごとく、北海道の開発局は、建設省農林省、運輸省三省の共通の出先になっております。したがいまして、そういう計画をつくる場合には、まず開発局で内部の案をつくりまして、それでもって本省と相談をするというたてまえになっておるはずでございます。したがいまして、そういう国の機関の権限のなわ張り争いというおことばでございますけれども、そういうことは大体ない、開発局の場合は考えられないと考えるわけでございますけれども、もしそういうことでございますれば、局とよく相談いたしまして、必要があれば他の省とも十分協議いたしまして調整をはかりたいというふうに考えます。
  72. 泊谷裕夫

    泊谷委員 細田副長官にお願いをしておきたいと思うのですが、私はなわ張り争いということばを軽々に使わないつもりでおったのですが、二十二日の委員会でも申し上げましたように、国鉄の室蘭線沿いを見ましても、海岸沿い、これは道の所有地であり、道路は開発局であり、線路は鉄道であり、線路をまたいだ傾斜面は私有地であり、その頂上は胆振支庁であるということでありまして、実際の治水計画を立てるということについて調整その他で手間どっておって、実際思うように進まないというのが各所で見られるのであります。でありますから、今回対策本部を設置しまして、そのよってきたる原因、今後の対策を根本的に検討されております総理府として、この問題についても早急に改善されるとは思いませんけれども、できるだけ意欲的に、総合的な治山治水計画がスムーズに進められるように配慮をしていただくことが必要ではないかと思いますので、要望を申し上げて、御検討いただきたいと思うところです。  最後に二つだけ、特に札幌市に限定してお尋ねしたいと思います。  今度の場合、北海道災害で札幌が特に大きかっただけに申し上げたいのですが、札幌の場合は、新川水系、これは琴似川、発寒川、西野川が合流してゼロメートル地帯にくるところに問題がありますが、これは新川の改修を進めるにしても、樽川地区にいってカーブをしているところに大きな問題があると思います。これは道費河川になっておりますが、こういうわずかな曲線を排際することによって、七十万の市民を擁する札幌市の水系としてたいへん救われるわけでありますが、こういう場合、道費河川についても何らかの補助を考えてよいのではないかと思うのが一つであります。  もう一つは豊平川水系でありますが、これは精進川、望月寒川、月寒川、これが合流して鉄橋下の米里地帯から問題が出ておりますが、これまた運悪くゼロメートル地帯で逆流するという問題をかかえておりますけれども、この築堤と樋門、特に右岸関係につきましては用地買収調査費が三千万円ついたのでありますけれども、この町の規模にかんがみまして、この整備についてはピッチを上げなければならぬ必要性に迫られてきたのではないかと思うのですが、この二つについて建設省の考え方を明らかにしていただきまして、私の質問を終わりにいたします。
  73. 青木義雄

    青木(義)説明員 ただいまお尋ねの新川につきましては、中小河川で現在進めておりますが。いまお尋ねの場所につきまして、補助の問題につきましても十分検討いたしたいというふうに考えております。  なおまた、豊平川の河川改修につきましても、重要な河川でございますので、来年度以降できるだけの予算措置を講じまして改修を促進いたしたいというふうに考えております。
  74. 楯兼次郎

    楯委員長 逢澤寛君。
  75. 逢澤寛

    ○逢澤委員 同僚議員から多くの問題点のお話がありましたので、きわめて簡単に二、三の問題についてお尋ねをいたします。  その第一点は、先ほど同僚議員からも一端をお話しになっておりましたが、福井県における今次の大災害についてであります。特に西谷村付近を中心とした災害対策について、建設省あるいは農林省、あるいは総理府や大蔵省、厚生省にも関係がまたがると思うのであります。まずお尋ねいたしたいのは、もちろんあの地区は政府機関の災害対策関係者も視察等で来ておりますから、その復命によって大体の対策構想はお考えになっておると思うのでありますが、あすこは、復旧をするといっても、何も形が残らぬようになっておる。形がない。形がないところだから、復旧するといったって、復旧じゃない、新しくこしらえねばならぬと思う。特に道路にしても河川にしてもそのとうりでありますが、私どもの心配するのは、もちろん改良復旧は新しくしてもらわなければならぬと思いまするが、問題になりますのは、きょうは県の副知事も見えており、県の方々もだんだん見えておると思いまするが、私は北陸開発の委員長として、たまたま二十三日に——まだ知事も現地には行ってなかった。行く機会がない。そこで、幸いに知事がヘリコプターを用意しておりましたので、それに便乗して拝見したのでありますが、地域の者二百数十人が大野市に避難をして、ごく少数の人が地域にとどまっていろいろの復旧対策をやっておったのでありますが、そこで問題になりますのは、先ほど副知事からお話しになっておりましたように、県としては、また地域としては、従来のものを復旧したのではだめだ、改良復旧をやってくれという強いお話がありましたが、私どももそう思う。ところが、地域住民の中には、もう何もない、生命だけを携えて大野市に避難をしておる、これら罹災民の心境からいったら、村に帰って何をするかという心境の人がだいぶある。おそらく西谷村の六、七割の者はそういうような考え方だと思う。それに対する考え方であります。どういうような考え方で政府は進むか。それによって安心がいくと思うのです。それからまた、改良復旧をするにしても、それらの地域の者の要望や、また政策としてのものの考え方を立てねばならぬと思う。こういうような対策について一体災害対策本部としてどういうような考えをしておられるか。これはひとり西谷村だけではない。あの付近一帯がそのような状態になっています。私はあえて西谷村を中心にお話をいたしますが、関連の地域は同じような心境にあると思う。この点について総括的な考え方をひとつ示していただきたい。
  76. 細田吉藏

    細田説明員 福井県の西谷村並びにその付近の災害が今次災害の中では一番激しいものでございますことは、私どもの調査団もいち早く出しておりまして、よく承知いたしております。この対策をどうやっていくかということは、問題が非常に深刻で大きいわけでございまして、農林省並びに建設省それぞれ出かけまして、どうすべきかということにつきましてはいろいろ検討していただいておる段階でございますが、これらにつきましては両省からあとで答弁があると思います。  まだはっきりした結論は、地元のほうも必ずしもはっきりしておらぬと私承知いたしております。しかし、いずれにしましても、非常に多数の方々が、一挙にして農地、住宅その他が壊滅しておるというような事態で、非常に重大でございまして、かつて昭和三十六年の梅雨前線による大災害のときに、長野県の伊那谷で似たような非常に大きな問題がございまして、相当移住をしていただく——ことばが当たるかどうかわかりませんが、そういうことに対して政府が援助の方法を講じたという例もあるわけでございまして、こういった点、移住などということは、地元の意向もあるわけでございまして、重大な問題でございますが、いずれにいたしましても、災害対策本部といたしましては、これが対策の万全を期していきたい、それには一体どうするかということを、地元民の方々、あるいは県当局の方々、それから中央の両省の考え方、衆知を集めまして、どうするか、これに対して政府としては万全の予算措置その他を講ずる、こういうような考え方でおるわけでございます。  以下、農林省建設省から御説明を申し上げたいと思います。
  77. 仮谷忠男

    仮谷説明員 西谷村の災害がきわめて深刻なのを私どももほんとうにお気の毒に思っておるわけでございますが、いま細田副長官からもいろいろお話がありましたが、結論的には、地元住民の御意思も十分尊重しなければなりません。県の御意思も十分聞いて総合的な計画を立てるべきであって、やはり普通の災害ではなく、特殊なケースとしてこの対策検討しなければいけないのじゃないかと思っております。ただ、農林省関係は農地災害が非常に大きいですから、これを単なる災害復旧ということでなしに、いま先生がおっしゃるような改良復旧、こういった面で進むべきだという一応の方針を持っておりますことを御了承願いたいと思います。その他の問題についてやはりいろいろ関連があるわけでありますから、総合的な問題として考えていくべきだと思います。
  78. 青木義雄

    青木(義)説明員 建設省といたしましても、西谷村をどうするかという問題につきまして、ただいま対策本部の方針等に従ってまいりたいというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、一応、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の定める手続に従いまして、現地被害状況等の査定等を早く進めまして、災害復旧準備等を怠りなくやりたいというふうに考えております。その復旧にあたりましては、もちろん、単なる災害復旧ということじゃなくて、改良復旧というような点も十分考えまして事を運びたいというふうに考えております。
  79. 逢澤寛

    ○逢澤委員 まあそれらの答弁を承りまして安心するのでありますが、よく地元住民や県の意向等も聞いてから対策を立てていただきたいと思います。  ただ、私どもこの際一言申し上げておきたいことは、あの地方は、高さが千メートル以上の山に山津波がきて、しかもその山津波がきているその上にまたやがてもう明日にでもくることが仮想できるような状態になっておる。そういうようなところから対策を立てないで、いま生じておる被害だけの対策を立てるというのではだめです。千メートル以上もある山の上がもうこういうように上にかぶって、いつそれが落ちてくるやらわからないような状態のところがあると思いますから、当局者の諸君が、よく周囲の事情、また故老の話なども聞いて対策を立て、不安のないような措置を講じていただきたいと思う。  それからもう一つは、これは所が違うのでございますが、岡山県と兵庫県との境に起こっておる問題であります。これはかつて両三年前に越県合併の問題で——兵庫県の先生方も見えておるわけでありますが、兵庫県の赤穂市と岡山県の日生町の問題で三年ほど紛争があったわけであります。ところが、不幸にいたしまして今度の台風では、兵庫県は気の毒にも非常な災害をこうむっており、したがって激甚指定にほとんどなっておる。岡山県は幸いにして被害が県全体としてはきわめて少ない。ところが、ちょうどここに兵庫県からいただいておる地図を見ても、この台風の進路の兵庫県との境になっておるこの日生町は、兵庫県がこうむった被害と同じような被害をこうむっておる。そこで問題になるのは、この地方当局や町民が心配しておりますのは、かつて越県合併したところは激甚指定を受けて救済される、そうして合併をしなかったところはその被害の救済措置がきわめて薄弱であるということで、非常に心配しておるのです。この際、もし過去においてそういう経緯がございますれば、その地域指定していただく。端的に言いますと、日生町という小さい町だし、その町が大きな被害を受けておるのだから、その町は、県は違うけれどもその指定をしていただくという方法を考えていただきたい。もし前例がないとすれば、それをこの際前例をつくっていただくことを強く要求したいと思いますが、いかがですか。そういう前例があるかどうかということについてお尋ねをいたしたいのであります。
  80. 細田吉藏

    細田説明員 激甚指定は市町村単位にやっておりますし、それから一番極端な場合は、合併前の町村単位ということもありますので、いま具体的な問題がどうなるかということについては、お話がございました点を十分検討いたしたいと思います。不都合のないようにいたしたいと思います。
  81. 逢澤寛

    ○逢澤委員 私の質問は済みました。
  82. 楯兼次郎

  83. 砂田重民

    砂田委員 時間がございませんので、私は、港湾が受けました被害のことについて、運輸省の港湾局長が見えておりますので、簡単に伺いたいと思います。今回の台風では相当各所の港湾が災害を受けましたが、時間がございませんので、きょうはそれを神戸港に限ってお尋ねいたしたいと思います。  港湾局長承知のように、新しくできた摩耶埠頭の決壊、防波堤の横すべり、運南地区の浸水、こういう被害があるのであります。これは当然港湾局長はいろいろな準備を進めておられると思いますが、災害のときによくいわれる原形復旧ということがあるのでありますが、私は原形復旧であってはならないと思う。原形に復旧してみても、その原形というものは今回程度台風には持ちこたえられなかった姿なんですから、当然改良復旧でなければならぬ。いま私が申し上げたようないろいろな港湾の災害の中で、特に防潮堤が決壊したために相当数の民家がこれで二年続けて浸水を受けてしまっておる。運輸省で三年計画でお仕事を進めておられますけれども、もう三年計画なんという気の長い話では許されないのではないか。したがって、原形復旧ではなくて、当然改良復旧を考えておられると思いますが、その御計画、考え方等を伺っておきたいと思います。
  84. 佐藤肇

    ○佐藤説明員 神戸港の災害につきましては、今回特に和田岬が昨年に引き続いて同じような災害を受けて、たいへん遺憾に存じておるわけであります。実はただいま御指摘ございましたように、ことしの台風状況を見ますと、昨年よりも波の高さが、波高計によりますと、一メートル以上高かったのではないかということがわかっておるわけです。それは昨年の二十号台風におきまして、須磨におきます波高計が五メートルという記録をもっております。それが今回の台風二十三号におきましては六メートルという記録をもって、しかも波高計が破壊したわけでございますので、明らかに昨年よりも強かったのであります。したがいまして、昨年の二十号台風におきましては、西宮、それから神戸でいいますと吉田町、それから須磨地区、いまの和田岬も入っておるのでありますが、この四地区が大きな被害を受けまして、それぞれ手当てをいたしましたが、ほかのところは助かったのでございますが、この和田岬だけが再度災害を受けましたのは、直接波がぶつかりまして第一線の埋め立て地にある防潮堤が破壊したわけでございます。したがいまして、いま御指摘がございましたように、原形復旧ではもたないということが明らかになりましたので、現在緊急査定をいたしまして、前面の防潮堤を全部災害対象にいたしまして、その設計につきましては、これは非常に新しいケースでございますので、私どもといたしましても、あまり第一線の防潮堤だけを高くすれば、全体の護岸構造物が破壊されやすい心配もございますので、再度災害を受けないようにする設計方法について、現在現地と協議をしておるところでございます。
  85. 砂田重民

    砂田委員 運輸省がそうやって仕事を進めておられるので、たいへんありがたいことで、けっこうなことだと思いますが、あの地区の浸水の状態を見ますと、これから現地と協議なさって設計をきめていかれると思うのですが、私は、やはりこの三カ年計画というものは下水道事業というものが一緒に進められておるんじゃないかと思う。当然、港湾局と現地とで設計が考えられて具体的になっていきますと、同じように下水道の問題もからんでくると思うのです。ひとつ一緒に協議をしていただきたいと思うのですが、もうそういう検討を始めておられますか。
  86. 青木義雄

    青木(義)説明員 私、河川局の職員でございまして、下水道は都市局の所管になっておりまして、所管外のことでございますので、よく都市局のほうにも先生の御趣旨を伝えまして、検討していただくように伝えたいと思います。
  87. 砂田重民

    砂田委員 そのようにひとつ要望いたしておきます。  それから、昨年はだいぶ防波堤が決壊をしてしまいました。ことしの二十三、四号で第三防波堤が横へすべってしまって、もしもあの第三防波堤が決壊するようなことになりますと、神戸港の一切の施設が、こわれなくても、現実には使えなくなってしまうわけです。これはただいまの貿易の事情その他たいへん大ごとになってしまうので、第三防波堤を早急に強化されるような計画をしておられますか。
  88. 佐藤肇

    ○佐藤説明員 第三防波堤はだいぶ古い時代に建設されたものでございまして、現在まで被害がございませんでしたが、先ほど申し上げましたように、今回のように真南からくるああいう強い波は初めてでございます。しかし、あの防波堤の外側に大きな埋め立て地をつくりまして新しい港をつくる計画がございます。そうすれば、あの防波堤は埋め立て地の内側の護岸になるわけでございまして、安全になるわけでございます。したがいまして、本格的にあれをどのように復旧するのがいいのか、それよりも応急的にあれがこわれない程度の手当てだけをしておくのがいいのかという問題がございますので、これにつきましても同じように現在復旧方法について協議中でございます。
  89. 砂田重民

    砂田委員 時間がありませんから私はこれで終わりますが、特に運南地区、和田岬といわれたあの地区の防潮堤の決壊については、もう二年続きでやられておるものですから、住民が非常な不安にかられております。しかもあの地区は、大企業の下請といいますか、中小企業の密集地帯でもあり、こういう人たちが新しい機械をせっかく入れたのが、入れても一月かそこらで水につかってしまうということで、去年、ことしと二年続きでやられておりますから、早急な改良復旧をぜひとも実現さしていただきたい。その方向で進めていただきますように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  90. 楯兼次郎

    楯委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時四十七分開議
  91. 楯兼次郎

    楯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森下元晴君。
  92. 森下元晴

    ○森下(元)委員 大体台風の時期も過ぎかけております。毎日好天に恵まれまして、秋晴れのいい日が続いておるわけでございます。各農村、山村におきましては、運動会とか、またお祭りというような——従来であれは黄金の波か打ちまして、非常に景気のよい祭りばやしも聞こえるのですが、今回の台風二十三号、集中豪雨、二十四号の被害のございました地域におきましては、祭りの太鼓の音も笛の音も聞こえない。また、子供たち、親たちが楽しみにしておりました運動会も取りやめになったところもある。また、運動会をやりましても、ほんのささやかな、さびしい運動会が行なわれておるのが、台風被害を受けた地域状況でございます。たんぼを見ましても、山を見ましても、従来ならば黄金一色に塗りつぶされております。また、もうそろそろミカン等が色づきまして非常に豊かな農村の風景が見られるのが、逆に、灰色になったり、また黒くなったたんぼが、日を追うてその被害が出ておるのが現状でございまして、ほんとうに今回の災害の悲惨な面が出ております。そういう意味におきまして、私は、まず農業地帯における個人災害について、本部長はじめ農林政務次官その他政府関係方々に御質問をしたいと思うわけでございます。  いま申し上げましたように、農村の水田地帯で、いわゆる水稲の被害が、当時はあまり目につかなかったのですが、日を追うてふえておりまして、収穫皆無、また三割減、五割減、八割減というようなことで、たんぼに放置しておくほうがいっそ手間がかからぬでいいというようなことで、非常に悲観的な空気が流れております。いろいろ農業共済の問題とか、また個人災害に対する天災融資法の問題がございますけれども、ともかく一年一年の収穫が平年作がございましても、非常に農家というものは生活が苦しい、いわゆるコンマ以下の生活をしております農村、山村地帯でこの種の大被害を受けて、ただ金を貸してやるから立ち上がれと言いましても、なかなか希望が持てないということにつきまして、今後災害基本法——過去のあり方じゃなしに、ほんとうに台風常襲地帯に対して、また被害の出た個所に対しまして、きめのこまかい、愛情のある、また、こういう機会に所得格差を是正するという一つの精神を持った立法までしてもらわなければいけない、また、すべきである。かように思っておるわけでございます。農業共済もかなり是正されまして、報われておりますけれども、まだまだ収穫皆無、また減収に対しまして十二分でないように思っております。その点、今後この種の災害に対しまして、特に後進県の台風常襲地帯に対して、もう少しあたたかい方法があるかないか、また、やる意思があるかないかということについてまずお伺いしたいと思います。
  93. 仮谷忠男

    仮谷説明員 今度の災害で私は特に四国地区の調査を仰せつかって調査をいたし、徳島のほうも視察をさしてもらったわけでありますが、特に農業災害が非常に大きいことは十分にわれわれも認めてまいったわけであります。御承知のように、農地、農用地等の災害にりきましては、これは公共災害として復旧をいたしておりますことは申し上げるまでもございませんし、さらに、激甚指定を受けますと、ほとんど地元の負担なしに復旧できることも御承知かと存じます。また、特に稲作等の災害につきましては、おっしゃいましたように、農業災害補償法の適用によりまして相当の救済もできておると考えておりますし、さらに共済金の概算払い、あるいはまた、特に不作の場合にあらわれるいわゆる等外米の措置でありますが、これにつきましては、等外米買い入れの措置も一応進めておるわけでありまして、おそらく、いまの法律の範囲内でできる限りのことはいたさなければならぬし、また、いたせるものと確信をいたしておるわけであります。ただ、災害常襲地帯において特別にどうするかという問題でありますが、かつて災害常襲地帯審議会とかいったものがございまして、特定の地区を定めていろいろと対策を立てる方策を考えた時代もあったかと思うのでありますが、最近では、災害常襲地帯と申しましても、ほとんど全国的に災害を受けるような状態でございまして、特別な地区としての措置はございませんので、いまの災害関係の法律に基づきまして措置をいたしておるわけであります。なお、将来実質的に災害が起こった場合の不備の点につきましては、十分検討をして、行き届くように措置をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  94. 森下元晴

    ○森下(元)委員 災害は忘れたころにくるといわれておりましたけれども、このごろは災害はもう定期的にいつでもやってくる。そういうことで、全国各地に非常にここ数年間災害が出ております。そういう点で、いま政務次官がおっしゃったとおりでございますけれども、その中でもいわゆるコンマ以下の生活をしておる業種の方々に対して、私は特別の配慮がなされなければいけないという趣旨であるわけでございます。特に後進県の場合は、いわゆる先進県に追いつくために非常に努力しているものの、こういう災害のために心がくじけて、生産意欲も失うし、また生活の意欲も失ってしまう。まさに政治というものは民生の安定がその根本でごいざまして、こういう際に、民生安定のためにも前向きでしかも十二分の措置をしなければいけない。いろいろ各県から災害被害額が出ておりますけれども、それ以上の、いわゆる数字にならない、統計にならないかなりの数字が出ているのじゃないかという点におきまして、従来の査定のように、ただ事務的に技術的に数字をはじき出すというのじゃなしに、もう少しそういう数字にならない数字というものをつかんでいただいて、そうして救済の手を差し伸べていただきたい、このように私は思っております。  また、今回のこの農業災害、冠水、湛水等の災害の起こります一つの原因といたしまして、従来建設省河川行政におきまして、大河川はかなりよくなっております。昔のように洪水のたびに家が流れるとか人畜が流れるというようなことはほとんどなくなりまして、この点非常に政治のよさというものも痛感するわけでございますけれども、そのためにいわゆるりっぱな堤防に周囲を囲まれてしまって、そこにポンプアップの設備がないために湛水いたしまして、数日間も水が引かないというような人災的な面もあるわけであります。だから私は、台風常襲地帯、こういう地区におきましては、大河川だけでなしに、中小河川、また小河川までも同時に並行的に治水の効果をあげていただくように、このように思っております。いわゆる大河川災害は少なくなりましたけれども、それに付随して、いままでになかったような他の面の災害が起こっておるという点がございます。いろいろ中小河川の昇格問題とか、また準用河川を早くやってくれという要望がかなりございます。その点につきまして、建設大臣でございます本部長のお考えをお願いしたいと思います。
  95. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 先ほど来被災者の窮状をお話しになりましたが、政府といたしましても十分今度の被災地の現状を把握いたしまして、全くお気の毒な点があることを承知しながらできる限りの対策を講じたい、こういうことで鋭意努力をいたしております。ただいまお話しの、最近災害の発生状況がだいぶ変わってきておることは、仰せのとおりでありまして、戦後非常に治水対策のおくれがありましたわが国において、しかも台風あるいは豪雨の多いわが国の状況におきまして、非常な災害を起こすおそれのある河川に重点を置いていわゆる治水事業を進めてまいりました。もちろんまだまだ十分ではございませんけれども、その相当の効果が戦後の努力であらわれまして、いわゆる大河川においては、これもすべて万全だとは言い切れないところもありますけれども、従来のような広範な河川による大災害が相当に防げる状態になりました。ところが、御承知のとおりに、戦後の経済の発展あるいは社会条件の変化等によりまして中小河川あるいは都市内の排水問題こういうことで、従来に増して災害が起こる状況が出ております。これはもちろん、わが国の経済の進歩あるいは都市への集中、いろいろな社会条件が変わったところに大きな原因があると思いますけれども、私どもも、その変わった状態に応じた災害対策あるいは治水対策、こういうものを講ずべき段階にきておる、こういう判断をいたしております。したがって、御承知の本年度立てんといたします治水五カ年計画は、大河川を放置するというわけでございませんけれども、重点を、災害の起こりやすい中小河川、また砂防あるいは都市排水、こういうところに治水あるいは防災対策を講ずるほうに向けておるわけであります。国家財源の制約がありますから、なかなか万全ということは残念ながら急速にできませんけれども、そういう方面に十分の力を及ぼしていきたい、かように考えておるわけであります。
  96. 森下元晴

    ○森下(元)委員 いま大臣より都市排水の問題が出ましたので、御要望を申し上げたいと思います。  今回の短時間集中豪雨のために、かなりの都市地域において浸水家屋の災害がございました。上水道はかなりできておりますけれども、下水の設備がどの都市とも完備しておらない。それと、ポンプアップ等のいわゆる排水の能力が非常に乏しい。最近一、二年の間でかなりの設備を整えてまいりましたけれども、あれだけの集中豪雨のためにそれだけの能力がなかったという面で、都市排水の面につきましても、何と申しましても人口が非常に集中しておる点でございますので、御配慮願いたいと思う次第でございます。  なお、この問題は個人責任もあると思うのですが、災害が二十年三十年となかった場合に、いわゆる自然の領域までも個人の住宅が建ったり、また農地ができたり、そういう点が全国各地でかなり見られます。そういう面に対しまして、無制限でそれを放置するのじゃなしに、もう少し行政指導によって、この地域災害地域であるからいわゆる一つの制限をしなければいけないし、また、土地の低いところには建築法等の配慮に基づいて地上げをしなければいけない、どれくらいの高さにしなければ浸水するんだという一つの規制措置が必要じゃないかと私は思うのです。大きな災害地を見ますと、いわゆる山くずれのありそうなところに家を無理して建ててみたり、また遊水地帯のようなところに家を建ててみたり農地をつくってみたり、それが二十年三十年ぶりの豪雨のために流され、また人畜に被害を受けておる。こういう面を考えました場合に、ただ行政的な責任とか、政治的な責任だけじゃなしに、個人責任問題があると思うのです。そういう場合、やはり技術的な指導をしなければ、建てる人は、家がないのですから、できるだけ安い土地を買って建てたい。特に最近は土地が値上がりしておりますから、土地を求める場合でもなかなか安い金では求められないということで、これは個人だけじゃなしに、市営住宅にいたしましても、県営住宅にいたしましても、そういう住宅を建てる場合に、ほとんど安価な土地を求めるあまりに、そういうような災害にあいそうな土地を選んで、そうして大きな災害を受けておる傾向がございます。そういう点で、火災の場合には消防のほうに相談して一つの制限があるようでございますので、いわゆる水防等に対しましても、もう少し建築制限のような措置をやる必要があるんじゃないかと私は思う次第でございまして、それに対する御見解をお聞きしたいと思います。
  97. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 災害に対しては、いま仰せのとおり、政府のみならず、地方公共団体、特に個人としても、日本の地形、また台風その他の気象状況等を頭に置いてやっていただかないと、災害のことを考えないであるいは農地をつくり、あるいは住宅をつくる、こういうことをやられておりましたならば、どんなに政治のほうで注意しても追っつかない、こういう現象が起こりつつあります。これはもう市街地については都市計画上の問題もあり、また住宅地については、そういう災害のおそれなり、あるいはまた、土砂くずれ等のおそれがあるという地帯については、それぞれ都道府県あるいは市町村等において適正な指導をするという法律ができておるわけであります。これもようやくにして一昨年ですか、できたばかりであります。まだまだその実効をあらわすについては十全なる段階にきておらない、こういう事態であります。今後お互い十分そういう点を留意して防災の面に立った政治を行なっていきたい、かように考えておるわけであります。
  98. 森下元晴

    ○森下(元)委員 農政問題につきましても、全国画一的に農政の方向が示されているように思います。災害地、特に災害常襲地における農政指導、特に最近の農政の方向は選択的拡大、多角的な農政の方向が示されておりますけれども、たとえばビニールハウスをつくらして抑制とか促成を政府が奨励する場合、これは台風常襲地帯において大きな被害を受けますし、現に受けております。多くの金を借りまして、しかも収穫前とか、またまさに収穫中に台風被害豪雨被害を受けたためにずいぶんその生産に響いているような面がございます。そういう面で、災害を予想して農政の指導も適切にやらなければいけない。補助金だけでやるのであれば、そういう場合ではそう大きな被害はございませんけれども、近代化資金にしても構造改善資金にしても、全部借金でございますから、そういう場合には大きな痛手を負う。結局は農地を売って払わなければいけないという点がございます。そういう面で、意欲的な農家が失敗した例がかなり出ております。もちろん、そのやり方において、また流通面における勉強ができていないための失敗もございますけれども、災害による大きな負債を負ってそうして農地を売って離農しなければいけない。そういう方もぼつぼつあるようでございます。その点、養鶏の問題にいたしましても、果樹、園芸の問題にいたしましても、蔬菜の問題にいたしましても、近代化され、科学化されるほど、自然の災害に対する配慮もともにしなければいけない。現在の日本の科学の力ではとうてい台風をとめることもできないし、豪雨もとめることはできないのでありますから、そこで、一方は科学性を強調されて、また科学的に進んでおりますけれども、自然災害のある限りは、やはり自然災害を予想して指導しなければいけない、かように思っております。それがまた大きく個人経済を圧迫するし、家計にも響く大問題でございます。ただ画一的な農政の指導でなく、近代的な方向への指導ということを考えなければいけない、かように思っております。その点、政務次官、ひとつ今後の方向、そういう面の方針をお聞かせ願えましたら幸いと思います。
  99. 仮谷忠男

    仮谷説明員 農業基本法に従いまして適地適作を進めておるわけでありますが、特に園芸関係のビニールハウスの施設の問題であります。これも従来は竹の施設で、災害のつど被害を受けておったわけでありますが、最近農林省のほうでは構造改善の一環としていわゆる鉄筋によるハウスを奨励いたし、だんだんとそれが進んでいるわけであります。その他ビニール等のいろいろな被害につきましては、天災融資法の適用を受けていままでもやってきたわけでありますが、そのほか、鶏舎あるいは畜舎等の施設その他も、個人施設につきましても天災融資法の適用によって一応融資をいたしてまいっておりますが、ただ個人個人の一施設に対しての融資額がいままで二十万円ということになっていました。これでは規格に合わないじゃないかという意見もありまして、過去の例もありますから、今次はそういったワクについても検討いたしてみたいというふうに考えております。いずれにしましても、特殊ないろいろな産業の発展のためには、それぞれの地区の人々の創意くふうも必要でありますけれども、農林省としても十分に適地に合った指導をしていかなければならぬことはお説のとおりでありまして、今後そういう面に向かって努力いたしてまいりたい、かように存じております。
  100. 森下元晴

    ○森下(元)委員 適地適目主義、それから災害ということも加味して、今後新しい農政を推し進められんことを要望するわけであります。  最後に、教育問題学校施設の問題についてお尋ねをしたいと思います。  今回の災害でかなり学校施設が大きな被害を受けております。特に浸水地帯と申しますか、農村地帯におきます公共設備というものが、従来は洪水とか台風の際の避難場所としての一つの任務を持っておるし、そういう場所でもあったわけでございます。そういう意味で、学校という存在は、ただ教育の場所だけではなしに、その地域の、その村の、その町の一つの公共的な大きな性格を持っておる。そういう意味で、今回の災害状況を見ました場合に、大きな講堂が全壊しておる。万一浸水のためにその講堂へ逃げた場合、結局大きな人的災害を受けておるのじゃないか、そういうような災害状況も見られるし、今後学校の建築等におきましては、そういう意味を兼ねて、いわゆる永久建築、鉄筋建築によって、生徒数とか、そういう規則にとらわれずに、ひとつ思い切ったりっばなものをやっていただきたい。いろいろ危険校舎とか老朽校舎がございますけれども、台風常襲地域、特にそういう地域におきます学校建築は、都市であろうと、いなかであろうと、すべて公共的な用務ができるような堅牢なものにしていただきたい。とともに、定足数だけじゃなしに、多くの人を収容できるという面におきまして、特に後進県をできるだけ先進県に持っていこう、いわゆる所得格差を是正する意味におきましても、そういう面においてあたたかい行政の指導、行政的な措置も得たいと思う次第でございます。  なお、私の調査しました範囲内におきましても、学校が全壊したり、また講堂が全壊したり、また、全壊とはいかなくても、ほとんど全壊にひとしいような災害が出ております。また台風でもあれば、もうほとんど全壊するような状況になっておる学校がたくさんございます。そういう点につきまして、いわゆる倒壊したところはもちろんでございますけれども、まさに倒壊に瀕しておるような危険校舎につきましては、文部当局並びに大蔵省においては、いわゆる査定の内容がどうであるとかいうことを言わずに、ひとつ思い切ってやっていただきたい。結局、災害時に対する政府の手また行政的な援助というものは、全国民がだれも文句を言わないのですから、そういう際に、しゃくし定木にとらわれない思い切った行政的な措置をしていただきたいと私は思う次第でございます。
  101. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 ただいまお話がございました、一たん災害の場合の避難所としての学校建物、この避難所という点で、その避難所は当然災害に際しましても何ら損傷を受けないような建物でなくてはなりません。私どもも日常の事務の執行にあたりまして、でき得る限り校舎は鉄筋コンクリートでやるように指導いたしております。  なお、第二の点の、一たび災害を受けたもの、こういうものにつきましては、再度災害を受けないように鉄筋化して恒久的な堅牢なものにするということでこれまで実施をいたしてまいっております。
  102. 森下元晴

    ○森下(元)委員 災害があって、それを復旧するのも大事なことでありますけれども、災害が出ないようにいわゆる予防的な措置をすることも当然のことであるように思います。台風のたびに、また災害のたびにだんだんと危険度を増しておる、いつかは倒壊したり、また大きな被害があることは、火を見るよりも明らかでございまして、こういう点ひとつ——十分調査もなさったようでございますので、予算面において配慮を願いたいと思う次第でございます。  先般この災害に対しまして、政府なり、また衆参両院から特別委員の方が調査においでになりました。私の地元でございます徳島県に対しましても、衆議院のほうから楯委員長が先頭に立ちましておいでくださいまして、学校に調査に行った場合に、いたいけな子供たちが、倒壊家屋を前にいたしまして、自分たちのつくった、困った現状を作文にして読み上げるという、非常にお気の毒な痛ましい一シーンもあったわけでございます。教育問題というものは国の百年の大計でございます。その施設が倒壊して雨漏りがしておるということでは、おちおち勉強もできないし、また父兄の方もそういう面について非常に心配もされておるし、どうかこの教育問題につきましても——一年、二年の教育効果というものは目に見えませんけれども、やはり十年、二十年の積み重なった教育の力というもの、文教政策というものは非常に大切でございますので、その点、この建築費に思い切った予算を投入してもらってもいいのじゃないか、私はかように思っておるわけでございます。どうか一日も早くその子供たちが安心できますように、また父兄の方、教師の方々が教育に専念できるようにひとつ行政的な配慮、また政治的な配慮を願いたいと思う次第でございます。  大体私の持ち時間も終わりましたので——実は楯委員長はじめ衆議院の災害対策特別委員の方がおいでになり見られました学校、すなわち、徳島県小松島市の南小学校、徳島市の川内小学校、それと鳴門市の小学校の三校を中心に見られましたけれども、ほんとうにお気の毒な状況でございます。この点、具体的な例もあげましたので、ひとつ特別の配慮を願いたい。定足数にこだわらずに、また危険の度合いにこだわらず、地域的な、先ほど申し上げたような公共的な一つの性格を持っておりますので、特別の御配慮を願いたい。楯委員長も涙を流して生徒の読み上げた作文を聞いたわけでございますから、この点、災害対策特別委員会からもお願いしてもいいのじゃないか、そういう一幕もあったわけでございまして、特に強く要望を申し上げて、私の質問並びに要望を終わりたいと思います。
  103. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 ただいままことに気の毒な学童のお話を承りまして、まことに胸迫る思いでございます。学校教育の場として、子供たちがいかに学校というものに愛着を覚え、またその将来に影響を受けることが大きいか、くどくど申し述べるまでもございませんけれども、わが国の現状が、木造七割、鉄筋三割というような状況では、しょっちゅう災害におかされておるわけでありまして、こういう実態を一日も早く私ども改善いたしたいと思います。  なお、お話のありましたそういう学校につきまして、学校教育上支障があれば、災害復旧に際しましては、基準坪数を原則とするものでございますけれども、その実情に応じまして特例的な方法を私どもとしても十分研究させていただきたいと存じます。
  104. 森下元晴

    ○森下(元)委員 終わります。
  105. 楯兼次郎

  106. 永田亮一

    永田委員 私は兵庫県でございますが、まず、このたびの災害に対しまして楯委員長はじめ田村議員の御一行がいち早く災害地を視察していただきまして、つぶさに実情を御調査いただき、まことにありがとうございました。この点をまずお礼を申し上げますが、見ていただいた状況に対して、なるべく一刻も早く手を打っていただきたいということを最初に申し上げるわけでございます。  兵庫県は、最初二十三号の台風がやってまいりまして、淡路島の洲本市では最大風速六十メートルをこえておりまして、兵庫県下どこの地域も大体三十メートル以上はみんな吹いておりました。そのために住宅が倒壊したものが非常にたくさんあります。あるいは住民が死傷したり、河川やため池がはんらんするという状態でありまして、かわらが飛ばない家は一軒もないと申しても過言ではございませんでした。それから中二日おいてあの集中豪雨がやってきたわけであります。私の家なんかもかわらが飛んだ程度でありまして、被害があったとは言えない程度でございますが、それでもすぐに屋根を修繕する間がない。また、屋根屋さんが手が足りない。そこへ集中豪雨が襲ってまいりましたので、兵庫県下の家において雨水が漏らなかった家はまずないだろうと思うわけであります。もちろん、倒壊した家もたくさんございますが、そういう被害を受けたわけであります。  それで、瀬戸山大臣に最初に基本的な態度についてお伺いし、確かめておきたいと思うわけでありますが、この災害対策委員会においてあとで決議をされることになっておると思うのでありますが、この二十三号の台風と、それからそれに引き続いて起きた集中豪雨、さらにその後の二十四号台風、これは全部一貫したものでございますので、これを一つに考えた災害として措置をしていただけるかどうか、この点をはっきりお示しを願いたいと思うのであります
  107. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 お尋ねの趣旨は、結局、災害激甚法の適用の問題、あるいは天災融資法の適用の問題それを前提としてのお話だと思います。いろいろ災害の実態をできるだけ急速に把握することに災害対策本部としてはつとめておりますが、最終の決定はまだいたしておりませんけれども、現在は、災害対策本部そのものも、二十三号、二十四号、五号、その間における豪雨、これをひっくるめての災害対策本部を設けておるわけであります。したがって、私といたしましては、これを一括した統一的な災害、こういうで処理をいたしたいと思います。なお、これは災害状況がやや違っておりますけれども、群馬、埼玉等のひょう害による災害、これもほとんど接近しておりますから、統一的な対策を講じたい、かように考えておるわけであります。
  108. 永田亮一

    永田委員 いまの御答弁で、大体一緒にまとめて考えていただく。いまお話がありましたとおり、災害激甚地に指定を受けるかどうかということが、町村長などの一番の関心事でございます。これが受けられなければ復興はできないとまでみんな思い詰めておるのでありまして、その災害激甚指定を受けるにあたっては、あるいは天災融資法指定を受けるにあたって、どうしてもこの三つは切り離せないものである。前のジェーン台風だったと思いますが、一月か二月おくれて起きたものまで一緒にして、何年六月の災害及び七月の災害を含めて激甚地の資料にしたいということがあったと思います。今度は中一日か二日おいて次々と起こってきた。先ほど申し上げたように、最初の台風で屋根を全部吹き払って、そのあとへ雨が降って、次に洪水で全部流してしまう、まことに順序よくやってきておりますので、前の、一カ月おいて起きたものを一つにまとめてやっていただいた前例を考えれば、ぜひとも二十三号及び集中豪雨、二十四号、五号、さらにいまお話のありましたひょう害なども含めてすべてを一つのものと考えていただくように、重ねてこれをはっきり言明していただきたいと思います。
  109. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 ただいま申し上げましたように、まだ閣議において最終的な決定をいたしておりませんけれども、その方向で現在検討いたしております。現在の調査によりましても、激甚法指定になる項目は多数あるということを申し上げておきたいと思います。
  110. 永田亮一

    永田委員 それでは、いままで同僚議員が次々といろいろ質問をいたしましたので、私は、なるべく重復を避けまして、簡単明瞭に御質問をいたしますから、答弁されるほうも、的確になるべくこちらの気の済むような返事をしていただきたいと思うわけであります。  まず、本部長が来ておられますので、建設省関係のことから簡単に御質問いたしますが、建設省、運輸省関係などの復旧にあたっては、まず何といっても、災害査定官を早く派遣していただいて査定をしてもらわなければ始まらぬわけであります。査定官を一刻も早く出していただきたい、この点御答願います。
  111. 青木義雄

    青木(義)説明員 兵庫県の災害につきましては、すでに査定官を災害発生直後二回派遣いたして調査をしております。先生のおっしゃいましたように、災害の実態がそのまま残っておるなまの姿をつかむのが趣旨でございまして、なるべく早く参るようにいたしたいと存じております。  なお、若干技術的な問題を申し上げますと、兵庫県の場合、七千四百カ所くらいの災害場所でございますので、大体いまのところ五十七億くらいの被害額でございますが、公共土木施設につきまして大体一件平均八十万円くらいになっております。ちょっと小さいという問題がございまして、県とよく相談をしております。そういう実情でございます。
  112. 永田亮一

    永田委員 それで、その災害の査定をするにあたっての基本的な考え方なんですが、先ほど来同僚議員からも御指摘がありましたが、単なる原形復旧ということでは意味がないので、改良を加味した復旧を認める、こういう方針を確立していただきたいのであります。
  113. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 仰せのとおりでありまして、災害土木関係の法律には原形復旧という文字がありますけれども、これは従来からいろいろと議論があったところでございますが、従来も再災害の発生を防ぐという眼目でやっておりますが、今回特に私のほうでその原因を究明し再発を防ぐ対策を講ずるという基本方針でまいっておりますから、改良復旧あるいは関連事業等を含めまして、将来の災害を防ぐ措置をとりたい、こういう方針でまいっております。
  114. 永田亮一

    永田委員 ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。  それから、従来の災害復旧状況を見ておりますと、ずいぶん時間がかかるのがございまして、だらだらとやっておったのではまた次の災害で大きな被害を受ける。このごろの経済の発展も急激に進んでおりますので、原則としてすべての災害復旧は三年で完了するということをきめていただきたい。しかもそれを初年度、二年度で大幅に工事を進めていただきたい。このことについて御答弁を願いたいと思います。
  115. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 御承知のとおり、災害復旧は一日も早いほうがいいわけでございます。戦後、わが国の国力といいますか、経済の力が足らないときには、五年でやっておりました。現在は四年ということになっておりますが、経済が復興し、国民の力も出てまいりましたので、私どもとしては、どうしてもこれを三年で終わりたい、こういう考え方で、年々御承知のとおり議論がありますけれども、ことしは、特にこの段階では災害復旧は三年で終了すべきだ、こういう考え方で、四十一年度の予算要求もそのたてまえでやっております。これは非常に財政上の問題で議論のあるところであります。むしろ国会のほうでぜひひとつ御協力をお願いいたしたいと思います。
  116. 永田亮一

    永田委員 たいへんけっこうです。  それから次に、公営住宅がだいぶやられておるわけでありますが、この公営住宅の復旧費を何とか全額国庫でやっていただけないか、その点はいかがでしょうか。
  117. 尚明

    ○尚説明員 既存の公営住宅の復旧につきましては、実は一般的に家賃を取って修繕費の積み立てということもやっております関係で、その分を一部充当していただくたてまえになっておりますので、全額国庫補助というのはちょっと困難なのでございます。できるだけ実際に沿うようにやってまいりたいとは考えております。
  118. 永田亮一

    永田委員 いままですでに県のほうへ割り当ててある公営住宅、これを災害公営住宅として扱ってもいいかどうか。
  119. 尚明

    ○尚説明員 災害地におきまして、すでに一般用として割り当てておりました公営住宅を、災害が生じましたので、罹災者を入れるためにこれを災害公営住宅に切りかえたいということにつきましては、災害公営住宅を建設いたします戸数の限度、すなわち、滅失いたしました戸数につきまして、一般の災害の場合には三〇%の戸数、激甚地に指定されました場合には五〇%の戸数でございます。そこまでの範囲内を切りかえようとすることは差しつかえございません。
  120. 永田亮一

    永田委員 次に、農業関係について、重複を避けて少し御質問いたしますが、今度の災害の特徴は、何と言っても個人災害、それから小災害が非常に多かったということであります。午前中山口委員から、個人災害について強く要望をされておったのでありますが、農家の個人個人のことを考えてみますと全く気の毒でありまして、たとえば構造改善などで融資を受けておる、天災融資を受けておる。淡路なんかもたびたび災害がありまして、天災融資を二回も受けておるわけであります。今度払うようになって、また三回目を借りなければいかぬ。あるいは自作農創設維持資金なんかでも、果樹なんかをやっておる場合に、全部災害で吹っ飛んでしまって、借金だけが残った。これをもうやめようかと思うけれども、借金だけが残っておる、しかたがないからまた借金をしなければいかぬ、こういう状態でありますので、個人個人の農家のことを考えてみると、まことにこれは気の毒というか、ことばがないのでありまして、政府においても特にこういう点を考えていただいて、補助がいまできないのであれば、将来何かのことを考えるか、あるいは借金を上塗りするということになれば、ほんとうに長期の低利なものを考えていただけるかどうか、こういうことの心がまえについて御答弁を願いたいと思います。
  121. 仮谷忠男

    仮谷説明員 農業災害の中で公共的なものは、これは補助金もありますし、適切な措置ができておるわけでありますが、おっしゃるように、個人災害の場合には融資以外にいまのところ道がないわけでありまして、しかも重ね重ねの災害で借金の上に借金が積むというケースがだんだんあるわけでありまして、まことに気の毒にたえないわけであります。もちろん、新しい借り入れ金につきましても十分考慮しなければならないし、さらに旧債の問題にしましても、償還ができない場合には償還を延伸する、あるいは条件の緩和をするといった措置はただいまとっておるわけであります。ただ今後の問題として、そういうことがたび重なるとするなれば、金融の問題にしましても、さらに一歩前進したものを検討しなければいかぬのじゃないか、こういうことを私ども慎重に考えておるわけであります。
  122. 永田亮一

    永田委員 それから、これは建設省も同じでありますが、農業のほうの災害査定官の派遣でありますが、これも早くやってもらいたいという声が非常に強いわけであります。できるだけ早く査定官を派遣していただきたい。この点について御答弁願います。
  123. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 現在農地関係災害につきましては被害報告を取りまとめ終わりまして、個々災害査定官の応援派遣その他をやっておる最中でございます。計画概要書ができ次第、私どものほうとしましては一日も早く現地査定に入っていきたい、こういうふうに考えております。
  124. 永田亮一

    永田委員 これは農林政務次官あるいは建設大臣からお答えをいただいてもけっこうでありますが、早急に災害復旧しないと、たとえば小さな災害だといって、あぜが切れたというようなのが何千カ所というのが淡路島なんかにはあるわけでありまして、こういうのをほっておくと、来年の稲作その他ができないということになるわけであります。私は早く査定官を派遣していただいてこれを実施してもらいたいのであります。もしもぐずぐずおくれるというような場合には、予備費か何かから仮払いのような形で、一時、来年の稲作その他に差しさわりのないようにやる方法はないか。おくれなければけっこうでありますが、実際にはいつの災害のときにもおくれるわけでありまして、来年の稲作その他に差しさわりがないようにするために仮払いをやっていくというような方法はないか、この点をお考え願いたいと思います。
  125. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 災害復旧につきましては、先ほど申し上げましたが、できるだけ早く実態をつかむこと、それから一日も早く応急復旧また恒久復旧をすること、これを原則にいたしております。特にいまお話しの農業災害、またその中でも耕地災害は、来年度の作付の問題がありますから、それに必ず間に合わせる、全面復旧あるいは災害防除、来年度の作付を心配させない、この原則で災害対策本部としては協議を進めておりますので、それを実現したい、こういう考えでおることを申し上げます。
  126. 永田亮一

    永田委員 ぜひそうしていただきたいのでありまして、私の住んでおる淡路島なんかは、ため池の決壊が非常に多いわけです。全部で二万五、六千のため池がいまあるわけですが、そのうちの一割五分くらいが決壊をいたしました。これを直さなければ来年植えつけができないという状態でありますので、早急にその復旧をしていただきたいと思うわけでございます。  それから農業関係でありますが、農業共済保険あるいは漁船の保険金、これも早く払うように措置をしていただきたいのでありますが、この点いかがでしょうか。
  127. 仮谷忠男

    仮谷説明員 政府のほうでは早急に概算払いをするようにということで措置をしておりますから、個々のケースの問題でもしおくれておるものがあるとすれば、早急に措置をいたしたいと思います。
  128. 永田亮一

    永田委員 それから、いままでの貸し付け金の償還期限の延期の問題でありますが、農業近代化資金助成法あるいは沿岸漁業構造改善事業なんかによって融資を受けておる、これが被害者になった場合に、いままで貸し付けておったものの償還期限を延期するような特別の措置を講じていただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  129. 仮谷忠男

    仮谷説明員 いまの場合は、その年に償還期限のきておるものをそれを翌年に入れる、こういう形に相なっておりますが、その後の事態——償還期限を延長するところまでは、いままでのケースではございませんが、しかし、先ほどからいろいろお話がありましたように、何回かそういうことが重なってくるということになりますと、結論的にそういうふうに延期しなければならないのじゃないかということも考えられますし、なお十分にひとつ検討していきたいと思います。
  130. 永田亮一

    永田委員 それからついでにお尋ねしますが、種苗の確保、災害用の水稲の種子なんかについて、これの国庫補助措置をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 仮谷忠男

    仮谷説明員 種苗関係も、たしか前例としては補助の対象にしたと私は思っておりますが、実は十分なことは承知しておりませんので、よく調査をいたしまして善処していきたいと思います。
  132. 永田亮一

    永田委員 それでは次に、私のほうは果樹なんかも相当あるわけですが、水稲や果樹なんかに病虫害が相当出ておるのです。この災害のための病虫害でありますが、こういう病虫害の除去に対する必要な農薬剤、こういうものの購入について国庫補助をしていただけるかどうか。
  133. 仮谷忠男

    仮谷説明員 この問題は、特に今年は水稲等の病虫害の異常発生でそういうことがいろいろ議論をされてきたわけでありますが、大体平常の農薬散布を上回るいわゆる異常発生の使用量、そういうものについて補助金を考える、こういうことになっておりまして、大体九月末現在で全国の農薬消費量というものの調査をいたしております。その結果に基づいて一応結論を出さなければならない、かように思っております。
  134. 永田亮一

    永田委員 それから次に、私のほうの淡路島で果樹を相当やっております。これはミカンとかビワ、ブドウなんかでありますが、これが潮風を受けまして葉がみな落ちてしまったわけです。葉が全部落ちると、小さな木は枯れてしまいますが、大きな木もこれが回復するまでにはやはり四、五年たたなければ実をつけることができないという状態でありまして、稲であれば、一年すればまた新しくできるというわけでありますが、果樹の場合は、新しい苗木を植えても五、六年はかかる、こういう惨たんたる状況でございます。午前中にどなたかからも果樹共済制度の創設について農林省の意見を伺っておられたようでありますが、この際、果樹共済制度というものを農林省のほうで特に検討していただきたい。いかがでしょうか。
  135. 仮谷忠男

    仮谷説明員 これは果樹の栽培業者からも非常に要望のある問題でございまして、すでに何年か前から実地に検討を進めておりまして、一応本年度実際の調査が終わって、明年度はいずれかに結論を出さなければならぬところにまで相なっておるわけでありますが、しかし、午前中の御質問にもございましたように、大体本年で一応調査が終わるということになれば、これについて農林省としては基本的な方針を打ち出すべきだ、こういうように私どもは考えておりまして、御趣旨に沿って考えていきたいと思っております。
  136. 永田亮一

    永田委員 それから、私のほうの地方のことばかり申してまことに恐縮でございますが、淡路島の特徴は、さっき申しましたため池が非常にたくさんあるということ、ため池が二千五、六百決壊いたしまして、これを早く復旧していただきたい。  それからもう一つ、裏作に麦を植えないでタマネギを植えておるものが非常に多いわけであります。このタマネギを乾燥させるために、どこの農家でもタマネギ小屋というものをつくっておるのです。これは農協などで共同でやっておるものもあるし、個人がやっておるタマネギ小屋もありますが、これがことごとく台風で吹っ飛んでしまって水につかったという状態でありまして、このタマネギ小屋を復旧するということが、個々の農家にとっても、農協にとっても、相当大きな負担になると思うのであります。  ため池の復旧、タマネギ小屋の復旧ということについて何か御措置があればまことにしあわせだと思うわけであります。
  137. 仮谷忠男

    仮谷説明員 ため池の復旧の問題につきましては、実は私は四国調査に参りまして、同じケースが香川県にもあるわけです。河川被害はないが、老朽ため池ですか、これの決壊等による災害というものが非常に多かったことが認められたわけで、おそらく先生のところも同じケースじゃないかと思っておりますし、これは今後早急に考えなければならない問題だと思っておりますが、なおその点、農地局からも見えておりますから、あとでひとつ具体的に答弁を願うことにいたします。  それからタマネギの農舎と申しますか、共同施設の場合には補助金等もございますし、しかも激甚地に指定されるということになりますと、高率の補助が適用されるということになるわけでありますが、ただ個人の場合になりますと、先ほども申しましたようにやはり国庫資金の融資、そういう面がいまのところ無理であろうということでございます。
  138. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 ため池の問題につきましては、兵庫県をはじめ四国一帯のいわゆるため池かんがい地域に今回非常に決壊が多かった。今度決壊をいたしました、災害を受けましたため池につきましては、当然災害復旧事業でこれをやる。なお、老朽しておるため池につきましては、老朽ため池に対する補助の道がございますので、この方法を今後さらに強化して、老朽ため池を強化してまいりたい、こういうふうに考えております。
  139. 永田亮一

    永田委員 最後に、自治省関係の方にちょっとお尋ねします。  これはいつの災害のときでも同じでありますが、普通交付金の繰り上げ交付あるいは特別交付金の問題などでありますが、普通交付金の繰り上げ交付ということは、もう手を打っておられるのでありましょうか、その点を……。
  140. 中井猛夏

    ○中井説明員 普通交付税の十一月分の繰り上げ支給につきましては、去る一日に実施いたしました。
  141. 永田亮一

    永田委員 特別交付税というものはワクがきまっておるようなものでありますが、これの増額というようなことは考えられないものでありましょうか。
  142. 中井猛夏

    ○中井説明員 現在においては増額は考えておりません。
  143. 永田亮一

    永田委員 地方行政委員会でまた特交の問題はお尋ねしたいと思いますが……。
  144. 中井猛夏

    ○中井説明員 ちょっと補足いたします。  特別交付税全体につきましては増額ということは考えておりませんが、特別交付税の中の災害分については十分に検討いたしたいと思っております。
  145. 永田亮一

    永田委員 それから歳入欠陥債の問題でありますが、税収がどうせマイナスになる、住民税その他も納まらないでありましょうし、歳入が相当減るということは事実であります。それと同時に支出が非常にふえてしまう。それでその差し引きの問題でありますが、この歳入欠陥債をどの程度認めるか。あるいはどの町村もそういうことを知っておると思いますけれども、この歳入欠陥債を出す場合にどういう手続をしたらいいのか、町村長に指示をしてやっていただきたいと思うのでありますが、私にもひとつお聞かせを願いたいと思います。
  146. 中井猛夏

    ○中井説明員 災害に伴う税の減免等による歳入欠陥の補てん債でございますが、当該災害激甚災害であるということになりますれば、法条の示すところに従いまして、歳入欠陥補てん債というのは、一般起債と同じように、各県の地方課というものを通じまして自治省のほうへ出てまいりますので、これも迅速的確に、しかも親切に処理をしてまいっております。今次災害につきましてもそのようにいたしたいと思います。各団体におきましては、すでに再三通達を出しておりますので、十分に承知されておると思います。
  147. 楯兼次郎

    楯委員長 午前中答弁漏れがありますので、この際これを許します。田澤吉郎君。
  148. 田澤吉郎

    ○田澤委員 午前中質問申し上げましたが、ちょうど気象庁が出席しておりませんで答弁をされておりませんので、ちょっとだけ申し上げます。  それは気象観測レーダーの問題でありますが、ちょうど台風二十三号が青森県を通過する際に、最初のときは、青森県には影響ないということをテレビあるいはラジオが報道したわけでございます。そして北海道がいま一番台風が激しいのだというテレビが映っておったやさき、その夜に十一時ごろ巻き返して台風二十三号が青森県を襲うたわけでございます。何の準備もない関係からして果樹あるいは水稲等に大きな影響を与えたわけでございますが、聞くところによりますと、気象観測レーダーというのが新潟県にあって、それ以北にはない。そのために新潟県のレーダーがこの台風二十三号を把握することができなかったのだ、よって東北にもやはり気象観測レーダーがぜひなければいかぬという声が非常に大きいわけでございますので、今後東北にこの気象観測レーダーをふやす意向があるかどうかを気象庁からお伺いいたしたいのであります。
  149. 小田部康

    ○小田部説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、気象庁といたしましては、全国的にレーダー網を展開しつつあるわけでございますが、まだ若干残っております。秋田方面につきましても四十二、三年ごろにはつけていきたい、かように考えております。目下のところそういう予定でございます。
  150. 田澤吉郎

    ○田澤委員 四十二、三年には秋田県につくるという考えでありますが、その間に台風は何回も来ることになりますので、その間どういう方法で台風をキャッチするのか、そういう方法をお教え願いたいわけでございます。
  151. 小田部康

    ○小田部説明員 御承知のように大体台風は南から参りますので、先般福井につくりました。また現在新潟にもございます。なお函館にもございますので、それまでは大体それでカバーできるわけでございますが、いま先生の御質問のように、秋田県あたりがちょっと抜けておりますので、私たちとしましては、なるだけ早くそこにレーダー網の網をかぶせたい、かように考えているわけでございます。全国的に、いまも申し上げましたように、まだ若干抜けているところもございますので、逐次整備していくために、秋田方面は、目下のところ、気象庁といたしましては、大体四十二、三年度というふうに考えているわけでございます。それまでは新潟あるいは函館方面でできるだけカバーしていく、かように考えているわけでございます。
  152. 田澤吉郎

    ○田澤委員 できるだけ早く建設してもらうことを要望いたしまして、質問を終わります。
  153. 楯兼次郎

    楯委員長 吉田賢一君。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 三班に分かれて災害地帯調査並びに地元要望に対する調査、そういったものの結論が出ておりますのと、それからだんだんと各委員の質疑応答によりまして大綱その他出そろっておるようにも思いまするが、私はなお一、二の点につきまして伺ってみたいのであります。  一つは、まず食糧庁に伺いたいのでございます。  全国の酒米の産地、実は五十万俵の八割強は兵庫県に産しております。御承知と思いますけれども、これが大体酒屋の組織からそれぞれ注文的なものを受けまして計画的に生産をいたしております。この八割を産する兵庫県の酒米が、私の見たところによりますと、ほとんどまっ黒に変色をいたしております。これは生産の手数、経費等におきましても、あるいは特殊な有機質の肥料であるとか、あるいは病虫害に対する対策であるとか、あるいはまた、収穫量におきましても他の普通米と比べてずっと少ないのは、御承知とのおりでございます。こういった特別な農業に全力をあげている農家が、今度の災害によりましてほとんどまっ黒の稲しか見られないというので、ぼう然としているのが現状でございます。  そこで伺いたいのでございまするが、これに対しましては酒米として買い上げて、価格差の加算金を、政府が出すのではなくて、醸造元が出してくるということになりまするので、一般の補助対象になるような被害対策とはよほど性質、趣を異にいたしております。どうすればいいのかということで全く苦慮いたしております。何しろ全国の八割以上も産する土地の問題でございまするので、地方農業、地方財政、一つ一つの農家にとりましても、きわめて重大な問題に展開しつつあるのでございます。これをどうして補てんすべきかということについて、ひとつ基本的な食糧庁のお考え方を伺ってみたい、こう思うのでございます。
  155. 田中勉

    田中説明員 兵庫県が、御指摘のように、酒米の好適種の全国有数の県であることは事実でございます。全国の酒屋が、兵庫県の酒米がその年々によってどういうような出来高を示すかということは非常に関心のあることでございます。御指摘のありましたように、酒米の好適種の品種につきましては、全国の酒屋さんと、それからそれぞれ各県におきましての農業団体、農家の方々の間におきまして契約栽培の方式をとっておるわけでございます。この契約栽培に該当するものにつきましては、醸造用の好適種米というような格づけをいたしまして、一、二等米の検査に合格したものにつきましては、それぞれ品種によりまして、農業団体と買うほうの酒屋の団体との間において事前に協議をいたしまして、その加算額を決定いたしまして、加算額を付して買い入れる、こういうことになっておるわけでございます。もちろん、この間に食糧庁が一たん加算額をつけて酒米を買いまして、またそれを売却する場合におきましては、基準の売り渡し価格にその加算額を付して酒屋に売却する、こういう措置をとっておるのでございます。  そこで、ことしの兵庫県の酒米が、この台風被害によりまして相当品質が低下し、また減収をする、こういうような事態が出ておるわけでございますが、目下これらに対しましては、何といたしましても、需要者の団体であります酒屋さん、それから生産をいたしております農業団体の間におきましてこの対策をいろいろ話し合っておるようでございます。たとえば、いままで酒米の好適種は一、二等米ということになっていたわけでありますが、これを三等まで拡大するかどうか、また、拡大した場合におきまして、その三等米についても何がしかの加算金をつけて酒屋が買うというような話し合いも最近行なわれつつあるようでございます。食糧庁といたしましても、こういうぐあいに兵庫県のいわば特殊な酒米が相当減収が予想され、また酒屋さん側からいたしますれば、それが非常にやはり大きな違算になるわけでございまするので、そういう好適種として栽培いたしました品種の品位が低下したものにつきましては、たとえば三等あたりまで拡大をして、それに加算金をつけて両者の間に取引が行なわれるように極力私どもも指導をしてまいりたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 何しろ、これは二、三郡にまたがっております兵庫県の東播地区と申しておりますが、それだけで昨年度の買い上げ価格が二十九億三千八百余万円にのぼっております。約三十億円でございまして、四十三万俵というのでございますから、その地方の農業にとりましては非常に重大なことでございます。したがいまして、他のあらゆる農業施設に対しまして、国は相当な犠牲も払い、あるいはまた、手段方法を早急に講じようとする際でありますが、この酒米に限りましては、百姓と酒屋との間にいわば放置されておる、こういう関係になっております。国は、その加算金につきましては第三者の関係になっておりますから、いまの御説明によって適当な指導もなされるようでありますけれども、私は、やはり非常災害対策といたしまして、こういう問題にこそ、ほんとうの善政をしく意味におきまして、積極的な介入といいますか、積極的な協力をせられて、そして同じ他の百姓がいろんな意味におきまして救済を受けると同じような救済に均てんし得ることが必要ではないかと思うのであります。酒屋さんの全国的な組織と出荷側の組織との間に何らかの話が進行中とも聞いておりますけれども、やはりこの際は規格について非常措置として少し緩和する手はないであろうか。規格を緩和するということはむずかしいことかもしれませんけれども、何らかそのようにいたしましてこの買い入れのワクを広げる、規格の幅を広げるというような手はないものであるか、これが重要な一つの点だと思います。  いま一点は、さきに述べましたごとくに、政府が進んでこの間の調整の労をとられる、こういうふうにせられてはいかがでしょうか。従来の食糧庁の事務的な行政面といたしましては、困難な問題かもわかりませんけれども、これは非常事態に対処する日本の食糧政策でありますので、やはり思い切って一歩前進し、介入ということばが強ければ、何とかそこに災害が救済され得るような方法の結論を出すように積極的に協力することが必要ではないだろうか。数万人の農家家族も困っておるわけですので、兵庫県といたしましては非常に重大な問題であることもだんだん聞かされまして、私も一度見たのだけれども、それだけではいけないというので二度回るというようなことに実はなりまして、いよいよその感を深くしておるのであります。特殊な事例でございますから、全国的な視野ではちょっと実例、知識がないのでおわかりでない面もありましょうけれども、ひとつ食糧庁といたしまして相当前進的な態勢で積極的にこの問題の解決に努力する、こういうふうな決意をしてもらいたいと思うのであります。
  157. 田中勉

    田中説明員 第一点の、酒米の検査規格について、やはり災害に応じた何らかの緩和された規格を設定することはできないかという御質問でございますが、この点につきましては、過去におきましても全国的にいろいろ大災害等もあったわけでありますが、検査規格をやはりその年々の状況によりましてこれを選ぶということは、私どもいままでそういうことをやっておりませんし、またそれは適当ではないと思うのであります。ただ、従来一、二等米に限って酒米の契約裁培に該当するものである、好適種である、こういうぐあいに措置をしておったことにつきましても、従来は三等まで加算をつけて買うとかいうようなことはなかったわけでございますが、今回は非常に大主産地の兵庫県で減収が見られているわけでございますので、私どもも、これらの三等米、また、もしできるならば四等米等につきましても加算額をつけるというような形においていろいろ積極的に指導をして、きょうからでも両団体の間におきましてあっせん仲介の労をとってまいりたいというように考えている次第でございます。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その問題につきまして最後にこの点をひとつ明らかにしておきたいのですが、やはりこれは酒屋側におきまして税の関係が少しつながっていくのではないか。したがいまして、国税庁も一役買って、酒屋の立場を税の観点から協力するということになると、それもやはり解決の一助になるのではないか、こういうように思いますので、いま国税庁も見えておりませんが、災害対策本部の皆さんが見えておりまするから、適当に調整の意味におきましてさらに協力するよう国税庁にも御要請してもらいたいと思います。委員会において発言があったことだけよろしく伝言をお願いいたしたいと思います。  それから、少しまた変わった問題でございますけれども、実はあちらこちらと私も視察して回りましたときぶつかりましたのが、いなかの有線放送という点です。これはまた非常に便利なものでございまして、有線放送でじゃんじゃんと話もできまするし、安直に簡単なこのような制度がくまなく発達しておることを喜ばしく思っておりました。ところが、ここに農協所有の有線放送は補助があり、それから自治体の市町村——市にはあまりないでしょうけれども、町村などの所有しておるものにはどうも災害補償がないというような実情らしいのです。これは兵庫県の実例でありましたけれども、加東郡社町というところですが、社町で町長さんなどに聞いてみますと、災害復旧に二千万円要るというのです。いなかで二千万というと、面くらって、どうしたものかと、とほうにくれておるというようなことでございました。これにつきまして、これは農林省のどなたかがいいかと思いますが、今度の激甚災害の指定がまず農協所有のこの種の共同施設に対しまして大体どのような見通しになるのであろうか、かつまた、そうなれば補助額につきましてもどのような見通しになるのであろうか、これは適当にどなたからでも御説明を願いたいと思います。
  159. 仮谷忠男

    仮谷説明員 お説のように、農協所有のいわゆる共同施設の場合は補助金の対象になりますし、しかも激甚地の指定がされますと、九割の高率適用になる、こういうことになります。それから、農協関係では構造改善事業で補助施設をやっておりますが、これはもちろん補助の対象になります。ただ、自治体等がやっておるのは、あれは起債でやっておるので、やはり融資の関係になるのではないかと思うのです。その点、自治省の方が見えておりますから、お答え願いたいと思います。
  160. 中井猛夏

    ○中井説明員 自治体がやっております有線放送につきましては、現在は、単独起債といいますか、補助のない起債措置ということで処理をいたしております。
  161. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 補助のない起債措置ということだと、この際間に合わぬということになるのです。災害は右から左に応急対策を立て、あるいは復旧をし、あるいは補助をすることが災害対策で、平常行政事務ではないのでありまするから、いわは間に合わぬ。そこで、本質的に——というよりも、根本的に、農協所有の有線放送と自治体所有の有線放送が同じ天災によって被害を受けて、結果的に一は復旧に補助を受け、他は借金しなさい、借金するなら金を貸してあげるというのでは、これは有線放送主も、またこれに均てんしておる地方民も、全く理解に苦しむところであります。これはやはり何か統一するということが必要でないか。  これはひとつ瀬戸山対策本部長に伺っておきます。あなたの今度の本部は非常に有力な機関でございまして、これは国の各省庁あるいは地方機関のそれぞれの対策案、意見等を調整なさる権限があることが法律に明記するところでございまするので、ひとつこの有力な機関によってしかるべく統一していただくというふうに推進方を御要望申し上げ、そしてここに同じく農村地帯におけるこのような機関が間然するところなく復旧し得るように持っていってほしいと思うのでございますが、いかがでございますか、要望的、陳情的な質問のようでありますけれども、ひとつしかるべくお答え願いたいと思います。
  162. 高柳忠夫

    高柳説明員 現在の取り扱いの状況を御説明いたしまして、後ほど本部長から……。  先ほど農林政務次官からお答えのありました農協等がつくっております有線放送につきましては、御指摘のとおりでございます。市町村がつくっております有線放送につきましては、普通つくるときにもこれは補助対象になっておりませんで、単独事業債等で設置をしております。災害を受けた場合には、災害復旧債としてその復旧事業資金を貸し付ける制度がございます。その災害復旧債が認められてつくったその元利償還につきましては、交付税のほうで二八・五%から最高五七%まで元利償還の経費を交付税の事業計算の中に入れまして措置いたしております。市町村が有線放送について災害を受けると、まるまる自分だけの財源の措置ということにはなっておらないわけでございます。
  163. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、そのようなお取り扱いでも、結局はなお最高五七%の交付税、それから九〇%の補助、こういう数字の違いも出てまいります。それから事実その復旧作業の進展という観点から見ますと、一は急速に行なわれ、他は容易に行なわれないということは、これはもう当然であります。何らかここに調整いたしまして、これはきょうこのような方法ありというふうな結論はあるいはないかもしれませんが、いずれにしましても、有線放送事業というものを、統一的にこのような事態に対しては国はいろいろと対策を立てる必要があると思うのですが、これはどんなものでございますか、もう一つ上のほうで調整をすることが必要でないかと思うのですが、瀬戸山さん、いかがでございましょうね。
  164. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 お説のとおり、災害を受けた側からいいますと、成り立ちのいかんにかかわらず、実際に災害を受けておるわけですから、いまお話しのような疑問が起こると思います。ただ、先ほど事務的に説明を申し上げましたように、いわゆる農協が経営しておりますものは、農村の各種の事情から、農林省がわずかでありますけれども補助をしてこの施設をしておる、こういう成り立ちがある。一方は、地方自治体、市町村が独自の判断で起債その他の資金をもってやっておる、こういう成り立ちの違いがあるところに、やや結果的におかしい取り扱いがなされておる、こういう事情であります。ただ、御承知のとおりに、災害というものは一つでありますから、ややそこに釈然としないところがあるわけでありますので、この点は私のほうで関係各省庁よく検討してみたい、こういうように考えておりますから、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  165. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 御検討しかるべく早急に結論を出していただきまして、そしてよりよい改善の方向へ早く決着を見るように御希望申し上げておきたいと思います。  それから、実はさっき永田委員からため池の問題が出ておりました。これは委員長もだんだん陳情をお受けなされて御承知だと思いますが、実は兵庫県には二万ため池がある。兵庫県に二万ため池があるとお聞きになれば驚きなさるかもしれませんが、どういうものか、ずいぶん古い時代からため池がありまして、どこへ行きましても、ため池が問題になっております。海岸地帯の工業整備地域におきましてもなお古いため池が今日問題でございますので、ため池の老朽したものに対する復旧工事、これに対する各般の対策につきましては、これはいろいろと地方調査した際に希望やら実情に対する報告が出ておりまするから、文書をもってごらん願ったらいいので、いまくどくど私は繰り返しません。結局兵庫県に二万ため池がありますること、いまなおため池は非常に重要な農村における農業に欠くべからざるものでありますこと、この点に対する御認識を十分にいただきまして、単純な老朽池というような、単純なそれでないという社会性、農業における価値、こういうものの御判断の上善処していただくことを御希望申し上げたいと思います。ひとつ御要望を申し上げておきます。  それから、これもだんだん質疑も出たり、あるいは調査の結果結論が出されておるはずでありまするが、ひとつ大臣にこの点も御要望したいと思うのですけれども、こういう機会にやはり中小河川というものに対してもう一ぺん考え直す余地がちょっとあるような感じが実はいたします。といいまするのは、この間も兵庫県における加古川の町を豪雨のまっ最中に見たのですけれども、加古川から狭い曇川というものを通りまして、そうして別府川というものにおりていくのですが、それが少しはんらんしますると、農地からその辺の住宅地までずっとはんらんしてしまうのです。だから、ああいう小さいものにつきまして、平常のそれじゃなしに、別の角度から抜本的に考えるということを、もう一ぺん手直し的に考えるということが必要であろう。あちらこちら聞いてみますと、あちらの小さいのもこちらの小さいのも、中小河川には類似もしくは共通の問題がある。これはやはり中小河川に対する、特に市や町なんかの管理するものにおいてはそうですか、管理主体が財政力が乏しいということ、それから、そういったことについての合理的な、積極的な対策を平素から立てるということができておらぬようなこと、あれこれと自然な状態できておる面が多いのであります。これもわかり切ったことでありまするから、いろいろ質問せぬでよろしいのでありますけれども、中小河川の、県管理でなくても、小さいものにつきましても問題がありまするから、この機会に、やはり要望があるように、単純な復旧じゃなしに、もっと積極的に改良の案を出せというぐらいな姿勢が私はほしいと思いますので、これは一つ一つについてしなければいけませんが、事務全体におきましても、建設省の問題になろうと思いまするが、よろしくその辺の考究を積極的にしていただかんことを御要望申し上げておきたいのであります。  それからもう一点は、これもだんだん御質疑が出ておりましたので繰り返しませんが、私は、やはりこういう機会に、砂防工事の限度とかあるいは限界、条件とかいう問題につきましても、これもついいわゆる県単事業になりますものがよくありますので、県単事業の予算が削減され、当初予算はうまく実行されないというふうに災害県はみなかこっておる際でありますから、やはりこういう砂防工事の小さいものにつきましても、善政の一端としてなお考究する余地があるのではないか、こういうふうに思われますので、この点につきましてもひとつ御要望として申し上げておきたいと思います。これは格別にお答えをいただかぬでもいいと思います。  それから最後に、これもあまり実例がないのでありますが、開拓農業の問題であります。開拓農業につきまして、これも私自身が兵庫県における二、三の開拓農地を見て回ったのでございますけれども、大体開拓農業協同組合でございますので、共同施設もあり、あるいはまた、農家の建物ということになりましょうけれども、営々と苦心いたし非常に努力をいたしましたその開拓農家の家屋の全壊、半壊というものをだいぶ見るのでありますが、激甚災害の指定を受ける上におきましてちょっと条件に達しないような面がどうもあるらしく聞くのであります。これは開拓農業の農業施設の被害、全壊、半壊につきまして、共同施設でない個人農業の場合には、激甚災害の指定対象にはならぬのでありますか、そこらがはっきりしないのですが、どなたか御答弁いただけるならば、ひとつお教えいただく意味で答弁をしてもらいたいと思いますが、どうでございましょうか。その点は政務次官どうですか。   〔委員長退席、山口(丈)委員長代理着席〕
  166. 仮谷忠男

    仮谷説明員 開拓施設の個人施設でありましても、いろいろな施設に災害を受けた場合には、いわゆる入植施設災害復旧費というのがあるわけでありまして、それによって補助ができることに相なっております。ただ、激甚地の指定という問題になってきますと、これは災害状況によって、いわゆる調査の結果に基づいて結論が出るわけでありまして、そのことはいま申し上げることはできないと思うのですが、これは調査に基づいて結論が出てまいるのですが、普通の場合でも、さきに言った復旧費として補助金が出るということになっております。これは御了承願いたいと思います。
  167. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この点ひとつ政務次官に御尽力願ったらと思うのですが、私あまり具体的な数字を持っておりませんので、ずっと見て回っただけですが、あちらこちら合わせまして若干足りないのだというようなことを言っておりましたが、被害状況数字が若干足りないのを何とか緩和してもらいたい、こういう希望を持っておるようであります。開拓農業という特殊な農家の立場にかんがみまして、この点は、これも今度の非常災害対策として、激甚災害の指定等の問題をめぐりまして特別に考えてやるべきではないか、こういうふうに思いますので、この点につきましても特別の配慮をせられんことを強く御要望申し上げておきたいと思います。何かありましたら伺いまして、これで大体終わります。
  168. 仮谷忠男

    仮谷説明員 ただいまの件は、農業その他の災害も含めまして数字をいま検討中でございます。
  169. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、他の一般の多くの方の質疑によって私の聞こうとするところも聞いておりますし、また、調査の結果の結論の報告等もありますので、これで質疑を終わることにいたします。
  170. 山口丈太郎

    山口(丈)委員長代理 藤本孝雄君。
  171. 藤本孝雄

    ○藤本委員 私の質問の前に、これから質問いたします災害の実情を御認識いただくために、現地の写真を大臣に見ていただきたいと存じます。   〔瀬戸山国務大臣に写真を示す〕 大臣に見ていただいておりますうちに、最初にまず、干ばつ被害対策についてお尋ねいたしたいと思います。  本年四月以降六月に至る植えつけ期及び七−八月の生育期にわたり、関東、東海、近畿、中、四国各地において異常な干天が続き、深刻な用水不足を来たしました。その結果、果樹等農作物はきわめて多大な被害をこうむりました。また、今次の台風被害とあわせて農家の今後の農業経営に与えた打撃はきわめて甚大であります。干ばつに対してその応急措置として支出いたしました金額は、全国で約十六億程度あると聞いておりますが、これに対しましてどのような措置を講ぜられるか、まずお伺いいたしたいと思います。具体的には、昨年並みの補助が可能かという点と、干ばつ対策のために支出した動力費、燃料費、電力費等も補助対象とできるかどうかの二点であります。
  172. 仮谷忠男

    仮谷説明員 ただいまの干ばつに対する補助の問題でありますが、過去にもそういう例もございますし、合わせますと十六億七千万くらいになるそうでございます。しかもこれは実質的に県や町村が支出をしている金額でありまして、そういう点からいっても、従来の例にならってぜひ補助対象としたいというのが私どもの考え方で、目下大蔵省と折衝を続けております。
  173. 藤本孝雄

    ○藤本委員 干ばつ対策のために支出いたしました動力費、電力費、また燃料費等を補助対象とできるかどうかの点について、重ねてお尋ねいたします。
  174. 仮谷忠男

    仮谷説明員 過去の例をちょっと私覚えていませんが、どうもそういうのは補助対象としては考えていないようでございます。
  175. 藤本孝雄

    ○藤本委員 それでは、このたびの災害は全国的にきわめて大きな被害をもたらしました。私はこの災害に対する政府の施策について質問しようとするものでありますが、この論議を具体的なものとする意味からも、特に大きな災害を受けました香川県小豆郡土庄町肥土山地区における——この肥土山という文字は、肥えた土の山と書きますが、現在は非常にひどい山だという意味の肥土山だといわれておりますが、この実情に即して種々質問したいと思うのであります。  この災害が非常に大きいものであることは、政府調査団がすでに現地視察をされて、その結果、福井の西谷村、岐阜県の徳山村、また香川県の肥土山地区を特別な災害であるとして取り扱うこととなったと承っておるのでありますが、そのことからもすでに明らかなところであります。台風二十三号及び台風二十四号に伴う豪雨による被害は、香川県にとりましてはまれに見る大災害でありました。とりわけ、小豆島の肥土山地区におきましては、戦後最大といわれる地すべりが発生いたしまして、農地が変じて、高さ四十メートルに余る断層をはじめとして、幾段にもなって崩壊いたしまして、幾重にも続いて赤い地はだを露出する惨状を呈しているのであります。私は、まずその状況を十分に認識していただかなければならないと思うのであります。そして次に、このような災害に対しまして、地元では全力を振りしぼって立ち上がろうとしておりますが、いまなお崩壊の再発生の不安におびえ、生活のよって立つ基盤すらも失われた住民に対しまして、不安を取り除き、光明を与え、民生の安定をはかるために、一体政府はどのような対策を講じたのか、また、どのようなあたたかい施策を実施しようとしているのかを承りたいと思うのであります。  まず、災害の実情について簡単に御説明申し上げます。  第一に、全国的な見方に立って見ましてもきわめて甚大と思われますこの災害の実情について申し上げたいのであります。問題の地すべり地区は、すでに昭和三十五年から地すべり地域指定されまして、防止対策工事も実施されておったのであります。しかるに、六月から七月にかけての長雨、台風二十三号に伴う風雨、そのあとの台風二十四号に伴う降雨と、前後九百ミリ余りというような、年間平均降雨量がこの地区は千二百ミリぐらいのところでございますので、異常な大雨の結果、全面的に崩壊するに至ったのであります。これは特に台風二十三号以後の四日間だけで六百ミリという、年間降雨量の約半分に当たります降雨があったことによるものであると考えられているのであります。すなわち、九月十日の台風二十三号による降雨によりまして多量の水が地下に浸透して、亀裂が十八、九カ所、延長約二千五百メートルに及んだのでありますが、九月十三日から十七日に及ぶ連続降雨によりまして、ミカン園、水田、また舗装いたしました県道も農地も農業用施設も一緒になって、あとをとどめない状態にくずれ落ちております。上砂は、写真でごらんのとおり、下部の民家に達し、これを押しつぶし、泥土は地区の小学校西側にまで到達し、また、地域住民に対しましては避難命令が出されております。当然のことながら、災害救助法が適用されているのであります。九月十九日以降は大きな変化は見られないものの、厳重警戒を続けて今日に至っているというのが実情でございます。その被害額は、農地及び農業用施設におきましては四億円をこえ、県道につきましても約一億円となっているほか、水道、教育施設、住宅等につきましても大きな被害を生じているのであります。関係地区がきわめて限られた小さな地域であることを考えますときに、これがいかに大きな災害であり、また、異常な降雨によるところの、地元住民の力によってはいかんともなしがたい天災であるといわざるを得ないのであります。  このような災害に対しまして、政府はどのような対策を講じつつあるのか、また、どのような施策を今後において行なおうとしているのか、どのような措置をとる用意があるのかを承りたいのであります。  まず第一には、災害復旧についてお尋ねしたいのであります。恒久的対策を立てるために技術調査団の派遣が必要であろうと思いますが、この点につきましては、田村議員の質問がありましたので省略いたしますが、一日も早く派遣を強く要望いたしておきます。  次に、農地の崩壊の状況につきましては、先ほど述べましたような状況でありますことから、これが復旧につきましては、こそくな方法ではならないと思うのであります。崩壊して断層となり、土砂がはるかに流れている地域、いまにもくずれ落ちそうになっている地割れした場所、その間にはさまれてわずかに残っている耕地、これらがこもごもに入りまじっている状況でありますので、崩壊したところのみを復旧するというような方法では全く意味をなさないのであります。崩壊した個所にはさまれてまさに崩壊するのではないかというような危険を感じさせる場所も、全体としてこれを災害復旧事業として全面的に工事を行ない、農地として再生させることこそが、根本的に必要だと思うのであります。また、従来、災害復旧は原形復旧を中心として進められているのでありますが、この災害につきましては、そもそも原形復旧という考え方はとれないのが実態でございます。したがって、改良復旧をも含めて保全的な観点からも十分な復旧がなされるよう特に配慮する必要があるところの特殊なケースであると思います。これらの点につきまして当局の見解はどうか、承りたいのでございます。
  176. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 ただいまお話小豆島地すべり状況は、さきに政府災害対策本部から調査団を派遣いたしました際に、その実情はつぶさに承知いたしておるわけであります。ただ、お話のように、地すべり状況がきわめて深刻でありますから、この地帯は、いまお話がありましたが、いわゆる地すべり地帯ということで、その防止策についてせっかく着手を始めた、こういう段階で今度の豪雨によってこの大地すべりが起こった、こういうことでありますから、さらにこれを根本的に技術的な検討をしなければならない、こういうことで、災害対策本部からは、農林省建設省、それからこの方面の学者を入れて三人の技術調査団を今週後半に派遣したい、こういう準備を進めております。そこで、その技術上の検討に従って、一体これが防止できるものであるかどうか、できるとすれば、どういう方法をもってやるべきであるか、こういう基本的なことを検討しなければ、これは簡単な対策ではできないと思います。それから、もちろん、これを地すべり対策として復旧する場合には、根本的な復旧をなすこと、これは当然でありまして、個々の道路であるとかあるいは個々の耕地を復旧するということは、これはナンセンスでありますから、治療をいたしますときには根本的な治療をいたす。御参考までに申し上げておきますか、数年前に——地すべりは日本全国各地にありますけれども、これにやや似たところが、佐賀県の伊万里市地区に大地すべりが起こりました。山林、市街、農地、一挙に崩壊したことがございます。これもやはり根本的な治療をして、現在とまっておるという実例もありますが、そういうふうに技術的に可能であればそれをやる。技術上この自然の動きというものを防ぐことはできないという結論が出ますれば、これはまた移転その他別個に根本的な対策を講じなければならない。そういうことを検討するために技術調査団を派遣することにいたしておりますから、その結論を待って対策をきめたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  177. 藤本孝雄

    ○藤本委員 第二にお尋ねいたしたいと思いますことは、農家として再び意欲を持ちまして耕作にいそしむことができるようにするための対策についてであります。そのためには数々の制度融資の道もあることも承知いたしております。これらにつきましては、利率の引き下げ——たとえば小団地土地改良事業に対する融資は三分五厘でございます。この地区に土地改良資金が適用された場合に、その利率は五分でございます。これはまことに不合理のような気がするのでございますが、そういった意味の利率の引き下げ。また、融資限度の引き上げ等につきましては、たとえて申しますと、農舎、畜舎の災害復旧の限度額は二十万でございます。この引き上げ等につきましては、被災農家の要望にこたえ得るような体制をとるようにつとめるべきであろうと思うのでございますが、制度資金については特に二つの点についてお伺いいたしたいのであります。  その第一は、天災融資法の発動についてであります。これを早期に発動することが重要であると思われるのに、従来の例を見ますと、災害により農作物が壊滅してから約二カ月かかってようやく政令が出るということでは、災害に対する措置としては不十分であると思うのであります。技術的な問題もあると思いますが、これを乗り越えて、今回はこれを早く出す用意があるかどうか、承りたいのであります。たとえば、いままででありますと、現状では県が単独でつないでおる場合が多いのであります。したがって、早く出なければありがたみが非常に薄いという意味から、早く出すために、ある一定の限度をきめてそれまでば知事にまかすというふうな方法がとれないのかどうか、この点についても承りたいと思います。
  178. 仮谷忠男

    仮谷説明員 小豆島地すべり地帯状況は、私も四国班の団長としてつぶさに視察してまいりました。藤本さんがおっしゃるとおり、まことに見るもむざんな災害を受けておることも十分に承知をいたしております。基本的な問題はただいま本部長からお話を申し上げたとおりでありますが、そういうふうに応急対策、根本対策等がかりに立つとして、では次に、農家の今後の生活根拠をどこに求めていくかという、これは非常に重大な問題だと思います。私は、まずその調査団の結果に基づいてあそこに根本的な技術的な対策が立つか立たないかということによって、おのずから今後の農民の行き方というものも変わってくるのじゃないかと思います。そういう考え方によってものごとを進めていくべきであって、したがって、現在制度融資の金もたくさん借りておると思うのですが、そういうふうに聞いておりますけれども、それはもう払えといったって払う根拠は全くないのですから、新しい生活根拠を見つけてやってそして払える方法を考えてやるまで支払いをストップしなければならぬということは、これは常識の問題になっておるのじゃないかと思うのです。したがって、そういう問題が今後真剣に検討されなければならぬと思いますし、そういうふうな将来の方向については、調査の結果を待って、地元の人々の意見も十分尊重し、県の意見も十分聞いて、お互いにどういう方向に進めるべきかという方向をきめるべきじゃないかというふうに考えております。ただ、その天災融資の問題等もいろいろございましたが、もちろんこういう問題については早急に実施いたします。天災融資も、あるいは激甚指定も、あれだけの災害を受ければ当然のことであって、おそらく間違いはないと思います。その方面の手続等は敏速に行なうことは当然であります。問題は、根本的な問題としてそれを検討しなければならぬのじゃないかというふうに私ども非常に真剣に考えておるわけであります。なお、いまとりあえずとっておる措置といたしましては、あそこに二十五戸ぐらいですか、避難をしておりますが、これに対する、安全な場所に応急の住宅を建てる、こういうことについては、少なくとも今月中には着工する予定のようであります。それから県道のつけかえでございますが、これは根本的につけかえしなければならぬようでありますから、これもいま採択が決定したというふうに建設省は申されております。なお、学校は、災害は受けておりませんけれども、非常に危険にさらされておる。だから、学校の移転等の問題とか、いろいろあると思いますが、こういった問題も調査して早急に検討したい、こういうふうにいわれておるようであります。
  179. 藤本孝雄

    ○藤本委員 これから質問を申し上げようと思うことにつきまして御答弁いただきましたので、ありがたいわけであります。  営農政策の中で自作農維持資金について御要望申し上げたいと思いますが、災害に関しまして同資金の融資を十分に受けられるようにしてほしいということでございます。従来の例でありますと、同資金のワクが必ずしも十分には確保されていると言えないのであります。このたびの災害につきましては、当局はこの点について十分に配慮をしているかどうか、特に承りたいのであります。
  180. 仮谷忠男

    仮谷説明員 もちろん、実態に応じまして十分に配慮しなければならぬと思っております。
  181. 藤本孝雄

    ○藤本委員 それから次に、農家が希望を持って自分の生活を再建するために最も根本的な問題は、従来借り入れておりました各種の資金について、その未償還金をどうするかの問題であろうと考えるのであります。天災は一朝にして、営々辛苦の労働の結晶と、借り入れ金により設置しました施設や植培した果樹、本年度の収穫をまとめてどろの底に押しつぶしてしまったのであります。投資をした生産手段はすでに失われてしまったのでございますから、このような現状を見ますと、各種制度資金を必要とする借り入れ金につきましては、政府の施策により減免ないしは条件緩和のための特別措置が必要であると思うのであります。なるほど、各種制度にかかる借り入れ金も個人の借金に相違ございませんが、農業の生産性と天災に強く左右されるその特殊性を考えますときに、今後さらに融資を受けて立ち上がらなければならない被災農民の現実の姿を思い浮かべるときに、政府のあたたかい施策の行なわれるべきことを確信いたします。現状のまま放置されますならば、再出発のための新たな融資すら支障を来たすのではないかと憂慮するものであります。この点につきまして政府といたしましてどのようにお考えか、また、どのような措置を講じられようとしているかを承りたいのであります。
  182. 仮谷忠男

    仮谷説明員 農民の今後の営農方針と申しますか、そういうような方向がきまれば、そのための資金の貸し付け等につきましては、もちろん積極的に早急に考えなければならないと思うわけであります。ただ、私も実は現場を見たわけですが、何十年来つちかった自分のミカン山というものは一切つぶれてしまった、生産基盤が全くなくなったわけでございますから、そのために出した金をいま払えといっても、払える道理がない。もちろん、減免とかいろいろありましょうけれども、償還を延期して、払えるような今後の生産基盤というものをつくり上げていくために、私としては、もっと前向きの努力をしてやるべきじゃないか、こういう考え方を持っております。
  183. 藤本孝雄

    ○藤本委員 この問題は、現実の問題といたしましては、非常に返済の能力が低いということ、それから、その返済の問題はさておきましても、その上、災害復旧が行なわれましてその土地に再投資をいたしますときに、実際問題としてその借り入れ金の償還が非常に困難になってくると考えられますので、重ねて強く要望をいたしておきます。  第三にお伺いをいたしたい点は、災害復旧が完了いたしまして農業に従事することができるようになって、もとの生活を取り戻すまでの間における対策でございます。肥土山地区の災害につきましては、ある程度地盤が安定しないと復旧工事にかかれないのではないかと心配されているのでございますが、この点につきましては技術的な調査によって明らかにすべきであるということで前に御答弁をいただきましたが、もしそうであるなれば、当面の生活に対する対策が問題であろうと思われるのであります。  まず最初に、今後に起こるかもわからない崩壊におびえて、いまなお寺院に避難しております住民に対する住宅につきましては、先ほど仮谷政務次官から御答弁がございました。また、御視察に行っていただきましたときにごらんになったと思いますが、畳一枚の上に二人も寝ているというような現状でございますので、早急に解決してくださるように重ねてお願いを申し上げたいと思います。  次に、最も重要でございますのは、可能な限り早く被災農民の所得を確保する方策を講ずることであろうと思うのでございます。農地は現在あとかたもなくなっております。したがいまして、それは他の道に求めざるを得ないのでございますが、たとえば、周辺地域における公共事業ないしは災害復旧事業などに対しまして被災地域住民を雇用することによって所得を確保することを地元要望する場合、いわゆる食いつなぎの問題でございますが、当局はこれに対応してこれらの事業を早期に着工できるように配慮する用意があるかどうか、またそのような体制にあるかどうかをお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  184. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 農業災害復旧しても、直ちに生産物を出すという状況にはなりません。したがって、いまお話のように、今度の災害でいままでの作物が全滅あるいはばく大な損害を受けた、こういうことで今後の生活にも支障を来たすという方々が相当にあるように見受けられます。各般の施策を講じますが、そのほかに、いまお話のように、できるだけ働いてもらって賃金収入等が得られるようにすることも、一つの災害対策と考えておりますので、公共事業あるいは災害復旧事業等をできるだけすみやかにそういう現地に実施することにいたしまして、これは工事請負業者に出す場合が多いのでありますけれども、そういう面も指導いたしまして、できるだけ現地のそういう方々がそういう収入の道が得られるように指導いたしたい、全力をあげてその方向で進みたいと思っております。
  185. 山口丈太郎

    山口(丈)委員長代理 西村関一君。
  186. 西村関一

    西村(関)委員 今回の災害にあたりまして、政府、衆参両院から、それぞれ被災地に調査団が派遣せられまして、私もその一員として近畿の一部を回ったのでございます。その実情につきましては、すでにそれぞれの団長からも報告があり、また、午前中からの各委員の質疑の中におきましてもいろいろ明らかになってまいったのでございます。また、それぞれの各委員の質疑の中に、血のにじみ出るような被災者の声がこの委員会に伝えられたのでございます。政府は、これらの各被災地域住民の声に耳を傾け、その要求を吸い上げて、適時適切な措置をすみやかにとられることはもちろんであると思うのでございますが、二、三の点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  第一は、午前中山口委員質問の中にもございましたように、早場米の売り渡しに伴う時期別格差奨励金の期間延長の問題でございます。これはいろいろ政府の都合もありまして、第一期におきましては、しかも部分的に三日間の延長を認めたということで、第二期、第三期につきましては実情に沿うて善処をしたい、こういう御答弁でございましたが、特に今回の災害のために復旧の事業に人手が要るにかかわらず、無理をして何とか第一期に間に合わせたい、これはもう少しでもよけいお金をもらいたいという農民の心理のしからしむるところでございますが、かなり無理をして出しておる。そういうところには配慮されないということでは——これは需給の問題だけを中心としてこういう措置がとられたということのようでございますけれども、しかし災害の問題を無視することはできない。そのためにどんなに労力が不足しているか、どんなに困窮しているかということは、いまさら申すまでもないところでございます。伝えられるところによりますと、この三日間延長の措置につきましては、当初農林省の原案では兵庫県も三重県も滋賀県も入っておった、それが大蔵段階において削られたということを聞くのでございます。そのことはともかくといたしまして、私がお伺いいたしたいと思いますことは、さきにも触れましたように、政府からも調査に行っている、そしてまた国会からもそれぞれ委員が派遣されてつぶさに現状の調査をやっている、その段階においてこういう結論を出された。もちろん、九月三十日という時期的な制限がございましたためとはいえ、これはやはり一応その調査の結果を待って全体的な結論をお出しになるのがしかるべきではないかと思うのでございます。こういう点に対して、きょう午前の山口委員質問に対して農林当局が答えられました、需給の関係に見合って善処したということでございますが、私はそういうことでなしに——それももちろん必要でございます。それがこの奨励金の趣旨ではございますけれども、しかし同時に、この災害の問題、災害に難渋をしているところの、そのために実際的に収入減になるところの、収入減どころか、立ち上がりさえもできないというような状態にある農民に対して、私は十分な配慮のある政府措置だとは考えられないと思うのでございます。滋賀県の例をとってみましても、冠水いたしました面積が非常な数にのぼっておるのでございまして、稲枝町でありますとか、びわ村でありますとかいうような村は、全村水田の稲が冠水をしておる。それでも、それを刈らなければ水が引いたら芽が出てしまってどうにもならないというので、水の中に浸って稲を刈っておる、こういう状態でございまして、こういう問題に対しまして政府がもう少し血も涙もあるところの措置を講じてやっていただきたい。滋賀県の稲の冠水面積は四万八千何がしヘクタールという非常に大きな面積に及んでおりまして、もう半作はおろか、全滅に近い状態が出ておるのでございます。こういう点につきまして、きょうの午前の質問と関連いたしまして、もう少しそういう配慮のもとに善処する、こういうことにぜひともしていただきたいことを願うものでございまして、そういう点に対してまず農林当局の御見解を承りたいと思います。
  187. 仮谷忠男

    仮谷説明員 午前中の山口委員さんからの御質問もありまして、第一期のものが滋賀兵庫等が除かれたということについていろいろと御意見を承わりまして、まことにごもっともだと思うのでございますが、ただ過去のいろいろな例によりますと、やはり第一期は端境期の需給操作という面で特に主産地を指定するというふうになっておったようであります。過去のいきさつを存じませんが……。これにも議論の余地はありますけれども、そういうふうな形で第一期がきめられておるのでありまして、まことに残念に思っております。ただ、第二期、第三期があるわけでありまして、そういった面は、これは従来の例から申しましても、やはり災害対策という面で廷期をした例は、過去にも二期、三期であるようでございまして、一期だけではなかったようであります。そういう面から二期、三期の問題は検討しなければならぬのじゃないか、かように思っておるわけであります。
  188. 西村関一

    西村(関)委員 いまの政務次官の御答弁に対して、そのことが十分な災害対策ということを配慮して、二期、三期の期間延長については十分に御措置を願いたいということを重ねて要望申し上げておきます。  次に、災害対策につきましては、被災地域並びに被災者個人、これは個人としても非常に甚大な被害を受けておるのでございますが、そういう地域個人生活安定、経済安定、立ち上がりということが重点的に考えられることが必要でございまして、午前中来るる各委員から具体的な問題に対して農林、建設当局に強い意見が出ておったのでございます。私は重ねてそれを繰り返そうとは思いません。  そこで、具体的な問題といたしまして建設大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、滋賀県の琵琶湖の水の問題でございます。この水の水位の調節につきましては、御承知の南郷の洗いぜきによってやっているのでございますが、今回の災害にあたってはたして適切な措置がとられたかどうか。もちろん、これは上流、下流の問題がございますから、非常な苦心の払われているところだということは十分に理解するものでございますけれども、天ヶ瀬ダムがはたして満水になったか、あるいは淀川が危険水位に達したかというようなこと等も若干問題が残っているようでございまして、滋賀県の県議会においてもこのことが問題として取り上げられたのでございます。こういう点につきまして、実は洗いぜきが開かれないということのために、さきに申しましたびわ村とか稲枝町とかいうような地域の水田が十日間にわたって冠水をし湛水をして、非常に苦しんだ。こういう点に対しまして、私は、建設、農林両省の立場から特に十分な意見の統一をしていただきたい。もちろん、建設大臣がその洗いぜきの操作の責任を持っておられるのでございますが、それを受けて近畿地建が実際にこれに当たってそういうことになっていることは承知しておりますけれども、琵琶湖沿岸の農民諸君の立場をも十分に配慮してもらいたい。こういうことにつきましては、各関係者の間で専門家の幹事会のようなものが開かれておると聞きますけれども、私の承知している範囲においては、過去においてはたった一回開かれただけで、十分な関係当局の意思の統一、十分な専門家同士の検討がなされていない。そういうことのためにいろいろ問題が派生しておると思うのでございます。私は、この前の調査の中におきましても、自民党の田村委員の御意見もございまして、専門家同士の立場から、建設、農林その他の関係専門家がもっとみっちり時間をかけてこの問題に対しての案を練るべきではないか。全くそのとおりだと思うのでございます。過去においてたった一回しか関係者の会議が開かれていないということでは、これは十分な施策がなされておるとは思わぬのでございます。  そしてもう一つは、やはり琵琶湖の水の利水の問題、これは治水と利水と両方関係がございますが、建設省におきましては、いわゆる地建案、湖中に水没する湖中ダム案というようなものが進められておる。これはまだ正式に決定の段階に立ち至っておるとは私聞きませんけれども、しかし、瀬戸山建設大臣は、過般大阪において、この案を推し進めていきたいというような御発言があった。これは間違いかもしれませんが、新聞ではそう書いておる。そういう点に対しても、関係のある、特に農林省農政局、近畿農政局との間の十分な意思統一ができておるかどうか。農林省農林省で、年間一億に近い予算をもって琵琶湖の水の研究をやっている。建設省はそれほどの予算はないけれども、やはり研究をやっている。国家的な見地から琵琶湖の水をどう利用するか、また、災害におけるところの治水の問題をどう解決するかというようなことが検討されておるのでございますが、われわれの伝え聞いておるところによりますと、農林省にはいわゆるドーナッツ案というものがある。建設省にはいわゆる地建案、いまの琵琶湖大橋の北側に湖中に水没するところのダムをつくって、堰堤をつくって、そこで操作をするということがいわれておる。こういうような点に対しまして、もっと統一した計画が打ち出される必要があると思うのでございますが、そういう点につきまして、琵琶湖の水の問題は、利水、治水の面から非常に大きな国家的な問題をはらんでおると思います。この点に対する瀬戸山建設大臣の御見解を承りたい。
  189. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 お話しのとおりに、琵琶湖が、治水、利水の面からいってわが国最大の公有面における問題であると思っております。そういう関係で、長いこと琵琶湖の水の利用の問題について関係地元関係各省いろいろ検討しておりますが、西村さん御承知のとおり、なかなか議論が沸騰して、適当な案が出てこない、これがあらましの現在の事情でございます。  今度の水害の問題については、水位の点あるいは天ケ瀬ダムの操作の点等について事務当局から御説明をさせますけれども、今度の問題でも、下流地域においては放水が多かったという議論をされておる。上流においては、あの付近の中心に雨が降りましたから非常に水位が上がったということで、上流には上流の大きな不満と申しますか、問題がある、こういう事情であります。そこで私は、そういう技術面はしろうとでありますけれども、琵琶湖の問題というのは、下流、上流一体となって開発を考えるべきであると思う。上流の場合に、かりに湖面を下げる場合には、これの沿岸がどうなるか、沿岸の農業水利あるいは飲み水、各般の複雑な問題がありますから、かりに何十万トンかの琵琶湖の水を利用するということになりますと、琵琶湖周辺がそれによって損害を受けないように、むしろそれによって将来安定した琵琶湖周辺の経済開発ができるように、こういう大目標をもって案を検討すべきだ、こういうことを事務当局、専門家には指示いたしております。その案で地元といろいろ検討を進めております。詳細なことは私現在は承知いたしておりませんが、地元も相当にそういう考え方に、特に滋賀県のほうでなびいておられる。従来、淀川水系を使います主として大阪あるいは兵庫県、神戸、こういう地帯は、主として下流だけの問題を考えておられるようでございましたけれども、最近工業用水等の非常な不自由、特にまた水の汚濁、こういうことから、どうしても上下流一体となって琵琶湖及び淀川水系を開発しなければならない、こういう機運が相当進んでおるようでありますから、この際あの経済圏を一体としてこれを考えなければならない、こういう話を関西に参りましたときにもいたしておるわけでありまして、このまま放置いたしておきますと、今度の水害等についても、下流も困った、上流も困ったということでは、全く八方ふさがりでありますから、こういうことのないように、すみやかに上下流一体となった開発計画を立てて、下流に減水いたしましても、上流地帯にはそれだけの手当てをして——相当金かかかりましてもこれが手当てをして将来の計画を立てるべきだ、こういう考え方で、できるだけすみやかにこの成案を得たい、そしてできるだけすみやかにその案を実行に移したい、こういう考え方でおるわけでございます。  今度の水害、天ケ瀬ダムの操作等につきましては、事務当局から説明を申し上げたいと思います。
  190. 西村関一

    西村(関)委員 関係専門家の御説明を承ります前に、時間もあまりありませんから、私は簡潔にお伺いをいたしたい。  いま大臣の御答弁、大局的には、おっしゃるとおりだと私は思うのですが、具体的に、地元の意見の調整もさることながら、建設、農林両省の見解の調整をなさることが必要ではないか。さっき一例として、農林省農林省で、琵琶湖の水をどうするかという調査をやっておられ、そして琵琶湖のまん中にダムをつくるいわゆるドーナッツ案というものをつくろうということを考えておられる。そういうことが、同じ政府の中においてまだ十分に調節されていない、近畿農政局と地建との間にまだ十分な意思統一がなされていない、過去においてまだ一回しか幹事会が開かれていないというようなことでは、私は、いま大臣のおっしゃったような実のある案を、みんなが納得するような案を打ち出すことができないと思う。私は、洗いぜきの操作の問題についてはきょうは専門家の御意見を伺う時間もございませんけれども、そういう大局的な見地から実際に農林省建設省とが十分な意思統一をやってもらう、そういうことのために必要な専門家の会議を開くなり、十分にディスカッションをして、国家的な見地から琵琶湖の水をどうするか——大臣はいま滋賀県もだいぶ建設省の意見になびいてきたと言われますが、私の見るところでは必ずしもそうじゃございません。なかなかいろいろの問題があるわけでございます。まず、上流、下流の意見の調整をやるということの前に、建設、農林両省の調整をやることが必要だ、こういうことを思うのであります。その点に対しまして仮谷政務次官の御見解を承りたい。
  191. 仮谷忠男

    仮谷説明員 私のほうも実は専門の技術官が見えておりませんが、出先のほうでは十分連絡をとり合って御趣旨に沿わなければならぬ、そういうふうに申しておりますから、そういう趣旨で私どもも参りたいと思います。
  192. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私に対する報告と申しますか、建設、農林連絡しながら計画を検討しておると言っておりますが、もしいまお話しのようなことがあっては適当でございませんので、そういう点も、不都合であれば今後よく調整をとって、すみやかに地元と協議いたしたい、こういうことに考えております。
  193. 西村関一

    西村(関)委員 最後に、私は厚生当局にお伺いをいたしたい。これは建設当局にも関係があることでございますが、今度の災害にあたりまして——今度だけではありません。年々歳々の災害にあたって、同和地区が受ける被害が非常に大きい、その占める率が非常に大きいということにかんがみまして、同和対策の面から、特に状況の悪い、災害を受けやすい場所に、過去の理由のない差別によって定住させられましたいわゆる部落の人たちが、災害ごとに被害を受ける、そういう実情にかんがみまして、これはただ単に部落改善、環境改善とかいうことだけじゃなしに、何らかの根本的な国の施策が必要ではないか。対策審議会も設けられて発足をしております。答申も出しておりますが、現に今度の災害で非常な被害を受けておる。私はこれはひとつ厚生省にお願いをしたいのですが、今度の災害で同和地区がどういう災害を受けたかということを、いまここですぐに御答弁を願いますことは無理かもわかりませんが、資料を本委員会に御提出願いたいと思います。そして、さきの委員質問に対しても建設大臣からいろいろ御答弁がございましたが、いま私が最後にお伺いをいたしております同和地区に対する災害対策、これは災害対策だけではなくて、恒久の施策と関連をして厚生省のお考えを聞き、最後に対策本部長である建設大臣の御意見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  194. 青木義雄

    青木(義)説明員 今回の災害におきまして南郷の洗いぜきの操作が悪かったんじゃないかという批判が一部出ておるようでございますけれども、出水期には、まず鳥井川量水標の場所でプラス・マイナス・ゼロメートルを目標といたしまして、三十センチ以上になれば放流をするというたてまえになっておりますが、状況をお聞きしますと、大体そのとき二十センチ程度であったということでございまして、下流の天ケ瀬ダムとよく連携を保ちまして、近畿地建としては最大の努力をいたしたというふうに考えております。しかしながら、周辺におきまして一部湛水したところもございます。私どもといたしましては、上下流のしゅんせつ等によりまして水の流れをよくするといったような工事もあわせて行ないまして、災害の防除に一段と努力いたしたいというふうに考えております。
  195. 岸野駿太

    ○岸野説明員 いま御質問がございましたように、審議会でもこの点が問題になっております。答申が出ましたことは、御承知のとおりであります。それで、実際には、審議会でいろいろ議論がございましたときには、大体同和地区が常に災害の常襲地帯になっているのではないか。要するに、そのような危険地域に住まわせられている。いろいろ見方はございますけれども、根本的には、やはり審議会の答申では、部落の移転についてすら考えたらどうだというような御議論もあったわけでございます。この点につきまして、厚生省だけでもって解決する問題ではございませんので、建設省でもこの答申をどのように受けとめ、政府の施策としてどういうものを年次的に計画的に遂行するかというのは、現在総理府を中心といたしまして鋭意検討中であります。  なお、資料は早急に調べまして御提出させていただきます。
  196. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 特に災害対策で同和地区と他の地区を差別するということは全然考えておりません。ただ、いまお話しのように、従来から比較的水害等の起こりやすい地帯におられるという実情があるわけであります。住宅などについては、御承知のように、地区の改良等をできるだけやりたい、こういうことでやっておるのでありますが、具体的に申し上げますと、必ずしもそれに応じられないという地区が間々あるわけであります。政府地方団体の考えたとおりにはなかなかまいらないという実情もあることは、西村さん御承知だと思います。けれども、いま厚生省からお答えがありましたように、これはやはり全体を総合的に改革していく、こういう方針を早急にきめて進めなければならない、かように考えておるわけでございます。      ————◇—————
  197. 山口丈太郎

    山口(丈)委員長代理 この際、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三派共同をもって、台風第二十四号等による災害対策に関する件について、本委員会において決議したいとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。砂原格君。
  198. 砂原格

    ○砂原委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表して、三派共同提案にかかる台風第二十四号等による災害対策に関する件につきまして、本委員会の決議とせられたいとの動議を提出せんとするものであります。  まず、案文を朗読いたします。     台風第二十四号等による災害対策に関する件(案)   昭和四十年九月の台風第二十三号、第二十四号、第二十五号及びこれに伴なう秋雨前線による集中豪雨並びに同月の降ひょうは、全国的に未曾有の災害をもたらし、被害住民の民生、経済に及ぼす影響は誠に甚大なるものがある。   よって、政府は、これらの災害を一連のものとして、一日も早く、激甚災害として指定するとともに、災害の早期復旧並びに将来の防災について万全を期すべきである。以上であります。  本決議案の趣旨につきましては、いまさら御説明を申し上げるまでもなく、十分御承知のことと存じますので省略いたしますが、何とぞ満場一致をもって御賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  199. 山口丈太郎

    山口(丈)委員長代理 他に発言はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 山口丈太郎

    山口(丈)委員長代理 他に発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。  お手元に配付の案文のとおり本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 山口丈太郎

    山口(丈)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。  この際、ただいまの決議につきまして、瀬戸山本部長から発言を求められておりますので、これを許します。瀬戸山非常災害対策本部長。
  202. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 今次の一連の災害につきましては、当委員会においてもいろいろ御心配を願い、御審議を願っておりますが、きわめて甚大であります。   〔山口(丈)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、政府といたしましても、御承知のとおりに、非常災害対策本部を設けて、それぞれ鋭意この実態の把握とその対策に全力をあげておるところであります。本委員会においていろいろ質疑の中に御意見等承りまして、それも参考にして万全を期したいという覚悟でおるわけでありますが、本日のこの御決議の趣旨は十分尊重いたしまして対策を立てたいと思っておるわけであります。  なお、激甚法指定の問題は一般被災者が非常に関心を持たれておりますが、この激甚法指定に関する政令まで制定するということは、詳細な実態の調査が要るわけで、やや時日を要しますが、その基本方針だけはできれば明日の閣議でも定めたい、かように考えておりますので、今後ともこの対策推進には御協力をお願い申し上げたいと思います。(拍手)
  203. 楯兼次郎

    楯委員長 なお、ただいまの決議を関係政府当局に参考送付することといたし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  205. 楯兼次郎

    楯委員長 質疑を続行いたします。田口誠治君。
  206. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま、二十三号、二十四号、二十五号の台風並びにその他関連する災害については、一連のものとして激甚災害としての指定をするという決議を行ないました。したがって、大臣はこれを尊重し、できれば明日の閣議でも決定をするということでございますので、大きな期待をいたしております。このことは、どこへ視察に行ってみましても、激甚地の指定をまず受けたいという強い要望があるので、明日閣議決定がなされれば、現地のほうではさぞかし一安心をするであろうと思います。その点を大きく期待いたしてお願いをいたしておきます。  そこで、いまの決議もなされましたし、それから今度の災害の実態を見ますると、従来のものとちょっと違った特異性を持っておるものがあるわけです。したがって、私は、この災害対策をするためには、現行の災害救助法とか災害対策基本法並びに天災融資法等の改正やら、あるいは激甚指定のワクの変更等を行なう必要があろうと思うわけでございますが、政府はこのたびの災害に対していち早く災害対策本部を設けられて、そうして本部長が先頭になって各地調査に行かれたわけでございます。したがって、今日までいろいろとそれによって対策を立てられておるのでございますが、ただいま申しましたような法の改正というような点についても心を痛めておられるのか、あるいは作業が進んでおるのか、この点をひとつ承っておきたいと思います。
  207. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 今日までの災害対策の進め方については、先ほどお手元に資料として差し上げてありますが、おおよその災害の実態をつかみまして、そして現行法律あるいは今日まで行なってまいりました行政慣例等によってまかなえるところが大部分であろうと思っております。ただ、いまお話しのように、やはり現行法律や行政慣例等を行ないました中にも、災害を受けます客体である社会はいろいろ進歩し、変化してまいっておりますから、現行の法規慣例等によってまかなえない場合もあるいは出てくるかもしれぬ、こういう考え方で家態の把握につとめさしておるというのが現状でありまして、従来の法規慣例では、客体が変更あるいは進歩をいたしておりますから、まかなえない場合もあり得るだろう、こういうことを頭に入れて検討し、もし必要であれば法律の改正もしなければならない、かような立場で実態の把握を進めておるということであります。ただ、いかなるところをどういうふうに改正しなければならないかという点は、現在のところ、まだ申し上げる段階にはなっておらないのであります。委員会等においても、そういう面でお気づきの点はどうかひとつ遠慮なく御指示を願いたいと思います。
  208. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、具体的にお聞きをしていきたいと思いまするが、非住家の災害に対しての問題でございます。この問題を私が特にお聞きをいたしたいと思いますることは、岐阜県の徳山村の村の実態を見ますると、農業というものが非常に少ないために、山の仕事をやっておる、特に、山の仕事も、傾斜になっておるようなところに畑をつくっておるために、一年のうち半年ぐらいは、別に一里も二里も離れた山の中に十五坪から二十坪の家を建てて、そしてその中に一切の家財道具を置いて生活をし、そして仕事をしておるわけなんです。したがって、冬場になって雪が降りまするとそこにはおれませんので、今度は自分のほんとうの住み家へ帰ってくる。こういう二重的な住み家があるわけなんです。そこで、今度の災害にかかりましたものは、その主になるものでなしに、職場にある住み家が結局半壊あるいは崩壊、流された、こういうようなことになっておりまして、非住家であっても住家の取り扱いをしてもらわなければ困るわけなんです。この辺はどういうようにお考えでございますか。
  209. 仮谷忠男

    仮谷説明員 実は新しいケースのようでございまして、非住家ということになりますと、どうも対象がつかめないわけです。住家なら住家で方法はありますし、あるいは畜舎なら畜舎で方法はありますけれども、人間が住むのだけれども実質的には非住家だということになりますと、どういう対策を立てるかということは、新しいケースだと思いますから、これはひとつ検討させていただきたいと思います。
  210. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、住家、非住家ということについて私も説明がしにくいのは、役場のほうに届けてあるところはこれを住家とみなすのですね。ところが、どちらかといえば、役場に届けてある住家に住んでおるほうが少ない家庭が相当あるわけなんです。こういう住家がある。これを住家として役場に届けてない。そう一人で二軒住み家があるわけでございませんので、それでその一方のほうの住み家が今度の災害にかかっておる、こういうことで、現在の場合はこれは対象外になっておるのです。だから、これは入れてもらわなくちゃ困る、こういうことなんでございますので、この点はひとつ研究をしていただいて、そして住家災害と同じような取り扱いをお願いいたしたいと思うのです。これは理屈を言えば幾らでも理屈はありますし、どちらからも理屈の言い合いができるわけですが、それだけにやはり実際問題として家住が流され、崩壊されておるわけなんです。ただ、流されたものが、ほんとうの役場に届け出た住家でないということになっておるだけです。そういう点があるので、この点は特に徳山村に多いのでございますから、ひとつその点を今後の研究課題として十分に検討していただき、私のお願いしておるような方向に持っていっていただきたいと思います。  それから次に、岐阜県の藤橋村の東杉原でございますが、一部落土砂で埋まって、ほんとうに見るも情けないつめあとを残しておるわけです。したがって、現在その土砂取り除きの作業をしておるのですが、この取り除きの作業をしておる人たちはそこの住民であるわけです。したがって、そこの住民が、いつまでも金もうけをせずに、流れ出た土砂を取り去る作業ばかりを続けておっては生活ができていきませんので、その作業が、即どういうことになりますか——伊勢湾台風のときにちょうど岐阜県の根古地というところに堤防が決壊をしてそうして田畑が川原になったわけなんですが、この川原になった田畑を原形復旧する作業はその土地の人たちが行ないましたが、そのときにとにかく毎日給料をもらっておったわけなんです。収入を得ておった。そういうような方法がこの東杉原の場合でもとっていただけなければ、あの人たちは途中でもう食うことができないようになると思うのです。その点をどういうようにしていただけるか、この点もひとつお伺いをいたしておきたいと思います。
  211. 仮谷忠男

    仮谷説明員 農地の場合には、災害復旧ですから、復旧事業でやるわけですから、そこにおる人たちに携わってもらって、そうしてその賃金をもらっていける、そういう方法にはなるわけでしょう。あるいはそれと変わったケースですか。
  212. 田口誠治

    田口(誠)委員 一部落ざぁっときたわけですね。だから、自分の家がある、周囲に畑がある、田がある、またその隣に家がある、畑がある、田があるというようなぐあいに、とにかくその作業は、家を掘り出す作業と、同町に田や畑を原形復旧する作業を行なわなければならないということなんです。いま一生懸命にやっておるわけです。だから、それを伊勢湾台風のときのような措置をとっていただければまことにありがたいわけなんです。
  213. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 現にやっておられるのがどういう手続でやっておられるかわかりませんけれども、たとえばいまの揖斐川上流のことだとか、それから九頭龍川の上流、そういう地帯に今度の場合があるわけでありますが、そういうたとえ家の中にあろうと、あるいは村の中であろうと、あるいは耕地の場合は耕地復旧ということになりましょうが、排土事業について国庫補助を出すということがあり得るわけでございますから、町村あるいは県とよく連絡をとってその事業の一環としてやられるのかどうか、その点が明らかでないと——私のほうはそうしていただきたいのです。やはり町村あるいは県と連絡をとり、いまの災害復旧工事としてその働きを地元の農民の人たちがやってもらう、こういうケースになっておるのだと思いますけれども、いまあなたのお話がどういうケースかよくわかりませんが、そういう場合は国庫補助の対象になることがあるわけでありますから、よく実情を調べさしてみたいと思います。
  214. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、実情は調べていただけばいいし、また県のほうからも出ると思いますが、いま私からも申し上げておきます。ただいま申しましたように、東杉原というところは、とにかく山くずれで土砂がどっと来て家は埋まり、そして家の中へも土砂が天井まで入っておる。その家の周囲には畑があり、田がある。だから、その作業というのは、いまの農地復旧ということにも、原形復旧ということにもなるわけでございます。それと同時に、家屋の場合には、これはいままでの例があると思いまするが、いままでは、土砂が少ない場合には、一戸に対して五千円とか八千円とか補助金が出ておりましたね。それはだれか御存じないですか。
  215. 飯原久彌

    ○飯原説明員 お答えいたします。  ただいまの住宅で土砂が流れております場合には、その土砂の度合いによりまして、それを除去する場合の経費は国庫補助の対象になっております。
  216. 田口誠治

    田口(誠)委員 一戸幾らという計算ですか。それとも、それに要した人夫賃、そういうような形で出るものか。私がちょっと記憶しておりまするのは、少ない土砂を出す場合には、一戸五千円とか八千円とかいう仕切り金であったと思う。それから、いま藤橋の東杉原のように多く土砂が入っておるのは、流出崩壊というような形で国からの対策費が出ておると思うのですが、結局東杉原の関係はそうした実態なんです。だから、これは県のほうからそれを調べて手続をとれば、いままでの例にのっとって国の補助金を出してもらいたいと思うのです。それがいままでは一戸に対して五千円とか八千円とかいうのだが、これでは金が足りないと思うのです。五年前です。私はあの当時でもどうかと思っていた。それから五年たって、いろいろ物が高くなって、労賃も高くなっておりますので、こういう内容も、私は、この際法の改正等を行なう場合には変える必要があるのではないか、こう思うわけなんですが、きょうはまだ明確にその辺のところを約束していただけねばこれはしかたありませんけれども、そういう実態でございますから、手続をとるようにいたしますので、いままでなされた補助の方法をもってまず現金をどれだけか村へ出してもらわなければ、ほんとうに着のみ着のままでそうして毎日の土砂の取り除き作業を行なっておるのだから、こんなことを三日も四日もやっておったのではとても生活ができていけないのだから、土砂を取り去ることがその人に一日幾らという日当がもらえるという形をとって救済策をとってもらわなければならないと思いますので、いままでも例があるので、この点はひとつお願いをしておきます。  それから次に、これは建設省関係ですけれども、県道ですから、県のほうからお願いをして国のほうから補助金をいただくことになろうと思いますが、一番初めに申しました徳山村というところは、これはここ五、六年前までは国会議員が足を入れたことのないというような、離れた農村なんです。したがって、今度の災害対象になっておる根尾村というところから徳山へ入るまでに、相当多くの個所の道路の決壊、橋が流れておるというようなことで、その村は孤立状態になっておるわけなんです。それで、どうかこうか人間の歩けるようにという仮り復旧はやっておりますが、徳山の村の人たちは山で生活しておるのですから、自動車に材木を積んで出るようにならなければ、この人たちは金もうけがないわけなんです。だから山主が、もう材木が出せないようなところではというので、結局、使っておった人夫は全部帰してしまって、自分たちもどこかへ出ていっておるわけなんです。したがって、トラックに材木を積んで通れる道路を早くつくってもらわなければ、これはここ一村がほんとうに手をあげてしまうわけなんです。こういうところがあるわけですが、これは早急に緊急の緊急の工事としてやっていただかなくてはならないと思うのです。この辺のところは、おそらくこの前調査していただいた結果からも、一応なそうとする結論が出ておると思いますので、ひとつその点をお伺いいたしたいと思います。
  217. 青木義雄

    青木(義)説明員 お尋ねの根尾村から徳山村に至る県道の早期復旧につきましては、民生安定上一日もゆるがせにできない問題でございます。とりあえず、応急工事といたしまして災害復旧費の中で認めておりまして、それで現在やっておることは、先生から先ほどお話がございましたとおりでございます。災害直後、実態調査並びに工法指導のために査定官を派遣いたしまして調査並びに指導をしてまいっております。したがって、県と工法協議をいたしまして、一日も早くこの復旧にかかりたいというふうなつもりでおります。
  218. 飯原久彌

    ○飯原説明員 先ほどの先生のお尋ねの点でございますが、私、少し舌足らずの点がございましたので、申し上げますが、災害救助法の適用されましたところで幾つかの条件がございまして、この条件で自力で除去することのできない場合、それから居室、炊事場、玄関等に障害物が運び込まれているため生活上支障を来たしている場合、こういったような場合に除去に必要な機械器具等の借り上げ賃、あるいは輸送費、人夫賃等を、一世帯当たり、御指摘のように五千円限度内でその費用を見るということになっております。こういうことで、これは法律自体に明記しておるわけではございません。この点は基準の問題として実施をしておるわけであります。
  219. 田口誠治

    田口(誠)委員 それはどういう名前がついておるのですか。
  220. 飯原久彌

    ○飯原説明員 基準では、障害物の除去というふうになっております。
  221. 田口誠治

    田口(誠)委員 障害物の除去に対して国のほうから助成をしてもらう、その金の出し方は何という名前ですか。ただそういうものに出すということになっておるから出すというだけで、何か名前がないですか。
  222. 飯原久彌

    ○飯原説明員 災害救助法に基づきます災害救助に必要な給付の中の実施基準でございます。
  223. 田口誠治

    田口(誠)委員 先ほどの県道についての御答弁は……。
  224. 楯兼次郎

    楯委員長 超緊急の作業として最大の努力を払って復旧をする、こういう答弁がありました。
  225. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしていただくとまことにありがたいし、あそこは十一月末にはもう雪が降りますので、もうここ一ヵ月か一ヵ月半ぐらいの間にやってもらわなければならぬと思います。その点を強くお願いをしておきます。  ただ、ここでちょっと常識的に考えられないことが一つあるわけであります。その徳山村というところに行くには、根尾村から山をぐねぐねと上がっていくのですが、馬坂峠というところを通って、それが境で徳山村となるのですが、根尾村のうちは外の大きな土木請負人が請負をやって、なかなか完全な仕事をやっておりますけれども、徳山村のほうの分は、徳山におる業者にひとつ請け負わせてくれという強い要望が村長のほうにいって、村長も負けて、徳山にいる業者に請け負わせたというようなことを聞いておるのです。そうしますると、近代的な機械器具は持っていないわけなんです。そうすると、馬坂峠までは早く復旧ができるけれども、それから先が復旧できなかったら、たとえ一カ所でも復旧ができなければそれはだめなんですから、そういうところだけに、政府のほうからも県をつついてもらって、そうして村のほうへも注意をしていただかなければ、あそこの村は普通の村と違いまして、昔の平家の落人の子孫といわれ、二派に分かれておって、そうして一方の請負師は自分のほうの派でない者は雇わない、こういう差別待遇をしておるところなんです。極端な話を言うと、八百屋へ物を買いに行くのでもそういう形をとっておるところなんです。だから、いま心配をしておる村民はその請負師のほうについておらない人たちで、全然仕事をもらえぬのではないか、こうなると、山の仕事はできないし、それからその工事の仕事にも雇ってもらえぬということで、全くお手あげになるからというので心配をしておるわけであります。こういうケースがあるということを知っていただいて適切なる指導をお願いいたしたいと思います。
  226. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いまのお話のところや、福井県のその反対側の西谷村でありますが、そういうところは、お説のとおり積雪地帯であります。したがって、私どもは、そこのみならず、積雪地帯は特に早く復旧をしたい、こういう手だてでやっておりますが、いまのお話の点も含めて、県とよく連絡をして、そういうような間違いのないように指導をいたしたい、かように考えます。
  227. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは、もう一つお伺いしてきょうのところはやめます。
  228. 楯兼次郎

    楯委員長 簡単に願います。
  229. 田口誠治

    田口(誠)委員 学校が土砂でつぶされて、先生が一人死んで、二人けがをした。まあ泣きっつらにハチで、岐阜県の場合は、災害を受けた四カ村は、村の財政が全く赤字財政でどうもこうもならぬ村なんです。だから、学校がつぶれたからといって、学校をつくるような力は全然村にはありません。県も全額出してつくってくれるようなことはないと思います。それで村のほうからの要望は、国のほうで何とかめんどうを見てもらいたいということなんです。学校がつぶれて子供の勉強するところがない、建て直そうと思っても、村には金がない、県がすぐめんどう見てくれぬということになれば、どこがめんどう見るかといったら、やはり国が何とかしなくちゃならぬ。そういう理屈は別といたしまして、実際そういうことで困っておるわけなんです。だから、地元としては、国のほうから相当の補助金をいただいて、言い方によっては全額国でという要請がきておりますけれども、そういうことを早くやっていただかなければ子供たちも困るわけなんで、その点、文部省のほうは何かあとで対策を立ててもらえますか。どうです。
  230. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 ただいま徳山小学校のお話が出ましたが、これは災害のために全壊というような状況でございます。これに対しまして災害復旧費ということになりますれば、国庫負担法におきましては、三分の二の補助、残りを起債で補うということになっておりますが、もし激甚法指定を受けますと、その補助金のかさ上げがございます。これまでの実施例によりますと、大体九割見当まで補助金が出るようなこともございます。しかし、全額補助という点はちょっと困るわけであります。
  231. 田口誠治

    田口(誠)委員 いまの激甚地の指定関係ですが、いままでのワクでいきますと、はずれるような気がするのです。それは村の中は、先ほど申したように、いわゆる非住家といわれるものがやられたのですね。駐在所がやられたり、学校がやられたりしておりますけれども、実際的にはもうその村は道路が決壊して孤立してしまっているのだから、こういうところの場合は、私は、いままでの激甚指定のワクでいきますと、どうもはずれるかもわからぬと思う。しかし、よくその被害なり村民の受ける迷惑度合いというようなことから考えていきますと、これはもうイの一番に激甚地の指定をすべきところだと思うのですが、こういうところがありますので私は一番最初からお聞きをいたしたわけなんで、そういうこともひとつ考慮に入れてこの問題を取り扱っていただきたいと思います。そうでなかったらもう学校は建ちません。  これで終わります。
  232. 楯兼次郎

  233. 五島虎雄

    五島委員 一番最後になりましたので、私は非常に簡単に質問したいと思います。  いま災害対策予備費としては予算上どれだけ残っておりますか。
  234. 高柳忠夫

    高柳説明員 ただいまの制度は災害対策予備費ということになっておりませんのですが、本年度予算で五百億予備費を計上いたしております。現在までに約百五十億程度使っておりまして、残は三百五十億余円でございます。
  235. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、この三百五十億という予備費は、それぞれの災害に、大体査定が済んだら、その方針でその災害復旧対策費とかあるいはその新しい施策のために予備費を政府としては使用していいわけですね。
  236. 高柳忠夫

    高柳説明員 予算の使用の政府の考え方については、私から御答弁申し上げるのはあるいは適当でないかと思いますが、ただいま予備費の残額が幾らかという御質問でございましたので、事実だけを申し上げたわけであります。
  237. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、きょう各委員が二十三号、二十四号あるいは集中豪雨の関連問題として政府及び関係当局に多くの質問をされたわけですけれども、八月の六日に襲来しました台風十五号については、南九州について非常に災害をもたらしたわけです。この点については当該委員会でずいぶん検討をされましたけれども、その後査定官などの派遣をされて、そして災害の査定はすでに終わったということを聞いておりますけれども、現地の声を聞けば、そのまま放置してあるのではないか。そうすると、八月六日に十五号台風が襲来をしてからすでにここ二カ月を経過してそしてそのままの形ではどうするんだ、そして二十三号、二十四号あるいは水災害や風水害その他ひょう害までやってきた、こういうようなものと一緒になって、八月の十五号台風などの被害を忘れてもらっては非常に困るではないか、こういうようなことでございますが、そうすると、三百五十億の予備費があるならば、査定が済んだらすみやかに何らかの施策をするのが至当ではないかと私は考えますけれども、この点については、きょう問題になりました二十三号、二十四号の悲惨なる災害と切り離してこれだけを質問いたしておきますけれども、どういうような施策を講じられたか、あるいは講ぜんとするのか、こういうことです。
  238. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 前にできました災害を今度の災害で忘れるということはいたしません。いま手元数字を持っておりませんけれども、最初五百億の予備費が、先ほど申し上げましたようにずっと減っておりますのは、主として災害の支出でありまして、災害復旧の支出を順次やっておりますから、そういう査定が済み、しかも緊急にやるものとして査定したものは、全部逐次災害復旧工事をやっておるということであります。それから今度の問題は、先ほど来申し上げておりますように、もう近く災害の実態が大体把握できると思います。それを調査いたしまして、この予備費で本年度やらなければならない緊急災害復旧費は足りるか足りないか、これの検討に入りまして、もし足りなければ補正予算等のことも考えなければならない、こういうことをこれから検討する段階に入るわけであります。
  239. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、従来までの災害ですでに査定が終わったものは、それぞれ国民に対するところの民生安定あるいは復旧の問題について心配ないようにすみやかに施行する、こういうことになるだろうと思うのですが、それでよろしいのですか。  それからもう一つは、ただいまわれわれは決議をいたしました。そして災害対策委員長名をもってそれぞれ政府に文書が送付されました。そして対策本部長の瀬戸山大臣は、さいぜん決意を述べられたわけですけれども、すみやかにはできないだろう、しかし急いで査定をし、予算を組んで検討するということをさいぜん言われましたけれども、その目標はいつごろできますか。
  240. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いつごろという日は今日明確に申し上げかねますけれども、災害のことでありますから、できるだけ早くその方向をきめなければならない、こういうことであります。もし必要であれば、今国会中に、他の補正予算等がありますから、補正予算が必要であるということになりますと、その段階に検討される、こういうことであります。  それから事務のほうから、今度の災害、前の災害に対する予備費の支出等について申し上げたいと思います。
  241. 青木義雄

    青木(義)説明員 本年災につきまして現在までの予備費の支出の状況を申し上げますと、まず、直轄災害が、冬季風浪につきまして予備費二億三千二百万円、それから融雪災害台風第六号及び七月上旬の梅雨前線豪雨につきまして十億九千七百万円出しております。なお、梅雨前線豪雨及び台風十五号につきましては、二十八億九千四百万円を支出いたしまして復旧工事を実施しております。次に、補助災害につきましては、まず冬季風浪につきましては、予備費一億九千七百万円、融雪災害につきましては五億一千四百万円、それから梅雨前線豪雨につきまして九億五千六百万円を支出いたしまして工事の促進をはかっております。
  242. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、それぞれ災害被害状況を満たしたわけではないけれども、こういうようなことで実施している。ところが、金がどこにおりたかわからぬけれども、まだ現場の災害地ではその金が動いていない、こういうように地元民としては考えていいのかどうか、そうするともうすぐ何らかの措置が行なわれるんだということを期待させていいのかどうかということについて、災害対策本部長の考え方をお聞きしたい。
  243. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いま申し上げましたのは、御承知のとおりに、災害復旧のときには、災害がありましてこれはもう緊急中の緊急だというものは先にやるわけであります。それはすぐ現場で査定をしたりするわけであります。そしてそういうものについてまず予備費を出して工事を始める。それから他の、緊急中の緊急の次の段階のものはまた査定をいたしまして、今年度どのくらいあるか、これはやはり設計の技術あるいは工期の問題がありますから、全部やれるわけではありませんので、それに応じて今年度は災害のうちの少なくとも三〇%ぐらいまではやろう、現在そういうふうになっておるわけでありまして、それに応ずる費用を出すというのが、現在やっておることであります。大部分はこれから仕事が始まるというのが従来の実情であります。
  244. 五島虎雄

    五島委員 それじゃ、民心を安定せしむるためにすみやかに施策を講じられるように希望します。  それから仮谷政務次官にお尋ねしたいと思いますが、午前中に青森県の何か果樹の問題について質問をしておられました。この点については、かねて年々災害についてわれわれが聴するのは、農業改善事業等々で農民の諸君ができるだけ採算の合うような業種を選んで栽培される、ところが豪雨災害、風水害によってこれらが根こそぎだめになった、あるいはもうことしから収穫が始まるのにだめになった、こういうようなことで、果樹に従事する農民の声として、果樹共済法を制定してもらいたいというような要望が非常に強いわけです。農林省関係としては、農業改善事業で農村の社会を地域開発されようとしておるわけですが、災害のためにその農村生活が悲惨な状況に入っていくということにかんがみて、いろいろの農業災害についてはいままで施策がございますが、これだけはやっていない。ところが、午前中の説明を聞きますると、四十年度で調査が終わって、四十三年度からはできるのではないかというのですが、災害はそう毎年毎年待っておりませんから、そうすると三年間も空白を置いて、そうして四十三年にならなければなぜできないのか、こういうように、私はしろうとながら考えるのですけれども、もっとこれを進める必要はないか。これはすみやかにやるべきであると私は主張いたしたいのです。仮谷政務次官の考え方を聞いておきたいと思います。
  245. 仮谷忠男

    仮谷説明員 五島先生の御意見、ごもっともでございます。ただ、四十年度、本年度で、大体調査が一段落して、それから——私は四十一年度と言ったつもりでありますが、もしそういうふうに誤解されておったら、訂正をお願いしたい。四十一年度にはぜひいずれかに結論を出すべきだという段階に来ておるというのが事務的な考え方です。ただ、ここまで災害が続きましてそのたびに果樹共済の問題が唱えられておりますから、少なくとも本年調査が済めば本年いずれにしても方針をきめるべきだ、こういう考え方を私自身持っておりますから、そういうふうにひとつ話し合ってみたいと思います。
  246. 五島虎雄

    五島委員 それは、質問した委員といろいろ話をしたら、四十三年度と聞きましたので、ちょうど私いなかったのですが、これは間違いであって、そうして四十三年度からと仮谷さんが言われたというようなことについて、これは来年度からでも今年度からでもと、こういうような要望の声が強うございますから、それを訂正されたならば、そのとおり私は四十一年度でいいです。まる二年間早くなったのだから、果樹従事の農民は喜ぶだろうと思う。それにさっそくこれから手をつけたらどうですか。そんなに困っておることが政府でわかっておるならば、すぐやる必要があると思うのです。それが国民に対するところの愛情ある施策ではないかと思います。ですから、きょうといったってそんなことはできませんから、引き続き委員会が開かれたらその点について私ども質問をしていきますから、ぜひとも今年度から努力してもらいたいということを希望しておきます。  それからもう一つは、非常にダブって申しわけないのですけれども、瀬戸山災害対策本部長やあるいは仮谷政務次官等も各地調査されただろうと思うのです。そうして各地の新聞等々では、非常にお気の毒だ、非常に見ておれない、今後すみやかに施策を講ずると言って地元民には安心をさせておいて——それを私はごまかしだと言うのではないのですけれども、皆さんが見られて、第一にああ気の毒だとお思いになったのは、何を気の毒だとお思いになったかというと、農地が流れたことじゃなしに、まず被害を直接受けたところの国民個人の悲惨な状況だ、こういうように考えます。そうしてあとで、その政府施設がどれだけあったか、被害を受けた農村がどれだけあったか、道路がどれだけあったか、こういうようなことです。お気の毒だというのは、国民自身の直接受けた災害だと思うのです。ところが、お気の毒ですと言いながら、やってくると、現在の法律ではその気の毒を法律上何も援護するものがない。したがって、今日まで同僚議員から、個人災害に対するところの援護についてはどう考えるかという質問が行なわれただろうと思いますが、この点については、来る災害にも来る災害にもこの問題が問題になりながら、現実の問題としては実現できないわけです。それはやはり大きな天災地変の問題ですから、これについて万全の施策を施すということは、国の財政上非常に大きな打撃をこうむるわけで、こんなことはよくわかっておりますけれども、しかし、災害のために、自分の責任でなく、とうとい命がなくなった、重傷を受けた、こういうようなこと、あるいは自分の財産国民財産というものが被害を受けたということについては、何らかの施策を講じなければならぬと、かねてから私は考えておるわけです。これについて、大きな災害の財源が要るからそんなことはできないんだというならば、それは人間尊重ではないのではないか、こういうように考えますけれども、この大きな災害に直面して災害対策本部長となられた瀬戸山さんに、特に大臣はどうですかと質問するのは、ほんとうにどうもお気の毒のような気がしますけれども、この点について、歴代担当大臣に質問をいたしますると、その気持ちはよくわかります、よくわかるけれども、できませんと、こう言う。しかし、災害を受けた被災地の住民は、そういうところからまず何とか手をつけてもらいたい、こういうようなことではないかと思うのです。やり方はいろいろあろうと思いますが、個人災害に対するところの援護法制定に対する災害対策本部長の考え方をここに聞いておきたいと思うのです。
  247. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 五島さんのお考えの趣旨にあるいは御満足を与えることはできないと思いますが、御承知のとおり、戦後でも、災害では国をあげて、国会はもとより、非常に苦い経験をたびたび積みまして、従来の災害対策から今日までの災害対策内容を見ますると、非常に進歩をいたしております。進歩というのは、従来いわゆる個人災害といわれておったものまでも、相当広範に対策として国の救済の手が差し伸べられるようになった。これはもう今日までの経過を見ますると明らかであろうと思います。けれども、いまおっしゃったように、必ずしも全部が全部これをまかなうという段階にはなっておらない。いま五島さんのお話のように、それ見たことかというお話になるかもしれませんが、気持ちとしてはそういう気持ちがありますけれども、すべての災害というものを国でまかなうということは、これは言うべくしてなかなか困難であろうと思います。ただ、いま申し上げましたように、農業あるいは中小企業、個人の企業等についても、やはり戦後の経過を見ますると、いわゆる個人災害といわれておった面も、今日相当大幅に救済の手が伸ばされるように進んでおる。これはやはり漸進をするよりか私どもはやむを得ない。結局国民の全体の力であろうと思います。と同時に、これは政府災害復旧対策だけでなしに、あるいは災害手当てだけでなしに、その他の保険あるいは社会保障各般の施策が、こういういわゆる天災等のときには及ぶべきものだ。あるいはまた、大きな災害になりますと、法律、規則というものは全然別にして、国民共同の愛の手を差し伸べるという方法もあるわけでございます。やはりそういうことが進んでいって初めて国全体、社会全体としての姿が円満にいくのであろうと思います。気持ちといたしましては、国が全部まかなえるようになりますれば、これが一番手っとり早いのでありますけれども、まだまだそこまではちょっといきかねるのじゃないか、私はさように考えておるわけであります。
  248. 五島虎雄

    五島委員 すみやかに実施することはできない、しかし、気持ちとしてはそれをやりたい、こういうようなことについては、あなたの言われることはわかりました。しかし、何とかこれはしなければならないのではないか。もしもわが国がどこかの国と戦争状態に巻き込まれたというようなときには、これより大きい被害、損害というようなこともありがちなものだ。しかし、平和なんですから、戦争することはないのだから、戦争したつもりでこういうようなことはやれるのじゃないか。そうしてまた、何か災害保険とかなんとかいうような考え方でもできるのではないか、こういうように考えます。しかし、きょうやろうじゃないかといったって、やりましょうという結論にはなりませんから、私は将来に保留したいと思います。  それから、港湾関係の方は来ておられますね。おそくて御苦労さんでございます。  午前中に港湾局長が同僚議員に対して答弁をしておられたわけです。この点については、特に地域的に限ってまことに申しわけないと思いますけれども、先日、災害対策委員長及び自民党委員の方たちが関西を災害調査されました。そのとき私も同時について災害地を見せていただいたわけですけれども、神戸港の湾の中に埋め立て地を実施しているわけですね。すでにそれぞれ埋め立ては終わって、そうして中小企業の集団地域とか、あるいは大企業の進出地域とか、あるいは厚生省関係の大事な仕事を担当するところの検疫所などがもうすでにそこで開設されているというわけです。ところが、やっとその埋め立てが終わったら皮肉にも災害が去年やってきました。そうして埋め立ての護岸が風と波によって洗われてしまったのです。そうしたところが、去年、だいじょうぶだと地元住民は思っていたにもかかわらず、その護岸がやられてしまったのですから、中小企業がもうすでに約束していたけれども、こんなに毎年毎年潮がくるならば、ちょっと進出するのはお見合わせだ、こういうようなことで、地元の神戸は困っておるのです。大きな工場が二工場そこに進出しましたけれども、まだ工場の建設は見ておりません。それはなぜかというと、毎年毎年くる台風あるいは高潮でこの護岸が洗われるならば、これは工場をつくったって、護岸が洗われるたびに毎年苦労しなければならないのではないか、こういうふうなことございます。それで、去年災害を受けましたから、この埋め立て地の護岸をだれがやるかというと、運輸省だそうであります。運輸省が、護岸をするために十四億円の予算で三年間でこれを施工しよう、こういうふうな予算を組まれたそうであります。ところが、去年の災害から今度の災害まで一億数千万円が施工されただけだそうであります。三年間台風がこなければ、高潮がこなければ、まあだいじょうぶだったかもしれませんけれども、ことしも引き続いてその堤防がやられてしまったから、またその埋め立て地区は一挙に遊水地区と化したわけです。こういうふうなことでは、せっかくやらした神戸市における埋め立て地は、工場進出どころではない。したがって、過密地帯を緩和するための施策が行なわれているにもかかわらず、こういうふうな状態ですから、どうしてもそこに工場が進出することができないといって非常に困っておるわけです。そこで地元方々といろいろ相談をいたしましたら、災害はいつくるかわかりませんから、来年の台風時期までにこの護岸を完ぺきなものにしたいと思います、こういうことです。それには私たちも賛成したのです。しっかりやってください。工事施行上できますか。そうしたら、できますと言う。ところが、金がございませんと言う。いま運輸省と相談をいたしておりまして、運輸省の理解もございますから、何とかこの十四億円程度を一年間で工事をしてしまいたいと思いますけれども、この十四億円が完全に施工されて護岸ができたとしましても、今度みたいな災害がくるならば自信がございませんと言う。しからば、自信があるための科学的工学上の問題としてどのくらい金が要りますかと言うと、あと三、四十億円の金が要るでございましょうと言う。この三、四十億円を私たちがそのまま承認するわけにはまいらないと思いますけれども、こういうふうなことで、これを運輸省関係として承認してもらわなければ、いつまでもこの地区の災害は抜本的に解決できないのではないか。そうすると、金の問題で運輸省自身も非常にお困りになるだろうし、あるいは大蔵省もお困りになるだろうと思うのですけれども、しかし、自信のない施工をして、波がくるたびに護岸がやられてしまう、そしてゼロメートル地区が上にありますから、今度も三千戸つかってしまったので、そのたびごとにゼロメートル地区が浸水してしまうというようなことで、非常に行政に対するところの不信の念が地元住民にはわき起こっておるのです。埋め立て地さえできるならばいままでのゼロメートル地区の高潮の浸水が除かれると市当局が宣伝したものですから、やれやれ助かると思ったやさき、去年やってきた。そうすると、埋め立てをやったから浸水するのじゃないか、よけいに潮がくるのではないかと、こういうふうなことです。市長は工学博士ですけれども、これにはやはり自信がない、こう言っております。そうすると、いろいろの関係検討されて自信があるようにやらなければならない。そのためにはなお多くの金が要るのではないか、そういうような場合に政府は一体どうされるんだ、こういうようなことを私は、非常にむずかしいのだけれども、聞いておかなければ——十四億円の護岸をつくってもらっても自信がないならば、その住民は高潮のたびごとに非常に心配しなければならぬ。四・五メートルの護岸ができても、今度のような風が吹いて、今度のような波に遭遇すれば、二十メートル、二十五メートルの風によってぱっと打ち上げた波を持ってくるのだから、これはしようがない。そうすると埋め立て地区は遊水地区になります。遊水地区になれば工場の進出なんて思いもよりません、こういうような地元の意見でございましたので、そういうようなことについては、やはりでき得るならば抜本的な施策を講じなければなりませんけれども、午前中の港湾局長の談話によれば、地元といろいろ検討をいたしております。こういうようなことですけれども、絶対に自信のないような工事を施行したって、それはどぶに金を注ぎ込むみたいなもので、来年の災害にはまただめになってしまう、こういうことですから、そういうようなことが技術上、科学上わかるならば、それだけの金を注ぎ込まなければならない。私は神戸港湾だけを例にとりましたけれども、四国の太平洋の外海に面するところの護岸というものは毎年々々やられる。あるいはその他全国全地域においてそうです。現在はその技術を上回って災害のほうが大きいのがきますから、なかなか政府としても困難だろうと思うのですけれども、神戸港の問題についてだけとりましても、そういうような決意を持ってやってもらいたいと思うのです。この点について河毛さんにお願いしたいと思うのですが、どうですか。
  249. 河毛一郎

    ○河毛説明員 ただいまお話のございました二十三号台風に伴います和田岬埋め立て地区の問題でございますが、この場所につきましては、ただいまお話がございましたように、昨年の二十号台風で相当な被害をこうむりました。昨年の対策につきましては、三カ年計画で十四億以上の金を計画いたしました。大体この地区に関しましては総額九億程度の工事を予定し、かつ、今度の二十三号台風がまいりますまでに、国の費用が入っております事業部分といたしまして九千万円、その他、市の単独の事業、あるいはまた、関係の民間の会社その他によるもの、総額合わせまして五億四千万円程度の工事が進められておったわけでございますが、昨年の二十号台風の場合には、大体東側のほうから浸永いたしました。ことしは方向が逆のほうになりました。さしあたりの被害につきましては、すでに災害査定を終わりまして、原形復旧につきましては極力仕事を進めております。  それから、同地区の埋め立ての護岸を根本的にどのようにするかという点につきましては、けさほど局長からもお答えいたしましたように、技術的にも根本的に徹底的な方法を至急地元の市その他と検討いたしまして、そのようなしっかりした技術的基礎の上に対策を立てていきたいと決意をいたしております。よろしくお願いいたします。
  250. 五島虎雄

    五島委員 この点について、河毛さん、三年間とか四年間とか言っていたら、それは何にもならないのではないか。また来年の台風時期がくるでしょう。そうすると、せっかく話をして十四億がたとえば二十億になって——その三〇%と対策本部長は言っておられるのですが、その三〇%が一年間に施行されたとしても、それがゼロになる。その次には、これではまただめだから二十億ということになる。だから、地元としては一年間でやってしまう自信があるが、しかし金がない、地方自治体は財源がないのだ、こういうことを言っておりますから、そういうことについてやはり政府は何らかの援助をしなければ、とても地元としてはやっていけないのではないか。もちろん運輸省が施行されるわけですけれども、地元の協力なしにはこれはできないでしょう。だから、地元と運輸省との話し合いによって一年間でやってしまう。これは抜本的に、何十メートルの風が吹き、どのような高潮がきても水が越さない、水が越しても逃げ道がある、これで住民生活はだいじょうぶということにならなければ、むだじゃないかと思うのです。だから毎年々々災害国である、こういうようなことになるのではないかと思います。私は、時間がございませんから、これをもって終わりますが、最後に、瀬戸山災害対策本部長は、たとえば一例をもってしてもこれです。こういうことについては、大蔵省が来ておられるか来ておられぬかわからないけれども、そういうのを三年間で施行するのが大体いままでの慣例でしょう。それを一年間でやらなければもう来年はだめになるというようなことがわかるならば、政府災害予算としては、あるいは復旧予算としては三年だけれども、しかし緊要の問題等も考えれば、ことし一年でやってしまうことができる、そうしてまあある程度安定する、安全だ、こういうことがわかっておれば地方財政を援助するというようなやはり決意をもって臨むべきではなかろうかと私は思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  251. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 神戸港の具体的な問題については、私はただいま初めて伺ったわけでありますが、大体日本の災害は秋に起こりますから、その年度においては、工期あるいは設計等の関係で、おおよそ全体の災害の三〇%くらいしか事実上できません、こういうことを申し上げているわけで、現在は大体三年でやっております。最大が四年でありますが、それはそう急がぬでもいいところがある程度残る、四年というのはそういうことを申し上げているのであって、一カ所を三年でやるという趣旨でないことは、五島さんよく御了承願いたいと思います。具体的な例は、港湾局がどうやられておるか知りませんが、私の考えでは、もしそういうことであれば、膨大な経費がかかってどうにもならぬというのであれば別でありますけれども、三年でやるというのはちょっとおかしいと思うので、検討してみるべき問題であろう。全体の災害自体を事業量において三年くらいということであります。その同じ個所を三年でやるということは、これは災害復旧の場合はちょっと危険じゃないかと私は考えますが、港の事情をよく知りませんから、これはひとつ大いに検討してみたいと思っております。
  252. 楯兼次郎

    楯委員長 長時間にわたりまことに御苦労さまでした。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十八分散会