○福永(一)
委員 ただいま瀬戸山
建設大臣から、川辺川のダム建設について積極的な御発言がございましたが、これはわれわれに言わすならば、もう少し早く
建設省がこの点について十分の認識を持つべきであった、むしろおそきに失する、こういうふうにわれわれは
考えます。
本流の球磨川の
上流の市房ダムができますときに、われわれはすでに、両方につくってもらいたいと申しておった。川辺川は、御
承知のように源を五家荘のあの原始林
地帯に発しております。それがずっと年々伐採されまして、今日では治山上非常に憂慮されてきておりますから、その実情を知っておりますわれわれといたしましては、この川辺川の治山治水を早くやってもらわぬと、これはたいへんなことになりますということを、
建設省や農林省にもしばしば進言いたしたのであります。ところが、当時市房ダムができますころは、
建設省の計算では、これさえあれば十分人吉以下の洪水は心配ないという計算で、川辺川ということについては一向に関心を示さなかったのです。ところが、例の電源開発株式会社、これが主として発電ということを
考えまして、いま九州に残されておるところの水力発電の最大のものはこの川辺川でございますから、これに着目いたしまして、相当の期間と相当の費用をかけて
調査をいたしております。すでにダム建設
地帯の地質
調査も終わりまして、いつでもできるようなぐあいになっておったのでございますけれ
ども、九州の電力
事情は、御案内のとおり、いまどちらかと言えば余っております。九電も大して関心を示さない。それから産炭地方の石炭利用の火力発電も国家的に
考えられておる
関係上、水力発電はコスト高ということで見送られてまいりました。そういうことで、この川辺川のダムというものは
建設省方面の関心が薄いのです。それからまた電力
事情ということで見送られてきたのでございます。ところが、御
承知のように、川辺川の
上流の五木村は三年続いての大
災害でございます。今度は人吉、
先ほど川村君から詳細に御説明がありましたとおりでございます。人吉以下の下流の球磨村、坂本村というところが今度は前古未曽有の大
災害でございます。これは球磨川の
本流だけの調整ダムの市房ダムだけではもう用をなさなくなった。もはや川辺川に何とかしてダムをつくらなければならぬということがようやくわかってきたわけですね。これを歴代の
大臣が一向にどうも積極的な発言をしなかったのに、瀬戸山
大臣がきょうみずから進んで発言をされたということは、いよいよもってこれは
建設省が真剣に取り上げていただくことになったものと、私はありがたく拝聴いたしました。ついては、これはいつごろどういうふうになるか、
見通しもひとつ聞かしていただきたい。もっとも、
建設省は何もやっておらぬかというと、そうでもないので、電源開発でやったときも、
調査費の一部を、幾らだったか、出したと思います。これは付近の台地のほうに一千町歩以上の原野がございまして、いま開拓団が入っております。これは水がないのです。ここに水を引きますと、
たちまちにして開田ができて、
農業利水上も甚大な利益があがるわけでございます。洪水調節と電気と
農業利水、三拍子そろえたダムとなれば、これは当然
建設省自体が多目的ダムとして取り上げていかなければならぬと思います。電源開発会社などのように計算づくでは、これはとうてい私はそろばんに合わないと思います。だから、
建設省として取り上げたならば、もう来年からでも、ことしからでも、ひとつ踏み切っていただきたいことをお願いして、そのお
考えをただしておきたいということが一つ。
もう一つは、この川辺川の
——おそらくは、いまダムをこしらえようとするならば、電源開発が
調査いたしましたところが一番適当だと思います。そうなりますと、一番
災害を受けました五木村、あすこに数百戸の水没家屋があるわけでございます。そうしますと、水没
地帯の反対が、これは当然のことでございますが、ございます。そこで、その反対をどうしてがまんしていただくか、納得させるかという問題が大きな問題でございますが、幸か不幸か、この五木村は、ダムができなくても、年々
上流のほうから洪水が押し寄せてまいりまして、山くずれがあって、そうして川筋の家屋はすでに百何十戸三年間に流失いたしております。だから、ダムができなくても、もう洪水、天災によって安閑としておれないという村民の非常に不安な気持ちがございます。だから、この説得のしようによっては、非常にまた反対を納得させる材料があるわけでございます。それには、五木村が安全なためには、どうしても五木村の上のほう、五家荘から流れてくる川筋と、もう一つ
支流がございますが、その二つの水源
地帯に、砂防的役割りをする、あるいは洪水を防ぐような相当思い切った大型の砂防ダムを二つぜひ、むしろこれを優先的につくっていただきたい。そうしますならば五木村も
災害から救われるでございましょうし、五木村の村民の今度の洪水調節多目的ダムの水没に対する
考え方というものは、反対も非常に緩和されてくると存じます。
この点は、いつごろできるか、どういうダムの設計になっているかということと、それから、上のほうに砂防ダムのでっかいのをつくってもらいたい、この二点についてお
考えをただしておきたいと思います。