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1965-08-10 第49回国会 衆議院 議院運営委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月十日(火曜日)    午後一時十分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木秀世君    理事 久野 忠治君 理事 草野一郎平君    理事 金丸  信君 理事 柳田 秀一君    理事 中嶋 英夫君 理事 安宅 常彦君    理事 鈴木  一君       小渕 恵三君    海部 俊樹君       鯨岡 兵輔君    田中 六助君       田村 良平君    竹内 黎一君       武市 恭信君    塚田  徹君       服部 安司君   茜ケ久保重光君       角屋堅次郎君  委員外出席者         議     長 船田  中君         副  議  長 田中伊三次君         議     員 林  百郎君         事 務 総 長 久保田義麿君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員任命につき同意を求めるの件  決議案取り扱いに関する件  本日の本会議議事等に関する件      ————◇—————
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。  まず、旧軍港市国有財産処理審議会委員任命につき同意を求めるの件についてでありますが、同委員荒井誠一郎君、江澤省三君、櫛田光男君、田中治彦君及び佃正弘君を任命することについて、内閣から本院の同意を求めてまいっております。  本件は、これに同意を与えることとし、本日の本会議において議題とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 坪川信三

    坪川委員長 次に、決議案取り扱いに関する件についてでありますが、去る三日、日本社会党山本幸一君外三名から、ベトナム問題の平和的解決に関する決議案が提出されました。  右決議案取り扱いについて御協議願います。
  5. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 いま委員長からお話がありました決議案取り扱いについてでありますが、さきにわが党から、自由民主党皆さん方あるいは民主社会党皆さん方の御同意を得て、本院の決議として、当面緊迫の度を加えつつありますベトナム問題の平和的解決に関する決議案を上程いたしたい、このように理事会で御提案申し上げた次第であります。その内容は、朗読をいたしますと、     ベトナム問題の平和的解決に関する決議案   アメリカ南北ベトナムにたいする軍事行動は、明らかに国際法をじゅうりんするのみならず人道に反する侵略行為でありアジアの平和に重大な脅威を与え、全世界人々の不安と憤激を高めている。   しかもこれらのアメリカ軍事行動は、B五十二戦略爆撃機沖繩からの直接出撃によって明らかなように、沖繩及び日本本土基地として展開されており、日本政府がこれを許していることは、アメリカ侵略戦争に加担するものであり、その事は、日本戦争にまき込み、日本沖繩報復攻撃にさらされるという日本国民の安全にとつてきわめて深刻な問題をもたらしている。   本院は、ベトナム侵略戦争反対日本国民の意志にかんがみ、ベトナム戦争平和的解決をはかるために、政府が直ちに次の措置をとることを要求する。  一 南ベトナム並び北ベトナム攻撃にあたつて、日本本土及び沖繩基地使用を一切拒否すること。  一 アメリカベトナム侵略に対するいかなる種類協力も直ちに中止すること。  一 北ベトナム武力攻撃ならびに南ベトナムにおける軍事行動即時停止アメリカをはじめとする外国軍隊の撤退を勧告すること。  一 ベトナム問題の平和的解決のためにアジア諸国首脳会議開催を積極的に提案し、すみやかにジュネーブ協定に基づく関係国国際会議開催のため努力すること。   右決議する。  以上のような案文で御検討を願ったわけであります。  私どもから考えますと、これはまさに時宜を得た適切な決議であるし、この決議をすることが、本院の権威を高からしめ、とかく日本外交がすべてに対して消極的であるという世評も高いおりから、本院が、日本外交に対して筋合いを通すという意味で、非常に意義の高いものと、このように理解した次第です。もちろん、各党の間には、国際情勢に対する認識、評価等にはそれぞれの差異がありますので、そういう点については、内容において各党の御意見を伺い、これを調整すべきものは調整した上で、この案文にこだわらず、ぜひこの趣旨を生かして決議を行ないたい、このように考えて、いろいろ意見交換をしたわけであります。しかし、自由民主党さんのほうから、この内容以前の問題として、ベトナム問題に対して本院が平和解決を要望する決議をすることが、この時期に時宜を得ない、こういうことで理事会意見一致を見るに至らなかったわけであります。したがって、本委員会で私ども考え方を表明して、あらためてこの委員会皆さん方にお聞き取りを願いたいと思うわけであります。  近来、ベトナム問題について、世界各国あるいは各民族が、それぞれ非常に心痛をして、このまま放置しては戦争が防止されない、何かの働きかけをしなければならぬ。こういうことから、つい二、三日前も、ガーナのエンクルマ大統領特使が、それぞれの方面に出かけてそれぞれの折衝をし、ベトナム問題を平和的に解決することの要望をしておることは御存じのとおりであります。また、フランスも、ドゴール大統領特使であるマルロー氏が中国を訪問するとか、あるいはベトナムを訪問する動きをするとか、そういうような動きが顕著にあらわれております。一部新聞等では、イギリス平和解決に対する努力が一方の側から一笑に付された。一笑に付されたことが、何か国際世論の中で軽蔑されるような要素を持つかのような評価をしておるものがありますが、これまた、一笑に付されることであっても、あくまでも努力をするということから考えますと、必ずしも無意味なものではないと思うのであります。もちろん、平和解決については、それぞれの方法手段について見解相違もあろうと思うのでありますが、とにかくそれぞれの国が、それぞれの民族が、それぞれなりに非常に努力をしておる。こういうときに、わが国外交状態を見ると、何もしないことがむしろいいのだという、そういう考え方政府部内に非常に多い。特に外務大臣にその考えが強い。しかも、何もしないといいながら、事実はベトナム戦争の一方の側に加担するようなことを次々と行なっておる。先般のB5戦略爆撃機の問題についても、わが国から、緊急避難でまいったというものがそのまま現地の爆撃に出かけている。しかも、そのことに日本の側から抗議の空気が世論として高まってくると、むしろそれが意外であったというような受け取り方をアメリカがしておる。これほどアメリカ政府は、日本政府に対して、アジアにおける戦略的な行動あるいはその他の軍事行動については、無条件でこれを支持するのが当然である、また支持するであろうという観測すら持っておるということが表面化した一つのあらわれであります。こういう情勢を認めることは、決議案文にもありますように、明らかにアメリカ軍事行動わが国が加担したという評価を客観的にされても、これを否定することはできない状態になるわけでありまして、どうしてもここでわが国が、真に佐藤総理がいう平和に徹するという方針を持っていくならば、その平和に徹するということを具体的に行動にあらわす必要がある。このことを私どもはしきりに言っておるわけでありますが、いまだ積極的な動きがない。まことに遺憾であります。この際、本院としては、この問題に対しての国民の総意を衆議院の同志諸君一致した意見として表明し、政府を鞭撻して、平和解決のために重大な、効果的な役割りを果たすような、そういう画期的な転機を与える必要があろうと思うのであります。  御存じのように、国際情勢の変化に伴って、各国国会はそれぞれ無表情でありますが、アメリカにしても、よく上院議員のだれそれがこう言った、あるいは上院外交委員長がこう言った、そういう意思表示が、その国の国務長官意思表示に匹敵するほどの重みを持っておるわけであります。われわれがここでこの問題を軽視することは、本院の権威を低めることになり、本院の存在意義国民に疑問を持たせる結果になり、最近における政治不信その他は、多少枝葉末節にとらわれておる傾向もありますけれども、やはり本院に与えられた任務、国民の負託のうちの重大な問題を日ごろ積極的に取り上げていくという、それに対して、お互いに意見相違があれば本会議上で意見交換をする、討論をする、そうして問題の本質を国民に知らせる、そうして活発な討議を行ない、同時に政府に対して適切な助言をし、あるいは指示を与えるという、こういうことによってのみ、私は真の政治に対する信頼感、あるいは議会政治に対する信頼感、ひいては民主主義に対する信頼感というものが回復されると思うわけであります。こういう意味から、この決議案理事会意見一致を見ず、本委員会においても三党の共同提案という取り扱いを見るに至らなかったことは、まことに遺憾な次第であります。  本日は、私どもの態度を表明すると同時に、民主社会党皆さん方が、この決議案文を本会議に上程するために、私どもと同じ意見を持たれて、終始賛意を表されましたことに対して心から敬服し、感謝をしながら、私どもの本決議案文取り扱いに対しての意思を表明する次第であります。
  6. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま中嶋委員の本決議案に対する御意見を伺ったのでございますが、わが自由民主党といたしましては、本案が本議院運営委員会理事会提案せられましてから、数回にわたって、事態が非常に重要な問題であるということで、首脳部間においていろいろと意見交換を行ないました。現に本日も一時間近くにわたってこの問題の論議を行なったわけでありますが、遺憾ながら、ただいま中嶋委員の言われましたような見解とはその考え方を異にいたします。  率直に申しまして、ベトナム問題の平和解決につきましては、われわれは、他のいずれの政党、他のいずれの国にも劣らず、日本人として非常な平和解決に対する熱意を持っていることについては、私ども自由民主党としても人後に落ちるものではございませんが、字句の問題は別といたしましても、当面本案に掲げられた冒頭の六行等の御提案は、私どもはまことに一方的であると思う。平和解決、ことに国際法のじゅうりんとか、こういうような問題は、私議論をしようとは思いませんが、アメリカ国際法をじゅうりんしている事態は万ない。ただ平和解決をする上においては、北ベトナム南ベトナム、またアメリカ、一方においては中共ソ連、それぞれの立場においてほんとう平和解決を求めるには、現在の段階においては、いかなることも北ベトナムは聞かない、こういう立場をとっている現状において、本院の決議案というものは最も重要視せらるべきものであり、また決議が有効に世界に向かって効果を発揮するような形で動かなければいけませんし、もちろんその裏づけと申しますか、その背景をなすものは、この国会決議に対する政府行動でございます。この政府行動についても、政府としては、現在中嶋委員からお話しのような状況で、いまはまだその時期ではない、もう少し双方話し合いという機運が出てきたときに初めてこの問題のほんとう平和解決の端緒がつかめる。いたずらに消極的であるということが平和の問題に対してかえって害をなすとは私は考えておりません。単に積極的に行動をとることだけでは事態が円満に解決していないという今日までの事態から見まして、私は字句の問題にとらわれるわけではありませんが、政府をしてこの決議に基づいたりっぱな行動をとらせ、またとり得る時期というものがやがて来るのではないか。一方において、佐藤総理大臣も声明をしておりますように、また世界の多くの国々が理解しておられますように、現状においては大戦争の方向にはいかない。したがって、これを何とか平和的に解決するには、双方話し合いに応ずる態勢をいかにしてつくるかということが根本の問題でありまして、このように一方的にアメリカだけをきめつけるという行き方では、せっかく社会党さんが出される本決議案趣旨にも反する。かような立場から、現状においては私どもとしては遺憾ながら反対でございます。
  7. 鈴木一

    鈴木(一)委員 社会党から出されました決議案につきましては、わが党としてもいろいろ検討いたしました。いま伊能さんから御指摘のありましたように、やはり一方的と申しますか、片一方だけを非難しても問題の解決にはならないというふうな考えから、しかし、また同時に、社会党さんといろいろ交渉してみますと、この案文字句にはこだわらない、話し合いに応ずる、こういうふうな御意向でもございましたので、われわれとしては、当然議運の理事会で、いままでの決議案取り扱いと同じような形で話し合い機会が持たれるもの、このように考えまして、われわれとしての一つの案をつくったわけでございます。ちょっと読んでみます。     ベトナム問題の平和的解決に関する決議案   ベトナム紛争長期化と拡大は、アジア全体の平和に重大な脅威を与え、全世界人々の不安を高めている。   本院は、ベトナム紛争重大性にかんがみ、これが平和的解決のため、政府が直ちに次の措置をとるよう要求する。  一 南ベトナム並び北ベトナム攻撃にあたって、日本本土及び沖繩基地使用を一切拒否すること。  一 ベトナム紛争に対するいかなる種類協力も絶対行なわないこと。  一 交戦の当事国双方に対し武力行動即時停止を積極的に働きかけること。  一 ベトナム問題の平和的解決のためにアジア諸国首脳会議開催を積極的に提案し、すみやかにジュネーブ協定に基づく関係国国際会議開催のため努力すること。   右決議する。  一応私のほうとしては、自民党さんも平和には反対でない立場をとっておられるわけでありますから、このくらいのところなら、三党、あるいはまた共産党もこれに御同調願えて、今度の国会の本会議にかけるにふさわしい決議案ができるものと思って準備しておったわけでございます。ですから、せっかくの機会でもありますので、まだあすという日もありますし、もう一回自民党さんのほうにも社会党さんのほうにもお考えを願いたい、こういうふうな立場でございます。われわれは、一日戦争するよりも三百六十五日話し合いをして、まだ結論が出なくてもそのほうがいいんだ、そういうふうな立場から、ほんとう総理のいう平和に徹して、こういうふうな決議をぜひとも今国会で議決したい、こういう立場でございます。
  8. 安宅常彦

    安宅委員 伊能さん、どうも私の頭の回転が悪いのか、質問したいのです。  一つは、積極的なことをやるだけが能でなくて、じっとしている。消極的な、何かやがてそういう機運が来るであろう、それまで待つというのか。いままでの理事会話し合いでは、そういうことではなくて、内容についても話し合おうじゃないか、それはいいでしょうということをあなた方のほうでは言っていたように記憶している。ただいま民社さんのほうから、わが党から出したのとちょっと違った意味のものを準備しておったとせっかくおっしゃっておるのですから、そういうことはどう考えるのか、これが一つです。  それからもう一つは、社会党で出した山本幸一君外三名提出のこの決議案に対する批判はいいですよ。一方的であるとかなんとか、そんなことはいいですが、それじゃ自民党としてはどういうことをしようとしておるのか。やがて時期が来るまで待っておるのじゃ、これは話にならないので、一方的であるというなら、どういうところがどうだとか、そういうことをはっきり言ってもらわなければ困ると思う。ただ、私はここで申し上げておきますが、私らがいう解決案というのは、われわれが出したもの、これが一番正しい、こういうふうに考えて出しておるわけです。一方的に批判するというけれども北ベトナムの国なんかは、何にもしないのにぽかぽかやられておるのですから、じっとしておる間にたくさんの人が殺されて、たくさんの物的資源がやられておるのですから、南ベトナム民族の独立ということを考えてやっておるのに、何千海里か何万海里か向こうのほうから、おまえのやり方は気に食わぬというので、そうしてかってに軍隊を持ってきてやったのを、あなたのほうは非難しないで、一方的に非難すると言うのは私はどうもわからない。  ただ、そこでちょっと考えられることは、本会議で、平和に徹するとかいうことを佐藤総理が言いましたが、私はベトナム紛争には協力もしないし、日本としては何もしないのだ、協力なんかしていない、それで解決することを望むと言いながら、何かこういうことを言いましたよ。共産主義に対する戦いをアメリカがやっておるのだから、私はそれに賛成をしておるのだというような発言をしておりますね。そうなったら、武力抗争でも何でも、共産主義が浸透してぐるのに対してだけは何をやってもいいというふうにあの答弁は聞き取れた。これはどこかの委員会でやることでしょうから、私どもは本会議ではだまっておりましたけれども、そういう趣旨が盛られてあなたのほうでこの決議案反対だというならば、これはとんでもないことですから、私は、そういう意味でこの問題は努力積み重ねが必要だと思うのですけれども民社さんもいま言ったように、前から理事会で、あなたのほうで発言しておった、何とかして案文その他についても努力してみましょうということは、ほんとうは引き延ばしみたいにしておって、基本的にこれだけはだめなんだというのか、そこのところをひとつ具体的に説明してもらいたい。
  9. 伊能繁次郎

    伊能委員 当初のお尋ねに対しましては、さいぜん私から御説明はしたと思いますが、重ねて御説明を申し上げますと、私どもベトナム問題の平和解決に対する熱意については、当初申し上げましたように、決して他のいずれの党にも、いずれの国にも劣るものではない。しかし今日まで、中嶋委員からも御説明がありましたが、各国があらゆる手段を尽くしてやってきたが、めどが立たない。しかも、そのめどの立たない原因というものは、いかなる場合にも話し合いでは受け入れない、こういうことを北ベトナムが声明している現状、この現状も冷静に私どもとしては判断をしなければならない。したがって、そういう事態に立ったときに、いたずらに形式的な口先や行動だけでむだなことをすることが、この問題の解決になるかどうかということは、今日まで各国努力をした結果も実を結んでいないという事実からも、われわれはもう少し冷静にこの事態を直視する必要があるというので、私どもは、積極的ということばあるいは消極的ということばでいろいろ批判はありますが、現在は静観をして、いかなる時期、いかなる方法でやることがいいかということを政府としても考えている。そういう意味で、私どもはいたずらに積極的にやることだけが事態解決ではない、かような意味でございます。  もう一つ、一方的ということに対する御批判がありましたが、私は明かにこの内容の「アメリカ南北ベトナムにたいする軍事行動」から六行に至る間は、一方的だと考えます。ということは、北ベトナムに対しては、ソ連の兵器の援助あるいは中共の武力的な行動援助というようなものがあるので、それらのものは、やはり双方立場から事態を円満に解決するには、双方に対して平等に要求すべきものではなかろうか、かような意味合いから私はその問題を申し上げた次第でございます。
  10. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 ちょっと誤解があるようですから……。私の発言例証に二度引かれたのですが、伊能さんは、私は、いろいろな努力をしているが、まだその効果は十分あらわれていない、しかしそういう努力をすべきだ、だれかがちょっと動けば両方ともはいというようなときがきたらやろうという。これはだれでもやるので、それは安きにつくのであって、むずかしいときにこそ努力をし、それがむだのようであっても、その積み重ねの中に初めて平和解決がもたらされる。こういう見解のもとに先ほどの例証を引いたのであって、エンクルマが動いても、イギリスが動いても、フランスが動いても効果が出ないということを言いたくて言ったのではない。その点は御了承なさったようですから、はっきりしておいていただきたい。
  11. 伊能繁次郎

    伊能委員 私は、中嶋さんのお話はよくわかっておりますが、今日までの事態においては、各国が、中嶋さんのお話のように非常な熱意をもってこの問題に取っ組んできているが、今日までまだ何らの進展を見ておらない。しかも、最後の結論の第四項目については、これは私どもおそらくどなたも異議がないことだろうと思いますが、ことに至るまで、日本として今後いかなる時期にいかなる行動を起こすかというきわめて重要な時期であり、政府としては、国会決議に応じた行動を起こす必要があり、起こす責任がある。それにはどういう時期にやるかということを、もっと十分見きわめたいということがわが党の意見であり、また同時に、さいぜん安宅さんからお話がありましたが、自由民主党もこの問題については、内容に入って、誠意をもって理事会論議をするという話も出たではないか、それはお説のとおりでございます。したがって、私は、内々のことではございますが、二回の役員会にも出席をして、社会党さんの御趣旨についても説明をし、同時に、この六行にわたる一方的な問題については、話し合いの余地があるということも首脳部に報告をして、字句問題等については、私は私の意見を申し述べましたが、わが党としては、なお現在においてはその時期でないという結論に到達したということを申し上げておきます。
  12. 安宅常彦

    安宅委員 それはわかりました。何か努力をしようとする気持ちはわかりますが、ここで基本的な問題で論争しようとは思いません。ただ、そういうととだったら言わなければならないのは、先ほど佐藤総理の本会議での答弁にからんでちょっと言いましたけれども、ただいま一方的なと、こう言ったけれども、たとえばB5戦略爆撃機沖繩からの直接出撃によって明らかなように、沖繩及び日本本土基地として展開されており、これに対しては、佐藤総理困惑をしていると、はっきりあなたのほうの一番親分が本会議答弁している。それを一方的だというのはおかしいじゃないですか。自分のほうの一番親玉が困惑しているのに、一方的だというのは、何で一方的ですか。それだけははっきり言っておかなければならない。
  13. 伊能繁次郎

    伊能委員 私が、一方的だと申し上げたのは、アメリカのことだけを言うのが一方的だということと、内容自体についても、私がそう思っておりますことは、沖繩から発進したことについては、安保条約上、国際法上何ら違法ではないが、道義の点で、総理がこういうことはしてもらいたくないという気持ちがあったということは、率直に申し上げられると思います。しかし、法律的には何ら違法ではない、こういうことなんです。
  14. 安宅常彦

    安宅委員 それだったら、極東の範囲とかなんとか出てきますから、論争したくない。ただ、あなたのほうの一番偉い人が困惑していることを、一方的だと言うのはおかしいし、そういうことを言うならば、あなたは先ほど、ソビエト援助をしているからとか、中共の武力的な援助と言いましたね。中共アメリカ爆撃したり何かしていますか。そんなことを言い出したら大論争になりますよ。一方的だということは、ただ私は、具体的にB52の問題について、佐藤総理困惑をしていると言っているものさえも、一方的と言うのはおかしいじゃないかというので、それ以後のことは、あなたがそんなことを言うならば、それじゃ中国は何をしたのか。ソビエト北ベトナムに何もしないのに、アメリカからどかどかやられてかなわぬから、何とか援助してくれというのはあたりまえの話で、そんなことまで言い出したらますます大きくなるから、この四つの条件で直ちに努力をするように、これ以上大きくならないように、平和的解決というのは、平和的に——けんかして解決するものはありませんよ。だから、その方法手段はいろいろあるでしょうけれども内容に立ち入って何とかひとつまとめようと言ったことも事実だと、せっかくおっしゃっているのですから、そういうふうにするならいいのですが、どこまでも一方的だというところにこだわって、そうして、会期はあしたしかないのですから、そこの努力の積み上げということを、口では言うけれども、全然やらないということなら困る。そのために私は言っておるのだから、そこは誤解のないようにしていただきたい。
  15. 鈴木一

    鈴木(一)委員 伊能さんにお尋ねするわけですが、機運が醸成されるまで待っておるのだ、こういうふうなお話のようにさっき聞いたんですが、やはりここまでくれば、機運が醸成されるのを待つのではなくて、日本もやはりその機運をつくっていくのだ、そういう役割りこそ世界日本に期待しておるのだろうと私は思う。ですから、字句とか内容の点については御批判もありましたけれども、われわれとしては、いかなる戦争も悪として認めない、そういう立場からとにかく停戦させるのだ、こういうふうな立場から、やはり日本としても、ここで機運を醸成する意味で一歩を進めるべきではないか。総理の施政方針やあるいは答弁を聞きましても、平和に徹する、徹すると何回も言われますけれども、きて、何を徹しておるのかというと、さっぱり行動が伴わないというふうな感じを受けますので、これは単に自民党というふうな立場だけでなしに、日本国民全体の立場で、本院でこういう決議をするということは、私は非常に意義のあることだと思うのです。ですから、自民党さんの立場も十分考慮しつつ、また、われわれとしては、どんな戦争も、イデオロギー的にはいろいろなことをいわれても、それは認めないのだ、悪だという立場から、われわれとしては一つ案文をつくって話し合いをやっておったわけですから、われわれのいま読み上げました案文に対しては、どういう御感想を持っておりますか。
  16. 伊能繁次郎

    伊能委員 私は、鈴木さんの御意見については非常に敬意をもって拝聴したわけです。重ねて申し上げるようですが、一方的ということばに対する弁解も申し上げたいと思うのですが、国際法をじゅうりんしたと言いますが、アメリカは、南ベトナムの合法的な政府からの要請に基づいて、正式な援助をしているわけで、これは国際的に違法でも何でもない。そういう点が私どもは一方的だ、かように申し上げておるので、民主社会党さんの御提案については、私は非常に敬意をもって拝聴いたしました。しかし、現在のところでは、かかる決議をするというにあたっては、それの裏づけとしての政府行動等についても、政府としては、今回の決議案を裏づけするに足る行動を、できるだけ早い機会にとるということについて、まだ政府として明確な方針がきまっていないように思いますので、その意味でも、私は、もうしばらくこの問題については検討したい、こういう考えであります。
  17. 安宅常彦

    安宅委員 そろいう性格について論争するのですか。性格について論争するのだったら、国際条約から何からみな出ますよ。ジュネーブ協定に違反しているのはアメリカでしょう。そういうことはあまり言わないほうがいい。
  18. 鈴木一

    鈴木(一)委員 やってもむだだというようなお話もありましたけれども、人生全部有効なものというものはないと思います。やはりむだというものもあっていいし、また、そのむだが何回も積み重ねられている間に、有効なものがそこから出てくると思うのです。ですから、ただ敬意を表してもらっただけではありがたくないので、なお一歩を進めて行動に出していただいて、まだ会期はあすもあることですから、いままでの、たとえば南北領土の決議案でも、いろいろ紆余曲折があってあそこまできておるわけでございますから、そう別に国会運営上紛争もないわけですから、まだ十分時間があると思いますから、もう一回ひとつ御再考願えないかと私は思うのです。
  19. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は冒頭に、わが党から提案しておるベトナム問題の平和的解決に関する決議案取り扱いについて、明日まで会期のある今日この時点で、単に数だけでこれを処理するというのには、問題はきわめて重大な内容を含んでおります。したがって、やはり与党は与党、野党は野党としての議論は十分尽くす必要がある。これは、単に簡単に採決で処理するという内容のものとは性格的に違うと思います。その点については、委員長としても十分この取り扱いについてお考えを願いたい。  同時に、先ほど来中嶋君と伊能さんとの間でいろいろやりとりがありましたが、私は、わが党が書いている決議案内容については、わが党の立場からの見解というものが内容的に入っていることは、これは当然のことであります。しかも、先ほど来言っておりますように、内容については各党話し合いの中で、三党で一致する方向でまとめるということについては、何らわれわれとしても拘泥していないという立場も表明しておるわけですが、ただ、私は、この機会にやはり考えなければならぬことは、ベトナム戦争は非常に深刻な事態にきている。しかも、これはアジア地域で起こっている。何といっても、日本の動向とか、あるいは中国の動向とか、こういう両国の動向というものが、アジアにおける平和的問題については、重大な影響を持っておるということは否定しがたい事実であると思う。と同時に、日本は、申し上げるまでもなく平和憲法を持っている。そういう立場から、こういう紛争状態に対して、日本が平和憲法を持っておるという立場から、やはりわれわれ国会意思というものも十分考えていく必要がある。  同時に、私は今度のベトナム問題をどう見るかという具体的な中身に入ってくると、与党は与党なりに、社会党社会党なりに、ものの見方には若干差異が出てくると思う。ただ、お互いにここで考えなければならぬことは、私は、ベトナムにおける紛争の問題でも、過般の列国議会同盟のおり各国を回ってきたのですけれどもアメリカ自身が、御承知のように、いまから百八十九年前に、イギリスの植民地から独立戦争によって独立して、そして一つの国を形成してきたという歴史的経過がある。したがって、こういうベトナム紛争にせよ、キューバにせよ、あるいはドミニカにせよ、各国におけるいろいろなこういう紛争問題について、日本政府としても、あるいはそれを鞭推する立場にある与党としても、アメリカのこの種問題に対する見方、つまり、私が言うならば、二十世紀の今日の時点あるいは今後の問題の中では、植民地主義というものは清算されていかなければならない段階にきておる。そういう世界史の動向の中で、ベトナム紛争を一体どう見るのかという点について、やはりアメリカの偏狭なまでの軍事行動の中では、そういう歴史の歯車に対する判断、あるいは客観的な問題認識について、欠ける点が多いのではないかということを感ずるわけです。そういう点では、われわれがこの問題についてどういうふうに表現しているかという点については、与党からは与党としての用語上の意見はあると思いますけれども、しかし、これは私は必ずしも一方的というわけにはいかないと思う。アメリカとの御関係の深い政府や与党の立場でも、パートナーシップとして、もっとアメリカの対外政策というものについて、歴史の歯車に逆行しない方向に、正しく問題が運行していくようにいたしていくということが、絶対必要な段階にきているのではないかということを痛感しております。  冒頭に申し上げましたように、内容の議論は別としても——議論は別としてもと言っても、板付の問題や沖繩からの発進問題ということに今日なってきておる段階で、与野党で意見がまとまらずに、ベトナム問題については、国会決議一つできなかったという姿そのものは、私は、国民から見れば非常に不幸な姿だと思う。したがって、明日にかけて、私の気持ちとしては、さらに十分話し合いを進めて、最終的にまとまらなければ別ですが、努力を願いたい。
  20. 坪川信三

    坪川委員長 本日は、これくらいにいたしまして、追ってまた各党において検討いたしたい、こう思います。     —————————————
  21. 坪川信三

    坪川委員長 次に、本日、社会労働委員会の審査を終了した母子保健法案について、委員長から緊急上程の申し出があります。  本案は、本日の本会議に緊急上程するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  23. 坪川信三

    坪川委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。
  24. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 まず、人事でございます。旧軍港市国有財産処理審議会委員任命につき同意を求めるの件をおはかりいたします。共産党が反対でございます。次に、母子保健法案を緊急上程願いまして、松澤社会労働委員長の御報告がございます。本案は修正でございますが、共産党は棄権でございます。  以上でございます。
  25. 坪川信三

    坪川委員長 それでは、本会議は、午後一時五十分予鈴、午後二時から開会することといたします。     —————————————
  26. 坪川信三

    坪川委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、明十一日は会期最終日でありますので、午前十時から本会議を開会することといたします。  また、次回の委員会は、同日午前九時五十分理事会理事会散会後委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十八分散会