○
矢尾委員 そういたしますと、
基本方針は変わっておらないけれども、
アメリカ側から正式にまだそういう
申し出というものはないから、これから始める
会談を予測してそういうことを答えるわけにはいかぬというように解釈するのでございますが、しかし、これは
一括して
申し出てくるか出てこないかということについて、
アメリカ側の
態度といたしましては、すでに
武内アメリカ大使に対しましても、
マン国務次官との
話し合いにおいてもそういうような強い
意思表示がされておりますし、また
日本へ参りましてからは
代表団が正式に
新聞記者会見も拒否しておるような、ノーコメントで臨んでおるような状態でございますので、してはおりませんけれども、その
アメリカ側の
情勢あるいは
情報等すべてを
考えてみますると、
一括でなければ
交渉をしない、こういう
方針をきめておるのでございますから、もしも
アメリカ側が
一括交渉、そうして
日本は
ニューヨーク、
ワシントン、
ビヨンド、これだけを
一つ与える。十二
項目を
要求する。その中に
日本側においても、これだけは認めていいとか、これだけはやむを得ぬというようなことが、
けさあたりの
新聞にも出ておるのでございます。
しかし私
たちといたしまして
考えてみましても、この
日米航空協定というものが不平等であるということは、私が申し上げるまでもなく、もうすでによく御
承知のことでございまして、
日本が
占領下につくられたところの
協定がそのまま今日まだ生きておるというような
情勢であります。現在
アメリカが
首都から
首都への
乗り入れの
航空協定を結んでおるのは、二十二カ国あるのです。そのうち二十一カ国まで
首都から
首都へ
乗り入れをしておるが、一カ国だけ残っておるのが
日本だ。これ
一つ見ましても二十二カ国と
アメリカが結んでおる
航空協定の上においても大きな不平等である、こういうようなことを私
たち考えますと、
ニューヨーク、
ワシントンへ
乗り入れるということは、これは世界の各国が
航空協定を結ぶ上におけるところの基本的な問題でありまして、これはすでにもういままでに認められておらなければならない問題であるのに、今日まで再三
交渉をいたしましたけれども、それが成立せずして今日までになっておるのでございます。
運輸委員会においても、あるいは
外務委員会におきましても
決議をして再三
交渉をしても、これに
アメリカ側が応じなかった。
聞くところによると、
日本の
閣僚が
アメリカに参りまして、
日米経済合同会議をやられた。その場合は三日間でやられた。その三日間にわたってやられた
内容は盛りだくさんであって、
航空協定の問題もその
一つでありましたけれども、しかしながら、この間
大臣に
質問いたしましたところ、
航空問題についての具体的な問題は出なかったように報道されておったのであります。
航空問題に限っては東京へ行って話をしよう、これが最初のように聞く人にとっては受け取れるのでありますが、その
日米閣僚経済合同会議におきまして、
アメリカ側としては、具体的に十三
項目にわたるところの問題を提示しておるのです。そうしていろいろ
話し合いをしたけれども、時間もなかったし、またこの問題について、
新聞の報道によりますと、藤山さんにしても、あるいは三木さんにしても、
運輸大臣をバックアップして強い
意思を表明された。しかし、こういうことでこの問題が
日米経済合同閣僚会議においてまとまらなかった。この問題だけは切り離して、
日本で八月十日から
会議を開こうということになったのでありまして、今度十日から始まるのが初めてではなくして、すでにその十三
項目にわたる
要求というものは
日米経済閣僚会議において論議がされ、その不平等、その間違っておること等についても三
閣僚が強く主張されたということも報道されておるのでございます。といたしますと、
アメリカに行かれました
運輸大臣あるいは
航空局長は、その
会議の
内容というものは
秘密にされておりますけれども、すでにその十三
項目というものはもう
話題になっておる。そらして話がまとまらなかった。だから
日本に来て話をしようというのですから、それに対する対策というものは、私は、本日から
交渉に当たられる側におきましてはすでに決定されておるはずであると
考えるのでございます。私
たちは、決定された
内容につきましても、いたずらにあげ足をとってこれを追及して
政府を困らそうというような
意思は毛頭ございません。少なくとも私
たちはこの
日米航空協定の不
平等性を是正するために、それを解消するために、われわれ
運輸委員会といたしましても、先日も、非公式ではございますけれども、寄り寄り話をいたしましたのは、本日から始まる
航空協定交渉については十分バックアップしていく、そうしてこれの応援の体制をとっていきたい、こういう
考えをとっておるのでございまして、
運輸省といたしましても、何も
秘密にしていただく必要もなく、また
アメリカにおきましても、すでにそういう話があった、三日間の
閣僚会議においてはこれをどうすることもできなかったということで
日本へ持ってこられたというような状態になっておると私には
考えられるのでございます。
そうして
内容を
一つ一つ検討していけば、
日本に対しまして有利な問題は一
項目、
ニューヨーク、
ワシントン、
ビヨンド、これが
日本の
要求であって、
向こうは十二も
要求している。現在の段階におきましても大きな不
平等性があるにもかかわらず、現在、
日本は正しい当然の
要求、横車を押したところの
要求ではなくして、正しい
要求をしておるのにもかかわらず、十二
項目の、これをオーバーする、オーバーするどころか、四倍も五倍もするような
要求をしてきておるというのはもってのほかである。でございますから、ここ四、五日前からの
日本の大
新聞の論説におきましても、この問題を解決するためには、もう
日本の国は
日米航空協定を
破棄する以外には道はないだろうということを言われておる。また武内大使も、
アメリカにおきましての
新聞記者会見において、そういうことを漏らしておられるのでございます。私
たちはこういうようなことを
考えますと、この
航空協定の
破棄ということは、決して
政府が
考えておられるような、
日本と
アメリカとの間における今後の友好関係に支障を来たすというような結果にはならずして、少なくとも過去の事例を見ましても、きょう資料を持ってこなかったのでございますが、すでに英国におきましても、フィリピンにおきましても、インドにおきましても、その他もう一カ国ありましたが、一応は
破棄しておるのです。こういう不平等な条約を
破棄しておいて、
破棄したまま別かれておるかというと、
一つもそんなことはない。
破棄することによって、自分
たちの
要求を貫徹している。過去の事例というのはそういうことなんです。現在
日本の国が
破棄したことにおいて——現在このままの状態が続けば、
アメリカはそのほうがいいのです。
協定も何もせぬで、このままやったほうがいいのです。それを
日本が今日
破棄するということになれば、損をするのは
アメリカであって、
日本は経済的にも何らの痛痒を感じない。こういうような状態でございますので、
運輸当局としても、この
会議に臨まれる
方針というものをきめておられるだろう、無
方針で行き当たりばったりでやられるということはないだろうと思いますが、許されるならば、
日本の
方針の、詳細なことは説明は要りませんけれども、大筋だけでもひとつお示しを願って、われわれこの
航空協定の成功を心からこいねごうておる者といたしまして、十分その意のもとにバックアップしていきたいと思いますので、ひとつお聞かせを願いたい。
一つは、
アメリカにおいてそういう話がなかったものかどうかということです。その話がまとまらなかったのか、きょうから始まるのが初めてか。何もいま出ておらぬと政務次官が言われましたけれども、すでに
アメリカの経済
閣僚会議においてはそういう話があったはずなんです。あったから、三木さんも藤山さんも
運輸大臣を強くバックアップしてこられたというこの事実、きょう
向こうから何とか言うだろう、言わぬだろうという、そういうしろうとだましならわかりますけれども、そういう話では、私はこの
会議というものは成功させ得ないと思う。
運輸大臣は今月中ということを言うておられますけれども、きょうの
新聞報道を見てみますと、現在
日本に来ておられます代表が、フィリピンとの間において、ほかの問題について
航空協定の
話し合いをするらしい。時日もたいしてないので、この
会議というものは重大な
会議でありますから、
日本政府の
方針というものをひとつお聞かせを願いたいと思います。