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1965-03-27 第48回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十七日(土曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      小柳  勇君     藤田藤太郎君      鈴木  強君     千葉千代世君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         鈴木 一弘君     副主査                 久保 勘一君     委 員                 植竹 春彦君                 草葉 隆圓君                 野本 品吉君                 千葉千代世君                 藤田藤太郎君                 林   塩君    国務大臣        厚 生 大 臣  神田  博君    政府委員        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生大臣官房会        計課長      戸澤 政方君        厚生省公衆衛生        局長       若松 栄一君        厚生省医務局長  尾崎 嘉篤君        厚生省薬務局長  熊崎 正夫君        厚生省国立公園        局長       今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省年金局長  山本 正淑君        社会保険庁医療        保険部長     坂元貞一郎君    説明員        厚生大臣官房企        画室長      網野  智君        厚生省社会局庶        務課長      城戸 謙次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。本日、小柳勇君が委員を辞任され、その補欠として藤田藤太郎君が選任されました。それから鈴木強君が委員を辞任され、その補欠として千葉千代世君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 昭和四十年度総予算中、厚生省所管を議題といたします。  まず、政府説明を求めます。神田厚生大臣
  4. 神田博

    国務大臣神田博君) 昭和四十年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案概要について、御説明申し上げます。  厚生行政につきましては、日ごろ各位の御協力をいただき、逐年、予算増額を見、厚生行政の進展がはかられつつありますことはまことに喜ばしいことでありまして、この際、あらためて厚く御礼を申し上げたいと存じます。  さて、昭和四十年度厚生省所管一般会計予算における総額は、四千八百十九億四千百九十七万八千円でありまして、これを補正第一号後の昭和三十九年度予算四千百二十二億一千二百九十八万五千円に比較いたしますと、六百九十七億二千八百九十九万三千円の増加と相なり、前年度予算に対し一七%の増加率を示しており、また、前年度当初予算に対しましては二〇・八%の増加と相なっております。なお、国家予算総額に対する厚生省予算比率は一三・二%と相なっております。  以下、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。  まず第一は、生活保護費関係経費であります。生活扶助費につきましては、その基準額を一二%引き上げることといたしており、また、教育扶助につきましても基準引き上げを行なっております。このほか、保護施設職員待遇改善を行なうなど、生活保護費として総額一千六十一億六百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し、百二十六億一千八百余万円の増額となっております。  第二は、社会福祉費関係経費であります。まず、児童保護費でありますが、収容施設等飲食物費日常諸費等改善するほか、保育所及び収容施設職員待遇改善をはかるとともに職員の増員を行ない、また、新たに保健衛生費等を計上いたしております。また、新たに母子家庭栄養対策強化するため、低所得階層の妊産婦、乳幼児に対して一人一日一本当ての牛乳を無償で支給することとして、このための所要経費を計上するほか、母子衛生対策並びに身体障害児結核児童及び重症心身障害児療育対策に必要な経費をそれぞれ増額するなど、児童保護費として二百六十一億三千三百余万円を計上いたしております。また、保護施設児童福祉施設等各種社会福祉施設整備に必要な経費として二十八億円を計上いたしております。このほか、身体障害者保護費老人福祉費世帯更生資金母子福祉資金経費をそれぞれ増額するとともに、児童及び重度精神薄弱児扶養手当の内容を改善するなど、社会福祉費として総額四百二十九億四千七百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し四十七億七千八百余万円の増額となっております。  第三は、社会保険費関係経費であります。まず、国民健康保険助成費についてでありますが、昭和三十九年度以降四カ年計画をもちまして進められている家族全員に対する七割給付実施につきまして、昭和四十年度は第二年目としてその引き上げた部分について四分の三相当額国庫より助成するとともに、医療費緊急是正に対する特別措置を行なうなど、国民健康保険助成費として千百九十四億七千二百余万円を計上いたしております。次に、社会保険国庫負担金でありますが、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計繰り入れに必要な経費として二百五十七億五千三百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し、百二億八千余万円の増額となっております。また、拠出制国民年金につきましては、国庫負担金として百五十一億三百余万円を計上し、福祉年金につきましては、各年金額を月額二百円引き上げるとともに、障害範囲精神薄弱者にまで拡大し、また、扶養義務者所得制限緩和をはかるなど、福祉年金給付費として三百九十八億四千四百余万円を計上し、国民年金国庫負担金として六百三十億三千五百余万円を国民年金特別会計繰り入れることとし、社会保険費として総額二千九十五億三千余万円を計上いたしており、前年度予算に比し三百七十一億八百余万円の増額となっております。  第四は、保健衛生対策費関係経費であります。まず、精神衛生対策でありますが、精神衛生法に基づく命令入院措置をさらに強力に推進するほか、新たに通院医療費公費負担に要する費用に対する国庫補助制度を設け、在宅精神障害者対策強化をはかるなど、精神衛生費として百六十三億六千余万円を計上しており、前年度予算に比し二十八億余万円の増額となっております。次に、原爆障害対策費でありますが、原爆被爆者に対する健康管理強化をはかるとともに、さらに被爆者範囲拡大するなど、原爆障害対策費として十六億六百余万円を計上しており、前年度予算に比し二億七千七百余万円の増額となっております。このほか、結核医療費として三百二十六億九千二百余万円、保健所運営費法定伝染病予防費等保健衛生諸費として六十七億六千四百余万円、らい予防対策費として一億八千三百余万円、また、国立療養所に必要な経費として二百九十五億八千四百余万円をそれぞれ計上するなど、保健衛生対策費として総額九百十三億六千二百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し百九億五千百余万円の増額となっております。  第五は、遺族及び留守家族等援護費であります。まず、戦傷病者戦没者遺族等援護費でありますが、新たに、恩給年額改定にあわせて障害年金遺族年金及び遺族給与金増額改定を行なうこととし、必要な経費百八億二千余万円を計上いたしております。戦傷病者特別援護費については、新たに戦傷病者援護の増進に資するため戦傷病者相談員を設置するほか、療養手当額引き上げをはかるなど、これに必要な経費七億四千八百余万円を計上し、また、留守家族等援護費として四千九百余万円を計上するなど、遺族及び留守家族等援護費として総額百十七億六千六百余万円を計上いたしております。  第六は、環境衛生対策費であります。明るい生活環境を実現するため特に環境衛生施設整備をさらに強力に推進することとし、し尿処理施設等清掃施設整備費補助金については四十五億八千五百余万円、下水道終末処理施設整備費補助金については三十二億百余万円、簡易水道等施設費補助金については二十一億九千二百余万円を計上いたしております。また、新たに公害防止事業の推進をはかるため、公害防止事業団運営費について三千三百余万円を計上するなど、環境衛生対策費として総額百五億七千二百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し二十一億三千九百余万円の増額となっております。  以上、昭和四十年度厚生省所管一般会計予算案について、その概要を御説明申し上げたのであります。  次に、昭和四十年度厚生省所管特別会計予算案大要について、御説明申し上げます。  まず第一は、厚生保険特別会計についてでありますが、一般会計より二百四十六億七千九百七十七万円の繰り入れを見込みまして、各勘定歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。  第二は、国民年金特別会計についてでありますが、一般会計より六百三十億三千五百三十七万五千円の繰り入れを見込みまして、各勘定歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。  第三は、船員保険特別会計についてであります。船員保険特別会計につきましては、十億七千三百二十九万三千円の一般会計よりの繰り入れを行ない、歳入二百二十八億三百万一千円、歳出百六十二億三千八百五十九万九千円を計上いたしております。  第四は、国立病院特別会計についてでありますが、一般会計より三十四億三千五百十八万一千円の繰り入れを見込みまして、歳入歳出とも三百十五億四千四百七十五万四千円を計上いたしております。  最後に、あへん特別会計についてでありますが、歳入歳出とも五億九千百二十万九千円を計上いたしております。  以上、昭和四十年度の厚生省所管一般会計及び各特別会計予算案につきまして、その概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
  5. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) これより質疑に入ります。  質疑の通告がございますので、順次発言を許します。藤田君。
  6. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は時間がありませんので、三点について大臣の御所見を承りたいと思います。  一つは、社会保障はどうあるべきかという問題について意見を伺いたいのでございます。本来、社会保障とは、口では言いやすいのでありますけれども、なかなか実際は進んでいないわけであります。今度の政府中期経済計画によって、いまの現状で、三十八年現在でどれだけのものができるかという外国の統計で計数を書いていますが、そこには日本社会保障費というのは、国民所得の八%が妥当だということが書いてあります。これは国民に知らしめる唯一な政府計画でありますから、それと現実行なわれている社会保障国民所得比率というものはだいぶん違っておると思います。ですから、厚生省社会保障を進める、この社会保障というものは慈善や恩恵というものを与えるという立場しかない。今日の世界の推移を見てみますと、経済成長に応じて、生産消費バランスをどうとって景気変動をなくしていくか、主権在民という国家体系の中で、どう社会保障があるべきだということが議論の中心になり、それが今日進んでおると私は思うのでございます。従来、先進国は、国民所得の二〇%近くも社会保障費をとって、むしろ景気変動というむだをなくするための重要な管になっておると私はそう思う。だから、そういうかまえが、今日の日本に立てられない限り、国民生活犠牲になる、これは社会保障犠牲になるとは言えないわけでありますけれども、たとえば日本の三十五年以来の投資勘定を見ておりますと、異例なことをやっている。この中期経済計画にも指摘しておるのでありますけれども、あまりにも経済投資高度成長に力を入れ過ぎて、消費の面、要するに社会保障やその他の購買力の面に力を入れなかったことが、今日の経済のひずみということをここではっきり言っておるわけです。言っておりながら、そのことが実際に実施されていない、私はそういうことを考えてみますと、社会保障というものが、厚生大臣はもっと決意を持って、もっと堂々と内閣でも発言され、そうしてまた国民に向かっても、いまのような景気変動の中で国民が苦しんでおる状態を、私はコントロールする重要なかぎ社会保障拡大にあると、私はそう思っておる。そういう立場から、ひとつ厚生大臣社会保障はどうあるべきかという考え方についてお聞かせ願いたい。専門的に研究されておる研究室はありますから、あわせて御意見をお伺いいたします。
  7. 神田博

    国務大臣神田博君) 大要私から御説明申し上げたいと思います。  わが国社会保障のあるべき姿を一体どういうふうに考えておるのかというような意味に伺ったわけでございます。私は御承知のように、わが国社会保障が立ちおくれておる。これは相当立ちおくれておることは事実でございまして、非常に遺憾なことだと考えております。その例を申し上げましても、児童手当すらまだ実施の段階にいっていない、これは今年調査をいたしまして、できるだけ早い機会に実施したいと思っておるわけでございますが、そういう基本的な柱さえまだ立っていないという事態でございまして、いかにおくれているかということはお述べになったとおりだと思います。景気変動に伴ういろいろの防貧関係を、むしろ救貧より防貧関係に力を入れて、社会保障施設をふやしてまいりたい。私どもいつも考えておるわけでございますが、国民総生産の一〇%ぐらいがひとつ社会保障に回ってくるならば、ある程度の姿が出てまいるのじゃないか、こういうことを一つのめどにして考えてやっておるわけでございますが、わが国現状が、戦後なかなか社会投資が立ちおくれておるというようなことで、いまお述べにもございましたが、いろいろの方面の投資が先行されておりまして、国民の声もそのほうが強いものでございますから、どちらかというと、社会保障がおくれておるということは、まことに残念なことであります。しかし、これは大きく前進する前に、やはり社会保障も、何といっても国民経済力の裏づけがなくては大きな飛躍ができないわけでございますので、その辺のことを考えながら努力してまいっておるわけでございますが、なかなか大幅に伸び足りない点は遺憾でございます。しかし、今年度の予算等の折衝につきましても、いま申し上げたような趣旨で、救貧よりも防貧にひとつ力を入れてやってまいりたい、かように考えまして、各費目にわたりまして極力折衝いたしたわけでございます。高度成長のひずみがことにまいっている。高度成長についてもいろいろ議論がございますが、高度成長高度成長としての一つの大きな役割りをやっているわけでございますが、さればといって、そのひずみをそのままにしておくということは、これは許されませんことは申し上げるまでもないと思います。十分それらのことも考えながら、予算の上にあらわしてまいったつもりでございます。しかし、厚生大臣はこれで満足しておるかということでございますれば、私としては決して満足しておるわけではございません。むしろ大きな不満を持っておる。しかし、内閣全体のやはり調整でございますので、それはそれなりとして後年度に大きな希望を持ちながらその対策を立てている、こういうことでひとつ御了承を願いたいと思います。
  8. 網野智

    説明員網野智君) 社会保障充実につきましては、特に昨年の暮れにいろいろ審議されました中期経済計画等におきましても、その充実をはかることが必要であろうということをいろいろ言っておるわけでございます。で、現状につきまして国際比較をしてみますると、国民所得に対する社会保障割合ということで一応国際比較をするわけでございますが、一九六〇年におきまして西ドイツが一九・九%、フランスが一七・四%、イタリーがちょっと低くて一五・二%、スウェーデン一三・六%、イギリス一二・九%でございまして、日本は一九六三年におきまして六・三%というような割合になっておるわけでございます。したがいまして、社会保障の水準を先進諸国のそれに近づけるというようなこともございまして、中期経済計画におきましては、社会保障の指標としての振りかえ所得というようなもので一応社会保障規模拡大ということを考えておるわけでございますが、昭和三十八年度におきましては、その振りかえ所得が九千六百十億円ということになっておりまして、国民所得対比では五・三%というような現状になっております。それを目標年次でありますところの昭和四十三年度におきましては、規模を二兆一千百億円、国民所得対比で七%に引き上げるというようにしておるわけでございまして、それは三十八年に比べまして四十三年度の規模は二・二倍にするというようなかっこうになるわけでございます。それで、それでは社会保障についてある程度重点を置いているかどうかというような問題でございますが、先ほど申しました振りかえ所得の四十三年度の規模というのは、計画期間中におきましてこれを年平均伸び率というように単純に算出してみますると、年平均一七%伸びるというようなことに計算上なるわけでございます。ところが、ほかのものを見ますると、国民総生産におきましては名目で一〇・六%しか伸びない、それから政府投資は一一・二%しか伸びないというようなことでございまして、むしろそういうような数字を見ますれば、社会保障伸びについては従来の傾向とほとんど同じような伸びでございますが、ほかの伸びを押えておりますので、社会保障にやや重点が置かれているということが言えるのではないか、こう考えるわけでございます。
  9. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、厚生大臣防貧ということをおっしゃいました。しかし、私は防貧という概念社会保障というものは経済の中でどういう位置を占めるか、こういうところに観点を持たない限り、単に防貧というようなものの考え方で、社会保障審議会救貧から防貧へという勧告を出しておられます。しかし、今日の社会保障のあり方、主権在民という国家体系の中で、防貧じゃなしに主権者が政治の中で第一に守られるべきだというのが第一の概念だと私は思う。そこから始まって、単によけいやるから得をするとか損をするとかという観念じゃなしに、国民がたえ忍んで設備拡大をしたものがほこりをかぶってとまっている、こういう現状をどう打開していくか。私は財政上の問題がよく云々されるのでございますけれども、一九六二年当時までのヨーロッパ先進国投資国民総生産との関係を見てみましても、アメリカが六二年で二二%、イギリスが九・四%、フランスが一二%、ドイツ、イタリアも大体二二%、そこで、日本はどうかといったら、日本は三十五年以来、昭和三十五年が二二%、三十六年が二五%、三十七年が二三%、あと二一%、二二%の膨大な設備拡大をやっているわけでございます。外国はそれじゃその設備拡大国民生活をどうしているかというと、勤労者生産について賃金所得というあらわれ方をしますが、老齢者母子家族や身体障者は労働生産という関係がありませんから、そこでその購買力所得を高める所得保障をする、医療関係は無料にする、児童手当の問題は第三の貧困の原因である多子家族への児童手当、そういうかっこう計画が進んできているわけです。最低賃金しかりでありますが、そういうものはスライディングシステムである、経済成長において。それによって計画された拡大消費の場面とバランスをとって景気変動というむだをなくしていく、日本はそうでなしに、二十何%も拡大をやって、物価値上げ原因はこの中期経済計画にもそういう観念を初めて書いているのです。生産性が上がっても、生産性が上がったものが消費国民生活にほとんど回っていないのだ。これが有効に利用されていないところに、また管理価格その他によって物価値上げができているのだということが、中期経済計画が、あたらずといえども遠からずの五項目に分けてこれを指摘しております。たとえば、この設備拡大が五兆円といたしましたら、外国が一一ないし一二%であって、日本がより拡大しなければならぬというのなら一五%に拡大を押えたとしたらどれだけの余裕財源が出るか、一兆二千億、一兆五千億の財源余裕財源として出てくる。それをスライディングシステムとか、社会保障購買力の上に上げていくならどうなる。つくった工場がほこりをかぶってとまっておるというような情けない現状が生まれてこない。私は厚生行政というものは、社会保障というものは、そういうところからものの考え方をしていかなければいかぬのじゃないか。単に予算財源分配闘争、こっちが、うちのほうが少し進んでいるのだという計数だけいじくっているのでは、社会保障は形式的な満足ができたとしても、日本経済全体の中でどう経済が正常な形で進んでいくかということには、ひとつも役割りをなさないことになるのじゃないか。ですから、今日の外国の学者の諸君が指摘しているように、EEC諸国なんかの社会保障経済かぎになっているということまで指摘しているところでございます。最近の例を見ますと、たとえば医療制度などは相当進んでおります。しかし、EECが一九六二年十二月に年金制度については最終給料の六〇%、児童手当フランス方式多子家族社会が育成するという方式を確認をして、今年あたりでは六カ国が完成、ドイツは去年の春にフランス方式に切りかえた。私はそういう形のものがどんどんといまの厚生行政社会保障概念の中で考えられ、それが経済計画の中にあらわれてこなければいかぬのじゃないか。ここで、中期経済計画の函数の中で、日本経済は三十八年度八・二%になり、四十三年には九・七%になるといいながら、計画のところでは五・三%を七%に上げる。私は外国ヨーロッパ並みにせいということじゃない、そういうものの考え方の姿勢を、そういう新しいむだな経済摩擦国民が困っているようなことを避けるためにも、社会保障というものは真剣に取り組まなければいかぬのじゃないか、私はそう思う。国民の一人当たりの分配所得フランスが四十五万円、日本がことし二十二兆ですから二十三万円になるとしたら、それだけの額に近い率だけ、制度だけは進めていかなければならぬ、そういうかまえを持たなければ私はいけないのじゃないか、そういうぐあいに考えるわけでありますが、厚生省はそのような問題について、研究室を持って研究しているのですから、どういうぐあいにお考えになっているか、お聞きしたいと思う。
  10. 網野智

    説明員網野智君) ただいま先生がおっしゃいましたような考え方等につきまして、実は先ほど御説明申し上げました中期経済計画の中の国民生活分科会報告の中で、そういう問題をいろいろ取り上げて言っておるわけであります。私どももちろんそういう考え方をいろいろ受けまして討論したわけでございますから、まず考えられることは、国民経済との関係社会保障がどういうような役割りを持つか、これについてはいろいろ学説、議論がございますので、確定的な意見は申し上げるわけにいかないと思いますが、先ほど申されましたように、一つの点は、社会保障というものは所得再配分の機能を持っておる。したがいまして、そういう意味経済成長の過程において、賃金格差というものが、ある面において縮まり、ある面においては必ずしも縮まっておらない。そういう場合に社会保障所得格差の面である程度働いてくる役割りもあるんじゃないか。それから社会保障の支出は大体基礎的消費が多いわけでありまして、基礎的消費というものは大体所得弾力性が少ない。したがって、国民経済消費の面からいうと、非常に安定的な機能を果たすということも考えられるわけでございまして、したがって、社会保障拡大するということは国民経済の面から見ても消費効果に相当大きな影響を与えるであろう。さらに生産投資、貯蓄の面におきましては、公的貯蓄というような面で相当国民生活の面に大きな影響を与える、こういうことをいろいろ考えておるわけでございまして、そういう面から社会保障充実ということは、単に経済を阻害する要因というように見らるべきではなくて、むしろ、ある意味におきましては経済を促進する、あるいは経済を安定化する、安定的成長を助ける、そういう面もあろうかということでいろいろ議論をいたしまして、その議論の結果が中期経済計画国民生活分科会報告の中にいろいろ出ておるわけでございます。
  11. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は一つの面では、主権者国民なんですから、国民を政治、経済社会の中でどう生活や環境を守っていくか、直接的な社会保障と言われているものと環境整備その他が付随すると私は思います。一つの面としては、経済の正常な発展、これを無視して力の関係だけで、救貧とか防貧議論をして見たって、それは今日の先進国のというか、これからわれわれが進むべき社会形態から見たらナンセンスだと私は思います。そこまで今日の世界の動きが来ているということを、ひとつ十分頭に入れて社会保障というものを考えていただかなければいかぬのではないか、単に財源の分け取りをすることだけで、社会保障が何%上がったという問題では私はないと思う。せっかくこしらえた設備がほこりをかぶって遊んでいるようなものに、資金調達を、カルテルやその他で物価値上げ国民が負担しているというこの事実、姿というものを、私はもっとやはり考えていただかなければいかぬのじゃないか。それから直接社会保障と言われているものばかりじゃございません。広い意味では社会保障でありますけれども、日本では附帯人件費が云々という時代がありました。しかし、いま外国の調べをして見ましても、附帯人件費、社会保険費の補助、労務補助なんというのは、日本は低いほうでございます。これも社会保障と非常に関係が私はあると思う。だから、そういう意味で年金の問題やそれから医療の問題、二つの面から私は考えていただかなければ社会保障というものは前進しないのではないか。  それから私はいろいろ意見のあるところでありますが、児童手当ですね、この児童手当、たとえば年金の所得保障で、ひとつ貧乏になることが防げる、病気になってこれを社会全体でなおすことによって貧乏になることが防げる。しかし、たくさん子供ができたときに、その子供を、同一の月給、所得で養うときには、たくさん子供があると家庭は貧乏になるのはきまっている。急速度に世界でこれは発展をいたしました。私、先ほど申し上げましたように、EECが非常に力を入れてまいりました。単にEEC、よその国じゃなしに、そういうものが相和して私は経済、貿易というものが進んでくるのではないか。チープレーバー、ソシアル・ダンピングのそしりを受けた日本が、またこのような形でそしりを受けることが、私はじりじりと、いまのような社会保障制度が進んでいる限りは迫ってきているような気がするわけであります。ですから、私はそういう点は大胆に社会保障という慨念、社会保障はどうあるべきかということを、もっともっと深くえぐってものを考え、医療や所得保障や福祉の問題や、環境整備の問題やその他の問題をお考えにならない限り、私は最後の答えは、交流、貿易、チープレーバー、ソシアル・ダンピングのこの深刻な状態に日本自身が経済的に追い込まれていく、こういう気がするわけでありますので、その辺の御協力をぜひお願いをしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  12. 網野智

    説明員網野智君) ただいま先生が言われました問題で、特に近年の人口構造の老齢化という現象がきわめて顕著なわけでございまして、そういう面から、わが国におきましておくれておりますところの所得保障の拡充ということは、きわめて緊要な問題だと、これは先ほど御説明申し上げました中期経済計画の中でも、その点は非常に強く叫ばれ、主張されているわけでございます。児童手当の問題につきましても、確かに年功序列型賃金をとっておりますわが国現状におきましては、四十くらいをピークにいたしまして生活が非常に苦しくなる、所得と支出が非常にアンバランスを来たしている、その特に大きな内容は、子供に対する教育費が非常にかかっているというようなことが、私どもの調査研究で実はわかっているわけでございまして、そういう意味からいきましても、児童手当というような問題も早急に、実現について検討を進めなければいけないということを考えているわけでございます。
  13. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まあフランス児童手当一つとって見ますと、一九六三年で最低賃金が二万三千五百円、大体一〇%くらい上がったと見て二万五千円だと私は思うのです。そのフランスの最低賃金に対して、第二児は二二%、第三児以下は三三%、十才以上の者は五%プラスというかっこうになって子供を守っているわけですね。四十才ぐらいの子供の多い人は困る、というのは、要するに同じ給料をもらって、子供のある人とない人とを並べておるから苦しくなるのであって、そういう分析も十分にしてみて、児童手当をおやりになったらいいのではないかと私は思うのです。労務対策費で出ておる家族手当で、たとえば妻の千五百円なり第一子は千円、第二子は六百円、第三子四百円であとゼロ、こんな家族手当、児童手当は本来の姿とは全く違う、それを生き写しにして生別家族には千円、六百円、四百円、このごろ千円くらいに上がりましたけれども、そういう社会保障としての児童手当が、そういうところからどう概念が出てくるかと私は言いたい。しかし、私はここで議論いたしません。いずれそういう議論をするところがあると思いますけれども、そういうようなものの考え方が、社会保障という概念がはっきりしていないから、厚生省社会保障というのはいかにあるべきかということがはっきりしていないから、社会迎合的な、事業者迎合的な生別家族に第一子から下になったらしまいになる家族手当、生別家族の児童手当が生まれてくると思うのです。これは社会保障とは縁のないものだとは私は言い切りませんけれども、社会保障という概念とは全く逆な方向にものの考え方がいっていると私は思うのであります。だから、いずれにいたしましても、時間がないのでもうしゃべることができませんけれども、ものの考え方というものは、社会保障というのはいかにあるべきかということをきちっとしてもらいたい、これはお願いでございます。  それからもう一、二点聞いておきたいと思うのです。一つ国民健康保険の問題でございます。もう一つは医薬品の問題でございます。健康保険の国保の問題でありますけれども、国保のいまの市町村が困っている現状というのは、私が説明せぬでも皆さんよくわかっていると思うのです。ですから先日、厚生大臣の発言を聞くと、趣旨は全額負担せにゃいかぬという御意見がありました。大体四百円くらいかかっているのが二百円ぐらいでとどまっている、また、昨年度の定額分と調整分とで百二十一億ですか赤字がある、これはいずれその定額分のほうは順次出ていくと思うのですけれども、事務費の欠損分や調整金の欠損分は三十九年度末で打ち切られるのではないかと私は思うのです。そういう措置をどうするのか。それから九・五%値上げによって三十九年度は一応カバーしたかっこうになっているけれども、四十年度は四分の一しかカバーしていない、市町村の財政を困難にするやつをなお拍車をかけているような結果になりはせぬか、私はそういうものをずっと見てみますと、医療費問題は、いま社会保険審議会、社会保障制度審議会でやっていますから、これには触れたくないのです。先ほど申し上げました社会保障の基本というものがはっきりしてきたら、そんな問題はいま審議会でどういう結論が出るか知りませんけれども、費用がふえたら費用計算におっかぶせたらいいという思想は私は生まれてこないと思う、ここであまり触れませんが。さしあたって国保の問題、たとえばきのう、おとといの報告を聞くと、高いところは十万円、一年間の保険料が十万円、所得がある人だからとってもいいというなら、そういう十万円の保険料をとるなら、なぜ頭打ちにするかという議論が出てくると思う。目的的な税ですから一定限度で切るんだというけれども、それはものすごくたくさんの所得のある人に私はやっぱり負担をしてもらうという道を開かなければならぬ時がきておるのではないかと思うのです。百五十万かそこらのところから上は十万円だということになったら、単にたくさん金を持っておるとか、たくさん株主配当をもらって所得があるというならともかくとして、勤労者が勤労して得た所得の中から十万円も、そんな保険料をとられるということになったら、私は皆保険といっても悲劇だと思うんです。だから、そういう点でこの赤字の解消をどうするか、それじゃ国保をどういうぐあいに改めていくのか。もっとこまかく言えば、事務費の問題その他ありますけれども、そういうことについて御見解を聞きたい。  それから市町村会で国保の赤字は一般会計から補給しないという申し合わせをしておる。現実は赤字が出るのがわかっているのに、そういう申し合わせをしていったら、国保はどっち向いて走っていくかということ、そのはしりが豊中市のように市会で国保返上論が出てくる、ことしは一つか二つでありましょうけれども、年を経るに応じて問題は深刻な状態になる、私はそう思う。だから、厚生大臣はこういう点ぜひともひとつ力を入れて御配慮を願いたい、こう思うんです。所見があったら聞いておきます。
  14. 神田博

    国務大臣神田博君) 市町村の国民健康保険が財政的に非常に困窮していることは、いまお述べになったとおりでございまして、われわれも非常に苦慮しているところでございます。三十九年度のいまお述べになりました百三十一億に相当する赤字の補てんにつきましては、財政当局とも話が進んでおりまして、これは適当な機会をみてやる、こういうようなことに考えております。  それから問題は、三十九年度はびほう策でございますが、四十九年度以降、これは皆保険がだんだん進んでまいりますから、こういう例が多くなっていくということについて、抜本的なやはり考え方をしなければいかぬのじゃないか。いまの国民保険が市町村単位が一体いいのか、あるいは府県単位に引き上げるべきものかどうか、あるいは国の直営にすべきものかどうかというようなこともあわせまして抜本的な制度の検討を加えてみたい、これはいまお述べになったことだけでも問題が相当ございます。まだそのほかにもたくさん重要問題をかかえておりますので、来年度の予算編成までにはそういった問題も込めまして、そして国保が国民の保健を守り、医療が十分に行なわれていくという観点に立って、いまのような市町村が非常に迷惑をしているというようなことのないようにいたしたい、こういう心がまえで検討をいま進めておる際でございます。
  15. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、いまの三十九年度の国保の赤字は年度末までに処理する、こう理解していいですね。
  16. 神田博

    国務大臣神田博君) 年度末までにはちょっと間に合わないと思います。もう数日しかございませんから。年度あけまして、できるだけ早い機会にやりたいと思っております。それから、それまでの補てん方法等については、それぞれ各団体の事情等もございましょうから、十分ひとつ指示したい、こう思っております。
  17. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 定額分についてはいま大臣がおっしゃったことでいいと思う。しかし、調整金の問題はそうはいかぬのじゃないですか、どうですか、そういきますか。
  18. 神田博

    国務大臣神田博君) これはいまの折衝過程では、これも何かの方法でひとつ込めて話を進めております。それはやはり落ちますと相当な額になるものでございますから、名目を変えて、それも込めて解決したい、こういうことで打ち合わせをしております。
  19. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこでもう一言私は国保について申し上げておきたいと思うんです。いま市町村が困っているのは、東京都が十八億円ですか、大阪市が十一億円、まだたくさん赤字をかかえてきゅうきゅうとしていて、補てんも一般会計からしない。京都なども十七億もの赤字をかかえているわけです。この処理はどうするかという重要な課題が残っておるわけでありますけれども、市町村はみずからの市民の福祉を守るために事業を起こします。これは国保も国家事業であると言ったって、市民のための福祉事業なんですから、私はそれを別だとは言いませんけれども、しかし、財源の余裕どころか、その他の苦しい状態の中で、国保に——まず生命に関する問題だから、本来言えば厚生省がやるべき皆保険の問題であるけれども、ここにおもな財源をほうり込む。そのためにみずからのたとえば交通事業であるとか、水道事業であるとか、その他の地方自治体がやらなければならないことが、独採制の法律でもって縛られていると言いますけれども、基礎材料その他の準備なんかは地方自治体でやらなければいけない。これも手がつけられない。そして答えはどうかと言うたら、料金値上げで一切がっさい処理しますという流れなんです。だから、中期経済計画物価値上げの要因というものを五つほどあげておいでになるけれども、政府は。それといまのことはどういう関係にあるのか。私は厚生行政としても十分にここで考えていただかなければならないところではないかと私は思う。七割給付けっこうです。われわれは一〇〇%にしてもらいたい。しかし、そう短兵急に明日から一〇〇%にせよということは私は申し上げませんけれども、しかし、七割給付になったら七割給付の分は国がめんどうを見るということでなければ、これは赤字ということになるわけです。四分の三しかこれまた政府は見ないのであります。ですから、私は何でもかんでも地方の市町村にかぶせておけばいいじゃないかという、その考え方が続く限りは、私は福祉行政をやる市町村はあらゆる面で困っているということをどうぞお考えになっていただきたい。そうでないと、あれは一般物価と少し違うので、それは公共料金はまた別やなんというものの考え方にお立ちになって、こういう問題をお考えになっておれば、私はそれこそ重大な問題だと私は思うのです。だから、そういう点も含めて、いまの前年度の赤字の処理はいまの厚生大臣が処理するとおっしゃるのですから、それはまあそれで了解をしますが、四十年度の問題の処理をどうするかということを、たった十五億、六十億の中の十五億しか出していないわけでありますから、あとの四十五億をどうするかということの構想をお聞かせ願いたい。事務費を含めて。
  20. 神田博

    国務大臣神田博君) いまの問題でございますが、事務費と合わせてそれもいま折衝しておる段階でございます。問題は政府の助成率どおりにいかないところに問題があるのでございます。これをどう解決するかということがまず前提だと思います。それからいまのそれで一体やっていけるかどうかという問題でございます。たとえば五割給付が七割給付になった、二割については政府が四分の三を持つことになっておるのを、いつも四分の三を少な目に見ておるものですから、立てかえ、立てかえということが出てまいります。そういうことをきちんとしてみて、一体四分の三でいけるのかいけないのかというような問題を込めて、私は詰めてみなければならないのではないかと思います。そういうようなこと、それからいまお話しございました値上げの分の四分の一、四分の三残っている問題もいま折衝をいたしておる段階でございます。
  21. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まあそれはそのぐらいにして、薬価の問題について少しお尋ねをしたいと思うのです。これは私は先日、厚生省が薬価を三%下げるとおっしゃり、まだ余裕があるのではないか、もうちょっと努力をしていいのではないか。世間ではプラス一・五%と言われておるわけでありますけれども、しかし、私はそれだけでいいのかどうかというところをきょうはお尋ねをしたい。薬というのは、電気製品とか、ミシンとか、そういう需要と供給のバランスをとって価値がきまったり、自分の主観によってかってな管理価格をきめたりするようなものとは、一つの面から見れば商業ベースですからそういう見方もできると思うんです。しかし、少なくともいまの健康保険から始まって皆保険の時代になっている。社会保障の柱として医療保障という問題がここへ出てきて、また、それを実際に進めなければならぬ段階に私は今日あると思う。その医薬品がいまの電気製品やミシンその他と同じような商業ベースで自由な販売だけでいいのか、これは重大な問題だと思う。最近どこの家庭でもテレビがつきました。テレビのスイッチをひねったら医薬品の宣伝がまず第一に目に入ってくる。耳に入ってくるわけでございます。町を歩きましても、看板の一番大きいのは医薬品の看板でございます。大いに国民保健のために研究所をつくって検討していただいていることは私も認めます。認めますけれども、医薬品というものが、いま三%とか、一・五%、どのものさしで下げようとしておられるのか。もっと原価計算をして、医薬品というものが国民保健のために、病気治療のために医療制度の中に取り入れられている。その医薬品というものがそんなあいまいな状態だけで算定し、判断をしていいものであるかどうか。国民保健の上からいっても、医薬品の原価計算——医薬品というものはどれだけのコストがかかってどれだけの販売をするというところまで突っ込んで医薬品の価格認定、販売認定というものを厚生行政の医薬行政としてはおやりになるのが今日の日本においては当然ではなかろうか。私は三、四年前にアメリカの原価計算の資料をとったことがございます。そのときには、原価は五分だったと私は記憶をいたしているのでありますけれども、日本のそれじゃ医薬品の原価計算で、コストがどうあって、その中において経費がどうかかって、宣伝費がどうかかって、これだけどうするというようなことをいままで摘出されたことがあるのかどうか。私はそこまで突っ込まなければならぬ時代にきていると思うんです。皆保険で一兆をこえるといわれる医療費の中の三〇何%、三分の一も医薬費が占めているという今日の状況のもとにおいて、そんなことでいいのかということを非常に疑問に思っている。これについて大臣の見解を承りたい。
  22. 神田博

    国務大臣神田博君) いま藤田さんのお述べになりました医薬品の原価計算等に関する考え方は、私もその気持ちはよくわかりまして、そういう考えを持たないわけでもございませんが、御承知のように、製薬業界というのは、ここ最近活発に設備投資がされてまいっております。急激に伸びたと申しましょうか、しかも小さいのを入れますと千軒以上というような業界でございます。なかなか一社独占という薬は少ないんで、三社以上が大体やっているわけでございます。これを一々原価計算でもっていくということ、いわゆるものさしの当て方がいまの厚生省の人員、機構等では私はなかなかむずかしいのじゃないか。私も多少商売のことも経験がございますので、そういった基本的な考え方を持ちまして当たってみたんでございますが、なかなかむずかしいのじゃないかという気がいたしているわけでございます。そこで、あきらめたわけでもございませんが、何かこれだけやはり産業としても大きく伸びてまいりましたし、それからまた国民の需要からいきましても大事な問題でございますから、まず何か国民にやはり納得のいく価格というものが私は出る方法がないか、こういうことを検討しておるわけですが、いまこれはこういう方法があるのだということをお答えすることがむずかしい段階でございます。  ただいま薬価基準の問題に触れましたから、そこをひとつ御説明申し上げたいと思いますが、御承知のように、三十六年以来健康保険に採用しておりまする薬価基準がそのまま据え置きになっておるわけでございます。これはいろいろの事情がございましてそういうことになったわけでございますが、これを昨年の十月一日のいわゆる実勢価格で調査いたしましてみたところが、三%くらいの余裕があるということがはっきりしてまいりました。これを一体どういうふうにするか、三%をどういうふうにするかということが、たまたま中医協の有澤委員長のこれは医師の技術料に振り向けることが望ましいのだというようなことでございまして、そういうようなことを考えまして、中医協に振り向け案というものを諮問いたしておったわけでございます。中医協はああいう事情でそのままになっておりますことははなはだ遺憾でございますが、とにかく前段はそういう関係になっております。ところが、御承知のように、その後医薬品のいわゆる自由化が進んでまいりまして、そのために相当品目によりまして大幅な値下がりが出てまいったわけでございます。それから、いまも申し上げましたように、製薬会社が近年非常な成長と申しましょうか、非常な設備投資をやりましたのが稼働してまいりまして、相当原価が下がってまいったのでございます。ことに一般の設備投資のだいぶん進んでまいったと同じような、あるいはそれ以上の現象が私は製薬業界に出ているのじゃないかというような感じを持っております。そこで、三月一日現在で、自由化によって下がったものと、それから製薬工場が競争によってあるいは設備の近代化とか合理化等によって下がるであろう価格を、いま実態調査をしておるわけでございます。この調査が大筋は四月末までにはつかみたいと思っておりますが、五月の上旬か半ばごろまでかかるのじゃないかと思います。それが世上いわゆる一・五前後じゃなかろうかと、こういうことをいわれておるのでございます。それを私のほうから一・五だということを言ったわけじゃございませんが、これは別に一・五を出せというのじゃなくて、出るだけ洗ってみようじゃないか。出た結果は二出てもいい、三出てもいい、しかし無理にこの商品の性質上値段を押えるわけにもいかぬだろうと思います。しかし、五千数百種類あるのでございますが、とにかく実勢価格を調べてそれに適応したひとつ値下げをやりたい、こういうことで調査しておるのがいまの現状でございます。  大体のニュアンスからいいますと、いま藤田さんもお述べになりましたように、われわれは的確には一以上ではなかろうか、一より少なくはない、一より少し多く出はしないかと。一・五出るか二出るか、あるいは一以内か、これは先ほどから繰り返すようでございますが、とにかく実勢価格をきちんとやってみようじゃないか、こういうことをいま作業しておるわけでございます。出ましたものをどうするかについてはまだ……。それぞれのやり方によりまして、これをひとつ保険財政に寄与したいというような考えを持っておりまして、調査を進めておる、こういう段階でございます。
  23. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いま厚生大臣が薬価基準の問題についてお述べになりました。しかし、その要素の中で、三十六年のやつを昨年の十月一日に照らし合わして大体三%、三月に投資をされたり近代化されたので一%か一・五%くらいは下げられるであろうということで、調査をしておると。私は、薬の値段をがむしゃらにとにかく下げたらいいのだということを言っておるわけではないのです。たとえば要因として、薬業界というのは一割五分から高いところは四割まで配当をしております。そうしていて、資本主義だからこれであたりまえかしれませんけれども、拡大は全部自己資本でまかなっているということを、私は一〇〇%どうか知りませんけれども、私の知った範囲では自己資本でやっておる。自己資本でやってあれだけの膨大な設備拡大をやり、膨大な研究室をおつくりになることはけっこうでございますけれども、そうなっている。そういう状態で、薬がどれだけの価値のあるものかどうかということは私たちではわからぬわけですよ、専門家でない限り。この薬というものはどれだけの価値があるものかどうかはわからぬが、今日の状態において自己資本でまかなって、配当を一割五分から高いところは四割もしているという業界がどこにあるか。そういう状態の中で私は三%とか一・五%というようなことをおっしゃっているのは、いままでのものさしに合わして薬価基準をやるということをおっしゃっているんですけれども、私はそこのところはもう少し考えて、もっとえぐっていいんではないか。そうでない限り、国民が納得するとかせぬとかいう以前の問題だと私は思うのです。行き過ぎたことをやるなといったって、行き過ぎて山陽製綱のように社員の貯金までばばするようなかっこうで倒産が行なわれているような状態です。ほかの産業界は私はよく知りません。知りませんけれども、いずれにしたって、大なり小なりそういう状態で、弱肉強食で、国家の経済とか国民全体の福祉とかいうことを考えると、弱肉強食で産業内の競争をして、そうして国民が耐え忍んでいるという状態です。薬業界は全部自己資本という問題はよく調べていただいたらいいと思いますけれども、私の知った範囲ではそうなんです。そういう状態で薬が市場に出ている。  もう一つ奇異なことは、薬局を通じての販売ルートの薬とやみルートで出てくる薬とは、薬局のルートに乗ってくるのが一〇〇としたら六〇くらいで乗ってきているわけですよ、同じメーカーの同じ薬が。これはどうなるんですか。むしろそれじゃやみルートに乗っている、六〇%で、百円のものが六十円で売られているなら、全部薬価を六十円にしたらいい。私はそう思う。まあそうもいくまいと思いますけれども、そういうことが平気で行なわれているわけです。ですから、三%とか一・五%というような論議をしているのが私はおかしい、これだけ繰り返して。国民の生活に必要な医薬品をつくるのだから、現状の価格にして、国民の要するに自由にどんな人でも保健のためには使用できるような状態になるなら、薬価基準を下げてもろうたら——できぬというなら、それも私は一つの話でございましょう。しかし、そうでないのです。所得に応じて必要な薬が求められて保健が守られているわけです。国民の中で。その中で片一方は百円で片一方は六十円で同じメーカーの同じ薬が売られているという状態は、これは何かということも議論しなければならぬと思うのです。そうなってくると、三%や一・五%のことが保険の薬価基準としての議論は、それは大臣の言われることはわかりますけれども、それだけでいいのかどうか。ということは、もっと深く薬品行政といいますか、厚生省の行政としては突っ込んでいただかなければ国民はなかなか納得できない問題ではなかろうか、こう思う。この点なんかの、あとのほうの定価の問題を含めて、ひとつ御処置をいただきたい。
  24. 神田博

    国務大臣神田博君) いま藤田委員のお話になったことは、私も共感の点が多々あるわけでございます。ただ、おことばを返すわけではございませんが、非常な高率配当をしている、あるいは自己資金で設備の拡張をやっている会社というのは、大体医薬品でない一般市販的なものをつくっている会社のようでございまして、薬価基準に盛られているものをつくっている会社におきましては、やはり設備投資その他は一般の会社の設備投資等の例にならってやっているような実態のようでございます。あるいは多少違う点はあるかもしれませんが、私どもの調査したところによりますと、そういうものが多いようでございます。  そこで、いまのお話でございますが、もちろん、価格というものが適当でなければ、質が落ちたのでは、これはほかのものと違いますから、おっしゃるとおりで、これは程度問題があろうと思います。しかし、いまお述べになりましたように、非常な高率配当をやっている、設備も自己資金でやっている、一体厚生省というものは薬価基準になるものだけ監督して、あとのものはほったらかしていいのかということになりますと、決してそうだけであってはいけないのじゃないか。これは厚生省におきましても従来、口頭あるいは呼び出し等によって注意はしておるようでございますが、なかなか営業自由の原則と申しますか、そういった注意を無視しておるわけでございます。しかし、私はこれらはいろいろの監督のしかたがあると思います。注意のしかたがあろうかと思います。もっとやはり突っ込んで指導して、そして適正価格をある程度やるべきものじゃないかと、こういうふうに考えております。いろいろ薬の問題につきましては、世の中を騒がしている点もございますので、これはもう一ぺん薬事行政全般にわたってひとつ厚生省として思い切ったことを考えて、しかも国民の批判にこたえるような私は薬事行政をしたい、そういう考えでございます。
  25. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はそれをなぜ強く言うかというと、一般の物資と違う、商業ベースだけで許されるものじゃない。皆保険、国民保険、社会保障の柱である医療保障の問題の三分の一をになっているのが医薬品なんです。その医薬品がこんなに放任されていていいか。また、質の問題も、私は専門家でありませんけれども、質の問題もやっぱし検討を専門的に、国民が納得するような形で検討してもらわなきやならぬことは当然でございます。ですから、そういう点ではほんとうに、もう時間がないので私はこれでやめますけれども、しかし、そういう重要な事項が、私は皆さん方の気のつかない問題がたくさんあると思います。しかし、これ以上時間が許しませんからやめますけれども、そういう点はもっと心して取り組んでいただかなきやならぬ。  最近の新聞に出ている、人体テストをやって告訴問題が起きて、生命がなくなったというような問題も、どこに基因しているか。私は、やっぱり厚生省がああいう問題はきびしく検査をして、調査をして社会に公表すべきだと思うのです。ああいう問題が、たとえばやみからやみに葬られておったとしたらどうなるか。労務対策として処置が講じられて、勇気のある人が出てきたけれども、勇気のない人がおってやみからやみに葬られていた事態が、たとえばあったとしたら、人命に関してどういう事態が今後起きるかもしれないということも放任していたということになるわけです。だから、そういう問題も含めてこの医薬品の問題というものは、私はもっと一般の商業ルートで動いているようなものと違って、この医療保障の重要な柱であるということを心にいたして私は対策を立ててもらわなきゃ困るということを申し上げておきたいと思います。
  26. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 答弁よろしいですか。  次に、野本品吉君。
  27. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、時間の制約がありますので、きわめて簡単に御質問申し上げたいと思います。なお、したがって、意見あるいは論議のようなことは、これはできるだけ避けまして、端的に申し上げたいと思います。  主として青少年対策的な、青少年の健全育成という角度からこの質問をするわけですが、その第一点は、民生委員児童委員児童福祉法によりまして同一の人間になっております。児童福祉法によって民生委員児童委員を充てるものとする、これがいまの青少年問題、青少年健全育成のために適当な方法であるか、適当なやり方であるかどうかということについて、厚生省のお考えを伺いたい。
  28. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 児童は家庭の一員でございますので、家庭を対象といたしまして民生委員の活動があるわけでございます。そういった方面からいたしまして、民生委員自体民間の篤志家でございますから、篤志家の活動として民生委員とか児童委員とかそれぞれ分担を分かちて仕事をすることは必ずしも適当でない面があるわけでございます。そういった面で、民生委員児童委員との兼務ということは必要だということは考えているわけであります。  ただ、従来民生委員が主として、方面委員時代からの伝統がございまして、困窮家庭を主体にして仕事をしておったわけでございます。そういう伝統がございますので、児童福祉の関係が戦後非常に認識が深まってきましたのと比べますると、若干児童の仕事に対して理解がない、こういった点もあるわけでございますが、そういう面につきましては、私どもといたしましては、民生委員の、あるいは児童委員の研修等をやるということによりまして、十分児童福祉事業に理解を持っていただくということが一つ。  それから、第二には、やはり児童のことにつきましては、婦人の児童委員ということがより望ましいわけでございますので、そういった婦人の児童委員をできるだけ出していただきたい、こういうことで、一応従来目標といたしまして、三割は婦人の児童委員を出していただきたい、こういうことをお願いしているわけでございますが、三十七年の改選におきましては二六・五%、約三万三千人ほどが婦人で占められておるわけでございます。まだ目標に達しておりません。しかしながら、ことしは民生委員の改選の時期にも当たりますので、ぜひこの三割を実現していただきまして、児童委員の活動を特に活発にいたしたい、かように考えている次第でございます。
  29. 野本品吉

    ○野本品吉君 児童委員にしろ民生委員にしろ、その制度のできましたのは昭和二十二、三年のころでしょう。昭和二十二、三年のころと現在の社会情勢一般、それからとりわけ当時浮浪児が町に、ちまたにうろついておりましたときの子供の状態と現在の子供の状態、これは著しく違っておりますことは申し上げるまでもないのですね。そこで、さらに児童の福祉増進のための仕事の量というものが非常に多くなりましたね。それから、青少年自体も、御承知のように、かつての青少年と違って非常に問題が多くなってきた。そういうときに、一人の民生委員が同時に児童委員を兼ねて、そして児童全般のことを扱っていってこの仕事の能率があがるかどうか、ここに問題があると思う。まじめな多くの人たちは、この際児童委員と民生委員というものを分離して、そうしてそれぞれの目的に専念し、十分その力を発揮するようにできなければ、二兎を追って一兎も得られないのだ、そこで児童委員、民生委員の分離論というものをまじめに論議されておる。この点についてやはり厚生省はいままでどおりそれでよろしいと言っているのですか、これは大臣、ひとつお考えを願いたい。
  30. 神田博

    国務大臣神田博君) そういうふうに考えております。同一でひとつやっていきたい、そして能率をあげたい、かように考えております。
  31. 野本品吉

    ○野本品吉君 議論は避けますが、同一人でやっていこうということに対しましては、私は非常な疑問を持っております。  そこで、民生委員の年齢構成がどのようになっているか、これを伺いたい。
  32. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 年齢構成でございますが、分類いたしますと、三十歳代という年齢層は四・九%でございます。それから、四十歳から五十歳代が五九・二%、大体この辺に集中いたしております。それから六十歳代が三〇%、七十歳代が五%、こういうような年齢構成になっております。
  33. 野本品吉

    ○野本品吉君 いまの年齢構成を見ると、最近たいへん若くなってきたと思うのです。しかし、一面から考えますというと、現在の特に農村はいわゆる三ちゃん農業でなければ経営ができないという事態なんですね。こういうときに、この児童委員であり民生委員である人に一ぱいに仕事をしろということを求めることが、はたして適当であるかどうか、この点についてひとつ。
  34. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 確かに御指摘のような点もあろうと思います。子供の、特に青少年の活動につきましては、できるだけ若い層の人々が参加し、また指導していただくことが必要であろうかと思いますので、そういった面につきましては、現在大部分の県で行なわれておりますような児童の指導員、こういった若い層の方々のボランティアと申しますか、自分たちが進んでやる活動といったようなことによりまして、補っているような状況でございます。
  35. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいまお話しのありましたように、最近のVYSの運動とか、法務省関係ならばBBSの運動、これらを私は非常に高く評価して、これを育成しなければならないこと、これは同感なんです。大体いまの青少年の問題は、むろん行政の面から役人の方が非常にお骨折りをいただくことも当然必要でありますけれども、私は役人をふやしただけではいまの青少年問題を根本的には解決ができないという考え方を持っております。やはり子供に一番近い、気持ちの上においても体力においても生活全般から見ても、子供に近い青年の手による児童の愛護育成、青年の手によって日本の子供を守っていくという、そういう方向で進まなければならぬということを、いつも考えておるわけです。  そこで、いまの若い人たちのVYSあるいは法務省関係のBBS等に対して、どういう育成の方針をとられておるか。
  36. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 昨年まで特にそういったVYSあるいはBBS、こういった特定の対象に対して補助金を出す、こういうことはいたしておりません。これはあくまでも県の独自の立場から活動していただく、また県のほうではそれに対しましてそれぞれの活動費を出しております。私どもの厚生省の仕事としましては、健全育成の指導者を養成する、こういった意味におきまして、各県におきまして、いま申し上げましたようなVYS運動の指導者とかあるいはBBSの指導者、あるいは母親会、子供会の指導者、こういった方を集めまして、現在の子供の心理でありますとか、あるいは社会環境、そういった資料につきまして十分御説明をし、またこういった人たちが子供たちを指導する上の能力を向上させる、こういう指導費を従来まで一千九百万出しておった次第でございます。今後もこういう仕事は続けたいと思います。
  37. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは大臣にお願いですけれども、ただいまのお話では各県の方にしっかりやってもらうということなんですが、国全体といたしましても、日本の若い者の手で日本の子供を守るというこの運動をもっと広範に大きく育てていくという方向に進むことは、国全体として非常に重要なことだと私は思っているのです。どうぞ大臣ひとつ……。
  38. 神田博

    国務大臣神田博君) いま野本委員のお話しのように、やはり児童を健全に育成する、このためにやはり若い者の手を借りて指導を充実していくという御意見は、私も同意見であります。そういうふうな方向にひとつ善処していきたいと思っております。
  39. 野本品吉

    ○野本品吉君 ぜひそういう方向で、この運動が広範に強力に展開されますように、今後お骨折りをいただきたいと思う。  最後に、一体、児童委員、それから民生委員、この処遇はどういうことになっておりますか。
  40. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 民生委員児童委員に対しましては、地方交付税交付金の中に手当が算定されておりますが、現在のところ児童委員として年間二千円、民生委員として二千円と、こういうことになっております。実情は、各都道府県の状況に応じまして金額は違っておりますが、交付税のほうの手当はそうなっております。
  41. 野本品吉

    ○野本品吉君 一人の児童委員、民生委員が担当しております仕事の量ですね、これはどういうことになっておりますか、件数その他。
  42. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) これは担当は大体地区によって担当しておりまして、この地区におきます児童あるいは社会福祉全般の問題はどのくらいあるか、こういうことで取り扱いの状況は違ってまいりますが、三十八年度の統計によりますと、一人大体一カ月五件くらいの取り扱いをいたしております。
  43. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは民生委員法に社会奉仕の精神をもって大いに働いてもらいたいということがはっきり出ておる。むろん、これらの仕事に従事される方は社会奉仕の精神にあふれておられる方々と私は思いますが、それにしましても、あまりにそういう気持ちにたより甘えてはいけないと私はふだん思っておるのです。これらの人の処遇が、十分でなくとも、やはりこれらの人に対しましては相当な処遇の道を考えるべきである。これは私は法務省の保護司の問題でも、国があまりこれらの人たちにたより過ぎ、甘え過ぎておると、こういう感じを持っておるのですが、どうですか、大臣
  44. 神田博

    国務大臣神田博君) いまの野本委員のお話ごもっともでございます。ただ、こういった委員をお願いしておる向きは多くは社会事業家と申しましょうか、大体その地区内の有識者の方々で、むしろお手当なんか上げることが失礼じゃないかというような方も相当ありまして、私どもの気持ちからいうと、いま野本さんのお話はよく理解できまして、そうしたいという気持ちでございますが、一律にいたしまして、むしろ自分で持ち出してやっておるという方が相当多いのでございますから、その辺のことも相当考えにおきながら、十分将来検討さしていただきたいと思います。
  45. 野本品吉

    ○野本品吉君 確かに持ち出しで働いておる大ぜいの奇特な人があることは私は知っております。だからといって、それがいつまでもあたりまえだという考え方で臨まれることは問題だと、こう考えております。  その次に、これは児童相談所のことについて少し承っておきたいと思います。児童相談所は、申し上げるまでもなしに、A、B、C、Dの四階級になっておる。階層別の児童相談所の数はどうなっておりますか。
  46. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) A級が十七カ所、B級が二十六カ所、C級が五十七カ所、D級が三十三カ所、計百三十三カ所でございます。
  47. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで、特に私はここで指摘したいのは、児童相談所の仕事は、あるいは子供についての相談、家庭についての相談、いろいろありますが、そのうち、福祉法にも書かれてありますように、これらの相談に当たる場合に、いわゆる何といいますか、医学的な、あるいは心理学的な、あるいは社会学的な、教育学的な、あらゆる角度から総合的に児童相談所におけるいろいろな調査や指導が進められなければならない、そういう専門の仕事をしなければならない人が、たとえば精神科のお医者さん、あるいは臨床心理判定の仕事をする学者、こういう方がどの程度に充足されておりますか。
  48. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 職員につきましては、私どもの調査では、現在のところは大体充足されておるわけでございますが、精神科のお医者さんでございますが、これはなかなか充足が困難でございます。
  49. 野本品吉

    ○野本品吉君 私に言わせれば、一番大事な精神科のお医者さんが一番足りない、こういうことになっているのですね。それではたして児童相談所の機能を完全に果たすことができるかどうかということに、私は大きい疑問を持ってみるわけなんです。そこで、そういう仕事をなさる要員の養成確保のことについて何か具体的な施策がされておりますか。
  50. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) こういった職員は、主として大学の心理学、あるいは医学、教育学、そういった方面から充足を受けるわけでございますが、国としまして、特にこういった方々についてのたとえば育英資金の援助とか、そういうようなことは特別な対策はやっておりません。
  51. 野本品吉

    ○野本品吉君 このことはなかなか困難であるかもしれませんけれども、それでなければ、児童相談所というものをせっかく設置しておく意味が半減してしまうのです。そうはお思いになりませんか。
  52. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 今後の児童相談所の役割りを考えてまいりますと、特に心理判定その他の面で重要だと考えております。そういう面からしますると、従来以上に職員の充足には努力すべきだ、こういった点で私どもも十分検討さしていただきたい、かように考えております。
  53. 野本品吉

    ○野本品吉君 十分検討するということでありますが、具体的に、たとえば私の知っておる者で、大学で心理学の勉強をした者がおる。それがこういうところへ行って仕事をしよう。ところが、大学で心理学の勉強をしておる者が臨床心理判定員になろうとしますと、その臨床する場所が与えられない。こういう場合に、これは厚生省等のあっせんによって、心理学を勉強している者が児童相談所に行って臨床精神判定の仕事をする場合には、どこか適当なところに厚生省があっせんして、勉強する病院の指定あるいは委託等の道を開くべきである、こういうふうに考えるのですけれども……。
  54. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) たいへんけっこうな御意見であると思います。昨年の暮れに、児童問題研究所が発足をいたしております。こういったところでそういう点の窓口等もやったほうがいいのじゃないか、かように考えております。御指摘の点、検討してみたいと思います。
  55. 野本品吉

    ○野本品吉君 病院に行って実際にその仕事を身につけずに、児童相談所に行くのですね。そういう者があるわけです。やはり行く前に、一人前の仕事のできるような、どこかで研修の場所と機会を与えるべきだ。これは大臣、どうですか。
  56. 神田博

    国務大臣神田博君) いまの野本先生の御意見、私も共感できます。そういうりっぱな方に今日のこういった社会情勢下において十分活動していただくということは、私は必要だと思っております。具体的な問題でありますが、よくまたひとつ御相談にのらせていただきまして、有効にひとつ働くようなポストを準備したいと思います。
  57. 野本品吉

    ○野本品吉君 最後に、児童相談所と類似なものが法務省の少年法の中に少年鑑別所というのがある。そこで、少年鑑別所と児童相談所というものは、法律の規定しております文句も全く同じなんですよ、仕事の内容が。そこで厚生省関係のは児童相談所である。少年法関係の、法務省関係のものは少年鑑別所である。私は両方よく見ているのですが、どちらも人が足りない。設備は不十分ということになっておるのです。しかも、やる仕事というのは子供の鑑別、指導は、そういうことが大部分なんです。そうすると、ここで私が考えることは、少年鑑別所、児童相談所というものをしぼって一本にして、あそこで適当な人を確保し設備を完全なものにして、あそこで預かった子供を一方は児童福祉法の線でいく、一方は少年法の線でいく、あそこで仕分けするという考え方でいくことが実際的であり効果的であるというふうに、こういうふうに私は両方幾個所か行って見て痛感しておるのです。この点どうですか、大臣のお考えは。
  58. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) ちょっと私から。  児童相談所の仕事の内容は児童福祉法に規定してございますが、確かに先生の御指摘のように、鑑別所と同じような調査、判定、あるいは相談、指導、こういったことが内容のものもあるわけであります。ただ、児童福祉法によりまして、二十七条に、先生御承知と思いますが、都道府県知事のやるべき措置というのがございます。この内容といたしましては、教護院に入れるとか、あるいはその他のたとえば養護施設に入れる、あるいは家裁に送るという内容になっている。この都道府県知事の権限は現在のところ児童相談所に委任をいたしております。そういう面からいたしまして、いわば児童相談所は十四歳未満の児童につきましては家庭裁判所と同じようなことをやっているのでありまして、そういう意味で少年鑑別所と大きな差があるわけであります。判定その他の内容は確かに先生御指摘のとおりでありますが、現在のところ所管の法律が違っておりますから、十四歳未満は主として児童相談所が行ないまして、十四歳以上十八歳までの児童につきましては家庭裁判所が原則として行なう。これは御承知のとおりでございますが、その面でお互いに連絡することは常にいたしていると思いますが、今後十分連絡を密にいたしまして、専門職員の獲得その他にはできるだけ共同歩調をとっていきたい、こういうように考えております。
  59. 野本品吉

    ○野本品吉君 両方が完全なものになって、完全にその機能を発揮しておるというなら、これは別でありますが、これは大臣、どちらもはんぱものになっておる。そうして同じようなことをやっておる。人もそろっておらぬ。これらはやはり日本の子供のしあわせのためにりっぱなものをつくって、りっぱな仕事をやっていくというふうにしたほうが、子供のために非常になると思う。あとでお伺いすることもありますから、その点についてはこの程度にいたします。  その次にお伺いいたしたいと思いますことは、まあ少年法、あるいは児童福祉法、学校教育法、労働基準法等の一連の子供に関係いたします法律というものは、総合的に運営され、一元的に運営されて仕事をしていくような状況が、現在の状況で私は足りないと思っておる。児童行政、青少年行政というものがあまりに縦割りになり過ぎておる。横の関係というものがきわめて足りない。役所の人に聞くと、ときどき連絡や打ち合わせをするということは言っておりますが、現実において私は縦割りに過ぎて狭くいってしまって、横のつながりがない。そういう点についていままで文部省なり労働省なり厚生省なり法務省等が、ほんとうに何とかしてやっていこうじゃないかという相談をどの程度にどういう形でやっておりますか、それをお伺いしたい。
  60. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 確かに御指摘のように、児童あるいは青少年の問題につきましては、各省それぞれの立場から仕事をいたしておるわけでございます。そういう面の連絡調整という面が欠ける点がございましたので、時期はちょっと失念いたしましたが、総理府のほうに青少年問題協議会が設けられておりますことは御承知のとおりでございまして、ここで各省関係にわたる、二省以上にわたります事項につきましては、それぞれ担当者が出まして協議を重ね総合的な調整をするというようなことでやっております。
  61. 野本品吉

    ○野本品吉君 中青協の仕事につきましては、私も大体心得ておるつもりです。中青協でいわゆる連絡、調整、審議というようなことでいろいろ御苦労なすっておることも知っておりますが、会合をするだけで、それが現実に具体的にあらわれてきたことはほとんどないといっていいんですね、実際いって。そこで、そういうふうな状態でありますから、縦割りに過ぎ、青少年行政の網の目から漏れるいろいろなもろもろの問題が出てくるわけです。  それで、中青協の話が出ましたから申しますが、中青協というものは私は審議、連絡というようなことはしないで、それで問題を羅列するだけの機関なんです。中青協自体というものは、設置法の精神、組織法の精神からいいましても、あれは事業主体になり得ない性格のものだと思うのです。ところが、各省の縦割りの間に残された幾つかの問題があるわけです。そういう問題はどこでやるかということなんです。ここに私は青少年局の設置の意味があるというふうに従来考えて、特にあの問題につきましては長いことこれが実現に努力してまいったわけです。で、閣議等においてもこれを認められて、提案寸前でいろいろな事情でこれが提案されなかったわけでありますが、決して青少年局というものは現在各省で責任を持ってやっておる仕事を奪うのでなしに、縦割りに過ぎる青少年行政の網の目から漏れておるいろいろな問題を考えてやるべきだ。したがって、そういう一つの機関がなければいかぬということで考えておるんですが、大臣は、これは閣議でも御決定になったことでありますから、当然その線でいくことに御賛成だと思うのですが、御意見いかがですか。
  62. 神田博

    国務大臣神田博君) いま野本先生のお話のございましたこの青少年問題は、わが国の現下の私は非常に大きな問題だと思っております。この対策につきましては、これはもう歴代政府も、また先生方にもみんな御心配をかけておるところでありますが、家庭の問題としてもこれは大きな問題でございます。そこで、これらの対策が各省別に縦割りになっているという点にいろいろ連絡の欠ける点がございますことは、いまお述べになったとおりでございまして、総理府に青少年問題協議会もできておることも御承知のとおりでございますが、それだけでは一体十分かどうかという問題ですね、突っ込んで。これはいろいろ議論がございまして、私どももいまのままでいいというふうには考えてはおりませんが、しかし、なかなかこの縦割りのやつをまたどこかでまとめるということになりますと、こりゃまたなかなかいろいろの問題が出てまいっております。しかし、さればといって、いまのままでは、いわゆる横糸が通っておらないままでは、網の目にならぬじゃないかというおそれも十分にございますので、運用の面で十分ひとつ完ぺきを期してまいりたいと思っております。御心配の点は重々承知をいたしておりますので、運用の面でなお特段のくふうをいたしまして、ひとつ強力に推し進めてまいりたいと、かように考えております。
  63. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、日本の青少年行政、青少年対策の全般を通観いたしましていつも考えておりますことは、青少年の状況がこのようでは全く困ったものだという、その声は非常に大きい。その声は非常に大きいけれども、それに対してどう対処するかということについての具体的な施策というものはきわめて不十分である。あれよあれよと言っている間に、研究また研究ということで時間が過ぎて、そうしてどんどん実態というものは深刻な状態になっていくと。このことはほんとうに日本の将来のことを考えますと、まことに憂うべき問題でありますので、ぜひこれらの問題について政府においても、いつまでも研究中と、研究に名をかりて事態の推移にまかしておくというような、政治不在というようなことのないように、これはぜひお考えをいただきたい。  それから、ついでに一、二の点、簡単なことでありますが、お願いしたいのでありますが、私は実は全国の交通事故の被害者の会の会長をしておるわけです。いささかその問題については関心を持っておるわけですが、そこでひとつお伺いしておきたいと思いますことは、交通事故対策としていろいろな問題がありますが、本日は私はただ一つだけお伺いしておきたいと思うのです。それは救急措置の問題であります。厚生省も年来このことにつきましてはいろいろと御苦心なすっていることはよく知っておりますが、救急病院の指定基準等もだんだん改められてきておるようでございますが、最近の指定病院の指定基準、これはどういうことになっておりますか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  64. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 救急病院につきましては、従来は少数の大都市におきまして消防庁と各病院との間で個別に話し合いでやっておったのでございますが、三十九年二月に消防法の改正に伴いましての救急病院等を定める省令を制定いたしました。その際に、救急施設を一応基準によりまして定めたわけでございますが、まず、ファースト・エイドと申しますか、応急措置をやるものといたしましてはすべての診療機関にやってもらう。しかし、さらに負傷の程度がもう少し本格的だと申しますか、より進んだ診断、治療をやらなければいけないというふうな場合に持っていきます病院または診療所といたしまして、いまから申し上げますような基準に合致する病院、診療所につきましてはその申し出によりましてこれを都道府県知事が告示する、こういうような形にしております。  その基準は、第一に、事故によります傷病者に対する医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事しているところと、第二に、手術室、麻酔器、エックス線装置、輸血及び輸液のための設備、その他救急医療を行なうために必要な施設とか設備を有すること、第三に、救急隊によります——これは消防庁のほうでございますが、消防庁のほうの救急隊によります傷病者の搬送に容易な場所に所在しており、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること、第四に、事故によりましての傷病者のための専用のベット、その他救急隊によって搬入せられます傷病者のために優先的に使用せられるような病床を有すること、こういうような一応基準になっております。
  65. 野本品吉

    ○野本品吉君 そういう基準で病院が指定されるわけですね。そうしますと、現在においては、かつてあったように、非常な大きな外傷を受けた者が救急車で目医者のところに連れていかれて手当てを受けちゃった、あるいは産婦人科のところに行ったと、応急手当てを完全にすることのきわめて困難な無理なところにけがをした者が連れていかれるというようなことは、いまはないはずですか。
  66. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 現在まだこの救急病院の体制が必ずしも十分整備をせられて完了しておりませんので、いまその体制をつくりつつあると。また、地域によりまして、現在それがある程度話し合いができております県が三十八都道府県で、二千三百五十二カ所の医療施設を一応お願いするようになっておりますが、ただそういうふうな施設がある程度話し合いができましても、今度は消防庁とその病院との連絡、また消防庁と救急車との間の連絡というような体制が、東京のようにかなり進歩してきましたところと、まだ十分でないところといろいろございまして、すべての医療機関、地域におきまして、救急処置がぴちっといっているというところまででき上がっておるわけではございません。いまからさらに努力を重ねていかねばならないと思います。
  67. 野本品吉

    ○野本品吉君 この問題はですね、適当な病院が指定され、その病院が地域的に適正に配置され、そうして適当な治療を受けるということになりますと、死ぬべき者が助かるのです。ところが、そういうところでない病院に連れていった場合に、生くべき者が死んでしまう。特に、交通事故の共通な特徴といたしましては、脳、頭をいためることが一番多いので、大部分、七、八割というものは脳の傷害を受けるわけですね。で、脳外科手術というようなことは非常に困難なことであろうけれども、そのこと一つを考えましても、適当な病院を地域的に適正に配置して、一応の手当てができるような体制にいたしませんというと、現在、毎日二百、三百と起こっております東京都内だけでも、その交通事故に完全に対応することができない。これはもう大臣も十分お考えのことと思いますが、この点につきましてはさらにひとつお考えいただきまして、生くべき者を殺したりすることがなくて、死ぬ者を生かしていただきたい。適当な病院に行かなければ死んでしまう、適当な病院に行ったことによって死を免れる、こういうふうな方向へ極力お進めいただきたいと思うのですが。
  68. 神田博

    国務大臣神田博君) いま野本委員のおっしゃることはまことにそのとおりでございます。せっかく救急病院制度実施され進行中でございますから、できるだけひとつそういうものを整備いたしまして、人命の尊重、またいろいろの施設の完備ということをあわせまして考えてまいりたいと思います。
  69. 野本品吉

    ○野本品吉君 ぜひそういうことにお願いいたしたいと思います。  それから、これはちょうど、私がこの質問をするということで、党のほうから、参議院のほうから特に要望されておりました事項ですが、そのことについては、先ほど藤田委員からも御発言がありましたので、繰り返すことを避けます。要するに、国保の赤字対策解消、この問題につきましては、参議院の自民党の全員をあげて強くこの機会に要望してほしいというあれがありましたので、大体先ほど藤田委員の質問に対しましてお答えがありましたから、どうぞその線で強力に進めてくださいますように、重ねてお願いいたします。  私の質問はこれで終わります。
  70. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 次に、千葉千代世君。
  71. 千葉千代世

    千葉千代世君 私は保育所児童手当について質問いたします。児童手当については、藤田委員からかなり詳しく述べられたし、本格的な対策の要望がなされておりますので省略いたしますが、ただ二点だけそれについてお伺いいたします。  一点は、社会保険法を改正して、千五百万人を強制加入させ、年間五千億のお金を取ると、その中から児童手当を出したらどうかと、こういうお話もあるやに聞いておりますが、これは非常にたいへんな問題だと思うのです。その点について、御存じの程度のお答えをいただきたいと思います。
  72. 網野智

    説明員網野智君) 児童手当の問題につきましては、現在世界で六十二カ国が、先進国、後進国を含めまして実施をいたしております。大体、社会保障制度の大きな柱だろうということにつきましては異論がないわけでございまして、わが国におきましては、豊富低廉な労働力がたくさんあったというようなこともございましたんじゃないかと思いますが、そういうこともございまして、児童手当に関する関心が面常に薄かったと。しかし、社会経済が変動することによりまして、児童手当社会保障制度の一環として……
  73. 千葉千代世

    千葉千代世君 社会保険改正の問題だけ答えてください、時間が私はありませんから。
  74. 網野智

    説明員網野智君) 児童手当の問題につきましては、いろいろな問題点を検討しなければいかぬということで、私どもの手元で検討しておりますけれども、いろいろ新聞等で出ております問題は、まあ私どもの検討の問題で、必ずしもすべて成案を得ておるというようなことではございません。
  75. 千葉千代世

    千葉千代世君 私、これは新聞で承知したのでありませんです。大体その方面の参加していらっしゃる方から聞いたんです。ですから、その問題は議題になって、いまどうなっているかを聞きたい。それだけでいいのです。
  76. 網野智

    説明員網野智君) 昨年の九月に児童福祉審議会の児童手当部会の先生方の中間報告をいただきまして、その中で、たとえば事業主から保険料を徴収してやる方法とか、あるいはその他の方法というような、いろんなことについて報告があったわけでございます。で、ただいまお話がございました一人幾らやって何千億になるというようなことにつきましては、別に報告はなくて、私どもの手元でいろいろ、たとえば第一種からやればどのくらいになるか、第二種からやればどのくらいになるか、第三種からやればどのくらいになるか、金額をどのくらい出せばどのくらいになるかというような点を検討しておるという段階でございます。
  77. 千葉千代世

    千葉千代世君 それは四十年度の予算の中に調査を始めるというその費用だけ取ってありますね。そういう関連のいま検討段階と、こういうわけですか。
  78. 網野智

    説明員網野智君) 四十年度の予算は、従来に引き続きまして児童手当に関する基礎調査を進めていくと、こういう予算を取っております。いま私がお話し申し上げましたことは、児童手当を創設するにあたりまして、検討すべき問題は非常にたくさんございます。そういう点を検討を進めておるということでございます。
  79. 千葉千代世

    千葉千代世君 その第二点ですが、いま世界じゆうで六十二カ国実施していると伺ったのですが、その中で十五カ国は全国民が対象で、四十五カ国は労働者とか公務員だけが対象になっておりますね。それからもう一つ、十五カ国はいまお述べになった第二子からですね。全部が二子からではないわけですね。これ私どういうわけかと調べましたところが、最低賃金制との関連になって、御存じのように、日本のいまある最低賃金あるいは最低賃金制というのは、名が間違っておると思うくらいですが、いわゆる産業別の最低賃金で、そして未熟練工に、奥さんと子供と三人ですね、三人でもって安心して生活していける——その中の食費の率は幾ら、住居の率は幾ら、そして労働再生産のために幾ら必要か、こういうもので計算されていっているわけです。ですから、第一子が最低賃金の算定基礎になっている。だから第二子から払うのだ。しかも、その第二子からは下へいくほど多くなる、こういう関連になっていますね。そうすると、厚生省のほうの発言などちょいちょい見ていきますと、その問題も解明されていない。ですから、先ほど藤田委員が要望したように、本格的に対策を立てるようにと……。こうなった場合には、最低賃金制ですね、そういう問題との関連をどのように考えていらっしゃいますか。簡単でけっこうです。時間がございませんから。
  80. 網野智

    説明員網野智君) そのような非常に重要な問題がございますので、来年度から官房の中に、児童手当参事官というものを設けることにいたしまして、児童手当準備室というようなところで根本的に検討を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  81. 千葉千代世

    千葉千代世君 いまの労働情勢の場合で最低賃金制の——欧州にある本格的な最低賃金制というのは、日本の段階ではほど遠いわけですね、そうした場合には、いまおっしゃいましたように、第一子から幾らとか、こういうふうな案ですか。全然案のないのに検討するわけでもないでしょうしね。
  82. 網野智

    説明員網野智君) いまの、たとえば第一子から支給するか第二子から支給するか、こういう問題も検討の重要な事項になってくるわけでございます。それから、最低賃金制度賃金にリンクするか、あるいはそれとは別な計算で支給額をはじいていくか、こういう問題も重要な検討事項になるわけでございます。
  83. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは非常に重要なかなめだと思うので、これは労働省の関係になりますけれどもね。いまの段階で、あなたのおっしゃる最低賃金制から考えていくとなると、いまある最低賃金制でしょうか。
  84. 網野智

    説明員網野智君) そういう問題も検討の一つの項目にしてみたらということを申し上げたのでございまして、私どもといたしましては、わが国における最低賃金制度現状もございますので、それとは別個のはじき方で支給額をはじいていったらという考えは強く持っているわけでございます。しかし、いずれその問題等もあわせて検討してみたいと思っております。
  85. 千葉千代世

    千葉千代世君 次に、保育所の問題に入りますけれども、最近母親大会とか、母と女教師の会とか、働く婦人の集会とか、婦人団体の会合、そこらで必ず問題となりますのがこの保育所の問題ですが、   〔主査退席、副主査着席〕 おかあさん方の合いことばの中に、「ポストの数ほどの保育所」、こういうことで一生懸命になっているわけですが、ことしは厚生省では保育所関係について少し増額されたようですけれども、それでは非常に足りないと思います。というのは、現在保育にかけている児童が二百万もいる。ところが、保育所に入っているのは七十四万にすぎない。これはもし数字が違っていたらまた教えていただきたいと思うのですが、三歳未満の乳児は七%しか収容できていない。認可された保育所が六千百九十三カ所、私立が四千二百七十七カ所と、こうなっておりますが、これらは幼稚園との関連はどうなっているのでしょう。
  86. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 保育所と幼稚園の関係でございますが、保育所は保育にかける母親の、主として母親の労働でございますとか、そういったことによりまして母親の仕事ができなくなるというような子供を収容いたしておるわけでございます。そういった面で保育所が違いますのと、それからまた、母親の労働の関係がございますので、朝七時ごろから夕方の五時ごろまで、非常に長時間の保育をやっておるというわけでございます。そういった面で保育所と幼稚園とは機能的に違っているわけでございますけれども、現在の保育所の相当部分が三歳児以上の子供を収容いたしておりますので、その教育等につきましてはやはり、幼稚園の学習指導要領というのがございますが、そういうものに準じて学習指導もあわせて行なう、こういうような考え方で運営いたしておるわけでございます。
  87. 千葉千代世

    千葉千代世君 次に、普及率ですが、これは全国を見ますとかなり、アンバランスになっておりますのですね。大体その様子と、それから諸外国たとえば社会主義国の二つくらいの国、資本主義の国でも二つくらいの国のいいというところの普及率と、大体一人の保母さんが何人扱っているかということを、もしおわかりでしたらば……。そうでございませんでしたら資料提出でけっこうです。
  88. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 保育所の問題につきましては、非常に地域的なアンバランスがあるということが指摘されております。したがいまして、これは中央児童福祉審議会の特別部会におきましても、昨年の夏に出されました中間報告におきましても、まずアンバランスの是正をすべきである、こういうような意向がございました。その実態から申しますると、これは三十九年三月一日の現状でございますが、全国の学齢前の児童に対しまして——これは約一千万でございます。これに対しまして保育所現状としましては約一万六百、ここに入るべき子供の数が約八十一万でございます。そういたしますると、全国的な平均で見ますと七・九%、こういうような割合になっております。ところが、地域によりましては非常に普及がよくいっております。たとえば一番保育所の普及が多いのは高知県でございますが、高知県の場合はその割合が二六・六%、また石川の場合も二三・二%、こういうような非常に普及がよろしいわけでございますが、逆にこういった普及の率の低いところを申し上げますと、神戸市でございますが、神戸市は指定市でございますので、独立の単位として考えておりますが、神戸市の場合はこれが二・一%、また県では、たとえば北海道でございますが、三・〇%、宮城が二・九%、こういうように非常にアンバランスがございますのと、それからまだ未設置の市町村が約九百ほどございます。そういう面で保育所の普及につきましては御指摘のような点がございます。  それから、現在の保育所の保母さんにつきましては、三歳以上につきましては三十人に一人の保母さんが要るわけでございまして、三歳児未満の子供につきましては四十年度から八人に一人、こういうような保母さんの数になるわけでございます。  諸外国におきましての状況でございますが、私どもこの辺につきましては現在資料を持ち合わしておりませんので、後刻また届けさしていただきたいと思いますが、大体、この取り扱います児童につきましては、各国とも非常に保母さんの数というのが——保母さん一人に対する子供の数というのが少ないということを聞いております。また、資本主義国あるいはその他の国はどうかというようなお話がございましたが、資本主義諸国でも、北欧諸国は非常によろしいわけであります。また、ソ連等もこういった保育所の問題につきましては、非常に熱心で、いま申し上げましたような人員の保母さんの問題と、非常に少ない子供の数を扱っているというふうに聞いております。
  89. 千葉千代世

    千葉千代世君 それは資料としてあとでちょうだいしたいのですが、数が少ないというのでなくて、具体的に、たとえば北欧三国のいまお述べになったデンマークとか、スエーデンとか、フィンランド、これは一番子供を大事にしておる。いまお述べになったのは、たとえば高知ですと、保育所の数ですか、パーセントは。就園している子供じゃなくて……。
  90. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) いま申し上げましたのは学齢前の児童数に対しまして、保育所に入っております子供の比率でございます。
  91. 千葉千代世

    千葉千代世君 子供の比率ですね。
  92. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) さようでございます。   〔副主査退席、主査着席〕
  93. 千葉千代世

    千葉千代世君 公立の設置の個所もついでにパーセンテージをお願いしたい。それは資料としていただきます。時間の都合で恐縮ですが、各県の。  それからいまのは入園児、私立の問題でずいぶん問題がございます。私この間大阪でちょっと調べた。大阪市のを調べてみたのですが、私立の保育所というのがついこの間まで十あった。いま減ってしまって二つしかない。その原因を調べて見ましたところが、補助金の少ないこととか、保母の先生方の給料の安いこととか、労働過重のためになり手がない、保母の負担が、保育量が多い、こういうことが原因でもってだんだん減ってしまう。特に土地が少なくなってしまって、篤志家の寄付でもない限りは、大きい土地もそうありませんで、設置基準に合わないということで非常に苦心されておりましたが、私立の保育所に対する対策、簡単でけっこうでございます。
  94. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 民間の保育所の場合に、一番問題でございますのは、保母さんが集まらないということが一番問題でございます。その原因といたしまして、やはりここに働きます保母さんには、先ほど申し上げましたように、労働時間がきわめて長いという問題と、これに相応するサラリーが必ずしも伴っていないという点が問題であったわけでございますので、四十年度の予算におきましても、保母さんの給与を上げるということを重点に置きまして努力をいたしたわけでございますが、そういう面で、三十九年の四月と比較いたしますると、四十年度の予算におきましては、約二一%の増加になっておりまして、今後は国家公務員のベースによって保母さんの給与も上がっていく。民間についても同じでございます。そういうことになったわけでございます。
  95. 千葉千代世

    千葉千代世君 それと関連しまして、いま会社では人の引きとめ策と、それから婦人労働の観点から、会社に保育所を設置しているのがかなりございます。公社でいえば専売公社等にそういうものがあるわけですけれども、それについて、これは全然幼稚園のたとえば指導要領とか、そういうふうな問題でなくて、保育所のほうは野放しになっておるのですが、これは随意にまかしているということですか、何か指導していらっしゃいますか。
  96. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 従来から保育所の指導につきましては、厚生省保育所の指導要領というものをつくっておりましたが、先ほど申し上げましたように、幼稚園の教育指導要領というものができましたので、それに伴いまして改める必要がございます。したがいまして、中央児童福祉審議会の特別部会におきまして、保育所の指導要領というものを改定すべくいま準備をいたしておりまして、ことしの七月ごろまでには一応できるんじゃないか、かように考えております。
  97. 千葉千代世

    千葉千代世君 その改定の草案でございますか。
  98. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 現在まだ案の段階でございまするが、私どものほうで持っております。
  99. 千葉千代世

    千葉千代世君 それは見せていただけますか。
  100. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 御必要でございましたら私出したいと思います。
  101. 千葉千代世

    千葉千代世君 この振興策についてでございますけれども、厚生省のほうでよく言われている、いわゆる三十九年から七カ年計画ということをおっしゃっております。おっしゃっておりませんか。
  102. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 従来の保育所の拡充整備計画につきましては、保育所のない市町村がまだ九百あるということでございますので、重点を、保育所のないところを解消するということをまず考えておりまして、また、財政上の問題もございますので、そういうことで計画をいたしておったわけでございます。今後、保育所につきましては、非常に要望が多いわけでございますので、これをもっと根本的に、そういう市町村をなくすることも必要でございますが、それ以上に、需要が高まっているという面から考えますと、もっと総合的な対策が必要ではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、従来の点からいたしますと、財政上非常に大きな問題になってまいるわけでございます。また、これに関連しまして、保育所でなければいけないかどうかという問題がございます。たとえば先ほどお話がございました幼稚園の問題に関連いたしますし、あるいは現在やっております指導なり、あるいは必要な場合に保育ママと申しますか、個人の人がやる、そういうような総合的に考える必要がございますので、まだきまったわけではございませんけれども、年次計画等は必要ではないかと思います。
  103. 千葉千代世

    千葉千代世君 いまおっしゃった問題の中で私が気になるのは、片方は文部省関係は幼稚園、片方は厚生省関係保育所ですね。個々の国々を調べてみたら一本のところが多いのです。保育所と幼稚園と、幼児教育として一貫した立場に立つわけです。その問題がかなりありますけれども、時間の関係で省略いたしますけれども、三十九年から七カ年計画で就園率を六〇%に高める計画、それを三十九年度の三億二千三百万の予算要求が七千四百万に削られております。ことしは四億四千万円が一億五千五百万にに削られております。さらにそれが私立に対する、さっき私が申し上げたのは、施設整備がゼロになっている。こういうわけで、さっきの観点を申し上げたわけですが、この七カ年計画というものは、いまもあるのでしょうか。もしこれがずっと続けられていった場合に、制度的、財政的にはどのくらいの予算が必要であるのか、ここだけ。
  104. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 先ほど申し上げましたように、保育所の七カ年計画というものは、きまったものはございません。いま先生御指摘になりました就園率六〇%で七カ年計画と申しますのは、幼稚園の整備計画ではないかと私は考えておりますが、そちらのほうは文部省の関係でございますので、私詳細は承知いたしておりません。
  105. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、幼稚園の関係と保育関係がいつまでたっても両方でなわ張りがきちっとあるわけでしょう。はっきりいえば連係が十分とれてないということを申し上げたいのです。そういう意味で、だからこれから連係をとっていくように、幼稚園の六〇の就園率になっている、私幼稚園と申し上げませんでしたか、幼稚園のことでした、片方のほうは保育所のほうが七・九%の就園率とおっしゃいましたが、そうするとこれがたいへん違ってくるわけなんで、よく関連をとって、これからの幼児教育の問題とか保育の問題というのは、やはり日本一つ政府の一貫した対策をもっていませんというと、両方で予算をとってくると、大蔵省で実は幼稚園の予算要求で、いま大蔵省の方にだいぶ話しましたところが、ややこしいというのです。厚生省では保育所保育所、文部省では幼稚園、幼稚園、われわれ、日本の子供は幼稚園系とか保育所系とかあるわけではないでしょう。当然だ、そこへいきますと、大蔵省は金を勘定していればいいわけでしょう。実際に教育の本質というものと、幼児教育の問題点について忘れられている。予算を切るとか、ふやすとかばかりやっておられるので、そういう点やはり厚生大臣、文部大臣とよく御連絡いただいて、将来抜本的に一貫した、厚生省であっても文部省であっても、私はどちらということはいいませんけれども、一貫した幼児教育の対策を立ててほしいということ。最後に、代替保母さんをだいぶとっていただいたし、たいへんいいことだと思っております。お産した場合に安心して休める、しかし、これは非常に少ないのですね。しかも平均給が基準で考えてみますと、低い給与で代替保母の裏づけをされておりますから、やはりこれは基本給を上げていくと同時に、安心して休めるように。私ども議員立法として、ただ一つ通った女教師の産休補助教員法というものがございますけれども、やはりそれらに関連して一般の働く方が代替保母を得ていく、しかし、基本賃金が安いのに非常に重要な任務を背負っていらっしゃるわけですね。保母の方は労働過重でありますから、お産のときは安心して休んでいられる、こういう方法をとっていただくことと、もう一つ小さいことですけれども、子供たちが非常に関心を持つおやつなんですが、おやつは今度は幾らになったのですか、十円要求しておったのですか、五円ですか。その前三円でしたね、おととしあたり。あまり人をばかにしたことで、これはなぜ聞くかというと、保育所で調べたのですが、かつて三円のときですが、三円のおやつ代でどれくらいのものが買えるかというと、おいも一本十円のときだったのです。そうするとここらあたりしか与えられないのですね。そうして、お母さんたち、子供たちがかわいいものですから、PTAはございませんから、篤志家から寄付を仰いだり、私たちも三千円とかいろいろ寄付を求められましたけれども、私ほかの寄付は一切いたしませんけれども、保育所の子供のためと言われれば別ですから、やはり国家にたいへん助けているわけです。そういう点をお聞きしたいのです。
  106. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 特に予算上は、おやつ代として出してございませんで、給食費として考えておりますが、従来二十二円九銭のものが、今回は二十四円十三銭になったわけでございます。
  107. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうではないでしょう。予算の算定をする場合には、ただ給食費として食事だけではなくて、間食費が幾らということが算定基礎にならなければならない。
  108. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) ただいま申し上げましたのは、昼食の補食と申しますか、おかず代と双方含めて申し上げたわけでございます。
  109. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、おやつ代は幾らということはわかりませんか。
  110. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 五円でございます。
  111. 千葉千代世

    千葉千代世君 五円ですね、五円は去年からでしたね、たしか去年か一昨年だったと思いますが、その前三円と五円で、ずいぶん頭を痛めておりますので。
  112. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 三十九年度からでございます。
  113. 千葉千代世

    千葉千代世君 どちらでもけっこうでございますけれども、問題は、保育に必要なお子さんたち考えてみますと、必ずしも家のいいお子さんではなく、かなりの困窮の方がいらっしゃる、内職したり、日雇いしたり、その子供たちに五円のおやつ代で、五円で何が買えるとお思いになりますか。
  114. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) あめ玉にいたしますと、二、三個、せんべいにいたしますと一、二枚と考えております。
  115. 千葉千代世

    千葉千代世君 パンだとどのくらいになります。あんパン一つ幾らですか。
  116. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) あんパンは十円、あるいはものによりましては十五円かと思いますが、あん。ハンは五円では買えないと思います。
  117. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、十五円だとしますと、十円で安くするところがありますけれどもね。十円だとしますと、その十円のあんパンというのは、あんがちょびっとで、あんがふかふかで、私買ってみたんです。全然密度がないのです。がすがすなんです。ちょっともう上がると……、その子供たちに半分のおやつ代で足りると思いますか。
  118. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) おやつ代をとり上げると、これは必ずしも十分じゃないと考えておりますが、先ほど申し上げましたように、昼食の補食と一緒に考えるべきだということでございます。
  119. 千葉千代世

    千葉千代世君 私この問題で、こまかいことで、きょうは分科会でございますので、あまり長い時間は失礼いたしますけれども、要は五円では足りないと。来年の予算要求については、とても足りないから、まあ最低私はいまのおやつに二十円以下ということはないけれども、百歩譲って、少なくとも十五円くらいの要求をする気持ちがありますか、ありませんか。これは大臣答えてください。子供にやっぱりきちんとした政策をして……。
  120. 神田博

    国務大臣神田博君) いまの保育所の昼食のおや代等の非常に少額であるということは、これはまことに遺憾でございます。いつも予算要求の機会ごとに、これは鼓を鳴らして、実は皆さんの応援をいただいてやっておるわけでございます。そこで、再来年度一体幾らにするかということは、いまお述べになったような程度はこれはやらざるを得ないと考えておりますが、そのときになりましてなお検討いたしまして、十分ひとつやっていくようなことにいたしたいと、こういうふうな気持ちでおります。
  121. 千葉千代世

    千葉千代世君 これで終わりますけれども、私これ申し上げるのは、普通の子供さん、保育園に行っていない子供さんたちのおやつ代を調べてみたんです。大体二十円から三十円の平均です。しかもそれはお母さん方が自分の子供のためにおやつをちゃんと、油でメリケン粉をいためたり、いろいろ手を加えたり、しかもカロリーをとって、相当主食代を補うような方法でやっていらっしゃるのですね。子供はエネルギーの消耗が非常にひどいわけです。そうすると、いま五円では、私はどんなに考えても、日本の子供に対する愛情のある厚生施設ということは言えないと思うのです。やはり何としても、これはやはりできれば三十円でもけっこうです。やりたいのは山々ですけれども、予算の限度があるにしても、五円のおやつ代をやっている国はどこにあるか、もっと端的に言えば、皆さん方お子さんがあって、お子さんのおやつに、奥さん方が五円のおやつ代をやっていらっしゃる方は一人いもないと思う。いらっしゃったら教えていただきたい、何を置いてもおやつ代の増額ということを希望して質問を終わります。
  122. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 次に、林塩君。
  123. 林塩

    ○林塩君 私は時間を少しいただきまして、保健婦、助産婦、看護婦の数の確保対策と、それからその次に、助産婦問題、母子保健衛生と助産婦の問題、それから精神衛生対策、時間がございましたら輸血問題について少し伺いたいと思っております。  最近、医療費問題でたいへんに騒がしくなっておりまして、それが結局病院の経済面問題とか、経営の問題とかいうことと関連いたしまして、どうも病院自体における患者さんへの看護とか、手厚いいろいろの問題というのがどうも薄くなりまして、日本の患者さんに対しての、病む人、傷ついた人、そういうふうな人たちに対しての感覚がどうもドライになっておるような感じがいたします。病院に行ってみましても、そういう患者さんたちが、ほんとうに安んじて病をいやせるような状態であるかどうかということを考えてみますと、御承知のように、病みましたときにはただ体だけの問題ではなくて、やはり心も傷ついているというようなことを考えましたときに、この面の手当てが厚生行政上非常に十分でないように思います。で、お薬の問題はもちろん問題になっております。昔から病気がなおりますためには、一に看護、二に薬というのがほんとうです。そういう意味で言いますと、何といっても看護は数が必要でございます。近ごろ看護婦の数が足りない足りないという声が一般でございます。この数年そういう声が一ぱいでございますが、厚生大臣はそういうことに対しましてどんなふうにお考えになっておるか、ちょっと御所見を伺いたいと思います。
  124. 神田博

    国務大臣神田博君) ただいま林委員の、病院経営と申しましょうか、あるいは病院に働く看護婦等に対するたいへん思いやりの御質問でございまして、私も非常に何といいますか、そういう方面をあずかっておるものといたしまして、心あたたまる思いをいたしておるわけでございます。御承知のように、看護婦が病院にいない、あるいはその他の雑役婦に至るまで病院に人手が不足だということは、これは露骨に言えばやはり病院経営が非常に困難だということが私は一番じゃなかろうかと思うのでございます。その他の点といたしましては、やはり病院勤務が相当過激だ、人対人の関係でございますから、なかなか勤務時間があってもその勤務時間だけで制約するわけにいかない愛情の問題でございますから、やはりどうしても過労になりやすい、超過勤務になる、こういうようないろいろな私は点があるのじゃなかろうかと思います。そこで、厚生省といたしましても、病院の経営をひとつできるだけ合理的にやっていただくというには、適正な医療費のやはり問題を解決しなければならない。こういう考えをもちまして、先般緊急是正として医療費の問題をひとつとらえたわけでございます。なお、またこれだけで病院が成り立つとは考えておりません。看護婦等の充足の問題につきましては、数年来からいろいろ施策を施しておりまして、養成につとめる、あるいはまた退職された方々のパートタイムと申しますか、そういった呼び戻しも考え、いろいろの手を打ちまして、そうしていまお話しございましたように、これは何といってももう看護が病気の治療を促進させるほんとうにこれは近道と申しますか、私は最善の道だと考えておりますので、こまかい手を打ちまして、そして看護婦が魅力を持つといいましょうか、愛情をささげる場として適当な場だというようなことに持っていきたい、こういう考え方で諸般の施策を進めておるわけであります。
  125. 林塩

    ○林塩君 看護が非常に大事だということは認めていただいておりますので、ありがたいと思いますが、ただ、全国的な数の確保対策ということについて、予算の上にあらわれておりますのには、そういう気持があまりに出ておらないということなんでございますが、これについてはどんなふうにお考えになっておりますか。実は全国的に非常に足りないために、当局としてはこの数をふやすための対策として、勉強するための奨学金あるいは貸与金なんというのをとっていただいたと思いますが、これについてはちっともふえておらない。ですから、相変わらず同じようなところを低迷していると思いますが、ただいまおっしゃいましたように、厚生省としてはそういうことをよく認めて、そうして数も必要だし、その他の問題を別にしても、数を必要だということをおっしゃっておりながら一向この辺のことが具体的にあらわれてこない。何年来そういうことを言っているのでありますが、御答弁はいつもそういうことなんです。直接に、これは看護関係の問題だけでなく、及ぼすところが大きいのですから、そのことについて、病院あるいはその他の診療所あたりで、病める人たち、傷ついた人たちがほんとうによい手当てが受けられるように、心身ともに安んじてできるように、数も必要でございますし、質量ともの確保が必要だと思うのでございますが、そういうことについては、本年度の大体の見通しはどういうことになりますか。数がもっとふえるような対策をお考えになっておるのでございましょうか、伺いたいと思います。
  126. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 看護婦さんの、看護職員の確保対策といたしまして、三十九年と四十年とを比べて金額を申し上げますと、まず養成所のほう、新設または増築します費用、これは一億八百万で、三十九年、四十年同じでございますが、いま林先生お話しがございました就学資金の貸与金の補助、これは四千八百万から六千百万にふえております。  内訳的に申し上げますと、貸費学生数といたしましては三千四百七十九人が四千四百五十八人にふえております。それから就学奨励金、これが十万円が九十三万五千円にふえております。なお、先生のお話はおそらく運営費の補助の問題だろうと思いますが、これは実施できない状態でございます。
  127. 林塩

    ○林塩君 少しふえているようでございますけれども、しかし、医療施設は非常にふえていっております。たとえば、さっきお話がありました救急病院にしましても、それから、精神病院にいたしましても、それから、各都会生活者のいろいろな家族構成その他の関係で、病人は家庭におらないで、そうして施設にいく傾向がございますが、そういう意味でベッド数もかなりふえていくことになっておりますのに、それに対応する対策というのがないというのですが、これは一貫して、何か病床がふえるのと同時に、厚生省としましては看護要員の対策をどうしたらということをお考えになっているかどうか伺いたいと思います。
  128. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 医療需要と申しますか、特に病床の増加に伴いまして、それに必要な看護力の増加が必要でございますので、そんな関連を考えて、看護職員の増強につとめておるわけでございますが、ちなみに申し上げますと、四十五年に、稼働しておりますと申しますか、医療施設で働いております看護婦さんを二十六万くらいにふやしたいと、これは看護婦、准看護婦を含めてでございます。三十八年末におきまして十九万三千八百二十三人、まあ二十万ちょっと足らずのものを二十六万くらいにふやしていきたいと、こういうふうに思っておりますが、この病床数の増加と、看護婦さんの病院において働いておられます数との増加は、現在までのところで申し上げますと、三十年から三十七、八年ごろまでの状態は、看護婦さん一人当たりに対しての病床数が改善しておりまして、三十年ごろが一人当たりに六ベッドぐらいだったのが、三十七、八年には五・四というくらいのところまでよくなっております。約一割くらいの改善率を示しておると、こういうような状態でございますが、労働時間の短縮だとか、その他先生がお話のございましたいろいろ生活程度の向上、また医学の進歩、こういうようなことに伴いまして看護婦さんに対しての要求が強まっておると、この増加改善と、相対的な——全体的及び相対的な増加をしておりますが、なお、不足をしておると、こういうような状態だと思っております。
  129. 林塩

    ○林塩君 それで四十七年までには、大体二十六万にふやすという御予定ですが、それについて、この前は四十五年までには、大体その補充をするのだというような、昨年はそういう計画で、養成所もふやしていくのだと、それから、設備——学校ができて、あるいは学校、養成所ができますについての補助金もやっていくのだと、こういうような対策もあるようでございますが、二年延びました。まあ延びてもいいと思いますけれども、最近いろんな問題が起こっております。たとえば肢体不自由児の病院なんかでも、せっかくベッドができたのに看護婦がいないために、そこに働く人がいないために、高校卒業生が地方から出てきて、応援にきたというようなこともありましたり、それから、これはたいへんに困る問題といたしましては、看護婦が足りないから、看護婦でもない、准看護婦でもない、いわゆる訓練ができていない人たちが、無資格者が使われようとする傾向でございます。無資格者がそこに入って使われる。ただ補助的な問題としてはいいのですけれども、かなり治療が高度になっておりますために、たとえば静脈注射を無資格者にやらしてみたり、あるいはまた、ときどき起こってくる問題ですが、輸血問題なんかも、そういう人に管理をされているために、生命の危険が伴うという問題もあるわけです。それはせっかく病気をなおそうとして入った病院で、かえってそういうことのために命を失うというようなことになってきます。お話も出ておりましたが、薬の問題も相当むずかしい問題でございますので、これを取り扱う人のやはり教育というのはどうしても大事な問題になってまいります。ほとんどが医師は数が少なくて、患者に接するのはやはり看護者であるということを考えますと、医師の指導のもとにという項目にはなっておりますけれども、たいていの場合は単独で行動しているというのが実際の状態でございますので、この辺のところのことをよくお考えいただきたいと思うわけです。それで、そういうことでございますが、予算にあらわれました問題としては、それならば養成所なりあるいは看護婦の学校というものがどうしてできているかということなんです。どうしてその数をふやしていったらいいかということでございますが、いまは国立なり公立の学校、養成所というよりも、一番数に困っておりますのは民間の診療所、あるいはちょっとした医療法人の病院とか、あるいは小さな病院というところで看護婦の数に困っているという状態ですが、そこまで訓練され、教育された看護婦が行き届かない、看護婦並びに准看護婦は行き届いておりません。そういうところにたくさん問題が起こっております。したがいまして、もっと看護婦の数をふやしていくために養成所が必要だと、ことしあたりはだいぶ志願者がふえたということで喜んでいらっしゃるようでございますが、志願者がふえましても養成する場所が大事なことで、そういう意欲が出てまいっておるのですけれども、それをもう少し定員をふやしていくなり、あるいは、また、養成所なり学校なりをふやしていくという対策をしない限り、相変わらず数は現状維持ではふえないのでございますので、そういう意味からいきまして、養成所をつくる補助金というのが大事だと思います。で、聞いてみますと、学校をつくるためのお金がないというのが大体どうも一般の世論のようでございます。したがいまして、ことしは何ですか、養成所の整備費として一億八百万取ってありますが、これは去年と同じことで、ちっともふえておりません。でございますので、これについてどうですか、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
  130. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) まず、私、おわびせねばならないのですが、二十六万人の計画が四十七年と申し上げておりましたといたしますれば、四十五年の誤りでございますので、これは訂正させていただきたいと思います。
  131. 林塩

    ○林塩君 わかりました。
  132. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) それから、無資格者の問題でございますが、無資格者は、やはり専門職を補助をする人間として看護職員の一部にぜひ必要だと思いますが、しかし、それと同時に、有資格者のしっかりした訓練を受けました医学的な、また、看護関係の素養があります人が中心になって働いてもらわなければならないことは当然のことでありまして、この数をふやしていくことにわれわれ実は努力をしていきたいと思っております。施設整備費の数でございますが、昨年と同じでございますが、これは公的医療機関をつくりますのに対してだけ補助ができる形でございまして、まあ多いにこしたことはございませんが、これでできるだけ施設をふやしていくように努力をすると同時に、いろいろ養成施設におきまして、かなり十分な養成能力を持っておりながら、その定員一ぱいに入れていなかった施設がありますので、そういうようなところをできるだけ定員一ぱいに養成をしてもらうようにという、こういうようなことまで努力をわれわれ続けてきたわけでございます。この関係がいまかなりな大きな効果を及ぼしているように思っております。ちなみに申し上げますと、先生御承知でございましょうが、正看護婦は三十二、三年ころは四千名足らずの入学者だったのが、三十九年四月におきましては五千名近く、四千九百十六名の入学者をみておりますし、また、准看におきましては、一万四千ぐらいだったのが二万くらいの入学者を見るようになっておりまして、ただ、しかし、私たちこのベビーブームが去りますと、そのときのことを思いますと必ずしも楽観を許さないので、できるだけやはり養成力は強めていかなければならぬ、こういうふうに考えるものでございます。また、同時に、志願者を確保いたしますための、先ほど大臣からお話がありました労働条件とか待遇改善するとかいうふうなことにつとめまして看護婦さんになる方を確保し、なる志望者を確保し、また、養成を強化していくというふうに努力をしていきたいと思っております。
  133. 林塩

    ○林塩君 そういうふうにいつも言われるのですが、予算になってくると、あまりそれが効果的に見えないというのは、これはどういうことですか。もう一点伺いますことは、何といいますか、養成所の整備金の補助先でございますが、これが都道府県とか市町村とか、日赤とか済生会と、これだけになっていて、他のところにはこれは利用できないものなんですか。どういうわけでそうなっていますか、この二点伺いたいと思います。
  134. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 確かに私的の医療機関の養成所につきまして補助金を出すことも、われわれとしてはいろいろ考えているわけでございますが、御承知のように、憲法の八十九条におきまして、公の支配に属しない教育の事業には公金が支出できないようなことになっておりまして、したがいまして、看護婦等の養成事業が一応教育の事業に該当すると、こういうふうに考えられますので、このことを何とか突破できないかと、いろいろ努力もし、考えてみておるのでございますが、現在の時点におきましてはこの問題が突破できなくて、われわれとしてはまあ研究を続けておるという状態なんでございます。
  135. 林塩

    ○林塩君 で、いろいろな規則があるからということだけにとらわれないで、実態の中でそれを何らか運用できないものかといつも思うんですが、医師会あたりでこれをよく言われることでございますが、何の補助金もこないで、そして教育をみんな医師会でやらなければならない、そのために准看護婦の養成だってしてもなかなか困るので、ことに医療費問題もあるおりから、何も得にならないことをわれわれしたくない、それならもっと簡単に副看護婦みたいに、あまりめんどうなことをやらないでしたほうがいいというような考え方がずいぶんございまして、そしてまあこれは法律には准看護婦、看護婦の場合は法的の規制がありますけれども、副看護婦というふうな名をつければ何をやったってかまわないのだと、こういうような裏をいかれまして、東京都におきましてもたくさん、何といいますか、看護婦とみまがわしいような、准看護婦でもないようなことで、かなりさっき私が申し上げましたような無資格にひとしいような人がこの医療の中にはっきり入っていろんな医療補助をやっているというようなことについては、私は少し当局に考えていただきたいと思うのでございますが、それに対して、そういう規則があるからこれを教育とみなして——教育とみなしてというふうなみなされ方ですが、はたしてこれが教育なのかどうかは問題といたしまして、厚生大臣いかがですか、こういう問題につきましてこんとんと起こっております問題についてどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  136. 神田博

    国務大臣神田博君) なかなかむずかしい問題でございまして、いまの段階では無理なんじゃなかいというふうに考えますが。
  137. 林塩

    ○林塩君 なおそういう状態があるということをよく御理解いただいて、この問題のできるだけいい意味の前向きの姿勢で、そして向上ができるように御努力をいただきたいと思います。  それから、助産婦の数の問題でございますが、これは母子保健の上から、どうしても助産婦の数はもっとふやしておかなくちゃならないんじゃないかと思いますが、しかし、なかなかこれもむずかしいのでございますが、厚生省当局は助産婦の人数の問題に対してどういうふうにお考えになっておりますか。
  138. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 助産婦さんの数は、一応数といたしましてはかなりな数があり、また、特に家庭分べんが減少しておるというようなことで、そう現在においては不足してないんじゃないか、全体としては不足していないんじゃないかと思いますが、やはり地域的の問題もいろいろあると思います。特にしかし問題は、平均年齢が現在五十三歳前後になっておると思いますが、それでこういうふうな高年齢者によって助産婦さんが占められておりますことは、将来お仕事ができにくくなる方があり、また、なくなられるという方もふえてくると思いますので、急速な人数の減少も起こりましょうし、また、稼動状態の減少も起こってくる、こういうような点で将来は私たちは重要な問題になってくると思っております。したがいまして、何とか助産婦さんになる希望者をふやし、看護婦さんからさらに教育を受けて助産婦の資格を取っていただきますような方式を促進していかなければならない、こういうふうに考えておるものでございます。
  139. 林塩

    ○林塩君 助産婦の業務はこういうことになっております。「厚生大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導をなすことを業とする」、これは法的にきめられております助産婦の定義でございます。ところで、助産婦がなぜふえないかという問題、それから、実際には数があるわけでございます。数はあるんですが、はたしてその人たちが助産婦業務を実際にやっているかということになると、私も少し調べてみたのでございますが、これは助産婦の実態調査の中から出てまいりました問題でございます。で、登録の上からは五万何千ございますが、実態調査では三万幾らという数でございます。そのうちで、有床の助産場を開設しております人が三千八百五十九ございます。これは三十八年度の統計でございますが、それで、せっかくあります助産婦の職能をもう少し母子保健行政の上に利用できないかという考え方に立ちまして、どういうふうに当局はお考えになっているか。最近、母子保健法案というのが出ております。で、母子保健法案の上では助産婦は重要視されているわけでございます。しかし、実際に活動できる数というのは非常に少ないということが考えられます。といいますのは、老齢化しておりまして、その老齢化しております数でございますが、調べてみますと、大体平均年齢が五十四——いまおっしゃいましたね、五十四歳と。それから、長く助産業務に従事していた人たち、三十年以上も従事していた人たちは老齢化して、実際は仕事をしておりませんというような状態。地域社会におきましては助産婦業務というものを非常に必要としております。それでありますが、この人たちが実際に仕事ができるためにはどういうふうな対策をしていけばいいかということでございます。で、助産場を持っておりますところには、かなり入所の産婦さんもありますけれども、出張分べんということがなかなか今日の社会ではございませんために、ほとんどの人が失業状態である。で、失業だから生活に困っているわけではございません。というのは、たいていみんな有夫の方が、そして相当社会的にはいい地位の方でございますために、勤労意欲というものがあまり出ておらないというふうな状態でございます。そのために問題があまり全体として起こっておりません。それから、また、生活し得ない助産婦の方がそれじゃどうなるかといいますと、これは私設のほうでできるだけ雇ってもらいたいということが出てきますが、公的な施設になりますと、年齢その他の関係で雇えないということのために、職を離れて他の職に移転しているというような状態でございます。それで、厚生省といたしましては、地域母子保健衛生の上に大きな役割りを果たしてもらわなければならない助産婦の人たちを、ある程度残っております人たちを利用する方法について何か対策がございますかどうか、伺いたいと思います。
  140. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 今度の現在提案しております母子保健法案におきましては、従来保健所において実施されておりました妊産婦、新生児に対します訪問指導ということを市町村に委譲しているわけでございます。したがいまして、従来とかくまあ保健所の手が及ばなかった妊産婦の問題につきまして、できるだけ指導を加えていきたい、こういうような考え方でございます。そういう面で助産婦の方々の活動ということを期待をいたしているわけでございますが、この点につきまして従来補助金におきまして考えておりました、たとえば受胎調節の指導でございますとか保健指導その他につきまして、非常にわずかな額と申しますか、一件当たり八十五円程度の金額でございましたけれども、これを現在地方財政交付税の算定基礎におきましては、二百円近くまで上げたいということが一つの点でございます。それから、助産施設を開所しておられる方もあるわけでございますが、こういった問題につきまして、将来の助産施設のあり方ということにつきまして、母子保健部会でございますが、これがこの方面におきましても十分検討いたしまして、さらにそういう新しい時代の要請に応ずるような助産施設を今後充実していくというような考え方をとっております。これはいずれ最終の報告を待ちまして私どもも善処いたしたいと考えております。
  141. 林塩

    ○林塩君 それで、私はこういうことをいままで考えられていなかったのじゃないかと思いますことは助産所の開設でございます。助産所を開設している人たちが、母子保健法案に出ておりますように、その地域の市町村に委譲されましたときには、地域の非常勤という立場で、医師、助産婦の協力を得るというふうに出ておりますが、協力を得るにも、そういう有能な人たちがいないという場合にはどうするだろうかということでございますが、よくいっておりますところは、助産所を開設しまして、地域社会に密接な関係を持っている人たちがかなり有用な働きをしております。そういう意味で、助産所の開設ということについて、もう少しいい行政指導がなされるべきじゃないかと、こう思うのでございますが、近ごろ分べんなどのときは大きな施設に行く状態がございます。実際の場合は大きな病院とかあるいは産院、産院はまだいいのでございますけれども、病院に行ってお産をしました場合、病院は何といっても人手不足でございますので、とにかく扱いが非常に悪いというのが大体の評判でございます。病院も困っております。それで人手が少ないので、ほんとうに母子の指導というのができにくいということがあって、お医者さんは忙がしいものですから、そそくさと助産をされまして、これが手厚くないわけであります。少なくともその辺のことを考えましたときに、いい助産所というのが開設されたらいいのじゃないか、こう思います。御存じのように、助産はやはりいろいろ技術的な問題もございますけれども、案ずるより産むがやすいということで、自然分べんというのが何といっても一番いいわけであります。ところで、いろいろな操作を加えないほうが私はいいと思います。それには、いい助産所でゆっくりいい技術を持った助産婦によって指導がなされてするのが一番安全で、そうしてあとの経過も非常にいいわけでございますので、いい助産所というのが数多くつくられるような指導が必要かと思います。聞いてみますと、どうしてもいい助産所といいますと近代的設備も必要だというので、病院に行きますとわりあい近代的設備があるから、そこへ行きたいというのが近ごろの若い人たちの感覚だと思うのでございます。見てみますと、助産所は何といっても施設費が足りませんために古うございます。そういうところになかなか来ない。でありますので、もう少しお金を加えて、そうしていい助産所をつくるならば、助産所もいいし、母子もいいし、助産婦もいいんじゃないかと思います。で、医療金融公庫がございまして、この医療金融公庫の貸し付けその他の状態について、もう少しそういう地域で開業したい助産婦さんのために行政指導なり何なり、アドバイスが必要じゃないかと思うんですが、試みにこれを見てみますと、条件がよくないわけなんです。助産所については条件があまりよくございません。そのためでございましょうか、他の施設、たとえば病院とか一般診療所とか歯科診療所とか、こういうところはかなりたくさん申し込んで、かなり利用しておられます。全体で貸し付けされた件としまして四千二百三十五件ございますのに、助産所の場合は二十件しかございません。それで、こういう点について厚生省としては、ちょうど母子保健法案も出ている場合でございますし、地域に密着した、ほんとうにきめのこまかい、そして有効に利用できる人員があるのでございますので、こういうところに総合計画として何かお考えがあるようでございましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょう。
  142. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 助産の方法につきまして、現在施設分娩ということがだんだん普及してまいっておるわけでございますが、公の問題といたしましては、母子健康センターというものを各地に、特に産院その他病院等に恵まれない地域には設けておるということはもう御承知のとおりでございます。これは公の立場から行なっております方法でございまして、民間の助産施設につきましては、先生の御指摘のように、医療金融公庫の貸し付けによりまして現在行なわれている、これはきわめてわずかでございます。これにつきましては、私どものほうといたしまして反省いたしております点は、そういった助産施設に入れるような方法をもう少し考えなければいかぬのじゃないか。それによりまして助産施設をもっと利用するということによりまして貸し付けの対象として条件がよくなる、こういう必要があろうかと考えております。そういう面につきまして、先ほど申し上げました医療審議会の特別部会におきましてさらに検討を加えて、産院あるいは助産施設、あるいは母子健康センター、こういったものを総合的にどうやったらいいかということをいま検討をお願いしているわけでございますので、その結果によりまして新たな対策を立てていきたいと、かように考えております。
  143. 林塩

    ○林塩君 今度は、これは助産婦の問題でございますが、保健婦の問題につきましてもいろいろございます。まず、この保健婦の数も足りないということがかなりいわれている。全国的には非常に格差がございまして、もっと保健婦の数があったほうが、地域の保健衛生の向上の上に、たとえば国保の問題なんか、これは国保財政との関係もございましたり、それから、いろいろな業務の関係もあったりいたしまして、非常にむずかしい問題でございますけれども、地域にもっと保健婦がほしいというように思うわけでございます。で、病気をしないようにすることがまず第一、その次に、病気をした場合にはできるだけ早くなおるようにするということが一番大事な厚生行政じゃないかと思うわけでございますが、いまそれが逆になっている日本の状態といたしましては、まずそういう意味からやっていかなければならないと思いますが、保健婦についての数でございます。これも貸与金なんかが出ておりまして、多少ふえておるようでございますが、これはどうでございますか。需給が合う状態でございますか、伺いたいと思います。
  144. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) ちょっと私いまここで手元に持っております数字は古いと思いますが、免許を持っておられる方が三十六年末三万八千五百、就業しておられる方が一万三千六百台じゃないかと思っておりますが、毎年学校を出ていかれる方々があって、ふえてはいくわけでございますが、しかし、必ずしも需要の全部を満たすまでにいっていない。また、養成所の定員を満たすほどの志望者が必ずしも集まってないところがある。こういうふうな問題につきまして、われわれとしましてもいろいろ頭を悩ましておる問題でございますので、さらに一そう公衆衛生局と協力いたしまして、努力をいたしていきたいと思っております。
  145. 林塩

    ○林塩君 それで、他にたくさん伺いたいこともあるのでございますが、時間も切迫しておりますので、少しはしょりたいと思いますが、保健婦の問題で、これは保健婦養成所でこういう話を聞いております。学校に行ったほうが、たとえば文部省関係の学校の養護教員になったほうが保健婦で働くよりも待遇がいいというわけで、せっかくたくさん保健婦として養成した人が学校にとられている。文部省のほうが非常に待遇がいい。それから、女のことでございますので、看護婦についても結婚の問題が出ています。保育所の問題なんかも出てまいりますけれども、一応そういうわけで医療職日表が大体保健婦、助産婦に当てはまる問題ですが、ところが、養護教員になりますと、これは教育職になります。教育職と医療職と比べてみますと、はるかに医療職が少ないわけです。それで、そういうことからいきますと、収入はいいし、それから勤務も楽であるということになってきますと、どうしても幾ら保健婦を養成しましても学校のほうにとられるという可能性がある、こういうことなんでございますが、これについて厚生省としては、やはり公衆衛生、人々の何といいますか、健康の保持増進の上にそういう目的を持って養成され、また、その面に使われなければならない要員だと思うのでございますが、それがそういうところ、学校にも必要だと思いますが、しかし、そういうことについてどういう対策を持っておられますか、御見解いかがですか、伺いたいと思います。
  146. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 保健婦さんの数が先ほど私ふえていると申し上げましたが、人口十万単位にいたしますと、三十四年が人口十万に対して一三・三だったのが、三十八年には一四・二、こういうように、ふえてはおりますが、全体的に公衆衛生関係で働いていただいております保健婦さんの数が必ずしも充足できていないという状態でございまして、まあお話のように、ことに卒業していく方が学校関係にとられるというふうな問題もあるというように思いますが、学校方面にとられるからといっても、それは行っちゃいかぬというわけにはいきませんし、できるだけまず数をふやしていくということが第一ではないか、こういうふうに思います。  なお、それとともに、医療関係においても十分な、こちらのほうも魅力的でありますように労働条件を改善するとか、待遇改善するというふうな努力を払いたい。看護関係の医療職日の待遇につきましては、この三十九年の人事院勧告につきまして、前大臣も人事院のほうに直接行っていただき、また、神田大臣も、御就任早々に向こうへ電話をかけていただくとかというふうにして、医療関係職員待遇改善、特に看護婦さんの待遇改善については努力したのでございますが、また、その結果といたしましても、ほかの職種に比べましてアップの率は多く、一番アップ率はよかったと思っておりますが、たしか九・三プロだったかと思いますが、しかし、いまお話のように、まだほかとのバランスの問題もあり、また、労働条件との関係もありますので、さらに一そう待遇改善につとめていく必要があろう、こういうふうに思っております。
  147. 林塩

    ○林塩君 私は考えていただきたいと思いますことは、同じ業務でありますのに、たとえば同じ業務である文部省関係に行ったときには、それが教育職何表で五千円も高い、実際五千円くらい高い。それから、もっと大事な仕事である保健所にまいりましたときには、保健婦のそういうものは医療職になって、それが低いということで、評価の問題だと思います。医療職日表自体に非常に問題がある。アップの問題はいろいろ努力をいただいておりますので、これはよくわかりますが、しかし、看護関係自体のそういう仕事に対する評価の問題であろう、こういうふうに思います。これは将来ともそういう意味で御検討いただきたいと要望をしておきたいと思います。  それから、次に、もう少しこまかくいろいろ伺いたいと思いますが、きょうは午前中までということになっておりまして、せかされておりますので、少しはしょりたいと思うのでございますが、精神衛生の問題について少し伺いたいと思いますが、私がこの問題を伺いますのは、精神病の患者さんが非常に多くなっている。そして昨年もこの問題について伺いまして、その後間もなくライシャワー事件が起こっておるというようなことでございまして、もともとやはり精神衛生というのは少し対策がおくれておるのじゃないかというふうに感じますのでございますが、これについて格別の御努力を厚生省にもいただいておりますので、どこをどうするかということになりますと、まず、私は治療の面から考えますというと、精神病院の問題から精神監護の問題から、いろいろな問題がたくさんございますので、そういう意味から伺いたいし、将来とも、この問題をうんと推進していかないことには、いろいろな社会的な問題が起こって、ひいてはこれが生活にも及ぼし、それから、また、精神病を一人かかえているために家族が非常に困っている問題にもなってくるというような社会的不安も起こしておりますので、やはり全体として精神衛生対策を推進していかなければならないのじゃないかと思います。そういう意味からお話を伺いたいのでございますが、ことしは予算の上でも格段の御努力がございまして、御説明がございましたように、外来患者についても、かなりたくさんあれがございますが、ただ、精神病と申しますのは、やはり申し上げましたように、一人一人の心の手当てが大事だと思うのでございます。ここで三百床の増床というのが見込まれておりますが、これについて、いまでも困っておりますが、監護者の問題をどういうふうに考えておられますか。それから、また、大蔵当局では精神病患者の監護をします人たちの特別の訓練というものについては何か対策を持っておられますかどうか、ちょっと非常に末端のことになりますけれども、これを伺っておきたいと思います。
  148. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 精神病の病床の増加、また、施設増加に伴いまして、医療関係職員、特に監護職員が必要とせられ、その増加もそれに対応せなくてはならないわけでございますが、なかなかこれがむずかしい問題で、われわれも努力はいろいろやっておるのでございますが、十分じゃないと思います。しかし、特にこの精神関係の看護婦さんにいろいろな資質、訓練が要求されるのではありますが、全体の養成といたしましては、一般の看護婦さんと特に分けて、精神関係の看護婦さんの養成を別扱いで養成しておるというわけではございませんで、その養成した看護婦さんのうちから精神病のほうに回ってもらう、こういうような形になっておるものと思います。しかし、各施設におきましてそういう精神病の監護のためにいろいろ施設内で訓練をされるというふうなことがあり、国立関係などにつきましても、国立自体の立場でいろいろ訓練をしておりますが、しかし、これだけ大きな精神病の病床の増加に対して、もう少し体系的に国が精神関係のいろいろな再訓練というようなものをせねばならないというような反省もわれわれしておるわけです。特に精神関係には男子の監護関係の方々、監護人と申しますかが必要だというので、この関係では一般の看護婦さんの需給とは別に関心を持ってやっておりますが、現在正監護人の方を養成しておりますのは十四施設で、これは男女混合でやっておりまして、二十四人の入学者が三十九年にありました。それから二年制の進学コースでは六施設で二十九人、合計五十三人の入学者が出ております。准監護人につきましては九十一施設で三百四十二人、こういうふうな進学者をみておりますが、先ほどお話がありましたように、現在におきましても不足しており、また、病床の増加というようなものに対応いたしまして、これでは十分ではないと存じておりますので、さらに一そうの努力をいたしたいと思っております。
  149. 林塩

    ○林塩君 それはよく局長さんおわかりだと思いますが、数が非常に不足しておるのは、質が非常に不足しておると申し上げたいと思います。無資格者の人が非常に多いわけでありますし、精神監護ということになりますと、従来非常に監護の中でも、ただ監視だけしておればいいという感覚であって、そういうふうに取り扱われておることが多うございますので、無資格者でも監視さえしておればいいということで男子がかなり入っております。国立関係ではそうではございませんでしょうが、一応医療法人のようなところの監護人は、監護しておる人たちが悪いわけではありませんが、非常にむずかしい精神病でございますので、普通の看護よりももっとむずかしいものを要求されておると思います。なおっていきますために。したがって、この面の対策を十分に将来していただきたいと思いますので、これは要望いたしておきます。  それから、最後にもう一つ伺いたいのでありますが、昨年来たいへん問題になっておりました輸血の問題でございます。近ごろあまりこれが世間では騒がれておりませんために、何か問題が解決したように考えておりますが、実際になってみますと、まだまだ実際の場では問題は解決しておりません。ことしの対策としまして、あらわれておりますのは、予算上にはほとんど変わったことがないようでございますが、これはひとつそういう問題については強力な対策をいただきたいという要望を昨年出しておきましたが、これはあまり出ていないようでございますが、どんなふうになっておりますか、伺いたいと思います。
  150. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 御承知のように、昨年の八月、予備費の支出をもちまして、約八千万円血液対策のために支出をいたしたわけでございますが、従来毎年五、六台ずつ移動採血車の補助金をいただいておりまして、それが大体千百万ないし二百万程度をいただいておったわけでございますが、これを昨年の予備費でもって一挙に都道府県に全部未設県に配置することにいたしましたために、その分の従来入っておりました移動採血車分の補助費がことしからはなくなったわけであります。したがって、本来的にはその分が完全に減になるわけでありますが、やはり献血運動をやるためにはPRの経費が必要だということで、同じく昨年各都道府県に対しましてPRの補助金を計上いたしたわけでございますが、これは引き続き四十年度以降においてもやるということでその経費が入っております。  それから、また、血清肝炎の問題につきましては、今後さらに検討する必要があるということでもって、これは特別に血液対策のところには計上はいたしておりませんが、医療研究助成金のほうでもって大体五百万程度その分に充てようということで計上しておりまして、総額におきましては前年度に比べまして減というふうになっておらないわけであります。
  151. 林塩

    ○林塩君 それで、御説明がありましたときに、五百万円で研究をというお話がありましたが、これだけの問題でなくて、五百万円ではとても間に合わないのじゃないかというふうに思いますが、他にもそういう方法があるわけでございます。肝炎がまだおさまったわけではございませんし、臨床上にはいろいろのことが起こっております。  それから、いま一つ伺っておきたいと思いますのは、ここに出ておりますように、都道府県で推進をするために補助金を出しておられますが、これはその後うまくいっておるのでございましょうか。  もう一点は、取り締まりの監督費というのが必要だと、そういう不潔の状態の血液センターがあるわけです。そういうところから、取り締まり方、監督方については厳重なものを必要とし、また、そういう技術者がはっきりしなければいけないとかいうふうなことでございましたが、これは要望でございますが、この点はどういうふうになっておりますか、最後に御答弁をお願いしたいと思います。
  152. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 献血推進協議会の設置につきましては、各都道府県全部設立を終わりまして、ただ、御承知のように、移動採血車を一挙に、三十九年度の当初分を含めますと、大体三十台くらい製作いたしたわけでございますが、それの発注、それから製造の完成が大体十二月中に終わりまして、大体今年の初めから各県に配置されるということになっておりましたために、それまでの間に献血推進協議会の各県の結成を終わりまして、今年に入りましてから各県のほうは軒並みに献血推進協議会のほうを活発に現在やっておるような状況でございます。  それから、民間血銀の取り締まりにつきましては、経費につきましては従来と変わっておらない経費を計上いたしておるわけでございますが、ただ、民間血銀につきましては、私どもは従来の売血制度は好ましくない、むしろ献血で伸ばしていかなければならない点は当然としましても、しかし、その過渡的な段階として、やはり民間血銀のある程度の売血はやむを得ないことではあるけれども、ある程度これは十分取り締りを厳重にしていく。しかし、それ以外に、やはり民間血銀といたしましては、現在預血といいますか、個人的な契約でもって、病院で手術を予定されております患者の家族ないし友人と相談をして、それで民間血銀のほうにそういう方々に来ていただいて、いわゆる預血という形で行なうという方法は、民間血銀が売血をやるよりもそれのほうが適当ではなかろうかということで、そういう方面で相当民間血銀の動きも変わってきておりますが、売血をやっておりますところについては、従来にも増したきびしい監督を続けますと同時に、そういう形で若干切りかえているという事態も出てまいっておりますので、今後とも御指摘のように、民間血銀の取り締りにつきましては、売血方面につきましてはなお一そう厳重な監督をやってまいりたいと思っております。
  153. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 以上をもって厚生省所管に対する質疑は終了したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十二分散会