運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-27 第48回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十七日(土曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      田中  一君     加瀬  完君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         田中 啓一君     副主査         瀬谷 英行君     委 員                 植垣弥一郎君                 佐野  廣君                 白井  勇君                 前田佳都男君                 藤田  進君                 浅井  亨君                 中村 正雄君    政府委員        運輸大臣官房長  堀  武夫君        運輸省海運局長  若狹 得治君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省鉄道監督        局長       佐藤 光夫君        海上保安庁長官  今井 榮文君    説明員        日本国有鉄道総        裁        石田 礼助君        日本国有鉄道常        務理事      今村 義夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 田中啓一

    主査田中啓一君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、田中一君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。     —————————————
  3. 田中啓一

    主査田中啓一君) 昭和四十年度予算中、運輸省所管を議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を続行いたします。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運輸省関係について先に質問いたしますが、貿易外収支改善のために、昭和三十九年度の百二十万総トンに引き続いて、四十年度において百五十万総トン外航船舶建造して邦船の積み取り比率を高めていく、そういうことでありますけれども、その航路別あるいは隻数収支改善内容等についてお答え願いたいと思います。
  5. 若狹得治

    政府委員(若狹得治君) 昭和四十年度造船計画でございますが、百五十万総トン建造予定をいたしております。この隻数あるいは航路等については、非常にこまかいものでございますから、ここで申し上げるわけにまいりませんけれどもトン数の内訳といたしましては、定期船十万トン一般貨物船十五万トン専用船四十万トン、油送船八十五万トン合計百五十万総トン建造予定をいたしております。  それから国際収支関係でございますけれども、この百五十万総トンは、前年度の三十九年度の百二十一万総トンに引き続き、昭和四十二年度末までに七百四十三万トン建造するという計画の一環でございまして、これによりまして、貿易外収支のうちでの海運収支赤字というものを、現在の四億ドル台を大体維持していきたいということを考えているわけでございます。本年度貿易収支のうちの海運収支赤字は、四億八千万ドル程度にのぼる見込みでございます。それから明年度は、これが五億ドルをこすであろうというように考えられておりますけれども輸出入物量が非常に低下してまいりますので、七百四十三万トン建造いたしました後の昭和四十三年度におきましての見通しといたしましては、大体四億二千万ドル程度赤字として残るというように考えておるわけであります。
  6. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ここに書いてあるのは、貿易外収支改善に貢献したいというふうに出ておるのですが、貿易外収支赤字を五億ドル程度に維持をしていくということで、五面六十一億円の融資は、貿易外収支にどれだけ貢献するかという数字的な点を私は聞きたいと思ったのですけれども、そうすると、この赤字をこれ以上ふやさないというために、三十万総トン年度に比べれば外航船舶をよけい建造するというだけのことであって、積極的に、たとえばシップ・アメリカン政策に対抗するというような意図は、この予算からはくみ取れないわけですか。
  7. 若狹得治

    政府委員(若狹得治君) 貿易外収支赤字の減少という面に力を注いでおるわけでありまして、もし今日、この船舶建造をやらないとすれば、昭和四十三年度貿易外収支赤字は、おそらく八億ドルをこすであろうというようにわれわれには考えられるわけであります。したがいまして、貿易外収支赤字横ばいということを申しておりますけれども国民経済の規模が非常に伸びてまいりますので、貿易収支あるいは貿易外収支全体の中で占める海運収支赤字というものは非常に小さくなってくる、ウェートが小さくなってくるということでございます。  また、シップアメリカン等の問題がございますけれども、そういうものに対抗するというような考え方ではございませんで、むしろ、国民経済の発展にどうしてついていこうかというのが海運現状でございます。そういう立ちおくれを取り戻すという点に大量建造の目標があるわけでございます。
  8. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 じゃ、せいぜい横ばいを維持しようというだけであって、ここに書いてあるように、改善に貢献をするという積極的な意図は、ここの予算からはくみ取れないわけですか。もし改善に積極的に踏み込もうとするためには、どのくらいを必要とするのでしょう、外航船舶建造の場合は。
  9. 若狹得治

    政府委員(若狹得治君) われわれは、その赤字貿易外収支全体に占めるウェートが減ることが改善であるというふうに考えておるわけでございますけれども貿易外収支のうち海運収支だけで黒字を生み出すためにはどうしたらいいかという御質問ではないかと思いますが、現在のIMF収支というものは、輸入支払い運賃支払いに立てまして、輸出の受け取り運賃を受けに立てるわけでございまして、したがいまして、輸出入物量の差というようなものは、根本的に、日本の場合におきましては大体九対一ぐらいで輸入の量が多いわけでございます。しかも、その多い輸入物量が今後急速に増大してくるというような状況でございますので、貿易外収支海運収支だけを黒字にするというためには相当程度の思い切った船腹拡充が必要であるわけでございます。そのために、どの程度船腹が必要であるかと申しますと、運賃収支だけの黒字ということでございますれば、あと二、三百万トン程度追加すれば可能であるというふうに考えますけれども港湾収支赤字というものが一方にございます関係上、これもすべてカバーするということになりますと、なかなか膨大な数字になるわけでございます。  一方、海運業は、御承知のように、現在再建整備を行なっておる過程でございますので、企業力のつかない前に、そういう大きな拡充計画を実行させることにやはり無理があるというような問題もございますので、そういう面も勘案いたしまして、貿易外収支の現在の絶対額程度赤字というものは横ばいでいくというような計画を立てておるわけでございます。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、特にここにうたってあるように積極的な意味というものではなくて、要するに、赤字はこれ以上ふやさないという消極的な意味のものとしか解釈をされないわけです。  それじゃ、この外航船舶の問題から、今度、内航海運近代化ということについて伺いたいと思うのですけれども輸送力状況が、陸上輸送力の面で相当逼迫をしてきているというのは事実だと思うのですが、これを、沿岸航路であるとか内航海連近代化等によって補うということが今日の段階で可能かどうか、その点についてお伺いしたいと思うのです。
  11. 若狹得治

    政府委員(若狹得治君) 内航海運輸送物量は、御指摘のように、年々急激に増加いたしておるわけでございます。現在におきましても、輸送量といたしましては、輸送の絶対量におきましても、大体国鉄程度のもの、国鉄よりちょっとよけいという程度でございます。また、輸送トン数といたしますと四三%程度のものを運んでおるわけでございます。これは、年々、今後臨海工業地帯開発等の問題がございますので、海上に流れてくるものは多くなるだろうというように考えられておるわけでございます。これを運ぶための船腹といたしましては、現在内航船腹が二百七十万トン程度でございますけれども、その船腹回転率を上げさせれば十分これはまかなえる問題であるというようにわれわれは考えるわけでございます。ただ、内航の船の非常に多くの部分、たとえば機帆船等については約七〇%程度、それから鋼船につきましても約三〇%程度老朽船がございますので、これを近代的な船につくりかえていくということによって、今後の輸送需要の増加というものに十分対処できるというふうにわれわれは考えております。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今度、地下鉄延長計画が出ておりますけれども地下鉄延長計画についてちょっとお伺いしたいのですが、地下鉄というのは、相当建設コストが高くつくわけでありますけれども東京都内の場合は相当高くついてもやむを得ないと思いますが、これを延長して、そして現在東京周辺から東京都内に入ってくる通勤者をこれで運ぶという構想から言うと、地下鉄を延長していくということが一つの方法として考えられるのじゃないかと思うのですが、よく計画を検討してみますと、どうも中途はんぱなところでとまってしまっているような感じがするわけです。東京周辺でとまっちまってるわけです。これを、たとえば大宮まで延長するといったようなことで、京浜東北線輸送力の補助の役割りを果たすというようなことば考えられないものかどうか。府県の境界線のところで区切ってしまうということでは、あまり意味がないと思うのですが、そういう点はどうでしょうか。これは国鉄輸送力をカバーするという意味でも、考えられていいことじゃないかと思うんですけれども
  13. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 御指摘のように、地下鉄建設は、東京都心におきましては、地下構造のためにキロ当たり三十億ないし五十億というような非常に高コストでございますが、これが郊外に出た場合には、必ずしも地下構造でなくていいということで、建設費はさほど、都心におけるほど高くないわけでございます。ただ、御指摘のように、地下鉄建設につきましては、現在運輸省に設置しております都市交通審議会というもので昭和三十七年に一応長期計画ができまして、その計画に沿いまして都市計画設定等を行なっておりますが、その内容といたしましては、大体東京都のその存する地域並びにその周辺ということにとどまっておりますが、実際の輸送状態は、瀬谷委員の御指摘のように、むしろ近県からの流入の量が非常にふえておるというのが現状でございます。  これの対策といたしましては、郊外の私鉄を地下鉄に乗り入れさせるというような対策をとりままして、埼玉県の例を申し上げますと、東上線地下鉄の六号線に乗り入れさせるという計画が進んでおるわけでございます。なお、すでに東武の本線につきましては、営団二号線に乗り入れるということを実施をしているわけでございます。それ以外の線については、先ほど申し上げました都市交通審議会計画にはないわけでございますが、将来、輸送状態に合わせてこの計画を改定をしていくことをわれわれとしても十分検討してもらいたい、こういうふうに考えております。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 輸送力の問題については、あと国鉄計画等について関連して質問したいと思いますが、海上保安庁巡視船整備充実の点についてお伺いしたいと思うのです。  昨年の予算委員会の調査の際に、いま主査をやっておられる田中さんと一緒に私回りして、海上保安庁巡視船というのが、非常に少ない隻数で広い範囲にわたって、海難の救助その他について、なかなか手が回りかねるというような現状を、私ども実際に体験をしてまいったわけでありますけれども、どうも、今年度予算においても、こういう点は、じみな存在であるから、とかく見落としにされるかもしれないという気がいたしますけれども、十分じゃないような気がいたします。現状が、はたしてどういうものであるか、お伺いしたいと思うんです。
  15. 今井榮文

    政府委員今井榮文君) お答え申し上げます。  巡視船の全体の隻数について申し上げますと、百三十トン以上、いわゆる巡視船という呼称で呼ばれておりますが、現在八十八隻ございます。それからさらに二十三メーター以下、いわゆる巡視艇と呼ばれている船艇が二百八隻ございまして、合計二百九十六隻で現在全日本海域海上保安の任に当たっておるわけでございますが、いま御指摘の、非常に少ないではないかという面につきましては、実は八十八隻の——出発いたしました当時は、旧海軍の使用いたしました改造艦であるとか、あるいは飛行機救難艇であるとかという、非常に古い船をもって発足いたしたわけでございますが、この八十八隻のうち約七十隻に近いものを戦後代替建造いたしまして、現在、在来船で残っておるものは十九隻という程度に進んでまいっております。それから、さらに、港内艇をも含めまして、先ほど申し上げました巡視艇の中で約百五十隻は戦後新たに代替建造をいたしまして、現在戦前の古い船は五十六隻残っておるという状況でございまして、代替建造は相当の速度で進んでおるというふうに私どもは考えておる次第でございます。  ただ、現在は、巡視艇建造につきましては、主として在来船代替建造という線でまいってきておりまして、したがって、今後の方針といたしましては、これらの残っておる船の代替建造に毎年度予算を重点的につけていただいておるわけでございますが、できる限り、もう少しスピードの早い船を、それからさらにできれば——現在、先生御承知のように、われわれが一番大きな船として持っておりますのは「宗谷」一隻でございます。それからいわゆる大型船として七百トンから約千トンというふうなクラスは全体で八隻持っておるわけでございます。こういったふうな船につきまして、でき得れば二千トンクラスの船がほしいという、船の大型化ということをぜひ今後お願いいたしたい、かように考えておる次第でございます。  それから、もちろん、絶対量としては必ずしも十分ではございませんので代替建造が終わりましたら、必要な隻数につきましては新規に増強もいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大型化というと、どの程度のものが、一応何トン程度のものが必要かという点は、どうですか。
  17. 今井榮文

    政府委員今井榮文君) 私どもといたしましては、先ほどもちょっと触れましたが、約二千トン程度排水量といたしまして二千トン程度の船が数隻ほしい、こういうことでございます。
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 現在は二千トンクラスのものはないわけですか。
  19. 今井榮文

    政府委員今井榮文君) 現在「宗谷」一隻のみでございまして、二丁トンクラスは持つておりません。
  20. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 あとは、それ以下になると、どのくらいになるのですか。
  21. 今井榮文

    政府委員今井榮文君) 七百トンから大体千トンクラスです。
  22. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 海難事故が、冬になると相当多くなってくるわけですけれども海難事故に出動する保安庁の巡視船といったようなものは、どうもかなり小さいもののように見えるのですが、あの沿岸で働いておる巡視船の大きさは、現状程度が一番適当なんですか。
  23. 今井榮文

    政府委員今井榮文君) まあ、基地にいたしております港湾状況等によりまして、必ずしも大きな船が入れないというようなところもございまして、ある程度船型には種類がございます。たとえば、四百五十トンクラスであるとか、あるいは三百五十トンクラス、あるいは二百七十トン、百三十トン、大体この程度の大きさの種類を設けておるわけでございますが、近まわりの海難はつきましては、もちろんこれらの船で十分でございますが、現在、太平洋上におきましてわれわれが担当いたします海域は、約千二百海里というものにつきましては大体日本海上保安庁で担当するということにもなっておりますし、特に最近は遠距離の漁船の海難相当数ございます。したがいまして、特に冬場の荒天下におきまして遠距離海難に出動するというような場合には、こういった程度の船では、巡視船自体荒天は持ちこたえるということに非常な困難を感ずるという状況もあるわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、せめて二千トンクラスのものを今後何とか数隻整備いたしたい、かように考えております。
  24. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これは、四十年度予算では計上はしていないわけですね。
  25. 今井榮文

    政府委員今井榮文君) 四十年度は、隻数におきましては従来より画期的に大蔵省のほうで見ていただいたわけでございますが、最後に残っておりました千トンクラスの船の代替新造をお認めいただいておるわけでございまして、四十年度は私どもは二千トン新造を実はお願いはしておりません。
  26. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 明年度からは計画をするわけですか。
  27. 今井榮文

    政府委員今井榮文君) 四十一年度予算要求におきましては、ぜひお願いいたしたい、かように考えております。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 わかりました。  次に、国鉄の問題に入りたいと思います。  すでに衆議院予算委員会の第五分科会で、あるいは衆議院予算委員会等での議事録を拝見しますと、かなり詳細に審議が行なわれておりますが、結局、毎年毎年指摘をされ、論議をされながら、やはり、解決をしないままの問題が多々あるように思います。その中で、国鉄経営の面で、要するに借り入れ金負担借金負担金あるいは利子だけで相当大きな数になっておるわけですが、これが、国鉄の財政の中でも負担としては相当大きいのじゃないかと思うのです。諮問委員会等でいろいろと意見が出ておって、少なくとも過剰投資という事実が明らかなんだから、国鉄に対すを投資という点で、公共負担であるとか、あるいは政府債権者となっておる金については政府出資とする、こういうことを言っておるわけなんですが、実際の面では、これはどうも実現がなかなかされないような気がする。こういう点は、一体今後どのように措置をするのか、今後の国鉄経営の面で、この問題をこのまま見のがしにしておいていいのかどうか、そういう点で総裁の御意見を伺いたいと思います。
  29. 石田礼助

    説明員石田礼助君) お答えいたします。  第三次計画については、だいぶ引き合わない投資がたくさんあります。その一番大きな問題は、通勤通学の問題、それが五千百億。そのほかに輸送安全に関する問題、これも非常な大きな金額になっております。しかも、投資に対する収益というのは、とても借金をもってする資金をもってしてはとてもだめなんです。ペイしない。借金のために利子を払わなければならぬ。その利子が重なって国鉄経営というのは非常な苦しい状態になってくるということは、これはまあ瀬谷さん十分御承知のことでありますが、それに対して、それじゃこれをどうするか、こういうのですが、第一、この公共負担の問題。公共負担というのは、私が申し上げるまでもなく、政府政策というものを国鉄犠牲においてやっておるというやつが公共負担。それが三十二年から三十八年までに約四千億。三十九年度においては、私は約八百億くらいになると思う。年々ふえてくる。  この一番大きな問題は、通勤通学に対する多大の割引というものがその原因をなしている。こういうように国鉄犠牲においてやっておるというようなことは、これは世界で日本だけなんです。ほかの国ではどこもやっていません。割引はやっております。通勤通学に対する割引はやっておりますが、これはみんな政府が補償している。それからまた農産物に対する特別割引というようなものは、これは農業政策上の問題であって、ほんとうからいえば、これは農林省が出すべきものだ。それを国鉄犠牲においてやっておる。こういうようなことを日本でやっておる。これは、みんな外国では政府が補償している。  要するに、この第三次計画のもとにおいては、非常に大きな金額というものがペイしない投資というものになるのでして、これを借金でやるということは、国鉄が、今後利子負担に、もう過重になってやりきれない。だからして、この公共負担というものを是正してくれということをわれわれは主張しているのです。  それからさらに出資の問題でありますが、御承知のとおり、国鉄における現在の資産負債表を見ますというと、要するに、この正味資産というものは、償却を引いて約二兆余ということになっておりますが、実際これをいま新たにつくるとしたら、十数兆億かかるのじゃないか。それに対して、一体政府はどのくらい出資しているかというと、あとにも先にも、たった四十億なんです。それも、戦前の四十億にあらずして戦後における四十億なんです。そうして、これはまあ私が申し上げるのも変ですが、とにかく政府はたった四十億の出資をして、これを国有鉄道——これはちょっと変です。これは私は民有鉄道ともいうべきものじゃないかと思うのです。そうしてもう一つは、たった四十億のわずかな出資をもってして、これをわがもの顔して運賃というものを安く押えておる。これは私は、国会にも相当責任があるのじゃないかと思いますが、とにかく、今日におけるこの国鉄運賃というのは、旅客においては、昭和十一年を一としまするというと、百六十一倍だ。貨物においては二百十七倍。ところが、電電公社なんというものは、昭和二十八年において、すでに、昭和十一年を一として二百三十三倍になっております。それが、彼らが今日ゆうゆうとしてやっているゆえんです。  国鉄は、こういうように、公共負担で不合理な負担をさせられる、そうしてまた安い運賃で物を運ばなければならぬというようなことで、この第三次計画のような、金ばかりかかって、とても引き合わない投資をする場合には、ぜひひとつ公共負担を是正してくれ、そうして、運賃を正常な運賃にしてくれと、それからさらに、政府というものは、とにかくたった四十億なんてみみっちい出資でなくて、もう少し適当な出資をしてくれたらいいじゃないか、とりあえず第三次計画においては四千億を負担してくれということを、私は国鉄基本問題懇談会で主張したのですが、大蔵省はなかなか御承知にならぬというようなことで……。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 第三次計画で二六%程度運賃値上げを必要とするということでありますけれども、この二兆九千七百二十億のこの計画は、その二六%の運賃値上げを見込んでいるわけですか。
  31. 石田礼助

    説明員石田礼助君) われわれの原案においてば運賃値上げを見込んでおるわけです。それで、懇談会のほうは、大体そういうことについては異議はなかったのですが、政府のいわゆる物価政策、四十年においては運賃値上げはまかりならぬと、こういうことで、結局、それにかわるのに債務負担の三百億というものをして、三千億が三千三百億になったと、こういうことです。
  32. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、運賃値上げが認められない場合に、二兆九千七百二十億の、この計画というものは、とどこおりなく消化できるというふうになっておりますか。
  33. 石田礼助

    説明員石田礼助君) これは、四十年度においては運賃値上げはまかりならぬ。四十一年からというものについては、大体私は、運賃値上げ政府は認めてくれるというふうに了解しておりまして、運賃値上げというものを考慮しないで第三次計画というものをやるということは事実できないのであります。どうしても、第三次計画を遂行する上において、さらに国鉄が生きていく上からいえば、運賃値上げというものをやらざるを得ぬと、こういうことになっておるのであります。
  34. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運賃値上げについては、これはいろいろ議論のあるところですけれども、しかし、いままでの国鉄運賃値上げというのは非常に抵抗が強かったわけです。抵抗が強かったという原因を考えてみる必要があるのじゃないかと思う。それで、冷静に考えてみた場合、汽車賃というのは、私なんかが考えても安いと思うのです。現在の運賃というのは。たとえば、いまハイヤーなんかが相当値上げになりました。このハイヤーの料金と比較をすれば、わずか何キロ、何分も走らない料金で、国鉄に乗れば、大体五十キロか六十キロぐらい行ける。十倍以上の、キロ数にすればですね、走行キロがあるわけです。  そういう意味で、現在の運賃が、決して私は高過ぎはしないと思うのです。物価に比べて。しかし、それでも運賃値上げに対して抵抗が強いというのは、国鉄経営そのものが常にしりぬぐい的な、あとから穴埋めをしていくといいますか、そういうしりぬぐい的な消極政策に終始して、いる。その運賃値上げによってこうなるのだというビジョンがないという点にあるのじゃないかと思うのです。だから、もし運賃値上げということによってこうなるのだという希望が明らかにされるようであったならば、私、大衆は必ずしも運賃値上げに対して、そんなに強い抵抗はしないのじゃないか。こういうふうに思うのです。これを具体的にいうと、運賃値上げをしてみたところで、現状に対して変わりはないといういままでの体験が、運賃値上げに対する強い抵抗を生んでいるのじゃないかというふうに私は思うわけです。だから、突き詰めていうならば、計画そのものが、終始一貫消極的な、あるいは、俗なことばでいう、けちなやり方に終始しているということになるのじゃないか、こういう気がするのですけれどもね。もし、これから国鉄が、今後、かくあるべしという構想を描くのなら、利用者に対して納得のいくような計画を立てるということが私必要じゃないかと思います。その意味じゃ、少し、現在の計画でも私は不十分じゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  35. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 国鉄運賃値上げをするということは、結局私は、目的は三つあると思うのです。  第一は、通勤通学における今日のようなあの交通地獄というものを緩和するということ、これが一つ。それがために、第三次計画においては五千百億以上の数字を出しておるわけです。  その次には、幹線における輸送力の増強、これは御承知のとおり、幹線における輸送力が不足のために、まずスピードアップ。そうして、過密ダイヤの解消。全く外国の専門家から見れば、軽わざのようなことをやっておる。実に危険しごくな話。そうして、輸送の安全というものに対して、万全な——政府が第三次計画をどうやりましたところで、この過密ダイヤの解消はできない。要するに、緩和をするだけのことです。また、通勤通学にいたしましても、現在では三〇〇%、あるいはそれ以上詰め込んでおる。それを二三〇—四〇%くらいまでにしていくということなんで、それに対しては、どうしたって自己資金というものをつくらなければならぬ。自己資金をつくるには、やはり運賃値上げということになると思うのであります。  それから、さらに、瀬谷さんに申し上げたいのですが、私はその時分には国鉄関係しておらなかったのですが、国鉄運賃値上げをするという場合に、まずもっていわれることは、運賃値上げをする前に、国鉄がまずもって合理化に徹せよ、こういうことなんです。それはごもっとも千万です。それで、鉄道会館の問題とか、いろいろ問題が起きましたが、現在において、国鉄がとにかく運賃値上げを要求する場合には、国鉄は徹底的に合理化をしてやらなければならぬ、これはごもっとも千万です。では、どこに一体合理化の余地があるかということなんですが、まず私は、国鉄の合理化という点からいけば、消極的と積極的との二つの面があるのじゃないか。消極的の合理化というのは、要するに経費の減。ところが、経費というのは何かというと、人件費と動力費と業務費と修繕費、こういうことなんですが、このうちで一番大きなものは、人件費なんです。ところが、これは瀬谷さん国鉄におられたから十分状況を御存じだと思うのですが、人に関する限りは、昭和二十七年から今日まで、ちっともふえてないのです。それだけ人件費というものに対しては努力してきたわけです。それで、結局、経費のうちの大部分というものは、とにかく四十年度予算なんぞから見ましても、人件費というものは、工場だとかなんとかに入っているものを入れるというと、約三千八百億に近い。それで、ほかの動力費、修繕費というようなものは千四、五億なんです。結局、人件費に関する問題で一番大きな問題は、やはりベースアップこのベースアップの問題については、これは仲裁裁定に持っていって、公平な裁判のもとにやらなければならぬ。国鉄当局としては、いかようにもならない。要するに、人件費でもって合理化をするということになると、人間というものの数はできるだけ少なくして、生産性を上げていく、こういうことなんです。これに対しても、私は相当限度に来ているのじゃないか。あとの動力費、修繕費、業務費というようなものは、これは千五百億ぐらいでありますが、これは、まだ多少合理化の余地はないとはいえない。そういうことで、この消極的の面におきましては、合理化しようといったって、もう合理化する余地はないと思う。  じゃ、どこに合理化する余地があるか。積極的に合理化する。要するに投資効果をあげるということ。要するに、国鉄経営という面で企業心を高揚していく、収益をふやすということなんです。この点につきましては、私は国鉄総裁になります前に、監査委員長を六年やっておったのでありますが、要するに、国鉄人というものは、いままでのうしろに日の丸の旗が立っているということで、どんなことをやったってブロークンしない。そこに官僚精神というものが横溢している。これを払拭せにゃいかぬ。すべからく官僚センスというものを払拭すべきだということで、最近における国鉄は、そとから見ると、どうも国鉄は営利心に走っていかぬと、こういうことをいわれるまでに、企業心というものは、向上してきていると私ば考えているのです。その結果が瀬谷さん御承知のとおり、何に出ているかというと、急行列車の増発ですね。これは、昔はわずかだったですが、近ごろは千以上出ているでしょう。これが国鉄の非常な大きな収益になっておる。四十年においては約五百億円になるのじゃないか。通勤通学の収入は四百二、三十億、つまり、通勤通学の収入以上の収入というものが、急行列車の料金から出ておる。こういうことは、私は企業心の高揚の最も顕著なる例だと思います。そういうぐあいに、国鉄というものは、まず合理化というものに対しては相当のことをやっています。とにかく、この第三次計画によりまして、通勤通学のあの交通地獄というものが相当に緩和された。それで、幹線における輸送力というものはふえてくる。輸送力がふえるということは、国家経済の発展に資する、こういうことになりますので、これはぜひひとつ、運賃値上げというものは——今後ともそれをやるにつきましては、借金だけではとても国鉄は立っていけぬ。やはり自己資金を増加することに努力せにゃならぬ。しかも、その運賃というものは目立って安い。安過ぎる。天下にこんな安い運賃というものは私はないと思う。これをひとつ是正していかなきゃならぬ。  実は、この間、ある委員会で、通勤通学の問題のごとき改善したあとでもって値上げをするというのならわかるけれども改善しない前に値上げをするということは、商売の常則に反するじゃないか——全くそのとおりです。しかし、どうしてこれはそういうことになったかというと、過去における過剰投資負担、それからまた公共負担、これだって、三十九年度ぐらいから五千億近くになるのじゃないですか。そうしてまた、国がこれに対しては補償しないのみならず、安い運賃国鉄に押しつけてやらせた、こういうことが原因になっているのじゃないか。運賃値上げというものは、国鉄が立っていく上からいえば、合理的な運賃にしてもらう必要が絶対にある。こういうふうに確信しております。
  36. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄の構想を明示するということと、それから経営のあり方をはっきりさせるということ、この二つのことが私は重要な問題だと思うのです。  構想を明示するという点でいうならば、後藤新平という人がいましたけれども、大きな構想を明示をしていかなければならないのじゃないか。私は前からこういう気がするんですよ。第三次計画も発表されましたけれども、東海道新幹線を今度延長して、山陽新幹線だ、岡山まで延ばす、といっているわけでしょう。実に私はけちだと思うのです。ああいうことは。やはり、どうせ日本の地形あるいは人口密度から考えて、国鉄が斜陽産業となるということは考えられないのならば、新幹線は、たとえば日本列島を九州から北海道まで貫くと、こういう構想を明らかにすべきじゃないかと思うんですね。そうするならば、広軌の新幹線は、あれは短距離用じゃないですから、どうせ九州までは延ばさなければいかぬのじゃないかと思うんです。それから東北方面からいうと、あの青函トンネルというのは、なかなかこれは問題だと思いますけれども、少なくとも北海道方面への通行というのは、青森まで行くのがたいへんなわけです。現在。それを考えるならば、東京から青森までやはり幹線を通す、このくらいの構想は、少なくともいま明らかにしていいんじゃないか、こういう気がいたします。それは、資金その他の面で、いつできるかということはそれからの問題であって、少なくともその程度のことを明らかにする。  それから通勤輸送等については、乗車効率三〇〇%といったような、イワシのかん詰め的なこういう状態を解消をする、二〇〇%以下に緩和をするという程度のことも、はっきりさせなければならない。こういうふうに思います。ただ、この通勤緩和の構想というのは、今度は国鉄だけじゃできまいという気がするんですよ。過密都市の解消という国策とからんでくると思うんです。ですから、その意味では、過密都市を解消する現在の産業構造、あるいは都市計画という面に国鉄が積極的に乗り出すというふうにしないと、あとから国鉄が常に追っかけていくということでは、いつまでたっても乗車効率三〇〇鬼といったような事態が続くんじゃないかと、私はこういう気がいたします。だから、まず国鉄のあるべき構想、幹線は広軌なら広軌にしてしまう、それから立体交差でもって、踏切などというものは撤廃してしまう、こういったことを明らかにする。通勤輸送は、三〇〇%の過密ダイヤは解消する、スピードアップも合理的に行なう、こういうことを明らかにする。そうなってくると、合理化といって、けちけちしておったのでは、私はできないという気がするんです。  そこで今度は独立採算制を徹底するか、公共性をどの程度取り入れるかという問題に入ってくるわけでありますけれども国鉄のあるべき構想としては、二兆九千億幾らというのだって、私はいままでの国鉄がとってきたけちな精神がよくあらわれていると思う。三兆ということばになると響きが大きいから、二兆台に押えておいて、二兆九千億。この前の東海道新幹線だってそうでしょう。二千億というとぐあいが悪いから一千九百億台、四千億というと響きが大きいから三千九百億、こういうけちな根性でやってきているから、構想自体が、常にまことにみみっちいものに終始してしまうのではないか。だから、まず国鉄のあるべき構想というものは、思い切って大きくあげていくということが、私は必要じゃないかと思うのです。その意味で、やはりあなたは、総裁になってこういう仕事を手がけている以上は、もっと勇断をふるっていいのじゃないか、石田総裁は勇断をふるえるのじゃないか、そういう総裁じゃないかと見込んだわけですから、私はちょっと聞いたわけです。この点はどうですか。
  37. 石田礼助

    説明員石田礼助君) この間できた新幹線の問題なんですが、われわれは決して東京−大阪で満足しているわけではありません。第三次計画のいま、まず岡山までということは、おもな山陽線の中で、大阪−岡山の間の輸送というものは相当に込んでいる。これはどうしたって輸送力というものは増強しなければいかぬ。岡山から先はまだ多少の余裕がある、こういうことで、とりあえず、まず岡山までいく。しかし、それは決して、岡山に持っていって、そこでやめるのじゃない。これはやはり北九州まで持っていくということでございまして、これにつきましては、やはり今後の財政力の限度もありまするし、また国鉄の工事能力の限度もあるということで、なかなか一ぺんに、西は九州、東は−東か北か知らぬが、青森まで、というぐあいになかなか一ぺんにいかぬ。まあ漸次必要に応じていこう。  それよりも、瀬谷さん御承知でしょうが、たとえば東北線にいたしましても、盛岡−青森なんというものはまだ単線だ。あれは明治三十八年か三十九年に日本鉄道から買収した状態そのままの状態。そのほか、九州なんかにしても、北海道なんかにしても、もう実になっちょらぬ。これをひとつぜひ改善しなければならぬ。それからまた、通勤通学の問題にしましても、二八〇%か三〇〇%になるか、これは私は人道に反することである。これもやらなければいかぬ。しかし、それをやるにはどうしたらいいか、こういうことについては、将来の問題については、都市計画というような問題もありましょうが、これは国鉄の力だけではできないことなんで、これはあなた方国会議員がもう原動力となって、政府の力でもってやっていただかなければならぬことだと思うのですが、私は、第三次計画というものを一体踏み切ったゆえんのものは、これまでは国鉄というものは、年年ちゃんと計画を立てて、予算をつけて、大蔵省の査定を受ける。これを年々にやる。ことしやったから来年度どうするかという計画は何もない。そこにおいて、つまり過去における第一次五カ年計画にしても、第二次五カ年計画にしても、なかなか予想どおりにはいかぬ。これではどうしてもいかぬ。国鉄計画ということでなしに、継続性を持って秩序的にやるためには、政府計画にしなければいかぬ、こういうわけで総理大臣に談判いたして、国鉄基本問題懇談会というものをつくって、ようやく七カ年計画で二兆九千七百億というものを認めていただいたのでありまして、これをするにつきましては、東海道新幹線をつくるについて、初めは千七、八百億、その次は約九百億、国会のオーケーを受けると早々またそれを足さなければならぬというような、何か知らぬが、初めから大きな数字を出すというと国会はとても承認してくれぬから、まあ小さなことでやっておけば、あとは何とかなるだろうというようなことでやったのではないのであります。今度は、あれは勇敢に、これだけあればあれだけの計画のものは必ずできるという確信のもとにやったのでありまして、その点はひとつ瀬谷さん御認識を新たにしていただきたいと私は思います。決していままでのような、あんな憶病な、何といいますかね、低姿勢過ぎるような態度でやったのではなくて、ほんとうにこれだけあればたぶんできる——もっとも、お断りしておかなければならぬのは、この中には、年々歳々起こってくる例の職員のベースアップの問題ですね、これは入っていませんよ。それで、物価の騰貴というものも入っていない。将来いままでのように物価が騰貴したら、とてもこれじゃやっていけぬ。しかし、これは神さまだけが知っているばかりで、何もわれわれは、物価が騰貴するからこれだけ要るなんて言ったならば、いまの政府は絶対にこれは承認してくださらぬから、こういうことを考えましたので、ベースアップの問題あるいは物価騰貴の問題というものはこの中には入っていませんからして、将来またこれを増加してもらうという可能性はあるということだけはひとつ御承知おき願いたいと思います。いずれ私は、それ以外の点につきましては、もうこの前の新幹線の問題でこりごりしていますから、変な細工はつくってないつもりであります。
  38. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 道路予算は、これはもうほとんど国家の出資なんですね、投資なんですよ、四兆一千億になっているわけですね。道路に比べれば国鉄の場合はあらかたまかなっておって、なおかつ二兆九千億。やはり規模としては小さいと思うのですね、やはり四兆とか五兆とか、たっぷりとした構想でもって出発をしないと、国民が満足するようなことは、私はできないんじゃないかという気がします。ベースアップの分が入ってないと言うけれども、ベースアップなんか当然やらなければいかぬ、人件費を節約するなんということでは、私は大きな仕事はできないと思うのですよ。合理化、合理化と言いますけれども、合理化の精神をはき違えると、結局大衆に対するサービスを低下させることになると思います。その一例を私は具体的にあげてみますと、いままで国鉄が合理化ということを強調したために、列車の折り返し時間を縮めてみたり、運用効率を高めるために、そんなことに一生懸命頭を使うという習慣ができてしまう。だから、上野駅なんかに行ってみればわかるのですけれども、到着した列車が幾らもたたないですぐまた出ていく。そのためにあすこのホームでは、降りる客と乗る客でもってごった返して、特にスキーシーズンなんかではえらい状態になります。これもやはり合理化のしわ寄せが乗客のほうに振りかかってきているという一例だと思います。それから出札の窓口なんか見ましても、電車区間の窓口は一ぱいありますけれども、外車区間の窓口が幾つあるかというふうに見てみますと、東京駅や上野駅のようなところでも非常に少ない。あの東京駅のような大きな駅でも、さがして歩かなければならない、こういう状態なんですね。要員の節約をするために、結局はお客に不便な思いをさせるということになっているわけです。だから、けちけちするばかりが私は合理化じゃないと思う。これだけ大規模な予算を使う以上は、むしろ積極的に利用者の便宜をはかるという面で配慮をしていったほうが私はいいんじゃないかと思う。何事についてもけち過ぎるから、それで運賃値上げについても、どうしてもこれは抵抗が出てくるわけです。要するに、不便な状態からちっとも脱却しないということが、私は運賃値上げに対する抵抗感を強める一番大きな要因になっているんじゃないか、こういう気がするわけです。だからダイヤ改正の際も、人間尊重ということを総理大臣が言っているのですから、人間尊重を生かしたダイヤの改正をやる、利用者の便利を考えてやる。こういうことを私はもっと意欲的に行なうべきじゃないか、こういう気がいたします。そういう点が、現行の国鉄のダイヤというものは、あまり人間尊重に徹しておりません。乗せてやるという意識があるのじゃないかというふうに、いま言われておりますけれども、せめて乗せてやるというところまで、私、行かなければならぬと思うのですよ。乗せてやるまでいってない、かってに乗りやがれというような状態じゃないかと思う。現在の通勤ダイヤはそうです。だからこれをもっと——乗せてやるというところでもこれはよくないのだから、人間は人間並みに、人間尊重という総理の言い分を現実の運用面に生かしていくということに、私は何よりも力を注いでやるべきではないかと思うのです。  その点、この第三次計画は非常に抽象的な文句になっておりますけれども、緊急の問題について力を入れて、東京周辺、まあ大阪周辺も同じですが、通勤緩和を推進するということは約束をしていただけるでしようか。
  39. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 国鉄の現在の状態につきまして、国鉄の態度というものは乗りやがれというような不心得な態度のように見える、こういうことです。それはまあ見方でありますが、国鉄というものは決してそういう不心得は持っておりませんということを、私は四十五万の国鉄職員を代表して申し上げます。一体、どうしてこういうことになったか。ことに、この通勤、通学のごときに至っては、私はこれは人道問題だ。どうしてこういうことになったかというと、これはさっきも申し上げましたとおり、輸送力の不足から来ている。輸送力の不足というものはどうして起きたかといえば、終戦後における過小投資の累積ということ、それからさらに、政府が世界にまれな公共負担というものを国鉄に課して、そうしてこれを一向弁償してくれぬ。それからまた、安い運賃というようなことが相重なって、投資の不足、それが輸送力の不足になり、それが交通地獄の原因をなしておるんだと、こういうことに考えますので、二の輸送力の不足というものを緩和する、できればこれを解消するということが、つまり国鉄のいま直面している根本問題だと思う。そうして、さっき人件費の節約ということについてお話がありましたが、この人件費の節約という点について国鉄が努力しておるのは、つまりできるだけ人間をふやさないで生産性を上げていくということでありまして、給与の問題につきましては御承知のとおり公平な仲裁裁定というものがありまして、それによってやっておるのです。問題は人数の問題でありますが、これについては、この第三次計画においては、確かにいままでの人数ではやり切れぬということで、大蔵省に談判しまして四十年度においては相当にふやしておる。また四十一年度においてもふやしてもらうということについての了解をちゃんと得ております。というようなことで、決して国鉄はお話のような、そういう乗客に対して人道に反するような不心得は持っておらぬ、決してそれはわれわれの根本精神じゃない。できるだけ乗客に対してはほんとうに快適な旅行ができ、また貨物についてはりっぱな輸送ができるというようなことにしたい。こういうことに考えまして、この第三次計画というものを立てましたのでありまして、これはいままでのような、年々歳々われわれが自分で案をつくって、それは大蔵省の査定によって運命がきまる。これは違う。今度はほんとうに組織的に秩序のある輸送力の増強ができる、これでまず一つ、あなた方の目から見ると御満足は得られぬかもしらぬが、いままでに比べれば相当に状態改善されるんじゃないか、こういうことに私は考えております。
  40. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は運賃問題を論ずる場合は、社会党としては運賃は上げないで済ましてもらいたいという気持ちなんですよ。しかし、今日の勢いて物価が上がっていく——物価も上がってきたし、また上がっていくという趨勢を見ると、早晩これは運賃値上げという問題に直面せざるを得ないんじゃないかという気がするから、それならばやはり運賃値上げがどっちみち行なわれるということならばへその運賃値上げについて国民が納得できるような施策を経営の面であらわしていくということが、何より先決だと思うのですね。かってに乗りやがれという表現をさっきしましたけれども、ここ約十年の間に京浜線のある駅では、乗降客が十倍近くになってしまったというところがあるわけです。それでも駅舎の構造というものは昔と変わりがないわけです。だからこの改札口を通る混雑というものは、えらくひどくなってくるわけですね。こういう状態は、まさに乗せてやる以前の状態ですよ。それから特に新宿から東京の間、東京から上野の間、このあたりの国電の朝のラッシュは、三〇〇%なんというものではないと思います。乗客効率は。もう、これ以上詰められないというところまで人が詰まっているわけです。こういう状態はやはり緊急の問題として解消する。東京−上野間に区間電車を運転するとか、何か方法を講じていかなければならぬじゃないかという気がするわけです。  さらに、人間尊重のダイヤになっていけないということを申し上げましたけれども、急行列車を増発するのに、わざわざ通勤時間帯の中に急行列車を増発させているわけです。これは、私は前から国鉄を利用しているからよく知っておりますけれども、夕方の五時五十分上野発というような急行列車ができました。そうすると、この五時五十分上野発の急行列車に乗るためには、少なくとも東京駅で乗りかえる人が行くならば、五時半ごろの一番ラッシュで混み合う国電に乗らなければならぬわけです。自動車で行けば別ですけれども、乗りかえる客の場合は。荷物を持った乗りかえ客が五時半ごろの一番混雑する時間帯に乗っていくなんということは、これはたいへんなことですよ。しかも、この急行列車は通勤列車を追い抜いていくわけです。五時から六時ごろにかけての通勤列車は、この急行列車が出現したために途中で待避をするので、いままでよりも十分くらいよけい時間がかかるということになるわけです。通勤者にとってはたいへん迷惑だし、それから急行列車の利用者にとっても、この時間帯から言うと骨が折れるわけです。こういう点はもう少し考えて、この時間を五時以前あるいは六時半以降というふうに繰り上げるか、繰り下げるというようなくふうがあれば、急行の利用者も助かるし、あるいはまた、通勤者も助かる、こういうふうに私は思うわけですね。こういう点の配慮というものが、こまかい問題でありますけれども、ちっとも行なわれてないような気がするわけです。それはいままで、池田内閣のときは人間尊重じゃなかったと思うんですよ。しかし、佐藤内閣になって看板だけは人間尊重になったのだから、国鉄の運営の面でも人間尊重があらわれていいんじゃないかというふうに思いますから、あえて私は申し上げたわけです。それらの点について逐次改めていくというお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思うんです。
  41. 石田礼助

    説明員石田礼助君) この急行列車を増発するについて、通勤列車というものと一緒になっている、これは私はある程度事実だと思う。事実でありまするが、この点はひとつ瀬谷さんに御了解願いたいのは、とにかく国鉄のいま直面している一番大きな、やっかいな問題というものは、輸送力の増強の問題——輸送力の増強の問題ではなくて、資金の問題であるということで、はなはだ通勤着に対しては相済まぬのですが、まあ一つ目をつぶって、もう少ししんぼうしてください。とにかく急行列車でもってかせいで、そして輸送力を増強することに資したい。こういうことでありまして、これは決してわれわれの精神じゃないのだ、精神じゃないが、事ここに至るについては、さっき言ったような過去における過小投資運賃安というようなものが原因であったのでありまして、今度の第三次計画におきましては、そういう点を是正しようというのでありまして、決してこういうような状態を未来永劫までわれわれがやっていこうというような、そういう不心得は絶対にないのでありますからして、その点はひとつわれわれの立場に立ってお考えをいただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。
  42. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) ただいま総裁が御答弁申し上げましたけれども、ちょっと補足させていただきます。  御指摘のように、通勤時間帯に急行列車を動かすということにつきましては、私ども原則といたしましてはそういうあれを避けたい。で、東海道線等につきましては、朝の七時から九時ごろまでにはもうほとんど——いままでは若干ございましたが、その時間帯からはもう急行列車をはずして、そしてその穴を通勤の緩和に使うというような措置をとってまいったわけでございます。しかし必ずしも全面的にそれが実施されない理由といたしましては、発着の時間帯の、特に着の時間を考えますと、どうしてもお客さんの利便のためには、発をその時間帯に出さなければならないというような性格の列車もございますわけで、必ずしも、先生おっしゃるように、それが全面的に実現できているとは考えられませんけれども、そういう精神で今後ダイヤの編成に当たるということは、私ども心がけてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  43. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私が言いたいことは、急行列車を増発寄せるのはいかぬというわけじゃないのですよ。しかし、もう少しこれはくふうをすれば、時間帯等について考えれば、通勤列車に犠牲を与えないでも済む方法があるのじゃないか。通勤列車の一番多い時間帯に急行列車を割り込ませる。割り込ませることによって、では急行列車の便利になったかどうかということを研究してみますと、上野発五時五十分の急行が、新潟に着くのは十時五十何分、十一時ごろです。だから、これを——五時五十分に乗るためには、時間ぎりぎりには行けないわけです。ちょうど通勤時間帯ですから、電車は。こういうような場合は、これを五時ぐらいに繰り上げる。それから五時二十三分という長野行の列車があります。こういうものは一時間ぐらい繰り下げるということによって、到着時間等についても決して不便でないような時間帯に私はできると思うのですがね。こういう点を考えてみると、いま少し人間尊重のダイヤを考えてしかるべきではないかということを申し上げるのです。これは金がかかる、かからないという問題よりも、頭の使い方で何とかなる。金のかかる点でできないことは、せめて頭を働かしてやってもらうよりほかないのじゃないかというふうに思いましたから、私の体験の中から申し上げたわけです。  それから、独立採算制の問題と公共性の問題について申し上げてみたいと思うのですけれども、独立採算ということを徹底しようと思えば、これは相当程度運賃値上げという問題は当然出てくるわけです。しかし、独立採算に徹底するなら徹底するで、公共負担の分はこれは国鉄がしょわないと、こういう態勢をとらなければいかぬと思う。筋が通らないと思うのですよ。公共負担の分はこれは切り捨てちゃうのです。極端に言えば。国鉄としてはやらない。貨物輸送の面でも、あるいは赤字線区の面でも、公共性のために、公共負担という意味でもってやっている分は、これは政府がその分はめんどうを見るべきだ。それが見られないというなら、切り捨ててしまう。切り捨てるというと残酷なようだけれども、切り捨てることによって、その分は公共性の立場から配慮をしてもらうということを私はやるべきじゃないかと思うのですがね。その点がどうも不徹底だから、独立採算といいながら公共負担をしょい込んでいる。ちょうど重いよろいを着たまんま泳げと言われるようなもんで、公共負担というよろいを着て、そして独立採算という水を泳いでいくというような矛盾した面があると思うのです。公共性に徹底するならば徹底するように、これは現在の機構が中途半端になっていますが、どっちかに徹底しなきゃいかぬと思うのですがね。その点は一体どちらに徹底をすべきだというふうにお考えでしょうか。
  44. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 御承知のとおり、国鉄は公共事業であり、そして一方にこれを経営するについては独立採算制をとっている、こういうことになっております。それで国鉄輸送力も必要な程度にふやす、お客さんには適当なサービスをするということをいたしまして、そして、なおかつ余裕がある場合においては、公共性を発揮して、公共負担負担もよろしいというんですが、現在のような自分の任務も十分に尽せない、その原因の一つ公共負担にあるということであるなら、まず公共負担というものをひとつ是正して、国鉄というものの業態を正常化したいということに考えますので、国鉄現状においては公共負担というものの是正をぜひしてもらわなきゃいかぬということで、今度のつまり運賃値上げというものの中には公共負担の是正というものも入っておるのでありまして、それで決して国鉄がそういう公共負担を絶対にやらないというわけじゃない、ただ任務を尽くして、なおかつ余裕があるなら喜んでそういうことをいたす。現在においてはそういうことはできないから、ひとつ公共負担というのはこの際ごめんこうむりたい。ことに今日までそういうような無理な経営をやってきて、その間に公共負担負担額というものは四千億、五千億になる。ここにおいて政府というものは、いままでの罪の償いというと変ですが、まあひとつ四千億ぐらい出資をしてくれたらいい、金利のつかない金を国鉄出資してもらいたい、こういうことがわれわれの主張だったんです。その点はひとつ御了解願いたいと思います。
  45. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 公共事業であるということはわかり切っていることなんですけれども、公共事業であるからといって、独立採算ということと、公共性ということとが、どうもどっちつかずになってくると、結局しわ寄せは国鉄自体がしょわなきゃならぬということになってくる。国鉄自体がしようことになると、その犠牲をこうむるのは国鉄に働いている人間ということに結局は落ちついてしまうんです。そこで私が先ほど申し上げたことは、運賃値上げの前に合理化せよなどということはよく出ることなんですね。それで、そういうことを言う人は、大体何か言わなきゃならないから、もっともらしくそういうことを言うだけであって、内容を知っていて、具体的に合理化の点について指摘しているわけじゃないんです。つめのあかのようなことを指摘してみたところで、これは全体の構想にプラスになるわけじゃないんですよ。だから、この合理化の中に人間を節約するという意味のことをよく言われるわけでありますが、基本問題懇談会等において、現在の人間をふやさないでくれという意見が、かなり強かったというのですが、これは前回の衆議院予算委員会分科会の中でも磯崎副総裁から説明が出ております。この人間をふやさないということは、何か合理化のための弁明のように考えている点があるんじゃないかと思うのですけれども、私は事業の規模を大きくする場合に、人間をふやさないでやれなどということは、結局サービスの低下ということに落ちついてしまうと思うのです。そういう点はむしろ人間も積極的にふやす。入り用な人間はどしどしふやす。それから有能な人間もどしどし募集する。有能な人間を募集できるように待遇の面もどんどん改善するというふうにしないと、事業というものは積極的な成果をあげられないというふうに考えるのでありますけれども、その点は総裁はどういうふうにお考えになっておりますか。
  46. 石田礼助

    説明員石田礼助君) この基本問題懇談会の中にも、人間はふやさないということをうたっておるのでありまするが、しかしこれは何もこれをばか正直にこのままいこうということは考えておりません。現に新幹線というものができた、これに対しては相当の人間が要る、輸送量というものも年々歳々非常にふえてきているというようなことで、いまじゃもう人間をふやさざらんとしても、ふやさなければならぬような状態になっておりますので、現に四十年度においては大蔵省に交渉しまして相当の数をふやすということにいたしておるのでありまして、決してこの報告書にこういうように書いておるからといって、私としては無理に人道に反するような負担を職員に課するということは絶対にしない、これは必要に応じては適当にふやす。ただしかし人件費というものは国鉄経費のうちの、たとえば三十九年度においては総収入の五六%ぐらいになっている、四十年の予算においても五四%ぐらいになっているということで、人件費というものが経費の根幹をなしている。できるだけこれはやはり合理化はせにゃならぬ、しかし合理化をして、なおかつ人間が足らぬという場合には、これは遠慮なく人間をふやす、決して人道に反するような無理なことはいたさぬ、こういうことだけはひとつお含みおきを願いたいと思います。
  47. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それじゃ総裁も時間の都合もあるようでありますから、私はこれでいいです。
  48. 浅井亨

    ○浅井亨君 今度の新港湾整備五カ年計画の概要についてですが、これをひとつ説明していただけませんか。
  49. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 新しい五カ年計画は、昭和三十六年度から四十年度までの旧五カ年計画が、当時昭和四十年度におきまして貨物の取り扱い量を六億二千万トンと想定してつくられたものでございましたが、昭和三十八年におきまして、すでにその目標を突破して、六億三千万トン以上の取り扱い量になったものでございますから、それを改訂するということで案をつくっております。当初、新しい五カ年計画といたしましては、三十九年度から四十三年度までの五カ年で七千二百億円を想定しておったわけでございますが、三十九年度中には決定を見るに至りませんで、四十年度予算の際に、三十九年度事業がすでに執行済みでございましたので、四十年度から四十四年度までの間におきまして、総額五千五百億円ときまった次第でごございます。  この内容といたしましては、外国貿易港湾における施設の増強ということが第一点、次は新産都市、それから工業整備特別地域の門戸となる港湾の整備、三番目は内航関係の貨物量の増加に対応する港の整備、四番目が船型が大きくなりましたのと、船の量が多くなりましたために、瀬戸内海の航路、関門航路等の航路を整備する事業、これが主要な事業、これが主要な事業になっているわけでございます。
  50. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまお話がありましたが、運輸省では三十九年度を初年度とした案をおつくりになっておるのですが、その総事業費は、先ほどお話がありました七千二百億。そうすると、これは港湾設備費は含んでいないのでしょう。これを含んでおりますと八千四百億と聞いておる。今度の五カ年計画になりますと六千五百億円、含まないときは五千五百億と、こういうことになっておりますね。そうしますと、ここで港湾設備費、これは何ですか、前のときは千二百億、今度のは千億と、こういうことになるのですが、二百億という金はどういうことなんですか。
  51. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) ただいまおっしゃられましたように、当初七千二百億円の計画を持っておりましたと申しましたのは、港湾の基本的な施設、すなわち防波堤をつくりましたり、泊地を拡げましたり、岸壁その他の船がつく施設をつくる費用がございまして、そのほかに千二百億円をもちまして、それに対応いたしまして陸上の設備、すなわち阜頭の土地をつくりましたり、そこに上屋をつくりましたり、荷役機械をつけるという費用が千二百億円であったのでございますが、七千二百億円に該当する分が五千五百億円になったわけでございます。全体として事業量が縮小されたということもございまして、千二百億円に対応する機能施設の整備部分が一千億円になったわけでございます。
  52. 浅井亨

    ○浅井亨君 そのお話はわかるのですが、そうすると、この二百億円というのは千二百億でやるべきものを千億、このように縮小したわけですね。そうすると、二百億という縮小が出た。そこに支障はないですか。
  53. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 基本施設の分につきまして七千二百億円が五千五百億円になったわけでございますから、大体七〇%程度になったのではないかと思いますが、それに比べまして一千二百億円が一千億円になったわけでございますから、このほうの縮小率が少ないわけでございまして、大体基本施設の整備計画には見合う数字であると思っております。
  54. 浅井亨

    ○浅井亨君 しかし、港湾整備計画そのものは貨物量の増大を見込んでと、さっきもお話がありました。そういうことが計画されて、つくられたのでしょう。そうすると、過去五年の貨物量はどのくらいであったか、そのデータはありますか。
  55. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) あります。
  56. 浅井亨

    ○浅井亨君 それは、あとで資料をいただきたいと思います。五カ年くらいのをずっとお願いしたいと思います。今度、新五カ年計画で、各年度ごとにどのくらい貨物量が伸びていくかというのは、ただいま目標があると思うのですが、それもひとつ資料として出していただきたい。  次にお伺いしたいのは、運輸省計画案によりますと、貨物トン当たりの必要資産額はどういうふうになっているのですか。
  57. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) これは全体の投資額の目安をつける指標としてつくっているものでございますが、大体港湾資産、総資産額と、取り扱い貨物量の比から、一トンを取り扱うに必要な資産額はどのくらいかという目安でございますが、戦前におきましては、大体トン当たり千二百円程度というような、原単位と申しておりますが、資産額であったわけであります。それが現存は九百円を割っておると思います。で、旧五カ年計画と申しますか、昭和三十六年度より始まりました五カ年仕向におきましては、目標年次における資産額を千二十円を想定しておったわけでございます。今度始まりました事業費のワクで申しますと、四十四年度における資産原単位が千円程度になっているわけでございます。
  58. 浅井亨

    ○浅井亨君 私の計算したのも、トン当たり千三百円が今度はちょうど千円、こういうふうに考えられるのですが、そうすると、前のは千三百円、今度は千円、こうなりますと、そこにひとつ機能が低下するのじゃないか、こういうことを心配するわけですが、その点どうですか。
  59. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 七千二百億円を想定いたしました場合には、戦前の、ある程度ゆとりがあいると申しますか、船込み等がない場合を目標にいたしまして、千三百円の原単位を目標にしたわけでございますが、それが千円になっておりますということは、確かに目標のような正常な姿になり得ないわけでございますが、現在が九百円程度でございまして、現在よりはかなりよくなるだろう、こういうことでございます。
  60. 浅井亨

    ○浅井亨君 それでは次にもう一つ聞きたいのですが、新五カ年計画ですね、このことにつきまして物価の上昇ということを加味されてお考えになっていると思うのですが、この物価の上昇率はどれくらいにお考えになっておるのですか。
  61. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) これにつきましては、大体年率二%程度を見込んでおります。
  62. 浅井亨

    ○浅井亨君 私聞きますと、この四十年度予算編成にあたっては、大体四・五%くらい上昇率をみている。こういうふうに聞いているのですが、これは間違いですか。
  63. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) この物価の値上がりを具体的に単価に見込むということは、いまおっしゃられましたように目標どおりになかなかまいらぬわけでございますが、私どもは一方にある程度の物価の値上がりはやむを得ないといたしましても、工事の施設そのものを合理化することによって単価をなるべく安くするということも考慮いたしておりまして、両方合わせて大体二%程度に収拾できるものと考えて計画を立てているわけでございます。
  64. 浅井亨

    ○浅井亨君 それでは、計画はお立てになっておられるのですが、こういうわけだからという、そういう資料はできませんか。あなた方の計画ですから二・五%上昇というようにおっしゃっておりますが、普通のほかのものですと大体四・五%に上昇率をみているわけなんです。けれども、いまのお話によりますと、これでいける、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、確かにそのようにいけるというような資料はできないでしょうか、どうでしょうか。
  65. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) この問題につきましては、五千五百億円そのものが全体を非常に巨視的にみた作業でございまして、それを各港の計画に現在あてはめると申しますか、そのワクの中で各港の計画をもう一ぺん調整しておる段階でございます。したがいましていま申されましたような資料をつくり得るかどうか、なるべくそういう御趣旨に沿うようなものが、巨視的な資料の中でできれば提出いたしたいと思います。
  66. 浅井亨

    ○浅井亨君 そういうふうに前の運輸省の人の案と、今度の新五カ年の計画案と比較してみますと、また、前の今日までの経過からみますと、ちょっと運輸省の考え方と閣議決定されたものとの間に、これだけの差異ができるということは、運輸省としてちょっと甘い考え方をしておられたのじゃないか。また過去の実績からみると、このようなことでありますと、三十六年度から六、七、八、九、四十年度ですね、三十八年度でもうオーバーしちゃう。こういうようなお話なんですが、オーバーするということは、それは事実であろうと思いますけれども、こういうふうに運輸省が甘い考え方であり、閣議のほうでそれを削られていった。こういうことになりますと、年がら年じゅう、またこれも目算はずれになったと、こういうふうになってしまうように思われるのです。こういう点に対して、何かもうちょっと確かな——その衝にあたっておられる方ですから、確かに近いものですね、考え方というものがおありなんでしょうか、どうでしょうか。
  67. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) おっしゃられますように、私どものいたしました作業というものと、決定いたしましたものとの間には相当開きが出てしまったわけでございますが、これは私どもからいたしますと、先ほど申し上げましたような千三百円というような原単位を目標にして、正常な状態にいたしたいと思ったわけでございますが、やはり財政全般から申しまして、道路も鉄道も、その他の輸送施設につきましても、やはり同じように、一方だけが特に伸びるということでなく、おのおの相当苦心してやっていかなければならぬという実情であれば、これもやむを得ないと思います。したがいまして、このワクの中で当面急を要するものから手当てをいたしまして、なるべく御趣旨に沿うような計画で実施していきたい。かように考えて調整しておる次第でございます。
  68. 浅井亨

    ○浅井亨君 いろいろのお答えの中から、また次の機会をみまして質問したいと思いますので、きょうはこの程度でけっこうでございます。
  69. 田中啓一

    主査田中啓一君) 以上をもちまして運輸省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  なお、建設省所管に関する質疑も終了したものと認めます。  二十九日は午前十時より開会いたし、農林省所管及び郵政省所管について審査を行ないます  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会