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政府委員(齋藤誠君) 御
指摘のとおり、また先ほどの
総務長官からも御答弁の中にありましたように、
沖繩におきまする農業の中で、特にサトウキビの占める地位は非常に高いわけでございまして、作付面積におきましても、農家戸数におきましても、また農業収入の面におきましても高い。またできた製品はほとんど
日本本邦に輸入されるというふうな状態でございまして、しかも、それも輸出額の中に六割以上を占めるというふうなことでありますので、御
指摘のとおり、
沖繩におきまする砂糖業の地位というものにつきましては重要な関心のあるところだというふうに思うわけでございます。そこで
岡田先生十分御承知のとおりと思いますが、三十八年の八月に粗糖の輸入自由化の措置がとられたわけでありまして、これに伴いまして、
沖繩産糖ばかりでなしに、実は国内糖自身につきましても、これに対する国内の保護措置が必要であるということで、御承知のように、甘味資源特別措置法というものができまして、生産者に最低価格を支持し、その最低価格によってできた製品が支持価格を下回る、支持価格と乖離するというような事態におきましては、これを買い上げるという道を講じたわけでございます。
沖繩につきましても、同様の趣旨で、本邦にほとんど輸入されているという状況にありますので、これが非常に低落するということになった結果、
沖繩生産農民の所得も維持できない、あるいは製糖事業についても継続困難であるというような事態におきましては、本邦に輸入された砂糖について
政府が買い上げる、こういう措置を講ずることにいたしまして、御承知のように、
沖繩産糖の
政府買い上げに関する特別措置法というものが制定されたわけでございます。で、そこで本年におきまして、
沖繩糖とそれから一番近似しております西南諸島の甘蔗糖につきましては、いずれも国際価格が非常な低落することに相なりました
関係で、コストを割るというふうな事態が生じたわけでございます。甘庶糖につきましては、大体
沖繩と西南諸島と比べてみますと、西南諸島のほうが生産性においても小さい、また、企業の規模におきましても非常に小さい、生産条件においてもまあ不利だというような
関係がありまして、しかし、まあそれらの
事情を
考えまして、甘庶糖の生産者の価格をきめたわけでございますが、
沖繩におきましても、西南諸島における甘庶糖の生産農民と同じような保護は当然加える、考慮する必要があろうということで、西南諸島における甘蔗糖の生産農民に対する最低支持価格と同様の基準で
沖繩産糖についての買い上げをする場合における価格の基準にする、こういう
考え方をとったわけでございます。しかし、いま申し上げましたように
沖繩におきまする生産量が大きい、製造企業が西南諸島に比べましてうんと近代化されているというような状況になっておりますので、
政府の買い上げする価格といたしましては、西南諸島の買い上げ値段は九十二円、
沖繩産糖におきましては本邦に買い入れる際の値段をキロ八十円ということにまあいたしたわけでございます。そこで買い上げの量につきましていろいろこれも議論のあるところでありますが、今年度
予算をつくる当時におきましては実は市価が百十五円前後いたしておりましたので
沖繩のコストから見ますと必ずしも買い上げるべき状況にあるかどうか、今後の市価の推移いかんにもよる、こういうことで国内産糖につきましては三十九年度の補正
予算におきまして一定の買い上げ
予算を計上し、それから
沖繩産糖につきましては四十年度の
予算費に計上いたしましてそのような事態に備える、こういうこうことにいたしたわけでございます。ところが、一月以降になりまして相当価格が下がって、御承知のように、現在では、百十五円くらいであったものが九十四、五円というふうな価格に低落してまいった。そこで三十九年度においても
沖繩産糖の措置をする必要があろうということになりまして、ことしの買い上げ見込み量中三月までに本邦に輸入される量を五万七千トンというふうに押えまして、そのうち七千トンは三十九年度の補正
予算におきましてすでに買い上げを行なったわけでございますが、残る五万トンにつきましては、実は先ほど申し上げましたように、三十九年度補正
予算において措置をしていなかった
関係で、買い上げの財源がない。そこでこの五万トン分につきましては、本邦に輸入した場合に委託保管をいたしまして、そうして輸入したものに仮払いで融資をするということをいたしました。これを、先ほど申し上げましたように、この
予算が成立いたしまするならば四十年度
予算の予備費の中で早急に
政府買い上げの
手続を進めたい。これによって実質上は三十九年度に
政府が買い上げたと同じ措置を
沖繩産糖については与える、こういうことになるわけでございます。残る四十年度
予算におきまして実は
沖繩産糖の全体の買い上げ見込み量といたしましていろいろの糖価
事情の今後の推移等も
考え、総生産量の六割、十万三千トンを一応買い上げの対象にいたしたい。それに必要な予備費を計上いたしておったわけでございますが、十万三千トンと五万七千トンとの差額につきましては四十年度
予算でこれを買い上げするというふうに進めていったらどうだろうか、こういうふうに
考えているわけでございます。今回までとりました
沖繩産糖に対する措置は以上のような経過に相なっております。