○
国務大臣(
佐藤榮作君) いま
藤田君からの
お尋ね、御意見がございましたが、私も、ベトナムの情勢につきましては非常な関心を持っておるわけでございます。一日も早く戦火がおさまるように、このことを心から願っております。そういう
意味でアメリカに対しましても、大使館との間には緊密な連絡をとりつつ、いろいろ情報も受けておりますが、同時に、
当方としても、アメリカ大使館を通じましていろいろの意見を述べておるような次第でございます。しかし、今日までのところ、不幸にしてそれらのことが実現しない。だんだん爆撃もたび重なり熾烈になってくる。まことに心配にたえません。しかしてまた、北からの南に対するいわゆる工作あるいは進攻と申しますか、そういうものも依然続いておるようであります。きょうな
ども、大使館が爆撃された、あるいは爆弾が破裂したというような情報も入っております。そういうように依然として北からの南へのいろいろな事態もあるようであります。また、ただいま御指摘になりましたように、ソ連あるいは
イギリス等が、これに対してとっておる
態度もまことに冷静な
態度だと、かように私思いますが、新聞などはそうは報道しないで、北に対してソ連は特別な武器援助等をしている、中共がそれをはばんだ、こういうこともありますが、このソ連が私
どもに対して申し出たところのものといえば、日本は軍事基地を提供しておるじゃないか、ジョンソン大統領と
佐藤会談では、そういう点が明確に、ベトナム問題を発展さすなということを盛んに言ったように報道されております、どうも事実はそのとおりなのか、ただいまも軍事行動は日本の基地が利用されておるのじゃないか、そういう
意味でそういう疑惑を持つ、同時にまた、日本
政府自身は、これは大国であるし、こういう問題については深い関心を示しておるから、積極的に、戦争にならないように、また、今日の爆撃が続かないような、これを鎮静さすようなことについて、積極的な努力を払ったらどうか、こういうような話を持ってまいっております。私は、ソ連がただいまのようなことを申しておることについて、もちろん
予算委員会等でしばしば私が声明しておりますように、いわゆる軍事基地を提供しておらないことを申すと同時に、ジョンソン大統領と私との会見では、ソ連が認識しておるとおりに、平和への努力をすることをそのとき話し合った。また、今日もそういう
考え方でいるから、今後の情勢の変化等について、日本が果たすべき役割りがあるならば喜んで果たしたい、かようなことも申し出た、伝えたような次第でございます。私はかつてこの
予算委員会等で申し上げましたように、こういう事態が起きたということ、そうしてこの行動は、アメリカの爆撃行動は、これはどこまでも報復的な、反射的な行動だと、かようにアメリカは申しておりますが、これが今日までの事態から申しますと、そういう事態があるのではないか、これは報復的な、反射的な爆撃行動ではないか、かように思いますが、しかしいずれにいたしましても、アジアでこういう事態が起こり、そうして不安に襲われるものが、日本などは最もそういうような不安を持つわけでございます。みずからが平和に徹する、そういう立場に立っておりましても、四囲の状況がそれを許さない、かように思いますので、このベトナム問題を、北からの南に対するもう進攻は一切やらない、ゲリラ的な行動もしないのだ、そういうような保証が与えられれば、アメリカも北の爆撃はしない、これはもうもちろんそういう事態が望ましい。私としては、いわゆる
双方がその範囲を侵さない、そういう
意味が厳密に守られ、そうしてそのことが国際的に保証される、お互いにその分を侵さない、その地域を侵さない、こういうことが保証される、そういうことが望ましいので、そういう
意味のものを取りつけたい。各国がみんなそういうことを考えているのだと思いますが、ただ現状そのものは相当深刻な不信の、相互不信の
状態になっておりますので、ただいま申し上げるような保証を取りつける、こういうことが非常に困難である、これがいまの現状ではないか、分析はただいまのように私は見ております。しかし、これが困難であればあるだけに、一そう国際社会の関心をここに向けて、そうしていわゆる国際世論の動向によって処置していくということが望ましいのではないか、かように思いまして、そういう方面でも私
どもは努力したい、かように思う次第でございます。今後、もう一度取り上げられた国際連合の場においてのこういうものの議論というものが、また現状等におきましても、また時間的に長くなるような
状態においては、またそういう議論も出てくるんじゃないか、そういう意見が述べられるんじゃないか。私
どもはそういう機会には、日本としては平和を愛好しているその立場から、真に私
どもの
主張をも明らかにしてまいりたい、かように思います。