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1965-03-24 第48回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十四日(水曜日)    午後一時二十分開会     —————————————    委員の異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      小柳  勇君     加瀬  完君      稲葉 誠一君     戸叶  武君      北條 雋八君     白木義一郎君      小平 芳平君     浅井  亨君      田畑 金光君     高山 恒雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         平島 敏夫君     理 事                 大谷藤之助君                 日高 広為君                 村山 道雄君                 中村 順造君                 藤田  進君                 鈴木 一弘君     委 員                 植垣弥一郎君                 植竹 春彦君                 久保 勘一君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 郡  祐一君                 佐野  廣君                 白井  勇君                 田中 啓一君                 野本 品吉君                 前田佳都男君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 吉江 勝保君                 加瀬  完君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 小林  武君                 鈴木  強君                 鈴木  壽君                 瀬谷 英行君                 千葉千代世君                 戸叶  武君                 羽生 三七君                 浅井  亨君                 白木義一郎君                 高山 恒雄君                 向井 長年君                 林   塩君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  田中 角榮君        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   櫻内 義雄君        運 輸 大 臣  松浦周太郎君        労 働 大 臣  石田 博英君        自 治 大 臣  吉武 恵市君        国 務 大 臣  高橋  衛君    政府委員        経済企画庁総合        計画局長     向坂 正男君        外務大臣官房長  高野 藤吉君        外務省アジア局        長        後宮 虎郎君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        大蔵省主計局長  佐藤 一郎君        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林省農林経済        局長       久宗  高君        農林省蚕糸局長  大口 駿一君        農林省園芸局長  林田悠紀夫君        水産庁次長    和田 正明君        通商産業省通商        局長       山本 重信君        運輸省海運局長  若狹 得治君        運輸省船舶局長  芥川 輝孝君        労働大臣官房労        働統計調査部長  大宮 五郎君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君    説明員        外務省経済局外        務参事官     内田  宏君        食糧庁業務第二        部長       岡田 覚夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  本日、北條雋八君小平芳平君、田畑金光君、小柳勇君、稲葉誠一君が辞任され、白木義一郎君、浅井亨君、高山恒雄君、加瀬完君、戸叶武君が選任されました。     —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、以上衆議院送付の三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。北村暢君。
  4. 北村暢

    北村暢君 まず第一に、日韓漁業交渉が本日妥結したと、こう伝えられておりますが、その概要について説明を願いたいと思います。
  5. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 日韓漁業交渉につきましては、再々この席で申し上げておりまするように、李ライン撤廃、こういうことと、日本漁業実績を維持していくと、こういう目標で進めてきたわけでございます。そういう意味におきまして、いまの李ラインの線を、国際的慣例でありまする漁業専管水域内に押し込めるといいますか、縮小する、こういうことが必要である、こういうふうに考えまして、韓国沿岸専管水域を、これは島が入り乱れておりますので、直線基線によってこれを引きまして、東側は低潮線を主として引いて専管水域をきめた。済州島のまわりだけが、この間から申し上げておるように、残っておりまして、済州島の周辺は、低潮線から十二海里の専管水域をつくる、こういうことで専管水域の決定をいたしたわけでございます。そこで、専管水域の中で済州島と韓国とをつなぐ間、これを、この間、御質問で、内水域ではないかということでございますが、私のほうでは専管水域といっておりまして、取りきめをしているわけでございます。それが、直線基線から十二海里はかったものと、低潮線から十二海里はかったものとが一致してきます。ただ、その東側西側にくぼみができます。これは公海であります。このくぼみにつきましては、漁業の紛争を避けるために、しばらくの間日本漁船が入らないようにいたそうではないか、その線を直線によって引くという話を進めておったわけであります。  経過を顧みまするならば、韓国側は、済州周辺も低潮線によらず、直線基線で、なべ底型といいますか、そういう線を引きたがっておったのでございますけれども、それが国際慣例に反するということで、低潮線を基礎として引いて、東側西側にくぼみができる、そこだけ、しばらくの間立ち入りを禁止する、立ち入りを控えると、こういうことで、線の話について話がまとまらなかったのでございますけれどもけさほど大体線がまとまり、そういうふうな専管水域を第一に設ける。  第二に、その専管水域外側共同規制水域を設ける。共同規制水域におきましては、両国平等公平に漁業ができるように——一方的に禁止する、あるいは押えるというようなことであってはいけない、こういうことで、共同規制区域内における両国の入漁隻数、船の数ということできめようということでございましたが、向こうの主張が、まず漁獲量をきめてからにしたい、こういうことでございましたので、漁獲量を、十五万トン、上下一〇%アローアンスのものを漁獲量と一応きめて、それをめどとして、入漁する、漁業をする隻数をきめよう、こういうことでございます。そこで、日本の入る隻数をきめまして、それを提示いたしたのでございますが、私ども提示どおり向こうでも認めるといいますか、もっともだというようなことでございまして、それに見合う向こう隻数等につきましては、日本隻数日本の船と向こうの船との装備等が違いますので、実質を、まあ何といいますか、同じようなレベルにして、向こうのほうのをきめていこうということでございまして、向こうの点につきましては、なお実務者といいますか、事務当局の間で検討を加えることにいたしております。  その共同水域における取り締まり及び裁判管轄権は、旗国主義といいますか、日本の船に対しましては日本韓国の船に対しましては韓国、こういう取り締まり及び裁判管轄権を持つということにきめました。  それから、よく疑いがあるようでございますが、李ライン共同規制水域外側間等調査区域等を設けるのではないか、こういうお尋ね再々ございましたが、共同水域外側に線を引くとか、こういうことは全然ございません。調査は、共同水域の内外にわたって調査をするということは話し合っておりますけれども、線を引くということは絶対にございません。  以上のようなことで、大体の話は、李ライン撤回を意図した話はきまりました。それから、日本漁獲量実績を認めていくということも話し合いが大体きまりましたので、いまそれを整理さしているところでございます。  なお、再々向こうからの申し出の、向こう漁業を普通のレベルまでに持っていくための漁業協力資金を出してくれ、こういう話でございます。しかし、これはずっと、昨年来あるいはその前からの話がありましたように、あくまで政府資金としてのものではない。民間資金として扱うべきものである。でありますから、政府あっせんはいたしまするけれども政府が責任を持つというような性質のものではないという話をいたしておりまして、そういう意味におきまして、あの三億、二億、一億ドル・プラスアルファと、こういうどの範疇に入るかというならば、一億ドル・プラスアルファの中の民間資金、こういう扱いをしようということになりまして、この金は大体九千万ドルくらいのあっせんはしようではないかと、こういうことできておるわけでございます。まだ最終的にはきまっておりませんが、事務的にいままできまったことを整理してみて、そしてもう一回、疑問のある点や、話が最後まで煮詰まっておらない点などを煮詰める、こういう段階でございます。
  6. 北村暢

    北村暢君 専管水域のくぼみの問題について、直線に線は引いたが、くぼみのところには日本漁船は当分入らないというふうの話のようでございますが、それでは実質的にくぼみというものを認めた結果になるんじゃないかというふうに思われますが、この点は一体どうなのか。  それから第二点は、李ライン撤廃要求が通ったと、こう言うが、これは記録に残すということを言われておるのでありますけれども、この確約が記録に残すようになったのかどうか。  それからもう一つは、この出漁する隻数でありますが、これは漁獲量によってまずきめる。そうすると、このことは、出漁しても従来の隻数が確保できるかできないかということについて疑問が出てくるのだが、この点は、一体従来の隻数が確保できると保証ができるのかどうか。  それから次に、漁業協力資金の問題ですが、大平金メモの一億ドル以上の民間資金供与というのが、これを上回ったのかどうなのか。どうもちょっとはっきりしなかったので、その点をひとつ質問いたします。
  7. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 済州島と韓国の半島との間は、先ほど申し上げましたように、向こう側直線基線で十二海里とった、済州島の周辺は低潮線によって十二海里をとった、その両方の合わせ目に右と左にくぼみができた、こういうことになっていますので、そのところは専管水域並みに扱って線を引く、こういうことにいたしたいという話をいたしておるわけでございます。大体そういう話になっております。  それから、李ライン撤回文書にあらわして確約するかと、こういうことでございます。これは前々了解を得ておりますので、これからいろいろ文書にするときに、それをはっきりさせていきたいと、こう考えております。  それから、出漁日本隻数でございますが、日本実績等を確保できるかということでございますが、これは確保できる、こういう見通しでございます。  それから漁業協力の金は、三億、二億、一億ドル・プラスアルファハ項でございますが、その以内かということでございますが、一億ドル・プラスアルファという金の範囲内でございます。
  8. 藤田進

    藤田進君 関連質問赤城農林大臣にまず冒頭お願いしたいのですが、本日の夕刊その他では、かなり詳しい報道がなされる模様であります。過去におきましても、九千万ドル協力資金ということは、すでに発表されたのかどうか。とにかく報道されている。われわれが、国民の代表として、ここでこの問題を審議するのにあたって、その日の夕刊をまってまず知って、そして、これがほんとうかなんという、そういうような不見識な審議になっておる。私は、もっと率直に、この委員会を通じてお答えをいただきたいということを、まず申し上げておきたいと思う。  そこで、隻数については、昨日私が再三念を押しましたが、交渉中であるという理由で、隻数発表は差し控えられたわけであります。提示はしている、隻数を。この点は、すでに合意に達せられ、あと整理ということであったならば、この際、わがほうの隻数韓国側隻数、これははっきりしていただきたい。  それから第二の点は、協力資金九千万ドル、これについては、金利水準について、御承知のように問題があったはずであります。この点が、どういうふうに——民間ベースコマーシャルベースであるにしても、政府あっせんするといわれるけれども、これは交渉の本体をなしているのですから、この点をどういうふうにしたのか。  第三点は、済州西側基線については、今朝来報ぜられているように、韓国側妥協案赤城妥協案と、若干対角線の角度が違ったものが報ぜられておりました。まあ面積はプラス・マイナス・ゼロみたようなものを見たわけでありますが、その辺も詳しく伺いたい。  第四は、あなたの所管である漁船が不当に拿捕され、中には遂に死亡し、いまだ船が帰っていない等々の、いわば賠償、この補償については、すべてを一括といわれていたのに、イニシアルの交換ということになるならば、せめて農林省所管だけについても、一連の一括の中にお入れになるのが至当ではないだろうか、このように思うわけです。  とりあえず、以上の点について詳しくお尋ねをしたいと思います。お答えをいただきたいのであります。
  9. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 協力の金の点につきまして、国会にお話しする前に新聞等に出ておるということは、あまりいいことじゃないという御指摘でございます。私もそう思います。私のほうで新聞発表をいたしてはおりません。そうして九千万ドルということも、私のほうできょうまで出したことはないのでございます。(「出ていますよ」と呼ぶ者あり)七千万ドルまでは私は出しましたが、これが話の席において絶対に九千万ドルという話はいたしません。率直に言うと、ざっくばらんに言いますと、きのうから、どれくらいのあっせんをするか、政府資金ではありませんから、あっせんめどをつけるために各方面相談をいたしました。その相談の過程においてどこから出たのか知りませんが、私は、向こう側に対しても、けさの九時に言ったのが最初でございます。で、御注意の点はなおよく私も注意いたしたいと思います。  そこで、漁業協力資金……。
  10. 藤田進

    藤田進君 隻数基線は……。
  11. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 隻数は、いま担当事務当局から詳細に申し上げます。  それから協力資金利子、これは民間の金でございますので、五分七厘五毛、これが普通でございます。五分七厘五毛。その中で特に見てやるものをいまから考えてやろうじゃないかというのは、まあ、零細といいますか、その九千万ドルのうちで困ってる人が使うというような金につきましては金利等も低いものをあっせんできないだろうかということで、大体五分七厘五毛及びそれ以下のものを少し考えようじゃないかと、これはなお事務的に折衝を続けております。研究をいたしております。それから済州島の問題でございますが、図面で申し上げれば一番はっきりするのでございますが、藤田さんもよく御承知だと思いますが、斜めに私どものほうで線を提示してました。向こうは百二十六度の接線でまっすぐにやった。で、私ども斜めの線を、少し下のほうを向こうへ入れ込み、上のほうを少し右側というか、入れ込んで、斜めを少し立て直した。まあ、両方歩み寄るという形でそういうようなことにいたしたわけであります。それから、拿捕等による損害、大体七十二億になっておりますその損害につきましては、これは全般的な解決をはかるときにはかるべきだということで、私のほうの漁業関係、もちろん深い関係がありますから、離れたというわけじゃございませんが、全面会談の場でこの解決をはかるということで、外務当局といいますか、日韓会談首席代表方面でこの解決をするということで向こうへ移して、向こうのほうでその折衝を続けておる、こういうことでございます。
  12. 藤田進

    藤田進君 もう一点だけ。関連ですから多くを申し上げません。  大蔵大臣ちょっとお伺いしますが、いまのコマーシャル ベース——民間ベースということで五分七厘何がしですね。なお零細漁業者等については特別にそれ以下と、まあ四分五厘になるのかどうか知りませんが、その国内処理としては、民間にまかせるだけではとても解決しそうにないと思います。五分七厘の金利水準などということ、で九千万ドルということはとうていこれは考えられない。とすれば、利子補給か。国内政府措置としてはどういうものが考え合わされてそういう解決になったのでしょうか。
  13. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 農林大臣が述べましたとおり、大平金メモ、八項に属するもの、いわゆる民間コマーシャルベースと、こういうことでございます。向こう側は何か政府ベースかなんかでもっと安い金利ということが目標であったかもわかりませんが、いずれにしましても、日韓のこの問題につきましては、五億ドル以上のものについては八項に基づく民間ベースと、こういう原則が確立されておりますので、その線によったわけでございます。そうして、おおむね五・七五%ということが民間ではいままでの例でございます。ただ、これからの日韓の間に起こる民間信用供与につきましては、五・七五になるか、また五・五になるか五%になるかということは、これはプロジェクトの内容によりまして、頭金との問題、また据え置き期間との問題、また返済期限等の問題によっていろいろ変わってくるわけでございますが、まあ、先方側としてはできれば一億一千五百万ドルぐらいを一番初めに要求したようでございますが、その間において一億ドルに下げてもこれを四・五%程度のものにしてもらいたいというような御要求があったようであります。しかし、これはあくまでも民間韓国に対して行なうことでございますから、まあ結局、五・七五か五・五か、向こう側とこちら側の話し合いによってその目標を達成するように協力をいたしますか努力をいたしますというようなものにしかならないわけでございます。これが政府ベースでありましたら、頭金幾ら、それから据え置き期間幾ら、延べ払いの期間幾ら金利幾らということになるわけでありますが、あくまでも民間ベースということでありますので、まあ合意をするとすれば、四・五%になりますか五%になりますか、そういうものに対しても、民間信用供与に対して大いに努力いたしますという程度の結論しか出ないわけでございます。まあ、民間が供与しても五%か四・五%にならないとは言えないわけであります。これはいろいろな関係で五%でもよろしいというところも出てくるかとも思います。しかし、それはもう現実に出てこなければわからない問題であります。政府がこれに利子補給をして、四分五厘と五分七厘五毛との間をやるとか、また、五分五分七厘五毛の間の利子補給をするという考えは全くありませんので、あくまでも民間コマーシャルベースという考え方であります。
  14. 和田正明

    政府委員和田正明君) 出漁隻数についてお答え申し上げます。以西の底びきが二百七十隻、それから沖合い底びき——通称以東底びきと申しておりますのが百十五隻、それからまき網が百二十統、それから沿岸漁船につきましては、自主的に調整をいたすわけでございますが、大体千七百隻程度というふうに話し合いがついているのでございます。
  15. 藤田進

    藤田進君 韓国のも言いなさいよ。
  16. 和田正明

    政府委員和田正明君) 韓国側につきましては、先ほど大臣からお答えございましたように、こちら側だけ規制するということじゃなくて、その範囲処理をすると、そういう考え方でございます。
  17. 藤田進

    藤田進君 その数は日本と同じ……。
  18. 和田正明

    政府委員和田正明君) それはまだ最終的な文章整理は済んでおりませんが、実質的に同等になるような表現をするというようなことで現在折衝中でございます。
  19. 北村暢

    北村暢君 ただいまの次長の答えでははっきりしないのですが、従来この韓国の漁労の技術、漁船隻数、はるかに日本の場合よりも劣っているわけでございます。それを同等のところまで持っていくということになればですよ、結局、漁獲量でもって制限をしておいて、同等のところということになれば、これは韓国のほうはこれからふやす問題であって、漁獲量で一定になっていれば、当然これは日本漁船の従来の隻数というものは守られない結果になるのじゃないか、このように思いますが、この点あいまいでありまするので、もう一度ひとつ御答弁願いたい。
  20. 和田正明

    政府委員和田正明君) 韓国側は、まあ一般的に申しますれば、装備等も悪うございますから、現状においては低いわけでございますけれども漁業種類によっては、日本側より、現在許可をされております隻数が多いものもございます。実態としてですね。にもかかわらず、装備等が悪いもんで、漁獲量としては少ないというようなケースもあるわけでございます。そこは、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、今後伸びていくにしても、日本側だけが一方的に制限を受けることにはならないような、そういう歯どめをするような趣旨で協定を結ぶ、こういうことでございます。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 関連日本側韓国側の船との装備の、つまり実力に現状で差がある場合に、それを先ほど具体的にこれから調査なさるというのは、それはどういう形で算定をするのか。非常にこまかい問題で恐縮ですが、そこのところがはっきりしないと、どうも全体がのみ込めませんから。それと実績との関係ですね。
  22. 和田正明

    政府委員和田正明君) 具体的に装備の差が、あるいは能力の差が何対何であるかというようなことを漁業種類ごとに議論してみてもなかなか始まらないと思いますが、私どもとしては、一応隻数は、先ほど申しましたような数字に合わせておいて、そして何らかの形でそこまでは向こうが将来装備等がよくなれば伸びていけるような権利が留保されているといいますか、そういうような感覚で文章整理したらいいんじゃないかというふうに考えておる次第です。それから、実績につきましては、漁業種類によっては現在向こう側のほうが多いものもございます。少ないものもございます。いろいろございます。日本側隻数は、先ほど申しました数字は、私どもが各種の調査をしております限りにおいては、現在出漁をしております実情をおおむね貫徹しております。ですから、前々から大臣が申し上げておりますように、現在の出漁隻数を減らさなければいけないというような事態は、どの漁業種類についてもございません。
  23. 羽生三七

    羽生三七君 もう一点だけ。技術的なことは聞きませんが、全体として今度の日韓交渉の、特に漁業関係の取りきめが、将来国際法上他の国に影響することは断じてない、確信を持てる取りきめ、協定であるということは認められるのですか。その点を伺いたい。
  24. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今度の漁業協定につきましては、国際法、国際慣例、そういうものに準拠してやりました。問題になりまするのは済州島のまわりでございますが、これも低潮基線によって線を引き、そして向こうのは直線基線によって線を引いて、その一部分が線が引けないので、それに沿わない点が国際慣例に沿わないで両当事者で協定して専管水域並みに扱う公海が少しあります。しかし、これは話し合いのことでございまして、私は、国際慣例とかほかとの漁業交渉に支障を来たすような性質のものではない。非常に私は国際法、国際慣例の筋を通した線で進めてあると、こういうふうに私は確信しております。
  25. 北村暢

    北村暢君 次に、ベトナム問題についてお伺いいたしますが、まずアメリカの北爆が拡大をされていっている事実は御存じのとおりでございますが、最近になって工業地帯をも目標に綿密な偵察飛行が行なわれ検討をされている、こういうことがいわれておるのでありますが、この点は確認をせられているかどうか、外務大臣にお伺いいたします。
  26. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 偵察はあるいは工業地帯あるいはジャングル、まあいろいろな方面に、行なわれておることと存じておりますが、これに関するまだ公電に接しておらない状況でございます。
  27. 北村暢

    北村暢君 次に、米軍のジェット機F100、F105等が北爆を継続している中で、第四次爆撃から、タイから米機が発進をしておるということが伝えられておりますが、この点について確認せられておるかどうか。
  28. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これも公電に接しておりません。新聞電報によって承知しております程度でございます。
  29. 北村暢

    北村暢君 次に、米軍が北爆の強化拡大の計画を立案中である。で、北ベトナムの沿岸全面海上の封鎖に対する、ミサイルの攻撃あるいは鉄道橋梁というような経済的な目標への射撃、これは十七度線以北についても検討がせられているということが伝えられているわけでございますが、この点についての情報は新聞のとおりなのか、外務省でどのように把握されているかお伺いします。
  30. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘の点につきましては、的確な検討はまだつけておりません。
  31. 北村暢

    北村暢君 次にですね、アメリカと南ベトナムの地上軍がカンボジアの領土を攻撃しておる。こういうことをカンボジア総司令部が発表いたしておるのでありますが、その事実について知っておられるかどうか。
  32. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) その問題につきましても、まだ公報に接しておりません。
  33. 北村暢

    北村暢君 次に、これは昨日の夕刊に出ておりますが、おとといですかの新聞に出ておる、米軍と南ベトナム軍が対ベトコン戦にガスを使用していることが問題化されておりますが、これについても公電に接しておりませんか。
  34. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだ公電に接しておりません。  そのガスがどういう程度のガスであるか、それらについてはぜひ早く的確な情報を得たいと思っております。
  35. 北村暢

    北村暢君 以上のように、いろいろな点で外務省は、こういうどんどん北爆その他戦争状態が拡大をしていっている状態について、一体政府はどういう認識を持っておられるのか、どういうふうに対処しようとしておられるのか、この点をお伺いしたい。
  36. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 今後どういうふうになるか、その点についても見当はつきませんが、いずれにしましても、アメリカは戦火の拡大を欲してはいない。ただ、継続的に人員及び物資の浸透によって南ベトナムの各所にテロ行為あるいは破壊活動が行なわれておる、それに対する防衛であると、こういうことを言っておりますので、はたしてそういうような事実が継続して存在するならばこれはやむを得ざるものであると、かように考えておりますが、その問題につきまして、アメリカは、今後さらに反撃を行なうかどうかということは北からの浸透いかんによる、こういうことを言っておるのでございまして、問題は主として北ベトナムの南ベトナムに対する浸透工作というもののいかんが今後の問題を決定するのではないか、かように考えております。
  37. 北村暢

    北村暢君 大臣の答弁は、私は、事実認識において非常に異なっておると思うのですが、テーラーアメリカ駐南ベトナム大使が二十八日ワシントンに帰着して今後のベトナムの対策についてジョンソン大統領と協議をするということが伝えられておりますが、そのテーラー大使が、北ベトナムに対する爆撃は継続すべきである、あるいは歩兵一個師団三万人の派遣をジョンソン大統領に進言をする、こういうようなことがいわれておるのであって、アメリカは戦争を拡大することを欲していないという基本的な考え方に立っているということは全く逆の形が今日次々と起こっておるわけです。そういうことの認識でこの問題の対処ができるかどうかということについて、私は非常に大臣考え方というものについて理解ができない。松本特使を派遣せられておりますけれども、一体松本特使の任務は何なのか、どういう目的で行っているのか、これを御説明願いたい。
  38. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) インドシナ三国につきましては、それぞれ常駐の公館長がおりまして、逐一情報を送っておるのでございますけれども、やはりもっと一段高い見地に立ってインドシナ全体についての把握をしたい、こういう考え方から松本氏をわずらわして現地に派遣したような次第でございます。
  39. 北村暢

    北村暢君 一段高い見地に立って情報をとる、こういうことですが、その具体的内容、指示は一体どういうふうにされているのか、これを明らかにしていただきたい。
  40. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 現地に対しましてはすでに松本君はかつて駐在したこともあるのでありまして、どういうところをどういうふうに見てこいというようなそうこまかい指示は与えません。同氏を信頼して、とにかくこの三国について現在の情勢を見て、そうして報告をしてもらう、かように話し合って出てもらったのであります。
  41. 北村暢

    北村暢君 先ほど聞いたいろいろな点について、公電に接しないとか、正式な通報を受けていないとか、こうおっしゃられているのですけれども、これほど目まぐるしく変わっている情勢について、松本特使を派遣して実際に外務省は一体どのようにこのベトナムの状態を把握されようと努力しておるのか。行きっぱなしで、帰ってくるまでわからないということではないでしょう。もう常に連絡をとっているはずであるし、現地に大使館も置いてあることだし、そういうことで一体外務省として政府として怠慢もはなはだしいと思うのですけれども新聞しか情報がわからないというような態度で、一体日本の外務省というのは、それで一国の外務大臣が外交をやっていく上において、こういう態度で一体国民に対して申しわけができるのかどうなのか。おとぼけ大臣でとぼけた答弁だけ国会でやっていればいいというふうにしか聞こえないのですけれども、一体そういうことでいいのですか、信念のほどを承りたい。
  42. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) できるだけ迅速に的確に現地の情報を得たい、そういうふうに今後もつとめてまいりたいと考えております。
  43. 北村暢

    北村暢君 全く抽象的答弁でお話になりませんが、それじゃ具体的にお伺いいたしますが、ベトナム戦争に対しての不拡大の方針に従って、これは佐藤総理の考え方もそのようであります。したがって、いま韓国の李東元外相が見えておる、韓国はすでにベトナムへの派兵を決定をしておる、こういう状態の中で、両外相の中で、この問題について不拡大の方針をとるならば、韓国のベトナム派兵というものを思いとどまらせるという努力があってしかるべきだと思うのでありますが、一体その意思があるかどうか、お伺いいたしたい。
  44. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま韓国を承認しておりますけれども、まだ国交が正常化しておらない。これを正常化するためにせっかく日韓会談をやっておる最中でございます。しかる上においてまた必要な外交の措置というものはお互いの間にとられるものと考えておりますが、ただいまのところはさような状況でありますから、これら問題に対しては別段わがほうの意見を向こうに押しつけるというようなことはいたす考えはありません。ただ、先般私が訪韓したときに、この問題について状況だけを聞かしてもらいたいという説明を求めましたところが、二千名派遣することになっているが、それは非戦闘員である——主として通信兵であるとかあるいは工兵のようなものではないかと思うのであります。戦乱によって道路も破壊され、橋梁も破壊され、通信施設も破壊されておる。これでは南ベトナムの国民生活というものが非常な荒廃しておる状況にかんがみて、これをすみやかに修復する、それに協力するために二千名の非戦闘部隊が行くのであると、こういう説明を受けた次第でございます。
  45. 北村暢

    北村暢君 ベトナム問題についてさきの羽生委員の本会議の緊急質問について首相が答弁されておるのでありますが、これについて首相はベトナムの問題は一日も早く平和的な回復を願っておるということを答弁しております。したがって、先ほど申したようにどんどん戦争は拡大しているのでありますから、これをアメリカに反省を求めるという積極的な行動があってしかるべきだと思うのですが、これをやる意思があるかないか、御答弁を願いたい。
  46. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) あらゆる機会において、日本は、戦火の拡大せざること、そしてすみやかに事態が収拾されること、そういう希望をアメリカにも表明しておる次第でございます。しかし、先ほど申し上げたように、米軍としては、別に何らの野心があるわけでもない、一日も早く戦争が終結して、そうして南ベトナムの独立と自由、平和が再び回復することを望んでおるのだ、しかし、いやおうなしに拡大せざるを得いというのは、結局、北越の北からの侵略行動がなかなかやまない、ますます強化されるという情勢にあるので、その問題が発展する間はこれは戦火の終息ということは不可能である、こういうことを言っておるのでありまして、右のような事実に基づくものである限りにおいては、やはりやむを得ざる行為である、かように考えております。
  47. 北村暢

    北村暢君 ベトナム問題では最後にお伺いしますが、アメリカと中国のいま大臣の言ったようなことで軍事力の外交による勝ち目についての判断でありますが、これについて、目先のことはともかくとして、長期的な視野に立って、アメリカには勝ち目が少ないと思うということをきょうの朝日新聞の社説でもはっきり言っておるのであります。そしてまた、「共産主義のイデオロギーと民族主義とが、ナワのようによれあいながら、実は別物であることを米国に納得させ、反共政策の中心を軍事面から、健全で排他的でない国家主義・民族主義育成へと置きかえさせるところに、日本外交の努力が期待される。」ということを言っておるのであります。したがって、こういう点をアメリカの誤りということを日本の外交の主体としてアメリカを説得するという積極的な意欲があってしかるべきだと思うのですが、どのように考えるか、所信を承りたい。
  48. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 米国の先般出しましたベトナムの白書がございます。それによって見ましても、とにかく北ベトナムの指令に基づきあるいは意図に基づいてそうして人員、物資の浸透が行なわれる。このまま放置すれば、南ベトナムの国民の意思に反して南ベトナムの独立と平和、自由が全然破壊されてしまう。これを未然に防止するためにベトナムの南越の要請によって米軍が軍事介入をしておるのでございます。かような状況はいずれにしても一日も早く鎮静することをわれわれは望まざるを得ないのでありますけれども、しかし、北方からの侵略というものが継続している間は、これはこれを終息するということは不可能である、かように考えるのでありまして、これは両方とも武力によって問題を決するということでなしに、話し合いによって平和を回復するということに両方の意思が一致しなければならぬものだと考えるのであります。
  49. 北村暢

    北村暢君 アメリカのガス使用の問題について、政府はアメリカに抗議する意思があるかどうか、この点をお伺いします。
  50. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ガスといっても、きわめて害の少ないものもありましょうし、それから非常に猛烈な猛毒を持ったものもあります。いずれにしましても、ただガスを使用したというだけで、一体それがどういうものであるかということを突きとめないで日本は外交行動に出るわけにはまいらぬのであります。
  51. 北村暢

    北村暢君 この点は、わが党において決議案等を出す予定もありますから、質疑は省略をいたします。  で、次にお伺いいたしたいのは、主要農産物の最近の輸入の状況について農林大臣にお伺いいたします。
  52. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) わが国の農産物輸入額は、三十年におきましては、総額三千百十八億円であります。ドルに直しまして八億六千六百万ドル。三十七年におきましては、三千九百七億円、ドルに直しまして十億八千五百万ドルでありましたが、三十八年におきましては、麦など国内農産物の不作、それから砂糖などの国際価格の高騰もありまして、五千四百十四億円、十五億四百万ドルとなりました。作物別に申し上げますか……。
  53. 北村暢

    北村暢君 いまの点は通告してありまするので、どういうものがふえているのか知りたいので、作物別にお伺いします。
  54. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 三十八年度をとって申し上げます。  小麦が七百八十三億円、トウモロコシ飼料用が五百二十五億円、大豆が六百五億円、バナナが百三十四億円、油糧用の実でございますが、脂実が三百六十五億円、食肉類が百十一億円、砂糖及び糖みつが九百三十一億円、コーヒー、ココア等が百九十九億円、こういう内訳でございます。
  55. 北村暢

    北村暢君 次に、今後の国内生産による農産物の需給の見通しをひとつお願いいたします。
  56. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 中期経済計画を作成しておりますが、中期経済計画におきましては、昭和四十三年度の農業産出額は、三十八年度に比べまして、おおむね二割程度増加するという想定をしていることは御承知のとおりでございます。これはまあ機械化の推進とか農業生産基盤の整備とか子弟の育成、協業の助長等の生産対策や構造改革等を強力に推進するという前提に立って見通されておるものであります。この場合、四十三年度における農産物の輸入金額は、三十七年度の価格で、おおよそ十八から十九億ドル程度になるものと見られております。国内生産における供給度は八〇%程度になるものと予想しております。
  57. 北村暢

    北村暢君 そこでお伺いしますが、国内の農業生産の成長率が粗生産で三%、純生産で二・六%、こういうことでございますが、これは生産額でパーセントが出ておりますから、選択的拡大という形からいけば、畜産物、果樹、こういうものがふえてくる。ところが生産の低い麦、えさ、こういうものが非常に減ってくるのではないかということが考えられます。さらに、いま説明がありましたように、自給度が三十七年度よりははるかに、中期経済計画においても四十三年度八〇%ということで、自給度は低下する、こういうふうに見て差しつかえないかどうか。
  58. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いろいろの施策を施しますけれども、大体八四%、三十八年度は八一%くらいでございました。それから中期経済計画の見通しが、いまのとおり八〇%、四十三年度でございますので、自給度は減る傾向にあります。しかし、政策といたしましては、その自給度程度を確保していきたい、こういうふうに考えます。
  59. 北村暢

    北村暢君 わが国の貿易の先進地域、低開発地域のシェアの点について、どのようになっているかお伺いいたします。これは農産物についてでございます。
  60. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 三十八年におきまするわが国の農林水産物、そのうちで綿花と羊毛を含む輸入金額の中で、先進国からの輸入が六〇%でございます。後進国からの輸入が三六%、残りは共産圏からの輸入でございます。  なお、その農産物等につきまして申し上げますならば、主要な輸入農産物につきましてみますというと、温帯産品である小麦、大豆等は、全部ないし主として、先進国からの輸入でございます。熱帯産品であるコーヒーの豆、バナナ、コプラ等は後進国からの輸入でございます。温帯でも熱帯でも生産されておる粗糖、トウモロコシについてみますると、昭和三十年における輸入総額のうち、後進国からの輸入量の割合は、それぞれ六三、二三%でございます。
  61. 北村暢

    北村暢君 そこで外務大臣にお伺いしますが、最近の一次産品の国際価格の状況は一体どうなっているか、この点についてお伺いいたします。
  62. 内田宏

    説明員(内田宏君) お答え申し上げます。全般的に申し上げまして、農産物の国際価格は横ばいを続けておりまして、非鉄金属は少し上がりかけております。
  63. 北村暢

    北村暢君 ただいまの答弁は間違っているのではないかと思うのです。最近一次産品の国際価格というのは非常に値下がりをしているのであります。この点について、答弁は間違っているようですが、農林省からひとつ答弁願います。
  64. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 政府委員から答弁させます。
  65. 久宗高

    政府委員(久宗高君) お答えいたします。昨年南北問題がジュネーブでいろいろ論議せられました際、その前提といたしまして、一次産品につきまして、一般に国際価格、交易条件が、一次産品産出国にとって不利であるということがテーマであったわけでございますが、その後の経過で申し上げますと、ただいま外務省から申されましたように、ジュネーブ会議以後の一般的な価格といたしましては、ジュネーブ会議以前に一次産品価格が、非常に交易条件が不利になった状況とは逆転いたしまして、一時好転いたしたわけでございます。しかしながら、さらに最近の状況で申し上げますと、またもとの状態に戻りつつございまして、一次産品の価格は低下する傾向にあるように見ております。
  66. 北村暢

    北村暢君 この一次産品の価格低下によって、低開発諸国の外貨事情にどういう影響がきているか、これをお願いいたします。
  67. 内田宏

    説明員(内田宏君) お答え申し上げます。低開発諸国の輸出事情悪化に伴いまして、所得のほうは低下しております。
  68. 北村暢

    北村暢君 所得のことを聞いているのではない。外貨事情にどういう影響が来ているかということを聞いている。
  69. 内田宏

    説明員(内田宏君) お答え申し上げます。外貨事情の悪化によりまして、それから延べ払いの債務の累積ということもございまして、低開発国の外貨事情は下降しております。
  70. 北村暢

    北村暢君 この問題に関して四月の五日、ニューヨークで開かれる国連貿易開発理事会で、これらの問題が問題になるはずでありますが、一体政府はいかなる態度でこれに臨むか。
  71. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 国連貿易開発会議で、南北問題の中で、いま御指摘のように東南アジア諸国、あるいは低開発諸国と申しましょうか、外貨事情が悪いので、その改善策を先進国に求められることは、これは見通しとして確かなところでございます。したがって、わが国といたしましては、当然これらの後進国のかような事情の改善に協力することにやぶさかではございません。現在まででも東南アジア諸国に対する一次産品の買い付けについて、先ほどから御質疑がございましたが、国内に対する農産物の影響のない範囲におきましては、でき得る限り協力してまいっておるのでございます。トウモロコシとかコーヒーとかココアとか、こういうようなものは、買い付けをいたしましても国内に影響ございませんから。また、開発輸入と申しまして、後進国からの輸入が、安定した良質なものが得られるように努力をしておる次第でございますが、今度の会議に参りましても、これらの日本政府の方針をよく申すことといたしたいと思います。
  72. 北村暢

    北村暢君 農林大臣の見解をお伺いします。
  73. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は、できるだけ低開発国からの輸入を、先進国からでなく、やっていきたい、こういうふうに考えています。しかし、ものによって、あるいは価格によって、思うようにいかない点もあります。でありますが、できるだけ低開発国からの一次産品の輸入は、先進国からでなく、やっていきたい。ことにトウモロコシなどはタイ国などからずっと入れていきたい、こう思っております。  それからもう一つは、いま通産大臣からも申し上げましたが、開発輸入といいますか、向こうへ技術者を派遣したり、技術の指導をしたりしまして、いい生産物を得られるようにしていく、それを輸入する開発輸入というような方式を、農林省としては考えております。
  74. 北村暢

    北村暢君 東南アジアの経済援助の問題についてお伺いいたしますが、いま申したように、貿易の関係からいって、東西問題が非常に重要になっておる。しかし、東南アジアの後進国は外貨事情からいって、買う能力がない、こういうような問題で、非常にむずかしい問題が出ているわけでございます。貿易がなかなか拡大をしない、こういう状態にあるわけでありますが、ひとつ東南アジアの経済援助の問題について、積極的なアジア外交を主張する立場から、いかなるプランを持っているか、外務大臣にお伺いします。
  75. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 東南アジアは、御承知のとおり日本の輸出市場としても相当重要な地位を占めておるのであります。しかし、だんだんわが国との輸出入がアンバランスになりまして、日本に対して、もっと輸入を高めていかなければ、日本からの輸入はこれ以上はできない、あるいはまた、従来の取引をもっと縮小しなければならぬというような意見が出ているのでございまして、政治的に見ても大事なところであり、経済的に見ても、いま申し上げるように非常に大事な地域でございます。これらの地域との日本のこの貿易を、もっと長い目で拡大をしようとするならば、やはり相当これらの低開発国をもっと育成しなければならぬ、そのために経済協力ということが非常に大事になってきているわけでございます。従来ともにやってはおりましたけれども、従来以上にこの経済協力を強化拡大する必要に迫られているのであります。そこで、外務省といたしましては、この所管は経済企画庁の所管でございますけれども、海外経済協力基金、これが制度上は数年前からあるのでありますけれども、その活用においてまこととにどうもまだ低い状況でございます。これを今後あるいは予算措置、それとともにまた預金部資金等の借り入れ能力をこれに付与いたしまして、そうして輸銀と比較してはるかに長期低利な資金源にこれをだんだん育て上げて、そうしてこれを基礎にこれらの低開発国の経済協力を今後強化してまいりたい、かような考え方をいたしている次第でございます。
  76. 北村暢

    北村暢君 いまの御答弁で、一応関心はあるようでありますけれども、東南アジアの問題に対する関心というものは、非常に国情の不安というような点から、冷却をしているのが現実の状況ではないか、このように思います。そうしてまた、何らの施策をとっておらないということだろうと思います。貿易を拡大する有力な市場であるけれどもその基盤ができていない、こういうことだろうと思うのです。それで、大来さんが三つの提案をしているのですが、経済研究施設の開放をやる、あるいはハイウエーでなしに、港の開発であります。それから合弁企業の方式、こういう三つの提案をしているのですが、そういう基盤をまず確立することが非常に大事じゃないかと思うのです。そういうものが積極的になされないというと、幾ら重工業製品を輸出しようとしても輸入する能力がない、こういうことだろうと思うのです。そういう施策について、経済協力基金だけではとても今後の見通しというものは暗いのじゃないかと思われるのですが、一体どういう所見を持っておられるか、お伺いいたします。
  77. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘の点は一々重要な問題でございますが、すでに港湾の新設に協力しているところもあり、また研究施設といたしましては、いろいろな技術センターをつくりまして、そうして技術の専門家を派遣して、そうしてここで指導訓練し、その地元の産業育成に貢献する、こういうようなことをやっておりますが、これはこういう程度ではやはりいかぬのでありまして、もっともっとこういう点を強化拡大してまいりたい、かように考えております。  それから資金の問題も、協力基金だけでは足りないのではないか、まことに仰せごもっともでありまして、この点につきましては、大蔵省とも十分に連係をとりまして、将来ともこの資金の拡大につとめてまいりたい。それからまた、この輸銀資金で相当まあ用立て得るところも私はあるように思われます。これらの問題につきましては、十分御説のとおりその方向に従って努力してまいりたい、かように考えております。
  78. 北村暢

    北村暢君 大蔵大臣の見解をひとつお伺いいたします。
  79. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 東南アジア諸国は、日本の貿易の内容から見ましても、非常に輸出が多く、片貿易の状態でございます。先ほども農林大臣及び外務大臣が述べましたとおり、外貨事情も非常に悪くなっておりますので、このままの状態で進めば日本からの輸入を押えなければならないというようなことも言っております。しかし、御承知のとおり、賠償、また、賠償に付随する経済協力等がございまして、三十六年、七年、八年のころは世界で約五番目の低開発国に対する経済協力実績を持っているわけでございます。日本自体でも、貿易の状態から低開発国に対して貿易をもっと伸ばすようにしなければならないという必然的な要請、もう一つは国連の貿易開発会議におきまして、低開発国に対しては国民所得の一%程度を経済協力しよう、こういう決議になっておりますし、日本もこれに対して賛成いたしているわけでございます。でありますので、この方針に沿って低開発国援助を進め、ひいては日本の輸出を確保してまいりたい、こういう基本的な考えでございます。日本におきましては、資金的には輸銀ベースのものもございますし、また、海外経済協力基金もございますし、そのほかにいま国連の下部で研究をいたしておりますアジア開発銀行構想がございます。政府といたしましてもこの構想に対しては賛成の態度を持っておりますし、これはただ東南アジアの諸国や日本だけでこれをやっても大きな仕事ができるわけではございませんので、域外諸国の投資も十分求めながら、同時に現在あります世銀及び第二世銀、こういうものとの関連もつけながら東南アジアの開発を進めてまいるという基本的な方向でございます。それからいま一つは、第二世銀やまた国際金融公社がございまして、これは地元に産業を興す場合、先進国と金融公社で資金を持って仕事を始めますが、その仕事が稼働してまいるという事態になりますと、だんだんと国際機関の持っている株を地元に持たせる、こういうような開発の方式もございまして、日本はもうすでに東南アジアに対して製鉄工場その他の工場を民間と開発公社の協力によって幾多の実績をあげているのが幾つかございます。こういう国際的な機関との協力というものも考えながら総合的に東南アジアの開発を進めるという考え方でございます。
  80. 北村暢

    北村暢君 次に、政府は三十八年八月に砂糖の輸入の自由化を行ないましたけれども、その後の砂糖の事情について状況の説明を願いたい。——政府委員、おられないのですか。
  81. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 食糧庁長官は、健康上の都合で、いま休んでおられます。岡田食糧庁第二部長
  82. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) お答えいたします。一昨年の八月三十一日に粗糖の自由化が行なわれたわけでありますが、その当時粗糖の国際値段につきましてはやや上がりぎみであったわけでありますが、欧州ビートの不作等の問題もございまして、逐次粗糖の価格は高騰いたしまして、その年の十一月ごろにポンド当たり十一セントないし十二セントというふうな高い値を実現したわけでございます。その後十二月ごろを境にいたしまして、昨年の一月、二月とやや値段は下がってまいりましたが、昨年の六月ごろから急速に低下をいたしまして、逐次下がってまいりました。その後本年に入りましても下がってまいりましたが、最近の三月ごろになりまして、最低値二セント程度を境にいたしまして、若干上がりつつあるという情勢にあります。これに対しまして国内糖価のほうは、自由化をいたしました当時はキロ当たり卸売り価格で百四十円程度でございましたが、十一月ごろに百七十円ということで最高の価格を実現したわけです。その後国際糖価の低落に従いまして低落をいたしまして、昨年の暮れやや高目になっておったわけでございますが、本年に入りまして、また急速に低下をいたしまして、現在キロ当たり九十一円程度の価格になっておるわけでございます。で、三月になりまして国際糖価はやや上向きになっておりますけれども国内糖価はこれと異なった価格の形成をいたしまして、若干ながら低下を続けておる、こういうふうな状態になっておるわけでございます。
  83. 北村暢

    北村暢君 三十七年と三十八年の砂糖の輸入量を輸入額、これはどういうふうになっておりますか。
  84. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) お答えいたします。三十七年の輸入実績を申し上げますと、百三十一万三千トン程度の輸入がなされております。三十八年につきましてはただいまちょっと全体の資料が不足でございますが、四月から九月までにとりました資料といたしましては、六十五万三千トンでございまして、はっきり記憶いたしておりませんけれども、三十八年全体といたしましておおむね三十七年と同じ程度だというふうに考えております。
  85. 北村暢

    北村暢君 どうも答弁が不十分ですが、三十七年のほうが輸入量では多い、三十八年は若干少ないんですが、金額はほとんど倍になっておるですね、輸入の金額においては、国際糖価の値上がりで、三十八年度はほとんど倍になっておるわけなんです。そういうときに自由化をいたしましたので、シェア確保のために高い砂糖を業者は相当買ったわけです。したがって、先ほどの部長説明では、この自由化後の状況説明を願ったんですけれども、それは価格の動き等をしゃべっただけで、一体高い粗糖を輸入し、その後暴落した結果、国内精糖業にどういう影響を起こしているか、こういうことを聞いているわけなんですよ。それは大臣に答えてもらいたい。
  86. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 国内糖価が高いときに自由化をいたしました。そのために、業界によりましては、輸入を相当多く持ち込んだわけであります。ところが、糖価は、先ほど申し上げましたように、下落してまいっておる、そういうわけで業者といたしましては、高い砂糖を持ち込んでおりまして、国際的に砂糖が安くなってきたということでございますので、コスト・ダウン、その他、つとめてはきておりますけれども、業界不振といいますか、そういうふうな状況でございます。
  87. 北村暢

    北村暢君 業界不振で大混乱を起こしておるわけですが、これに対する対策はどう考えておりますか。
  88. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 業界の合理化を進めておりますこと、それから国内の甘味資源の保護との関係におきまして、国際の糖価とマッチできるような形に、すなわち、何といいますか、これを国際的な砂糖と国内産との間を調整していくような方途を講ずべきではないか、こういうことから糖価の問題につきましては、懇談会等を置きまして、その検討をずっと続けてきておったわけでございます。
  89. 北村暢

    北村暢君 懇談会の結果、結論が出たようでありますが、その処置はどうしますか。
  90. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 懇談会の答申といいますか、結論が——二月ごろから始まったものが、最近におきまして出てきたわけであります。でありますので、おおむね、その方向がとってもっていいのではないかというようなことで、その線に沿うてただいま検討を続けております。あるいは法律としてこれを御審議願うようなことになろうかと、こういうふうに思っております。
  91. 北村暢

    北村暢君 とってもってと、こうおっしゃるが、その内容は一体どういうことになっておりますか、御説明願います。
  92. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 御質問のございました砂糖問題懇談会で一致いたしました意見の内容について、簡単に御説明いたしますと、まず、国際糖価はいま非常に激しい変動をしております。したがいまして、これが国内産糖に対しても非常に悪い影響を与えておる、こういうふうな事態でございますので、国際糖価と国内糖価とをある程度遮断いたしまして、そこを調整する必要があるというふうな考え方から、まず、国内産糖の将来のコストの見通しだとか、国際糖価の長期的な水準というものから基準価格を出して、その上下に上限下限の幅をつくって、その間に糖価を安定させるというようにしたらどうかということが第一点であります。そのために事業団を設置いたしまして、輸入糖につきましては、その事業団を通じまして、瞬間タッチによります売買ということによりまして、そういう価格の安定を実現したらどうか、という点が第一点でございます。  それから第二点といたしましては、国内産糖につきましては、現在のところ、相当コストが高いわけでございますから、したがいまして、これに対して援助をしなければならないということがございますが、これに対しましては、国とそれから輸入糖が、それぞれ分担をいたしまして、国内産糖に対して援助をするということが第二点でございます。  なお、上限下限の線を維持いたしますために、上限下限糖価が、国際糖価が下限を下ります場合には、下限以下のものにつきまして一定の金額を徴収いたしまして、国際糖価が上限をこえる場合に、それを支出して上限価格に国内糖価を近づけるということにしたらどうか。それからなお、それに関連しまして、下限価格を国内糖価が下るような場合におきましては、精糖業者の共同の溶糖規制ができるような形にしたらどうかというふうな点が、懇談会から出されました意見でございます。
  93. 北村暢

    北村暢君 価格安定のための法案の提出の見通しはどうですか。
  94. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいま検討中でございますので、いつということは申し上げられませんが、近く成案を得るような進行状況でございます。
  95. 北村暢

    北村暢君 国産糖保護のための財源として、消費税の一部を振りかえる点についての問題が出ておりますが、大蔵大臣の見解を承りたい。
  96. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 糖価安定ということにつきましては、いま農林大臣及び農林事務当局から申したとおりでございまして、慎重に検討いたしております。  また、税の問題、消費税の割り戻しという問題につきましては、前にもいろいろ議論になった問題でございますが、現在の段階において、消費税率をどうするというところまでは考えておりません。
  97. 北村暢

    北村暢君 国内糖の非常な暴落によりまして、関税並びに消費税、これは世界一高いのでありますが、これを検討することを考えておられるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  98. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 前に検討をしたのでございますが、いまの段階において、消費税をどうしようというようなことはまだ考えておりません、ということをはっきり申し上げたわけであります。これは自由化をやったわけでございまして、自由化のメリットというものを十分やはり見なければなりません。また同時に、国内糖価の安定ということもはからなければならない。いままでは世界一高いというような批評さえ受けておったわけでありますから、できるだけ安い砂糖を国民に使用していただくということも考えなければなりませんし、同時に、安易な考え方で糖価安定をやりますと、いま六十工場くらいあると思うのですが、とにかく合理化の方向に向かっておるものに対して、安易な考え方を持たしてはならないということもございますし、そういうことを十分検討しながら妥当な結論に導きたい、こういうことでいま農林省を中心にしてせっかく検討いたしておりますし、大蔵省もこの作業に参与していろいろ検討いたしておりますので、近く結論が出ると、こういうふうに考えております。
  99. 北村暢

    北村暢君 先ほど農林大臣の御答弁で、精糖企業の合理化ということを言われておるようでございますが、業者間の自主的な合理化ということが可能であるかどうか、この点について、私は非常に困難だろうと思うのですけれども、先ほど合理化を進めておる、こういうふうにいかにも進んでおるような話でございますけれども、これに対する自信のほどをお伺いいたします。
  100. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) おのおの工場等を増設して合理化をしておるという動きが相当、活発というほどでもございませんが、相当動いております。それに対しまして、合理化をただ捨てておくということでは、これはなかなか進まぬと思います。そういう点で農林省といたしましても、そういうものの相談を受けて合理化を進めるということにつきましては協力しておるわけでございます。
  101. 北村暢

    北村暢君 一体目標はどこら辺に置いて合理化をさせようとしておるのですか。
  102. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ちょっと事務当局からお答え申し上げます。
  103. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) お答えいたします。  現在精糖業者の数は、大小取りまぜて六十七社程度でございます。その中で大企業と考えられるものが十八社ありまして、残余の四十九社は中小企業ということでございますが、最近におきましては、御承知のように、糖価が変動しておるということで、経営的にはかなり苦しくなってきておるわけでございますが、何といたしましても合理化ということにつきましては、大いに促進していかなければならぬということを考えておりまして、どの程度の企業数にしたらよろしいかというような点につきましては、これはなかなか——自由化をして、現在自由な競争の形において企業が運営されておるわけでございますから、役所の立場から積極的に幾らにするというようなことは、なかなかむずかしいと考えるわけでありますが、企業合併だとか、その他共同溶糖工場というような形で合理化をしていくものにつきまして、積極的に援助をしていくという形で合理化を促進するようにしていきたいというふうに考えておるわけであります。
  104. 北村暢

    北村暢君 国内甘味資源の問題についてお伺いしますが、農業基本法の重要農産物としての国内てん菜、甘蔗あるいはでん粉等による結晶ブドウ糖、こういうものについての、国際砂糖の暴落による、しかも、これが将来もまた相当安値になる、こういう見通しのもとに、この農業基本法の考え方、重要農産物としての考え方に変わりはないかどうか、農林大臣にお伺いします。
  105. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 重要農産物の、ことにてん菜につきまして、てん菜糖、砂糖、甘味資源につきましての甘味資源法に基づく価格支持対策につきましては、変わりはございません。ただ、国際的な波にもまれておりますので、先ほど申し上げましたように、これを国内の甘味資源保護法だけで保護できるかどうかということにつきまして、相当問題が出てきておりますので、糖価全体としての関係から検討を進めたい、こういうことでございます。
  106. 北村暢

    北村暢君 それでは、国内甘味資源の作物の生産状況を御説明願いたい。
  107. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 国内の甘味資源の生産状況につきまして御説明を申し上げます。  三十九年産の北海道と北東北におきますてん菜の作付面積でございますが、北海道が四万三千五百十二ヘクタール、北東北が四千二百二十六ヘクタール、それに南九州が若干ございまして、八百三十三ヘクタールになっております。  それから、てん菜生産量といたしまして、北海道が百九万六千トン、北東北が九万八千トン、南九州が一万五千トンでご、ざいます。  それから産出されまするてん菜糖の生産量は、大体十八万トンぐらいでございます。
  108. 北村暢

    北村暢君 ただいまのは、てん菜糖のことだけですが、これはそれだけ言われたってわからないので、生産計画に基づいて、ことしの二月、生産計画を都道府県がつくることになっているが、それについてどうなっておるか。また、この作付面積というのはふえているのか減っているのか、生産性が上がっているのかどうなのか、こういうことをお伺いしている。
  109. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) お答え申し上げます。  昨年の七月に、甘味資源の生産振興地域を指定いたしまして、昭和四十三年におきまする生産の目標をきめたのでございます。それによりますと、てん菜の面積といたしましては、四十三年に六万三千八百ヘクタールということを目標にしたのでございます。最近の状況を御説明申し上げますると、昭和三十八年の生産実績が、面積で四万七千四百五十八ヘクタールでありまして、それが三十九年には四万八千七百ヘクタールぐらいになっております。それで大体順調に、総計といたしましては面積がふえておるのでございますが、その中で北東北の面積が、三十九年度におきましては四千五百ヘクタールぐらいを考えておりましたのでございますが、四千三百ヘクタール程度になっておりまして、見通しのところまではいっていないわけでございます。それから南九州は、三十九年に七百ヘクタールぐらい考えておりましたが、八百三十三ヘクタールというように、むしろふえておるというような状況でございます。  それからサトウキビにつきましては、これは順調に面積が伸びてまいっておりまして、四十三年に一万四百四十ヘクタールを目標にしておりまして、三十八年実績が八千七百ヘクタール、三十九年は一万一千ヘクタール程度にふえております。  それから御質問の四十年に、すなわち、ことしに播種されます面積の見込みでございますが、これは現在、北海道、北東北、南九州の各県から生産見込みをとっておるのでございますが、大体五万七千五百ヘクタールぐらいが、作付される見込みでございます。それから甘蔗の見込み面積は、約一万二千二百ヘクタール程度が考えられております。  次に、てん菜糖の生産、四十年度の生産見通しでありまするが、二十万トン、それから甘蔗糖は十万トン程度が見込まれております。
  110. 北村暢

    北村暢君 生産量について三十八年と三十九年、どういうふうになっておりますか。
  111. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 三十八年のてん菜糖の生産は十六万三千トンでございます。それから三十九年が先ほど申し上げましたように、大体十七万五千トン程度でございます。
  112. 北村暢

    北村暢君 そこで、作付面積、生産量等も、この基本法で言っている選択的拡大の主要農産物としての伸び方は全然しておらない、このように思います。  それから次にお伺いしますが、北海道のてん菜糖工場の稼働日数、三十八年、三十九年の稼働日数をひとつ御報告願います。
  113. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) お答えいたします。  御質問の操業度の問題になると思うのですが、ビートにつきましては、大体標準の操業日数を百日といたしておりますが、三十九年度におきましては平均八七%になっております。これはもう東北も入れましてそういうふうになっております。それから鹿児島県の南西諸島につきましては、おおむね百十日を標準の操業日数といたしておりますが、百十四日となりまして、一〇〇%をこえておるというような実情でございます。
  114. 北村暢

    北村暢君 標準操業日数、てん菜の工場の場合百日ですか、百二十日でないのですか。
  115. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) てん菜の場合は一応百日ということで標準操業日数を考えておるわけであります。
  116. 北村暢

    北村暢君 いま答弁のあったとおりで、八〇何%かの操業度であります。これでは工場だけつくって原料がない、結局コスト高になる、こういう結果になっているようですが、一体これに対する対策はどういうふうに考えておりますか。
  117. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに生産量に比較しまして、工場の認可といいますか、多過ぎましたので、一昨年来、昨年工場数を整理して、作付段別とマッチするようにいたしております。でございまするから、生産を増強するということによりまして、現在の工場が十分動けるようにしたいと、こう思います。
  118. 北村暢

    北村暢君 全く逆なんですね。工場整理したのじゃなくて、二カ所ふやしているのですよ。
  119. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 三、四年前でしたかふやしたのを減らしたわけであります。明治製糖その他工場を整理したのは、去年でしたか、一昨年整理したのを記憶しております。
  120. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) いま大臣お答えいたしましたように、四つ予定しておったわけですが、それは整理をいたしまして、現在北連、日甜、それから大日本、台糖、芝糖というふうな形に整理されまして、それが現在の工場になっているわけでございますが、昭和四十年度におきましては、先ほど園芸局長から御説明ございましたように、作付面積も飛躍的にふえてまいります。したがいまして、てん菜の生産量もふえてまいります。そのとおりでございますと、工場の稼働も九〇%をこえまして、一〇〇%に近いような形になるのではないかというように考えるわけでございます。
  121. 北村暢

    北村暢君 最後にお伺いいたしますが、最低生産者価格の昨年の告示価格が六千四百五十円でありますけれども、これは昨年の甘味資源特別措置法の通った際の附帯決議の精神を生かした価格であるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  122. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) お答えいたします。  てん菜糖の生産者の指示価格につきましては、一応法律にございますように、パリテイを基準にいたしまして、それに物価その他の経済事情を考慮して定めることになっておりまして、したがいまして、三十九年度は六千四百五十円ということにきまったわけでございますが、法律の精神に基づきましてきめられたもので、妥当な価格であるというふうに考えております。
  123. 北村暢

    北村暢君 私は附帯決議の精神を生かしたものとは思わないので、不当に低い価格である、このように考えます。そこで、今年の生産農民の要求価格が八千二百二十七円の要求をしておりますが、これに対する考え方は、一体どのように考えておりますか。
  124. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 四十年播種のものにつきましては、最低生産者価格がまだきまっておりませんけれども、去る二月二十二日の北海道てん菜対策協議会と精糖業者との交渉におきまして、原料ビートの取引価格として、事実上昨年と同様同額、トン当たり六千八百円、増産奨励金が四百円、こういうふうにきまったというふうに聞いております。これは精糖業者並びに生産者がてん菜の増産意欲醸成のためにとりきめたものと考えておりまして、増産もされるだろうという見通しもありますので、これは好ましい考え方だと、こういうふうに見ております。
  125. 北村暢

    北村暢君 私はこの価格に対しては、農民は決して満足をしておりませんし、こういう価格であれば、先ほど生産が向上するということの見込みを持っておるようですけれども、現実にはそういう形にならないのじゃないかというふうに考えるので、この点については、今後のてん菜振興について、もっと真剣に考える必要があるという希望意見を申し述べまして、時間が来ましたから質問を終わります。
  126. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 北村君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  127. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、鈴木一弘君。
  128. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 きょうは海運収支と中小企業商品取引所について多少伺いたいと思いますが、初めに、中期経済計画によるというと、海運収支の赤字幅を現在程度にとどめる、三十八年度程度にとどめるという政策意図を織り込んで、かなり意欲的な目標を設定した、こういうことがうたわれておりますが、   〔委員長退席、理事村山道雄君着席〕 邦船の積み取り比率をふやすために、この計画によると、七百四十三万総トンの建造を四十三年までに必要とするということを言っているわけです。ところが、はたしてそれができるかどうかということです。昭和二十二年から始まった第一次の計画造船以来、第十九次の現在までの間に、四百八十二万総トン増加しただけです。現在の船の保有外航船腹量を見ても、八百八万総トン、いまのほとんどの外航船腹量と同じ量だけ建造しなければならない。はたしてそれができるのかどうか、まず運輸大臣からひとつ。
  129. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ただいま御質問になりました、中期経済計画による七百四十三万トンの建造計画ができるかどうかということでございますが、現行海運助成、すなわち計画造船における所要財政資金利子補給が今後も確保されるならば、七百四十三万トンの増強計画は十分に実行できると確信するものであります。海運計画の経営基盤は、海運企業の再建整備によりましてようやく固まりつつあります。大量建造に伴う経営的負担には十分耐えられるものと判断されるものでございます。もちろん、これら建造される新造船は、十分近代的なオートメーション的な採算のとれるものでなければならないし、大型船でなければならないわけでございます。なお、船台事情につきましては、輸出船を勘案いたしまして、十分これらの船をつくる余力を備えておるのであります。また、所要の船員もこれに伴うて充足されるようになっております。現に、三十三年度、さらに三十九年度、中間において現政府は、七百四十三万トン中百二十三万トンの三十九年度分を要求いたしましたものに対しまして、百二十一万トンこれを認める。それに対する所要資金を計上して、先般の臨時国会で通過してくれました。また今回も、百五十万トン四十年度分には見ておりますが、これに対しまして、一応五百九十一億の政府資金を用意いたしてくれております。自後にいたしましても、前年度に対比いたしまして不足分は都合をつけていると約束もございましたので、現在の動きにおきましては七百四十三万トンは必ず四年間にできると確信いたしております。
  130. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 確かに利子補給政府資金の投入があればできるわけでありますけれども、これに対して大蔵大臣は、その決意のほどはどうなんでしょう。
  131. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 運輸大臣の要請に応じて、これが実現をはかってまいりたいと思います。
  132. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昨年の二月のことでありますか、海運収支改善のため、四十二年度に貨物運賃収支を均衡させるということを目標としたと思うのでありますけれども、それが今回の中期経済計画では、四十三年度で、三十八年度の赤字幅二億九千四百万ドル近いものを、二億ドル近いものにしておきたい——二億三百万ドルですか、その赤字を見ておりますが、そういうように計画が変わってきている。その理由は、どうしてこういうふうに変更されてきたのか。これは、運輸省のほうで初めに四十二年度までにというふうに考えられたのが、企画庁のほうで変更になったのかどうか、詳しい理由をお伺いしたいと思います。
  133. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 御質問のように、昨年二月の海運目標の収支均衡は、仰せのように二億ドルの赤字になるというようなことでございましたが、それは四十二年度ということであったことは、いまもお話しのとおりでございます。海運収支の均衡改善につきましては、昨年二月の運輸省が行なった試算は、昭和四十二年度において海運収支のうち貨物運賃収入の均衡を標準として行なったものでありまして、この場合において、なお港湾経費その他の赤字二億五千二百万ドルが海運収支の赤字として残るものであります。この試算が中期計画と異なる点は、まず第一に、目標年度が中期計画では四十三年となっていること、第二は、貿易量の見通しが中期計画で大幅に増大したことであります。すなわち、昨年二月の見通しでは、四十二年度までの貿易量を約二億二千万と見ておりますが、中期計画におきましては、四十三年度において二億九千万トンとなっております。したがって、中期計画においては、邦船の積み取り比率の現状は、所要建造資金の海運企業の体力等を勘案いたしまして、四十三年度において海運収支を現状より悪化させないことをその目標といたしているのであります。このために、中期経済計画においては、運賃収支の赤字一億七千五百万ドル、港湾経費の赤字二億四千九百万ドル、計四億二千四百万ドルの赤字を見込んでいるのでございます。運賃収支のほうはだんだんと改善されてまいりましたが、港湾経費のほうはなかなか減りませんのが、日本の港湾経費と海外の港湾経費の非常に差異のあるところでございます。
  134. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) ただいま運輸大臣からお答え申し上げましたとおりでございまして、運輸省で御計画になりましたのは昭和四十二年度の分であり、しかも計画した時期がもう少し先でありましたために、その後精細な調査をしました結果、なおかつ四十三年度を目標といたしました結果としまして、輸出入するところの貨物の数量が、たとえば鉄鋼石、石炭、その他石油類等、個個にわたって検討しました結果、四十二年度の運輸省案によりますとこれが二億一千八百万トン、四十三年度におきまする中期計画におきましては二億八千七百万トン、こういうことに変わりましたので、その結果として、四十三年度においての貿易外収支においては、ただいま運輸大臣からお答え申し上げましたとおり四億二千四百万ドルの赤字、それを貿易収支の黒字によってカバーして、経常収支においては大体バランスをとる、こういう計画に相なっておる次第でございます。
  135. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの話を聞いておりまして、私はこれは多少後退した線だ——とにかく貨物運賃収支を初めは四十二年に何とか均衡したいという考えだったのですが、中期計画では赤字を見ておるような考え、そうしたような後退した線、何となく非常に熱意を欠いているように思われるのです。一つには、運賃収支改善には、いま運輸大臣言われるように、船腹の増強によって積み取り比率を高めなければならない。いま一つは、三国間輸送ということになるわけです。それを伸ばさなければならぬということになるわけですけれども、この予算案を見ましても、三国間輸送の助成費については、四十年度の予算のほうが三十九年度の予算よりも減ってきている。約一億二千六百万円の減少となっております。しかも、それがニューヨーク航路の経営会社にだけ片寄り過ぎている。こういうようなことを見ると、本気になって海運収支の改善をはかっていこう、運賃収支の改善をはかっていこうというような気がないように思われる。その点について、これは運輸大臣大蔵大臣に伺いたい。
  136. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 国際収支の均衡をはかるためには、直接貿易と貿易外収入、これをかね介せて善処していかなければならぬことは、言うまでもないことでございます。御指摘になりました国際収支の第三国間の輸送につきましては、まずいま申し上げました第一の問題は、船腹が不足であるという点であります。かりに第三国間の運賃をかせぐということになりましても、日本の企業は非常に大きくなりまして、七十億の輸出をするというような状況になってきたものでございますから、これに必要なるところの原料は非常に大きくなってまいりまして、したがって、現在の手持ちの船では、外国船をどうしても使わなければならない。それで、日本の船で足りなければ、外国船を使わなければならない。だから、第三国のほうへ日本の船を回して第三国のほうをかせいだら、船が足りないから外国船をよけい使わなければならぬという悩みがあるわけでございまして、どうしてもこれは船舶量をふやすということが第一の問題でございます。したがいまして、先ほど御指摘の七百四十三万トンの建造計画の遂行に対しましても、また第二十次造船につきましても、あるいは第二十一次の造船につきましても、それぞれ相当の——二十一次には十一隻の四十五万総トンを三国間に従事させる専用船としてつくっておるのでございますが、やはり日本の国の保有船というものが日本の経済の膨張に相応する以上に船を持っておらなければ、第三国を働いてもたいした国際収支の均衡を保つための貿易外収入にはならないのでございます。でございますから、われわれは、今後第一次造船計画の七百三十四万トンができても、さらに第二次の保有船舶を増加する計画を立てなければならない。というのは、御存じのように、十三兆億とか十三兆五千億も設備投資をいたしまして、日本の今日の生産能力というものは非常な増大をいたしております。それに対するところの原料を輸送するということは、先ほども申し上げましたように、わずか一年の見通しの差において九千万トンも違うということになりますから、その辺のことを御了承願いたいと思います。
  137. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) 先ほどの答弁をちょっと補足申し上げておきますが、昭和三十八年度におけるところの貿易外収支の赤字は、四億三百万ドルでございました。三十九年度のまだ決算が出ておりませんけれども、大体見通しは五億ドル程度と見ておるわけでございます。しこうして、四十年度の見通しとして五億ドル見ておるわけでございます。そういうふうに、相当に船舶の状況を強力にこれを推進して貿易外収支の改善をはかってまいっておるのでございますので、どうしてもある程度の時間がかかるというところから、ただいまの趨勢はそういうふうな趨勢になっておりますが、目標年次であるところの四十三年度におきましては、それは四億二千四百万ドル相当に改善するという計画に相なっておる次第でございます。
  138. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 四十年度の第三国間輸送の助成金が一億二千六百万円減った、熱意がない、こういうことでございますが、そういうわけではございません。第三国間の輸送をやっておるものにつきまして、過去五カ年の平均収入に対して三%ずつの支給率で助成しておるわけでございます。それから、新しくニューヨーク航路につきましては、五・五%という高い率で支給率をきめて支給しておったわけでございますが、その後合理化が進みまして、今度の四十年度から五・五%というのを五・二五%に下げたというところで、減額になったところが一つございます。それからもう一つは、集約に参加しなかったもの、合理化に対して協力しないものは支給しないということで、除外をしております。しかし、第三国間の輸送に対する船につきましては、開銀の融資を適用することにいたしましたし、また金利の弾力活用をはかっておりますので、現在の状態では三国間貿易による収支は非常に好転をしておるという考え方でございます。
  139. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま一つ、私は、あまり海運収支の改善に不熱心ではないかという問題がございますが、これは農林大臣政府が買い入れております輸入小麦についての積み取り比率というのはどのくらいになっておりますか。
  140. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 三十八年度は、船腹の積み取り数量が二十一万七千トンで、六・五%でございまして、三十九年度は四十一万二千トンで、積み取り比率が一一・九%ということになっております。
  141. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この予算の資料のほうから見てまいりますというと、輸入の積み取り比率が三十四年が五〇%というようになっております。ところが、三十五年以下は、ことごとく五〇%を下回ってきておる。そうして三十六年には四〇・五、三十七年には四七・八、三十八年には四五・三というように下がってきておるわけですけれども、しかし、それでも、四〇%台は押えておるわけです。ところが、政府が輸入するところの小麦については、その比率が、三十八年六・五、いまの答弁だと、三十九年は一一・九、ずいぶんと低いのじゃないか、その理由はどういうわけですか。
  142. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) おもに、邦船の船腹の絶対量が不足しているということが一つでございます。なお、小麦の積み取りよりも有利な貨物に配船されておるということによるものでございます。で、御指摘のとおり、非常に積み取り率が低いので、昨年でしたか、政務次官会議においても問題になりました。いま約三〇%まで引き上げようといたしております。それは、これらの改善のために、昨年から二万トン型のタンカー二隻、これを小麦専用船に改造して就航している。そのほか、関係各省と協議いたしまして、定期船の復航の利用、自動車専用船等の復航の利用、その他不定期船等の活用によりまして、四十一年度におきましては、邦船による積み取りをおおむね九十万トン、約三〇%に引き上げるように取り進め中でございます。
  143. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 俗な考え方でいえば、外国船のほうがよほど貨物運賃が安いのかという錯覚にとらわれるような問題であります。  それと、いま一つ、ここで伺っておきたいのは、シップ・オブ・アメリカンの政策を向こうはとっておりますけれども、そういうものの影響というものは考えられないのですか。
  144. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) それは、小麦を買い取る場合に、そういうシップ・アメリカンにたよらないで、よく協議をしてやっておりますので、それに引きずられておるということはございません。
  145. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ちょっと補足して申し上げます。  シップ・アメリカンの問題に対しましては、米国は、ドル防衛措置と関連して、昭和三十五年度以来、いわゆるシップ・アメリカン政策を強力に推進しております。このような米国のシップ・アメリカン政策は、本来自由であるべき国際海運活動を阻害するものである。また、米国のこのような措置に拮抗して、低開発の海運国が同様な措置をとっている例もあるので、わが国や西欧海運諸国は、米国政府に対しまして強く抗議を続けております。それは、西欧十カ国と日本一カ国と合わせて十一カ国であります。本年の九月、この十一カ国が米国との間に海運会談を予定されておるのでありますが、この会談においてこの問題を取り上げまして、米国側にも強い反省を求めるつもりでございます。この六月に、西欧十カ国と日本の十一カ国の閣僚会議の準備会議を開きまして、その基本的な方針を定める考えでおります。
  146. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いずれにしても、シップ・オブ・アメリカンというような行き方に対しましては、私どもも対抗策を持たなければならない、十分に準備をされてやられることを望みます。  次に、海運収支の悪化の原因として、先ほど港湾経費のことを運輸大臣申されておりましたけれども、三十九年度の見込みを見るというと、一億六千九百万ドルの赤字という話であります。港湾経費は、この前のとき、昨年上げたという話でありますけれども、現在のところ、ほかの国々との比較、ほかの港との比較は、特に水先料、係船料でけっこうでありますけれども、言っていただきたい。
  147. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お答えいたします。  港湾経費のうちで、いまお話しになりましたように、水先料あるいは岸壁使用料及びブイ使用料等につきましては、三十八年度から三十九年度にかけまして、国際収支改善の見地から、二倍ないし三倍に引き上げられました。船内荷役についても、労賃の増加から毎年七ないし八%の値上げが行なわれております。港湾経費の値上げは、このように国際収支の改善や労働力の不足に対処するために行なわれておるものでありますが、一方、また、港湾経費が非常に急激に引き上げられる場合には、わが国の貿易振興を阻害するものである。阻害するばかりでなく、現在、再建整備を行なっている海運会社の経営内容にも影響を及ぼして、かえって船腹の増強計画に支障を来たすことになるのである。あるいは、港湾経費の値上げは、経済成長に見合った合理的な範囲内にとどめることが必要であるというようなことが言われております。  諸外国との経費の比較につきましては、関係局長から比較表を読み上げさせます。
  148. 若狹得治

    政府委員(若狹得治君) 港湾経費等の問題でございますけれども、三十九年度一億六千九百万ドル程度の赤字になるということでございますが、内訳を見ますと、外国用船料の支払いというものが、大体五千万ドル程度でございます。それから、船舶用燃料費等の支払い超過、これは大体八千万ドル近くであります。したがいまして、純粋の港湾の経費の赤字というのは、約七千万ドルでございます。これは、先ほど大臣から御説明いたしましたように、日本の港湾経費と外国の港湾経費との差額によって出てくるものでございます。   〔理事村山道雄君退席、委員長着席〕 で、その内容を簡単に申し上げますと、港湾経費の中には、水先料、引き船料、係船料、とん税、灯台税、入港税等がございます。また、荷役の費用がございます。荷役の費用は、これは直接、国とは関係ございませんで、むしろ、民営の事業がその事業の採算によって行なっておるわけでございますけれども、その他のものの大部分は、国が直接、あるいは告示で定めるとか、あるいは地方庁の税制として取り上げるというような制度をとっているわけでございますが、荷役料を除きました、それ以外の費用の指数で御説明いたしますと、日本を一〇〇といたしまして、ニューヨークが二〇〇、それからロンドンが七〇〇、ハンブルクが三五〇、シンガポールが二二〇というような状況でございます。ただ、香港等につきましては、日本の約半額程度で済んでおるというような状態でございます。したがいまして、この指数につきましては、各港湾のそれぞれの事情がございまして、また、その基礎となります労賃その他のコストが違ってまいりますので、それぞれの歴史的な事情もございますので、画一的に議論するわけにはまいりません。けれども、一般的に、約七千万ドルの差が出てきたということは、主として日本の港湾経費、日本の税制その他の面でやはり安いという計算が出るかと思います。
  149. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま指数で言われたのでありますけれども、一つの例を取り上げてみれば、係船料の場合、日本の場合は八十七ドルだ、それに対してニューヨークあたりは三百ドル、ロンドンでは同じように——ハンブルクでは九百ドルというような状態で、非常に差があるわけであります。係船料等になれば、何も港湾がロンドンのように奥深いところにあるからとかなんとかいうことには関係ないだろうと思うのですが、そういうような差が非常にある。また、そういうようなことからいけば、先ほどは、いろいろ邦船についての支障があるから、あまり港湾経費は上げられないというような声もあるというふうな話もあったわけでありますけれども、いまの答弁からも、まあ確かに低いということ、どうしても大英断が必要じゃないか、これは、再び引き上げていくという考え方を持たなきゃいけないんじゃないか、このように思うわけですが、それに対して答弁を願いたいと思います。
  150. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 単に港湾経費というものからだけ見れば、お説のようなことになりますが、貿易全体——運賃全体というものと日本の貿易全体というものの総合性から見る場合においては、相当慎重に考慮する必要があるのではないかと思うのでありますが、ロンドン及びその他の比較に対する考え方については、局長から答弁させます。
  151. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 局長の答弁は、日本のは確かに低過ぎるという考え方だ。ですから、再びここで考える必要があるんじゃないか。たとえば、これは別の話になりますけれども、揚げ荷費や積み荷費のほうを調べてみれば、やはり非常に安い。大体、日本の場合はボンベーよりも安い。香港やバンコックよりは高いけれども、ほかよりは非常に安くて、ニューヨークだとか、あるいはロスアンゼルスに比べれば八分の一くらいの積み荷費や揚げ荷費である。そういうことは、言いかえれば、非常に一級国としては、安い人夫賃でそのようなことがなされるということ、非常に恥ずかしいことじゃないか。そういう意味からも、これは考えていかなきゃならない。この点について、労働大臣と運輸大臣からお願いいたしたいと思います。
  152. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 単純な一ドル三百六十円の比率をもって比較をいたしました場合、あるいは、それにそれぞれの国における消費者物価指数を比べました場合、具体的な数字はあとで統計部長から申し上げます。むろん、アメリカ、イギリス等に比べて低いんでありますが、しかし、他の一般の製造事業の賃金の国際比較というものに比べて、現在、そう大きい開きがあるとは思っておりません。ただ、以前は確かにそういう差がありましたが、最近、非常に港湾労働関係の賃金が上がってまいりまして、たとえば昭和三十四年から三十八年の間の一般製造業の労賃は、四五・五%上昇しておりますが、港湾は五三%以上上がっておるように覚えております。具体的な数字は統計部長から申し上げます。
  153. 大宮五郎

    政府委員(大宮五郎君) ただいま大臣から申し上げましたように、わが国の港湾労働者の賃金は、たとえば、代表的な職種でありますデッキマンにつきましては、昭和三十八年度の数字でございますが、一日当たり千六百七十三円、沖仲仕につきましては千三百六十二円、主要な職種八職種の平均としては、千三百四十三円というふうになっております。外国の場合と比べてみますと、たとえば、アメリカの大西洋岸の北部の荷役労働者の賃金と比べますと、単純な為替相場換算で、しかも、日本の場合を単純に時間当たりに直して比較しますと、アメリカのほうが九・一倍、それからイギリスの同じような港湾労務者の賃金と比較しますと、イギリスのほうが二・九倍というふうになっております。なお、物価水準等の違いもございますので、実質的には、正確な比較は困難でございますが、消費者物価水準等で修正しますと、アメリカが日本に対して六倍くらい、イギリスが二倍くらいになっておるというような実情でございます。
  154. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 労働大臣は、そう見劣りはしないという話だったのですが、考えてみると、いまの実質的な大体のことは、局長の答弁からも、アメリカが六倍、イギリスは二倍である。物価のほうの補正をしても、そのような状態である。これだと、実際あまりにも低過ぎる揚げ荷費、積み荷費ということになれば、労働問題から考えれば、人間尊重ということからも非常に問題でありますし、ボンベーよりも揚げ荷費、積み荷費が安いということは、どう考えても考えられない、これはどのようにこれから指導されますか。
  155. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 私が申し上げましたのは、そう見劣りしないと言ったわけではないのでありまして、他の製造業一般賃金の国際比較と比べて、特に悪いというわけではないということであります。港湾労働は、一般的に申しまして、日雇いの労働者率が非常に多い。逆に申しますと、常用雇用率が非常に低い。それから災害度が高い。あるいは雇用関係が不明朗であり、非近代的な要素が強い。また、住宅、福祉施設その他について、他の産業に比べると著しく劣っております。こういうことを改善していかなければならぬことは、言うまでもないのでありまして、その改善を目ざして、今回の国会に港湾労働法を提出して御審議を願っておるところでございます。
  156. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 補足いたしたいと思います。  ただいま労働大臣及び統計部長からお話がありましたが、そのとおりでありますけれども日本の労働過重の問題については、設備が不完備であり、また、港が不十分でございますから、したがって、労働勤労者のエネルギーを消耗する点においては、これは外国とは非常に違うのであります。私は貿易をみずからやっておりまして、ニューヨーク並びにドイツのハンブルグ、ロッテルダム等しばしばまいりますが、林立するごときクレーン、クレーンのうしろにはそれぞれインクライン、あるいはベルトコンベア、あるいはその他のものがありまして、ボタン一つで荷役ができるところと、日本のようにもっこのかぎをあの船内に入ってかけなければならぬというところとは、それは非常に違うのです。そういう面で、ことしも大蔵大臣といろいろ協議いたしまして、五カ年間に六千五百億という巨額の金額を港湾及び港湾荷役の近代化のために使うことにしていただきました。こういう設備が整いましたならば、ハイブルグ程度にはなりませんにいたしましても、相当機械化されて、そして、先ほどの農林大臣の仰せになりました専用穀物船に対しましても、少数のサイロしかまだできておりませんが、これが相当各地にサイロができるということになるならば、この運賃も安くなるし、勤労者も楽になるというような、設備と両々相まってやっていかなければならぬ。そして結論は、日本の貿易は、機械化された、近代化された技術革新と機械革新によって、そして他との貿易に勝っていかなければならぬということでございますから、運賃もやはりその貿易の中の一部面を、大きな面を担当いたしておりますので、これらに対しましても慎重に考慮いたしまして、各省と相談いたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  157. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 国際収支の改善の問題で、これは最後に大蔵大臣に伺っておきたいのですが、港湾経費が安いということは、いままでのことからよくわかってきたわけです。その収支の面から見て、大蔵大臣としてはどういう考えですか、大蔵省としては。
  158. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 港湾経費が非常に安いということで、三十八年、三十九年に相当大幅な値上げをしたわけでございますが、中には二・五倍、こういうようにもなっております。また、水先料につきまして、三十八年の十月に約五割引き上げて、三十九年の六月にはこれをまた倍にした、いままで手をつけなかったものを三十八年、九年、両年度において大幅に値上げをしたわけでございます。  それからトン税でみますと、税負担は、横浜で四百ドル、ニューヨークで二百四十ドル、ロスアンゼルス二百四十ドル、ロンドンで百七十五ドル、バンコクは三百八十二ドル、こういうようなものがあるわけです。ですから、港湾使用料のこれを急激に上げられるというわけでもありません。これは国内船の問題もございます。現在の三十八年、九年の状態で、大体、港湾使用料の支払いの率は、外国船が五八%程度だと思います。でありますので、外国船の使用の状況、またこちらと外国との比較、こういうものを十分考えながら、徐々にではありますが、最も合理的なものに直していくということは必要だと思います。
  159. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に造船の問題でありますが、ここのところ約十年間にわたって、造船量は世界第一位、二年間にわたって世界の生産量の四割を占めているというようなことになってきているわけでありますが、あまり安い船であるということから、OECDの中の欧州各国から、造船業が不況になってきたその不況対策として、日本の造船に対抗するために国際協調を求めてきている、こういう動きがあるそうでありますけれども、いろいろ関係されていると思いますけれども、それもどういう状態であったか報告してほしいのです。それに対しての政府の対策はどういうものがあるか伺いたい。
  160. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) OECDの加盟各国の造船業者が、日本の造船がダンピング的な商売をしているというのは大いに誤った考えでございまして、この間イギリスの造船大臣がやってまいりまして、日本の十万トン以上の船のつくり方について見て驚嘆して帰りました。それは欧州各国が日本ほど船に対する研究が足りない。もう一つは、技術革新が日本ほど行なわれていないという点を私は指摘することにやぶさかじゃないと思っております。この問題に対しましては、昭和三十八年の五月にOECD工業委員会において、造船業に関する特別作業部会が設けられました。同作業部会においては、造船業界の現状分析と基本的な対策、利害得失の評価について討議の結果、本年二月、報告書を取りまとめて、三月の工業委員会にこれが提出承認せられたものであります。同報告書によりますれば、基本的対策として、国別割当制あるいは最低船価制等種々の対策が検討されましたが、それを実施することは加盟各国の国内事情や造船業の状態等から見て、きわめて困難なことであることが明らかにされておるのであります。今後これらの造船諸問題の検討を継続するかいなかについては、問題の重要性にかんがみまして、最高機関でありますところの理事会の判断にゆだねられることになったのであります。わが国といたしましては、今後とも国際協調の精神を尊重しつつも、わが国造船業が重大な影響を受けることのないよう慎重に対処していきたいと思っております。この問題の結論は、欧州経済協力開発機構は一つの理想を持って、世界の船の動き、荷物の動きに対するその国々の船舶の保有量というような、つまり世界経済統制のようなことを考えておりますが、今日のわれわれの考え方は、公正なる競争のうちにおいて自由経済が行なわれておりますその中において、この造船の部分だけを統制するというようなことは、これは行なわれて得ないのであります。これは全く木に竹をつぐようなものでございまして、これはやっぱりどこまでも自由経済であるならば、自由経済の本質をどの企業の中にも生かして、そうして公正なる競争の上に立って、そうしてそのおのおのの国の経済を発展向上せしめるということが、私は必要な方法であると思っておりますので、そういう方向に向かって今後とも努力して行きたい。現在は世界の造船の四〇%ぐらいを日本がつくっております。この比率は続けていって、造船企業というものが、ひとり造船会社のみならず、一つの造船会社によって多くの小会社とか、あるいはこれに対する系統的な部分品会社が生きていくのでございますから、これはどうしても今後盛んにしなけばれならぬ、かように思っておる次第でございます。
  161. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 国別割当制なんというようなことを考えているようでありますから、いまのお話だけで、ただ自由公正な競争をしておけばいいという考え方だけでやっていこうということじゃ対抗できなくなるときがやってくると思います。何でもかまわないという考え方だけでなくて、無用な刺激はする必要はありませんけれども、確たる対策を立てていってほしいと思います。  それから中期経済計画ではタンカー中心のように造船計画がなっているように思われるのですが、石油の需給の見通しというものは今後どういうようになっておりますか。
  162. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 昭和四十年度の石油製品の需要は八千九百万キロリットルの見込みでございますが、十年後の昭和五十年におきましては二億五千万キロリットルと、こういうことでございます。これは中期経済計画の見通しで年率一一%の伸びと、こういうことで計算をいたしておりますが、その中で国産原油がどの程度かというと、四十年度におきましては七十万キロリットル、原油の輸入は八千万キロリットル程度でございます。五十年におきましては、国産原油が百十万キロリットル見当、それから輸入がこれが相当のことになります。二億四千八百万キロリットルと、こういうような見通しでございます。
  163. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあいまのような見通しのとおりいけば、タンカー中心の計画造船でも間に合うと思いますけれども、石油の需給がこのように八千九百万キロリットルから二億五千万キロリットルに、十年間で約三倍にもなるわけでありますが、そういうことがもしくずれれば、大幅変更を考えなければならない。これは運輸大臣のほうはどう考えていますか。
  164. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 先ほど申し上げましたように、いまのところ、日本政府の経済事情、財政事情から考えまして、そう一ぺんにたくさんの船をつくることもできません。しかし、また日本の造船能力というものは現在世界の四割をつくっております。そうしてさらに、いま三大会社が十万トン以上の船台をそれぞれ備えつつありますから、まあ四十三年には六百万総トンの船をつくることができると思います。しかしながら、このうちの三百万トンないし三百三十万トンはどうしても輸出しなければなりません。そうすると、国内に保留すべきものは、約二百七、八十万トン以上は日本の生産能力として置くことができないと思います。しかし、油がそれだけたくさん入ってくるからどうしても造船を大きくせよと言われましても、このいまの造船は経営者の自力によってのみ行なわれているものではなくて、国民の援助によって、政府の援助によって行なわれているものでありますから、政府の財政援助が軽減されれば、これはいままでつくった船から利潤があがる部分以上には伸びていかないということになるのでございまして、また、いままでつくった船も借りてやっておりますから、そのあがった利潤は借りたほうに払っていかなければならぬ、その借りた部分が回り回ってまた政府から貸してもらうといったような循環的なものになろうと思いますので、六百万トン以上のものを四十三年度以降においていまのところ希望することは困難ではないかと思っております。
  165. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大臣、どうもちょっと勘違いされたようですが、タンカー中心で進めていってだいじょうぶかということを聞いたわけです。
  166. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) それは私はやはり総合性がなければならぬと思っております。日本はタンカーも必要でありますが、同時に、鉄鉱石を運ぶ船、あるいは粘結炭を運ぶ船、あるいは小麦を運ぶ船、その他また製品を世界に出す船というものの比率は、おのおの一つの比率がございますから、その比率はやっぱり守っていかなければならぬ。やはり原料の入るほうが十倍も原料が入りまして、製品の出るほうは十分の一くらいのトン数にしかなりませんから、その比率をやはり守っていかなければ、タンカーばかりつくってほかのものをつくらぬというわけにはまいりませんので、それぞれの比率に従っていかなければならぬと思っております。
  167. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その程度にします。  中小企業について、最初に大蔵大臣に、公定歩合が引き下がっても、優良手形だけが下がったということで、並み手形の金利が据え置かれている。これは選別融資の強化ということになるわけでありますけれども、それは倒産の原因の一つということになっていないのかどうか。
  168. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 公定歩合の一厘引き下げに対して並み手形が据え置きになったということは、金融の正常化、金利の弾力化ということでだんだんと正常な方向に進めていく過程の一つの姿だと思われます。これが並み手形が据え置かれたからといって、中小企業の倒産に拍車をかけたり影響するものというふうには考えておりません。  なぜかと申しますと、先刻、銀行協会で、いままでのように貸し出し競争をやったりシェア競争をやるというようなことをやらないで、金融の正常化にはみずからもお互いにひとつ考えよう、こういう姿勢をあらわしておるわけでございます。それから、公定歩合が引き上げられるときでも、中小企業に対する貸し付けのワクの確保、それから金利負担というものに対しても十分な配慮をするように行政指導もしておりますし、また各金融機関もそのような態度をとっておるわけであります。でありますから、これから金融が正常化に進むということになりますと、ある意味において信用のあるものとないものとの間に金利差が出てくるということはあり得ることでございますが、いずれにしても、中小企業に対する金融の配慮の上から考えても、並み手形を一厘引き下げのときに据え置いたということをもって、中小企業の倒産に拍車をかけるものだということは考えられないのであります。  しかし、次に引き下げられるというときでも、なお並み手の引き下げはやらぬのかということになりますと、少なくとも引き下げる方向でいくべきだろうという考え方であります。
  169. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 引き下げる方向でいくということですから、了承しておきます。  次に、「四十年度において講じようとする中小企業施策」というのが出ておりますが、この中に、民間金融機関の指導について、中小企業者に対する融資の円滑化については、今後も総貸し出しに対して中小企業向けの貸し出し比率は少なくとも低下しないようにする、そのように指導するということが載っているわけですが、いままでのやってきたのを見てみますと、日銀の資料から見ても、資本金一千万円以下、その企業についての比率が年ごとに低下してきている。全国銀行を調べても、三十六年の六月ごろに三一・二%という貸し出し比率であったのが、四十年の一月には二四%くらいに下がってきておる。これでは、いつも総貸し出しに対しての比率をある程度確保するということを言ってきておるわけでありますけれども、努力が見られないというふうに見られるわけですが、これは一体やる気があるのかどうかということになってしまう。
  170. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 中小企業に対する金融上の措置としましては、政府三機関の貸し出しワクをふやしていくということも一つの方法でございますし、民間金融機関別に見ますと、中小企業向けの金融機関、すなわち相互銀行、信用金庫等は、資金を充実させながら中小企業向けの貸し出しをふやすようにということで、その実ふえておるということは数字が示すとおりでございます。しかし、いつも問題になりますのは、都市銀行が大体二五%程度を中小企業に貸しておったのが、だんだんとその比率が低下をしていっておる、こういうところにいつも問題があるわけでございます。都市銀行の貸し出し比率、中小企業向けの比率が低下するという中には、零細企業から中小企業へ、中小企業から大企業へとだんだん向けていくものもある、こういうことも一つの原因だと思います。しかし、中小企業向けに対しても、これは私たちが申すまでもなく、預金のことからもまたシェア確保という意味からいっても、都市銀行そのものも中小企業に対して貸し出しを減らすというようなことは毛頭考えておらないわけでありまして、中小企業向けの貸し出しに対しては、いままでより以上に確保を続けてまいりたいと思います。あなたがいま申されたとおり、三十九年の三月が二六・四%、三十九年の九月、二五・八%、十月が二五・六%、十一月、二五・二%、十二月、二五・三%。それが、いま御指摘のように、一月になったら一兆四千百六十三億、二四・九%、二四%台に落ちた、こういうことでありますが、これは〇・四%ということでございますが、よく調べてみますと、十二月には少し金がよけい出る。一月には還元する、こういうことでありますが、この二五・三と二四・九との差額は、実際的にはあまりないようでございます。まあ数字だけではなく、中小企業の金融に対しては、格段の努力を続けたいと思います。
  171. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵大臣は、三十九年からの数字を言われたようでありますけれども、三十六年あたりを見てみると、三一・二出ている。それが最近は二六%台から二五%台、一月に入って二四・九というように、二五%台を割ってきている。最近のことをいえば、そうたいして減少していることはないだろうということはいえますけれども、ここ数年を、四、五年を見てみますというと、確かに減ってきている。ですから、そうした指導の方法ですね、どうしていくかということがこれは問題になってくるわけですよ。
  172. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私の手元に三十六年ころのやつがなかったものでございますから、申し上げなかったわけでございます。いま申し上げると、これは資本金一千万円以下の貸し出しということでありまして、いま一千万円以下というと、相当小さなものでございます。ですから、一千万円から以上にだんだん向けていったものも非常に大きいわけでございます。同時に、零細企業から中小企業になってきておるというものもあると思いますが、いずれにしましても、この全国金融機関の中小企業向け貸し出し率が落ちないようにという問題に対しては、お説のように、十分配慮してまいりたいと思います。
  173. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、信用金庫の中小企業向け貸し出しの問題でありますけれども、まあ大蔵大臣は、先日、コールは多少減少してきていると、こういうことを言われたのですが、ずっと見てみますというと、三十八年から見てみますと、相当ふえてきている。一月には、いままでにないような金額にまで上がってきております。大体毎月の増減を見ていると、合計で二%から三%しか増加をしないのに、コールのほうは五%から一〇%ずつ上がってきている。あるいは金融機関貸し付けは二、三%ぐらい上がってきている。それに対して貸し出し額のほうはどうかといえば、だんだんだんだん減少してきて、十二月は四・六というように、前の月よりも増加しておりますけれども、大体一割前後しか増加していない。こういう傾向というのは、非常に芳しくないと思う。これは経営内容という点を第一にしたためにこうなったのか。——なったんだと思いますけれども政府の行き方としては、経営、いわゆる信用金庫の経営内容ということを第一点に考えていくか。中小向けという金融の目的があるわけですから、その性格のほうを第一にしていくのか。その辺をはっきりしてほしいと思います。
  174. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 信用金庫や相互銀行がつぶれないように、預金者保護が先か、もしくは預貸率を少し悪くしても、中小企業に貸し出すほうが先か、これはなかなかむずかしい問題でございます。これは両方とも大切でございます。まあ両方とも大切だということで、両方うまく調和をせしめるというところに金融行政が存在するわけでございます。十二月につきましては、大体いつでも貸し出しが多くなり、一月、二月になりますと、比較的に資金的に余裕が出てくる。ですから一月から二月にかけては、株式投資とか、コールローンに出すということが目につくわけでございますが、しかし、いま御指摘になったように、ことしの、十一月、十二月、一月、二月の線を見ておりますと、必ずしも低位というようなものではございません。金額で申し上げますと、大体十一月と二月ごろを比べて見ますと、正常な状態がよくわかるわけでございます。相互銀行では、三十九年の九月末、二兆一千二百五十四億、十月にも二兆一千二百九十一億、十一月が二兆一千四百七十一億、十二月が二兆二千二百八億、一月が二兆二千十一億、一月と十二月には減っているわけです。二月になりますと、十一月現在よりもふえまして、二兆二千二百三十億という貸し出しになっておりますから、この分からいいますと、十一月、十二月と比べても、二月にはよけいに貸し出しているという数字が明らかに出ているわけであります。場合によれば、減らなければならないときに、十二月の正常な状態よりもふえているということであります。それから信用金庫につきましても、同じ統計で、三十九年九月一兆八千四百七十六億、十月一兆八千六百十三億、十一月一兆八千八百四十八億、十二月はふえまして一兆九千七百十七億、一月末、二月末と見ましても、一兆九千三百二十四億、一兆九千五百四十二億という、平生の状態、十二月よりもはるかに貸し出し残高が大きくなっているということでありますので、貸し出しを控えて、コールローンに放出をしているという事実は、御指摘におけるような状態はございません。また、こうなるには、国会でも御質問もございましたし、また大蔵省としましても、必要以上にコールローンに放出をすることのないようにということを、行政指導いたしておりまして、いま申し上げたように、数字の上でも率が上がっていると、このような状態でございます。
  175. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあ大臣はそのように言われるわけですけれども、実際問題としては、昨年の状態からずっと見てきますというと、ふえ方としては、まあ一月は特別としても、十二月のときが、やはり昨年の二月に比べると、コールローンの場合には一・五倍くらいになっている——一・五倍はいかないですね、一・三倍くらいになっている。それに対して貸し出し金のほうはどうかといえば、一・二倍くらいにしかなっていない。そういうことから見ると、確かに大臣が言うよりも、むしろ私はコールへ回っているのじゃないかということを感じられるわけです。そういうふうにまあ、そういう傾向としては、金融機関というものが倒産を警戒したために、そういう安全なコールのほうへ回したのじゃないか。そこで、実際の資金需要の内容というのを見てみると、いまは経費の増大とか、回収がよくないとか、債務の返済というようになってきている、そのために警戒をしているのだと思いますけれども、そういう状態から、逆に金融手当をしなきゃならないのじゃないか。危険負担ばかり考えないで、そういう警戒ばかりをしないで、そのような方向だからなおのこと、貸し出しを増加していく、そういうことを指導する必要があると思う。いわゆるうしろ向き資金に対しての金を貸し出す指導を、これは強力にする必要があると思う。その点について。
  176. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 金融機関でございますから、相互銀行や信用金庫といえども、やはり預金者保護のために健全な財務比率を守らなければならないということは、これは当然のことでございます。しかし、そうかといって中小企業の資金需要に対して供給をしないで、別に利益が多いからといって、コールローン等に重点を置いて資金活用をはかるということには問題がありますから、先ほども申し上げましたように、バランスをとって十分な金融機関の使命を果たすようにという行政指導をしておるわけであります。平たく申し上げますと、だんだんと有利な企業というものに、やはり健全経営のたてまえからいっても、そういう面に投資がいくわけでございますが、ただ、私たちも注意をいたしておりますのは、倒産等が非常に多いので、金融機関も、確かに貸し出し先の内容ということをもう一ぺんつかんでみたいという気持ちがあって、多少引き締め気味になることはわかります。わかりますけれども、私たちが申し上げておるのは、連鎖倒産とか黒字倒産とか、または少なくとも自分がメイン・バンクとして貸しておった企業が倒れるということに対しては、金融機関自身の責任もあるのだから、そういう意味において社会的に及ぼす影響も考えながら連鎖倒産や黒字倒産を排すように、また、自分が貸しておった企業というものに対してはどこまでもめんどうをみるという考え方で十分に配慮をしてもらうようにという政府の意向も十分通じておるわけでありますから、数字の上ではあなたがいま申されたとおり、コールローンに投資をしているものが三%ふえて、貸し出しは二%だといいますけれども、まあその数字自身に私もこだわって答弁するわけではありませんが、借り入れも、いままでのように、借り入れられればもうかるということではありませんし、銀行も、いつでも借せばいいというのではなくて、長期的な見通しに立って健全な状態を招こうとしておるのでありますから、私は、必要以上に貸し出しをしぼっているというふうには考えておりません。しかし、中小企業の実情にもかんがみまして、なお金融機関に対しても十分な配慮をするように行政指導をしてまいりたいと思います。
  177. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 通産大臣、倒産して取引停止処分になったものについても、その内容ですね、原因ですね、原因別の内容はわかりますか。
  178. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 停止処分になったものについての原因別の資料はただいま持ち合わせをしておりません。後日そういうものが手元にありましたら提出いたしますが、全国銀行協会連合会の調査の資料がございますので、これを申し上げます。売り上げ金回収難が三四%、業績不振が二五%、こういうようなパーセンテージが出ております。これらのパーセンテージは、十月、十一月、十二月、一月の倒産の状況から割り出したものでございます。
  179. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは製造業とか卸売り業とかいうような区別はわかりませんか。
  180. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 同じ十、十一、十二、一月の倒産状況から割り出したもので、業種別では製造業が三一%、卸売り業が二一%、建設業が一八%、小売り業が一〇%となっております。
  181. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの答弁からわかりますように、いわゆる売り上げ金回収困難とか業績不振とかいうのが半数をこえております。それから製造業が三一%もあるということ、言いかえれば第二次産業に大きな打撃があった。日本の国は工業国をいま目ざしているわけでありますけれども、そういうことから考えてみて、最近の需要資金を渡す場合に、このようなうしろ向き資金であっても手当てをしなければいけないことがはっきりわかってくるように思うんです。特に中小企業には、ほんのわずかのそのようなときのつなぎ的な資金あっせんすることだけで寿命が伸びるということも考えられますので、その点の指導は十分やっていただきたいと思います。時間が十分ありませんので、次に移りたいんですが、商品取引所のことですが、まず、農林大臣に、東京をはじめとして、アズキを上場している全国の穀物取引所が、三月二日、後場の立ち会いを臨時休業にして自粛値段を設けるというような異例なことをやりました。また、生糸についても、一月から二月にかけて第一次の規制から第三次の規制まで発動して市価の暴騰を押さえるというようなことをやったわけですが、こういうような背景には大量買いものが出現したのじゃないかということがいわれておりますけれども、その状況と原因とを簡単に伺いたい。
  182. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話のように、穀物取引所で、三十九年度のアズキが非常に凶作でありましたので、それを原因として過当取引が行なわれた。また、生糸のほうは、アズキの取引のほうを相当押えたといいますか、過当取引を取り締まりましたので、その分が生糸のほうに回った、こういう関係がございます。なお、具体的な非常に専門的なことでございますので、いま当局から御説明を申し上げたいと思います。
  183. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 穀物取引のアズキに関しましてお答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました三月二日の立ち会い停止でございますが、御承知のとおり、昨年の凶作によりまして、十月以降相当な値上がりを示したわけでございますが、たびたび業界の自粛的な努力によりまして、証拠金等を上げることによって対処してまいりましたが、二月の末に至りまして相当暴騰する気配がございましたので、三月以降ほとんどまる代金を取る最も強い規制を実は決定をいたしました。これは二月の二十六日でございます。三月二日になりまして、春の需要期を控えておりますのと、もう一つLT貿易の不調が伝えられましたので、その関係で二日の前場で非常な暴騰の気配が見えたわけでございます。そこで、三月一日以降実施いたしましたのは最も強い規制ではございますが、さらにそのとき出ました一万二千五百何がしかの数字を自粛値段といたしまして、さらに新規の建て玉は控えるということにいたしまして、その準備をいたしまして、三月三日からさらにまた開いたということでございます。結果におきまして、売買の高といたしましては、当時すでに約四千枚を上回っておったわけでございますが、その後三日以降逐次下がりまして、最近の段階では二百ないしは三百というふうに取引高が非常に減少いたしております。
  184. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 生糸取引所における取引の概況について申し上げたいと思います。  昨年一年間、生糸の価格はおおむね一キロ四千二、三百円で、必ずしも大きな変動はなかったのでありまするが、昨年の暮れから本年の一月にかけまして、横浜及び神戸の取引数量が異常にまで膨張いたしまして、価格も本年初頭から四千五百円から四千八百円、最後には二月の中旬におきましては繭糸価格安定法に定めております最高価格直前の五千四百九十七円という価格まで現出をしたのであります。この間におきまして、農林省といたしましては、証拠金の引き上げでありますとか、あるいはふところ玉の公開でありますとか、いろいろな規制措置を累次にわたって講じまして、さらに、もし繭糸価格安定法の最高価格を突破するような事態がかりに現出をした場合においては、取引数量そのものを制限をする用意があるということもあらかじめ予告をいたしまして規制につとめました結果、現在では取引所における生糸相場におおむね五千二百円前後で安定をし、また、毎日の出来高も、一時は一日に極端な場合には二万五千枚というような出来高を記録いたしたのでありまするが、最近の一、二週間の間の出来高は、おおむね平常の出来高に戻っておるような状態でございます。
  185. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 非常な変動がものすごく強かったわけでありますが、通産大臣に名古屋の繊維取引所の暴騰、暴落の原因は何でしょうか、伺います。
  186. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 上場商品である毛糸の四十八番手双糸あるいは五十二番手双糸、こういうものが取引所の売買量に比較して生産量が少ない、こういうことが一番大きな原因じゃないかと、かように見ておるわけでございます。
  187. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いままでもこれは少なかったわけでしょう。それが一昨年ですか、あたりから暴騰を始めたわけでありますけれども、何か動いたというような気配はないですか。
  188. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 一昨年の十一月、昨年の七月、それから十一月と、数回にわたって乱高下を示しておるわけでございますが、これはやはり大衆の関心が相当深まって、取引所で仲買い人を通じての取引をするものが多くなった。すなわち、先ほど申したように、生産量と取引数量の関係が非常にアンバランスになった、こういうことであります。
  189. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現在相場の不安定ということはいろいろ原因がいわれておりますけれども、大量にいわゆる大衆が参加するようなかっこうになってきたということで、非常に大衆に対して影響を及ぼしております。その大衆保護の立場から伺いたいんですけれども、専業の仲買い店は全国に支店や出張所を設けておりまして、多数の外務員をかかえていて大量の大衆資金を集めておる。ひどいところになると、かなりの金——十億、二十億の金を集めておるという話でありますが、そういうことから大量ないわゆる投機という現象が起きた。一体、取引所法を見ますと、出張所というものはなくて、事務所というのがありますけれども、これは全部登録されているんですか。
  190. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 各地の出張所も、もとより登録事項となっております。
  191. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私どものところにも投書がきているのですけれども、無知の大衆から多額の証拠金をとり、一度これをそういうふうな外務員が預かって預かり証を出すらしいのですけれども、一度預かるというと、ことばを左右にして返さない。しかも、損勘定になるまでその証拠金を自分のところに持ったきりでもって、あるいは張らせたり、かってに張ったりして損害を与える。損害が出てから本人のほうへまた再び金の請求をしたり、返してくれというのに対しても返さない。あるいは、場合によると、損を与えてその外務員はどこかへ逐電してしまう。営業所に聞いてみると、そういうような方はいない、そういうような書類というものは、預かり証のようなものは当店のものではない、こういうようなことが現在枚挙にいとまがないわけです。これは一体どういうふうに監督しているか。これは農林、通産両大臣に聞きたい。
  192. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 商品仲買い人の受託業務の適正化につきましては、商品取引の信用の維持、委託者保護の徹底を期する、こういう見地から厳格な指導と監督を行なっているのでございます。商品仲買い人に対する検査におきましては、委託者から預託された受託証拠金を、当該委託者の書面による同意を得ないで、委託の趣旨に反してこれを処分するがごとき、こういう商品取引所法に違反する事実を確認した場合には厳正な処分をいたしております。なお、農林省といたしましては、商品仲買い人の財務の健全化をはかるために、純資産額及び諸預託金の引き上げ、流動比率の向上、支払い準備の充実、売買保証金の徴収等を指導しており、こういうことによりまして厳重に監督をいたしております。
  193. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいまお話のように、不祥事件もございまして、まことに遺憾にたえないのでありますが、一般大衆からの委託の量が非常にふえている現状からいたしまして、商品仲買い人の資質の向上、委託者から預かった証拠金の保管の確実化、過当な勧誘の制限など、委託者保護のための指導監督をいたしておりますが、ただいま農林大臣もお示しになったとおりに、商品取引所法の第九十二条の規定によりまして、書面をもって本人の同意を得なければ、委託者からの預かった証拠金の処分はし得ないのであります。また、同法百二十条の規定によりまして、仲買い人の立入り検査が行なえるのでありますから、こういう法律に準拠いたしまして取り締まりの強化をいたしてまいりたいと思います。
  194. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実際は抜け穴があって、書面によって同意をすればいいことになっている。それがわずかの小さい活字になっているので、いわゆる無知な大衆のほうはわからないわけですが、そうして同意の判こを押してしまう。それをいいことにして証拠金を流用していくということが考えられるわけです。実際問題としてあるわけです。そうでなければこんな不祥なことは起きてこないわけですから、ただ九十二条だけで取り締まるということでは不備だろうと思います。さらに、委託者から証拠金を預かっても、これが一部しか売買証拠金として取引所に預けない、あとの大部分は仲買い店の手元に残っているわけです。そういうことから、大衆から金を集めるというか、そういうようなことになってくるわけです。どうしても証拠金を分離して保管する必要があるんじゃないか、そういう点についてはどう考えていますか。特にこれは農林大臣からお答えいただきたい。
  195. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 事務当局から。
  196. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 御承知のとおり、委託証拠金と売買証拠金と分かれるわけでございますが、売買証拠金のほうは、取引所としての安全ということで委託証拠金そのものをとるわけではございません。ただ、ふところ玉という問題がございまして、このふところ玉につきましては、一応取引所のほうから見れば、売買がかみ合っておりますので問題はないわけでございますが、全体の売買の額がどういうふうにかみ合っているかがわかりませんので、現在の規制関係におきましては、ふところ玉を報告させているわけでございます。その分につきまして三〇%の売買保証金をとるようにやらしているわけでございます。  なお、これは三月の段階でございますが、四月以降におきましては、この率ではまずいと考えまして、四月以降のやり方といたしましては、一日以降十五日までと、十五日以後とに分かれておりますが、ふところ玉に対します売買保証金につきましては、一枚につきまして一日以降は九万円、十五日以後は二十万円ということにいたしております。これは当限でございます。
  197. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いずれにしても、外国の例では証拠金を分離して保管する、あるいは取引所の中でこれだけを分離して保管するというような制度もあるくらいでありますから、そういう点に進んでほしいと思う。  そこで、現在の取引所法を見てみますというと、綿花はじめ、十九品目になっている。ところが、実際には綿花は上場されていない、あるいは人絹にしても全体の一割くらいしかこないし、毛糸も一部だけしかこない。その上に、合成繊維のような建て値制をとっているものは取引所のほうは通らないというわけでありますから、現在は前に比べれば品物の流通は変わってきている。そこで、どうしても生産量が少ないということから投機筋がつけ込むという余地が強くなってきておる。これは品目をふやしていくなり、あるいはいま申し上げたように、大衆保護という観点から取引所法それ自体というものをここで変えなければならないわけでありますけれども、改正の意思があるかないか。
  198. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 取引量の少ない商品の上場につきましては、お話のように、問題が多いと思います。凶作のアズキの場合などもこれがあらわれていくと思いますが、しかし、この種の商品は、取引所におきまして一定のルールに従って取引しないと、かえって価格が乱高下する、そうして取引の正常化をゆがめるということもあろうかと、そういう面もございます。そういう関係から、いま取引所審議会にはかりまして慎重な検討をいたさせておりますし、取引所に上場されておりながら価格が乱高下するとは思わないけれども、過当投機は抑制していきたいということで検討を加えている次第でございます。
  199. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 名古屋繊維取引所の毛糸の上場品目を、この三月十七日に関係団体と取引所間の意見調整をいたしまして、四月一日より六十番手双糸、四十八番手単糸の上場を加える考えでございます。現行制度の運営で改善の余地もあろうかと思いますが、なお、取引所の制度や運営について慎重に検討いたしまして、必要があれば法の改正も考えたいと思います。
  200. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 特に大衆保護という点からの改正の点は考えないですか。大衆保護という、そういう観点についてこの必要性を認めるか認めないかを私は伺っておるのですが。
  201. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) そういう面も十分考慮に入れて検討を進めていきたいと、こう思っております。
  202. 藤田進

    藤田進君 ちょっと関連して。私はいずれ別の時間をとって政府の立場を究明いたしたいと思いますが、いま問題になっているアズキその他の取引について、農林大臣、通産大臣はきわめて監督を厳正にし、問題のないような私は答弁の印象を受けるわけですが、重大な事態に立ち至っております。私は、具体的にはいま三つこの事件を企業課長の手元へは出してありますから——自殺寸前のものがあります。これはもう名前も言ってあります。主人にないしょで始めて、だんだんいまの証拠金、それでなければ株式の担保を七掛けで取るといった形で、全然実態というものはおっしゃるとおりなっておりませんよ、この監督が。これは改正をされなければなりませんし、出先がないじゃありませんか、全然。一企業家でやっている。全国にわたっている、この取引がですね。これがもう取りつく島がないのですよ。わざわざ大衆が東京へやってくるわけにもいかない。農林関係の出先もある、通産の出先もある、全然それは本省直轄ですといって、もう取り合わないのです。これはもう数々あるんです。顕著のものだけ私はもう三件持ち込んでありますよ。どうしますか、この状態。いま鈴木委員の全く言われたとおりであるし、もう初めから大衆をごまかし、その泥沼に引き込むというやり方がはっきりしているのです。これは早急に手を打たれて、監督の機構なりといったこともおやりになりませんと問題です。とりつくところがないから、ある事案では、暴力団が入って徹底的に店を荒らしてしまった。ところが、警察に訴えもしない、できないのです。そこで、今度名前を変えて始めている。私はここで具体的な例は申し上げません。もう持ち込んでありますから、これはぜひひとつ——日韓会談のために、こんなようなことはどうも大臣もあまり掌握されていないように答弁の中から思うのですが、書かれたものを読まれただけですけれども、実態はもうゆゆしい問題に発展しております。その面から抜本的なひとつ機構なり、あるいは監督のやり方なりをやってもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  203. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 取引所法の違反等の事犯もありますので、罰則を適用して取り締まっておる例も相当ございます。御指摘の点などはなお重大でございまするから、監督を厳重にいたしていきたい、さらに督励してそのようにしたいと思います。
  204. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 通産省所管では、先ほどから御質問のありました名古屋繊維取引所関係に非常に大きな問題が多いと思うのであります。私も昨年名古屋へ参りまして、地方通産局でつぶさにその事情を聞きました。先ほど申し上げたように、法律の厳正な適用をいたしますとともに、行政指導の上で大衆の保護に当たりたいと思います。
  205. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 非常に巧妙なやり方をとって法の盲点をくぐっている感じがあるわけですから、その点、厳正な措置を望んでおきます。
  206. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 鈴木君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にいたしまして、明二十五日午前十時に委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十九分散会