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1965-03-24 第48回国会 参議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十四日(水曜日)    午前十時二十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十号   昭和四十年三月二十四日    午前十時開議  第一 国会法第三十九条但書規定による議決   に関する件(畜産物価格審議会委員)  第二 土地調整委員会委員任命に関する件  第三 母子保健法案趣旨説明)  第四 農地管理事業団法案趣旨説明)  第五 新東京国際空港公団法案趣旨説明)  第六 治山治水緊急措置法の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)  第七 相続税法の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  第八 地方自治法第百五十六条第六項の規定に   基づき、税務署設置に関し承認を求めるの   件(衆議院送付)  第九 国会議員選挙等執行経費基準に関   する法律の一部を改正する法律案内閣提出、   衆議院送付)  第一〇裁判所法の一部を改正する法律案(内   閣提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、議員派遣の件  一、日程第一 国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(畜産物価格審議会委   員)  一、日程第二 土地調整委員会委員任命に関   する件  一、日程第三 母子保健法案趣旨説明)  一、日程第四 農地管理事業団法案趣旨説   明)  一、日程第六 治山治水緊急措置法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第七 相続税法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  一、日程第八 地方自治法第百五十六条第六項   の規定に基づき、税務署設置に関し承認を   求めるの件(衆議院送付)  一、日程第九 国会議員選挙等執行経費の   基準に関する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  一、日程第一〇 裁判所法の一部を改正する法   律案内閣提出)     —————————————
  2. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。来たる四月十九日から同月二十五日まで、アイルランドのダブリンにおいて開催される列国議会同盟本年度春季会議に、本院から岸田幸雄君、森元治郎君、加藤シヅエ君を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  5. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 日程第一、国会法第三十九条但書規定による議決に関する件(畜産物価格審議会委員)を議題といたします。  内閣から、本院議員渡辺勘吉君を畜産物価格審議会委員任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。  同君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  7. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 日程第二、土地調整委員会委員任命に関する件を議題といたします。  内閣から、土地調整委員会設置法第七条第一項の規定により、江崎千準君を土地調整委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  9. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 日程第三、母子保健法案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。神田厚生大臣。    〔国務大臣神田博登壇拍手
  10. 神田博

    国務大臣神田博君) 母子保健法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  政府は、かねてより、児童福祉行政一環として、妊産婦乳幼児保健指導等母子保健対策を講ずることにより、その健康の保持増進につとめてまいったところでありますが、先進諸国に比べて、わが国妊産婦死亡率はいまだに高率にとどまり、また、戦後著しく改善向上をみた乳幼児死亡率体位栄養状態等についても、その地域格差が依然として縮小されない等、なお努力を要する課題が残されております。  このような状況にかんがみ、今後、母子保健向上に関する対策を強力に推進してまいりますために、健全な児童出生及び育成基盤ともなるべき母性保護のための措置を講ずるとともに、乳幼児が健全な成長を遂げる上で欠くことのできない保健に関する対策充実強化をはかる必要があると考え、この法律案提出した次第であります。  次に、母子保健法案内容について、その概略を御説明申し上げます。  最初に、この法律案におきましては、母子保健に関する原理として、健全な児童出生及び育成基盤ともなるべき母性保護及び尊重、並びに心身ともに健全な人として成長していくための条件ともなるべき乳幼児の健康の保持増進がはかられるべきことを、明らかにするとともに、国及び地方公共団体は、母性及び乳幼児保護者とともに、母性及び乳幼児の健康の保持増進につとめるべきことを明確にいたしております。  次に、母子保健向上に関する措置の第一として、母子保健に関する社会一般の知識の啓発、及び、従来児童福祉法において都道府県知事または保健所長事務とされておりました妊産婦乳幼児保健指導健康診査、新生児の訪問指導等につきましては、今回これを市町村長が行なうべき事務とすることにより、母子保健事業が、住民に、より密着した行政として一そうその効果が期待できるように配意するとともに、いわゆる未熟児に対する訪問指導及び養育医療については、その事業特殊性にかんがみ、都道府県知事または保健所長において行なうようにいたしております。  第二に、妊産婦及び乳幼児に対する栄養摂取に関し、市町村が必要な援助につとめることを規定いたしております。  第三に、妊娠または出産に支障を及ぼすおそれのある疾病にかかる医療についての妊産婦に対する援助でありますが、これは妊娠中毒症対策中心とする母体または胎児の保護のために必要な援助につき、都道府県努力すべきことを明らかにしたものであります。  最後に、母子保健施設に関する規定でありますが、これは、従来から、市町村における母子保健事業の拠点として重要な役割りを果たしております母子健康センターについて、市町村がその設置努力すべきことといたしております。  以上が母子保健法案趣旨でございます。(拍手
  11. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。小柳勇君。    〔小柳勇登壇拍手
  12. 小柳勇

    小柳勇君 私は日本社会党を代表しまして、ただいま提案されました母子保健法案に対しまして、総理大臣及び関係大臣質問せんとするものであります。  母と子のしあわせは、人類のしあわせであります。日本社会党は、母と子のしあわせを守るために今日までたたかってまいりましたし、今後もなお、たたかってまいるのであります。この法律案提出に至るまでに、わが党は、第四十回国会に、妊産婦乳幼児に対し、栄養強化を目的とした「牛乳等無償給与法案」、第四十三回国会には「母子栄養保障法案」を、さらにまた、第四十六回国会には、母子総合福祉保健対策として、「母性保健及び母子世帯福祉に関する法律案」を提出しまして、母子保健対策について、妊産婦乳幼児栄養強化を積極的に推進してまいったのであります。わが党のこの熱意と積極的な推進によって、おそまきながら、政府が今国会にこの法案提出するに至りましたことは、一歩の前進であり、その努力に対しては敬意を表するものであります。しかしながら、この法律案内容は、わが党がさき国会提出いたしましたものとは格段の差があり、数多くの問題点を含んでおるのであります。社会開発人間尊重佐藤内閣のキャッチフレーズでありますので、どのような熱意をもって母子保健対策を打ち出されるかは、国民ひとしく期待をもって見守っておったところであります。この母子保健法案は、社会開発一環として、人口資質向上をはかるために、具体的な施策として初めて国会提出されたのであります。また、新聞紙上においても、この法案は、佐藤内閣の表看板、人間尊重政策というタイトルで報道されております。しかしながら、かようなPRにもかかわらず、この法律案を諮問した総理大臣諮問機関である社会保障制度審議会は、答申の中で次のごとく述べておるのでありまして、きわめて注目すベき点であります。すなわち、「本案は、母子健康確保方向にわずかに一歩を踏み出したにすぎないものであって、各部面に未熟不備、不徹底な点が多く、特に優生保護法との関係その他、医学的に検討すべきものがあるが、今後ひきつづき改善を図ることを条件として了承する。」、こう答申いたしておりまして、これは審議会委員全員一致をもってこの点を認めたところであります。佐藤内閣社会開発人間尊重の二大政策のまず手始めに具現化したといわれるこの内閣提出法案が、このように貧弱であるという点、これを如実に物語っているのであります。  昨年出されました母子福祉法、一昨年出されました老人福祉法同様に、社会党母子保健対策で追い込まれた政府が、参議院選挙対策として国民を欺瞞するものであるといわれても、抗弁の余地はないと考えるところであります。佐藤内閣社会開発人間尊重根本政策は一体何か、この法案は一体どのように将来拡充されるのであるか、総理大臣の御見解を承りたい。  質問の第二は、この法案の将来における構想についてであります。この法律案は、児童福祉法の中にある母子保健衛生部門、あるいは行政措置の事項などを、体系的に整備して単独法にまとめたにすぎません。目新しいものとしては、わずかに母子栄養援助規定であって、これもわが党の立法化したものに比較すれば、九牛の一毛にすぎない劣悪なる内容であります。中央児童福祉審議会母子保健対策部会における中間報告では、まだ結論を出していないこの段階で、母子保健法案提出することは、貧弱なる内容にならざるを得ないのであって、先ほども申し上げましたように、社会保障制度審議会答申に指摘したとおり、「未熟不備、不徹底」というような意見が出されるのは当然の結果であります。政府は、母子保健対策について、今後一段と改善努力されることは当然のことでありますが、この際、厚生大臣は、将来の母子保健対策について具体的な構想をどのようにお持ちであるか、お伺いいたしたいのでございます。  質問の第三は、母子栄養強化対策についてであります。さきに述べましたとおり、わが党においては、いち早く、全妊産婦乳幼児に対し、国の責任により、牛乳などを無償で配給し、母子栄養を保障するための立法化努力してまいったところであります。これに対して、今回の政府案の条文によれば、「市町村は、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、栄養摂取につき必要な援助をするように努めるものとする。」とあります。「つとめるようにする」という表現は消極的であって、努力目標としての訓示規定でしかないことで注目されるところであります。これは予算化されている現在でありますから、当然、しなければならないという義務を表現しておかなければならないと思います。かかる法案のままにして、この栄養強化対策をはかられることには、一まつの不安を感ぜざるを得ないところであります。  また、本法案には母子栄養実施計画についての明文がなく、どのように運営されるのか明確にされていないので、この点について厚生大臣にお伺いしたいのであります。  また、具体的な計画をするときに、大資本のメーカーだけを保護するようなことでなくて、生産者から直接購入できるような考えを持ってもらいたいと思うが、いかがでございますか。  また、妊産婦及びゼロ歳の乳幼児は約三百四十万人でありますが、これに対して、この法案適用を受ける者は、昭和四十年度予算では、低所得階層妊産婦及び乳幼児のみで、その数わずかに十三万人余り、全体の三・八%、予算額では一億八千余万円でございます。しかも、実施する市町村には補助金補助するという程度であります。東北、四国、九州などの低所得層の多い地方自治体は、窮迫をしている地方財政をさらに圧迫し、その実現にブレーキをかけることになるのは明らかでございます。住民税非課税世帯に対する母子保健費ぐらいは、すべて国の責任において国庫負担でみるべきであると考えるのでございます。  また、これに伴う事務費運営費、定員の補充などについても何らの財源措置もなく、ますます地方負担に拍車をかけるということは、その実現の困難さを予想されるのでありますが、この点について厚生大臣の確信ある回答をお伺いしたいのでございます。  しかも、その給付は十分な栄養補充ではなく、低所得者妊産婦乳幼児に対して一日一本の牛乳を九カ月間だけ給付するという、中途はんぱなものであります。しかし、従来このような対策がなされていなかったのでありますから、たとえ牛乳一本でも、妊産婦乳幼児のための施策としては一歩前進としてみるべきでありますが、前に述べましたように、今日の地方財政アンバランスの中で、国の予算の十分な裏づけもないままに出発する不安定な法案に対しては理解できないので、以上述べました諸点について厚生大臣の御答弁をお願いしたいところであります。  なお、低所得階層の母は、みずからの牛乳を他の子供に与えて、みずから飢えるのではないかという心配もあります。昭和四十一年度から実施するという児童手当法の提案は、一体できるのかどうか、この点もこの際、厚生大臣にお伺いをいたしておきたいと存じます。  質問の第四は、母子保健事業市町村に移譲することに伴う財政措置について、二、三点お伺いいたしておきたいのであります。  その第一点は、母子保健業務について、従来、児童福祉法の中において、都道府県知事または保健所長の権限となっていたのを、今回この法案は、これを市町村長が行なうべき事務とし、従来、母子保健関係に要する費用補助金でまかなわれておりましたのが、今回地方交付税に切りかえられ、そのため、富裕な市町村人口五万以下の財政力の弱い市町村とではアンバランスが生じ、地域格差解消のための施策がかえって拡大への方向役割りを果たすという、矛盾した結果になるのでございます。このことは、地方財政を圧迫するのみならず、母子保健業務が十分円滑に行なわれるかどうかということは、きわめて疑問に思われますので、自治大臣及び厚生大臣に対し、この点をお伺いいたします。  次に第二点といたしまして、母子保健従事者確保資質向上についてであります。御承知のとおり、現在、市町村母子保健事業の法的な実施責任を有していないところから、国民健康保険等保健施設として実施しているところが多いのでありますが、保健施設中心となっている保健婦配置状況は、全市町村数の三分の二にすぎないのであります。したがって、今後母子保健事業市町村に根をおろして効果的な事業を実施するためには、まずもって、必要数保健婦、助産婦など、母子保健従事者を全市町村に配置する配慮が必要であり、保健所のこの種の職員が十分な充足率でない現状にかんがみまして、これら従事者養成訓練、身分の確立及び待遇の向上については、喫緊の急務であり、国は強力なる財政措置が必要となるのは当然であろうと思われるのであります。明年度予算では、母子衛生行政指導費補助金として、一県当たり約十万円という少額を計上しているようでは、保健従事者確保及び資資向上のための対策としては、母子保健事業に十分な効果をあげられないと思いますが、自治大臣及び厚生大臣の御所見をお伺いいたします。  第三点は、母子保健センター運営費等補助についてであります。乳児死亡率は、大都市地域一般に低率でありますのに比べて、東北地方などのようにきわめて高い傾向を示す地域もあり、また、分べん状況についても、市部における施設内分べんは七八%であるに対し、郡部においては四三%にすぎず、無介助分べんは、郡部にはるかに多いのであります。また、乳幼児体位栄養状態においても、郡部が劣っているのであります。このような地域格差解消は、特に、保健医療社会資源に乏しい農山漁村においては、その重要な改善策として、母子健康センター設置促進があげられているのであります。しかしながら、その設置促進努力を行なったとしても、さらに保健施設の機能の充実をはかるためには、設置費補助基準額引き上げを行なうほか、運営費補助が必要となり、これが実施されていない現状では、母子保健事業は十分行なわれないのみならず、地域格差解消は停滞すると思うのでありますが、これに対し、厚生大臣の御所見をお伺いいたしたいのであります。  質問の第五は、労働婦人保健対策についてであります。勤労婦人母性保護に関する法制の整備等を行なう必要があるのであります。なかんずく、労働基準法の中に生理休暇が認められておりますが、それ以上に重要性のあるのは、流産防止意味からも、つわり休暇であって、法的措置が必要だと思うが、この際、労働大臣は、この点について、すみやかに労働基準法の改正を行なう考えはないか。また、労働基準法適用を受けない自営業及び家事使用人等家内労働に従事する女子については、現在の立法措置では、その母性保護がはかられていない点に大きな問題があります。その対策として家内労働法を制定する必要があると思うが、労働大臣の御所見をお伺いいたしたいのであります。  これらの勤労婦人母性保護については、保健及び労働立場のみならず、これらの婦人労働力を補足する方策として、たとえば妊娠手当出産手当支給によって、産前産後の休養の確保などの対策を強力に推進する必要があるが、これに対して厚生大臣の御所見をお伺いいたします。  最後に、ILO条約批准についてであります。すなわち、産前産後における婦人使用に関する第三号条約及び母性保護に関する第百三号条約でありますが、第百三号条約は、現在すでに八カ国が批准しており、わが国においても、母子保健法案提出されたこの機会に、これらの条約を早急に批准する必要があるのではないかと思いますが、その批准について、お見通しと御所見労働大臣にお伺いいたしたいのでございます。  以上で私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいま母子保健について、人口問題の見地から、あるいは優生学的見地から、また労働問題の見地から、いろいろ各方面からこれを論ぜられました。私も、小柳議員の説に対しましては傾聴いたしたわけでありますが、もともと私どものねらいといいますか、今回の画期的なこの法律が出たゆえんは、申すまでもなく、人間尊重、そういう立場に立って真剣に考えていく、人間尊重と申す以上、人命尊重することがまず第一義でございます。そういう意味では人命尊重、いわゆる母体乳幼児についても十分注意をしていこうという考え方であります。この際に、いわゆる多産多死という、そういうような汚名は返上して、そうして寡産寡死とでも申しますか、少なく産んで少し死ぬると、そうしてりっぱに育つという、まあ、昔、小さく産んで大きく育てるということを盛んにいわれたものですが、ただいまは医学もよほど進んでまいりましたから、今度は大きく産んで、そうして大きくこれを育てると、こういうことでなきゃならないと思います。さような立場に立って、母子保健対策、これに積極的に取り組む前向きの考え方であります。ただいまのこの考え方については、社会党も御賛成いただけると思いますが、ただ、最初の試みと申しますか、ことしからスタートするという関係で、在来の法規の整備等もありますが、予算の面においてどうも十分でない、さような批判を受けておるようであります。先の社会保障制度審議会なぞの意見はそういうところにあるのではないか、かように思いますので、今後さらに内容充実していくように、年とともに予算も増額し、かゆいところに手の届くような措置、あたたかい政治をしたい、これが私の念願でございます。ただいま、いろいろ御批判、御意見を拝聴いたしましたので、今後の運営にあたりましても、ただいま申し上げるような、かつての多産多死、こういうような汚名は返上して、そうして母体の健康を維持し、同時にまた、りっぱな乳幼児を育てていくと、そういうことで、次の世代の国民、これがりっぱなものに成長するように心から念願したいと思います。(拍手)    〔国務大臣神田博登壇拍手
  14. 神田博

    国務大臣神田博君) 母子保健対策を将来どのように改善強化していくかという第一点でございます。御承知のように、中央児童福祉審議会中間報告に示されましたホーム・ヘルパー制度僻地分べんに対し、勤労婦人保健対策等改善意見を土台にいたしまして、母子保健法の分野で講ずべきものとして研究するものとし、その最終答申を待って漸次拡大してやってまいりたい、かように考えております。  第二は、栄養摂取について必要な援助は、義務規定にする必要性はないか、また具体的な計画はどうかというような意味に承りました。妊産婦乳幼児に対する牛乳支給は、昭和四十年度から御承知のように新規事業であって、法案においては、当面努力義務としてこの事業実績等を十分把握した上で、今後なお検討してまいりたい、拡充してまいりたいと、かように考えております。  第三でございますが、具体的計画段階で、乳製品の大メーカーだけが得して、そしてそうでないものが損しやしないか、いわゆる生産者から直接購入方法はないのかというようなことでございます。これは御承知のように実施主体市町村でございますから、牛乳等購入は、市町村において、最も経済的、かつ適正な方法によって実施されると思いますが、国といたしましても、補助金を出しておる関係もございますので、適正に指導をしてまいって、このような弊害のないようにいたしたい、かように考えております。  それから牛乳等支給について、昭和四十年度の予算における予算額では、地方財政を圧迫しないかということでございます。この牛乳支給に関する費用地方負担分については、地方交付税における基準財政需要額所要増額算入しておる、かように考えておりますので、圧迫しているといえば、しておりますが、この辺のことはごしんぼう願ってやっていただくということで、御了解をつけております。  さらに、母子保健事業市町村移譲に伴い市町村財政を圧迫しないか、また、関係職員確保資質向上についてどういうふうに考えるかということでございます。母子保健事業市町村移譲に伴う市町村に対する国の財政措置としては、地方交付税における基準財政需要額所要増額算入をしているほか、市町村行政指導費として都道府県に対する補助金新規に計上いたしております。なお、職員確保及び資質向上については、今後とも必要に応じまして十分努力いたしてまいりたいと、かように考えております。  次は、母子健康センター設置費補助基準引き上げ運営費の助成でございますが、母子健康センターについては、その設置促進をはかるため、昭和四十年度から設置費の総事業費引き上げを配慮いたしております。なお、運営費につきましては、昭和三十八年度から地方交付税において所要措置を講じております。(「児童手当」と呼ぶ者あり)  児童手当につきましては、御承知のように、わが国といたしましてたいへんおくれていると私は考えております。ここ数年来調査をいたしておりますが、昭和四十年度にこの調査をひとつ完了いたしたい、かような意気込みをもちまして、できるだけ早く児童手当が実施できるように、こういう考えでございます。(拍手)、    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  15. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) お答えをいたします。  第一点は、今回の母子保健法の改正において事務市町村に移譲したが、その財政措置はどうかというお尋ねでございますが、これは、地方交付税をもちまして、基準財政需要に約十億算入いたしております。地方財政を圧迫しないかというお尋ねでございますが、まあこの程度でございまするので、これでまかなっていきたいと思っております。  次に、母子保健事務市町村に移譲になって、その事務職員等についてはどうかというお尋ねでございますが、これは従来とも市町村がある程度母子保健につきましては手伝っておった事情もございますので、配置転換をもって、さしあたりはやっていくつもりであります。なお実施の状況を見まして、必要に応じて善処してまいりたいと考えております。  なお、ミルク代の補助に対する地方負担分は、先ほど厚生大臣がお答えいたしましたように、約一億六千万円ばかり、これまた基準財政需要に見込んでおる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣石田博英君登壇拍手
  16. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 第一の御質問は、労働婦人に対する保健のために基準法改正の意図はないかということでございますが、さしあたって基準法の改正は考えておりませんけれども、ただいま女子保護状況の実施調査をいたしておりまして、その実施調査を通じて、御指摘のつわり休暇その他の問題で、あるいは保護施設等につきましての実情を調査いたしました上で、実効ある措置をとってまいりたいと考えております。  次に、家内労働法でございますが、御承知のごとく、昭和三十四年に家内労働問題についての調査会を設けて御検討を願っておるのでありますが、その業態が非常に複雑でございまして、なかなかまだ結論を得るに至っておりませんけれども、至急にこの活動を促しまして、具体的な結論を早く得たいと考えております。  またILO百三号条約でございますが、この条約は第三号条約内容充実いたしたものでございますけれども、わが国の現行法においては、大体この要請にこたえられておると思うのでありますが、しかし細部について問題点がございますので、それを検討いたしますとともに、行政指導によって、この条約の意図する目標を充実さしてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手
  17. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  18. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 日程第四、農地管理事業団法案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。赤城農林大臣。    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  19. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 農地管理事業団法案について、その趣旨を御説明いたします。  農業と他産業との間の生産性の格差及び従事者の生活水準の格差を是正することは、農業基本法に掲げられたわが国農政の基本的目標でありますが、必ずしもその是正が進みつつあるとは言いがたい状況にあり、他方、開放経済体制のもとにおいて生産性の高い農業経営の育成が急務となっているのであります。このような農業を取り巻く内外の情勢に対応し、他産業従事者に劣らない所得をあげ得るような農業経営を育成するためには、自立経営の育成及び協業の助長に関する諸施策を強化し、特に、自立経営を指向して農業経営を改善しようとする農家及びこれに準ずる効率的な協業経営の農地の取得を促進することが肝要と考えられるのであります。  しかるに、近年における経営耕地規模別の農家戸数の推移を見ますと、経営規模の大きい農家の増加傾向は微弱でありまして、また、農地についての権利移動は、現在年間七万町歩程度に達し、農業就業人口の減少等を契機として増加を続けておりますが、その内容においては、必ずしも経営規模の拡大の方向に沿って移動が行なわれているとは言いがたいのであります。  そこで、以上のような情勢に対処し、農業に生活の本拠を置き、農業によって自立しようとする農家が、生産性の高い農業経営の基礎を確立し得るよう農業経営の規模の拡大を促進するためには、これらの農地移動をそのまま放置することなく、このような農家の経営規模の拡大に役立つように方向づけを行なうことが必要であり、このため、農地取得のあっせん、売買その他農地移動の円滑化に必要な業務を行なう公的機関を設立する必要があるのであります。  このような観点から、農地等の権利の取得が農業経営の規模の拡大等農地保有の合理化に資するよう適正円滑に行なわれることを促進するために必要な業務を行なう機関として、農地管理事業団を設立することとしたものでありまして、この法律案は、農地管理事業団の組織、業務、財務等に関し所要の事項を定めたものであります。  以上がこの法律案を提案する理由でありますが、以下法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、農地管理事業団の組織等につきましては、全額政府出資の法人とし、当初の資本金を一億円とし、政府は必要に応じ追加出資をすることができることとしておりますほか、役員の定数、任免等につき所要規定を設けております。  第二に、事業団の業務に関する規定であります。  まず、業務の範囲につきましては、農地、採草放牧地及びこれらの土地の付帯施設について、売買または交換のあっせん、取得に必要な資金の貸し付け、これらの買い入れ、交換及び売り渡し、これらの借り受け及び貸し付け並びに信託の引き受けの業務を行なうこととしております。  次に、事業団は、農林大臣の指定した業務実施地域内にある農地等について業務を行なうものとしておりまして、この業務実施地域は、都道府県知事関係市町村と協議の上、申し出た場合、土地の農業上の利用の高度化をはかることが相当と認められる農業地域で、農業構造の改善をはかるため農地等の権利の取得を適正円滑にすることが特に必要な地域を指定することとしております。  次に、事業団の業務執行の方針につきましては、自立経営になることを目標として農業経営を改善しようとする農家及びこれに準じて農業経営の改善をしようとする農業生産法人の農地等の取得を促進するように業務を行なわなければならないものとしております。  以上のほか、事業団の業務運営方法につきましては、貸し付け金及び売り渡し対価の償還条件は、年利三分償還期間三十年以内の年賦償還とし、一定の場合における一時償還及び償還の猶予に関する規定を設け、また農地等を売り渡す場合は一定の基準により買い戻しの特約をつけ、売り渡した農地の耕作をやめた等の場合には買い戻しを行なうこととしたほか、農地等の信託引き受けについての信託法の特例、金融機関及び地方公共団体に対する業務の委託等に関する規定を設けております。  第三に、事業団の財務及び会計につきまして、予算事業計画等についての農林大臣の認可、借り入れ金、交付金の交付等について所要規定を設け、また、事業団は、農林大臣が監督することとし、監督命令、報告及び検査に関する規定を置いております。  その他の規定といたしましては、まず、事業団は、業務実施地域内の農地等の所有者がその農地等の所有権を移転し、または賃借権等を設定しようとするときは、あらかじめ通知を受けるものとし、自立経営になることを目標として経営の改善をしようとする農家等にその農地等を譲り渡すようあっせんをし、または事業団がこれを買い入れる等の申し出をするものとしております。  次に、税制上の特例といたしまして、事業団に農地等を譲り渡した者については、租税特別措置法の定めるところにより、譲渡所得についての所得税を軽減することとし、また事業団のあっせん融資、事業団からの売り渡し等により農地等を取得した者等に対する登録税及び不動産取得税を軽減することとしております。  また、事業団の業務に関連して農地法の特例を設けることとしておりまして、事業団の買い入れ、売り渡し及び借り受け、貸し付けについては許可を不要とし、事業団が農地等を借り受け、これを貸し付けた場合について、小作地の所有制限を適用せず、更新拒否等について許可を不要とする等の措置を講ずることとしております。  以上のほか、附則におきまして事業団の設立に関し必要な手続規定を設けております。  なお、本法律案提出に関連して必要となる予算措置等につきましては、昭和四十年度予算におきまして事業団に対する出資金一億円及び交付金等三億円を予定するとともに、昭和四十年度において事業団は資金運用部から二十億円の借り入れを行なうことを予定しております。  以上が農地管理事業団法案趣旨でございます。(拍手
  20. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。渡辺勘吉君。    〔渡辺勘吉君登壇拍手
  21. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は、日本社会党を代表して、ただいま御説明の農地管理事業団法案に対し、お尋ねをいたします。  佐藤総理は、過般の施政方針演説で、「特に自立農家を育成するため、農地管理事業団を設立して、経営規模の拡大をはかる」との所信を表明されました。佐藤農政のビジョンは、自立農家育成にあることは明らかであります。政府の言う自立農家とは、所得倍増計画によれば、二・五ヘクタールの経営規模で、働き手三人で年間百万円の粗収入を得るものとし、四十五年末までに百万戸育成を目途としてスタートを切りました。しかしながら、政府の三十九年上期の家計調査報告によりますと、わが国勤労者世帯の有業人員数は約一・五人でありますから、これに相当する農業所得を三人でかせぎ出すのでありますから、政府の言う自立農家経営は、その実は半人前の農政であり、また、賃金なるものが、本来、家族をも扶養するに足るだけのものであるべきだとのたてまえからいたしますならば、三分の一人前経営農家と言わざるを得ないのであります。しかも、高度成長による所得格差の拡大によって、赤字農家は年々大規模農家に波及しております。今日の自立経営は、明日はもはや自立経営たり得ないのであります。去る九日の予算委員会におきまして農林大臣は、「経営規模の拡大方向は持っておるけれども、それが実現できそうもない」と答弁をいたしております。それならば、今度新たに事業団をつくったなら、中期経済計画の終わる四十三年末までに自立経営農家を一体何万戸にするというのでありますか、また、所得倍増計画の最終年度末でありますところの四十五年には、二・五ヘクタール農家を、一体、百万戸にするということでありますかどうでありますか、具体的に答えていただきたい。  政府の調査による経営規模別の農地売買面積を見ましても、二ヘクタール以上の農家は、譲り受けよりもむしろ譲り渡しの件数が多く、売り超過を示しております。逆に三十アールから一・五ヘクタールの階層は買い超過を示しております。自立経営農家育成とは、東京の役所の机の上で抽象したものにほかならないと言わざるを得ないのであります。しかし、ある程度の耕地規模の拡大ならば、すでに現有家族労働力を完全燃焼する範囲内で現実に進行しております。事業団による農地流動化の促進というものは、現実に行なわれている農地移動に、多少のオリエンテーション効果は持つといたしましても、これによって自立経営農家を広範囲に成立せしめることはでき得ないのであります。つまるところ、今回の農地流動化政策なるものは、その出発において、流動化を本気で考えているのではなくして、零細農民をいびり出す心理作戦であると断ぜざるを得ません。政策によって現実の経済がどうにでも思うようになると考えるのは、政策に対する過信であります。政策は、経済の法則性にのっとってのみ現実性があり、立てられた政策が法則にかのう限りでのみ効果があります。この点について、総理大臣並びに農林大臣の見解を伺います。  次は、農地価格についてであります。農地価格は、農業の生産関係できまるのではなくして、高度経済成長政策で設備拡張に狂奔している諸資本の競争によってつり上げられた地価できまっております。地価騰貴の傾向は、広い背後地に向かって連鎖反応を呼び、そのとまる所は、経済成長政策の直接の恩恵がなく、人口は減る一方で、農地を売ったり小作に出したい者はあっても、これを引き受ける者の少ない純農村、農山村地帯であります。  農林大臣にお伺いいたしますが、農地を時価で買うとしましたならば、米価算定の際、地代を時価で算定するということに、農林省の方針が変更されたと見ていいのでありますか。  農地の時価は変動して、あすのことが予測できない実態であります。事業団が買うとなれば、時価ははね上がる。はね上がった時価を、たとえ融資があっても買い手がつくと大臣はお考えでありますか。  農地というものは、単に土地だけではありません。かんがい施設、水道あるいは農道、排水路等の付帯物があるが、こうしたものについて、一体どのような策定をし、これに対処されようとするのでありますか。  佐藤総理にお伺いいたしますが、年々高騰に高騰を続ける土地の価格は、いまや、国民経済のほとんどあらゆる分野に、破壊的な影響を与えて売ります。これに対する基本的な対策は一体どうなっておるかを伺いたいのであります。  初年度、テストケースとして、事業団がわずか一千ヘクタールの農地の流動化をするために、役職員が三百人近くも配置されます。年を追うて陣容が強化され、近い将来において一千名をこえることは必至であります。これは、農地流動化の名のもとに、その実、官僚の人事の流動化となり、再就職の場を求めるということが本音であるということであります。事業団はまた、官僚的農地管理強化へのきざしを含んでおります。それは、官僚のなわ張り拡張本能の問題だけにとどまりません。農地移動機構を官僚が掌握することで、高度経済成長に必要な土地の収奪を簡単にできるように布石することになります。これは独占資本の論理に基づくものであり、それに官僚の自己保存本能が便乗したものと言わざるを得ない。  事業団の農林省の当初の構想は、十カ年で三十三万ヘクタール、資金量五千六百億円、融資率年利二分、四十年償還が原案でありました。これがむざんにも破れて、四十年度はテストケースとして、一千ヘクタールにとどめると言う。しかも、金利二分を三分に引き上げている。二分の持つ意義は、金利というよりも、取り扱い事務実費にとどめるというところに、社会政策的な意義があったはずであります。三分となれば、もはや、借金の利息的性格になります。しかも、四十年を三十年に圧縮し、これでも規模拡大による生産性の向上で十分返済できると、衆議院の本会議で総理は答弁をしておりますけれども、規模拡大も容易ではない、小農技術では生産性も上がらない、農産物価格の保障も不十分で、一体何で生産性の向上が期せられましょうか。総理にお伺いするとともに、大蔵大臣の答弁を求めます。  昭和四十年度予算は、ひずみを是正するとして、逆にひずみを拡大した不健全予算であるとしか評価し得ません。幾多の問題点のうち、事業団等に対する利子補給について、大蔵大臣に伺います。  昭和四十年度予算の特徴の一つは、総花予算を盛り込んだため、原資不足を来たし、窮余の手段の一つとして、利子補給方式を大幅に取り入れたことにあります。言うまでもなく、利子補給は補助金の一変形であり、特定部門を優遇する物的直接的統制の一種でありますが、返済のない支出であります。しかし、いずれも安上がりの費用で発足しながら、これら融資に対する利子補給は、借り入れ金残高の増大に比例して、二年目に三倍と確実に膨張していく性質のものであります。農地管理事業団への利子補給も同様であります。この種の新方式の導入は、日本財政のひずみを一そう拡大するものであることは、言うまでもありません。その根源は、産投特別会計への一般会計からの繰り入れが前年度に比べて八〇%も圧縮したことによるのであります。大蔵大臣は、四十一年度もこの不健全な利子補給方式を拡大するのか、あるいは産投特別会計に一般会計から大幅の資金量を繰り入れて健全化をするのか、その方針を伺います。  農民を不安定な低賃金労働者として動員する「貧しさ」という原動力は、同時に、農民をして農地にしがみつかせる力でもあります。農民が農地を手放すのは、事業団ができたからではなく、新しい職場が十分な賃金を保障し、住む家が確保され、病気になっても金がかからず、子供の教育にも負担がなく、老後の心配のない年金が約束されるような、各般にわたる社会保障が得られる見通しのついたときであります。農地が農民にとって財産であるのは、老後も一家の生活を自分たちで最低線を守る物的な唯一のよりどころだからであります。  佐藤総理並びに関係閣僚の皆さんにお伺いしますが、あなた方は、イソップ物語で、太陽と風が旅人の着物をはがす話を御存じでありましょうか。太陽は、さんさんとした光熱で、旅人がみずから着物を脱ぐ条件を与え、風は、強引に力で旅人の着物をもぎ取ろうとすればするほど、押え込んで放さないのです。政府がやろうとしている事業団は、このイソップ物語の風と同様であります。さしずめ、あなた方は風の閣僚である。農民がみずから農地を手放していく条件をなぜ先につくらないのですか。フランスでは、離農者終身年金制度や、その他もろもろの心あたたまる行政措置が講ぜられているのを見るにつけ、零細農いびり出しの心理作戦にのみ重点を置いて、先進国の社会保障制度には目をおおう、そうしたわが国の政治の実態は、片手落ちの農政として反省を求めざるを得ない。人間尊重をモットーとする佐藤総理の見解を伺います。  今日、行政の全面的な改革は、国民のひとしく切望するところであると同時に、また、国家的にも、きわめて重要な課題であります。昨年九月、臨時行政調査会の意見が示されましたが、佐藤総理は、この意見を受けてどう対処されてきたのか、また、今後どう措置されようとするのか、その基本的態度並びに具体的構想を明らかにしてほしい。  なお、臨時行政調査会の意見の中で、公社、公団等の改革については、次のように指摘をしております。すなわち、これらの設立は「人事管理のゆきづまりとか、なんらかの政治的圧力に原因が求められる場合が少なくなく、」「無秩序に乱立する傾向にある。」ので、すみやかに整理統廃合に踏み切れと勧告しております。無秩序に乱立された公社、公団の現状の上に、さらに、本法案に基づく農地管理事業団は、このほかに七つもの公社、公団、事業団等とともに、新たに誕生せんとしておりますが、これらは、いわゆる社会開発をスローガンとした、佐藤色を盛った行政としてお目見えをしようとしております。これは、臨時行政調査会の答申や、国民の声を否認し、行政のひずみを拡大し、ひいては国民に一そうの過重な負担を要求するものであります。佐藤総理並びに行政管理庁長官の所見を伺います。  ヨーロッパ農業の歴史を顧みるまでもなく、農業経営、そして農法の発展の歴史は、そのまま土地利用高度化そのものでありました。しかるに、わが国における国民経済から要求される農業生産での土地の問題は、高い地価のもとで土地集約の方向がとられ、農業経営本来の課題である国土の高度利用を避けて、明治以来その基礎なくして急激な商品生産を余儀なくされてきたことは、わが国農政の根本的欠陥でありました。政府は、所得倍増計画でも、はたまた中期経済計画でも、このランド・セービングの亡霊にとりつかれ、農業経営本来の使命であるランド・ユージングに目をおおい、これを政策課題に取り上げなかったところに、わが国農政の根本的欠陥があります。
  22. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 渡辺君、時間がまいりました。
  23. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君(続) 国土の高度利用を軽視した農業経営の近代化諸施策が、経営と政策の矛盾を拡大し、農民の悩みを深刻にし、農村を黒いとばりに閉じ込めております。けれども、暗黒は灯をとらえるのです。暗黒を意識することが灯をともす必要をつのらせます。
  24. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 渡辺君、時間がまいりました。
  25. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君(続) これが、ともしびとなり、野火となり、周辺の暗黒をこがすときに、農政転換の路線が明るみに出ることを政府は銘記すべきであります。日本農業がまさに構造的危機に直面している今日、従来とられ来たった日本経済の二重構造に革命的施策を講じ、その一環として農産物の国内自給度の向上のためにも、現行零細農業経営に国土の高度利用を根幹とする抜本的措置が必要と思うが、総理並びに農林大臣の明確なる答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  農業問題につきましては、農業白書が出たばかりでありますので、実情については、あの白書がよく把握している。その観点に、そのとらえたところに立って、対策をいろいろ講じているわけであります。ただいま私どもは、自立経営農家、これを育成強化しよう、こういうことを考えております。もちろんその場合におきましても、これは積極的に自立経営農家を考える、こういうことでありますので、いわゆる零細農業のいびり出しというようなことではございません。御承知のとおり、白書の伝える第一種兼業農家、第二種兼業農家、同時に専業農家等の実情を十分勘案して、これに対する対策を立てるのであります。今日の状況におきましても、土地は一年間に約七万町歩ばかりは移動している。そういう観点に立つと、この移動の際に、いわゆる自立経営農家、耕地拡大、そういう方向へ手伝う方法はないか。大体、農民は資金を持っていない。離すについても、また獲得するについても、この資金が必要でございます。そういう意味で、今回の農地管理事業団は、そういう意味の融資並びにあっせんをし、離農者にも役立たし、同時にまた、経営の規模を拡大する上にもこれが役立つと、かようなねらいを持ったものでございます。ただいまお話になりました第一段についての人間尊重、また農業の育成強化、自立経営農家の拡大と、こういう点についてのお答えは、以上のとおりでございます。  次に、農地地価の問題は、農地ばかりではない、全般の地価の問題、これが今日の国民生活を圧迫し、国民経済に非常な悪影響を与えている。これはお説のとおりであります。したがいまして、地価と真剣に取り組まなければならない。農地もそういう問題の一環として考えていく。こういうことでなければならないのでありますが、御承知のように、地価対策というものは、単一な政策効果があがるという、どんぴしゃりのものはなかなかありません。そこで政府は、いわゆる総合的な対策を立てて、地価の安定をはかっていこう。そのためには、何よりも経済が安定成長することだ、安定成長のもとにおいて地価の安定もあるのだ。同時にまた、御承知のように、制度上から見ましても、税制等をも含めて各制度についてこれは整備していく、地価を安定さすように整備していく、こういう意味の総合的対策を推進する、こういうたてまえをとっております。具体的に今日までとっておりますもので申すならば、地域開発、地方開発等を積極的にいたしまして、いわゆる宅地需要の分散と同時に、その緩和をはかる、あるいは宅地造成、土地高度利用というようなことをはかってまいりまして、供給の面からもこれを緩和していく。あるいは宅地流通の円滑化、これは流通機構の面で考えていく。あるいはまた、不動産の鑑定評価並びに適正な地価形成の基準条件を確立する、こういうことでございます。あるいは最後に、農地との調整を考慮して、土地利用計画の確立をはかっていく。こういうような各分野にわたりまして、総合的に進めていかないと、ただいまの地価対策効果がなかなかあがらないのであります。ただいま建設大臣を中心にいたしまして、この地価対策について、さらに積極的に、具体的に、真剣に取り組んでいく政府の体制を整えております。  次に、農業生産性がいずれにしても低いのではないか、これに対しての基本的対策はどうかということがございましたが、冒頭に申しましたように、農業白書が十分現状をとらえておりますから、そこに立ちまして、農業基本法の定めるところに沿って、政府は積極的に、農業生産性を向上していくように努力しているのであります。ことに、中小企業だとか農業と、これは純経済問題ではありますが、同時に、純経済問題という立場からのみ対策を立てるのではなく、やはり社会問題としてもこの問題と真剣に取り組んでいく、そういう態度であるのであります。  次に、イソップ物語を引き合いに出されまして、土地を農民が楽に離すような、そういう政策をとれということを言われますが、私は、農民といわず、すべての方が土地に対して特別な関心を持って、土地を手離さない、これはまことにりっぱなことのような気もするのであります。しかしながら、土地を手離さないために離農しない。そしてそのために、非常な生活の低さにがまんしているというようなことがあってはならないと思いますので、土地の流動性、これが容易にできるようなことを考えていく。それが先ほど申しますように、管理公団などもそういう意味では役立つだろう、かように私は思うのであります。山林原野等の不作付地、いままで作付をしておらないところ、そういうところを有効に利用しろ、こういうのが言外にある御意見だと思いますが、そういう点は、お説のとおり、私もこれに賛成します。したがいまして、ただいま国有林野、公有林野等の利用につきましては、積極的に考えるべきだと、かように考えております。  また、行政改革に対する態度は一体どうかということでありますが、これは、たびたび申し上げておりますように、私どもは行政審議会の答申尊重してまいるという態度であります。今回、公団、公社等について特別な注意があったにもかかわらず、次々にいろんな公団等をつくっておるではないかという御指摘でありますが、これは、もちろん、行政改革の調査会の申しますところは、必要なものは進めていっていいが、時代の変遷によりまして整理すべきものは整理しろという、また安易に流れないように、こういうような注意でございます。今回の御審議をいただきますものは、それぞれりっぱな、必要なものでございますので、そういう意味で御賛同を得たいと思います。なお、この点につきましては、政府は外政管理庁長官を本部長にいたしまして、積極的にこの答申の線を推進していくような組織を考えておりますが、すでにそれで活動いたしております。しかし、何ぶんにも調査会の答申は広範囲にわたるものであります。そう簡単に短時日の間に効果をあげるということはなかなかできない。この点も御了承いただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  27. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 自立農家というものをどういうふうに定義するかということでございますが、私どもは、自立農家というものを、他の産業の従事者と均衡のとれた所得、こういうものを得られるのが自立農家であるというふうに考えます。そういう点におきましては、耕地面積が相当あるということも一つの条件でございまするし、一つは、所得がその地方在住の他の勤労者等と均衡のとれたものであるということが、自立農家の一つの条件ではないかと思います。そういう意味におきまして、所得の面につきましては、一戸当たり六十万円、年収六十万円程度のものを自立農家というふうに規定いたしておりますが、これは、時の動きにつれまして、この内容は変わってくると思います。四十三年度——中期計画の終期等におきましては、一戸当たり八十万円程度が自立農家として見られるべきものじゃないかと、こういうふうに見ております。  そこで、こういう農家につきましては、労働力が二人から三人を持っておりますので、所得の面からいえば、他のものから見て二分の一、三分の一の所得でないかと、こういうお話でございます。私どもは、主婦を重労働から解放していくということには力をいたしておりますけれども、この主婦の協力というものは、農業の実態から見まして、これはやむを得ない、といいますか、実態が、どうしても主婦の協力も得るということで、これをなくするということは、私は容易でない問題であろうと思います。しばらくは、主婦の協力も得て、そうして自立経営の方向へ協力してもらう、そうして自立経営農家が多く育成されることを私どもは期待し、その方向政策を進めておるわけでございます。  ところで、そういう自立経営農家が、昭和四十五年度、国民所得倍増計画の達成する場合に、どれくらいの戸数を目標としておるか——倍増計画のときには、いまお話の百万戸、二町五反、こういう計画を立てましたが、その計画といいますか、目標でございます。その目標になかなか速度といたしまして沿っておりません。一町五反以上の農家等は相当ふえておりますけれども、二町五反の農家が昭和四十五年度に百万戸できるという見通しは、いまのところ持てない状況であります。でありますので、中期経済計画におきましては、なるべく早い時期において六十万から八十万ぐらいの所得を得らるる農家の多く育成される方向へ進めていこうということで、四十三年におきましては何戸と、こういうような目標をいま立ててはおりません。  第三は、この農地管理事業団の構想は零細農をいびり出す政策ではないか、こういうことでございます。白書にも申し上げておりまするように、生産性の点におきましても、一般農業の生産性が、他と比較いたしまして、二九%程度でございますが、一町五反以上の農家をとってみまするというと、それが四〇%から五〇%になっております。あるいは生活水準と比較いたしましても、一般が七七%程度でありますが、一町五反以上の農家をとりまするというと、地方在住の他の勤労者と比較いたしまして九〇%になっております。そういうことでありまするから、やはり経営規模が大きくなり、あるいは資本装備が強くなっていくということが、生産性につきましても、あるいは所得につきましても、望ましいことでありますので、その方向方向づけようというのでありまして、零細農をいびり出すという考えは全然持っておりません。農業に精進する気持ちでおりまする小さい農家におきましても、あるいは共同化によりまして生産性を上げていくとか、あるいは所得を上げていく、労働力の不足を補っていくとか、こういうことを考えておりますので、零細農をいびり出すというようなことは全然考えておるわけではございません。  それからまた、こういう政策は経済の法則に相反するではないか、こういう御意見であります。その内容を十分お聞きいたしませんので、私は、その経済の法則というものをどういうふうにお考えでありまするか、ちょっと解しかねますけれども、先ほど申し上げましたように、農業の経営規模が大きいとか、あるいは資本装備が相当であるということでありまするならば、生産性につきましても、所得の点におきましても、いいのでありますので、そういう方向づけをするということは、経済の法則に反するのではなくて、私は、経済の法則を高度に活用するのじゃないかと、こういうふうに考えております。  それから、農地の価格を時価で見積もるようであるけれども、これは高くなりやしないか——土地の価格につきましては、私どもも高くなることを押えるために非常に苦心をいたしておるのでございますけれども、この農地管理事業団におきまして買い上げようとする土地は、あるいは売買の実態をとらえ、あるいは鑑定等を参考として買い上げるので、地価をつり上げるというようなことはないと考えております。  それから米価算定の場合に、売買価格から割り出して地代というものが米価算定の基礎になることに相なるのではないかと、こういうことでございますけれども、米価算定の地代は、現実の小作料を基礎とし、あるいは小作料のない所には近辺の小作料を標準として計算をいたしておりますので、売買価格を米価算定の地代として考えていくということにはいたしません。  それから付帯施設等はどういうふうにするか。道路あるいは溝渠等の付帯施設等、これは評価をいたしまして、一括して買い上げることにいたすつもりでございます。  この事業団が官僚人事になりはしないかということでございます。私どもは、放任しておくよりも方向づけたほうがよろしいということになれば、第三の機関が介在せざるを得ないのでありまするので、そういう意味におきまして事業団を設けるのでありまして、官僚のうば捨て山、あるいは官僚の生活の場を与えるという意味で、こういう事業団を構想しているわけではございません。  それから管理事業団の規模が非常に小さいじゃないか、実は相当——まあ御承知のように初めは大きくといいますか、相当な構想を持ったのでございますけれども、初めての仕事でもありますので、本年度は売買等までに手を触れないで、あっせんの程度にしようじゃないか、こういうことから構造改善熱意のあるところを選んでパイロット的にやろうということから、規模を小さく構想いたしたわけでございます。しかしながら、これは、それでとどめるということではなくして、やはりその実績を見、体制の整備を待ち、条件の成立を待って、これは全国的の規模において行なうようにいたしたい、こう考えております。  それから、農業における離農年金あるいは社会保障の制度の問題についてお触れになりましたが、私は、農業政策におきまして、労働政策としてやるべきもの、あるいは社会政策としてなすべきものが、相当農業に多いと思います。この事業団に関連いたしましても、離農を先にするような政策がもとではないか、いわゆる本末転倒ではないか、こういうことでございますが、先ほど申し上げましたように、離農をさせて、そうして経営規模を拡大するという考え方でございませんので、流動しているものを経営規模の拡大に方向づけよう、こういうことでございますので、実は離農対策というものは次に考えていかなくちゃならない問題じゃないかというふうに考えまして、これは少し見送りました。しかし、いま御指摘のような離農年金というようなものはどうだろう、フランス等におきまする法律にありますが、そういうものは、私は一般の年金等とつけ加えるか、あるいはそれを拡大するか、つけ加えるか、そういう意味におきまして、こういう離農年金制度というようなものは、これは検討していかなければならない問題だ、こういうふうに考えて、せっかく検討を続けております。  それから、こういう政策をやるよりも国土の高度利用が必要じゃないか。——もっともでございます。そういう意味におきまして、私たちも、国土の高度利用から、土地改良等につきましては、相当の力を入れて国土を高度に利用しよう、あるいは山村等につきましても、山林原野等につきまして、これを高度に活用する。あるいは不作付地が相当ございます。こういう点につきましても、大型機械等を導入して、農協等を中心としてこの不作付地をなくしていくというようなことをはかって、そうして自給度を増していこうというふうに私どもは考えております。そういう自給度の点におきましても、実際に耕作面積を相当持っておる人は離農もいたしません。離農する率も少ないのでございます。あるいはまた生産性も、土地の生産性も労働の生産性もあがっておる、こういうことでございますので、国土の高度利用、それによって自給度を増す、もちろんその点にも力を入れなくちゃなりませんが、耕地面積が相当多い、経営面積が多い、こういう農家は生産性も高いし、そういう面におきまして、自給度を確保していくという点におきましても、農地管理事業団のようなものによりまして、経営規模の拡大をすることは、そういう面からも必要である、こういうふうに考える次第でございます。そういう意味におきまして、ぜひ自立経営農家が多くなることを期待しつつこの政策を進めていきたい、こう考えております。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  28. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私からお答えを申し上げるのは二点でございます。  第一点は、農地管理事業団法案は、当初案より、融資条件の圧縮、事業量の削減等、万全でないということでありますが、本件につきましては、農林大臣がいまお答えになりましたとおり、この制度は新しく発足せしめるものでございまして、農業政策の上では画期的なものだ、こういう考えでございます。しかし、新しい制度でありますので、将来検討すべきものもたくさんありますので、当面パイロット的に実施をして、四十年度以降約百カ市町村、こういう規模で発足を考えたわけでございます。農林漁業公庫の農地取得の金利は三分五厘でございまして、期限は二十五年でございます。これを三分、三十年、比較をして申し上げるわけではありませんが、政府本件に対して積極的な姿勢をとっておることはひとつ御理解いただきたいと思います。  第二点は、四十年度の予算編成に際して、利子補給の制度を拡大したわけでございますが、この利子補給制度に対して新方式の導入であり、財政は非常に不健全性を持つものである、一般会計から産投へ繰り入れる等によって健全性をはかるべきであるという趣旨の御質問だと思いますが、御承知のとおり、一般会計から産投会計に資金を繰り入れることに対しまして、過去においても、質疑の過程においていろいろな御議論があったわけでございます。しかし、過去には超高度ともいわれる過程もございましたし、高度成長の結果、自然増収が相当思ったよりもたくさんありましたので、財政の健全性をはかる意味合いからも、産投会計に繰り入れたり、また新政策を行なう場合に、その原資をそのまま繰り入れるというようなことをいたしたわけでございますが、近時安定成長に向かっておりますし、超健全という財政をとれるような場合でもございませんし、だんだんと財政の効率化も考えなければならない状態に至っておるわけでございます。いままでも農林とか海運とか、こういうところに利子補給制度を持っておったわけでございますが、四十年度予算から本件の拡大をはかったわけでございます。しかし、あくまでも利子補給というものが財政上安易に流れてはならないということで、その政策効果も十分に考えながら、この利子補給の制度を無限に拡大するという姿勢をとるべきではないという考えでございます。いずれにしても、財政の健全化のためには、十分な姿勢をとってまいりたいと思いますし、格段の御協力を得たいと思います。(拍手)    〔国務大臣増原恵吉君登壇拍手
  29. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 第一点は、行政機構改革、行政運営改善についてのお尋ねでございまして、総理からお答えを申し上げましたように、臨時行政調査会の答申につきましては、政府はこれを尊重して推進をする決意でございます。何しろ総論及び十六項目にわたります大へん広範な深浅いろいろ重要問題が勧告されておる。これを有機的になるベく実行してまいらなければなりませんので、政府としては行政改革本部を設けまして、御承知のように、内閣官房、法制局、総理府、行政管理庁、大蔵省及び自治省の総務副長官あるいは事務次官等で、目下、鋭意総合的な検討をいたしておる段階でございます。その中で、事務運営予算、会計、公務員等に関する問題は、政府部内限りの決定をもって実施し得るものがございまするので、決定を見たものから実施をいたしておりまするが、全般的に三月三十一日を目途に結論を得まして、実施をしてまいるつもりであります。その他の問題についても、すみやかに結論を得るための努力をいたしておるわけでございまするが、特に機構の統廃合の問題は、重要問題中の重要事項でございます。本年の八月末までに全体の見通しをつけて、実施可能なものを、法案作成等に至りたいということで、検討をいまいたしておる段階でございます。  第二点、公団、公社等の問題につきましては、御指摘のとおり、臨時行政調査会も、その乱設の抑制、既存機関の統廃合及び運営上の改善措置などを勧告をいたしておるわけでございます。これを十分尊重をしてまいりたいと思うのでございまするが、現在、行政改革本部の決定に基づきまして、行政管理庁で特殊法人等の実態調査を実施をいたしております。この結果をもちまして適切な統廃合等を実施をしてまいりたいと思うのでございます。本年度設置をしたいと御審議を願っておりまするものがございますが、これは政府事業実施の実態にかんがみまして、やはり行政官庁としての実施では不適切であるという事態で、なお既存の公社、公団等で併設して行なうことができないもの等につき、個々具体的に十分吟味の上、新設を考えて御審議を願っておるわけでございます。実情について御検討の上、御賛成を願いたいと考える次第でございます。(拍手
  30. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  31. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) この際、日程第五は、これを後日に延期いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  33. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 日程第六、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員会理事瀬谷英行君。    〔瀬谷英行君登壇拍手
  34. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ただいま議題となりました治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  現行法は、昭和三十五年に制定せられ、治山及び治水事業について、昭和三十五年度以降三十九年度までを前期五カ年計画、四十年度以降四十四年度までを後期五カ年計画とする十カ年計画を策定し、一兆五百億円の計画で施行してきたものであります。したがって、四十年度からは当然後期計画期間に入るわけでありますが、この改正案は、既定十カ年計画を廃止し、新たに四十年度を初年度とする五カ年計画を策定することとし、これに伴う国有林野事業特別会計法等の所要の改正を行ない、治山治水事業の一そうの推進をはかろうとする内容でありますが、この理由について、政府は、計画後、予想以上の災害の発生、経済の成長等に伴う計画事業の繰り上げ実施、及び、計画事業の緊急施行等の必要が生じ、現行計画では、もはや、新規計画はもちろん、既定計画事業も十分に実施できないというのであります。また、この新五カ年計画計画額は、治山事業に千八百七十億円、治水事業に一兆一千億円を予定しているのであります。  当委員会における質疑のおもなる点は、治山治水事業の緊急性と事業の規模、治水砂防、地すべり対策事業促進、農林省治山と建設省砂防との施行調整、河川敷地内に存する民有地に対する私権の制限に関するもののほか、廃川敷地の処分方法等、広範にわたって審議が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願うことといたします。  質疑を終了、討論に入りましたところ、民主社会党を代表して田上委員、自由民主党を代表して熊谷委員、公明党を代表して浅井委員から、それぞれ治山治水事業の積極的な推進について強調せられ、原案に賛成、また日本社会党を代表して瀬谷委員から、新計画の治山治水事業計画規模は少額であるとして原案に反対する旨の発言がありました。  かくて討論を終わり、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  35. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  37. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 日程第七、相続税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  日程第八、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長西田信一君。   〔西田信一君登壇拍手
  39. 西田信一

    ○西田信一君 ただいま議題となりました一法律案ほか一件につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。まず、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。本案は、今次税制改正の一環として、相続税について、最近における保険の普及状況等にかんがみ、相続人の取得する生命保険金の非課税限度額を五十万円から百万円に引き上げるとともに、納税者の便宜等を考慮して、贈与税の申告書の提出期限を延長し、二月一日より三月十五日までとする等、規定の整備をはかっております。なお、本伝改正に伴う減税額は、平年度四億六千万円と見込まれております。委員会の審議におきましては、損害保険契約に基づく死亡保険金の実態等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件につきまして、御報告申し上げます。本件は、最近における大都市地域の納税者及び課税物件の大幅な増加等による事務の増大に対処し、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかるため、東京国税局に荏原税務署及び武蔵府中税務署を、札幌国税局に札幌北税務署設置することについて、国会承認を求めようとするものであります。委員会におきましては、税務署配置の適正化、合理化についての長期的見通し、及び、民主商工会の活動等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  40. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、相続税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  41. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  42. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件全部を問題に供します。本件承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  43. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本件承認することに決しました。      ——————————
  44. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 日程第九、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する特別委員長白木義一郎君。    〔白木義一郎君登壇拍手
  45. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 ただいま議題となりました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。  この法律案は、国が負担する国会議員選挙等執行経費都道府県及び市区町村に交付するものの基準を、実情に即するよう改正しようとするものでありまして、第一に、最近における公務員の給与改定、賃金の変動及び選挙事務執行の実情等にかんがみ、超過勤務手当、人夫賃、嘱託手当及び運搬費の単価をそれぞれ引き上げ、投票所及び開票所の経費等の基準額を改定するとともに、個人演説会立札費及び不在者投票特別経費の額についても、実情に即するよう引き上げようとするものであります。  第二に、投票管理者、開票管理者、投票立会人、開票立会人等の費用弁償額をそれぞれ引き上げようとするものであります。  第三に、第四十六回国会における公職選挙法の改正により、ポスター掲示場の設置数が増加したことに伴い、この経費について、候補者数に応じて段階を設け、基準額の合理化をはかろうとするものであります。  第四に、従来、国が都道府県及び市区町村の選挙管理委員会において要する経費を交付する場合は、総額の五%相当額を削減して交付していたのでありますが、これを改め、その全額を交付しようとすることを、おもな内容とするものであります。  特別委員会におきましては、二月九日、吉武自治大臣から提案理由の説明を聞き、慎重審査をいたしましたが、詳細は会議録によってごらんいただきたいと存じます。  かくて三月二十三日、質疑を終局し、討論に入りましたところ、後藤委員から、「経費の算定基準については、積算内容方法等根本的に検討し、実情に即するようにすること、ポスター掲示場は、恒久化を促進するとともに、掲示の効果についても遺憾のないよう、設置場所、掲示方法を検討すること」を要旨とする、各派共同提案にかかる附帯決議案が提出されました。  採決の結果、本法律案全会一致をもって可決すべきものと決定され、また、附帯決議案は、同じく全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定されました。なお、吉武自治大臣から本附帯決議に対し、その趣旨尊重してまいりたい旨の発言がありました。  以上報告を終わります。(拍手
  46. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  47. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  48. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 日程第十、裁判所法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長石井桂君。    〔石井桂君登壇拍手
  49. 石井桂

    ○石井桂君 ただいま議題となりました裁判所法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  本法律案の要旨は、第一に、裁判所書記官の養成、充員の状況等にかんがみ、これが事務補助等を職務とする裁判所書記官補の制度を本年四月一日から廃止すること。第二に、最高裁判所の庁舎新営に関する重要事項を諮問するため、国会議員関係機関の職員、学識経験者を委員とする最高裁判所庁舎新営審議会を、本年九月一日から一年間、最高裁判所に設けること等であります。  委員会においては、裁判所書記官補制度の沿革と廃止の理由、書記官補から事務官へ組みかえられた者の待遇、最高裁判所庁舎新営の構想、同庁舎新営審議会委員の選考方針等について、熱心な質問がありましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、岩間委員から、本法律案賛成意見が述べられ、次いで採決の結果、本法律案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  50. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  51. 重政庸徳

    ○副議長重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会