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1965-04-27 第48回国会 参議院 法務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員の異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      安井  謙君     鈴木 一司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石井  桂君     理 事                 後藤 義隆君                 稲葉 誠一君                 和泉  覚君     委 員                 大谷 贇雄君                 源田  実君                 鈴木 万平君                 中山 福藏君                 宮澤 喜一君                 柳岡 秋夫君                 岩間 正男君                 山高しげり君    政府委員        警察庁刑事局長  日原 正雄君        警察庁警備局長  秦野  章君        法務政務次官   大坪 保雄君        法務大臣官房司        法法制調査部長  鹽野 宜慶君        法務省刑事局長  津田  實君        大蔵省銀行局長  高橋 俊英君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長   菅野 啓蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君    説明員        警察庁警備局警        備課長      後藤 信義君        東京航空保安事        務所空港長    岩田 勝雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○検察及び裁判運営等に関する調査  (吹原産業事件等に関する件)  (ロストウ氏来日時の抗議デモ等に関する件)     —————————————
  2. 石井桂

    委員長石井桂君) これより法務委員会を開会いたします。  まず、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き本案質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石井桂

    委員長石井桂君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井桂

    委員長石井桂君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  5. 石井桂

    委員長石井桂君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石井桂

    委員長石井桂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 石井桂

    委員長石井桂君) 次に、検察及び裁判運営等に関する調査議題とし、吹原産業事件等に関する件について調査を行ないます。稲葉君。
  8. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま吹原産業事件というのが非常に騒がれておるわけですが、これに関連して二、三の点をきょうは第一回ということですからお聞きをしていきたいと思います。  現在吹原某勾留をされておるようですが、その勾留されるに至った経過の概要を最初に御説明を願いたいと思います。
  9. 津田實

    政府委員津田實君) 吹原産業事件といわゆる俗称されておるものは、株式会社三菱銀行吹原弘宣告訴した事件のお尋ねというふうに解しまして申し上げるわけでございますが、この事件につきましては、本月の六日、三菱銀行から東京地方検察庁告訴がありました。それによりまして捜査をいたしまして、本月二十二日、裁判官の令状を得て、被疑者吹原自宅等五カ所を捜索し、差押を行ないますとともに、同人に対する逮捕状を得ましてその所在を捜査をいたしたのであります。同人につきましては、四月二十三日これを逮捕いたしまして、引き続き東京地方検察庁において捜査し、四月二十五日同人勾留請求をいたしました。同日勾留状を受けて、現在勾留中であります。
  10. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それで勾留されたわけですけれども、その勾留被疑事実というか、その大要はどういうことでございますか。
  11. 津田實

    政府委員津田實君) その容疑事実は、吹原弘宣は、昭和三十九年十月十四日ごろ、株式会社三菱銀行長原支店次長菅原順平等に対しまして、真実預金する意思がないのにかかわらず、あるように装って、三十億の日銀小切手預金するから、通知預金証書十億円及び二十億円の二通を持って来てもらいたいと虚偽の事実を申し、さらに、同月十九日ごろ、その旨誤信せしめて、前記菅原に対し、あと日銀小切手と引きかえるから一応個人小切手証書を引き渡してもらいたいと虚偽の事実を申し、その旨誤信せしめ、吹原弘宣振り出しにかかる北海道拓殖銀行築地支店小切手一通と引きかえに右の通知預金証書二通の交付を受けてこれを騙取したという事実であります。
  12. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの詐欺ですね、これは一項詐欺か二項詐欺かということになりますが、一項詐欺という形でやっておるわけですか。
  13. 津田實

    政府委員津田實君) いわゆる一項詐欺であります。
  14. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、現実三菱銀行としては、どういう被害があったわけですか、どういう財物を騙取されたということになるわけですか。
  15. 津田實

    政府委員津田實君) その具体的内容につきましては、現在捜査中でありますので、承知いたしませんが、この容疑事実から判断いたしますと、これは預金証書二通を騙取されたということであります。したがいまして、この預金証書は、その裏づけとなる預金がこの容疑事実から見ますとありませんので、預金証書自体であるというように考えられるわけですが、これは何らかの意味において財物であることは間違いありませんので、詐欺罪となるというように考えられると思います。
  16. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 通知預金証書法律的な性質、これはどういうふうなものなんでしょうか。
  17. 津田實

    政府委員津田實君) 本件に関しての捜査の結果、本件通知預金証書がどういう預金契約になっておるか、これはわかりませんが、一般通知預金といわれるものについては、御承知のとおりだと思います。
  18. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、通知預金というものはどういうものかということではなくて、通知預金証書財物だと、こういうわけですね。その財物が騙取されたということが一項詐欺だと、こう言われるのだから、それじゃ通知預金証書はどういったものになるか。ただ通知預金証書というものは紙っぺらだというようになれば、十円か二十円のものを騙取されたということになる。それはどういうような法律的な性質を持っておるのか。たとえば有価証券であるとか、その点がどうなのかとお聞きしておるわけです。
  19. 津田實

    政府委員津田實君) 私は、通知預金証書有価証券でないと思っております。したがいまして、その証書自体の原価というものはきわめてわずかなものであると思います。それにもかかわらず、通知預金証書自体が何らかの財産的意味を持つとすれば、これは当然財物と考えられる。ということは、従来の詐欺罪構成要件に該当するというふうに一般に考えられておるところと思いますので、その意味におきまして、これが三十億円の価値を化体していないとしても、財物であると思われます。
  20. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 三十億円の価値を化体していない財物だとなれば、紙っぺらだけのあれになるのじゃないですか。どうなんですか、その点は。
  21. 津田實

    政府委員津田實君) なるほど、通知預金証書自体が三十億円なりそのあらわしている金額を化体いたしていないとすれば、一応実質的には紙っべらかもしれませんが、しかしながら、そのもの自体に何らかの財産上の意味があるとすれば、これは当然財物だということになると思います。
  22. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、紙っぺらであっても、財物であることは間違いないわけです。だから、ぼくは財物であるということを否定しておるのじゃなくて、三十億円の権利を化体していないというのでしょう。化体してないとすれば、この通知預金証書は、十円か二十円か、百円か二百円か知りませんが、その程度の物的な価値しかないものなんで、それを騙取されたという行き方自身がぼくは法律的におかしいと、こう言っているわけですよ。有価証券だというなら、これはまた話が別ですよ。そうじゃないというのですから、三菱銀行被害にかかったと称するのは何が被害にかかったのか、根本的に問題になってくるのじゃないですか。何らかの権利というものと結びついているかもわからぬというけれども有価証券でない通知預金証書というものが、何らかの権利と一体どうやって結びつくのですか。根本的にむずかしい、というか、法律論があるのじゃないですか、ここに。ぼくはこの詐欺告訴は非常に問題があると思っているんですよ。この詐欺告訴自身に非常にいろんな意味が含まれていると、こう思っているんですがね。それから有価証券でないならば、何なんですが。普通の指名債権なんでしょう。どうなっているんですか。通知預金証書というのは、一体何なんです、法律的には。
  23. 津田實

    政府委員津田實君) 本件に関しては、どういう内容であるかは私は存じません。一種債権証書であることは間違いないと思います。しかし、債権証書である場合に、裏づけ債権のない債権証書というものもそれは世の中にあり得るわけであります。形体だけの債権証書、それに当たるかどうかということになるだろうと思うのでありますけれども本件がどうであるかということは、私もわかりません。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この通知預金証書というものがあったとしても、いまの勾留状に書いてある被疑事実というものから見て、一体この通知預金証書というものは第三者の手に移った場合に、有効だというふうに見られるのか、無効だというふうに見られるのか、どっちなんですか。
  25. 津田實

    政府委員津田實君) その点は、本件については何ともわかりません。
  26. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だってそんなことはないのじゃないですか。そうすると、通知預金証書というものを持っていて、もしそれを持っていった場合に引き出せるための要件というのは、どういう要件があった場合に引き出せるのですか。
  27. 津田實

    政府委員津田實君) これは一般論として申し上げるのでありますが、通知預金証書というものは一種消費寄託が存在することの証明であり、したがいまして、もとである消費寄託がなければ債権は何らないわけであります。通知預金証書自体がありましても債権がない。ですから、もと債権があったかなかったかということは本件でおそらく問題になると思いますけれども、その内容については私はわかっておりません。
  28. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたがわかっておらないことはそれでいいんですが、いま勾留状に書いてある事実をあなたお読みになったでしょう。そのお読みになった事実からいって、通知預金証書というものは、その預けた人なり、あるいは第三者の手に移った場合に、その人が三菱銀行に行って通常の場合に請求権利としてできて、三菱銀行はその証書によって金を払わなければならないものなんですか。そうじゃないんじゃないですか。この勾留状自身によって見ると、無効なんじゃないですか。それを持っていたところで通知預金請求権というものは発生しないのじゃないですか。そうじゃないですか、ことに第三者の手に渡った場合には。
  29. 津田實

    政府委員津田實君) 本件についてはお答えできませんが、一般論といたしまして、先ほど申し上げましたように、消費寄託がないのに債権を生ずるわけはありませんから、したがって、債権証書らしきものを持っておっても、それはそれによって権利が創設されるわけでも何でもありません。したがいまして、もちろんそれは無権利者であるということになると思います。
  30. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくもそう思うのです。そう思ってくると、三菱銀行がこの問題で告訴をしたこと自身が私は問題だと、こういうふうに考えざるを得なくなってくるんですよ、法律的に。そうすると、いまの勾留状は、通知預金証書財物なんだ、それが三十億円の権利を化体していないんだということになってくると、単なる証拠証券としての証書詐欺としかいまの段階では考えられないんだと、こういうふうに承ってよろしいでしょうかね。
  31. 津田實

    政府委員津田實君) 本件につきましては、その背後といいますか、その具体的な権利関係はわかりませんが、一応この容疑事実として逮捕いたしました事実につきましては現実消費寄託がなかったということになっているわけでありますから、もちろんこの証書自体債権を創設するということはないと私は考えます。しかし、具体的に内容はどうなっているかはわかりません。
  32. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、具体的に内容がどうなっているかは、これは捜査してみなきゃわからないんですが、だから私は聞くのは、いま勾留状に記載されている事実がいまのところは真実という前提で聞いているわけですから、その前提もとにおいては、三菱銀行はいわゆる被害にはかかっていないと見ていいんじゃないですか。こういう結論になってくるんじゃないですか。
  33. 津田實

    政府委員津田實君) 預金証書自体は一応三菱銀行預金証書で、それを本人の意思によって交付を受けたんですけれども、その基礎に錯誤があるわけです。したがいまして、その意味においては三菱銀行被害者であると思います。
  34. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたのほうでも非常に言いにくいのでしょうけれども三菱銀行被害者であるという意味は、通知預金証書という証拠証券というその財物としてのいわゆる物質的な価値というか、そういうふうなものが被害にかかったということではないですか、今の段階では。そこはどうですか。
  35. 津田實

    政府委員津田實君) むしろ通知預金証書自体被害にかかったということで、基礎たる債権がどうであるかということは別問題であると思います。
  36. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 通知預金証書を出すときに、この通知預金証書は無効であるというような確認をして出したんだというふうなことを言われていますね。こういうふうな事実はあるんですか。これは、法務省でなくても、大蔵省でもおわかりになれるあれだと思うのですが。
  37. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 銀行側としては、預金現実に預からないで預金証書交付した。そこで、当事者あとから吹原証書を返すように交渉したけれども証書はいますぐ返せないということでありましたので、それではこの預金証書は実は無効であるという念書を入れてほしいということで取ったようであります。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、通知預金証書というものの法律的性質からいって、当事者間で無効であるということが確認されておれば、第三者の手に渡って第三者請求してきても、無効であるということは対抗できるんじゃないですか、銀行側としては。
  39. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 私どもも、これは銀行側言い分は明らかに詐欺だということで告訴をしておりますけれども、私どもとして銀行側説明を聞いておりますと、それは当初から無効であった、その預金証書は当初から無効であるから、第三者の手に渡っても支払う責任はない、こう言っております。そういう点が、先ほどのお話のように、詐欺であるのかないのかということになりますと、非常にむずかしい問題だと思いますが、詐欺のようなことになるのか知りませんが、銀行としては、いやしくも三十億円という非常に大きな金額を明示した預金証書が発行されまして、第三者の手に渡ることは譲渡禁止になっているのですけれども、そう書いてあるのですけれども、それがたとえば預金の種類によりましては無記名預金とか偽名預金も堂々と許されているようでございまして、ですから、事実問題として、たとえば印鑑とともに預金証書第三者に渡れば、第三者としては、それは非常に有効な証書であって十分にその権利があるのだ、つまり請求し得るもあだというふうに思うことはあり得るだろうと思います。そのことでは、そういうことが現に第三者から、返還の請求といいますか、払い戻しをしてもらえるかという問い合わせが告訴以前にあったわけであります。そういうことから考えあわせて、やはり詐欺として告訴したほうがいいと思ったのではないかと、こちらはそう思います。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その詐欺として告訴したほうがいいかと思った理由は、これはまたそんたくすればいろいろあると思うんですが、いま言ったように、本来無効のものである、しかも当事者間で無効が確認されている、有価証券でもなんでもない、こうなってくれば、それがかりに第三者の手に渡っても、これは銀行取引約款譲渡禁止約款が当然あるわけですよ。それに基づいて通知預金をしているわけですから、ですから、第三者から請求銀行に対してして、銀行が払うということはあり得ないわけでしょう、法律的に。かりに払ったとすれば、何かの間違いで銀行が払ったということになるんですから、だから、銀行詐欺被害にあうということは本件の場合には考えられないことだ、ぼくはこう思うんです。それを、何らかの意味を込めてその詐欺告訴をしたのではないか、こういうふうに当然考えられてくる。だから、いま法務省刑事局長なり大蔵省銀行局長説明を聞いてみれば、これは三菱銀行法律的には詐欺にかかっていないと、こういうふうに私は考えられてくるんですがね。それはまあ議論ですが、私そういうふうに聞いたわけです。  大蔵省が四月十九日に三菱銀行業務第一部長の山科という人を呼んでいろいろ事情を聴取されたということがいわれておりますが、これはどういうふうな事情から呼ぶようになったのですか。そして、どういうふうな経過になっているのでしょうか。
  41. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 業務部長を呼びましたのは、銀行課長が四月十六日に呼んだわけでございます。それは、この事件が公にされる少し以前の時点でございますが、非常に何といいますか、私どもがおりますところへ、主として新聞記者と言ったほうがいいですか、いろいろな方から、何か三菱銀行におかしなことがあるんじゃないのかということを非常に何回も尋ねられたわけであります。そういうことがありますので、念のために一応何かあるのかないのか事情を調べたほうがいいということで呼んだわけでございます。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、何を調べたんですか。大蔵省としては、何を調べたかというか、何を主眼として三菱銀行業務第一部長を呼んで調べたわけなんですか。
  43. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 今回明らかにされましたような、事件としてはまあ通知預金証書預金裏づけなしに詐取されたということでございまして、そういう三十億円という金額が一体言われておる金額ほんとうであるのかどうか、事実そういう預金証書を出す場合に金の裏づけがなくて出るというふうなことがあり得るのか、本店はそういうことを承知していなかったのかというようなことで聞いたようでございますが、向こう側としては、当時これが表ざたにもなっておりませんし、告訴した事実も実は表面に出ていなかったわけであります。そういうことでありますので、こちら側が聞きただすのに対しましては、何といいますか、向こう側の陳述はほとんどない。そういうことがあるかないかと言うと、まあありましたというような程度の返事で、イエスかノーかぐらいの話しかなかったようであります。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、金も入っていないのに二十億円と十億円との通知預金証書を出した経過は、どういうふうなことで出したのだと言っているんですか。この点はどうなんですか。
  45. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 私どもは、捜査当局と違いますので、銀行側言い分説明を聞いて申し上げるしかありません。その点はお含み願いたいと思いますが、ちょうど支店長がかわったばかりなんで、引き継ぎ中であったのであります。ですから、新任の新しく来た支店長は、事情を詳しく知らなかったと思いますが、前任支店長吹原という人物をかねてから知っておった。その支店預金取引先としては、まあ比較的個人としては、個人の口座のようですが、大口の預金をもらっておった。そのほか、前任支店長とその吹原とが両方の子供が同じ学校に行っておりまして、そのPTAの役員などをしておる。で、吹原学校のためにかなり大きな立替金などをしております。億単位でございますが、そういったことで吹原という人物をかなり信用しておったという事実がございまして、そして、実際に通知預金証書交付する場合には、現金にかわる銀行の発行した小切手、あるいは日銀小切手とも言っておりますが、そういったものと引きかえに通知預金証書を渡すということであったのだけれども、わずかの時間だけそれを待ってくれ、そのかわりに自分——吹原自身が振り出した小切手、まあこれは言ってみれば預かり証のようなものでございますが、それで一応証書をもらっておいて、あとからそういった現金またはこれと同じようにみなされるものを直ちに渡すと、そのことばを信用して証書を渡してしまった。吹原の事務所で渡したと言っておりますが、そういう事情でございます。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この長原支店というのは、これはどこにあるのですか。
  47. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 大田洗足であります。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 なぜ大田洗足の、だいぶはずれのほうですが、そういうところの支店に行ってそういう話が行なわれたのですかね、これは。吹原取引三菱銀行銀座支店になっているんじゃないですか。
  49. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 事業上の取引は、おっしゃるように銀座支店でございますが、吹原が住んでおりますところから一番近い三菱銀行支店長原支店であったそうでございまして、そこに個人預金をある程度まとまった金額で持っておったという事実からもその点はわかるわけであります。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、大蔵省としては、長原支店支店長ですか支店次長ですかがどういうようなしっかりとした法定の順序というか、そういうようなものを踏んだ場合に通知預金証書を渡すべきなんだと、その点について、その支店長なりあるいは次長ですか、その者に欠くるところがあったのだと、こういうふうに考えているわけですか。その点はどういう点が欠けておったと……。
  51. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 相手方が自分で振り出しました小切手、これは、銀行の支払いにはなっておりましても、自分で振り出した小切手である場合には、それが交換に参りまして確かにそれだけの残高が銀行にあるということで現金化されたということを知ってからでなければ通知預金証書を発行すべきでないわけでございます。また、かりにそういった小切手等通知預金を受け取る場合には、そういった意味のことがそこに記載されていなければならぬ。符号通常運用いたしますが、これは普通の小切手で入金したものであって、現金化された後にはじめてほんとう預金になるという意味符号があるわけであります。小さい金額の場合ですと、小切手でも通常銀行は受け入れます。その場合には、ただ、小切手で受け入れたという符号をすることになっております。もしその小切手が不渡りであった場合には、現金にはならないということがあります。それからもう一つは、現金であるか、あるいは、三十億円というような場合には、銀行自分で振り出した——吹原が発行するものでなくて、銀行が振り出した小切手、これは現金と同一に通常みなされております。あるいは日銀小切手というものが、普通使われませんが、まれに日銀小切手のようなものが使われることがありますが、これは現金と同一に扱って差しつかえないものでありますから、それと同時に引きかえに通知預金証書を渡してもいいことになっております。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、本件の場合、その長原三菱の支店長ですか、次長ですかが、これは当然銀行の職員として果たすべき任務にそむいたんだと、こういうことになりますか。
  53. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) そこに相当重大な手落ちがあるとしか思えません。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、法務省のほうでも警察のほうでもどちらでもいいんですが、銀行支店長なり次長が当然守るべき任務にそむいて、そして通知預金証書を渡した、その結果として銀行に損害をこうむらせた、あるいは損害をこうむらしめるような事態を発生せしめた、こういうようなことになってくると、それはもちろん自己の利益をはかる目的とか、第三者に損害を与える目的とか、目的はありますけれども、そういうような場合には、背任罪が成立する余地があるわけですか。背任罪が成立すると私は断定するのじゃなくて、本件のような場合に銀行当事者に背任罪が成立する余地が考えられるのではないでしょうか。そこのところはどうでしょうか。
  55. 津田實

    政府委員津田實君) 背任罪等のことがあり得る場合もあると思います。本件についてはまだわかりません。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、背任罪になる場合があり得ると、こうなってくると、その銀行の人と吹原との背任の、場合によると共犯関係ということもそこで成立してくる余地がなきにしもあらず、あるかもわからない、こういうことも考えられてくるのじゃないですか。
  57. 津田實

    政府委員津田實君) 一般論といたしましてはそういう場合もあり得ると思います。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうないわば共謀による背任関係がかりに成立するかもわからない。私は成立するということは決して断定しません。それは今の段階でそういうことも言えるものでもありませんから、一般論としての話になってくるので、これは誤解を招くといけないんですが、そういうふうになってくると、それをまあカモフラージュするというか、先手を打つというか、いろいろな形で糊塗するためにというか、本件告訴が行なわれたのではないか、こういうふうなこともこれは考えられてくると、私はそう思うんですが、これについては、いまあなた方の返事を聞いても、それは意見の問題ですから、それ以上のことは聞きませんが、あるいは聞くのがほんとうかもしれませんが、私はそこまではあれしませんが、どうも私はその点が疑問になってまいります。  それから別のことになるんですが、本件に関連をいたしまして、通知預金証書を持っていったときに、ある有力な当時の人、今の代議士の、念書というか、あるいは印鑑証明というか、そういうものをほかに持っていってそして金を借りたというようなことが巷間伝えられているわけですが、そこで、逮捕状請求する前において、いま伝えられておる人、念書を書いたとか印鑑証明をあれしたとか伝えられている人に対して、その間の事情検察庁として聞いたことがあるんでしょうか。
  59. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまの御質問の趣旨は、具体的な人をさしていませんので、必ずしも私としてははっきりいたしませんが、とにかく、告訴がありましてから後、逮捕状を得るに必要な資料の収集は行なっておりますが、いかなる取り調べをしたか、あるいはいかなる証拠収集を行なったかという点については、申し上げかねます。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私もできるだけ抽象的にというふうなことで話したんですが、たとえば黒金泰美代議士の名前が盛んに出てくるわけで、私はこれがどうこうということを今の段階で決して言うのではないんですが、この人が念書を吹原に渡したとかあるいは印鑑証明を渡したとかいうことが伝えられておるのですが、それを持っていって、たとえば森脇なら森脇という人のところへ持っていって金を借りたとか伝えられているわけです。そうすると、告訴が出てから逮捕状が出るまでの間に、黒金なら黒金を取り調べた——ということは私は言いません。その間の事情について聞かれたということはあるんですか。
  61. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま申し上げましたように、告訴がありました後の捜査活動につきましては、ただいまのところ申し上げることを差し控えたいと思います。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、その人が呼ばれて事情を聞かれてどういうふうに答えたかということについては、これは捜査の秘密の問題ですから、私はそれは聞きません。だから、私は、取り調べるということばは使わないんです。そうじゃなくて、事情を聞かれるとか、来てくれと呼ばれたことがあるのか。そういう事実があれば、あったということをはっきりさしたほうが、いろんな面で御本人のためにもかえっていいんじゃないか。あるいは、そういう事実がないというようなことを言ったかもわかりませんけれども内容についてはぼくは聞かない。そういうような事実があったかなかったかということなんですが、それは捜査の秘密とかなんとかいうことで言えないということですか。
  63. 津田實

    政府委員津田實君) 捜査の進行の過程におきましていかなる人を取り調べたかどうか、あるいは取り調べないでも事情を聞いたかどうかということにつきましては、ただいまの段階においては本件に重要な関係がございます本件の将来の捜査に対する影響を考慮いたしまして、申し上げることを差し控えたいと思います。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私はいまできるだけ名前を出さないでお聞きしていたんですが、ぼくが聞いたのは抽象的でわからぬというので黒金さんの名前が出てきて、たいへん失礼なんですが、そうすると、いまの刑事局長の答弁では、私が聞いたそのこと、念書を入れたとかそういうふうないろんな問題については、本件について重要な関係があるから答えられないというふうにいまお聞きしたわけです。そうすると、いま私が質問した念書の問題、印鑑証明の問題、これらは本件捜査に重要な関係があるからここでは答えられないんだと、こういうふうなことになるわけなんですか。
  65. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまのお問い返しの点は、そうではありません。そう申し上げたのではありません。告訴を受けましてから後、いかなる人を取り調べたとか、あるいはいかなる人について事情を聞いたかということにつきましては、将来の捜査に及ぼす影響を考慮いたしまして一切お答え申し上げかねるということを申したのでありまして、だれを調べたからどうである、何を捜索したからどうであるというふうに申し上げたわけではありません。全く抽象的に申しているわけであります。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっと話が別のことになるんですが、大蔵省としては、いまの二十億円と十億円、三十億円の通知預金証書を出したことは事情説明されましたが、銀行側説明を聞いたことの報告はいまあったわけですが、それについてはどういうふうに考えるんですか。非常に何かこう、たとえばよくわかないとか、おかしいとか、それからまた異例のことだとか、そういうことはふだんないことだとか、いろいろありますね。きわめてまれな異例なことだということなんですか、こういうことは。
  67. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 非常に異例に属することだと思います。ただ、銀行側説明をそのまま全部お話しはできませんが、吹原なる人物が人を信用せしめることにおいてかなり巧妙である。ですから、相当用心深いはずの銀行でもこういった間違いをおかすに至ったのであるというふうな、一つの銀行側の釈明でございますが、そういうふうに聞いております。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和三十五年の二月十日、ちょっと古いんですが、栃木県の真岡市にあるデパートの建設資金の問題をめぐりまして、高松という人が警視庁に吹原を背任、詐欺、文書偽造で告訴したことがありますか。
  69. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 告訴されております。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どういうことですか。
  71. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 昭和三十四年の十二月十七日に、警視庁の捜査二課に、栃木県真岡市に在住するTから、吹原が真岡デパートの資金調達等について詐欺をしたという告訴がありました。
  72. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっと聞き漏らしたのですが、三十四年ですか。
  73. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 四年です。
  74. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 三十四年のいつですか。
  75. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 十二月十七日です。
  76. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 告訴が出て、その事件はどういうふうになったのですか。どの程度事件なんですか、ちょっとはっきりしないんですけれども
  77. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) これは、警視庁が任意で捜査をいたしまして、三十五年の五月二十六日に検察庁に送付をいたしております。
  78. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、あれですか、真岡デパートの建設資金で、Tという人が、これは高松という人ですが、それが吹原に何をされたということなんですか。
  79. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 真岡デパートの資金調達等について詐欺をした、こういう告訴であります。
  80. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、具体的にどういうような詐欺であって、その結果として警視庁はこれについてどういうふうな意見をつけて送ったわけですか。
  81. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 意見内容についてはちょっと申し上げかねます。一応送付を五月二十六日にいたしたということでございます。事件内容についても申し上げかねます。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 意見というのは、告訴事件ですから、警察としては意見をつけないでそのまま検察庁に送るのが普通だと思うんですが、あるいは、意見をつけても、詳しいことはつけないんですが、三十五年五月二十六日に東京地検に送られて、この事件が具体的にはどういうふうになったんですか。これは警視庁のほうへ、だいぶ前のことですから、処分結果の通知が当然あったのじゃないですか。
  83. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 私のほうから申し上げるのは筋が通らないかもしれませんが、一応聞いておりますことは、起訴猶予になったと聞いております。
  84. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 起訴猶予になったときに、告訴人側には自民党のある元代議士が奔走されて、それから吹原のほうにはいま話題になっておる方がそのときに奔走をされて、そこで事件が示談というかついて不起訴になったというふうなことではないんですか、そういう点は警察なりあるいは法務省なりはそこまではわからないわけですか。
  85. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまの事件は、いま手もとに資料がありませんので、私は承知いたしておりません。
  86. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、ことしの四月二十二日の毎日新聞の記者座談会の中に、黒金氏自身が話したというふうなこととして出ているわけですね。「栃木県の用地問題で、コタゴタしたのを間にはいって話をつけてやったことから感謝され接近してきた。」と、こういうことがこの中で同氏が言ったこととして出ておるから特にお聞きをしておるわけですが、あまりそういうことをお聞きしますと、個人の名誉に関しますから、この程度にするわけですが、いずれにいたしましても、いま言ったようなことで告訴をされて、これがいずれにしても示談がついて起訴猶予になったんだと。  一体、吹原という人は、これはどんな人なんですか。そこはどうなんですか。
  87. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 仰せの趣旨は、犯罪経歴と申しますか、逮捕歴等のことではないかと考えるのでございますが、個人のそういうような事項につきまして申し上げることは差し控えたいと思います。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、逮捕歴とか何かを聞いておるのではないので、経歴はどうなのかと聞いておるんです。そう先回りしなくてもいいですよ。
  89. 津田實

    政府委員津田實君) 吹原の経歴につきましては、いま承知いたしておりません。
  90. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大要の経歴ということが当然わかっているんじゃないですか。それを述べることが、その人自身がまだ犯罪を犯したかどうか確定しているわけでもないから、人権問題に関係するということであれば、何も犯罪歴まで私は聞くのではないですけれども、これはぼくのほうで調べてわかっているのですが、それはあえて出しません。ただ、どういう経歴の人かという程度のことはわかっているんじゃないですか。
  91. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま、経歴については、正確に聞いておりませんので、わかっておりません。不正確なことはちょっと申し上げるわけにいきません。
  92. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 吹原産業株式会社というのができていますね。これはどういうようなことをやる会社であるということは、これは当然調べられているわけでしょう。その点はどうですか。
  93. 津田實

    政府委員津田實君) 捜査の結果については、私はいま資料を持っておりません。でありますから、わからないのであります。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 捜査の結果を聞いておるのではないんですよ。吹原産業という会社があるんだ。そこの社長がいま逮捕され、勾留されていろいろ問題になっているんだ。その会社はどういうような会社であるのか、そういうことを聞いておるので、その会社にだれが関係しているかということは聞いていません。そこまで気を使わなくてもいいですよ。それほどまでにあなた方が人権問題だ人権問題だといって吹原氏の——ぼくは吹原氏ということばを使ったのですが、そういう人の前のことがどうなっているかどうか、そういうことについてあなた方は述べられないわけですね。ぼくはそれはそれでいいと思うんですよ。それなら、あらゆる場合にそういう人権を尊重するという態度を貫かなければ私はおかしいと思うんですよ。本件がある政府筋のいろいろな方に関係するかもわからない、だからここでめったなことをしゃべってはあとでたいへんなことになるんだと、そういう考慮から奇妙に人権問題だ人権問題だという形でそれを尊重されるということはぼくは公平を失する、こういうふうに思っているんですよ。吹原産業はどういう会社かということを聞いたって、これは別に人権問題に関係ないじゃないですか。犯罪の捜査と直接関係ない。どうこうしたからといって、何も犯罪の捜査に支障があったり、証拠隠滅になるわけではないんじゃないですか。
  95. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま仰せのことはまさにそのとおりでありまして、吹原産業が何をやっているかということは登記簿の謄本を見ればわかることであります。しかしながら、現在吹原を逮捕いたしまして勾留をいたしまして、限られた期間にとにかく捜査を完了しなければならぬ。したがいまして、その吹原産業が何をやっているということを一々私のほうへ地検のほうが報告してくることはない。その意味においては私は存じないということでありまして、決してその点に触れることがおかしいから触れないんだ、そういうことは絶対にありません。  それから逮捕歴、前科につきましても、席によりましては申し上げていいんですが、公開の席では申し上げられないということでありまして、全部調べております。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、私は、何も吹原という人の逮捕歴がどうだとか、あるいは前科がどうだとかいうことを聞いていないんですよ。私はいままでそういう質問をしていない。それは私も注意してしゃべっているんですよ。あなたのほうにそういうことを言わせようと思ってやっておるわけじゃない。決してそんな変なふうにとらないでほしい。あなたに言わせると、そういう地検のほうからこっちに報告がなければ答えられないというのは、話がおかしいじゃないですか。これだけ国民の間に疑惑を招き、国会でも問題になっていることですから、地検から報告があろうがなかろうが、法務省自体として当然集めるべきものは集めて答えるのが私は筋だと、こう思うので、登記簿の謄本をとるくらい何でもないわけですよ。日本橋の出張所でとってくればとれるんです。ぼくはとってきて、ここにありますけれども、その間ずっと何回か増資して目的を変更してやっておるわけですから、別にこのことがどうこうという問題ではないと思うんです。  そこで、吹原産業という会社ができたのが昭和三十七年の八月二十八日に定款の認証、昭和三十七年の八月二十九日に募集株式の申し込みが行なわれて、三十七年の九月四日に創立総会が行なわれたわけですが、この募集株主の中には著名な方がお二人入っておられるわけですが、これはどういう関係でこの会社に関係されるようになったのか、こういう点については、これは世の疑惑を解くためにも、当然私は事情の聞き取りが行なわれてしかるべきだと、こういうふうに思っているんです。取り調べだとは言わないですよ、私もことばは注意してしゃべっていますから。ただそういう関係の事情の聴取は当然行なわれてしかるべきものではなかろうか、こういうふうに考えておるのですが、その点についてはいままでどういうふうになっておるものか、これはおわかりになりませんか。
  97. 津田實

    政府委員津田實君) その点はわかっておりません。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、本件捜査というか、そうしたものに全然関係がないことなんでしょうか。場合によっては何らかの関連——何らかの関連という意味は誤解を招くかもしれませんけれども、全然関係がないというふうなことが言えるのかどうか、そこら辺のところは論議の余地があるのではないかと思います。そこはそこら辺のことにしましょう。ただ、関連ということばの内容にもよるのですが、国民はそういういろいろな形で疑問に思っておる。この会社になぜ著名の人が二人も名前をそろえて株主になっておられるのか、こういう点について非常に疑惑を持っているわけですから、むしろその事情を聞かれて明らかにされたほうが、これはその方たちのためにもいいのではないかと、こういうふうに考えているのですが、それは別の議論になるかもしれません。  それから藤山愛一郎氏が何か三億円だか手形を詐取されたということで告訴するとかしないとかいうことを藤山さんが記者会見をされて言われたということが伝えられておりますが、この関係の告訴は出ているのですか、どうなっているんですか。
  99. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまのところは、さような告訴はないと考えております。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 聞くところによると、きょうその告訴をされるということが一部に伝えられているんですが、いまのところではないと。  そうすると、記者会見で藤山さんが三億円の手形を詐取されたということが言われているのですが、その告訴がまだ出ておらない段階ですから、ここで多くの議論するのはいかがかと思いますが、あの藤山さんの言われたとおりであるとすれば、藤山さん自身が三億円の融通手形を振り出したということになるのじゃないですか、これはどうですか。
  101. 津田實

    政府委員津田實君) その点は全くわかりません。テレビ等で聞いたことはありますが、内容はわかりません。
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 藤山さんが詐欺にあったかどうかは別として、あのとおりとすれば、藤山さんが融手を発行したということになる。どうもこれはあれだと思うのですが、いずれにいたしましても、いま言ったような形で、きょうはほんの一部分のことで私の疑問に思っている点を聞いた程度でして、すべてが捜査中の事件であるし、いまの段階では私はきょうはこの程度にして、また問題の発展につれて問うべきものは問うて、そうして国民がこの問題に対して持っている疑惑を明らかにしていきたい、こういうふうに考えております。  きょうは、私はこの程度にします。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 法務次官は出席されないのですか。実は、私はいま刑事局長の答弁を聞いたのですが、法務委員会のわれわれの任務を果たせるかどうかということは非常に疑問に思うんです。ほとんど捜査上の秘密に属するから知らぬ存ぜぬ、これでは当委員会の国民に負っている任務を果たすことが非常に困難になってくるんです。その意味で、実は法務大臣は病気だそうですから、法務次官、これは間に合いましたらぜひ法務次官を呼んでもらいたい。といいますのは、この吹原産業事件というのは、ただいま稲葉委員からも話がありましたように、国民は非常に疑惑を持っておる。しかも、どんどんこれに対するいろいろな情報が流されているのですが、この問題を国会ではまるで国民からつんぼさじきのようなかっこうでここで質問を継続している、こういう形は非常にみっともない感じがするんです。むろん捜査上の秘密という問題はありましょう。その問題にあえて立ち入るという考えはないのでありますが、今日むしろ進んで法務省が国民に対してやはりこの問題を徹底的にやるんだ、そういう態度を明らかにすることが必要だし、それからことにこの中で問題になっているのは、これは政党との関係の問題が問題になっているんです。いままでもずいぶん政界の汚職は、たとえば昭和二十三年の炭鉱国管事件、これも、政府の要人、政党の相当の幹部が関係しておったが、これはうやむや。昭和二十八年の造船疑獄、この問題では、もう政界の中で今日首班として活動しているそういう人たちも関係しておって、大きな問題になったが、これは指揮権発動でうやむやになってしまった。それから最近では東海道新幹線の汚職事件がある。この問題もうやむやです。こういうかっこうで、いつでもこのような問題の追及が竜頭蛇尾に終わってしまうということでは、政治に対する、国会に対する国民の信頼というものが全く地に落ちてしまう。ですから、そういう意味から私は質問するんですが、むろんわれわれはいろいろな情報を手にしている面もあるし、いない面もあります。しかし、政府がそういうふうな何だかわけのわからぬ答弁をしておる間に、どんどん巷間ではそういうことが行なわれておる。  その点から刑事局長に最初に伺いますけれども、どうなんですか、いままで稲葉さんに対する御答弁があったんですけれども、ずいぶん私はいままで委員会にタッチしてまいりましたが、さきの刑事局長の場合は、捜査中の問題でも、それに対して捜査の機密をそこなわない程度であれば、相当のことを話をしておったと思うのです。あなたのいまの御答弁を聞いておると、何も知らね存ぜぬ、これでは委員会の権威に関するんですよ。この点について最初にまず伺っておきたいんです。これは法務省の見解としてさらに法務次官からも伺っておきたいと思う。法務省は一体どういう態度だ、この問題について徹底的に真相を明らかにするという態度なのか、この問題はどうなんですか。
  104. 津田實

    政府委員津田實君) 本件は、先ほども申し上げましたように、三菱銀行吹原弘宣に対する告訴事件として起こってまいっております。で、告訴事件捜査という意味におきまして、これはもう厳正に行なうべきものということであり、現在勾留して鋭意捜査に当たっておるわけであります。したがいまして、この事件が、犯罪があり、刑事責任を追及すべきものとすれば、相当の処分がなされることは当然であると思います。現在は、本件捜査検察庁は全力をあげておるという状況でございます。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどの質問の中に、たとえば黒金前官房長官について、取り調べということばをあえて稲葉委員は使われなかったわけですが、事情聴取ぐらいのことをされたかされないかと、こういうことについて、全く知らぬ存ぜぬという御答弁ですが、こんなことは私は当然答弁していいことじゃないかと思うんですが、それもだめなんですか。そういったことでこの委員会の質問を続行するということは非常にまずいと思うんですが、どうですか。
  106. 津田實

    政府委員津田實君) 現在捜査中の事件につきまして、だれそれを取り調べとか、また、どういう捜査方法をとっておるかということは、これは捜査の将来に及ぼす影響が非常に重大でありますので、申し上げることを差し控えたい、こういうことであります。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 そう言っておるけれども、たとえば、最近の新聞に事情聴取の問題が出ておるじゃないですか。大きく出ておりますよ。一面の中に非常に大きく出ておる。これをごらんになっていないんですか。こういうことを知らないで、そうして世論に対して全然無関心でこういう問題を追及できるとお考えですか。どうなんですか。御存じないんですか、御存じあるんですか。新聞記事にはっきり出ておる。
  108. 津田實

    政府委員津田實君) この件につきましては、新聞、テレビ、ラジオ等、いろいろなものにいろいろなことが取り上げられております。おおよそのことは大体私も承知いたしておるつもりであります。また、捜査内容自体におきましても、随時報告を受けておる面もありますので、承知いたしておりますが、先ほど申し上げましたような意味におきまして、申し上げることを差し控えたい、こういうわけでございます。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ私はあなたの立場をわからないわけじゃありませんが、ことに政界との関係、政党との関係というものになるというと、あなた自身の身分の問題なんかとも関係なしとは言えない現状だ、日本のいまの政治の状態は。そういうことを知っていますから、そういう点を無理を言うつもりはないのでありますけれども、けさ方の新聞で国民がもうみな知っている問題が、ここの委員会ではいまのような答弁をされて済むとお考えになっておりますか。これでは国会の審議そのものの権威にも関するんですよ。新聞はお読みになったでしょう。新聞の知る前にあなたたちがこの問題に関知して事情聴取をしたかしないかぐらい答えられないというのは、これはおかしいじゃないですか。あの新聞の記事というのは全くのでたらめということになるんですか。これはどうです、あらためてお聞きしたい。——あるでしょう、事情聴取の事実は。
  110. 津田實

    政府委員津田實君) 捜査につきまして、いかなる取り調べをし、また、いかなる捜査をいたしたか、あるいは、どこの捜査をいたしたかということにつきましては、将来の検察運営に差しつかえますので、申し上げることを差し控えさしていただいておることは、これは従来どおりでありまして、この件に関してだけそれをやっておるわけではありません。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 委員長もお聞きのように、国会の論議というのはおかしいことになるわけですよ、世の中ではもうほとんど公然の事実みたいに行なわれているそういうものに対して国会自身がいまのような答弁を繰り返していては。事情聴取をしたということが、それほど捜査に対して大きな影響を持つんですか。国民の世論の前に立ってあなたたちは同時にやらなければならぬ。検察のむろん権限の問題もあるでしょう。しかし、国民の世論というものは決してこれを無視していいわけじゃない。それをごまかすことはできない。そして、新聞がはっきり伝えておるこういう公然たる事実を、ここではそういう事実について答弁ができないなんて、これは答弁してそれで捜査の不利になるとか何かそういう問題があるんですか。これこそおかしいじゃないですか。こういう形では、検察の秘密主義、これはきわまれりと言われてもしょうがない。これは、国民の世論の上に立って、この真相を徹底的に明らかにする、そして、日本の政治の一大汚点になっている長年続いている政界の腐敗、堕落、汚職、こういうものとのつながりというものを明らかにせぬと、いまの法務省検察に期待することはできないと言われてもしかたがないんじゃないですか。どうなんです。この秘密主義そのものに対しては権力からの声があまりにあり過ぎる。もっとほんとうにあなたたちの判断であくまでも真実を明らかにするというような態度でなければならぬ。そういう態度とは必ずしも言い切れない。私が先ほど例にあげた造船疑獄その他の疑獄の場合、必ず政府の高官が関知している場合には、もみ消し運動が行なわれて、そしてうやむやのうちに問題が消えてしまう。検察に対する国民の信頼というものは非常に地に落ちていますよ。そういう点から私はお聞きしていますが、いまの問題はあくまでもそういうふうに言われるのですか。
  112. 津田實

    政府委員津田實君) 検察といたしましては、当該被疑事件内容を明らかにし、それを起訴し、あるいは起訴猶予にし、あるいはその他の許されている処分を行なってその職務を遂行することが検察の第一義であります。したがいまして、本件がどういう推移になるか私もわかりませんが、かりに裁判によって——将来裁判に付せられるならば、裁判の過程においていろいろなことは明らかになると思います。しかしながら、その正当な裁判請求するために現在捜査活動を行なっておるわけでありまして、その捜査活動に支障があることを申し上げることは本来の検察機能をそこなうことになるわけでありますが、その意味において申し上げることを差し控えたい、こういうふうに申しておるわけでありまして、この事件をうやむやにするために秘密にして申さないというのではありません。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、あらためてお聞きしておきますけれども、あくまでこの事件については徹底的に究明するという覚悟を持っておられますか。これは刑事局長としての範囲の御答弁になると思います、ここに法務大臣おりませんから。これはどうですか。その覚悟のほどをまず伺っておきたい。
  114. 津田實

    政府委員津田實君) もちろん、法務省といたしましては、この事件については徹底的に厳正な捜査活動を行なうべきものと考えておりますし、検察庁自体もその考えをもって捜査に従事しておるわけでございます。そのことははっきり申し上げることができます。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 いかなる政治的圧力、それからいかなる権力の圧迫にも絶対にこれはそういうことを顧慮しない、はっきり検察の機能を発揮するんだ、そういう立場に立っておるということをあらためてここで御答弁できますか。
  116. 津田實

    政府委員津田實君) それはもちろんそのとおりでありまして、過去の検察の実績から申しましても、いろいろな方面の人で責任のある人についてこれを起訴し裁判を求めている事例は幾多あるわけでございますので、本件がその例外になるわけではもちろんありません。本件につきましては、先ほど申し上げましたように、厳正な捜査を行なうべく検察庁においても努力をいたしておるわけでございます。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、当然そういう立場に立つとすれば、国民の世論に聞かなくちゃならない巷間行なわれておるいろいろな情報があるわけですが、そういう問題について少しただしておきたいと思う。もっとも時間があまりないようでありますから、きょうは私もそんなに時間をとろうとは思いませんけれども、先ほど、吹原の前身について、この人の経歴ですね、こういうことについてはお答えがないということなんですが、これについては巷間でどういうことが言われておるかということは御存じでしょう。これはいかがですか。
  118. 津田實

    政府委員津田實君) 新聞紙上等において前歴については報道されておりますので、その報道されていることは私も承知しております。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは、御承知になって、同時に確認されておるわけでしょうな。そうでしょうな。この新聞紙の報道が間違いだとか、そういうことにはお考えになっていない——このとおりでしょう。
  120. 津田實

    政府委員津田實君) もちろん調査をいたしておりますが、前歴の点につきましては公開の席上ではお答え申し上げることはできません。
  121. 石井桂

    委員長石井桂君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  122. 石井桂

    委員長石井桂君) 速記を始めて。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、いままでの審議の中で、これはおかしいですね。私たちは、これは告訴、告発される場合でしょうけれども、そういう場合には、ちゃんと前歴についていろいろ聞いております。今度の態度だけは特に変わるのですか。三光の丸山君が殺されたわけですね、これでその犯人とおぼしき人について私は質問しておる。そのとき、竹内前局長は、はっきり答えております、こういう前歴だと。この場合だけは、吹原だけなぜ顧慮しなければならぬのですか。だれも疑惑を持ちますよ。こういうことでは、この審議の公正も期しがたい、同時に検察の公平の立場も期しがたい、こういうことになりますが、いかがでしょうか。
  124. 津田實

    政府委員津田實君) 前にどういう前例があったかは私は承知いたしませんが、前歴については、ごく最近の公知の事実については申し上げますが、過去のものにつきましては、公開の席でない席で申し上げたい。申し上げることを差し控えるのではありません。公開の席でだけ申し上げないというふうに申し上げたいと思います。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前、公開の席上の、昨年の六月何日か、私記憶がいま日にちまで覚えておりませんが、ちょうど先々国会の終了のときにこの問題を私はやりました。三光の丸山事件、その犯人とおぼしき被疑者、これについての前歴を聞きましたら、はっきり答えております、刑事局長は。だから、どうもおかしいのでこういうことを聞いておる。  これは公開の席上も何もない、公開になっていることですから、私は聞いていいと思うんです。三十一年二月、家屋の権利書、譲渡書詐欺、九百万円の問題で逮捕されたほか、作業服、手形詐欺などで十回以上も逮捕された、そのうち四回起訴された、こういう事実があるんですけれども、これはお答えできないというんですか。
  126. 津田實

    政府委員津田實君) 最終の最近の事実、すなわち、東京地方裁判所におきまして昭和四十年一月二十八日、詐欺及び横領罪によりまして懲役三年、執行猶予五年を吹原が受けた、それは本年の二月十二日確定しておる、この事実はここで申し上げます。しかしながら、それ以前の前歴につきましては、もうすでに年月もたっておることでありますので、これを申し上げることは、本人は被疑者でありますけれども、公開の席で申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 吹原の前身の問題で、満州から引き上げてきたんですか。その後、いろいろな仕事をしたが、うまくいかなかった。しかし、北海道の洞爺丸ですか、このときの風倒木、この払い下げ問題で非常に利ざやをかせいだ、こういうことで、それから産をなしてこういうような仕事に拡大している、こういうことがもっぱら言われておる問題ですね。こういう問題については調査をされておるんですか、おらないのですか。この点をお聞きしたい。
  128. 津田實

    政府委員津田實君) 私は、その点は承知しておりません。ただいま申し上げましたように、本件については、告訴事件によってただいま鋭意捜査をいたしております。したがいまして、その告訴事件の関連において必要があれば当然検察庁は捜査する範囲に属すると思いますが、ただいまそれの点について捜査をいたしておるかどうか、私は承知いたしておりません。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 突然のことでありますから、十全に準備をされてこないのかもしれませんけれども、とにかく私たち一番この国会の論議の中で問題にしたいのは、やはり国民がどう見ているか、国民の世論がどうなのか、そうしてしかも国会の外ではどういう一体情報が行なわれているのか、こういうことから無関心でどのような一体ほんとに捜査ができるかというんです。どんどんどんどんそういうものを取り入れて、そういうものをはっきり使って、そうしてさらに徹底的な追及をするんでなければ、検察の態度としては私は非常に不十分だと思うんです。だから、風倒木の問題では、一体どのような手続で払い下げを始めたのか、そのときだれが媒介をしたのか、そういうふうな問題について当然調査をされると思うんですが、そうでしょうな。いかがです。
  130. 津田實

    政府委員津田實君) 先ほど来申し上げておりますように、本件三菱銀行告訴によって捜査をしておる事件で、当面糾明をしなければならぬのは告訴事実でございます。したがいまして、告訴事実の糾明に鋭意努力をいたしておるわけでございますが、関連事件について——関連事件と申しますか、関連問題についてどの程度捜査が及ぶかということは、いま予測することはできません。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、関連捜査は普通の場合はやっているじゃないですか。ことに民主団体の場合なんかだったら、何か事件が起こると、必要もないことをものすごく調べるというのがいままでのやり方です。だから、いまのような御答弁でなかなか私たちは承服できないところがあるんで、やはり徹底的に国民の疑惑の中にあるんだから、これは明らかにすべきです。これは次の機会になると思いますけれども、こういうことを要望しておきたいと思うんです。  その次に、政財界との結び付きについて、先ほど来、黒金元官房長官の名前が出ました。そのほか、大平前外相の名も出ておるんですね。それから藤山元外相、それから宇佐見現日銀総裁との関連、こういうような問題ですね。ことに、黒金氏との関係は、仙台の国税局長時代からの結び付きが非常に深い、こういうようになっているんですが、この辺に事件を追及していくために必要な一つのかぎがあるというふうに考えられるんですけれども、こういう問題についてはどうなんですか。
  132. 津田實

    政府委員津田實君) 本件に必要な範囲においては、証拠を収集する上において十分捜査をいたすことになっておりますので、その必要な範囲においてはどのような面に関しても捜査が行なわれるものと確信いたしておりますが、具体的にどういう捜査が行なわれておるか、私は承知しておりません。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 ついでに、次にお聞きしますが、黒金氏は、現在野村証券の奥村会長のもと住んでおられた家を買って住んでおられるということを巷間の情報として聞いております。それで、そのときの邸宅の移譲登記に関する印鑑が、ちょうど吹原が今度利用した黒金の印鑑証明と同じものだ、こういうことが言われておりますけれども、こういうような問題については、今後これはどうしても追及されなければならない問題だろうと思いますが、いかがですか。
  134. 津田實

    政府委員津田實君) 本件捜査に必要な範囲においては、十分捜査されるものと思います。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも巷間で言われておることですが、吹原は、昨年七月の自民党の総裁選挙に十三億の金を出しておるということが巷間言われておりますが、これはいかがですか。
  136. 津田實

    政府委員津田實君) 本件捜査に関連がありまして必要な範囲においては十分捜査が行なわれるものと思いますが、具体的のただいまの御質問の点がどういうことに関連があるか、そういう事実があったかなかったかという点については、私は何もわかりませんし、いまお答えすることはできません。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題も、明らかにしなければ、政治的責任としては非常にまずい問題で、検察の軽重を問われる問題だと思うのです。先ほどから申し述べましたように、こういう点を国民の前に明らかにすることは、日本の政界の粛正のためにも必要です。ことに、東京都でああいう事態が起こっておる。その東京都の問題は、問題になって大地震になっておる。しかし、それ以上の手本を示しておるものがあるんじゃないか。ここに国民の疑惑の目が向いているんです。こういうことを考えておるときに、東京都の問題以上にその根源をただすという、そういう立場を検察当局としては当然とるべきだと、こう思いますが、いかがですか。
  138. 津田實

    政府委員津田實君) 捜査の関連において、非違があり、刑事上処分すべき問題につきましては、検察庁としては厳正にこれを行なう覚悟であります。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 吹原の経営の中に、吹原冷蔵株式会社、資本金十数億円というのがあって、その中には、池田勇人夫人が監査役名義で関係している、そういうふうに聞いておりますけれども、こういう問題についてはいかがですか。
  140. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまの点は、承知いたしておりません。
  141. 石井桂

    委員長石井桂君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  142. 石井桂

    委員長石井桂君) 速記を始めて。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 銀行局長にお伺いいたしますが、三十億という巨額の金を一支店長通知預金証書を発行する、こういうようなことは、一支店長の権限としてはだれも了承することはできない。あなたの先ほどの御答弁でも、これについてはどうも異例のことだ。われわれもびっくりしているんです。私は、ゆうべも町に行って、町の商人の人たちと懇談会をした。三十億という金は、たとえばいま中小企業が倒産している。そうすると、かりに百万円ずつ注射をするならば、これはずいぶん生き返るのです。三千人を救済できる金なんだな、考えてみれば。三千人ですよ。いまの倒産を目前にしてかつてない有史以来のこういう苦しい状況の中であえいでいる人に百万円の金を融通してやれば、三千人を救済できるほどの金です。しかも、吹原産業のこういうような事件というようなもの、これは異例だと言いますけれども、これに類した事件がたくさんあるんだというふうに思います。政財界の上層部に流れている空気というものは全然庶民階級の下には当たらないのだということが何よりも立証しておるのじゃないかということで本件は非常に重大だと思うんです。私は、そういう点から考えて、これについてはよほど圧力があったのか、あるいは何か反対給付がなければならないはずだ、こういうふうに考えられるわけですけれども、こういう点について銀行局長さんはどういうふうに調べておられるのですか。異例なことだというだけでは私たちは済まない問題だと思うのですが、いかがですか。
  144. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) これは、もうおわかりのことだと思いますが、三菱銀行がこれは金を貸したんではない。もちろん預金を預けるものだと思って預金証書をだまし取られた、こう言っております。三十億という金は確かに巨額でございます。支店預金等と比べても非常に大きいことは争う余地がございません。しかし、通常預金業務に関しては、内部手続といたしまして、何ら本店の許可その他を要しません。権限の問題として申し上げます。ただ、実際問題として、三十億は非常に大きから、それを一人支店長限りでやったのだろうかという疑いがいろんなところから寄せられるということは私もわかります。しかし、この件について銀行側から聞いた説明によりますと、支店長が交代いたしまして、交代期間が二週間くらいもあるわけでございます。その間に起こった事件であります。そうして、吹原という人がこの長原支店個人預金をある程度まとまって持っておった。いわば上得意だった。支店としてはそういう感じだった。そういうことで、あいさつに行ったときに、近いうちに、お祝として、二人のための栄転祝として大きな預金を短い期間ではあるが預けてやろう、こういうふうな話があった。こういう話は、そうでなくても予告みたいなことがあって、実際になかったという例も金融界には間々あるようでございますが、この場合には、どうもほんとうらしいというふうに思い込ませたわけでございます。そして、それが、先ほど私が申し述べましたように、吹原自身が振り出した小切手と引きかえに証書が発行されるに至った。このときにおきまして、そういう支店長、あるいは次長、その下の係長等が関係しておりますが、それらの間に何か錯覚におちいってあまりにも相手を信用し過ぎたという手落ちがあるように考えられますが、まあ銀行の申し述べておりますところの事実をそのまま申し上げれば、いまのようないきさつでございます。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたが十分に調査されておられるかどうかわかりませんけれども、錯覚におちいったというのですが、この錯覚というのは、錯覚を起こさせたものがあるのじゃないですか。少なくとも、支店長が交代時期で、いわば空白みたいな時期だ。その間に、留守を預かる者が、そんななれ合いのことでそれを信用して三十億を、貸したのじゃありませんが、しかし、入るということを前提として有力な通知預金証書を渡してしまう、こういうことはできるのですか。一支店長の権限でこれはできるのですか。三菱というのはそういうことになっているのですか。大蔵省銀行局というのはそういう点についてどういう監督をやっておるのですか。この点はだれでも疑問を持ちます。だから、いまのような御答弁でまかり通ることができると考えたら、たいへんな間違いじゃないか。どうなんですか。とてもそんなことではだれも国民は信用しません。何か政界の上層部では三十億くらいの金というのはそんなふうななにで動いておるんですか。先ほども話したように、銀行局長として御存じだと思います。零細企業なんかの融資の状態というものは御存じだろうと思う。これらについて比べてみたことがありますか、一回でも。国民は信用しません、そういうあれでは。信用すると思ったら間違いです。  現に、こういう情報があるんですよ、これと関連して、昨年、日銀総裁の更迭の問題があった。そのときに、最初は佐藤総理は住友銀行頭取の堀田氏を持ってくるつもりだった。ところが、池田派のどうしても宇佐美氏にしてくれと強い要望があって、そうして結局宇佐美三菱銀行頭取が日銀総裁にきまった、こういうような一つの相当れっきとした情報があります。こういう情報と一体無関係であり得るかどうか、国民は非常にこの点に疑惑を持っておるんです。こういうことについては銀行局長は御存じないかもしれませんけれども、そういう疑惑の目で見ておられるときに、いまのような御答弁では非常にあいまいです。だれも信用しません。どうお思いですか。
  146. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) いまのいろいろ情報なるものについて、私はその事実関係については何ら知っておりません。まあ銀行局としては銀行説明を聞くにとどまるわけでございまして、それ以上に事実関係がどうであるかということは捜査の結果にまつほかないと思います。ただ、一点、私ども銀行言い分もあるいは事実かなというふうに感じます点は、銀行自身告訴をしておる、吹原を相手どって。証書を無効ではあると言っておりますけれども証書を詐取されたという点で告訴を行なっておるわけでございますから、これは詐欺ということの前提に立ってしか行ない得ないわけであります。いろいろと事情を知ってやったということになれば、詐欺で訴える資格はないと思いますが、銀行告訴してくる事実から見ると、いろいろ理解しがたい、一般的に理解しがたいようなできごとでありましても、確かに吹原という人物のいろいろの巧妙な手段に幼惑されてこういう事件ができてしまったのであると、そういう言い分にも一つの理屈があるのじゃないかという程度の感じは持っております。しかし、何が事実であるかということにつきましては、捜査当局にお願いする以外にございません。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまのような答弁ですが、いろいろ銀行局長さんの立場として捜査の問題まで立ち入れないことは明らかです。しかし、銀行局長としての身分からいって、いまのような事態が起こったことについてどういうふうにお考えですか。わざわざ大蔵省銀行局長を置いて銀行を監督しておるわけですね。こういう事態が起こったのを、いまのような答弁だけされておって——今後の問題でしょう。今度の問題が、今後の銀行の運営なら運営について大きな警告にならなければいけないと思うのです。その点からの御答弁というのが少しもないというのがふしぎだと思います。しかし、ここで追及しても、時間の関係から時間がかかりますからやめておきますけれども、そういう点についてはそれではいけません。もう少しあなたのやっぱり職責の上から明確にすべきだと思います。  吹原産業事件についてはこのくらいにして、次の問題に移りたいと思います。
  148. 石井桂

    委員長石井桂君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  149. 石井桂

    委員長石井桂君) 次に、ロストウ氏来日時の抗議デモ等に関する件について調査を行ないます。岩間君。
  150. 岩間正男

    ○岩間正男君 警察庁の警備局長に伺いますが、この二十二日、それから二十三日、全学連の諸君が、ロストウが日本にやってくる、これに対して反対の抗議デモを行なった、このあとでいろいろな事件が起っているわけですね。これについて実情をおつかみになっていらっしゃると思うんですが、ここで起こった問題についてどういうふうにつかんでおられるか、お伺いしたいと思います。
  151. 秦野章

    政府委員(秦野章君) ロストウ氏来日の阻止闘争というものが全学連によって行なわれたのでございますが、二十二日の羽田着の際、それからいま二十三日というお話がございましたが、二十四日の米国大使館前における阻止闘争、この二つが大体私どもいま承知をしておる点でございます。  大体の経過を申し上げますというと、二十二日の分につきましては、かねて全学連ではロストウ来日阻止闘争ということで闘争参加を呼びかけて、ビラの配布とかその他動員を呼びかけておったのであります。当日、羽田空港の現場におきまして、第三フィンガーというところの、空港の中の飛行機の着陸をする近くでございますが、ここに午後五時ごろから三々五々集まりまして、百人くらいの学生がのぼって、ここは、空港側と警察側が当時混乱を予想いたしまして、これに対しては立ち入りの制限警告をやったわけでございます。にもかかわらず、ここに百人くらいの学生が集まっておりましたので、これに対して警告をして、それにがえんじませんでしたので、規制をいたして、離れた所に引き離したという問題と、それからいま一つは、空港の外の駐車場の所での問題でございます。これにつきましては、これも六時ごろから続々と集まってまいりまして、しまいには七百人くらい集まったようでありまして、警察としても整理の関係でこの駐車場のほうに誘導いたしまして、ここでは無許可のデモになるような状態で非常に気勢が上がったということでございます。そういう状況でジグザグ行進その他苦若干法な状況が出てきたのでございますが、そういう問題があります。  いま一つは、二十四日の学生のアメリカ大使館に対する抗議行動、これに対しては、当日午後四時五十五分ごろとそれから五時ごろと二回、最初は十名程度、その次は二十名程度が執拗に大使館の方に面会を強要してきたような状況がございます。これに対して警察は適切な規制をしたというふうな報告を聞いております。
  152. 岩間正男

    ○岩間正男君 二十二日のときの警官は、第三、第四機動隊ですか、どのくらい出たんですか。
  153. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 私ども報告を受けているところでは、約八百名程度だったと思います。
  154. 岩間正男

    ○岩間正男君 私服も出ている……。
  155. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 私服も入れてでございます。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 学生は……。
  157. 後藤信義

    説明員後藤信義君) ただいま局長から申し上げましたように、駐車場の所に当初から規制を受けた学生は大体七百名程度でございましたが、ほかにあそこの飛行場の周辺に通じております道路上あるいはあそこの付近に橋が三つばかりございますが、その付近に配置されておった学生等を入れますと、最盛時におきましては約二千名という報告を受けております。
  158. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういうときは学生の数が非常に多くなるわけですな。去年の集会のときは、警視庁発表というのはいつも半分以下だった。  それで、なんですか、装甲車を何台出していますか。
  159. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 私のほうでは警備車と申しておりますが、これは八台持って行っております。
  160. 岩間正男

    ○岩間正男君 私たちの聞いたのとだいぶ違う。十三台と聞いております。  それで、有料駐車場わきをコの字形に囲んで、無差別にバスや電車を降りてくる学生を問答無用、そうしてかこみをつくっておいて、そこの中に監禁したんですか、閉じ込めたんですか、どうなんですか。
  161. 後藤信義

    説明員後藤信義君) その駐車場に学生を封じ込めたと申しますか、そこから出て、空港当局のほうから立ち入りを許可されておらない、つまり立ち入りを禁止されておる状況でございましたが、そこに立ち入って、先ほど局長から申し上げましたように、ロストウさんが着かれるスポットに近い第三フィンガーのほうに最初から百名ばかりの学生がおったわけでございますが、それが規制されて駐車場のほうに行き、合わせて七百名ばかりになったわけでございますが、これらの学年は、その場所において平穏にしておったわけではございませんで、やはり空港のビルの中に入ろうとし、あるいはフィンガーのほうに向かっていこうというような気勢を示し、あるいはシュプレヒコールなどをやっておったわけでございます。これに対しまして、警察といたしましては、当初から、これまた局長が御説明いたしましたように、ロストウさんの来ることを阻止しようという目的のもとに動員された学生でございますので、これを手放しにしておくわけにはまいりません。空港のビルの中に入ることを防ぐために周囲を見張りをしておったという状況でございまして、監禁するといったような状態ではもちろんなかったのでございます。
  162. 岩間正男

    ○岩間正男君 監禁のような状態でないというお話ですが、そのとき警官の暴行で一人の学生が頭を打って、十三針も縫うほどの負傷をしておる、こういう事実があるんですが、これはどうなんですか。
  163. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 私のほうでも一人の学生が負傷したという報告を受けております。それはおそらくこの事案だろうと思うのでありますが、ロストウさんは十時ちょっと前にお着きになって、あそこでステートメントを発表されて大使館に向かわれたわけでありますが、ロストウさんがすでに空港を出られたあとに、もはや学生が空港のビルの中に立ち入りましても危険はないという状況になりましたので、警戒の体制を解いたわけでございます。その瞬間に、なだれを打ったようにして学生が付近にありました四台ばかりの民間の車両を押しやって、そうして出てきたようでございます。その過程におきまして一人の学生が転倒してけがをした、こういう報告を受けておるのであります。
  164. 岩間正男

    ○岩間正男君 転倒してけがをして十三針縫うんですか。あなたたちのほうは事情調査したんですか。後藤さんは現場に行っていないでしょう。行っておりますか。
  165. 後藤信義

    説明員後藤信義君) これは私のほうでは警視庁からの報告に基づいて御説明申し上げているわけでございまして、私は当日現場には行っておりません。
  166. 岩間正男

    ○岩間正男君 後藤さんとしばしば会うのですが、あなたのここでの答弁はいつでも食い違う。われわれ現場で調査したり、あるいは事情調査しても、いつでも食い違う。警視庁の報告だけで、実際どうも当てにならぬじゃないですか。十三針縫うようなそういう負傷というのは、 いま言ったような簡単な説明で起こることですか。
  167. 秦野章

    政府委員(秦野章君) 実は、私は、「アカハタ」の記事を読みまして、負傷したという事実を知ったわけであります。いずれにしても、そういう問題はやはり真相を明らかにせなければいかぬというので警視庁に命じて調べた結果、いま後藤君が説明したようなことなんですけれども、さらに申し上げますと、四台のいまの民間の車を学生集団が押し倒した際に、前面にいた学生の一人がうしろからの圧力によって転倒し、それで負傷した。この負傷者はすぐ警察の救急車で近くの蒲田の中央病院に収容して医師の治療を受けて、その際、医師の診断では、右手首及び足打撲で全治二週間、こういう報告を受けているのでございます。
  168. 岩間正男

    ○岩間正男君 食い違いがありますよ。なお事実をもっとよく調査してもらいたい。  その次に、これは九時四十分ごろですが、ロストウの到着を二十三番ゲートに待っていた約二百人の学生に対して、「空港長の命令が出された」といって強制退去を命じた。これはあなた命令されたんですか。
  169. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 空港側といたしましては、第三者一般の旅客に迷惑を及ぼすおそれがある行為があると思われる場合に、警察のほうに警備の要請を出しておるわけでございます。
  170. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや、私がお聞きしているのは、そういう退去命令を出したんですか。
  171. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 特別に退去命令は出しておりませんけれども一般の警備といたしまして、一般の旅客及び送迎者に著しく迷惑を及ぼすおそれのある者は入場を禁止します、こういう文句を空港ビル会社並びに空港側で出しております。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これはちょっと事実と違うと思うんですがね。退去命令が出されて、そうして学生側はどうもその理由がよくわからない。そういうことで、この理由の説明を求めたところが、これに対して警官が理由の説明をするどころか、逮捕する、かかれ、その号令を出して襲いかかった。そうすると、はっきりしていることは、退去命令を出されていないということですな。これはどうなんです。
  173. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 空港側といたしましては、先ほど申し上げましたように、先ほど申し上げたような者の入場を禁止しますということを前提としておるわけでございます。
  174. 岩間正男

    ○岩間正男君 この学生たちがあのフィンガーに入るとき五十円ずつの入場料を払って入った。ところが、それに対して退去命令を出し、それが単に学生だけでなくて、全部に退去命令を出したというんです、一般のあすこにいる送迎客にも。これはどうなんです。これは空港長の意思でやったのですか、どうなんです。
  175. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 全部退去さしたということは私のほうは知りませんでした。
  176. 岩間正男

    ○岩間正男君 あらためてお聞きしますが、空港警備については常時警察とはどういう連絡関係、そういうものを持っているんでしょうか。
  177. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 空港側といたしましては、空港内でいろいろ混乱が予想されて一般の旅客並びに送迎者に対して迷惑を及ぼすというようなおそれのある場合には、警備の要請を警察のほうに常に出しております。
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつでも空港側の要請がなくて警察が動くということはないわけなんですか。それとも警察側のいわば要望によって空港側がそれに同調すると、そういうことになっているんですか。その関係はどうなっておりますか。
  179. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 常に空港側の要請によって警察は警備を手配するわけでございますが、情報その他につきましては、私どもとしましては警察並びにその他から情報を聞くわけでございます。
  180. 岩間正男

    ○岩間正男君 この日は、二十二日は、どういう情報を警察から受けたのでしょうか、あなたたちは。強制的に退去させるという退去命令ですか、立入禁止ですかな、あなたたちの実際やったのは。それは、なんですか、警察の情報によってそう判断してそうしてそういうような処置をとられたわけですか。
  181. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 四月二十二日の場合には、警察の情報によりまして、警察と協議の上、入場制限並びに立入禁止の掲示を出したわけでございます。
  182. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは、何か空港規則かなんかそういうものがございますか。そういういわば法的な根拠というものはございますか。   〔委員長退席、理事和泉覚君着席〕
  183. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 空港としましては、空港管理規則というものがございまして、入場の制限並びに禁止行為というようなものを規制しております。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 その管理規則はもらえますか。
  185. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) いまここに控えがございませんので、あとで差し上げてもけっこうでございます。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの管理規則を出してください。  そこで、その判断というのは、あなたたち自身でやるのではなくて、むしろ警察の、この場合は情報に基づいて、警察に同調したというかっこうじゃないですか、どうなんですか。
  187. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 今度の場合には同調したという形になったかと思いますが、私どもとしましては警察側の情報並びにその他の情報によって判断をして警察側と協議をしていろいろな処置をやっております。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはしかし重大問題じゃないですか。空港長の権限というのは、これはどういうことになるんでしょうか。あなたたちは、一般の旅客に対して、あそこへ立ち入りする送迎客を含めたそういう人たちに責任を負っているわけでしょう。そうして、五十円の入場料を払ってフィンガーに入っていたこれはお客でしょう。このお客に対して、何ですか、退去命令は出しておられないようだが、警官は退去命令が出ている、そう言っている。「退去命令が出ている、出ろ」というので襲いかかった、こういうことになっているんですが、いまの御答弁によると非常に食い違いがあるのですが、その点はいかがですか。これは警察に伺いますが、いかがですか。
  189. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 私どもとしては、空港当局で先ほど説明がありましたように、当日は混乱が予想されますので、空港内の立ち入りは制限します、あるいは集会にわたる行為はやめてくださいというようなことがすでに張り紙として出ておったようでございますし、それから具体的には、先ほど私どもの局長から申し上げましたように、第三フィンガーのところにすでに百名ほどの学生が当局側の警告を無視して入り込んでそうしてロストウさんの着くのを待っておったようでございますので、さらに私どものほうでは当局からのその依頼の趣旨もあり、学生に対しましてそれから退去するようにということを要求し、   〔理事和泉覚君退席、委員長着席〕 なかなか引かなかったようでございますけれども、これを空港ビルの前の駐車場のところに規制をした、こういうことでございます。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもこれは少しなれ合いみたいじゃないですか。警察の情報で空港ではそういう判断をして立入禁止をし、今度は逆に空港側の要請によってそういう措置をとったということですけれども、そこのところは空港としての自主性というものはないのですか。自主的な判断、そして当日こういうような危険が起こるとかなんとかいう判断、そういう判断をした根拠というのはどこにあるんですか。学生たちが騒いだとかなんとかさっきから盛んに言っているけれども、学生が入っていって暴力をもってなにするなんて、そんなことはきめてないです。それからいまの全学連がそんなことするわけはないですよ。あくまでも意思表示をする。ロストウというような極東戦略を陰でやっておる陰謀者がやってくる。日本の平和について非常に重大な関心を持っている学生たちが当然これに対して意思表示をするために羽田にかけつけた。これを、最初からそういう事態というものを予想観念でもっていまのような措置をとったのですか。これは空港長としてどうなんです。そういうことをしょっちゅうやるんですか。  私はそれと関連して聞きたいのだが、暴力団が入ってきたときはどうなんですか。暴力団が入ってきたとき、あなたたちいつだって退去命令だのやったことがあるか、警察だって出動させたことがあるか。そんなことはわれわれ法務委員の目をごまかそうとしてもだめです。これは全く事実に反している。最初から予想観念でもって、危険が起こるんだとか、これから何かそういう事態が起こるとか——警官が入っておるから起こる。警官がいなければちゃんとあそこでとにかくみんなこもごも言ってそういう意思表示をするでしょう。それについてあなたたちどこからか何か受けたのですか。政府からでもそういう指示を受けて、そしてそれを遂行したのですか、あなたたちの判断なんですか、どうですか。
  191. 後藤信義

    説明員後藤信義君) これは、先生のお話のとおりでありますと、これはもう私ども最も理想的な形であろうと思うのでございます。理想的と申しますのは、自分たちの意思を平穏な手段によって訴えるということは当然これはでき得ることでありますし、警察の関与したことではないのでございます。しかしながら、今回の場合は、ロストウさんがやってくるという情報をキャッチするや、全学連におきましては、これは絶対に来日を阻止するんだということをきめておるようでございます。また、そういう情報を私ども握ったのでございますが、また、そういう意味のビラなども配ったりしておりますし、当日は、私どもの予想では、実は代表者程度が当初出て、そして羽田の空港で記者会見でもあった場合に代表者からあるいは意思表示をするといったようなことに終わるのではなかろうかということを考えておったのでございます。したがいまして、私どもの当初の計画でもやや楽観し過ぎたような点があったのでございますが、先ほど局長からお話し申し上げたように、夕方になりますと各大学から続々と学生が集まってくる。しかも、その集まってくる集まり方が、これは私どもの感じでは、この前の安保騒動のときにハガチー事件というのがございましたが、あのときと同じような状態が現出するのではなかろうかということを心配したのでございます。なぜかと申しますと、ただいま申しましたような動員のしかたをしておりますし、それから学生の配置も、先ほど申し上げましたように、空港のビル周辺におるというのではなくて、ロストウさんが通るであろうということが予想される道路上の要点と申しますか、橋のたもと等に百名ないし百五十名あるいは二百名というぐあいに分散して配置されているという状況でございましたので、これはやはり力づくでも自動車をとめるというような行為に出るのではないかということを心配したのでございまして、そういう意味の情報は逐一これは空港当局にも伝えておるのでございます。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの説明を聞くと、そういうような集会について最初からあなたたちは暴力みたいなものを予想して、そして事前にそういう配置をとっておられるようでありますけれどもロストウの来日は、非常に日本の平和にとって、これはもう世の中に聞こえたあれですから、ほかの大学なんかもみな講演なんかを断わったような人間でしょう。悪名高いんですよ。これに対して、当然これを聞き伝えた若い学生諸君がそこに集まってくる。それを、あなたたちは何かあすこで起こすだろうと最初からそういうふうな目で見ていくところに根本的な問題があるんですよ。大体、こういうような意思表示をするというようなこと、それからみな集まった人たちがそういう声ぐらい出すでしょう、そういう一つの表現の自由というものに対して、最初から押えるというかっこうで装甲車を出し、そして機動隊を出す。そうしてしかもそれを閉じ込める、こういうことまでやっているのじゃないですか。かえって問題を非常にこんがらがしているのは警察当局のやり方でないですか。最初から予想観念で動いている、何もかも。こういう点では、全く基本的な当然持っているこのような権利、しかも若い人たちが日本の平和について非常に心配している、そういう点でなしている行動について、全然反対的な態度で出てきている。この点については、どうなんですか、何か政府からの指令でもあったのですか。
  193. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 別に警察の部内から何か特別な話があったというわけではもちろんございません。ただいま先生からお話のありましたように、何らかの学生が集団の意思を表示するということ自体は、別に私どものほうでも全然関与した範囲ではございません。それがいかなる人であり、いかなることを目的として来日するかということにつきましては、私どものほうの関知したところではないのであります。ただ、しかしながら、ある人が日本に来られるということをやはり実力で阻止するというようなことは、これはきわめて不穏当なことでございますので、警察としては、人の生命、身体に関することでございますし、公安の維持という観点からいたしましても、諸般の情報を集めまして適切な警備体制をとるということは当然の責務であると考えておるのでございます。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 空港長さんにお伺いいたしますが、さっき右翼の問題を伺ったのですが、右翼に対して、どうですか、こういう措置をとったことがありますか。
  195. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 先ほど先生から言われましたように、空港側としましては、一般の旅客並びに送迎者に迷惑を及ぼすおそれのあるときはいつでもそういう措置をやっております。右翼に対しましても同じような措置をやっております。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 いままでそういうことが何回もございますか。
  197. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) たびたびとはいま覚えておりませんが、たしかソ連からミコヤンさんが来られたときに、愛国党ですか、そういうものが来ましたときにも、これは人数がこんなに多かったものではありませんから、そういう措置はとりませんが、フィンガーにおいてフィンガーの屋上の整備をやりまして、特定のところには入れないという措置を警察でやっていただきました。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 退去命令じゃないですね。特定のところに入れないというのは、だいぶ今度のとは違っている。
  199. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) いま申し上げましたのは、先ほど二十三番スポットのフィンガーに入っておりました学生、一般の人を退去さしたということがありましたが、それと同じようなことを愛国党にもやったわけであります。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、規則をいただくときにそういう事例について、いままでの例ですね、おもだったものについてちょっと知らせてくれますか。
  201. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) わかりました。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから、もう一つお伺いしたいのは、入場料を払って入ったのを、これは営業上からみてもおかしいと思うんですが、あなたたちは一応民間の経営でしょう、政府が出資しているかもしれぬけれども
  203. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 空港は運輸省で国有国営でやっておりますが、ターミナル・ビルディングにつきましては純然たる民間会社でございます。この場合には、空港ビル会社としましても、こういう入場制限、入場禁止の制札を出したわけでございますが、確かに入場禁止の制札を出したのが時間的に少しずれがありましたので、たとえば入場料の何割かは返すという場合にはそこに問題が残るだろうというようなことを空港ビル会社でも言っておりました。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 警察から何かそういうものの要請とか命令があった場合には、全部これに同調しなければならないというのですか。空港の自主判断によってそれはできないのですか、できるのですか。いかがですか。
  205. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) 空港側としましては、当然自主的に判断してやっておるつもりでございます。
  206. 岩間正男

    ○岩間正男君 この場合、実際どうなんですか。警官が出ていって強制的に退去させるということになったから騒ぎが起こったのではないですか。どうなんです。あなたたち自分の判断でこういうことをやったのですか。しかも、退去命令は出していないと。これはどうです。食い違いがあります。警官は、空港長の退去命令が出ておるということで、それをかさに着て追い出しているんです。一般の人も追い出している。その中で、最初に入場学生を閉じ込めたときに、何か全学連と関係のない学生も閉じ込められて、父兄同伴で行っていた学生の父兄が非常に困って、怒ったということも同時に起こっていますよ。そういう問題について、どうなんです。ここのところに非常に食い違いがあるし、警察は、空港長の退去命令も出ていないのにそういうことを口実として実力行使するというのはどうですか、この点は。
  207. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 私、空港長がおっしゃる意味はどういう意味かわからぬのでありますけれども、退去命令という意味でおっしゃったので、退去命令は出さぬ、こういう意味ではなかろうかと思います。しかしながら、望ましくない人々の集団でありますので、出てもらいたいという意思表示は当然あったわけでございます。そこで、私どもといたしましては、管理者側の要請もあって、出てもらいたいということでありますので、これは命令といったものであるかどうかは別といたしまして、望ましくない集団に対して、ある一定の施設から出てもらうという意思表示をされた以上、警察としてはその意思をそんたくして措置をとるということは当然と考えております。
  208. 岩間正男

    ○岩間正男君 望ましくない集団という判断は、空港長、されておりますか。
  209. 岩田勝雄

    説明員(岩田勝雄君) ただいま警察庁からのお話ですが、われわれとしては、たびたび申し上げますように、警察側との協議によりまして先ほど申し上げましたような制札を出しまして、その後の措置については警察側にお願いしたわけでございます。
  210. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これは望ましくないからという判断は、警察側だけでしているので、空港長さんはしていない。空港は公共のなにでしょう。日本の玄関だ。ここに行ってですよ、人の表現の自由を行使するということについて、基本的にこれを制限する、そういうなにはどこにありますか。どういうところに根拠がありますか。ないでしょう。しかもそれは客を相手にして営業されておるんだ。そういう人たちを、望ましくない客だとか、そういう判断を最初から予定観念をもってするということは、全然これはあそこの空港の立場としてもとり得ないことだと思うんですが、どうなんですか、その点。警察がかってに押しつけたのではないですか。
  211. 秦野章

    政府委員(秦野章君) 空港ビル立ち入り制限、あるいは集会を禁止するというビラが張り出されて、そういう掲示があったことも事実のようであります。したがって、具体的な話し合いの内容をいまここで私知りませんけれども、警察の解釈としては、平穏な意思表示というようなことが保証されるという状況ならばともかく、先ほど来申し上げておりますように、実力でもって来日を阻止するといったようなことで気勢をあのフィンガーの上であげるということ、そういう人たちには出てもらうというふうに空港当局も解釈したであろうと警察は考えているわけであります。したがって、そういう人たちに対しては退去をしてもらうというふうに警察は考え、また、そのことを前提にして出てもらうという措置をとったわけでございます。
  212. 岩間正男

    ○岩間正男君 空港長さんのさっきのお話と、いまの警察庁のほうの答弁と、食い違いがありますよ。それを、そう考えますなどといって自分で推量して、警察で空港の立場をそんたくして交渉をやっておる。警察が実際は指導して空港に従わせたと、こういうかっこうで行なわれた。これはやはり非常に今後問題があると思う。われわれは、もう少しこの問題を明らかにするために、次にまた伺います。  次に、今度は四月の二十三日ですね。芝公園で集会をして、日比谷公園までのデモの途中、米国大使館前を通ることを拒否したというんですが、これはどういう理由ですか。
  213. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 四月二十三日——私どもの記憶では四月十八日ではないかと思いますが、これはアメリカ大使館の前をデモをするという申請がございました。これに対しましては、趣旨、目的等の中に、当然と申しますか、その中にベトナムの戦争の問題が取り上げられております。で、そのために、アメリカ大使館がデモの趣旨、目的の中の大きな比重を占めておったわけでございます。アメリカ大使館の前に参りましてそこで気勢を上げるというようなことがこのデモの申請の中に入っておったわけでございますけれども、従来から、私どもの方針といたしましては、国会の周辺でありますとか、あるいはアメリカ大使館の周辺、まあ周辺と申しましてもある程度離れたところは別でございますが、ごく直近の場所につきましては、国会の審議権ないしは在日外国公館の執務の妨害にならないようにということで、デモ行進その他の示威運動はやめていただくようにということで、許可申請の段階におきまして警視庁当局と主催者側との話し合いで遠慮をしていただいておったわけでございます。しかしながら、今回の場合におきましては、この話し合いに応じられませんで、ぜひともあの場所を通るということでございましたので、これは相当な数でもございますし、これをその申請のままに認めますというと、アメリカ大使館の執務の妨害、あるいは出入りの妨害になるというようなことで、私どもといたしましては、アメリカ大使館のみならず、在日外国公館の静穏を保持するという責務も当然持っておるわけでございますので、警察といたしましては、この責務の範囲内におきましてできるだけその静穏を保持すると、こういう観点からいたしまして、アメリカ大使館の正門の直近を通るというデモの申請に対しまして、若干路線を変更して許可をしたと、こういうことでございます。
  214. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題は、私、現在、政府に質問書を出し、その答弁を受け、また質問書を出し、間もなく近く答弁があるので、これを総合して聞きたいと思っているんですがね。アメリカ大使館の公務執行に支障があるだろうとか、国会の審議に支障があるだろうというんですが、あなた事実を調べていますか。日曜です、あの日は。国会にだれもいないんだ。アメリカ大使館にも代表が行ってみたらだれもいない。だから、何でもかんでもみなあなたたちはアメリカ大使館というと拒否する、国会というと拒否する、首相官邸というと拒否すると、こういう態度をとっていますけれども、これは政府の答弁書にありますね。これは東京都公安委員会の見解を示したものです。私が出しました四月の何日でしたか、十何日かに出した、それに対して四月二十日付の答弁書があります。「東京都公安委員会は、国会、首相官邸およびアメリカ大使館周辺の集団示威運動を原則として許可しない方針をとっているものではない。」と。これは佐藤総理からの直接回答になっておるわけです。だから、原則としてはこれを認めているんですね。それでしかも日曜だ。そういうものを何でも進路変更をさせるとかですね。その進路変更というのは、一部拒否だということになるのだと思います。一部拒否をやれば、東京都公安委員会が当然これは都会に報告をしなくちゃならない。事実を調べてみるというと、これは都会に対して一々報告もしていない。公安委員会の運営そのものについてもこれは非常に疑義がある。これはあらためて聞きますけれども、これは二十三日の問題で全学連の集会の場合について私は質問しているわけです。これも、やっぱり、アメリカのベトナム侵略反対、ロストウ来日抗議、ロッジ来日反対、佐藤内閣の侵略協力反対の全学連集会、集会後、日比谷公園までデモの途中、アメリカ大使館前を通る、これを拒否された、こういうことなんですけれども、一律にいまのようなやり方で警視庁が東京都公安条例にさえもどうも反するようなやり方でやっているという点については、非常に重大な問題です。しかし、この問題は、時間の関係から、あらためてお聞きします。  二十四日ですね。この午後四時過ぎに、ロッジ特使の来日に抗議するため、青年、学生が三々五々米大使館に向かった。ところが、警察官が大使館前の沿道で検問して近づけさせない状況だった。その中で、警察官は、大使館に面会を申し入れた代表団のうちから全学連副委員長の山本政道君、亘書記次長の二人の首につり皮バンドを引っかけ、グループから引き離し、いきなり山本君の顔面をなぐりつけ、前かがみになった山本君をけ上げ、さらにどろぐつでけ飛ばし、そして、ここにちゃんと診断書がございますが、山本政道君の場合は、「左眼部打撲傷、外傷性虹彩炎」、そして「向後一ケ月間の安静治療を要するものと認めます」、それからもう一枚は、「頭部打撲創」で、これについては「全治約十日間を要するものと認めます」という医者の診断書があるわけです。これはどうなんですか。こういう事態はどういうふうにつかんでおられるのですか。
  215. 石井桂

    委員長石井桂君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  216. 石井桂

    委員長石井桂君) それじゃ、速記を始めて。
  217. 後藤信義

    説明員後藤信義君) これは先ほど局長から御説明申し上げましたところに尽きるわけでございますが、私どものほうで報告を受けておるところによりますと、二十四日の午後五時ちょっと前に、アメリカ大使館の正門前に続きます道路の専売公社前付近に十名くらいの学生が集まって、大使館の正門の方向に向かおうとした、こういう状況でございましたので、これを警戒中の警察官がこれを特許庁方向に規制をしたというのが第一の事案——事案と申しますか、一つのできごとでございます。これは、当日、アメリカ大使館側といたしましては、学生のこうした抗議と申しますか、面会申し入れに対しましては、一切応じないという態度をとっておられましたので、それを警戒員が聞いておりましたために、だれが行っても会わないと言っておるからお偏りなさいと、こういうことで規制をしたのでございます。ところが、この規制を受けました学生が、さらにほかの学生と合わせまして、今度は二十名くらいで五時くらいになるというとまた大使館の正門方向に向かってまいりました。そこで、これは前回と同様にまた特許庁のほうに規制をしたのでございます。ところが、この際に、規制に当たっておりましたところの警察官が二名、学生の二十名ばかりの集団の中に引き入れられまして、そのうちの一名の警察官の持っておりました拳銃の負い皮、と私ども申しておりますが、皮のベルトでございます、学生がこれを引っぱりまして、そのためにとめ金が引きちぎれたのでございます。そういう事案があったのでございますが、いま先生お話しになりましたような事案というものは、ただいままで私どものほうで報告を受けたところでは、そういうところに思い当たる事案がないわけでございます。  なお、五時ちょっと過ぎになると、今度は、学生が約八十名くらいに増加いたしまして、大使館の正門方向に向かおうとしましたので、これまた警察官によって阻止し、規制をしたのでございますが、学生は指導者の音頭でスクラムを組んで、ロストウ帰れというようなシュプレヒコールで気勢を上げまして、そうして指導者があらわれてアジ演説を始めた、こういうような状況でございました。この状況は、これは示威ということにもなりましょうし、あるいは道交法違反ということもございますので、この状況を私服の警察官が撮影をしたのでございますが、これに対してまたつばをはきかけるといったような乱暴もしたようでございますが、警察部隊といたしまして五時半ころには全部規制を終わりまして学生も解散をした、こういうところでございます。  私どもの報告を受けておるところによりますと、この間に両方ともに負傷者はなかった、こういうような報告を受けておりますし、また、当日の規制措置は決して強い規制措置ではなかった、こういう状況の報告を受けておるのでございます。しかし、いま先生御指摘になりましたような事案がそちらのほうで強くおっしゃっておるようでございますので、なお調査はいたしたいと思いますが、何せ二十四日の時点で相次いでいろいろなデモもございましたし、また、昨日は夜おそくまでデモがあったというような状況で、当日、大使館の周辺におきまして警戒に当たっておりました警察官はまたきのうのデモの警戒にも出ているというような状況でございまして、やっとこういう一名の警察官が負い皮を引きちぎられたという状況だけ報告を受けたというところでございますので、なおさらに調査はいたしたいと思いますが、いま先生御指摘のような事案がありますならば、即刻警視庁のほうにも報告があり、あるいは私どものほうにも報告があるはずでございますが、それがなかったのでございまして、私どもとしましてはどうも合点がいかないのでございます。
  218. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく、当てにならぬ。あなたのほうはいつでも警視庁から受けた報告、それでここでやられるのだけれども、いつでも違うのだな。私は事実を明らかにしますから。いま入院しているんです。これを見てください。わざわざこんなものをつくりますか。そうして、わざわざこんなものを捏造しますか。あなたのいまの答弁を聞いているというと、警視庁がりっぱで、学生がまるで悪い。事実は全くあべこべでしょう。ゆうベの社会党、総評のデモについても、必要以上にとにかく混乱が起こってくる。ここに警備の問題が非常にあるのじゃないですか。アメリカ大使館を守るということは、あなたたちは一つの任務にしているのかしらぬけれども、その面で実際に日本国民の当然の権利、そういうものが、公安条例さえも、東京都の公安条例——われわれは違憲だと思っている。あれさえも乗り越えていろいろなことをやっている。実際はこういう事態が起こっております。これさえもなかったというんですか。明らかにされているんです。そういう報告であなたたち国会のこれに対して答弁をしているということでは話にならぬ。  もう時間がないから、もう一つだけお聞きしますけれども、拳銃をこのとき警官は抜いておりますね。こういう事態についてはあなたたちは知らないのですか。あわててだれかが上司なりがやらしたらしいけれども、こういうのはどういう根拠によるんですか。拳銃で威嚇をするということも禁止されていると思うんです。それから拳銃使用規定あるいは警職法のどのような根拠によってこの学生のこういうような一つの行動に対して拳銃の威嚇をやったのですか。
  219. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 私どもあほうで、これはまた先生にしかられるかと思いますけれども、報告を受けております範囲では、拳銃をかまえたとか、あるいは威嚇するというような態勢に入ったということは一切なかったという報告を受けておるのでございます。ただ、しかしながら、山本君の負傷といい、いまの拳銃の問題といい、先生が強くおっしゃいますので、なおこの問題は調査したいと思いますけれども、その二人ばかり巻き込まれました際に拳銃の負い皮を引きちぎられておりますので、そのときには、これは当然拳銃に対して手をやると申しますか、奪われまいとしましてそういう行動はあるいはやったのではないかという気はいたしますけれども、どうも拳銃を威嚇のためにかまえたといったような状況にはなっれておらぬ、こういう報告を受けておるのであります。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう時間がありませんから、委員長とお約束した時間ですから、私言いませんが、あらためてやりますけれども、私自身、十八日のあの日比谷公園のところの警官など、見ております。すごいもんだ。とにかくあれはあたりまえじゃないです。私は胸元を取られて、何だ、国会議員が何だというような——国会議員だからといって何も特権を主張しているんじゃないが、しかし、一般人民に対する警官の態度はどうです。あなたはどういう方ですかと氏名を聞いたところ、一向言いやしない。これからは私は録音をとれ。このばり雑言を録音にとり、そうして委員会で委員長の許可を受けてあの録音を回せばわかる。このように訓練しているのじゃないか、いまの警察は。こういう態度について警備局長は新任されてどれだけ事態を御存じかわからないけれども、現状を見てください。あれじゃ全くもうほんとうに国民に対して最初から敵視的な考えを持っている。しかも、この学生の諸君は、いま、ベトナム問題、日韓問題、三矢作戦などという非常に憂慮すべき事態、しかも一番被害を受けるそういう問題について、あくまで戦争やめろ、平和を守れ、そうして祖国の自由を回復しろ、こういう立場から戦っているんです。こういう問題に対して、最初から敵視をもってこれに対して立ち向かっている。私は具体的に見ているんですから、そのうち一諸に立ち会って録音をとりましょうか。もっとも、警備局長が行ったら、ぴたっと最敬礼でしょう。だめですよ、あんなばかな事態で。私は見ているんですから。後藤さん、だめですよ。こんなまるで取りつくろったような、いつでも同じようなことでなく、こんなことでなく、実態をもっと十分見て、警備局長は、警官の指導監督の立場から、しかも当然これは基本的人権を守る立場から、これに対して善処してほしいと思います。  もう時間がないですから、これで終わります。
  221. 石井桂

    委員長石井桂君) ほかに御発言もなければ、本件に関する調査は、本日はこの程度にいたします。  次回委員会は五月十一日に開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時二十三分散会      —————・—————