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1965-05-11 第48回国会 参議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十一日(火曜日)    午前十一時十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山下 春江君     理 事                 久保 勘一君                 二木 謙吾君                 吉江 勝保君                 小林  武君     委 員                 木村篤太郎君                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 笹森 順造君                 中野 文門君                 中上川アキ君                 野本 品吉君    国務大臣        文 部 大 臣  愛知 揆一君    政府委員        文部政務次官   押谷 富三君        文部大臣官房長  西田  剛君        文部省大学学術        局長       杉江  清君        文部省管理局長  斎藤  正君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        文部省大学学術        局学生課長    笠木 三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (日本育英会等に関する件) ○私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査中、日本育英会等に関する件を議題といたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。野本委員。  なお、政府側より愛知文部大臣が出席しております。
  3. 野本品吉

    野本品吉君 私は三十五年と思っておりますが、数年前に、育英会のいろいろのことにつきましてものを申したことがあります。その後関心を持ち続けながら今日に至っておるのでありますが、いろいろ問題があると思うのでありますが、文部省から提供された、たとえば「わが国の高等教育」という本の中にあること、その他の文部省で提供されました資料に基づきまして私の気づいた点について質問いたしたいと思います。時間もありませんからきわめて簡潔に申したいと思います。  まず第一に、育英会政府貸し付け金の推移でございますが、三十五年は四十五億であったものが四十年は八十一億と、こういうことで非常に育英会貸し付けの問題が進展しておりますことはまことにけっこうなことだと思うのですが、ただ、ここで私がこの数字を見まして、これは一体どういうことかと思います点は、三十七年は六年に比べて一六・七%の伸びになっております。それから三十八年は前年に比べて二七・七という伸びになっておる、三十九年は前年に比びて六%、四十年は一・八%ですか。そこで、三十九年、四十年と著しく政府貸し付け金の額が減っておるわけです。これはどういうところからこういうことになっておりますか、その間の事情につきまして文部省から承りたいと思います。
  4. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まことにごもっともな御質問と思いますが、これは主としてここ数年来の返還金伸びが著しくなってまいっております。これに関連しておるわけでありまして、確かに御指摘のように、政府貸し付け金は二%に足らない伸びにとどまりましたけれども、事業費といたしましては総額で前年に比べて約九%伸びております。このことは、現業費伸びの大部分が、別に資料も差し上げてあろうかと思いますが、返還金の増加によってまかなわれた結果になっておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても育英奨学事業発展充実を期したいというわれわれの気持ちから申しますると、政府貸し付け金増額がいかにも少なかったということは残念に思っておりますので、返還金伸びがますます伸びるように努力をすると同時に、政府貸し付け金の今後増額をかりまして、事業費がもっと十分に増加できるようにいたしたいと、将来に対しましてはかように考えておる次第でございます。
  5. 野本品吉

    野本品吉君 いま大臣から御説明のあったとおりに、その返還金の額あるいは返還の率、その点におきましては三十八年は七年に比べて六八・八%になっておる。三十九年は返還の率は要返還願の七七・八%になっておる。四十年は八五・九%を想定をしておる。そこで、私は一番遺憾に思いますのは、育英会当局の非常な努力、非常な苦心によって返還率が高まってきた。高まった返還率、それに相当する金額育英奨学のために使われないで、政府貸し付け金額返還率の高まっただけ落としているわけですね。これで一体いいものかということについて非常な疑問を持っておるわけなんです。これで思い起こしますのは、例の生活保護法の問題を私は思い起こしたのでありますが、生活保護法の適用を受けている者が自力更生をしようというので立ち上がって何か仕草をするというと、働いて収入した金だけ減らされる。それとこれはよく似ているような気がしてしようがない。そこで、努力による返還率の上昇というそれは当然貸与金のほうへ回すべきであって、ふえたからそれだけ貸与金を減らしてしまうということになると、育英奨学というものは実質的にはちっとも伸びないで停滞してしまうと、こういうふうに考えて、この点私は非常に遺憾に思っておるのですが、大臣先ほど仰せになりましたけれども、それらの点について、今後予算の編成その他の場合において、こちらで働き出した金、その金をまた育英のために働かせることのできるようにしないことにはどうにもならぬじゃないかと、こういうふうに強く考えておるのです。大臣いかがですか。
  6. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは先ほど申しましたように、全くお説ごもっともな点でございます。さらに私のほうから申し上げるのもいかがかと思いますけれども、ただいま仰せになりました以外に、育英奨学事業費自体伸び率から申しましても、最近は伸び率が九%にとどまっておりますこの事実からいたしましても、たとえば昭和三十八年度は二七・八%でございました。この点はわれわれとして非常に申しわけなく思っておるわけでございます。来年度以降におきまして御趣旨のような線に沿ってまいりたいと思います。
  7. 野本品吉

    野本品吉君 大臣もいろいろお考えになっておるようでございますが、重ねて申しますが、私は育英奨学の金というものはまだ十分だとは思っておりません。それで、不十分な育英奨学政府の金というものは、返還を高める努力によって返還金が多くなってくる、それで減してはいけませんけれども、少なくともこっちでこれだけ入ってくるんだから、もう増額しなくてもいいというような大蔵省的な感覚でこの問題が扱われますと、一切、育英の仕事全体の伸びがここで停止してしまうと思います。これは今後の問題でありますが、ぜひ、育英会当局の非常な努力によって返還額がどんどん高まってきておるのでありますから、そのふえた返還額というものを積極的に貸与金のほうへ振り向けることができますように格別なお骨折りをいただきたいと、これが第一です。  それから、その次に貸与金返還の問題であります。私がこの前この委員会でこまかいことを申しましたときは、実は返還すべき金が四十四億、返還の済みました金が二十三億、合計五三%ばかりが返還されておって四七%というものは返還されなかったという過去の事実に基づきまして私はいろいろ考えておるわけです。そこで育英会法の改正が行なわれたのですが、なお、文部省からは貸与金回収業務方法に関する省令が出されて厳重にやってきて今日に至っておるわけですが、私はやはりここで考えますのは、育英奨学金の本来の姿というものは、これは強制執行その他で取り立てなければならないような性質のものではないと思う。本人上級学校へ上がって勉強したいという、本人希望にこたえ、親たち願いにこたえ、国とすれば国が必要とする人材を養成すということに対して取り組んでいるわけですから、もともとこの貸し付け金というものは非常に高い倫理性の上に考えられなければならない問題だと思う。そこで、いまの回収業務云々につきましては非常にきびしい方法をとっておりますが、それは育英奨学貸与金返還ほんとうの姿ではない。ほんとうの姿は、本人希望父兄願い、国の願いという高いところに立った問題でありますから、今後黙っておってもそういうものが返るように努力していかなければならぬと思うのです。そこでさらにその点を考えますと、たとえば教育基本法で、勤労と責任を重んじなければいけない、自主的な日本人を養成しなければいけない、あるいは正義と真理を求める人間でなければいかぬ、こういう教育がされておるわけですが、私は返還金の渋滞と申しますが、強制的に強制執行でこれを回収しなければ回収できないような状態にあるということは、大学教育の本質に対して疑問を持つわけです。大学教育は単なる知識なり技術なりの教育研究だけでなく、もう少し人間的な、大学教育の問題を人間的な角度から考えるべきだと思う。ここで苦情を言うわけではありませんけれども、いまの方法はやむを得ざる措置としてとられておる方法であって、やがてこういう措置はその姿を消すようにしなければいかぬ。そのことにつきましては私は父兄にも責任がある。それから学校当局ですね。大学学校当局もぜひこの人間には貸してやってくれという内申といいますか、そういうことをしておるのですから、もう少し父兄学校当局が完全に返還ができるように道義的な指導をすべきである。私が一番この点をむずかしく考えますのは、返還率が非常に低い、返すべきものが返ってこないということは先輩の怠慢、先輩の怠慢が後輩に恵まれる機会を押えているというところに非常に問題があろうと思う。ですから、これらの点についてもあらゆる機会育英奨学金というものの本来の姿についてお互いに考えて、そして先輩の怠慢が後輩の修学の機会を奪うとか、あるいはそれを押えるというような結果にならぬように、これは関係者全員が不断の努力を続けなければいかぬと、こう思うんですが、どうでしょうか。
  8. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これもまったくごもっともと考えるわけでございまして、ことにただいまお話がございましたように、基本的には倫理性と申しましょうか、そういう点から割り出して、関係者、特に貸し付けを受けておる人たちの良識に待たなければならない。そして後輩先輩の、何と申しますか、考え方の影響を受けて不利な状態になるというようなことは厳に慎しんでもらうようにしていかなければなるまいと考えるわけでございます。したがって、また返還回収につきましても、御案内のようにいろいろの工夫をいたしておるわけであります。先ほどお話がございましたが、強制的なやり方も万やむを得ず措置をせざるを得ない状態ではございますけれども、それはあくまで原則ではなくて、原則は、気持ちよく自主的に返還義務を履行してもらうということであくまで回収していかなければならない、かように考えておるわけであります。
  9. 野本品吉

    野本品吉君 そこで返還金の問題で、実は私は先年、政務次官をしておりましたときに、政務次官会議学費貸与を受けておるものの返還を完全にするためには、まず公務員からその範を示す、公務員からということで育英会人たちと二、三回話し合い、いろいろ相談して、その結果各省庁人事管理を担当しておる方は、その省庁における奨学金を受けた者がだれとだれとだれで幾ら借りているか、それに対する償還計画を立てて、そして省庁でまとめて償還の実績をあげるようにすべきだということで始めたわけであります。その後だんだんその成果があがっているということを聞いておりますが、各省庁におけるそういう返還金の計画的な返還の実情はどうなっておりますか。これは事務当局ひとつ。
  10. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ただいまお話がございいましたとおり、昭和三十七年に政務次官会議申し合わせをしていただいたわけであります。そしていわゆる職場集金——返還回収職場集金をするということをこの政務次官会議申し合わせに沿うて逐次実行をはかっておるわけでございますが、こまかいことは事務当局から御説明いたしたいと思います。現在、文部省本省をはじめといたしまして、国の機関、それから地方公共団体で三十機関がこのやり方に協力をしていただいております。それから民間会社は二十一の機関がこれに協力しておりますが、これらの関係該当者合計二千二百二十六人でございます。今後もこの制度の拡充整備をはかるとともに、返還回収の向上に努力するつもりでおるわけでございます。
  11. 笠木三郎

    説明員笠木三郎君) 職場集金状況につきましては、概要はただいま大臣から御説明があったとおりでございますが、若干補足して御説明申し上げます。  全体といたしましての機関の数は、いまお話がございましたように、国、それから地方公共団体のいわゆる公務員関係が大体四十機関、それから民間会社企業等で二十ほどでございます。特に政務次官会議申し合わせがございましてあと状況では、地方公共団体が非常に年を追いまして拡大する傾向でございます。この該当しております加入者の数は、先ほどお話がございましたように大体二千二百強でございますが、このほかに特にその組織に加入しなくても、自分たちが本来返す方向として、従来からやっておったから、独自の方法でやっておるというものが別にやはり半数近くございまして、相伴いまして全体の返還成績が逐年あがっておるという状況でございます。
  12. 野本品吉

    野本品吉君 私は国家公務員の中に相当学費貸与を受けておる者がある。そうしてそれらの方々返還義務を完全に果たしておらぬ数が相当ある。そこで、育英会返還金の問題を最終的に解決するためには、まず公務員から完全に返還するようにしなければいかぬ。そこで、国家公務員でまずその範を示してもらって、それから逐次地方公務員に及ぼす、それで公務員が全部完全に返還の実があがったときに、今度は民間会社等へ呼びかけていく、こういう段取りでいくのが適当ではないかと実は考えておった。特にその点で言いたいことは、私の知っている限りでは、たとえば住友のごとき、住友のごときは民間企業でありますけれども、とっくの前から会社が、個々についてどれだけの学費貸与を受けておるか、返還計画はどうかということで、会社がまとめて育英会のほうに返還しておるということを聞いておるわけです。民間会社まで良心的な会社はそういうふうにやっておるのですから、まずもって公務員全体が完全に返還をしまして、そうして一般の民間もこれにならっていくように示していったらばどうかということを考えておるのでございます。この点は、こまかいことにつきましてはまたあとでお聞きしますけれども、大臣といたしましてもそれらの点に十分御留意いただきまして、あらゆる機会にその指導にお骨折りをいただきたい、こういう希望を申し上げておきます。
  13. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 国家公務員育英会の資金を借りております場合、何はおいてもこれの返還についての義務を履行してもらいたいということは、国家公務員の立場から申しまして、当然過ぎるくらい当然のことではなかろうかと考えます。従来もおかげさまで、先ほど政務次官会議申し合わせ等をやっていただいておりますが、相当成績はあがっておるかと思いますけれども、なお、この点につきましてはただいまお話のございましたように、機会あるごとに、あるいはまたいろいろの方法が残されておろうかと思いますので、十分の努力と申しますか、呼びかけをいたしたいと考えておる次第でございます。
  14. 野本品吉

    野本品吉君 その次にお伺いしたいのは、学生生活実態です。学生生活実態を経済的なそろばんの面から見ますとどういうふうになっておるかということは、一応、文部省で出されたこの印刷物にもありますが、私はここで、これはいまの学生生活ですね、生活費用がどのくらいかかるか、現時点においてどのくらいに見込まれておるか、それからして、家庭からの仕送りの額がどのくらいになっておるか、そういうようなことについて、一応、大学局長から御説明いただきたい。
  15. 杉江清

    政府委員杉江清君) まず学生生活費について見ますと、昼間部の学生についてみますと、自宅通勤者については三十六年度には十万七百七十七円という数字が出ております。これが三十八年には十二万五千百八十三円という生活費数字が出ております。これは三四%の伸びに当たっております。これが下宿になりますと相当ふえまして、三十六年で十六万三千五十二円、三十八年で二十万三千七百四十八円、約二五%のアップを示しております。夜間部についてもほぼ同様の傾向を示しております。このような状況でございますが、それに対して家庭からの仕送り状況がどうなっているか、これはアルバイトをやっておる者が相当あるわけでございます。平均してみますと、昼間部においては七四%を家庭から仕送りしておるという数字が出ております。夜間部については、これは昼間働いておるという関係でその仕送り額は非常に少なくなりまして、おおむね二〇%程度仕送りという数字を示しております。
  16. 野本品吉

    野本品吉君 いま御説明いただきましたが、大体それは三十九年度あるいは現在の数字ですか。
  17. 杉江清

    政府委員杉江清君) 生活調査についてはかなり詳細に調査をいたしておりますので、いま私の申し上げましたのは三十八年度、やや古い数字でございますけれども、そういったかなり詳細な統計調査でございます。
  18. 野本品吉

    野本品吉君 いまのが三十八年ということになれば、いろいろ物価が上がり、学生費用も多くなっているのですから、少なくとも私は月に二万以下で上がるはずはないと思うのですが、したがって、父兄から相当額送らなければ完全に学生生活を続けることができないというのが金の面から見た実態であろうと思う。そういうふうな状態であるときに、今度は父兄所得の問題を考えなくちゃならぬ。そこで、これも文部省で提供された資料でありますけれども、家庭所得階層別学生数という表があるわけですね。そこで問題は、年間三十万未満所得家庭子供平均いたしまして七・五%、三十万円から四十二万円のものが九・二%、それから四十二万から五十四万までが九・九%、五十四万から六十六万までが十一・六%、学生の数が。そうすると、問題は少なくとも月に二万円以上の金を学生に提供しなければならない父兄が、この程度所得で一体やれるものかやれないものかという問題なんですよ。それで三十万円から六十六万円までのれだけを見ますと、全学生の約四〇%おるんですね。そこで、一体こういうことでしっかりした学生生活を続けていけるであろうかということを私は非常に疑問にしておるわけです。たとえば、農家の収入は三十九年度の平均収入を見ますと、一戸当り年間五十八万三千五百円、これを月にしますと四万八千円くらいになる。それから零細企業でありますが、これは大体製造業その他によって違いますけれども、月収が五万三千円から七万までなんですね。それから別に公務員その他の俸給生活者俸給を見ると、これは子供大学へいく年齢に達した父兄を、大体本省でいえば課長クラスとこう見ると、この俸給が六万六千円程度なんですね。そうすると、農業も零細企業もそれから俸給生活をしておるものも、二万円あるいは二万五千円という仕送りをすることは一体できるかどうかという問題なんです。そういうことを総合的に考えますと、学資がないために非常な英才が勉強の機会が奪われてしまう、断念せざるを得ない。それから農村にしろ零細企業方々にしろ、これはもう極度に家族生活といいますか、家庭生活を圧縮して、そうして話にならぬような過度の労働をして、そうしておやじの肉が、血がそのまま子供たちのところへ送られる、こういう状態で一体、学校生活というものがほんとうにしっかりしたものになるかどうかということに疑いを持っておるわけなんです。そういう点について、文部省の方は一応それぞれの家庭所得というものから見て、大学へ入れることができるかどうか、非常な困難性が伴っているということを十分お気づきのことと思うんですが、そういう点を考慮して、あるいは育英奨学金の額をふやすとか、あるいは対象人員をふやすとかいうそういう考慮が払われているかどうか、育英奨学金貸与の場合に。
  19. 杉江清

    政府委員杉江清君) 御指摘のような状況に実際あると思います。そういう見地から特に私は育英奨学の実をあげるためには、やはりその単価の引き上げということに最大の努力をすべきだと考えております。なお、弁解がましくなりますけれども、その家庭平均所得伸びも確かにあるという事実が一方にあるということはあると思いますけれども、しかし、私はいまのような御指摘の点で育英奨学の額をふやし、その範囲を拡大して、これをますます充実するということの必要性は依然として変わらない。ことに私が残念に思いますのは、いま学生相当多くがアルバイトに追われておる、アルバイトかなり収入を得ておるということ、そうしてそこに非常に勉学上、またいろいろな人間形成上の欠陥を来たしておるという点は、これは改善を要する大きな問題だと考えております。
  20. 野本品吉

    野本品吉君 そのアルバイトをしなければ学生生活を継続することができないという、そういう学生の数は大体四四・五%と承知しておるんですが、間違いありませんか。
  21. 笠木三郎

    説明員笠木三郎君) 一応の本人からの必要度調査によりますと、かなり割合になるわけでございますが、そのうち内職しなければ真に学業継続が困難であるというふうに回答いたしましたものは、全体といたしましては国公私立を含めまして約七%弱でございます。このことは、先ほど指摘がございました年間収入が一千万円未満というものの階層が、全体でほぼ大体同程度割合を占めておりますのと比較対照いたしまして、最もここに大きな問題があるのじゃなかろうかというふうに考えております。もう少し軽度の、つまり内職しないとまあ一般的に学業生活が不自由であるという者まで含めましても、全体の数字先ほどお話しがございましたように、国公私立大学を含めまして、約四割程度になっておるわけでございます。
  22. 野本品吉

    野本品吉君 そこで、学生半数近いものがアルバイトをしておるということになりますというと、文部省では、育英会法のどこかにある学生の補導あるいは生活指導ということが、育英会法の中にうたってあるわけですから、そこでそのアルバイトをしておる学生に対して、適当なアルバイトあっせんとか、それらは文部省あるいは育英会の手でなされておりますか。私は学生だけのそういうあっせん機関というようなものは承知しておりますけれども。
  23. 杉江清

    政府委員杉江清君) 現在のところ主として学徒援穫会のほうでやっておりますが、その活動は部分的だと思います。きわめて不十分だと思います。ただ、大学でいろいろその種の活動相当やっている大学かなりございます。
  24. 野本品吉

    野本品吉君 私はアルバイト自体が非教育的であるとか何とかというふうには考えないのです。アルバイトそのものの中から学び取る、体験していくものの中にも、事柄の中にも大切な点もあろうと思いますが、要するにアルバイトをしなければ学生生活を継続することに困難な学生が四五%、半数近くおるということについては、このアルバイトの問題について文部省はもっと積極的に、学生にふさわしい働く場所、これを提供することにもっと私は熱意をこめていかなければならぬと思うのですが、それを何かやっていますか。
  25. 杉江清

    政府委員杉江清君) その点、いま申し上げたような各大学活動という点が主体をなします。学徒援護会がやっておりますが、いずれにしてもまだ不十分な段階でございまして、今後この点十分な指導をしてまいりたいと考えております。
  26. 野本品吉

    野本品吉君 その学生生活を守っていくというようなことの一つとして、例の学寮の問題もあるわけでしょう。現在、学寮というのは大学教育における特殊な機関として生まれておるわけですが、十九か二十と思っておるのですが、数は間違いありませんか、学寮。
  27. 杉江清

    政府委員杉江清君) パーセントでございますか、いまの数というのは。
  28. 野本品吉

    野本品吉君 寮の数。全部の学校にあるわけじゃないのでしょう、学寮というやつは。
  29. 杉江清

    政府委員杉江清君) 寮は国立大学にはほとんど全部ございます。ただ、私学についてはこれは千差が別でございまして、一般的にはその状況は非常に立ちおくれております。国立大学につきましては、いまの生徒の構成という点から、特に寮の充実について力を入れておりまして、この三、四年来、寮の改築はかなり大幅にやっております。しかし、その収容率はまだきわめてわずかでございまして、いま国立大学については、収容力は全生徒の一六%になっております。ただ私学については六%程度にとどまっておるようでございます。国立大学につきましては、私どもこれをまあ二五%ないし三〇%程度にはひとつ今後近いうちに引き上げてまいりたい、このように考えております。
  30. 野本品吉

    野本品吉君 学生生活の補導の問題については、学生補導審議会というのですか、ありまして、ずいぶんりっぱな答申が出ていることを私は承知しております。で、その後、あれは三十七年ごろだと思いますね、答申が出ておるのは。その補導審議会のりっぱな答申というものがその後具体化されつつありますか。それからもう一つあわせて、各大学は補導審議会の答申に基づいて学寮というものをいかに経営していったらいいか、管理運営をどうしたらいいかということについて、研究を始めたということも知っているわけです。その成果が、現時点における成果があがっておるのかあがっておらないのか、どの程度状態になっておるのか、これをちょっと伺っておきたい。
  31. 杉江清

    政府委員杉江清君) あの審議会の答申の線によって、各大学にひとつ具体的な努力をしていただくように機会あるごとにお願いしておるわけであります。具体的に、学生寮の管理につきましては、私どもその管理運営の適正をはかってもらいたいというその基本線に沿って管理運営の適正をはかってもらうようにお願いしておる。それは御承知のように、経費負担の問題もその答申に基づいたものでありますし、また管理運営の仕方についてもあの線に沿って、私どもこれは一つの参考案として管理運営に関する規則案というようなものも一つの資料として提供しておるわけでありまして、各大学とも非常に御努力を願っております。ただ、いままでの長い間のいろいろなやり方等もあり、また学生からの反対等も一部にはかなり強いものがありまして、にわかにこれを大幅に変えるという状況にいまのところまだ至っておりません。しかし、漸次改善されているということは私は言えると思います。この点、私は一そうの努力をいたしたいと思います。
  32. 野本品吉

    野本品吉君 学生生活を守るために一応学寮というものが逐次できつつある。そこで一つ伺いたいのですが、私の知っておる者が今度学寮のお世話になることになった。私のところに遊びに来まして、東大へうかってこういうことになったからとあいさつに来た。そのときにその若い、高等学校を出たばかりの者ですが、非常にふしぎに思ったことがある。それは入寮を認めるか認めないか、入寮の承認、拒否、この事柄が一切学寮の学生委員にまかされておるからであります。先生が一人もおらないので、大学というものはずいぶんおもしろいところなんだなと、こういうことを言ってきた。いま各寮とも学生委員によって入寮することができたり阻止されたり、こういう状態なんですか。
  33. 杉江清

    政府委員杉江清君) まあいままでの長い間の習慣によりましてそのようなやり方を続けておる大学もあります。しかし、その点を改善して、大学の判断によってその入館の許可をするという手続に改めておるところもあります。その点については、私ども少なくとも新しい寮をつくるという場合においては、そういったやり方を改めるように指導しております。まだ、いままでのところはそういうことになっておりますけれども、漸次改善してまいりたいと思っております。
  34. 野本品吉

    野本品吉君 私がこの点を伺いますのは、先生が一人もついておらないで学生の委員だけによってそういう重大な問題が決定される。この学寮は国のものですね、国のものの使用が学生である委員によって左右される、こういうことになると、文部省はそういう学寮の問題について責任をとることはできないのじゃないかな、それはどうですか。
  35. 杉江清

    政府委員杉江清君) 少なくとも、たとえ学生に私は一部まかしておってもその総括的な責任は当然もう大学にあるはずでございます。だから、学生がそういうことをやっておっても、そのこと自体によって大学責任は何ら免れるものではない。そういう意味において、いままでの例によって一部そういったやり方を続けておっても、そのやり方自体について、常に大学としては、適正に入館等のことが行なわれているかどうかのことについては、これを日ごろから十分見守って、もし適正でないというときにはこれを改めるという措置が当然なければならぬと思います。いろいろ大学によってはそのような配慮をしているところもあるわけでございまして、しかし、いずれにしてもその点については今後改善を要する大きな問題だと思います。
  36. 野本品吉

    野本品吉君 それで、さらにそれに関連したことですが、入寮を承認するか、拒否するかという有力な参考資料として、そこの寮へ入ることを希望する者に対して、試験ということはありませんが、論文を書かしておるのですね。で、その論文というのは、いわゆる期待される人間像に対する所感を書けと。それであとで提出する。その問題の選定自体がいいか、悪いか、これはきょうの議論ではありませんが、私はそういうことについて文部省責任をとることのできないようなそういうやり方というものは、私は国民の血税を使うのですから、国民に対する文部省というものが、もうはっきりした責任を持つようにして、少なくも形だけでも入寮の承認、拒否をする場合には、やはり大学の教授なりその他の名が立ち合って、そうしてそれを決定するということにしませんというと、どうも納得のいかない点があるので、この点について、ことしはもう過ぎてしまいましたが、来年もことしのままで放任していくつもりですか。
  37. 杉江清

    政府委員杉江清君) 先ほど申し上げましたように、私どもとしては寮の管理運営の適正化をはかるために、いわゆる規則等の参考案等も示して指導しておるわけなんであります。それにはいまのような筋は明らかにしておるわけであります。ただ大学の問題、一朝になかなかいきかねるようないろいろな事情がありますので、その間、大学等とよく御相談しながら漸次すっきりしたものにしてまいりたいと、かように考えております。
  38. 野本品吉

    野本品吉君 この点については、世間のだれが聞いてもふしぎに感ずることは当然だと思うので、私は将来、文部省あるいは大学当局というものは、そういう重大な問題についての決定をする際の責任の地位において、やはり全部学生にまかしてしまうというようなことは改められるべき問題だと、かように考えておる。  それからその次の問題は、その大学が、先ほど申しましたように学徒補導審議会の答申に基づいて、教育計画における学寮の位置づけとか、あるいはその管理運営について研究をしておる。まだ研究をしておる段階なんですか、実施に移されたことはありませんか、どういう事柄がですね。
  39. 杉江清

    政府委員杉江清君) 先ほど申し上げましたように、寮に対する指導もあの線に基づいておるものですし、それから学生の経費負担等についてもやはりあの答申に基づいてやっております。ただ私どもはあの答申の線を具体化する措置をいろいろな面で考え、可能な点についてその実現をはかっているつもりでございます。
  40. 野本品吉

    野本品吉君 それと、これは私は特に大臣に申し上げたかったんですが、政務次官がおられますからですが、まあ先ほど来確かめてまいりましたような事柄を通して、総合的にどうしたらいいかの問題を考えてみますと、いろいろ案はあろうと思うのです。そのうちの私は大きな一つは、大学の地方分散という問題が考えられると思う。あるいは現在の新制大学拡充整備して、そして収容能力、教育能力を高めていく。このことは、先ほどお話がございましたように、自宅から通学する者が十二万円でおるときに下宿の者が二十万以上要るようだと。そうするというと、大学を地方に分散し、あるいは地方にあります地方大学というものを充実して、そして中央にある大学との学校格差をなくす、そうすれば志願のときも自然に問題も緩和されますし、もう一つは、地方で自分のうちから通えるというその経済的な利点が非常に生かされてくると思う。こういうようなことは、従来、文部省大学局あたり研究したことはありますか。
  41. 杉江清

    政府委員杉江清君) お考えのような考え方で大学拡充整備を進めてきているつもりでございます。ことに昨年来のこの大学の志願者急増の期間における拡充整備におきましては、地方大学の育成ということを一つの方針にいたしております。まあ明年度の予算編成についても、それを一つの方針にしてまいりたいと、かように考えております。
  42. 野本品吉

    野本品吉君 そのことは、まあなかなか容易な仕事ではないと思いますけれども、そういう方向に向かって具体的に一歩一歩進めるということが、一つには入学難の競争の緩和の問題にもつながり、もう一つは経済的な利益も一つはある。そして金がかからないからという、それではこの程度のことならばうちのせがれもやれるじゃないかということで、さっき申しました低所得者の子供というものは、そういうことによってその志をとげさせることが相当程度できるのじゃないかと、こう考えますので、将来そういう方向に向かってぜひ御検討をいただきたい。  それから対策はいろいろありますが、先ほど大臣にも私がお伺いしましたように、返還金を全部返還されるように特別な留意をしていただいて、それによって増額された金というものは、学資給与の額、対象人員の増加という方向に向けて、それでいままでも毎年十億程度のものがふえてきているのですから、三、四年間。ところが、ことしのは一億しかふえないのですね。で、それはあの返還金が返ってこぬからだと、こういうことになりますと、何だか大蔵省の手伝いにあなた方の返還業務というものが行なわれている、こういうことになってしまうので、それはもうこっちで働いて返ってきた金というものは絶対に手放さない、そしていままでのように年間十億なら十億平均というものはさらに増額されていくと、こういう方向に持っていかないというと、私は育英会自体の伸びがここで完全にとまってしまう。そこで、くどいようでありますけれども、そういう点について十分お考えをいただきたい。  それと、まあ行ったり来たりになりますが、返還金の問題について、最近、業務方法書というものが規定されておるのですが、新聞で強制執行をかけたのが何件かあるという、これは一体どういう事情による強制執行なんですかね。
  43. 杉江清

    政府委員杉江清君) 育英会としても、考え方としては本人の自覚に待って、自覚に訴えて返還させるという方針でやってきていると考えております。だから、しばしば督促しても返還しないというものについても、直ちにこれは強制執行措置に出ることなく、まああくまでも自覚に訴えるという態度できておりますが、ただその程度があまりにはなはだしいもの、返還能力は十分あると客観的に認められながら、なおかつ何度催促しても返還しないと、そういうものについては最後の手段に訴えたというのが今回のとられた措置だと考えております。
  44. 野本品吉

    野本品吉君 まあ強制執行という荒療治をすることは先ほど申しましたように好ましいことではありません。しかし、全部の滞納金の返還が完了するまではこれでいくことはやむを得ないでしょう。ただ問題は、返さない人の中には、悪意でなしに、連絡なり督促なりというものが行なわれてなかったので、ついそういうふうに延滞するようになったと、こういう者も相当あろうと思うのですね。だからいまお話のように、十分にその事情についてはあたたかい気持ちでお扱いになって、不都合呼ばわりでなしに、親切な扱いで、しかもきりっとしたところはきまりをつけていくと、こういうふうな扱いをしていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えておるのです。  そこで最後に、時間がたちましてたいへん失礼ですが、私は育英会の問題は現状をもって満足すべきものではない、さらにいろいろ拡充していかなければならないと思うのですがそういうときに、育英会の将来の発展あるいは向上、活動の成果があがるようにするためにいろいろ方法があろうと思うのですが、このことについてはここでこまかいことを申し上げることを避けますが、前向きにきわめて熱心に御検討をいただかなければならぬ。  そこで、政務次官にお願いしておきますが、私は先ほど大臣のおるときに申し上げたんですが、くどいようでありますけれども、育英会が働き出した金を確実に育英会のものとしてさらに役に立つように、将来予算を組むときに御考慮をいただきたい。もう一つは、大学の分散とか、あるいは地方大学の整備拡充というようなことは、やはりこの育英の上から言うと非常に大きな問題になってくる。特に家庭所得の低い階層の人にとってはそういう道が逐次開かれることは非常な再びであろうと思う。そういう方向へ向かってぜひ御検討をいただきたいと、こう思います。  ちょっと最後に一つ学生課長にお伺いしたいのですが、各省庁であなた方の育英会の働きかけに対して協力しておらぬ省庁があるかどうか、あったらその省庁の名前を聞きたい。
  45. 笠木三郎

    説明員笠木三郎君) 育英会から特別に御協力をお願いいたしました場合に、いまお話のようにこれに対して拒否をされるという省庁は一つもございません。ただ、これは各省庁ごとに奨学生の数その他の相違がございますし、それから先ほどちょっと申しましたように、本人が従来からきちんと返しておって、特別にいわゆる職場集金のワクの中に入らなくても、従来のやり方どおりでりっぱにやっていくというところも相当数ございますので、そういう個別の理由によりまして先ほど申しましたように、まだ全省庁にまで及んでいないような状況でございます。お説のような点はないと私ども確信しておるわけであります。
  46. 野本品吉

    野本品吉君 そのことが問題になって、各省庁等も同じ歩調でいこうじゃないかということを申し合わせましたのは、たぶん三十七年の夏だと思うんですよ。今日までちょうどまる三年たっている。まる三年たっておっても、それに対して具体的な対案が考えられないような省庁、そういう場所があったら、それはちょっと無責任じゃないかと思うんですよ。そういうところがそのまま進められますというと、今度はそれが逆作用を起こしまして、なに一生懸命やったって、やらないところもあるのだからということになってしまうと、せっかくここまで積み上げてきた皆さんの努力というものが、また崩壊するおそれがないでもないと思うので、やるときまったことに対しては、全面的にその実施に協力してもらわなければならぬと思うので、きょう私はどこの省庁ということを聞きたいといったのですけれども、とにもかくにもそのことは育英事業の将来に非常に大きな関係があることだと思いますので、さらに十分の御検討をお願いしたいと思います。
  47. 笠木三郎

    説明員笠木三郎君) ただいまの御趣旨に沿いまして、一〇〇%目標に達するように努力をいたしたいと考えております。
  48. 小林武

    ○小林武君 学徒援護会の職員の給与についてお尋ねいたしますが、日本育英会とか、その他文部省関係の特殊法人と同じように改善しようというお考えはあるようでございますけれども、学徒援護会だけ現状においては取り残されているというふうに聞いておるのですが、この点はどうですか。
  49. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) 学徒援護会の職員の給与関係につきまして、育英会の特殊法人のものとの比較において、多少低いということは、これはそのとおりでありますが、全体から見まして、たとえば国家公務員学徒援護会の職員との給与水準を比較いたしてみますと、援護会の職員のほうがおおむね上回っているのでありまして、その上回っている率、あるいは額につきましては、それぞれの職種でありますとか、比較をされる国家公務員公務員試験に合格をしている人か、あるいは合格をしておらない人か、さような者との比較によって多少の相違はありますが、現実には国家公務員と比較をいたしますと、一号俸、あるいは二号、三号、四号俸上回っている者もあるような状況であります。いまお尋ねになりました日本育英会の、これが公庫公団方式に組織がえされる前と比較いたしますと、全く同じ水準でありますが、日本育英会のほうが公庫公団方式に切りかえましたので、ただいまでは公庫公団方式はおおむね一五%ぐらいアップされるのが普通でありまするので、公庫公団方式に学徒援護会も切りかえまして、給与水準をさようにアップをしたい、こういう希望を持ちまして、今後、前向きにこの問題については検討をいたしたい、かように存じておる次第であります。
  50. 小林武

    ○小林武君 前向きに検討したいということはわかったのですけれども、前向きに検討することの約束はずいぶん以前から行なわれておる。ところが、結論だけ言いますと、学徒援護会だけが取り残されたことは事実です。この学徒援護会だけが取り残された。学徒援護会、日本育英会、私立学校振興会、これがある事情を、いまめんどうくさいから言いませんけれども、いろいろの事情があって二つだけは伸びた、それで育英会や私立学校振興会のほうは一ぺんに一五%アップした。学徒援護会だけ取り残された、こういうふうに私は把握しておりますが、この点はどうなんですか。
  51. 杉江清

    政府委員杉江清君) 私学振興会のほうもいまいろいろ話し合い中のようでございます。で、この援護会のほうも公庫公団方式に切りかえるといるような方向で、ずっと検討しているわけですが、ただこの切りかえについては無条件でこっちがいいということではなく、いろいろな経過措置についてかなりいろいろむずかしい問題がございます。御存じのように、個人個人にとって退職金まで含めていろいろ考えますと、必ずしも全部が有利になるというようなことは言いがたいような計算になるわけであります。そういうような点でいろいろ移行についてよく内部でも話し合いをし、その移行についても不利にならないような具体的措置についてもいろいろ検討して、その上で切りかえることが必要なわけでございますが、いままでのところ援護会についてはまだその辺が熟しておりません。しかし全体には公庫公団方式に切りかえることが待遇改善になるということを私ども考えておりますので、そういう方向で今後努力してまいりたいと思います。
  52. 小林武

    ○小林武君 私が聞きたいのは、端的に言ってもらいたいと思うんだが、学徒援護会はどんな理由があるにしろ、理由はあとで聞きますから、いまあげた三つのものが取り残されておったんだが、四十年度の予算において育英会や、私立学校のほうはそれが解決するようなことになった、学徒援護会だけはそれから漏れた、こういうことを私は聞くのですが、それが事実がどうかということを聞いておるのです。
  53. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私学振興会につきましては現在事業計画の承認を進行中でございます。その中にその方式を実現したいと思って現在折衝中でございます。
  54. 小林武

    ○小林武君 ぼくの言い方が悪いかな、てんで話がとんちんかんだ。私学振興会とか、日本育英会というのは四十年度予算でもってそれが措置された。少なくとも一五%アップというものが可能になった。しかし両者の労働組合が、その間においてどういう実施上のいろいろな話し合いがあるかないかは別として、とにかく予算が確保されたんだから、その点ではとにかくこれは完全に実現する可能性がある、両者の話し合いがつけば。ところが学徒援護会に関してだけはこれは予算を削っちゃって、それで学徒援護会は見送らざるを得ない状態になっている、これが事実かどうかということ聞いておる。
  55. 杉江清

    政府委員杉江清君) 学徒援護会につきましては、取り残されておることは事実でございます。
  56. 小林武

    ○小林武君 その理由は何ですか。
  57. 杉江清

    政府委員杉江清君) 先ほどもちょっと触れましたように、この公庫公団方式への切りかえについては、いろいろ具体的に話をし、それぞれ職員の納得を得てこれを移行するということが必要だと考えておるわけですが、その辺の話の詰めがまだ十分行なわれておらない、こういうことがおもなる理由でございます。
  58. 小林武

    ○小林武君 これはきわめて乱暴な発言なんですね。予算をひとつちゃんと取っておかれて、それについて一体賃金の問題ではどうするか、あるいは退職金の問題ではどうするかというようなことは、これは労使の話し合いでいろいろ結論が出るわけです。その話し合いがつかないから予算を組まないというのは、これはどういうわけなんです。これはおかしいじゃないですか。ほかの二つだって労使の間のいろいろな賃金上の問題については、ぼくは一〇〇%とにかく話し合いがついてしまって、あとは予算さえ取れれば問題はもうすらすら解決するなんということは、これはあり得ない、これは民間においても、それからどこにおいても。だから、私は公社、公団並みにするのだ、こういう約束を、これは文部省も、あるいは当該の使用者側の者も約束をしておる。しかも、その点これはもう労働協約をしておる。そうすれば、私は予算を取るということが先決問題なんです。そうでしょう。その予算だって、まあ大蔵省相手のことであればなかなかいろいろなあれもあるということは、私も労働者自体じゃないから、私はそこの労働組合員じゃないから、これはその立場で言わないから、ある程度理解もできるところもあるんですよ。思うとおり予算が取れないということもあるだろうけれども、ほかのものが取っただけのものをどうして学徒援護会だけが取れなかったかということの理由、その理由が明らかにならなければいかぬですよ。そのことが解決しない。先ほど、予算を取りませんでしたということは、これはおかしいですよ。しかし、あなたのほうで何かそういう学徒援護会が別口で、財団法人でございますとかいうようなことをおっしゃるなら、ここでおっしゃってください。
  59. 杉江清

    政府委員杉江清君) それも形式的な一つの理由ではあろうかと思いますけれども、私どもはやはり実質的には特殊法人に近いものを持っておるわけでございますから、これは切りかえたほうがよろしい、こういうふうに考えております。ただ、繰り返しますけれども、この切りかえについては、やはり相当話し合いが進んで、切りかえることについて多少の問題を残しても大体いけるという見通しが固まることが必要だと思うけれども、そこまで熟していなかったということがその理由でございます。繰り返すことになりますけれども、いままでこの切りかえについては、必ずしもその組合員がそれを有利だというふうにとらなかった過去のいろいろな例があるわけなんです。そこでいろいろな問題を起こし、一時は、だから現状のままのほうがいいという意見も相当あったわけでございます。しかし、だんだん切りかえたほうがよかろうというふうになったわけでありまして、現実に切りかえるにはやはりその辺の話し合いが相当程度熟してから行なうことが適当だというふうに考えてきたわけでございます。
  60. 小林武

    ○小林武君 それは杉江局長、そういう話は乱暴ですよ。これは役所ですよ、役所を相手にする仕事なんです。そうでしょう。その場合、労働者との間に賃金の問題でやりとりをしてから金を見つけてくるというようなことは、われわれの仕事ではできないですよ。そうでしょう。昭和三十六年から問題が起こっておる。私はその以前のことは知らないが、これは参議院でも問題になっておるし、衆議院の社会労働でも問題になっている。三十六年以来ずっとこれが問題になってきておる。三十九年の四月には学徒援護会の当事者と、それから労働組合との間では協定書を結んでおる。いいですか、政務次官、そうなりましたら、四十年度の予算では何がしかとらなければいかぬですよ。それは目標は何かといったら公社公団並み、日本住宅公団とかいうものを大体目標にしてやるんだということを言っておる。特にその際、学徒援護会責任者は三十六年以来今日まで、三十九年の四月ですか、これが実現できなかったのははなはだわれわれの手落ちであるということを協定書の中で言っておる。そうだとしたら、私は全部満足がいくような予算をとらなくても、ほか並みの予算だけは獲得しなければいかぬですよ。なぜそれができなかったかというところに問題点がある、どうしてそういうことになったのか、だれに一体問題があるのかということなんですよ、それを私聞いておるんです。そのときにあなたが言うように、退職金の問題も解決しなかったとか、それから内部も不統一であったとかいうのは、これはちょっとおかしい。三十九年の四月に協定書を結んでおるときに、労働組合が見解が一致しないのに協定を結ぶわけはないですよ、取りかわすわけないんです。そんなこと労働組合のイロハのイの字からいってもそんなばかなことないですよ。だから、そういうことでなしに、もっと、やはりある程度の利害のあるもの同士の話なんだから、あまりしろうと同士の話のようなことを言わないで検討してもらいたい。ぼくは非常に不愉快な話をこの間において聞いておるものだから特に聞きたい。
  61. 杉江清

    政府委員杉江清君) その間の経緯について課長から具体的に御説明申し上げます。
  62. 笠木三郎

    説明員笠木三郎君) 大学局長の御説明を補足してちょっと申し上げますと、三十八年度におきましていわゆる文部省関係の外郭団体の給与の切りかえの問題が具体的な日程にのぼったわけでございますが、そのときには各外郭団体の予算関係を、いわば統一要求といたしまして要求したわけでございます。で、そのときの線は、公庫、公団の水準を目標にして年次計画でこれに達するということでございまして、その時点においては、育英会及び援護会につきましても、もちろん同一水準での予算額が計上されたわけでございますが、この点が特に、先ほど局長が申しましたように、退職金の問題等々との関連から、その予算はつきましても、労働組合との関係が十分に煮詰まらないままに、結局先ほど指摘の私学振興会を含めました三団体がいわゆる取り残された形になったわけでございます。そこで、四十年度の予算要求につきましては、一応要求の形はとったわけでございますけれども、結局そういう前例がございますし、まだ労働組合との関係が十分に煮詰まらないままであった状況でございますので、したがって、最終的には四十年度予算の計上は見送りという形になったわけでございます。で、育英会につきましても、概算要求当時におきましてはまだ十分に煮詰まった状況ではございませんでしたけれども、その準備態勢がかなり進んでおったという関係で、育英会につきましては四十年度に計上をみることになったという状況でございます。したがって、援護会につきましては、私ども事務当局の立場といたしましては、なお経過措置、特に退職金との関係等につきましても準備態勢ができますならば、これに基づいてできるだけ早くめどをつけたいというふうに考えているわけでございます。
  63. 小林武

    ○小林武君 どうもあなたたち、ぼくにうそを言っているのじゃないですか。これは、私が持っておるのは学徒援護会の労働組合と当事者との間で取りかわした文書の内容についてここに持っています。それを協議している。ずいぶん違いますよ。たとえば、ここは名前を三団体あげましたが、そういう三団体より二つ多くて五団体、そういうものがなかなか話し合いがつかなかった、確かにいろいろな問題でね。それは最近の問題じゃない、昭和三十九年の問題。で、いろいろいざこざがあった。しかし、結局的にはどうなったかというと、三十九年の四月にはとにかく納得して協定書を協定した。そうしたら四十年においては当然全部について予算措置をやらなければならない。ところが学徒援護会だけ残った。そのときにどんな回答をしてるか。どんな答えをしているかということを私から申し上げますよ。その中には、あなた方のおっしゃるような、退職金の問題がどうだとかというようなことは言っておりませんよ。「一、現在学生会館問題をめぐって管理体制の強化が迫られており、これが先決問題である。」理由の一であります。理由の二、「三十八年二月一日より実施した日本育英会並みの一号俸引上げに伴い、この予算措置がとられなかったため予算のやりくりによってこれを実施せざるを得なかったが、この結果生じた欠員の未補充分を早急に補充することが先決であり、大蔵省に対してその説明ができなかった。」、「三、会側の準備不足があった。」ということが第三です。この三つの理由です。そうすると、一番問題だと思うのは、管理体制のその問題があったから、この学徒援護会は罰みたいなものだね。これは、学徒援護会のことについてはぼくはあなたたちにこの前質問した。そしてなるべくこの問題はおだやかに済むような方法はないのかということをあなたたちに話した。きょうもそのことについてあらためて問題を一つ提起いたしますが、その罰なんだ、これは一つの。そのことが一項あがっているのですよ、管理者側から。うそじゃありませんか、三つの理由があがっているのですよ。
  64. 笠木三郎

    説明員笠木三郎君) 私ども全体としてのこの問題の対処のしかたにつきましては、先ほど来申し上げたとおりでございますが、まあ御指摘の点の、たとえば東京の学生会館の移転関係の緊急性というふうなことが実際一つの条件としては影響がなかったとは申し上げません。しかしながら、全体としては、やはり給与問題そのものにつきましての準備態勢の不足というところは、局長から申し上げたとおり一番の問題点と考えております。
  65. 小林武

    ○小林武君 実際、きのうから特にそういうことを強く感じているのですけれども、あなたたちは、一度自分が言ったら間違っていることでも押し通そうとする、それを言わぬというと減点になるというような考え方を持ったらいかぬですよ。それは理屈にならぬですよ。一体、あなたのほうで、それじゃ話し合いがついたら何でもかんでも全部予算をとるなんというようなことが言われますか。それからまた、全部のむなんということはなかなか起きないじゃないですか、賃金問題なんかは。ほかのほうが一体これだけ予算をとると、こういったら、大体公団並みとこういっているのですから、大体同じような平等な、文部省傘下の団体について同じような措置をやるべきじゃないですか。やらなかったのはどういうわけだ。私は政務次官がその間の事情を全部知っていたら、ほんとうはこれは政務次官にたださなければならぬ。その経緯はあれですれども、しかし政務次官どうですか、これだけ一つ予算措置をしなかったということは理屈になりますか。おまえのところの退職金はどうとかいうことと違うでしょう。そうなりませんか、政務次官どうです。そのことだけは政治的な判断をしてくださいよ。
  66. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) とにかく現実といたしまして一つだけ取り残されているというこの事実は間違いないのでありまして、この現実に対処して前向きに検討をし、早い時期に公庫公団方式に改めて、ほかのもとの均衡のとれたアップをいたしたいと、こう考えておるのであります。
  67. 小林武

    ○小林武君 なお、政務次官にひとつもう一ぺん聞きたいのですがね。いまの課長のお話の中に、きわめて正直なところが一つややうかがわれた。ということは、ここの理由の中に、現在、学生会館に関して問題になっている管理体制の強化が迫られている、そのこととは無関係では、全然関係がないとは申し上げられませんということだった。これが一つの大きな理由です。こんなばかな話が世の中にありますか。学生と理事者の間のいざこざですよ。その罰を一体働いている者が受けなければならないというなんて、そんなばかな話が世の中に存在するというのはおかしいですよ。しかし、こういうことをぼくは聞いているのですよ。これはあなたの党ですからお伺いするのですが、自民党はこういうことを要求したと、こうわれわれは伝え聞いている。管理条件、管理を厳重にすることができなければ学徒援護会は解散する、できるならば、これは継続してやってもよろしい——特に名前はあげませんけれども、某議員を中心にして三人委員会なるものが存在している。この三人委員会がそれの最終的かぎをにぎっておる、こういう風説であります。こういう風説はどうですか。火のないところに煙は立たないということがありますが、事実あるのですか、ないのですか、ひとつお伺いしたい。
  68. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) 学生会館の管理につきまして、相当研究をせなければならぬ余地もありまするので、これが討議の課題となったことは間違いありません。しかし、いまおっしゃったような事柄は火のないところから出た煙でありまして、さような事実はありませんです。
  69. 小林武

    ○小林武君 二十一世紀も近くなると、やはり火のないところから煙が立つようになった。まことに妙なことだと思いますけれども、委員長、私はこういう問題で学徒援護会の存在その他について議論をするのは、文教委員会のようなところに委員会でも設けて、そうしてやはり各党派がこの問題を検討するというようなことがあってしかるべきであって、かりにもそういうことが、うわさでも出るということは、はなはだもって残念なことだと思っております。野本さんの意見の中にも、私と違うところもありますけれども、いろいろ学生のことについて御心配になっていることは、これはもう非常に敬服しておるのです。それはもう党派とか何んとかいう問題ではなく、国民全体がやはり大いに考慮しなければならぬ。特に文教委員会などは私はそういう責任の重大なところだと思うのですが、きょうは火のないところに出た煙、ふかしぎな煙ということでやめておきますけれども、ただ賃金問題だけでは私はひとつはっきりしてもらいたいのですよ、どうするのか。これもことし予算化できなかったことを幾らいまここで責めてみても、これはもうしょうがない。それから理由を聞けば、文部省としては大体そのくらいのことしか答えられぬとぼくは思う。口を裂くといったところで、杉江さんも絶対言わぬだろうし、腹の中では大体そうだというようなことを思っているのだろうけれども、口に出して言えぬところが、これがつらいところだと、こう思うから、ぼくもそれは長追いする気持ちはない。ただ、どうなんですか、約束できるのですか。こういう今度は予算化についてどうですか。これは政務次官、ひとつあなたからはっきりした御答弁をいただきたいと思うのです。
  70. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) 大体のお話の内容につきましては、私も同感の意を表する点が多いと思います。したがって、この援護会についての給与に関しまして、公庫公団方式に切りかえて、そして給与引き上げという実をあげたい、この方向には私は賛成であります。そして文部省におきましても、そういう方向に、前向きに検討をしたいという状況にありまするので、予算の関係につきまして、ここで私がお約束するのは少々僭越だと存じますが、前向きに検討をするということはお約束ができると存じております。
  71. 小林武

    ○小林武君 はなはだ手ぬるいです。そういうことではがまんできない。第一、四十三国会のときに、当時の安達大臣官房人事課長は、八つの特殊法人等の職員の給与については責任を持たなければならぬと言っている。それがとにかくうまくいかなかったのです。そこで、私はそんななまぬるいことじゃなしに、今度は学徒援護会の当事者も、そこにつとめておる人たちの組合に対して、四十一年度には実施しますということを約束しているのです。しかし、これはいくら約束しても、全額が国の補助で動いているところなんですから、文部省がこれを大蔵省から取ってくれないことにはどうにもならぬのですよ。だから、私は文部省が必ず取るということに確約すべきだと思うのです。ここでできないことはないのですよ。八つもある傘下の団体のうち、たった一つだけ残して——残す理由が一つもないのです。だから、この四十一年度は大丈夫ですということをあなたは一言おっしゃってくだされば、あとは質問をやめますよ。
  72. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) 将来の問題でありまして、しかもむずかしい予算という関係にからんだ問題で、大丈夫お引き受けをいたしますということが、なかなか僭越で言いにくいことでありますから、ここに前向きに検討をする、こういうことばでもって御了承を願いたいと思います。
  73. 小林武

    ○小林武君 了承できません。前向きに検討をすることは前から約束されている、そうでしょう。実現しますということも文部省で約束している。しかもこれは政務次官とか大臣とかでなくて、課長もそういうことを社会労働委員会で言っている。そうしたら、こういう不平等な扱いはいたしませんとあなたはおっしゃらなければいかぬですよ。ここで政務次官という立場を考えたら、そんな、ここにいる役人の人たちと同じような答弁をやっちゃいかぬですよ。もっと思い切った答弁をしてください。
  74. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) これは来年度予算の折衝段階においてあらわれてくる問題でありまして、党内においても十分検討をして、小林委員の御意見のごとき方向に進みたいと、私は熱意を持ってこれに取り組むということのお約束はできますが、予算獲得を必ずと約束するわけにはどうも事態から申し上げかねるところであります。
  75. 小林武

    ○小林武君 予算獲得にこだわったようですから、どうですか、これなら。四十一年度から他の公団並みにアップをすることを約束する、これはどうですか。
  76. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) 結局、ことばを置きかえられ、言いかえられただけでありまして、同じことでありますが、来年のことをここでお約束すると鬼に笑われるかもわかりませんが、来年のことは努力をする、前向きの検討をするという程度に御了承を願いたいと思います。
  77. 小林武

    ○小林武君 やはり文部省責任を感ずるべきなんですね。昭和三十九年四月の協定には、「昭和三十六年以来会側が認めてきた日本住宅公団なみの賃上げについては、その後三年を経過したにもかかわらず、こんにちまでまだ実現していない。これは会側の努力の不足と認め抜本的な対策をとり早急にこの実現をはかる。」と組合に約束したのです。これは昭和三十九年の四月なんです。これは協定書なんですよ。いいですか。そういう約束をしたその約束が、今度のときに、この学徒援護会だけ予算がとれないで漏れちゃった。それで今度は当事者は学徒援護会人たちは何と言っているかというと、役員の諸君は必ず四十一年度には上げることを約束する、こう言った。四十年度はひとつかんべんしてくれよ、こう言った。私はそこにつとめている人たちが四十年から実施できないということについては、どうしても納得いかぬでしょう。しかし、四十一年度は約束してくれるのかどうかということについて、残念ではあるけれども、そういう布望はやっぱりあると思う。そのあれだけは、こたえてやらなければいかぬですよ。しかし、あなたがいろいろ予算を獲得しますということは言いにくいだろう。ことばを置きかえたというけれども、そうじゃないですよ。それはそういう確約を果たすようにします、こうあなたがおっしゃればいいんですよ。
  78. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) まあお読みいただきました協定書ですが、それは援護会と援護会につとめている職員との間の協定だと思います。したがって、その協定そのものに全部政府責任を負うということは、これは小理屈にもなりますけれども、その協定に沿うように政府も考えるということは言えることと思いますが、その協定自体に政府責任を負うという筋は少し違うのじゃないかという感じがいたしますが、くどいようでありますが、予算の関係、その他いろいろこれは検討せなければならぬ問題もあると思いますから、前向きに御希望に沿うて、援護会の職員の給与がほかの外郭団体と同じような給与になるように、公庫公団方式に切りかえたい、その努力をすることをお約束いたします。
  79. 小林武

    ○小林武君 先ほども申し上げましたが、大体、学徒援護会というのはどういうようにして運営されておるかということをお考えになればわかる。そこらになると今度は学徒援護会というのは、全部がとにかくおんぶしていると思うのです。それがとにかく約束したのだから、当事者能力があまりないくせに約束したことをあなたたちのほうで責めるというと、これはそこにつとめている人たちはどこへたよっていいかわからないということになる。これじゃ労働組合と使用者との間に不信感を巻き起こす。こういう状況だ。それがあるからうまくいかない。これは公共企業体でも同じようなことが行なわれておる。国鉄の総裁が閉口しているのはそこなんです。そういうようなことを起こさないようにするためには、文部省責任を負わなければならぬ。あなた四角四面になって、これはぼくらのほうは直接協定書を結んだ相手でもないというようなことを言えば、これは言えないことはないでしょう。しかし予算をとってやる責任はあると思う。だから、そういう意味ではこの点はひとつ労働組合の諸君との約束を果たすように、とにかくここで約束していいというようなことは言えなければいかぬです、ほんとうは。しかし、まあ努力するといっても、実現の可能性のないことを努力するということじゃないのでしょうね。一つだけ残ったということは無理でしょう。その点をひとつ十分お考えを願って、今度はこのようなことのないようにひとつしてもらいたい。なお、先ほど話が出た解散させるとか、させないとか、火のないところに出た煙の問題については、ひとつ私は今後お互いにこの問題について監視していかなければいけないと思います。あなたのほうにはそういうことがないようでありますから、私も信頼しておきますけれども、どうぞそういうことのないように特段のひとつ御配慮をいただきたいと思うのです。  次に、同じ学徒援護会の問題ですけれども、これは杉江局長にお尋ねいたしますが、現在あそこの古いほうの学生会館には六百名くらいの人間が入っておるように聞いております。新しく下落合にできたところは六百十五名の収容人員、ところが下落合に入れる六百十五名について、収容人員があるのだが、その募集人員は、新たに一体どのくらい募集をしているのか。聞くところによると、あそこにいる六百人は全部お払い箱にして、新たに六百十五人をとにかく募集するのだというふうに、これはあまり確たるあれじゃないけれども、学生間の風評を聞くというとそういうことになりますが、どうでしょう。
  80. 杉江清

    政府委員杉江清君) そういうことはございません。入館者につきましては、在館学生希望を聞いて、希望するものをできるだけ優先的に入館させるということで、一月末までに申し込ませたわけであります。それに対して書類の提出を三月末日までにしたのでありますけれども、応募した者は百四十八名であります。
  81. 小林武

    ○小林武君 いま入っているのは。
  82. 杉江清

    政府委員杉江清君) いま入っている者のうちで、卒業者は除きまして在館者数は四百名でありますが、そのうち百四十八名希望したので、それについては四月二十六日に正式に入館を許可いたしております。なおその後も、希望しなかった者に対しては新規応募者と同様に扱いまして願書の受付をいたしているわけであります。しかし、ここでも在館者の十名程度は応募しているようでありますが、まだ相当多くの者が入館を希望しておらないという実情であります。
  83. 小林武

    ○小林武君 私がいま非常に心配しておりますことは、これはそこに移る時期に、はなはだ悪い表現ですけれども、非常に混乱が起こるのじゃないかということを心配しているのです。非常に混乱が起こるのじゃないか、ことによりますと、また、前にも警察官が導入されてどうこうしたことがあるのですが、私は以前よりかも今度の場合ははげしいのじゃないか。そのことでもって、この間、私は学生と会いませんでしたが、ぼくのところに見えたそうです。私はそのときに、そういうことについて注意したのです。そういうことの起こらないようなやり方というものがないかということをいろいろ聞いたのです。しかし、私がいろいろな情勢から判断すると、なかなかこれは容易ならぬ情勢、雲行きじゃないかと見ているのです。だから、この点についてあなたのほうでよほど学徒援護会との間の連絡を密にしていかないと、これは思わざることが、きわめて非教育的なことがこの間において行なわれるのじゃないかということを私は心配するから、まず警告を申し上げたいのですが、その中でこういうことを言っているのです。アルバイト学生は入れません、その新しいところに。これは先ほど野本委員から御質問があって、お答えになったところによると、四五%というものがアルバイトをしている、七%はもうとにかく働くことが主になっているような学生だ、あとの者は多少ゆとりを、何というか、何ぼかの足りないところを補うものをやっているものだと言うのだが、それにしても四五%というと半分近い、これを入れないということになったら、私はこの前にもこれは課長にも調べてもらったのだけれども、ある理事かだれか知りませんけれども、貧乏人の学生はこれは用がないのだ、今度新しくできたところは貧乏人の学生はごめんこうむるのだ、それと同じようなこと、アルバイト学生は入れないのだと言ったといううわさが出ている、これはうわさであればけっこうだと思うのですが、そういうようなやり方であそこの中から人を選ぶということになると、それはすごくこの問題ははげしい状況をあらわすと思うので、そういう点について、一体そういう失言をしたり、対立が起こって両方がお互いに情疑心を持っている状況になっているというのだが、その点も一体文部省のとらえ方としてはどうですか、うまくすっきりといくというように判断されているのですか、それともいろいろな心配があるから、あるいはそれに対して対策を援護会の人たちと話し合ってみたのですか、その点を伺います。
  84. 杉江清

    政府委員杉江清君) 私ども必ずしも楽観いたしておりませんが、御指摘のようなことが起こらないように念願しながら、いろいろ打ち合わせているわけでございますが、なお今後とも十分な打ち合わせて円滑を移転ということを考えて努力いたしたいと、かように思います。
  85. 小林武

    ○小林武君 そうすると、杉江局長にお尋ねいたしますが、現在四百名入っておりますね、あそこは。ぼくらもこれから学生の諸君と、学生の諸君もきっと来ますから、来たら、そのときには私の判断で、あなたたちはやはりどうするのがほんとうじゃないかということを率直に言いたいつもりなんです、これは。教育をするという立場から率直な意見を私は言いたいと思う。そういう立場からお伺いしたいと思うのだが、四百名いるうち、この四百名のうちの百四十八名というのはとにかくもう希望して許可された。残り二百五十何人も君らも入ったらいいんだが、希望しなさいと言っている。かりにこの四百名の人が全部新館に行きたいと言ったら、これは入れる腹ですか、いかがですか。
  86. 杉江清

    政府委員杉江清君) 基本的には希望者をできるだけ優先的に入れるということのようです。ただ、希望したら全部入れるかどうかという問題については、これは援護会自体の御判断もあり得ることだと思います。その点は私、一般的にいえばそういう方針だと思いますが、全然希望すれば無条件で入れられるかどうかについてはかなり判断があるということです。
  87. 小林武

    ○小林武君 それは援護会が選ぶというのはどういう選び方をするかしりませんけれども、それがアルバイト学生じゃぐあいが悪いということを言ったりするのかどうか。なお、この学生会館の募集の要項の中に妙なことを書いているのですね、ぼくに言わせれば。本学生会館は勉学する学生のための学習の便宜に供する目的である。勉学をしない学生というのがあるのかどうかよくわかりませんが、ここでしいて、この文章はくだらぬ文章であるけれども、私が解釈すれば、一生懸命勉強してほかのことをやらないような学生は入れてあげますということになると、アルバイトなんかすると入れないことになる。もっぱら勉学すると、ガリ勉でもやるというようなことがここに書かれているのか。それでなければ勉学しない学生というものはない。勉学しない学生というものは私は見たことがない。みんな勉学しているから学生というのですよ。そうすると、勉学をする学生というのは一体これはどういうつもりで書いたのか。そういういろいろなことを書いているから、何というか疑ってみたくなる。ですからそういう解釈をするのですが、一体どうなんですか、これは。その四百名の中で一体入れたくないという者があるのか。どういう学生は入れたくないのか、どうなんですか。そこらあたり聞いたことはないということは言われないわけですね、あなたのほうから役員が出ているのだから。この前お話ししたでしょう。役員が出ているのに一ぺんも顔を出さないというのはうまくないじゃないかということを私は言ったのですが、それからあなたたちは出ていると思うから、どうですか。そこらを聞かしていただきたい。
  88. 笠木三郎

    説明員笠木三郎君) 援護会の学生会館につきましては、昨年度、管理規定の整備をいたしまして、そこに会館の設置目的、性格等につきましての定めを明確にしたわけでございますが、この中に、会館の性格につきましては学生の勉学に資するため宿舎を提供し、共同生活の規律を通して人間形成をはかるための施設とするというふうな考え方があるわけでございまして、この勉学に資するため——勉学する学生という意味は、いまお話のございましたような非常に狭い意味で、ガリ勉をするような者だけ入れるということでは毛頭ございません。しかし、相当多額の国費を費やしました会館の設置目的に即するような会館を運営していかなければならない立場に援護会がございますので、その意味で、いま申し上げたような性格についての定めに即しましての適当な入館者を入れるというのが一般的な考え方かと思います。したがいまして、たとえばアルバイトをやっているから、そういう学生は入れないというようなことは、これはございません。補足して申し上げます。
  89. 小林武

    ○小林武君 勉学する学生というのはどうですか。勉学しない学生ということはどういうことですか、文部省の解釈によると。
  90. 笠木三郎

    説明員笠木三郎君) これは援護会のほうで募集要項を書き出しましたものを私じかに見ておるわけでございませんので、その趣旨につきまして、援護会がどういうつかまえ方をしているかということを私は明確に申し上げるわけにまいりませんが、まあ私の印象では、やはりその意味は、従来、比較的そういう点は、まあいわば野放しのきらいがございまして、会館の内部の雰囲気について、施設の不備ということもございますけれども、必ずしも勉学に適した雰囲気があるというわけではなかったわけでございます。その点やはり学生が総合的にここに住み込んで生活をするわけでございますから、その会館の目的に照らしまして、やはり十分引き締まった学問の勉強なら勉強ということの雰囲気を十分持ったような、そういう施設として整備したいと、かような意図であろうと私は考えるわけでございます。
  91. 小林武

    ○小林武君 こんなくだらぬ文章を書くのが大体おかしいと思うのですね。勉学する学生と、つまらないことを言っておる。しかし、この名前を皆さん見ればすぐわかることなんです。財団法人学徒援護会なんです。学徒援護会なんですよ。これは先ほどの統計からいえば、七%の人間を入れるところです、本来。七%のいわゆるもうとにかく金がなくて、とにかく本人アルバイトをやって、そしてやる人間がここに入るところだと思うのです。学徒援護会というのは一体そういう性格のものだと私は思う。だからあの中にもアルバイトあっせんの仕事もやっている。そういう性格からいえば、私はやはり多額の公費を使ってやっていることですからというようなことよりも、もっと経済的にほんとうに恵まれない、金のない学生、働きながらでなければ受けられないまじめな学生にどういう便宜をはかってやるかということに重点を置かないと、ほんとう教育的でないと思うのです。先ほどからこの点はちょっと私の意見もあるのですが、たとえば野本委員からいろいろお話がありましたけれども、私は何も学校が干渉したから、教授が出たからといって、必ずしもうまくいくとは思わない。学生の自治ということで、ほんとうに公正に、とにかく人の入寮がせられて、そしてその運営がうまくいっていれば学生の自治けっこうだと思うのです。そこにおいてぐあいの悪いところがあったから、学校当局なり、それぞれの関係当局がこれを指導する責任はとにかく残されている。ところが、学生を野放しにすれば、とにかくうまくいかないのだというようなことを大学学生あたりにまで考えるということは、ちょっと自分たちの若いときのことを全然忘れてしまった人たちのどうも考え方らしいと私は思うので、そういう論争をやろうと思いませんからここでやめますけれども、ただ、私は今後学生の諸君のいろいろな希望もございますから、明日も何かくるそうですから、いろいろ意見を聞こうと思うのです。聞いて、少なくとも警察官が入ってきてなぐり合いが始まったとか、頭に血が流れたとかというようなことを、あの子供たちにも親があるのですから、また将来あの中からどんなりっぱな人材が出るかもわからぬのです。またそういう貢献をしてもらわなければ困るのですから、そういう角度で私は私なりに彼らにいろいろなことは意見を述べたいと思うし、事情は聞きたいと思う。何としても当事者がそういう気持ちになってもらわなければぐあいが悪いと思う。私はその当事者の立場に立ってもいろいろ考えたいと思いますので、ひとつ問題が起きましたら、また次回に具体的にこの委員会で提起したいと、このようにと思います。この点はこれで終わります。
  92. 山下春江

    委員長山下春江君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  93. 山下春江

    委員長山下春江君) 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法案については、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言願います。  なお、政府側より押谷文部政務次官、西田文部大臣官房長、斎藤管理局長、望月管理局福利課長が出席いたしております。
  94. 小林武

    ○小林武君 だいぶ時間もたちましたので、きょうは用意してきたことの全部はお尋ねできませんが、初めにお尋ねいたしたいのは、保有資産の運用について初めに聞いておきたいのです。ここに組合の概要という、私立学校教職員共済組合から出した一九六四年版があるわけでありますけれども、その二十七ページ、第十九表、その中にそれぞれ保有資産の運用についてと書いてあるのでありますが、その一番最後のところに、私学教育振興上必要と認められる貸し付け、これは私学振興会に貸し付けたものでしょうね。
  95. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ただいま御指摘のとおりでございまして、私学振興会に対し、長期低利の預入資金の貸し付けを行なっておりまして、三十九年度で申しますと約十一億、四十年度の計画といたしましては十七億七千万ということになります。
  96. 小林武

    ○小林武君 まあこういう保有資産の運用について、私学振興の方面に貸し付けるということは私も妥当だと思いますですね。思うのですけれども、これについてちょっとお尋ねしておきたいのは、この貸し付けが何というか、額があまり大きくなってですね、将来運営上の問題とか、いろいろな経理上の問題で心配がないかということをちょっと感じている。と申しますのは、昭和三十一年度から昭和三十九年度まで、三十九年度の場合は十七億と言いましたね。そうすると、ぼくの持っている数字では十二億二千四百万で、大体、見積もって、これはまだ予定のあれですから、予定額になっておりますから、あれしても、五十七億一千四百万になっておりますですね。それでそのうち返済が十四億一千八百万、残額が四十二億九千六百万になっておりますが、その間、三十七年度、三十八年度、三十九年度というのは、一銭も返還していない。私の調べは間違いないと思うのですがね、これは。それで、私はこういう金というのは、私学振興のほうにうんと流用さしてやるというのは、たいへんけっこううだと思のです。しかし、やはり会計は別なものですから、この三年間返還を一つもやらぬでいくというやり方をやって、五十億、六十億、百億とずっとやっていって、経理状態がうまくいくのかどうかということについては心配があるわけですが、この点については文部省も協議の中に入って、いわゆる三者協議をやったというのですから心配はないだろうと思いますけれども、この点についてはどうですか。
  97. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私学振興会に対する貸付条件は二年据え置き五年償還ということでございますので、いま御指摘のように、返らない年が出てくるということでございます。これはもちろん私学振興会の立場からいえば、財投から出るその資金のほかに、まあできるだけ自己調達の資金が加わって、その私学の助成が拡大するということが望ましいし、それから私学共済自身のことから言いますれば、まあそう制肘を受けないで、自由に自分のところの資金をできるだけ高利、安全に運用したいということはごもっともでございますが、私どもは両者を見ながら、しかも両方の経理、あるいは仕事の性質から見て、全体として広く言えば教育、狭く言えば私学振興に役立つようにということで、これは私どもが両者に御相談をし、それから大蔵省の大体話をつけまして、十七億七千万という数字になったわけでございます。
  98. 小林武

    ○小林武君 この場合、利子はどういうことになっておるのですか。
  99. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 四十年度は七分一厘という予定でございます。
  100. 小林武

    ○小林武君 四十年度。——その以前もずっと七分一厘できたのですか。
  101. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 三十九年は七分三厘でございます。
  102. 小林武

    ○小林武君 毎年違うのですね。
  103. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) これも先ほど申しました額と同じでございまして、両者、まあできるだけ高く貸すほうとしては貸したい。それから借りるほうとしては、これがやはり貸付金の条件にもなりますので、安くしたいという、まあ両方の相矛盾する要求があることは承知しておりますが、これはまあいろいろ他の共済等で運用いたします、たとえば政府共済でありますとか、いろいろなものを考慮いたしまして、まあこの程度にお願いして差しつかえないのじゃないかということで、私どもお願いしたわけでございます。
  104. 小林武

    ○小林武君 まあそのつど、大体そう大きな変わり方はないだろうけれども、そのつど利子については相談をしてきめると、こういうわけですね。
  105. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 御了解を得て定めておるわけであります。
  106. 小林武

    ○小林武君 いや、了解というのは、結局話し合いをつけてそうしてやるということでしょう。
  107. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) さようでございます。
  108. 小林武

    ○小林武君 ただ、先ほど申し上げましたように、こういうところに使うということは最も適当であるから、ぼくはやっぱり私学振興上に貸付をするというようなことについては、妙な、そのほかのところに目的を持っているようなところよりかも適当だと、まあ私学振興ということからけっこうだが、やっぱり三年間一銭も返済金がないというようなことを見ますと、この表からだけ見ると、だんだん累積していって、最後にはたいへん経理上に一つの不安なことも起きないかということも若干心配するわけです。まあその間は協議を十分にしながらやっていくということでありますから、一そう御注意をいただいてやっていただきたいと思います。  それから、ちょっと速記をとめて。
  109. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  110. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こして。
  111. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 ちょっと関連でお尋ねしたいと思うのだが、大体、融資額はどのくらいあるのですか。いわゆる共済組合がいまの私学振興会に対して融資をしている、融資ができる額は全体でどのくらいあるのですか。
  112. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) これはまあ長期低利の資金の運用でございまして、運用につきましては、種類別に申しますれば、現金または短期の預金、あるいは金銭信託、あるいは貸付信託もしくは有価証券、不動産、それから組合の行なう他の事業、長期以外の事業に対する貸付金、それから最後には、いま申しましたように、教育の振興上必要と認められる貸付金、これは結局この私学振興会に対しまして、長期低利の預入資金の百分の二十四程度の貸付を行なっておるというのが現状でございます。
  113. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 そのほかいまの債券とか、何とかというのを買って保管をしておられることもあるのですか。
  114. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ただいまの点、金額で申しますると、現金または短期の預貯金、金銭信託が八億三千万円余でございます。それから貸付信託もしくは有価証券が六十六億四千四百万、それから不動産が六億二千万、それから組合の行なう事業に対する貸付金が十二億、それからこれが三十九年十二月三十一日現在で、教育の振興上必要と認められる貸付金が累積いたしまして三十一億七千万円となっておるのでございまして、比率といたしましては、この三十九年の十二月末現在におけるこの種類別の運用の比率で申しますと、二番目に申し上げました貸付信託もしくは有価証券の五二%というのが最近の率でございます。
  115. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 年間の利子収入というのはだいぶんあるようですね。それはどのくらいあるのですか。
  116. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 利回りでございますと、三十八年度で七分五厘余ということになっております。金額についてはちょっといま——資料あとで調べまして……。
  117. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 利回りは七分四厘でしょうが、そうすると、その債券とか、貸し金とかの利子が入ってきましょう。その利子が年間どれくらいありますかというのです。
  118. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) はなはだ申しわけございませんけれども、ただいま御質問の点につきましては、調査して次回に申し上げたいと思います。
  119. 山下春江

    委員長山下春江君) 他に御発言がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後一時二十四分散会      —————・—————