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政府委員(杉江清君) 公立私立にも文部大臣が
指定いたしました養護教諭養成機関がございます。なぜそこまで対象にしなかったかということでございますが、まずそれらの
指定養護教諭養成機関の大部分は、かなり多くは保健婦または看護婦等の養成機関と養成を同町にやっておる、兼ねて養護教諭を養成しておるのが非常に多いのであります。そして、保健婦、看護婦等の養成をしております場合には、これは厚生省から別のいわゆる奨学金貸与の制度の適用を受けておるわけであります。だから、そういうものはこれからはずすことが適当だということが
一つあります。しかし、そうでない純粋に養護教諭だけの養成をしている公立の機関もあるわけであります。それをなぜ対象にしないかということは確かに
一つの問題点だと思います。ただ、これは育英奨学制度の根本にさかのぼるわけでありますけれ
ども、この日本育英会のこの育英奨学の制度は、何といいましても、その対象はいわゆる学校
教育法第一条の生徒、学生のための育英奨学のための制度であるし、その機能を持っているわけでございます。それは何といっても学校制度の中においては第一条の学校が主流をなし、また、国家的な社会的な
意味を持っているわけであります。そこに学ぶ者の
教育の機会均等をはかるということが国としての、また日本育英会としての最大の目的でございます、そして、それではその第一条学校に学ぶ者に十分な育英奨学の
措置を講じているというと、まだ必ずしも十分でございません。しかも、もっともっと充実しなければならないのであります。そこで、やはり第一条学校以外のものに育英奨学の対象範囲を広げるということは慎重にいたさなくちゃならない。そこで、そういう観点から
考えまして、従来とも慎重な立場を取ってきておるのでありますが、しかし、工業教員養成機関、これは法律で明らかにその組織及び内容をきめておる、また、当面の緊急な必要において設置されたものだ、そして大学程度の
教育を行なうものだ、そういうものは第一条学校に準じて育英の対象にした。今度の養護教員養成機関も同様の趣旨に基づいておるのであります。ところで、いまの法律の
指定養護教諭養成機関は、養護教員を養成するという点では同一でありますけれ
ども、これはいわゆる法律に直接基づくものでございません。多くは都道府県の条例に基づいてやられておるのでありますが、学校形態としてはいわゆる各種学校でございます。もし、この各種学校にまでこれを及ぼしたときには、これは類似のもの、
先ほど申し上
げた類似の養護教諭養成機関もあるし、その他各種学校一般に及ぼすおそれがある。その限界がつけにくいという実際上の問題があるわけでございます。各種学校ということになりますと、これは法律でその組織、内容、税度等は規定されておりません。学校
教育に類する
教育を行なうということで包括されており、その内容は千差万別でございます。したがって、その各種学校の
人たち、それを対象にしたときに、その類似のものの限界が非常につきにくくて非常にそれが広がるおそれがある、こういうようなことを
考えて、とにかく第一条学校にしぼるという原則を尊重したということ、それから、それに準ずるものとして法律に根拠を持った大学程度の
教育を行なうものに限定する、こういうことがこの際適当である、かように
考えたわけであります。ただ、確かに多くではありませんけれ
ども、公立の養護
教育で純粋にそのことをやっているものについては、就業年限は国立の場合には三年にいたしますが、公立の場合は二年でございます。その程度、内容等も低いし、
意味はやはり今度の国立養護養成機関のほうが大きいと思いますけれ
ども、しかし、具体的な養成内容を
考えたときに、そういうふうな養護教諭養成をはっきり目的としているものには何とかして及ぼしたらいいのじゃないか、こういうことも十分私
ども考えたいという
気持ちはあるわけでございます。ただ、
先ほど申し上げましたように、いろいろむずかしい面がある。そこで、今回は範囲をとにかく各種学校まで及ぼさなかった。この点は今後ひとつ十分検討してまいりたい、かように
考えている次第でございます。