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1965-04-27 第48回国会 参議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)    午前十時五十三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月二十六日      辞任        補欠選任       田中 啓一君    沢田 一精君  四月二十七日      辞任        補欠選任       沢田 一精君    田中 啓一君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 田中 啓一君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君     委 員                 岡村文四郎君                 北口 龍徳君                 小林 篤一君                 野知 浩之君                 藤野 繁雄君                 堀本 宜実君                 大河原一次君                 北村  暢君                 小宮市太郎君                 石田 次男君                 北條 雋八君                 高山 恒雄君    衆議院議員        農林水産委員長        代理       小枝 一雄君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    政府委員        経済企画政務次        官        伊東 隆治君        農林政務次官   谷口 慶吉君        農林省農政局長  昌谷  孝君        林野庁長官    田中 重五君        水産庁長官    松岡  亮君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        大蔵省主計局主        計官       長岡  実君        農林省農地局管        理部長      石田  朗君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○山村振興法案衆議院提出) ○八郎潟農村建設事業団法案内閣提出、衆議  院送付) ○開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○理事の補欠互選の件 ○漁港法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を開きます。  山村振興法案八郎潟農村建設事業団法案及び開拓融資保証法の一部を改正する法律案一括議題とし、順次提案理由説明を聴取することにいたします。衆議院農林水産委員長代理小枝衆議院議員
  3. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) ただいま議題になりました山村振興法案提案理由とおもな内容を御説明申し上げます。  山村が、その経済的文化的諸条件からきわめて後進的な地位に置かれていることは、すでに周知のとおりでありますが、特に最近、国民経済の急速な進展に伴い、ますますその立ちおくれが顕著となってきております。すなわち大都市及びその周辺地帯中心として虚業の発展生活文化水準向上はめざましく、また、平地農村地帯においても、農業構造改善事業実施等を通じ生産性向上、所得の増大等目標に向かって着実な前進のあとがうかがわれるのに対し、ひとり山村においては、その産業当盤及び生活環境が劣悪であるため、人口の流出と地域社会の機能の低下の悪循環を続けているのであります。  かかる事態を放置すれば、地域間の格差はますます拡大し、国民経済の均衡ある発展をはかる上でも、ゆゆしい問題となりかねないのであります。  このため、政府においても、従来から各種後進地域対策僻地対策等施策を通じ格差是正に努力のあとはうかがわれるのでありますが、何分にも、各種施策総合的方向づけと強力な財政的措置裏づけを欠き、その成果は、見るべきものがあらわれていない現状にあります。  このような現状に対処し、従来の施策の欠陥を補い、山村振興を強力に推進することを目的として、この法律案提出した次第であります。  次に、法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  本案は、おおむね、二つの部分から成り立っております。  前段の部分は、山村振興目標を明らかにするとともに、これに対する国及び地方公共団体の講ずべき施策について規定したものであります。  山村振興目標としては、国土総合開発計画その他の地域振興計画との調和を保つべきことを定めるとともに、具体的な目標としては、交通、通信連絡の発達、未利用資源開発産業振興と安定的な雇用の増大、災害の防除、住民の生活文化水準向上を掲げております。  この目標を達成するために、国は、山村振興のために必要な事業について補助事業等条件の緩和及び補助率等の引き上げ、地方財源の確保、国有林町の共用林及び部分林の設定等積極的な活用等適切な施策の確立及び拡充につとめるとともに、必要な財政上の配慮をしなければならないものとしております。  地方公共団体につきましても、国の施策に準じ、山村振興のために必要な事業が円滑に実施されるようにつとめなければならないものとしております。  なお、山村範囲につきましては、政令具体的要件を定めることとしております。  次に、後段の部分は、個別の山村についての山村振興計画の策定及びこれに基づく事業実施に関する政府措置について定めたものであります。  そのための手続としては、まず内閣総理大臣都道府県知事の申請により山村のうちから振興山村を指定し、その振興山村について都道府県知事山村振興計画を作成し、内閣総理大臣承認を受けることとしております。  この場合における振興山村の指定は、山村振興緊要度予算上の裏づけ等を勘案し、逐次行なうのが適当であろうかと存じます。  なお、内閣総理大臣は、必要ある場合には、都道府県知事の行なう山村振興計画の作成をより適切かつ、効果的ならしめるため、山村振興具体的方針を勧告することができるものとしております。  以上の措置の円滑適正な運営をはかるため、経済企画庁長官は、関係行政機関の協力を得て、山村に関する基礎調査を行なうこととしております。  内閣総理大臣承認を受けた山村振興計画に基づく事業については、国においてその事業が円滑に実施されるように関係地方公共団体財政事情等に配慮して助成その他必要な援助措置を講ずることになっております。  以上のほか、この法律重要事項調査審議するため、総理府に山村振興対策審議会を設けることとしております。  この法律は、公布の日から施行し、有効期限については、昭和五十年三月三十一日までとしております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をとめて。     〔午前十時五十九分速記中止〕     〔午前十一時二十四分速記開始
  5. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それでは速記を始めて。  谷口農林政務次官
  6. 谷口慶吉

    政府委員谷口慶吉君) 開拓融資保証法の一部を改正する法律案につき、その提案理由を御説明申し上げます。  戦後緊急開拓に始まった開拓事業は発足後二十年を経過しようとしており、現在全国で約十三万五千戸の開拓農家農業に従事しております。政府はこれら開拓農家営農を早期に安定させるため、従来から、道路かんがい排水施設等基本的施設にかかる建設工事及び農舎・畜舎・乳牛等営農施設整備を促進する等各般の施策を講じて参りました。開拓融資保証制度は、これら開拓農家に対する助成策の一環として、昭和二十八年に発足し、以来開拓農家信用力を補完し、その経営資金融通円滑化をはかる上において重要な役割りを果たしております。  最近の開拓営農状況は、不安定な営農を続ける農家もなおかなり見受けられますが、総体としてはかなり進展を示しております。特に昭和三十八年度からは開拓営農振興をはかるため、開拓営農振興審議会答申に基づき、開拓者資金融通特別会計からの営農施設資金追加資金を軸とする新開拓営農振興対策実施しておりますことは御承知のとおりであります。この進展に伴って開拓農家経営資金に対する需要も現に一そう増大してまいっております。  このような開拓農家経営資金需要動向にこたえ、かつ、系統金融実情に即応しつつ、開拓者に対する経営資金融通円滑化するためには、本保証制度拡充合理化をはかることがきわめて必要であると考え、このたびこの法律案提出した次第であります。  次に、法律案の主要な内容につき御説明申しあげます。  第一は、都道府県開拓融資保証協会会員たる資格を有する者についてその範囲を拡大したことでありまして、従来会員資格のある農業協同組合開拓者を主たる構成員とするものに限定していましたものを、開拓者をその構成員に含む農業協同組合開拓農業協同組合として同協会に加入できることに改めるほか、一定の要件を備える農事組合法人及び市町村にも新たに会員資格を与えることとしております。  次に、都道府県開拓融資保証協会業務についての改正でありますが、このことについては会員である開拓農業協同組合及び農事組合法人組合員である開拓者個人債務保証できる道をひらいたほか、会員である農事組合法人債務保証をも行ないうるようにする等その拡充をはかっております。  また、同協会個人債務保証を行ない得ることとしたことに伴い、信用事業を行なう農業協同組合及び農業協同組合連合会金融機関として本法上規定するとともに、同協会業務の一部を金融機関に委託できることとする等の改正を行なっております。  第二は、政府中央開拓融資保証協会に対する追加出資に関する規定整備するための改正であります。  本制度においては、都道府県開拓融資保証協会保証債務をさらに中央開拓融資保証協会保証することとして制度の安定的な運営をはかっているのでありますが、政府中央開拓融資保証協会保証能力増大させるため、同協会に対し、明年度において三千万円の追加出資をすることとしており、これに必要な規定整備をいたすものであります。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  7. 仲原善一

  8. 石田朗

    説明員石田朗君) 開拓融資保証法の一部を改正する法律案内容につきまして若干補足説明をさしていただきます。  戦後開拓地入植して現在農業を営んでいる農家は、約十三が五千戸でございまして、これら農家開墾面積は三十六万七千ヘクタールで全国耕地面積の六・一%に達しております。  開拓地営農は年々進展しており、特に果樹、畜産物中心とする生産の増加となってあらわれております。ちなみに昭和三十八年の農業生産額はおおむね六百三十億円で年間一〇%を越える伸び率増大しております。しかし、全体としてこのような伸びにもかかわらず個々の開拓農家営農を見ますと、なお営農基盤の確立していない者もかなり見受けられる実情にあり、今後一そう指導及び助成を強化していく必要があることを示しております。  昭和三十六年十一月には、開拓営農振興審議会から既入植者営農振興対策に関する答申がありましたが、政府は、この答申を受け、建設工事の促進をはかるとともに、昭和三十八年度から新開拓営農振興対策として五カ年計画で逐次新たな振興計画樹立認定を行なう作業に着手し、当該計画につき都道府県知事認定を受けた者を対象として、政府開拓者資金融通特別会計からの営農振興対策資金融通と、開墾作業土壌改良共同利用営農用トラクター及び集乳施設等補助を行なってまいって、おります。  開拓農家肥料飼料家畜等に要する経営資金に対する需要は、このような開拓営農進展に伴い増大しており、その動向を反映して本保証制度利用も急激に伸長しております。その状況保証残高推移によってみると、昭和三十五年六月末には約十七億円であったものが、昭和三十九年六月末には約二十九億円となっており、かなり伸び率を示しております。さらに、前述の新開拓営農振興対策実施され、開拓農家営農振興に必要な諸施設整備等が進むにつれてこのような開拓農家経営資金に対する需要増大傾向は一そう強まってきております。  このような事態に対処するために今回の法律改正を準備した次第であります。  以下その内容を簡単に御説明いたします。  第一は、開拓融資保証制度利用現状にかんがみまして、都道府県開拓農業協同組合連合会または開拓農業協同組合開拓者に転貸するための資金農林中央金庫等金融機関から借り受ける段階で保証開拓者融資するという従来の方式基本であることに変わりはありませんが、これに補完的な道を開くことにより、未利用開拓者利用に資しようとすることであります。  その第一点は、開拓農業協同組合等組合員である開拓者金融機関に対して負担する債務保証対象とすることであります。  現行の方式は、金融機関都道府県開拓農業協同組合連合会または開拓農業協同組合との間を保証し、融資金融機関から都道府県開拓農業協同組合連合会開拓農業協同組合を通じて開拓者に転貸する方式または金融機関から開拓農業協同組合を通じて開拓者に転貸する方式によっているのであります。ところで、最近における本保証制度利用状況を見ますと、前述しましたとおり保証残高かなり伸び率で増加しておりますが、反面未利用開拓農業協同組合も相当ある現状であります。したがって、本保証制度をさらに一そう多くの開拓者利用させるため、保証資金融資を受けたいと希望しながら、その属している開拓農業協同組合に問題があるため融資を受けられない開拓者があった場合にも、新たに、信用事業を行なう農業協同組合金融機関とし、かつ、金融機関開拓者との間を直接に保証することによって、信用事業を行なう農業協同組合からも営農資金融通を受け得るようにしようとするものであります。  その第二点は、従来地方保証協会会員となり得る開拓農業協同組合は、開拓者を主たる構成員とするものに限っていたのを、開拓者構成員の全部または一部とする農業協同組合に改めることであります。これにより、会員となった農業協同組合からその農業協同組合に所属している開拓者に転貸する資金についても保証を受けられるようにしようとするものであります。  その第三点は、以上の改正に関連して、本保証制度上の金融機関範囲を拡大したことであります。従来は、金融機関としては、農林中央金庫だけが法律規定されており、政令により信用事業を行なう農業協同組合連合会を指定していたのでありますが、当該連合会及び信用事業を行なう農業協同組合法律金融機関として規定し、これら系統機関の原資をも利用し得るようにしようとするものであります。  その第四点は、個人債務保証の道を開いたことに伴い、同協会業務の一部を都道府県開拓農業協同組合連合会のほか、金融機関に対しても委託できることとしようとするものであります。  その他脱退及び脱退者に対する払い戻し等規定について所要の整備を行なっております。  第二は、地方保証協会会員資格範囲を拡大したことでありまして、これまでは都道府県開拓農業協同組合連合会及び開拓農業協同組合地方保証協会会員資格を有することとしており、このうち開拓農業協同組合範囲を拡大したことについては前述したとおりでありますが、その他開拓農事組合法人及び市町村にも新たに会員資格を与えることとしております。  その第一点は、開拓者を主たる構成員とする農事組合法人であって共同利用施設事業または農作業共同化を行なうものが逐次設立されている現状にかんがみ、これに地方保証協会会員資格を与え、その事業資金にかかる債務保証を行ない得るよう措置したことであります。  その第二点は、農業信用基金協会の例にならい、市町村地方保証協会会員資格を認め、市町村内の開拓者経営資金融通円滑化をはかるため、同協会会員となることができるようにしようとするものであります。  第三は、政府中央保証協会に対する追加出資規定整備することであります。保証残高伸びを見込んで、政府昭和四十年度において三千万円を中央保証協会追加出資することとしておりますが、これとの関連において、従来法仲改正を行なわなければ政府追加出資ができないこととなっているのを改め、今後は、政府が必要があると認めるときは、予算についての国会の議決を経て、随時協会追加出資をすることができるようにしようとするものであります。  以上がこの法律案の概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。  それでは、配付いたしました法律案資料につきまして、若干御説明を申し上げます。  本資料におきましては、開拓融資保証法の一部改正法案を御審議いただきます御参考にと思いまして、開拓に関しまする一般資料、それから開拓融資保証の現在までの運営状況資料、この両者を資料として提出いたしてございます。  まず、前半が開拓全般資料でございまして、最初に第一ページに、開拓用地の収得及び売り渡し状況ということで、三十九年までの実績を掲記してございます。で、次に二ページ以下に、開拓事業実績がございまして、ここに建設事業、その他のいわゆる土壌調査土壌改良開墾作業入植施設といったような従来の開拓に関する諸事業実績を掲記いたしておいたわけでございます。六ページ以降に、その実際の入植状況を掲げてございまして、六ページにございますように、年度別入植戸数がございますが、この中で、離農された方もございますので、三十九年二月一日現在におきまする入植現在戸数、先ほど申し上げましたが、十三万五千というものをここにあわせて掲げてございます。増反についても同じく資料をあげてあるわけでございます。  次に七ページには、開拓農家に対する融資状況でございまして、貸し付けの累計額金融機関側から見ましたものと、それから次の八ページには、これは農家側より見ました借り入れ金残高及び延滞額というものを掲げてあるわけでございます。  それで、次に第九ページにおきましては、これは現在進めておりますいわゆる新振興対策におきまする開拓農家振興計画樹立提出、それの認定という状況、これを掲げてあるわけでございます。  一〇ページ以降には、開拓農家営農状況、これを開拓農家について全体的に調査をいたしておりますので、これに基づきまして現在の開拓営農の進め方、これを入植戸数耕地面積に始まりまして、建物、施設家畜等状況及び現在の収量と、これらを逐次掲げてあるわけでございます。それでその開拓農家の全体の収支及び全体の生産額というものも一一ページ、一二ページに掲げてございまして、さらに一三ページにおきましては、食糧生産状況及び家畜状況というものを掲げてございます。一四ページになりまして、全体の作付体系がどういうふうに変遷しておるかということを掲げてあるわけでございまして、それ以下の一五、一六におきまして全体の粗収入別戸数及び生産手段及び粗収入の全体の状況を掲げ、かつ一七ページ以降におきましては、数は限られておりますけれども、開拓農家経営状況、これを経営経済調査をいたしておりますので、それを掲げました。ただし、この一七ページの(注)に書いてございますが、これは記帳能力ある者を特に選び出しまして調査をいたしておりますので、実際の開拓農家の平均よりも経営の全体の状況が高く出ておるという問題がございますので、これを使います場合には、そういう点を検討いたして使わなければならないと考えております。次に、開拓農家既農家との財産構成の比較及び開拓農家財産及び農業収入推移といったようなものを掲げてあるわけでございます。二〇ページには、これと関連いたします開拓農協、この状況全体を一覧にしておるわけでございまして、全体四千三組合状況が概観されております。  二一ページ以降が、開拓融資保証制度運営に関する資料でございまして、ここでは中央保証協会及び地方保証協会基金造成状況及び保証残高、これがどういうふうに変遷いたしておるかということをまず掲げてあるわけでございます。二二ページには、この開拓農協保証協会への加入状況及び開拓者のこの保証協会利用状況地域別一覧にいたしまして、利用現況をあらわすようにしてございます。さらに、最後の二三ページにおきましては、この保証資金の使途を、これも地域別でございますが、肥料飼料その他にどのような割合で使われておるかということを示します表を掲げておるわけでございます。  以上で、開拓の概況及び融資保証現況資料提出してございます。非常に簡単な御説明でございますが、必要に応じ、また、随時説明もいたす機会もあるかと存じますが、資料全体としての説明をいたしますと、そのようなことでございます。
  9. 谷口慶吉

    政府委員谷口慶吉君) 先ほど開拓融資保証法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げましたが、説明の中で誤謬がございますので、まことに恐縮でございますが訂正さしていただきたいと思います。  御説明申し上げました最後のところでございますが、私が読みましたのは「政府中央開拓融資保証協会保証能力増大させるため、同協会に対し、明年度において三千万円」と、かように読みましたけれども、これは、「明年度において」というのを「昭和四十年度において」と訂正さしていただきたくお願い申し上げます。  以上でございます。
  10. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 質疑はあとに回すことにいたします。     ―――――――――――――
  11. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 続いて、八郎潟農村建設事業団法案提案理由説明をお願いいたします。谷口農林政務次官
  12. 谷口慶吉

    政府委員谷口慶吉君) 八郎潟農村建設事業団法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  八郎潟干拓事業は、わが国第二の大湖八郎潟の約二万二千ヘクタールの水面のうち一万七千ヘクタール余に及ぶ干拓地を造成する計画のもとに、昭和三十二年国営事業として着手され、わが国干拓史上かつてない大規模干拓事業として今日に及んでいるのであります。以来、着々と工事も進捗し、昭和三十八年から三年間の予定をもって中央干拓地内部の干陸を開始し、現在、すでに約六千ヘクタールの土地が出現しており、やがて一万数千ヘクタールに及ぶ広大な中央干拓地が造成されることになっております。  この八郎潟中央干拓地における新農村建設にあたりましては、生産基盤整備農業技術改良開発等農業近代化のための諸施策を結集し、能率的な農業技術を算入いたしまして、生産性の高い農業経営を確立し、農村環境整備と相まってここに模範的な新しい農村社会を創設しようとするものであります。  また、この考え方に照応して、中央干拓地に関する地方行政上の措置といたしましては、第四十六国会におきまして制定されました大規模公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律に基づき、昨年十月一日大潟村が独立して設置されております。  八郎潟における新農村建設のためには、国の工事に引き続き、農地等土地基盤整備営農用施設及び社会公共施設設置等の多岐にわたる諸事業実施する必要があるのでありますが、事業の一体的施行の必要性、設置以来日の浅い新村の実情等にかんがみ、他の干拓地におけるがごとく、入植者がみずから、あるいは既存市町村の援助を受けて入植営農を行なうこととすることは、きわめて困難であると考えるのであります。このため、新農村建設のための諸事業農業者の入植、新村の確立に先行して総合的かつ計画的に実施する主体が必要なのであります。  本法律案は、以上の諸理由に基づきまして、八郎潟農村建設事業の統一的な実施機関として独立の法人格を有する八郎潟農村建設事業団を設立しようとするものであります。  以上が本法律案提案理由でありますが、次に、本法律案の要旨を御説明いたします。  まず、第一に、事業団の組織等につきましては、資本金は、全額国が出資することといたしましたほか、事務所の設置、役員の定数、任命等につき所要の規定を設けております。  第二に、事業団の業務といたしましては、新農村建設のための諸事業を総合的かつ計画的に行なうことといたしております。その内容としては、農地等の整備、公用・公共用施設および農業共同利用施設農業者の住宅の建設等を行ない、公共施設等は、建設地方公共団体等に譲渡し、農業施設及び農業用機械器具は、農業者に譲渡し、または貸し付けることといたしております。また、集落用地等事業団が国から直接配分を受けた土地を譲渡することも業務として規定しております。その他委託を受けて、入植者の訓練等の農業技術の普及指導等の事業をも行ない得ることにいたしております。  第三に、業務実施方法といたしましては、国が秋田県知事および大潟村長の意見をきいて基本計画を作成し、これを事業団に指示することにいたし、以下これに基づいて事業団が各種事業を行なう場合には、それぞれ事業実施計画業務方法書を作成して主務大臣の認可を受けなければならないことといたしております。また、事業団が国から直接配分を受けた干拓地を他に譲渡する場合には、その手続、配分を受ける者の選定等は、国が現行制度下で干拓地を配分する場合に準じて実施することといたしております。その他農地整備の費用についての賦課金の徴収方法等についても所.要の規定を設けております。  第四に、事業団の財務および会計でありますが、事業団の予算資金計画、財務諸表、借入金等につきましては、主務大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしております。  第五に、事業団の監督は、主務大臣がこれを行なうこととし、業務に関し必要な命令を発し、また、事務所等への立ち入り検査を行ないうることといたしております。  最後に、この法律の主管大臣は、農林大臣でございますが、事業団の事業が大潟村の行財政に深く関連いたすことにかんがみ、公用・公共用施設の造成、譲渡等に関する事項につきましては、農林大臣と自治大臣の共管にいたしております。  以上が、この法律案提案理由および要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  13. 仲原善一

  14. 石田朗

    説明員石田朗君) 八郎潟農村建設事業団法案につきまして、若干補足して御説明申し上げます。  この法律案は、提案理由説明にもありましたとおり、八郎潟農村建設事業団を設置して、国営八郎潟干拓事業によって生ずる土地につきまして、農地等の土地整備、公用、公共用施設農家住宅等農村施設の造成等の事業を総合的かつ計画的に行なうことによりまして模範的な新農村建設することを目的としているものであります。  法律案の構成といたしましては、第一に事業団の事務所、資本金等について規定し、第二に役員等事業団の組織について規定し、第三に業務範囲及びその実施方法等について規定し、第四に財務、会計等について規定しておりますほか、一般的監督規定、罰則、設立手続等について規定しております。  以下、その細目につきまして、若干補足させていただきます。  第一章は、この法律の目的、法人格、事務所、資本金等総則に関する規定であります。  そのうち、第三条は、事務所に関する規定であります。本事業団は、八郎潟干拓地について事業を行なうものであります関係から、主たる事務所も事業の遂行上の便宜を考慮し、秋田市に置くこととしております。  次に、第四条は、資本金に関する規定であります。設立当初の資本金は、二億円とし、政府がその全額を出資することとしておりますが、その後におきましても、政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、団に追加出資をすることができることとしております。  第二章は、事業団の役員及び職員に関する規定であります。  まず、第八条から第十五条までにおいては、役員の定数、職務権限、任命権、任期及び役員に関する制限について定めております。  次に、第十七条においては、事業団の職員の任命について定めております。  第三章は、事業団の業務範囲、その実施方法等事業団の業務に関する規定であります。  まず、第十九条においては、事業団の業務範囲を定めております。  第一項の業務は、この法律の目的を達成するための基本的なものであり、その範囲は、各号に列記しております。  第一号は、農地、宅地等の整備であります。八郎潟の干拓工事は、提案理由説明にもありましたとおり、国営事業として目下干陸並びに基幹工事が行なわれつつありますが、その進捗状況に照応して土地整備事業入植に先行して事業団の事業として行なうこととしているのであります。  第二号は大潟村の区域内における種々の施設の造成であります。施設の内訳といたしましては、まず、公用または公共用に供する施設及び住民の共同の福祉のため必要な政令で定める施設であります。これは、大潟村における住民の生活環境整備のためにはぜひとも必要なものを、あらかじめ、事業団によって造成しておくことが適当であると考えられるものであります。施設の第二は、農業共同利用施設及び農業者の住宅であります。これらのものも、あらかじめ、農業者の入植に先だって、造成しておく必要があるものであります。  第三号は、以上の業務により整備された土地または造成された施設が災害を受けた場合における災害復旧であります。  第四号は、事業団が造成した施設の譲り渡しまたは暫定的にするこれらのものの貸し付けその他の管理であります。  第五号は、後ほど御説明いたしますが、事業団が国から配分を受けた干拓地の譲り渡しであります。  第六号は、大潟村において営まれる近代的農業経営のため必要な農業用機械器具を農業者に譲り渡しまたは、貸し付ける業務であります。  次に、第二項の業務は、国または地方公共団体からの委託に基づいて行なうものであります。  第一号は、大潟村の入植者等のためにする営農指導訓練等農業に関する技術及び知識の普及指導の受託であります。  第二号は、事業団が実施する工事と密接な関連を有する工事の受託であります。  第三号は、国営八郎潟干拓聖業によって造成される土地改良財産の管理の受託であります。  次に、第二十条から第二十二条までにおいては、事業団の業務の執行の方法等について定め、事業団の業務運営の適正を期することとしております。  まず、第二十条では、農林大臣は、土地整備及び施設の造成の業務について、あらかじめ秋田県知事及び大潟村長の意見を聞いた上で基本計画を作成し、これを事業団に指示するとともに、その概要を公表することとしております。  次いで第二十一条において、事業団は、土地整備施設の造成及び災害復旧の業務について、あらかじめ秋田県知事及び大潟村長と協議した上で、基本計画に基づて事業実施計画を作成し、農林大臣の認可を受けなければならないこととしております。  第二十二条においては、施設及び農業用機械器具の貸し付けその他の管理及び譲り渡し並びに土地の譲り渡しの業務については、事業団は、その業務開拓の際、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならないものとしております。  第三に、第二十三条から第二十五条までにおいては、土地整備の賦課金について定めております。すなわち、一たん事業団が国から直接配分を受け、それをさらに第三者に譲り渡す場合の土地についての整備費用は、土地の譲り渡しの対価に含めて一括して事業団が徴収できるのでありますが、国から直接に農業者等に配分される土地整備費用につきましては、その土地を取得した者から事業団が賦課金を徴収し得る旨の規定を設けております。  第四に、第二十七条においては、事業団が国から配分を受けた土地の第三者への譲り渡しについては、農林大臣の認可を受けて土地譲渡計画を定め、これに基づいて予定譲渡面積等を公告し、譲り受け申し込み書を提出した者のうちから適当と認める者を選定してその者に譲り渡すこととしております。  第四章は、事業団の財務及び会計に関する規定であります。  まず、第三十条及び第三十一条においては、事業団の事業計画予算及び資金計画並びに財務諸表について、農林大臣の認可または承認を受けなければならないこととしております。  また、第三十二条から第三十八条までにおいては、事業団の毎事業年度の損益の処理方法、長期または短期の借り入れ金をする場合の制限、余裕金の運用方法等について定めております。  第五章は事業団に対する農林大臣の一般的な監督に関する規定であります。  第六章は、雑則に関する規定であります。  そのうち、特に、第四十三条から第四十六条までにおいては、土地改良法の特例としまして、農林大臣は、施設川地その他事業団に配分することを相当と認める土地事業団に直接配分し得る制度を設けたほか、事業団に対して干拓地の一時使用を認め得る制度等についての規定を設けております。  第七章は、罰則に関する規定であります。  附則におきましては、事業団の設立手続等について定めております。  なお、最後に、本法律案の主管大臣でありますが、事業団の行なう業務が広く新村の基礎づくり一般にも、及んでいることにかんがみまして、公用または公共用に供する施設及び住民の共同の福祉のため必要な施設にかかわる業務に関する事項については、農林大臣及び自治大臣の共管とし、その他の業務、役職員その他事業団の管理運営一般に関する事項については、農林大臣の専管としております。  以上をもちまして、本法律案についての補足説明を終わらしていただきます。
  15. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 続いて資料説明を求めます。石田管理部長
  16. 石田朗

    説明員石田朗君) それでは、お手元にお配りしてございます八郎潟農村建設事業団法案参考資料につきまして御説明を申し上げます。  本資料は、この法案の御参考に供しますために、まず、八郎潟の干拓事業の概要並びに事業団の事業についての計数的考え方、それから参考資料といたしまして若干の一般干拓事業に関する資料並びに外国の事例、その他新農村建設しますについての技術的諸問題に関する諸資料及び八郎潟付近の市町村状況及びすでに国会において御承認になっております八郎潟の地方自治に関する特例の法律を掲げてございます。  ごらんいただきますればわかりますように、まず、一ページから三ページにわたりまして八郎潟の干拓事業の概要を掲げてあるわけでございます。全体で一万七千ヘクタールの干拓地を造成いたしますために聖業を実施いたしておる実情を、三ページの略図を含めまして御説明をいたしておるわけであります。  次に、四ページ以降に、八郎潟中央上干拓地開発に関する仕事の進め方、工程を掲げたのでございます。で、これは事業の進み、かつ干陸化いたしてまいりますに伴い、事業団においてさらにいろいろな施設をいたさねばなりませんが、それらの諸工程を全体として把握していただけますような資料を、工程図を含めここに併記してあるわけでございます。第五ページまでがその関係の資料でございます。  次に、第三番目といたしまして、六ページ以降に、この事業団の卒業につきましてその全体を概観し得るような資料を掲げておるわけでございまして、六ページから八ページまでがその資料になっております。  九ページ以降は先ほど申し上げました。さらに、この法案を御審議いただきます場合の参考資料として掲げましたものでございまして、まず、九ページ以降に、オランダにおける干拓地の新農村建設方式、これが先進国の事例でございまして、参照し得る点も多いかと存じ、御参考までに掲げてあるわけでございます。これが九ページから一四ページまで掲げております。  次に、八郎潟干拓地におきまして新技術を逐次導入をいたしてまいらなければならないわけでありますが、その場合の一つの問題といたしまして、水稲のじきまきの普及状況を一五ページに掲げ、かつ一六ページ及び一七ページには大型機械の現在の普及状況、これを掲げまして御参考に供しておるわけでございます。  また、一八ページには、現在八郎潟におきまして実験農場を設けまして、大型機械化稲作の作業体系試験を実施しております。その試験の概要を記しまして、これまた御参考に供しようと考えたわけでございます。  それから二〇ページ以降におきましては、八郎潟の周辺の市町村状況、これを一般の産業別の人口によって一応概観いたしますと同時に、農業経営状況を掲げてあるわけでございます。  それから最後に、先ほど申し上げましたように、すでにこの法律によって大潟村という村ができておるわけでございますが、この基礎になりました、すでに御可決をいただいております大規模公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律、これを御審議いただく場合の御参考に必要であろうかと考えて、ここに資料にあわせて掲記いたしておるわけであります。  簡単でございますが、以上をもって参考資料説明といたします。     ―――――――――――――
  17. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 委員の異動について御報告いたします。  四月二十六日付をもって、委員田中啓一君が辞任され、その補欠として沢田一精君が委員に選任されました。  本日付をもって沢田一精君が委員辞任され、その補欠として田中君が委員に選任されました。     ―――――――――――――
  18. 仲原善一

    委員長仲原善一君) つきましては、この際、委員長は、前例に従い、理事に田中啓一君を指名いたします。  午後一時三十分まで、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ―――――・―――――    午後一時五十一分開会
  19. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を再開いたします。  漁港法の一部を改正する法律案議題とし、本案について質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  20. 大河原一次

    大河原一次君 先に資料についてちょいとお聞き申し上げたいのですが、この薄いほうの資料にあります指定漁港数調べ、四十年一月二十日現在ですけれども、これは第一種、第二種、第三種、特定第三種、第四種を含めて二千七百六十八港になっておりますが、この指定漁港数ということですけれども、指定されないようなそういう漁港というものはあるんでしょうか。ちょっと念のためにお聞きしたいと思います。
  21. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) もうほとんど大多数は推定されておりますが、指定されてない漁港というのは、大体百前後ではないかと思います。
  22. 大河原一次

    大河原一次君 その百前後に及ぶ、これは自分のほうを言っちゃ恐縮なんですけれども、私どもの東北地方にもそういったケースがあるように聞き及んでいるんですけれども、その百幾らに及ぶ指定されない漁港というものは、どのような内容として、なぜ指定されないのか、それをひとつお聞きしたいと思うのです。
  23. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 現在漁港として相当程度活用されているものは、もうほとんど指定を終わっておるのでございます。で、非常に利用度が低い、あるいはもう漁港として最近はすっかり形が変わったというような場所においては、まだ指定されてないというようなものもございますけれども、大体利用されている漁港はほとんど指定されております。それから内水面で幾らかあると思います。
  24. 大河原一次

    大河原一次君 まあそういう点、聞きますとこまかくなりますから、その程度でけっこうですが、それから資料の二のほうにあります、いまの問題とも関連がございますが、第三次漁港の整備計画の採択漁港数が出ておりますが、これは第三次の漁港指定ということで採択されておるわけですが、この現在の一種、二種その他各種を入れまして二千七百六十八のうちの第三次の指定漁港として採択された漁港数は幾つになっておりましょう。それをお聞きしたいと思います。資料にあるかもしれないが、見ていなかったと思います。
  25. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 第三次漁港整備計画で採択されておりますのは三百八十でございます。
  26. 大河原一次

    大河原一次君 この三百八十の第三次指定漁港のうち第一種がどのくらいになっていますか。第一種、第二種、あと第三種、第四種でけっこうですから。
  27. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 第一種漁港が八十四、第二種漁港が百五十七、第三種漁港が七十一、特定第三種が八、第四種が六十、こういう内訳でございます。
  28. 大河原一次

    大河原一次君 この第三次指定を受けた漁港と、それから、これはもう現在数から見ますと三百八十にしかなっていないわけですけれども、この三百八十が第三次漁港として指定されているわけですが、その指定基準というのは、どういう点が指定基準になっておりますか。
  29. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 漁港の指定と、整備計画に採択するということとやや別の観念でございますが、指定漁港のうち修築事業が行なわれるものについて整備計画対象にしておるわけでございます。改修事業、局部改良事業を行なう漁港につきましては、整備計画のワクの外でございます。したがって、三百八十港というのは、修築事業を行なう漁港のみでございます。そういった関係で、漁港数が指定漁港に対して少ないような感じがございますが、改修事業、局部改良事業を加えますと、事業量としてはかなりなものでございます。それで指定漁港のうち、修築事業として採択するものは、もちろんその利用状況からして、現在の漁港の規模では不十分でありますとか、あるいは相当な規模工事を行なわなければ荷揚げその他の漁港の機能が十分発揮されないというようなことから、申請によりまして取り上げるわけでございますが、大体の基準としましては、事業規模が八千万以上にのぼるもの、そういう基準で取り上げるわけでございます。
  30. 大河原一次

    大河原一次君 そうしますと、現存は各種取り入れまして二千七百六十八港の中に、第三次の指定といたしましては、三百八十港が指定されておるわけでありますが、この中に、いま示された第一種が百五十七、第二種が七十六、こういうふうに分類されておるわけですが、そうしますと、残りの二千三百港に対して今後もさらに第四次、第五次指定というような、そういう方向で今後進められるわけですか、どうですか。その点だけひとつ。
  31. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) もちろんごく一部でございますが、すでに整備計画、第一次、第二次計画で終わったものもございますが、大多数につきましては、今後も整備計画対象として修築事業を行なわなければならないものでございます。ただし、改修事業あるいは局改事業で大体目的を達成し得るものはそのほうで行なうわけでございますが、今後も採択されない漁港、あるいは採択されたものでも、第三次整備計画で一応終わりましても、さらに拡張を要するという場合がございますので、そういうものを含めて第四次、あるいは必要によっては第五次計画までいたす考えでございます。
  32. 大河原一次

    大河原一次君 先ほど触れましたように、この三百八十港の中に、第一種が八十四、第二種が百五十七というけれども、この全体あるいは第三種、第四極、あるいは特定第三種全体を含めまして、比率の点から検討いたしますると、何かしら第一種、第二種の指定というものは少なきに失するのではないかという感じを抱くわけですが、これは何でございますか、第一種、第二種等は事業量が少ないから、いわゆるこの計画に乗ってこないというような、そういう面から考えられて少ないのか。あるいはまた、今後、いま長官が言われましたような改修とか、あるいは局改においてこれをやっていくというような予定があるために、この第一種、第二種の場合の指定が少ないのか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  33. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) ただいま御指摘がありましたように、第一種、第二種漁港につきましては、事業規模がやはりどうしても小さくなるということから、改修事業として行なわれるものが相当多いということは否定できないのでございます。それに対しましては、補助率等は全く修築事業の場合と改修事業の場合は同じに扱っているわけでございますが、それと、最近の傾向といたしまして、漁船が大型化する、あるいは大型の漁船が非常にふえております。そういった漁船は沖合い、遠洋まで出漁して、相当大きな漁港を根拠地としまして、そこに水揚げを行ない、また、いろんな出漁の準備もそこでやるというような傾向が漸次大きくなっておりますので、したがいまして、どうしても第三種あるいは第四種漁港につきまして、拡帳あるいは、いろいろな改良工事を必要とするという傾向が多いわけでございます。
  34. 大河原一次

    大河原一次君 いまも触れました改修と、それからいまの局部改良、局改事業ですね、これは漁港法の中に実際載っていないのですが、この改良と局改がなぜ漁港法対象になっていけないのかということですが、私、いま長官もいろいろお話をされましたように、今後の沿岸漁業の振興を考え、あるいはまた、同時に、船舶の大型化であるとか、動力化とか、そういった方向が指示されるし、漁業としての今後の発展というものを期さなければならないということを考えましたときに、やはり私は、改修も改良も漁港法の中に規定して、漁港法裏づけによって運用さるべきではないかというふうに考えられるのですが、なぜ今日、改良なり局部改良なりというものが漁港法対象にならないのか。私は、事業量の面とか、その他の比重の面から考えると、そういう点もわかるような気がしますが、今後の沿岸漁業の根拠地としての漁港のあり方を考えたときに、やはり局改にいたしましても、改修にいたしましても、漁港法という明確な法の裏づけによって運用されるべきではないか、このように考えてお聞きしたわけですが、その点はいかがですか。
  35. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 確かに御指摘のような問題はあるわけでございます。局部改良事業につきましては、これはその名のとおり、あまり大規模工事ではなくて、局部的な改善ということで、特に防災的な意味をもって、一、二年のうちに早期に完成するということを一つの大きな目的にいたしておりますので、やや局部改良事業につきましては趣を異にするのでございますが、修築事業と改修事業との差は、確かに、一方は漁港法によって、一方は漁港法によらないという区別をつける決定的な理由というものは、私どもはそうないとは思っておるのでございます。しかしながら、漁港法の修築事業として、整備計画対象としてやっていくことは、これは重点を明らかにして、それをできるだけ着実にやっていくという意味で、整備計画対象にするという意義があると思いますが、改修事業につきましては、それよりも弾力性を持たす。整備計画だけではどうしてもぎしぎししたような面がございますので、その範囲をさらに広げて、改修事業によってより一そう足らないところを補ない、また、弾力性をもって漁港の整備をはかっていくということに、まあ現在の区分の意味があるかと思うのであります。法律論としましては、むしろ漁港法改正しなくても、現在改修事業と称しておりますもの、八千万円以下五千万円以上というものを修築事業として、整備計画対象にすればできないことはないわけでございます。これは法律上は法律改正をしなくてもできるわけでございますが、いろいろな予算運営なり、あるいは漁港整備事業実施の面からしまして、全部計画のワク内でやるということでは、やや弾力性を欠くという感じもいたしますので、また、現状において、特にその間に非常な不平等があるわけでもございませんので、さしあたり、われわれとしては現状で続けてまいりたい、こう考えておるようなわけであります。
  36. 大河原一次

    大河原一次君 不平等で云々ということもありますけれども、これはしろうと談義になるかもしれませんが、やはり漁港の整備というような一つの目的を考えたときに、それは事業量その他の面においてウエートの差はあるだろうと思いますけれども、やはり漁港の全体的な整備というたてまえからすれば、この修築にいたしましても、あるいはまた、改修にいたしましても、あるいはまた、長官が言われましたような、小さい防災的な、短期間にできるそういう局改にいたしましても、漁港全体に対する修築整備ということを、漁業の振興という点から考えますると、やはり多少のウエートの差があっても、この法の裏づけをもって運営できないものかどうかということも考えられるわけです。同時にまた、長官が言われましたような弾力的な――むしろ、そういうふうに局改なり、改修は漁港法対象にならなくても弾力的な運営もできるということを言われましたけれども、やはりぼくは、法の裏づけがあっても弾力的な無常はできないわけはないと思います。これは理屈になるかもしれませんが、将来の漁港全体の持つ意義から、特に小漁港の改良や改修が多い一種二種等の問題を考えたときに、やはり法の対象として今後運営に当たるというたてまえをとったほうがよりすっきりするのではないか、かように考えるからお聞きしたわけです。今後の見通しとしてはどんなふうに考えるわけですかね。
  37. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 私も、いまおっしゃいましたこと、それを一々そうでないと申し上げる理由もないと思っております。私の考えは、いまも申し上げましたように、整備計画だけでいきますと、どうしてもやや窮屈な感じがしてやりにくいという面もございますので、わりあいにこだわっておるわけであります。今後の問題としては、いまお話がありましたような点は、すでに従来から問題にされておるところでございますが、十分研究し、もしそのほうがよいと思われるならば、その方向に改めることも考える必要があると思っております。
  38. 大河原一次

    大河原一次君 それと面接関係しまして、今度の法案によりまして、一種、二種の修築に対して補助引き上げが行なわれるわけですけれども、ただ、いまも申し上げたように、今後は局改ですね、局改だけは今度の補助引き上げの対象にならないということですね。先ほどもいろいろ局長さんが言われました漁港の整備に関しては、いろいろウエートの面は多少あっても、運営の面その他において十分にまかない得るのだという、そういう御説明もあったわけですけれども、そうだったらなぜ今度の法改正において局部改良だけが補助引き上げの対象にならなかったのかと、そういう点を考えるわけですが、これは今度の法案に出ておりませんね。これは据え置きということですね。従来の三分の一ですか、あれは。これはどうですか。
  39. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) この点も問題の点でございますが、まあ従来からの考え方といたしまして、局部改良は非常に小規模事業でございます。したがって、地元の負担も実際の額としては比載的軽微なものでございます。そういったことから、私どもとしては局部改良の性格から言いまして、これはまあできるだけ早く完成する。特に防災的な意味が強いものでございますから、そういうことで補助率の改定よりも仕事を早くやるということに主眼を置いて運営いたしておるのでございます。その結果としまして、前回資料説明の際にも申し上げましたが、事業の進捗卒は修築事業、改修事業に比較いたしましてずっと早いテンポで進んでおるのでございます。まあそういったことも考えまして、今日は局部改良事業についての補助率引き上げという問題については触れなかった次第でございます。
  40. 大河原一次

    大河原一次君 私は、なぜ今回の局部改良に対して補助率引き上げを行なわなかったということに対する多少不合理なものを考えているからなんですが、特に局改等の場合においても、地方の漁業従事者ですか、あるいはまた、その団体である漁業協同組合等の負担ですね、負担軽減という面を考えるときに、やはり今回は改修と同じように補助率を引き上げるべきではなかったか、そのように考えておるのですが、局改の場合の地元負担の点ですけれども、これは関係地方自治団体の負担等はどのようになっておりますか。
  41. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 局改事業の場合におきましては、地方団体の負担が三分の一、国の負担が三分の一、あと地元の負担、大体こういうようなことであると思っております。
  42. 大河原一次

    大河原一次君 地元の三分の一に、それからまた漁業従事者の三分の一の負担というものは、決して軽いものではないのではないか、やはり相当に負担が重くなってきておる現状ではないか、特に局改等を行なわなければならないような地元漁民等の現状の姿から申し上げますと、三分の一というものはなかなか容易ではないわけですから、どちらかと言えば零細漁民に関係するこういう負担率の引き下げ等については、やはりこの点もあわせてやるべきではなかったか、このように考えるがゆえに、いまお伺いしたわけですが、やはり今後の方針としては、現状のようなそういう線を貫いていかれるというお考えですか。
  43. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) ただいまの私の答え方が少し不正確でございましたが、三分の一の国の負担、県が三分の一、それから地元市町村が三分の一というのが一般の状態でございますが、その一般の市町村の負担の分の場合、これは修築、改修の場合も同様でございますが、地元漁民あるいはその組合に負担が一部かかる場合があるということが問題とされるゆえんでございますが、その点におきましては、やはり局改事業事業規模が非常に小さいものでございますから、実際の負担は改修、修築事業に比較しますと少ないということは否定できないと思います。また、局改事業でも相当な漁港についても行なわれるわけでございます。常に零細漁民ばかりの小さな漁港だけ、船だまりのような漁港だけが局改の対象になるというわけでもないのでございます。そういういろいろな、われわれとして言いわけもございますけれども、これはやはりどっちかというと零細漁業者の多いところでございますから、そういった面も今後あわせて十分検討いたしたいと思います。
  44. 大河原一次

    大河原一次君 地元の漁業従事者あるいは組合等は、今日の局改等に対して、やはりいまの改修、その上の段階であります、上というのはおかしいかもしれませんが、いわゆる改修の方向に、何といいますか、統合といいますか、格上げといいますか、そういう方向でさらに局改を改修にし、改修をさらに修築の方向にかさ上げをするようなそういう方式をとって、そのことによってやはり地元の方々の負担の軽減に当たらしてもらいたいのだと、そういう声がわれわれのほうにきておるのですね。ですから、あとで申し上げまするが、一種、二種あるいは三種等の統合等の問題ですか、統合、統一等の問題にも関連するのでございますが、いまの事業内容規定しておる一部改良、改修、そして修築というこういう三つの段階があって、二つだけは一応漁港法対象になっておるが、一つは漁港法対象にならぬが、これも含めて、今後やはり一つ一つ上のほうに統合、統一という方向をしてもらえば、そのことによって非常に負担軽減になるのではないかという要望があるのですけれども、こういう点は、やはり将来の方向として、展望として、どういうふうにお考えになっていますか。
  45. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) ただいまの御質問の中で、問題が二つあるのではないかと思います。一つは、一種漁港から二種漁港へ、あるいは特別の場合には二種漁港から三種漁港へ格上げするという問題と、局改事業で従来やっていたものを改修事業として取り上げる場合、それから改修事業を修築事業として取り上げる場合、この二つの問題があるかと思うのですが、あとのほうの問題につきましては、やはり局改事業というものをどう観念するかという、今後の問題としてはそういうことになると思います。局改事業をやはり迅速に、特に部分的な改良で非常な効果を上げる、あるいは急速に防災目的からしてやろうという場合には、何といっても改修事業とか修築事業のような比較的テンポがおそくて大規模な仕事と同じに扱わないほうがよろしいと思いますが、早いことをまず第一番とする、やはりそういった面で改修、修築事業と同じ取り扱いにすることにはやはり問題があるのではないか、こう考えるのでございます。  それから前の問題の、一種、二種漁港の区分を変えて、一種を二種にするというような問題につきましては、現に一種漁港でもそれを利用する漁船の数がふえたり、トン数が増加したり、大型になったりで、実情に合わなくなっておるものにつきましては、二種へ昇格するということをやっております。この基準の、一種、二種の区分の基準の取り扱いにつきましても、そういった面ではできるだけ弾力的に扱ってまいりたいと思うのでございます。
  46. 大河原一次

    大河原一次君 これは私の意見になりますけれども、いま長官も多少触れておられましたように、いまの修築方式に改修方式の三段階の問題ですが、やはりぼくは、今後の漁港の運営を考えましたときにも、三段階というような、しかも一つの局改事業というものは、今日実際上法的な裏づけも何もなくておるわけですから、したがって、そういったものは全部その一段上の改修事業のほうの中に包含せしめて、改修事業の中に単年度においてできる防災を主とするような、そういう改良卒業も改修の中において処理することができるようになれば、そうすれば二段階において済むのではないか、このように判断したから、そういうことを申し上げたわけです。改良の問題についてあまり長くなりましたけれども、そこで、さっそく法案の中に入るのですが、今度の法の対象になりますのは、第一種、第二種漁港のいわゆる基本施設の漁港修築事業に関してという、こういう条件になっておるわけでございますが、基本施設というところがわからなくて、きょう漁港法を調べたんですが、この基本施設の中には、外郭施設――防波堤、防砂堤、防潮堤、導流堤、水門、閘門、護岸、堤防というような全く基本的な施設基本施設になっておりますが、一方、機能施設には輸送施設、これも重要な機能関係のものですが、鉄道、軌道、道路、橋梁、運河というようなもの、あるいは航行補助施設というような、いずれも基本施設と機能施設というものは明確に区別のできないほどまでに、何か非常に似寄ったような要素がたくさんあるわけですが、今回の場合は、これには基本施設に対しての国の補助割合を引き上げる、しかも当分の間という条件がさらについているようですが、それは別といたしましても、これはもう基本施設だけで、機能施設に対しては補助の引き上げの対象にはならぬと、こういうような書き方になっておるのですが、そうなんでございます。
  47. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 従来、補助対象になっております機能施設につきましては、政令補助率を同様に引き上げることになっております。法律対象になりますのは基本施設でございますから、機能施設補助対象になっているものにつきましては、政令で同じく一〇%の補助率の引き上げを行なうわけであります。
  48. 大河原一次

    大河原一次君 そうすると、同じような考え方に立って補助されると、こういうわけですか。
  49. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 従来、補助対象になっておりますものについては、全く同様の補助率引き上げを行なうものでございます。
  50. 大河原一次

    大河原一次君 私、衆議院の議事録をながめたんですが、その中に、長官は、機能施設に対しては、構造改善卒業の補助対象として何かまかなっておるというような、そういう発言があったと記憶しているのですが、その点は間違いございませんか。
  51. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 補助対象になっておりますのは、基本施設は全部対象になっておるわけでございますが、機能施設については必ずしも全部なっていないのでございます。漁港予算の関係で補助金を出しておるのは全部を出しているわけではございません。ここで機能施設としてあげられておりますもののうち一部が漁港予算のワク内で補助金を支出いたしております。そのほかのものにつきましては、構造改修の予算あるいは流通加工対策の予算補助金を支出しておるのでございます。衆議院での御質問は、もっと機能施設について補助金を出すべきではないか、こういう御質問でありましたので、漁港予算ではなるほどそういう問題はありますけれども、構造改善の予算等で別途そういうものに対する補助をいたしておりますという趣旨の御説明をいたしたわけでございます。
  52. 大河原一次

    大河原一次君 漁港の整備という問題と、それから沿岸漁業の構造改善という問題は、確かに今後の漁港の進展等を考えましたときに、そういう長官の言われるような不離一体のもので進めなければならぬという気持ちはよくわかるのですけれどもね。そうしますとなんですか、長官の説明にありましたような機能施設については、政令によって補助対象にしていくということですが、いまも申し上げました機能施設の中にずいぶんありますね、たくさんの項目があります。要素がございますが、これは全部政令によって補助対象になるわけでございますか、基本施設と同じようにどの項についても。
  53. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) この漁港法の第三条の「ニ」の機能施設の中で、漁港予算のほうで補助対象にいたしておりますもの、あるいは政令補助対象としておりますのは、「イ」の輸送施設と「ハ」の漁港施設用地でございます。で、そのほかに構造改善等で、たとえば「ニ」の漁船漁具保全施設――漁船修理場あるいは漁具干し場、それからその次の給水・給油施設、「ヘ」の保蔵・加工荷さばき、あるいは製氷、冷凍、冷蔵施設、そういうふうなものを構造改善予算あるいは加工流通対策の予算補助対象にいたしておるのでございます。
  54. 大河原一次

    大河原一次君 私はちょっと勘違いしておったかもしれませんが、やはり沿岸漁業等振興法第八条による構造改善の事業対象というものは、おのずときまっておるのではないか。いま長官が説明されましたような――機能施設のいろいろの要素を言われましたけれども、やっぱりこういう基本施設なり、あるいはまた、機能施設というところに掲げられたようなものは、あくまでもこれは漁港法対象として、あるいはまた、その補助対象として、こういうものは対象になるのだというような私は考えを持っておった。同時に、構造改善と不離一体ということはわかるけれども、構造改善事業補助対象になるべき問題はおのずときまっておるのではないか。いま機能施設の幾つかの問題を取り上げられましたけれども、やはり私の考えとしては、不離一体はけっこうなんです。不離一体はけっこうであるけれども、やはりこの構造改善計画において取り上ぐべきもの、あるいは補助対象にしてやるものはおのずときまっておるのじゃないか。機能施設というものはやはり漁港法対象として、いろいろな各項目が補助対象になるのだ、こういうような画一的な考えを持っておったのですが、いまの長官のお話によりますと、この機能施設のある一面においては漁港法対象にし、一面においては構造改善事業補助対象にする、そういう二面の線で考えられておるようですが、それで差しつかえないのでございますか。
  55. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) この問題はなかなか議論が分かれるところだと思うのでございますが、漁港の整備計画なり漁港の計画におきまして、漁港に関連する各種施設整備を、同じ予算で同じ法律に基づいてやっていくということには非常な意義があると思うのであります。漁港の計画が一連の漁港全体の施設整備するということに広く使われるということにも非常な意義があると思うのであります。特に従来の漁港計画は、ややもすると漁港の本来の機能のみを中心にした計画なり事業の設計に終わっておるきらいがなかったでもないのでありまして、そういった面を今後是正する必要があると思うのでありますが、しかし、最近構造改善事業実施いたしてまいっておる状況から考えますると、さらに漁港の計画というもの、特に一種、二種の沿岸の漁港につきましては、構造改善事業と非常に密接な関係があるわけでございまして、これは申すまでもありませんが、その間の総合的な調整を必要とする例を具体的に申し上げますと、たとえば、いろいろな荷揚げ施設とか加工施設あるいは冷蔵施設というようなものを計画として取り上げる場合、構造改善事業の全体の計画をにらみ合わしてつくらなければならない。ある特定の漁港だけの検討からでなく、周辺の漁村なり沿岸の状況をにらみ合わせた計画であって、もちろん漁港計画は本来そうあるべきでございますが、構造改善事業はさらに将来を一応考えた見通しを持った仕事でございますので、そういった面から構造改善事業のほうでそういったものを整備していく。この構造改善事業計画と漁港計画とがよく車の両輪のごとくタイアップして運営される必要がある。現状はそれにほど遠いと思いますけれども、そういう方向に持っていかなければならないのではないか、そういうように私どもは考えております。
  56. 大河原一次

    大河原一次君 私も、漁港の整備と沿岸漁業の構造改善はいわゆる表裏一体となって、車の両輪のようにやっていかなければならぬというように考えておりますが、それにしても、やはり漁港整備という今後のほんとうの沿岸漁業の発展、沿岸漁業の根拠地としての漁港をりっぱにやっていくためには、やはり漁港整備という、そういう点を重視しながら、それがやがて構造改善につながっていく。構造改善がねらいになるというようなことも考えられるけれども、一体、私の言い回しが悪いのだけれども、沿岸漁業の構造改善計画を進めていくための一つの方法として漁港の整備をやっていくのか、漁港整備はそのまま沿岸漁業の構造改善につながる問題ではあるが、漁港整備というものにむしろ重点を置いて、そのことにあわせて構造改善計画を進めていくのかということになると、ちょっと私はわからないのですが、どちらにウエートを置いてやっていくのか。それは表裏一体だといえばそれまでですけれども、そこら辺はしろうとの私にはわからないところなんですが、構造改修ということを重視し、やがて全体としての全日本の漁業の構造改善計画をやるために、さしあたり漁港整備ということを、表裏一体ではあるが漁港整備ということを一つの手だてとしてやっていくという、そういう考えなのか、その辺がわからないのですが、したがって、先ほど機能施設というものと構造改善事業補助対象の問題を聞いたわけですよ。
  57. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) もちろん漁港整備計画には沿岸漁業なり沖合い漁業の根拠地になるような漁港の整備も含まれておるわけでございますが、漁港整備計画は全部が沿岸の構造改善事業に関連するわけでございませんが、大多数は一種、二種漁港、それは沿岸漁業の根拠地となるべきいわゆる中核漁港でございますから、その整備というものは構造改善と切り離せない性質のものであると思うのでございます。それならば構造改善と漁港整備とはどっちが先か、鶏と卵はどちらが先かという議論よりは、私は構造改善に漁港整備が合わせていかなければならない。ただ、現在の構造改善事業は必ずしもそれほどの大きな成果を上げる状態まで至っておりませんので、構造改善のみを金科玉条として、漁港整備を制約するということはいたしかねますが、やはり具体的に考えてみましても、構造改善のほうでは、たとえば現在無動力のものを動力化する、あるいは動力漁船でも三トンないし五トンの船を持つ漁船漁家というものが今後の沿岸漁家として中核的なものになるであろうという想定に立って構造改善事業を進めております場合には、その三トンないし五トンの動力船を前提にした漁港整備計画を考えていく、そういうような配慮も必要じゃないか、そういうような考えで進めておるのでございます。
  58. 大河原一次

    大河原一次君 それから法案の内容についてちょっとお聞きしたいのですが、今回の国の補助率の引き上げに関する規定において、国が助成している沿岸漁業構造改善事業が行なわれている都府県にある漁港である、こういう一項がいわば条件としてなされておりますし、及び「沿岸漁業の構造改善に資すると認められる」漁港の修築事業であるという二つの要件に該当するものでなければならぬというような規定づけのようでございますが、そうすると、いまの沿岸漁業構造改善事業の指定されている県というものはどの県にまたがるのですか。
  59. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 今度の改正法律案でいっております沿岸漁業等振興法の第一条の、沿岸漁業構造改善事業と申しますのは、現に予算実施いたしております予算面で沿岸漁業構造改善事業と称しておりますものよりは広範囲のものでございます。これは沿岸漁業等振興法第八条に列挙されておるものでございますが、それは現に構造改善事業としてやっているものよりはずっと広範囲なものでございます。ここにあげております各種事業につきましては、全部の都府県において行なわれているというのが現状でございますから、現状におきましては全国どの都府県にも適用される、こういうことでございます。
  60. 大河原一次

    大河原一次君 それから構造改善に資すると認められる漁港修築ということはどういうことですか。
  61. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これは構造改善の沿岸漁業振興の中核となるような漁港でございます。これは漁港整備計画の前文にも同じような文句が、中核となる漁港ということがございますから、法律の面ではともかくとして、実際上は整備計画で取上げられる漁港、構造改善の中核となる漁港というものは一致してまいることはほとんど全部であります。まれには例外はあるかとも思われます。
  62. 大河原一次

    大河原一次君 時間もきておりますから、最後に、簡単にお聞きしますけれども、今回の法改正によって、やはり五%の引き上げという、一応の漁民としては期待するところだと思うのですけれども、これが実際に地元に適用される場合において、実質的に漁民なり漁民の団体等がこの利益に均てんできるかどうかということになると、これは先般も私は地元の漁業家の方々と話したのですが、あるいはまた、北海道あたり災害等の問題に対する国の補助等についても幾ら幾らの補助をしたといっても、たとえば三%、五%の補助引き上げをやったとか、あるいはまた、補助をしたという場合においても、実質的には漁民の方々のいわゆる潤いというものになっていない、いわゆる引き上げの効果が地元漁民の方の実際の上に均てんされないというあれがあるのだ、今回も、農林省や水産庁あたりでこのくらいやったって、地元にきた場合はそれはただ単に自治団体のほうだけの負担軽減になって、実際の働く漁民の負担軽減にならぬ場合が多いから、この点は明確にしておかなければならぬぞという地元の漁民の方々の強い声もあるわけです。ですから、こういうことは実際にしばしばあったことと私記憶しています。だから、今回の場合といっても、せっかくの五%引き上げという潤いが、実際働いておる漁民の方々、漁民団体の上に十分実施効果としてあらわれてこなければ意味をなさないのではないか、こういう点が危惧されるわけですが、その点は明確にやっぱりすべきではないかと思うのですが、保障の取りつけをどういうふうにするかということも私としては考えられる、この点についてひとつ長官としての御意見を承っておきたい。
  63. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) まことにごもっともでございますが、今回の法律改正の目的が、沿岸の構造改善事業を促進するということ、地元の負担を軽減するということを目的にした改正でございますので、補助率引き上げが単に府県の負担軽減で終わってしまうというようなことのないように、まだ法律が成立する以前でございますが、すでに各県には主務課長会議あるいは部長会議等を通じ、また、通達も出しまして、地元負担の軽減に充てるようにしてもらいたいということを示したのでございます。さらに漁港計画を策定するにあたりましても、一々の点についてその辺を確認しながら、できるだけ地元負担の軽減に充てるように強力に指導してまいりたいと思っております。
  64. 大河原一次

    大河原一次君 これと関係ございますが、現在までの漁民の方々の負担分ですか、一体どのくらいになっているんですか。
  65. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 全体といたしまして国の負担が大体六割見当でございますが、そのほかに地方の負担を一〇〇といたしますと、つまり全体のうちの四割を一〇〇といたしますと、地方の中で都道府県が六三%くらい負担しております。それから市町村が二九%くらい、残り八%ないし九%くらいを組合等の地元が負担しておる、これは平均で申し上げておるわけでございますが、地方によって凹凸がございます。多いところも少ないところもございますが、平均いたしますと八%は地元負担でございます。
  66. 大河原一次

    大河原一次君 そうすると、今回の五%引き上げということになると、地元はどうなるのですか。
  67. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 今回の引き上げは五%でなく一〇%でございますから、平均いたしますと八%の地元負担をこえるわけでありますけれども、場所によっては一五%負担しているところも、中には負担のないところもございます。したがって、一〇%以上の負担をやっているところではこの一〇%まるまる軽減できる、それ以下の場合は八%なら八%にとどまる、そういうことでございます。
  68. 大河原一次

    大河原一次君 私が心配するのは、先ほど申し上げたのはその点なんです。あなたが言われましたいま八%ですね、八%負担しているところは一〇%引き上げてやるから結局ゼロになるだろうというお考えなんですが、実際そのとおり地元の漁民の上に均てんされる、潤いが効果となってあらわれるということを心配するがゆえに、これの間違いないように実行の運びにしてもらいたいというのが私の希望です。  私、これから石炭委員会に出なければなりませんから、以上で私の質問を終わります。
  69. 北條雋八

    ○北條雋八君 提案理由説明でもありましたが、沿岸漁業の構造改善事業が行なわれている都府県の第一種漁港または第二種漁港について、沿岸漁業の構造改善に資すると認められるときには、その基本施設の修築に要する費用についての国の補助制令を「当分の間」という、「当分の間」ということについて一体どのくらいのことを考えておられるのか、まずお伺いします。
  70. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 「当分の間」ということにつきましては、私どもいまのところ期限を何年間というようなことは考えておりません。これはむしろ将来できるならば恒久化いたしたい、こういう考えでございますが、いまは構造改善を促進するという特にその点を強く考えておりますので、「当分の間」という文句が入ったのでございますが、できるだけこれは将来恒久化いたしたい、それまではわれわれとしてできるだけ、長く続けたい、こういう考えでございます。
  71. 北條雋八

    ○北條雋八君 御承知のとおり、構造改善の目的とする沿岸漁業の振興ということは、これは非常に重要な公共性を持っておるものでありますので、特に沿岸漁業の湾内の養殖漁場の改良事業というようなものは、非常に完成までに長年月を要するものであります。こういう事業が完了しないのに、この文句でやりますと、また百分の四に戻るというような懸念もないわけじゃない。むしろ「当分の間」という字を削っちゃったほうがいいんじゃないかというふうに私は思うんです、削るわけにいかないんでしょうか。
  72. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 「当分の間」ということは、漁業の振興という面からいいますと、できるだけ長く恒久的であるということが望ましいわけでございますけれども、沿岸漁業の振興ということ、沿岸構造改善事業をすみやかに、また、できるだけ徹底して行なうという目的を特に促進するために、今回の補助率アップを行なったという趣旨からいたしまして、その目的を達成するまでの間、こういうふうに非常に一般的な言い方でございますが、そういう言い方で、今回の補助率引き上げの有効期間、そういうことを考えておるわけでございます。ただ、実際には、構造改善事業というものは、非常に長期の努力を要しますので、「当分の間」というものは、当面近い将来にその末期がくるということは考えられたい、こういうことでございます。
  73. 北條雋八

    ○北條雋八君 その促進の意味が入っているために、特にその「当分の間」が必要なんですね。そうすれば、事業が完了するまでというふうに書いたほうがなおいい、また、張り合いをもって促進ができるのじゃないかというふうに考えるのでありますが、その点はどうです。
  74. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 率直に申し上げますと、その辺はあまり私どももむずかしい議論をしたわけではございません。しかしながら、構造改善事業というのは、今後長く続けられますけれども、区切り区切りが相当ございます。でありますから、少しこれはへ理屈に堕するかもしれませんが、たとえば現在行なっております狭義の構造改善事業といいますのは、来年から地区ごとに一応完了するものでございます。それ以外の沿岸振興法に言う構造改善事業は十カ年計画でやっているようなものがございますが、狭義で構造改善事業と称してやっているものは、来年から……来年は五地域一段落するわけであります。そういうところで終わらせるようには考えていないわけでございます。そういった狭義の構造改善事業をさらに題二ラウンドを進めるというようなことを考えておりますので、この構造改善事業が終わるまでという言い方で、あまりきちっと区切った感じを出さないほうが私どもはいいんじゃないか、こういう考え方を持っております。
  75. 北條雋八

    ○北條雋八君 それはわかるんですけれども、とかくやっぱり政府法律案というものは、ぼやかしてはっきりしないところがあるのですね。ですから、この場合でも非常に当事者になると、またそれじゃこの率を下げられるのじゃないかといったような不安感を抱かせるわけですね。ですから、できるだけこれははっきりしたほうがいいと思って私は言ったんですけれども、まあできるだけこの地元の負担というものを軽減するように実際の運営に当たっていただきたいと思います。  それからもう一つ、時間がありませんが伺いたいのは、この漁港の修築について、特に北海道と内地と区別した理由は、どういうふうなことでありますか。  また、今度の法の運用にあたって、北海道と内地の差が緩和されるのかどうか、縮まるのかどうか、その点を伺います。
  76. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) あとのほうから申し上げますが、今回の法改正によりまして、北海道と内地との待遇の差は縮小するのでございます。北海道につきましてなぜ補助率が特に高くなっているかということは、これは北海道開発促進法成立の経緯によるわけでありますが、北海道開発促進法で、当時の事情から北海道の開発は特に急を要する。また、そのためには非常な大きな土木事業をやらなければならぬ。したがって、北海道の負担が大きくなるというような趣旨から、北海道開発促進を急速にやるために、北海道については特別の補助率の定めをしたというのが経緯であると、私どもは承知しております。
  77. 北條雋八

    ○北條雋八君 それで、だんだん北海道と内地の均衡といいますか、均衡はとれてきておるのでありますか。
  78. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これはまあ北海道開発全体の考え方にもよることでございますから、個々の公共事業についての北海道と内地のバランスということは、なかなか現実的なことは申し上げられないと思うのであります。土木あるいは港湾、それぞれの事情があるかと思います。全体として、北海道のほうが急速な開発を要するといった趣旨に立ったものでありまして、その補助率の差が一〇%でなければいかぬとか二〇%でなければいかぬとかいうことを、なかなかそれぞれの事業について明快にお答えすることはむずかしいと、私どもは考えるのでございます。
  79. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、現在でもあまり昔と大差はないのだ、その事業の量あるいは土地の環境上からいって、そのくらいの差をつけるのは昔も現在も同じ程度だというふうに承知していいのですね。
  80. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) ほかの公共事業の関係もございますが、現状ではやはり北海道について一〇%とかそこらの補助率なり国の負担の割合の差があるのは常識ではないかという感じがございます。
  81. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  83. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 森林開発公団法の一部を改正する法律案議題に供します。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  84. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今回の公団法の一部改正をする法律案で、業務範囲が従来と比較して拡大された。新たな特定の地域の林道網の枢要部分となるべき林道の開設等の事業、これが登場するわけですが、このいわゆるスーパー林道、これが従来実施されてまいりました補助林道なり、あるいは公団林道、関連林道といかなる相違点があるかを明らかにしてほしい。
  85. 田中重五

    政府委員田中重五君) 今回の、新公団林道につきましての、いままでの林道との比較といいますか、位置づけを申し上げますと、今度の新公団林道は、いわば奥地低開発地帯の背骨となるべきものである。したがって、それは数府県にまたがる場合もありましょうし、そうしてその両端はそれぞれ県道なりその他公道につながるように持ってまいりたい。それに比べて従来の関連林道あるいは基幹線林道、一号林道、これを背骨に対する肋骨というようにお考えになっていただいていいかと思いますが、そういう位置づけをいたしまして、さらにその他の二号あるいは三号林道あるいは今度林業構造改善事業の中に取り組まれました山村振興林道、四号林道などはその支派線であるというような位置づけをいたしまして、そうしてそれぞれ背骨あるいは肋骨、その支派線、それぞれの受益地の面積の規模なり、あるいはその開発される森林地帯の蓄積なり、それぞれ格差が設けてあるわけでございます。  なお今度の林道のもう一つの特徴といたしましては、いままでの林道がいわゆる突っ込み林道であったのに対して、今度のは峰を越し、通り抜けていくというような林道であるだけに、その林道の規格その他も大型にしたい、こう考えているわけでございます。
  86. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大臣、今度の法律改正案のスーパー林道の全体の構想というものはどういうものですか。とりあえず、三つのテストケースとして具体的に登場しておるようでありますが、全体としては、このいわゆるスーパー林道は、どういう計画の中にわれわれは展望して期待すればいいか。そういう点をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  87. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 何といいますか、一つのスーパー林道の性格を、私は産業道路的に考えていかなければならない、こういう考え方から、規模も大きくし、あるいはまた、林野に行きどまりということでなくて、国道なら国道の間をつなぐ、県道なら県道の間をつなぐ、こういうことで、将来山村開発等にも大いに資していかなければならない、こういうような考え方から、本年度はガソリン税の見合いというようなかっこうで、数路線だけでございますが、いま考えておるのでは四十路線くらい、キロ数にすれば二千五百キロメートルくらいのものをとりあえずつくっていきたい、そのため本年度は各地区等につきましては調査を近めたい、こういうような見通しのもとに進めておるわけでございます。
  88. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ただいまの御答弁では、とりあえず、数路線ということですが、提示された資料によりますと、三路線のようであります。その点が大臣の答弁の数路線、五、六線ということでありましょうか、それがこの法律改正による直ちに予定されるものであると了解していいのか。あるいは事務的に参考資料として出ておるような三路線のほうが実際なのか。その点ちょっと錯綜する答弁でありますから、念を押して伺っておきますが、それ以上に、私、大臣のただいまの答弁でなおお伺いをいたしませんければならぬのは、ただいまの御答弁にもありましたように、このスーパー林道は農業用ガソリン税の免税をしないかわりの見返りとして予算をうけた、そういう財政裏づけでスタートをした意味の御答弁があったのでありますが、これは先週の農業機械化促進等の法律審議の際にも、私、大臣から御答弁をいただきましたように、この農業用ガソリン税を免税しないかわり財源として云々ということは、これは全く筋が通らぬことであり、大臣も、免税については四十一年度を期して全免の措置を講ずるように善処をするという御答弁で、了解を得た経過もあるのでありますが、こういう不安定な財源ということでスタートをしたこのいわゆるスーパー林道が、将来四十路線にも及ぶ大きな事業規模をもって進捗をするということになれば、当然これらの農業用ガソリン税の見返り財源というようなことではなしに、大所町所から、この法律の目的にうたっているように、地域の地理的条件がきわめて劣悪で、しかも豊富な森林資源の開発が十分に行なわれていない地域の特定の基幹道について、大きな施策を講じようとするのでありますから、この点はそういう懸念がなければけっこうでありますが、その点をひとつ大田から関連してなお伺っておきたいと思います。
  89. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど数路線と申しましたが、本年度は三路線でございます。その他は調査を待つことにいたしております。  それから、まあ俗に言うスーパー林道は、ガソリン税の免税をしなかった見合いとして発足するものでございます。しかしながら、これは山村開発からいいましても、また、森林の何といいますか経営、造成、そういう問題からいいましても、重要な一つの政策といいますか、でございます。でございまするから、ガソリン税が免税になったからこれをやめる。こういう考えを持っておりません。一般財源をもってやはりこれは継続してやっていく。発足はガソリン税に見合ってでございますけれどもが、ガソリン税の免税のあるなしにかかわらず、これはつくって継続していく。こういうふうに考えております。
  90. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは、なお関連して伺いますが、調査がいつごろまでに終了し、その終了に基づいて予定されておる四十路線が着工し完成するおおよその年次目標、そういうものは一体どういうふうに考えておられるのですか。
  91. 田中重五

    政府委員田中重五君) 全体の調査は四十年度で終了したいと思っております。それで、ただいま大臣のお話にもございましたように、四十路線の二千五百キロというのは、現在のところおおよその見込みでございまして、本年度の調査によってそれが確定をするわけでございますので、そこで、その全体を期間何年計画で完了するかということについては、その調査の結果を見て決定をいたしたい。こういう考え方でございます。
  92. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 調査の結果で今後の四十路線の年次計画をつくることは、事務的にはもとよりでありますが、後ほどまあお尋ねをいたす問題にも関連しますけれども、森林開発公団がやる場合にも、従来の経過に顧みますると、なかなかどうもその事業に必要な制度金融といいますか、それらの長期低利の融資措置なり、あるいは公団における迅速適切にこれを運用するに足るだけの事業予算が伴わないうらみがあったわけであります。したがって、こういう地域産業道路ともいうべきスーパー林道に寄せる期待が大きいだけに、これは事務的な答弁ではなしに、私は、大臣として、いやしくもここで法律改正して、こういう枢要部分に対する林道も、従来は突っ込み林道であったものを、国道、県道につながる枢要な林道を新たに設定するということは、きわめて重要な社会的意義を持つだけに、調査を四十年度に終わる場合に、これを四十路線に拡大してやっていくには、相当国の大きな政策の中で、重点的にこれにはその必要とする予算なり財政投資なりを振り向けるという決意がなければ、なかなか百年河清を待つうらみを結果的に招来してはたいへんなことでありますが、この法律改正するにあたりまして、大臣の今後の、この全国にまたがる四十路線と称するものの取っ組み方、その気がまえというものをひとつ伺っておきたいと思います。
  93. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) いまお話しのとおりに、重要な林道開設でもございます。それからこれによりまして、山村地方の開発も促され、あるいは国有林、民有林を問わず、林業の構造改善等にも相当裨益するところが大きいと思います。でございますので、かねがね考えておったことが、本年からパイロット的に事業を行なうことになったわけであります。でございますので、この調査の結果、約四十路線をやるということにいたしまするならば、それに対する助成、あるいは資金運用部資金の借り入れ、地元負担の延べ払い、こういうものを計画的に勘案いたしまして、この事業を進めていくのに遺憾ないような財政的な措置もとっていく、こういうふうに考えております。
  94. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 このスーパー林道と、奥地産業開発道路との関連はどういうふうに理解すればいいですか。
  95. 田中重五

    政府委員田中重五君) 奥地産業開発道路のほうは、御承知のとおりに、まず、民政の安定、地域格差の是正、ひいては国民経済生活の安定というようなことをねらいまして、いろいろな産業の総合効果、それを高めていくということで、奥地と幹線とを結んでいくような道路法上の道路であって、都道府県道以上というふうに規定をされております。それで、それに対しましてこの新公団林道は、第一条の目的にもございますように、地勢等の地理的条件の悪い、豊富な森林資源が十分に開発されないままで残されている地域開発、改良等を、林道の開発改良等を行ないまして、そうして、林業生産増大に資するということが目的でございますから、いまの奥地廃業開発道路とはその目的を異にしている、こういうふうに理解をいたしております。  なお、この奥地廃業開発道路の路線の指定なり、あるいはこの新公団林道の路線の指定なり等につきましては、そういう見解に基づいて、建設省と農林省とが十分に協議をいたしてまいる、こういうことにいたしております。
  96. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 全国森林計画にあるところの林道整備計画と、この新公団林道との関連は、一体どういうふうな結びつきになって取り上げられるのですか。
  97. 田中重五

    政府委員田中重五君) 全国森林計画にいっております、先生御指摘の林道は、当面大規模林道として一万二千二百キロ程度のものを予定いたしておりますが、それはいま提案をいたしておりますこの新公団林道を含めて、基幹線林道、あるいは一号林道と、大型の林道をとらえているわけでございます。ところで、現在までのそういう種類の林道の実施状況を見ましても、なお、その計画に対しまして十分でない面があり、一方、この林業基本法の制定に基づいて、林業生産基盤整備ということが要望されておるおりから、この全国森林計画の大規模林道の計画をいたしております。この計画の可及的すみやかな実施をはかるために、この中の部分として新公団林道を進めてまいりたい、こういう考え方でございます。
  98. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大臣にお伺いいたしますが、今度提案されましたいわゆる新公団林道、従来の公団林道、従来の補助林道あるいは関連林道というものが、いろいろとまた錯綜した形に出てきているわけでありますが、そうした最近の動向に即して、林逆行政を総合化し、計画化する段階にきているのではないか。大所高所から、そういう観点で、大臣の立場から客観的な一つの総合的な施策の中に、林道行政を一体化する必要があるのではないかと思うのですが、大臣の御所見はいかがですか。
  99. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私も御意見のように考えております。道路が、すべて道路法のもとで一つの統一体として行なわれておりまするように、林道につきましても、基幹林道とか、一号とか二号とか、こういうものがあると同時に、連絡林道とか、あるいは公団によってつくりました林道とか、あとからあとから、その必要に応じていろいろ林道がつけ加わっている、こういうかっこうでございますが、林道行政といいますか、林道行政一般としての一つの統一性を持つほうが、あたりまえと言いますか、よろしい方向である、こういうふうに考えます。でございますので、いずれこういうものを整理いたしまして、一つの統一体としての林道行政を行なっていきたい、こういう方向へ進めていきたい、こう思います。
  100. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今度のスーパー林道を公団にやらせる積極的な理由は、どこにあるのですか。
  101. 田中重五

    政府委員田中重五君) 今度の林道は、先ほども申し上げましたように、場所が奥地であるということ、相当に大型の林道であるということ、そういう面から、まず林道開設の技術的な指導を必要といたします。それからその次は、今度の林道が、大臣のお話にもございましたように、国の補助金以外の都道府県あるいは地元の負担分につきましては、資金運用部資金から借り入れてひとまず全部国の負担でつけていくというような、財政的な面からいいましても、たとえばこれを都道府県に行なわせるということにはなかなか問題があろうと思います。  なお数府県にまたがるという場合には、それぞれの県によって施行主体が違ってくるというような繁雑さもあると思います。  それから一方、それでは国がみずから行なうことにして、国有林野の事業としてやってはどうかという考え方がございますけれども、国有林野の事業につきましては、その林道の面をとらえましても、年々増大する本来の事業のために相当出っぱっているというのが実態であるといたしますと、先ほど申し上げましたような事業の重要性にかんがみ、かような事業をかつて行なった実績のある森林開発公団、国にかわるところの特殊法人としての森林開発公団、これに行なわせるのが最も相当であろう、こう考えた次第でございます。
  102. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 具体的に伺いますが、この法律が成立することによって、四十年度に着工する三路線の具体的な内容というものはどういうものですか。
  103. 田中重五

    政府委員田中重五君) 具体的な内容を、この三路線について申し上げますと、北海道で一路線五十七キロ、岩手県三十四キロ、長野県三十七キロ、合計して百二十八キロでございます。で、それのおおよその全予算といたしまして三十八億五千万円、それからその資金の支出の方法としましては、いまも申し上げましたように、国の補助がございますが、これが三分の二、六六・七%、県の負担が一七・五、地元の負担が一五・八、こういうことでございます。  ところで、この北海道、岩手、長野県はいずれも後進地域の適用団体でございますから、これに補助率差額がついてくるということになっております。  それからその次は、三地域土地利用状況を見ますと、林野も含め耕地も含め、その総面積を見ますと、約十一万五千ヘクタールでございます。ところで、その中で耕地はわずか〇・五%、それからその他の林野の面積が九八%、その他が一・五、こういうことになっております。  それから、いまの林野の中の森林の面積でございますが、これが十万九千ヘクタール、それから森林蓄積が一千九十二万立方メーター、大体ヘクタールにして百立方メーター。  以上がおおよその内容でございます。
  104. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 地元負担が一五・八%ということでございますが、この林道の使用料というのは、どういうことになっておるんですか。
  105. 田中重五

    政府委員田中重五君) この林道の使用料と申しますのは、林道の小破修繕に使われるところの、いわゆる維持管理に要する経費になるわけでございます。で、政府の原案といたしましては、旧公団林道で行ないましたように、そのそれぞれの路線が、おおよそこの年に小破修繕等維持管理に必要とするであろうと考えられる経費、それをその地域から搬出されるところの林産物の在積あるいはトラックの台数、そういうもの等でおよそ一キロ一台当たりの利用料を定めまして、そうして、それによって利用料を通る車から徴収することによってまかなうという考え方でございましたが、今回のこの提案によりまして、衆議院の御審議の際に、附帯決議がございましたので、その附帯決議の御趣旨を十分に尊重し、それを体しながら、維持管理の業務の一部を地元の市町村あるいは森林組合に委託するという形で検討をいたしてまいりたい、こう考えております。
  106. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 衆議院のそういう附帯決議を踏まえての政府の臨み方は、いまの答弁で大体了承しましたが、それでは角度を変えて伺いますが、この事業における償還方法と、従来の償還方法とはどういう違いがあるんですか。
  107. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまお話しの償還という問題につきましては、これは先ほども申しましたように、国の負担が六六・七になります。したがって、県並びに受益者の負担はその残り――その残りの分をひとまず国が資金運用部資金から借り入れてまかなうわけでございますが、それの償還につきましては、その路線が工事を完了するまでは元利ともに据え置く。そうしてその後その据え置き期間を含めて、いまの見当といたしましては、大体二十五年、これを償還の期間といたしたい、こう考えております。旧公団林道につきましては、これは県の負担分につきましては、元金だけが三年据え置き、そうしてそれを含めて二十五年の償還、それから受益者の償還方法につきましては、元金だけを二年据え置き、そうしてそれを含めて二十五年の償還、こういうことになっております。
  108. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今度の新しいいわゆるスーパー林道の支派線を補助林道として開設することについての考え方は那辺にあるんですか。
  109. 田中重五

    政府委員田中重五君) 先ほど申し上げましたのは、新公団林道、それが背骨でございますが、それの骨子となるべき部分の基幹林道あるいは地方林道、それから支派線となるべき部分が、いわゆる小団地林道になってまいるわけでございますが、それで、未開発の地帯においてなお支派線のないような地帯、そういうような地帯はこの新しい新公団林道の開設に伴い、そこに開設されていくということになるかと存じます。
  110. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今度三つの新しい公団林道が着手される。なお本年中に調査を完了すれば、大臣の方針を承ると、積極的に財政投資あるいは予算を伴って予定されている四十路線を、これに対して積極的に取っ組んでいくという構想が明らかにされたわけでありますが、それに伴うこの森林開発公団の組織の整備拡充、そういうものがまた大きな課題になってくると思うのでありますが、提出された資料によりますと、毎年毎年この事業の拡大によって公団の機構が支所あるいは出張所の増設等によって拡大をしてまいりまして、最近では役職員の合計が二百六十二名、こういうことでありますが、この二百六十二名、本所、支所あるいは出張所、総体に見て一体どれだけの公団の拡大を考えておられるのか、その点をまず総括的に伺っておきたいと思います。
  111. 田中重五

    政府委員田中重五君) この新公団林道のさしあたり三路線の開設のために、まあ大体本所、支所で十八人、これを予定をいたしたい。それはいま林道関係で、旧公団林道それから関連林道で七十三人、これを担当いたしておりますが、その中から融通することができる、こういうふうに考えております。  それから下部の機構といたしましては、この新公団林道開設のために、林道事業所を開設することにいたしまして、大体この十五人、所長を含めて十五人程度をさしあたり考えております。ところで、将来この全体計画樹立とともに、ほぼ想定される人員は、この公団の定員、内外を含めまして百七十人程度が予想されるわけでございます。ところが、一方関連林道の終期が四十一年でございますし、それから水源林造成事業、このほうも大体この計画の線で進めてまいります場合には、その事業との見合いにおきましてそのほうの人員をこの新公団林道のほうへ逐次回してまいりたい。なお、全体といたしましては、機構の整備等考えながら主要なものについては漸増も考えてまいりたい、こう考えております。
  112. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは、法案の内容にわたって二、三質問をいたしますが、第十八条一項に一号の二を挿入することによって、第一条の目的までこれは法改正をする必要があるのじゃないか。単に業務範囲を拡大しただけの法律改正案の提案でありますが、このスーパー林道は、林道としての開発効果が著しく向く、かつ林業以外の産業振興上妥当なるものとなっております上から、国有林が受益者である、そういうときにはそれに応じて地元負担分を負処することになっておるのでありますから、目的規定をこれらに応じて第一条を改める必要があるのじゃないか。公団の性格を明らかにして、たとえば国有林との関係なり、あるいは地元負担分のアロケーション等の論理的な性格を明らかにするような法律の第一条を改正する必要があると思うのですが、この点は、なぜその点に触れないで、単に業務範囲の拡大にとどめたのか。これは大臣から直接御答弁を願いたい。
  113. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 第十八条に業務範囲が、一の二として、このたびの公団林道の業務が加わったわけであります。そこで、第一条の目的には、こういう業務が立法当時には含んでおらなかったわけでございます。しかしながら、あえて第一条に十八条の業務の加わったような目的をつけ加えなくても、第一条の目的の中に含まれる、こういうふうな解釈からあえて目的につけ加える必要がないのじゃないか。解釈上その目的の中に含まれる。立法当時はそうではございませんでしたが、現在第一条の目的として加えたとしても、いまの目的で足りる、こういうふうに考えましたので、あえて目的の追加をいたさなかったわけでございます。
  114. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 これは衆議院の農林水産委員会で、かなり時間をかけて質疑をいたした点でありますから、私は重複を避けて、これ以上はお尋ねをしませんけれども、かなりいまの大臣の答弁でも、法理論的には論理性が稀薄であると思います。その意見だけをつけ加えておきます。  次に、法律の解釈で、第十八条第一項第一号の二の「地域のうち政令で定める地域」とはどんな基準によるのか、どういう基準をもって政令等でこれを指定されるのか、その点をひとつ明らかにしてほしいと思います。
  115. 田中重五

    政府委員田中重五君) 政令で定める地域は、その林道が通過するところの市村町名が掲げられることになると、こう思います。  それから受益地の基準といたしましては、おおむねその受益の面積が一万ヘクタール、それから林野率が八五%以上、こういうふうに基準を考えております。
  116. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 同じく一号の二の「林道網の枢要部分となるべき林道」というものの意義は、一体どういう内容ですか。
  117. 田中重五

    政府委員田中重五君) その枢要となるべき部分という意味が、先ほどたびたび申し上げておりました、別のことばで言いますと、林道綱といいますか、その中の背骨になる部分、そのような位置づけを頭に置きまして、枢要となるべき部分と、こう言っているわけでございます。
  118. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは、ちょっと角度を変えて伺います。  基本問題調査会は、受益者の意思に左右されず、短期間に大規模な林道を開設すべしということを指摘しておりますね。そういう審議会の指摘は、一体このスーパー林道についてはどう適用されようとするのですか。
  119. 田中重五

    政府委員田中重五君) 基本問題調査会の指摘をしております受益者の意思にとらわれずというその要望にまさにこたえているのが、この新公団林道の開設方式であろうかと思います。という意味は、その意思に左右されずにということは、要するに地元の負担の問題を言っているわけでございます。それでそういう地帯における地元といたしましては、やはりこの林道は必要であると認めながら、負担にたえがたいという考え方がこれまた強いわけでございます。そういうようなことで、従来体系の補助林道の進捗が十分にいかない面もあったわけでございますから、そこで、今度はまず国の補助率を高める、県の補助率も高める。そうして地元負担をできるだけまず軽減する。その軽減された地元の負担も、これも国がひとまず国の金を立てかえて、そうしてそれを完成した上で長期にわたって償還してもらってけっこうですということにしたわけでございます。
  120. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 第二十五条、賦課金のこの対象は、林業以外のたとえば観光あるいは温泉地業者というようなものもその対象として考えておるのですか、どうですか。
  121. 田中重五

    政府委員田中重五君) この二十五条の受益者に対する賦課金でございますが、そこにございますようにその受益地、それからその地上の立木等を権原に基づき使用、収益するものその他農林大臣の指定するものということになっておりますので、その受益者であることが確定をいたしますれば、これもまた受益者の中へ包含されると、こういうふうに考えております。
  122. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうすれば、ただいまの御答弁でも明らかなように、今度の新公団林道は、その開設の趣旨からいっても、林業以外の受益者にも負担させると、こういうふうに受け取っていいんですね。
  123. 田中重五

    政府委員田中重五君) お説のとおりでございますけれども、しかしながら、その受益者の大部分は、やはりこれが林業化症の増大に資するという目的で開設される以上、その受益者の大半はやはり森林所有者であるというふうに考えております。
  124. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 最後に、その賦課については、その調整はだれがやるのですか。
  125. 田中重五

    政府委員田中重五君) その賦課につきましては、林道がそこに開設されることによって、それぞれその受益地並びに地上の立木はそれぞれ高騰をいたしますので、その受益の程度に応じて森林開発公団におきましてその受益の負担の割合をきめてまいりたい、こう考えております。
  126. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  127. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それじゃ、速記を起こして。
  128. 北村暢

    ○北村暢君 私は、まず第一点として渡辺委員の触れられましたように、このスーパー林道といういままでの概念から、林道の概念からははるかに高級な林道というものの観念が新たに出てきたわけですが、こういうものに対して最初に、これはまあ答弁は先ほどされておりますからいいんですが、基本法に基づく林道という法体系について、また、この林道計画について、こういうものが出てくるのにかかわらず、林業基本法に伴う林道関係の法案の整備が今国会に出されないということについては非常に遺憾であります。しかも、林業基本法を通す際に、私どもは、この基本法が一年おくれれば、関連法案がそれだけおくれるから、すみやかに通してくれといったので、実は質問をしないで通してしまった。ところが、本年一年たって出てきた法案を見たならば、基本法とは関連しているかしていないかわからないこの森林開発公団法の一部改正、これ一本だけであります。そのほかに、入り会い林町の問題についての法案も出るといううわさだけで、今国会に出るのか出ないのか、いまだに出ないところを見るというと、これは出ないのじゃないかと思う。そうすると、林業基本法の制定に伴う関連法案は、今国会森林開発公団法ただ一つである。これはもう林野庁の怠慢そのものである、そういうことだと思うのです。したがって、大臣は、これは今後、この林業基本法に伴う関連法案の制定について、どれだけの熱意をもって今後臨まれるのか、この点について、ひとつ大臣の所信を承っておきたい。
  129. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) いまお話しのように、林業基本法ができまして、入り会い林野の整備等をいたしたいと、こういうことで相当検討いたしておきたのでございますが、なかなかむずかしいものでございますので、残念ながらまだ国会提案できないような状況でございます。  そこで、これだけかということでございますが、入り会い林野の整備法律は、実際いま法制局のほうで引っかかっておりますが、これが出るか出ないか、出したいと思っているのですが、まだめどがつかないでおるので、申しわけないというか、私は遺憾に存じております。一般的に森林の基本法ができましても、それに付帯する関連法律整備するようにという御意向は、十分私どももお聞きいたしておりますし、私どもも基本法に基づく関連あるいは姉妹の法律というものを出して、そうして基本法の運用が万全を期するようにいたしたいと、こう考えております。でございますので、本国会におきまして、まことに遺憾に考えている次第でございますが、鋭意その方面の整理をさせまして、森林の基本法が十分運用でき、この基本法をつくった目的が達せられるような方向に督励をいたしたい、こう考えます。
  130. 北村暢

    ○北村暢君 次に、衆議院の附帯決議の第二項について、先ほど渡辺君から質問がありましたけれども、この点は、どうもこのスーパー林道の事業を公団が実施するにあたって、全くこれは骨を抜かれたような形になったのではないかと思う。大体普通の道路公団の道路等の場合は、これは有料道路として償却が終わって大体二十五、六年から三十年、二十七、八年ですか、その点ははっきりしませんが、大体そのくらいの年限です。で、償却が終わってからこれを国道に切りかえるというような措置をとっているようですね。したがって、これはこの場合公団が建設をして、その後の維持管理は地方公共団体中心運営管理する方法によるのだ、こういうことでございますが、一般の道路公団の道路、これも維持管理はたいへんでしょうけれども、林道の場合は維持管理はさらに困難であろう。特に林道の性格からいって、災害等に非常に弱いわけでありますから、災害復旧等の問題は必ず起こってくるわけです。したがって、地方公共団体中心運営管理させるといっても、そういう維持管理する費用というものが有料でないということになれば、従来の公団林道は有料によって、料金によって維持管理の一部、全部とはいえないでしょうけれども、これは一部やっているのだろうと思うのです。そういう面からいって、地方公共団体が維持管理をまかされても、これは非常に迷惑するのじゃないかと思うのです。一体そういう面のところは、こういう附帯決議をつけられたからといって簡単に地方公共団体が引き受けてくれるという想定の上に立ってこの附帯決議をのんだのかどうなのか。できもしないものを、法案通すだけに終始してこれをやるということについては、まことにおかしいことだと思うのですが、従来の公団林道との関係で、そこら辺のところをもう少し、市町村に折衝しているとかなんとかいうことでなくして、実際どのようにしてこれをやっていくのか。維持管理といっても、維持管理をやるくらいだったならばこれは町村の林道になるのか。府県の林道として府県の独自の予算でやるのか。建設だけは公団がやるのか。そこら辺のところをもう少し明らかにしていただきたい。
  131. 田中重五

    政府委員田中重五君) この維持管理というのは、この法律にもございますように、森林開発公団の業務の一部になっているわけでございます。そこで、旧公団林道といたしましては、この維持監理、つまり先ほども申し上げましたように、いわゆる災害でない、通常破損する程度の修理、あるいはまた除草その他そういう小破修繕をして維持管理をしていくという業務がございますが、それに対する裏づけとなるその費用については、旧公団林道にあっては一車ごとにその林道を使用するものから徴収する、公団がみずから徴収事務を行なっておる。そうしてその経費で小破修繕をやってきたということでございます。例を申し上げますと、たとえば熊町の場合には一車一キロ百円、それから剣山のほうは百二十五円というようなことで、利用料を取ってこれを財源として維持管理をする、こうなっているわけでございます。それで、今度この衆議院の附帯決議の趣旨を尊重をいたしまして、そこで、との一車一車その林道を通るものはすべてこれを徴収する。そしてそれを維持管理の財源に充てるというのでなくて、やはりその林道の利益の範囲の中の受益者、やはりそういうものが一番この林道の利用度も構いわけでございますから、そういうものから想定されるその年間の維持管理費というものを、市町村あるいは森林組合あるいはその連合会等の手によってこれを集めまして、そうしてその経費でそれぞれ市町村あるいは森林組合等の自主的に判断をした管理組合的なものが維持管理をしていくというようなことも、一つの案かと考えておりますけれども、なおその趣旨を体しながら、十分に不満のないように検討いたしたいと、こう考えている次第であります。
  132. 北村暢

    ○北村暢君 非常にあいまいですが、そうすると受益粋負担というのはですね、建設の受益者負担と、その後において管理費の受益者負担というものがふえてくる。こういうことにならざるを得ない。ふえてくるということは、有料道路の場合は、その受益者も有料で車が走ったら払うわけですが、その分はもちろんなんですが、今度のスーパー林道は必ずしも木材を輸送するためばかりではないんですね。その受益者の地域の人ばかりが通るとは限らないのですね。したがって、そういうことだと、これはいわば観光用のハイヤーでも何でも通らないとは言えない。そういうものからは料金は取れないことになるわけでありますから、受益者といってもその地域の受益者、明確なものでなければこれは負担をかけるというわけにいかない。したがって、その受益者以外のですね、その地域の受益者以外の、たまたまそこを通る車、こういうものは無料で、地域の受益者だけが全部管理費を負担する。こういう結果にならざるを得ないわけですわ。そうすれば不平出るんじゃないでしょうか。そういう点は、これはもう国でですね、管理費の一部を将来見るというようなことを考えないというと、受益者は不満を言うだろうし、また不満なものを押しつけてしまうということは、まことにたいへんなことだと思う。それかといって、地方公共団体では迷惑だと、こういうことになるだろうし、どうもここら辺の解決の方法は思ったより簡単にいかないんじゃないか。このように思うのです。したがって、手っとり早いのは、有料道路として年間の通過台数というものを想定をして、管理費に充てる。これは当然のことなんですが、どうも根本がくずれてしまったので、当局の意思ではないところから押しつけられた形になっておるので、説明しにくいでしょうけれども、これはちょっと困ったことになるんでないかと思うのですがね。こういう附帯決議を完全に実施できる自信がおありになるのかどうなのか。再度御答弁願いたい。
  133. 田中重五

    政府委員田中重五君) まあ旧公団林道におきましても、地元の受益者の大半は森林所有者でございますが、それは開設費の地元負担を負担したほかに、一車一台当たりで、利用料は維持管理費に見合う限度において、先ほど申し上げました料金で徴収をされるということでございますから、その点は、今度の新公団林道におきましても、受益者が開設費のほかに維持修繕費も負担することにおいては、あまり変わりはないかと思います。ただ、そのほかに、そういう林道でございますから、いろいろなバスも通る場合もあろう、そういう利用車両についての負担のしかた等については、いまも申し上げました市町村あるいは森林組合等のいろいろな考え方もあろうかと思いますので、そこで、そういう公共団体その他の団体の意思も十分にくみながら、最も適切な財源の確保と、それからそれによる修繕の施行主体というものを考えてまいりたいとこう考えております。
  134. 北村暢

    ○北村暢君 それは県がやるのですか、市町村がやるのですか。
  135. 田中重五

    政府委員田中重五君) いま地元と考えておりますのは、市町村あるいは森林組合等、そういうものを考えております。
  136. 北村暢

    ○北村暢君 特に市町村である場合は、市町村財政の窮乏している、特に山村地帯の市町村というのは疲弊しているのですから、実際に市町村に実害のないような方法を、万全の措置をひとつ講じていただきたい、このように要望いたしておきます。  それから次に、これは林道と直接関係がございませんが、公団の業務内容のことについて、若干お伺いいたします。  水源林造成事業の全体計画資料の上に載っておりますけれども、昭和三十九年度までの新植が一万八千ヘクタールで、今年度が二万一千、来年度が三万八千と、昨年度の倍以上になるような計画になっておるようです。これは当初の計画からして新植がこのように計画として組まれているのですか。それとも予算その他労務関係、いろいろな事情から、計画が、この契約とはだいぶ差があるようでありますけれども、その実情はどうなっているのですか。
  137. 田中重五

    政府委員田中重五君) この当初の水源林造成の全体計画といたしましては、初年度あるいは二年度において、この数字よりはもっと多かったことは事実でございます。ただ、まあ、水源林造林発足のあの当初のいきさつから申しまして、必ずしも計画どおりに進捗をみなかったということがございましたので、そこで、この計画の数字を変更をいたしまして、現在つくっているのが、現時点における全体計画でございます。したがって、当初における計画とは相違がございます。
  138. 北村暢

    ○北村暢君 まあいずれにせよ、当初計画を低いものにせざるを得なかったということでございましょうけれども、いままでの実績からいって、こういうような状況であれば、今後さらにこの労務事情から何からいって、急にこの倍の造林ができるようになるということは、これはちょっと常識として考えられないことだと思うのです。特におくれている原因は、やはり予算にあるのではないか。私は、予算単価が低いので、実際には計画どおりにできないのではないか、このように思うのですが、そういう点はないのですか。
  139. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点につきましては、予算単価を実行単価にできるだけ合わせるように努力をいたしてまいりました。ある程度の改善は認められるわけでございますが、なお、先生のお話の事情も、率直に申し上げましてございます。その点の改善は、今後努力をしたいと、こう考えております。
  140. 北村暢

    ○北村暢君 大臣が衆議院のほうで呼ばれているそうですから、ちょっと一分ばかり、ごく簡単に確かめておきたい。それは公団職員の給与の問題ですが、これは、この前、農林年金の際に、農林年金職員の給与についてお伺いいたしましたけれども、また要望もしたのですが、農林省所管の政府関係機関の職員の給与というものが、どうも低いのがあり、商いのがあり、あまり統一がとれてないようです。大体において森林開発公団の場合は、農林年金の職員の給与とやや同じようであって、愛知用水公団の職員の給与と比較して、相当低いようです。これはまあ年金のところで、年金職員の給与のところで、大臣はこれを改めるようにされるということで、そのような努力をするという約束がございましたので、森林開発公団についても同様のお考えと理解していいかどうか。しかも、これはすみやかにひとつやっていただきたいと思うが、御意見を承りたい。  それから次に、職員の定員については、渡辺委員からも質問がありましたけれども、この森林開発公団には、この定員の職員以外に、それと同じくらいの臨時職員がいるわけです。これは一体どういうことなのか。ほかの事業団には、こういうものはほとんどいません。これは必要であるのに定員化しないのか、その業務内容というのは、ほとんど職員と同じような仕事をやっている、こういうことでありますが、これは一体どういうことなのか。今後この臨時職員を定員化する御意思があるのかないのか、どうもほかの事業団と違いまして、林野関係には、定員外職員というのは林野庁だけですが、林野庁の職員にも定員外職員というのがある。公団にもある。これは林野庁の習癖でないかと思う。だからけしからぬことです。伝統的な考え方が、ほかの官庁にない、ほかの公団にないものが林野庁の関係の、監督の公団にある。まことに遺憾なことだと思うのです。一体これをどうするおつもりなのか、ひとつお伺いいたしたい。
  141. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 森林公団の給与の問題でございますが、私の手元で調べておるところによりますと、大学卒の場合等につきましては、愛知用水公団などと初任給では同じでありまするし、あるいは十年、十五年の給与もそう違いはないと思います。高校卒の場合におきましては、初任給等は同じでございますが、十年、十五年になると違っておるようでございます。私は、必ずしも森林公団職員の給与が低いとは言えないとは考えますけれども、しかし、均衡のとれないようなことにつきましては、是正をはかっていきたいと、こう考えます。  それから第二の、職時職員でございまするが、これは林野庁等におきましても、かつて相当臨時職員がありましたので、一度定員化いたしました、御承知のように。それで、一度定員化の際に、諸般の約束もございまして、これっきりだというようなことで定員化を進めたいきさつもございます。森林公団等の性格から、臨時的な仕事に従事する者もこれを見ますと百二十八名ばかりあるようでございます。仕事の性質からそういうこともやむを得ないと考えておりますけれども、これはやはり臨時的な者と、また、常用的に必要な者と、こういうものをよく検討いたしまして、必要な者につきましては常用化をはかりたいと、こう考えております。
  142. 北村暢

    ○北村暢君 常用化ということば、これは公団に常用化などということばは大臣、ないのですよ。それは林野庁だけにあるので、林野庁職員だけにあるので、常用化だのなんだのというのは、そういうのはあるはずはないし、臨時職員と職員しかいないのだろうと思うのです。そういうものもまたきまってもいないと思うのです、常用化などということはね。したがって、臨時職員か職員か、これ以外にないと思います。でありますから、ひとつそういう点については、趣旨としてはおかしいのでありまして、先ほどの説明によりましても、スーパー林道が今後四十路線大がかりにかかるということになれば、定員も百何十名かふえる、こういう説明でございますから、その際に十分ひとつ検討して、これは臨時職員と職員では給与の差はばく大にあります。したがって、身分上の問題についても非常に不安であることはもう間違いないのでありまして、こういうものはあっていいということにはならないと思いますので、今後ひとつ善処を要望しておきたいと思います。  長官にお伺いしますが、いまの臨時職員というのは、どういう性格のものなんですか、どのくらいおって、どういう仕事をしているのか、説明していただきたい。
  143. 田中重五

    政府委員田中重五君) 臨時職員というのは、これは森林開発公団補助職員服務規程、同賃金規程、そういうものによって職員に準じて所遇をされている者、そうして先ほど大臣から申し上げましたように、全部で現在のところ百二十八名。それで、この職務の内容につきましては、事務それから現地における屋外作業、そういうものに従事しておるものもあるかと思います。それで、やはり先ほど来お話を申し上げてまいりました林道の管理なり、あるいは増林事業なり、それから人によっては測量、それから林道の開設、改良の現場、そういうところで事業に従事しておる人たちであると考えますが、そこで、やはり仕事の繁閑といいますか、そういうものによって雇用が始まってまいった、こういうふうに考えておる次第でございます。
  144. 北村暢

    ○北村暢君 この補助職員というのは、増林事業も林道事業も、工事そのもの、増林そのものはみんな請け負いでやるわけでしょう。それで増林の事業は、実施主体は公団がやっているわけじゃない、市町村でやるわけでしょう。そうすると、この補助職員というのは、実際に筋肉労働をやっている人ではほとんどないわけですよ。これはやはり補助職員とはいえども普通の職員と同じような仕事をやっているに相違ないんです、これは間違いないんです。国有林野の直営事業をやっているのとは違うんですから、公団の職員の職務内容というのは。そういうことがどうも長官の答弁ではあやふやで、おそらく実情がわかっておられないんじゃないかと思うんですがね。したがって、これは当然補助職員服務規程とか何とかいうことでやっておるけれども、こういうことを置くとと自体がおかしいですよ。これはほかの事業団、農地開発機械公団でもどこでも見てごらんなさい、こういうものはない、おそらくない。こういうものはすみやかに整理というか、実際に必要なものだったとするならば、定員化すべきものだ、こう思いますしね、公団という半政府的な、政府関係機関でありますから、民間のとは違うんですから、やはりこういう身分的なものははっきりすべきである。この点はひとつ認識がだいぶ違うようですから、そのように御理解をして、今後これを改善する意思があるかないかですね、直接の監督者でありますから、大臣であったならこういうこまかいことはわからないだろうと思うんですが、長官ですから、ひとつはっきりお答えを願いたい。
  145. 田中重五

    政府委員田中重五君) この臨時職員につきましては、いまも申し上げましたように、事業事業の仕事の繁閑によってこういう雇用計画が出てきたと思いますけれども、しかし、ただいま御指摘のとおりの、雇用された者の立場にも立って考える必要もございます。この職員の制度については、いろんな面で改善を加えるように指導いたしたいと、こう考えております。
  146. 北村暢

    ○北村暢君 あと一点だけ給与の問題をお伺いしますが、先ほど初任給は同じである、初任給はどこでも同じなんです、これは。変わっていたらこないです。それはもう初任給は同じというのは、どこの公団もみんな同じなんですよ。同じところだけを同じでございますという答弁は、私は受け取れないので、ことに森林開発公団と農林年金との職員構成の比較からいって、農林年金なんかは若い人あるいは女子職員が非常に多い。ところが、森林開発公団は、まあそういう若い人が若干おるのですけれども、大体において出張所だの何だのの数が多いのですね。そして、そういうような出張所とか支所とか何とかが非常に多くて、その長なる者はたいてい林野庁関係の退職者、いわば卒業者がやっておるわけです。これは営林署長を終わって、給与が署長をやっていたときよりは一五%だとか二〇%だとかよくなって、隠居仕事にかえって給与がよくなっているわけですね。そういうことで、公団の年齢構成からいうと、非常に高い人が多いわけです。年齢の高い人が比較的ほかの公団なんかよりは多いわけです。したがって、大体この給与表を見ても、愛知用水と比べて、三十三歳で五千幾らの差がある。四十歳くらいになると六千円以上の差があるのですね。したがって、これは明らかに差があるのです。団体交渉でも理事者側は低いということを認めておるのです。しかし、これは林野庁に協議をし、大蔵省に協議をするものですから、協議をするというと、なかなか簡単には上げてくれないわけです。それで、最初が低くなっておるものですから、押えられてしまう、こういう結果になっておるわけです。それで、農林年金の場合も、農林大臣は明らかにこの差というものを認めて、この差を縮めるように、均衡のとれるように努力したいということを、大臣は答弁をしておるわけです。したがって、森林開発公団といえども農林年金、愛知用水公団と業務内容においてそれほど賃金が安くてもいいような業務内容の仕事をやっているわけではない。これは明らかであります。したがって、この給与の差というものは、当然すみやかに解消すべきだと思うのですね。したがって、これは大臣をわずらわすまでもなく、監督官庁である林野庁が大蔵省と協議をして、すみやかにこの解消をすべきである、このように思うのですけれども、ひとつ直接の監督責任者である長官の明快な答弁をいただきたいのですがね。
  147. 田中重五

    政府委員田中重五君) 給与の傾向を見ますと、大学卒あるいは高校卒ともに、お説のとおりに、愛知公団等に比べますと低い。それから農地開発機械公団に比べますと高いというようなかっこうになっておりますが、この森林開発公団の給与の水準につきましては、予算措置等をも十分に勘案の上、その改善の努力はいたしてまいりたい、こう考えております。
  148. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 大臣がおいでになりませんので、しごく残念でございますが、私の質問はきわめて平凡な質問ではございますが、内容はきわめて重要であると存じますので、明快な御答弁をいただきたいと存じます。  二つございますが、その一つは、すでに渡辺委員から御指摘になり、大臣からお答えになったようでございますが、まだ若干不十分なような気がいたします。それは、林道の種類が私の知っておるだけでも六つあると思うのです。今度の新公団林道、基幹林道、一、二、三の林道、山村振興林道、まだあるかと思いますが、きわめて大ざっぱに六つあると思うのです。そこで、この資格の問題ですが、同じ山村振興あるいは林業の振興のためにも、おのおの地勢的な地域的な関係上種類が分かれておりますることはやむを得ぬといたしましても、あとからできる林道ほどだんだんと手厚い指導というようなものができてくるような気がするのです。林道の中で一番緊密な、山村の人たちに最も関係の深いといいますか、というような林道は少なくともみなでありまするけれども、山村振興林道等はその最たるものであるというふうに私は考えるのでございます。そういう意味から、先ほど大臣はこれを整理統合し、総合的にものを考えていくということであったようでございますので、まことにけっこうだと存じますが、少なくとももう少しこれらを総合的に再検討して、そうして山村振興林道等の、緊密に生活に結びついておるような林道については手厚い指導をされ、補助率も上げていくというようなことが望ましいのではないかということが一点であります。  もう一点、もう時間がないようでございますので、含めて全部質問をいたしたいと存じますが、わが国の高度経済成長、開放経済等の余波を受けて、農林業というものが急激な変革をいたしております。これはほんとうに最近目まぐるしい変化をこの一、二年いたしておるわけでございますが、林業行政についても例外ではないというふうに私は思うのでございます。そこで、私の伺いたいと思いますることは、いわゆる造林の将来の見通しといいますか、あるいは経済性というほうがもっと正しいかとも存じまするが、造林における経済性というものをどのようにお考えになっておいでになるのかということでございます。それはいろいろな要素があろうかと存じますが、まず、最近外材が入ってまいります。その外材は、内地材の――いろいろなものがございましょう、松、ヒノキ、杉、その他のものもございますが、そういうものよりも非常に安い価格、どのくらい安いかわかりませんが、あるいは二〇%以上といいますか、二五%になりますかわかりませんが、少なくともその程度の安い価格で入ってくるということになりますと、山村における造林の意欲というものがきわめて減退を最近いたしております。それにもかかわりませず、補助金で計上されておりまする人夫賃の対象となりまする金額におきましてもわずか五百円程度ではないかと思うのでございますが、人夫賃がたいへん高くなって、将来造林に対する収益性、経済性というものを疑う考え方が濃厚になってまいりました。それに加えまして、薪炭材がきわめて売れません。炭が売れません。山村の未開の土地ですらプロパンガスのようなものを使っていて、その裏山にあるたきぎすらとってこないでプロパンガスを利用している。それは、便利な点でもありましょう。あるいは労働力の不足もあろうかと存じます。そういう意味から考えますと、わが国に非常に大面積を持っておりまする薪炭林、雑木林、そういうものの大面積の林相の改造というものを一体どうしていくのか。木炭はい三品不足で若干値がいいようでございますが、ほんとうにかまの中で、頭の髪も縮れるような熱いかまの中に入って、非常に就労困難な作業をして、非常に安い価格で滞貨がずいぶんたくさんあるというようなこの作業をあえて繰り返してやるということには、非常な困難があると思うのでございます。  以上三つ申し上げましたが、すなわち外材が入ってくる――外材の入ってくる量におきましては、私の知るところでは、十分ではございませんけれども、輸入品の三位にあるというようなことを言う人もあるようでございます。相当額が入ってまいります。これはわが国のいわゆる開放経済における産業、ことに林業その他にも影響がございますが、たいへんな影響を及ぼしている。こういう中で造林というものの経済性というものをどういう形で指導していかれるのかということでございます。かりに融資の利子を見ましても五分、あるいは民間の団体その他が三分五厘程度でございます。とても五分の金利を払って、元利金を払って、それを借りて造林をいたしましても、収益性の点から考えて、私はこれは払い得ないというふうに思うのでございます。  もう一つは、収益性のいかんにかかわりませず、治山治水の関係上、林木を伐採いたしまして、そのあと地に造林をいたしません。そういうようなことが続きますと、これはたいへんな問題でございます。私は、収益性がないから造林を見合わすという単なる事象だけではなく、もっと大きい治山治水の問題にまでこれはやはり原因が及んでまいると思うのでございます。そういうような両面の経済性の見通しがない。それで造林の意欲が減退してきた。そういうことの結果、治山治水の基本的な対策を遂行するわけにまいらぬ、こういう二つの大きな問題がこの林業行政の中に大きく横たわっておるような気がいたします。そこで、今後これをどのように解決し、どのような考え方でやっていかれるのであろうか。たとえば、ただいま提案になっておりまする法案の中で、農地管理事業団等はどうなのかわかりませんけれども、これは農地を買って耕作し、そうして自立農家といいますか、自作の面積の拡大をはかって、大規模農業をやることによって生産性を高めていこう。この資金は御承知のように三分でございます。私は、いまのような低収益率、低経済性という観点から考えまするならば、少なくとも五分の金を借りて造林をしても引き合いにかからない問題になろうかと思うのでございます。長官におかれましては、五分の金を借りて、それでも収益性が成り立つのだということでございまするならば、ひとつその方法をお教え願いたい。もしそういうことができない、全くそのとおりだというなら、将来いかようにしてこの造林計画あるいは収益性、経済性の見通しを立てて指導される行政をお持ちになるのか、その点について伺いたいと思うのでございます。
  149. 田中重五

    政府委員田中重五君) 御説一々ごもっともな面があると存じますが、初めに林道の問題でございます。確かにその林道の体系は現在相当に複雑になっておりまして、これは何らかのすっきりしたものに体系づける必要があるかと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、山村あるいは農山村地帯の経済生活の安定といいますか、あるいはこの林業の開発の伸展の必要性というものの認識の高まりの程度に応じて、この林道の開設が進められて、そうして時代とともに、また、その開設される場合の林道の補助のしかたが手厚くもなってまいっているということでございます。  それで、今回の新公団林道は別といたしましても、ことしから実施をみますところの林業構造改善事業、この林業構造改善事業地域の中へ組み込まれてまいりますところの林道、これはおおむね公共事業としては三号、四号林道、それから山村振興林道でございますが、これはこの構造改善の中では、それぞれ四割、三割あるいは山村振興では四割というのが五割になるというような改善をされております。また、山村振興林道事業については、公共事業の分については三割五分の補助が四割になるというように、不十分ではございますが、その助成の程度は手厚くはなっておるというのが実態でございます。しかしながら、いずれにしても、まあ林業構造改善事業の中に林道事業もあり、そのほかに公共事業としてのいまの基幹線林道その他もろもろの林道があって、さらに公団林道の開設が行なわれるというものは整備をいたしまして、それぞれの目的、ケースあるいは規模、それに応じて林道の重要性を踏まえて開設いたしたいというわけでございます。  それから造林の問題でございます。これは確かにお説のとおりに、現在外材の輸入は、ほぼ日本の木材需要の二五%、四分の一に達するまでにその数量が増加をいたしておりまして、これは一面、わが国の木材価格の消費者面におけるところの価格の安定というものには寄与をいたしておりますけれども、一方において、確かにこの木材価格の横ばいと、それから造林のための人夫賃あるいは諸資材費の高騰とが見合わないというようなことで、造林の意欲を附属する要因となりつつある、確かにそういう現象はございます。それで、やはり何としてもこの増大する木材需要を外材でまかなうのでなく、みずから生産し得る能力を持っておる国土で自給をしていくということが、いうまでもなく必要でございますし、そのことがまた農山村民の生活の向上になり、そうしてそういうような背景が、林業基本法の成立の基盤でもあったということで、林業の生産振興をはからなければならない、こう考えておりますが、やはりその前提として、前提といいますか、この林業生産の基盤を整備して林業振興に寄与し、外材の流入を防遏していくというためには、まず、林道のさらに一そうの拡充強化、これが必要である。それで、林道網が充実をすることによって、いまの生産性向上になるところの機械化も促進される。大型機械も入ってくるし、その他造林のためのもろもろの省力技術も導入される。まあそういうふうに考えまして、この林業基本法の成立後第一の着手として、林道の充足ということに取りかかったのでございましたが、そこで、先生いま御指摘の経済性の発揚をどうするのか、これはやはりその生産性をできるだけあげていくということが必要でございまして、そこからその経済性も高まっていく。そうすることが従来の山林所有者の資産保持的な考え方を転換していくことにもなるわけでございますから、そこで、この林道の整備、機械化の促進、そうして、その他地ごしらえ、あるいは下刈りその他の面における省力技術の開発導入、さらに植栽される樹種の早期育成になるようなものの培養と、それの増殖というようなことで、林業の近代化をはかって経済性を高めてまいりたい。で、長期にわたって生産をしなければ伐期に達しないようなことでなく、早期育成の実をあげてまいりたい、こう考えております。それから、一方、その重要な造林の面における国の助成といたしましては、補助金、それから融資の画面で考えてまいる必要がございまして、補助のほうは、現在のところなお国の補助は三割、それからその補助の基礎になるところの単価についてもなお十分であるとは考えておりませんので、その点についての改善をはかってまいりたい。四十年度は三十九年度に比べて、ヘクタール当たり大体一一ないし一四%増の改善をみましたけれども、これで決して十分ではございませんので、その点の改善もはかってまいりたいし、それから一方融資の面では、現在農林漁業金融公庫の制度の中に、小造林では三分五厘資金というのがございまして、そうして、まあこれは再造林あるいは拡大造林とともにその資金融資が受けられるということになっております。これはそういう小造林の資金も含めて、融資ワクが大体四十六、七億ですか、五十七億ですか、拡大をみております。この面の改善も今後一そう努力をいたしまして、融資造林の要望にこたえてまいりたい。さらに県の造林、あるいはまた、最近公社等の造林が相当活発になってまいっておりますが、一般の個人の行なう造林、あるいは公団造林、そういうものの間隙を埋めるものとしての公社造林等の育成をはかることによって造林の推進をはかりたい。そのために必要な助成、あるいは融資の面の努力をはかってまいりたいと思っております。いずれにしましても、造林が引き合うものだ、経済性の発揚という、先生のお話には全く賛成でございまして、林業基本法の趣旨からいいましても、従来の資産保持的な森林の持ち方から、そういう産業としての、経済活動としての、経済行為としての林業経営、そういうものに持っていこうとするのが林業帳本法のねらいなのでございます。そこで、そういうふうに生産性を上げてまいりますれば、かりに諸資材、人夫賃の高騰があっも、それを吸収していくことができる。そういう面でこの経済性を発揚してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。今後一そうの努力を払ってまいりたいと考えております。
  150. 北條雋八

    ○北條雋八君 私も一、二点伺いますが、この熊野あるいは剣山の公団林道と違いまして有料にしなかったのには何か特別の理由があったのかどうか。その点をまず伺いたいと思います。
  151. 田中重五

    政府委員田中重五君) この有料の意味は、開設には関係のない問題でありまして、開設後の小破修繕、それに必要な経費を生み出す方法として使用料を取るということでございます。それから旧公団林道では、それを一台一キロ当たり幾らということでやっておったのでございます。公団自身がその管理に当たってまいった。それがまたこの法律にいうところの公団の業務の範でもある、こういう考え方でやっておったのでありますが、この衆議院の附帯決議の趣旨によりますと、有料道路として森林開発公団が徴収する方式によらずと、こういうことでございますので、管理事務の一部を地方公共団体等に委託をして、そうして地方公共団体等を中心に管理運営していくことも一つの方法であろう、そういう方向でひとつ考えていくというふうにわれわれは理解をしておるわけであります。
  152. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、このスーパー林道が実施された暁に、地元負担がどうなるかということを非常に心配するわけで伺うのでございます。話に聞けば、スーパー林道というのは、やはり将来県道と県道とを結ぶというふうな幹線になるわけで、この地元の者のみが利用するばかりでなしに、単にそこを通過するような相当の使用者が出てくる。いわゆる受益者になるわけでしょう。そうしますと、公平に受益者の負担にするには、やはり有料にしたほうが私は合理的だというふうに思うのでありますが、一体この法案の受益者というものの定義といいますか、どういうものを受益者と見ておられるのですか。その点伺いたい。
  153. 田中重五

    政府委員田中重五君) 受益者といいますと、この法律にございます、ように、「当該事業に係る受益地又はその上に存する立木竹につき権原に基き使用又は収益を行うものその他農林大臣の指定するもの」ということになるわけでございまして、そこで、こういう林道でございますから、山林所有者以外の者も、受益者として農林大臣が指定する場合には入ってくる、そういう考え方でございます。この場合は、いまの賦課金の対象になる場合のことを言っておるのでございますが、一方、この維持管理費の負担の面で考えた場合には、これは先ほどから申し上げておりますように、地方公共団体等を主体にして、最も公平妥当な利用者の範囲を考えて、そうしてそういう修繕費の捻出をはかっていくことが必要である、こう考えております。
  154. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 長官、答弁はひとつ簡潔に願います。
  155. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は受益者の考え方が、どうももっと広く考える必要があるので、たとえて言えば、木材を搬出しなくても、こういうスーパー林道ができれば、その付近の地価は上がってくる、そういうものだって一つの受益者であります。こういうこまかいことを抜きにして、ともかくその林道を使って、相当林道を利用することによって生産が上がり、また利益を得るというものから、地元以外のものからも当然とるのが、受益者とすれば本来の考え方じゃないかと思うのです。それは先ほども北村さんからもお話がありましたけれども、この運用については、結局地元以外のものが使って、そうして道をいためる、そういうものの修理を全部地元がかぶるということのないようにしていただきたいというふうに思います。  時間がないので、もう一点伺いたいのは、森林公団が将来も造林事業、その他も含めて、引き続き継続されていくつもりなのかどうか、その見通しについて、これは大臣に伺ったほうがいいと思いますが、一応長官から……。
  156. 田中重五

    政府委員田中重五君) 公団の趣旨からいいまして、その与えられた事業が継続する限り存続する、こう考えていいと思います。
  157. 北條雋八

    ○北條雋八君 造林というのはどんどん継続されていかなければならないものでありますし、また、林道の開設もさしあたり計画を立てたその時期に応じて、どんどん林業は集約になっていくのですから、これは当分仕事が切れるということは絶対にないと思う。ですから、私は相当長期間継続するものと思っておりますが、今度のスーパー林道の計画というものは、何年計画をつくられるのですか、その点お答え願います。
  158. 田中重五

    政府委員田中重五君) 予ての点につきましては、本年度全体の調査を完了いたしますので、その完了した際に年次計画を立て、総竣工期間というものの決定をいたすというふうに考えております。
  159. 北條雋八

    ○北條雋八君 その総合の基本計画といいますか、それは調査しなければわからないと思いますが、大体のお見込みはわかっておられると思いますが、何年計画を編成されるのか。
  160. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点につきましては、やはり全体の計画として、具体的に調査で把握をしてから固めたい、こういう考えでございます。
  161. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 他に御発言もなければ、これにて本案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  163. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、山村振興法案議題といたしまして、本案について、質疑のおありの方は、御発言を願います。
  164. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 この法案は衆議院の農林水産委員長提案でありますが、したがって、先ほど提案説明も伺いましたし、参考資料の配付もいただきましたので、もっぱらこれは実施する政府当局にひとつお尋ねをしたいのであります。  一体、この山村振興法案というものが、なぜ自由民主党、あるいは社会党議員提案によって出されなければならなかったのか。政府はいろいろな行政上の立場から法案を出して、われわれに審議を求めますけれども、特に農政の中での恥部とも言われるこういう山村に対して、議員提案でなければ受けて立てないようなこういう政府の従来の山村に対する行政のあり方というものは、この際、思いを新たにしてこれに対応しなければ、この法律が成立したとしても、私は危惧の念をいだくおけであります。この法案の提案説明にもるる述べてあるように、あるいは法律の第一条の目的にもうたっているように、農村の所得格差あるいは地域格差、その二つの格差の底辺に置かれているそういう農村という中で、特に山村地帯は一そうその格差がきわだって拡大している環境の中に、むしろ政治からは放擲されているというような実態であります。したがって、こういうものが委員長提案で、各党共同で出てこなければ行政的に前向きに措置ができないということについて、具体的なひとつ問題を通じて政府の態度を明らかに示してほしいのであります。  特に最近、この法律に関係ある経済企画庁に対して異論を申さなければならないのでありますが、私が直接関係しました一つの問題についてしぼってみましても、むつ製鉄の事業について、閣議で、むつ製鉄会社の解散命令を出しておる。原料会社も同様にそういう措置をとっておる。こういう地域格差を解消する東北開発三法に基づいて、政府の責任でああいう会社の設立を認可しながら、六億以上の先行投資を地元にさせながら、いまに至って採算性がない云々ということを理由にして、この会社に対して解散を命じたということは、政府の政治責任においてこれは重大なる問題を投げかけておるという一つの例から見ても、一体この山村振興法というものを設置する場合に、政府はどれだけの一体気がまえを示してこれに対応しようとするのか。たとえばいろいろな山村振興計画が地方からあがってきて、それを逐次指定していくということでありますが、のんべんだらりとそういうものを待っておるような態勢では、これは絵にかいたもちになるきらいがある。一体これを積極的に取り上げるために、政府はどれだけの対応する姿勢をとっておるのか。たとえば、それは万般の行政指導に待つべきものが大きいのでありますが、それを指導する行政機構としては、一体どういうことをこの法律が通過したなら対処しようとしておるのか。わずかに一つの係を置くとか、課を置くとかいうようなことでお茶を濁されないような、これは従来政治から見離された大きな課題であるだけに、私は政府のその対応する覚悟のほどを、抽象的な表現ではなしに、具体的にこれをこなしていくだけの仕組みというものを一体どう考えているか。経済企画庁あるいは農林大臣はどう対処するのか。まず、その点から具体的に一お答え願いたい。
  165. 伊東隆治

    政府委員(伊東隆治君) 御質問ごもっともだと思います。  この法案は議員立法として提出されておるものではございますけれども、こういう地方開発の責任を持っております経済企画庁といたしましては、積極的にこの法案の実施をいたしたい心がまえでおるのでございまして、この法案の中にもありますとおり、具体的にどういうことかとおっしゃるならば、まず調査をひとつ積極的にやろうというので、予算を三千万円とりあえず四十年度において計上いたしておりますし、また、非常に額が少ないのですが、約二百数十万円の予算を企画庁としては事務費としてとりあえずとりまして、これの事務を始めることにいたしておるのであります。こういうことで、議員立法ではございますけれども、主管庁といたしましては積極的にこれの遂行に当たりたいという意気込みを持っておるわけであります。
  166. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 三千万円の予算で経済企画庁は山村に関する基礎調査をやる。そのことからして私は非常に問題があると思うのです。基礎調査はすでに何年も前にできて、これを現実にやるような態勢になっていなければならないのに、やっとこういう議員提案が出て、三千万円で基礎調査をする。そんなことだから、山村の実態をごらんなさい。もうすべて労働力は流出する。もっともこれは代表的な地域であります。もう少し具体的に伺いますが、まあ調査調査で、いままで山村に対する基礎調査を関係各省の協力を得て経済企画庁がやらなかったのだから、いまからやるということはまあ仕方がないでしょう。やるにしても、一体経済企画庁としてはどういう機構の中でこれをやっていこうとするのか。また、農林大臣がお見えでありますが、こういう山村振興というきわめて重大な課題に、農林省はたとえば山村振興局とか、それくらいなかまえで、農林省設置法の一部改正でも出す気がまえが一体あるのか。そこら辺をひとつ、農林大臣にも経済企画庁の政務次官にも、これは両方から御答弁を願いたい。
  167. 伊東隆治

    政府委員(伊東隆治君) 実は、この三千万円の調査費は、農林省についておるのでございまして、農林省においてこれは実施するわけでございます。企画庁におきましては、ただいまの御意見の中にもございましたが、山村振興課という課を特に開発局の中に設置いたしまして、この問題を処理をしていくというつもりでおります。
  168. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 農林大臣には次に御答弁願うとして、いまの伊東次官にお尋ねしますが、開発局の中に一つの課を設ける。一体何名でこれは構成ずるのですか。
  169. 伊東隆治

    政府委員(伊東隆治君) 大体七名ぐらいのスタッフで予定いたしております。
  170. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まあ七人のさむらいということもあるから、かなり優秀なスタッフを各省から拠出を願ってのことでありましょうが、楽屋裏を聞くとまことにどうもお恥ずかしくて、次官も答弁には多少面はゆい思いをしたと思うのでありますが、私は人数の大をもってこの関心の度合いを測定する形式論はとるものでありませんけれども、これを地域指定をする場合にも、かなりのいろいろな現地における問題があるわけです。そういう点を、ただデスクプランで処理をするというなら七人や十人で事足りるでありましょうが、冒頭に私がお尋ねしましたように、ほんとうにこういう山村振興に対応するというならば、いまのようなそういうかまえではどうにもならぬと思うのです。いやそうではない、君の心配するようなことはないということであれば、何をかいわんやでありますが、少なくともこういう国民から選ばれたわれわれが、各党一致して出したこういう山村振興法に対応するにしては、あまりにこれはお粗末に失すると思います。もっぱらこれの仕事は農林省の所管になると思うのでありますが、農林大臣は、この与野党一致して提案しておるこの山村振興法に、仕組みの上ではどういうふうにこれを取り上げて対応されるのか。また、これは大蔵省にも伺いますが、予算措置というものが一体どうなっているのか。あるいはこれらの計画を、ある一定のめどを設けて、その中に、具体的な一定期間の中にこれをこなしていくということがなければ、もうこういう経済情勢の変転のきびしい中で、漫然とこれは時期的なめどを持たずに進めるというわけにはまいらぬわけであります。それらの点に関連して、農林大臣はいかようにこれを採用していかれようとするのかをお伺いします。
  171. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 農林省としては、御承知のように農業の構造改善の事業を進めておるわけでございます。それには当然山村も入るわけでございます。あるいは林業基本法によりまして林業構造改善、こういう事業も進めるのでございますので、山村も入るわけであります。ところが、再々御指摘のように、また、お話のように、いま中央と地方の格差あるいは他産業との格差という点を取り上げましても、山村がその格差等におきましては著しいものがあるわけでございます。でありますので、単に農業面の農業構造改善とか、林業面の林業構造改善とかということでなく、なお広い範囲におきまして総合的に山村振興をはかっていく、総合調整のもとにはかっていく、こういう必要性を感じて、本法律案が議員立法として各党一致で出されておるというふうに私は了解しておりますので、この位置づけを見ますならば、あるいは工業面における新産都市の法律あるいは工業開発という法律、こういう面と同じような考え方に基づいて、農業特に山村中心としての農業開発を総合的に行なって、山村振興していかなくちゃならぬ、こういう要請にこたえるものだ、こう思います。でございますので、現在こういうものを政府でやるとすれば企画庁が中心でやるわけでございますが、議員提出でございますので、いずれこれが通過いたした場合には、企画庁がそういう計画中心に当たると思いますが、分担する分野が大部分農林省の分担ということに相なると思います。そういう意味におきましては、農林省といたしましては全面的にこの山村開発山村振興に、仕事の面においても協力して推し進めていきたい、こう考えております。
  172. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 これを推進するには、まあ何といっても経済企画庁というよりは、農林大臣がかなり腹を据えてかからなければ、その他の各省は従来のセクショナリズムの中でやってきたものを、山村振興でやったと、項目を直すにすぎないことを心配するわけです。ですから、よほどこれは大臣の所管の中に、これに取っ組む核というものをはっきりと機構の上でも位置づけてもらわなければならぬ、その点は一体どうなのかということを重ねてお尋ねをします。  それから大臣は、農村、特に山村振興であるから農林省云々ということをおっしゃいますが、しかし、この提案理由の中にも述べておるように、山村振興目標としては、実は農政外の各般の政策がまあ掲げられておるわけであります。具体的な目標としては、交通、通信連絡の発達ということ、未利用資源開発ということ、産業振興ということ、安定的な雇用の増大ということ、災害の防除ということ、住民の生活文化水準向上ということを掲げておるのでありますから、そういうものに一般計画を立てて、一定の期間内にこの計画を完遂さしていくには、私は、先ほどの経済企画庁の答弁では、きわめてこれは場当たりな一応の対応のしかたであるというふうに考えますので、高橋長官が見えておりませんから、閣議の中でもこの点をさらに問題にして、山村振興法に対応する政府の統一した強力な機構の確立ということを具体的に実現するように、これは意見として申し上げておくわけであります。一体農林省としてはこの山村振興法を担当する部局というものはどのような構想でおられるのですか。
  173. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) いまお話しのように、山村振興内容につきましては、あるいは農林省あるいは建設省あるいは自治省あるいは文部省あるいは厚生省各般にわたるわけでございますけれども、何といたしましても中心的にやっていかなきゃならないのは農林省だと思います。そういう意味におきまして、先ほどもちょっと触れたのでございますが、農林省の中におきましては、農業の構造改善を強く推し進めておると、構造政策につきましては土地管理事業団等も構造政策の一環としてやっていかなきゃならぬというふうな面で、非常に広範囲に、また、深く入っていかなきゃならぬと思っております。その意味におきまして、山村振興ということも、これは山村の構造改善の一つの大きな仕草であると、こういうふうに認識いたしますので、農政局等におきまして、その構造改善の仕事に従事しているものを総動員いたしまして各方面に力をいたしたい。また、人等におきまして足らぬということでありまするならば、機構も拡充、強化いたしましてこれに当たりたいと、こういうふうな考えでおります。
  174. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 従来も、たんぼにおける行政の対応の姿に比べると、畑、特に山岡地帯に対応するその形というものはもう比較にならないほど力が抜けておるわけであります。でありますからこれらの実態を考えますと、林業構造改善云々で山村振興に対応するなんという従来のマンネリズムの形ではなしに、大きい視野から、山村振興というものが委員長提案をした法律になっておるわけでありますから、大臣の後段の答弁のように、かなり思い切ってこれは積極的な仕組みを考えていただかぬと、地域格差の是正という、この法律の第一条の目的に言っている趣旨にも違反するわけであります。格差の拡大は、農林省が発表した白書の中にも明らかにこれは指摘をしておる現実の事実であります。そういう格差が拡大するこの各年の傾向というものを縮小し是正するということは、並みたいていなことではこれは解決ができない。私たちは、すなおにこの地域格差の是正という第一条の目的を達成するためには、いまの大臣の答弁ではきわめてこれは不満足であります。きょうの質疑において、多少抽象的な問答で物理的にこの審議が終わればいいのではなくて、その第一条にうたわれた目的を達成するには、もっと農林大臣の積極的な意図というものが私の質問に反映しない限りは、どうしてもただいまの答弁では納得いたしません。農政局の中に設けて、さらに必要があればその独立した機構も考えるというのですが、必要があることはもう明らかなことであり、必要がありと認めたならば、しからばどういう機構を整備してこれに対応されるのか、その点をもっと明確に御答弁を願いたい。
  175. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 何か小さく考えたような受け取り方でございますが、私は機構の改革というものはあまり好まないのであります。できるだけ機構を十分活用する、こういうことが私としては一番いいことだと、こう考えております。そういう意味におきまして、山村振興法ができたから新たに何か局か部を設けて――こういうことよりも、山村振興も、私のほうから見れば構造政策だ、農業の構造政策の一つだと、こういうふうに考えております。そういう意味ですから、いま構造改善を担当している局をして、これは林業、林野等とも関係ございまするし、ほかの局とも関係がございますが、また、ほかの省との関係もございますけれども、そこを中心として農林省としては当たっていきたい、そうしてそれが不十分だ、この振興をする上におきましてそういうものでは不十分だということでありますならば、その組織を強化拡充もしていく、こういうふうに申し上げたのでございます。でございまするから、初めから大きな機構を設けて、そうしてこれに当たるということも一つの方法かもしれません。しかし、私は、現在やっておる構造改善の仕事もございますので、これを十分活用していく過程におきましてその機構を充実していく、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  176. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 従来の仕組み、従来の法律、従来の行政措置では、一そう山村地域格差が拡大しておるから私が言うのです。従来どおりでよかったら何も山村振興法という単独の法律をここで制定する必要はないのであります。そういう従来の反省の上に立って、必要だから山村振興法がいま生まれようとしておる。それによって、従来のマンネリズムの中で――何も私は機構をいじれとか、そういうことを言わぬのですけれども、少なくとも従来政治から見放されがちであった山村振興に対しては、もっと積極的な気がまえと、その気がまえを裏づける行政的な内容がなければ、これは進まぬということを言うているのであります。経済企画庁に伺っているのも、経済企画庁は、こういう各省ばらばらになっておるいろいろな山村振興上の行政的な措置を、総合的にこれを運用するセクションとして、経済企画庁がこの山村振興法をまともに受けるならば、これはもっと対応する姿勢があってしかるべきだということで伺っておる。その経済企画庁の実態というものは、まことに伺えばお粗末千万である、そういうことであります。  時間もありませんから、次に進みます。この法律でうたっておるところの林野面積の占める割合、山村の定義でありますが、これは一体どの程度を、まあこれは政令で定めるのだろうと思うのでありますが、お考えになっておられるのか。いただいた資料によりますと、合併前の旧市町村で林野率八〇%以上及び七五%以上、この二つの資料が出ております。この林野率八〇%以上の旧市町村数は、この資料によりますと、全国で二千百二十五。林野率七五%以上の場合をとりますと二千八百六十六。これが全体の旧市町村に対する割合は、林野率八〇%以上の場合は一九%、七五%以上をとりますと二五・七%になっておりますが、このいずれかをおとりになるのか、あるいは他の林野率をおとりになるのか。その辺の山村の一つの規定のしかたについてお答えを願いたい。
  177. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) 林野率の問題でありますが、提案者といたしましては、いろいろと検討いたしたのでありますが、今日の山村状況にかんがみまして、旧町村として七五%ということを標準として考えたいと思っております。
  178. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 次に伺いますが、何と言いましても山村振興のために必要なことは、この法律でもうたってありますように、補助率が特に高率であるということがこの死命を制する決定的とも言っていい要素だと思うわけであります。それで、大蔵省からも主計官が出ておるようでありますから、大蔵当局の明確なる見解をここで明らかにしてほしいのですが、この山村振興のために必要な事業について、国は補助事業条件の緩和を、ただいま提案者が答弁したように、林野率七五%以上の旧市町村に対して、他の地域とどれだけの条件緩和を考えておるのか、及び補助率の引き上げがこの山村振興法によって他の地域と一体どれだけのレート・アップをするのか、また、第三の問題としては、地方財源の確保が必要であるが、この点については、特にこれらの推定山村については、財政当局としてはどれだけの財源の確保についてその措置を講じようとしておるのか、また、農林省に伺うのは、国有林野の共用林とか部分林の設定と、積極的な清川をはかることが内容としてうたわれておりますが、この点に関する具体的なその滑川の内容は、この山村振興法の指定の山村と他の地域と、どれだけの一体積極性を持って対応しようとするのか、これをお伺いをいたします。
  179. 長岡実

    説明員(長岡実君) 山村振興法によりまして山村振興法のいろいろな事業が行なわれることになるわけでございますが、目下のところは、政府予算といたしましては、その基本的な問題の調査から出発をするという意味におきまして、本年度は農林省及び経済企画庁に主として調査予算を計上している段階でございます。山村振興のために行なう事業についての国の負担割合等をどうするかという問題でありますが、現在のいろいろな制度におきましても、主として山間僻地等については、僻地にかかわる公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律といったような法律もございますし、その他、府県の後進地域についての補助率のかさ上げ等も行なっておるわけでございますので、そういうような点もよく勘案いたしまして、今後の検討事項にさせていただきたいと考えております。
  180. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 農林省から答弁をしてもらう前に、主計官にもう少し伺いますが、あなたの答弁は、大臣以上の非常に抽象的な答弁で、主計官らしからざる答弁であります。もう少し山村振興法というものをまじめに考えて、私は、すでに成立した四十年度予算について別段聞こうとしているのじゃない。四十一年度に少なくともこの山村振興法に基づくいろいろな補助率の引き上げなり、あるいは地方財政措置なり、あるいは補助事業条件の緩和なり、いろいろな問題が各省からそれぞれ整理されて出てくると思う場合に、少なくともこの法律にうたったように、この指定する地域に対する補助率は一体どの程度、普通の補助率よりも上げようとするのか、あるいはその補助事業条件の緩和をどの程度にしようとするのか、そのくらいのことをわきまえないで、あなたこういう委員会に出ているのですか。
  181. 長岡実

    説明員(長岡実君) 山村振興のために行なう事業につきまして、どの程度普通の事業よりも補助率を上げるつもりかという御質問でございますが、事業のいろいろな内容にバラエティーがございまして、御承知のように、公共事業について申しますれば、補助率の種類は数百種熱に及んでおります。  それから普通の補助率よりもどのくらい上げるかという御質問でございますが、大体いま山村地域は、普通の補助率をそのまま適用させているところは非常に少ないのじゃないかと思うわけでございます。と申しますのは、先ほど申しましたように、後流地域補助率のかさ上げ等が、すでにいま地元の地方公共団体財政力に応じて手厚く国が負担するという制度があるわけでございますので、そういうものとの調整を十分に検討していきませんと、この法律だけを切り離して、これの事業については一体何割上げるかというようなお答えは、現在では私どもとしてはいたしかねると思う次第でございます。
  182. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いろいろ聞き出すと、まさにどうも愛情も何もない、役人的な答弁に終始するだけであって、素朴な国民の期待はそんなところにない。補助率がたくさんあることは、私も百も承知です。一体、この法律で期待するのは、この地域格差の底辺に沈でんしているこの問題を解決するためには、思い切った財政援助ということが中心にならなければ、これは進まぬのであります。あなたはここでそれ以上答弁できなければ、私は別な機会に、これは大蔵大臣の出席を求めて、この問題一つにしぼって、もっと徹底的にこれは質問します。あなたにはこれ以上質問しない。  農林省、ひとつ、先ほど言うた国有林の共有林なり、あるいは部分林というものが、この指定する山村に対してはどれだけ特段の措置を講じようとしているのか、お答えを願いたい。
  183. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有林の活用につきましては、この山村振興計画の具体的なものが出ました場合に、その農業的あるいは林業的活用について積極的に進めてまいりたい、こういう考え方でございます。
  184. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 もうこれ以上質問はいたしません。最後に、私は提案者にお伺いしますが、総理府に山村振興対策審議会を設けて、この法律重要事項調査審議するための諮問機関を設けることがうたわれておりますが、この構成なり、その他についてお考えの点をお伺いいたしたいと思います。
  185. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) この法律の性格からいいまして、この審議会の構成というのはきわめて重要な問題だと思っております。まあそういう意味から、この審議会の委員の任命にあたりましてはいろいろな制限を付することなく、広く人材を求めてりっぱな審議会をつくりたい、こういう考えで提案いたしております。
  186. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 他に御発言もなければ、これにて本案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ君あり〕
  187. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  188. 仲原善一

    委員農(仲原善一君) 漁港法の一部を改正する法律案の討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のある方は討論中にお述べを願います。
  189. 森八三一

    ○森八三一君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております漁港法の一部を改正する法律案について、本法律案の成立がおくれたのに伴い、必要な条文の整理を行なうため、附則の規定に対して次の修正案を提案し、修正部分を除く原案に対し賛成するものであります。   修正案を朗読いたします。     漁港法の一部を改正する法律案に対する修     正案    漁港法の一部を改正する法律案の一部を次の   ように修正する。    附則第一項を次のように改める。   1 この法律は、公布の日から施行し、改正後    の規定は、昭和四十年度以降の予算に係る補    助金(昭和四十年度以降に繰り越された昭和    三十九年度の予算に係る補助金を除く。)につ    いて適用する。   以上であります。
  190. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認めます。  これより漁港法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました森君提出の修正案を問題に供します。森君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  192. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、森君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修士部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  193. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、修正部分を除いた原案は全会一致をもって可決されました。  よって、本案は全会一致をもって修正すべきものと議決されました。   この際、おはかりいたします。  ただいま修正議決すべきものと決定いたしました本法律案に対し、附帯決議を付したいと存じます。附帯決議の案文はお手元に配付したとおりでございます。  案文を朗読いたします。    漁港法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案  水産業の基盤たる漁港の果す役割は益々加重されてきているので、政府は、左記事項についてその実現に努力すべきである。    記 一、局部改良事業に対して、修築事業及び改修事業と同様に補助‘引上げに努力すること。 一、本法律案改正による補助率引上げは、実際に地元漁業従事者及びその団体の上にその利益が均てんされるよう特段の配慮をすること。  右決議する。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成君挙手〕
  194. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。農林大臣。
  195. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ただいま附帯決議案が可決されました。私どもは、この決議の趣旨に沿うて対処いたすつもりでございます。
  196. 仲原善一

    委員長仲原善一君) なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  198. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 森林開発公団法の一部を改正する法律案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認めます。   これより採決に入ります。  森林開発公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。   本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  200. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   この際、おはかりいたします。   ただいま可決すべきものと決定しました本法律案に対し、附帯決議を付したいと存じます。附帯決議案の、案文はお手元に配付したとおりでございます。  案文を朗読いたします。    森林開発公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案  政府は本改正案の実施にあたり次の諸点の実現を期すべきである。 一、林業基本法関連法案の一環として林道関係法律整備を急ぐこと。 二、森林闘発公団の事業遅延の現状にかんがみ、事業遂行に支障のないよう、予算措置に努めること。 三、公団職員の給与については、他の政府関係機関と均衡するよう速かに措置すること。 四、公団の業務運用に支障のないよう定員を再検討し、臨時職員の定員化に努めること。  右決議する。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  201. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。農林大臣。
  202. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ただいま御決議をいただきました附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、その趣旨の実現に努力する所存でございます。
  203. 仲原善一

    委員長仲原善一君) なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  205. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、山村振興法案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  山村振興法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  207. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、おはかりいたします。  ただいま可決すべきものと決定いたしました本法案に対し、附帯決議を付したいと存じます。附帯決議案の案文はお手元に配付したとおりでございます。  案文を朗読いたします。    山村振興法案に対する附帯決議案  政府は、本法施行にあたり、左記事項を検討し、これが措置に遣憾なきを期すべきである。 一、第四条の国の施策としての国有林野の積極的活用は、林業基本法第四条の主旨に則り、放漫なる解放にならないよう厳格に措置すること。 二、政府は、振興山村の指定の全体計画を策定し、一定期間内に計画的に振興目標が達成できるよう機構の整備を図るとともに行政指導に遺憾なきを期するよう努力すること。 三、政府は、山村振興計画実施が経済効果を十分発揮できるよう予算措置をすること。  右決議する。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  208. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。経済企画政務次官。
  209. 伊東隆治

    政府委員(伊東隆治君) 本法律案及び附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、農林省とよく協議を遂げまして実施をいたしたいと存じております。
  210. 仲原善一

    委員長仲原善一君) なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと任じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時四十四分散会      ―――――・―――――