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1965-04-08 第48回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月八日(木曜日)    午前十一時三十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 栗原 祐幸君                 伊藤 顕道君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 林田 正治君                 三木與吉郎君                 村山 道雄君                 森部 隆輔君                 鬼木 勝利君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     井原 敏之君        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林大臣官房予        算課長      太田 康二君        農林省蚕糸局長  大口 駿一君        食糧庁長官    齋藤  誠君        水産庁次長    和田 正明君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件行政監理委員会設置法案内閣提出) ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、参議院送付)     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。  行政監理委員会設置法案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。増原行政管理庁長官
  3. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) ただいま議題となりました行政監理委員会設置法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  昨年九月、臨時行政調査会から行政制度及び行政運営改善に関し広範な意見内閣総理大臣提出されました。政府といたしましては、臨時行政調査会改革意見は、これを尊重するたてまえをとり、内閣行政管理庁長官本部長とする行政改革本部を設け、改革意見について審議し、行政改革実現を推進することといたしております。  臨時行政調査会改革意見は、何ぶんにも広い範囲にわたっており、すでに実施済みのもの、運営上のくふうで実施可能なもののほか、その実施をはかる上に、さらに検討を加えることが、適当と認められるものも含まれております。政府は、これらの点を検討した結果、その意見のうち、まず、行政監理委員会設置実現をはかることを緊要と判断いたしましたので、さしあたり行政管理庁にこれを設置することをきめ提案いたした次第であります。  臨時行政調査会意見においては、行政監察民間意見を導入し、その機能を強化し、あわせて行政制度及び行政運営改善に関する重要事項検討させるため行政監理委員会を設けることを提案しております。  政府は、この意見趣旨を尊重し、内閣国会に対する責任の態勢を十分に考慮の上、行政監理委員会を設けることとし、もって民間の有識者のすぐれた識見を取り入れ、行政簡素能率化合理化をはかり、行政近代化を推進しようとするものであります。  次に法案概要について御説明いたします。  行政監理委員会は、国家行政組織法第八条の規定に基づく機関として行政管理庁設置いたすものであります。  行政監理委員会所掌事務は、重要な行政制度及び行政運営について審議し、行政管理庁長官意見を述べ、並びに行政管理庁長官諮問に答申することが第一点であり、行政監察方針及び基本計画監察の結果に基づく重要な勧告事項について審議し、行政管理庁長官意見を述べ、並びに行政管理庁長官諮問に答申することが第二点であります。  行政監理委員会には、これらの所掌事務を遂行するため、行政管理庁長官を通じて関係行政機関から、資料の提供、説明を求める権限を与えることにいたしましたが、行政管理庁長官が行なう権限の行使と重複しないよう調整をはかることといたしました。  行政監理委員会から行政管理庁長官意見、答申などの提出を受けた場合は、これを尊重しなければならないものといたしました。  行政監理委員会は、所掌事務に関して必要があると認めるときは、行政管理庁長官を通じて、内閣総理大臣意見を述べることができることといたしました。  行政監理委員会は、委員長及び委員六人で組織し、委員長行政管理庁長官をもってこれにあて、委員は、行政改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するものといたしました。  行政監理委員会の庶務は、行政管理庁長官官房で処理することといたしております。  本法の施行は、昭和四十年七月一日を予定しておりますが、これに伴い行政審議会残務処理のため若干の猶予期間を置いて廃止することといたしました。  以上が本法案を提案しました理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。     —————————————
  5. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入るのでありまするが、衆議院において修正が加えられておりまするので、まずその修正点について便宜政府から説明を聴取いたします。中西官房長
  6. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) ただいまお話のございました農林省設置法の一部を改正する法律案に対します衆議院における修正点について申し上げます。農林省設置法の一部を改正する法律案に対しまして、衆議院におきまして自民、社会、民社三党共同提案のもとに修正が行なわれました。便宜私から趣旨及び内容を御説明申し上げます。  第一は、本改正法正案の中で、農林研修所設置及び定員改正に関する規定は、昭和四十年四月一日から施行することになっていたのであります。しかし、すでにその日が到来しておりましたために、これを公布の日に修正したことであります。  第二点は、右に関連しまして、定員改正規定及びその経過規定昭和四十年四月一日から適用することといたしたのであります。  以上が修正の点でございます。
  7. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、これより質疑に入ります。政府側からは赤城農林大臣中西官房長大口蚕糸局長太田予算課長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して大臣中心に二、三お伺いしたいと思いますが、本論に入る前に、現在農林省には八郎潟干拓事業に関する研究会、それから地域農政懇談会、この研究会懇談会二つがあるようですが、このことに関して一、二、お伺いしたいと思いますが、従来当内閣委員会では、審議会調査会等については、もちろん必要のものについては当然これは認められるわけでありまするが、しかしながら、あくまでも合法的な、法によるものにしなければならない、また、必要ないものは即刻廃止すべきである、こういう論議が従来繰り返されてきたわけです。で、その当時には、国家行政組織法の第八条違反のものが相当数多くあったわけです。ところが、この内閣委員会でいろいろと追及された結果、その後だんだん整理されてきて、ほとんど、省庁によっては全然ないという事態にまで進展してきたわけなんですが、ただ現状を調べてみますると、いま七つほどこういう法に基づかない調査会審議会等がいまだに存置されておるわけです。この七つのうちで、先般労働省設置法審議のあった際、私はこの点労働大臣に追及して、労働省としてはこの三つ案件は早急に善処する、本国会会期中に善処したい、もう要らぬものは廃止する、ものによってはあるいは法に基づくものにしたい、こういう意味の御答弁があったわけです。この七つのうち、労働省が整理されるとなると、あと四つなんです。この四つのうち二つ農林省関係あと二つ科学技術庁。そこでお伺いするわけですが、これは私ども存置に反対とか賛成というその論議の前に、必要なものならこれは存置すべきであって、これは法に基づくものにすべきである、いわゆる法制化すべきである、必要のないものは直ちに廃止すべきである、こういう態度を今日までとってきたわけです。そういうよう観点から、このように以前には相田膨大なものがあったわけですけれども、こういうふうに整理された。そこでお伺いするわけなんですが、いまだにこういう法に基づかない研究会と、そして懇談会二つ存置されている。これは現実の問題であるので、いかなる理由でこういうものを停職してあるのか、この点について解明していただきたい。
  9. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 官房長からお答えいたします。
  10. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 御指摘のとおり、地域農政懇談会関係八郎潟干拓事業関係と現在研究会として残っておるわけであります。で、八郎潟から申し上げますが、八郎潟の営農問題その他についての研究をするということでできているものでございますが、何といいますか、そのときどきのテーマに従って不特定の方が便宜お集まりになるという形で、お集まり願う方の任期とか議事手続組織問題等については別段の取りきめなしに参考的な御意見をいただくというようなことで発足して今日に至っております。いわば役所における会議ような形式をとっておるわけでございます。そういう意味で、国家行政組織法第八条にいいます附属機関としての何といいますか、構成が具体的にきまっておるとか任期がきまっておるというよう趣旨附属機関とでは性質を異にすると考えております。しかし、だんだん仕事も具体的な階段に入りまして、いままでの研究会というようなものの必要性というものもだんだん薄らぎつつあります。そういう意味で、適当なときにはこういう研究会は自然消滅するというふうに考えておりますけれども、現階段ではなおそういうよう趣旨で残ってまいっておるわけです。それから、農政懇談会地域農政懇談会ということで、各地域にこういうものを設置しておるんでございますけれども、これもただいま申し上げましたように、出席者については必ずしも固定しておりません。適宜十人程度の人に、農業やっておる方あるいは市町村あるいは農業団体役職員ということでお集まり願いまして、任期等もきめないで、そのつど非常に大幅にメンバーが変わっております。そういうよう実態の、役所の何といいますか、単純な会議会合というよう考え方現実に即しておるというふうに考えます。  そういう意味合いで、従来いろいろな御指摘のありました研究会懇談会法律に基づきます行政機関に切りかえてまいっておりますが、この二つだけはいま申し上げましたような事情で残っておるわけでございます。これを法律に特にあげなければならないということにしますと、構成の何といいますか、固定化、あるいは任期ということをきめることに相なるわけですが、そういうふうにしますと、かえって現在の弾力的な運営に差しつかえがあるのではなかろうかという配慮をいたしまして、法律に基づくものとしての扱いは今後ともいたさない、むしろ任務が終了したらそのときにこれをやめるという考え方で対処してまいりたい、かよう考えております。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御答弁あったようなことから考えられることは、各省庁ともみな、いま御答弁になったようなことでいままで残された審議会調査会等が多かったわけです。たとえば人数が少ないとか、短期に会合を持つのではないとか、だから国家行政組織法第八条に該当するようなものではないのだ、そういうことでいまでできたわけですけれども、この際、そういうまぎらわしいものは一切整理する、行管中心にしてそういうことを国会の場で確約されてきたわけです。そこで、繰り返し申し上げるように、私どもこの二つ研究会ないし懇談会が必要であるという前提に立てば、何も廃止せよ、そういうことを、蘇っておるのでない、もし必要があるならば、これを当然法制化すべきである、もう任務を終了して必要ないのだということであれば、直ちにそれを廃止すべきである、こういうよう観点から、従来各省庁に膨大な数の八条違反疑いのある懇談会等が多かったのですけれども先ほども申し上げたように、現在七つに整理されてきた。そのうちの三つ労働省で、これもめどがついた、あと残された問題は科学技術庁農林省二つずつの問題であるわけです。  そこで、これは結局もうこの二つ存置の必要があるかないかということが一つ論議になると思う この点はどうなんです。まだ存置しておかなければならないのか。八郎潟干拓事業についても相当もう具体的に進んで、ある部分についてはもう完了しておるということであろうと思うのですが、さらに存置する必要があるのかないのか。  地域農政懇談会についても、必要であるとすれば法制化すべきで、必要なければ廃する、二者択一でなければならない、こういうふうに思うのです。その必要性についてはどうなんですか。
  12. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 二つのうちの八郎潟干拓事業に関します研究会、これは先ほどもちょっと触れたのでございますが、具体的な事業に入る段取りにもう入りまして、いままでのよう研究をする必要は非常に薄れてきております。そういう意味で、廃止する方向検討をいたしてしかるべきであろう、その時期は近い将来には決定し得ると思っております。  それから地域農政懇談会のほうでございますが、これは文字どおり懇談会というようなことで、地域農政の大きな動きなり、国の行政方針なりをキャッチする場として、何といいますか、出てくる人も流動的でありますし、テーマ自身も非常に広範にわたります、いわば何といいますか、PRのための会議の開催というふうに考えておるわけです。そういう意味で、これからの地域農政農林省の勉強が進むとともに、これはやはり力を入れて続けていかなければならないものの一つではないかと思います。ただ、申し上げましたように、そのつどメンバーも違いますし、テーマも違うというようなことで、やります会議は単純な会合であるというふうに考えております。したがって、その構成員を固定し、任期を定めて運営するといった、何といいますか、行政組織法第八条の関連のものとは性質的に非常に違っておるというふうに考えまして、そういう考えに基づいて将来もこれは運用上の問題としては残してまいりたいと思っております。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それは国家行政組織に関する基本的な問題でありますので、せっかく大臣おられるのですから、官房長にそれを廃止するとか存置するとかということの権限はないはずで これはやはり基本的な問題である関係で、これは大臣からその今後の取り扱いについて明確にお答えいただきたいと思います。
  14. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 八郎潟干拓事業に関する研究会、これも厳格に言いますと、私は行政組織法第八条に該当するものとは思いませんけれども、しかし、そういう疑いを持たれるということでもあり、また、八郎潟干拓事業に関しては八郎潟事業団も設立してその事業に着手する、干杯事業はもうやっておりますが、新農村建設に着手するという段階でございますから、こういう研究会はもうやめる、必要ないと、いま官房長から申し上げましたように近くやめていこうと、こう考えています。  それから地域農政懇談会ですが、これは一つ名前をつければ地域農政懇談会というよう名前でございますけれども実態は、会合を臨時的にしばしばやっておる、メンバーが違う、農林特等におきましていろいろの青年を集める会合とか、そういう会合を始終やっております。そういうようなものでございますので、私が第八条の行政機関というよう々ふうには理解しておりません。でございますので、懇談会という名前行政機関ような、委員会ような形にとられやすいものですから、そういうふうに考えられるかと思いますけれども懇談会という名前はどういうふうにしてもいいと思います。一つ会合を持つ、こういう意味のものでございますので、刑に農政懇談会という名前にとらわれないでそういう会合を続けていくところの一つ会合体というよう考え方から、特に廃止するというようなことは必要がないのではないかと思いますので、これは懇談会という名前にするか、あるいは懇談会という名前など置かないで、そのときどき会合するか、こういうような措置をとっていきたいと思います。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 八郎潟干拓事業に関する研究会、これについてはいまもう使命も大体果たしたし、これは廃止したい。そういうことであるので了解できますが、この地域農政懇談会については大体各省庁もいま大臣から御答弁があったよう意味でいままでは存置しておったわけです。これは何も第八条に該当するようなものではない。ただ単なる会合である。そういうような定期的に持つものでもない。そういう御答弁であったわけです。それと同じ御答弁がいまあったわけですけれども、やはりただ単なる会合といっても、農林省が堂々と集めて、一つ会議を、会合だといえば字句にとらわれるようですが、それは同じ会合での話し合いが、それはとりようによっては会議であるし、とりようによっては話し合いであり、単なる会合だということも言えるわけですね。それは言い抜けばどうでもなるわけです。しかし、農林省が私的にこういうものを持つというわけにいかぬですから、一つ官庁が、そうして、やはり農政の一分野に関するいろいろ話し合いにしろ、会議にしろ、そういう方向で会が運営されているということであれば、これはやはり法によるものにすべきであろうと思うのです。こういうものが全然必要ないならば廃止すべきだし、必要であるならば合法的に法制化すべきである。こういう観点でいままでの過去の経緯を申し上げると、みんないま大臣のお答えのようなことでなかなか整理がされてこなかったわけです。しかし、各省庁が、いやしくもそういう懇談会等を持つ以上は、やはりこれは営々と法制化しても、必要ならばいつまでも存置してしかるべきであるし、もう意味がなければ廃止すべきである。二者択一のほかはない。こういう基本的な態度できて、そうして、最近ようやく膨大な数にのぼっておった八条違反のこういう審議会等先ほど来申し上げているように現在七つに制約されてきた、こういう経緯があるわけです。そこで単なる会合だから名前にとらわれないとか、そういうことでは理解できないのですが、たとえば労働者では労働問題懇談会というのは、これはけしからぬということになったら、今度は労働問題懇談会にしたわけです。懇談の談を話に変えて一字訂正してこれでいいじゃないかと、いま大臣答弁もそれに近いような御答弁であったわけですけれども、それもいろいろ追及した結果、たとえば懇談会懇話会にしたところで意味は変わるわけじゃないので、結局、労働大臣もそれでは廃止しましょうということになったわけです。そういう経緯がございますので、従来と同じような立場で私どもはお伺いしておるわけで、農林省だけに手心して御質問申し上げ、追及するということには相ならぬわけで、この点はいかがですか。
  16. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私はこの名前がどうこうということと関係なしに、大体地域農政懇談会という名前をつけておくからそういう誤解を受けるかもしれませんが、第八条によるところの審議会とか協議会あるいは調査的なものに該当するものではない、八条とは関係ないのだ、こういうふうに考えておりますので、これを存置するとか、廃止するとかという問題外だと私は考えておるのでございます、しかしながら、懇談会という名前があって、この第八条に該当するものだというよう観点からこれを見るならば、私はこういう名前などはどうでもいいと思います。臨時的に会合し、そうしてまた会議体結論を出すものではございませんし、また単純な会議会合にすぎないのでございまするから、農林省自体におきましてもそのつど人を集めて、あるいは何千人も集めているときもありますし、あるいは数人のときもありますし、結論を別にそれから出させるということじゃなくて、いろいろ意見を聞いてみたり、農政の動向などを察知するというようなことを臨時的にやっているのでございますから、そういう意味のことは名前にとらわれないでこれは当然行政運用上やっていくと思います、一つ機関ということでなくて。ですから私は第八条に該当するかしないかというものとは別個の会合だと、こういうふうに考えておりますので、存置するか、存置しないかという問題と少し離れて考えていっていいのじゃないかこういうふうに考えます。ですから名前がまぎらわしいということであれば、名前などはつけなくてもかまわない、ときどき臨時的に、きまった人でなくてそういう人に集まってもらって、単純な会合をするということそのことはあえて、差しつかえない、組織法から見ても何でもない、こういうふうに考えておりますので、名前がまぎらわしいということであれば、そういう名前などはやめてもいいと考えております。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がお伺いしておるのは、地域農政について大臣のことばでいうと単なる会合、単なる会合でもいいですが、事地域農政に関するいろいろな話し合い機会を持ちたいのだということの必要性は認めておるわけでしょう、その点はどうなんです。
  18. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) そういう人に集まってもらうときに、そのつどどういうことを聞きたい、意見があればその意見を出してもらいたいというようなことはあると思います。地方農政局でそういう会合をやるのでございまするから、結果としては、あるいは筋道としては当然地方農政に関する問題が議題となるということは筋といいますか、当然そういうことになると思います。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、農林省としてもちろん出先機関として地方農政局があって、当然こういうことは地域農政等についてはまた地方農政局としてやっているでしょう。私お伺いしておるのは、農林省として地域農政についてやはり農政に直接タッチしておる方々を参考としてお呼びして、いろいろ地域農政の発展のために意見を承りたいということの必要があるのかないのかというのが前提になると思いますね。農林省として地域農政に関するそういう意見などは一切聴取する必要がないんだということになれば、これは当然もう必要ないことになるわけです。しかし、せっかくこういう名前をつけておるんですから、地域農政懇談会ですから、地域農政についての一つ農業政策一環として、特に限定して地域農政についてのいろいろの話し合い機会を認めておるわけでしょう。今後地域農政についてもこの必要があるんじゃないですか。われわれとしては、繰り返し申し上げておるように、必要なものを何でもかんでも廃止するんだ、廃止の前提に立ってお伺いしておるわけじゃないんです。あくまでも、こういう機関がある以上は、それは大臣いろいろ御説明なさいましたけれども国家行政組織法第八条にあげておられるよう国家機関じゃないんだとおっしゃっても、農林省として私的にやるわけにはいかぬわけです、農林省一つの堂々たる官庁ですから。ただ、農林省がやはり農業政策一環である地域農政についていろいろ話し合い機会を持つということになれば、これは大臣は何とおっしゃろうとも、これは国家行政組織法第八条に基づく一つ機関になるわけです。そこが大臣のお考えと違うわけですけれども、大体各省庁でも同じように、いま大臣の御答弁になったようなことで長々と整理されてこなかったわけです。しかし、最終的には繰り返し申し上げるように、今日では大体七つにしわ寄せされた。これはみな大臣と同じようなことを言っておった、国家行政組織法八条に該当するものでは決してございません、懇談会で悪ければ懇話会でもけっこうだというふうにして、文字をひねったりして今日にきたわけです。そこのところをひとつ踏まえていただいて、私は決してこんなものは必要ないと、いま主張して廃止しなさいということを言っておるんじゃない。やはり農林省として、農業政策一環として地域農政を推進する必要があるかないかということなんです。地域農政の一切そういう会議を持つ必要ないとおっしゃるならば、これは廃止すべきである。やはり地域農政については今後重要な一環だから、農林省としても十分地万の意見を聴取したいという必要があるならば、それは存置すべきであろうと思うんですね。むしろ農業政策の発展の立場から、そういう観点に立つならば、これはいわゆる法制化すべきであるということをお伺いしておるわけなんです。
  20. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は、すべての会合行政組織法第八条によるものだということにきめつけて、そして必要ならば法律によって設置しろ、こういうようなことになるというと、これは行政上非常に支障を来たし、会合等ができないということにまで追い込まれるのではないか、こう思います。しかし、それは極端な例でございますが、いまの地方農政懇談会ですか、これが地方農政についての問題について会合を催して話を聞く、しかし、意思決定等を行なうものでないというのでございますから、私は繰り返して申し上げますように、これは何も行政機関として、第八条に該当するものを法律によらずして設けておるものだ、こうきめつけるのはいかがかと思うのでございますが、そういう意味におきましては、私は法律の解釈といいますか、それが私の考え方伊藤さんの考え方と違うようでございます。私は、こういう単純な会議会合は、地方農政に関するからと、中央の農政に関しても始終会合を催していますが、こういうものが何か法律的のものにきめていかなくちゃならぬということになると非常に窮屈であるばかりでなく、私は、この法律の適用といいますか、解釈から少し離れているんじゃないか。もっとこういうものじゃなくて、いま、やみ的にやっている機関があるといたしますならば、私もそういうものは法律によるか、そうでなければ廃止するということで、はっきり態度をきめていきたいと思いますが、この地方農政懇談会というものは、私がほかの大臣と同じように言っているというような御指摘でございますけれども、私はこれはそういう意味で申し上げているのじゃなくて、ほんとうに単純な会議会合で、脱法的に申し上げようという意図ではないのでございます。そういう意味におきましては、どうも伊藤さんの見解と私の見解とは違っておる。すなわち、私は第八条に該当するよう懇談会ではない。でありますので、これを法律によって存置するか、あるいは廃止するかというような問題ではないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、大臣もおっしゃったように、見解の相違だというと、ここで貴重な時間を空費するだけですから、こういうふうに大臣取り計らってもらうのがよかろうと思うのです。  大体、法によらない場合は、たとえ閣議で決定しても、あるいは省議で決定しても、これは合法的にはならぬわけです、八条に該当する事項という前提に立てばですね。ところが、この八郎潟研究会については、これは大臣決裁ですから、省議で決定になっているわけですね。それから地域農政懇談会については次官通達です。大臣が決裁し、次官が通達しておるということになると、これはただ単なる会合だということに受け取れぬわけです。それは表現の相違でしょうけれども、その根拠は、やはり八郎潟のほうは大臣決裁になっておる、ということはこれは省議に基づくものである、根拠は省議ということになるわけですね。したがって、ただ単なる会合であって、私が申し上げるように、国家行政組織法第八条に該当するものじゃないのだと、伊藤は、第八条に関係するものというきめつけた前提で話を進めているから意見が違うと、こういうことになるわけですね。そこで、このことについては大臣も深く御検討なさったわけではなかろうと思うので、このことについては行管が担当しておりますので、ひとつさっそくこの終わったあと行管の長官等とも御相談いただいて、行管ならば一般的にあれしておりますから、各省庁関係もよくおわかりになりますから、それで行管の長官も御相談なさって、次回またあらためてお伺いいたしますから、そのときひとつ態度を明確にしていただきたいと思います。この懇談会のほうですね、地域農政懇談会については、そのような措置をとっていただくのがよかろうと思いますが、この点はいかがでしょう。
  22. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 八郎潟干拓の研究会は、いまお話しのように、私も近く、これは疑わしい疑いもありますので、きわめていきたいと思います。  地域農政懇談会は、私は行政組織法に該当するようなものではないとは思いますけれども、しかし、行政管理庁意見もございますので、いまお話しのように、よく協議いたして、該当するか該当しないか、また、該当するとするならば、どういう措置をとるかということを協議していきたいと思います。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは次に、提案理由説明に基づいて二、三お伺いしたいと思います。  この説明によりますと、サトウキビ原原種農場について御説明があるわけですね。この農場の設置理由については、大体その事業内容とか予算等についてはまだ明確になっておりませんので、提案理由説明は、われわれは了解できるわけですけれども、その事業内容、予算等についてひとつ御説明いただきたい。
  24. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) サトウキビ原原種農場の設置理由等については、それぞれ提案理由で触れておりますが、矮化病が発生いたしまして、そのために被害が相当に及んでおります。そこで、病気のない健全な品種の種苗を生産し、それを配布するということを任務として設置ようとするもので、設置場所は種子島に考えております。で、奄美群島——大島郡、熊毛郡のそれぞれに配布してまいる計画になっております。で、その設置されました原原種農場におきます人員は、場長以下五名を考えております。これは定員の振りかえによりまして新規に配置いたすわけです。その農場の敷地は、全部で二十町歩、うち圃場が十町歩というふうに計画をいたしております。予算は、施設費の五千六百万円を含めまして全部で七千十二万円の予算を四十年度予算で要求いたしたわけでございます。概略の内容は以上でございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで次にお伺いしたいのは、日本の現在の砂糖の需給状況ですね、需給状況は一体どうなっておるか、その大綱について御説明いただきたい。
  26. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 輸入糖に大きく依存せざるを得ないということで、二五%から三〇%程度の自給率、あとは全部輸入に依存するというような形になっておりますが、三十九年の見通しで申しますと、全体の需要量が百七十五万トンでございます。そして国内産の生産量は五十三万六千トン、三十九年で申しますと三〇・七%の自給度になっております。それを大きく三つに分けまして、てん菜糖は北海道、府県合わせまして約十七万トン、甘蔗糖は、鹿児島県で八万トン、琉球で十八万六千トン、合計二十六万五千トン、そのほかに、第三のグループとしましてブドウ糖がございます。これは砂糖に換算しまして十万二千トン、以上全部合わせまして国内の糖類の生産高が五十三万六千トンということに相なります。で、その差額の百二十一万一千トンばかりが輸入によるということに相なるわけでございます。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、大多数は不足額ということになりますが、したがって、その輸入先はどこで、大体どのくらいの量かということについての御説明をいただきたい。
  28. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 輸入先は、これは時によって大きく変わりますけれども、最近の情勢でいいますと、台湾が一番大きい量を供給しております。あと豪州、キューバ、ブラジル、その他と相なります。ずっと古くはキューバの輸入量が非常に多うございましたが、最近では、先ほど申し上げたような移り変わりになっております。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最近、開放経済へと移行しておるわけですが、それに伴って砂糖の価格はだんだん下がっておるわけです。そこで、生産性の向上とか価格の安定、こういう対策については一体どういう手を打っておられるか。昨年甘味資源特別措置法という法律が制定されて、この点にも触れておるわけですけれども、これとの関連をもあわせてひとつ御説明いただきたい。
  30. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 生産性の向上の点は、確かに国内の産糖のあり方としまして緊要の問題になっております。そこで、北海道あるいは南九州、奄美大島等それぞれ生産性向上のための施策を講じておりますが、一つは、やはり何と申しましても、農業生産の段階における反収の増加と面積の拡大でございます。その反収の増加と面積の拡大によりまして、一工場当たりの原料の処理量もふえてまいりますので、全体のコストも下がってくる。さらに農民の単位労働当たりの収益も上がってくるということに相なります。で、北海道で申しますと、ここ三、四年停滞ぎみでありました面積が、ことしあたりは待望の五万町歩をこえる見通しでございます。昨年の冷害に関連しましてビートの作付の必要性が認識されたことも大きく響いておると思いますが、五万二、三千町歩には達するのではないか、こう考えます。なお、その結果、一工場当たりの操業度もここ数年前に比べますと、相当大幅に上がってくるという見通しを持っておりますが、今後この傾向をさらに続けていって、一工場当たりの操業度をさらに高める努力を当然しなければならない。農業の生産の段階で言いますと、やはり土地改良の問題、特に重粘土地帯あるいは火山灰地帯、泥炭地帯、いろんな特殊な土壌が北海道にはございますので、その土地改良を進め、さらに労働力の節約というよう意味合いでぺ−パーポットによる移植法も奨励しております。約一万町歩以上の普及に相なっておりますが、この普及もさらに将来もっと伸ばしていくということが必要であろうと思います。  それから九州の暖地ビート等も緒についたばかりでございますが、したがって、これは生産性の向上というような面にまだまいりませんで、何とか生産の普及をもっとはかっていくというような初期の段階でございますが、そういう段階としてのできるだけの手を打ってまいるということでございます。奄美大畠のほうは、これは爆発的に面積もふえ、反収も上がっております。そういうことで非常に期待が持たれておりますが、新しい耕地を開拓しまして、外延的な拡張もはかっておりますし、新しい品種の導入によりまして反収の増加もはかるということでおります。さらに台風等の影響も受けるのでございますが、新しい品種は非常にその台風にも強いということが確認されてきました。将来さらに希望が持てるのではないかと、かように思う次第でございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いしたことにも関連するわけですけれども、日本の主要な農林水産物の需給状況とか対策、これは大きな問題になりますので、ごく概略でけっこうです、その方向なり等を御説明いただきたい。
  32. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) わが国の食糧全体を見通しまして、輸入に依存するものと、国内で生産しておるものと大別しまして、自給率を計算いたしますと、胃袋に入りますもの全体ということで 水産物を含めますと八六%の自給率に最近ではなっております。それを諸外国と比べますと、イギリスの四五%、西独の六九%というような、低い国よりは相当高い。フランスが九四、イタリーが九八というように、これは非常に高い国でありますが、それより若干下回る。先進国のグループとしては比率が相当高いではないかというふうに考えます。それをさらに品目別に概略申し上げますと、米で、三十七年度で九八・四%、三十八年度はこれは九八%くらいになっておるはずでございます。それから小麦を、えさの関係を含めまして四二・九%、大豆が一九・七%、肉類が九四・六%、牛乳乳製品の関係が、学校給食を含めて計算をいたしますと八一・八%、おもなもので申し上げると以上のようなものとなっております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 近ごろの生鮮食料品の価格は相当暴騰しておるわけですけれども、一体原因はどこにあるのか、そして対策についてはどういうものがあるのか。私麹町の宿舎におって、たとえばネギのこんな細いの四本くらいで六十五円くらいもする。キャベツのこんな小さいのが、きのう買ったら百十五円というように、一つの例ですけれども、いまだかつてない値上がりをしておる。何か原因がなければならぬ。いろいろあろうかと思いますけれども、その原因と、やはり農林省としてはいろいろ対策を講じておられると思う。そういうことについて御説明いただきたい。
  34. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 御指摘ように、確かに三月の末で申しますと、野菜の卸売り値段自身が二月の中旬に比べて倍くらいになっておる。玉ネギなんかはもっと高いというようなことに相なっております。で、その原因でございますが、一般的には二月から異常乾燥で、そのために玉ネギ、キャベツ、白菜、エンドウ、ソラマメなど、春の新ものは、いずれも二週間から三週間おくれておるようでございます。そういう意味でいわば非常な高値になっておりますが、特に昨年の安かったときに比べると相当上がっておるというようなことでございます。しかし、この三月の末、四月にかかりまして、そろそろそのおくれを取り返すような動きも見られます。そういう意味で、一般にはやや何といいますか、沈静した形が見られるのではないか。当面の対策としまして一体どうするのだというような御質問でもあるのでございますが、昨年の異常な安値のあとを受けて、作付面積が五%から一〇%の程度減ったというよう関係もあります。そういう意味で即効的にいますぐ価格を下げるようないい手段があるかというと、これは非常に困難でございます。全体として農林省考え方としましては、そういう価格の高騰、安値にかかわらないで、安定した生産を、主産地を中心に確保してまいるという、何といいますか、根本的な手だてを数年前から講じて今日に至っております。その効果はおいおいあらわれてくると思うわけでございます。そのために指定産地制度あるいは生産安定事業等についてもことしからさらに拡大をするというような方策も講じておりますが、とりあえず、ここ一週間の間にどうだというようなことについては、遺憾ながら、格別の有効な手段も発見できない、こういう実情でございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いろいろ対策としてあげられるわけですが、その一つの例として、いわゆる市街地周辺のいろいろ農地を保全して、既成市街地への生鮮食料品の確保をはかるということで、政令によって区域指定が行なわれることになっておると思うのです。ところが、実際にはどうなんですか、まだ政令によって区域指定など行なわれていないと思うのですが、この点はどうなのか。この一点をあわせて御説明いただきたい。
  36. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 御指摘の点は、数年前から指定産地——白菜、タマネギ等について指定産地といいますか、主産地形成をやっております。その主産地の規模を大きくして、品種の統一されたものが安定的に大消費地に入ってくるようにということでやっておりますが、約百ばかりの指定地域をことしは追加しております。北九州等もその対象に入れるというようなことでおりますが、ことしの分はまだ発足しておりませんけれども、一これからの段取りでございますが、従来の実績を見てみますと、やはりそういう主産地からの供給というものが、大きく消費地の生鮮食料品の価格安定に役立つということが、はっきりしてきております。そこで指定産地の拡大をはかりたいのでありますが、ただこれは指定産地をきめて、いろいろな生産奨励対策を講ずるというだけでは進まないのでございまして、それぞれの地元における農業協同組合等を中心にします出荷団体、あるいは生産者団体の積極的な生産性向上、あるいは流通改善の意欲の盛り上がりを前提といたすわけです。その意味で、着実に実態に合ったような数をふやしていくということで、今日に至っております。  先ほど申し上げましたが、正確に申しますと、指定産地の数は三十九年度で九十二でございます。これを四十年度では百九十八にふやしまして、所期の目的を達成してまいりたい。百九十八あれば十分であるかということになりますと、決してそうではございません。さらに主産地形成に力を入れまして、これを数多くすることによりまして、消費地の生鮮食料品の価格安定を十分にはかっていくということを着実に進めていく必要がある、かように思っております。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この際、なおお伺いしておきたいのは、農業と他産業との格差の問題ですが、私が言うまでもなく、農業は従来からそうでありますけれども、いわゆる生産性とか所得の面で他産業に比べると著しい格差があるわけです。依然としてこの格差は解消されていないのも実情でございます。そこで、政府としては、経営の近代化とかあるいは協業の組織化、こういうことを始めて、いろいろこの政策を推進してきたと思うのですけれども、現状はどうなっておるか、こういう問題についてひとつその大綱について御説明いただきたい。
  38. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) その点につきましては、年次報告に詳しく分析をいたしたのでございますが、三十一年ごろから申し上げますと、製造業の生産性と農業の生産性を比較するという方法で比較生産を出しておりますが、三十一年は二九・一%、三十二年が二九・九、三十三年が三三・六、最近では三十六年が二五・〇、三十七年が二八・一、三十八年は二七・九というふうに、三割に及ばない程度のところで、いわば大きく達観的にいいますと、停滞をしております。微細に申しますと、二十三年、四年が高くて、その後下がりました。また回復しつつあるというふうに申すことはできます。いずれにしましても、この数字は、製造業全体と農業全体をひっくるめての生産性の比較でございます。  その農業の中身を分析していきますと、相当規模の大きい近代的な農業を確立しておる経営もございますので、そういう経営をとってきますと、この比較生産性はもっと高くあらわれるわけです。たとえば、これは形式的な計算でございまして、必ずしも近代的経営というわけではございませんが、二町歩以上を耕作している農家というものを選びまして、この比較計算を出しますと、約五〇%になるというようなのが実態でございます。まあ農林省としましては、そういった意味で、自立経営でしかも近代的な手法をもって所得をあげ得るようなものをできるだけふやすというようなことによりまして、生産性の格差の是正をはかってまいりたいと考えている次第でございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、この問題にも関連するわけですけれども、最近農村における労働力の問題ですね、これはまことに深刻なものがあるわけです。まあいろいろ原因もありましょうけれども一つには、農業の近代化の立ちおくれ、こういうようなことも原因して、いまなんといっても、農村に入ると、労働力の問題が大きく問題視されておるわけです。ほとんど全国的に、たんぼや畑を守っておるのは御老人と御婦人というような実情なんですね。もちろん農林省としても、根本的ないろいろ対策を講じられておると思うのですけれども、大体方向として、基本的にはどのようなことをお考えになっておるか、ひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  40. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ労働力が最近転出しておるというととは御指摘のとおりでございますし、三十七年、三十八年約七十万ぐらいが出ております。   これは、一つは、国全体の経済の成長が非常に高度であった。工業方面、都会方面の成長が進んでおりましたので、消費ブーム等も手伝って、その方面に相当出ていったということが一つ。それから、農業者自体といたしましても、支出の面が収入よりも相当ふえてきておりますので、そういう面から、現金を取得するというような傾向から出かせぎ等も増してきた、こういうこともあると思います。   で、これの対策といたしましては、まあ出かせぎ等の対策につきましては、できるだけ近くにおいて労働に従事する機会を与える、こういうようなことから、地域の開発ということも必要であろうと思います。そういう方向をとっておるわけでございます。それから農家全体としての労働力不足に対処いたしましては、どうしても少ない労働力で農業をやって効果をおさめていくということが必要でありますので、やはり機械化が進んでおりますけれども、さらに一そう機械化農業という方向へ進めなければならないと思います。しかしながら、小さい機械は相当入っておりますが、大きい機械を入れるということになりますというと、いまの経営面積の狭い農家におきまして、大きい機械を入れるということでは採算が合わぬというようなことも出てきておるので、こういう大型機械等は、農協等に導入させて、共同的に大型機械等を使って、そうして労働力の少ないのをカバーしていくようにしたい、こういうので予算等も御審議を願ったわけでございますが、そういう方向を持っております。  それからもう一つは、やはり労働力の不足をしております場合に機械化を進めるといたしましても、土地基盤の整備が、いままで進めてはきておりますけれども、おくれて、まだまだ土地基盤の整備をしていかなければならないので、土地改良を強く推し進めるために、四十年度の予算等につきましても、相当前年度よりも予算を計上して、土地基盤、生産の基盤を整備していく、その中でもやはり機械を使い、あるいは労働力の不足をカバーする意味におきまして圃場の整備・あるいは本年度農業用の機械に使用するガソリンの免税、それに見合った額で農道の整備を推進していこう、こういうようなことから圃場を整備し、農道をつくって、そうして生産基盤が機械化に適するような、あるいは輸送面が十分に行なわれるような形に持っていって、そうして労働力の不足にたえ得るよう方向に進んでおるわけでございます。  それからもう一つは、やはり優秀といいますか、すぐれた後継者が農村に残ることが、これまた必要でございます。そういう意味からいいまして、先ほど官房長からお話し申し上げましたように、生産性におきましても、あるいは生活水準の比較におきましても、零細な農業者よりも、一町五反とか二町歩以上のような耕作面積の大きい農家におきましては、生産性も他産業の従事者に比較して零細な人よりも多いわけです。あるいは生活水準の比較におきましても非常に多い、こういうことによりまして、経営規模を量的に拡大していこう、こういう意味で御審議を願っている農地管理事業団というような、これはパイロット的にことしは始めますが、そういう方向によりまして経営規模を大きくしていきたい、そういう方向。ところが、御承知のように、兼業農家、ことに第二種兼業なども四二%を占めるということで、一方においては兼業農家が多くなってきております。こういう兼業農家の中で農業と離れ得ない、農業をまだやっていきたい、こういう意欲を持っておる兼業農家も相当あるのでございます。   〔委員長退席、理事栗原祐幸君講席〕 こういう兼業農家につきましては、やはり協業といいますか、共同で農業を進めていくという方向へ持っていって、そうして労働力の不足も補い、あるいは生産も上げ、所得も上げるよう方向へ持っていくと、こういうよう方向を進めておるわけであります。  以上大体概略的に申し上げたのでありますが、そういう方向で労働力不足の対策を立てておるわけであります。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、あと一点最後にお伺いして、本日の私の質問を終わりたいと思います。  最後にお伺いしたいのは、いま大臣から御答弁もございましたが、農村出身の、農村から出ておる、高校とか大学の卒業生の行き先を調べたことがありますが、これはもう大部分は農村に残っていないのですね、長男をも含めて。昔はもう長男を必ず農村に残ったものですけれども、最近は長男をも含めてみな高校、大学の卒業生は、全部とはいいませんけれども、大部分が都会地へ出てしまうという実情で、先ほども申し上げたように、そういう労働力の不足から多くは御婦人とか御老人だけが畑を、たんぼを守っておる。   〔理事栗原祐幸君退席、委員長着席〕 いろいろ農村に入って実情を聞いてみるとなかなか子供に嫁の来手もない。お宅におる娘さんはどうするのかというと、うちの娘は農村にはやりたくない。うちのむすこには嫁がほしい、こういうのが実情のようなんです。これはまあ非常に深刻な問題だと思うのですね。で、もちろん一朝一夕にしてこういう基本的な大きな問題を解決することはできないわけですけれども、いま御指摘になったように、何とかこう青年層が農業に明るい希望を持って喜んで農村にとどまるように、そうしてお嫁の来手もわんさと押しかけてくるような、そういう明るい農村づくりがいま当面最も重大な農業政策でなければならぬと思うのですね。さてそれではこれをどうするかという問題になると、いろいろ多角的な政策を合わせて推進しなければならぬ。なかなかもって容易ではないわけです。非常にきわめて困難な問題だと思う。しかし、困難だからこそよけいそれに真剣に取り組む必要があろうと思うのですね。こういう点でひとつ大臣のこういう農村に対するいわゆる長期展望に立った基本的なお考え方をひとつこの際お聞かせいただきたいと思うのです。
  42. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ根本的には農業における農業からの所得が安定をしていると、そういう方向へ持っていかなければならないと思います。それからもう一つの問題はやっぱり教育の問題だと思います。近代的な農業経営がどうあるべきかというようなことに対して、技術面におきましても経営面におきましても新たな出発といいますか、そういう角度で検討を青年等におきましても加えていってもらわなければならぬ、こういうことだと思います。こういう意味におきまして、いわゆる演習農場的な、実際に農業をやっていく、やりながら近代的な農業経営ということを習得するというようなことでそれぞれの機関等を拡充いたしまして、そういう教育を通じて農業に定着するといいますか、将来を見出す、こういうようなことにならなければならぬと思います。それで、私は将来の見通しといたしましては、確かにいま労働力が相当出ております。これは、お話のように、もとは長男かだれかが残ったものでございます。その他の者は、やはり従来とても私は外へ出ていたと思うのでございます。問題は優秀なるある程度の人がどうしても農村に残っておらなければ、これは日本の農業というものは維持できないし、農村が荒廃する、こう思います。しかし、ある程度の人が外へ出るということは、これはなかなかとめようとしてもとめられ得ないものでありまするし、ある程度はいたし方がない。それぞれの限度がございます。しかし、ある程度はやむを得ないとしても、その残った労働力、わりあいに少ない労働力で、そしてこの農業をやっていける、しかも、所得が他産業と私は同じような所得をとれといっても、なかなかこれは非常に無理だと思います。しかし、いまのように格差があるということでなくて、その格差を是正していって安定した農業をやっていける、こういうよう方向へ持っていく。こういう意味におきまして、先ほど申し上げましたように、農業をやっていけるような当盤の整備とか、あるいは農業経営が、経営面積におきましてもあるいは質的に資本の装備が強化されるよう方向に持っていき、さらに、そういう生産あるいは構造政策に並行して、生産した農産物に対する価格の支持というようなものを一そう強化いたしまして、農業に定着するといいますか、農業に未来性を持つようなことにしていかなければならぬ。一つの政策によって、いまお話しのように、農業が魅力のある農業に持っていけるというわけにはまいりませんので、各方面からそういう裏づけを政策として行なっていくということと、ある程度は急速にいきませんから年月をかしてもらわなければならない、こういうふうに考えますが、農業政策全体からしていま申し上げましたよう方向へ進めていっておりますし、また、それを強化していきたい。こういうふうに考えます。
  43. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。ほかに御発言もなければ、本案質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十三分散会