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1965-04-22 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十二日(木曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      井川 伊平君     梶原 茂嘉君      前田 久吉君     岸田 幸雄君  四月十四日      梶原 茂嘉君     井川 伊平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 西郷吉之助君                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                大野木秀次郎君                 高野 一夫君                 中野 文門君                 加瀬  完君                 鈴木  壽君                 松本 賢一君                 基  政七君                 市川 房枝君    国務大臣        国 務 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        総理府総務長官  臼井 莊一君        警察庁長官    江口 俊男君        警察庁交通局長        事務代理     鈴木 光一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    宮崎 清文君        運輸省自動車局        業務部長     黒住 忠行君        建設省道路局企        画課長      豊田 栄一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○道路交通法の一部を改正する法律案内閣提  出)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 市川房枝

    市川房枝君 警察庁長官にお伺いしたいと思います。  今度の道交法改正は、内閣に設けられました交通基本問題調査会答申の中にいろいろな事項が掲げられておりますけれども、そこの中の警察庁所管全般にわたって御検討になった結果御決定になったことを法改正として御提案になったかどうか、まずその点伺いたい。
  4. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいまおっしゃるように、内閣にございまする交通基本問題調査会答申をお出しになりまして、これは各般にわたっているわけでございまするが、そのうちに警察関係する分も相当ございますことは御承知のとおりでございますが、その全部を一挙に法律改正だけで解決するというわけにはいきませんけれども、あの線に沿って、警察当面の法律上の問題として考えられることを、とりあえず提案した、こういう意味でございます。
  5. 市川房枝

    市川房枝君 とりあえず必要なこととおっしゃっておりますが、提案理由の中に、人命尊重といいますか、交通事故減少といいますか、それを主にしてお考えになったということが出ておりますけれども、そういう点から見ると、今度の改正だけでは非常に私は不満なんですが、昨年三十九年中における交通事故は、事故件数が五十五万二千二百四十四件、死者が一万三千三百一人、負傷者が三十九万三千二百四十人、史上最高事故だった、こういわれておるのですが、あの程度改正で、どの程度の人身に関する事故が一体減少するとお考えになっているのですか、それを伺いたい。
  6. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それはこの法律改正になり、しかもこれを周知徹底せしめて実行された結果を見なければもちろんわかりませんけれども、私たちは、昨年の基本問題調査会答申内容をもちろん第一義的に参考にしたわけですが、同時に、警察自体で過去の事故分析を行ないまして、その事故原因になった部面をなるたけ取り除こうという趣旨で考えた案でございますから、これが通れば何割減るかというようなことは、これはちょっと私は予見できないと思いますけれども、まず、この提案理由の第一に書いてございまするような、たとえば二輪車等運転する場合、あるいはそれに同乗する者について、ある一定のところにおきましてはヘルメットをかぶせるといったような構想は、全く従来の事故分析に基づいた結果でございまして、従来の事故の中で、その一番おもなる死者について考えてみますと、その半分近くが歩行者ないしこういうものの事故でございます。しかも、これは当然の話でございますが、死に至ったものの原因を見ますと、頭部を擁護していなかった、保護していなかったということによる死亡原因というものが、そのまた大半というか、ほとんど九割以上でございますから、それは自分の不注意でころんで死ぬというものもありましょうけれども、そういう原因は別として、死者を減らすのには、こういうものについて頭を打たぬようにするがいい、頭を打っても、その衝撃が少ないようにしようということで、これは罰則はございませんが、まず第一にそういう考えをしたというようなところも——こういうようなのが交通行政上一番重要なことであるかどうかということは議論がございましょうがとにかく、こうふえてきた事故死についての対策としては、手っとり早いものだとして考えたようなわけでございます。  第二の、運転免許云々というようなところも、ほとんど性能が普通のものと変わらないような優秀、一面においては優秀でございますが、一面においては危険な性能自動車等が、従来はその型が小さく、馬力が弱いといったようなことで特別に簡単にあやつれたといったようなことも、やはり事故原因の大きなものになっているといったようなことから、これはやはり普通と同じような修練を積まして運転をさせようというようなのがねらいでございます。  それから第三の、国家公安委員会云々というのは、やはり高速道路等の発達に伴いまして、個々の府県であまりにも違った考え指導をしたのでは、運転者自身に非常な迷惑であるといったようなことから、ある程度を限りまして、中央の指示を認めるというような考え方でございます。  それから最後の車いす云々というのは、オリンピックを契機としまして、わが国におきましても、身体障害者等が、従来は家に引っ込んでおったというような者が、外国の事例を見て、大いに外に出るというような機運が出てまいりまして、車いすを利用する者がある程度出てきた、これをほうっておきますと、当然車道を通らなければならぬということになりまして、これははなはだ危険であるといういうな意味から、うば車と同様に、これは歩行者の通る道を通ってよろしい、通るべしというような規定考えたようなわけでございます。  全体を通じて言える思想は、先ほど来申し上げましたように、これだけで、いかほどの効果があるかということは、計算はできませんけれども、とにかく激増してくる事故及び事故死を何とかして減少せしめたいという念願から出た改正でございます。
  7. 市川房枝

    市川房枝君 いまお話を伺いましたけれども、今度の改正の主たるものは、むしろ車に乗っている人のほうが主であって、歩行者、一般の国民の側から言いますというと、その事故を減すほうのことの考慮は少ないように思うのですけれども、どうなんですか。簡単に言えば、加害者のほうのといいますか、車に乗っている人の被害はこれで幾らか少なくなるのかもしれないけれども
  8. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 被害者といいますか、加害者といいますか、自動二輪車等は、加害者であり被害者であるというような場合が多いのですが、加害者の側に回るものをある程度制限して、被害者のほうの役に立てようという規定は、第二の、従来簡単に取れたような免許を相当厳格な免許に改めて、加害者になるべき人間について十分な修練を積ませる、こういうように提案理由の第二に書いておりますのは、主としてこれは加害者を救おうというあれでなしに、被害者保護というようなたてまえでございます。それから昨年のやはり道交法改正で、被害者保護というか、主として歩行者保護につきましても、ある程度改正をいたしておりますので、あの分を十分励行させるということと、被害者保護には、被害者というか、被害者のうちの歩行者につきましては、この道交法のたてまえよりは、むしろ私たち側面から協力することによりまして、施設の面の拡充というようなことをやらないと、道交法に関する部面を幾らいじりましても、歩行者対車というのは横断の場合以外にはありませんから、あるいは歩道と車道の区別のないようなところしかございませんので、やはりそういうものは施設の面で十分な考慮をすることによって、この法律の面と両々相まって事故防止ができていくと、こういうふうに考えるわけでございます。
  9. 市川房枝

    市川房枝君 警察のほうになお伺いますけれども、ちょうど総務長官おいでになりましたのでお伺いしたいのですが、総理府交通基本問題調査会をおつくりになりまして、これは昭和三十七年の八月でありましたか、一年半かかって三十九年の三月に答申が出たようでございます。まあ当時の総理の池田氏に出ておりますが、これを拝見しますと、会長の島田さんはじめ委員の方の御苦労で、だいぶいろいろよく御調査になっておりますが、政府としてはこの答申の中のどの点を実施にお移しになったか。この答申が出ましてから、予算の問題についてもちょうど四十年度の予算には間に合っているはずでありますし、あるいは法の改正についても準備はできたはずでありますが、どの程度これが実行に移されたかということを伺いたいのでございます。
  10. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) いまの御質問にお答えする前に、先日加瀬先生から御要求がありました自動車損害賠償保険に関する資料について御報告申し上げますが、その第一の外国保険制度に関するものは、これはもうすでに出してございます。それからその二の賠償保険に関する政府の今後の構想についてということでございました。それは昨年の春、重傷者について三十万円が五十万円、それから死亡者について五十万円が百万円に増額されたわけであります。これについてはもちろん私どももそれで十分だと考えておりませんが、何分にも昨年春上げたばかりでございまするので、これからこれをさらにどうするかというような問題については、十分現在検討中なものでございますから、資料として提出できる段階には立ち至っておりませんので、いずれそういうものはまとまりましてから出したいと考えております。  それからただいま市川先生の御質問の、交通基本問題調査会答申が昨年三十九年の三月に出ました、これに対して政府としてどういうことをやってきたかという御質問でございます。この交通基本問題調査会答申は、第一編が交通体系整備ということと、それから第二編が大都市交通対策、それから第三編が交通安全対策、こう三編になっているわけであります。  交通問題につきましては、ことに大都市に人口が集中する結果、非常に大都市中心にいろいろの、通勤者の輸送の問題とか、あるいは自動車が非常に混雑するとか、そういうような問題等がありまするので、この貴重な答申に基づきまして、各省それぞれできるものから先にやっているわけでありますが、その中で、第三編の交通安全対策の問題ですが、これにつきましては、この答申の第一項目にうたってございますように、人命尊重という見地から、特に私どもとして力を優先的に入れているわけでございまして、その内容としては、第一には、交通安全施設整備、それから交通安全活動推進、いろいろ従来も交通安全協会政府といろいろやっておりましたけれども……。それからまた交通秩序確立、さらに救急医療対策確立というものに重点を置いてやってまいりました。本年一月十三日には、交通事故防止の徹底をはかるための緊急対策というものを決定いたしまして、いま申し上げたような内容の、特に道路交通環境整備拡充、それから交通安全活動推進とか交通秩序確立被害者救済対策被害者に対するアフター・ケアというような問題についても一そういろいろやっていかなくちゃならないということでございまして、大体五つの柱を中心にやっているのでございますが、この答申の第三編第二部第四でございますかに、国民の理解と協力を得ることが必要ということで、これはもとよりひとり交通安全問題に限りませんけれども政府だけの施策だけではどうしても効果をあげることができませんので、どうしたら国民協力を一そう得ることができるかという問題につきまして、そこで交通安全国民会議というものを総理が議長になって開催して、そうして広く国民の交通問題に関係のある全国的な団体の代表の方にお集まりいただいて、そうして意見をまあ聞く、その中にはもちろん被害者とか、あるいは緑のおばさんというような方までお出いただいたのですが、そうして第一回を三月十三日もやりました。これにつきましては貴重なる御意見を伺い、また各御出席の組織されている団体を通じて、ひとつ御協力国民にいただくように特にお願いを申し上げたわけでございますが、なお、これはまあ全国的な規模における会議でありますが、地方都道県——東京都などは私ども国民会議をやる前に、すでに先に都民会議といいますか、交通安全都民会議——名称はどうだったか知りませんが、これを実施いたしまして、そしてこれを全国的にやってもらいたいということで、自治省を通じまして、これが行政指導でやっていただけるように要請をいたしたわけでございます。そしてこの問題に関する予算の問題ですが、やはり予算裏づけというものが、ことに交通安全関係施設整備については必要でございますので、これにつきましては四十年度におきましては約二百三十二億五千万、三十九年度に比べますと約十一億九千万円の増となっております。それから救急医療対策につきましては約千二百万円、対前年度約三百万の増ということになっております。このほか交通警察体制の強化とか安全教育推進等、それぞれ前年度に比しまして増額が行なわれましたが、国鉄におきましては踏切対策として約百十九億八千万円、対前年約三億三千万円の増を計上いたしておるわけであります。それから答申の第三編の第一部第三項に交通安全行政のあり方で指摘されております問題につきましては、総理府交通対策本部がございましてそこでやっておるのでございますが、強力な総合調整機能を果たすような機関を設置することが必要だろう。問題は、実際に各行政機関でよいことはどしどしやっていただくとともに、はたしてこれが十分やったかどうかということを追跡することが必要でございますので、それで現在、総理府機構——とりあえずどういう機構でこれをやったらよろしいかということで目下検討中でございますので、いずれ近日中にこれが決定を見ると存じますが、そういうふうにして、現在私どものほうでも、交通対策本部でも、人手が足りませんので、交通関係方面の人に、庁内の者に応援してもらったりしていろいろやっておりますけれども、そういうふうに、まあ各方面でできるだけの努力をしておるわけでございます。  一応概略的な御説明でお答えにさせていただきます。
  11. 市川房枝

    市川房枝君 いろいろ御説明をいただいたのですが、先だってからその交通安全国民会議というものを総理会長でお開きになっていることも新聞で拝見をしております。まあ世論を喚起するのにはこれも役に立つと思うのですけれども、ただ皆さんが御意見をおっしゃる程度といいますか、あるいはまあ皆さんもお出になるかもしれませんけれども、私はあまり続かないと思うのです。まあこの交通事故の問題、国民が一番心配している交通事故の問題は、私はいまさら議論の時代ではないのではないか。一応こういうことも私はけっこうだとは思いますけれども、これで何か結果を御期待願っても、あまり得られないのではないか。むしろこういう方面に力を入れておいでになると、私はあまりやる気がないのではないか、お逃げになっているのではないかという気がするのですけれども、いまおしまいのほうでおっしゃいましたように、交通基本問題調査会答申の、いまのお話の第三編の「交通安全について」の以下に、いろいろな具体的なことが述べてあるのですが、これは各省にわたっておりますので、なかなか私どもはどこで何をやっておいでになるのかよくつかめない。どこがどれをどこまでやったんだということをまとめて、そうして促進をしてくださるのは、これは総理府役割りなんで、この点はここまでやったんだ、来年はここまでやるのだというふうに、それを私どもに、国民にお知らせいただくということになっていかないと……。それにはもちろん必要な予算なり法の裏づけをつけたものをしていただかなければ前進はしないというふうに考えるわけなんですが、私は国民立場で、いまお話の中の救急医療の問題、これは一体具体的にどういうことですか、救急医療対策ということがございましたけれども
  12. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) いま申し上げましたように、昭和三十五年ごろ、やはり交通事故の増大が非常に問題になりまして、そこで国会でも御質問等があったわけでございます。この交通問題は、いまお話のように各省庁にまたがる問題でございますので、そこで総理府交通対策本部をつくり、それから臨時交通閣僚懇談会をつくりまして、また大いなるキャンペーンの結果、三十七年にはだいぶ成績がよくて事故が下がった。ところがその後また上がってきちゃった。昨年は記録的な悪いほうの記録が出たわけですが、そこで、今度はこれをできるだけ絶えずやることが必要である。そこで、一番国民にキャンペーンする有力な機関は、何といってもマスコミでございます。幸いに非常に各方面協力をいただいて、今年に入りましてから死者負傷者減少というようなことで、東京都などは非常に成績がよろしいのですが、ただ、地方にはそれがふえているところがあり、全国的に問題がまだまだあるし、東京都においてももっと減らなければならぬわけでありますが、そこで交通対策本部では、私、総務長官本部長ということになっておりますが、交通関係運輸省、それから警察庁厚生省文部省、そういうふうな各省次官クラスの方、それから幹事会がありまして、さらに実際に扱っている局長課長というふうなクラスの方に集まっていただいて、そうして総務長官中心になっていろいろ立案をし、報告を受けて企画を立てるというようなことをやっているのですが、しかし、これはなかなかこれだけで十分じゃございませんから、いま言ったように、新しい機関機構をつくるようなことにしたい、こういうことで検討中でございます。その一つとしての、いま御質問負傷者に対する予後対策、まず事故負傷者ができたら直ちに救急車が出ていく、そうしてできればもう車の中ででも治療がある程度できるように、応急処置ができるように、また車から本部のほうへ連絡し、収容の病院のほうにもすぐ連絡がとれるように、こういうふうな方向で警察方面また厚生省方面におきましても、やはり後遺症、特に頭部負傷については後遺症が残りますので、これに対して手当てをして、訓練をして、後遺症ができるだけ残らないようにするような研究をしなきゃならぬ。それには、やはりできれば総合的な研究機関といったようなものを設ける必要がある。これはまあ基本問題調査会答申にもそういうことが出ているはずでございますが、そういうようなことを、これは厚生省方面の特に御尽力をいただき、また研究機関としては文部省あたり科学技術庁あたりで、できるだけそういう研究をして、科学的にひとつ処理を進めていただくようにしたいということで、お願いしております。で、いま申し上げたような、事故の現場から病院というようなことについては、相当最近は各都市において、まあ大都市ですが、充実しつつあるようでございますが、しかし後遺症問題等については、まだまだ研究を要する。ただ、私千葉県におりまするが、千葉県でも国府台病院などでは特にそういう研究、それから下総療養所でも、あそこは戦時中の頭部負傷者療養所でございますから、全国的にああいう機関も相当あると思いますから、そういうところで交通事故によるそういう負傷者方々の、特に頭部関係、これの研究をし、対策を練っていただきたいということでやっておるのでございますが、決してまだこれが十分行き届いているわけではございませんで、これからが問題でございます。
  13. 市川房枝

    市川房枝君 十三日の朝でしたか、NHKのラジオを聞いておりましたら、名古屋の大学の渡辺教授だったかと思いますが、この問題をお取り上げになってお話しになっていました。それを伺っていますと、交通事故重傷者についてのといいますか、あるいは死傷者なんかについての調査をすると、少なくともその死亡者のうちの二割は死ななくても済んだ、助けられたんだと、こういうことをおっしゃっておりました。これは私は家族の人たち、遺族の人たちが聞くと、ほんとうに残念だといいますか、つらいといいますか、なぜそれを政府のほうで助かるものを助けるようにしてくれないのかと考えおいでになると思うのです。いまのお話ですと、だいぶ前からそういう点の調査に着手しておいでになるということなんですけれども、しかし現在でもそうなんだということは、私はやはり国民に対しての親切といいますか、が足りないのじゃないか。もっとそういう問題を迅速にやっていただきたいということをお願いするわけなんですが、国民立場からいいますと、そのいわゆる被害者に対しての援護といいますか、援助といいますか、さっきの答申おしまいにも「被害者援助機関の設置」ということが出ておるのですが、これは具体的にはどこにもできておりませんか、どうなんでしょうか。
  14. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) この援助という意味については、要するに損害賠償を請求し得る者がそっちの方面の知識がないとか、あるいは資力がないということで、せっかくそれだけの当然損害賠償を要求し得るのに、間に事件屋などが入ってきて、いいかげんにされちゃうというような問題等に対する一つのやはり援助という問題がございます。で、これにつきましても、現在たしか財団法人で、何か法律のほうの相談に乗るような機関もありますけれども、これはもっと広く、簡単に、手軽に相談のできるような機関というものをやはりつくる必要があろう、そうすれば、その賠償金を受けて治療も十分できる、こういうことになりまするので、その問題と、それからもう一つは、そうしたあとの治療等でございますね、これもいま申し上げたような賠償との問題もありまするけれども、これがやはり専門の、ことに頭部の、いま市川先生お話しの、助かるべきものが助からなかったというのは、ほとんどが——もちろん出血多量で早く手当てをすれば助かったものを、というようなものもあるでしょうけれども——よく頭の負傷だというと、そのときはたいしたことない。ところが、わずかな血管でも切れているために、それが出血してきちゃって、静かにしていればいいものを、動いたのでとうとう死んでしまうというような例もあるわけでございますので、ですから、それに対してはやはり特に頭の精密検査といいますか、そういうものができるようなあれになれば、それが相当助かるわけなんですが、それと、予後治療に対しても、どういうふうな援助をしていったらいいかということの二つの問題があると存じますが、これに対しては、警察あたりではある程度それをやっているようでございます。やっているようですけれども、決して十分でありませんので、いまお話しのように、ほんとうにお気の毒なこういう方々に対するできるだけの公的な援助ができるように、もちろん医療保険等によってのそれぞれの救済策はあるはずでございまするが、それらの点についてもひとつ十分研究をして対策を講じてまいりたいと思います。
  15. 市川房枝

    市川房枝君 この答申では、あるものを強化しろというわけでなくて、「援助機関の設置の検討が必要である」と、こう書いてあるのですから、ないということになるのですけれども、いま警察で幾らかやっているかもしれぬとおっしゃいましたけれども警察はやっておりますか。
  16. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) ただいまの総務長官から御答弁のございました被害者の要するに損害賠償請求等に関しまする援助でございますが、これは都道府県の交通安全協会等におきまして、交通相談というような名目で多少の御援助はやっております。ただ、直接に損害賠償の問題になりますと、これは弁護士等の関係もございますので、弁護士会等とも連絡をとりながらやるように私のほうでは考慮いたしております。
  17. 市川房枝

    市川房枝君 まあ警察の外郭団体に安全協会というものがあって、そこの規約の中に交通事故被害者援助という項目が入っておることは承知をしているのですが、しかし、まあこれは調べてみると、別にたいしてやってはいないので、ただ、東京都の交通安全協会の場合は、都からの委託補助金でもって何か交通相談のようなものを警察の中で何カ所かやっているのですね。ところが、そこを私の友だちの一人の秋山さんでしたか何か、見に行ったところが、そこへ相談に来ていた三、四人いたんだけれども、いずれもこれは加害者なんです。加害者といいますか、ひいた、けがをさせた運転手の人といいますか、そういう人が相談に来ていたのであって、被害者のほうではなかったということを言っておられたということです。大体被害者は、ひかれた場合、また、それが死んだという場合、あるいは重傷だったという場合には、全く転倒しちゃって、てんやわんやで、すぐ飛んでいって相談するなんていうような余地がないんですね。時間的な余地もないし気持ちの余地もない、相談に行くのはよほど時がたってからということになるわけなんです。そして結局は、いまお話しのような示談屋といいますか、に、言いくるめられちゃって泣き寝入りというようなことで、損害賠償もたいして破れない、非常に気の毒な場合が多いのです。だから私は、少なくともこれは政府機関国民の味方になって考えてくださらなければならない、こう思うわけなんですが、しかし、この答申の中の「運転免許処分の合理化」というところなんかに、加害者といいますか、事故を起こした運転手なんかの免許についてのことでここに案が出ておりますが、「悪質又は常習的違反者については、行政処分の強化を図るとともに免許申請制限期間を一年以上に延長し、又は無期限とする措置を検討すること。」云々ということが出ておるんですが、この間、私、警視庁の聴聞会を傍聴に上がったのです。そして一時間半ぐらい傍聴したのですが、そこでいわゆる停止あるいは免許の取り消しの処分を公安委員がなさるのを伺い、また、決定をなさるところにもいて伺ったわけですけれども、あの免許制度にも、いまのここに言っておるようなところまでいってないんですね。ずいぶん不合理なところといいますか、違反を何べんもやってきたと、けれど一年間たてばみんな御破算になっちゃって、免許取り消しは一年間だけたてばまた試験を受けて、通ればまたそれで営業ができるのだと、何べんでも繰り返しできるので、そんなに悪い人は、まあその運転手の人としては生活問題もありますし、気の毒なんですけれども、どうしてもそれは、そういう職業ではなくて、ほかの職業のほうへ変わってもらうということで、私は、やっぱり大事な人の生命を預って運転をするには不適当な人であるということについては、もっと厳格にしていただきたい、こう思うのですけれども、それは警察のほうはいかがですか。
  18. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) おっしゃるとおり交通行政のうちで一番立ちおくれておりましたのが免許行政でございまして、基本問題調査会で指摘されておるような意味合いの欠陥は、私たち自身も感じておったわけであります。そこで、昨年から本庁におきましても免許行政の検討のために一課を設け、いろいろ検討をいたしました結果、今度の改正案の提案理由の第二に述べられておりますようなことも、そういう結果出てきたわけでございます。それからもう一つ能率管理課という課を設けまして、現在そこで、ただいまおっしゃったように、Aという運転手、Bという運転手がA県、B県、C県にわたってどれぐらいの違反なり事故なりを起こしておるかということの把握が現在まで実はできていない、これもできるだけ広範囲に早く取ろうということで、電子計算機で現在その作業をやっております。そこである程度積み重ねた違反に対しましては、行政罰を加重するとか、あるいは極端な場合には一年間——これは永久に受けさせないというようなことがはたしていかがなものであるか、これは検討の余地がありますけれども、いまおっしゃったように、取り消されてもすぐ一年たったらまた取ってきて、取り消しの事由になるような事故を起こさないようにするとか、あるいはそれを三年にするとか五年にするとかいうようなことは、私はどれくらい繰り返しておるかという実態をまず把握して、この次になりますかその次になりますか、また御審議を願って、そういう問題は解決していきたい、こう考えます。  市川先生が御見学になったという公安委員会の聴聞会は、行政処分のごく一部でございまして、これは御承知のように、一定期間以上の停止及び取り消しの者に限ります。東京都あたりでは六十日以上の停止、取り消しの分をおやりになっておりますが、これだけでも各県にわたって、悲鳴を公安委員会が現在あげられておりますのは、この聴聞会の趣旨に従って慎重にやろうとすれば、大体御老体が多く、ほかの仕事を持っておるというような方が多くて、何とかならぬかという御意見会議ごとに出るような状態でございまするけれども、それほど多いわけでありますが、これはやはり繰り返す違反に対する行政制裁というものが必ずしも当を得ていないというようなところからも来ていると思いますから、十分研究いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  19. 市川房枝

    市川房枝君 いま長官おっしゃいましたように、公安委員がその聴聞をなすっておいでになって、お話のように、私もたいへん御苦労だと思いました。一々質問をなすって、大勢の人に次から次へとなすっている御苦労、お話のように御老体の方が多いものですから、たいへんなお骨折りだと思って少しお気の毒に思って、これは何とかならないのかということも感じたわけなんですが、話を伺っていまして、あれは別に裁判のほうとは、もちろん行政処分ですから、何も関係ないわけですけれども、私ども非常にしろうとがああいうのを傍聴していて、裁判とは全く関係なしに、停止あるいは取り消し処分になっている、どれぐらい裁判の結果判決になっているかということが全然別個に行なわれているということ、多少参考になさるということは必要ないのかなという感じも持ったし、あるいはあそこで聴聞のときに、公安委員が本人にその事実を説明して、これで間違いないかと御質問になったときに対して、そのとおりですと、ほとんどそれを否定した者はなかった。一人ぐらいはちょっとありましたけれども、ほとんどなかったのですが、これは警察のほうでお調べになったからそのまま肯定、正しく報告されているのかとも思ったのですけれども、これまた被害者の側からいいますと、これは被害者の言い分とまたちょっと違うのじゃないかとも思ったのですけれども、あそこにはやっぱり被害者の言い分というものも、一体警察の中に入っているのかしらと、いや被害者のは、さっき言いましたように、死んだ場合にはほとんど口はないから、何にもその場合どうだったということは言えないし、あるいは重傷の場合もこれも言えないし、結局加害者といいますか、生きているほうの言うことが大体そのまま通っていく。こういうようなことになると、そこでやっぱり不公平といいますか、国民の側、被害者のほうが分が悪いといいましょうか、そういうような感じがしたのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  20. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これは裁判の場合でも同様だと思いますが、ああいう事故のありました場合に調べますのは、まず聞くのは加害者被害者が死んでおれば被害者の口はございませんけれども、及び目撃者というものの考えを聞いて、それを警察官が判断をいたしまして公安委員会のほうに出すわけでございますから、一番心配になるのは、かりに深夜、被者者と加害者だけしかいないというようなところで死亡事故というようなのがあったというような場合は、おっしゃるように被害者のほうが飛び出したんだとか、あるいはふらふらしておったのだとかというようなことをやはり、言うだろうと思います。したがって、ふらふらしておったというのは、酒でも飲んでおったのかというようなことをやはり調べて、実は飲んでいない、むしろ飲んでいたのは加害者のほうだというようなことで、一方口をなるたけ信用しないような取り調べ方をして、ああいう結末をつけているわけでございますが、聴聞会と申しますのは、関係者、あるいは関係者じゃなくてもそれに興味を持つ人は、だれでも入れるものでございますから、特定の事故について関心を持つ方であればお入り願ってけっこうでございまするから、特別にその加害者の肩を持って警察事故記録をつくるということは私はないと考えております。
  21. 市川房枝

    市川房枝君 そうあってはならないと思いますが……。
  22. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  23. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  24. 市川房枝

    市川房枝君 もう少しでやめます。これはまあ総理府総務長官に答えていただいたほうがいいのですが、事故が起こる場所というのは、たいていきまっていますね。同じようなところでいつも起こるといいますか、あそこは魔の踏み切りだとかなんとかいうようなことをいわれるのですけれども、そういうことを言わせるといいますか、そういうところが多ければ、すぐそれに対する対策を早くつけるといいますか、それはまあまあある程度金も要るかもしれませんけれども、私はそういうことばが出てくるということが大体おかしいと思うのですけれども、早くできないものかどうか。これはある方から聞いたのですけれども、たとえば道路なんかで、道路の曲がりかどがあって、それでそこにいつもひっかかって事故があるというようなところなんかは、そこの道路のすみを切ったらどうなのか。それならばたいして金もかからないし、めんどうもないし、そういうのはそれこそ自衛隊を使ってやれば、そういうのはまたたく間にできてしまう。いわんやそれが国道の場合といいますか、国の所有地であれば地所の問題もないし、そういうふうな応急の対策といいますか、政府ほんとう交通事故をなくして、人命の損傷を少しでも少なくしょうという何かそういうふうな思い切ったといいますか、そういうような方法というものはできないものかどうか。これはまあ今度特に総理がこの問題に力を入れていてくださるということのおことばを伺うし、宣伝でも伺うのですけれども、もっとそれを具体的に事実で示してもらいたい。佐藤さんがこういうふうにやって減ったんだというようなことを何か見せていただきたいと思うのですが、いま私が申し上げたようなことはどうなんですか。
  25. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) 交通安全対策については、私どもしろうとが考えても、こうやったらよかろう、ああやったらよかろうということがございまして、いまの先生のお話どもその一つなんで、ですから、これを迅速にてきぱきやるということが……。まあしかしこればかりに限りませんけれども、これはおくれればおくれるほど、それによって(この間も)七号線に行ったら、やっぱり事故がなければ対策をやってくれない、あそこに信号をもうちょっと早くつけてくれれば自分の子供は助かった、こういう方もあります。そういう意味で、今度機構を私ども考えておりますのは、やはりいいこと、これはやるべきだということがあれば、ひとつてきぱきやっていけるようなあれにしたいと、こう考えていろいろ検討しておるわけでございます。
  26. 市川房枝

    市川房枝君 事故の問題でいわゆる普通のタクシーとそれから個人タクシーとを比較すると、個人タクシーのほうが非常に事故が少ない、こういわれておるのですが、その数字的なもの、おありになりましようか。
  27. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) ただいま数字は持ち合わせございませんけれども、個人タクシーを免許する場合には三年間無事故とか、そういうことがございますので、優秀な運転者が個人タクシーの免許を受けるということでございますので、数字はありませんけれども、個人タクシーのほうが少ないということは言えると思います。
  28. 市川房枝

    市川房枝君 それは私、警察で数字がないのじゃなくて、はっきり取ってほしいと思うのですが、それは大体十分の一というふうに伺っておるのです。ある程度の数字もここに持っておるのですが、私どもはまあ普通、タクシーに乗るときには個人タクシーが来れば個人タクシーをよって個人タクシーに乗ります。そのほうが事故が少ない、こう考えるからなんですが、そういう点で個人タクシーがもっとふえることを私ども国民立場からいうと望むのですけれども、これはまあその免許のほうの運輸省の問題でしょうけれども運輸省のほうはいかがですか。
  29. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 現在全国の各都市におきまして、この三月三十一日現在では、個人タクシーが九千五百三名ということに相なっております。御承知のようにこの制度は三十四年度から始められた制度でございますが、逐年ふえてまいりまして、いま言うような数字になっております。なお最近におきましても相当申請がございますし、まあ先生が御指摘のように非常に優秀な人たちを個人タクシーとして免許するわけでございますから、今後も個人タクシーをふやしていくというようなことにつきましては、従来の方針どおり推進をしていきたいと思います。
  30. 市川房枝

    市川房枝君 いま東京の陸運局関係に個人タクシーの申請がずいぶんたくさん出ておると思うのですが、どのくらい出ておりますか。そうしてどのくらい申請してから期間がたっておりますか。
  31. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) これも三月三十一日現在でございますが、たとえば東京都内におきましては四千五百四十一人、神奈川県におきましては四百三十九人ということで、東京陸運局管内におきましては、その人たちが申請を出しております。いまの事務のスピードにおきましては、おおむね十ヵ月ないし一年程度免許をしているような状況でございます。
  32. 市川房枝

    市川房枝君 個人タクシーの申請には、何といいますか、免許の条件がなかなかむずかしいのですね、車庫を持っていなくちゃいけなかったり、あるいは現金の用意をしていなくちゃならないということで、免許の申請をする人たちは、くめんをしてそれをやっているらしくて、その免許が、いまお話のように、十ヵ月ないし一年間もかかるので、それだけの間、車庫の借り料を払わなけりゃならない、あるいは金を借りておるとすれば、その間、利息を払わなけりゃならない。こういうことになると、だいぶ困っている人がたくさんあって、私は、ことに先般、そういう人たちの家族の人たちからの陳情を受けたのですが、非常に困っている、それで、何とか早くしてもらいたい、こういう陳情があったのです。それで、いま運輸当局としては、だんだん審査をして許可するとおっしゃったのですが、私が持っている交通新聞によるというと、当局はもう個人タクシーの免許をやめるというのですか、いや、これは東京乗用旅客自動車協会が免許をやめろと陳情しているということですか、これはどうなんです。
  33. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 御質問の点はたくさんあると存じますけれども、最後に御質問の点でござ  いますが、既存のいわゆる法人事業者におきましては、免許に対しては反対の陳情等をいたしておりますが、当局におきましては、そういうふうな方針を決定したものではございません。  なお、御質問の中で、免許に際します制限等の点でございますが、これは、制度が当初開設されましたときにおきましては、いろいろまだ状況がわかりませんので、ある程度シビアーな条件等もありましたが、現在におきましては、それを逐次緩和いたしまして、実態に沿うように運用いたしておりますので、大体合格率は七割程度を示しておるような次第でございます。  それから御指摘の、車庫等を長期間借りておるという点でございますが、これらの点の緩和につきましては、今後陸運局に開設されます自動車運送協議会等におきまして、いろいろ御相談をして、適正な方向を見出していきたいという考え方でございます。
  34. 市川房枝

    市川房枝君 免許なさるときに、新聞なんかで拝見するのですが、いわゆる会社の側へ何台、個人タクシー何台というふうに配分しておいでになるようですけれども、私ども国民の側からいいますと、会社側でなく、事故が少ない、いい運転手、そういう個人タクシーに、少なくとも、東京だけでも四千五百人も待機している人があるとすれば、そういう人たち免許をしてくださるほうがありがたいと思うのですけれども、そういうわけにはいきませんか。
  35. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 一昨年あたりまでにおきましては、自動車運送協議会の答申によりまして、自動車の場合の配分を既存に対しては何両、新免の法人に対しては何両、個人に対しては何両というふうなきめ方でございましたが、いま御指摘のような点等もございまして、ただいまにおきましては、そういうふうな割り当てのもとに個人を何名免許するというふうなことでなくて、申請の順序に応じまして、合格する人は免許していくというふうな方針に切りかえてやっておる次第でございます。
  36. 市川房枝

    市川房枝君 私も五、六年前に一度運輸委員をやっていたことがあるのですが、そのころには、一台について、ナンバープレートといいますか、あれの権利金が二百万円しておったのです。そこで、その免許を受けるということは、それでもうかることになります。まあ、すぐ売れないことにはなっているらしいけれども、そこはいろいろ方法があって、現実には、その権利が売り買いされておるということを聞いておったのですが、そこで、非常にその免許の問題が、利益関係からやかましくなってきている。いまそういうものはだいぶ安くなっているという話は聞いているのですけれども、どうなんでしょう。
  37. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 先ほど申し上げましたように、審査の方法等を転換いたしまして、特に昨年はオリンピックを控えた関係等もございまして、三十八年、九年におきましては大幅に増車をいたしました関係上、あるいは過去において若干いま御指摘のような点もあったかと思いますが、現在におきましては、そういうようなことは解消されたと考えております。
  38. 市川房枝

    市川房枝君 個人タクシーも何かの場合に譲渡を認めるようなことがあるそうですけれども、それはどうなんですか。
  39. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 個人タクシーにおきましても、本人が健康上もうこの事業を継続できないというふうな場合におきましては、譲渡を認め、また、死亡のときにおきまする相続におきましても譲渡を認めておるような次第でございます。
  40. 市川房枝

    市川房枝君 個人タクシーを認めるというのは、要するに、その運転手の方の技術に対して免許しているわけですね、それで、その方が病気なり、あるいは死んだとすれば、その技術はなくなっちゃった、こういうことになるので、それが、一つの遺産みたいなかっこうで売り買いされるということは、どうも私納得できないのです。そうすると個人タクシーというものも、一つの権利の対象になってしまう。そこに問題が実はあると思うのですが、それはどうですか。
  41. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 譲渡を受けるほうも、だれでもというわけではないのでございまして、譲渡を受けるほうも個人タクシーの免許を受けてやる場合と全く同じように、適格者でなくてはならぬということであります。それから、譲渡するほうが、せっかく車庫あるいは車両を持っておるわけでございますから、そういうふうな物件を新しく譲渡を受ける人に譲ってやるというふうな考え方でございますので、ただいまのところ、御指摘のような弊害は感じていないということでございます。
  42. 市川房枝

    市川房枝君 車庫を売るということは、それはかまいませんね。でも、まだちょっとそこのところは私は納得しかねるのですが、これが権利ということになりますと、この申請者に対しての認可という問題が、まためんどうな問題ということになってくるから、あらためてまた私はもう少しこれは勉強してみたいし、伺いたいと思うのです。  それから警察に。これは最後にしたいのですが、二十日の新聞に、これは「読賣」を私はここに持っておるのですが、「陸運局元係長を逮捕、新免汚職、タクシーにも拡大か」ということが出ておりますが、いまのタクシーの免許、これは個人タクシーにはないと思うのですが、いわゆる法人の大きな会社なんかでは、それこそ免許を受ければ一種の−権利金はもうないと、さっきおっしゃったのですが、私が聞いているところでは、いま安くなったけれども、やはり四、五十万円はするということであり、そうなるというと、この免許の際にわいろを使うというようなこともあり得ると思うのですが、そこで、「新免汚職タクシーにも拡大か」ということになっていますけれども、これはいま捜査中のことはちょっとおっしゃれないかもしれませんね、警察いかがですか。
  43. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) まあ交通局の関知しないところだと思いますが、刑事局のほうであるいは心得ていることだと思います。詳しいことば私にもまだ報告がございません。新聞で知っている程度でございます。捜査中だから言えないというのじゃなしに、まあ普通の犯罪があったものとして普通のとおりやっているものだと考えております。
  44. 市川房枝

    市川房枝君 そういうことはあり得るとお思いになりますか。
  45. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もちろんあり得ることだと思いますし、そういう捜査をしているとすれば、少なくと警察としてはあり得たものとして捜査をしていると考えます。
  46. 市川房枝

    市川房枝君 それは運輸省の問題ですね。運輸省のほうの免許を担当している者としては問題になると思いますけれども、そういうことはあり得ますか、現実に。
  47. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 現実に新聞に報道されておりますように、ある係官が取り調べを受けておりますが、その内容等につきましては、取り調べ中の事件でございますから、われわれとしてもつまびらかにしていないところでございまして、しかし、この種のことがないように常に注意はすべきであるし、今後も十分注意して運営をしていきたいというふうに考えております。
  48. 市川房枝

    市川房枝君 ありがとうございました。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官にお尋ねをしますが、交通安全国民会議ですね、さっきもいろいろ話がありましたが、これは地方にまでこういうものを設けてやっていくというお考えのようでございますね。すると、地方でやっていく場合に、いま政府で、中央でやっているようなこういう形で開催されるのですか。そこら辺一体どういうふうになりますか。
  50. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) まあこのねらいは、先刻も申し上げましたように、一つは、意見交通関係の方から聞くということとともに、それらの出席者の組織を通じて協力をしていただく、そうしてまた、それを機会に、新聞等でも一般の地方の県民なり市民なりに、そういう意識というものを十分注意を喚起したいということにねらいがあるわけでございますので、したがいまして、これはやはりできるだけ各方面においてやっていただきたいということが希望でございまして、その詳細については別にどうということをこまかく指定するわけではもちろんございませんで、これは先ほど申し上げましたように、自治省を通じてそういう要請をしていると、こういうことでございまして、まあ中央でやった参考資料等をお送りして、これを参考にしてひとつ各自適当にやっていただきたいということであります。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもこれは少しはっきりしないのですがね。意見を聞く、それから関係団体等からいろいろ協力をしてもらうと、こういう二つのねらいがあるようでありますが、意見を聞く、あるいはその意見を取り入れていろいろ対策を講じ、施策を講じていく、どこでやります、それは。
  52. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) まあ国民会議のほうは、総理府でこれを事務的に取りまとめまして、そうして各省庁のほうにもこういう意見があるということを流して、それぞれ適当なものはこれを取り上げてもらう、また、交通対策本部におきましてもこれを研究して、適当なものはそういう方面に、ひとつ実行に移すように要請するとか、こういうことでありますので、地方におきましても、地方のやはりそれぞれの交通関係の取り締まりの、たとえば警察とか、あるいは交通安全に関する方々とか、あるいは県庁、市町村、一般にできるだけひとつそれに協力していただく、こういうわけでございます。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 何か聞いていると、ふわっとしたやつでね、たよりのないような感じが率直にするのですがね、その意見を取り上げるところ、あるいはその意見に基づいていろいろ対策を立てるというところ、これはまあ総理府意見を聞いて各省にやるとか、対策本部でもやるとかというようなことを言っておりますが、やはりこれはどこかで意見を、どう評価していくかということについては、きちっとやる場所がなければいかぬと思いますね。と同時に、それを現在のようないろいろの機構の中で、これは各省いろいろなそれがありますから、そういう各省関係機関に対して、一体どうさせるのか、こういうことまできちっとやらないと、いたずらにこういう何か会とか、会議とかというものを設けても、効果の上からすると、これはさっぱり期待できないのじゃないかと感じがするのです。特に私、地方においてこれに準ずる会議を開催するように要請するというのだが、しかもそれはいまお話のように、自治省に頼んで、自治省から指導してもらうのだと、こういうお話でございますね。まあ、いま自治大臣もおられますからお聞きしますがね、一体指導してやってもらうのだというかっこうでどうなるかということですね。というのは、昭和三十六年に地方の都道府県に交通対策協議会をつくれということをやっておりますね。これを実際につくって、しかもいろいろこう実質的な活動をしているというところが幾つあるかというと、これは率直に言って、きわめてお粗末な状態だと思うのです。一生懸命やっているところはありますよ、ありますけれども、全般的に四十六都道府県の中で、一体こういうものを真剣に取り上げてやっているかというと、そうじゃない。いわばこの対策協議会は、すでに三十六年にきめてやってもらっているその対策協議会は、何といいますか、いわば当面の行政的な責任のある人たちが集まってやらなくちゃいけない、そういうことすらだめなんですね。ましてやこの、何のことかわからぬような、意見を聞くとか、御意見を伺わしていただきたいとか、協力していただきたいというような、こういうぼわっとしたやつを地方につくれといっても、一体どうなるかということについて私は非常に心配なんですがね。その点どういうふうにお考えになっていられるか、それからもう一つは自治大臣に、自治省としては地方に対して、一体これの依頼を受けているそうでありますが、どういうふうに指導をしていくのか、そこをひとつお聞きしたいと思います。
  54. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) まあごもっともな御心配と思いますが、御承知のように交通対策本部は、役所内部だけの対策でありますが、やはりそれだけでは効果があがらぬので、国民広くこれに対しては協力を願い、それから交通安全に対する知識を十分に得ていただく、さらにまた、平素の体験からの貴重な民間の意見はこれに取り入れていく、こういうようなこと等のねらいでございまして、これをまた地方でもひとつそれぞれ徹底していただくことが必要かと……。何しろ国民会議のほうは数多くあるうちから四十七名ばかり御出席いただいたのでございますが、地方においてのいろいろ交通安全協会というようなものもありますし、そういう面で特にまたひとつ民間側の意見を反映し、民間側にも協力願って実行をしていただきたいというのがねらいなんでございます。
  55. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 鈴木さんのお尋ねのように、今回の交通安全国民会議に準ずる地方機構と申しますか、組織について、はっきりしないのじゃないかというお尋ねでございますが、実は、法律できちっとしたわけではございませんし、官制的なものでもございませんから、そのきらいは多分にございます。しかしながら、ただいま総務長官からも話しましたように、事の起こりは、一月五日の初閣議に、総理が、何といっても人間尊重のたてまえからいっても事故が多い、何とかしてこの事故をなくす方法はないかというところから発しまして国民会議というような構想になったわけでございます。でありますから、やはり型にはまったものではございませんけれども、もちろん交通の事故を撲滅することは政府の責任でもございますが、同時に、関係者に協力していただかなければできないことでありまして、各方面関係者にお集まり願って終日議論をしていただいたし、また、非常にいい意見もたくさん出たわけでございます。そういうわけでございまして、地方にもやはり知事を中心にしてそういうふうなものができまするというと、一般の世論の喚起にもなるし、また、いい愚見が実際は出るのであります。そうしますと、その愚見を取り入れて施策の上に知事としてもやれるでありましょうしまた、警察の取り締まりの点についてもやれるでありましょうし、また、交通関係の業者もその点において自粛といいますか、協力もできるということでありまするので、組織的にきちっとしたものにならない点はお話のとおりでありますけれども、私は、今日の段階では、そういう一つの型にはまったものというよりも、やはり一般の国民にぶつかって、政府国民も一緒になっていいことをやろうじゃないかということがいいのじゃないかと思いまして賛成をし、地方長官にもお願いしておるわけであります。ちょうど昨日この交通安全宣言都市の代表者会議がございまして、私も総務長官も出て、いろいろと意見も聞いてみましたが、やはりこれも別に法律できめたわけでもないと思いますが、非常に熱心に各地からお集まりになって、何とかして撲滅をしたいという御相談をなさっておるのであります。私は、そういうことで政府もあるいは地方自治体も、そうしてまた民間の方々も一緒になって、何といっても事故が多い、昨年最高の記録を出してきたわけでありますが、そういう声が出たおかげで、今日までのところでは死亡率は若干減っているような気もいたします。しかし、車の台数がどんどんふえるに従って、死亡率なり事故率がいままでの計数ではふえているわけでありまするから、あらゆる努力を払って、何とかこれが対策を講じたいという趣旨でありますることを御了承いただきたいと思います。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 意見を聞いたり、それからいろいろ協力してもらうということが不必要だという意味じゃなくて、それはやらなくてはいけませんが、さっきも言ったように、では意見を一体どこでどう聞いて、どうそれに対する対策を立てていくのか、これをきちっとしなければおかしいじゃないか、こういうことなんです。そうして聞いてみると、中央では対策本部でもやるし、それを各省にもやらせるようにするというが、一体対策本部各省に対するやらせ方、あるいは権限といいますか、規制力といいますか、どの程度あるかというと、これはまたまことにたよりない。現にことしの一月にあげられたこういうことだって、いわば項目はたくさん並べられてあるけれども、具体的に各省においてどうやっていくかということについては、これははっきりしていませんし、ですから、そういうことがあるものですから、私ただ会議をつくって意見を聞いたり協力を求めるということだけでは、いわゆる事故対策のためのそういう効果が上がらないじゃないだろうか。  それからもう一つは、関連することですが、地方でやった場合に、開店休業みたいなものだけれども地方には地方の交通対策協議会というものがある、これの関係を一体どうするのか、こういうことまで一応やっておかないと、会議を開いていろいろ意見が出た、意見が出たからそれで効果があったというものではないと思うから、私そこら辺をもう少しきちんとしなければならぬじゃないか、何も法律にして、設置法みたいにやれという意味じゃございません。いま言ったようなことをやらないと、私はおざなりなものになっちゃうんじゃないかと思う。単なる一つのムードというものがあるいは出てくるかもしれませんが、生きてこないんじゃないか、こういうことから私申し上げるんですがね。ですから、中央における安全会議というようなものと、現在ある地方の交通対策協議会というものとの結びつきなんか、一体どういうふうにおやりになるんですか。
  57. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) これは地方でどうおやりになるかは、それぞれのお考えがあるかと存じますが、大体中央にならって、私どものほうで、各省交通安全行政に関してばらばらにならぬように総合調整を、交通対策本部でいたしますので、この交通安全国民会議も、事務は交通対策本部で、私の手元で——総理が議長でありますけれども——事務はやる、こういうことでございますから、やはり地方においてもそれぞれその例にならっていただくようになろうかと思うのでありますが、要するに、行政庁側の意見ばかりでなく、民間の意見をこれに反映させる。それで、御心配はごもっともでありまして、これをどうして行政にあらわすかということなんであります。それはそれぞれ意見を仕分けしたものを各行政庁でやっていただくわけでありますが、ただ、これが実際にできたが、やったかどうかということを追跡することまでが必要なわけでありまして、そこで先ほど市川先生のときもお話し申し上げたように、根本的な機構となりますと法律を要するかと思いますので、とりあえず今度の国会に間に合いかねますので、政令等で内部的にできる機構をまず総理府につくりまし、そうして、まあよその各省庁に権限がやはりございますから、それをおかすようなことまではいたしかねるのでありますが、しかし、これをやはり実績が上がるようなところまで追跡していくような機構をつくる前提として、まず私のほうで目下検討中でございまして、いずれ数日中にそれがまとまって発表できるだろうと思います。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもはっきりしませんね。まあ数日中に、では追跡のしかたなり具体的なそういう問題についての検討が終わるというんですから、あとでまた機会を見てお聞きしたいと思いますが、自治大臣、いま地方公共団体においても、何というか、「交通安全の保持等を行なうこと。」ということが地方自治法の第二条三項の八にあるんですがね、こういう当然地方公共団体が行なわなければならないこと、しかしこれについての具体的な動きというのは、警察なり公安委員会等においていろいろやっておりますが、地方自治団体全体の問題としては、私はこれに対する取り組みというのは、きわめて弱いものだと思っているのです。こういう当然やらなければいけない仕事であるこういう事務と、それからさっき言いました、すでに三十六年に地方交通対策協議会というものをつくれということで、つくっているのでありますが、こういうものとの関係ですね、あるいは今度できる国民会議ですか、交通安全国民会議地方版ですが、これとの関係、これをどういうふうにごらんになっておられますか、また将来、どういうふうになるべきだというふうにお考えなんですか。
  59. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 私はあまりこの形にとらわれることは必要はないじゃないか、実質がよければいいんじゃないかという考え方で……。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 実質がいけないのです。
  61. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 流しておるわけでありますが、したがいまして、現在、全体ではございませんが、ごく熱心にやっていられるところもあるように聞いております。対策協議会のようなものが、それがあればそれを生かしていっても、それが一つ国民会議地方版になると私は思って、必ずしもそれを解消してやらなければいかぬぞとか、あるいは二重にやらなければいかぬぞと、そう私はあまり形にとらわれていないわけであります。しかし、いいところの型ができれば、それにならってだんだんいったらどうだろうかということで、私ども地方庁に示しますにも、あまり形にとらわれた指示はいたさないで、国でこういうことをやったからひとつ地方でもやってほしいというくらいのことで、知事会議にもその程度お話しをしているわけであります。それからまあはっきりしない、何かとどめをさしたいというお気持ちは、それはわかります。私にもそういう感じはしないでもございませんけれども、要するに、今日交通事故が非常に多いということは事実であり、これを何とか解消したいというのは世論の一致したところであります。したがって、これをどうするかといえば、一つは取り締まりをよくやらなければならぬという点は、これはもうのがされません。交通暴力というものを何とかして排除して、そういう妨害運転、無免許運転とか、これは警察自体の問題でありますから、公安委員長として警察の線を通ってやればそれだけでも済みます。済みますけれども、しかし、それは一つの要素であって、それだけではやはりいけない。この間の国民会議あたりをやってみますると、皆さん方の御意見というものの多数は、何とか道路施設をすべきだという意見が圧倒的ございます。昨日の宣言都市の会議に出ましても、そういう声が非常に強く、それは国でやる道路施設は、これは国でやらなければなりません。したがって先般の国民会議の点は、国が主催をしてやりました会議ではございまするが、同時に、その意見というものが出てきたとき、われわれの感ずることは、国も国のやるべき施策をもっとやらなければならぬという感じを深くしたわけです。府県の道路、府県がやるものにつきましても、私はそういう機会において府県知事はじめ、府県の当局もそういう感は私は深くするものと思います。そうすれば横断における信号機の整備であるとか、あるいは跨道橋をつくるとかいうようなことは、漸次そういう声によって促されていくだろう。それからもう一つは、やはり歩行者も注意をしていただかなければいけない。それは学校教育を通じ、あるいは一般の世論を通じてやる、こういうことで、きちっとしたきめ手というものはございませんけれども、そういう一つのまあ催しといいますか、会議ができますると、それによってそれぞれの点に促進ができるのじゃないか。一ぺんに右から左にすぐできるというわけのものでございませんけれども、私は、あらゆる機会をとらえてまあ努力をしていきたいというところから、あまり形にとらわれた感じでなしに実質を追うていきたいという気持ちで一ぱいでございます。
  62. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も何も形にとらわれて言っておるのではないのです。実質的に効果をあげるためにどうするのかということなんです。私の聞きたいのは、心配なのは、私はこういうものをつくっていろいろ地方においてもこれからやっていくというようなことについて、たとえば御承知のように交通安全協会というものがございますね。これは全般的に見て一体どういう効果、成果をあげているのか。これは全然あがっておらぬということではない。地域的にはいろいろいい活動をしておるところもありますが、一体どうなっておるかということ、これは全般的に見ると、まことにお寒い状況だと思うのです。ですからそういう轍を踏まないように、私はもっと地方においてもほんとう効果のあがるような、会議であれ、いろいろな仕組みを考えていかなければならないじゃないか、こういう観点から私は聞いておるのであります。まあしかし、これは時間もありませんから、そこで長官お帰りになる前にもう一つ、先だってもちょっとお聞きいたしましたが、この一月にいろいろな対策というものを決定いたしまして、強力に推進していこうと、こういうことでございますが、やはり何といっても心配なのは、こういうただ項目をあげて、それぞれの関係機関のそれにゆだねるというこういう形では、私はどうしても効果があがらないということだと思うのです。さっき総合調整機関というものをつくりたいと、こういうようなお話市川さんに対してあったようでありますが、総合調整どころではなく、総合調整をし、なおかつ強力に推進するところがなければならぬと思う。その点、まあ私は率直に言っておるのですが、どうです。
  63. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) 根本はやはり各省でやるべきことについては各省で責任を持っていただく、それで各省につきましては各省の責任者、最高は大臣がおられるわけでございますので、そこで、これらの問題につきましては、交通関係閣僚懇談会でこれらの点について交通対策本部等でいろいろつくった案で意見等があればその際に申し述べて、各省庁においてひとつこれを強力に実行していただく、まあこういうことよりしかたがないだろう。事実私どもももう少し敏速に、いいことならぴたっぴたっといかかぬと思うのですが、   〔委員長退席、理事竹中恒夫君着席〕 やはりそれぞれ役所には一つ機構があるばかりでなく、たとえば先ほど市川先生から、いまいらっしゃいませんけれども、四つかどをぱっぱっと切ればいいんだといったようなお話でございますけれども、それば私有権の問題で、やはり憲法上の問題で、それは民主主義になってくると時間もひまもかかりますけれども、徐々に堅実に、しかもその中でもできるだけすみやかにやっていきたいという、少しややこしいことですけれども、ひとつ御協力をいただいてやっていきたい。それともう一つは、何か法律でやらないとどうも日本人というものは動かないような気配があって、法律できめると何かきまりがぴちっときまったように思うのですが、これらは、やはりめいめいが自覚していただかないと、たとえばオートバイで飛んでいく、これは事故があれば命がけなのに、ヘルメットをかぶることは——やっておるところもありますけれども、これなんぞは、使用者の人が事故があればやはり本人ばかりでなく、経営者だってあれなんですから、オートバイに乗って歩くときにはヘルメットをかぶれと、しかたがないから、今度は法律でせめて高速道路を走るときにはヘルメメットがなくちゃいかぬということになるわけでございます。   〔理事竹中恒夫君退席、委員長着席〕 ひとつ私ども皆さまの御鞭撻をいただいて、できるだけやっていきたいと思います。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官、くどいようですが、いわゆるこういう対策決定をし、強力に推進すると、こういっていろいろな項目が並べられてありますね。たとえばその中の交通安全施設整備拡充という項目の中に、歩道あるいはガードレール、横断歩道、こういうものについての整備ということがうたわれてある、あるいは交通信号機、道路標識の整備ということがうたわれてあるが、具体的にどういうふうにやっていくかということまできまっていますか。
  65. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) これはその場所について重要なものから先にしていくわけでありましょうが、ただ問題は、やはり予算の問題で、そこで、これは交通安全国民会議にも意見が出たのですが、そのほか国民安全総ぐるみ運動というものもその前にあったのですが、これらの際にも、罰金をひとつそういう安全施設に充てるようにしたらどうか、そういうような意見等も出てまいりまして、やっぱりそういうことになると、財政問題になると大蔵省関係で、なかなかそう簡単にもいかぬというようなわけで、私どもも、実際、交通問題なら交通安全問題についての強力な行政機関ができて、そこのトップレベルのものが、最高責任者が言えば、これがどんどん実行できるような機関ができればいいのですが、行政機関となると、なかなかそう簡単にまいりませんので、一応ひとつそれを十分調査するような機構をつくっていきたい。その点は、アメリカでは大統領行政命令の国民安全会議から進んで交通安全委員会ができて、民間側も入れてこれをやはり追跡していくというような機構があるようでございまして、先進国のそういう方面研究して、これを取り入れたいのですが、なかなか急にはむずかしいようでございますので、まずできる範囲内のことをひとつやっていきたい、こう考えております。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもいままでですね、政府ではいろいろの交通安全対策交通事故防止のための対策というのは何べんもいろいろな形で出ているんですよ、政府でやったやつを大体持っておりますが。……。そしてまた同じような事柄が、今度はかなり整理され、はっきりした形で並べられておりますが、三十五、六年あたりから毎年同じようなことをやっていて、なおかついまのような状態だと、これにはいろいろな対策というようなものの追っつかない問題もあるかと思いますが、とにかくそういう状態です。で、私どもも、政府が本気になってやるんだと、こう言っても、三十五年から数えてみましてももう約五年たっているのに、いつも同じようなことが問題になっているというようなことになりますと、ちょっと信用できないですね、不安を増すばかりなんです。ですから、もしこういうことをやるなら、いろいろな役所の機構とかいろいろな各省の権限の問題ももちろんでありますが、さっき言いましたように、どっかできちっとやるようなものがないと、いつまでたってもばらばらな形でやっているのだ、あるいはまた、予算が足りないということで、もしどっかできちっとまとめてこういうものを強力にやっていく、もちろん実施の部面については各省にやらせるのだけれどもというように、きちっと中心点ができておれば、たとえば予算編成の場合でも、私は、いまのような各省へまかせて大蔵省との関係だけやっても、これも取られた、これも削られたというようなかっこうでなしに、もっと総合的な立場で、かりに各省にまたがる予算であっても獲得しなければならぬと思うし、できると思うのですよ。そういうことが足りないと思うのですよ。足りないのじゃない、ないのです。あなたいろいろ本部長として問題について心配をされ、何とかやっていきたい、こういうふうにやっておっても、いま言ったように、私は結果としてはそれしかできないのじゃないかと思うのですね。これはひとつ政府部内で、もう少しほんとう意味検討してもらわなければいけないと思う。たち悪く、たとえば、こういうものをやって一体四十年度で、現況をどこまでどう前進させるか、こういう資料を出しなさいと言っても、これはできないでしょう、それではだめだと思うのですね。歩道の問題一つ取り上げてきましてもそうです。あるいは横断歩道橋の問題でも、踏切の問題でも、踏切の問題なんかは何年も前からこれはいわれており、これが大きな列車なりああいうものの場合の事故の大きな原因だということを何年も前からいわれておる。改良だとかなんとかという法律ができておっても、なおかついまのような状態でしょう。ですから、私は、いろいろな会議をつくることもけっこう、いろいろな機構をつくることもけっこうだけれどもほんとうに実効のあがるものをひとつ考えていかなければ、いかにしたら実効があがるのかということを考えていかなければ、ただ題目だけでは私は効果がないのじゃないだろうか、こういうふうに私は心配をするあまり、いろいろなことを申し上げておるのですが、中心になっていろいろむずかしい問題もあるかもしれませんけれども、それこそ総合調整かつ強力に推進できるような、そういうものをやらないことにはいけないのですが、それについてひとつ最後に御意見を聞いておきたいと思います。
  67. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) だんだんといろいろ御意見、御鞭撻をいただいて恐縮なんでございますが、これはすべてがやっぱり問題は教育から始まることになるのですが、やはり国民会議等でも、各方面で学校教育の中で正課にひとつ取り上げてくれ、こういう意見等も強くあるわけでございまして、現に東京はじめ大都市においては、相当、模型までつくって最近は非常にやっていただいておりますが、何しろ自動車の交通の急増が最近ここのところ数年激しかったものですから、それに施設も追いつかない。ところが、施設をしてやればそれでいいかというと、なかなかそういかないで、歩行者もせっかくブリッジがあってもそれを渡らぬ、また、しま目の横断歩道があってもそこを渡らぬで、ちょっとのところでも近道しちゃうとか、ですから問題は、国民のめいめいがやはり交通安全に関する知識、また交通道徳というようなものまで体得していくような教育の問題から、これは学校ばかりではございませんで、家庭においても社会においてもと、そういうところまでいかないと、ただ施設だけではもちろんいかぬのでありまして、そういう各方面にわたってひとつ努力をしてまいりたい、かように考えます。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 鈴木委員の御指摘のように、結局予算を伴ってはっきりと行政能力を上げられる機関をつくるところまで踏み切っておらないということは、いわゆる交通戦争といわれているこの実態の把握というものが私は政府において薄弱だと思うのですよ。三十一年から三十八年までの八年間で八万一千三百人死んでおりますね。もし、たとえが具体的で当を得ないかもしれませんが、八十人乗りの飛行機なら千台おっこっていることになります。一年にもしも百二十五機の旅客機の墜落事故があったとしたら、これはえらい騒動ですよ。あるいは三河島事故にたとえれば、三河島事故が何十回起こったことと同じことですよ。そういう認識をわれわれは持つべきじゃないか。人数において同じですから。ところが、そういう認識がないんではないかと思う。だから、国民会議といって、どこに責任があるかわからないようなものでも、交通戦争といわれるこの対策もまだ考えていないというところに私は問題があるのではないかと思う。具体的な例で恐縮ですけれども、一問の飛行機事故でも非常に責任が問われるような事態に、一年に百回以上の飛行機事故と同じような死傷者が出るというこの事態を、一体政府はどう把握しているのか。そういう認識をなさっていらっしゃるのでしょうか。この点を、まず私は政府の責任の受け取り方というものを伺いたい。
  69. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) この点は、ただいまの加瀬先生の御意見のとおりでありまして、実際毎日四十人近くも昨年などは事故が起こっている。ところが、これが全国ばらばらになっているし、しかも毎日それがあるので、いささか慢性になってしまっているきらいがないかということになりますと、確かにそういう点もないではない。これが一日に一ぺんにどかんとそれだけのものが一万三千名もあったということになったら、これはもうたいへんな騒動になるわけなんですが、そこに人間の弱さというものもあるわけだと思います。しかし、政府としては、そういうことであってはならないということで、そこで、すでに数年来やっておるのでありますけれども、いまるる申し上げましたように、予想以上の交通の混雑ということ、それに確かに対策が追いついていかなかった、こういう点はあるわけであります。そこで、一そうこの機会にこの災害を、被害をひとつなくすように、こぞってやりたい、そういう意味においてこの交通安全国民会議総理みずからが議長になった。したがいまして、今後におきましても、諸施策につきましてはやはり政府の責任においてひとつ実行すべきものは今後どしどしやっていかなきゃいかぬ、まあこう考えるわけであります。今後ともいろいろ御意見があろうかと存じますが、各方面広く御意見を伺ってやっていきたいと思います。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 私は鈴木委員の御指摘のように、この交通問題に対する政治の責任というものが不明確だと思うのですよ。国民会議の報道を見ますと、安全教育を教育課程の中に入れろとか、あるいは義務教育で交通教育を必須にしろとか言っておりますけれども、こんなおかしな話はないと思う。かりに、空気を吸うのにどう空気を吸ったらいいかという準備教育をしなければならないと言ったら、だれも狂気のさたと言って笑うでしょう。歩行なんというものは自然現象ですよ。その自然の歩行というものが制約をされてできないということであれば、そのできない原因というものを除去しなければならない。除去することを考えなければならないのであって、かりに空気が汚染をされているということであれば、公害対策というものが考えられるのと同様に、交通で非常に阻害される問題があるといえば、その阻害される原因を解決すべきであって、阻害をされる問題の解決をたな上げにして、どうすれば阻害をされない状況になるかということを教育において解決しようなんということは本末転倒もはなはだしいと思う。で、長官のいまのお話の中にも、何か施設とか法規ということだけでは完全にいかないのだから、これに順応するような、悪環境に順応するような教育が必要だという御説明もございますが、こういう考え政府がおられては非常に因る。そうじゃないのです。空気が吸えないなら空気を吸える条件をつくる、歩けないなら歩ける条件というものを政治の責任においてつくってもらわなければならない。これは基本的に考えなければいけないと思います。これはいかがですか。基本的な考え方は同調してもらわなければ困る。
  71. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) 先刻私も申しましたように、実際自動車というもの、そういうものがなければ少なくとも自動車にぶっつかることはないわけなんで、しかし自動車が現在の国民経済の上において役割りを果たしていることも非常に大きいのでありまして、それの副産物的にそういう弊害ができてきている。一つ自動車というものに対しての性能というか、あぶない点というものに対して一般歩行者にしても少し感覚が慢性になり過ぎていたというところもあるし、知識が足りないというところもあるのでございましょうか、そういうために一つは起こる。そこで、さっき申し上げたように、せっかくその防護をしておっても、それを利用しないで、端的に言えば、さっき申し上げましたようなヘルメットがあるのに、かぶれば頭を打っても被害が非常に少ないのに、それをかぶらぬでいるということとか、あるいは横断歩道があるのにそれを利用しないとか、人道と車道の区別があるのに、それすら利用しないで、車道を歩くような者さえある、こういうことで、なかなかこの問題はむずかしいわけでありますが、やはりそういうことを教育というとなかなかやかましくなりますが、そういうやはり自動車というものはどういう性格があるとか、たとえば夜なら夜は歩行者のほうに自動車のライトを向けても、雨が降っているとなかなか見にくいものだ、そういうような知識を持っていただいて、そうしてこれに対処する。中には酔っぱらって運転したり、無免許事故を起こすというのは論外ですけれども、それがやっぱり現実にはあるということで、これなどに対してはいかに施設を十分にいたしましても、酔っぱらって運転する以上は、どうも施設を突破しても事故が起こるということでございまして、それらを総合して対策を練るよりしかたがない、こういうことで、国民会議というようなものを開くのも、広く意見を総合的に聞く、各方面から聞くとともに、その機会に注意を喚起して、交通安全に対する知識というか、そういうものを一般に広めたいというねらいがあるわけでありまして、しかし事実大ぜいの死傷者が出ておりますから、これを金に換算したら膨大なものでありますから、それを予防するためには、あらかじめ環境の整備と安全の施設等はでき得る限りこれはしなければならぬということは、もとより当然だと思います。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 それは交通のこの状態に対して、全然国民の側はこれに順応する一つ訓練が不必要だとは言いませんよ。しかし、あくまでも国民の側で自主的に進められるべきことで、それに依頼といいますか依存をして他の交通対策を誤るということであっては、これは私は本末転倒だと思う。そういう意味で、あまりにも交通機関というものと道路、あるいは交通機関性能というものと道路の条件、こういったようなものがまだ合理的に解決されておりません。こういう点の解決を進めていただかなければならないということが一点と、もう一つ被害者保護の問題になりますが、賠償基準あるいは保険制度というもので事故を防ぎ得る、イギリスのような——先ほどいただきました資料なんかで見ましても、イギリスのような制度をとれば保険制度とかあるいは賠償基準ということで事故が防げるのではないか。こういう問題について、まだ具体策はないそうですけれども、具体的に研究を進めて対策を立てていただきたい。  それから、先ほど鈴木委員の御提案になりましたような、たとえば交通安全局といったようなものを総理府の中に設けて、これが連絡調整をはかる、あるいは対策を進めるといったようなことをお考えいただけないかどうか。長官忙しいようですから、以上お伺いいたします。
  73. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) いまお説のようないろいろの御意見はひとつ今後も十分参考にして検討してまいりたいと存じますが、ただ、まあ交通安全局を総理府につくるかどうかということは、これはまた行政機構上の問題になりまするので、にわかにそれをつくるともつくらぬとも申し上げられないのですか、それの前の——これはまあ局をつくるとなりますると行管や大蔵省や運輸省、各方面関係等いろいろございまするので、にわかに私どもだけで一存で決定はできませんけれども、いずれにしても、いまお話しのように総合調整するとともに、これを強く推進していくような機構が何かほしいということについては、まったく同感であります。それの準備として私のほうでできることをまあやりたい。これもしかし各方面連絡が必要なんで、いまそれをやって着々進めております。したがって、えらい機構というものはもちろんできません。根本的なそういう機構をつくる前提の機構をひとつつくりたい、こう考えております。
  74. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) それでは午前中の質疑はこの程度にいたしまして、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      —————・—————    午後二時十八分開会
  75. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  76. 松本賢一

    ○松本賢一君 私、雑談の中でも言いましたけれども、直接今度の改正には関係のないことを御質問申し上げたいと思うのですが、その前に、直接関係のあることでちょっとお聞きしておきたいことは、今度は年齢の制限が変わったんですね、免許の。
  77. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 御指摘の点でございますが、現在におきましては、運転免許の年齢は大型自動車、普通自動車、大型特殊自動車につきましては十八歳以上、それ以外の自動三輪車、軽自動車、それから自動二輪車それから原付自転車につきましては十六歳以上になっておりますが、これをただいまお願いしております改正案におきましては、自動三輪車につきましては、改正法の施行と同時にこれを普通免許に統合いたしますので、したがいまして、年齢が十六歳から十八歳以上になります。それから軽自動車のうち四輪と三輪の軽自動車につきましては、三年後にこれを普通免許に統合いたしまして、したがいまして、年齢の資格要件は十六歳から十八歳になります。
  78. 松本賢一

    ○松本賢一君 経過措置として、十八歳未満の人は認定が受けられないといったようなことが附則にあるのじゃなかったですか。
  79. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) ただいまの御質問でございますが、これは現在持っております自動三輪免許、それから軽免許が将来いかがになるかということの問題でございまして、一応現在自動三輪免許を持っております者に対しましては、この改正法の施行と同時に普通免許を与えることになります。ただ、普通免許を与えますが、従来は三輪しか運転できなかったわけでございますから、普通免許を与えることにいたしますが、公安委員会の行ないますテストに合格いたしますまでの間は、従前の三輪しか動かせない、こういう限定免許を与えることにしております。  なお普通免許は、先ほど申し上げましたように十八歳以上でなければ受けられませんので、十六歳で現在自動三輪免許を持っております者は十八歳になるまではテストが受けられない。つまりまるまる普通自動車を動かすことはできない、こういう仕組みにいたしております。それから軽免許につきましては、三年後に同様なことに相なります。
  80. 松本賢一

    ○松本賢一君 軽免許というのは十六歳で受けられるのですか、現在は。
  81. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 現在は十六歳で受けられます。それから今回の改正におきましても、三年間猶予期間を設けておりますので、三年間は軽免許が残ります。したがいまして十六歳で軽免許か受けることができます。三年たちますと、軽免許が普通免許に統合されますから、十八歳でなければとれなくなります。
  82. 松本賢一

    ○松本賢一君 かりに二年後に十六歳でとった人は、一年間くらいの空白ができることになるわけですね、その間に。
  83. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) かりに、ただいまから二年後に十六歳の人が軽免許をとったといたしますと、その人は三年後も引き続き軽自動車は動かすことができます。ただ、まるまるの普通免許は、十八歳になるまではテストを受けられませんので、それはとれないということになります。
  84. 松本賢一

    ○松本賢一君 いますぐおわかりかどうか、参考までに聞きたいのですが、十八歳以下の者がこれから免許がとれなくなるということになるわけですね。法律改正になると、三年後にはいかなる免許もとれないということになるわけですね。
  85. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 三年後に十八歳未満の者がとれなくなりますのは、四輪と三輪の免許でございまして、二輪の免許は従前のとおりとれるのでございます。
  86. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうしますと、それが現在はともかくも小さいものは十八歳未満でもとれていたのが、今度はとれなくなるということは、それは根拠はどこにあるのですか。事故でもたくさんあるという事実があるのですか、どういうことなんですか。
  87. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 私たち考え方の前提になっております一つの点は、現在の三輪免許あるいは特に軽免許でございますが、軽免許制度を設けましたときに、その軽免許の対象になりました軽自動車と申しますのはスクーター程度のものでございまして、非常にちゃちな、自動車と申しましてもずいぶんちゃちな自動車でございましたものですから、したがいまして、試験も簡単にいたしまして、年齢も低く、資格も低く押えておりました。その後、御承知のように軽自動車という名のもとにだんだんりっぱな自動車ができてまいりまして、最近は性能等におきましても、軽自動車といえども普通自動車とほとんど差がなくなってきた。それにもかかわらず免許の試験その他が簡単、年齢も低いということはやはり危険ではないか。したがって、そういう実態が変わった以上は、軽自動車といえども普通自動車並みに免許行政上扱うのが合理的であろうと考えて、これが出発点になっております。  なお、御指摘の年齢による事故率でございますが、私たちのほうで一応統計をとりました結果によりますと、十六、七歳の運転者のほうが一応事故率が高くなっております。
  88. 松本賢一

    ○松本賢一君 参考までに、もしできましたら年齢による事故率のわかるような表をつくれたらつくってもらいたいと思うのです。  それから私ちょっと心配なのは、十八歳に引き上げられて、十八歳以下の者が二輪は別として、もう三輪以上の車は動かすことができないということになると、中学卒業者が働く場合に、運転ができなくなるのですね。それは中学卒業したばかりの者がそういうことをやるのはあぶなくもあるし、また事故も起こしやすい、いろいろ心配なことも多いでしょうけれども、しかし厳密な試験によって合格するということは、からだもいいし実力があるということなんだから、それをただ十八歳未満だから受けられないというようなしゃくし定木なことにするのはどうかと思うのですが、それは実力なり体格なりを認定の上で与えればいいんだがと思うのですが、そういう点いかがでしょうか。これは相当そういうことは問題になっているんじゃないかと思うのですが……。
  89. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) ただいまの御質問の点につきましては、私どものほうも今度の法改正をお願いする際に、いろいろ検討をしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、三輪、四輪の軽自動車が、普通自動車性能運転技術もほとんど変わりないという点で、普通自動車に編入する、したがって、それに応じて十八歳以上ということになりますので、その点は先ほど申しましたように、事故率が多いということで踏み切りまして、しかし、いま申されましたように、社会実態として、中小企業等におきまして十六、七歳の者が軽三輪、四輪を運転しているという実態がございますので、雇用上の問題も考慮いたしまして、三年間の猶予期間、その間に雇用上のいろいろな措置を将来にわたって考えていただくということになろうかと思いまして、検討はいたしまして、そういうことにお願いしたわけでございます。
  90. 松本賢一

    ○松本賢一君 いまの雇用上の問題からいうと、三年の間にそう中学生を採用するということをしなくなるといったようなこともなかなかできにくいと思うのですが、それも十分考えなければならぬ問題だと思うのですけれども、二方、いままでは非常に簡単に免許がとれていたから、子供でも運転ができたということになろうと思うけれども、今度は相当きびしい検査、試験によって、それに合格した者でなければ運転できないわけなんだから、それなら年齢の制限というものは考える必要がないのじゃないか、それだけの試験にパスするということは、年齢のいかんにかかわらず実力があるということなんだから、いままではあまりにも試験が簡単であったために、子供だろうと、おじいさん、おばあさんだろうと、とろうと思えばとれたということになったと思うのです。今度はそうでないのだから、むしろ年齢の多いとか少ないとかいう心配はなくなるのじゃないかという気がするのですが、それによって力のある者はどんどん働けるようにしてやったほうがいいんじゃないか、こう思うのですがいかがですか。
  91. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) ただいまの問題につきまして、結局普通自動車につきましても、年齢をどうしたらいいか、十六歳から認めたらどうかという議論にもなろうかと思いますけれども、国際的に見ましても、欧米各国では、アメリカの一部の州では違いますけれども、普通自動車は十八歳以上、二輪は大体十六、七歳ということになっておりまして、国際的に見ましても、その辺の線が妥当かというふうに考えられますので、従来実態としてはございましたが、この際、国際的なレベルにマッチさせるということにしたらどうかと思います。
  92. 松本賢一

    ○松本賢一君 国際的な問題はそういうことになっているかもしれませんが、これは日本の貧困な現状というものがそうさせるのでしょうけれども、十八歳以下の子供が働かなければならぬ場合が非常に多いわけなんで、これはおそらく先進国の中には日本のような状態はないのではないかと思うのですが、そういうわけで、やはり現実をながめると、十八歳以下の者が車を運転できる一応道を開いてやる。ただし、実力だけは持っていなければならぬということにしておく、年齢で、ただ、しゃくし定木に制限するということによって、働く道をふさがれることになるのではないかと思うのです。私はそれが非常に心配なのです。そういう点どうですか。もう一考する余地はありませんか。
  93. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) おっしゃるとおり、人間は個々に体力なり知力なり技術なりの差があるわけでございますから、十八歳以上であってもへぼもありましょうし、かりに十三歳以上でもおとな以上の適格者があるかもしれませんが、まあおしなべて、各国が普通の自動車運転を十八歳以上にしているというのは、その辺の発育の平均をとっていることだと思います。わが国におきましても、先ほど御質問のありましたことに触れますが、十六、七歳の事故率というものは、同じ軽自動車運転する場合におきましても、十八歳以上の事故率の約倍近くございますので、やはりその辺の年齢は、同じ軽を走らしている十八歳以上より倍の事故率があるということになれば、いまのような性能の発達した軽自動車というものを、いつまでも特別に十六歳であれば受けられるという形にしておくことは、どこかでやはり踏み切らないと危険であるということから、こういう改正をしているのでございまして、まあ三年ということも、ほんとうは、危険であるという点からいえば、置くこと自身がおかしいのでございます。まあこの辺はかね合いの問題でございまして、そういう困難な事情もありましょうけれども、それに合わしてもらいたい、こういうように考えております。
  94. 松本賢一

    ○松本賢一君 それはまあお互いに理屈はあるのではないかと思うのですけれどもね。ただ問題は、いままではできていたことができなくなる。それは交通の安全ということを考える場合にはいいかげんなことで免許をやってはいけないという考え方、これは私賛成なんですが、そういうことからまあ今度の改正考えられたと思うのですが、その際に、いまの年齢というものを画一的に十八歳以下を全部やめて、その十八歳以下の者には、いかなる免許状も、二輪車以外は与えないということにしてしまうということが、どうも日本の実情にはそぐわないような気がするので、私は、まあしつこいようですけれども、もう一ぺん考えてみていただけないかと思うのです。実力だけは試験によってわかるわけなんだからね。
  95. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もう一ぺん考えろとおっしゃいますが、この案をつくりますまでに、やはりいろいろ議論をしまして、十七歳、十六歳であっても、特殊な訓練、特殊な能力を持っている者には特別に同じような資格を認めてもいいんじゃないかというような想定の議論を立てていろいろ検討いたしてみましたけれども、そういう特別のことをする施設、制度もございませんし、やはりこの年齢では一般的にあぶないということになっているので、特にあぶなくない者を抽出するということのほうがむしろむずかしい。したがって、日本の労働事情から二輪車以外のものを使わなければできないようなものは、やはり十八歳以上の者の雇用というようなことに三年の間に移行していってもらう。あるいは、三年過ぎまして四年目でも、二年前にもらいました軽自動車だけは運転できるというのが多少残ると思いまするが、まあ三、四年の間に雇用事情というようなものもそれに即応したように改めていく必要がある。  それから、御参考までに申し上げますが、現在軽免許を持っておりまする者が四百万——これは重複して持っておる者もあるかと思いますが、三、四百万おりますが、そのうちで十六歳及び十七歳という者は約二十五万だそうでございます。その中で半分以上、七割くらいだと推測いたしておりますが、これは必ずしも先ほど御指摘になったようなものではなしに、要するに、学生その他自家用の普通のものであって、労働上の必要から十六、七歳で軽自動車運転している者は、全部でせいぜい六、七万じゃないか、あるいはもっと少ないのじゃないか。こういう状態でありますから、やはり全体の趨勢というものに合わせて雇用状態というものを改善していくというほうが大筋に合っているものじゃなかろうか、そういうふうに私たち考えているわけでございます。
  96. 松本賢一

    ○松本賢一君 まあ非常に社会問題というか、何というか、そういうことになりますので、議論が広くなってしまうのですけれども、それは中学を卒業したばかりの者を雇って働かせるのもいいことではないし、また、働かなければならぬような世の中もいいことではないことはわかっているのですけれども、現在の日本というものは、やはりそういうことなんで、三年間にそれがはたしてどう変えられるかということは非常に疑問が持たれるのです。何か十八歳以下の子供の既得権を奪ったような改正のような気がするのです。まあ実質的には一〇〇%奪うわけではないのだけれども一つも道が開かれていないということになると、どうも……。いままで学生なんかがスポーツだとか、娯楽だとかということで免許をとっているのがたくさんある、七割ぐらいまではそういうことなんだそうですが、それはそういうことなんでしょうけれども、そういう者は道をふさがれてもたいしたことはないと思うのですが、そうでなしに、たった六、七万ではあっても、その六、七万の子供たちにとっては、これはたいへんな問題になるのだから、その辺のところは……。そのかわり、いいかげんなことで免許を渡すべきだということを私は言っているわけではない。あくまでも厳密な試験によって渡すのだから、実力のある者だけには道を開いてやるということは、私は考えるべきじゃないかと思います。  まあこれ以上答弁を要求しても何になりますから、しませんけれども、ひとつ機会があったらもう一ぺん考えてみていただきたいと思います。  それから、今度はこの法律改正案を離れた問題になるわけですけれども、先ほど雑談の中で言ったことに関係して、建設省の方来ておられますか。建設省の方にお尋ねしたいのですがね、国道に、地方道でもでしょうけれども、白い線が引っぱってありますね、まん中に。あれは一体何メートル以上の道路にはどういうふうに引っぱり、何メートル以上の道路にはどういうふうに引っぱるというふうなことが一応あるのですか。
  97. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) お答えいたします。中央区画線のことかと思いますが、あれは道路構造令の中にそういうきめがございまして、それに従ってやっております。
  98. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうですか。そうすると、この交通規制とこのお役所の間の関係は私はよくわかりませんけれども、交通の取り締まりのほうとそれから建設省のほうとで連絡があって、こうやるのが適当だということでおやりになっておるのですか、どうですか。
  99. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) これは確かに公安委員会のほうと、何といいますか、協議をいたしまして、原則として、道路改築段階に設置するものは建設省が設置する、それから標識、区画線や何かにつきましてはいろいろな種類がございます。その種類につきましては、種類ごとに公安委員会の分担がきまっておるわけでございまして、それに従ってやっております。
  100. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうしますと、これはもう一ぺん言わなければならぬことになりますが、雑談で言ったんですが、去年の改正でもともともそうであったかもしれないけれども——去年の道交法改正で、はっきりとキープ・レフトという原則が交通上行なわれたわけですがね、これが、どうも私が実際に目で見たところでは、ちっとも改善されているように思わないのです。それで、これの指導をどういうふうな方法で運転者に徹底しておられるか、もう一ぺん聞いておきたいと思います。
  101. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 運転者に対しましては、去年の法改正後、安全協会等を通じまして法令の講習その他でキープ・レフトの原則についての講習等を実施して、広くあまねくのみ込んでらうという方向で進んでおります。実際の取り締まりといたしましては、町に立っておる警察官ではなかなかむずかしい問題がございまして、パトカーと白バイは始終動いているわけでございますが、必ずしもそれらを十分に取り締まるというところまでいっておりませんけれども、パトカー、白バイ等につきましては、その点の取り締まりを厳重にやる方向で進んでおります。
  102. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、キープ・レフトの原則というものが行なわれれば非常にいいことなんで、まあある外国の人がこういうことを言ったのを聞いたことがありますが、英国の車は道の左側を走っておる、大陸の車は道の右側を走っておる、日本の車は車と車の間を分けて走っておるというようなことを外国人が言ったことがありますが、全くそういう感じが日本ではするわけなんで、そういう意味においても、キープ・レフトの原則というものを、もう少し運転者に徹底させるということが交通の整理上非常に重要な問題ではないかと思うのです。そこで、それと関連して、キープ・レフトの原則が守られていないと、往々にして、じゃない、これは実にしばしば見受けるのですが、左側からの追い抜きということが行なわれているわけです。これは明らかにはっきりした罰則のある法律があるわけなんですけれども、その違反がほとんど看過されてしまっているのじゃないか、しかも非常に危険なことだと思うので、これを防ぐ意味においてもキープ・レフトの原則というものは守られなくちゃならぬと思うのですが、それでお尋ねしたいのは、それを今後どういうふうにして指導されるか、それから、いままでに左側から追い抜いたということによる違反の件数が、これは私どもが目撃したところでは非常にたくさんあるはずだと思うのですが、その摘発されているのが一体どのくらいの数あるのか、それをお知らせいただきたいと思います。
  103. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 手元にある数字で、三十八年の違反検挙件数の数字がございますが、それによりますと、追い越し違反の検挙件数が約七万二千件、違反件数が全部で約五百万件でございますが、七万二千件ということになっております。御指摘のように、この追い越し違反の検挙は、おおむねパトカー、白バイといったようなものが見つけてやるといのが実態でございまして、それからのがれたものが実態としてあると思いますので、今後この追い越し違反につきまして、格別の検挙指導方針を立ててまいりたいと思います。
  104. 松本賢一

    ○松本賢一君 その追い越し違反の七万件ですか、その中にはいまのキープ・レフトと関係のある左側追い抜きということだけなんですか、それは。それ以外の違反というものもたくさんあるわけなんですか。
  105. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) この中には、センターライン・オーバーとかそういう違反も含まれておりますが、どのくらいが左側違反かという内訳については、ちょっと手元にございませんので……。左側違反だけということではないと思います。
  106. 松本賢一

    ○松本賢一君 ここで問答しますと時間ばかりとりますので、一応違反の件数を、ひとつ何か書いたものをちょうだいしたいと思うのですが、法律の条文でいうと二十八条の第一項ですか、左側追い越しの違反の件数ですね、それがわかりましたら……。
  107. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 一般的な統計では、先ほど局長が申し上げましたように、ちょっとございませんが、交通違反の交通切符の項目としては左側追い越しが出ておりますので、特定なサンプル調査はできるかと思いますので、至急調査いたしましてお答え申し上げます。  それから、もう一つつけ加えさしていただきますが、左側追い越しの違反でございますが、先ほど先生がおっしゃいました事例の中には、追い越しではございませんで、追い抜きの場合もあろうかと思います。つまり、ちょっとややこしくなりますが、現在法律で禁止しております追い越しは、前車のうしろにいた後車が横へ出て追い越す場合でございます。後車がもともと前車と、はずれておりまして、まっすぐ参りました場合は、かりに前車を抜きましても、これは法律でいう追い越しにはなりませんので、その場合には罰則は加わりません。
  108. 松本賢一

    ○松本賢一君 いまの数字も教えていただきたいですが、要するに、私こんなことを言っていますのは、先ほど来言っているように、キープ・レフトの原則が守られないことによってそういう危険なことも起こる。それと同時に、また追い越しが非常にしにくくなって、そしてそういう違反もやるようになるし、違反しないものはいつまでたっても追い越しができないというようなことになるわけなんで、そういうことによって交通の渋滞が生ずる。渋滞が生ずれば、運転者は焦燥感にとらわれていらいらしてくる。そうなると、今度またほかの場合に、その変な、精神状態がいらいらしているときに、えてして交通事故も起こしやすいといったようなことになってきますので、そういった交通を整然たるものにするために、まあ外国人からさっきのような皮肉なひやかしを言われないように、日本の車は車と車の間を分けて走っているというようなことを言われないように、やはり整然たる交通にするということが運転者の心理を平静にし、そしてそれが交通事故を防ぐ大きな精神的な要素になると思いますので、この点、せっかく法律改正も去年やったんですから、ひとつ徹底して指導をしていただきたいと思うのでございます。それと同時に、先ほど建設省のほうからのお話もありましたが、道路の線の引き方ですね、これなんかもキープ・レフトがやりやすいように、引けるところでは線をちゃんと……。もう広い道路のまん中に一本白い線を引いておいたんでは、まん中の線の近くを走りたくなるのはとかく人情ですから、そういうことでなしに、線を二本引くなり三本引くなりして、とにかく一番左側の車線を普通の場合は走るんだということに指導すればやりやすくなってくるんですから、そういった環境をつくるということにもひとつ寄り寄り御相談の上でやっていただきたいと、こう思うのです。  私、質問はこれで打ち切ります。
  109. 加瀬完

    加瀬完君 交通法規がますますきびしくなるわけでございますけれども、一部には交通法規を守らない、こういう非難もございますけれども、事実守れないといいますか、法規を守るには守りにくい条件というものが相当あるんじゃないか、一体この責任はどこにあるんだ、こういう問題を私はまず伺ってみたいわけでございます。交通法規というものを初めから守らない、無視するという人ばかりではなくて違反が行なわれておりますのは、守ろうとしても守れないような道路その他交通の条件というものが、何ら対策が施されないで現存しているんじゃないか、一体この責任はだれなんだ、こういう点を私は日ごろ感じておるわけでございます。この点はどうですか。
  110. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 守れないい原因にもいろいろあるだろうと思いまするが、その原因別にその責任というものは分かれてくるものだと理解しております。
  111. 加瀬完

    加瀬完君 この警察庁の報告で、歩道は現在車の使用している道路について九%どまりである、こういう御発表がございましたね、非常にひんぴんとして車が利用する道路が、歩道のあるのが九%、こういう状態では、これは条件としては事故のできるのもやむを得ないという形になりませんか。警察庁としてごらんになってどうなんですか。法規だけで解決できる問題ではなくて、もっと道路交通の条件の整備というものがなければ、取り締まりだけで交通対策が万全だと保証できますか。
  112. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もちろん交通事故防止という観点からすれば、施設と取り締まり、それからそれを利用する歩行者の側及び車両運転の側、このあらゆる面が十分自分の職責を尽くし、かつ善意に行動しなければ事故の絶滅ということは期し得ない、こういうふうに考えます。
  113. 加瀬完

    加瀬完君 警察庁の統計によりますと、被害者は自転車と歩行者が一番多い、こう出ておりますね。この原因は何ですか。
  114. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先生にこの三十八年の「交通事故統計」というのが参っておりますか。
  115. 加瀬完

    加瀬完君 ええ。
  116. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これに詳しく原因別、状態別の事故の統計は分析をいたしておりますが、そのうち自転車に乗っている者あるいは自転車から振り落とされる者、あるいは自転車にやられる者を含んで自転車及び歩行者事故が約全体の死亡数の半分に近くなっていることは統計の示すとおりでございますが、その原因には、やはり自転車に乗っている者の自分自身の無謀運転によるものも相当ございます。それから歩行者というものが、これが先ほどの加瀬委員お話からすると、あるいは歩くのはどこを歩くのも自由だから、それは歩行者側に全然責任がないというような立場をとれば別でございますが、やはり一定の横断歩道を通らないで、かってにどっかを突っ切ろうとしたというような場合とか、あるいはめいていしてふらふらと車道に出て突き当たったというような、自分の責任に帰するような事情もその中にはもちろん含まれておりまするけれども、しかしながら、大部分は、施設が完備して歩行者が普通の常識をもって歩行をすれば危害をこうむらないであろうということで、施設を完備すればやっていけるという結論を私たちは持っております。
  117. 加瀬完

    加瀬完君 確かにそれはいま御指摘のように、歩行者なり自転車に乗っている者の過失というのもあるかもしれませんけれども、これもおたくのほうの統計で、主要な事故原因は車両側が九七・三%ということになっているんじゃありませんか。それで、その中でも最高なのは徐行違反であるという統計が出ているんではございませんか。問題は自動車道とか歩道とかあるいは自転車道、こういうものがほとんど無差別な現状にあるということもいろいろございましょうけれども事故の起こる大きな原因とはお認めになりませんか。
  118. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 大きな原因だと考えております。
  119. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、建設省の問題ですがね、一体、建設省が道路の幅員とそれを使用する自動車の物量といいますか、こういうものの関係というものを道路対策の上からどうお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  120. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) ただいまの御質問でございますが、道路の幅員につきましては、私ども道路構造令という基準がございまして、これで、その中のあらましを申し上げますと、将来の交通量を予測しまして幅員を決定いたしております。
  121. 加瀬完

    加瀬完君 そうではありませんでね、それは交通量で幅員がきまっておりますけれども、もっと狭く考えて、交通安全の度合いというものから見て、道路の幅員と自動車の大きさ、こういうものがどう研究されておりますか。具体的に申しますと、道路の幅員にかかわらず、ある規定がございますけれども規定をこえて自動車の大きいものがぐんぐん狭い道路へ入ってくるわけですね。常識的に考えれば小型の車しか入れないようなところへ大型のトラックがが入ってくるというようなことが無制限にといいますか、合理的に規制をされないで行なわれておりますために、事故の多いということも現実にあるわけですね。この具体的な規制がございますか、道路の構造に対しましてそれを利用する自動車の規制が。
  122. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) お説につきましては車両制限令というあれがございまして、これは最小幅員、それから自動車の大きさによります規制がございます。それから現在車両制限令の何と申しますか猶予期間は、四十一年の七月までに道路の幅員の足りないところは直そうということで、大体現在該当して入りますものは、約全国で二千キロぐらいの路線がそれに該当いたしますが、これは来年の七月末までに整備いたそうということで現在やっておる最中でございます。
  123. 加瀬完

    加瀬完君 道路の規制が、現在考えられておりますものが合理的だと御判定ですか。
  124. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) これは自動車の種類によって分けてございますので、そういう点では現在制限令の中の基準の数字で定められておりますので、それで十分だと考えております。
  125. 加瀬完

    加瀬完君 内閣総理大臣が座談会の席上か何かで、やはり自動車の大きさというものと、これに利用される道路の構造というものは相当考えなきゃならないという御発言があったようでございますが、一体建設省は、現在の道路構造というものと車両の規制というものが、交通対策という目的で合理的に行なわれているとお考えになりますか。もっとくふうすべき余地は全然ないという御認定ですか。交通対策ということから考えて、問題は、交通事故防止するという、対策という点から考えて、一体道路構造に対する自動車の規制、制限というものは、もっと厳密にすべきだというお考えはないですか。
  126. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) 事故防止の点から見てのことを申し述べてみたいと思いますが、先ほど来お話のありましたように、確かに事故を減すために安全施設道路の中に取り入れてやるという点は、私どももそういう方針で臨んでおりまして、特に道路そのもの、あるいは道路本体の中にそういう安全施設を組み込むということで、最近、特にその対策といたしましては警察とも相談いたしまして、事故多発地点のいろんな対策を行ないましての対策事業というものを中心にいたしまして、その安全施設の、何と申しますか、強化をはかりたいということで現在やっております。なお、そういうものの種類を私どものほうの五カ年計画で考えておりまして、数字は全体から見て約七百億円くらい現在見込んでおります。
  127. 加瀬完

    加瀬完君 具体的に伺いますが、歩道あるいはガードレール、こういうものを設備する基準はどこに置いているのですか。
  128. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) これは、安全施設基準を一応——どもとしてはまだ試案の段階でございまして、相当研究しなければならぬ問題がたくさんございますのが、一応の基準は通牒にいたしまして、それを背景にいたしまして現在やっております。なお、御指摘の構造令あるいはその上の法律にするための一種の、何と申しますか、仕事は、ただいま作業中でございます。
  129. 加瀬完

    加瀬完君 警察庁に伺いますが、歩道もなければガードレールもない、こういう道路に相当大型のバスだとかあるいは大型のトラックが通行をいたしておりますね、これの危険性というものはお感じになりませんか。道路対策として何か考えてもらわなければ困るという御所見はございませんか。
  130. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) ただいま加瀬委員の仰せになったような実態もありますので、私どもはまず第一番には、危険な場所では一方通行という考え方を推し広めまして、いま全国的にも一方通行の地域を多く設けるようにいたしております。なお、歩道があったほうが安全であるという観点から、歩道の設置を建設省といろいろ寄り寄り協議中でございまして、ただいま検討しておりますのは、簡易歩道というものをつくってみたらどうかというようなことを検討中でございます。
  131. 加瀬完

    加瀬完君 建設省に伺いますが、大体危険等を防止するという立場から考えて、歩道もガードレールもないようなところに大型バスやトラックが疾走をして交換をする、こういう現状を道路行政の上から黙認していって、道路の目的あるいは安全性というものは確保できますか。これについてどうお考えになりますか。
  132. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) 現在、日本の道路整備途中の段階で、あるいはそういう点の現象があるのは私は否定できないと思います。しかし、現在、そういうものをだんだん安全にするという意味での、たとえば安全施設にしろ、それから道路改修そのもの、これは昔つくりました道路は非常に危険なやつもございます。そういうものも二次開発あたりでもってしっかり安全な道路にしようと、整備そのものでございますが、そういう点で非常に前向きの姿勢で、おかげさまで財源も相当あれしていただいたものですから、現在そういうところに進んでおるところでございます。
  133. 加瀬完

    加瀬完君 電車が軌道なら、軌道のないところに電車は走りませんよ。鉄道だって軌道あるいは運転の安全な条件の整わないときには汽車は走りませんよ。ところが自動車だけは、全然走る上からの安全度というものは確保されない条件のところにおかまいなく入ってくるわけですね。こういうものを黙認しておいて、自動車も通る、自転車も通る、人も通る、しかも入口がわずか二十万や三十万の都市ですと、歩道やガードレールの設備のあるというところはほんの一部分ですよ、これは。警察庁調査でも歩道のあるのは九%だということが出ているくらいで、ほとんどない。しかしながら、東京の近郊地帯になりますと、もう人口の密集というのはあまり東京の都内と変わりがなくなってきていますよ。しかしながら、道路の条件というのは一つ整備されておらない。これは何にも道路行政の上でも規制の方策がないわけですね。あるいは車を運転する交通の取り締まりの上でも何も規則がないわけです。こういう状況を黙認しておいて、やれ運転者にどうしろ、交通規則をどうするのだといったって、もう無差別ですよ。無差制交通を黙認しておいてどうなりますか。外国なんか、私たちはささやかな見聞ですけれども、自転車道があるところがございます。自動車道路があって、自転車の道路があって、歩道があって、そうなっていれば、これは自転車と人がぶつかる、自転車と車がぶつかるなんてありませんよ。着々整備中ということでございますから、一がいにそういう条件はとれないにしても、もう少し、車を走らせていいところと走らせて悪いところと、こういうものをやはり私は行政上区別をしていくべきだと思いますが、一体、車を走らせて悪いという条件はどういうところですか。道路の上ではあなた方規制していると言うが、一体どういう道路に対しましてきびしい規制をしていますか。これは危険だから車を走らせてならないという規制は、具体的にどういうところがありますか。
  134. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) お答えします。まあ現在の道路についの不満というものは、これは確かに私ども否定できない。こういう点は長期のビジョンでは、何とかして早く欧米水準の道路に追いつくような整備をいたそうということでやっておるわけであります。途中の段階におきまして、ただいまの制限の問題でございますけれども、現在はトラックの運行についての車両制限令という制限によりまして、幅員、これは大は六メートル五十から小は三メートル五十までの車道幅員についての制限をかけておるわけでございます。そういう点で、できるだけそういう意味の一までこれにすら追いつけない場所がございます。先ほど申しましたように、全国で約二千キロございますが、そういう点も法律の猶予期間のあります範囲でできるだけ整備するつもりで現在やっておる最中でございます。その上で、こういう点の、何と申しますか、いい道路に少しでも、一歩でも進むよう現在努力している最中でございます。
  135. 加瀬完

    加瀬完君 先ほどから問題になっております交通安全国民会議ですか、ここでも問題になっておりましたけれども、小学校など小さい子供たちの通学をする場合の陸橋といいますか、この設備の基準はどのようになっておりますか。
  136. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) 横断歩道橋のことかと思いますが、これにつきましては、一応私どものほうの施設基準の中では、まだ具体的な数字と申しますか、何人云々ということまではあれしておりませんが、いずれにしろ学校生徒の多い所、横断の多い所、そういうものを一応のめどに置きまして現在やっておる最中でございます。ちなみに四十年度におきましても、私の手元にももとの一級国道の資料しか持っておりませんけれども、全国でもって大体四十橋ぐらい現在計画中でございます。
  137. 加瀬完

    加瀬完君 どういう場合に横断歩道橋をつくるのか、その基準はどこに置いているのですか。
  138. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) まず横断歩道橋そのものの基準でございますが、これは大体大別いたしまして私ども二つに分けてございます。それで、まず市街部の問題、市街部の四車線以上でありますところで、自動車の交通量が大体一日三万台以上の道路というものをまず大きく縛りまして、その中で自動車歩行者との相互交通の時間を、現在四時間以上にわたって非常に困難を感ずるような所というようなのとか、あるいは滞留現象のみられる交差点とか、それから学童の横断の道路、横断者の多い所という、まず大きな縛りをしまして、これの全国の、何と申しますか、順位をつけてやっておる次第でございます。  その二点は、今度、車道の横断者の多い所、これは過去三カ年の事故統計を警察のほうからいただきまして交通の事故件数の多発地点からそういうものを選びまして、予算の範囲内で現在やっておる最中でございます。
  139. 加瀬完

    加瀬完君 この計画というのは最近ですね。三十九年度ぐらいからですか、活発になってきたのは。三十八年度ではあまりこの計画というのは進められていなかったでしょう。
  140. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) 私ども整備のあれからいきますと、御承知のように三十八年からのほうが多うございます。ただ、それ以前にないとは言えない。その以前からもございますけれども、これは事例的には非常に少ない数字のように記憶いたしております。
  141. 加瀬完

    加瀬完君 これは幾つかの条件をあげましたけれども、たとえば学童の横断をするような所は、順序の先後はあっても、必ず横断歩道橋はできると確認してよろしいですか。
  142. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) そういう方向をもって現在逐次作業中でございます。先生のおっしゃる意味の全部必ずそれができてしまうということじゃなくて、何と申しますか、緊急度に応じて現在予算の範囲内でいまやっておる最中でございます。
  143. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、学童の横断をする所であっても、歩道橋はつくられないという所もあるのですか。あるとすればその条件はどういうところですか。
  144. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) 横断のところすべて歩道橋ということではないかと思いますが、というのは、その路線自体の変動やなんかもございますので、そういう点でほかの線で処置できるところなんかもございます。そういう点で、私は先ほどのような表現をとったつもりでございます。
  145. 加瀬完

    加瀬完君 条件としては、他の横断歩道橋をつくられたところと同じで、危険を防ぐわき道もない、あるいは直接横断をしないで、回り道をすれば危険からのがれられるということもむずかしいということであれば、まあ着工の先後はありましても、横断歩道橋はつくられるものだと考えてよろしいですね。
  146. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) 逐次そういう方向に整備したいと思っておる次第でございます。
  147. 加瀬完

    加瀬完君 これは地元負担金みたいの取りますか、全部建設省でおやりになりますか。
  148. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) これにつきましては道路の種類によりまして違います。たとえば一般国道ですと、これは四分の三が国費の補助で、それから、それ以下の都道府県道、そういうものによりましては負担額が違っております。
  149. 加瀬完

    加瀬完君 一級国道で四分の三だけしか負担しないというのはどういうことですか、これは。
  150. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) 国道の負担につきましては、現在の制度では四分の三ということでやっております。
  151. 加瀬完

    加瀬完君 だから四分の三ですね、四分の三で、四分の一は地元に負担させるということはどういうことですか。
  152. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) これは国道につきましては、直轄と——ちょっと私あれでございますが、直轄と補助とに分かれておりますけれども、一級国道、これは全部国の予算額で出しまして、しかしそのうち四分の一相当額は地元負担と申しますか、自治体の負担額として国に納入されるわけでございます。そういうわけになっております。
  153. 加瀬完

    加瀬完君 それはわかっていますよ。道路の建設の場合はね。しかしこの横断歩道橋の必要とかいうようなことは、これは道路ができなければ横断歩道橋も何も必要ない。国がそういう仕事をしたから、そこに住民にとっては一つの横断歩道橋を必要とする条件が生まれた。交通対策ということからすれば、こういうものは当然そういう国道をつくった国の負担で横断歩道橋なんていうものはつくるべきじゃないですか。そうでありませんと、結局地元の負担ということになりますれば、やらなければならない交通対策上の横断歩道橋もできませんよ。交通対策ということから考えて、横断歩道橋というものを相変わらず何分の一かの地元負担が伴わなければつくらないということでは、交通対策ということにはならないでしょう、これは。どうですか。
  154. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) ただいまの負担の問題につきましては、一応国の営造物は、受益の範囲というものは相当末端までございます。そういった点で道路法できめられた負担できめられた負担区分によりまして現在施行しております。
  155. 加瀬完

    加瀬完君 それは形式的な答えですよ。受益じゃないですよ。受益じゃない、一つも。その地元にとれば、受益者負担ということをいうなら、どこが受益ですか。国道というようなものが開通しなければ、学校に通うのに何の不自由もなかった。交通事故も起こらなかった。ところがそこに国の政策上必要があって国道というものができたために、横断をすれば交通事故にあうという現象が生じたわけです。受益じゃないですよ。これは不利益を受けているわけです。だから交通対策とか、あるいは交通安全対策ということを考えるならば、これを、いわゆる国道を建設する仕組みと同じように考えておっては、いつまでたったって完全な交通対策としての歩道橋はできませんよ。歩道橋なんかというのは、これはあなたに言ったって無理かもしれぬけれども、必要があれば国が全額を持って構築をする、建築をするといいますか、こういう責任を持つようにこれは御努力を願わなければならない問題だと思うんですよ。受益者保護、そういう考え方というものをもう少し私は現実的に考え直していただきたい。あなた方は何でもそこへ道路を通せば受益者という、まわりの者を。受益じゃないですよ、一つも。不利益もたくさんある。特に交通対策というふうなことから考えれば、これは国が考えるべきものでしょう、国道であれば。県道であれば県が責任者となって考えるべきものでしょう。だからこれは総務長官がいないと聞いたってしようがない問題だけれども、建設省としてももっと横断歩道橋なんかについては、交通対策という点からどう予算を支出すべきかということを、これは御考慮をいただきたいと思います。どうぞ上司にその点を具申をしていただきます。  次に、これは警察庁と両方に伺いますが、どうも私は車の型といいますか、大きさといいますか、これと道路の状況というものが、両者の関係からどう規制をすればいいかということが、これは運輸省も含めて十二分に関係官庁での合理的な連絡調整というものが行なわれておらないように思われるんですが、これは警察庁局長でも長官でもけっこうです、どうなんですかね。この交通対策という点からいいますと、もっと道路の条件というものとそこを通わせる車の条件というものに対して合理的な規制というものを考えられませんかね。
  156. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 道路の条件と車の条件につきましては、端的に言えば一升ますに二升の水を入れよう、あるいは三升の水を入れようとしているのが現在の道路と車の関係だろうと思います。だから急速に、入れようとしている水に適合するような道路ができれば、私たちは一番いい形だと思いますけれども、それがなかなか急速にできないということになれば、勢い車のほうを規制していかなければならぬ、しようがない、こういうふうに考えます。したがいまして、従来運輸行政一本でやっておりました免許等につきましても、多少とも警察がタッチをして、その道路について、こういうことを許可することは無理であるというような意見を申し述べるような事実上の措置をやっております。これはまあ主として路線バスないし路線トラックというようなものでございまするが、十分それじゃ連携がとれてやっているかとおっしゃられれば、これは連携という意味じゃ十分とれてやっているつもりでありますが、それとまた通産行政とからみまして、多少の無理はしかし道路側のほうにも忍んでもらいたいというようなかっこうのところがないわけじゃございません。したがって、その入れものと入れるものとの関係が無理がある点でございまするから、そのしわ寄せがやはり事故原因として相当の重さを占めているということは、私たちも十分認めますので、これは関係機関ともよく協調いたしまして、お互いにどういうところまでが忍べるかというようなところで当分やっていく以外になかろうか、こう考えます。
  157. 加瀬完

    加瀬完君 このテレビや映画にはバス通り裏ということばがございますがね、実際の交通のほうでは、バス通り裏というものは現状ではございませんね。道路があればバスが入る、トラックが入るというのが現状ですね。ほんとうにバスの入れない、大型トラックの入れない道路というものをもっとつくる必要はございませんか。
  158. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ちょうどお宮やお寺の前に行くと、かきねをつくって柱を立てて事実上入れないよにしているところがありますが、ああいう思想からいって、入ろうと思っても車が入れない、人間だけしか歩けないというような道路が、住宅街等で必要、発達すれば、それは非常にいいことだと考えます。
  159. 加瀬完

    加瀬完君 法律的に、法律的というか、行政の、何と言いますか、規則命令のワクででももう少し厳格にすべきじゃないでしょうか。交通安全というものを、人間尊重というたてまえをとるならば、道路であればどんな車でも無差別に入っていい——規制はしておりますけれども、現実にはさっぱり規制が行なわれておらない、こういう点をもっと公安委員会なり、あるいは地方でもこれから行なわれるというこの交通安全の会議等で世論的にも喚起して、車は車の通る道というものをやはり常識的にもわが国においてもはっきりさせる必要がありませんか。
  160. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) おっしゃるとおり、広い道はまあ車がいっぱいで、勢い相当大きな車も小さな路地を通っていく。物理的に通れるだけは通るといったようなのが現状でございますから、そういう所を通したらさらにあぶないという所は、私のほうでも公安委員会で車両の通行を禁止するという措置をとれば、それはできることですしこのほうの連携をもさせなければいかぬと思いますが、一般的に法律的に言えば、車両制限令というものがそのまま趣旨どおりに行なわれれば、先生のおっしゃられるようにその道に応じて、その車の、皆無ということは期し得ませんけれども、一定の比例の車しか通れないというようなことになるわけでございます。しかし、御承知のように、あの法律を実施する、実際に行なうというようなことは、まあそれを、通るほうが自制して、あの法律の趣旨でやってくれればこれはもちろんけっこうですけれども、そうでない場合にどうするかとなると、道路管理者のほうで一回注意をして、さらにそれを聞かなかったという事実を認めた場合に初めて罰則がかかるというようなことで、警察が直ちに出ていく性格のものでないものですから、これは実際上の効果というものは現在あがっていない面が多かろうと思います。これなんかも、時をかけるということによって両者協調してやれば……。法律自身はりっぱなものができている、こういうふうに私は考えております。
  161. 加瀬完

    加瀬完君 そこで運輸省に伺いますがね。警察庁長官のおっしゃるとおりに受け取りますと、法律自身はりっぱにできていると、車両の規制の法律……。
  162. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 建設省ですよ。
  163. 加瀬完

    加瀬完君 建設省ですか。バス路線なんかの認可ということになりますと、運輸省ですね、これは。認可をする場合に、いま言ったような、車両の規制のワクを厳格に守って、十二分に道路等も点検の上で許可を現在しておりますかね。
  164. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 先ほどから御説明がありましたように、路線バスあるいは路線トラックの免許をいたします場合におきましては、道路管理者及び公安委員会に協議いたしまして、その意見によりまして処置をしているところでございますただ、従来からありました路線につきまして、先般来施行になりました車両制限令に触れる面がありますので、これをすみやかに改善するという努力を関係各省で重ねたところでございますけれども、昨年の七月三十一日までの猶予期間ではそれが十分の解決ができなかったために、さらに延長いたしまして、来年の七月三十一日までには触れるものがないように対処していこうというふうなことで、関係省で努力を続けておるところでございます。
  165. 加瀬完

    加瀬完君 警察庁に伺いますがね、交通事故件数の少ない地域が、鳥取あるいは北海道といわれておったわけですがね、このお配りをいただきました三十八年度の「交通事故統計」を見ると、死者については、三十七年度と三十八年度と比べますと、旭川、北見、函館、非常にふえていますね。これはどういうわけですか。
  166. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) ただいま御指摘のように、全般的な傾向といたしましては、従来交通事故は大府県に集中していましたが、最近では、犬府県以外の県に非常に多くなっております。パーセントで申し上げますと、五、六年前までは六大府県が七であったのに対して、それ以外の府県が全部合わせて三という数字でありましたが、最近では、それが五対五くらいとなっております。原因でありますが、いろいろありますが、一つは、地方部における自動車の保有台数が急激に増加したことが考えられます。もう一つは、地方部における道路が最近舗装率がだんだんよくなってまいりましたが、道路の舗装のよくなったことだけで、安全施設の点に若干不備がありましたので、これはそういう意味で四十キロくらいでしか走れなかったところが六十キロくらい出してスリップして事故を起こした、こういうようなことが原因になっているだろうと私たち考えております。
  167. 加瀬完

    加瀬完君 死者の増減率を見ますと、旭川六二・九%、それから北見が四〇・七%、函館が四八・八%と、非常にふえているのですね。これは砂利道が舗装になってスピードが出たというだけですか。ほかに何か——砂利道が舗装になったところはほかもありましょうけれども、こんなに死者がふえているところはないわけですね。
  168. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 砂利道が舗装された場合も一つ原因でございまして、一般的には、やはり自動車の保有台数が急激にふえたことが、原因じゃないかと思っております。
  169. 加瀬完

    加瀬完君 事故件数の非常に少ない宮崎、愛媛、島根、福井、こういうところはそうすると自動車の保有台数が少ないということですか。
  170. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 先ほど申し上げましたのはごく一般的な場合で、県によりましていろいろ状況も異なっております。ただいま御指摘になりましたたとえて申しますと、愛媛等でございますが、これは道路環境とは別に、何と申しますか、県民、村民等の交通安全思想というものが非常に普及いたしております。そのために事故件数が非常に減っていると、こういう状況もあります。したがいまして、県によりましていろいろ異なりますので、特殊な場合もありますから、一々その具体的な理由原因等は、ここでいま抽象的に申し上げかねますので、一般的には地方部における自動車の保有台数が多くなったとか、あるいは道路の路面の整備に対して安全施設整備がおくれているということが主要原因であろうと思っております。
  171. 加瀬完

    加瀬完君 それから事故の多い時間帯というのですか、これを見ると、午後の三時から五時というのが非常に多いんですね。これは運転者の疲労といったようなこと、あるいは労務管理上の問題というようなことは、原因には考えられませんか。
  172. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) まあ労務管理の適否の問題は、個々の具体的な場合によっていろいろ異なると思いますが、一般的には夕方になりますと、疲労も加わりましょうし、したがって注意力も散漫になる、これがある程度事故原因になっていると推定しております。
  173. 加瀬完

    加瀬完君 それから事故者の年齢別の統計をいただきまして見ますと、二十歳から二十九歳という年齢が一番大きい率を示しておりますね。傷者、傷を受けた者二九・一%、それから死んだ者、これも二一・六%。二十歳から二十九歳の者が死傷者としては一番大きな率を示しておりますけれども、これはどういう理由だとお考えになりますか。
  174. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 御指摘の年齢層が、実は運転をしております者の絶対数で一番多いということが一つ原因であろうと思っております。
  175. 加瀬完

    加瀬完君 それからその次には、十六歳未満のものの死傷者の率が非常に多いんですね。これは無免許運転というようなことですか。
  176. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 現在の免許制度におきましては、十六歳未満のものは、少なくともモーターのついた車の運転は認められておりませんので、したがいまして無免許ということになりますが、自転車の場合もごく少数あろうかと思います。
  177. 加瀬完

    加瀬完君 それから子供の死亡について調べると、十二歳未満というのが、男の子は千百四十二人、傷を受けた者が三万三千七百九十三人、女の子は死者が六百四十人、傷を受けた者が一万七千四十四人、男の子のほうが非常に多いんですね。この理由は何ですか。
  178. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) まあ学童、幼児の交通事故は、やはり学校の登下校であるとか、あるいは一たん家に帰りましてから、路上で遊んでいる場合が多く原因になっておりますので、これは全く推定でありますが、やはり男の子のほうが外で遊ぶ率が多いからではないかと思っております。
  179. 加瀬完

    加瀬完君 ただいまのいただいた統計でも、路上遊戯というのが非常に多いですね。結局、路上遊戯をするのは、女の子より男の子のほうが多い。問題は遊び場がない、子供の遊び場がないといったようなことが、路上遊戯というような形になって、男の子の死傷者をふやしているということにもなりますね。そうすると、単にこれは交通規制ということだけではなくて、この子供たちを路上で遊ばせないという問題も解決しなければならないわけですね。そうなってまいりますと、これは警察庁で、公安委員会で取り締まるということだけで解決できない問題がたくさん出てくるわけですね。これはまあ大臣もおりませんし、総務長官もおりませんから、まあ警察庁の長官からでも、それぞれ御意見を上申していただく以外はございませんが、警察側でも、やはりこの遊び場の問題というのが一つ原因をなしているとは御認定になっておりますか。
  180. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その点、私たちも非常に強く感じております。したがいまして、総理府にございまする交通安全のいろいろな機関にも警察からやはり路上遊戯というものが大きな原因になっておるから、それにかわる児童遊園地等というものを急速に方々にこしらえてもらいたいという要望をしておるわけでございまして、そういう考えも十分交通対策本部等でも考えられて、厚生省所管ではございますが、そのほうにも力を入れるということになっております。また警察自体といたしましても、急にあき地を見つけて路上遊戯のかわりの遊園地をつくれといっても、すぐにはできないと思いますから、日曜等には一つの試みではございますが、路上の一画を限って自動車のほうに遠慮をしてもらって、一時的に自動車通行どめをやって、その間は子供をその道に遊ばせるというような試みも一、二やっておる例がございます。
  181. 加瀬完

    加瀬完君 それから事故の車両別に見ると、自家用貨物というものが事故が一番多いようでありますね。これはどういう原因ですか。
  182. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) お手元にお配りいたしました統計書の五ページにも書いてございますが、自家用貨物のほうが営業用貨物より台数が絶対数が非常に多くなっております。それが一つ原因でございますが、これを千台当たりでとりますと、逆に、死者にいたしますと、営業用のほうが多くなってまいります。ただ問題は、営業用トラックのほうが走行距離が相当自家用より多いと考えられまするので、それを修正いたしました結果は、実は自家用につきましては走行距離がとれませんので、統計は出ておりませんので、はっきりわかりかねますが、結論的にはそう大差はないかと思っております。
  183. 加瀬完

    加瀬完君 この統計によりますと、大型貨物よりは普通のライトバンですか、ああいったいわゆる小型というか、中型の自家用貨物のほうが事故が多いということになっておるのじゃありませんか。われわれがこう目撃するところでも、自家用貨物の運転というものは相当乱暴ですね、現実的にわれわれの目に触れるところでも。
  184. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 最近よく話題になっておりますダンプカーとかああいうものは大体自家用貨物になります。したがいまして、御指摘のような多少乱暴な運転をするものが自家用貨物に見受けられることは事実でございます。
  185. 加瀬完

    加瀬完君 統計はそうじゃないでしょう。あれは大型に入るでしょう、ダンプカーみたいなものは。そうでないほうの自家用貨物の事故率が多いでしょう。そうではございませんか。
  186. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 先ほどのは先生のおっしゃるとおりダンプカーは大型でございます。それから大型以外の貨物は絶対数が統計上多くなっておりますが、実は先ほど申し上げましたように、走行距離が自家用につきましてはとれませんもので、はたして比率がどういうことになるかということは、ちょっと私たちも自信を持ってお答えをするわけにまいりません。
  187. 加瀬完

    加瀬完君 ちょっと質問が飛びますが、脊損患者といいますが、脊髄とか腰椎損傷で歩くことのできない、先ほどもちょっとお話が出ましたが、車いすなどで歩行を助けている方々がございますね。この方々から私どもはたくさんの陳情書をいただいたのです。それによりますと、軽免許の方法が変わりますので、自分たちは試験が受けられなくなる。何かせっかく社会に復帰しようと思って軽免許をとろうと思っておるのだが、これが今度の改正でだめになるとすると、われわれ社会復帰に対して一つの望みを失うことになる。これはどういうことにしていただけるものだろうかという趣旨の大体陳情をいただいているのですが、これはどうなりますか。
  188. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 軽免許につきましては、先ほども松本委員の御質問に対してお答えいたしましたように、三年たちますと一応普通免許に統合する予定にしております。なおまた、この法律がかりに施行になりますと、軽免許の試験も多少強化する予定にしておりますが、これは試験の方法でございまして、欠格事由といたしましては何ら現行法と変わっておりません。そこで身体の障害のある方につきましては一定の条件で現在免許を与えておりますが、その条件の内容が著しく変わるようなことは現在考えておりません。
  189. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、こういう方々に対しての免許の授与というのは、いままでのようにやはり便宜をはかって保護をする立場でめんどうを見てくださるというふうに了解してよろしいですね。
  190. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 身体に欠陥のおありの方につきましては、一定の条件を付しております。たとえば、これはあたりまえのことでございますが、手のない人には義肢をつけて運転するとか、そういう一定の条件をつけておりまして、その条件に適合いたします場合には、いままでどおりに免許を与えることになると思います。
  191. 加瀬完

    加瀬完君 最後に、先ほどもちょっと総務長官に伺いかけたわけでございますが、被害者保護について、これは警察庁にお尋ねをする筋合いではないわけでございますが、一応全体の交通対策ということから考えれば大切なことだと思いますので伺うのでございますが、法規を適正にしていくということももちろん大事でございますが、賠償基準あるいは保険制度というものについて、あまりにいまの日本の国はおくれているんじゃないかと思うのです。イギリスなんかは非常に進んでいるようでございますが、警察の取り締まりの側から見て、保険制度というのが確立するとか、あるいは賠償基準に死者は百万円というようなことではなくて、無制限にイギリスのように払わなければならない。保険に加入しなければ免許証は交付しない、こういう制度というものがあるほうが事故率は減るというお考えは、お考えというより御認定は、お持ちになりませんか。
  192. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私も当然そういう方向に行くべきだと考えております。ただ急激にそういうことにする結果、それができないというようなものにつきましては免許をしないということになれば、自然無免許、技量はあってもそういうことのために無免許でやるというようなのがあるいは出てきはしないかと思いまするので、やり方については相当検討を要するものだと思いまするが、要するにいまの義務的な保険額というものが非常に低いということは、やはり運転する側に対しましても自制心を失わせる。これくらいあればいいというような気持ちにさせると同時に、現実に不幸にして事故の起きました際の救済に非常な差しつかえがありますから、これはぜひ——去年から五十万から百万に上がったばかりではございまするが、他国に比して非常に低いので、これは上げてもらいたいと考えます。ただその場合は、もう技術的に年齢あるいは経験年数等を勘案した掛け金等を考えないというと、やはり公平を失するかと思いまするから、これはぜひ諸外国の例にならってもらいたいという希望を警察としては持っております。
  193. 加瀬完

    加瀬完君 イギリスの場合は被害者保護について相手方との交渉あるいは賠償金の受け渡しなどのこまかい世話は、全部政府がするということになっておるようでございますね。それから自動車損害賠償強制保険が補償する金額は道路交通法によって無制限ときめられておるといわれておりますね。日本では前々から御説明のように低いところに限度がある。押えられておる。さらに被害者は弁護士の費用を心配する必要がなくて、これは全部保険会社で負担をする。さらに自動車損害保険局、こういうものがありまして、被害者への賠償の支払い、あるいは加害者からの取り立て、こういうものも一切やっておるということですね。こういうわき役といいますか、側面から交通の安全性を確保するという機関を設けるということは、わが国においてもあまりに多い交通事故なんですから、考えられていいことじゃないのでしょうかね。この点についていかがでしょう。
  194. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) わが国でも逆の保険というか、交通事故にかかった場合に差し上げますという保険が、多分これは任意ですけれども、あると思いますが、そういうものが発達して、片方は加害者となった場合の賠償のための保険、片方は被害者になった場合のそれを救済する保険と、両方かりにあって、その両者が交渉して妥当な額というものが出てくるようになれば、これは非常にいいことだと私たち考えます。しかし、私が先ほど申し上げたのは、必ずしもその両方ができなくとも、片方の加害者になった側の保険だけでも、強制保険だけでももっと高くしておくという必要がありやしないかということを申し上げたので、両方あればさらにいいと思います。
  195. 加瀬完

    加瀬完君 日本では行政罰は非常にきびしいですね、交通違反に対して。しかし行政罰よりも裁判所の判決といいますか、こういうものや、あるいは検察庁の取り扱いの略式な罰金なんていうのは、行政罰よりはるかに安いですね。たとえば一万円の罰金で事実六十日の停止なんていうことを行政ではあり得ますわね。イギリスは、やはり行政罰ではなくて、裁判所の判決が非常に交通事故に対して重いようでございますね。人命尊重されなければならない、人命は何ものにもかえられないのだ、こういうものの考え方というのが日本の司法といいますか、裁判においては非常に交通事故に関しては外国に比べて慎重に考えられない点がある、命はかえられないというような非常な高い価値としては判断をされておらないきらいがあるんじゃないでしょうか。どこに原因があるんでしょう、これは。
  196. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) イギリスの例、私存じませんが、人命は何よりも尊い、それを傷つけたら相当重い処罰をするのがあたりまえだという罰金の形でとっておるんだろうと思いまするが、そのことだけでは被害者の救済にはならない、加害者の自粛、たいへんなことになるぞという自粛にはなると思いますが、罰金の額を重くするということで被害者が救われるということはございませんので、わが国では行政罰が非常に高い、それに比して裁判のほうが低いということでありますならば、その二つを合わしたのが一つの処罰制裁というようなことになりますから、これはちんばであっても私は必ずしもそう不都合なことじゃないと、こう思います。ただ人命尊重ということについては、交通の問題のみならず、私たちの、これは多少プライベートなあれになりますけれども交通事故じゃなくても、普通の殺人であっても被害者人命についての考え方が少しおかしいんじゃないかという気持ちを私なんかは持っております。そういう全体の流れが裁判としての経過に出てきておるのじゃなかろうかと私は想像いたしますけれども、裁判のことをとやかくここで申し上げることは控えさせていただきます。
  197. 加瀬完

    加瀬完君 行政罰が重いというのはおかしいでしょうね。裁判所の判決の補いを行政罰がするということは、どだいおかしいですね。行政罰を重くしなければならないようなことならば、判決だってやはり常識としては重くなければならないわけでしょう。そうでなかったらこれは基本的人権として当然争うべき裁判所のようなところなら争いますけれどもね。行政罰なんていうのは、そういう意味で裁判所のように争い得る余地というのは少ないわけです。これをかってに行政罰ばかり重くするということは、これは問題があると思うわけであります。しかしながら、いまはその問題じゃございません。いずれにしても、どうも何と言いましょうか、交通事故による人命というものに対する価値判断というものが、私は国全体としてこれはもう少し外国を見習うべき問題だろうと思うわけであります。これは何も警察庁の責任ということではございませんので、質問を他に移します。  そこで、こういうことがございましたね。自動車事故被害者が応急手当てをたのんだところが、西宮のある病院では、その人が持ち合わせがなかったということで治療を断わったわけですね。どうして断わるのかという、あとで問題になりましたけれども、そう言ってくる八割は、食い逃げということばはおかしいけれども治療をさせっぱなしで行くえ不明になってしまって金を払ってくれないので断わったということがあったそうですけれども外国では、被害者には初めから治療費を請求しなくてもいいので、加害者は過失の有無にかかわらず支払うことが法律できめられておる。こういうところが多いようですね。こういう点も道交法できめておるところが多いようですね。道交法内容というものは、単にこのたび提案されたような内容のものだけでなくて、被害者保護あるいは広い意味の補償基準あるいは保険制度、ここまで含めて道交法というものがもっと改められてしかるべきだと思いますがどうでしょう。
  198. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 答弁は要らぬというお話でしたが、先ほどのことについて誤解があるといけませんから繰り返しますが、行政処分は決して司法処分が軽いからあわせて一本になるように重くしているというあれはございません。私たちのほうのは、やはり行政処分としてその程度が適当であるというところでやっておりますから、重いか軽いかの司法処分については、また別個に判断をしなければならぬ、こういうことを申し上げたので、その点は御了承願います。  それからただいまの第二番目の、交通事故があったら加害者のほうで、加害者といいますか、第一原因者のほうで、責任がないというか過失や故意でなくても、とにかくその治療費は払わなければならぬということを道交法の分野で書くということは、全体のたてまえとして、これは一つ考え方ではありますけれども検討を要するのじゃないか。あるいはそういう場合は、被害者の側の保険ということを考えるなり、あるいは国あるいは公共団体等で、これはだれにも帰すべからざるものの救済というようなことで考えないと、いまのたてまえは多少擬制して、子供が出てきたときにひき殺したというような場合は、ほんとうは、端的に言いますというと、多少何というか、もう避け得られない行為であるに近い場合でも、やはり加害者のほうに、ある程度の責めを帰しておりまするけれども、これをもっと極端に、何ら加害者のほうにあれがないというようなときも、これはしようがないといって、それにやらせるというところまでは、まあ私自身の考えとしては、道交法に取り込むということはいかがかという感じをいまのところ持っております。
  199. 加瀬完

    加瀬完君 説明を少し省きまして恐縮でしたが、結局保険制度というものが前提にあって、一応加害者の支払いにして、事故がなくても無過失であっても一応当座の支払いは加害者に責任を持たせて、それであとは保険制度の運用によって支出したものが返ってくる、こういうたてまえをとっておる国があるようでございますね。ですから保険制度というものが前提に確立しませんと、それだけを道交法にきめたってどうにもなりませんけれども保険制度そのものをも含めて、やはり全体で交通安全をどうはかっていくか、道交法の目的を達していくかという方法を考えられたらどうかということでございます。  それから蒸し返しで恐縮でございますが、いまの交通事犯に対して行政罰のほうが重いのです。非常にアンバランスになっておると思うのです。これはアンバランスになっているということは、長官のおっしゃるように、重いというけれども、行政罰の当局としてはそれが当然妥当だと思っておやりになる、それはそのとおりだと思う。それなら裁判所の判決等であらわれたそれが低いということは、結局交通事犯に対する判断というものが、それだけ直接取り締まりをしている行政の担当の者よりも低いということですね。ここらに結局問題があるんじゃないか。私はアンバランスであることは正しいとは思いませんよ。あなた方の主張が正確だとも、悪いけれども申しかねるのですけれども、いずれにしても、政府なら政府、あるいは裁判所なら裁判所というものが、交通事犯に対する罪の意識というものをもっと高く重大に考えていただかなければ、ただ行政担当の者だけが交通事犯というものを非常に大きく考えておっても、この道交法の目的は達せられないのではないか。そういう、これは意見になって恐縮ですが、感じを持つわけです。  運輸省にたいへんお待たせいたしましたが、この統計で見ると、必ずしもタクシーのような営業車が事故が多いということにはなりませんけれども、現実には相当神風タクシーとかいわれたような、違法といわれなければ違法すれすれの運転状況が多いわけですね。なぜかということになると、水揚げが少なくては食えないからということになるでしょう。これはほとんど歩合で、確実な月給制でないところが多いのですね。これらをどう把握をしておりますか。  それからタクシー運転手なんかの労務管理といいますか、休養等の条件はどういうように現在なっておりますか。
  200. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) タクシーのみならず自動車運送事業の給与あるいは労務条件につきましては、事業の性格上これを厳格に指導しなければならぬところでございます。タクシーの給与の関係につきましては、三十二、三年ころにいわゆる神風タクシーということで世間をお騒がせした時代がございましたが、この当時おにきましては、固定給がおおむね給与の三ないし四割でございまして、あとは歩合給というふうなことでございましたが、現在におきましては、たとえば東京の都区内のタクシーの給与水準から見ますというと、最近の調査では固定給が大体五〇%をこえているというふうなことでございます。しかしながら、まだ不十分でございますので、極力固定給をふやしていくという指導をやっております。  それから労働条件、たとえば休養の施設であるとか、食事をするような厚生施設であるとかいうふうなものにつきましても、そのつど指導は厳格にやっておりますけれども、さらに今後、まだ完全ではございませんので、強く指導監督をしていきたい、かように存じております。
  201. 加瀬完

    加瀬完君 タクシー運転手の労働組合なんかは、正常な労働組合の運営が行なわれていると御認定になりますか。これは労働省に伺ったほうがいい問題でございますが、一応監督官庁でございますから運輸省に伺います。
  202. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 都市におきますタクシー会社は逐次事業規模が拡大されておりまして、東京の場合等におきましては、三十両以下というふうなものはほとんど例外になっております。したがいまして、そういうふうになっておりますし、労働組合等が逐次結成されまして、経営者と正当なる労働の関係の折衝を行なっているということだと思います。しかしながら、タクシー事業全体を見ますというと、まだ非常に中小の企業がたくさんあるのでございまして、それらにつきましては、さらに今後われわれといたしましても十分九指導をして、給与の改善、その他労働条件の改善ということに努力を続けていきたいと思います。
  203. 加瀬完

    加瀬完君 これはお願いですけれども運転手が労働運動をやりますと、結局、車に乗せない、干されるといいますか、配置転換をして、結局収入を少なくする、こういう事実が幾つかございます。これは労働省に連絡して厳重に監督していただきます。  それから、このごろだいぶよくなったようですが、長距離の貨物輸送をしている運転手、それから、これは労働問題とは違いますけれども、時間給でなくて、ノルマみたいに、台数で、何といいますか、砂の運搬、あるいは砂利の運搬という車は一台幾らということでやりますね、そのために制限以上に物を積む、あるいは制限以上にスピードを出す、こういう違反事実が相当ありますね。これは労働対策ということにもなるかもしれませんけれども、経営者をもっとチェックする方法はありませんか。そういう違反の車をたくさん出している営業者といったようなものは、何か自動車の取り締まりの上から、そうさせればかえって経済的にも損失が多くなるという方法がとれる何か方法はありませんか。
  204. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 御質問は二点あるかと思いますが、前段の長距離の路線トラックの運行の場合でございますが、これらの労務管理の改善につきましては、相当前からいろいろ研究を重ねておるところでございますが、たとえば東海道の定期路線直行便の運行の条件基準につきまして、全国自動車運輸労働組合から、三十七年の八月に申請がございまして、中央労働委員会におきまして調停案が提示されております。そこにおきまして、運行時間であるとか、休憩時間であるとか、交代時間であるとかいうふうなものができ上がっております。そのほかにも長距離の路線があるのでございますが、これにつきましては、運輸省といたしましても、省令に自動車運送事業等運輸規則というのがございまして、これにおきまして、いろいろの規定をいたしております。運転手の休憩であるとか、仮眠の地点であるとか、あるいは乗務基準、運行記録計の記録というようなことを規定いたしておりまして、この方面の労務関係は、相当改善をしつつあるものと考えております。  それから、あとの砂利トラック等のでき高といいますか、請負的なものは、おおむねこれは自家用車でございまするので、自家用車の場合には、現在の法規におきましては、直接いまのような給与関係等はわれわれの所管するところではないのでございまして、ただこれが運送事業者の場合におきましては、給与その他の関係につきましては、先ほど申し上げましたような諸点につきまして改善、指導をいたしております。ただ、砂利トラの場合は大部分が自家用車でありますのが、これはわれわれ直接担当の方面ではないわけであります。
  205. 加瀬完

    加瀬完君 この自家用車だけれども、事実は営業しているわけですね。砂利トラの場合は、厳格に言えば営業車ですわね。あれをもっと規制する方法はないですか。私なら私が車を持っています。しかし、だれかにチャーターされて、それから砂を持ってきてどこかへ運ぶ、あるいは自分で砂を買って持っていって売るとか、営業しているわけです、事実においては。それをもっと——自家用車だから取り締まる方法はないということではなくて、事故も多く、大きいですからね。何とか運輸省としての監督規制ができないものですかね。
  206. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 砂利トラは確かに営業用でございますが、道路運送法で規定をいたしますのは、荷主と運送事業者が運送契約をする場合のことでございまして、運送ということを営業あるいは事業とする場合におきましては、免許を要するということでございます。いま御指摘のような場合におきましては、営業的にやはり運送事業的なものになる場合のほか、自分で砂利を買ってそれを運ぶということになりますと、これは自家用の面でございますから、そこでは事業としての監督はしない。しかしながら、積載の面であるとか、あるいは運行におきますところのスピードの面等につきましては、道交法その他で取り締まれるというような法律規制になると思います。
  207. 加瀬完

    加瀬完君 それはそういうことになっていますよ。なっていますけれども、何回よけい積んだって、これは道路交通法上の取り締まりは受けても、営業上の取り締まりは一つもないわけですね。たとえば六トン車で六トンよりよけい積んでいるような車がありますよ。つかまった場合には、それは道交法の違反だ。しかし、営業を取り消すということにはちょっとならない。相変わらず、自家営業できるわけです。それじゃ、罰金だけ払えば、あと営業を続けるにはたいして差しさわりがないのだということであっては、交通安全の視点からすれば、あまり効果はあがっていないわけですよね。その点何かいい方法はないかということです。
  208. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) ただいまの御質問と若干関連がありますのでお答えいたしますが、今度の道交法改正の中に、いま砂利トラの問題が出ましたが、自家用自動車を相当数持っている者につきましては、安全運転管理者という制度をつくりまして、安全運転をすることの業務をその者にやらせるということで、自家用自動車の安全運転の確保につとめるという手段を講じておるわけでございます。
  209. 加瀬完

    加瀬完君 一台の場合は。
  210. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) ただいま私たち考えておりますのは、大体十台程度を一事業所で使っている場合に安全運転管理者を置くことを考えております。
  211. 加瀬完

    加瀬完君 十台とか、二十台とかいうことになれば、ある程度組織もしっかりしておりますから、そう労務管理もでたらめじゃないわけです。運輸省の御説明の、一台ぐらいの届けは白ナンバーで、実際は青ナンバーの仕事をしているというようなものをどうするかということですね。これはひとつ十分また御連絡の上、何かいい対策考えておいてください。
  212. 鈴木壽

    鈴木壽君 道交法改正が最近毎年のように行なわれておるのですが、この調子で行くと、次の通常国会のときにもまた何か出てくるのじゃないかということが考えられますけれども道交法そのものについて根本的に検討を加えながら、今後どうしなければならぬかというような御検討をしておられるのですか。この点どうなんですか。
  213. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 目下のところ、次の国会にという具体的な案はございませんが、先ほど長官からもお話がありましたけれども免許制度その他の問題につきまして長期的にいろいろ考えているものはございます。たとえば、点数制度を導入するとかいうような問題、それからもう一つ、これは免許制度ではございませんけれども道交法の罰則を刑事罰からはずしていくかどうかという問題がございまして、そういう点も検討中でございます。これは相当長期にわたって検討しなければいかぬ問題でございまして、そういう問題がございますが、直ちにというものはいまのところはございません。ただ、昨年来から事故分析をいろいろな観点から実施しておりますので、事故分析に基づきまして若干あるいはいじるところが出てくるかと思います。そういう問題はございますけれども道交法を抜本的に改正するというところまでは、いまのところ考えておりません。
  214. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはいま言ったように、三十五年にできてから、三十七年には二度やっており、三十八年、三十九年、そうしてまた今度と、こういうふうに毎年のように一部改正が行なわれておるのです。そこで、さっきも言ったように、また今度の国会あたりで何かの改正案が出てくるのじゃないかというような気がするものですからお聞きしたわけなんですが、この道交法は、かつて取締法というあれから根本的に一歩新しくなったような形でつくられた。その内容においても相当変わってきた。こういうようなことがあったのですが、それに匹敵するような何か改正でも考えておられるのかどうか、あるいは問題点があるのかどうか、こういうことをお聞きしたわけなんであります。それで、いまのお話によりますと、免許制度について一つと、罰則の面で刑事罰をはずすかどうかという問題、その二つのようでございますね。
  215. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 点数制度というのは外国でも例があるそうでありますが、これは、繰り返すという者についてどうするか。そのたびたびに同じ罰を加えていくということよりも、一定の期間にその違反に限度をつけまして、そうして、これが五百減点というようなことになればそれは取り消しになるとか、あるいは、一年以内に三百点減るというようなことになると、何カ月の停止というような、そういう考え方をとったほうがいいんではないかというような考え方であります。しかし、その前提としては、先ほども申し上げたように、一人の運転手が、日本全国にわたって、その一年間なり二年間なりの与えられた期間に繰り返す違反なり事故を的確に把握できるかどうかということが前提になるわけでございまして、この把握を電子計算機で現在できるだけ中央でとってみようという試みをやっておるわけでございます。それが一つ。  それから、罰則を云々というのは正確でございませんので、道交法の違反といえども、その重要な違反についてはやはり刑罰で担保をしなければいかぬだろう、これは十分考えられております。しかしながら、現在オール・オア・ナッシングになるわけなんです。罰をかけるということになると、禁錮、懲役をかけるか罰金をかける以外にないと思う。あとは司法処分としてはやれないということになるわけでございまして、どうもいまの勢いで行きますというと、先ほども申しましたように、違反が年々五百万から六百万あります。これが全部ほんとうは罰を食うということになりますと、五百万人、六百万人の前科者がこれによってできてくる。これはたいへんなことでありまして、数年ならずして一億総前科者となるわけなんでございます。そこで、必ずしも刑罰にしないでもいいのじゃないかという種類の交通違反というものがあると考えまして、その分を刑罰以外のものに、過料なら過料というところに落としてくるという考え方、どこからそうするかというのが一つの問題でありますし、これは法務省なり大蔵省なりに大いに議論のあるところでございますから、私たちがそう考えたからといってすぐできるものだとも思いませんが、単にその罰金に相当するものがどこに入るかという議論が現在ありますけれども、そういう観点を抜きにして、いまのように、数百万人の前科者というものをこういう交通法規から出してくることがはたして正しいか正しくないかという観点から検討してみようと、両方兼ねています。実は、この地方行政委員会ですから申し上げますが、罰金に当たるものをみんな地方に還元して、地方の交通対策費に使えというような議論が知事会あたりにも相当あるわけです。しかし、そういう金をどこに入れるかという面から攻めていくというか、議論をしていくということもありましょうけれども、もっと根本的には、そういう違反をどういう形で制裁するかという点にむしろ先決すべき問題があるんじゃなかろうか、あわせて検討したい、こう申し上げたいと思います。
  216. 鈴木壽

    鈴木壽君 点数制度を、アメリカあたりでやっておるパッドマーク・システムですか、これは考えてもいい一つのやつだと思いますが、いずれそういう問題、あるいはいまの罰則の問題ですね、ありますけれども、しかし、これをいますぐどうということではない、いま検討しておる問題だと、こういうふうに了解していいんですね。
  217. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) したがいまして、その事故分析からということを一面やっておりますから、それから早急に何らかの手を打たねばならぬという問題が出れば別問題でありますが、現在の状態では、いまのようなことを検討はいたしておりますけれども、次の国会ですぐこういうことを提案したいという予定はございません。
  218. 鈴木壽

    鈴木壽君 私抜本的な改正考えておるのかどうかということを聞く一つ理由は、最近警察庁でいわゆる交通事故の長期見通しというものが発表になっておりますね。私、新聞で見ただけでございますけれども、これを見ますと、これはちょっとおそろしくなるような死亡者なりあるいはけが人なりが出るというふうなことになっているわけなんでありまして、さて、そういうふうな見通しがあり、現在のいろいろな道路の状況、道路環境の状況、施設の状況、こういうものからいって、その面の急速な改善、改良がにわかに完全になるとは考えられないということ、すると、どっかでこれはやっぱりチェックしていくための手段がとられなければならぬじゃないか。その一つとして、やっぱりいろいろな交通規制の問題なり、道交法関係するいろいろな問題がまた出てくるのじゃないだろうか。出てこなければ、あまりいいことではないと思うが、出てこなければいけないのじゃないだろうかと、こういうふうに思ったところから長期見通しを立てられ、これにどう対処していくのかということを考えていく過程で道交法の問題が問題になっておらないだろうか、こういうふうにも思ってお聞きしたわけなんですけれども、この長期的な見通しというものと、現行の道交法あるいは今回改正されるそういうものを含めて、道交法規定なりいろいろな事柄からいって、このままでやっていけるのだ、このままでやっていくのだ、こういうことなんでしょうか、その点を伺います。
  219. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 昨年の暮れからことしの初めにかけまして、四十三年あたりにはどうなるだろうかということをまず平べったく推計をしないというと、ずるずるとやっていってもしようがないということで、自動車のふえる数とかあるいは運転者数、交通量というようなもの、あるいは貨物の輸送量というようなものを、いままでの伸び率をかけて推計した数字がある。だから、取り締まりもいままでの調子、施設の伸びもいままでの調子ということで行けばああいう結果が出るわけであります。しかしながら、取り締まりのほうも何らかのくふうを加えて強化する、あるいは施設のほうに特に要望をしているのですが、先ほど来出ているような、横断歩道橋とか、あるいは歩道とか、あるいはガードレールとか、道幅を拡幅するとかいうようなことをその期間中力を入れてやれば、まあ半減とはいかなくても、横ばいでいくか、あるいは漸次減少せしめることができるだろうというのが、その長期見通しあるいは普通に見通した場合でありますが、努力を入れるとそういう目標になります。現に、先ほど公安委員長から申し上げましたとおり、幸い、本年に入りましてからは、少なくとも死者の数におきましては相当数、現在のところ去年よりも減っておるというような状況でありますから、とにかく、この勢いを続けるというか、むしろもっと強化をして、警察の取り締まりの分野だけでも効果を何とかあげていきたい。それから、ほかの各省につきましても、要望すべき点は十分要望して、いままで以上の努力をするということで、普通ならばふえるものを減らしていくということを考えております。
  220. 鈴木壽

    鈴木壽君 私お聞きしたかったのは、そのやっていく場合に、道交法というものをどうするのか、どうしなくてもいいのか、このままで行って何も道交法をいじらなくても、あるいは手直ししなくてもこういう体制で取り締まりの面においてはやっておっていいのじゃないかというふうにお考えになっているのか、あるいは、それに即応して施設の面、道路環境の整備、いろいろな問題があるわけですが、そういうものも改善し、改善を促進していくとともに、取り締まりの面におけるこういう法律の面でも何かやっぱり考え対策を新たにしなければならないという問題があるというふうにお考えになるのか、そこら辺をお聞きしたいと、こういうつもりでございまして、このままで行っていいのだというのであればいいのですが、私は無理に改正せいということも言っているわけじゃないのですから、その点。
  221. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) さしあたりこの次の国会にでも出すんじゃないかという御質問、そういうお話も出たものですから、この次の国会にすぐ間に合うようなテーマを現在かかえていて研究していて、この次はお願いしますというのはございません、しかし、いま考えていることについてはこういうのがございますということをお答えいたしましたが、その以外にも、たとえば少年の交通事故というものが非常に多いということでございまして、これを少年法でいじるかあるいはこの道交法でいじるかという問題も、大きな問題としてございます。それから、いわゆるひき逃げというものと、それから、傷害致死あるいは傷害をそのまま見捨てていくというようなものについての科罰というものもまあ問題になっておりますが、これは幸い今回法務省からその分については出しておられるようでございます。まあ、現在のままでこの数年間道交法をいじらないでもやっていけるという確信もございませんけれども、これをやれば急に減るというようなあれも現在持ち合わしてないというような状態でございます。
  222. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、長期見通しに立って四十年度の、何と言いますか、交通警察の強化計画というようなものができておられるようですね、警察庁では。これはどうです。
  223. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 交通警察に関する業務計画という名称で、一応四十年度にどういうことをやるべきかということを基本的な方針をきめております。
  224. 鈴木壽

    鈴木壽君 内容的にはおもなものをひとつ、あまり時間かけないで、個条書き的でよろしゅうございますから……。
  225. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 内容は非常に多岐にわたっておりますから……。
  226. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは、何かプリントしたものでもございませんか。
  227. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) ございます。
  228. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまはもらえませんか。なければあとでもいいです、次回でも。
  229. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 項目でも申し上げますか。
  230. 鈴木壽

    鈴木壽君 では、おもな項目だけでも。
  231. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 大別いたしまして三つの大きな柱からなっておりまして、第一が交通警察の体制でございます。これの整備充実ということで組織をどうするかとか、人事をどうするかとか、教養をどうするかとか、交通警察に要する装備をどうするかということでございます。  第二の柱が交通警察の運用の合理化という柱でございまして、これには、先ほどからしばしば話が出ております交通事故分析をさらに促進する、事故統計を改善するとか、あるいは広報活動を推進するとか、それから、これはあたりまえのことでございますが、交通安全教育活動を推進する、交通取り締まりの適正化、効率化をはかる、交通事件捜査の徹底等事後処理の合理化をはかる、これはすべて当然私たちがやらなければならぬことを強力に推進していく、こういうことでございます。それから、免許事務につきましても合理化をはかる。  第三は、関係機関団体等の連絡の緊密化をはかるということが第三の柱になっておりまして、これは、政府機関で申しますと、建設省であるとか、運輸省であるとか、関係機関と密接に連絡いたしまして、総合的に事故防止対策をはかりたい。特に非常に変わっていることを言っているわけではございませんで、私ども当然にやらなければならないこと、また、やろうと思っていることを一応計画的にやっていきたい、こういうことでございます。
  232. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、時期的な点からこれは当然なことだと思うのですが、一月に交通事故防止対策本部でやりましたね、あれとは一応無関係であると思うのですがね。無関係と言っては少し悪いかもしれないけれども、少なくとも長期的な見通しができたのは二月ですから、あれが一月にできているというところからすれば、直接的にはこれは関係をしておらぬと思うのですが、そこであなた方に一つの注文があるのじゃないかと思うのですね。内閣で、交通対策本部でつくったああいう要綱についてもっと注文があるのじゃないかと思うのですが、その点については何もございませんか。
  233. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) ただいま業務計画の内容について若干の説明がございましたが、あの中の交通警察の体制の整備の問題につきまして、たとえば、パトカーをふやしたいとか、白バイをふやしたいとか、それから、安全施設を強化したいということでございますので、警察の担当する安全施設でございますね、信号機とか横断歩道とか、そういったようなものの予算の問題はございます。それから、三つの柱の三番目の、関係各省に対する連絡の問題は、午前中から鈴木先生いろいろお話がございましたが、各省に対する要望というものも強く持っております。警察の体制を確立するための予算の面の要望と、それから、関係各省にやってもらわなければならないことを要望するという二つの要望がございます。
  234. 鈴木壽

    鈴木壽君 警察自体のいわゆる体制の整備強化という面一つと、それから、各省でそれぞれ行なわなければならないいろいろな仕事がありますわね。これに対する要望と二つある。それをもう持ち込んでおるのですか。
  235. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 内閣にございまする交通対策本部は、総務長官本部長で、内閣審議室がその事務をとっているわけでございますが、これは各省からもちろんいろいろな注文を持ち込んでおりまするけれども、この間鈴木先生が読み上げられた、対策本部におけるあの決定というものを、あのとおり行なわれれば、われわれとしては非常にありがたいことでございまして、あの項目はほとんど——全部と言ってはおかしいですが——われわれの持ち込んだ結果の決定になっております。
  236. 鈴木壽

    鈴木壽君 それは、要望を持ち込んで、それの結果ああいうふうになったというようなお話ですが、しかし、これは長期的な見通しを立てる前のやつですね。
  237. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) この長期的な見通しは、もちろん最終的な案ではございませんが、去年の夏ごろから大体私たち作業をいたしておりまして、実は、緊急対策に盛り込まれました事項は、一応私たちのほうでは、私たちの今年度以降やらなければならない仕事として取り上げております。その点では食い違いはございません。
  238. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、それならあの中で、いろいろ、たとえば安全施設の問題なんか幾つか並べられてあるわけなんですが、ああいうことについて、たとえば四十年度では一体どうなるのか、四十一年度ではどうなるのか、あなた方の一つの長期的な見通しを立てた四十三年という時点において一体どうなるのか、こういうことについての確たる見通しの上に立った施策が行なわれていく、あるいは予算的な裏づけがある、こういうふうにあなた方はお考えになっているのですか。ただあれをみなやってくれればいいのだという程度のものか。私、あなた方にだけこれを言うのは少し場違いのような感じもしますけれども、そもそものああいう対策なり、あげられてあるいろいろな事項については、私はそういう一つの私自身に不満があるわけなんですがね。その点はどういうふうにごらんになっているのですか。
  239. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 私のほうで立てました計画は、一応たてまえといたしましては、警察がやるべきこと、やり得ることについて計画を立てております。したがいまして、予算的には、四十年度の分につきましては、すでに予算がきまっておりますし、四十一年度以降の分については、今後強力に予算獲得に努力いたしたいと思っております。ただ、関係省庁にやっていただきたいことにつきましては、こちらだけで考えるわけにいきませんので、今後、先ほど長官も申されたように、交通対策本部におまかせするとか、あるいは個別的に各省庁に折衝して協力をお願いする、こういうふうに考えております。
  240. 鈴木壽

    鈴木壽君 私申し上げたいことは、あなた方の長期見通し、四十三年までのこれを見て感じたことは、これはたいへんだぞという気持ちですね、率直に言って。これは電子計算機とか、いろんなものではじき出してきたものでしょうから、ある程度自動車の台数のふえる状況なり、いろんなそういうガソリンの消費量とか、また、現在まで起こっている事故の発生の率なり、あるいはその推移なり、こういう点からいって、一つの結論的なものとして出てきたそれだと思いますから、だとしますと、これはたいへんなことになるんじゃないかと思うわけです。そのためには、さっき長官も言われましたように、少なくともたいへんなことにならないように、上がらないように、まあ現在と横ばいあるいは若干でも下がるような、そういうことをお互いに真剣にやらないことにはこれはたいへんだという、こういう点から、せっかくあなた方がこういう作業をし、一つの見通しを立てて、一生懸命これはあなた方取り締まり当局としては心しておられるんだから、しかし、それを心配ないようにするためには、いまの仕組みでは、これはあなた方だけではどうにもなりませんから、持ち込むところへ持ち込み、強力にそういう対策の実施方についてまたひとつやってもらわなければならない、こういうふうに考えるところから、いま言ったようなことをお聞きしておるわけなんです。この一つのあなた方の見通しというものは、せっかくやった作業を生かして、今後強力な、総合的な対策が立てられるようにひとつあなた方も努力してもらいたいと思うのです。  それから、時間もありませんから、もっといろいろ申し上げたいことはありますけれども交通事故対策で、いわゆる交通事故原因というものについて、せんだってもちょっとお聞きしておきましたが、それっきりになっておりますので、あらためてちょっとお聞きしたいと思うのです。三十八年度の——いただいたのは三十八年度のやつですね、これを一つの例として申し上げますが、交通事故原因比較が、これは資料の三十七ページにございますね。そのほかにもありますけれども、ここに図解したものもありますから、これで見ていきますと、交通事故原因というものは、上のほうの欄に「車両等」、それから下のほうに「人」の関係と、こういうふうに分けてありますが、「徐行違反」、「わき見操縦」、「右折左折不適当」云々、ずっとこう並んでおるわけですね。これを見て、こういうところに原因があるとすれば、こういうことが起こらないようにするということが事故防止対策としてまず第一に考えられることなんですね。事故原因分析究明というのはやっぱりそういうところに値打ちがあるんで。ところが、私率直に申しますと、これを見て、じゃ一体車両に関すること、しかも「操縦者の所為」、「操縦者の状態」、「車両の状態」、事故のほとんど全部が車の側の操縦者のために起こっている、こういうことになりますね、これからしますと。下のほうの「人」のやつを見ますと、これもいろいろあげられてあるわけなんでありますが、こういう原因分析究明ということが、単にこういう形において出てくるのかどうか。私ちょっと、もう少し事故防止対策を立てるための原因分析し、明らかにするということであれば、こういう整理のしかたは不適当じゃないだろうかと思うのです。これからは、道路の安全施設の問題が一体どうなっているのか、道路の構造が一体どうなっているのか、道路環境が一体どうなるのか。たとえば「信号等無視」ということがある。これはまあ「無視」というと、無視したからだということだろうけれども、一体いまの信号等のあの状況が、数からいっても、あるいは大きさとか、たやすく見られるのかどうかという、そういう点からいっても、信号等の設置場所等からいっても問題がないかというと、私はそういうところに非常に大きな問題があると思うのですね。ですから私は、もっとこういう事故原因を究明するための原因をいろいろ掘り下げて突き詰めていった場合には、そういうものと総合された一つ原因というものをそこに持ってこないと、ほんとう意味対策はできないのじゃないだろうかと思うのですね。私のこの「原因比較」というものの見方が誤っておるかもしれませんが、これだけから見ますと、いまわれわれが言っている、安全施設がどうの、道路の構造がどうの、その他の環境整備がどうのということは、これは運転者が一生懸命わき見しないように操縦させればいいし、右折左折なんかを厳重に取り締まってやらせない、スピードについてももっと取り締まれば、あと問題がなくなるのじゃないかというふうに思われるような分析のしかたではないかと、少し私はそう思うのですがね。あなたがた、別にいろいろ考えておるところがあると思いますがね。私は端的に言って、この原因の究明分析なんというものは、もっといろんな要素と複合された形において出てくると思うから、それをつかまえたような何かしかたというものがなければいけないのじゃないかと、こう思うのですがね。少し長くなりましたけれども、その点どうですか。
  241. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) まさにそのとおりでございまして、これは統計をつくる関係で、一番おもに働いた原因はどれだろうということでつくったものだと思います。相当このうちで複合したものがあると思います。そこで、これだけからはその対策が出ませんので、この全部をお読みいただければ、あるいは総合的なものが結論が出るかもわかりませんが、現場におきましては、事故多発地帯におけるモデル的な場所において、関係機関と一緒になって、やはり原因、その複合的な原因研究さして、それを他に及ぼそうという作業を現在やっております。これで行けば、おっしゃるとおり、みんな徐行させれば、一五%はそれで事故がなくなるのだということになるわけでございますが、これは、たまたま事故が起こった場合に、徐行もしてなかった、わき見もあるいはしておったというようなのがいろいろ重なっておると思いますから、この表だけからは、そういう対策は出ないと考えまするので、おっしゃるとおりの考え方で具体的な事例をさらに分析してどういうことが重なれば大きな事故になるかというようなことを中心に整理したいと考えております。
  242. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから私は、これからもひとつ交通事故原因というものをいろいろ発表し、あるいはそれに基づいて対策を立てるといったような場合には、ちょっとやっぱりやり方を変えてもらわなければいけないんじゃないかと思うのです。これだったら、運転者をぎゅうぎゅう締めていけばこれは九九%ぐらいなくなるわけですね。「原因不明」というやつ一・一%、「車両の状況」だって、これは運転者に整備の教育なりそういうものをやる。あるいは運転者だけでもないんですが、そうすると、あと九八・九%は事故がなくなる。その面での取り締まりを一生懸命、攻め方を一生懸命やればいいということになりかねないあらわし方だと思いますから。たとえば、道路をあるスピードで、四十ぐらいでもいい、五十ぐらいでも走れるところで、しかも、舗装されておらないようなところで突然何か穴があってバウンドし、道路の幅もあまりなくて、しかも、左側を走っておったにもかかわらず、そういうはずみで路肩がまたくずれて事故が起こるというようなことがあるのですね。これをいわゆる不注意だとかあるいいスピード違反だとかと、ただそれだけで片づけられない問題だと思うのです。それは前方に穴なりくぼみがあるのを見つけなかったのは不注意だとか、こう言ってしまえばそれきりでございますけれども、それだけで片づけられないのがいまの自動車事故原因になっているわけなんですね。ですから、もうちょっと他のいろんな条件、施設、環境等、そういうものとの組み合わさったものでないと、幾らこういうことを手まめに一生懸命念入りにやっても、これはこれだけであって、事故防止対策のほうには生きてこないということになるわけですね、というふうに思うんですが。
  243. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 長官からお答えしましたように、全くお説のとおりでございまして、交通事故は、御承知のように、人と道路自動車との複雑な相関関係から出ておるのでございまして、従来の、この表は主たる直接の原因をとらえておるわけでございまして、ただいま仰せのような事故分析という観点から、ただいま事故分析統計を、まったく違った観点から統計をとるようにしておりまして、もう間もなくそれを第一線に流しまして、今後の統計は、いまの仰せのような観点からあらゆる角度から原因を究明していくという統計に変えるつもりでおります。
  244. 鈴木壽

    鈴木壽君 変な言いがかりをつけたようなものの言い方に聞こえたかもしれませんが、私ほんとうにやっぱり事故防止しなきゃならぬという立場で、こういう原因分析なんかが行なわれなきゃならぬと思いますから、そういう意味で、これではどうにもならぬじゃないだろうかと思うところから申し上げたので、これはひとついまの局長代理のお話のように、新たな観点から総合——総合と言ったらいいか、複合的な要素がいろいろありますから、ふくそうしたことがいろいろありますから、そういうものでとらえるということをやって、そうしますと、一体、どこをどうすればいいかということが的確につかめるんじゃないか。しかも、これは単に全国的な、わき見したためにこういう違反が出てきた、あるいは徐行違反をやったためにこれだけの違反の数があるのだという、こういうことじゃなしに、これは地域的にいろいろ違うのですね。むしろ、具体的な個所ごとで起こる問題が非常に多いわけなんですから、そういうところに即したやはり原因の追及なり究明なりというものがないといけないのじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。もう五時でございますから、いろいろお聞きしたいこともございましたが、この程度にしなければならないようになりましたが、前にどなたかからお尋ねがあったかもしれませんが、今度の二条、四条の改正で、身体障害者用の車いすのことについてでありますが、四条の改正で、いままで「小児用の車」であったものが「身体障害者用の車いす及び小児用の車」、こうなって、歩行者の中にカッコとして含まれておるのでありますが、「歩行者」、「又は車両等は、信号機の表示する信号に従わなければならない。」、これはそのとおりでいいと思うのですが、具体的に、ただこういうことが、たとえば歩道のあるところは歩道を歩かなければいけないのじゃないか、車いす等も。こういう問題で、車いすを使用する人たちが、いまの歩道の構造等からいって、なかなか車いすで簡単に上がりおりすることができない場所もあるので、やむを得ず車道のほうを通らなければいけないと思うのだが、その場合、これはだめだと言ってやられるのじゃないかと、こういう心配もあるようでございますが、そこらあたり実際の運用でどうなんですか。
  245. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 御指摘のような点もあろうかと思うのでありますが、この歩行者の通行区分につきましては、信号無視以外には原則として直接罰則がかかっておりません。信号無視の場合を除きましては、直ちに罰則がかかることになっておりません。警察官が注意をいたしましてそれに違反した場合に、はじめて罰則がかかることになっております。また歩行者は、歩道と車道の区別がある道路におきましては、歩道を原則として通ることになっておりますが、それには一応除外例がございまして、やむを得ない場合には車道を通ってもよろしいということがございますので、実際の適用につきましては、それぞれの事態に応じて、車いすに乗っております人が車道に出たからといって、直ちにこれを取り締まるということは行なわないつもりでおります。
  246. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ちょっと補足をいたしておきますが、身体障害者等の間に誤解があって、電報等で、どうも自分たちに都合が悪くなるというような陳情等もあるようでございますが、全くこれは身体障害者保護のための規定でございます、一番問題になりますのは。しかし、いずれにいたしましても、横断歩道——歩道から歩道に渡る場合に、車道のところにおりないと向こうに渡れない、あるいは横に行けないというような場合に、一段おりる、また一段上がるというようなのが非常に困難だというようなところが問題であるようでございます。だから、この問題は法規の問題じゃ片づかない。車道をずっと歩かせればあぶないから歩道に上げたわけですが、歩道に上げたから、車道におりて向こうの歩道に上がる場合の段の問題があると思いますから、これはいずれば道路構造として、車いす等が多くなりますれば、単に大目に見れば片づくという問題じゃなしに、やはりそういう車が、うば車も同様でございますので、おりられるような形の階段、勾配にするというようなことまでやはり進めていかなければ解決しない。この法律自身はとにかく、そういう方々になるたけ不便を与えないで安全を守ってやろうという趣旨でございますから、心配なことはない、こうお答えできると思います。
  247. 鈴木壽

    鈴木壽君 私もそういう人には、あなた方の安全を守るためにやるのだ、こう言っているし、しかし、歩けと言われても、いま言ったようなことがあったりなんかして、とてもではないができない場合がある。そういう場合に、お前またあっちへ行けとかなんとかいうことにやられたのでは困る、すぐ罰則とかなんとかでなしに、そういうことを心配しているようでございますので、これはなかなか、たとえば車のたくさんあるところに、じゃ、車道へ行けと言っても、これまた困ることでしょうし、なかなかめんどうなことだと思いますけれども、要は、そういう人たちにも安全な歩行をさせるのだということだと思いますから、ひとつ、取り締まりの方々にも十分そういう点を注意してやっていただくように、と同時に、いま長官が述べられたような、これはやはり道路そのものの、あるいは歩道そのもののつくり方なり何なりという問題にもなってき、そういう身体障害者等の用いる車いす等でもやっていけるように配慮をしたつくり方でないといけないと思います。これからの問題として、いろいろあると思いますから、この点もまた、あなた方の立場からも強くそれぞれの関係のところに要望してやってもらうというようなことにしていただきたいと思います。いろいろ実は道路交通法の問題、しかも、特に現在のようなこういう交通事故のひんぱんに起こっている、しかも、とうとい人命が失われていくということは残念な次第でございますから、いわば取り締まりの法規にも、道交法にもなお問題がないわけではないと思いますが、今回はこの程度で終わっておきます。
  248. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑もなければ、本案についての質疑は終了したものと認めます。  本日はこの程度にいたしまして、次回は四月二十七日火曜日、午前十時開会の予定でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二分散会      —————・—————