運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-30 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十日(火曜日)    午前十一時九分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      日高 広為君     沢田 一精君  三月三十日     辞任         補欠選任      石谷 憲男君     日高 広為君      基  政七君     田上 松衞君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 西郷吉之助君                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                 井川 伊平君                大野木秀次郎君                 小林 武治君                 沢田 一精君                 高野 一夫君                 中野 文門君                 日高 広為君                 前田 久吉君                 鈴木  壽君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 二宮 文造君                 田上 松衞君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        警察庁保安局長  大津 英男君        文部省体育局長  前田 充明君        自治大臣官房参        事官       宮澤  弘君        自治省税務局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (昭和四十年度地方財政計画に関する件)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  三月二十九日、日高広為君が辞任され、沢田一精君が選任されました。     —————————————
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 地方税法の一部を改正する法律案昭和四十年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 市川房枝

    市川房枝君 今度の地方税法改正で、ボーリングに対して娯楽施設利用税というものがかかることになったわけですが、いままでも課税をされておりましたね。いままではどういう形で課税されていましたか、それを伺いたいのです。
  5. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 従来は、娯楽施設利用税課税客体として都道府県においてその施設条例で定めまして、その中にボーリング場というものを定めて課税をいたしておったものでございます。したがいまして、今回はそれを法定することによりまして、今後は各府県がそれぞれ条例で定める必要がなく、当然に課税になるということでございます。ただ、実態といたしましては、先ほど申し上げましたように、私どもの調べでも、昨年の八月末現在で、二十五の府県におきまして現に条例でそれぞれ定めて課税をいたしておりますので、今回法定することによりまして、課税の有無についての実態は変わらないものと考えております
  6. 市川房枝

    市川房枝君 地方条例課税されているときの課税のしかたですね。私がちょっと聞いているところでは、いわゆるレーンですね。一レーンに対して幾らと、こういうきめ方のところもあった、こういうのですが、今度のは利用料金の百分の三十ですか、ということになるわけですけれども、その地方条例でのきめ方はどういうものがあったのですか。
  7. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 娯楽施設利用税は、利用料金課税標準として利用者課税をするのが法律上のたてまえになっております。しかし、施設の種類によりましては、一レーン幾らといったような外形課税方式によって課税をすることもできるようになっております。その間、税負担バランスがとれておるように、外形の場合も定めなければいけない、かようになっております。で、今回法定をすることによりまして、税率も従来どおり利用料金の百分の十というのが標準税率でございますが、外形の場合も、したがいまして百分の十の税率によって負担する場合とバランスをとった定め方をするようになっております。で、先ほども申しました昨年の八月末の課税状況で、私どもが調べたところによりますと、二十五県がボーリング場課税をいたしておりますが、そのうち課税方式につきましては、九つの県がいわゆる外形課税——レーンにつき幾らというようなきめ方をいたしておりますので、残りの十六府県におきましては、いわゆる利用料金課税をいたしておるものでございます。ただ、大都会のございます府県外形課税をいたしておりますので、施設の数から申しますと、外形課税のほうが多くなっておりますが、県の数から申しますと、いま申し上げたようなことでございます。
  8. 市川房枝

    市川房枝君 私どもよくわからないのですが、外形課税のほうが安いのですね。
  9. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) これは法律外形でいたします場合にも利用料金課税の場合と著しく均衡を失しないように定めなければならない、こういうことになっております。で、御承知のように外形課税方式を認められておりますのは、利用料金課税でございますと、毎月この施設について何人の人が利用したかというようなことについて、その把握なりあるいは把握をめぐっての調査その他いろいろトラブルも起こるのでございますので、ある程度実績が安定をいたしてまいりますと、それとバランスのとれた外形課税方式による金額を定め、それによっていわば納税の便宜と申しますか、簡易化と申しますか、そういうことをはかることにいたしておりますので、本来から申しますれば、両課税方式の間には負担に大きな差はない、またこうあるべきだと考えております。
  10. 市川房枝

    市川房枝君 今度百分の十ですか、そうすると、ワンゲームが二百五十円が、その相場のようですが、そうすると、二十五円ということになりますか。
  11. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 従来から百分の十の課税によることになっております。したがいまして、もし二百五十円でございますれば二十五円ということになるわけでございます。ただ、いろいろ現実料金の定め方では、これを外割りにしたりあるいは内割りにしたりいたしておりますので、いまのは一例にすぎないと思います。
  12. 市川房枝

    市川房枝君 現在ボーリング場全国で何ヵ所くらいあって、入場者はどのくらいなんですか。
  13. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 施設の数はちょっといま調べてお答えいたしたいと思いますが、いわゆるレーンと申しますか、ころがす長いみぞでございますが、このレーンの数で申しますと、昨年の八月末で全国で二千九百三レーンというのが、私どもに集まっておる資料によるものでございます。
  14. 市川房枝

    市川房枝君 今度の課税によって税額は一年にどのくらいになりますか。
  15. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 三十八年度は実績で一億六千万円、それから三十九年度はまだ全部年度を経過しておりませんが、約七億近くになるものと考えております。なお、四十年度は私どもの見込としては十億五千万ほどの見込みをいたしております。
  16. 市川房枝

    市川房枝君 今度、地方税法改正によるボーリングに対する課税をおきめになったその理由は、どういうところにあるのですか。
  17. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 従来から先ほど申し上げましたように、条例で定めておりまして、いわば娯楽施設利用税課税対象とされておったわけでございます。いままででございますと、それぞれの県が条例で、この施設を追加してきめることによって、具体に課税をすることができるわけでございますが、年々先ほど申しましたように、非常に普遍的に全国的にふえてまいりましたので、今回法定をいたすようにいたしたわけであります。したがいまして、各府県は今後は条例で一々これを定めなくとも課税ができる、こういうことになるわけでございます。
  18. 市川房枝

    市川房枝君 スケートには課税されておりませんね。その両者の解釈はどういう点の違いですか。
  19. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) スケートも以前は入場税時代課税されておりまして、昭和二十九年にこの娯楽施設利用税が、入場税の第三種が分かれてこの税になったわけでございますが、そのときもスケート場課税になっておる。たしか三十二年までスケート場課税になっておりました。三十二年にスケート場課税客体からはずしましたのは、スケート場自体が非常に普遍的大衆的になってまいりまして、その利用者も非常にふえてまいりました。特に文部省が定めております教科課程におきまして、体育課程の中にスケートが入っております。もとより季節的なああいう競技でございますから、地方的な差はございますけれども、そういうような扱いにもなってまいっております実態からこれをスポーツであるというふうに考えまして、はずしたものでございます。
  20. 市川房枝

    市川房枝君 そのボーリングスケートと同じようにスポーツだから、娯楽施設利用税をかけるのは不当だ、こういう陳情業者からきておりますけれども自治省のほうは、それをどういうふうにお考えになります。
  21. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) スポーツであるかどうかということは、いろいろ議論のあるところだと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、現段階において、このボーリング社会通念として、これをスポーツということは、ちょっと言いかねると思うのでございまして、かたがた先ほどスケートについての沿革について申し上げましたと同じように、ボーリングにつきましては、団体はございますが、現在体育連盟にも入っていないし、あるいは学校の体育課程としても扱われてもおりませんしいたしておるわけでございまして、何よりも現実実態から見まして、社会通念上、私どもはこれはスポーツ考えられませんので、本税の対象にいままでもいたしておるわけでございます。
  22. 市川房枝

    市川房枝君 文部省の方、来ていて下さいますか。スポーツということになりますと、これは文部省所管になりますが、業者陳情の中に、体育の主管である文部省当局においては、すでにボーリングスポーツと認め、国民スポーツとして、これを発達させることを明らかにされておりますと、こういうことをいっておりますが、文部省自身、そういうふうに解釈しておいでになりますかどうか、伺いたい。
  23. 前田充明

    政府委員前田充明君) いまの文部省が公式に認めたというような何か機会というものは私もよく存じませんが、まあ前、昨年でございましたか、この当委員会において、やはり御質疑がございまして、私がお答えしたわけでございますが、ボーリングというもの、そのものでございますね、これはまあ私ども考え方からいえば、一応スポーツであると考えざるを得ない。なぜなら、スポーツというのは、一つのルールに従って行なうところの運動競技、まあ運動競技といってもいろいろな考え方があるわけでございますが、大きい筋肉を使うようなものを指しておるわけでございますので、言えると思いますし、それからまあ最近私どもも知った点もあるのでございますが、全日本ボーリング協会というような団体もできておりますし、学生のそういう団体もできておるようでございます。したがって、ものそのものスポーツであると言えると思うのでございます。ただ、いま自治省からおっしゃったように、現状においては、日本では商業施設から出発してまいりましたものですから、ほかのスポーツとは実態の上では違いがある、これも私ははっきりそういうふうに思われるのでございます。大体まあ考え方としては、そんなふうに考えております。
  24. 市川房枝

    市川房枝君 体育局長の御意見は、いまお話しのように、昨年二月ごろ、この委員会風俗営業等取締法改正案審議になりましたときに、私は伺いまして、やはりいまと同じような御答弁をいただいておるのですが、このボーリングがどこも所管をしておるところがないということも、その当時問題にしたわけですけれども、これはやはりいまでもボーリング、まあボーリング場税法の上からいえば、これは税金は今度こうして取るわけですが、事業そのものについては所管はしていない、文部省も全然御関係にはなっていないのですね。あるいは何かお考えになっておりますかどうか。
  25. 前田充明

    政府委員前田充明君) ほかの競技でも、たとえばプロ野球でもそうでございますが、私のほうでは、全日本ボーリング協会というものがあり、また野球でも、あるいは相撲でも、相撲社団法人になっておりますが、相撲協会というのがございますが、こういう協会自身は、私どものほうで所管をいたしておるわけでございまして、たとえば相撲協会のごときは私のほうの認可の財団法人でございまして、ただこのいわゆる場所営業と申しますか、そういう点での場所の問題は、野球場にいたしましても、プロ野球場は私のほうで所管としてはいたしておりません。したがって、ボーリングについても同様でございまして、私のほうでどうこうということをいまいたしておりません。
  26. 市川房枝

    市川房枝君 いまの協会所管をしておるとおっしゃったのは、ボーリング協会というのは、業者の、いわゆるボーリング場を経営しておる業者協会というものがあるわけですか、それともあるいは学生の何かでボーリング協会というものがあるのかもしれませんけれども、それはどういうふうな意味でございますか。
  27. 前田充明

    政府委員前田充明君) 私のいま団体と申しましたのは、これはやるほうでございまして、経営者のほうではございません。これはアマチュア・スポーツとして大いにやろうと、その協会の目的にも、ボーリングスポーツとして正常健全に発達させるとともに、このスポーツを通じ国民体位向上「、スポーツ精神の涵養をはかる」云々というふうなあれでやっておるようでございます。
  28. 市川房枝

    市川房枝君 そのやり方として、いまお読みになりましたような協会といいますか、団体所管をしておいでになると、それはそれでいいと思うのですが、私はこのボーリングというのは、なるほどスポーツをやったら——私はやったことはないのですが、やったらおもしろそうであるとは思いますが、だから子供たちはおそらくやりたいと思うのですが、それにしては、いまの商業主義は安くない、環境もよくない、そういうことでスポーツ所管しておいでになる文部省としては、いわゆる国立といいますか、あるいはこれは地方の自治体なんかの経営するような非常に安い値段でできるようなところをつくって、そして提供たちに提供するということがあれば、かえって一方のいまの娯楽としての遊技場というものの、あまり望ましくないほうも、ある程度規制することになるんじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども文部省としてはどうでございますか。
  29. 前田充明

    政府委員前田充明君) まだその国立ボーリング場をつくるというような計画は私ども持っておりませんのでございます。これは将来ボーリングがどんなふうに、ボーリングをやる方々のといいますか、そういうものの実態がどんなふうに進むかということを考えながら、そういう問題についても考えたほうがいいんじゃないかと思っております。
  30. 市川房枝

    市川房枝君 これは私意見を申し上げることになりますが、文部省としてぜひひとつそういう方向で考えていただきたい。いまいろいろな体育館とか、方々にありますけれどもあまり利用されていないような私は気がするので、子供たち一つ娯楽を与えるんだという意味で、お考えをいただきたいと思います。  警察当局にお願いをしたいのですが、ボーリング場について、昨年のやはり風営法の改正案審議の際に伺ったのですが、あのときこの委員会として参考人の御意見を伺いました。その中に、これは警視庁といいますか、東京都の公安委員長堀切委員長から伺ったのですが、そのときに、ボーリング場というのは非常によろしくない、ことに青少年に与える影響がよくないから、むしろボーリング場風俗営業の中に含めて取り締まってほしい、取り締まってもらいたいといいますか、そういうような御意見があったと思っておりますが、いまでもやはりそういう状態でありますかどうか、最近のボーリング場状態をひとつお伺いしたいと思います。
  31. 大津英男

    政府委員大津英男君) 昨年の風俗営業法改正の際に、堀切委員長から、そういうふうなお話も出たような記憶があるのでございますが、ボーリング場につきましては、警察風俗営業としてこれを取り入れていくということは、現在のままではこれはできないことでございまして、法律改正するか何かしなければならないということになると思います。ただ法律改正するという場合に、ボーリング場のどういう点を取り上げれば、そうなるのかということになるわけでございますが、現在私どもボーリング場協会人たちにいろいろお話しを申し上げて、ボーリング場が正常な業態として運用されるように自粛をお願いいたしておりまして、おおむね業者方々の申し合わせによりまして、夜間もあまりおそくまでやらないようにする、それから青少年の出入りも十一時までにはもうやめるというようなこととか、あるいは景品をこれに提供するというようなことで、射幸心をそそることがないように、こういうような点を非常に業者方々も励行するようにつとめておられるということでございますので、このままの状態でまいりますならば、これを風俗営業として、風営の範囲に入れていくということは、適当な問題ではない、かように私ども考えておるわけでございます。特に、もしこれが何点をとったならばどういう景品を渡すんだというようなことになってまいりますと、これは射幸心をそそるようなことにもなってまいりますので、これは風俗営業として考える余地も出てくるわけでございますが、自粛をしてそういう点がなくなっておられるようでございますので、私ども風俗営業としては取り上げる必要はないと現在の段階では考えておる次第でございます。
  32. 市川房枝

    市川房枝君 かりに風俗営業としては取り上げないとしても、しかし、まあ現在は警察当局行政措置といいますかでやっておいでになるわけですか、何ら法の規制はないわけですね。それでうまくいっているようだとおっしゃるのですが、私、実はボーリング場の隣に住んでいるので毎日見ているのですが、夜なんて必ずしもそんなに早くというか、一応の時間をきめていますけれども、必ずしもそうでもないといいますか、まあ近所迷惑なんですが、これはやはり私どもは法の規制がぜひ必要であり、いまのままで、これをスポーツなんてとんでもない話だと私どもは思うわけで、スポーツでないという自治当局あるいは文部省当局みんな御意見ですから、その点は一応いいんですが、これはひとつ何か取り締まりを考えていただきたいと思うのです。いかがでございますか。
  33. 大津英男

    政府委員大津英男君) 先ほど申し上げましたように、自粛をしておられるので、大体うまくいっているのでありますが、状況を申し上げますと、昨年の八月一日現在でございますけれども全国で九十七のボーリング場営業がございます。平日におきましては、午後の十一時までに終わりますものが四十三、それから十二時までに終わりますものが四十六、それから午前一時までやっておりますものが五、一時過ぎまでやっておるものが三、こういうふうに全国の九十七が平日においては営業しておる、それから土曜日、休みの前の日でございますが、これで十一時までに終わりますものが三十四、それから十二時までに終わっておるというものが二十八、それから一時までに終わるものが四、それから一時過ぎまでやっておるというものが三十一ということで、休みの前の日はやはり終夜やるようなものがある。それから日曜日あるいは祝日になるわけでございますが、ここで、この日におきましては、全国的に申しまして十一時までが三十八、十二時までのものが四十八、それから一時までのものが五、一時過ぎのものが六、こういう数字が私どものほうで、昨年の八月現在で調べましたときにあるわけでございまして、まあ非常に自粛をしておりまするけれどもボーリングを楽しむ人が非常に多いので、どうしても休みの前の日だけはお客さんが多いので、ぜひそうさせてもらいたい、私ども決していいとは申しておりませんですが、まあ非常にそういう利用者が多いのであれば、やむを得ないのじゃないかというので、この点は法的に私ども何も規制をする権限を持っておりませんので、自粛措置あまり度が過ぎますと、法的規制考えなきゃならぬということで、警告はいたしておるわけでございますが、そういう夜おそいものなどが、市川先生の御近所で、いろいろお目にとまるというものがあるかもしれない、かように考えておるわけでございまして、あまり弊害が出ますれば、私ども何か考えなければならないと思いますが、いまの段階では、まだ法的にはしなくても、業者間の自粛で何とかいけるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  34. 市川房枝

    市川房枝君 今度の税金はまあ百分の十といいますが、私これは少し安い、もう少し高くしてもいいと思うのですが、どうでございますか、これは自治省で。
  35. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、施設条例で定めて課税をするという、いままででも実は百分の十の標準税率の適用、こういうことになっておるのでございます。御承知のように、娯楽施設利用税はほかのいろいろな施設もございますしいたしますので、税率自体をこの本税としてどう持っていくかということは、将来の問題として検討すべきものだと思っております。
  36. 市川房枝

    市川房枝君 これを業者の側は、スポーツとして税金を免除させる、こういう運動を盛んにやっておいでになる。私のところにもその運動がきているのですけれども、そういうことについては、どうお考えになっておりますか。
  37. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) スポーツであるかどうかということは、先ほどお答えしたとおりでございますが、やはり一般の社会通念といたしましては、私どもとしましては、ボーリングをやっておられます当事者の方々の将来への御熱意はわかりますけれども現状におきましては、どうもスポーツとは私ども断定しがたい、かように考えておるのでございます。  なお、この種のいわば一種の消費税でございますが、消費をする行為、この場合は利用行為でございます、そういう行為自体に、その利用料金の払い高等から見まして、この程度の課税をするということは、十分担税力のあることであり根拠のあることであろう、かように考えております。
  38. 市川房枝

    市川房枝君 さっきの税金の額を伺って、まあ非常に税金の額が相当多いといいますか、あるいはどんどんそれがふえていっておるということは、結局施設が非常な勢いでふえていっているわけです。それだけ利用者もあるということかもしれませんけれども、別な面からいいますと、非常にもうかるということですね、これは。そこで、こういう施設企業者がどんどん建てているのだ。私ども聞くところでは、三年たてば回収できるのだということで、いわゆる大資本がどんどん、東京はもちろん地方までも進出しているようなんですけれども、そういう点を考えると、私はいまのボーリング一体値段というものは高過ぎる、これはまあ陳情書には外国のことが盛んに書いてある。外国ではスポーツなんだと書いてあります。なるほどアメリカなんかではボーリングスポーツになっているのですが、アメリカのほうでは安いのです。一ゲーム二十五セントぐらいなんですね。だから日本のような二百五十円といいますか、靴の場合も入れて三百円、それがたった十五分か二十分ぐらいで済んじゃって、一ゲームでは満足できないでやっぱり二回・三回、四回くらいすると、そして何か飲んだり、ちょっと食べたりすれば、どうしたって、一ぺん行ったら二千円、三千円の金は吹っ飛んじゃうわけです。だから、子供たちがあすこへ行くということは、これは前にそういう例もあったのですけれども、金がほしいということで結局犯罪を犯すというような例も前にあったわけです。だから、今度税金が一割かかると、それをいいことにして、また値段が上がるのじゃないかということを心配するのですが、これはどうしてもしようがないのですか。何とかもう少し値段を下げるように勧告するなんということはできないのですか。
  39. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど来申し上げておりますように、現在におきましても一〇%の課税、あるいは外形にいたしましても、それにバランスのとれた課税をいたしておるはずでございます。今回法定することによって、新たに税負担が特にふえてくるということはないと思います。ただ、いろいろ課税方式について御議論がございますが、利用料金課税または外形課税、いまの課税方式をとるにいたしましても、その負担バランスのとれたものでなければならない、かように考えているのでございまして、そういう意味合いでは、従来からバランスのとれた課税をしておりますれば、今回の法定によりまして、特に負担がふえてくるということはないと思いますが、従来もし県間あるいは同じ施設の間でアンバランス状態がございますれば、これはやはりこの法定を待つまでもなく、是正していくべきものでなかろうか、さように期待をいたしておるわけであります。
  40. 市川房枝

    市川房枝君 さっきも伺ったときに、レーンに対して生ずるのと利用者の個人個人の入場料に対しての大体バランスがとれているんだとおっしゃっていたんですが、そうかもしれませんが、私も聞いているんですが、だいぶ違うのです。レーンで一ヵ月幾ら、一年幾らだという計算だとだいぶ安くなるので、こういう話を聞いていたもんですから、今度のように料金の一割、こういうことになると、だいぶ業者のほうは税金を納める額がふえると、こういうことになるんじゃないかと、これは、私、察するわけなんですが、そうすると、やっぱり多少値段を上げるというようなことにもなるんじゃないかと心配したわけです。そうでなければけっこうなんですが、全体として私はやっぱり値段を少し下げる方向にいき、そしてこれがさっき警察当局の心配しておられる環境がよくなれば、それこそ日本ボーリングアメリカ流にスポーツとして認められるようになる。いまのように周囲からいやがられて、一般からボーリング一つのやっぱり悪の温床だというふうに考えられなくなるのじゃないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。  私は質問はきょうはこれで終わります。ありがとうございました。
  41. 高野一夫

    ○高野一夫君 私いまの市川さんのに関連して細郷局長に伺いたいのですが、あなたがボーリングスポーツでないというその理由は、現代の社会通念スポーツとは考えられない、こういうさっき答弁を何回も繰り返された。それはどういうことですか。現在の社会通念ボーリングスポーツとは考えられないというのは、どういう社会通念になるのですか。ただ、社会通念だけじゃあいまいもことして、何のことかわからない。
  42. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 結論的に申しますと、やはり社会通念によってスポーツである、あるいは娯楽施設である、あるいはスポーツでないといったような判断が自然とできるものではなかろうかと考えます。ただ具体には、先ほどもちょっと申しましたように、ボーリング場自体は経営が非常な企業的な経営をいたしておりますし、それからボーリングという競技種目につきましても、具体に団体としての体育連盟に加入してもございませんし、またスケートのごとく学校の教科課程にも入っていないのでございます。かたがた、一方ではこの経営の仕方等につきまして、風俗営業的な見地での議論すらもなされているような現状でございますが、そういったようなところを勘案いたしてまいりますと、スポーツではない、かように私ども考えておるところでございます。
  43. 高野一夫

    ○高野一夫君 最近やや風紀は改善されつつあるというような話だけれども、従来からいろいろ深夜営業をやったり、あるいは青年男女のデートの場所に利用されたり、いろいろそういう週刊誌の材料に取り上げられたり、そういうことはスポーツ自体ではあるのだけれども、この施設の運営の仕方、やり方、それが軌道から逸脱しておったために、そういう印象を強く与えたのではないか、こういうことも考えられる。だから、ことにこの間、話を聞くところによると、利用者側のほうから言えば、国際的なそういうルールもでき上がっている。それは日本においては新しいから、スケートとかスキーみたいなように普及していない。しかし、いずれは学校の体育にも取り入れるようになる。しかし、これは、ゲームの本質は純粋のスポーツなんだけれども、不幸にして、そのスポーツをやらせるという施設がいままでどうもいかがかと思われた。その結果、一般の人に、ボーリングというものは、どうもほんとうの純粋のスポーツじゃなくて、単なる娯楽施設、しかも風俗営業で取り締まるべき性質のものじゃなかろうかという印象を強く与えたことは、これは私も認める。しかし、もしもこの際、ほんとうに純粋なスポーツとしていくべきものであるというならば、そういうやり方を変えさせればいい、指導して。あるいは先ほどお話の入場料をどうするとか、経営をどうするとか、時間をどうするとか、ほんとうのスポーツ施設として運営されるようなふうに指導すればいい。それを指導もしないで現在のようにほうったらかしておいて、そうして業者自粛ということだけにしておいて、それで社会通念上、これは娯楽、完全な娯楽施設といって、ほっぽっておいてはいけないと思う、行政当局として。だから、これは文部省の見解も考えなければならんのだけれども、こういうようなことはほかにもいろいろあっただろうと思うのです。だんだん純化していって、純粋のスポーツの形態になってきたし——確かにそれは誤られている。私もきらいだった、ボーリングなんて。あんな夜明けまでやって、そうしていかがわしいいろいろな風説も立てられる、これじゃスポーツどころか全く娯楽だ。ほんとうに風俗営業で取り締まるべきものだ、こう思っておった。しかし、いろいろ聞いてみると、スポーツだ、実はやり方が誤まられていた、やり方を誤ったならば、個々に業者が改善しなければならぬというのだから、それは警察庁なり自治省なり文部省なりが指導して、純粋のスポーツとして純化していけばいい。それを受けていけばいい。それを受けていかないで、現在の状態をほっておいて、そうして完全なる娯楽施設社会通念スポーツとは考えられない、スポーツ施設とは考えないということで、ほうりっぱなしすることは、私はこれは政府側としていけない。だから本質的にそういうことならば、それはスケート・リンクでも何でも同じですよ。だから、やり方いかんにあるわけだから、その施設そのものが完全に一〇〇%娯楽施設ではなくして、やり方によってそういう印象を強くする、それがあなたの言ういわゆる社会通念になっている、こう私は思う。それなら、その社会通念は誤っておった、誤って与えられた社会通念であるというならば、純化すべく指導すればいい、これから。私はボーリングをやっている青年男女のためにも、あの施設が適正に利用されるよう指導すべきである。それをほったらかしといて、いままでの少なくともその実態において、社会通念上、健全な娯楽施設スポーツとは考えられないという考え方には、私は同意できない。ことに、娯楽スポーツの限界というならば、その限界点はいかん。非常にむずかしいでしょう。自分の好きなスポーツをやる、体を鍛えるために、あるいは競技のために、あるいは楽しみのために。わきから見たら、競技のために、体育のためにやるのだけれども、本人自身にとっては、多分に娯楽の気持ちがあってやりますよ、スポーツなんというものは。だから、それを突きとめて、純理論でいけば、娯楽であるか、スポーツであるかの限界線なんて、はっきりきめられるものではない。ただ、やり方いかん、施設いかんである。それなら、今後の問題として、スポーツ施設であるべきだ、そういうふうに関係者はいうのだから、それなら、関係者をもっとリードしてやって、純粋のスポーツ施設に純化していく方法を考えなさい。警察の、取り締まるほうもそう、自治省の指導もそう、文部省もそう。しかし、ほんとうのスポーツで国際的ルールまであるというのなら、学校の中でも取り入れるといいですよ。いまは、そうでないが、そうなりますよ。なし得る。なせないということはない。今後の問題を考えて、過去の誤った経営のしかた、それによって、誤った社会通念が植えつけられた、それを材料にして、スポーツとは考えられないという考え方には、われわれは賛成できない。ただ、それだけ私は申し上げておきます。答弁は要りません。
  44. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  45. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。  午前中の質疑は、この程度にいたしまして、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後二時二十八分開会
  46. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日付けで、基政七君、石谷憲男君が辞任され、田上松衞君、日高広為君が選任されました。     —————————————
  47. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 地方税法の一部を改正する法律案昭和四十年度地方財政計画に関する件を一括議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  48. 二宮文造

    ○二宮文造君 地方税法の一部を改正する法律案につきまして、すでに種々の点にわたって審議が重ねられたわけですが、私のほうから、若干の点についてお伺いしたいと思います。  これは、午前中も質疑があったようですが、七十五条に、ボーリング場が、いわゆる娯楽施設利用税対象施設として、この中に挿入されたということについてお伺いしたいのですが、前回も、いろいろと質疑があったようですが、私たちとしても、ボーリングスポーツ性というものは、いまの利用者状況から見て、漸次、これが向上していくというふうな見方をしているわけですが、舞踏場や、あるいはゴルフ場、パチンコ場、射的場と並んで、ここヘボーリング場と掲示される、このいきさつについてお伺いしたいと思います。
  49. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現在、娯楽施設利用税課税対象といたしましては、地方税法の第七十五条に掲げられております施設のほか、それに類する施設で、都道府県条例で定めるということになっておりまして、ボーリング場につきましては、現在多くの都道府県でこれを条例によって対象施設に掲げ、現に課税をいたしておるのでございます。今回法定をいたしましたのは、全国的にも普遍的な施設となってまいりまして、現に各府県におきましても課税をいたしておりますので、法定をすることによって、条例で各府県が一々定めなくて済むようにいたしたのでございます。
  50. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまのお話でございますけれども、続いてお伺いしたいんですが、やはりこういうふうに法定しながら七十六条の3に「ぱちんこ場、まあじゃん場、たまつき場その他自治省令で定める施設については」と云々しまして、いわゆるここが外形課税と称せられるものの根拠になってきて、その次の七十八条で施設の種類、「ぱちんこ場」、「まあじゃん場」、「たまつき場」を掲げて率をきめておりますが、法定しながら、この「ぱちんこ場」、「まあじゃん場」、「たまつき場」と同じような考え方に立つならば、ここにもやはり項目をあげるべきではないかと思うんですが、その点はどうでしょう。
  51. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 娯楽施設利用税は、本来はその第七十五条の柱書きにございますように、「左に掲げる施設の利用に対し、利用料金課税標準として」「利用者に課する。」というのが法律上のたてまえになっております。しかしながら第七十六条の三項によりまして、「ぱちんこ場」、「まあじゃん場」、「たまつき場」その他自治省令で定める施設については、外形課税標準を課税標準といたしまして、その課税をすることができる道が現に開かれておるのでございます。で、昨年の八月末現在におきます私どもの調べたところによりましても、全国で二十五の府県におきましてボーリング場に対して課税をいたしております。そのうち十六の府県利用料金による課税方式をとり、残りの九つの府県外形による課税方式をとっておるのでございます。で、今回ボーリング場法定をいたしますが、なお、この各府県におきます実態にもかんがみまして、二つの課税方式がそのままとれますように、課税方式をどちらかに統一するということをいたさないで、現状のままにいたしておこうとするものでございます。
  52. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、ここで法定する意義がないんじゃないかと思うんですがね。ある程度経過規定で一定の期日までこういうふうな外形課税方式もよろしいということで残すなら話がわかるんですが、わざわざ法定しながら外形課税の道を開いておる。それならば従来も六の規定、「前各号に掲げる施設以外の娯楽施設で道府県条例で定めるももの」、これを適用してやってきたんですから、あえてここでボーリング場法定することはないんじゃないかと思うんです。その意図はいかがですか。
  53. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 娯楽施設利用税課税対象にはいろいろな施設があるわけでございます。そのうち沿革的なものもございますが、全国的に普遍をしており、一般化しておる施設もございますが、そういった施設につきましては法定をいたしておるのでございます。したがいまして、今回ボーリング場につきましても、法定をいたすことといたしたのでありますが、これにつきましては先ほど来申し上げましたように、この施設自体が全国にかなり普遍的な施設となってきたこと、並びにその税収入に占めます地位も非常に上がってまいりまして、娯楽施設利用税は、明年度でいたしますと約九十五億でございますが、そのうちの十億あまりというものがこのボーリング場によって、すなわち施設利用によって占められるような状況にもなってまいりましたので、今回法定をいたすことにいたしたものであります。
  54. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、自治省としては、このいわゆる第七十五条の規定を適用したほうが、従来の外形課税方式よりも、税収がふえるというふうな見込みのもとに、いわばその地方団体に、自主財源の形で増額を期待するというようなこともあって、法定されたのですか。
  55. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 法定の趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、普遍的な施設になったこと、また娯楽施設利用税中におきますその地位にかんがみまして、法定をいたすものでございます。課税方式につきましては、従来から利用料金課税外形標準課税との二つの方式が認められているのでございまして、先ほど申し上げましたように、現実には各府県の中でも両方をそれぞれ選択をしているということでございます。ただ税負担の面におきましては、利用料金課税外形課税の間には著しく均衡を失しないようにしなければならぬので、その意味合いにおきましては、負担の面ではいずれの方式をとるにいたしましても、負担としてはそう大きな違いはあるべきものでない、かように考えております。
  56. 二宮文造

    ○二宮文造君 前回もたしか質疑があったと思うのですが、現在の既設の施設で、またその都道府県で、いわゆる第七十五条を適用している府県と、それから七十六条を適用している府県と、これはどうですか。
  57. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 昨年の八月末におきまして私どもが取りました調べによりますと、二十五の府県で、ボーリング場に対する課税条例で定めておりますが、そのうち利用料金課税によります府県が十六団体、それから外形標準課税によります団体が九つ、こういうことでございます。ただ施設の所在は比較的都市的な府県に多くございますので、施設の数から言いますと、相当の施設のものが外形標準課税によっているということが言えると思います。
  58. 二宮文造

    ○二宮文造君 その場合に、この両者の間に著しい不均衡は現在までになかったのですか。
  59. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) これは本来は利用料金課税方式でございますから、利用者の数あるいは利用料金額によるわけでございます。外形でいたします場合には、それと著しく均衡を失しないようにするわけでございまして、そのためにはその施設につきましての利用の状態等を、ある程度実績的に見てまいりまして、それによって外形課税的な方式による場合の定額を定めるというのが普通の例でございます。ただ逆に新しい施設でございますと、新しい施設についていきなり外形標準課税を取ろうといたします場合には、利用の実績等が十分まだ出ておりませんので、ある程度近隣府県等におきます状況を勘案して、外形標準課税税率、定額を定めるというのが普通であろうと考えます。
  60. 二宮文造

    ○二宮文造君 各府県によって利用の普及度が違うから一がいに言えないと思うのですが、レーン数による簡単な推定というものはできるのじゃないかと思うのです。その場合のいわゆる利用課税外形課税ですか、この場合の比較はどうなっておりますか。
  61. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 同じ府県の中でも、施設の、いわゆるボーリング場の所在している地位、その近所におきますいわゆる繁華のぐあい、あるいは交通状況、そういったようないろんな状況利用者の数というものはどうもなかなか一定しがたいようでございます。もう少しこれが広く利用されるようになってまいりますと、だんだんに実績的なものが固まってくるのではなかろうかと思いますが、まだ数の少ないような府県におきましては、そういった面での実績が十分固まっていない向きもあろうかと思いますので、現在におきます両課税方式の間には、一つ一つについてこれをいままでは各府県において検討しておったわけでございまして、今後も各府県におきまして、その両方式によります負担の均衡をとってやるべきものと考えております。一般的な考え方といたしましては、従来から、先ほど申しましたように、両課税方式の間にバランスがとれてきめられるべきものである、こういうことでございます。
  62. 二宮文造

    ○二宮文造君 わざわざボーリング場法定されたという意図は、確かにこれは外形課税から利用課税に移行していくという当局の意図が含まれているのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  63. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 二つの課税方式についての法律上のたてまえは、先ほど申し上げとおりでございますが、この二つの課税方式にはそれぞれ長短がございます。たとえば、利用料金課税方式によりますれば、常に利用者の数に比例いたして税収があがるわけでありますし、またボーリング場施設の持ち主もその利用者にその額を請求すると申しますか、転嫁をすることができるわけでございます。逆に、外形課税でございますと、利用者の数というようなものについて、一々それを正確に調査して、その把握に徴税当局が非常な混乱を生ずるというようなことがなくきまってまいるわけであります。しかし、この方式によります場合には、一回きめられました定額の基礎となった利用者数が実際に入ってこないといったような場合には、それだけ施設の持ち主としては転嫁が十分行なわれない、こういったような問題もあるのでございまして、やはり両方式にはそれぞれの長短がございます。したがいまして、この両方式をどういうふうに選んでいくかということは、やはりボーリング場の数でありますとか、あるいはその所在の状況でありますとか、そういったようなものをあわせて考えて将来検討していくべきものであろうと、かように考えております。
  64. 二宮文造

    ○二宮文造君 スケートなんかとよく比べられるわけですが、確かにスケートの発祥のその時期におきましては、一部の階層の、いわば娯楽施設というふうな解釈がなされていたのですが、それがだんだん普及してきまして、現在のようにスポーツ化したというような判定のもとに無税になっております。ボーリング現状段階では、確かに経営の方式だとか、時間の問題とか、あるいは利用者の階層の問題とかいうことで、まだ一般化している、スポーツ化していると断定は私はできないと思うのです。しかし、将来にわたってはやはりスケートと同じように一般の階層まで普及していく、しかも、そのボーリングがいまのような経営方式から、いわゆる大衆向きに経営方式が変えられていくということも想像されるわけです。そうしますと、従来もいわゆる第七十五条の六の規定で差しつかえなかったとしたら、あえてここでボーリングと入れる必要もないのじゃないかと思いますが、しかも、それが両方の方式に長短があるならばなおのこと、こうやって法定することは必要ないのじゃないかという気がするのですがね、その点どうでしょうか。
  65. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほども申し上げましたように、ボーリング全国的な普及の状況並びに本税を占めております地位等にかんがみて、今回法定をいたすことにいたしたものでございまして、今後は各府県ごとに条例によって一々法定をする必要はなくなるわけであります。
  66. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは将来また普及していきますし、またそのやり方自体も変わってくると思いますが、当然その問題を含みながら経過していくと思うのです。  問題を次に変えまして、その次は百四十七条の自動車税の標準税率の五割アップの問題ですが、この内容を見ておりまして、はたしてその五割アップが妥当なのかどうか。さらにまた一々問題を拾い出してみますと、四輪以上の小型自動車の中で、営業用のほうは据え置きになっておりますが、自家用のほうは同じく五割アップになっております。さらにまた、貸し切り観光用のほうも五割アップになっておる、こういうふうになってきますと、やはりそれがたとえば、自家用といえども、現存の自動車の利用率からいきますと、それはほとんど大衆のほうに五割アップが直接響いてくる、それほどの普及段階になっているわけですがね。物価にはね返えることを、輸送費なんかにはね返ることを予想して、それを防ぐために営業用はとどめたような形はとっておりますけれども、その乗用車あるいは貸し切りバス、そういうものの値上げがなぜこれだけ一挙に五割も値上げしなければならないか、物価へのはね返りが非常に心配されるわけですが、この論拠をひとつお聞かせ願いたいと思うのですがね。
  67. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 自動車税は私ども特殊な固定資産税であると考えております。特殊な固定資産税と申しますことは、自動車という財産自体が、道路を利用することによって、その機能を果たすものでございまして、道路がよくなればなるほど、その財産の機能価値は高まるものでございます。自動車税につきましては、現行の税率昭和二十九年にきめられたのでございまして、以来十年間据え置きになっておりまして、その間国民の一般的な所得も二・七六倍にものぼっておるのでありまして、そういった国民経済上のあるいは国民所得におきます伸びの状況等から見まして、反面、先ほど申し上げましたような道路を利用することによって機能を発揮する、この自動車の特質から言いまして、本税に対して負担の増を求めてしかるべきものと、こう考えたものでございます。ただ、その際にあたりまして、所得の伸びそのままというようなことでなく、五割にとどめたのでございますが、それは一つには同じ固定資産税の中におきます宅地、これもやはり同じ道路によって非常に価格が左右されるものでございますが、宅地の全国的な平均の税負担の増も、昭和二十九年から現在までとりますと、約八割ほど伸びておるものでございます。そういったような状況考えまして、今回自動車税の税率の引き上げをお願いいたしておるのであります。なお、その際に、先ほど御指摘のありましたような、国民経済あるいは物価等に与える影響を考慮いたしまして、タクシー、バス、トラックといったようなものについては引き上げの対象外にいたしております。
  68. 二宮文造

    ○二宮文造君 一々問題があるわけですが、バスのうちで特に観光貸し切り用のものを指摘して値上げをされるのはどういうわけですか。
  69. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) バスのうちで、従来から観光貸し切り用を特に区分しておるのでございますが、これは一つにはその利用者等に及ぼします影響を考えますときに、その利用の頻度というものが非常に少ない。一般の路線バスのように、毎日の仕事その他に使うというようなものではなくして、非常に利用頻度の少ないものであるといったような点を考慮いたしておるものでございます。
  70. 二宮文造

    ○二宮文造君 利用の頻度が小ないものに、こうやって五割アップしますと、かえってこれが料金のほうにも影響してくるんじゃないかと思うのですがね。というのは、従来は貸し切りの料金につきましては、確かにそれは業者間に協定もありましたし、あるいは陸運局の認可の料金というのもきめられておりました。しかしその場合、その場合によって協定料金より幾らか割引をされた料金がいままで適用されていたと私は思うのです。この際、このように観光貸し切り用のものが上がりますと、やはり実質的には料金の値上がりということに、私ははね返ってくるんじゃないかと思うのですがね。それから観光と言い、貸し切りと言っても、いますでに大衆化しているわけです。   〔委員長退席、理事西郷吉之助君着席〕 著しくここでは料金のほうにはね返ってくる心配があるわけですけれども、この点はどうでしょうか。
  71. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 貸し切り観光事業につきましては、いろいろ事業の形態にもよると思いますが、今回の自動車税の負担増の与えます影響は、そのコストの中で非常にわずかでございまして、私どもの調べた範囲でも〇・五ないし〇・六%程度という状況でございます。まあかりにこういった状況でございますので、それぞれの経営の中において、これが吸収できるものと見ておるのでございますが、かりにこれがこれ以外の諸要因とともに料金の引き上げというようなことが起こったといたしましても、観光貸し切り用のバスを利用する人の利用の状況から見まして、それが非常に利用回数も少ないし、頻度も少ないといったような面から見まして、国民生活への与える影響はごくわずかなものであろうと、かように考えておるものでございます。
  72. 二宮文造

    ○二宮文造君 値上げの場合に、政府側の答弁は常に国民生活に与える影響は〇・〇何がしという数字を指摘されて、はね返りは心配ないと、こう言われるのですが、確かにそれは一つ一つの部門を取り上げてみると、あるものは〇・一であったりあるいは〇・〇幾らであったりしますけれども、出てくるふところは一緒なんですから、それらがずっと積み重なりますと、やはり生活の上に累積されてくると、圧迫になります。したがって。われわれとすれば、こういうふうなもうすでに大衆化したものにまで課税していく必要がないんじゃないか、あるいはまだ伺っておりませんでしたけれども、この観光貸し切り用の対象の台数は幾らであるか、さらにまた五割アップによる税収が幾らになるか。それだけの金額をしいて大衆に負担させなくてもいいじゃないかというふうな考え方が出てくるわけですがね。いまの数字の問題を説明していただきたいと思います。
  73. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 観光貸し切り用の明年度におきます課税見込み台数は一万四千台でございます。それによります収入増は約二億でございます。で、いまお話のように、観光貸し切りバスについて、それが料金の引き上げ問題にからんでくるのではないかというようなお尋ねかと存じますが、確かに私どもも議論のある問題とは思っております。ただ料金自体は、いろいろなコスト中の諸要素が積み重なって出てまいる問題でございまして、自動車税だけをもって、その料金値上げの要因に直ちになるというふうには、私ども見ていないのでございまして、その点は先ほども申し上げましたような、コスト中に占めておりますそのウエートが非常に低いということからも推察のつく点でございます。また、東京都内の中規模程度のバス会社につきまして、昨年の経営の実績をとってまいりますと、昨年の秋に御承知のように料金が改定になっておりますので、その運送収入は三億五千万ほどそれぞれ増加をする見込みでございますが、その中に、今回の自動車税の税率引き上げによります負担増分は八百七十五万円、こういったような姿でございますので、まずまずわれわれの見方としては吸収できるものではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
  74. 二宮文造

    ○二宮文造君 料金改定による収入の増が三億五千万、それから今度の税額の改定によるはね返り八百数十万、したがって、金額だけを単純に比べると、これが料金にはね返るという心配はない、こういま説明を受けたわけですけれども、それじゃその以外のコストが少しでも切り下げられる段階にあるのか。もうそのコストはどの部面を取り上げて見ても高くつく一方なんですね。人件費にしてもあるいは燃料費の問題にしてもあるいはまた償却の問題にしても。したがって、その料金が値上げになる傾向を含んでいる今段階で、ことさらに八百数十万だから大したことはない——東京の場合ですね、八百数十万だから大したことはない。それよりも、むしろ八百数十万にしか満たないわけですから、あえてこういうふうな税額の引き上げはしなくてもいいじゃないか——見方がこう逆になってくるわけですがね。その点についていかがですか。
  75. 前田久吉

    前田久吉君 関連してちょっと伺いたいのですが、この料金値上げがきまったからという御答弁がありましたが、値上げはどこか実行しておりますか。おそらく実行した会社はございませんでしょう。もう一点は、現在の観光バス会社ですね、利潤をあげているところございますか。もう一点は、多くは観光貸し切りバスは学生が使っている。その大部分は学校関係が多いんじゃないか。そういうものに税金だけ加算できるかどうか。こういう点むろんお調べになったと思うんですが、現在の観光貸し切りバスで、会社が配当でもできているというところは私はごくまれなことであって、何十年も続けて、償却が全部済んだというような会社は別として、ほとんど私はないと見ているんですが、いまのお考えが、もう値段去年上げたんだから、そのままスムーズに上がっているんだ、さようなところは一つもございません、私の知っている限りには。なかなか、値上げしなくてもバスの利用者が少ないので、まあ今月から来月にかけては相当利用者はありますが、あるいは秋だとかあるいは冬になれば、ほとんど半分以上遊んでおる、これから税を少しでも取るということは非常に無理じゃないかというように私は思うのですが、二宮さんの質問に関連して——多く、私は半ば以上だと思います。学生なんです。学生が観光貸し切りバスを借りて回っておると、こういう実情なんです。そういう実情をよくお調べになっておるかどうか、そういうことを関連してひとつお尋ねいたします。
  76. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) バス料金は、昨年秋に貸し切りバスの料金が改定になっておりますが、その際御指摘のように、修学旅行等の場合にはすぐ同じな負担増を求めがたいというような事情から、割引運賃制度をとっておりまして、それによりまして実質的には運賃の据え置きというような形にいたしております。しかし、それ以外のものにつきましては、運賃の改定を行なっておるように聞いておるのでございます。いまお尋ねのように、バス会社も御承知のようにいろいろございます。大きいのから小さいの、また貸し切りバス以外の路線バスを兼ねておるものもございますので、なかなかその経営の状態を一がいに、一律にきめるということはむずかしいかと考えますけれども先ほど申し上げましたのは、私ども東京都内での中規模のバス会社につきましての一番問題になるクラスのところではなかろうかと考えて、中規模のバス会社につきましての経営の実績上の数字をもとにして申し上げたような次第でございます。
  77. 二宮文造

    ○二宮文造君 どうもお話を聞いていても、特にバスの中で観光貸し切り用、いわゆるいまのレジャー・ブームに乗って、まあ利用者も多いのだからはねっ返りは少ないだろうという、安易な論点に立ってのきめ方のようにしか思えないわけですが、大臣伺いますが、観光貸し切りのバスの性格ですね、特にバスの中で観光貸し切りバスだけを取り上げて値上げをしなければならない、観光貸し切りバスに対する性格をどういうふうにとらえていらっしゃるか、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  78. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 観光バスについて、今度の税の値上げに関するお尋ねだと思いますが、元来はバスについては全体に課税すべきであると思っておるわけでございます。ただしかし、一般の大衆の利用される路線バスにつきましては、直接大衆に響きますので、特にタクシーと路線バスとは今回の値上げからはずそうということで、これは税制調査会でも、そういう御意見であったもんですから、はずしたわけでございます。本来ならばどの自動車あるいはバスにつきましても、もう十年間値上げをしなかったわけでありまするから上げるべきだという意向がございましたけれども、いまの事情ではずしたわけでございます。観光バスを特に取り上げて値を上げたということじゃなくて、逆にバスの中から一定路線のバスを除く、こういうふうにお考えを願いたいと思います。
  79. 二宮文造

    ○二宮文造君 この問題についても、また将来に料金改定というふうなことに必ず結びついてくる、それだけの要因を持っているいわば赤信号であるというふうな判断で、私どもとしては納得できないのです。さらに同じような考え方なんですが、自家用車を取り上げて、これを五割アップする、自家用車といっても、現在の中小企業なんか使っておりますのは、俗にいうセコハンものなんですね、新車の場合も、それからまたそういうほんとうに収入に基づいて、必要やむを得ざる事情に基づいて自家用車を動かしている部面に対しても、容赦なく五割アップしていくわけなんですが、この辺の考え方はどうですか。
  80. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、自動車という特殊な財産に対する課税としての自動車税でございますので、この現行税率の制定されました昭和二十九年以後におきます情勢を考慮いたして、今回五割引き上げをいたしたわけであります。先ほど大臣からもお答えになりましたように、バスあるいはトラックあるいはタクシーといったようなものにつきましては、その影響を考慮して今回除外をいたした次第でございます。
  81. 二宮文造

    ○二宮文造君 むしろ営業用のほうが五割アップしてもはね返りがないのですね。税務局長さんの論点からいくと、頻度が非常に高いわけですから、自家用車の場合はそのまま大衆の負担にはね返ってくるという心配が濃厚なんです。特に、あとでも出てきますけれども、軽自動車の場合も同じように五割アップされるわけですね。総合からいけば相当な数字になるのでしょうけれども、問題をはらむ。小型自動車だとかあるいは観光貸し切り用だとか、そういうは営業用のタクシーだとかあるいはトラックというものと同一に考えて私はよろしいのじゃないかと思うのですがね。くどいようですが、大臣いかがですか。
  82. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 先ほど申しましたように、自動車税はその性質上すべての自動車に課すべきものでございまするけれども、タクシーでありますとか路線バスというのは、、それは営業自体ではそのくらいの負担の能力がありはしないかという議論が立つかもしれませんけれども、それを利用するものは大衆なんですね。ですから、その大衆の負担に直接響くものでありますから、これは特にひとつ除外しようじゃないかという税制調査会の御意見がございまして、はずしたわけであります。ですから、その点をひとつ御了承賜わりたいと思います。   〔理事西郷吉之助君退席、委員長着席〕
  83. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣のおことばなんですがね、大衆という判断なら、この小型自動車も大衆です。それからまた観光貸し切り用も大衆です。同じ論点だと思うのですがね。その中でなぜあえてこの小型自動車を取り上げ、観光貸し切りを取り上げたのか。
  84. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) それは大衆はみんな国民でございまするから、国民は大衆に違いはありませんけれども、路線バスを利用される人とか、それから円タクを利用される人というのは、自分が自動車を持ってそれを使うという人ではなくて、まあ共同でそれを利用されるのです。個人の自動車を持って利用されるのも大衆には違いございませんけれども、それは自家用として御利用なさるのですから、まあその辺は御負担願ってもいいのじゃないか、こういう意味でございます。
  85. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣の自動車に対する認識が、やっぱり大臣、時代的に変わっているのじゃないかと思うのですがね。自家用といいましても、中小企業なんかもう足がなければ商売になりませんよ、いまの時代に。ですから、確かに大型の自動車については、またそういうふうに大衆と区別した考え方も出てくるかもしれません。しかし小型自動車というのは、町の中をごらんになってもわかりますように、あわただしく動いております。確かにこれは大衆課税ですよ、直接はね返ります。
  86. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) それはまあ今日は自動車がだんだんとふえてまいりまして、多くの人がお持ちになっておりますけれども、中小企業等でお持ちになっている多くは、小型、いわゆるトラックといいますか、小型自動車の運搬用、そういう意味で、これははずしておるのであります。自家用車として普通車をお使いになる方は、先ほど申しましたように、自動車は全般的に十年間も据え置きになっておったから、この際御負担を願いたいと、こういうことでございます。もちろん自家用車も、営業用やその他の商売のためにお使いになっているとは思いますけれども日本の今日の状態では、やはり自家用車を自分で持っているという人と、自家用車も持てないでバスで通っているという人とは、ちょっとそこに私は違いがあるんではないか、かように存じます。
  87. 二宮文造

    ○二宮文造君 むしろ小型自動車だとか、それからまたバスなんかは、もう撤廃すべきなんですね、時代感覚からいえば。自家用車といいますけれども、それはサラリーマンの方の通勤用もありますけれども、乗用車はずいぶん営業用に使われているわけです。特に小型自動車の性格というのは完全に大衆化しているわけです。むしろこれはもう引き下げなり、あるいは撤廃なり、そういうことを考えるべき段階にきていると私は思うんですがね。
  88. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 大衆化されているかどうかということは議論のあるところだと思います。乗用車について見ますと、御承知のように大衆化の度合いも、人口との比例でとってまいりますと、わが国では乗用車は七十三人に一人といったような状況でございますが、御承知のように欧米の各国におきましては、アメリカの三人、フランスの六人、ドイツの七人といったようなことでございまして、やはり大衆化というのをどの程度に考えるか、いろいろそのときそのときの社会情勢によると思いますが、いま言ったような数字から見ましても、まだ私どもがこれをもって大衆化で全廃というようなところまで踏み切る段階ではないのではないか。ことにいま申し上げました非常に普及しております各国におきましても、なお自動車税というものはやはり自動車のそういった特殊な財産的な機能からいたしまして、なお税目として現に存しておるといったようなことを考えてまいりますと、まだまだ全廃の時期ではないのではないか、かように考えておるわけでございます。
  89. 二宮文造

    ○二宮文造君 どうも平行線のままで、どの程度が大衆であるかということのとらえ方が食い違ったまんまで非常に残念なんですが、まあ税源を確保する、税収をふえさせるという意図のもとにこういうことを組まれてきたんだろうと思うのですがね。再三申し上げたように、いまの小型自動車だとか、あるいはバスが占める大衆的な性格からいって、これはもうはなはだ好ましくない引き上げである、こう結論せざるを得ないわけです。もうすでに自動車のローンなんかも大衆化されまして、自家用車の入手も楽になっております。どちらかというと、利用の度合いというものはふえてきております。今度は自動車そのものに対する物品税みたいなものも上がりますし、さらにまた、こういうふうに自動車そのものに対する税額が引き上げになる。これらは全部からみ合って物価にはね返ってくる、こういう心配があるわけです。将来の問題になるかもわかりませんが、こういうふうな小型自動車とか、観光貸し切り用については、早く引き下げなり、さらにまた撤廃なり、そういう段階に踏み切るべきときがもう真近い、こういうふうに私は思うわけです。  次に、こまかい問題ですけれども、百八十条の鉱区税のところで、「砂鉱を目的とする鉱業権の鉱区」、これが二本になっておったのが一本になったのはどういうわけでしょう。
  90. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 前は鉱業法と並んで御承知のように砂鉱法という法律がございまして、それによって砂鉱区の鉱業権の確定その他の処分が行なわれたものでございまして、砂鉱法が十年ほど前でございますが、廃止になりまして、それ以後は鉱業法一本で、砂鉱区についても規制がなされるようになったのでございます。そうして、以後は砂鉱を目的とする鉱業権の設定にあたりましては面積を単位とするように改められました。従前は河床の延長と面積と両建てでございましたのが、法律が廃止になった後の設定部分については、面積一本に変わったわけでございまして、その法律が廃止になりましてから十年ほどたちまして、実際的にももうほとんどのものが面積の設定に変わってまいりましたので、この機会に直すことといたしたのでございます。しかし、なお従来からの古くからのものは延長になっておりますので、その部分につきましては附則によって従来どおり扱えるように補いをいたしております。
  91. 二宮文造

    ○二宮文造君 次に、電気ガス税の問題なんですが、この電気ガス税は、これはもう明らかに撤廃すべきであるというのが私たちの主張なんです。今回も免税点の引き上げになるような改正案になっておりますが、現在でも九電力の電力料金あるいは電灯料金は、やはり一割ないし一割五分の差額があるわけです。基礎になる電力料金そのものに差額がある。にもかかわらず、今度免税点は三百円が四百円に引き上げられる、そのこと自体非常に問題じゃないかと思うのですがね、この点どうでしょうか。
  92. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 電気ガス税の課税標準を従量制にするか従価制にするかというのは、この種消費税には常につきものの問題でございますが、電気の場合で申しますれば、一般の他の物価に比しまして、わが国の状態では、電力会社の数もわりにコントロールされておるような状況でして、一般物価に比すれば、それほど大きな開きがないといったようなこと、並びに徴税上の——これは電力会社に特別徴収をしていただいておりますので——便宜の点も考慮いたしますと、従量制によるよりは、従価制のほうが事務の処理が早い。それからさらに、この免税点の対象となりますものには、定額電灯の世帯をこれによってだいぶ救いたいといったような考え方もございまして、そういった場合には、月額定額で料金がきめられておりますので、この現在の段階では、免税点を金額によっておりますことによって、免税点設定の目的をかなり達しておるものと考えております。
  93. 二宮文造

    ○二宮文造君 この資料によりますと、昭和四十年度の電気ガス税の収入見込み額は、五百四十一億円になって、前年度の実績あまり変わらないわけですね。そうしますと、この免税点を引き上げることによって恩典に浴する世帯は、利用者のどれくらいですか。
  94. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現在の免税点が、ガス、電気とも、月三百円ということになっておりますのが、今回改定されることによりまして、十三億の減収が新たに生ずるわけでございます。なお、この免税点の引き上げによりまして免税点の適用を受けます世帯は、電気、ガスともに全利用世帯のおおむね三分の一という見当でございます。
  95. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、もう一つ私心配なのは、いま、電気並びにガスが、これは料金を引き上げようとしているのですね。せっかく三百円が四百円になっても、あるいはガスが五百円になっても、料金の引き上げが行なわれた場合には、その配慮がむだになってくるわけですが、その点は、どういうふうに考慮されていますか。
  96. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現在の月三百円の免税点は、昭和三十六年に設定されたものでございまして、価格できめておりますので、その後におきます電気、ガスの料金の推移に応じて、免税点を動かすことが合理的だと考えるのでございますが、現実には、三十六年以後、電気につきましては、料金の引き上げを行なった会社は、わずか三社でございまして、あとはそのまま据え置きになっております。しかしながら、先ほどもちょっと申しましたように、三十六年以後における電気、ガスのそれぞれの世帯におきます使用の状況が、やはり漸次、生活の水準の向上等もございまして、上がってきておりますので、料金の引き上げにスライドというよりは、むしろ生活の水準の引き上げに応じて、今回、電気、ガスについて、それぞれ引き上げをいたしたものでございます。
  97. 日高広為

    日高広為君 ちょっと質問させていただきます。  娯楽施設利用税の問題でございますが、先般、私のほうから質問申し上げまして、細郷局長から御答弁をいただきましたので、この際、自治大臣のほうから私の申し上げます事項につきましての確答を得たいと思います。  説明によりますと、第七十五条のこの条項におきましての改正が、大体、現在、府県条例を施行いたしておりまして、これを新しく法律で制定したいという意向のようであります。  そこで、いままで論議をいたしてまいりました過程におきまして、外形課税にしたほうがいいか、利用率にしたほうがよろしいかという点につきまして、両方いずれでもよろしいという答弁をされております。  そこで私は、この機会に御要望を申し上げたいことは、現在の課税方法から考えますと、府県別に調べてまいりましたところが、大体、外形課税をとっております県が九府県あるようであります。さらにまた、利用率によるところの課税をしておりますのが十六県。しかしながら、これを台数別に調査いたしますと、総台数が、現在で二千九百三台に対しまして、課税の方法から見ますと、外形課税が二千三百四十一台でありまして、利用率によりますところの課税対象というものが五百六十二台になっておるようであります。したがいまして約八〇%が外形課税で徴収されておるのが現状であります。そこで、私は先ほど衆議院におきましての奥野委員の質問に対しましてのこの議事録を参照いたしましたが、それによりますと、やはり特別徴収義務者としての経営者の立場を尊重すべきであるということが速記録に残っております。さらにまた、ボーリング利用者の立場から考えまして、いわゆる直接税金を払って競技をいたしておりますボーリング利用者意見を尊重いたしまして、外形課税を要望いたしておるというのが現状であります。さらにまた、東京都の場合におきましても、これをやっておるようでございますが、当然、全国一律の外形課税というようにすることが、ボーリング協会のほうからも要望されております。したがって、この際私がお願いいたしたいことは、地方に対しまして、今後両方でおやりになりますときに、これをどのようなことで徹底されるのか、さらにまた、将来のことを考えますと、私は先般、このボーリングが最初に課税されましたときのいきさつを申し上げましたが、課税に対しましては、当時、自治庁との話し合いによりまして、大体スケートと同一の取り扱いをすることを決定いたし、東京都は、これに基づきまして課税されておったのであります。ところが、現在スケートスポーツということで無税となっておりますが、ボーリングは依然として娯楽施設利用税としてそのまま課税が継続されております。このような状態から考えまして、将来やはりある面におきまして、この取り扱いにつきましては最初の自治庁との話し合いのとおりに、スケートと同じような課税対象に持っていくことが望ましいのではなかろうかということを考えておりますが、この際、私が申し上げました事項につきまして、自治大臣の考え方を御答弁いただきたいと思います。
  98. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 今回ボーリング場法定することにいたしましたが、その課税方法につきましては、現在各府県で行なわれておりまするただいま御指摘の料金課税、また外形標準課税のどちらかに統一させようという意図はございません。この法律改正の趣旨は、各地方に徹底させるつもりでございます。なお、将来につきましては、両方式の長短を勘案をいたしまして検討いたしたいと存じております。本税は、その性質上、利用者数の増加や施設数の増加等に伴う収入が期待されるものでありまするから、その意味での自然増があるものと考えております。
  99. 前田久吉

    前田久吉君 ちょっと関連で。いろいろ日高委員からの質問がありましたが、スケートと同じように、将来スポーツというような認定を進めてもらいたいのであります。と申しますことは、アメリカにおいては、ほとんどの学校にボーリング場というのは備わっておる。日本の学校にもそういう機運が出てきておりますので、あるいは何か一部誤解されて、一、二のちょっと醜い業者があって、とかくのうわさを、ボーリング場全体がそういうことだというお考えは、これはひとつやめていただきたい。たくさんある中のほんの一、二が、あるいは朝まで営業をやるとか、あるいは酒をしいて売るとかいうようなことがあったように思うのですが、幸い協会ができまして、そういう弊害もほとんどなくなってきておるのが今日の状態であります。そういうように、やがてはオリンピックの競技にも入れようといういま話し合いも相当進んでおるということも聞いておりまするし、堂々とアメリカではたいがいの学校はボーリングの設備があるということを聞かされておりますので、ひとつそういう方向に将来進めていただきたいという一点と、それから先ほど伺っております利用税方式外形方式、いずれにいたしましても、私どもはまあ与党でありまするし、最後の線の引き方というものは非常にむずかしいのでありますけれども、どうかひとつ現在のかかっておる税を、府県でどちらでもよけい取れるほうにしろということでは困るのでありまして、ひとつ現在の課税そのままで、増税にならないように、そういう点をひとつ配慮をお願いをいたす次第であります。
  100. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほどの電気ガス税にもう一度帰りたいのですが、先ほど私質問しましたのは、いまの電力料金がさらに引き上げられる、そういうふうな要望がちらりほらりとあるわけです。いま免税点を引き上げることによって利用世帯のうちの三分の一が恩典に浴する、こういう計算をされたのですが、かりに引き上げがありますと、こういうふうなきめ方ですと、浴すべき恩典が消えてしまいますが、この面についてはどういう配慮をされておりますか。
  101. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、今回の免税点引き上げ額の決定にあたりましては、現行の免税点の設定後におきます電気料金の推移、それから生活の向上に伴います電気ガスの使用量の推移、それに免税点適用戸数の推移といったようなものを考えてきめたものでございまして、将来電気料金がどうなっていくかということにつきましては、私どももまだその具体の内容を承知いたしておりませんので、今回の考慮にあたりましては、そこまでは考えておりません。ただ、先ほども申し上げましたように、今回の額の引き上げにあたっては、単に過去の電気料金の推移以外の要素もかなり強く加味をしておるということだけは申し上げられると思います。
  102. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣に伺いますが、税調でも、この電気ガス税というのはあまり好ましくない、その性格そのものについてはそう判断をされているわけですが、ただ地方団体の財源ということで、これに見合うだけの財源がないと、まあ需要も大きいし、そういう意味で、好ましくはないのだけれども、いまの立場としては何とすることもできぬ。したがって、まあ免税点の引き上げであるとか、あるいは税率を引き下げるとかいうことで表面を糊塗してきているのですが、この電気ガス税の将来の性格というものを、大臣はどのように判断されておりますか。
  103. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 私もただいまお述べになりましたように考えているわけでございますが、事実、今日の地方財政は、非常に財源に困っておるときでございまするので、いまこれをやめるというわけにはいかないかと存じております。しかし、免税点等は考慮する必要があると考えまして、今回引き上げたような状況でございます。将来につきましては、その推移を見ましてまた考えていきたい、かように存じます。
  104. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう一点、いま問題になりました値上げの問題で、仮定の話ですが、値上げの問題とからんで、この項目を、この精神を生かすような方向に直ちに切りかえるというふうなお考えはあるのですかないのですか。といいますのは、料金が引き上げられますと、現在恩典に浴するものが、その料金の引き上げによって浴せなくなる、法の趣旨はやはり免税点を引き上げるということは、現在のまあ低額所得者ですね、その人をその恩典に浴させるという意図があってのことだと思うのですが、それを生かすならば、引き上げの際には、直ちにこれに手を加えなければならないと、私はそう思うのですが、その点についてはどうですか。
  105. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 将来のことでございますので、具体的に引き上げの幅、あるいは定額電灯、従量電灯の料金の配分等がどうなるかによって、将来の問題として検討しなければならないことだと、かように考えますが、ただ、先ほども申し上げましたように、この免税点の額につきましては、料金の推進以外の諸要素も加味しておりますので、今回の免税点の額が、未来永劫にこれでいいんだというようなことのつもりは毛頭ございません。将来の諸情勢の推移によってやはり考えていくべきであろう、かように考えております。
  106. 二宮文造

    ○二宮文造君 奥歯にはさまったような——諸情勢を加味するというのは、具体的にどういうことですか。
  107. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 今回、引き上げの際の判断の基準にいたしました電気の料金の推移あるいは家庭におきます電気の使用の標準的な姿が、どういうふうに向上していくか、多くの場合向上すると思いますが、向上していくか、あるいは免税点の適用を受ける戸数が、どういうふうに動いていくか、そういったような諸情勢を勘案してきめていくべきものと考えています。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 次に住民税なのですが、従来の市町村民税については、地域によって本文方式とただし書き方式のアンバランスで、負担が公平でないという論拠のもとに、いまのようなやり方にだんだんと改められてきたわけですが、それでもなおかつ標準税率と、それから制限税率ですね、それを設けて、地域的な差というものはまだ残っているわけです。これはやはり従来論議されてきた過程から判断すれば、当然もう標準税率一本というふうに改むべきではないかと思うのですが、これはどうでしょうか。
  109. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いろいろ議論の分かれるところでございますが、地方税は、やはりそれぞれの地方団体において、どういうふうにしてその財政需要をまかなう税源を住民に分配していくかという点がございますので、国の法律によってきめた税率だけで、地方団体がそこで何か特殊な仕事をしたいときに、住民の同意を求めて特別な負担をしてもらうというような道を全くふさいでしまうことは、やはり現在の自治体のもとにおける地方税制のたてまえとしては妥当でないのではないか、私どもはそういうふうに基本的に考えておるのでございまして、標準的な行政をやるためには、標準的な税負担でいくことが望ましい。それには税財政全般を通じていろいろと措置すべきことが多いかと思っておりますが、将来にわたって制限税率の制度を全くなくす、もう標準税率で一定にしてしまうということは、地方税制のたてまえとしていかがかと考えておるのでございます。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 私ども逆なんですがね、考え方が。制限税率を設けますと、おそらくいわば標準税率よりも、もう地方団体いま財源がないですから、いまおっしゃったような仕事をしたいためということで制限税率一ぱい、ここまで実態は進んでいくのが当然じゃないかと私は思うんですが、また反面、今度は自治省としても、制限税率まで市町村民税を課さない、地方団体に対しては交付税の配分のときに何かこう手心されるような話も聞くわけです。暗に制限税率を適用するような方式をとっていらっしゃるように思うのですが、その点はどうですか。
  111. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 住民税は、今度、従来の準拠税率制度から標準税率制度に改め、一・五倍の制限税率の範囲内はその自治体の判断にまかせるという態度をとっておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、標準的な行政をやるには標準税率による税収をもってこれをまかなうように指導いたしておるのでございまして、地方交付税の算定におきましても、標準的な財政需要に対しまして、標準的な収入の計算をいたしますときは標準税率による税収が当然その団体についてとらるべきものという考え方によって計算をいたしておるのでございまして、制限税率一ぱいにとるようにというような指導は一切いたしておりません。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや、具体的にそういう傾向になるんじゃないかという心配をしているわけですがね。事実おそらくそういうふうな形になっているんじゃありませんか。その点は実態はどうですか。
  113. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 住民税はただいま本文方式に統一、かつ準拠税率制度を標準税率制度に改めるように指導いたしておりますが、その課税方式の統一施行年度前の昭和三十八年度で見てまいりますと、全体の市町村数三千四百十六のうち、準拠税率をこえている市町村数が千六百七十ございまして、それが三十九年度並びに明四十年度の二ヵ年にわたりまして順次本文方式に統一されていくわけでございまして、その結果、住民の税負担は御承知のように非常に下がって軽減されてくるわけでございます。で、四十年度に、じゃこの姿がどういうふうになるかというのは、ただいま各市町村議会等において審議をしていただいておるわけでございますので、その結果を見ないとわかりませんが、従来の準拠税率をこえておったような非常にむちゃな税率は、今後できないことになりましたので、どんな場合でも一・五倍まで、おそらく全体的にはもっと低いところに平均的なものが出てくるのではなかろうかと予想いたしておりますが、実態はいずれ調査いたしてみたいと思っております。
  114. 二宮文造

    ○二宮文造君 おそらく実態は一・五倍に落ちつくんじゃないかと、私どもはそのように想像せざるを得ないのです。といいますのは、もう財源ありませんから、自治省から強力に行政指導して、あと、めんどう見ようというはらがまえを見せれば、それは標準税率の線に下がっていくかもしれませんけれども現状としてはとうていそこまでいく傾向にはない。そうしますと、やはり地域によって負担の公平という原則がこわれてくるわけですがね。こういうやり方は、せっかく市町村民税をここまで改めてきたのですから、この道を残しておくというのがまた悪例になるのではないかと思うのですがね、将来の手直しの問題どうですか。
  115. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) やはり住民税のここ数年の推移よって将来の方向を判断しなければならないと思いますが、御承知のようにただし書き方式でありますれば、従来は平均で二、三倍、重いところは六、七倍といったような負担でございましたので、昨年と申しますか、三十九年と四十年を通じまして、どんな高いところでも一・五倍にとどまるように措置をいたしたのであります。その限りにおいては、非常な改善、進歩であったと思うのでございます。将来さらにこの一・五を下げていくかどうかということにつきましては、本文方式、同じ本文方式でも従来から本文方式をとっております市町村の問題、従来ただし書きで、今回本文に変わった市町村の実態、そういったようなもの、あるいは過去における両方式に上る納税者の数、そういったようなことを考えて将来措置をして合理化へ進みたい、かように考えております。
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 改正の趣旨からいきますと、種々問題が残っておりますけれども、制限税率という問題が一番目につくわけです。その他課税最低限の問題も、これ大きな問題ですけれども、これは国税と地方税との関係で、地域によって住民税は変わってくるというその論拠が、制限税率の規定によってそういう負担が不均衡になってくるという問題を残しているわけですから、これまで手直しされてきた傾向からいえば、当然これは手直しされるべきではないかと私ども思っているわけです。その点についてもう一度。
  117. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 税率の面から申しますれば、標準税率をこえて超過課税をする場合に、四十年度の実態がどんな姿になるかということをやはり調査をして、実態に即して考えなければならないと思います。ただ、それ以外にも課税最低限の問題といったようなこともございますので、いずれにいたしましても、将来合理化の方向には向かいたいとは思っておりますが、どういう具体案を持つかは、なお今後の実態に対する検討、資料が集まった上でいたしたい、かように考えます。
  118. 二宮文造

    ○二宮文造君 地方財政の問題につきましては、まだたくさん問題がありまして、種々お伺いしたいのですが、大臣もいらっしゃいませんし、超過負担の問題や、それからまた交付金の問題や種々問題を残しているわけですが、質問を次回に譲って、本日はこの程度にとどめておきたいと思います。
  119. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 午後五時まで休憩いたします。    午後三時四十九分休憩      —————・—————    午後五時五十三分開会
  120. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  地方税法の一部を改正する法律案昭和四十年度地方財政計画に関する件を一括議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  121. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方税法の一部改正案、これの具体的な改正の問題については、いま、あまり触れておるひまはないのでありますが、最近、毎年のように地方税法の一部改正案が出ておりますが、一体地方税のあり方、あるいは地方の税財源のあり方、こういうことについては、ほとんど触れておらないで、ちょっとした手直し程度、こういうことでずっときておるようであります。ところが自治省では、ここ二、三年、毎年のように地方独立税というものを充実強化すべきであるということを言っておるのでありますし、現在の地方の財政状況、あるいは行政事務をやっていく上からは、ぜひとも自治省のいう地方財源の充実、特に地方独立税の強化という点を、これははっきり出さなければいけない段階であると思うのです。にもかかわらず、いまいったような、単なるそのつどつどの小さな手直し程度でやっておりますが、一体自治省は、地方税の根本的なあり方、地方独立財源の充実の方向、こういうものについて、どういうふうにお考えになっているかを、ひとつこの機会に明らかにしていただきたいと思うのであります。先般、私、予算委員会におきましても、大臣にその点をお尋ねをいたしましたが、どうもはっきりしたお答えをいただけないままに終わっておりますので、ひとつ、この点についての自治省としての考え方、大臣としての考え方を具体的にひとつ明らかにしていただきたい、このように思います。
  122. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 先般、予算委員会でも鈴木先生よりお尋ねがございました際、お答えをしたかと思いますが、私どもといたしましても、何とか地方財政を健全にしたいという考え方で、夏以来、この問題に取っ組んできたわけでございます。で、ぶつかりまして考えました点が二つあるわけであります。一つは、御指摘になりましたように地方に何とか独立税源を与えたい、こういうことが一点でございます。もう一つは、今日地方財政で一番困っている問題の一つは、地域格差をどういうふうにして是正していくかという問題があるわけであります。一つの税源によってこの二つが解消できるいいものが見つかれば、それは一番いいことでございます。それは別々であっても差しつかえはございませんが、しかし問題は、その二つが、今日の地方税源としての問題ではなかろうかと思います。そこで、地方税源として今日国が取っておりまする税源を移譲するということになりますれば、それだけ国の税源が減るわけでございます。また、国の税源に関係なく新しい税源を見出そうといたしますると、これはなかなかこまかいいろんな問題は拾うことができましても、大きい税源としてはなかなかむずかしい問題でございます。そこで、かりに一つ見つけましても、たとえば今度のプロパンガスにいたしましても、そういうものを見つけまするというと、それは格差の是正にはあまり役立たないで、むしろ都会地に集中していくという問題になってくるわけであります。でありまするから、この二つの問題の悩みをどうして解決をするかということに困っておるわけであります。それはともかくとして、とにかく独立税源を与えろ、こういうことになりまするというと、一つは、国の持っておるものを移譲せざるを得ないということでありますが、それには事務の再配分というものを考えまして、今日国庫の支出金、すなわち補助金、負担金で約九千八百億ございます。これが、よくいわれる補助金整理、事務の再配分ということでありまして、事務を再配分して、移譲するものは移譲する、そうして補助金も整理するものはする、そうすればその補助金の税源というものが地方に移譲できるのでありますが、これはなかなか言うべくして、いざとなりますると容易なことではございません。税制調査会におきましても、しばしば取り上げられている問題でございますが、問題に取り上げられるとしましても、先般税制調査会の答申は、そういう問題があるが、なおこれは検討をしていくべき問題であるということで、引き続き検討をされるようになっておるわけでございます。私ども、いま御指摘になりました点は、何とか考えたい、考えれば、いま税制調査会で御指摘になったように、事務の再配分とあわせて税源を移譲する、補助金を整理するという方法だと思うのでありますが、そういたしますというと、交付税の税源というものが、それだけ減ってきて、地方の格差是正ということには、実はちょっと逆の方向にもなるという考えもございまして、まあいろいろとむずかしい点であるということで苦心をしておるというふうに御了解を願いたいのであります。
  123. 鈴木壽

    鈴木壽君 せんだっての大臣の予算委員会における私の質問に対する答弁では、自治省としても案があるのだということをおっしゃっておりますが、いまのお話ですと、いろいろ考えてはおるけれども、一切をこの税調等にまかせたようなかっこうだ、こういうふうに聞くのですが、税調でいろいろこれは審議をしておられるようであります。それは、私も大体報告書等で見ておりますが、しかし、あそこで事務配分の問題等になりますと、必ずしも税調でどうというようなこともできないんじゃないかと思うんです。この事務配分の問題は、いまの制度からしますと、むしろ地方制度調査会あたりでやっておる、こういうふうな状況、あるいは補助金等の整理については別の委員会ですでに答申も出ておりますが、すると、二つか三つのそういう審議会なり調査会なりという中で、ばらばらにやっておって一体どこが中心になってそういう問題をやるかということに対しては、私は少なくともいまの段階の税調での審議のあり方等からしますと、そこにはもう期待できないと思うんですね。いつになったらそういう問題があそこで固まってくるのかということになりますと、私は、いま言ったように見ざるを得ないと思うんです。それで、いま触れましたように、自治省としても案があるんだと、こういうせんだっての御答弁もありましたから、もし案がありましたら、そういうものの概略でもいいから、明らかにしながら、なお私はそういう自治省の持っている案というものを税調なりあるいは地方制度調査会なり、こういうところに、こういう案についてどうかという諮問のしかたも私は可能じゃないだろうか、むしろいまの段階でやるべきじゃないかと、こう思うんですがね。その後段のことはともかく、いま私が申しました自治省に案がもしあるなら、ひとつ明らかにして、概略でいいから、お示しをいただきたいと思います。
  124. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先般の税制調査会で、地方の自主財源を増額する方向で考えるべきであるという方向は一致をして、答申にもうたわれておるわけでありますが、ただ具体にこれをどういうふうに考えていったらいいかということが問題であるわけであります。その審議の過程におきまして、私どものほうで一つの試案を提示したのでございます。その試案は、御承知のとおり昨年の当初の財政計画の中で、地方税のウエートを五〇%にするには、二千八百億の地方税が増強されなければならないというようなところから、二千八百億をどういう調達のしかたをするかということにあたりまして、国民税負担現状の税体系程度にとどめるということでございますと、勢い国税として納められております税金地方税に移譲をするということになります。その場合に、やはり地方税として考えます場合に、一方では安定性のある税目であることも必要でありますし、半面では伸長性のある税目であることも必要でございますので、二千八百億を所得税から所得割へ、法人税から法人税割へ、たばこ専売益金からたばこ消費税へとそれぞれ移譲して、合計して二千八百億を移譲する試案を実は提示をいたしたわけであります。その審議にあたりましては、一つのそういった具体案の出たことについて非常に各審議委員の間に興味を持たれたわけでありますが、二千八百億を国から地方に移譲するにあたりましては、国としてそれだけの歳出面での、いわば節約といいますか、削減をはからなければならないというところから、国から地方へ出ております国庫補助金を整理してこれを移譲するということが一つ考え方ではないか。国庫補助金を整理するとなれは、どういう補助金を整理するかということに次の段階があるわけでありまするが、税制調査会の、いわば土俵と申しますか、土俵が、国庫補助金をどこまで具体に整理するかということになってまいりますと、多少税制調査会の土俵をそれるというようなことで、かたがた時間も十分ございませんでしたために、具体的に進展を見なかったのでございます。しかしながら、税制調査会自体は、こういった具体案をもとにして、どこがいい、どこが悪いという審議を今後進めるべきであろうというような意味で、答申自体にも、今後の検討をわざわざうたってあるというようなことでございます。したがいまして、どういう方法でこれを今後具体的にしていくかということにつきましては、われわれ当局も、その検討を進めなければなりませんし、またこれを、どういう場を使ってこれの具体案の検討並びに実現を期するかということも、十分検討しなければならない問題ではございますが、地方税源の増強のためには、いろいろな角度から引き続き努力してまいりたいと、かように考えております。
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、いまの局長のお話ですと、税調に、地方税二千八百億増強案——こういう正式な名前じゃございませんでしょうが、そういう形で試案が出されている。これは自治省として、何といいますかね、単なる試案、審議一つの材料をというような意味ですか。自治省はやはりこういうものをぜひやっていかなければならぬ、こういう姿勢に立っての提案なんですか、その点はどうです。
  126. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 税制調査会自体で、いろいろ基礎問題小委員会等において、地方税源の増強の議論がございました。その場合に、じゃ地方財政のうちで地方税の占めるウエートをどれくらいに考えたらいいのかということになってまいりますと、いろいろ学識経験者の間にも議論が分かれるわけでありまして、何%ぐらいがいいのか、何割ぐらいがいいのかというような議論が分かれて、結論がなかなか統一的に出ないわけです。そこで基礎問題小委員会におきましても、じゃせめて地方自治といわれるためには、全体で五割ぐらいの税収は地方税として持っておくべきではなかろうかというような御意見がございました。そこで、一つの具体の目標を得まして、五割にするためにどういうやり方があるだろうか、税目の選定等は先ほど申し上げたような考え方のもとで、その試案を出したわけでありますが、扱いといたしましては、税制調査会における審議の試案であるということでございますが、試案でございますので、なおいろいろとこれに検討を加えて、将来改善をしていかなければならない点も多多あると思います。したがいまして、この試案をもとに今後の検討を続けるということが、ただいま私どもの持っております態度でございます。
  127. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、いまこの二千八百億円の増強案について、どうのこうのということを申し上げるつもりはありません。時間の関係でやめますが、これは一つの案として、しかしこの案でもこれは三十九年度の財政計画をもとにしての、たとえば地方税の収入の割合が五〇%、こういうことで出されておりますね、四十年度になるとこれはまた割合というのが多少変わってくるという問題もありますね、しかし方向としては、いま言ったような問題は若干ありますけれども、いずれ大体五〇%程度の税収入を持つことが適当だという、そういう判断から、判断といいますか、考え方からこういう一つの試案が出ているのだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  128. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほども申し上げましたように、地方財政におきます財源構成をどうすべきかということにつきましては、いろいろ意見があるわけでございます。その中でせめて五〇%ぐらいというのが意見として出てまいりました。これを目途にいまのような試案が出されて審議されたわけでありますが、半面では、五〇%自体を頭からきめてかかるのはおかしいじゃないかというような議論も実はございました。ございましたけれども、一向に抽象論だけでは話が進まないというところから、先ほど来申し上げたような試案を提示をいたしたのでございます。したがいまして、今後この試案をもとにいたしまして、やはりどういう税目でこれを満たしていくのか、反面、それだけのものを国庫においてどういう削減の仕方をしていくのか、具体的には補助金の整理ということになってまいると思いますが、そうした場合に、どういう補助金から順次手をつけていくかということによって、そっちの面からも額がまた規制されてくるというような経過をたどるものと考えております。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 税財源の、何といいますか、再配分ということばを使いますが、これをやるためには事務の再配分がなきゃならぬということは、これはいつでもいわれていることでありますし、そのとおりだと私は思うのですが、さっきも言ったように、こういう調子でいったら、一体あなた方が、地方独立税を強化しなきゃならぬとか、地方財政をもっと健全にしなきゃならぬという、こういうことには、いつになったらそういうことになるのか。どうも私ちょっとまことに心配なわけなんですね。事務配分の問題にしても、すでに過去においていろいろ案も出ておりますし、それに基づいて、私はやっぱり自治省として、これは自治省だけではもちろんできませんけれども自治省として一つの方向、案というものを、もっと具体的なものを持つべきじゃないだろうかと思うのですね。一切審議会まかせ、調査会まかせというような形にしておくと、先ほども申しましたように、これはまあいつになったら出てくるのか、しかもばらばらの調査会でやっている、こういうようなかっこうですから、そこら辺、大臣どうです、さっき申しましたように少し気短なような、件急なような感じをするかもしれませんけれども、政府として、自治省として、そういう案を早急に持って、その上でそれに対する意見なり、あるいは検討なりを求めることがいいんじゃないだろうかと、こう思いますが、その点ではどうです。
  130. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) お話のように税源の関係からいえば、国庫負担金、補助金というものを整備して、これを移譲する。それには事務の再配分が必要だ。それじゃそれをどっか一ヵ所でまとめてという御意見、ごもっともでございますけれども、まあ税制調査会は税の関係を主体にしてお考えになるし、地方制度調査会は事務の再配分というようなものを主体にして考えております。一つにまとめるのも一つ考え方でございますけれども、私は、やはり地方制度は地方制度調査会で事務の再配分をせっかくやっておりますから、それを詰めていく。そうしてそれを税制調査会に持ち込んで、整理というほうにいってもいいじゃないかという感じがいたします。ただ、しかしそういう方向で考え、詰めてはまいりますけれども、実際よく考えてみまするというと、地方の財政というものは、だんだんと事務的にワクがきまっていっているわけですね。だんだんと、自主的に自由に使えるという税源から義務的な経費というものの範囲というものが固まってきておりまするから、そうしまするというと、それにマッチする税源というものはきちっといけばいいのですけれども、おそらくむずかしいのじゃないだろうか、そうすると、結局それは交付税等によって、あるいは補助金等によってそれを補うということが、やむを得ない処置として出てくるのじゃないかというような感じもいたしまして、はなはだはっきりしないことではございまするけれども、そこに大きな一つの私は今日地方財政の悩みが出てくると思います。地方に財源を与えて、地方がそれでもって自由に財源が使えるというかっこうにいけばいいのですけれども国民健康保険にいたしましても、すでに法律によってワクがきまっている、国民年金にしてもそうだし、義務教育にしても同じだし、そのほか生活保護にいたしましても、ほとんどそういうことでいくわけであります。それから、地域格差の是正をするためには低開発の、いわゆる特別の補助をしなければならぬというふうなことになっていきまするから、そういう点とにらみ合わせますというと、ただ事務を再配分して、そして補助金をやめて、そしてそれだけを地方に移譲すればいいというふうに簡単にいきにくい、非常に今日地方財政の悩みというものが介在しているように私は思うわけであります。しかし、そうかといってほうっておくわけではございませんで、御指摘のように現在地方制度調査会においては、事務の再配分を特に取り上げておりますし、また、税利調査会においても補助金の整理というものを取り上げておりますから、両方相まちまして、ひとつ御指摘のように詰めるだけ詰めていくつもりでおります。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話しのように、まあよくいわれるように、事務の再配分をせよ、税財源の再配分をせよと簡単に言っても、なかなか簡単でないことは私もわかりますし、だからこそ、これはむずかしいむずかしいと言って、あっちに意見を聞き、こっちにやっておったんでは、私はなかなか進まないというふうに思う、ですから、先ほど申し上げたようなことを言っているのであります。あなた方もいろんな、何といいますか、地方財政に対する、たとえば問題点というような指摘の中に、これはすでに数年来言ってこられたことなんですから、それが毎年のように繰り返されているけれども、ちっとも前進がないじゃないかということを私は実は言いたいところなんです。毎年のようにやっておりますよ。そうすると地方税法改正が出てきた、何かそれについてあるかというと、そうじゃない、さっきも言ったように、ちょっとした手直し程度で、控除額をどうするとかなんとかいう、そういう問題だけですね、一体いまの地方税の税種目の性格、あるいはあり方という、そういうものについてすらどうも腰のすわっておらないような姿で私はあると思う、ですから、この点、いま時間もありませんから、たとえば、二千八百億円案とか、いろいろ事務の再配分との関係とかいうことを一々ここでやっておられませんが、ひとつやはり政府自体で、あなた方がはっきり、たとえば三十八年度の決算によっての問題点の指摘の中に、第一に掲げてあるのは、地方独立財源の充実だと、のみならず数年来こういうことがいわれてきているんだということからして、もっと私は強い前進の態度と申しますか、あるいは姿勢と申しますか、取っ組み方が必要だと、こういうふうに思うのですが、やはりこのままでずっと審議会まかせ、調査会まかせというようなことでおやりになりますか。
  132. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 御指摘のように大いに努力をいたすつもりでございますが、いままで何回も取り上げられて、なおかつ、あまり効果をあげられないといっておしかりを受けておりますが、それほどこの問題はむずかしい問題でございますので、しかし大いに今後も馬力をかけまして検討するつもりでございます。
  133. 鈴木壽

    鈴木壽君 私はまあこういうことをここで言っちゃどうかと思うのですが、実は三十九年の十二月に出ました税制調査会のこのいわば長期見通しですね、これを見て実に何といったらいいか、あまり言うとしかられるかもしらぬけれども、情けないと思うんです、ほんとに、地方税に関する限り。一体長期的な展望で、あるいは将来のあり方というものをやる場合に、こういうことで一体どうなるのかというふうな感じを私持ちますがね。これでは現在のままのいまの二千八百億円なんかを一つの契機にして事務配分なり税財源の再配分なりということのそれは出ておりますが、それ以外は、現行の地方税制のそれを一歩も出ないんですね。まあ委員会なり調査会なりの悪口はやめますが、そういうのはどうも……。私はこういうところにただそういう御審議御検討をわずらわしておっても、まあくどいようでありますけれども、どうもうまい答えは出てこないんじゃないだろうかと思う点もありますものですから、以上のようなことを申し上げたのであります。  それから関連することでございますが、いま私が申し上げることだけを切り離してということはできないかもしれませんけれども、あなた方も指摘しておられます特に都市の財政ですね、大都市の財政、これについても強化をすべきだというようなことだけでなしに、具体的にどうしなければならぬのかというような考え方のそれがあってしかるべきだと思うんですがね。これもここ二、三年来叫ばれてきたことでありますけれども、強化すべきだとかいうようなことはおっしゃておりますけれども、具体的にどうすればいいのか、こういうことについての何らの方向なりというものをお示しになっておらないんですね。これは、さっき申しましたように、これだけを切り離してということも無理なようでありますが、しかし、それはとりあえずいま問題になっているこういうことに対してどうなのかということがもしあればお聞きしたいと思いますが、いかがでございますか。
  134. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 御指摘のように今日都市財政は税源があるあるといわれながら、実は困っておるのであります。これは私、一つはこの税制度の、欠陥ではございませんが、から一つ来ておると思うんです。というのは、一例をとってみますると、大阪市——東京はまあ都と市とが一体でありまするから表に出ませんけれども、大阪市のように市と府とが分かれておりまするというと、その点は露骨に出てくるわけであります。それで大阪市はいま非常に財政が困って、交付団体にまでなったような状況でございますが、その原因をじっと検討してみまするというと、税源が、住民税と固定資産税がいわゆる主たる税源になっておる。御承知のとおりであります。ところが住民税は所得割あるいは法人割というものによって、いわゆる経済の伸長に伴って伸長性が、ある程度はございます。ところが固定資産税は、評価価格としては伸びていきまするけれども、それに相応した税金というものは取りにくい。なぜ取りにくいか。取ればいいわけでありますけれども、いなかのいわゆる不動産、家屋、土地といううよなものは、それ自体からすぐ収益というものが生まれませんから、やはり農地については据え置きをせざるを得ない。また家屋等につきましても二割で頭打ちをせざるを得ないということになりまするというと、いなかも都市も区別できませんから、同じようなことになって税源というものが押えられてきている。これが私は原因じゃなかろうかと思うわけであります。そうかといって、大阪にしましても東京にしましても、水道とかあるいは地下鉄でありますとか、そういう再開発的な事業というものは、もうほうっておけない。東京あまり便利だから人が集まるんだから、水道も出なければ出ないでほうっておけば皆困るから分散するのじゃないかというような意見もありまするけれども、それはほんの意見意見でございまして、実際の政治としてはそういうわけにはいかないのでありまするから、私はこういう特殊な都市、全般の都市とまでは言い切れませんが、特殊的な再開発を急激に迫られているような都市につきましては、都市再開発税というようなものを設けて税源にして、それ自体でできませんけれども、いわゆる借り入れ金等の返済財源にするとやれるのじゃないかという感じを実は内々は持っております。これはほんの、まだ具体的な検討ではございませんで、思いつきといえば思いつきですけれども、私はそうせざるを得ない。そうすれば都市の再開発の税源となれば、やはり都市は再開発されれば、いわゆる固定資産というものはそれだけ上がっていくわけでありまするから、土地につきましても家屋にしても、特に土地はそれによって非常に評価が上がっていくわけでありまするから、現在の都市計画税を指定都市についてはパーセンテージを上げるというのも一つでございましょう。しかしそれでもけっこうでありますが、都市再開発のために固定資産をもとにして、一つの税源を考えていったらどうだろうか、これもまあ法律でもって一律的に考えなくても、都市計画税と同じように必要に応じて取り得るその限度をきめるというようなことも一つではないかということで、まあ内々大蔵大臣と話し合っているような段階でございます。
  135. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方全般についていえることなんですが、特に大都市ですね、これの財政需要というものは、質的にも非常に違ってきた形で増高といいますか、必要な経費というものが多く望まれているわけですね。ところが一方、いまの税制からすれば、大臣がいまお話しありましたように、なかなか伸長性といいますかね、そういうものは期待できないような形で置かれている。さらに税だけでなしに、一般財源として非常なウエートを持っているいまの制度である地方交付税なんかでも、私は都市のこういういろいろな大都市の財政需要を満たすような形の算定にはなっていないと思う。こういうことがみなからみ合って、非常に都市財政というものは苦しくなり、赤字が出てくる。仕事をやめたらいいじゃないか、あるいは人間が多いし、給与も高いから、人を減らしたり給与を切り下げたりすることができるならばともかく、とてもじゃないが、そういうこともできる話じゃないとすれば、何とか抜本的に都市財政のあり方という観点から考えていかなければいけない問題だと思うのですね。いま都市計画税のそれがありましたが、それもまあ一つの仕事を、都市の再開発ということをやっていくためには必要でしょうが、いま申しましたように、税のいろいろな仕組みの上で、それから交付税のあり方で、その他いろいろまだ要素はあると思いますが、そういうものを含めてこれも早急に私はやらないことには、かつては不交付団体とかなんとかいったものが交付団体なり、さらには赤字団体に転落する、赤字団体になりたくなければ一切の仕事をストップする、一切ということばは悪いけれども仕事をストップするしかない、こういうことになってきているのが大都市の状況じゃないかと思うのですが、この点、重ねて大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  136. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 御指摘のとおりだと私も思っております。ただ、地方交付税においても考慮しなければならないということも、確かに大阪市等は交付税の対象にはなってきましたから、あるいはそうなれば考えざるを得ないのでありますけれども、私は地方交付税の性格からいって、これは都市と農村との地域格差というものに振り向けていくほうがよくはないかという感じがいたします。都会地は都会地独自の先ほど申しましたような何か再開発に向くような税源、それは再開発すればするだけ地価は上がるわけでありますから、土地そのものからは上がってこなくても、処分すればその土地はすでに非常な収獲がある、収益があるわけでありますから、私はそういうものをとらえて、その土地の再開発に向けたらどうだろうかという感じがいたします。
  137. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣のお答えですが、都市開発に必要な金をたとえば都市計画税とか、そういう固定資産税的なものによってやるということも私は一つ考え方だと思います。これについてのとことんまでの論議はしませんが、同時に、ただいま申し上げました交付税の算定でまだ見方が不十分だ、都市の仕事をやっていくために必要なものを見ておらないということもこれは事実なんですね。地方の農村地帯といいますか、あるいはおくれておる地帯の格差を縮めるためにいままでもやってきましたし、これからも重点的に傾斜配分的なこともしなければならぬことも確かでありますが、もともと交付税において、行政事務をやっていくために必要な額の最低限は要するというたてまえから、その見方がまだ不十分だ、こういうことを指摘したいと思うのです。まず、いまの大臣のお話だと、いまは都市はけっこう見ているのだ、見足りないのは農村地帯なりおくれた地帯であって、こっちのほうにやればそれでいいのだと、そうじゃないのですね。
  138. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) これはお話のとおりでございまして、地方交付税自体は、いわゆる基準財政需要を見まして、それと収入との差額を見るということでありまするから、都市は都市なりのいわゆる基準財政需要というものを見なければならぬわけで、いわゆる地域格差の是正に重点を置くということは、それ自体からいうと、やや傾いておるかもしれませんけれども、何といっても今日地方財政で非常に困っているものは農村地帯というものがだんだんと税源がなくなっていっておりますから、これを何とかして補正しなければならないし、するとすれば、ほかに方法はないから、地方交付税にたよらざるを得ぬ、こういうことで申し上げたのでありますが、理論的にはおっしゃるようにそれ自体のための交付税でないことはもちろんでございます。
  139. 鈴木壽

    鈴木壽君 交付税の法案がそのうちくるでしょうから、そのときに、もう少しやります、ですからきょうはこれ以上やりませんが、交付税の算定でいわゆる基準財政需要額の見方というのは、私は何も都市だけをやれという意味じゃないですけれども、都市としての行政目的を達成するための必要な額というものが保障されておらない、一般的にそういえますけれども、そういう面が特にあるものだから、その点を指摘をしたわけなんであります。いずれ、しかしこれは時間もありませんから、交付税法の一部改正案のときにでも触れたいと思います。  この点について、いわゆる地方独立税の強化なり、あるいは地方税財源の強化ということでまとめますが、どうです、いまさっきからくどくどしく申し上げておりますが、もっと私は積極的に政府自体、自治省として取っ組んで早くやらないともうだめですね。これはにっちもさっちもいかないというときがきますよ、私はそう思う。少なくとも三十八年度決算なり三十九年度のこういう状況から見ますと、ここ二、三年のうちにこれは非常に苦しい事態になってくると思います。のんびりかまえて、必要であるとか検討しなければならぬとかいうことをおっしゃるだけでなしに——それでは私はあとで後悔することが必ず出てくると思う。早く手を打つという意味で、本格的な、いま言ったようなことに取り組んでもらいたいと思いますが、その点をひとつ大臣からもう一度決意をお伺いしたいと思います。
  140. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) お話のように私も地方財政の将来を考えますと、非常に心配をいたしております。したがって、のんきには考えられませんので、これは至急に取っ組んでいかなければならぬと思います。それには私は二つ実は考えております。その一つは、やはり今日の地方財政において健全化するという一つの気がまえが私は確かに必要である。いままでは高度経済成長のために自然増収が相当どんどん入ってきましたので、税源があるといいますか、やりやすかったという点がございまするけれども、今日のように健全均衡財政に移りまするというと、従来のようなことは望めません。しかし、また地方府県におきましても市町村におきましても、まだその惰性が私はあるんじゃないかという感じがいたします。したがいまして、これはあらゆる面において節約といいますか合理化といいますか、健全化ということをするということが一つ。もう一つは、税源というものはだんだんと地方はなくなって、仕事はやはり社会開発といいますか、やらなければならぬ仕事は、減るというよりはふえるということでありますから、それに対する税源を考える、これは国と地方との税源の配分という点において考慮しなければならぬ、私はこの二つはほうっておけない問題だと考えております。
  141. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いま鈴木君が中心に質問しているわけですけれども、時間の制約もありますので、簡単に二、三お聞きしたいと思います。  第一は、いろいろ財政事情を見てみますると、極端に小さいいわゆる農村あるいは漁村、山村というところ、それから大都市、二つの極端が非常に財政事情が悪くなっているように思う。それにはいろいろ事情もあると思うんですけれども地方財政計画などで見ますというと、自主財源といいますか、特に町村税、地方税というものは非常に多く見積もられているようでありますけれども、実際私が知っておるところなどでは、まあ町ですけれども、町税という固有のものが一二%くらいしかないということで、それだけではどうにもならないので、何とかして自主的な税源なり、あるいは財源なりというものが必要だという声が非常に強い、地方財政計画では四〇何%というものを見ておるようですけれども、実際上は農村漁村というようなところのいわゆる地方税というものは、どのようになっておりますか、これを最初ちょっとお伺いしたい。
  142. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 歳入に占めます税の構成は、御承知のようにいろいろあるわけでありますが、三十八年度の決算で市町村全体を見た場合に、税収として四割でございます。したがいまして、上下の幅がかなりございますので、現行税体系によります税源の枯渇しておるところでは、一〇から一五、二〇ぐらいのところも相当あろうと思うわけであります。
  143. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 地方財政計画によりますと、平均的ですけれども、歳入の中で占める地方税というものは四一%というような計算ができているわけです。実際に当たって見ますというと、一八%というところが普通じゃないかと思う。これは実際に予算書によって申し上げることですから偽りでもないと思うのです。そして寄付金というものは非常に大きなウエートを占めておるわけです。税の伸びといいますか、税の実在といいますか、実体というものがわずかに一八%くらいで、あるいは場合によりましては、寄付金などに二十数%もおんぶしているという実情があるわけです。そういうことを考えて、ほんとうに農山漁村というようなところにおける将来の税のあり方、特に地方税、町村税ですけれども、そういうもののあり方について、何かお考えを持っていらっしゃるのですか、将来の問題として。
  144. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように、地方税制につきましては、できるだけ自主財源の増強という要請がございますが、同時に、個々の団体についてもまんべんなく増強されるという要請もあるわけでございます。その間、税目によりましては相矛盾する要請を、どういうふうに満たすかといったむずかしい問題があることは御承知のとおりでございます。したがいまして、それらに通ずるものとして交付税制度があるわけでございますが、現在の市町村の税体系におきます税収を見てまいりますと、市町村税中における税目別のウエートが、かなり顕著にここ十年ばかりで変化をいたしておるわけでございまして、これは数字を見ればわかることでございますが、たとえば昭和二十九年度には市町村税のうち固定資産税の占めております割合が四五%あった、それが三十八年度になりますと三九%になっておる、御承知のように市町村税の中では市町村民税と固定資産税が二大双壁をなしておるわけでございますが、その一方の固定資産税につきまして、市町村税中に占める比率が下がってきているということ自体は、やはりこれについてわれわれとしても大いに反省検討を加えるべきであろう、こう考えておるのでございまして、これにつきましては、昨年御承知のような新評価をいたしましたが、付帯の暫定的な調整措置をいたしておりますので、こういったことも。こういった趨勢に反映をいたしておると見ておるのでございまして、なおよく検討の上で、こういう暫定措置の後の将来の固定資産税のあり方といったようなものにつきまして、すみやかな結論を得たいものと、努力をいたしておる次第でございます。
  145. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 現在では、いわゆる法定地方税というものは、できるだけ整理して、ごくまれにはあるようでありますけれども、従来はそういうものでいろいろ住民から見れば、つまり非常に重い負担であるといわれておりましたけれども、いろいろ鶏税であるとかなんとかいうような、いろいろなものがあったわけです。そういうものが現在整理されているわけですから、地方で何か特殊な税を考えようと思っても、自治省としてはそういうものをお認めにならないでしょうし、独自の税というものを考える場合におきましては、非常に困るのじゃないかと思うのですけれども、そういういわゆる地方税のうち法定でない、そういう独立の、各地方団体でこれはいいと思っているものに対して、自治省としてはどういうお考えですか。やはりそういうものを認めないで、現在のような税体系でいこうというお考えでございますか。
  146. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) お尋ねは、法定外普通税のことかと存じますが、法定外普通税は、ひところに比べますと、御承知のように非常に整理をされてまいりました。いわば合理化をしてまいったわけであります。またその反面には、法定税の充実ということも陰に大いに力があったと思うのでございまして、法定外の税につきましては、そういう意味合いで市町村自体がかなり整理、合理化の考え方に立って進んでおるのでございますが、それでもいろいろその団体の特殊な事情によりますものにつきましては、法律の規定、制約条件等にも照らしまして、私のほうで特にこれはぜひやれとか、あるいはこれはやるなといったような強力な指導は、現在はいたしておりません。
  147. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 現行税制を充実したと、こうおっしゃるのですけれども、しかし、先ほど申しましたように、いわゆる市町村の歳入を考えてみましても、いま申しましたように、ほんとうにわずかしかないわけでして、そういう現行税制の中における市町村税、特に農山漁村というところにおきましては、いま申しましたように、十数%しか自主的な税源というものはない。充実したとおっしゃることは、結局交付税等において十分見ておるからということになるのじゃないかと思うのですけれども、それではいつまでたっても、やはり自主的な財源による自主的な行政ということができないと思うのです。そういう意味からいって、やはり現行の税制の変更と申しますか、改正といいますか、そういうことが必要だと思うのであります。それには、やはり個々の市町村の独自の、特に非常に財政力の乏しいそういうところにつきましては、もしそういう団体が、こういう税はどうだろうというふうな希望でもありましたならば、それを適当に行政指導して税源の充実をはかるということでお認めになることが必要なことではないかと、こう考えるのですが、いかがですか。
  148. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 一般的な考え方としましては、自治体がそこの特殊な事情によって苦心をして考えてくるものについては、私どもも受け入れたいという気持ちを持っております。ただ、何分にも税でございますから、ただ税という名前をつければよいというわけにもまいりませんので、その辺は税としての適格性があるかどうかといったようなことについては、十分相談に乗ってまいりたいと、かように考えます。
  149. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 二つの極端な、非常に財政的に窮乏しているということを申しましたが、一方におきましては、先ほど鈴木委員からもお考えが述べられたわけでありますが、やはり大都市になればなるだけ、やはりそこに財政上の困難なところがあるように考えます。これは単に税だけの問題でなく、財政という点から考えるべき問題かもしれませんけれども、大体現在の地方自治法というものが、大都市の特殊性というものをあまり認めていないのじゃないか、つまり量がだんだんふえてきた、大きくなってきた、量が大きくなって質的な変化があるということに対する地方自治法の親切といいますか、あるいは行き届いた政府の考え方というものが十分に徹底していないのじゃないかと思うのでありますが、これは大臣にお聞きしたいのですけれども、特に指定都市といわれるような大きな都市におきまして、単に普通の市の大きくなったものだとお考えになっておられる、そういうきらいがあるのですけれども、それにつきましてどうお考えでございますか。
  150. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 御指摘のように、大きい都市には特殊性がございます。特に今日のように経済が急激に発展いたしますというと、東京、大阪、名古屋というようなところが非常に集中いたしまして、いわゆる過密都市をあらわしておるような状況でございます。これはいろんな面においてこれの解消に当たりつつはございますけれども、なかなか容易な仕事じゃございません。これを防ぐ方法も一つではございますけれども、さしあたって、御指摘のように、それじゃいまこれらの大都市をどうするかという問題、ほうっておけない、水道にしましても地下鉄にしましても、交通、道路その他の点もございます。先ほど鈴木さんからも御指摘がございまして、これについては何か特別の税源というものを考えざるを得ないのじゃないか。地方交付税でも考えたらという御意見もございましたけれども地方交付税で見るのも一つでございましょうが、地方交付税は、さっき御指摘になりました地方の農村というものの財源が非常に窮屈でございますので、そのほうで手一ぱいでございますから、別の税源を考えざるを得ないのじゃないかという感じがいたしておるわけでございます。
  151. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 結局、つまるところは行政事務の再配分とそれから国税と地方税の再配分という問題になってくると思うのですが、先ほど鈴木委員からもお話がありましたように、これは単に各種調査会における答申待ちということでなしに、やはり自治省として確固たる信念と申しますか、一定の長期見通しを持って行政の問題についても、またその行政に見合う財政問題としても考えて、それに必要な国税及び地方税の再配分ということ、順序としてはそういう順序になると思うのですけれども、これをはっきりと自治省自身がお考えをお持ちになるほうがいいのじゃないかと思うのですけれども、この点はどうですか。
  152. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 確かに私ども考えを持たなければいけないと思っております。先ほどお話の出ておりましたたとえば二千八百億の案にいたしましても、現行の税体系で現行の国民税負担の範囲ということになってまいりますと、地方に国から税を増強するという基本的な考え方になるのでございまして、その場合の税目を伸張性のある税目に求めようといたしますと、所得税から法人税からこれを移譲するということになるわけでございます。ただ、これが実現のためには反面において補助金を整理しなければいけないのでございますが、補助金の整理につきましては、御承知のように中央の各省はいろいろとそれぞれの立場からする意見がございますし、また、地方団体自身も現在の財政状況が苦しいために、地方税も必要だし補助金も必要であるというような態度に、ややもすればなるわけでございまして、こういう点から、これを税の面から見ますと、補助金ということは国の財政の面でも地方の財政の面でもちょうど中間的な存在になりますために、国民の租税負担を意識した財政運営がややもすれば見忘れがちになるといったような問題もございます。したがいまして、こういったことについては、補助金か地方税かといったような問題についての考えの方向を順次打ち出すことによって、またそういうムードのもとに、いろいろと具体案を考えていく必要があるのではなかろうかと実は考えておる次第でございます。
  153. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 じゃ最後にお尋ねしますけれども、やはり大都市というものは、いろいろ国の経済的あるいは産業的な面における相当有力な部分を占めておるわけであります。それですから、普通の地方財政計画の中で考えられないような多種多様の仕事、行政事務というものをやっていかなければならない。ですから当然地方財政計画の中でも大都市に対する特別の考慮ということは、財源の問題、つまり税の面から考えても配慮していかなければならない、こう思うのです。そこで大都市の産業的、経済的な地位、性格ということは、ある程度まで地方財政計画の中においても相当財政需要というものを重く考えていかなければいけない。先ほど鈴木委員地方交付税でその部分を見ていくべきであるというお話があったのでありますけれども、そのことは、当然税の面でもそこにウエートを置いて、ただ普通の都市がやっている以上に大都市——現在では法律的には指定都市でありますけれども、その指定都市の行政運営にあたって必要である税あるいは財政の裏づけというものが必要だと思うのであります。この点につきましては、税制調査会の答申にもうたってありますように、大臣として今後十分に考えていただかなければならないことだろうと思うのでありますが、これに対する大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  154. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) これも先ほど来申し上げましたように、大都市は大都市なりに再開発に追われておりますので、したがって、それの財政需要というものを見ざるを得ないのであります。それではその税源をどうするかという問題でございますが、地方交付税でもって見るということも一つ考え方ではございましょうが、一斗の水をどう分けるか、つまり今日一つの悩みは地方の農村あるいは市町村というようなものの財源が非常に困っている、先ほど御指摘になりましたように、地方税は自主的なものは一二%しかないというがどうかというお尋ねでございましたが、そういう町村もたくさんあるわけであります。そうすると、そういうところはそれでは普通の行政水準のことはできないかというと、今日はほうっておけないから、やはり地方交付税で見なければならない。そうすると、同じ水を分けるということになりまして、都市も都市なりに必要だからといって分けますと、いなかに配分する金がなくなっていくというような悩みがあるわけでございまして、したがって、先ほど申しましたように、大都市は大都市なり再開発税というようなものでも考えて税源をひとつ考えたらどうだろうかという考え方に目下のところはあるわけでありますが、しかし、交付税につきましても御指摘の点は一つ考え方でございまするので、検討してみたいと思います。
  155. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御質疑がなければ、本法律案についての質疑は終了したものと認めます。  本日はこの程度にいたしまして、次回は明三十一日午前十時三十分開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時散会