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1965-03-25 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十五日(木曜日)    午前十時二十五分開会    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      斎藤  昇君     前田 久吉君  三月二十五日     辞任         補欠選任      沢田 一精君     日高 広為君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 石谷 憲男君                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                 井川 伊平君                大野木秀次郎君                 中野 文門君                 日高 広為君                 前田 久吉君                 加瀬  完君                 鈴木  壽君                 松木 賢一君                 二宮 文造君    政府委員        自治大臣官房参        事官       宮澤  弘君        自治省財政局長  柴田  護君        自治省税務局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○地方行政改革に関する調査  (昭和四十年度地方財政計画に関する件)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  三月二十三日付、斎藤昇君が辞任され、前田久吉君が選任せられました。     —————————————
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 地方税法の一部を改正する法律案昭和四十年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 加瀬完

    加瀬完君 今日の地方財政上、税制度関係で一番の問題になっております点はどういうことでございますか。
  5. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いろいろ問題あろうかと思いますが、最近特に一般にやかましくいわれておりますことは、いわゆる地方税をはじめとする地方自主財源増強という点にあろうかと思います。御承知のように地方財政中に占めております地方税収入構成比率が低いことから、自主的な自治体としての運営に十分でないというような意見は、従来からあったわけでございますが、最近の自治体行政需要の傾向からいたしまして、特に意見が強くなっておるように見受けております。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 結局行政水準向上といいますか引き上げということが、財政計画上でも地方行政上でも、非常にこのごろは強くいわれておりますので、行政水準向上に伴う財源、こういう関係になりますと、いまおっしゃったように、自主財源というものが非常に低い。そこで行政水準に見合う自主財源というものをどうしてつくり出すかという問題だろうと思いますけれども行政水準向上に伴う財源の不完全性ということは、単に自主財源にとどまりませんで、事務配分の問題とか国庫支出金負担区分の問題とか、いろいろあろうと思うわけでございますが、今度の改正は、おっしゃるように自主財源強化するという意図で一応改正が行なわれたと考えてよろしいですか。
  7. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 税制でございますので、自主財源増強の反面、住民負担軽減ということも考えていかなければならないわけでございまして、地方税制につきましては、三十九年度から四十年度にかけまして住民税負担軽減を実施をしておる、こういう環境のもとにおきまして、かつ明年度地方財政状況等を勘案いたしまして、今回の税制改正を行なったわけでございます。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 来年度になりますと、住民税改正目的がはっきりと出てまいりまして、自主的な財源というものは市町村になりますと減ってくるわけでございますね。で、本年度から問題になっております固定資産税評価がえという問題もございまして、評価がえということをそのままやれば、来々年度あたりからは固定資産税の大幅な増強ということも考えられてくるわけでございます。これもいまおっしゃるように、住民負担を急に変えるということはどうかという問題になりますと、固定資産税を急に上げるというわけにはいかなくなる。住民税は下げる、固定資産税はあまり上げない、しかも自主財源強化すると、こうなりますと、税法の一部改正ということだけでは、このアンバランスに対して、はたしてバランスがとれるような回復ができるかということになりますと、問題が残ると思うわけでございますが、今度のその改正案の中には、明々年度以降動いてまいりまする地方財政計画上の歳入の動きというものに対しては、バランスをとるような配慮は行なわれていると考えてよろしいですか、この改正案は。
  9. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げました現在の問題は、問題といたしましては御承知のように非常に大きな問題でございます。したがいまして、その問題の解決にはなかなか短日月の間にその処理はむずかしいと思われるのでございます。そういう意味合いにおきましては、やはり年々その状況を見ながらの改正をせざるを得ないと思います。ただ、基本的と申しますか、長期的な見通しはどういうふうに持っていくべきかということが基底になると思うのでありますが、それにつきましては、先ほど申し上げましたような、地方自主財源増強というような基本的な線に沿ってこれをやってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 現在の地方税法をどのようにいじってみたところで、自主財源強化ということにはちょっとならないじゃないですか。どちらでもいい、財政局長でもけっこうです。
  11. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあいじり方、いろいろあろうと思います。技術的に地方税法をいじる観点からこれを見ていくのか、実質的な現行体系のもとでこれを見ていくのか、いろいろ見方があろうと思いますが、やはり根本的なことになってまいりますと、国民の納めます租税を国と地方にどう配分をしていくかという問題に触れざるを得ないかと思うのでありまして、昨年の政府税制調査会等におきましても、そういった考えのもとで答申が行なわれておるのでございます。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 この提案理由説明の中にも「公共施設充実社会保障拡充等のための負担増加、」あるいは「地方公務員給与改定に伴う給与費増加」等が提示されておるわけでございますが、特に、社会保障拡充のための負担増に伴う対策というもの、あるいは給与改定はもう年中行事のようになっておるわけでございますが、給与が引き上げられた場合、その裏打ちをする財源、こういう問題に対する処置というものは、地方税をいじったところで出てまいらないと思うわけでございますが、局長のおっしゃるこれらの社会保障拡充に伴う経費あるいは給与改定経費というものまでも含めて自主財源強化するということになりますと、これは地方税法だけの問題では解決がつかないのじゃないか。ですから、地方税改正を何回も出しても、それはその手続上の部分的な不合理を是正することにはなりますが、今度もそういう意味においては、われわれは認めるにやぶさかではございませんが、根本的な地方財源強化とか、自主財源強化とかいうことにはほど遠い、こういうように考えられるわけでございますが、財政局長、この点はいかがですか。地方税法だけいじって、いま税務局長のおっしゃる自主財源強化ということがはたして可能でございましょうか。
  13. 柴田護

    政府委員柴田護君) お話のように、地方財政強化、しかも自主性強化と申しますか、そういうような立場から地方税源強化するという方向は、私どもは一貫してとってまいったわけであります。今回の税法改正の中にも、さような意図が含まれておるわけでございますが、しかし、お話のように、それだけで事が片づくわけでもございません。結局は国と地方との間の財源配分仕事配分というものを通じまして、財源をどのような形で分かち合うかという問題になるわけであります。当然国庫補助金補助負担金あり方の問題でございますとか、あるいはまた、地方交付税あり方の問題でございますとか、さような問題はいろいろ付随してまいるのでございます。そういう前提はございますけれども、しかし、地方税源充実強化という点からは、国と地方との税源の再配分あるいは新たな税源を求めるといったような方向で考える余地が全然ないとは申しかねるのでありまして、全体の問題を方向づけながら、その中で、やはりおりに触れ、時に触れ、税源強化という方向で努力してまいらなければならぬというように思うわけでございます。もっとも、税源そのものの存在の問題があるわけでございますので、どのような形で国と地方税源を分かち合うかという問題になってまいりますると、いわゆる偏在といったような問題もからんできて、むずかしい問題もございますが、それはそれといたしまして、方向といたしましては、やはり地方税強化するという方向に向かって努力すべきであるというように考えておる次第でございます。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 地方税源強化するということはけっこうでしょうがね。しかし、いま御指摘の国と地方配分というものを考えないで、地方税源だけを強化しようということになれば、これはどうしても住民に対する過重負担の問題が起こってくる、あるいは国の税に対して地方の税のアンバランスという問題が起こってくる。現実においても、あとでお伺いをいたしますけれども国税負担率地方税負担率というものが私は非常に違っていると思う。そこへさらに財源だけを強化しようという方向をとれば、これはどうしても地方税負担というものが、国税に比べて住民の各個々にとりましては、あるいは法人にとりましても、ますます重くなるという問題が出てくる。そこで、先ほども説明のございました国税地方税配分といいますか、あるいは国税地方税に対する移管の問題でございます。こういう点で具体的に何かお話し合いがございますか、あるいはまた構想がございますか。
  15. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先般、政府税制調査会におきましては、やはり地方自主財源増強すべきであるという方向が各委員から確認されたわけでありますが、しからばどういう方法があるかということになってまいりますと、なかなか具体方法が立てにくいという実情にあったのでございます。しかしながら、税制調査会地方税制部会におきまして、抽象論だけでもいけないので、やはり具体にものを考えていくのには、何か試案が要るじゃないかというようなことから、その各委員の方々の御検討をいただく資料といたしまして、国税から地方税へ二千八百億移譲してはどうだろうかという一つ具体的な案を提示いたしたのであります。しかしながら、これはあくまでも税制調査会の審議の資料として提示されたものでございますので、政府構想ということではございません。ただ、この案が出されました際に、国から地方へ二千八百億を移譲しようとすれば、国においてはその分だけの歳出をどっか削っていかなければならぬ。国民租税負担をいま以上にふやすということであれば別であるけれども、少なくとも税制調査会の基本の態度としては、現行税体系における国民租税負担程度をもっていくべきではなかろうかと。しかも、毎年出てくる自然増収のうちの二割程度を、減税によって納税者に還元するという方向で是認をしておる立場にございましたので、国から地方へ移譲するためには、国の歳出面での何らかの節減と申しますか、削減が行なわれなければならない。それにはどういう問題があるかというと、議論が出ましたのは補助金の問題でございます。昨年度計画で申しますれば、補助金が国から地方へ八千六百億ほど出ておるわけでございますので、これを整理でもしないと、いま申し上げましたような移譲案はなかなかむずかしいのじゃないか。そこで、税制調査会としましては、どの補助金をどう整理するということになると、税制調査会土俵の問題になってきて、そういう考え方も是認されるが、個々具体補助金をどう整理するかということになると、これは税制調査会のいわば守備範囲を出るのではなかろうか。また、これに関連いたしまして、国と地方の間におきます行政事務配分という問題もあるわけであるけれども、それにつきましても同様ではなかろうかといったようなところで、いわば税制調査会としての土俵にぶつかっておるというような状況であったわけでありまして、その意味合いにおきましての結論は確かに出ておりませんけれども、そういった具体の問題について今後検討を進めるべきであるというような答申が出ておるわけでございます。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 これは鈴木委員質問に対して、財政局長予算委員会でお答えになったと思うのですが、一体大蔵当局あるいは閣議の全体の空気は、八百六十三億でございますか、こういった過重負担というものをはっきりとお認めになっているのですか、認識があるのでございますか。たとえばいま局長の御説明補助金を整理する云々という問題がございましたけれども補助金あるいは負担金そのものが、法律政令できめられたとおりの数字といいますか、責任を全うしておられないわけですね。それが八百六十三億という数字になってあらわれてきた。八百六十三億というのは地方負担しなくてもいいものなんですね。そういう多額の過重負担地方にある、こういう認識があるかどうかということと、もう一つ地方財源がどんなに枯渇しているかということは、ずいぶん大かたの反対がありますが、相変わらずギャンブル公営企業として収入一つに充てなければ財政上のやりくりがつかないという状態ですね。もう戦後二十年たちまして、戦災復興という名目で許されたギャンブルが、地方の何か一つの有力な財源化して、固定しそうになっておるわけですね。ああいうことまでしてあさっても財源がない。手数料のようなものも今度は相当伸び率が高いですね。これだけ地方財源というのは、地方収入というのは枯れ切っておるのだという認識一体大蔵省なり閣議の全体の空気にあるのですかね。私がこういう質問をするのは、予算委員会等を通して自治大臣の御答弁を伺いましても、どうもそういう自治省として当然主張しなければならない意思というものが固まっておらないように感じられるのです。これは財政局長いかがですか、この点は。
  17. 柴田護

    政府委員柴田護君) 超過負担の問題その他につきましても、国の地方財政に対する認識と申しますか、それは私ども感じでは、まあ地方財政に金が余っておるというように感じている人はだれもないだろう、非常に地方財政も苦しいということはよくわかっておられると思います。また、超過負担があるということ自身についても、これも、私ども感じでは、そういう認識は十分あると思うのでございます。ただ、それを直すか直さぬかという問題になってまいりますと、予算折衝等を通じまして、なかなかうまくいかない。それは認識がないからだとおっしゃられればそういうことも言えるかと思いますけれども、まあ認識があっても、ものごとがうまくいかぬということもあるわけでございまして、わが身につまされない場合が多い。つまり、そういう無理な補助負担金配分をいたしましても、地方無理算段をしながら何とか吸収してくれておるのじゃないか、こういう一つの事実ということが、この補助負担金合理化というものを妨げてきた。それがまた国庫補助負担金を交付いたします場合の補助条件というものを通じて、補助負担行政というものをゆがめてきた原因じゃないかと思うのでございます。言うなれば、国にその原因はございますけれども、受けるほうの地方側におきましても問題がないことはない。両方ともその気になって直すということにならなければ、なかなか直らないと思うのであります。その間にありまして、私どもが少なくともその実情指摘して、正すべきものは正すべしということで、ずっとやってきたわけでございますけれども、そういったような事情がいろいろ折り重なりまして、今日までなかなか実効をあげていない。多少とも直っておりますけれども、直り方が非常に進度がおそい。したがって、私どもも従来のような行き方で助成を求めてまいることについては、やはり反省を要するというように深く感じておるわけでございます。地方に金が余っておるとはだれも考えていないと思いますが、ただ、具体的にこういった不合理を直していくにつきまして、なかなかいままで申し上げましたような事情が相錯綜いたしまして、はかばかしい進展が見られないというのが実情でございます。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 この八百六十三億ですか、この数字は、法律政令できめられたものを基準としたときに八百六十三億という数字が出るのか。それとも地方政令を乗り越えた過重負担の分までも——過重負担といいますか、過重事業の、よけいにやった事業の分まで含めて八百六十三億というのが出るのか。前の法律政令どおりで八百六十三億ということであれば、これは厳格に私は自治省としてはこの過重負担の解消を政府責任として行なうように請求する正当の権利があると思うのです。もしこれが若干ほかのアルファも加わっておるというなら、適当の機会に私は基礎的な数字を積み上げてまいりまして、一体幾らになるのかということを精密な数字を出していただきたいと思うわけです。  それからもう一つ。これは税法の問題とは若干離れますけれども財政計画上の一つ問題点にもなろうと思いますので……。財政計画そのものには入れておりませんけれども、結局それを入れなければ実際の収支決算がととのわないということで、問題のギャンブルがそのまま残っておりますね。これは一体自治省は、広げることはこのごろやらないようですけれども、急に転換するということもむずかしいにいたしましても、こういう方向で、こういった地方自治体責任ギャンブルを奨励するようなことは、そう長期に残しておくべきものではないという、これは一般世論もそうでございますが、この世論にこたえるような方策をお立てになりますか。この問題については何かお考えございますか。
  19. 柴田護

    政府委員柴田護君) 超過負担の問題、八百六十三億円という推計は、三十八年度決算等を府県につきましては実態調査市町村につきましては抜き取り調査、アトランダムに抽出いたしまして、その抽出に基づいて推計をしたものでございます。したがって、そこには加瀬委員お話のようにさらに、細部を分析する必要があります。なお、その内訳でございますけれども、そのうち百九十三億円というのは、たとえば統計職員に対する委託費でございますとか、あるいは国民健康保険事務費でございますとか、国民年金運営費でございますとかというものでございます。したがって、これは筋から申し上げますならば、要するに国が出すべきもの、百九十三億そのものがいいか悪いかということになりますと、統計職員の例をかりにとりますと、あるいは国民健康保険の例をとりますれば、もっと安い職員を雇えばいいじゃないかという議論も中にはあるわけでございますけれども、しかし、この百九十三億というものは、おおむね国としては考慮すべきものというように私どもは思うのでございます。これは全部じゃございません。全部ということになってまいりますと、職員年齢構成等にやはり問題が残ります。残りますけれども、筋としては、これは国が少なくとも反省をすべきものだと考えるのであります。それを除きました六百七十億というものの中には、これは単価対象の不合理のために出ておるものでございます。したがって、地方負担部分、超過した部分についての国庫補助負担金とそれに対応する地方負担分が含まれております。もとよりその中には単価対象の不備というものとあわせて若干はプラスアルファといいますか、地方団体自身が進んでこれに添加して行なった仕事も含まれておるわけでございます。したがって、まあこれの中身をどうして分析していくのかということが私どもにとってはこれからの課題になるわけでございます。この前の委員会でございましたか、林委員からも御指摘がございましたが、私どもはこの六百七十億という推計に基づいておおむね五百億程度が是正さるべきものだと実は考え、そのうち大ざっぱに二百五十億程度のものは地方において直すべきもの、地方財源として付与すべきもの、二百五十億程度のものは国庫補助負担金そのものにおいて是正すべきものだという考え方に立って実は四十年度予算折衝に当たったわけでございます。結果的には直っておるものもあり直っていないものもある、こういう現状であります。  それからなお、競馬競輪等収入でございますけれども、たとえば宝くじみたいなものになってまいりますと、これは浮動購買力の吸収という観点から見ますならば、若干競馬競輪と色彩を異にいたしますが、競馬競輪等につきましては、私どもも決して望ましいものとは思っておりません。また、先般の公営企業調査会でございましたか、これに基づく答申もあるわけでございますので、それに従って処理しているわけでございますが、何と申しましても、やはり正規財源に置きかえていくということが先決でございますので、そういう配慮をしながらこれを早く適正な財源に置きかえていくという方向で、いろいろ考えておるわけでございますけれども、御承知のようにここ二、三年経済全体の姿が一時と違いまして逆調になってまいっておりますので、なかなかそういう好ましい改革はできませんが、まあ税源の問題を財源的に考えますれば、まず最初に正すべきものは、税外負担正規負担に変え、お話のありました公営事業と申しますか、競馬競輪等収入というものを正規財源にかえていくという手続を経ていくべきだと思います。思いますけれども、残念ながら昭和四十年度におきましては、ともかく既存財源というものを確保することが精一ぱい、こういうような情勢でございまして、遺憾ながらその辺まで手がつかなかったというのが実情でございます。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 税務局長に伺いますが、税改正根本目的は、少なくともその一つは、行政目的を達成させるということだろうと思いますが、これはこのように了解してよろしゅうございますね。
  21. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 国税地方税一般を通じまして、租税の使命はそこにあると思います。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 すると、現在行政実体というものを知りませんければ、税改正合理性というものは浮かんでこないことになりますね。
  23. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ただ、地方につきましては、先ほど来お話が出ておりますように、交付税でありますとか、あるいは補助金事業の性質によっては起債といったような財源も、それぞれの意味を持っておりますので、地方財政につきまして、行政内容自体に注意しながらやらなきゃいけないことはもちろん御指摘のとおりでございますけれども、それだけではないのではないかと、こう考えます。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 根本行政実体というものを押えて、その行政実体の中から、当然地方団体としてはやるべからざるものがあれば、これは別ですけれども、当然地方団体としてやらなければならない行政実体というものを認めるなら、その行政事業そのものに進み得るような財源をつくらなければなりませんし、その財源の大半は税ということになりますから、そういう意味合いで税というものを考えて、足りるか足りないか、あるいはそれを交付税でまかなうか地方税でまかなうかということを考えなければならないものだろうと、まあ形式的にいえば私は言えると思うのですよ。  そこで、地方税改正が何回か行なわれたわけでございますが、どうも私はその行政実体というものを確実に運転可能にするガソリン的な役目をするような裏づけをする税制改正というものが、あまり密着性をもって行なわれてきたとは思われないわけです。といいますのは、一々例をあげますと、たとえば昭和三十年ごろから三十七年までの決算を見て、教育費の一般行政費に占める割合はといいますか、比率の推移というものはどうなっているかおわかりですか。——私のほうからお示ししてもいいのです。ここに文部省が昭和三十九年にわが国の教育水準というのをお出しになりました。これによりますと、行政費に占める公教育費の比率は、三十年は二一・九%、それが三十二年には二二・三%、三十五年には二一・四%となりまして、三十六年は二一・五%、三十七年は二一%と下がっておるわけですね。最近は比率が落ちているわけです。それで、さらに私立学校まで含めてしまいました公私立学校の支出項目別の比率を見ますと、このごろ非常に給与が上がったので教育費がかさむということでございますが、いま申し上げましたとおり、実際は行政費に占める公教育費の比率の割合は下がってきている。しかも昭和十年を押えますとこの私立学校まで含めて消費的経費の支出では、給与が五七・七%、その他の消費支出が二二・二%、資本的支出が二〇・一%となっておるわけです。それが三十年になりますと、給与が五二%、その他の消費的支出が三二・三%、こういうことになりますね。三十七年になりますと、給与は五四・二%、それからその他の消費支出は二〇・一%、資本的支出は二〇・五%、給与が高いといいますけれども、戦前に比較をすると、比率の上では低いですね。数字は高いけれども比率は低い。それから、消費的支出の全体から見ても、戦前は七九・九でございますのに、三十六年は七三・九、三十七年は七四・三と、必ずしも高くはない。それから特にその他の消費的経費というものは、三十年の三二・三から三十五年は二二・九、三十六年は二〇・一、三十七年は二〇・一と切り下げられておるわけですよ。給与が上がった分を消費的経費で落としているという形ですね。そうすると、これは消費的経費の結局不足分というのが、一般の寄付、税外負担という形で住民にかぶせられておるということは、この統計からすれば一応うなづけるのではないかと思うわけです。さらに教育行政ばかりあげて恐縮ですが——都道府県の児童一人当たり教育費の標準偏差を見ますと、標準偏差が、昭和二十五年は九百八十六円でありましたものが、三十七年は四千二百七十九円と開きが大きくなっているわけです。義務教育でありながら、府県によりまして一人当たり経費が非常に違ってきているわけです。最高最低の差は三十七年は二万二千八百四十八円という数字になるわけです。これは最高が四万五千百六十三円に対して、最低は二万二千三百十五円。都道府県の小学校児童一人当たりの経費がこういう形になります。これは行政目的をより達成するための財源が十分に裏づけされておるとはいわれないということになろうと思うわけです。こういう点、一体これは交付税を含めて、地方税改正あるいは交付税の税率の改定といった場合に、行政水準が最近はむしろ切り下げられておる、したがいまして、これを切り下げられないように、一応の水準に上げるためには、まだ税源地方に今日よりはよけいに配分をされなければ、このアンバランスの解消はできないというように考えられると思いますが、この点はお認めになりますか。
  25. 柴田護

    政府委員柴田護君) なかなかむずかしい問題ではないかと思うのでございますと申しますのは、国民負担を国も地方もひっくるめまして一定の水準に置く、その中で行政水準向上をしていけということになりますれば、一定のワクの伸びの一定のワクの中でどこの経費に重点的に配分していくかということになろうかと思うのでございます。ただいま御説明になりました諸統計につきましては、私どもも持ち合わせておりませんので、その中身につきまして検討をしてみたいと思うのでございますが、ただまあ戦前と戦後の問題になってまいりますと戦前におきましては教育費というものは地方行政の大宗を占めた経費であります。戦後におきましても、もちろん大宗を占めておりますけれども、そのほかに、民生、衛生関係経費というものは、戦前と比較しても問題にならぬほど、御承知かと思いますが、ふえてまいっておる。したがって、比率からいいますれば、総体的に減ってくる形になうかと思うのでありまして、それだけをもって論ずるわけろにはいかないのじゃなかろうかと思います。  それから標準偏差値の問題でございますけれども、これも統計の基礎になりましたものが、投資的経費を含めているのか、あるいは単純な正当経費だけなのか、そこら辺のところに問題が実はあろうかと思って拝聴いたしたわけでございますが、教育費そのものといたしましては、私どもの持ち合わしております統計では、昭和二十五年以来常に増加の一途をたどっておる、減っておるということは出ておりません。しかし、それをもって直ちにそれじゃ教育に十分手が尽くされておるという証拠にはならぬかと思いますけれども、しかし、著しく教育費というものは虐待されたということにはならぬのではないかと思うのでございます。したがって、一定の規模の中で、国民負担の中で、どの部分に重点を置くか、また、その部分に重点を置きます場合に、いわゆる管理経費と申しますか、能率的に金を使う、効果的に金を使うという方向を、どういう方法で満足させようとしているのかということに頭を使っていくことにならざるを得ないのじゃないかと思うのであります。地方交付税におきましても、御承知のようにいろいろ問題が残っております。しかしながら、交付税の算定上は、特に義務教育費等につきましては、非常に硬直性の強い地方財政にとっては第一番に配慮すべき経費として、常にその充当率と申しますか、基準財政需要額と実経費の比較というものは非常に接近をした、おもにほとんど実経費のものを基準財政需要額で見ていくという形をとってきたわけであります。もとよりそれによって税外負担がなくなっておるというわけではございませんので、それは投資的経費の算定のしかたに——従来から当委員会におきましても御指摘になっております。投資的経費の算定方法ということに——基本的欠陥がありますためにそうなっておりますけれども、消費的経費につきましては、交付税の基準財政需要額の算定率というものは、非常に高い形でもって行なってきたわけでございます。今後もその方針を捨てるような気持ちは毛頭ないわけでございます。しかし、お尋ねの問題は、全体的に見てどこに一体ウエートを置いていくのかということになろうかと思うのでありまして、それはそのときそのときの情勢に応じて重点の方向を変えていくということにしていかなければならぬのじゃないだろうかというように考えておるわけでございます。  ばく然といたしておりまして、お答えになっておりますかどうか危惧するものでございますけれども、全体といたしましてはさように考えております。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 私は、教育費が減ったから環境衛生の費用がふえたとか、あるいはまた教育費は減ったけれども道路とか港湾とか、そうい土木建築の費用がふえたとか、そういう点の財政全体の移動をここで問題にしているわけではないわけであります。で、戦前と比較をいたしましたけれども、戦後にいたしましても、行政費の中に占める公教育費の比率が三十二年二二・三、三十三年二二、三十四年が二一・四、三十五年が二一・四、三十六年が二一・五、三十七年が二一と、これは比率の上では減っておるわけですよ。減らしたのがいけないという意味ではなくて、減っておるということは、減らさないで済む財源というのが結局不完全だということではないか、こういう意味なんです。そこで、じゃ教育費だけかというと、私は教育費だけということにはならないという例をあげてみたいと思うわけです。たとえば最近神奈川とか千葉とかいった県では、住宅公団の進出というものを阻止するといいますか、反対するという意思表示を公にしているようでございますが、問題は、結局住宅公団の来るのをなぜ拒むかということになりますと、財政負担の問題だと思うのです。住宅公団によって新規事業がふえて、学校なり道路、環境衛生等の仕事というのがふえてくるわけですけれども、一体この責任は所在市町村の負うべきものなのか、あるいは国の負うべきものなのか、問題があると思うのです。これを財源的には若干考えるとしても、地方責任の大部分を負わせておりますけれども、この点はいかがですか。妥当だと思いますか、いまのようなやり方で。
  27. 柴田護

    政府委員柴田護君) 住宅公団の問題につきましては、私も承知いたしておりますけれども、これはお話のように財政問題もございますけれども、同時にまた、住宅公団等、大きな団地ができることによりまして生ずる地元市町村行政上の諸問題というむずかしい問題もあるわけでございます。一つ市町村行政的にまとまった形で円満な市町村行政を遂行するという上におきまして、大きな団地ができますことによるいろいろなトラブルといったようなものもあり、その辺のところを全体的に考えた場合に、もう少し計画的に団地というものの造成をしてもらえぬだろうか、ただ無計画にやられると地方が困ってしまうというところが、住宅公団に対する、国に対する抗議と申しますか、意思表示というものがあったのじゃないかというように私ども承知いたしておるわけでございます。何か一つ大きなものができますと、それに伴って地方もいろいろなことをやっていかなきゃならない。それは当然でございますけれども、そのことをつかまえて、これは国の責任だ、地方責任だとあげつらってみても、あまり実際問題としては、それでどうこうというわけでもないわけでございまして、私どもといたしましては、そういう議論の前に、どうしたら計画的にそういった団地というものがうまく地元の市町村行政にマッチした形でもってつくられ、それについて地元も無理なく諸般の設備が整えられるということを果たしてまいりますためには、どうしてもそこに計画性と相互の連絡ということが必要ではないか。そういう方面を考えてまいりますと、従来のやり方においてはいろいろ手抜かりがあったろう。実は私どももしょっちゅう住宅公団なり、あるいは建設省当局なりには連絡を密にしてほしいということを言っておるわけでございますが、なかなかそれがうまくいかない。ましてや地元になりますと、そこのところが全く地元の意思と申しますか、考え方といったようなものについての意思の疎通が欠けておりまして、いろいろトラブルが起ってくるということじゃなかろうか。それは責任問題もありますけれども責任問題の前に、国と地元と協力してそういうものを無理なく円滑に果たしていく体制というものを整えることがまず先決じゃなかろうかというように思うわけでございます。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 一体自治省は、税務局でお答えをいただいてけっこうでございますけれども、公団住宅ができて五年間なら五年間、十年間なら十年間という期間で、その所在市町村に入ってくる金と、義務的にどうしても出さなければならない金と、そのかね合いがどういう割合になっているか、御調査がございますか。
  29. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ただいま手元に具体的な数字は持っておりません、おりませんが、この問題は、先ほど財政局長からお答え申し上げましたように、やはり新しい都市づくりの一つの形態として、われわれとしても注目しなければならない問題じゃなかろうか、かように考えておるのでございます。大まかにいって、固定資産税収入だけでは、実際問題としてまかなえないだろうと思います。と申しますことは、住宅を建てるといっても、住宅は、御承知のように住宅だけで生活ができるものではございませんので、その付随する施設、諸般の都市的施設、環境施設が要るわけでございますから、そういったものをまかなうための財源が、固定資産税だけでまかなえるということは、一般的にいって困難であると思います。したがいまして、総合的なものの考え方に立った措置が必要だろう、かように考えております。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 これは某市における実例でございますが、昨年公団住宅が建ちまして、本年度から学校が開設をされまして、現在の児童数は五百八十四名、ところがこの四月に入学する一年生は二百三十名。三十九年中に母子手帳を請求した人員は八百九十六人。そうすると、五年後か六年後にはこの八百九十六人が、あまり移動がなければ一年生となって入って来るわけです。五百八十四人の生徒が、六年後には一年生だけでも八百九十六人になるわけですよ。いまの学校の構想というものは、この八百九十六人を入れるような構想で建てられておらないわけですね。そうなってくると、これは全部地元で、所在市町村負担しなければならないということになるわけです。断わっておきますけれども、住宅公団がきては困ると私は申し上げておるわけではない、来ることけっこうです、けっこうだけれども、地元の購買力を増すし、発展にもなるわけですからけっこうなわけですけれども、当面、所在市町村としては、学校一つとっても、いまおっしゃるように、安い固定資産税だけでこれがまかなえるものではない。当然こういう実態は、一つの社会現象としてこのような実態があるのですよ。この実態に見合うやはり財源措置というものを考えてもらわなければ、町村は動きがつかないということが徐々に起こっておりますから、結局公団を誘致しておりました市町村が、むしろ県に押しかけて、県がやむなく公団は来てはまかりならぬという言明をしなければならないという形になっておるわけですけれども、そもそもの問題は、地方の所在市町村が公団の来るもろもろの財政条件に耐え得ないということになろうと思うわけです。そこで、重ねて確認したい次第でございますが、これは国の人口政策とか、住宅政策といったしわが、所在市町村に寄せられているわけです。ですからこういった住宅問題、あるいは社会開発問題で起こるところの必要財源というものは、どこかで国が裏づけをしてくれなければならないのだ、そういう筋のものだと思いますけれども、いかがですか。
  31. 柴田護

    政府委員柴田護君) そこのところは御議論のあることだと思います。国の責任が皆無だとは私は申しませんし、国におきましても、その財源手当等につきまして十全の配慮をすべきものだろうと思います。実際問題といたしましては、人口急増補正等によりまして、必要な財源的手当をもし、また、地方債の運用等におきましても、そういう問題をとらえて、可及的に措置をしてまいっておりますけれども、これは率直に申しまして、現在のあり方で十分かといいますれば十分でないと私ども考えております。  なお、もっと合理的な方途を検討すべきだとは思いますけれども、私どもといたしましては、ずっとそういう社会的な事実というものに着目をして努力をしてまいってきておるつもりでございます。しかし全部が全部国のみの責任かといえば、そうでもない。やはり地方団体といたしましても、なすべき点はこれを行なっていくという形で、もって相協力していくべきものだろうというふうに思うわけであります。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 私は、所在市町村責任がないということを申し上げておるのではない。所在市町村に、いまの法律では当然責任があるわけですから、学校も建てなければならない、道路も面さなければならない、上下水道もつくらなければならない、もろもろの責任がございます。しかし、責任を遂行するにしては、あまりにも財源がないではないか。少なくも国も一半の大きな責任があるわけだから、なぜ一体財源の補てんを考えないか。現在交付税の算定等で御配慮があるかと思いますけれども交付税だけで新しい財源の措置というものが全然なくて、これらの問題の財源的な解決ができるかということになりますと、私は不可能ではないか。地方税の一部改正を見ましたところで、それによりましてこのような関係市町村財源がふえてくるという裏づけも何もないわけです。一体こういうような地方には、特殊な財源を必要とする問題が起こっておるのに、そういう問題の解決が何も裏づけられない。税制改正で幾ら進んだって、地方財政全般の改善にはならないのじゃないかという立場で伺っているわけです。率直に言って、交付税のほかに——あるいは交付税だけでもけっこうですよ。いまよりも何か財源でも何でも与えて、幾分でも地方負担を軽くしてやろう、こういうお考えはあるのですか、政府においては。
  33. 柴田護

    政府委員柴田護君) 結局一挙にいろいろな財源が要るわけでございますから、その分につきましては、たとえば一例でございますけれども、住宅公団団地におきましては、住宅公団がかわって学校をつくってやる、それを分割払いで地方団体が買い取るといったような方途も講ぜられているわけであります。しかし、そういうところばかりに都市づくりを終わりましても、大体いわゆる住宅都市ということになるわけでございますので、あまり所得のある人はおられない。そうすると、そもそも税源があまりないということになるわけであります。そうすると、やはりそこには財源調整としての交付税の機能というものでもって補って行かざるを得ないだろうと思うわけでありますが、そういう場合に、基準財政需要額の算定上、いまのまままでいいか悪いかという問題が起こってくるだろうというふうに実は私は思うのであります。税源をふやしたいということは、私どもの念願でございますが、税源がないところに幾ら税制を持ってまいりましても、税金がふえるわけでもございません。また、そういう一種の都市づくりで先行投資的なものを行なう場合に、国として何らかの措置が必要だという問題は、現在は、いま申し上げましたような形で住宅公団につきましては学校等の公共施設を先につくってあとで買い取ってやるというような形をとっておりますけれども、その場合に、いまのようなやり方でもっていいのが悪いのか、もっと地方に安く買い取らすというような方法があるかないか、あるいはまた、国がそういうものの都市づくりについて別途の援助措置を考えるかというような問題につきましては、なお十分検討に値するものだと考えます。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 これは住宅公団だけの問題ではない。新産都市だってやはり同じ問題があると思うのです。そこで、政府が社会開発なんということを掲げるなら、これは一つの社会開発的な現象ですから、なぜ一体住宅公団で学校なりあるいは環境整備に伴う経費なんかを負担しないのか。その負担は、政府地方財源を与えられないというならば、住宅公団に何らかの形で補助をしたっていいでしょう、出資金を出したっていいでしょう。社会開発ということを唱えて、社会開発は公団をつくってやらせる。しかし、実際の社会開発の仕事は全部地方がかぶる。これは新産都市でも問題が起こったようですが、新産都市を指定する、しかし、ほんとうの新産都市の完全な整備をするためには、地方が大幅に負担しなければならないということでは、地方が動きがとれなくなる。政府一つの方針、政策で、現象的に地方にいろいろな問題が出てくるわけですから、当然これは国として考えていただかなければならない問題だと思うわけで、これはぜひもっと積極的な方法を講じていただかなければ、どうにもならない問題になっておるので、お願いしたいと思うわけです。  それから国民健康保険の保険税といいますか、保険料といいますか、この問題でも社会保障拡充のために負担増加は認めながらも、その財源の補てんというものはあまり確実には考えられておらないというように思われるのです。財政計画上の問題ばかり伺って恐縮ですが、この点はどうですか。
  35. 柴田護

    政府委員柴田護君) もう何もかも御存じの加瀬先生に申し上げるのは恐縮でございますけれども国民健康保険の問題というのは、結局は給付会計について国庫負担金と、それから国民健康保険税というものでまかなっておるわけでございますが、これが相ともに必ずしもうまくいっていない。これをどうするかという問題と、あとは事務費の問題、診療会計の問題は、これはむしろ病院に近い関係でございまして、国民健康保険会計という問題とはやや次元を異にすると思うのであります。私どもは、国民健康保険会計は、一応そのたてまえからいって、この会計自身では完全に経理が終局するという方向でものを処理すべきだと考えておりますし、その方向で国庫負担金の合理化国民健康保険税の合理化事務費合理化という三つの問題を指摘して地方団体を指導いたしておりますけれども、御承知のようになかなかうまくいっていないというのが現状でございます。基本的には国民健康保険そのものあり方がいまのままでいいのか悪いのかという問題につながるだろうと思うのでありますけれども、そうなってまいりますと、問題は非常に大きな問題になるわけでございます。現在の国民健康保険のたてまえからいいますならば、やはりいままで申し上げましたような趣旨にのっとって、一つ一つ合理化なりあるいは健全化というものの筋を進めていく以外にないのではなかろうかというように考えて去るわけであります。
  36. 加瀬完

    加瀬完君 この前にも局長の御説明で、繰り入れ分が九十六億、これは低所得層で保険料が払えない者があるので赤字が出てくる。したがって、この赤字に対してこれを埋めるために繰り入れでまかなうという形が九十六億だというお話があったわけでございます。この払えない者がある状態は三十八年度と三十九年度と四十年度では、はなはだしい変化があるとは思われないわけです。たとえば保険料五千円なら五千円、三十九年度で払えない者が四十年度になって六千円、七千円払えるという条件は出てきてはおらないと思う。取れない者からいままでも取っておったから払えないという状態が起こった。取れない者がいる現状というものは、どうも少しも変わりはない。そうであるならば、いまおっしゃったように、国民保険行政というものを、そのもの根本的に改めなければならないと思うわけですけれども、この問題を四十年度ですぐ解決するというわけにはまいりませんので、国から特別な財源というものを考えてもらうかそうでなければたてまえはたてまえとしても、さらに、もとのたてまえをいえば、これは救済的な性格もあるわけです。単に生命保険に入ったとはわけが違うのですから、保険料を払えないから診療しなくていいという問題ではないわけです。保険料を払えないようなものでも、結局その保険行政の恩典に浴するという形をとろうとするならば、これは繰り入れ財源というものである程度カバーするという方法を、やはり認めざるを得ないと思うのです。今度の税改正で、一体こういう方向に流さなければならない繰り入れ財源分といったような問題を、どこでふくらましていこうかといったようなことは考えられておるのでしょうか。
  37. 柴田護

    政府委員柴田護君) 税務局長からお答えになる前に私からちょっとお答え申し上げますが、私どもは、国民健康保険会計に一般会計から繰り入れるということば、これは適当じゃないと考えております。それは、一般納税者立場から考えますれば、職域保険の保険料を払い、同時に、またその払った税金の一部が、国民健康保険会計に流されていくのだということになりますれば、二重負担になってしまう。したがって、社会保険だということはやはり国民健康保険会計の中で完結してもらわなければならぬ。そのためにいろいろ制度があるわけでございますけれども、おっしゃるように国民健康保険税が払えない連中に対しては、どうしても完結できないということになりますれば、そのためにこそ調整交付金というものがあるわけでありますから調整交付金のあり方というものを再検討すべきだ、それによってまかなえるように調整交付金を配分すべきであろう。あたかもそれは、一般会計におきまする地方交付税の機能を果たすものでございます。わざわざ調整交付金というものをつくっておりますのは、その性質上、一般会計と別のものだから、交付税的機能を調整交付金に持たすということでつくっておるわけです。それがなかなかうまくいっておらぬから今日のような状態になっておる。しかしその場合でも、前提としては、やはり標準保険料というものを考える、あるいは標準給付費と申しますか、そういうものを算定をして、両者の差額を補てんしていくというような方向をとってまいらなければならぬものじゃないかと思いますけれども、そこまでは実はいっていない。これを現在のたてまえを貫きます限りにおいては、そういう方向合理化を進めていかなければならぬと思います。実は厚生省とは、そういう方向で基本的な方向は一致しているわけでございますが、なかなか実際問題としては、ものごとが片づかないのが実態でございます。私どもといたしましても国民健康保険会計の問題には、至大の関心を持っておるわけでございますけれども、遺憾ながら予算ということになってまいりますと、私どもの所管じゃない、そこに非常にやりにくいところがあって苦労しておるのが実情でございます。御了承いただきたいと思います。
  38. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 前段は、いま財政局長からお答えしたとおり国民健康保険事業自体を社会保険事業として考えるか、社会保障事業として考えるかというところに問題があろうと思います。少なくとも現在のたてまえは、社会保険のたてまえでものを考えているわけでありますが、ただ実際問題といたしまして、非常に低額所得者についての負担の問題が起こってまいりますので、御承知のように現在でも低額所得者に対しまする減免の措置がとられておるわけであります。その減免の措置をさらに拡大するかどうかといったような問題につきましては、私どももただいま真剣に考えておるところでございます。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 その前段の、財政局長のおっしゃるとおりに運営ができれば何も問題はないわけですね。しかし、事実そういう運営ができない。できないにもかかわらず、その法律のたてまえのとおりにやっていくならば、これは診療を閉鎖するか、あるいは給付を切り下げるか、いずれかの方法をとらざるを得ない。そういう市町村の動きもないわけではございません。それで、どうしてもしかたがないから、一般財源から繰り入れ分を出す、こういう形が行なわれております。で、交付金という制度もございますので、それがほんとうに動けばいいわけですけれども、それもなかなかいままでの運営の状態からすれば財政局長のおっしゃるような目的は達しておらない。そこで心配をするわけなのでございます。で税務局長のお答えになりました、それならば低いほうを、いわゆる血清困窮者に対しまして減免の措置を行なうということでございますが、実際は、ごく低いところには減免の措置は行なわれても、減免の措置を必要とする階層でありましても、今度の場合、これは形式からいえば当然そういう形にならざるを得ないと言われればそれまでですが、増徴をされますね。この問題をやはり考えてやりませんと、結局、保険行政というのはどこかでストップ、あるいは、ひどいところになると返上するという形にならざるを得ないと私は思うわけです。これは、あなたのほうの御担当でもないでございましょうから、一応この問題は、これでとめておきます。  そこで、問題になりますのは、中小の所得者の負担軽減をはかるということが、今度の税制改正の中にも、一つのねらいとして出ておるわけでございますけれども、中小所得者の負担軽減地方税ではかられておるかということになりますと、私は、どうも若干疑問を持たざるを得ないのです。そこで、所得税の減税の影響を、昭和三十六年の改正ですか、一応、地方税住民税に及ばないように遮断をいたしましたね。この限界線は、いまもって変更になりません。したがって、所得税は払わないけれども住民税は、所得割においても払わなけりゃならないという現象がございますね。この三十六年のきめられた線というものを引き上げる意思はございませんか。
  40. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) おっしゃるとおり三十六年の遮断以来、諸控除等につきましては据え置きをいたしております。ただ、その間も、住民税自体といたしましては、軽減方向に進んでおるわけであります。この問題は、全体として、軽減をする場合には、どの部分からこれを軽減していくかという問題が具体にあるわけでございまして、そういう意味で方式の統一といったようなことで、ただし書きの重い負担のほうから、いま軽減を実施しておる、こういう状態にあるわけであります。そこで、三十九、四十、二カ年でそういった方式の統一が行なわるわけでございまして、その結果を見まして、私どもも、今度は全体としての軽減合理化という方向検討を続けてまいりたい、かように思っております。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 所得税を納めない階層、特に標準家庭の場合ですね、地方税は、標準率でかけてまいります場合、どの程度負担になりますか。もう一度申しますと、一応、遮断された階層というものがございますね、遮断されて、所得税は納めないけれども地方税を、住民税を納めるという階層かございましょう。その場合、標準——夫婦・子供三人という家庭であった場合、所得税は納めないけれども地方税を標準税率でかけた場合は、幾ら納めることになるのか。
  42. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 具体には課税最低限の問題が作用するわけでございますが、昭和四十年について見ますと、給与所得者について見ますれば、既得税の課税最低限は、夫婦・子三人分標準世帯で五十四万四千二百五十九円、これに対して市町村民税の給与所得者の四十年度におきます最低限は三十四万七千百八十五円、こういうことでございます。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 これはあとでけっこうですから、五十四万以下で、たとえば三十四万七千円以上ですね、四十万の場合、四十五万の場合、五十万の場合ということで、標準税率の場合は幾ら納めるか、ひとつ資料をいただかしてください。  それから住民税合理化ということを考えるといたしますと、三十六年の改正のときにも私は指摘したわけでございますが、県民税の所得割は比例税率というか、比例段階制をとっているわけでしょう。ですから、うんと所得の高い者は下がっておりますね、下がっておらなくても、あまり上がりませんね、県民税の場合は。なぜ市町村住民税と同じように、二段階などという形をとらないで累進課税方式というのをとれないのですかね。非常に持てる階層だけが、県民税の所得割に限っては優遇されているわけです。これ、合理的といわれますかね。
  44. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 住民税と所得税は、同じく所得に対する課税でございます。ただ、やはりそれぞれの税の性格と申しますか、ねらいとするところが違うわけでございまして、所得税におきましては、同じ所得に課税をしながらも所得再配分的な機能をあわせて持っており、住民税につきましては、負担分任的な機能を持っている。こういうことになってまいりますと、それぞれの性格から見ますと、住民税のほうが、いわば広く住民に軽くても負担をしてもらう、所得税は、反対に高いほうに超過累進的な課税をしてもらう、こういうことでございまして、個々の人にとっての所得に対する税負担は、両税を通じて合わしたものでいわゆる所得の多寡に応じた負担、縦の公平と申しますか、そういう負担をすべきではなかろうか、こう考えるわけであります。先般の政府税制調査会におきましても、この点はずいぶん議論になった点でございますが、議論の末、やはり方向としてはそういうふうにいくべきである。したがいまして、税制調査会答申におきましても、現在の市町村民税の超過累進の刻みの段階数は、もう少し国と地方の間の税源配分等の機会を通じて緩和をしていくべきではなかろうか、こういうような答申も出ている次第でございます。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 初めは県民税所得割は比例段階制じゃなかったわけです、改正前は。改正後、二%、四%ですか、という形をとったわけですね。下のほうは非常に上がってしまっている場合があるわけです。上のほうは下がったところもあるわけです。下がらないにしても、上がり方がきわめて二%階層から比べると弱いところもあるわけです。で、担税能力のある者は負担分任で応益の原則も一つの筋かもしれませんけれども、応能の原則というものは、当然ほかの税金にも全部働いているものは働いたっていいわけです。ところが県民税の場合二%、四%ですから、高額所得者は非常に軽くなっている。保険税は税じゃありませんとあなた方おっしゃるけれども、ところが東京都の保険税の改正案を見ると、二十万円以下の所得の者は三八%上がるのですよね、それから四十五万円前後の程度ですと三二%、百万円をこえると二〇%に落ちるのですよ、こういうことで、どうも地方税においては応能性というものが非常に軽視されておりますよ。負担できる階層からあまり金を取らない、負担にたえられない階層にむしろ税金が強くかかってくる、その一番最たる悪例は、私は県民税の所得割だと思う。これは変える御意思はないわけですね。
  46. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) これはいろいろ議論の分かれる点であろうと思います。一つ一つの税で、その税の持っておりますいろいろな機能を発揮していくのか、あるいは、同じ所得を税源として払われる税であるから、全体としてそれが達成され、かつ国と地方の間に分配がうまく行なわれることがいいのか、現在御承知のように地方税の悩みといたしましては、三千五百の全国の団体に、どういうふうにきめこまかに税源を分配したらいいかという点が、一つの悩みになっているわけでございますので、そういう点とも合わせてこの問題については考えていかなければならないのじゃないかと、かように考えているのでございまして、そういうことを考えてまいりますと、私どもとしましては、将来の方向は、やはりどちらかといえば超過累進的なことは所得税で、そうして住民税のほうは層広く、幅広く負担をしてもらうような体系を取りつつ、両者を通じて負担合理化をはかってまいる、こういうような考え方で進みたいと、ただいまは考えております。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 市町村住民税の場合は累進課税ですよね。府県民税の場合だけ特殊の比例段階制をとる必要はないと思う。広くということになると、大衆課税ということにならざるを得ない。  そこで伺いますがね、今度自動車税が変わりますね、変えようとしておりますね。そうすると小型自動車の排気量一リットル以下では六千円ですか、上がるのは。それから、リットル以上一・五リットルでは七千円、一・五リットル以上では八千円上がるわけですね。これは提案理由説明の中には、中小所得者の負担軽減といっておりますけれども、こういうクラスの車を使っているのは、中小所得者ですよ、みんな。この上がった分がどこかで相殺されて、お前のところ六千円上がるけれども、七千円減税にしてあるじゃないかというものがございますか。事業税は若干手直しをするようですけれども、この事業税はあとで触れますけれども負担分任といっても限界線がありますよね、取りやすいところから取れでは、これは税制としては中小所得者を考えているといわれないでしょう。自動車税を上げるならば、これと相殺してどこか下げたところがありますか。
  48. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) やはり税でございますので、それぞれの税の目的によってその負担を考えていかざるを得ないと思います。地方税であるから、どの税もみな負担分任的な税でなければならぬ、あるいはどの税も特定の所得層にはかからないようにしなければならぬというわけでもないわけでありまして、御承知のように自動車税は、自動車という道路を利用する特殊な資産でございまして、この資産に対しましての税負担をどう求めていくかというところからスタートいたしておるのでございまして、そうしました場合に、御承知のような現行の自動車税の税率自体が昭和二十九年以来据え置きになっておる、しかもその間に国民の平均的な所得の上がりは二・七倍にもなっておる、こういったような状況のもとにおいての措置をとったものでございます。その点は御了承いただきたいと思います。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 所得の上がりといっても、平均ですよ。倒産もたくさんあるでしょう、あるいは物価にあえいでおるのは一リットルから一・五リットル、こんな程度の車を使って走っている企業者は、むしろこれは物価にあえいでいるほうですよ。困っている階層ですよ。で、業態も不振だということは、これは内閣統計局の示すとおりです。戦前と戦後というものを無意識に比べることは、それは当を得ませんけれども、戦前と戦後の税負担というのを比べると、いわゆる所得の低いものの税負担というのは、戦後は非常に多くなっているわけですよ。ですから特に地方税などでは、戦後はいろいろの税ができて、非常に負担が重い。ですから中小所得者の、少なくも小零細企業と目されるような形の階層の税負担というものを、極度にこれは軽減していくという方法をとらなければ、私は社会政策の上からもまずいと思う。事業税でもそうでございますがね。事業税なんか見込み課税で、えらいことをやっていますよ。青色申告もできないような階層は、これは基礎額を幾ら引くといっても、もっと所得があるだろうということになれば、どうにもならないという問題もあるわけです。それはあとにいたしますけれども……。物価が上がったから、自動車は自動車でそれは一個の資産としての客体だから、これに税をかけるという方法をとるなら、所得の上がった階層に、また蒸し返して恐縮ですけれども、なぜ税率を上げるといったような方法を考えないのか。これは今度の税法で一番の問題点にもなりましょうから、私はきょうは概括な問題にとどめますけれども、一体、先ほど言ったように、自動車なら自動車に税金をかけるというのは、かけ方としては形式的には成り立ちますよ。しかし、そうしてかけた一商店の家計状態というもの、あるいは経済状態というものに与える六千円の響きというものは、ほかの税金でどこか若干でも減税というものを施してあれば、自動車にはかけたけれどもこっちで引いてあるから、経済上はそう響きが少ないということであれば、これはうなずけない点もないわけではございませんけれども、これでは取れるから取るという税金のかけ方のような、歯にきぬを着せずに申し上げるならば、私には受け取れるわけです。いい税金の取り方だとは思えない。こんな少額くらい取れる方法は幾らでもあると思う。この問題では、鈴木委員が何か関連して御質問があるそうでございますから、一応私の質問そちらに譲ります。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと関連。いまの自動車税の問題でないので、その前の、道府県民税の問題ですがね。いまのような形になったのは、これは何年からでしたか。
  51. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 三十七年でございます。
  52. 鈴木壽

    鈴木壽君 三十七年からこうなったんですが、そのときは所得税の一部を道府県税の住民税としていわば移譲した形で、地方財政の面から考えて、いわゆる自己財源といいますか、地方の独立税としてと、こういうことでやったと思うのですね。たしか所得税の二%の減、それを道府県民税の二%のワクをプラスしてやると、こういう形でできたのがこのいまのやり方だったと思うのですね。その点、ちょっと私いま記憶の間違いがもしあればと思って一応確かめてから次の質問をいたしたいと思います。その点はいかがですか。
  53. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) おっしゃるとおり国税所得税から当時の額で二百億だったと思いますが、二百億の税源を移譲いたしまして、所得税において二百億を減じ、そして県民税において二百億をふやす、そして両方の間の負担を総合的に通じて減税効果があらわれるようにいまもって軽減的な税額控除措置も講じておるわけでございます。またこれによりまして、御承知のように表面的に所得税の最低段階の税率も当時一〇%であったも一のが八%に下がっておると、こういったようなことで、両者を通じた調査を行なったものでございます。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、当時三十七年度から、こういう制度になるときから、いまの加瀬委員指摘をした問題はあったわけなんですね。百五十万以下二%、それ以上何%と、こういうやり方に対して、それは所得税と道府県民税を通じてと、こういうふうなことなんだけれども、実際はいま言ったように、所得税で減らした分をまあいわば移譲という形ですから、ただその際にそうだからといって大きな増税になるような形はいけないんだということで、いろいろまあ軽減の措置がとられた。しかし、そのやり方がやはり何としても不合理だと思うのですね。もっと段階を刻むか、そしてもっと超過累進的な率でやるという、こういうことをしなければ、道府県民税あるいは住民税考え方からして私は不合理だと思うのです。さっきあなたは、市町村民税におけるいわゆる現在の超過累進課税の十三段階に刻んで云々といった点を税調あたりで緩和しなければならぬというふうに言っておるんだと、私はこれはこれなりにそういう考えがあってもいいと思う、しかし、それをいまの道府県民税で行なわれておるような、ああいう形にするということでは私はないと思うのです。また、そうしてはいかぬと思うのですね。これは何といってもいまの住民税は所得課税ですよ。これは国税の所得税におけるようないわゆる負担の再配分といいますか、所得の再配分というようなそういう一本やりではいけないことは、これはあなたもおっしゃっておるように、それはありますけれども、これは何といったって所得に対する課税、とすれば、私はやはりそれに応じた税の取り方をすべきであるというふうに思うのです。もちろんその場合に所得税、道府県民税、市町村民税、この三つを総合的に考えて、いわゆる国民負担ということを考えるべきだということは、それはあります。ありますけれども、所得に対する一つの課税として行なわれておる、こういうことからしますと、これは考え直さなければいけないじゃないかと、私は加瀬委員指摘されたように思いますね。やっぱりこれについて、今後もこのままでいいんだ、こういうことなんですか。その
  55. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ先ほどもお答えの中で触れましたように、いろいろ議論のあるところであろうと思います。ただ、地方税の場合には、国税と違いまして、御承知のように、三千数百の団体になるべくそれぞれの行政需要に応じた税源を与える努力を一方ではしなければいけない。しかも、全団体を通じて、なるべく自主財源の構成割合を高めなければならない。一方、国民の、いわゆる納税者負担も考えていかなければならない。こういったようなことになってまいりますと、それぞれ所得に対する課税であるから、それぞれのところで累進課税的なことをやっていくということも一つの考えではございますが、どうも現在の日本の産業の分布状態、その他御承知のことばかりでございますが、そういったような状況から見ますと、なかなかそれでは、先ほど申し上げたようないろんな観点からの要請を満たしていくことがむずかしいのではなかろうかというようなことも考えたりいたしまして、税制調査会議論もそういったような観点から答申が出ておるのでございます。もとより、今後これをどういうふうにして実行に移していくかということはなかなか大問題でございます。今後もわれわれとしてはよく検討してまいりたいと。かように思っております。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ関連ですから、あまりやりませんが、税調の答申が出たというのは、その中に指摘されておる事項は、住民税における、市町村民税における現在の超過累進の形ですね、これをもっと緩和しなければならぬということなんですね。だから、さっき申し上げましたように、私はそれはそれなりで考えるべきだと思うのです。あなたはさっき住民税の性格として広くそれから軽くですか、とおっしゃいましたが、実は広くは確かにずっと広げておりますが、重いですよ。軽くはない。問題はここにあるんです。そこで、そういうような意味から言って、そういう問題も含めて、緩和なりということを私は講じていいと思うのです。しかし、道府県民税については、税調では特段に触れておりませんね。あるいはせんだっての、昨年の暮れのやつには、はっきりした講ずべきだとか、こういうふうにあるべきだというふうなことは触れていないはずです。その触れていないいまの道府県民税の課税のしかた、仕組みを、いま問題にしておるのですが、それをこのまま——前に申し上げました市町村民税の場合は、私はそれはそれなりでいいと思うのですが、今後どういうふうにやっていくかというむずかしい問題はあるにしても、それはいいのですが、道府県民税の場合に、一体これをこのままにしておくのかどうか、こういうことを端的に聞いているわけです。
  57. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 税調では両方含めていろいろ議論がなされたわけであります。大勢としては、いまの県民税のような現行の仕組が、いわば是認されたような形で答申が出されておるのであります。ただ、具体的にいろいろな住民負担ということになってまいりますと、今後の問題といたしましては、やはり控除をどういうふうに仕組んでいったらいいのか、あるいは三税を通じた総合的な負担合理化をどういうふうにしていったらいいのか、いろいろむずかしい。技術的にもむずかしい問題があるわけでありまして、そういった具体案の作成にあたっては、なお今後慎重な検討を要するであろう、こう考えております。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は税調が出したこれは、私個人としては特に住民税考え方なんかでは、私はこれとは見解が若干違うのですがね。違うのですが、それは論議の中には道府県民税にあっては、二段階のごく軽度の云々といろいろ論議がされたとあります、「検討を加えた。」こうありますから。しかし、いわゆる答申としての方向の中には、検討はしたかもわからぬけれども、別に触れないで、「将来、市町村民税については、その性格にもかんがみ現行の税率の累進度は緩和することが望ましいと考えられる。」十三段階の各説云々と、こういうふうなことだけで、いまの道府県民税の現行のやり方に対しては、別にどうという意見はないわけですね、と私は見ます、この答申は。そこで、答申にないのだが、一体これをどうなさるのか、さっきのこれでいいのかという加瀬委員質問に関連して、今後このままで、答申がないから、これは認められたのだというような形で現行のものをよいと認められたのだから、これをこのままにしておくというのが、あるいはさらに検討をして変えるというようなこともあり得るのか、そこら辺はどうなのか、こういうことでございますけれども、私のお聞きしたいことは。
  59. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 県民税につきましては、今回の答申の中では具体的にはおっしゃるとおり書かれておりません。ただ、現在の県民税のいき方については、三十六年の税調の答申の際に、やはりそういった意味のことを言われたのでございます。ただ、ここに今回こういう答申が出ておりますが、具体的にこれを検討するということになると、非常にいろいろな問題がございます。そういう意味合いでは、私どもも慎重に検討を加えてやるべきであろうと、こう考えておるのであります。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連ですから、きょうはこれで……。
  61. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  62. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  63. 前田久吉

    前田久吉君 私は第七十五条のボーリング場のことについて質疑をしたいと思うのですが、まず基本的なお考えをちょっと伺いたいのですが、ボーリング場を単なる娯楽場と見ておられるのか、スポーツと見ておられるのか。御存じのとおり世界じゅうが一つの規格で、かなり世界でボーリングというものが発達してまいりました。日本も劣らず最近はかなり盛んになってまいりましたが、一面いろいろ見方が異なっている人がありますので、基本的にこの点もお伺いいたしたいのですが、御存じのとおり、いまボーリングがかなり盛んになってまいりましたので、国の産業といたしましても、もうすでに私が先年アメリカにおったときにアメリカからかなりボールの引き合いがあり、いわゆる日本から相当輸出されていくというような情勢にも現在なりつつある。御存じのとおりトランジスタとかカラー・テレビというものは、日本でかなりこれは普及されて、とかく言われる方面もあるが、それによって日本の製品というものは世界じゅう至るところにかなりの輸出を今日盛んにしておるという例もありまして、日本人の技術をもってすれば、やがてはスポーツとして世界じゅうもっとこれから盛んになってくる。ボーリング場にはかなり日本の製品も入って、国益としても一応考えていかなくちゃならない。ここで、はっきりと性格をひとつ当局に……。単なる娯楽と見ておられるのかどうかという点を一点お伺いしたいのですが。
  64. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ボーリングがスポーツであるか娯楽であるか、これはまあ議論の分かれるところであると思います。ただ、現状におきましては、ここに今回法定をいたします以前において、すでに各府県において、それぞれ議会の議を経ましてボーリング場を娯楽施設利用税の対象にいたしておるわけであります。これを日本のいまの段階におきまして純粋なスポーツと割り切ることは、やはり多少無理があるのではなかろうかと私はそう考えておるのでございまして、そうかといって、全然スポーツ性がないということは、からだを動かすという意味において確かにあると思うのでございますが、総合的な判断といいますか、社会通念の上におきまして、やはり本税の対象に現行においてはなってしかるべきものと、かように考えております。
  65. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 途中ですが、委員異動について御報告いたします。  本日付、沢田一精君が辞任され、日高広為君が選任されました。
  66. 前田久吉

    前田久吉君 もうすでに知っておられると思うのですが、次のメキシコオリンピック大会には、オリンピック競技種目に加えるということで、かなり話も進んでおるようであります。いまのお考えを、どの観点から見てもスポーツの一環だというお考えに置きかえてもらうことが、まずこの今度の第七十五条の五の問題に大きくかかりますので、この点ひとつ、もしも認識が娯楽だという認識であれば、少しお考え直しをしていただきたいと私はそう思うのです。  次に伺いたいのですが、スケートなんですが、スケートがこの税からはずされておるのは、やはりスポーツとしての見方で税からはずされておると、こういうことなんですか。
  67. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように、スケートも従前はこの娯楽施設利用税の対象とされておりました。しかし、ちょっと年数は忘れましたが、数年前でありますか、スケートが非常に一般化され、かつ学校の体育の教科課程などにもこれが選択されるというようなことがかなり広まってまいりましたので、そういった事情、いわば社会通念的な基礎に立ちまして対象からはずしました。
  68. 前田久吉

    前田久吉君 現在のボーリングなんですが、このボーリングをやる階層というのは、知っておられると思うのですが、おもに若い人々がやる。あるいはまた相当今日では認識が高まってきて、体育の上から見ても、また時間的に見ても適当な運動であるというように認識してきておるのですが、そういう点をスポーツとしてこここで解釈をするということはどうなんでございますか。
  69. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私もいろいろ関係のお方のお話、あるいは御意図を伺っておりまして、関係の方が、これを将来スポーツ、純粋のスポーツというようなものに持っていきたいという御意図のあることも承知いたしております。しかし、先ほども申し上げましたように、どうも現在の段階におきましては、まだ純粋のスポーツと割り切るには早いような感じがいたしておるのでございます。
  70. 日高広為

    日高広為君 ちょっと関連。実は昭和二十七年の九月二日に、体育課長の西田さんという人から、この問題につきまして、ボーリングはスポーツであるということの推薦状が出ておるのですよ。このことは御承知であるかないか。
  71. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 前に伺ったことはありますが、文書その他を拝見したことはございません。
  72. 日高広為

    日高広為君 この推薦状を拝見いたしますと、やはりボーリングはスポーツであるということの文部省の体育課長が推薦状を出しておるのですよ。これによって昭和二十七年に導入されたときのいきさつを説明されまして、そうして、税法においてもその基本観念のもとに課税していただきたいということで御相談があったのだろうと思うのです。したがって、そのときのいきさつを御説明をいただきたいと思います。
  73. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 文部省からそういうお話のあったことは私ちょっと承知をいたしておりません。しかし、以前のことでございますので、以前にあるいはあったのかもしれませんが、私の知る限りではございません。
  74. 日高広為

    日高広為君 ということは、この体育課長へら、こういうような推薦状があったということは御存じないということですか。
  75. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先般関係の方からお聞きはしたことございますが、私は文書その他は見ておりませんし、また、関係の文部省からそういうお申し出があったことも承知をいたしておりません。
  76. 前田久吉

    前田久吉君 この七十五条の娯楽施設利用税の中に今回第五としてあがってまいりましたが、税の面で、いままでボーリングの税がどのくらいあがっておりまして、これによってどのくらいの税をかけられるというお考えか。それを伺いたいと思います。
  77. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 各県でそれぞれ条例で課税をいたしておるわけでございますが、三十八年度の実績でみますと、三十八年度の八月末現存の実績をとってみますと、十七府県七百九十六レーンということになっておりまして、その年間の徴税額は一億七千五百万円、それから三十九年度は同じく八月末で見てまいりますと、関係県が二十五府県ございまして、レーン数は二千九百三レーン、これは年度まだ全部終わっておりませんので、見込み額でございますが、七億にのぼっております。
  78. 前田久吉

    前田久吉君 今度の第七十五条の五で、この利用税というものに入ってきて、税の取り高をどのくらいに踏んでおられるでしょうか。
  79. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 四十年度につきましては、十一億程度と見込んでおります。
  80. 前田久吉

    前田久吉君 そうすると、これはかなり増税になるわけでございますか。
  81. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほどもちょっと三十八年、三十九年の実績を申し上げましたが、それでもおわかりいただけますように、非常にレーン数がふえておるということと、同時に、利用者の数が非常にふえてきておるといったような、過去の情勢を見まして明年度の見込みを立てておるような次第でございます。
  82. 前田久吉

    前田久吉君 それじゃ増税としては見込んでおられない、こういうことなんですか。
  83. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) この税は、御承知のように利用者が利用料金を払う際に税負担をしていくというたてまえになっておりますので、利用者の増加に応じまして税収というものは自然増としてあらわれてくるものと考えております。
  84. 前田久吉

    前田久吉君 そうすると、スケートと同じようにスポーツとして税の対象からはずさない、こういうことなんでございますか。
  85. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほども申し上げましたように、関係者の方の、将来純粋なスポーツ化したいというお気持ちは伺っておりますが、いまの段階におきましては、やはり純粋のスポーツとしてこれを対象からはずすというのは、いまの社会常識から見まして適当でない、かように考えておる次第でございます。
  86. 前田久吉

    前田久吉君 次に伺いたいのですが、七十五条の三と四に「ぱちんこ場及び射的場」「まあじゃん場及びたまつき場」というのがございますが、これはどういう税のかけ方でございますか。
  87. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) この利用税は、現行法のたてまえは、先ほども申しましたように、利用者に対しまして利用料金を課税標準として課税するというたてまえをとっております。しかし反面、課税の便宜と申しますか、そういったような考え、あるいは外形的な施設の数が明らかになっておるといったような考えから、それとバランスを失しない程度で外形的な課税標準のきめ方ができる、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、現在ここにあがっております施設が、すべて利用料金課税である、あるいは外形であるといったふうな一律的なものは行なわれておりません。施設によっては両方の課税方式がとられ、施設によっては一方の課税方式がとられるといったような仕組みになっております。
  88. 前田久吉

    前田久吉君 それでは外形課税と見ていいわけでございますね。外形課税で徴収しておると、現在は。それですから三、四は外形課税だと、こういうことでよろしゅうございますか。
  89. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ぱちんこ場、まあじゃん場、たまつき場につきましては、それぞれ外形課税を行なうこととして、それの標準的な税額を法律できめておるわけでございます。
  90. 前田久吉

    前田久吉君 そういたしますと、五のボーリング場の場合には、現在はおもなる大都市は外形課税であるし、それからもともとのこの発祥がそういう外形課税でやっておった、今日までは。それを今回の第七十五条で利用税と外形課税と並行していこうというようなお考えのようですが、税の取り方、出し方から見ましてどちらかわからないということは非常にまずいのじゃないかと思うのですが、どういうわけで三と四と同じように、五も外形課税ということではいけないのですか、これは。
  91. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 今回のボーリング場を法定いたしましたのは、先ほども説明いたしましたように、非常に全国各府県に普及してまいりまして、いままででありますれば、それぞれの県の条例でもってこれを定めていくということであったのでございますが、このように普及をしてまいりますれば、いわばもはや全国的なものと考え、今回法定をいたすことにお願いをいたしておるわけであります。その課税方法につきましては、三十九年の夏現在、八月末現在で見てまいりますと、二十五県のうち九県が外形課税の方式によっております。あとの十六県は利用料金税率の方式によっております。したがいまして、今回私どもこれを法定するといたしましても、各県の課税方式が、——もとよりその間にバランスはとれておると思いますが、——いろいろ分かれておるという現状からいたしまして、これをいますぐどちらかの課税方式に統一すべきであるということ自体は、私どもとして考えていないのでございます。
  92. 日高広為

    日高広為君 関連して。いまの答弁を聞きますと、あたかも外形課税よりも利用課税のほうが圧倒的だというふうに聞こえるのですが、誤解があるといけませんから、なお申し上げますが、ただいま私が持っているおたくの資料を拝見いたしますと、なるほど地方税だから各県ごとを対象説明されております。それで二十五県のうち何県か、幾つか利用税率で外形課税は少ないのだという印象を受けますけれども、実際の対象になっているレーン数でいきますと、これは東京、神奈川、新潟あるいは大阪、兵庫というのがほとんどこれは外形課税なんだから、これはその数というものは逆だと思うのですよ。二千九百三レーンの中で東京都がすでに一千十四というレーン数は、これは外形課税なんです。しかもこれは大阪を加えますと幾らになるかわかりませんが、ほとんど半数以上が外形課税でやっておられる。こういうような私は実際の資料が出ておると思いますが……。
  93. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 外形でやっております県の数は少ないのでありますが、その県の所在施設数は、おっしゃるとおり大府県が多くそれをやっておりますので、そのほうが多うございます。
  94. 前田久吉

    前田久吉君 なぜ私こういうボーリング場のことをはっきりさしておきたいかと申しますと、先ほど申しましたように、だんだんボーリング場も社会情勢から見てスポーツとして発達していくようになる。それによって日本の将来大きな輸出商品としても出ていける道があるという今日のときに、現在までの税のケースで順調に発達をしてきておるのに、何も一〇%というものを大衆に税をかけてこの発達をいささかでも押えるということがあってはならない、こういうことが考え方一つ。できるだけ低廉にして、そして時間的に余裕のない人が運動の一つとしてよく用いられるようにしていくということが、先ほど前段に申し上げたように、国内で盛んになってくればそれで輸出商品として出ていくという例は、いま日本がおくれて立ったカラーテレビでも、今日日本で実施して、相当な輸出になっておるという一例を見てもはっきりしておりますので、そういう観点から、大衆に税を負わすよりも、できるだけひとつごく安価にボーリングがやれるという方向から考えてみて、今回の第七十五条の五というものは、従来どおりで外形課税でいいのじゃないか。ぱちんこもまあじゃんも利用税の中に入っておるけれども、実質は外形課税でやっておる、こういうことなんだから、それでいいのじゃないか、こう思うのですが、どうしてどちらでもいいという複雑なことをされるのか、その点、われわれとしてもちょっとのみ込めないのです。
  95. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) この税自体は、先ほど申し上げましたように二つの課税方式が認められております。業者の間にバランスさえとれておれば、それも一つの行き方であるという意味で認められておるわけでございますが、ボーリングにつきましては、先ほども申し上げましたように、現在の実際の府県の実態が、あるものは利用課税の方式をとり、あるものは外形の方式をとっておりますので、私どもとしましては、今回単に法定するにとどめて、そういった現状の課税方式をそのまま、どちらにしようということを法律で一方的にきめることは避けていきたい、こう考えておるだけでございます。
  96. 日高広為

    日高広為君 私はこの際一応考え方を二つの観点から質問してみたいと思うのですけれども、第一点は、先ほど関連質問で申し上げましたけれども、はたしてボーリングそのものが、これはここに示されておりますところの娯楽施設利用税の対象になるかどうかということについて、いま文部省の体育課長を呼んでおりますから、体育課長が来ましてからこれを推薦したいきさつを聞いて、スポーツであるかどうかということについては専門家の意見を聞きます。そこで、先ほど質問しました中で、一応私どもとしましては、こういうような体育課長の推薦もあったということもさることながら、当時これを課税の対象にされますときに、ボーリング協会のほうと自治庁との話し合いがあったはずであります、昭和二十七年ごろですね。これは私はその当時これに関係しておりませんからよく知りませんが、この資料によりますと、その当時は、やはりこれは一応スポーツだから、スケートと同一の課税対象にしようというような取り扱い、同一の扱いにしようということで決定されて、これはおたくが決定されたのか、東京都が決定されたかわかりませんが、東京都はこれに基づいて課税されたといういきさつがありますが、そういうことに間違いないですか。
  97. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっと昭和二十七年のことでございますので、先ほど申し上げましたが、私も詳細は承知いたしておりません。ただ、そのころでありますれば、ボーリング場の数も非常にいわば全国まれな姿であったと思いますし、それからまた当時はスケートは課税対象になっておりましたので、スケートと同様ということでありますれば、課税からはずすということではなかったと思うわけでございます。詳細なことは承知いたしておりません。
  98. 日高広為

    日高広為君 その当時はスケートはやはり課税の対象になっておったんだ。ところがそういうことで、スケートと同じようなみなし課税というものを利用せられまして第七十六条を適用されたと私は解釈する。ところがその後、現在スケートは無税になっているわけですね。したがって、逆に聞きますが、スケートが無税になった時期はいつですか。
  99. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっと詳細な年次は忘れましたが、三十年前後ではなかったかと思います。
  100. 日高広為

    日高広為君 そこで非常に私は問題が出てくると思うのです。このボーリングが最初課税対象になったときのいきさつを考えますと、スケートと同一の扱いをするということを東京都はこれを認めまして、これに基づきまして課税されたということは、その当時のボーリング協会と自治庁の話し合いで了解を得ているわけです。したがってその当時は、私が言いたいのは、やはりスケートというものとボーリングというものは同じものであるという解釈のもとで、スケートと同一の課税対象がなされた、これが第一点。ところがその後、昭和三十年に、スケートが無税になっておるわけですよ。したがって、最初ボーリング協会と課税対象の問題で自治庁と話し合いのあるときに、スケートと同一の取り扱いをするということの話し合いがあったとすれば、三十年にスケートが無税になったいきさつから考えまして、むしろ、私、その当時三十年に、これは無税であってしかるべきではなかったか、こういうような印象を受けるのでありますが、これに対する御意見はどうですか。
  101. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 当時どういうあれがあったのかわかりませんが、私ども一のいま手元にございます資料ですと、昭和二十七年の春に一カ所東京にできておるようでございます。まあ大部分の施設はこの二、三年の状況にございますので、当時スケートとどういう点で同じような扱いをしたのか、よく調べて見ませんと私も正確なことは申し上げかねますけれども、少なくともスケートがはずされたころのスケート場の全国的普及度は、だいぶ当時のボーリング場とは違っていたのではなかろうかというふうに思います。
  102. 日高広為

    日高広為君 ちょっとあなたは主管外のことを想像されるような御答弁なんですが、従来のボーリングというものは、たとえば過去にいろいろ批判がありました。深夜やるとか、いろいろありました。そういう問題を抜きにしまして、いま課税対象を問題にしておるのだから、これについて、ひとつそういうような印象のある答弁は差し控えていただきまして、私が申し上げておりますのは、あくまでも、こういうような過去のいきさつがあった。さらに申し上げましょうか。さらに申し上げますと、このボーリング協会の会長というのは、きょうここにおいでの前田先生だと思うのです、失礼ですけれども……。いまもそうですから、その当時もそうであったのだという気がするのです。そこで、むしろ前田先生から発言してもらったほうがいいと思うのです。やはりいままでのいきさつからも、このボーリング協会そのものが、それを裏づける証拠といたしまして、当時の体育課長の西田泰介氏から推薦状をもらって、そうしてその推薦状に基づきまして自治庁と折衝し、東京都と折衝した、その結果、スケートと同じような課税にするということが決定されたと、私はこの資料によりますと思量されるわけです。したがってそのことの事実は、ここでそういう事実であるということだけははっきりしておきたい。それと、三十年にスケートがはずされたということは——無税になったということは、事実である。この二つだけは事実ですね。
  103. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 前段のほうは、ちょっと私ほんとうに当時関係者でございませんので承知いたしておりません。  後段のほうは、年数は正確でございませんが、確かに三十一、二年ごろでございましたか、廃止になりました。
  104. 日高広為

    日高広為君 これはもう、しつこいようですけれども、私は与党だからあまりしつこい質問はしたくないのだけれども、当時の局長はだれですか、昭和二十七年の税務局長はだれですか。
  105. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 昭和二十七年でございますと、いま退官した人でございます。
  106. 日高広為

    日高広為君 名前はだれですか。
  107. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 後藤博。
  108. 日高広為

    日高広為君 いまどこにおりますか。
  109. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ただいま市長会の事務局長をしております。
  110. 日高広為

    日高広為君 その方を招喚してその当時のいきさつを聞こうとは思いませんが、これは非公式な形であとで相談いたしましょう。したがって、私が申し上げたいことは、そういう一つの課税対象というものをきめる場合に、歴史的な段階があるわけです。したがって、そういう歴史的な段階があったことだけはこの機会に認識を新たにしてもらって、次に私が質問する前提として考えていただだきたいと思います。われわれはあくまでも、これがスケートと同一の取り扱いをしたというのが、いまこのような形で出ておるわけですから、今後この問題につきましては、この法案とは別に、今後の対策を講じていただきたいと思います。
  111. 前田久吉

    前田久吉君 時間もありませんので、私最後に一つ伺いたいと思いますが、いま細郷さんのお話で、現在のボーリングはだんだん進んでいって状態が違ってきたという発言がありましたが、このボーリングは、当初、はたしてスポーツであるか、日本で開設していいかどうかということで、かなりもんだのですが、大勢は、スポーツであるから日本に設置していいということで、しかも秩父宮様のラグビー場の一角をさいてボーリング場を設けた。識者全体が、ここから税金をあげようなんということはだれも思っておりません。当時はまだ税金も初めから取っておりません。入れるまでにはかなり議論をして、いろいろもんだのですが、決したのは、スポーツであるから日本でやったほうがいいという結論で、国が放せない国の土地、秩父宮のラグビー場のあの一番正面、裏側の正面を、大きな土地をさいてボーリング場にかえた、そういうことで始まって今日まできておるわけであります。だんだんボーリング場はいい状態に私は進みつつある、こういう見解であります。ただ一部で、あるいはまた心ない経営者が、たくさんの中で一カ所ぐらいが、多少問題にされるようなことがあって、それが何だか広く頭に入っておる。おそらく自治省の皆さんはそういうことにとらわれておるのじゃないか。ほんとうにボーリングに疲れて、夕食でもして……。あるいは一時間でも二時間でもやって、そして昼の疲れをそこで休んで、ほんとうのいいスポーツだということは、一ぺんひとつやってもらうたらわかるのじゃないか。あまり局長さんおやりにならぬのじゃないか、私はそう思うので、その認識ですね、現在のボーリング場が違ってきて、こういう税の対象になってきておるという認識を、ひとつここらで考え直してもらいたいことを申し上げて私は終わります。
  112. 日高広為

    日高広為君 そこで、前段の質問終わりましたが、ちょっとあと五分か十分ですから、ひとつお願いします。  実は本論に入るわけですが、そういうようないきさつで決定された課税対象というものが、今回新しく第七十五条の中の第五項の中にボーリング場を挿入されようとしている。そこで、私はこれに対する基本的な考え方をひとつお伺いいたしたい。あくまでボーリングというものは娯楽施設利用税という立場の中でこれを課税対象とすることが適正であるのか、あるいは第七十六条の、みなし規定によってやるのが適当であるのか、そこらについて局長の御見解を承りたい。
  113. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) お尋ねの趣旨は、利用料金課税の方式がいいのか、外形課税方式がいいのかということだろうと思いますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、将来の方向は別といたしまして、現状におきましては、各府県で行なっておりますそれぞれの課税方式に従って、それぞれできるような道を開いておくべきであろう、こう考えておるのであります。
  114. 日高広為

    日高広為君 法律の趣旨がこういうことであるが、実態においては、各府県がいままで条例でやっておったような趣旨でおやりになっても差しつかえはないということですか。
  115. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 各府県は、現在でも課税の方式につきましては、今回改正をいたしておりません部分の課税方式の方法によって、それぞれ判断をして選択をいたしておったわけでございますので、今川ボーリング場を施設として法定をしたというだけで、直ちに課税方式をどちらかに一方的にきめなければならぬというふうには考えていないのでございます。同時に、各県がそれぞれの方式を現行法のもとにとっておりますので、それぞれの方式によれるような道をなおそのまま残しておく、こういう考え方でございます。
  116. 日高広為

    日高広為君 自主性を尊重して考えたいというような意向に解釈されるのであるが、そこで、私は自分の意見として申し上げたいのであるが、ここに衆議院の地方行政委員会の貴重な速記録があるのです。これは幸か不幸か知りませんが、この意見を発言されましたのは前の自治省事務次官の奥野さんですよ。この方がこういうようなことを言っているのです。  「今回の法律改正にあたって、ボーリング場を娯楽利用税の対象に追加されて」ということから始まって、特にこの場合に、「経営者を特別徴収義務者としてこれに税の徴収をゆだねているようなものにつきましては、その協力が得られやすいように考慮を払っていくべきでだ、そういう考え方を税務当局者の重要な姿勢と心得えていくべきではなかろうか」というように発言されているのです。私はしごく同感なんです。したがって、私がここでお伺いいたしたいことは、あくまでもこの納税をする人は利用者だけれども、徴税する人は経営者なんですね。したがって、利用者も納税しやすい、しかも経営者も徴税に協力しやすい態勢をつくるためには、やはり第七十五条と第七十六条のみなし規定によりまして、いずれかでもいいということであるといたしますれば、私は、やはり経営者も利用者う欲するところの課税方法がいいのではなかろうかと思うのでありますが、これに対する御意見はどうですか。
  117. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現在利用料金課税方式と外形標準課税の方式と、二つ認められております。これはやはりそれぞれの特徴と申しますか、いわゆるメリットがあるわけでありまして、利用料金課税の方式によりますれば、利用者がそのつど税負担をしていく、そういう方式によっておりますので、業務の利用の度合いの繁閑に応じて税負担が動いていく、こういう点が一つあるのでございます。反面、外形課税のほうでまいりますと、バランスのとれた課税と申しましても、それは事実問題として、今月百人使ったから来月も必ずしも百人ということはないわけでありまして、その間は実績等を勘案いたしまして外形課税の税率をきめるわけでありますが、その場合には、かりに利用者がそれよりも多くても、あるいはそれより少なくても、常にその額を負担していただくということになるのでありますが、反面は、いまお話の中にありましたように、利用者の数が幾人であるかといったようなことについての調査その他の事務というものは、かなり簡素化されてくるというような面もございますので、一体どちらの方式がいいのかということは議論のあるところでありまして、今回ボーリング場を法定はいたしましたが、先ほど申し上げましたように、現在行なわれております各府県の両方式選択の状況がそのまま生かされるように今回はいたしておるのでございますが、将来これがいまのままがよろしいのか、どちらの方式かに統一するのがよろしいのかといったようなことについては、なお推移を見て検討していくべきであろう、かように考えております。
  118. 日高広為

    日高広為君 私は、課税するときのあなた方の態度、姿勢ですね、これを奥野さんが言っておられるから、これに対して奥野さんの言われましたような姿勢であるべきだということをお考えになるのかどうか、それをお伺いしているわけです。
  119. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) そういった姿勢もわれわれが徴税を行ないます場合の一つの重要な問題点であると考えております。
  120. 日高広為

    日高広為君 そうしますと、やはりこれは特別徴収義務を経営者が負っているのだから、利用者もそれがいい、しかも特別徴収義務者もそれがいいということであれば、そのような方向で、今後この際に、御検討くださることが一番いいのではなかろうか。私が懸念いたしますのは、むしろ逆に、あなた方のほうは全部利用率にこの機会に改めていくのではなかろうかという危険性があるということを心配される向きがあると思うのですよ。しかし、私はそれよりも逆に、この際にあくまでも現在東京都がやっているような外形課税というようなもので、しっかりと税の客体というものをつかんで、それで確実な徴税をされたほうがいいのではなかろうか。そういたしますと、利用者も経営者もこれに賛成しているのだから、二つのほうでどちらでもいいということであるならば、そういう方法のほうが徴税方法としては一番好ましい方法である。したがって、この際私はそのような方法でこの機会に一つやっていただきたいということを要望しているわけです。これに対しましては、一つ後刻大臣の御出席を求めまして、確答を得ることにいたしたいと思いますが、そのようなことで処置していただきたいと思います。  さらに、現在徴税技術をこういうことに変えることによって、地方税法のいままでの規定によって、いままでの法律によって、地方の情勢できめておった当時よりも、この徴税額というものが非常にふえてくる、利用者にそれが転嫁されることがないように、これはぜひともひとつ処置をしていただきたいということを私は考えておるわけですが、そのためには、先ほど申し上げましたように、やはり現行の東京都がやっているような方法でこれを公共団体としてやっていただきたい、そして全国一律にやっていただきたいということを考えるのでありますが、これに対しての御意見をお伺いいたしたいと思います。
  121. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 東京都は外形方式を現在とっておるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、他の県では利用料金課税方式をとっておるわけでございます。これをどちらがいいときめてかかるには、どうもいまはその時期ではないと私どもは考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、現状のまま両方式が生きるように、今回はその部分については手を触れていないと、こういうことでございます。ただ、これが将来におきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、どちらがいいのか、それにはいろいろ考え方があろうと思います。両方式のやはり長短と申しますか、そういったものをよく勘案しながら、実態の推移を見た上で判断をすべきものと、かように考えております。
  122. 日高広為

    日高広為君 ただいま私が申し上げましたことを、ただあなたがそういうようなことでおっしゃいますと、今後のわれわれが心配します何というか、具体的なものが出てくるんですよ。私が申し上げておりますのは、あくまでも現在の地方税法でいった場合に、これは都道府県の条例によって徴税しておったんだ、それを法律に変えたこの機会に逆の方向に運用される危険性があるから、自治省の方針といたしましては、こういうふうに税法を変えていくのであるが、いままでの方法地方においては変わらないのだ、しかし、それには東京都がやっている方法が最も好ましいのだというふうな行政指導というものが、私はなされてしかるべきだと思います。その論拠について、私は、さきほどのように、利用率よりも外形課税のほうが最もいいのだという点を申し上げた。これは納税義務者の立場から、あるいは利用者の立場から、あるいはまたボーリング経営者の立場から申し上げた。そこで、この問題につきましては、今後さらに私が言うような方向で考慮していただきたい。  それと、最後に念を押しておきますが、今後考えるということであるといたしますれば、今後の問題といたしましては、スケートと同一の取り扱いを、昭和二十七年ですか、決定いたしましたときのいきさつ、さらにまた、三十年にスケートは無税となったいきさつから考えまして、今後考慮されるとするならば、無税の方向に考慮すべきであって、ここで利用率とか、あるいは外形課税というものは断片的な議論にすぎないのであって、今後検討するというものは、あくまでもスケートと同一の取り扱いをして、これを無税にしていくのだという方向検討されることを要望いたしておきます。
  123. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 午前中の審査はこの程度にいたしまして、午後一時半まで休憩いたします。    午後、零時五十二分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  124. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  地方税法の一部を改正する法律案昭和四十年度地方財政計画に関する件を一括議題とし、質疑を行ないます。  御質疑の方は御発言願います。
  125. 加瀬完

    加瀬完君 午前中自動車税のことについてちょっと触れたわけでございますが、これはいろいろ問題もあろうと思いまして、こまかい点についてほかの委員からも御質問が出ると思いますので省きまして次へ進みますが、今度の改正法案で、娯楽施設利用税が、午前中も出ましたが、ボーリング税等新しく法定税の中に入れられたわけでございますが、そこで奢侈遊興のワクにはまるものと、一般の生活上奢侈遊興というワクからははずれるものと、こういう区別によって税をかけるという考え方自治省においてはございますか。
  126. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 娯楽施設利用税では、御承知のように、施設の持っております性質、並びにその利用の実態におきます性質等を判断してきめておるわけでございますが、その場合、判断の基準となりますものは、いわゆる社会通念的に申します娯楽性、それに、ものによっては射幸性の加わっておるものもございますし、奢侈性の加わっておるものもございますが、共通的な観念で申しますれば、いわゆる娯楽性というものによって判断をしてまいっております。
  127. 加瀬完

    加瀬完君 私は、質問が悪かったようでございますので、あらためてお伺いをいたしますが、単に娯楽施設利用税だけでなくて、税全般について奢侈遊興にわたるものと、そうではなくて、生活環境上やむを得ないと認定されるものと、こういう二つのものの間に課税についての区別を設けておられるかどうかということです。
  128. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いろいろ個々の税目によって考え方が多少ずれてまいると思いますが、一般的には、国民生活の実態から見て、奢侈的なもの、あるいは遊興性の高いものには課税をするという考え方でやっておるわけでございます。
  129. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、また自動車税に返りますが、たとえば四人以上の小型自動車、主としてこれは自家用の、しかも荷物運搬用あるいは事実業務といいますか、商売用に使うというものに対する課税というものと、それが生活上必ずしもそれがなければ営業ができないといったようなものではない、まあ一般乗用車等に対する課税のしかたと、あるいはもっと広くして、先ほど出ましたけれども、ゴルフとか、ボーリングとか、パチンコとか、こういうものは生活上やらなければならないというものではないわけですわね。少なくも遊興の部類に属するものですね。こういうものに対する税のかけ方と、私は顕著な違いというものがないと思うんです。こういうように税源が枯渇をしてまいりますれば、そういうところに区別をつけて、奢侈遊興にわたるものにはちょっと税金をよけいかけると、こういう考え方をとってはいけないんですか。そういう考え方が非常に希薄なようですけれども、どういうことですか。
  130. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 一般論としては、国民感情としておっしゃるような点があろうと思いますが、やはり税金でございますので、反面では国民のいろいろな社会生活への影響ということも考えていかなければなりませんし、また、担税力ということも考えなければいけませんし、さらに、徴税上の技術というようなことも考えていかなければならないと思うのでございまして、そういう意味合いにおきまして、非常に遊興的、奢侈的であるからといって、非常に高率な税率によって税負担を求めるというようなことも一つ考え方ではございまするが、やはりそのときどきの社会、経済の状態等から判断し、かつは、徴税技術といったような面も合わせ考えてこれをきめていくべきものであろうと考えております。
  131. 加瀬完

    加瀬完君 外国の例を見ますと、特に物品税なんかは、奢侈遊興にわたるものと生活必需的なものという間には激しく階段をつけて、奢侈遊興にわたるものについての税率というものは非常に高める累進の方法をとっていますね。そういう傾向が日本の税には非常に少ないんじゃないかと思うんですよ。担税能力ということになれば、パチンコやったり、ゴルフをやったりする者は、担税能力はやらない者よりはあるわけなんです。特にゴルフなんかについては、これははるかに担税能力の高い者ですよ、やっている階層は。この娯楽施設利用税のほかにゴルフ税というものを取ったらというような意見も一部には起こっているわけですね。しかし、ゴルフに対する娯楽施設利用税というのは、私は必ずしもいまの税が妥当だとは思われないわけです。土地の利用度からいっても、ゴルフ場ができているために非常に土地の発展を阻害しているような場合もあれば、地方財政あるいは地方発展の上から考えれば必ずしもゴルフ場というのはまるまる有利な条件を与えているとばかりは限りませんよ。こういう改正をして、ボーリングに税金を法定をするというならば、娯楽施設利用税としてのゴルフ関係の税というのをもっと引き上げなければという意見は起こらなかったんですか。
  132. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ゴルフについては、御承知のように、その利用料金に対するいわゆる利用料金課税というものが技術的に非常にむずかしいのでございまして、御承知のように、どの程度のものが利用料金になるのか、会員のものもございますし、非会員のものもございますし、また、料金の中にもいろいろな種類の名目のものがあったりいたしまして、これも御承知のように、かつては利用料金課税というたてまえをとっておりましたが、どうもその点が徴税の技術面から見ましてもかえってトラブルばかり起こるというようなこともあったりいたしまして、定額にいたしたわけであります。定額にしてからも、その後その率を引き上げをいたし、ただいまは標準で一回四百円、ただ、県におきましてそれぞれのゴルフ場の状況によってそこにグレードを設けて差をつけている。しかし、まあ大体標準は四百円見当に置かれてるというようなことでありまして、やはりこれにつきまして、やっている階層が単に担税力がありそうだ——これも一般通念としてはよくわかるのでありますが、利用料金課税とのバランスといったようなことも考えてまいりませんといけないのではないかというふうに思っているのでございます。しかし、ただいまの標準税率自体が、これでまんべんなく適当に処理されていくかどうかについては、私ども検討する余地があるのではないか、こう考えております。
  133. 加瀬完

    加瀬完君 ゴルフ場が一つできますと、それに対する所在市町村負担というものは相当なものなんです。しかし、市町村には、御承知のように、税は入らない。固定資産税は入りますけれども、その固定資産税も、必ずしも合理的な固定資産税かということになりますと、問題が残ると思う。県税、まあ府県税としては入りますけれども、これも、いま言ったように、段階があるわけですね。たとえば、この近辺で言うならば、江戸川の川原とか放水路の川原とか、あるいは利根川の川原というようなところを利用して開かれているゴルフ場と、りっぱな耕地をつぶしてつくられているゴルフ場というものとは、いまのような違いだけの課税でよろしいかというようなことも私は問題になろうと思うのですね。総体的に娯楽施設としてゴルフ場を利用する者に対する税というものは、もっと上げても、私は、担税者に非常に困難が生じてゴルフをおやりになる者が激減するという現象はあるわけないと思う。これをさっぱり改正方向には作業をしておりませんけれども、いまのものは合理的だということですか。
  134. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ゴルフ場につきましては、地元の市町村で、いろいろ住民感情等もあったりいたしまして、常に意見があるところでございまして、一つは、ゴルフ場を利用する競技者からの税金としての娯楽施設利用税を考える。いま一つは、広大な面積を使っておりますゴルフ場としての固定資産税がやはり問題になってくる。まあ、現行の税体系で申しますと、その二つが住民感情としていろいろ意見の出るところであろうと思っております。いまお話のありましたゴルフ場を地元市町村との関係で見てまいりますと、ゴルフ場の固定資産税というものについて検討を加えるべきではなかろうかと実は考えているのでございます。御承知のように、昨年新評価をいたしまして、ゴルフ場の土地等は、御承知の雑種地になるわけでございますが、全国的に調査をいたしてみますと、大体評価としては六倍くらいになっているのでありまして、昨今、御承知のような経緯を経て暫定措置としての負担の抑制がはかられておりますけれども、これらの問題も、先般の税制調査会でも、固定資産税については新評価をもとにした税負担を認めるよう早く措置を考えろというようなことでもございましたので、私どもといたしましても、できるだけ早くこれが措置がとれますよう鋭意検討をいたしておる次第でございます。
  135. 加瀬完

    加瀬完君 二つお尋ねしますがね。一つは、その評価額というものは、去年の固定資産税評価がえのときに問題になりました線を確実に守って、そしてゴルフ場の敷地に限って評価がえをするということなのかどうかということが一つ。それから、もう一つは、県の娯楽施設利用税、ゴルフ場を利用する娯楽施設利用税に対して、市町村で付加税みたいなものをかけることは許可されるかどうか。
  136. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 第一のほうは、新評価によって課税することになるかというお尋ねと存じますが、これは新評価を基礎にして課税できるように私ども持っていくべきだろうと、こう考えております。ただ、その具体方法並びにその経過措置等をどういうふうに考えていったらいいかということが目下の検討段階であります。  それから第二のほうは、現在はやはりそれぞれ御承知の独立税体系をとっております。したがいまして、形式的な付加税という行き方はできるだけ避けてまいりたい、かように考えております。
  137. 加瀬完

    加瀬完君 あとのほうですね。付加税という形がとれないということであれば、別の名目で税金をかけることができるかどうか市町村税として娯楽施設を利用する者に対して。法定外課税という形でですね。
  138. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) やはり現在は税源をそれぞれ分け合っておりますので、ゴルフ場に対する現在の娯楽施設利用税と同じような課税標準をとり同じような課税対象をとってやるということにつきましては、私どもとしては、いまのたてまえから賛成いたしかねます。
  139. 加瀬完

    加瀬完君 賛否はどうでもいいです。法律的に可能かどうか。
  140. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 法定外普通税は、御承知のように、特定の条件のもとにおいて許されるわけでございます。その場合に、その条件自体をどう見ていくかという中に、御承知のような課税標準を同じくするというような条項もございます。したがいまして、そういった面から見ましても十分検討すべきものであろうと思いますし、さらに、現行の徴税体系の立て方というものからの判断も必要であろう、こう考えております。
  141. 加瀬完

    加瀬完君 かける対象は同じようなものであって、ゴルフ税ならゴルフ税というばくとした名前で税金をかけるということになりますれば、どうなりますか。
  142. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) それは、やはり具体にどういう行き方をとるかということによっての判断がなされるべきと思いますが、一般論としては、先ほど申し上げたような考え方で行くべきであろうと思っております。
  143. 加瀬完

    加瀬完君 そのゴルフをおやりになる個々に対して娯楽施設利用税がかかっておるわけですね。それならば、ゴルフ場に対して、あるいはゴルフのクラブに対して一カ月なら一カ月、一年なら一年にそこでゴルフを利用する総体の人員というものを推定して、それでそのゴルフ・クラブなりゴルフ場といいますか、その法人に税金をかける場合は違法になりますか。
  144. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) どうも、税でございますので、具体なことになりませんと明確なお答えをいたしかねるのでございますが、現在は、ゴルフ場につきましては、利用者からはこういった娯楽施設利用税、これは利用した人の分量に応じてという考えで取っておるわけでございます。そのほかといたしましては、ゴルフ場も法人または人格なき社団——人格なき社団と申しましても、法律上は法人とみなして処置をいたしておりますが、その所得に対しましては、それぞれ法人税であるとか、あるいは税割りであるとかいったようなものがかかっております。さらに、持っております固定資産については、御承知のような税目があるわけでございますので、そういった税源以外の税源がどういうものがあるのか、もし、いまのところで総体としてどうも税負担がゴルフ場には軽いじゃないかというようなことでありますれば、それぞれの現行税目についての負担の度合いがどうであるかをまず考え、しかる後にさらにこれ以外の税源があるかどうかを考えるというような考え方の順番で、まことに一般論で恐縮でございますが、そういうものではなかろうかと思っております。
  145. 加瀬完

    加瀬完君 こういうことは考えられませんか。娯楽施設利用税の、かりに四百円であったものを七百円に上げて、上がった幅の三百円は所在市町村に還付をする、県がそういう方法をとれば、これは違法になりますか。
  146. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 娯楽施設利用税自体は標準税率をきめておりますから、これを上回る税率をきめることは県の意思であります。かりに、そういうふうに高率の税負担を求めて、その部分を所在の市町村にその県から出る補助金というような形でこれを出すこと自体については、法律的にどうこうということはないと思います。
  147. 加瀬完

    加瀬完君 それから、地方財源で一番幅をとるのは道路関係予算だろうと思うのですね。その道路を損傷する最大の加害者はダンプとか砂利トラック。砂トラックというものが御承知のとおり多いわけですね。ところが、一番加害者でありますダンプなり砂利トラなりに対しては、直接税金を、道路を損傷するからといって、かけるわけにいまのところいかないわけですね。前にはしかし道路損傷負担金ですか——といったような制度がございましたね。そこで、地方で道路損傷負担金というようなものを、こういう業者に一台について幾らとかけましたら、税法上違法になりますか。
  148. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いま御承知のように、かつてあった道路損傷負担金という制度がなくなったわけでございますから、その方法によることはできないわけでございますが、おっしゃるようなことは、自動車税としてその部分について特に増率をするというようなことは考えられるわけであります。自動車税につきましても、法律上は標準税率を定めておる。これによってあとは重さ、あるいは定数によってそれぞれ条例で税率をきめておりますので、一定の重さ以上のものにつきましては特に高い税率を刻むということは法律上も可能でございますし、現にトン数による差をつけておるわけでございます。ただおっしゃるように、それが自動車税ということになってまいりますと、定置場の所在府県に課税権があるという現在の課税技術上の問題になっておりますので、自分の家の前を通るダンプにかけたからといって、はたして自分の市町村に落ちるかどうかといったような技術上の問題がございます。したがって、確かにおっしゃるように、住民感情として、煙ばかり立てていく、ほこりばかり立てていくということに対して、何とかならないかという声は、よく地元の市町村から聞くわけでございます。そういうことも、確かに地元の市町村感じとしてはもっともではないかというふうに思っておりますが、さてそれなら、一体どうしたらいいかということになりますと、なかなか思い悩むところがありまして、いまのような事例についてはそういうことになろうかと思っております。
  149. 加瀬完

    加瀬完君 道路損傷負担金はそのものずばりはかけられませんけれども、道路の損傷について負担責任を負わせることは法律上可能ですね、いまの法律でも。これは、道路法ですか何かで可能なはずだと思うんですが。
  150. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように、道路法によって、「道路管理者は、道路に関する工事に因って著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる。」、こういう規定はあるわけでございます。したがって、これを活用すれば、法令上は道があるわけでございますが、御承知のように、これも利益を受ける限度とかいうような判定その他もなかなかむずかしい問題がございますので、現在やっているところはちょっと私聞いておりません。
  151. 加瀬完

    加瀬完君 やってはおらないようです、私も調べてみたら。しかし、たとえば、川砂を運ぶ、川砂利を運ぶということになりますと、県道や国道に出る前に、その市町村道が非常にダンプでこわされるわけです。これは、いまおっしゃるような負担をさせる法律的な根拠はございませんから、全部市町村で特たなければならない。しかしながら、その業者は「著しく利益を受け」ているわけです。少くもその道路を通らなければ砂の価値、砂利の価値は出てこないわけですから、そういう場合、全然負担責任をその業者が負わないということであっては、その業者のための道路の改修ばかりに道路費の何分の一かをつぎ込むという形になります。補修費の何分の一をつぎ込むということになりますと、該当の市町村は非常に困っているわけです。そこで、具体的にそういう場合に、あの道路法の何条かにございましたような場合は、もう一度道路損傷負担金というものをかけてもいいという、こういう法律改正をなさる御意思はございませんか。
  152. 柴田護

    政府委員柴田護君) 道路損傷負担金制度を廃止いたします場合に、いろいろ議論がありました。私どもといたしましては、損傷負担金制度の廃止につきましては、あの当時必ずしも無条件賛成という形ではなかったわけでございます。しかし、いろいろ、負担合理化という観点からこういう制度はむしろやめて、それぞれ道路財源充実して、必要なものは全部出してやっていく、こういう方向でいこうではないか、こういったようなことから、結果的には道路負担金制度がなくなってしまった。そうして、現在はこういったような形の、特に何か事業をやります場合に、それによって非常に利益を受けたところに対して負担させるという受益者負担金制度だけが残っております。現在揮発油税を取りましたりしておりますが、これもやはりこれと関連があるわけでございます。したがって、いままたもとのような制度を考えるということは、現在のところ考えておりません。
  153. 加瀬完

    加瀬完君 それでは具体的に、はなはだしく損傷される道路に対する補修費というの、財源はどこに求めたらいいのですか。そういう道路があるからといって、特別交付税が出るわけでもありませんし、交付税の算定が、道路の損傷度合いとか、あるいは自動車の交通の頻度というものによってきまるわけでもないでしょう。過重負担をしなければならないわけですね、そういう道路を持ち、業者の通行を許しておりまする市町村は。
  154. 柴田護

    政府委員柴田護君) 道路そのものに道路の補修費や建設費を突っ込むという——そういうものに必要なものは、いわゆる目的財源を含めまして、基準財政需要額を通じて厚く見て、現に道路五カ年計画に基づきますものにつきましては一〇〇%算入いたしてきておるわけでございます。それで、形の上では、一応交付税の算定を通じまして必要な額は見ていくということになっております。しかし、具体的に、いまおっしゃるように、いろいろ問題がないことはございません。したがって、本来の問題からいいますならば、やはり目的財源というものの府県、市町村、国と、この三者間の再配分という問題がこの問題を片づける手がかりだろうと思うのでございます。私どもといたしましては、長年こういう目的財源の再配分ということをやかましく言ってきたのでございますが、まだいろいろな事情がございまして実現いたしておりません。しかし問題は、そういう問題が起こってまいりますもとは、やはり市町村に対する目的財源というものの配分が十分でない、そこに原因があるんだろうと思うのでございます。そういう問題はそういう方向で考えていって片づけるべきものじゃなかろうかというように実は考えておるわけでございます。
  155. 加瀬完

    加瀬完君 自動車税を上げたって、これは市町村財源にはならないんですね。で、交付税の算定基準は、一体普通の市町村道に六トン以上のトラックが一日にどのくらい走るということを予定しているんですか。道路を損傷するほど走るという予想はしておらないんでしょうか。ところが、一日に千台以上六トン以上のトラックが走るといたしますと、道路はもたないんですよ、とても。もたない道路を補修するように道路の単位費用なりあるいは単位費用の積算なりというものはなされておらないでしょう。何か特別財源がなければならないわけですけれども、こういう点は税制改正の上でもあまり考えておらない。かつてのように損傷負担金も取れないということになると、町村は非常に困る。
  156. 柴田護

    政府委員柴田護君) もう問題点そのものにつきましては御指摘のとおりでございます。したがって、また市町村に何らかの意味合いにおける目的税源という問題を問題にしてきておるわけでございますけれども、国と地方との税源配分の問題がからむのでなかなかこれが急速に運ばれないというのが、率直に申しまして、実情でございます。具体的にはそういう問題がございますので、一般には道路につきまして税収の道を閉ざしておるわけでございますが、市町村道等につきましては、むしろある程度積極的に考えて、また、普通交付税の算定で不合理のありますものについては特別交付税配分いたします場合に考慮するといったようなことで今日までやってきておるわけでございます。しかし、これを、もちろんこういう方法でいいかといいますれば、問題があることは承知いたしております。しかし、その問題は、やはり目的税源の再配分というような方向で片づけるべきものだろうというふうに考えておるわけでございます。
  157. 加瀬完

    加瀬完君 また、もとへ返りますけれども、ゴルフ場の固定資産に課税をする場合、ゴルフ場の近傍類地の評価額ということが基準になりますか、明年度以降。
  158. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ゴルフ場のいわゆる土地の評価につきましては、もちろん近傍類地のものも基準になるわけでございます。御承知のように、ゴルフ場の地目等がいろいろございます。いろいろございますので、地目に応じた類地の評価をしていくというのがたてまえでございます。
  159. 加瀬完

    加瀬完君 記憶が私もはっきりしないわけでございますが、結局、収得した価格と造成費を勘案して、あわせて近傍数地の価格というものを参考にしてきまるということになるわけでしょう。こういう場合どうなりますか、昭和十年ごろ坪一円で買った。造成費はかりに坪一円かかって、二円だ。その近傍類地は坪二万円している。十年ごろから大体物価四百倍ちょっとですから、そうすると八百円から千円ということになりますね。ところが、近傍類地は二万円で売買されている。そういう場合、その八百円のほうに重点が置かれて評価額がきまるということになりますか。それとも、近傍類地の二万円のほうに重点を置いて評価額をきめていいということになりますか。実際評価額を押える場合、ゴルフ場ではそういう例がたくさんありますよ。
  160. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) かつて取得したところに造成をしておる、まあ、いわゆる造成後の価格をもって評価をする。その後その土地に価格事情が変化を来たして周辺地が上がってきた。こういうような場合にはその後の変動に応じた評価のしかたをやっていくというふうになっております。
  161. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、やっていった場合、そのまわりの二万円に近寄せていいか、八百円に近寄せてきめるのか、どちらか。
  162. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 主として近傍類地の価格に近寄せる。造成費等につきましても、かりに、その後の経済事情の変化による値上がりがあれば、それを参考にしてきめていく、こういう考え方でございます。
  163. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、坪一円で買ったわけですよ。一円造成費をかけた。二円で一坪できた。それが大体まあ四百倍、消費物価が四百倍に上がったとしても八百円でしょう。かりに、それが千円と押えた場合、土地の取得並びに造成費に物価の値上がりを見合わせて千円と一応評価できた場合、その千円というものをもとにして一体ゴルフ場の芝地に対しては税金をかけるのか。それとも、まわりが二万円しておれば、その二万円というものに近寄せて、それに近い額で税金をかけていいか。具体的に扱う場合、どういう方法がとられるか。
  164. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、土地については近傍地ですから、最初のときの取得の価格が、両方どういう程度になっておったかという問題があると思いますが、お尋ねのように、かりに、そこも当初一円である、いまは二万円になっておるということであれば、二万円をもとにして評価をすべきものと考えております。
  165. 加瀬完

    加瀬完君 それはようわかりました。そういうように行なわれておらなければ、各市町村は、いま局長さんがおっしゃったような基準で税をかけ直してもいいわけですね。はるかに低いのですよ、いまのゴルフ場に対する固定資産税評価というのは。
  166. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように、昨年行ないました評価がえによりまして、いわゆる時価に非常に近づいたと思われるのであります。したがって、ゴルフ場だけでございませんけれども、ゴルフ場とか遊園地とか、いろいろなものを通して、いわゆる雑種地的なものを通しての評価は、三十八年、三十九年は、評価は全国的に見ますと六倍くらいに上がっております。したがって、固定資産税本来の姿からいえば、その六倍の評価額をもとにした税負担を求めるべきでありますが、御承知のような昨年暫定措置をいたしておりますので、従前の税額の二割を頭打ちとする税負担を求めておりますので、その点で現実の税負担がそのとおりになっていないことは御承知のとおりでありまして、それらの点の恒久的な措置については、先ほど申し上げたように、なるべく早く案を考えたいと、こう考えております。
  167. 加瀬完

    加瀬完君 それから、このたびの税改正の中には含まれておりませんけれども、早速来年問題になりますのは、山林の固定資産の評価ですね。山林原野の固定資産の評価ということになりますと、これは田畑とは違ってまいりますね。たとえば、具体的に申し上げるならば、A地区ならA地区の山林の一部が反百万なら百万で買収されたという形になりますると、その近傍の類地は、それにやはり見合った評価というものをされるということになりますね。そうすると、純然たる農林業を営もうとして獲得している山林が、まわりに宅地開発か何かで不動産屋なんかが入ってきて価格のつり上げをやりますと、その値段というものとつり合った評価で扱われるということになれば、これは山林収入よりも固定資産税を支払うのがよけいな金額になるということにもなりかねないのですね。こういう点に対して、来年度市町村でまごつかないような対策が立てられておるのですか。これは去年の固定資産税評価の問題のときにもやはり一応問題になったわけですね。
  168. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように、山林につきましては、山林の状況の類似をした地区にこれを区分いたします。そして、その中の標準的な山林につきまして評価をいたします。それからその他の山林部分はそれに比準をしてきめると、こういう考え方に立っておるのであります。したがいまして、山林は山林としての評価バランスがとれておるように評価をするようになっているわけでございます。
  169. 加瀬完

    加瀬完君 田畑は、標準の畑というのをきめて、それを中心にやりますけれども、山林原野の場合は違うんじゃないですか。その近傍の価格に非常に高いところがありますと、それがはね返ってくるということになりませんか。
  170. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 山林につきましても考え方は同じでございます。したがいまして、いま申し上げましたように、山林といいましても、その地勢もございますし、あるいは土の質もございますし、あるいは林産物の通路と申しますか、搬出路の状況、そういったものがいろいろ要件があるわけでございますが、そういうような要件を通じまして状況の似たようなところに幾つかを分類して、それぞれのうちで標準的なものをきめてその地区内の価格を比準してきめる、こういう考え方でございます。
  171. 加瀬完

    加瀬完君 原野もですか。
  172. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 原野も同様でございます。
  173. 加瀬完

    加瀬完君 そうではないのではないでしょうか。たとえば、原野なら原野、山林なら山林の間に宅地なら宅地、将来宅地にするということで高い価格で買われて、具体的に言うならば、反十万円のところが反百万円という価格で買われると、そういう地域が何カ所ができると、それが影響してくるということにならないでしょうか。固定資産の評価の上でですよ。法律のままでいくと影響するでしょう。
  174. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 一般的なお話は先ほど申し上げたわけでありますが、お尋ねの点は、あるいはその介在宅地的と申しますか、宅地に隣接してわずか山林がある、あるいは山林の中に宅地があるといったような、こういう場合かと思います。そういう場合でございますれば、やはり近傍の価格というものを参考にしなければならないと考えます。ただ、御承知のように、評価自体は、一月一日現在の現況の地目を基礎に評価をいたしますので、所有者の将来の意図までは推測をすることが困難でございます。したがいまして、所有者本人の意図とは多少違った意味での評価というようなことが、個々のケースとしては、あり得るかと思いますけれども、現行の評価のたてまえは、一月一日現在の現況によってやっております。
  175. 加瀬完

    加瀬完君 こう了解していいですか。たとえば、山林なら山林の経営というものをやっていこうという意思があれば、まわりの近傍類地が高い評価をされても、その影響は受けないと解釈していいですか。山林業なら山林業というものを進めていくという意思がはっきりしておって、その所有地であるということがわかれば、その山林はまわりのはね返りは受けなくて、固定資産税は従来のとおり山林としての固定資産税だけでよろしいということになりますか。
  176. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、評価日現在の現況によって、外形的にこれを判断してまいりますので、本人の意思で山林の一部を買って、これを将来宅地にしようといった場合におきましても、現在は、一月一日現在の現況が山林でございますれば、やはり山林として評価をする、こういうことでございます。
  177. 加瀬完

    加瀬完君 逆なんですよ。ここに一帯の山林地帯がございましてね、それがたとえば不動産屋なんかが入りましていろいろ買いあさりをして、三分の二なら三分の二というものを、反十万のものを百万という価格で買いあさって、宅地造成計画のもとに買いあさって、高い土地代金を払っておる。こういう中で、わしは売らない、どこまでも山の経営をしていくのだという方がありましても、百万円で事実売買してまわりの価格が百万円に上がったということであれば、これは評価は百万円というのを押えて評価したっていいわけになるでしょう。そういう場合、おまえは、あくまでも山林の経営をしようとして持っている山林だから、まわりが百万円でも、おまえのところは十万円で評価をするという保証はないではないか。この保証というものがございませんと、まわりにうちが建ったりなんかして、山林の中に宅地造成ができてしまいますと、山林の形態を保有するということが、これはなかなか困難になるのじゃないかと、そういう心配があるわけです。
  178. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) あくまでも現況によってやるわけでございますので、なかなかその事情を知った、個々人の意図どおりの用途に応じた評価ということはむずかしいと思います。山林を買いまして、一月一日が山林であれば山林として評価をされるでありましょうが、その年じゅうに造成をされて宅地になれば、翌年はこれを宅地として評価をしていく、こういうことでございまして、最初から宅地にもなっていないのに、あれはどうもあの男は宅地にこれをしたいようだからといって、宅地で評価するというようなことはないわけであります。ただ、考え方はそういうふうになっておりますが、現実の評価に当たります場合には、なかなか今度は逆に客観的にこれをつかまえることがむずかしい場合もあろうと思います。この地帯は一帯に将来宅地化をしていくであろう、だれが見ても宅地としてこれを将来持っていくのだろうというような中に、一人だけが、おれはこれは山林でいくのだと、こういうようなことがかりにあったといたしましても、本人のその将来も山林に末長く存続をしていくというような意図は考慮されずに、むしろ近傍の状況によってこれを判断をしていくということになろうと思います。
  179. 加瀬完

    加瀬完君 山林が適切でなければ、原野を買って雑地みたいにして放置しておく。しかし、まわりは全部家が建っちゃって宅地評価で坪何万円という価格に上騰した。しかし、その中の一角は原野の形で投げ出されている。そういう原野や雑地という評価、やっぱり現状主義で雑地として評価をするということですか。
  180. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) その宅地と原野のままで残っておるものとの状況によって、やはり具体的には判断をせざるを得ないと思います。大部分まわりが全部宅地になってしまって、まん中に一部原野として残っておりましても、それがもう宅地のまん中におけるいわば空地のような形になっておれば、これはやはりその近傍、その近辺の概況から判断しまして、宅地成りの評価をしてまいるというふうにすべきであろうと考えております。
  181. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、山林もやっぱり同じことになりますね。まわりが開発されていけば、どんなに本人の意思が、山林業をやっていたいと思って山林を残したいと言ったところで、現況がこれは当然開発をされるべきだという認定を下されれば、やはり山林としての扱いは受けられない場合も将来ございますね。たとえば、町村が都市計画を進めると、都市計画に個人が反対をして、山林として残しておくのだとがんばっても、結局山林として残しておく扱いを受けさせないような方法も講じようとすれば講じられないことはないわけですね。
  182. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ただ、その場合に、全体その周辺が宅地化して、その残っております山林部分の広さと申しますか、その位置と申しますか、そういったような状況もあわせて考えないといけないと思います。したがいまして、問題は、やはり具体的な問題として考えざるを得ないと思いますが、原則は先ほど申し上げたようなことでございますが、その間動きつつある状況のもとのものにおきましては、いま申し上げるようなその近所におきます大勢によってものを判断していかなければならないと、かように考えます。
  183. 加瀬完

    加瀬完君 大勢ということは、結局、現状の成り行き主義ということにもなりかねないわけですね。そういう形になると、大都市近傍の農家というものは、ほとんど田にしても、畑にしても、いま言ったような原野、雑地、山林等にしても、これは一応田畑を確実に保証されるとしても、他のものはどうも山林原野という額面どおりには固定資産税で進めるというわけにはいかなくなってくる、傾向としては。そういう成り行きにならざるを得ないと思います。  こまかいことを省きまして、もう来年度、まあ四十一年度、四十二年度ということになりますと、農地に対する評価がえといったような問題も出てくると思いますので、農地を固定資産税評価がえによって固定資産税の非常なはね上がりが起こらないように御配慮がいただけるものなのかどうなのか、それだけを伺いたい。
  184. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 農地につきましては、今回の暫定措置におきまして、従前の税負担を越えない、いわゆる打ちどめをいたしておるわけであります。将来の恒久措置についてこれをどうするかということは、今後の検討問題になるわけでございまして、われわれも、現在とっておりますような措置も頭に入れながら、検討を続けてまいりたい、かように考えます。
  185. 加瀬完

    加瀬完君 その暫定措置というものが、暫定でございますけれども、その暫定措置を講じた性格というものは、将来も生かされなければならない面が相当あると思うのですね。暫定措置だから、二年なら二年、三年なら三年の経過が終われば、物の値段も上がったんだから、農地だって売れば高いんだから、固定資産税を一挙に上げる、こういう方法はおとりにはならないと了解してよろしゅうございますね。
  186. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 昨年農地については据え置きの暫定措置をとりましたのは、一つには評価によります上昇の割合が、卸承知のように、他の宅地等に比べて非常に違っておるわけでございます。田について申しますれば三割三分、畑は三割、これに反しまして宅地は、全国を平均いたしましても六倍余にのぼっております。こういったような評価上の実態をも考慮に入れまして、宅地等につき二割増、農地は据え置き、こういうふうにいたしたわけでございます。したがいまして、今後これをどういうふうに恒久的に持っていくかという場合には、やはりこの評価状況を——いま申し上げましたのは全国の平均値でございます——これを個々的に、あるいは個々市町村ごとにこういった問題を見て趨勢を判断しなければならない、かように考えておるのでございまして、そういう意味合いにおいて、将来農地については必ず特別な扱いをするというようなところまでまだ考えがきまっておるわけではございません。十分検討したいと考えております。
  187. 加瀬完

    加瀬完君 それから、この地方の税収、あるいは広く財源が少ないといわれているときですから、租税特別措置法の適用をされる地方のはね返り分について幅を狭めるとか、あるいは、そのまま地方税に適用されている面ではずせるものははずすとか、これは鈴木委員予算委員会でも質問をなさいましたけれども、この点については、今度の税改正の場合何かお考えは、ごくふうはなかったのですか。
  188. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 一般的に国税にとられております特別措置を地方税でそのまま受けとめていくか、あるいは、そのまま受け流していくかということにつきましては、御承知のような考え方があるわけでございます。個々の特別措置の内容によるわけでございますが、今回はそういう意味合いにおいて、国税における影響を遮断するというような意味では、一つは法人税割りの遮断、それから一つは配当所得に対する源泉選択制度の排除といったようなものがあげられております。
  189. 加瀬完

    加瀬完君 もっと大幅に財源をふやす意味において、自治省として考えていらっしゃる点はほかにないですか。その程度ですか。もっと整理をしてもらいたい問題点というのはございませんか。
  190. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 個々の税目につき、個々の特別措置について具体検討をすべき問題だと考えておりますが、税目によりましては、特別措置あながち排除すべきものではないと考えるものもございますので、今後われわれといたしましても、個々の税目についてそれを検討してまいりたいと思っております。ただ、たとえば住民税のようなものにつきまましては、従来は法人税と同じような非課税法人の定め方をしておるといったようなこともございましたが、最近におきましては、必ずしも住民税でそのままには受けとめないでいこうというようなことによる整理も多少、非常に微温的ではございますが、やっておる面もございます。また、事業税におきます非課税事業の整理等もかねてから言われておる問題でございまして、私どももそういった考え方を捨てておるわけではございませんで、今後も努力すべきであろうと思っております。
  191. 加瀬完

    加瀬完君 具体的に取り上げられた問題はどんなものがございますか。
  192. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 本年度改正にあたりましては、先ほど申されたようなものについてであります。何ぶんにもこういった特別措置を排除するという考え方自体は問題ないのでありますが、これを具体にやるにあたっては、まず一つの考えとしては、少なくとも新たにできるものについてはこれを排除していくというような考え方もあるのでございまして、そういう考えをまずやっていくということが先決ではなかろうか。次いで税目の性質に応じた非課税あるいは特別措置の整理にだんだんと手をつけていくべきであろう、こう考えております。
  193. 加瀬完

    加瀬完君 一挙に、免税になっているものをもとの姿に直すということは無理としても、免税を減税に、減税の率をさらに薄めるという形がもう少しくふうされないものでしょうかね、状況が違ってきているわけですからね。高度成長で非常に三税がふえて、その当然の結果として交付税が非常にふえている、地方財政にとっての見通しも明るいというときなら、こういうものをこのままに据え置くということも考えられます。しかしながら、軽四輪車まで税金を上げなければならないというときに、当然取れるはずのものを野放しに免税にしておく、あるいは非常に優遇された率で減税をさしておくという手はないでしょう。自治省全体としてもっと検討されていい時期じゃないですかね。国税の減税や免税というものをそのまま地方にはね返らして、地方財政を貧困にさしておくということは、二分の一、国の責任でもありますよね。問題になった点じゃなくて、問題にしなければならない点というものはないですか、もっと。
  194. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現在あります特別措置あるいは非課税というものには、それぞれの一つ一つ税制上の理由があって、かつて設けられたものでございます。かつ、相当沿革を持っております。したがいまして、これが改廃ということにつきましては、御指摘のとおり、非常な努力の要る問題であろうと思っております。ただこの場合に、たとえば国税で行なっておる特別措置を地方税で排除をする。従来もよく議論になっておりましたが、法人税あるいは所得税になっているものを事業税で排除をする。これも一つ考え方でございますが、同時に、それにはそれなりの今度徴収上の問題、納税者との問題、こういったようなことも実は考えていく必要があろうと思うのであります。たとえば事業税におきまして、海外輸出用のものについて、輸出特別控除は従来排除をいたしております。それでは準備金も積み立て金もみな排除していったらどうか、償却も全部排除してはどうか、こういったような考え方も出るわけでありますが、そういたしました場合には、今度は納税者のほうの側から言いますと、国税地方税で非常に扱いが違ってしまう。たいへんな手数をかけるわけでございまして、償却一つにいたしましても、全施設の帳簿を全部二通り持たなければならないといったような問題もございます。したがいまして、私どもも、こういったものをできるだけ整理して地方税の性格に合ったものに持っていくべきである、こういうふうに考えておるのでございますが、半面では、そういった面もあわせて考えていかなければならないというようなむずかしいところにあるわけでございまして、それらの点もあわせて考え、今後検討すべきであろうと思っております。
  195. 加瀬完

    加瀬完君 徴税技術というものの前に、税の合理性というものもやはり考えなきゃならないと思うんですよ。国税は五十四万まで免税だと、地方税住民税ならば三十四万から取る。あるいは百万以上のものは、東京都の保険税によりますと二〇%だけしか上がらないけれども、二十万以下の所得のものは三八%も上がる、こういう不合理があるわけですね。しかしながら、保険税のたてまえから、当然負担分任でこれは取らなきゃならないんだ、こういう御主張をなさっておるわけですね。そうであるならば、しかも取れないものから取ろうとするので赤字がたくさん出て、その繰り入れだけでも九十六億もかかるという状態、しかしながら財源的には別に解決方法がない。そういうときに払える能力があって、租税特別措置というものを講じた時とは時も変わりもし、条件も変わりもし、そういう目的検討をしていい時期にもなっているわけですね。しかし、きめられたものだから、相変わらず租税特別措置法はそのままやる。そうすると、いま二十万円以下で三八%も上げられる、極端なことになりますけれども、保険税の人と、もうかっておっても租税特別措置法でさらに税金を免除されておる人と、極端な二つを対象しました場合、一体税の公平なり負担の公平なりというものはどこにもないじゃないですか。もっと軽くしてやらなきゃならないほうは重い税金がかかってくる、負担能力のあるものには相変わらず免税が続けられている。減税が続けられているということでは、これはおかしいじゃないですか。形式的なことですけれども、私どもは考えざるを得ないですよ。なかなかこれ手をつけない。国のほうで手をつけないと言うならば、地方のほうの財源関係ででも手をつけてもらわなければどうにも形がつかないのじゃないか。三十七年あたりは千六百億くらいでしょう。三十九年は二千億をこえるでしょう。二千三百億くらいになるんじゃないですか、租税特別措置法による減免額が。減免額がだんだん縮んできたというならいいけれども、減免額が伸びているんですよね。倒産するのは中小企業で、減免額をたっぷりといただいているほうは必ずしも倒産のほうじゃないわけです。所得の伸びてるほうは減税とか免税とか、倒産をしかねまじきものは自動車にも税金かける、保険税が上がるでは、これではちょっと公平の原則が成り立たないじゃないかと思うんです。自治省だけではおやりになれないにしても、地方税に影響する分だけでも遮断をすることは考えられませんかね。これやれば、こんな恨まれ恨まれ小さい税金をいじっている必要ありませんよ。賛成をしてくださいよ。
  196. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いろいろお考えを伺ったわけでございまして、私どももこういった特別措置を地方税の面で、地方税独自のものは別といたしまして、国税にそのまま右へならえの特別措置についてはわれわれも整理をしていく方向に努力をすべきであるということは、常々身につまされて実は考えておる問題でございます。(「そのとおりおやりなさいよ」と呼ぶ者あり)問題は、それをどういうふうに、どういう時期にその問題をやっていくべきかという点でございまして、それらの問題につきましては、よくお話の点も勘案して今後努力をしてまいりたいと、かように思っております。
  197. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと関連して。  いまの局長のおっしゃった前段のおことばで、常々考えているのだし、身につまされてと、こういうようなお話ですが、それを私は強くやるべきだと思うんですね。これはいま始まった問題じゃないですよ、ほんとうを言えば。私は、やはり地方税あり方としてこれは何と考えたって不合理きわまるものですよ、地方税あり方として。ですから、そういう面で、これはいま加瀬委員から御指摘があったように、いまこれ一挙に全部はずしてしまえとか、なくしてしまえと言っても、これはなかなかたいへんなことです。しかし、今回あなたが努力したのかどうかわかりませんが、配当所得のそのはね返りを遮断してやったと、これは大いに、あなた方の努力といいますか、あるいはこの考え方に対して、賛意を表し、近来のヒットだと思うのだ。そういうことを今回は一つやりましたが、こういうことをもっともっと進めていかなきゃいけないと思うのですよね。それは徴税のめんどうなところ、技術的な困難さ、そういうことはあるにしても、それはそれとしてこれは考えなければいけないことで、これは私は、税そのものからして、地方税そのものからして、あくまでもこれは政策的なものですよ、国の政策として。それをもろに——もろではないと、こうおっしゃるのだが、言ってみれば、もろにかぶるようなそんな税というものは、私は許されないと思うのですよ。ただ、こう一々項目を見ますと、あっていい、残していいものもあります、これは。ですから、そういうものを私どもむちゃくちゃに全部はずしてしまえ、そんなことを言うのじゃないけれども、しかし、これを逐次といったようなことでは、いつまでたってもこれは手がつかぬでしょう、具体的には。今年少しやりましたね。その少しの前進をもっと私大きく前進させるようにしなければいけないと思うのですよ。国税の五百七十七億とあなた方の資料で出ていますね。まあ、かりに百億か百五十億でもやってごらんなさい。五分の一でもいいのです。その次にまた三分の一やるというようなことでやって、一〇〇%ということじゃないけれども、やはりこういう非課税特別措置のはね返りというものを合理的に整理しなければいけないと思うのですね。私は、そういう意味で、そういうふうにお考えになっていられるようでありますが、さてむずかしいとか、順次にということになりますと、まことに心細いと思うのですよ。やはり、自治省は、地方のそういう税源の確保という単なるうたいことばだけじゃなしに、地方税のたてまえからしても断固戦わなければいけないのですね。これは、税調だってあれでしょう基本問題調査会ではっきり言っていますね。特別措置なんか、これなんかだめだとはっきり言っているでしょう。それから、地方税のはね返りというのはだめだとはっきり言っているんですよね。それこそ、何も税調の答申そのままでなくたっていい場合もあると思いますが、これはだれが考えたって、一部のこういうものに関係する以外の者はみんなこういうような措置は悪法だと思っているのです。これはあなたやりなさいよ、勇気を持っていかがですか。
  198. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いろいろ激励をいただいて感激をいたしておりますが、ただ、お配りいたしました特別措置による減収額、額として相当にのぼっておりますが、この中でやはりいろいろ考え方の順番もあろうと思います。たとえば、固定資産税あるいは電気ガス税といったような地方税独自の面での特別措置につきましては、必ずしもこの特別措置はいけないと断言し得るかどうかということになりますと、おそらくそれぞれの税の性格からしまして、許容さるべきものがかなりあると思っております。しかし、半面では所得に対する課税としての住民税、あるいは事業税等におきまして、特例が行なわれておるその中でも、たとえば準備金であるとか、あるいは積み立て金であるとかいうようなものは、むしろこれは、やはり産業発展という意味で、地方団体が必ずしも拒否をしなきゃならぬものかというと、これも議論のあるところだと思っております。われわれが、この表の中でも、これはいろいろ見方にも御意見があろうかと思いますが、一番何とかしたいなあと考えておりますものはたとえば、事業税におきます非課税であるとか、あるいは米穀所得の特例非課税であるとか、こういったようなものは、確かに税制上も議論になるし、われわれとしても、将来やはりこれについては努力を積まなければならぬ。事実、税制調査会におきましても、毎年繰り返されて実は議論がなされておるのでありますが、現実には、まだそこまで到達していないというような状況にあるのでございまして、一がいに、金額のみですべていかぬというほど私どもも、実は考えをはっきりきめているわけじゃございません。個々的に処理をすべきであろうと、先ほど来申し上げておるとおりであります。
  199. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、何もこの金額が、たとえば国税租税特別措置法による地方税の減収見込み額五百七十七億円そのまま、すぐ、かりに半分やれと言ったところで、考え方として例示的に言ったことなんであって、全部はずしてしまえとも、あるいは全部あるやつを半分ずつにしちゃえとも言っているわけじゃない。  それから、地方税による非課税措置ですね、事業税あるいは電気ガス税、これだって理由のあるのもあるし、必ずしもそうじゃない、こういうものもあるということで、必ずしも不当なものばかりだとは思っていませんよ。そのままにしておいていいものもあると思うのですが、しかし、大筋においては、これは、私はおかしなものだと思っているのです。だから、むちゃくちゃに五百七十七億、それから六百九十七億全部、これをなくしてしまえとか来年は一挙に半分にしてしまえとかいうことを私は言っているのじゃなくて、特にひどいようなおかしいようなやつは、どんどんはずしていくような、そういう前向きの姿勢というものがなければいけないのじゃないか。何年かかるかわかりません。何年かかるかわかりませんが、私は、しかし、何年かかるにしても、こういうものを一歩一歩やっていく、こういうかまえでないと何年来問題になっておっていつまでたっても解決がつかない、こういうことは私はうまくないと思うのです。そういう意味で、数字を私あげましたけれども、必ずしも私、数字そのまま、この何分の一とか、全部とかということを言っているのじゃないのです。おやりになるのでしょう。どうです。
  200. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど来申し上げておりますような考え方で、今後も努力をしてまいりたい、かように考えております。
  201. 加瀬完

    加瀬完君 最後に遊興飲食税について、この改正案の中で規定づけておりませんけれども、どう考えておりますか。
  202. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 遊興飲食税につきましては、免税点でありますとか、あるいは基礎控除あるいは税率——領収証制度自体いろいろ問題が指摘されております。ただ私どもとしましてはその中でそれぞれについて考えをきめていくべきものでございまして、一がいに、それをもってこの税の将来をきめてしまうということは、非常に適当でない、こう考えておるのでございます。ただ具体的な問題といたしましては、先ほど申し上げたような免税点あるいは税率というものをどうするかということについて、おそらくお尋ねであろうかと思うのでありますが、それらにつきましては、本年度もいろいろ議論もあり、検討もいたしたわけでございますが、明年度におきます財政状況も考え、かつはただいまの免税点、基礎控除等の設定後のいまの額になった後の変化等を考えまして、今回は見送りをいたしまして、将来にわたってこれについての検討をしよう、こういうことにいたしたのでございます。
  203. 加瀬完

    加瀬完君 飲食税というものは、やはり残しておくお考えですか。遊興飲食税と一口に言うけれども、結局遊興の部類じゃなくて、飲食だけの目的で消費をした場合の税金をかけるという問題、どうですか。
  204. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のような税の名前になっておりますが、飲食だからいいといいましても、問題は、飲食の形態にあると思いますし、その分量にあると思うのでございまして、その形態によって負担の求め方を変えておるというのがいまのやり方であり、また、その分量を価格の面でこれをとらえていっているのが、いまの行き方であるわけでございます。そういう意味合いにおいては、やはり免税点とか税率とかいうような問題をどう考えるかというところに帰着すると思うのです。だんだんと国民生活の発展向上に応じて、こういうものも将来検討していかなきゃならぬと、かように考えております
  205. 加瀬完

    加瀬完君 それから、その税のかけ方ですね、いつも問題になるのは。女の人のはべらせ方だね、カウンターのこっちなら税金がかからないとか、カウンターを越えて向こうへ行ったら税金がかかるとかいうようなことが、たびたび問題になったわけなんですけれども、ああいう分け方なんかについては、どう考えますか。
  206. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 以前は、そういったサービスの形態によって、場所的区分の課税をいたしておりましたが、御承知のように、二三年前から、消費金額による負担のかけ方というふうに直しましたわけで、これは、その意味においては、改善になっておるものと考えております。
  207. 加瀬完

    加瀬完君 芸者の花代の税が問題になったことがあるんですね。芸者の花代は、税は下がっちゃった。飲食税はあのときは上がったのです。いずれにしても、これは、徴収のしかたでも非常に不合理な点がございますね。これは大体見込み課税でしょう、かけ方が。そうですよ。確実に一人一人から取って、一定の金額を越えて、いわゆる料理飲食税は、これだけしか上がりませんでしたという形で納められるものじゃありませんね。大体このうちは幾らという見込みをつけて割り当てられるわけですよ。そういうかけ方なんかにも、非常に問題があるのじゃございませんか。非常に遊興にわたる面はともかくとして、料理飲食という一般の概念で考えられる面は、みんなはずしてしまうわけにいかぬですか。
  208. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) こういう種類の消費行為に対する課税でございますので、この税自体が非常にむずかしい面を持っていると思います。その点は、この税がどういう姿になろうとも、いわば本質的にと申しますか、ついて回る問題でございますので、現状が悪い面がある、あるいは、その辺が適正に行なわれていないということ自体は、私も残念ながら認めざるを得ません。完ぺきになることを望んでおるのでございますが、必ずしも完ぺきになれない。それだけに、それは逆に言えば、納税者である消費者のいわば納税感情にあまり違反しないと申しますか、違反というとことばは変ですが、それに反しないということは、国民生活の度合いに応じた税負担を求めているかどうかというところがやはりこの税ができるだけ完ぺきに近づくための要件だろうと考えております。そういう意味合いにおきましては、先ほど来お話のありましたような免税点であるとか、基礎控除であるとか税率であるとかいったような問題を、やはり時代の進展に応じまして検討していくべきであろう、かように考えております。
  209. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 両件に対する本日の審査はこの程度にいたしまして、次回は、明二十六日金曜日、午前十時に開会し、地方税法の一部を改正する法律案についての参考人の出席を求めております。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十二分散会