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政府委員(
大津英男君)
輸入そのものをいままでも
不法所持の点で取り締まれたではないかということでございますが、確かにそういう面はあったわけでございます。先ほど申し上げましたように、
輸入そのものに対して抜本的に対策を講じていくという
意味で
罰則を重くしてまいりたい、こういうことで、また、
不法所持にまだならない以前に、密輸
そのものを罰していく、その未遂罪を罰していく。あるいはさらにそれを
不法所持しておった場合には併合罪にまでしていくということで、重い
罰則をもってこれに臨んでいくという基本的な姿勢をとる必要があると考えまして、今度のような密輸
そのものに対する
輸入罪を設けていく、こういう態度をとったのが
一つでございます。
それから需要があるから
輸入されるのであって、
輸入されるから需要が起こるのじゃないじゃないかというようなことでございますが、確かにこういう拳銃がわが国に入ってくるということは、拳銃の需要があるから入ってくるということになると思うのでございます。その
輸入の需要の大部分というものが、いままでの
取り締まりの実態を見てまいりますると、やはり暴力団関係のものに相当回っておるというようなことから申しまして、暴力団の武装化を促進しておるというような実態も見られるのでございまして、こういう需要をまず断っていくということのためには、暴力団の
取り締まりそのものを強化していかなければならない。これは長官がこの前の
委員会の際にも
お話し申し上げましたように、徹底した
取り締まりを今後におきましても続けて、そういう需要
そのものも断っていくということが必要でありまするが、同時に、こういうものを
輸入して持ってくるものがあるから買いたいというようなこともあるのでございますので、そういう面の
輸入そのものを罰していくという
方法もあわせてとっていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
それから、昨年が非常に件数が出ておって、その前は検挙件数がわりになかったということは一体どういうことなんだろうかということでございます。これは、私ども拳銃の
取り締まりにつきましては、従来からも非常に努力をいたしておったのでございまして、決してそういうものの密
輸入の
取り締まりをおろそかにしておったわけではないわけでございます。しかしながら、昨年の
取り締まりの
状態を見てまいりますると、やはりCRS、密造拳銃のような状況から見てまいりますると、考えられますることは、このCRS拳銃に当たるコルトあるいはスミス・アンド・ウエッソンというような密造をいたしました拳銃を見てまいりますると、これがわが国に入っておるという状況は、やはり昨年あるいは一昨年ぐらいからそういうものが大体出回ってきておるというようなことが出ておりまして、一昨年中に、これはコルトというナンバーがついているけれども、どうもこの拳銃は本物のコルトと違うのじゃないか、どうもがたがたしているし、マークもおかしい、SWにしてもそうだ。そういうものが一、二年先になって出て、私どもも非常に妙な拳銃だ、あるいは国内で密造されておるのではないだろうかということも考えておったわけですが、そういうものが、昨年になりまして非常に手入れをやってまいりますと、たくさん出てまいりまして、結局、これは国内でもし生産しておるものであるならば、その密造工場をたたきつぶさなければならないということで捜査もいたしておりましたが、それがたまたま外国から、フィリピンから密
輸入をしてきておるということがはっきりしてまいりまして、またその関係につきまして警察庁からもフィリピンに係官が参りまして、現地の
事情も見てまいりましたけれども、やはりそういうものが日本に入ってきましたのは、ほんとうにここ一、二年が一番そういうものがふえてきておるのであるということから、私ども努力しておりましたけれども、非常にそういうものが入ってくるようになったのは、やはりここ一、二年ではないか、こういうような見方を私どもはいたしておるわけでございまして、決して
取り締まりの手を抜いておったのでそういうような件数がいままで少なくて、それから急にふえたのだということではないのだと、かように考えておるわけでございます。