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1965-03-31 第48回国会 参議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午後二時二十二分開会     —————————————    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      石谷 憲男君     日高 広為君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西田 信一君     理 事                 佐野  廣君                 西川甚五郎君                 成瀬 幡治君                 中尾 辰義君                 田畑 金光君     委 員                 大竹平八郎君                 太田 正孝君                 岡崎 真一君                 栗原 祐幸君                 田中 茂穂君                 津島 壽一君                 林屋亀次郎君                 日高 広為君                 堀  末治君                 村松 久義君                 木村禧八郎君                 佐野 芳雄君                 野溝  勝君                 鈴木 市藏君    国務大臣        大 蔵 大 臣  田中 角榮君    政府委員        大蔵政務次官   鍋島 直紹君        大蔵大臣官房財        務調査官     吉國 二郎君        大蔵省主税局長  泉 美之松君        大蔵省関税局長  佐々木庸一君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        国税庁次長    喜田村健三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○物品税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○所得税法案内閣提出衆議院送付) ○法人税法案内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令の  整備等に関する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  石谷憲男君が辞任され、その補欠として日高広為君が選任せられました。     —————————————
  3. 西田信一

    委員長西田信一君) 物品税法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案一括議題といたします。  二案について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 数字だけちょっと関税局長に照らし合わせておく必要があるので………。二十五日の、石炭対策のための特別還付数字なんです。あの数字がどうも合わないので、照らし合わせておきたいと思うのですけれども、これはこういうことなんですね。昨年の議事録によりますと、三十八年の特別還付の場合、鉄鋼に三億、電力見込みということで十三億ということを答えていますね、昨年三月の三十日。そしてことしになって、今度三月の二十五日に、三十八年の実績について聞いてみると、鉄鋼については三億一千三百万、これはいいですよ。ところが、電力については三億三千七百万ということをあなたは答弁されて、速記録に残っている。これはきのう田畑委員質問に対してあんたは九億というふうに答えた。だから、この三十八年の特別還付数字がまるっきり合わないので、これをひとつ正確に、もし訂正があるならばこの機会に御訂正願いたい。それから、三十九年の見込みについては、三月二十五日に、鉄鋼の場合、あなたのほうは三億七千万という答弁をなされた。ところが、電力になってみると、三十九年の見込みは二、三億だろうと、こういうことを言っています。三月二十五日の私に対する答弁では二、三億だと言っているが、三十日の田畑委員に対する答弁では十一億だということを言っているんですね。こういうふうに数字がばらばらでよくわかりませんので、この際、ひとつ正確な数字をはっきりとお示し願っておきたい、こういうふうに思うのです。
  5. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 鈴木委員に、三十九年度の数字、四十年度の数字というのはいろいろ入り組んでおりますので、順序を立てて申し上げたいと思います。
  6. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 まず三十八年から言ってください。
  7. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 三十八年は、実績としまして、電力につきまして一般還付が九億六千万でございます。特別還付はゼロでございます。  三十九年度の見込みでは、一般還付電力につきまして十一億二千万、特別還付見込みが当初は三億三千七百万と、こう出していましたが、最近天候不良のために石炭の輸送が不円滑になりまして少し減っているかもしれないということで、二、三億と申し上げましたが、おおむね三億台を維持すると思われますけれども、少し動くかと思います。  それから、四十年度の見込みが、一般還付電力につきまして十四億でございます、特別還付が九億九千万、こう出ております。若干数字異動が出るかもしれませんが、石炭出方等によりまして、ないしは石油の使い方によりまして変わってくる模様でございます。  もう一つ、補足して申し上げたいと思いますが、さっき申し上げました数字は支払いをベースにしております。と申しますのは、実績によって払っているものでございますから、一四半期ずつずれてまいります。三十九年度分に三十八年度の最終の一四半期が入っており、四十年度分に三十九年度の最終の一四半期が入っておりまして、当該年度最終の一四半期は抜けておるというこまかい計算をやっておりますので、補足して申し上げます。
  8. 西田信一

    委員長西田信一君) 他に御発言もないようですから、両案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。よって、両案の質疑は終了いたしました。     —————————————
  10. 西田信一

    委員長西田信一君) 次に、所得税法案法人税法案租税特別措置法の一部を改正する法律案所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案、以上四案を議題といたします。  四案について御質疑の方は順次御発言願います。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案につきまして質問いたしたいのですが、この法律案の一七四ページ、「税理士法の一部を改正する法律の一部改正」の項目です。この法律案の六十八条を見ますと、「税理士法の一部を改正する法律昭和四十年法律第  号)」と書いてありますね。ここが空白になっておるのです。こればかりでなく、随所に「昭和四十年法律第一一号」とありまして、これは今国会提出されている税法改正案がまだ承認されませんから、そこで第何号というはっきりした号数をここに記載することができないんだと思うのです。まだ法律案が通らないうちにこれを改正するということは、筋が通りませんし、特に税理士法につきましては、これまでの経緯があるわけです。そして四党の申し合せによりまして、四党の意見が一致しなければ改正できないことになっているわけですね。それにもかかわらず、その法律案がまだ通らない、また通るかどうかもわかりませんし、審議未了になるかもわからない。それであるのに、まだ懸案である法律案改正案がここに出てきちゃっているんですね。そうしますと、これをわれわれ審議して、これに対して賛否を、態度を明らかにするわけにはいかないわけですよ。まだ通らない法律案についての改正案が出てきておる。その法律案も、特に税理士法につきましては問題がありまして、通るか通らないかわからないのです。そういう懸案法律案に対してその改正案がすでに出ているということは、どうしても了解できないわけです。この点について、どういうわけで税理士法のまだ通らない法律案改正法をまたここに織り込んできたかと、この経緯について説明をしていただきたい。
  12. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 御説明申し上げます。  今国会におきまして、所得税法及び法人税法につきまして全文改正改正案提出いたしまして、御審議願っておるわけでございます。そういうふうに、所得税法及び法人税法全文改正がもし実施されますと、その改正に伴いまして、従来所得税法第何条とか法人税法第何条という所得税法あるいは法人税法条文を引いておる法律がございます。そういう法律につきましては、今度所得税法及び法人税法が変わりますと、条文が変わります。そこの条文を直さなければならないということになるわけです。  そこで、この所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案というものを提出いたしまして、そういった点を直すことをお願いしておるわけでございます。これは、この前、国税通則法を制定いたしましたときにも、従来国税徴収法なんかの規定を引用しておる法律につきまして、通則法規定に基づきましたものですから、そういう整備をお願いしたこともございます。これは従来からそういう全文改正がございますと、そのつど整備に関する法律提出いたしましてお願いしているわけでございます。  問題は、いまお話しのように、すでに法律としてでき上がっているものなら、それはその条文が動くということはよくわかる。しかし、まだ国会審議中であって、いつ通るやらわからないものについて直すのはどういう意味か、こういう御質問かと思います。で、これにつきましては、従来から法制局慣例なんでございますが、政府として国会提出いたしておりまする法案につきましては、政府としてはなるたけすみやかな成立を期待いたしておるわけです。そこで、この整備に関する法律法制局審議いたしましたのは、実はもう一月の中旬ごろでございます。そういったころにおきまして、目下国会提出している法律案が、どれがいつまでに通り、どれが通らないかという予測をつけることができません。したがって、法制局の従来からの慣例といたしまして、この整備法が出るまでに国会提出されております法律につきましては、そこの所得税法第何条、あるいは法人税法第何条という規定は、所得税法及び法人税法全文改正されると、変わります。これはまあ実質的な改正でなくて、所得税法条文が動くことに伴う改正なものでございますから、そういった点について法律番号はまだ入っていない法律修正すると。そうしてこの整備法が通る前にそういった法律が通っておれば、その法律が、この所得税法法人税法が通って、同時に整備法が通った場合には、その法律が動かなくならないように、この整備法によってその法律条文が動いて、そうして所得税法法人税法改正された後もその条文が読めるようにしておく、こういうことになっております。  ところで、この整備法が通ったけれども、目下国会審議中の税理士法その他の法案が通らなかったということになりますと、実はこの条文は死に、空文に帰するわけでございます。したがって、その次にもし税理士法なりその他の法律につきまして国会で議決されるときに、この趣旨に合わせました修正をしていただかないといけない、こういうことになるわけでございます。  法律技術といたしましては、国会審議中の法律案につきましては、所得税法及び法人税法全文修正が行なわれますと、目下御審議中のその法律案については、もしその法律案修正なりなんなりして可決されるときには所得税法なり法人税法引用条文を変えていただかなければなりませんよという通知をするのも一つのやり方だと思うのでございます。従来から法制局としてはそういう整備法を出して、それで事柄は大体同じようなものでございますから、全部を整備法で処理するということになっておるわけでございます。したがって、もしこの整備法が通る前にそういう法律案が通っておらなければ、それはこの条文法律規定はいわば空文に帰することでございます。これをよくから振りと申しておりますが、そういうことが間々あるわけでございます。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一般的な御説明としてはわかるのですよ。いままでの慣例上、法制局が、政府提出した法律案は一応通るものと前提して整備をしてある。しかし、税理士法につきましては、大蔵省法制局と相談する場合、こうこうこういう経過になっておるのであって——これが当然通るという前提を置くことができないような情勢になっているわけです。もうそれを主税局よく御存じなわけですよ。それをここへ入れてあると、もしここでこの整備に関する法律が通るとなると、その前提として税理士法改正が通るという、そういうことが予定されていることになるわけですよ。ですから、当然、少なくともこの部分は削除すべきでなかったかと思うのですよ。そうしなければから振りだ。最初からから振り見送り三振くらいの、三球三振ですよ。そういうことが大体わかっているんですよ。そういう経緯があるんですよ。ほかの法律についてはこれは別として、特に税理士法につきましては、御承知のような経過があるわけですよ。それをなぜここへ入れたかということですね。
  14. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話のように、目下御審議中の税理士法の一部改正法律につきましてそういう経緯があることは承知いたしておりますが、そのほかにもまあ目下国会審議中で、おそらくこの三月三十一日までには通過しないであろうという法案は、まだほかにもあるわけであります。で、一月のそういったこの法律法制局審議しておる段階におきまして、三月三十一日までにこの法律が通る通らぬということは、なかなかきめかねたわけであります。  そこで、税理士法につきましては、このお手元の法律案の一五〇ページのところで、このいまの国会で御審議中のもとになる現行の税理士法も直します。そうして国会に御提出いたしておりまするものも直します。三月三十一日までに税理士法改正法が通らないと、この一五〇ページのほうが働いて、これで改正が行なわれます。そうして税理士法は、所得税法法人税法条文が変わっても、それによって間違いなく動いていくようになります。もし、これははなはだ淡い希望でありますけれども、三月三十一日までに税理士法の一部改正法律が通りますれば、これは一七四ページのほうで動いていくようになります。どっちにころんでも万全なようにしてあるわけであります。淡い希望を持つなと、こうおっしゃられれば、まことにごもっともかとも存じますが、そういう法律の構成になっておるのであります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ、一八〇ページですね、「食料品総合小売市場管理会法の一部改正」ですね、この法案はどなっているんですか。
  16. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これも御承知のように、なかなか通りそうもない法律なのでございますが、一月の半ばごろの状況におきまして、三月三十一日までに通らぬと予測するわけにもまいりません。いま申し上げましたと同じようなことで、もっともこれは新しい法律でございますから、もとの法律はございません。これは、したがって、食料品総合小売市場管理会法が三月三十一日までに通らなければ、これはから振りになる規定でございます。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは三月三十一日までに通らないというよりも、むしろ審議未了とか成立しないという見込みのものについてはどうなんですか。
  18. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 審議未了あるいは成立しないという場合におきましては、もちろんこの規定は動かないわけでございます。空文でございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 特に税理士法については、三月三十一日に通らないことは、もちろんもう通りませんよ。だって、きょう審議するのですか。まだきょう審議できていないのですから。その後においてもですよ、御承知のような経緯があるのですよ。だから、これを入れたということは、ぼくは非常に……。何ですかね、大蔵省のほう、これは法制局と打ち合わせるときにちゃんとそういうことをまあ話をしてあれしなければいけないけれども、その点については、ああいう打ち合わせを何か無視して強引に、何というのですかね、あの改正案を通すようなそういう姿勢でやっているようにわれわれ受け取れたのですが、これを見まして。そして、実はこれは与党のほうの方も責任があるのじゃないかというふうに思うのですけれどもね。こういうまだ改正されていない税理士法のこの改正案をここに入れたということはですね、この点ははっきり承っておかないと非常に、何んというのですかね、疑惑を持っているわけです、われわれは。
  20. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これはもう全く法律技術的なものでございまして、別段三月三十一日までに税理士法の一部改正をぜひ通してもらいたいといったような気持ちでこれを入れておるというわけではございません。ただ、先ほども申し上げましたように、従来の慣例から、それまでに政府提出いたしております法案につきましては、全文改正をいたしました法律が出ますと、そのつど条文整理に関する法律を出してやってきておったという慣行に基づいて出しただけでございます。それによって税理士法審議を拘束するとかというような気持ちは、もちろん毛頭持っておりません。したがって、そういう疑いを持たれないように御了承いただきたいと思うのでございます。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすれば、これが三振に打ち取られれば、から振りになった場合は、次の国会にこれを修正するわけですね。
  22. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) まあこれは、私から申し上げるわけにいかないと思いますけれども、税理士法の一部改正法律が今後どういうふうに処理されますか、もし何らかの修正を加えてあるいは法律が通るというようなことになりました場合におきましては、これと同趣旨修正を施していただかないと、修正通過後の税理士法が動かないことになりますから、そういう修正をお願いしなければならぬ、こういうことになるわけであります。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、一応、法律が通らない場合には、から振りに終わるのだということを、まあはっきり確認しましたから、この程度にしておきまして、あとこの整備法につきまして二つの点ですね、はっきりここで確認しておきたいことがあるのです。  その一つは、この整備法によりまして、所得税申告納付還付手続簡素化するということになっているのですが、これによってはたして手続簡素化されるのかどうかですね。手続がむしろ複雑になってしまったのでは、これ逆でございますから、はっきり簡素化されるのかどうか。簡素化されるとしたら、どういう点が簡素化されるのか。そのおもなる点について説明をしてもらいたいということと、  それから、もう一つは、この整備法によりまして、税務行政について税務官吏権限が強化されて、そのためにいわゆる徴税強化になるおそれがないかどうか。おそれがないというなら、どういうわけでそういうおそれがないのか。その点をここで明らかにしてもらいたい。たとえばこういうわけで徴税強化にならないのだ、税務官吏権限強化にならないのだと。  この二点について、ここではっきりしておいていただきたいわけです。
  24. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) この所得税申告納付還付手続、あるいは法人税申告納付還付手続、これらが簡素化されますのは、実は整備法ではなく、所得税法それ自身あるいは法人税法それ自身でそういう簡素化が行なわれておるのでございます。整備法は単に、所得税法及び法人税法前文改正に伴いまして、従来所得税法法人税法条文を引用しておりますので、その条文が変わりますので、変わった条文は、いままでたとえば第何条とあったのは第何条に変わるんだということを規定しているだけのものでございます。  それでは、所得税申告納付還付手続について、今度の所得税法改正でどのように簡素化されておるかということを申し上げてみますと、所得税につきましては、大きく分けまして四点ございます。  一つは、従来予定申告制度というのがとられております。この予定申告制度と申しますのは、年の中途事業を開始した場合、あるいは年の中途で相続によって父親事業を承継した場合、こういった場合に、年の中途におきまして、七月一日の現況あるいは十一月一日の現況におきまして予定申告をしなければならないということになっておったわけでございます。ところが、年の中途で開業した場合あるいは年の中途父親事業を受け継いだ場合におきまして、自分の代になったとき、そういったときに、ことしじゅうの所得がどれくらいあるか、それを見積もるということはなかなか容易なことでありません。また、それに対しまして更正決定とか修正申告制度が設けられておったわけでございますけれども、税務署のほうとしましても、途中開業した人に、あなたの所得はことしどれくらいになるだろうかということを見積もって、あなたが出された申告は少な過ぎますとかいうようなことは、なかなか調査してもわかりかねる、こういった点がございますので、予定申告制度を廃止いたしまして、前年納税実績のある人だけが翌年予定納税をやっていくということにしておるのでございます。これによって、いままでそういう予定申告をしなければならぬ人が年に若干おられましたが、そういう予定申告をする必要がなくなるということで簡素化されたわけでございます。  それから、第二番目は、いままで配偶者控除及び扶養控除につきましても、確定申告書に、しかも期限内に提出する確定申告書に記載しなければ適用を認めないということになっておったわけでございますが、妻がおりあるいは子供がおるということはもう客観的に明らかな事実でございまするので、したがって、必ずしも期限内の申告書に書かなくても、また期限後の申告書に書かなくても、客観的な事実として明らかなので、配偶者控除及び扶養控除につきましては適用を認める。したがって、書き落としたために配偶者控除が認められない、あるいは扶養控除が認められないというようなことがないようにするということにしております。それが第二点でございます。  それから、第三点は、確定申告いたしまして、いままで納めた税額が多過ぎる、還付してもらうということになりましたときには、その人が給与所得者であります場合には源泉徴収税額に充当してもらうという制度があったわけでございます。ところが、それによりますと、還付額が確定されましてから源泉徴収税額に充当するというまでの間にいろいろ手数を要するわけであります。それよりもあっさり還付したほうが納税者には有利であるという点を考えまして、それとともに源泉徴収義務者によけいな手数をかけることになりますので、その制度を廃止いたしまして、そういう還付額がきまった場合にはまず還付するということにいたしたのでございます。  それから、第四番目は、更正または決定による源泉徴収税額及び予定納税額還付金につきましては、いままでは別に還付請求書というのを出していただくことになっておったのであります。今度は、そういう手数を要することは納税者の方に繁雑になりますので、別に還付請求書を出す必要はない、確定申告書なりに書いておけばわかることでございます。別途に請求する必要はないということに手続簡素化したのでございます。  それから、次に、この法人税申告還付手続につきましても、所得税の場合と同じように四つの簡素化が行なわれております。  一つは、法人を設立いたしました場合、いままでは、その事業年度が八カ月をこえます場合におきましては、設立第一期の六カ月間の分につきまして中間申告事業年度開始後八カ月の日までに出していただくということになっております。しかし、個人のときに申し上げましたと同様に、法人の場合におきましても、法人をつくってからその年度、まあ六カ月経過するまでの間概してあまりもうけがない、初度調弁費が相当かかることでございますからもうけがないことでございますし、したがって、いままで法人がありまして、その法人が新設合併した場合には、それはいままでの法人実績がありますから、これは中間申告をしていただくことにいたしますが、全くの新設の場合に、法人の場合におきましては、そういう中間申告は要らないということにいたしております。  それから、もう一つは、中間申告をする場合、その中間納付額が二万五千円以下の場合におきましては、少額の金でございますし、一々それを中間納付しましても、また確定申告の際におきましてあるいは中間納付税額が多過ぎたために還付しなければならぬという場合も出てくるわけでございまして、お互いに手数でございますので、そういう手数を省くために、中間納付額が二万五千円以下になる場合におきましては、中間申告と、それに基づく納税は必要がないというふうに簡素化いたしておるのであります。  それから、新設合併の場合の設立一期の中間申告につきましては、被合併法人の合併事業年度の前事業年度法人税額を期間案分する計算になっております。いままでは被合併法人の合併事業年度の前事業年度法人税額を期間案分するのでなしに、合併後六カ月間につきまして仮決算を行なって、その仮決算に基づいて中間申告をしなければならぬ、こういうことになっておったのでございますが、それでは手数でありますので、いま申し上げましたように、被合併法人の合併しました事業年度の前の事業年度法人税額をその合併前と合併後に期間案分いたしまして計算できるようにいたしたのであります。もっとも、法人のほうで仮決算したほうが自分のほうで都合がいいからというので仮決算されれば、それは仮決算で中間申告をしてもいいということにいたしております。  それから、第四番目は、先ほど個人の場合について申し上げましたと同様に、還付金があります場合に、その還付金確定申告書に記載しておけば、別に還付請求書提出する必要がない、こういうふうに簡素化を行なっておるのであります。  それから、その次の点は、今度の改正によって税務職員の権限が強化されていないかどうかという点でございますが、これは今回の改正によって税務職員の権限は別に強化されているわけではございませんで、と申しますのは、従来税務職員の権限というのは所得税法及び法人税法質問検査権という規定がございます。その質問検査権に基づいて納税者のところに行って質問しあるいは検査することによって調査を行ない、その調査に基づいて公正に決定を行なうということになっておるわけでございますが、その質問検査権に関する、たとえば法人税法で申し上げますと、今度の改正後の百五十三条ないし百五十六条の規定、これは百五十五条までは従来の法人税法の四十五条、四十六条の規定そのままでございます。十六条だけ新しく追加されておりますが、これは御承知のとおり、最近の法令におきましては、行政庁の質問検査権限は「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」、こういう例文がつくことになっております。その例文は、いままで、法人税法昭和二十二年の法律でございまして、GHQが来て、こういう規定を設けるようになる前の法律でございましたために、百五十六条の規定は入っておらなかったわけでございます。今度新しく法律全文改正する機会に、そのほかの法律でも入っておりますこの規定を入れたというだけでございまして、従来の規定と同様でございますから、別段これによって税務職員の質問検査権が強化されたということはないわけでございます。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この所得税法人税法の全面的書きかえによりまして、現行政令、現行省令が、今度は法律案の中に織り込まれる、こういう個所がだいぶんあるわけでしょう。いままで税務行政については通達行政ということがよくいわれておったわけですけれども、法律に基づいて通達によって税務行政が行なわれる。まあわれわれ申告納税者ですね、個人の所得者等に聞きますと、法律より通達がこわいとよくいわれるわけなんですよね。ですから、その通達というものがいままで法律に基づいていろいろこれは拡大解釈したりなんかされて、かなり権限が強化されているという面があるのではないかと、こう思うわけですよ。そういういままでわりあい拡大解釈されていた通達が、政令あるいは省令等の形でなされておるものが、この法律に移った場合ですよ、そこに今度は法定主義ですから、はっきり法律にそういうものが規定された、それを根拠として、今度は非常にいままで以上に権威づけて、権威をもって徴税が強化されるのではないかというような、そういう危惧が持たれているようなんです。そういう点、そうじゃないのか。  これは非常に広範にわたりますから、一々——また、われわれは税務行政の実際を知らないわけですよ。正直にいいまして、税務行政についてはですね。で、全面改正、書きかえが行なわれましたが、一つ一つずっと、とてもわれわれのいままでの知識、能力では、それが強化されるのか、強化されないのか、その判断つかないわけです。ですから、この際総括的に、こういうわけでそれは強化されないのだということを、ここではっきり確約されれば、もしそういう場合があったときには、そうじゃないのだ、そうじゃないのであって、これはもしそういう事例が起こったら、それはもう間違いなんだ、実際は強化するための書きかえではないということで、もし強化されることがあれば、それはミスだ、間違いだということがはっきりしてくるわけですよ。こういうわけでそれは政令とかあるいは省令が法律化されても、税務官吏権限が強化されないのだ、いままでの通達行政というものが法律によって、そこで権威づけられて、そこで今度徴税強化になるというおそれはないのだということを、ここではっきり確認しておきたいわけなんです。
  26. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話のように、従来政令で規定されておったもの、この政令が今度は法律に上がっているものが、法人税法で二十六カ条、所得税法で二十カ条ございます。これは租税法定主義のたてまえからいたしますと、税法の基本的な事項は法律規定して、やはり非常に技術的なことになりますと、これは政令で規定するのはやむを得ないわけでありますけれども、従来はかなり重要な事項も政令で規定されておりまして、そのために租税法定主義というたてまえから見ますといろいろ問題がございましたので、今回はそういう税法の基本的な重要な事項は法律規定いたしまして、技術的な計算規定その他を政令に回すという方針をとりましたので、その点は租税法定主義のたてまえからいえば相当進歩したことになると思います。  それから、その次は通達でございますが、御承知のとおり、国税庁長官の通達は、国家行政組織法第十四条第二項に基づきまして、国税庁長官が下部の行政機関あるいは職員に対しまして出す示達でございまして、これはその下部の機関あるいは職員を拘束するだけでありまして、直接法規的な拘束力を納税者に持つものではないのであります。しかし、実際問題といたしまして、税務職員なりあるいは税務官庁がその取り扱い通達に従って仕事を進めてまいりますために、納税者としては、あたかも通達が法規的な力を持っておるかのごとく錯覚をして、そういったことによっていろいろ規制をされる、こういうことになるわけであります。  そこで、今回の所得税法法人税法全文改正におきましては、そういった通達のうち納税の権利義務に関する重要な事項は法律規定するという方針をとりました。たとえば、従来出版業とかレコードなんかを販売をしておられる場合の返品調整勘定というのがいままで通達で認められておりましたが、これを返品調整引き当て金という制度に直したのであります。それから、いままで割賦販売の場合におきましては割賦基準、また延べ払い条件づき譲渡、あるいは延べ払い条件づき請負の場合につきましては延べ払い基準に従って収益及び費用を計上できる、あるいは長期工事の請負の場合におきましては工事進行基準によって収益及び費用を計上できる、こういうようなことが、これはいずれも取り扱いできめられておりましたが、これは収益及び費用の計上時期に関するきわめて重要な事柄でございますので、今回はそれを法律規定するということにいたしましたので、これらの改正によりまして、従来通達で明確でなかった点が明確にされたという点はございますけれども、これによって、まあいままで通達で認められておるような非常に租税法定主義のたてまえからいいますとおかしな点を直しまして、租税法定主義を非常に前進させたということになるわけでございまして、これによって税務職員の権限が強化されてどうこうという問題ではございません。  なお、一つだけ問題がございますのは、いままで賞与につきましては、たとえば十二月、あるいは十一月に支給する賞与を九月決算の際に未払い金として経理いたします。そうして九月決算でございますから、十一月末までに申告書提出しなければなりませんが、その申告書提出するときには、各人別の賞与の支給額が確定しておれば、それは未払い金として損金に認めるという取り扱いがなされておりました。しかし、今度はそういう取り扱いでなしに、各人別の支給額がきまっていなくても九月末の決算において賞与引き当て金として設けることができるという制度に直しました。そしてその点で、従来中小企業法人なんかはそういう通達で各人別の賞与の明細というものはなかなかきめかねておった関係上、そういう通達での未払い金の損金算入を認められていなかった事例が多いわけでございます。今度はそういう各人別の明細をきめていなくても過去の支給実績から引き当て金がとれますので、中小法人なんかはそれによって非常に有利になるという改正をいたしております。ただ、一部の大法人におきましては、いままでのように各人別明細を確定して出しておいたほうが当期の業績に応じた賞与が出せるんで、賞与引き当て金だと前年の賞与の実績を基礎にする関係上、いままでより不利になるんではないかといったようなことで、いろいろ従来より不利になりはしないかということの御意見があるようでございますが、これは全体として見れば、引き当て金の制度を設けることによって特に中小法人に有利になるものでございまして、特に一部の大企業の場合あるいはいままでより若干不利になる場合があるかもしれませんが、しかし、そういった場合も、一々いままで明細を書かないと認められなかったような非常な手数の要ることなど、ことに大企業になりますと何万人という従業員について各人別の賞与の支給の明細を書いて出さなければなりませんから、そういう手数が省けるということで賞与引き当て金のほうが有利ではないかと、こう思っておるわけであります。  なお、念のために申し上げますと、従来の通達から法律規定を移されましたものが、所得税法で三カ条、法人税法で七カ条にのぼっております。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいまかなり詳細に説明を受けましたが、これによって手続簡素化をはかるということと、租税法律主義を貫いていこうという意図はわかりましたが、そこで、この際もう一つ二つ確認しておきたいことは、この全面書きかえによりまして、かりに徴税強化になるようなことがあった場合、また手続が煩瑣化されたような場合は、この全面書きかえの趣旨とはそれは違うんだと、そういうことははっきりここで確認していいわけですね。もしそういう場合があったら、それはその趣旨でないので改めることができるわけですから、かりにそういう場合は。そこで、もしそういうことがあるんなら、それはこの全面書きかえの趣旨に反するわけであるから、そういう場合には改めなければならないわけです。ですから、最終的にその二つの点、もしそういう今後実際の運営において行政においてそういうことがあった場合は、この法律改正趣旨に反するものである。この法律はそういう結果になってはいけないと、こういう法律なんであるということをこの際はっきりここで確約しておいていただければ、これは非常にもう広範にわたりますから、もしそういう場合が起こったときにはそれを救済することができる、こう思われますので、この際その点について確認をいたしたいわけです。
  28. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 先ほど詳細に御説明申し上げましたように、今回の所得税法及び法人税法全文改正は、決してそれによって徴税強化を行なおうとか、あるいは手続を煩瑣にしようというような意図に出ているものではございません。したがって、今度の改正の結果そういうことは起こらないと確信いたしておりますが、もし万々一そういうことが起こるようでございましたら、その際にそういった点は再び改正することにやぶさかでございません。
  29. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 法人税法のことで少しお尋ねしておきたいと思いますが、「役員の報酬、賞与及び退職給与等」というのが、三十四条、三十五条、三十六条ですかね、これはそれぞれ政令で定めるということが出ておるわけですが、三十四条の場合、あるいは三十五条、三十六条、おのおのどのくらいの金額を予定しておみえになるのか、あるいは何か基準があると思いますが、一応政令の内容を承りたいと思います。
  30. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) この政令でございますが、これは実は現行法とそう変えるつもりはないのでございまして、現行法の政令で申し上げますと、現行法の法人税法施行規則十条の三に「過大な役員報酬の損金不算入」というのがございます。で、これによりますと、「法人が各事業年度においてその役員に対して支給した報酬の額が、当該役員の職務の内容、当該法人の収益及びその使用人に対する給料の支給の状況、当該法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する報酬の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として不相当に高額であると認められる場合においては、その不相当と認められる部分の金額は、当該事業年度所得の計算上、これを損金に算入しない。」、こういうことになっておりまして、今度の法律三十四条で「不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額」というのは、いま申し上げましたようなことを規定するというのでございまして、実はいままでは政令の十条の三にしかなかったのを、基本的には法律に上げる、しかし不相当と認められる部分の計算については政令で規定を設ける、こういうことになっておるわけでございまして、これにつきましては、御承知のとおり、法人の役員の報酬につきましては、定款の規定、あるいは株主総会、社員総会、あるいはそれらに準ずるものの機関で報酬支給限度額というのが規定されているのが普通でございまして、その限度額をこえることになりますと、これは不相当な賞与の金額ということになります。そのほかの場合には、普通は事業規模が類似しておって同種の事業を営んでおる他の法人が支給している役員の報酬額と比べて、まあちょっとの差ならいいですけれども、非常に大きな差がある、不相当に多額である、こういうふうに認められる場合には、損金に算入しない、こういうことになるわけであります。
  31. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 説明説明だと思うのですよ、聞いておりまして。さて、それでは同等のあるいは同種の類似のものだと、こうおっしゃるのだが、あるいはまたその報酬限度額を定款ということで定めておると、こう言われるのですが、定款で定めたものは、それならばたとえば高くても不相当だというふうに認められるのか認められないのか、定款にあっても同種、同等の類似のものと比較して高ければ、それは認められないのか、その辺はどうですか。
  32. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 定款あるいは株主総会で役員の報酬額がきめられておる場合におきましても、特に同族会社に多いわけでございますが、そういう株主総会できめるといっても、同族の内部できめるということになりますと、他の類似の事業、同種の事業を営んでおる同等の規模の他の法人に比べて不相当に高額なものが支給されるということになっておりますれば、それはやはり不相当に高額な役員報酬として損金に認めない、こういうことになるわけであります。
  33. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 税務署のほうじゃ、その同種あるいは同等規模の類似だということが比較できるかもしれないです。ところが、会社の売り上げとかあるいはいろいろなものが違っておると思うのですね。基準のとりようがないわけなんですね。ですから、こういう場合には何かあなたのほうはそれならば、このくらいの事業所で、このくらいの収益をあげておるようなところに対してはこのくらいのものなんだ、このくらいの範囲ならば役員の報酬はよろしいのだ、賞与はやっちゃいけないのだ、退職金はこのくらいのものだという基準を持っておって、それを公に示されるというようなことはございますですか。
  34. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 別段、そういった基準を持っておりまして、それを示すというようなことはいたしておりません。こういったものはやはり常識的に見て著しく不相当でないと、よそより一万円多いからというようなことですぐ否認するといった性質のものでございません。著しく違っておるといった場合におきまして、比較はもちろんお話のとおり、売り上げ規模も、資本金も、従業員の数とかそういったものの類似した事業をさがし出すわけでございますから、同じような事業を営んでおって、売り上げ規模や従業員数といったようなものが類似しているというのはなかなかそうたくさんないということで、そういった基準を求めることは必ずしも容易ではございませんけれども、しかしそういった比較をいたしましてどうも不相当だ、著しく不相当だという場合に、それは損金に入れない、こうなるわけでありまして、別にこれによって役員の報酬の統制をしようというような腹でもございません。別段基準はきめておりません。
  35. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、税務職員のふところに持っておるものさしで、ある会社のものは認めたが、ある会社のものは認めないという、そういう不公平が出てきやしないですか。たとえば税務署管内で基準を持っておみえになるのか、たとえば局単位で持っておみえになるのか。その基準をあなたのほうは持っておられると、先ほどこういうお話でしたが、その基準を持っておられないわけですか。もう一度そこのところ明らかにしてください。基準もないわけですか。
  36. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これにつきましては、先ほども申し上げましたように、別段基準を持っておるわけではございません。しかし、お話のように税務職員の主観的判断によってそれが左右されると困るということからいたしまして、この規定が設けられました当時におきまして、役員報酬をそういうことで損金に認めない場合には、税務署限りで処理しないで国税局に上申しまして、国税局の指示を仰いだ後にそういった処理をするようにということを行なった経緯がございまして、その結果、現在においては、そのときに国税局でどの程度くらいなら損金に算入される、どの程度をこえていると損金に認められないというような実績がございますので、ある程度の目安はそれでついておることと思いますけれども、いま申し上げましたように、どういう役員であれば月何万円かまではいいんだというような基準は別段設けておりません。
  37. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 どうもよくわからないわけですが、同等、同規模、同種、類似、そういうもののところで、常識的で著しく高いようなところは損金に不算入にするというような話では、これは取りつく島がないんですよ。それこそ税務職員の主観的判断になってしまうわけです。もっといえば、ウナギめしを食べさせたところは認めて、食べさせそこなったところは認められそこなってしまうというような、そういう計画になってしまうと思うんです。もう少し、そういうあやふやなことではなくて、やはりよりどころというものがぼくはなければならぬと思う。これじゃ、局長の答弁聞いておれば、まるで主観的判断になっちゃうですよ。ならぬというならなぜならぬのか、どこに基準があるということを言わなければならぬ。すべて同じものがあるなんということはないですよ。収益率においても違うでしょうし、人間の能力においても違うと思う。そういうものを同じように律しようとするところに問題がある。もしよりどころがあるとすれば、何かそれによるものがあるんだということなら——あっちに比べたら高い、そっちに比べたら安かったという、そういうようなことではたいへんですよ。税務行政がいわゆる税務署の主観的な小手先でいろいろなるという一つの悪いことになりやしないかと私は心配しておる。そうでなくて公平な課税が行なわれるんだ、なるほどよりどころがあると、だからこそ法律では「政令で定める金額」と書いてある。だから、金額があると思ったら、そういうことはおっしゃらない。この文章をきちっと読んでいくと、何か法律と違ったことを政令でどうもおやりになるようですね。もう少しはっきりしてください。
  38. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは会社が役員に対する報酬を支払った場合に、その役員がたとえば非常勤の役員だ、非常勤の役員にもかかわらず常勤の役員より多額の報酬が払ってあると。それから、お話のように同等、同規模、同様の事業を営んでおり、同等規模の法人、それに比べて高いか安いかという比較は必ずしも容易ではございません。しかし、税務署単位ですとなかなかそういった比較もできませんけれども、国税局単位になりますと、法人の数も多くなりますので、そういったところで見ますと、一つの会社だけではなしに、数社平均したところの、たとえば社長ならどの程度の給与、専務取締役ならどの程度の給与、常務取締役ならどの程度の給与、取締役でも常勤の人はどの程度、非常勤の人はどの程度、こういったある程度の平均額が出てくるわけでございます。そういったものをにらみ合わせながら、調査いたしました具体的な法人について、この給与は不相当に高額であるかどうかという判断をすることになるわけでございます。ただ、いま申し上げましたように、給与というものは一般職員だけでなしに、役員についても年とともに変わってまいりますので、そういった基準を社長は何万円、専務が何万円といったような基準はつくっておりません。  しかし、そのときどきの状況に応じてやはり具体的に判断されることになるわけです。したがって、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、税務署限りで処理しないで、国税局に上げてそういった処理をするといったような取り扱いをやってきましたので、現在におきましては、この役員の報酬が不相当に同額であるというので否認するケースは非常に少なくなってきていると思います。ただ、先ほども申し上げましたように、中には、たとえば学校へ行っておる子供が役員になっておるというのでこれに報酬を出しておる、これはおかしいじゃないかというようなこととか、あるいは非常勤の役員に対して常勤の役員より多額の報酬を出している、これはおかしいではないか、こういった程度の損金不算入の事例はございますけれども、それ以外の場合に損金不算入の事例はそうございません。
  39. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなたは、その同種同等の平均額は出てくる、それとにらみ合わせてやるのだ、こうおっしゃるが、それはその税務署管内のものと比較されるわけですか、それとも局単位ですか。
  40. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは税務署限りになりますと範囲が狭うございますので、一応局単位くらいで見ないといけないことになるわけでございます。
  41. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、一般に公示はされないけれども、税務職員に対しては、このくらいの規模はこのくらいですよという金額は、税務職員に対してか、あるいは局から税務署に向かって、そういう内示がなされますか。
  42. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 私は詳しく存じませんけれども、別に内示はいたしておりませんけれども、いままで局に上申させて、局がこの程度なら損金に算入して差しつかえない、あるいはこれは多過ぎるからこの程度を損金算入する、こういうような指示をいたしておりますから、その指示に応じて、税務署には、一応局のほうのいままでの方針からいけば、この程度までは損金に認めて差しつかえない、この程度を越えると損金に認めるのはおかしい、こういう一応の観念はできていると思っております。
  43. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 局あるいは局管内に対して、これくらいのものだというそういう基準があるんだということになれば、大体私もわかります。しかし、そういうものを隠しておって、そしてお前のところは否認だ、お前のところはいいんだ、そういうやり方というものは、局長、いいのですか。そういうものがありとするならば、これは公に出してもいいじゃないですか。何か特権を振り回すという形になりはしないですか、そういうことをやると。
  44. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) おことばではございますが、税務署のほうで役員の給与統制をやるというわけにはいかないわけでございますから、したがって、税務官庁としましては、法人が支給された報酬につきまして著しくおかしいと思われる場合に、それは損金になりません、こう申し上げるのがいいのであって、幾らまでは損金に認めますからお出しなさいというのもいかがなものかと思うのでございます。やはりこれは会社の規模、その業績などによって、およそ役員たるべき者がどの程度ということは、一応の標準みたいなものが世間にあると思うのでありまして、それが基準になって、役員の報酬というのは世間相場というもので出されるものだと思うのであります。したがって、税務署がそういう世間相場をつくるのだというのは、私は決して好ましいやり方ではないと思っております。したがって、税務管庁としましては、あくまでも法人の支出した役員報酬がほかと比べてほんとうにおかしいというときに否認すればそれで足りる、こう思うのであります。
  45. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなた、統制することはいけない、いかがなものかとおっしゃいますが、株主総会できめたり定款できめておるものを否認しておいて、そしておれのほうにはちゃんとものさしを持っておって、みなばっさばっさと切っておいて、そして統制はしておらぬなどと言って、それはまことに独善的なお答えですよ。そうじゃなかったら、株主総会できめたり定款できめられておったらそれを尊重されるというなら、それは話はまた別になってくると思うのです。そうじゃなくて、そういうものは一切、自分のものさし以外のものは否認するんでしょう。認めるわけじゃないでしょう。それで統制じゃないというのはどういうことなんです。
  46. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 定款とか株主総会できめられている役員の報酬額というものは、十分尊重するのであります。ただ、尊重するのでありますけれども、その株主総会のぐあいによっては、同族株主だけできめるということによって、他の法人と比べて著しく多額な報酬をきめるようなことがあり得る。そういった場合に、たとえ株主総会できめた役員報酬でありましても、他のものと比べて著しく多額であれば、これを損金に入れないことがあると申し上げただけで、そんなに何もかにもばっさりばっさり切るということを申し上げたのではございません。原則として、定款、株主総会できめた役員の報酬額は尊重いたします。ただ、その範囲内であっても、他の同種法人と比べて著しく多額であれば、損金に認めないことがある、こういうだけでございます。
  47. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 くどいようですが、あなたが言うその著しくというのは、一体何分の一くらいを言うのですか。あなたが言う常識的に著しいとは、一体どのくらいをさしているのですか。
  48. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは場合場合によることでございまして、著しいというのはどの程度かということは、その具体的な事例でないとなかなか申し上げかねますけれども、一割以内の相違というようなことは、こんなものを著しいということはだれも考えないと思うのであります。したがって、やはり相当の差があるということが基準であろうと思います。その基準が、それじゃ二割か三割かというようなことになりますと、これは具体的なケースによって、その金額がどういう程度であり、その役員がどういう仕事をしているか、こういったことと関連いたしますので、必ずしも何割だということは申し上げかねますけれども、そんな小さな差はさして問題にはしない、こういうことでございます。
  49. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなた、一割はという話だが、二十万と二十二万はいい、二十三万の一万は切るということになる。だから、そんな不明確なことで、税務署の特権意識というものがそういうことで振り回されることになるんですよ。ですから、ぼくは、あなたのほうのいまの態度というのはわからぬわけでもないですけれども、何しろこれではたいへんなことですよ。出先も特権意識を振り回されることになるのです。私は、十分研究されて、少なくとも、そうなると統制かもしれないが、片一方でいうと、一応税務署で認められる範囲というのはこれくらいのものだということを出しておれば、現に株主総会なりあるいは報酬限度額を定款できめられているその額よりも相当上回ったものの中で、これくらいのものは認めますよと。しかし、それは利益はどういうような場合とかなんとかいう条件がつくだろうと思う。そういうものが、公表というか、ある程度そこの税理士会なら税理士会という、納税者の側の相談する人も片一方ではいるわけですから、そういうようなところの意見等を聞いておやりになったほうがいいと思いますが、そういうような点は全然考えておみえになりませんか。
  50. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) この役員の報酬の額というものは、やはりその企業の成績その他にも関係するわけでございまして、一がいに社長は幾ら、専務は幾らということをきめることは、なかなかできにくいことだと私は思うのでございます。したがって、まず企業として、自分のところの営業成績から見れば、社長は幾ら、専務は幾ら、常務は幾ら、普通の平取締役は幾らというようなことをおきめになるべきものと思います。したがって、税務署のほうでそういった基準をつくって、その基準を公表しようということは考えておりません。
  51. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 税理士会と相談することはどう考えておられますか。
  52. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これはいままでこの規定ができましてから——これは昭和三十四年にこの規定が設けられたのでありまして、もちろんそれ以前からそういったケースについて税務署が否認するということはございましたけれども、その当時は政令の根拠がございませんでしたので、三十四年に政令の根拠を設けて取り扱いをはっきりしたということでございまして、それ以来、今日までの間におおむね世間相場というものがだんだんできてきておると思います。その過程におきましては、あるいは管内の税理士会のほうに相談したことがあるかもしれませんけれども、もういまではそういったものがある程度でき上がっておりますので、新しくここで税理士会に諮問しなきゃならぬというほどには思っておりません。しかし、これは国税庁のことでございますので、国税庁のほうで御検討をお願いいただくことになるかもしれません。
  53. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは泉さんに何ぼ私のほうから意見めいたことを言っても、あなたのほうは一歩も前進せぬようでございますから、最後には国税庁のほうのことだと、こういうことになってくると思いますけれども、とにかく私としては非常にあやふやな気がするので、せっかく政令でいろんなことを定められるとするなら、だれが見てもおよそ見当がつくような政令であってほしいと思うのです。  それと関連して、百三十二条へ行きまして、行為または計算の否認があるわけなんです。税務署長がそれをやれるわけなんです。ですから、これとこのいま言うものとの関係はどういうことになりますか。
  54. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) この百三十二条の規定は、現在法人税法の三十条の規定に該当するわけでございます。これは同族会社でございますと、御承知のとおり、会社というものと同族株主との間が必ずしも別人格と——本来は別人格のはずでございますけれども、必ずしも別人格的に扱われないで、したがって、同族会社の経理内容によっては、それによって同族会社である法人自身の負担も軽くなるし、あるいはその同族株主である株主の負担も軽くなるというようなことをいろんな形でなし得るわけでありまして、そこで、そういった場合におきましては、同族会社とあるいは同族株主との間でいろんな取引関係などがあった場合におきまして、そういうことは税務行政の上では否認して、税務署長の調査したところによって課税を行なうということがこの規定でございまして、いまの役員の不相当に高額と認められる報酬を損金に認めないというのは、必ずしも同族会社だけでなしに、一般の非同族の会社にも適用されるわけであります。したがって、この三十四条と百三十二条とは適用範囲が違ってまいるわけでございます。
  55. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そこで、この百三十二条の関係があって、そして三十四条あるいは三十五条、三十六条は同族会社のものにまで適用されるわけですが、問題は、たとえば大資本ですね、大企業でいわゆる非同族のものですね、そういうものについていままで役員報酬の否認をされた、あるいは退職金を否認せられた例がありますか、非同族の場合。
  56. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) ちょっと国税庁のほうでないと……。
  57. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 わからない……。まあ確かにそれは国税庁でなければわからぬとおっしゃれば、私の承知しておる範囲では、非同族の大企業なんかでいえば、決算書を見ましても一人当たり何千万ともらわれるような退職金が計上されておるわけなんです。ところが、こういうものが否認されていないと思うのです。否認されるのはやはり同族会社なんですね。ですから、あなたはなるほど三十四条なり三十五条なり三十六条のものは非同族のものにも適用するとおっしゃる。まあ法律のたてまえはそうかもしれない。しかし、結果的に、なっているのは同族会社になっていると思うのです。  こういうふうにまあいろいろなことをやっておみえになるけれども、結局いじめられるのはいわゆる弱い者がいじめられている結果になっていやしないか。あなたのほうが立法されるときに、こういうことをせっかく立法されたんだから、それは国税庁のやることで私は知らぬという、そういう態度じゃなくて、一体それじゃ非同族にいままで一体どのくらいおれは損金不算入をやってきたんだということくらい検討してやっておられなければ、責任を果たしたとは言えぬじゃないですか。
  58. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) おことばではございますが、まあこれは従来の制度をそのまま直して法律に取り入れているだけのものでございまして、今度特に変更したというものでございませんので、そういった国税庁がいままでどういう事例があるかまで私のほうで調べておりませんけれども、まあ私のほうと国税庁はどうしても分業関係になりますので、全部のことを私のほうでというわけにどうもまいりかねるのでございます。お話のように、まあこういう規定はえてして、大企業の場合でございますと、その職務に対する評価というのがなかなかむずかしい。中小企業の場合でありますとわりあい職務の評価が楽だというようなことからいたしまして、大企業と中小企業との間にあるいは不権衡があるというような事例があるかもしれません。しかし、そういったことは、それは本来この規定を設ける趣旨からいえば好ましくないわけでございまして、大企業であると中小企業であるとを問わず、やはりこの規定趣旨どおり不相当なものは損金に入れない、相当なものは損金に入れる、これがまあ税務の態度であるべきだ、こう思っております。
  59. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 ちょっと、配当所得に関して聞きたいのですけれども、確定申告を要しない限度を五万円に設けたという根拠ですね。
  60. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) この点は、昨日申し上げましたように、従来支払い調書は年三万円まで、半期一万五千円までは支払い調書の提出を要しないということになっております。そこで、従来でございますと支払い調書が提出されませんので、納税者の方が申告をされるときに、そういった年三万円以下、半期一万五千円以下の配当を申告されない場合には、税務署のほうで追及しようとするにしても資料がございませんので、追及ができにくいということになっておったわけでございます。ところが、それでは三万円あるいは半期一万五千円以下の配当を正直に申告される方はそのまま納めなきゃならぬし、それからまた、語弊があるかもしれませんけれども、そういうことを知って三万円以下のものは落として申告しておったという場合には追及されない。こういうことでは不公平ではないかということからいたしまして、税制調査会の答申では、いまの年三万円、半期一万五千円以下のものは確定申告を要しないようにということを法律規定する、こういうことであったわけでございます。ところが、税制調査会の答申が出ました後、政府案を作成する段階におきまして、その三万円というのを五万円に引き上げられたのでございます。  なお、片一方から申し上げますと、配当の場合におきまして、今度源泉徴収税率を一〇%に引き上げますと、源泉徴収税率の一〇%とそれから配当控除の一五%、合わせて二五%が配当について課税されることになるわけです。確定申告をしなくてもそれだけの課税はあるわけです。ところで、上積みの税率二五%と申し上げますと、昨日も申し上げましたように、課税所得で八十万ないし百二十万、これが上積み税率が二五%の階層でございます。これに基礎控除、扶養控除配偶者控除というものを加えますと、夫婦子三人の場合で申し上げますと、百二十万に五十四万加えました百七十四万くらいまでは確定申告をしなくても、その人の配当に対する課税はそれ以下になる。もし確定申告をしないことによって得する人があるとすればそれ以上の所得の人だと。納税者の数から見ますと、所得百五十万以下の人が納税者の九割四分くらいを占めておりまして、したがって、そういう人にはそれで済むということならば確定申告を要しないということにしたほうがいいではないかということになったわけでございます。ただ、その結果としては、その所得をこえる人は著しく得をする、これは出てくることでございまして、その点では、税の負担の公平という点からいえば問題があるということは承知いたしております。
  61. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 すっかり、何か知らぬけれども、答弁してしまったような感じがするのですけれども、そこまでいかないで、たとえば税調では三万円、政府案では五万円と、つまり税調の三万円を五万円に二万円引き上げたその根拠がわからないのです、あなたの説明では。あなた、ずいぶん、何というか、結論まで話をしたという感じがしますけれども、それがわからないのですよ。何か、そうしないとつり合いがとれないというような他の面、何か五万円にしなければつり合いがとれないというような、あるいはまた政府のほうから見て、これこれでなければならないといったような積極的な意義とか、こうすれば確定申告をしなくてもたとえば株の行くえは十分捕捉できるとか、何らかのあれがなければ、税調三万円の答申に対して二万円上積みして五万円にしたという根拠というのは非常に弱いんじゃないかという気がするのですよ。その辺のところを明らかにしていただきたい。
  62. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 三万円を五万円に引き上げた積極的根拠というのは、ただいま、はっきり申し上げまして、あまりございません。ただ、私どもは、この五万円をこえるということになるとえらく困るということで、それを食いとめるほうにつとめたのでございまして、三万円を五万円に引き上げることは、そういう意味で、証券市場の育成とか資本市場の強化、こういう点から抽象的な論拠はございますけれども、具体的に五万円でなきゃいけないというような論拠は別段ございません。そういう点からいえば、その金額が多ければ多いほど、そういう配当所得を持っておる人が有利になって証券市場が栄えるということかもしれませんけれども、私どもとしては、それを多くするということは、税負担の公平という点から見て、多額の所得者だけが有利になるのだから、好ましくないと思うので、できる限りその範囲を広げないということで、ようやく五万円ということで食いとめ得たと、こういうのでございます。
  63. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 いまの説明を聞いてみて、五万円で食いとめたという答弁ですけれども、全く何らの積極的な意味もなく、これ以上の何といいますか、もっと配当所得に対する特別な優遇が多くならないように、五万円で食いとめるのが精一ぱいであったといういまのお話ですけれども、普通の場合には考えられない操作なんですね。どうしてそういうことが出てくるのか。あなたがそこでそういうようにおっしゃるのは、ずいぶんそれは正直な一つ説明だろうと思いますけれども、かりに税調の答申のままの三万円で押えていったとしても、別にそれにもし積極的な理由がないとすれば、それでもよかったのではないか、税調の三万円で押えても。それを何か五万円で押し切られて、五万円がいわば防波堤だというような形でずるずるっときてしまって、何らの理由がないのだけれども、とにかく五万円で押えようということで、ここで必死の抵抗をしたので、やっと五万円にとどまったのだという印象を受けるような答弁ですが、そういうふうに理解していいんですか、これは。
  64. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 何らの根拠がないということはもちろんないわけでございまして、この金額が上がればそれだけ株を持っている人は有利になるということで、それによって証券市場がよくなる、こういうことだと思うのでございます。しかしながら、繰り返して申し上げておりますように、所得の小さい人は現在の配当控除ということで非常に有利になっておるわけでございますので、この金額を上げるということは、比較的所得の多い人に有利になる。そこがやはり税制としては問題でございます。お話のように、税制調査会の答申である三万円でも相当有利になるのでございますから、ことに多数の銘柄の株をその限度内で持てば、二十社の株を持とうとも三十社の株を持とうともそいうことになるわけでございますから、相当有利なことになるわけでございます。したがって、ほんとうをいえば、税制調査会の答申どおりでも相当証券界には有利なことになると私は思いますけれども、しかし、証券市場の育成強化というかけ声から出てくる要請のほうが強うございまして、そういう税制調査会の答申どおりにとどめるということができなかったわけでございます。
  65. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 所得税の弾性値の問題ですがね、普通国民所得の伸びの割合に税収の伸びは一・五であると、こういうふうに統計上出ておりますが、この中で所得税だけであればどのくらいになるのか、それとまた法人税だけであれば税収の伸びの弾性値というものはどのくらいになるのか、その点についてちょっとお聞かせを願いたい。
  66. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 税収の弾性値と申しますのは、もう年によって非常に違うのでございます。ことに景気が悪いときと景気の様子がいいときとで、非常に違っております。そこで、一がいに申し上げかねますので、昭和二十八年から昭和三十八年まで、いままで実績はわかっておりますが、その実績で申し上げますと、全体でお話のように税収の弾性値は一・五。正確にいうと一・四九幾らになるのでございますが、一・五になるわけでございます。所得税だけについて申し上げますと、所得税の弾性値はこの二十八年から三十八年の平均では二・二六になっております。それから、法人税は一・四六、消費税が〇・九八と、こういうことで、税によってだいぶ弾性値が違いますが、まあ何と申しましても所得税が一番弾性値が高いわけであります。
  67. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、弾性値から見ましても、所得税の伸びというものは国民所得の伸びよりか二・二六倍になっている、こういうことですがね。いつも言われておることでありますけれども、今回の税調の答申におきましては税率の改正があったわけですが、政府のほうはそれはやめて控除だけの引き上げと、こういうことになったのですがね、それはどういうわけでそうなったのか。どうしても税率を下げていかなければだんだん税の負担が重くなるのは当然でありますから、われわれとして当然税率を下げていくべきである、こう思っておるわけです。その点についてちょっと。
  68. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話のように、四十年度の税制改正に関する税制調査会の答申におきましては、税率の緩和ということが一つ所得税改正の大きなポイントになっておったわけであります。ところで、政府案におきまして税率改正の行なわれていない理由でございますが、税制調査会の答申が行なわれましたあと、与党である自由民主党の税制調査会でこれについていろいろ審議が行なわれ、そのあげく政府案が固まっていったわけであります。その過程におきまして、いろいろ問題が出ました中に、まあ税率についての問題は二つあるわけであります。  一つは、税率緩和ということは、どちらかというと、いわゆる中堅所得層の負担軽減になる。ところが、所得税の負担軽減でいいますと、いま最も必要なのは何かという点で、そういった中堅所得層の負担軽減も必要かもしれませんけれども、何といっても課税最低限を引き上げて低額な所得者の負担を軽減する必要がありはしないか、こういうことから、この際は税率改正に重点を置くよりも課税最低限の引き上げに重点を置くべきだ、こういう議論が出てきたわけであります。  それと同時に、昨日も申し上げたかと思いますが、実は税制調査会の税率緩和の内容は、課税所得三百万円以下の税率を緩和することによりまして、平年度四百六十億円の減収になる。しかし、最低税率の八%を一〇%に引き上げることによって四百億円の増収をはかって、差し引き平年度六十億の減収になるような案になっておったわけであります。ところが、そういうことをいたしますと、従来八%の税率適用を受けておった人が一〇%の税率適用を受けることになりまして、負担のふえる面があるが、その負担のふえる面を、基礎控除二万円上げることによって負担がふえないようにということをいたしておるのが税制調査会の案であったわけでありますが、しかし、給与所得者の場合は、基礎控除以外に給与所得控除引き上げがありますので、問題はないのでありますが、そういった基礎控除だけの適用しかない、つまり独身の事業所得者、これは数はわずかなんでありますが、その人たちは税制調査会の改正によりましては、たとえば所得三十万円くらいのところでは全然負担の軽減にならない。そういう階層が出てまいることになっておったのであります。しかし、全部の人が所得税の負担の軽減を受ける際に、たとえわずかでも全然負担の軽減を受けないような人が生ずるのは適当でないではないか。  そういうことからいたしまして、最低税率の引き上げは好ましくない。さりとて最低税率の引き上げをしないで税率の緩和をやるということになりますと、四百億の減税財源がさらに要るということになりまして、まあそれはなかなか実行できないということで、この際は課税最低限の引き上げに重点を置いて、税率改正はこの次までということで延ばすということになったわけであります。しかしながら、いまお話しのように、中堅所得者の負担というのは、この最近の所得税の減税は課税最低限の引き上げに重点を置いて行なわれまして、昭和三十二年以来税率の改正が実質的に行なわれておりません。もうそろそろ税率の改正をやらないといけないという気持ちを強く持っているのでございます。大蔵大臣も、かつてこの国会におかれまして、この次の所得税の減税を行なう場合には税率の緩和をぜひ行ないたい、こういうことを言っておられますが、私どももそういった御趣旨を体して努力いたしたいと思います。ただ、その際には、いま申し上げましたような点からいたしまして、最低税率を引き上げることはなかなか問題がありますので、そういたしますと、最低税率を引き上げないで税率の緩和を四百六十億円できるかということになると、これはなかなかほかの減税との間で問題がございます。あるいは三百万円までは調整できないかもしれません。しかし、できるだけ税率の緩和をはかるように努力いたしたい、このように考えておるのでございます。
  69. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでですね、やはり弾性値が二・二六になっているのですからね、これはもう所得税が高いということははっきりしておるわけです。  それは別としまして、この課税最低限が、夫婦子供三人の標準家族の場合の給与所得者で四十八万円から五十六万円になったわけですね。この場合に、税額としてはどのくらいの減収になるのですか。——ああそうですか。はいわかりました。  それで、もう一つ、この例の衆議院で問題になりましたね、配当所得の源泉選択によりまして、百八十一万までは配当所得のみで生活をしている人は無税になるということが問題になったわけですが、この計算の方法はどういうぐあいになっているのですか。
  70. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは今度の配当所得に対する優遇によってそうなったというのではなしに、シャウプ勧告に基づきまして配当に対して配当控除を認める、こういうことからいたしますと、配当所得だけの人でありますと、配当控除を一五%認められることになるわけでございます。ところが、配当を受け取る前に、今度の改正によれば一〇%、いままでは五%でございますが、源泉徴収をされておるわけです。そこで、源泉徴収されておる税額を配当控除によって消してしまうということができる階層はどこかというのをこう調べていきますと、いまの夫婦子供三人のところでは百八十一万円になるということでございます。  これは平たく申し上げますと、この配当所得百八十一万円につきましては、源泉徴収税率で十八万何がしの所得税の源泉徴収が行なわれるわけでございます。その十八万何がしの所得税を配当控除一五%でどこまで消せるかということで計算いたしますと、そういうことが出てくるわけでございます。これは百八十一万円というものはもちろん先にきまるわけではございませんで、ある階層を選んで、そこから何と申しますか、トライアル・アンド・エラーで、こうやったらどうなる、こうやったらどうなるという計算をだんだん詰めていって、その金額が限度として計算できてくるのでございます。その計算は実際やっかいなので、あるいは私の説明でおわかりにくいかもしれませんが、もし何でしたら、ここに表がございますので、あとで……。
  71. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 主税局長ね、つまり標準家族で百万円免税の場合どれくらいの減税になるかということをきのう申し上げましたが、それはできましたか。これは私語の形になってはぐあいが悪いのですよ。きのうあなたは必ず出しますということでしたが、算定をいたしますと、いますぐはできないけれどもということで言っておりますから……。この法律案が通ってしまうと、あとは知らぬ半兵衛では困る。必ず出してください。
  72. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話のように、標準世帯の課税最低限を百万円とした場合に所得税の減収額はどの程度になるか、これも計算いたします。ただ、その場合前提になりますのは、基礎控除を幾らにし、配偶者控除を幾らにし、扶養控除を幾らにし、給与所得控除を幾らにするか、この前提がきまりませんと、その前提の置き方次第によってかなり計算が違ってまいるわけでございます。まあしかし、百万円ということになりますとかなり大きな金額になりますので、これらの諸控除については、従来のバランスを考えた前提で計算してよろしければ、それで計算をいたします。
  73. 西田信一

    委員長西田信一君) 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案は、先刻衆議院から送付せられ、本委員会に付託せられましたので、この際、本案もあわせて議題といたします。
  74. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 国税庁の方にお尋ねするわけですが、先ほど、役員の報酬、あるいは退職金、そういう問題について、非同族会社でいままで否認になった例があるのかないのか。
  75. 喜田村健三

    説明員喜田村健三君) 先ほど泉局長からもお答え申し上げたかと思いますが、過大な役員報酬をどうやって否認するかという基準は、法人税法施行規則にございますが、いろいろな特に他の同業種の類似法人と比べて多い場合には否認すると、こういう規定になっておるのでありますが、そういう場合に、非同族会社の場合、大体内部の組織もしっかりしておりますし、他の同業種の類似した法人と比べて不相当な過大な報酬を出すということが、内部の報酬の決定のやり方といたしましても、株主総会にかけるといったような手続を経ますので、そう不相当な報酬を出すという例は少ないだろうと思います。したがいまして、ちょっと実例を調べておりませんが、ほとんど大きな会社で、この規定によりまして報酬を否認したという例はないだろうと思います。
  76. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私もその全部を調べておるわけじゃございませんけれども、会社の収支決算等ありますですね、そうしますと、役員の報酬あるいは退職金の引き当て金というのはばく大なものである。新聞等の報ずるところによりますと、だれだれさんは退職金で数千万円のお金をもらったということまで新聞が報じておるわけです。あなたのほうで、いままで最高に退職金をもらったという人の例を御存じになっておりますか。あるいはいわゆる大会社の重役と称せられる人は、何百万くらい取っておりますか。たとえば藤山さんが一億ですか、退職金をもらったというようなことが出ておりましたね。ですから、そういうようなことを御存じで調査されておりますか。全然資料はございませんですか、最高はどれくらいかということ。
  77. 喜田村健三

    説明員喜田村健三君) こちらで調べておりませんので、あるいは特定の人を選びまして、数人に当たってみればわかるかと思いますが、現在のところこちらとしては調べておりませんし、資料も手持ちしておりません。
  78. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなた、過大な役員の報酬だとか、あるいは過大な役員退職のものは損金不算入にするという法律を出しているのですよ。で、非同族の場合でもこれは対象にするということなんですよ、簡単にいえば。ところが、いままでやったことはありませんと。ところが、どのくらいそれじゃ最高のものはもらったんだと言うと、何にも知りませんと言う。こんな無責任なことでいいですか。それほど国税庁というものはゆったりしたところかね。中小企業のほうはきゅうきゅういっておるが。
  79. 喜田村健三

    説明員喜田村健三君) 最近は特に中小企業でもこれによりまして否認するという例は割合に少なくなっておりますが、ただ、たとえば妻が全然働いていないと、しかるに役員という名前で押し出しておると、こういうようなときには否認しておりますが、ただ金額が非常に高いということで否認する例はそれほど多くないだろうと思います。
  80. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いや、私が尋ねておるのはそういうことじゃなくて、あなたに、最高の退職金をもらった人はどのくらいか御存じですか、最高のいま報酬をもらっておる人は非同族会社でどのくらいですかと聞けば、何にも知りませんと、こうおっしゃっておる。ひどい国税庁だと思うのですよ。だから、そういうことについて私はある程度あなたのほうに資料がなけりゃならぬと思うのです。今度は非同族会社でも損金に不算入すると、こういっておるのですよ。  それから、先ほども泉局長のほうから御答弁願ったわけですけれども、一体それではどのくらいが不当でどのくらいが適当かということについて、あなたのほうは基準がありますかと、こう言ったら、いろいろやってきたと、こういう答えだった。どうやら局単位にしたものがあるようです。しかし、それは非公開のものです。税務職員がものさしに持っておって、そうしてあなたのところは高過ぎますよといって否認するわけですよ。そういうものが異議申請や協議団に持ち込まれた例はない。あなたはそんなこと持ち込んで負けたことはないと、否認したことないと言う。その前に、皆切られて泣き寝入りしておるのですよ。ですから、そういうことじゃなくて、もう少しよりどころがあるならば、私は少なくともこういうものはおよそこのくらいのものですよという内示があってもいいじゃないだろうか、公に示されておってもいいじゃないだろうか、こう言った。そうしたら、泉さんは、それは報酬は、そういうことは統制するから、そういうものはないほうがいいと、こう言う。ところが、裏を返せば、株主総会の決定も無視する、あるいは定款で限度がきめられておってもそういうものも無視して、やっぱりものさしを持っておって、高いやつは切って捨てちゃう。損金に不算入でやっていくと。それほど権限を持っておる人なら、何かこうものさしがあるなら、それは内示ということをやって、いろいろ税理士会というものもあるわけですから、このおよその規模のものについてはこのくらいが妥当ではないかというものさしくらいは私は税理士会等へでも内示されて、そこで、税務行政はいろいろな問題や定款等、あるいは株主総会のいろいろなことについては相談に乗っておられるわけですから、そういうような人たちが承知し、あるいはそういう人たちの意見も聞いてやっていったほうがスムーズにいくのじゃないだろうか、こういうような話も申し上げたんですよ。ところが、いやいや、もう税理士会とも相談する必要ないのだ、そういうようなことは前に局長があげてやっておったんだから、もうこのごろでは相場ができておるのだから、まことにうまくいっておるというようなお話なんです。ですから、もう少し徴税をやられる側としては、公平な、少なくとも税務職員の主観的なものさしできまるようなことがあってはこれはたいへんなんですから、そういうようにいかずに、税が公平に、徴税行為が公平に行なわれるようにお考えになっておるだろうと思うから、そこら辺のところはどうなっておるんですか。
  81. 喜田村健三

    説明員喜田村健三君) おっしゃるとおり、役員報酬をどういう基準で否認するかということにつきまして、基準ができれば一番いい。それが一番公平にいくわけでございますが、法律、規則の規定にもございますように、各役員の職務の内容であるとか、法人の収益とか、使用人に対する給料の支給の状況であるとか、あるいは経験年数であるとか、業種だとか規模とか、いろいろの事情によってそれぞれ、適当な額というのは個々の法人によってそれぞれ違ってくるものでございますので、本来から申しますと、いまおっしゃったように、基準をつくる、それを内示して指導していくというのが一番いいのでございますが、なかなかそうした基準がつくれないということのために、現在一応各税務官吏の認定と。同業種、こうした基準をもとといたしまして、他の法人と比べた上で大体適当と思われる金額について認めておると、こういう実情になっておるんでございまして、ただ、その場合、あまりまちまちになるといかぬというので、さっき局長がお答えいたしましたように、国で若干権衡をとってながめてみるということはございますが、それが基準になって各担当官を縛っているということじゃございません。あまりまちまちにならないようなつり合いを見ているということは、あるいは各局で適宜やっているかと思いますが、それに基づいて基準ができ上がっている、こういうふうにはなってございません。
  82. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私もくどくど申し上げるのもいかがかと思いますが、少なくとも、あんたいま言った基準がつくれぬ、ものさしがないということです。それならなおおかしなことになっちゃうんですよ。ほんとに税務官吏の出先の主観的なことでみんなやられちゃうんです。そういうかってなことでは困ると思うんですよ。だから、あなたのほうではそういうことが行なわれぬように、公平に徴税が行なわれるように、しかも否認されるのは——否認というか、この法律の対象になるのは、非同族会社というのは対象にならぬですよ。同族会社になっちゃっておるんですよ、実際は。いや、そうじゃなくて、非同族会社でもあるというなら、その否認された例を聞きたい。しかも、最高このくらいあるけれども、それですら認めておりますが、そういう例はあるということがあったら、例を聞きたい。その例をおっしゃらない。ですから、とにかく何としても、もう少し国税庁のほうとしては、税を公平にやるという立場から、その調整をどういうふうにしておるかというものさしを示してもらわなければ、あなた何と言ったって、どう聞いてみても私は納得はできぬ。
  83. 喜田村健三

    説明員喜田村健三君) 先ほど申し上げましたように、事柄の性格上いろいろな要素を総合してきめなければならないために、基準というものが非常にできにくい性質のものであるということでございまして、いまのところ、先ほどお答えいたしましたように、基準に基づいて一律的にきめるという、否認するあるいは是認するというようなことはやっておりませんが、それぞれ個々の事情に応じて判定いたしております。  ただ、御参考までに申し上げますと、これに基づきまして否認いたしましたもので訴訟になれば、ほとんど全部こちらの認定が認められている、こういう実情になっておるわけでございます。
  84. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう私もこれ以上くどくど申し上げるつもりはございません。したがって、この法律案関係のことは別としまして、後刻資料としてでけっこうでございますから、非同族会社で否認されたとするなら、その否認された事例がほしい。  それから、第二番目は、あなたのほうで知り得ておる最高の退職金はどのくらいもらった人があるか。それから、いま最高どのくらい役員報酬と称せられるものを受け取っておるか、少しランクを出していただきたい。これはできます。
  85. 喜田村健三

    説明員喜田村健三君) 全部について調べて、一番最高というような調べ方はできないかと思いますが、大体見当つけまして、非常に高いのは大体どのくらい出しているだろうくらいの資料でしたら、後刻提出できます。
  86. 西田信一

    委員長西田信一君) 暫時休憩します。    午後四時二十五分休憩      —————・—————    午後四時三十五分開会
  87. 西田信一

    委員長西田信一君) それでは、再開いたします。  それでは、五案につきましては、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。よって、五案の質疑は終了いたしました。     —————————————
  89. 西田信一

    委員長西田信一君) それでは、先刻質疑を終了いたしました物品税法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案の二案を議題とし、順次両案の討論、採決を行ないます。  まず、物品税法の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  90. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 物品税法案につきまして、私は、社会党を代表いたしまして、反対をいたします。  第一の理由は、物品税法というものは戦時立法でございます。昭和十五年に立法されておるわけですが、しかも、これが大衆課税と申しますか、人頭割りの性格を帯びておるものでありまするから、戦後二十年たった今日、物品税法というものはもう一度再検討をされて、奢侈的なものにのみかかるというふうに法体系全部が改正されなければならないときだと思います。そういうものが残っておるという点はおかしなことだと思います。  それから、もう一点は、先ほど触れました大衆課税的なものでございますが、何といっても一番取りやすい税であり、しかもそれが消費者に頭割りにかかるわけですから、たとえばお酒に例をとれば、まあお酒は酒税のほうでございますけれども、酒で例を申し上げますならば、お金のある人が特別にこれを消費するものでもなければ、金のない人が特別に消費を少なくするというものじゃないわけなんです。こういうことで、例が非常に酒税のほうで悪いわけでございますけれども、物品税、大衆課税であり人頭割りの性格を帯びているこういう物品税というものは、もう一度検討し直すべきであるというのが第一の理由でございます。  二つ目は、今回改正を見ますのは小型自動車、あるいはカラーフィルム、カラーテレビ、十七センチレコード盤でございますが、私たちが心配をいたしますのは、実は小型自動車の点でございます。それは不公平だという点を申し上げたいと思います。たとえば十七センチレコード盤は三十七年にすでに自由化になっております。そして暫定税率は一〇%なんです。自由化になって暫定税率一〇%で、しかも三年間きておる。それが今回基本税率を、四十二年を目途にして二〇%に戻るわけでございますが、小型レコードにとられたような措置がなぜ小型自動車にはとられないのか。小型自動車産業というものは戦略産業であり、非常に大切な産業でありますからこそ、自由化が今日どうなるものかといっていろいろと議論をされている。ところが、十七センチレコード盤は、先ほど触れましたように三年前に自由化され、そして外国からの、あるいは第二市場からの輸入というものが全然ないわけなんです。こういうものには、いま申しましたように、自由化後三年間も暫定税率一〇%で据え置いてそうしてやっていこう、また自由化が決定を見ていない自動車産業に向かっては、自由化を前提として、しかも二〇%に、一六、一八と刻んではおりますけれども、そういうかっこうを設けているというような点は、税の公平を欠くものである。税は公平でなければならぬ、こういう立場から反対をいたします。
  91. 西田信一

    委員長西田信一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。物品税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  92. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。次に、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  93. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私は、関税定率法等の一部改正案に反対をいたします。  今回の改正は、現在関税戦争とまでいわれている時期に、わが国産業の自主的、平和的な発展と平和共存政策を貫く関税政策を確立しようとしていません。また、関税における日米間の著しい格差、すなわち、日本に対しては不利でありアメリカに対してはきわめて有利な不平等関税を根本的に是正するという自主的立場は、その片りんさえも見せていません。その反対に、関税という名に隠れて、独占資本擁護の優遇策はきわめて露骨に出ているのであります。たとえば電力鉄鋼会社に対する原重油の特別還付制度であるとか、今回新設される肥料会社に対する暫定関税還付制度などは、その最近における一例であります。  石炭対策費を捻出するために、一昨年原重油の基本税率一〇%を暫定税率一二%に引き上げましたが、電力鉄鋼会社には三十八年度に金額にして約十三億、三十九年度には金額にして約十五億の還付を行ない、一般需要者からは三十八年度に約八十億を増徴し、そのほとんどを石炭対策費の名目で炭鉱独占資本につぎ込んだのであります。また、本年度も九十三億円程度投入しようとしております。これらの事実は全く不当な措置と言うよりほか言いようがありません。なぜ、石炭対策費を捻出するために、石油を使う中小企業や農民、一般市民までが高い関税を負担しなければならないのか、その理由がわからないのであります。しかも、鉄鋼独占と電力独占資本は特別に還付を受けて、むしろもうけてさえいるのであります。こんなばかばかしい話が許されていいものでしょうか。今度の改正案はこの制度をさらに存続させ、既得権化しようとしているのであります。私は、この制度の撤廃と暫定定率の撤廃が正しく行なわれるよう、また石炭対策の問題は別途根本的に考慮すべきであると思います。また、それだけではなく、電力独占はさらに原重油の関税還付のワクの拡大まで要求すると言っております。政府がこのような政策を続ける限り、来年度は還付のワクが広げられ、暫定税率が一そう引き上げられないという保証はありません。  肥料会社に対する暫定還付制度の新設も正しくありません。肥料価格の低下と輸出振興を口実にしていますが、輸出の余力がないというほど堅調を保っている肥料独占体に約一億二千万円を払い戻そうとしているのであります。しかも、これを合理化するために、当局は、肥料会社は累積した赤字を抱え云々と述べております。私企業の過去の赤字を埋めてやるために関税政策が利用されてはたまったものではありません。この事実こそが国家独占資本主義の実体というものであります。  また、給食用脱脂粉乳の転用規定をさらに一年延長しようとしておりまするが、質疑を通じて明らかになりましたように、アメリカから送られてくる脱脂粉乳の一五%が全く食用に供し得ないという事実であります。食えない脱脂粉乳は、全部送り返したらよろしい。日本のなま牛乳を給食用に充てればよいのであります。しかるに、政府は、三十九年に約五万七千トンもの脱脂粉乳を輸入し、八千トン強を飼料に転用しました。昨年転用規定を設けたことによって、約四倍転用量は増大したのであります。これでは、転用という法規定の名による大量不正輸入の黙認といわれてもしかたがありませんではないですか。こうまでしてアメリカの余剰農産物を受け入れなければならないのか。これはまさに国辱でさえあると思います。この際、脱脂粉料の輸入に抜本的な対策を立てるとともに、この転用規定を即刻廃止すべきであります。  以上が本改正案に反対するおもな理由であります。
  94. 西田信一

    委員長西田信一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。関税定率法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案につきまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。     —————————————
  97. 西田信一

    委員長西田信一君) 次に、所得税法案法人税法案租税特別措置法の一部を改正する法律案所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案、以上四案を議題といたします。  委員長の手元に、所得税法案に対する修正案が木村君から提出されております。  この際、木村君提出修正案を議題といたします。まず、趣旨説明を願います。木村委員
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の提案いたしました所得税法案修正は、配偶者控除を基礎控除と同額にするための修正案であります。  修正案を朗読いたします。     所得税法案に対する修正案   所得税法案の一部を次のように修正する。   第七十七条第一項及び第二項中「十二万円」を「十三万円」に改める。   附則第四条の表中「十二万円 十一万七千五百円」を「十三万円 十二万五千円」に改める。  提案理由を説明いたします。  この修正案提案の目的は、税制面から家庭内における妻の座を引き上げようとするものであります。このことは、男女同権を規定している民主憲法の立場から申しましても、また夫の家庭外の労働も妻の家庭内の労働も、家庭への貢献ということから見まして同等であるということからいたしましても、当然の措置であると思います。自民党は昭和三十五年の総選挙にあたり、妻の座を引き上げるためにも基礎控除と配偶者控除を同額にするということを公約いたし、昭和三十六年の税制改正におきまして、従来扶養控除として取り扱われ、常に基礎控除を下回っておりました妻の控除を改め、配偶者控除を初めて新設いたしました。しこうして、配偶者控除と基礎控除と同額の九万円にいたしたのであります。ところが、その後の税制改正におきまして配偶者控除と基礎控除との間に再び格差を生ぜしめ、配偶者控除は基礎控除を下回るに至りました。  そこで、私は、三十九年三月十六日の参議院予算委員会で、配偶者控除と基礎控除とを同額にすべきことを政府に求めましたところ、泉主税局長と田中大蔵大臣は次のように答弁をいたしました。すなわち、泉主税局長は、配偶者控除と基礎控除を同額にするということについては、「理論的には、両者は区別すべきでなく、できるだけ一致することが望ましいということは、お説のとおりと思っております。しかしこれを、さらに配偶者控除を一万円引き上げますには、平年度百億円の減税財源が要るわけでございます。そこで、今回の減税財源が相当大きくて、歳出との関連から、これ以上減税財源をふやすことは困難ということからいたしまして、配偶者控除の引き上げは、今回は五千円引き上げにとどめざるを得なかったのでございます。将来におきましては、衆議院の大蔵委員会で、中山調査会長が言われておりますように、配偶者控除と基礎控除とは同額に持っていくように今後考えていきたいと、かように考えておるのでございます。」、このように泉主税局長は答弁しております。続いて、田中大蔵大臣は次のように答弁しております。「来年度の財源の問題を今日ここで申し上げるわけにはまいりませんが、来年度減税がまたやれるような状態であれば、いまのお説のようなものは優先的に考えるべきだというふうに考えるわけでございます。」、このように政府国会の場で公に約束しているわけであります。  しかるに、四十年度の税制改正におきましては、当然この約束を守って同額にしなければならないのでありまして、私はそれを期待しておったのであります。ところが、四十年度の税制改正では、御承知のとおり、基礎控除は十三万円、配偶者控除は十二万円となり、一万円がた基礎控除を下回るに至っているわけであります。これは明らかに公約違反であります。国会で約束したことを守っておらないのであります。  そこで、私は、去る三月六日の参議院予算委員会で、佐藤総理大臣に対しまして、政府国会で公約したことは責任をもって守るつもりであるかを質問いたしました。これに対して、佐藤総理大臣は次のように答弁しております。「公約した事項——国会において、国会の場で公約した事項、これは忠実に実行する責任が政府にある、かように考えております。ただいままでも、そういうことについては最善の努力を払っておると、かように確信いたしております。」、こう答弁しております。これに関連して、米田勲君がさらに総理の見解をただしたところ、総理は米田君の質問に対して、このように答えております。すなわち「約束事項はこれは誠意をもってそれを処理しないと、これから後の信用にも関する、かように私は思います。それで私は、率直に私の所信を表明いたしたのであります。」、このように、総理大臣は国会で約束したことは責任をもって守るべきであるというふうに答弁しております。田中大蔵大臣はこれに対して、「私は、配偶者控除につきましては、妻の座をより向上せしめるためにやりたいという姿勢でございまして、主税当局にもこの問題に対しては十分考えるようにということでございましたが、税制調査会の答申で、必ずしも妻を同額控除すべきであるというような答申がなかったことと、御承知のように、基礎控除を一万円引き上げるということをいたしましたので、私は、将来こういうものは最重点的に考えなければならないとは考えておりますが、」と述べ、さらに、「やりたい、こういうことでございましたが、約束じゃありません。」、こういうふうに答弁されているのです。しかし、先ほど私が速記録をもとにして申しましたように、来年減税がまたやれるような状態であれば優先的に考えると言われたことは、これは約束でないとどうして言えるでありましょうか。このように、非常に国会で約束したことを守っておらないわけであります。  また、田中大蔵大臣は、税制調査会の答申が必ずしも配偶者控除と基礎控除を同額にする必要がないという答申があったと言われますが、前回の税制調査会では、すなわち中山伊知郎氏が会長であったときの税制調査会では、同額にすべきであるという答申であります。ところが、今回の答申は必ずしも同額にしなくてもよろしいとあるので、そこで税制調査会の答申は尊重して同額にしなかったと言われますが、そんなに税制調査会の答申を尊重するならば、税制調査会で配当の分離課税を答申していないのであります。答申していないものに対して政府は分離課税を強行しております。また、税制調査会のわが国の税制の基本的あり方の答申におきまして、利子とかあるいは配当等の一部の高額所得層に対する特別措置は廃止すべきであるという答申があるにかかわらず、廃止するどころか、逆にこれをいままでよりも優遇する措置を講じておるのであります。したがって、税制調査会の答申があったから増額しなかったということは理由にはならないわけです。政府にその意思があればできるわけです。  大蔵大臣は、一万円配偶者控除を引き上げると約百億くらいの予算が必要であるから、できないと言われるかもしれません。しかし、四十年度の予算は予備費五百億ございまして、前年度よりも予備費が二百億多いのであります。ですから、やろうという意思があるなら、国会で約束したことをほんとうに守ろうとするならば、百億の財源がないことはないのであります。また、前に約束しておるのでありますから、税制調査会の答申どおりに税制改正をやりますならば、政府案よりは初年度四百億、平年度六百億も財源が浮いてくるのであります。したがって、どういう面から見ましても——これは自民党が昭和三十五年に公約してあるのです。また、税制調査会の答申もあるのです。また、大蔵大臣も約束されたのです。それにもかかわらずこれが実現されないということは、私は非常に遺憾でございます。  それで、福沢諭吉先生は、正しいことは何回でも繰り返してこれが実現されるまでは主張すべきであると言われましたが、私も絶対に私のこの主張は正しいと。妻の座を引き上げ、基礎控除と配偶者控除を同じにする。妻の控除を扶養控除から配偶者控除というものに改めたのじゃありませんか。これに対して政府は誠意をもってこれを処理をしなかったことに対して、非常に私は遺憾の意を表する次第であります。  この修正案にもし反対される方がありますならば、それは婦人の権利の伸長、妻の座を引き上げることに反対であるというふうに解されるわけでありまして、どうか私の修正案に対しまして皆さま方の満場の御賛同をいただきまして、可決せられんことを希望する次第であります。
  99. 西田信一

    委員長西田信一君) 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。  なお、本修正案は予算を伴うものでありますので、国会法五十七条の三により内閣に対し意見を述べる機会を与えなければなりません。よって、内閣から意見を聴取いたします。田中大蔵大臣。
  100. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 所得税法案に対する修正案についての、国会法五十七条の三による内閣の意見を申し上げます。  この修正案は、平年度において約百億円の歳入減となる見込みである。現時点におきましては、財政上適当でないと考えます。
  101. 西田信一

    委員長西田信一君) 別に御発言もないようですから、これより四案並びに修正案の一括討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  102. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました租税関連四法に対して反対、またわが党の木村議員の修正案に対しまして賛成の討論をいたしたいと思います。  今日、減税を要求する国民の声はちまたに満ち満ちております。特に、物価上昇の中で、勤労者所得に実質的に重い税金が課され、資産と所得の格差はますます拡大しているのであります。さらに、大企業や資産所得に対しては不当な優遇措置がとられているのにもかかわらず、勤労所得には重い税金が押しつけられ、そのため税負担の不均衡、不公平、大衆負担の増加が著しくなっているのであります。また、権力をかさに着て、弱い者いじめの徴税がますます強化されているように感じざるを得ないのであります。この要因を求めなければ、政府がどのように申しましても、問題の前進にも解決にもならないと考えます。そこで、今度の政府改正案を見まして感じますことは、この国民の要求を踏みにじり、大資本優先の減税を推し進めようとしておるという感がまことに深いのであります。  そこで、反対の第一の理由を申し上げますと、その第一点は、経済の高度成長に伴って生じたいわゆるひずみ是正に真正面から取り組まねばならないのにもかかわらず、かえってひずみを拡大し、さらには税体系そのものをも破壊しようという方向をとっておるのではないかという点であります。それは今回の改正案が、国民の減税要求を忘れて、税制調査会の答申をすらねじ曲げ、むしろ正反対の方向をとろうとしておることであります。税制調査会の答申は、少なくとも所得税減税を中心とした減税の方向を指摘しているのであります。確かに減税規模は初年度八百十八億円と、自然増収の二〇%の減税の線を踏襲しているようではありまするけれども、実質におきましては、所得税の基礎控除は税調答申より一万円引き下げ配偶者控除振りかえ、中低所得者の層に対する税率緩和の削除を行ない、他方、法人税におきましては税率の引き下げをあえてし、さらには、租税特別措置のうち期限切れとなりました部分につきまして全面的にこれを延長拡大をして、配当源泉選択制度の採用により、事実上の分離課税化を認めてしまっているのであります。特に、物価高の中で、名目所得が一割ふえたといたしましても、税額もまたふえてくるのが実態であります。さらに、消費者にとりましては、物価の値上げあるいは財政法の基本原則であります減債基金制度の改悪など、ひずみの是正どころか、ますますひずみの拡大の方向が増すと、拡大するとわれわれは判断をいたします。  そこで、問題となりますのは、きのうから泉局長を中心といたしまして議論になっております課税最低限の問題であります。大蔵省の発表を見ますと、生計費は課税はすべからずという税制上の大原則についてでありまするけれども、大蔵省の発表によりまする基準生計費は、成年男子一人当たり一日百六十七円という、まことに非現実性をこえて、全く国民の生活実態や今日の消費構造を反映していないところ数字を示しておるのであります。しかも、こういうふうな数字の上に基づいて出しております生計費にまで、そういう生計費にまで課税をされているという実情では、この改正案はまことに苛酷なる改正案と言わなければならぬと存じます。  反対の第二の理由は、これまでの政府の減税政策は常に所得減税が企業減税、資本減税に押しまくられて、今回の改正も同じようにこの傾向を決定的なものにしているという点であります。  もう一つの問題は、租税特別措置の拡充強化の点であります。大企業ないし資産所得優遇の租税特別措置は、これまでもその整理改廃が何回となく論議されてまいりました。特に税制調査会の答申は、利子、配当課税の特別措置は直ちに廃止すべきであるとして、具体的にその例を示しているのであります。しかるに、政府は、税制調査会の答申にすら盛り込まれております租税特別措置の整理を全般的に縮小し、利子、配当の源泉徴収の税率を五%引き上げたのと引きかえに、利子の分離課税を延長しただけではなく、いわゆる配当について源泉選択制度を採用し、一五%の税率によります事実上の分離課税を推進しようとしているのであります。さらに、一銘柄につき年間五万円までの確定申告不要制度の創設をあえてしようとしているのであります。これらの配当所得者はきわめて限られた一部所得者にすぎないのでありまして、正に高額所得者に偏したかの感を私たちは深くせざるを得ません。したがって、勤労者の立場から言いますならば、まことに片手落ちの措置と言わなければならぬのであります。  反対の第三の理由は、今回の整備関係法規において、税法制定の原則でありまするところのおびただしい政令委任事項をなるべく少なくするということであるはずでありますけれども、今回の税制改正ではたくさんの場所において税額の算定における決定的な役割りを果たすべき重要事項がほとんど見られないのでありまして、それらはほとんど納税者を大蔵官僚の意思によって、その判断によって決定をしようとする傾向がその答弁においても見られるのであります。このような権力者側からの簡素化に終始して、納税者の立場というもの、納税者の権利というものがきわめて低い位置に放置されているというところに問題点があると私たちは思うのであります。  こういう意味におきまして、今回の四法案に対する反対を私たちは強く主張いたし、政府の猛省を促したいと考えております。そういう立場でわが党は、この四法案に対して反対の意見を表明いたします。  同時に、先ほど木村委員から御指摘がございましたように、この立場を踏まえながら、この際正に最低限度の修正を要求いたしたと私たちは考えますが、配偶者控除を基礎控除と同じようにする、引き上げるということにつきまして、私たちは賛成をいたしたいと存じます。  以上をもちまして、四法案に対しまして政府案に反対をし、木村委員提出修正案に賛成の意見を終わります。
  103. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております所得税修正案については反対、四案の原案につきましては賛成の意を表するものであります。  いわゆる租税三法の改正は、昭和四十年度税制改正の中核として、中小所得者を中心とする所得税の負担軽減及び企業の体質改善、国際競争力の強化に資する企業課税の軽減を行なうほか、当面要請される諸施策に対応する税制上の特別措置を講ずるため、平年度約千二百億円の減税を行なおうとするものであります。  また、整備法律は、所得税法人税全文改正によるもので、妥当なものと考えられます。  税制調査会の答申と比べましても、政府案の減税規模は大きく、減税財源の苦しい財政の中で最大の努力を払ったものであり、与党としては、むしろ誇りとするものであります。  所得減税については、この改正により、夫婦及び子三人の家族の場合で所得税を課せられない限度額は、給与所得者につきまして、現在の約四十八万円から約五十六万円に引き上げられ、御心配の価物値上がりによる調整は十分に配慮せられておると信ずるものであります。  所得税法案修正案につきましては、御趣旨はまことにごもっともでございますが、現在の時点においては財政収入の減を来たすものであり、大局的見地よりその他種々配慮いたしますと、与党といたしましては賛成できないのは残念に存ずる次第であります。  法人税法では、一般税率について負担の軽減をはかるために引き下げ、また同族会社の留保所得に対する課税の配慮を行なう等、企業減税に意を用い、日本経済の安定成長のための基盤強化につとめております。これは大蔵大臣も申しましたように、企業家のみならず一般国民に均てんするものであります。  さらに、所得法人両税法については、納税者の理解を容易にする見地から、税法の体系的な整備、表現の平明化をはかり、国民大衆のために便ならしめております。  租税特別措置は、わが国経済が開放体制下に発展を続けていくためには、企業の資本充実、国際競争力の強化、科学技術の振興等はゆるがせにできない政策上の要請であり、これに応ずる今回の租税特別措置法改正はまことに時宜に即したものと考えるものであります。また、中小企業近代化のための諸施策、農林漁業のための諸対策も、きめこまかな配慮がなされているわけでありまして、まことに適切な措置と考えるものであります。  もちろん、租税特別措置については、税制調査会の答申の趣旨にも沿い、政策目的実現のための効果と租税負担公平の原則との調整には配慮を加え、制度の固定化を避けるよう、今後とも十分意を用いる必要があると考えます。  以上、簡単に理由を申し述べましたが、四法案はともに国民の減税の要望と現在の経済情勢に呼応した政策要請にこたえ得た改正法案であると信じて、賛意を表するものであります。
  104. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、公明党を代表いたしまして、租税四案に対して反対をいたします。なお、所得税法案に対する修正案に対し、その趣旨に賛成をいたします。  最近における中小企業の倒産と物価の急激な上昇は目をみはるものがありますが、かかる状態の中で、四十年度の所得税の減税額は若干の控除額の引き上げがあり、平年度で九百二十二億円となっておりまするが、所得水準の上昇、課税人口の増大、また急激な物価上昇で、世帯別に見れば家計費を増大することは見のがせないのであります。むしろ実質的増税になっておる階層もあります。しこうして、給与所得者の課税最低限は五十六万四千円となっておりますが、配当所得は源泉選択制をとり、年収百八十一万九千円までは非課税となっておることは全く不公平の一語に尽きるのであります。したがって、わが公明党といたしましては、課税最低限を大幅に引き上げることを要望するものであります。  なお、法人税につきましても若干の税率を下げられておりますが、現行の所得三百万円を境に上下の二階制は、大企業と中小企業と同率に扱っており、はなはだ不公平であり、むしろ四階制に改めることが適切であると思われるのであります。  以上、反対の理由を申し上げまして、討論といたします。
  105. 田畑金光

    田畑金光君 私は、民主社会党を代表し、政府提出所得税法案以下四法案に対し反対の意思を表明し、木村委員提出所得税法案に対する修正案に賛成の意を表します。  昨年十二月の税制調査会の長期答申は、その骨子として、毎年自然増収の二〇%を減税に充てること、経済成長に伴い税負担が特に累進的に増加する所得税に重点を置いた軽減措置を行なうこと、資産所得を優遇する租税特別措置はできる限り廃止整理の方向で検討すること、を提案いたしております。  これを受けて、税制調査会はさらに昨年十二月十七日、昭和四十年度税制改正の答申を行なっておりますが、これは財源難の理由で長期答申より後退し、政府大蔵省の意向を多分に取り入れたものであります。すなわち、国税、地方税を通じ、一般減税として平年度約千四百五十億、租税特別措置の整理合理化による増収を差し引けば、平年度約七百億、初年度約四百億の減税を行なうことをめどに税制改正を勧告いたしております。  これに対し政府案は、国税において平年度約千百五十一億、初年度八百十二億の減税で、減税額については答申案を上回っておりますが、その最大の理由は、答申案では租税特別措置の整理合理化による増収五百二十億を期待したのに、これを四十八億に抑えたところに形式的、表面的に減税規模が大きくなっておるのであります。答申は、所得税負担は、主要諸外国との比較、納税人員の状況、物価、生計費の動向、国民所得弾力性の高い点から見ても、所得税重点の減税を実施することが必要であること、また国民全体の所得水準や生活水準の上昇に見合う負担の軽減合理化を行なうことを要求しております。政府案にこの趣旨が生かされていましょうか。たとえば、所得税税額、初年度八百二億のうち、物価調整の役割りを持つものは六百八億で、実質減税百九十四億にすぎないことは政府答弁で明確になっております。これでは本年度の所得税減税は全く物価騰貴に伴う増税調整の役割りだけに終わり、実質的減税にはなっていないのであります。  また、課税最低限の引き上げについて見ましても、今回の改正によれば、給与所得者の場合、標準世帯について平年度約五十六万円と、現行より約八万円引き上げておりますが、これが計算の基礎である基準生計費は食料費成年男子一日当たり百六十七円四十八銭を基礎に算定されております。これは生理的な最小限生活費であって、憲法に保障される健康的で文化的な最低限度の生活保障とは全くかけ離れたものと言わなければなりません。事実、課税最低限と消費支出金額との差額は、標準世帯の場合わずか八千五百六十三円にすぎないのであります。田中大蔵大臣は農村の生活や自衛隊の食料費算出を基礎にして課税最低限の適正なことを主張してまいりましたが、理論的にも実際的にも国民を首肯せしめるものではありません。また、政府案では基礎控除が一万円値切られ、中小所得者の税率緩和措置も見送られております。わが国の所得税納税人員は、戦前の昭和十年は九十四万人、十五年は四百七万人、昭和三十年は約一千百万人、昭和四十年は二千二十六万人と、毎年百万ないし多い年には百五十万人も増加しております。これは高度成長に伴う物価の異常な高騰に基づく名目所得の増加によるものであって、それだけに所得税減税に重点を置かなければ租税負担の公平を期することはできません。戦前、昭和九年−十一年の課税最低限が約七十八万円でありました点から見ても、現在の負担は高過ぎると思います。したがって、政府案には答申の趣旨から見てもその精神が没却され、消費者物価の上昇による実質的な負担の増加の調整、国民全体の所得水準や生活水準の上昇に見合う負担の軽減合理化はなされておりません。強く政府案に反対する理由であります。  次に、企業減税について申し上げます。  長期答申では、わが国の法人税負担割合は主要諸外国に比べて決して高くはない、また企業の自己資本比率の向上をはかるには金融政策その他との連係から考慮すべきであって、これを企業減税のみにたよることは適当でないと言っています。また、配当課税についても、いわゆるグロス・アップ方式を主張しております。しかし、今回の改正案によれば、開放経済体制に対処し企業の体質改善、国際競争力強化の名において、また田中蔵相の念願である所得税法人税それぞれ五、五の比率が貫かれ、企業減税重視に転化していることは明らかであります。  特に、企業減税重視の最たるものは、租税特別措置による資産所得の優遇措置の問題であります。答申は、租税特別措置の整理合理化による増収五百二十億を勧告したのに、わずか四十八億増収に押えております。長期答申では、租税特別措置は経済政策の一環としての意義を持つものであるが、その半面、負担公平原則や租税の中立性を阻害し、納税道義に悪影響を及ぼすなどの短所があるので、整理縮減を引き続き推進すべきである、さらに、資産所得に対する優遇措置としての利子、配当課税の特例などは、一部の高額資産所得者を不当に優遇するものであり、この弊害を償うに足るほどの政策的効果もないので、経過的措置を設けるなどして廃止すべきである、と明確に目標を示しております。しかるに、政府案には、公正な第三者機関の見解とは逆に、かえって貯蓄奨励、資本蓄積の名のもとに資産所得優遇措置が強化されていることは、自民党内閣の実体、性格を端的に物語っていると言わなければなりません。  利子課税の沿革と個人貯蓄動向の推移を過去の沿革に徴すれば、利子課税の特例が拡充されて貯蓄が伸びたという事例は皮肉にもないのであります。結局、個人貯蓄は個人可処分所得の伸びに相関しつつ、着実に伸びてきたことは事実であります。貯蓄と税制とは何らの関係はありません。結局、貯蓄奨励、資本蓄積の名において、元来高額所得者である利子、配当所得者を優遇するための言いわけであり、税負担の公平を阻害するもはなはだしいと言わなければなりません。利子所得の分離課税を廃止するのではなく、これを存続し、しかも、配当所得をこれに準じて源泉選択による分離課税の特例を新しく導入し、かつは、一銘柄五万円までの確定申告不要限度額を引き上げたなどは、最も悪質な税制措置と言わなければなりません。  税制調査会は、昭和三十二年以来、租税特別措置の整理合理化を打ち出しているが、改善の様子は全然見当たりません。かえって減収額はふえ、昭和四十年度は二千百十七億の膨大な額が予想されています。われわれは、租税特別措置が一面わが国経済の発展に寄与したことは認めるのでありますが、同時に、他面、わが国経済の設備投資を中心とする行き過ぎた成長と、今日の経済のひずみをもたらしたことも否定できません。租税特別措置が認められるためには、まず、税制以外の措置で有効な手段がないかどうかを検討し、他に適当な方法が見出し得ない場合で、さらに政策目的自体の合理性の判定、政策手段としての有効性の判定、付随して生ずる弊害と効果の比較衡量などのテストを厳格に経た上でやるようにと指摘しているが、今回の利子、配当所得改正は、これらのテストに明らかに不適格であります。  以上の理由によりまして、私は政府提出所得税法案以下四法案に反対するものであります。  なお、木村委員提案の配偶者控除一万円引き上げについての所得税法の一部を改正する法律案については、趣旨に賛成の意を表しておきます。
  106. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私は租税四法に反対をいたします。  反対理由の第一は、今回の税法改正の基本的性格についてであります。今回の改正案は税法の中に明確にあらわれてきた国家独占資本主義体制強化のためのものであります。その一番中心的な問題になっているのは、言うまでもなく利子及び配当所得に対する大幅な税の減免という特例を設けたことであります。これによって平年度利子課税において約二百二十億、配当課税において約百七十億、合わせて約三百九十億円の減税となっているのであります。すべての勤労者はもちろん、税制調査会からも言論界からも反対を受けています。  利子と配当所得に対する特例を設けたことについて、大蔵大臣はみずから、戦後最悪の大臣といわれることを覚悟でこれを出したと言い、租税負担公平の原則をあえて侵してまでもこのような措置をとらなければならなかったことは、日本経済の基盤をさらに育成強化することであり、それは自己資本の充実にあると、しばしば説明されたのであります。そして日本における戦前との比較や、西ヨーロッパの帝国主義諸国の状態を引き合いに出して、自己資本の蓄積が急務であることを力説されました。このことは大蔵省当局の主観的意図いかんにかかわらず、現内閣が最も本質的に国家独占資本主義の立場に立って、税法を通じてより強力に独占資本の強化拡大に乗り出したことを意味しています。しかも、この改正は、単なる税法だけの問題ではありません。三矢計画や日韓会談に見られる体系的な日本帝国主義強化の諸政策の一環としての意味を持つものであることは言うまでもありません。額に汗して働く者の税は重く、かつ過酷であり、金利、配当などの不労所得者の税の負担が大幅に軽減されるというこの悪政の矛盾は、必ず大きな階級的、社会的反対を呼ぶに違いありません。  また、この改正案の第二の性格のねらいは、いわゆる所得政策に道を開こうとしている点にもあります。なぜなら、この税法改正によって利子及び配当による高額所得者の利潤を保障し保護しておいて、他方では労働者、勤労者の生活を国家の権力によってある程度規制しようとする。この中にはイギリス、フランスその他でとられた賃金抑制政策を内容とする耐乏生活への布石が見られるからであります。世の中の声は正しく、国民は今回の官製メニューを税金メニューと呼んでいます。一日の食費百六十七円四十八銭の性格をそのようなものとして感じとっているのは決して偶然ではありません。  反対の第二の理由は、現実的に勤労所得者に対する税負担が過重であるということであります。夫婦とも五人家族で年間収入五十四万円、これがいわゆる課税最低限となっていますか、今日消費者物価が高騰し、住宅費、教育費なども軒並みに上がっている事実をあわせ考えるならば、この政府の課税最低限では実際上の増税となり、最低生活水準に税金がかかることになり、勤労者の生活はますます困難に追いやられることは明らかであります。  課税最低限に対する大蔵省の考え方は、十年一日のごとく、税収奪のからくりを合理化するためのものであって、社会的根拠のないものであります。マーケット・バスケット方式による標準生計費の算定というものは、一昨年も昨年も私が指摘しましたように、日本の低賃金、低生活水準を基礎としてつくられたものであり、さらに家庭の主婦の労働力の価値を一銭も見込んでいないものであります。家庭の主婦がいかに安い材料で、いかに家計のやりくりに骨身を削っているか、一本の大根を買うのに足を棒にしてマーケットをかけずり回っているか、その家事労働の価値というものはこの標準生計費には一銭も計上されていません。  課税最低限の社会通念を明確にしなければなりません。それはまず第一に、全国一律最低賃金制の確立を基礎として、労働力の再生産に必要な経費には税をかけないこと、これであります。そのためには、標準家族、年額少なくとも百万円を免税点に設定すべきであります。大蔵大臣も口では百万円か百二十万円くらいまでは免税にしたいと言っておりまするが、実行するかといえば、全然やろうとしていません。今日、免税点を百万円に引き上げることは社会的な常識であります。自民党政府でさえ、相続税法の改正で生命保険金の相続百万円までは非課税にいたしましたし、預貯金百万円の利子には免税措置を講じています。なぜ勤労所得の免税点を百万円にすることができないでありましょうか。まさに政治的、社会的不公平と言わなければなりません。勤労所得百万円まで免税にすべしと重ねて要求をいたします。  法人税についても、企業減税の政策的意図が明らかであります。中小企業の倒産が続出する中にあって、税の面から中小企業に配慮する措置がもっと必要だと考えます。  さらに、租税特別措置について見るならば、今回のごとく利子及び配当の特例を認めようとする不公平きわまる措置はもちろん、ますますこの特別措置は拡大され、既得権化されつつあります。しかも、その大半は大企業に対する一種の補助金的性格を持っています。負担公平の原則はここでも破られ、大資本、金融資本擁護の税法となっています。  最後に、このような立場でつくられた所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案にも賛成できないのは当然であります。  で、社会党の修正案には、趣旨は同感であり、これに賛成をします。
  107. 西田信一

    委員長西田信一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、各案につきまして順次採決を行ないます。  初めに、所得税法案につきまして、採決に入ります。  まず、木村君提出修正案を問題に供します。木村君提出修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  108. 西田信一

    委員長西田信一君) 少数と認めます。よって、木村君提出修正案は否決せられました。  それでは、次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  109. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、法人税法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  110. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  111. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
  112. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、日本社会党、公明党、民主社会党、自由民主党の四派共同提案にかかわります、租税特別措置法の一部を改正する法律案についての附帯決議案を提出いたします。  その内容は、消費生活協同組合等を特定協同組合等の留保所得の特別控除の適用対象にせられたいとの趣旨であり、この点についてはもっともな点もあり、今後の検討をまって善処すべきものと考えます。  便宜、朗読をもって提出にかえたいと存じます。    附帯決議(案)  租税特別措置法第六十一条の規定適用対象に、新たに消費生活協同組合等を加えることについては、政府は税制調査会に諮つて必要な措置を講ずべきである。    右決議する。
  113. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいま大竹君提出の附帯決議案を議題といたします。——別に御発言もないようですから、大竹君提出の附帯決議案について採決いたします。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  114. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、大竹君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、政府を代表し、鍋島政務次官から発言を求められておりますので、この際これを許します。
  115. 鍋島直紹

    政府委員(鍋島直紹君) 附帯決議の趣旨を体しまして、税制調査会にはかる等、よく検討を加え、善処いたしたいと思います。
  116. 西田信一

    委員長西田信一君) 次に、所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  117. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、これら四法案につきまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  119. 西田信一

    委員長西田信一君) 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案議題とし、本案の討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  120. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後五時三十七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————