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1965-03-25 第48回国会 参議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十五日(木曜日)    午前十一時十八分開会     —————————————    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      日高 広為君     沢田 一精君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西田 信一君     理 事                 佐野  廣君                 西川甚五郎君                 成瀬 幡治君                 田畑 金光君     委 員                 大竹平八郎君                 太田 正孝君                 栗原 祐幸君                 堀  末治君                 村松 久義君                 木村禧八郎君                 佐野 芳雄君                 柴谷  要君                 鈴木 市藏君    政府委員        大蔵政務次官   鍋島 直紹君        大蔵大臣官房財        務調査官     吉國 二郎君        大蔵省主計局次        長        鳩山威一郎君        大蔵省関税局長  佐々木庸一君        大蔵省理財局長  佐竹  浩君        大蔵省国際金融        局長       渡邊  誠君        文部大臣官房会        計課長      岩間英太郎君        食糧庁長官    齋藤  誠君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        大蔵大臣官房財        務調査官     柏木 雄介君        大蔵省主計局法        規課長      赤羽  桂君        大蔵省理財局国        庫課長      原  秀三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○物品税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○国立学校特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国際復興開発銀行等からの外資受入に関する  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○財政法の一部を改正する法律案内閣送付、予  備審査) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審査) ○石油ガス税法案内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  日高広為君が辞任され、その補欠として沢田一精君が選任せられました。     —————————————
  3. 西田信一

    委員長西田信一君) 物品税法の一部を改正する法律案国立学校特別会計法の一部を改正する法律案国際復興開発銀行等からの外資受入に関する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案財政法の一部を改正する法律案交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案石油ガス税法案関税定率法等の一部を改正する法律案、以上八件を一括議題とし、一括して質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 石油ガス税について一、二点お尋ねいたしたいのですが、これは経過から見ると、最近、揮発油税課税されるいわゆる揮発油消費が伸び悩みになったということは、結局、道路整備財源にまあ支障を来たしたというような問題もあるし、それからまた、税制調査会等の答申もあると思うのですが、その他これについて新たに石油ガス税課税をしたという理由について、そのほかについて理由がございましたら、ひとつお尋ねしたい。
  5. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ただいまお尋ねのありました石油ガスを使用する自動車がふえて揮発油税収入が漸次伸び悩み、そのために道路整備財源予定のとおりの収入を得られないということは一番有力な原因でございますが、同時に、同じような用途に用いられます資源に対して、片っ方は重い税を課して、揮発油の場合は一リットル当たり二十八円七十銭という非常に高い税をかけておりまして、片っ方には全然税がないということになってまいりますが、資源の適正な利用という面から申しましても問題が出てくるわけでございます。現に日本の揮発油消費計画等におきましても、石油ガスが非常に伸びてまいりまして、揮発油の生産と石油ガス需要のバランスがとれなくなって、わざわざ石油ガスを輸入するというような問題も出てまいりますし、さらにはナフサを分解して石油ガスをとる新しい施設をつくるという問題も起こってまいるわけであります。そこで、石油ガスというものの用途に応じて、自動車に使う場合には揮発油と同じような負担を課して、それによって同じような条件のもとで選択が行なわれれば、資源適正利用ということも考えられるわけでございますので、その点の権衡を考慮いたしまして、道路収入とあわせてこれを課税理由と考えたわけでございます。
  6. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 こまかいデーターは必要ありませんが、平年度揮発油税が減った額ですね、これは何年を一〇〇にするか、これはまあわかりませんが、どのくらい減っているのですか、事実は。
  7. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) この減収の計算はいろいろやり方があるわけでございますが、一応石油ガスを使用する自動車、それの石油ガス消費量というものを計算いたしまして、それによって、それが揮発油で走ったならばどれくらい揮発油税が取れるかという計算をやってみますと、三十九年度の推計では、現在石油ガスを使っております営業用乗用車が四万台ございます。それから営業用トラックは四千台、合わせまして四万四千台ございますが、それの年間の燃料をガソリンで行なったという計算をいたしてみますると、大体四十九万リットル程度になるわけでございまして、これによる揮発油税収入は百十五億円、地方道路税収入が二十一億円、合計いたしますと百三十六億円というものが取れたはずだ。もしこの自動車揮発油で走っていたならばという仮定をいたしますと、百三十六億円の収入があったはずだということになりますので、そういう面から見ますると、百三十六億円三十九年度に減ったということがいえると思います。
  8. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 おそらくこまかい資料が配られておると思いますが、今度の新税によって国税並びに地方税の額はどのくらいですか。
  9. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 今回の課税によります収入見込み額は、本年度は、御承知のとおり昭和四十一年の一月一日から実施をいたしますために、本年度見込みといたしましては総体で七億八千万円、その二分の一を地方に譲与いたしますので、国税といたしましては三億九千万円の収入を見込んでおります。平年度で申しますと、もしこれを四十年度需要量で平年度計算をいたしますと、この七億八千万円というものは七十億円、国に対しまして三十五億円、地方に対しまして三十五億円という計算になるわけであります。
  10. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで、お伺いいたしたいのは、石油ガス税国税として課税し、そうして収入額の二分の一を地方に交付したという、こういう理由はどこにあるのですか。
  11. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) この収入をいかなる方向に振り向けるかにつきましては、この成案ができますまでにいろいろ議論がございまして、現に税制調査会も、それを国の収入にするか地方収入にするかにつきましては、政府の決定すべきことだということで、預けているのであります。で、本来、先ほど来の御説明からもおわかりと存じますが、石油ガス課税物件にいたします理由は、揮発油代替物品であるということでございますので、揮発油税収入は、現在、国が揮発油税として収入いたしまして、そのうち一五%程度地方道路譲与税によって地方に配分されているわけであります。そういう意味から申しますと、揮発油と同じ割合でもかまわないのじゃないかという考え方も成り立つわけでございますが、同時に、地方の側から申しますと、道路整備五カ年計画の中で単独事業が非常にふえておりまして、これに対する特定財源が十分でない、したがって、揮発油税以外の収入は、軽油引取税地方特定財源になっておるように、石油ガス税地方に取らしてくれという要望があったわけです。それらを勘案いたしまして、従来の揮発油税の分け方よりはより地方に重く、五分五分で分けるということにきまったわけでございます。
  12. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、この石油ガス自体というのはどうなんですか、東南アジアとか佐開発国輸出をする面ですね、これは東南アジアでも特に台湾とか工業力の非常に盛んなところは、相当必要としておるのですが、現実においては、これは輸出をされておるのですか。
  13. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ただいまは石油ガスが非常にわが国で不足をしておりまして、一部輸入している状況でございますので、輸出するところまでは現在立ち至っておりません。
  14. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 将来輸出をする場合には、税なんかどうされるつもりなんですか。
  15. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) この石油ガス税課税は、自動車用容器に入れた石油ガスということにいたしておりますので、石油ガス自体タンクに入れるなりなんなりして輸出するという場合には、当然課税物件にはなりません。輸出面の手続も要らずに輸出できるわけであります。
  16. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今度の新税によって、一番問題はタクシー等料金の問題ですね。これは政府も御承知のとおり、物価を押えて、あるいはむしろ低物価政策をやっていかなければならぬというので、いろいろ策を講じておる状況の中に、こういう点はどうですか、タクシー値上げというようなものを誘導するようなことにはならないのですか。
  17. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) タクシー料金が最近非常に問題になっておることは事実でございますが、従来のタクシー料金が安過ぎるという原因と申しますか、値上げを要求しているコストの上昇というものの中には、燃料費だけではございませんで、人件費車両費といったものの増高一つの要素となっているわけでございます。さらに、現在のタクシー料金は、石油ガスがほとんど普及していない時代に、揮発油を使う自動車コスト計算によって行なわれて、おりますので、この石油ガス税課税いたしました後でも石油ガスを使うほうが揮発油を使うよりはやや安くつく。と申しますのは、またあとで話が出るかと思いますが、石油ガス税率は、新たに課税するという点も考慮いたしまして、諸外国に比べると揮発油との税率割合がやはり低くなっております。さような意味から、石油ガス税の創設が、直ちにそれだけでタクシー料金の引き上げにつながるということにはならないのではないかと考えております。
  18. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 しかし、その石油ガス税の問題がなくとも、いまのタクシー自身というものが上げなければならないという声が非常に強くなり、これを相当押えていく、また見方によれば、ほかの物価から見ればいまのタクシーというものは安いのじゃないかという点もあるので、たまたまこういうものを政府自身がやられておるというようなことが、何か料金値上げというものを政府自身が誘導しているというような感じがするのですが、どうなんですか。
  19. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) タクシー料金値上げにつきましては、各都市別に問題が起こっておりますが、ある程度都市では値上げが一巡をいたしたわけでございます。京都、東京が三十八年の十二月、それから大阪が三十八年七月、横浜が三十八年七月ということで、主要大都市はほとんど値上げが済んでおりますが、この石油ガス消費されております地域と申しますものは、大体大都市に集中いたしております。そういう意味ではタクシー料金が一応の解決をみた地域がほとんどこのガス地域であるということもございますので、その点からはタクシー料金問題は一応解決しているのじゃないかというふうに考えます。
  20. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それは話はわかりますけれども、今度は新税の目的が、揮発油税がだんだん少なくなってきているということは、両者を比較してみてこのほうが安いということで、今後これはますます多くなってきますよ。これは大都市中心といっても、自動車なんていう企業はすぐに全国的になっていくので、そうでなくても、今度御承知のとおり地方税で自家用車が五〇%も上がるという法案がいま出ているわけだ。そういうことが相当脅威を与えておるのだ。そこへもってきてこういうものが出てくるというと、何かやはり影響といいますか、相当私は全国的になっていくのじゃないかという感じがするのですが。
  21. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 仰せのとおり、これが全く影響はないと申し上げるのは、これは課税をした以上少し言い過ぎかもしれませんが、いま仰せられました地方に普及していく問題でございますが、実はこのLPGは、石油ガスは、御承知のとおりスタンドで供給いたします場合に、揮発油とは違いまして、非常な高圧ガスでございますから、その設備が非常に高くかかる。スタンド一つで一千万円程度の投資が要る。そのために、大体使用地域というのはスタンドのある地域に制約されてくるということから、LPGの今度伸びる地域というのは、やはり大都市中心というふうに推定されております。地方ではLPGがないという姿のところもございます。トラックの場合でございますと、スタンドから注油いたしませんで、ボンベに入ったものをボンベのまま買ってまいりますから、これは地域的にも広がる可能性がございますけれども、タクシー自体がほとんど現在ディーゼルになっておりまして、石油ガスを使っております乗用車が四万台でございます。トラックは四千台にすぎないわけでございまして、今後トラック石油ガスに向かっていくという傾向は見られないと思います。
  22. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、徴収ですね、徴収方法としては、具体的にどういう取り方をやるのですか。
  23. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) この石油ガスは、御承知のとおり、家庭燃料あるいは工業用燃料にも多数使われておりまして、自動車燃料に充てられるものは大体一七%でございます。そのために、揮発油税のように製造場から移出いたした場合にこれに課税いたしまして、自動車用燃料以外のものを免税にするとかという方法をとりますと、非常な手数になりますし、またその移出しております状態では、自動車用に使うものも他の用途に使うものも同じ要件でございますので、実際上不可能でございます。そういう点から、小売り段階ということを目標にいたしまして、先ほども申し上げましたが、乗用車の場合は燃料タンク固定式に現在直しております。自動車に固定されておりますので、スタンド注油を受ける。したがいまして、その自動車用容器の中に充てんをした石油ガス課税物件とするわけであります。そうして注油場から引き取る、つまり自動車がそこから動き出すときに課税要件が成立するというやり方にいたします。  それから、トラックにつきましては、トラックボンベというのは、普通の家庭等で使いますボンベと構造が違いまして、自動車用に特別の装置が必要でございます。それを一般の販売所で売っておりますが、この場合には、そのボンベに入った石油ガスを引き取る、つまりボンベに入ったまま買い取りますが、そのときに課税要件が成立する。  そうして小売りをした者あるいは石油ガスを詰めたスタンド納税義務者といたしまして、その月中の移出数量を取りまとめまして、翌月末までに納付をする。で、必要によって一カ月間の延納を認める。かような制度にいたしております。
  24. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一、二点ごく簡単にお伺いいたしますが、一キログラム十七円五十銭の課税をされた根拠というのはどういうところにあるのですか。
  25. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) この石油ガスに対してどのくらいの税金を適当とするかというのは、非常に、これは御承知のとおりでございますが、業界の計算とか、運輸省の計算、私どもの計算がいろいろ、こまかいところで違いがございます。ただ一つ、現在の揮発油税税率は一リットル当たり二十八円七十銭ということでございます。諸外国の例を見ますと、米国の場合は石油ガス税揮発油税税率は同じでございまして、揮発油に対して一〇〇%でございます。それから、西独においては、大体石油ガス税率揮発油に対して五八%、イタリーが二八%ということになっております。で、これを勘案いたしまして、同時に、いろいろメリット計算すればかなりの額までいくということはいえますけれども、御承知軽油を最初に課税をいたしましたときに、揮発油税が当時一リットル当たり十三円でございましたのを軽油六円という課税をいたしました。新規課税というものはいきなり同じところにもっていけないということでやっております。軽油につきましても、諸外国の例を見ますと、揮発油税と同じ税率のところが多いわけでございます。それらを勘案いたしまして、一リットル当たり十円ということで、これをキログラムに換算して十七円五十銭の税率にいたしたわけでございます。大体これは揮発油税率一リットル当たり二十八円七十銭に対しまして三割五分程度先ほど申し上げました米、西独イタリーのうち一番低いところで課税をいたしたわけでございます。
  26. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 最後に、この石油充てん業を開業するとか、あるいはまた廃業するとかというような場合は、これは所轄税務署長に届けるとか、あるいはまた許可をもらうとか、そういう過程をとるのですか。
  27. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 石油ガス充てんを業とする場合は、所轄税務署長申告をする。ちょうどこれは酒の開業申告とか、物品税第一種物品小売り業者開業申告と同じような申告をしてもらいまして、一回して、あと課税標準申告をすればいい、こういうことになっております。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国立学校関係の方は来ておりますね。国立学校特別会計の中で、施設整備費というのがありますね。これはいまどのくらいになっておりますか。あの中で、国立学校施設整備費の中に土地購入費というのがありますね。それはどのくらいになっておりますか、予算では。
  29. 赤羽桂

    説明員赤羽桂君) 実体問題でございますので、文部省もしくは予算関係の方からお答にすべきですが、たまたま資料がございますので、私からお答えいたします。  昭和四十年度におきましての国立学校施設整備費でございますが、これは三百五十二億になっております。で、うち不動産購入費といたしまして三十五億という数字になっております。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十五億の不動産購入費ですね。その中には国立学校用地なんかの買収地は入っているのですか、予算として。
  31. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 三十五億は全部土地関係でございます。そのうち、行政投融資資金からの借り入れが二十億、これが問題の土地関係でございまして、そのほかの十五億は大学が大部分でございますが、たとえば例をあげて申しますと、静岡大学、大分大学、三重大学、山口大学、そういう関係大学の統合のための用地取得が中に入っております。そのほか雑件を含めまして十五億、合わせまして三十五億ということになっております。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、国立高専用地買収費というのは入っておりますか。
  33. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 来年度国立高専が七校予定されておりますが、その関係土地は、これは国有地をもって充てるもの、それからまたは国有地と交換を予定されているものが全部でございまして、土地取得費はその中には入っておりません。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで非常に問題になるのですが、この前も問題になったのですが、それは地財法との関係、これは分科会等で詳しく伺いますが、国有地で交換する土地、その内容を具体的に説明してくれませんか。それは大体七校でしょう。七校ですから、はっきりわかるわけです。何県の何というものと国有地と交換するという場合の具体的内容ですね。
  35. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 具体的に申し上げますと、七校のうち、まず釧路高専につきましては、校地予定地釧路にございまして、現在釧路農産協同組合私有地でございます。その私有地国有地を交換するということになっております。それから、小山高専につきましては、小山市にございます県有地国有地を交換するのでありまして……
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 交換するという具体的なものは。
  37. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 国有地の具体的なものは私のほうでは……。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その具体的なものを聞きたいんです。国有地と交換するということは資料に書いてあります。だから、どういう国有地と交換するのだということがわからなければ、ただ、みんな国有地と交換すると、こう書いてありますが、あとで具体的に伺いますよ。それじゃ、あとずっと続けていただきます。
  39. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 東京高専につきましては、八王子市にございます現在新都市建設公社用地東京都が買収いたしました土地と、国有地を交換する……
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その国有地はどうなんです、一体どこにある国有地ですか。
  41. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 国有地の具体的な内容につきましては、これは財務局のほうにお願いいたしまして、具体的な国有地の選定をお願いしておりますので、具体的にはただいま資料はちょっとございません。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま八王子の問題が出ましたね。東京都では去年補正予算を組んでいるんですよ。補正予算を組んで、東京都ではっきり整備して、そうして国に渡すわけですよ、ほんとうは。地財法の前の三十九年の改正のとき——再建特別措置法のときには、そういうことは禁じられているわけですよ、寄付行為は。交換するったって、だから、国有地はどこにはっきりあって、そうしてすぐにそれが交換でき、地方自治体が何も補正なんか組まないで済むようになればいいんですけれども、一時でもとにかく東京都は補正を組んで、そうして整備をして差し上げるんですよ、国に。もう国有地、どこがまた予定されているかわかりませんが、いまのお話を聞きますと。ですから、これはまた分科会等で伺いますけれども、明らかに再建特別措置法に禁止されているんですよ。ただ、附則の2で、契約がある場合は、これはあのときに附則2をつけてしまったのが間違いだと思うんですけれども、一応契約がある場合はいいというんですが、いろいろ調べてみると、契約だって何だか、昭和二十六年ごろの口頭での約束みたいなものが契約になっていたり、非常に乱雑ですよ。ですから、地方財政は非常に困難になってきておりますし、また最近地方財政赤字が問題になってきておりますね。昭和三十九年は御承知のように地方財政は非常に赤字が大きくなった。再建促進特別措置法ができて、そうして地方財政のそういう困難を緩和する意味寄付行為を禁止したわけです。当然国がそれは補償しなければならぬものですよ。ですから、さっき質問したのは、予算高専用地費が計上されていない、こんなおかしいことはないじゃないですか。みんな国有地と交換するとか、そういう形で、国立高専用地費予算に全然計上されていないのはおかしいと思うんですよ。この前、なるべくそういう点については考慮するというお話があったわけですけれども、だから、具体的に、これは国有地と交換するならば地方自治体負担にならないような形において交換されなければならない。ところが、東京の場合はそうじゃないでしょう。現に東京都にそういう財政負担をかけている。そういう点で、あなたは文部省ですが、どういうようにお考えになっておりますか。
  43. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 国立高専の問題につきましては、いろいろ御指摘がございますので、この前も参議院の決算委員会で御決議をいただいております。私どもその線に沿いまして善処したいと考えていますが、ただいま御指摘になりました昭和四十年度高専の問題でございますけれども、これにつきましては、いまお話のございましたように、東京都あたりはまだ具体的に国有地がきまっておりませんで、交換の手続が済んでおりません。これは御指摘になりましたように、地方財政法違反であるとおっしゃられれば、そういうようなおそれもあるわけでございますけれども、すみやかに国有地を決定して交換をいたしまして、実質的には違反にならないようにひとつ今後も努力を続けたいと考えております。しかし、高専の問題全体につきまして、用地の問題についてかねてから御指摘のあることは十分承知いたしております。この前の御決議にもございましたように、国有地とすみやかに交換をするというふうなことを私ども鋭意努力したいと考えております。  具体的に申しますと、いままで文部省地方の財務局とは連絡はあまり十分でございませんでした。国会が一応めどがつきましたら、私ども職員が地方に出かけて行きまして、具体的にどういう事情で国有地との交換がおくれているのか、そういう点も十分調査をいたしまして、もしどうしても国有地との交換ができないというふうな場合には、これに対しまして地方財政法に違反しないように、たとえばそれを買い取るとか、あるいは借料を払うとか、いろいろな方法もあると思いますけれども、そういう点も十分検討いたしたいと考えております。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十九年度予算のときにも問題になりましたし、また、いまの御答弁にありましたように、決算委員会で問題になったわけですから、たとえば使用料とか、何かそういうものを計上するとか、とにかく全然予算措置をしないというのはおかしいと思うのです。だから、私は、三十九年度予算のときに問題になりまして、いまの御答弁のように善処しますという御答弁だったから、では四十年度はおそらくちゃんと予算措置ができているのだろうと思いましたら、全然できていないでしょう。先ほどお話しの、三十五億の不動産購入費の中には大学だけであって国立高専は全然ない。それで、だんだん調べてみたら、国有地と交換なんというような、みんな交換になっているのですよ。それで、東京都について調べたら、交換のいまお話しのように予定がないものですから、しようがない、東京都は補正予算を組んで、自分の都の予算整備をして国のほうに渡しておる。あと国有地を、どこかあと国有地がきまる。これでは明らかに、いまあなたがお話ししたように、地財法の違反ですよ。違反ということはあなたお認めになっている。そんなことでいいかどうかですよ。あとで違反にならないようにする、違反しておいて。まあたとえが悪いですけれども、たとえばものを盗んで、そうして違反していて、あとでそうっと返しておく。そうしたならばそれでいいかという、たとえばあまりよくないですけれども、そういうようなことになりかねないのです。ですから、これをもっと——  ほんとうはその精神が地方自治体財政難をもっと激化さしてはいけないという精神から来ているのですから、地財法をちっとも尊重していないのですよ。また自治省もけしからぬと思うのだ。自治省ももっと指導しなければいかぬと思うのです。自治省の方おられるのですか。——これはまた分科会で質問いたしますから、その点はまたいろいろ十分に、単なるそこだけ答弁したらいいということではありませんから、文部大臣にも報告されまして、今後その点けじめをはっきりするように、地財法との関係ですね、十分に用意しておいていただきたい。  それから、ちょっと資料の要求をいたしたいのですが、それは税法の四法の審議が始まるわけですから、それに備えての資料要求ですが、なるべく早くひとつ御提出願いたいのです。  第一は、所得税の課税最低限の基礎になりました、大蔵省の調査による国立栄養研究所のマーケット・バスケットによるいわゆる標準生計費のうち、食糧費については成人男子一日一人当たり二千五百カロリーで百六十七円四十八銭、こうなっているのですね。その原価計算をひとつ出していただきたい。それと、自衛隊では、いまのは二千五百カロリーですが、三千二百六十カロリーで百六十三円でまかなえる。こういう大蔵大臣の答弁です。また、総理大臣も、その程度でまかなえるのだからと、所得税の最低限の基礎になった百六十七円四十八銭はそんなに低いものじゃないと、適当にやっていけるのだろうと、こういう総理大臣の答弁です。それで、どうして自衛隊は三千三百六十カロリーで百六十三円でできるのか、そうしてどうして大蔵省のマーケット・バスケットで二千五百カロリーで百六十七円四十八銭になるのか、その違いです。
  45. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 比較でございますね。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 比較、これははっきり出してもらいたい。そうしておそらく自衛隊のほうは電気、ガス、水道は入っていると言いましたが、家賃とか税金とか人件費とか、そういうものを詳しく今度は出してもらいたいのです。それだけ答弁された以上は、ぼくは、基礎をはっきりしないでああいう答弁をされて、自衛隊ではこれだけでやっていける、百六十七円四十八銭は低いものじゃないというふうに答弁されて、そうでございますかとわれわれ引き下がることはできません。けじめをはっきりしてください。それが出てこなければ、百六十七円で十分やっていけるというようなことは言えない。自衛隊でやっているのだからと、そういう答弁をされなければいいのですけれども、答弁された以上は、そこのところはひとつ明らかにしなければいけないと思うのです、詳しく。自衛隊のほうの献立表も明らかにしていただきたい。自衛隊の献立表も原価計算して、両方の原価計算を出していただきたい。  それから、もう一つは、課税最低限、夫婦子供三人五十四万四千円です。食糧費だけしか計算が出ていないわけです、われわれの資料は。食糧費以外に、たとえば家賃とか電気、ガス、水道とか、どういう計算になっているのですか。食糧費以外のものも詳しく計算を出していただきたい、食糧費以外のほうも。  それから、第二の資料要求は、利子課税と貯蓄との関係です。それから、配当課税と貯蓄との関係について、具体的に資料を出していただきたい。それは、この間予算委員会の公聴会でも、学者の方々が利子の減税、配当の減税によって資本蓄積に役立つかどうか、なかなか実証的に明らかにすることは困難だ、あまり効果はないのじゃないかという公述なんですよ。ところが、田中大蔵大臣は効果があると言うのですよ。あるならば、過去において大蔵省が調べられたはずです、過去のずっと利子課税の経過を。歴史的に明らかにしてもらいたい。それと貯蓄との関係を。これは調べたのがおありになるはずですよ、何回も利子課税は問題になっているのですから。ですから、利子課税を減税したときに貯蓄がふえているのか、その関係を明らかに資料でしてもらいたい。それから、配当についても同じ資料を出してもらいたい。  それから、もう一つ、まとめて言います。もう一つは、預金の非課税限度を今度は五十万円を百万円に引き上げます。それから、配当一銘柄五万円以下は確定申告をしなくていいことになりますが、これによってどのくらい減収になるか。減収額が大蔵省の資料で出ているわけです。どうやって計算するのか、計算方法ですね、五十万円から百万円非課税にしたらどのくらい減収になるものか、どうやって計算するのか、一銘柄五万円について確定申告しないというなら、それがどのくらい減収になるか。金額は出ているのですよ。どうやって計算するのか、われわれは計算しようがないと思うのです。一銘柄について五万円以下、どのくらい申告しないのかわからぬでしょう。あれはどうやって計算をするものか、その計算の基礎ですね、どうやってああいう数字が出たのか。  以上三点について資料を出していただきたい。
  47. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ただいまの資料をできるだけ早く整備いたしたいと思いますが、自衛隊関係資料は主計局のほうにたぶんあると思いますので、至急に突き合わせをしてみたいと思います。  それから、食糧費以外の計算は、御承知と思いますが、いわゆるエンゲル係数を使って逆算しております。そのエンゲル係数をいかにして選んだか、そのエンゲルス係数をとる対象世帯がどんなものであるか、そういうことの御説明をお出しいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。  それから、利子課税と貯蓄との関係は……
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと待ってください。エンゲル係数で、ただパーセントをはじいただけでは困るわけですよ。実際の生活と比較して考えなければなりませんから、エンゲル係数を用いた場合。そのときは家賃はどのくらいであり、電気、ガス、水道はどのくらい、教育費はどのくらい見積もっているとか、あるいは教養娯楽にどのくらい見積もっているか、そういうこともちゃんとわかるようにしてください。
  49. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) またこれは御批判があると思いますが、生計費の出し方は、食糧費を、各世帯別のモードに合った生計費調査の世帯の平均エンゲル係数を世帯別にとりまして、それで逆算したやり方をしているわけです。そこで、この五人世帯で五十三万幾らになっておりますが、その中の食糧費以外の内訳が幾ら幾らということはつくっておりませんので、食糧費以外の個々の内訳をつくってはおりませんので、そこの計算方法自体は逆算したやり方をしております。それの基礎を出して……
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 基礎を大体どのくらいに推定しているのか、それを出してもらわないと、食糧費だけ出して、住めないようなうちの家賃を計算してみても、標準生計費なんてそんなことはあり得ないんですから。資料を出していただくのに、こっちの満足いかないような資料を出されても困りますので、もしそういう計算方法しかできないんなら意味がないんですから。一応出していただますけれども、そういう食糧費以外のほうもどういうふうに——その計算にとらわれなくてもいいです。大蔵省としては課税最低限きめる場合に、食糧費以外の生計費についてどのくらい見積って五十四万四千円にしているのか。それが大体わかっていなければ課税最低限なんて言えませんよ。住めないようなうちの家賃を計算して、教養娯楽費なんか全然ないというようなことでは、おやじさんはたばこものめないような、そういうような計算になっていたのでは……。
  51. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) そういう計算であるかどうかということは、ひとつ資料でごらんいただきたい。
  52. 西田信一

    委員長西田信一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記をつけて。
  54. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 利子課税と貯蓄との関係につきましては、御承知と思いますが、いろいろな統計資料がございます。できるだけ集めてお出ししたいと思います。ただ主税局でやっているものだけでなくて、その他のほうでもやっておりますので、御参考になれば一緒に出したいと思います。  それから、配当課税と貯蓄の関係は、実は御承知のように、配当については特例を置かずに、源泉徴収税率に特例はあげておりますが、総合課税でございますので、これと特に貯蓄との関係を調べた資料は現在ないのでございます。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、諸外国の例等もあるでしょう。イタリアが総合をやっているでしょう。
  56. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは昨年始めたので、実績はまだ出ていないのです。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ほかの国は全然ない……。
  58. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ほかの国はほとんどない。そういうことで、ちょっと資料がないと思います。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ、何か配当の免税によって貯蓄の増強に役立つという根拠ですね、根拠を示さなければ——役立つ役立つと言っておるのですからね、根拠を示してください、できたら具体的に。
  60. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) その検討をしてみまして、御満足をいただけるようなものができれば……。それから、預金の非課税限度の引き上げとか配当の五万円以下の場合の減収計算は、一つの推計によらざるを得ないことは御指摘のとおりでありますが、要するに、この計算の基礎をお出しすると、そういうことで御了承いただきたいと思います。
  61. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 今度酒類業組合で地方税の固定資産税、都市計画税を免税するという恩典を与えられておるわけですが、その法律改正を地方税法のほうでやらずにこちらのほうの法律でやっておるのですが、こうした前例というものはたくさんあるわけですか。
  62. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 御承知のとおり、地方税法は国税と違いまして税法が一本になっておりますので、従来から、たとえば協同組合の倉庫の非課税とかそういうものをやります場合に、最初のときから改正をする場合は地方税法でやる場合もございますが、途中で特定のものができまして地方税法の改正が当然に必要だという場合には、附則でやった例がずいぶんございます。たとえば、私どものほうでも登録税、印紙税がございますが、これは公共団体に近いもの、政府機関のようなものができますと、必ず登録税と印紙税の非課税ができますけれども、これを登録税、印紙税を直接改正する形はとりませんで、当該法律附則でやるというたてまえでずっと進んできております。このような個別の課税関係が非常に複雑しておるものは、本法を直さないで関係法令の附則で直すというのがしばしば慣例になっております。今度のもその例によりましてやったわけであります。  実は、この酒類業組合は中小企業協同組合その他の場合と同様な性格を持っておりますが、最初つくりましたときに、どういうわけかこれは非課税が抜けておりましたので、今回改正いたします際に附則で改正をすることに地方とも話がついてやったわけであります。
  63. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一点。ちょっと私のほうの党の大蔵委員のところで打ち合わせしたいと思うので、一つだけお尋ねして、また次の機会にお尋ねしていきたいと思いますが、小売りの方が、資料によりますと、登録しておる人で組合に入っておる人が十万五千百十三人、免許者は十二万四千百二十二人あるわけです。したがって、約二万名の人がアウトサイダーであるわけですね。そういう中で今度合理化カルテルの規制をおやりになるわけですが、景品つきとか招待つきの販売、手形サイトの規制、そういうものを組合に入っておる人は規制を受けますけれども、アウトサイダーである人は受けないわけです。そこで、片っ方で販売競争が激化されてくることになると、せっかく組合に入っておる人たちが抜けたほうがいいじゃないかというようなことも起きてきやしないかということを心配しておるわけですけれども、いや、そうじゃない、免許制であるからいろいろ行政指導その他やってなるべく組合に加入をさせるとか、何かその方途があるのかどうか。対策を持っておられるのでしょうか。酒税保全のためにいろいろ努力されておることはわれわれもわかるわけですが……。
  64. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 小売れ業者のうちで入っていない者が二万名ございますことは、その差から当然でございます。二万名くらいございますが、これは洋酒専門の特殊な小売れ業者とかそういうものが抜けている場合が多いのでございます。ですから、普通の小売り業者はほとんど入っているというのが実態でございます。  それから、合理化カルテルは、いわば共同して合理的な販売を行なうということでございますので、アウトサイダーが非常にこれを乱してそのために不当な競争が行なわれる場合は、この酒税保全のための勧告または命令というのがございまして、それによって、合理化カルテルの範囲をこえまして、合理化カルテルでやっている規制は合理化のためにやっているわけでございますが、アウトサイダーが非常にあばれて、そのために酒類業全体が不当な競争におちいってしまう、こういう場合には、合理化カルテルではなく、不況カルテルの適用が出てくるわけでございます。その場合にはアウトサイダーに対しては、八十四条の規定で、酒税保全のための勧告または命令という大蔵大臣の権限がございまして、その規制に従うべきことを勧告し、さらに命令をすることができることになっております。で、元来合理化カルテルのほうは事業の合理化をはかっていくということで、お互いにそれによって利益を得ていくのが本来の姿でございますから、それにのっとっていかないということがあっても、そのアウトサイダーのために乱されるということもあまり考えられない。むしろアウトサイダーによって問題が生じますのは、それによって不況条件が生ずるような不当競争が行なわれるという場合でございます。それにつきましては、酒税組合法におきましては、酒税保全という重要な任務もございますので、業界の安定と裏表の関係といたしまして大蔵大臣の勧告または命令を準備しているわけでございます。その手段がございますので、さようなアウトサイダーの起こします混乱というものは防止できるというふうに考えております。
  65. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いまの御答弁聞いておりますのと、私が知っておるのと、少し違っておるわけですがね。ということは、小売り団体、そういうものに、あなたは不況カルテルのほうで制限があるとおっしゃったが、そういうことはできないんだ。不況カルテルが小売り団体にはないんだ。したがって不況カルテルではないんだと。だから、今度の法律改正で、合理化カルテルにおいてそうしたことを規制するんだと、こういうふうに法律がなってきておる、こういうふうに了承しておるわけです。ところが、いま承ると、いやいや、アウトサイダーの規制等は不況カルテルのほうで規制できるんだというようなお話になっておるが、どうですか、そこは。
  66. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 今度御改正をいただきます四十二条の規定でございますが、その第五号に、従来の規定では、「組合員の製造、移出又は販売する酒類の販売の競争が正常の程度をこえて行われ、その販売価格が第八十六条に規定する基準販売価格を著しく下廻る等の事態が生じたことにより、酒類の取引の円滑な運行が阻害され、組合員の酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となっており、又はなるおそれがあるため、酒税の納付が困難となり、又はなるおそれがあると認められる場合において、次に掲げる規制を行なうこと。」、これが不況カルテルの規定でございます、従来は。これを直していただこうと思っておりますのは、「その販売価格が第八十六条に規定する基準販売価格を著しく下廻る等の事態が生じた」という点を削っていただきたいということでありまして、その趣旨は、これは御承知のとおり昨年の六月以来基準販売価格を廃止してしまったのです。この制度としては、この法律にまだ置き得る余地は残っておりますが、実際上基準価格というものはもう置かないでいるわけでございますので、この規定がございますと、不況カルテルの適用上疑義が生ずるといけないというので、この部分を削ったのです。これに対応いたしまして、八十四条に「大蔵大臣は、酒類の販売の競争が正常の程度をこえて行なわれていることにより、酒類の取引の円滑な運行が阻害され、酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となっており、又はなるおそれがあるため、酒税の滞納又は脱税が行われ、又は行われるおそれがあると認められる場合においては、次に掲げる事項につき内容を定めて、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会又は酒造組合に加入していない酒類製造業者に対し、これに従うべき旨の勧告をすることができる。」ということになっておるわけでございます。ですから、不況カルテルと同じ要件がございます場合は、大蔵大臣が不況カルテルの規制内容にアウトサイダーも従うべきであるということを勧告することができると、かような規定になっておりますので、その点は御心配はないと思います。
  67. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 時間も……。ちょっと議論になると思いますが、私は四十二条の五号の規定との関連において、あなたがおっしゃるようなことはちょっとできないのではないかと解釈をしております。ところが、いまおっしゃられたように、そうじゃないのだ、できるのだということになれば、それでいいじゃないかと思います。  それから、もう一つは、アウトサイダーの人たちがビール、日本酒ではなくて洋酒なんだ、そのほうが多いのだと、こういうことになれば、また問題は別かと思いますけれども、またの機会に。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 委員長、さっき要求の資料、この法案に間に合うように早く出していただきたいと思います。
  69. 西田信一

    委員長西田信一君) 政府にお尋ねしますが、先ほど木村委員の要求の資料法案審議に間に合うように準備願いたいと思うのですが、
  70. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 間に合わせるようにいたします。ただし、さっき申し上げましたように、できないものもございますので、その点はひとつ……。
  71. 西田信一

    委員長西田信一君) 可能な限りお願いします。  午前はこの程度とし、午後は一時三十分に再開いたします。  新町休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  72. 西田信一

    委員長西田信一君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、八法案一括議題とし、八法案に対する質疑を続けて行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  73. 田畑金光

    ○田畑金光君 お尋ねしたいのは、この世銀の借り入れ金、それから外債発行の問題についてお尋ねしたいと思いますが、この説明によりますと、予算総則で世銀の借款、外債発行ともに総額を示すだけにこれからとどめる、こういうことですね。まあ、だんだん事情を承りますと、市場の状況等から困難な要素があって、未確定な要素があって、あらかじめ計画を明示することがむずかしい、こういうようなことなんですが、それもわからないでもないですけれども、しかし、借り入れされる、あるいは外債を発行されるということですから、この借り入れの対象なりあるいはまた発行の銘柄等については、当然おおよその目算があってこれはなされると思うのですが、そういう計画があれば、いま予定されるのはこうこうこういうものだというのがおそらくあると思いますが、そういう点についてひとつ御説明を願いたいと、こう思うのです。
  74. 原秀三

    説明員(原秀三君) 御説明申し上げます。  田畑先生御指摘のとおり、三十九年度までの予算におきましては、世銀借款及び外貨債につきまして、それぞれ機関別にこれを受け入れる機関を予定いたしまして、政府保証債につきましては、各機関ごとにその保証限度額につきまして国会に御承認をいただいておるわけでございます。ところが、先般の提案理由の補足説明におきまして政府委員から御説明申し上げましたように、世銀借款の最近のきまりぐあい、あるいは政府外債あるいは政府保証債の外債発行につきましては外債発行市場の状況等によりまして、これを予算書を提出し国会に御審議をいただきます時点までの間に、世銀につきましては各機関ごとの受け入れ対象、また政府保証債につきましては各機間ごとの銘柄、これを確定することが非常に困難な事情にあったわけでございます。  まず、世銀借款につきましては、昨年の夏の世銀大会のときに大蔵大臣と世銀のウッズ総裁との間に、総額一億五千万ドルにつきましての受け入れにつきまして大筋の了解を得たのでございますが、これをどの機関に受け入れるかということにつきましては、世銀は世銀の立場からこれを審査したい、こう申しまして、各機関ごとの受け入れの内容につきましては、まだ決定するまでに至っていないわけでございます。先般政府委員から御説明申し上げましたように、一応、日本側といたしましては、日本道路公団、これは東名道路の静岡−豊川間の建設費に充てる予定でございますが、日本道路公団、また阪神高速道路公団、東京都の上水事業等、こういったようなものを希望の対象として出しているわけでございますが、世銀は世銀の立場からこれを審査したいと申しまして、まだ決定するに至っていないわけでございます。  他方、政府保証債でございますが、これは先生御承知のとおり、なかなか外債市場自体が非常に流動的でございまして、米国市場、これはたまたま最近国債、政府保証債につきまして一億ドルまでの利子平衡税の免税ということを、ジョンソンの国際収支教書におきまして一億ドルまでの限度内におきまして免税発行が認められることになったわけでございますが、何ぶんにもアメリカ市場におきましては利子平衡税以来日本の外債を発行いたしておりませんので、どのくらいの外債が発行できるかということにつきましては全く予知できないわけでございます。また、ヨーロッパその他の市場につきましても、ユーロダラー市場の動き、あるいはドイツその他の諸国におきます外債市場がどのくらい日本の外債発行を受けられるかということにつきましても、これはなかなか予断がつきがたいわけでございます。  したがいまして、このような時点におきまして、世銀借款につきましては、総額一億五千万ドルにつきまして、一応予算書に保証限度額を計上いたしまして御承認いただく。また、政府保証債につきましては、総額、一応昭和三十九年度の実績でございますところの国債、政府保証債合わせまして、実績が一億一千七百五十万ドル、これを一応のめどといたしまして、国債につきましては六千五百万ドル、政府保証債につきましては六千五百万ドル、ただ政府保証債につきましては、ただいま申し上げましたような事情から、銘柄別の細目をきめることがまだ困難な事情にございますので、一応総額六千五百万ドルという限度につきましての御承認をいただく、こういう趣旨をもちましてこの法案の御審議をお願いしておるわけでございます。
  75. 田畑金光

    ○田畑金光君 去年までは借り入れ機関ごとに、あるいはまた各銘柄別に、それぞれ個別に具体化された形で国会の承認を求めるというようなあれで予算の審議はなされてきたわけですね。ことしからこういう形に改めようと、こういうことなんでしょう。だから、その事情、特に去年まではこうであったが、ことしからこうしなければならぬということ、いまの一般論としての説明は、去年だっても似たり寄ったり同様な条件下にあったのじゃないかと、こう思うのですがね。この点どうですか。
  76. 原秀三

    説明員(原秀三君) 先生御指摘のとおり、昨年につきましても同様な事情があったわけでございます。世銀借款につきましては、三十九年度におきましては総額一億ドル、これにつきまして、従来三十九年度までに実績のございました道路公団に対します五千万ドルの借款につきましては、非常に早い機会に調印ができたのでございますが、新規の受け入れ機関でございますところの首都高速道路公団及び電源開発株式会社に対します借款につきましては、この調印が非常におくれまして、首都高速道路公団につきましては、三十九年度の十二月にやっと調印ができました。また、電源開発株式会社に対します借款につきましては、四十年の一月に入りましてやっと調印ができた、こういう事情でございます。  また、外債の発行につきましては、これは三十九年度に発行いたしました東京都債の例を申し上げますとよろしいかと思うのでございますが、これは実績がユーロダラー債の形式によりまして二千二百五十万ドル発行をいたしたわけでございます。これは当初の、三十九年度予算におきましては、東京都の保証限度額というものは二千万ドルしかきめてなかったわけでございます。ところが、発行直前の市場の状況によりまして、二千万ドル以上の発行が可能だということがわかりましたので、たまたま前年度予算に計上いたしまして未実行になりまして三十九年度にキャリーオーバーされましたところの保証限度額が二千万ドルございましたので、その一部をこの形で二千二百五十万ドルという外債の発行ができまして、したがいまして、当初の予定よりもユーロ外資の取り入れという点では量におきまして多くの額を取り入れることができた、こういうような事情があるわけでございます。  それで、今後の外債発行につきましても、これは発行直前の市場の条件によりまして、額の決定あるいは外債の銘柄につきましても、これはたとえばアメリカでなずむ銘柄もございますし、ヨーロッパの市場でなずむ銘柄もございます。この決定につきまして、これを発行いたします先のアンダーライターといろいろ交渉いたします際に、このような銘柄を出したいというような事情が当然起こってくる、こういうことを予測いたしまして、ユーロ外資をなるべく多量に取り入れたい、こういう観点から、外債につきましても総額について御決定をいただく、保証限度額の御審議をいただく、こういう趣旨から、外債につきましては本年度六千五百万ドルという総額について予算書の保証限度額を計上いたしまして御審議をいただいておるわけであります。また、このような事情は、世銀借款あるいは外債発行につきまして今後とも当分続くもの、こういうことが予想されますので、今回の法案の御審議をお願いしておる、こういう次第でございます。
  77. 田畑金光

    ○田畑金光君 それで、お尋ねしたいのは、財政法の第四条ですか、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」、私は財政法のたてまえから見たならば、やはり借り入れ金その他当然国会の承認を経てなされる、できるだけ国会の審議を経て公債を発行する、借り入れ金をする、こういうのがこの財政法のたてまえであろう、こう思うのです。同二十二条の第一項にも予算総則についての規定が載っておるわけですが、だから、私はたてまえとしてはやはりあくまでも財政法律主義という精神から見るなら、一括して承認を受けて、その範囲内において自由裁量で行政当局がやっていくというようなことは、なるほど説明を受けた限りにおいては機動的に、弾力的に、また別の面からいうと効率的な運営ということもはかられるかもしれぬが、しかし、財政法のたてまえからいうなら、今回のような措置というものは不当に行政府の権限を強める、そういう意味において立法府の審議権をそれだけ狭める、こういう結果を招くのじゃないのか、こういう私は疑問を持つわけなんですが、この点はどうなんでしょうか。
  78. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の点は、実は二つの問題に分かれると思います。一つは公債発行の問題、もう一つ政府が債務を保証するという問題。つまり、第一の問題は政府みずからが公債を発行するという問題、第二は政府みずからが発行するのでなく他の機関が発行するものに対して政府が保証をいたすという問題です。そこで、ただいま御審議をいただいておりますところの本法案は、私が申し上げました第二の点の、つまり政府が債務を保証するという問題に限っておるわけでございます。  そこで、先生御指摘の財政法第四条、歳出財源の制限ということ、ただいま先生が御指摘になったとおりの規定でございますが、これは要するに、国の歳出というものは公債または借り入れ金以外の、まあ経常歳入でございましょうか、そういう経常財源をもってまかなうということを本則とすべきであるという財政制度の大方針をうたったものであると思いますが、その場合に、ただし例外の道を開きまして、たとえば公共事業費に充てる場合でありますとか、あるいは出資金に充てる場合、それから貸し付けの財源に使うという三つの場合に限りましては、国会の議決を経た金額の範囲内で公債の発行とかあるいは借り入れ金をすることができるんだというのが、第四条の規定の意味かと思います。  そこで、この第四条にぴったり当たりますのは、今回の外債関係で申しますと、産業投資特別会計が来年度において六千五百万ドルの公債発行を計画いたしております。これはまさしく第四条の問題でございまして、これは第四条ただし書きのうちの貸し付け金の財源に充てるということのために、国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行しようとしておるわけでございます。そこで、これは、特別会計予算総則第六条におきまして、「産業投資特別会計において」ということで、この六千五百万ドル相当、すなわち円換算で二百三十四億円に限って公債を発行することができるんだということを定め、かつは、産業投資特別会計予算の中でその歳入をあげておるわけでございます。  したがいまして、財政法第四条に関する限りは、この問題は産投会計の公債の問題であり、それについては、全く先生の御指摘になりますとおりの法律に基づく措置が予算上も講ぜられておるということでございます。  そこで、先生がおっしゃった、その総額を定めて中身を行政府の自由裁量にまかしておるのではないかという点は、事公債に関する限りは何もございません。これはただいま申し上げたとおりのことでございます。ただ、問題は、国会との関係において問題が起ころうかと思う。先生が御指摘なさっていらっしゃる点は、政府が債務の保証をするということ、これは御承知のように、法人に対する政府財政援助の制限に関する法律というものがございまして、その第三条で保証契約の禁止ということをうたっておるわけでございます。すなわち「政府又は地方公共団体は、会社その他の法人の債務については、保証契約をすることができない。」という規定をいたしておるわけでございます。「但し大蔵大臣の指定する会社その他の法人の債務については、この限りではない。」、地方公共団体に関してはその大蔵大臣は自治大臣と読みかえるというカッコ書きが入っておりますが、いずれにいたしましても、「大蔵大臣の指定する会社その他の法人」、大蔵大臣が指定するということになれば、そのものの債務の保証というものができるという規定がいまの法律にあるわけでございます。  そこで、先ほど財政法律主義か、財政行政主義かという問題でございますが、もしも、この法人の財政援助の制限に関する法律のただし書きを使いまして、「大蔵大臣の指定する会社その他の法人」ということでやると、これは法律にそういう規定があるわけでございますから、それはやっても差しつかえない、これまた財政法律主義に触れるものではないと思いますけれども、私どもは、実はそこのところに念には念を入れまして、少しでも財政法律主義というものがくずれる疑いがあってはならない、したがって、大蔵大臣がその保証法人をかってに指定するということではいけないから、そこに法律の根拠をまた別に設けまして、大蔵大臣が保証し得る法人というものはこういうものに限りますよということをこの外資受入に関する特別措置法の中にうたい込みまして、そこで、個々の法人ごとの保証限度はなるほど出しておりませんけれども、それらを合計しましたところの、つまり六千五百万ドルという保証限度は国会の御議決をいただいて、さてその中で一体どの法人に保証をいたすか、これは大蔵大臣がかってに指定して保証するということだといろいろ問題があろうかと思います。そこにはそういうことでなしに、この法律にございますように、第二条第一項、第二項というところでその保証対象法人というものを法律をもって定めていく。で、ここに具体的に名称を掲げて限定するもののほか、必ずしも直ちに限定しがたいものについては、これを定める場合の基準を法律をもって明定をいたすということでやっておるわけでございまして、その点は——いま先生が財政法律主義とおっしゃられましたが、それはあくまですべて法律の根拠に基づいて財政運営をはかるべきであるという御趣旨に違いないと思いますが、私どもそういう点にできる限り逸脱せざるよう実は十分考えていたしておる次第でございます。
  79. 田畑金光

    ○田畑金光君 私の申したいのは、第二条に、政府が保証契約をすることができるという対象機関については明示しておるわけですが、さらに一歩を進めて、しからば各機関ごとにどの程度保証するのか、こういう問題等についても、やはり具体的に借り入れ金など予算措置について国会の議決を経るというのが、私は財政法のほんとうのたてまえだ、こう考えておるわけです。しかし、まあいまのあなたのお話のように、政府財政援助の制限に関する法律等に基づいて、「但し大蔵大臣の指定する会社その他の法人の債務については、この限りではない。」、こういうたてまえから、包括的に国会の承認を受けてその範囲内でやるということも、それは法律のたてまえからいうと許されてはいるだろうが、しかし、財政法のたてまえからいうと、さらに私は、借り入れ金の対象機関ごとに、あるいはまた銘柄別等についても十分国会の議を経るということが正しいあり方じゃないか、こう考えておるわけです。  まあそれはその程度にしまして、この間も鈴木委員の質問にお答えがございましたが、重複するようでございますけれども、あらためてお尋ねしたいことは、三十八年七月の例のアメリカの利子平衡税ですか、この影響ということですね。先ほど、その後米国市場では外債の発行をやめていた、今度ジョンソンのまた教書で政府借款については一億ドルまでは免除措置をやると、こういうわけですが、この利子平衡税の影響といいますか、現在までどういう影響があったか、また今度の免除措置によってどういうふうにそれがなっていくのか、これらの点を簡単にひとつ御説明願いたいと、こう思うのです。
  80. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) お答えいたします。  一昨年のケネディ・メッセージによりまして、利子平衡税を日本の外債に課することになりましたのですが、その後経過的に発行いたしました一本の外債を除きましては、ずっと発行を取りやめておる次第でございまして、その意味におきましては、もう非常に影響が大きかったということであります。  今回のジョンソン・メッセージにおきまして、日本の事情を特に考慮いたしまして、日本の政府債、国債及び政府保証債につきまして一億ドルの免税発行のワクができたわけでございますが、このワクを今後どの程度利用して発行ができるかということは、先ほど理財局長のほうから御説明ありましたように、市況によりましてきまる問題でございます。ただいま日本電信電話公社の外債の発行を準備中でございますが、これによりまして、大体今後の発行見通しについて何らかの目安がつくかと思いますが、いまのところ、一年に一億ということがはたしてうまくいくかどうかにつきましては、実は必ずしも十分の自信を持っておりません。それから、民間債につきましては、一昨年のケネディ・メッセージ以来ずっと外債の発行がとまっておりまして、今後民間債の米国市場における発行が一体可能かどうかという点につきましても、先ほど申し上げました電信電話公社の外債の状況を見まして、はたしてアメリカ市場としまして日本の外債の発行が可能かどうか十分打診した上で、政府といたしましての方針をきめてまいりたいと、さように存じます。
  81. 田畑金光

    ○田畑金光君 二月の初め、まあドゴールが新しい国際通貨を提唱しておるわけですね。金為替本位制から金本位制に移行すべきだと、こういう非常にショッキングなといいますか、センセーショナルな提案をしたわけですけれども、これ自体としてもやはりドルやポンドに対する不安というか、あるいは不信というものが端的にあらわれておると、こう思うのですね。特にこのドルの慢性的な国際収支の赤字の問題等々がドゴールのああいう提唱ということになったと思うのですが、ことにまたもう一方の世界通貨であるポンドにしても、イギリスの今日のポンドはああいう姿になっておるわけですね。こういうようなときに、かりに日本のアメリカ市場における外債発行について、一億ドルについては利子平衡税の適用免除ということになったにしても、なかなかどうもアメリカでの外債の発行ということはむずかしい情勢なのではないか。ことにアメリカとしても、アメリカの威信にかけても国際収支の赤字の解消にさらに拍車をかけてくるのじゃないか、こういうこと等も予測されるわけですね。そういうことを見たときに、皆さんとしては、今後のアメリカ、ことに具体的にはことしのアメリカ市場における外債の発行見通しについてどう考えておられるのか。大体いまの御答弁の中にもありましたけれども、さらにひとつ、もう一度承っておきたいと思います。
  82. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) お答えいたします。  昨年の十二月に昭和四十年度の国際収支の見通しを立てます際には、長期資本収支関係で大体二億五千万ドルの受け取りがあるのじゃなかろうかというふうに見通しを立てた次第でございます。そのときはアメリカの利子平衡税の一億ドル免除の問題もございませんし、また一方ではアメリカの先般発表されました諸般の国際収支対策もなかったわけでございますが、この昭和四十年度の国際収支におきましてはたして外資の純流入があるかどうかという点につきまして、私どもその後いろいろ検討しましたが、おそらく大体従来期待した程度外資が入るのではなかろうかというふうに見ております。まあ数字的に二億五千万ドルを積み上げたわけでございませんで、むしろ過去の趨勢から見まして、昭和三十九年度の長期外資の純流入は大体三億三千万ドル前後かと思いますが、昭和四十年度におきましては外債、外貨借り入れ金の返済もふえることでありますし、そういうことなどから、おそらく若干減るのじゃなかろうかというふうに見ておりましたが、今回新たに外債が一億ドル程度は出るのじゃないか、昭和四十年度といたしましては大体一億ドルの外債が出るのじゃないか。反面、銀行のバンクローン等の増加というものはおそらくあまり期待できないのではないか。そういうようなことを勘案いたしますと、まあ大体当初見込んでおりました程度外資が入るのではなかろうか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  83. 田畑金光

    ○田畑金光君 いまお話しのように、四十年度政府の経済見通しによれば、輸出目標が七十六億五千万ドルですか、輸入は七十三億ドル、いまお話しの資本収支の黒字を二億五千万ドル、貿易外収支を六億ドル赤字、こう見て経済運営の各指標というものができているわけですね。そこで、私が特にいまあなたの御答弁の中にあった資本収支の二億五千万ドルの黒字というものは、これがなければ経済の前提というものが、四十年度の経済運営の基本的な指標というものがくずれてくるわけですが、この二億五千万ドルの資本収支の黒字というものは、これはどういう見通し、根拠に基づいて出ているわけですか。
  84. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) お答えいたします。  二億五千万ドルの数字の積み上げ計算の基礎というものはございません。昨年十二月、昭和四十年度の見通しを立てます際には、昭和三十九年度の見通しから見まして、その数字から推計いたしますと、おそらく外資の受け入れ及び外資の返済は、差し引きまして三十九年度よりも若干下回るのではないかという推測が立ったわけでございます。三十九年度外資の純流入は大体三億三千万ドルと見込まれたわけでございますが、それに対して大体見当といたしまして八千万ドルくらい減った二億五千万ドルくらいが純流入額として期待されたわけでございます。
  85. 田畑金光

    ○田畑金光君 それから、ヨーロッパ市場の問題ですが、ヨーロッパも一般的に見ると景気の後退と、こういわれているわけですがね。特にイタリアなどは、昨年の春からずっと不況というか、景気の後退、フランスなどについても今年は経済の先き行きは決してよくない、後退するのではなかろうかと、こういわれているわけですね。また、ヨーロッパを総体的にながめた場合に、一方においてはインフレ的な傾向がある、労働力不足だと。特にイギリスのポンドなどについては非常に危機的なというか、そういう姿を示しておる。また一方においては、イギリスをはじめ、アメリカでもそうですが、カナダでも西独でも、公定歩合を引き上げて、むしろヨーロッパ全体として見れば高金利、日本の公定歩合引き下げとは逆に高金利、こういうような方向に進んでいるわけですね。こういう経済的な背景をながめてみた場合、今後日本のヨーロッパ市場に対する輸出の問題なり、あるいはヨーロッパ市場における外債の発行なりの問題等々を見たとき、決してこれは明るい情勢ではないと私は見ておるわけですが、そういう面から見た場合、ヨーロッパ市場などにおいてこの外債の発行などについてはどのように見ておられるのか、それをひとつ承りたい、こう思うんです。
  86. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) ヨーロッパにおける最近の動きにつきましては、田畑委員から御指摘のとおり、各国とも若干引き締めぎみの傾向がございまして、その意味におきまして、日本の今後の輸出あるいは外資の調達について必ずしも楽観を許さない状況であると思いますが、昭和四十年度のヨーロッパにおける外資につきましては、国債及び政府保証債につきましては、あるいは理財局のほうから御説明したほうが適当かと存じますが、昨年三十九年度とそう違った数字にはならないのではないか、さように考えております。  それから、民間債につきましては、昭和三十九年度におきましてはかなりの転換社債等が発行されたわけでございますが、転換社債の今後の見通しにつきましては、日本における株式市況の動き等から見まして、必ずしもというか、いますぐと申しますと、ずいぶんむずかしいのではないか。しかし、昭和四十年度全般といたしましては、漸次日本の社債に対する関心というものが出てくるのではないか。昭和三十九年度ほどの数字はあるいはむずかしいかもしれませんが、漸次また日本の民間債の発行ができる環境が出てくるのではないかと、さように考えております。
  87. 田畑金光

    ○田畑金光君 お話を承っておりますと、たいへんどうも、ヨーロッパ市場を見てもアメリカ市場を見ても、不安定的な要素だけで、あなた方としてもこうだという確信的な答えなんというものは何も出ないし、お答えがなかったわけですね。先ほど理財局長ですかのお話の中で、外債の一億三千万ドルをことしは期待しておるというわけですが、さっぱりどうもどこでどのようにこれが消化できるのかつかみがたいんですが、だから、包括的にこの承認を受けて、それぞれの市場においていろいろ情勢によって消化していきたい、こういうことだと思うのですがね。非常に確信のない見通しですね。  どうなんですか、これだけ消化できるのですか。もしできないとすれば、一体これはどういう影響がわが国経済の運営の上に残るのか、この辺もひとつ聞かしていただきたいと思います。
  88. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) どうも私どもの御説明、ことばが足りませんために、あるいはただいまのような、先生、非常に御不安をお抱きになったのじゃないかと思うのですが、これをまあ一応市場別に分けて考えてみまして、先ほど柏木調査官からもお答え申し上げましたように、まずアメリカ市場ではどうかということでございますが、これは四十年度全体を通じて見ますると、大体一億ドル見当は、過去における実績等から勘案いたしまして、まずまず手がたいところではなかろうか。市場の状況が許せば、あるいはそれ以上になるかもしれませんが、しかし、そこはわかりませんので、できるだけ手がたく見積もってみて、大体一億ドル見当であろうかと思います。  それから、ヨーロッパ市場ではどうかという問題でございますが、これは二つに分かれまして、一つはいわゆるユーロダラー市場と申しますか、ドル建てでヨーロッパの起債を行なう場合、それともう一つはいわゆるローカル・カレンシーと普通申しておりますが、たとえば西独でドイツチェ・マルクを使ってマルク建ての起債をする場合、あるいはスイス・フランのフラン建て、いわゆるヨーロッパの固有通貨建て起債、そういうふうに大ざっぱに分けてヨーロッパの国は二通りになろうかと思います。  そこで、いま柏木君も申しておりましたように、ジョンソン教書のつまり国際収支強化対策措置といったものの影響がやはりかなり端的に出てまいりますのは、何と申しましてもユーロダラー市場であろうかと思います。この点は実は前回、前々回あたりから鈴木先生からもいろいろ御指摘がございまして、ユーロダラーなどにあまり期待しておることは非常に危険ではなかろうかという御指摘がございまして、まさに私どもも実はユーロダラーにあまり期待するわけにはいかないだろうというふうに思っておりまして、ヨーロッパにおけるドル建て起債はあまり見通しが明るくないことは事実でございます。  しかし、一方、西独はどうかということでございますが、西独は御承知のように非常に国際収支が好調でございまして、外貨準備の増加がかなり顕著でございます。それに応じまして国内の流動性が高まってまいったものですから、まかり間違うとインフレの不安が起こるということで、むしろこの際資本輸出を積極的にやっていこうじゃないかというのが西独の基本的な経済政策になっておるわけでございます。昨年来いわゆる資本収益税法案というようなものを出しまして、むしろ資本の流入を抑えて逆に資本輸出を促進する、こういう措置を実は講じております。この法案が近く成立をするということのようでございますが、そういうことで三十九年中の西独市場における外債発行というものは非常に活況を呈したわけでございまして、その事情は今日においてもあまり基本的には変わっていない。で、その活況に応じて、わが国といたしましても、まず産投国債を五千万ドル昨年の六月に発行いたしました。さらに、ことしの二月でございましたか、例の大阪府市のマルク債を二千五百万ドル、つまり合わせて七千五百万ドルというものの発行を実際に行なったわけでございます。そこで、こういうものを基礎に来年度を見通しまして、いろいろ市場の状況をいまサーベイしておるわけでございますが、現地にも大蔵省から駐在官が出ております。そういう人たちが各方面にわたって相当詳細に市場打診をやりました結果、最低つまり去年の実績なり、うまくいけばそれよりも相当ふえる。まあ相当というのが問題でございますが、それよりもかなりふえ得る見込みである。そうすると、私どもはそこをまた手がたく見積もりまして、まあまあ八千万ドルくらいは手がたいものじゃないか。去年が七千五百万ドルでございますから、そうすると、まあ八千万ドルくらいはどう間違ってもいけるのじゃないかという感じを持っております。  そうしますと、この両者を足しますと一億八千万ドルということになるわけでございますが、一方、明年度予算予算総則において御議決をいただこうとしておりますこの公債発行並びに政府保証の限度は合計一億三千万ドルでございます。それじゃそこで五千万ドルはみ出すじゃないかということに相なろうかと思いますが、それにつきましては、実は三十九年度までに国会の議決をちょうだいしておりますところのこの発行の限度、保証限度というものは、実は今日五千万ドルばかり余っておりまして、これが予算総則に従って四十年度に繰り越されることになっております。したがいまして、それを乗せますと、合わせて一億八千万のつまりワクというものがあるわけでございまして、したがって、ただいまのようなことで一億八千万出ましても、そこはワク内で処理できると。私どもはそこまでいければそれにこしたことはないと思っておりますが、これはまあ先生しばしば御指摘になっているように、いろいろアンノーン・ファクターが多かろうじゃないか、あまり楽観は禁物だろうと、おっしゃるとおりでございます。そういう意味で、私どもは、それは最高のところまでいった話で、まずまず一億三千万ドルは確実にいくというふうに実は考えておるわけでございますから、それに加えて数千万ドルの増加ということがかなりかたく見られる。  そうなりますと、先ほど柏木君の申しておりますところの二億五千万ドルのつまり長期資本収支の黒字というところは、大体まあ見込み程度は確保できるのじゃないだろうかというふうに見ておるわけでございます。
  89. 田畑金光

    ○田畑金光君 日本の外貨事情はたいへんよくなったというのですが、よくなりつつあるというのですが、いま日本の外貨というのはどれくらいあるのですか。また、その中身はどんなやつなのか、それをひとつ説明してくださいませんか。
  90. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) 二月末で日本の外貨準備は二十億五千万ドルでございます。その内訳としまして、金が約三億ドル、残りの約十七億何がしにつきまして、約半分が預金、半分が外国政府証券になっております。
  91. 田畑金光

    ○田畑金光君 半分は何ですか。
  92. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) 半分は銀行に対する預金、半分が外国政府の短期証券になっておりますし、  ちょっと補足して御説明しておきますと、いま申し上げましたのは、金が三億ドル、それから預金、証券合わせまして十七億ドルと申し上げましたが、十五億ドルでございます。十五億五千万のうち約半分が預金、約半分が短期証券になります。それから、一億ドルがいわゆるゴールドトランシュと申しましてIMFに預けてあるものでございます。
  93. 田畑金光

    ○田畑金光君 この日本の外貨準備のうち金の保有割合というものが非常にこれ少ないと、まあしばしば予算委員会その他で議論されておりますが、特にヨーロッパの国々の外貨準備の中の金の保有の占める割合から見た場合に、日本はあまりにも少な過ぎる、こういうことがいわれておりますね。特に先ほど私のお話ししたドゴールの新らしい新国際通貨の提唱の面から見た場合、日本だっていつまでもこの不安定なドルをこんなにかかえているのじゃなくして、もっと金の準備率をふやすべきじゃないかと、こういうことを強くいわれているわけですが、このことについては、そういうような方向でかじをとるのかどうか、この点どうですか。
  94. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) ただいま田畑委員から御指摘のとおり、日本の金の保有割合は非常に少のうございまして、西欧各国に比べますと非常に少ないのでございます。しかし、これは要するに日本の外貨準備そのものが非常に少なくて、必ずしも十分に金に投資し得ないという事情もございます。日本の貿易量等から見ますと、二十億五千万という外貨は必ずしも多くはないのでございます。それから、もう一つ、日本の乏しい外貨を最も効率的に使うという意味から、これを預金にする等いろいろほかの形態で運用する必要もございます。そういった意味からも、必ずしも金に投資し得ないという事情もございます。  しかし、長期的な観点に立ちますれば、やはり私どもも日本の外貨準備の中における金の保有割合というものは、これから外貨準備がふえるに従ってできればふやしてまいりたいと、さように存じておりますが、現在程度の外貨ではそうふやすわけにいかないのじゃないかと思っております。
  95. 田畑金光

    ○田畑金光君 日本の外貨というのは、お話のように、貿易量、経済の規模等から見た場合に、ヨーロッパの国々に比べると非常に少ないと思うのです。われわれもそう思うのです。ただ、しかし、たいへん政府筋、大蔵大臣なんかは、日本の外貨事情は非常によくなった、いかにもこれは十分であるかのごとく宣伝しておるわけですがね。そういう点はわれわれもどうかと思うのですよ。  まあこれはこの程度にして、それから世銀からの借款ですね、これは六二年の道路借款ですか、そのころからもう日本に対しては、先進国としての日本であるし、そう世銀にたよらなくてもいいのじゃないかと、こういうような傾向になっておるというわけですがね。今後ともこれは世銀に依存しなければ資金の調達がむずかしいということなのか。西独イタリアなんかの場合には一体どうなっているのか、世銀関係。だから、昨年IMF総会のときに大蔵大臣がウッズ総裁と話し合うて、一億五千万ドルの借款の約束ができた。たいへん大きな功績のように、宣伝これつとめておりましたが、また反面から見ると、日本がIMF、世銀にいつまでもこういう形で借り入れを仰ぐということができるのかどうか、許されるのかどうか。特に南北問題等がやかましい時期に、こういう金はもっと後進国の開発援助等にあるいは借款に充てるというのがほんとうじゃないだろうかと、こういう感じもするわけですが、こういう点はどういうような見通しなんですか。
  96. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 世銀当局の考え方は、ただいま田畑先生が御指摘になりましたことと全く同様でございます。それで、世銀としては、むしろ日本は先進国だというふうに考えておりまして、もはや日本にはもう金は貸せない伊、ということを、先ほどお話の中にございましたように、三十七年ごろに申しておったわけでございます。それに対して大蔵大臣は、いろいろその後アメリカの金利平衡税問題なんかも出てまいりましたものですから、そこでぜひひとつ頼むという話をなさって、ウッズ総裁もよかろうということから、三十九年度として一億ドル、それから四十年度としてただいま出ております一億五千万ドルというところまで話が来たようなわけでございます。  しかし、将来を見通しますと、世銀当局ではやはりもう極力後進国に金を回したいわけでありまして、日本のようにいわゆる資本市場へ出ていって外債発行なんかもできるような国は、やはりみずから調達すべきだ、あまり世銀に期待しては困るという気持ちはいまでもやはりあるわけです。したがって、将来の見通しは、なかなか世銀借款というものは今後はむずかしくなるだろうというふうに実は考えております。  で、その場合にそれじゃ道路工事等が非常に支障が起こるかというお話でございますが、それにつきましては、これは財政投融資計画全体の、つまり原資をどういうふうに確保するかという問題の一環として出てまいりますので、これは道路の工事の進捗に支障のないように、財投計画全体として原資を十分考えてまいればいい話でございまして、必ずしも世銀から借りなければ道路が進まないという性質のものではもちろんございません。
  97. 田畑金光

    ○田畑金光君 私はこの程度で質問を終わりますが、そうしますと、今後は世銀などにたよって資金調達するということはだんだん自粛していこう——まあ自粛というか、控えていこう、遠慮していこうという傾向にならざるを得ぬと思うんですね。昨年、先ほど申し上げた大蔵大臣の、政治折衝でしょう、おそらく。たいへん歓待でもなされて、一億五千万ドルをウッズ総裁が引き受けてくれたのかと思いますがね。これはやはり今後としては日本の立場、日本の地位、あるいはアジアにおける立場等を考えた場合には、こういう世銀借款などはだんだん押えて、別の面で資金の調達をしていくという以外にないと思うんですね。そういうような方向へ今後大蔵省としてもだんだん向けていこうと、こういうことなんですね。
  98. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) まさに大筋においては全くそのとおりでございます。それで、世銀としましても、いまのように原則的にはやはり後進国開発というものに重点を置きたいという気持ちが非常に強いわけでございますが、ただ、いかんせん、なかなかその後進国にさてどこへ貸すかということになりますと、なかなかいいプロジェクトがないとか、あるいは将来の元利の償還についていろいろ不安があるとか、まあいろんな問題がありまして、そういう場合にやはり日本というものは元利償還については絶大なる信頼を持たれているわけでございます。いいプロジェクトもあると、こういうこともあるものですから、それは世銀は日本をなるたけ押えたいと思いつつも、だんだんやっていくうちに、やはり日本に出してやろうということになるかもしれません。ですから、その辺は今後はどういうことになりますか、来年以降のまた折衝いかんにかかっておりますので、ただいまから直ちに断定的に自粛するんだというふうにきめてかかる必要もなかろうかというふうに思っております。私どもとしては、いずれにしても、安定した良質の長期の原資であれば、これは世銀から受け入れることについて少しもやぶさかでないわけでございますから、そういう意味ではひとつ全体としての外資受け入れの基本方針に沿いまして考えてまいりたいと、かように思っております。
  99. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 いまの問題、ちょっとだめを押すようでたいへん申しわけないが、とにかく去年一年は、利子平衡税の問題があって、ニューヨーク市場では募集しなかったわけですね。それで済んだんだ。それで済んだんだから、それでずっと済ませるように基本的な姿勢を持つということが一番必要なんだと思う。ぼくはこの前のときにも、要するに本質的な対策というは、もうあなたたちの言うとおりに、日本はもう世界の大国になったんだから、いつまでもアメリカに金融的に依存度を強めるという方向から脱却すべきだと。そうしないと、実際のことをいって、貿易だってフリー・ハンドでやれないと。いろんな点で自主性の問題とも関連してくるので、幸いに去年一年は募集しなかったわけだから、それでやれたのだから、これからもひとつアメリカの金融市場には依存しない、政府債、民間債ともそういう基本的な姿勢を貫いていくという方向に向くべきではないのか。  それから、もう一つは、それにもかかわらず、利子平衡税でいま一億ドルのああいった話し合いが出てきた。これに見合う国内の受け入れ態勢をつくるために、あなたさっきから何回言っても、いやそうじゃないのだということを言っては否定していますが、ぼくらそうだと思う。この特別措置の一部改正の本旨は、一億ドルのワク内でのそれを保証するためにとられた国内的な処置ではないかということを非常に心配するのですよ。これは法律の改正なんだけれども、言うならば政治的な話し合いによった政治的なにおいが非常に濃厚だ、そういう感じを受けてならない。  この二点について、だめ押しをするようであれだが、ぼくはこの問題に対する質問は終わりますからね。
  100. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 前回にも鈴木先生から、外資受け入れの基本的態度というものは対米依存の脱却にあるという御説示をいただいたわけでございます。これは実はまさに対米依存ということばをお使いになりましたが、たとえば日本側がアメリカに嘆願をしたり、あるいはマネーハンター的に懇願しながら、何とかして金を貸してくれというようなことであってはならないと思います。むしろこれは、日本の外資というのは、やはり広い世界の資本市場からあまねく求めるわけでありまして、アメリカ側が日本の経済に対して信用を抱き、元利償還について不安なしということで公募の外債に応募してくるということであれば、これに対して門戸を閉ざすという理由もございません。それはアメリカであろうとヨーロッパであろうと、そういう日本に対して日本経済の将来を信じて金を貸そうという人が出てくれば、これは別に断わる理由はないのじゃないかというふうに思いますので、私は、必ずしもいまおっしゃったその対米依存の脱却ということがはたしてわが国として今日考えなければならぬことかどうか、いろいろ問題が多かろうかと思いますけれども、この点につきましては、むしろ大蔵大臣にでもお聞きいただいて、私ども事務当局の問題ではどうもないようでございます。  そこで、問題は、この法案のねらいがそういう政治的な意図をもって行なわれたのではないかという御指摘、これについてはこれは重ねて申し上げなければなりませんが、全くそういうものではございません。前回にも私るる申し上げたつもりでございますけれども、これは全く従来の世銀の借款受け入れ、あるいは外債の発行というその実体面においては少しも変化を来たすものではない。ただ要は、予算との関連におきましてきわめて事務的、実務的に円滑に外資受け入れを進めるための手段にすぎない。しかも、それは先ほど来いろいろ御議論がございました財政法律主義のワク内で、国会の御審議を尊重しながらいく、その範囲内においてその実務上の要請というものを満たしてまいりたいという全く実務上の話でございますので、どうかひとつそういう政治的なものであるというお考えでございましたら、それは決してさようなものではございませんので、重ねて申し上げておきます。
  101. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 ぼくはその答えはいただかなくてもけっこうですよ。あなたは、ひたすら懇願これつとめるというようなことではないのだと。アメリカに対して実際、あなた、利子平衡税がどうなるかといった当時の日本政府のあわてふためき方、それでまたこれを何とか一億ドルのワクを云云ということについての田中大蔵大臣のああいう態度というものは、それは媚態にひとしいほどの、懇請これつとめていますよ。それはもう、あなた事務当局だから、それはそういうことを言うでしょうけれども、われわれはそう見ている。やはりぼくは、これは邪推かもしれない、推量かもしれないのだけれどもね、そのときの話し合いの中に、かくかくの措置を講じて政府保証債については万全の措置をとるという、何らかの口約束をしたのではないかとさえ疑われるような、そういう今回は改正になっている。しかし、これは議論になりますからね、あなたも、それは大臣でなければ答弁できないことだというから、これは御答弁いただかなくてもけっこうですけれどもね。
  102. 西田信一

    委員長西田信一君) ちょっと、それに入る前に御報告したいことがありますから……。  この際、御報告いたします。ただいま議題となっておりまする関税定率法等の一部を改正する法律案は、先刻衆議院から送付せられ、本委員会に付託せられました。  なお、本案は衆議院におきまして修正議決されております。  この際、修正部分の説明を、便宜、政府委員から聴取いたします。佐々木関税局長
  103. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) お手元に配付されております、関税定率法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、説明を申し上げます。  これは衆議院の大蔵委員会の議員修正のものでございまして、与党自民党と民社党の二十数名の方の提案になるものでございます。社会党の委員の方々は、趣旨において賛成ではあるけれども、税率においてまだ検討すべきものがあるという趣旨で、反対をされましたけれども、基本的には考え方は賛成しておられるようでございます。そういうものでございますので、政府提案でございませんから、私が説明申し上げるのは若干問題があるかもしれませんけれども、提案理由を山中委員が申されましたのに従いまして、なるべく正確に追随して申し上げたいと思います。  お渡ししてあります条文の中身は、表になっておりますところの税番一〇〇五番、「とうもろこし」の分でございます。トウモロコシにつきまして、これは関税割り当て制度をしきまして、割り当てをもらいましたものについては一〇%の税率で、その他のものにつきましては二五%の税率を適用しようとするものでございます。ただし、割り当てをいたします際に「関税定率法第一三条第一項の規定の適用を受けるもの」と書いてありますのは、混合飼料用のトウモロコシでございます。魚粉等とまぜましてえさに使用しますトウモロコシは免税になることになっておりますから、これは関税割り当てから除くという趣旨になっておるものでございます。御承知のように、トウモロコシは、昭和二十六年以来自由化せられておりまして、基本税率一〇%が適用されてまいりました。そのうち、えさ用のものにつきましては無税になっておりますことは御承知のとおりでございます。これを今回、関税割り当て制度を暫定的に二年間やろうという趣旨のものでございます。ねらいとしますところは、トウモロコシからつくられてまいりますコーンスターチが、最近のところ急激に生産がふえてまいりまして、カンショでん粉、バレイショでん粉の需要を脅かすようになっているということから、出されたものでございます。  でん粉の総合需給を申しますと、三十八年十月から始まります三十八イモ年度は、当初の見通しから非常に違ってまいりまして、砂糖の自由化後糖価が暴落をいたしましたために、でん粉の市価もまた暴落いたしまして、需要も減退しました。その結果としまして、二万五千トンの政府買い入れ、五万トンの在庫調整、さらにおおむね三万トンのぶどう糖協同組合によるでん粉買い入れ措置を講ずるのやむなきに至っている状況でございます。三十九年の十月から始まります三十九イモ年度につきまして、現在のまま推移しますというと、カンショでん紛は水あめ、グルタミン酸ソーダに相当量の需要の減少があり、これはコーンスターチに蚕食されるために起こるのではないかと見られているのであります。その間の事情を、お配りしてありますこの紫色の表についてお話し申し上げたいと思います。  表の二枚目のところをごらん願いたいと思います。二枚目に、カンショでん紛、バレイショでん紛、コーンスターチ、小麦でん紛の生産量の推移を示してございます。三番目のコーンスターチをごらん願いますと、三十六年三万六千トンの生産量が、三十七年が八万一千トンにふえまして、三十八年には十四万トンと大幅の増加を示しております。三十九イモ年度におきましては、現状のまま推移しますと二十七万トンに達するのではないかと見込まれている次第でございます。カンショでん紛が九万トン足らずの減少を見るに対しまして、コーンスターチは十三万トンの増加を見るのではないかというふうに見られているのでございます。これを裏づけます生産設備の状況を見まするというと、三十九イモ年度年度当初の生産能力は製品十八万トンを生産し得る能力となっておりますところ、次のイモ年度の生産能力はおおむね三十万トンから三十三万トンになるだろうというふうに見られているところでございます。この結果、これがどういうふうにでん粉の需要影響しますかを、次の紫色の一番最後の表をごらん願いたいのであります。  カンショでん粉のおもな用途でございます水あめ、ブドウ糖の欄をごらん願いますというと、三十八年のカンショでん粉は五十四万トン水あめ用に使われております。三十九イモ年度においては五十万トンに下がるのではないかと見られているのであります。コーンスターチは二万五千トンから五万トンにふえるであろうと見込まれているのであります。水産煉製品という次の欄は、かまぼこその他でございます。これでは、小麦でん粉が減ってコーンスターチが若干ふえているということでございます。繊維、製紙、段ボール用のでん粉は、製紙のりづけ用、段ボールのりづけ用に使います。これはコーンスターチ特有の用途でございますので、ほかはもともと小さい量がだんだん少なくなってまいりますけれども、コーンスターチ六万トンが九万二千トンになるということでございます。化工でん粉用は、工場を出たところでつかまえておりますので、繊維用、水あめ用にかえられるのではないかと思いますので、飛ばさしていただきます。ビールにつきましては、カンショでん粉は三十八年度二万トンの需要がありましたものが、三十九イモ年度で五千トンに落ちてしまった。コーンスターチは、一万トンから二万八千トンにふえるというわけでございます。グルタミン酸ソーダ用も、ごらんのように、カンショでん粉は六万トンから三万八千トンに減るということでございます。アイスクリーム用その他に使います食用等におきましても、コーンスターチの進出が激しいということでございます。このように、カンショでん粉、バレイショでん粉は、片や砂糖の暴落によりまして非常に出荷を閉ざされておりますところに、またコーンスターチの急激な増産によりまして、そのマーケットを奪われておるという状況になりつつありますので、これを防ぎますためには、原料でありますトウモロコシの輸入を制限しなければいけないという考え方が出てまいったわけでございます。  そこで、この紫色の表のところで第一ページをごらん願いたいのでございますが、トウモロコシの輸入は、えさ用以外のものとえさ用のものに分けてお示ししてございます。えさ用のものは二百九十四万トン、ほぼ三百万トン程度、えさ用以外のものは二十八万程度の輸入が行なわれておるわけでございます。この下のえさ用のものは別といたしまして、これはいままでどおりに取り扱いに変化はございません。えさ用以外のものにつきまして関税割り当て制度を適用しようということになるわけでございます。えさ用以外のもののうちにコーンスターチ用のものが含まれておりますほか、目立ちます需要は、酒をつくりますときに使いますアルコールをつくりますのに用いますものが年間約五万トン程度でございます。そのほかみそ用に使いますもの、かん詰め用に使いますもの、コーンフレーク等に使いますものが若干あるわけでございます。これらが割り当ての対象となるものでございます。  今回のこの改正に関しましては、政府部内におきましては、後進国からの輸入というものは、表でお示ししましたようにケニア、ローデシアというようなところから行なわれておりますが、後進国問題の非常にやかましく論ぜられておりますときに、後進国からの輸入を抑えるようなことになる措置を新たに自由化に逆行してやることはどうかというふうな意見もございました。当面のコンスターチは別といたしましても、他の用途に対する制限が加わることになることは好ましくないのではないかというふうないろいろな意見もございましたけれども、非常にむずかしい問題をかかえております。イモでん粉の需給を調整しますためにはやむを得ない措置として承認されてまいったものと考えている次第でございます。
  104. 西田信一

    委員長西田信一君) 以上で修正案の説明は終わりました。  それでは、八法案に対する質疑を続けます。鈴木市藏君。
  105. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 時間もありませんので、問題点と思うところを三つだけ質問いたします。ひとつ端的にお答え願いたいと思うのです。私の質問したいのは、改正法律案の提案理由説明の第二の項目のところで三つだけ質問します。  その一つは、昨年もこの問題でだいぶ関税局長に聞きましたのですけれども、いわゆる石炭対策費を捻出するための原油、重油の特別還付制度というものが、これがまた延長されましたね。この延長は一年ですか。一年延長ということですか、この特別還付制度の延長は。
  106. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 還付制度といたしましては一年でございます。
  107. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 制度としては一年ということは、税率はどうなんですか。
  108. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 税率を、関税率を暫定的に上げておりますものにつきましては、期限を二年としております。
  109. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 そうすると、端的にいうと、取るほうは二年取るわけですね。制度は一年。
  110. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) はい。
  111. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 取るほうは二年分取る、制度は一年というのはどういうわけですか。
  112. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) こまかく申しますというと、関税として取ります部分をそのまま全部還付に充てておるという関係には必ずしもなっておりませんので、関税を引き上げております分と払い戻します分とは事務上必ずしもぴったりとくっついておるわけではございません。今回の措置は、いままでも取りますほうは実は二年で刻んでまいっております。返しますほうは、還付しますほうは一年となっておりましたものを、いろいろ先生のような議論もありますので、歩調を合わしたほうがいいではないかという考えもありましたけれども、ともかく今回はあまり制度をいじらずにいままでの制度をそのまま踏襲していこうということにいたしましたので、二年、一年ということになっておりますが、前回までの例が示しますように、それは還付制度は一年限りでやめるということを必ずしも含んでおるわけではございません。
  113. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 含んではいないということなんですね。去年もずいぶんこれはやった。速記録を持っていますから一々読んでもいいのですけれども、これは特別還付度制というのは一年の時限立法だということで、ところが、いまのあなたの話を聞いてみると、必ず一年延長したけれども、必ずしも一年でやめるわけのものじゃない。これは既得権みたいなものですね。一年でやめるものじゃないのだということを言いながら、一年の延長の法の改正をしておいて、暫定税率のほうは二年分取っておる。また、この制度も、来年になればさらにまた一年というふうに延びていく。こういうふうに、特別還付制度というような名前をつけておきながら、あたかも既得権化していくという方向を、なぜあなた方みずからそういう考え方をするのか。この辺のところがわからない。どういうわけですか、これは。
  114. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 非常に、法律的に申し上げますというと、それは一年でございますから、二年続けることを約束しておるわけでもまたないわけでございます。しかしながら、私どもは見通しとしまして、石炭対策というものは一年くらいではまだまだ解決がむずかしかろうという感じがいたしましたので、いまのような趣旨を申し上げました。既得権的になっておるということでございますけれども、この実態は、電力、鉄鋼等の企業が商業上取り得ます量以上の石炭を取りまして、石炭業の存立といいますかというものを確保しますことに協力しました場合に、その商業上取り得る量以上のものを取りますための負担増というものを一部見てやろうという制度でございます。
  115. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これは、この特別還付制度というのはけしからぬ法律なんですよね、本来。それは結局、石炭の対策費を捻出するために——あれは基本税率一〇%だったですね。そしてこの暫定税率は一二%で、二%だけよけいに上がっただけのものを結局、石炭の大口需要者ということで、電力会社と鉄鋼会社に返すわけでしょう。ところが、一二%の上がったままで使っているものがいるでしょう。たとえば中小企業だとか、あるいは農村なんかで使う場合に、これには還付するのですか。しないでしょう。この点はっきり答えてください。
  116. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 還付いたしまする場合は、石油化学でありますとか、ガスでありますとか、用途が指定されておりますので、指定されていない一般の方々には還付はないということでございます。
  117. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 還付しないわけでしょう。そうすると、どういうことになるのですか。結局、石炭の対策費は、石炭の大口需要者の電力と鉄鋼には還付制度で返してやるから、それで別に石炭をいまよけいに使ったからといって、あるいはまたこういう関税の還付もあるから、そこはそれ自身痛くないわけだ。ところが、石炭対策費を捻出するためにということを口実にして、基本税率が一〇%のものを一二%に上げた。二%上げた分をだれが負担するかといったら、この負担は中小企業と農村でしょう。ほかのところでやっておるといったって、理屈が合わないですよ。なぜ一体石炭の対策費を中小企業や農民が負担しなければならないかという、その理論的根拠はきわめてない。薄弱どころか、全然ないのだ。だから、これは悪法だから、悪改正だから、こういうものはやめるべきものだということを去年言ったら、あなたもその点については、確かに言われてみればそういう点はあるかと思いますがと言ったが、また一年延長。さっきの話では、またさらに延長するかもしれない。そうすると、石炭のいまのような状況が続く限り、この石炭対策費を捻出するための犠牲になるのはだれかといったら、中小企業と農民だ。こんな、あなた、ばかな話がありますか。世間へいって通る話ではない。こういう関税なんていうものは国民にとって非常にわかりにくいから。しかし、こういうからくりをやられてきたのではたまったものではない。  石炭対策費を具体的に聞きますけれども、この還付制度によって、電力会社と鉄鋼会社に還付する金は幾らですか。全くばかげた話ですよこんなことは。
  118. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 最後の数字だけ申し上げます。三十八年度におきます電力に対する特別還付は三億三千七百万でございます。鉄鋼は三億一千三百万でございます。三十九年度見込みは、現在のところ北海道の積雪のために引き取りが円滑に進まないという問題を含んでおりますので、二、三億程度になろう、電力については二、三億程度になろうかと見ておりますが、いま確定した数字を申し上げるまでに至っておりません。鉄鋼は三億七千万くらいと見ておるわけでございます。
  119. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 それで、その一二%の暫定税率にしてどのくらいよけいに取ることになっているのです、金額は。
  120. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 二%上げたことに基づく増収分のほうの計算は、三十九年度の、もうすぐ年度が終わるわけでございますが、見通しは八十億でございます。四十年度は九十三億程度に見ているわけでございます。
  121. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 そうすると、あれですね、電力と鉄鋼に還付した金額を差し引いた残りはほとんど大部分、これを負担するものはそれ以外の需要者だということになるわけですね。
  122. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) いろいろな還付を受けます以外の需要者が負担することになるわけでございます。しかし、これらの財源といいますものは、予算の編成上ほぼ石炭対策に向けられておる次第でございます。
  123. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 だから、いまの結論からいってはっきりしているじゃないですか。大口需要者である電力と鉄鋼は、還付金が行くから、これはいわばゼロだ。ところが、三十九年度八十億、四十年度九十三億のうち電力と鉄鋼に還付した残りのものの大部分は、結局中小企業や農民や一般の市民が負担しておる。これらの人たちが、結局ほかの需要者、つまり大口でないところの需要者が負担をして、石炭の対策費を出さなければならないという、つまり合理的な根拠はどこにあるか。これはあなたに聞いたって無理ですよ。こういうばかげたごまかしの政策をやっているのだから、しかし、一般の人は関税なんかわからないから、石炭対策費がどういう形で捻出されているかということについてはわからない。このからくりを知ったら、みんなおこりますよ。なぜ、石炭対策費をひねり出すために中小企業は高い原油や重油を買わなければならないか。二%よけいなものをなぜ買わなければならないのか。こういうことは、関税政策としてもけしからぬし、政策自身としてもけしからぬ。これはもうやめなさいと去年あれほど言ったにもかかわらず、また一年延長する。さっきの話を聞けば、さらにまた状況を見れば、一年どころか、もっと先にいくかもしれないというようなことを言っている。それだけではないです。  二十三日の日経を見ると、石炭の引き取りの値段が若干上がるということを口実にして、どういうことが書いてあるか。「電力用炭値上げ」ということで、ここにこういうことが書かれている。電力業界では、値上げに伴う負担増対策として、原油、重油関税の還付のワクを広げてほしいと要望している。あなたたちが、一年延長というようなことはあたりまえだというようなことを考えておったら、一年延長するどころの騒ぎではない、還付金のワクを広げろというようなことを言っている。こうして結局、石炭対策費捻出の尻ぬぐいを中小企業や零細企業、農民、一般国民がこういう形で負担しなければならないというこの不合理性をそのままにしておいて、関税制度そのものは一体正しいものかどうか。この点をあなたはっきり答えてください。
  124. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 鈴木先生に、関税というものの機能といいますか、それからまずお話ししなければならないと思いますが、ちょっと誤解があるようでございます。国産のものと輸入しますものとが、用途によって競合します場合、しかもその国産のものを保護しなければならぬということになりますときに、関税をかけて輸入品の価格を高めるというのが一般の政策であります。いま出ております問題は、石炭と重油がエネルギー源として競合するという場面でございます。この場合、石炭を保護する必要がないと言われるならば別問題です。しかし、一般の人々が認めますところ、石炭産業に対しては相当の保護を与えなければならないわけでございます。したがいまして、関税政策の基本といたしますと、重油と石炭とが国内において、平等に競争し得るような価格条件にするには、関税をかけるというのが普通のやり方でございます。そういうことをやりました上で、それではやはり基幹産業については非常に酷になる場合、特に基幹産業については長期大量の引き取りを約束させているわけでございますから、その約束をさせて負担を重からしめている分については、消していこうということでございます。全然負担がないわけではございません。数字が出ております。三十八年度について見ますというと、二%分の電力が払ったと認められます関税分十四億のうちから、三億なにがしを返したということになっているわけでございます。したがって、無理をして石炭を取っております霊力もまたかなりの関税を負担しているということになるわけでございます。これらの問題がエネルギー政策としていいのかという基本的な問題がありますけれども、関税でやります限りにおいては、このような形にならざるを得ないと考えておるわけでございます。
  125. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これは、あなたがそういうことを幾ら言っても、理屈にならないと言うのだよ。石炭対策費を出すならば、出すといって、はっきりとそういう政策のもとに何らかの方法を講じたらよろしい。ぼくは、いままで石炭がいいとは思っておりませんよ。しかし、一方においては、大口需要者だということで、関税を上げても、上げた分だけはお返ししますといって返してくれる。しかも、それは電力とか鉄鋼というのは大独占資本ですよ。ところが、一般の中小企業者やなにかにとっては、石炭対策費のためにということで上がった関税はそのままかぶってくる。だから、石炭対策費を捻出するということのために、いわば犠牲になって八十億から九十億のよけいに金を取られているというのは、中小企業や農民なんだということなんだよ。ここが不合理だと言っているのです。政治がそういう不合理を公然と許しておくということになったら、どういうことになるか。しかも一般にはわからないのだ、こういうことでやられると。関税なんといったら、全く近寄りがたいものであって、わけがわからないのだから、一般国民には。そう言ってはなんだけれども。だから、こういうことでごまかしをされてはいけない。しかも、大独占資本家はこのことによって損をしていない。こういうようなやり方は、政治としてもよくない。関税政策としてももちろんよくないのです。だから、こういうのは改めなさいと去年ずいぶん言ったのです。ところが、それをまた一年延長するというのだ。これ以上は討論になるから、私はやめておきますけれども、その問題が出たときに、一体審議会はこの討議をされたのですか。
  126. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) これは非常な討議を行ないました。三回くらい、三日間に日を分けてやりました。議論の焦点は、それは石炭対策はわかるけれども、財源を別にとれというお話でございましたが、しかし、その財源はそう容易にあるものではございません。財政の実態からしまして、いまのような政策を石炭対策としてはとらざるを得なかったということでございます。
  127. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これは三十八年度の石炭のときにいろいろな関係のあった問題ですから、関税政策だけで問題をしぼっていくということも正確ではないと思うので、私はそういう意見を強く述べて——これはもう悪法だ、悪改正だ、やめるべきだということですよ。  次に、今度はちょっと問題を変えて聞きますけれども、脱脂粉乳ですね、脱脂粉乳を去年あなたのところから提案されたのには、他に転用することができるという項目を設けましたね。で、実績はどうですか。
  128. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 三十九年度十二月までの実績を見ますというと、他に転用された実績は八千九十トン——八千トン強になります。そのうち、この間改正を願いましたあの規定の適用を受けて転用いたしましたものは四千六百トン、あとは輸入手続が完了しませんうちに、保税地域にありますうちに食糧不適格として転用したものでございます。
  129. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 この転用の場合にはどこへ行ったのです。
  130. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 大部分が飼料川でございます。
  131. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 大部分ですか。
  132. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 失礼いたしました。いま申し上げました数字は、全部が飼料用でございます。
  133. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これが飼料用、飼料用というけれども、聞くところによると、かなりいわゆるビスケットあたりの原料になっているということも町のうわさで聞いているわけです。真偽のほどはわかりませんよ。だから、あなたが大部分というと、法律では飼料用だといっておきながら、意外に菓子屋あたりに横流しされているのじゃないかという町のうわさを裏書きするようですから、これはさっき大部分というのは全部というふうに取り消したからいいけれども。それで、一体この脱脂粉乳というのは総量どのくらい入っているんですか。総量と金額。
  134. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) いま総量だけは手元にございますが、四月から十二月までの輸入数量は五万六千八百五十三トンでございます。
  135. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 それで、まあ他に転用したものが大体八千トンくらいである、こういうわけですね。
  136. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) そういうことになります。
  137. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 そうすると、一ころ脱脂粉乳の問題については、おととしあるいは去年あたりにも新聞をにぎわしましたように、給食に適しない、異物混入があったりにおいがついたり、そういうことで給食に適しないというようなものがあったが、この転用したものの大部分は、いわゆる給食用として入れたのにもかかわらず、給食に適しなくなったという意味での転用ですね、八千トンというのは。そうすると、これはその一トンどのくらいの金額ですか、転用の金額。
  138. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 転用されましたものの税関で鑑定をいたしました価格は三億二百万でございます。
  139. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 そうすると、まあ結局は、給食用として入れた脱脂粉乳のうち、食糧にはならないということで転用を認めたものは約一五%ということですね。
  140. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 一応数字はそういうことになります。ただ、ちょっと疑っておりますのは、前年度入っておりますものが、三十九年度にあたって規定がはっきりできたから、転用を申請をしたという事実があるいはあるかもしれないと思っているわけでございます。ちょっと調べております。
  141. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 で、つまり食糧として輸入したにもかかわらず、食糧に供することができなかったということで他に転用をするものが一五%もある、こういうようなことは、どうですか、いままでの実績に比べてこれは多い数字ですか、それとも少なくなった数字ですか。
  142. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) この数字は三十八年度の二千六百六十八トンという数字に比べますと、かなりの増であります。
  143. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 そうすると、ものすごくふえたわけですね。これもまことにけしからぬことだ。
  144. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) ちょっと補足さしていただきます。昭和三十八年度において輸入がまだ保税地域内にありましたものを転用しましたものが二千六百六十八トンでございます。これは先ほど申し上げました三十九年度の数字のうちの、八千トンのうちの三千四百四十七トンの分に相応する分でございます。念のために申し上げておきますけれども、食用に適しなくなったかどうかという認定は、厚生省のほうで食品衛生上の見地からきめてもらっておりますので、客観的に行なっているつもりでございます。
  145. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 それはまあ食用に適するか適しないかということの最後の認定はあなたのところではないかもしれませんが、あの法律ができて、あの法律は去年通ったわけですね。それからが然ふえているわけです。要するに食用に適しないといって、転用のほうがこの数字で見て、これはいろいろな数字上の問題については的確な計算をしてみるとどうなるかわかりませんけれども、いまあなたの言ったことだけをとってみても、約五千トン以上、しかも十二月までの実績において五千トン以上一昨年の実績よりも転用がふえているわけです。ということは、他に転用してもよろしいという法律をつくったから、それだからこうなるんですよ。これは日本の子供に学校で給食するものでしょう。これは食べるものでしょう、この脱脂粉乳を給食用として。ところが、こういうものに異物がまじったりあるいはスパナが入ったり、何だかんだとずいぶん昨年騒ぎましたよ。ところが、いままでは、給食用として入れたものだから、少しくらい異物が入っておっても、においがあっても、とにかく学校に一応届ける。そこで問題になっている。ところが、他に転用することができるという法改正ができたものだから、事前に、もうにおいがつけばすぐ他に転用するという形で、これは去年ほどには社会的な問題になっていませんけれども、しかし、これだけの数字をとってみても、五万六千トンの輸入のうち八千トン以上のものを他に転用する。これは一五%。おととしの実績に比べると、それは約五千五百トン以上の増大になっているということは、転用しやすい条件をああいう法改正によってつくったから、したがって転用しているわけです。事実はどうかというと、転用したほうが給食用よりも、聞くところによるともうかるらしい。  それが一つと、もう一つは、アメリカのほうのつまり脱脂粉乳の輸出業者が、日本に送ってやればいいんだ、食用に供することができないような品物であってもかまわないのだ、他に転用するという抜け穴があるのだから送ってやれというので、これは食用に供するものだから十分に厳選しなければならないものだけれども、厳選しなくなっている。少しくらいにおいがついても、異物が入ってもいいじゃないか、日本ではとにかく一五%くらいはどんどん他に転用することができるのだ、そういうことを政府が認めてちゃんと書いてあるのだから、必ずしも厳選をしなくてもよろしいということで、アメリカの脱脂粉乳の輸出業者のそういう不届きなやり方を、この転用することができるというこの法改正によってしりぬぐいをしてやっているというばかばかしいことをこのことは意味しているのだよ。  だから、こういうことはすべきではないのじゃないか。食用として入れたものが一五%も食用に適しないというようなことは、やるべきでない。しかも、これはいまはあれでしょう、聞きますけれども、この問題に対して密輸というようなことはありますか。まだおととしはだいぶあったということが新聞にも出ておった。脱脂粉乳の密輸関係というものはどうですか。
  146. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 最近大きな事件は記憶をいたしておりません。しかし、何しろ関税が高く差益の大きいものでございますから、非常に注意をしなければならないものかと考えております。
  147. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 とにかくこの脱脂粉乳も、これは関税の政策としてまことにけしからぬ。よくないことだ。しかし、これ以上は討論になりますからやめておきますが、もう一つ問題にしておきます。  今度新しく特別還付制度を設けたのがあったね。化学肥料の価格の低下及び輸出の振興をはかる見地から、関税を還付しようとするものを新しく設けましたですね。この理由はどういうことですか。
  148. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 従来、肥料をつくりますのに、原油を原料としてやっておる方法にかわりまして、ナフサを使ったほうがコストが非常に、安くなるということで、それらの施設がだんだん国内で行なわれるようになってまいりました。原油を、先ほどお話しになりました石炭等の関係で、かなりの関税がかかっておりますのを、このような肥料をつくります場合においては、免税をいたしておりますところの均衡上、ナフサ分解法によります肥料製造の場合においても関税負担を消しますために、還付制度を設けた次第でございます。
  149. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 肥料はいま輸出は非常に堅調なんですね。もうかるわけですよ。何も輸出振興のために肥料会社に特別に関税を還付してやるといったような、そういう必要はないと思うんですね。きのうかおとといの新聞にも——日経の新聞をごらんになったでしょう。非常に堅調なんだ、いま肥料の輸出市場価格というものについては。ですから、輸出振興のために関税を特別に還付してやるという必要はないです。これはどういう見地で輸出振興のためという、どういう事実に基づいてやったですか、これ。
  150. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) このナフサ分解法によるアンモニア系窒素肥料の製造について関税還付をやりますことの理由を御説明いたしました際に、原料価格の低下ということ及び輸出促進ということを確かに申し上げておるわけでございます。われわれ関税の面から見ますというと、肥料は農村にとりまして非常に基本的な生産資材でございますので、これには関税をかけない例がほとんどでございます。肥料の価格を安からしめようというわけでございます。  もう一つ、いまアンモニア系窒素肥料の輸出が非常にいいという御指摘でございますが、そのとおりでございます。しかしながら、一般に、輸出を促進します見地から、輸出品については関税をかけないでおります。また、消費税を輸出品にかけるべきかという理論上の問題もございます。大体においては、かけないのが例でございます。そのような見地から、関税を負担せしめないという措置をお願いしておるわけでございます。
  151. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 もうぼくはこれで終わりますがね、肥料の輸出が意外に堅調なんだよ、いま。そういうときに輸出振興をはかるという見地から特別還付をしてやるということは、もうかっているところになおさら恩典を与えるということになるんですよ。これは理由にならないですよ。あなたは農村の肥料について関税をかけちゃいかぬと。それを言っているんじゃないんですよ。輸出振興をはかる見地からと、ちゃんと政府の提案理由はそうなっておる。輸出振興をはかる見地からといったって、それは輸出がうまくないときに言うなら話はわかる。いまとにかく肥料の輸出はいままでにない堅調を示しておる。値段も割合にいいです。こういうときに限って、なぜ輸出振興のためということで特別還付制度を新たに設けるかということなんです。意味は、理由はないじゃないですか。ほかのことはいいから、そのことだけ答えてください。
  152. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 先生の議論を伺いましても、国内で使うものには関税をかけない、輸出用には関税をかけるということも出かねないような次第でございます。輸出用にはかけないのが例でございます。しかし、先生の言われたとおりにしましても、国内向けには関税をかけぬ、輸出用は関税をかけるということは、また現実としてはできないようでございますので、そこがどういうことになるのか……。
  153. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 あなたの答えがよくわからないのですよ。そうじゃない。この特別還付制度を設けたのは化学肥料の輸出振興のためだと、提案理由説明にそう言ってあるというのだ。だけれども、その理由は成り立たないというのだ。現在、あなた、肥料は、肥料の輸出は好調なんだから、もうけている上にさらにもう一つそういう恩典をなぜ与える必要があるのか、そのなぜを説明してくださいという質問を私はしているのだ。
  154. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 輸出品については、もうかっている場合には原料に関税をかける、損している場合には関税を免除するというようなわけにもいきませんので、およそ輸出品には輸出関税をかけないで輸出を奨励するというのがたてまえでございます。いま先生御指摘のように、肥料は好調ではないかということでございますが、肥料会社は御承知のように累積した赤字をかかえておりまして、必ずしも経営全体が、安定してきたというのには、まだ距離があるのではないかと思います。さらに、肥料の輸出の先行きを考えます場合、ヨーロッパ系の資本が現実に進出してまいりまして、アジア方面に安い値段で大量に参りましたり、肥料の輸出自体というものも決して安閑とはしておれない状況にあろうかと思います。短い期間をとって、収益があがっているから関税を課するというわけにも、またまいらないかと思います。原則として輸出品には関税がかからないのが望ましいというのが従来とられてきた政策でありますし、それを踏襲しておるものでございます。
  155. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これは押し問答を繰り返しているようでしょうがありませんけれども、関税局長、困るですよ。肥料会社の業績が赤字をかかえているからどうのというふうなことは、特別還付制度をきめるべき理由にはならないですよ、そんなことは。一企業会社が、私企業の会社がそういうことでもってどうのこうのということは、特別還付制度をそのためにとられるような性質のものとはわけが違うのですよ、これは。私は、はっきりと貿易自由化に対処するためにこういう処置がとられなければいかぬというなら、別な意味におけるところの保護貿易政策の一種なんですよ、これは。そういうふうにはっきりと真正面から問題を出してきて、それでもっていいか悪いかを言わなくちゃいけないのですよ。開放経済体制といったって、日本の輸出を振興するためにはある程度までの関税政策において保護貿易的な性格をとらざるを得ないということの一つのあらわれなんですよ。これはそういうものとして問題の本質を見てみて、それでもっていいか悪いかでなければならないのですよ。肥料会社が業績がまだ安定していないから、赤字があるからというようなことは、特別還付制度を新設する理由には全くならないですよ。  まあしかし、私はもう時間がないからきょうはこの辺でやめておきますが、最後に一つだけ。この特別還付金制度によってどのくらいの金額が還付されることになるのですか。
  156. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 現在の見込みでは一億二千万程度でございます。
  157. 西田信一

    委員長西田信一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  158. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記をつけて。  他に御発言もないようですから、これら八法案につきましては、本日はこの程度にいたします。  次回は明二十六日午前十時開会の予定でございます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五分散会      —————・—————