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政府委員(
佐々木庸一君) お手元に配付されております、
関税定率法等の一部を改正する
法律案に対する修正案につきまして、
説明を申し上げます。
これは衆議院の
大蔵委員会の議員修正のものでございまして、与党自民党と民社党の二十数名の方の提案になるものでございます。社会党の
委員の方々は、趣旨において賛成ではあるけれども、
税率においてまだ検討すべきものがあるという趣旨で、反対をされましたけれども、基本的には考え方は賛成しておられるようでございます。そういうものでございますので、
政府提案でございませんから、私が
説明申し上げるのは若干問題があるかもしれませんけれども、提案
理由を山中
委員が申されましたのに従いまして、なるべく正確に追随して申し上げたいと思います。
お渡ししてあります条文の中身は、表になっておりますところの税番一〇〇五番、「とうもろこし」の分でございます。トウモロコシにつきまして、これは関税割り当て制度をしきまして、割り当てをもらいましたものについては一〇%の
税率で、その他のものにつきましては二五%の
税率を適用しようとするものでございます。ただし、割り当てをいたします際に「関税定率法第一三条第一項の規定の適用を受けるもの」と書いてありますのは、混合飼料用のトウモロコシでございます。魚粉等とまぜましてえさに使用しますトウモロコシは免税になることになっておりますから、これは関税割り当てから除くという趣旨になっておるものでございます。御
承知のように、トウモロコシは、
昭和二十六年以来自由化せられておりまして、基本
税率一〇%が適用されてまいりました。そのうち、えさ用のものにつきましては無税になっておりますことは御
承知のとおりでございます。これを今回、関税割り当て制度を暫定的に二年間やろうという趣旨のものでございます。ねらいとしますところは、トウモロコシからつくられてまいりますコーンスターチが、最近のところ急激に生産がふえてまいりまして、カンショでん粉、バレイショでん粉の
需要を脅かすようになっているということから、出されたものでございます。
でん粉の総合需給を申しますと、三十八年十月から始まります三十八イモ
年度は、当初の見通しから非常に違ってまいりまして、砂糖の自由化後糖価が暴落をいたしましたために、でん粉の市価もまた暴落いたしまして、
需要も減退しました。その結果としまして、二万五千トンの
政府買い入れ、五万トンの在庫調整、さらにおおむね三万トンのぶどう糖協同組合によるでん粉買い入れ措置を講ずるのやむなきに至っている
状況でございます。三十九年の十月から始まります三十九イモ
年度につきまして、現在のまま推移しますというと、カンショでん紛は水あめ、グルタミン酸ソーダに相当量の
需要の減少があり、これはコーンスターチに蚕食されるために起こるのではないかと見られているのであります。その間の事情を、お配りしてありますこの紫色の表について
お話し申し上げたいと思います。
表の二枚目のところをごらん願いたいと思います。二枚目に、カンショでん紛、バレイショでん紛、コーンスターチ、小麦でん紛の生産量の推移を示してございます。三番目のコーンスターチをごらん願いますと、三十六年三万六千トンの生産量が、三十七年が八万一千トンにふえまして、三十八年には十四万トンと大幅の増加を示しております。三十九イモ
年度におきましては、現状のまま推移しますと二十七万トンに達するのではないかと見込まれている次第でございます。カンショでん紛が九万トン足らずの減少を見るに対しまして、コーンスターチは十三万トンの増加を見るのではないかというふうに見られているのでございます。これを裏づけます生産設備の
状況を見まするというと、三十九イモ
年度の
年度当初の生産能力は製品十八万トンを生産し得る能力となっておりますところ、次のイモ
年度の生産能力はおおむね三十万トンから三十三万トンになるだろうというふうに見られているところでございます。この結果、これがどういうふうにでん粉の
需要に
影響しますかを、次の紫色の一番最後の表をごらん願いたいのであります。
カンショでん粉のおもな
用途でございます水あめ、ブドウ糖の欄をごらん願いますというと、三十八年のカンショでん粉は五十四万トン水あめ用に使われております。三十九イモ
年度においては五十万トンに下がるのではないかと見られているのであります。コーンスターチは二万五千トンから五万トンにふえるであろうと見込まれているのであります。水産煉製品という次の欄は、かまぼこその他でございます。これでは、小麦でん粉が減ってコーンスターチが若干ふえているということでございます。繊維、製紙、段ボール用のでん粉は、製紙のりづけ用、段ボールのりづけ用に使います。これはコーンスターチ特有の
用途でございますので、ほかはもともと小さい量がだんだん少なくなってまいりますけれども、コーンスターチ六万トンが九万二千トンになるということでございます。化工でん粉用は、工場を出たところでつかまえておりますので、繊維用、水あめ用にかえられるのではないかと思いますので、飛ばさしていただきます。ビールにつきましては、カンショでん粉は三十八
年度二万トンの
需要がありましたものが、三十九イモ
年度で五千トンに落ちてしまった。コーンスターチは、一万トンから二万八千トンにふえるというわけでございます。グルタミン酸ソーダ用も、ごらんのように、カンショでん粉は六万トンから三万八千トンに減るということでございます。アイスクリーム用その他に使います食用等におきましても、コーンスターチの進出が激しいということでございます。このように、カンショでん粉、バレイショでん粉は、片や砂糖の暴落によりまして非常に出荷を閉ざされておりますところに、またコーンスターチの急激な増産によりまして、そのマーケットを奪われておるという
状況になりつつありますので、これを防ぎますためには、原料でありますトウモロコシの輸入を制限しなければいけないという考え方が出てまいったわけでございます。
そこで、この紫色の表のところで第一ページをごらん願いたいのでございますが、トウモロコシの輸入は、えさ用以外のものとえさ用のものに分けてお示ししてございます。えさ用のものは二百九十四万トン、ほぼ三百万トン
程度、えさ用以外のものは二十八万
程度の輸入が行なわれておるわけでございます。この下のえさ用のものは別といたしまして、これはいままでどおりに取り扱いに変化はございません。えさ用以外のものにつきまして関税割り当て制度を適用しようということになるわけでございます。えさ用以外のもののうちにコーンスターチ用のものが含まれておりますほか、目立ちます
需要は、酒をつくりますときに使いますアルコールをつくりますのに用いますものが年間約五万トン
程度でございます。そのほかみそ用に使いますもの、かん詰め用に使いますもの、コーンフレーク等に使いますものが若干あるわけでございます。これらが割り当ての対象となるものでございます。
今回のこの改正に関しましては、
政府部内におきましては、後進国からの輸入というものは、表でお示ししましたようにケニア、ローデシアというようなところから行なわれておりますが、後進国問題の非常にやかましく論ぜられておりますときに、後進国からの輸入を抑えるようなことになる措置を新たに自由化に逆行してやることはどうかというふうな意見もございました。当面のコンスターチは別といたしましても、他の
用途に対する制限が加わることになることは好ましくないのではないかというふうないろいろな意見もございましたけれども、非常にむずかしい問題をかかえております。イモでん粉の需給を調整しますためにはやむを得ない措置として承認されてまいったものと考えている次第でございます。