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政府委員(
吉国二郎君) この間
お尋ねの趣旨は、今後
価格がどういうふうに推移をするか。したがって、どの
程度転嫁が可能であるか、あるいは転嫁ができないであろうかというようなことの
お話がございました。ただ、
価格を引き下げるかどうかという問題は、この間局長申しましたように、業界としても非常に秘密を要することでございます。私どももちょっとそれを、私どもがこう思っていると申し上げるのも非常に問題であると思いますので、一つの形で申し上げますと、たとえば、かりにですね、現在の
軽減税率が一%、二%上がってまいりますが、その場合に
小売り価格が変わらない
程度にしておくためには、メーカーの
負担が、会社が支払います税金はどう上がっていくかという
考え方をとってみることも一つの
考え方だと思います。
それで考えてみますというと、
自動車の場合、たとえば
小型乗用車の場合をとってみますと、現在
小売り価格が五十六万二千円。ここれは平均でございますが、大体各社の一二〇〇ccクラスの平均でございますが、五十六万二千円。
税率が一五%で、これは
製造価格に対する一五%でございますから、現在かかっております
税率が五万七千円ということでございます。で、初年度一%引き上げました場合に、これを
小売り価格を上げないということにいたしますと、メーカーが
負担しなければならない追加
税額は三千三百二十円。これを
小売り価格に転嫁してしまうということでまいりますと、これは三千八百円になるわけでございますが、
小売り価格に転嫁しないで
製造車の中に吸収するといたしますと、
製造価格自体が低くなりますので、
税額は三千三百二十円でとどまる。さらに次の年度に一八%に上がったといたしますと、その場合の増差
税額は六千四百六十円でございます。最終年度に二〇%になったときに、同じ増差
税額が六千二十円。毎年その
程度で、つまり初年度は三千三百二十円、次年度は六千四百六十円。三年度は六千二十円と
税額が上がっていくという形になるわけであります。
一方、もう一つの角度から調べてみますと、
昭和三十六年から
小売り価格が三十九年までにどの
程度下がってきたかということを平均的に見てみますと、大体一二〇〇ないし一五〇〇ccのクラスでございますと、
昭和三十六年が六十四万二千円
程度の小売
価格であったのが、現在平均五十六万二千円
程度になっております。それの
課税価格、つまり
課税標準になる
価格は、六十四万二千円というのが
小売り価格に対して、大体ことし四十三万四千円くらい、現在はそれが三十八万円くらい、この三年間の間に大体八七・五%に下がっております。この間の台数のふえ方が大体二・三倍ということになっておる。そこで、今度いま私が申しましたような形で
小売り価格を上げずにやっていった場合に、
課税価格をどの
程度下げなければならないかという計算をいたしますと、この三年間に九五・八%まで下がれば、
小売り価格は上がらないで済むということになる。現在でも見込み生産、中期経済計画等の見込みで申しますと、大体年率二割くらいで
自動車の生産がふえていくということになっておりますので、三、四年たった場合に、大体生産量は一・六倍ないし一・七倍になるかと思います。その場合に、三十六年と三十九年の間の比較をいたしますと、生産量が二・三倍で、
コストダウンがほぼ一三%であったわけでありますが、今後の三年間を考えますと、この生産量が一・六、七倍になって、その場合
小売り価格を上げないでもやっていけるとするならば、大体四・二%
程度の
コストダウンがあればやっていけるはずだということになるわけでございますので、その辺から勘案いたしまして、
開放体制その他を考えれば、あるいは
小売り価格を上げずにいけるかもしれぬという
判断もつくわけでございますが、その点は私どもとしても別にそれを前提にするというわけではありません。
ことに先生先ほどおっしゃいましたように、この
税率の問題は、本来
基本税率に返って
負担してもいい
性質のものだという前提で、ただその間の
体質改善ということを促進する
意味のものでございますから、本来、
税率が上がったらそれがはね返ってもかまわないものではあるはずでございます。しかし、それではせっかく
量産が進んできたのにチェックがかかる。そこで、
自動車業界としても、努力をしてそれを吸収するという形が起こる。それができるかできないかという一つの御
判断をいただく資料としては、いま私が申し上げたような形で
価格が推移すれば、
量産と見合ってそれが一つの限界である、こういうことになるかと思うのでございます。