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1965-03-16 第48回国会 参議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十六日(火曜日)    午後一時三十五分開会     —————————————    委員の異動  三月十六日     辞任         補欠選任      日高 広為君     岩沢 忠恭君      佐野  廣君     加賀山之雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西田 信一君     理 事                 佐野  廣君                 西川甚五郎君                 成瀬 幡治君                 中尾 辰義君                 田畑 金光君     委 員                 大竹平八郎君                 太田 正孝君                 栗原 祐幸君                 津島 壽一君                 林屋亀次郎君                 日高 広為君                 堀  末治君                 佐野 芳雄君                 柴谷  要君    政府委員        大蔵政務次官   鍋島 直紹君        大蔵大臣官房財        務調査官     吉国 二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        大蔵省主計局法        規課長      赤羽  桂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国立学校特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○日本国アメリカ合衆国との間の二重課税の回  避及び脱税防止のための条約実施に伴う所  得税法特例等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国スウェーデンとの  間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び  地方税法特例等に関する法律案内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国カナダとの間の条  約の実施に伴う所得税法特例等に関する法律  案(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国政府フランス共和国政府との間の  条約実施に伴う所得税法及び地方税法特例  等に関する法律案内閣提出) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、税務署設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  国立学校特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案提案理由説明は、すでに聴取いたしております。  それでは、これより補足説明を聴取いたします。赤羽法規課長
  3. 赤羽桂

    説明員赤羽桂君) ただいま議題となりました国立学校特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。  御承知のとおり、国立学校特別会計の運営は、独立採算制によるものでなく、財源の大部分も一般会計からの繰り入れに依存しなければならぬものでございまして、借り入れ金の制度には本来なじまないものと考えられます。すなわち、一般会計からの繰り入れ金をもって借り入れ金償還財源に充てることは、健全財政のたてまえから適当ではないと考えられるわけでございます。また一方、国の財政投融資は、同じく健全財政立場から、借り入れ金を投入することによりまして収入が増加し、当該収入増加額をもって償還財源に充当できることとなるように特定をいたす必要があるわけでございます。過日の提案理由説明でも申し上げたとおり、現行の国立学校特別会計法第七条におきまして、付属病院施設費支弁のために借り入れ金をすることができる旨の規定が置いてございますのは、付属病院には診療収入がございまして、施設の整備に伴う増収により借り入れ金を返済することが可能であることによるものでございます。  で、今回の改正は、これに加えまして、国立学校を移転する場合に、それが過密都市対策に資するものであり、かつ、不用財産処分収入をもちまして当該借り入れ金償還ができる見込みがあるときに限り、当分の間、移転先用地取得費を支弁するため借り入れ金をすることができることとしようとするものでございます。  この条件に限定いたしました理由は、ただいま申し述べましたように、本来独立採算制になじまないこの特別会計性質並びに財政投融資の方針から、今回の措置特例的なものと考えておるからでございます。  本措置によりまして、具体的には、本年度に大阪大学移転計画が実行の緒につくわけでありまして、この借り入れ金の額は、予算上二十億円を予定いたしております。大阪大学は、これにより、吹田地区に約二十万坪の土地を取得し、中之勘、東野田、堺等にある本部、蛋白研究所産業科学研究所、二学部等をここに移転する予定でございます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 西田信一

    委員長西田信一君) 以上で補足説明を終わります。  本案については、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  5. 西田信一

    委員長西田信一君) 次に、日本国アメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律の一部を改正する法律案所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国カナダとの間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府フランス共和国政府との間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案、以上参議院先議の四案を一括議題とし、前回に引き続き四案の質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようですから、四案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより四案を一括討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより各案につきまして順次採決に入ります。  まず、日本国アメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  7. 西田信一

    委員長西田信一君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  8. 西田信一

    委員長西田信一君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国カナダとの間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  9. 西田信一

    委員長西田信一君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府フランス共和国政府との間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  10. 西田信一

    委員長西田信一君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決せられました四案につきましては、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  12. 西田信一

    委員長西田信一君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件、物品税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、以上衆議院送付の三件を一括議題とし、前回に引き続き三件を一括質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 物品税法のことでお尋ねをしたいと思うわけですが、物品税法最高の率はいま二〇%に押えておられますね。三〇%のがございますか。
  14. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) ただいま物品税法税率は、基本的な税率を、製造課税のものは二〇%、小売り段階課税のものは一〇%といたしまして、上下に軽減税率と割り増しの税率を置いておりまして、最高製造課税のものは四〇%でございます。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いろんなこともありますけれども、製造あるいは小売り、そこでおのおの税を取られるわけですが、問題は、そういうものを一律にぱっとおしなべていったときに、普通いえば消費者がそれに対して負担をすることになるわけですが、実質的に消費者負担する最高税率というものは何%ですか。それは何がありますか、最高と思われるものは。それは小売り価格に対してです。
  16. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) ただいま申し上げましたように、製造課税の場合は四〇で蔵出しをいたします。ところが、これに対しまして、卸売り、小売りマージンが追加してまいりまして、したがいまして、小売り価格に対する税そのものは、四〇%のものが、実績で申しますと、たとえば高級自動車でございますが、一番大型自動車につきましては四〇が小売り価格に対する負担割合で三五・二ということになっております。また、マージンの差によって非常に違いまして、同じ四〇%の税率適用を受けますゴルフクラブにつきましては、これは木製の国産の例で申し上げますと、四割の製造課税ではございまするが、マージンその他の関係で、小売りになってまいりますと、小売り価格の中に占めるその税額は二一%程度になっております。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いままでもずいぶん社会党としては、戦時立法関係もあるから、物品税というものは廃止をして、そして再検討をしてみる必要があるんじゃないかというお話をしてまいりました。これは大蔵大臣等に来ていただいて、そういう政策の問題になるからお尋ねをしなくちゃならぬと思いますけれども、事務的にそういうような抜本的なことについては、この前も主計局長は、四年かあるいは五年ごろには検討するのだ、こういう話でしたけれども、その基本的な思想というものは、事務的にはどういうようなふうに内部で、事務当局の中では話し合いが進められておるのか。
  18. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) たいへんむずかしいお尋ねでございまして、事務的と申しますか、いま政府部内に置かれております税制調査会が御承知長期答申というものを出しておりますが、その中にかなり具体的に考え方が述べてございます。この考え方は、大体におきまして現在の日本における間接税につきましては、西欧諸国取引高税と異なりまして、課税物品指定をいたしまして、相対的に奢侈的なものをできるだけ指定をする。しかも、これに対しまして、同じ物品でございましても、その材質とか形状とかいう区分をいたしまして、いわゆる課税最低限を設けまして、日常生活に最も普通に使われるものであれば、同じものであっても非課税物品をつくるというような形で、かなり配慮を加えているのが現在の物品税でございます。日本間接税物品税だけじゃございませんで、その他いろいろございますが、いずれもそのような配慮を加えておりまして、かなり個別性を考え、奢侈的なものに対する課税を中心に持ってきております。そういう意味から申しますと、あらゆる販売品に一律に課税をいたします取引高税等に比べますと、かなり担税力というものを物品によって推定することができるという形をとっているので、税制調査会考え方といたしましては、現在の体系間接税体系というものはおおむねいいのじゃなかろうかと。ことに三十七年に、御承知のように物品税法につきましては大改正をいたしましたし、入場税法通行税法等につきましても統一的に改正をいたしまして、酒とかあるいはたばこという特殊な物品嗜好品として、これは各国でも高い税率をかけているものでございますが、これらを除きまして一般消費物品なり、消費行為に対しましては、消費者が直接購入する段階課税する場合は一割の税率、それがマージン等関係もございますので、製造段階課税する場合には二割、これを標準税率にいたしまして、その上に若干の加重税率と、商品の態様によって若干の軽減税率とを設けるという体系を整備したわけでございます。そういう意味から申すと、いまの消費税体系担税力その他から見てほぼ適正であるといえるのじゃないか。ただ、事態が変わってまいりますと、日常的なものに使われるものが次第に高級化いたします。そういうことで日常生活品になってきたもの、そういうものについては時々検討を加えて、課税の調整をはかるべきじゃあるまいか、かようなことを言っているわけであります。  なお、間接税と直接税の比率がいかにあるべきかという問題につきましては、いろいろ分析をいたしておりますが、結論といたしましては、間接税をどれくらいのウエートを持たせるべきかということは、これは抽象的にいえることではないのでございまして、その国の発展段階、あるいは国民所得の分布の状況等からいろいろ違ってまいりますことは当然でございます。したがいまして、現在の段階においては、面接税間接税を問わず、重い負担感じられるものをできるだけ軽減をはかっていく。そうして、全体の税法それぞれについての負担感じというものを、まあ比軽はむずかしゅうございますが、ある程度バランスをとっていくと。その結果として間接税が何%になったということにすぎないのではないか。間接税が少な過ぎるとか、直接税が多過ぎるとかいう観点から、直接税の負担間接税に移せというような考え方は必要ではない。かようなことを言っているわけでございます。  私どもは、事務当局が、ある意味で、この長期答申というものが政府に置かれた税制調査会結論でもございますので、こういう長期答申の線というものを適宜慎重に検討いたしてものの考え方をまとめていくべきではないかというふうに考えているわけでございます。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いろいろと苦心をされていることは、それからそれについての体系を詰めておいでになるということは、私たちもわからないわけじゃないのです。そこで、大づかみに、それでは奢侈的なものは、いま取っておられる物品税の中で、この品目は大体それに該当するというようなものは何と何を、概念的に、現時点、いまの税法の中ではきめておいでになるのか。
  20. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) 現在奢侈的であるかどうかという判断は、非常にこれまたむずかしいものでございます。ただいま私が申し上げましたように、大体物品税考え方を、小売り一割、製造二割というふうに考えまして、その上に加重税率軽減税率を設けると申しましたが、小売り段階では加重税率二割というものを設けております。それから、製造段階におきましては、加重税率五としては四〇、三〇、軽減税率といたしましては一〇、五という、その他ちょっと特殊なものはございますが、原則としてそれだけの税率が行なわれておるわけでございます。そういう意味からごらんいただきますと、ある程度加重税率の高いものほどそういう性質を持っているということは抽象的にはいえると思いますが、この奢侈というものについての判断は非常にむずかしいところがございます。結局、税率表に盛られた形がある程度そういうものをあらわしているのじゃないだろうかという感じがするわけであります。  たとえば、現在製造課税で四〇%の税率適用を受けておりますのは、御承知大型高級自動車でございます。それからモーターボート、スカール及びヨット、これらは娯楽用のものでございます。それから、ゴルフ用具貴金属製品、こういうものが四割の適用を受けておる。それから、第一種と申しますか、小売り課税物品で二割の適用を受けておりますのが、大体において貴石、半貴石といったたぐいのものでございます。  どれくらい具体的にこれが奢侈であるというところまで申し上げるのはむずかしいと思いますけれども、税の構成としては大体そういうところをねらっているのじゃなかろうかと申せるかと思います。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 だから、いろいろなことが問題になってくると思うわけですよ。たとえば、物品税はこれは高いじゃないか、安いじゃないかということは、逆にいえば、ぼくらでも、奢侈的なものはある程度高くていいのじゃないか。しかし、国民生活に直結しておるというものは安くていいのじゃないか。これは原則論はそれでわかる。じゃ具体的にこのものはどうだ、こうなったときに、いろいろと問題が出てくると思います。たとえば自動車でいいましても、大型は確かに奢侈的ですよと、こうおっしゃる。しかし、小型のほうはどうですか、こう聞くと、小売り課税のほうでちゃんとこれだけで押えております。カテゴリーの中へこれは入ってしまう。レコードはどうですかというと、そうだというぐあいで、なかなかあなたのほうのおっしゃる点は、私は抽象論としてはごもっともだと思うのです。具体論になると、なかなかこれは意見があるわけです。  今度、たとえばこの四つ物品税を大体基本税率にまで引き上げていく。簡単にいえば増税のほうに踏み切っておられます。これ全体をいま言った奢侈的なものと認定をしておられるのか、それとも日常生活に非常に関係のあるものと認定をされておるのか。そういう立場じゃないのだ、基本税率が二〇になったのだからそういうふうに上げるのだ、こういう理屈なのか。ならば、これは問題は別になると思いますが、どういう判断でこの増税に踏み切っておられるのか。
  22. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) この基本税率は二〇でございますから、私が先ほど御説明いたしましたように、加重税率に属する税率ではなくて、税率といってもいいところでございます。この自動車の五%あるいはその他の三物品を一〇%上げる——上げると申しますか、今度は上げてはおりませんが、漸次段階的にもとへ戻すという思想は、これはいま先生がおっしゃいましたあとのほうに近い考え方でございますが、これは元来、三十七年に課税いたしましたときに三年間の軽減税率を置きましたいわれは、当時これらの物品が開発直後のものでございまして、近く予想される開放体制に向かってコストダウンあるいは技術的な水準の向上ということを早急にやらなければならない、そのためには相当消費分野を開拓しなければならない。そのためには税率を引き下げまして、その間自由化がされておりませんから、外国のものは制限されておる。その分野でできるだけ量産をはかってコストダウンをやる、技術向上をはかるということを念頭に置いてできたものだと思います。そのころは値段も相当高かったわけでありますけれども、量産をはかるにつれまして、値段も下がってまいりました。ちょうどテレビジョン課税いたします際に、二〇%の税率原則としながら、一〇%から出発いたしまして、数年間で一二、一五、一七、二〇とたしか上げていったはずでございます。その間にテレビジョン価格税率が上がるのと反比例いたしまして下がってまいりました。最初のころテレビジョンを買った人は税金が一〇%でございましたが、価格は最後に二〇%になって買った人よりもはるかに高い価格で買ったわけであります。大衆に普及したころは税率は上がっても安い価格で買える。さようなことを念頭に置きながら軽減税率を設けたわけでございます。  その結果は、本日お配りいたしました表についてごらんいただけますように、この四品とも、この軽減税率適用される直前の昭和三十六年を一〇〇といたしますと、小型乗用自動車二三〇、カラーフィルム関係で一九二、小型レコード二九七、カラーテレビ一八五八でありまして、カラーテレビ最初が少なかったためでございます。三十九年にはオリンピック関係で非常に売れたということでございますので、異常になっておりますが、いずれもとにかく相当の量産が行なわれ、また、値段もその下にございますように、小型乗用車に例をとりますと、トヨペット・コロナであれば八七、ニッサン・ブルーバード八八に下がってまいっております。  こういうことから申しまして、大体基本税率に戻してもいいのじゃないか。さらに、自由化をいたしまして、自由化が今年中に行なわれるというようなことがいわれておりますが、この場合、外国の車が入ってまいりますと、逆に申せば外国の車は関税が四〇%かかってまいります。この四〇%かかったところへ物品税がかかりますので、むしろ物品税を上げていったほうが外国の車は税額が多くなるという結果になるわけであります。それらを考えますと同時に、ここまでぎりぎりのところまで来たところで急に五%の負担を多くいたしますと、どうしても価格にも影響いたしますおそれがございますので、三段階に分けてこれを基本税率に戻す時期が来たと、こういう判断でございます。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 資料に基づいて一、二お尋ねしておきますが、いまあなたが指摘されましたように、このくらい生産も伸びてきたことだから、取ってもいいじゃないか、体質改善のためには暫定税率が必要であったということだけれども、そういうものは伸びてきたからいい、こういうお話ですが、とするなら、あなたのほうも、たとえばカラーテレビジョンがここまで消費が、これはいわゆる消費が変わってきたからカラーテレビがうんと伸びてきている、あるいは小型レコードがうんと伸びてきておる、自動車も伸びてきておる。カラーフィルムもそうですが、このカラーテレビなんかは、これだけ伸びると予想しておられたわけですか。初めは暫定税率をつくられたときには、どのくらいという予想も立てられて私は出発したと思うわけです。  しかも、今度のカラーテレビジョンは、四十一年は、自動車は一八になるけれども、カラーテレビジョンカラーフィルム小型レコードは一六で、安いわけなんですね。しかも、数量からいえば非常に伸びておるわけです。私は、自動車が高い安いということとは議論を別として、小型乗用車カラーフィルム小型レコードカラーテレビジョンのこの四つを今度改正をされるわけですが、基本税率はみんな二〇%になっているわけです。ところが、持っていき方は、片一方は、軽減税率は、自動車は一五%から、カラーフィルム小型レコードカラーテレビジョンは一〇%からです。この税率から見ると、小型乗用車はどちらかというと奢侈品的な観点が他の三つに比べると強いから、税率が高くなっておるというスタートかどうか。それで、四十年度へ行ってみると、片一方は三ふやしたから一三ずつだと、こちらは一ふやすから一六だと。四十一年度は、自動車は二ふやして一八にする、他の三品目は三ふやして一六だと。結局、どう見ても小型乗用自動車よりもカラーテレビ小型レコードカラーフィルムのほうが日常品に近いという、そういう結論が出てくるんじゃないかと思いますが、これはどうも納得がいかないのですが、どうですか。
  24. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) その問題は、三十七年に軽減税率自動車については一五%にいたしまして、他の三品目については一〇%にしたというところから出てきているわけでございます。で、当時、御承知のとおり、カラーテレビは、ごらんいただきますと三十六年はわずかに三千七十台という、ほんとうのいわば実験段階から毛がはえたという程度、と申しては言い過ぎでございますが、そういう段階にあったわけでございまして、ちょうどかつてテレビジョンそのものが出発いたしましたときも当時は非常な高級品であったはずでありますが、この育成段階ということを考えまして一〇%から出発をいたしております。で、カラーテレビジョンは、同じテレビジョンではございますが、ちょうどテレビジョン自体が発生したときと同じくらい技術的には大きな差がございます。さような意味からカラーテレビジョンを一〇%にしたものであろうかと存ずるわけでございますが、したがいまして、すでにここで五%の差がついておりますので、この四つのものを基本税率に暫定的に引き上げてまいります過程におきましては、遺憾ながらやはりそういうことは出てまいりますが、それは決して自動車のほうが奢侈性が高いというような判断からではなくて、経過措置の衝撃緩和と申しますか、そういう点から出てくる答えでございますので、いま仰せられましたように、自動車が一番奢侈性が高いという判断でこの経過税率をつくったわけではございませんで、そういういわば一五から引き上げるものと一〇から引き上げるものとの差を考えてつくったものでございます。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 だから、その暫定税率を設定をするときに、おっしゃるように、カラーテレビだとか小型レコードだとかあるいはカラーフィルムというようなものは、外国との競争の問題もあるし、あるいは開発途上にあるんだと。だから、一〇%の税率を設定したと。そのときはそういう判断であったと。その判断が間違っておったら、私は早く直したらいいと思う。ところが、今度やってみたときにカラーテレビジョンの生産指数がどのくらい伸びているかというと、三十六年の一〇〇に対して一八五八になっているわけですね。だけれども、その伸びたことには目をつぶっちゃって、何としてでも一〇%を二〇%に引き上げるためには、四十年、四十一年をこういうふうにしてやるんだと、こういうことになるんなら——これは一番初めのときにスタートしたときには、非常に政策的な意味があったと思うんですね。その政策が、カラーテレビジョンの例をとれば、いま言ったように、政策的な意味が十分達せられたと思うんですよ。値段も三十六年のときを一〇〇とすれば六八にダウンしているわけですね。そこで、こういうことが一律に解釈されるのか、運営をされていくのか。非常に政策的にいろいろなことを考慮してやるということと話が食い違ってくるのですよ。これじゃ自動車のほうが損ですね。政治献金が足らなんだのかな、出動車のほうは。理屈に合わぬですよ。
  26. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) ただいま仰せの点でございますが、カラーテレビは確かに十八倍という非常な伸びを示しておりますが、数量は五万七千台。普通のテレビジョンは、現在日本では年産約五百万くらいの生産でございますから、その意味から申しますと、カラーテレビジョンは十八倍になったとは申しましても、ようやくいま、何と申しますか、販売数に足り得る程度になってきたといえる面もございます。しかも、値段も六八%に下がりましたと申しますが、現在まだ十九インチあるいは十六インチで二十三万円程度でございますから、これからまだもう少し問題があるけれども、ようやく輸出もアメリカに向かって出てきたという段階でございます。これに比べまして自動車のほうは、一五%くらいの軽減税率ということは、三十七年以前から、昭和二十八年ごろからずっと引き続いてやってきたことでありまして、それを三十七年の改正にたまたま乗りかえたというものでございますので、育成段階としては、自動車にはすでに十数年来やっておりまして、自動車自体も客観的に見ますと、カラーテレビジョン製造に比べてはるかにもう成熟した段階に達しているといえると思います。さようなことから、経過税率をとります際に、カラーテレビジョンは御承知のとおり非常に高級品でございますが、一挙にカラーテレビジョンを上げるということにはまいらない、同じような段階税率をもって漸次衝撃を防ぎながらもとの税率に引き上げる、かようなことにいたしたわけでございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いまの御説明は、どう言われても納得できません。だから、私は一番最初に申しましたように、このときに、一〇%と一五%に暫定税率をきめるときに、どのくらいたてばどのくらい生産が伸びていくかという見通しを持つべきであると思う。カラーテレビジョンの見通しが誤ったんなら、それは誤ったとして、オリンピックでこう伸びたとおっしゃっておりますが、誤ったとするなら、今度はそのものを基本税率に戻すような場合には、私はこういうようなものは画一的でなくして、やはり政策的にやったとするなら、政策的に戻してもらいたい。政治は公平でなければいけないと思う。何か政治的な発言力の強いところが特別な恩典のあるようなことをしてはいかぬと思う。私は何もカラーテレビジョン税率が高いとか安いとかということを言っているわけではない。この四品目を比較した場合、これは公平なやり方じゃないと思う。それは、あなたのほうでお出しになった資料で値段の面、生産高の推移を見た場合に、どうかと思う。  それから、もう一つは、普通のテレビジョンが入っておりまして、カラーテレビジョンだけを使っておられるというようなものは少ないと思う。やはりそういう家にはテレビジョンは二つあると思う。どちらが奢侈かということでは、自動車と、いま言ったようにカラーテレビジョンと比較すれば、私の考え方だけでいえば、カラーテレビのほうがどうも奢侈品的なほうがウエートが強いんじゃないかというふうに思う、大型自動車は別ですよ、小型と比較した場合。そういう観点からいって、どうも納得がいきませんですがね。あなたのほうは、これで万般手落ちがない、公平な指針、鏡にどこに映しても恥じないやり方だというふうにお考えになったから、こういう結論をお出しになっておると思いますけれども、この問題について押し問答してもしようがないと思いますが、しかし、どうも手落ちであるということだけは、ちゃんと頭にとめ置いて、十分いろいろな場合には今後検討はしてもらいたいと思っております。  それからまた、資料としてお出し願った外国価格との比較の中で、あなたはさっき、輸入車の問題について、物品税をたくさんにしておいたほうが得なんだ、これは関税の問題だとおっしゃった。外国車との比較を見ますと、確かに国産車のほうが安いわけですね。しかし、関税が四〇%あるからこういうことになっておると思うのです。関税四〇%というものは不変なものと考えていいわけですか。これは関税局のほうの問題になると思うのですが、大蔵省としてはどういう見通しを、主税局のほうでは関税局との間にどういう連絡なりとっておいでになるのか、どういうふうにあなたのほうは研究しておいでになるのか、どういうふうに考えておるか。
  28. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) 自動車の関税の問題は、現在でも、外国でもいろいろ問題が出ておりますが、かなり国内生産というものと関連がある問題だと思います。現在協定税率は、大型車について三五というところできまっておりまして、普通車は四〇でございますが、そういうところから見ますと、世界的に見ても、必ずしもこの自動車というものについての関税率はそう低くされるものでもないというふうに考えるわけでございます。今後の一括引き下げその他の問題に関連いたしまして、いろいろ問題があると思いますが、一方において自由化という問題もございます。この自動車の関税率の問題はなかなかむずかしい問題だと思っております。  しかし、先ほど申し上げましたように、現在、関税がかかっております場合には、物品税課税標準は関税込みであります。そういう意味では、かなり関税とその両者のからみ合いでは、国内のものに対して有利になる傾向はございます。今後どうなってまいりますか、この点は関税局等がまた機会があったらお答えいたすと思いますが、私もいまそこまではお答えする資料を十分持ち合わせておりません。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それから、これは税金を取るほうのことは取るほうのことだけ考えているとおっしゃるけれども、たとえば自動車産業全体の動向として、たとえばイギリスの自動車産業、あるいはヨーロッパの自動車産業が、アメリカの下請になったと言っちゃ失礼な言い方かもしれませんけれども、大体そういう方向にあるわけなんですね。私は、日本も、アメリカから見れば、ヨーロッパ、イギリスに劣らない一つのマーケットだと思っております。ただ、対米感情がどういうことになるかということについて、配慮もいまあり、また自由化の問題等も、まだ日本がやっておらないという点があるのですけれども、行く行くいろいろなことが、自由化の問題等が決着がついてしまったあとは、おそかれ早かれ、イギリスの二の舞いを、ヨーロッパの二の舞いというものをやるような危険性があるのじゃないかということを非常に心配しておるわけなんですよ。  しかし、税金を取る主税局のほうとしては、何も考えておらぬと。税金は何でも取らなければいかぬのだ、徴税のほう一本で、税金をいかにして取るかということでは考えてやってはおらぬと思うのです。こういう問題についてはどういうふうになるだろう、またどうあっては困るというようなことをお考えになっておられると思いますが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  30. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) 自動車産業の今後のあり方というような問題は、通産当局等で慎重に考えている問題でもございますが、御承知のとおり、物品税等の課税物件をいろいろ定めます場合には、大蔵省だけの判断でやっているわけでもございません。関係当局の産業政策その他を、ことに間接税の場合は転嫁の問題がございますので、十分に参酌をしてやっていくという態度をとっているわけでございます。現にこのような軽減税率をとったというようなことも、実は小型自動車につきましてだけ一五%という——これは一番最初から自動車は御承知のように三〇一本税率だった。それを、これは外国に申すといけないのでございますが、三〇を、日本の国内の小型自動車だけを、国内とは申しませんで、比較的小型自動車だけを一五%に引き下げたわけでございます。さらにそのあとで、自動車税率を三〇から規格によって四〇、五〇と上げてまいりました。三十七年の整理のときに三〇、四〇、五〇の税率を二〇、三〇、四〇に整理いたしまして、従来からやっておりました一五%の軽減税率をそのまま三年間だけ据え置いたというわけでございまして、その十数年の間に自動車産業の国際競争力を強化するというためには、相当物品税のほうでも思い切った手を打ったと。これは実はアメリカからは非公式に、この段階税率には疑義があるということを言っておりますが、私どもとしては、大きさが違えば自動車の用役も違うというたてまえで、いままでも貫いてまいっているわけでございまして、そういう点の配慮関係当局とも十分に打ち合わせた上で考えている点はお認め願えるかと思うのでございます。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いやいや、認めようということじゃなくて、そういうことじゃなくて、自動車産業というものは、イギリスやヨーロッパは御案内のとおりアメリカのもう資本の下に入っちゃっておるわけですね。日本は私はそうなっちゃたいへんだと思うのですよ。悪いですけれども、レコードなんか私はそうなったってそうたいしたことないと思うのです。ところが、自動車だとかあるいは石油とか、いろいろなものがあります。あまり言うとさわりがあるかもしれませんけれども、日本のものとして民族資本でやっていかなくちゃならないものが相当あると思うのですよ。その中の私は一つの柱になっておると思う。そういうものと、たとえばレコードの、他人が聞けばおこるかもしれませんが、私は率直にいえばそう思うのですよ。そういうものと同一に見ておみえになるのか、あるいは関係各省と十分打ち合わせしてやっておると、こういうことだけじゃあまり答弁としてうま過ぎちゃって、私の聞こうとする真意にもずれちゃっておるのですが、もう少し端的に、これはこうなんだ、通産省はこう考えておると、大蔵省もこう考えておるのだという点をお聞かせ願えないでしょうか。
  32. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) ちょっとただいまの私の説明が回りくどかったと思いますが、このような軽減税率を設け量産をはかってきたという考え一方は、少なくともわが国の自動車が輸出価格におきまして国際競争力を保ち得る程度に引き下げられ、同町に国内的にも輸入と対抗できるという水準まで持っていく、自動車産業を外国の支配にゆだねるということは適当でない、これは基本的な考え方であることは間違いないと思います。その意味で現在までコストダウンができてまいりました。ここでごらんいただきましたように、小売り価格に換算すると、関税が入っておりますから、かなり高い。しかし、実際のCIF価格で比べましても、日本のほうが国内的に見れば、国内に入ってきた同種の車種に比べれば現実に安くなっております。また、輸出の際の輸出価格も、アメリカは別といたしまして欧州単とはほとんど同種の型のものでは差がないというところまで下がってきているわけでございまして、技術的にもかなり進んでおります。  そこで、今度は期限が来た際に思い切って二〇%に上げるかというときの判断といたしまして、いわばもうこの開放体制に入るというときに、もう一息の、何と申しますか、配慮が必要じゃないかということで、この三段階の経過税率をとったというのが、その真相であろうかと思うのでございまして、先生のおっしゃいましたように、国内の産業、特に自動車を戦略産業と考えるというような考え方は、これは通産の考え方の当然基礎的な考えにもなっておると思います。物品税はそういうようなことを考えるべきものじゃないかもしれませんが、こういう政策的な経過税率等を考えます場合の基礎的な考え方は、全く同じだと申し上げて差しつかえないと思います。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は資料としていただけませんかと言ったのは……。口頭で申し上げますが、ここで一体それじゃこれを一六に上げたとか、あるいは一八に自動車を上げたとか、二〇に上げた場合に、小売り価格にこれがどのくらい影響してくるであろうかということについて試算をしておいでになると思う。それとともに、逆に私は今度は自動車でそういうことを比べると同時に、カラーテレビジョンはこれがそれじゃ値段にどういうふうになっていくかということについて試算をしておいでになると思うから、少しノートとりますから、ゆっくり言ってください。
  34. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) この間お尋ねの趣旨は、今後価格がどういうふうに推移をするか。したがって、どの程度転嫁が可能であるか、あるいは転嫁ができないであろうかというようなことのお話がございました。ただ、価格を引き下げるかどうかという問題は、この間局長申しましたように、業界としても非常に秘密を要することでございます。私どももちょっとそれを、私どもがこう思っていると申し上げるのも非常に問題であると思いますので、一つの形で申し上げますと、たとえば、かりにですね、現在の軽減税率が一%、二%上がってまいりますが、その場合に小売り価格が変わらない程度にしておくためには、メーカーの負担が、会社が支払います税金はどう上がっていくかという考え方をとってみることも一つの考え方だと思います。  それで考えてみますというと、自動車の場合、たとえば小型乗用車の場合をとってみますと、現在小売り価格が五十六万二千円。ここれは平均でございますが、大体各社の一二〇〇ccクラスの平均でございますが、五十六万二千円。税率が一五%で、これは製造価格に対する一五%でございますから、現在かかっております税率が五万七千円ということでございます。で、初年度一%引き上げました場合に、これを小売り価格を上げないということにいたしますと、メーカーが負担しなければならない追加税額は三千三百二十円。これを小売り価格に転嫁してしまうということでまいりますと、これは三千八百円になるわけでございますが、小売り価格に転嫁しないで製造車の中に吸収するといたしますと、製造価格自体が低くなりますので、税額は三千三百二十円でとどまる。さらに次の年度に一八%に上がったといたしますと、その場合の増差税額は六千四百六十円でございます。最終年度に二〇%になったときに、同じ増差税額が六千二十円。毎年その程度で、つまり初年度は三千三百二十円、次年度は六千四百六十円。三年度は六千二十円と税額が上がっていくという形になるわけであります。  一方、もう一つの角度から調べてみますと、昭和三十六年から小売り価格が三十九年までにどの程度下がってきたかということを平均的に見てみますと、大体一二〇〇ないし一五〇〇ccのクラスでございますと、昭和三十六年が六十四万二千円程度の小売価格であったのが、現在平均五十六万二千円程度になっております。それの課税価格、つまり課税標準になる価格は、六十四万二千円というのが小売り価格に対して、大体ことし四十三万四千円くらい、現在はそれが三十八万円くらい、この三年間の間に大体八七・五%に下がっております。この間の台数のふえ方が大体二・三倍ということになっておる。そこで、今度いま私が申しましたような形で小売り価格を上げずにやっていった場合に、課税価格をどの程度下げなければならないかという計算をいたしますと、この三年間に九五・八%まで下がれば、小売り価格は上がらないで済むということになる。現在でも見込み生産、中期経済計画等の見込みで申しますと、大体年率二割くらいで自動車の生産がふえていくということになっておりますので、三、四年たった場合に、大体生産量は一・六倍ないし一・七倍になるかと思います。その場合に、三十六年と三十九年の間の比較をいたしますと、生産量が二・三倍で、コストダウンがほぼ一三%であったわけでありますが、今後の三年間を考えますと、この生産量が一・六、七倍になって、その場合小売り価格を上げないでもやっていけるとするならば、大体四・二%程度コストダウンがあればやっていけるはずだということになるわけでございますので、その辺から勘案いたしまして、開放体制その他を考えれば、あるいは小売り価格を上げずにいけるかもしれぬという判断もつくわけでございますが、その点は私どもとしても別にそれを前提にするというわけではありません。  ことに先生先ほどおっしゃいましたように、この税率の問題は、本来基本税率に返って負担してもいい性質のものだという前提で、ただその間の体質改善ということを促進する意味のものでございますから、本来、税率が上がったらそれがはね返ってもかまわないものではあるはずでございます。しかし、それではせっかく量産が進んできたのにチェックがかかる。そこで、自動車業界としても、努力をしてそれを吸収するという形が起こる。それができるかできないかという一つの御判断をいただく資料としては、いま私が申し上げたような形で価格が推移すれば、量産と見合ってそれが一つの限界である、こういうことになるかと思うのでございます。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 テレビのほうを話してください。
  36. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) テレビジョンについて申し上げますと、現在の価格が十九万九千円でございます、小売り価格、十六インチが。いま私は別の表で申し上げているわけであります。これからの推移を推定する関係でございます。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この資料でやってくれないかな、十七が出ておるのだがね。
  38. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) 現在、業界の趨勢といたしまして、十六インチ、十九インチというのがいま標準型になってきておりますので、今後十六インチが中心になっていくと思います。これは昔からの推移を見るために十七インチ型をとっておりますので、これから先をひとつ十六インチで、計算がそれしかできてないもんですから、それでひとつ……。  現在、十六インチの小売りのものが十九万九千円でございます。これに対する税額が一〇%で、  一万一千二百十円。と申しますのは、製造価格が十一万二千百円のわけでございます。それが小売りマージンと卸マージンを含んで十九万九千円になっているという姿でございます。そこで、初年度物品税が三%上がりますと、追加税率は幾らになるかと申しますと、これを小売り価格を上げずに吸収した場合を考えますと、二千八百八十六円、これを転嫁してまるまる税額が一三%になったとしますと、三千三百六十三円ということになります。その次の一六%に上がった段階では、やはり同じでございまして二千八百二十八円、これは三%でございますから同じでございます。最終年度では二八から二〇に上がりますので、その上昇額は三千五百三十六円でございます。  この点から見ますと、かなり、当初税率が、自動車の場合でございますと五万七千円でございます。それに対して初年度三千三百円、次年度六千四百円、最終年度も六千円という程度の上がり方でございますが、テレビジョンの場合は、最初税額が一万一千円でございまして、それに対して一年度、二年度は二千八百八十六円、最終年度で三千五百三十六円でございますから、実際の上がり方はかなり大きいということになるわけでございます。  これが吸収ができるかどうかという観点から申しますと、ちょっとこのカラーテレビジョンの今後の伸びというのは私どももつかめないわけでございまして、自動車に比べるとかなり不安定ございますので、その点はちょっと何とも申し上げかねるのですが、業界に推定してもらったところでは、対前年で申し上げますと、四十年は対前年一五〇%、四十一年は一八〇%、四十二年は一八七%、四十三年は二〇七%、非常に大きく伸びると見ているわけでございます。これくらい伸びれば、いま申し上げました総体的にかなり重くなる税率も、また吸収の可能性もあり得るかとは思いますが、データは大体そんなところでございます。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いま弱電関係の滞貨がどのくらいあるかと聞いたら、二千億くらいあるんじゃないかといわれておるのですね。それで、私はカラーテレビがどのくらい占めているかということは試算がありませんが、知りませんですけれども、しかし三十九年のときにも三十六年に対して一八五八%伸びたわけです。十八倍になったわけですね、大ざっぱにいって。それが今度は、四十年は前年比で申して一五〇、四十一年は一八〇、いろんなことでとにかく四十三年になれば約二倍になる。強気な目途なんですね。そして、しかもこれは税制改正でいえば二重になっての調整だ。これは業界のほうの推定のことをおっしゃったが、自動車のほうはどのくらい伸びるかということについて資料ありませんか。あなたは、自動車のほうは中期計画で二〇%伸びるんだと、こうおっしゃっている。業界は……。
  40. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) この自動車のほうは、先生御指摘のとおり戦略産業でございますので、中期経済計画で一つの見込みを立てております。業界と通産、企画庁が一緒になってやった結果が年率二〇%というかっこうで出てきております。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 対前年の伸びからいっても、カラーテレビのほうが伸びがいいわけですね。私もあまり言ってもおかしいことになるからくどくど言ういませんが、どうも納得のいかない材料を出している。大臣に、こういうような問題については政策的な問題として伺いたいと思うのです、ぼくは。今度の国会でこの法律案が通ってしまうと、四十二年まではこれは無条件に行ってしまうわけですよ。そうするなら、どうもあやまちを二度と繰り返したくはない。もう一ぺんよく検討をしてもらわなければならぬと思うのです。ですから、そういうような点についても大臣からお答えを願わなければならない問題だと思うのですが、委員長にお願いしますが、一度大蔵大臣等に出席を願って、一体どういう見通しの上に今回こういう改正案を出したかということについて、政策的な問題として承っておきたいと思います。  次に、相続税の問題で少しお尋ねをしておきたいと思うのです。いま自動車で対人保険がございますね。あれはいま百万円でしたかね。
  42. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) 最高二百万円になっております。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自動車で事故があってなくなった場合は、二百万円最高もらえるとしたら、この百万円は控除があるが、あとの百万円には税金がかかる、こういうことになるわけですね。
  44. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) この新しく今度入れました損害保険金は、被相続人の負担した保険料によるものでございますが、自動車損害賠償責任保険のほうは、被相続人に関係なく、いわば加害者が負担したものでございます。そういう意味でみなし相続の規定適用ございません。大体むしろ所得税の問題でございまして、所得税の段階では、これは損害賠償によって取得したものでございますので、非課税でございます、全額。これは相続税もちろんかからないわけでございます。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっとぼくはわかりかねますんでね、労災保険であるとかそういうようなものはどうなんですか。
  46. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) 労災保険等も、それぞれの施行法において非課税かどうかきめてございます。この相続——今回入れました損害保険契約の保険金と申しますのは、ちょうど生命保険に損害特約がついておりまして、本人が払った保険料に基づきまして生ずるものでございますが、たとえば自分が外国に参ります際に、航空機に乗りまして、自分で航空保険に入り損害保険をかけているという場合はこれに該当するわけでございます。他人の損害賠償にかわるべきものとして間接に保険しております自動車保険とかそういうものは、これはこの対象にならない。所得税は非課税という問題になります。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今回の相続税法の一部改正で、減税は一年間で総額どのくらいになる予定ですか。
  48. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) 現在の見込みでは、初年度二億円、平年度にいたしますと五億円程度の見込みでございます。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 相続税、贈与税、両方含めて……。
  50. 吉国二郎

    政府委員吉国二郎君) これは、今度の改正では、減収になります分はみなし相続財産の控除の引き上げでございますが、相続税で二億円とお考え願ってけっこうであります。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 贈与のほうはあまり関係ないわけですね。
  52. 吉国二郎

  53. 西田信一

    委員長西田信一君) 委員の異動につきまして御報告いたします。  日高広為君及び佐野廣君が辞任され、その補欠として岩沢忠恭君及び加賀山之雄君が選任せられました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記を起こして。  他に御発言もないようでありますので、三件につきましての質疑は、本日はこの程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後二時四十二分散会      —————・—————