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国務大臣(
田中角榮君) 御
指摘のとおり、輸入
食糧が去年よりことしはふえておるということは御
指摘どおりでございます。私も、
食糧は自給自足態勢をどうしても取らなければいかぬという考え方を前提にしておるわけでございます。経済ベースで考えますと、非常に米は安いのだから、外米はただいまの一万五千一円米価から考えると約半分に近い金額で入るのだから、一部輸入
食糧をもってまかなったほうがいいという議論をなす経済学者はございますが、私は、米が絶対量が不足でこれを外貨であがなうという前提にしますと、
日本の国際収支というものの議論は成り立たないという非常に大きな問題でございます。また、全世界的に考えてみましても、米は余っておるというような時期から時代が移りまして、現在米を的確な時期に的確な量だけ集めるということは、なかなかたいへんなことでございます。他の農産物は生産過剰という面がございますが、米に対しては、需給状況はそう簡単にいくような状態でないことも御
承知だと思います。
そういう
意味で、戦後二十年の間に
相当農政を行なって、米の自給自足態勢をやってまいったわけでありますが、近ごろ鉱工業生産が非常に高くなるに伴いまして、農地を転用するという面が非常に大きくなりました。でありますから、三十九年度、年度間を通じますと、農地の面積は多少減っておるというようなことでございます。しかし、構造改善事業等の推進によりまして反別生産が上がっておるというようなことで、大体ここ三、四年、米の生産量は前年度をわずかずつでも上回ってまいったわけでありますが、三十九年度は三十八年度に比べて減っております。これは
災害その他冷害等があったわけでございますが、そういう状態でありまして、
予算の上でも農業構造改善事業等を中心にしながら重点的な
予算投入を行なっておるわけでございます。
ただ、一般会計の面で見ますと、大きな伸び、社会保障のように一九・九%も伸びておるものから比べますと、少ないという御
指摘があるかもしれませんが、利子補給その他によりまして、融資の面で
相当大きな伸びを示しておるわけであります。農業も経済性を考えてやらなければならないという論がこのごろ非常に強くなりましたけれども、私は、国際収支という動かすことのできない大きな問題を前提に考えるときには、やはりそういうものをこしたものの考え方で農業政策、農業投資というものをやっていくべきだろうという考え方を前提にいたしております。