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1965-03-31 第48回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午後二時十七分開会     —————————————    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      田畑 金光君     向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 亀井  光君                 岸田 幸雄君                 大矢  正君                 鬼木 勝利君     委 員                 石原幹市郎君                 川上 為治君                 剱木 亨弘君                 二木 謙吾君                 堀  末治君                 松平 勇雄君                 阿具根 登君                 大河原一次君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   櫻内 義雄君    政府委員        通商産業政務次        官        村上 春藏君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省公益        事業局長     宮本  惇君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  委員の変更について報告いたします。本日、田畑金光君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。     —————————————
  3. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し、御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  7. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 私は、昨日この問題について二、三質問したのでございまするが、なお了解に苦しむ点がございますので、補足的にお伺いしたいのであります。  その一つは、きのうの御説明で、今回のこの販売会社法案実施の結果、石炭炭価が三百円アップする、かような御説明でございましたが、この三百円アップということは、現在の、たとえば三十九年度の各電力会社石炭会社から買った取引価格に対してそれだけ値上げになるのか。それぞれの電力会社石炭購入の実情から申しますると、銘柄によって、また、炭質によっていろいろ違っておりまするが、きわめて煩瑣な、そういうふうに片っ端から三百円ずつ値上げすると、こういうことでありますか。
  8. 井上亮

    政府委員井上亮君) 炭価値上げ仕組みといたしましては、まず、石炭鉱業合理化臨時措置法に基づきまして基準額決定いたします。たとえば四十年度の基準額につきましては、けさほど石炭鉱業審議会需給部会を開きまして、需要部門である電力業界代表鉄鋼代表ガス代表国鉄代表というような方々にお集まりいただきまして、この四十年度の基準額決定したわけであります。まず基準額をきめまして、この基準額は、先日もちょっと御説明申し上げたと思いますが、各電力会社別に九電力、たとえば関東であれば、品位六千カロリーについて基準価格は四千九百円というような決定をいたしたわけでございます。これをきめまして、その後、今度この販売会社が成立いたしました暁には、さらに銘柄別にこの基準額をもとにいたしまして今度プール価格制の構想をとりましたが、負担増対策の額とも見合ったプール価格をきめる、つまり負担増対策の手厚い揚げ地におきましてはやや高く、負担増対策のないところはやや低くというような決定をしたわけでございます。
  9. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 そうすると、いまの御説明でありますと、石炭会社が一方的に炭価をきめて、消費者側である電力会社はそれに追随せざるを得ないという結果になるわけでございますが、いかがですか。
  10. 井上亮

    政府委員井上亮君) そういう運用はしないことにいたしております。ただいま申しました基準額決定にいたしましても、特に電力部門であれば、需要部門である電力業界等との話し合いを経て、その話し合いのついたところで需給部会を開きまして、その需給部会審議了解を得て政府がきめるというような手順、段取りでいたしておるわけでございますが、今後ともさような運用をいたしたいというように考えてあります。
  11. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 その場合に、石炭産地北海道炭もありますし、九州炭の場合もありますが、それらの石炭東京とか名古屋とか大阪にくる場合、炭質とかカロリーだけで基準価格がきまるのでありますが、あるいは産炭地炭鉱炭質ということも考慮されるのでありますか、その点をお聞きいたしたい。
  12. 井上亮

    政府委員井上亮君) いまのところ、カロリー別にきめたいというように考えております。
  13. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 そうすると、それは産炭地いかん関係ないですね。
  14. 井上亮

    政府委員井上亮君) 産炭地いかん影響ないわけでございます。ただ、誤解のないように補足さしていただきたいと思いますが、この法案は、先日も御説明申し上げましたように、そういう銘柄というかカロリーというか、品位ははっきりきめるわけでございますが、その他のいろいろな条件につきましては需要部門のフリー・チョイスにゆだねるということばを使っておりますが、そういうことで調和をとって運用してまいりたいというように考えております。
  15. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 そうしてこういうぐあいに三百円程度値上げが実行されることになると、石炭業者としては、まず第一に電力会社側に供給することが有利であると考えます関係において、他の石炭需要者のほうに石炭不足がくるというおそれはないですか。
  16. 井上亮

    政府委員井上亮君) 石炭不足の問題につきましては、これは電力鉄鋼に対しましては、先生承知のように、引き取り義務というか、あまりほしくないといっておられましたのを、やはり石炭政策に協力して、この程度は取ってくださいという形でお願いしておるわけでございまして、それを裏から申し上げますと、一般産業向け石炭は年々相当な勢いで需要減少いたしております。これは御承知のように、エネルギー革命影響を受けまして、一般産業向け石炭は、石炭にかわりまして重油転換が相当なスピードで行なわれておりまして、石炭需要減少傾向にございますので、電力につきましては無制限に取ってくださいということではなしに、年々一定の量につきましてお願いするわけでございますので、ショートのようなことは私は起こらないというように考えております。
  17. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 その場合に、従来の実績を見ますと、三十八年度、三十九年度は、政府の御方針によって、電力会社に対する石炭消費量というか、需要量は二千五十万トンになっておった。ところが、実績はいずれも二百万トンくらいの減少になっている。これは全体の石炭出炭量が減ってきた関係でありますか、あるいは他の部門における石炭需要割り高でそちらのほうに集中したことになるのですか、その点いかがでございますか。
  18. 井上亮

    政府委員井上亮君) これは一言で申し上げますれば、石炭供給力が不足しておる、年間の生産量が当初の計画に対しまして不足しておる。したがいまして、電力引き取り量もその分だけ減少しておるという姿でございます。
  19. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 それから、過去の電力会社石炭需要といいますか、買い方を聞きますと、初めの約束した銘柄カロリーよりも実際納入した石炭のほうがカロリーがよかった、あるいは、また、石炭会社のほうが大いにサービスして、電力会社の必要な場合に契約以上に良質の石炭を供給した場合には、一種のボーナスというような形式石炭値上げをしたというようなことを聞いております。それと反対に、低品位炭を供給したり、あるいは契約量石炭を納入しきれなかった場合には、ペナルティーという形式石炭価格を減額したというようなことを聞きますが、今回かような販売会社ができますと、こういう点で電力会社がある程度自主的な石炭購入方法ができなくなるのじゃないか、かように考えられますが、その点はいかがでございますか。
  20. 井上亮

    政府委員井上亮君) 従来の商取引慣行につきましては、今度この会社ができましても、その慣行は尊重してまいりたいというふうに考えております。
  21. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 そうすると、実際問題でそういう操作はできるのですか。販売会社が中に入ってそういう操作ができるのですか。ペナルティーボーナス関係値段の調整というものはできるのでありますか、どうでありますか。
  22. 井上亮

    政府委員井上亮君) ボーナスペナルティーの問題につきましては、これは従来の石炭業者電力会社の間で取引契約条項になっておるわけでございまして、今度販売会社は、先ほど申し上げましたような手順仕組みによりまして、きめられました価格取引するということになるわけでございますが、その際のペナルティーボーナスにつきましては、従来の石炭業者電力会社契約によって処していきたい。  なお、一言申し上げますが、クレーム等の問題もあるわけですけれども、クレームを一体どうするのだという問題もありまして、こういった問題につきましても、この会社はそういったクレームは一応法律上は受ける形になります。もし何かの問題があれば電力会社はこの会社クレーム請求ができるということになるわけでありますが、しかし、この会社の性格にかんがみまして、電力会社あるいは石炭会社との間にこの会社は特約をいたしまして、それによってクレームの処理や何かにつきましても、直接電力会社当該石炭会社クレーム請求をするというような運用をいたす方針にいたしております。先ほどの商慣習の問題につきましても、同様な措置で処理されることを期待しておるわけでございます。
  23. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 その御説明によりますと、今度石炭販売会社基準価格をきめて、それに対して三百円値上げするという方針で、ただ石炭を売り渡すだけの会社だ、かように考えてよろしいのでございますか。
  24. 井上亮

    政府委員井上亮君) 大体そのとおりでございまして、他の従来のそういったクレームあるいはボーナス等につきましては、従来の商慣習を尊重してまいりたいという考え方でございます。
  25. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 それから、いまの石炭基準価格でありまするが、これは低品位炭を、ある程度電力会社が低品位炭用火力発電所において消費しておった関係もありまするが、その低品位炭基準価格を受けて三百円値上げということになるのでありますが、低品位炭については、普通の一般炭に比べると、値上げの割合は低いことになるのでありますか。
  26. 井上亮

    政府委員井上亮君) 通称三百円値上げといいますものは、これは調査団の段階におきましては、一応低品位炭も含めまして、全部平均三百円値上げということで考えておったわけでございます。ところで、きょう午前中に電力業界とこの炭価問題について一応最終的な方針決定いたしたわけでございます。これによりますと、低品位炭価格につきましては、三百円値上げというのより、低品位炭は別に若干弾力的に配慮してもらいたいということになっておりまして、それで、あと品位炭幾らにするかということは、これから関係者間で話し合う予定にいたしております。で、低品位炭の問題につきましては、九電力会社と、それから共同火力向けといろいろまああるわけでございまして、それぞれ事情も違います。違いますが、一応三百円値上げ基本方針に沿いながら、従来の特殊事情慣行等を考えまして値上げをきめていく、こういうことでございます。
  27. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 低品位炭の問題に関連して伺うのでありますが、先年通産当局の国策として、未利用資源をさらに利用するというたてまえから、低品位炭を特に消費する特別の火力発電所電源開発会社をして若松につくらせたということを聞いておるのであります。ところが、その当時においては、日本炭砿高松炭鉱が相当大量に低品位炭を掘っておったので、それを充当して十五万キロワットですか、三十万キロワットの火力発電所電源開発会社をして国策的に若松につくったのでありますが、その後、状況の変化によって、日炭の低品位炭がそれほど供給されなくなったために、若松の低品位炭利用、いわゆる未利用資源利用火力発電所は、その本質的な使命を果たさなくなった、かように聞いておりまするが、その点はいかがでありまするか。
  28. 井上亮

    政府委員井上亮君) 日炭高松の問題につきましては、ただいま別に大きな問題があるわけでございます。しかし、御指摘電発若松に対しまして、いま日炭高松の炭が大体八割程度、八割というのは、電発のほうから見まして、電発需要します炭の七、八割は高松から出ておるというようなことで、現在でも私は順調にいっている。石炭質そのもの等については問題はございます。ただ、量の問題につきまして、先生承知のように、最近日炭高松につきましては、この施業案を認可するか認可できないかというような問題がございまして、近くこれについては円城寺調査団の報告が出ると思いますが、これによりまして相当な影響を受けることになりますし、それから、また、再建計画も立てなければいかぬということになりますので、大きな問題ではございます。しかし、私どもは、この再建計画をしっかりやることによって、遺憾のないようにやっていきたいというふうに考えております。
  29. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 公益事業局長に伺うのでありますが、いまの若松電源開発会社火力発電所が、そうするといまの御説明のように、相当高能率に運転され、また、発電費も相当安く上がっておるのでありまするが、私の聞いておる範囲では、多少その点が初めの計画よりは落ちておる、発電原価割り高になっておるし、設備の利用率も低くなっておるというように聞いておりますが、その辺いかがでございますか。
  30. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 石炭局長の御答弁と別に食い違うわけではございませんけれども、御承知のように、九州電力、あそこの電力九州と中国に分けて引き取られるわけでございます。ひところは九州電力自体が電気の引き取りをあまりしなかったという事情もございますが、最近はわりあいに順調に両方の電力会社に送っておるという意味で、運転も稼働率もかなり上がっております。ただ、まま石炭の入手に多少問題があるときがございまして、最近は重油相当一緒にたいておるという事実はございます。ただ、問題は、これは今後われわれのほうと石炭局、あるいは電発石炭業界のお話し合いになると思いますが、先ほど石炭局長の言われました日炭高松再建ということになりますと、相当な政府資金がつぎ込まれるということになりますと、炭価もまるまる三百円上げられますと、これはちょっと電力側からいいますと相当問題がございます。したがいまして、その点は今後どういうふうにしてこの問題を処理しでいくかということは、今後の問題として慎重に相談をした上で決定をしていきたい、こう考えております。
  31. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 その石炭販売会社基準価格といいますか、それについてもう一つお伺いしたいのです。従来の電力業者石炭を購入する場合においては、揚げ地なりあるいは産地によって値段が違いますし、ことに東京とか中部とか関西の発電所については、遠くから船積みでくる場合、その炭価がいわゆるCIFで買う場合とFOBで買う場合といろいろあるようでありますが、それらを一括してFOBできめてしまうとかCIFできめてしまうことになると取り扱いが確定することになるが、その点は従来の実績慣行として行なわれることになっておりますか、その点はいかがでございますか。
  32. 井上亮

    政府委員井上亮君) お説のように、従来どおりの考え方でやっていきたいと思っております。
  33. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 これはきのうも公益事業局長に伺ったのでありますが、この石炭販売方法のことになりますけれども、東京とかあるいは中部、関西電力のような、産炭地に遠いところでとかく重油発電を盛んにやっておるところでは相当発電原価も安くなるし、また、一方において重油を使うために重油関係還付金が相当多額にあります。ところが、産炭地北海道九州電力などはそういうような還付金が少ない。そこでプール計算をやるというような話になっておりますが、これは各九電力会社が自主的に相談して、お互いに損得のないように、また、電力融通方法などを考慮においてやられるならば、いわゆる自由主義経済の精神に合いますけれども、政府石炭販売会社を通じて、あるいは直接これを統制なさるということになれば、いわば戦前の官僚統制を復活するのではないかということで、私は、はなはだ好ましくない傾向が今度の石炭販売会社の創設によって起こるような懸念がしてならぬのでありますが、いかがでございますか。
  34. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 政府が一方的にぴしっときめてしまうということになれば、確かに御指摘の点、そういう悪弊が出ると思いますが、この点につきましては、一応計算の便宜といたしまして、昨日も申し上げましたけれども、値上げ幅を、産炭地に薄く、関税還付金が返る中央部に高くということは考えておりますが、しかし、個々数字につきましては、われわれといたしましては、電力業界内部で話し合われて、そのまとまった結果で十五条の値段をきめていく、そういうつもりでおりまして、決して一方的に押しつける気持ちはございません。
  35. 岸田幸雄

    岸田幸雄君 私は、最後に重ねて、しつこいようでありますけれども、この自由主義経済下における販売価格決定にあたっては、通産大臣の御方針行政指導をされると思いますが、できるだけ需要者側である電力会社側意見を尊重し、それを取り入れて決定されることの、希望を申し入れて質問を終わります。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣が見えてから私質問したいのが一点ございますので、それまできのうの質問を続けて、資料を要求しておきましたが、出ておったらひとつ見せていただきたいと思いますが、現在重油はどのぐらい輸入されているか、関税対象になっておる重油は一体どのぐらいですか、それをお聞きしたいと思います。
  37. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 重油が全体どのぐらい輸入されているかという数字につきましては、ちょっといま手元にございませんから、後ほどお答えいたしますとして、御承知のように、現在の重油という場合には、国産原油日本の中で重油にしてそれを大部分使っている、重油単身輸入はわりあい少ないということになっております。全体の数字はちょっといまここにございませんのですが、たとえば来年度電力業界がどのぐらい重油を使うかということを御参考までに申し上げますと、一応千百四十二万キロリッターくらいの重油を使うという予定になっております。
  38. 阿具根登

    ○阿具根登君 その関税の六%の対象になる数量はどのぐらいですか。
  39. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 先ほども申し上げました、たとえば四十年度に千百四十二万キロリッター使う、これはもちろん石炭消費が千九百万トンであるという前提でこのくらい使う。これはいろいろな発電所個々のあれを集計してこういうことになっておるわけでございますので、その場合に、御承知のように、これに六%、二百三十円をかけますと二十六億幾ら、約二十七億という数字がここから出てくるわけでございます。
  40. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、今日まで二十七億近くの関税が取られておった、その配分はどうなっておるのですか。
  41. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 昨日も申し上げましたように、特別還付制度を四十年度以降、多少何と申しますか、一般還付的に運用する。いままでのいわゆる重油特別還付ということは、御承知のように、たとえば三十八年度について見れば、千八百万トンの基準量があって、これをこす目標量が二百五十万トン、そのこえる部分に返すということになると思いましたが、現実石炭出炭というか、納炭が少ないために、現実には非常に少ししか返ってこない、今度は逆に負担増対策として二十七億を返すために、現実に入った炭から逆に下の基準量を下げて何とか二十七億を返そう、こういう運用でやっていこう、したがいまして、いままでの問題は、いままで幾ら返ったかということになりますと、三十八年度で三億五千万くらい、三十九年度で、これはまた最終的に決定しておりませんが約三億強、この程度しか返っておらないわけであります。
  42. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、その残金はどうなっておるのですか、国に返るのですか。
  43. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 残金国庫収入ということになるわけでございます。
  44. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、国庫に納入した金額のいままでの合計はどのくらいになるのですか。
  45. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) ちょっと詳細な数字は別といたしまして、たとえば三十九年度に重油をたしか千九百万ですか、ちょっと数字ははっきりいたしませんが、相当な数字を使った。それだけ全部税金として納めておるので、ですから、その納めたものに対して、返ってきたものは特別還付としては非常に少ない。むしろ一般還付というのがこのほかにございます、これは当然入りますが、特別還付としては数字は少ないわけでございます。したがいまして、それでは負担増にならんじゃないかという意味で、今度はその特別還付金を全部返すようにいろいろ措置をする、こういうことになっております。  三十八年度の重油一般還付、これは九億六百万円、それから、いま申し上げました特別還付、これが三億三千七百万円、それから、三十九年度でございますが、一般還付が十一億五千六百万円、それから、特別還付が先ほど申し上げましたように、約三億円強でございます。そういうことでございます。
  46. 阿具根登

    ○阿具根登君 一般還付基準はどういうものになっておりますか、どういう形式一般還付されておるのか。
  47. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) これは石炭引き取りその他に関係なく、無条件で関税のうちの四%を、税金を納めたというだけで、石炭をよけい引き取ろうが引き取るまいが、必ず返ってくる、こういうシステムでございます。念のために申し上げますと、現在の原油関税が一二%でございます。そのうちの四%が一般還付で、これは石炭を引き取らなくても返ってくる、六%は、本来の趣旨は、先ほど申し上げましたように、基準量をこえた分について返ってくる、こういうことでございます。
  48. 阿具根登

    ○阿具根登君 あとの二%は。
  49. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) あとの二%はそのまま国に帰属をする、こういうことでございます。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはどういう理由ですか。重油関税を一二%かけておって、二%は国の収入になるのですね。私企業が行なう場合に、それの上前をはねて、そうして二%国の収入になる、これは一般税金意味でやっておるのか、それとも輸入に対する一つの国の政策なのか。それから、四%を一般還元といって、輸入したその人から税金で取っておりながら、その税金をまた返す、これは一体どういう意味なのか。ほかにそういうのが何かあるか。
  51. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 関税制度そのものにつきましては、私もそう専門家じゃございませんが、そもそも原油に対して関税をかけるというのは、大きな意味のエネルギー政策からいえばおかしいわけでございます。ただ、御承知のように、第一次の石炭調査団の報告、あるいは昨年の報告、特に第一次の報告以来、結局何と申しますか、原油関税をかけることによって石炭を保護するという形をとらざるを得なくなってきたのじゃないかと思います。そういう意味で、ただ負担増対策という意味から、一ぺん納めたやつをまた返してやる、それが消費者に対する負担増対策だと、こういう手段になりまして、結局一二%のうち、一〇%だけは返る、根っこの二%はどうだということになるので、われわれ実はこれも返すということを主張したのごございますが、これは全体の関税収入という形になって、現実には、実際問題は一般還付で四%、特別還付は六%、根っこは残っておる、こういうのが現状でございます。
  52. 井上亮

    政府委員井上亮君) 宮本公益事業局長と同じ意見なんですけれども、ただ、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。  ただいまの根っこの二%、これが問題になっておるわけでございますが、これは重油関税を課する政策がとられたのがたしか昭和三十五年ころだったと思います。そのころ最初に二%までかけられたわけであります。これはいわゆる一般的な関税率に基づいてかけられたものでございます。で、その後ほとんど逐年といっていいくらいに、一年置きくらいに重油関税が引き上げられてきた。最初二%は、失礼しました、昭和三十年四月にかけられております。これはただいま申しましたように、一般の関税率で引き上げられたわけです。したがって、この二%には、特に宮本公益事業局長が言われたような、エネルギー対策とか石炭対策とかという思想はなかったのです、この当時。ところが、先生承知のように、昭和三十五、六年ごろから特に石炭問題、これについて何らか特別の国の配慮をしなければいかぬというような議論が起こりまして、さらに根っこのこの二%に加えまして、四%を昭和三十五年四月に引き上げたわけです。それで六%になったわけです。それから、その後三十七年にまた四%引き上げた。それから三十八年にさらに二%上げたという経緯をたどっておるわけですが、この昭和三十五年以降三回にわたって四%、四%、二%上がってきましたのは、この財源といいますか、石炭対策、エネルギー対策、なかんずく石炭、これに充当するというような思想で上げられてきたわけです。こういう経緯があったものですから、ただいま電力業界その他に対する負担増対策を考えます場合に、こういう経緯からして、根っこの二%は電力業界に還付すべき性質ではないという解釈が一般にとられておるわけであります。ただ、そういうことでいま一般還付は四%、特別還付は六%ということになっておる、現在の解釈では。ところが、いま公益事業局長がおっしゃるように、しかし、こういう事情の際だから、根っこにまだ財源があるんだから返せという要求もあったわけです。これは電力業界は、四十年度はこれはしかたがないということで納得しておられますが、そういう経緯でございます。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、その精神からいくと、二%は、これは総合エネルギー対策も全然考えなしに、輸入に対する一つの国の税金としてとったのだ。そのあとは四%、四%、二%というのは、これはエネルギー対策だ、石炭対策だ。そうするならば、一〇%をそれじゃなぜ石炭対策に回すことができないか。その税金の一〇%というのはエネルギー対策のためにとられたものであって、国内産業保護のためにとられたものです。そうするなら、なぜ六%をそれじゃ特別還付という形にするのか。一〇%そのものをどうして石炭に還元できないのか、これはどうです。
  54. 井上亮

    政府委員井上亮君) 阿具根先生のただいまの御意見は先日も拝聴いたしまして、私は基本的に反対すべき理由はないということを申し上げたわけでございます。ただ、現実石炭政策として御説の施策をとるのは、やはりもうしばらくよく検討していろいろ配慮をして考えたいということを前回申し上げたわけであります。基本的に反対すべき筋合いのものはないというふうに考えておるわけであります。  そこで、この還付につきましては、ただいまのような事情できまりましたので、これはできれば石炭業界にいけばいいわけです。ですけれども、先ほど来の思想で、エネルギー対策、なかんずく、石炭対策にこれを回すという思想で、現実石炭の予算は先日もお話し申し上げましたように、昭和四十年度で申し上げますと、二百七十億くらいの一般会計の予算をいただいておるわけであります。これはすべてこの財源の中でまかなう。しかし、まだこの財源に余裕があるわけです。その余裕分を還付の形で貸す。これは先生さらに追いかけて、そんなややっこしい仕事をしないで一緒にしたらいいじゃないかという御議論もありましょうけれども、これにつきましては、先日お答え申し上げたような考え方をとっているわけであります。
  55. 阿具根登

    ○阿具根登君 それじゃ、その予算の二百七十億も、石炭だけで考えても百六十億だということをこの前お聞きしましたよ。その中にこの一〇%が入っておるとおっしゃるのですか、この一〇%の中に。
  56. 井上亮

    政府委員井上亮君) この関税収入一つの原資のような形になって、この中から出すというたてまえになっております。
  57. 阿具根登

    ○阿具根登君 少し暴論かもしれませんけれども、かりに六%が還元され、これが二十七億だ、こう言われておるわけですね。そうすると、一般還元というものをこの精神にのっとって一〇%還元するということになれば、四十五億から五十億の金になると私は思うのですね。そうすると、今度三百円の値上げで六十六億電力会社は赤字を出さなければいかぬと言って反対されておるわけです。そうすると、この五十億からの金を電力会社に渡さずに、石炭政策にこれを使うということになれば、いま二百七十億の一般会計の予算で、電力会社は十七億の赤字で済むのじゃないか。六十六億の赤字じゃ、すべて国から四十億の補助をしてくれなければいやだとおっしゃっておる。四十億くらいじゃない、五十億になるじゃないか。どうしてこういうことがとれないのか。
  58. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 御指摘のとおりだと思います。一般還付が四十年度十五億円くらいになると思います。ただ、しかしながら、いままでは電力業界負担増対策として、つまり御承知のように、基準量をこえる部分について返すと言っておったわけですが、今度は根っこから三百円上がるわけでございます。そんな意味で、いろいろございますが、とにかく電力業界としても一般還付十二億で今度の特別還付十七億ということになれば、二十九億が返ることになるわけでございます。したがいまして、われわれは、何もそれだけの金を電力会社にやらないで、直接石炭会社にやったらいいじゃないか、まさに私どももそのように思います。ただ、きのうも申し上げましたように、いまはこの制度しかないために、そういうふうな還付とかいう非常にめんどうくさいことをしてやらざるを得ない。たまたま昨年の第二次調査団の結論が出ましたのは、ちょうど予算の終わりかけているころでございまして、とりあえず現在の制度を活用してやるにはこれしかないのだということで、電力業界も、ある意味では、この還付制度なんというものは、実はこの中では反対でございますが、御承知のように、制度自体として、産炭地には関税がかからないわけです。というのは、重油を使っておりませんから、そういうものにもこの負担増を均てんさせるためには、ややこしいけれども、これでやらざるを得ないというわけで、そういう意味電力業界もこれをのみまして、そうしてこういうことになったわけでありまして、今後の問題といたしましては、こんなややこしいことをしないで、もっとしっくりした形が一体ないものかという問題は、これは今後の新しいエネルギー政策として当然検討されてしかるべきだと思います。
  59. 阿具根登

    ○阿具根登君 事業局長とこれを論争してもしようがないわけですけれども、こういうふうにややこしい計算しかできないんだという考え方が私たちにはわからぬのです。きのうも申し上げましたように、ここに大臣が来ておられないから非常に困るのですけれども、四十分の約束なら四十分に来るように委員長はしなければ、私は質問はなかなかできない。きのうも大臣が来るからと言って、私は前段だけをやっておった。きょうも四十分に来るということだけれども、大臣はちっとも来やせぬじゃないか。しかも、定足数も欠いている。私はいままで協力して質問をしてきているが、しかし、私はこれは大臣に聞きたいのです。私はこれは一番大事な質問だと思っておる。それを事業局長石炭局長質問したところで、これは事務的な責任者ではあるけれども、しかし、政治的な責任者ではないから、私はそれ以上答弁はできないと思う。しかし、私はこれが一番問題だと思う。なぜ関税をかけた油を買った人に、その油を買った量に応じてまたその金を返さなけりゃいかぬか。そんなばかな話がどこにありますか。農業問題の大豆だってどうです。外国から大豆を入れて、うんと入れたものに今度は税金をとってそれをどこに返しているか、これはみんな国内の大豆を守っているのです。韓国のノリだってそうです、米だってそうです、一切がっさいそうです。国内産業を守るために外国のものに——大臣、きのうから質問をして、事務的な答弁はもういただいております。それで、あなたに通産行政の責任者として私はお答えをいただきたいと思ってきのうから待っておったわけなんです。それは、いま御質問をいたしましたけれども、たとえば重油に対して一二%の関税がかかっておると、その二%は、これはエネルギー対策でなくて、通常の輸入に対する関税としてもらっておるんだと、ところが、そのあと重油輸入が非常に大くなってきた、エネルギーの情勢が変わってきた、だから国内炭対策のためにも四%、四%、二%ということで一二%になってきた、その一二%のうちの四%を一般還元として油を買った人にそれを返してやっておるわけなんです。それが第一おかしいじゃないかというのが一点です。エネルギー政策として石炭対策に、国内資源対策に対してかけた関税を、なぜ油を輸入した人に四%返さなけりゃいかぬかというのが一点。  それから、あとの六%のこれを石炭対策にまるまる使うんじゃなくて、これまた重油使用者にこれは倍率をかけて返しておられる。それをやるから北海道九州重油を使っておらない電力業界に対して返す金がない、だからプールして今度はそこにもやるんだと、こういうことなんです。そういうばかげたことがどうしてできるかと私は言っている。一〇%のこの関税石炭対策ならば、この一〇%のまるまるを石炭対策に使うならば五十億以上の金になるじゃありませんか。そうすれば六十六億の赤字と電力会社は叫んでいる。三百円上げたら、上げた上げたといって世間からたたかれて、そして炭鉱の労働者は三分の一になるほど首を切られてしまって、そして今度は上げにやならぬと、こう言って袋だたきにおうておる。袋だたきにあわぬでもいいじゃないですか。五十億になるなら——六十六億の赤字になるといっているのを、電力会社は四十億政府がみよといっているから、なぜこの五十億をそのまま石炭に使いなさらぬか、こういうことを言っているのです。重油に対して、重油をたくさん入れたところは重油をたくさん入れてもうかっておるわけです。そこへまた還元率をかけて返すなら、ますますもうかると思うのです。私は、そういうことをせぬでも、それをなぜ石炭に還元しないか、そうするとすっきりしていいじゃないかということをきのうから私はお尋ねしておるわけなんです。一体どういうふうにお考えでしょうか。
  60. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは正直に経過を申し上げるのがよかろうと思うのであります。十二月十六日に答申をちょうだいいたしまして、そしてそれに対する予算措置を講じた。その場合に、すでに石炭審議会の中でも御論議が分かれたように、石炭に対しての価格差補給金を出したらばどうかという確かに御意見もございました。いまから考えてみると、むしろそういう案を答申で持ってこられるほうがいまのような問題が起こらずに済んだのではないかと思うのであります。それが炭価引き上げで利息の補給という形で答申がせられました。ところで、この予算折衝が進んでいきまして、負担増対策が十分にとられざるまま政府原案というものができ上がった。そうしてこの折衝が事後になったのであります。たまたま、従来関税還付というのが行なわれておったので、それじゃとりあえず二年延長しようじゃないか、こういうことでこの負担増対策に対するそういう措置がとられた。したがって、従来関税還付のやり方に対して御指摘のような御批判が十分あると思うのであります。しかし、いままでの制度をそのまま延ばしていけば、負担増対策に持っていこうというような、何と申しますか、窮余の一策というか、糊塗策というか、まことに申しわけのない結論に終わったわけでございます。したがって、いまるる御指摘がございましたが、私も多少のことは頭にございますけれども、阿具根委員にこういうふうにはっきり言われてみれば、お説ごもっとものようにも承れるわけであります。しかし、私としては、この関税還付をいいとか悪いとか、そのやり方がどうとかというよりも、予算のすでに案がきまった後のやむを得ざる措置としてこういうことになったということで、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  61. 阿具根登

    ○阿具根登君 この問題は、非常に何か価格差補給金ということで、これは国家管理につながるんじゃないかというような御心配があって御答弁にもなっておると私は思うのです。しかし、国がそれだけの補助するならば、国がそれだけの監督をするのは当然なんだ。そこで、それではこれで石炭業界は安定していくだろうか、こういう問題で御質問したいのです。第二次答申案も五千五百万トンというところを旗じるしで出しておられる。事実そこまでは得られるけれども、四千五百万トンということは、これは確保しなければならぬといって答申されて、こういう法律案までつくっていま審議をしておるのですが、そのやさきに、きのうは五千百六十万トンということを打ち出されたわけなんです、植村さんのところでですね。一体これはどういうことなんですか。第二次調査団北海道から九州までかけずって回られたので、われわれもわれわれなりに北海道から九州までかけずって回ってきた。そうして五千五百万トンはこれは至上命令だ、そうして千二百円というのが、貧乏人であろうが金持ちであろうが、頭から全部千二百円引きということで、非常に大勇断をもってやられたわけなんです。そうして十数万の人が首を切られてしまった。ところが、今度は第二次調査団ができてきて、そうしてその調査団の結果から見ても、その結論が答申されて、その議案をまだ審議中に五千百六十万トンしか石炭は出ません、出せませんと、こういうことが今度きのうの新聞で出されているわけなんです。これは一体どういうことなのか。どこを信用して石炭業はやっていけばいいのか。五千百六十万トンということは一体どういうことなのか、答申がそれでは間違っていたということですか。間違っておったとするならば、これまた考え直さなければいかぬ。どういうことなんですか。
  62. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいま昭和四十年度の出炭計画五千百六十万トンにつきまして阿具根先生から御意見があったわけでございますが、御指摘のように、石炭鉱業調査団におきましては、五千五百万トンの目標は、石炭産業の将来の目標としてこれは変わりはない。ただ、先生承知のように、昨今の石炭産業の現状は、会社経理の極端な格差、あるいはそれから派生しますいろいろ資材等の投入の不足というような問題もありまして、保安の面についてもおろそかにされがちな点があり、あるいは鉱害の復旧も十分できないというような実情にあることは御承知のとおりでございますが、そういうような石炭産業の今日の現状からしまして、現状の出炭力は遺憾ながら五千二百万トン前後しかないわけであります。ただし、石炭鉱業調査団としましては、将来やはり新鉱開発をするとか、あるいは従来の新鋭炭鉱をさらに増強をしていくというような措置を講じまして、将来の目標は五千五百万トンを達成できるようにという配慮をいたしておるわけでございます。たまたま昭和四十年度の実際の出炭計画をつくる時期になったわけでございまして、昨日も審議会の合理化部会を開きましてその検討を行なったわけでございますが、やはり従来の例にかんがみまして、計画と比べまして出炭実績が悪い、そのために需要部門に相当な計画のそごを与えておった。つまり電力業界に対して年間百数十万トンの供給不足が起こったり、あるいは鉄鋼業界に対しても緊急輸入を余儀なくされるような事態もあったのでありまして、少なくとも四十年度においてはそういった需要部門の不信を払拭するかための計画をつくろうという考え方に立ったわけでございます。  それから、第二の考え方といたしましては、これは阿具根先生いつも強調されますように、現在石炭産業の保安状況、これはやはり相当問題がございます。この保安の悪い原因はいろいろあろうと思います。先ほど言いましたような、会社経理が悪いために無理をするというような問題もあります。そのためにどうしても出炭第一主義、生産第一主義といいますか、そういうふうな弊風に流れがちな面もございます。こういった石炭鉱業のあせりからくる保安上のゆゆしい問題もあらわれてくるわけでございます。そういった意味からも、昭和四十年度におきましては、やはりいたずらに能率を上げる、あるいはいたずらに出炭量だけをふやすという政策でなしに、やはりそこは労働者にも無理のいかない、いたずらに能率を上げるだけを事とするような政策ではない政策をとりたいというような自重した考え方で生産計画を組んだわけでございます。私は、合理化部会がこの四十年度の出炭計画審議いたしますときにも、この五千百六十万トンという数字は、石炭局長個人の意見としては、実は自分で原案を出しておいておかしな話ですけれども、不満である、私が少なくとも個別に山につきまして検討して知っている範囲では、少なくとも五千三百万トンは現在でも供給力はあるはずである、しかし、私はそれを知りながら、やはり五千百六十万トン程度にしましたのは、ただいま言いましたような、需要部門の不信をやはりこの辺で払拭をすることと、それから、保安優先といいますか、保安についての態度、いたずらに能率だけを事としないというような配慮からというような説明をいたしました。特に技術的に申し上げれば、来年度は坑道掘進、これに主力を置く。同じ金を投資しますのに、ただ採炭面だけに力を入れるのではなくして、やはり保安の根本は掘進のおくれにあると思います。したがいまして、ここに重点を置いてやっていく。掘進に重点を置けば、どうしてもしばらくは出炭が落ちる。しかし、一年先、二年先は今度は採炭に花が咲くというようなことでございまするのでこの計画を進めた次第でございます。
  63. 向井長年

    向井長年君 議事進行について。阿具根委員質問中でございますが、大臣がまた予算委員会に出られると思います。ですから、局長その他政府委員の答弁はあとでできますから、まず大臣質問を集中していただきたい、私も大臣質問がありますから。
  64. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  65. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記を始めて。
  66. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、局長の話を聞いておると、三百円、二百円の値上げでこれだけ問題をかもしているが、その値上げでは炭鉱はやっていけないということなんです。その値上げでやっていけないから、今度五千百六十万トンに減らさざるを得ないということになってくると思う。それなら、それを逆に言えば抗道掘進をしなければならない、保安に重点を置かねばならぬ、だから、また一万数千人の人の首を切らなければならぬ、それが政治であるかという問題なんです。その人の就職をあっせんし、その家をあっせんし、ばく大な金をかけるならば、なぜそれを現在の炭鉱にかけていかないか、また、そうすれば目標は目標どおりに進んでいく、一人の首切りも要らない、こういうことになってくるわけです。だから通産大臣、三百円、二百円上げて、これでやっていけるのでありますか。資材はどのくらい上がるように見ておられるか、賃金はどのくらい上がるように見ておられるか、これでやっていける自信がおありかどうか、お聞きしておきたい。逆に私の意見を申し上げると、これではやっていけない、これはこう薬張りであって、また一年か二年あとには必ず問題が出てくる。だから私はここで聞いておる。自分のほうでは何の腹案も持たずに調査団に委任される、これも一つの行き方です。しかし、やはりこうなればこういう考え方じゃいけないかというような諮問のしかたも私はあるかと思う。そういう点についてお尋ねを申し上げます。
  67. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 第二次調査団がこの答申を私のところに持ってまいりましたときに、長期的な展望においては、なお掘り下げた考え方をしなければならないという有沢団長のお話がございました。これはこれとして、私は、やはり常に研究もし、考えておかなければならぬ問題だと思います。いまの情勢をよく見ながら、とりあえずこの調査団の報告に見合う施策の効果が上がるか上らないかというような点で考えていくべきだと思うのであります。しかし、それでは利子補給と炭価の引き上げによって当座どうだ、こういえば、この大手十七社のうち、おおむねの会社は私はやり得る、こういう判断で調査団もあったでございましょうし、それを受けての諸施策を今度の予算に盛り込んだ責任の衝にある私どもとしても、大体その考え方は一致しておるのであります。ただ、これをさらにそれぞれの会社においてどれだけの効果が上がっていくのかということをしさいに検討していきますと、会社によっては十分でないというような問題が起こってくることも、これは想像にかたくございません。したがって、そういう場合には、たとえば金融の面においてこれを一部たな上げするか、何か施策を講ずるような必要性が私は起きてくる場合もあり得ると思います。でありますから、正直にお答え申し上げれば、大体の会社はこれでやっていけると思うが、しかし、やれないものもある。それについては、やはりその会社その会社に対する手まめな施策も必要なんじゃないか、かように思います。
  68. 阿具根登

    ○阿具根登君 大手十七社はやっていける、こういうことですから、私も将来の問題ですから、お互いにこれは考え方が違うかもしれませんけれども、大臣はそういうお考え。私は、大手十七社といえども、これは行き詰まってくる、私はこういう考え方です。これは意見の相違で、これははっきり記録にとどめておいてもらいましょう。そのほかに二百十四社の中小炭鉱でありますが、これはどうなりますか。たしか二百十四の中小炭鉱があると思うんです。これは一体やっていけますか、やっていけませんか。
  69. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) まあただいま大手十七社は大体やれると、しかし、その中にもあるいは考慮すべきものが出るかもしれぬと思うのであります。それじゃあ中小炭鉱の場合はどうかというと、鉱山によってそれぞれの規模が違っておると思います。規模によっては、私は、率直に申しまして、なかなかむずかしいところがあるのではないかと思いますが、しかし、ただ単にこの炭価の引き上げ、利子補給だけが中心でなくて、いろいろの施策も講ずるのでございますから、中小の中で非常にむずかしいというものにつきましては、先ほど申し上げましたように、別途考慮の必要性が起きてくるんじゃないかと、こう思います。
  70. 阿具根登

    ○阿具根登君 これもお互いの見解の相違かもしれませんけれども、いまベトナムで大戦争が起こるかもしれぬというような大きな騒動があっておるわけなんです。それで、日本のエネルギーの基礎となるもの、経済の基盤となるものがほとんど重油に変わりつつある。日本でその重油がどのくらいできるかということになると、まことに微々たるものです。問題にならぬ。そういうときにこういう目先の経済問題ばかりを考えて、つぶせる山をみんなつぶしていっているが、一体どういう見通しを持っているか。私たちは、ほんとに戦争中は血の一滴だといって掘らされた。終戦後はまた血の一滴だといって掘らされたわけなんです。そして今度貿易の自由化になって、外国から安い重油が入ってくるようになると、こういうような目先の経済問題だけで、日本の将来の経済、あるいは世界の動向等というものはほとんど考えておられないと思う。もしもそういうことがあった場合、石炭をどうして出していきますか。私は、労働者は一切もう責任を持たないと思うんです、なんぼ血の一滴だと騒がれてもね。また、その当時の石炭行政のあり方が必ずよかったとは私は思わない。非常に悪かったと思います。そういう点もそれは反省しなければならぬけれども、私はこのままでいったなら、まあ何年先になるかわかりませんけれども、いま金出して閉山したやつをまた掘ってくれと政府は言ってくるに違いないと思う。これをほんとに日本は繰り返してきている。ここでやはり目先のきいた政治家ならば、やはり私が先ほど言いましたように、わざわざ関税をかけておいて、それを油業者に返してやるというような、そういうぶざまなかっこうをとらぬでも、なぜこれを石炭対策としてきれいにやらないのか、そして少しでも助けていかないか。あまりにも目先の経済問題ばかり見ておられると思うんですが、いかがでしょうか。私の間違いでしょうか。
  71. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 石炭、あるいは水力、こういうような国内のエネルギー資源の貴重なことは、これは申し上げるまでもないことであります。阿具根委員の御指摘のとおりだと思います。私は、実は就任後におきまして、離山ムードが高まって、四十二年を一応のめどとした炭鉱労務者の数というものが、すでに離山の結果が四十二年の目標年度の労務者の数にまでいっているというようなことを就任後に聞いて、これは実に問題である。石炭業界の実情というものを検討いたしてみますと、どうも思うようにいっておらないということから、これはまずいことだということを率直に感じたのであります。また、当時池田首相も、私に対して、石炭の重要性というものを君は認識してよく対処してくれということも言われました。私としては、最近における石炭業の不況ムード、あるいは離山ムードというものをいかにしてこれを払拭しようかということに苦心をしてまいりましたが、遺憾ながら、その後におきましても御承知のような災害などもございまして、私の考えている方向とはどうも逆行している、こういうことで、きわめて遺憾に思っているのであります。それで、四十年度の予算の折衝の場合におきましても、皆様方から御検討をいただきますと御不満の点も多々ございましょうが、渋い大蔵省との間の折衝では、私としては、極力国内エネルギー資源の重要性を強調して協力を得て、まあまあというところにいったと思うのであります。こういうわけで、いまの阿具根委員のおっしゃっている御趣旨につきましては十分わかることでございまして、また、私としても、冒頭申し上げた石炭あるいは電力というような国内エネルギー資源の開発につきましては、一そう熱意を持って、特に石炭の現在のような状況というものをすみやかに解消いたしたい、こういう心がまえでいるわけでございます。
  72. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣が時間がないようですし、向井委員質問があるそうですからこれでやめますが、このベトナムの問題で昨日も自民党の同僚議員から質問がありましたが、きょうの新聞でもそれが出ている。もうホンゲー無煙炭が入ってこない、こういうことだったわけです。ところが、昨日の局長の話では、まあ宇部に無煙炭の貯炭があるからというようなお話だったけれども、昨夜私が調べた結果によりますと、それは安心するような貯炭でもないし、おのずから無煙炭には無煙炭のまたカロリー、性格があるわけなんです。だから国内業者は非常にこれで参った、どうしたらいいかということをいっているわけなんです。一体どういうような対策を講ぜられているか。すべてこういうように、ベトナムで一つの戦争に似たことが起こったにしろ、もう無煙炭の問題を心配しなければならない、業者は非常な心配をしている、日本に入ってこない、こういうことがあっているわけなんです。だから私は、先ほどの重油政策も、あまりにも外国依存で、しかも、外国の資本に経済を握られて、そうして日本がのうのうと繁栄しているなんて思ったら私は大間違いだと思うのです。一体この無煙炭に対してどういう対策をお考えになっておりますか、お尋ねいたします。
  73. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) いまの貯炭の状況については、私十分承知しておりませんけれども、いま局長に聞いてみると、それは多少品質が違うということでございますが、この無煙炭不足について、一応韓国からの輸入のワクについて目下考慮していることは事実でございます。しかし、これが品質が違って、ある品質のものが不足をするというような事態でございますれば、これはやはり国内炭の開発に努力しなければならないかと思います。
  74. 阿具根登

    ○阿具根登君 それから、もう一点いまの問題も含めてお尋ねいたしますが、その無煙炭だけでも、まあ産業用の無煙炭はいま日本で一番出しているけれども、その他の天草炭なんかは全部つぶしてしまったでしょう、無煙炭は。御承知のように、天草はほとんど無煙炭でした。その無煙炭はほとんどつぶされたのです。そうすると、日本炭鉱をつぶしておいて、ベトナムで戦争が起こったらそれだけでもう今度は韓国からもらわなければならない、どこからもらわなければならないというような、そういうことが一体考えられるか。だから私はさっきから言っておるように、目先のことばかりで政治が行なわれておるのではないか、いまの内閣、歴代の内閣は。もう天草炭なんか全然ありませんよ。全部つぶしてしまったのですよ。いまから掘ったって人は入りませんよ。そういう状態なので十分考えてもらいたいという点と、それから二百円、三百円の値上がりでこの問題をやっているのですが、この法律案ができ上がった場合に、中小炭鉱の低品位炭に対してどう考えておるか。たとえば中小炭鉱電力会社に売炭をする場合、大炭鉱にこれを一応売炭して、それからまたこの大炭鉱電力会社に売炭しておったわけなのです。ところが、現在は中小炭鉱電力会社にそのまま石炭を売る。同じカロリーで、同じ性質の炭を売るのにトン二百円から三百円電力会社は値切るわけです。値切っておるのです。そうすると、中小炭鉱は弱いために、泣く泣くトン二百円から三百円の安い石炭を大炭鉱と同じような性質、同じようなカロリー石炭を安く売っておるということを御存じのはずだ。それを一体どう考えているかというのです。中小炭鉱なるがゆえに同じ炭を安く売らなければならない、それが中小炭鉱をつぶす一つの拍車になっている。この販売会社ができたら同じ値段で買い上げるのかどうか。
  75. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 前段の、ベトナム急迫に伴なって輸入原油に対する影響、あるいは輸入無煙炭その他原料炭に対する影響と、こういうものは現実にそういう事態が起きてまいりますれば、これはここ二、三年の政府考え方からいたしますれば、不測の事態だと思うのであります。戦後における日本の国際情勢の判断の中に、こういうような急迫の事態、あるいはそれに伴なう日本の必要な一次産品に対する、特に原油とか石炭に対する影響というものについては、十分に掘り下げた考えはなかったと思います。まことにこの点は残念だと思うのでありますが、そのようなことに伴なって御指摘のような問題が起きてくるということについては、見通しが悪かったと御批判がございますれば、それは甘んじて受けなければならないと考えております。かかる不測の事態に対処いたしまして、十分なる施策を講ずべきだと思っております。  それから、次の低品位炭の問題でございます。現に電力会社と中小炭鉱との間における、まあこれはいい意味で言えば商慣習と申しましょうか、また、これを批判するならば、電力会社がたたいているのだと、こういうことでございましょう。しかし、いずれにしてもお話しのとおりの実情にあるわけでございます。しかし、納入の数量の問題であるとか、あるいは輸送の問題であるとか、また、問屋の関係であるとか、いろいろな諸条件の積み上げの中に大手の場合と中小の場合との値差が自然にできた、場合によると、中小がどうしてもこれは買ってもらおうというようなことで、多少値引いたということもありはしないかと思うのです。しかしながら、実際に行なわれておるこの姿というものがそれじゃそれが好もしいものかどうか、これは私は、社会正義の立場からいって、決して好もしいとは思わない。したがって、でき得る限りそういうことは改善されるべきだと思います。したがって、今度の共販会社ができました後に、低品位炭については、大体の私どもの考え方としては、一律に扱っていくわけにもいかないだろうから、炭鉱電力会社の間の話し合いについて十分行政指導をして、いま御批判のあるような点の解消につとめていきたいと、こういう心がまえでおるわけでございます。
  76. 阿具根登

    ○阿具根登君 いまの二番目のやつは、この石炭販売会社ができたなら、そういう中小炭鉱電力会社に納める場合でも、これを通じて売るのでしょう。そうするならば、この販売会社みずからがその差を認めて売ったら何にもならぬと思うのです。同じカロリーだったら同じ値段で買い取って電力会社にやるべきだと私は言っておるわけです。それと、きのう大臣のお話のときにちょっと質問したからあまり言いたくないのだけれども、これは大臣に直接質問するのがいいので質問いたしますけれども、あなたは植村さんに、この電力価格の問題で相当あっせんを頼んでおられながら、北海道は五十円上げ、九州は百円上げというようなことをすでに新聞に公表された、こういうことは正しいのか正しくないのか。こういうことを大臣がそういうように発表された、そうだとするならば相談する必要はないのだと私は思う。それで業界も非常に混乱し、新聞でこれは一体どういうことなんだとたたいておったので、一体大臣の真意はどこなのか。大臣はそういうふうに考えておるか、大臣がみずから提案され、それを大臣がある仲介の人を中に入れて話をしておるのに、大臣は、もうすでに北海道は五十円上げだ、九州は百円上げだと、こういうような発表をされたその真意は何なのか、そういう時期であったのか、そういうことがいいのか悪いのかという問題を、ひとつ簡単にお答え願いたいと思うのです。
  77. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは私、自分を弁護するために申し上げるわけじゃないのでありますが、私のあけすけな態度なり行き方に問題があったと思うのであります。これは書かれた以上は、私はその言動に責任を負うし、批判も受けるのでありますが、たまたま記者会見のおりに、いまどうなっておるか、こういうお話がございましたから、前の日の夕方省内で相談をし、翌日の記者会見のことでございますから、植村さんがあっせんをしていただいておって、大体基本方針はいいのだ、しかし、まだ幾つかの問題が残っておる、そこで、相手のあることなんで、よく相談をしてもらいたい、こうぼくは言っておるのだ。その相手があるのだが、じゃよく相談してもらいたいといったことはどうか、これももうはっきり申し上げていいと思うのでありますが、大体北海道九州については、共販会社ができるまでは上げずにおいてくれ、販売会社ができてからそこでよく考えたいという意見がありました。しかし、その前日の省内での議論のときにいろいろ議論しておりましたから、私は、上げずにというよりも、五十円、百円というようなことを一応やっていったらどうかというような意見もございましたから、それがいいだろう、それは相手があることだから、植村さんにそのことを言ったらどうか、こういったことをそのままありていに言ったから、通産大臣は五十円、百円と言ったと、ぼくも非常に迷惑です。いま言ったとおりのありていのことを言ったら、それが失言だとかどうとか、これはなかなか興味本位に新聞社も書かれますので、私としては実際上迷惑したのだが、しかし、事実通産省側では、ゼロよりはまあ北海道はこの程度九州はこの程度ということでもう一度植村さんに御相談を願ったらどうか、こういうことであったのです。おそらくはそういうことがもとで、なお折衝いたしまして結論が出るものと思うのであります。その植村さんのほうから一応きた考え方に対して、それはこれがいい、この案でひとつ植村さんにお願いしようという話をそのまま新聞の報道に、いかにも私がこういうふうにきめたとか、したいとかいうように報道された、こういうことでございまして、これは結論的にいえば、私がふなれのためか、ばか正直なのか、そういうことから起きたことでございまして、決して起きたことを逃げるわけではございません。問題が起きたことはきわめて残念に思います。  それから、中小炭鉱の低品位炭の問題でございますが、従来行なわれていた価格に三百円値上げと、この実質を考えているのでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、そういう差があるということは好ましくないことは事実でございますので、でき得るだけ改善をいたしたい、こういう考え方は持っております。
  78. 大河原一次

    大河原一次君 ちょっといまのに関連して。  阿具根委員がすでに聞かれたと思うんですが、いまの低品位炭炭価のあり方について、電力業界においては、すでに政府当局に対して何項目かの要請を出しているわけですね。たとえば四月一日からの実施は延期してもらいたいとか、あるいは、また、負担増に対しては政府みずからの手によって行なえというような、いろいろ幾項目かの案を出しておりますが、その中に、四千カロリー以下の低品位炭に対しては、これは価格抑制をしてもらわなければ困る、価格上げは困るというような強い要請があって、政府みずからこれにこたえて、先ほど石炭局長が答えたようなああいうような方針決定されたというふうに考えているのですが、一体これはどのような点を配慮されたのか。一体現在の中小炭鉱炭価がさらに引き上げによって販売が困るだろうという、そういう配慮なのか、あるいは電力会社の一方的な強い要請にこたえて、その程度というような方針になっているのか、その点をはっきりしてもらいたいと思います。
  79. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) すでに局長からお答えをしたと思いますが、低品位炭につきましては、電力会社石炭会社との間の話し合いをしてもらう、そうして、その話し合いがつかない場合には、石炭鉱業審議会需給部会長である稲葉さんが調整をする、こういうような結論になっております。先ほど来、低品位炭についての種々論議があったわけでございますが、この実情に沿って処理をしていきたい、こういう考え方でございます。
  80. 大河原一次

    大河原一次君 低品位炭と称せられるのは、一体井上局長としては四千五百カロリー程度を考えているのか、あるいは四千カロリー以下を低品位炭と考えているのですか。
  81. 井上亮

    政府委員井上亮君) 低品位炭の解釈は、本日、低品位炭に限らず、電力用炭についての値上げ方針がきまったわけでございまして、そのきまった解釈によりますと、四千カロリー以下をいわゆる低品位炭ということにいたしております。本日価格がきまりましたのは、基準品位基準炭価を本日きめたので、三百円上げ、九北は共同販売会社ができるまで現状のまま据え置きということできまったということでございます。四千カロリー以下ということでございます。
  82. 大河原一次

    大河原一次君 その際、最近はどうなったかわかりませんが、従来は銘柄別に、たとえば六千カロリー以上の炭に対しては一カロリー当たり幾ら、あるいは五千カロリー以上の炭は一カロリーに対して幾ら幾らというような、大体一応の基準的なものがあったと思うのですが、現状はどうなっていますか。
  83. 井上亮

    政府委員井上亮君) お説のとおりでございまして、一応東京であれば六千カロリー九州であれば五千カロリーというのが基準品位になりまして、それについて一応価格がきょうきまったわけですが、それをもとにしまして、今度は品位別に価格の展開をするということをいたすわけでございます。で、四千カロリー以下をただいま大臣おっしゃいましたような低品位炭という解釈のもとに、これは低品位炭は、御承知のように、単に九電力が引き取るだけでなしに、共同火力という、石炭電力と共同出資しておる会社もございますから、そういうような意味合いで両者間でさらに話し合おう、基本ラインは、ただいま申しました基準炭価に明らかなような考え方ですが、ただ、低品位炭は、御承知のように、いままで千二百円引きもいたしておりませんし、別の角度できめられておりますので、そういった意味で、なおこういった基本方針に基づいて今後早急に検討しようということになっております。
  84. 大河原一次

    大河原一次君 今日、常磐とか、あるいは九州の一部の、炭鉱の数は別といたしましても、相当いわゆる三千五百から四千カロリーを出しておるところがあると思うのです。ですから、こういう炭鉱の経営というものは相当苦しくなっておる。したがって、三百円アップに対しては相当期待を持っておると思うのです。ですから、今回出しておる法律案は、いわゆる電力対策ではないんですから、第二次調査団の答申に基づいて、暫定的といえども、一応四十三年度なら四十三年度の年次目標に対して安定的な道を歩ませなければいかぬというところから出ておるわけですから、したがって、そういう場合といえども、低品位炭、たとえば三千、四千カロリー石炭に対しても一律の三百円アップという方針はやはり堅持すべきではないか、単に電力対策ではないわけですから、その点は十分御考慮願いたいと思うんですが、大臣いかがですか。
  85. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは電力側からの政策ではないということは当然であります。しかし、電力側に対して、あるいは鉄鋼、ガス関係に協力を求めておるということもまたこれは事実でございまして、やはりそれによってこれらの大手が相当影響を受けるのでございますので、そこにはやはりある程度の折衝も必要であったと、しかし、御趣旨の点については十分われわれとしては了承しておりまして、そういう考え方で指導はしているつもりでございます。
  86. 向井長年

    向井長年君 基本論で大臣にお聞きしますが、いま阿具根委員からも質問がございましたが、大体佐藤内閣、あるいは所管の櫻内通産大臣は、総合エネルギー政策の中で石炭鉱業をどういう位置づけをしようとしておるのか。いま第二次有澤答申を実施するために一生懸命努力されておることはわかります。ところが、今後将来にわたって、やはりエネルギーの中においての石炭をどう持っていこうとするのか、これは私はどうもそのときそのときばったりの考え方じゃないか、こういうように思うわけです。したがって、総合エネルギー政策の中における現在の石炭状態をどう持っていこうとするのか、根本的な問題ですが、これをひとつまずお聞きしたい。
  87. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 申し上げるまでもないことでございますが、第一次調査団の答申にいたしましても、また、第二次調査団の答申にいたしましても、四十二年の五千五百万トンの目標というものをくずしてはおらないのでございます。したがって、この総合エネルギーの中における石炭の位置づけというものは、政府としてもこの線へ持っていきたい、この五千五百万トンの目標というものを考えつつ、そして現状においてはどうかということで、この大きな方針には狂いはないと思うのであります。ただ、現状におきましては、すでに有沢調査団においても、この段階における五千二百万トンというものはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに現実目標というものが若干違いますけれども、基本方針としては、第一次調査団以来、方向は変わっておらない、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  88. 向井長年

    向井長年君 この有沢答申の中にも、エネルギー全体としての低廉性を具現すべきものだという認識を確立していく必要がある、したがって、今後のエネルギー行政の推進にあたっては、特に通産省は、この石炭、石油、電力の各担当部門の総合調整機能を一段と強化すべきである、こういうことが基本としていわれておるわけです。だから調整機能という一つの問題がある前に、やはり石炭というものが、エネルギーの中で、ただ採炭量の五千五百万トンとか、そういう問題ではなしに、やはり企業そのものをどう今後——先ほど阿具根委員も言われたように、何とか四十年度は十七社はいける、その他の二百何ぼは非常に問題である、こういうことも答弁されておりますが、これはすべて石炭鉱業、いわゆる業界そのものが、現在のままでは一応本年度はこれでついた、来年度は何とか考えていきたい、そういう形で毎年毎年そういう形をたどっていくことは、やはり政府石炭鉱業に対する取り組み方というものが非常に不明確である、こういう感じがするわけです。したがって、位置づけというものは、ただ単にそういう五千五百万トン採掘するのだというだけではなく、それが長期安定的に、いわゆる安全保障的な形がとれるのか、こういう問題をまずお聞きしておるわけです。
  89. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 国会の両院におきましても御指摘がございました。これはただ単に石炭とか石油とか電力で考えておるなということで、総合エネルギー施策をやるべし、また、それに伴うエネルギーの調査会を設置すべしというような御決議もあったわけでございますが、私ども通産省としては、この決議がありました後に、いまお話のとおり、もう総合的に考えなければならないということが差し迫っておりますので、産業構造審議会の中に、法案の成立を待たずに調査会を発足せしめたということは、すでに十分御承知であろうと思うのであります。そうしてこの調査会を通じて総合的に判断をしつつあるわけでございますが、しからば、現在はどうか、こういうことでありますれば、やはり第一次調査団、第二次調査団指摘した五千五百万トンの目標へ向かって諸施策を推進していく、こういうことを申し上げたいわけでございます。
  90. 向井長年

    向井長年君 大臣、その調査団の答申とか調査会の設置、これはよくわかるのですよ。しかし、ただそういう形に依存をして、政府みずからがこれに対する取り組む姿勢というものは非常に貧弱じゃないか。常に各代の通産大臣の取り組み方がわれわれ納得できない。そのときそのときの形において、調査団の答申を尊重するという形でその場でその問題をおさめ、あるいは総合エネルギー調査会ができればそこに依存しようと、こういう形で、みずから行政機関としてエネルギー問題に対する取り組み方として非常に貧弱である、あるいは十分でないと、こういう感じを持つのですが、通産大臣は十分だと思われるかどうか。
  91. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) いま御批判があったように、確かに通産省が調査団の報告をかざしていくという行き方、これがはたしていいか悪いかということは問題があろうと思います。しかし、先ほど阿具根委員の御質問にお答えをいたしましたとおりに、私自身としては、就任当時に、一昨年の三池災害のあとを受けての石炭鉱業の実態からして、こういうことではいけない、できるだけ不況ムード、離山ムードを払拭いたしたいと考えて進んできたが、たまたままた夕張炭鉱の問題が起きるとか、あるいは依然として災害水準が高うございまして、私の思うようにいかないということを申し上げたわけでございますが、私自身の心がまえ、あるいは方針と申しましょうか、それは国内資源としての有力な立場にある石炭鉱業については、これは等閑視することはできない。また、就任当時に池田総理もそのことを指摘されておったので、何としても石炭産業に対する施策は重点的にやるべきである、したがって、皆さんからの御批判があっても、通産省の責任者として、大蔵省との予算折衝の中においては、今回の予算措置、あるいは財投措置というものは、まあ不十分ながらも、通産省予算全体の中ではまあまあというところまで持っていけたんじゃないかというように申し上げておるわけでございます。
  92. 向井長年

    向井長年君 そういうように取り組み方の問題については努力しておると、こういうことなんですが、これはどうなんですか。結局こういう形でいろいろ問題があるわけでございますけれども、しかしながら、少なくとも現在一般会計にしても財投にしても、相当石炭鉱業に対する助成措置、これをやらなければならぬ段階だと思うのです。また、事実やっておるわけなんですが、これはさっき阿具根君からの質問の中でも重油還付金の問題が出ておりますけれども、これはもう本来、通産大臣、完全な私企業、基礎産業であるけれども、私企業のワクからもう一歩出ておるんじゃないですか。言うならば国家管理の方向をとらざるを得ない業界になっておると私は思うのですが、この点はいかがですか。
  93. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) まあ論議が分かれるところだと思いますが、現状の姿における石炭に対する財政上あるいは投融資による奨励施策ということは、私としては私企業の範囲で行なわれておると、こういうふうに思うのであります。さらに施策を推進いたしまして、お話のような国家管理の状況、あるいは国営の状況に持っていくのが妥当かどうかということについては、にわかに判断はしにくいと思います。
  94. 向井長年

    向井長年君 その国家管理とか国営に持っていけということを私は言っておるのではなくて、現状が基礎産業である私企業の石炭鉱業の助成措置というものは、事実上国家管理的な方向にいっているのではなかろうかという問いなんですが、その点大臣どうお考えですか。
  95. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは助成施策の状態は、他の産業の場合と比較しまして、お話のような国家管理的な方向へもういっているかどうか、こういう点については、私は、やはり私企業としての状態の上で行なわれておるという判断に立っておるのであります。これは私の気持ちを簡単に表現する上におきましては、たとえばこの間うちのYS11の飛行機の問題、いま大矢先生おられて恐縮なんでありますが、これも非常に御批判を受けましたが、しかし、このYS11が本日に至るまで五十八億円からの、この完成するまでに育成をしてきたというような過程を考えてみたりいたしますときに、このいまの石炭業界全般に対する助成措置、これはこういうような石炭産業が不況状態に追い込まれて、これを立て直そうという場合の施策ではございますが、しかし、この程度でそれじゃもう私企業の範疇から離れておるかと、こういうことについては、先ほど申し上げましたように、御論議の分かれるところかと思いますが、私どもは私企業の範囲内である、また、こういうことをつけ加えて申して恐縮でございますが、有沢調査団においても、同様の見地の上に今回の答申になっておると思うわけです。
  96. 向井長年

    向井長年君 航空会社の問題が出ましたけれども、問題は、いわゆる政府が出資してつくった会社とか、こういう問題はこれは別ですよ。しかし、これは完全な商法上でいうところの株式会社なんです、何といっても石炭鉱業というのは。そういうところにこういう助成をするということは悪いことじゃないのです。悪いことじゃないけれども、こうせざるを得ないという状態が現在の現実だと思うのです。したがって、その方向性というものは、国がいわゆる一般会計なり財投なりで、あるいは、また、その他の産業の問題もあわせてこうやらなければならぬということは、言いかえますならば、国家管理方向というか、悪く言えば社会化の方向かもしれない。でありますから、完全な私企業の能力においてこの企業がやっておるのではなくて、そういうような方向性をいまとりつつある、こういうことは通産大臣認めざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  97. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) この点はおことばを返すようでたいへん恐縮でございますが、四十二年の姿というものがどうかと、その場合は会社が大体自立できるように持っていくんだ、あるいはそれに近いような姿へ持っていこうという方針でございますから、これはもう四十二年までいったら形態も何も変わるんだと、こういう方向ならいまの助成措置が国家管理的な方向へいっているんだと、こうなりますが、四十二年度の理想図というものがそうでない、やはり私企業の姿というものを絵図に描いておると、こういうことで、その御指摘になっておることは私わからないわけじゃないのです。また、現に経理規制法などで見ておるんですから、そういうような問題もあるのですから、何もここでかた苦しいことを言って私の自説を主張するわけじゃないが、しかし、骨子としては、四十二年までの目標というものがやはり私企業の姿である、こういうことから、ちょっと御所見に賛成しがたいわけです。
  98. 向井長年

    向井長年君 そうすると何ですか、先ほど阿具根委員も言われましたけれども、この重油還付金、これは予算上の問題から、予算の時期的の問題、あわせてやむを得ずこういう形をとったのだというさっきの答弁ございましたが、それは予算上じゃなかったら、いわゆる価格補給というものは出せるということですか。現在の形態ですが、そういう考え方を持たれますか。
  99. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは非常に御論議があるところだと思うのであります。で、そういう方法もとり得ると思います。思いますけれども、とりあえずのところは、この二年間の関税還付の制度を延ばして対処いたしましたので、いま私どもは、それじゃ補給金制度に変えるべく作業をしようかとかいうようなことは考えておりません。
  100. 向井長年

    向井長年君 作業をするとかせぬとか、そういうことを聞いておるのじゃなくて、根本的に、私企業であるから、そういう補給金的な形は直接はやり得ない、予算上の問題じゃなくてですよ。したがって、電力なら電力にやっぱり還付をしてそういう形をとらざるを得ないという考え方か、どっちかということなんです。
  101. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) この補給金制度を、これは私企業だからそれはできないのだというように結論をつけるのは早計だと思うのであります。私は、場合によってはそういう施策はとり得られると思います。
  102. 向井長年

    向井長年君 そうすると、今回の場合はなぜそれをとり得なかったか、これは予算上の措置だ、こういうことでしょう。
  103. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは先ほど阿具根委員に御説明申し上げたとおり、十二月十六日に答申を受けまして、そうして諸施策を進めていく上に、この負担増対策という問題が非常におくれて結論づけられてまいりました。たまたまその場合にどうするかということになったところが、現在関税還付の制度がある、これをひとつ生かしていこうというようなことで今回のような施策になった、こういうことでございます。
  104. 向井長年

    向井長年君 今回はそうなったけれども、通産大臣としてはそういう回りくどいことをせずして、直接そういう道が開かれたなれば石炭価格補給金として出してもいい、こういう考え方を持っておられるのですか。
  105. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) この点は石炭鉱業審議会のほうの御意見もございましょう、あるいは有沢調査団の報告を受けて施策をやったと、こういう経緯でございまして、その間に、価格差補給金についてそれぞれの機関で十分御議論を願った結果がそうでない結論になっておる、こういうことで、それをまともに受けて施策を進めておるわけでございますが、先ほども申したように、この補給金ということでやれるかやれないのかといえば、これはやり得ると思うのであります。しかしながら、現在の施策を進める場合に、すべてこういうそれぞれの機関における論議を尊重してやってきております。そこに御論議があるということも事実でございますから、いまこの関税還付制度を変えて、これから補給金制度をとるのだ、そのほうがベターであるというようにお答えすることは、そういうところにおはかりをしておる通産省の立場からすると軽率なお答えになりはしないか、こう思います。
  106. 向井長年

    向井長年君 その問題の、そうされざるを得なかった理由、原因は、根本的に私企業であるからそういうことをすることはまずいという考え方から出ておるのか、あるいは予算上の時期的な措置、そういう問題からやむを得ずこれをとったのか、これはどちらかということなんですよ。
  107. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは調査団の御論議の席に私入っておりませんし、また、たいへん恐縮でございますが、今度どういうことでこういう答申になったかということを詰めて検討したことは私はないのであります。それで、場合によりましては、当時の結論の出方について局長がもし知っていればお答えさせます。
  108. 向井長年

    向井長年君 大臣調査団は、いわゆる独自でそういう答申を出されることは、私はこれはいいと思うんですよ。ところで、それに対する、いわゆる調査団がそういう大臣に答申をする経緯とか根拠とかいろんなものは、当然これは通産行政として聞く必要もあるし、また、それに対して意見を述べ、あるいはそれを調整するというか、修正することもできるんですから、尊重はけっこうだけれども、そういうことを存じませんでは、先ほど当初言ったように、それに対する取り組み方というのがあまりにも、いわゆる調査団とかあるいは調査会というところにまかし切っておる。自分たちがみずからそれに取り組むという姿勢がないじゃないか。私はそれがそういうところにあらわれてきておると思うんですが、その点いかがですか。
  109. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) その点が甘んじて御批判を受けなければならないかと思います。調査団の答申は非常に差し迫って出ましたし、また、すでに予算措置を講ずるのに、もうほんとうにぎりぎりのところで受けておりましたので、そういう御批判を受ける余地はあると思います。
  110. 向井長年

    向井長年君 そこで、どうなんですか、具体的な問題として政府の助成措置、それによって炭価は三百円なら三百円、二百円なら二百円上がる。そうした場合、石炭鉱業の今後のそれに対するいわゆる経理状態というか、財政状態というか、この問題は十分やっていかれるという考えを持っておられるんですか。この点いかがです。
  111. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 概括的に申し上げますならば、やっていける、こういう判断の上で措置をしておるわけでございます。
  112. 向井長年

    向井長年君 そうすると、現在の石炭鉱業の実態、特に大手、あるいは中小炭もあると思いますが、現在までは大体どれくらいのいわゆる状態になっているか、これが上がった場合どうなのか、これをひとつ説明してください。
  113. 井上亮

    政府委員井上亮君) 現状におきましては、大手十七社について申し上げますと、大体十七社のうち、実質上の黒字会社は三社くらいしかございません。あとは大なり小なりの赤字炭鉱が主体でございます。で、今回の措置を講じましても、赤字会社はやはり半数程度残ると思います、大手の中でも。しかし、この赤字の程度がまことに軽徴なものが大部分で、率直にいいまして、赤字の幅が相当大きい会社が十七社のうち三社くらいございます。先ほど来、私も御説明申しましたように、また、大臣の御趣旨も体しまして、政府におきましては相当な無利子融資とか、あるいは開銀融資とか、相当思い切った財政措置をやっております。それから、特に困る会社につきましては再建資金というような制度も現在あるわけでございまして、これは財政資金——運用部資金から運転資金として融資するというような制度まであるわけでございます。こういうことでここ二、三年つないでいけば、四十二年度ごろには何とか目鼻がつくというような見通しでございます。先ほど申しました大手十七社の中でも、三社程度は、今回の措置にもかかわらず、相当の赤字が残る。これにつきましては、大臣が先ほど申されましたように、経理審査会、これは中立委員だけで構成しております。これは法律に基づく審査会でございますが、そこに個別企業の問題をはかりまして、市中金融機関の救済のたな上げとか、あるいは政府資金の返済を猶予する、あるいはただいま申しました暫定資金を特に融資するというような措置を講じましてこの窮迫した企業の対策をやっておるというのが実情でございます。
  114. 向井長年

    向井長年君 大体今度のこの値上げは約百五十億ですか、その中で電力が五十七億、鉄鋼が二十億ですか、ガスが五億でしたか、何かそういうことですね。そういうことで百五十億というのが一応値上げになる財源である、それが石炭業界に持たされるわけですが、これでいきましたら、石炭業界としては四十二年度ころには目鼻がつくということでしょう、いま局長の言われたのは。目鼻がつくということは、大手も黒字になっているのですか。
  115. 井上亮

    政府委員井上亮君) 目鼻がつくと申しますのは、大体三分の二くらいの企業につきましては経営がほぼ安定するのではないか、大手十七社のうち。三分の一程度は依然として赤字状態を脱却し切れない。したがいまして、経理審査会等におきまして個別問題として十分是正をしていくというような体制をとらざるを得ない。
  116. 向井長年

    向井長年君 石炭のほうはそういう形ですが、じゃ、受けるほうの電力ですか、電力の場合においてはそうすると二十七億——五十七億でしたね、そうすると、あと三十億はどうせいというのですか、通産大臣。それに伴う三十億のいわゆる赤字が出てくるわけなんです。これはどういうふうにあれするのですか、通産大臣は。
  117. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは先ほどもお答えしたように、電力側から言えば、私どもが協力を要請するわけでございまして、現在の電力会社の経理状況の中で吸収をしていく、こういうことになります。
  118. 向井長年

    向井長年君 いや、簡単に言えばそれは吸収するということになるでしょうが、具体的に電力の会計というものは、これは通産省が全部握っているのです。あるいは料金も通産省が握っているわけです。そういう決算、予算あるいは料金、こういうものは全部通産省で握っておるわけですが、具体的に現在はそういうものはないんじゃないですかね。そういうものを引き受けるという余裕があるのかないのか、それがまた将来料金にはね返ってくるおそれもないとは言えぬですね。したがって、こういう問題は、やはり電気も所管大臣でございますが、どういうふうにやれというのか、人員を減らせというのか、賃金を上げるなというのか、あるいは、いわゆる事業所の問題を運用上合理化せいというのか、こういう形が——やっぱり所管としては何かこれに対するなにがあると思うし、また、やらなければならぬと思うのですが、その点いかがでしょう。
  119. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 向井先生にこういうことを申し上げるのは釈迦に説法で、まことに恐縮なんでございますが、いまさら申し上げるまでもなく、電気料金の値上げという場合には、先生御存じのように、総括原価の問題になってまいります。で、ちょっと実例を申し上げたいわけでございますが、たとえば東京電力の費用の合計が、これは三十八年度だと思いますが、約二千百億でございます。その中に燃料費がどのくらいかと申しますと、四百億でございます。で、燃料費と申しますのは、御存じのように、重油石炭、全部ひっくるめたものでございまして、そのうちの石炭の費用は二百三十億でございます。したがいまして、全体の費用の中で石炭の占める割合が一一・一四%ぐらいになるわけでございます。今度かりに負担増対策が行なわれまして、これは今後のこまかい計算になりますが、たとえば重油関税の還付を北海道九州にも回すというようなことで、揚げ地格差が三百円アップに対し、二百円くらいアップするということを考えました場合に、石炭費がどれだけふえるかということを一応試算をいたしてみますと、パーセンテージといたしまして二百円かりに上がったと仮定いたしました場合に、先ほどの一一・一四%が一一・六五%、つまり〇・五一%上がったということになるわけでございます。したがいまして、確かに厳密にはそういうものを引き受ける科目があるかどうかという問題になるわけでございますが、ご存じのように、東京電力の場合、料金値上げをいたしましたのが昭和三十七年でございますか、電力原価計算期間をこえまして、そのままほかのものの値上がりもあるし、あるいは、また、重油がふえることによって全体の能率を上げてコストを下げるというようなことで、厳密ではございませんが、先ほど大臣がおっしゃいましたように、何とか全体の企業努力でこれを吸収していくよりしかたがないだろうということは、もちろん電力業界の心のうちは、先生もご存じのように、まあどちらかといえば、あまりたきたくもない石炭をむりやりに使わされておるというあれはございますけれども、しかし、やはり石炭を一番たくさん使う電力業界として、何らかの意味の、何らかと申しますか、相当な御協力を申し上げるという態度をとらざるを得ないと思いますし、われわれ監督官庁といたしましても、この程度は何とかのんでくれということも電力業界にお願いしておるわけでございまして、その辺は先ほど大臣のお話のあったとおりでございますが、具体的にいいますと例をあげて申し上げましたとおりで、この辺は何とか吸収していただきたい、こういうことでございます。
  120. 向井長年

    向井長年君 公益事業局長は、企業努力をやって生み出せ、三十億と、こういうことなんですね。これは特に電気というようなものは、これは公益事業であるし、問題点がたくさんあるわけなんですが、結局いまいみじくも公益事業局長も言われたが、実際なんでしょう、重油を使いたい、重油を使いたいにもかかわらず、石炭をむりやりに何ぼ何ぼ引き取れ、引き取ったやつは値段を上げるのだぞ、それは合理化をやったり企業努力をやって生み出しなさい、こういう形というものは、石炭を救済しなければいかぬと、あるいは、また、石炭の安定化というものは、これは国民全般が希望しなければならぬ問題でございますけれども、そういうことをそういうところへ持ってくることになれば、少なくともこれに対する裏づけというものをどう見ていかなければならぬかということは、やっぱり行政機関の、特に公益事業ですから、その考え方でしなければいかぬのですよ。まあ二十七億程度還付金として何とかしよう、しかし、あとは、これはひとつ企業努力でやりなさい、こういうことを言われるわけなんですが、これは経営者は首を押えられておるから、はいよろしいと言うでしょう。最終的にはこれはやると思う。ところが、その中で働いておる労働者は、これは賃金が現在一般の産業と比較した場合には電力は安いというところから、実は現在もう格差賃金の要求をして、他産業に見合う賃金をよこせ、こういう形で要求をして、そうして中労委に持っていったら、中労委はそれを認めた、これからそれの交渉に入ろうという段階なんですよ。そういうところはやっぱり経営者だけの問題じゃないので、その事業をあずかっている労働者も大いに責任を感じておるわけなんです。そういうところに何らこれに対するところの見返りと申しますか、こうしろという一つのやり方なくして、企業努力をせよという考え方は、通産大臣、これは行政官庁として何とかこれに対する処理があってしかるべきだと、こう思っておるわけなんですが、大臣からひとつお聞きしたいと思う。
  121. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 負担増の問題だけをとらえて論議をいたしますと、私どもの見解としては、この程度はひとつ経営面で吸収してもらいたいという結論になります。また、産業政策全般の上から考えていきますと、会社によっては事情も違いますが、重機械類に対する助成施策であるとか、あるいは開銀の融資であるとかというような、やはり政府の施策を受けている面があるわけであります。しかも、向井委員からもお話があったように、総合エネルギーの見地で、この程度電力に吸収をしてもらおう、石炭のエネルギー資源を確保する上においては大乗的に考えてもらおう、こういうことになったのであります。しかし、お話のように、そういうことをせずに、すべてそういう場合は政府がみるべきだ、これもお考え方だと思いますが、これにつきましては十分大蔵当局とやり合う余裕もなく今回の措置になったということは先ほど申し上げたとおりでございます。また、根本的に、それじゃ補給金の問題はどうかといえば、私としてはそれもやり得ると思うが、しかし、現状は関税還付の二ヵ年延長ということで一応対処したので、いまの段階においてはこういう施策でいこうというふうにお答えをしているわけでございます。
  122. 向井長年

    向井長年君 先ほども質問がございましたが、炭価問題ですね、この炭価問題については一応三百円ということになっているのですが、値上げ問題ですよ。ところが、現状、基準炭価というやつがあるでしょう。基準炭価ということになってくれば、これは通産大臣がきめられるでしょうが、三百円値上げというやつが、場合によれば五百円になる可能性もあるのではないか、そういう基準炭価の設定を現在の三百円以上は上がらないという形の基準炭価のきめ方をするのか、それとも、三百円をこえて、場合によっては四百円、あるいは五百円になるやつもあり得ると、こうなるのか、この点はいかがですか。
  123. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 確かに御指摘のように、いままでは基準炭価と申しますか、基準炭価に伴って展開されました精算会社の十九条炭価に示めされました炭価と実際の取引価格との間に多少のギャップのあることは事実でございます。ただ、なるべくこれを縮めようというのが電力用炭精算会社であるわけであります。したがいまして、もしカロリー別に展開されますと、炭価がいままでの自主性炭価とあまり開きがありますと、三百円アップをやりますと、その上に三百円乗せられますともっと開く可能性がございます。この点電力業界としては三百円アップに協力はするけれども、その点をできるだけ自主性で三百円にしてもらいたいという強い要求がございますので、今度この法律が通りまして、また五十八条炭価をきめ、さらに今度は十五条でそれをカロリー別に展開いたします場合には、その辺をなるべく自主性に合わせるように努力をしたい、これは石炭局長と御相談の上、努力をしたいと思います。
  124. 向井長年

    向井長年君 最後に、いずれまた続いて質問したいと思いますが、特に石炭業界電力業界あわせて十分に配意して今後の実施に当たることと思いますが、それまでにわれわれも十分審議を尽くしたい、こういう考え方でいるわけなんですが、政府としても、これは売る側も受ける側も十分ひとつ納得するまで検討をすべきで、ぼくはそう急いでこうしなければならぬ、ああしなければならぬという形じゃなくして、そういう問題はやはり十分な理解の上に立ってぼくは実施していくべきだと、この点を大臣に要望しておきまして、きょうのところはこれで終わります。
  125. 大矢正

    ○大矢正君 資料だけひとつ要求しておきたいと思います。  それは、この法律がかりに通ったと仮定いたしまして、改正に基づいて新会社が設立され、その新会社が具体的には地域別、カロリー別炭価をきめる、こういうことになると思うんです。特にその中で知りたいのは九電力、それから電発、共同火力、こういう企業別に重油の還付が幾らあるから、したがって炭価幾らか、こういう計算に私はおそらくなると思うので、そういう総額を出して、したがって、各社別に見ると炭価はどの程度ずつ上がるのかという資料を出してもらいたい、こう思います。
  126. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 確かに大矢先生の御指摘のような資料が今後最終的にはぴしっと出るわけでございますが、ただ、まだ電力業界内部でその辺のぴしっとした最終的な数字をこれからやるので一応お出しするとすれば、たとえば北海道五十円、九州百円、残りを平等だというような形で、そういう一定の前提のもとでお出しすることしかいまの段階ではできないのではないか、最終的にきまった段階ではまた別でございます。
  127. 大矢正

    ○大矢正君 しかし、そういう議論だと、それができるまでは法律は通されないということになりますよ。
  128. 井上亮

    政府委員井上亮君) 本日電力業界話し合いが円満にきまったわけですが、きまった線と申しますのは、この法律が通りまして新会社を一応つくるまでは暫定措置ということで、揚げ地につきましては一律三百円ということになったわけでございまして、この会社ができます間プール計算電力会社がいたしたい、電力会社も平均三百円値上げは了承しているわけですから、ただ、その時期をこの会社ができたときから発足したいということを申しておりまして、そうすると、その間、この価格は、先ほど来いろいろ諸先生から御指摘もありました、役所が一方的に独断的にきめるわけじゃございませんで、むしろ私ども石炭サイドから見ますと、石炭会社から見れば、とにかくどこへ売ろうと、北電に売ろうと東京に売ろうと、とにかく三百円もらえる仕組みでありますからいいわけでして、あと電力会社が先ほど来問題になっている重油還付を受けている会社、受けてない会社がある、それを見合ってどう値上げ電力サイドで調整するかという問題になるわけであります。私のほうは平均三百円とにかくもらえるわけですから、石炭としては特に意見はないわけでして、むしろ電力サイドで今後きめていくということになるだろうと思いますから、ちょっとごもっともな資料要求だとは思いますけれども、いまこれを軽率に出しますと、ちょっとあまり事実と実行とあまり食い違って問題になるおそれもありますので、ただ、御指摘の還付額がどうだとか、こういう資料は用意いたしておりますから出させていただきたいと思います。九電力のいまの還付の状況はどうだとか、あるいは現在の炭価がどうなっているとかいうような仕組みのものにつきましては、資料としていつでも提出できる態勢にございます。
  129. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御質疑もございませんようですから、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会