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1965-03-30 第48回国会 参議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十日(火曜日)    午前十一時十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田藤太郎君     理 事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 杉山善太郎君     委 員                 亀井  光君                 川野 三暁君                 木村 睦男君                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 横山 フク君                 阿具根 登君                 小柳  勇君                 小平 芳平君                 村尾 重雄君                 林   塩君    国務大臣        厚 生 大 臣  神田  博君    政府委員        防衛施設庁長官  小野  裕君        防衛施設庁労務        部長       藤本  幹君        法務省入国管理        局次長      中村 正夫君        外務省アメリカ        局長       安川  壯君        厚生政務次官   徳永 正利君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  尾崎 嘉篤君        社会保険庁医療        保険部長     坂元貞一郎君        運輸省船員局長  亀山 信郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        外務省アメリカ        局安全保障課長  山中 駿一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○医療金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○清掃法の一部を改正する法律案内閣提出) ○社会保障制度に関する調査  (厚生行政基本方針に関する件)  (昭和四十年度厚生省関係予算に関する件)     —————————————
  2. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまから開会いたします。  医療金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。徳永厚生政務次官
  3. 徳永正利

    政府委員徳永正利君) ただいま議題となりました医療金融公庫法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  改正の第一の内容は、医療金融公庫法は従たる事務所を設置することができることとするとともに、従たる事務所業務に関して一切の権限を有する代理人を選任できることとすることであります。  医療金融公庫は、昭和三十五年設立以来、逐次、貸し付け原資増額をはかるとともに、貸し付け限度額の引き上げ、貸し付け利率引き下げ等、その貸し付け条件を漸次改善し、医療の適正な普及向上に寄与してまいりました。  昭和四十年度におきましては、政府は、公庫貸し付け原資として百七十億円を予定し、これに要する資金として資金運用部資金借り入れ金百四十億円及び貸し付け回収金二十五億円のほか、一般会計から五億円を出資することといたしております。このような状況に伴いまして、公庫業務量増大の一途をたどっており、さらに将来も引き続いて増加することが予想されるのであります。したがいまして、事務所東京に置くこととされておりましたのを改めて、公庫は主たる事務所東京に置くほか、主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができることとするとともに、公庫総裁は、従たる事務所業務に関して一切の行為をすることのできる代理人を選任できることといたしまして、業務執行体制拡充強化とともに、業務運営合理化をはかることを期したのであります。  改正の第二の内容は、公庫理事定員を一名増加することであります。理事は、公庫の役員として総裁を補佐し、業務を掌理するために置かれているものであり、総裁のもとで業務をそれぞれ分担して処理しているのでありますが、業務増大に対応して、これを十分に管理し得るよう、その定員増加して、公庫業務運営管理体制の確立をはかることといたしたのであります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由の聴取のみにとどめておきます。
  5. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 清掃法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  6. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記を起こして。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 第四十五国会で、生活環境施設整備緊急措置法案が成立するときに、附帯決議がつきまして、その附帯決議の第三に、「政府は、自治体に対して、自治体責任をもって清掃事業の適切なる実施を期するよう行政指導すること。」と決議されておりますが、今日まで政府がやられました「適切なる実施を期するよう行政指導」という、これについて具体的にお示し願いたいと思います。
  8. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現行法におきましても、清掃法の本旨は、清掃事業は、あくまでも市町村固有事務として、市町村責任において実施しなければならないことになっておるたてまえでございます。法の明文もそうなっておるはずでございますが、ただ、法の条文の中に、たとえば十五条のごとく、許可業者という規定がございまして、必ずしもそれらの関係が明確化されてないという部分がございますので、実際の実施上、この法の基本精神にのっとった運営が必ずしもなされてないうらみが従来あったわけでございまして、私どもといたしましては、あくまでも市町村責任において、たとい業者が実際の清掃事業実施しておる場合でございましても、あくまでもその責任市町村にあるということでその実施徹底を期する努力を払ってきておったつもりではございますが、正直に申しまして、ややその努力にも足りない点もあったかと思いますし、また、法の形もやや明確を欠いておったという点があったかと思います。個々にいろいろ問題がございましたおりに、当局といたしましては指導徹底を期してまいりましたものの、ありていに申しますれば、必ずしも従来、法の形も、明文という意味からいえば十分とはいいがたい点がございまして、私ども努力の足りなかった点があったかと思っております。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 あと、具体的には改正案の中で質問してまいりますが、第二の点は、附帯決議の第五番目に「清掃事業に関する地方交付税算定基礎実情に見合ってすみやかに合理化するようつとめること。」、こういうふうに書いてあります。この地方交付税算定基礎実情に見合って合理化したかどうか、これを質問いたします。
  10. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この点、従来、清掃事業地方本来固有事務でございますので、当然地方費用の中からまかなうということで、財政基礎といたしましては、地方交付税の基本的な数字に盛り込んでなければならなかったものが、必ずしも、そのお世話をするというか、努力をする点に欠けておったことを反省いたしまして、ここ二、三年来は努力を続けておったわけでございますが、何ぶんにも長いこと努力が欠けておりましたので、理想とする形態と、実際に行なわれておりました算定数字との間のかけ離れは非常に大きかったのでございます。これをできるだけ私どもとしては短期間の間に、理想といいますか、当面の目標数字に戻したいという決意に燃えまして、そのためには、まず、自治省と私ども考え方の統一が必要である、少なくとも自治省理解を深める必要があるということから、特別な研究会を設けまして共同の調査をいたしたわけでございます。その中には、実際の市町村のこれらの事務責任を持ってやる市町村当局並びに自治省、私ども、あるいは学識経験者等入りまして、当面わが国として目標とすべき点を明らかにするという努力をしてまいりました。ようやくその成案ができた次第でございます。その目標に一日も早く算定基準を近づけるよう、自治省にも申し入れておりまして、たとえば昭和三十七年には積算人員ごみ処理で申しますと二十八人でございましたものが、三十九年には三十八人に増加いたしておりますし、し尿及び終末処理人員で申しますと、三十七年には二十人でございましたものが、三十九年には三十四人に算定基準をふやしてもらっております。なお、昭和四十年度はさらに相当大幅な増加を申し入れ、おおむね自治省理解を得ておりますが、直ちにその研究会理想とした数字に四十年度から近づけるというわけにはまいりませんけれども、できるだけすみやかにその数字に近づけるように努力をいたしておる次第でございます。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 ただいまの基礎単価ですね、四十年度のこれの算定基礎数字を言ってください。厚生省要求した数字と、それから、大蔵省がOKしそうな数字を明らかにしてください。
  12. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ごみ処理に対しては、四十年度は四十三名、し尿及び終末処理に対しましては四十名を要求いたしております。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 その決定はいつですか。
  14. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 見通しとしては四月中と思われます。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 単位費用は、三十九年が三百四十五円になっておりますが、四十年度は幾らですか。
  16. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) お説のとおり、これも昭和三十七年度百五十一円のものが、三十九年度は三百四十五円にふえておりますが、四十年度は、ただいま自治省折衝中でございまして、まだ未決定でございます。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 「算定基礎実情に見合ってすみやかに合理化するようつとめること。」と書いてあるのですが、何か調査をしたとか、具体的な資料がありますか、積算基礎
  18. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 一応調査会で、各般の実情現状等から勘案いたしまして、当面の目標としては百十二名が目標である、かような基本数字を持っております。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 いまちょっと……。おそれ入りますが、もう一回。
  20. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 先ほど申しました清掃調査会は、二カ年にわたって調査をいたしたわけでありますが、わが国実情、実際の作業量等から一応推定いたしまして、目標としての数字といたしましては、百十二名を目標とするということにいたしてございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 百十二名というのは合計ですか。
  22. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) そうでございます。したがって、先ほど申しました明年度として要求した四十プラス四十三、百十二名のうちの八十三名をとりあえず要求いたしておるわけでございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 百十二名いないと完全な都市清掃実施できない、あるいは監督できないとわかっておりながら、八十三名をよこせというのはどういうことですか。
  24. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) お話のとおりでございますが、私どもとしては、この目標を五カ年計画で、達成をいたしたい。従来非常に少なかったものを急激に一挙に増員するということも、実情の上で実際上困難でございますので、漸次増員してこの数字に近づけたいということで、ここ二年ほど毎年十名、二十名とふやしてまいっております。その意味合いでは、明年は従来に増して、かなり飛躍的な増加要求しておるわけでございまして、できればもちろん一挙にこの目標数字に到達することが望ましいのでございますが、実際の市町村実情から見て、一挙にここに到達することも、やや実際上困難がございますので、実情ともにらみ合わせて、二、三年の間にこの数字に到達いたしたいということで明年度は八十三名を要求いたしたわけでございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 大臣予算委員会質問関係で見えないようですから、次官に基本的なことを次に伺いますが、ごみ、あるいは、し尿清掃ということは、人類が生活する以上、必要なわけですね。過去の統計によっても、その量と質は大体きまっていて、見通しもつきますね。にもかかわりませず、合理的なものは百十二名であるという算定をされておりながら八十三名で、漸次五カ年計画でということは、それだけ国あるいは都市清掃をサボる、五カ年間はしょうがないというふうにとれる。厚生省が少し弱腰で、町は少しきたなくてもがまんしてもらうという思想ではないかと、こういう思想はぼくはよくないと思うが、次官どうでしょうかね。
  26. 徳永正利

    政府委員徳永正利君) お説の御意見は当然出てくるものでございますが、ごみ処理施設がおくれておるということは、これは確かにお説のとおりでございます。ただ、人員整備等も、この施設の完成を一応五カ年計画で進めておるわけでございまして、したがいまして、それと見合ってというわけでもございませんが、一応そういうようなものも勘案いたしまして、早急に人員整備もやりたいということで進めておるわけでございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 まあ五カ年計画だということで、事業計画はそれでいいのですけれども、こういう地方交付税算定基礎などというものは理想的なものを出して、それを五年などと言わないで、厚生省が全力を振ってこの予算、あるいは来年の予算に盛り込むということが至当だと考えますので、さらに一そう努力をしてもらいたい。
  28. 徳永正利

    政府委員徳永正利君) お説のとおりでございます。したがいまして、今年度は、現に施設整備予算の点につきましても、実はもう少し大幅な思い切った予算要求をやったわけでございますけれども、まあいろんな点において思うことが達せられませんでしたけれども、一応いろんな予算折衝過程においても話が了解点に達したところもございますし、明年度はひとつ思い切った要求をいたしましてそれを完成いたしたいと、かように考えております。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 さっき局長単位費用で四十年度は未定だとおっしゃいましたけれども厚生省としてはどのぐらいなものを考えておられるんですか。三十九年度が三百四十五円、これに対して四十年度、あるいは理想的なものは幾らぐらいに考えておりますか。
  30. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 実は、この単位費用は、その他の要素と関連して従来きまってくる数値でございますので、自治省のその他の費用の設定の基礎が明らかになりませんと、いまの段階では私どもとしてちょっと申し上げかねる数値でございまして、従来とも、人員がきまりましてから自治省と話をいたしてきめる数値でございますので、いまの段階ではどのような数値を特に私どもから要求するということを申し上げかねることでございますが、過去二年の間に二倍以上ふえておりまして、清掃関係地方交付税の総額においても昨年は百億増額をいたしておる、非常な増額を私どもとして得ておりますので、同じ方向明年度努力をしておるわけでございます。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 では、この四十年度が八十三名でありますが、五カ年計画で百十二人とおっしゃる。これに見合う数字幾らぐらいを考えておられますか、合理的なこの算定単価というものは。
  32. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ちょっと猶予をいただきまして、調べましてお答え申し上げます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 それでは次の問題ですが、ここに吏員雇用人人夫とありますね、積算人員の区別がございます。いま局長は全部これは込みで合計人員を言われましたけれども、書き分けがある。吏員雇用人人夫と書き分けがあるわけですが、これらは地方公務員法適用についてはどうなっておりますか。
  34. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) いずれも地方公務員法適用はございます。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 ある。——そうしますと、ここに吏員雇用人人夫と、こう分けてあるのは、これはどういう意味ですか。
  36. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) これは、ある程度組織の形態をも考え、並びに積算数値にもこれが使われるということでこのような区分をいたすわけでございます。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 私ども、普通の公務員法なり地方公務員法関係では、吏員地方公務員法適用を受けるが、雇用人及び人夫は受けないのではないかという常識なんですがね。いま受けるとおっしゃいましたが、受けますね。
  38. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 受けます。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると、あとこれはどういう差がつきますか。この吏員雇用人人夫の差はどこでつきますか。
  40. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 実際上の市町村の現在任命されている身分上の地位がこのようになっておりますのでこういう区分をいたしたわけでございます。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 どうもはっきりしませんが、そういう点は、たとえば採用試験が違うとか、あるいは発令の形式が違うとか、あるいは給与の点が違うとか、何かなければそんな吏員雇用人人夫に分けるはずはございませんよ。
  42. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この場合、人夫予算措置で雇う臨時職員の場合でございます。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、臨時職員の場合は、まだ地方公務員法適用は受けないんじゃないですか。
  44. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 日雇い労務者でございましても、最近はこれを正式の吏員の扱いをするように漸次なってきております。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 どうも局長、少しその点がはっきりしてないようだが、この点はっきり調べてください。私この問題は通告しなかったから無理もないと思うが、ひとつそこを調べてもらって、あとでまた再質問するから、はっきりしませんと、何でここで三つに分けて算定基礎にするか、まだもう少し今度突っ込んで質問しなければなりません、いまのような答弁ではね。ここに分けてあるところに意味があるわけですよ。だから、すぐ現地のほうと連絡をとって調べてください。
  46. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  47. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記を起こして。
  48. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) これは役所で申しますと、吏員と申しますのは、普通でいえば事務官でございます。雇用人は雇員の身分の者、人夫は、各地にございます失業対策等の場合におけるごとく、臨時職員でございます。普通はこれは公務員法適用を受けないわけでございますが、このごろ漸次長期化しまして、定員化するという方向でございますので私どもはさよう先ほど申したわけでございまして、したがいまして、人夫がすべて公務員ではない。一般的にはございませんけれども、漸次これが公務員法適用を受ける方向要求もございますし、その方向の取り扱いに漸次なりつつございますので、先ほどのような答弁を申し上げたわけでございます。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 その実態についてもすぐ詳細に調べていただきますが、たとえば人夫で採用された人が、作業中、死傷事故などが起こった場合に、地方公務員法適用補償がされるのかどうか、その点どうですか。
  50. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 臨時職員といえども、その業務についておる間は公務をやっておるわけでございまして、当時そのような補償の対象になると思いますが、なお、詳細な点は調べてお答え申し上げます。
  51. 小柳勇

    小柳勇君 私もはっきり記憶してないが、一昨年かに東京人夫事故を起こして、補償の問題で私がこの社会労働委員会質問したことがある。そのときに地方公務員法適用してなかったんですよ。それから、補償の金額などで相当ここで論争して、そのあと善処するという大臣答弁になっておるから、その後どういうふうにあなた方が対策を立てておるか、その点詳しく調べておいてください。これはまたあとで次の機会に質問いたします。この問題はあと法改正関連していくわけです。これが改正していきますと、この改正によりまして、現在たとえば下請などで、あるいは請負業者などで使っておられる人たちが、今度はある人は地方公務員法で採用されて吏員となり、あるいは雇用人となり、あるいはこのいわゆる人夫となるかもしれない、そういうことでありますから、地方公務員法適用についてどうあるかということをはっきりひとつ勉強しておいてもらいたい。  それから、次の質問は、またこの附帯決議の最後の点ですけれども、「政府は、悪条件にある清掃事業職員待遇改善のため特別の配慮を行なうこと。」と書いてありますね。この清掃事業職員待遇改善についてどのような特別な配慮が行なわれたか。
  52. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 清掃事業に従事しております職員の処遇に関しましては、その作業特殊性を十分考慮しなければならないことは申すまでもないことでございまして、特に特殊勤務手当の支給、施設設備近代化ということによりまする労働環境改善福利厚生施設充実等につきましては特段の配慮が必要なわけでございまして、特殊勤務手当につきましては、昭和三十九年度の地方交付税基準財政需要額の中に、し尿処理関係職員にありましては月額三千円、ごみ処理関係職員にありましては月額二千五百円の特殊勤務手当を算入いたしております。そのほか、先ほどお尋ねのございました地方交付税基本財政需要額算定に際して、清掃事業従事者平均俸給算定も、できるだけ大幅に増額する努力を続けてきておりまして、漸次毎年その基本算定額が上がっておる実情でございます。今後とも、その点は増加には努力を重ねてまいりたい、かように思っております。
  53. 小柳勇

    小柳勇君 大臣おられませんが、次官がおられますから、局長にいま御質問しておることで、自治省との関連もはっきりしておることを答弁してください。でないと、これほとんどあなた方のいま答弁自治省との関連が非常に深いわけですね。したがって、厚生省だけの考えでここで答弁しておられますと、私ども見る場合は現地を見ます。それが自治省関係になりますから、だから、厚生省考えだけではなくて——局長、いいですか、いいですね、自治省との関係もちゃんとしたものをここで答弁していただく。その点まず確かめておきます。
  54. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) その問題、清掃関係従業員待遇改善につきましては、先ほど来申しておりますが、調査会で非常に重要な課題の一つになった問題でございまして、自治省責任者も出まして、待遇改善については特に留意をする必要があるということで、数字をあげてすでに相当打ち合わせをいたしてございます。その上で、その理想的な数値にできるだけ近づける努力をするということで十分連絡をとって進めておる次第でございます。
  55. 小柳勇

    小柳勇君 清掃事業職員希望者が多いのですか、少ないのですか。たとえば百人雇いたいときに八十人しか希望者がないとか、あるいは三百人希望するとか、どちらですか。
  56. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 一般的に申しますと、大都市におきましては希望者がかなりございます。特に東京都等におきましては、募集人員に対しまして希望者のほうがかなり多い実情でございますが、それ以外の都市におきましては、必ずしも希望者が多くないという実情でございまして、それはやはり待遇もかなり反映をしております。大都市等におきまする待遇は相当改善してまいっておりまして、その意味からも、これらの職員待遇改善には特に努力しなければならない、かように思っております。
  57. 小柳勇

    小柳勇君 いまちょうど予算審議過程ですから予算案を論議しておりまするが、厚生省でいま考えている理想のものにはまだ遠いかもしれないけれども、ここにわざわざ附帯決議に「悪条件にある」と書いてあるのですね。「悪条件にある清掃事業職員待遇改善」と書いてありますから、うんと待遇がよくなりませんと優秀な職員は入らぬ、これは常識でありましょう。したがって、もう一度自治省などに、あるいは大蔵省などに厚生省がどういう方向で働きかけておられるか、もう一回聞いておきたい。そのあと次官の御決意を聞いておきたい。
  58. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 清掃事業改善に関しましては、私ども並びにわが国地方公共団体、いずれも世界的な検討もあわせて努力をいたしておるわけでございまして、先般アメリカのこのほうの専門家が参りましたときの意見も、従事員の待遇改善ということに対して努力をすることが非常に必要であるということが強調されましたし、清掃従事員の待遇、ただに所得のみならず、世の中の評価、服装、事業内容、厚生施設等を含めて、十分手厚い配慮をしなければならないということは私どもも痛感をいたし、市町村も漸次認識を深めてまいり、その影響が大きな都市はだいぶ改善されたということに反映してまいっておりますが、なお中小都市では旧態依然たるところが少なくないわけでございます。それらの点は、毎々私どもは会議を開き、講習会を開き、改善努力を進め、また、一番基礎となる財政需要額の算定のときにも、十分それを織り込んだ金額にする努力を進めてきておりまして、漸次その方向に向いております。また、実際上もその努力をしなければ清掃事業が行き詰まるという実態に立ち至っておりますので、中小都市といえども、ようやく目ざめてまいっておるわけでございますが、今後とも、それに対しては十分努力をしていかなければならないということを痛感しておる次第でございます。
  59. 小柳勇

    小柳勇君 大都市希望者が多いが、小都市希望者が少ない。その少ない中には、募集してもなかなか希望者というか、なり手がないというような印象も受けますが、待遇が違うからですか。何が一番大きな原因ですか。
  60. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 最大の原因は、やはり待遇問題かと思います。また、清掃事業に従事する人に対する評価が、大都市のほうが漸次世の中の評価が改まってきたという点も、ある程度あるかと思いますけれども、最大の問題は待遇の問題かと思います。
  61. 小柳勇

    小柳勇君 さっきおっしゃった三千円と二千五百円の特別手当というのは全国一律ですか。
  62. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 算定基準としては一律でございますが、実際に各都市でやっておる金額はまちまちでございまして、大都市ではこれをはるかに上回った手当を出しております。
  63. 小柳勇

    小柳勇君 平均年齢、あるいは平均給与は、大都市と小都市に分けまして、わかりますか、清掃従業員の。
  64. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 調べればわかりますが、ただいまちょっと資料を持ち合わせておりません。
  65. 小柳勇

    小柳勇君 質問するのはちゃんときのう通告してあるんだから、質問要旨などをちゃんと前もって勉強しておかなければ困りますよ。いまもう一回——わかったですか。わかったら答弁してください。大都市における清掃従業員の平均年齢及び待遇、あるいは小都市においてどうか。
  66. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ちょっと余裕をいただきまして、ただいま調べてお答え申し上げます。
  67. 小柳勇

    小柳勇君 清掃事業職員待遇改善といいましても、基礎数字の現状がはっきり把握されておらなければ、ここでどんなあなたが答弁されたって、それはもうから念仏になります。実際これこれですからこういたしますと、そういう具体的な答弁をしないと答弁にならないのですね。だから聞いているわけです。したがって、それはきのうはっきり通告したのを聞きにこないから無理もないから、あとで、少し調べてここで発表していただく。その上に立って、これこれですからこういたしますと、そういう答弁を、次官もおられるから相談して、あと答弁していただきましょう。  そこで、次の質問に入ります。この改正案について具体的に質問してまいりましょう。この改正案の十五条ですね、十五条の二によりますと、結果的には許可業者を認めておるようになります。条文にいう「収集及び処分が困難であり、かつ、環境衛生上の支障が生ずるおそれがないと認められるときでなければ、」云々と書いてございますが、非常にあいまいであるから、その判定の基準をどこに求めるか、御答弁を願います。
  68. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 市町村によります「汚物の収集及び処分が困難であり、」という場合は、当該汚物が工場等の生産活動に伴って排出される多量の汚物または通常の清掃施設において処理することが困難な特殊な汚物である場合、年度の途中において予期しなかった急激かつ大幅な人口の増加があったため、市町村作業体制の整備が間に合わない場合等でございます。また、環境衛生上の支障を生ずるおそれがある事態と申しますのは、当該汚物取り扱い業者が持っております汚物を処理するための施設設備をもってしては、衛生的に汚物を収集または処分をすることが困難と認められるとき、当該汚物取り扱い業者が、過去において清掃法第十一条の汚物の投棄禁止に関する規定に違反をしたものであるとき、こういう場合などでございます。
  69. 小柳勇

    小柳勇君 第二の問題は、四十五特別国会で、政府は、今後も請負にすることは規制するつもりであると答弁しております。しかし、改正案の条文は規制の内容が弱い。この点の規制力については、政令、通達などでやられると思うが、具体的にどのような意図をもって行政指導を行なうのか、はっきりした御答弁を願います。
  70. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現行清掃法第六条は、特別清掃地域内の土地または建物の占有者によって集められた汚物は、業務活動等から生ずる多量の汚物及び通常施設では処理することが困難な特殊の汚物を除きましては、市町村責任において収集し、処分しなければならないこととしておりますが、法第十五条の汚物取り扱い業の許可に関する規定との関連が不明確なために、従来、法第六条の市町村清掃責任が十分に果たされていたとは言えなかったのでございます。したがいまして、今回新たに汚物取り扱い業の許可に関する基準を設けまして、市町村長は、市町村による汚物の収集及び処分が困難であり、かつ、環境衛生上支障を生ずるおそれがない場合でなければ、汚物の収集または処分に関する法第十五条の許可を与えてはならないこととすることによりまして、法第六条で市町村清掃責任を明確にいたした次第でございます。したがいまして、改正法制定後は、この趣旨が周知徹底するよう、広範かつ強力な行政指導を行なうつもりでございます。
  71. 小柳勇

    小柳勇君 局長、特別清掃地域というのを設けておられるが、国全部清掃地域でなければならぬと思うのです。この特別清掃地域というものを廃止するというような方向で、厚生省あるいは自治省で検討されたことがあるのかないのか。
  72. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 私ども算定によりますと、現在特別清掃地域の人口の数はおおむね六千万人かと思います。例の五カ年計画で当然に、たとえばごみが収集され、市町村責任において処理せられなければならない地域は八千万人と推定いたしておるのでございます。このような考え方で、この五カ年計画昭和四十二年度末でございますが、この間に二千万人ほど地域を広げるということを計画しておるのでございまして、方向としては、ただいま先生おっしゃいましたように、今後特別清掃地域を日本全体に及ぼす方向で拡大してまいるつもりでおります。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 清掃五カ年計画の中にそういう思想があるのですか、特別清掃地域をなくしようという思想があるのですか。
  74. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 理論的に、かなり離れた山の中、離島の山の中まで特別清掃地域というのは実際上は困難な場面はございましょうが、方向として、少なくとも住民が住んでおる地域は特別清掃地域に拡大してまいるということで努力いたしております。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 次の問題は、改正法の第六条第二項の、政令で定める基準については政府においても検討をされていると思うが、その概略についてお尋いたします。委託業者と一口に言っても、その企業規模については現在まちまちであると思うので、一体どの程度の規模、条件等を具備した者を資格基準とするのか、お伺いいたします。
  76. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 第六条第二項の、市町村が汚物の収集、処分を市町村以外の者に委託する場合の政令で定める基準につきましては、目下検討を進めておりますが、その内容として考えております要旨は、おおむね次のとおりでございます。一といたしまして、受託者は、受託業務を環境衛生上支障がないように的確に遂行するに足りる設備、器材及び人員並びに経理的基礎を持っていなければならない。二は、受託者は、清掃法その他生活環境の清潔の維持に関する法令またはこれに基づく処分に違反した者であってはならないこと。これは、ただし、違反行為がありましてから三年くらいを経過しておる者は解除してもいいかと思っておりますが、三に、受託者は、この委託された業務を再委託してはならないこと。四に、受託料は、受託者が受託業務を環境衛生上支障がないように遂行するのに適切な額であること。五に、市町村は、次に申し述べますような事項を受託者またはその従業員に委託してはならないこと。その(イ)といたしまして、汚物の収集及び処分に関する計画の作成事務、(ロ)としまして、住民の汚物の収集に関する申し出等の受諾に関する事務、(ハ)としまして、住民の汚物収集に関する不服の申し出の受理及び処理に関する事務、(ニ)としまして、手数料の徴収に関する事務、(ホ)としまして、終末処分、これは市町村が設置するし尿処理施設及びごみ処理施設において行なわれる終末処理以外の終末処分でございまして、市町村職員が直接立ち会いのもとに行なわれるものは差しつかえない、こういうようなものは除くような扱いでいこうかと存じます。また、受託者の資格基準につきましては、市町村の委託する事業量や委託事業の内容につきましても差等がございますので、一律に企業規模のみによりまして資格基準をきめることは不適当でございます。要は、市町村が委託した業務を環境衛生上支障がないように、かつ、市町村清掃責任が完全に果たされるように的確に遂行する資格能力を有する者であればよいわけでございます。
  77. 小柳勇

    小柳勇君 ただいまの局長答弁の中に、違反者は三年くらい経過したらよかろうとおっしゃったが、三年ぐらいというのと三年というのとでは相当違いますが、どうなんですか。
  78. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 規定のときには、やはり三年というような規定をいたしてはいかがかと思っております。
  79. 小柳勇

    小柳勇君 はっきりと書くのですか。
  80. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) はい。
  81. 小柳勇

    小柳勇君 次の問題は、現行の受託業者の中には、清掃法やその他の関係法令などを無視した行為や、または違反する行為が行なわれ、環境衛生上の害を及ぼしている者も少なくないと聞いているが、悪質な業者は当然その資格基準からはずさねばならないと思うが、どうですか、お伺いいたします。
  82. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) お説のような者が受託業者の中から出れば、当然市町村は委託契約を解除すべきものと思っております。また、悪質な業者に対しまして業務委託が行なわれないように政令で定める等、委託基準の中に先ほど申しましたように欠格条項を設けるつもりでおります。
  83. 小柳勇

    小柳勇君 また、従来の業者の中には、いわゆる親分的存在、子分的な人、こういう関係があって、親分的な人の看板でその仕事を行なっている者があると聞いておるが、この再委託の方式は、調査をきびしくして再委託を禁止すべきであると思うが、いかがでございますか。
  84. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この点も申し上げましたが、再委託は責任を不明確にするおそれがありますので、お説のように、政令で定める委託の基準におきましてこれは禁止する方針でございます。また、市町村が委託契約を行なうときには、当然に未然に受託者の人員、設備等につきまして能力を調査すべきでございますが、政令の基準の樹立という面からも十分指導監督を行なわせる所存でございます。
  85. 小柳勇

    小柳勇君 次に、業務を委託すれば、当然そこに委託料を支払うことになりますが、その内容によって業務の質、言いかえれば市民サービスが左右されると思うのでありますが、たとえば一日の仕事の水揚げ料を増すために過度の作業回数を強要したり、そのはね返りが市民に直接与える影響として、ごみ容器の粗暴な扱い、あるいは路上及び庭先におけるごみの取り残しなどの弊害が考えられますが、この点についてどういう措置をとられますか、お考えを伺います。
  86. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) お話のとおり、適正な委託料金でございませんと、それがかえって受託業者清掃事業の遂行にも悪い影響が及ぶということで、委託料金は適正でなければならぬわけでございます。したがって、業務を委託する際には、その内容に相当する適正な委託料を払うことが特に清掃事業については必要でございまして、清掃事業は日常市民と直接接触する仕事であるということから、特段にこの点は配慮してまいりたい、このように考えます。
  87. 小柳勇

    小柳勇君 今度の改正案の重要なポイントになる委託基準については厳格な規則が必要になると思うので、確認しておきますが、いままで野放し的に放置され、手数料のごときも、徴収は業者まかせ、作業計画性もないまま業者委託、収集の申し出や、不満、苦情の受け付けが各業者ごとに行なわれている事実があるが、これらは当然市町村固有事務責任において実施することが当然であり、したがって、これらのことを業者またはその従業員に委託することを禁止されていいと思うが、ひとつ明確に御答弁を願います。
  88. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 今度の法改正は、現行清掃法第六条の市町村清掃責任を明確にしようとする意図によるものでございまして、したがいまして、市町村職員清掃事業を行なう場合でございましても、市町村職員以外の者が市町村の、委託の基準に基づいて収集処分に関する業務を行なう場合でございましても、市民に対する関係につきましては、市町村の全責任において清掃実施される必要がございます。したがいまして、作業計画の作成とか、手数料の徴収、苦情の処理も委託業者には行なわせないつもりでございます。そのほか、改正法の施行にあたりましては、立法の趣旨を十分周知徹底させまして、市町村清掃責任が明確にされますよう、法の適正な運用の指導に当たっていきたいと思っております。
  89. 小柳勇

    小柳勇君 さらに、終末処分についてお尋ねいたします。し尿の海洋投棄などについては、現在、業者の船舶が法定外の海域に放流を行なうなど、沿岸漁業に障害を与えている事実も現に聞いておりますが、市町村職員立ち合いでなければならないと思います。また、市町村が設置する終末処分池については、環境衛生上の責任指導の立場から見て委託を禁止すべきであると考えるが、見解があれば詳しい措置をお尋ねいたします。
  90. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) し尿の海洋投棄は、環境衛生上も、また、水産資源の保護の上からも、全般的に禁止する方向考えるべきものでございますが、現在の公共下水道の進捗状況及び、し尿処理施設整備状況から見ますと、いま直ちにこれを禁止するということは困難な事情にございます。特に現在し尿の海洋投棄を実施している市町村につきましては、最優先に、し尿処理施設整備して、一日も早く海洋投棄のようなものをなくす努力をしているところでございます。また、当面やむを得ず、し尿の処理を海洋投棄でやっている市町村につきましては、清掃法施行令第二条第二号のへに規定する適正な海域に棄てるように、その規定を順守するよう指導をいたしております。業者に委託する場合は、政令で定める委託基準において、市町村職員が立ち会わなければならないという扱いにいたしたいと思っております。また、終末処理施設の管理運用を業者に委託することは、お説のように、不適当のように思われますので、委託業務の対象からは除外する考えでございます。
  91. 小柳勇

    小柳勇君 今度の改正案では、現行法よりも若干の前進を示していることはわかりますが、まだまだ直営無料の原則からはほど遠いといわざるを得ないのであります。政府としても随時努力をされていると思うが、今次改正案成立後も、なおかつ清掃行政の困難が続くならば、さらに直営化、無料化について強力な改正を行なう意図を持っておられるかどうか、お聞きいたします。
  92. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 今回の改正は、市町村清掃責任の明確化と清掃事業の適切な運用を意図するものでございますので、改正法の運用にあたりましても、この法改正の趣旨が徹底いたしますよう、格段の努力をいたしたいと思っております。しかしながら、今回の法律改正によって懸案事項のすべてが解決したわけではございませんで、清掃事業のあり方も、生活様式の変化に対処して変化すべきかと思われますので、今後におきましても、運用面において解決できない問題が生ずれば、所要の改正を行なってまいる所存でございます。
  93. 小柳勇

    小柳勇君 最後に、この委託業務も直営であるというような考え方があると聞いているのですが、直営というものと委託業務というもの、その概念をはっきりしておいていただきたいと思います。
  94. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 直接市町村責任によってやるという、ことばの上の違いは別としまして、法の精神は、市町村責任において清掃事業が遂行される、その責任において遂行される方式にはいろいろございましょうが、もちろん極力全職員市町村職員であるという形で実施されることが最もその趣旨の徹底を期する道であるし、また、その一部が委託によって行なわれるという形でございましても、それがあくまでも市町村責任体制のもとに行なわれれば、これまた直営でございますけれども、これはことばの上の違いでございますが、あくまでも基本的には市町村が全清掃事業に対して責任をとって行なうということがこの直営の基本精神である、かように思っておる次第でございます。
  95. 小柳勇

    小柳勇君 いまの局長答弁の中でもあいまいですし、責任はむろん市町村でございますが、その中で、直接市町村職員がやるのが直営でありますとおっしゃったそのあとに、その一部を業者に委託させるのも直営でございますという言い方をされましたが、あとのほうは、これはあくまでも委託業務であって直営ではないと思うんですが、いかがですか。
  96. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 直営化の徹底を期するには、ただいまお話のように、全部が市町村職員によって行なわれることであることは申すまでもないわけでございますが、市町村責任において実施ができる場合には、一部委託という形も現段階においてはあり得る、かように考えておる次第でございます。
  97. 小柳勇

    小柳勇君 私が質問しているのは、直営化の方向を言っているのではなくして、直営というものと委託業務という概念を説明願いたい、ことばの。たくさん法律に直営とか委託業務とか書いてあるので、直営ということはどういうことでございますか、委託業務というのはどういうことでございますか。あなたのような考えがあるんですよ、委託業務も直営という考え方がありますから、そうすると、この法の解釈が変わってくるから、いまはっきりしておいてもらいたいという質問ですから。それでは私が言いますから、イエスかノーを言ってください。市の職員——吏員、雇員、用人ですね、市の職員が直接やる清掃事業が直営事業で、それができないからほかの業者に委託させる、これは委託業務である、はっきり区別すべきである、それでよろしうございますか。
  98. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) これはことばの上の問題でございますが、今回の法律そのものには直営という字句が出てまいるわけではございませんが、直営という字句を厳密にこれをとれば、全職員が——全職員と申しましても例外はごさいましょうが、市町村吏員をもって実施をするという方式を直営という、これが純粋の直営であるという考え方があり得ると思うのであります。しかし、実際に市町村が十分責任がとれるという体制で一部を委託してやる場合も、これを直営的実施方法というような考え方も、これまた一応現段階においては考えられる。したがって、そういう解釈も——解釈といいますか、ことばの意味合いもとる場合があるということでございます。ただ、厳密な意味の直営というようなものは、お話しのように、全部の職員徹底的に清掃事業に従事するということをもって直営ということばで考えるという考え方が一番純粋な考え方であると、かように思うわけであります。
  99. 阿具根登

    ○阿具根登君 だめだ。そんな一年生に言う答弁じゃだめですよ。直営でないものは何なんです。市が責任を持てないで委託する場合がありますか、ないでしょう。
  100. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) たとえば大きな工場、市場等におきましては、市は全然実施をしていないわけでございまして、これは完全な委託でもございません。それぞれの事業所が許可業者と契約をしてやっておるわけでございますし、市は収集の責任も持たないわけでございます。すべての市の事業が市の直営で実施されるということには必ずしもならないわけでございます。
  101. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはわかる。委託と直営の別です。それは市の責任ではなくてそういう業者のやる場合もあるだろう。
  102. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) それは直営ということばと委託ということばの使い分けの問題でございますが、直営ということばを非常に厳格に使えば、市町村吏員をもって実施をすることになりましょうし、市町村責任を負って、たとい一部を業務委託をしましても、市町村の完全なコントロール下に実施されるものをもって、やはり直営の一つの形式であるという考え方のものもあるわけでございますが、純粋には、やはりおっしゃるように、市町村が全面的に実施をするということを直営と解するのが適当かと思うわけであります。
  103. 小柳勇

    小柳勇君 局長、どうもはっきりしないが、次官どうでしょう。直営というのと委託というのはそれは違うはずです。ことばの上のあやではなくて、直営事業というのはこうこうで、委託はその中から委託するわけだ、直営事業のその一部を委託する、こう理解していいですか。
  104. 徳永正利

    政府委員徳永正利君) これは非常にことばのあやがむずかしそうでございますが、しかし、法律的に法制局でものを考えているのは、これは法律的解釈だそうでございますが、これは市町村責任を持って、そうしてあらゆる面において責任をとって委託する場合には、これは直営である、直営の範囲に含まれるという法制局は考えを持っておるのでございますが、しかし、いまお説のように、常識的には、私は、直営というのは、身分関係もはっきりした者がやるのが直営である、委託はあくまで委託であろうと思いますが、この法律の中にあらわれております直営ということは、法制局の見解をとりましてそういうふうな考え方に立っておるわけでございます。
  105. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、さっきの直営化、無料化の方向努力中であるということばは、これは何にもならぬということになります。現在だってこれは直営であります、全部、この法律に書いてあるでしょう、清掃法に。旧法律において、国の責任において国がちゃんと指導して市町村清掃事業をやりなさいと書いてある。だから、いま現在やっておられる、たとえば請負業にしたって、この法律によれば、いわゆる法制局流にいえば直営事業なんだ。ならば、いまから直営化いたしますとか無料化いたしますということは要らないわけです。現状はそれでやっておりますという答弁でいいんだけれども、あえて言わなければならぬのは、直営化でないから言うわけなんだ、現在は直覚でないからそういうことばを言うのであって、それは法制局だって、そういうことを言う法制局はどうかしているわ。
  106. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現在の清掃事業が、必ずしも市町村責任体制が十分とられた形で実施せられていないという事態でございますので、十分責任体制下において実施せられるように、私どもとしては今後とも努力していくわけでございます。その場合にどういう形式が理想的であるか、直営的方式で当然やるべきであるわけでございますが、その場合の直営という解釈の問題でございますが、先ほど申しておりますように、理想的には全部市町村吏員をもって行なわれる、それが純粋の直営の方向でございますが、一部委託の形で実施せられておっても、十分な責任体制がとられて行なわれるという形も一応直営という言い方をしても、必ずしも不当であると思うわけではございませんが、方向としては、やはりお尋ねのように、純粋な方向が望ましいということは考えておるわけでございます。
  107. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 私もちょっと聞いていまして、少しそこのところがあいまいじゃないですか。直営で市町村の個有の義務としてやっていくという方向が望ましいし、そうしたいのだと言う。片一方のほうは小柳委員や阿具根委員が言われるように、市町村自治体の直接職員をもってやることを直営だと言う。それから、その大部分の事業を市町村吏員でやるけれども、一部を委託している、これはやはり一部を委託している事業なんで、大筋の八〇%を市町村でやっているから、二〇%が委託であっても、これは直営であるといわなくてもいいじゃないですか。これは委託は委託でちゃんと入っている、だから直営のほうにいこうという趣旨だと、こういうことをはっきりおっしゃったらどうですか。それを何でも委託があっても直営だということをおっしゃるからややこしいことになるのです。ちゃんと事業のほうに、委託分が二割、三割あっても、おおむね直営でやっておるけれども、中には二〇%、三〇%委託がありますから、直営の方向が望ましいとわれわれは考えていますと、それをはっきりおっしゃったらいいのじゃないですか。それを含めて直営の概念でございますということをおっしゃるからおかしなことになるのじゃないですか、そこらはどうですか、もう少し質問者との間ではっきりしたらどうですか。
  108. 小柳勇

    小柳勇君 じゃ、委託とは何なのか、市町村責任を持たなくて委託させることができるか、市町村責任のある範囲内の清掃業務に対して、市町村責任を持たずに委託というようなことはあり得るかどうか。委託しておったならば責任がないのかどうか、その線がわからぬ。委託とは何なのか。それは私たちこんな問題でこういうことを聞くのは、これが一番市町村では困るからです、業者関係の問題があって。だからはっきりしておいてもらわなければ困る。委託とは何か、はっきりしてください。
  109. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ただいまは、いわゆる許可業者というのがございまして、委託条件もなしに清掃業務が行なわれておる実態があるわけです。それらの点は責任の所在を明確にし、市町村業務の代行をするという形をはっきりさせて実施をしてもらうということをまず第一段として考えるわけでございます。ただいまお尋ねの、それでは将来の方向として、さらにいわゆる純粋の直営化の方向をたどるかどうかということでございますが、それは業務内容改善、実態等をにらみ合わせて、将来そういう方向が必要ということで、今後私どもとしては考えていくわけでございますが、当面そういう受託でありましても、十分市町村責任がとれる体制で努力をしてまいる必要がある、こういうふうに思っておるわけでございます。
  110. 小柳勇

    小柳勇君 実態を頭に置いてあなたが答弁しているからいかぬ。私は実態を言っているのでなく、直営ということばと委託ということばを定義しておかないと、あとでいろいろ話すときに混乱するから、直営というのは市の職員をもって清掃事業をやる事業である、その一部を業者に委託する、これが委託業務である、これでよろしいかと言っているのだから、それでなおあなたが混乱しているように話すものですから——それでいいんでしょう。
  111. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 厳密な法律的な解釈は別といたしまして、常識的にはお話しのとおりでございます。
  112. 小柳勇

    小柳勇君 じゃ、もう一つ、これは少しそれと関連するが、さっき言われましたように、市の監督でない、市の責任がない清掃業とおっしゃったのは、これはたとえば隣り組などで金を出し合って清掃業者にやらせる、こういうのをいわれると思うが、そんなのが現在の日本全体の作業量で何%ぐらいありますか。
  113. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) そういう事例は非常に少ないわけでございますが、いわゆる許可業者とか、多量の汚物を出すものはほとんどいわゆる許可業者がやっておるわけでございます。工場、事業場、デパート、市場、これらはいずれも許可業者がやっておるわけでございまして、数量からいえば相当量出します。
  114. 小柳勇

    小柳勇君 その許可業者は、やはり市町村の監督下にあるのでしょう、責任の上にやっているのでしょう。
  115. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 若干監督下にはございますが……。
  116. 小柳勇

    小柳勇君 そこまででいいんだ、答弁は。そうしますと、全然市町村の監督下にない作業があると先ほどおっしゃったから何かなと思いましたが、そんなのがどのくらいありますか。
  117. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) どういう種類のものでございましても、市町村の監督下にあるものでございます。
  118. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、たとえばアパートなどで、隣り組などで金を出し合って、市町村の許可を得ないで清掃業務をやっておるというようなことをあなたは言われたんじゃないのですね。そうすると直営と委託がはっきりするのだけれども、私の先ほど言ったことばで。私はやめますが、大臣が来られましたから、大臣に最後に質問いたしまして私の質問を終わります、この法律をあげなければならぬそうですから。それで、さっき清掃事業職員待遇の問題で、まだ実態が、きのう質問の通告もしていないのですから無理もないが、十分に把握されておらないのです、平均年齢や待遇が。それで、この待遇をよくしなさいとこの前の法律の附帯決議に書いてあります。その待遇について考えていただきませんと、大都市では希望者があるが、地方都市では清掃業務をやる職員が少ないといわれておる。これは大へんなことでございますから、この従業職員待遇の問題について大臣の御所見をお聞きしておきたい。
  119. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ただいまのお尋ねでございますが、市町村清掃事業をやるということになりますれば、これは従業員待遇を適正にやはりしなければその任務の完全な遂行は私は無理だと考えております。ことに清掃事業をこれから各市町村に完全に普及させようということでございますから、その完ぺきを期する意味において清掃従業員待遇を引き上げまして、そして清掃事業の完ぺきをはかりたいという考え方でございます。
  120. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ちょっと委員長先ほど数字を申し上げたいと思います。  昭和三十八年四月現在の清掃作業従事名の年齢構成を申し上げますと、ごみの収集員、これは東京都を含みます九十七都市につきましての集計でございます。十九歳以下が二%、二十歳から二十九歳までが二一%、三十歳から三十九歳までが二八%、四十歳から五十四歳までが三四%、五十五歳以上が一三%。それから、ごみの運搬員で申しますと、十九歳以下が五%、二十歳から二十九歳までが四七%、三十歳から三十九歳までが三三%、四十歳から五十四歳までが一一%、五十五歳以上が二%でございます。それから、し尿のほうで申しますと、し尿の収集は、十九歳以下が三%、二十歳から二十九歳までが一五%、三十歳から三十九歳までが四〇%、四十歳から五十四歳までが三七%、五十五歳以上が五%。し尿の運搬で申しますと、十九歳以下は、これは一名でございます。これは三百九十八人のうちの一人。二十歳から二十九歳までが三六%、三十歳から三十九歳までが四七%、四十歳から五十四歳までが一五%、五十五歳以上が一%でございます。  それから、待遇は、ごみのほうで申しますと、人口八万以下では、昭和三十八年四月現在、収集で一人当たり平均月二万三千九百四十四円、運搬が二万五千七百九十五円、それから、八万から十三万が、収集が二万二千八百三円、運搬が二万四千八百三十三円、十三万から二十三万までの人口で、収集が二万一千七十六円、運搬が二万四千九百六十三円、人口が二十三万から四十三万までは、収集が二万四千二百七十円、運搬が二万八千二百三十六円、四十三万以上の都市におきましては、収集が三万五千百二十四円、運搬が三万五千百九十八円。次に、し尿で申しますと、八万以下は、収集が二万一千五百七十五円、運搬が二万四千二百九十六円、八万から十三万が、収集が二万三千二百八十五円、運搬が二万五千百九十四円、十三万から二十三万が、収集が二万六千四百十二円、運搬が二万六千六百八十八円、二十三万から四十三万が、これは数字がちょっとおかしいのですが、収集が一万八千七百五十五円、運搬が一万九千六百七円、四十三万以上の都市では、収集が三万四千四百五十七円、運搬が三万六千七十一円でございます。
  121. 小柳勇

    小柳勇君 年齢においては三十から五十ぐらいまでがほとんどそうなんですが、給与がこれだけの待遇では、おそらくそれは来ないでしょう、従業員は。それで、さっき局長が言ったように、三千円と二千五百円の手当を出しているから希望者が多いなんと言っても、大都市でも一番高いので三万四千でしょう。おそらく大都市では四十五歳から五十歳になって三万四千では希望者ないでしょう、従業員の。この点は大臣もさっき答弁されましたが、ひとつもう一回大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  122. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いまのお尋ねでございますが、私も政府委員のいまの説明を聞いておりまして、待遇が非常にまずいという感じを持ったわけであります。他の公営企業等の関係もございますから、新法の改正が行なわれる際でございますから十分留意いたしまして、そうしてりっぱな方においでいただいて清掃事業の完ぺきを期したい、こういうふうに指導したいと思います。
  123. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 先ほどお尋ねございました臨時職員の災害の場合の点を、自治省と打ち合わせたのでお答えいたします。吏員雇用人人夫、いずれも地方公務員であることに変わりはございません。したがいまして、日雇い人夫が公務従事中に負傷した場合には、当然災害補償を受けることができます。ただ、請負業者とか受託業者の従事者は地方公務員法に基づく災害補償の対象にはなりませんので、この際は労災保険の適用を受けることになります。
  124. 小柳勇

    小柳勇君 最後に、大臣質問いたしまして終わりますが、いままでずっと長々と、大臣おられませんので、局長から答弁いただきました。これは自治省とちゃんと打ち合わせ済みであるということの確認と、それから、局長答弁されましたのは大臣にかわる答弁であるということを、大臣からひとつ明快に御回答いただきまして、私の質問を終わります。
  125. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ちょうど予算委員会のほうに出ておりまして、こちらへ伺えなかったことをまことに残念に存じております。その間、政務次官、また、政府委員から、出席されましていろいろお尋ねございましたことについて答弁されましたことは、厚生省の省議に基づく統一した意見でございまして、これは私の責任でございます。遺憾の点がございますれば、十分将来留意したい、こう考えております。
  126. 小柳勇

    小柳勇君 質問を終わります。
  127. 小平芳平

    ○小平芳平君 初めの「公園、広場、道路、河川、港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。」また、これら公共の場所の管理者は、「その管理する場所の清潔を保つようにつとめなければならない。」こととする、こういう改正が行なわれるわけですが、そこで、こういう法律上の規定をすることによって、いままで以上の予算とか組織とか人員とか、そういうことを考えていらっしゃるわけですか。   〔委員長退席、理事杉山善太郎君着席〕
  128. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 従来といえども、この公共の場所をよごさないことが当然であったわけでございますが、今回このようなことが明らかに法律上規定され、しかも、一番問題となりますのは、それらの地域を管理するものがそれを清潔に保つ責任を負うという点が明確化された点でございます。で、多くの河川におきましては、大きなものは国が管理責任を持ち、小型のものは市町村、都道府県が持っておるわけでございます。それらの管理者が今後ともに必要な経費、人員増加してその清潔化に努力する責務を負う規定ができたわけでございまして、当然に今後の予算措置人員増加措置に対しての努力をしなければならなという方向が明示された、かように私ども考えておるわけでございまして、たとえばこの中にございますその他の条文で、列車等に対しましても、運輸省としては、かなり積極的に年次計画をもって改善するというような意欲を強く持つ方向にあるわけでございます。
  129. 小平芳平

    ○小平芳平君 やはりそういうように法律上の責任を持つわけですから、したがって、管理者としては、予算の面でも人員の面でも、それ相応の体制をつくることが第一に必要であって、ただ、管理者はつとめなければならないというだけできれいになるわけじゃないわけですから、そこで、いまの御説明で、県、市町村あるいは管理者が、国鉄の場合、そういう場合は、それは県、市町村あるいは国鉄へまかせてしまって、厚生省は何かそれを今後とも監督するなり、あるいは行政指導するなり、そういうような点は厚生省としておやりになるわけですか。
  130. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 実は、この法案をつくります際に、各省とかなり深い折衝をやったわけであります。この法案が単に罰則を伴うとかいうような、国の施設でございましてそういう形をとるわけではございませんが、いやしくも法律の明文にこのような規定をされる限りは、国としても実施責任を負うということで、この法案提出にあたっては、相当この問題で各省とも強く折衝があったわけでございます。運輸省としても省議を持って相当深い検討がなされ、経費はどのくらいかかるかということまで検討したわけでございまして、したがいまして、たとえば列車便所の改善にあたりましては特別委員会をつくりまして、私どももそれに参画をいたしました。そういうような形で、今後ともこの法文の遂行に努力を進めていく決意を持っておりますし、その体制はすでにある程度とられておるわけでございます。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、体制がとられるのと、厚生省としての責任、結局は厚生大臣責任で今後とも実施されていくのでしょうかということをお聞きしている。   〔理事杉山善太郎君退席、委員長着席〕
  132. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 当然この条文の実施については、清掃法の主管庁としまして厚生省が中心になってその推進に努力してまいるわけでございます。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、「水洗便所に改造すべきことを命ずることができる。」という、これが問題になると思うのですが、勧告をし、それから命令をされるということになります、市民は。そこで、どういうような場合に勧告をし、命令をするか。これはその運用が相当厳格に、それこそもうある地域、区域を限って相当厳格に行なわれていくのか、また、命令されても、実際上金がなくてできないとか、あるいは命令を聞かないとか、そういう場合はどうするのか。
  134. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) お尋ねのように、この条文はかなり問題のある条文でございます。現在の法律におきましても、下水道法におきまして、下水道が家の前まで来た場合には下水道を使って、自宅の排水は下水道に直結しなければならないという強い規定がございます。今回の水洗便所化はそれほど強い規定ではございませんけれども、まず、第一の規定としては、完全終末処理場ができて、それに連結された下水道ができまして、しかも、近所がほとんど水洗便所化が行なわれておるにもかかわらず、その一軒だけがくみ取り便所で残っておる、そのためにバキューム・カーをわざわざ配置しなければならない、そのために、近所はほとんど臭気もないのに、この家のために臭気も出るし、ハエもわく、こういうような事態の場合には、当然に周囲の衛生保持上の意味合いもございますし、また、下水道施設の運用上の問題もございまして、まず勧告をすることができるわけでございます。ところが、お尋ねのように、なかなか経済的にむずかしいという問題が特に一番の大きなネックでございまして、そのような場合には市町村が金を貸す、あるいは東京都等は相当補助金を出しておりますが、そのような形でやれば、くみ取り料金と、そういう借りた金を償却する金とはそう違うものではないように私ども積算いたしております。あまり変わりがない程度で、すなわち、経済的な圧迫もあまり加えないで実施ができ、扱いができるはずでございます。ところが、問題によりましてはそれだけでは解決しないときがあるわけでございます。なぜかと申しますと、下水管を配設するのに隣の家を通らなければならないというような実際上のめんどうな問題もありまして、直ちに伝家の宝刀を抜いて命令をするということができかねる場合もときにはあるわけでございますので、まず勧奨、勧告でなるべく実施をはかるということで、どうしてもまあ非常に変わった人でなかなかむずかしい、実際はやればできるのに、たとえばほかのテレビとか電気冷蔵庫とかいうようなものはそろえておるのに、これだけはなかなかがんばっておられるというような、ほかに理由も必ずしもないというふうなときには、やむを得ぬ場合に伝家の宝刀を抜くというようなこともあるわけでございますが、一般的には勧奨で実施をしてまいる、こういうような運用をはかりたいと思っております。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 この問題は市民の一人一人の生活に直接関係することですから、それでお尋ねしておるわけですが、いま局長説明なされた水洗化した場合の経費、それから、いままでのくみ取り料ですね、現在でもくみ取り料が値上がりして困るという不満があるわけです。そうした、ただでさえくみ取り料を払っていかなければならないし、また、なおかつ値上がりして困る、こういうようなその内容と、幾らかかるか、それから、実際水洗化するための経費ですね、それから、今後の下水道料ですか、そういう料金ですね、あるいは水道料金か、そういうものも計算したものがあったらここでお述べになっていただきたいと思います。
  136. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 具体的な計算はございませんが、一般の改善費用は二万円とちょっとでございます。しばしば余分な金が要りますのは、便所をついでに改良するというようなことで要る場合はございますが、一般的にはその程度でございまして、それに対して相当程度市町村から助成金が出ますので、これによる実際の返還金はくみ取り料金とそう違わないものになると思われます。なお、下水道使用料は、東京都につきましては水道料金の三割程度でございますので、結果的にはくみ取り料金とそれほど大きな違いはないと私は思っております。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう少しその辺は実際市民に納得してもらう意味で、はっきり計算等も出されたほうがいいじゃないかと思う。まあ水洗化そのものをきらいだというわけではなく、何となく金がかかるのは困るとか、あるいは一挙に家を直すとなるとたいへんだからというような感じでずるずる延びるような場合もあると思うのですが、そういう点を市町村は命令、勧告だけでなくて、実際そういう納得できるように計算もし、話もしていくという態度が必要だと思うのです。  それから、融資またはあっせんをするというのですが、融資あっせんは融通ですか、資金の融通またはそのあっせんをするというのですが、これはどういうことですか、具体的には。
  138. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 多くの都市では助成金を出し、そのほかに金を貸しているわけであります。それを年賦で返すということになります。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは市町村が貸した場合をおっしゃっているのであろうと思うのですが、あっせんは何ですか。
  140. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 和解の仲介等のあっせんをするわけであります。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 法律はこうなっておるわけでしょう、「これに必要な資金を融通又はそのあっせんにつとめなければならない。」と。
  142. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 場合によれば銀行融資等のあっせんをするということであります。現在は、実際は市町村の貸す融資でやっております。
  143. 小平芳平

    ○小平芳平君 それならば、こういうややっこしいことを書かないほうがいいと思うのですがね。実際銀行から二万円借りて水洗化するということもたいへんじゃないかと思うのですね。ですから、市町村で融資するなら、市町村で融資するということを根本のたてまえとしていくということが望ましいじゃないでしょうか。
  144. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) したがって、本来のたてまえは、前段にございます「必要な資金の融通」でございますが、従来例文として「融通又はあっせん」ということばを使っておりますが、実際は私どもとしては、従来はほとんど融通で処理されておるわけであります。ただ、今後の取り扱いはこういう場面もあるかと思って、少し広げたわけであります。
  145. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、大臣にお尋ねして終わりますが、先ほどからも小柳委員や皆さんから質問がありまして、局長、それから次官がお答えになっていらっしゃいますが、もう少し実情に明かるくなり、実際にこの事業を世間でやりたい人がそう大ぜいないというような説明もありますが、それから、実際には国民生活に一番必要な仕事であって、しかも、そう喜ばれる仕事でもないという現状ですが、その点が大臣厚生省も、それから各府県市町村もそうだと思うのですが、もう少し実情をよく知り、実情をよく理解して、それで今後やりやすいように、それから法律の目的がうまく達成できるような、そういうためにも実情をよく知り、よく指導もし、また、待遇改善する、そういう態度が非常に必要じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  146. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いまのお尋ね、ごもっともだと存じます。特に生活の最末端と申しますか、いわゆる特殊性なことにつながっておるわけでございますから、これから人を雇い入れるのによほど努力しなければ私はいけないんじゃないかと思っております。また、せっかく雇い入れた方に長年つとめていただく、喜んで働いていただくというようなことも、これは非常に大事なことでございますので、そういうこまかい配慮もいたさなくちゃならぬじゃないか。そういうことになりますと、やはり待遇の問題も、先ほどお尋ねがございましたように、考えていく、指導もよくやるというような、いろいろ御注意の点は十分気をつけまして、厚生省が中心になって府県、市町村指導いたしましてこの完ぺきを期したい、こう考えております。
  147. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  清掃法の一部を改正する法律案(閣法第一二〇号)を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願、います。   〔賛成者挙手〕
  150. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  151. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 私は、この際、本案に対する各党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。    清掃法の一部を改正する法律案に対する附    帯決議案   政府は、清掃事業地方公共団体責任にお  いて行われるよう最善の努力をすべきである。   右決議する。何とぞ御審議の上、御決議されることをお願いいたします。
  152. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、ただいま述べられました鹿島君提出附帯決議案を議題といたします。鹿島君提出附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  153. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 全会一致と認めます。よって鹿島君提出附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、神田厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。神田厚生大臣
  154. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ただいまありがとうございました。なお、ただいま決議されました附帯決議につきましては、これを十分に尊重いたしまして、この実現に最善の努力をいたしたい所存でございます。
  155. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  157. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 社会保障制度に関する調査議題といたします。  厚生行政基本方針に関する件、  本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  158. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、ただいまからLSTの乗り細み員の問題につきまして関係官庁に質問をいたします。  まず、乗り組み員の現状並びにLSTの現状、たとえば運航とか隻数とか、そういうことについて運輸省から御説明を求めます。
  159. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 現在、日本人船員が乗り組んでおります極東軍管区軍事海上輸送部、MSTSといっておりますが、この輸送部関係の船舶はLSTが十七隻でございます。これに乗り組む日本人船員で雇用されておる者は八百二十五名、内訳は、乗り組み員が七百二十五名、その予備員が百名、こういうことに相なっております。このLSTに乗り組むために雇用されておる日本人は、いわゆる直接雇用でございまして、米軍との間の契約によりまして、個人個人の契約によって乗り組んでおります。したがいまして、一般に外国籍の船舶に乗り組む日本人と同様、船員法の適用はございません。これらの船員の労働条件は、MSTSの日本人船員人事管理規則という、いわば就業規則のようなもので労働時間、休業、災害補償等のいわゆる労働条件が定められておりまして、この人事管理規則は、これの適用を受けます船員の所属しておる全日本海員組合と米軍当局との間の協議の結果内容がきめられ、今後の変更につきましても両者の協議でということに相なっております。このLSTの行動範囲は、おおむね日本、沖繩、フィリピン、それから韓国というふうな地域並びに南ベトナム地域の所要の輸送行動に従事いたしておる次第でございます。これらの船員の身分は、ただいま申し上げましたように、直接雇用で、船員法の適用はございませんが、入国管理令上、出国に際しては日本人であることの身分が明らかである必要がございますので、これにつきまして、従来LSTの船員が昭和三十七年のたしか七月末まで調達庁の雇用、いわゆる間接雇用、この間接雇用の時代には船員法の適用がございまして、船員手帳の受有が義務づけられておりました。しかし、直接雇用に切りかわったときから船員手帳の受有の義務はなくなったわけでございますが、関係省と協議いたしまして、船員法の適用のある船員につきましては、船員手帳が出入国に対する身分を証明する資料として入管のほうで認められております。これら船員法の適用はなくなりましたけれども、従来ずっと使っておりました船員手帳に、この者は米軍に雇用され、LSTに乗り組む日本人であるという証明をつけまして、これをもって出入国の際に日本人であることの身分を証明する資料といたしておったわけでございます。その後、私どもで、この証明方法はそれはそれとして、入国管理令上も有効な措置と認められておりますが、このLST以外に、一般外国商船に乗り組んでおる本人が現在も五百名以上おります。これらはすべて旅券でいっておりますので、このLSTにつきましても、旅券によることのほうが、日本人で外国船に雇われた者の出入国の身分証明資料としては、一般的に旅券のほうが適当であるという判断をいたしまして、現在旅券に切りかえる手続を進めておる次第でございます。
  160. 小柳勇

    小柳勇君 あと身分は人事管理規則で契約しておるようですが、それまでに政府に対して雇用をアメリカの海軍から申し込んできたのは、どういうかっこうできているんですか。
  161. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) この沿革を申しますと、LSTは、終戦直後から日本人が乗り組みまして、主として引き揚げ輸送に終戦直後は使われておりました。その後、日本に駐留しておる第八軍の指令によりまして、第八軍関係の軍事輸送を開始をいたしました。これも占領中のことでございますので、占領当局の指令によってやっておりまして、これらの船員の管理配乗は、やはり占領軍の指令でできました日本の機関である商船管理委員会、日本の政府機関であると同時に、連合軍の執務代行機関という性格を持った商船管理委員会が船員の配乗管理を行ない、ただいま申し上げましたように、昭和二十五年ごろから第八軍の軍事輸送を開始いたしました。その後、商船管理委員会が一般的な職務を終わって解散をいたしました。そのあと日本法人である米船運航株式会社というものができました。ここで船員の配乗管理をしてLSTによる米軍の軍事物資の輸送を担当しておりました。その当時からずっと乗り組んでおった人がそのまま引き継がれてまいりまして、昭和三十七年四月に、この米船運航株式会社というものが解散をいたしました。主体がなくなったわけでございます。それで昭和三十七年四月一日から調達庁が、先ほど申し上げましたように、間接雇用の形で船員の配乗を行ないまして、同年三十七年の七月三十一日に、米軍との間の話し合いで、これを直接雇用に切りかえました。その当時の事情は、調達庁が間接雇用をしております労務者はそのほかの船にもたくさんおります。なお、LST以外に、日本の横須賀、呉等の基地における小型舟艇に乗り組んでおる船員もございました。ところが、LSTにつきましては、先ほど申し上げましたように、米船運航株式会社という会社の雇用の形で昭和三十七年七月までまいりまして、その間に給料その他はやはり労働組合との協約によってきめて、これが他のLST以外の日本政府調達庁が雇用しておる小型舟艇、あるいは他の労務者というものの給与に比べまして非常に高くなったということから、この統一的な運用が困難であるということで間接雇用に切りかえられたというふうな事情があったのでございます。
  162. 小柳勇

    小柳勇君 船員が動いているやつの実態は毎日運輸省で把握できているのですか。もうアメリカにまかせっきりですか。
  163. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 一隻一隻の運航は私どもは把握いたしておりません。
  164. 小柳勇

    小柳勇君 施設庁のほうにお伺いしますが、基地周辺における小型舟艇の乗り組み員は、これは施設庁のほうの雇用になっているのでしょう。
  165. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 御説のとおりでございます。
  166. 小柳勇

    小柳勇君 基地における雇用契約及び身分保障、そういうものの概略をお話し願いたいと思います。
  167. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 私どものほうで提供しております船員の提供方法については、日米両政府の間で船員契約というものを結んでおりまして、これによっていろいろ細部の規定がございます。基本的には、御承知のように、地位協定の規定に基づくものでございまして、これによれば、日本の労働法規の保護を受けさせるために特に政府提供にしておるわけでございます。基本的な点は、日本の法規、あるいは一般の海事慣行でございますとか、具体的には日米両当事者の間の協定、船員契約と申しておりますが、これによって規定いたしております。
  168. 小柳勇

    小柳勇君 その場合の船員法の適用と船員保険の適用などはどうですか。
  169. 小野裕

    政府委員(小野裕君) この職員は船員法の適用職員であり、船員保険の適用はございます。
  170. 小柳勇

    小柳勇君 外務省にお伺いするのですが、入管のほうの手続は現在どういうふうに進行しておるのでしょうか。それから、保障ですね、いままで船員手帳に証明して出した、しかし、それじゃぐあいが悪いから、船員法の適用でないから、別に出国の証明をするのだという運輸省のほうからいま話があったが、どうですか、どうなっておりますか。
  171. 山中駿一

    説明員(山中駿一君) それは入管でございます。
  172. 小柳勇

    小柳勇君 入管ですね、本省どうでしょう。
  173. 中村正夫

    政府委員(中村正夫君) いま船員局長がお話になりましたとおり、乗員でございますから、乗員につきましては船員手帳を持っておればいいわけでございます。いわゆる乗員手帳、ところが、その乗員手帳は、われわれとしては、これが旅券を使いましても、あるいは運輸省のほうの証明書でこういう者であるという証明がございましても、いずれも乗員と見てそれぞれ出国の取り扱いをしておるわけでございます。
  174. 小柳勇

    小柳勇君 最近、実は乗員手帳でなく、別に出国の手続、一般日本人の出国と同じような手続をするのだ、いま交渉中であるという運輸省のお話がありましたが、どうなっておりますか。
  175. 中村正夫

    政府委員(中村正夫君) それはちょっと違います。これはやはり乗員としての出国でございます。ただ、このような証明するものがいままでと違って旅券でやるということになったわけでございます。と申しますのは、外国船に乗り組んでいる船員につきましては旅券でもってやっておるわけでございます。特にLSTの乗員だけを例外の取り扱いにする必要はなかろう、したがって、一般の外国船に乗り組んでいる乗員の取り扱い同様になる、そういう意味でございます。
  176. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、出国いたしましてあとアメリカ軍の直属として、アメリカと個人の契約で働いている、そうしますと、今度人事管理規則の中に大別どういうことを書いてあるのでしょうか。
  177. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 一般的に一番おもな点は、先ほど申し上げましたように、まず、船員の給与、労働時間、災害補償という実体的ないわゆる労働条件の規定をいたしております。そのほか有給休暇、おるいは普通の休暇、退職の際の手当、そういう通常労働協約あるいは就業規則等できめらるべきこと、あるいは船員についていいますれば、船員法が規定しておるようなこと、そういうことを規定をいたしておりまして、その内容は、船員法が日本船員に保障しております最低基準をいずれの面においても上回る内応となっております。
  178. 小柳勇

    小柳勇君 船長として船の運航に責任を持っておりまするが、危険を感じた場合に船を離れる権限が船長にありますか、その規則では。
  179. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) この人事管理規則のうちにも、一番最初に、一般に海事慣行といわれておるものはそのまま尊重される。なお、そういたしますと、船長が自分の船舶及び乗り組み員の安全については、日本の船員法の適用を受ける船員の場合には、明確にいろいろな船長の職務権限、私どもは航法上の職務権限と、こう言っておりますが、ございます。これはもちろん国際的に認められておる船長の職務及び権限でございます。それはそのままLSTの場合も、当然船長に自船の安全並びに乗り組み員の生命、身体の安全のために有効適切な措置を随時とる権限というものは船長に与えられております。これは慣習で与えられておるのみならず、もう一つの人事管理規則でない運航管理規則という規則に、船長が危険回避のために最善と思われる措置をとるという権限を明白にいたしております。
  180. 小柳勇

    小柳勇君 その船には、船長のほかに米軍の指揮官が乗っているのですか。
  181. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 船長以下、全員日本人でございます。米軍は乗っておりません。
  182. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 関連して質問いたしますが、要約して、海員組合と米海軍輸送指令部とは、おおむね労働条件ですね、それから、安全保障に関しては海員組合といわゆる協定をやっておるわけですか。
  183. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 協定という文言は使っておりませんが、覚え書きということで、労働条件については人事管理規則で規定するが、人事管理規則の内容は両者が協議してきめる、改定も同様である。それから、安全保障については米軍は最大限の努力をする。なお、安全にかかわりあると組合が認めた場合には、組合の発議によって米軍と協議するというふうないろいろな覚え書きを交換しております。
  184. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、軍の命令で動いてるんでしょうけれども、戦地で危険だと考えたら、船長が独断でその岸壁を離れて安全避難することはできる、そういう権限は書いてありますか。
  185. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 本船に被害が及ぶおそれのあるときは最善の措置を船長がとるということでございますから、沖に待避する等の措置は当然船長がとり得るものと考えております。
  186. 小柳勇

    小柳勇君 給料、労働時間など、待遇を概略でいいが、ちょっと報告願います。
  187. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 労働時間は一日八時間、週四十八時間でございます。給料は、概略申し上げますと、船長は二十一万九千六百円という金額になっております。この船長の給料は、同方面に、つまりこの船はデッドウエートにいたしまして約三千トンちょっと切れますが、そのクラスの大きさの船でフィリピンその他この海域に就航しておる日本の普通の商船が労働協約で船主ときめております金額がおおむね十万円でございますので、約二倍ということになっております。職員全体につきましても、大体日本の一般の船に乗り組んでおる者の二倍近い金額、また、部員につきましても、おおむね倍近い給与になっております。
  188. 小柳勇

    小柳勇君 それには平時の場合と、それから戦時の場合の区別などあるのですか。
  189. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 別段平時、戦時の区分はございません。ただ、これは日本の船主と労働組合が結んでおる労働協約にもございますが、弾薬その他の危険品を積んだ場合には、危険品を積み込んだ場合の手当、それから、これもやはり日本の船主と労働組合が締結しておるのとほぼ同様でございますが、砲火あるいは魚雷、爆撃等のことがあった場合に、人命の損傷その他があれば、これは当然人命の損傷ということで補償がございます。そのほかに、そういう被撃があった場合に被撃手当、もしくは本船が被撃を受けなくても、その本船のいる港湾の中に空襲等があった場合に、本船に被害がなくとも、何と申しますか、一種のびっくり手当と申しますか、そういう意味の手当が人事管理規則に書いてございます。
  190. 小柳勇

    小柳勇君 内閣責任ある閣僚がおられませんので、事務的な質問になってしまっておりまするが、アメリカ局長見えましたが、アメリカの海軍との個人契約でLSTの乗り組み員がいま戦地にだいぶん行っている。新聞にもたくさん出ておりますが、たとえば危険をおかして従軍ということが書いてありますが、平時に外国商船に乗っていることはわかります、船員でありますから雇われるでしょう。しかし、こういうふうに戦地に従軍の形で日本人を、しかも、船員としてでなくて、一般国民として出国させて、戦地でこれを戦場の要員として使うということについては、外務省などは、何かアメリカから、あるいはアメリカ軍から通牒なり手紙なりきておるんでしょうか。
  191. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 特にそういう正式の通牒と申しますか、ベトナムでこういう用務に使うからというような連絡はございません。公式なものはございません。
  192. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、一般的に一般国民として出国してアメリカの船に乗っておる、そういうような概念でいまLSTの乗り組み員が働いておる、客観的には。主観的には、自分は戦地に入っておるから軍人のような気持ちでしょうが、そういう者に対して外務省として検討されたことはないのでしょうか。
  193. 安川壯

    政府委員(安川壯君) ただいま戦地ということを申されました。これはことばを返すわけではございませんけれども、純法律的に申しまして戦地であるとは考えておりません。ただ、現実に、厳密な意味での戦争ではなくても、ある程度の危険が伴うということは、これは客観的に私どもも十分考えております。現に、最近LSTが爆弾をしかけられて、乗り組み員の一名がけがをしたということは承知しておりますので、戦地とか戦地でないとかの議論は別といたしまして、ある程度の危険を伴うということは十分承知しております。そこで、私どもとしましても、この人命の安全ということについては十分関心を持っておりまして、すでにアメリカ側に対しまして、公式、非公式の場面を通じまして、安全については十分配慮してほしいということは再三にわたって申し入れております。ただ、日本政府としてこれを差しとめると申しますか、そういう段階にあるかないかということになりますと、現段階で、はたしてそれほどまでに危険が迫っておるかということについては、まだそこまでいっておらぬのじゃないか。現にLST以外の一般の日本の商船もベトナム方面に出入しておるような状況でございますので、これがもし一般の日本の商船も全部ベトナム方面に対する出航をとめるというような事態になりますれば、日本人が乗っておりますLSTにつきましても当然考慮しなければならぬと考えておりまして、現段階では、まだそこまで情勢は進展をしていないというふうに考えております。しかし、今後の情勢につきましては十分慎重に見守りますとともに、アメリカに対しましては、人命の安全の確保ということにつきまして、引き続き十分注意を喚起いたしまして万全の措置をとるように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  194. 小柳勇

    小柳勇君 これは新聞の切り抜きですけれども、こう書いてあります。「LSTがベトコンの攻撃をうけた場合、一人あたり五十ドルから七十五ドルの被撃手当が支給されることは去年八月に決り、さる二月二十三日メコン川で至近弾をうけたというLST六一三号乗組員にその第一号が支払われることになっている。」そういうふうに書いてあります。もう戦場に行っているわけですね。そういうわけですが、さっき局長は、アメリカに再三公式、非公式に申し入れたとおっしゃっておりますね。そういうような戦地にはやるなとか、あるいは安全を守れという手紙なり何なりやったとおっしゃいますが、それはこの委員会に資料として写しを出すことができますか。
  195. 安川壯

    政府委員(安川壯君) これはすべて現在の段階では口頭で申し入れておりますので、書類として残っておらないわけであります。
  196. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いまのに関連してお尋ねいたします。具体的な問題ですが、米軍の北ベトナム爆撃が北進の度を強めてきておる、こういうのが客観的な事実だと思います。たとえば昨今の新聞で、トンキン湾の周辺であるバクロン島などについても、これは確かに米軍の爆撃が北進をしておるという具体的な事象のあらわれであります。したがいまして、今日インドシナ周辺に、輸入貨物輸送協議会という形で、具体的には川崎汽船であるとか山下新日本汽船とか、ジャパンラインであるとか新和海運であるとか、第一中央汽船、富士汽船、これらが主として不定期ではありますけれども、海上輸送の仕事におおむねついておるわけであります。たとえば昨日これらのグループの人たちが集まりまして、大体非常に危険だ、したがって、これはもうこの方面の航路は配船を中止すると、もちろん揆を同じゅうして海員組合からも、非常に危険であるからと、こういうことになっておりまするが、ただ、主権の及ばない治外法権的な米海軍のほうと本人との雇用の関係がある、そういう問題についても、いま大体局長のニュアンスでいきまするというと、これはどういうことになりますか。  もう一点ついでに。これはどなたからお答えいただいてもいいのでありますが、今日、韓国の軍隊がベトナムへ派兵されておる。この輸送についてはLSTがもっぱら自主的に——もちろんこれはアメリカの船でありますからアメリカの主権に属する問題でありましょうけれども、具体的にやはりこれはLSTで輸送されておるものだと確信できますかどうか、この点について。
  197. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 最初の点は、もちろんこれは船員の方々が個人契約で従事されておるものでございますから、政府として強制する性質のものではございません。もちろんLSTの場合は船会社でございますので、船員の各自の方が、危険だからもう自分はごめんだというようにお考えになれば、これは当然政府としては強制する立場にはないわけでございます。  それから、韓国兵の輸送でございますが、私ども承知しておりますところによりますと、米軍が自分でLSTを使って運んでおるものと承知しておりますが、ただし、これは日本人の船員が乗り組んだLSTは韓国兵の輸送には一切使われていない、こういうふうに確認しております。
  198. 小柳勇

    小柳勇君 外務省も運輸省も、乗り組み員の日々の行動についてほとんど把握がないようで、出国の証明だけもらっていってLSTで自由に働いておる、しかも、それは戦地である。もしこれで爆撃を受けてなくなった場合に、どういう方法でこれを知ることができますか。外務省でも運輸省でも、どちらでもいいです。
  199. 安川壯

    政府委員(安川壯君) これは先般、数日前に、ダナンでございましたか、爆弾をしかけられましてLSTが損傷をこうむり、船員一名が負傷した場合には、現地の米軍からすぐにわがほうのサイゴンの大使館に連絡がありまして、サイゴンの大使館から直ちに私どものほうに電報でまいりました。もし今後またそういう事故があれば、当然米軍のほうから現地の大使館に連絡をし、さらにそれが本庁のほうに連絡されるということになっております。
  200. 小柳勇

    小柳勇君 運輸省に質問しますが、アメリカの海軍との雇用契約で、期限がどのくらいになっておりますか。
  201. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 雇用契約は一年でございます。
  202. 小柳勇

    小柳勇君 その場合に、戦地の勤務がいやだからということで下船することについては自由でしょうか。
  203. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 船員が自由意思で離職することは全く自由でございます。ただ、職をやめる二十四時間前に通告をする、で、その通告のない場合には離職手当を支払わない。したがいまして、いつでも二十四時間前の予告がなくても当然離職はできますが、離職手当の関係で、二十四時間前に通告した場合に離職手当が出る、こういうことになっております。
  204. 小柳勇

    小柳勇君 出国証明をして旅券を交付して、アメリカ軍が必要であれば、幾らでも船員の名のもとに日本人を戦地に送るということができるわけです。今のお話を聞いておりますと、何もここに制限がないように承ります。その問題は大きな問題でありますから、ここで事務的に話してもしかたがありませんでしょうから、あと予算委員会に送り込みたいと思いまするが、船員保険のさっき適用がないとおっしゃいました。これは保険部長見えておりますが、どうなんですか。船員保険の適用もないとおっしゃるのですが。
  205. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 先ほど運輸省のほうから御答弁がございましたように、私どものほうで船員保険法でいっております船員保険の被保険者というものは、先生よく御存じだと思いますが、船員法で規定があります船員をそのまま船員保険の被保険者とする、こういう自動的な関係が法律上仕組まれておるわけでございます。したがいまして、船員法でいう船員でない者を船員保険法のほうの被保険者というふうにすることは、現行法のたてまえからいって無理だ、こういう解釈をとっておるわけです。
  206. 小柳勇

    小柳勇君 基地周辺において同じように働いて、たとえばLSTが横浜にあるとすれば、それに乗っている船員は、さっき施設庁、長官のおっしゃったように、船員法で適用されて船員保険に入っている。今度は旅券を持って向こうに行っている船員は船員法の適用がない。船員でなくて一般日本人として、しかも、仕事は同じなんですね。船に乗って船長の任務、船員の任務を遂行しておる、それが船員保険の適用がないということについては、実態的に理解できない、法的にはあなたのおっしゃるとおり、船員でございませんから船員法を適用できない、そのような矛盾を解消する方法というものはないものでしょうか。
  207. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) おっしゃられる先生御指摘の点はよくわかます。ただ、たとえば船員保険法のたてまえといいますか、ものの考え方としまして、やはり船員法というものとうらはらの関係にある、もしそういううらはらの関係に実態関係がございますならば、やはり船員法のほうで考えております船員というものと、船員保険法で考えられる船員といいますか、被保険者といいますか、そういうものはやはり実態関係が同じだから一致すべきだ、こういう伝統的な従来の考え方を持ってるわけでございます。したがいまして、ただいまの御指摘の点は、私どもはよく事実関係としてはわかるわけでございますが、従来のそういう船員法と船員保険法との一体関係ということからいいまして、ちょっと現行のたてまえをくずすわけにまいらぬのじゃないか、こういう考え方をとってるわけでございます。
  208. 小柳勇

    小柳勇君 船員手帳に証明をしてもらって出国しておったのだから、それが一般旅券法に切りかわったいきさつをもう一回ちょっとお話し願います。
  209. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 先ほど申し上げましたように、三十七年の七月三十一日までは、このLSTに乗り組む日本人船員は船員法の適用がございました。船員手帳は義務として保有いたしておりました。三十七年の八月一日から直接雇用、すなわち、船員法の適用がなくなりました。そこで、その人たちに対して、直ちに、先ほど申し上げましたように、八百名をこえる人数でございますが、旅券法という方式をとるのがいいのか、それとも、入国管理令上は乗員であること並びに日本人であることがはっきりわかればいいということでございまして、従来保有しておりました船員手帳を暫定的に出国上の身分証明として使用させておったということでございます。一般外国船に乗ります日本人の船員は、乗員手帳としての旅券法に基づく旅券をすべて持たせるようにしております。LSTだけ特別な扱いをするということがむしろ適正を欠くのではないか。法律上の効力には問題はございませんけれども、行政上の取り扱いから見て旅券法にいたすほうがよろしい、こう考えまして旅券に切りかえるようにいたしました。
  210. 小柳勇

    小柳勇君 それは運輸省のほうから発議してあなたのほうでやったのですか。
  211. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 運輸省のほうから関係省に話を持ちかけましてそういうふうに直したわけでございます。
  212. 小柳勇

    小柳勇君 国民として出国することはかまいませんが、なぜ船員手帳を持って船員法の適用を持っておる者の雇用契約はできぬのでしょうかね。アメリカは船員として雇うのですね、アメリカ海軍は船員として雇うのでしょう、船員じゃないとして雇うわけじゃないわけだ。そうすると、船員手帳を持っておっても個人で契約できるはずですね。なぜそれを、ほかの例がありましょうけれども、さっきおっしゃったように、基地で働いておる日本の船員は船員保険法を適用されておる。一歩海に出ますと、個人契約で船員法と船員保険の適用はございませんと、そういうことはわからぬのですね、われわれには。なぜ運輸省はそういうふうに——ほかの外国船に乗っておる者との関連ですか。
  213. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 船員法におきましては、船員法における船員はこういうものだということがはっきり書いてございます。それは当然日本船舶あるいは日本船舶を所有することができる者が借り入れた外国船舶に乗り込む、要するに、雇用主が日本人もしくは日本法人である場合が原則になっております。この場合、LSTは、これは外国船でございますので、私どもの船員法の頭から見ますと、アメリカの船会社が、あるいはギリシアの船会社が日本人を船員として雇用するのと変わらない。というのは、いま船員法は、これは外国船に対して日本の法律を適用するということは、日本の領域を一歩出ますと、大体その船のかかげておる旗の国、旗国の法律管轄が及ぶというのが、私しろうとでございますけれども、国際法上の原則のように考えます。したがいまして、日本の船でございますれば、どこへ行きましても日本の領土の延長のようなものでございますから、日本の法律がこれに及んでいく、外国船の場合にはこれが及ばないということから日本の法律の適用ができないわけでございます。そこで、いま申し上げましたように、船員手帳という日本船員に限る措置を便宜措置としてとっておったのをここでやめて、普通の外国船扱いにする、こういう趣旨でございます。
  214. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。事務的にはわかりました。あとはまた別な機会に質問します。  外務省のアメリカ局長質問いたしますが、戦場でないとしてアメリカ軍と契約いたしました船員がいま戦場に使われる、したがって、危険度も多いわけですね。さっき待遇の話を聞きましたが、その待遇も、あるいは戦地の手当が含んでおるかもしれませんけれども、おそらく初め雇われるときにはそうではなくて雇われておった、契約してあったと思うわけです。したがって、いまこのように危険となりまして、アメリカみずからが北ベトナムを爆撃するような情勢になりまして、LSTに対しましてもどこかの国から爆撃がこないとも限らぬわけです。それに対する船員の身分保障についてアメリカ局長としてはどうお考えか、しかも、それをアメリカにどういうふうにして伝えるか、見解をお聞きします。
  215. 安川壯

    政府委員(安川壯君) いろいろ具体的な処遇、給与、それから手当その他具体的な給与条件につきましては、これは船員の方々と米軍の直接のお話し合いによってきめられるべきものであると考えます。ただ、この点に非常に話が折り合わない、船員の要求アメリカがのまないというような場合に、もし政府に援助を求められた場合には、それはある程度船員側の要求が妥当であるという場合には、政府が直接これを取り上げましてアメリカ側と話し合いをするということも考えておるわけでありますが、一時的には、これはあくまでも船員と米軍との直接の話し合いで解決されるべきものだろうと思います。  それから、全体的な安全確保の問題でございますが、先ほどから申し上げましたように、アメリカ側には、従来も、安定確保については再三申し入れてありますし、今後も、さらに重ねてアメリカ側の注意を喚起していきたいと思っております。  それから、情勢がさらに悪化いたしまして、いま先生がおっしゃいましたほんとうに戦争状態になるというような場合には、これはあらためて考えなければならぬ問題だと思っております。
  216. 小柳勇

    小柳勇君 いまの局長のおことばじりをとるわけではありませんが、戦争状態になるという、そういう認識は私は反対です。戦地にあるという立場で私はいままで質問してまいりました。戦地に日本人を使ってよろしいかどうかという根本の問題が一つあります。それに、アメリカの船で働いておる日本船員が、戦地だからいやだ、おれはやめたいというときにどうするかという問題があります。  それから、第三には、非常に不幸なことでありますが、もし爆撃された場合にはだれがどう日本に知らせて、しかも、アメリカはこれをどのように補償するか、日本の政府は一体どういう責任をとるか、こういう問題がございますが、これは事務段階ではとても私は御答弁をいただけないのではないかと思いますから、予算委員会、その他別途の機会にこの根本問題は譲らしていただきます。  そうして、いま緊急に私はお願いしたいのは、このようにたくさん新聞に出ていますLSTで戦地に働いて帰った人の感想ですが、もし生活に不安がないならばこんな船に乗らんということをはっきり言っているわけです、船員が。そういう場合に、この船員の身分保障については、アメリカに厳重に申し入れをしていただきたい。このことだけきょうはお願いしておきたいと思う。質問を終わります。
  217. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議なければ、さよう決定いたします。  他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十分散会