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1965-01-27 第48回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年一月二十七日(水曜日)    午前十時十九分開会     —————————————    委員異動  一月二十一日     辞任         補欠選任      久保  等君     田中  一君      佐多 忠隆君     藤原 道子君  一月二十五日     辞任         補欠選任      向井 長年君     高山 恒雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         白木義一郎君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 藤野 繁雄君                 吉田忠三郎君                 高山 恒雄君     委 員                 石原幹市郎君                 北口 龍徳君                 小林 篤一君                 小柳 牧衞君                 森 八三一君                 武内 五郎君                 藤原 道子君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        建 設 大 臣  小山 長規君        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長内閣総        理大臣官房審議        室長       松永  勇君        農林政務次官   谷口 慶吉君        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林省農林経済        局長       久宗  高君        水産庁長官    松岡  亮君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        建設省都市局長  鮎川 幸雄君        建設省河川局長  上田  稔君        消防庁次長    川合  武君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        警察庁保安局外        勤課長      川井 昌吉君        警察庁警備局警        備第二課長    後藤 信義君        法務省民事局第        一課長      池川 良正君        大蔵省大臣官房        財務調査官    中嶋 晴雄君        気象庁予報部長  日下部文雄君        建設省都市局区        画整理課長    葛生 新一君        建設省住宅局住        宅建設課長    後藤 典夫君        消防庁教養課長  山崎 達三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○災害対策樹立に関する調査  (北海道東北における高波被害に関する件)  (伊豆大島における大火に関する件)     —————————————
  2. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  初めに、委員異動について御報告いたします。  去る一月二十一日、久保等君、佐多忠隆君が委員辞任され、その補欠として、田中一君、藤原道子君が、それぞれ選任されました。  一月二十五日、向井長年君が辞任され、高山恒雄君が選任されました。     —————————————
  3. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) この際、おはかりいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員となっております。つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高山恒雄君を指名いたします。     —————————————
  5. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、先日の東北北海道における高波被害及び伊豆大島における大火被害等について調査を行ないます。  まず、東北北海道沿岸における高波被害状況について説明を願います。  初めに警察庁から御説明を願います。
  6. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 警察庁から御報告申し上げます。  今回発生いたしました高波被害は、一月八日の夜半から九日にかけまして発達いたしました低気圧が、三陸沖から北海道東方海上に抜けました際に発生いたしたものでございます。これは気象庁報告によりますと、南方発生しました低気圧と、それから大陸の方面発生しました低気圧が、三陸沖一緒になりまして、九日の午前九時ごろ、青森県の東方海上六百キロに達しましたときには、中心気圧が九百六十二ミリバール、中心から千キロ以内の地域は二十五メートルの暴風雨雪という台風並みの規模に発達したものでございます。このことによりまして、北海道青森岩手宮城福島、これらの一道四県下におきまして被害発生したのでございます。  その概況は、お手元に差し上げておきました資料にございますように、人のほうの被害は、北海道で、行くえ不明が一名、負傷者が十七名、青森県、二十一名の負傷者が出ましたのをはじめといたしまして、合計いたしますと、行くえ不明者が一名、負傷者が四十五名。  それから建物のほうの被害は、北海道の三十棟の全壊青森県の二十棟の全壊をはじめといたしまして、合計五十二棟の被害が出ております。それから建物半壊は、北海道の六十六棟をはじめといたしまして、合計七十一棟の半壊でございます。それから建物流失は、北海道に七ございます。それから床上浸水でございますが、これは青森の四百八十八棟、北海道の三百八十一棟をおもなものといたしまして、合計八百七十棟に及んでおります。それから、床下浸水は、北海道の五百六十五棟、青森の六十六棟、岩手の二十三棟等でございまして、合計六百五十四棟でございます。その他、一部の損壊、あるいは人の住んでおりません非住家被害も、合計四百五十二棟に及んでおります。  そのほか、道路損壊あるいは堤防決壊等もございます。  なお、船舶流失あるいは損壊破損でございますが、これらは合計いたしますと、破損が三百三十、それから小さい、ろかい等によります船の被害が、四百九十九となっております。  おもな被害発生地域を以下申し上げますと、青森県下では、上北郡の六ケ所村泊部落が一番ひどかったようでございます。ここでは同部落を流れております明神川という川が逆流——これは高潮によりまして逆流したものでございますが、これが逆流をしてはんらんしたために、部落の総戸数は七百棟でございますが、この七百棟のうち、四百五十棟が床上浸水をしております。  それから船舶の損害は、これは小型のものが大部分でございますが、三百五十五隻に及んでおります。罹災世帯は四百五十三世帯に及びましたために、青森県では、この地方部落に対しまして災害救助法を発動いたしております。  そのほか、青森県におきましては、下北郡の大間町、下北郡の東通村、これらがいずれも被害の大きいほうでございます。  次は岩手県でございますが、釜石市、それから宮古市におきまして、住家被害が出ております。  それから道路損壊といたしましては、下閉伊郡の普代村、この村内を通っております県道が、高潮のために約百五十メートルばかり決壊をいたしております。  それから堤防決壊は、釜石市、久慈市、九戸郡種市町、これらにそれぞれ堤防決壊が出ております。  それから船舶被害といたしましては、久慈市、宮古市、下閉伊郡岩泉町、普代村、田野畑村等にそれぞれ発生しております。  それから福島県の被害は、負傷者が六名出ておりますが、これはいずれも強風のために倒壊いたしました家屋の下敷きになったり、あるいは屋根修理中に転落したというものでございます。  なお、申し落としましたが、青森県下におきまして二十一名の負傷者が出ておりますが、これはいずれも同様に、家屋屋根修理中といったような過程におきまして、あるいは避難の途中におきまして負傷しているという状況でございます。北海道また同様でございます。  それから次は、北海道被害のひどかった地域でございまが、これは浦河町、ここにおきまして、同様に高潮のための被害が出ております。それから様似様似町、幌泉幌泉町、同様でございます。それから上磯郡知内村、ここでは四十一世帯被害を受けまして、これは災害救助法が発動されております。  それから北海道道路損壊関係では、幌泉幌泉町の二級国道数カ所にわたりまして、高潮のために決壊をいたしております。  それから船舶被害も、それぞれお手元に差し上げました資料にございますように、被害が出ているわけでございます。  以上が、一月八日から九日にかけました低気圧通過に伴います高潮によります被害でございます。  なお、一月十七日の午後から二十一日にかけまして、福島県下太平洋岸にやはり高波が押し寄せておりまして、そのために、双葉郡の浪江町、それから石城郡四倉町の両町におきます護岸堤防決壊をいたしまして、それぞれ住民が避難をいたしましたし、また、若干の被害を出しているのでございます。  次に、堤防決壊場所につきましては、三カ所ございます。罹災世帯が七世帯罹災者数三十九人という数が出ております。これは別段低気圧通過等気象の異変はなかったようでございますが、こういうような高波によります被害が、一月十七日から二十一日にかけましても起こっているわけでございます。  以上でございます。
  7. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) 次に、建設省からの報告を願います。
  8. 上田稔

    政府委員上田稔君) 建設省関係公共土木施設災害について状況を申し上げます。  お手元にパンフレットをお配りいたしております。この表題に「青森宮城」と書いてありますが、宮城はございませんので、ひとつ御訂正をいただきたいと思いますが、ただいま警察庁のほうから御報告がありましたように、不連続線によります冬季の異常な風が吹きまして、瞬間最大風速三十メートルにも及ぶというようなことでございまして、十メートル以上の風が十時間以上も続いているということで、一月の八日から九日までの間、この間に北海道青森——その第二ページ目にございますが、北海道青森岩手、新潟、福井というところに、おもに海岸のこれは被害でございますが、それが発生をいたしております。  それから直轄のほうでは、一ページに書いてございますが、岩木川、これは青森県でございますが、これは十三湖の干拓のところでございます。干拓堤防被害を受けております。それから富山県は下新川海岸、それから北海道は、これは国道でございます。こういうふうに直轄並びに県災害を生じております。  そこの二ページのところに、合計で書いてあります二十九億は、また最近の報告によってふえてまいりまして、三十五億八千万ばかりにふえておりす。個所も二百八十二カ所とふえてきております。  それから一月の十一日から十二日までの被害でございますが、三ページに書いてございます。広島、山口県に発生をいたしております。これはいずれも県道被害を受けております。  それから一月の十六日から十七日までのものは、その次の3に書いてございますが、福島被害を起こしております。これは海岸でございます。合計いたしまして三十六億六千一百万円の被害を生じております。個所数にして二百九十三カ所でございます。これは最近のものを入れておりますので、その数字は現在のようになっております。  以上でございます。
  9. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) 次に、農林省から説明を願います。
  10. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) お手元に一枚刷りで道県別被害概況をお届けしてございますが、一月の八日から九日の高潮、さらに十八日——十九日の風浪の気象条件につきましては、すでに警察庁あるいは建設省からお話がありましたので、被害状況を申し上げますと、全体では右の合計の一番下の欄、一月二十三日現在の取りまとめでごすが、約二十一億四千二百万という被害になっております。その中で一番大きなのは漁港関係です。約十一億一千七百万、農地関係海岸施設が約八千五百万、水産共同利用施設が約二千万円、水産共同利用施設が四千四百万円、漁船二億五千万円、漁具が二億五千三百万円、養殖施設等が九千七百万円、そのほか、水産物、林産物、農作物等について若干の被害がございます。  個所数について申しますと、漁港関係では約二百カ所です。これは先ほど申し上げました十一億の分、それから非共同利用施設個所数は大体六百カ所、漁船が約二千隻というような現状が概要でございます。  目下、現地にも係官等が行っておりますので、逐次実情が判明してくると思いますが、追加して、状況がわかりましたならば、また当委員会に御報告申し上げたい、こういうふうに思います。
  11. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) では次に、気象庁から御説明を願います。
  12. 日下部文雄

    説明員日下部文雄君) ただいま警察その他からも概略お話がございましたが、気象庁から提出してございます資料につきまして要点を御説明いたします。  この七日、八日、九日にわたります低気圧状況は、一つの低気圧が台湾の南方から発生いたしまして北東に進み、一つは、朝鮮付近から出まして、これが三陸沖で合体して非常に大きく発達してこの強風をもたらしたものでございますが、この九日の午前九時、青森東方六百キロ付近におりましたときの低気圧状況は、中心気圧が九百六十二ミリバールというような、ほとんどこれは台風に匹敵するくらいの強さになっておりましたが、その上に、暴風の半径は、これは冬の低気圧の特性として非常に大きく、十五メートルの風速の範囲が二千キロにも達するというような非常に大きなものでございました。そのために、海上においても風速は非常に強く、船の被害等も出ましたし、沿岸浪害、あるいは風害が多かったわけでございます。  風の観測のおもなものについての記録を見ますと、北海道浦河では、平均風速で十七メートル、最大瞬間風速三十メートルというような記録がございます。釧路では、平均十六メートルで最大が二十九メートル、紋別で、平均二十一メートル、最大三十メートル、根室では、平均二十メートル、最大三十七メートルというような、非常に強い風が観測されておったわけでございます。  次に、その後引き続いて起こりました十七、十八日ごろの福島方面高波被害でございますが、この浪害につきましては、別に当時としては気象の異状はなかったのでございますが、調査いたした結果によりますと、十一日ごろに東海道沖から北東に進みまして、ちょうど十五日ごろにアリューシャン列島——ちょうどアメリカと日本まん中辺に当たる部分に行きまして、この低気圧が非常な発達をいたしまして、九百五十六ミリバールというような、ちょうど中級の台風というような強さにまで発達いたしておったようでございまして、しかも、その直径が四千キロというような非常に大きなものでございました。したがいまして、ちょうど夏の土用波と同じように、この強い低気圧中心からうねりが波及いたしまして日本本土に及んだことは確実であるようでございます。ただ、うねりは四方に出るわけでございますが、特に福島県の方面被害が大きかったというのは、さらに、海底の状況であるとか、沿岸地形等についても関係があるものと想像されておりますが、この高波原因は、太平洋まん中辺にあった非常に強い低気圧から発生したうねりであるということは、ほぼ確実と考えておる次第でございます。  以上でございます。
  13. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) 次に、伊豆大島における大火被害等について説明を願います。警察庁から御説明願います。
  14. 川井昌吉

    説明員川井昌吉君) 大島大火について状況を御説明いたします。  お手元資料が提出されておりますが、まず出火の日時でございますが、一月の十一日午後十一時十分ごろでございます。鎮火いたしましたのが、翌日の十二日の午前六時四十五分ごろでございます。出火場所でございますが、大島元町十五番地の「浜寿司」、これは旅館兼飲食店でございますが、「浜寿司」の白井喜三男さん方の二階でございます。  原因につきましては、目下調査中でございます。出火の時間、それから出火場所が 「浜寿司」の二階であるということにつきましては、確証を得ておりますけれども、これが失火であるか、あるいはその他のものであるかということにつきましては、現在慎重に調査をいたしております。まだ結論が出ておりません。何ぶんにも相当な火勢でございまして、火元が完全全焼ということになっておりますので、したがって、物的証拠等と申しましても、あまりいい材料がございません。そういう面で非常に捜査には苦労をいたしております。いま鋭意捜査中でございます。  被害状況でございますが、幸いに人的な被害はございませんでした。死者、負傷者ともにございません。焼失家屋関係でございますが、全焼家屋につきましては、官公署社寺、これが二十棟、一般住宅が二百五十三棟、一般住宅付属家屋百二棟、工場が十棟、それから住家兼店舗、これが百二十七棟、その付属家屋が六十二棟ということで合計五百七十四棟、なお、家屋の一部破壊、これが三棟ございます。それから家屋の一部焼失、これが二棟ございます。  次に、おもな焼失家屋でございますが、全焼いたしました家屋といたしましては、東京法務局大島出張所東京大島出張所大島郵便局大島町の農業協同組合大島町立図書館七島信用金庫富士銀行築地支店大島出張所中部相互銀行大島支店藤井医院元町映画館、こういうものがございます。それから、おもな焼失家屋で一部について焼失いたしましたもの等につきまして、大島町役場の事務室、それから大島電電局の一部というふうなものがございます。  罹災者関係でございますが、世帯につきまして四百八世帯。昨年の十一月一日現在の大島町の人口は一万二千四百二十四名、居住世帯が千三百三十三世帯でございますので、焼失世帯といたしましては、元町の約三〇%に該当するわけでございます。それから罹災の人から申しますと、二八%ということに相なります。  焼失の面積でございますが、十六万五千平米、約五万坪でございます。  発生期状況でございますが、たまたま当時、海岸のほうから陸地に向かいまして西南西十五ないし二十メーターの風が吹いておりました。こういうような強風が吹いておりましたので、火勢はあっという間に扇型に広がりまして、先ほど申しました元町の約三〇%の世帯罹災するという状況になったわけでございます。これが燃え続けまして、翌朝の六時四十五分ごろに鎮火をしました。なお、鎮火をいたしましたのは六時四十五分と書いてございますけれども、その後若干くすぶり的な火が数カ所であったような状況でございまして、これが完全にそういう状況がなくなりましたのは、なお二、三日後でございます。  当時の気象状況でございますが、十一日の午前十一時三十七分に、大島新島地方強風波浪注意報が発令されております。出火の当時の風速西南西十五メーターないし二十メーターということでございます。最大瞬間風速も三十六・二メートルにも達したことがあるわけでございます。なお、湿度は四〇%でございます。  大体以上、状況を御説明申し上げました。
  15. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) ただいまの報告につきまして、御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  16. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は最初に、大島大火についていろいろ説明をいただいたのでありますが、この対策について御質問申し上げたいと思うのであります。  過去におけるおもなる離島大火について検討してみまするというと、被害が最も甚大であったのは、昭和三十七年の九月に長崎県の福江市の大火があったのであります。ここの大火に対しては、政府の特別なる御指導と、市当局の断固たる決意と、市民の協力によって、いまや西海国立公園玄関口にふさわしい災害復旧土地区画整理事業が完成しつつあるということは、まことに喜びにたえないのであります。しかるに、今回離島であるところの大島大火があったということは、まことに同情にたえないのであります。大火というものは、都市計画法が実施せられているところに限ったものではないのであります。しかるに、現在の法律によって見れば、災害復旧土地区画整理というようなものは、都市中心主義で行なわれておって、地方僻地にはこれが行なわれていない。別なことばで言ったらば、都市はますますよくなるけれど、地方農漁村のようなものが火災にあったならば、その復旧に非常に困っている。別なことばで言ったらば、現在は、政府農山漁村のひずみ是正を唱えているけれど、災害復旧のようなものに対して、区画整理については、このひずみ是正ができていないのじゃないかと思うのであります。  そこでお尋ねしたいのは、まず第一は、土地区画整理区域内であったらば、いかなる方法によって現在は災害復旧土地区画整理事業が行なわれているのであるか、まずこれをお尋ねしたいと思うのであります。
  17. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいまの御質問は、現在の土地区画整理都市中心に行なわれているのじゃないかというお話でございますが、現在の制度で申しますと、土地区画整理事業は、都市計画決定された区域において行なわれるわけでございまして、まず都市計画区域決定があって初めてこの事業が行なわれるわけでございますので、もしこの都市計画区域決定が行なわれますと、どこの地域でも行なわれるようになっておるわけでございます。ただ、国庫補助事業という面から見ますと、現在の土地区画整理事業は、都市部におきます幹線街路等整備、これも非常におくれておりますが、そういう整備に対する補助等を考えてやっておるわけでございまして、国庫補助対象という面から見ますと、その基準がございまして、したがいまして、十分僻地までは行き渡っていないというのが現状でございます。
  18. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、土地区画整理法によって行なうとしたならば、いかなる条件のもとに、いかなる助成があるのであるか、具体的に説明をお願いいたします。
  19. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 土地区画整理事業で行ないますと、特に幹線街路整備等をあわせてやります場合には、国から三分の二の補助が出ておるわけでございます。  また、なおこのほかに、公共施設管理者負担金という制度もございまして、都市計画街路等一緒にやるような場合には、公共施設管理者、まあ道路管理者等から、それに対しましてやはり三分の二程度の支出ができるように、区画整理事業主体から相手方に対して負担を求めるというようなことになっているわけであります。
  20. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 日本農漁村の成立を見てみまするというと、無計画住宅が建設され、道路ができておるのは御承知のとおりであるのであります。でありますから、地方火災があったならば、消防活動もできないというような状態であるのであるから、こういうふうなところは、順次計画を立てて土地区画整理をやる、そうして火災未然に防止するというような対策を講じなくちゃできないといたしましたならば、私は、そういうふうな地方においては、その地方の希望があったならば、火災がなくてでも、区画整理をやって火災未然に防止すべきであると信ずるのでありますが、この点いかがですか。
  21. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいま御指摘がございましたように、漁村その他集落地におきまして、道路が非常に狭い、そこに密集した家屋がありまして、そういうのが火災を非常に誘発して、大火原因になっておるところ、そういうところに対しては、区画整理事業を予防的にやるという方向がないではないかというような御指摘かと思いますが、確かに、現行の都市計画法並びに土地区画整理事業法の実施の状況から見ますと、ただいま御指摘のような点から見ますと、必ずしも十分ではないという点が私どもも考えておるわけでございまして、予防的な意味で区画整理事業を行なったらどうかという点につながるかと思いますが、ただ、現行制度及び現在の予算の状況から見ますと、なかなか現在の段階でそういう予防的な、特にそういう地域におきます区画整理事業を行なうという点には、なかなかむずかしい点があるかと存じますが、私どもといたしましては、そういう点につきまして、現行法制並びに財政の問題、また、離島に関します場合は、離島振興の問題等もございますので、そういう方面等とも十分協議いたしまして、そういう隘路の打開を検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  22. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に、昭和三十九年度に発生しました火災について、大島の場合は御説明を願ったのでありますが、その他の地区にも同様な火災があっているのであります。でありますから、大島以外の地域について、また、大島もどういうふうなことで処置せられておるのであるか、あるいはせられる計画であるのであるか、それを承りたいと思うのであります。
  23. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 大島の復興の問題につきましては、関係省庁におかれまして、住宅建設その他いろいろな対策が講ぜられているわけでございますが、私ども、都市関係の問題を所管いたしておりますので、都市関係についての復興の考え方について御説明申し上げたいと思いますが、お手元に「大島火災復興計画の概要」というのを差し上げております。これは関係方面と十分な協議が済んでいない数点、若干調整を要する点もございますので、この点は参考資料というように御了承いただきたいと思います。  まず被災状況につきましては、先ほど警察御当局から御説明ございましたので省略いたしまして、今後の都市局の復興の考え方について二番目に大体概要を書いておりますが、今度の大火原因が、風が非常に強かった点もございますが、道路幅員が狭く、消防活動に非常な困難を来たしたのと、あるいは簡易水道も不完全で、水量、水圧等も不足であった、こういう点も一つの大きな原因になっているわけであります。そこで、こういうような防火的な弱点を除去するという点が一つの問題でございますし、しかし、将来の市街地の発展、健全な市街地を形成するという点も重要な問題でございますので、こういう点を勘案いたしまして、まず都市計画の面から見ますと、防火地域等の指定を行なう必要もあるというので、準防火地域の指定を考えているわけであります。なお、このほかに、住居地域、商業地域等も指定する考えでおります。さらに幹線街路網の計画をしているわけでございまして、ただいま街路網の計画は、二枚目のところの下に示してございますが、相模灘の左のほうに港がございますが、そこを中心として大体2・2・1の線と2・2・2の線から2・2・3の線、2・2・4の線、こういう四本の幹線街路をただいま計画いたしておるわけでございます。こういう地区の制度並びに幹線街路整備という都市計画の点を勘案いたしまして、近く審議会にはかってこれを施行する考えでございます。また、この区画整理につきましては、そういうような基本的な考えのもとに区画整理事業を施行する予定でございまして、約十六ヘクタールの地域につきまして実施をする予定でございます。なお、先ほど申しました道路は大体十六メートルでございます。この事業費等ここに書いてございますが、約五億五千万円で、三カ年の計画で完了する予定でございます。また、今年度は予備費等を要求いたしまして、至急に復興対策を樹立したいというふうに考えているわけでございますが、数字等につきましては、まだ関係省庁とも十分協議もしていない点もございますので、参考資料というふうに御了解いただきたいと思います。
  24. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、応急住宅建設の状況と申し込み状況を新聞その他で拝見していますというと、あまりにも、できたところの家が小さいので、応急住宅に入る人がないというような新聞記事もある。また、一方のほうにおいては、焼けあとに今月の二十四日現在までに、約五十軒のバラックの仮店舗が建てられておる、これは法律違反ではあるけれども、やむにやまれないから建てたのだ、こういうふうなことも報ぜられておるのでありますが、一体、応急住宅の建設の状況、それに対する申し込みの状況、また、やむにやまれずバラックをつくって営業しておる者に対する今後の措置、こういうふうなことについて承りたいと思うのであります。
  25. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 住宅関係の問題でございますので、住宅局のほうから御説明があると思いますが、ただいまの住宅建築その他建築は、先ほど申し上げましたように、都市計画区画整理事業等が完了いたしてからになりませんと、本建築はできないわけでございます。したがいまして、ただいまやっております事業は、厚生省関係その他応急的な、特に緊急なものだけについてやられておるわけでございまして、その基盤となる区画整理事業等が完了次第、それぞれの観点に基づいた住宅復興も行なわれるというふうに考えておるわけでございます。
  26. 後藤典夫

    説明員後藤典夫君) 住宅対策といたしましては、応急仮設住宅につきまして、現在百三十二戸を建設いたしております。これは御指摘のように、一時の収容をいたすためのものでございまして、一戸当たり六坪でございます。これにつきまして、一月二十六日——昨日入居者の決定をいたすことになっておりますが、まだその状況はつまびらかにいたしておりませんが、一月二十二日現在の入居希望者数は百十世帯になっております。  これは一時の収容のものでございまして、その後の恒久の対策といたしましては、公営住宅の建設、それから住宅建設資金の融資という二つの方法を考えておるわけでございます。  公営住宅の建設につきましては、なお罹災者の希望によって多少増減をいたす見込みでございますが、おおむね五十戸程度建設する予定でございまして、また、これが区画整理地区内にあります場合には、立体換地の利用なども考えまして、中層耐火の店舗併存住宅として建設することも現在考慮いたしております。  それから、自己資金で、あるいは融資を受けて家を建てようという方のためには、まず東京都が住宅建設資金の貸し付けをやっておりますが、これは一世帯五十万円の限度で貸し付けを行なうものでございます。一月二十四日現在の申し込み件数は三十件に達しております。なお、この貸し付け限度等につきましては、東京都におきまして二月の定例議会において条例を改正いたしまして、貸し付け限度を百万円に引き上げるほか、店舗併用住宅にも貸し付ける予定をいたしております。  それから、国の住宅金融公庫の災害復興住宅資金の貸し付けにつきましては、一月十八日から二十四日まで現地に臨時に置きました住宅相談所において申し込みを受け付けし、また、その説明をいたしております。二十四日以後は、現地の取り扱い金融機関において申し込みを受け付けることといたしておりますが、一月二十三日現在で申し込み状況は六件、四百万円に達しております。  なお、この区画整理地区内には、建築基準法によって、恒久建築の一時的な建設を禁止いたしておりますが、この仮設的な建物を認めることにつきましては、現在、東京都でその手続を行ないつつある状況でございます。
  27. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次には、私は昨年のこの災害対策特別委員会で、大島と同様の、長崎県の有川の復興計画整備事業について質問したのでありますが、その際においては、自分はこの仕事を引き受けてからまだ日が浅いから十分に検討していないというような御答弁であったのでありますが、その後の計画はどういうふうになっているか、これをお伺いしたいと思うのであります。
  28. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 有川町につきましては、大体焼失面積は二千八百坪でございまして、罹災者が大体七十世帯でございます。その後、都市計画法を適用いたしまして、二千八百坪につきまして組合としての区画整理事業を起こそう、こういうふうに相なっております。それにつきまして、これは三万坪以下でございますので、建設省のほうでは設計認可はなってまいりませんが、県知事の認可としてやっております。それで、総事業費といたしましては七百四十万円。これにつきましては、県から町のほうに復興資金として貸し付けて、これを事業費といたしまして現在工事を施行しております。それで大体四十年、今年の四月でございますが、工事を全部完了する、こういう状況に相なっております。
  29. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この件については、大臣から特別にひとつ御答弁をお願いします。現在の区画整理事業は、今後ますます資金を要することになると考えるのであります。そういうふうなことになれば、承るところによれば、現在の資金源は、揮発油税というふうなものに財源を置いているということであるのであります。はたしてそうであるかどうか。もし、それによって財源を求めておるということであったらば、道路であればいいかもわからぬが、区画整理事業というものは道路だけではない。また、一たん火災があったらば大損害があるのであるから、これを未然に防止するという点から考えれば、今後この事業の資金は、国庫負担がより多くならなくちゃいけない。限られた財源で限られない事業をやるとしたならば、現在の財源ではできない。別なことばで言ったらば、一般会計からもこれを負担すべきものであると私はかたく信ずるのであります。これに対する建設大臣の決意のほどをお伺いしたいと思うのであります。
  30. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) お答えいたします。  都市計画事業は、街路事業として行なっている分についてはガソリン税、そのほかに、一般国費は御承知のように、今年度予算でも三百七十億ばかりあったと思いますが、来年度は四百幾らかと思いますが、そういうふうに一般国費を投入しておりますけれども、おっしゃるとおりに、ガソリン税に比べて非常に比重が少ないわけであります。したがって、いまお触れになりました事前に火災防止のために区画整理事業を行なおうとすると、ばく大な国費を要するわけであります。この点につきましては、われわれとしては、事前に防止するために、いろいろな対策を講ずるために、もっともっと国費がほしいのでありますけれども、一方たとえば河川事業についても同じようなことが言えます。河川の災害のために早く堤防をつくりたい、そのために一般国費を投入したいのであります。これまた、国の財源の関係でなかなか配分が思うようにいかない。こういう悩みがありますけれども、極力この一般国費の増額については、毎年度の予算において増額要求をいたしておりますことは御承知のとおりでありますので、御了承願いたいと思います。
  31. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 建設大臣のただいまの御答弁のとおり、一般財源からできるだけたくさんの資金をこちらに回して、火災未然に防止されるような対策を講ぜられるようにお願いいたしまして、建設省に対する質問を終わります。  次に、消防関係。だいぶ時間がたちましたから、単刀直入に御質問申し上げたいと思うのであります。  消防は、国民の生命、身体及び財産を火災から保護して、もって安寧秩序を維持して社会公共の福祉を増進する重大な任務があるのであります。でありますから、私は機会あるごとに本委員会において消防の強化を力説してまいっておるのであります。政府においても、この消防の重大なる任務を認められて、最近根本的に消防の設備を改善し、また各方面に根本的の改正をされるという構想があるように承っておるのであります。まず最初に、根本方針を承りたいと思うのであります。
  32. 川合武

    政府委員(川合武君) 消防の整備につきまして、第一点の組織の問題でございまますが、御承知のような消防対象の複雑化に対処いたしますために、基本的な問題といたしまして、消防本部署、いわゆる常設消防署の義務設置ということを昨年度からいたしておるわけでございます。昨年四百八十六、本年まだ正確な数字まで至っておりませんが、百以上の市、主として密集地域、連檐地域、一万以上を持ちます市に対しまして本部署の設置を義務づけ、同時に財源措置を行なう、かような状況でございます。なお、その他の地区におきましても、すなわち俗に消防団地区といっておりますが、いわゆる消防団の中にも、基幹要員には常勤体制をとってもらう。あるいは多少応急措置的な制度では、考え方ではございますが、私ども役場消防といっておりままが、役場、農協等の職員に消防団員を兼ねてもらって、出動体制の組織化をはかる、かような点でございます。  消防施設につきましては、たびたび御指摘がありますように、私どもも、まだ消防力基準におきまして六割というはなはだ貧弱な申しわけない現状にとどまっております。  これに対しまして、国庫補助並びに起債等の措置によりまして、消防力の施設の強化、ポンプ自動車等、あるいは昨今の科学消防の問題、ことに今回の離島の問題等におきましては、水利というような問題が決定的な欠陥を示しております。かような点につきましての体制の整備をはかっておるわけでございます。  なお、つけ加えまして、私どもかような離島あるいは僻遠の地、あるいは特殊地帯につきましての個別のその実態の把握、その指導という点につきまして、十分なる、手厚いといいますか、緻密なる私どもの助言というものがこの点について欠けている点があったのではないか。本年度におきましては、計画をもちまして、かような地点におきまして、いわゆる消防の診断と申しますか、さような点について具体的な、リアルな対策を立てていきたいと考えておる次第でございます。
  33. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 消防本部及び消防署の設置を政令で定められるようになったということは、まことに喜ばしいことであるのでありますが、そういうふうな政令に該当するところの市町村でいまだこれの設置がない市町村がどのくらいあるか、またその設置がしてないとしたらばその理由はいかなる点にあるか、その点についてお答え願いたいと思うのであります。
  34. 川合武

    政府委員(川合武君) 現在のところ、政令によりまして指定いたしております市、町の数は四百八十六でございます。で、現在まだそのうちで完全なる体制に至っておりませんのは八十一でございますが、これは昨年から指定をいたしました関係でございますので、目下準備中でございます。本年の三月までにはおおむねの体制を整えて出発をすることが可能と思っております。本年は——本年と申しますか、来年度、四十年度からこれに対しまして先ほど申しましたように百を追加指定いたしていきますが、財政上の理由から、市、町におきまして消防署の義務設置をいたしましても、これに対します実質的な体制の整備につきましてはなかなかに困難な点があることは事実でございまして、それらに対しましては、補助金の配分、あるいは起債の割当と申しますか、起債の措置、さらに交付税の基準財政需要額の問題における合理化、増額等につきまして努力をいたしていきたいと思っております。
  35. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 まあいろいろ努力されるというお話があったのでありますが、昨年の実例から見れば、新潟地震による石油の火災東京の品川の倉庫の爆発事故その他の山林の大火災、こういうふうなことを考えてきてみまするというと、何といってでも科学消防の研究を進め実施すると同時に、現在の消防力の基準を改めなくちゃできないと、考えるのでありますが、これについての御意見、また、幸いにして消防研究所というものがあるのであるが、消防研究所ではいかなる研究をしておられるのであるか、これを承りたいと思うのであります。
  36. 川合武

    政府委員(川合武君) 消防力の基準の点につきましては、御指摘のとおりでございます。これは三年ほど前に示しましたものでございますが、いわゆるる特殊災害と申しますか、かようなる化学製品のはんらんいたします時代のことにつきましてまだ十分なる思いをいたしておらなかったと結果的に考えまして、その後の状況火災の複雑化というものは変化激しいものがございますのでこれに対しまして、基本は私どもの消防力の基準の考え方でいいというふうに現在思っております。内容につきまして補正改定を加えていくべきだというふうに思っております。十分に勉強いたさねばならないと思っております。  なお、第二点の消防研究所でございますが、具体的に一、二申し上げますと、一つは、ジェット消防車とあだ名で言っておりますが、俗称でありますが、ガスを使いましての消火方法でございます。これはもっとも一定の条件下ではございますが、大体試作の段階に至っておるわけでございます。  第二は、落下方式の問題でございます。空中からの落下による消火方法でございます。各国ともこれにつきましてただいま熱心なる研究をいたしておるわけでございます。私どもの研究所も昨年からこれに力を入れておりますが、まだこれは原理的な研究という段階でございます。これは昨年実験をいたしました姿を御参考に申し上げますと、数軒の木造家屋に対しまして固形消火剤を使っての消火に一応成功しておるということでございますが、まだ原理的な研究の段階にとどまっております。  なお、本年四月から消火技術センターの運転を開始いたしますので、これは現物大の火事の実験を行ない得る実験場でございます。十分なる活用によりまして科学研究を深めていくつもりでございます。
  37. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 まだ消防について引き続いて質問したいと思いますけれども、渡辺委員が建設大臣に質問があるとかいうことでありますから、渡辺委員の質問が終わってから、さらに質問を継続することにいたします。
  38. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 藤野委員の発言でございますけれども、災害についての質疑は全部総合的に考えますが、せっかく同じ発言ですから、そのまま続行さしていただきたいと思います。
  39. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それでは、引き続いて消防従事者に対する待遇でありますが、最初に申し上げたように、消防は私どもの生命財産を保護し社会公共の福祉を増進するために自分の身命を賭して働いているのであります。であれば、この消防従事者に対しては、いついかなる場合に負傷してでも、あるいは不幸にして生命をなくしてでも、後顧の憂いがないような対策を講ぜなくちゃできないのであります。この点については、本委員会で私たちは数年にわたっていろいろと待遇の改善をお願いしておるのでありますが、また最近では順次改善をされておるのでありますけれども、今後この消防従事者に対する後顧の憂いがないようにするためにはいかなる措置を講じていこうとしているのであるか、具体的に承りたいと思うのであります。
  40. 川合武

    政府委員(川合武君) 消防団の公務災害の第一点は、公務災害の補償の問題でございますが、これは制度ができました当初、すなわちほぼ九年前——十年近く前でありますが、その当時からは漸次レベル・アップをいたしておりまして、数字で例示いたしますと、出発の当時は、消防団員がなくなった場合でございますが、四十万円に満たない数字でございました。現在は最低七十万円、かような数字になっております。その間二、三べんレベル・アップいたしまして、現状に至っております。ただ、レベル・アップしておると申しましても、ただいま申しました最低七十万円という数字でございまして、かような点で十分なる満足すべき数字とは私ども思っておりませんで、この点についてさらに討議をいたしたいと思います。  第二点は、この公務災害の、ただいま申しました法に基づく補償以外に、これは消防吏員も同様でございますが、特に殉職いたしました場合に、功労のありました場合には、賞じゅつ金制度というものを行なっております。これは百万円を限度としてでございますが、それに対しまして賞じゅつ金と称する表彰という措置をいたしております。なお、昨年の宝勝島倉庫の十九名の殉職に対しましては、これに加えまして内閣よりの特別な賞じゅつ金が追加された次第でございます。  第三点といたしまして、ただいま申しました公務災害殉職等の問題と離れますが、三十九年度から永年勤続いたしました消防団員に対しまして退職報償金制度を法でつくっていただきましたので、これは金額で申しますと、最低十五年で三万円という些少な額でございますが、新しい制度として出発さしていただきました。この点につきましては、さらに向上をはからせていただきたい、かように思っております。  なお、ちなみに私どもの消防関係者の年間の殉職は、昨年は、東京のように十九名一度に殉職いたしましたので、非常に多うございましたが、例年平均いたしましても三十名前後の殉職者を出すというようなことでございまして、この仕事の危険性その他を考えまして、これらの措置につきましては十分なる手厚い措置をとらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  41. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 消防団員に対していまお話のあったようなことをやられると同時に、火災の場合においては、その団員でなくて、近くの者が、あるいは通りかかったところの者がこれを応援して消火につとめるということが必要であるのであります。であるから、この一般の者が消火に参加した場合においていかなる褒賞の措置を講じておられるかということが一つ。  次には、消防団員等の公務災害補償共済基金制度があって、いろいろと消防団員に手厚い対策を講じようとしておられるにもかかわらず、現在この基金に加入していないところの市町村がある、また掛け金が滞納しているところがある、こういうふうなことではできないから、この共済基金には全市町村の消防関係者が加入し、掛け金に滞納がないようにし、もって消防に犠牲的精神で活動したところの人に恩典を与えるようにしなくちゃいけないと、こう考えるのであります。もし加入せないところのものが市町村財政上であるとしたならば、政府は、そういうふうなことがないように、この基金に対してはある程度の助成をして、全部のものを加入させ、いざという場合においては後顧の憂いのないようにすべきであると信ずるのでありますが、この点はいかがでしょう。三十九年度と四十年度の国庫補助関係があったらば、それを承りたいと思うのであります。
  42. 川合武

    政府委員(川合武君) 協力者の問題でございますが、これもその後のいろいろな実態に即応いたしまして現在改善をいたしまして、これは消防団員等の場合と立て方を若干異にしておりますが、最低の場合におきましては、協力してなくなられた方の場合には最低七十万円という数字でございますが、ほぼ警察官に協力した場合等に額を同じゅういたしまして、歩調を同じゅういたしまして、制度の中に取り入れておる次第でございます。  基金のお話がございましたが、現在、基金の加入状況を申しますと、ざっくばらんに申しまして八割の数字でございまして、残るものがまだ基金に未加入でございます。もっとも、昨年できました退職報償金の制度につきましての分は、まだ年度途中でございますが、九五%という数字でございまして、したがいまして、基金全体での加入というものも、われわれの努力を重ねまして、全員加入、全部一〇〇%加入というふうに努力をいたさばならぬと思っております。財政上の理由でございますが、これにつきましては、交付税措置と申しますか、基準財政需要額において措置いたしておりますわけで、さらにわれわれのこの基金の完全なる使命達成のための一〇〇%加入につきまして努力をいたしたいと思っております。  なお、国庫補助の数字につきましては、担当の課長から答弁をさせていただきます。
  43. 山崎達三

    説明員(山崎達三君) だたいま次長からお話がございましたように、基金に対します国庫補助でございますが、一番初めに公務災害関係につきましての基金が制定されまして、これに対しまして、事務費は全額国庫補助を受けております。なお、特別にその間に大きな災害がございまして、たとえば伊勢湾台風でありますとか、あるいはキティ台風でありますとか、その年によって極端にそういった対象の人たちが出た場合には、特別に国からそういった面についての補償額についての補助をしようじゃないかというようなことで話し合いがついてございます。年々事務費に対します補助金が全額ついております。さらに、いまお話ございましたように、昨年退職報償につきましての基金が制定されまして、これも現在あります基金にそのまま仕事をしていただくということによりまして、その事務費が若干ふえたわけでございます。その分につきましても、国から金額補助をちょうだいするようにいたしておるという事情でございます。
  44. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 最後に、最近の消防審議会では、いかなる問題についてどんな審議をされたか、内容を承りたいと思うのであります。
  45. 川合武

    政府委員(川合武君) 消防団員の処遇の問題並びにその消防団員の現在の姿に対しましての、いろいろな活動体制につきましての対策の問題、かような点につきまして審議会で目下、一年余り前からでございますが、審議をしていただいておりまして、その中間報告は出ておる次第ございますが、また継続審議をしていただいておる状況でございます。
  46. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それでは、次は大蔵関係。これは簡単に一言でお伺いします。  火災保険の契約と保険金の支払い状況なんです。これが一体どういうふうになっているか。  それから、新潟地震の関係から、田中大蔵大臣は保険審議会に地震保険の諮問をやっておられるのでありますが、この地震保険の審議会の進行状況、これを承りたいと思うのであります。
  47. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) お答え申し上げます。  最近の火災で申し上げますと、大島元町大火でございますが、この場合、被害を受けられました方の中で保険契約者が百二十九名ございます。契約件数にいたしまして二百十六件、支払いました保険金額は二億四千百万円を支払いをしております。たいへんな大火でございましたので、緊急対策本部というようなものをつくりまし、査定の公平化、支払いの迅速化等に遺憾のないようにしたと聞いております。  なお、先ほどお尋ねのございました有川町の大火につきましては、これは数十軒の罹災者がございますが、実は遺憾ながら保険契約には入っていらっしゃらないということで、保険金の支払いは、はなはだ残念でございますが、ございません。私どもの調べましたところでは、農業共済とか、水産業協同組合とか、あるいは火災共済協同組合等につきましても、どうもそういう支払いがなかったやうにうかがっております。  それから第二点の地震保険でございますが、昨年六月の新潟震災を契機にいたしまして、衆議院の大蔵委員会におきましても、地震保険の創設を至急に検討すべきであるという附帯決議をなさいました。これらの世論の要望にこたえまして、大蔵省といたしましては、昨年七月の中旬に保険審議会に対しまして地震保険の創設について諮問をいたしました。その後今日まで、小委員会を含めまして十一回でございますか、十回程度の審議を重ねてまいりました。大体大まかな骨子を得ようとしておる段階でございます。なお、保険料率その他契約者にとりまして非常に重大な関心のございます面で、なおはっきりした見通しが立っておりませんので、最後の結論には達しておりませんけれども、近い将来に案をつくりまして、社会の要望にこたえたいと、かように考えております。  なお、その際の眼目になりますのは、民間の保険会社だけではとても担保力と申しますか資力が不十分でございますので、たとえば関東大震災のような大地震が起こったときにどうするかというような問題がございます。これらにつきましては、政府がやはりバックアップして、そういう場合に保険金を支払うべきであろうという議論が強いように考えております。
  48. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 農業災害補償法による共済金、それから協同組合による共済金、これは個人別に調査が済んで支払いをしておりますから、念のためにつけ加えます。  最後に法務省にお尋ねしたいのでありますが、火災状況は、東京法務局大島出張所が焼けております。私は、この法務局というものは、国民の財産を完全に保護しておるのでありますから、この法務局がが焼けたならば財産の行くえがわからないようになるのであるが、一体大島の出張所が焼けたためにどういうふうな書類が焼けて、そうしてその対策はどういうふうな方法を講じようとしておるのであるか、承りたいと思うのであります。
  49. 池川良正

    説明員(池川良正君) 大島元町大火によりまして、東京法務局大島出張所の簿冊全部焼失いたしております。その内容は、不動産登記簿四百六十九冊、商業法人登記簿三十二冊、家屋台帳二十二冊でございます。これらにつきまして、私どもといたしましては次のような対策をもって臨んでおります。まず、ただいまのところ、庁舎も全部焼失いたしましたので、事務をとることができません。さような関係から、二月十五日まで事務の停止をいたしております。その二月十五日が過ぎますれば、いよいよ登記の回復の手続ということを準備いたしておりますが、登記の回復の手続につきましては、二月十六日から八月十五日まで回復期間といたしまして、その間に回復の申請をしていただきます。それに基づいて登記の整備をしていく、こういう考え方で臨んでおります。
  50. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 まだ質問したいことがありますけれども、これで私の質問を終わります。
  51. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は、この八日、九日及び十八、十九に被害をこうむった高波災害に対して、各省大臣にお尋ねをしたいのでありますが、ちょうどこの九日、十日には私も被害を受けた大船渡港の現地におりまして、先ほども気象庁の発表にありましたように、中心気圧が九百六十二ミリバールの台風並みの低気圧で、こうむった被害の現地の惨状はまさに目をおおうものがあったわけであります。三陸沿岸全体としては、かつて三十五年五月にこうむったチリ地震津波の被害に次ぐ戦後二番目のこれは大きな被害をこうむっております。各省からそれぞれ報告があったように、港に係留中の漁船が岸壁に打ち上げられて大破したり、定置網、養殖のノリ、カキ、コンブ等の施設が流失して、ちょうど去年のサンマ、イカの不漁に泣く漁民には追い打ちをかける大きな痛手を与えておるわけであります。  まず、先ほどから御出席の建設大臣を中心にお尋ねをいたしたいのでありますが、先ほどの被害状況報告にもありましたように、河川、海岸道路中心とする被害は、北海道から東北六県の地域にわたって約四百カ所、その被害額が直轄災害補助災害を合わせて三十七億になんなんとしております。農林省のまた漁港その他の中心被害としては二十一億、運輸省からの報告はありませんでしたが、港湾堤防の欠損等も入れれば、優にこれは七十億近い大きな被害をこうむっているのであります。で、当然これは公共土木施設災害復旧事業国庫負担法によって復旧をされることになるわけでありますけれども、従来もこれは現地ではいろいろ問題があったことでありますが、この法律による災害復旧事業というものは、災害によって必要を生じた事業で、災害にかかった施設を原型に復旧することを目的としておりますので、問題が六つあるわけであります。  第一点は、災害にかかった施設の復旧事業に限られているということであります。しかもその施設に一定の制限がついていることでありますが、いま例証いたしましたように、三十五年五月のチリ地震津波の復旧の経過を見ましても、この復旧事業の対象にならなかったいろいろの現地における災害というものは、非常に全体の上に占める割合が大き過ぎて、むしろこの国庫補助の対象になった被害復旧の割合は、全体からいけば非常に軽かったという現地における矛盾が現実にあるわけであります。したがって、こういう施設中心主義といういまの考え方を、もっとあまねく対象にして、災害被害からこれを守るという基本的な考え方に今後立ち向かうべきであると思うが、その点についての建設大臣の御意見をお伺いいたしたいのであります。  ついでにもう二つお伺いをいたしますと、この国庫負担法では、災害を受けたものだけを復旧するけれども、災害によって必要になったものの工事は対象になっていない、ここに私が言うところの災害主義とでも言うべきひとつの大きな制約が現地においては受け取られざるを得ないのでありますが、こういう点について、もっと拡大して現地の従来の要請というものを受けて前向きに善処していくという施策をお考えの中に伺うことができないかどうかというのが資問の第二点であります。  それから第三点は、この法律で言うておりますように、原型に復旧するということであります。もとより三十年からは例外措置を認めてはおられまするけれども、原型に復旧するということは、災害を受けた以前に復旧するということであって、再び災害をこうむる場合には、また繰り返して災害を受けざるを得ない。したがって、もっと前進した改良というところまでこれは拡大していきませんと、なかなかこれは国費の浪費にもつながる問題であって、現実に大きな問題だと思うのでありますが、例外規定を見ましても、いままで政府が実施された復旧事業は、たとえば木橋をコンクリート橋にこれをかけかえるという場合でも、過去十年にわたって四回以上の被害を受けたという経過がなければ、そういう改良工事はできないという制約がある。これは、いま申しましたように、原型復旧主義の非常にかたくなな措置による、例外もなかなか実際は適用されないという現実にあるわけでありますが、こういう従来の公共土木施設災害復旧事業国庫負担法の原形復旧主義なり、災害主義なり、あるいは施設中心主義というものを、今後地域開発という大きな政治課題をモットーとしてスタートされた佐藤内閣としては、どういうふうに国民の期待する方向にお考え願えるだろうかという国民の声をまず中心として、三つの点について大臣からお伺いをいたしたいのであります。
  52. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) ただいまの三点についてお答えいたします。  災害復旧の場合には、施設がある場合に限っているのはおかしいじゃないかというお話でありますが、これは原則はそのようになっておりますが、あとで申し上げますように、天然の海岸あるいは河岸の場合にも、特殊な場合には災害復旧工事としていたしますのでありますから、その点あとで申し上げます。ただ、一般的に申し上げますと、天然の河岸あるいは海岸というものは、むしろ改良工事で海岸堤防を築く、あるいは中小河川その他堤防を築いていくというふうな方向でやっていきたいと考えておるわけでありますが、災害が起こりました場合には、いまの法律にもありますように、特殊な場合、たとえば公共施設あるいは人命に損傷を来たすような場合、こういうような場合には、たとえそこが天然の海岸であり、河岸であります場合にも、災害復旧工事として採択する、こういうことに相なっておるわけであります。  なお、一体しからば人命に危険を及ぼす、あるいは公共の施設に危険を及ぼす場合とは、一体どういうことかということは、あとでまた事務当局から申し上げますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうに、施設がないからといって災害復旧の対象にはしないということは、いまなっていないことをまず申し上げておきます。  それから、原形復旧か改良復旧かということでありますが、これは御承知のようにに、最近、再度災害を防止するというのを原則としまして、原形復旧にこだわっているわけじゃありません。原則はむしろ改良復旧のほうに向かっているというふうに申し上げてよろしいかと思います。関連施設につきましても、災害復旧とそれから改良といいますか、再度災害防止という観点から、同じような考え方で進んでおりますことを申し上げておきます。なお、詳細については、河川局長から申し上げます。
  53. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私が具体的例で申し上げたことでは、どうもいまの大臣の答弁のような実態にはなっていない。そこで私は現地の例をもって申し上げたわけでありますが、しかし御答弁は私が期待するような方向で、原形復旧も、むしろかたくなな原形ということにとらわれずに、改良復旧ということを重点にするとおっしゃるのですから、これからは少なくともそういう形でおやりになるものと理解をいたして、それ以上の質問はいたしません。ただいま大臣が答弁になられたように、施設そのものだけを復旧の対象にするということ以外に、災害によって必要になったものの関連施設の復旧ということも大いに考えているということでありますから、それもそのとおり、現実の仕事の上では取り上げていただければ、私はもう問題はないわけであります。大臣の答弁のとおり、ひとつ誤りなくその施策が末端まで浸透するように善処を願いたいわけであります。  それからこれは建設大臣に直接伺ってもどうかと思うのでありますが、佐藤内閣の閣僚としてお伺いをいたすことになるわけでありますが、たとえば今度の高波被害におきましても、建設省所管の河川なり海岸なり道路、三十七億も被害をこうむっている。一方には運輸省所管の港湾、堤防というものがまた被害をこうむっている。農林省所管の漁港というものも施設の被害をこうむっている。末端から見ますと、この役所のセクショナリズムということが、非常に復旧に対する施策がばらばらで時期的にも、またそのウェートもばらばらで、そのことが総合的に見ると大きなロスをもたらしているのでありますが、こういう災害に対しては、特に統一的に対応する中枢的な責任機関というものがどこかにもっとはっきり基礎を置いて、そしてそれを総合的に効率的に帰納するということが、何よりもこれは大事な問題であると私は思うのであります。そのことが非常に大きな従来の官僚のセクト主義とでも申しますか、に対しては、大きな問題の提起にはなると思うのでありますが、何しろ末端の被害地帯といたしましては、そういうことが痛感されるのでありますが、これは今後の課題としてお尋ねをいたすのでありますが、そういう点について、ばらばらで各省が、特にばらばらな時期に被害状況報告する形式からしてわれわれは全体としてこれを把握するに困るわけでありますが、もっとこれを統一して行政庁としては帰納する、迅速的確にやるということがなければ、大きなこれはマイナスが目に見えない形で行なわれているわけでありますが、この点は、建設大臣としてではなしに、むしろ今度の被害の一番大きかった対象の所管大臣として、どういうふうにこれを前向きにお考えになっておられるのか。おられるとすれば、それは具体的にはどういうことなのか、そういう点を建設大臣にお尋ねをいたしたいのであります。
  54. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) これはおっしゃいますとおりに、災害を受けた側からいいますと、所管が違うために、いろいろ不都合が起こっておりますことは、たびたびの災害でお互い経験済みであります。そこで、従来も災害対策本部、大きな災害のたびに災害対策本部などが設けられますので、所管事務の食い違いというようなものについては、たびたびの経験を経ておりますので、現在では、たとえば港湾については府県の土木部あたりと連絡をとる、あるいは漁港については農林部と連絡をとりながら、そして災害復旧につとめておりますので、最近はよほどその苦情は減っていると思いますが、なおそういう現実に問題が起こっておりますならば、これは先例もあることでありまから、直ちに措置できるような準備はできておりますので、御了承を願いたいと思います。
  55. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 では、建設大臣にはもう一つだけ伺いますが、今度の直轄災害補助災害をいつごろまでに実態を調査把握されて、そうして予算措置をいつごろ講じて、その伝達等はいつごろなされるお見込みであるか、その具体的な点をお尋ねいたします。
  56. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) 直轄のほうは、直ちにやっておるわけでありますが、補助災害のほうは、次のような日程で緊急査定に入ることにいたしております。北海道が一月二十一日から二十八日まで、それから青森県が二十九日から二月の二日まで、それから福島県が二十二日から二十三日までで——福島県は完了したそうであります。そういうようなことで緊急査定をしまして、そうして必要なものは直ちに予備費の請求をするということで、財政当局ともその準備に入っておるわけであります。
  57. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 建設大臣が何か時間の関係でお帰りを急いでおるようでございますから、渡辺委員の質問に若干関連いたしまして一言だけ、北海道のいわゆる高波関係いたします漁港の問題で伺っておきます。ただいままでの渡辺委員に対する大臣の答弁では、公共土木災害、とりわけ漁港等の災害復旧についての幅のあるような御答弁がなされました。私ども、もとより原形復旧じゃなくて、復旧する場合にはむしろ原則として改良復旧をしなければならないのではないか、こう考えておりますから、その考え方にやや近い御答弁ですから、この点は了承いたしますけれども、具体的に例を出して伺っておきます。  いま渡辺委員が申しましたように、漁港の場合は直轄漁港と、それから地方に対して補助をして、いわゆる補助事業漁港、さらには漁港などということではない、小規模の船だまり程度のものがかなり建設されておりますることは、御承知のとおりだと思います。今度の高波状況は、さいぜんから関係のそれぞれの省庁から御報告ございましたが、まことに今日まで予測もできなかった異常低気圧によるものだ、こう言われております。ですけれども、最近のたとえば一昨々年の台風十九号、二十号等々の経緯を見ても、波の状態というものは、かなり前から見ますと異常なほど高いものになってきている、こういうことが言い得ると思います。これは統計上見ても明らかであります。ところが、実際建設省計画をしたり、あるいは北海道の場合開発庁が所管しておりますけれども、こうしたところで計画をするものは、依然として明治何年か知りませんが、そうしたような統計等を参考として技術的に計数をはじいてそれぞれ計画を施行している。ここらあたりが、私は非常に今度の高波の状態を見て問題があるように思うんです。幸い、三陸のほうの関係は別でございますが、北海道の場合は気象庁の予報がかなり早い時期に出されておった関係上、イカの最盛期ではありましたけれども、沖合いにおける漁労中の被害というものはあまりなかった。ほとんど漁港避難をし係留をしておった。ところが、いま言ったように従前の常識的な考え方ですと、防波堤を越えることはない。ところが、今度はもうはるかに当初建設省なりいま申し上げた開発庁なりが計画した防波堤をオーバーする高波に押し寄せられた。港の中におって船が沈没したり大破したりした等々のことがあって、非常に大きな被害になって北海道の場合は出ました。具体的に尻内町の場合もそうであります。それから白糖の場合も幌泉町の場合も、さらには様似の場合もそういうものが出ている。ですから今度の災害の特徴というものはそういうところにある。そこで問題のありますのは、原形復旧の場合には、防波堤を損壊した場合に、原形復旧する場合に、依然としていま申し上げた前からの考え方を貫かれることになる。ですから、これをあらためて、最近の特徴たる、あまりいい傾向じゃありませんけれども、高波なり高潮というものを想定をして、やはり私は改良復旧していくべきものではないか。なお補助事業関係については、先ほど渡辺委員も申し上げたように、建設省とそれからあるいは地方との関係、特に地方港湾等になりますと、運輸省も入っております。その中には漁港というものが付帯されておりますから、その間役所の連繋の不十分といいますか、あるいはなわ張り争い的なこと等がありまして、復旧作業あるいは復旧工事が、非常に漁民あるいは地域住民の期待に反するような実態が随所に起きております。ですから、こういう点はひとつこの際は抜本的に改めて、すみやかに施策が浸透するように私はやっていただきたい、これが一つ。  それからもう一つは、船だまりの関係でございますけれども、これはもともと船だまり程度の施設をするということですから、漁民も少い、あるいは漁船も少い、こういうことで結果そうなったと思う。ところが、最近これは農林省の統計、あるいは発表したものによっても、漸次沿岸漁民は漁族が枯渇している関係と、もう一つは海区調整から出てまいりました海区の関係から、最近いやおうなしにかなり沖合いで漁労しなければならない状態が出てきている。したがいまして、一トン未満の漁船は動力を必要としなかった。ところが、最近一トン未満でも動力を設備をして、いま申し上げたように沖合いで漁労しなければならぬ、こういう実態が出てきている。ですから前従の計画をして施行した船だまりなどというものは、まさにもう狭隘などということばで表現でき得ないようになっている。こうした事情の中で、今回のような高波が押し寄せた場合に結果どうなるか。全部これは全滅している、こういう実態等出ています。でありまするから、私は今度の災害をこうむるこうむらないにかかわらず船だまりの施行などについて私は再検討を加える必要があるのではないか。既設のものはもとよりありますけれども、ただいま継続工事をいたして施行しておるものがございます。こういうもの等については、地域住民は非常に今度の経験から強い要望を持っています。ですからその要望を十分くみ入れるような方向で建設省が指導する考えがあるかないか、この点を伺っておきたいと思います。
  58. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) いまお聞きになりましたことは漁港でありまして、農林大臣のようでありますから、農林大臣からお願いいたします。
  59. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 船だまり等がだんだん狭隘になってくるということも、私ども承知しています。でありまするから、災害等の機会をとらえまして、従前の船だまりを漁港のようなふうに持っていくというふうに持っていくか、あるいはまた船だまりの規模を大きくして災害等を避け得られるような方向へ持っていくことは適当な措置だと思いますので、そういうふうにいたしたいと思います。
  60. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは農林大臣に二、三お尋ねをいたします。今度の高波被害農林省の発表された資料によりますと、二十一億余万円ということに相なっております。で、なおこれは現地に実態を調査しておるということで、なお数字はふえるだろうということでありますが、この被害地域はかなり広範に北海道中心として——中心というのは、被害が一番大きいんでありますが、青森岩手東北各県のほかに関東から裏日本までつながった大きな被害でありますから、当然これに対するすみやかな施策の要望が各地からなされておることも大臣御承知のとおりだと思います。で、その中で特に中心をなしておりますのは、この被害に対してすみやかに立ち上がるために、いろいろな設備資金等が要るという場合に地方庁でも、これは政府でいわゆる天災融資法の対象になれば、非常にいろいろな施策が地方としてもやりいいということで、恒例のごとく今回の高波被害に対しても天災融資法の対象になるような政令の公布というものを共通して要請いたしておるわけでありますが、この点のお見通しはどういうふうになっておるでありましょうか。
  61. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、現段階においては被害総額が二十一億でございます。そのうちで天災融資法関係被害額は二十二日現在では約八億七千七百万、こういう数字になっております。しかし、これはなお調査を続けていきませんと確定した数字ではございません。しかし、いまの段階の八億七千七百万の天災融資関係被害額では、天災融資法を適用することは困難であるという見通しでございますが、さらにこの額の確定額を見まして、天災融資法の適用につきましては検討していきたいと、こういうふうに考えています。
  62. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まあ従来の事務的処理の観点からすれば、困難だということはわかった上でお尋ねをいたしておるのでありますが、たとえば三十九年度だけに限ってみましても、天災融資法の適用になったものでこの漁業関係被害は、三十九年六月の新潟地震に基づいて漁具、漁船あるいはカキ養殖というものが漁業関係では二億三千六百万の被害額に対して天災融資法の適用を受けております。また同じく昨年七月の豪雨でヤナやウナギ、ボラ、コイの養殖に対しては、漁業だけでは八千一百万が天災融資法の対象になっておる。また昨年九月の暴風雨では、漁具、漁船あるいは真珠なりハマチの養殖等を対象にして二十一億三千八百万というものが、漁業関係だけではこの天災融資法の対象になっておる。これはもちろん繰り返すようでありますが、漁業だけの被害ではなしに農業の被害、それを全体として対象としたことによるわけでありますけれども、しかし、この漁業という、特に大臣所管の中でも農業、林業よりもその生産性が最も低位に置かれておる沿岸零細漁民にとっては、とにもかくにもこれらの昨年の一連の災害に対しては天災融資法の対象の適用を受けておったわけでありますから、全体をわきまえない上でのこれは願望でありますけれども、今度のような大きな三陸沿岸全体、北海道につながるこの台風に見まごうべき低気圧被害を受けた漁民としては当然この天災融資法で災害というものは政府によっても確認されるものと期待をしておるわけであります。したがってそういう観点から言えば、従来の天災融資法を適用する基準というようなものをさらに拡大して、八億であろうと七億であろうと、少なくとも総額が各一道十県にまたがる広区域災害でもあるわけでありますから、そういう広区域にわたる災害というものに対して、ここで天災融資法の対象にする金額は少なくとも、まあ私たちから見れば十億をこえる対象額になると思うんでありますが、そういうことで大臣みずからがこれを対象にするというその御方針のもとでそれぞれを関係各省に折衝され、特に大蔵大臣でありましょうが、そうしてこれを対象にしてやるというそういう積極的な御意向を私は伺いたくてお尋ねをしたのであります。従来のそういう基準というものをさらにここで拡大して対象にするという方向で御善処を願えるかどうか、この点を繰り返しお尋ねをいたします。
  63. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) いま過去の天災融資法適用の御例示がありましたが、そういうときにも、私としてはできるだけこの災害から立ち上がれるようなために、天災融資法の適用等につきまして、しゃくし定木でなく、適用のできるような方向で折衝し、また、やってきたのであります。いまお話しのように、今回の災害等につきましても、農業、林業等よりも、さらに一そう生産性の低い漁業の立場でございますから、その立ち上がりのためには、天災融資法の適用につきましても、その他につきましても、まあ、疑わしきは低きに従うじゃありませんが、なるべくその適用ができ得るような方向で折衝等も進めていきたい、こういうふうに考えております。
  64. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それが、いまこれから親身な方法で善処するということでありますから、善処を大きく期待しておりますが、それ以外に、農林省として、今度の高波被害に対してとられようとするいろいろな施策が当然おありだと思いますので、減税の問題にしても一例でありますが、どういう施策を講じられようとしておるのか、その点をまずお伺いいたします。
  65. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) とりあえずの復旧方を考えておりますが、あるいは融資面においても、十分融資でもって復興できるような、あるいはまた、税金等においてそういう措置ができるものがありますならば、そういう措置も考えていきたい。いろいろ方法は考えておりますが、なお、官房長から具体的には申し上げたいと思います。
  66. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 対策で当面予定しておりますものを申し上げますが、先ほど来大臣から答弁のございました融資の関係につきましては、もう御承知のとおり、公庫融資の仕組みがございます。農林漁業金融公庫のほうで、六分五厘の資金で漁港漁船、漁具、養殖施設、共同利用施設についての配慮が行なわれます。天災融資法を適用するかどうかという問題につきましては、これらの公庫資金の活用との関連で考えていく必要があろうかと、実は考えておるわけであります。それから、漁港が相当な被害を受けております。また、農地局所管の海岸堤防被害もございます。それらにつきましては、公共負担法の適用をするということで、現地の査定を各県に連絡して、こちらからも係官を派遣しまして措置することにいたしておるわけです。措置中であります。それから、荷さばき所とか、あるいは倉庫、船揚げ場、あるいは貯氷庫などの共同利用施設も、相当な被害があるようです。これにつきましては、暫定法の適用によりまして補助をしてまいりたい。実態を目下詳細調査中であります。それから、漁船被害につきましては、隻数その他については概略の報告は得ておりますけれども、なお、トン数の関係等についても調査を続行いたしております。それの結果によりますけれども、激甚災害法の補助ができるかどうかという点について、めどを立てたい、かように思っております。  以上のような各項目について、農林省の所管の分としては整備をしていきたい。  さらに、被害者の税金対策をどうするかというような点については、国税、地方税、それぞれ関連の法律がございます。そちらのほうの関係当局とも十分に打ち合わせてまいりたいと、かように思います。
  67. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうも官房長の答弁としては、事務的じゃなく抽象的なんだが、いずれ税金についてもいろいろということですが、大体、沿岸漁業を所管する農林省としては、どういうふうに税金では腹を据えて、どういう点をどうしようとしているのかを説明しなければ、さっぱり説明にならぬじゃないですか。
  68. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 沼津漁業者の被害の甚大な状況にかんがみまして、従来もとりましたように、国税関係につきましても、地方関係につきましても、できるだけ徴収猶予等の措置がとれますように、関係行政庁と協議いたしたいと考えております。
  69. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうも大臣の時間が、衆議院の本会議を控えて、ないようでありますから、これ以上お尋ねをすることは、もう時間的に遠慮を申し上げなくちゃならぬようであります。たいへん残念でありますが、いずれこれは、改めた機会にお尋ねをする問題としては、幸いにこの被害漁家には漁業災害補償法が、十月からスタートを切ったことによって、対象になって、多少救済されるという面もありますけれども、しかし、少くとも私が現地の実態に触れた限りでは、いまの漁業災害補償法の中途はんぱな内容のために、加入が非常に遅々として進まないという問題もあります。これは、前の通常国会で、私たち参議院の農林水産委員会で附帯決議をしたようなこと等が積極的に取り上げられないと、根本的に解決ができない問題でもありますので、それをお尋ねいたしますると非常に時間がかかりますから、これは改めた機会にお尋ねをいたしますが、ただ、さしあたり、この高波被害によって、私が現地で学び得たことを、大臣にはぜひ知っていただきたい。それは、漁業構造改善事業として沖合い養殖保全事業というものをやっているわけです。そうして、これに対しては国が五割、地方庁としては、総事業費の三分の一を出せという農林省の行政指導によって三割三分を出して、八割三分の国・県の負担によって、この沖合い養殖保全事業が、漁業構造改善事業として実施されておるのでありますが、今度の高波被害の実態を見ますと、この保全事業をやった施設のうち、これは大臣も御承知のように、沖合いにコンクリート・ブロックを沈めまして——その立地条件によっては違いますが、一トンないし二トンのブロックを沈めて、それにロープを張って浮きを浮かすのでありますが、その沖合いにだけこの構造改善事業補助対象になれされて、接岸地における同様の必要とする施設は、この構造改善事業の対象になっていない、そこで補助になっていないので、漁民は、この自力でやる分については、土のう等をこれを詰めて沈めるというようなことで、これが今度の高波被害によって、全部収獲皆無の状態におちいっておりますけれども、無理をして沖合いと同じような施設をいたしましたところは、同じ高波被害地であっても、その被害はほとんどないということが、今回の被害によって実際が明らかにされたのであります。もとより、この接岸地におけるその保全事業は対象でないという理屈もあってそうしたことだと思うのでありますが、せっかく、それらの施設がなされることによって高波被害等からも免れたという経過を十分大臣はお考えになって、中途半端なために、あたら大事なこれらの構造改善が大きな痛手を受けた経過もありますから、これから北海道等は、特にこの漁業構造改善の指定地になって実施する段階に立ち向かうわけでありますから、この保全事業を、沖合い施設にとどまらず、それを同様の対象として、接岸部に対してもこれを対象にするということは非常に大事な問題ではないかと思うのでありますが、この点について、そうむずかしい——総体としては片一方だけの施設が約四、五万で済むものでありますから、大臣がその気になれば、これは大臣のお考えでいかようにでも実現できる範囲の問題だと思いますが、高波被害のそういう実態にかんがみて、これを特に大臣としては取り上げていただくように、私はぜひその点を申し上げて、大臣の御見解を伺いたいのであります。
  70. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ただいまお話しの点、なかなか重要であると思います。大体構造改善事業そのものが関連性を持った組織的なものでございますから、沖合いと接岸地帯とが分離されておるような形で構造改善事業が進められているのはどうかと思います。お話しの点もありますので、なお現地等も視察さしましてお話しの方向に沿うように進めたいと、こう考えております。
  71. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 農林大臣、これまた、本会議がございますから、簡単に大臣に一言だけお聞きしたいと思います。  ただいま渡辺委員が申されたように、今月の八日、九日、東北と同じように北海道もかなりの高波の波害をこうむりました。先ほどもちょっと出ましたけれども、その大半が公共施設でございます。金額にして二十億程度です。その次に被害をこうむったものは、漁船等々含めた水産関係でございます。金額で申し上げますれば、ざっと八億程度になっております。等々含めまして、北海道の全体の被害予想額だけ申し上げてみますと、約二十九億程度の損害をこうむっているわけであります。先ほど大臣も答弁したように、私どももこの程度の金額だけ見ますれば、天災融資法あるいは激甚法は適用されないということは承知していますけれども、さてしからば、その法の適用を受けないとするならば、被害を受けた公共土木災害方面公共施設災害は別でございますが、被害を受けた漁民を一体今後再生産に向けてどう立ち直ることができるようにするのかということが、主として水産関係ですから、農林省の方針が私はいまだ明確でないような気がするのですが、ざっと先般新聞等で拝見いたしましたけれども、北海道の場合の漁船が約七百隻ぐらいだと私承知しておりますが、これらはほとんど壊滅になりました。ですから直ちに漁船を心配しなければならぬ、漁具も整備をしなければならぬ、あわせてこれに付帯する設備等々も損壊あるいは流失しておりますから、こういう関係についても整備をしなければならぬ、もとより直ちに金が必要となってきます。そこで政府のほうとしては、何かこの漁船については、遊休船をチャーターして運用するように施策が、新聞等で——これはまあそう考えているかどうか別として、新聞で私は見受けました。一つの策だと私は考えておりますけれども、今日北海道にあります遊休船というのは、大臣も御承知のように、老朽船、老齢に達した漁船ですから遊ばしているわけですね。こうしたものを応急措置として、まあとりあえずは船がなければ漁業ができませんから、考えられる措置でありますけれども、たいへん私はこれまた、これからさらに二月、三月、四月、北海道の場合は五月は季節風の時期でございますから、非常に海は荒天する時期でありますから、こういうときに、こういう老朽船を場当たりしのぎのためにチャーター制で運用させるというようなことは、私は非常に危険を伴うことだと考える。ですから、一つの策ではありますけれども、農林省としては、この際そういう措置のほかに、従前の貸し付け制度等々もございますけれども、こうした関係、あるいは渡辺委員も再三質問しておりましたが、税の関係等々についても、もとより国税庁あるいはその他の関係がありますけれども、農林省はこの際本腰を入れて対策を、応急、恒久含めて立てなければ、こうした被害漁民というものは、私は再生産に向かって立ち上がることはできないのではないか、こう考えますので、大臣の私はこの際ひとつ方針をお聞かせいただきたいと思う。
  72. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) いまお話しの漁船等についての遊休船の雇用というようなことを、本格的に考えているわけではございません。なお、いまお話しのように、老朽船等を使うということにつきましては、相当問題があろうかと思います。本質的には、いまお話しの中にも触れられたようですが、農林公庫資金等を活用して、漁船修理あるいは新造船というようなことで漁業がやっていけるような方法をとる、あるいはまたとりあえずいまの御指摘のように、税の問題等につきましても、水産庁長官から御答弁申し上げたように、あるいは減免される面もありましょう、あるいは延期できる面もあろうと思います。そういう面も、それぞれの相当の方面と折衝いたしまして、立ち上がりがすみやかに、そうして健全にできるような方途を考えていきたいと、こう思っております。
  73. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣から前向きの答弁がありましたから、大臣も本会議が迫っておりますから、けっこうですから。  自後の問題、ですから官房長官にひとつ伺っておきます。  いま漁の問題が問題になっておりますことを申し上げたが、それ以外に漁業協同組合も、御承知のように、年々歳々日本水産業が、遠洋漁業はこれは別でございますが、沿岸漁業は魚族が枯渇をしておりますししていますから、農林省などがこの改善事業などを推進めていることだと思うのです。ですから結果的には非常に漁民の所得が、他の産業と比較をして、きわめて低い水準にされておりますことは、漁業協同組合がその団体でありますから、非常に財政運営上逼迫をして、最近の中小企業がどんどん倒産するように、漁業協同組合におきましてもそういう現象が出ている県がございます。これに対して一体農林省がどう指導したり、あるいは援助をしたりして、再建をはかっていくというような施策を考えているかということを私はこの際聞いておきたいと思うのです。
  74. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 御指摘のように、沿岸漁家の所得はきわめて低位でございます。一時は、零細農家に比較しましてもかなり見劣りがするという状態でございましたが、地域によっても違いますけれども、最近やや所得の状態も改善されてきていることは事実でございます。しかし、まだ依然として低位でございまするし、それを組合員とします漁業協同組合の経営も必ずしも容易ではないというのは御指摘のとおりでございます。これに対しまして、水産庁といたしましては、従来からやや沿岸の漁業協同組合が、一地域について——これは地域の事情によってやむを得ないことも相当ございますけれども、非常に零細で数が多過ぎるという傾向もあったのでございます。そういったことからいたしまして、一面において構造改善事業等を進めますと同時に、漁協の合併あるいは再建という措置をとってまいったのでございます。最近かなり改善してまいりましたけれども、なお一部におきまして、ただいま御指摘のような事情のところがございます。そういった地域に対しましては、さらに従来の施策を一そう徹底いたしますと同時に、必要によりましては融資あるいはその他事業面で、たとえば流通面の対策を講ずるとか、そういうことで一そう強化をはかってまいりたいと考える次第でございます。
  75. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 時間がありませんからあまり長く申しませんが、いまあなたがおっしゃったように、まだまだたいへんございますけれども、漁民の所得は若干伸びていることは私ども承知しています。しかし、北海道の場合、平均いたしまして大体まだそれでも年間所得が二十万にならないです。前は十七万程度ですから、その意味では三万程度伸びたといえば言えるかもしれませんね。ですけれども、長官、この伸びたものがほとんど兼業なんです。いわゆる出かせぎ収入なんです。ですから、本来の漁業収入によってささやかでも伸びたというものではない。ですから、より生活の実態は深刻であると思うのです、この問題は。したがって、漁業協同組合の財政運用面を見ると、それがつまり出かせぎ収入がこの中には入りませんし、漁獲収入が入りませんから、ですからたいへんなことになっている。あなたのほうの指導、確かに合併その他いろんな指導をしていますけれども、それぞれの漁業協同組合は、もう合理化であるとか、あるいは漁業協同組合自体としての改善すべきものは、私ども限度にきているような気がするのです。ですから、やはりこれを再建させるためには、個々の漁民の負債整理ということについても根本的に考えて、これを立て直すためには、農林省として、水産庁として、どういう施策を施したらいいかということは考えておられると思うけれども、私どもの目から見れば非常に緩慢、スローモーションだといわざるを得ない面がございます。もっと積極的に早く、漁業協同組合自体が自力で経営が成り立つような事業を積極面でひとつ指導すべきでないか。たとえば冷凍事業あるいは冷蔵庫事業、あるいは船体修理事業、あるいは共同市場の関係事業等々たくさんあると思います、数え上げてみますればね。こういう点についても、積極面でとらえて助成していくというか、指導という面が欠けているような気がする。こういう点、一体どう考えるか。
  76. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 確かに御指摘のような面がございます。相当な地方では漁協の状態は最近非常に改善されていると私どもは見ております。貯蓄が非常にふえてまいっておりますし、負債が減っている。それから事業面におきましても、特に水揚げの市場関係の収入、そういうものは漁協の財源としてかなりの財源になっている、漁協の経営が相当改善されている向きもございます。しかしながら一面、いま御指摘がありましたようなところもございますので、漁協の事業として適格な事業というのはいろいろ考えられるわけでございますが、市場を経営する収入等も確かに確実な収入源でございます。そのほかに加工施設、冷凍施設とか、そういうものを設けるということもございます。これに対しましては、水産庁といたしましては、まだ予算額としては十分ではございませんが、加工処理施設、たとえば冷蔵庫の設置でありますとか、魚体を−新年度から新しく要求いたしておりますものには魚体の処理施設あるいはかすの製造施設とか、そういったものに対して補助をし、それからさらに新年度におきましては、農協と漁協とがタイアップして、冷凍魚直販と申しますか、流通の合理化をはかりながら漁協から農協へ−農村において冷凍魚を販売するような施設に対しまして補助をするとか、いろいろくふうをいたしております。しかし、なお不十分だと思いますので、今後も十分心がけましてそういった面の強化をはかりたいと考えます。
  77. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これで私終わりますが、その関係地域的に若干の格差がありますけれども、総合的に統一的により積極的に検討を加えて、たとえば貸し付け金の利率の関係とか、貸し付けの限度額、償還期限等々のこともたくさんあるわけです。そういう点も含めて、さらに私は検討を加えまして最善の努力をお願いしておきたいと思うのです。  最後にちょっと、先ほど大臣から答えられた船だまりの関係でございます。御承知のように、日本水産物というのは、日本の食生活にかなり欠いてはならないものだと思っていますから、水産業というものを国の政策としてより大きく取り上げていかなければならぬ問題だと私は思うのです。そういう事柄から、農林省がもろもろの政策、施策を施しておると思いますけれども、やはり漁民なりに考えて、今日この疲弊した状態をどう切り開くかということで、積極的にやはり漁獲の増大をそれぞれ計画してやっています。そういう事柄から、先ほど言った船だまりなどというものが随所に必要になってきて、ただいま補助事業でやっておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、非常に構造的な変化が伴ってきておる。一つには、海流の変化であるとか、あるいは、さっきもちょっと申したが、海区調整等の関係から、どうしても小舟といえどもかなりの沖合い漁労をやらなければならぬ、こういう実態がございまして、必然的に動力船が増大してきておる。漁獲高に比較して非常に大幅に動力船がふえてきておる。ですから、もう、ちゃちな船だまりではとうてい間に合わぬ。あわせて今度のような災害をこうむる場合はもうひとたまりもなくやられますよ、規模が小さいだけに。私は、今度の場合幸い災害を受けておりませんでしたが、道南の檜山沿岸に太田という——これは皆さんの理解を深めるためにあえて地名を申し上げますが、太田という小部落がございます。そこにも船だまりがございますけれども、船だまりなどいうものじゃなくて、子供がどこか海岸で水遊びしているようなちゃちなものがございます。もとより補助事業ですから道庁が管理しておりますけれども、ああしたところなどは、地域上はもとより漁民はとうてい間に合わぬし、それから、一体しけの場合等々はあってなきがごとしで、それがたまたま——地図等でお見せしなければなかなか理解しがたいと思いますけれども、私も現地を見て、ややしろうとだけれども、設計等々こういうふうにしたら、あるいは改良したならばかなり住民の要望、期待に沿うようなことができるのじゃないかというような気さえするところがあるのです。ところが、こういう問題でかりに道庁に尋ねますと、農林省はそうなかなか承知してくれぬ。もとより農林省全体として全国的に財政事情、財源等があるからそうなると思いますけれども、しかし、そういう事柄がややともすると大災害をこうむったり、とうとい人命を失う結果になるのですね。たいへんな私は問題だと思うのです。これからの船だまりの建設等々については、せっかく皆さんのほうは乏しい財源の中から補助するわけですから、施行にあたってはかなり指導性を強めて、いま申したような欠陥のないように私はすべきじゃないかと、こう思うのです。ひとつ、これについての皆さんの従前経験してきた中で、計画をした中でお答えを願いたいと思います。
  78. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) もっともだと思うのでございます。船だまりに限らず相当な漁港につきましても、すでに過去に建設されたものにつきましては、もう機能的に不十分である船だまりが多くなり、あるいは従来の設計では波浪の高さなどについてもあまり十分に考えていなかった、潮の流れなどについての調査も不十分であるというようなことがございますので、最近の資料をできるだけ取り入れた計画によりまして、修築なり改修を進めるようにいたしております。ただ御指摘のように、何ぶんにも要望が非常に多いのに対して予算額が必ずしもそれに即応しないという事情もございまして、なかなか完成がおくれたりするというようなことがございますが、整備計画を一度終わったものにつきましても、場合によっては、機能上さらにその後において必要を生じた場合、それを補足していくというようなこともいたしております。できるだけ御指摘の点は今後の施策にも反映いたすようにいたしたいと思います。
  79. 白木義一郎

    委員長白木義一郎君) ほかに御質疑もないようですから、本件についての質疑は、本日はこの程度にいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会