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政府委員(三治重信君) いま問題になっております点につきまして、
結社の自由
委員会に提訴側から提訴されておりまして、それについてILOの
結社の自由
委員会で、日本の事件について
結論を出しておる
部分を申し
上げますと、いま一番最後に問題になっております。警察、軍隊というものについての、日本で提訴側の場合におきましては、警察、消防、海上保安庁及び監獄の職員に
団結権が与えられてないという申し立てを
検討しました。しかし、こういうものにつきましては、警察及び警察と同視すべき若干の職務と見て本
委員会はこれらの職務に関する申し立てについてはこれ以上
審議する必要はないというふうな
結論を下しておりまして、日本の現行の制度におきますいわゆる警察、消防、海上保安庁、監獄の職長、この
条約によります軍隊及び警察の適用に関する範囲というもので具体的に問題になりましたそのほかの海上保安庁、消防、監獄というものも大体これに準ずるものであって、
国内法令で定めている場合において何らその
結社の禁止についてはよろしいというのが大体
結社の自由
委員会の
結論でございます。
それから先ほどのオープンショップ制の問題でございますが、これは
条約の
審議過程でも問題になりまして、
批准、何と申しますか加入しない権利というものをはっきりこの
条約の中に書くべきではないかというふうな
意見を出した国もあるわけですが、そういうものについては否決されました。しかし、これは積極的な権利だけを規定するものであって、そういう義務的なものをこの
条約で規定しなくてもいい。それは各
関係国の何と申しますか、加盟国の慣行及び規則にゆだねられるべきものだというふうに五九年の報告で規定しております。なお、このILO八十七
号条約のこの点について、ショップ制との問題につきまして
労働大臣が諮問いたしました労働問題懇談会における小
委員会の報告におきまして、この
団結権とショップ制との
関係については、この
条約は、この
条約の
審議経過から見て、直接ショップ制の問題に触れてはいなという答申を得ておりまして、
政府としては、この八十七
号条約は、このILOにおける八十七
号条約の
審議の経過から見て、また、
条約の実際の
解釈からいってもこのショップ制の問題には触れていないというふうに
解釈をしておりまして、オープンショップ制をとるように法で規制しております。これは単に
国家公務員、地方公務員だけでなくして、労働省の
所管しております
公共企業体等の職員につきましても、同じようにオープンショップ制の
法律の規制があるわけでございますから、これを先ほど増原
国務大臣から御
答弁のありましたように、
政府としては従来ともこれは広く競争試験によって行なう、その採用、解雇についてはしっかりした特別の法令による基準でやっておるわけですから、こういう規制が必要であるというたてまえに立っておりまして、この
条項がこの八十七
号条約に抵触するというふうにはこれは考えておらないわけでございます。
なお、法人の
関係につきましては、この法人の登録要件、その他の制限についてはILOの方面においては交渉そのものを制限するために法人の取得に制限を加えるということでなければ、すなわちその法人格の取得がいまの日本の規定のように、ただ財産権というふうな、財産権を取得するために都合がいい、そういう財産権とかその他の
組合のいわゆる物的な権利のために法人格を取得する制度、いうならばそれについての制限、いわゆる法人登録の要件をある程度
国内法によって規制するのはやむを得ない。ただ、法人格を取得する要件を整備することによって、そういう法人でなければ交渉に立てない、交渉する能力を有しないというふうな法人格取得の要件は困る、というのが従来のILOの
結社の自由
委員会の
審議の経過でございます。