運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-25 第48回国会 参議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十五日(木曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     増原 恵吉君      田中 清一君     赤間 文三君      浅井  亨君     白木義一郎君  三月二十五日     辞任         補欠選任      赤間 文三君     田中 清一君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 稲浦 鹿藏君                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 小沢久太郎君                 小山邦太郎君                 村上 春藏君                 森田 タマ君                 田中  一君                 武内 五郎君                 白木義一郎君                 田上 松衞君                 村上 義一君    国務大臣        建 設 大 臣  小山 長規君    政府委員        建設政務次官   白濱 仁吉君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    参考人        住宅金融公庫総        裁        師岡健四郎君        住宅金融公庫理        事        町田  稔君        住宅金融公庫建        設指導部長    木子 清忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣  送付、予備審査)     —————————————   〔理事瀬谷英行委員長席に着く〕
  2. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  昨二十四日、二木謙吾君及び浅井亨君が委員辞任されて、その補欠として増原恵吉君及び白木義一郎君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案審査のため、必要な場合、住宅金融公庫役職員参考人として随時出席を求めることとし、その日時及び人選は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  5. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) それでは、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、本日は、参考人として住宅金融公庫師岡総裁及び町田理事出席しております。
  6. 田中一

    田中一君 前回の委員会要求をしておきました資料が出ておるようでありますから、これについて大体の説明をしていただきたいと思います。
  7. 尚明

    政府委員(尚明君) 先般御要求ありました資料、本日整えまして御提出しておるので、これにつきまして御説明申し上げます。  まず、第一ページ「住宅金融公庫法の一部改正に伴う業務概要」、これは、今回住宅金融公庫法の一部を改正する法律案として御審議願っている改正点の要点を整理して書き上げたものでございます。  まず、貸付種別として賃貸住宅分譲住宅につきまして、今回の法律改正内容は、ここにございますように、「1賃貸住宅分譲住宅とも、貸付対象者個人を加えること。2土地担保貸付対象者借地権者を加えること。」、これを改正したわけでございます。しかしながら、この四十年度にこれを実行するにあたりましては、この右欄に書いてありますように、「個人は、土地担保賃貸住宅建設資金の貸付けの場合に限り、貸付対象者とする。」、すなわち、分譲住宅のほうでは、法律上道を開きましたが、四十年度においては、分譲住宅を経営する個人にも貸すということはいたさないつもりにいたしております。  二番目が、宅地造成学校施設を加えた事項でございます。「新住宅市街地開発事業又はこれに準ずる事業については、宅地造成資金とあわせて、学校施設建設資金の貸付けができることとすること。」、これの四十年度における貸し付け方針は、貸し付け対象者を新住宅市街地開発事業主体にいたすつもりで、これに準ずる事業と申しまするのは、新住宅市街地開発事業として都市計画の決定したものでなく、しかし、規模においてはこれに準ずるものも、法律上は加えたわけでございますが、昭和四十年度は、実態としてもそのような計画があまりございませんし、第一年度でございますので、今回は、この新住宅市街地開発事業に伴うもののみに限定する貸し付け方針に四十年度はいたしております。これの利率及び償還期間は、年七分五厘、五年以内、貸し付け金限度は、学校施設建設費の八〇%、貸し付け対象施設は、学校教育法規定する中学校、小学校の校舎及び屋内運動場にいたしたいと考えております。  それから住宅改良、「増築住宅改修の貸付けを統合して住宅改良の貸付けとすること。」、先般御説明申し上げましたように、増築資金改修資金を一本にいたすわけでありますが、これの貸し付け対象者は、住宅所有者にいたしたいと思います。そうして、かつ、農山漁村に重点を置いてこの貸し付けをいたしたいと思っております。利率償還期間は、年六分、十年以内、貸し付け金限度は、工事費の七〇%、かつ、三十五万円が限度ということにいたしたいと思います。それから貸し付け対象工事は、住宅床面積を増加するための工事住宅居住性を良好にする工事住宅防災上または安全上必要な工事住宅維持修繕のための工事住宅を改築する工事等、全般を申しまして、居住環境の向上に資する工事対象といたしたいと考えております。  次に、公共用住宅を含む中高層耐火建築物等公庫融資賃貸住宅または分譲住宅の足となる中高層耐火建築物等内の店舗事務所等部分融資率を八割に引き上げるということでございますが、この貸し付け対象は、個人及び法人といたしまして、利率及び償還期間は、年七分五厘、十年以内。貸し付け金限度標準建設費の八〇%、ここが改正点のところでございます。そして貸し付け対象建築物は、地方公共団体または公益法人公庫融資賃貸住宅または分譲住宅を含む建築物で、耐火構造地上三階以上、すなわち公共的な住宅として地方公共団体及び御承知の公社、協会等の行ないます公庫融資にかかる賃貸住宅分譲住宅といったものについて、優遇措置を考えるということでまいりたいと思っております。  次に、土地担保中高層耐火建築物等土地所有者等が、全部住宅中高層耐火建築物等建設する場合は、建設費の九九・四五%の貸し付けをすること、これは新たに設けました制度でございますが、貸し付け対象者は、土地所有者または借地権者で、利率は年七分、十年以内、貸し付け金限度は、住宅建設費の九九・四五%、貸し付け対象建築物は、耐火構造地上三階以上で全部が住宅、ここに力点があるわけでございます。  次に、住宅規模等の制限に関することでございますが、個人住宅等床面積が百平方メートル以下、建設費標準建設費の一・二倍以下でなくてはならないということの規定を削除することでございます。これは御説明申し上げますと、現在建設されている住宅規模、規格、建設費等実態や、最近の建材、建築設備建築生産方式等のいろいろな発達の状況等を勘案いたしまして、いまの百平方メートル、一・二倍ということが必ずしも今日としては妥当と考えられませんので、これを法文の上から削除いたしまして、実際的には、適切妥当な内容業務方法書において定めることといたしたいというふうに考えておるわけでございます。  以上が今回の法改正と、それに伴う四十年度貸し付け方針の御説明でございます。  次に「住宅金融公庫貸付事務推移表」というのがございます。これは実は、住宅金融公庫が設立されましたのは昭和二十五年でございます。それ以来いろいろの改善措置等が加えられ、また、貸し付け事業も非常に幅広がってまいりました。また、同じ貸し付け事業の中でも、ときにより内容改正いたしております。その経緯を御説明する表でございます。  まず、個人住宅につきましては、これはずっと引き続いて今日までやっているわけでございますが、開始が二十五年、貸し付け対象が、個人及び住宅組合利率は五分五厘で、現行融資率木造等で八割、耐火及び簡易耐火構造で八五%。しかしながら、ここにカッコしてございますのは、実際は、資金の関係上、これを七五%融資で実行いたしておりますという御説明でございます。それから隣に書いてありますのが、それぞれの償還期間でございます。それから貸し付けを受けることのできる住宅等構造規模は、ここに書いて、ございますように、現行では三十平米以上百平米までと、先ほど御説明したようなことになっております。そしてさらに右欄で、これにつきましてもいろいろの経緯がございまして、たとえば貸し付け金限度は、当初七五%でしたが、二十六年に、法律により若干引き上げられたわけでございます。それから償還期間も、当初は木造が十五年、簡易耐火構造が二十年、耐火が三十年以内となっておりましたけれども、同じく二十六年の法律改正により、先ほど御説明いたしましたような償還期間に若干延ばされておる、こういう経緯を御説明しております。  それから、たとえば貸し付け対象のうち特別貸し付け——抽せんによらない貸し付けがございますが、これはまず二十五年度よりは、火災等災害による罹災者に対するもの、二十八年度からは、土地区画整理その他公共事業のために移転を必要とする者に対する特別貸し付け、さらに三十五年度からは、農林漁業に従事し住生活を改善しようとする者に対するもの、さらに三十八年度よりは、炭鉱離職者移転就職する者に対するもの、それから産炭地域から移住を必要とする中小企業者に対するもの、さらに三十九年度よりは、公営住宅入居者で収入の基準をこえるため移転を必要とする者に対するもの、そういうような諸点に対しまして特別貸し付け制度を開いております。  以上、この表の中で各種目の全部の説明をすると非常に時間がかかりますので、例を個人に引いて説明しましたが、以下賃貸住宅産業労働者住宅分譲住宅宅地造成増築災害復興住宅中高層耐火建築物等、それから宅地防災改修、それぞれの種目が、いま私が個人住宅貸し付けについて申し上げましたように、経緯がそれぞれ御説明してございます。  それから次に、「住宅金融公庫貸付業務実績」というのがございます。これは昭和二十五年設立以来の経過で、左欄に書いてございますのが、各種貸し付け事業種別でございまして、右のほうの上に書いてございますように、年度別に二十五年、二十六年、二十七年、二十八年、ずっと今日までの経過が書いてございます。これが一覧しておわかりになりますように、当初は、個人及び組合住宅賃貸住宅だけで出発し、二十八年に新たに産労住宅が加わり、さらに以下逐次いろいろな種目が加えられてまいりました状況がわかります。この各年度におきます左欄の「事業計画」と申しますのは、当初の予算の際の計画でございまして、「実績」は、これの実際の実績が書いてございます。  なお、若干御説明申し上げますが、住宅金融公庫実績は、貸し付け契約をもってやっておりまして、一年じゅう業務が動いておるものですから、必ずしも、かりに三十年の計画と三十年の実績が直ちに相対応するものではございませんで、前年の二十九年の分の契約がこちらへずれて入ってくるというような状態になって、それぞれの年における実績をつかまえたのがこの数字でございます。おおむね若干ずつずれながら、しかし、総体的には計画とほぼひとしく行なわれておる。ただし増築だけが、事業計画で用意しますよりも実績がかなり減っております。この原因は、増築融資に対して希望が、必ずしも当初予算のときに計画するほど要望がまいりませんで、したがいまして、その分が減っておるのが事実でございます。その他のところは、それほどの差異なく全体の流れができておる次第でございます。  次に、「償還金回収状況」というのがございます。昭和三十九年十二月末日現在で表ができております。で、一番左欄は、これは参考のために書いてあるわけでございまして、貸し付け金の現在高は、たとえば個人では五十九万六千九百四十一件、千六百九十四億四千七百四十六万二千八百三十円、ただいま残高がある、現在高がある。それには参考にあげてあるわけでございまして、たとえば回収予定、これを昭和三十九年の四月から十二月までに予定した回収は、ここに書いてございますように、個人住宅につきましては、五百二十一万九千三百九件、金額にいたしまして、百八十五億六千四百五十三万一千四百一円が、この四月から十二月に回収する予定高になっているわけです。それに対応して、同じ期間の、四月ないし十二月の間にどれだけ回収ができたかと申しますと、それがこの右のBに書いてございまして、五百二十一万三千百七十五件、百八十五億二百九十二万五千百四円回収できまして、予定に対して九九・六七%回収いたしておりますと、こういう読み方をするのがこの表でございます。  なお、この表でごらんになりまして、一つだけ、土地担保賃貸住宅という中ごろの欄のところの回収が七一・一一%と、きわめて低くなっておりますが、これは実は一番下の「注」のところに書いてありますように、この中に、約一億にかかわる分の大口の一時償還を命ずるような事故があったものがございまして、その分が大きく影響しているわけでございまして、これを除けば、九十何%になっているわけでございます。そういう事故のため、この三十九年四月から十二月の土地担保賃貸住宅については、ここで実績が落ちているわけでございます。  さらに、次のページの一の2、「償還金回収状況」、これを一年前の三十八年度末現在のときは、同様な一年間では、予定に対してどうであったかというのが、次の表でございます。さらに、もう一枚あとの表は、三十七年のころはどうであったかという表でございます。これをごらんいただきますのに、特別に大きな事故のない場合は、いずれも九九%、九八%というようにかなりの実績で、回収予定に対し実際回収の成績をあげているわけでございます。  それから次に、「割賦償還金延滞状況推移表というのがございます。これは三十七年から三十九年の間の数字をとったわけでございますが、この調べましたのは昭和三十九年十二月末日現在でございまして、この間における一番上の欄が延滞月数別でございまして、まず一ヵ月から五ヵ月間の延滞をしているものがどれだけあったか。たとえば個人で申しますと、三十七年のときには六千四百三件ございました。それからさらに、三十八年では六千五百五十二件ございました。三十九年十二月末では、つまり現在では五千八百九十一件ございますと、こういうふうに見ていただきます表でございます。さらに右欄はかなり長期の、六ヵ月以上の延滞がどういうふうになっているかということでございまして、たとえば個人住宅については、三十九年十二月末としますと、ただいまは四十九件ございますということでございます。それから一番右の欄は、この両者を合計した数字でございます。  以下、下のほうに向かいましては、各事業種別ごとに、この延滞状況表が出ているわけでございます。個人及び災害復興住宅等にやはり延滞ぎみ数字は多く出ておりまして、そのほかは、それほど延滞数字は大きくは出ておりません。  次の表は「一時償還請求状況推移表」、これは使用目的その他において規定に反するところがあります笹の理由によりまして一時償還を命じた、その請求をいたしました状況推移でございまして、ここに書いてございますのは、回収予定額で書いてあるわけでございますが、たとえば個人住宅で申しますと、三十八年三月末に、件数で二百三十件ございました。三十九年の三月末では、二百二件ございました。三十九年十二月末では、二百四件ございますということでございます。それから、そういう状態で一番右欄で未回収高請求はしたけれども取れていない高がどれだけあるか。これはたとえば個人住宅で申しますと、三十九年十二月末で、百九十四件で三千九百八十五万ほどあるという御説明でございます。以下各種日別に書いてある次第でございます。  さらに一番おしまいの表は、滞貸償却債権、すなわち、これはすでに回収不能におちいりまして滞貸償却として処置したものがどれだけあったかということでございまして、これは各年度、たとえば二十九年度には、五件ございまして四十四万五千円ございましたということでございまして、以下各年度につきまして書いてございまして、二十九年から三十八年で五十一件ございまして六百八十四万三千四百三十円、この分は回収不能ということをあらわしているわけでございます。  以上、提出いたしました表につきまして御説明申し上げました。
  8. 田中一

    田中一君 そこで、いま第一表にある今回の法律改正業務概要のうちで、住宅公団と大体似かよった措置をとっているものがありますが、これに対する条件、それから条件のうち金利、それから年限等相違点をひとつ説明していただきたいと思うんです。それは、たとえば中高層足貸し実態は同じであるけれども、そういう呼び方、呼びかえをしているのでありますから非常に誤解を受けるわけです。建設省はなかなか新語を発明して、同じ実態でありながら、いろんな形で言うから混乱があるので、住宅公団貸し付けまたは建設するものは、こういう名前でこれと同じでございます、大体同じでございます、条件はこれでございますという説明をひとつしていただきたい。
  9. 尚明

    政府委員(尚明君) 住宅公団とほぼ似ている事業が、いわゆる通称げたばきと称するものと、それから学校施設建設についてでございます。まず学校施設について御説明申し上げますと、住宅公団では、これは融資ではございませんが、日本住宅公団が団地内に学校建設いたしまして、これを地元地方公共団体に一定の年限内に譲渡するということをやっているわけでございますが、これを今回のものと、利率等について比較してみますと、まず今回の住宅金融公庫からの融資は、七分五厘で五年以内に事業主体が返すということになっておりますが、住宅公団の分は、これが年六分五厘で三年以内に地元地方公共団体が譲渡を受けるというふうになっておりまして、利率において公庫が不利、年限において公庫が有利というふうになっております。これは実は私どもとしても若干遺憾な点も認めざるを得ませんが、今回公庫に新たに学校施設融資を設けましたのは、宅地造成資金のうちに設けました。したがいまして、宅地造成資金融資条件に合わせたわけでございます。これは将来の問題としては、調整が必要なものと私どもとしては認識をいたしております。
  10. 田中一

    田中一君 公庫の場合には八〇%、それから公団の場合には全額でしょう。
  11. 尚明

    政府委員(尚明君) さようでございます。
  12. 田中一

    田中一君 説明をしてください。
  13. 尚明

    政府委員(尚明君) それから公団の場合は、とりあえず公団全額建設費を用意いたしまして公団でみずから建てるわけでございます。今回の場合は、地方公共団体学校建設費の八〇%を公庫から融資を受け、あとの二〇%はその事業主体頭金として用意して建設するという制度になっております。——失礼いたしました。  それから次に中高層でございますが、たとえば公団が、げたばきとして上に公団賃貸住宅が乗り、下にげた地主さんの店舗等をつくります場合は、公団の例で申しますと、その店舗部分公団が一応全部つくります。そうしておいて、これをやはり七分五厘、十年の間に地主さんにその店舗を譲り渡すということになっております。この点におきましては、公庫と変わりません。ただし、建設費は、いま申しましたように、公団としては一応標準的な公団建設費の一〇〇%、すなわち、公団として一応通常げた部分公団で建てて、それから十年で譲り渡すというやり方をとっております。しかしながら、公団標準費を持っておりますので、その店舗等を特にりっぱにつくり上げるというようなときには、その地主の方が、すなわち、その店舗所有者になる方が、足し前のお金公団に納めてやっているのが実例でございます。公庫の場合は、この点につきまして標準建設費の八〇%をお貸しすることでございます。したがいまして、通常状態をつくりましても、最低二〇%の頭金が要る、さらに、これを先ほど申しましたように仕上げ等をよくするとすれば、それ以上の頭金が要るという点において、条件が異なります。
  14. 田中一

    田中一君 違う違う、だめだよ、尚君、ことばを省略しちゃ。公庫の場合は、標準建設費が大体一坪七万幾らということになっていますね、土地も入って約八万ということになっている。公団の場合違うでしょう、金額が。それが一番肝心だ。
  15. 尚明

    政府委員(尚明君) とっさに比較を命じられましたもので、条項を若干読み落としまして……、別に故意にやったわけではございません。  その標準建設費総額自体が、いま御指摘がごさいましたように、公庫のほうが公団より——このげたの場合、ちょっと私ここに数字を持っておりませんけれども、一、二割、たしか公団のほうがよけいお金を用意してくれる制度になっていたと考えております。
  16. 田中一

    田中一君 だれかわかっていないか、正確な数字を。大体十二万程度だと思ったがな、公団のほうは。
  17. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 委員長から申し上げますけれども大臣予算委員会の都合があるので、もし質疑がありましたら、大臣に対する質疑を済ましていただきたいと思います。
  18. 田中一

    田中一君 こうしてずいぶんうるさいことを聞いておるけれども、こういうことは大臣の頭にすっかり入っていないと質問してもピントがはずれるのです。これは、大臣にわかってもらえるということを前提としていろいろ質問しておるわけです、説明を聞いておるわけですから、それを委員長もひとつ了解してください。——幾らになりますか。
  19. 尚明

    政府委員(尚明君) ちょっと資料が手元に十分ございませんでよくわかりませんですが、実態として、公庫が足に貸す標準建設費より公団のほうが用意するお金のほうが、絶対の金額で、ちょっと資料がなくて申し上げられませんけれども、よいのは事実でございます。  なお、もう一つ条件があったと思いますのは、この足の面積住宅面積の割合で、公庫のほうは一対一まで、公団は、上の賃貸住宅の率が一対一じゃなくて、もっと住宅が多かったと思います。これは階数かなんかによって違ったと思いますが、公団は、たとえば十階建てだと三階まで店舗で四階以上が住宅でなければ、それだけのお金を貸さない、その住宅の乗る数のほうの条件は、公団のほうがきつかったと考えております。
  20. 田中一

    田中一君 これから大臣に伺いますから。まず最初に、このように資金の面から見て、住宅金融公庫は、一般財源から出ておる資金であります。公団のほうは、御承知と思いますが、一般財源から出るものと、民間の資金を吸収して行なっておる事業であるわけであります。そこで、その原資の違い方だけでもって、このように大体同じような対象に対して、融資金利の面から見ても、それから償還の面、それから建設費の面、それからもう一つは、その標準建設費というものと、八 〇%の貸し付け全額の資し付けというような点について、このようなアンバランスがあるわけです。むろん建設の単価が高いということは、よいということに読みかえるというわけにいかないんです。でき上がるものは大体同じです。性格としては、住宅公団建設をして供給をするのだというたてまえをとっておるし、公庫のほうはこれは金貸しです。住宅金融業者——業者と言うとあまりひどいけれども、金融事業をやっておるわけです。そうして公庫の目的というものは、はっきり住宅金融公庫法にあるように、「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅建設に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」、こうはっきり非常に親切に書いてあるわけです。金がない者、金を貸してもらえない者に対して金を貸すんだということになっておるのですが、いま言うとおり、全額でなくして八〇%しか貸さないのだということになりますと、七五%しか貸さないのだということになりますと、金を持たない者の足を引っぱって、家を建てろということに尽きるのですね。国民は原資がどういう形で来ようと一向差しつかえありません。安くて容易に貸してもらえるならいいのです。住宅公団の場合は、おのずから目的は違います。そこで、こういう住宅政策の一つの混乱、信用ない者、金を持ってない者に金を貸してやるのが目的の住宅金融公庫でありながら、住宅公団のほうは対象がちょっと変わっております。もう少し金を持っていそうな者に、高収入唐に、「高」とは言えぬだろうけれども、少なくとも、住宅金融公庫対象よりももう少し上の部分をねらっているものであって、これは全額建ててくれるわけだ。それから今回の法律改正に伴うこの改正案というものに対しては、従来よりも幅広く道が開かれたという点については賛成であります。しかし、足りないという点が非常に遺憾なんです。公団住宅と比較して、いま局長が説明しているように、公団の希望者よりももっと悪い条件で持ち家を持とうという条件に置かれているということは、これは建設大臣、どうお考えになるか。  それから、それがはたして政府の住宅政策というもの、今日あります住宅金融公庫は、始まってから十五年経ております。公団も十年近くもなっております。こういう混乱が、常に、率直にいうと、地価をつり上げているという現状にある。この二つの面について、ひとつ答弁してもらいたい。
  21. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 私も、その事情をつまびらかにいたしませんが、これは、多少想像が入りますけれども、歴史的なものがあるのじゃないかというふうに考えるわけであります。まず、公庫が最初に出発したわけでありますが、そうしますと、いわゆる住宅の入手の困難な、市中金融機関その他からの——住宅の困難な人たちに政府の資金住宅の金融をつけてあげようということから出発したといたしますと、勢い限られた資金でたくさんつくることが望ましいのか、あるいは限られた資金全額貸して戸数は少なくてもいいのかという、おそらくその当時の政策立案者の間には、そういう考え方が出たろうと思うのであります。そしておそらくは、まず戸数が幾らかでも多いほうがいいじゃないかということが一つと、もう一つは、自分で貯蓄なり、あるいは手元資金である程度持ってもらいたいという政策立案者の考え方が出て、こういうことになったのじゃないかと思うのですが、公団の場合のいまの中高層は、集団住宅地帯内に必要とする——おそらく、これは店舗でありますけれども、その店舗が必要であるのだが、それをほおっておけば、個人なり、そういうのはなかなかっくれない。また、つくっても非常に乱雑につくるだろう。だから、これは公団資金でつくってやったほうがいいということで、おそらく、政策立案者の考え方があってこうなったのであろうと思います。しかしそれが、それじゃ、現在において妥当であるかどうかという評価になりますと、これは必ずしも妥当だとは考えませんが八〇%を一〇〇%にするためには、やはり相当な資金の増額が必要になってきます。そこでやはりさっき申し上げたような矛盾にぶつかって、現在でもこの程度でやむを得ないのじゃないだろうかということで、とどめておるのじゃないかというふうに思いまするし、私も、現状は、このようなアンバランスはある程度やむを得ないのじゃないかという感じを持たざるを得ないのであります。
  22. 田中一

    田中一君 大臣、一体あなた何年大臣をやっています。いま大臣やっているなら、もう少し政治家としてのほんとうの信念でおっしゃい。いままで歴史的な住宅政策というものは、今日、戦後二十カ年、しいていえば十五年済んできた。しかし、政治家として、これがやむを得ぬというような考え方はあるはずがないと思うのですよ。これを実際、あなた自身のことは——何も官僚なんかに聞く必要ないですよ。役人なんかに聞く必要ないですよ。行政官は行政官で忠実に法を執行すればいいんであって、少なくともこのような、足貸し中高層とは、全く同じものなんです。対象が同じなんです。ことさらに、なぜそういう差をつけるかということが問題なんですよ。なるほど、住宅公団が宅地を開発し団地をつくるという形のものは、住宅金融公庫ではできません。住宅金融公庫は、出発当時から個人貸し付けですね。私どもはこの法律に最初から関与している時分には、土地は持っているが、金がなくて家ができないというものを中心に考えておったのです。戦災で燃えて家がない。土地は何とかもとの土地があるけれども、家を建てる資金がないという場合に、個人対象に貸したわけですよ。住宅公団はそうじゃない。主として賃貸を中心にした団地形成から出発しているわけです。それが互いに互いの業務の分野を整理しながら、広げながら、結局中高層足貸しというものの、このあらわれた現象というものは同じものなんです。ただ問題は、さっきから申し上げているように、住宅金融公庫公団の原資の相違です。したがって、住宅金融公庫金利が安いのは当然です。国家資金ならば金利がありません。しかし、民間資金を吸収しているところの公団では、どうしても原資が足らないから、金利があるから、どうしても高くならざるを得ない。私は、これは建設大臣という行政の長という立場でなく、政治家小山長規としてこれを見た場合に、このような姿がやむを得ぬという考え方だと問題があると思うのです。同じ対象ですよ。いたずらに窓口を二つ持ったところに間違いがあるのであって、一つにしても一向差しつかえないのです。これはひとつ、こういう同じ対象に対して、万やむを得ないじゃ、ないかという考えでなくて、これが何とか双方の——これは対象が違うなら別ですよ、同じものなんです。都市の再開発というものを中心にして低層の建築ができると、これにいかぬ。また、防災建築街区というような思想も別にできております。何とかして都市の不燃化ということも考えながら、片方が中高層、片方はげたばき足貸しと、足貸し中高層という制度でもって、同じ対象に異なりた条件でもって二つの窓口から出すというところに、これやむを得ぬじゃないかという考えでなくて、将来どちらが国民のためにほんとうに役立つかということを考えながら調整をする必要があるのではないかと私は考えております。この予算の審議等、法案の審議について、とやこう言うのでなくて、住宅政策の根本を握っているあなたとして考えるべきものじゃないかということを指摘しているわけなんですから、やむを得ないのじゃないかという考え方は暴論です。
  23. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) いま私はやむを得ないじゃないだろうかと考えましたのは、公団の場合には、そこに住宅があると同時に、住宅をまかなうためのいろいろな店舗、そういうものをつくる必要がある。しかも、それは店舗ばかりつくったのではむだであるから、その上に住宅も乗っているはずでありますが、そうしますと、それを八〇%ということは、おそらく実際問題として不可能なのではなかろうか。だから、一〇〇%ということになるのだろうと思います。それは今度は住宅公庫のほうを合わせるということになって、住宅公庫のほうも一〇〇%ということになりますと、ほかのそれじゃ一般の個人住宅とのバランスはどうなるか、こういうことになると思います。ですから、そこのところが、要するに個人住宅におきましてもそうでありますが、自分である程度のものを用意して、そうして足りないところを借りるというのがこの制度なんですから、一般の普通の金融の常識からいいまして、一〇〇%金を貸すということは、まずないわけですね。たいてい一般の金融機関では六〇だか七〇しか貸さないわけですから、八〇貸した上に、しかも年限を長くして、利率を安くしよう、こういうのでありますから、公庫住宅のためには、金を、貸すということになると、一〇〇%ということは、おそらく貸し付け制度としてはおかしいのじゃないかと思うのです。
  24. 田中一

    田中一君 さっきあなたが読み上げたうちの五項目目に、土地担保中高層耐火建築物というものが出ております。融資がこれは九九%四五貸し付ける、約一〇〇%貸そう、九九%四五貸そうということになっておるのです。そうなっておるのですよ。したがって八〇%、民間には七五%貸し付けるのだと、これにはやっぱり一〇〇%近いものを貸そうとしておるのですよ。
  25. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 土地が入っておる。
  26. 田中一

    田中一君 土地なんか入っておりません。土地は担保にすぎません。個人に七五%——建てるときにはその土地を担保に取っておりますよ。
  27. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) その土地を、計算の基礎にはいろいろあります。
  28. 田中一

    田中一君 それは計算の基礎はいろいろある。しかし、住宅金融公庫貸し付けの計算というものは、時価二百万するところだって五十万か六十万、最高。一坪当たりにすれば四、五万しか見ていない。結論において、九九・四五見ておるのであって、実際には八〇%しか見ていない。
  29. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  30. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 速記つけて。
  31. 田中一

    田中一君 この四つ目の公共用住宅を含む中高居耐火建築物、これは公共用住宅というものは、対象はこれでございますと、備考欄、貸し付け方針のほうに響いてありますけれども、公営住宅公共用住宅ですか、でありませんか。
  32. 尚明

    政府委員(尚明君) 公営住宅も公共住宅でございます。が、公営住宅のほうは、その建設をいたしますときに、用地費の補助もつけてございますので、公営住宅を乗せます場合には、下の足の部分につきまして乗せてもらうために、ある程度の費用を公営住宅のほうが土地の補助金をもってある程度負担するというような建設のしかたもございまして、げた建設を公営住宅の用地費等をもってある程度推進することができるということもございますので、今回公営住宅はこの部分から除いて、四十年度貸し付けとしてこれは対象としないでもよかろうという考えにいたしたわけでございます。
  33. 田中一

    田中一君 聞いていないことまでしゃべっている。聞いていないことまでも答弁している。私は、公営住宅公共用住宅ですかと開いているにすぎないんですよ。余分な答弁をするから、じゃ、その答弁に食いついて質問しますがね。公営住宅には用地費等も補助しているということを説明したわけですね。大体中高層の場合、民間の土地を持っている人たちかただで上を提供しましょうという者はない。やはり土地代に相応するものを払ってくださいよということにならなければ、乗っけてくださいという者はいないわけなんですよ。いま住宅局長の説明は、ただで乗っけさせてくれる人がいるというような前提に立っているらしいけれども、そんなことはナンセンスで、実態を知らな過ぎる。そのことはよく考えてください。そんな答弁ではだめだ。  それから、これは必然乗せることが正しいのですよ。新しく宅地造成をするよりも、民間で一定の利潤というか、報酬が取れるならば、自分の力ではとてもできないから、これは乗っけさせましょうということになることが、宅地難を緩和する一つの方法なんです。こんなことは言わないでもわかっているはずだ。そこで、なぜそれが除外されたかということです。これはいま住宅局長はそういう答弁をしているけれども、これは担当の主計官——大蔵省のどことどこがそういう食い違いがあったか、その二人を呼んでいただきたいんです。私が仄聞するところでは、これを何か稟議というか、歩み寄りをしたときに、大蔵省のほうで意見が二つに分かれたと、そのために今回はこれを来年度に持ち越したと、来年度は何とかひとつこういったものを乗せるような方法をとりましょうということを話し合ったということを聞いているんです。その係官を二人呼んでください。意見の食い違っている人を呼んでください、すぐ。——それでは、いま私が言っていることは、そのような経緯があったのですか。住宅局長。
  34. 尚明

    政府委員(尚明君) 大成省の省内で意見が食い違ったのではございませんで、大蔵省と私どもが協議する段階におきまして、公営住宅は補助事業として一方で行なりて、用地費まで補助しているのであるから、そのげた部分土地と同様の役割をするものである、かつ、公営住宅建設するときには、下部の建設についても、一体として建設する場合に、ある程度負担もしているわけですから、さらに融資と重なる点に疑義があるということでございまして、融資のほうの担当の方がその疑義があるということで、私のほうも、その点についてはやはり十分解明し切れない問題が若干残っておりますので、今回公営住宅は問題がある、したがいまして、今後、公営住宅を乗せるときには、たとえばこういうふうな条件にすれば乗せることが合理的に財政上の問題からも筋が立つというような検討をして折衝するというつもりにいたした次第でございます。
  35. 田中一

    田中一君 担当官はだれですか。
  36. 尚明

    政府委員(尚明君) 理財局資金課でございます。なお、この問題は、ちょっと私申し忘れましたが、公営住宅のほうでも従来どおりの七五%融資は受けられる、この五%引き上げるかどうかという問題について議論したわけなんでございます。だから、在来方式の公営住宅の主体に七五%つくという問題は、まあ在来どおりに行なわれるわけであります。
  37. 田中一

    田中一君 その理財局資金課長、呼んでください。  これはね、尚君、おかしな話じゃないか、君。そういうことによって宅地取得がのがれられるのでしょう。新しい宅地を造成しないでも済むわけでしょう。取得しないでも済むわけでしょう。そうしてそれには、さっき言っているように、ただで乗せてくれる人はいませんよ。一応の乗せるという地代的なものなり、あるいは一時金的なものなりをもらって空間を提供しましょうということになるのですよ、こんなことはもう。そんなことが資金課長に解明できないという、説得できないということがおかしいのであって、私はそういうことをどしどし積極的に開発することが本筋だと思うのです。これは建設省住宅局長としての考え方はどうですか。
  38. 尚明

    政府委員(尚明君) やはり公営住宅では、土地ともの補助事業として補助金を出しておりますので、したがいまして、下の建設費について若干の共同的な援助ができるわけでございます。したがいまして、下の建設をする場合に若干安上がりに、つまり上の公営住宅のほうから若干の資金援助がつきまして安上がりにある程度できるわけでございますので、まあそこには在来の方式の融資の七五%で足りるのではないかというふうに考えております。
  39. 田中一

    田中一君 国民はね、より多く融資を望んでいるのですよ。法律はあなたがつくるのじゃないのです。私どもがつくっていくのです。そんな配分なんてものは、一応予算の編成権はあるかもしれぬけれども、どこにどれだけ配分しようということは、われわれがきめるのですよ。住宅行政をつかさどっているあなた方に、よりよく国民のしあわせのためにこうするのだという意思がなければだめですよ。
  40. 尚明

    政府委員(尚明君) おっしゃるとおりでございまして、普通の場合よりも公営住宅が一そう建ちやすくなるという意味においては、公営住宅げたにつきましても、七五%がこの際八〇%にあわせてなることが望ましいことでございます。ただ、均衡論として、今回がまんしてくれという問題として話されますと、まあ一応もう少し解明してからの問題にしようということでございまして、方向としては、先生のおっしゃるように、公営住宅等はできるだけ乗せやすくするというのは、私どもの努力すべき問題だと思います。
  41. 田中一

    田中一君 そういう答弁をしてくださいよ。そこで、どのくらいの地代相当分というか、一時金にしても、あるいは権利金にしても、支払ったならば、かりにそれは可能だという、できるという前提に立ってこれは検討したことがありますか。これは理財局とか住宅局じゃないのですよ。どういう形でいったならば、国民の奉仕に対する報酬が、正しい報酬が得られるかという検討をしてもらいたいわけなんです。一つの権利といわれておる自分の空間を公共用住宅のために提供して、それが全部奉仕であり犠牲であるということはあり得ないので、どのくらいの地代なりどのくらいの一時金なりを払うならば、それが公営住宅のほうの宅地造成を含む、宅地取得を含む公営住宅建設費と、それから空間の宅地を提供する国民との、相互の正しい計算は検討したことはありますか。——どうもないらしいから、それじゃ、それをこの次の委員会までに検討してみてください。このくらいの一時金と、このくらいの地代を払うならばこれは可能だということが出ると思うのです。公営住宅自身にしても、標準建設費と、それに対して補助であり——補助といっても、それが全額補助ならもっといいけれども、そうじゃない。とてもとても、地方公共団体というものには、公営住宅というものに対する負担は大きなものなんです。それにプラス宅地というものがくっついてくるわけなんですからね。それと、国民にどのくらい還元したならば乗せられ得るかという点をひとつ検討して、次の委員会までに出してください。
  42. 尚明

    政府委員(尚明君) いま手元に資料はございませんけれども住宅公団が、施設つき住宅、いわゆるげたばき住宅をつくる場合に、権利金について勉強いたした事例がございます。いま手元に資料がないので、その結果を次の機会に御説明申し上げたいと思います。権利金を払うのと、それから建設費貸し付けるのと、両方の相関の関係については、勉強が必要なんだろうと考えております。
  43. 田中一

    田中一君 方向としては、やはり公営住宅であろうと、住宅金融公庫のこうした集団的な住宅建設であろうと、公団住宅であろうと、それがミックスされて宅地に要求する住宅なんで、住宅要求する側の便益のために適地にどんどん建てるという方針が望ましいのであって、これに対して、住宅金融公庫の総裁は、どういう考えを持っています。
  44. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 今回の法改正が、いわゆる宅地造成、新規開発ともに、その市街地の高度利用という観点から出発したものと承知しておるわけでございますが、そういう趣旨のもとに考えますると、できるだけ、こういうような公共住宅が市街地の店舗、つまり、さら地の上に乗ればけっこうですし、これは店舗の上にそういうものが乗って、そのためにはできるだけの援助をしていくということは必要と考えます。
  45. 田中一

    田中一君 いま資金課長がほかの委員会に出ているといいますけれども、次回の委員会に来てもらうから、きょうはいいと言ってください。  そこで、地方公共団体が、自分の持っておる土地、これに住宅金融公庫から資金の融通を受けて、団地的な庶民住宅賃貸住宅をつくろうという場合、これはいまの現行法では、どういう形で、どういうケースがあるかないかということをひとつ総裁に伺っておきます。ということは、近々提案されるという住宅供給公社、現在の公社、協会等を通じて、住宅金融公庫資金を流しておりますね。これらが都心部においても、どこでも再開発的な役割りを果たしております。そうすると、これはむろん特別な扱いをしておるわけじゃなくて、個人で借りても同じようなものを代行している姿でやっておりますけれども、地方都市が自分の持っている土地、たとえば電車の車庫を持っている、車庫の上部が全部あき家になっているから、これは一階は車庫として使っても、上のほうは、八階なり十階なりの庶民住宅をつくって賃貸をしようと、その資金は流し得る余地が現在ありますか。
  46. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) もちろんお貸しできることになっております。
  47. 田中一

    田中一君 その場合には、今回の法律改正によって、一番有利な方法としてはどれをとったらいいんですか。というのは、たとえば七分五厘の十年以内じゃとても公共団体はできません、家賃収入しかないわけですからね。そうすると、三十五年なり五十年なりという現在やっております制度に乗っけていくことはできるわけですか。
  48. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) もちろんできます。
  49. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫中高層個人対象の特別融資という形の中で、その上に住宅公団住宅を乗せることは可能ですか。
  50. 尚明

    政府委員(尚明君) 公団住宅を乗せて、下のげた公庫から融資を受けるというようなことは、制度上は可能と思いますけれども、実際問題としては、公団のほうにげたをつくる資金があるわけでございますので、実は私どもは、そういう公団のものと公庫がかみ合うということは、実際問題ではないのではないかという認識の上に立ちまして貸し付け方針等をきめているわけでございます。
  51. 田中一

    田中一君 そうすると、もう少しあれはいけない、これはいけないということを書かなければ、貸し付け方針で、だれの持っている土地の上に建っても一向差しつかえないわけなんです。住宅金融公庫が関係しているものは、住宅公団は関与しちゃいけないということは、どこかにあるのですか。業務方針にありますか、法律にありますか、何にもないと思うのだ、そういうことは。その点はどうなんです。
  52. 尚明

    政府委員(尚明君) 御本人が、もし土地を持っている方が、どうしても二つをかみ合わしてやりたいということになれば、一応私のほうが、そういうことは事務上も御不便でしょうからということで協議はしますけれども、どうしてもやるといえば、制度の上からは否定できないと思います。
  53. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫の総裁に、個人貸し付けが、いまでも土地の取得費は要らない上乗りの住宅部分だけの融資をお願いしますといった場合に、担保は住宅部分だけの担保でなくして、所有する土地までも担保として登記させるというような傾向が、いままでずっとあったわけですけれども、その点はいまでも変わりないですか。
  54. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 従来そういうふうにいたしております。
  55. 田中一

    田中一君 今回の賃貸住宅または分譲住宅、それに特別に土地担保つき賃貸住宅云々ということになっているけれども、初めから個人だろうが何だろうが、住宅のほかに土地も担保に取っているんでしょう。この場合には、分譲するという、あるいは賃貸をするという持ち家というか、自分の住む持ち家でないというところに、いままでは土地担保を取らなかったというケースがあるのですか。特別に土地担保ということをいっていますけれども、この賃貸住宅分譲住宅に対しては。
  56. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 金額の少ないものについては、取らない場合もございます。土地金額等が少ない場合には取らない場合もございます。
  57. 田中一

    田中一君 私は、担保の取り方が、町の高利貸しと同じような過酷なものだと感じておるのですよ。担保を抹消するというのは、土地も含めて全部割賦金を完済した後に担保は消滅するわけでしょう。そうすると、割賦金というものが年々軽減されていくのです。やはり半分なら半分割賦金が償還されたならば、土地だけを担保力をはずすなんということは、普通の金融業者ならやるのですよ、善良な金融業者ならば。国家の関係機関であるところの住宅金融公庫が、いつまでもそうしたオーバーな担保力を要求するなんいとうことは、これは庶民のためにじゃないですよ。おそらくあなた方は、その担保の保証の額が軽減されているから第二番の担保を取ればいいじゃありませんか、ということをきっと言うに違いない。それでも金は借りられますよという観念ですよ。しかし、担保というものは、どういう隠れた借金があるかもわからぬから、これはそれを金融化しようという場合には、なかなか困難なのです。そこで、オーバーな取り方をしたのではいけないと思うのですよ。半額割賦金が返済された場合には、あと土地なら土地をはずすとかということを考えられませんか。また、その前に、大体、融資をもって住宅ができたといえば、住宅だけを担保にしたって一向差しつかえないと思う。それを土地までも担保にしなかったら貸しませんよ、ということは、これは政府関係機関の住宅金融事業としては、これはオーバー、過酷です。私は昨年ソビエトへ行ってきたのですが、ソビエトの最近の持ち家政策というやつは、全部担保もくそもありはしません。一定の金があれば、あとは無利子で金を貸してやる。それが御承知のように、ブロックの集団的な住宅なんですから、それが無利子で金を借りて建てている。担保もくそもありはしません。そういう点でも何の利益もないじゃありませんか。先ほども住宅局長が説明したように、償還率が非常によろしい。オーバーした担保を取っているからいいのか、あるいはそうでなくても、善良な者に貸しているから償還率がいいのか、これはわからぬけれども、少なくとも余分な負担と余分な保証を国民にしいるなんということは、国の関係機関としてはおかしなものなんですよ力住宅金融公庫として、これらを軽減するという措置をとろうとする意欲があるかどうか聞いておきます。
  58. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) ただいまお話しにありましたように、土地と建物を一体として担保に入れるということは、公庫の創立以来やっておるわけでございますが、これはやはりいまお話しに出たわけでございますが、別々にしておりますと、やはりいざ債権を実行するというときに、かなりトラブルが起こる。また、土地が別のためにトラブル起こした事例もございます。そういう意味で申しますると、やはり国家の大切な資金をお貸ししているという立場から申しますと、債権保全の完全を期するためには、この土地、建物を一体としてお願いする、こういう方針で在来やってきておるわけでございます。しかし、それを強行する必要もない。たとえば少額の貸し付け、あるいは災害の場合、こういう場合には、やはり担保を取らないでよろしいという措置も講じておるわけでございます。
  59. 田中一

    田中一君 少なくとも地上権の設定というものはわかりますが、土地、建物を担保にするということ、そして、もう百万かけたから、あと十万円しか残っておらぬというのに、まだそれを縛りつけておるという考え方——私は、いま総裁からこういう答弁を聞くと、それは居住者の利益をはかるために土地をかりに担保にして金融化して、よそに取られても家だけはりっぱに残るということのために、また、貸し付け金償還の保証のためにも、居住者のためにも、その方法をとるのだという答弁なら、まあまあ半分ぐらい及第でありますけれども、ただ単にトラブルを未然に防ぐためにオーバーな担保を要求するなんていうことはおかしい。これは高利貸しですよ。高利貸しの行き方ですよ。
  60. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) オーバーな担保を取るというような意思はございません。ただ、先ほど申し上げましたようないろいろな事態に備えまして、いわば安全をとっているということで、おしかりを受ける点もございます。今後におきまして、そういう非常に債権額が少なくなってきたというような場合の担保に関する問題、こういうものはひとつ前向きで検討してみたいと思っております。
  61. 田中一

    田中一君 それから同じく個人の場合ですね、金の都合ができたから一括してあとの残金を払いたいという場合には、受け入れることができるのですね。
  62. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) それはできます。
  63. 田中一

    田中一君 その場合の金利の計算はどうなりますか。私はあまり金利のことは詳しくないのですが、これは何といいますか、漸減じゃなくて一律な割賦償還でしたね、たしか住宅金融公庫は。
  64. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 償還につきましては、元金均等と元利均等と両方ございます。元利均等の場合の一時償還におきますると、計算のし直しでかなり手間がかかりますけれども、それは一応やっているわけでございます。
  65. 田中一

    田中一君 そうすると、こまかい金利の計算をして余分な剰余金は取りません、剰余金——どう言うのだろう、俗に言うと、もうけは取りません、ということなんだな。
  66. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 公庫貸し付け金に対する金利は、もちろん残高に対して取るわけでございますが、あらかじめ余分に取っておるというようなことはございません。したがって、返すというようなこともございません。
  67. 田中一

    田中一君 その場合の解約手数料、取りますか。
  68. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 取っておりません。
  69. 田中一

    田中一君 私は、この資料に出ている償還率が非常にいいということについては、どっちが出ても文句を言いたいと思っている。いつもぼくは言うんだけれども、これはひとつ政務次官答弁してください。さっきも言われたように、住宅金融公庫法の精神というものは、自分で金を借りようとしても銀行等が貸してくれない人に貸す。それがこうして償還率が非常にいいわけです。そうすると、金を持っている者に貸したに違いないということになる。私はもっと赤字をつくれと言うんです。説明の最後のほうにあったように、滞納というのは、こげついたものが多いほど、法律にあるように、それを国が補てんする、補てんしたいです。そこで、この行き方と、また、これがあまりこげついていると、政治家なんかがどっかで頼まれて特別な融資をして払わぬでもいいという不良貸し付けをしたり、また、ここで文句が言いたいんですが、そこでどうです、貸すためには、償還ということが前提となって金貸すのですから、それは間違いありませんけれども、こんなにいい償還率でくるということは、これはいい傾向と思いますか、悪い傾向と思いますか。
  70. 白濱仁吉

    政府委員(白濱仁吉君) どういうふうにお答えすればおほめにあずかるのかわかりませんが、私はいい傾向ではないかと実は考えておるわけであります。これはもう私から申し上げるまでもなく、田中委員が十分御承知のとおりでございますが、できるだけ苦しい財政の中からやりくりをして、そうしてなるたけ一般庶民に幾らかでもお手伝いをして住宅をつくろうといたしておるわけでございます。いろいろ長い間御指摘を受けました金利の問題その他にしても、できるだけ引き下げたいというふうなことでありますれば、これはもう償還の面がスムーズにいって、同時に、建設戸数を伸ばしていきたいというふうなことであるわけであります。その点では、私は喜ばしいことではないかというふうに考えておるわけであります。
  71. 田中一

    田中一君 これは、どっち見ても私の願いは家をたくさんつくってくれ、そうして償還が早くなればそれは……。国に返す金は、どのくらいになっていますか。返した額はこれは出ておりませんね、数字は。いままで公庫が国に返した金、出ておりますか。わかるなら年度別で言ってください。
  72. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) いまちょっと手元に資料がございませんので、ざっとした数字でございますが、大体公庫は、創立以来五千八百億くらい貸し付けておると思います。それに対しまして、残高三千二百億になっておりますから、その残額がつまり償還があって預金部へお返ししている、また若干は再投資に回っている、こういうことに相なっております。預金部へ幾ら返しましたか、いまちょっと資料がございません。
  73. 田中一

    田中一君 それはひとつ出してください。そうして預金部へ返した額と新しく予算に組み込んだ額とは、それがほんとうにどういう率になっているか知りたいと思うんですよ。これは償還金を返すということは、法律にありましたかな。何年度にどういう償還幾らということは、法律にはないですね。
  74. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 公庫から貸したものにつきましては、先ほど申しました償還年限がございます。預金部から借りたものにつきましては、現在においては二十三年の年限で借りているわけでございます。
  75. 田中一

    田中一君 預金部が二十三年で、一般財政の分は。
  76. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 一般財政の分は返すという問題がございません。公庫のいわば資本金になるわけでございます。
  77. 田中一

    田中一君 それはどのくらいになりますか。
  78. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 本年度の分は九百九十五億になっていると思います。
  79. 田中一

    田中一君 預金部の金は。
  80. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 資金運用部の簡保資金を借りているわけでございます。その内訳はちょっとわかりませんが、公庫の借り入れ金はその二つでございます。その総額は、累計にしまして四千四百二十五億円でございます。それからついでに申し上げますれば、回収金の累計は千九百十八億余りでございます。
  81. 田中一

    田中一君 これは預金部に返した金ですか。
  82. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) この回収金のうち一部が預金部に返ります。それからその残が、先ほど申しましたように、再投資されるわけでございます。
  83. 田中一

    田中一君 この回収金は、一部というのはどれくらい、二十三年を経過したものを返すということですか。
  84. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 当初の借り入れの分は、二十三年でなかったものもございますので、現在返しているものが出ているわけでございます。
  85. 田中一

    田中一君 従来のものはどういう償還年限ですか。
  86. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) ちょっと手元に資料がございませんので後ほど申し上げます。
  87. 田中一

    田中一君 きょうは、この程度にしておきます。
  88. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) いまの点申し上げます。最初は十八年だったのが二十三年になっております。その分は毎年二期かに分けて返しているわけでございます。
  89. 田上松衞

    ○田上松衞君 局長にちょっとお伺いするのですが、さっき一応の説明はあったわけですけれども償還金の回収状況の中で、土地担保貸し付けが七一・一一であります。このことは、一時償還請求にかかる大口貸し付け債権を含む、こういうふうに説明を加えてあるわけです。さっきのお話の中で一億ぐらいの大口があったので、そこに何か事故があったというようなことだったですが、その内容をこまかに知らしていただきたいと思うのです。
  90. 尚明

    政府委員(尚明君) いまこれにつきましての概要の書類がございますので、お手元にお届けいたします。ごく簡単にかいつまんで申し上げますと、貸し付け金にいたしまして一億五百二十六万円でございまして、貸し付け残額で九千二百二十四万二千七百八十円、四十年一月三十日現在に貸し付け現高があったわけでございますが、この貸し付け対象建設である真興ビルという名古屋の会社が財政的にぐあい悪くなりまして、債権者等との間にトラブルが起きたわけでございます。したがいまして、公庫は、そのトラブルの事前に、三十九印七月に、この事故の発生のときに、かかることがあってはならないというので一時償還請求いたしたわけでございます。しかしその後、この会社の中で債権者と会社との間に和解ができまして、この問題は、一応その事故は近く解消するわけでございまして、したがいまして、そういたしますと、再び平常に復した場合には、また従来どおり償還を始めるということになるのではないかと思います。この事故がわりあいに大きく、約一億ございましたために、御指摘のように、三十九年度土地担保住宅回収率が七一%に下がった次第でございます。
  91. 田上松衞

    ○田上松衞君 いまいただいたこの資料の中で大体経過はわかるわけですが、この資料の最後に、「ただし、真野側が三月三十一日までに金員を提供しない場合は、和解が確定しないので、目下履行を注視しておる。」、こう結んでおるのですが、この見通しについてお伺いしたい。
  92. 尚明

    政府委員(尚明君) 参考人から答えさせます。
  93. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) お手元に配りました資料にありますように、和解が成立しておりますので、ここにありますように、この事業者側が、それは真野というのですが、相手方に大体七百五十万円払えば問題は解決するということになっております。
  94. 田上松衞

    ○田上松衞君 質問の要点にはずれておる。ただし書きのところの見通しですよ。
  95. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 失礼いたしました。  先日名古屋の支所長が参りましたのでよく聞きましたところ、大体においてこれはこのとおり実行されるであろう、かように申しております。
  96. 田上松衞

    ○田上松衞君 万一これが履行されないという場合、結局は和解が確定しないということになってしまうわけなんですが、その場合にはどういう措置をされますか。
  97. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 現在この真興ビルに対しましては、一時償還請求をしておるわけでございます。したがいまして、その部分が先ほどの回収割合に影響してきたわけでございますが、和解が成立しないということになれば、現在の一時償還請求によって自後の処置を進めてまいる、こういうことに相なります。
  98. 田上松衞

    ○田上松衞君 業務概要、この種別の五のところ、「土地担保中高層耐火建築物等」、この中の方針ですね。最後の「貸付対象建築物」「耐火構造地上三階以上で全部住宅」、この場合、土地面積限度はないのですか。
  99. 尚明

    政府委員(尚明君) これは、いわゆる鉄筋コンクリート・アパートを建設するわけでございますので、ある程度の広さの敷地がどうしても必要になりまして、在来の例からいいますと、百坪くらいから上のものを対象として利用しておる次第でございます。
  100. 田上松衞

    ○田上松衞君 百坪くらいというとちょっと……、たとえば市街地の中で……。
  101. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 中高層貸し付けにつきましては、在来三百平米以上のものに貸しておったわけでございます。したがいまして、いわば土地につきましては、三十坪以上のものについて貸す、こういうことに相なっておったわけでございます。しかしながら、あまりに小さい土地にいわばろうそく立てのような建物が建つことはよくない、こういう見地に立ちまして、四十年度からは、大体八百平米くらいの建物が建つようにいたしたい、かように考えております。そういたしますと、三階で申しますれば、大体土地は八十坪から百坪くらい、それ以下のものは例外の場合にだけ認めていきたい、かような貸し付けの考え方をとりたいと思っております。
  102. 田上松衞

    ○田上松衞君 建蔽率が非常にこれで違ってくるわけですね、場所によって。そうすると、この条件にかなうような耐火構造で三階以上の場合、最低——しかも建蔽率の非常に強いところ、最低どのくらい必要ということになるんでしょう。
  103. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 五〇%の場合で、大体のことでございますが、ただいま申しましたように、八十坪くらいじゃないか、これは建てる建物の大きさの問題がございます。し先ほどから申しますように、在来は三百平米以上の建物に貸しておったわけでございます。それを少し引き上げたいということで、現在八百平米くらいにいたしたい、かように考えておりますので、ただいま先生の御指摘のとおり、建蔽率によってその関係はだいぶ違ってきますが、いまの五〇%の場合で申しますれば、大体八百平米の場合に、八十坪から百坪くらいのものでいいじゃないか、かように考えております。
  104. 田上松衞

    ○田上松衞君 理屈ではわかるのですけれども、現実と少し食い違う点があるのですよ。たとえば神奈川県ですけれども、神奈川県の住宅公社でやっておるのは、七十坪で四階建てを建てておるのですよ。それからすると、ちょっと土地所有者の場合からいうと、これがきついような気がするから申し上げているわけですが、何かいま特殊な場合、ただし、いまのその例は、はんとうの市街地、防火地区なんですよ。そういう点を勘案しつつ、そういう場所であってそれで最低のもの、結局三階建てという場合ですね、幾坪か、もっと明確にしていただきたい。
  105. 木子清忠

    参考人(木子清忠君) それじゃお答えいたします。建蔽率五割という場合でございますが、場所によっては七割程度ですが……、そういたしますと、八百平米といいますと約二百六十坪でございます。四階建てといたしますと、六、七十坪……。
  106. 田上松衞

    ○田上松衞君 それはいいです。最低三階建てで。
  107. 木子清忠

    参考人(木子清忠君) 三階建てといたしますと約八十五坪くらいであります。建築面積八十五坪くらい。そういたしますと、やはり百坪ちょっと、どうしてもそういうことになるかと思います。ただ、防火地域等につきましては、建蔽率の制限がございませんので、一〇〇%、実質は九五%程度だと思います。大体においてその程度だと思います。これは用途地域あるいは防火地域等の状況によりまして、いろいろ変化いたします。総裁は、その代表的な住居地域で大体五割程度ということを申し上げたわけでございます。
  108. 田中一

    田中一君 いまの中高層の、土地担保つきの問題に関連して、地上権というのは、法律的な、設定しておる地上権をいっているのか、地上権というか、借地権というのは。これは登記されておる借地権をいっておるのか、あるいは借地しておるという実態から慣行で行なわれておる、通例二十年ないし三十年の地上権というもの、借りておるというものの契約があった場合には、これは認めるということをうたっておるのか、どうなんですか。
  109. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 必ずしも登記されていなくともよろしいという扱いにいたしたいと思っております。
  110. 田中一

    田中一君 その場合に、その地上権としての契約書があれば、地主の了承を得る必要はありませんね。地主からの承諾書を持ってこいというようなことはないでしょうね。
  111. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 地主の承諾書が要ることになります。
  112. 田中一

    田中一君 地主の承諾書が要るなら、地上権なんかあってもなくてもしようがないですよ。通例、法律的に登記されている地上権というのは皆無と見ていい、いままでの慣行上。これは小作権なんかは永代小作権的なものが登記されているものも間々ありますけれども、大体において地上権というものは登記されたものはないんです。それで地主の承諾書が要るなら、そのときの地主は必ずそれ相当の権利金を要求するものなんです。それじゃ何にもならないんです。ただ、御承知のように、建築基準法では、今日ではもう地主の承諾が得られなくとも建てられることになっているんです。だから、もう少し前進して、借地権者の擁護をするような方法はとれないものですか。
  113. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 田中先生のお話のような点がもちろんございますが、やはりこの地主の承諾を求めたいと思っておりますのは、そういう地主が承諾したかどうかを確認いたしませんと、やはりあとあと問題が出ますので、そういう措置にいたしたいと思っております。お話のとおり、基準法ではその関係は民法に譲ってしまったわけでございます。しかしながら、公庫資金を利用して建築を行なうという場合にトラブルが起こりましてはどうも困るということで、そういうような措置にいたしたいと考えております。
  114. 田中一

    田中一君 おおむね契約書も何もなしでやっているのが多いんですね。しかし、契約書が明らかにあって、二十年なら二十年、三十年なら三十年というものの契約があり、存続期間あと二十年残っているという場合には、地主の承諾を得る必要は何もないんです。そういう場合はどうですか。はっきりと承諾書というものを改めて1地代の値上げをしているときに、その地代の値上げをしているという一つのトラブルを理由に融資ができないなんということはおかしな話であって、それは地主と借地人との関係であって、借地権として契約がある以上、これは地主の承諾書がなくたっていいということにならなければ、借地権というものをここに乗っけて、借地権というものを担保にするというようなことは大それた話なんです。借地権にすれば、はっきりと地主の承諾を得るものということになるんです。鉄筋のアパートができた、アパートができたからといって、その借地権というものが、私契約上の——借地権に、私契約上の借地権と登記上の借地権とある。その私契約上の借地権を、担保力があるかないかといった問題で、ないかもわからない。これは民法上の問題は残っています。そういう安全を得ようという面、そうした安全性のないものがあるわけなんですね。それからまた今度は、借りている側にすれば、ちゃんと三十年なら三十年の契約書がある。耐用年限からアパートをつくれば何十年かそれは守れる。おまえのところはあと十五年しかないから鉄筋の家はつくらせませんよ、そういう意思表示をするのは、住宅公庫がするのかどうかということですよ。そんなことは大それた問題なんです。言うべきものじゃないですよ。たとえば、一年間しかない、あとの借地権が。それでも建ててやればいいじゃないですか。必然的に——それは地主と借地人との問題は、それは別の問題なんですよ。おそらく延長するでしょう。そういうことを一々地主の承諾を得なければならないと言うことはできないということなんです。そういう別の理由があって、トラブルがあって地代を値上げをしておる最中とか、もうあと十年しか契約がない、それにもかかわらずつくったものは十年では撤去できないようなものになった場合には、これは承諾しませんというならば、借地権がありながら建築物はできないということになる。これはもう私契約上の問題にまで介入して、そうしたトラブルまでも介入して判断するなんということは、これは行き過ぎですよ。やはり契約上の書類があり、それが確認されれば融資をするという方式をとらなければいかぬと思う。また、そんなものを担保にしたところが効果はないだろう、おそらく。公庫は、この建物は三十年なら三十年の耐用年限があると見るならば、三十年きちっとたってもよろしいという地主の承諾書を持ってこいということになるんだが、今日の社会の慣行というものにはそういうものはないんです。あらためて地主の承諾がなければならぬ借地権なんというものは空なものですよ。そういうものを担保に取ればいいんだということは、これは実態にそぐわない条文です。それならば、はっきりとあと五年なり権利が残っているという場合にも貸してやりなさいよ。そうすれば必然的に、地主と借地人との関係というものは、通例民法上の二十年とか三十年とかいっておるけれども、これは永代というか、お互いに何かの故障がない限り、それは継続するものだという前提をもってやっているのが通例なんですよ。一々地主の承諾を得なければならぬということになると、鉄筋なんか建てられませんよ。そういう点はどうも不十分な条文で、これは何とか考え直してひとついい答弁をしてくれなければ——これはこの次やろうと思ったんですが、いま関連して申し上げておくんですが、この点はもう少し実態に即した、社会の慣行、現在も持たれておる慣行も含め、また慣行は度外視しても、書類上の証明があればいいんだというならば、契約書がちゃんとあれば、それでもって地主の承諾を得なくても建てられるということにすればいいんです。それは大体そうですよ。いまの慣行では、地主の承諾を得に行けば、必ずそれじゃいまあらためて権利金を一坪十万円下さいとか、あるいは三十万下さいとかいうことになるのですよ、これは。そうすれば、そういう空地に家を建てよう、住宅をたくさんつくろうという住宅金融公庫の使命と相反するわけなんです。地主の権益擁護のために存在する条文になってくる。どの場合でも必ず地主は更改契約要求します。これは師岡さんは自分の家に長い間住んでいるから、そういうことはないでしょうけれども、ぼくらのような借地権者は、常にそういう問題に悩まされる。二年ごとに地代を上げると、こういうことになる。そういうトラブルがあるからといって、それを融資対象にしません、そんなことを介入するのは住宅金融公庫の使命じゃないのですよ。家を建てりゃいいんです、あなたのところは。金を回収してもらえばいいんです。そしてまた、その回収金で新しい家をたくさんつくっていくことが使命なんであって、個人間のトラブルなんかに介入するとか、あるいは地主を擁護するなんていう考え方が、これは地上権の担保なんていうことになると、当然地主の擁護にならざるを得ない。眠っている子を起こすようなことになる。これはひとつ、いま答弁しないでよろしいから、実態に即した研究をして答弁してください。
  115. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  116. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 速記をつけて。  他に御発言はございませんか。——他に御発言がなければ、本日は本案に対する質疑は、この程度にとどめたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会