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1965-03-02 第48回国会 参議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二日(火曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————    委員異動  三月二日     辞任         補欠選任      上林 忠次君     後藤 義隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安田 敏雄君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 小沢久太郎君                 小山邦太郎君                 後藤 義隆君                 森田 タマ君                 田中  一君                 武内 五郎君                 白木義一郎君                 田上 松衞君    国務大臣        建 設 大 臣  小山 長規君    政府委員        建設大臣官房長  鶴海良一郎君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  鮎川 幸雄君        建設省河川局長  上田  稔君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君        建設省住宅局長  尚   明君        建設省営繕局長  小場 晴夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (昭和四十年度建設省関係施策及び予算に関  する件)  (昭和四十年度首都圏整備委員会施策及び予  算に関する件)  (昭和四十年度近畿圏整備本部施策及び予算  に関する件)  (昭和四十年度北海道開発庁施策及び予算に  関する件)  (東北地方開発計画に関する件)     —————————————
  2. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) それでは、ただいまから建設委員会を開会いたします。  それでは、本日の議事に入ります。  昭和四十年度建設省関係首都圏整備委員会近畿圏整備本部北海道開発庁施策及び予算に関する件、並びに、東北地方開発計画に関する件を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を続行いたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 田中一

    田中一君 昨年の四月一日から施行している所得税法の一部改正の場合に、六十一条の三項、これは、せんだって大臣にお知らせしておいたから御承知のとおり。この問題について、最近自民党総務会で、この法律案廃法とするというような態度がきめられたように報ぜられておるんですが、この問題について、最初に伺いたいのは、この法律改正という点については、これは大臣が就任される前の問題でありますけれども、一応事務当局段階話し合いがあったのかどうかということが第一点。第二点は、したがって、これによるところの次官会議等が持たれ、閣議決定されたということであるはずでありますが、これについてはどういう態度建設省は持っておったかという点について、伺いたいと思います。
  4. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 答弁はちょっと待ってください。     —————————————
  5. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、上林忠次君が委員を辞任せられ、その補欠として後藤義隆君が選任せられました。     —————————————
  6. 安田敏雄

  7. 志村清一

    政府委員志村清一君) 昨年所得税法の一部改正が行なわれまして、宅建業者あっせん調書提出が義務づけられたわけでございます。この法律が通ります前、次官会議閣議で審議をいたし、それを通過した上で国会に上程されたわけでございます。多少問題がございましたが、次官会議閣議とも了承した上で国会に上程した次第でございます。
  8. 田中一

    田中一君 むろん、この法律案は、私ども建設委員会では審議すべきものではないからそのまま見のがされたということになるのでありますけれども、この条文の中にある、不動産業者というものに対するあっせん調書提出義務というものを課されておりますけれども、この不動産業者という定義は、どういう範囲が入るものであり、かつまた、法律的に不動産業者という名称が、現在、宅地建物取引業法に基づく業者対象とするという的確な理論的根拠があるかどうかという点について、伺っておきたいのです。
  9. 志村清一

    政府委員志村清一君) 私どもは、一応ここに、この法律にうたわれております不動産業者については、私どもが所管しております宅地建物取引業法にいう宅地建物取引業者を含むというふうに解しておる次第でございます。
  10. 田中一

    田中一君 宅地建物取引業者を含むならば、なぜ宅地建物取引業者という名称を使わなかったかということです。不動産業者宅地建物取引業者というのは、御承知のように、宅地建物取引業法に基づく許可営業者対象としております。そうすると、その不動産業者という業者は、その宅地建物取引業法に基づく許可営業以外の業者が存在するかどうかという点について考えられた末にこのような名称をつくったのか、少なくとも法律の用語というものは、的確にその対象をつかまない限り、抽象的なものであってはならないのです。ことに、この法律内容というものは、所得税法罰則で明らかなように、この法律も、二十万円以下の罰金または一年以下の懲役という非常に大きな強い罰則を適用されておるのです。しかし、その対象というものが、明らかにその対象を把握するようなものであるべきはずである。しかしながら、この法律には不動産業者という名称を使っておる。したがって、それは的確にそれを宅地建物取引業者というものであるというように判断し得る理論的な根拠がどこにあるのですか。
  11. 志村清一

    政府委員志村清一君) 宅地建物取引業法におきましては、この宅地というのは、「建物敷地に供せられる土地」を一応いっております。不動産という場合には、いわゆる宅地に限定されず、広い範囲不動産ということばが使われているわけでございます。ですから、広い不動産業者の中に宅地建物取引業者が含まれるというふうに私どもは解しておるわけでございます。
  12. 田中一

    田中一君 そうすると、宅地建物取引業者不動産業者の範疇に入るという法律的な根拠はどこにあるのですか。法律というものは、抽象的な、一々説明しなきゃならぬというようなものであってはならないのです。読んだらすぐ的確にその本質がつかめるものでなくちゃならないのです。したがって、この所得税法にある不動産業者というものに対する定義は、いま言われたようなことであることは明らかでありますけれども、一々そういう定義を示しながらものを行なうというのですか。それとも、私の言っているのは、不動産業者という業者は、宅地建物取引業者以外にあるのだ、存在するのだというならば、これもわかります。したがって、法的根拠というものが、いまのような抽象的な説明をしなければならぬような条文を使うということは、また、これに同意した建設省責任というものはあるわけであります。同意をしたわけです。もしも同意をするならば、宅地建物取引業法に基づく許可営業者、いわゆる宅地建物取引業者というものがこれなんだというならば、それをなぜ明文化しないんですか。どの法律を見ても、あいまいなものに対しては、何々を含むというふうに説明してあると思うのです。したがって、不動産業者という業種は巷間あり得るかもしらぬけれども、私は知らないんです、そういうものは。一切の宅地建物取引的な行為を行なう営業者というものは、宅地建物取引業法に含まれておるというように理解されております。しからば、それがないというならば、そういうものを放置するという建設省責任もあるわけです。それはどういうぐあいにわれわれは見ていいわけですか。
  13. 志村清一

    政府委員志村清一君) 不動産範囲は非常に広いわけでございますが、建設省宅地建物取引業法規定いたしております不動産関係取引は、いわゆる建物敷地に供せられる宅地もしくは建物の売買とか貸借のあっせんというふうなことに限定されているわけでございます。その意味におきまして不動産という概念は広い。その中の一部が宅地建物になると、こういうように考えておるわけでございます。
  14. 田中一

    田中一君 それじゃ、なぜそういうぐあいに明らかに明文化されておらないんですか。明文化しようとしないんですか。これは建設省のほう、計画局のほうのある若い人たちは、自分たちはこういう相談にあずかったことはないということを公言しておるんです。自分たちは知らなかったと言っているんです。おそらく事務的な段階においてこれらの折衝がなかったものじゃないかと、こう思うんですが、局長はどうでしたか。知っておりましたか。もっとも志村君もいなかったかな。
  15. 志村清一

    政府委員志村清一君) 私が計画局長に就任する前のことではございますが、十分論議はできなかったかのように聞いておりますが、一応は次官会議閣議を通って、政府としては一応まとめた意見として国会に上程したような次第でございます。
  16. 田中一

    田中一君 どうもこれは当面され、衝に当たった人たちがだれもいなくなってしまっているから非常に困るんですけれども、これは主税局の吉国君にも実は相談してみたんですよ。そうすると、全く不備な法律でございますと、こう言っている。強度の罰則を適用しながら、その対象がぼけているなんということはないわけなんですよ。したがって、建設大臣として、この自民党総務会決定が、取りきめがございませんけれども、これに対して、政府としてどういう態度をとろうとしておるのか、その点をひとつ聞いておきたいんですが、しかし、その内容というものは、せんだって主税局のほうへ行って相談してみましたけれども先生方が御決定なすったものでございますから、どうか一年間だけやらしてくださいと言うんですよ。次年度からは何とか考えましょう、こういうような発言をしておるんですよ。これはまことに私ども、知らないとはいいながら、責任はのがれることはできません。したがって、これは与党のほうでも同じような気持ちを、不当であるという気持ちを持っておるならば、撤回していただきたい。ひとつ建設大臣の所見を伺っておきます。
  17. 小山長規

    国務大臣小山長規君) これは、私がたしか税制調査会長をしているころのことだと思うのでありますが、不動産取引業というものは、法律上は可能なんであります。というのは、不動産取引を業とする者ということで、税法上の規定をすることは差しつかえありませんけれども、ただ実体がなかなかつかみにくいという点で、こういう法律を存置することについて疑問が最近出ておりますことも事実であります。そこで、しかもそれの報告義務を課するということになって、実際問題としては、この少数の、まあ非常に帳簿の正確な人たちだけが対象になって、不正確な帳簿をしている人とか、あるいは、よく言われるもぐり業者などというものが結局対象になってこないというようなことで、どうもこの法律は実効がないのではないかという議論が出ております。しかし、それを改正するのに、政府提案でやるか、あるいは議員提案でやるかというようなことを、いま論議されているということを聞いております。これは私は、それが実態に照らして正しい態度ではないかというふうに私も考えているわけであります。
  18. 田中一

    田中一君 これは一ぺんつくった法律が、そのまま実施されないで放置された例があるかないかということを、税関係で調べてみますと、昭和二十五年に出た地方税法改正のときに、附加価値税がこれに該当するのではないかというので、私も十分調べてみたのです。御承知のように、これはああいうやみ取引が盛んだったときに、非常にひんぱんに、品物が実際の消費者に渡る前に、業者を転々とするものだから、これをつかまえようというので附加価値税というものを創設された。しかし、これもとうとう三年間、一年延期、一年延期という——実態にそぐわない、あるいは当時の社会情勢から見て非常に困難だ、こういうところからこれは廃法になっております。三年間延期して結局廃法になった、こういう例がある、私どもが議決したその法律案が。いまここでひるがえって、これはけしからぬなんということは言いたくありませんけれども、しかし、国民に対する過酷なへんぱな、不公平な扱い方は、これは許せるものじゃありません。われわれは、われわれの間違いなら間違いとしてこれを容認しながら、これに対する態度を改めなければならぬ。附加価値税に対する当時の社会情勢、それから世論、並びに国会のいろいろな論議を詳細に調べてみますと、やはり同じように、結局三年間の延期をしながら廃法に持っていったという事例がありますので、まあ自分で一ぺん——まあどうも私も本会議では賛成したらしいのです。そうであるならば、そういうものに対する非常に反省をいたしますけれども、これはひとつ、ぜひともいま建設大臣発言どおり、一月末までに提出しなければならぬということを言っておりますが、しかし、これは当然そういうものの準備なしに把握できないから提出できないということでしょう。そういうことで経過しておりますけれども、いまの発言は十分だと思いますので、この国会中に、これに対するところの処置、適当の措置延期するという形か、あるいは廃法にするか、どちらかにして処置していただくことを希望いたします。いまの建設大臣としての発言は十分であります。しかし、建設大臣もその責任をわれわれと同様負わなければならぬと思いますから、その点はひとつ十分に、今後の建設大臣閣議等における発言を注視いたしますから、御了承願います。  これは本委員会で質問するにも及ばないと思っておったのですけれども、返事がありませんから、一ぺん伺っておきますが、今日、東京大阪神戸京都その他で行なわれておるところの市街地改造法による市街地改造事業整備事業ですね、これに対して、これが特定公共事業ワクに入っておらないというのは、特定公共事業ワクに入りますと、これは補償金その他の税制——課税が非常に軽減されることになる。したがって、たしか道路二十メーター以上のところだったな、これに対しては、全部補償金課税が減額されている。ところが、いま行なっている市街地改造事業に対しては除外されておるわけであります。これを一日も早く、当然強制されている仕事であるから、同じような扱いをするように要求をしておったのでありますけれども、いまだに答弁がありません。したがって、これに対する態度はどうであるか。
  19. 志村清一

    政府委員志村清一君) 特定公共事業につきましては、公共用地の取得に関する特別措置法におきまして、法律で定められておったわけでございますが、その後改定がございまして、法律に掲げてあるのと同程度に公共の利害に重大な関係があり、かつ、その整備緊急性があるものにつきましては、政令で定め得る道が開かれたわけでございます。その政令制定につきまして、ただいま各省と協議をいたしておりますが、市街地改造事業につきましては、市街地改造事業事業内容になっております道路につきまして、すでに特定公共事業の資格のある道路事業等がございますので、他の特定公共事業と相ひとしい重要性緊急性があるのじゃないかということで、各省との折衝も比較的順調にいっております。しかし、政令の問題でございますので、他の問題等もありまして、なお折衝を重ねている段階でございます。なるべくすみやかに政令制定ができるように努力をいたしている次第でございます。
  20. 田中一

    田中一君 答弁は満足します。現在までに適用された地域措置が遡及してそのようにならないという欠点があるわけなんですが、それは何ですか、遡及してそれも適用されるということにならぬと思いますが、どうですか。
  21. 志村清一

    政府委員志村清一君) 減税するかいなかというふうなことになりますと、特別措置法の問題ではございませんので、租税特別措置法の問題になり、大蔵所管の問題になるわけでございます。大蔵省と打ち合わせをしておる段階におきましては、大蔵省では、従前さかのぼってかような規定を適用した例がないそうでございます。この点について難点を示しておる現況でございます。
  22. 田中一

    田中一君 建設大臣、これね、一日おけばおくほどそれらの適用区域の抵抗は強くなります。したがって、いつごろまでにこれを政令改正しますか。——私はさっそくしていただきたいのです。
  23. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いま各省折衝を急いでおりまして、三月一ぱいには政令をつくりたいということで、それをめどとしながら作業を進めておる次第でございます。
  24. 田中一

    田中一君 いまの建設大臣答弁、けっこうでございます。そうなりますと、すべての事業は、補償金等最後的決定延期させるということになりますか。そのために事業はおそらく支障ないと思いますけれども、これはひとつ行政指導の面において、不公平は困りますから、このいま建設大臣が言っているように、三月末までにはこれを特定事業ワクの中に入れるという態度が明らかなんですから、そのような地方指導をしていただきたいと思うんです。決定を延ばすということです。遡及されないとするならば、決定を延ばせという、いまこういうことをしているから、大阪市、東京都、神戸その他に対して、事業官庁に対して、そのことを通知をしていただきたいと思うんです。これは正直者ばかをみるということになりかねないんですよ。いち早く承諾してやったところが、七百万控除というものが適用されないということになると、七百万、大きな金でございます。したがって、これはそういう指導ができると思うんですが、どうですか。
  25. 小山長規

    国務大臣小山長規君) それは、すべての法律にその問題は起こります。ある一定期日を境にして、特別措置法の作用が動きますと、七百万の控除をするか、しないかという、特別措置法規定がありますから、これはもう相続税その他、すべての税金に通ずる問題でありますが、ある一定期日を境にしてその動きがあります。したがって、その一日前の人と、一日あとの人との間に不公平が出るわけであります。そういう意味で御心配だと思いますが、現にそういう進行中のものがあれば、近くそういうふうな決定になるというふうな暗示を与えておいてもよろしいかと思いますけれども、延ばせという指令を出すのは、いささか当を失するのじゃないかと、こう思っております。
  26. 田中一

    田中一君 じゃ、通牒はやめましょう。行政指導で、その事業に協力するものが損をするのだ、こんなばかな話はありませんから、こいつはもう正直者ばかをみるという例が、ここの場合にとられて非難されないようにですよ、ひとつ指導してください。いいですか、どうです。
  27. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) いま各地において、市街地改造事業が行なわれているわけでございますが、一方において、税法のほうの改正問題が検討されているわけでございますし、まあ事業も進んでいるわけでございますが、その点につきましては、税の面から、税制改正のために仕事をおくらすということは非常に困難かと思いますけれども、できるだけ公平な措置ができるように、実際上の面において指導をいたしたいと考えております。
  28. 田中一

    田中一君 鮎川君、ごちゃごちゃ言ってるけれどもね、君の目の前で建設大臣が、三月一ぱいでこれは政令出しましょう、こう言っている。法律問題とかなんとか、うるさい問題はないわけなんですよ。事務的な段階話し合いがついているはずなんですから。それならばもう積極的に、仕事支障ない限り、仕事支障があっちゃ困りますよ。仕事支障ない限り、そういう措置をとるということを明確に言ってくださいよ。
  29. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 実際上の指導は十分にやりたいと考えております。
  30. 田中一

    田中一君 最近、大阪でも、四月二日くらいをめどに、起工式を行なうようになっております。東京は御承知のように、ことしの一月の初めに、新橋の東口にも着工いたしましたけれども、われわれが市街地改造法を審議する際に、非常にきめこまかく、この場合、あの場合を想定して、どういう措置をとるかというように質疑をかわしてきたわけでありますけれども、現実にぶつかってみると、相当高額な金がかかる。それだけに見通しはなかなかつけにくいわけです。つけにくいというのは、採算上の見通しです。たとえば大阪一つの例をとりましても、一階部分の完成後の分譲価格というものは——保有された土地ですよ。これは権利者がおらぬという、大阪市なら大阪市が買収してしまって、実際の再配分される分が、大阪市が持っておる場合に、大阪市が分譲するわけです。その分譲価格が八百万円とか一千万円とかいう高額になっておる。しかし、これもその完成時の経済状態社会状態というものを考慮されない現在における見通し計画なんです。そのために、非常に窮屈な、安全率を高めた計画を立てておるわけなんです。そうして現在居住しておる、いわゆる権利を持っておる人たちに対するいろいろな意味の圧迫というか、過酷な引き下げ工作といいますか、権利引き下げ工作といいますか、をとっておるわけなんであります。これは、私はその運営にあたっては、御承知のように、建設省はじかにやるわけではございません。全部一応の認可をすれば、大阪市なら大阪市、東京都なら東京都に実際はまかせて、収用、配分等を行なってありますけれども、これは、われわれが当初考えておったものと違っておるような指導をしておる向きが多々あるわけなんであります。で、一々都市局に来ていろいろ相談しながら遂行しておると思いますけれども東京大阪神戸とが異なった評価、異なった配分——配分というのは諸権利がありますから、土地所有者地上権者あるいは家屋所有者賃貸権者、いろいろな権利がふくそうしますから、その間において、指導する面において異なった指導をしておる向きが多々あるわけなんであります。これは一体、いままでの本省に集まった状態ではどういう扱い方をしておるか、ケースバイケース大阪はこうだ、東京はこうだ、京都はこうだというように扱っておるのか、その点をひとつ少し詳しく、建設省監督権というか、考え方をひとつ説明してほしいと思うのです。
  31. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいま各市街地改造事業実施について、異なった指導をしておるじゃないかというお尋ねでございますが、市街地改造事業は、いま御指摘ございましたように、非常に権利がふくそうしておる内容を持っておりますし、また、その地域地区によって、内容実態等もいろいろ異なっておるわけでございます。現在九地区において実施いたしておるわけでございますが、実施をいたしておる面積もそれぞれだいぶん大小の差もございますし、また、駅前の場合もあります。まあ駅前の場合が多いわけでございますが、その地域地区の状況もいろいろ違っております。したがいまして、地域地区によってそれぞれ若干の差は出てまいると思いますが、ただいまお話の管理処分計画内容かと思いますが、管理処分計画につきましては、御承知のように法律においてそれぞれ規定がございますし、相互間の不均衡が生じないようにというような規定、それから管理処分計画基準等もございまして、それに基づいて実施いたしておるわけでございますから、基本的には、そういう内容に基づいて実施いたしておりますが、地域地区の特性によって若干内容に差があるかというふうに考えておるわけでございます。
  32. 田中一

    田中一君 たとえば大阪一つの例をとりますと、駅ビルに貸し事務所を持っておる人がある。この人は土地家屋を持っておる。従来、土地家屋を異なった人間が持っておる場合には、土地を持っておる者に対する、百坪持っておれば百坪の割り当てをくれるわけです。同時にまた、建物を持っておる者は、建物を持っておるものとしての百坪のものをくれるというふうになっておるわけなんです。ところが、土地建物と両方持っておると、異なっておれば二百坪もらえる、それを百坪という、こういう形でもって納得さしておるわけなんです。これは間違いです。こういう点が、大阪市などでは、いや、それは全く御要求があればそういたしましょうといって二百坪のものをやっておるということをやっておる。これはむろんそのとおりなんです。空間に伸びることになっておりまして、諸権利が、伸びることによって一切のものが包含されるというたてまえでできておる。一人の犠牲者もないというたてまえでできておるわけなんです。したがって、ビルを持っておる者は、ビルの中に入っておる居住者はビルに入っておる居住者そのままの姿でもってまた新しいビルに入れる。しかしながら、バラックの事務所と今度の鉄骨、鉄筋コンクリートの事務所とは、価値が違いますから、当然家賃なり、何というか、保証金なりは上がりますよという前提でそのまま移行するのだという形をとっておるわけなんですけれども、それらの問題が、完全に建設省指導なりあるいは法律、あるいは法律の解釈等が徹底しておらないのじゃないかというような気がするのですが、そういう点は、都市局長、どういうぐあいに考えておるのですか。
  33. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 市街地改造事業は、公共施設の整備に伴い用地を取得する必要が出てまいるわけでございますから、それに伴って関係の施行者が後方において建物を建てまして立体的に換地を行なうということでございますが、その際の各権利者に対する指導方針といいますか、考え方は、あくまでも、それによって、先ほど申し上げました相互間に不均衡が生じないということはもちろんでございますが、元の権利と与えられる権利と申しますか、建物に対する権利については、元の権利に相応したものを与えなければならないという基本的な考え方でやっておるわけでございます。
  34. 田中一

    田中一君 これから建物をつくるという場合、底地権だけを持っておるんじゃどうにもならないのですね。その場合に、それに対する等価と申しますか、ひとしい建築物として要求するなら建築物として与えようという思想が確立しておりますね。それははっきりしておりますね、都市局長。
  35. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) そのひとしい権利という場合に、原則として、その床面積に照応さして考える場合、また金銭に照応さしてやるという考えもあるわけでございますが、基本的には、先ほど申し上げましたように、従前の権利に即応する権利を与える、こういうふうに考えておるわけでございます。
  36. 田中一

    田中一君 こまかいいろいろな問題は、ああいう市街地改造事業を行なわなければならぬという地区は、非常にふくそうした、また奇々怪々な契約とか、あるいはまた実態を見ているわけなんですから、いろいろな状態があると思うのです。これを一つのものできめるという、一つの結論に持っていくということは、むずかしいかと思いますけれども、少なくとも基本的な態度というものは、これは変わっちゃならぬと思うのです。一人も不幸な者をつくらないという前提に立っておるよい法律なんです。ところが、これを扱うほうの側でもって、一番最初に申し上げたように、この事業事業者側のほうが非常に安全率を高めるために、過酷な措置をすることが多いわけです。たとえば大阪の例をとりますと、大阪は約四十億程度の赤字になるだろう、こういうことを公言しております。赤字になるというのは、何をもって赤字というか、大阪市は大阪市としての所有する、買収した土地がたくさんあります。この上に乗るものは、それを損をしないで分譲する場合もあるし、また分譲できずして賃貸する場合もあるし、また、その建物の中に車庫をつくる、いろんなものをやっております。したがって、損をするという考え方でなくして、金銭的な決済が長引くということにとどまると思う。こういう点もひとつ十分に調べてほしいと思うのです。  それから大阪市などの例をとりますと、五カ年間償還ということを言っておるのです。それが十カ年にいまなっておるのです。起債は御承知のように二十年以上になっておるわけです。それから分譲する場合にも、長期の分譲をしておりますけれども、家を持っているものに対しては、ようやく五カ年から十カ年になったようでありますけれども、十カ年で全部のものを払え、こういうわけです。たとえばあの現状をごらんになればわかるとおり、それこそひどいもんです。ひどい建物権利を持っているわけですが、それがりっぱな耐火建築になった場合には、一つの単価というものは非常に上がってくる。たとえば補償金もらっても、補償金の倍あるいは三分の二ぐらいの負担をしなければその権利が得られない、得ることができないということが多いわけなんです。そうすると、補償金もらってもその倍ぐらいのものは自分で金を調達しなければ自分権利が守れないということになるわけです。みんなああいう人たちは欲が深いわけですから、少しでも損はしたくない、うんともうけようという気持ちでおります。したがって、金を調達してやる場合でも、一般市中銀行から借りる金利よりも、大阪市に払う金の金利のほうが安いわけでありますから、もっと長期分譲という形にしてくれ、いわゆる納金を長期にしてくれという要求はどこでもあるわけなんです。これは何も法律でその貸し付け期間というものをきめたわけじゃありませんから、大体最高どのぐらいまで余裕がとれるものですか、どうですか、伺っておきたいと思う。
  37. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 大阪の駅の前の市街地改造事業は、その規模も非常に大きく、また関係権利者もたくさんおりまして、それに対する適正な事業の進め方というものはむずかしい問題があるわけでございますが、そこで、最初にお話ございました、いろいろな事業の適正な執行の面につきましては、私どもも十分今後とも、この地下六階、地上十二階の建物が非常に大規模なものでございまして、したがいまして、それに対する関係権利者をうまくそこにおさめると申しますか、うまく前の権利等を十分勘案して新しくおさまるということは、いろんな面で十分指導してまいらなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の納付金の償還期限の問題は、建物の価格等が非常に上がりますと、おっしゃいますように、非常に各個人については、また従前のいろいろ仕事をしていた実態その他から考えまして、必ずしも長期になってない点はあるわけでございますが、従来は五カ年の償還期限であったそうでございますが、現在は十年でできるようになっております。
  38. 田中一

    田中一君 それをもう少し延ばすというような指導はできませんか。
  39. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 確かにこの負担を軽減するということは、この事業を進める上において非常に大事なことだと思うわけでございます。私どももそういう方向で今後努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  40. 田中一

    田中一君 それからもう一つ伺っておきますが、最近特定公共事業にしないために、どこまでも収用法の発動が、がんばれば損がないのだという考えでがんばろうとする新橋西口地区の動きがあるわけです。これは妙な、新聞に折り込みを入れて方々に配布しております。したがって、いち早く緊急収用できるような形の実態にしたほうがいいと思うのですが、有楽町の土地区画整理事業について、ちょっと伺っておきたいのですがね。これはむろん東京都の事業でありますから、これはむろんあなたのほうからはどうこう言うことはできないでございましょうけれども、この指導はしなければならぬ。そこで、ことしの一月に、東京都は庁議をもって朝日新聞裏の電気研究所といいますか、あの敷地並びに交通局の一部の敷地千坪は、この事業を遂行するために、立ちのきを余儀なくされる人たちに特定払い下げをするという決定をしているわけです。これは一歩前進であります。しかし、これをめぐって事業の進行にいろいろまちまちの圧力をかけてきているわけです。たとえば、これは決定は、最後的にはそこに入れるのだという希望を持っておりますから、おまえのところは三月三十一日まで立ちのけと、行き先もきめずにそういう強硬手段をとっているわけです。それから、これは詳しく、鮎川君、知っていると思いますけれども、強行したのでは抵抗は強くなります。初めから東京都保有の土地に移すということが一つきまった。次には移転先をきめてやること、それから第三には、当然それによって事業を推進する、協力するという態勢がとれるわけですけれども、いまだにあそこの地区では補償金の明示すら怠っております。補償金を、あるいは地価の価格をきめないで立ちのけというようなことはできるものですか。明確に、おまえのほうにはこれだけこうなるのだからこうしてくれという要求なくして、ただ頭からいつ幾日立ちのけという要求はできますか。これはむろん昨年の収用法の改正によって、もう建設大臣関係でない、東京都が自身で収用法の発動ができることになっておりますから、そういうことをした場合に、それは建設省としては見のがしておくものなんですか。そういうところは、どういう法律改正によるところの、何というか、収用法の適用——発動を移した結果としてそういうことが行なわれるということに対して、——これは鮎川君よりも鶴海君のほうが知っているのかな。
  41. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 有楽町の駅の前の改造事業につきましては、実は私どもまだ十分聞いてないわけでございますが、現在までのところ存じている範囲で申し上げますと、有楽町駅前の改造事業は、都市計画決定は行なわれておるわけでございますけれども、これは都の単独事業として実施しているものでございます。したがいまして、これにつきまして、先ほどいろいろ御質疑がございましたが、その地区関係者の権利関係をどうするかという点は、非常にむずかしいところでございますから、十分現地の実情に即して行なわるべきだというふうに考えておるわけでございますが、私ども、実はどの程度進行しているか、内容は知りませんので、明確な答えはできない状況でございます。
  42. 田中一

    田中一君 収用法の改正によって、都道府県知事の発動といいますか、これを委任したことについて、都道府県知事が単独で行なったということは、事例はありますか、昨年の法律改正によって起こった現象として。
  43. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 前通常国会におきます収用関係法律改正によりまして、都市計画法の一部改正をやっておりますが、従来、都市計画事業につきましては、収用いたします場合には、収用の事実につきまして建設大臣まで上がってきております。ただ、補償金額の算定につきましては、地方の収用審議会にかけるたてまえになっておったわけでございます。それが、その改正によりまして、すべて収用委員会のほうに直接いくというふうに簡素化されましたので、その改正以後は、建設大臣までは上がらずに、収用委員会のほうに直接いっておるわけでございます。
  44. 田中一

    田中一君 そういう事例は、行為というか行動というか、それは報告する義務もないのですか、建設省に対して。
  45. 志村清一

    政府委員志村清一君) 事業認定は、知事認定と大臣認定とございますが、知事が認定した場合に、認定したという事実を建設大臣に報告することになっております。必要ある場合には、建設大臣から、その詳細な書類等を届けるように要請することができるということになっております。
  46. 田中一

    田中一君 義務づけられておらぬわけですか。鹿児島の知事がどこかでやっていると、そういうことは、やっているということだけは、わかってもわからぬでも、やっているということだけはあるんだけれども、それは的確にそれをやっているんだということを政府としてはわからぬわけですね。全国どこでやっていても、事業認定を行なったという、これはわかっておる。事業認定を行なっておるのと、収用法の発動というものとはおのずから違うわけです。その場合には、実態というものを、やはり建設大臣が握らないでいいんですか。
  47. 志村清一

    政府委員志村清一君) 土地収用法のルールに乗るのは、まず事業認定をすることによって土地収用法の軌道に乗るわけでございます。その土地収用法の諸手続による事業認定に関しましては、知事が認定をする場合には、収用法の二十六条の第二項で、建設大臣に、事業認定をしてその告示をしたという旨の報告をする義務がございますが、事業認定に関する詳細な書類等は、送付することになっておりません。これは、同条の二項の後段に、建設大臣の要求があった場合には、事業の認定に関する書類の写しを送付しなければならぬという規定になっておるわけでございます。
  48. 田中一

    田中一君 そうすると、どこでどういう問題が起きているということはわからぬわけですね、政府としては。
  49. 志村清一

    政府委員志村清一君) 事業認定を知事がいたしました場合、当該事業に関しまして、地元の方方、関係する方々、いろいろ御異議がございました場合には、不服審査法に基づきまして、異議の申し立てができるわけでございますが、その分につきましては、当然、建設大臣までまいります。建設大臣は、その場合に、知事に書類の送付を願ったり、その他の事情を調査するということで、疑義があったり、あるいは地元の方々にいろいろ問題があった場合には、詳細に送致するというかっこうになっております。
  50. 田中一

    田中一君 そして、昨年の通常国会のこの法律改正による事例は、どのくらいあります、報告は。
  51. 志村清一

    政府委員志村清一君) ちょっと、ただいま私、手元に資料はございませんが、土地収用法と都市計画法との関連では、先ほど官房長から御説明がございましたように、従来、都市計画事業決定になりました分については、どの地域を収用するかということと、補償額を幾らにするか、この二つが収用委員会できめることでございますが、金額だけを土地収用委員会できめて、どの地域を収用するかということは、建設大臣まで上がっていたという、めんどうくさい手続がございました。それを土地収用委員会に全部のせるという改定でございます。ただいままで、改定になりましてから、どの程度その案件がございましたかということは、先ほど申しましたように、資料が手元にございませんので、後ほど先生のもとに持ってまいりたいと思います。
  52. 田中一

    田中一君 それは、実態というものは、建設大臣が握っていなきゃいかぬと思うのですよ、国土計画全般を見ているという立場からいっても。報告の義務は法律的にないとされているようでありますけれども、それはもう指導の面で、必ず収用法を発動をした場合には、それを報告しろということぐらいはいえるのじゃないかと思うのですがね。これは法律によらぬけれども、義務じゃなくて、要求というか、事前に要求しておくことはできると思うのです。そうして全国的なそういう事態というものを、やはり私は握っていなければいけないのじゃないかと思うのですが、それはどうお考えになりますか。
  53. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 私も事務のほうはよく知りませんが、おそらく改正は、事務の簡素化ということでやったのだろうと思います。で、報告をとるということである以上は、それに対してどういう処置をとるということをきめてかからないと、ただ繁雑な事務を押しつけるだけのことになりますから、報告をとるという態度をきめる以上は、その報告をとった以上は、どういう処置をとるということまできめてかかりませんと、かえって繁雑なことになろうと思いますので、その辺のところは、もう少し勉強してみたいと思います。
  54. 田中一

    田中一君 いや、かつてあるのですよ。終戦後二百億程度のものを、大型機械を持っております。これはいまどこか建設機械課に、全部、どこにどう機械が動いているということはわかっているはずでありますけれども、買いっぱなしでもって地建にあずけて、どこに機械があるのかわからない。一体建設能力がどのくらいあるかということはわかりやしないのです。私は、あるときに富山県の神通川に行っていると、あそこに、プレッシャーが何年も動かずにさびついて置いてあるわけなんです。これはかたわな運営なわけなんです。私は、いまのような、事国民の権利に関する問題等があちらこちらに起こっている。しかし、それがへんぱな形でもって、むろん地方地方としての色がありましょうし、条件があるから、異なっても一向差しつかえありませんが、そういうことを全部把握しておらぬということは、建設行政全般を掌握することにならないと思うのです。なるほど、権限の委譲はけっこうです。けっこうですが、的確にその状態を、どうかということを握らなければならぬと思うのです。事務の繁雑じゃないと思うのですよ、そういうことは。私は向こうが義務づけられたことだと思う。しかし、義務づけはなくなっておりますけれども、そういう例はたくさんあります。現場では、地建等は、一台の機械を持っていれば、よそへ渡さなければ、来年はこの機械によって予算がついてくるのじゃないかというような工事を上田君なんかやったことがあるのだろうけれども、事務所でもって思惑でもって機械を寝かしておるわけなんですよ。同じようなケースだと思うのですよ。やはり建設大臣は、そういう全国的なものを握っていくという立場になければいかぬと思う。だから、検討していただけますか。そのくらいのことは要求しておいていいのじゃないかと思うのですがね。何も即刻報告しろというのではなくて、結果くらいはついていないと次の新しい法律の立案はできないわけです。なるほど、権限委譲した、結局委譲したことによっていいか悪いかの判断はできない。そういう点はどうお考えになりますか。まあお調べになるのもけっこうですが、もう少し大建設大臣になってくださいよ。そんなまかしておいたらいいのだというのじゃなくて、末端まできめこまかい配慮の行き届くのがよい政治家なんです。事務の繁雑さの問題よりも、事私権に関する問題ですから、国民の権利に関する問題は、実際注意しないと困ると思うのです。考えるということはどういうことなのか、ちょっと伺っておきますが、その方向に考えるのか、まかしたからうっちゃっておくのか、どちらなんですか。
  55. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いま申し上げましたのは、事務を委譲したのである、これはおそらく事務簡素化でやったのだろうと。それで、新しく報告をとるとなれば、報告をとったあとでどういう処置をするのかという前提がないと困る。ただ単に報告をとりっぱなしでは、かえって繁雑な事務を地方に押しつけることになるから、だから報告をとるという態度をきめる以上は、どういう処置をとるのだというところまで態度をきめてかからないと、事務の繁雑を増すばかりであるから、もう少し勉強して答えを出します、こう申し上げたわけであります。
  56. 田中一

    田中一君 あのね、そうした問題を握っておらぬでいいのですか。各地にあらわれるいろいろな異なった現象ですね、それはとるべきだと思うのですがね。
  57. 志村清一

    政府委員志村清一君) 土地収用法の施行に関しまして、いろいろ問題があることは、田中先生御指摘のとおりでございます。特に収用委員会の審議、補償問題等に関しまして、複雑多岐な問題があるわけであります。そのような趣旨で、実は収用法担当者、あるいは収用委員会の職員が相寄り、相集まりまして、年に大体二回ほど会合を持ちまして、そこでいろいろな問題点について、お互いに協議をし合うという会合を持っております。その際、ただいまお話しのございましたいろいろな問題点につきましても、お互いに論議をし合うということで進めておるわけでございます。特に収用委員会は、先生御存じのとおり、独立の機関でございますので、お互いに独立の立場において、そういった協議会等で検討するということで、法の適用等についても十分な配慮を加えていくというかっこうをとっておる次第でございます。
  58. 田中一

    田中一君 私いろいろ大臣に伺わなければならぬのですが、これは予算委員会の分科会でやります、予算関係するものだから。  いま行なっている市街地改造事業というものは、もうこの辺でやめようじゃないかという気持ちが多少政府のほうにあるのではないかと思うわけです。というのは、たとえば、先ほど話をした有楽町などは、市街地改造事業でやればもっとうまくやれるわけなんです。これはもう東京都が自分の単独でもっておそらく二百億程度の金を調達しなければできない。だから、うっちゃりっぱなしにしておりますけれども、これはもう少し資金的な裏づけをしてやって、むろんこれには縁故起債ができるはずでありますけれども、そう思うようにできるものではないのです。国が一つのお手本としてやってみたらどうか。最近、どこかの新聞だかどこかでもって、市街地改造事業というものは、法律というか、政府が全然関与しないで全部地方公共団体にまかせてしまえというような考え方なんかもあるらしいので、その点はどうなんですか。ほんとうに地方公共団体にまかせて、政府は直接関与しない、予算措置予算措置として、起債等は自治省に行けばいいじゃないか、自治省から相談があったら相談に乗ろうじゃないかという態度、そういう点が出ているのではないですか、最近の傾向として。その辺の市街地改造事業に対する的確な態度を表明してほしいと思うのですが。
  59. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いまの佐藤内閣の方向は逆だと思います。逆だということは、要するに、市街地改造事業を大いに進めていこうじゃないか、過密都市という問題もありますから、むしろそっちのほうでありまして、たしか今度の予算でも、市街地改造事業に対する日本住宅公団——そういう補助金や、あるいは公庫による貸し付け、そういう問題面は相当ふえていると考えております。
  60. 田中一

    田中一君 そうすると、事業は金を貸して進めよう、しかし、事業そのものに対する監督権というか、指導権というか、そういうものは一切向こうにまかせようじゃないかということなんですか、その点はどうなんですか。
  61. 小山長規

    国務大臣小山長規君) それは、補助金や公庫の貸し付けをやろうということは、地方にまかせっ切りではなしに、政府も関与して大いに進めようじゃないかという方向です。
  62. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 他に御発言もないようでありますから、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会