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1965-02-25 第48回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十五日(木曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————    委員異動  二月二十三日     辞任         補欠選任      高野 一夫君     増原 恵吉君  二月二十四日     辞任         補欠選任      徳永 正利君     川野 三暁者      小林 武治君     上林 忠次君      増原 恵吉君     江藤  智君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 稲浦 鹿藏君                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 小山邦太郎君                 高橋進太郎君                 森田 タマ君                 田中  一君                 田上 松衞君                 村上 義一君    國務大臣        建 設 大 臣  小山 長規君    政府委員        建設大臣官房長  鶴海良一郎君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  鮎川 幸雄君        建設省河川局長  上田  稔君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君        建設省住宅局長  尚   明君        建設省営繕局長  小場 晴夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (昭和四十年度建設省関係施策及び予算に関  する件)  (昭和四十年度首都圏整備委員会施策及び予  算に関する件)  (昭和四十年度近畿圏整備本部施策及び予算  に関する件)  (昭和四十年度北海道開発庁施策及び予算に  関する件)  (東北地方開発計画に関する件)     —————————————   〔理事瀬谷英行委員長席に着く〕
  2. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る二十三日、高野一夫君が委員辞任され、その補欠として増原恵吉君が選任されました。また、昨日、徳永正利君、小林武治君、増原恵吉君が委員辞任され、その補欠として川野三暁君、上林忠次君及び江藤智君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 次に、理事補欠互選につていおはかりいたします。  去る一月二十九日、石井桂君が委員辞任して以来、理事が欠員のままになっておりますので、この際補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は投票の方法によらず、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事川野三暁君を指名いたします。     —————————————
  5. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 次に、昭和四十年度建設省関係首都周整備委員会近畿圏整備本部北海道開発庁施策及び予算に関する件、並びに、東北地方開発計画に関する件を一括して議題といたします。  前回までに説明を聴取いたしておりますので、本日はこれから質疑を行ないます。  本件に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 私は、建設行政一般に関しまして簡単に四つの点につきまして、大臣並びに関係の方々の御政見を承わりたいと存じます。  一つの点は、道路建設を通じまして、いわゆる地域格差是正に御協力を願いたいと考えておるわけでございます。道路、特に国土開発縦貫自動車道路でございますが、この道路着工にあたりましては、従来からのお考え方によりますと、あるいは技術的の立場または経済的効果のあがる立場、そういう面に重点を置かれまして、いろいろ着工あるいは工事進行等もお計らいになるということが、あるかのように承っております。また、そうでなければならぬと思います。ただしかし、限りある予算をもちまして進めてまいります事業でございますので、そういう技術的な見地あるいは経済的効果が、あがるという見地からだけで道路着工あるいはその進行が定められるということになりますと、そこにいわゆる地域格差是正という問題が一そう大きく取り残されていく場合が、少なくないと考えるわけであります。格差是正ということはあるいは、調和のとれた社会開発といった現内閣の一つの大きな指針と申しますか、目標と申しますか、そういうことにもなっているわけでございまして、今後この道路建設、特に三十九年度におきまして法律をもって予定路線をきめられました。そして着工段階に入りまして縦貫道路等につきましては、特にこの点を重視していただきまして、技術的な見地経済的効果のあがるような見地からというだけではなしに、この面も十分にひとつ御配慮願って、格差是正ということに御協力をお願いしたいと考えるわけでございます。  ところで、われわれが週末ごとに地方に帰りますが、その際、地域住民方々の最も関心を持たれる問題は、やはり何といいましても道路の問題でありまして、自分地域縦貫道路は一体いつ着工になって、いつ完成するかというようなことは、常に話題に上がるわけでございますが、これは何年度に着工して何年度に終わる予定だということを何べん繰り返しましても、どうしても十分に納得しかねて、常に不安を抱くといったような状態でございます。したがって、こういう見地から、私は、国はどの地域に対しても、常にあたたかい気持ちをもってその開発関心を持っているのだという証拠を、現地の方に見せていただくことが最も望ましいのではないか。たとえ、そこに、まだはっきりしたいろいろな技術的要件、が十分整わない場合におきましても、まあ、これはたとえでございますが、建設事務所一つも、看板の一つもかけていただいたり、あるいは用地買収などに対する準備を進めていただくとか、とにかく、実際住民の目に見える、そういう姿で政府関心をそこに示していただくということが、政府並びに国会国政全般に対する住民信頼を増すゆえんではないかと考えるわけでございます。大臣の御出身は、失礼でございますが、やはり中央から遠く隔てた宮崎県の御出身であると承知いたしておりますし、私どもは、だいぶいままで裏日本と称せられておりますいわば日陰の、日の当らないところに住んでいるわけでございまして、こういう地域国民が知らず知らずの間に抱いている一種のひがみと申しますか、あるいはそういう考え方を十分に御推察願っているのではないかと考える次第でございます。そういう地域に対して、たまたまきめられたそういう道路が、ただ法律の上でいつから着工するのだというだけではなしに、すでに法律できめられた以上は、多少の差異はあっても、やはりどこもひとしく着工して、そう長くない将来には道路ができ上がるのだという安心を抱かせていただくことこそ、私らの考えでは政治としてきわめて必要なことではないかと愚考するものでございます。どうかそういう意味合いで、こまかいことは何も申し上げませんけれども、国土縦貫等道路建設にありましては、技術的、経済的効果という点、これを脅えにいれていただくことはしごく当然でございますし、そういうことを決して無視したことを申し上げたわけではありませんが、そのほかに、いま一つ先ほどからお願いしておりますように、地域住民にその安心感を抱かせて、あたたかい政治気持ちを目のあたり見せていただきたい。そうして各地域に存します格差是正に十分政府なり、国会なりが関心を持って、それを示していくのだという気持ちを見せていただきたいと思いますのが、私の道路に関して第一に持っている関心事でございます。どうかこの点につきまして、これは大臣も御同感のことであるとは存じますが、一応御所見一端をお漏らしいただくことができますならば、もっけの幸いであると考える次第でございます。  第二の問題といたしましては、現行指名入札制度の一そうの適切な運営をはかっていただきまして、そうしてこの建設省がほかの公共発注機関ないし準公共発注機関模範となる実をあげていただきたいと考える次第でございます。私は、かねて申し上げておりますように、なるべく早い将来におきまして、日本建設工事公共建設工事に関する入札制度先進国並みの程度にまで進んでいただきたいということが念願でありまして、このことは、前の委員会におきましても御要望ないし質疑を申し上げたところでございます。ただしかし、現実の段階におきまして、それを一年や二年の間に実現していただきたいということは、これはそのときも申し上げましたように、いろいろの条件が必要でありますし、また、これをはばむ困難な事態も少なくございませんので、それをきょうあすに実現していただきたいということは、思ってはおりましても、いまこの際急速にそれを求めるわけにはいかないと存じておりますが、せめて現行指名入札制度の一そうの適切な運用をはかって、先ほど申しましたような、大小無数公共発注機関指名入札制度がより適正に行なわれるようにひとつ進めていただきたいと考えておる次第でございます。こう申し上げましても、いまの指名入札制度が必ずしも適正でなく運営されておるというのでは決してありません。しかし、御承知のように、日本公共発注機関も、その数におきましては、何百あるいは何千になるかもしれませんが、地方のそういうものを含めますと、非常に大きい数になると思います。また、私は昭和五年以来今日まで三十五年間、建設事業に従事しておる者という立場から考えますと、中には必ずしも適正とは思われない指名入札運営が行なわれたこともないとは断言できません。いまここでなまなましい実例を一々あげましてそれを申し上げますことは一切はばかりますけれども、しかし、そういうようなこともたまにはあるわけでございまして、そのためには業者は常に戦々恐々といたしまして、指名に漏れないように、その工事に対する十分の実力と誠意と熱意とを持ちながらその指名に入りますために・非常に不安を持ち、また、ばく大な精力を損耗しておるというのが現在の状況ではないかと私は思います。したがって、この指名入札制度が、常識的なそういう標準によって運営されてまいりますならば、そういう面に対する不安も非常に解消してまいりますとともに、業者がそれに費やす無用な努力も不要となり、それだけ工事施行に力を入れることができるわけでございます。ことに、この指名制度運営いかんによりまましては、もっと重天な弊害が起こり得ますこと、また、今日まで起こっておりますことは、これはお察しのところではないかと存じます。これを悪用というと極端になりますけれども、あえてそういうつもりで運営するというようないまの状態では余地が残っておりますから、これを常識的な運営によって扱っていただかないと、単に業界がどうとかこうとかいうだけの問題にとどまらず、日本民主政治全体に対する大きな不信というものが生まれまして、それが日本の国の平和と発展を阻害するひとつの口火ともなりかねないと、少し極端でございますが、私はそう思うものでございます。  なお、これに関しまして、現大臣は非常に海外建設工事の進出に積極的なお考えを持たれ、また、実際的ないろいろなお仕事をお進めいただいておりますこと、あるいは海外進出最高会議のメンバーにわざわざ業界から御推薦をいただきましたり、あるいは財政面金融面その他いろいろな面で、日本建設業界海外進出のために、実績を示した御尽力を願っておりますことは、私ども常に感銘しておるところでありますけれども、これに伴って、海外に出てまいりましても、国際場裏におきまして世界各国業者と匹敵して、この国際収支の面から建設業界が寄するためには、やはりこれらの大臣のお考えに、また御実行になっております施策と相まって、適正な入札制度の御運営によりまして、業者の体質が強化していくと、そういう無用の不安と無用の精力を指名に入るために払うといったようなことなく、それだけ施行能力の増進につとめて、体質の改善強化をはかっていく、それも伴いまして、初めてその大臣の御熱意が実現に移る、実際に実を結ぶということに私はなるんじゃないかと考えておる次第でございます。  さらにまた、業界におきましては、他の業界と同じように、中小企業保護育成といったような問題が、これまた重要な課題として取り上げられておりますことは、御当局のすでに御認識になっているとおりでございますが、この現行指名制度のより適切な運営によりましても、そういう対策の一端を補うことができるのではないかと考えます。もちろん、ただ金額におきまして幾ら以上はこういう業者、幾ら以下はこういう業者といったような、画一的な、機械的なそういうことによって中小企業が救われるというのではありません。もちろんこれには当事者の方の非常な御研究も要ると思いますけれども、やはりいま申し上げましたことも、決していたずらに競争を激化して、そして中小企業を圧迫するといったような面からの私の考え方ではないということを御了承願いたいのでございます。  要するに、いろいろこの点申し上げれば切りがありませんけれども、常識的な指名入札制度が行なわれれば、いろいろな面において非常に益するところが多いということでございます。そうして、いま申しましたように、大小の公共発注機関は無数にありますけれども、建設業界一つの元締めであり、直接工事施行、発注され、また業界全体に対する指導管理についてもその衝に当たっておられます建設省が、今後一そうそういう点に留意していただきますならば、やがてそれが日本大小無数公共発注機関模範となって一そして、それがそういういろいろな弊害を少なくしてまいりますとともに、日本全体の、国民全体の国政あるいは地方政治に対する信頼がふえてまいるということを考えるわけでございます。まあ先ほどから、例は申しませんと言いましたけれども・いろいろな場合に直面いたしまして、ほんとうにそのことを痛感しておる次第でありまして、これは直接建設業に関係するといなとにかかわらず、きわめて容易にそういう事実が想像されることと私は信じております。どうか私の申し上げることばのさらに核心にひそみますものをもおくみ取り願いまして、ひとつ建設省がその範を示し、そして国政の姿勢を正すという一つの方途をはっきり打ち立てていただきたいというのが、私の念願でございますので、これも大臣にとりましては、御同感のことであると存じますけれども、一応大臣から御所信を漏らしていただきますならば、まことにこれまた幸いであると存ずる次第でございます。  その次は、これは前にもちょっとどこかで申し上げましたけれども、日本河川管理という問題につきまして、あるいは前に申し上げましたことと重複するかもしれませんが、さらに一言申し上げたいと存じます。——日本——私のまあ非常に狭い視野からの意見でございますので、あるいは十分当たっていないかもしれませんが、現在河川管理として常識的に行なわれておりますことは、たとえば災害復旧、これは申すまでもありません。それから河川改良——改修といいますか、改良といいますか、まあ流れをよくするとか、いろいろ方法がございましょうが、いわゆる改修、それから上流にダムをつくりまして、河水流制をはかりますこととか、あるいは堤防や護岸が破損いたしましたのを修理するとか、そういうことが大体河川管理の範囲内に入れられまして、それは実施されているといった状態ではないかと私は考えます。ところが、申し上げるまでもございませんが、これは私がこんなことを申し上げますとたいへん専門家の前で失礼でございますが、私がいろいろ専門家に聞きましたことによりますと、河川には安定勾配というものが必要であり、それから計画断面ということが必要であるということを聞いておりますが、そういうことでありますならば、いまいろいろ実施されております事業もきわめて大切なことではありますけれども、このほかに、河川維持管理といたしまして、常に安定勾配計画断面維持管理を行なっていくということが、本来ならば、河川管理ほんとうの道ではないかと私は考えます。もちろんこのような事態は、現在ないし近来の建設省のおやりにならなかったという、そういう罪ではなくして、大げさな言い方をしますと、日本の伝統的な施策が、そういう本格的な維持管理に進まなかったというその伝統が尾を引いて現在に至っているのではないかと考えるわけでございます。申すまでもありませんけれども、自分の家の前を流れる下水は、一年に何回となく掃除をして底ざらいをしまして、流れがよくなるようにするのがで常であります。また、たんぼにおきましては、用水、排水等底ざらい修理等は常に実行して、その流れをよくすることにつとめているのが、これはあたりまえでありまして、もしこれがあたりまえのことでありますならば、それらの水がことごとく集まる河川の当然の維持管理がなお十分でないということは、きわめて不当然といわねばならぬと私は考えます。長い間の伝統ともいうべき点でありますから、なかなか一挙にそういう面にも踏み切られるということにつきましては、予算その他からいろいろな難関もあるかと存じますが、きわめて普通のことが取り上げられていない河川管理現状にかんがみまして、今後そういう面におきまして、ひとつだんだんそういう普通の意味の維持管理が同じく取り上げられてまいりますように、ひとつ御推進をお願いしたいと考えるわけであります。建設省、すなわち国の方針がいままでのような状態でありますと、地方の府県が管理いたします河川におきましても、そういう河川そのものの平常的な維持管理は、やはりどちらかといいますとなおざりにされまして、ただ水が出たり、堤防が切れれば直すとか、あるいは護岸に危険な個所が生ずればそれを修繕するとか、そういうことばかりに明け暮れまして、繰り返し申し上げましたような本来の意味の維持管理がなおざりにされがちの現状ではないかと考えます。もっとも河川維持管理というものはたいへんむずかしいものだそうでございまして、私がここで一知半解の考えを振り回して、あるいはまた御批判を受けるような点があるかもしれませんが、しかし、いずれにいたしましても、その内容のいかんは別といたしまして、むしろ改良とか改修とか災害復旧とかは、いわば臨時的なものでありまして、常にその川を治め、川の流れをよくするということは、ことに日本のような国におきましては必要ではないかと考えます。  長くなりまして恐縮でございますが、たとえばアメリカやヨーロッパなどの川は、その川口が港になるくらい、ニューヨークにいたしましてもも、あるいはハンブルクなどにいたしましても、そういう川口に上流からの上砂が堆積して、川底が浅くなるといったような状態の川がいわゆる先進国にはあまりない。ところが、日本におきましては、御承知のように、利根川の川口も、信濃川の川口も、あるいは木曽川の川口も、すべて港にはならないということは、年々土砂が堆積して港にならぬということでありまして、それらは一朝事あれば、わずかの降雨でもそれが非常に大きな洪水の被害をもたらしますとともに平時におきましては、いわゆる農業の乾田化を妨げている現状でありまして、この河川の平常の維持管理こそ、水を治める本来の趣旨に合致するものではないかと考えるわけでございます。どうかこういう点につきまして、具体的な内容は申しませんが、どうか現在の河川管理が、改良や臨時的のものにとどまらず、平常の維持管理がだんだん日本の国の治水行政の大きな柱となるように、ひとつ推進いただきたいと思いますことが私の念願一つでございます。これもきわめて簡単なことではございますが、御所見を承れれば幸いでございます。  いま一つは、住宅の問題でございます。実はこれにつきましては、あまり資料を調査するいとまがございませんでしたので、あるいは先輩の議員の方から関連して御質問があるかとも思いますけれども、持ち家政策ということに関してでございます。で、建設省におきましても、数年前から、なるべく国民の各自が借家ではなく自分の家に住まれるようにという御配慮から、この持ち家政策取り上げてお進めいただきましたことは、非常に私は善政であると考えております。やはり借りた家に住んでいるのと、小さいながらも自分の家に住んでいるのとでは、その家に対する愛着が違うわけでありますし、自分の住んでいる家に対する愛着が違うということは、やがて自分の住んでいる町に対する愛着あるいは国に対する愛着という考えにもつながるわけだと私は思いますので、この持ち家政策取り上げていただいて、その普及に力を尽くしていただいております御功績なり、そのお気持ちなりは非常に多とするわけでありますけれども、ただ先輩議員のお話等聞きますと、いろいろにお役所のほうで御配慮にはなっておりましても、いろいろな条件がつきます。まあ条件がつくということは、これはごもっともでありますけれども、やはり条件つけ方によりましては、その気持ちが十分に浸透するに至らないという場合があるやに承っております。この点、具体的なことを申し上げかねますので、また、どなたかそのお気づきの点があったら私は御発表になっていただきたいと思いますが、いずれにせよ、十分にことしまたお取り上げになりますような、あるいは将来お取り上げになりますような持ち家政策普及等につきましても、十分ひとつ、近ごろはやりのきめのこまかいお考え方で、手軽に自分の家を持つことができるといったような御配慮を、さらに研究を加えていただきたいと考えるわけでございます。  私の質問は非常に簡単でございますが、この四つでございます。御所見一端承ることができますれば、まことに幸いだと存じます。
  7. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) お答をいたします。  最初の、道路を通じて地域格差是正をすべきであるというお話でありますが、まことに同感でありまして、いま国道地方道についてもそういう考え方で進めておるわけであります。一級国道は、四十年度に大体舗装まで大部分終わるのでありますが、したがって、四十一年から四十二年、三年にかけましては、二級国道地方国道重点が移ってまいりますので、四十三年くらいまでの間には——いわゆる一級国道については、四十年度にほとんど地域格差というものがなくなってしまいますし、二級国道地方国道については、四十一年から四十三年の間には、非常な勢いでいわゆるおくれた地域改修舗装が進められていく、このように考え、また、そのような施策を講じているわけでございます。  高速道路につきましては、本年度四十年度で二十億円の実施予算をとったわけでございますが、これはいま法律できめられておりますところの五つ高速道路、つまり東北道、中央道中国道九州道北陸道、この五つについては、一様に四十年度、から着工する予定でありまして、その着工ということは、当然建設事務所をつくることであります。建設事務所をつくりまして、そして用地買収を始める、こういうつもりでいまだんだんの準備を進めております。着工区間でございますが、着工区間はごくわずかなところということではなしに、相当な年月をかけてもこれだけやり遂げるという前提のもとに、少なくとも百キロ以上というようなものを目標にしまして施行命令が出せるように準備をする。そしてその着工地点については、経済性開発性とを兼ね備えたようなやり方でひとつ考えてみたい。また、具体的にどこの地点をどういうふうにすれば経済性開発性を兼ね備えることができるかという確信が持てませんが、ものの考え方としては、経済性も発揮できるし、後進地域開発にも役立つ、こういうところは必ずあるはずでありますから、そういう考え方で、この高速自動車道路建設するにあたりましての工事命令は、そういう考え方で進めたい、こう思っているわけであります。  次に、適正な入札制度の検討をしろということでありますが、私も就仕以来、建設業の問題については、一つには、建設業海外進出、一方においては、国内における中小企業と大企業の間における摩擦を何とか防ぎたいということで、もう一つは、入札制度を何とか運用のうまい方法はないかということを、いままで模索してまいったわけでございます。入札制度については、指名入札と公開入札制度、二とおりあるわけでございますが、わが国の法制では、公開入札ということを原則としておるのでございますけれども、建設業のような特殊な技能、特殊な技術、あるいは特殊な機械装備というものを必要とするものにありましては、必ずしも公開入札が適切でないということで、従来から指名入札制度をとっております。この指名入札についてもまたいろいろな弊害がありますことは、業者の皆さん方が御承知のとおりであります。あまりにもこれをしぼりますと、談合が起こります。談合が起こって、そして適正な入札ができないということも考えられる。あんまり広げますと、今度は値引き競争が起こって、そして適正な工事が行なわれない。つまり競争で値段をどんどん下げていきまして、実際は利潤を得ることもできないような値段で入札してしまって、そしてその結果、工事に手抜きが起こってしまったり、適正な工事が行なわれない、こういう弊害も起こるわけであります。同じようなことは、指名入札か公開入札かという問題でもやはり起こるのでありまして、公開入札でたくさんな業者が出てきますと、やはりいま申しましたような非常に極端な競争が起こるおそれが出てきて、そのために品質のよい工事を行なわせるという目的が阻害される、こういう問題が、やはり起こってまいります。そういうふうなことをいろいろ考えてまいりますと、建設省としては、まず建設業者の育成をどうするかという観点が一つと、一方においては、発注者として、より安くよりよい工事をどうやって確保するか、こういう二つの使命を持っているわけでありますが、どのようにしたらその目的を達成できるだろうか。それは、一つは、入札制度の改善であると思うのでありますが、この問題についても、いまの指名入札制度というものは、どうもいまの日本業者現状等から見まして、これはやむを得ない制度のように思うのでありますが、この指名入札制度をもっと何かうまい、先ほど申しましたように、私のほうからいえば、建設業者の育成にも役立ちまするし、よりよい仕事をより安くという目的にも合致するような、そういううまい制度はないかということをかねがね模索をしておりますが、なお一そう経験者の、まあ熊谷先生をはじめ経験者の方の御意見を聞きながらひとつ検討を続けていきたい、こう思っているわけであります。  河川の管理についてでありますが、これは流れをよくして農業用水が十分取れるように、また、泉などが枯れるようなことのないようにすることは当然なことでありまして、いまその面にもいろいろ気をつかっておりますが、何ぶんにも急を要しますことは、まずダムをつくったり堤防をつくったり、万が一の洪水に備えることのほうが非常に急を要することでありますから、予算の面においては、維持管理の費用が足りないうらみがありますけれども、その面にもあわせ意を用いながら仕事を進めていきたいと考えております。住宅については、持ち家政策普及したいということで、いま住宅供給公社法案というものを策定いたしまして、近く閣議決定を経て国会に提出する予定でありますが、このねらいは、申すまでもなく、借家でなしに自分の家を持ちたいというのが、みんなの国民念願であると考えますので、できるだけそれを取り入れたい、それが推進できるようにしたいというのがねらいであります。いままでの持ち家政策は、いわゆる政府資金を使いまして、住宅公団あるいは住宅公庫を通じて政策を実行しておったのでありますけれども、政府資金にはその年度の予算の拘束がありますので、どうしてもこの面が十分に行き渡りにくいといううらみがあったわけであります。そこで、家を持ちたいという人たちも一緒になってひとつ資金をつくる方法はないかということで考えまして一積み立て制度を伴うところの住宅供給公社、こういうものをつくりたい、つくろうということで始めておるのでありますが、これも残念ながら、国家資金が大部分でありますために、おのずから年度における建設目標というものを定めざるを得ない。この点、まだ十分でありませんが、さらに四十一年度以降には、さらにくふうをこらしまして、民間資金がもっと十分に入るような措置はないか、そうしてそれによってもっと急速に持ち家の戸数をふやす方法はないか、これもいろいろ検討してみたいと考えております。むろん持ち家となりますと、いまの住宅供給公社による積み立てとなりますと、価格の変動その他から考えまして、あまり長い積み立てを要求するのは実情に沿いませんので、積み立てが三年とか五年とかいうことになり、そうしてその後の償還が二十年とか三十年とかになるわけでありますが、そのために個人個人の負担が月々相当な数字にのぼりまして、勢い中堅階層以上の人でないとこの制度に乗りにくいという面がありました。そういう面では、一方においては、これは持ち家分譲住宅制度では救いにくい面もありますので、その面は従来どおり公営住宅を建てていく、よくしていく、坪数ももっとふやしていく、こういうような方法でよりよき住宅政策をはかっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  8. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 大体大臣の御答弁で了承いたしましたが、ちょっと私のまだ言い足らなかった点もあるかと存じますので、一言つけ加えさせていただきたいと思いますが、一級国道、二級国道等の御政策につきましては、これはもう現実にどんどん着工が進められておりまして、もう私はこれについて住民は相当徹底した理解を持っておるものと考えております。ただ縦貫道路の問題でございますが、あの二十億円の縦貫道路の今後の着工につきましては、緊急必要なところから着工するということに進められておるようにも思いますし、ただいま大臣のお話では、経済的効果もあがり、社会開発にも役立つという点を考えて進めていくという御答弁でございまして、もちろんそれで当然なことと考えるわけでございますが、この点お願いしたいのは、その点のほかに、やはり多少そういうことからは不十分な点がありましても、ひとつ着工するのだ、もう着工したのだ、そうしていよいよ工事を始めるのだという、その点で安心感地域住民が持つことができるようなそういう御配慮をひとつお加え願いたい。社会開発経済的効果ということは、おっしゃるまでもなくもっともなことでございままして、これは十分御尊重していただいてけっこうでございますが、そのほかに、もう地方住民といえば、たいへん失礼な言い分になりますが、何も幾ら数字で説明し、年度でこうだああだと説明しましても、やはり自分のはだでじかに感じ取り、そうして初めて理解するといったような、中央関係のものとは違った非常に、何といいますか、そういうものに対しましてほんとうにやってくれるのだという感じを持つのには、その説明だけではなかなか安心できない。安心をひとつさせていただきたい。そういうことが私のお願いしました念願でございますので、別に御答弁重ねては求めませんが、どうかひとつ、そういう経済的効果あるいは社会開発の面からはかりやったって——そういう点からだけお考えにならずに——考えにならずと言っては失礼ですが、そういう点はお考えになっても、ちゃんと着工するのだという目に見えるような方法をひとつつけ加えていただきたい。そういう考え方を少しでも加えていくということが、私のお願いしておりますひとつの点でございますので、その点を御了承願いたいと考えるわけでございます。  それから現行指名入札の点につきまして、大臣からきわめていろいろな適切なお考えを承りまして、非常に御苦心等に対しまして敬意を表しますが、これについて多少私の考えが、在来の考え方、言い方、発言なども通じまして誤解があるような点もあると思いますので、さらにつけ加えて述べさしていただきたいと思いますことは、私は、結局におきまして日本の現在では、この指名入札制度を続けていくより当面はしかたないんじゃないかと思っております。この前申上げましたことは一つの理想論でありまして、しかし理想は理想としてその道に向かって進んでいくようにしていただきたいと思う念願に変わりはありませんけれども、現在の状態におきまして、単なる公開入札などをいたすようなことは、これはとうてい不可能なことでございます。ですから現行をあくまで続行して、当分はやっていただくよりほかにないと思います。ただ、私が申しますのは、先ほど事例を申し上げることを避けると申し上げましたように避けたいわけでありますけれども、指名をお選びになります場合に、やはりこういう業者ならばこの仕事には適当である、あるいはこの仕事にはこういう業者が適当であるという指名の選考につきまして、ひとつ適切な、より適切な運営をはかっていただきたい。数の多寡は問題でないと思います。いま公開入札という、大蔵省あたりからの話が出ましたから、それを緩和する意味において、五、六社というのを十数社にしたというような、これは大臣がお話しになるまでもなく私も承知いたしておりますけれども、しかしそういうことよりは、その指名に加わる業者が適切だと、まあ具体的な例は別といたしまして、たとえば一つの大きなダム工事があったといたしますれば、やはりそのダム工事に実績なり、あるいはいろいろな面から見て適当だと、万一その業者——万一じゃありません、その業者にたとえ落札して安心して仕事ができるといったような業者を選ぶということが、正しい指名入札のあり方じゃないか。ところが、従来は必ずしもそればかりであったとは言えない場合があるわけでございます。指名入札の通知を受けまして初めて大体どこにどんな工事があるんだといったような、全くちょっと極端な話でございますが、ダム工事ならダム工事関心も実績もあまりなかったところへ指名がいったり、当然現在の段階からいえば、入札に加わるべき資格ありと自他ともに認ずるのが指名に漏れるという場合が、長い私どもの経験の間にはあるわけでございます。数のことには、私は数を多くしたからどうの、少なくしたからどうのというのはあまり問題ではないと思いますが、要するに、なるほどこれらが指名に加えられれば、建設業者なり、あるいは入札のあり方はきわめて常識的だと、適切だというような——いまおやりになったことはけっこうでございます。しかし、従来もそういう例がありましたし、そういう例があったとすれば、今後もあり得ると、現行の指名入札制度を続ける限りは。清潔な大臣は、そういうことは夢想もなされないと思いますけれども、やはり現行の制度を続けざるを得ないとすれば、その運用に、そういう弊害が将来にわたって起きないように、ひとつ建設省も範を示していただきたいと、こういうことが私の御要望の趣旨でございます。ですから、大臣にそういうことを申し上げるのは、釈迦に説法をするようなわけで、これはもう無用なことかもしれませんけれども、やはり私が将来、そういう先進国並み入札制度考えていただきたいということは、そういう弊害が起こり得ないような入札制度というものに進むためにはどうしてもやはり、そういうビジョンを掲げて、それに向かって進まねばならぬじゃないか、現在おいでになる大臣がそういうお考えのもとにおやりになることには、何も私は間違いはないと信じます。私は例のフィリピンのマリキナ堰堤、これは他国の例を引き合いに出して適切かどうかなにかと思いますが、マリキナ堰堤と申しますのは、マニラの付近にございまして、あれが完成すれば、水利の上からも、あるいは工業用水、電力、いろいろな面から非常に大きな寄与をするという問題でございますが、これはほかにも理由があったかもしれませんが、一つは、あれが政争の具に供されまして、あれをこの内閣でやらせればそれで金もうけでもするのだ、次の内閣になればなるでまた何とかするのだ、と言われて、ついに実現ができなかった事実に接しています。そうして、ああ、やはりフィリピンは日本と比べて後進国だなと思いましたけれども、その後進国並みのことが、日本大小無数の発注機関のうちにはやはりあり得るわけでございますから、それをひとつ建設省模範となって適切な指名選考が行なわれ、業者がそういうことに無用精力を使わず、また、国民国政に対しても、地方政治に対しても、常識的な安心できる政治が行なわれてきたという一つの証拠になるようにしていただきたい、こういう趣旨でございますので、別にわざわざ御答弁はけっこうでございますが、どうぞひとつ、この点を御留意願いたいと思う次第でございます。
  9. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 例の高速縦貫自動車道路についての考え方で少し言い足りなかったようでありますから、つけ加えて申し上げますが、建設事務所をつくるだけではなしに、どこからどこまでをやるのだということを明示いたしまして、そのキロ数は十キロや二十キロという短いキロ数ではなく、少なくとも百キロ以上のところを明示いたしますので、住民安心しておられるわけであります。同時に、用地についての御協力方もお願いしなければなりませんから、その用地の収得方の具体的な協力方法もあわせてお願いをするつもりでおります。  入札制度につきましては、わかりましたが、要するに、適正な運用基準をぜひひとつつくって範を示してほしいということのようでありますから、そういう趣旨でひとつ検討いたします。
  10. 田中一

    ○田中一君 私は、大体のことは予算委員会の分科会で質問しますが、いま熊谷君の御質問の中で、あなたは談合すると困るから云々という、談合ということはどういうふうに理解するのですか。談合という字はどういうふうに理解するのですか。談合しては非常に困るというのは、談合という行為は、どういうものであるというふうに理解してよろしいのですか、ひとつ説明してください。
  11. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 弊害のある談合というのは、やはり指名を受けた業者の間に、発注者が意図しないような方法でやられるということが、抽象的にいえば、弊害のある談合じゃないかと思います。
  12. 田中一

    ○田中一君 政府の契約官は、一つ事業を発注する場合に、必ず厳密な積算の上に予定価格というものをつくっているわけなんです、みんな。これはむろんこの中には、いろいろな分析をしてみると、業者の利益なんというものを関知しておらぬのです。その仕事を完成するためにというための予定価格、この予定価格を察知して、これは契約官の中には——あるいは契約官を補助する人たちもたくさんいますから・その中から予定価格を察知して、そうしてその予定価格よりも上回ったものを坂ろうじゃないか、こういう相談をするのが悪質な談合だと思うのです。予定価格を知らないでもって、これはどうしても自分のところはこうなるのだ、自分のところは十億かかるのだ、おれのところは十一億かかるということで入札した場合に、予定価格よりもそれが二割も三割も高くても、これは悪質な談合じゃないですよ。要は、その予定価格より下の、以内の入札価格ならばこれは落札さしているのです、現状でも。したがって、談合というものがいいか悪いかの問題は、予定価格をつり上げようという計画を持つことがいけないんだということを言ってるのであって、十分に検討された予定価格というもので応札されたものに落札さしているわけなんです。だから、一書でただ単に談合しちゃいけないんだということだけではないということを大臣もよく知ってもらわなきゃ困る思うのです。最近の例でね、市街地改造法で着工した新橋の東口の大きな建築がある。都がやっているのです。ところが、落札されてわかったんですが、数十億の仕事ですがね、六億程度のものを余しちゃったんです。非常に都は困ってしまったわけです。数十億のものだから六億や十億はいいんだというのではなくて、たとえばですよ、そういう予算を余しても、最低入札制度をとっていると、それに落札せざるを得ないのですね。そうすると、その会社は、調べてみると、昨年十八億の税金を払っています。東京都の積算された予算から六億余ると、税金をなしても、税金のかわりに奉仕するということになるわけなんですね。しかし、業者なんというものはね、だれが国会議員になっていようと、口じゃ国会議員らしいことを言うけれども、業者のほんとの腹というものは金もうけ主義なんです。金もうけしなきゃならないんです。当然の話です、商売のほうでは。だから、六億の赤字というものを承知して値引きしても、決して損する方向にいかなくて、仕事のほうにしわ寄せがくる。これは大臣も言ってるように、しわ寄せがくるわけなんです。そうすると、どこに弊害があるか。やはりそうした不適当なダンピングを行なうような業者を選定した東京都に責仕があると思いますが、公正取引委員会も、ダンピングに対して警告を発しています。決して安くてもいいんだということを言ってないのです。やはりよい社会をつくり、より国民を豊かにするということは、やはり適正な価格で適正な仕事をすることが一番大事なんであって、ダンピング奨励という形じゃ困る。おそらく熊谷委員気持ちも、ダンピングするような業者は避けてくれということを言っているのでしょうけれども、一言でただ談合をする業者云々で片づけちゃいかぬです。正しい談合もしなきゃいけないんだ。大いにやれ。お互いがお互いの持っているところの能力を——指名されたら迷惑だ、しかし、しょうがない、自分のところはこういう仕事があってどうにもならぬから、熊谷さん、やってくれないかという談合、大いにしなさい。しかしながら、どこまでもそれが価格をつり上げる談合をすれば、これは予定価格がありますから、落札させないです。応札に対して落札させないわけです。決定権は国が持っている。発注者が持っている。この制度の問題は、十何年来参議院の建設委員会でも論議し尽くしたんです。どうすればいいかということです。そうして会計法の一部改正をしてもらって——四、五年前です、一応最低価格でなくてもよろしいという会計法の改正をしてもらったわけなんですよ。十年ぐらいかかりました。ところが、東京都の場合には、そうじゃない。最低価格に対する落札になっているから、六億も値引きしたものを落札せざるを得なくなっているんです。一番の被害者は、設計した男なんですよ。設計した男は、五十億の仕事ならば五十億に対して何%と報酬をもらえるわけなんで、六億、三分としても千八百万円、建築の設計した人が当然なものが吹っ飛んじゃった、請負人のために。というようなことで、ただ単に請負人が自分の税金を十八億払うから、六億程度赤字だっていいんだということで解決されるはずがないということなんです。そこで、最低落札制限の方式をとっているところもままあるのです。ことに、オリンピックが済んでから、もう東京じゃ首都圏周辺の工事というものは一応ストップしております。四十年度の予算が出るまではストップしております。請負人は損しても得してもかまわないんです、商売でやってるんですから。しかし、末端の労働者がお手あげになっているのです。そういうところにひずみがあるわけなんですね。高速道路にしたって、やっているところはありゃしません。去年のオリンピックまでに全部突貫工事でもってつくってしまった。あとは予算がないから仕事してやしませんよ。末端にいる労働者は生活に困るんですよ。私は、公共事業というものは、そうした調整の役をするのが公共事業と思うのです。むろん、これは先行投資として経済的に、あるいは開発的に投資すべきが当然でありますけれども、しかしながら、この場合に建設大臣が、発注官庁として大いに調整の役、いわゆる社会のある層のひずみを調整していくという役目をせにゃならぬ。ことしの公共事業の問題にしても、営繕事業の問題にしても、少な過ぎますよ。これは四、五年前の予算委員会でもやかましく言ったのです。世間がワーワーオリンピック景気でもって景気がいいと一緒になって仕事をする。高いものをつくっている。当然需要供給の関係でもって労働者の賃金は上がっておる。上がるのはけっこうですけれども、物価も上がってくる。私はこういう時期こそ、四十年度の予算こそ、公共事業の費用をうんとたっぷりとり、営繕事業などいまやるべきだというように考えているのですが、これらの問題については、予算委員会でやりますが、しかし、いま談合に対する大臣の認識が、私の言っているような認識でいてほしいと思うのです。談合奨励しなきゃいけません。どの産業でも、業者同士が話し合って仕事をしない業者はないのです。たとえばセメントの価格一つにしても、とうふの問題は、いまいろいろ組合以外のものから安どうふが出ているものだから、いろんな問題が出ておりますけれども、これはやはり公正取引委員会は注意している。他の業者を脅かすために五円とうふを売っちゃいけないということを公正取引委員会言っているのです。やはりこの精神をきっとわきまえて、話し合って適正な人が、適正な業者が、適正な価格で十二分に仕事をなさいというような態度で大臣がやってもらいたいと思います。熊谷さん、自分業者だものだから言いたいこと言えないので、何だかごちょごちょくつの裏から足をかいているようなことばかり言っているのですが、いまのはそういうことだと思う。そうして談合がこわいために不適当な業者をたくさん指定しているのですよ。河野君になってから十人以上指名しなきゃならぬ。土木のAクラス何人、建築のAクラス何人きまっていますよ。熊谷に二百億の建築やれといったらちょっと困るでしょう、人間がそういないから。大体落ちつくところに落ちついているのです。決して、清水、大林と一緒に、二百億の入札に、どうしてもおれがとるのだとがんばりゃしませんよ。やはり適正なものをとっていくということ、したがって、そうした仕事に対しても、とんでもないことがあった。四十四回ダムなんかのときなんか、隧道工事道路舗装業者まで入れているのです。道路舗装屋に隧道工事できやしませんよ。それでも看板に出ている。その他大ぜいに出ているのです。これはいけない。国会でやかましく言ったことがある。選択は、これはもう自分たちの責任をのがれるために、この契約の担当官が、また建設大臣としても責任をのがれたいために、屋上屋を架すような指名を重ねちゃいけないということです。これは改正すべきであります。現在のように十名以上指名しなきゃならぬということはやめるべきです。適正なものに適正な仕事を与えるということです。ほんとうならば、される政府ならば、これは随意契約でもって命令してくれればいいのですが、どうもまだ政府信頼できませんから、いまのような指名入札制度でいいと思うのです。この点はひとつ誤解のないようにしてほしい。私は、熊谷委員の商売と関係しているのじゃございません。しかし、ただそうした業界状態をよくする——末端の建設労働者はいま困っているのです、昨年のオリンピック以来仕事がないのですから。地方もありません、使い果たしているから。だから、ことしはひとつ公共事業費をどんどん出して——この営繕事業なんかもほんとうに少な過ぎますよ、せんだって営繕局長から説明聞いてみると。こういうときこそ、たくさん営繕事業をやるということが必要だと思う。その点ひとつ、自分の意見だけ申し上げますけれども、談合に対する大臣の認識を改めてほしい。答弁してください。
  13. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 要するに、いまおっしゃった趣旨はよくわかります。同時に、適正な価格でやることは当然ですが、たとえば、建築の契約、こちらも積算した数字を持っているわけですけれども、それでやったにしても、談合金なぞ出して、そして、要するにあとで手抜きをするおそれのあるようなことがあっては困るという趣旨を申し上げたわけですから、御了承願います。
  14. 田中一

    ○田中一君 いま談合金なんていうのやりやしませんよ。順番でやっているようです。熊谷さんは十何回入札したから、今度はひとつ間さんに持っていこうじゃないかというようなことをやっているそうです。これは謙譲の美徳だそうですよ。乗ぜられるのは、結局契約担当官並びに契約に携わる各係官が、そうした一番だれも知らないはずの価格を漏洩することが間々あるのです。これはかってあったのです。この前もちょっと関係してありましたけれども、旭川だと思ったな、岡山のダムをつくるときに、地元の業者と熊谷組との価格が一銭一厘違わないんです。同じ数字なんです。何十何円まで同じだったんですよ。こんなことはどういう見積もりをしてもないんです、こいつは。ことに中小業者と大業者の間には全くないんです。これはどうも、両方の政治的な、何というか。推薦が強過ぎるから、価格を両方に教えてじゃんけんぽんで熊谷が勝って仕事をやった例があるのです。十数年前の例ですよ。こういうことは、契約担当官並びに契約に関与する人たちが非常に迷惑するわけなんですね。それはわかれば、確証を握れば一つの犯罪になるのですから、そういう係官が心配しないで指名を選定するような形がほしいと思う。河野さんのように、二億円の仕事をみんなおれが指名するということはおやめなさい、これはかってやったんです。政府関係機関の団体は困っておりましたよ。住、宅公団が一億の仕事を一々大臣のところへ指名書を持っていかなければならぬ。河野さんだって請負人の代表ではないからかまわないけれども、これだっておかしいものです。そのために総裁というものは任命してある。また、経営委員も任命してある。そういうことの行き過ぎないように、ほどほどにして、いまこそ適正な価格で、適正な業者に入札させる、ロァーリミット制を採用してもいいと思う。ダンピングをさせないためにも、ただ指名だけでとてもさばき切れるものではない。あれこれとたくさん推薦して、私だって頼まれると、これひとつ指名してやってくれと言いますよ。けれども、それは権限はあなた方が持っているから、あなた方がきめるといい。ほかから大ぜい頼まれると困っちゃって、さっきのように十人にも二十人にもなってしまう。そこのところ強い自主性と権威を持って発注する心がまえを、あなた方の全国の部下並びに地方公共団体に対しても、それくらいにしてもいいと思う。それひとつ考えてください。あとのことはこの次の委員会でひとつ。
  15. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 他に御発言はございませんか。——他に御発言もなければ、本件についての質疑は、きょうはこの程度にとどめておきます。  本日はこれで散会をいたします。    午後零時四分散会      —————・—————