○
熊谷太三郎君 私は、
建設行政一般に関しまして簡単に
四つの点につきまして、
大臣並びに関係の
方々の御政見を承わりたいと存じます。
一つの点は、
道路の
建設を通じまして、いわゆる
地域格差の
是正に御
協力を願いたいと
考えておるわけでございます。
道路、特に
国土開発縦貫自動車道路でございますが、この
道路の
着工にあたりましては、従来からのお
考え方によりますと、あるいは技術的の
立場または
経済的効果のあがる
立場、そういう面に
重点を置かれまして、いろいろ
着工あるいは
工事の
進行等もお計らいになるということが、あるかのように承っております。また、そうでなければならぬと思います。ただしかし、限りある
予算をもちまして進めてまいります
事業でございますので、そういう技術的な
見地あるいは
経済的効果が、あがるという
見地からだけで
道路の
着工あるいはその進行が定められるということになりますと、そこにいわゆる
地域の
格差是正という問題が一そう大きく取り残されていく場合が、少なくないと
考えるわけであります。
格差の
是正ということはあるいは、調和のとれた
社会開発といった現内閣の
一つの大きな指針と申しますか、
目標と申しますか、そういうことにもなっているわけでございまして、今後この
道路の
建設、特に三十九年度におきまして
法律をもって
予定路線をきめられました。そして
着工の
段階に入りまして
縦貫道路等につきましては、特にこの点を重視していただきまして、技術的な
見地、
経済的効果のあがるような
見地からというだけではなしに、この面も十分にひとつ御
配慮願って、
格差の
是正ということに御
協力をお願いしたいと
考えるわけでございます。
ところで、われわれが週末ごとに
地方に帰りますが、その際、
地域の
住民の
方々の最も
関心を持たれる問題は、やはり何といいましても
道路の問題でありまして、
自分の
地域の
縦貫道路は一体いつ
着工になって、いつ完成するかというようなことは、常に話題に上がるわけでございますが、これは何年度に
着工して何年度に終わる
予定だということを何べん繰り返しましても、どうしても十分に納得しかねて、常に不安を抱くといったような
状態でございます。したがって、こういう
見地から、私は、国はどの
地域に対しても、常にあたたかい
気持ちをもってその
開発に
関心を持っているのだという証拠を、現地の方に見せていただくことが最も望ましいのではないか。たとえ、そこに、まだはっきりしたいろいろな
技術的要件、が十分整わない場合におきましても、まあ、これはたとえでございますが、
建設仮
事務所の
一つも、看板の
一つもかけていただいたり、あるいは
用地の
買収などに対する
準備を進めていただくとか、とにかく、実際
住民の目に見える、そういう姿で
政府の
関心をそこに示していただくということが、
政府並びに
国会、
国政全般に対する
住民の
信頼を増すゆえんではないかと
考えるわけでございます。
大臣の御
出身は、失礼でございますが、やはり中央から遠く隔てた宮崎県の御
出身であると
承知いたしておりますし、私どもは、だいぶいままで
裏日本と称せられておりますいわば日陰の、日の当らないところに住んでいるわけでございまして、こういう
地域の
国民が知らず知らずの間に抱いている一種のひがみと申しますか、あるいはそういう
考え方を十分に御推察願っているのではないかと
考える次第でございます。そういう
地域に対して、たまたまきめられたそういう
道路が、ただ
法律の上でいつから
着工するのだというだけではなしに、すでに
法律できめられた以上は、多少の差異はあっても、やはりどこもひとしく
着工して、そう長くない将来には
道路ができ上がるのだという安心を抱かせていただくことこそ、私らの
考えでは
政治としてきわめて必要なことではないかと愚考するものでございます。どうかそういう意味合いで、こまかいことは何も申し上げませんけれども、
国土縦貫等の
道路建設にありましては、技術的、
経済的効果という点、これを脅えにいれていただくことはしごく当然でございますし、そういうことを決して無視したことを申し上げたわけではありませんが、そのほかに、いま
一つ、
先ほどからお願いしておりますように、
地域の
住民にその
安心感を抱かせて、あたたかい
政治の
気持ちを目のあたり見せていただきたい。そうして各
地域に存します
格差の
是正に十分
政府なり、
国会なりが
関心を持って、それを示していくのだという
気持ちを見せていただきたいと思いますのが、私の
道路に関して第一に持っている
関心事でございます。どうかこの点につきまして、これは
大臣も御
同感のことであるとは存じますが、一応御
所見の
一端をお漏らしいただくことができますならば、もっけの幸いであると
考える次第でございます。
第二の問題といたしましては、
現行指名入札制度の一そうの適切な
運営をはかっていただきまして、そうしてこの
建設省がほかの
公共発注機関ないし準
公共発注機関の
模範となる実をあげていただきたいと
考える次第でございます。私は、かねて申し上げておりますように、なるべく早い将来におきまして、
日本の
建設工事、
公共建設工事に関する
入札制度が
先進国並みの程度にまで進んでいただきたいということが
念願でありまして、このことは、前の
委員会におきましても御要望ないし
質疑を申し上げたところでございます。ただしかし、現実の
段階におきまして、それを一年や二年の間に実現していただきたいということは、これはそのときも申し上げましたように、いろいろの
条件が必要でありますし、また、これをはばむ困難な
事態も少なくございませんので、それをきょうあすに実現していただきたいということは、思ってはおりましても、いまこの際急速にそれを求めるわけにはいかないと存じておりますが、せめて
現行指名入札制度の一そうの適切な運用をはかって、
先ほど申しましたような、
大小無数の
公共発注機関の
指名入札制度がより適正に行なわれるようにひとつ進めていただきたいと
考えておる次第でございます。こう申し上げましても、いまの
指名入札制度が必ずしも適正でなく
運営されておるというのでは決してありません。しかし、御
承知のように、
日本の
公共発注機関も、その数におきましては、何百あるいは何千になるかもしれませんが、
地方のそういうものを含めますと、非常に大きい数になると思います。また、私は
昭和五年以来今日まで三十五年間、
建設事業に従事しておる者という
立場から
考えますと、中には必ずしも適正とは思われない
指名入札の
運営が行なわれたこともないとは断言できません。いまここでなまなましい実例を一々あげましてそれを申し上げますことは一切はばかりますけれども、しかし、そういうようなこともたまにはあるわけでございまして、そのためには
業者は常に戦々恐々といたしまして、
指名に漏れないように、その
工事に対する十分の実力と誠意と
熱意とを持ちながらその
指名に入りますために・非常に不安を持ち、また、ばく大な精力を損耗しておるというのが現在の状況ではないかと私は思います。したがって、この
指名入札制度が、常識的なそういう標準によって
運営されてまいりますならば、そういう面に対する不安も非常に解消してまいりますとともに、
業者がそれに費やす無用な努力も不要となり、それだけ
工事の
施行に力を入れることができるわけでございます。ことに、この
指名制度の
運営いかんによりまましては、もっと重天な弊害が起こり得ますこと、また、今日まで起こっておりますことは、これはお察しのところではないかと存じます。これを悪用というと極端になりますけれども、あえてそういうつもりで
運営するというようないまの
状態では余地が残っておりますから、これを常識的な
運営によって扱っていただかないと、単に
業界がどうとかこうとかいうだけの問題にとどまらず、
日本の
民主政治全体に対する大きな不信というものが生まれまして、それが
日本の国の平和と発展を阻害するひとつの口火ともなりかねないと、少し極端でございますが、私はそう思うものでございます。
なお、これに関しまして、現
大臣は非常に
海外建設工事の進出に積極的なお
考えを持たれ、また、実際的ないろいろなお仕事をお進めいただいておりますこと、あるいは
海外進出の
最高会議のメンバーにわざわざ
業界から御推薦をいただきましたり、あるいは
財政面、
金融面その他いろいろな面で、
日本の
建設業界の
海外進出のために、実績を示した御尽力を願っておりますことは、私ども常に感銘しておるところでありますけれども、これに伴って、海外に出てまいりましても、
国際場裏におきまして
世界各国の
業者と匹敵して、この
国際収支の面から
建設業界が寄するためには、やはりこれらの
大臣のお
考えに、また御実行になっております
施策と相まって、適正な
入札制度の御
運営によりまして、
業者の体質が強化していくと、そういう無用の不安と無用の精力を
指名に入るために払うといったようなことなく、それだけ
施行能力の増進につとめて、体質の
改善強化をはかっていく、それも伴いまして、初めてその
大臣の御
熱意が実現に移る、実際に実を結ぶということに私はなるんじゃないかと
考えておる次第でございます。
さらにまた、
業界におきましては、他の
業界と同じように、
中小企業の
保護育成といったような問題が、これまた重要な課題として
取り上げられておりますことは、御当局のすでに御認識になっているとおりでございますが、この
現行指名制度のより適切な
運営によりましても、そういう対策の
一端を補うことができるのではないかと
考えます。もちろん、ただ金額におきまして幾ら以上はこういう
業者、幾ら以下はこういう
業者といったような、画一的な、機械的なそういうことによって
中小企業が救われるというのではありません。もちろんこれには当事者の方の非常な御研究も要ると思いますけれども、やはりいま申し上げましたことも、決していたずらに競争を激化して、そして
中小企業を圧迫するといったような面からの私の
考え方ではないということを御了承願いたいのでございます。
要するに、いろいろこの点申し上げれば切りがありませんけれども、常識的な
指名入札の
制度が行なわれれば、いろいろな面において非常に益するところが多いということでございます。そうして、いま申しましたように、大小の
公共発注機関は無数にありますけれども、
建設業界の
一つの元締めであり、直接
工事も
施行、発注され、また
業界全体に対する
指導管理についてもその衝に当たっておられます
建設省が、今後一そうそういう点に留意していただきますならば、やがてそれが
日本の
大小無数の
公共発注機関の
模範となって一そして、それがそういういろいろな弊害を少なくしてまいりますとともに、
日本全体の、
国民全体の
国政あるいは
地方の
政治に対する
信頼がふえてまいるということを
考えるわけでございます。まあ
先ほどから、例は申しませんと言いましたけれども・いろいろな場合に直面いたしまして、
ほんとうにそのことを痛感しておる次第でありまして、これは直接
建設業に関係するといなとにかかわらず、きわめて容易にそういう事実が想像されることと私は信じております。どうか私の申し上げることばのさらに核心にひそみますものをもおくみ取り願いまして、ひとつ
建設省がその範を示し、そして
国政の姿勢を正すという
一つの方途をはっきり打ち立てていただきたいというのが、私の
念願でございますので、これも
大臣にとりましては、御
同感のことであると存じますけれども、一応
大臣から御所信を漏らしていただきますならば、まことにこれまた幸いであると存ずる次第でございます。
その次は、これは前にもちょっとどこかで申し上げましたけれども、
日本の
河川管理という問題につきまして、あるいは前に申し上げましたことと重複するかもしれませんが、さらに一言申し上げたいと存じます。
——日本の
——私のまあ非常に狭い視野からの意見でございますので、あるいは十分当たっていないかもしれませんが、現在
河川管理として常識的に行なわれておりますことは、たとえば
災害復旧、これは申すまでもありません。それから
河川の
改良——改修といいますか、
改良といいますか、まあ
流れをよくするとか、いろいろ
方法がございましょうが、いわゆる
改修、それから上流にダムをつくりまして、
河水流制をはかりますこととか、あるいは堤防や護岸が破損いたしましたのを修理するとか、そういうことが大体
河川管理の範囲内に入れられまして、それは実施されているといった
状態ではないかと私は
考えます。ところが、申し上げるまでもございませんが、これは私がこんなことを申し上げますとたいへん
専門家の前で失礼でございますが、私がいろいろ
専門家に聞きましたことによりますと、
河川には
安定勾配というものが必要であり、それから
計画断面ということが必要であるということを聞いておりますが、そういうことでありますならば、いまいろいろ実施されております
事業もきわめて大切なことではありますけれども、このほかに、
河川の
維持管理といたしまして、常に
安定勾配と
計画断面の
維持管理を行なっていくということが、本来ならば、
河川管理の
ほんとうの道ではないかと私は
考えます。もちろんこのような
事態は、現在ないし近来の
建設省のおやりにならなかったという、そういう罪ではなくして、大げさな言い方をしますと、
日本の伝統的な
施策が、そういう本格的な
維持管理に進まなかったというその伝統が尾を引いて現在に至っているのではないかと
考えるわけでございます。申すまでもありませんけれども、
自分の家の前を
流れる下水は、一年に何回となく掃除をして
底ざらいをしまして、
流れがよくなるようにするのがで常であります。また、たんぼにおきましては、用水、
排水等の
底ざらい、
修理等は常に実行して、その
流れをよくすることにつとめているのが、これはあたりまえでありまして、もしこれがあたりまえのことでありますならば、それらの水がことごとく集まる
河川の当然の
維持管理がなお十分でないということは、きわめて不当然といわねばならぬと私は
考えます。長い間の伝統ともいうべき点でありますから、なかなか一挙にそういう面にも踏み切られるということにつきましては、
予算その他からいろいろな難関もあるかと存じますが、きわめて普通のことが
取り上げられていない
河川管理の
現状にかんがみまして、今後そういう面におきまして、ひとつだんだんそういう普通の意味の
維持管理が同じく
取り上げられてまいりますように、ひとつ御推進をお願いしたいと
考えるわけであります。
建設省、すなわち国の方針がいままでのような
状態でありますと、
地方の府県が管理いたします
河川におきましても、そういう
河川そのものの平常的な
維持管理は、やはりどちらかといいますとなおざりにされまして、ただ水が出たり、堤防が切れれば直すとか、あるいは護岸に危険な個所が生ずればそれを修繕するとか、そういうことばかりに明け暮れまして、繰り返し申し上げましたような本来の意味の
維持管理がなおざりにされがちの
現状ではないかと
考えます。もっとも
河川の
維持管理というものはたいへんむずかしいものだそうでございまして、私がここで一知半解の
考えを振り回して、あるいはまた御批判を受けるような点があるかもしれませんが、しかし、いずれにいたしましても、その内容の
いかんは別といたしまして、むしろ
改良とか
改修とか
災害復旧とかは、いわば臨時的なものでありまして、常にその川を治め、川の
流れをよくするということは、ことに
日本のような国におきましては必要ではないかと
考えます。
長くなりまして恐縮でございますが、たとえばアメリカやヨーロッパなどの川は、その
川口が港になるくらい、ニューヨークにいたしましてもも、あるいはハンブルクなどにいたしましても、そういう
川口に上流からの上砂が堆積して、川底が浅くなるといったような
状態の川がいわゆる
先進国にはあまりない。ところが、
日本におきましては、御
承知のように、利根川の
川口も、信濃川の
川口も、あるいは木曽川の
川口も、すべて港にはならないということは、年々土砂が堆積して港にならぬということでありまして、それらは一朝事あれば、わずかの降雨でもそれが非常に大きな洪水の被害をもたらしますとともに平時におきましては、いわゆる農業の
乾田化を妨げている
現状でありまして、この
河川の平常の
維持管理こそ、水を治める本来の趣旨に合致するものではないかと
考えるわけでございます。どうかこういう点につきまして、具体的な内容は申しませんが、どうか現在の
河川管理が、
改良や臨時的のものにとどまらず、平常の
維持管理がだんだん
日本の国の
治水行政の大きな柱となるように、ひとつ推進いただきたいと思いますことが私の
念願の
一つでございます。これもきわめて簡単なことではございますが、御
所見を承れれば幸いでございます。
いま
一つは、住宅の問題でございます。実はこれにつきましては、あまり資料を調査するいとまがございませんでしたので、あるいは先輩の議員の方から関連して御質問があるかとも思いますけれども、
持ち家政策ということに関してでございます。で、
建設省におきましても、数年前から、なるべく
国民の各自が借家ではなく
自分の家に住まれるようにという御
配慮から、この
持ち家政策を
取り上げてお進めいただきましたことは、非常に私は善政であると
考えております。やはり借りた家に住んでいるのと、小さいながらも
自分の家に住んでいるのとでは、その家に対する
愛着が違うわけでありますし、
自分の住んでいる家に対する
愛着が違うということは、やがて
自分の住んでいる町に対する
愛着あるいは国に対する
愛着という
考えにもつながるわけだと私は思いますので、この
持ち家政策を
取り上げていただいて、その普及に力を尽くしていただいております御功績なり、そのお
気持ちなりは非常に多とするわけでありますけれども、ただ
先輩議員のお話等聞きますと、いろいろにお役所のほうで御
配慮にはなっておりましても、いろいろな
条件がつきます。まあ
条件がつくということは、これはごもっともでありますけれども、やはり
条件の
つけ方によりましては、その
気持ちが十分に浸透するに至らないという場合があるやに承っております。この点、具体的なことを申し上げかねますので、また、どなたかそのお気づきの点があったら私は御発表になっていただきたいと思いますが、いずれにせよ、十分にことしまたお
取り上げになりますような、あるいは将来お
取り上げになりますような
持ち家政策の
普及等につきましても、十分ひとつ、近ごろはやりのきめのこまかいお
考え方で、手軽に
自分の家を持つことができるといったような御
配慮を、さらに研究を加えていただきたいと
考えるわけでございます。
私の質問は非常に簡単でございますが、この
四つでございます。御
所見の
一端承ることができますれば、まことに幸いだと存じます。