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1965-05-07 第48回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)    午後一時二十四分開会     —————————————    委員の異動  三月十九日     辞任         補欠選任      稲葉 誠一君     藤田  進君  三月二十二日     辞任         補欠選任      藤田  進君     大森 創造君  三月二十三日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     増原 恵吉君  三月二十四日     辞任         補欠選任      増原 恵吉君     二木 謙吾君      大森 創造君     稲葉 誠一君      浅井  亨君     小平 芳平君  三月二十五日     辞任         補欠選任      稲葉 誠一君     戸叶  武君  三月二十六日     辞任         補欠選任      中村 正雄君     高山 恒雄君  三月二十九日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     館  哲二君      横川 正市君     大森 創造君      高山 恒雄君     中村 正雄君      奥 むめお君     佐藤 尚武君  三月三十日     辞任         補欠選任      大森 創造君     横川 正市君      小平 芳平君     浅井  亨君  三月三十一日     辞任         補欠選任      鈴木 恭一君     前田佳都男君      和田 鶴一君     田中 清一君      佐藤 尚武君     奥 むめお君  四月八日     辞任         補欠選任      戸叶  武君     稲葉 誠一君  四月十三日     辞任         補欠選任      北口 龍徳君     村上 春藏君  四月二十二日     辞任         補欠選任      田中 清一君     和田 鶴一君      櫻井 志郎君     山崎  斉君      館  哲二君     二木 謙吾君      村上 春藏君     北口 龍徳君  四月二十三日     辞任         補欠選任      前田佳都男君     鈴木 恭一君  五月七日     辞任         補欠選任      上林 忠次君     久保 勘一君      坪山 徳弥君     丸茂 重貞君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴谷  要君     理 事                 北口 龍徳君                 佐藤 芳男君                 野知 浩之君                 二宮 文造君     委 員                 加賀山之雄君                 小林 篤一君                 鈴木 恭一君                 二木 謙吾君                 山崎  斉君                 稲葉 誠一君                 佐野 芳雄君                 吉田忠三郎君                 浅井  亨君                 中村 正雄君    国務大臣        大 蔵 大 臣  田中 角榮君        建 設 大 臣  小山 長規君    政府委員        警察庁長官官房        会計課長     渋谷  亮君        警察庁刑事局長  日原 正雄君        北海道開発庁主        幹        荒巻與四郎君        防衛施設庁総務        部会計課長    大浜 用正君        科学技術庁長官        官房会計課長   木戸 四夫君        大蔵政務次官   鍋島 直紹君        大蔵大臣官房会        計課長      新保 實生君        大蔵省主計局次        長        中尾 博之君        文部大臣官房会        計課長      岩間英太郎君        厚生大臣官房会        計課長      戸澤 政方君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        通商産業大臣官        房会計課長    後藤 正記君        運輸政務次官   大久保武雄君        運輸大臣官房会        計課長      須賀貞之助君        建設大臣官房会        計課長      多治見高雄君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君        自治政務次官   高橋 禎一君        自治大臣官房会        計課長      芦田 一良君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局経理局主計        課長       勝見 嘉美君        最高裁判所事務        総局民事局長   菅野 啓蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        外務省アジア局        外務参事官    広瀬 達夫君        大蔵省国有財産        局国有財産第二        課長       村田  博君        会計検査院事務        総局第一局長   保川  遜君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(そ  の2)(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十八年度特別会計予備費使用調書(そ  の2)(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十八年度特別会計予算総則第十三条に基  づく使用調書内閣提出衆議院送付) ○昭和三十八年度特別会計予算総則第十四条に基  づく使用調書(その2)(内閣提出衆議院  送付) ○昭和三十八年度特別会計予算総則第十五条に基  づく使用調書内閣提出衆議院送付) ○昭和三十九年度一般会計予備費使用調書(そ  の1)(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十九年度特別会計予備費使用調書(そ  の1)(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十九年度特別会計予算総則第十五条に基  づく使用調書(その2)(内閣提出衆議院  送付) ○昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(内閣提出)     —————————————
  2. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  去る四月十三日、理事北口龍徳君が委員辞任されたため、現在理事が一名欠員となっておりますので、まず、その補欠互選を行ないます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 異議ないと認めます。それでは理事北口龍徳君を指名いたします。     —————————————
  4. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件、昭和三十九年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書を一括議題とし審査を行ないます。  まず、概要説明を聴取いたします。大蔵政務次官
  5. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) ただいま議題となりました昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十八年度一般会計予備費につきましては、その予算額は、二百億円であり、このうち、財政法第三十五条の規定により、昭和三十八年五月十七日から同年十二月二十七日までの間において使用を決定いたしました百五十九億八千万円余につきましては、第四十六回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしまして、すでに御承諾を得たところでありますが、その後、昭和三十九年一月十日から同年三月二十七日までの間におきまして三十八億九千万円余の使用を決定いたしました。  その内訳は、災害対策として、河川等災害復旧事業等に必要な経費の七件、その他の経費として、大学付属病院医療費に必要な経費の二十七件であります。  次に、昭和三十八年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は、千九百五十二億七千万円余であり、このうち、昭和三十八年七月八日から同年十二月二十日までの間において使用を決定いたしました五百三十一億八百万円余につきましては、第四十六回国会において、すでに御承諾を得たところでありますが、その後、昭和三十九年一月二十一日から同年三月二十七日までの間におきまして三百五十二億五千八百万円余の使用を決定いたしました。  その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米買い入れに必要な経費厚生保険特別会計健康勘定における健康保険給付費の不足を補うために必要な経費失業保険特別会計における失業保険給付に必要な経費労働者災害補償保険特別会計における保険給付等に必要な経費国有林野事業特別会計国有林野事業勘定における仲裁裁定の実施に伴う職員俸給等に必要な経費等十五特別会計の二十二件であります。  次に、昭和三十八年度特別会計予算総則第十三条、第十四条及び第十五条の規定に基づき、予備費使用の例に準じて、予算を超過して支出いたしましたものは、第四十六回国会においてすでに御承諾を得ましたものを除き、資金運用部国立病院郵政事業及び郵便貯金の四特別会計においてでありまして、その内訳は、資金運用部特別会計において支出いたしました預託金利子支払いに必要な経費三十五億七百万円余、国立病院特別会計における患者医療費増加に必要な経費八億百万円余、郵政事業特別会計における業績賞与に必要な経費四十三億二百万円余、業務量増加等に必要な経費百八十二億四千万円余、郵便貯金特別会計における支払い利子増加等に必要な経費七億千五百万円余、業績賞与支給に伴い必要な経費六億四千百万円余であります。  以上が昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件の事後承諾を求める件の概要であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御承諾下さいますようお願い申し上げます。  次に、昭和三十九年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十九年度一般会計予備費につきましては、その予算額は、三百億円であり、このうち、財政法第三十五条の規定により、昭和三十九年四月二十八日から同年十二月二十二日までの間において使用を決定いたしました金額は、二百三十六億七千百万円余であります。  その内訳は、災害対策として、農業施設災害復旧事業に必要な経費等の五十八件、その他の経費として、皇太子同妃両殿下のメキシコ国御訪問に必要な経費等の二十九件であります。  次に、昭和三十九年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は、千九百九十五億七千六百万円余であり、このうち、昭和三十九年四月十四日から同年十二月二十八日までの間において使用を決定いたしました金額は七百十八億六千六百万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米買い入れに必要な経費、同特別会計輸入食糧管理勘定における輸入食糧買い入れ増加に伴い必要な経費農業共済保険特別会計農業勘定における農業共済組合連合会等交付金支払いに必要な経費道路整備特別会計における道路事業及び街路事業調整に必要な経費治水特別会計治水勘定における河川事業等調整に必要な経費等十一特別会計の二十四件であります。  次に、昭和三十九年度特別会計予算総則第十五条の規定に基づき、昭和三十九年五月二十六日から同年十一月二十日までの間において経費使用を決定いたしましたものは、造幣局特別会計における補助貨幣製造数量増加に必要な経費八億八千二百万円余、オリンピック記念メダル製造に必要な経費四百万円余、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における輸入食糧買い入れ増加に伴い必要な経費六十四億円、同特別会計輸入飼料勘定における返還金等調整勘定へ繰り入れに必要な経費二十三億三千四百万円余であります。  以上が昭和三十九年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件の概要であります。  何とぞ、御審議の上すみやかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  最後に昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為に関する報告につきまして、御説明申し上げます。  昭和三十九年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定に基づき、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる金額は三十億円でありまして、このうち、官庁施設災害復旧につきまして、昭和三十九年十二月四日の閣議の決定を経て、総額三億九千八百三十九万円の範囲内で国が債務を負担する行為をすることといたしました。  以上をもちまして、昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為に関する報告といたします。
  6. 柴谷要

    委員長柴谷要君) これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 最初に、最高裁判所お尋ねをするわけですが、今年の四月十六日に上告人仙台市で、被上告人梶原つや外五名ですかの損害賠償事件があって、そして、仙台の市が負けて損害賠償を払えという判決が確定をしたわけですが、この判決のまあ内容といいますか、それについてある程度説明を願いたいと思いますが。
  8. 菅野啓蔵

    最高裁判所長官代理者菅野啓蔵君) ただいまお尋ねのありました判決上告審判決は、お手元に資料としてお配りしてあるかと思いますが、上告審判決は、上告理由書に対する判断を示しておるだけでございまして、非常に簡単でございますので、この事件内容については、上告審判決だけではおわかりにくいかと存じますので、一、二審の判決から見ました事実について御説明申し上げます。  本件原告は、昭和三十三年の十二月の七日に仙台市の道路を原動機づき自転車を運転しておった人が、道路にありました穴地に乗り入れて事故を起こし、そして、なくなった人の両親が原告となりまして、仙台市を相手として訴訟を起こしたのでございます。その訴訟を起こしましたのが三十四年の九月六日で、第一審の仙台地方裁判所でございますが、弁論を七回ほどいたしまして、三十五年の九月六日に判決となっております。そうしてその判決の結果、原告請求を一部認容いたしまして、原告勝訴ということになったのでございます。  続いて控訴審が、三十五年九月二十六日に控訴が提起されまして、これも弁論を八回ほどいたしまして、三十七年三月十四日に判決の言い渡しをしました。で、その控訴審におきましても、一審の判決原告勝訴判決を支持いたしまして、ただ、控訴中に被控訴人の一人、すなわち被害をこうむった人の父親がなくなったとみえまして、その間権利の承継等がございまして、原告が、そのなくなった人の相続人が加わりましたために、原告の数が、相続人の四人を加えております。  そうして上告審におきましても、結局この二審を支持いたしまして、結局上告棄却ということになったわけでございますが、この事実関係は、一、二審とも大体同じような事実関係でございまして、先ほど申し上げましたように、仙台東五番丁七番地の道路先において、車道の中央部に存した円形の、直経一メートルばかり、それから深さ十センチないし十五センチの穴地に乗り入れて操縦の自由を失って、頭部骨折等によりましてなくなった。で、これはその道路仙台市の市道であったわけですが、その市道管理者である仙台市の責任であるとして、国家賠償法の第二条によって損害賠償請求をしたわけでございますが、一、二審とも、裁判所判断といたしましては、かような穴があいておったということは、道路管理上の瑕疵があるとして、そうしてその瑕疵によって被害者が死亡したという意味で、因果関係があるということを認定いたしまして、そうして被告のほうからは予算関係上万全の道路管理はできなかったとしても、予算がなかった、十分でなかったので、その予算範囲内においてはできるだけの管理をしておったというような被告主張に対しまして、裁判所としては、予算がなかったという点について十分の証拠がない。それから、たとえ十分管理するだけの予算がなかったとしても、交通禁止等の処置はできたはずだ。そういう点に過失がある——過失があると申しますか、責任がある。それから、予算がなかったという点について証拠はないのであるが、かりに予算がなかったとしても、国家賠償法二条によって無過失責任があるということを二審の判決が書いております。そうして、しかしながら被害者の側にも、飲酒をし、あるいは相当スピードでそこを通行したというような過失があるということを認めて、過失相殺の条項を適用いたしまして、そうして原告らの請求に対する約五分の一の請求を認めて、原告勝訴を認めたのでございます。  で、これに対して上告趣意書は、三点あるのでございますが、その第一、二点は、要するに、国家賠償法第二条の被告責任というものは、民法第七百十七条の無過失責任責任とはやや異なるのである。であるから、国とすれば、予算範囲内でできるだけのことをすれば、それで責任はないというようなことを第一、二点で申しておるようでございます。  第三点は、この被害者自身が酒を飲んでおったとか、相当スピードで走っておったというような点に、むしろ本件被害因害関係というものは原告側にあるというような主張をしておったわけでありますが、上告審では、この道路には要するに瑕疵があった、そうして国家賠償法二条の責任仙台市にあるのだ、そして第二審の無過失損害賠償責任の点を、上告論旨で法律の解釈を誤ったものであるというような主張があるが、無過失損害賠償責任の点は、第二審としては傍論として述べているにすぎないのであるからということを申しておりまして、さらにまた、予算範囲内で管理をすれは責任はないということは言えないのだということを、上告審判決は書いております。  それから、原告側過失がむしろ本件事故を起こした原因であって、本件損害賠償については因果関係がないという上告理由に対しましては、そういう原告側のまあ過失と見るべきような事情があったとしても、過失相殺を認めている第二審の判断は正当であるというふうに、本件上告審判決はしているわけでございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その過失相殺の点は、これは別の議論として、その理由としては、第一と第二、二つあるようですが、そうすると、これはまあ市道、これが国道の場合は、同じようなことが起きた場合には、一体そのどこが責任を負うことになるのですか。これは建設省のほうどうですか。
  10. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 国道の場合にも、国が直接管理している場合とそれから県に管理を委託している場合があります。したがって、管理者責任でありますから、国が管理しているところは国に賠償責任がありますし、県の場合には県に賠償責任がある、こういうふうに解釈させております。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、国道の場合は県が管理しているというのは、本来国が管理すべきものをまあ県に委託している形になるんですから、共同責任という形になるのではないのですか。そこは、どうなっているんですか。
  12. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 国道の場合でも、現在の道路法のたてまえでは建設大臣管理するということになっておりますが、過渡的に地方の自治体の知事に委任しております。それで従前もそうでございましたが、現在でも直轄管理しております区間については国の責任、それ以外につきましては関係知事、こういうことになっております。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、国道の場合、直轄のもので補修を要するというふうなものが全国的に相当あるというふうに考えられるのですがね、そういうところで補修というか、そういうふうなものが悪くて事故が起きるとなると、この最高裁判所判決というのは確定しているわけですから、覊束されて、国が損害賠償責任を負わなければならないということになるのではないのですか。
  14. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 国が管理しているところは、当然いまのような事件が起こりますと、国の責任になります。したがって、われわれとしましても、あるいは管理を委任されております都道府県にしましても、そういう事態に対処するために、常時道路管理状態を見るためのパトロール、これを実施しているわけなんでありますが、そうしてまあ事前にそういう個所があれば、たとえば赤ランプをつけて、夜間にもその危険個所をわかるようにするとか、あるいは路肩がくずれかかっておれば、ここに標示をしてここは危険ですからということがわかるようにするとか、そういうことを常時やって事故を未然に防ぐという措置をとらなければならないわけです。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうな措置のために、どの程度の予算措置というふうなものを年々やっているんですか。特にそのために取り立てて言うほどのものではないのですか。
  16. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 国が直轄管理いたしますところの区間につきましては、一般的な国の道路管理費、それで見ているものが大部分でございますが、そのほかに、国が建設工事をしている区間がございます。その区間につきましては、管理費ではない、建設事業費というほうで所要のものを見る、こういうことになっております。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 このごろでは、道路を新しくつくるということに非常に全力をあげてしまって、道路補修というか、そういうふうなものがいわば新しくつくるということに比べると、少しなおざりになっている、こういうふうなきらいが全体としてあるのじゃないですか。そこはどういうふうになっておりますか。
  18. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 建設費のほうの額のふえ方が相対的に大きい、これは言えるかと思いますが、それは道路の現在の状況が、自動車の台数あるいは交通状況に比べまして非常におくれているということから、当然そういう建設投資をしなければならぬ、そういう事態が生じているわけでございますが、他方道路維持管理につきましても、車両の増大交通量増大にしたがいまして当然やらなければなりません。このほうにつきましても、道路管理者はそれぞれ、それぞれの責任におきまして管理をしているわけでございますが、国におきましても、重要な舗装等補修事業につきましては助成の道を講じまして、他方そういう補修も行なっているわけでございます。これは建設事業の中の一つの部門として考えている次第でございます。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは最高裁でこういう判決が出て、これは穴ぼこで非常に道路管理瑕疵があったという例でございますけれども、そうでなくても、いろいろな面で瑕疵があるということが考えられるわけですから、国道だけでなくて、府県道というか、そういうふうなものの補修というふうな維持管理というか、こういうふうなことについても今後十分な形でひとつ力を注いでもらいたい。こういうふうなことを、これは当然のことですけれども希望するわけですが、それに対する答えをひとついただいておきたいと思います。
  20. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 国が直接管理するところにおきましては、当然建設省としまして十分な管理をしていきたいと思っております。また県に委託しているところ、あるいは県道、市町村道、その他管理者が国以外であります場合には、それぞれがまた地方交付税その他の中からその管理の費用を出しているわけでございますけれども、十分こういうふうな事例もありますことでありますし、あるいは最高裁の判決もあることでありますから、今後そういうことが起こるたびに賠償という問題が起これば、それだけやはり国にしましても地方公共団体にしましても損害が出てくるわけでございますので、その面の職員の配置をふやすとか、いろいろな方法を講じましていかなければならぬと思いますが、そういう考え方で地方公共団体も指導していきたい、こう思っております。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 予備費の中で、このいただいた使用調書に基づいて質問をしたいわけですが、特にベトナム共和国の国民の困窮救護ですか、そういうような関係予備費が二回にわたって出ているわけで、これに対して質問をしたいんですが、まだ外務省関係は来ておられませんが、大蔵省関係から、なぜこういうふうに二回にわたって予備費を支出するようになったのか、その間の事情を説明を願いたいと思います。
  22. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) ベトナム共和国に対しまして予備費が出ております。それは五億三千五百万円余でございまして、第一回分が一億七千六百万円余、第二回分が三億五千八百万円余になっております。その時期は、第一回が三十九年の夏八月十一日の閣議決定であります。第二回が三十九年の十月二十七日の閣議決定で、外務省よりこれを支出しておるわけでございます。  それで予備費から支出をいたしました理由といたしましては、当時におきまするベトナム共和国国民の非常に困窮した状況に対しまして、人道的な見地からその国民を救護する、それを緊急に行なおうというようなことの必要から、東南アジア文化友好協会をして医療団を派遣させ、そうして救援物資を購入、送付するというようなことの経費のために、これを使っておるのであります。したがいまして第二回におきましても、それも同様に東南アジア文化友好協会を通じて救援物資を購入、送付するというような形をもって、このベトナムの困窮救護に関する予備費支出を行なっておるわけでございます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その緊急性があるから予備費ということで、予備費の支出が出ているわけですが、これははたして緊急と言えるかどうかということで問題があった、それで外務省と大蔵省と協議をしたんじゃないんですか。
  24. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) 外務省のほうから答弁をされるのが当然と思います。したがいまして当時、時期としましては、昨年の夏と秋でございます、その当時の状況から見て、外務省としてはこういう必要を生じて大蔵省に交渉があり、大蔵省としてはこれを閣議で了承をしたという形をとっております。したがいまして、外務省のほうから御答弁が当然かと思います。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 外務省の人が来られてから、さらにお聞きをしたいと思うんですが、これはどうもどういうような要請から、このベトナムに対してこういう援助をするようになったんですか。
  26. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) かえって誤解を招くといけませんですが、非常に外務省のほうからも緊急な要請があり、きまったのでございまして、外務省のほうからお聞き取りをいただくことが当然かと思いますし、その事情を詳しくいたしませんので、御了承を願いたいと思います。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これらの五億三千幾らのものの品物別の内訳は、どういうふうになっているんですか。
  28. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) 一回分、二回分合わせまして、その内容はちょっと詳しくあれでございますが、医療団の派遣費、医療機械費、救急箱代金、救急車購入費、ラジオ購入費、あるいはこれを行ないます協会の事務費、医薬品等の代金、あるいは建設資材購入費というふうに分かれておるわけでございます。内容を詳しく申し上げます。  第一回は一億七千六百十七万円でありまして、多少不足が出ておりますが、医療団派遣費が二千七百万円余、医療機械費が五千四百五十万円、それから救急箱代金が千七百六十万、救急車購入費が二千七百万円余、ラジオ購入費が四千九百十六万円余、それからあと協会事務費が四十五万円ということでございます。  第二回が医療団派遣費はございません。医療機械費として一億八百五十八万円、救急箱代金が三千四百三十九万円、それから協会事務費として六十七万円余、医薬品代が一億七千五百万円余、それから建設資材購入費といいますかそういうものが四千万円余ということになっております。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは外務省が来ないのでちょっと聞きずらいというかあれなんですが、ベトナムに戦争心理省という役所があるのですか、あるいは心理戦争省というのですか、そんな役所があるのですか。
  30. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) 私よくわかりませんです。
  31. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) いま手違いで外務省は来ておることになっておったのでございますが、時間の連絡が二時半というようにお話承ったらしく、いま呼んでおりまするから間もなく来ると思うので、若干の資料はございますが、どうせ向こうへ聞いたほうが正確になるので、すぐに御答弁できると思います。しばらく御猶予をお願いしたいと思います。
  32. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 速記をつけて。
  34. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ではほかのことを聞いていますが、国会開会中に予備費使用するということは、法の精神から見てこれはおかしいと、こう思うのですが、今度のこの三十八年度、三十九年度の予備費の中で、国会開会中に使ったものはどの程度なんですか。
  35. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 三十八年度分の一般会計において申し上げますと、開会中に使用いたしました件数は三十九年の一月から三十九年の三月まで、この間に災害関係で七件、一般で二十七件、合計で三十四件でございます。金額で申し上げますと、災害の関係が一億九千四十八万四千円、それから一般の二十七件分の金額でございますが、三十六億九千九百九十一万八千円、したがいまして、三十四件の合計は三十八億九千四十万二千円、関係いたしまする国会は常会の四十六国会関係であります。それから三十九年の四月から三十九年の十二月までの分について申し上げます。災害関係で二十一件ございます。一般の災害以外の関係で十二件、合計いたしまして三十三件でございます。金額を申し上げます。災害関係の二十一件につきましての金額は、五十五億一千二百六十六万一千円であります。それから災害関係以外の十二件、三億九千四十七万九千円であります。したがいまして、合計三十三件分は五十九億三百十四万円であります。
  36. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは国会開会中に予備費使用するということは例外的なんだということで、こういうふうな場合に予備費使用することができるというふうな何か一つのきめがあるわけですか。
  37. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 御質問のとおり、予備費使用につきまして、国会開会中におきましては、特にこれは消極的に取り扱うべきものであるということは原則として承認され、実行されておるところでございますが、それの取り扱いにつきましては、閣議の決定をもちまして方針を定めております。  その内容につきまして申し上げます。一が、事業量の増加等に伴う経常の経費、こういうものは国会開会中でも使用いたすことがあるべしと、こういうことであります。それから次は、法令または国庫債務負担行為により支出義務が発生した経費、こういうものにつきましても、国会開会中でも予備費によりまして実際の需要に合わしていく、こういうことであります。三番目は、災害——災害といいますのは暴風雨、洪水、高潮、地震等の異常なる天然現象により生じた災害及び火災を言っておりますが、これにつきまして、おおむねこのような災害に起因して生じました諸経費その他予備費使用によらなければ時間的に対処しがたいと認められる緊急的な経費、その次がその他比較的軽微と認められる経費、以上四つのグループに分けまして、やや抽象的ではございます、具体的にはそれぞれこの適用につき判断の余地も多少はあろうと思いますが、精神といたしまして、こういう方針で従来からやっております。同時にこの方針は閣議の決定を……。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もう一つあるのじゃないか。三十五条のやつがあるのじゃないですか、財政法のただし書きのやつ。
  39. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) それからなお財政法三十五条の大蔵大臣のいわゆる指定経費は、開会中も使用するということになっております。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この三十八年度の使用調書を見てみますと、各省ごとに退官退職手当というのが出ていますね。これはどうして予備費に組んでいるのですか、最初に組まなかったのですか。
  41. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 退官退職手当は、当初予算にも組んでございます。しかしながら、実際問題といたしまして、それが足りなくなるという場合には、予備費で追加をいたしております。退官退職の手当につきましては、通常の定例的な給与でない関係がございまして、比較的予備費をもって対処しなければならないという場合が多く見られます。でございまするから、給与は、もちろんその所要額につきましてできるだけ見通しをつけまして、予算に計上することをたてまえといたしておりまするが、なかなかそれぞれの役所につきまして、具体的な実際に起こる退職というものに、そのままぴたりと合わせるように年度初めから、あるいは年度開始前に見通しを立てることが困難でございますので、そういうような状況になった次第でございます。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは三十七年度でも、退官退職手当の不足を補うために必要な経費というのが、ほとんど各省ごとに予備費として出ているわけでしょう。ですから、それが三十八年でどの程度のものがあるかということを、おおよその目当てがつくのじゃないですか。それをどうして本予算に組まないのですか。組もうと思えば、ある程度の目安が当然ついているのじゃないですか。
  43. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) すべて予算は見積もりによるものでございまするから、あらかじめ見当をつけて組むわけであります。そういう場合に、この退官退職手当のようなものは、実は非常に組み方のむずかしいものでございまして、ある程度画一的に実は取り扱って、過去の趨勢その他を見て、毎年その趨勢を検討いたしまして、過不足のないようにということに心がけてはおるのであります。しかし、実際の退職は、やはり公務員の年齢構成の年次的な分布でありますとか、あるいはその際の経済情勢でありますとかいうようなことから、いわゆる自然退職あるいは多少の勧奨によるような退職といったような事例が、これは理屈ではなくて全国に散在しておりまする官庁におきまして起こるのであります。何が起こってもだいじょうぶだという程度に余裕をもって予算を組んでおりますれば、もちろんいいわけでありまするが、そうもまいりません。なるべく資金を効率的に配分して予算を組みたいという気持ちも一方で働らきまする関係上、まずこれならというところで一応は組むのでありまするが、実際問題といたしましては、具体的にそういうことになりまするので、足りなくなる場合もあり、一方で例外的に余ってくる場合もあるというようなことであります。まことに予測するのもむずかしい経費でありますが、予算がなければ予算範囲内で生活をすべきものではございましょうが、一方でこの人事の操作とか、人事管理という面におきまして財源措置が許されるなら、その施策を円滑に実施するということが尊重さるべきものでございまするので、やはり予備費にたよる場合が多いというような結果になっております。予備費使用ということは、もちろん例外的なものであるべきでありまするから、多くあらわれるということは決しておもしろい状況ではないのでありまして、私どもも常日ごろこの点につきましては反省をいたしております。何かもう少しいい方法で、具体的なものにもう少し即応するように予算を組む方法はないかということで、毎年検討いたしております。現状におきましては、残念ながらこういうような形になっておりまするが、今後ともそういうような考え方から、さらにその予算の組み方につきまして検討を重ねてまいりたいと考えております。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国有財産の払い下げが非常に問題になっておるのですが、いま国有財産の払い下げでどういうところのものが、いろいろ問題になっているわけですか。ちょっと抽象的な変な聞き方ですがね。
  45. 村田博

    説明員(村田博君) お答え申し上げます。国有財産、実は終戦後相当大量の旧軍財産でございますとか、物納財産を引き継いでまいったわけでございます。そういったものは普通財産として相当大量な処分をやってまいったわけでありますが、大体いまの現況を申し上げますというと、そういった大規模財産というものは、おおむね処分をし尽くされまして、今後の問題といたしましては残り少なくなっている。そういった旧軍財産をいかに効率的に処分するかというのが、一つの大きな問題になっております。  二番目の問題といたしましては、普通財産でございますとか、規模は小さいのでございますが、全国的に散在いたしております。いわゆる雑種財産、こういったものの措置をどうするか。仕事の量としては非常に膨大でございますが、規模が小さい。この仕事が相当な量として残されており、しかもこれが現在の国有財産行政の面からいたしまして、事務量的には相当大規模でございまして、しかもそれが国民の各層に与える影響も大きいということで、これの処理を急いでおるというのが実情でございます。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の聞いたのは、いまのそういう説明も一つの説明なんですけれども、具体的に大蔵省当局としてどこの地区のどういう払い下げが国民の疑惑になっているのか、問題になっているか、そういう点はどうなんですか。
  47. 村田博

    説明員(村田博君) いま国会の各方面あるいは新聞、週刊誌その他で問題になっておりますのも、大きく態様別に申し上げますと、公共物の管理が適当を欠いている、不適正である、具体的に申し上げますというと、河川でございますとか海浜地、こういったものの利用が、これは本来行政財産でございますが、その行政財産の本来の目的に反して、たとえば河川敷でございますというと、ゴルフ場に使われたり、自動車の練習場になっている。しかも、その使用料は相当安い使用料で使われている。これははなはだ公共物の管理上好ましい姿ではないのじゃないか、こういう御批判をいただいている現況でございます。公共物の面ではそういった問題が一つあるのではないかと思います。  それから普遍財産の管理処分の問題では、いろいろ御指摘いただいております問題の一つは、私ども財産を処分いたしまして、そのあとの管理がどうもずさんである。国はどうも財政収入をあげればあと始末はどちらでもいいのだという、そのような観点から、どうもそのあとの財産を、売り払った財産の運営がどういう姿で行なわれているか、所期の目的どおりそれが営まれておるかどうか、こういうことに対する大蔵省当局の監督なり監視が不十分である、こういう御批判をいただきまして、現に東海の某地方で国有財産の相当大規模な処分をいたしたわけでありますが、それが日ならずして転売されたというケースも、その材料として指摘をいただいているようなことでございます。  それからあと問題としてよく出ますのは、終戦直後のちょうど行政機能も混乱いたしておりましたし、経済社会も非常に不安定な時期に相当大量に放出されました一軍財産が、これがやはり当時の社会情勢のもとにおいて結局不法占拠されたり不当使用されている。これがいまだに相当数にのぼっており、このあと始末が当面私どもといたしましては、早急に片づけなければならぬ問題ということで、私ども日夜いろいろ苦心いたしておるところでございますが、こういった問題につきましても、いろいろまた御指摘をいただいているところでございます。ざっと申し上げてそういったようなことじゃなかろうかと考えております。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっといやな質問ですけれども、その具体的な例としてはどんなのがあるんですか。よくわからないのでひとつ教えていただきたい。大蔵省でキャッチしておる範囲のものは、どんなのがあるんですか。
  49. 村田博

    説明員(村田博君) 従来まで国会で御批判いただきました問題といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたが、東海財務局の管内で、東洋プライウッドという会社、この会社に売り払いました財産が転売された、こういう事件が最近問題になっております。それから、これは関東財務局の管内でございますけれども、社会福祉法人の楽石社というものにやはり国有財産を処分したわけでありますが、それが転売されまして、やはり同じ社会福祉法人でございますが、ベル福祉協会というものに転売されたというような事件がございます。そのほか、古い事件になりますけれども、虎の門のニューエンパイヤモーターという会社が公園を不法占拠いたしまして、そのあと始末といたしましては、結局和解という形で解決せざるを得なかったという事件、われわれニューエンパイヤ事件と言っておりますが、このほかにも、たとえば日比谷公園の一角にございまする日比谷イン、こういったものもございます。こういった終戦後のどさくさにまぎれまして不法占拠されたり何かしたものが、二、三ございますが、ざっといま思いつきましたものを申し上げますと、そのようなものかと思います。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあ思いつきで言ったんでしょうから、大蔵省の先輩のが何か抜けているような気がするんだけれども、(笑声)まあいいですよ、それは。それで、いま東海財務局の問題が出てきましたね、東洋プライウッドというんですか。これは、会計検査院は売り渡し価格が二千四百万低額となっていると、こう認めておるようですが、これはどういう根拠で会計検査院はこういうように認めたんですか。要点だけでけっこうです。
  51. 保川遜

    説明員(保川遜君) 東洋プライウッドの売り払いに関しましては、いまおっしゃいましたように、二千四百万円の低額と指摘いたしております。これは時価判定は非常にむずかしい問題でございまして、大蔵省としても時価判定いたす場合はできるだけ主観的な要素を省いて、いろいろな要素を集めましてそれをならして時価をきめると、こういうやり方をやっておるわけで、われわれもそういうベースで検査をいたすわけでございます。この場合、やはり課税価格からはじき出すもの、それから鑑定価格からはじき出すもの、売買実例からはじき出すもの、こういういろいろな要素を取り入れてそれを平均していくというやり方の中で、われわれが一番重視しておりますのは、やはりそのときの時価相場といいますか、相場を反映していくのは、やはり売買の実例というものが相当必要なんじゃないか、そういうことで、検査の面でいろいろ集めました実例価格をそれに入れまして、そうして当局の方式に従ってはじき出したのがその二千四百万低額と、こういうことでございます。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 二千四百万円低く売り渡されたという、ふうに会計検査院は認定されたんですが、それはいつ、そういうように認定されて、そしてその結果としてどういう処置をとったわけですか。いつ、そういう認定をして、それを国会に出したかとかいう意味じゃなくて、こういうふうな認定をしたから、それに基づいて大蔵省なら大蔵省にどういうふうな処置を要求したかと、こういう意味です。
  53. 保川遜

    説明員(保川遜君) これは、われわれの国有財産を批難をいたします場合は、もちろんこれは契約そのままで、幾らで売り買いするということでございますので、それが直接取り返せとか何とかいうことは、ちょっと法律上申せない立場におります。われわれの指摘は、要するに評価のやり方についてこういう落ちがある、将来にわたってひとつ注意してもらいたい、こういう趣旨でございます。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはわかりますけれども、だから、現実に会計検査院から言わせれば、国が二千四百万円、その係官の不法行為によって損害をこうむったということなんでしょう。だから、それについて会計検査院としてはどういうように大蔵省に措置というか、要求したのかということなんですがね、ただこういう事実を知らしただけなのですか。
  55. 保川遜

    説明員(保川遜君) これは、やはり法律上当然取り返せるという立場にあるものでございますれば、これは当然私どものほうでも取り返してくれと、こういう要求はいたすわけでございます。ただしかし、本件のような売買の場合は、これはやはりそういう値段で売り買いがきまっている、こちらの算定のしかたがわれわれの目から見て不十分である、将来にわたって注意するという以外には、ちょっと申し得ないのじゃないかと考えます。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういう国有財産を払い下げる場合の算定の基準ですね、いろいろ標準値のとり方とか、いろいろあるわけですね。それから相続税や固定資産税の課税標準価格から時価を算出する場合の修正率の決定の問題だとか、いろいろあると思うのですが、そういうような場合に具体的にどういうふうにして払い下げるのだというふうなこまかい、何といいますか、大蔵省の規定というか、そういうようなものはないのですか。
  57. 村田博

    説明員(村田博君) いまのお話でございますが、払い下げの基準といたしますものは、これは私どもといたしましては、払い下げ希望が出まして、適当なものがございますれば、それを一応内定いたしまして、それを国有財産審議会というのに付議いたしまして十分審議を尽くしていただきまして、これでいいということがきまれば、相手方にそれを売り払う。具体的に今度はどういう評価をするかということにつきましては、これは大蔵省のほうでつくりました国有財産売り払い評価基準というのがございまして、全国的にこれは実施いたしております。これに基づきまして、先ほど先生もおっしゃいましたように、相続税、固定資産税、売買実例あるいは民間識者の意見、こういうものを聞きまして、これを算定する、こういう段取りにいたしております。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 外務省の方が来られたので、そっちの方を聞きたいのですが、最後に一点、いまのこの価格で大蔵省はこの会社から約四千万円の追徴か、名前はどうでもいいのですが、そのお金をもらったのですが、この点はどういうことですか。
  59. 村田博

    説明員(村田博君) 東洋プライウッドに私ども国有財産を売り払いました際に、その契約書に、その当時としては一般原則で売ったわけでございますけれども、非常にいまになって考えますというと、重大な欠陥がございました。というのは、用途指定をしておらなかったということ、こういう財産は、積極的に、こういう用途に使いなさいという用途指定をつけておりませんで、したがって制裁規定が何もなかった、非常にこの点が、処置に困難ならしめた原因でございますが、国会でももういろいろ御批判いただきましたし、また、検査院からも先ほどお話がございましたようなことでございますので、私どもといたしましては、この段階で、契約上はないけれども、とにかく、もし契約にそういった制裁規定を入れるとすれば、どの程度の制裁金が取れたであろうかということを計算いたしますと、売り払い金額の三割ということで四千万円程度の金額になるわけでございますが、この四千万円を相手方に申し入れまして、これを納めなさい。あなたは重大な信義違反の行為をしておるのだから、もし、一般の原則に照らし合わせれば四千万円程度の違約金を払わなければならないのだから、これを払いなさいということを強く申し入れたのでございます。そのほかに、いろいろ紆余曲折がございまして、相手方もこれをのみまして、それで四千万円支払っていただきたいということで私どもは四千万円を受け入れた、こういうことでございます。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いつ、どこの会社からどこが幾ら受け入れたのですか。
  61. 村田博

    説明員(村田博君) ちょっと私、いま手元に資料を打っておりませんけれども、三十九年の十月の上旬でございますが、十月の上旬に四千万円、東洋プライウッドという会社から受け取っております。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうな金を受け入れる法律的な根拠はあるのですか。
  63. 村田博

    説明員(村田博君) 先ほど申し上げましたように、契約書の文面では何らございません。したがいまして、あらためて民事契約をもう一ぺん結び直した……
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どこと。
  65. 村田博

    説明員(村田博君) 経過を申し上げますと、いまの契約条項の更改という形で後日結び直したという形で、四千万円をちょうだいしたということになろうかと思います。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 契約条項の更改といったって、契約が済んでいるものに契約条項の更改なんかないでしょうが。
  67. 村田博

    説明員(村田博君) したがって、これは東洋プライウッドがそれを受諾しなければもうどうしようもないということでございます。したがって、あくまでも信義誠実の原則に反したではないかということしか、私どもとしては主張し得る根拠がございませんので、まことに苦しいのでございますが、とにかく四千万円納めてくれ、それじゃ納めましょうということで合意契約が成立したということで納入書を切り、四千万円受け入れたということでございます。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃまあそれはその程度にして、外務省がおいでになったのでお聞きするのですが、ベトナムに戦争心理省というのですかね、役所ですよ、そういう役所があるのですか。心理戦争省というのかな。
  69. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) ええ、ございます。いままで情報省というふうに言っていたものが現在、戦争心理省という名前で役所がございます。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 戦争心理省というのは、何をやるのですか。戦争心理省なんてなかなか変わった名前なんですが、何をやるのですか。
  71. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 民心の安定をはかることを主たる任務とする役所だそうでございます。
  72. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、民心の安定だけですか。相手方に対する心理戦争もやるのでしょう。これはそこまではわからないのですか、日本としては。
  73. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) そのようなこともあるかとも思われますが、詳しいことは存じませんが、大体民心の安定が主たる任務であるというようにわれわれは承知しております。
  74. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、このベトナムの困窮救護とか民心安定ということで、約五億三千万円が去年いっているわけですが、これは最初どこの省にいくことだったのですか、ベトナム側としては。
  75. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) ベトナムの保健省にいくことになっておりました。
  76. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ベトナムには保健省というのはないんじゃないのかな。
  77. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 厚生省と同じでございます。
  78. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、厚生省と同じならわかりますけれども、保健省という名前ですか、あなたのところの後宮さんは、文部省と厚生省で使うことだったと、そういうわけでいろいろなものを送ったのだと、こう言っていますね。まあどっちでもいいですがね。
  79. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 厚生省は、ベトナムでは保健省と社会福祉省の二つに分かれておるわけでございます。で、その保健省のほうにいったわけでございますが、それを日本流に厚生省と申し上げたわけでございます。
  80. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはどうでもいいわけですが、そうすると、このいろいろな援助がいくに至った経過は、これはどういうことなんですか。どこからどういう要請があっていったのですか。
  81. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) ベトナム政府から、大使館を通じてわがほうの政府に対して援助の要請があったわけでございます。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは七月十五日付の文書でしょう。その前に何かあるのじゃないですか。アメリカのジョンソン大統領から南ベトナム政府を通じて三十四カ国に要請したのだということじゃないのですか。そうして、そのベトナム政府から日本政府に要請がきた、こういうことなんじゃないですか。
  83. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) いまおっしゃいましたように、五月十二日に、ロックという在京のベトナム臨時代理大使が外務省の東南アジア課長を来訪しまして、ベトナム政府として援助を要請したいという援助の要請がございました。
  84. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうでなくて、その前にアメリカのジョンソン大統領から南ベトナムのサイゴン政府を通じて、三十四カ国にいろいろな要請をしているのだというその一環として、ベトナム政府から日本政府あてに要請があったのではないですか。そういう経過でしょう。
  85. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) そういうアメリカ側からの要請もございましたが、わがほうとしては、これはベトナム政府からの要請に基づいて、あくまでも自主的な立場で日本政府としてやるべきであるという判断からやったもので、ございます。
  86. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、アメリカが世界の各国の三十四カ国に要請したわけですね。そのうち何カ国がその要請にこたえ、何カ国が要請にこたえなかったのですか。
  87. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) ベトナムのカーン首相から三十四カ国に援助の要請がございまして、その一つがわが日本政府に対しても要請があったわけでございます。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それからその中で、日本からトランジスターラジオがいっているというのですね。これは何台いったわけですか。
  89. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 二万台でございます。
  90. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのラジオは、日本の政府としてはどこへ送ったのですか。これはベトナムの何省に送ったのですか。いまの戦争心理省に送ったのですか。
  91. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 直接その送付先は、ベトナム政府の保健省でございます。それは大体次の内訳で、向こう側で配分されたように承知しておりますが、国防省、それから文部省、内務省、保健省、社会福祉省、心理戦争省、この各省にそれぞれ配分されたように承知しております。
  92. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ベトナムにおいて、いまの戦争心理省にいったラジオが、戦争目的のためのいわゆる心理作戦に使われておるということは、日本の政府としてわかっているのじゃないですか。
  93. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) そういう戦争の直接の目的に使われたのではございませんで、中央と地方との関係の連絡のため、特に中央の意図を十分に地方に意図を徹底させる、連絡の増強のために配布したというようにわれわれは聞いております。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 配布したのはどういう目的かは別として、現実にはどういうように使われているのですか。これはわからないのですか。
  95. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 教育用に使われたというようにわれわれは聞いております。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何の教育ですか。
  97. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) いま、初めに申し上げましたように、中央との連絡ということのほかに、民心安定のためのいろいろな教育なり宣伝というようなことに使用されたというように承知しております。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 現実的にはいま言ったような形で日本から送られた物資が、これは全部ではないかもしれないけれども、戦争の目的のために直接間接に役に立っているんじゃないんですか。現実に役に立っており、そのことが十分わかっていて、そして日本の政府としてはそれらの物を送ったんじゃないですか。だれが見てもそういうふうに考えられるんじゃないかと思うんですがね。
  99. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) わがほうとしては民心安定に資するために一あくまでも先方がそういうような平和的な、国内の安定のために使うということを信じて送付したわけでありまして、また、そのように使われているものと信じております。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはまあ水かけ論になってしまいますからあれですが、この東南アジア文化協力会というのは、これはいつごろできたんで、だれがやってる何なんですか、これは。
  101. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) いまおっしゃいましたのは東南アジア文化友好協会という名のものと承知しますが……
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうです。
  103. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) それは昭和三十八年六月十四日に外務省から正式に認可を受けました財団法人でございます。で、この理事長は石井光次郎先生でございます。ほかに理事が十名、賛助会員が五百名おります。
  104. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あとでこの東南アジア文化協力会というものの寄付行為というか、そういうような点を一覧として出してほしいと、こう思うんですが、これは外務省が認可したんですか。
  105. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 外務省として認可いたしました。
  106. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、外務省として認可をするのはどういうわけです。
  107. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) いまのお尋ねは、なぜ設立を認可したという御質問かと思いますが、これは目的として、東南アジアの文化友好関係を増進するための財団法人をつくりたいという申請であり、そういう事柄に関しては、外務省の所管になっておるわけでございまして、目的としてけっこうなものであると、その他調査いたしまして、しっかりしたものであるということに認めまして認可したわけでございます。
  108. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは文化協力会となってるわけですが、現実には何をする会なんですか。これは定款を何か改正してますね、あとから。
  109. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) この友好協会は、人道主義的な友愛の精神をもととしまして、日本と東南アジアの諸国民との間の文化交流あるいは文化開発、それから民生福祉の向上に寄与するということを目的としておるわけでございまして、また事業といたしましても、いわゆるインドネシアのバリ島の災害救済事業を行なったり、あるいはインドネシア教会への聖書を贈与したり、東南アジア諸国の留学生との交歓や、これに対して援助するとか、あるいは留学生宿舎の建設計画の募金を行なうというように、いわゆる民生、福祉の事業を行なってきたわけですが、明文的にそのような条項がなかったので、この際はっきりとそういうような事業を実施するということを、例示的にはっきりとするために、寄付行為の改正を行なったわけでございます。事実としてはそういうことを、発足以来事業の主たる内容としてやっていたことはやっていたわけでございますが、寄付行為としてはっきりとそれをうたうために、変更したということでございます。
  110. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは日本の政府から直接南ベトナムの政府に送るという方法はとれなかったのですか。
  111. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 財政上の手続の上から、非常にむずかしいということで、大蔵省の要望で、補助金を交付するというやり方でやってほしいという申し出がございましたので、この協会に補助金を交付して、援助の物資を送るということにしたわけでございます。
  112. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 なぜその日本の政府から南ベトナムの政府に送るという方法がむずかしいのですか。これはいや大蔵省でもいいですけれども、なぜむずかしいのですか。
  113. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 詳しくは存じませんが、財政上いろいろと手続がうるさいということで承知しておりますので、詳しいことは大蔵省から答えるほうが適当ではないかと思います。
  114. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 具体的な関係につきまして、それを記載いたしました記録はいま持ち合わしておりませんものですから、いまここで法律の関係だけで申し上げます。具体的にこの予備費を出します場合に、補助の形にしたということについていま御説明がありましたが、それについて具体的にどういうやり取りがあったかという具体的な問題には、いま触れることができませんので、御了承願いたいと思います。ただ一つございますのは、物品の無償貸し付けまたは譲渡というようなことは、これは法律事項になっておりまして、法律で列挙された場合のみにできることになっております。法律をもちまして国会の御承認を得ているわけですけれども、その中に今回のごときものに相当するものといたしましては「生活必需品、医薬品、衛生材料及びその他の救じゅつ品を災害による被害者その他の者で応急救助を要するものに対し譲渡するとき」に一応無償または低い値段でこれを譲渡するということの道は、法律上ございますけれども、この法律の規定は、おそらくは日本の国内のことを考えて立法したものであろうと、こういうふうに一般に解釈されている次第であります。もちろん、これだけの規定でございますから、最終的な解釈はいろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、一応そういうたてまえで取り扱っております。
  115. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは五億幾らというものを、この協力会に補助金として出すというかっこうをとったわけですか。
  116. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) そのとおりでございます。
  117. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうするとこの協力会は、こういうふうに五億幾らの金を一体補助金として受けて、そうしてあれですか、ある程度の手数料というか利潤というか、そういうふうなものを得て、ベトナムに送ったというそういうことになるのですか。手数料ということばが悪ければ維持費といいますか、そこはどういうふうになっているのですか。
  118. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) この五億三千五百三万一千円のうちの一部については、一部は直接友好協会が実施し、また一部については商社に委託して商社に実行させたものがございます。
  119. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あとでこの東南アジア文化友好協会というもののその寄付行為なり役員の名簿というか、そういうふうなものを正式に出してほしいと思うのですが、同じようなものもあれですか、日華協力会というようなものもあるのですか。あるいは日韓何とか協力会というようなものもあるのですか。
  120. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) いまのは日華というのは中華民国の華でございますか。
  121. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 台湾。
  122. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 名前ははっきりと私は覚えておりませんが、そういうものが、ございます。はっきりと名前は覚えておりません。
  123. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日韓の間にも同じような協力会みたいなものがあるのですか。外務省が認可しているか認可していないかは別として。
  124. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 日韓関係についても、そういうような友好関係の維持促進を目的とする協会はございます。幾つかございます。
  125. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 外務省で認可をしている日韓関係、日華関係のそういうようないわゆる協力会というか、それから友好協会というか、そういうふうなものの一覧をこれは出していただきたい。そしてその内容、役員の名簿と同時にそれらのものに対して外務省として補助金を出しているというようなことがあるのですか。これはいますぐわかりませんか。
  126. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) どのような名称の協会があるか、いまここではっきりと申し上げかねますが、補助金を出している団体もございます。いずれいま先生のお申し出のようなものを一覧表にして提出するつもりであります。
  127. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それをいただいてからまたいろいろと質問をしたいと、こう思うのですが、東南アジア文化協力会というのは、これは政府が肝いりでつくらせたものとは違うのですか。
  128. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) これは自主的に、自発的にでき上がったもので、政府の何らイニシアチブに基づくものではございません。
  129. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この品物や何かを送るときに、これは本来赤十字を通じていくべきなのに、赤十字を通じなかったというのは、どういうわけなんですか。
  130. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) ごもっともな御質問でございますが、日本赤十字社といたしましては、いろいろな、ベトナムが南北に分かれておるというような事態、事実、そういうようなことが非常に複雑でもありますので、日赤の参加団体のうちには一部反対する向きもあり、あるいは職員組合等で反対をする向きもあるというようなことを聞き及んでおります。また国際赤十字との関係で、いろいろな手続上にも時間を要するというようなことなので、緊急にこの援助を実施するためには、むしろいままでの実績もある東南アジア友好協会に実施させたほうがよかろうというようなことから、正式に日赤にお話しして日赤から断わられたということではなしに、大体そういうような意向もわかりましたので、東南アジア友好協会に依頼して実施したわけでございます。
  131. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは二回に分けてやったというのは、どういうわけなんです。しかも間をあまりおかないでやったというのは。
  132. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) これだけの、五億三千万円以上のもので、物資を集めるのに相当手間がかかりましたので、区分けをして集まったものから実施するという点で二回に分かれたものでございます。予算関係もあったと思います。
  133. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、現在戦争をやっているあのベトナムで、一方の側だけにこういうふうな援助をすることは、間接的には戦争に加担するというか、戦争を助けるというか、こういう結果を招くことになるのじゃないですか。医療救助だけというならまた話別かもわかりませんがね。それからラジオなんか相当たくさんいって、これがいわゆる戦争心理省ですか、そういうようなところにいって、民生安定と言いますけれども、自分のほうの民生安定も含めて、そうして相手方に対するいろいろな行動というものもやっておるということだと思う。そういう心理作戦に使われておるというふうに考えられるわけですから、結局こういうようないろいろな形を通じて、ベトナムの戦争に協力をしておるという形がそこに出てきているんじゃないでしょうかね。どうもはっきりそういうふうに考えられますがね。これはまあ外務大臣に聞くのがほんとうなので、あなたに聞くのはちょっとあれだとも思うんですが。
  134. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) まさに外務大臣がお答えすべきことでございますので、簡単に私が考えているところを申し上げます。御承知のように南ベトナム政府とわが日本とは、正常な外交関係があるわけでございまして、その国の政府から、長い間の戦乱に苦しんでいる国民の民生のために、平和的な物資、平和的な目的のために物資を援助してくれという要請がございましたので、長い間戦乱に苦しんでいる友好国民を助けるためという、真にその目的のために援助をしたわけでございまして、それ以外に他意はないわけでございます。しかもまあ、現在は北爆というようなことも行なわれておりますが、当時、戦禍に苦しんだ民というものは、ベトナムの国民でありまして、またかたがたベトコンというものには接触の可能性もわが政府としては持っておらないので、そういうように純粋にベトナムにおける人民の戦禍の塗炭の苦しみを味わっている国民を助けるという平和的な意図にのみ出ているものでございます。
  135. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 時間があれですから、まあ質問を終わりますけれども、いま言ったものの中でも問題になるものが相当あり、間接的に戦争協力というか支援しているという形になってくると思うのですが、日本の中でいわゆる防衛産業という形で日本でつくった兵器類が相当南ベトナムに行っておることが言われておるんですが、こういう点についてはこれはちょっと外務省に聞いても無理かなと思いますがね。まあきょう時間があればそういう点ゆっくり私のほうも準備してきたかったんですが、そういうようなことも相当あるんじゃないですか。これは外務省としてはどの程度把握しているんですか。
  136. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) そうような直接戦争に関係のある武器とかそういうような軍需物資は、通産省が輸出承認をしておりません。そのようなものを輸出するに際しては、必ず外務省と協議がございますので、外務省としては、こういうような戦乱の地にそういう武器その他武器に類するものを送付するということには反対なので、通産省としてもそれの輸出承認はしておりません。正式にそういうようなものが入っているはずはないと存じております。
  137. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その点は、私ども聞いておるところと相当違いがあるわけですが、それは私どものほうでも事実関係をもう少し調べた中で、通産省なりあるいは防衛庁なりそういうふうなところを呼んで、さらに追及をしたいというふうに考えます。  私の時間が一時間半でちょうど三時になりましたので、私の質問はきょうはこれでやめます。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 資料の関係で着席のままで質問させていただきたいと思います。予備費使用に先立ちまして国有財産のことでちょっとお伺いしたいのですが、この国有財産について私が調査を進めておりますと、非常に親しい友人ですが、色を変えまして、最近、政界のスキャンダルといいますか、それにつながるような問題、政界の内部事情に詳しい人が、故意か偶然かわかりませんけれども、変死をしている。国有財産の調査を進めていると必ずそういうことにも関係するから、よしたほうがいいでしょうというふうなまじめな顔をして忠告をしてくれました。そのときの名前として、池田前総理の秘書官の変死の問題とか、それからまた、言論時代社の倉地何がしの変死の問題とか、それからまた、私そんなことあり得ないと思ったのですが、参議院議員の小西英雄先生の死去の問題、これなんかを取り上げまして、まじめな顔をして忠告するわけです。私も、それは単なるうわさであるというふうに見くびっておったんですが、最近の週刊誌に、その人のことばを裏書きするような小西英雄参議院議員のことについての問題が取り上げられている。で、私は、これは単なるうわさであってそういうことあり得ないと思いますけれども、そういう週刊誌を見ますと、やはり国民は政治というものに信頼をますます失っていく、日本の状態としましてまことに好ましくない状況である、こういうふうに心配するものです。したがいまして、国有財産の売り渡しとかあるいは賃貸しとか、そういうふうな、あるいは管理の問題につきましても、国民の疑惑を生まないような厳正な取り扱いをしていただきたい、こう思うわけです。具体的に私はその問題に関しまして五件ほど調査を進めてまいりましたので、きょうはお伺いしたいのですが、まず冒頭に、先ほどちょっと顔を出しましたけれども、虎の門のニューエンパイヤモーター株式会社への国有財産の払い下げの問題ですが、これは昭和三十八年七月二十日に和解が成立しているというふうな先ほどのお話でございましたが、この和解以後、売り渡し契約並びに今日までの状況を簡単に御説明願いたいと思います。
  139. 村田博

    説明員(村田博君) 本件につきましては、二宮委員が先ほど申されましたように、三十八年七月二十日に、裁判官の職権による和解が行なわれました。これが成立いたしまして、この和解条項に基づきまして、三十八年の十月一日に、本件土地を相手方に売り払ったわけでございます。その際の相手方はニューエンパイヤモーター株式会社、土地は約千百八坪、売り払い金額は十一億二千四百万円ということになっております。  以上でございます。
  140. 二宮文造

    ○二宮文造君 大蔵省から資料としていただきました分に、和解条件の三ですが、「被告は本物件を買受けた後は被告自らこれを所有しかつ利用するものとする。」こういう和解条項になっておりますし、さらに、売り渡しの契約書の第十六条には、「乙は、売買物件の所有権移転の日から五年間売買物件を所有し、かつ利用するものとする。」、こうなっておりますが、これは大蔵省としてはどのように理解されておりますか、「所有し利用する」という範囲でございますが。
  141. 村田博

    説明員(村田博君) 大蔵省といたしまして、その虎の門事件の和解条項に、こういったみずから所有し、みずから利用するという文句を入れましたのは、売り払いにあたりまして、やはりこれは随意契約で売り払うわけでございますので、随意契約の会計法上の規定からいいますと、特別縁故ということに当たるわけでございます。そこで、その特別縁故ということになりますというと、やはり相手方を特定することが必要である、そういう意味からいたしまして、特に、この占有いたしましたニューエンパイヤモーターというのは、いろいろ経緯はございましたが、和解で解決するわけでございますので、その占有の経過にかんがみまして、ニューエンパイヤモーターに売ってやるのだ、したがって、ニューエンパイヤモーターは、それを転売しないで、みずから所有し、みずから利用する、ここに主眼を置きまして和解条項に入れたと、こういう趣旨でございます。
  142. 二宮文造

    ○二宮文造君 ニューエンパイヤモーターの登記事項の中の目的には、自動車部分品、附属品、機械工具並びに各種燃料の輸出入及販売、計量器の販売、中古自動車の売買、損害保険代理業。で、払い下げに至る経緯につきましては、ニューエンパイヤモーター株式会社のほうでは、従業員も相当いる、したがってここを撤去するには、従業員の生活の問題もからむし、いままでここで営業をやってきたのだから払い下げていただきたい、まあ若干経緯はあったけれども、趣旨はそうだったように思うのです。したがって、利用するということになりますと、当然このニューエンパイヤモーター株式会社の設立の目的、業務の内容、それに従って利用するのが正当な、それこそ、ここに述べられております誠実な信義に基づいたやり方であろうと思うのですが、その点はどう解釈されますか。
  143. 村田博

    説明員(村田博君) 私どもといたしましては、このニューエンパイヤモーターが、当該土地を自分で使い、自分で利用する限りにおいては、これはいかようにお使いになろうともかまわない、こういうことでございます。そこで問題は、ニューエンパイヤモーター株式会社というものが、先ほど御説明から落としましたけれども、あるいは御承知のことと思いますが、三十八年の十月十日、商号をエンパイヤ興業株式会社ということに改めております。したがって、若干定款もそれに伴いまして変更があったかもしれませんが、いずれにいたしましても、ニューエンパイヤモーター株式会社が、これが商法上適法な行為によりまして商号を変更する、あるいは、これはまた後ほどこれに関連してさらに事件を追ってまいりますというと、この会社が、朝日土地興業株式会社というものとの間に吸収合併ということが行なわれたのでありますが、こういうふうな過程をたどりまして、商法上適法な行為によってこの会社が発展していく限りにおいては、これを規制する方法は実は私どもとしては持たないわけであります。ただ、それじゃ私のほうは何のために、みずから所有し、みずから利用するということばを入れたかということになるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、特別縁故によって売ってやるのだ、そのために特にこの会社の一貫性を尊重しなければならぬということで入れた次第でございまして、従来の用途指定の場合に、たとえば鉄鋼業を営む、あるいは石油精製業を営む、積極的に国として、これを実現しなさいというような意味の用途指示では実はなかったのでございます。あくまでも会社が一貫性を持ってやっていただきたい、しかも、それが商法上適法な行為で行なわれるならば、これはやむを得ないのじゃないか、必ずしも、適当かどうかということになると、いろいろ判断あるのでございますが、少なくとも商法上適法な行為において行なわれる範囲においては、やむを得ない、こういうふうに考えている次第でございます。
  144. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの説明ですが、非常に私は疑問に思うのです。ニューエンパイヤモーター株式会社が払い下げを受けたときの条件というものは、確かにそのときの登記目的——営業ですね、それを中心に考えてきたと思うのですが、三十八年の十月の一日に、大蔵省と払い下げの、売り渡しの契約ができまして、十月の十日に、この会社はニューエンパイヤモーターの商号を変更しまして、社名を変更してエンパイヤ興業株式会社、こうなっております。ここで新たに小島忠という人が代表取締役に就任しております。同時に、十月三十一日に会社目的を変更しました。自動車及び部分品、附属品の国内販売、自動車の修理及び中古自動車の売買斡旋、各種損害保険、ここまでは同じですが、広告に関する代理業、不動産の売買斡旋業、邦人旅行斡旋業——自動車と何ら関係のない、しかも、この土地を転売する目的を営業種目の中に入れた会社目的の変更になっております。さらに、さかのぼりますが、十月の十日には、国有財産の払い下げを受けたときの代表取締役であるところの吉岡照義氏は、同じ社名のニューエンパイヤモーター株式会社を設立しております。さらに、十月の三十一日には、吉岡照義氏は代表収締役を退任しております。そして小佐野榮という方が代表取締役に新任をしております。さらに、このエンパイヤ興業株式会社は、五月の十三日に朝日土地興業株式会社に合併をしました——吸収合併をされましたので解散をしております。この朝日土地興業株式会社の営業種目は、温泉並びに天然ガスの採掘、土地埋め立て、分譲並びに土地建物の売買あっせん、土木建築の設計、建築資材の採掘、娯楽施設の経営、スポーツ施設の経営、飲食物の販売、一般乗用旅客自動車運送事業、一般貸し切り旅客自動車運送事業、索道事業、旅客不定期航路事業、前各号に付帯する一切の業務。ここで大蔵省が払い下げをしました自動車部分品という形はすでに消えてしまいました。商法上適当な、適法と見られる発展的解消とは言いながらも、わずか半年足らずのうちに、こういうふうに会社が変わっております。これは当初から計画された一連の土地払い下げを、今度は転売をしようという意図に基づくものであるということが明らかになるわけです。しかも、この会社は、朝日土地興業株式会社は、三十九年の十二月の一日に、丸紅に対しまして所有権移転の仮登記をしております。同時に、抵当権を設定しまして十億円、債権者は丸紅となっております。この事実も大蔵省は御存じだろうと思うのですが、ここに至りまして売買契約書の意図と実体とははるかに変わってきたと思うのですが、この点についてはどうですか。
  145. 村田博

    説明員(村田博君) 先ほど来申し上げておりますが、私どもがこの条項を入れましたのは、転売もしくは転貸が行なわれることを絶対禁止したいということで入れたような次第でございます。本件のように経営者がかわりましたり、あるいは商号の変更が行なわれる、したがって、その間に定款の変更が行なわれることがございましても、それが商法上適法な行為でございますれば、それはどうしてもやむを得ないのじゃないかということになろうかと思います。ただ先生がおっしゃいましたように、丸紅飯田云々のお話がございましたが、これは私寡聞にしてあまり詳しく知りませんが、あるいはそういううわさは私どもの耳にも多少入らないわけではございませんが、したがいまして、会社のほうにも強く確認をいたしまして、かりにそういう事実があるとすれば、これはたいへんな問題だ、私どもはくれぐれも、転貸あるいは転売を禁止するためにこの条項を入れたのだ、これに違反するような行為は絶対やってもらっちゃ困る、それに対する制裁規定も、国として発動せざるを得なくなるかもしれぬ、そのために十分注意をしてくれ、ということは強く申し上げてございます。
  146. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの説明では、申し入れてございます、というお話でございますが、事実は御存じだったわけですか。
  147. 村田博

    説明員(村田博君) 実は私どもそれを聞きましたのは、ある方からうわさを聞きまして、それが事実かどうかということで、実は登記簿を取り寄せまして、登記謄本で調べてみたわけでございます。そうすると、そういう事実が判明した。そこで、問題ははたしてそれが転売という形式でやられているのか、資金融通のための担保として行なわれているのか、真相は一体どうかということで実は会社のほうに内々調査を求めた。その結果、どうもこれは一種の譲渡担保的な考え方で、金を借りる一つの手段として行なわれたものである、しかしながら、金が返せない場合には、担保流れということで相手方にいってしまうのではないかという問題も実は出ますので、その段階で私ども押えまして、早急に会社の資金繰りを立て直して、返すものは返して、こういった不適正な状態を一日も早く解消するように、会社のほうに強く要請しておる、こういうことでございます。
  148. 二宮文造

    ○二宮文造君 この同じく大蔵省からのいただいた資料によりますと、まだ売り払い代金は未収ですね。
  149. 村田博

    説明員(村田博君) たしか四十三年で終わるかと思いますが、まだ多少未収金がございます。
  150. 二宮文造

    ○二宮文造君 売り渡し契約書の第九条には、「乙は、売買物件の延納代金及び延納利息の担保として、甲のために別紙第一に掲げる財産について本契約締結後三十日以内に抵当権を設定するとともに、その設定登記について甲に協力するものとする。」、これで抵当権の設定になっております。さらに第十条に、「甲が、前条の規定により担保として提供を受けた財産の価額が減少したと認めて、乙に増担保又は代担保の請求をしたときは、乙は遅滞なく甲の認める財産を増担保又は代担保として提供しなければならない。」、さらに第十一条に、「乙は、担保物について担保価値に変動を及ぼすと認められる事実上又は法律上の行為をしようとするときは、あらかじめその内容を甲に通知しなければならない。」、こうなっておりますが、現状はすでにこの別紙第一に掲げられた建物、事務所、工場というものは、こわされまして、現に建築ができればいいようなさら地になりつつありますが、これはあらかじめ甲に、すなわち大蔵省に通知がありましたか。
  151. 村田博

    説明員(村田博君) 具体的な通知というのは私どもにまいっておりませんが、ただ私どものほうとしましては、会社から一札を取っておりまして、その一札には、新たに建物をつくるときには必ず大蔵省に協議する、したがいまして、私どもとしましては、実は現在ある古い建物をどうこうするという問題よりも、むしろどういう建物が建つか、あそこに好ましくない建物が建ちましても−虎の門というかいわいの環境上適切でない建物が建っても困る、それを規制するためにも、建物を建てる段階では大蔵省に協議してくれ、こういうことには一札を取って確認を求めております。
  152. 二宮文造

    ○二宮文造君 一札を取ったということと、担保価値に変動を及ぼすと認められる事実上または法律上の行為という第十一条の規定と、私は違うと思うのです。第十一条の規定を忠実に大蔵省は実行されたかどうか、その点もう一度お伺いしたい。
  153. 村田博

    説明員(村田博君) 先生の御指摘のように、抵当権の設定は、もちろん所有権移転と同時にいたしております。したがいまして、国といたしましては第一抵当権を持っておるわけでございますので、かりにこれが譲渡担保その他の形で第二抵当権者に移るようなことがございましても、国としての第一抵当権は確保し得ると思いますが、ただ、会社が資金繰りのためとはいえ、そういったような形式の形で資金の融通をつけるということは、決して好ましいことではございませんので、したがって、そういう話が出ました際には、大蔵省に相談願いたい、私どものほうとしてはそういうふうに考えるわけでございますが、残念ながら、この点につきましては実は正式に話がございませんで、私のほうからむしろ会社のほうに申し上げた、こういうことでございます。
  154. 二宮文造

    ○二宮文造君 しますと、その一項目についても、ニューエンパイヤモーター株式会社は契約違反ですね。
  155. 村田博

    説明員(村田博君) 厳密な意味で契約違反になるかどうか直ちにこの段階で御即答いたしかねますのは、もう少しその点研究いたしませんと、どういう動機でこれを——金繰りの関係上こうしたのか、あるいはまた現在、朝日土地と丸紅との資金繰りの関係はどういう形でつながっておるか、たとえばどういう形で返済するようになっておるかということをつかみませんというと、直ちに国の債権確保の面で、これが事実上阻害されたかどうかというふうに判断できるかどうか、即断しかねるのじゃなかろうか。多少時間をかけて検討させていただきたいというのが、偽わらない気持ちでございます。
  156. 二宮文造

    ○二宮文造君 私が質問したのは、そういうことじゃないのです。売買契約書に、抵当権を設定する、そして別紙第一に掲げる財産に対して抵当権を設定する、こういうふうに担保の提供の項目で規定されておる。その抵当物件が現在こわされている。そのことについて、大蔵省に何の連絡もない。あらかじめ通知をしなければならないというにもかかわらず、通知もしてない。しかも、こわしている。こういうことになりますと、明らかにこの担保の提供の項目に照らして契約違反でしょう。こういうふうに私は申し上げるのですが。
  157. 村田博

    説明員(村田博君) 実は私も不勉強で、必ずしもその点について明確なお答えを差し上げられないのは残念でございますが、国は、第一抵当権を設定しておりますので、この第一抵当権の実行がそのために非常に支障を来たすかどうかというのが、判断の基準じゃなかろうかと考えます。その点につきまして、こういった契約方式のものが直ちに国の債権確保の面、延納代金等、延納利息の確保、こういう面から支障を来たすかどうかという点につきましては、いま少しく調査をいたしたい、このように考えます。
  158. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほどから大体大蔵省としては、その事情を御存じな様子なんですが、事情を察知されたのはいつですか。
  159. 村田博

    説明員(村田博君) 実はこういう席上で申し上げるのは、まことに恐縮なんですが、私どもとしましても、これを公の形で実は聞いたのではございませんで、ある方からのうわさということで聞きまして、事実、これはたいへんな問題であるということで調査いたしまして、登記簿謄本、その他によりましてわかったというものでございまして、時期といたしましては、今年の三月ごろじゃなかったかと、このように考えております。
  160. 二宮文造

    ○二宮文造君 同じく売買契約書を私は参照したいのですが、第十五条に、「甲は、第五条第一項に定める債権の保全上必要があると認められるときは、乙に対し、その業務又は資産の状況に関して、質問し、帳簿書類その他物件を調査し、又は参考となるべき報告若しくは資料の提出を求めることができる。この場合、乙は、その調査を拒み、妨げ、又は報告を怠ってはならない。」、こういう実地調査の規定が、契約がありますが、これを大蔵省としましては有効に実行されましたかどうか。
  161. 村田博

    説明員(村田博君) 私のほうといたしましては、ニューエンパイヤモーター株式会社が、エンパイヤ興業株式会社に商号変更いたします際に、当然のことでございますが、関東財務局にそのための承認の届け出がございました。その段階で定款変更あるいは役員変更について、詳しい説明を受けたわけでございます。それからエンパイヤ興業株式会社が朝日土地興業株式会社に吸収合併いたします際にも、あらかじめ国のほうに相談がございました。私のほうとしましては、その合併条件なり、今後におきます国の債権確保の面、こういう面につきまして、会社のほうからやはりこれにつきましても一札を取りまして、引き続き、この朝日土地興業で、そういった債権債務について完全な責任をとるというふうな一札も取り、同時にまた、朝日土地興業株式会社の資産内容、定款、役員名簿、こういったものを取り寄せてしさいに検討いたしたわけでございます。
  162. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほどあなたが答弁されたのは、三月十六日にその登記簿を閲覧した、それで事実を確認したというお話なんですが、十二月の一日に、先ほど申しましたように、丸紅に十億円の抵当権を設定しておる。財産に重大な価値の変動が予想される、そういう事項について、大蔵省に何ら了解も求めないでやったということは、詐欺の行為じゃありませんか。先ほどのあなたは商法上適法な合併である、発展であるというふうに説明をされましたけれども、その辺をずっと一連の行為として考えてみますと、当初からこういうことを目的にした社名の変更であり、合併であり、そうしてつづまるところが丸紅の手に落ちる。ただ、国は売買、売り渡しの代金が入ればそれでいいという関係では私はないと思うのです。であれば、こういう所有権の移転の制限をし、用途指定をするはずはありませんし、また、抵当権の設定というような問題についてこまかな規定をする必要もありませんし、さらにはまた実地調査の項目まできめておくという必要もありませんし、ただ、この契約の条項は全部無視されて、一連の計画のもとに行なわれてきた、こう断ぜざるを得ないようになってきますが、その点いかがですか。
  163. 村田博

    説明員(村田博君) 先ほど来申し上げておりますように、転売、転貸が私どもとしては絶対困るということで、これを契約条項にも入れております次第でございますが、丸紅飯田に本件土地が移るというようなことは、やはりその面に関する限り契約条項の違反になろうかと思います。したがってこれは、国としても強い立場で拒否せざるを得ない。したがって、それに関連します措置もとらざるを得ないというふうに考えております。
  164. 二宮文造

    ○二宮文造君 政務次官にお伺いしますが、丸紅飯田に十億円の抵当権を設定している。これも、答弁にありましたように、明らかに国に対してその信義にもとる行動である、契約違反であるというような断定がもし大蔵省の中に出ましたときは、この契約は破棄されますか。
  165. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) いまの点、お話を伺っておりますと、違約のようにも見えます。この点は慎重にこれは結論を出さなければならぬかと考えます。大蔵省内その他十分慎重に検討いたしまして、その結論が出た際におきましては、その結論に従ってやはり処置をすべきであると考えております。
  166. 二宮文造

    ○二宮文造君 現にこの土地に対しましては、すでに囲いをしておりまして、抵当物件はこわされております。先ほども申しましたように、さら地になっております。で、いま建築申請が出ております。そうして、ただ問題は、あそこには江戸城の外堀のあとがありますので、それをどう利用するかということで、文化財保護委員会との関係で若干許可が延びていること、その程度なんです。ですから、もうすでに丸紅はここに対してビルを建築する手だてができております。明らかにこれは先ほどから何度も指摘しますように、国有財産の払い下げが非常に不明朗どころか、詐欺にひっかかったようなものだと理解せざるを得ないわけですが、さらにもっと私は疑問だと思うのですが、売買価格の問題です。第一この土地は、先ほども千何百坪とおっしゃいましたけれども、千百八坪〇一となっておりますが、これは実測されましたか、どうですか。
  167. 村田博

    説明員(村田博君) 実測いたして売り払ったわけでございます。
  168. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、実測されたといたしますと、その実測者の住所氏名をあとで資料として提出を願いたいと思います。それから売り払い価格積算の根拠の中で、これも大蔵省から出していただいた資料ですが、三番目に、売買実例から見て坪当たり百五十三万三千五百五円、こういう根拠になっておりますが、その売買実例の売買当事者の住所氏名、物件の構成、所在、売買時期、価格等について資料を出していただきたいと思うのです。さらに、同じくその売り払い価格の積算の問題ですが、日本不動産研究所の鑑定評価格として、坪当たり百七十八万五千円、安田信託銀行の評価格、鑑定評価格として、百四十一万七千五百円と報告が出ておりますが、その写しをいただきたいと思うのです。  それからさらに(8)の項に、準借地権の控除として、最終評定価格の三〇%を控除しておりますが、この準借地権の意義というものについて、資料を御提出願いたいし、さらにまた、それが三〇%を控除するというのはどういう事例によるのか。その内規とかあるいは慣例がありましたら、それをお伺いしたいと思うのです。これはひとつ、あとでけっこうですから資料として御提出願いたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  169. 村田博

    説明員(村田博君) 調査次第提出いたします。
  170. 二宮文造

    ○二宮文造君 この事件をずっと見ておりまして、非常にあいまいもことするわけですが、検査院としましては、国と、それからニューエンパイヤモーター株式会社の売り渡し、しかも、代金がまた昭和四十三年まで未納になるわけですが、その後のいきさつについて、実地に検査もし、また大蔵省に対して指摘をされた事実があるかどうかお伺いしたいと思います。
  171. 保川遜

    説明員(保川遜君) 売り払い当時の、売り払い以前における検査は、昭和三十八年にやっております。ただ、いま突然のお尋ねで、その後の経過は私実は存じておらないのでございますけれども、これは、もしおっしゃいますように、転売とかなんとかいうようなことになりますと、これは明らかな契約条項にも違反するようなことにもなります。いずれにいたしましても、これは今後の検査で十分いまの御趣旨の点はわれわれも検討したいと思っております。
  172. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほどからいろいろとお話を具体的に事実をあげてお伺いしているわけですが、私どもが結論的に判断しますときは、第十七条にあります「甲は、乙が本契約に定める義務を履行しないときは、木契約を解除することができる。」、この項目に明らかに該当すると、こういう断定せざるを得ないわけです。また、答弁に当られる二課長にしましても、あるいはまた政務次官にしましても、非常に語尾を濁したような御説明で、明らかに私が指摘しましたように、一連の計画的なものであるということに対して反論をする材料がないようですが、最後に——この件についての最後に、この問題の事態の収拾に対してどういうふうに具体的におやりになるつもりなのか、明らかにしていただきたいと思います。
  173. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) ただいま二宮委員から御質問がございましたが、本件につきましては、十分大蔵省におきまして調査をいたします。さらに、実際上において契約違反等のあった場合におきましては、契約の条項に従って、大蔵省としてもこれに伴う措置を明確にとっていくつもりでございます。なお、会計検査院等も御検査あることかと思いますが、大蔵省自身としての態度は以上のとおりでございます。
  174. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、朝日土地興業株式会社を見たのですが、この役員の項にやはり千葉三郎という、これはおそらく自民党の代議士の方じゃないかと思うのですが、千葉三郎という方も役員に、取締役に名前が載っておりますし、そういう意味でも国民の疑惑の目をはっきりさせるといいますか、解かせる意味においても、厳重な調査並びに今後の処置をきつく要望しておきます。  その次に、二番目にお伺いしたいことは、若松町の元陸軍経理学校のあとの国有財産の賃貸しの問題でございますが、大蔵省に資料を要求しまして、私のところへ大蔵省から出していただいたこの国有財産の賃貸借契約書は、その日付が昭和三十二年二月二十二日のものでございます。その後のこの賃貸借契約はどういうことになっているんですか。
  175. 村田博

    説明員(村田博君) これは、あるいは先生も御案内のことかと思いますが、まあこの同胞援護会牛込支会というのが東京都に転貸しているのでございます。私ども、当時の貸し付けの趣旨からいいましてやはり適当じゃないということもございますし、また、この同胞援護会の性格はもうすでに解散団体でもございますので、いつまでもこういう形の団体と契約しておくということも適当でない、こういう判断からいたしまして、三十二年度以降は貸し付け契約を結んでおらない、こういうことでございます。
  176. 二宮文造

    ○二宮文造君 貸し付け契約を結んでおらないのですが、今度は貸し付け料のこの納入の状況の欄には、昭和三十九年三月二十六日まで、毎年のように収納されておりますが、これはどういうわけですか。
  177. 村田博

    説明員(村田博君) 貸し付け料が未済でございますので、一つの方法といたしまして、弁償金という形で毎年年度末に納入告知書を発行して相手方からいただいている状況でございます。
  178. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういうふうな明文は、この資料の中からは出てまいりません。少なくとも大蔵省から提出された資料の中には、貸し付け料納入の状況という名前のもとに、昭和二十二年十月十五日から毎年のように、三十八年度分のものと称しまして三十九年三月二十六日まで連記されております。そうしますと、大蔵省としては、この貸し付け賃貸借契約書はもうすでに無効であるという考え方ですか。
  179. 村田博

    説明員(村田博君) 委員のほうに差し上げました資料には、あるいは貸し付け料納入の状況ということで実はあげているかと思いますが、これは三十二年度以降、正確に申し上げますと、弁償金ということになろうと思います。したがいまして、ことばづかいとして適正を欠いているという点はございますが、この点ひとつ御了承いただきたいと思いますが、昭和三十二年度以降につきましては、先ほど申しましたように、契約手続はございません。したがいまして、弁償金という形で取らざるを得ない。これはほかにもこういうケースは実は非常に多いわけでございます。
  180. 二宮文造

    ○二宮文造君 この国有財産の賃貸借契約書——あと契約書と言いますが、これには賃貸し人は同胞援護会の牛込支会支会長の中野四郎、こういう名目になっておりますが、この中野四郎という方は自民党の代議士の中野四郎さんですか。
  181. 村田博

    説明員(村田博君) さようでございます。
  182. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は厚生省で調べたのですが、厚生省にはかつて恩賜財団同胞援護会というのがありましたけれども、同胞援護会牛込支会支会長中野四郎というふうな形での法人としての届け出がない、なかった、こういう話でございますが、大蔵省がこういう契約を結ぶについては、同胞援護会牛込支会支会長中野四郎という者の性格をどう把握して賃貸契約を結ばれましたか。
  183. 村田博

    説明員(村田博君) この問題につきましては、当時私どもが中野四郎氏にこの土地を貸し付けましたときのいきさつにさかのぼってまあ申し上げたほうがいいと思いますが、昭和二十年、終戦直後でございますが、当時の経理学校あと地につきましては、当時非常に社会状態も混乱しておりました。生活困窮者、引き揚げ者、戦災者というものがちまたに満ちあふれている、この方たちを早急に収容しなければならぬということで、当時の同胞援護会東京都支部新宿区牛込支会支会長の中野四郎という名義でもって、これをそういった生活困窮者の収容施設に充てたいということで申請が出たわけであります。当時といたしましては、相当大量の旧軍財産が放出をされまして、その管理上の問題、それから民生安定といった問題もございまして、そういうふうにお使いくださる場合に積極的に貸し付けておったというのが事実でございまして、したがいまして、恩賜財団同胞援護会牛込支会というものの性格につきましても、当時としましては、必ずしも、厳密に法人格の有無についてのおそらく調査が行き届いていなかったのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、これをあえていたしまして、その責任者である中野四郎さんにお貸しした、こういう状態でございます。ただお話のございましたように、この同胞援護会というのは、昭和二十七年でございましたか、事実上解散いたしまして、また社会福祉法人としての新たな発足をいたしております。したがいまして、この牛込支会というのは、実質的には、その母体が失なわれておりますので、もはや法人格はないといえば確かに法人格はないのでございますが、ただ既往の経緯が、そういった生活困窮者の集団の責任者の中野四郎さんにお貸しした、その形態が現在まで続いておりますので、便宜上の方法といたしましては、同胞援護会牛込支会ということでその責任者の中野四郎さんにお貸しする、こういう形をとっている次第でございます。
  184. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、大蔵省としては、同胞援護会牛込支会というものがあろうがなかろうが、そんなことはかまわない。その当時の責任者としての中野四郎さんが、こういう名目をつけてきたので契約を結んだ、こういう説明ですか。中野四郎さん個人に対するものですか。それとも牛込支会に対するものですか。
  185. 村田博

    説明員(村田博君) 私どものいまの考えは、そこに集団としてお住まいになっている方々の取りまとめ役としての中野四郎さんにお貸しした、こういうふうに了解しているわけでございます。ただ、現在解散いたしました団体のしかもそれのブランチである牛込支会にいつまでも貸すということは適当でない、法人格もございませんので貸すことは適当でない、これを一日も早く是正したいというのが私どもの現在の気持ちでございます。
  186. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、もっとふしぎなんですが、この契約書によりますと、貸し付け料は二十四万八千五百十四円となっておりますが、これは月額ですか、年額ですか。
  187. 村田博

    説明員(村田博君) 年額でございます。
  188. 二宮文造

    ○二宮文造君 同じく資料としていただきました、中野四郎さんと、それから東京都との賃貸借契約書の中には、土地は一カ月について二万五千九百九十七円、建物は一カ月について一万六千三百六十四円、合計しますと四万二千円近くになりますが、これは月額です。これを東京都から牛込支会の中野さんに支払われているのですが、しかも、これは東京都に転貸しをしたのはその一部分です。東京都に転貸しをしておりますのは、土地が千三百八十九坪、建物が四百四十一坪、さらに残っている地域は、土地が千九坪、建物の建て坪が百八十六・七五坪、こういうふうになっておりますが、当然この残っている部分に対しましても、そこの居住者は賃借り料を払っていると思うのですが、そうしますと、この経理は一体どういうことになっているのですか。年額二十四万円、それを賃借り人から国に支払う、賃貸料、その半分——およそ倍額に当たる金額を東京都から賃借り人はもらう。さらにその半分を居住者に貸して月々の家賃を取る。しかも、その名目が、先ほどおっしゃったように、当時の住宅に困窮しているという社会福祉的な立場から貸し付けたということでありますと、ちょっと私、納得ができないのですが、こういうことについては、大蔵省はいままでにどういう指導をされましたか。
  189. 村田博

    説明員(村田博君) 私どもとしましては、東京都は、この財産を中野四郎氏から転貸を受けまして都営住宅として運営されているということにつきましては、やはりこの貸し付け契約の趣旨といたしましては、転貸ということになりますので適切でない。したがって、この転貸を解消しろということで中野氏にも再三要求申し上げまして、転貸状態を早く解消しろということで、特に文書でも申し入れたこともあったわけでございます。問題は、その中に都営住宅として住んでおられる方方の移転先の問題、あるいはその土地にそのままおりたいという方がございまして、現在までその解決が長引いてきたというのが実情でございます。
  190. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、中に住んでおる人の問題ではありません。私の質問しておりますのは、こういう手続の問題が非常にあいまいなので、中に住んでいる方は、いま住宅があるんですから、そのまま住んでいればよろしいのであって、あいまいもことした契約に基づいて都に賃貸しをしておる状態、あるいはまた社会福祉というものに名をかりて、それとおよそ想像のできないような収入をあげている、そういう賃貸しの状態、これを早急に解決すべきじゃないか、こう私が申し上げているわけなんです。中に住んでいる方は確かに住宅困窮のためにお住まいになった方々が多い、したがって、そのまま住んでおったって一向差しつかえない。また、それが国と東京都という公共団体の契約であるならば、直接の契約であるならば納得ができますが、間に性格のはっきりしない一つの団体、それはもうおそらく個人といってもよろしいと思うんですが、その個人が入った形で転貸しをされている。また弁償料を取るなどと称して、契約書も更新しないまま、もう無慮九年間にわたって放置している。こういう状態は国有財産の管理としては好ましくないと思うんですが、いかがでしょうか。
  191. 村田博

    説明員(村田博君) 先生の御指摘のとおりでございまして、私どもとして決してこれは心許せない問題でございます。早急に解決すべき問題かと思うのでございますが、ただ、いまの貸し付け料と東京都が同胞援護会のほうに納めます使用料との差額の問題でございますが、私、実は手元に資料を持っておりませんが、私の記憶では、昭和二十二年から三十八年の間に、中野四郎氏が国に納めた金額と、それから東京都が中野四郎氏に納めた金額の開差は百万円前後だったと思います。これを十数年間に割ってみますと、年間十万円程度でございまして、通常管理費に充てられる限度におきましては、それほど多額のマージンがそこに出ているとも了解しがたいんでございますが、しかしいずれにいたしましても、こういう転貸形式がいつまでも続いていいというわけではございません。したがいまして、現在早急にこれを解決するということで、中野四郎氏と東京都、それから大蔵省のほうの関係者で三者間寄り集まりまして、種々協議をして早急に結論を出したいという段階に来ておるわけでございます。
  192. 二宮文造

    ○二宮文造君 えらく義理立てしたような御答弁なんですが、私はそういう義理立ては必要ないと思うんです。もうすでに第十五条で、「乙が本契約に定める義務を履行しないとき。」と、こういう契約解除の条件としてそういうことが列記されておりますが、もうこの事実を見またしときは、オール契約違反です。たとえてお伺いしますと、いまこの建物を管理する牛込支会の中野四郎氏は火災保険契約をやっておりますが、それを大蔵省に預けることになっておりますが、十日以内に預けることになっておりますが、もし寄託があればおっしゃっていただきたいと思う。
  193. 村田博

    説明員(村田博君) 私の承知しております範囲では、そういった寄託はないようでございます。
  194. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、これは第七条には違反で、ございますね。
  195. 村田博

    説明員(村田博君) 木造建物の貸し付け料につきましては、昭和三十八年度から、そういった保険義務を相手方に課するということをやめましたかわりに、貸し付け料を引き上げるということで、事実上保険料を取ったこととするということにいたしておりますので、昭和三十八年度にもし契約を結ぶとすれば、その条項はなくなるんじゃないかと思います。
  196. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、三十八年以降の貸し付け料、弁償料は幾らですか。
  197. 村田博

    説明員(村田博君) 三十八年度は七十八万二千三十七円でございます。年額でございます。三十九年度につきましては、ごく近々に納入告知書を相手方に通知するという段階でございます。
  198. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや、私がお伺いしますのは、少なくともこの契約の日にちは三十二年の二月二十二日ですが、そのときに十日以内に寄託しなければならないということに対して、十日以内に寄託はなかったのですね。
  199. 村田博

    説明員(村田博君) 三十二年当時のことにつきましては、実は私いまのところ資料を持っておりませんし、記憶もございませんので、ここで明確な御返事はいたしかねます。
  200. 二宮文造

    ○二宮文造君 では申し上げたいと思うのですが、昭和三十四年の十二月十七日にこの建物が焼失しております。これはおたくのほうでちゃんともう資料を出していただいたのに、火災焼失した、昭和三十四年十二月十七日炊事場付属、こう書いてあります。これに対して、このときにすでに火災保険の契約がなかったために、あとから損害の賠償を要求されて、二十幾万でしたか、取っておるようでございますが、これも明らかにこの第七条の契約には違反していると言えるわけですが、どうでしょうか。
  201. 村田博

    説明員(村田博君) 実は、その点についてまことに不勉強な話ですが、私の聞いておる範囲では、たしか保険をおかけになっておりまして、その保険の中から払い込まれたというふうに私は承知いたしております。
  202. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、あとでその間の経緯を説明する資料をお出し願いたいと思います。  私、昨日、厚生省あるいは社会福祉法人恩賜財団東京都同胞援護会、ここに電話をかけました。そうしますと、厚生省では、先ほど申しましたように、かってにつけている名前じゃありませんかというふうなことでございますし、東京都同胞援護会では、迷惑して困っておるというふうな連絡でございますが、何か事務所はあるようでございますが、おそらく弁償をお取りになったり、それから交渉もされたりしているのですから、その事務所の所在地並びに電話番号ぐらいは、大蔵省では御存じだろうと思うのですが、どうでしょうか。
  203. 村田博

    説明員(村田博君) これも実はいま手元に資料ございませんので、資料としてあらためて提出いたしたいと思います。
  204. 二宮文造

    ○二宮文造君 いろいろお伺いしておりますうちに、この建物あるいは土地建物の管理につきまして、非常にあいまいです。管理不十分です。会計検査院にお伺いしたいのですが、これは古い問題でございますが、こういう賃貸しの状態、これは無契約の状態で放置されているのですが、いままで指摘事項の中に——私三十六年も三十七年も三十八年も見たのでございますが、ほかのものはちょこちょこ頭を出しておるようですが、この件については頭を出さないのはどういうわけですか。
  205. 保川遜

    説明員(保川遜君) ただいまお話し承っておりまして、まことにごもっともだと思います。先ほど課長からいろいろお話がありましたが、終戦直後のいわば混乱時代、そういった混乱時代というのは、少し言い過ぎかもしれませんが、そういう時代がいま比較的落ちついたところで見ますと、非常に法規上適当でないという事態が実はかなりあったわけでございます。もちろんおっしゃいますように、そういうものは、転貸している場合は直接使っているものに貸している、そういう一つの大蔵省の方針がございます。われわれももちろんその方針に従って検査をやっておるわけでございます。こういう事態、いままでの経過から、かなり古い二十何年時代には、われわれもかなり指摘いたしまして、漸次改善されつつある、相当よくなってきておるとわれわれは考えております。ただ非常にこじれた問題、それがいまこういう問題とか、それからまだ二、三ございますが、われわれとしては、大蔵省として放置しているのじゃなしに、やはりそれに取り組んでおいでになる、そういうことで、もちろん検査の際に、早く解決をしてもらいたいという要望はいたしておりますが、まあ努力されておる、そういう事態でしばらくその努力の成果を見守っていくということでまいっております。そういうことで、特に検査報告に批難として掲げないということでございますので、ひとつ御了承願います。
  206. 二宮文造

    ○二宮文造君 さらにお伺いしたいのですが、努力をされていると言われても、三十二年の二月二十二日、しかも、これが三十二年の二月二十二日の契約が、その期限が三十一年の四月一日から三十二年の三月三十一日、すなわち契約期間の満了わずか一カ月前に一年間の契約書が締結されているのです。白米、無契約の状態で、しかも弁償料を取っている。ただ、それを時価に合わせて若干値上げをしたということだけが、大蔵省の努力としていま表面に出ているわけです。会計検査院としては、古くは指摘をしたけれども、その後大蔵省は努力をしているから指摘事項には掲げなかったと、こうおっしゃるようですが、改善要求を出して、しかもそれが改善されない、改善の状態が遅々として進まないときには、毎年のように指摘をされるのが、会計検査院の忠実な任務の遂行のしかたであろうと思うのですが、それをわざとお落としになったのはどういうわけですか。
  207. 保川遜

    説明員(保川遜君) わざと落としているわけじゃございません。もちろん、おっしゃるとおり改善を要する事態でございますけれども、ただ、ほかの問題と違いまして、これはやはり相手のある仕事で非常に困難だと思います。われわれそういう困難な点をかなり頭に置いて処理いたしておりますので、その点ひとつ御了承お願いします。
  208. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、大蔵省が努力しているということを会計検査院は承知をされている。したがって、その結果を非常に待っていたというのですから、当然どうなったかという報告の文書もあると思うのですが、そういうことはおやりになりましたか、やりませんですか。
  209. 保川遜

    説明員(保川遜君) 関東財務局の管内、これは毎年実地検査をいたします。その際、文書でとっておりませんが、口頭で常に申し上げているわけであります。
  210. 二宮文造

    ○二宮文造君 毎年実地検査をされているとしますと、現在ここに住んでいる方々が、どれだけの家賃を納めているか、支払っているかということは御承知ですか。
  211. 保川遜

    説明員(保川遜君) ただいまちょっと手元に資料がございませんが、調べればわかります。
  212. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、それをあとで資料として出していただきたいと思います。
  213. 保川遜

    説明員(保川遜君) 承知いたしました。
  214. 二宮文造

    ○二宮文造君 こうやって、この問題も追及をしてまいりますと、もう相手は善意の団体ではないわけです。しかも私は、少なくとも国会に議席を持った方がその代表者です。しかも、やっていることが、国民の疑惑を招く——社会福祉事業に名を借りて個人の利得を占めているのではないかと予想されるような、うわさをされるような事態を残して平然としているというやり方は、私好ましくない。大蔵省としても、もうこの推移から見ますと、善意というものは全然考えられないのですから、早急に解決すべきである。いわゆる訴訟にでも持っていってもよろしゅうございましょうし、あるいはまた、ものが国有財産ですから、適当な制裁事項というものも当然とれる。それが無名の人であれば、とっくに大蔵省としては措置をしております。少なくとも著名な人である限り、その人の信用上の問題からも早急に国は解決すべきである。いままでのような弱腰で、しかも、じんぜん日を重ねるようなやり方ではよろしくないし、また、会計検査院としても、この問題をただ口頭で申し入れているというような、証拠も残らない、会計検査院としての使命に忠実でないようなやり方で事態を推移さした責任は、私は国民にわびるべきだと思うのです。そういう意味で、会計検査院としても態度を改めていただきたいし、大蔵省としても早急に解決をして、もうこの無契約の状態から、直ちに国有財産に取り返す、こういうふうに努力をしていただきたいと思うのですが、政務次官、いかがですか。
  215. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) だんだんお話を伺いまして、ただいまの御発言はごもっともなことが多いわけでございます。そこで、大蔵省といたしましては、現在最善の努力はしているつもりでございますが、まだ十分成果があがっていない。しかも、いろいろ遺憾な点がありますことは、まことに残念でございます。そこで、現在都に賃貸してございますその地区については、都営の住宅用地として都に直接売り払いをするか、あるいは都と直接賃貸契約をするか、いずれその方向で解決すべきであろうと思いますし、それ以外の土地につきましては、実はたくさんの住居者がそこにおられるわけで、あるいは住宅組合等ができれば、その代表者の方と交渉をして賃貸契約ができる、売り払いあるいは貸し付けというようなことができるわけでございますが、少なくともそういった原則に立ってこの解決をはかってまいりたいと、そのように思っております。
  216. 二宮文造

    ○二宮文造君 この東京都とそれから中野四郎氏との賃貸契約の中に、これは日付は三十七年の三月三十一日ですが、この「土地建物一時賃貸借等契約書」の中に、非常に心配な文言が入っておるわけです。お持ちですか。私のほうにいただいた資料のその三行日あたりからちょっと読んでみますと、「昭和三四年九月三〇日甲乙間に締結した前記契約の一部改定契約に定めた賃貸借期間の満了により甲が乙から賃借していた土地および建物を明け渡し、乙に返還するにつき」と、こういうふうな契約書になっておるわけです、都と賃借り人との間の契約は。そうしますと、いわゆる中野四郎氏の考え方は、いま都営住宅が建っておるけれども、それは建物は明け渡す、そしてそれを安い価格で払い下げを受ける、都が直ちにその建物は撤去する、また国に対しても、いままでの土地権というか、あるいは既得権益を主張した上で低廉な払い下げ価格を予定をして、それを他に転売をしよう——これはうわさでありますが、そこに居住しておる人は非常に心配をしております。したがって、こういうふうな、かりそめにもうわさがある以上は、国も確固たる見解をここで発表していただかなければならない。少なくとも既得権益などは認めないし、中野四郎氏に対しては、その名目がどんな形であれ、あるいはまた、どんな団体をもってくるのであれ、個人並びにそういう法人ですね、公共性を持たない、公共団体でない法人には売り渡しはしないと、こういうふうな確答を私はここで得たいと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  217. 村田博

    説明員(村田博君) 本件につきましては、これの処理方針につきまして、前回の決算委員会でもあるいは申し上げたかと思いますが、私どもの基本方針といたしましては、現在住んでおる方の居住権というのが一番大事じゃないか。したがって、問題としては、国は居住権をいかに尊重しながらやっていくかということでございますので、当面の解決案といたしましては、牛込支会が東京都に転貸している部分につきましては、これは直接東京都に国のほうで貸し付けるなり売り払いするなりいたす、それから牛込支会が直接自分のほうで管理しております住宅地につきましては、これは牛込支会というものが、先ほど来申し上げておりますように、すでに法的性格を失っておりますので、したがいまして、内容を新たにいたしまして、たとえば住宅組合をつくるとか、あるいは、その他社会福祉法人をつくるとかということを前提にいたしますならば、その住宅組合もしくは社会福祉法人、こういったものに貸し付ける、もしくは売り払いをする、こういう形で筋を通したいという考え方でいるわけでございます。
  218. 二宮文造

    ○二宮文造君 その前段の説明については、筋が通るように思うのですが、後段の説明につきましては、私はあなたの説明の中に、やはり中野四郎氏の既得権益というものを考慮しながら答弁されているように思うのですが、この既得権益を認めますか、認めませんか。その点はっきりしていただきたい。
  219. 村田博

    説明員(村田博君) 既得権益というものを特に考えるつもりじゃございませんので、現在住んでおられる方の生活なり居住をいかに確保して差し上げるかということに問題の重点を置いておりますので、その方々が住まいいいような形での解決をとりたい。そこで問題は、中野四郎氏関係のほうにお住まいの方につきましては、やはり都営住宅のほうも、収容力の面もあるということになりますと、やはり現在の場所に住まざるを得ない。この方々に対する何らかの法的な性格をこの際与えたい。そのためには、社会福祉法人であるとか住宅組合をつくる、こういう形でとにかく法人格を持っていただくことが先決であるということでございますので、別にいままでの既得権を保護するという考え方ではなくて、中に住んでいる方が、いかにして安定的に今後生活されていくようにするかということに問題解決の重点を置いているつもりでございます。
  220. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  221. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 速記をつけて。
  222. 二宮文造

    ○二宮文造君 答弁が、私の要求した答弁とすれ違うわけです。私は、その中郡四郎氏の既得権益を認めるか認めないか、こういうことについて確答を求めているわけです。当然、さきに申し上げたように、中に住居している方は、これは守ってあげなきゃならないわけです。入ったその趣旨から考えてみても、その方を撤去させるとか移転させるとかいうようなことはいま問題ではないのです。そういう運営のしかたに問題があるし、それから賃貸を受けたその人の性格、団体の性格に問題があるし、さらにまた収支のバランスに問題があるし、したがって、当初のように住宅困窮者に対する便宜をはかってあげたという考え方であれば、不当な——あえて不当と言いますが、不当な家賃を支払う必要はない。そこには既得権益というものが有形無形に存在するから、国に支払う賃借り料よりこえて住居者は家賃を納めているわけです。はっきりしていただきたいのば、この問題になる既得権を国は認めるか認めないか、この点について確答をいただきたいのです。   〔委員長退席、理事北口龍徳君着席〕
  223. 村田博

    説明員(村田博君) 私ども、当初から貸し付けましたのは、中野四郎氏個人ということよりは、むしろやはり集団としてお住まいの方々の責任者としての中野四郎氏でございまして、決して中野四郎氏個人の特殊権益を認めるとか利益を認めるというつもりは毛頭ございません。したがいまして、今後もあの土地を売り払う際、貸し付けをしますこういった際におきましても、あくまでも会計法規の規定に従いまして、それに適格性を持ったものでなければやはり処分できない、売り払いもできない、貸し付けもできない、このように考えております。
  224. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういたしますと、だれかのあっせんで現在の居住者が住宅組合をつくりますと、国はそこと賃貸契約を結びますか。
  225. 村田博

    説明員(村田博君) 住宅組合が結成されれば、その方と結ぶということに筋としてはなるかと思います。
  226. 二宮文造

    ○二宮文造君 その場合に、中野四郎氏とは無契約の状態ですか。その点の責任は、国としてはどう処置されますか。
  227. 村田博

    説明員(村田博君) それはどういう形で結成されるかは、実は私も、仮定の問題でございますのでつまびらかに考えられませんが、一つの問題として、たとえば、中野四郎氏は全然組合に参加されずに中に住んでおられる方だけでできたといたしましても、これはやはり、居住者の組合でございますれば、その居住者の組合ということで私ども契約せざるを得ないと考えております。ただ、具体的にそれがどういう形でどういう組合ができるかということにつきましては、やはり過去の経緯もありましょうし、中野四郎氏と居住者の方との間の話し合いというものもあるいはあるかもしれませんが、これについては、私、いまここでどういう方向でということを申し上げるだけのデータなり、あるいは居住者の方の考えというものがわかりませんので、何とも申し上げかねます。
  228. 二宮文造

    ○二宮文造君 大体考え方がはっきりしてきましたが、非常に説明の間で苦しいような御答弁がありました。結論的に申し上げますと、これもまあ、詐欺とは申しませんが、それに類するようなおもしろくないような状況だと思います。早急に処理をしていただきたいんですが、そこで資料をお願いしたいんですが、現在この牛込支会中野四郎氏が国に弁償金として払っている金額、さらに都から受け取っている金額、これを年次をさかのぼって毎年次ごとに、つまびらかにしていただきたい。それから会計検査院に対しましては、先ほど、あとから出していただくというお話でございましたから、現在の時点における賃借料——居住者の賃借料ですね、それについて調査した資料がありましたら出していただきたい。で、重ねて要望申し上げますが、早急にこういうあいまいな賃貸の形はもう解消して、少なくとも国有財産の管理について適正な厳正なやり方をしていただきたい、こう思います。   〔理事北口龍徳君退席、委員長着席〕  さらに第三番目は、もう時間がありませんので詳しく入れませんが、狸穴の中央競馬会と、それから物産ビルと、日本飼料工場会と、それから合同会議所ですか、その問題についてちょっとお伺いをしたいんですが、中央競馬会が用賀に一万一千坪を——詳しくいえば、一万一千二百八十二坪を三十七年の七月に購入したことになっておりますが、この財源は、いわゆるオリンピック特例法による国庫納付金の免除された分を財源として充ててお買いになったのですかどうですか、その点をお伺いしたい。
  229. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 用賀の土地を購入いたしました場合の財源は、オリンピック特例競馬の益金からではございません。
  230. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、この三十七年度の決算検査報告ですね、決算検査報告の一八五ページに、「オリンピック東京大会の馬術競技に使用する施設の建設等のための日本中央競馬会の国庫納付金等の臨時特例に関する法律(昭和三十六年法律第百八十五号)による臨時競馬の開催は二回十四日であり、この法律による国庫納付免除額四億五千八百二十九万余円のうち三億五千百八十一万余円をオリンピック東京大会の馬術競技に使用する施設の敷地購入費等に使用している。」、こうなっておりますが、この敷地購入費は、どこをさすのですか。
  231. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) オリンピック特例競馬による益金の使用をいたしたことは、決算報告のとおり事実でございますが、これは大井馬場の建設相当分に対する経費に充当いたしたのでございまして、用賀の土地の購入は、大井馬場をつくりますための用地の交換必要面積よりはるかに広いものをもとめたのでございまして、そういう意味で用賀の土地の購入費は、たしか六億円余りの代価になっておるわけでございます。金額の上からも、オリンピック特例競馬の益金では支払い得ない金額でございまして、最終的に精算をいたしました場合には、大井馬場の敷地の交換部分相当分は、オリンピックの特例競馬による益金部分をもって充てたというふうに記憶いたしております。
  232. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま説明を受けたのですが、大井馬場はもとのQM倉庫につくられたわけです。QM倉庫と交換をするために用賀に一万一千二百八十二坪を、大体坪単価五万六千円当たりで購入したのですが、そのQM倉庫と交換した部分が、いわゆる国庫納付の免除額に相当するという説明なんですが、それはそれとして了解をしまして、さらに、中央競馬会がこの狸穴にあります東京大学天文学教室のあとに競馬会館をつくりたいという  ことで、払い下げの許可申請を三十七年の二月に出されたのですが、この時点においては、競馬会館はこの狸穴の天文学教室あとにつくられる予定だったのですね。
  233. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) さようでございます。
  234. 二宮文造

    ○二宮文造君 それが、確かに今度はQM倉庫と交換をした残りの五千五百十五坪、このうちの二千六百二十四坪と狸穴の六百六十四坪を三十八年の三月に事務所用地として交換されましたね。
  235. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) そのとおりでございます。
  236. 二宮文造

    ○二宮文造君 その事務所用地として購入された所へ日本飼料工場会がビルを建てている。その間のいきさつについては、田村町に中央競馬会の事務所があって、その事務所に続いて隣接地の六百五十八坪のうち、三百五十坪の新事務所を建設する、それをつくるのが物産ビルで、物産ビルが建築費を引き受けて、その見返りの交換として三つの土地を、いわゆる田村町の三百八坪と、それから狸穴の六百六十四坪とそれから八王子の五万何千坪、これを予定して契約を結んだ、こういう事態になっているのですが、これは、当初一連のそういうふうにしていくための予定だったんですか。
  237. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 当初から、この競馬会の本部事務所を現在の地点に建てて、それと交換するための土地として、狸穴なりあるいは八王子市の土地を用意をした、そういう一連の考え方で進めたものではございません。
  238. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、事務所用地として申請をされたことは、これはどういうことになるんですか、交換を申請されたのは。
  239. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 中央競馬会の本部の事務所を建築をする必要があるということは、昭和三十四年ころから、もう、ぼつぼつ事務所が非常に古く、かつ狭隘であるということで、中央競馬会としては考えておったようでございます。で、当時、現在の田村町の中央競馬会の隣の建物が日産ビルでございますが、日産ビルが、現在の田村町の本部の敷地全部を譲渡してもらいたい、三井物産ビルの新しい増築工事の用地に使うために譲渡してくれという話があったのでございまして、そこで、その田村町の敷地全部を引き渡しますと、それに対応して、適当な土地に中央競馬会の建物を建築をして、そして田村町の敷地と交換をしようという話が進んでおったのでございます。そこで、競馬会としましては、適当な敷地をさがしておったのでございますが、お話に出ました狸穴の土地が六百六十四坪でございまして、ほぼ競馬会の考えている程度のビルが建てられるということで、大蔵省に用賀の土地との交換を申し出たわけでございます。  ところが、二つ事情が変わったといいますか、一つは、私は、明らかに中央競馬会としては、事前の調査に粗漏があったと思うのでございますが、一つ事情が変わりましたのは、田村町の現在あります土地全部を日産ビルでほしいと言っておりましたのが、ちょうど競馬会の土地と日産ビルとの間の道路というものが、建築敷地といいますか、架橋のようなかっこうの建物が許されなかったのが、その点は私ども詳しく知りませんけれども、建築法の上で認められるようになったということで、六百五十八坪のうち、三百八坪程度を分譲——分けて譲渡を受けることによって、考えているようなビルの新築ができる、増築ができるということで、あと三百五十坪ばかりが残るという事態になったということが一つの事情変化でございます。  それからもう一つは、麻布狸穴、正確には港区の麻布飯倉三丁目にあります土地は、もとの東京大学の付属天文台の敷地であったところでございまして、非常にきびしい建築制限があるということで、競馬会で考えておりますような建物をつくろうといたしますと、非常にぶかっこうといいますか、非常に無理な建築をしなければならないということがわかりましたために、田村町に残りました三百五十坪の土地の上に、建築法上許容される建物をつくるほうが、はるかに大きな容量のある建物がつくられるということが判明いたしましたので、問題の方向を変えまして、本部の建築は、田村町の現在の敷地の残余の部分にするということで、それに相応する土地、その建築価格に相応する土地を、狸穴及び田村町の三百八坪の土地及び八王子市の五万四千坪の土地を交換の対象として考えるということで、お話しのような交換の契約を結んだわけでございます。
  240. 二宮文造

    ○二宮文造君 時間がありませんので、簡単に説明を願いたいと思うのですが、中央競馬会と物産ビルディングとの間の交換契約書の第十六条に、協同組合日本飼料工場会にいまの狸穴の土地を中央競馬会が売り渡す契約を締結しなければならない、こういうふうな事項が入りましたのは、どういうわけですか。
  241. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) これは、この狸穴の土地は、もともと競馬会の事務所用地ということで、国有財産との交換で得たものでございまして、土地の性格がそういうものでございますし、また、中央競馬会も政府出資にかかる一種の政府機関でもございますので、その管理している土地を交換いたしましても、譲渡をするということは、その譲渡の譲渡先、最終の利用者というものは、ある程度公益性を持つものに使わせたいという気持ちがございまして、そういうふうに考えておりましたところ、協同組合日本飼料工場会のほうで、自分のオフィス及び関係の会員等の利用のためのビルをほしい、建てたいと思っているが、あの土地がそういうふうに、三井物産ビルに交換の結果いくということならば、協同組合日本飼料工場会が入手をしたいという申請が出てまいりまして、私どもも、ちょうどあの前には、政府といいますか国の合同会議所等もございますし、社会的にどうかと思われるような用途に充てられるということは好ましくないという気持ちもございまして、中央競馬会と物産ビルと、それから工場会との間で、三者の契約をそれぞれ分割して契約をしたのが、ただいま先生のおっしゃった条文でございます。
  242. 二宮文造

    ○二宮文造君 あとで関連しますから、ここで中断しておきます。  今度、大蔵省にお伺いしますが、中央官庁の合同会議所という名目で、この東京大学の天文学教室あとに庁舎が建っております。これは所管はどこですか。
  243. 村田博

    説明員(村田博君) 関東財務局が所管いたしております。大蔵省になります。
  244. 二宮文造

    ○二宮文造君 建物の管理はどこですか。
  245. 村田博

    説明員(村田博君) 建設省でございます。
  246. 二宮文造

    ○二宮文造君 ここを利用する官庁はどこですか。
  247. 村田博

    説明員(村田博君) 建設省を主体としまして、各省が使わしていただいております。
  248. 二宮文造

    ○二宮文造君 私が調査した範囲では、建設省、首都圏、警察庁と、こういうふうに建設省では言っておりますが、各省官庁が使っておりますか。
  249. 村田博

    説明員(村田博君) 実際の使用形態については、ただいま手元に資料を持っておりませんので、調べまして報告させていただきたいと思います。
  250. 二宮文造

    ○二宮文造君 この合同会議所に大臣室がありますが、看板は建設大臣となっておりますが、事実、大臣室を使ってるのはだれですか。建設大臣——現在では小山建設大臣が使っておりますか。
  251. 村田博

    説明員(村田博君) どうもまことに申しわけないんですが、私ども実はそのほうの所管でございませんので、不勉強な次第でございますが、その点も調べまして御報告させていただきたいと思います。
  252. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、ここへ電話をしましてですね、交換手に聞きました。建設大臣となっておりますけれども、使っておるのは河野国務大臣です。河野国務大臣は現在は、建設省にも首都圏整備委員会にも警察庁にも直接関係はないと思うんですが、しかも、その合同会議所の利用としてきめられているこの三つの官庁以外の国務大臣がここを使われてる。これは巷間うわさされるところですが、三井物産は、飼料の輸入を引き受けてる大手筋である。中央競馬会、さらに日本飼料工場会、さらにこの一角にあります中央官庁合同会議所、一何か一連の意図のもとにこういうふうに集まってきたと思うのですが、この点について政務次官から、どうですか、あの事情について説明願いたいのですがね。
  253. 鍋島直紹

    政府委員鍋島直紹君) ただいま二宮委員の言われたような意図があるということはないかと思います。中央官庁の会議所でございますから、主体としては建設省あるいは首都圏整備委員会等が使うかもわかりませんが、全般として中央官庁あるいは内閣の大臣等が使えるわけになっておりますので、この点は、私もよく内容あるいはその方式をつまびらかにいたしませんからわかりませんが、ただいま言われたような意図があって云々ということは、絶対にないかと考えております。
  254. 二宮文造

    ○二宮文造君 私お願いしておきたいのですが、ここには大会議室も小会議室も数室あります。したがって、ここあるいは半年でもけっこうですが、この大会議室あるいは小会議室を利用した官庁、日時をお知らせ願いたいと思います。それから交換手の言い誤りだろうと思うのですが、大臣室の直接の使用者はだれかということも、あわせて御調査の上御報告いただきたい。ここには秘書官室もありますよ。秘書官室もそれに準じて使われているようであります。で、もしも、私が調査した、あるいは巷間うわさをされているような点がありますならば、これはゆゆしい問題でありますし、官庁のあり方として、その当面の責任にない方が、みずからの都合で国の建物を使う、また、それに便宜を与えるというやり方を残しておくことは、好ましくないと思います。したがって、早急に是正をしていただきたい。  それから会計検査院にお願いをしておきたいことは、この中央競馬会の、用賀用地並びにQM倉庫あるいは狸穴、それから現在の物産ビルとの交換契約、その間について会計検査院の使命に立って調査をされた資料、会計検査院から見られた資料を御提出を願いたい。  で、この件につきましては、あと、国有財産の管理につきまして、碑文谷のマンションの事件、それから日銀に目下保管されておりますダイヤの問題、この点について、まだ私お伺いしたいのですが、時間がありませんので次回に譲りますが、要するに、私が冒頭に述べましたように、国有財産の売り渡し、賃貸、管理についてですね、もっと姿勢を正して、明確なやり方でやっていただきたい。これを最後に強く要望しておきます。  資料の件はよろしいですか。
  255. 村田博

    説明員(村田博君) 私どもの関係のものにつきましては、調査次第提出いたしたいと思います。
  256. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは、本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時三十四分散会      —————・—————