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曾祢益君 ちょっと、いわゆるLST問題について、簡単に
外務大臣に質問したいのですが、いわゆるLST問題といわれている問題をさらに
一般的に
考えてみると、
日本の
船員がいかなる船に乗っておっても、
ベトナムその他の危険地域に行く場合、
日本政府としてどういう
保護の立場をとるべきか、こういった広範な問題の
一つの態度だと思うのです。
外国船に乗っている場合、
日本船に乗っている場合、それぞれいろいろ条件が違います。しかし、いわゆるLST問題がそれとまた違ったやっかいな面は、
アメリカの、軍艦でなくても、少なくとも商船でない公船
——公の船に乗り組んでいることが
一つ。もう
一つは、その乗り組む際の労務の調達といいますか、これに対して
日本政府が関与しているのではないか。そうなってくると、
一般の
日本の個人が
船員として募集に応じて行く場合の
政府の関与の
程度、したがって、責任の度合いが違う。そこにいわゆるLST問題のやっかいな問題がある。そこで、そういうことを言ってくると、結局は、行政
協定、地位
協定上の、いわゆる
アメリカ軍の
現地の労務の需要に対する、その充足に対する
日本政府の
協力の義務、これがどうなっておるのか、この観点からまず判断さるべきが当然だろうと思います。ところが、この間の衆議院の
外務委員会におきます社会党の
岡田委員の質問だったと思いますが、その質問に対する
外務大臣の御答弁は、ここに速記録を持って来ておりませんので若干正確を欠くかもしらぬけれ
ども、その答弁の趣旨は、いわゆる
日本政府が何らかのあっせん的な義務があるのだというふうにとられるような答弁をしておられたと思うのです。これはここに速記録を取って見ればわかる。しかるに、ここにも御
本人がおられてあれですけれ
ども、今度は参議院の本会議における同僚
羽生議員のこの問題に関する質問に対する御答弁は全然そうじゃなくて、いま私が前段で申し上げたような、いわば
日本の
船員が、任意に
外国の商船、あるいは公船でもいいですけれ
ども、
外国の
船舶に働くことの問題であって、
日本政府の関与事項でない、労務の充足に
日本政府が関与しない、こういうふうにとれるような、その点に関する限りはまるで正反対の答弁のように感じたのです。これは非常に重要なポイントなんであって、この点はひとつ明確にはっきりしていただかないと困る。内外のいろいろな疑問、疑惑を招いているので、
外務大臣のこの見解ですね。私がこういうふうにはっきり申し上げた。つまり、LST八百二十名ばかりのわが国の
船員が、終戦後いろいろ、居留民の引き揚げ、あるいは緊急物資輸送その他の業務に当たっておりました。あるときには
日本の会社側の米船運航会社のもとに働くという身分であったり、最近になっては身分が切りかえられて、
アメリカの海軍のMSTSというのが直接雇用する形をとっておる。その八百二十名充足の問題、最近これを拡大して、十七隻のやつをさらに四隻か六隻ふやす新規募集の問題、こういう
一つのパターン。もう
一つは、LSTという船ではなくて、形においては
一般の貨物船を使っているようであるけれ
ども、やはり
アメリカの軍がいわゆるマリナース・コントラクトと称して、これははっきり
日本政府がまず
アメリカのために雇い入れて、そうして労務を提供している。その
人たちが、LSTの問題と違って、
アメリカの上級
船員と混合乗り組みというような形で、これはLSTではなくて貨物船に乗って
日本の近海、あるいはフィリピンあたりに往復しているのが間々
ベトナムに行く場合が、これはやはりいわゆるLSTよりも、私は、
日本政府の関与の責任は一そう重大だと思うのですね。
日本船員を雇っているという、そういう問題をよくはっきり踏まえて、
日本政府の行政、地位
協定による責任はどうなのかということを明らかにしていただきたい。