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1965-04-27 第48回国会 参議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳 牧衞君     理 事                 井上 清一君                 草葉 隆圓君                 長谷川 仁君     委 員                 杉原 荒太君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 羽生 三七君                 渋谷 邦彦君                 曾祢  益君                 佐藤 尚武君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君    政府委員        外務政務次官   永田 亮一君        外務大臣官房長  高野 藤吉君        外務省アメリカ        局長       安川  壯君        外務省欧亜局長  北原 秀雄君        外務省条約局長  藤崎 萬里君    事務局側        常任委員会専門        員        結城司郎次君    説明員        運輸省航空局監        理部長      町田  直君     —————————————   本日の会議に付した案件在外公館名称及び位置を定める法律及び在外  公館に勤務する外務公務員給与に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○航空業務に関する日本国政府マレイシア政府  との間の協定締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査国際情勢に関する  件)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 長谷川仁

    長谷川仁君 外務大臣にお伺いいたしますが、この在外公館名称に関する法律でございますけれども、私ども現地を見まして、在外公館はどんどんふえているのでありますけれども公館だけあって人がいないというところがたくさんあるわけなんですよ。たとえば、アフリカではギニア、ニジェール、マリ、モーリタニアであるとか、いわゆる兼務であるところ、あるいはヨーロッパではブルガリアというような国々、これなどは、ただ名前だけあって人がいない。結局、外務省に言わせれば、予算がない。これは大蔵省の問題でありましょうけれども、たとえば、アメリカにおいてはニュー・オルリンズというようなところは総領事以下館員が二、三名、そういうようなところで実際職務は遂行できないというような状態現実にあるわけです。これは今後どういうふうに外務大臣としてお考えになるのか、お尋ねいたします。
  4. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ほとんど、二、三名でありますと、まあ人がないのにひとしいという場合もあると思います。これは漸次強化するようにしていきたいと思います。
  5. 長谷川仁

    長谷川仁君 漸次ふやすのはけっこうなんでございますけれども、たとえば、私どもが一番注目しなければならない中共の今後の動きその他、そうした場合に、現実香港総領事というものの情報の収集ということを私ども見ておりますと、前にも申し上げましたのですけれども、絶対数が不足である。私のことばがちょっと極言かもしれませんけれども、実際に、日本の今日の大使館なり領事館情報というものは、のりとはさみでつくったようなものだということを、私は極言するのでありますけれども、まあアメリカ並みというわけにはいきますまいけれども、もう少しはっきりした情報というものを的確につかめるというような体制を一日も早く——ことにアジア外交というようなもののいろいろな局面の展開が予想される今日においては、早急に手を打つべきときが来ているのではないかというふうに考えるのですが。
  6. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ定員を漸次ふやすというのがまず常道でございます。もしそれが間に合わないという場合には、重点的に人の配置がえをするとかということも考えたいと思います。
  7. 長谷川仁

    長谷川仁君 それから、現地在外公館を私ども歩いてみまして感じますことは、人材抜てきということを歴代の大臣がおっしゃっておりますけれども、私どもが何回か回って感じますことは、たとえば、通称シナ屋と申しますか、中国問題専門の人がアメリカに行ったり、あるいはドイツ問題の専門家アフリカに行っていたり、人材配置というものが非常に何かちぐはぐな点があるわけです。外交官なんというものは、一日や二日で養成できるものではないし、専門分野というものを長い間たんねんに歩かせる、そうして現地風俗習慣、あるいはそういうところの外交政策というものをはっきりつかませるという道を歩くのが外交官としての一番大事な点だと思います。英国あたり外交官というものを見ておりますと、香港においても、あるいは東南アジアにおきましても、全部現地の用ができる二十年、三十年というような人たちがいるわけなんですけれども日本外交官は二年か三年でもって転任だ。こういうようなことでは、私は、ほんとう現地情勢というものは把握できないと思う。たとえば、パリに参りましても、とにかくパリの一応の名所は知っている。しかし、われわれがほんとうに知りたいパリ実態は若手の外交官はほとんど知らないというのでびっくりしたようなことがあるんです。今後のそういった点につきまして、外務大臣、あるいは官房長でもけっこうですが、御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  8. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 御指摘の点は、外務省としてもきわめて重要な点と考えております。たとえば、中国問題の専門家中国におりまして、ないしは中国の近辺におりまして、いろいろ経験を踏むことも必要でございますが、一方、現在の国際情勢から申しますと、中国をよく知るためには、やはりアメリカないしはソ連——まあ逆の場合も必要かと思います。そういうことで、中国ばかりではなくて、その関連のある国に在勤するのもまた、裏から、ないしは横から中国を知るのに必要かと思いまして、そういう意味合いにおきましても人を配置しております。  それから、第二の特殊語学の点、これもアラビア語とか、ヒンドスタニー語ないしはスペイン語につきましては、現地に長くいて勉強する、相当長くつかわれていることばをそこに行って知ることも必要でありますが、また、やはりある程度英語も知らなければならないし、また、ある程度国内の事情も知るということで、引き続いて十年以上も現地におるということは、本人を生かすためにはかえって不得策であるという意味において、本省なり英国のほうに移して、しかして本人の持ち味はできるだけ生かしていきたい。そういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 長谷川仁

    長谷川仁君 もう一つは、それでなくても現在人員が足りないという在外公館におきまして、私どもが感じましたことは、現地で採用した雇員というのですか、あるいは嘱託というのですか、たとえば私どもの参りましたときに、スエーデンあるいはその他の国々に二、三ございましたけれども在留邦人の中でもこの青年は実にすばらしい、もうそれは領事館や公使館の連中よりもはるかに現地事情に詳しい、こういう人がいる。こういう優秀な現地雇員一般在外商社よりはるかに待遇が悪い。しかも将来の保障も何にもないんだというので、せっかく雇いましても、二、三年たつと一流商社の支店に引き抜かれてしまう。まことに惜しいんだというようなことを、総領事自体から何回か私耳にしたんです。  それともう一つは、ローマあたりに一人十年も二十年もローマにおって、それはイタリアのことに関しては非常なエキスパートで、非常な薄給でもって、将来も先ほど申したとおり保障がない。現地にいて、そして現地の人を女房に持ち、そしてほんとうに永住するという気持ちでいるような人、この人はほんとうに役立つ雇員であり嘱託だと私は思うんです。こういう人たちに対する、何といいますか、抜てきというのかあるいは将来の保障とか、そういうことに対しての考慮は全然ないんでございますか、現在。  それからもう一つ、たとえば三十年も在外公館に働いていた運転手が、何か外務大臣から金一封というので、ほんとうスズメの涙みたいな金があって、それでたばこケースだけを贈られている。ところが外国は、ほかの領事館なり大使館に十年も二十年もいたら必ずその国へ観光旅行をさせるとか、何といいますか、いろいろ思いやりのある措置をとっている。日本は、そういったことは全然ないんだというようなことを私はドライバーにも聞いたことがあるんですが、十年も二十年もいるならば、その半生を在外公館のために尽くして、戦前、戦中を通じていた一介の運転手であっても、ほんとう日本を愛し、そして日本のために役立ってきたそういう人たちを、スズメの涙の金一封かあるいはシガレットケースだけで済ませないで、せめてみんなの善意に基づいて日本を見せてやるとか、あるいは外務省予算でもって——知れたものです——それが民間外交であり、ほんとう日本というものを理解させてやる一つの道じゃないかと思うんですが、これは官房長の御意見もひとつお聞きしたいと思います。
  10. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) まず第一点の問題でございますが、特殊語学で非常に優秀な人が、試験と申しますか、特殊語学外務省試験を受けて入って、ことにアラビア語とかスペイン語、これは二、三年現地に行っておりますと、いわゆる公務員的な給与で、商社等から比べましても俸給が悪いので、よそに転職するという方々がおられるようでありますが、外務省としても、できるだけ本人に希望を与え、できるだけ待遇もよくして、こういう優秀な特別語学の人には今後とも外務省のために働いてもらうようにいろいろ配慮を尽くしております。  それから、第二点の現地雇い、これは先生が御指摘のとおり、非常に現地事情にも通じ、間々現地人と結婚しておりまして、非常に大使館の手足となって有益に働いております。その本人は、その国でわがほうの大使館で一生働くようにやっておりますが、これもできるだけ、法規的ないし予算的にまいらぬ面がございますが、館員等、いろいろの面で将来配慮していくことは至当かと存じております。  それから、第三の点につきましては、ごもっともでございますが、単にシガレットケースばかりではございませんので、ある優秀な人には、運転手、タイピストには勲章をやった例もございます。また、日本に対して、日本大使館のために何十年働いても日本を知らぬという人が多いのでございますから、これもできるだけ日本に招くと申しますか、慰労のために呼び返していろいろ接待をやる。  それから、退職金の問題がございますが、これは制度上なかなかむずかしいのですが、友人なりその知っている元の公館員外務省員が集まって適当に慰労するという方法は尽くしている次第でございます。
  11. 長谷川仁

    長谷川仁君 総合的に一つ申し上げたいことは、この在外公館実態というものを大蔵省が一体知っているのかどうか。たとえば、同じ待遇で二あっても、ニューヨークの場合とそれからパリの場合は、これは違う。それから、現在の、たとえばアメリカなり、英国なり、あるいはドイツなり、あるいは韓国なり、そういった在外公館経費と、それから日本経費というものを比較対照し、ほんとうにその実態を書きまとめたルポというものが大蔵省に提出されているのかどうか。私はどうも在外公館も遠慮しているようだし、外務省自体も何か遠慮しているようなふうにいつも予算のときに感ずるのでございますけれども、その点どうなんでございましょうか。
  12. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) まあ私ともも、現地——外国におきまして、ほかの国のいろいろ俸給とか待遇等をできるだけ調べまして、わがほうの現状とにらみ合わせて大蔵省説明をしております。しかし、これはほとうんにすみからすみまでわかるというものじゃございませんし、また、給与体系も違いますし、いろいろのあれがございますが、できるだけ各国に見劣らないように、調査をいたして大蔵省に要求いたしておりまして、逐次改善されつつあると考えております。
  13. 曾禰益

    曾祢益君 一つラスパルマス総領事館の設置に関連して。これが設置されて、大西洋の方面遠洋漁業、マグロを中心とするこの非常に多くの日本人の、特に船員の方ですが、保護安全をはかるというために総領事館が設置されることはけっこうなことだ、いささかおそきに失したきらいはあるけれども、たいへんけっこうなことだと思うのですけれども、大体どの程度の規模でどういう、何といいますか、構成でやられるのか、その点を伺いたい。
  14. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 大体本年の十月から開館いたしまして、総領事一名、副領事一名——これは船舶検査上必要で、運輸省の、他省出身者でございますが、あと理事官一名ということで発足したいと考えております。それから、必要がございましたら、スペイン大使館員から、その前でも現地に出張いたしまして、事実上のめんどうを見るようにしたいと考えております。
  15. 曾禰益

    曾祢益君 できたのはけっこうであるし、ここにも書いてあるように、「船舶安全法上の検査」というふうな、これは当然に運輸省のその方面専門家技術家を雇い入れなければならない。雇い入れるというか、採用して現地に送らなければならないと思いますが、どうもその構成から見ると、いかにも、聞いたには聞いたけれども、貧弱な感がするわけですね。目的がほかの領事館と相当違って、一般居留民というものはほとんどいないですし、むろん商社の代表がやや継続的に駐留している以外は、出たり入ったりする船員だろうと思うのですけれども、ならして二百人くらいおるというのですね。その人たち保護ということは、いまの運輸省の一人の技術官船舶安全法上の検査をする。これももうむろん船員保護上きわめて欠くべからざる、これはミニマムの要求充足にはなっておっても、ほんとうにいろいろなトラブル、なかんずく労働問題のトラブルとか、これは日本側内部の問題であると思うのですが、そういうような、渉外的なものよりも日本側内部の労働問題のトラブル、あるいは健康上の問題、いろいろな問題があって、どう考えても船舶安全法上の副領事一名、あとは副理事官一人というのでは、きわめて態勢として不十分な気がするのです。何とかもう少し、スペイン大使館のほうから応援すると言うけれども、もっと常駐の人で、いま言ったような労働関係あるいは公衆衛生関係、そのスタッフぐらいは開く以上は当然に常置できなければ、どうも仏つくって魂入れざるきらいがある。総領事が出ていってやるような対外交渉もあるでしょうけれども、それもけっこうだけれども、そういうようなきめのこまかい船員に対する保護、これが一番重要だと思うのですね。その点でどうも少し舌足らず、仏つくって魂入れない感じがするんですが。
  16. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) お説ごもっともと存じます。しかし、新しい公館を開きました場合に、大体総領事館領事官三名最低限度で発足いたしまして、その開館以後、現地実情、仕事の繁閑によりまして運営上は人間をふやしていくということも可能かと存じます。また、それでどうしても足りないという場合には、来年度既設公館の増員というかっこうでまた要求して先生方の御承認を得たいと思います。とりあえず三名で発足して、その間人手不足でどうしても要るということなら、運営で、出張でなくは、在勤のほかの館から入れる、また新年度に増員する、そういうことでいきたいと考えております。
  17. 曾禰益

    曾祢益君 これは大臣もお聞きになっておると思いますけれども、いま同僚の長谷川議員から適切な老婆心的な御注意があったと思うのですけれども、どうも何か在外公館を開くのに大蔵省との折衝一つのパターンがあって、総領事館を開くときには三人構成で、総領事一、副領事一、副理事官一、とにかくそれ以上認めない、幾ら言っても。しようがないからそれでスタートして、あとでだんだんやりくり算段で、そういうあれがあるような気がしてならない。これはいまさら、開いてからやってみますじゃなくて、もっと人員が要ることはわかっているんじゃないかと思うのです。ですから、十月開かれたあとで、わかり切っているんだから、私はこれは要望しておきますが、ひとつ研究の結果、ぜひ要望の実現に努力願いたいのは、いま申し上げた労務関係、それから在外邦人のために在外公館は必ずお医者さんを出さなきゃならぬという、こういう義務はないだろうけれども現実問題としてその健康管理の問題、これは非常に重大ですから、その方面スタッフを、何かやりくり算段でも今会計年度じゅうから実施するようにこれは強く要望しておきます。またさらに、来年度はこういう方面予算はぜひふやしていただきたい、これは要望しておきます。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 関連して簡単に二点だけ伺いますが、たとえばイタリーの大使館なんかを買収する場合に四億、五億という金をつかって、これは必要ならやむを得ませんが、ところが、アジア諸国日本に来る留学生ですね、これに対する待遇施設は非常な劣悪なもので、相当問題を起こしておる。せっかく日本に来て反日になる——と言うと言い過ぎかもしれぬけれども、必ずしも親日ではない面が相当出てきておる。だから、そういう面にもっと外務省が力を入れるべきではないか。在日留学生待遇、処遇問題、これにもっと力を入れてもらいたい、これが第一点。  もう一点は、日ソ領事交換案件はその後どうなっておるか。ナホトカとかハバロフスクとか、日本はどうなるか、そういうことを向こうでも検討しているようですが、この前私たち向こうに行ったときにも、若干話し合ってきたことがあります。外務省としてはどういう話をされているのか、この二点をお伺いいたします。
  19. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 在外公館の事務所ないし公邸をできるだけ国有財産化したほうが、長い目では得であるという考えから、逐次国有財産化しております。これは少し高過ぎるのじゃないかというお説ではないと存じますが、一方、アジア諸国から日本留学——これは私費留学、それから文部省のあれ、それから文部省から日本の金を出して呼んでいる人、それからある会社が技術を覚えさせるために呼んだ人、いろいろ雑多でございますが、私費留学につきましては、外務省が宿舎ないし日本語を教えるために一つの協会をつくってめんどうを見ております。で、その点非常に給与なり施設が悪いじゃないかというお説でございますが、われわれとしても、これは毎年予算の獲得には努力、改善をしていきたいと思います。  それから、第二点の日ソ領事条約の問題でございますが、これは現在わがほうとしては内部的に検討して、至急ソ連との交渉を開始したいと考えております。場所はどこになるか、今後の折衝いかんでございますが、その点はまだはっきり申し上げられないのであります。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 折衝いかんはわかっているけれども、内部的には政府はどういうふうに考えているのか、日本としてはどういうふうに考えておるのか、その点は言えないのですか。
  21. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) わがほうとしては、いろいろ船舶が行っておりますし、窓口であるナホトカが一番適当じゃないかと考えております。しかし、ソ連側いろいろ案を持っておるようでございまして、まだ、交渉してみないと、最終的にどちらにするか、これはわれわれがそんたくする限りでないと考えております。
  22. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。本案全部を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  25. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  27. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 航空業務に関する日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  28. 羽生三七

    羽生三七君 一点だけ聞いておきますが、マレイシア航空には直接この間は質問が触れなかったわけでございますが、現状——条約の内容はよろしゅうございますが、現状は、日航ですか、マレイシア航空現状はどうなっておるのか、それを簡単に実情だけ説明してくださればいいです。週に何便飛んで、乗客はどういう程度か、経営状態はどうか、それだけでいいです。詳しいことは要りません。
  29. 町田直

    説明員町田直君) 現在、日本航空は東京から香港——バンコク——シンガポール——ジャカルタ、週三便運航しております。そして経営状況は、大体昨年度の実績で申しまして、この路線だけについて申しまして、収支相償なっておる、とんとんくらいという状況でございます。
  30. 羽生三七

    羽生三七君 けっこうです。
  31. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。本件全部を問題に供します。本件承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  34. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  36. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 国際情勢等に関する調査議題とし、当面の国際情勢について質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 最初にお伺いいたしますのは、去る二十四日にアメリカからロッジ特使が参りまして、佐藤首相と会われて、二十六日にソウルに立たれました。ロッジ特使は、おそらくベトナムにおけるアメリカ政策等について説明をし、了解を求め、さらに日本に対して、ベトナムにおけるアメリカ政策行動援助といいますか、協力を求めたものと思うのでありますが、アメリカ側が、どういうふうに日本政府に対して、アメリカ側の意図、政策行動説明したか、さらにまた、いかなる協力援助を求めたか、それらの点について、明らかにしていただきたいと思います。
  38. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私もロッジ特使総理大臣の会見には立ち会ったのでございます。その会談のあとで、官房長官から、記者会見においてその模様を発表しておりますが、大体あれに尽きるのでございますが、主として経済協力——ジョンソン演説の中で触れております、アジアに対する経済協力の問題について話がございました。これに関連して、それも大事な問題ではあるけれども、現在のような状況では、経済協力の問題に、はたして一〇〇%入れるかどうかという点が問題になると思うと、こういうような点について意見の交換が行なわれたのでありますが、現状においてもその余地はあるのではないか。そして、特にあの動揺をしておる状況をおさめるためには、ただ軍事行動のみならず、平和的建設のために経済力を使うということが有効ではないかというような点についても意見の交換が行なわれたのであります。なお、この軍事的な協力の問題については、何ら話題にもならない状況で終始いたしました。大体そういう……。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本側といたしましても、さきに松本俊一氏をインドシナ半島三国に出しまして状況の視察をせしめたわけであります。そして、その報告は、首相あるいは外務省においても検討をされ、そして、このベトナム戦争等の動向について外務省としても一つの見解を持ったものと思われるのであります。ロッジ氏が参りましたときに、このインドシナ半島における戦争の状況等についての見方も、あるいはまた、これが収拾のために日本側としての考え方というものもあろうかと思うのでありますが、それらを率直にロッジ氏に話したかどうか、その点はどうでしょう。
  40. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 提案というようなものではありませんが、とにかく意見の交換はいたしましたのでございます。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば、北ベトナムに対する爆撃はきわめて危険なものを含んでおるのであります。漸次拡大され、強化されている。そして、それは世界に多くの不安を与えておる。日本もまたこれを非常に不安に感じておるのですが、この北爆についてこれを中止するように話したかどうか、その点はいかがですか。
  42. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) すでにジョンソン演説において、まず、従来は北からの侵略、浸透がとまった場合には、こちらもアメリカ側も軍事行動をやめて話し合いに入ると、そういうことを言ってきておったのでありますが、あのジョンソン演説におきまして、そういう条件でなしに、無条件で話し合いに入ると、こういうことを言っておる。私、これは、この無条件話し合いの提案を相手方も受け入れて、そして初めて話し合いに入るわけでございますから、一方的に北爆をやめるというようなことは、話し合いの問題にならなかったのでございます。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 ジョンソン大統領は無条件話し合いと言っておる。しかし、その演説のなされたあくる日から、連続して北爆は続けられておるのであります。これじゃ、人の頭をぶんなぐりながら、さあ握手しましょうというようなもので、常識で考えられない。無条件話し合いの提案、こういうようなことが無条件話し合いと私は言えないと思う。松本氏が政府から派遣されて向こうから帰ってまいりましたあとで、新聞紙等に松本氏の意見が発表され、あるいは自身で書かれたものも出ております。また、国会で証言もされておりますが、これによりますというと、北爆は非常に危険だ、また効果もない、こういうように言われておるのです。そういうような点から見まして、もし政府が松木氏を出して、その松木氏の見解というものを政府が取り入れたとしますならば、当然、世界の各国においてこの北爆というものをやめてもらいたいという希望が多いのですから、日本としても言うのはあたりまえじゃないですか。どうしてそれを日本としてはアメリカに話さないのですか。要求ということでなくても、少なくともその点に触れてアメリカ側日本側のその危惧を話すくらいのことはあたりまえのことじゃないかと思うのですが、なぜそれをやらないのか。それは、あなた方北爆を支持する立場をとっておる、こういうことなんですか。
  44. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 松本氏がわれわれに説明したところは、必ずしも北爆を一方的に中止すべきであるというような点はなかったのであります。その後、新聞等におけるどういうふうな記事を出しておったか私も詳しくは読みませんが、それを、全部政府が松本君の新聞記事等についてもそれを受け入れるということには必ずしもならないのでありまして、とるべきものはとり、とるべからざるものはとらない、こういうことになるわけでありますが、しかし、いま言われたような北爆の中止の問題については、私は松木氏の報告の際には聞いておりません。ただ現地の松本氏の見た客観的な報告を聞いた、こういう次第でございます。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 その先のことはどうなんですか。あなたはいま、ロッジ氏に北爆のことについては何も話をしなかったと言うけれども、それはロッジ氏のほうではおそらく北爆の正当性を主張されたと思うのでありますが、それを承認されておる、アメリカの北爆政策を支持しておるという立場でロッジ氏にそういう態度をとられたのかどうか。
  46. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私は、主として佐藤総理とロッジ氏の対談を聞いておった、立ち合っておったものでありまして、一方的な、北爆を中止するということが話題にならなかったということを申し上げておるのであります。私の北爆に対する見解は、従来国会において各種の委員会等においても申し述べたとおりでございまして、ここであらためて申すまでもないことでございますが、北爆中止の提案というものをして、それを相手方が受諾しなければ話し合いというものは始まらないわけでございますから、そういう考え方を申し上げたわけであります。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 あなたは、佐藤総理に立ち会っておった、その話は問題にならなかったと言うけれどもアメリカ側はおそらく、北爆の正当性ということを説明したでしょう。佐藤総理は、それを聞いておってそれを承認したのか。そして、つまり、なるほどと承認して、もっともであるというふうに考えたのかどうか。あなたもその際に、これはもっともである、北爆は正しいのだとお考えになったのかどうか、それをお伺いしたい。はっきり答えてください。−相談することないでしょう。
  48. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) こまかい点まで記憶しておりませんが、とにかく、この北爆は別に北ベトナムを征服するという意図ではない。北からの浸透を防いで、南越の独立と自由を守るというためにやっておるという程度説明はあったように思われます。それに対して、一方的にまず北爆を中止すべきであるというような点についての話し合いは行なわれなかったということを、先ほどから申し上げておるつもりでございます。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの点なんですよ。つまり、中止せよとは言わなかったが、向こう側の説明をなるほどごもっともでございます、それは正しいのだとあなた方は判断したかどうか。
  50. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 総理から、別にそういう、ごもっともだというような発言はなかったのであります。私は、北爆の理由というものに対しは、それが当然のことであると、こう考えております。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 当然のことであるとお考えになっておる。これはたいへんなことだ。それではもし……
  52. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 無条件話し合いを提案した以上は、北爆をまず中止して向こうの返事を待つべであるというようなお考えであるならば、それは少しジョンソン演説というものを冷静に判断されておるのではないのではないか。まあ、こういうふうに考える。結局、無条件話し合いをする。向こうも、それじゃ無条件話し合いに入ろうということであればそこで話し合いが始まって、北爆の中止ということもあり得ると思うのでありますが、無条件話し合いの提案に対してむしろ反対の反応を示しておるということであれば、やはり北からの侵透を防ぐ意味において北爆がやはり行なわれるのではないか、それがあたりまえではないか、こう考えるのであります。北爆を一方的に停止せよということは、私どももそういう考え方を持っておらない、こういうことでございます。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 ウ・タント事務総長、あるいはカナダのピアソン首相、イギリス、フランス、ソ連、非同盟十七カ国、こういうような国々が、何とか話し合いでベトナムの戦争を終結させたい、こういうふうにいろいろな動きをしております。これに対して日本政府はどうお考えになりますか。
  54. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 非同盟の側におきましてもジョンソン提案というものを支持しておると私は考えております。
  55. 長谷川仁

    長谷川仁君 関連。私はちょっと観点を変えてお伺いしたいのですけれども、北爆論議はさておきまして、日本としてアジアの大国であると言っている今日におきまして、日本が果たすべき役割りは、大国であるならば、いかにこの問題を平和的に解決するか、そのためにどうやって協力するかということだと思うんですけれども、現在、岡田委員と外務大臣との論議の端々を聞いておりまして私が感じますことは、どうやって平和的な協力をするかという場合におきまして、世界の情勢を展望してみた場合、私は四つの方向があると思うんですね。一つは、いま岡田委員がおっしゃいましたように、無条件でジュネーヴ会議を開けという非同盟及びジュネーヴ会議諸国及びフランスの考え方。それからもう一つは、停戦後交渉に入るべしという英国の見方。それからもう一つは、カナダ、カンボジアが言っているところの、強力な国際機関を設置して中立保障を行なうべし。それからもう一つは、英国ソ連、あるいはフランス、中共が言っているところの、カンボジアあるいはラオスにおいて国際会議を開いて、その際にベトナム問題に関して話し合おうと、こういう四つの方向があるわけでございます。この二、三日、ことに二十日のラスク長官のことばを聞きますと、この第四点ですか、カンボジア提案に対してその可能性を残していると、こうラスク長官はおっしゃっているわけです。この四つの事態収拾の方向の中で、現在、外務省なりあるいは外務大臣個人でもけっこうでございますが、どの提案が一番日本として妥当である、あるいはこの線でひとつ協力したいというふうにお考えか、お聞かせを願いたいと思います。局長でもけっこうです、どちらでも。
  56. 安川壯

    政府委員(安川壯君) ただいまちょっと私正確に、先生のおっしゃったことではっきりしない点がございますが、可能性から申しますと、いまのカンボジアに関する会議、これは、アメリカが受けるということを公式に声明いたしましたので、一番実現性があるかと思いますが、しかし、問題は、もともとこれを提唱いたしましたカンボジアのシアヌーク殿下ですか、彼は、問題はあくまでもカンボジアの中立保障に限られておるのであって、ベトナム問題がこれに便乗するのは反対だというようなことを申しておりますし、それから、中共がはたしてベトナム問題を一緒に討議するということに応ずるかどうかという点にも問題がございましょうし、アメリカが応じたからといって、直ちにこれが実現し得るかどうかということは若干疑問じゃないかと思っております。どれがいいかということにつきまして、私、ここで断定的に申し上げるだけの用意がございません。近い将来にもし何らかのきっかけができるとすれば、やはりこのカンボジア中立保障の会議を何らかの形で開くということが一つのきっかけになるのじゃないか、こういうふうに思います。
  57. 長谷川仁

    長谷川仁君 それは外務省の現在の見解でございますか。もう一度申し上げますと、カンボジアの、強力な国際機関設置によって中立保障を行なおうと……。
  58. 安川壯

    政府委員(安川壯君) ただいまおっしゃいましたのは、何らかの平和交渉が行なわれた上でいかにして南ベトナムの中立を保障するか、あるいは紛争の種をなくするかという具体的な内容の問題じゃないかと思いますけれども、そこに持っていくための手続と申しますか、方式の問題はおのずから別なんです。どれがいいかということを、私は個人的に外務省を代表いたしましてこれがいいということを断定的に申し上げる立場にございませんけれども、ただ、見通しと申しますか、可能性といたしましては、現在のところは、カンボジアに対する中立会議が一番具体的な問題になっおりますし、また、従来これに対して比較的消極的だと思われておったアメリカが公式にこれに参加するということを表明いたしましたので、その意味からは若干前進が見られると思います。実現し得る可能性としてはこれが一番強いんじゃないかという見通しだけを私申し上げたわけであります。
  59. 長谷川仁

    長谷川仁君 そうするというと、私が伺いたいのは、どれがいいかということは、あなたが断定してくれるのではなくして、外務省の見解は、いまおっしゃったその見解をアメリカ側に伝えておりますか、それとも個人的なあなたの御見解ですか。
  60. 安川壯

    政府委員(安川壯君) カンボジアの中立会議をアメリカが受諾すると公式に声明いたしましたのは昨日のことでございますので、まだ、それに基づいて日本政府の見解を正式にまとめてアメリカ側と協議するという段階には至っておりません。
  61. 長谷川仁

    長谷川仁君 外務大臣にお伺いしたいのですけれども、先ほどの外務大臣の御発言は、ちょっとやはり新聞に発表されると誤解を生むのじゃないかと思って私はお尋ねするのですけれども、最初は、いわゆる北爆は、アメリカは報復措置としてやって、その後は自衛措置としてやっておるけれどもアメリカとしては、ジョンソン大統領も米国は戦争の拡大を望んでいない、こういうことを言っておるわけですから、しかも、その軍事行動は南越に対する侵略を阻止する、したがって自衛措置として北爆を行なうことに対しては、これはもちろん反対しない、しかし、どんどんどん戦線が拡大することに対しては、外務大臣としても当然これは反対なわけでございますね。
  62. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) とにかく、絶対的に、ああいう殺伐なことが行なわれることは、客観的に見て、それがどっちのほうに言い分があるとかないとかいうことを別にして、ないことが一番いい。そうして、ものごとを平和的に解決することが一番いい。しかしながら、アメリカの北爆というものは、好んで戦争を拡大するという意図ではないけれども、北からの浸透、侵略というものがあって、南の独立と平和を保つ意味においてやむを得さる行為であるならば、どうもそれとの見合いにおいてやはり妥当性がそこに出てくるのではないか、こう思うのであります。でありますから、戦争そのものの拡大というものを、客観的に見ても、私は喜ぶ理由は一つもない。そういうことは区別して、何のために行なわれておるかということと相対的な関係において問題を判断すべきものである、かように考えております。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカのジョンソン大統領の方式、一方において無条件話し合いを呼びかける、しかも、北爆は続けていく、ベトコンは無視する、そうして、この問題を片づけるために十億ドル出そう。こういうようなことで、私は北ベトナム側が応ずるはずはないと思う。応ずれば無条件降伏である。で、北ベトナムはすでにディエンビエンフーの問題で勝利を得ていますし、ホー・チミンは非常に民族主義者として強い立場である。そうすれば、これはアメリカが北爆によって南ベトナムの解放戦線に対する援助をとめさすこともできなければ、また、この無条件の話し合いの場に引き出すこともできない。かといって、北ベトナム政府が言っておる四つの条件、これはアメリカものむことはできない。この二つの政府が直接にいまやっていることによって問題の平和的解決に向かうことは私は不可能である。そうすれば、どうしても第三者が何らかの形で両方に働きかけて、そうしてここに国際会議を聞いて、そこで片づける。これ以外に道はないと思うのであります。おそらく、さきに私があげました国々、あるいはまたウ・タント事務総長、そういうものが出てきたのも、当事者同士の突っぱり合いでは事態が片づかないから、こういうことで動き出したのだろうと思うのであります。おそらく、いろいろな形でこれからも調停といいますか、そういう動きが行なわれると思うのでありますが、こういうような調停の動きがいろいろな形で行なわれる、そうしてだんだんそれが各方面からいろいろな形で行なわれるのが一つになって、そうしてある時期においてそれが実を結ぼうというような事態も出てくるかと思うのですが、この調停のいろいろな動きに対して、日本政府は積極的にこれと協力していくという立場をとるのか、それとも、アメリカの言っておること、アメリカのしておることがもっともであるから、アメリカ自身のやっておることを支持していこうというのか、いずれの立場をとるのか、その点を明確にしていただきたい。
  64. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただ何もかもアメリカがやっていることに盲従するというような、そういう考えは毛頭ございません。とにかく調停は、やっぱり両方で相手方の主張に対して歩み寄るということが必要なのでありまして、ただ一方だけの行動を批判し、これを中止させるということでは問題の解決にはならない。問題は、アメリカが南ベトナムの政治的独立と自由をあくまで保持しよう、そういう意図を持っておるのでありまして、北爆をやって北を降伏させるという意図は一つもない。でありますから、南越の政治的独立と自由を前提として北のほうの浸透工作がとまるならば、問題は直ちに平和解決の方向に向かということになるのでありますから、そういう両者の歩み寄りをあっせんするという動きが出てまいりますれば、もう日本は喜んでこれに協力いたします。また、そういう方向のもとに日本といたしましても種々方策を考究中であるのであります。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすれば、日本はそういういろいろなあっせん案に対して常に考慮を払って、そしてそのあっせん案が漸次実際的なものとして効果を発揮しそうになれば、それに積極的に協力をする、そういう立場ですか。
  66. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 有効なあっせん案が出てまいりまして、これに日本としても協力すれば、ますます実効のあがる可能性が出てまいるというようなことでありますれば、率先して問題の推進に協力するつもりでおるのであります。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 あまり御熱心ではないようですな。しかし、まあそれにしてもあっせん案について協力するという立場は今後変えないと、こう考えてよろしいですか。
  68. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) けっこうでございます。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、先ほど、ロッジ氏から経済協力の話があったと、こういうことだったんですけれども、しかし、いまの戦争状態等ではこれが効果をあげるかどうかわからないということで、あなた方としてはそれに積極的な態度を示さなかったというふうに了解してよろしゅうございますか。
  70. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 佐藤総理は、絶対に不可能だということは言っていないのでありまして、戦火の最中に経済協力の問題は非常に結びつきにくいのではないか、であるから、まずもってこれを収拾するという工作が非常に重大ではないか、こういう考えを持っておりましたが、しかし、これは絶対に不可能であるということを主張したのではなかったようでございます。でありますから、実際その経済協力が実行に移されるのは、いま直ちに始めても、いろいろ企画立案等のなにもございますし、関係者間の協議ということもありますし、そういったようなことを一切始めるということは差し控えるべきであるというふうな話ではなかったように考えられます。ものごとはやっぱり軍事力と平和建設と両々相まって政治的な安定を来たすという考え方に立ってものを言っていると私は観察したのでございまして、大体まあ政府の従来の考え方、アジア外交に対して日本は何をなすべきかというような点については、前々から政府の方針はきまっておるのでありまして、その考え方を変えようというわけでもない。ただ、直ちに実効をあげるには、まずもって戦闘行為の収拾ということが大事であるという点をただ述べたにすぎない、こういうふうに看取されたのでございます。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 南ベトナムのほうから、例の九百十万ドルの借款というのですか経済協力、あれを求めてきておりましたね。私どもは、ああいう、もう一カ月に一ぺんくらいずつ政変のあるような国、そうして戦争も行なわれておる国、しかも民族解放戦線が、昼間は半分だけだけれども、夜は三分の二ないし四分の三を支配する、こういうようなところ、たとえ南ベトナム政府のほうから借款を求められ、また、アメリカ側がそれを希望しても、私は、現実の問題として実現できない。この借款に対する政府の態度はどういうふうなことでしょうか。
  72. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) この九百十万ドルは、一定の年数を経た場合に、今度は民間の信用供与の形において期待されるという性質の九百十万ドルでございまして、ちょうどいまその時期に来ておるのであります。しかしこれは、政変があるだろうとか、あるいは戦闘行為が行なわれておるその状況下において云々というようなことでなしに、主として九百十万ドルの条件がもっとよくならないとなかなかこれの活用が現段階においてはむずかしい、こういうことでこの問題も具体的に進行しない、こういう状況になっております。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 過日新聞に、日本側が、アメリカ海兵隊等を揚げておるダナンの港の建設に協力をすると、こういうことが出ておりましたけれども、そういうことは事実でございますか。
  74. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) このダナンの港湾の修築の必要性はあるそうでありますが、しかし、この問題は、現実の問題として何ら発展しておりません。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 他にいろいろと御質問申し上げたい点もございますけれども、ちょっと一つお伺いしたいのは、川島・周会談の内容並びにインドネシア、マレーシアの調停について、最初川島氏が向こうに参られましたときには、ラーマン・スカルノ会談が実現される可能性がかなり濃かったように伝えられておるのですが、最近、それがそうでない、かなりむずかしくなったといわれております。このむずかしくなったのは、何かその後特別な事情が生じたからであるかどうか。それから、いま言った川島・周会談というものが、具体的なものは何一つ含まれなかったが、この川島・周会談があったということが今後、川島氏も言っておるように、日本中国との関係に何らかの新しい道を踏み出す第一歩になったのかどうか、それについての外務大臣の見解をお聞きしたい。
  76. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 実は、私は所用のために日曜から関西に参りまして昨夜帰ってまいりました。まだ川島氏とは会見をしておりません。のみならず、新聞等でも報道しておりますが、川島・周会談の内容については、一切外部に言わないというかたい申し合わせがあるのでございまして、したがって、これを私が知り得たにしても、申し上げることができないのであります。それから、インドネシアもマレイシアも紛争の収拾を非常に希望しておることは事実のようであります。それで、ラーマン首相が他の用事で日本を訪れることになっておりますその機会に、インドネシアのスカルノ大統領と、東京でもし会う機会があれば、あえてこれを拒まないという態度を示しておるのでございますが、また、スカルノ氏も、そのこと自体に対しては、紛争の解決のために一歩を進めることになるのならばそれに応ずるという意図を持っておるようであります。しかし、いつ、どういう機会に、どういう方法でということまでは、まだ話し合いがついておらないために、多少延びるのではないかという観測が出ておるのではないか。私もまだ的確にこの問題について報告も聞いておりませんので、この程度しか申し上げることはできません。御了承願います。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 マレイシア、インドネシアの関係を調停をしようということは、今の状態からいうと、やはりかなりむずかしいものがある。そしてマレイシアのラーマン首相が日本に来られた際にスカルノ大統領を日本に招待するということは、やはり非常にむずかしいことになったように思います。それから、時期が延びて、はたして六月の初めまでにそれができるかどうかも、私はどうもいまの状態から見ると、いろんな事情で困難になってきたと思います。そういうような状況になっても、日本政府としては、この両国の間の調停という方針は捨てないで、あくまでもそれを実現するという積極的な態度で進まれるのかどうか。もしここでむずかしくなったというならばそれで手を引く、こういうお考えなのか、その点を明らかにしていただきたい。
  78. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) アジアの一国といたしまして、一日も早くかような紛争が収拾されることは、日本としては非常に望ましいのであります。状況が、いかに考えてももう調停の余地がないという情勢がはっきりすれば別問題ですが、さようでない限りは、調停する余地がありますれば、決してこの望みなり努力の意思を放棄するとかという考え方は、いまのところはありません。
  79. 曾禰益

    曾祢益君 ちょっと、いわゆるLST問題について、簡単に外務大臣に質問したいのですが、いわゆるLST問題といわれている問題をさらに一般的に考えてみると、日本船員がいかなる船に乗っておっても、ベトナムその他の危険地域に行く場合、日本政府としてどういう保護の立場をとるべきか、こういった広範な問題の一つの態度だと思うのです。外国船に乗っている場合、日本船に乗っている場合、それぞれいろいろ条件が違います。しかし、いわゆるLST問題がそれとまた違ったやっかいな面は、アメリカの、軍艦でなくても、少なくとも商船でない公船——公の船に乗り組んでいることが一つ。もう一つは、その乗り組む際の労務の調達といいますか、これに対して日本政府が関与しているのではないか。そうなってくると、一般日本の個人が船員として募集に応じて行く場合の政府の関与の程度、したがって、責任の度合いが違う。そこにいわゆるLST問題のやっかいな問題がある。そこで、そういうことを言ってくると、結局は、行政協定、地位協定上の、いわゆるアメリカ軍の現地の労務の需要に対する、その充足に対する日本政府協力の義務、これがどうなっておるのか、この観点からまず判断さるべきが当然だろうと思います。ところが、この間の衆議院の外務委員会におきます社会党の岡田委員の質問だったと思いますが、その質問に対する外務大臣の御答弁は、ここに速記録を持って来ておりませんので若干正確を欠くかもしらぬけれども、その答弁の趣旨は、いわゆる日本政府が何らかのあっせん的な義務があるのだというふうにとられるような答弁をしておられたと思うのです。これはここに速記録を取って見ればわかる。しかるに、ここにも御本人がおられてあれですけれども、今度は参議院の本会議における同僚羽生議員のこの問題に関する質問に対する御答弁は全然そうじゃなくて、いま私が前段で申し上げたような、いわば日本船員が、任意に外国の商船、あるいは公船でもいいですけれども外国船舶に働くことの問題であって、日本政府の関与事項でない、労務の充足に日本政府が関与しない、こういうふうにとれるような、その点に関する限りはまるで正反対の答弁のように感じたのです。これは非常に重要なポイントなんであって、この点はひとつ明確にはっきりしていただかないと困る。内外のいろいろな疑問、疑惑を招いているので、外務大臣のこの見解ですね。私がこういうふうにはっきり申し上げた。つまり、LST八百二十名ばかりのわが国の船員が、終戦後いろいろ、居留民の引き揚げ、あるいは緊急物資輸送その他の業務に当たっておりました。あるときには日本の会社側の米船運航会社のもとに働くという身分であったり、最近になっては身分が切りかえられて、アメリカの海軍のMSTSというのが直接雇用する形をとっておる。その八百二十名充足の問題、最近これを拡大して、十七隻のやつをさらに四隻か六隻ふやす新規募集の問題、こういう一つのパターン。もう一つは、LSTという船ではなくて、形においては一般の貨物船を使っているようであるけれども、やはりアメリカの軍がいわゆるマリナース・コントラクトと称して、これははっきり日本政府がまずアメリカのために雇い入れて、そうして労務を提供している。その人たちが、LSTの問題と違って、アメリカの上級船員と混合乗り組みというような形で、これはLSTではなくて貨物船に乗って日本の近海、あるいはフィリピンあたりに往復しているのが間々ベトナムに行く場合が、これはやはりいわゆるLSTよりも、私は、日本政府の関与の責任は一そう重大だと思うのですね。日本船員を雇っているという、そういう問題をよくはっきり踏まえて、日本政府の行政、地位協定による責任はどうなのかということを明らかにしていただきたい。
  80. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のとおり、LSTのように船員を直接アメリカ側が雇う場合と、それから、まず日本政府が雇い入れまして、そうしてアメリカ側の使用に提供するという間接雇用の場合と、二つございます。先般岡田委員の御質問に対する答弁は、直接雇用の場合であったのでございますが、それを、日本政府がこれをあっせんするという条項があって、それによるというふうなことを申し上げたのは私の誤りでございます。御質疑の点は間接雇用の場合でございまして、その場合には、普通の職安を通じて雇い入れをする、こういうことでございまして、日本政府があっせんするのは、普通LSTでない、いわゆる公の船と申しますか、それについては日本政府が充足するためにあっせんをする、まあこういうのでございまして、区別がありますので、この際訂正しておきたいと思います。  この、日本政府が一応雇用主になってアメリカに使用を提供するという場合は、主として雇用条件その他に関して船員が不利にならないように、身分上に関して保護を加えるという意味でありまして、それ以上の意味はないということになっておりますことをつけ加えておきます。そして、船員が危険な場所に近づくという場合に、そのいずれに対しましても日本政府としては関心を持たざるを得ない。ただ、現状ではまだその段階ではないのではないか。特にこの日本船員をあずかっている船の船長は、その船員の生命その他の身体上の危険を保護するために、普通の船長よりも強い権限を認められておるというようなぐあいでありまして、特別にアメリカ側としても危険防止の点については相当の配慮をいたしておるという現状でございまして、これにかんがみても、現状においてはまだそういう非常に危険が迫っておるという状況ではない。ただしかし、将来そういう状況になりますれば、あらためてまた考えたいと考えております。
  81. 曾禰益

    曾祢益君 まあ重大なあれですが、訂正があったというので、訂正されたことは、われわれは、されたことを了承しますが、ただ、いわゆるLSTといわれるほうについては、直接雇用だからこれは政府の責任がない、こういうお話ですけれども、やっぱり船員職業安定法から見れば、そういう船員の募集に関していわゆる海運局のほうで紹介をする、労務をほしいというのがあったら紹介する、あるいは仕事を見つけたいという場合に紹介する義務はあるのだろうと思うのですけれども、それは別として、少なくとも安保条約、行政、地位協定によれば協力の義務はない、こういう解釈になるのですが、それは一体どの条項の解釈なのかはっきりそれをお示し願いたい。  というのは、おそらく、時間の節約上、私こまかいことはやめますれけども、おそらく地位協定十二条の四項によって、日本政府アメリカ現地の労務の充足に協力する。これは政府が雇って、そうしてアメリカ側に提供する場合である。それだから、直接やる場合は別だと、あるいは十二条の五項がそれに該当するかもしれぬというようなことかと思うのですが、アメリカ軍のほうが、少なくとも個人がメードさんを雇う場合じゃないのです。アメリカ政府機関が日本人の労務を求めておることは間違いない。そういう場合には、この十二条四項の解釈上間接雇用でなければいけないのだ、直接雇用を許さないのだと、こういう解釈をしている向きもあるのです。現に横浜の市長は、そういう解釈のもとに日本政府に申し入れをしておるということが伝えられる。そうすると、そういったような地位協定の解釈が正しいのか正しくないのか、これが非常に重大な問題になるわけです。したがって、それを踏まえた返事をしていただきたい。
  82. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 大臣の御答弁を補足して申し上げますが、ただいま御指摘のように、十二条四項の「日本国の当局の援助を得て充足される。」という規定の趣旨は、米軍の必要とする労務は、いわゆる間接雇用によるという趣旨の規定でございます。ただ、しからば一切直接雇用はこれによって排除されておるのかと申しますと、私どもの解釈は排除はされておらないという解釈でございます。と申しますのは、もし全部が間接雇用ということでありますれば、この第十二条五項の規定は、日本国の法令によるということを規定しておるわけでございますけれども、もし全部が間接雇用でございますならば、雇用主が日本政府でございますから、日本の法令が適用になるということ、これは当然のことになるわけでございます。それをわざわざ五項を起こしまして日本の法令によるということを書きましたのは、一つは直接雇用を排除しておらないということになるわけでございます。それで、LSTの場合は、この四項の規定が適用されるのではないのでございます。この点は、先ほど大臣が御訂正になりましたとおりでございます。ただしからば、日本政府に義務がないかと申しますと、義務は、船員職業安定法によって確かに義務があるわけでございますけれども、その紹介をしなければならないという義務は、この十二条四項から出てくることではないのでありまして、あくまで国内法の規定から出てくるわけであります。  それから十二条四項も、これは日本政府援助というのは、何か間接雇用をして労務を提供しなければならないという日本政府の義務を規定したものというふうにとられがちでございますけれども、むしろ、この趣旨は、アメリカ側の義務と申しますと強過ぎるかもしれませんけれども、労務者の保護のために考えるとすれば、むしろ、アメリカ側が原則として間接雇用にしなければならぬという趣旨でありまして、日本政府は労務者を募集してアメリカに提供する義務を負っておるという趣旨には、私どもこの規定を解釈しておらないのであります。
  83. 曾禰益

    曾祢益君 いわゆるLST問題については、全日本海員組合が言っておるように、八百二十名も従来からこういうことをやってきた人が、危険な地域ならば、相当な裁量によって危険な地域に行かないような——全部日本人だけでやっておりますから——措置もとられるようにアメリカもはっきり確認されておるようであります。しかし、そういうところに行っていけないというなら、八百二十名の人の職業安定について政府がはっきりした責任を持ってもらわなければならない。これは当然だと思う。新規採用については、あまり日本人として、必ずしもみっともいいとは私も考えておりません。やはり、そういう危険なところに飛びついていかなくても、中高年齢層の人たちがりっぱな国内の職場を保障されるような、そういう政治、経済、社会政策政府がとるべきではないか、かように考えるわけです。しかし、これはいわゆる直接雇用ということが許されるとするならば、それは政府が調達した場合とは違うのだ、この点はわかります。しかし、いま問題なのは、政府は直接雇用が許されているのだからいいじゃないかというふうに安易に考えてはいけないのじゃないか。やはり、日本船員が危険なところに行くという問題について、日本側が雇ったのでないから責任はないというような安易な考えは、ひとつ捨ててもらいたいということが一つ。  それから、いま一つケースは、いわゆるMCという、LSTではないけれどもアメリカ軍の、確かにこれは日本政府が雇ってアメリカに提供している労務があるのですが、サイゴンにも行く。それについては、これは本人の意思の自由ということを、はたしてそれが言えるかどうか。いま外務大臣が言われたように、アメリカの船長が十分にそれを考慮して安全をはかるというようなことでは私はこれは足りないのじゃないか。ベトナム方面における危険がどのくらいかについてはいろいろ解釈はありましょうけれども、全日本海員組合が日本船舶会社と結んでいる協約による協定によっても、トンキン湾には立ち寄らない。危険区域と認めることは事実です。だとするならば、日本政府が雇った、そうしてアメリカ側に提供している労務者が、アメリカの高級船員がうまくやってくれるであろうというようなことでその危険地域に行く場合があるとするならば、それは断じて見のがしてはならないのじゃないか。また、第十二条の解釈も、どう考えてみても、現地の需要というようなことが、いまベトナム地域がどれほど危険であるかということはこれは別である。もっと危険なところに出て行く場合もありましょうが、しかし、日本政府が雇って、アメリカ現地の需要を充足するために雇った人がベトナムの危険地域まで行かなければならない義務はない。そこまで労務の充足に協力する義務は日本政府にはない、まずそういう義務はないという解釈であるかどうか。もしそうだとするならば、個人の自由にまかせないで、そういう危険な地域に行く、いわゆるMCのほう——日本政府が雇って向こうに行く船員の場合には、そういうところに行かないようにアメリカとはっきり政府のあっせんによって話をつけるべきである。こう考えるのでありますが、その二点に対する外務大臣の御答弁を伺います。
  84. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 全般的に、政府といたしましては、国民の安全を保護するたてまえからいたしまして、情勢によっては、いずれの方法によって雇用された者であろうとも、適切なる手段をとるべきである、かように考えております。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと関連。  LSTの問題ですが、LSTは非常に危険な海域に行っておりますが、現在ではまだ一人死亡者が出ただけでございますが、今後このLSTがあるいは撃沈されないとも限らないし、あるいは何らかの方法で大さな損害をこうむらないとも限らない。その際に乗り組み員の日本人に多く死傷者を出したとする場合に、政府はそれに対してどういうふうに措置をされますか。たとえば、これはアメリカ軍がかってに雇用したのだから政府はそんなことは知らぬのだということであるのか、あるいは、こういうような事態が起こったときに、日本政府として、日本人ですからどうしてもこれを保護しなければならない、あるいは、そのあと始末をしなければならない、こういうことになった場合にどういう方法をとるのか。すでに危険海域に実際に行っているのですから、政府もそういうためのことは考えておられると思いますが、それを知らせていただきたい。
  86. 安川壯

    政府委員(安川壯君) それは第一次的に雇用主との契約の内容になろうと思いますが、私は契約の内容のこまかいことは存じておりませんけれども、それは危険地域に入る場合の危険手当、あるいは実際に爆撃を受けた場合の手当、それから、事故の、そういうために死傷したときの補償と申しますか、そういうものはすべて契約できめられておりまして、その契約の合意のもとに船員は乗船しておるものと思います。その契約以上に、政府がそれ以上に責任を持つかどうかということは、私は法律論をよく存じませんけれども、これはあくまでも契約条項によって処理さるべき問題であると私は考えます。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、政府は、そういう場合に死傷者が出ても、それはアメリカ軍と本人との直接契約だから政府は何ら関知しない、幾ら死んでもかまわない、こういうことですか。
  88. 安川壯

    政府委員(安川壯君) それでありますから、その船員の契約につきましては、直接雇用の場合にも、運輸省がたとえば就職あっせんいたしますときに契約条件をよく調べまして、その死傷の場合の補償、その他の措置が、一般日本の労働法規なり、あるいは労働慣行に比べて適切であるかどうかということを調べるわけでございます。もし適切でなければ、そこで運輸省があっせんを断わることもできます。また、旅券を出す段階で、契約条件の内容が不適当であると政府が判断すれば、それで旅券を出さないこともできるわけであります。ですから、その契約条件が適正であるかどうかということは、事前に日本政府がチェックする方法があるわけであります。それによって、もしその条項が守られないで実際にそういう事故が起きた場合に、雇用主である米軍がその条項どおりの措置をとらないというときには、それはおそらく政府が中心に入るべきだろうと思いますけれども、あくまでこれは事前に政府としても契約が適正かどうかを見ました上であっせんをするなり旅券を発給するわけでございます。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう旅券はすでに発給されているわけですから、その契約はもうチェックされていなければならぬのだが、チェックされているのですか、されていないのですか。
  90. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 旅券を出しますときには、運輸省がこの契約が適正だという裏づけと申しますか、それを得た上で旅券を発給しているわけであります。
  91. 曾禰益

    曾祢益君 まだ質問したいことあるのですが、きょうはこの辺で私の質問を終わります。
  92. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、本日は、この程度で散会いたします。    午後零時十一分散会      —————・—————