運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-04-27 第48回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)    午後一時四十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 大谷藤之助君                 丸茂 重貞君                 瀬谷 英行君                 光村 甚助君     委 員                 江藤  智君                 源田  実君                 近藤 鶴代君                 平島 敏夫君                 伊藤 顕道君                 石田 次男君    国務大臣        国 務 大 臣  愛知 揆一君    政府委員        科学技術政務次        官        纐纈 彌三君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————   〔理事丸茂重貞委員長席に着く〕
  2. 丸茂重貞

    理事丸茂重貞君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、すでに提案理由説明及び補足説明の聴取を終わっておりますので、これより質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 光村甚助

    光村甚助君 日本原子力船ですか、をつくるということはとっくにきまっていて、予算もたぶん承認をされているはずなんですが、ずっと以前の新聞情報によりますと、政府の考えている予算と、船をつくる会社の考えている予算と、だいぶ違うようなことが新聞に出ていたのですが、これは、その後どうなっているでしょうか。
  4. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 国内原力船建造については、ただいまもお話がございましたように、かねがね、政府としては意欲的に計画を進めてまいりまして、所要の予算あるいは債務負担行為等が国会で御承認をいただいているわけでございます。その考え方に従いまして、原子力船開発事業団がその当事者でございますが、これが、造船会社に対しまして発注をいたすべく、入札を求めたわけでございますが、先月の三月中には、二度にわたって入札応募者がなかったということは非常に残念に思っておりますが、その後、造船工業会のあっせんによりまして、石川島播磨との間に話が具体的に進捗を見るに至っております。なおまた、舶用炉原子炉建造については、三菱重工業が乗り出しておりますので、事業団とこの両者、三者間に、ただいま具体的な問題についていろいろと話し合いを進めておるような状況でございます。政府といたしましても、もちろん非常に重大な関心を持って、これの商談の成立を見守っておるわけでございますが、いわば契約を結ぶとすれば、どういう点が当事者間の問題になるかというような点については、いわば一種の商談的な話し合いでございますので、いま、われわれといたしましては、もうしばらく状態を静観していようと考えておるわけでございます。  そういう状態でございますから、たとえば三十六億円というような建造予定の額に問題があるか、あるいはまた・何ぶんにも原子力船建造ということは日本としては最初の試みでございますので、いろいろの意味で念には念を入れて、受注を考えている向きも念を押したいこともいろいろあろうかと想像されるわけでございますけれども、だんだん軌道に乗って、当事者間の熱心な話し合いが進んでおります現状でございますから、もうしばらく静観をいたしたい、かように考えておる状態でございます。
  5. 光村甚助

    光村甚助君 この事業団役員方々は、造船所社長さんなんかがだいぶおられると思うのですが、事業団が発注して造船会社入札をさして、その入札が落ちないというのは、私理解に苦しむのです。それで、新聞を見ただけですけれども事業団の考えているのと造船会社の考えているのと、ずいぶん金額が違う。事業団のほうでは、いやそれでできるはずだと言っている。造船会社社長事業団役員と兼ねていて、そういうことが一体われわれには理解できないんですがね。
  6. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ごもっともな御疑問と思いますが、まず第一に、原子力船建造計画については、政府としても、原子力委員会はじめ専門向き十分積算をしてもらい、技術的の検討もして、それが予算積算根拠にもなっておるわけでございますから、原子力船開発事業団が希望しておるといいますか、条件等については、これは妥当であると、われわれとしては考えているわけでありますが、先ほど申しましたように、受ける側から申しますと、最初のこれから手がけるべき仕事でもございますので、責任を持ってこの建造に当たるについては、なお入念に、いろいろ社内の意見を取りまとめたり、あるいは技術上の問題については、外国側との従来の技術提携の問題もございましょうし、それらの関連をいろいろ検討して、そうして責任を持って応札といいますか、受注に当たりたい、こういう考え方であるのでございます。  なお、ただいまお話がございましたが、受ける側の造船会社あるいは舶用炉建造に当たっておりまする会社人たち原子力事業団責任当事者になっている、両方につながりを持っているということは、この件についてはございません。
  7. 光村甚助

    光村甚助君 その問題は、そのくらいにしておきましょう。なるべく早くそれが実施に移されるように希望しておきます。  本論に入りますが、原子力船というのは、軍艦であっても、商船であろうとも、一般商船よりか、安全性ということについてはずいぶん配慮されておられるだろうと思うのです。しかし、いかに配慮されたにしても、まだ開発中のものですから、完全であるとは私たちも考えておりませんし、国民もおそらくそう思っているのです。現に、米国の原子力潜水艦スレッシャー号というふうなものの沈没なんかがありましたり、また、原子力潜水艦が佐世保に来るという問題についても、その安全性ということについては、いろいろな方面から議論のあるところでありますし、原子力科学者だとか、あるいは学術会議等においても、その安全性については多くの疑問があるということを言われております。  そういう点で、私たち社会党は、この原子力潜水艦日本に来ることには反対をしているわけですが、ところが、原子力委員会ですか、政府原子力委員会方々は、学者学術会議あたりの言うことを、まあ無視と言ったら語弊があるかもしれませんが、ただ政治的にだいじょうぶなんだということで、その寄港を是認しているわけですが、これは、私たち社会党にとって非常に遺憾だと思うのです。そういう点で、この原子力委員会というものに対しても、われわれは非常に問題を持っているのですが、今日、日本学者が、安全じゃないんだと、もっと科学的に研究しなければならないんだということを言っているので、国民の大多数は——原子力委員会の人はだいじょうぶだとおっしゃっているのですが、国民の大多数は、私はまだまだ疑問を持っているのじゃないかと思うのですが、これについて、大臣でなくてもけっこうですから、専門の方でもけっこうなんですが、どういうふうに割り切って国民に納得させる自信がおありなのでしょうか。
  8. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 専門的なことは、なお細部にわたって御説明もいたさなければならぬと思いますけれども、まず、この原子力潜水艦の問題は、昨年の夏以来、原子力委員会立場あるいは政府立場は、るる御説明いたしたつもりでございますが、何ぶんにも、一つの大きな特殊性は、これは軍艦であるということ。で、軍艦であるということは、今回御審議願っております規制法の一部改正関連にあるSOLAS条約においても同様のものでございまして、軍艦であるということでありますから、国際法上あるいは国際慣行上、実際実地について、その原子炉安全性というものを安全審査対象にすることはできない、これが一つ前提に事実としてなっているわけでございます。  そこで、一年有半にわたって、いわば外交交渉とでも申しましょうか、そういう交渉を通じて、原子力委員会としてただしておかなければならないこと、あるいは保証をとっておかなければならないこと等については、できるだけの努力をいたしまして、アメリカの当局との間の交渉といいますか、話し合いをいたしまして、その結果、昨年八月のアメリカ側保証というものが、こうこういう点についてアメリカ側保証してくれたとおりならばということを前提にして、国民の生活に支障を与えるものではないという判断原子力委員会として下したわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、軍艦でありますものですから、日本国内原子炉あるいは今回御審議願っておりますような法律考え方と違って、国内安全審査委員会を動員して云々ということは事実上もうできない相談でございますので、これにかわる方法として最善努力をいたした、こういう結果でございます。そして、原子力委員会としては、累次にわたるいろいろの、たとえば「クェスチョネーア」と言いますか、質問して調べたいことをいろいろただしていって、そしてそれらについて十分の保証を取りつけた。保障が一〇〇%実現されるならば安全に支障はない、こういう判定を原子力委員会としては下したわけであります。しかし、さらに技術的な、なし得る限りの検討をいたしたいと考えまして、関係各省庁の全面的な協力のもとに、また予算上も、予備費も決定をいたしまして、いわゆるバックグラウンド調査——入港前のバックグラウンド調査から始まりまして、寄港、それから滞留中並びに出港直後、これらのモニタリングを精細にやりましたが、その結果は、アメリカ保証したとおりに、何ら放射能の害は認められなかったというので、原子力委員会判断というものは間違いなかったというわけでございます。  しかし、軍艦以外のものにつきましては、これは軍艦という特殊性はないわけでございますから、外国原子力船についても、さらには、これから建造いたしたい日本原子力船の港における出入港についても、十分これは、法律根拠を置いて入念な審査ができるように、あるいは万々一の場合の事後の措置ができるようにという配慮で、今回このような法律をつくったと、こういう関係になっておるわけでございます。
  9. 光村甚助

    光村甚助君 今度の法律前提になるアメリカサバンナ号安全性についても——長官は、アメリカの完全な保証があった、といろいろなことも研究したのだと、外国にも寄ってきて、そういう被害はなかったとおっしゃるのですけれども、私たち日本人ですから、日本学者が安全じゃないのだといえば、やはりこれは不安を持つのですけれども、しかしこれも、いや安全だ、安全ではないと言ってみても始まらないのですから、潜水艦のことは一応おきましょう。潜水艦は二回も日本に来て、何ともなかったのだが、じゃ、今度来るとうわさをされているサバンナ号というものの安全はどうなんだ——これも私は、そう簡単に日本国民が、潜水艦がよかったからこれもいいということにはならないと思うのですよ。それで、サバンナ号の安全についても、原子力自体原子炉というものは一体潜水艦とどう変わっているのか、それから運航の問題についても、潜水艦と変わっているのか変わってないのか、それから放射能を廃棄するという施設は、潜水艦とこの商船とどう違うかというようなことが、われわれにもわからないということなんですが、その点はどうなんでしょうか。
  10. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これも、専門的なことは補足することにいたしまして、われわれのこの考え方としては、まず、その原子力潜水艦であります場合には、船体というか、艦体の容積その他にも非常な制約があるというようなことから、たとえば第一次冷却水を放出するというような場合にも、短時間の中で放出しなければならないというようなところで、放出をされるものの中から放射能の害が出るのではないかということがおそれられるわけですが、サバンナ号や、われわれがこれからつくりたいと考えておりますものは、潜水船ではございませんから、そういう点は、常識的に考えましても、安全性という問題は、よほど角度が違って考えられるのでなかろうか、かように考えます。それから同時に、その次の問題としては、今度は軍艦という性格を持っておりませんから、国内原子炉に対する、国内の陸上に設置する原子炉と同じような規制対象といたしますから、安全審査が、自主的かつ国内のものと同じように、おそらく条約に基づいて今回の法律改正されますならば、まあ十分といいますか、十二分の安全審査ができる。それからさらに、運航上の問題につきましても、条約根拠を置いて、もう入港前、前々から完全な審査をいたして、それで入港をさせますし、それから入港後における運航その他においても、これは運輸省にお願いをするかっこうになりますけれども、これも今回の改正法律案によって、十分港内運航その他にも安全性が確保される、こういうふうに存じますので、原子炉推進力として使われておるということにおいては、油を使うとかあるいは石炭をたく場合よりは、まだ何ぶん新しいことでありますから、若干の反応ファクターがあったり、したがって危険性があるということが常識的にも考えられますけれども、それは、さような危険性がないことを科学的にもあるいは運航上にも保障するように、この法律で万全の規制をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  自余の専門的なことは別といたしまして、私どもとしては、そういう角度から、しかし同時に、この法律案は、まだサバンナ号もいつ入ってくるかわかりませんけれども、こういうことは準備を事前にするにしくはないと考えましたので、この際ぜひ制定させていただきたい、かように考えて御提案申し上げたわけでございます。
  11. 村田浩

    政府委員村田浩君) ただいまの御質問で、原子力潜水艦原子炉サバンナ号原子炉とどのように違うか、また、運航上の手続等の違い、さらに廃棄物違い等についてお尋ねがございましたが、原子力潜水艦につきましては、先ほど長官答弁にございましたように、機密にわたり、技術的資料の入手はできませんから、どのような原子炉を積載しておるか、これは正確にはわかりません。しかしながら、一般に得られております情報からいたしまして承知しておるところとサバンナ号の場合と比較してみますと、これはいずれも、私ども申します型式別に申しますと、軽水冷却型原子炉といわれるカテゴリーに入るものでございます。さらにもう少し正確に申しますと、加圧水型原子炉と呼ばれる型式原子炉を設置いたしております。その点におきましては、両者とも共通しておる、このように理解いたしております。ただ、その詳細につきましては、潜水艦の場合は不明でございますが、たとえば出力につきましても、サバンナ号の場合には、熱出力で六万九千キロワットという原子炉が積んでございまして、この炉はアメリカバブコック・アンド・ウィルコクス会社が製作したものであることがわかっております。他方潜水艦はどのくらいの出力があるかということは、これははっきりいたされてございません。  それから運航上の相違でございますが、この点は、すでに長官答弁にございましたように、潜水艦は潜水いたすたてまえで建造され、また、潜水していろいろの作戦上必要な行動をとられるわけでございます。サバンナ号の場合は、商船、貨客船でございますから、あらかじめつくられました運航計画に従って運航しておる。先般のこの委員会における補足説明でも申し上げましたように、すでにこれまでにも、アメリカの沿岸を数次にわたり、かつまた昨年は、ヨーロッパ大陸数次にわたり航海をいたしておる。したがいまして、今後日本寄港するようなことがございましても、あらかじめ運航計画というものをつくりまして参ることに相なろうかと思います。  それから最後に廃棄物の問題でございますが、軽水型原子炉を設置しました船から、どのような廃棄物一般的にあるかということは、これは技術的に大体見当はつく問題でございます。まあ、その中で一番問題にされましたのが、いわゆる一次冷却水というものでございますが、これは軽水型原子炉に特有の問題でございます。一次冷却水が炉の起動の際に膨張した際に、これが一次回路からオーバーフローする、このオーバーフローした冷却水をどう処理するかということでございますが、潜水艦の場合には、いろいろと確かめましたところ、潜水艦構造上の問題であろうかと思いますが、これは量は非常に少ないわけでございますけれども原子炉を起動して、港内から出港する際に廃棄いたしますということでございます。ただし、廃棄いたしましても、その湾内の海水に何らの放射能レベルに変化を与えるものではないということを保証し、その保証されておりますことが事実かどうかということを日本政府側が独自の立場調査することを向こうも了解し、協力してくれておる。その結果、先ほど長官お話のような結果になっておるわけでございます。  他方サバンナ号の場合は、サバンナ号構造が大体現在わかっておりますけれども、それによりますと、一次冷却水が万一出ますようなことが生じたときには、とりあえずは船内のタンクにこれを貯蔵する、そういうような方法を講ずることになっておりますので、直ちに湾内にこれを廃棄することはないということがわかっております。そういった点は若干の差異を持っておる、このように理解しております。
  12. 光村甚助

    光村甚助君 原子力潜水艦日本に入ってくるとき問題になった点はさっき話しましたが、原子炉安全専門審査会というものと、この原子力委員会と、もめたようなんですけれども、この原子炉安全専門審査会というものは、これはどういう機構なんですか。
  13. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 原子炉安全専門審査会というのは、まあこれは法律的に申し上げますよりも常識的にまず申し上げますと、原子力委員会専門委員会のようなかっこうで、そして、国内原子炉を現に設置いたしておりますが、そういった場合に、非常に詳細な審査をこの安全審査会が法令に基づいて行なうわけでございます。  それからその次に、原子力潜水艦が入ったときに、もめたように聞いているがというお話がございました。そういうふうに伝えられる向きもございますけれども、先ほど申しましたように、これは、たとえば設計図なり、あるいは艦内に立ち入って審査ができる場合には、安全審査会のもちろん職責としてお願いすべきでございましょうけれども、今回の原子力潜水艦については、そういうことが軍艦であるということのためにできないということで、原子力委員会から、先ほど申しましたように、相手国を通して、懸念されるようなことの保証を取りつけておきたいということを折衝いたした。これは、実は原子力基本法あるいは原子力委員会設置法上から言いましても、非常にデリケートなところでございまして、私どもは、本来、原子力委員会仕事としては、法律的に言えば潜在的な権限ではございましょうけれども、必ずしもその所掌事務ではない。しかし、いろいろの点から、原子力潜水艦安全性ということについて、国民的な期待も原子力委員会に対してございますから、そういう点からいって、なすべき最善努力を私はしたわけであります。かように御理解をいただきたいと思うのであります。  そうして、この原子力潜水艦入港がきまりましてから以降におきましても、事実上は、安全審査会に所属される委員方々等からもいろいろの御意見を伺ったり、あるいは研究もしたりしていただいているわけでございまして、率直に言えば、世間では、なぜ安全審査会の議に付さなかったのかという御意見はだいぶ伺いましたけれども、本来の仕事として、もっと率直に言えば、原子力安全審査会にこれをお願いすること自身が無理だというのがわれわれの考え方でございまして、原子力委員会原子力安全審査会それ自体の間におきましては、もめごととか、その扱い方についての紛争というものは、私の承知しております限り、現実の問題にはなっておりません。この点が、私ども立場から言えば、はっきり申し上げ得ることであるかと思います。
  14. 光村甚助

    光村甚助君 それなら、安全審査会というのは原子力委員会に付属したものなんですか。
  15. 村田浩

    政府委員村田浩君) 原子力委員会設置法の第十四条の二によりまして、「原子力委員会に、原子炉安全専門審査会を置く。」、こういう規定が置かれております。この審査会には「委員長の指示があった場合において、原子炉に係る安全性に関する事項を調査審議する。」と、こういう規定によりまして設置されておるものでございます。  現在、この専門審査会の定員は三十名でございまして、三十名の内訳といたしましては、十三名が大学関係専門科学者あるいは技術者、それから十三名が国立試験研究機関、それに原子力研究所等を含めまして、そういった研究機関からの科学者であります。それから残り四名が関係行政機関技術関係の方と、こういうような内訳で構成されております。
  16. 光村甚助

    光村甚助君 それじゃ、大学あたりから入っている委員の中には、原子力潜水艦が入ってくるときに、まだ安全じゃないんだと言うた学者も入っているのですか。そういう人は入っていませんか。
  17. 村田浩

    政府委員村田浩君) ただいま手元に詳しい名簿を持っておりませんが、原子力委員会原子力潜水艦安全性につきまして政府意見を申しました後において、この専門審査会が開かれた機会に事情の御説明を、担当委員会から、当時兼重原子力委員長代理でございますが、いたしております。特に、ただいま光村先生の御指摘のような御意見を申されたようなことはなかったと、このように承知しております。
  18. 光村甚助

    光村甚助君 先ほどからたびたび言うように、私もしろうとで、実際上わからないんです。法律審査しているわれわれでもわからないのですから、一般国民というのはなおわからないと思うのです。わからないのだから、この専門審査会とか、あるいは学者なんというのが、これは心配なんだ心配なんだと言われると、これはその心配を解消する方法がないわけですね。だから、私たちが聞いているのは、この安全専門審査会意見を無視して原子力委員会政府の圧力に屈して政治的にきめたのだ、われわれ社会党はこういうことを聞いている。これも議論しようとは思いません。思いませんがね。衆議院のやはり附帯決議でもこういうことが問題になったということを、私は速記録をまだ読んでいませんが、聞いているのです。危険度の高い問題というのは、ただ政治的に、アメリカから言ってきたらそれでいいのだということでは、なかなか国民は納得しませんので、今後はやはり専門審査会のそういう意見も十分尊重して、ただ原子力委員会がいいと言ったからそれでわれわれ安心しているのだということではなくて、ほんとうに科学的に、そういう学者だとか、まあ学者もそろっておられる安全専門審査会意見なんかを今後よく尊重していただいて、国民が納得するような方法を講じていただきたいということを、まあ長官にもお願いしておきます。  それから、この原子力委員会外国原子力商船原子炉安全性を確認する場合は、どういう方法でやられるのですか。さっき局長の話では、機密に属する問題だから、そう簡単に立ち入り検査もできないだろうというようなことをおっしゃったのですが、今度のたとえばサバンナ号が入るときにはどういうふうにして——ただ向こうの言いっぱなしで、潜水艦と同じように、アメリカ保証したからいいということになるのですか。サバンナ号が入ってくるときには、どういうふうにして安全性を確認されるのですか。それで、検査は、船内に入って検査ができるのかどうか、それもあわせてお聞きしたい。
  19. 村田浩

    政府委員村田浩君) 先ほど申し上げました、機密にわたるので資料が得られないと申しましたのは、潜水艦の場合でございまして、サバンナ号は、原子力船ではございますけれども商船でございます。その点は明らかな区別があるわけでございます。  今回、規制法改正をいたします基因となりました「千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約」におきましても、その第七規則で、原子力船につきましては、その構造運航等につきまして安全上必要なあらゆる詳細な記述をいたしました安全説明書というものを用意しなくてはいかぬ、この用意しました安全説明書は当該国の政府承認を得なければいかぬ、さらに同規則の(b)項におきまして、外国の港に訪れようとするときは、相当事前に、その国の政府安全性につきましてこれを評価することができるように、安全説明書を送らなければいかぬ、こういうことがございますが、この点を受けまして、今回の法改正によりまして、たとえばサバンナ号をわが国の水域に入れたい、こういうことがございました場合には、あらかじめ、私どもとしましては、寄港の六カ月前ぐらいを考えておりますが、そのくらいの余裕をもちまして本邦水域への立ち入りの許可申請を総理大臣あてに出させる、こういうことを考えておるわけでございます。このような申請にはどのような申請事項を必要とするかということは、今度の改正法案の第二十三条にあるとおりでございますが、その際に、先ほど申しましたSOLAS条約の第七規則による安全説明書を付属資料の形でつけてまいる、このように考えております。この付属資料として届けられます安全説明吾、これは私どもの了解しますところでは相当膨大な資料に相なると考えておりますが、これを原子力委員会審査します際に十分検討いたしまして、もちろんその際には、先ほどお話ございました安全専門審査会にもこの資料を出しまして、客観的に科学的な判断をしていただく、このような手続をとることにいたしております。  このようにして、まあ審査をいたしまして、安全であるということが確認されますときに初めて立ち入りの許可をいたすわけでございますが、さらに、現実に入ってまいりますときに、現実にある特定の港に入ってまいりますときには、あらかじめどの港に、いつ入りたいということを総理大臣あてに届け出させます。原子力船運航者から届け出させるわけでございますが、その期間はおおよそ二カ月前くらいを考えております。この二カ月という余裕をとりましたのは、その特定の港にサバンナ号ならサバンナ号が入りますときに、その港における、あるいはその港に入りますにあたっては、安全が十分確保できるかどうかを解析いたしまして確認をしたい、こういうことからでございます。  このように、非常に手順を踏みまして安全を確認して入れるわけでございますし、先ほど申しました安全説明書には、常にその船の現実の状態と一致さしておくことが要求されておりますから、審査いたしました、あるいは解析いたしました点が現実の船と相違しているということはあり得ないと思いますけれども、しかしながら、なお念には念を入れまして、いよいよ本邦水域に立ち入ってまいりますときには、必要に応じ立ち入り検査をいたすことが本改正法によりまして可能となっております。すなわち、規制法の第六十八条の「立入検査」のところに、外国原子力船につきましても立ち入りの検査ができるように改正いたしたわけであります。あわせまして、船舶としての安全を規制いたしております運輸省の立場でも、船舶安全法によりまして立ち入りの際の検査ができる、このような規定になっておる、この規定を十分活用いたしまして、わが国の検査官による安全の確認ということをやってまいりたい、このように考えております。
  20. 光村甚助

    光村甚助君 そうしますと、佐世保で、潜水艦が出たあと、あそこの海水を取りましたね、放射能があるかということで。そうすると、商船の場合には、廃棄物冷却水、それはあの商船の中にためる施設があるから、これはもう海水を調べても意味がないということですね。しかし、やはり意味がなくとも、一応調べるのですか。
  21. 村田浩

    政府委員村田浩君) 一次冷却水を含めまして、サバンナ号から出てまいります廃棄物、これにつきましてどのように規制するかは、わが国の規制法規定に基づいて、わが国内における陸上の場合と全く同様に規制をいたしたい、こういう考えでございますが、一次冷却水そのものが、先ほど申しましたように、サバンナ号におきましては、構造上、これを直ちに湾内あるいは港内に廃棄することなく、船内に設けましたタンクに貯蔵する構造になっております。詳細につきましては、この立ち入りの許可を得ますための申請をいたします際に、先ほど申しました質全説明書を付属資料としてつけてまいります。その安全説明書の中に、どのような廃棄物規制を行なうかが詳細に載っているはずでございます。その点を十分検討いたしまして、わが国の規制法による規制に適応しているかどうかということを確認いたすわけでございます。  ただいまの、寄港しました港の海水等を、潜水艦の場合同様、検査する必要があるかないかという点でございますが、このような点から見まして、潜水艦の場合には、一次冷却水湾内に廃棄するという点に非常に心配な点がありましたので、事前、事後、並びに定期的に採取しまして、厳重に調査をいたしておりますけれどもサバンナ号の場合には、このような排出ということは行なわれないたてまえになっておりまして、必ずそういうことをやらなければならないという必要性は考えておりません。ただ、最初に入ります際に、そのとき、先方の申請の内容その他を検討いたしまして、専門家の意見として、やったほうがよかろうというようなこともございますれば、それはまた別でございますが、一般的に申しまして、そのようなことをやらなければならないということはないものと考えております。
  22. 光村甚助

    光村甚助君 まあ、安全説明書もお聞きしようと思ったんですけれども、さっき説明されたですから、もうこれで省きますが、この安全説明書といっても、商船を持っている国から安全説明書がやってくるので、これも疑えばきりのない話なんですけれども、向こうが安全だ安全だと言ったからといって、どういいますかね、ああそうですかと済ますわけにもいかないし、いろいろ、その説明書に基づいて立ち入り検査をされるというのですから、まあその点はそれで信用しなければ、これも水掛け問題になると思いますから、一応信用しておきましょう。  今度のこの改正案は、日本原子力商船ができるからおつくりになるのじゃなくて、日本商船ができるというのはずっと先の話ですから、これはサバンナ号が来るので、これを急にお出しになったんですか。
  23. 村田浩

    政府委員村田浩君) 提案理由説明の際に長官から御説明ございましたように、国際的なこの種原子力船規定ということが一九六〇年の海上人命安全条約において初めて第八章に入りまして規定ができ上がったわけでございますが、この条約は、わが国も、昭和三十八年の四月でございますか、国会の御承認を得まして批准を了してございますし、その後所定の批准手続を終わりまして発効手続が終わりまして、来たる五月二十六日から発効いたすと、こういう段階に参っております。したがいまして、それに対応して必要な国内法を整備してまいりたいというのが、今回提出を急いで——急いでというのも、なんでございますが、今国会に提出いたしました主たる理由でございます。
  24. 光村甚助

    光村甚助君 まあ、近い将来来るということは政府でも考えておられるのですが、大体いつごろ——ことしじゅうに入ってくるのでしょうか。そうしますと、入ってくるということになると、入ってくる国との協定等の準備もあると思います。それは、この条約でやはり国会におかけになるのですか。
  25. 村田浩

    政府委員村田浩君) サバンナ号がわが国にいつ入ってくるかということにつきましては、前回補足説明の際にもちょっと申し上げましたが、現在のところ、アメリカ政府関係当局の間で今後の計画検討中だそうでございまして、まだ、どのようにそれがきまったかということは連絡を受けておりません。現在、サバンナ号は、テキサス州にありますガルベストンという基地に入ってオーバーホールをやっております。それはそれといたしまして、大体私どもがいままで聞いております情報では、三つ案があるようでございまして、第一には、ヨーロッパへ定期航路を開設して、それに参ることにする、それから第二は、まだいままで来たことのない極東地域へ訪問、親善航海をするという案、それから第三には、極東地区に、親善ではございませんで、最初から定期航路を開いて参りたい、こういう三つの案を現在検討中であると聞いておりますので、いずれ、このオーバーホールが終わりましてから航海ができるような状況になる時期までに、どのような計画で今後航海するかということがアメリカ政府部内できまることと考えております。  その際に、五月二十六日以降でございますと、海上人命安全条約も発効いたしておりますので、その点に関連しまして、これを批准しておりますわが国に、海上人命安全条約に即して、先ほど申しましたような手続で申請してまいるわけでございますが、しかし同時に、これも前回の補足説明でごく簡単に説明申し上げました「原子力船運航者の責任に関する条約」という、俗称ブラッセル条約と呼んでおりますが、この条約がまだ発効のめどもついておりません。したがいまして、万々一、原子力船がわが国の水域あるいは港に入りまして事故を生じ、それによって第三者に損害を与えたというような場合に、その原子力損害に対する賠償をどのようにいたすかという点につきましては、国内法では原子力の損害賠償に関する法律がございますけれども外国船でございますのでその適用は受けませんために、この点につきましてアメリカ側との間に協定、条約を結びまして、その点についての措置をはっきり国際約束として取り付ける必要があると考えております。すでにこれまで訪問いたしましたヨーロッパ諸国の場合を見ましても、原子力損害の賠償に関する措置と裁判管轄権の問題につきまして、やはり二国間条約を結んでおりますので、わが国を訪問する場合につきましても、損害賠償条約の発効がありますまで、そのような二国間条約は必要であると考えております。ただ、現在のところ、アメリカ側から、この二国間条約を結ぶための話し合いは、まだ全然行なわれておりません。  なお、このような二国間条約を締結します際に、これが国会の承認を受けるかどうかという点でございますが、その内容からいたしまして、当然国会の承認を受ける協定に相なろうと考えております。
  26. 光村甚助

    光村甚助君 そうしますと、国会の承認を受けるということになれば、もう来月の十九日で国会は終わるわけです。選挙が済んで、八月か九月ごろお開きなる、二カ月前に向こうから通知してくるということになると、おそらく来ても、ことしの暮れか来年だということになりそうですが、そういう予測はつきませんか。
  27. 村田浩

    政府委員村田浩君) 光村先生の御指摘のとおり、手順から考えていきますと、大体早くてもそこら辺の時期にならざるを得ないんじゃなかろうかと考えております。
  28. 光村甚助

    光村甚助君 二十三条に、外国原子力船を「本邦の水域」ということになっていますが、これは漁業関係者も非常に気にしているようですが、「本邦の水域」ということは、大体どの程度が入るんでしょうか。
  29. 村田浩

    政府委員村田浩君) 国際慣例上のいわゆる領海に入る場合というふうに考えております。現在わが国では、御承知のとおり、三海里説をとっておるわけでございますが、その範囲に入りましたときを水域に立ち入ると、このように考えております。
  30. 光村甚助

    光村甚助君 日本原子力商船ができた場合にも、二十三条の二項の許可はやはり必要なんですか。
  31. 村田浩

    政府委員村田浩君) わが国で原子力船建造いたしますれば、これは二十三条の一項のほうに入るわけでございます。つまり、その原子炉の設置というのは、船内に設置するということを含めておりますので、そちらのほうにかかってまいるわけでございます。二十三条の二のほうは、外国原子力船の場合だけについての規定でございます。
  32. 光村甚助

    光村甚助君 それから、この原子力商船が入ってきた場合には、潜水船の場合には、アメリカ軍艦を横につけて、岸壁につながなかったのですが、これは衆議院でも何か聞いたようですけれども、普通の、一般商船と同じように入ってきて、日本の岸壁につけるわけなんですか。あぶないからというので、何か変わった方法入港さすんでしょうか。まだそこまで考えておられませんか。
  33. 村田浩

    政府委員村田浩君) 改正法の三十六条におきまして特定の港に入る場合の届け出を課しておりますが、その際に、ある特定の港に入りたい、いついつ入りたい、こう申してまいりますときに、どのような安全上の措置をとって入るかということを同じく届けさせる、このように考えておりまして、その内容としましては、もちろん入港します日時、それからその前にとります航路、それから入りまして、どの地点に停泊する、それから停泊後、万々一の事故のことを考えまして、万々一事故がございますときには、これを港外等遠隔の地に引き出すことになっております。そのときの用意のための引き船の用意はどうするか、それからさらに、そういって引き出しましたときには、どの地点に隔離するか、こういったことにつきまして、その運航者のほうからまず届け出を出させる、こういう仕組みを考えております。このような届け出を受けましたときに、総理大臣といたしましては、原子力委員会意見を聞きまして、そのような措置がわがほうの立場で考えて十分安全であるかどうかを確認した後、もし必要がありますれば、第三十六条の二に基づきまして、今後さらに運航者に課すべき条件等を運輸大臣に通知し、運輸大臣は、さらにその立場から、この規制事項を海上保安庁長官を通じ港長に通知する。港長は、現実に入ってきます船の船長に通知してこちらの措置をとらせる、このような手順をとることといたしておるわけでございます。それで、ヨーロッパ諸国にサバンナ号がすでに行った経験があるわけでございますが、その際の事例を見ましても、大体同じようなことでやっております。現実にどういうところに停泊いたしたかという点を調べてみましたが、どの港におきましても、大型の商船が停泊いたしますのと同じような場所に停泊いたしておるようでございます。しかしながら、わが国の場合は、特定の港における環境条件等を見まして、そうして周辺住民から、万々一の際を考えたときに、十分な隔離、安全を確保できるというところに係留をさせる、このような考え方であるのでございます。
  34. 光村甚助

    光村甚助君 この法律要綱案を見ますと、これは運輸省との関係がだいぶ多いんですね。先ほども言いましたように、しろうとでわからないし、運輸省を呼んで開かなければ、たくさんわからない点があるのですが、そういう機会もないので、長官の言われることを信用しておきますが、運輸省とも大体これは細部まで打ち合わせ済みですか。
  35. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは、ただいまも御指摘のとおり、運輸省との関係が非常に多い問題でありますので、運輸省との間には十分打ち合わせをいたしておるつもりでございます。細部につきましては、政府委員から説明いたさせます。
  36. 村田浩

    政府委員村田浩君) 御承知のとおり、船舶一般につきましての安全性につきましては、船舶安全法、それからまた、主として港内における船舶の交通につきましては港則法、これらはいずれも運輸省が所管いたしておるわけでございます。しかし、原子力船の場合には、船舶の上に原子炉を設置してございますので、そこで、この原子炉等の安全性については、科学技術庁の所管でございます原子炉規制法によっておるわけでございます。したがいまして、原子炉を設置した船舶の規制につきましては両省密接不可分の関係を持っております。そこで、今回この規制法改正法案を提出いたしますにあたりましては、このような両省庁にまたがります問題につきまして、二重規制、あるいは規制の空白を生ずることのないように、十分慎量に協議いたしてまいったわけでございます。
  37. 光村甚助

    光村甚助君 最後に、大臣に要望いたしておきますが、冒頭に申し上げましたように、原子力潜水艦が佐世保に入ってくるについては、社会党は猛烈な反対をやったのです。しかし今度入ってくるであろうと予想されるサバンナ号について、西ドイツとかスペインあたりにも入ってきているようですが、それがことしの秋か暮れに入ってくる場合には、また原子力潜水艦の二の舞いのないように、ほんとうに国民に納得できるような措置を、さっきありましたように、安全報告書、ああいうものを、もっと早く一般に、国民に発表して、原子力商船はまた潜水艦とだいぶ違うんだ、今後はやはりこれで貿易なんかをもずいぶん推進するんで、どこでもこれは安全に運航ができるんだということを、十分によく納得できるように、早い機会にPRしてもらうことをお願いしまして、私の質問を終わります。
  38. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 光村さんの御意見、まことにごもっともでございます。私としても、その点を重視いたしますゆえにと申しましょうか、今回のこの原子力規制法の一部改正も、実は少し早過ぎるのではないかと思ったぐらいのところもあったんでございますが、あえてこの国会に提案いたしましたので、御趣旨の点は十分注意してまいりたいと思います。
  39. 丸茂重貞

    理事丸茂重貞君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  40. 丸茂重貞

    理事丸茂重貞君) 速記を起こして。
  41. 石田次男

    ○石田次男君 いま光村さんの質問したとき、私農水におりましたので、どのようなことをお尋ねになったかわかりませんから、ダブるかもしれませんが、その点御了解をお願いしたいんであります。この法律案要綱及び提案理由説明書、これらを中心にして、いろいろ質問の点を考えてみたんですが、順序も不同になると思いますので、その点も御了解をお願いしたいと思います。  まず先に、原子力船開発ですが、御承知と思いますが、私どもの党では、原子力の平和利用は大いに推進をしたい、軍事利用は絶対に反対、こういう基本線に立って一切を判断しております。それについて、当然、この法案等は結論的に賛成であります。で、大いに平和利用の一端としての原子力開発はいたしたいという意向を持つものでありますが、それについて、原子力船開発進行中の各国の状況、つまり国名とか、その進歩の程度、優劣の程度、また、わが国にどの程度に技術の導入等が行なわれているのか、あるいは秘密事項として全然情報の交換等は行ない得ない状態にあるのか、そういう一般的状況から、ひとつ詳しくお聞きしたいと思います。
  42. 村田浩

    政府委員村田浩君) 諸外国における原子力船開発の現状でございますが、まず、今日実際に運航いたしております原子力船といわれますものは、アメリカに一隻、ソ連に一隻、二隻あるわけでございます。  アメリカにありますのが、先ほど来話の出ております原子力貨客船サバンナ号でございまして、この船は一九五八年に起工いたしまして、一九六二年の五月に完成いたしております。翌一九六三年から実際の航路についております。六三年から、米国の沿岸、ハワイまで含めまして、訪問航海をやりました。昨一九六四年には、ヨーロッパ十三カ国を訪問いたしております。ついこの三月に基地に戻って停泊しておる、こういう状況でございます。報告によりますと、大体十万マイルに近い航海をやっている、こういう状況でございます。その性能は、排水量で二万二千トン、推進力としまして軸馬力二万馬力、最高速力二十一ノット、大体こういうような性能を持っておるのでございます。  それから、ソ連の一隻は砕氷船でございまして、原子力砕氷船と呼んでおりますが、レーニン号と言われるものです。この起工はいつであったかはっきりいたしませんが、完成いたしましたのは一九五九年十二月でございまして、その性能といたしましては、排水量で一万六千トン、馬力は軸馬力で四万四千馬力、非常に強力なエンジンを備えております。厚さ二・四メートルの氷海中を二ノットの速力で砕氷しながら運航できる、こういう性能を持っておる。最高速力は十八ノットになっております。このレーニン号は、完成いたしました翌々年一九六一年の冬から北氷洋において航路の砕氷に実際に使われておる。詳しい情報はわかりませんが、これまでの砕氷船に比べ数倍の能力を発揮して、ソ連の北氷洋航路の開拓に大きな役割りを果たしておる、このように聞いております。  実際に運航いたしておりますのは、この二隻でございますが、現在建造計画が進みつつありますものは、わが国の原子力船第一船を含め二隻ございます。わが国のほうは別としまして、もう一つの一隻は、提案理由の中にもちょっと触れましたように、西ドイツの原子力貨物船、オットー・ハーン号という名前がついておりますが、オットー・ハーン号でございまして、これは貨物船と申しましても、主として鉱石の運搬に使用する、こういうふうに聞いております。この船は、排水量で約二万五千トン程度のものでございますが、船体自身はすでに昨年進水いたしております。しかしながら、これに塔載いたします原子炉につきましては、現在、西ドイツの会社と、それからアメリカ会社との間で技術提携交渉が進められ、伝えられるところによれば、アメリカのバブコック・アンド・ウイルコクス社の技術を入れまして、そして原子炉をつくる、こういうふうに言われております。完成は、いまのところ、一九六七年ないし八年、昭和四十二、三年というふうに言われております。  このほか、原子力船につきまして机上でいろいろ勉強されている国はたくさんございます。たとえばイギリスあるいはフランス、イタリー、ノルウェー、ベルギー、オランダ、こういったような国々があるようでございますけれども、それらの情報は一応聞いておりますけれども、いずれもまだ実現に原子力船建造するという決定までには至っておらないというのが現状でございます。  それから、わが国で、あるいは西ドイツもそうでございますが、このような原子力船建造いたすにつきまして、先進国の技術を入れられるのかどうかという点でございますが、西ドイツにつきましては、先ほども申しましたように、アメリカのバブコック・アンド・ウイルコクス社から入れるということで話し合いを進めておるようでございます。わが国の場合は、現在石川島播磨とそれから原子力船事業団の間で交渉中でございますので、ただいまの段階でどうということを具体的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、原則的には、やはり舶用炉につきまして最も経験を積んでおりますアメリカ原子炉メーカーから技術を入れまして、そして可能な限り国産という形で考えておるというのが現在の状況でございます。
  43. 石田次男

    ○石田次男君 この原子力船建造について入札拒否に会ったわけですが、これはさっき質問に出ましたか。——私は聞いていなかったので、ちょっと簡単に、ひとつその経過と理由です。主として理由について。
  44. 村田浩

    政府委員村田浩君) 御案内のとおり、わが国の原子力第一船は、これを建造し、実験、運航します主体として日本原子力船開発事業団というものが昭和三十八年の八月に設立されております。この事業団が、現在国内のメーカーとの間に交渉しておるわけでございますが、当初、競争入札方式によりまして、国内造船七社に対し、仕様を示しまして入札を求めたわけでございますが、三月一日の公募期限におきまして、いずれも辞退、続いて再入札を求めましたところ、これについても応札する者がなかった、このことは、ただいま御指摘のとおりでございます。その理由といたしましては幾つかあると思いますけれども、主要な理由は、結局、原子力船と申しましても、いま申し上げましたように、まだいまは世界で実際に動いているのは二隻しかないということで、わが国が初めてつくりますにあたって、いろいろと、初めての経験のことや、わからぬ点もある。   〔理事丸茂重貞君退席、理事光村甚助君着席〕 技術的には、外国の、先進国の会社から援助を受けましてやる方針ではございますけれども、それにいたしましても、たとえば、どのくらいほかの船に比べて工数がよけいかかるだろうかというような点につきましては、なかなかこれを具体的にきめていくことができない、そういうことがむずかしい。このような不確定要素がございますために、国内造船会社としては、幾ら幾らでこれを引き受けるということが言い切れなかった、このように理解いたしております。したがいまして、その後は随意契約方式に切りかえまして、造船工業会のあっせんによりまして、石川島播磨造船との間で交渉が進められておる、こういう次第でございます。
  45. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、入札の失敗に終わった原因は、各社が採算上の理由によると、こう理解していいわけですね。
  46. 村田浩

    政府委員村田浩君) 究極的には採算の問題もあるかと思いますが、第一次的には、性能の保証——当然、事業団としては、これを注文いたしますについて、予定いたしました船の規模、それから性能があるわけでございますが、その性能の保証につきまして造船会社のほうで十分この点に自信を持てない、そういうようなことから、さらにまた、工数あるいは工期等につきましても、予定されたプログラムでやれるだろうかどうかといった点で十分な自信がない、こういうふうな点があるわけでございまして、そういったことも含めまして船価の問題にもからんでくる点はあろうかと思いますが、一次的には、ただいま申しましたような幾つかの点についての不確定要素、そういうことが、はっきりした応札ができなかった理由である、こういうふうに考えております。
  47. 石田次男

    ○石田次男君 私どうも専門じゃありませんので、見当のつかないことがたくさんあるわけですが、性能の保証上確信が持てないからという理由となれば、これは技術上の問題とも考えられますが、しかし、設計そのものは完成しておれば、設計書のとおりにつくるのは造船所仕事なんで、その点からいうと、技術上の問題とは、ちょっと私考えかねるわけですが、これは正しいものでしょうか。
  48. 村田浩

    政府委員村田浩君) 第一船でございますので、もちろん設計のとおりつくるわけではございますけれども、当然、その間に技術開発の要素が入っております。一例を申し上げますと、原子力船でございますから、原子炉が最も中心的な問題でございますが、その原子炉も国産でいくというたてまえで現在進めておりますが、国産できます場合に、材料的な問題もございますけれども、特に炉心構造、そこら辺の分野につきましては、まだわが国としても必ずしも技術的な経験がたくさんあるわけじゃございませんので、たとえばその点につきましては、一方で船の建造ということと相並んで、そのような点での勉強をしていただくということで、臨界実験装置というようなものを別途注文して、それを勉強の材料としながら設計の詳細をきめていく、こういうふうなこともあるわけでございます。そういったような観点からいたしまして、通常の船舶をただ設計図のとおりつくってもらうというものとは、その技術開発の点で相違があるもので、その点が、造船会社のほうで、先ほど私が申しましたように、価格等算定する上にも十分な見通しが得られなかった、こういうことであろうと思います。
  49. 石田次男

    ○石田次男君 一般船の建造については、船主のほうから大体こういうトン数、こういう能力、こういう予算、いろいろ要綱を示して、それで造船所はそれを設計して注文主に見せる、お互いの了解でもって建造にかかる、こうなりますね。この場合についても、やはりそういうような段階になるわけですが、今度の船の建造を発注するほうは公団になるのか、直接政府のほうになるのか、それは私よくわかりませんが、いずれにしろ、こういう形で進めるわけですか。
  50. 村田浩

    政府委員村田浩君) 第一船の注文いたしますのは事業団でございます。ただ、一般の船舶と違いますのは、船主といいますか、発注者は、ただいま先生御指摘のとおりに、自分のほしい船についての規模なり性能についてこれを言いまして、造船会社のほうで設計し、それを相談しながらつくっていく、こういうことであろうと思います。原子力船は初めての経験でございますから、発注者である事業団も一緒になって、そうして、先ほど申しました技術的な開発というものも互いに勉強しながら計画を進めていかなければならぬという要素が別にあろうかと思います。
  51. 石田次男

    ○石田次男君 事業団が船主になってやるとしても、これをつくるという決定をし、実行にかかろうというのは、これは当然政府等で、科学技術庁であろうかと思います。技術庁で決定した以上は、やはり事業団意見を聞き、そこでプランも検討して、これならいけるという見通しに立った上で入札にかかるであろうと推察いたしますが、それでよろしいのですか。
  52. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それは、いま局長からるる御説明いたしましたように、科学技術庁としてはこれだけの準備をして、研究をして、事業団が発注の措置に出ましたら、三月中にこの入札問題が解決するものと期待しておったわけでございまして、その期待がはずれたということについては、私どももたいへん申しわけないと思っておるわけでございます。しかし、その後、先ほど申しましたのですが、造船工業会のあっせんで、石川島播磨造船が名のりをあげておりますし、それから舶用原子炉について三菱が協力態勢を示しておりますから、もうしばらくお待ちいただきますならば、この話はまとまるだろうと考えております。また、政府側といたしましても重大な関心を持っておりますから、いままでも側面的にこの話がまとまるように努力してきておりますけれども、場合によりましては、さらに積極的に介入いたしまして、円滑に話がまとまるようにいたしたい。またその間、政府側において、さらにどうしても考えてあげなければならないようなことも、要請があります場合には、これは前向き検討していかねばなるまい、こういうような心組みで、いましばらくと思いますが、せっかくこの話が進んでまいりましたので、気持ちは大いにあせっておりますけれども、もう少し静観してまいりたいと考えております。
  53. 石田次男

    ○石田次男君 私がこの点をしつこく質問を申し上げているのは、入札が一ぺんや二へん失敗したからどうとかいう、政治的な問題を取り上げて、それを攻撃材料にしよう、そういうつもりではないのです。冒頭に申し上げたとおりに、平和利用という点については大いに推進するというのが私たちの考えでございますから、技術開発は大いにやってもらいたいと思っておるわけですが、今度の入札が再度にわたって成立しなかったという点が、技術上の問題だという御返事がありました。私は最初に、採算上の理由ではないかと思っておったら、そうしたら、技術上の理由だというのですが、それならば、案外わが国の原子力関係技術研究というものはおくれているのではないか。一番最初に原爆の洗礼を受けた国として、もう原子力発電のテスト段階まで来て、陸上で相当の経験を積んでおるわけであるし、もう船まで来るようになった、相当なものだ、こう思っていたわけですが、案外なという感じを受けたわけです。  この問題点は技術上の問題で、特にこの炉心構造関係するとなれば、軽々にやるわけにいかぬではないかと思うわけです。最悪の場合、船が一隻沈んで、それで問題が終わったというものではないのですから。原子力潜水艦が近づいてきても騒ぎになる。海水汚染の問題がからんできまずから、もしも炉心構造の上での技術開発の問題が一つのあれになるということになれば、これは技術開発の上に相当慎重に考えなければならないのではないか、こう考えられるわけです。むしろ、若干その発注、建造の決定がおくれても、この問題は、国民を安心させるところまで解決してから乗り出していただかなければというふうに私は感ずるわけです。その点をお伺いしているわけです。
  54. 村田浩

    政府委員村田浩君) 私が技術的要素ということを申しましたのは、若干誤解を生じたところがあるかと思うわけでございますが、技術的要素と申しましたのは、決して船の安全性と直接関連して申し上げたわけではないわけでございます。性能との関連で申し上げたわけです。ですから、端的な申し方をしてみますと、原子力船をとにかくつくれということであれば、わが国の技術で、もちろん導入技術をベースにいたしておりますけれども、できると思う。ただ、その場合に、事業団で要求しておりますように、速力が十七・八ノットとか、こういった性能がそのまま確実に保証できるかどうか、ここら辺の問題を申しておるわけでございまして、ですから、船をつくります技術的問題がかりに全体であるとしますと、このうちの大部分は私は問題はない、こう思っておりますけれども、残りました分において、現段階では事業団とメーカーとが一緒になって開発するような、固めていかなければならぬような要素もある。そうしませんと、たとえばこの速力なり炉の出力なり、そういったものについて、予定されたとおり必ず出るということが言い切れない面がメーカー側としてある、こういったことを申しておるわけでございまして、したがいまして、そういったやはり不確定要素というものは金に換算しようと思えばできるわけです。つまり、よけい金をかけ、よけい時間をかければできる、こういうことに相なろうかと思います。  したがいまして、究極的には、ただいま石田先生がおっしゃいましたように、金の問題に関連してくるということも言えるかと思うのでございますが、ただ金だけということになりますと、一体、いままで国会の御承認を得まして三十六億という船価を見積もったわけでございますが、そういうものが何も見通しがなくてできたのか、こういうことにも相なるわけでございますが、そういうことは決してございません。十分な根拠を持って見積もったものでございます。その点の誤解があるといけないと思いまして申し上げたわけでございますが、私のことばの足りなかった点はひとつ御了承願いたいと思います。
  55. 石田次男

    ○石田次男君 それでわかりましたが、安全性の点については、技術上絶対確信が持てるというところまで到達しているんですね。
  56. 村田浩

    政府委員村田浩君) その点につきましては、現行法によりまして、契約を結ぶという段階になりますときに、事業団のほうから、安全性につきまして総理大臣にいわゆる設置の許可を申請してまいります。その際に、総理大臣は原子力委員会意見を聞き、原子力委員会原子炉安全審査会技術的資料を提出しまして、その当該第一船が安全性の上において十分安全であるものであるかどうかを慎重に審議していただく、こういう手順に相なっておりますので、安全性の確保については十分な措置がとれるものと考えております。
  57. 石田次男

    ○石田次男君 いまの話を聞いて、私のほうの聞き違いでなければいいと思うのですが、まず船の建造にかかり、竣工の時期において政府原子力委員会に諮問をし、それに基づいていろいろ実験をして、そこで安全性の最終的確認をする、こういうようなお話でしたね。
  58. 村田浩

    政府委員村田浩君) 建造に着手する前に安全審査をいたす、こういう手順でございます。安全審査をパスいたしませんと建造に着手はできない、こういう手順になっております。建造に着手しました後も、安全審査審査されたとおりに施工されておるかどうかということは、工事施行の認可等を行ないまして、それでチェックしてまいる。さらに、船がいよいよできまして、運航するに際しての保安規程というようなものも用意させまして、これも提出させまして認可していく、こういう何段もの手順を経て安全性を確認してまいるわけでございます。
  59. 石田次男

    ○石田次男君 その何段がまえはよくわかりました。一番最初におっしゃった建造に着手するときに検査をするということは、部分的に、原子炉の部分を完成して、それを検査してからという意味なんですか、それとも、炉心自身の建造に着手するときに、一つずつ部品から設計から、ずっと検討しながら、そこで一応の安全性を確認して、それを組み立てるといいますか、そういうふうにかかるという意味ですか。
  60. 村田浩

    政府委員村田浩君) 建造に着手します前に、詳細な設計ができるわけであります。その設計、主としてその設計を検討しまして審査するわけでございます。その設計を承認しまして、それに基づいて、部品なりあるいは装置なりがつくられてまいります。それから工事施行の認可ということでチェックしてまいる、こういうことでございます。
  61. 石田次男

    ○石田次男君 その点はよくわかりました。  それで、この炉心構造ですが、陸上の原子炉でも、いろいろ各国によって型が違っておりますね。一番最初開発されたものから順次変わってきているようですが、その型の一番最初の型から、現在一番進んでいる型と思われる型の順序、それを教えていただいて、サバンナと——レーニンはわからないかもしれませんが、どの型を使っているかをはっきりして、それからこの観測船に使う型を教えてください。
  62. 村田浩

    政府委員村田浩君) 陸上にあります原子炉を含めますと、非常に多数の炉型がございます。  世界で初めて原子炉としてできましたのが、アメリカのシカゴ大学の構内でエンリコ・フェルミがつくりましたCP1号炉でございますが、この炉は、天然ウランを燃料にしまして、黒鉛、つまり炭素の固まりでございますね、黒鉛のブロックに穴をあけて、この燃料を入れる、そういう装置でございます。俗に申します天然ウラン黒鉛減速型と申しますが、それの基本になったような型でございます。  その後、アメリカにおきましては、濃縮ウランを使います原子炉開発いたしました。濃縮ウランを使いまして、減速材及び冷却材には普通の水、一般の水——これを重水に対しまして軽水と特に呼んでおりますが、そういう水で冷却していく、こういう型式原子炉開発いたしました。この型式は、現在まで大別して二つの型に発展しております。一つは加圧水型と申しまして、原子炉の中に入っております水に、相当高い圧力をかけて、これは蒸気……。
  63. 石田次男

    ○石田次男君 その詳しい説明は要らないのです。
  64. 村田浩

    政府委員村田浩君) それからもう一つは増殖型、それから、ヨーロッパ——イギリス、フランスのほうでは、天然ウランを使いまして、黒鉛を減速材としまして、炭酸ガスを冷却材とする、いわゆるコールダーホール型とわが国で呼びならわしておりますこういう型の原子炉の大きいのが次々とできております。現在、世界で実際に運転されておる原子炉、大型のものにまで発展しておる技術は、この二つが主流でございます。  原子力船、船舶の推進用しとましては、天然ウランを使いますと、どうしても原子炉が大きくなりますために搭載が不可能でございますために、比較的小型で出力の出ますアメリカ開発した軽水型というものを使っております。ソ連の場合も、同じく軽水型を使っておるというふうに聞いております。軽水型の場合でも、サバンナ号では加圧水型でございますが、わが国の第一船も、型式的にはこの加圧水型に属する原子炉を採用いたしたいという考えでございます。
  65. 石田次男

    ○石田次男君 いま言ったCP1から、濃縮ウランを使って軽水型、それからコールダーホール型と、これらの性能、というよりは、船舶用としての安全性からいくと、どれが一番取り扱いやすいでしょうか。似たりよったりかもしれませんが。
  66. 村田浩

    政府委員村田浩君) 船船舶に搭載します際のいろいろな制約で一番大きいのは、場所の制約あるいは重さの制約等でございましょうが、そういった点からいたしまして、当分はこの軽水型の原子炉であろうと思います。  それで、先ほど潜水艦の話が出ましたが、現在アメカリには、計画を入れまして八十数隻の潜水艦があるようでありますが、それに、ソ連あるいはイギリス等を含めまして約百くらい、計画中・建造中あるいは運航中がございます。これらは、いずれも、いわゆる軽水型を使用しておるようでございます。それからさらに、サバンナ号及びレーニン号、ともに軽水型を使用しておりますので、これらのものを合わせまして、約百近いもの、今日までの運航状況等から見ましても、現在最も技術的に信頼のおける船舶用の原子炉であろうと、こういうふうに考えております。
  67. 光村甚助

    理事光村甚助君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  68. 光村甚助

    理事光村甚助君) 速記を始めてください。
  69. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、同じことを念を押すようでありますが、これは、重量その他のいろいろな点から採用されると思いますが、安全性の点からいって、現在の段階では、このアメリカ一般化しておる軽水型が一番安全性の上では取り扱いやすいと了解していいものでしょうか。
  70. 村田浩

    政府委員村田浩君) そのとおりでございまして、原子力船開発事業団が発足するにあたりまして、原子力委員会が定めました基本計画がございますが、その基本計画の中でも、第一船には軽水型原子炉を使用するものとするということをきめて、そして事業団に指示いたしておるわけでございます。
  71. 石田次男

    ○石田次男君 それで、これはさしあたり海洋観測船というわけですね。これのトン数を出力、その他おもな性能をちょっと教えてください。
  72. 村田浩

    政府委員村田浩君) 現在設計いたしておりますのは、総トン数で申しますと約六千九百トンでございます。ですから排水量で申しますと九千トンぐらいになりますが、総トン数で六千九百トンばかりでございまして、比較的中型と申しましょうか、に属するものと思います。これに搭載する原子炉は、熱出力で大体三十六メガワット——三万六千キロワット、これに対しまして軸馬力約一万馬力を予定しておりまして、速力は先ほど申し上げましたように十七・八ノットを予定しております。
  73. 石田次男

    ○石田次男君 航続力はどのくらいですか。
  74. 村田浩

    政府委員村田浩君) 海洋観測船でございますから、当然海洋を航海しなくてはいかぬわけでございますが、当初実験航海を予定しておりまして、そういう意味で、必ずしも最初から非常に長距離を必ず運航するというようなことでもございませんので、その航続距離を最初から規定はいたしておりませんが、この燃料を積みますと、大体普通に航海しまして、およそ約二年程度運航できる、こういう性能でございます。
  75. 石田次男

    ○石田次男君 二年といいますと、さっきサバンナ号とレーニン号のやつを聞いた場合、サバンナ号のほうは十万マイルと言っておりましたね。
  76. 村田浩

    政府委員村田浩君) これは、幾つもの港に入りましたその距離を合計しまして……
  77. 石田次男

    ○石田次男君 いままでのですか。
  78. 村田浩

    政府委員村田浩君) いままでの合計でございます。
  79. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、これは観測船としてつくられるわけでありますが、今後の原子力船の基礎データを固める意味も持って、いわば実験船というような使命も当然入ってくると思います。それらの実験成果については事業団が完全に把握し、これを将来の計画の中に組み入れると、こうなってくると思います。もし、これらの実験データがずっと集まってきて、一つ研究の進んだ段階に来れば、当然今度は一般商船等の建造プラン等にも発展するわけでしょう。どうですか。
  80. 村田浩

    政府委員村田浩君) そのとおりでございまして、原子力船開発事業団の設けられた趣旨におきましても、この第一船によって得られました種々のデータといいますか、こういうものを今後の原子力船開発に十分に利用してまいりたいと、こういう趣旨があるわけでございます。
  81. 石田次男

    ○石田次男君 その意味で、この建造というのは非常に綿密な注意を要すると思うのです。しかも、アメリカからの技術導入をはかってということでありますが、それについて、なるべくならば、技術を導入しなくても自力で開発していくという方向が望ましいわけであります。しかし、最初の段階としてはそうもいかないでしょうから、入れることになると思いますが、一体、技術を導入される部分というのは、どの部分になりますか。ちょっと技術上の専門の問題になりますが、それは、すでに陸上に建造されておる東海村の設備等とほぼ同じようなものでしょうか。それとも、もう一歩進んだ段階での導入なんでしょうか。
  82. 村田浩

    政府委員村田浩君) 陸上の原子炉として、同じ軽水型が現在東海村の原子力研究所内に動力試験炉として一基ございますが、これは、アメリカ会社に直接契約して製作したものでございます。もちろん、この下請には日本会社も入りましたけれども、主契約者はアメリカ会社であったわけでございます。今回の原子力船につきましては、同じ軽水型でございますが、一歩進めまして、わが国のメーカーに主契約をする。その主契約者は、その技術根拠としてはアメリカ会社技術提携しまして行ないますけれども、事実、その装置、設備をつくりますのは、国内技術国内の資材でできるだけやってまいる。もちろん、中には、ある特殊な部品等につきまして、どうしても時間の関係等から国内開発しているのでは間に合わないというようなことで、アメリカから入れるものもあろうかと思いますけれども、主体は国内技術国内の資材でやると、こういうふうに考えております。
  83. 石田次男

    ○石田次男君 そこで、お伺いするのですが、愚問かもしれませんが、これらの技術導入になった部品等を船に組み込むわけですけれども、その組み込む前に、いろいろな角度から研究すると思うのです。そうすると。第二船からは、それらは全部わが国の技術でつくれるようになるでしょうか。
  84. 村田浩

    政府委員村田浩君) その点は、第二船の計画が今後いつどのような形で具体化するかということと関連いたしますので、まあ仮定の問題に相なるかと思いますが、それが第一船の経験が十分反映できるような時期であり、しかも、その船に搭載します原子炉その他というものが、また相当程度共通しておるというものでありますれば、当然、今回の第一船の経験というものは十分反映され、それだけ、いわば国産原子力船としての比率といいましょうか、高まるものと思われます。しかし、第二船というのがまだ現在全然計画の爼止にのぼっておりませんので、ちょっとまた違うような形の計画が出てくるとなりますと、これはまた別問題かと考えます。
  85. 石田次男

    ○石田次男君 私の聞いておるのは、そういった基本的な技術の問題について、この次からは全部自力でやれるようになるかどうかの見通しを聞いておるわけです。つまり、それを要約して端的に言えば、船用であるにかかわらず、あるいは陸用であるにかかわらず、炉自体のあらゆる構造について、または原理について、または総合的な技術の上について、もう科栄技術の上からは、いわば秘密のベールにおおわれている部分がないのだ、わが国の技術陣で、十分これは科学的には、少なくとも科学的には——まあ技術上の問題の前に科学上の問題がありますから、原理として、科学的な問題については、もうはっきり、すみからすみまでこれでわかったと、そこまでいけるかどうかを聞いておるのです。
  86. 村田浩

    政府委員村田浩君) いろいろ仮定はあると思いますが、原則的には、そのように相なると思います。
  87. 石田次男

    ○石田次男君 とっぴな質問なんですがね。もしも、この船用の炉の一切の技術について到達したあとは、原子爆弾の構造についても技術的に解明できるものでしょうか。
  88. 村田浩

    政府委員村田浩君) 御案内のとおり、原子炉構造そのものは原子爆弾とは全く違うものでございますので、原子炉そのものの技術が非常に高まったからと申しまして、同時にそれがすぐ原子爆弾の技術につながるかどうかは、やっぱり問題があろうかと思います。ただ、一般的にいいまして、技術開発というものにおいての経験というものが蓄積されていく、特に基本的な知識という意味、あるいは基本的な経験という意味で蓄積されていくということはございましょうけれども原子炉技術経験が直ちに原子爆弾の技術経験につながるということは、これはちょっと申せないのではないかと思います。
  89. 石田次男

    ○石田次男君 私が言っておるのは、これらのいろいろな原子炉、それからいろいろな情報を総合して——日本がつくるというんじゃないんですよ。日本がつくるとかなんとかいうのではなくて、核分裂、核爆発ですね。技術上のコントロール、いわば、端的に言えば、原子爆弾の構造、これを純粋の学問上の問題として、日本は把握できるところまで進むかどうかということを聞いておるのです。平和利用もここまで来ておるわけです。わが国で爆弾をつくることは、これはもちろん絶対反対ですが、一面からいったら、そこまで解明できなかったら、今後の平和利用もできないと思うわけです。ただ、この炉の研究ばかり進んでいっても、これは原子力利用の一面だと思うのです。将来やっぱり爆発力の解明まで、はっきり技術上ではつかんでいるのでなかったならば、こういった原子力工学そのものの全体的な発展がひずむと思う。そういう意味では、わが国では絶対に原子爆弾等はつくるべきじゃないけれども、一面から言えば、中共あたりだって爆発の実験段階までつかんでおるわけです。他から技術をもらったというより、自力開発じゃないですかね。ソ連は、御承知のように援助を途中でとめてしまって、技術者をみんな引き揚げて、援助を締め出したわけですから。そうすると、中共あたりについては、初期の技術については、いろいろな知識をソ連あたりからもらったに違いないけれども、その後の部分については、自分たちの力で進んだわけですね。わが国としては、一般的な技術については、どの面を見ても、中共より劣っているということは万に一つもなかろうと思います。ところが、この原子力研究の点については、明らかにその面からは劣っている。私はむしろ、原理の上から、一つの純然たる学問の上から、どの種類の爆弾にせよ、どういう構造で、どういうふうにしてという技術上の問題としては、原理の上からは、日本でも、はっきりつかめるところまで進んでほしいと思うのです。その意味で聞いているわけです。今度のこの船の建造を終えた、そこまで総合的な原子力一つの知識は集まった、その段階でもって、あの原子爆弾の秘密がわかるかどうか。これは技術上の問題で、あなたに聞くといっても無理かもしれないけれども、これはどうでしょう。
  90. 村田浩

    政府委員村田浩君) 御承知のとおり、わが国は、原子力基本法に基づきまして、平和目的に限って研究開発利用をやっている、そういった点で、もちろん基礎的な科学、基礎的な技術につきましては、軍事目的と平和目的とを問わず共通したものはあるかと思いますけれども、しかし、それ以上に出るものにつきましては、軍事目的につながるものをやっていくという意思を持ちませんし、そのような計画も考えておりませんので、したがって、原子力船自体ができるようになった暁に、そういう原子爆弾の技術がどこまで解明されるかということは、ちょっと私も申し上げる能力もないと思います。ただ、原子爆弾というものがどういうプリンシプルでできておるかということは、すでに科学技術者の間では一般的な知識にまで現在なっております。ですから、中共が先ごろ実験いたしましたけれども、そのプリンシプル自身については、特に教えてもらわなくても、とっくに承知しておったということであろうと思います。問題は、そういった爆弾をつくります際の材料、特に純粋なウラン二三五、純粋なプルトニウム、こういう材料をどうしてつくるかとか、それをどういうふうに取り扱うかというような点では、いろんな技術的な研究、知識というものが必要であろうかと想像されるわけですが、私どものほうでは平和利用でございますので、たとえば原子力船につきましても、炉の中に入れます燃料は、ウラン二三五の濃縮度でまいりますと大体四%程度で、非常に濃縮度の低いものしか使っておりません。そのほか、陸上の原子炉につきましても、大体二%とか三%、たかだか一%という程度の低濃縮のもの。ところが、もし原子爆弾というようなものでございますと、九九%とか一〇〇%というような非常に濃縮度の高い材料が要るわけです。こういうことでございます。そういった点で、低濃縮のものをいじっているのが直ちに高濃縮のものにすぐに応用できるかどうか、これは問題ではないかと思います。これは私の個人的な意見を申し上げて申しわけないのでございますが、大体私としてはそのように考えております。
  91. 石田次男

    ○石田次男君 この問題は、この法案の本質からはずれますから、その程度でやめておきますが、実際の問題として、日本へ米原子力潜水艦が来て、周囲が原子力兵器の危機でいわばおおわれているようなかっこうがあるわけです。沖繩を見ても、どこを見ても。それらについての兵器開発という点から、もちろん私は、さっきからしばしば言っているとおりに、これはなすべからざる問題でありますけれども、一面から言ったら、技術としては、原理のみならず、ある程度の技術上の問題も、わが国の技術陣においても、こなせるというところまで発展しなければ、平和利用の上についてのいろんな総合的な発展のひずみになるんじゃないか、こういうようにも思うんです。夢みたいな話ですが、遠いことを言えば、斜陽産業にかわって原子力一般化して、それが発電の主体になってくる時代だって来ないとは私は言えない。むしろ来るのじゃないかと思うのです。そうなりますと、同じ核分裂の原子技術といいましても、多種多様なものが当然研究され、その中から経済性のあるもの、安全性の高いもの、コントロールのしやすいものが選ばれてくる。この技術の進歩の段階からいって、ただこれは、もういつでも政治上の危険問題だからといって、はれものにさわるような態度でばかりいったのでは、肝心の平和利用についてのひずみがくる。この点を申し上げたわけです。その点を了解の上で、技術そのものという点については、ひとつ広く、わが国として許される範囲までいろいろの開発の手を伸ばし、そうして総合的な成果をどっかでキャッチしておく、そういうような方向に政府の政策は持っていけないものか、こうお伺いしているわけです。
  92. 村田浩

    政府委員村田浩君) たいへんむずかしい問題でございまして、私の答弁の能力の範囲をこえるようにも思われるわけでございますが、私としましては、この現在平和目的の範囲でやっております原子力研究開発及び利用というもの自身でも、非常に広範に及ぼす問題でございまして、特に基礎分野から実際の利用というところに至りますにあたりましては、先ほど来問題になっております安全性のことも含め、非常に広範かつ慎重な研究をやっていかなけりゃなりません。原子力の平和利用におきまして、万々一間違いがありまして、何かの事故が生ずるようなことがございますと、平和利用そのものが非常に大きく阻害されることに相なろうと思います。で、まず今日の段階におきましては、そのようなことが絶対にないように研究開発努力を集中しまして、着々と、将来のために平和利用の実をあげていきたい、こういうことに専念いたしておるようなわけでございます。その点ひとつ御了解願いたいと思います。
  93. 石田次男

    ○石田次男君 本筋に戻りまして、この船に使うのは、軽水型の加圧水型と言っておられましたが、炉の制御棒の数は、この炉の大きさの陸上のものに比べまして、どうですか、よけいにしてありますか。同じくらいですか。
  94. 村田浩

    政府委員村田浩君) これは、船を設置します炉の詳細設計が出てまいりませんと具体的に申し上げられないわけでございますが、原子炉の制御は、御指摘のとおり、制御棒で行なうわけでございますが、日進月歩の原子力の科学技術でございますので、現段階において最も進歩した技術を入れた設計で万全を期した制御ができるようにいたしたい、こういう趣旨で、現在設計等についての交渉も進めておるわけでございます。
  95. 石田次男

    ○石田次男君 私お伺いしているのは、これから技術が進むとどういうふうに変わるかしれませんが、いまのところは、何といっても制御棒の数がものを言うのですね。そういうふうに理解していいですか。
  96. 村田浩

    政府委員村田浩君) 制御棒の数が多ければ多いほど安全とか、少ないと不安全ということは一がいに言えないと思います。これはやっぱり設計によるわけでございまして、たとえば、最近の発展によりますと、炉の中に制御材料を——棒じゃなくて装置の中に組み込んで制御の役割りを果たすとか、あるいは冷却剤の中に入れて制御の機能を持たせるとか、あるいは緊急時のために、制御棒とは、別の、たとえば制御材料でつくりました玉をたくさん保持しまして、それをいつでも使えるようにするとか、いろいろ新しい技術が発展してきておりますので、ただ棒の数だけでどうこうということはないと思います。それぞれの原子炉の目的、あるいはそれを取り巻きますスペースの余裕その他から見て、いろいろな設計が可能である。要は、どのような設計にいたしましても、いかなる場合にも、その炉が安全を十分に確保できるかどうかという点について審査し、十分な確信が得られまして初めて建設させると、こういうふうになろうかと思います。
  97. 石田次男

    ○石田次男君 私、いまのお答えを聞いて、ちょっと納得できかねる点があるのですが、この加圧水型の厚子炉というやつは、アメリカからの技術導入でしょう。そうすると、アメリカとしては、当然サバンナ号にもそれを用いているわけですよ。主として用いているのは潜水艦だと思うのです。この潜水艦については相当高度の秘密を保っておりますから、一番最新の、外国に知られたくないような技術をもって組み上げていると思うのです。その点から言うと、日本のほうへ技術をいわば譲ってよこすわけですから、日本に譲ったということは、世界に公開するということも内心じゃ含んでいるわけですよ。そうなると、潜水艦用の炉から見て、ずっといわば程度の古いというか、そんなに秘密事項は含んでないぞというようなもの、これを極端に表現すれば中古ですよ。それを持ってくるわけでしょう。ところで、私も学校は科学のほうをやったけれども、私が学校を出たころは、こんな科学なんて一つもなかったですから、その点から、ほんとうの技術家じゃないから何とも申し上げかねる点もあるわけですが、原子力潜水艦そのものについてのいろいろな研究を読んでみれば、原子力潜水艦についての危険性は、炉心構造の上からいえば、陸上の炉よりもはなはだしく制御棒の数を減らしている。ここに一つ危険性がある。これは重量制限の上からそうなっているのだと、それは、いろいろ技術を組み合わせて、最新技術で何んとかコントロールはしているけれども、原則的には、陸上に比べて制御棒の数が少ない。その点に危険性があるということを、わが国の専門家が口をそろえて言っておるのです。それよりも劣っている、いわば公開してもいいような程度のところでできている炉ですから、その船舶用の炉について、陸上用の炉と同じくらいのコントロールの御制棒が入っているか入ってないか、これはやはり私は安全性関係があると思うのです。
  98. 村田浩

    政府委員村田浩君) 原子力潜水艦原子炉並びにその制御装置がどのようになっておるかということは、先ほど来ちょっとございましたように、機密でございまするので、知られておりません。わが国の学者といえども、その点について詳細なデータは持っておらないはずであります。したがいまして、私、技術の進歩があるということを申し上げましたが、これはもちろん、一般の、公開できる平和目的の範囲における技術の進歩を申し上げているわけでございまして、アメリカのメーカーと技術提携いたしまして入ってくる技術は、もちろんライセンのお金は払いますけれども技術内容として、そういう機密を含んでおることでないことはそのとおりでございます。したがって、機密にわたるような最新の技術というものは、もちろん利用できかねます。ただ、現在そのように利用できるほうの技術にしましても、漸次発展してまいっておる。サバンナ号ができましてすでに数年たっておりますが、サバンナ号における、たとえば制御棒、制御装置の経験というようなものは、その後に設けました炉には当然組み入れられてくるであろう、そういった点から私申し上げたわけでございます。その点はひとつよろしく御了承願いたいと思います。
  99. 石田次男

    ○石田次男君 この点についてのやりとりは、お互い専門家ではないから、答弁も正確な科学的な答弁にならぬと思いますので、やめますけれども、この点は、まだ設計がはっきりきまっていないのですから、もう一回広く、科学技術科学者意見というものを聴してみる必要がありはせぬかと、この点意見として申し上げておきます。  それから次に、当然考えられることは、循環水のろ過問題ですが、これについては、何によってろ過することになるのですか。やはり、在来どおりの——ちょっとど忘れしましたが、在来どおりの行き方ですか。
  100. 村田浩

    政府委員村田浩君) 節一船のろ過装置は、最終設計ができてからの問題でございますが、ただいま先生のお話にございましたように、通常のようなろ過装置、つまりイオン交換樹脂を使うと存じます。
  101. 石田次男

    ○石田次男君 その方式でいくのですか。この合成樹脂の問題が出てきますと、廃棄問題が当然出てくると思うのですが、これについてのプランはどうなっておりますか。海上投棄ですか。
  102. 村田浩

    政府委員村田浩君) 平和利用のサバンナ号の場合、またわが国の第一船にいたしましても、できるだけ廃棄物を出さないというような考え方もあるのでございます。設計上、イオン交換樹脂にしましても、適当な貯蔵施設を置きまして、そういった廃棄物の処理は、できるだけその施設のあります場所、つまり廃棄物を処理できる場所に持っていって廃棄いたしたい、こういうふうに考えております。サバンナ号の場合につきましても、大体そういう趣旨で設計されておると了解しております。
  103. 石田次男

    ○石田次男君 いま聞きますと、廃棄物は一定の場所へ埋没するというのですが、陸上の、それとも海上投棄をするのですか。
  104. 村田浩

    政府委員村田浩君) ただいま私申し上げましたのは、陸上に適当な廃棄物処理の施設を設けまして、そこに持っていって処理いたす。この処理のしかたはいろいろございますけれども、その要点は、廃棄物の中で放射能を持っている部分をできるだけ分離しまして、その量を減らし、しかも濃縮等の措置を行ないまして、そうして密封しまして埋没する、あるいは……。
  105. 石田次男

    ○石田次男君 その埋没を聞いておるのですが、どこに埋没するのですか、陸か海か。
  106. 村田浩

    政府委員村田浩君) 両方の場合がございますが、現在、日本の船でやります限りについては、事業団のほうで具体的な計画を進めております。
  107. 石田次男

    ○石田次男君 船をつくるのは、どんどん技術上の問題について、一切がっさい、そっちのほうでもってやっていく。その点、私はちょっと危険だと思うのです。廃棄物の問題は、やはり海であるか陸であるか、陸であるならばどこ、海であるならば何海里とか水深何メートル以上のところとか、そこまで具体的に国会の論議を求めるべきだと思いますね。  なぜ私はこれを聞くかというと、新聞社のほうの情報で、どうもアメリカの船舶というのは、合成樹脂の投棄をあまり厳重にやっていないようなニュースを聞いたのです。相当乱暴な扱いをしているようですが、ニュースを聞いたのです。それについては、これは真とも偽とも言いかねるし、それをとらえてどうこうといって騒ぎ立てるだけの証拠もないので、これ以上のことは言わないですが、そういう点については、少なくとも、各国で原子力船が増加すれば、処理について当然各国ともに重要な関心の的になろうかと思います。あるいは、遠い将来においては、一つ国際法規を設けて、そこで一定のルールをきめるというところまで管理を強化しなければならぬ段階が来るかとも思うのです。その前提になる現段階でありますから、特に原子力については神経過敏なくらいのわが国の国情とにらみ合わせて、こういったものの始末はどういうふうにするのか、どうあるべきかということを、国会の審議を通じて国民に周知徹底を求める、そういう配慮が政府に必要だ。こういうところから御質問申し上げているのです。
  108. 村田浩

    政府委員村田浩君) このイオン交換樹脂そのものにつきまして申し上げますと、これの使用済みのものの放射能レベルというものは、使用済みの燃料要素等に比べますと、非常にまだ小さいものでございます。これを海洋に、たとえばだれもいない公海へ廃棄するとかという問題が一つあるわけでございますが、この点につきましては、すでにウイーンにございます国際原子力機関において、将来のことを考えまして国際的な規制ということが必要だ、そういう前提のもとに、専門家を集めまして——これは科学関係専門家、法律関係専門家を集めまして、検討を相当進めております。われわれとしましても、いずれ遠からざるうちに、このような国際規制が約束としてでき上がる、そうなることを期待しております。そうなりました暁には、その線に従って措置してまいりたい。  もし原子力船が、その時期との見合いで、でき上がってイオン交換樹脂を処分します際に国際的な規制の約束ができていない、こういうことでございましたならば、そのときはまあそのときの状況でございますけれども、たとえば、一応陸上の厳重に管理された場所に保管しておく、こういうことは当然考えられるわけであります。現在、国内でアイソトープ事業所が約千くらいございますが、こういうところで使いましたアイソトープその他これによって汚染されたもの、こういったものは全国三カ所に保管してございます。この保管場所等については、法律に基づいて厳重に監督いたしてございますが、たとえば、ここら周辺で申しても、東海村の原子力研究所の構内にもこの施設がございます。そのようなところに、さしあたって保管しておく。そして国際的なそういうルールができましたときに、それに従ってやっていくというようなことが考えられるかと思います。
  109. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、陸上で管理するという方針をとっていると了解していいわけですね。
  110. 村田浩

    政府委員村田浩君) 現在のところ、一応そういう考えでございます。
  111. 石田次男

    ○石田次男君 それについて、これは船ですから当然運搬上の法的の規制、その他のものは整足できておりますか。または、少なくともこの船ができるまでは整足できますか。というのは、いつでしたか、記憶はないのですが、東大の付近でもってアイソトープを持って歩いたときに放射能が漏れていたという事実があるのですが、これは記憶ありませんか。
  112. 村田浩

    政府委員村田浩君) ちょっといま記憶いたしておりません。
  113. 石田次男

    ○石田次男君 おととしじゃないかと思うのですが、その新聞をいま持っていないのですよ。そうすると、当然それに伴う運搬制御のコンテナみたいなものが必要じゃないかと思うのですが。
  114. 村田浩

    政府委員村田浩君) どのような場所でか、船からそういう放射性廃棄物を取りおろしますと、それを保管するなり、あるいは最終的に処分してまいる、そういった施設まで運搬することに相なります。これについての規則は運輸省の規則で取り締まるということで、運輸省との間に協議が進んでおりますが、この船ができましたときには、十分、こういうことで、まだ態勢ができていないということはないようにできるものと解釈しております。
  115. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、この船が竣工するまでには、その運輸省のほうとの協議で、運送法の整足その他完全にできるというお約束、きょういただけるわけですか。
  116. 村田浩

    政府委員村田浩君) すでに一般のアイソトープ等の輸送につきましてはございます。ただ、船から出ます廃棄物等につきましての問題を取り扱いますのに、現行規則等によってそのままでよろしいか、あるいはさらに何らかの改正を加えるべきか、そこら辺は検討を要するかと思いますが、いずれにいたしましても、実際にそのような事態が起こりますまでには十分な措置を講じますと申し上げてよろしいと思います。
  117. 石田次男

    ○石田次男君 それから、船ができるまでには、これ、ずっと見ても、港を置かなきゃならぬかと思うのです。また、この中にも、外国船の入港予定も近いのじゃないかと、そういうことも実際に書いておりますし、そうすると、どこを使うかと、こういう問題が当然考えられている段階であると思うのですが、現状において、当局の構想ないし進展している現状を説明していただきたいと思います。
  118. 村田浩

    政府委員村田浩君) 船の本来的な性格からして、開港——開かれている港ですが——には、どこにでも将来はいれるということが原子力船の場合にも必要かと思うわけでございますが、当面どのようにやっていくかということは、またいろいろ考え方があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、問題は、その港に入りますときに、その港周辺の環境状況等と関連して、いかなる場合、つまり、いかなる考え得る最大の事故が起こりましても周辺の住民に迷惑をかけない、この放射能の被曝の心配をしないでもいいようにということを確保するような線で、船の係留地点あるいは船が港に入ってきますときの原子炉の運転のしかた、さらに万々一そういう事故が起こって、この放射能が漏れるようなことがあった場合に、さらに遠く港外に運び出すための引き船の手配、さらに運び出しましたときに、相当長期間——サバンナの場合は、これは約三十日と言っております。つまり、放射能が減衰するまでの期間、その間係留しておける遠隔投錨地の設定、こういったようなことを十分慎重に検討してきめて、そのような措置のとれるようにして船を入れるというたてまえを考えております。したがって、そのような条件の満たされない港にはもちろんはいれませんが、そういう条件が満たされるところでございましたら、原則としては、どんな開港にもはいれるということで考えております。  ただ、当初、たとえばサバンナが最初に入ってきますときに、どういたしますかというようなことになりますと、わが国の水域へ立ち入るについての許可を申請してまいります。その申請してまいりましたものを安全審査しまして、その際には、当然どこかの特定の港も一応あげてまいると思いますが、そういった港についての条件というようなものを付して許可するということは、当然考えられるところでございます。
  119. 石田次男

    ○石田次男君 これについては、アメリカの事故例と、それから日本のしょっちゅう出てくる衝突事件の件数と、それらをにらみ合わせて、慎重に取り扱うべき問題だと思うのですよ。アメリカのやつは、あれくらい自由な国ですけれども原子力潜水艦の事故については、やはりニュースソースも押えてしまえば、ネットも押えてしまえばということで、広がらぬようにしておりますね。スレッシャーの沈没等、あれは沈没ですから問題ないのですけれども、ハワイで大騒ぎしたらしいですね。みんな伏せておりますよ。ハワイでぶつけていますものね。それも、きょうは、資料を持ってくればよかったのですが、忙しかったものだから、向こうの委員会かけ持ちで、持ってきておりませんけれども、これは、はっきり資料があります。アメリカの原潜の衝突事故、その他放射能の漏れた事故というのは、非常に多い。しかも外国でやらずに——外国ではそんなひまはないのです。自国内の特定の地域でやっております。  一面、今度は日本のほうを考えてみますと、しょっちゅう事故の多いのは瀬戸内海です。瀬戸内海航行の日本船同士のやつもあるし、日本船と外国船のやつもあるし、新聞に出てきて、ああだこうだというのは、みんなこの瀬戸内海が多いですね。こういう船というものは、船の構造自体からは、ひっくり返るものでありませんし、沈むものでもありません。その点は絶対安全だと思うんですよ。また、原子力の始動時における排水のいわゆる放射能の許容量の問題、これも私は現在の技術の上では問題にならないと思う。これが問題になるくらいでしたら、原子力潜水艦の乗組員はみんな死んでおりますものね。そういう観点からいって、わが国ででき上がる観測船の排水の問題自身も、私は、千万というか、万々にもあり得ないと思いますが、一番心配なのは衝突です。その意味で、観測船ですから、当然自分たちの最寄りの港というのは、いま観測船はほとんどきまっておりますから、その範囲以上に歩くものではないと思いますけれども、いわゆるそういった航行の頻度の多いところ、うんと船が通るところ、事故が多発する地帯、あるいは海難の状況の統計資料から見て多発地帯、そういうところは当然通さない航路の上の配慮と、それから立ち寄る港、これに対する配慮というものは万般になされなければならぬと思う。その意味で、どこまで研究して、どういう考え方が固まってきているかを、現段階の政府の見解を、はっきり伺っておきたい。こいつがぶつかって、原子炉でもぶっこわれたら、たいへんだ。
  120. 村田浩

    政府委員村田浩君) 原子力船そのものを安全につくりましても、これが衝突その他海難事故でこわれるというようなことがあっては困る、この点は、まことにそのとおりだと思います。それで、そのような衝突あるいは海難事故をできるだけ避けるように措置する必要があるわけでございますが、本改正法案にもございますように、ある港に入る、一定の港に入るという場合には、実際に入ります二カ月前に、その船がいついつ、どのような航路を通って、どのような安全上の準備をして入るかということを総理大臣に届けさせるわけでございます。
  121. 石田次男

    ○石田次男君 それはわかっております。
  122. 村田浩

    政府委員村田浩君) その際に必要な基準を十分検討して運輸大臣に通知し、運輸大臣は、さらに海上保安庁長官から港長等に必要な通知を、先方に伝えるだけでなくて、その特定の港について、周辺を含め、原子力船運航上とらせるべき安全の措置を十分に措置する、こういうようなふうにいたしましたのも、あらゆる場合を通じて、衝突あるいは海難事故ということが起こらないようにやってまいりたい、こういう趣旨なのでございまして、これにつきましては、運輸省とも十分協力しまして慎重に措置をやってやります。御心配のようなことはないと、こう考えております。
  123. 石田次男

    ○石田次男君 これは、私の理解の間違いでなければいいと思うのですがね、二カ月前にどこへ立ち寄るか、どんなコースでその港へ来るか、それを届け出る。それに従って万般の万全の措置を整えて待っているのだ、こういうようなふうに私には聞こえるわけです。私が言っているのはそうじゃなくて、ここは通ってもいい、ここは通ってはならぬ、この港は入れない、この港は使用してよろしい、そういう区分をする必要があるのじゃないか——あるのじゃないかじゃなくて、私ども意見によると、それが一番必要なんだ、こう申し上げているわけなんです。それについての御意見を聞きたい。
  124. 村田浩

    政府委員村田浩君) その点につきましては、国内原子力船につきましては、設置の許可、それから外国原子力船につきましては、今度改正法案の第二十三条の二によりまして、わが国の水域への立ち入りの許可の申請が来ましたときに、その点につきまして必要事項を条件として付しまして、そうして許可するということによって、十分な規制はできるのじゃないかと考えております。
  125. 石田次男

    ○石田次男君 必要事項をこっちから指示するというわけですね、つまり、ここの航路を通って、こう入って来いと、こういうふうに具体的に指示するという意味ですね。
  126. 村田浩

    政府委員村田浩君) そのような必要がありますれば、当然そういう……
  127. 石田次男

    ○石田次男君 そこなんです、私の言っているのは。必要がありますれば、という前提でお答えになっておりますがね。その必要があるかないかの議論をしている。「ありますれば」じゃなくて、たとえば、さっきも言った話の繰り返しですけれども、わが国の船があちこち歩いても、そう大がかりな事故を起こしたことはそうないのです。ところが、外国船との衝突があるのです。こっちはまともなんです。向こうがまともでないのです。それから、そういった、主とし外国船を中心とする事故は瀬戸内海が多いのですね。端的な例でもって言えば、こういう危険性のあるものは、万一の場合の被害の及ぶ範囲等考えれば、具体的に例をあげれば瀬戸内海は通さぬとか、ここの港はどうもいろいろな航路がからみ合っているからここは入れないとか、逆に言えば、こっちのほうには入れるとか、そういうことを聞いているのですよ。それを研究し、それを法的な立場から決定をして、こっちが主導権を持って原子力船の航行についての管理を強固にする、その必要があるのじゃないかと申し上げている。
  128. 村田浩

    政府委員村田浩君) 原子力船の事故というものにつきまして、私ども考え方を少し申し上げておくほうがよろしいかと思うのですが、原子力委員会で、現在原子力船の安全基準部会を設けまして、ここで原子力船の安全をどのようにして確保していくかということを専門的に御検討願っておりますが、こういう基準でございます。この考え方の基本は、当該原子力船の周囲一定の距離、この区域は、まあいわば立ち入り禁止といいましょうか、……
  129. 石田次男

    ○石田次男君 それがいけないのだよ。
  130. 村田浩

    政府委員村田浩君) 管理区域ということを考え、その外側にさらに低人口区域と申しましょうか、そういうある一定の半径のものを考え、そうしてさらにその外側に、まあ人口の集中地がございますと、そこまでの距離がどのくらいかという点を考えまして、この中に原子炉の施設を、万々一の事故の際に、公衆の安全を守るために隔離していくという考え方が基本にありまして、この点は、アメリカ原子力船につきましても同様でございます。わが国の陸上炉におきましても同様でございます。  そこで、サバンナ号ならサバンナ号の場合に、常識では考えられないようなケースが起こって、そうして原子炉の事故が起こったとしますときに、どのようにどの程度の放射能が出るかということが、これはサバンナ号でございますと、安全説明書の中に事故解析として出ているわけでございますが、そういう点を、またわがほうの専門家の間で十分検討してもらいまして、それがまず大体この程度であるということになりますと、それに対応して、ただいま申しました、とるべき管理区域の半径、あるいは低人口区域の半径というものが入ってくるわけであります。その入って来ます距離に対応して、船の通るべき航路、あるいは入港しまして港へ停泊すべき地点等がきまってくる、あるいはきめてくる。たとえば、瀬戸内海のような場合におきましても、そういった点から検討して、だいじょうぶかということをチェックいたしますが、さらに衝突事故等を避けますためには、先ほど申し落としましたけれども原子力船に対しては、特定の区域に対しては必ず水先案内を強制的につけさせる、こういうような措置をとるようにいたしておるのでございます。
  131. 石田次男

    ○石田次男君 それを実際に適用すれば、この航路は通さぬ、この港は入れないと、具体的にそういうふうになるかならぬか、そういうふうな点はどうです。
  132. 村田浩

    政府委員村田浩君) それは、先ほど来申し上げておりますように、たとえばサバンナで申しますと、サバンナの申請書が来まして、その中にあらゆる技術的資料並びに運航上の問題、事故解析等の資料がつまびらかになります。それを審査いたしますときに、はっきりしてまいる、はっきりしてまいりましたときに、通路の禁止とか、あるいは特定の港への入港禁止とかいうことが出てまいりますれば、それは許可の際の条件として指示いたす、こういう手順を考えております。
  133. 石田次男

    ○石田次男君 公海自由の原則等から照らして、そちらの答弁の出てくる理由もわかるのですが、私は、原子力船に限っては、港と航路を厳重に指定してしまって、——それは船の大小にもよりますけれども、大小によるといっても、原子力船でべらぼうに小さい船というのは事実上あり得ない。大体型の大きさはさまってくるのですよ。いかに原子力船といえども、八万トン、十万トンなんていうマンモスタンカー級のものがむやみにできるとも考えられない。世界一律に、ほとんど大きさのワクというものはきまるのですよ、実際問題としては。したがって、それらの船についての一隻一隻の状況についてどうこうという判断は、これは全然机上の空論で、むだな話ですよ。むしろ、それよりも大局的に、大きさの大体の見当はつくわけですから、ここには入れない、ここは、逆に言えば原子力専用港だと、ほかの船も入れるけれども——そういうふうな港を設定する必要があるのじゃないかと思うのです。特に地形からいっても、東京湾みたいなところは、どの地点でどういうふうにぶつかってみたところで、東京湾は袋ですから……。大阪でも同じですよ。大阪府と淡路島、四国、これにくるっと取り囲まれた袋です。そういうふうに、地図の網がはっきり出てくるところもあるし、事実、海難事故が起こるのは袋の中が多いわけですよ。そういうところには入れない——むしろはっきりと、わが国自身が、外国に遠慮する必要なしに主導権を持ってきめるべきだと思うのですよ。その考えは政府としてはお持ちにならないのかどうか。これはどうも局長とやっていてはしようがない。大臣にお聞きしたい。
  134. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 今度の原子力船出入港の問題については、御承知のように、SOLAS条約が基本になっておるわけでありまして、これはやっぱり先ほどお話がありました公海自由の原則ということには特段の例外を設けておる条約ではございませんので、それはやっぱり基本にして考えざるを得ない。そこで、法律案そのものの上においては、原子力船については、航路を指定するとか、特定の港だけを指定するとかということは書いてございませんけれども、届け出にかからしめる、安全審査に、日本法律によってかからしめるということになっておりますから、実際問題として、先ほど来お話がありますように、外国原子力船もきわめて隻数は現在のところ少ないわけでございますし、それからSOLAS条約に加盟している友好国間の問題がございますから、実際問題としては、ここを通っては困る、この港に入っては困るということが確保できる、またさように運営したほうがよろしい、こういう考え方においては御指摘の御心配の点に私も御同感でございます。
  135. 石田次男

    ○石田次男君 この問題は、締めくくりとして念を押しておきますが、政府は、いまるると申し上げた私の論点のよってくるところ、それについては、全面的に賛意はいただけるのですね、この際。
  136. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは、こまかく言えば、いろいろ限度の問題もございましょうし、多少見方の相違もあろうと思いますけれども、しかし、何ぶんにも原子力船というものはきわめて新しいものであるし、推進力である原子炉については、何といってもまだ、ほかのエネルギーを使って推進するのと違いますから、そうしてことに日本の場合は、特に原子力というものについては、国民的な不幸な経験からいって、十二分に配慮しなければならないと思いますから、そういうお気持ちにおいては、私は全く御同感でございますから、そういうことを念頭に置いて、政府として十二分に配慮すべきものである、そうしてまた、その配慮によって、外国との間の話し合い——場合によれば話し合いの問題もあろうかと思いますが、十分そこは気をつけてまいりたいと思います。   〔理事光村甚助君退席、理事瀬谷英行君着席〕
  137. 石田次男

    ○石田次男君 その点については了解いたしました。次に移ります。  実は、この法案をずっと見て、この法案自体は相当に研究もされ、その研究の範囲で整足したものだということは私は認めるわけです。ところが、安保条約からいって、原子力潜水艦は、これには一つもひっかからぬわけですよ。現実問題としては、いま日本で船一隻つくる。二隻目はいつできるかわかりませんよ。いま世界をのし歩いているのは、レーニン号とサバンナ号で、レーニン号はまず来ない。サバンナ号は何年に一回は来るかもしれない。こういうことです。その半面、原子力潜水艦のほうは年じゅう来るわけですよ、政府のほうで許可してしまったから。そうすると、現在の時点及びあと五年、六年のところでいえば、実はこれが無意味になうてくるのじゃないか、こう思うのですけれども、この点の矛盾はどうなさいますか。
  138. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まず第一は、原子力潜水艦については、安保条約ということをお述べになりましたけれども、これは安保条約以前の問題として、軍艦であるというところに特殊性があって、これは国際法上あるいは国際慣行上、どの国もお互いに安全審査を現実になし得ないというところに、実は非常にむずかしい前提があるわけでございます。しかし、われわれとしては、率直に申しまして、この法律案をこの国会に提案いたしますときにも、ずいぶん考えたわけでございます。いま御指摘のとおり、実際そう大した意味はないじゃないか、あるいは一方に原子力潜水艦寄港を認めておりながら、こういうこまかい法律をつくるということは、何かこう、無意味ではないかというような、いまお話もございました。それも私は理解ができるのです。しかし、冒頭から、本日お述べになりましたように、われわれとしては、本来原子力の利用は平和目的に限定すべきものである、そうしてなし得る限りの誠実な努力をし、また早目にであっても、あるいは多少現在においては意味が薄いと思われるものであっても、やはりサバンナ号というようなものが、いつかはわかりませんが、近い将来に来る、あるいは日本原子力船が遠からざる機会にできる、こういう環境においては、SOLAS条約は五月から発効するのだから、この際はやっぱり誠実に、考え得る状態のもとにおいて、しかもなし得る限りの誠実な努力はすべきであると、かように私ども考えて、この法案を提出をいたしたようなわけでございますので、お述べになるお気持ちは私は非常によく理解できるような気がいたします。同時に、私どもの気持ちも御理解をいただきたいと思います。
  139. 石田次男

    ○石田次男君 長官のおっしゃることは、実は伺う前からわかっているわけですよ。確かに平和利用の観点から、いま日本の国でも船をつくるという観点からいって、確かにこの法律は必要なものであることはわかる。ところがあなた方、大臣も認めていらっしゃるように、原子力潜水艦と矛盾が起こる。実際に船自体は、原子力潜水艦寄港をしている。これは安保条約以前の問題だとおっしゃいましたが、私はやはり、あえてそうおっしゃるならば、そうおっしゃったことに対しての論法があるわけです。しかし、文部大臣、科学技術庁長官のあなたを相手に原潜論争を、場所違いですから、きょうやる気はないのですけれども一つだけやってみれば、はたしてこれは安保以前の問題ですか。ということは、いまアメリカ原子力潜水艦が、核弾頭を積まない原子力潜水艦はありますか。
  140. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私が安保条約以前と言ったのは、かりに、ということを前提にしてでありますが、ほかの国のかりに原子力潜水艦というものがあったとして、非常にそこと日本との間が友好関係であって、向こうが寄港させてくれといった場合に、昨年八月にアメリカに対してとったと同じような措置をとってだいじょうぶだということであれば、これはやはり日本としては認める場合があろうかと思います。それは要するに、原子力潜水艦軍艦であるから現実に安全審査ができないという点においては私も同じだと考えますので、それは、安保条約以前の問題というのは言い方がまずかったかもしれませんが、別個にこれは考なえければならない。要するに、軍艦であるというところに一つの制約を受けているということを申し上げたかったわけであります。  それから、核弾頭を持たざる原子力潜水艦があるかどうかということについては、これは、いまお話がありましたように、私からお答えするのは不適当かと思いますけれども、それはいわゆる核弾頭をつけ得るものばかりであるけれども、それをはずしてくる場合においては、いわゆる核武装ということにはならない。核武装をしていると認める場合においては、これは当然拒否すべきものであると考えているのであります。
  141. 石田次男

    ○石田次男君 この問題は、どうも大臣とやる気はないのですが、じゃ、もう一歩だけ進めておきますよ。これはもう、るると繰り返されている問題だと思うのです。現在の原子力潜水艦というものが、ポラリスにせよ、ノーテラスにせよ、何を目的にして建造されているものか、何を目的にして作戦行動に従事しているものか、何を目的として現実に世界を航海しているか、これを考えれば、核武装せざる原子力潜水艦というものは、刀を持たざる日本の武士ですよ。大小ささずに戦場に出ていく日本の関東武士じゃないですか。その点については論争をきょうはしませんけれども、あくまでその点を表面的理由として言い続けていられる政府のばかばかしさだけはひとつ指摘しておきたいと思います。  次に移ります。  この本文の三十八条では、いろいろな罰則みたようなことがありますよね。いろいろな問題が出ておりますが、いわゆる危険防止の条項です。これに関連して、こういうことは万一あり得ないと言うかもしらぬが、場合によってあり得ないことはないので、念のために伺いたいんですが、この原子力船を破壊しようと意図し、行動するものが出てきた場合の罰則は、これは一体どうなりますか。
  142. 村田浩

    政府委員村田浩君) 原子力船原子炉に限らず、あらゆる原子炉国内で持ち、これを動かすにあたりましては、御案内のとおり、非常に種々の規制がございます。たとえば、原子炉のある場所にみだりに人を入れないように原子炉技術者の監督下に置かれるとか、いろいろございます。何人も、関係の人がそこに立ち入って原子炉を破壊するというようなことは、常識的に考えられないことでございますが、仮定の問題としまして、このようなことをする者がありました場合に、法律的にはどのように処置するか、こういう御趣旨と思いますが、この原子炉規制法には、原子炉の解体の場合の三十八条があるわけであります。原子炉を含むあらゆる放射線の発生装置、放射線の出てくるような施設、こういったものをみだりに手を加えてそれをこわす、そのために一般の人に迷惑をかける、こういうふうな点に関連しましては、同じく私どものほうで扱っております、所管しております放射線障害防止法の中で、第五十一条にそのような罰則規定がございます。それによりますと、最高十年の懲役刑を科することができることに相なっております。
  143. 石田次男

    ○石田次男君 その点はわかりました。  一番最後ですが、同じことを表現を変えたようにも思うんですが、第三十六条の二の3のずっとうしろのほう、この法律案のページでいくと、七ページの四行目です。「第三十九条第一項中「原子炉を設置した船舶」を「原子力船」に改め、同条第二項中「船舶で原子炉を設置したもの」を「原子力船」に改め、同条第五項中「原子炉を設置した船舶」を「原子力船」に改める。」、こういうふうになっておりますが、この意図はどういうわけですか。内容的には同じように見えるんです。
  144. 村田浩

    政府委員村田浩君) これは、今回の改正によりまして、第二十三条の二第一項で「原子力船」というものを定義いたしました。従来は「原子炉を設置した船舶」、こういう言い方をしておったわけでありますが、今回の改正で二十三条の二を加えました際に、それを「(以下「原子力船」という。)」というふうにいたしましたので、それに伴って、この条文におきましても、「原子力船」というふうに読みかえるようにしたわけでございます。これだけの趣旨でございます。
  145. 石田次男

    ○石田次男君 いまのお答えですと、原子力船をつくるから、単にそれだけの意味だとおっしゃいますが、これは逆戻りして、「原子炉を設置した船舶」となると、いろいろなものが出てくる。原子力潜水艦とか、その配慮じゃありませんか。
  146. 村田浩

    政府委員村田浩君) そういう意図ではございません。法律上、一応新たに設けました第二十三条の二第一項でこのような定義をしておりますので読みかえる、こういうことでございます。
  147. 石田次男

    ○石田次男君 軍艦というものを念頭に置かなければ、何で改める必要があったのですか。
  148. 村田浩

    政府委員村田浩君) 第二十三条の二は、先ほど来話がございましたように、SOLAS条約の発効に伴いまして、外国原子力船のわが国水域への立ち入りの許可に関連して新たに設けたわけでありますが、それに関連して、従来は原子力船というものは国内だけに考えていた。しかし、外国原子力船寄港するというような事態になりましたので、その必要性から、新たに条文を起こして、そういう関係のことばが、あとの条文にも多々出てくる。最初に出てきました二十三条の二のところで「原子力船」ということばを使いました。それを、以下の条文で読みかえるようにした、これだけのことでございます。
  149. 石田次男

    ○石田次男君 三十九条、ちょっと読んで見てください。
  150. 村田浩

    政府委員村田浩君) 三十九条は、原子炉の譲り受け等に関する規定でありまして、「日本原子力研究所又は原子炉設置者からその設置した原子炉又は原子炉を含む一体としての施設(原子炉を設置した船舶を含む。以下第四項において同じ。)を譲り受けようとする者は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。」
  151. 石田次男

    ○石田次男君 それ一項ですか。
  152. 村田浩

    政府委員村田浩君) 「ただし、日本原子力研究所が原子炉設置者からその設置した原子炉又は原子炉を含む一体としての施設を譲り受ける場合は、この限りでない。」
  153. 石田次男

    ○石田次男君 質問は以上です。
  154. 瀬谷英行

    理事(瀬谷英行君) 本案に対する質疑は、本日のところ、この程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十二分散会