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1965-05-13 第48回国会 参議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十三日(木曜日)    午前十一時十八分開会     —————————————    委員異動 五月十二日     辞任         補欠選任      和田 鶴一君     上林 忠次君 五月十三日     辞任         補欠選任      大倉 精一君     加瀬  完君      岡  三郎君     柳岡 秋夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松平 勇雄君     理 事                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 前田佳都男君     委 員                 加賀山之雄君                 河野 謙三君                 木暮武太夫君                 平島 敏夫君                 松野 孝一君                 相澤 重明君                 加瀬  完君                 柳岡 秋夫君                 浅井  亨君                 中村 正雄君    国務大臣        運 輸 大 臣  松浦周太郎君    政府委員        運輸政務次官   大久保武雄君        運輸大臣官房長  堀  武夫君        運輸省航空局長  栃内 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    法制局側        法 制 局 長  今枝 常男君    説明員        建設省河川局次        長        国宗 正義君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○新東京国際空港公団法案内閣提出衆議院送  付)     —————————————
  2. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ただいまから委員会を開会いたします。初めに、委員異動について報告いたします。五月十二日付をもって、委員和田鶴一君が辞任し、その補欠として上林忠次君が選任され、また本日付をもって、委員大倉精一君及び岡三郎君が辞任し、その補欠として加瀬完君及び柳岡秋夫君が選任されました。     —————————————
  3. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 新東京国際空港公団法案を議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  4. 相澤重明

    相澤重明君 前回資料要求しておきました資料が手元に参りましたので、説明を先に願いたい。
  5. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 前回委員会で御要求資料をお届けいたしましたが、若干御説明申し上げます。国連加盟国百十四カ国がございますが、現在まで調査いたしましたのがここにございます表でございます。これに分類いたしましたのは、アジア、それから二枚目はヨーロッパ、三枚目もヨーロッパでございます。四枚目が米州、それから最後のページがその他ということになっております。それから、国のほかに、一国で多数の空港を有するところもございますので、都市名をあげました。それから、空港名としまして特別に呼称しているものにつきましては、参考までにあげておるという意味でございます。それから、主として御質問経営形態がどうなっているかということで、国営公営特殊法人、こういうことに分けてございます。それから、特殊法人と申しますのは、いろいろな形態がございますが、いずれにしましても政府なりあるいは地方公共団体等の出資によるものが大部分でございます。それから、念のために申し上げますと、この調査では、四十九カ国につきまして、空港は百二十三ということになっております。それから経営形態別に申しますと、国営が七十六、公営が二十一、特殊法人二十六、こういうようなことになっております。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 国連加盟の百二十数カ国の中で、半分までまだ調査がいっていないわけですね。しかし、その四十九カ国のいまの御説明の中でも、国営というのが七十六あるわけで、三十九カ国ですか、そういうことで、国営というのが非常に多いということはこの資料では明らかですね。このほかのはいつごろ資料ができますか。
  7. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) このほかもいま調査をしておりますけれども、現在私どものほうでこれを調べましたのは、既存の資料、それから東京にあります在外公館あるいは日本航空の支店の所在地のものにつきましてはすぐわかりますが、そういうものにつきまして調べましたので、このほかの諸国につきましては外務省を通じて調査するということになると思います。もちろん、若干の追加で御報告できるものはあると思いますが、全体につきまして調べます場合には相当の日数を要する、かように考えております。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 来週の火曜日あたりまでには調査できませんか。
  9. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 現在から在外公館に手配しましても、来週の火曜日にはちょっと間に合いかねるのではないか、かように考えております。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、資料としてはまず来週一ぱいくらいかかる。そうすると、この十九日の会期末までにはちょっと資料はそろわぬ、こういうことですな。
  11. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) その点は、外務省を通じまして、できるだけ努力するつもりでございますが、在外公館から折り返しどういう返事があるかという点まではちょっとここで申し上げかねます。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 前回の私が質疑の中で、なぜ公団をとらねばならなかったかという説明大臣局長から受けた。それでは国際的にはどうなんだろう、そういう中で、国連加盟の国だけでもそういう実情はどうか、こういう資料提出を求めておる。したがって、資料が整わないようなことでは、この法律案提案をする趣旨に不十分な点があるので、資料が全部届いてから審議をしてもおそくはない、そういうことで、資料が整わないなら、整うまで委員長待ったらどうですか。それも、在外公館に電報で照会するなり、外務省で照会するなりして、いずれにしても、日本政府提案をするものが、国際空港という名にふさわしい性格なり目的なりをもって、しかも、この前も申し上げたように、日本アジアの中の中心国である。世界の中でもおそらく経済成長についてもおくれをとっていないという大国主義は、お互い政府の中では是認しておるわけですからね。その是認をしておる国が、いま新東京国際空港をつくるのに、各国に全く劣ったようなものであっては、これは困るわけです。そういう意味で、これは佐藤内閣総理大臣にも御出席をいただいて、そういう資料のもとにやはり審議を尽くす、こういうことはきわめて大事なことでありますから、佐藤内閣総理大臣の御出席方とその資料提出を待って審議をする、いかがでしょう。
  13. 江藤智

    江藤智君 関連。私、相澤委員の御意見も一応ごもっともだとは思いますけれども、ここに載っております空港というのは、大体国際空港としての主要な空港は網羅されておると思います。国際連合加盟国というのはアフリカあたりに非常にたくさんございますけれども、現在の実情を見ますというと、国際空港の要点としての空港というようなものはきわめて少ない。でございますから、この新東京国際空港検討する資料としては、大体ここに出ておる各国主要空港見当がつくんじゃないか、こういう気がいたしますから、審議促進上、できるだけ資料資料として集めていただきますけれども、それまで待たないでやはり、審議を進めていただいてしかるべきじゃないか、かように議事進行上の意見を申し上げておきます。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 いまの江藤君の御意見も、与党としての立場ではごもっともと思う。しかし野党は、この法律提案をされて、それで提案されてから初めて審議を開始するわけでありますから、つくったものと提案されてから、審議をするものとの違いはあるわけです。したがって、やはり国際空港にふさわしい私どももつくるなら空港をつくってもらうということに賛成なんでありますから、反対しておるんじゃありませんから、そういう意味で、最もよいものを、しかも国際的にもそういうレベルの中で、われわれがお互いにこれはこういう方向でいこうと納得する、そういう御説明をいただくには、やっぱり資料提出してもらうということはきわめて私どもとしては必要だと、こう思うわけです。まあつかみでもって、どんぶり勘定で、これだけかかってこういうふうにやるんだと言われても、中身がなくてふろしきで包んだままでは審議はできないわけです。そういう意味資料要求を申し上げたのでありますが、政府の御答弁ですと、来週の火曜日もどうもほとんどむずかしいというような御答弁ですから、大多数がそろうというんなら私はけっこうだと思うんですがね、これは四十九カ国ですから半数以下なんです。半数以下では、決して、国際連合の舞台の中で、われわれがこの資料だけで十分とは言い切れないと思うんですよ。そういう意味で、私は資料をもとに、ひとつお互い意見交換をし審議を尽くしていく、こういう考え方でもって前回資料要求したわけでありますから、同時に、そういう資料に基づいて、各国の例を参考にしながら、やはり佐藤内閣総理大臣のそういう考え方というものもやはり聞いておく必要があると思う。前回申し上げたように、松浦運輸大臣河野国務大臣との意見の違いもあるわけですからね。それは新聞発表だったけれども、まあいまは閣内は意見を統一をしておると思うし、佐藤総理もそのくらいの実力は持っておると思うけれども、しかしこれは聞いてみなければわからぬことだからね。そういう意味で、やはり御出席いただいて、政府の腹がまえというものを聞く。それで、直接の担当者である運輸大臣が、この法律が通ったならば一週間以内に土地をきめると、候補地をきめると、こういうことを言われておったわけでありますから、私はそれを信頼したいと思うのです。大臣言明を私は信頼したい。信頼したいからこそ、政府の意図というものもやはりここではっきりさせてもらいたい、こう思うので、ひとつ資料と同時に、佐藤総理大臣出席方要求をいたしておきたい。これは要求でありますから、総理大臣がいつ御出席になるか、それによっては審議の日程も促進ができるし、おくれる場合もある。これは一にかかって政府責任でありますからね。まあそういうことで、これは委員長理事、特に与党理事さんに委員長とひとつ御相談を願って取り扱い方をおきめいただきたい。以上、動議として提案いたします。
  15. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ただいまの相澤委員動議といいますか、理事会協議いたすことにいたします。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 いま資料要求をしたところがそういう状態だから、それならばなおさら政府全体の責任者である内閣総理大臣出席を求めるというのは、これはやはり動議になりますか……。
  17. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ただいまの動議は、理事会でおはかりすることにいたしますから、よろしゅうございますか。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 それではそれは後刻の理事会で……。
  19. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) さよう決しまして、質疑を進行いたします。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 法制局はいらしておりましょうか。——じゃ、先に運輸省に伺いますが、昨日の読売新聞によりますと、法案成立をすれば、いま相澤委員の御指摘のように、数日のうちに位置をきめると大臣お答えになっているように出ておるのでございますが、法案成立すれば、二、三日のうちに位置決定するように、具体的な取り運びは進んでおるのでございますか。
  21. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 法案の御審議、御可決をいただきましたならば、早急に位置決定をいたす手配をいたしております。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 早急に法案成立をすれば位置がきまるということは、相当具体的にその手続が運んでおると考えてよろしいわけですね。
  23. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 御承知のように航空審議会の御答申もいただいておりまするし、政府はこの御答申を尊重して位置決定いたしたいという考えも持っておりますので、これは政令できめることになるわけでございますが、まあ手続に従いまして早急に決定いたしたいと考えております。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 なお大臣の御説明として、決定される位置は、佐藤総理河野国務大臣も賛成している、こういう御説明でございますが、そこまで位置は運んでおるわけですね、そう了解してよろしゅうございますね。
  25. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) いまお答え申し上げましたように、閣僚懇談会が設けられておりまするし、また法的手続によりますると、政令で定まるわけでございまするから、総理御主宰のもとに決定するということであります。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 衆議院審議段階での質疑では、政令できめますけれども政令できめますその前段においては、いろいろの手続が行なわれるという御説明があるわけですね。政令できめれば一方的にきまるわけでございますけれども、そういうきめ方をして、はたして空港ができるかどうかということは、これは衆議院においても一時問題となり、また本院においても繰り返し論じられたところでございます。したがいまして、大臣の御説明の中に、法案成立後数日できまるということであれば、しかもそれは総理大臣も、担当であります河野国務大臣も了解をしているということであれば、政府においては大体位置はここで、しかも事務的手続はもう済んでいる、こういう段階になっておらなければ、こういう言明はできないですね。そう取り運んでおるのですか。
  27. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 閣僚懇談会におきましても、相当長い間各方面から御審議を続けられておられますことでもございまするし、航空審議会答申を尊重して位置を定めるということでございましたならば、総理の主宰される政令決定閣議におきましてこれが定まるということは、これは御審議をいただきました後、早急に決定可能であると考えておる次第でございます。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 それでは具体的に伺いますが、四月一日に関係各省次官会議が行なわれまして、そこである程度の結論が出たと伝えられておりますけれども、この次官会議における論議問題点、それから一応結論方向、これはどういうことですか。
  29. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 次官会議におきましては、航空審議会の御答申基礎にいたしまして、いろいろな長所欠点のデータを持ち寄りまして協議はいたしておりますけれども、まだどちらという結論を、次官会議で出しておるわけではございません。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 事務当局の間で意見がまとまらないものが、結局公団法案成立すれば数日で位置決定できるということは、もっとトップレベル関係閣僚会議決定をされておる、そういうことですか。
  31. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 御承知のように、航空審議会答申内容といたしましては、富里地区が最適であろう、しかし、百里基地との調整が可能ならば霞ケ浦地区も適当である。かような御答申でございまして、もちろんこれに付帯する各般の基礎的条件検討の上、さような御答申をいただいておる次第でございます。また事務次官会議におきましても、それをさらに掘り下げまして、これらの点を検討いたしております次第でございますから、その大まかな筋といたしましては富里地区百里基地との調整が可能ならば霞ケ浦、かようなことでございますから、おのずから閣議において処断することの可能な時期が到来する、かように考えております。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 いままでそんな説明はございません。運輸大臣予算委員会分科会で私の質問に答えられましたのは、富里霞ケ浦で、百里基地調整なんということはありません。第三のところも考えられる、いずれともいまきめかねるのだ、こういう話でありました。そこで、法案成立後数日中にきまるというのであるならば、それら第一案、第二案、あるいは第三案、そういうものが相当煮詰まっておらなければ、いまおっしゃったような御答弁はできないわけですね。
  33. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 閣僚懇談会でいろいろ協議をいたします過程におきまして、第三の位置ということも登場して協議をいただきました経過はございます。しかしながら、運輸省方針はどうか、主管省としての方針はどうかという御質問に対しましては、一貫いたしまして航空審議会の御答申を尊重して決定いたしたい、かようにお答えをいたしてまいっております次第でございます。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 私は運輸省意見を聞いておりませんよ。この新空港位置について関係閣僚会議決定をするということになっておるでしょう。したがいまして、運輸省意見はたびたび伺っておるわけですから、その関係閣僚会議結論が出て——大臣がいらっしゃいましたから、それでは大臣に伺います。新聞報道が真実かどうかは存じませんが、法案成立をすれば、間もなくこの位置決定する、昨日の読売新聞によりますと。大臣、私の質問を聞いてください。大臣のこのような御説明があったかどうかはわかりませんよ。しかし、新聞報道によりますと、この法案成立すれば、数日の間に位置決定する。こういう御説明のようでありますので、そうすると、相当もう位置決定ということについては、事務的な取り運びが進んでおるんじゃないか、それでその点どうだといま伺いまして、運輸省としては第一案富里百里基地との調整ができれば第二案霞ケ浦ということだと、こういう政務次官お答えでございますが、そういう話は何回も聞いておるわけでございますから、それから具体的に関係閣僚会議で、この位置決定ということについては、どういう取り運びが行なわれたか。大臣からこういう御説明があったとすれば、これは相当話は進んでいるんじゃないか、進んでいらっしゃいますかどうかということを押し返して聞いておったわけです。この点はどうですか。
  35. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) これはこの間相澤さんの御質問にもお答えいたしましたのですが、池田内閣の終わりにできたこれは関係閣僚懇談会というものであります。それを佐藤内閣も継承いたしました。それの座長、つまり委員長というのじゃなくて、会をスムーズに行なうというための便宜上の座長というのが、河野国務大臣であります。そこでいろいろ何回もやりましたが、いつまでもこういうことをやっておったんでは進まぬ、だからこの際方針をきめようじゃないかということになったわけであります。それは三つ方針をきめました。一つ方針は、三月二十九日のであります。新東京国際空港設置については、諸般の情勢から見て富里のほか埋め立て地検討も必要と認められる。二、東京湾霞ケ浦等候補地についても関係事務次官会議において検討の上、早急に調査を実施すること。三、東京周辺米軍使用飛行場利用等について、外交ルートを通じて早急に打診を行なうこと。この三つをきめました。それで次官会議をしばしばやりまして、その次官会議三つ委員会をつくったのです。その三つ委員会でいろいろいたしまして、相当内容検討した結果、結論近くなっております。でありますから、あとの一回もやれば結論が出るという状況のところにきております。そのこまかしい内容は、始終出ております航空局長がおりますから、お聞きくださればいいですが、まだその局長の話の内容までここで発表することはどうかと思いますから、この程度でひとつ御了承願いたいと思います。
  36. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、本日あるいは昨日この新国際空港霞ケ浦決定するような報道もございましたし、それから早急に法案成立位置がきまる、こういう大臣お話もございましたが、昨晩のNHKを通しての橋本官房長官談話では、なかなか早急にはきめかねる、こういうお話が出たわけでございますが、これは一体どちらがほんとうなんですか。
  37. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) まず第一、きのうの新聞はどこが出したんだか私まだよくわからない。橋本さんはいろいろ選挙区の関係もあるしするものですから、霞ケ浦のことを中心に考えられたのであろうと思いますが、われわれのほうは富里霞ケ浦との関係をにらみ合わせてやることでありまして、霞ケ浦についての話だろうと思うのです。その橋本さんの言われたのは。しかし委員会のほうは、委員会というか、つまり次官会議のほうの三つに分けて検討しているほうは、相当終わりに近くなっておりますことを申し上げておるわけであります。
  38. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、終わりに近くなっておるということであれば、富里か、あるいは他の埋め立て地を求めるか、あるいは東京湾霞ケ浦——これは埋め立て地ということになりましょうか、の検討に基点を置くのか、あるいは米軍使用飛行場返還等関係で第三の候補地を求めるのか、こういう点はもう一回もやれば結論が出るということであれば、この三つの案のうちのどこにいくという大体見当はついておるわけですね。
  39. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) そこはちょっと申しかねます。
  40. 加瀬完

    加瀬完君 しかし橋本長官談話によりますと、きめかねておる、あるいはもっと検討しなければならない問題点があると、こうおっしゃる。いま大臣は、そのきめかねておるとか検討しなければならないという問題点は、霞ケ浦についてであろう。霞ケ浦はもっと検討しなければきめられないとすると、霞ケ浦ではないということですね。これからきめられるというところは。
  41. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 大局から見て、これは国民にも私は済まぬと思うんです。一体綾部運輸大臣のときにきめなければならぬ性質のものなんです。それがなぜならば、航空審議会答申を急がせたわけじゃありませんけれども年内にやってくれということで、十一月の終わりにやらしておいて、それで七月までいってもとうとうきまらなかった。また内閣も、池田内閣の末期にもきまらぬし、いまのままきて、また改造前にもきまらぬと、改造になってまた新しい連中が集まってがあがあやっていたら、ことしもきまらぬということになったら、実際おかしいものですよ。ここまで詰めてきたなら、せめて改造前の内閣がやるべきであるというのが、私の主張しているところなんです。
  42. 加瀬完

    加瀬完君 それは大臣のお立場ではそうでしょうね。しかし、きまらないのにはきまらないいろいろ原因がある。その結論も出さないで、その問題も解決しないできめたって、きめたことにはならないということにもなりますわね。そこで何回も閣僚会議もやっているし、次官議会もやっているわけですから、しかも、御説明によるとしぼった三つはさらに一つにしぼれるということですから、大体こっちの方向できめていくんだということをおっしゃっていただけば、また質問のしようもあります。おっしゃっていただいたらいかがですか。
  43. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) それにはいままだ最終結論を、関係閣僚懇談会答申するはずの次官会議が持ってこないものですから、相当煮詰まってはいるけれども、向こうが持ってこないうちに、この辺であろうとこっちが言うのはちょっとおかしいと思います。煮詰まっているから最終結論は持ってくるだろう、こう私は考えている。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、いままでたびたび論議をしたわけでございますが、運輸省の御説明では、航空審議会も同様でございますが、空の条件だけを問題にしているわけですね。しかし、地上の条件その他もろもろの条件というものは、あまり吟味をしておらない。私どもは空の条件だけではなくて、飛行場の建設については、こういう問題はこれは不適な条件だというものももっと吟味していただきたいという点をお願いをしておった。で、いろいろ問題も提起しておったわけですから、閣僚懇談会なり、次官会議なりでは、空港設置不適条件といいますか、こういうような点は空港設置の上には除いていかなければならない、あるいは不適当な問題だといったような点は、政府としては具体的に、その後検討をしていただいたのでしょうか。
  45. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 空ばかりじゃなくて、総合的な陸の問題、さらに、総合的な点については、終始一貫、専門的にこの局長がやっておりますから、局長からそういう点については、ひとつ御答弁させていただきたい。
  46. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) ただいま、航空審議会なり、あるいは運輸省は、空の問題を中心にして検討しておるというおことばでございますが、もちろん、航空局といたしまして飛行場を選定する場合には、空の問題を最も重視するということ、これは飛行機の安全あるいは能率ということ……。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 聞いたことだけ答えてください、そういう不適条件について検討したかどうか。
  48. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) その他のそういう点につきましても、もちろん検討しております。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 検討しておりますということであれば、検討の結果が出ておるわけですね。で、不適条件というものを、概括するとどういうようにおまとめになりましたか。
  50. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 不適条件と申しますと、いろいろあると思いますが、たとえば、気象上の問題とか、あるいは地盤の問題、その他周囲の立地条件というようなこと、あるいは東京都の都心からの距離というような点、いろいろな点で不適当なものは排除すべきであると、かように考えております。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 そんなくだらぬことばかり何回も何回も繰り返しているから、先に進まぬのです。それはみんな、空港をつくるという必須条件でしょう。直接問題です。もっと、住民の生活とか、あるいは、産業の形態とか、あるいは今後、空港ができて、そこで、空港が運転する場合の水の問題とか、あるいは交通の問題とか、いろいろあるでしょう。そういう点を十二分に検討して、少なくも、どなたか委員が御指摘になっておりましたようですが、これだけの戸数を移転するということは無理だとか、これだけの者を転職させるのが解決できなければ無理だとか、そういう具体的な問題というものを、運輸省みずからも検討をしてくれなければ困ると、これは、私はたびたび質問をしたわけです。いま具体的にということで、大臣の御指名で局長お答えになりましたが、それは、直接に空港の問題だけでしょう。野っ原や埋め立て地空港ができるならば、そういう問題も少ないかもしれませんけれども、一応、第一候補地になっている富里あるいは稲敷の台地ということになれば、これは当然、そこに住民もいれば、農業とか、工業とか、商業とか、営業の状態というものがあるわけでしょう。こういうものの対策を考えないで、空港位置だけをきめて、一体、空港ができるのか。そういう問題が一歩も前進をしておりませんから、私は聞いておるのです。  そこで、もっと具体的に聞きます。この閣僚懇談会は、運輸、建設、農林、大蔵、防衛、外務、自治、こういう大臣関係をしておるのだということでございますが、これはそのとおりですね。
  52. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) そのとおりでございます。
  53. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、関係次官会議というのも、この関係各省の次官がお集まりになって、いろいろ御相談をなさるということでございますね。
  54. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 関係次官会議には、関係閣僚の省の次官が集まります。それから特定の問題につきましては、関係の次官だけで相談をするということもございます。
  55. 加瀬完

    加瀬完君 それでは具体的に、霞ケ浦案、富里案について、関係各省次官会議で、いまの移転戸数の問題、生業保持の問題、あるいは水の問題、こういうことでどういう御見解が発表されましたか。具体的にひとつお聞かせをいただきたい。
  56. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 私は次官会議に直接出席しておりませんで、ときおり陪席するということでございますので、詳細にすべての次官会議の模様は存じませんが、富里村でございますと、ここに相当の営農者がおって、この立ちのき戸数という問題は、これもしばしば御説明しておりますように、航空写真によって調べますと、どの部分に飛行場を置きましても、大体千五百戸程度の戸数が数えられる、もちろん、世帯数としましてはそれ以下であるというふうに考えております。そういう点は報告もいたしました。  それから、霞ケ浦あるいは稲敷台地につきましては、やはり富里程度の人家があるという点、あるいは湖面というような問題につきましては、陸上に、かりに若干かけるということになれば、かなりの人家があるという点その他のことを御説明したことはございます。
  57. 加瀬完

    加瀬完君 富里案の場合、千三百戸——航空写真でそうだとおっしゃいますがね、千葉県なり地元町村は、具体的に足で歩いて調査をして、結局、三千三百戸なりあるいは四千何百戸なりと、こういう想定をしているわけです。しかし、どこに飛行場ができるという具体的な地図をお示しにならないわけですから、その出入りは若干ありましょうけれども、千三百戸だの千五百戸だのという数字は絶対にありませんよ。航空写真であなた方お調べになったというけれども、具体的に、どこの字には何戸あって、どこの小字には何戸あるということまでみんなわかっているわけですから、地元では、それを具体的に、大体、千葉県としては、面積から想定して、こういう位置になるのじゃないかということでかぶせてまいりますと、千三百戸なり千五百戸なりという数字は絶対ございません。これはあとで、私どもはもっと詳しく触れますから、ここでは省きます。
  58. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ちょっと、いま、補足します。航空写真は、家一軒一軒写るのです。それで、写った上に同じ縮尺の飛行場の形のものを乗っけるのです。それで勘定すれば、それは、三千戸と千五百戸という差はありません。あるいは、千五百戸と千三百戸の差は出るかもしれません、谷間にある家の勘定のしにくいところもありますから。だから、千五百戸、三千戸という差はない。
  59. 加瀬完

    加瀬完君 そんなことはないです。あなた方は、実際の空港の敷地になるぎりぎりのところでしか、はかっていないでしょう、七百万坪なら七百万坪で。しかし、危険区域もあれば、これは騒音のために立ちのかせなければならない地域というものもあるわけです。あなた方のほうは、具体的にいうならば、総武線の両側にある密集地帯というのは、一つも考えていないのでしょう。それから、この滑走路に予定される地域の延長上の民家が立ちのかなければならないということも、全然計算の中に入ってないでしょう。千五百戸なんかという数字じゃないです。しかし、これは具体的に、大字、小字のどこで何戸あるけれども、どこにどうかかるかということを一々聞きますから答えてください。  それで、問題を進めますが、とにもかくにも、閣僚会議結論というのは、これは全会一致という形できめていくということでございますね。
  60. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) そうです。
  61. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、まだ現在の時点では、位置がはっきりきまらないということは、各大臣意見が完全には一致しておらないということでございますね。
  62. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 次官会議の結果、報告になれば、完全一致すると思います。
  63. 加瀬完

    加瀬完君 だって、決定するのは、関係閣僚会議でおきめになるのでしょう。
  64. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 関係次官は、関係閣僚の意思を代表してきめていきますから、次官会議意見が一致すれば、大体一致すると……。
  65. 加瀬完

    加瀬完君 すると、いままで一致しておらなかったのは、どういうところですか。位置についてだれがどこの案、だれがどこの案ということで一致しないのですか。
  66. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 大体初めから一致しております。
  67. 加瀬完

    加瀬完君 新聞報道しかわれわれは見ることはできませんけれども、少なくとも河野さんのお考えと運輸大臣のお考えは違っておりましょう。この前の運輸大臣のときから河野さんとの御見解は若干隔たりがございましたね。いまは河野さんも航空審議会答申に賛成だということにおなりになったのですか。
  68. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) さっきの三月二十九日の閣議で三点をきめました。それはもう一致してきめたわけです。それがきまってくれば、もう一致になるわけであります。それまでに二、三べん議論したことはありますけれども、それからはもうきまっております。
  69. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、蒸し返して恐縮ですけれども、この三点に集約をされたといますか、航空審議会答申から見れば、答申に若干の変更を来たしたという形になりますね。たとえば第一案富里付近、第二案霞ケ浦付近というものでありましたものが、一応富里のほかにも埋め立て地を考える、あるいは東京湾あるいは霞ケ浦をも検討する、あるいはアメリカ使用の基地についての返還というような点も検討するということになれば、一、二案だけでまとまった航空審議会答申あるいは運輸省の考えておりました線というものは、若干こう幅が広がったといいますか、検討のワクが広がったと考えていいわけですね。
  70. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) そういうふうな解釈のしようもありますが、会議の問題でございますから、主張する意見も取り入れていこう。しかし大体押し詰めていけば、答申のところにいくという見通しのもとにやったわけでございます。
  71. 加瀬完

    加瀬完君 答申のところといいますと、結局富里霞ケ浦の埋め立てかということになるということですね。
  72. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) そうです。
  73. 加瀬完

    加瀬完君 どっちの方向にいっておりますか。
  74. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) そこのどっちにきめるかということを、きょうは言いかねます。
  75. 加瀬完

    加瀬完君 千三百戸なり、千五百戸かなんと言っているけれども、もっと多数私どもはあると申し上げておるわけでありますけれども、千三百戸か千五百戸かぐらいの移転ということは当然なことで、別に飛行場をつくる不適当な条件にはならないという解釈でございますか。
  76. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 私は、そんなことを言うのはおかしいのでありますが、百姓の子ですから、空からあのきれいな開拓地を見まして、しかも整然としてやっている。屋敷林を持ってやっている姿を見まして、そうした農村の人が土地を離すということは、自分の予供を失う以上の嘆きなもので、それだけの愛着心を持っておりますこの千五百戸の人を立ちのかせるということは、日本のダムとかあるいは飛行場とかいうものをつくったいままでの歴史上かつてないところでございます。これをやるということでありますから、これはきまった以上は、相当な決意を政府はすると同時に、これらの農民をしていまと同様な条件の土地を与えてやるという決意をしない以上は、手をつけられないと思います。
  77. 加瀬完

    加瀬完君 そこでやるということであればと、ことばじりをつかまえるわけではございませんが、大体富里をおやりになると、第一案富里で、相変わらず富里案だということでございますか。その次はいま大臣がおっしゃったように、しかし農家というものを移転し、あるいは営農を続けさせるというのは容易でないから、政府が相当な腹がまえでこれの対策を考える。また考えなければやれないと、こういうお話でございますが、逆に伺いますが、現在の営農状態というものを持続させることができますか。あるいはその営農を続けようとする方々が全部賛成をして簡単に土地を提供する状況にあるとお考えになりますか。
  78. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 賛成の書面も相当きておりますが、反対の書面も七百通ぐらいきております。
  79. 加瀬完

    加瀬完君 賛成の方が、きのう私のところへたくさん参りました。賛成は賛成だけれども、もっと反対をしてくれ、おまえのほうで。というのは、最低百二十万、畑ですよ。百二十万から百四十万の線が出て、しかも税金は全部政府持ち、こういう形でなければ、おれのほうは絶対反対になるんだ、お前らよりもっと強い反対になるんだ、いまからもっと強く反対をして、この百二十万が百四十万になり、税抜きで買収するようにひとつ政府をもっと攻めてくれ、ことばは違いますがそういう意味でございます。大臣は、いままでと違って政府がよほど農家の状態に対しまして補償をしなければならないとおっしゃっておりますが、三十万せいぜいのところを百二十万、百四十万、しかも税金は政府が持ちます。そんなことができますか。それでないと、あなたがおっしゃる賛成というのは——これもあとで触れますが、賛成が七割、反対が三割、七〇%に三〇%だと、こういう御説明衆議院局長なさっております。しかし、富里村を例にとると、絶対反対が三〇・四%、それから絶対に無条件で賛成というのは四・七%、あとは条件がよければ売ってもいい、条件が悪ければ反対だというものが大部分です。しかも敷地に該当するであろうという地域は、これはどんなに少なく見ても六〇%、絶対にどういう条件でも売り渡しはできませんという意思の人々が多いんですよ。ですからね。条件さえ出せば簡単に賛成をできますけれども、いま言ったように、百五十万で二十万や三十万のところを買うということを、政府の外廓機関である公団がおやりになれますかどうか。そうでなければ反対にぐるりと回るという状態の賛成なんですよ。こういう分析をなさいまして、しかも売ってくれるという人に対して、どこかに土地を求めるといっても土地はございませんよ。千葉県というのは狭い耕地でございますから、北海道と違いましてね。あすこが一番広い。大体平均みな二町五反ぐらいの広いところです。狭いところをやったってどうにもならない。それから営農状態はビールをつくったり、落花生をつくったり、特殊な作物ですよ。水田とか野菜というふうなところに転向させるわけにいかない。非常に困難なんでございますが、そういう困難な条件というものが不適な条件として閣僚の中からはお出になりませんでしたか、意見として。農林大臣は、代替地がなくていまのような状態を百姓が続けられないなら私は反対だ、こうお答えになっておりました。閣僚の懇談会ではそういう発言はありませんでしたか。みな賛成ですか。
  80. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) いまのようなことですから、非常に困難だと思うんです。いまのお話は一反歩だろうと思うんですが、この間も一反歩百万円ならばみな応ずるだろう、責任を持って言った。ところがあなたのお話じゃ百四十万というんで、四割も上がった。きまりませんうちから四割上がった、きまったら二百万じゃなければ困るということになると、もうほんとうにやりたくてもやれなくなる。そういうことになると困るものですから、個所の決定も早く発表することは、この間も御注意もありましたんですが、あんなことを書いちゃって、書いちゃったけれども霞ケ浦にきめたわけじゃないんです。しかしこれは防ぐことができないんですよ、いまのマスコミというやつは早くて。それからもう一つは、政令を出さなければきめられぬと書いてあるんです。この二条に。政令閣議できめるのですから、閣議事項で報告せぬというわけにいかぬものですから、どうしてもわかるのです。それで、わからぬうちからもう四割も上がっているのですから、これはとてもたいへんなことなんですよ。これはほんとうに御協力願わなければ、何ぼ千手観音でも私はできないと思う。だから、ひとつこれは御協力願って、この際ですから、なるたけ農村の人も助かり、政府も税金をあまり使わないようにということでないとできないと思います。
  81. 加瀬完

    加瀬完君 この前に大臣は、予算委員会分科会で私が同じ問題を質問いたしましたときに、非常に反対がある、警察を通したり、あるいはそれとなく情報を調べてみても、非常に反対が強い、こういうお話でございました。で、そういう反対が強いところへ、特に敷地の該当者が土地を提供しないというところに飛行場をつくることが妥当かどうかという点を——このいただきました航空法の三十九条の一項五号によりますと、これは運輸大臣空港の申請をした場合、許可するいろいろの条件が定められておるわけですね。その五号には、「飛行場にあっては、申請者が、その敷地について所有権その他の使用の権原を有するか、又はこれを確実に取得することができると認められ」たるときに許可をするということになりますね。富里付近の場合を、かりに公団ではなくて普通の会社が空港を設定をして申請をしたというときには、所有者の敷地について所有権その他の使用の権原は、おそらく大半得られないと思うのですね、仮定の問題ですけれども、そういう場合は、これは許可ができないということになりましょう、この法律からすれば。一般の者が条件をそろえて申請しても許可に当てはまらないような同じ条件を、公団というものが無条件にこれをできるように進めていくということには、法律上の問題はないとしても、こういう法律がある以上、行政運営としてはひっかかる問題になりませんか。一般の申請であれば却下すべきものを、運輸省なり公団なりという形でやれば、強引にこれを進めていくということでは、この法律の趣旨からいってもおかしいということになりませんか。皆さんが賛成するということはけっこうですよ。現状のように非常に敷地提供を拒む、こういう状況において、使用の権原というものはこれは公団が持つことができないでしょう。そういう場所を選定するということに、法律違反と言われないけれども、少なくも運営の上では法律は尊重しなければならない、法律の精神は。ちょっと御考慮をいただかなければならない問題ということにはなりませんかね。
  82. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 法的解釈については局長から……。
  83. 加瀬完

    加瀬完君 いや、法的はけっこうです。これは申請をするのが公団じゃないのですから——公団もこれにかかりますかどうですか。公団もこれがそのとおり適用されるということであれば、もう飛行場をつくるわけにはいかぬですから、問題ありませんけれども、どういうことになりますか。
  84. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) いま法律上の問題でございますので、私から……。この三十九条は公団にも、公団がやる場合にも、当然決定がかかるというふうに私は解釈しております。したがって、この五号につきましては、先生のおっしゃるように、一つの重要な問題であるというふうに考えております。ただ、実際問題として、確実に取得することができるかどうかという問題につきましては、公団富里飛行場をつくるという場合に、これは見解の相違はいろいろあると思いますけれども、かりに政府政令でもって定めようという場合には可能であろうというふうに思います。ただ、これは政令がまだ出ておりませんし、大臣からいろいろ御答弁がありましたように、まだきまっておりませんから……。
  85. 加瀬完

    加瀬完君 それはわかっております。これはいい御説明を聞きまして安心いたしました。そうしますと、かりに政令できめましても、政令では最小行政区画、八街町とか、千葉県印旛郡富里村とか、こういうように指定してくるわけでございましょうからね。ですから、その大字何々の何番地という指定はないわけでございますから、政令は自由に出せますよね。しかし、政令できまりまして、具体的に今度は敷地の設定は公団がおやりになるのでしょう。公団がおやりになるときに、これを確実に取得することができると認められないという状態になりましたら、これはその敷地を許可するわけには、運輸省としてはいかなくなりますね。
  86. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 御説のように、政令で最小行政区画できまりまして、具体的に公団がそこでもって用地を具体的に計画する場合には、いまおっしゃいましたような、どの字というような問題、これはいろいろなことできまると思いますが、いまの用地取得の難易というようなことは、当然入ってまいります。
  87. 加瀬完

    加瀬完君 で、今後まあいろいろこれはプレミアムがついて、一反歩二百万で買います。三百万で買いますということになれば、また軟化する者も出るかもしれませんが、最小限五〇%以上というものは確実にこの権原の移譲というものを拒んでいる、使用権の移譲というのを拒んでいる、あるいは所有権の移譲というのを拒んでいるという、この状態のままでは、これは公団としては空港許可の申請ができないことになりますね。これは仮定の問題ですけれども、かりにそうであった場合、それは大臣、そういう状態に対しては、いまのままでは当然心配はされますよ。そういう具体的なことがわかっている地域を政令で指定をするということが、行政的に一体いいことということになりましょうか。政令では指定しました空港はできません。私はあまり質問しなくてもいいのです。これはこれではっきりすれば、がんばらしておけばできないのですから。しかし、空港をどこかにつくるということは、これは大切なことですからね。これは住民が納得をし、将来生活の設計というものに現状の維持ができるならば、何も千葉県がいけないの、富里がいけないのと、そういうことを申し上げておるわけじゃない。将来どうなっていくかということの生活の設計も立たなければ、あるいはそこに残っている者の騒音その他の安全性というものも、全然いまのところ確保されている状況には、具体的に話が進んでないから、これでは困ると申し上げておるわけです。ですから、いまのままでは、どうしたってこの三十九条の五号がある限りは、これは政令で指定したって、富里地区というものに空港を建設することは不可能ではございませんか。そういう点も十分考慮をなすっていらっしゃるということであれば、もうそれで大体見当つきますから、あまり質問しませんがね。
  88. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) そこまで御心配していただくことを感謝しますが、実は千葉県知事のほうからも——いま茨城県と千葉県が、反対する人と賛成する人とどっちもあるのですよ。あるけれども、どっちも賛成者が多いのですよ。その地方の繁栄ということを考えている人のほうが多いのです。しかし、おっしゃるように、土地を取られる人はこれは非常に困るわけです。そこで私の考えは、まあこれはだれでもしろうとでもわかる——もちろん私はしろうとなんですが、一番問題は、海に一番早く出れるというところが、敷地指定の場合に必要な条件です。そこで、四キロもある滑走路が要ることは、それを河野さんが——ずいぶん私は河野さんと議論したときに、二千二百八十キロでも出れるじゃないか——それは出れぬことはないですよ。初めから音速の二倍を離陸するときからやったら、その辺の家は吹っ飛んじゃうのです。そういうことをしちゃならぬから、その周囲の学校の生徒にもそれから農民の方々にも、いまの飛行機と変わらぬ程度で浮き上がることであるならば、これはそう騒音ということも問題にならぬのです。だから長い滑走路が必要だ、着陸のときにも同様で、速力をうんと落として着陸しますから長いのが必要なんです。でございますから、なるたけ海に近いところが必要なんです。海にすべり出せば、海の上に行ってしまえば、うんとやったって差しつかえないですからということです。でありますから、第一候補は専門的に見て、だれが見ても富里ということになるのです。しかし、それだからといって、その中の住民が、何ぼ公共事業であるからといって、自分の生活を犠牲にさせるということはできないのでありますから、私は現在の営農以上の補償金をおあげして、あるいは国有林を開放するなり、とにかく現在以上の営農ができるようにしてあげる、あるいは他に転業されるんならば、現在の農地の価格を、あなたは百四十万とおっしゃるが、前は、いまから三、四カ月前は百万だったんです。それはどこが公平か、それはやっぱり委員会なんか地方でもつくって適当に評価されるでありましょうけれども、それは一つの愛情を持って、次の仕事に変わっても、いままであすこで百姓をしていた以上の生活ができるように、その土地の人が非常な愛情を持っていた自分の息子のようなものを手放すのでありますから、私もそういう経営を長くやっておって、二十五才まで私は百姓をやってきたわけですから、それは十分に思いやりを持っておるつもりでございます。
  89. 加瀬完

    加瀬完君 まるで富里にきまっているようなお話でございますね。念を押しますが、富里に大体もう決定しておるのですか。
  90. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) いや決定しておるわけじゃございません。しかし、海に近くて平たんなところが一番いいということは言っておるわけです。
  91. 加瀬完

    加瀬完君 霞ケ浦だって海の近くですよ。九十九里浜などもっと海に近い。そういう案で埋め立て地ということの検討をすれば出てくるはずですね。どうやりましても騒音はうまく防げませんよ。それは実際、いま伊丹飛行場でも羽田の飛行場でも、プロペラ機の時代から騒音というものが問題になっておる。  それから、大臣のお気持ちはわかるのです。それならば、具体的に、畑は反百二十万では買えないが百万円では買う、補償の点についてはこれこれの措置を講ずる、あるいは代替地を求むるところには、ここにこれだけの代替地を用意するからここへ移れ、こういう具体的なものを出さなければ、賛成にも反対にも、賛成することもおかしいし、反対することもおかしいじゃないかと、私は当初の質問をいたしますときにも申し上げたんです。しかし、それから一年以上たっておりましても、県もそれから国も、代替地はどこだというあっせんも、予想も、具体的な交渉も何にもしておりませんね。千葉県は三十万都市をつくるなんていったって、三十万都市というものを一体どうしてつくるのか、資金計画はどうするのか、全然そういう具体的な運びも都市計画すらも立っておりませんよ。それでは、とにかく飛行場つくるのだから賛成しろ、おまえら悪いようにはしないと言ってたって、大体悪いようにしないったって、それは具体的には何も考えておりませんということでは、親切な親切にならないじゃございませんか。で、結局、所有権なり土地の使用権なりというものを、敷地該当の所有者なり耕作者なりが絶対に手放さない。その者が多数だということになりまして飛行場ができますか、そこの点を考えていただきたい。これは社会党だから反対するとか共産党だから反対するということじゃないですよ。自民党の方も反対者はたくさんいるのです。それはもっと具体的な、われわれの生活の維持ができないじゃないかということが問題なんですよ。たとえば、こういう敷地内の者の土地を、強引に不法なほど高い値段で買い取ったところで、まわりの者の土地に移りたいからといったって買い取るわけにはいきませんよ。そうなってまいりますと、いまは一つの敷地の者だけが、われわれの地価が上がると思ってまわりだけが賛成していますよ、まわりだけが、七対三ではございません。それはまあ無条件に投票をやらせれば、賛成者のほうが多いでしょう。賛成者はみんな敷地に関係のない者が大部分ですよ。敷地内の関係が起こるであろうと思う者は、ほとんど反対です。ですから、町村の賛否だけでこれを進めるったって、飛行場は実際にはできない。こういう問題も、私はもう少し位置を指定する以前に検討をしていただかたければならないと思うのですけれども、いかがですか、その点はもっと御検討をいただけないでしょうか。富里をやらないというならいいですが、おやりになるというならもう少し慎重にしていただかなければ……。
  92. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) いや富里をやらぬというわけじゃありません。富里のほうが第一候補にあがっているのですから。しかし農林大臣とは、そういうことが起こった場合は、ことにいまの八郎潟は割り当てが済んじゃったものですから、八郎潟は入る余地はないのです。だけれども、ほかに相当なところがあるのですが、しかし、千葉県内においてでなければいかぬということになると困るのです。国有林の中あるいはいま埋め立て及び土地の整備をしているところで、それくらいのものは収容できると言っておるのです。
  93. 加瀬完

    加瀬完君 どなたですか。
  94. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 農林大臣が。しかし、それはつまり開墾しなければならぬ場所が多いのです。だからして、いまの土地そのものと同じものをと言われても、それは困るのです。
  95. 加瀬完

    加瀬完君 かりにですよ、八郎潟へ開拓に入るとか印旛沼の干拓に入るということになりますと、そういう希望のない者をやらせるわけにはいきませんよ。おまえ一反歩について三反歩と交換するからと言ったって、希望がなければやるわけにいきませんよ、陸田地帯ですから。先ほど言ったように、これはビール麦か落花生をつくっておれば農家収入は百万円以上で、みんな自家用車を持っておるのがたくさんあるのですから、これを八郎潟へ持っていかれて干拓するかどうかわかりませんが、畑でない水の中で落花生つくるわけにいかぬですから、全然特殊な耕作地帯なんです。ここは。ですから、やはり同等の畑地帯に持っていかなければ、この人たちは不承不承にも満足はしないわけです。そういう点を、そんならば落花生というのがどこへ行ってもつくれるか、ビール麦というのがどこへ行ってもつくれるかというと、そうどこでもつくれるというわけにはいかない。野菜なんというのはなかなか急にはつくれない。そうすると、そのまわりに求める以外にない。そのまわりなら、これは移動の承諾も得られるでしょう。しかし、まわりはどこをさがしたってないでしょう。いろいろ私たちも農業委員会その他に調査を依頼してさがしましたよ。千葉県の知事も、山武町というところにだいぶ提供するところがあると言いますから、私ども行っていろいろ調査しました。山を全部開墾いたしましても二百七十町歩しかない。つぶれるところは二千三百町歩もある。二百七十町歩にどうして行かれますか。どこにもないですよ。水田に移れない農民ですからね。で、大きなところはみんな開拓で入った、それから狭いところといったって行き場所がない。行こうとすれば地価が非常に上がりまして、百万円で売ったということになれば百二十万円でなければ売らないということになりまして、政府にもらった金で他の土地を買うったってそうはまいりませんよ。こういう点を、私は具体的に対策を立てて、大体これならば何とか不承不承でも承知をしてもらえるのじゃないかという条件を出さないで、いきなりぱっと指定をして、政令できめたんだから公団が強引にやるんだと言ったって、やれるものならやってごらんなさい、地元ではこのごろ陳情に来ないですよ。今度おまえのほうからこっちへ来い、こっちへ来たときに答えを出してやると言っておるのですから、これは砂川みたいな問題にならないとは限らないでしょう。開拓者の精神というものは特別ですからね。大体三代目くらいですよ、古い人で。掘っ立て小屋から粒々辛苦して家を建て、蔵を建て、どうやらほっとしたというときにその土地を取られる。普通の親代々の土地をもらった人とは別な感情なんです。こういったことを十分検討していただかなければどうにもならないと思う。これらの具体的な問題は、あとでまた伺います。  それで、法制局の方いらしておるそうですから、法制局のほうに伺います。御存じでございましょうが、新東京国際空港公団法の第二条は「新東京国際空港は、次の要件を備える公共用飛行場として、東京都の周辺の地域で政令で定める位置設置するものとする。」と、こうあるわけですね。政令における効力の範囲というものは、いままでどう解釈をされておったですか。
  96. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) 効力の範囲というお尋ねの意味を私、十分理解まだいたしておりませんのですが、一応一般的な抽象的なことを申し上げますれば、地域的には、政令そのものといたしましては、国内全体について効力を持っている、それから時の問題といたしましては、それが施行された以後それの存続する間効力を持っている、こういうことになるのでございますが、具体的なお尋ねを待ちまして……。
  97. 加瀬完

    加瀬完君 私の質問が少し抽象的でありましたからつけ加えますが、法律で制定するものと政令できめるものは、おのずから法律の常識においては効力が違うわけですね。法律なら、平べったく言えば何でもきめられますけれども政令できめるというものにはワクがあるわけでしょう。通常法律解釈では、政令できめることは、どういうワクをはめられるものだと解釈をされておるんですか、通常の解釈は。
  98. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) これは憲法にも実は明文がございますが、憲法あるいは法律を実施するために必要の事項、こういうことでございますので、いまのお尋ねに即して申しますれば、何と申しますか、その法律で必ずきめなければならないと一般的に考えられておりますことは、国民に義務を課し、あるいは権利を制限するということでございますので、そういうことは規定し得る事項からはずされてまいります。ただこのような場合には、法律に具体的に委任がございますれば、その委任の範囲内で定める、こういうように考えられております。それから、必ず法律でなければならないが、法律でも定め得るという事項の場合におきましては、法律がすでにある事項を定めておりますれば、そのことに関する限りは、政令をもっては定め得ない、こういうふうに申し上げることができるかと思います。それから、法律政令との効力関係で申しますれば、かりに政令法律に抵触いたしておりますれば、これは法律の効力が優先いたしますので、政令はその限りにおいて効力を生じない、こういうようになっております。
  99. 加瀬完

    加瀬完君 政令は国民の権利を制限をしたり、義務を課したりするということはできない、こういう一つの不文律があるんじゃありませんか。
  100. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) お尋ねのとおりでございます。
  101. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、この提案をされております二条の「周辺の地域で政令で定める位置設置する」ということになっておりまして、その一つは「長期にわたっての航空輸送需要に対応することができるものであること。」「将来における主要な国際航空路線の用に供することができるものであること。」大ざっぱに二つだけ制限が書かれているわけですね。このごろこの公団法だけによらず、どうも公団法全体、それから政府の出すいろいろの何といいますか、政府関係機関の法律というものが、政令にゆだねる点が多い。しかもその政令が、法律のような無制限な権限を与えられている。これは私はいままでの法解釈からすれば正しくないと思う。いろいろなことは別として、もっと、政令できめるということであれば綿密に、それが国民の権利を制限したり義務を課したりするんではないという点がわかる程度に、明瞭に具体的な記載がこの一、二、その他において行なわれなければならないと思うのです。そういう意味で、少なくとも「政令で定める位置設置するものとする。」という「位置に」ということは、はなはだ法解釈から言えばこれは不備なものではないかと思いますけれども法制局の御見解いかがでしょう。
  102. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) いまお尋ねの問題は、二つの問題を含んでおるように理解いたしますので、分けて申し上げますが、あとのほうでお述べになりました、一般的に政令の委任がきわめて抽象的であって、具体的な要件をきめていない、こういうのはよろしくないのではないかという問題につきましては、仰せのとおりであろうかと存じます。それは国民の権利義務に関係するような政令でありますならば、それはできる限り具体的に要件をしぼりまして委任するのが正しい行き方だろう、こういう点仰せのとおりかと思います。  それからもう一つは、その場合に、この第二条そのものに即してのお尋ねでございますが、この第二条の「政令」は、しからばこの政令が直接に国民の権利義務に関係するかということと関連のある問題でありますので、いまの最初にお答えしました問題が、直ちに第二条に当てはまるかということになりますと、多少問題があるのではないか。それは純粋に法的のみを申し上げるわけでありますが、と申しますのは、この政令はどういう地域に空港を置くかということを定めるだけの政令でございますので、これはこの法律によって与えられました権限によって内閣がどこに置くかという方向決定する政令であると、私は理解いたされるように思います。したがいまして、その政令が直ちに、国民の権利義務を法的には規制するものには直ちにはならないということになるのではないかと存じますので、ただいまの一般的な申し方がこの場合にすぐ当てはまってくるということには直ちにはならないのじゃないか、このように感じておりますが。
  103. 加瀬完

    加瀬完君 この「政令で定める」という法律成立をすれば、政令で新東京国際空港位置が指定をされるわけですね。位置が指定をされますと、その中に空港の敷地が求められるわけですね。当然そこの住民には権利義務が生ずるわけですね。はなはだしく権利が制限されることになります。あるいは負わなくていい義務というものが生じてくるわけですね。かりに譲渡を拒むという場合、土地収用法といったようなものがかぶさってまいりますね。そうなってくれば、これははなはだしく国民の権利義務というものに対して制限を加える政令ということになりませんか。具体的な問題としてそういうことになりませんか。
  104. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) 事実問題としては、仰せのとおりであろうかと思います。そこで、先ほどちょっと私、純法律的な立場でと申し上げたのでございますが、いま御指摘のように、地域内の住民が土地を提供しなければならなくなるというようなことがあるのではないか、その限りにおいて義務を課せられることになるという点は、これはこの指定がありまして、その方向で施策が進みますれば、その道程においてそういう問題が起こるという限りにおいてそのとおりでございますが、それははたはだ、法的な言い方でありますが、法的にはこの政令から直接はまいらないのでございまして、その土地をたとえば収用されますのには、土地収用法自身によって義務が課せられておるわけでございまして、この政令、そのものの問題ではない、法的にはそういうふうに申し上げるほかないのじゃないかというような意味でございます。
  105. 加瀬完

    加瀬完君 形式的に直接的な解釈をすればそうですよね。しかし、その土地収用法というのは、空港に対する位置の指定というものがなければ、当然起こってこなかったものですわね、これは。間接的には大きな義務を課しているわけでしょう。あるいは土地収用法ということでなくても、たとえば売りたくない土地というものを強引に買収されるような交渉ということが進みますね。そうして心ならずも土地を放すというような場合も起こりますね。そうすればこれは国民の側からすれば、住民の側からすれば、この政令によって権利が剥奪をされた、こういう形になりますよ。で、政令というものはもっと事務的なもの、あるいは変動の激しいようなものの範囲ということに限って、いままではきめられておったのが通例ですね。このごろになりまして、法律的な手続をしなければならないものを政令でかえて、法律以上の効力を政令に与えると、これもそうですよね。こういう方向ということは、これは法秩序の上から正しくないのじゃないですか。いまの内閣だけでなくて、このごろの内閣だいぶんこういうことをやっている。法の混乱を招きますよ。そうはお考えになりませんか。
  106. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) いま御指摘の問題は、問題がもう少しさかのぼるように理解いたしますが、と申しますのは、それは政令で定めるかどうかということの前に、具体的にその位置内閣をして定めさせるか、直接法律で定めるかといったような問題になるのじゃなかろうか。かりに政令にいたしませんでも、具体的位置決定法律の事項として内閣がするということになります以上は、その決定された地域について、おのずからいま御指摘のような義務が生じてくるということになるわけでございまして、それは政令で定めたからということとは、少し違うのじゃないかというように理解いたします。したがいまして、問題は具体的位置内閣決定することにするかどうかにかかっておるように理解いたしますのですが。
  107. 加瀬完

    加瀬完君 この位置法律で定めるということであれば、これは議会の当然協力を得なければならないという筋道を通りますから、そこでその位置そのものについて、それぞれの国民の意思がここに反映をさせて、十二分に論議をするということもできるわけです。したがいまして、権利の主張もできれば、義務についても、不当な義務は抗弁することもできますよ。政令できめるということであれば、これは住民の意思とか、国民の意思とかというものは、反映させる方法を遮断してしまうわけですよ。そういうことになれば、当然これは政令本来の性格というものからはずれてくるのじゃないですか。名前は政令ということでも、実際は法律的効果を国民にかぶせて、しかもそれは問答無用の拘束力、こういうことになるわけです。そういう政令というものをひんぴんに出されますと、国民の権利というものを守っていくわけにはまいりませんよ、そう解釈してはいけませんか。
  108. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) お答えは先ほど申しましたと同じ方向になると思いますが、いま御指摘の点は、要するにたとえば法律で直接に位置を規定してしまうかどうかという問題になってくるように存ぜられるのでございまして、その点につきましては、むしろこれは政策的にどのように決定するかというような問題でございまして、法制局長としてお答えする分野ではないのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、それは政令できめたという問題と申しますよりも、具体的な位置決定内閣にまかせるかどうかという問題にかかっているように存ぜられるのでございまして、これは重複して申しますが、政策の問題じゃないかと、こう存ずるのでございます。
  109. 加瀬完

    加瀬完君 私の聞いておりますのは、政策の問題で局長お答えをいただこうとは思いませんからけっこうです。政令というもので、こういう使い方をひんぴんと行なってまいりますことは、少なくもいままで考えられておった法秩序というものが混乱を招くことになるのではないか、もっと政令政令のワクというものを厳格にしていくべきではないか、非常に政令がこのごろ法律のかわりに便宜的に使われている、そういう方向は一体好ましいかどうか、これだけ一つ最後に。
  110. 今枝常男

    法制局長(今枝常男君) 先ほどの問題に返るように思いますのですが、一般的には仰せのとおりでございます。ただ今回の政令は、いまのお尋ねになりました、やはり今回の政令は直接にこれが権利義務を制限していないので、たとえば土地収用法でその収用される者の権利を保護し、またその主張、権利保護のための主張をする道が開かれて、法律でつくられておりますので、そちらの問題でございますので、この場合が御指摘的のような事例に当たると断定することはむずかしいように、私には感ぜられるのでございます。
  111. 加瀬完

    加瀬完君 これで終わりますがね。政令というものは、そもそも国民の権利の制限をしたり、義務を課したりすべからざるものという不文律があるわけですね。ですから、具体的な問題として位置がきめられ、公団ができて、空港の建設が進むということになれば、位置をきめられるという政令のそのものの効力が、具体的には非常に権利義務に関係をしてくるわけですよ。そういう点を考慮するならば、これが違法とか何とかということではなくて、行政的な——これはあなたの範囲でありませんが、考え方として、政令の範囲というものの使い道というものを、行政府としてはもっと考えていくのが当然ではないか、こういう立場で私は伺ったわけでございます。しかし、まあ直接これはこの法案内容に密接に関係するものでもございませんから、この問題はこれで終わることにいたします。
  112. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 本案の質疑は、午前はこの程度といたします。午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      —————・—————    午後二時二十二分開会
  113. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  新東京国際空港公団法案質疑を続行いたします。
  114. 加瀬完

    加瀬完君 午前中いろいろお答えをいただいたわけでございますが、一応検討内容といたしまして、富里付近が空港に設定をされるという場合の空港で使用する水についての対策は十二分に検討をされておりましょうか。
  115. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 富里飛行場がきまりまして完成した場合にどの程度の水が必要かという点につきましては、現在の羽田の実績等から勘案しまして、全部できましてフルに利用しますときに、一日五万トン程度までにのぼるのじゃないかというふうに考えておりますが、これの確保につきましては、霞ケ浦水系というものを利用するということで行ないたいと思っておりますが、具体的な計画というものにつきましては、今後場所がきまりましたらば、建設省その他とお打ち合わせをしたい、かように考えております。
  116. 加瀬完

    加瀬完君 霞ヶ浦水系を利用するということになりますと、具体的には、詳細は別といたしまして、大体概括どういうような、どこからどういう方法で水を引くという計画でございますか。
  117. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 現在の段階におきましては、具体的な計画まではまだ詰めておりませんが、霞ケ浦の水をどういうふうに利用するかという問題は、いろいろな方面と関係があると思いますので、用地決定後建設省その他関係省庁と御連絡をして具体策をきめたい、かように考えております。
  118. 加瀬完

    加瀬完君 地下水源では不可能だという御認定はお持ちなんですね。
  119. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 私は地下水源にもある程度はたよれるのではないかと思っておりますが、この辺は、具体的に用地が決定しまして実際に即した調査をしてからどの程度期待できるか、またそれによって周囲にどういう影響があるかということを調査した上でないと、依存度というものはきめがたい、かように思います。
  120. 加瀬完

    加瀬完君 用地を決定する前に水の確保ができるかどうかということを決定しませんでは、用地だけきまりましても水が確保できない、あるいは排水が完全にいかない、こういう問題が起こってくることにはなりませんか。
  121. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) もちろん具体的な計画は今後やるわけでございますが、霞ケ浦方面の水系を利用して、地下水以外にそういうものを利用するということは可能である、またこれを排水することも技術的に可能である、私はかように思います。
  122. 加瀬完

    加瀬完君 この点、水資源公団なり建設省なりに具体的な連絡は運輸省としては何もまだございませんね。
  123. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 水資源公団との連絡はしておりません。また、建設省とも具体的に連絡をしておる段階ではございません。
  124. 加瀬完

    加瀬完君 印旛沼から水を取るというような御計画を初めは考えておったのじゃないのですか。
  125. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 印旛沼につきましても、これを利用できるのではないかというふうに考えておりましたし、また今後専門の水資源公団あるいは建設省等と打ち合わせの上可能であるならばこれも利用したい、かように考えております。
  126. 加瀬完

    加瀬完君 そこいらがおかしいですよ。可能であるかないかということが十二分に検討されて——単にこれは水だけの問題ではございませんが——これは空港の敷地として適当であるということでなければ、空港の敷地だけが決定されまして、水の取水あるいは排水、こういう問題の解決が全然できないということであっては、これはどうも敷地をめるにもきめようがないと思うのです。  そこで、建設省に伺いますが、印旛沼の工業用水計画で、まず印旛沼工業用水計画そのものの概要を御説明くださいませんか。
  127. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 印旛沼の工業用水計画につきましては、五井、姉崎方面に必要としまする工業用水のために、おおむね毎秒五トンでございますから、四十数万トンの水を供給する計画に相なっております。その工業用水道の計画は、農業用水とあわせまして、印旛沼の持ちまする調整能力を利用いたしまして、利根の水をそこに入れまして、その調整力を利用して取水する計画に相たっております。
  128. 加瀬完

    加瀬完君 大体いわゆる揚水量は秒二十トン——十三・二トンが農業用水、六・八トンが工業用水、そのうち一・八トンが川鉄、その他が五井、姉崎方面の工場分、こういう御計画でございますね。——そうすると、この二十トン以外に水を供給し得る水量というものを印旛沼は持っておりますか。
  129. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 厳密に申せば、若干の余裕はあるかと思いますが、いまのところ、いまお話しの水量を供給するだけと考えておるわけでございます。しかしながら、印旛沼並びに導水路を水路として利用しますときは、さらに増量は可能なわけでございます。その導水路として利用します関係上、利根本川の水を入れなければならないことになるわけでございます。したがいまして、間接には利根川に依存することによって供給は可能になろうかと思います。先ほどお話しの霞ケ浦水系というお話がございましたが、霞ケ浦は大きな水源としてその場合一つ考えられるわけでございます。  なお、詳しく申し上げますれば、利根川全体として考えなければなりませんので、昭和四十五年までの需要と供給につきましては、水資源開発審議会からの答申によって、一応の計画が昨年三十九年の二月にできておるわけでございますが、それによりますと、上水道、工業用水道、農業用水道の所要水を合わせまして、おおむね百二十トンの必要量があるわけでございます。それに対しまして、供給量といたしましては、主として水系一貫管理をいたします関係上、建設省の所掌する部分でございますが、中に農林省の所掌分もありますが、矢木沢ダム、下久保ダム、中川、江戸川緊急水利、印旛沼、以上が決定分でございまして、それに加えまするに、いま着工しております利根川河口せき、本年から実施計画に着手します渡良瀬の神戸ダム、及び霞ケ浦その他をもちまして、いまの必要水量を供給するわけでございまして、その場合に印旛沼を通ずる水としては、一応計画はさようになっておりますが、一日五万トンと申せば、毎秒にいたしますればわずかに〇・六トンくらいに相なろうかと思いますので、一トンないし半トン程度の水でございますれば、利根川の供給計画に追加いたしまして、供給方法といたしますれば、印旛沼を通じて供給することが可能であろうかと考えております。
  130. 加瀬完

    加瀬完君 この印旛沼用水は、毎秒二十トンを取水するためには、印旛沼の貯水量だけでは足りなくて、結局利根川から導水をするという計画でございます。その利根川の導水は、布川の流水量が百トンをこえる場合に——というよりは、取水をした残りが百トンを減らない程度において取水をする、こういう計画でございますね。そうすると、一体布川の流水量は、現状では百トンを割る日が相当数あるわけでございます。もっと厳格に言うならば、印旛沼に取る場合には、その百トンに二十トンを加えて、それから印旛沼から下流に流すのが五トンでございますか、百二十五トン。それから今度は上流で東京都の水道資源として取水するのが約二十トンでございますか。そうすると、結局、いままでの布川の流水量を見れば、百四十五トンないし百五十トン程度の量がなければ、印旛沼の利根川からの取水はできないということになりますね。そうすると、毎年の統計をお示ししていただくわけにはまいりませんけれども、概括、大ざっぱな計算で、布川の流水量が百四十五トンを割る日というのは、大体どれくらいございますか。
  131. 国宗正義

    説明員国宗正義君) それぞれの渇水年によって異なりますが、本年におきましては、百五十トンあるいは百四十トンを割る日は相当ございました。ごく最近におきまして、わずかに百トンを超過したという状態でございます。いまお示しの数字の中で、印旛沼に水を入れるためには布川において百四十トンないし百五十トンというお話でございますが、布川におきまして百トンあれば足りるわけでございまして、将来の計画といたしましても、栗橋地点におきまして毎秒百四十トンの水を確保することを目標にただいま仕事をしているわけでございまして、そのダムが竣工すれば、栗橋百四十トン、したがって布川は百トン以上というようなことが確保されるわけであります。ちなみに、下流に必要といたしまする水は、おおむね五十トンでございます。でございますから、本年におきましては百トンを割る日が相当ございますが、将来水資源の開発が進めますれば、百トンは、最大の渇水年はともかくといたしまして、相当の渇水年におきましても、百トンは常に確保できる計画になると思います。
  132. 加瀬完

    加瀬完君 将来はわかります。いままでは百トンを割る日が少なくとも三分の一はございますね。それで、布川で百トンあればいいというけれども、そうではないのじゃないですか。布川の下流に百トンを流さなければならないという計画ではございませんか。それで二十トン取って、印旛沼をつないで五トン流して、そうすると百二十五トンになる。それから二十トンか二十五トン今度上のほうで取られるわけでしょう、東京の水道で。ですから、二、三年前から比べれば、これから先は大体百四十トン前後の水が流れなければ、いままでのような状態で取水をすることは、印旛沼の場合はできなくなりますね。  で、私の伺いたいのは、将来いろいろ計画して、印旛沼に布川地先から取水を容易にするという御計画でなければ、この問題の解決はできませんから、それはけっこうですけれども、いままでにおいては、布川の取水というのはなかなか困難な状態にあったのではないか。たとえば、昭和三十年から三十六年までの流水百トン以下の日というのをちょっと調べてみますと、百日から百十一日ありますよ。三分の一弱というものが百トン以下ですね。それから月によりますと、三十年の一月、二月、それから六、七、九、この三カ月、百十一日ございます。それから三十一年は七十三日であります。一月、二月、それから六月、七月、九月、こういうところにかたまって渇水日が来るわけです。そのときには、六、七、九ということになりますと、農業用水でもある程度要ることになりまして、工業用水を十二分に取ることは困難だ。一月、二月はほとんど五十二年分ぐらいの統計がございますね、佐倉観測所の。それで見ましても、なかなか百トンをこえる日にちというのが非常に少ないのです。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕  こういう状態でありますから、現状におきましても、農業用水を下流で取水をしましたら、塩分がたくさん入って苗しろが枯れるという問題が何回か起こっている。本年なんかも若干そのきざしがございます。そこで、河口せきの問題とか、いろいろ出てきたわけですけれども、流水量がいままでよりも非常に減ってきているわけです。こういうときに、さらに千葉県としては、この印旛沼から、もしもふえる分があれば、これを上水道資源として取ろうという計画がございますね。そうなってくると、印旛沼の水というのは、実際において使えないのじゃないですか。非常に困難な状態にあるということになりませんか。
  133. 国宗正義

    説明員国宗正義君) まず印旛沼の二十トンでございますが、そのうち十八トンは昭和三十年の水利権処分にかかるものでございまして、そのときの基準といたしまして、布川に百トンある時分には、最大十八トン入れるようにし、最近においては二十トンあればよろしい。その場合、布川に百トンを下らない場合においてという前提がついているわけでございまして、その百トンを下る日が、お話のように、最近においてはわりあい日数が多うございます。過去におきましてもそのような日数がありますが、お示しのように、昭和三十年、三十一年、三十三年、昨年も相当あったわけでございますが、そのような場合におきましては印旛沼において取れないじゃないか、こういうお話でございますが、印旛沼に取水いたしますたとえば二十トンは、そのまま管を通って二十トン行くと仮定いたしますれば、まさに仰せのとおりでございますが、印旛沼自体に調節の力を持っておりますので、取り得るときに取って、その調節能力も利用して、いまお話しの水量は支障なく満足でき、かつ本川にも支障を来たさないということで計画は成り立っておるわけでございます。なお、上流において取水するお話の約二十トンにつきましては、これは上流で生み出した水でございまして、詳しく申せば、群馬県の矢木沢で生み出した水と、群馬県の下久保のダムで生み出した水、それらの合計を行田地先で取水するわけでございますが、本質的にはそれは下流には影響を与えないことになっておるわけでございます。したがいまして、利根川の流況が粟橋百四十トン、布川百トンという流況が維持されれば、これは何らの支障はないわけでございます。ダムが竣工いたしますればそのような状態に——昭和四十五年までには必ず完成するわけでございます。早いものは昭和四十二年に一部竣工するわけでございますが、さような状態でございますので、将来においてはとにかく問題はないわけでございます。とりあえずの問題は、いま申し上げた調整能力を利用いたしまして、最大において二十トンまで取水するのでございまして、常時取水しなくても、調節能力で沼にためておくことによりましていまの計画は成り立つわけでございます。したがいまして、印旛沼から積極的に水を生み出すのではなくて、利根本川で生み出した水——生み出す場所は逆に下流になる場合もございますが、河口せきで生みだした水とか、あるいは将来考えられる霞ケ浦の開発で生み出した水、そのうちのごく一部を印旛沼に取水いたしまして、やはり沼の調節能力に若干たよると思いますが、この場合は主としては導水路的な機能を期待いたしまして、印旛沼を通ることによって取水は理論上可能であろうと考えておるわけでございます。
  134. 加瀬完

    加瀬完君 問題は二つあると思うのですね。一つは、印旛沼用水から取水するものが、現状では二十トンでございますけれども、二十トンではないわけですね。というのは、事業資金関係の印旛沼開発事業の費用負担及び負担金の資金調達等に関する覚え書きというのが千葉県と農林省、建設省の間で取りかわされておりますね。これによりますと、一応県の負担分が三十六億、そのうち十二億五千万円は、これは五井、姉崎の五トン分の負担金として水を受け入れるところの会社から負担をさせる、それで県費は使わないというたてまえになっております。あとの分はどうするかというと、あとの分は新しくできてくる工場から負担をさせるのだということになっている。しかし、新しくできてくる工場に水をやらなくて、負担をするばかはないわけです。その水はどこから取るのだということになりますと、これはふえてくる水を新しい工場に回す、こういう形をとらざるを得ないのですね。そうなってまいりますれば、水がかりにふえても、それは工業用水に振り向けられる。一部は上水道に振り向けられる。で、付近の農民は畑地かんがいなんかの水資源はどうするのだ。畑地かんがいとか、あるいはさらに、内陸といいますか、丘陵地帯の水田の用水なんかの水というのは、印旛沼からはこの計画では取れないわけですね。そうなってまいりますと、結局その水資源公団で水をつくるのが工場優先ですから、農業用水に使えないわけですから、十二分に余ればその水はみんな工場のほうへ向いていくわけです。それは具体的に飛行場ができて幾ら使うか、それらのものはこの中から生み出し得ないとは言いませんけれども、少なくとも印旛沼用水の計画というものはぎりぎり工業用水優先に、しかもそれは、負担金を取るためにはもう工業用水オンリーでやらなければならないような計画になっているわけですね。そこで、かりに印旛沼の水が余ったところで、これを他に十二分に使えるという条件は現状の計画では出てこないのじゃないかということが一点。  それから、いまも水は足りないわけですから、これは布川から取るということになっております。布川から取るといっても取れないから、結局河口せきというのを設けて、そこでプールを設けて、そこから取ろうということに将来なるわけですね。それほど利根の水資源というのはかれているのじゃないか、枯渇しているのじゃないか。霞ケ浦のほうから入ってくるということは別として、利根の本流の水系だけからこの水を取ろうとしても、なかなかもう取れない状態にあるのじゃないか。結局、その百トンをこえる場合というけれども、下流には下流でいろいろ問題があって、もっと流してもらわなければ潮が上がる。河口せきができるという問題があっても、結局上からおりてくる水量というのが少なければ、やはり水十分取れないわけです。このときも、下流のほうではずいぶん反対がありました。印旛沼の用水計画でも、七十トン、七十五トンというものを最小限流してくれなければ潮が上がるのだ、それで河口せきの問題に発展したのですけれども、河口せきをつくりましても、それならばいまの二倍、三倍というほど布川で水がくみ上げられるかということになりますと、布川の流量を当てにして安食からくみ上げられるかということになると、なかなかくみ上げられる状態ではないと思います。それほど、一応計画はいたしましたけれども、これは水資源公団が初めからオンリーでやったわけじゃなくて、農業用水と工業用水とチャンポンに計画がされているわけですから、完全な工業用水をまかなうというようには印旛沼用水そのものがいっていないのじゃないか。水は相当余るほどはここからは生み出すのは現状においては困難でございます。こういうことを建設省もお認めになるでしょうね。
  135. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 現状においては、お話のように、印旛沼の開発によりまして、農業用水干拓分二トン、工業用水五トン、これは五井、姉崎向けでございます。この計画だけしかないのでございますが、いまお話しの三十六億地元負担分の分担計画におきまして、私どものほうにも相談はございましたが、将来印旛沼にふえるであろう水を当てにしてという話やに聞いておりますが、正確に申せば、建設省はその調印には実は加わっておりません。計画は承っておりますが、それはほかならぬ、新しい水が印旛沼地帯なりあるいは利根を通じてなり出るということを前提の話でございまして、どちらかというと印旛沼に余裕があるという見込みの話でございますが、私ども必ずしも真正面ではそれに調印いたしているわけではございません。したがいまして、印旛沼につきましては、新規二トンの農業用水と、工業用水五トン、合計七トンだけを考えているわけでございます。ちなみに、これとは別にすでに以前から、先ほども申し上げましたように、昭和三十年におきまして、農業用水十八トン——非常に大きい水の量でございますが、それから川崎製鉄一・七トンだったと思いますが、そのぐらいの水はすでに印旛沼から取水の水利権が与えられているわけでございます。したがいまして、農業だけにつきましては、以前の分は新旧合わせますと約二十トンあるわけでございまして、これでもって農民の新しい干拓計画並びに土地改良計画に見合う数字に相なっているかと思います。  以上申しましたように、印旛沼はいまのところ新規の水が新しく出るということは公にオーソライズされるものではございません。先ほど来私が申し上げますことは、印旛沼から余裕があるかないかともかくとして、ないと仮定いたしまして、利根川本川から水を補給を受けることによって、その印旛沼を通じて供給が可能ということを申し上げておるわけでございます。いまお話しの霞ケ浦ときめたわけではございませんが、河口せき、こういうふうにきめてかかれば、河口せきへ出た水を、河口せきからすぐポンプで持ってくるのではなくて、安食の水門を通じて取っても同じ勘定になるわけでございまして、上で取れば——下のほうにできたものを下で取らないで上で取るわけでございますから、それは可能な考え方であろうかと思います。
  136. 加瀬完

    加瀬完君 そういう御計画はわかります。しかし、現在利根川の累年平水量は、大体昭和十三年から三十一年ごろまで概算いたしまして何トンになっていますか。
  137. 国宗正義

    説明員国宗正義君) それは、利根川本川としては百三十億トンぐらい大体ございます。なお、問題と相なりまする渇水時あるいはかんがい期における水として、栗橋百四十トンを割り、布川で百トンを割る日数は、いまお話しの年におきましては相当日数は出ておる現状でございます。
  138. 加瀬完

    加瀬完君 私が農林省の関係で調べたところによりますと、累年平水量は一四三・二八トン——昭和十三年から三十一年まで、これより低い日が三十年では百六十七日、三十一年には百五十日、これだけ結局百四十トンを割るという場合がございます。したがいまして、利根川の本流の水量というものは、特別に施設しない限り、現状においてはそう豊富に他に取水ができるような状態ではない。これは、印旛沼の干拓のときにも、それから工業用水に転換をするときにも、非常に問題になったわけです。先ほど農業用水の問題がありましたが、農業用水に畑地かんがいは含めておりませんね。千葉県でも、農林省も、畑地かんがいの分まで含めておらないわけです。ところが、台地一帯は、畑地かんがいをしたければならないような場合というのがあるわけですね。これはそう水というものは確保されておらないわけです。ですから、印旛沼の水というものは相当苦しい、こう言わざるを得ないのじゃないかと思うのです。  それで、その次に、一応いま空港の問題から端を発して質問をしておるわけでございますから、したがって、これから無尽蔵に印旛沼から水を取るということは、そう簡単にはできないということです。もう一つ、二千町歩、二千五百町歩あるいは三千町歩近いものが樹木全部伐採をされて滑走路その他舗装をされますね。そうすると、一応洪水時でも、台地にある程度吸収して、それで吸収しきれないものが流れるとか、序々にしぼられて流れるという状況がいままではあるのですね。そういう状況のもとに、何も、この富里空港ができましても、全部印旛沼に流れるとは限りませんが、大体台地で分水嶺をなしておりますから、その何分の一は流れるわけですね、印旛沼に。そういう場合に、そういう状況というものは全然考えないで、印旛沼の平水時の水位、洪水時の水位と、それを保つところの堤防、こういうものが計算をされておるわけですね。それを申し上げますと、大体初めの計画は、水位は現状ではYPの一・九五、洪水時はYPの五・四六、それを計画ではYPの二・五、洪水時を四・五、こういうように修正をしたわけですね。そうすると、この洪水時のYPの四・五というものの中には、周辺に飛行場みたいなものができて、一時に流水量がよけいになるという計算はなかったわけでしょうね。影響がございませんか。
  139. 国宗正義

    説明員国宗正義君) そのあたりになりますと、農林の計画に非常に関係を持ってくるかと思いますが、私ども承知する限りでは、かりに富里飛行場ができたとして、印旛沼の流域面積にそれが占める割合というものはそう大きい値ではないかと考えますが、それにいたしましても、やはり取水能力とか流出の計数は変わってきまして、早く水が出るという計算になるのではないかと思いますが、それの影響がどの程度あるか、将来の調査に待たなくちゃいかぬと思いますが、そう大きい影響を与えるものではないかと考えます。  なお、いま放水の計画、したがいまして囲緯堤防の計画並びに東京湾に向かって排出いたします洪水排出のポンプを計画いたしておりますので、計画による五・〇メートル以下の水位でもって支障なく洪水を流し、平水位においては取水の能力を果たすことができると考えております。
  140. 加瀬完

    加瀬完君 初めから、花見川の用水池ですか排水池ですか、その他いろいろ排水関係を完全に計画をした上で、最初の計画は堤塘の高さは五・五メートルであったわけですね。それが、改定案というのですか、計画水位は四・五メートル、そこで堤塘と結局洪水時の水位は一メートルの余裕高というものを持っておったわけですね。それを今度は、変更案では、最終計画ということになりますか、堤塘の高さは五メートル、計画水位を四・三メートルとして、余裕高を〇・七メートルとるわけですね。この根拠は、十日間に六百ミリ雨が降るということであれば、堤塘の高さは五・五メートルでなければならないというのを、これを、それが一番佐倉観測所で行なった洪水時の最高ですが、その洪水時の最高の第三位をとって、大洪水の場合はこれは堤塘から溢水してもしかたがない——しかたがないということばは語弊がありますけれども、大洪水の場合は目をつぶろう、第三位程度の洪水ならばこれでおさまるであろうというので、余裕高を〇・七メートルに押えたわけですね。しかし、降水量が同じでも、今度は流入の量というものが違ってきますからね。一時にそうなってくると、余裕高の〇・七メートルではたしてもつかもたないかということは、最初の計画よりも、危険度といいますか、若干の心配がふえたということは、これは算術計数的に言えると思うのですね。しかも、堤塘が長くなった。この地域は、御存じのシルト層ですね。だんだん沈みます。しかも、取水量が盛んになれば、地下水が汲み上げられる関係でさらに堤塘が落ちてくる。こういうことになると、若干これは心配の種がふえるということになりませんか。非常に流水量がふえるということになると、初めの計画よりも堤塘を下げたのですから、この中へたまる水というものはふえてきます。そうなりますと、ちょっとこれは計画の基準雨量と水位の関係だけでは割り切れない、マイナスのアルファがついてくるということになりませんか。
  141. 国宗正義

    説明員国宗正義君) いまお話しの点は、水文学上いろいろ検討をやらなければならない問題でございますので、いま直ちには返答はしかねるわけでございますが、何せ飛行場の計画がまだ確定したとは承っておりませんので、その辺の調査検討を待った上で御答弁を申し上げるのが適当かと思いますが、現在の計画におきましても、計画の堤防高に加えて、花見川に毎秒百三十トンの大容量の排水ポンプを据えまして、洪水の疎通をはからしめますので、それとの関連において解決法はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、計画の確定に歩調を合わせまして、調査検討の上御答弁を申し上げたいと存じます。
  142. 加瀬完

    加瀬完君 詳しい数字はわかりませんよ。しかし、いま次長さんのおっしゃるような排水機のフルの活動というものを待っても、それは三日間の最高降水量二百七十八ミリ、こういうのを抑えて一応堤塘の高さをきめたわけですね。ところが、実際は三百ミリというのがあるわけですよ。第三位をとれば二百七十八ミリということで、これでどうやらバランスが合うだろうということであった。ところが、今度は、降水量は二百七十八ミリでも、流入してくる速度と、それから量が、一時に来ますから、違ってまいりますと、どうしてもこれは余裕高そのものが若干おかされてくる、こういう傾向をいなむわけにはいかないと思うのですよ。空港ができる、できないということは別ですよ。しかし、空港のようなものができる、まわりに大工場ができる、住宅ができる、こうなってきて、もう地下に貯水される率というのが下がれば、これはどうしたって余裕高というものは狭められてくるといいますか、こういう傾向は認めざるを得ないと思いますが、この点はお認めになりますか。
  143. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 先ほども申し上げましたように、農林の計画とも関連いたしますし、やはり調査を待ってから申し上げるのが非常に完全かと思いますので、いずれにいたしましても十分検討をしなくちゃならないと、かように思います。
  144. 加瀬完

    加瀬完君 これは、この用水計画を変更するときから、堤塘をつくってもシルト層ではないか。したがって、堤塘の地耐力といいますか、あるいは粘着力といいますか、こういうものが非常に弱い。したがって堤塘をかりに五メートル築いたとこで、それが四・九メートルなり四・七メートルに下がってくるのじゃないか、また波浪とか風の吹き寄せとか、こういう場合には耐えられないのじゃないかということがだいぶ議論をされたわけでございます。さらに、その貯水される中の水量が多くなるということになれば、これはどうしたって問題は、心配も増してくるということにもならざるを得ないと思うわけですけれども、最高降水量は十日間に六百ミリ、こういうものがあるのに三日間に二百七十八ミリというものを押えたということだけでも、非常に洪水量が多いときにはこの堤塘はもたないということは初めからわかっておるのですね。そうすると、六百ミリ降らなくても、十日間に六百ミリ降ったのと同じような結果が、まわりの無制限な開発計画とかあるいは飛行場のような大施設ができるということになれば、生まれてくるわけですね。それにも耐え得るという計画にはなっていないわけです。ですから、これは十二分に農林省とも御相談をするということでございますから、あとで、もしもかりに空港などができるという場合には、一体この堤塘はもつのか、それから流入する水量というものは一体どう計算したらいいのか、こういう点の御検討をいただくとともに、はたして空港そのものがつくられてこの用水計画というものに影響がないかどうか、こういう点も十二分に、これは農林省、建設省それぞれ関係のある省のようでございますから、御検討の上、十二分な打ち合わせをして、用水計画もだめになるというようなことのないようにしていただきたいと思うわけでございます。  それから、これはまあ農林省に聞くのが妥当かもしれませんけれども富里地域に空港ができました場合の排水の処理は、いまの水利関係から見て被害が起こらないで完全にいきますか。
  145. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 公共水域に向かっての工場の排水なり家庭の排水につきましては、処理をいたした上で排水するということにいたし、被害者と加害者の関係が両方相成り立つような行政が現に公共水域において行なわれておりますので、ここにおきまして直接の工場排水的になりますかあるいは都市排水的になりますかによって所掌いたします部局を異にいたしますが、私ども河川局側から見ましても、処理をして害のないようにもっていけるのじゃないかと考えております。
  146. 加瀬完

    加瀬完君 これは直轄河川ではないと思いますけれども、利根川水系で千葉県の根古名川というのが毎年はんらんをいたしておりまして、これは建設省にも陳情が多いと思いますが、常時はんらんの河川でありますことは御承知ですか。
  147. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 根古名川につきましては、建設省におきましても、昭和三十二年ぐらいから中小河川として採択いたしまして、改修にかかっておりますが、いまだその計画が完成しておらない状態でございます。
  148. 加瀬完

    加瀬完君 この水源はどこですか。
  149. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 佐原の西方に流入する川でございますから、おそらく印旛の裏側あたりから北総台地あたりを流れてくる川ではないかと思います。
  150. 加瀬完

    加瀬完君 これは、御指摘のとおり、いわゆるいま空港候補地と目されている富里付近から流れ出るわけです。北総台地が源です。その北総台地が二千五百町歩なり三千歩町なり、先ほど申し上げましたように、樹木が伐採され、根がコンクリートやその他の舗装で完全におおわれるという形になりますと、根古名川を流れる水量というものはどういうことになりますか、一時的にどういう現象になりますか。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
  151. 国宗正義

    説明員国宗正義君) それにつきましても、同じく調査を待たなければそう断定的なことは直ちに申し上げかねますが、根古名川につきましては、一級水系に属する中小河川として、計画の規模も十分とっておりますから、おそらくや被害がないように対処できることと考えております。
  152. 加瀬完

    加瀬完君 いまの被害対策は、現場の畑地地帯、山林地帯で相当降水量を吸収する条件の中から流れ出しておっても、相当の被害が毎年毎年あるわけです。大体三百町歩ぐらは常時冠水——ちょっと雨が降ると冠水という状態です。そうでありますのに、これが全部吸収源というものを取ってしまって、いきなり降った雨がそのまま根古名川に流れるということになれば、いまよりも被害ははるかに大きくたるということにはたりませんか。
  153. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 定性的に申せば、おっしゃるとおりでございます。しかしながら、一般に河川の流域は都市の開発あるいは農業のかんがい排水計画の完成に伴いまして洪水の流出はどこでも早くなっているわけでございますので、沿岸の開発をももとより頭に入れまして、河道の調節、あるいは放水路、ダムの計画等によりまして、一般的には処理いたしておるわけでございまして、お話の根古名川につきましても、さような状態が、森林の伐採、宅地の開発がどの程度の影響を及ぼしますかは、調査を必要といたしますが、それらを頭に入れた上で洪水計画はやっていることと考えております。
  154. 加瀬完

    加瀬完君 根古名川の洪水防止計画というのは、むずかしいですね。といいますのは、まあ地域的に、この北総台地だけに雨が降るということはありませんで、北総台地に降雨量の多いときは、利根水系全般に降雨量が多い。根古名川水位より利根のほうが水位が高くなり、根古名川が排水できない。そのために全部田畑に冠水するという形ですね。花見川の排水機みたいなものをつくれば別ですけれども、そういうものは住民の負担がこれにはたえられませんので、結局北総台地に空港ができるような場合は、一本の北のほうに流れる川でございますが、根古名川というものの被害というものは、現状においては措置の方法がないということに私はなろうと思う。これは十二分に検討して、根古名川がどうなる、その場合一体冠水田がどれくらいできてどういう被害が及ぶか、この点は具体的に農林省ともお打ち合わせいただきまして、いずれかの機会にまた資料を御提出を願いたいと思います。  で、北総台地は、一本利根のほうへ根古名川を通して流れます。ちょうど分水嶺になっております。一つは印旛沼に流れます。あとの一つは九十九里のほうへ流れます。九十九里のほうへ流れるのは、ほとんど川という川はないわけですね。それで、上のほうの田から下のほうの田にだんだん流れて、九十九里に注ぐという形になります。そうしますと、いままでは一応、森林地帯、畑地帯ということで、洪水量が相当ありましても、ここでためることもできましたし、あるいはその被害も、今後の被害というものよりは少ない程度で済んだということも言えるかもしれませんけれども、それにしても、いままでにしても、大体千葉から銚子のほうへ参ります総武線の北総台地の真下というのが、少しの雨でもすぐ冠水するやはり冠水地帯です。というのは、はける川がありませんから、被害もやはり相当あります。そういうときに、今度は直接にたくわえるものがなく、ばっと下流に流れ出した場合は、その被害はもっと大きくなるわけですね、全然川がないわけですから。こういう点について、かりに空港をつくるという場合に、洪水被害というものは現状よりどう変化するかというようなことで、何か運輸省とお打ち合わせがございましたか。
  155. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 根古名川なり、富里を前提にする河川改修の相談はございません。いまお話しの根古名川を舞台にいま直ちに答弁する資料を実は私は持ち合わせておりませんが、上流の森林伐採、農地の開発、宅地の開発によって影響を受けることはもとより事実でございますが、実は大河川のそばに流入する河川におきましては、本川の改修に影響を受けることもきわめて大きいわけでございますので、この内水を排除するための計画を今回の五カ月計画におきましては積極的に取り入れて、支障のないように措置しているところでございますので、いまお話しの根古名川のあのあたりにおきましては、必ずしも高水位を高くする計画ではございませんが、現に排水が困難な場合におきましては、積極的に内水排除の事業と五カ年計画の中に取り込んでいきたいと考えております。
  156. 加瀬完

    加瀬完君 いや、根古名川は済んだのですけれども、内水排除の施策をするといったところで、一番完全に農林省関係で建設省との協力のもとで行なわれていると思われるのは印旛沼です。印旛沼も、先ほど申し上げましたとおり、これは三日に三百ミリという洪水量になりましたら、排水機はききません。排水するほうが水が高くなってしまって利根川への排水は全然だめです。花見川へ流して、検見川に流すほかないでしょう。そうすると、結局二つあった排水機も、一つしか使えないということになる。根古名川の場合、排水機を使えるような状態になるまでに、利根の堤塘そのものが水がもたないというようなときになりましたら、しばらくの間排水なんかということはできないのです。かりに排水機をつけますと、その維持管理の費用というものは、その住民が負担をしなければならないことになりまして、これは全部国営でやってくれれば別ですけれども、なかなかこれは、言うはやすくして、行なってまいりますと、負担が大きくてできなくなってくるわけです。ですから、これは根古名川は十二分に御調査をしていただけばすぐわかりますから、それはおきます。問題は、根古名川でも何でも、川が一つあれば、まだ流れ道がある。全然流れる道がない北総台地の南側、九十九里に向いたほうです。ここには大体水田二千五百町歩くらいある。いつでも冠水をする水田が二千五百町歩から六百町歩ぐらいあります。これは川がないのです。そして、一時に水が出れば、被害が多くなるわけです。概算二千五百町歩の土地がかぶってしまうということになれば、二千五百町歩のところにその倍近い降水量が降ったのと同じことになりますね。そうなってまいりますと、この被害というものはばく大なものになってしまっておる。こういう対策というのが、現状においては立てようたって立てられないのじゃないか。しかも、これは農林省関係の問題になりますけれども、逆に干天続きのときは、もう水源がないのですから枯渇してしまう、田が干割れるというわけにもなりますので、ですから、空港設置なんかといったって、その空港の敷地の中の問題だけでなくて、まわりの産業経済に非常な大きな関係が及んでくる、そういう点もこれは御検討をしていただかなければならない問題だと思うわけですが、これはまだ敷地がきまったわけではございません、位置もきまらないわけでございますが、建設省はこういう点を御調査くださいまして、次官会議あるいは関係閣僚会議というものがあるそうでございますから、十分この地元の不安というものをひとつ解消するように御努力いただけますか。
  157. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 北総台地の洪水に対する問題並びに水の補給対策につきましては、お話のとおり、農林省経済局長と相談いたしまして、建設省といたしましてはできるだけの努力をいたしたいと考えております。なお、北総台地におきまして、私どものただいままで承知いたしておりますところでは、農林省の指導のもとにおける土地改良計画がまず必要だと思います。さような場合におきまして、まず排水を行なう。かつ、水を補給するためには用水が要ることになることは明らかでございますので、さような用水が問題になった場合におきましては、現在の計画の中におきまして解決をはかるという方向に打ち合わせをいたしておるところでございます。
  158. 加瀬完

    加瀬完君 用水計画の中には入っていないのでしょう。印旛沼から取水をする工業用水、農業用水の中には、北総台地なり印旛沼周辺の台地における畑地かんがいというものは入っておりません。また、計数上入ってきませんね、水量の関係から。いま私はそういうことを問題にしているのではなくて、結局、その空港ができて、地の表面がおおわれた場合、洪水量というのが数字の上とは違ってくる。そういう場合の被害というものをどうするかという点を伺っておるわけでございます。根古名川もそうでございますが、少なくも印旛沼用水に対しても計画は若干狂ってくると思うわけですね、洪水量の流出量が違ってまいりますから。で、こういう点をひとつ慎重に調査をいたしまして、運輸省協議をしていただきたいと思いますが、これは御承諾いただけますか。
  159. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 飛行場がきまりましても、きまらなくても、建設省といたしましては、いまのお話の印旛沼、根古名川流域の北総台地等の対策といたしましては、運輸省はじめ関係各省と相談いたしまして対策を立てたいと思います。
  160. 加瀬完

    加瀬完君 政務次官に伺いますが、いまのような問題も十二分に検討して対策を立てていただきませんと、あとで種々のまたトラブルが起こることになろうかと思うわけでございますが、こういう点は、いずれのところに位置がきまりましょうとも、一応それぞれの地域の住民あるいは産業に及ぼす空港設定のあとの影響というものを事前に御検討を願わなければと思うわけでございますが、この点はいかがですか。
  161. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) ただいまだんだんの御質問でございました新空港設置と用水、排水の問題につきましては、関係する各省も広いことでございまするし、事務次官会議、また閣僚懇談会もございますことでございます。これらの会議にはそれぞれの関係省の責任者出席いたしております次第もございますので、今後設置あたりましては十分協議もいたしまして、万全の措置をはかりたいと考えておる次第でございます。
  162. 加瀬完

    加瀬完君 運輸省に伺いますがね、毎日五万トンですか水を使うということになりますと、その水というのは相当薬品なんかが混合した浄化後の排水として出されることになりますね。で、この浄化排水は、かんがいあるいは用水といったものに影響はございませんか。
  163. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 五万トンの水全部が有害であるというふうには考えませんが、中で整備工場等でかりに農作物に影響があるというようなものが出ます場合には、これを完全に浄化するという措置は当然とるべきであると考えております。
  164. 加瀬完

    加瀬完君 この羽田の空港なんかの場合でも、その他の空港なんかの場合でも、排水には窒素分が非常に多いそうですね。そういうことを御承知ですか。
  165. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 窒素が多いということは聞いております。
  166. 加瀬完

    加瀬完君 これが田に入り、畑に入り、結局倒伏するのですね。稲なんか全部長く伸びてしまって、倒伏して使いものにならないということになるわけですね。しかしながら、窒素分を排水の中から除くということはなかなかできませんよね。排水路というのがありますか。これは、かりに富里付近に空港をつくった場合に、どの排水路を使うのか、こういう汚水に対する排水路は。
  167. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) この問題は、農林省との重要な協議事項でございますので、富里にきまりました場合には、既存の排水路はどうなっておるか、あるいは新規な排水路をいかにつくるかというような問題につきまして、当然農林省あるいは県当局と相談すべき問題だと思います。
  168. 加瀬完

    加瀬完君 そこがおかしい。排水路が完全にとれるか、あるいは農作物その他産業上の影響が少なくて済むか、それらが検討されて、この程度なら最大公約数だいじょうぶだから、ここに位置決定しようじゃないかという運びにならなければおかしいじゃないか。位置がきまって、空港の設定の運びになって、そこで被害が起こったら、そこで農林省と相談しよう、県と相談しよう、相談して排水の完全な設備ができなかったら、排水路を設けようったって、どうにも始末がつかないということになりますから、一体住民はどういうことになりますか。私は逆だというのです。そういうことを事前に、これは航空審議会もそうですけれども、いきなり私有権のあるところに、ここは飛行場にいいなんというきめ方をしておりますけれども、いいというのは、航空条件や場所だけ見ていいということでなくて、受け入れ態勢がいいのか、住民に被害が及ばないか、地域の開発にマイナスの面がないか等、種々の点を勘案されて、そういうことを調査をされて、ここならだいじょうぶということでなければ、一方的なきめ方では摩擦を大きくするだけのことだと思うのです。いま局長さんがせっかくお答えになりましたけれども、きまってから対策を立てるということでなくて、この法案内容を見ると、全部きまってから対策を立てるというようになっている。きまる前に十二分な対策というものが考究されるべきじゃないか。次官会議というものは、そういうことでやるべきだ。そういうことでなかったら、農林省が出たり、自治省が出たり、建設省が出たりする意味がないと思うのですがね。なぜ事前にもっと、被害の及ばなくて済むように、あるいは被害を最小限度に食いとめられるように、事前の折衝というものや、対策というものを検討されないのか、ここが私どもがどうも何回考えましてもふに落ちない。空港だけつくればいいという、こういうことでは、運輸省たりとも、ないはずです。
  169. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 排水につきましていろいろな問題がありはせんかというお尋ねでございました。排水の質等につきまして、化学処理につきましては、ただいままでもいろいろ考究いたしておりましたけれども、なお十分な検討を重ねまして、公害を及ぼさないような万全の措置をとっていきたいと考えている次第でございます。
  170. 加瀬完

    加瀬完君 それはあたりまえでしょう。そういうわけにいくかというのです。ここで、海ならばすぐ海に流すということができるし、大きな川があればその川に流すこともできるが、流れる川もないじゃありませんか。しかも、大体田を伝わって流れている形です。九十九里のほうに向いておる。その場合、工場用水であろうと、何であろうと、窒素分の非常に含んでおるとおっしゃられるようなものを流されれば、その田はみんな倒伏してしまいますよ。そういう対策というものが一つもなくて、空港はつくりますと、何とかその被害のないようにいたしますと言ったところで、住民の側からすれば、一体排水をどうするのだ、おれのほうの田に流さないという方法があるかといえば、それは何も考えておらない。それでは安心ができない。もっと出直して、地元に被害がないように、いずれのところに空港の敷地がきまろうとも、ここの場所にはこういう対策、ここの場所にはこういう対策というもので、これでどうだというものを示してくれなければ、政府としては不親切だと思う。南のほうには流す川がない。どうしますか。
  171. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) ただいまお答えしましたように、窒素分の分量というものその他、これは農業にどういう影響があるかという点を農林省等と打ち合わせまして、排水の施設をいかに行なうかというようなことは当然考えまして、付近の住民に、いわゆる公害と申しますか、そういうものができるだけ及ばないという措置を講ずる所存でございます。
  172. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、いま何も私は浄化水だけを問題にしているのではないけれども、洪水量のはけ口といったような点も、はけていく川というものが常時洪水のある川ということでは、全然効用がない。どういう地域ということを検討して、一体適なのか不適なのかという調べ方をもっと進めていただかたければならないのじゃないかということをお願いをいたしているわけです。これは、航空写真をとって、上のほうからごらんになったのかもしれませんが、実際に下におりて、現在の田畑の状態、あるいは住宅地、部落の状態、こういうものをも調査をしないところにそごを来たしているのではないかと思うのです。空の上からだけ写真をとって、大体ここらは平らでいいだろう、こういうきめ方をされては、下に住んでいる住民はたまったものではない。検討が不足ではありませんか。単にこの水の問題だけじゃございません。ただ一つ水の問題をとりましても、全然その水の対策がないと、こういうことではどうも困ると思うんです。で、重ねて聞きますがね、ここで使われる油は一体一日どのくらいの量になりますか。
  173. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) ただいまピークで年間四百万トンという程度でございます。
  174. 加瀬完

    加瀬完君 四百万トンの油を使うわけですから、この油の廃液というものも何か処理をしなけりゃならないことになりますね。
  175. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) これは主として航空燃料でございますので、廃液という問題は起こらないんではないか。もちろん、若干の工場ができるに思いますから、そちらのほうの問題は起こってくるということは考えられますが、大部分は航空燃料ということでございますので、一般の工場のような廃液の問題ということはそれほど起きないんじゃないかと思っております。
  176. 加瀬完

    加瀬完君 その油はどういう形で——油送管みたいなものでここまで運んでくることになりますか。
  177. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 現在、私どもの腹案といたしまして、これは全く腹案でございますが、かりに富里にきまります場合には、海岸地帯からパイプでもって運ぶというような計画をすることが最も能率的、経済的じゃないかと、かように考えております。
  178. 加瀬完

    加瀬完君 それは千葉の海岸ということですか、東京湾ということですか。
  179. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 現在、千葉の海岸にするか、あるいは東京の方面にするか、この点はタンカーその他の関係、あるいはいろいろな立地条件、これもやはり港湾局等とよく打ち合わせてやりたいと思っておりますが、いずれにしても東京湾内からパイプで運ぶというような腹案でおります。
  180. 加瀬完

    加瀬完君 で、それの結局、油送管の敷地並びに油送管の敷設、そういう費用というものはおきめになった予算の中に含まれておるわけですね。
  181. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 現在、油送管の問題は一応見込んではおりますけれども、いずれにしましても千八百億あるいは二千億というようなオーダーの数字でございまして、いずれの数字につきましても今後状況によって変わってまいるということは当然でございます。
  182. 加瀬完

    加瀬完君 それは概算どのぐらいという計算はないですか。
  183. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 現在、この油関係につきましては、全体で六十八億という程度のものを見込んでおりますが、これはただいま御説明しました海岸からのパイプのほかに、貯油タンク、あるいは、いわゆるハイドラント・システムというものによって、地下のパイプによって飛行機に給油をするというような施設一切、しかもこれは第二期計画まで含んでの数字でございます。
  184. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、かりに富里だとすれば、空港の建設費が千八百八十億、霞ケ浦にすると二千二百二十億、その内訳が、富里の場合にすれば、油関係は六十八億、あとの千八百何億というものの内訳はどういうことですか。
  185. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 概算で申しますと、用地費としまして八百億、それから基本施設、すなわち滑走路、誘導路その他三百八十億、それからターミナルビルあるいは貨物ビルというものが二百四十二億、ただいま申しました給油関係が六十八億、それから航空保安施設約二十九億、その他構内の道路、駐車場その他のものが百三十億、そのほかにこれらをやっていきます場合の一般管理費として百三十五億、公団のやります事業として千七百八十八億ということになります。そのほかに運輸省の直轄事業約八十四億、これを合わせまして千八百七十一億円ということになっておりますが、運輸省直轄事業と申しますのは、管制施設——これは公団ができましても、航空管制は国が一元的に全国をやりますので、この新空港におきましても、管制は国がやるということになります。そのほか税関あるいは入国管理、動植物の検疫等の庁舎というようなものを含んでおります。
  186. 加瀬完

    加瀬完君 用地費の八百億の内訳はどういうことになりますか。
  187. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) これは、用地買収、移転補償あるいはつけかえ補償その他の費用を見込んでおります。
  188. 加瀬完

    加瀬完君 買収費は幾らですか。
  189. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 買収費につきましては、現在まだ具体的にきまらないわけでございますが、これに幾ら算入してあるかという点につきましては、いろいろな問題がございますし、またこのいままで申し上げました数字も、初めにお断わりしましたように、一応の試算でございますので、坪幾らというようなことではちょっと申し上げにくいわけでございます。
  190. 加瀬完

    加瀬完君 買収はですね、公団で自由に価格をきめられると、そういうたてまえをとっておりますか。
  191. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 公団とそれから地主との間の話し合いというものが基本になると思いますが、もちろん公団が地主の要求した金額をそのまま払うということは、これはできないというふうに考えます。しかし、できるだけ地主の要望に沿うように、公団も努力し、また政府もこれについて裏づけを与えるように努力するということは当然でございますが、全く公団の自由ということにはならないと思います。
  192. 加瀬完

    加瀬完君 この前、建設省に質問をいたしましたときには、こういう公共用地の取得については、閣議の申し合わせ事項があるので、それでやるのだというお話がございましたが、公団の場合は、それにはかかわりなく、買う者と売る者との相対で値段をきめるということになるのですか。
  193. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) これは、この前の予算委員会で、建設省のほうから答弁があったことでございますが、公団でございますから、やはり公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものが一つ基礎になるという点は間違いないと思います。私が先ほどできるだけ地主の御要望に沿うように努力すべきであるということを申しましたのは、この要綱の運用の範囲というものが全く機械的にきまるということではないということで、できるだけ弾力的に運用して、地主の御要望に沿うべきであるというふうに申し上げたわけでございます。
  194. 加瀬完

    加瀬完君 これは政務次官に伺いますが、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、賛成とか反対とかいいましても、富里付近の場合は、結局その買い上げ価格が幾らだということによりまして賛成にもなれば反対にもなるという層が相当あるわけです。そこでですね、買い上げる場合は、大体それぞれの地域の標準を出して、これくらいの価格で買い上げをするのだがどうか、あるいは移転補償の場合はこういう基準で行なうのだがどうか、こういうものを国が出せなければ、県等を通じてはっきりとした線を出して賛否を明らかにさせるという方法をおとりいただくわけにはまいりませんか。
  195. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) いよいよ具体化してまいります過程におきまして、ただいま御質問のような趣旨で地主と御相談を申し上げるということに相なろうかと考えております。
  196. 加瀬完

    加瀬完君 いや、位置決定をしましても、価格が安ければ売らないというのが大多数です。まあ、そういう意味の、先ほどもちょっと申しましたが、百万というのがいつの間にか四割上がったのかと大臣はおっしゃいましたけれども、百二十万なり百四十万なりという値段がいまは巷間盛んに流布されている。そこで、かりに賛成だ賛成だと言ったって、位置がきまりまして、いざ土地の買収の折衝のときに、これは三十万でなければだめですとか、五十万でなければだめですということになりますと、これは一挙に、一〇〇%の賛成が一〇〇%の反対に回る。そういうことになりますれば、事実において敷地の獲得というのはできないことになりますね。そういうことを防ぐために、霞ケ浦にいたしましても、あるいは第一候補とおっしゃる富里にいたしましても、富里の場合ならばこうだ、霞ケ浦の場合ならば漁業補償はこうだ、こういうものを出して、それで説得をするという方針をどうしておとりになれないのですかね。
  197. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) ただいま法案審議の過程でございますから、具体的な数字を申し上げるという段階ではございませんけれども、いずれ御可決をいただきまして、具体的に地主と御相談をする場合におきましては、いまお話がございましたような具体的な数字をもって御交渉する、その場合には、できるだけ適正な、地主の立場も考慮した価格をもって御折衝をいたしたいと考えておる次第でございます。
  198. 加瀬完

    加瀬完君 それはね、折衝するには値段を出すのはあたりまえですよ。値段を出さなければ折衝にならない。適正とおっしゃいましたけれどもね、適正な価格ということであっては、地主の要求というものはいれられないですよ。先ほど局長の御説明のように、一つ閣議申し合わせの基準というものを貫いていこうとするならば、二十万か三十万しかしないものを、百二十万の、百三十万のという値段をつけられるはずのものではございません。具体的にいうならば、富里村の中学校の場所は、固定資産税の評価は坪三百円です。それを百五十万で買うという、いかに地主の要望をできるだけ聞きましてもね、政府やこれに準ずる機関が、そんなべらぼうな値段で買うことができますか。できたら、これは決算委員会の大問題です。ですから、そこまでいって話が逆転するということではどうにもなりませんから、あなた方のほうで言えないなら、知事なら知事に委嘱して、大体の値段はこれだ、これで承知ができるかどうか、獲得できるかどうか、こういう点を私は念を押して、それから場所の選定というものをきめなければうまくいかないと思うのです。といいますのはね、先ほど局長さんのほうから御説明があったわけでございますが、航空法の三十九条の五号は、「飛行場にあっては、申請者が、その敷地について所有権その他の使用の権原を有するか、又はこれを確実に取得することができると認められること。」という条件がありましょう。ですから、位置をきめて折衝をしても、私は安いから売らぬよということになったら、これは、公団はここへ空港をつくりますよという申請ができないことになるのです。それはそう解釈してよろしいですね、局長さん。
  199. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) その場合に、どの程度の反対の方がおられるか、具体的にそういうような問題との関連もございますので、すべての方が全部売るというところまでいかなくても、私は、三十九条五号の要件を満たす場合もあり得る、これはその場合における現実の実態に即して考えるべきである、多くの人が反対であるという場合には、やはり飛行場設置ということは非常に困難にたると、かように思います。
  200. 加瀬完

    加瀬完君 過半数の反対の場合はどうです。多くの者が反対とみなされますね、反対が過半数、どうしても土地は売り渡さないとか、使用権を認めないという者が過半数あった場合は、これは、運輸大臣としては許可することの条件になりますか、過半数の反対があった場合。
  201. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 過半数というような場合には、適当な用地というふうには考えられないのではないか。したがって、その場合の条件というものがまた問題になってくる、かように考えます。
  202. 加瀬完

    加瀬完君 ですからね、結局、あと先になるようですけれども位置をきめて、敷地をきめて、敷地のきまったところで交渉しようといったところで、買収価格というものに賛否の問題があるわけだから、賛否を明らかにしなければならないというときに、値段が安いということであれば、賛成派が反対派にひっくり返る、こういうことを、そこまでいってから繰り返してはどうにもならないじゃないか。そこで事前に、これくらいの価格で買収はするんだ、これで賛成なのかという確かめをして、その確率が大体過半数が賛成だということであれば、そこの位置をきめるという手続をとっていかなければ、事実において空港はできないということにたりませんか。だから、その間に、位置をきめてから具体的に折衝するんじゃなくて、知事なら知事、茨城県知事なら茨城県知事、千葉県知事なら千某県知事というものに委嘱をして、大体この程度でやるんだが、それで賛成かどうかという瀬踏みをしてかからなければ、どんでん返しになるんじゃないかということを心配しているんです。なぜ、それをおやりになれないんですかね。ただし、反対といったところで、もともとでしょう。賛成のような形でもって進めて、あとで反対されたって、始末のつかないこと同じでしょう。そこで出してみてだめだといったら、あなたのほうで考えるか、違う場所をさがすか、そういう折衝をしたほうが早いんじゃないですか、でき上がりは。なぜ、それを出せないのですか。
  203. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 値段の点につきましては、いろいろデリケートな問題もございますし、また、現在のところ、先ほど個々の工事費目の概算につきまして御説明いたしましたが、あの数字にいたしましても、一応運輸省として概算した数字でございまして、千八百億あるいは二千二百億という数字も、そういう性質のものでございまして、まだ財政当局と話し合いが完全についておるというものではございません。したがって、この点は現在まだ、そういう意味から、いいましても、こまかい積算の単価というものは発表しかねるわけでございます。
  204. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、概算を出すからにはですね、少なくも積算の基礎というものはあるんでしょう。用地買収は八百億ということになれば、八百億という積み上げの基礎というものは、面積ははっきりわかっておるわけです。その面積について、しかも、いろいろ変化がありましょうから、何段階かに分けて、そうして、そのABCDの段階で、基礎単価は大体坪幾らと、あるいは、補償はわらぶき屋根で幾らだ、かわらぶきで幾らだ、トタンぶきで幾らだ、あるいは、耐久年数に応じてどう補償するかという積算がありまして八百億ということになった。それくらい一般に出せないというなら、ここで積算の基礎はこうだという点をお示しいただいたらいかがですか。あなた方がそれは大っぴらに出されては困るというなら、ここだけで、何もぼくら発表しませんよ。その積算の数字がなくて八百億がひとりでに出てくるはずがない。
  205. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 先ほど大づかみな費目別の金額を申しましたが、これらの数字につきましても、財政当局と十分意見調整した数字でございません。したがって、用地費等につきましても、ここでもってその内訳を申し上げることはちょっと御容赦願いたいと思います。
  206. 加瀬完

    加瀬完君 私あとでまたやりますけれども、この問題はこれで終わります。
  207. 浅井亨

    ○浅井亨君 先ほどからいろいろと地上の問題、すなわち、そこの住民に対する問題、その位置の問題、いろいろな検討をされまして、大体は頭の中に入ったように思っております。しかし、この法案が通りますと数日中にこれを決定する、このようなところまで煮詰まっているようにおっしゃっておられるのですが、もし、いま富里とか霞ケ浦、こういうことになりますと、空のほうの空域の問題についても大きな問題があるんじゃないかと思います。そういうことについて、百里の自衛隊の演習場の問題ですが、これに対しては、どういうような対策をほんとうに研究されたか。どのようにお考えになっておったんですか。これをひとつわかるように説明していただきたい。
  208. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) ただいま御質疑がございました、霞ケ浦周辺地区をとるといたしますれば、百里基地との調整という問題は起こってまいりますわけでございます。そこで、百里基地との間におきましては、いわゆるホールディング・エリアと申しますか、空域において適当な調整の方法はないのか、あるいはまた、何らか今後米軍基地を利用させていただくといったようなことはできないのか、そういったような点を考慮いたしまして、百里基地問題の検討をいたしております次第でございます。
  209. 浅井亨

    ○浅井亨君 地上の住民の問題につきましては、いろいろ研究した上でなければ、その位置決定というのは尚早じゃないかと、こういう御質問がありましたのです。やはり空中における航行安全の面からいいましても、それはある程度はやはり煮詰まっているんじゃないかと、こういうふうに私も考えるのですが、そういう点はどうですか。
  210. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 超音速機等は、ただいま御質疑がございましたような、相当な騒音の問題もございますので、できるだけ地上に迷惑の及ばないようなことを考慮する必要がございます。かような点もあわせ考えながら地域設定をいたしたいと考えておるような次第でございます。
  211. 浅井亨

    ○浅井亨君 大体お話を聞いておりますと、もう質問する要点もないのですが、ただ一つ問題になりますのは、この公団でございますが、公団法の十三条ですが、ここに、いままでの公団法ですと、国会議員とか——欠格条項ですが、これはいままでのを見ますと、全部公団では、「国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長」と、これが欠格条項の中に入っておるわけなんですが、今度はこれをどういうわけで抜かれたのですか。
  212. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 国会議員等を欠格条項に当てはめて除外するということはどうであろうかと、しかし、まあ具体的にそれに専念をするという意味ではございませんけれども、本質上、欠格であると、そういう資格においてないのだと、こういうことではなく、実際上、そういう方は任用、委嘱をしないと、こういうことでいきたいと、かような考え方が今回の法案の字句となりました趣旨でございます。
  213. 浅井亨

    ○浅井亨君 考え方はそれでいいのですが、いままではなぜ、欠格条項の中にこの一項が入っていたのですか。どういう理由で、今度はどうしてなくしたのですか。いままで入っていたわけでしょう。
  214. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) いまの十三条の問題でございますが、従来公団法律で、欠格条項というものには大体二色あったと思います。性質としまして。一つは、公団の役員として公団の利益を不当に害する、あるいは公団の業務の適正な遂行を阻害するというような性質の人、こういう人は公団の役員として欠格である、この法律案の十三条でいけば、二号に当たるような人、こういうグループと、それからもう一つは、公団の役員として業務に専念することが客観的に考えられないというようなグループの人と、こういう二種類の欠格条項がございます。で、後者のほうが、ただいま御質問になりました国務大臣あるいは国会議員等という方々でございますが、趣旨としては、やはり公団の役員として専念するということは不可能であろうと思いますが、法律をもってここに明らかにするのは必ずしも適当ではないというようなことで、今後はこういう欠格条項から削除をしようということで、全体の方針がきまりましたので、この法律案も、その趣旨に従いまして国務大臣等をはずしたと、こういうことでございます。
  215. 浅井亨

    ○浅井亨君 ちょっと私がお聞きします意図とは違うのです。私が聞き違いか知りませんけれども。前にあったということは、何かそこになければならないという理由があったのじゃないでしょうか。前のときに、鉄道建設公団なんかはありますね。そのあったということは、これがなければいけないという理由があったのじゃないですか。
  216. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 先ほど申しましたように、いままで規定されておったということは、専従することができないというような意味におきましてあったわけでございますが、国務大臣等につきまして積極的に法律でここに列記しなくてもいい、むしろ、列記しないほうが適当ではないかというような考え方から、従来の立法例を今回改めて、今回その方針をきめられた後におきましては、ただいま申しましたように、はずしてある、こういうことでございます。
  217. 浅井亨

    ○浅井亨君 それじゃお聞きしますが、はずしたのと、はずさないのと、そこに何か差というものがありますか。考えられますか。
  218. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 従来は法律的にそういう規定があったということと、今回は、法律的には規定がないが、実際問題としては、従来と同じように運用されるということで実際問題としては差はない、ただ形式的に変わってきた、こういうことであろうと思います。
  219. 浅井亨

    ○浅井亨君 形式的だけで削除したのですか。
  220. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 結果におきましては、形式的にはずれたということでございまして、はずした趣旨というものは、いま申しました二つのグループと他のグループというものと同列にとらえてあげるということが必ずしも適当でないという考えのもとにはずした、こういうことでございます。
  221. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると、いわゆる形式的であるということになると、前のこの法をつくるときには形式だ、こう私どものほうで判定しているのですが、法に形式というのはないでしょう。ある以上は、やらなければならない、実行しなければならない。
  222. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 私の申しました形式という意味は、形式的という意味の形式という意味でございませんで、形としてそういう法律のていさいになっておったということを申し上げておるわけでございます。
  223. 浅井亨

    ○浅井亨君 実は、これは衆議院のほうですけれども、田中政府委員という方のお答えの中で、「実はいろいろの点で不統一が非常に目立っておるわけでございます。」、こういうふうな御答弁をされております。「いろいろの点」というのはどういう点ですか。これははっきりしないのですが。
  224. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 私はいまその速記を読んでおりませんので、あるいは見当違いなお答えになるかもしれませんが、従来の法律においては、国務大臣等が列記してあったし、最近提案された法律案には列記してない、そういう点で統一を欠く、こういう意味ではないかという推測をいたします。
  225. 浅井亨

    ○浅井亨君 しかし、これが省かれておりますと、やる人があったらどうします。
  226. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 国務大臣等が公団の役員に任命されるということは、事柄の性質上、私は実際問題としては考えられない、したがって、ここに列記することは必要ではない、かように考えます。
  227. 浅井亨

    ○浅井亨君 それはあなたの主観でしょう。もしこれをやったらどうしますか。これは、ない以上はやれるということですからね、任命された場合に。
  228. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 私は、役員の任命というものは、この法律運輸大臣ということになっておりますが、運輸大臣はそういう任命をされないと、かように考えております。
  229. 浅井亨

    ○浅井亨君 されないと思うのは、あなた方の主観なんですが、ある以上はできませんが、なければ、そういう任命があった場合にどうしますか。それは、いままでのこういうところの幹部の方々に、いろいろな問題が出てきているわけなんです。それは私もある程度あっちこっち聞いて知っておりますけれども、それは申し上げませんけれども、そういう場合があるということは考えられたければならないと、こういうふうに思うのです。この条項がある以上は、そういうミスはないと思いますけれども、ないとなりますと、ともすると、そういう危険性がある、こういうふうに私は考えます。そうすると、そういう場合に、いろいろなおもしろからざる問題が起きた、こういうふうになったときにどうしますか、それを心配している。
  230. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 従来の法律にもちろんありました例としましては、国務大臣、国会議員ということになっておりますので、このような職にある方をこの十三条の欠格条項から削除しましても、国務大臣なり国会議員という方がこの公団の役員になるということは、私は実際問題として考えられない、したがって、ここに列記しなくとも、いま御指摘のような弊害というものは起こり得ないのではないか、かように考えております。
  231. 浅井亨

    ○浅井亨君 それは衆議院のこの記録を見ますと、このようなことも書いてあります。「適当でないならば任命権者なりが任命をする場合に、実際問題としてそういう任命を避けたらいいではないかというようなことを私たち考えまして、」と、こういうふうに書いてあります。「避けたらいいではないか」ということは、避けないかもしれませんね。
  232. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 私は、いま、その速記録が手元にございませんですが、私の見解といたしましては、国務大臣あるいは国会議員というような職にある方が公団の役員になるということは、実際問題として起こり得ない。したがって、ここで法律案の十三条に列記しなくても実際上の問題が起きないということで差しつかえないのではないか、かように考えております。
  233. 浅井亨

    ○浅井亨君 それは見解の相違ですが、起こり得ない、こう言うのです。その条項がない以上は起こり得る。とするならばと考えるのは私の考え方。だから、こういう団体のいわゆる幹部の方にいろいろなうわさされるような問題が起こってくる。私も一、二知っているんです。そういう問題が起こりはしないということを断定はせられますけれども、法の上に定められておりませんと、やはりそれが起こり得ると見ていいのじゃないか、こういうふうに考えるのです。この点がどうしても私、納得いかないのです。ほかのほうは全部賛成なんですけれども。なぜこれを除いたのか。除かなくてもいいのじゃないかと言うのです。あるまま、そのままでもいいのじゃないか。これはあったら差しつかえがあるのですか。いままであったのですからね。それを置いても差しつかえないのじゃないですか。そうすれば、われわれは安心できるわけですね。ないというと、いままであったものをなくすると、そこのところに心配になるものがあるのですね。あなたのほうでは、そういうことは起こり得ない、こういうふうにおっしゃいますけれども、それじゃ、これはあってもいいじゃないですか。これをわざわざ取る必要もないじゃないですか。めんどうくさいのですか。
  234. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 私は、従来法律にあったのでございますが、その法律ができが悪かったというような意味で申し上げておるわけではございませんので、ここに列記することが必ずしも適当ではないということで、今後の法案につきましては、すべてこういう点を削除しようというような方針のもとに行なわれたわけでございまして、これを削除いたしましても、実際問題として弊害は起こらないというふうに考えております。
  235. 浅井亨

    ○浅井亨君 いま、あなたのを聞いていますと、ここに羅列することは適確でない、こういうふうにいまおっしゃいましたが、じゃ適確でないという理由はどうなんですか。あってもいいんじゃないですか。
  236. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 必ずしも適当でないと積極的に規定することは。そういうふうに申しましたわけでございまして、国務大臣あるいは国会議員という職にある方の欠格ということを十三条に他と並べて書くことは必ずしも週当でない、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  237. 浅井亨

    ○浅井亨君 ただ、そうすると、適当でないという、そこがはっきりしないのですか、どういうわけで適当でないか。前にあったのをいまさら取る必要はないと思う。私は、二、三日、この文章だけ見ていたのです。なぜ、いままであったものを取らなければならないか、お聞きしますと、適当でない。適当でないという理由は何だという、こういうふうに考えていきますと、もしもこれがあれば、そういうミスは起こしませんけれども、もしそういうようなことがやられた場合に、ということを考えざるを得ないのですよ。これは何としても私は納得できない、こういうことであります。わざわざ削除する必要はないじゃないか。あまり理論的にどうとかいうのではないのです。先を危ぶむのです。いわゆるこういうようなところで汚職が始まったり、また事件が始まったりするというような気持ちがあるわけなんです。それは私の主観なんです。あなたのほうでは、そういうことはあり得ないと、こういうふうにおっしゃるのですけれども、私のほうでは、ありはせぬだろうかと、こういうふうに心配するのです。一、二、そういう問題を知っておりますから、だから、そういうふうに思うわけなんです。こういうところに羅列することは適当でない。それじゃ、いままで何で羅列してあったか、こういうことを考えるわけです。何べん押し問答しても、そういうことになりますね。あなたの主観、私の主観、あったものがなくなったのですから、あなたのほうはそれを説明する必要がある。
  238. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 先ほどから申し上げておりますが、ただいま、あなたの主観ということばがございましたですけれども、これは私の主観と申しますより、前回衆議院委員会におきまして、内閣法制局のほうで答弁しておりますことと、いま私が答弁しましたこととは、趣旨において変わりないというふうに思います。したがいまして、内閣法制局内閣を総合した考え方として述べていることを私が申しておりますので、決して私の主観というものではございませんのでありますが、ただいま何か御心配ということでございますが、国務大臣、国会議員が公団の役員になるということは、私は実際問題としては全く起こり得ないのではないか、かように考えておりますので、もし大臣、議員を役員に任命したらどうかというようなお尋ねにつきましては、そういうことはあり得ないというふうにお答えせざるを得ない、かような次第でございます。
  239. 浅井亨

    ○浅井亨君 わかりました。あなたのほうではそうおっしゃるのですが、私としては、どうも、あるものをわざわざ取りのける必要はないじゃないか、こういう私の結論なんです。
  240. 相澤重明

    相澤重明君 委員長、きょう何時までやるかということもあるし、いま質問者も、ここに柳岡君もおりまするが、そこで、まあ、あとの、ほかの関係がなければいいんですが、運輸委員会のほかの行事も控えておりますし、その時間を、だらだらいつまでもというわけにはいかないと思うのです。そこで、いままで、大臣政務次官局長の、いろいろ質疑の中で御答弁もいただきましたが、委員各位の意見の中にも、現地を十分把握しなければいけない、こういう意見もあり、私から動議として、現地をひとつ見たい、こういうことで飛行機による現地視察を行なう、こういうことを提案したいと思うのですよ。それで、委員長理事打合会でお取り計らいをいただいて、できるならば慎重審議をして、しかも現地調査もして、政府の意のあるところ、われわれ委員会の各委員の意向というものも十分にひとつ反映をしていく、こういうふうな取り扱いをしてもらいたいと思う。そこで、動議提出いたしますので、ひとつ委員長、お取り計らいをいただきたいと思う。
  241. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  242. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 速記を起こして。ただいまの相澤委員動議に対しまして、理事会の結果を御報告いたします。  十七日午前九時半、参議院玄関に集合して、羽田飛行場に向かい、飛行機にて現地視察をすることに決定いたしました。  ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕
  243. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 速記を起こして。では、質疑を続行いたします。
  244. 相澤重明

    相澤重明君 政府にお尋ねしておきますが、この公団ができた場合の役員、先ほども浅井委員からも、十三条の御質問がありましたが、公団の役員が、総裁、副総裁、理事六人以内、監事二人以内ですか、そういうふうに言われておるのでありますが、公団の総裁、副総裁というのは、きわめて大事な人事だと思いますので、これは、こういう交通関係等に関係のある人を選任するのですか。それとも、まるっきり畑違いの者を持ってくる、こういうことなんですか。それはもう公団が発足をしてからだと言えば、それまでだと思うのですが、しかし、少なくとも、公団をつくるという構想がある以上、そういう人事の問題について大体政府のお考えというものが私はあると思う。そういう点について、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  245. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 相澤委員の御質問の点は、非常に重要な公団でもございますから、第二国際空港公団の持っておる使命をよく御理解をいただく方を選任いたしたいと考えます。
  246. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官答弁は政治的な答弁だからね。しかし、確かにどんずばりということはなかなか言えないことも私にもわかるような気がするのだけれども、従来政府がつくる公団、公社、こういうものについて、まるっきり門外漢、こういうことであってはならない場合が多いのではないか。そういう点で、政務次官の味のある答弁を実はいま聞いたわけなんですが、いま少し、何といいますか、御説明ができる道はありませんか。
  247. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 世界でも、ニューヨーク、パリ、東京と、こういう世界の三代表地点の一角を占める人事でございますから、相澤委員の、なるほどとお考え願えるような人選をいたしたいと考える次第であります。
  248. 相澤重明

    相澤重明君 私の一昨日質問した、国が直轄でやる、きょうも資料を御提出いただいた、国際連合の中の大きな国はほとんど直轄である、こういうことから考えると、直轄ということになれば、どんずばり出てくると思うのですよ。けれども、いま公団方式をとったために、そういう点が私は相当やはりこれから大きな関心事になるだろう、こう思うのです。そういう意味でお尋ねをしたのでありますが、政務次官の政治的な配慮による御答弁なので、きょうはそれ以上はお答えをこまかくとるのもむずかしいと思いますから。  その次に、総裁、副総裁、理事等の報酬といいますか、そういうものは、いままでの公団、公社というようなものでお考えになって、予算というものは組むのか。それとも、いまお話しのように、英、米、仏、日本というような世界のトップレベルだ、こういうことで、新構想に基づく新公団の役員にふさわしい給料というものをお考えになっているのか、この点を、大事なことでありますから、お考えを聞いておき、もし一つの基準といいますか、そういうものがあったら、ひとつ御説明を願いたいと思うんです。
  249. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) この公団の役員の給与につきましては、いろいろな段階が内規で定められてございますが、私どもとしましては、今度の公団が非常に重要な使命を持っておりますので、既存の公団のうち最も重要であるというような公団と同じような程度の給与というものを定めるということで、関係の向きと折衝をしたい、かように考えております。
  250. 相澤重明

    相澤重明君 いまの御答弁で、平面的な解釈によると、現在ある公団、公社のいわゆる総裁、副総裁というようなものに見合う、あまり悪くない、そういうような報酬が出せるような交渉をしていきたい、こういうふうに理解していいですか。
  251. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) いかにこの公団が重要であるからと申しましても、従来のいろいろな例を打ち破るということもなかなか困難であると思いますので、できるだけ従来の公団等におきますいわば一番上のランクというような給与を設定するというようなことで折衝をしたい、かように考えております。
  252. 相澤重明

    相澤重明君 次に、先ほど加瀬委員からも御質問があったわけですが、この公団法の中に盛られていることは、大多数のことが政令に委任をすることが多いように思うのですね。政令によるというのが、この点は、法律上のたてまえからいけば、もっと法律というものは目的を明確にして出すというのが、議会人のたてまえで私はあると思うんです。まあ、しかし、一応政府提案しているものは、政令によるというのが非常に多い、こういうことでありますから、この点は、政府がこの公団をつくった後に、いわゆる法律が通った後に公団ができ、そうして政令によるもろもろの仕事ができるということは、議会が監視をするという立場に立つわけでありますけれども、一応議会の手を離れたということになって、まあ思わざる政令が、実は法律を上回るとは申し上げませんが、そういうようなことになって、先ほどから各委員の御質問にあったように、心配ごとが多くなるということのないように、私はやはりしなければいけないのじゃないか、法律上で明らかにするものはしていくのが本来のたてまえと私は思うのですが、そういう点についての政府の見解というものをひとつこの際、政務次官からお聞かせを願っておきたい。
  253. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 法律を御提案申し上げますたてまえといたしまして、ただいま相澤委員から御指摘の精神はまことに私もそのとおりだと考えております。今回の第二国際空港に関しましては、特殊の用地設定等の事情がございますので、政令の面が多くなりましたことは、まことに遺憾とするところでございます。しかしながら、国会で皆さまに御答弁申し上げました趣旨を逸脱するといったような政令を設けることはございませんし、十分御意見並びに答弁申し上げました点にかんがみまして、今後、政令の設定をいたしたいと考えておる次第でございます。
  254. 相澤重明

    相澤重明君 それから今回政府提案しておるその中心は、飛行場の用地の問題については、千葉県富里あるいはその付近のところ、あるいは茨城県霞ケ浦ということに重点を置かれておるようでありますが、さきの新東京国際空港計画案というものが審議会の答申の線でそうなったのですね、これは。ところが、御承知のように、おととい、在日米軍司令官プレストン中将と小泉防衛庁長官が会談をしておるわけですね。これによって、実は茨城県水戸射爆場の移転の問題、それを従来政府は長期にわたって検討をされておったが、もうこれはあまり長期にそのまま放任しておくわけにいかぬということで、かなり突っ込んだ意見交換というものも行なわれたと私どもは理解をしておるわけなんです。新聞報道なりテレビ放送等もいろいろ行なっておりますから、伊豆の利島に置くとかどうとかいう話も出ておるようでありますが、それと同時に、実は在日米軍の司令官も非常に頭の痛いのは、厚木の飛行場なんですよ。これは先日も私が申し上げましたが、米軍のハウスに横田の戦闘機が墜落をしたために、米軍の家族がなくなった、こういうことで、この問題についても相当頭を痛めておるというのが、現在の在日米軍の司令部の人たちの意見のようです。そうしますと、きょうも午前中から大臣政務次官局長が御答弁になっておりましたが、富里なり霞ケ浦なり、あるいは第三の候補地というものからいっても、あるいはまた、大都市の中における米軍に提供しておる基地撤去の問題についてもあわせて考えていくと、考はそういうものも含まれるということも考えられるわけです。あるいは、第三の問題としては、とにかく農地とか住宅とかあるというようなところは避けて、やはり海を埋め立てて、そうして、そういうところに最も被害の少ないようにして海にすぐ出られる、こういうようなことも、これはあながち無用な案ではないと、こう私どもも考えられるわけです。そこで、あまり従来の審議会の答申だけにとらわれる必要はないのではないかと思うのだが、これは運輸省の考えは、やはり審議会の答申というものが基本で、その他の第三の案というものについては全然考える必要がないと、こういうふうにお考えになっておるのかどうか。これはいま一度、ひとつ、運輸大臣も来られたのですから、運輸大臣から御答弁願っておきたいと思うのです。いま一度、運輸大臣、申し上げますが、航空審議会答申に基づいて新東京国際空港というのを早期につくるということにたり、その答申の中には、第一候補地として千葉県の富里があげられた、第二は茨城県霞ケ浦、あるいはまた、千葉県の富里ばかりでなくて、その周辺もと、こういうようなことの意見も含めて第三というものも出てきたということも言えるのだが、私は、十一日の日に在日米軍司令官のプレストン中将と小泉防衛庁長官が会談をして、そうして茨城の水戸射爆場の移転の問題について、かなり突っ込んだ意見を交換をしておる、こう推測をしておるわけです。たまたま、五月五日の夜九時過ぎに、アメリカの横田の所属の戦闘機が厚木の飛行場のかたわらの米軍のハウスに落ちて、二人のアメリカ人がなくなった、こういうことで、アメリカとしては非常にショックを受けておる。したがって、米軍に提供しておる基地撤去という住民感情と、アメリカそのもののショック、こういうものからいっても、基地移転ということもまるきりないではないというようなことを考えると、第一の富里と第二の霞ケ浦、こういうことがいまの運輸省の基本構想なのか、それとも、第三というものもあり得るのだと、こういうことなのか、運輸大臣のひとつ見解をこの際、できるならば明らかにしてもらいたい。これがいま私の質問なんです。いかがですか。
  255. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 午前中も答弁申し上げましたように、三月二十九日だったか、最近のあれは、その関係閣僚懇談会で、富里以外に埋め立てによる場所も研究する必要がある、それは東京湾並びに、霞ケ浦ということになったわけなんです。でありますから、東京湾の埋め立てに対する研究はしたわけなんです。いまのところでは、やはり船の出入あるいは海の深さ等から見て、いままで研究いたしました状況では、当時の発案でありました、羽田に極力接近して七百万坪なんというようなものをつくれば、航路をS字型に曲げて、千葉県のほうに寄せなければ、船の出入ができなくなる、同時に、半分くらいは二十五メートルくらいの深さになるわけです。それが従来の方式では埋め立てはできませんから、それはどうしたって自動車で土を持ってこなければならぬので、膨大な高いものになるのです。ということであるのと同時に、絶えず飛行機の離着陸の際に、その周辺をS字型に曲がって通る、大船巨舶がこのごろ出入するようになったものですから、あぶなかしくてどうにもならないわけです。だから、結局、最後に、最初から申しておりますように、航空審議会答申運輸省は尊重すると言って、第一が富里、第二が霞ケ浦と言ってまいりましたが、この線以上には、やはり専門家がいろいろ集まって答申してくださったのでありますから、東京の西のほうのプルー・フォーティーンの西にある四つの飛行場が全然もうなくなるということならば、あそこの西のほうに持っていくことはできるのです。一つでも二つでもある以上は、そういう特殊なSSTのような民間機と、それと同様以上に速い戦闘機との航空管制、空中管制というものはできないという専門家の考えですから、やはり空の問題で、空は広いわけでありますから、電信柱もなければ、踏切もないのでいいと考えられるけれども、飛行機の上から見ると、非常に空は速度が速くなったものですから、あの二カ所以外には、いまのところはないと思っております。しかし、それはいまここで、二カ所だけであると一応言い切れないのであります。そういう実情でありますから、閣僚懇談会の結果は、さっき答弁いたしましたように、次官会議に移されておりますから、次官会議からわれわれのほうへ返事が打ち返ってこない以上は、三月二十九日にきめたことは、一応はあの三カ条項は生きておるわけであります。それには東京湾という字が一字入っております。しかし、それがために審議会で答申した二つが死んだというものではないのです。それにプラス東京湾も考えたらどうだという程度の文章でございます。それと、ブルー・フォーティーンのほかに一つでも利用できないかというのは、いわゆる自衛隊の飛行場として考えることはできないかということであって、そこに民間機を持ってくるという考えではございません。
  256. 相澤重明

    相澤重明君 やはり午前中から大臣の御説明の中にありました、いまも御答弁いただきましたが、具体的な関係次官会議にかなりウエートを置いておりますね。その次官会議結論というものが報告をされて、閣議で最終的にきめられる、こういうような作業の順序のようですね。三月の二十九日に関係閣僚会議できめたというものが、今日、次官会議を何回開いたか知らぬが、まだ次官会議方針、きめられたものが閣僚のほうに、内閣に報告をされないと、こういうことがやはり一つ問題点でもあるわけですね。これはおとといも私が大臣に申し上げましたように、少なくとも、この法律が通っても、なおかつ従来のように、一年も一年半もというようなわけにはこれはならぬわけなんですね。したがって、大臣も私の質問に対して、法律が通れば一週間以内くらいにこの土地をきめる、こういう誠意ある御答弁をいただいたのですが、午前中から、関係の千葉県選出の加瀬柳岡委員も、これはやはり富里というところが、いかに人家や、あるいは営農上や、あるいは産業上に大きな問題点があるか、こういう御質問だと思うのですよ。したがって、そういう実態というものを政府が十分把握しておらないと、法律だけが通って、あるいは公団は発足したけれども、現実に飛行場というものはできないじゃないか、空港はできないじゃないか、こういうので、せっかく大臣が職を賭してもこの世紀の事業をやるというお考えが実はくずれてしまう。こういうことを、むしろ鞭撻の意味で、両委員も特にきょう強い御要請をしておると私は思うのです。幸いにして、閣議の中でも、従来若干のつくり方の中で運輸大臣河野国務大臣との意見はあったが、今日ではもう全く一本化した、こういう御答弁をいただいているわけですから、私は、その点については大臣お答えをそのまま受けていいと、こう思うのです。思うのだが、どうもそういう具体的な問題になると、まだどうも政府調査というものも不十分であるから、結局は、法律は通ったけれども、実際にはそういう作業というものは進んでいかない、こういうことになると、全くこの委員会、国会というものは法律を通すだけの役目であって、何も事実の仕事は進まないというようなことではいかぬというのが、きょう午前中私が冒頭に、それでは内閣総理大臣に当委員会に御出席いただいて、総理大臣もほんとうに運輸大臣お答えになったように、運輸大臣のお考えを実行すると、こういうことで総理大臣出席を求めようじゃないかという話まで私、したわけです。私は、総理出席するしないということよりは、要は、そういうふうに法律を、ただ文章表現がいいとか悪いとかいうのではなくて、法律が通ればそれは実行するのだ、こういうことに主体があると思う。その実行するには、最も国民によいものをつくって、将来の国家百年の大計のもとになるということでいくわけでありますから、そういう点については、資金面にしても、あるいは、そういう用地の位置をきめるにしても、相当やはり慎重な配慮というものが必要だろう。こういう点で、ひとつぜひ大臣に率直にそういう点の御考慮をいただいた御答弁をいただくことが、私は、当委員会の空気から察して、あなたはいまおられなかったけれども、先ほど一たん休憩したあとで、委員長の御報告で、月曜日に当運輸委員会は飛行機でこの富里の上空を視察をするということをきめたわけです。それほど当委員会は熱意を持っているわけですからね。だから、何でもかんでも反対というのではなくて、きわめて積極性があるわけですね。そういう意味大臣は、もう加瀬さんや柳岡さん、浅井さんの心配するようなことじゃないという意見が出されることが最も好ましい存在だし、次官会議の経過を早く閣議の中に出してもらう、こういうことに次官会議の報告を求めることはできないのですか。それをひとつお尋ねしたいと思うのです。いかがですか、大臣
  257. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) おとといも、相澤さんの御質問に対しまして、近くやると言っておりますし、午前中も答弁いたしましたように、大体煮詰まってきておりますから、もう一ぺんぐらいやれば、まあ、きまると思うのです。でございますから、きまったら法律が通っておると——だから、法律が通ったらきめるというのでないと、これはこの間から計っているように、私の代の前に、半年も前に答申が出ているわけなんです。それも非常に急いで答申さしたような形跡もあるわけでございますから、そうして急がしておきながら、一年半もたってもまだきまらぬ。それで、これもここまでやって、まあ皆さんの御誠意で公団法は通してもらって、そうして今度の改造までに場所もきまらぬで、われわれがやめちゃって、次のまた新しい内閣お互いにまた議論し合って、それがまたきまらぬというようなことになったら、全く笑いものになってしまうのですよ。だから、この間も佐藤さんに私は言ったのです。これは何としても、会期を延長しても通してもらわなければならぬ、そのかわりに、通ったらすぐ個所決定だけはしてもらう、そうでなければ、公団の発足はできませんから、そうするということの了解を得ております。したがって、そのときに総理大臣のおっしゃるのには、下へ下げている会議が、その法律案のあがるのと同じようにあがってこなければ、これはできないからということですから、ずっと二週間も三週間も前からその話がありましたので、そちらのほうも非常に毎日、これは官房副長官がほとんどつき通しでやっております。それでございますから、大体そのほうは進むと思います。ただ私は、これは一人の大臣とか一人の代議士の地方の問題だとかいうものではなくて、国家百年の大計であって、世界に四つしかない飛行場日本がつくるのですから、お互いにひとつ協力し合って、さっきも私は、農地をなくする人のためには、お互いに涙を持ち愛情を持って次の営農のできる方法を講じなければならぬと言っておりますが、このことはもう十分にしなければならぬけれども、われわれのほうは十分にそのことは考えております。しかし、条件闘争のように、この前は、百万円ならば全部賛成するということを三、四カ月前には聞いておった。きょうまた百四十万円でなければいかぬ、こういうふうに四割も上がる。いよいよきめたら、今度は百五十万円だ、二百万円だという条件闘争になるようでは、これはやはりこっちのほうは、農村の実情は愛するという考えでおるが、そうすると、祖国の繁栄のために、祖国愛の精神が欠けておるのじゃないかということになりますから、これはお互いにひとつ祖国を愛して世界四つの一つ日本でとるということに御協力を願いたいと思うのです。それで、それが、その犠牲にどうしても耐え忍ぶことができないということであるならば、したがって第二の方向にこれを持っていくよりほかないと思いますが、われわれはいまのところは、富里を第一に考えております。しかし、空から私、見ました。整然と土地区画がされて、そうして屋敷があって、りっぱなトタンぶきの屋根、赤い壁あるいは青い壁、いろいろなのがありますが、実にりっぱな模範的な農村であります。それをすぐ飛行場に塗りつぶしてしまうということは非常に残念なことです。しかし、あそこをのけてやるならば場所はない。でございますから、そういう点はひとつ御協力をお願いいたしたい、こう思っておる次第であります。
  258. 相澤重明

    相澤重明君 まあ大臣の話を聞いておると、大阪の道頓堀じゃないけれども、青い灯、赤い灯と同じようなことだけれども、やはり私は大臣のことばを聞いておると、ほぼ推測がつくようなことを言うのだけれども、私はむしろ、そういう被害の大きいところは避ける。被害をできるだけ少なくしていいものをつくる、これが私は政府責任だと思うのです。また仕事だと思うのですね。われわれ議会も協力する道があると思うのですね。そういう意味で、私は先ほどから申し上げておるように、浅井委員の言うことも、加瀬柳岡委員の言うことも、何もわざわざ国内で国民が混乱をするようなことをする必要はない。まあそういう意味で、第二か第三のコースかということまで考えられるのではないかという話をしたわけなんです。まあしかし、そのことについては、関係次官会議がまだ一つのセクションとして残っておるようですが、これは副長官が音頭とりをやっているようですから、これはひとつ、きょうの参議院の運輸委員会では、一体何をやっているのだ、こう、大臣関係委員から質問があったから、次官会議のほうは早く閣僚のほうに報告しろという点をあなたからひとつ申し入れるように私はやってもらいたいと思います。そうして、少なくも、この法律が通って、先ほどから大臣が力説をされているような方向にいくということが私は望ましいと思う。まず早くきめるということがですよ、それは富里へきめるということじゃない。ぼくらの言っていることは、富里へきめることじゃなくて、早く用地をきめることが、位置をきめることが私は必要なことだと、こういうことを言っているわけです。そういう意味で、ひとつ次官会議にそういう、早く答えを閣僚のほうに出してもらうように、閣僚のほうも、この法律が通ったらばそういう作業がすみやかにできるように、私は体制をつくってもらうことだと思うのです。そのかわり、よけいな混乱を起こさぬように、千葉県の富里という案はさっぱりここで捨てて、そしていくということになれば、満場一致じゃないですか。まあ、そういうことで大臣の御答弁を求めておきます。
  259. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 私も、官房長官及び総理に、もう一ぺんきょうじゅうに言います。しかし、きょうは堀官房長に、いまおっしゃったことを言わせております。なお、私も、ここが済んだらすぐ橋本さんに会って、総理がおれば総理にも申し上げます。
  260. 加瀬完

    加瀬完君 大臣、午前中の質疑の中では、結局、航空審議会から答申のありました二つの場所について種々検討しておるというように受け取れるお話でございましたが、ただいまのお話を聞いておりますと、富里にきめたのだ、富里で了解を得るようにするのだというように受け取れる御答弁がございましたが、そうなんですか。
  261. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 富里にきめてしまったわけではありませんが、運輸省の第一案富里なんです。運輸省富里なんです。だけれども富里がどうしても受け入れられなければ、第二案に持っていくよりしようがないと思っております。
  262. 加瀬完

    加瀬完君 運輸省の問題は関係閣僚会議に移されて、そこで位置はきめるということになっているのです。そこで、論議をされているのは、運輸省の案もございますし、それから航空審議会答申もございますから、出されている二カ所についてしばしば検討している、こういうことなのですね。それで、富里については、運輸省なり航空審議会は第一候補地として希望しているのだけれども、ここにはまた難点もある、難点が解決できないので、ここできめるというわけにも現状においてはいかないのだというように了解してよろしいですか。
  263. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 富里ですか。
  264. 加瀬完

    加瀬完君 富里については、おたくのほうでも、航空審議会でも、第一候補地として推しているのだけれども、いろいろ難点もあるので、ここにぴたりときめるわけにもいかないので、いろいろと第二候補も含めて検討しておるのだと、こういう段階なんですね。
  265. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) そうです。いまのお話はそうであります。
  266. 加瀬完

    加瀬完君 それで、まあこれは、もしもそういうようにお考えでございましたら、その誤解を解いていただきたいのですが、新東京国際空港日本じゅうのどこにつくるのも反対だ、こう、かりに富里候補地に擬せられている人々が考えておるわけではございません。国がきめたのだから反対だ、こう考えておるわけでもないわけであります。しかし、いまの憲法は公共優先ということではございませんで、生活権なり、あるいは基本的人権と申しましょうか、こういうものが大きく優先的に認められておるわけですから、生きていく権利ということから考えまして、簡単に国がきめたからといって賛成するわけにいかない、こういうところでございますので、政府の施策にただただ反対しているということではございませんし、いままでの政府説明なり県の説明なりという段階では、空港をつくることにけっこうでしょうという納得のいくような御説明をまだいただけないというところに問題があるわけでございますから、そればかりにいろいろと方法を講じましても、条件で解決できないという問題もございますので、それらを十二分に御検討をしていただきたいと思います。
  267. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 午前中もいろいろ御批判もありましたが、国有林の開放及び千葉県内における千葉県有林というようなものも多少調べております。また、千葉県からもそういうことを言ってきております。しかし、あなたの御説明では、千葉県有林、持っている所有地はわずかなものだということでございますから、千葉県外において最も現在の地質その他農業に合うような方面において代がえ地を一応考えたい。そういう点も農林大臣といろいろ相談いたしております。けれども、現在と同じところとおっしゃるけれども、多少畑地のようなものでも、地マメのできるところは、よほど気候があたたかくなければできないのですね。それは、地マメが必ずできるかできないかは、それはわかりません。そういうことを研究さしております。
  268. 加瀬完

    加瀬完君 また話がだんだんおかしくなってきますけれどもね。条件闘争には応じられないと。この敷地に該当されるであろうと思う方々は、この場所でこのとおりの百姓をやっていきたいんだと。したがって、二百万しようが三百万しようが売るわけにはまいらないのだ、こういう方が、少なくとも五〇%以上は、どう説得しても残りますよ。こういう状態だということを、私の言うただけでは御不審でしょう。どうぞひとつ直接に御調査いただいて、どんなに農家経営を継続していこうとする者が多いかという点を、運輸省で直接にお調べをいただいて、御判断をしていただきたいと思います。まあ県有林とかなんとかいうことをいえば、いらっしゃればわかりますよ。竹やぶです。竹やぶが三里塚のほうに七十町歩くらいございます。しかし、開拓民も何もはいれない、ササ竹がはえているだけですから。七十町歩残っている。ここへ行けと言ったって行きませんよ。目の先でわかるわけです。そのほか、三里塚の御料牧場の開放といいましても、これは相手のあることで、宮内庁では、私どもの問い合わせによれば、あそこは絶対に放せない、こう言っておりまして、そうなってまいりますと、代がえ地というものはございませんよ。ですから、実情を御調査いただきまして、これではどうもここは無理だ、このくらいではやれるだろうと、御自身で十二分に御調査をしていただきたい。早々に結論をお出しにならないで、富里の場合ならば、そういう点をよく御調査の上でございませんと、結局、午前中の問題でもございましたが、政令できめてみても、飛行場をつくるとき、過半数が反対ならば、運輸大臣飛行場として許可できないということになっておりますから、結局、飛行場はできません。そういう先へいってど突かれるということのないように、事前に、ちょっとおひまがかかりましょうとも、十二分に御配慮をしていただきたい。これをお願いいたしまして、あとの質問は後日にいたします。
  269. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 本案の質疑は、本日はこの程度といたします。  次回は五月十八日火曜日午前十時開会の予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会