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説明員(川上寿一君) 先般四月二十日に発生いたしました地震によります主として新幹線の被害と対策につきまして、資料をお配りしてありますので、これを読みながら
説明さしていただきます。
四月二十日の九時五分に気象庁の発表によりますと、八時四十二分ごろ関東地方全般から、東北、中部地区にかけて地震が発生し、震源地は大井川下流域で、震源の深さは約五十キロメートルと推定される。
各地の震度は、震度四のところが、横浜、浜松、静岡、甲府、網代、御前崎、三島となっております。震度三が
東京、秩父、奈良、軽井沢、新鳥、彦根、
名古屋、諏訪、大島、前橋。震度二が福井、京都、長野、津、敦賀、松本、熊谷、白河。震度一が小名浜、岐阜、宇都宮、新潟、水戸、三宅島ということになっております。
国鉄の被害といたしましては、地震発生後、新幹線とそれから東海道本線、御殿場線、身延線の静岡
鉄道管理局内と、それから中央線の一部におきまして列車の運転を一時見合わせまして、線路巡回を行ないましたが、東海道本線の新幹線及び在来線を除きましては、被害のないことが確かめられましたので、運転を直ちに開始いたしました。
なお地震によりまして、中部電力
株式会社の清水変電所からの送り出し用の電力の遮断器一号及び二号、町方の碍子が破損をいたしまして、八時四十二分から九時一分までの送電が停止されました。
〔
委員長退席、理事江藤智君着席〕
このために、東海道本線(新幹線)及び東海道本線の在来線の一部の電車線が停電をいたしました。
なお線路の披露状況は、新幹線につきましては三鳥
——静岡間と、静岡
——浜松間でありまして、この表にございます
ように、三島
——静岡間につきましては百五十四キロ付近に路盤の沈下が
二十ミリから六十ミリ
程度のものが上下おのおの四カ所、それから草薙付近百六十キロ付近におきましては路盤の沈下同じく二十ミリないし五十ミリが上下各線とも三カ所、それから線路の通りが狂いましたところが、最大二十ミリというところが上りに一カ所ございました。これらはいずれも士下線とも十六時五十五分に完全に復旧をいたしました。それから静岡−浜松間につきましては用宗付近の百七十三キロにおきまして、路盤沈下が上下線とも各二カ所にわたりまして二十ないし四十ミリ沈下をいたしました。大井川付近の百九十キロにおきましては路盤の沈下が上り一カ所下り二カ所、沈下量は十五ないし二十ミリ、それから線路の通りが狂いましたのは上下とも各一カ所、最大八ミリで、ここにつきましては上り線が十五時五十六分、下り線が十七時十七分に復旧いたしました。なお復旧はいたしましたが、さらに線路を完全にいたしますために、徐行をしばらく続けまして、その右にございます
ように、三鳥
——静岡間につきましては大体四月二十七日から三十日の間に徐行を解除しておりますし、静岡
——浜松間につきましては大井川付近は四月二十一日、用宗付近は四月二十七日に徐行を解除しております。
当時の列車の運転状況は、新幹線につきましては地震の被害が一番ひどかったところを
中心にいたしまして、
東京方は熱海と小田原で超特急を二往復折り返し運転をしております。特急を二往復折り返し運転をいたしました。なお
大阪方につきましては浜松、豊橋で超特急は下りが四本、上り三本、特急は下り三本、上り四本が折り返し運転をいたしました。それから全区間運転休止をいたしましたものは、超特急におきましては上下合わせて四本、特急につきましても上下合わせて四本、それから部分的に運転休止をいたしましたものを含めて全体で二十三本の運転休止をいたしました。
なお一時間以上遅延したものが下りで十四本、上りで十一本、ございます。
現在線のほうにおきましては、運転の手配といたしましては、新幹線よりも早く現在線が復旧をいたしておりますので、臨時列車の運転を
東京——大阪間に急行電車一往復、小田原
——浜松間で普通電車下り一本、
名古屋——品川間で上り一本を運転いたしました。なお、運転休止をいたしましたものは、小田原
——東京間普通電車が一本でございます。現在線のほうは、復旧が比較的早くまいりましたが、上りの九州特急の三本が一時間三十分
程度おくれたほかは、大体十五時ごろまでに列車が最高一時間四十分おくれまして、大体十八時ごろには平生に戻っております。
対策といたしましては、従来から手配をしておりましたが、震度が四以上のときには、直ちに変電所の電源を遮断する処置をとることにいたしておりましたが、ちょうど当日までには完成したものがございませんで、その後二十四日に簡易地震計が三カ所完成をいたしまして、その後九カ所今月一ぱいに完成する
予定になっております。これが完成をいたしますと、震度が三以北になりますと、
東京の中央指令所にすぐに指示が出る
ようになっておりまして、その情勢において直ちにCTCを使いまして列車を即時に停止させる処置をとります。なお、震度四以上のときには、先ほど申し上げました
ように、自動的に変電所の電源が遮断をいたしますので、同時に非常ブレーキがかかりまして列車をとめるという
ように
考えております。
地震につきましては以上のとおりでございますが、その後今月になりまして列車を長くとめました事故が起こりましたので、それを簡単に資料がございませんが、御報告を申し上げておきたいと思いますが、五月の二日の十七時十五分に静岡の駅の構内で架線事故によりまして列車のパンタグラフを破損をいたしまして、その後その復旧が完成をしたつもりでまた運転を始めましたところが、同じ
場所で再び故障を起こしまして、その結果非常に長い間復旧に手間をとりまして、大体上り列車は
東京に二十時ごろから二十四時ごろまでに到着をする
予定のものが、翌百の二時過ぎから三時五十分ぐらいまでに到着をするという
ような非常なおくれを出しまして、
東京駅におきまして終電の延長その他をやったんでございますが、乗客約千名の方々に対してたいへんな御迷惑をかけたわけでございますが、これの直接の原因は、電車線を引っぱっております振れどめの金具がはずれるという事故でございまして、これは運転開始直後のころ二、三発生をいたしましたので、その後応急的にはずれない
ような金具をさらに取りつけておったのでございますが、これがたまたまこういう同じ
ような事故を起こしまして、またその後の復旧のしかたが十分でなかったために、たいへん長い間乗客に御迷惑をかけたことをまことに申しわけないことだと思っておりますが、その後の総点検とそれから金具につきましては、至急に検討いたしまして、今後この
ようなことのない
ようにいたしたいと思います。
なお、その後に、五月の三日に東海道の沖を小台風が通りましたときの雨によりまして、三島
——静岡に線路の路盤の沈下がございまして、五月三日の八時ごろからでございますが、最大限一時間、四本の列車の遅延を生じましたが、これはその場で直ちに復旧をいたしまして、一時徐行いたしましたが、これも現在すっかり修理が済んでおります。こういうことで、そのときも夜約一時間ばかり列車はおくれましたが、これも乗客の皆さまにだいぶ御迷惑をかけておりますが、今後の問題といたしましては、まだ雨によりまして多少土盛りのところは沈下の出るところがあるかと思いますが、大きな事故になる
ようなことはないものと確信しております。簡単でございますが、以上でございます。