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1965-05-07 第48回国会 参議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)    午後二時十五分開会     —————————————    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      平島 敏夫君     八木 一郎君      浅井  亨君     小平 芳平君  四月二十八日     辞任         補欠選任      八木 一郎君     平島 敏夫君      後藤 義隆君     井野 碩哉君      白井  勇君     河野 謙三君      高橋文五郎君     松野 孝一君      小平 芳平君     浅井  亨君  五月七日     辞任         補欠選任      野上  進君     後藤 義隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松平 勇雄君     理 事                 江藤  智君                 前田佳都男君                 吉田忠三郎君     委 員                 加賀山之雄君                 木暮武太夫君                 後藤 義隆君                 平島 敏夫君                 浅井  亨君                 中村 正雄君    国務大臣        運 輸 大 臣  松浦周太郎君    政府委員        運輸政務次官   大久保武雄君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君        運輸省航空局長  栃内 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省自動車局        業務部長     黒住 忠行君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○新東京国際空港公団法案内閣提出衆議院送  付) ○日本自動車ターミナル株式会社法案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  初めに、委員異動について御報告をいたします。  去る四月二十八日付をもって、委員八木一郎君、後藤義隆君、白井勇君及び高橋文五郎君が辞任し、その補欠として平島敏夫君、井野碩哉君河野謙三君及び松野孝一君が選任されました。  なお、本日付をもって、野上進君が辞任し、その補欠として後藤義隆君が選任されました。     —————————————
  3. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 新東京国際空港公団法案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。大久保政務次官
  4. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) ただいま議題となりました新東京国際空港公団法案提案理由について御説明申し上げます。  最近におけるわが国経済の目ざましい発展に伴い、航空輸送需要は、国際線、国内線ともに激増の一途をたどりつつあり、現東京国際空港も、昭和四十五年ごろには、その能力の限界に達するものと予想されるのであります。加うるに、近時の科学技術発達に伴う航空機の進歩は著しく、現在開発途上にある超音速旅客機も、早晩実用化されることは明白でありますが、現東京国際空港においては、これが受け入れは不可能と考えられるのであります。欧米主要国においても、超音速旅客機の出現に対処すべく、すでに新たな大空港建設計画を立て、あるいはこれを実施に移しつつあります。このような現東京国際空港の量的及び質的な行き詰まりを打開し、あわせて、わが国国際航空における要衝としての地位を保持していくため、新東京国際空港を早急に整備することが強く要望されているのであります。  従来、国際空港整備は、政府直轄事業として行なってきたところでありますが、新東京国際空港建設は、きわめて大規模事業であり、しかも急を要するものでありますので、政府といたしましては、かねて、これを円滑、かつ、効率的に行なうため、別個の組織を設けて専心この事業に当たらせることを考慮いたしておりましたところ、航空審議会からも同様の趣旨の建議がありましたので、その趣旨をも尊重し、具体策について検討いたしました結果、新東京国際空港建設及び経営については、公団方式を採用し、その建設段階から一貫した責任体制のもとに強力にこれを推進すべきであるとの結論に達し、この法案を提出した次第であります。  この法案内容は、政府出資により、新東京国際空港公団を設立し、新東京国際空港設置及び管理を効率的に行なわせることにより、航空輸送円滑化をはかり、もって航空の総合的な発達に資するとともに、わが国国際的地位の向上に寄与せんとするものであります。  次に、新東京国際空港公団法案の要点について御説明申し上げます。  第一に、この公団設置する新東京国際空港は、長期にわたっての航空輸送需要に対応することができ、さらに将来における主要な国際航空路線の用に供することができる公共用飛行場とし、その位置は、東京都の周辺の地域で政令で定めることとしております。  第二に、公団資本金は、五億円で、全額政府出資としております。役員としては、総裁一人、副総裁一人、理事六人以内、監事二人以内を置くことにしております。  第三に、公団業務でありますが、公団は、新東京国際空港及び同空港のための航空保安施設設置及び管理を行なうことを主たる業務とするほか、同空港の機能及び利用者の利便を確保するための諸施設建設管理等を行なうこととしております。  そのほか、公団の財務及び会計に関する事項監督に関する事項公団設立手続、諸税の減免等について規定しております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  5. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 本案の質疑は次回に譲ります。     —————————————
  6. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に、日本自動車ターミナル株式会社法案議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  7. 前田佳都男

    前田佳都男君 この法案に関しまして数点にわたってお伺いをしたいのですが、御答弁はごく簡単でけっこうです。  まず、この法案衆議院を通過いたしまするときに、衆議院附帯決議で、公共性を発揮することという決議が付されたと思うのでありますが、この公共性を発揮するということに関連いたしまして、大体この日本自動車ターミナル株式会社というものは利益配当をどの程度しようとお考えか、大体現在政府でお考えになっておる利益配当の限度というものをお伺いしたい。
  8. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 本会社収支見通しを申し上げますと、営業開始四年目の昭和四十五年から黒字となりまして、営業開始六年目の昭和四十七年から五分配当が可能となるという見通しでございます。
  9. 前田佳都男

    前田佳都男君 その五分配当というのは、公共性を持った会社としてはあるいはそれが当然かもしれませんけれども、非常に配当の率としては少ないと思うのですね。これは政府の場合はいいんですけれども民間出資しておる場合は、五分配当ではなかなか資金を集めることはむずかしいのじゃないかと思うのですけれども五分配当どころか、あるいは無配になるかもしれない、そういうことも思われるのですがね。無配にしてでもその公共性を発揮しようという考えでしょうが、そこまで突き詰めてお考えですか。
  10. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) ただいまお話のございましたように、この会社につきましては、非常に公共性が強いために、収支上は必ずしも有利な事業ではないのでありまして、したがいまして、政府なりあるいは地方公共団体からの出資も仰いでこの事業の援助をしていきたいということで、特殊会社を提案したわけでございます。
  11. 前田佳都男

    前田佳都男君 結局、民間資金は、そう利益もないし、集まらない。したがって、できるだけ政府資金にたよろうというお考えのように思うのですが、それでは、利益がないという場合、政府公共団体から出資しておるその資本金に対する配当制限、こういうふうなことはどうしてお考えにならなかったのですか。
  12. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) われわれとしては、この事業都市改造という意味からも非常に重要性がありますので、何としてもターミナルをつくらねばならぬということから、民間にも呼びかけまして、事業者から資金を出して、御承知のように、東京トラックターミナル株式会社というものを行政指導でつくったわけでございます。ただいまお話しのように、非常に資金繰りが苦しいということから、われわれとしてはできる限りそういった兄民間出資に対しては有利な措置をして、政府出資に対しては後配株というような制度も検討して、いろいろと折衝をいたしたのでありますが、最近の特殊会社の例その他からいきまして後配株制度は非常に無理であるということになりまして、やむを得ずそういった制度まで実現することができなかったわけでございます。
  13. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、この会社資本構成ですね、政府公共団体民間資金、大体どの程度に比率をお考えになりますか。
  14. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 大体建設資金の三分の一を自己資本でまかなうということでございまして、そのうちさらに二分の一を政府あるいは公共団体出資、それから二分の一を民間出資ということで考えております。それから、建設費の総額の二分の一を開銀融資をもってあてがう、その残りを市銀からの融資を仰ぐ、そういう構想で計画いたしております。
  15. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、具体的に、この四十年度を例にとりまして、四十年度の資金計画は、たしか前にもらった資料か何かで私ちょっと記憶しておるのですが、大体十五億ですか、そのうちで市銀開銀というものはどの程度の割合であるのですか、それからまたそれに対して利子はどうなっておるか。
  16. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 四十年度の資金調達計画としましては、政府出資が五千万円、東京都の出資を五千万円、民間出資が二億五千万円、それから開銀が七億、市銀から五億三千二百万円、合計十五億八千二百万円を予定いたしております。それから利息につきましては、開銀につきましては八分七厘、市銀につきましては一割の利息を見込んでおります。
  17. 前田佳都男

    前田佳都男君 大体、ターミナル会社法案に限らず、会社経営というのは、ほんとう体質改善で、自己資金でできるだけやれと、借り入れ金でやるなという、これは特殊会社のみならず、一般原則ですね。そういうことを盛んに政府が強調しておる。こういう特殊会社の場合、できるだけそうあるべきだと私は思うので、したがって、借り入れ金をできるだけ少なくすべきである。開銀にしても、あるいは市銀にしても、協調融資を出してもらっても、相当利子がたいへんである。その意味において、政府出資というものを相当ふやしてもらわにゃいかぬと思うのですが、現在お考えになっておる程度政府出資では、私はもちろん運輸省当局におかれても非常に勢力をされたと思うのですが、この自動車ターミナル会社というものが公共性を発揮しなければならぬという会社であるだけに、一そう政府出資というものを、われわれもまた大いに応援をいたしますけれども、しっかりと、さらに政府出資をもっと増額してもらいたい。そういう点について、ひとつ政務次官の御意見を拝聴できればありがたいと思います。
  18. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 自動車ターミナル株式会社は、新しい都市流通経済パイオニア的役割りを果たすものでございます。私どもといたしまして、この会社の将来に期待するところは非常に大きい次第でございます。今後におきましても、いま局長からも御説明申し上げましたような、この会社公共性を帯びて、十分社会公共の目的に寄与させるために、もっともっと政府出資をふやしていく必要があろうかと考えております次第でございます。今後予算の機会あるごとに努力いたしまして、政府出資の追加、増加ということに努力いたしたいと考えております。
  19. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま政務次官からたいへん熱意ある御答弁をいただきまして、私も安心いたしました。とにかく自動車ターミナル株式会社というのは、結局民間資本が入っておる。しかし、先ほど坪井局長の御説明のように、五分程度配当、あるいはそれ以下というふうなものじゃ、いかに公共性を持った会社であっても、やはり民間資本というものは相当利益があることによって集まってくるのですから、そういうことは言うべくして実行できない。そういう無理な金を集めれば、必ずその反対給付として何か利権的なものをやらなければいかぬというふうな、非常に政府としては苦しい立場に立つのじゃないか。したがって、民間のそういう金はなるべく、やっかいにならなければなりませんけれども公共性を発揮するためには、できるだけ政府出資をふやしていきたいといういまの大久保政務次官の熱意ある御答弁をぜひとも今後実行に移していただきたい。われわれもできるだけ応援させていただきたい、こう思います。  それからなお二、三お伺いしたいのですが、この社債というのは、これは別に政府保証債でも何でもありませんね。その点をちょっとひとつ。
  20. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 政府保証債でありません。
  21. 前田佳都男

    前田佳都男君 わかりました。  それでは、ちょっと話はこまかくなりますけれども、第八条に重要財産譲渡について運輸大臣認可がいるような規定がございますが、これは大体、重要財産譲渡というと、たいていのものが重要財産であるが、どの程度のものを具体的に、これは始まってみなければわからぬ話ですが、予定されておるか、それをひとつ聞かしていただきたい。
  22. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 重要な財産とは、土地、建物、構築物等で、その価格が五千万円以上のものを考えておりまして、これは会社事業遂行上重要な施設でありますので、その処分を会社の自由にゆだねることは適当でないということから、運輸大臣認可を受けなければならないということになっております。
  23. 前田佳都男

    前田佳都男君 それから会社設立、この法律附則ですね。附則に、東京トラックターミナルという現在ある会社、これはたしか資料にあったと思うのですが、これは現在資本金は幾らですか、それで配当無配ですかどうですか、この点をちょっと伺いたい。
  24. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 資本金は二億五千万円で、昨年の十二月の十八日に設立登記が済んでおります。
  25. 前田佳都男

    前田佳都男君 この会社が今度の日本自動車ターミナル会社というものに出資するということになっております。これは当然だと思うのですが、よくこういうときに注意しなければいけないのは、その出資に関連していろいろな問題がよくありがちなので、別にそういうことが起こりそうにないとは思いますけれども出資評価審査会、それがなかなか大きな役割りをする。それで、出資評価審査会メンバー、大体どんな人が、まだこれはちょっと早いかもしれませんけれども、予定されておるのですか。
  26. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 評価審査会構成は、関係官庁の職員、旧会社役員、それから設立委員学識経験者等を予定いたしております。
  27. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま大体その審査会構成メンバーをお伺いしたわけでありますが、この運営にあたりましては十分注意してひとつやっていただきたいと思います。それからもう二つ、三つ。この四十年度の板橋につくる自動車ターミナル、これの規模といいますか——これも資料をもらったのかもしれませんが、これの規模坪数はどういうふうになっておりますか。
  28. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 坪数は、用地が五万坪、減歩を三割見込んでおりますので、実面積は三万五千坪になるわけであります。そうしてホームを五千七十坪つくりまして、そのほか付帯施設として延べ五千二百二十一坪の建設をする予定になっております。
  29. 前田佳都男

    前田佳都男君 おそらく、その付帯施設というのは、いろいろ、市場とか、倉庫とか、あるいは問屋とか、あるいは商店街とか、そういうふうなものができるのだろうと思うのですが、それの選定というのは非常にむずかしい問題だろうと思います。公共性のある事業であるし、さればといって、入る者は商売だからもうけなければならない、いろいろな関係から、なかなかやっかいな問題——駅ビルをつくる場合でも、いろいろな問題があると思います。たいへんな問題だろうと思います。これは初めての試みでありまして、こういうものの採用というか、あるいは決定につきましては、もちろん公平無私でおやりになるということは間違いないと思いますが、法律のたてまえを見ておりますと、大体特殊会社として官庁並み形態をとっている。したがって、こういうふうないろいろな関連の業者の決定にあたりましても、あるいは競争入札的なものを、官庁式的なものをお用いになるつもりであるかどうか。
  30. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これは特殊会社でございますが、株式会社でございますので、一般の商法の規定によりまして経理等は行なわれるのが原則でございますけれども特殊会社でありますので、この法案によりますところのもろもろの監督を受けるとともに、会計検査院法によりまして会計検査院の検査を受けるということに相なります。この法律によりまして事業計画資金計画等認可監督を受けるわけでございますけれども、この面におきまして運輸大臣といたしましても十分の監督をいたしまして、いま先生が御指摘のような点につきましては万遺憾なきを期したいと思っております。
  31. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま黒住君から非常にこの会社運営には公正を期したいというふうな答弁で、そのとおりひとつ注意してやっていただきたい。  それから、現在自動車ターミナル事業というのは日本幾つぐらいあるのですか。
  32. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 現在トラックターミナルといたしましては、一般ターミナルが七十一、専用ターミナルが千二百八十五、バスターミナルとしましては、一般ターミナルが九、専用ターミナルが三百十八ございます。しかしまあ、いずれもターミナル法制定前からあります小規模のものでありまして、こういった本格的なターミナルというものはまだ今回が初めてでございます。
  33. 前田佳都男

    前田佳都男君 これは非常にプリミティブな質問でありますが、大体現在その七十幾つかの自動車ターミナル事業、これは会社形態が多いのだろうと思いますが、それの経営ぶりといいますか、まあ利益配当というか、大体どういうふうになっておりますか。
  34. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 既存のトラックターミナル事業収支状況でございますが、まあ仙台と小倉と下関の三カ所について見ますと、いずれも三十七、八年において赤字になっております。下関だけが三十八年から黒字に転換しておる。そういう状況でありますが、ターミナル事業不動産事業のように非常に資金が寝る関係で、事業経営としては後に行くほど採算がとれていくというような形態をたどっておるわけであります。
  35. 前田佳都男

    前田佳都男君 まあ、ただいまも聞きましたように、ターミナル事業というものはそうもうかるものでない。しかも、公共性を発揮しなければならぬ。ことに、今度のターミナル株式会社というのは特殊会社です。ほんとう日本自動車運送の本格的な使命を達成しなければならない、ターミナルとしての使命を速成したければならぬ。その意味におきまして、くどいようではありますが、公共性を発揮するために、ばく然とではないでしょうけれども民間資金にたよることばかりを考えないで、あくまでも政府出資、それから政府出資のものは配当あと配にしてもらうと、そういうような方法で公共性を発揮するようにということを特に私は希望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  36. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 若干それではお伺いしておきたいと思います。同僚委員も、前田先生からも同質の質疑がなされているものと思われますが、たまたまきょうはILO並びに決算委員会が同時刻に開かれておりました関係上、そのほうに参りましたので、前の経緯をちっとも存じ上げておりません。でありますから、場合によってはダブった質問をするかもわかりませんが、その場合は御了承のほどを願いたいと思います。この法案提案にあたりまして、その経緯が若干記載されております。冒頭に書かれておりまするように、最近の国内貨物輸送量はとみに増大をいたしておりますことは、何人も否定できないと思うわけです。したがいまして、こうしたときにこの法律を出すことについては、私はこの面だけから見ますれば妥当なものだと考えられるわけでございますが、この際私は局長に伺っておきますが、何と申しましょうか、あまりにも、ただいま同僚前田委員からも質問されたように、資金関係になってまいりますると、この提案理由には、たいへんことばは悪いのですけれども、美辞麗句に書かれていますが、一たん中身を予算的に検討してみると、必ずしもそうなっていない、こう私は言わなくちゃならない内容になっていると思うのです。特に、この中でもうたっておりますけれども、最近の交通事情、あるいはロングの輸送、あるいは車両の大型、さらに高速化と言っても、これは高速道路のことをさして言っているのでしょうけれども、これは車両の速度は今日道交法で規制されていますからその面ではあてはまらないと思いますが、ここに書かれておりまするものは、前に申し上げたように、高速道路つまり整備が進展した場合のことを想定されて書いてあるように思うのですが、そうした事柄をいろいろ総合的に考えてみると、都市中心地につまりこのトラック輸送の乗り入れというものは困難である、もうこういうふうに規定されて書かれている。表面上見ると私はそのとおりだと思うのですが、しからば一体、これの問題を解明し、さらにこの問題を具体的に施策として施し処理をするということになると、ただ単に今度提案されておりますターミナル株式会社法案によって私はここに書かれているような諸問題が解決されるものではないと思うわけです。この種問題になってまいりますと、したがって局長つまり答弁の範疇を越えるかもわかりませんが、この際政務次官もおりますからひとつ答弁していただきたいと思いますが、自動車運送行政としてこの際抜本的に、私はターミナル法案そのものにはとやかく言うものでありませんが、それ以前の問題として私は政治的に行政的に政策として施策を施さなければならぬ問題が山積しているのではないか。そうした根本問題を解決せずして、たいへんこれはことばはよくないですけれども、こんなみみっちい、ちゃちな——文章は別として、中身はそうだと私は理解するので、あえて申し上げますけれども、小手先で何か処理をするようなごとき印象を与える手段では私は解決できないと思うので、今日このように交通輸送事情がとみに悪化をしたことについての将来の政府考え方について次官から私は伺っておきたいと思う。  それから局長のほうには、あえて私がいまちゃちなと表現をいたしましたけれども、まさに私はこの表現は当てはまるものだと思うのです。したがって、私はこの際、吹原産業じゃないけれども、あんな問題にしても、何十億という金がこの社会の中で融通されている。その事のよしあしは私は決算委員会でやっていますから、この席では申し上げませんが、一体この規模は、公共投資をしなければならないとか、あるいは国がかなり力点を置いて施策として施さなければならぬというような趣旨のものがございますけれども、わずかこの政府出資が五千万円ということでは、あまりにも私は消極的なこの種問題に対する取り組み方ではないのか。この際抜本的に、冒頭政務次官に等えを求めたと同じように、ただ単に東京周辺ということではなくして、少なくとも、今度の港湾労働法がいま社会労働委員会にかかっていますけれども、午前中私どもはこのほうに一緒に加わりまして合同審査をやりました。この法案とは直接関係ありませんけれども、ああした措置は、私は非常に今日的な段階ではかなり施策としては前向きなやり方だと思っているのです。しかも、まだまだ問題はございます。それにしても、六大港を中心としたやはり法の適用を考え、それぞれかなり、何といいますか、きめのこまかい施策が含まれています。ところが、これはまことに、この文章は官僚の書いた文章ですからりっぱな文章なんです。作文もね。しかも、この法案の体系は、これは法制局等々でいろいろ協議されたものですから、この体系もまことにていさいよくできている。立論の根拠も、これは官僚同士でやったことですから、ちゃんと抜け口のないようにやっていますがね。中身は、まことにこれはもう、何といいますか、私の能力では表現のでき得ないお粗末な内容だ、私はこう思う。ですから、この際思い切って、私はこの法案を撤回しろとは言いませんがね——役人というものは何でも出したら通したがる根性な持って、そういう性質を持っているものだから、私は撤回しろとは言わぬが、もっとこの際この委員会で、将来に向けて前向きの、つまり資金面におきましても運用面におきましても答えがなければ、この法案を提出した意義はさっぱり感じ取れない、こう思うので、とりあえずこの二つの問題について、基本の問題ですから答弁を願いたいと思います。その答弁いかんによって、また私の考え方も織りまぜながら、ひとつわが委員会は前向きでこれは検討してみたいと思います。
  37. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) ただいま吉田委員から非常にありがたい御意見をいただきまして、私どもも吉田委員の御趣旨に沿って将来努力する決意をいたしておる次第でございますが、基本的な問題についてという第一点のお尋ねでございました。もちろん、トラック輸送、貨物輸送の基本的な問題の一部は、やはりこの道路との関係において把握していかなければならないわけでありまして、今後大都市における道路網の整備ということもあわせまして基本的には解決をはかっていかなければならないわけでございますが、現在の御承知のようなふくそうした道路交通の現状からいたしますると、吉田委員に対してはまことに御不満と存じますけれども、とりあえず応急の措置といたしまして、現在の貨物の流れをこれによって少しでも前進をさしたいという合理化計画のパイオニア的第一歩であるという意味において、ひとつ御了承をいただきたいと存ずる次第でございます。もちろん、これが最終目的を達しますためには、ターミナル周辺に一つの団地計画ができまして、一番都民の苦しんでおりまする生鮮食料品にいたしましても、それらの市場団地等ができてまいりますると、またこういうものも合理化されてまいりまするし、現在もたしか、薄い記憶でございますが、四〇%ぐらいが生鮮食料品は逆送されているように記憶いたしておりまするし、また魚におきましても、七百万トンの生産量のうちで百二十万トンぐらいは輸送力の不足で食料に供せられていないということも記憶しておりますような次第でございまして、そういうことをひとつ少しでもあらゆる貨物においてなからしむる、物資の有効的な利用という面に向かいまして、この新しい方式を活用いたしていきたいと考えておりますような次第でございます。  その他、このトラックターミナル株式会社をめぐる財政資金等の裏打ちにつきましては、先ほど前田委員からも非常な御指摘をいただきましたように、まだまだ私たちといたしましてははなはだ不十分であると存じておりまして、今後、このターミナル会社公共性を育成してまいりますためには、どういたしましても政府出資を強力に要請をいたしまして、できるだけその政府出資による公共性の発揮ということに対しまして、今後とも全面的な努力を続けていきたいと考えておりますような次第でございます。
  38. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 大都市都市内交通が非常にふくそうしまして混乱を呈している。特に東京、大阪についてはひどい状況になっておりまして、このために、非常に望ましくないことでありますけれども、相当強力な交通規制も実施されておる、こういう状況でございます。これらにつきまして、われわれとしても、車庫規制に関する法律とか路上駐車の制限というようないろいろの手を打っておるわけでありますが、なお、このトラック輸送が、いろいろと都内深くに問屋その他の流通施設がありますために、全部遠距離から来る貨物も都心深くに入るというような状況で、これがやはり交通の混雑を助成しているというような形になっておりまして、われわれとしては、これらを、少なくともトラックにつきましては、できる限り周辺地区に団地疎開をしまして、これによって交通の円滑化に資して、都市機能の増進をはかりたいという構想でございますので、非常に手段としては有力なものではないかと思っているわけであります。ただ、時期的にいかにもこういった問題を取り上げるということはおそきに失するという批判はあると思うのでありますが、いろいろな事情で今日までこういったかっこうで放置されておったということに対しまして深く反省するとともに、これらのターミナル施設を十分強化することによって都市改造なり何なりに資していきたい、都市の機能の再生をはかりたいというふうに考えております。ターミナル計画としましても、板橋だけでなく、東京周辺五カ所ばかりを予定しまして、そこにもろもろの流通施設を移しまして、都市の機能の増進をはかるという意味で、このターミナル法案を出したわけでございます。
  39. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 政務次官局長答弁伺いました。どうも政務次官のほうは、不満足であろうけれども御了承いただきたいと——不満足なものを了承するわけにいきませんよ、そんなものは。それからまた、十分強化をしなければならぬ、そして都市改造に協力をしたいと、これまたことばではたいへん局長うまいことを言いましたよ。こんなもので、これなりますか。これは次官の答弁を聞いていますと、どうも冒頭に言ったように、あなたは海のほうの官僚上がりだけれども、もうそろそろ代議士になって古いのだから、官僚くさい答弁はやめなさいよ。少なくともあなたは、大体先ほどの答弁を聞いていると、答弁だけで大臣の資格十分ですから、ぼくは推薦してあげますよ。もっと官僚くさい答弁をやめて、こんなちっぽけなものでどうしますか。しかも私は、歴代の内閣のとってきた——今日の佐藤内閣ということは言いませんよ、歴代の内閣のとってきた政府出資公団、公社、事業団、特殊会社等々今日九十九ありますよ。その経営については、それぞれ会計検査院あるいは決算委員会等、制度上の問題を含めて論議されて、最近特に国民の批判を受けていますよ。とりわけ、今後の問題も含めて、制度上の問題については、臨時行政調査会で答えを出しています。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 次官知ってのとおり、こういう国民の血税をむだに使うような公社、公団特殊会社等々は整理統合すべきだという結諭に到達した答申を私は持っています。あなたも十分、政府の一員でありますから、承知をされていると思うのです。そうしたときに、このターミナル株式会社なるものがいまあなた方が答えられるような私は実体にあるならば、何も言いませんよ。私はこれは反対だということじゃない。やるなら、せっかくの国民の血税をやはり政府出資として公共投資するわけですから、もっともっと国民の利益になるような方向でやったらどうかという見地に立って私はあなた方に質問しているわけです。一体、この臨時行政調査会の答申を、政務次官はどう踏まえているのか。それから、局長のいまの答弁で、十分強化をして、都市改造に協力するゆえんのものであると、こう言っていますけれども、五千万の会社などというものは、その辺の民間会社でもこんなものは中小企業ですよ。そうしてここに、民間資金のみによる建設は困難だと、だからこういう特殊な株式会社をつくって、つまり国家投資、公共投資をしなければならぬという、そういう事柄がちゃんとここに書かれているけれども、一ページめくってみますると、政府出資は五千万円でありますと、全然あなた方の答弁と、そのあなた方の熱意とが、この中からは一片もうかがうこともできませんよ。ですから、おそらくや、あなた方が一たん出した法律ですから、何とかしてもらいたいという気持ちが先行して、紙には美辞麗句、心にはどうあっても、ことばでは、さらにここでいろんなわれわれから——私はことばじりをとらえる気はさらさらありませんが、何かこうわれわれにさからわれないような、何か社会に出して都合の悪いようなことを言うたのではこれはいかぬというような気持ちが先行して、どうも官僚的な答弁になっているんじゃないかと思う。ですから、ざっくばらんに、これは予算要求した経緯からあなた方はここで浮き彫りにして、そうしてかかる経緯で残念ではあるけれどもかくかくしかじかになって、文章はいま言ったように、なおいま答弁したように、たいへんこれは世の中には、国民のためにはならと書いてあるけれども、いみじくも政務次官が言ったように、第一歩でありますから、よちよちこれから歩くから頼むというなら、話はわかる。そうしたことは一切逃げてしまって、まことに次官もまたまた昔の癖で官僚的な答弁をしているところに、私はどうにも義憤を感ずる一人なんです。もう一回ざっくばらんにあなた方の腹のうちをひとつここでさらけ出して答弁してください。
  40. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 吉田さんから非常なおしかりをいただきまして、まことにこの問題は予算折衝の過程におきましても一番難航した問題でございまして、もう予算の最終の、最後の五分間までこれは接戦を続けまして、総員突撃といったようなありさまでやっと橋頭堡を確保いたした次第でございます。そこで、もちろん橋頭堡自身微々たりといえども、この橋頭塗を将来拡大するような気持ちは、ただいまの吉田委員の御指摘のとおり、私どもも拳々服暦いたしておる次第でございますので、末長く御激励をいただきたいと存じておる次第でございます。さような意味におきまして、政府出資も、これは数字を申せば、実は最初は五億円というものを要求いたしましたのが、五千万円というのは、まことに微力を恥じるわけでございますけれども、今後に期するところがあることを、ここに決意があるということを披瀝いたしまして、お答えといたしたいと存ずる次第でございます。
  41. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) ただいま政務次官からお話がありましたように、われわれとしては、非常に収益性の乏しい事業であるし、資金を非常に要求する事業でありますので、できる限り政府なり公共資金を投入したいということで努力したわけでありますが、いろいろの国家財政の見地から四十年度は五千万円に査定されまして、さらに東京都からも出資をさせろということで、東京都のほうにも交渉いたしまして、政府と同額の出資をするというふうに話をつけたわけであります。
  42. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次官の再度の答弁を承りまして、大体私が想像しておったようなことを申されたのですが、最初からその答弁をしておきさえすれば、あまり官僚的でないわけですから、ほめられたわけですけれども、どうも依然としてまだあなたは昔の癖が抜け切らない。大臣になるためには抜いたほうがあなたのためになると思うから、どうぞひとつ今後の本委員会における次官の答弁は、先ほど二回目に答弁したような態度で答弁をしてもらいたいということをひとつ要望しておきます。  そこで、大体皆さんの当初のこの問題に取り組む態度といいますか、熱意といいますか、努力といいますか、わかったわけですが、私はもう一つ政務次官に伺っておきたいことは、輸送形態が全く変わりましたですね、最近。これはどこにその原因が発しているかということの議論は、私はきょう時間の関係がありますからやめますけれども、ここの中でも指摘されていますように、この種問題の用地の取得等については、これはただ単に金だけで始末のできないいろんな問題があるということは、これはまあ御案内のとおりです。ですから、そのことはそのことなりに、あとあと私はまたその機会を見て伺いますけれども、やはり何といたしましても、この種事業の、これは株式会社ですから、一つの企業でございますから、かなり企業性をいやおうなしに追求してまいらなければならないと思う。その場合に問題になりまするものは、これは収益性の問題です。ここで指摘してありますように、きわめて低いところになっています。そこで、この関係について、自動車行政上いろいろ監督もし、指導もし、あるいは施策もこれは施すものであろうと思いますが、そこの部面だけにそうした応急の手段を講じて対策を立てたにしても、私は問題の根本解決にはならないのではないか。もっと総合的にひとつここで運輸省の自動車当局並びに運輸省として扱う考えでまいらなければならない問題なのではないか。たとえば、うしろのほうに自動車道課長とかちょっと長たらしい名前のついた課長もそこにおりますけれども、一つとらえてみても、一体自動車道を今後どうするのか、こういう問題。  それからもう一つは、自動車の安全性の問題を一体どうとらまえるか、どう一体ながめるのか、こういう問題。  それと加えて、私はあえて放漫ということばを使いますけれども、今日の自動車の免許制、認可制、それからもう一つは自家用車の免許等々は何ら規制されることなく野放し状態に置いて、先ほど来ちっぽけなということばを使いましたけれども、そのちっぽけになった、しりつぼみになった理由、原因は次官から答弁されましたから、これはわかりましたが、こんな場当たり的な一つの施策を施しても、私はこの種問題をきちんと整理をして、特に免許の関係認可関係等々は、やはり陸運行政のあり方として、みずから運輸省の主管局である自動車局が姿勢を正して、行政上の指導監督をしなければならない問題が私はなしとしないと思う。こういう関係を一体あなた方はどうお考えになっておられるのかですね、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  43. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 第一点の用地の取得に関しましては、何と申しましても先立つものはお金でございます。そこで、先ほど局長も申しましたように、設置個所も数カ所予定いたしておりまするし、今後設置個所等の増加に従いまして、極力政府地方公共団体出資の増加をはかるようにいたしますとともに、開発銀行の融資の増大のあっせんを行なう等、資金面よりの助成も行ないたいと考えております。また、本会社に対する固定資産税の課税標準の特例並びに資本増加にかかわる登録税の特例の二つの税制上の優遇措置を講じまして、その助成をはかりたいと考えております。  なおまた、自動車交通の安全につきましては、私どもといたしましても、全力をあげて目下努力しておるところでございますが、この点につきましては、自動車局長より御答弁さしたいと存じております。
  44. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 先生御指摘のように、自動車に関しましては、いろいろの問題がございまして、特に輸送施設といいますか、道路関係、あるいはここにありますようなターミナルのような問題とか、そういった問題のほか、自動車の増加によるいろいろの問題があるわけであります。その中で特に重要問題としては、自動車の安全の問題があるわけでありますが、これらにつきましては、運輸省の所管としましては、車両自体の検査あるいは安全ということについて、車検施設あるいは整備事業者監督、そういった面で全力を尽くして安全に対して施策を行なっていきたいと思うわけであります。  なお、運転に関する問題としましては、道交法規定がございまして、これは警察当局の所管となっております。  それから、自動車行政の大きな問題である免許行政あるいは認可行政につきましては、先生御指摘のように、われわれとしても、十分、利用者大衆のための運送事業でありますので、旅客なり貨物なりの安全のため、あるいはサービスの万全を期するよう、事業者監督について今後とも厳重に指導していきたいと思っております。
  45. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 だんだん中身に入って聞いたり答えたりしているのですが、道路規制の問題は、確かに道交法で規制をし、さらに今度の国公でも法律改正が提案されていますね。ですから、そういう面、何といいますか、法律的なものでの規制は、それはいまあなたのおっしゃったとおりだと思いますが、私の聞いているのは、免許事業、それから許可事業だけに、いま言ったように、一面では最近の道路ふくそう、交通難というまことにたいへんな社会問題になって、言ってみれば、これは歴代内閣の高度経済成長政策のひずみなんです。その是正をやらねばならぬときに、ただ単に交通規制だけいまの現状維持の中でやっても、その対策、解決にはならない。だから、端的に自動車道課長の名前を引用して失礼であったけれども、そこで名前を出したということは、あなた方がここに書かれておりまする問題をより積極的に、しかも名文のごとく、つまり都市機能の改善という問題まで含まれているとすればですよ、私はもっともっと、つまりこのトラックのいわゆる道路というものを国として整備をしていくように一面とらなきゃならぬじゃないか。それから一面、免許の関係では、先ほども、どうもことばは悪いようですけれども、野放し状態になっているじゃないかと、そういった意味——これは業務部長めがねの底から目玉をぎょろりっと私のほうをにらんでおりますが、これはあなたの所管事項ですが、これは事実である、自家用等々に対して。ですから、これは自動車局の所管事務ですから姿勢を正してやったらどうだと言った意味は、もっともっと私は、何でも自動車買ってきて、さてナンバーをちょうだいなどと言ってきたって、はいそうですかということをやっていたのでは、これはもうイタチごっこです。そこらあたりをひとつ検討する余地がないかということを端的に聞いているんですよ。  それからもう一つは、これはまあ通産省の関係ですが、これは自動車生産メーカーの過当競争かどうか存じ上げませんが、統計を見たってですよ、あなた方は輸送上のトンキロが二一・何%上回ったとか、あるいは貨物の輸送量の伸びが前年度と比較してこれまた二三・何%伸びたなんというふうに、こう書いていますけれども、自動車の生産の伸びというものは一体どうなっているかということは、あなた方毎日このために高い月給をもらって勉強しているわけですから、十分承知していると思うんです。はるかこんな数字じゃないんですよ、日本の自動車の生産高というものは。現にもう、私のつたない知識でも、フランスを凌駕して世界の第四番目の自動車生産国になっていることは、あなた方も十分知っておられることなんです。これはまあ通産省の関係ですが、しかも日本の自動車生産メーカーは、これはどこの都市へ行ったっても、大々的に高い宣伝費をかけて、あれほどもうかる事業はないのかどうか私はよく知りませんが、経済人じゃないから。えらい宣伝をして、何百万台突破などという看板が、これはもうたいへんな、方々にわれわれは出されていることを見受けていますよ。ですから、この生産規制については、あなた方の責任じゃありませんから、行政の範疇じゃありませんから、ここで議論することはどうかと思うけれども、そういう趨勢にあることだけは十分認識していると思うんです。さて問題は、メーカーがあって、ディーラーがあるわけですよ。一体ディーラーはどういう活動をしているかということなんです。そこでユーザーはどういうこれまた動きを示しているかということについても、これはまたそれぞれの統計がございますよ。しかもまあ、これは主としてトラックの関係になりますけれども一般乗用車におきましても、最近ですとどうなんですか、東京あたりで二万円ぐらいで自動車が買えるという現状になっているんですよ、ポンコツで。これは政務次官うなずいておりますけれども、旧会議員の秘書で、一万円で買ってきて半年乗って、それでまた三千円だかで売るとまことに安いなんということが平然とこの世の中でやられているんですよ。ですから、生産は野放しである。さてディーラーは、販売競争にうき身をやつして、さあかねや太鼓で売れ売れということにたりますよ。しかも、買うほうの側になってみますと、いま申し上げた一つの例だけれども、もう東京では一万円台で自動車が買える。さて、それが一応の整備基準に当てはまっている場合は、あなたのほうとしては、そのナンバーをやはり提示してやらねばならぬということになってまいりますね。そうでしょう。ですから、日本の国内における、各都市ともそうであるけれども、自動車のつまり伸びというものが、前の委員会だと私は記憶していますけれども、自動車局長が示したように、天文学的数字で伸びていっているということになる。言いかえてみれば、つまり認可、許可をあなた方は野放しでやっているということにこれはなると思うんです。そういった関係を総合的に、つまり調査をしたり、研究をしたり、検討したり、対他の省庁については、通産省等と緊密な連係をとるなりして、国の施策として一貫したものをやはり出さなければ、たびたび申し上げて失礼ですけれども、こんなまるきり何かおもちゃのような法律を出してきて、とれでここにいう都市改造都市機能の改善、何とかかんとかという文句には私はならないと思うんですがね。私はあなた方のようにりっぱな東大の法学部を出ていませんからようわかりませんけれども、ぼくのような岬灯台の商学部より出ない者でも、こんな文章にはなりませんよ。どうなんですか、これは。
  46. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) まことに実際についた御質問で、私も二万円の自動車を買いましたのでよく事情はわかるわけです。そこで自動車の保有台数から申しますと、昭和三十八年七月現在で、日本の人口比当たりは七二・六人に一人の自動車保有台数のようでございまして、まだまだ、西欧諸国の平均でも二四・九ということになっておりますので、まあ都市農村を通じての乗用平の保有ということにつきましては、日本がヨーロッパ並みの国民生活を保持させるということでございましたならば、乗用車を農村にももっと持っていただくという面に向かって、私どももいま申し上げましたような低所得であってもなおかつ自動車を保有し得るという社会をつくりたいものであると念願いたしておりますが、ただ、御指摘のように、それにはそれにふさわしい道路というものがやはり添っていきませんと、私はやはり御指摘の自動車交通の安全の問題とそこにからみ合ってくると思う次第でございますので、この辺は、今後政治の面におきまして、特に有機的な関連がある行政の推進を必要とするであろうと考えておるような次第でございます。また、自動車の生産との関係におきましては、通産省の行政でございますので、私も専門家ではございませんけれども、御指摘のとおり、ただいま世界第四位でございます。しかしながら、この自動車の輸出という面から見ますと、日本が九%でございまして、欧米の四〇%に比較いたしますと、まだまだ自動車の輸出面に備えるべき要素というものは多分に残っておると考えておる次第でございます。日本の自動車輸出は、おおむね二〇%を目標にして進むべきであると言われておるわけでございますので、私ども今後、外貨の獲得という面からいたしましても、この自動車生産をもっと輸出のほうへ向けていくということに対しましても、全面的な努力をすべきではなかろうかと、かように考えております次第でございます。
  47. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次官がみずから二万円で買って、その自動車を取得したそうですから、これはまあ身をもって体験しておるわけなんですね。ですから、私は誇張して言ったわけでも何でもないんですね。そういう現状なんです。で、低所得者が、やはり何たって、徒歩で歩くより、さらには自転車より、あるいはまたオートバイより自動車というやはり欲望もあるであろうし、そういうものが取得されるという社会を、あなたのおっしゃったように、私どもは望んでいます。ですけれどもね、それには諸条件が伴わなければならないわけです。次官は、ヨーロッパ等の例をあげて保有率というものをいま申されたけれども、ヨーロッパの道路交通事情ね、特にアメリカなどとこれは比較すること自体が、ぼくはもういまやナンセンスだと思う。全然立地条件が違いますよ。ですからね、かりに百歩譲って、日本にもやがては、戦争やらない限り、戦争やったらだめですよ、戦争反対ですから、戦争やったらこんなことになりませんが、戦争やらない限りは、漸進的ではあるかもしれませんが、道路整備というものはかなり進んでいくということだけは、いまののろのろな政府建設行政の中でもそれはうかがえます。しかし、そう言ってみても、一級国道が完全舖装されるのは、本州においては大体昭和四十年度一ぱいでしょう。場合によっては私ども延びると見ていますがね。そういう議論はやめますが、しかし運輸大臣、私も同じ北海道ですがね、北海道の場合、運輸大臣どうなんですか、一応の計画は四十一年になってますけれども、四十一年で一体北海道の一級国道が完全舖装整備されるということには、私はいまの政府ではやれないと思う、残念だけれども。やっていただきたいんですよ、ぼくは。しかし、いまのような、ああいうのろのろの、迫力のないやり方では、やれないと思う。あんたうなずいているとおりだ。できないと思うのですよ、残念ながらね。ましてや、二国の関係、産業開発道路の関係、さらに大多数の面積を保有している都道府県道、市町村長が所管しています市町村道等々考えてみますれば、とてもおよそ遠い。われわれの孫子の時代じゃなければ、あなたがいま私に答弁した、道路に関する限りのつまり諸条件というものは、私は具備しないと思う。そうしたことを踏まえないで、ただ単に表面上——低所得者がつまり自動車を安易に保有する社会が確かにいいのであるけれども、そらした事柄が、かえってこういう紙きれの上に作文として名文章を書いて出すような結果になっていやせぬか。これは悪いと言っているのではないです。もっともっと抜本的に路面交通に対する政府のかまえというものが総合的になければならぬのじゃないか。確かにこれは一手段です。しかし、この手段だけを施したって、これは問題にならない、こう私は思うがゆえに、たびたび立って駄弁を弄しながら質問をしているわけです。特に、これは、これも局長の所管行政の範疇になるかどうか別として、たとえば最近交通安全の問題が非常に社会問題になってきました。毎日の新聞を見て、トップの記事には、アメリカの北爆、さっきドミニカの問題が出てきましたが、これの書かれない日はないのです。それから今度は三面を見ますと、これまた自動車事故が大半を占めている——そうでございますね。ですから、毎日カラスの鳴かない日がないくらい新聞面をにぎわしているわけでしょう。これに対して、政府はいろいろ手を打っておりますと、こう言ってのがれると思いますよ。思いますが、私どもの目から見ますと、何ら手が打たれてない。あえて手を打ってきたとすれば、今国会に提案している道交法の一部改正で処罰を、強化するという程度のものではないでしょうか。一つの例をとって、つまり小中学校の通学歩道等について、これまた総合的に依然として対策が跨線橋等で出されてないです。そんなぜいたくなことよりも、ただ一つの信号機だって取りつけてないところがたくさんあります。そうした事柄が、総合的に対策が立てられて、具体的に施策を国が力を込めてやらない限りは、問題の解決にならないでしょう。運輸大臣、そうですね。ならないわけです。そういうことが現実に存在しているわけです。その場合に、今度は、政務次官も答えられたように、安易に取得される社会が望ましいことだから、けっこうなんだ。だから、出てきたものについては、先ほど言ったように、整備基準に当てはまって、ポンコツであろうと何であろうと、つまり車さえ持ってきた者についてはナンバーを免許するのである、こういうことになりますれば、私は直ちに結びつくとは思いませんけれども、かりに二百万の——あなたならそういう車しょっちゅう買えるでしょうから買っているんだと思いますが、デラックスな新車を買い求めて、それで運転をするということと、どうせその辺に行って、何かちょっと運転を誤って、途中の路上の鉄さくなりあるいは電柱に少しくらいかすってもたいしたことないというようなものとは、これは人間の心理的な問題ですが、私心理学者ではないですからようわかりませんけれども、そういう作用は全くないものでしょうか、私はあると思うのです。だから私は、野放しに、つまり中古車の販売業者のたたく販売せんとする意欲から出るかねや太鼓に、そのまま免許して、陸運局長がはいそうですかという、そういうものには一考をすべきものではないか。そういう事柄が、ただ単に道交法の罰則を強化してみても、やはり私は、この安全運転、道徳の面で欠けていないといえば問題ありませんけれども、欠ける要素がそういうところに潜在していやせぬかということを心配している一人なんです。そこらあたりを考えて、私は、野放し、放漫自動車行政じゃないか、こう言っているのですが、どうですか、運輸大臣来ましたから、あなたにひとつ答えてもらおう。
  48. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 政務次官にお願いします。
  49. 大久保武雄

    政府委員大久保武雄君) 先ほどお答えいたしましたように、とにかく吉田さんが一万円のポンコツをお買いになって、私が二万円の自動車を買ったということをお話があったわけでありますが、最近農村に参りますと、だんだんやはり中古車が農村に行き渡ってまいっております。私も帰りまして農村を回るたびに、ああ今度はこの村にまた中古車が出てきたなということを、帰りましていなかを歩いて、まあ一面におきましてはほほえましい気持ちもするわけであります。しかし、いま御指摘のような、それじゃ一体道路はどうだということになりますと、私どものほうの僻地になりますと、北海道と似たような僻地でございますから、やはり昔の牛車が歩いておるような道路である。これでは、私も吉田さんと同じようにいけないと思う次第でございまして、地方道も、主要地方道、あるいはその他の地方道においても、やはりできるだけ自動車の普及と見合うような形におきまして、ガソリン税も出しておるわけでありますから、ひとつぜひとも道路を相連関した形において整備していただきたい。本来ならば、道路行政を運輸行政の中に入れて、その一環としてやれば一番よかったわけであります。実は戦争の末期に行政機構改革をいたしますときに、私ちょうど企画院におりまして機構改革の担任をいたしましたが、自動車行政を運輸省の中に一ぺん入れたのであります。ところが、東條さんがそれはいかぬということで、閣議で削られましたわけであります。そこで、私は今日においてたいへん残念なことをいたしたと考えておりますが、ちょうど船の運航におきまして、港湾行政が運輸省にありまして、いわゆる動く港湾、船の着く港湾、風が吹いても船が着ける港湾、そこに岸壁があるから港であるというのではなく、船の着く岸壁でなければならないということと同じように、そこに道があるから道路であるというのではなく、自動車が通るから道路である、こういうことでいたさなければならぬと考えておりますが、今日の行政機構におきましては、両省間の有機的連絡によりまして、私は国民の自動車の普及に即応するような、地方道に対しましても、これが整備を促進していくということにひとつ努力いたしたいと考えておる次第であります。
  50. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これから道路整備については努力をしようということでありますから、当然建設行政との関連の中で有機的な連携をとりつつ、運輸政務次官として、そうしてまた政治家の一員として努力するということだと私は思うのです。だから、その努力はするほどいいわけでありますから、ここではよしなさいということは言いませんけれども、次官あなたが答えたように、道路行政一つとらえてみても、たまたまあなたが企画院などいかめしい役所におって企画をしたときに、東條が削った。東條なんて、こんなものは二十年も前の話で、しかも国家総動員とか何とかとんでもない法律をつくってやった時代ですからね。もう今日の近代社会になりつつある客観的な情勢とは全く違っていると思うのですよ。ですから、たまたまあなたがそういう経緯を十分存じ上げて、しかも企画院におって体験されておったとすれば、今日的な段階においてどうすべきかという、しかも将来の展望をひとつながめて、そうした事柄をもう政府としてやるべきだと思うのですよ。  私は、たいした経験じゃありませんけれども、英国に行ったことがありますが、英国の人々は——指導者を問わず、一般国民もそうでございますが、東京都のように、去年も水が出なかった、またことしも出ないらしいという目先のことをやっておりませんよ。それはそれ、しかし最低大体二十年ぐらい先のことをずっと読んで手を打っておるのですね。政治家は政治家らしく、事業家は事業家のように。ところが、どうも日本のやり方は、これはどこの国をまねしたのかわかりませんが、非常に目先のことだけで、しかも場当たり的なこういうちっぽけな問題を、役人が好んで、また法律改正、また株式会社、飛行場の建設など出してくるところに、ぼくは非常に問題があると思うのです。先ほど大臣がいなかったけれども政務次官にいろいろ聞いたら、初めのころは五億円出した、ところが、大臣いつの間に田中角榮大蔵大臣にちょろまかされたか知らぬが——その真意はわかりませんよ、ふたをあけてみたら五千万円、まことに中小企業になってしまった。そういう事情がわかりましたが、しかしそれにしても、これからこれを初歩にして前向きにやると言うものですから、私中身に入って質問しているのですが、何かしらん欠けている点があると思うのですよ。ですから、これは幸い運輸大臣も官僚上がりではありませんから、純粋な政治家でありますから、ひとつ政府の中において、一体道路行政の問題はどうあるべきかということでディスカッションしてみたらどうですか。東條なんという時代の話がいまごろ国会に出てくるのじゃ、たいへんな話ですよ。実情にそぐわないですよ。だからつまり、この臨時行政調査会などでも、いろいろ行政上の各省庁の統廃合なども出てきて、運輸省関係もかなりありますね。そうしますと、今度は大臣、私はそういうことはないと思いますけれども、陰において官僚どもが依然として——きょうの午前の委員会でも、この問題とは別問題ですけれども、指摘いたしましたが、何か策動して、そうしてまた統一と団結をとりまして、労働組合以上ですよ。学閥統一行動隊が出ててきて、圧力団体となって、歴代大臣をおどかして、そうしてまた何かせっかく政府機関のりっぱなそういう調査機関で出した答申がゆがめられていくというような今日的な現状というものは、私は、この際思い切って打破をして、そういう弊害を取り除いて、それでほんとうに国民の要求の上に立った政治、それから出てくる施策を行政官庁は施すべきものではないか、こう思うのです。  端的に、この文章にもありまするように、「特に東京、大阪では厳しい交通規制」なんて、これはいいことばじゃないでしょう。文章に書けばたいへんいいけれどもね、本来、自動車なんというものは、文化人がこれを発明して、文明の利器として、よりすみやかにそれぞれの目的が達成するように、自動車というものはつくられたと思うのであります。それが、こんな「厳しい交通規制が行われ」云々などということになると、結果は、やはり人間が原始的な時代に返って、歩け——最近、大臣歩いたかどうか知らぬが、歩く運動というのがだいぶ大臣連中にもはやっているようだけれども、もっと文明人が原始時代に立ち戻るような実態をとらまえて、「特に東京、大阪では厳しい交通規制が行われ日曜、祝日以外の日は、大型トラックの都心乗入れは殆んど不可能の状態である。」——まことにいい文章に文章としてはなっていますけれども、国民のはだ合いには、これはさっぱり、この文章は実感として、いいものであるというふうに受けとめることは私はできないと思う。できないと思いますよ。しかも、こうしたことを認めておりながら、板橋のところにターミナル建設、一カ所五千万円——まことに規模の小さいものをつくったら、この書いた文章がどこかに吹っ飛んでいくような、こういう提案というものは、運輸大臣、なっていませんよ、これは。  ですから、私は、運輸大臣並びに運輸省の行政官を叱咤激励する意味も含めて、どうですか、松浦さん、これはあなたの会社よりちっぽけなものです。これはあなたの会社より。思い切って——あなたは港湾行政で今度かなり思い切った前向きの措置をとられましたね、今度。ですから、陸の関係におきましても、高度経済成長政策あるいは中期経済政策等々の高度な——私は理論闘争はここではいまごろ、もうかなり国会も終盤の時期になってきていますから、ここで論じ合おうとしませんよ。しませんが、いずれにしても、歴代内閣がとってきた経済のあり方のよしあしは別として、社会面のひずみという形で私は出たと思う。今日、池田内閣の政策を踏襲する佐藤内閣は、そのひずみ是正が大柱だ。間もなく参議院選挙始まると思いますけれども、必ずや人にだってどこかにおいて、わが党はいわゆる経済のひずみ是正にその全知全能力を傾けていますという演説をどこか北海道でぼくは聞かされると思う。聞かされると思うのだ、ぼくは。ですから、私は、そういう社会に出てきた政治経済の悪い面なんですから、この悪い面を取り除くためには、大臣の持っている偉大なる政治力を、陸の自動車の面にも思い切ってやったらどうですか。こういう実は感じを持っているものですから、さっきから伺っているわけです。大臣の大方針をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  51. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) たいして大方針でもありませんけれども、どこをお聞きになりたいのだか、中心がないんですよ。
  52. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 何を言っとるか、中心はたくさんある。
  53. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) あなたのお聞きしたいという中心は、イギリスヘ行って聞いたところが、二十年ぐらい先の政策を常にやっているが、日本はまるで頭の上のハエを追うように、その日のことしかできないじゃないかということだと思うんです。それで案を立てて見たところが、五千万円のターミナルをつくって何になるかということだと思うんです。それについて私は私の意見を申し上げたい。われわれといえども、また吉田さんといえども、二十年後の日本のあり方について案を立てて進んでいくべきであると思うんです。ところが、遺憾ながらですね、いまから二十年前の日本、つまり、八月十五日の敗戦になった日本の現状はどうであったか。それは一千万人の餓死者を出そうという状況だったんです。それで、私は農林行政をずっと担当しておったもので、そのとき、松村先生が農林大臣だったものだから、農林参事官になることになっていたんです。それを外務参事官にさせられた。なぜ外務参事官なのか。外務省でなければ食糧をもらうことができない。ただもらうだけではだめなんだ。今後どういうことで需給策を立てるかという説明は、その経験のある者でなければだめだということで、外務参事官になったんです。それで、一千万人の餓死者どころか、そうたいして——人間はやせたではありましょうけれども、餓死者はあんまり出さなかったのであります。  それで、二十年後の今日はどうかといえば、船の生産は世界一、さっきの自動車の話では世界四番目、鉄の生産は世界三番目だということになったのです。けれども、ここに遺憾な点は、ほかの国はずいぶん古い歴史を持って、蓄積があるんです。ところが、日本は、蓄積も多少あったのだけれども、あの戦争のために全部、なべかままで出してスクラップにしたものですから、全部根底からもう蓄積がなくなっちゃっているんです。そこで、何がそれじゃ財源になるかといえば、そうして、まあ税金の出せるだけにもうかった連中から税を取って、あるいはガソリン税を取って、それでわれわれは行政をやっていることは御承知のとおりなんです。何も別にほかから金を持ってくることはできないんです。国民のもうけた中から所得税を取り、あるいはガソリン税を取って、それを財源にしてやっているわけなんです。まあ中には山林や、その他、大きなビルディングなんか持っておって、それの遺産相続税なんかで、相続税を出しているのがわが国の財源になっているのもありますけれども、国であっても、公共団体であっても、財源の基礎というものは非常に浅いのです。そこで、これだけの国民経済と均衡のとれた公共投資はできないのですね。それは公共投資公共投資というけれども、もとをたずねれば、国民の出した税金から出すのですから、それが回り回ってまた国民が出さなければならないわけですから、そこのところが、もとの蓄積のある国ならできるけれども、あの大戦争で二十年前に大敗した国が、今日、これだけによくできたものだとさえ思わなきゃならないと思うのです。  ここで問題になるのは、伸びるということもさりながら、伸びただけでは——非常に伸びたが、伸びる率が、伸びた鉄とか自動車とかというものよりも、農村とか中小企業というものは伸び率が低いものですから、差がますます大きくなった。その差を、こちらのほらの負担においてこれを引き上げることが、今日われわれのやるべき政治の手段だと思うんです。それが私の政治に携わっている方向でございます。  でございますから、それを、その方法を完全に講じられるようになれば、比較的財源が豊かになりまして、公共事業であるとか社会保障であるとかという面がよくできるようになりまして、あるいは農業の構造改善、中小企業の構造改善はよくできるようになると思います。財源を得る方法は、持てる者に出してもらう以外の方法はないのです。でございますから、それでやるか、あるいは国有林のようなものをもう少し売り払いまして、それで財源を得るか、財産を売ってやるか、国民から税金を取るか、税にかわるものを取るかの以外に、財源の方法はないのです。そのやり方の悪い点を御指摘されるならば、それはまたやる方法を御相談ができるのでありますが、ただ頭から、やり方が悪い、やり方が悪いというのでは、どうも承服しかねるのです。  もう一つ、ターミナルがちっぽけなもので問題にならぬというおしかり、これは初め五億円だったのです。まさに。御承知のとおりに、ことしの予算は、第一は国鉄の基本問題調査会の開設、それから第二は新線建設の問題、第三は港湾の問題、第四は船の問題、第五は飛行場の問題、この五つが中心問題だったのです。この見通しのついたあとに、さらに持っていったのがターミナルなんです。この五つの大きなことをやったのだから、もうこれでがまんせい、こう言ったのですけれども、そう言わずにひとつと言ったのが、まあ、あそこにおられる方々が、一億でもいいから取ってこい、これを取ってくれば、来年からまた三億くらい増していけば、しまいには、日本橋の問屋街というものはこっちに移してしまおうじゃないか、いまは五千万円だけれども、将来十億か十五億円くらいの、ひとつ大きなものにしようじゃないか、そうして日本橋のあの狭いところの問屋というものを外に出してしまおうじゃないか、その理想の上に立ってこれはやった構想なのです。五千万円では小さいとおしかりになるかもしれないけれども、それは運輸省は——あなたもいろいろ陰でこの予算を取るのにやってくださいましたことは知っておりますから感謝しますが、それで合計してどうかといえば、去年までは七・六%しかふえていないのです。ことしは一八%ですよ。よそのところでこれだけ取ったところはないのですよ。ですから、そう頭から、あれもいかぬ、これもいかぬと言ったってしようがないのです。できるだけやったのですから。これからもっとひとつ働きますから、これを仕上げるようにお願いいたします。
  54. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも初めの間は、大臣はぼくと何か立ち会い演説をやっているような感じで、場所が場所だけに、私なりの考えを持っておりますから、反論はしませんけれども、あとのほうになってきて、今度は陳情請願型の話になってきたのだね。だから、中心があるとかないとかという議論じゃなくて、私のさっきから言っていることは、これは悪いということではないというのです。いいが、今日的に置かれている、つまり、自動車輸送というものの日本の産業経済に占める一体位置づけというものは、どういうウエートを占めるかということを考えてみると、あなたは先ほど五本の中心スローガンのようなものを掲げて、パーセンテージが前年は七・六%で、今度は一八%何がしになったと、こう言っておりますから、あなたがそういう関係で運輸省全体の予算を策定するにあたって、所管大臣として努力されたのは私は認めておる。だから、前回の委員会においても、このことについては私は尊敬もし、崇拝もしましょうと、こういう話を申し上げた。そこで、あなたは、何もかにもしたがって精一ぱいやったのだからできないと、こう言うので、さらにこれからまたやりますからと、ここらあたりがちょっと陳情請願に変わってきた。私はあなたと政策論争したり、あるいは政治の原則からここで議論しようと思いませんが、日本の産業経済の現状あるいは将来展望をこう展望してみて、自動車輸送というものの占めるウエートはどこらあたりにあるのかということを考えてみると、決して、先ほどあなたが指折り数えた飛行場の問題、港湾の問題、何とかかんとか言っておりますが、これにまさるとも劣るものではないという私は考えを持っているわけなんですよ。ですから、やるならばもっとでかいことをやったらどうか、大規模なことをやったらどうか。しかも、私がいま申し上げたようなとらまえ方というものは、全部条文に入っている。これは、たまたま私の間違いで、運輸省の書かれたものと思っておりましたが、参議院の運輸調査室で、大体われわれが、何といいますかな、ここで論議しやすいように、法律の提出された経緯が書かれているので、この点では、私が先ほど来申し上げておったことが多少——運輸省の役人さんがつくった文章でないということはわかりました。わかりましたが、しかし、このことは、いやおれらがこれは書いたものではない、参議院の運輸調査室がこれは調べて書いたものだから、その文章は向こうのほうの大学を出た人が書いたのだと、こういうことでは私はないと思うので、そういう余談は別として、この書かれているものは、国民全体がこういう受けとめ方をしているものと私は思うのです。その上に立てば、いま言ったように、また運輸大臣、少しいきまいてくるのですがね。政府出資の五千万円なんというのは、努力したことは認めますけれども、板橋に何とかターミナル株式会社というものをつくっただけでは、ここに書かれている問題が解消したわけじゃない。だからこそ、この際、先ほど来やかましく言っていますけれども日本の将来の産業経済というものをながめる中から、とりあえず今年は、あなたが努力したけれどもここまで行かなかったということは、政務次官からも聞いたし、あなたが最後に、逆にぼくに陳情請願のようなものの言い方の中でも、私は私なりに理解できますから、やむを得ないとしても、一体、あなたは将来に向けて努力をすると言っていますけれども、その努力する前提というものは、いま私が申し上げたような、再三申し上げておるような客観情勢というものを踏まえて、具体的に今年は金が五千万円よりつかなかったのだから——つまり、当初五億をあなたは要求して大蔵省と折衝したそのときには、板橋だけでは私はなかったと思うのですね。だから、つまり、将来展望を展望して、おおよそ五年後とか、あるいは十年後には、一体、板橋だけじゃなくて大阪に対してはどういう計画を持たれているのか。これは一つの例ですがね。あるいは名古屋に対してどういう計画をお持ちになっているのか。あるいは神奈川県下ないしは東京——板橋だけでこれは事足りるわけじゃないですから、東京に対してはどういうふうになるのか。あるいは、一挙にまいらぬと思うけれども、北は北海道から九州に至る、それぞれの県庁所在地の中都市に対して、一体こういうものが必要であるのかないのか。あるとするならば、どういう計画のもとでいわゆるその運輸大臣の政治信条というものを具体化していくかということをここで出さなければ私は——私にですよ、あなた方が、こんなちゃちなものと言われて、ちょっといきまいたような、まあいきまくということはどうかと思いますけれどもね。とにかく、戦後の混乱期のところまで発展していって、決してぼくは運輸大臣をからかったり、あなたのことばに対してどうこう言うわけじゃないけれども、ぼくの質問には中心点がないと言うが、あなたの答弁にも中心点がないので、しぼって答えてもらいたいことを希望しますよ。
  55. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) そのお手元に行っているのはこれじゃないですか。「日本自動車ターミナル株式会社法案について 参、運輸調査室」というこれでしょう。この表をごらんいただくと大体わかると思うのですが、これは何年間ですか、この三枚目のしりのほうにある表をごらんいただきますと、大体こういう方向でいきたいと思っておりますから、御参考のために見ていただきたいと思います。
  56. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、この「資金計画」の板橋ターミナル——カッコしておりますね。この案ですが、四十年は五千万円ですね、四十一年は二億ですか、合計二億五千万円、政府出資ですね。その他、東京出資であるとか、民間出資、開発銀行、市中銀行等々入れましてどうなりますか、三十八億円ちょっとですな、それでやるというわけですか。
  57. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) そうです。
  58. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、三十八億もこれはけっこうでしょう。しかし、これは運輸省から出されておりますのは、あくまでも東京周辺ですね。これは第一歩だから、こういうお話なんですがね。私は、思い切ってでかいことを試みてみたらどうか、こう言っている意味は、この東京だけで三十八億——かりに四十億でけっこうでしょう、繰り上げて——でやってみても、これは前段に、あなた方の提案理由にも書かれておりますように、自動車のそれぞれの保有台数が増大すると同時に、今度反比例して、輸送、道路事情等の条件がよくなくなっているわけだから、したがって、何といいますか、輸送のトンキロは伸びているけれども、今度一面は、非常に道路交通事情がよくなくなるという面は、これは現状の中でもすでに読みとれると思うのです。しかも、このりっぱな理想像のような文章からながめて、東京だけでは、これはこの文章のあれを消化する政府施策ではない。その施策ではないと言っている意味は、先ほどから何回も言っているいわゆる自動車輸送が占める位置づけの点から考えて私は言っているのです。だとすれば、いまはこれは五千万なら五千万であなた方が努力をされて、これでやむを得ないとしても、少なくとも、先ほど大臣がとうとうと戦後の日本経済の発展ぶりをいろいろ申し上げられたようなことを、私はすなおにかりに受けとめたとすれば、当然ここにも書かれておりますように、とりあえずは大阪、あるいは名古屋、あるいは東京に直近の神奈川であるとか、あるいは静岡あたりも当てはまるでしょう、とりあえずは。こうしたものに対して、やはり長期展望に立った計画の策定といいますか、そういう計画は持っておられると私は思うんで、そういう策定がさらに発展して——そこで私は、英国人の二十年も先を読むことを引例したんですけれども、やがて北海道あるいは九州に至る日本全国で、これは最大公約数を求めたとしても、県庁所在地ぐらいは、当然こういう現象はいまから早く考えて、それぞれ運輸省が手を打ってまいらなければ、これだけでは意味ないんじゃないか、こう言っているわけですよ。
  59. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) よくお気持ちはわかりました。実は、東京は四十一年の最終には三十八億八千三百万円、それで、これは板橋だけでございます。それで、これはあなたと同じようなことで、閣議でもずいぶんこの問題、やかましかったんです。そこで、京浜は二地区さらに設ける考えでございます。そのほかに調布地区、葛飾、足立地区、合計、五地区のターミナル建設することでございますので、東京地区におきましては、この三十八億を入れまして、二百二十九億円の予定でございます。それから名古屋は、県とも相談をいたしまして、市と県のあっせんで、小牧地区においてすでに準備が進んでおりまして、ターミナルの分として十四万二千坪すでに土地を買ってくれました。それで、ほかの住宅用その他のものを合わせますと、十七万五千坪でございます。大阪のほうは、いま大阪府との間に相談中でございます。これも将来、東京と同じような方向できめていきたいと思っております。  それから、こういうものをつくったって、道路が狭ければ何もならぬじゃないかというお話でございますが、まあ、すでにおきめいただきまして第三年次に入っておりまする四兆一千億の道路の経費は、地方もそれぞれ一級、二級全部舗装いたしますけれども都市の人命を尊重するという、いわゆる交通戦争とまでいわれる問題を解決するために、そのうちの何割かを使うことで、それぞれごらんのような工事をやっておりますので、それと相まって、これは、小山建設大臣ともこのことは相談してやっているのでございますから、これは相当緩和された上にこういうものができる考えでやっておるのでございます。
  60. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 だんだんの答弁を聞いている中で、一応曲がりなりにも、将来展望みたいたものがおぼろげながら出てまいりまして、その点だけはわかりました。そこで、そのいま答えられた二百数十億の関係の年次計画というのは……。
  61. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 二百二十九億です。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 二百二十九億でもけっこうですが、何がしかということばを使ったのですね。何カ年計面で遂行しようとしているのですか。
  63. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 一応計画では、昭和四十七年度までに、東京の五地区を完成する予定にいたしております。
  64. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、昭和四十七年ということになりますと、ざっと七カ年計画でございますね。そうしますと、期せず、国鉄の長期計面とやや年次が同じくらいになるのじゃないかというふうに思いますがね、金額は別にして。この七カ年計画と相まって——計画があるかどうかは別として、いま表を持っていませんけれども、相まって、今日の自動車の生産、自動車の需給のバランス、それから貨物輸送の伸びの推移等々考えてみて、この五カ所でどうですか、ここに書かれています名作文が、計画的に施策を施して解消できるということになりますか。
  65. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 東京におけるトラックターミナルの所要面積といたしまして、昭和五十年を想定の年次といたしますと、われわれの想定では、東海道方面、甲州街道方面、これが調布地区あるいは京浜地区の分でございますが、東海道方面として三十二万坪、甲州街道方面として一万六千坪が必要と見られるわけであります。このうち、われわれの計画でいきますと、調布地区に十万坪を整備し、京浜地区に七万坪が整備される、そういう見通しでございます。それから中仙道方面につきましては、予想数量が九万坪を予想されますが、板橋地区のこの計画で五万坪が整備される。それから陸羽街道方面では、七万七千四百坪が所要面積と思われるのでありますが、足立地区に五万坪整備計面を持っております。それから水戸・千葉街道方面につきましては、四万坪の所要に対しまして、葛西地区として三万坪を計画しておりまして、合計、昭和五十年で東京に必要とされるターミナル所要面積というものが五十四万四千坪でございますが、このうち、この特殊会社整備するものが三十万坪、そういう予想になってございます。それ以外は、現在あるターミナル施設を活用する、そういう計画になっております。
  66. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ですから、局長の計画は、だんだん説明されて、われわれの手元に配布されていませんがね。委員長代理の江藤さんも、りっぱな図面等の検討したやつがあるようですから、これはそういう計画があるのでしょう。あるのでしょうが、ぼくの言っている意味は、その七カ年年次計画を順次推し進めているわけですね、いまの説明では。その場合に、その年次の、つまり、この日本の自動車の生産の量といいますか、推移ですね、それと、需給のバランスの関係の推移、それからもう一つには、自動車輸送——これは減ることはないわけですよ、ふえていきますわね。ですから、その増大をしていく伸び率のカーブをどう見ているのか、こういうことを聞いておるわけですよ。
  67. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) ただいまの所要面積を算定いたしました基礎は、年率の輸送の伸びが一一・八%ということで、これは経済指標によりまして算定いたしております。すなわち、現在、東京都内に路線トラックといたしまして輸送されておりますものが、一日二万四百トン余りでございますが、これを一一・八%の年率で伸ばしてまいりますというと、昭和五十年におきましては、一日当たり約七万八千トンの貨物が路線として入ってくるということで、トラックターミナルとしての所要面積を算定した次第でございます。
  68. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、これは、この数字的なもののとらえ方というのは、その基礎算定のとらまえ方によって、これはどうにでも動くのですよね。ですから、私は直ちに、たとえばその一一・八%の増であるとか、これは今日の経済指標によるものだ。そうすれば、二万四百トンの何か輸送トン数があって、一日当たり二万四百ですか、何かそこらあたりちょっと開き違えましたが、昭和何年かになると——まあこれは最終年度のことだと思いますが、七万八千トンになるとか何かということについては、はい、そうですかと、直ちに——私はここで資料を持っていませんから、そういうことにはなりません。なりませんが、このあなたがとらまえた数字が妥当なものとしてかりに認めた場合に、この七カ年計画で、ただいま私の手元に来ましたこの運輸省のあなた方の計画案でまいりますと、これは東京だけでございますがね、完全に、先ほど来再三やりとりしておった諸問題がこれで排除されて、しかも、この都市機能の改善にどえらい役立って、その結果、国民の利益になるものだと、こう御判断されているわけですか。
  69. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 先ほども申し上げましたように、都市交通の混雑というものがこれによってすべてであるというふうには、われわれは解釈しておりませんで、先生が御指摘のように、自家用自動車の増加というものが大きな原因をなしておるわけであります。まあ少なくとも、貨物に関しましては、これによって相当緩和されるであろうということを強く期待しております。
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 相当緩和されるであろうという答弁ですから、この相当というのは、固定していませんな。だからといって、いま私も、相当なるものは一体幾らだなんということは言いませんがね。私は、あなたの言う相当緩和されるであろうという想定、予測は、これはつきますが、この計画でまいりますれば、ここに示されているように、東京と大阪の漸次どこか、つまり、とりあえずは五ヵ所だとかなんとかという先ほどの答えのようですけれども、これで、日本の経済、旅業の、いまやぼくは中核といっていいのじゃないかと思うが、そのくらい高いウエートを占める自動車輸送の諸問題を解決するということには、いささか私はまだ首をこうひねらざるを得ないのです。ですから、いまのところ、これだけの計画よりないとすれば、これまたやむを得ませんけれども、ですから、将来、大阪地域、あるいは福岡の地域にしてもけっこうです。それから神奈川、こうしたところについて、たとえば札幌でもけっこうです。特に最近、個人の車の保有量の伸びというのは、あなた方の言うとおり、札幌なんて、いま東京あたりと並んで全国一となってきているのです。やがて——やがてといっても、現在そういう問題が起きつつありますよね。だから、あなたのこの七カ年計画が計画どおり達成されるのも、私はもう中ごろには、いまここで議論しているような問題が、全国至るところの中都市といえどもこういう現象が出てくると思う。これに対して一体何を考えておられるのか。ここで先ほど来、場当たり的だとか、どろなわ式だなんということばを私は使っているのだけれども、もっとやはり運送事業の中における自動車輸送の占める位置づけの問題の把握のしかた、とらまえ方、ここにまあ認識は十分しておられるのだと思うが、出されたものをながめてみれば、その認識がどうも私は欠けているように思わざるを得ないのですね。ですから、イギリスの例をとって、二十年先のことをそろそろ読みつつ、具体的な手を打つ必要があるのではないか、こう言っているのですがね。それはおまえの言っていることはちっともわからぬ、夢みたいなことを話しているというのなら、それはいいですがね、自動車局長、どうですか。
  71. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) お説ごもっともです。ですから、いま五千万円でつまらないじゃないかというおしかりを受けながら、今年ひとつこれを試みて、まずこれがうまくいけば、これを全国中小都市にもやっていきたいと思っておるのですが、きょうもこの部屋で港湾労働法をやったんですが、あれもつまり六大港湾だけにということで、それもちぐはぐなんです。港湾運送事業のほうは全国的な統合をしようとしており、それで、労働関係のほうは六大港湾だというので、六大港湾以外のほうは全然いまのところ関係しないというので、この問も泊谷君からずいぶんおしかりを受けたのだけれども、なぜやらないのかと言っておしかりを受けたのですけれども、つまり、きょうも石川君が答弁をしておったのですが、一応やってみてよかったら順次やっていきたい、こういう考えで、おくればせながらまあひとつこれをやらしてみてください、それで、それから順次、これでいかなければ、またみなで相談して、一番いい方法でどうやったらさばけていくか、また、道路も現在の四兆一千億で足らなければ、財源さえ見つかるなら、さらに道路も拡大していくという漸進方法をとるよりしかたがないと思うのですよ。そういうことで、ひとつ御協力をお願いしたいと思います。
  72. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、協力しろということは、ぼくは協力しないなんということは一言も言っていないのですが、むしろ私のいままで聞いていることは、協力をより前向きにするために、ものを言っているつもりなんですよ。ところが、時間がかなり進んでまいりましたから、あまり文句は言いたくないが、とにかくやってみなければわからない、やってみてよければ、その他の地域にも拡大、この種の問題を適用をしていくと、こういうことなんです。だからやらしてください、協力してくださいと、そこのところが、天下の運輸行政を所管する大臣がそういう考え方を持っていたとすれば、これはどういうやり方をやるか、追ってこれは質問いたしますが、やるほうの側でもまことに不安であるし、そしてまた、それに期待する多くの国民がまことにこれは不安定なものだとこれはながめなければならぬものが、大臣のことばじりをとらえるわけではないが、そのことばの中に存在しておるような気がする。だから、私はさっきから言っておるように、まことにことばは悪いけれども、こうしたものはあまりにも小規模なんだということばではなくて、もう国家全体の面から見れば、占めておるウエートは高いけれども、扱われた内容というものは目に見えないほどのものじゃないかと、極言すれば。だから、そういうものではなくて、日本の産業経済の今日の進みつつある諸情勢からかんがみますれば、もっともっと思い切った、しかも、いま言ったように、やってよければやるというような、そういうことではなくて、だから今回はやむを得ずこういう金額より取れなかったから、これでまあ、とりあえずやります。しかし、これは必ず日本産業経済の発展のためには有益なものであって、国民経済に寄与するものであるから、それで先ほどから七カ年計画、これもまたお粗末な計画であるけれども、それをさらに経済の推移に合わして全国的にやりますというなら、私はこれはたいした大臣だと、これはりっぱなものだと、こういうことで、ぼくも文句を申そうとは思わない。しかし、いまの答えでは不満足ですよ。
  73. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 何も不満足ではない、あなたの聞き方が不満足です。
  74. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、委員長が発言を許していないから……。不満足であって、不満だということではないのです。で、大臣、私はあなたと大きな経済論争などやるひまがないのだけれども、大臣も先ほど答えられたように、日本の敗戦のとき、それから今日、まあ二十年ぐらいのものですな、この間にいろいろな経済構造の変化、あるいは社会構造の変化等相当あって、曲がりなりにも日本の国はかなり発展したことは、何人も否定できないと思うのですよね。ただ、なぜしからば発展していったかという原因はいろいろあるのです。そこのとらまえ方に、先ほど大臣が答えられたものが、私もどこかの参与か何かやって、外務省の何かをやっておってという話から始まって申されたけれども、そうしたその当時の内閣は、私は努力はしないということは一言も言いませんけれども、そうした事柄よりも、日本経済が飛躍した最大の原因というのは二つあると私は思うのです。その一つは——大臣、あなたの意見も十分聞いておったから、ぼくの意見も聞いてみなさい。その一つは、まず、平和憲法を制定して戦争を放棄したということに大きな原因があるのです。つまり、戦争経済を、平和経済に切りかえた、国民の生活経済に置きかえた。このことは見のがすことはできないと思うのです。日本経済がかくも発展したというこの発展は、何人も否定できないように、戦争放棄をして戦争経済を平和経済に切りかえた、これは何人も私は否定できないと思う。それからもう一つは、歴代の内閣がそれぞれの努力をされてきたことについては、これは認めなければなりませんが、しかし、その中においても、やはり総理大臣以下大多数の日本国民ですね、大多数の日本の国民の勤勉さ、勢力、がまん強さ、こういう事柄が日本経済の今日をささえた第二の原因だと私は思う。  私はたまたま、池田さんが総理大臣になったときアメリカにいました。池田さんが、なくなられたケネディと握手をやっておられたのを、ホテルで見ておりましたがね。あなたのような政府の要人であります閣僚とか大臣と称され、長官といわれるような人々の言うことではない、アメリカの一国民一人一人をつかまえて聞いてごらんなさい。あなたも向こうへ行ったと思いますがね。日本の経済の成長の高さというものは驚異である、まず一つこれを言いますわね。それから二つ目には、そうした最大の原因は、やはりアメリカの諸君が認めています日本人の勤勉さ、努力、がまん強さ、これがやはり日本経済をかくも急テンポに発展させたものである。しかし、そのあとにまた一言つけ加えますが、これはアメリカ人のくせでありますけれども、ミスター吉田、おまえたちはそう言っても、日本経済というのは、吹けば飛ぶような将棋のこま——ということは言いませんでしたが、つまり、日本経済というものはきわめて薄いものである、オブラートのようなものである、アメリカ経済に支配されている、ということばを使いましたよ。そこで、私はその人間とかなり議論してきましたが、その議論はきょうここですべきものではないから言いませんけれども、そうした中で日本経済というものは成長してきたものと確信をしているのです。ですから、今日、平和憲法が存在している限り——何かあなたのほうでは憲法を改正するとかしないとかいうような議論があるようだけれども、そういう議論は別にして、平和憲法が存在をしている限り、しかも、いまベトナムでも問題が起きている、あるいはドミニカでも問題が起きている。この間の委員会でも、ベトナムの問題をとらえてあなたに質問をしましたが、そういう問題に日本が憲法を無視して介入しない限り、経済企画庁がその年次年次の経済成長率というものをきめてやったにしても、日本経済というものはかなり伸びていくと私は思うのです。  そうしますと、たまたま業務部長が答えられたように、自動車の輸送力に占める伸び率はすでに一一・八%——これはまあ経済指標をとらまえてでしょうが、こういう話である。必ずしも一一・八%というものが正しいかどうかということは別問題として、やはりかなり伸びているということだけははっきりしていると思うのです。しかも、平和産業、平和経済を指向する限りにおいては、そうして、あなた方の内閣でさえ、地域格差を是正しなければならぬ、経済のひずみを是正すると言っている限りにおいては、中央、地方を問わず、局部的には多少の問題があったにしても、日本全体の産業経済というものは、私はかなり伸びる傾向にあると思うのです。漸次、地域的格差も是正されるものだと私は思うし、また、そうあらねばならぬと思っておる。そういうときに、私はこの法案は悪いと言っているのではない。あなたは私が最初質問に入ったときにいなかったからわからぬでしょうが、法案そのものは、いまの客観情勢から見て、この面だけとらえてみると、私は適切な措置だと思う。だけれども中身を見ると——まあ、ちょうちょう喃々、私の演説会ではありませんからこの辺でやめますが、言うてきたことと、あなた方みずからが提案理由として掲げているものを見ると、その扱い方といいますか、今日の産業経済の中における自動車の輸送というものの位置づけというもののとらまえ方が、どうも甘過ぎやしないか。だから、もっともっと積極的に、前向きに、規模の大きなものにして取り組んだらどうかということを私は言っているわけです。この点をひとつ誤解のないようにして、私は大臣の答弁を求めたいと思います。
  75. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) どういう答弁をしたらいいでしょうか、さっきのお話で、やってみてということは不安だということ、それがほんとうじゃないかと思うのですが、それを私は言おうと思っているのです。現にいま計画しているだけで、これから七カ年かかるのです。七カ年というのは、ちょうど輸送力増強と同じ期間です。しかし、この七カ年の間には——いまここで理想的にやっているつもりではありますけれども、これは日本における初めての試みでありますから、この七カ年の間には、さらに進歩したやり方が出てくるかもしれません。それに改良を加えたものでやるということも起こってくるだろうと思います。だから、やはり試験的な意味がずいぶん含まれておるのです。これは日本でいままでやってきたことの例のないものなんです。しかし、いまのところでは、これ以上のものはない。これ以上のものがあったら、提案してもらいたいのです。私ども、直すことにやぶさかではないのです。これ以上のものがありえませんから、七年かかって一ぺんやってみる。しかし、やってみているうちに、たとえば三年やってみて、四年目にかかるとき、悪かったらそれを改良していきたい。そういう進歩的な性格ももちろん持っているのです。いま七年先のことをお互いに議論しているのですが、二十年前に日本の今日がこういうふうになるとは考えられていなかったですからね。
  76. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あなたは考えていない。
  77. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) いや、私が考えていなかっただけでなく、一般考えられていなかった。実は一千万も死者が出るのではないかと考えておったくらいなんです。ですから、どうかそういうことを御理解願いたい。その点、私は何も国民に希望を失わせる意味で言っているのではないさらに現実に進歩させるために言っているわけですから、それを御了解願いたいということを言っておるわけであります。  日本経済の拡大については、きょう議題になっておりませんから、なんですが、さっき私が言ったものだから、あなたが言われたものと思う。あなたの言われた二点については、私は共鳴します。それに加えてもう一点あるのです。それは経営者の英知から出た創意くふうです。それに対する政府の一貫せる自由経済です。これも見のがしてはならないと思うのです。
  78. 江藤智

    ○理事(江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  79. 江藤智

    ○理事(江藤智君) 速記をつけて。
  80. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、あなた、いまマレーシアのラーマンさんが迎えに来ているようだから、ぼくはこの辺できょうのところ、きょうだけで質問は終わるというものじゃないですからやめますけれども、あなたの、つまり、経済の基本として考えられていることと、私とでは、これは学問的にも、政策的にも違うわけですから、だから、経営者の努力も認めないわけでは私はないが、そういう論争を私はやりません。ですから、これはいつかの機会に、ひとつ立ち会い演説でもやりましょう。そういうことにして、きょうはこれはしません。ただ大臣、あなたいま、これがいまの時点において最もいい案なんだ……。
  81. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) そうです。
  82. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そう言っておるのです。これ以上いいものがあったら、ひとつここで出して議論しましょう、よければやることについてはやぶさかでないというなら、私はわが党の、つまり運輸交通政策を提供しますよ。これよりはもっともっと——それは万全でないかもしらぬけれども、よりベターであることは間違いない。このことも、次の委員会にひとつおあげしますけれども、私は次の委員会にわが党の政策を提案しますから、私は提案権を持っておりますから、これは提案しますよ。その中でひとつ検討してやっていただきたい。以上で、ラーマンさん待っておりますから……。
  83. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) それはあなたの自由ですが、それは議員の多数決でありますから、御審議の上でやるよりしかたがないと思っております。
  84. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 こう言ってみても、大臣もさっきちょっと気負い立って、対案を出せと言ったが、対案を出せと言えば幾らでもあるが、そういうことじゃなくて、これは決して私は悪いとは一言も言ってないのですから、少なくとも謙虚にすなおに、私の言っていることも、決してこれを否定していないのですから、先ほど来長々と長広舌を言った趣旨もくんで取り組むという態度を次回から示していただきたい。ラーマンさんが来ておりますから、本日はこれでけっこうですから。  そこで残りました局長にさらにたくさんの質問がまだまだございます。ございますが、時すでに五時に近いわけでございますから、速記の方々もみなそれ以上の月給をもらっているわけでありませんから、きょうは、私の質問はこの程度でやめます。
  85. 江藤智

    ○理事(江藤智君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  次回は五月十一日午前十時開会の予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会      —————・—————