運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-02-09 第48回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月九日(火曜日)    午後一時三十二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         松平 勇雄君     理 事                 天埜 良吉君                 吉田忠三郎君     委 員                 加賀山之雄君                 河野 謙三君                 木暮武太夫君                 谷口 慶吉君                 前田佳都男君                 相澤 重明君                 大倉 精一君                 小酒井義男君                 浅井  亨君    国務大臣        運 輸 大 臣  松浦周太郎君    政府委員        通商産業省鉱山        局長       大慈彌嘉久君        運輸政務次官   大久保武雄君        運輸省鉄道監督        局長       佐藤 光夫君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省自動車局        整備部長     宮田 康久君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件鉄道敷設法の一部を改正する法律案内閣提  出) ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件)     ―――――――――――――
  2. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  鉄道敷設法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず補足説明を聴取いたします。佐藤鉄監局長
  3. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 鉄道敷設法の一部を改正する法律案概要について御説明申し上げます。  今回新たに追加する線路及び変更する線路につきまして、法律案に記載した順序概要を御説明申し上げます。  第一に、新たに別表に追加する「五十ノ五東京国分寺附近ヨリ神奈川小倉附近ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は現在工事線となっております武蔵野線国分寺付近より分かれ、既設の国鉄南武線の南側を通過し、神奈川小倉付近、すなわち国鉄新鶴見操車場に至る約二十六キロメートルの鉄道であります。  本鉄道は、武蔵野線延長ともいうべき性格の線でありまして、急増しつつある東京及びその周辺の貨物を、都心を経由することなく輸送しようとする、いわゆる外郭環状線の一部を形成するものであります。この鉄道は、丘陵地を通りますので、短いトンネルをつくる必要がありますが、その他は特別な構造物もなく、工事は比較的容易の見込みであります。  第二に「五十二ノ二神奈川塩浜附近ヨリ千葉木更津附近ニ至ル鉄道」でありますが、これは現在工事線となっております京葉線、すなわち「五十一ノ二東京品川附近ヨリ千葉木更津附近ニ至ル鉄道」の起点品川付近神奈川塩浜付近に変更するものでありまして、別表における予定鉄道線路記載順序を整理する関係上、五十一ノ二を削除し、五十三ノ二として一号加えたものであります。この京葉線起点を変更することによりまして、進展しつつある東京湾岸工業地帯造成計画に対応し、あわせて、品鶴貨物専用線及び新鶴見操車場の救済をもはかろうとするものであります。変更部分鉄道は、延長約十四キロメートルでありまして、埋め立て地及び六郷川を通過いたしますので、路線は平たんではありますが、橋梁が多く、技術的には比較的困難な工事となる見込みであります。  第三に、現在工事線となっております湖西線すなわち浜大津-塩津間の鉄道について、起点浜大洋京都山科に、終点塩津沓掛付近に変更しようとするものであります。この湖西線は、別表中「七十七滋賀浜大津ヨリ高城経テ福井三宅ニ至ル鉄道」及び「七十七ノ二滋賀今津ヨリ塩津ニ至ル鉄道」の二線を組み合わせてつくられたものでありますので、したがって各号別に、滋賀浜大津京都山科に、塩津沓掛付近に改めるものであります。  湖西線は、完成の暁には、東海道本線と直結して国鉄裏縦貫線の一部を形成するものでありますが、起点浜大津となっておりますと東海道本線への取りつけ工事が非常に困難となることにかんがみまして、起点東海道本線山科に変更するものであります。また、北陸本線への取りつけ地点につきましては、本線制限勾配である千分の十以下の勾配をもって近江塩津駅に取りつけることが困難であることが調査の結果判明しましたので、終点塩津を変更して皆掛信号場付近において北陸本線と直結しようとするものであります。  工事は、起点山科に変更する部分については、延長約三キロメートルの長大隊道が一カ所できるほかはおおむね、容易の見込みであります。終点沓掛付近に変更する部分については、線路山腹沿いに建設されるため短いトンネルが若干できますが、工事は比較的容易の見込みであります。  以上がこの法律案概要であります。
  4. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 本案の質疑は次回に譲ります。     ―――――――――――――
  5. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に、運輸事情等に関するに調査議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、自動車局長がまだ来る途中らしいから、部長のほうから先に整備関係を含んで質問いたします。  最近、自動車の非常に数が多くなると同時に、交通も困難をしておるわけですが、わけても公害問題が非常に強く指摘をされるようになったわけですが、自動車排気ガスについて、やはりこれも一つ公害であると、こういう考え方が一般世論化しつつあるわけです。これに対して、政府がどのように公害防止のたてまえをとるのか。これは、この法律上あるいはまた車両等整備の規則上運輸省自体としてどうお考えになっているのか、この点まず第一にお答えをいただきたいと思います。
  7. 宮田康久

    説明員宮田康久君) いま先生お話しのとおり、公害問題が全般的にいろいろ問題になっておりますが、その中でも自動車関係によります排気ガスの問題も一項目になっているわけでございます。公害防止につきましては、もとより運輸省ばかりではございませんので、厚生省、通産省その他関係各省とも緊密な連絡のもとに、この公害防止対策を進めなくてはならない問題でございますので、昨年の三月に総理府公害対策推進連絡会議を設置いたしまして、各省ここでそれぞれ連絡協議をいたしまして、推進対策を進めております。その中で、もちろん工場その他の、あるいは河川の汚濁の問題、あるいは工場からの排煙等問題等を取り上げておりますが、その中でも自動車排気ガスも一項目として取り上げて推進をしております。さらに、公害防止を根本的に解決してまいりますためには、相当基礎的な研究を進めてまいらなくてはなりませんので、それにつきましては、科学技術庁大気汚染防止研究合同推進連絡会議をつくりまして、各関係省庁の、ないしその研究機関技術者を集めまして、研究促進についての技術対策を早期確立するよう協議をしております。当運輸省といたしましても、その一環といたしまして、この公害防止対策を進めておるわけでございますが、まず自動車排気ガスにつきましては、道路運送車両法に基づきます保安基準に、抽象的ではございますが、排気ガスを出すことに対しまして、その防止装置をつけなくてはならないというような規制をしております。さらに道路交通法で、運転いたします場合に排気ガスを出すことに対しての規制をしております。ただ、現状におきまして、この排気ガス問題で、整備の問題、整備が完全にしてある場合と整備が不良の場合とでは、六〇%程度排気ガス有毒性についての差があるわけでありますし、また運転操作の問題で、加速の場合、急激な加速をいたします場合、あるいは急ブレーキをかけます場合、あるいはトラックにおきまして非常に過積載をする場合、こういう場合は排気ガス有毒性が非常にふえるわけであります。そういうような問題で、やはり整備を確実にさせるということと、運転操作を注意するということと、これは直接的にいますぐやれることでありまして、非常に大切な問題であります。全車につきまして整備を完全にさせるという問題につきましては、一昨年、道路運送車両法改正におきまして、定期点検整備を義務づけまして、これによって整備を完全にさせるということの措置をいたしております。  そこで、さらに基本的にこの問題を解決してまいりますためには、やはり整備よしあし、あるいは運転操作よしあしという問題よりも、基本的に、自動車運転いたします場合に、もとからこういうような有毒性ガスが出ないように措置していくことが大切なわけでありますが、それにつきましては、やはり根本的に基礎的な研究が必要なわけであります。で、私のほうの運輸省船舶技術研究所におきましても、この有毒ガス防止方法について、あるいはやはりこのガス自体の簡便な測定方法が必要であります。その簡便な測定検査装置開発、あるいは現在排気ガス運転操作あるいは整備等によってどういうような状態になっておるかというような実態調査等研究をいま重ねておりますが、さらに大学研究機関あるいは自動車メーカー方等についても、この排気ガス防止対策研究開発を行政指導的に大いに促進させておりますとともに、運輸省といたしましても、委託研究費あるいは補助金等を出しましてその開発を進めております。とりあえずこの程度、概略を御説明申し上げました。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 できるだけ排気ガスをなくする、有毒性をなくするということで開発を進めているという話ですが、現実バストラックを見ると、もうもうたる黒煙を上げて、うしろからついていく自動車は先が見えぬ、こういうようなのは随所に見られるわけです。しかも、きょうのような雨降りの日には、遠慮会釈なく飛ばせば、飛沫を浴びて通行人はどろだらけになるというような、中には黒煙を吐いて着物に付着するなんていうのは、実際に落ちないわけです。こういう点で、地域住民にとってはきわめて大きな課題になっているわけです。何とかしてこの公害の中の一つ排気ガスというものをとめる方法はないものかということは、いま一般国民世論だと思う。そこで、研究もけっこうだと思うのですが、当面どういうことをして最小限度にそれを食いとめるという考えがないのかどうか。先ほど、総理府なり科学技術庁の中に、それぞれ連絡会議なり推進会議なり懇談会なり持っているわけですが、ただ会議をやっておったところで直らぬ。街頭に出てみたらわかることです。一般国民はそのためにどのくらい迷惑しておるかわからぬ。これを一体直すのはだれがやるのか、これはやっぱり政府が積極的に推し進める以外には私はないと思う。こういう意味で、研究して開発を進めておるということはわかるけれども、それではやっぱり相当の日月を要することであって、いまどうしなければならぬかということに対する政府の態度というものはないのですか。
  9. 宮田康久

    説明員宮田康久君) いま先生お話に対しまして御説明が足りなかったかと思いますが、自動車排気ガスの問題の中で、いまお話しディーゼル自動車黒煙の問題と、それからガソリン自動車ガス有毒性の問題と、特にあげますとこの二つがございまして、ディーゼル自動車黒煙の問題は、排気ガスそれ自体有毒性はきわめて少ないのでありますけれども、御承知のように、黒煙でございますので、すすを主体にしたものでありますが、これが確かに環境を汚染いたしますし、また交通障害にもなるわけでありまして、このディーゼル自動車黒煙防止につきましては、私ども陸運事務所において車両検査をしておりますけれども定期検査の場合にも、この黒煙排出状況については検査をいたしまして、悪いものについては整備をさしておりますし、また新しい車が販売されます前には、その新型車については徹底的な検査をいたしておりまして、黒い煙を出さないような処置をしております。ただ、先ほどお話しいたしましたように、整備状態が悪い場合にはやはり黒い煙を出すという状態になりますし、また非常にトラック等での過積みというような場合には黒煙を出すようになりますので、その点につきましては、先ほど御説明いたしましたように、道路交通法上の規制によりまして、街頭警察官取り締まりをしております。はっきりした件数はいま覚えておりませんが、たしか昨年で数千件の取り締まりをしたように聞いております。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 取り締まりをしたからなくなるというものじゃないと思うのですよ。要は、政府が、そういう有毒性排気ガスを町に流さないようにしていく装置をさせるということだと思う。ディーゼル自動車黒煙を吐いて、うしろから行くものが先の見通しがつかぬ、こういうようなことを平然としておるところに問題があるのであって、結局、総理府なり科学技術庁の中で幾ら議論をしておっても、議論をしただけではそういう問題はなくならぬわけです。そこで、たとえば、先ほどの、三十八年に整備の問題を提起されたり、昨年の道路運送法改正の点でいわゆるそういう整備条件をきつくしたからといって、それをいつまでにいまのそういう欠陥のあるものについては直さなければいけないとか、そういうものを規制をするということが、政府自身がきちっとしておかない限り、問題は私はなくならぬと思うのですよ。現実にそういうまっ黒な煙を吐くのが町を横行しているし、有毒性排気ガスというものが出て、非常に公害だと、こう言って国民は騒いでおるのですから、そういう点からいって、町で取り締まる、警察官が見たからこれは件数が上がったということでなくて、根本的にそれを直さなければいけない。公害防止ということが今日の一番大きな命題だと私は思う。そういう点について、装置をいつまでにそういうふうにさせるとか、そういう車はどういうところは運転をさしてはいけないとか、そういう規制があるのかないのか、そういう点についてさらにひとつお答えをいただきたい。
  11. 宮田康久

    説明員宮田康久君) いま根本的に解決する方法はというお話でございますが、これはすでに私どもも、先ほど簡単に御説明いたしましたが、各自動車メーカーに、最終的にエンジンの、それ自体の改善で完全燃焼するような装置にいたしますか、あるいはエンジンから排気ガスが出てまいりました途中でもう一度再燃焼させるというような装置一酸化炭素等有毒ガスあるいは黒煙等を除去するという装置にいたしますか、いずれかの方法にいたしましても、根本的にそういうような有毒性ガスないし黒煙が出ないような装置をすることが最善であります。ぜひそういたしたいと思っております。その点で、私ども先ほど御説明いたしましたように、船舶技術研究所交通技術でも研究開発はしておりますし、また自動車工業会関係の各メーカーにも開発をさしておりますし、また大学その他研究機関にも委託研究費補助金を出しまして研究開発をしておりますし、最終的にはそういう形で完全にこの有毒性ガスないし黒煙という問題を完全なものにいたしたいといま努力をしておる最中でございます。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 いま黒煙なり有毒性ガスの、排気ガスの問題で私は質問しているのですが、最近プロパン車というものが非常に多くなって、税金の問題についても、ことし一年は、税金プロパンについては一年間延期しようと、こういう話でやっておるのですが、この排気ガスあるいは黒煙というものは、LPとガソリンの場合ですね、どちらが一体多いのですか。
  13. 宮田康久

    説明員宮田康久君) いまのお話LPG――液体石油ガスガソリンとを比較してみますると、それぞれの場合について、ガソリンを用いました場合と、LPGを用いました場合とで、LPGのほうが非常に有毒性が少なくなっております。これは昨年私ども船舶技術研究所で測定いたしました結果でもそうなっておりまして、簡単に申し上げますと、たとえばスタートいたします場合には、LPG車のほうが三分の一以下になっておりますし、また定速時で運転いたします場合には約八分の一程度になっております。あるいは停車をしてアイドリングをしております場合でも二分の一程度になっております。いずれの場合におきましても、LPGのほうが有毒性が非常に少なくなっております。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、いわゆるいままでの町を走っている黒煙あるいは有毒ガスは、いわゆる自動車関係において使用するという限りにおいては、LPGのほうがその危険性は少なくなりつつあるということは指摘でき得るわけですか。――そうしますというと、運輸省として、これはあと局長自動車性能等も含んでお聞きしたいと思うんですが、いわゆるこれからの一般論でいう自動車関係については、LPGを使うのが好ましいということは言えるわけですね、こういう点はどうですか。
  15. 宮田康久

    説明員宮田康久君) いま申し上げましたとおり、加速とか、急減速とか、常にアイドリングいたしますような都市交通大都市交通には、LPGを使いますことが非常に有益であろうと考えております。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、一つ局長にお伺いしたいのですが、現在国内では、自動車車両数――一般にいう、トラックバスハイヤー等乗用車、こういうものに大別して、どのくらいの両数になっておりますか。
  17. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 総数で六百六十五万五千両、これは三十九年十一月末の数字でございます。軽自動車も含んでおります。そのうちトラック関係が三百八十二万八千両、それから乗り合いバスですね、これが九万二千両、それから乗用車が百六十一万二千両、その他特殊車二輪車、そういう内訳になっております。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 この車両のうちLPGを使っているのはどのくらいですか。
  19. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 約三万五千両でございます。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 三万五千両というと、まあほとんどがまだいま言った黒煙あるいは有毒ガスを持ってるものがまあ実際に使用せられているということが言えるわけですね。そうすると、やはりまあ、LPGを使うのは好ましいけれども、そこまでの機械の設備の切りかえ、こういうような問題についてはまだ問題が残るのでありますから、早急に現在のものをこの排気ガスをできるだけ町に流さないような設備をさせるということが必要になってくるわけですね。この設備については何か規制があるんですか。先ほどのお話では、そういう設備をさせることにして、これは指導ですか、それとも条件なんですか、どうなのですか。
  21. 宮田康久

    説明員宮田康久君) LPGを使います自動車について、御承知のとおり、一昨年事故を起こしたことがございまして、それ以来保安上の規制につきましては非常にやかましく申しております。ただ、LPGを燃料とする装置を、何と申しますか、強制してつけるというような規制はもちろんしておりません。行政指導的に、保安上も十分注意をして使うように指導しているわけでございます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 私の質問をちょっと答弁者がとり違えて答弁しておる。私の指摘しておるのは、LPG使用車が三万五千両程度ある、これはまだ少数だ。そうでなくて、ほとんどの場合は従来のとおりの黒煙なり有毒性ガスを流しておるものが使用せられておる。そうすると、それをなくするには、大多数のそういうものをなくするには、整備を強化をするということであるけれども、それがいわゆる指導的な立場での、こういうふうにしてほしいという指導性のものか、それとも設備としてはこうしなければいけませんよという規制をもったものか、こういう点について運輸省としてはどうお考えになっておるかという点をお尋ねしておるわけです。
  23. 宮田康久

    説明員宮田康久君) 御説明が足りませんでしたが、LPGを使用いたします場合には、保安上の規制を、道路運送車両法保安基準で規定をきめておりまして、安全上の措置をしております。一方、やはりLPG装置をつけますといたしますと、一般乗用車におきましてもやはり数万円の費用が要るわけでありますし、また、御承知のとおり、タンクに一回詰めましても、走行距離がある程度限定されます。やはりいま現在は、御承知のように、LPGを使います場合には固定ボンベにしておりますので、やはりLPGガススタンド付近にございませんと使用できないという事情もございます。したがって、大都市を中心にいたしますタクシーを主体としたものには非常に便利に使われているわけでございますけれども、地方にまいりますと、LPGガススタンドはなかなか費用も要ることでございますし、なかなか促進されないというのが現状でございます。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、LPGについては、むしろ奨励をすることであって、規制をするという――自動車構造上あるいは大気汚染をするという意味では規制はあるけれども使用そのものについてはむしろ好ましいことだということは言えると思うのですね。そういう意味で、政府もあるいはこの税金の問題は一カ年延長したのではないかと思うのだけれども、これはひとつあと通産省からまたお答えを願うつもりでおりますが、運輸省としても今回のこの来年までLPGの課税についての延期という問題についてはそういう点も含んだお考えであったのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  25. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) LPGの課税問題につきましては、運輸省といたしまして、自治省と大蔵省に次官名申し入れをいたしまして、その内容としましては、ただいまのお話の、公害防止の上から有利である、それからまた未開発の資源の開発というような意味でまだ進めるべきであるというような観点から、延期方ないしは反対の申し入れをしております。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、時間の関係もありますから、あまり一人でやっているわけにはまいりませんが、次に、国内自動車生産態勢の問題ですが、これは国内需要輸出というものと二通りあると思う。従来私がよく話しました、外国に対する賠償用として輸出出したものもかなりありますし、私自身各国調査に参りまして、そういう点日本メーカーのものにもできるだけいいものをということで話したこともありますけれども、いま国内自動車生産両数はどのくらいをお考えになって――これは通産省が元締めだけれども運輸省としても自動車関係はある程度お知り合いになっていると思うんで、わかったらお答えをいただきたいと思うんですが、そのうち国内需要、それから輸出関係というものについて、大別しておわかりになったら、お答えをいただきたい。
  27. 宮田康久

    説明員宮田康久君) 昨年一年間で自動車生産が百七十万両でございます。この中には二輪車等は除いてございますが、百七十万両でございます。そのうち輸出は約十四万両でございます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 これはいずれまたガソリン税等の問題の際に関係のあることですから、運輸省はやはりきちっとした整理をしておかぬと、大蔵委員会等連合審査をやる場合困るから、あらかじめそういう点を注文しておくわけなんです。いまの生産問題については、よくまた資料を整えておいていただきたい。  その次に、運輸省自動車関係としては、許認可案件が非常に多いわけでありますが、いま年間運輸省としてはどのくらい自動車関係についての認可を行なっておるのか、これが一点。  第二点は、行政管理庁の勧告に伴って、行政簡素化の問題から、免廃論あるいはこれに対するところの緩和論というものが当然世論として出てくるわけである。そこで、運輸省としては免廃論というものに対して基本的にどう考えておるのか。あるいは、いまの件数が非常に多い、いわゆる作業が進まないというところに、そういう非難も出てくるのではないか。したがって、行政簡素化をして、できるだけ国民の要望に沿うような作業というものを行なえるのかどうか。そうすれば、他面においては、免廃論というものもこれはまた変わった姿になってくるだろうということも考えられる。そういう点について、いま年間にどのくらい許認可をしておるのか、それから行政管理庁の勧告に伴う免廃論についての運輸省の態度、それから行政事務を進めるためにどういう簡素化の方針というものを持っておるのか、この三つの点についてお答えをいただきたい。
  29. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 許認可の件数でございますけれども、ただいま手元には本省の権限しかございませんので、陸運局のほうは後ほどまた調べまして報告したいと思います。本省の件数について申し上げますと、乗り合い自動車関係で、三十九年十一月末で未処理件数が、大臣権限として二百八十三件、局長権限八百八十件、合計千百六十三件、こういう状況になっております。年度間の受付件数でございますが、大臣権限が五十二件、局長権限千五百十八件、合計千五百七十件。処理件数につきましては、大臣権限が百七件、局長権限が千四百五十二件、合計千五百六十件。同じく一般路線貨物運送事業――路線トラックでございますけれども、三十八年十二月末で、前年度からの未処理件数が、大臣権限で六十一件、局長権限が五十八件、合計百十九件、それから年度間に受け付けました件数、大臣権限が五十五件、それから局長権限が九十六件、合計百五十一件、それから処理件数としましては、三十八年に、大臣権限は三十三件、局長権限は七十九件、合計百十二件。この局長権限といいますのは、一応途中で陸運局長に権限を落としましたものについて、なおこちらで保留されているというものについての分でございます。それから、そのほかタクシー、区域トラックにつきましては、これは陸運局限りでやっておりますので、ただいま手元に資料がございません。  それから第二点の免廃問題でございますが、この点につきましては、タクシーの免許問題につきまして行政管理庁のほうからかねてもっと簡素化してはどうかという意見がありました。これにつきてましては、管理庁のほうとしましては、登録制あるいは許可制に制度を変えてはどうかという申し入れがありました。私のほうとしましては、やはり公益事業であり、他の交通機関との開運もあり、総合的に監督するためにやはり免許制度が一番よろしいという見解を強く維持しておりまして、ただ管理庁の言われるように運用の面においては十分弾力的に簡素化の方向で考えていくということで、現在その方向で努力しておるわけであります。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、いまの報告によると、大体八〇%ぐらいの処理になるのかな、件数からいきますパーセンテージはどのくらいになるのか。
  31. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 処理件数が、割合でいきますと、これは実は引き継いで前年末のものと本年度受け付けたものと合わせて処理しておりますもので、たとえばバス関係でいきますと、三十九年十一月末で二百八十二件でございまして、そのうち年間受理したものが五十二件、処理しましたのが百七件でございますから、受理と処理の関係でいきますと相当処理をしておる、ところが前の残りの分があるのでそれをこなしておるということでございます。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 どうもそういうこともある程度資料的にはパーセンテージで出しておかないとだめだ、答弁ができないようじゃ。  そこで、いまの昨年の暮れのこの処理事案が多かったというのは、御承知のように、運輸大臣が告発されてからだ。いわゆる公共料金ストップの問題が一応解決への道ができたから、件数が多くなった。だから、確かに進んでおるようにも見えるけれども、しかし一般論から言うと、まだやはりかなりの渋滞をしておるということになると私は思う。ましてや、これは本省関係でしょう。大臣・局長権限、それと地方の陸運局長ということになると、私は相当の件数がそれぞれの手持ちになっているのじゃないかと思う。こういうところに免廃論というものが出てくるわけだよ。行政事務のスローモーが、いわゆる一般国民から、どうも役所仕事というものはのろいじゃないか、こういうことになる。いま最後に局長が答弁されたように、行政の簡素化を進めていけば、むしろ自動車交通、運輸交通の問題からいけば、やはり免許制であってしかるべきだと私どもも思う。思うのだが、あまりにもこの事案の渋滞が多くなるというと、それはやはり国民からはそういうふうに言わざるを得ないと思うのだけれども、これはひとつあとで、局長はきょうは資料を持ってきていないと思うから、各陸運局の資料を取り寄せて、それを当委員会に報告してもらいたい。それで、でき得ればこれは三十五年以降の問題をひとつ資料として提出してもらいたい。
  33. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連。いま免許事案について、相澤君からの質問で、非常に簡単に答えられておったようですけれども、私は非常に重大な問題だと思うのですね、免許の問題は。それで、簡素化はけっこうですけれども、免許をする趣旨は一体何だと、これをしっかり把握していないというと、免許行政の本旨に反するのじゃないかと思うのです。簡素化はいいですけれども、何でもかんでもばかばかやってしまって、それで過当競争を起こし、ひいては公益上に支障を来たす、こうあっては相ならぬと思うのですね。どうも現在過当競争になっていると私は思うのです。そこで、免許行政ということは公益事業に対する保護立法である、保護行政である、こう私は判断をするわけですけれども、一体そういう点について当局はどういう認識を持って免許行政をやっておいでになるのか。むろん法律においても、免許基準についてはばく然としておって、はっきりしていないように思います。しかしながら、かつてこの委員会でたとえばカミカゼ・タクシーをやったときに、東京のタクシー営業の適正な規模というのはどのくらいだと、こう聞きましたところが、当時の国友君が、大体最低五十台は必要だと思いますと、こういう答弁があった。五十台は必要だとしておきながら、十台を免許したり、二十台を免許したり、そういう点については免許行政の一貫していないところがある。そこでやはり免廃論という問題が起こってくるということだと思うのです。簡素化もけっこうですけれども、そういう根本的な認識はどういう認識を持っておられるか。さらにまた、事務の渋滞しておる原因は、何か人間が足らないのじゃないか。陸運局へ行ってみますと、非常に少ない人間でどんどん激増していく事務を処理しておられる。私は無理だと思うのです。そういう問題を根本的に考えないと、簡単に簡素化すると言ってみても、免許行政がますます混乱するのじゃないかと思うのですけれども、そういう点について、つまり免許行政に対する一つの認識、それから事務の渋滞しておる原因、これをひとつ聞かしてもらいたいと思う。
  34. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 免許行政の本質といいますか、なぜ免許行政がいいかということでございますけれども、われわれの考え方としましては、交通事業で、人命その他貴重な貨物を扱っておるということで、著しい混乱があることはそのまま国民の福祉に影響するということからとっておるのでありまして、あくまでも、第一条の目的のように、免許制度がとられておることによって国民がサービスのいいあるいは良質の輸送提供を受けられるであろうという前提でございます。したがいまして、われわれの免許行政というものも、常に利用者のそういった期待にこたえるようなサービスが提供できるような、そのために健全な発達をさせなければならぬし、そのために免許によって十分監督するとともに、ある程度混乱を防いでいくというのがねらいだと思うのであります。  それで、これを今度事業別に見ますと、乗り合い旅客、一般路線トラックあるいは区域トラック、タクシーというように、一応いろいろな業種別がございまして、ただいまのところ法律の上ではこれが同じ免許基準の適用を受けておりますけれども、その適用のしかたについてはそれぞれの業種に応じた運用をしていくべきではないかということで、法律の上から画一的に流れることなく運用しようということになっておりまして、そういった意味で、タクシー行政については、従来は道路運送審議会によって需給のワクをつくったほうがその目的を達成するためによいという判断のもとにそういったことを諮問しておりましたけれども、それが非常に硬化しまして、なかなか輸送の需要に追いついていかない状況になったということで、そういった現状を改めまして、道路運送審議会にかけないで随時輸送力を増強していくほうが全体としてよろしいという方針になっておる。そういうふうに情勢に応じていろいろと運用については考慮していかなければならぬ事態だと思うのでありまして、たとえばもういま過剰になっておるという状況においては、相当厳密にやらなければならない、また不足の状況が見られれば、ある程度それをゆるめていく、そういった緩急よろしきを得てできるだけ円満な発達をはかっていくというところにねらいがある、そう思っております。  それから人手の問題につきましては、お話のとおりでございまして、われわれとしても、これらの件数をこなすために、できるだけ増員なり、予算なりをかけるように努力をしておるのでありますが、なかなかそれにも限度がございますので、実際の処理手続においてできるだけ簡素化の方向を取り入れてこなしていきたい、そういうふうに考えております。
  35. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは根本問題ですから、一ぺん大臣にも来てもらってゆっくりやろうと思います。いまの免許行政の実態を見てみますと、混乱ですよ。いま形容詞を使っていろいろ説明をされるけれども、その目的を達成するためには、これこれの人間が要る、そうであればこれこれの予算が要る、こうしなければならないでしょう。一向に予算も取らない、人間も採らない、簡素化する、簡素化する、そういう筆法でいけば、金ももらえぬからできるだけ人間を少なくして適当に簡単にやってしまえ、こういうことになるのです。それからさらにまた、この運賃料金の問題等につきましても、これまたさっぱり基本方針がない。私はこういう問題もあとからいろいろまた委員会等でやろうと思っておりますけれども、免許行政の一番根本的なものはやっぱり認可料金ですね、これは非常にその心棒になる。それから免許行政を扱う人間の問題、これは非常にしんになると思うのですよ。これがないから混乱状態になっておる。混乱状態におとしいれているということは、免許行政あってなきがごとし、何も免許行政という意味がないということですよ。しかも、おそらく運輸省のほうではお手あげになって、しかも過当競争は優勝劣敗――まあ弱いものは負けて強いものは残っていくだろう。これでは免許行政何のためにやっているかわからぬと私は思うのですよ。ですから、いまの相澤君に対する答弁で、非常に簡単に事もなげに、簡素化してやりますとおっしゃいましたけれども、これは非常に重要な意味を含んでおりますので、あらためてひとつお尋ねしたいと思いますが、十分ひとつ当局のほうでは意思統一をして、はっきり国民がわかるように答弁をしてもらうように、準備をしてもらうようにお願いしたいと思っております。
  36. 前田佳都男

    前田佳都男君 関連。この免許行政の問題ですね。これは免許の書類がスローモーであるということが原因であろうと思いますけれども、やっぱり免許を慎重にしなければいかぬ、そういうような原因から相当おくれておる。それにはまた人も足りないから、いろいろな原因があると思います。ただ、それには、われわれもいろいろな意見も聞き、議論も――臨時行政調査会の答申というものはおそらく膨大なものだろうと思いますが、その要点だけを資料としてこの委員会に出してもらうようにできませんか。われわれまあ新聞なんかで見たけれども、自分であまり見ていないのです。おそらく膨大なものでしょう。どういう点をついておるのか、またわれわれも必要によっては反駁もし、弁解をし、あるいは叱咤激励もしなければならぬ、と思いますが、それを資料として出されますか。大いにわれわれこの問題に関心を持っておるのです。
  37. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) まあ全体の問題でなしに、免許制の問題にからんで……。
  38. 前田佳都男

    前田佳都男君 その問題……。
  39. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) わかりました。そういった要点といいますか、そういった問題を私のほうとして資料にこなします。
  40. 前田佳都男

    前田佳都男君 たとえば、予算を取ってそれをやるにしても、こういう問題があるのじゃないか――具体的に大いにやりたいのです。
  41. 大倉精一

    ○大倉精一君 私もひとつ資料を要求しておきます。  局長、いま免許行政をやっていくについては人が足らぬとおっしゃったが、実際目的どおりにやっていこうと思うのに何人ぐらい人が要るか、それをひとつ計算して出してもらいたい。何人ぐらい要るか。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、運輸大臣も出席したが、先ほど私が言うように、地方の陸運局には相当事案があるはずだ。本省の大臣決裁、局長決裁というものも、先ほどの御説明いただいたような、かなりの数量になる。そこで、人員が足りないということは、これはもう明らかだと私思うのです。今年度――四十年度の予算としては、こういう免許事案に対する担当者の定員増というものはどのくらい自動車局では要求をしたのですか。これも大臣がおるから、率直に言ってもらいたい。
  43. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) ただいまちょっとその資料を持ち合わせておりませんが、いずれまた提出いたします。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことだから満足な仕事が進まないので、大臣、まあこれは途中から来たけれども、結局いまの自動車関係免廃論というものが非常に町に流れるということは、行政管理庁の勧告が出て、いまのお役所仕事のスローモーじゃ困るじゃないか、また自動車行政そのものがそれほど、何も免許までしなくてもいいじゃないか、届け出でいいじゃないか、許可制でもいいじゃないか、こういうようなことまで出るということは、やはりあまりにも申請をしても長くかかり過ぎる、こういうところにも問題がありはしなかったか。こういう点で、運輸省自体としても、歴代の運輸大臣はじめ局長も、かなり定員増はやってき、あるいは大きい陸運局には自動車部も二部設置をやってきたわけですね。そういうことについて、われわれはわかる。わかるけれども、現在の国民の要望しておる行政事務のスピード化というもの、行政簡素化というもの、こういうものからいえば、もっとその要望に対しては、定員が足りないのじゃないか、こういうことはざっくばらんに出てくることではないかと私は思うわけであります。そこで、四十年度の予算定員というものをどのくらいあなた方のほうでは増員を要求したのかというのがいまの私の質問なのですよ。この意味はわかるでしょう。あなたはどのくらいふやしてやるつもりですか、答弁してもらいたい。
  45. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 要求した人数ははっきり記憶しておりませんが、大体いまのお説は、六百五十万台以上あると思うのです――七十万台ぐらいになっておるかもしれません。それが数年以前きめた人数で、不増不滅の原則のもとに立っておるということは、無理だろうと思います。それで、いろいろ私は直接交渉しました。この問題は、自動車局の、あるいは航空局の関係の職員、組合の委員あるいは委員長から直接言われまして、閣議に直接交渉したのです。そのときは人数はきまりませんでしたが、局長が努力しまして、この分については、自動車のほうは百五人獲得しました。そのほかいろいろありますが、いま自動車の分だけ一応申し上げます。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 大臣がそこまで努力したことは多とします。しかし、先ほど申し上げたように、全国の陸運局の事案を吸い上げてもらえばなおわかると思います。これをひとつ大臣にさらに御努力願って、できるだけ国民のそういう期待に沿うように、定員、予算関係もこれは取ってもらいたいと思います。  そこで、次に根本的な問題は、先ほど大倉委員も言うように、一度そういう許認可問題だけでも時間をかけて大臣とお互いに話をしなければいかぬと思うのです。これはきょうはそこまで時間がありませんから……。  そこで、その次にお尋ねしたいのは、御承知のように、駐留軍の離職者の問題、これは昨年アメリカのドル防衛から、また極東の戦略体制の変更から、かなりの離職者を出しておるわけです。今年も、さらにことしの六月ごろまでにもかなりの離職者は出てくる。こういう駐留軍従業員は、比較的ドライバー関係が多いわけです。あるいは整備関係が多い。そういう人たちは、トラックなりあるいはハイ・タクの会社設立をして申請をしておるわけです。こういうものがかなり私はあると思う。いま運輸省で把握しておるのはどのくらいあるのかお尋ねをしたいと思うのですが、これは政府の中にも、内閣の中に駐留軍対策特別委員会等も設置して、この失業者の救済、いわゆる職業転換に積極的にいままで進んできたわけです。ですから、できるだけ私はやはり、そういう技能を生かす、あるいは失業の期間をできるだけ少なくしてやるということが大事なことだと思う。そういう点で、私自身もそういう陳情を受けているのもあるのだけれども政府として把握しているのはどのくらいあるか、またそういう事案についてはどのくらいの日数の中でこの処理ができるのか、ひとつお答えをいただきたいと思う。
  47. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) あとで調べてお答えいたします。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 いま運輸大臣からあとで調べてということですから、ひとつ調べて資料で報告してもらいたい。ただし、これはいま申し上げたように、内閣でもそういうふうに対策委員会まで持ってこの施策を進めているのですから、できるだけ失業の期間が、長く置くなんということのないように、これはひとつ特段の注意を払っていただきたいと思う。  次にお尋ねしたいのは、鉱山局です。先ほど運輸省自動車関係について私御質問申し上げたのですが、特にいま公害関係というものはきわめて国民世論として大きな関心を持たれておるわけでありますが、その中でLPGガソリン等の使用の問題について自動車局が把握しておる自動車関係の資料では、全体のまあ六百七十万近い登録車両の中で、三万五千かそこそこのLPG使用車だと、こう言っているわけです。しかし、町に流すほうの有毒性液体の問題、あるいは黒煙の問題というようなことを考えるとLPGのほうが好ましい、こういうようなことを言われておるのでありますが、通産省がいままで統計上なり、あるいはこれらの液体を扱っておる本家本元のあなたのほうの立場としては、どういうふうにお考えになっておるか、比較されたことがございますか。あったならば、その結果はどうなんですか、お答えをいただきたい。
  49. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) ただいま持ってきております数字は三十九年の九月現在で、実績としましてLPGが四万七千五百台です。うち乗用車は四万二千六百六十八台という数字を持ってきておりますが、それだけでございます。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 使用車はわかりました。そこで、その排気ガスの問題について、いわゆる公害という立場からいう公の害、これはいまスモッグの問題をはじめとして、たくさんのばい煙等の問題も出ておりますね、公害として。そういう中にこの自動車排気ガスの問題、これについて、LPGを使用した場合と、石油あるいはガソリン等を使用した場合、そういう場合の、公害の立場からいうとどちらが好ましいか、どちらがそういう害が多いのか、こういう点について研究をされたことがあるのか。また、したとするならば、その結果はどうなのか。
  51. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) ガソリンよりもLP車のほうが公害が少ないと思いますが、私のほうではまだ研究しておりませんで、運輸省のほうで御研究なさっておるような状況でございます。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 これはやはり、運輸省も、科学技術庁総理府の中で、それぞれやっているようでございますから、これは通産省もひとつ、輸入することばかりが目的でないから、使用した場合の効果あるいはその結果の国民に与える影響というものも、これはお互いに研究してもらいたいと思う。  それはそれといたしまして、その次に、最近非常にLPGの切りかえ、特に町を走る自動車――ハイ・タク関係LPGに切りかえるというのが多いと、こういわれている。で、最初にお答え願いたいのは、自動車局にお答え願いたいのですが、いま許認可された自動車の中で、全部稼働しておりますか。私は、きょう雨が降っておりますから、新橋駅頭からタクシーを拾ってきたのでありますが、聞いてみるというと、会社にとまっておる車がかなりあるというのですが、これが二割ないし三割くらいということをいわれている。それはどういうことかというと、運転者の足りないというのも一つある。それからガソリンが近ごろ配給が少ないというのがある。特にLPGの少ないというのもある。こういうことをいろいろ運転者によっては言うわけです。自動車局としては、どういうふうにこれを把握しているのか。つまり、休車率というものはどのくらいと見ておるのか。  それから、鉱山局のほうでは、たとえばいま言った自動車に使う――四万七千台ですか、あなたのほうで把握したのは。それについてのLPGの使用量というものはどのくらいなのか、それから国全体でLPGはどのくらい使われているのか、そういう点についてひとつおわかりの程度お答えいただきたい。最初自動車局からお答えいただきたい。
  53. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) タクシー関係で休車が多いという話は聞いております。その大体の原因は、われわれの聞いているところでは、運輸者不足であるということでまあ二割くらいが休んでいるのではないかという推定でございます。それからそのほかにも、トラックその他でも運転者不足という声は聞いておりますけれども、それがどの程度車が休車しているか、そういったことについては調査しておりません。
  54. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) LPGの需要量でございますが、本年の需要量は全体で二百十五万トンであります。そのうち自動車用が四十万四千トンとなっております。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 最近、四日市ですか、シェルが火災か何か起こしたですね。それでLPGの供給制限というようなものが行なわれておるというように聞いておるのですが、政府としてはこれを把握しておりますか。
  56. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) LPGの需給状況でございますが、最近相当需給の逼迫を来たしている状況であります。ただいま御指摘いただきました四日市のこれはプラットホーマーでございますが、ちょっと事故がございましたが、その需給に及ぼす影響はそう大きいものとは考えておりません。ただし、全体の状況を申し上げますと、三十八年度のLPGの需要は全体で百五十七万トンであったわけでございますが、三十九年度については、当初は二百万トンの見通しを持っていたわけであります。その後、その状況がとても逼迫しそうだ、需要がもっと伸びそうだというので、先ほど申し上げましたように、二百十五万トンという計画を組んだわけでございますが、最近の状況は、だいぶ逼迫しているのではないかと考えるのです。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 政府のほうで把握しているのが少し甘いように私は思うのですが、これは町の話ですよ、私どもが車に乗ってみて、そういう運転者の人たちの話を聞き、事業家の話を聞いてみると、この四日市の事故によって供給制限五〇%と、こう言われておる。五〇%ということになれば、あなた、半分ですからね。そういうことになると、先ほど運輸省なりあなたのほうで御説明されて、非常に好ましいことだということではあるけれども、せっかく設備をしても、これは休車をせざるを得なくなる、こういうことにもなるわけだ。私はまあ、大衆の足、いわゆる公共性を持ったこの事案については、できるだけやはり政府も確保しなきゃならぬと思うんです。雨が降ったときには自動車に乗ることができない、天気のいいときには車が幾らでも寄ってくるというようなことにはしたくない。したがって、駅構内にも駅構内待ちという特別の自動車まで配置をするというところまできたのも、そういうことだと思うんです、大衆の足を確保すると。そういう意味で、私は、通産省自体も、LPGの需要が増大をしたけれども、それじゃそれに対する手当てはどうするのか、こういうこともやはりこれは政府として考えていいことではないかと思うんです。昨年、新潟のあの火災による石油、ガソリンの問題についても、非常な制限をしなきゃならぬということもあったし、ことしもそういうLPGの制限も出てくるというようなことになると、これは一つの業界のことだわというわけには私はいかぬと思う。すぐ響くのは、台所に響き、大衆の足に響くということになるわけですから、やはりその手当てをしていかなければならぬのじゃないか、こう思うんですが、それに対して――今年度の二百十五万トーンの需給見込み、これに対して手当てはできておるんですか。たとえば、あなたのほうで、いろいろ通産省鉱山局としては計画を持っておるようでありますが、具体的にどういう地域からどういうふうにこれは確保するんだというようなことを現在お考えになっておったならば、それをひとつ御説明いただきたいと思う。それから、いまの四日市の事故による応急態勢といいますか、そういうようなものもあわせて私はお尋ねしたかったんでありますが、把握が、不十分であれば、これはお帰りになったならばさっそく、調査をされて対処されたい、こう思うんです。
  58. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) ただいま、先ほど申し上げました、二百十五万トンの需要はまかなうように、それに伴う生産計画はできております。できておりますが、この二百十五万トンでは少しまた足りなくなったのではないだろうかという懸念も持っております。  供給のほうでございますが、供給のほうは百四十八万トン、もう大半以上は製油所から生産されるわけでありますが、これは先ほど申し上げました当初計画の二百万トンのときには、百三十八万トンという生産を見越しておりましたが、需給計画を改定するに伴いまして、できるだけLPGをたくさん生産するようにということで、百四十八万トンまで持っていったわけでございます。この数字は、当初の製油所の生産計画に対しましては、七%ほど上昇させております。今年度はガソリン需要そのものは、当初計画から見まして七%ほど実は下がりまして、本来ならLPG生産も下がるわけでございますが、極力とるということでここまで持ってきまして、それから輸入のほうも、当初の計画より七万トンばかり多く入れてございます。そういうことで極力努力をしまして、この二百十五万トンまでまかなえるわけでございますが、最初申し上げましたように、この数字だけで、最近の状況だと、ちょっと心配になってきたような状況でございまして、何とかして応急に、最も必要な部面に計画的に出荷をするというようなことで、当座をしのいでいきたいと、こういうことでただいま相談をしております。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 最後に、いまの当面する対策、それからこれからのLPGの需給の見通しに対する対策と、二つあったと思います。そこで、そういう点を通産省としておやりになっているわけでありますが、これは先ほどの自動車工業生産とも関連をし、あるいはまたLPGそのものについては一般家庭用なりあるいは自動車関係との問題も当然出てくるわけでありますが、経済企画庁なり、総理府なり、そういう中で総体的に指数というものをおつくりになってやるのですか、それともあなたのほうで、通産省だけで独自に数字を出されてそういう対策をつくられるのですか、その点についてもお考えをひとつ聞いておきたい。
  60. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) 石油製品の需給計画につきましては、石油業法というのがありまして、石油審議会にかけまして決定をするということになっております。したがって、これは、私どもといいますか、通産省のほうでいたします。
  61. 大倉精一

    ○大倉精一君 LPガスに関連しまして、その安全性ですね、認可の基準、これに開運をする交通上の問題について、この際関連してお伺いしておきたいと思います。  第一番には、LPガスのタンクですね。あれは、大阪でも爆発をして、非常に問題が起こったのですけれども、実は私の象の前に起こっているのですが、これは私のためにというふうにとってもらっては困るので、方々にこういう事態があるだろうと思うからお尋ねするのですけれども、ああいうガソリン――プロパン・スタンドですね、これの許可をするという基準はどういうところに置いておられるのですか、プロパンのタンクですね。
  62. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) 消防法と高圧ガス取締法と二つの法律がございまして、そのうち高圧ガス取締法は通産省のほうでやっております。その取締法に基づきます基準によって許可をしているわけであります。
  63. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは私はしろうとでわかりませんから、きょうは警察のほうも来てもらっていると思うのです。それで、状況を申し上げますと、私の家の前の道路は、約七メートルぐらいあると思うのです。それで、私の側もずっと住宅になっており、その裏が電電公社あるいはその他の建物があって、何か準工場地帯みたいになっているらしいのですね。そこで、町内の知らぬうちにできてしまってから町内びっくりして騒ぎだしているようなかっこうなんですけれども、大きなプロパンガス・タンクが二基できているわけですね。それで、この爆発について近所が非常に不安がっているのですよ。ですから、こういうものを許可する場合には、あらかじめその関係する居住者等の意見も聞いて許可なり認可なりしなければならぬと思うのですけれども、そういう手続はやっておいでになるのですか。
  64. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) 私のほうでは、これは軽工業局がやっておりまして、ちょっときょうは私勉強してきておりませんので、あらためて申し上げることにして、きょうは失礼さしていただきたいと思います。
  65. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは、いまの問題は担当官が御出席の上、あらためて質問することにして、国鉄さん、あるいは運輸省に聞きたいのですけれども、例の日鉄法改正が通りまして、それに基づいて、いろいろ国鉄のほうでは民間企業に投資をするという運びができておるわけなんですけれども、最近において、いわゆる小口貨物の合理化ということが具体的に問題になって、何か別会社をつくって投資するとかしないとかいう問題が出てきておるのですけれども、この問題が方々に波及をして非常に物議をかもしておる、こういうような状態のようでありますけれども、これに対するひとつ経過、現状について御説明を願いたいと思うのです。
  66. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 国鉄の投資の問題につきましては、すでに二年ほど前の国会におきまして、国鉄法第十六条を修正していただきまして、国鉄に関連する諸般の運輸関係の事業に投資できるようにしていただきました。その具体的内容は運輸省令できめていただくことになったわけでございます。ただいま先生お話しになりました、いわゆる私のほうの扱っております小口貨物と申しますのは、一事を貸し切らないで荷主が小さい貨物を自分で託送する、実際には運送店を通して託送いたしますが、その小口貨物をどうしたら合理的に輸送ができるかというために、いろいろここ数年来考えておった問題の一つでございます。これにつきましても、すでに前国会で御質問がございましてお答え申し上げましたが、現在国鉄でやっておりますあらゆる輸送の中で、非常にその経費がかかりまして能率が悪いのが、この小口貨物でございまして、非常に人手を食う、そのわりに貨車の積載効率が悪い、貨車の使用数も非常に多いということで、これは世界各国の鉄道がそうでございますが、何とか小口貨物というものを合理的に輸送しないと、鉄道というものはその面から衰亡を来たすというのが一つの常識になっておるわけでございます。これはもう御承知のとおり。それに対しまして、それを救済するいわゆる混載という制度が、これも古くからあった制度でございますが、この混載制度というものは、現在では各運送店が、自分が荷主を集めてばらばらに貨車を借りてやっておるということで、この混載制度そのものにつきましても、いま非常な不合理な点があるわけでございます。これを何とか合理化しなくちゃいかぬということで、一両年前から、これを実際扱っている運送店は約二百社くらいでございますが、この約二百社がめいめいやっております混載制度をどうしたらもっと合理的に能率的にできるかという角度から研究いたしまして、もちろん、一番簡単に申しますれば、それを全部まとめてしまいまして、そして一つの意思でもって、東京なら東京で集まった、運送店の集めてきたものを一つの頭でもって全部貨車に積み込むということにすれば非常に合理的になるわけでございますが、これは非常に極端なあり方なんでございまして、そこまでいかないで、従来の運送店の創意くふうなり、あるいは得意先というものを、お互いに利益を侵食されないで、しかも、鉄道輸送の面で合理的な輸送ができる方法がないかということで、国鉄だけの知恵ではとても足りませんので、実はほとんどここ一年かかりまして、運送店からも代表者に来てもらいまして、いろいろ、もう十回以上にわたりまして、具体案について協議をしておる最中でございます。昨年の秋――ちょっときょう書いたものを持ってまいりませんでしたが、一応の、一つの妥結点に達まして、そして、何と申しますか、一つのオルガニゼーションと申しますか、わざわざ仕組みということばを使いますが、一つの仕組みをつくって、ひとつ合理的な形で小口貨物の輸送の合理化をやろうじゃないかというところまで意思がまとまったのが、昨年のたしか十月か十一月だったと思います。  その後、それの具体化につきまして、これはいろいろ具体化のしかたによりましては、各運送店間の利害が相反する問題も実はございます。ある場合には、非常に利益をこうむるところがあるかと思うと、ある場合には、非常に従来の基盤を侵食されるというようなところがございまして、その抽象論でまとまったあとの段階になりますと、必ずしも意見が一致せず、いろいろ各会社によりまして意見が違って、具体化になりますと、意見が必ずしもまとまってまいっておらないような実情でございますが、しかし、これもいつまでもほうっておくわけにまいりませんので、何とかこれを一つのものにまとめたいということで、現在、関係のいままでやりました会議をさらに強化いたしまして、いろいろ具体的は打ち合わせをしておる最中でございます。  私どもといたしましては、極力、既存の運送店の持っておる力をかりて、しかも、あまり大きな利害関係の変化なしに、そうして国鉄の輸送の合理化ができる、こういうような方法でこの問題をまとめてまいりたいと、こういうふうに思っております。まとまりました暁には、もちろん、国鉄法第六条によりまして、出資の対象になる事業でございますので、出資をさせていただくつもりでおりますが、現在、その話をとりまとめておる最中でございます。
  67. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体大まかに言って、原則的に話がついたと言っておられますけれども、その大まかな原則論だけを聞かしてもらいたいと思うのですけれども、ただ、ここでお断わりいたしますけれども、私は御承知のように、日通出身ですけれども、日通という立場で質問しておるんではなくて、通運事業という立場から言っておるんです。私も昭和六年からずっと日通におりますけれども、御案内のように、混載というものは通運事業にとって心臓部になる。つまり、車扱い、あるいはその他の扱いについては、ほとんど利益がない。たとえばミカン箱一個、アパートの上にかついで上がって、配達料三十五円。これで息ついている、各社とも。したがって、これは、何らかの方法でもって形が変わっていくということになると、非常に問題は深刻になっていく。そこで、両一年もかからなければ話がつかないと思うのですけれども、大体原則論というのは、大まかに言って、一口に言って、どういう精神的なものですかね。精神的と言っては変ですが、どういうような中身ですか、具体的に。こまかいことは要りません。
  68. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私もあまり専門でございませんので、あるいは間違っていることを申し上げましたら、担当者あるいは運輸省の係のほうから修正していただくことにいたしますから、お許しを願いまして私が申し上げますが、結局、現在各運送店が各荷主のドアにつきまして小口貨物を持っておる。それを各運送店が自分の力で一つの貨車にまとまる分だけまとめまして、そうして国鉄に対しましては、いわゆる車扱い運賃という運賃を払う。そうして荷主からは、特別な運輸大臣の承認がございます小口混載貨物率というものをもらいます。この小口混載貨物貨率は、荷主から収受するものは小口貨物よりは安いけれども、もちろん車扱いよりは高いということで、結局、荷主からもらいます小口混載貨物賃率というものと、国鉄に払います車扱い運賃の差額が、通運業者の収入になっておるということでございます。したがって、その考え方については変えることなしに、もっぱら各運送店の集めてまいりましたものを、ともかく、たとえば汐留駅なら汐留駅にいたしましても、あそこの駅には三つか四つの通運業者がたくさん集まっておる。それを一つの目でもって見て、全体、たとえばAが百個集め、Bが五十個集める。これを百個と五十個でばらばらに混載したんでは非常に不経済だから、これを百五十にして、能率的な貨車の使い方をしたい、こういう考え方でございます。  ただ問題は、そこで、そういうことをする仕組みと申しますか、国鉄がじかにやればよろしいのでございますが、国鉄がじかにそういうことをやるのは非常にむずかしい。したがって、専門家でもって、しかも、通運業務のこともよく知り、国鉄のこともよく知っておる人が、各通運業者が集めてまいりました荷物を一つの目で見て、そしてこれをどこ向けの貨車、どこ向けの貨車というふうに仕分けをして、そうして混載を組み立てたい、こういう考え方でございます。その際に、強制的にこの会社に入らなければ混載を仕立てていけないということになりますと、これは非常に問題になりますので、何と申しますか、そういう考え方で、それじゃ集まろというものだけ集めて、そうして、おれは、その一つの新しくできたものにやって、荷扱いはおれのところだけで一つの混載をやるのだということについては、それを無理に一緒にすることなしに、それはそれで従来どおりやったらいいじゃないかというふうな考え方、初めはできれば全部一緒にして、一つの方針、計画に基づいて混載というものをやりたかったのでございますが、さっき申しましたとおり、なかなか利害関係がふくそういたしまして、業者相互間の利害が一致いたしませんし、かといって、それを無理やりに法律的に、ある一つの形でなければ混載を仕立ててはいけないということになりますと、これも非常に問題になりますので、目下のところ、できれば同じそういう考え方で、おれたちで共同してやろうというものだけが集まって一つの組織をつくる、それに入りたくないものは従前どおりの形でやるというふうな形でやっていったらどうかというのが、現状の段階でございます。  したがって、あくまでも、考え方といたしましては、各通運業者の自分の商業的な力で集めてきた荷物は、一応とにかくみんなの力で一つの混載にするのだ、しかし、それの配分なり、それのお互いの関係というものは、従来の関係をなるべくこわさないでやりたいのだ、こういう考え方で、話が非常にこまかく専門的になりますので、おわかりにくいかと思いますが、考え方といたしましては、そういう考え方でございます。
  69. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体アウトラインはわかりましたが、そういうところにいま非常に混乱が起こっているのじゃないかと思うのです。通運業者ばかりじゃなくて、どこの業界でも、各業者はそれぞれ伝統と特質を持っている。それをあんたのほうから、こういうものをつくるから、集まりたいやつは集まってこい、集まりたくないやつは自分でやればいい、こうやって業界に一つの混乱を起こすようなことは、これは国有鉄道としてはやるべきでないと私は思うのですね。それでやるんであれば、業界全部が納得をしてやっていけるようなかっこうでないというと、これはあなたのほうで、来ぬやつは来ぬでいい、かってにやったらいい、来るやつは来い、こうなりますと、これは国鉄みずから招いて波乱を発生せしむるようなものであると私は思うのです。これでは円満なる方法じゃないと思うのです。本来ならば、いま経費がかさんで効率が悪いからほうり出してしまうのだ、こういう話なんですけれども、私は、国鉄のあり方自体について、前々から疑問を持っているのですけれども、なるほど、経費がかさんで効率が悪くて、しかも、公共性がたいしてないというものは、これは切ってもいいだろうと思うのですが、しかし、国民大衆につながっておる公共性の強いものは、しかも、民間には手が出ないというものは、これはやはり国鉄がやるべきであって、政府はこれに対しまして応分の補助をする、こういう行き方がほんとうではなかろうかと思う。今度の場合は、これは労働組合のほうでも――国鉄のほうでも、全日通のほうでも反対をしておりますが、業界のほうでも賛否いろいろあるようでありますが、こういう混乱を招くような、そういう種を、国鉄みずからが合理化という名でもってつくっていくということは、これは私はいかぬと思うのです。やはりこれは全部一致して、じゃこうしよう、こうなって初めておやりになるのが妥当じゃないかと思うのでございますけれども、その点はいかがですか。これはおやりになるのには、運輸大臣の認可も要ることでありますから、運輸大臣の意向も聞くのでありますけれども、私はそういうところに心配があるのですね。
  70. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点につきましては、私のほうは、小口貨物はもうからないからこれをやめてしまいたいという意味でなしに、現在のような小口輸送をしておりますと、到達時間と申しますか、荷主から荷主へ行く運送時間は、非常に時間がかかってしまう。途中で何べんも積みかえ、中継しなければ、出発地から目的地まで行かない。こういうような小口輸送になっておりますし、また、したがって、荷主からいただく運賃も高い。したがって、利用者の側から見ましても、現在の小口扱いというものは非常に不便なものだ、しかも高いものだ、時間のかかるものだ、これを混載化すれば、多少そのかわり、何と申しますか、自動車との積みかえ等の問題がありますが、荷主の側から見れば、何らの影響なしに、ある程度運賃が下がる、そして到達時間が速くなる、こういう点から申しまして、鉄道の近代化と申しますか、輸送そのものの近代化という見地から、小口貨物の合理化ということは、これは当然鉄道業務の趨勢だと思っております。しかしながら、それの実施のしかたにつきましては、先ほど申しましたとおり、すでに一年近くかかって、各運送業者とほんとうにひざを突きまぜて十数回にわたっていろいろ具体的な打ち合わせもし、そうしてお互いもう専門家同士でございますので、ほとんど話のすみずみまでわかっている、あとは踏み切るか踏み切らないかという段階にそろそろ近くなってきておるというふうに考えますが、しかし、あくまでも既存の利益は絶対譲らないのだというようなことも許されないことでございますし、結局、全体の利用者も喜び、また、通運業者自体としても利益があがる、そして国鉄の合理化にもなる、こういう方法を何とかさがすように、できるだけ努力を今後とも続けてまいりたいと思います。しゃにむに、だれが不賛成でもやるのだという態度でなしに、すでに一年間の過去の実績をごらんくださいましても、相当程度努力をいたしまして、皆さんの意見を集めて、大体意向も一つのまとまったものに現在なりつつございます。  ただ、さっき申しましたとおり、いわゆる中小企業の業者と大企業の間では、若干利害関係が相反する場合があると思います。そういった点に、どこまで中小企業の問題等考えてこの問題をやるかとなりますと、先ほど先生がおっしゃったとおり、いわゆる大臣の行政官庁としての問題等にもなると思いますが、私どものほうは、そういう国家的な、中小企業を援助するとかという次元の高い問題よりも、もう一つ前の利用者と通運業者と国鉄の三つがよくなる方法をどうしたらいいかという角度からいたしまして、現在のような段階になっておるようなわけでございます。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の非常に疑問に思うことは、国鉄のほんとうの目的というものは、会社をつくってそこへ投資をする、これが目的じゃないかというような気がするのですね、端的に言ってですよ。小口の合理化については、だれも反対するものはないと思うのですけれども、その手段、方法について、いわゆる仕組みということばを使って、どういう仕組みでやったらいいかという方法になっておると思うのです。私は、仕組みというのは、自分で運送屋やってきて、三つぐらいになるのじゃないかと思うのです。会社をつくるか、あるいは協同組合をつくるか、あるいは、どこか胴元があってさし込みをやっていくか、このくらいじゃないかと思うのですよ。こういう点については、やはりこれも先ほど申しましたように、大企業にしろ中小企業にしろ、それぞれ混載というものを中心として経営をしておるのですね。これを上のほうから形を変えるようなかっこうでおっつけてくるということは、これは特に通運業者と国鉄の関係からいいまして、好ましくないと私は思うのですね。それで、むろん、これは国鉄に密着しておりますから、アドバイスはけっこうでありますけれども、こういうものをつくれ、ああいうものをつくれ、こうじゃなくて、やっぱり業界なら業界のほうで合理化しよう、こういうふうに合理化しようじゃないかということが、大企業にしろ、中小企業にしろ、共通点は一致してあるのですから、利害は。むろん競争関係はありましても。そういうようなことでもって業界に混乱が起こらないという、これが第一条件じゃないかと思うのですね。いまおっしゃるところによるというと、入るものと入らぬものとある。しかたがない。こういう点で業界を二分して対立抗争を続ける。そういうことは好ましくないのじゃないかと思う。かりに大企業の大きいのがあって、あと中小――小さい。そのために別の方法考えればいい。それを、国鉄みずからが業界を二分して対立抗争させ、しかも、国鉄みずからが資本を投資をして、それの積極的役割りを果たそうという。これは、私はちょっと形としてはおかしいのじゃないかと思うのですね。そういうようにお感じになりませんか。つまり、二分した場合に、片一方には国鉄の資本が入っておる。片一方には国鉄の資本が入っていない。国鉄の資本の入っておるほうと、入っていないほうと、対立抗争させる。しかも、この通運業界というものは国鉄に密着しておるのですね。これはいわゆる御当局なんですよ。片一方は御当局が入っている、片一方は御当局が入ってない、こういうことで対立抗争させるということは、これは業界にとって正常な状態でないと私は思う。しかも、各業界とも、運輸大臣から免許を得ている。免許を得ている業界で、また公益事業という大事な事業を遂行している業界なんだ。そういうのをそういうぐあいに対立抗争させていくという指導のしかたは、これは疑問に思うのですが、いかがですか。
  72. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) もちろん、私といたしましても、通運業者は国鉄の手足であると申しますか、むしろ逆に通運業者が私どものほうを利用をして運送していると申しますか、端的に申しますれば、利益の高いものをあるいは自分のトラックで持っていく、利益の低いものを鉄道に持ってくるというようなケースもないわけではないのでございまして、いわゆる通運事業法による利用運送という運送の形態がございますが、それの典型的なものが混載輸送でございます。したがいまして、私どもといたしましては、極力、中小企業も大企業も一緒になって、どうしたらこの小口貨物が最も合理的に――年間二十億トンくらいございます、ですから、国民生活に最も密着したこの貨物をどうしたら最も合理的に輸送できるかという角度でもって、いままでも一年ほど研究してまいったのでございますが、私としてはあくまでも最後まで全業者が一致した意見になることを希望しつつ、この問題の解決に邁進したいと思っております。いつまでたっても自分の主張をくずさないで、絶対におれのことは他人に容喙させないというようなことでなしに、各業界、大企業も中小企業も一緒になって、この国民に一番関係の深い小口貨物の合理化にあらゆる努力を重ねるという方向につきまして、今後ともできるだけの努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  73. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体そうしますと、方向がわかったような気がしますけれども、それでは業界を二分をする。二分をして、片一方のほうに国鉄が資本を投下して別会社をつくる、こういうぐあいですね。二分をした場合に、どうして片一方のほうに国鉄は投資をしなければならないか。業界巨体ではやれないのですか。
  74. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 大倉先生は、あくまで二分することをたてまえとしての御質問ですが、私どものほうとしては、極力二分されないように、大企業も中小企業も一つの目的に沿って、いわゆる仕組みを育成強化することに努力してもらうというふうに考えております。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 その新しい形態、仕組みですね、これには国鉄さんはやはり投資をしていくという、この御方針には変わりはないのですか。
  76. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は、もしそういう形ができますれば、投資をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  77. 大倉精一

    ○大倉精一君 国鉄の小口扱いの仕事に従事している職員は何人くらいいるのですか。
  78. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現時点で約七千五百人くらいだったと思います。
  79. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体年齢は幾つくらいですか。
  80. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 大体平均年齢が三十五才から……、わりあいに小口貨物に従事している連中は、先ほどちょっと申しましたが、駅でもって貨車から貨車へ荷物の積みかえを必要といたします。その積みかえと申しますか、私どもは中継ということばを使っておりますが、中継の職員が相当ございます。それから、あとは駅の窓口で受託する人たち、これはわりあいに数が少のうございますが、たしか、数から申しまして、中継の小口関係の人は、多分三十五才から四十才くらいのわりあいに高年齢者層だというふうに思っておりますが、ちょっといま数字を持っておりませんので、大体の推定でございます。
  81. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体、そうすると、四十才前後の方が七千人くらい――これは相当たいへんな問題になってくるだろうと思いますが、その職員の方々の処遇はどういうことになりますか。
  82. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この小口貨物が、国鉄だけの側から申しましてペイしないと申しますのは、やはり非常に手数がかかるという点でございます。したがって、この七千五百人の人が、今度の新しい形にすれば何人になるか、ちょっと私はいま記憶いたしておりませんが、相当数が減ってまいると思います。これは来年度以降のいろいろな新しい仕事のやり方がございます。いわゆるもう小口貨物関係で要らなくなれば、そのほかの新しい職場に配置転換するなり、あるいは駅のほかの仕事に従事するということでございます。たぶん御心配の点は、多少年齢が高いので、よそへ持っていきどころがないじゃないか、こういう御疑念もあるやに拝察いたしましたが、その点につきましては、具体的な事例といたしまして、極力適当な職場をさがしたいと考えております。現に、昨年閉鎖いたしました志免鉱山におきましても、ほとんど五十才前後の職員が約千五百人、完全に三ヵ月ぐらいのうちにあらゆる職場に吸収されておりますので、私どもといたしましてもできるだけの努力を払いまして、なるべく運輸関係、そうでなければその次のしかるべき職場に転換することも考えなければならぬというふうに考えております。
  83. 大倉精一

    ○大倉精一君 いま国鉄は、職員全体の年齢構成の点について非常に苦労しておられるのではないかと思うのです。いわれるところのちょうちん型ですね。このちょうちん型の年齢構成については、たぶん昭和三十五年だったと思うのですけれども、組合との雇用関係の記録――昭和四十年度以降、四十才以上の者を、何とかしてちょうちん型の年齢構成を直せ、こういう勧告があったと思うのですけれども、それに基づいてことしは何とかしなければならぬということですね。これに七千人というものは非常に密接に関連をしてくるのですね。そういう点を国鉄労働組合としても心配しておいでになるのではないかと思う。さらにまた、通運業界のほうにおきましても、今度新しい会社ができたら、おれたちの行くところがないじゃないかということで、国鉄労働組合のほうと、通運の組合のほうと、心配点が一致しておるから、両方とも反対しておると思うのですが、そういう点について心配要りませんか。私はその点が非常に大きな眼目の一つではなかろうかというふうに思うのです。
  84. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点につきましては、私通運業界の労働問題まで詳しくは存じませんが、私のほうの問題に関しましては、初めいろいろこの、やり方につきましても考え方がございましたので、一時、たとえば率直に、先生お話のごとく、中ぶくれ、ちょうちん型を削減する一つ方法じゃないかというような誤解を招いたということも、一年ほど前にはございましたけれども、その点につきましては、最近の国鉄における仕事のやり方等をごらんくださいますれば、人の首を切るどころか、人をふやさなければならぬという事態になっていることは、御承知のとおりでございます。したがって、この連中がいわゆる国鉄の人事政策の犠牲になるというような角度での反対は全くございませんということを確言申し上げます。ただ、具体的にその処理はどうなるということにつきましては、もっと各地各地の人間の需給状況と見合った上できめていかなければならぬ。その点は十分組合と話してまいりたいと、こういうふうに存じております。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 むろんこれはばっさりと首ということはできますまいが、問題は、どこの職場にどうするか、これが問題です。どこへ行ってもいいというわけではないのです。どこの職場にどうするかというなかなかうまいあとのつけ加えがありますが、それが問題なんです。そういう問題も労働問題からあるのです。  重ねてひとつお伺いしますけれども、たとえば新しい会社をつくった場合に、そこへ国鉄が投資をしなければならぬという必要性ですね、目的ですね、それはどういうことですか。
  86. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) もし一つの企業体になりますれば、これが組合であろうと、企業体であろうと、これは別といたしまして、一つの形になりますれば、一日にそのものの使う貨車が約二千両近い貨車になります。そのものがどういう形で、どういうかまえで貨車を使うかということは、ほかの荷主に対する影響も非常に大きい。したがって、私のほうは、現在一日約十万両の貨車を動かし、そのうち実際毎日駅頭で荷物を積み出すのが三分の一の二方両でございます。そのうち約一割というものにつきましてその特殊な荷主が大きな力を持つということは、非常にほかの荷主の立場と申しますか、国鉄輸送全体の立場から見て、貨車の配給なり何なりを考えなければならぬ課題が当然あると思います。これは、国鉄は、利用される全体の荷主の方々の立場に立ってものごとを考えなければならぬということを考えますので、当然国鉄の運営には非常に深い関係がございます。したがいまして、国鉄法第六条の仕事の範囲内に該当いたしますので、私どもといたしましては、投資をするのに最もふさわしい事業体である、こういうふうに考えております。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 投資しなくてもいいんじゃないですか。投資しなければならぬという一つの決定的な要素があれば剛なんですけれども、いまのお話を聞きますというと、非常に密接した業務である。こうなった場合に、かりに二つできた場合に、それでは片っ方だけ投資をするというのはおかしいじゃないですか。二つ投資をしなければおかしいじゃないですか。そこに何か理屈の合わぬ点がある。しかも、業界のほうで、私のほうでやりますということであれば、やらしておけばいいのであって、国鉄が通運業界に投資をしなければならぬのだと、こうなってくれば、日通にも投資すればいいし、あるいはほかのものにも投資をすればいい、そういう理論でいくとですよ。その辺がどうも一貫していないように思いますね。
  88. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点につきましては、現在のいろいろな経済機構の中の仕事のやり方で、ただ力関係なり契約関係だけでその仕事を押えていくのか、あるいはほんとうに資本的にもつながった形で仕事を共同してやっていくのがいいか、これはいろいろ議論がある点だと思います。もちろん、絶対的な資本関係がなければ共同して仕事ができないかと申しますれば、それはそういうことは必ずしも言えないと思います。現に、日本通運にいたしましても、私どものほうは約五%でございますがすでに投資をいたしております。これは形は違います。もちろん非常にばく大な投資をしておったものを、終戦直後の集中排除の形で全部株を手放しました。しかしながら、国鉄共済組合という名前で約五%近い株を現在持っております。片っ方ではそういう株を持ちながら、現在二百数十店の終戦後の免許いたされました運送店につきましては株を持たないでやっておる。こういうふうに現在でもいろいろ形は違っておりますし、いろいろいままでの過去のいきさつ等もございますが、できればやはり共同してほんとうに唇歯輔車の関係で仕事をする場合には、現在の経済機構ではやはり資本的にもある程度のつながりがあったほうがやりやすいというのは事実ではないかというふうに考えます。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあいろんな言い方があると思うのですけれども、株を持ったほうが仕事のつながりでやりやすいということは、どうも私はふに落ちないのですよ。しかも、今度新しくできる会社は、これもやっぱり五%程度の株でおやりになるのですか――そうはいかぬだろうと思いますけれども。ですから、そういう議論は別にして、私の念願するところのものは、新しい仕組みはいろいろお考えになってけっこうですけれども、国鉄みずからが、長い歴史を持つ業界というもの――大小はありましょうけれども、これを二分して、片っ方のほうにウエートを持って投資して、そして相対立抗争させるということは、国鉄みずからが買って出るべきじゃないと、私はこう思いますよ。まあそういう点についてひとつ十分に御検討願いたいのです。  そこで、これは運輸大臣にこの際念を押すと言っては変ですけれども、この問題は日鉄法改正のときに十分なる論議を尽くしているのですよ。どういうところに一体投資をすべきか。そこで、国鉄に密接に関連する事業というのは一体どんなものだという議論まで具体的にやっております。これは社会党の反対、自民党の賛成で押し切って通った法律ですけれども、そのときに斎藤運輸大臣は非常に重要な発言をしておられます。たとえば、こうも言っておられますね。「私は当委員会あるいは国会等で問題になるような仕事は、投資はこれはとうていできるものではない。必ずや当委員会あるいは国会全体においても問題がないというものでなければ私は投資ができない、かように考えておりまするので、できた以上は非常に幅広く歩き出すのじゃないかという御心配は、国会がある以上御心配がない」、こういうぐあいに言っておる。あるいはまた衆議院の議事録を御紹介申し上げますというと、久保委員の質問に対しましてこういう答弁をされておる。「私は、国鉄がその資本の力をもって民間企業を圧迫するということがあっては、絶対に相ならぬと考えております。事業としては、あるいは将来考えられるようになるかもしれませんが、それは国鉄の運営上直接に必要であり、同時に民間の方もその事業に参画をする、国鉄から投資をしてほしいというような場合にすべきであって、こちらから、民間が反対しているのに、民間事業に参画をしていくというようなあり方があっては絶対に相ならぬ、かように考えております。」、こういう答弁をしておられます。なお、いまちょっとこちらのほうには見当りませんけれども、私の質問に対しまして斎藤運輸大臣は、「いわゆる民間のほうで十分にやれるような暁には投資をするのじゃない」、こういう答弁をしておられますが、これはやはりそういう趣旨のように大臣もお考えになっておるというぐあいに考えて差しつかえありませんか。
  90. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) ただいままで、いろいろ質問応答、お話を承っておりましたが、いままで斎藤前大臣その他の大臣の時代と今日置かれておる国鉄の現状とはだいぶ違っておると思うのです。というのは、物価の値上がり及びベースアップというものは年々かさばっていきますが、運賃はくぎづけされておりまして非常に低率なものであります。したがって、国鉄の運営にあたって、国家の公器としてその使命を全うし、さらにいまお話にありましたように民間企業を圧迫しないでいくという両方の矛盾する点を解決していくためには、国鉄及び運輸省におけるあらゆる機関を総動員いたしましていろいろと研究をいたしまして、国家のお役に立つように運営していかなければならない。その最終の目的は、国鉄の施設並びに経営方法は近代的でなければならないと同時に、運賃その他サービスが全国民に喜ばれる愛される鉄道にならなければならないという、二つの大きな使命を持っております。それを全うするためには、ただいま申し上げましたように、国鉄内におけるだけの知識で足らなければ、さらに学識経験者、経済人等に呼びかけて知識を動員し、そうして足らざる点を補っていかざるを得ない、かように考えるのであります。法律関係する問題に対しましては、鉄監局長がおりますから、そのほうでひとつ御答弁を願いたいと思います。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは大臣、物価の値上がりには関係がないのですよ。情勢の変化にも関係がないのです。日鉄法の改正というものの眼目は、どういうところへ投資をするか、これが国会論議の中心だったんですよ。私はあのとき、一々問題があればそのつど投資をする対象を法律に書け、たとえば京葉鉄道とか臨海鉄道とか書けと言ったんですけれども、これは国会の御審議があるというお話だったんです。そこで、あいまいであるから――どういうところに投資をするのか、これが原則だったんです。投資の場所について、もう一回繰り返すというと、斎藤運輸大臣は久保委員の質問に対して、「私は、国鉄がその資本の力をもって民間企業を圧迫するということがあっては、絶対に相ならぬ。」と考えております。事典としては、あるいは将来考えられるようになるかもしれませんが、それは国鉄の運営上直接に必要であり、同時に民間の方もその事業に参画をする、国鉄から投資をしてほしいというような場合にすべきであって、こちらから、民間が反対しているのに、民間事業に参画をしていくというようなあり方があっては絶対に相ならぬ。それから、さっきも出てまいりましたが、私の質問に対しまして、「国鉄の利益を追求するために投資をするとか、あるいはまた、民業で十分やれるものに手を伸ばすとかいうことは、これは絶対に慎しむべきものだと、かように考えております。」と、こう言っている。これは物価の問題じゃなくてですよ、国鉄の投資をする場合の心がまえである、いわゆる投資に参画する原則論を、法律審議のときに、当時の運輸大臣、責任者が答えておいでになるのですよ。これは、私は別に物価の問題と関係がないと思う。
  92. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 物価の問題と関係ないことはないのです。それは物価の問題にも大いに関係がありますし、収入と支出のアンバランスの指数から見て、最大限の努力を払わなければならぬ。さりとて民間企業を圧迫してはならないと言っているのです。だからして、それについては、国鉄並びに運輸省の中における知識を動員しても足りない場合に、さらに学識経験者の知識をかりてこれをいかにしたらばいいかという方向に進んでいきたいということでありまして、いま私、こういう企業を新たにやるという考えを持っておりません。しかし、今後おきめいただこうとする七年間に二兆九千七百二十億の企業は敢行するつもりであります。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも私の質問がへたなのか、よくぴんと来ないんですけれどもね。なるほど、物価が上がり国鉄の経営が苦しくなって合理化しようという、こういう点については、私も反対するものじゃありませんよ。やり方なんですよ。今度、いま問題にしておるのは、たとえば新しい会社をつくって新しい方法でやろう、この場合に投資をすることの可否について、いま中心になって旧いるわけです。この投資についての問題については、先回の当委員会のときに、斎藤運輸大臣はこういう答弁をしておられる。これによって、この法律というものが通っておるのです。今度は、これが違うのだということになると、投資原則がすっかり変わってくるのですよ。そうなると、この法律審議はどんなことを、やったのかということになるのですよ。だから、われわれはこの法律に反対しましたけれども、こういうような中身であるということを承知してこの審議をやった、投資というものはこういうものであるということで。この趣旨というものは、やはり大臣も、これは国会のこの法律に付帯をする一つの中身であると、こうお考えになっておると思うのですよ。ですから、いわゆる会社をつくることの可否とは別なんですよ。それを言っているわけじゃないのですよ。こういうことと解しておられるが、やはり国鉄の投資の場合にはこういう原則でいくべきであると、こう考えると思うのですが、どうですかね。
  94. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) いまやっている事業と法律との関係、及び前の大臣の発言と現在の事業との関係については、ひとつ局長から答弁させます。
  95. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほど来、国鉄副総裁から御説明がありましたように、小口輸送改善の際の現実の積み増しをどういうふうにしていくかという問題がありまして、これは説明がありましたように、現に国鉄が関係業界と鋭意折衝を重ねておられる段階でございますので、大倉委員の御質問のように、実態的な問題があると思いますが、法律的な点についてだけ問題を限って御説明をさしていただきますと、お話がありましたように、日本国有鉄道法第六条の投資条項については、しばしば先ほど来お話がありましたようないきさつで修正があったわけでございまするが、現在問題になっております、国鉄副総裁から説明がありました小口輸送を扱う会社につきましては、第六条の「日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行う運送事業その他これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業」というものに、法律的には該当するんではないかと思います。ただ、御承知のように、第二項で、政令でその事業を定めることになっておりますので、具体的には、政令の問題になるかと思いますが、その前提となる実態的な問題について、いま鋭意国鉄が折衝しておられる段階というふうに承っておりますので、それらの帰趨を待ってから、法律的な結論をと思っております。
  96. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういうことを聞いているのじゃなく、国鉄に聞いているのは、ずっと経過を聞いておりましたが、大臣に聞いているのは、確かに、この法律によって個々に投資をすることは法律違反じゃありません、密接に関連する事業ですから。だから、そうなってくると、あの法律審議のときに問題になったのは、こういう解釈でいけば、何でもかんでも全面関連しておるのじゃないかということになる。遊園地にしろ何でもこうなってくるので、この法の運用上どうするのだ、具体的に、どういう精神でもってこの投資条項を運用していくのだ、こういう観点から質問した。その結果、いまちょっと読み上げたような答弁が大臣からあったのです。こういう趣旨だと思う。民間がいやだと言っている場合は、投資をするのじゃありません。あるいは民間で十分やれるところに手を出すべきじゃないと言っている。そうでございますかということなのです。そういうぐあいに了承してきているのですが、私が先ほどからずっと磯崎さんにも要望しておることは、もう業界を二分するような、そんなことをせずに、業界の意見を統一して円満にやっていけるようにやってもらいたいと言っているのです。場合によっては、会社をつくって投資をしていくんだと、こういう意思表示がありましたから、そうなってくると、非常に心配である。そういう心配があったために、私どもこういう法律のときにやったわけです。ですから、やたっ結果、斎藤大臣の答弁があったものだから、国鉄と民間のほうと話がついて、向こうのほうも希望する、そういう場合に限る、こういう中身でいくのだから差しつかえなかろう、こういうことになってきたのですね、この前の委員会では。それがいま曲げて、これは違うということになると、これはわれわれは法律審議を何のためにやったかわからなくなります。端的に申し上げまして、日鉄法改正のときの一番しんになる当時の大臣答弁は、大臣も確認をされますかどうか。それはおれは知らぬと言われるのか、あるいは、この答弁は、その趣旨というものは了承しておられると言われるのか、どっちかということですよ。
  97. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) それはもちろん、日本国有鉄道をつくるときの基礎精神はあくまでも守っていかなければならぬと思っております。
  98. 大倉精一

    ○大倉精一君 日鉄法改正のですね。
  99. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) そうです。
  100. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、どうも心配をしながら答弁をしていられるようですが、こういう速記録があるのだから――これはちゃんと生きておるのだ、こういうことでいいのですね。
  101. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 何かあるのですか。何かあれば――ぼくは知らないのです。
  102. 大倉精一

    ○大倉精一君 要するに、大臣、むずかしいことじゃなくて、投資条項についてこういう原則があるのですね。当時の大臣が言われておったのは、投資というものはそういう場合にやるのだと、会議録になっておりますが、これはやはりこの委員会において大臣は否定されぬと思うのですが、いかがですか。
  103. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) その点は、先ほど申し上げましたように、日本国有鉄道の創設精神によってこれはあくまでも運営していきたいと思います。
  104. 大倉精一

    ○大倉精一君 創設精神じゃなくて、日鉄法改正のときに、国鉄が投資をする場合はこういう場合だ、あるいは、こういう場合にやるべきものじゃないという答弁がありますが、その答弁をここで否定をされるということになるとたいへんなことになる。否定をされないと思うのですがね。
  105. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 私は、創設精神というものは日鉄法という法律によってできているものだと思うのです。それで、その中の全部の答弁が、全部調べてみなければ、はたしてその日鉄、この法律に全部が合っているかどうかわからないのです。だから私は、積極的に日本国有鉄道法による精神によって運営していくと、こう言っているのです。私はこれを質問したくていままでごちゃごちゃしゃべっておったのですよ。せっかくの日鉄法の改正のときに、われわれが精魂を込めてここで審議をしてですよ、そうして大臣からこういう原則的な重要な発言をいただいておる。これを大臣が確認されておれば、これから国鉄と民間との投資関係についてごたごたが起こり得ることはない、こう思うのですよ。この点を大臣確認されますかと言っておる。確認されないと言ったら、たいへんですよ。
  106. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) そのとおり確認いたします。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじゃ最後には、国鉄さんのほうにですね、この問題で紛糾を起こさないように格段の努力をお願いしたいと思います。この際何とかしなければならない。業界を二分して、片一方のほうに入って、相抗争するというようなことは、好ましくないと思うので、そういうことのないように御努力を願いたい、こういうことを要望いたしまして私は終わります。
  108. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 先ほど相澤さんからお尋ねになりましたときに、後ほど調べて返事をすると言っておきましたが、百五人獲得した。相澤委員の要求の、自動車のほうの検査員、その他自動車関係の増員の場合です。これで、二百五十三名要求しまして、百五人獲得しました。このことを相澤さんにお伝え願いたいと思います。
  109. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじゃ先ほどの続きですが、プロパンガス関係官見えましたか。
  110. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  111. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 速記を始めて。
  112. 大倉精一

    ○大倉精一君 プロパンガスの問題、これは時間がないそうですから、次回に譲ります。
  113. 小酒井義男

    小酒井義男君 運輸大臣の関係なんですが、鉄監局長自動車局長いらっしゃるようですから、きょうは具体的な質問というよりも、むしろ今後の問題として要望をしておきたいと思うのですが、岡山県の井笠鉄道が少し労働問題でごたごたしておるようで、中労委のほうも、調整課長がずっと行って、この調整に当たっておられる段階なんです。そこで、実は私どもも、今週末ごろに、衆、参運輸委員で、ひとつどういう事態か調査に行ってこようと思っているのです。あそこは、もう御承知のように、もしストライキでもやりますと、独占しておる路線がありますから、相当地万民は迷惑をこうむるわけなんです。で、この原因がどこにあるかということについて、いま  一方的な話を聞いただけでは判断はできませんから、現地に行って調査をして、その結果で委員会でお尋ねすることにしたいと思いますから、そのとき答弁をしていただけるように、ひとつ実情をお調べおき願いたいと思うのです。
  114. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) わかりました。
  115. 小酒井義男

    小酒井義男君 それだけです。
  116. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 せっかく運輸大臣がお見えでございますから、今月の四日に大臣みずから熱心に、しかも精魂を傾けて約一時間運輸省関係の予算並びに国鉄の予算説明がございましたから、この点について、今後予算審議にあたって私ども参考にしなければなりませんから、細部にわたって二、三質問をしておきたいと思うのでございます。  そこで、きょうは時間がありませんから、国鉄関係の予算だけ私はお尋ねをいたしますけれども、この予算を編成するにあたっては、昭和四十年度のわが国経済の見通しに立ってと、こういう表現を使いました。言いかえれば、佐藤内閣が池田内閣から踏襲をした中期経済計画の見通しの上に立って国鉄の予算を編成した、こういうことになると思うのです。この点いかがですか。
  117. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) まあ中期経済計画は相当弾力性を持たしてありますから、十七兆八千億になっておりますが、これははっきり、計画経済ではありませんから、その十七兆八千億きちんとはいかぬと思う。しかし、その目標を示したものでありますから、その目標にはあまり隔たりのない方向で進むつもりであります。
  118. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも、政府並びにその一閣僚である運輸大臣でございますが、ああした高度経済計画だとか、経済政策上の計画であるとか、あるいはそれが幾多の矛盾を露呈して、ひずみの是正をしなければならぬということで、中期経済計画というものを政府が樹立をしたわけですね。それが今度の佐藤総理大臣の施政方針の演説の中核をなしていることは間違いない。それを具体的にわれわれがそれぞれの所管の委員会に持ち帰って予算の審議をする段階になると、一つの目標であるとか、さらに都合が悪くなると一つの目安であるとかいうようなものの見方で私はこういう予算を提案されたのでは、これは国民はたまったものじゃないと思う。ですから、私は大臣にもう一回確認しますけれども、ここにあなたの提案理由の朗読しましたのが書いてある。「昭和四十年度の予算の編成にあたりましては、まず、四十年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮した」と、後段の国鉄輸送の需要というものの動向を考慮することは一体何を意味するかというと、前段の中期経済計画を遂行する、その見通しの上に立ってのいわゆる需要の動向というものがおのずから出てくるものですよ、これは。ですから、これには間違いないですかと聞いている。どうですか。
  119. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 初めの読み出しはまさにそのとおり読みましたが、その終わりのほうのページをごらん願いますというと、それをやるためには、輸送の増強、生産関係、その他日本経済全体に対しては十分の努力をしなければならないということを覚悟いたしております。だから、おおむねその方向ではあるが、一つの目安であるということを申し上げる以外に方法はないのであります。
  120. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、一つの目安などという、そういう抽象的なことでは私はならぬと思う。少なくても、先ほどの投資条項にからめた大倉委員からの質問がありましたから、私ども幾多の所見を持っておりますが、時間がありませんから、この週に二回の委員会で漸次こういう問題について私は言及していくつもりでおりますから、きょうのところはそれに触れませんけれども、目安じゃないと私は思う。あなた先ほど答弁したように、七カ年間の長期計画で二兆九千七百二十四億円はやりますと、こう言明している。これやっていただかなければならぬと思うのです。そういう計画を国鉄も立てたわけです。私はその点では賛成しているのです。しかし、その前提は、あなたがここに書かれた、しかもこの間提案理由説明をしたのです。一国の政府の閣僚たる運輸大臣としてですよ、そのときに明言しているのですね、日本の経済の見通しに立つということを。一体日本の経済の見通しというのは、具体的に現状で言えるものは、総理大臣の施政方針演説のように、中期経済計画というものを遂行するということじゃないのですか。この見方に誤りありますか。
  121. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 大体その目標のもとに、それを一つの目当てにいたしまして、あらゆる画総合的にそこに到達するように努力するつもりであります。しかも、いま申されました数字は、七カ年に二兆九千七百二十億でありますから、それはおおむねその金額でなし遂げたいと思っておる次第であります。
  122. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 佐藤内閣の経済政策の問題について、特にその中における運輸、交通、経済政策については、かなり長期間歴代大臣と私はものの見方、考え方について論争してきたところでありますから、まだ会期も十分ありますから、松浦さんとはずっと重ねてこの論争をしていくつもりでおりますから、ぜひいまのような、一つの目安などという、そういうつまらぬ答弁をせぬように、役人を叱吃激励して勉強して、大臣に答弁してもらいたいと思う。  そこで、その話はあとあと十分やることにいたしまして、とりあえずお伺いいたしておきたいものは、この予算提案理由の説明を一読してみました。これは当たっておるかどうかは別として、直観的に感ぜられる点は、第一に七カ年計画の初年度計画としてとりあえずは重要幹線の輸送量増強に柱を一つ立てておるように感じます。それから、第二番目には、大都市における通勤輸送、あるいは通学、そうして最近非常に社会的に問題になっております過密ダイヤの解消について柱を一つ立てている。第三は、安全輸送を確保するためには、保安対策の強化、つまり具体的に申し上げれば、踏切及び信号、あるいは保安施設の改良に重点を置く、こういうことを柱に立てているような感じがするわけであります。これは、その提案者とわれわれが、具体的に予算を審議する者の側との見方、考え方、感じ方が違うのかもしれませんが、私は直観的にそういうことがうかがえると思うのです。したがいまして、現状の国鉄の客観的な事情から申し上げますならば、たいへんけっこうなことだ、こう思うのです。そこで大臣に、私は前の国会からこの問題を提起していますけれども、問題は、中期経済計画の動向はどうあろうと、それに伴う国鉄の輸送量がどう変わろうと、それを満たすためには、何といたしましても資金が私は問題だと思う。これは大臣首を振っておりますから間違いないですな。資金が問題だと思います。そこで、一体その資金調達の前提として、しかもこの予算の提案説明によると、わが国経済の、立場から、その見通し等々を考慮して国鉄の予算を編成した、こういうことですから、一体政府は、国鉄の懇談会なるものを通して、その答申を踏まえてこの予算編成をしたと思うのです。思うが、さて大臣ひとつ私は端的にあなたにお伺いしますけれども、今日政府は、国鉄という企業の性格づけ、一つには。もっと具体的に言えば、国鉄事業というものの定義をどう考えておるかということを、この際私は、予算審議の前提にあたって、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  123. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) およそ経済は物の動きでありますから、その物の動きが経済の要請に答えられなければ、どんな計画を立てても私は徒労に帰すると思うのです。でありますから、われわれは経済の動きに支障なからしめる使命を持たなければならない。わが国鉄は、内航船とともに、日本貨物の重要課題を引き受けておるのでありますから、日本経済の伸びと国鉄の輸送力の増強というものは、切っても切れない因果関係があります。それから、ここに七カ年計画を立てて説明いたしました。中期計画は全然一銭も間違ないだろうかと追及されましても、おおむね間違いはないけれども、目安であると言わざるを得ない。七年の間の経済がわれわれの考えたよりも上昇するならば、あるいは六年でできるかもしれない。しかし、これが途中で何かの大きな災害にあうとか、あるいは世界的な大恐慌が来るとかということになれば、その七年計画も徒労に帰するかもしれない。でありますから、あなたの仰せになりました、国鉄が造幣局を持っているわけではありませんから、日本経済が発展して、その日本経済の発展の中におけるわれらの使命を、ここに申し上げましたように、公共企業体とともに、今後一そうの経営の合理化をはかり、もってわが国経済の発展に資するよう指導監督をしていかなければならぬというのが根幹であります。でありますから、あなたの仰せになりますことはごもっともなんです。ごもっともだが、総理大臣の答弁も、企画庁の長官の予算委員会における答弁も、今度の中期経済計画というものは狂いがないか、こう詰問されれば、日本経済の動きというもののほうが狂わなければ狂わない、狂えば狂うと言わざるを得ない。だから、目安でありますと言わざるを得ませんが、この日本経済がいまの足取りでまいります以上、われわれは、仰せになりましたように、この資金は得られると思っております。
  124. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも大臣はぼくの聞いていることを勘違いしているのじゃないかと思うのですがね。ぼくは、政府として、再三申し上げるようだけれども、国の経済全体の展望に立って、そうしてその見通しに立って、それから客観的に今度はいろいろ全般にわたる問題があるわけですけれども ここは運輸委員会ですから、国鉄の輸送量というものは変化が伴ってくる、だからそういうこと等を勘案して今年度の予算は編成をした、こう書いてあるわけですよね。そこで、そういうものであるとすれば、政府並びに運輸大臣としては、国鉄の企業というものをどうながめているのか、国鉄の事業というものの性格、その定義を教えてくれとぼくは聞いている。事業の定義づけですよ。端的にあなたが答えやすいように私が聞こうとすれば、一体性格づけは、法律上、公共企業体になっていますがね。そこで非常に公共性をしいられています。さて、行なっておる事業の内容を、この提案理由の説明からいくと、どういうことになるかということなんですが、私ははっきりしたものを持っているんですよ。公共事業であるということは持っている。運輸大臣はこれに対してどう定義づけられるかということを聞いている。
  125. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 公共企業体であるということは間違いありません。
  126. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 法律にそう書いてあるからね。事業の内容だ。
  127. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) これだけの企業は、かりに私営であっても公共性を持っています。特にこれは国鉄でありますから、公共企業体であることはいうまでもない。その他のことは、あなたが経済の動きを開いたものだから、それに敷衍し出て言った。それでいけなければ、もっと短くこれから言いますから……。
  128. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いや、長くやることは自由ですから、あなたの発言をぼくは封じているわけじゃないですがね。経済論争はあとの委員会でやりましょうと言っている。ただ、企業そのものの性格づけと事業の定義を聞いている。そうすると、いまのあなたの答弁では、つまり事業そのものは公属性が非常に強いのであるから公共事業であると言う、これは私はそういう考えを持っているんですがね。この考え方にはどうですか。間違いないですか。
  129. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 何べん言っても同じことであります。りっぱな公共事業であります。
  130. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 企業体である事業の性格づけ、定義づけは、公共事業であることは間違いないですな。
  131. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) そのとおりであります。
  132. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで企業の性格、それから事業の定義づけが公共事業である、こう一つはっきりいたしたから、具体的な内容を大臣にお伺いしますが、今度、あなた、七カ年間で二兆九千何がしかという膨大な計画を立てて、狂わなければ狂わない、狂えば狂う、こういうきわめて不安定な答弁でありましたが、そういう答弁は別にして、資金調達を含めて、しかもここに書いてあるように、政府が監督指導する、こう言っていますが、  一切資金調達についてはこの計画について、佐藤内閣もそう長く続かぬと僕は思うが、あなたが最後まで運輸大臣やっているとは思われないが、しかし、この計画を策定をした当時の責任ある大臣として、この資金調達については政府は責任を持てますね。
  133. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) もちろん、この七カ年に二兆九千七百二十億、いうものをもって予定どおりの仕事をやるつもりであります。その内容は副総裁がきょうは出席しておりますから、副総裁から答弁してもらいます。
  134. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 計画の内容等は、あとあと国鉄側に質問しますから、いまは大臣に私は聞いているわけなんです。これは責任を持ってやらざるを得ないし、やりますね。
  135. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) やります。
  136. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこでやりますということになりますから、たいへん国民は喜ぶことだろうと思う。ぜひやってもらいたいと思う。そこで大臣、この予算表を見まして、今度の長期計画の初年度の二千五百六十七億、これをずっと見てまいりますと、いま大臣が答弁したように、積極面が、残念ながら私は先ほど来のつまり性格づけから考えてみて、うかがうことはできないと思うのです。大臣御承知おきのように、この内容をずっと見ますと、すべて国鉄が債券、あるいは財投にしても結果的には国鉄が借金政策でやるということになります。計画はした、しかし、資金の関係については、全部国鉄でやりなさいという内容ではないですか。これはそういう点では私はきわめて不満です。こういう点については、前々から委員会でそのつどそれぞれの委員、私からもそういう発言をしてやってきて、一致をしておったのです。公共事業であるから、この際道路あるいは港湾、飛行場と同じように、なぜ政府が一体公共投資をしないか、公共事業というのは、国が公共投資をするのがあたりまえです。そういうたてまえでしょう。ところが今度提案されたこの予算の内容を見ると、いささかもそれが出てきていない。まことにこれは残念なことだと思うのですが、大臣どうですか、こういう点、この中に国庫の負担金あるいは国庫支出金なんてひとかけらもないじゃないですか。この点どうお考えになりますか。
  137. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 公共企業体ではあるけれども、これは独立採算制でもあるのです。独立採算制における公共企業体、でありますから、私は全部国民税金でやれということはどうかと思う。やはり利用者によって刷新をしていく、近代的にしていく、あるいは改良をしていく、あるいはまた、科学的ないろいろな要素を取り入れていくということは、全部国民税金でやれということは、国民鉄道の利用度によりますから、利用度の高い人がその負担を多くするというのがあたりまえ二ではないか。その点についてはあなたは追及しようという考えでありましょうが、道路の例を問われましたから、道路の場合はやはりガソリン税は道路を多く使うものがガソリンを多く使いますから、それでガソリン税をとってやっていく、足らぬ分は公共事業費を出すということになっております。私どもは、今後国鉄の経営については、できるだけ資金の融通もいたします。また、低利、長期の財政投融資もいたします、あるいは利子の補給もいたします。けれども、独立採算制のしに立った公共企業体としてのあり方も加味していくべきであると、かように考えます。
  138. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、独立採算制のたてまえであるということは、あなたより以上私は国鉄にやっかいになっておったからよく知っておったのです。そんなことを大臣に答弁を求めようとしたわけでもないし、大臣に私は意地悪く追及して困らしてやろうという、そういう気持で言っているのじゃないのですから、その点は誤解のないようにしてこれから答弁してもらいたいと思いますが、大臣はどうなんですか、実はぼくに単純に、あなたのようにあまり学識経験ありませんから、あなたの提案したものをすなおに読みとって、わからないから聞いている。これだけではばく然としてわかりませんよ。もとよりこれは概要というように書いてありますから、だから細部にわたって書いてないからわからぬ、こういうふうになると思うか。
  139. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) どこがわからなくて、どこが知りたいか、この際聞いてください。
  140. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この際聞いているのは、国の経済計画なり国策として進める政策、施策に合わすために、国鉄がこういう計画を好むと好まざるとにかかわらず、これは策定せざるを得ない。このことは、社会要請でもあるし、国民要請でもあるからである。こういう理解点に立っていくと、当然事業の性格上から、もとより独立採算制の性格づけされたものであるけれども、これはもとより企業内で企業努力もするけれども、限度があります。こういう中期経済か、あるいは高度経済成長政策かしらぬが、こういうものにマッチさせるように国鉄が輸送量を増強するとすれば、資金調達に限度があります。そんなに国鉄がはたいたって、資金調達なんてできるはずのものではない。したがって、国の政策に合わして必然的に計画を樹立してそれを遂行しなければならぬのが国策じゃないですか。具体的に言えば、たまたま鉄道建設公団法が前の国会で成立して別会計になっておりますから別ですけれども、たとえば青函のトンネル調査坑を掘っておりますけれども、これは何ですか。日本の経済、産業を発展させるための国の政策として考えるべきものではないですか。あるいは新線建設もしかりです。それと同じように、今度の場合は大体こういうふうに私が先ほど申し上げたように、第一に経済計画を遂行していくためには、どうしても主要幹線の線増、輸送量増強をはからなければならない。しかも、都市にこれほど集中化した過密都市の問題を解決するためには、何が一体先かというと、通勤通学、あるいは過密のダイヤを解消しなければ問題解決にはならないという問題が出てくる。これを解決するのは、ひとり国鉄でやれといってもできっこない。国の政策、国の施策でやらなければならないことでしょう。これは間違いないでしょう。だから、そういうものであるならば、国鉄も努力をするけれども国家が公共投資をすべきだというのが、われわれが主張してきて前の大臣も意見一致をしているところなんです。さなかに、国鉄は政府の公共負担にかかわる経費を膨大に負担しているではありませんか。そういうことについてはさっぱり言及、そしてまた施策を施さないで、こういう予算を提案して計画を策定して、あなたは幸いこの計画は完全に遂行させます、資金もめんどうみます、こう言っていますから私は安心しているのだが、実態としてはさっぱり政府が責任を持って具体的に公共投資をしているようなかっこうになっていないのではないか、こう聞いているわけですよ、ものの考え方としてね。どうですか、大臣。
  141. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) まあ、ものの知らぬ人が聞くのは質問というけれども、四十年も国鉄におって国鉄のことを聞くのは詰問というんです――三十年ですか。だから、私だってあなたの言いたいことを言いたいんです。しかし、この立場じゃ言えぬでしょう。だから聞かぬでください。四十億や四十一億もらっても問題になりませんよ。けれどもしかたがない。しかし、私が少し長くやらしてもらえるならば一千億ぐらいのものはは出したいと思う。けれども、これは日本の経済が立ち直らなければ、わがまま言ってもだめですよ。あなたの聞きたいのはそこだろうと思う。けれども、私は日本の経済が立ち直って日本の税収入というものが相当多くなればなるほど、また逆に減税をしていかなければならぬといううらみがあるものですから、なかなかこっちへ回ってこない。けれども、この点はあなたのお説にありましたように、ある程度、やはり国の力というものは必要であろうと思う。けれども、それは今日まで行なわれておらない。四十億ですか四十一億ですかしか出ておりません。こういうことはいけないと思います。けれども現状がそうであって、今年これだけのことをやるのに対しましても相当な努力をして、かえっておしかりを受けるのでなくてきょうはほめられるのではないかと思ってきたのですが、おしかりを受けなければならぬ立場にあるのですけれども、ほんとうは国鉄は汽車は脱線しないけれども、財政的には脱線していますよ。だから、その上に借金政策でやるということは私は反対なんです。だから、借金をしないでいくのならば、運賃を上げるか国が投資をするかほかないです。だから、独立採算制であるから、中期経済計画を間違いのないように育成して、そうしてその目的を達成する以外に道はない、こう思っております。
  142. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、ぼくは決してあなたをしかりつけているわけじゃないですよ、あなたが昨年の暮れに政府の予算提案権に基づいて予算編成の作業をしておったときに、田中大蔵大臣にテーブルをはたいて激論を戦わしたお姿をこの目で見ておりますし、しかもあなたのおっしゃったような事情の中で、とにもかくにも内容についてはきわめて不安定なものがたくさんありますが、長期計画の初年度の予算をこういうふうに出されたということについては、一面においてはあなたに対して尊敬と敬意を払っている。だけれども、当初の、つまりわれわれがかなり長期間この問題について議論をしてきたことからみれば、いまあなたのお答えになったように政府として何らそういうかまえになっていないというところに問題があるということを、私は指摘をしているわけです。こういう論争をこれ以上しておりますと時間がありませんから、まだまだ機会がありますからやめますが、次に移って具体的にあなたに今度は中身で聞きますから、しかもいまあなたはそういう関係には最善の努力を払う。こういうお答えですから伺ってみますけれども、資本勘定並びに工事勘定の関係です。総合計が三千、五百六十七億、こうなっていますね。しかし、これはいずれも借金政策、とりわけここで注目しなければならぬのは、国鉄が借り入れ金等々の返済をしなければならぬ金が四百七十八億、それから予算に計上されていますけれどもトンネル予算がございますね。ここに八十九億の建設公団に出資するやつがありますね。これを差し引きますと、実質的にはことしの場合の工事勘定の経費というものは三千億よりないわけです。そこで問題は長期計画の初年度計画を遂行するにはこれでは足りないからということで、苦肉の策として三百億の予算外負担行為というわけのわからぬ名前でそういうものがつけられているということは、大臣御承知のとおりです。そこでこの三百億というのは大臣御承知のように予算にはないけれども工事契約のできるもの、こういうことでしょう。さて具体的にしからばこの三百億というのは、かなりの金でございますが、予算がないけれども工事契約ができるということですけれども、この三百億を使ってどんな工事をやるのか、これはばく然としていますから工事全体として何千何百億、こうなっているわけですから、どの辺のたとえば、線増に使われるのか、あるいは過密ダイヤ解消に使われるのか、あるいは保安対策費に使われるのか、この点を明らかにまずひとりしてもらいたい。それから去年のようにやや不渡り手形のようなかっこうにならぬように大臣に私ひとつお願いしておきたいように思います。  それからもう一つは問題の、ここにも書いてありますけれども、国鉄の特別債券なるものがございますね。八百億をこえるもの、六百八十何億ですかございますね、この関係一体縁故債であるとか、あるいは利用債、そのほかに六百八十億をこえる膨大な特別債券なるものが、政府でこの予算の中に含まれて、認めたと、こういうことですが、一体これをどういう点で消化させようと運輸大臣は考えているかということなんです。これは明らかにされていませんからね。しかもいま問題になっていますのは、幾ら国鉄が債券を発行してみたって担保が問題になるとぼくは思うんですよ。で、他の関係では、つまり日銀の適格担保に、適格債にされていますね、日銀の担保の適格債にこれがですね。依然として今日提案されていますけれども、大臣どうなんですか。これは大蔵省とそういう折衝を何か国鉄がしたとかしないとかいうことは、ちらっと私は新聞で見ましたが、新聞の真意はわかりませんが、ここにも書いておりますように、指導監督を積極的にしていく、それからいままでの答弁では、あなたは財政的な援助を最大限していくのであるという答弁をしていますからね。こういう関係は一体大蔵大臣と運輸大臣の間に、どこまで話を進めてどういうふうになっているかということを私はいま聞かなければ、とてもじゃないけれども心配で、この予算を各項目別に審議していく気になれませんからね。ですから伺っているわけですがね。
  143. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 最初の国庫債務負担行為の使途については、磯崎副総裁から御答弁を願います。   六百八十八億の大蔵大臣との話し合いの結果については、これは私は再三お話をいたしまして、この間も大蔵大臣との間に大体確約をいたしました。これは日銀引き受け担保と申しますか。とにかく六百八十八億の消化については努力して消化させると、結論はやっぱり日銀担保適格債同様担保適格債にするか、そうでなければ各銀行に話して必ず戻せるということで、この消化に対する心配はないと思います。
  144. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣心配ないという、この委員会でのまあ答弁ですから、ぼくはそれ以上申し上げようとは思いませんけれども、大臣が簡単に考えているようなものじゃないと思うんですよ。かりに日銀の担保適格債になったにしても、引き受ける六百八十億ですか、こういう金というのはかなりの大金ですわね。しかも、この二千億の中に占めるウエートというのは、これまたかなり高いものでしょう。具体的に大臣どうなんですか。これはかりに適格債になったとして、利用債は利用債で市町村自治団体にもかなり利用債というものを、何といいますか、利用してもらっている。その上に、この六百八十億というやつですが、どんなところに引き受けてもらうつもりですか。市中銀行に引き受けをやらすんですか。あるいは利用債と同じように市町村自治団体までに広めて、これを消化していただくという考えを持っているのかどうか、その辺明らかじゃないですからね。
  145. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの吉田先生お話、私からちょっと私ども考え方を先に申し上げて、その次に大臣のお話にいたしていただきたいと思いますが、実は先ほど大臣がおっしゃいました日銀の担保適格債の問題につきましては、実は予算編成当時から私どもといたしましては、いま先生のおっしゃった六百八十八億と、まあ相当巨額なもの、しかも全くそういうことに関係のない、いままで経験のない私どもでございますので、実は非常に危惧の念があったのでございますが、大蔵省としては何とか消化にできるだけの協力をすると、こういうお約束をいただきましたので、一応私どもといたしましても、こういう予算の編成に賛成したわけでございますが、その後実は年があらたまりましてすぐ、総裁並びに私、その他関係者が日銀にもう数回にわたりまして足を運びまして、口銭総裁以下に個々に会って一応頼んだのでございますが、日銀としてはちょうど一月の中旬に、どうしても国鉄の要求に応ずるわけにいかないという正式な、実は口頭ではございますが、拒絶の回答があったわけでございます。それでは私どもといたしましては直接日銀と話をしてもだめだということで、正式に運輸大臣並びに大蔵大臣にお願いいたしました。そして運輸大臣並びに大蔵大臣から、政府として日銀に対していろいろ現在指示をなっていらっしゃるというふうに伺っておりますが、やはり何と申しますか、なかなかむずかしい問題のようで、まだはっきりきょうの段階で、私どもといたしまして日銀の担保適格債あるいはそれと相当する扱いをしていただくということを確約いたしていただいている段階にはなっておりませんが、非常に運輸大臣が御尽力くだすって、大蔵大臣から日銀総裁には正式にお話があったやに承っております。ただ私どもといたしましては、いまの先生の御質問の第二の問題でございますが、結局どこに引き受けてもらうかということが一番大事だと思います。予算書をごらんになりますと、この六百八十八億のほかに利用、縁故債で二百三十億ございます。ちょうど両方で約九百億とにかく国鉄の自力で借金しなければいかぬという予算でございますので、まず利用、縁故債のほうは二百三十億、大体現在では縁故債が百億と利用債百三十億、これは大体例年どおりでございますので、何とか消化できると思っておりますが、いまの六百八十八億の引き受け先でございますが、いろいろ私どもといたしましても苦慮いたしまして、ない知恵をしぼっている最中でございますが、まだどこに幾らということには至っておりませんが、ぼつぼつ話をいたしておりますのはまず縁故債、いま国鉄共済組合の負担しておりますもの、これにあと五十億ぐらい職員の貯金その他をふやして、そしてあと五十億くらい持ってもらえないかというような問題、それからちょっと先生お触れになりましたが、いわゆるいままでの利用債のほかにもう少し利用債を拡大したような角度でやはり市町村に持っていただく。たとえば複線化であるとか、あるいは幹線の電化であるとかいうことについても利用債を市町村に相当持っていただくというような方法、それからもう一つは、国鉄との関係の深いたとえば車両メーカーだとか、あるいは資材の納入をしておる富士、八幡をはじめといたしましての日本の一流の業界、あるいは土木建築関係、こういった業界にはある程度持ってもらいたいというお話もぼつぼついたしておりますが、いずれの相手方にいたしましても、結局先ほど大臣おっしゃいましたように、その会社が金を払うわけではございませんので、結局会社においてはその債券を担保にして銀行から金を借りなくちゃいかぬ。そうすると結局銀行はその担保にとった債券が日銀との関係で利用できなければ困るということで、やはり現在私どもの持っております狭い金融知識から申しますれば、どうしても日銀の担保適格債になることが、結局全体の消化に非常に直接関係があるというふうに思わざるを得ないわけでございまして、その点いま折衝いたしております面におきましても、日銀がとってくれるならば、銀行に引き受けてもらいやすいというような話でございますし、私どもといたしましてはもうこういうことはことし一年だというようなことでもって、ことし一年限りのひとつ無理だが応じてもらいたいということと、もう一つはできるだけ発行条件もよくいたしまして、いまの利用債のように六分七厘などという利子では、これはとても問題になりませんので、せめて七分二厘以上の利子で極力償還期限も短くする、こういうようないい条件をいま大蔵省と折衝いたしまして、何とかこういういい条件のもとにしかも日銀の担保にとってもらうということを前提といたしますれば、全額は非常にむずかしいまでも、全額に近いものまではそれこそ何とか私どもの努力で消化しなければならないと思っておりますが、何と申しましても、基礎はほんとうに日銀が担保にとるかとらないかが一番の問題である。その点につきまして非常に大臣も御苦労していただきましたが、いままでのいきさつ並びに私どもの予定いたしております引き受け先は大体そういうところでございます。ただやはりこういうことを申しますと、非常に何かひもがつくようないやらしい感じがないわけでもないわけでございます。その点はたとえば土建屋に金を持たせたために、その土建屋に発注しなければならぬという妙な派生的な悪い問題が起きてもいけないというように思いまして、そういう点もないように会計検査院とも十分連絡いたしまして、この債券を持つことと業者が仕事をすることとは一応切り離すということもぜひ注意してまいりたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、全く金融関係にしろうとな私どもがこういうことをいたしますので、非常に今後とも政府御当局並びに国会のいろいろな御指示を賜りたいと思いますが、いままでの経過は大体そういうところでございます。
  146. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、この答弁でいいですか。いま副総裁からかなり詳細な答弁がありましたがね、私どもしろうとの考えですがね、適格債にしてやはりこの際は金融機関の引き受けにするのが第一義的じゃないか、それから第二義的には国鉄は、これはまた、平常日本農業政策のあり方から、輸送する場合に特別の割り引き運賃等々を制定して協力をしているはずなんです。この農業関係では、農業団体の農協がもはや日本の独占資本のような成長ぶりをかなりしていますしね。先般も私農林水産委員会で北海道の冷害の問題で、農協の貯金高を調査してみました。相当なものです。ですからいまの答弁では、従前の利用債から見ますと利率も若干高い、こういうことであれば、ぼくはやはり積極的に農業団体等々にも、今度の特別債券というものを引き受けをしていただく、こういう面もあるんじゃないかと思うんですね。それから地方自治団体に従前の利用債をやや拡大をして引き受けていただく、こういうお話もございましたが、これは、副総裁、この特別債券のほかに利用債というのがあるわけですから、なかなか私は無理だと思います。なぜかならば、地方自治団体の財政というのは、副総裁、あなたが考えるように豊かなものじゃないですよ。もう疲弊こんぱいして、もはや成り立たないし、何といいますか、全国的にはそういう傾向も出てきているということは、自治省あたりの統計を見たって明らかになっているように。ですから特別交付金を政府に割り当てを拡大してもらいたいなどというものがしきりにあるわけですね。したがってこれ以上地方公共団体、自治団体に国鉄の利用債を引き受けてもらうというやり方は、私は、ことばは悪いですけれども、愚の骨頂だと思う、こういう策はね。したがって冒頭に運輸大臣に質問している意味は、当然政府がこの際は責任をもって積極的に、せっかく曲がりなりにも、不安定だけれどもこういう予算編成したとすれば、その責任上、責任を果たしてもらわなければならぬのじゃないか。その責任を果たす最小限度のとりあえずのものは何かというと、日銀は政府機関ですから、これは運輸大臣も先般この予算編成に当たって大蔵大臣とのやりとりの気がまえで、意欲でやったらぼくは担保の適格債ぐらいは、そうさしてむずかしい問題ではないかと思う。まあしかし、そういう金融関係についてはぼくもしろうとでありますから、とやかく言いませんけれども、私は少なくとも松浦運輸大臣にこの責任を果たしてもらいたいと思うのですがね。
  147. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) まあ新線建設のほうの公団の関係もありますけれども、この六百八十八億は旧中大蔵大臣との間で確約をいたしておりますから、まあいまの動きは鈍いかもしれませんが、これは必ず私はものにしなければならない、またその責任がある、そう感じております。
  148. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣からそういう御答弁いただきましたから、これ以上申し上げません。  そこで、来年の話をしますと鬼が笑うという何かことわざみたいなものがありますがね、いま国鉄の副総裁の答弁の中にも出てまいりましたが、こうした債券をお願いするのは今年限りである、来年はそういうお願いはしないのである、こういい言い方に聞こえたのですね、そうあって私はたいへんけっこうなことと思うがね。一体今日の国鉄の、大臣も言ったように財政の全体をしさいに検討して見ると、大臣は、列車は脱線しないけれども財政は脱線していると極言をしましたが、来年は中期計画の二年度に当たる、来年は大体五千億ぐらいなければならないんじゃないですか、この計画を遂行するにあたっては。そういう金が、一体副総裁がおっしゃったように、他の機関からお願いを求めなくてもいいということに好転する見通しがありますか。大臣は積極的な運賃値上げ論者であるが、たまたま幸いにこの問題が、総理大臣のツルの一声で運賃値下げがふっ飛んでいきましたから、私とあなたと論争する機会がなくて残念に思っておりますが、先ほど来大臣がいろいろなことを言っておることの中に、一つ心配がある。この問題が他の機関にそういう財政援助を求めないとするならば、一体今日の国鉄の、つまり経営面で、来年度二年度目に五千億に近いような金が調達できるかどうかということですね。大臣は政府で責任もってやるということですから、それで安心しろとい言われればそれまでのことですが、どうですか。財政上の見通しですよ。
  149. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) まあいままでの計画は三千七百億を四年、五千億を三年、合計二兆九千七百二十億というような概算腹づもりでやってきたのです。それであのときの折衝三千七百億何とかしてくれなければならないと言ってずいぶん迫ったのですが、まあそう言うなりにはならないということで、いろいろ話をしまして、三千三百億何とかしようということで成立をしたわけでございますが、ことしの四百億が来年の三千七百億に加われば、四千百億ということに来年度はつくらなければならぬ、そうしなければ七カ年計画ができないことになりますが、まあそのときの財政計画によらなければならないし、やはり先ほどからお話の中期計画の見通しの関係も、第二年度としての問題もありますから、それらを勘案して財政当局と十分相談をし、また工事当局の国鉄側とも相談をいたしまして、最善の努力をする考えであります。
  150. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ぜひ運輸大臣は何回も留任して、この計画が遂行できるまで、私は運輸大臣やっていただきたいというように思うのですね。  そこで、ちょっとこまかな問題になりますが、国鉄側に質問しますけれども、損益勘定の中で、当然独採制をとっていますから、ほとんどが運輸収入になると思います。で、運輸収入の中でも旅客収入が前年度と対比して五百六十七億増になっています。それからまあ、東海道の新幹線が営業を開始していますから、その関係の収益は、当初予定したより非常に好成績であるということを聞いております。非常にこれ喜ばしいことだと思うのですが、その面があったにしても、五百六十七億の増収というのはたいへんなものだと思うのです。ここに今日、国鉄が幾多の問題をかかえて、合理化であるとか、近代化であるとか、人減らしであるとか、機械化等々やってきましたが、もう限度があると思う、私は。こういうものについては、幸いその要員関係についても、この問題とは別に、副総裁は、先ほど減らすなどということじゃなくて、むしろ積極的にふやしていかなきゃならぬ、こういうように大倉同僚委員に答えておりましたから、その点に私は言及しませんけれども、とにもかくにも、五百六十七億も増収をあげなきゃならぬということは、石田総裁以下五十数万の全職員の肩にかかってくる荷物というものは、私は想像以上のものがあると思う。異常の努力をしなければ、この増収はあげられないと思う。ですから私は、収入面でかなり無理な予算を組んでいやせぬかという気が、直感ですがね、するんですがね。こういう点一体どうでございますか。時間がありませんから、立ったついでに二問目に移りますが、その結果、先ほど来の答弁で、ややその心配はなくなったようだけれども、やはり私は目一ぱいの収入見積もりを立てた限りにおいては、その収入を確保するために積極的にいやおうなしに利潤追求をしていかなきゃならぬと思いのですよ。そのはね返りが一体どこにくるかというと、一面においては労働過重ですよ。現状、あなたが人をふやしていかなきゃならぬと言ってみたって、今度ふやすのはあなた方の努力によりまして若干ふえることになりましたが、職員側が要求しておる要員から見ますと、ほど遠いでしょう。そうしますと、勢いはね返りが労働過重になってきます。それからもう一つには、労働条件が低下する。かなりそういう面から、現状、副総裁も知っておるように、五十二時間働いているわけですからね。基準法などというものじゃないのですから、国鉄の職員の労働時間というものは。それにこうした目盛り一ぱいの運輸収入を見込んで、この収入をあげるためにいろいろ作業をするということになると、必然的に私はそこにしわ寄せがいくと思う。もう一つには、物件費等の節約はいいですよ。大いにやるべきだと思うが、一両今度は輸送量増強という大柱を立ててあるわけですから、この関係の仕事をよくしていくということになると、どういう結果が出るかというと、これはおのずから火を見るよりも明らかだと思う。より以上の、私はまた合理化とか近代化、そういうものが、あなた方はこの国会ではまことに調子のいい答弁をしますけれども、末端の職場へ行ってごらんなさい、そういうかっこうになっていませんよ。見るにたえない過酷な労働条件に置かれているわけですから、こういう点はいささかもこの予算を編成していないものと思う。一体どうですか。これは副総裁、この二つだけ答えてください。
  151. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問、非常に私どもといたしましても、実は一番来年度予算の問題点だと存じております。で、まず第一の点でございますけれども、ことに最近の景気を反映いたしまして、貨物輸送の伸びが非常に悪いということは、国鉄にとりまして非常に痛い問題の一つでございます。したがいまして、この予算書でもごらんのとおり、貨物輸送収入の増加はほとんど横ばいということになっております。年間三十二億でございますから、総額二千二百億に対して三十二億で、ほとんど横ばいということになりますので、結局相当な収入源を旅客輸送に求めざるを得ないということになります。お説のとおり、五百六十七億でございますので、ことしの予算と比較いたしますと、約一五%くらいの増収をしなければならないという相当の数字になっております。これを一応数字的に申し上げますと、輸送最、これは先ほど先生の大臣への御質問で輸送量をどういうふうに見ているかというお話がございましたが、私どもといたしましては、いろいろ経済企画庁の数字を使いまして、結局来年度の旅客輸送量は約一〇%伸びる、九・何%でございますから。人キロにおきまして約一割前後伸びるということを前提にいたしております。貨物のほうは、先ほど申し上げましたとおの、ほとんど横ばい、運賃収入のほうは、毎年の足の伸びを見まして、普通運賃、いわゆる料金以外の運賃では大体横ばい程度、あまりたいした伸びがないということになりますと、ある程度新幹線、並びに、いわゆる普通の急行、準急料金等で相当な大幅な収入をあげなければいけないというふうに考えます。実はことしの予算も、対前年度比六百億くらいの増収予算を見込んでおりましたが、幸い新幹線の関係その他がわりあい好調でございましたので、どうやらこうやら収入見込みに達するだろうというふうに考えております。もちろんこれから雪でも降りますと、少し落ちますが、大体ことしの予算も消化できるというふうな見込みでございますが、来年度につきましては、いろんな知恵を出しましてこの収入を確保しなければいけない、それがしかも、輸送力の面におきましても、線路、単向、あるいは先生のおっしゃった人の頭数の面におきましても、限度一ぱいに近いということも確かに事実でございます。したがって、その間に処してこれだけの膨大な収入をあげる、この収入があがらなければほとんど減価償却できないということになっております。したがいまして、何とか収入をあげなければいけないということで、あらゆる知恵をしぼってやってまいりたいと思っておりますが、一方、ことに労働問題の面におきましては、ほとんど無理のしどおしで、今日まできていると率直に実は思っておりますので、ことし頭数の面におきましては、過去十数年間の不文律を破りまして、全体の損益勘定だけで六千四百人の増員をお願いしまして大蔵省に聞いてもらったのですが、それなども今後働いてもらうかてといたしまして、全職員あげてこの目標達成に努力いたしたいと思っておりますが、幸い、実は検査院等からもおしかりを受けたのでございますが、車両等はほとんど債務負担行為で、前年度に、三十九年度中に四十年度予算の相当部分をつくったと申しますか、発注だけいたしております。したがいまして、平年度予算で申しますと、大体その予算の車両は稼働しますが、秋になりますが、とてもそういったやり方ではだめだということで、ことしは実は千二百億の債務負担行為がございますので、ほとんど日一ぱい車両会社に発注だけいたしまして――金は払っておりません、発注だけいたしまして、そして車両の稼働もなるべく年度初めからするということも考えましたし、また幸い、第二次五カ年計画、これは四カ年間で一応打ち切りまして、第二次五カ年計画の一応成果と申しますか、がある程度あがっております。複線化にいたしましても、電化にいたしましても、ある程度進捗いたしております。これらを大きなかてといたしまして、あらゆる努力を払って、この収入の確保につとめてまいりたいと考えております。  一方、支出の面で申しますと、いままで先生のおっしゃったとおり、下部の末端を締めましてずいぶん無理もさしておりましたが、たとえば修繕費等の面におきましても、もう限度一ぱいというふうに考えますので、まあ経営費につきましては、人件費以外はだいぶ従来よりは実情に即した予算を組めたというふうに実は思っておりますが、やはり一番問題は、今後来たるベきベース・アップの問題等がまたいつどういう形で動くかわかりません。そういう問題などを考えますと、支出の面がはたして今後どうなるかということにつきましても非常にいろいろ問題がございます。したがって、そういう収入の確保、支出の今後の増加の趨勢等を十分検討いたしまして、極力この予算でやれるところまでやってまいりたいというふうに考えておりますが、何と申しましても、ことしの予算は、もうごらんのとおりほんとうにぎりぎり一ぱいの予算でございまして、私どもも決死の覚悟でこの予算の遂行には当たってまいりたいというふうに思っておりますが、必要以上のと申しますか、不当なしわを労働条件あるいは勤務形態等に寄せるというようなことによっての無理な収入確保は、極力、できるだけ避けたいということを頭に置きながら、予算の遂行に万全を期してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  152. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 予算の関係については、努力しなければこれは全く絵にかいたぼたもちになってしまうと思うんですが、一般会計は別として、長期計画の先行きは、計画が全くの初年度において私は挫折をすると思いますが、もとより努力をしていただくし、われわれもできる限りその範囲内で協力しなければならぬと思っているわけです。したがって、そういう面から今度派生してくる保安対策の関係でございますけれども、これには全くほんの一行ぐらいの文章で、踏切及び信号保安施設の改良、諸施設の取りかえ及び改良並びに車両の云々、こうして八百八十四億組んでおりますが、おそらく予算要求をするにあたって細部の取りかえ工事、あるいは改良工事、あるいは信号灯等の諸工事の計画がうらはらの関係としてなされていると思うんです。きょうは時間がありませんから、次回にこの関係をやりますので、この関係の個所づけの関係ですね、上項目別個所づけの関係で私は資料を提示してもらいたいと思います。  それとあわせてこの輸送量の増強計画、幹線輸送、ここには中央線がどうであるとか、奥羽本線がどうであるとか、函館本線がどうであるとか、羽越本線がどうであるとか書いておりますけれども、それだけでは、私どもとしてはこの予算審議はあたってそろばんはじくわけにはまいりません。ですからこの関係の、つまり函館本線であればどことどこの区間を複線にするとか、あるいはどの線区を線増するのかというようなことが出てきますから、そういう関係工事計画と、やはりかかる所要経費を出したものを私は資料として出していただきたいと思うんです。  それからその次に、通勤通学の輸送緩和、これがどうも提案理由では大都市ということが銘打たれていますね。これは大臣に聞くんですよ。大都市という定義ですが、これは一体どこらあたりの都市が大都市であるか。まあ概念としては東京大都市に当てはまるですね。大阪も。しかし最近、あなた方御承知のように、池田さんのやり方がいいとか思いとかいう問題は別問題として、公共政策の結果一体どういう現象があらわれているかというと、つまり一般常識でいわれる中都市にまでこうした問題が矛盾として露呈してきているわけです。ですから私は、この問題を、初年度であるからやむを得ぬかもしらぬが、大都市だけに力点を置いた通勤緩和、過密ダイヤの解消ということには必ずしも私は賛成できかねる。私は、公共政策のひずみを是正する今度の長期経済政策なるものを立てたやはり考え方に立って、できるだけ中央、地方を問わず、そういう現象の起きておるものは逐次優先的に扱っていくというような考え方に立たなければ、この長期計画というものは、ただ単に、つまりこの政府の方針に従って国鉄がいまやらんとするものに対する財政的な、つまり金の裏打ちをさせるための便法に使っているという以外に国民の目には映らないんです。これは、こういう点に対して大臣はどう考えているか、この関係
  153. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、大都市その他の分け方は私のほうでやっておりますので、私から御答弁申し上げます。実は、ちょっとことばが変なんでございますけれども、一応大都市と申しますのは、ただ通勤輸送改善という項目で前からやっておりますのは、東京、大阪だけをその範囲に入れておりまして、あとのほうは全部幹線輸送のほうに入っているわけでございます。したがって、たとえば仙骨付近の通勤輸送の問題、あるいは北九州の通勤輸送、あるいは札幌付近の通勤輸送は、みなその地区の改良あるいはその地方の幹線輸送、力の増強、つまり複線化ということでもってやっておりまして、私どものほうの予算の分け方で通勤輸送という場合には、単に東京、大阪だけしか入っていないというやり方で、このやり方には多少問題があると思いますが、そういう意味で、東京、大阪以外をやらないという意味でなしに、東京、大阪以外は、先ほど御要求の資料をごらんくださいますとわかりますが、主として幹線輸送力の増強ということで、いわゆる先生のおっしゃった中都市付近の複線化、あるいは電化ということで通勤列車をふやし、あるいは車の編成を長くするということ等によりまして、中都市付近の通勤輸送の緩和をやってまいりたい。ただ予算の分け方でもって、たまたま東京、大阪だけを通勤輸送という名前に入れておるのは、非常に誤解を招きますが、そういう意味で、決して中都市、大阪、東京以外の通勤を全然無視しているわけでもございませんで、これは幹線輸送力の増強、それから、その地区の改良という中に含んでおりますので、その点御了承いただきたいと思います。
  154. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 わかりました。  そうしますと、それに関連しまして、先ほど旅客収入の面について申し上げましたが、貨物収入については、あまりこれは増になっていませんから申し上げませんが、先ほど副総裁が答弁をしたように、かなり総裁以下全職員が精力的に努力して収益をあげなければならぬという計画がこの中から出てきますけれども、さて、その出てきた場合に、今度過密ダイヤとの関係でどうなるかということなんですがね。非常に私は心配しているのですがね。あなた方がいま申しましたように、過密ダイヤを、中都市まで含めて線増して、あるいは車両編成等々のことも考慮して緩和をしたい、こう言っていますけれども、そうしますと、一面においては、金がかかる面は予算にありますからいいとしても、この五百六十七億の収入をあげなければならぬということになってきますと、支社をあなた方叱咤激励をして、支社長は局長を叱咤激励をして、ローカルにおけるダイヤというものは、年々歳々ダイヤ改正をするたびに、たいへんなダイヤが増大をしているということは御承知おきだと思うのです、現実に。たとえば北海道でも札幌周辺であるとか、あるいは道東では帯広周辺、釧路周辺ですね、ここらあたりのダイヤの密度というものは、私ども現状の施設ではもう限度だと思っております。たとえば札幌の苗穂――札幌間などというのは、すでに四分ヘッドです。そんな設備になっておりませんよ、本来。ですから、おそらく今度改良すると、こういうでしょう、この計画では。だからそれは解消するのであるとこう言っても、私はそれだけでは、はい、そうですか、ということは納得いかない。なぜかならば、先ほども言ったように、十月一日のダイヤ改正のたびごとにダイヤの密度というものは高まっていることは、これは間違いない。どこの局でもそうです。これと関連づけてあなた方はどう地方局に対して中央が指導しようとしているか、この方針を私は聞かしていただかないと、これはここに柱として過密ダイヤの解消と書いたって、お題目にすぎないということになってきますから、こういう点をひとつ聞いておきたい。
  155. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は御心配ごもっともでございます。ただ、私どもといたしましても、結局これ以上の旅客収入をあげますには、商売道具の列車がふえなければ、結局お客さんをぎゅう詰めにしなければいけないので、とてもこれ以上ぎゅう詰めにできないということになれば、どうしても列車をふやさざるを得ない。ほっておいてもふやさざるを得ない。ふやせば、先生のおっしゃるように過密ダイヤになるということで、実はことしの秋のダイヤ改正につきましては、いままで第二次計上画でやりました複線化のできたこと、あるいは車両のふえたことを総合的に勘案いたしまして、場所によってはある程度スピードを落としてもやむを得ないということで、たとえば夜行列車の一番たくさん入っております山陽線につきましては、旅客も貨物もいわゆるネット・ダイヤにして追い越しをやめる、それによって多少なりとも列車の本数をふやす、線路容量をふやす、こういうやり方も山陽線についてはやらざるを得ない、こうなってきておりますが、これも貨物ダイヤを緩和しつつ、しかも輸送力をふやす、そのかわり殿さま列車はなくなります。旅客も貨物も同じスピードで走りますが、その結果、新聞の輸送、その他にいろいろ派生問題が起きて困っておりますが、そういうものによりまして、ある程度いままでと違った角度から線路を使うことを考えることが一つと、それからもう一つは、おかげさまでここ二年ほど保安対策の面に真剣に金をつぎ込んでまいりました。たとえば三十九年度決算から、――もうそろそろ決算ができますが、決算から申しましても、二百三十億くらいの金をつぎ込みまして、三十八年度が百七億でございます。それまでは大体四、五十億しか入れておりませんでしたのが、四、五倍の金を入れまして、とにかく自動信号の問題、車内警報の問題、自動列車停止装置の問題、そういうことに重点を置きまして金を入れましたために、ある程度保安度は上がってきたというように考えていいというふうに考えます。それらを総合的に考えまして、決して無理な、人間の注意力だけでやる過密ダイヤは絶対、私ども身にしみてこたえておりますので、そういうことでなしに、いわゆる科学的な保安の裏づけのあるダイヤの作成ということでいろいろな角度から現在苦労しております。したがいまして、いま以上全然入らない線区も実はございます。あるいは場合によっては、時期的にある程度貨物列車をやめても、土曜、日曜は旅客列車を動かすというこまかい作業もやがてやらなければならないということも考えておりますが、いろいろなことを総合いたしまして、いままで数年間第二次五カ年計画としてやりました。投資の実績を基礎として、今度の列車ダイヤの編成につきましては、東京といわず地方といわず、無理なダイヤを組んで、無理な輸送をするということは、私ども自身の自衛上の立場からもぜひやめたいというふうに考えておるわけであります。
  156. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次に、電化、電車化についてちょっと伺っておきたい。これは大臣のほうが早いと思います。長期計画としていろいろ努力されて、国鉄と話をしたのでありますが、この予算を見ますと、個所的に全然わかっておりませんが、金にして百六十五億です、電化、電車化というのは。たいした金ではない。電化、電車化というのは金がかからない工事ですから、それでもかなり電化は進むと思いますが、大臣、ぼくは中央のみ、あるいは東北線の電化とか、こんなところばかり電化しても意味がないと思うんですね。そこで北海道でもかなり電化の問題が住民あるいは国鉄内部にもあって、電化してより経営効率を高めようという動きがあることを、私ども北海道住民ですからよく知っておるわけです。先般北海道の運輸事情の視察に参りました運輸大臣の新聞記者会見を私は新聞で拝見しましたが、大臣在職中に何とか北海道の電化に手をつけたいという意味の談話が出ておりましたが、これは今度の予算の中に入っていないと思うんです。長期計画の中でこれはどうなんですか、入っていますか入っていまませんか。これが一つですよ。  それからもう一つは、つまり都市集中の悪現象から、先ほどもちょっと触れましたが、設備がまだ伴っておりませんが、四分ヘッドくらいで各列車が走っておるというのが札幌周辺です。札幌は間もなく百万都市になると思います。しかも、北海道の道央の新産都市にも指定されておりますから、今度の佐藤内閣の方向がよしあしにつけて、新産都市にもかなり政策的に施策を施すという段階が私はくると思うんです。そうなれば当然札幌は、何といたしましても北海道の中心ですから、政治、経済、文化の中心地でありますから、いやおうなしに人目が増大してくることは火を見るよりも明らかです。それに伴って輸送力がどうなるかということが一つ出てきますし、それからもう一つは、四種踏切の問題をどうするか、これは今度の柱の安全運転をするための保安問題ともからんできます、こういう関係ですね。あれやこれやを考えて、しかも、百万都市になるとすれば、当然都市計画の問題が出てきますから、住民としても重大関心を持たなければならない。そういう事柄が総合的にいろいろ検討されて、もはや札幌の場合は、あのまま放置をしておくということになりますと、必ず鶴見や、あるいは三河島のような大事故が発生しないとはだれも保証できない。現にこの間付近の四種踏切でありましたね。もとよりあれは国鉄の責任じゃない、レールの上に、無免許で資格のない者が運転してエンストを起こして衝突したわけですから国鉄の責任ではないけれども、ああした事故が起き得る可能性が客観的に周囲にございます。こういう事柄がいろいろ心配されて、この際高架にすべきだという話が政治的にも行政的にも住民感情としても出てきました。先般、北海道知事あるいは札幌市長か、だれが音頭をとったか別として、国鉄側でもその相談に乗っておるようですが、私はできるだけすみやかに、この予算にあるなしにかかわらず、やはり長期展望に立って、長期計画ですから、こうしたものも織り込んでやらなければ、北海道の輸送量増強などといっても、何としてもいま北海道全体の産業、経済の開発の中心というのは札幌周辺になってくるわけですから、やらなければならぬのじゃないか。あわせて御承知のように、大臣も北海道ですが、北海道開発というのは、資源はどこにあるかといえば、大体道東ですよ。あなたの選挙区です。非常に北海道の開発をしていかなければならぬ、しかも資源の豊富なところは。そういうところは北海道の第二期の総合開発計画というものを進めておりますから、それと並行して当然輸送量の問題が問題になってきます。そういったものを見込んで、国鉄はすでに構内改良、つまり、ヤードの改良を、札幌周辺、琴似、手稲かどこかに車両操車場を設けるという計画が、もう初年度に出ていますね。もう一つ、旭川に一つ出ていますが、問題はやはり、札幌と旭川はわずか二時間三十分ぐらいで行けるのですから、こういう近距離の中でさえ、そういう問題が起きているのですが、私は、それ以外に、道東にやはり、そうしたものを何年度目にやるということは別として、この長期計画の中では織り込んでいかなければならぬ問題があると思う。これはあなた方、現地の管理者を通して、すでにそういう点は情報なり、あるいは状況の検討を加えていると私は思うけれども、これから、運輸大臣も御承知のように、道東のそういうものを、立地的な条件等々を勘案してみると、私は、釧路がいいとか、池田がいいとか、帯広がいいとか等々いうことはまだ早計だと思うけれども、端的に立地条件を北海道人として見て、北海道の総合開発と並行さして、国鉄の輸送力を増強して輸送基盤を強化するということであれば、帯広しかないと思う、端的に言って。こういう点、国鉄がどういう展望を持っているか。それから運輸大臣として、長期計画を策定するにあたって、いわゆる札幌、旭川はすでに着工していますから別として、道央の経済開発に合致するような国鉄の設備をするとすれば、どういう考えを持っているかということを、この際、聞かしていただきたいと私は思うのです。
  157. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 最近における北海道の発展並びに今後の急激な発展の見込みをいろいろの角度から、私のほうだけの数字でなしに、道庁あるいはその他北海道の関係団体から、いろいろ旅客、貨物の数学をいただきまして、北海道の総合開発計画に伴う鉄道の輸送力整備計画を立てているわけでございますが、御承知のとおり、何と申しましても、道路予算の十分の一ぐらいしか、いままで北海道に投資していない。年間五百億ぐらいの投資だそうでございますが、私のほうは五、六十億ぐらいしか北海道に金を入れてないということで、最近、道路の状態鉄道状態では、北海道では非常に大きな差がついてきたということは事実でございまして、ある意味で、逆に鉄道のお客さんが道路に相当食われつつあるということも、場所によってはあるようでございます。しかし、これは鉄瓶の改良がおくれ、発達のテンポがおそかったためにこういうことになったというふうに考えまして、今度の長期計画には、いまおっしゃた小樽、札幌、室蘭、苫小牧、これだけの北海道のまん中の地域をまず重点的に電化するということにいたしまして、すでにその一部に取りかかっているわけでございます。  しかし、当然、いまおっしゃた釧路、帯広等の道東地区――これは海上輸送の問題もございますけれども、やはり陸上輸送の問題も相当大きな問題になる。それにはまず、何と申しましても、例の狩勝の輸送力の隘路を打開することが第一だということで、私のほうから建設公団に、最重要路線の一つといたしまして、狩勝のショートカットの線路の建設を依頼しておりますし、まず道東と道央との連絡、道のかなめも、いまのようなあんな細い連絡をしておっては因るということで、それに重点を置いて道央のほうの今後の発展に力を入れていきたいと思っておりますが、さしあたり、今度のこの長期計画におきましては、道東地帯よりも、道東と道央の連絡をうんとよくするということに最重点を置いて、その次に道東地帯の開発というふうに進んでいってはいかがかというような考え方を持っております。
  158. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 北海道の問題につきましては、いま副総裁が述べられましたが、この間、私は四国、和歌山、その他名古屋、清水等、港湾関係の視察に参りましたときに、いずれもやはり今度の長期計画に対する陳情を受けまして、それは北海道も同じでありますが、明治時代に鉄道をつけるときに、操車場であるとか、ヤードであるとか、あるいは貨物倉庫であるとかというようなものをつくらなければならぬものですから、普通の繁華街というか、メーンストリートというか、そういうところよりも、長いところでは一キロ近く、短いところでは五百メートル近く本通りから離れたところに鉄道を通した、そのほうが地価も安かったのです。ところが、だんだんと停車場がまん中になってしまった。裏も表もなくなってしまったのです。いま御指摘になりました札幌のごときは、前のほうよりも後のほうの入口のほうが人口が多くなったというようなことになって、それで、内部から表通りまで全部高架にしなければならぬ。立体交差を各通りにやるとすれば、たいへん金がかかるというようなことが、どこへ行ってもあるのです。今度やっぱり長期計画の中に――これなんかは十分調べておりませんからわかりませんけれども、この希望だけはいれなければ、人命尊重の面において完ぺきを期することができないと思うのです。そうすれば、従来の道路はそのまま生きて、上を汽車が通り、それで、汽車の通らぬところは、倉庫でも何でもなるわけですから、戦後の東京駅のようなふうに全部やっぱりしなければならないのじゃないか。  いまの旭川も同様です。帯広も同様です。いまでは停車場が町のまん中になってしまったのです。それで、前の入口と後の入口になったわけですから、そうすると、この問題は、ここで申し上げるのはおかしいのですが、増原さんとも相談しなければなりませんけれども、私は北海道の議員として考えるならば、いま仰せになりましたが、道路費を相当もらっているわけなんです。それで、立体交差の大きなのは、帯広に一カ所、札幌に一カ所できた。それで、開発費の中から一部出し、鉄道のほうからも出して、出し合ってつくっておりますから、北海道の分については、そういう開発計画があるものですから、ひとつ副総裁のほうで、北海道の開発局のほうの人々と相談されまして、それで、こっちからのみ負担しなくても、北海道にはやっぱりそのほうの開発計画があるものですから、それと相談して、総合的な計画をお立てになることがいいのではないか。  現在、私行きましたときに、知事から札幌のほうの話は聞きました。旭川のほうは大体話がついて、向こうの負担の範囲によっては考えることになっておりますが、市のほうの負担がなかなかむずかしいのです。そういうものも開発庁にも持たすべきではないかということも考えてきたのですが、これは一つの町、一つの町で相談することでなくて、国鉄、運輸省開発庁、建設省というようなところで、ひとつ次官クラスのところで練ってもらったらどうだというようなことを考えております。
  159. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 電化の問題は。あなたこの間、地方へ行って演説した電化の問題は。
  160. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 電化の問題は、本年度に入っておりませんが、長期計画には入れます。
  161. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いつごろからやりますか。
  162. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) やっぱり札幌のほうをきめてからしたいと思っておりますが、これは私の主張で一というのは、低品位の石炭を汽車で運んでは引き合いませんが、山元で加工してスラリー方式で運ばせまして、そうして、すぐ鉄道に入れれば、輸送距離が短いからロスも少ないのです。だから、そういう方面における現在の埋蔵量は日本一なんです。あの低品位のものを、ドイツでやっておるような粉炭にして、重油をたくようなやり方のボイラーがありますから、山元でやれば、いまつぶれかけておる石炭山を生かすことはできるのじゃないか。一石工鳥だと思うのです、北海道の電化は。
  163. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 もう時間もかなり経過していますから、明後日の委員会で私は質問を続行することを委員長に申し上げまして、きょうのところはこれで終わります。  ただ、政府が国鉄に、歴史的に見て投資しないと同じように、国鉄の場合は、今度は、北海道あるいは九州の南の果て、鹿児島のほう、こうしたところが非常に投資率が少ないのです。従来は。ですから、いまいろいろ大臣から答えられた点、それから副総裁が答えた点を十分精査して、今年度からさようなことのないように、思い切ったやっぱり北海道の投資をしていただくことを申し添えてきょうの質問を終わります。
  164. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言もなければ、本件についての調査は、本日はこの程度といたします。  次回は二月十一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会