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1965-02-23 第48回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十三日(火曜日)    午前十時十五分開議  出席分科委員    主査 中野 四郎君       大平 正芳君    小坂善太郎君       登坂重次郎君    岡田 春夫君       田口 誠治君    横路 節雄君       加藤  進君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小泉 純也君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官  志賀 清二君         防衛庁参事官         (長官官房長) 小幡 久男君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  島田  豊君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         防衛庁参事官         (衛生局長)  軽部彌生一君         防衛庁参事官         (経理局長)  大村 筆雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  國井  眞君         防衛施設庁長官 小野  裕君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部会計課長) 大浜 用正君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   渡部  信君         大蔵事務官         (国有財産局国         有財産第二課         長)      村田  博君     ————————————— 二月二十三日  分科員石田宥全君及び加藤進委員辞任につ  き、その補欠として田口誠治君及び谷口善太郎  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員田口誠治委員辞任につき、その補欠と  して石田宥全君委員長指名分科員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算防衛庁所管      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十年度一般会計予算中、防衛庁所管を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)分科員 具体的な質問に入る前に、まず最初にお伺いいたしたいと思いますることは、第二次防衛計画にのっとっていろいろ今年度予算編成がなされておりまするが、この予算内容計画内容年次ごと比較をいたしてみますると、あまり計画性がなくて、そのときの勢いで予算をよけい獲得をしたり、あるいは獲得をしなかったりというような印象を受けるわけなんですが、一応ここで第二次防衛計画にのっとっての予算獲得、それから今後の見通しを年次ごとにどういうようにされるつもりであるか、一応承りたいと思います。
  4. 小泉純也

    小泉国務大臣 第二次防衛力整備計画は、ほぼ予定どおり順調に進捗をいたしておるのでございまして、陸上自衛隊につきましては、五方面隊十三個師団の編成は、すでに昭和三十七年度に完了をいたしましたし、また海上自衛隊については、艦艇は約十三万五千トンとなり、航空自衛隊については全天候性戦闘機部隊十一隊、その他の飛行部隊十二隊、計二十三隊というふうにおおむね順調な進捗を見ておるのでございます。  なお、これが年次における予算関係等のことにつきましては、政府委員のほうから詳しく答弁をいたさせます。
  5. 海原治

    海原政府委員 二次計画予定いたしました各年度予算の見積もりと実際の成立予算との関係において現状がどうなっておるのか、こういう趣旨の御質問と思いますので、二、三例をあげて申してみます。  昭和三十七年度につきましては、二次計画では、防衛庁費でございますが、一応千九百五十七億というものを見積もっております。これが実際には二千四十億に相なっております。三十八年度につきましては、防衛庁費は二次計画では二千百六十五億、これが二千三百五十四億になっております。三十九年度、本年度におきましては、二千三百八十七億と見積もっておりましたものが二千六百十三億、来年度、現在御審議を願っております四十年度予算につきましては、二次計画では一応二千四百六十九億という推定をしておりましたものが二千八百五十億、こういうかっこうでございます。  詳しい内容につきまして御説明いたしますかわりに、大体の傾向を申し上げてみますと、御存じのように、二次計画では人件費の大幅なベ−スアップというものは見込んでおりません。したがいまして、その後数回にわたりまして給与の引き上げがございました。この関係費用がふえておりますことが一つでございます、それから二次計画と比べまして減っております点は、たとえば陸上自衛隊におきまして、先生御存じのように、充足率というものが非常に低くなっております。この面からくる減がございます。さらには、先ほど大臣がほぼ順調にとおっしゃいましたこのほぼということの中には、たとえば海上自衛隊の船につきましては、数隻の建艦というものが予定よりもおくれております。こういうようなマイナスもございます。したがいまして、プラスの要素マイナス要素を差し引きいたしますと、ただいま申し上げましたような数字の割合になっております。内容的に見ますと、私どもが当初二次計画予定いたしました各種の事業はほぼ順調に進行しておる、こういうことでございますので、先ほど大臣から御説明したことと相なるのでございます。
  6. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ぼくらは、第二次防衛計画が順調に進行されることを望んでおるわけではございませんが、予算といろいろな計画とを比較をいたしてみますと、佐藤総理施設演説の中に盛られておるものがだいぶんアンバランスをいたしておるように考えるわけであります。したがって、どちらかといえば、防衛庁予算の面については必要でないと思うものすら組んでありますし、同じ予算内容を一つ一つ調べてみますと、予算のワク内で相当操作をする必要のあろうと思うものがあるわけなんです。したがって、そういう点からお聞きをいたしたいと思うわけでございますが、今年度施設——施設といいましても、隊の庁舎とか、住宅とか、娯楽施設とかいうものは別といたしまして、その他のいわゆる防衛力関係をした施設関係のある予算はどの程度になっておるか、ちょっと予算書を見ましても、そこの仕分けがわかりにくいわけなんですが、これは、長官でなくてもよろしいのですが、一番わかる方から明確にその点を仕分けしてお聞かせいただきたい。
  7. 大村筆雄

    大村政府委員 ただいま施設関係予算がどうなっておるかという御質問だと思いますが、まず総額で申し上げますと、施設整備関係総額は、陸上海上航空自衛隊全体を通じまして、四十年度予定額は百十八億千二百万円でございます。これが三十九年度補正後の金額は八十六億七千六百万円でございますので、約三十一億ほど増加しておるという状況であります。その中で特に基地対策関係経費は、大部分施設整備費に属するものでございます。施設整備以外にもございますが、基地対策総額で申し上げますと、四十年度が百二十四億七千四百万円、三十九年度補正後が九十四億六千八百万円で、約三十億増加いたしております。
  8. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私のお聞きいたしたいと思いますことは、いわゆる兵器関係予算というものは十二分に予算化されておりますけれども、その他民生安定方面予算等は不十分であるわけです。それで、いつの防衛庁長官も口をそろえて言っておられるわけですが、愛される自衛隊ということで自衛隊強化拡充をいたしておるのであるが、それには民生安定というこの施策を放置しておいては、これは国民から愛される自衛隊ということにはならないから、その方面に大いに力を注ぎたい、予算の面においても十分にそういう予算獲得をして、そして国民大衆に満足をしていただくようにいたしたい、こういう筋の答弁がなされておるわけであります。したがって、今年度予算内容を項目的に仕分けて私が調べてみますに、ただいま指摘を申しましたような点についての予算が不十分であり、なお今年そんなに急がなくてもいい兵器購入とか、あるいはいろいろな基地拡張等に要するところの予算が多過ぎると思うわけです。こういう点をどういうように防衛庁としては把握され、また認識されてこの予算編成されたのか、この点をお伺いいたしたい。
  9. 大村筆雄

    大村政府委員 四十年度予算編成にあたりまして小泉長官の最も重点を置かれました点は、ただいま先生の御質問民生安定関係基地対策充実という点でございまして、先ほど申し上げましたように、基地対策経費その他につきましては四十年度百二十四億、前年に対しまして三十億増でございますので、対前年三割以上の増加でございます。  このうち自衛隊関係駐留軍関係に分けて申し上げますと、自衛隊関係が百二十四億のうち二十四億六千七百万円、前年十九億でございますので五億六千万円、約三割以上の増加でございます。駐留軍関係は百億七百万円、前年度七十五億六千三百万円でございますので、二十五億弱の増加でございまして、これもまた三割以上の増加でございます。特に基地対策につきましては重点を置いて編成をいたしたつもりでございます。  そのほか先生質問民生協力関係でございますが、これも陸上自衛隊等兵器器材の中でも民生協力関係施設器材を例にとりますと、四十年度八億三千百万円、前年度五億三千五百万円でございますので、この点におきましても約三億の増加でございまして、六割程度増加に相なっております。そのほか特に救難関係その他の民生協力関係の点につきましても特に配意いたしまして、対前年度相当目ざましい予算増加に相なっている次第でございます。
  10. 田口誠治

    田口(誠)分科員 予算増に対しての比率を三割とか、いろいろ出されましたが、これは厳密に出していただけばわかりますが、日本の総予算が大体ふえておる。それから自衛隊関係予算がふえておるわけなんです。だから、比率でふえておるということは間違いのないところなんです。これは、算術をやっていただければわかりますが、ふだん私どもも強く要望いたしており、また防衛庁のほうからも声を大にして特にその点を強調されておる民生安定の予算がいまの数字では足りない、こういうように指摘をいたしておるのです。したがって、兵器とかあるいは基地施設拡充強化、こういう方面へ振り当てられた予算比較いたしますと、私はいままで答弁なされてきた内容からいきますときわめて民生安定方面予算が少ないのじゃないか、この点を指摘しておるのです。だから、毎年予算委員会なり分科会答弁をされ、確約されておることがどうして予算編成のときにその約束を果たすようにされなかったのか、こういう点を非常に不満に考えておりますし、その点を指摘いたしておるのですから、もう少しその経緯をお話しいただきたいと思うのです。
  11. 小泉純也

    小泉国務大臣 田口委員指摘基地対策民生、安定という問題がきわめて重要な基本的な問題であることは御指摘のとおりでありまして、私も予算編成に臨んでは、先ほど経理局長からも話がありましたとおり、これを最重点として力を注ぎたいということを庁議においても申しましたし、また対大蔵省折衝におきましても、この問題には特に力を入れたようなわけでございます。結果におきましては、もちろん私どもこれで十分であったとは考えておりません。きわめて不満であり、まだまだ力足らざることをば反省しておるのでありまするが、それにいたしましても、ここ数ヵ年来の過去の基地対策民生安定の実情からいたしますると相当推進強化をいたしておるのでございまして、先ほど経理局長お話し申し上げましたとおり、金額においても三〇%増し、いままでの例からすれば、田口委員指摘の、予算全体がふくれておる、防衛庁経費そのものがふくれておるからとはおっしゃいますけれども、この民生安定、基地対策経費というものもそういう予算全体の増加防衛庁費増加ということだけでなくて、相当程度増加をいたしておることはお認めをいただきたいのでございます。もちろん、兵器装備改善等にも相当経費を御審議をいただいておるわけでございまするが、これも、やはり国防必要性、第二次防衛力整備計画どおりの実行というような面からいたしましておろそかにできませんので、これらと両々相まって基地対策民生安定の仕事も進めていかなければならない。また、限られたる予算においてこの両方をあんばいしながら予算編成をいたさなければならなかったという点において、先ほど来申し上げますとおり、私どもも不十分であるとは考えており、また田口委員の御指摘になるそういう装備とか兵器とかというものから比べてもっとこういう方面予算獲得すべきではなかったか、計上すべきではなかったかという御意向につきましては、全く私も同感でございまするが、そういう諸般事情から、結果においてはこういう程度に相なったわけでございます。しかしながら、内容においては相当ここ数ヵ年来に見ないところの推進をいたしたということはお認めをいただき、今後におきましても、われわれはやはり基地対策民生安定という面は国防の基本的な問題であるということで、一そう力を入れていきたいと考えておるわけでございます。
  12. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私のお聞きいたしております目的は、第二次防衛計画推進は、予算の面からいっても順調にきておるのだ、大体年次計画が達成されておるのだという先ほど答弁であるわけなんです。こういう第二次防衛計画が完全に計画どおりに進められておられるにかかわらず、国民大衆から強い要望がされており、また、そのつど耳聞こえのよい答弁をしてこられた民生安定の予算というものがあまりにも少ないから、私はその点を指摘しているのです。全体的に防衛庁予算が不十分であるという面から民生安定の予算も十分には取れなかったということなれば、また別な角度から考える余地もございますけれども、第二次防の計画が順調に、予算の面においてもあるいは実質的にも推進されておるのだという、こういう中において、ただひとり国民要望しておる大切なことを、あまりにも約束を果たしていただいておらないということを指摘しておるのですから、今年度予算は、予算委員会がどういう形でこの内容を修正し、どの程度に落ちつくかは最終段階を見なければわかりませんけれども万が一本年度のこの予算が通ったとするならば、次の臨時国会補正とかあるいは四十一年度予算編成のときの心がまえをどう考えておられるか。これは、やはり今日聞いておく必要があると思うのです。
  13. 小泉純也

    小泉国務大臣 第二次防衛力整備計画も、先ほど来申し上げますとおり、完全であるとは申しにくいのでございまして、私は、計画はほぼ順調に進捗をしておると申したのでございますが、その内容については、防衛局長も申しましたとおり、艦艇建造等がおくれている部分もありますし、大筋においてはほぼ順調に進捗しておりますけれども、われわれのほうからいたしますと、一〇〇%満足すべきものではないのでございます。それも、やはり費用等の点がございまして、できるだけ経費の節減をいたし、大蔵省との折衝においてやられるだけの、経費においてあらゆる努力をばいたしまして、どうにか第二次防衛力整備計画を進めておるような段階であるのでございます。さような面からいたしまして、先ほど来申し上げますとおり、基地対策の問題、民生安定の問題、隊員の充足のための環境の改善の問題、たくさんございますけれども、これらを全体的に勘案をいたしまして、限られたる予算の中から調整をしてでき上がったのが今回の予算でございます。もちろん、田口委員指摘基地対策民生安定に非常に不足ではないかと申されることは 私どももよくわかるのでございまして、私ども自身もこれを不十分とはいたしながら、できるだけの努力をして、前年度、前々年度よりはこういう面に力を入れ、また、実質的にも、十分ではないにいたしましても、相当程度推進をし、充実予算を計上することができたということを、先ほど来申し上げて御了承願っているわけでございまして、将来にわたりましては、御注意のとおりなお一そうこういう面に重点を注いで、もっともっとこの面に対する予算獲得をいたし、基地周辺民生安定を実現できるよう、地基周辺の住民の方々の御要望に沿い得るような予算を計上して、その基地対策を十分に推進をしなければならないという決意にはごうも変わりはないのであり、また将来、来年度予算等においてはさらにさらにこの面の予算の増大、民生安定の方策が実施できるよう、全力をあげてこれに対処するつもりでございます。
  14. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まあ、全般的な防衛予算をふやしてもらうというようなことについては反対ですから、ただいまの長官答弁は私は了承できませんけれども、第二次防計画を立てた当時と今日とは、近代的な科学兵器ができておりまするから、そういうことから何に重点を置くかということはおのずから戦術的に違ってくるわけなんです。計画も、そのまま実施することのよしあしということは変わってきておると思うのです。したがって、こうした近代的な科学兵器が出てきておる今日において、第二次防計画を立てられたときのそれぞれの数字そのものとはおのずから変更されることは当然であって、この変更されたことがすなわちほぼ推進の線に沿っておるんだという、こういう表現をされておるんですけれども、これは、予算獲得には各省ともいろいろ問題があって苦労をしておる中において、防衛庁としては十分な予算獲得しておるんだというように私は判断をいたしておるんです。先ほど答弁のありましたように、内容そのものを見ますれば、まだ戦艦等建造方面計画どおりにはいっておらないと思いまするけれども、しかし、先ほども申しましたように、近代的な科学兵器が次から次にと優秀なものができてくる今日、どこに重点を置くかというこの防衛戦術からいきますると、おのずからその内容は変わってくると思うのです。その変わってくる内容を土台にして今日の予算というものは組まれておるわけなんですから、私は、十分にその予算はとられておるんだというように判断をしておるわけなんです。その十分とられておる予算の中で、防衛庁がいままで答弁の中で約束をしてきた、また国民大衆からも要望されておるところの民生安定の予算がきわめて不十分であるという点を指摘をいたしておるのでございまするから、この点につきましては、これ以上申し上げましてもおそらく答弁のしようもないと思いまするので、これ以上突っ込んで聞きませんが、ただいま申しましたように、防衛庁としては、ほぼ第二次防衛計画を貫徹いたしつつあるんだということは、これは科学兵器の面から重点的に整備をしなければならない内容からいって、当初つくったところの第二次防計画の中の数字そのもの変更しなければならないということから、いろいろと内容変更が出てきておるわけなんでございます。内容変更が出てきておって、つくるものをつくらぬ。このことが不十分だというように考えてもらっては、これはたいへん間違いだろうと思いまするので、今後もこの民生安定の方面予算を十分にとっていただくことが国民大衆への要望にこたえることになりまするし、そうして、今日まで政府国民に公約してきた公約を果たすことにもなり、そのことが愛される自衛隊云々ということにもマッチしていくことになろうと思いまするので、そういう点につきましての、今後の考え方をもう一度明確にしていただいて、次へ質問を移していきたいと思います。
  15. 小泉純也

    小泉国務大臣 先ほども申しましたとおり、国防全体を考え、その中において特に基地対策民生安定の充実推進をはかっていかなければならないという考え方で今日までやっておりまして、国民大衆要望する点は、基地対策民生安定の方面が特に重視さるべきであるという田口委員の御指摘には、私も全く同感でございまして、先ほど来申し上げますとおり、いままでも相当力を注いでまいりましたが、今後においても、さらに基地対策民生安定の実績を十分に遂行することができるよう格段の努力を続けるということを申し上げまして、御了承いただきたいと思うのであります。
  16. 田口誠治

    田口(誠)分科員 質問を次に移したいと思います。  長官は、長官になられてから非常に職務には熱心にやっておいでになることは、私どもはよく知っておりまするが、そこでお伺いをいたしたいと思いますことは、旅先で、防衛庁国防省昇格する必要がある。そして、もう少し防衛庁拡充強化をはかっていかなければならないというような点を方々お話をされておられるわけですが、きのうの自民党国防部会なり、あるいはけさの閣議等では、この国会には国防省昇格の問題は提案しないということがきまったように聞いておりまするので、念を押しておきたいと思いまするが、この法案は、長官としては出さないということを約束していただけるかどうか、ひとつその点を御答弁いただきたい。
  17. 小泉純也

    小泉国務大臣 国防省昇格という問題は、いまの国防重要性自衛隊の任務、また人員、経理、機構その他の面からいたしまして、国防省昇格をし、専任の大臣が、これに当たるのがきわめて適当であり、必要であるということを考えまして、私も長官就任以来、国防省昇格を念願し、また党に対しましても、総理に対しましても、これがすみやかに国会提案をされまして、その成立を期するよう要望してまいったのでございます。旅先等におきましても、いま田口委員の御指摘のとおり、記者団等質問に対しましては、いま申し上げたようなことを随時申し上げてきておるのでございます。今国会になりましてから、やはりこの取り扱いの問題になりまして、私どもはこれを総理にも、幹事長にも、自民党国会対策面等にも数次にわたって要望をしてまいったのでございまするが、昨日の段階において、政府並びに自民党におきましては、諸般情勢から見て、今国会国防省昇格案提案をすることは見合わせるというような意向が示され、私ども、内閣、党の御協議によってそういう結論が下さるるならば、これもやむを得ないことであると了承をいたしたのでございます。  そこで、本日の閣議におきましては、私からそういう党の昨日までの経過を報告いたしまして、今国会では提案をされないことに国防部会も、また防衛庁長官としての私も了承した。さりながら、党においては国防省昇格ということは、自民党党議としては既定方針である。近き将来国会提案をして、その実現を期するのであるという、いわゆる既定方針は何ら変わることはないのでございまして、時間的に本日開かれまする自民党総務会政調会等でこういう基本方針が了承され、再確認をされ、さらに今回の時点においては、諸般情勢上、本国会には提案をしないというようなことが党において決定を見るだろうと存じております。そういうことにおいて党が決定をいたした暁においては、国防省昇格を含む法案は提出をしないで、定員増その他の予算関係防衛庁設置法並び自衛隊法の一部改正案を本国会提案をする、こういうことになるはずでございます。
  18. 田口誠治

    田口(誠)分科員 長官答弁からいきますると、党議においても、あるいは閣議においても、今国会には国防省への昇格法案は出さない、こういうことでございまするので、その点は確認をしておきたいと思います。  そこで、関連をして念を押しておかなくてはなりませんことは、諸般事情によって今国会には出さないけれども自民党としては党議として国防省を設置するということは既定方針であるというお話でございましたが、御存じのとおり、臨時行政調査会が発足をいたしまして、そして臨時行政調査会で省、局部の新設とか統合、廃止、こういう問題についてはきわめて熱心に討議がなされておるわけでございます。したがって、非常に熱心に討議をなされた結果の結論として、防衛庁関係防衛庁としておくんだ、こういう意見が出されておるわけなのでございます。したがって、この臨時行政調査会をつくったとき、また進行する過程においても、しばしば担当国務大臣に私ども質問をいたしましたところ、大きな省の新設とかあるいは局部の新設あるいは統合、こういうようなものにつきましては臨時行政調査会の答申を十分に守っていくつもりである、こういう答弁もあり、また、そうした考え方の上において与野党一致をもってあの調査会というものが新設されたわけなのでございまして、そういう経緯からいきますると、いまさら自民党党議として国防省への昇格決定になっておる、今国会には諸般事情によって提案しないけれども、次のときはわからぬという、こういう答弁のしかたは、これは私は今日までの経過からいって誤っておると思うのですが、その点、もう一度答弁のし直しをしていただきたい。
  19. 小泉純也

    小泉国務大臣 臨時行政調査会の答申と国防省昇格の問題につきましては、増原行管長官が内閣委員会の質問に対しまして、私もはっきりここに記憶はいたしておりませんが、私の聞いたところによりますると、臨時行政調査会の答申は、国防省への昇格の問題を拘束するものではないというような意味の答弁をされておると承っておりまして、先ほど申し上げましたような、今国会には提案をしないことになるだろう、総務会決定等がありますから、まだ私も断定することは差し控えますが、それとは何ら関連がないのでございまして、自民党政府との御相談の結果、諸般情勢上今国会提案は見合わせる、こういう結論になっておるのでございまして、防衛庁長官といたしましては、年来この提案実現を念願をしておるものではあるけれども、そういう党と政府との結論が出ましたので、私としてはこれを了承をした、こういうことを申し上げておるわけでござ一いまして、将来の問題等につきましても、これは党と政府決定をしていくことであり、また将来のことにわたりましては、私どもは、あくまでもできるだけ早い機会にこれを提案をしていただき、その成立、実現を希望しておることについては何らの変わりはないのでございます。
  20. 田口誠治

    田口(誠)分科員 長官はどう考えておられても、自民党がどう考えておっても、こういう問題をきめることは国会できめるわけなんでございますから、これは党とかあるいは小泉長官考え方できめられるものではないわけです。そこで、ただいまの答弁をされる前に、政府委員から助言を受けて答弁されたと思いまするが、あの答弁は間違っております。増原長官は、一番最初には、臨時行政調査会の答申は、これは原則としては守っていくのであるが、特に省を新設するかどうかというような問題すなわち、国防省を設置するというような問題につきましては、これは原則的には尊重していくけれども、政治的にこの問題は解決していくんだという答弁をしたことが、これが失言であったわけです。したがって、そのあくる日にその点をるる——臨時行政調査会が発足する当時の質疑の内容、あるいは政府答弁内容等を社会党のほうから説明をいたしまして、そうして再答弁を受けたわけでございまするが、その再答弁には、やはり大きな省の昇格とか、あるいは廃止とか、局部の統合、新設とか、こういう問題につきましては、これは臨時行政調査会の答申を忠実に守っていきたいんだが、ただ全部が全部ということは言えないということは、あの答申の中にはほんとにこまかい面にわたってまで答申されておるのだが、それを全部守るということになれば、やはり行政の運営、指導上にも事を欠くということになるからという意味から、答弁のし直しをされて、そうして大きな問題については答申案どおり、こういう答弁になったんです。したがって、それを言いかえますと、防衛庁国防省昇格の問題等は、これはまかりならぬ、こういうことになるわけですから、そういう御認識でおっていただきたいと思う。どうですか。
  21. 小泉純也

    小泉国務大臣 臨時行政調査会の答申と行管長官との答弁の問題につきましては、私どもが聞き間違いでございますとすれば、また後日速記録等をよく調べて訂正をさしていただきまするが、ただ私が申し上げたことは、今度のそういう自民党と内閣との御相談の結果、諸般情勢から見て今国会提案は見合わせるということにきまるという御報告を申し上げたのでございまして、そういうことになる経緯においては、臨時行政調査会の答申というものとの直接の関連はないと私は聞いておりましたので、そのありのままを申し上げただけでございます。なお、もちろん先ほど田口委員お話にございましたが、これは国会がきめるんだ、もちろんそうでございまして、私のことばが足りなかったといたしますれば、自民党政府がいわゆる国会提案を今回は見合わした、私どもは近き将来ぜひ提案していただきたいということを念願をしておるという意味でございまして、もちろん提案後の国会審議国会によって決せられることは申すまでもないのでございまして、この点は誤解がないように願います。ただ今回は、いわゆる提案をしないということになるだろう、また、そういう党と政府との決定を私は今日の閣議でも了承をしてまいったという御報告を申し上げただけでございます。
  22. 田口誠治

    田口(誠)分科員 答弁を聞いておりますると、今国会には国防省への昇格の問題は提案しないということは、これは明確ですけれども、その他関連をしてお話しになったことばにはひっかかりはあるわけです。それというのは、全く自民党党議で——党議というのは、おそらく自民党さんのほうでも大会が最高の決議機関だと思いまするが、防衛庁国防省昇格するのだというようなことが決定されておるというようなことは、私はまだ聞いたこともありませんし、その点のところが、長官の頭があまりにもその方面へ走っておられるので、答弁のことばじりがどうしてもその方面へ入っていくわけなんです。したがって、私は再答弁していただこうとは思いませんが、ただいま申しましたように、当然そうした問題というのは、単なる自民党とか政府がきめるのではなくして、国会がきめるものであり、そうしてなお国会では、そうした大きな問題を将来どうするのかということ、各省全体にわたって臨時行政調査会が検討をして結論を出されたその結論からいきますると、防衛庁防衛庁として置く、こういうことになっておりまするので、この省の昇格の問題につきましては、大きな事情変更等のない限りは私は提案すべきものではない、こういうように把握をいたしておりまするので、その点を申し上げて認識を深めていただきたいと思います。この問題はこの程度にいたしまして、次に移りたいと思います。  第二次防衛計画が順調に進んでおるということですが、これには兵器、あるいはそれに伴うところの自衛官、こういうものも関連をしてくるわけでございまするが、今日自衛官の不足は、国会できめられた総定員からいきますると三万数千名あるということを聞いておりまするが、実際においてどの程度不足をいたしておるか、おそらくその点は数字をもって把握されておると思いますので、この際明確にしていただきたいと思います。それと同時に、自衛官は、私の把握では、今日法律で許されておる定員は二十七万六千五百八十一名というように把握をいたしておりまするし、予備自衛官は二万四千名というように把握をいたしておるのですが、この点は間違いないかどうかということも、加えてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  23. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりましたとおりでございます。——失礼をいたしました。数字について申し上げますと、自衛官二十一万一千二百三十一名、それが現員でございます。それから予備自衛官、これは一万九千百七十四が現員でございます。
  24. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それは現在確保されておる数字であって、国会で定員を承認しておる数字とは違っておるわけなんですね。だから私は、国会で承認を受けておる数字が何人であって、そうして、実確保しておる数字が何名であって、イコール何名不足か、こういうことなんです。したがって、私のほうから申し上げまするが、私のほうとしては、自衛官の不足は三万三千名くらいだと思いまするし、それから非自衛官の場合が一千名くらいあるというふうに把握しておるのですが、その点、少しくらいの数字の間違いはよろしいですけれども、大まかなところをひとつ御答弁を願います。
  25. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 失礼をいたしました。自衛官の定員と現員について申し上げますと、現員は、三十九年十二月末現在の数字でございます。陸上自衛官、これが定員が十七万一千五百、現員が十四万二千百三、欠員が二万九千三百九十七。海上自衛官、定員が三万四千九百六十三、現員三万一千五百十、欠員が三千四百五十三。航空自衛官、定員が三万九千五百五十三、現員三万七千五百四十、欠員が二千十三。
  26. 田口誠治

    田口(誠)分科員 わかりました。こういう質疑のやりとりをしておりますと時間がきますので、あまり私がお聞きをして指摘をいたしたいという点ができませんが、いずれにいたしましても、定員より自衛官で三万三、四千人というものは不足をいたしております。そういう結果でございますから、なかなかこの自衛官の募集ということについては、相当努力されておりまするけれども、自衛官になり手がないということです。自衛官になってもすぐやめるという、こういうことになりますから、必然的に国防省を設置をして、そしてまた徴用制度とか、あるいは徴兵制度というものを勢いしかなければ、こうした兵の充足もすることができないというような、あれやこれやの考え方をもって、この日本の自衛隊拡充強化しようとすれば省に昇格しなければならない、憲法の改正まで持っていかなければならない、こういうことになっておるだろうと思いまするが、こういう点につきましては私どもは反対でございまして、いまの兵の不足を充足することは、これは毎年同じような数字で、どちらかというと欠員の数字が多うなっていっておるのです。だから、こういうような実態でありまするから、この防衛庁というもののあり方につきましても、国民がいかに支持しておるか、支持しておらないか、また国民が自衛官になり手がないかということは、おのずからわかるだろうと思うわけでございます。重要な点を一つお聞きして質問を終わりたいと思いますので、この点をちょっと突き詰めたいと思いましたけれども、また防衛庁の設置法の改正のときにでもゆっくりお聞きをいたしたいと思いますので、事務局のほうでも十分数字の面についての勉強をしておいていただきたい、いまから申し上げておきます。  それから次には、先ほど民生安定の方面質問をいたしておりましたわけですが、私は、民生安定ということは、基地なりあるいはいろいろな施設をつくったことにおいて非常に国民大衆に迷惑をかけるから、その迷惑のかけることを緩和する対策を立てることが民生安定の一つの対策であるというようにお考えになって、いままでも予算化されてきておるのですが、私は、その考え方でいきますと、ほんとうに国民大衆が反対をしておることを強引にやるということは、これはその考え方にそむくことだろうと思うのです。したがって、今年度予算内容から見ましても、一つの例を引いてみますと、岐阜の各務原航空実験隊の滑走路が、いまは二千百五十メートルだと思いますが、それを五百五十メートル延ばす、そして二千七百メートルになりますと、F104が離着できるわけでございますので、一億数千万円かけて滑走路の整備をするということでございます。したがって、地元の各務原市は市議会で絶対反対の決議をして陳情にも来ておりますし、そして、また、地理的に見ていただいてもわかりますが、あの飛行場の周囲はずっと町が並び、病院が並び、そしてその境が三十五万の岐阜市に隣接いたしておるわけなんでございます。現在航空実験隊というのは千歳と各務原の二ヵ所にあるわけでございますが、この二ヵ所は不便だから、各務原市のほうを延ばして、そして千歳にある104を持ってくる、こういうお考え方のようでございますが、こういうことを計画されることがすなわち民生を安定する、国民大衆要望にこたえた考え方の上に立っての計画でないと思うわけでございますが、その点についてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  27. 小泉純也

    小泉国務大臣 岐阜基地の滑走路並びにオーバーランの延長の問題につきましては、これは、別に基地を拡張するのではございませんで、現在の国有基地内で十分設置ができることは、田口委員の御承知のとおりでございます。いわゆる昭和四十年度計画におきまして、五百五十メートル滑走路を延長し、 三百メートルのオーバーランを増設をしていきたい。これは、いまお話がありましたような、F104ジェット戦闘機をこの基地に移すということは全然考えておらないのでございまして、この延長の目的は、在来の基地でございますF86ジェット戦闘機の飛行試験の安全のために滑走路を延ばす、また実験航空隊業務の効率化のためにそういう現在の基地内においての設備の増設をやる、また、近くの小牧飛行場が天候等の関係で使えないような場合の臨時着陸場に使うというようなことで、この岐阜基地の拡張整備を考えて計画をし、また、ここに要する経費をば四十年度予算において計上し、御審議を願っておるわけでございますので、現在の基地からさらに拡張というような計画はないのでございます。
  28. 田口誠治

    田口(誠)分科員 現在の基地から拡張云々ということにつきましては、これは、現在防衛庁が持っておる敷地の中に、結局いわゆる滑走路を延ばすという問題、それでいま二千百五十メートルの滑走路があって、そこで航空実験隊がそれぞれ離着をして実験をしておるのですけれども、それを五百五十メートル延ばして二千七百メートルにしなければならないということは、千歳にあるF104Jの実験をしなければならないということが目的でこれを延ばすわけなんで、そうでなかったら、五百五十メートルという、こういう延だし方をする必要がないわけなんです。私は、そういう金があるならほかのほうへ使いなさい、こういうことをあとから申し上げるわけなんですが、必要ないわけです。いま長官の言われたことは、そういうように答弁要旨に書いてあるか知りませんが、実際にそうではないわけなんです。地元においても、それから防衛庁においても、陳情に来た人に対する答弁が、必ずしもただいま答弁されたような答弁になっておらないのです。F104を持ってくるわけじゃないんだとか、F104が来たとて、それは一日にほんの二回か三回ぐらいしか離着しないんだとか、こういうことを言っておるのであって、ただいま長官の言われたような、絶対にF104というものは持ってこないんだという考え方、こういう約束で滑走路を延ばすということでは、私がいままで聞いておる範囲内ではないわけなんです。ただいまの御答弁では、全くすっきりとした考え方で、現在実験をしておる飛行機の離着にいまの滑走路の延長メートルでは不足であるから、若干ここで延ばしたい、こういうお話でございますけれども、真意はそうでないようでございますので、もう一度その点を明確にしていただきたいと思います。したがって、きょう答弁していただくことは永久に守っていただかなくてはならないわけでございますから、その場過ごしの答弁では全く困るわけなんで、この点を私は確認をして質問の回答を求めたいと思います。
  29. 志賀清二

    ○志賀政府委員 ただいま長官が申し上げましたのは、104の戦闘機部隊を配置する考えはないということを申し上げたわけでございます。ここの滑走路を延長する目的というのは、先生も御承知だと思いますけれども、いろいろな飛行機事故の原因を研究しておりますと、滑走路というものは長ければ長いほどよろしいという結論は出ておるわけであります。したがいまして、現在ある飛行機につきましても やはり長ければ長いほうがいいんだということになっておるわけです。私どもとしましては、飛行士の人命を尊重するということを第一義に考えますので、できればいろいろな諸般情勢が許す限りは滑走路は長くしたい。経費も何とか捻出できるんなら、長くしたい。そうすることによって人命を十分に尊重できる、こういうふうな考えに立っておるわけであります。今回岐阜におきましてこの滑走路を延長したいと申し上げますのは、やはり在来の機種の実験飛行をやつておりますので、そういうふうな安全を確保する意味でまずやりたいということをかねがね思っておるわけであります。それを今回実施したい、こういうことでございます。だたし、実験飛行隊はいろいろな機種を持っております。これは、T1からT33あるいはF86、それから104、すべてそういうふうな航空実験をやっておるわけです。したがって、この実験隊が実験をする際には、104の飛ぶ場合も、数は少のうございますけれども、それはあり得るということは言えます。私どもは、そういうことで104を主体にして五百五十メートル延ばすんだ、こういうことを考えたわけではないわけです。その点だけは御了承いただきたいと思います。
  30. 田口誠治

    田口(誠)分科員 わかりました。あなたの答弁からいきますと、F104をあそこで実験をすることが主体ではなくて、現在もその他の飛行機の実験の離着をさしておるんだから、それの事故も起きないように延長するのだが、それには、それだけではなしに、F104もあそこで離着陸することも将来あり得るのだ、こういうことなんですね。だから、それが困るというのです。F104は、地元では来てもらっちゃ困るのです。だから、そういう騒音の、フォンの高いものは、民家の密集しておらない地域に配置すべきものであって、民家の密集しておるところへあらためて滑走路を伸ばして、そこで離着陸をさせるというようなことは、国民からいつも要望されておる民生安定の考え方に反するわけなんだから、私は、そういう不必要なものはあすこへやってもらっちゃ困るのだ。稚内の自衛隊へ行ってみなさい。あすこの営舎なんかは、おそらくまだかまぼこ営舎でしょう。だから人命尊重という面から見ましても、防衛庁に金があるなら、自衛官も公務員なんだから、ああいう寒い地域に、かまぼこ住宅のようなところに住まわしておくのではなしに、それこそそういうところの営舎を完備するというような方面にまず金を使ってもらいたいということなんです。したがって、ここではおそらく結論はつかないと思いまするが、これからどんどんと反対闘争が巻き起こると思います。岐阜の各務原基地でF104Jも将来飛ぶこともあり得るということを考えて拡張するということは、絶対にさせませんし、そういうことをすれば血を見るような戦いが起きるということを防衛庁は覚悟しておいてもらいたいと思います。これはハッパでも何でもありません。全市民があげて反対をしておるのです。ああいう密集したところへあらためてそういうものを持ってくるというようなことは、間違っております。日本のどこの飛行場へ行ってみましても、あのように密集しておる民家のあるところにF104とか105を離着陸さしておるところは一つもないわけなんです。そういうところへ今度初めて持ってくるというようなことは、これは許されません。こういうことが強引にやられるということになれば、やりにかかったら、これこそ重大な社会問題になるということを知っておいていただきたいと思います。これはあきらめてもらいたいと思います。きょうあきらめるという答弁はできないと思いまするが、これから徐々に陳情とか反対の行動がなされると思いますので、ひとつそのことを私は申し上げておきたいと思います。  時間が超過してまいりまして、横路さんにはまことに申しわけございませんが、私ただ一つだけどうしてもきょう聞いておかなければならぬことがございます。いままで米軍が接収しておったところで解除したところがあるわけなんですね。この解除したところが、地方自治体から払い下げをしてもらいたいという要望がきておりましても、いまだにそれがなされておりませんので、これも私はすぐ答弁のできるように前もって通告してありまするから、数字はわかると思いまするが、現在そういう坪数が何坪あるかということをまず御答弁いただきたいと思うのです。
  31. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいまお尋ねの米軍が接収しておりました土地を返還したあとがどうなっておるかという問題だと思いますが、占領当初のことはちょっとはっきりいたしませんが、講和発効のときには米軍に対しまして国有地で約二億坪、民公有地で約二億坪、合わせて約四億坪を提供しておったのであります。昨年の十月現在でございますが、それが今日国有地で七千二百万坪、民公有地で三千五百万坪、合わせて約一億余坪を提供しておる。差し引き三億坪が減っておるわけです。そのうち民公有地のほうで約一億六千万坪返還になり、また国有地のほうでは一億四千万坪が返還になっておりまして、この一億四千万坪の国有地につきましては、大部分自衛隊が引き続いて使っておると思いますが、この細目につきましては、これは大蔵省のほうの御所管でございまして、その実情、あるいはいまお尋ねの払い下げ問題等につきましては、御所管のほうから御説明いただきたいと思います。
  32. 村田博

    ○村田説明員 提供財産の返還を受けました際には、私どもの処理方式としましては、まず第一原則といたしまして公共目的を新たに与えるようにしよう、次いで民生安定、あるいは国民経済の発展に資するようにしよう、こういう考え方で処理をしておるわけでございますが、いまお話のございました駐留軍関係の兵舎といったようなものは、民生安定の一環といたしまして、私どもといたしましてはこれを活用したいと考えておるのが現在までの状況であります。(田口(誠)分科員数字はあるの」と呼ぶ)私、途中でまいりましたのであれでございますけれども、提供財産の返環後の状況をここで申しますと、兵舎、住宅等で五十三件、土地で約五百三十万坪、飛行場関係で二十六件、千二百四十万坪、演習場で二十四件、五千三百三十万坪、工場敷地で十二件、二百六十七万坪、倉庫二十九件、百八十九万坪、その他となっております。おもなものはそれだけでございます。
  33. 田口誠治

    田口(誠)分科員 残りはどれだけありますか。接収解除になって、自衛隊も使用しておらずに荒地にしてほってある土地がどれだけあるかということを聞いておるのです。
  34. 村田博

    ○村田説明員 それにつきましては、いま手元に資料がございませんので、もし御要求でございますれば、後ほど差し上げたいと思います。
  35. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それじゃきょうの答弁になりませんので、次会に譲ります。あなたのほうにも申し上げておきますが、おそらく防衛庁の設置法の改正が、定員増の問題がそろそろ出てくると思いますので、そういう審議のときに、きょう質問できなかった部分質問いたしたいと思いますので、大蔵省のほうのそういう接収解除になるときの、大蔵省へ移すときの審議会の経過、そういうようなものも含めて私はお聞きをいたしたいと思いますので、そういう準備をひとつしておいてもらいたいと思います。
  36. 村田博

    ○村田説明員 承知いたしました。
  37. 中野四郎

  38. 加藤進

    加藤(進)分科員 私は日本共産党を代表いたしまして、防衛庁長官にただいま非常に重大な問題になっておりますいわゆる三矢作戦の問題について質問を申し上げたいと思います。  この三矢作戦なるものは、第二次朝鮮戦争の勃発ということを想定して、これに対処する国家非常体制のもとで、国家総動員計画をしき、物資の統制は言うまでもなく、輸送、通信、言論、出版等まで統制をして、さらに私有財産の統制、徴用その他、郷土防衛隊、地方行政の国家統制等々まで想定しているものであります。これらの項目の  一つ一つをとってみても、それが憲法に違反する内容を持っている、こういうふうに思いますが、その点につきまして防衛庁長官のお答えをお願いしたいと思います。
  39. 小泉純也

    小泉国務大臣 ただいま御指摘のいわゆる三矢図上研究の問題は、御承知のとおり、予算委員会におきまして小委員会が特に設けられ、本日から小委員会が開会をされまして、御審議をいただくことに相なっておるのでございまして、前回の衆議院の予算総会の席上におきましても、今後防衛長官は、この問題の発言は一切小委員会でやってもらうことが好ましいというような再三の御注意があったのでございまして、それ以来、私は小委員会の席上を通じて御説明を申し上げるということにいたしておるのでございます。詳細にわたっては差し控えさせていただきたいと思いますが、ただいま加藤委員のそういう基本的な問題につきましては、すでに予算総会等においても述べておりますので、お答えを申し上げますが、これはあくまでも防衛庁におきまして墓僚監部が一つの想定を立てて図上における作戦の研究をした、その研究のレポートでございまして、これが防衛庁の正式の決定となったものでもなく、防衛庁長官が決裁をしたものでもなく、またこれを計画として実施をしようとするものでもなく、全く単なる図上作戦の研究であったと私どもは考えておるのでございまして、いろいろと内容については用語の不適当、また不穏当、行き過ぎの点もあることは、私も予算総会においてもお答え申し上げておるわけでございます。いま加藤委員がおっしゃったような、こういうことは憲法に抵触するのではないか、憲法違反ではないかという御質問に対しましては、さような意図は毛頭ないのであって、私どもはそういう意図によって行なわれたものでは断じてないと信じており、また、こういう図上の想定作戦研究が憲法違反とか憲法に抵触するものであるとは考えておらないのでございます。
  40. 加藤進

    加藤(進)分科員 この計画が、長官のおっしゃるように単なる図上作戦であるとか、また想定であるとかいうことにつきましては、私は後ほどさらに質問を申し上げたいと思います。ただ私がここで聞きたいのは、このような図上作戦の、想定であるかないかはまずおきまして、いま私が申し上げたような三矢作戦なるものの内容として、すでに数百万の日本の国民はこれを読み、その内容を知っておる部分について、その中身として以上あげましたような点が出されておるわけであります。このようなすでに公表された部分、発表されているいま申し上げましたような個々の内容が、その一つ一つについて、その事柄自身として憲法に触れるものではないか、この点を防衛庁長官としての所見としてお伺いしたい、こういうことを私は申し上げているわけであります。
  41. 小泉純也

    小泉国務大臣 いま御指摘のあったような問題は、あくまでも一朝事あった場合の情勢を想定いたしまして、そういう場合にはこういうことが自衛隊としてこれに対処するために必要ではないか、またこういうことを要請をしたいという、何と申しますか、要請というか、自衛隊活動をする面からの希望というようなことで、そのレポートにそういうことが盛られておったと私は承知いたしておるのでございまして、もちろん先ほど来申し上げますとおり、用語その他については不穏当や不適当なものがあることは遺憾に存じておりまするが、そのこと自体が憲法に違反するとか、憲法に抵触するとか、また憲法を犯すとかいうような意図をもって行なわれたものでは断じてないと私は信じておるわけでございます。
  42. 加藤進

    加藤(進)分科員 ただいまの長官の御答弁におきましても、三矢作戦なるものがわが国の一朝事ある場合の情勢を想定している、こういう点は、明確に御答弁の中にあったと思います。同時に、三矢作戦というものが、これに対処するさまざまな要請、希望などを明確にしてある、こういうこともいまの答弁で明らかになりました。  私のお聞きしたいのは、一朝事あるような情勢を想定するとかしないとかということではなしに、いかなる場合においても、現憲法下において先ほど申し上げましたような内容は、憲法そのものに違反する内容でないのか、この点を私はあえてもう一度防衛庁長官にお聞きしたいのです。
  43. 海原治

    海原政府委員 先ほどの御質問、具体的な例をあげておられますので、一応私からお答をさせていただきます。  まず先生は、公表された内容がすでにある、したがって、これについて答えてもいいじゃないか、こうおっしゃっておられますが、公表されておりますというのは、いろいろの種類のものがございます。その一々につきまして、これは真実のものであるとかそうでないとかということを申し上げてまいりますと、これは冒頭大臣から御説明申しましたように、小委員会での調査ということと具体的に同じようなことになるのではないかということでございますので、いろいろとあげられております事実につきまして、それがほんものと同じであるとかないとかということは、これはひとつ御容赦願いたいと思います。たとえばその中でも、先生先ほど郷土防衛隊ということを申されました。郷土防衛隊ということを考えること、そのこと自体がすでに憲法に違反しておるのではないか、こういう御質問の趣旨のようにとれるわけでございますが、たとえば郷土防衛隊というものにつきましては、数年前に、やはり日本におきましてはそういうものが必要ではないかということは、当時いろいろな方が考えられまして、問題になったことでございます。郷土防衛隊ということでございましても、別にこれは強制的に人を集める場合のことばかりではございません。たとえば必要な立法さえ完備されますれば、志願によりまして有事の場合の治安とか警備とかに当たるものをつくることは、これは決して憲法に抵触しないと思います。たとえば郷土防衛隊とか、民兵組織のものが必要ではないか、そういうものをつくってみたいということを当時の大臣から構想として申されたこともございます。したがいまして、先ほど御例示になりましたすべてそのことが、そのことを考えることが全部憲法違反である、こういうふうには私どもは考えない次第でございますので、その点は御了承願いたいと思います。
  44. 加藤進

    加藤(進)分科員 私はさまざまな雑誌その他の発表された文書の内容について、先ほどの事柄を申し上げたわけではないのです。私たちもそれなりの資料を持っております。したがってその資料が、防衛庁の中において、防衛庁で所持しておられるそのものと合致するかどうかということは、小委員会においても検討される問題かもしれません。しかし私たちはそういう確信ある資料に基づいて言っておるということを、まず第一に御了承願っておかなくてはいかぬ。  なおいまの御答弁で、これらを想定しておること自身が憲法の違反であるなどとは考えておりません、こういう御答弁でした。私は、何も想定しておることが憲法違反かどうかというふうに質問を申し上げたわけじゃないのです。そこに規定されておるような事柄自体は、憲法に違反するものではないかということを聞いておるのです。たとえば、先ほどあなたが郷土防衛隊の問題をおっしゃいましたけれども、もっと直接の問題として、たとえば国民経済全般にわたる物資の統制、あるいは通信、放送、報道などを含む言論統制、非常事態における徴用、こういうことは、その事柄として現憲法下で許されるかどうか、こういうことをお聞きしているのです。
  45. 海原治

    海原政府委員 ただいま御例示になりましたこと自体につきまして、こういうことでございますと申し上げますことは、先ほど申し上げましたように、結局小委員会の分野に足を踏み入れることになるかと思うのでございます。ただ、そういうことばかり申し上げておりましても、御理解いただけないと思いますので、私の感じを申し上げますと、なるほど先生のいま御指摘になりました、たとえば言論、放送の統制機構というものを、そのことばだけでなく、それを考えることがいけないというような御主張のようでございますが……。
  46. 加藤進

    加藤(進)分科員 違うのです。考えることがいけないと言っているのじゃないのです。言論の統制自身は憲法で認められておるかどうか。許されるかどうかを聞いておるのですよ。間違えないでください。
  47. 海原治

    海原政府委員 言論の統制ということばの解釈になるわけです。
  48. 加藤進

    加藤(進)分科員 私は、だから通信、放送、報道などを含むと言っておるのです。
  49. 中野四郎

    中野主査 加藤君、発言を求めてやってください。
  50. 海原治

    海原政府委員 継続中でございますので申し上げますが、言論を統制するとかしないということは書いてございません。したがいまして、これらは先ほどからお願い申し上げておりますように、今日から予算委員会の小委員会が発足するわけでございます。そこでおそらく全貌を御調査になるかと思いますので、その機会にお譲りを願いたいということを再度申し上げておきます。と申しますことは、ことばというものは、やはりその前後の、いろいろ順序がございます。したがいまして、どういうことがそこに書いてあるかということは、その全貌と申しますか、ただ言論、放送統制機構ということでけしからぬ、こういうことにはならないわけでございます。少なくとも非常時の場合に、自衛隊が行動します場合には、いまの法令のままではいろいろなふぐあいがある。このことはどなたもお認めいただけると思いますが、そういうふぐあいがあるということは、非常時の場合、自衛隊が出動するというような場合には、その任務を達成するために必要な程度に、そのふぐあいが是正される、こういうことを考えることは、これはむしろ当然ではないか、こういうふうに考える次第でありまして、そういうふぐあいの点がどうこうということを、当時研究した事実はございます。それの表現につきまして、いろいろと現在疑惑を招き、問題となっておる次第でございますが。この辺は再度繰り返して恐縮でございますが、小委員会の場において事態をはっきりさせていただきたい、このように感ずる次第であります。
  51. 加藤進

    加藤(進)分科員 質問をいつもそらされるから困るのです。私は、そういう事態を想定することが現憲法下において許されるか許されないかということを聞いておるのじゃないということです。何度も申しました。具体的な実例を言うならば、あの戦時中のさまざまな戦時的な統制、こういうようなことが現在の憲法において許される事柄であるかどうか、こういうことを再度重ねて私はあなたに聞いておるのですよ。その点は間違えないでください。私は、あなたの答弁に対しては、その点ではきわめて不満です。  なお、あなたはいま私が申し上げたような事柄は資料にないとおっしゃいました。書いてないとおっしゃいましたね。それははっきり言えますか。
  52. 海原治

    海原政府委員 私の御説明の用語が不適当でございまして、御理解をいただけないのはまことに残念でございますが、私が申し上げました趣旨は、先生が御指摘になりました憲法違反と疑われるような形におけるそういう関係の記述はない、こういう意味でございます。そういう用語が資料の中に使われておるか。——私の知っておる限りでは、使われておる部分があると存じております。
  53. 加藤進

    加藤(進)分科員 あなたは、はっきり書いてないとおっしゃったですよ。もしそうでなかったら、あなたは訂正してくださいよ。  それからまた、私の希望するのは、そのような資料を即刻公表してほしい。これはあとでもお願いしますけれども、そういう御答弁では、私たちは納得できないです。私たちがいま聞いておるのは、想定であれ図上のものであれ、その中に書かれておる事柄が、現憲法のもとにおいては許しがたいことだ。私たちはそういうことをはっきりとあなたに申し上げたい。防衛庁長官に申し上げたい。
  54. 小泉純也

    小泉国務大臣 防衛局長からも申し上げましたが、誤解があってはいけませんので、私からもさらに申し上げておきたいと思いますが、言論統制というようなことばそのものが、憲法違反とか憲法に抵触するものではないと申し上げたのでございまして、言論統制はどういうふうにして言論統制をするとかしないとか、そういう具体的な内容によって、おのずから憲法に抵触するとかしないとかいうことになるのではないかと私は考えておりますので、言論統制ということばそのものを、憲法に抵触するものではないと私は申し上げた意味であることを御了承いただきたいのであります。  なおまた、誤解があってはいけませんので、先ほど一朝有事の場合を想定してというようなことばを、たしか使ったと記憶しておりますが、何と申しますか、ことばが強くて誤解があってはいけませんので、あらゆるいろいろな場面を想定している図上演習、こういう意味にひとつ御訂正させていただきます。
  55. 加藤進

    加藤(進)分科員 私は、時間も十分ありませんから、この点についてさらに明確にしたい点が多多ありますけれども、一つだけ私ははっきりさせておきたいと思います。  私は、言論統制という一般的なことで、あなたたちに憲法についての抵触かどうかということをお尋ねしたわけではない。戦時中かつて私たちが経験したような、あの戦時中にひとしいような通信とかさらに放送、報道などを含めたそのような言論の全面的統制というようなことが、はたして現憲法下で許されるかどうか、こういうことを私たちははっきり聞いたわけです。すでにあなたの御答弁、また佐藤総理の御答弁、岡田議員の質問に対する答弁の中に、戦前、戦時中に行なわれた戒厳令などについては、これは現憲法のもとでは許しがたいと言われた答弁を私ははっきり持っている。したがって、その個々の内容の一つとして、いま私は実例を申し上げたのでありまして、こういう状態が現在の憲法のもとで許されるというような判断を、もし防衛庁が持たれ、自衛隊が持たれて、日々の活動や作業が行なわれるならば、これこそまさにゆゆしい問題だ。その点を私は国民を代表してあなたに聞いておる。こういうことをはっきり申し上げておきたいと思います。  次に、私はお尋ねしたい。御承知のように憲法の第九十九条には、公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務がある、こういう規定が明確にされております。すると、この憲法を守る責任があり、義務のある公務員が、先ほど申し上げましたような戦時中の、現在の憲法においては容認しがたいような項目や内容を含むことを、研究にしろ作戦にしろ、作業にしろ、こういうことをやることは、これは許されるかどうか、この点についてあなたの御答弁をお願いしたい。
  56. 小泉純也

    小泉国務大臣 公務員はもちろんのこと、国民のすべてがあくまでも憲法を守らなければならぬことは言をまたないところでございまして、自衛官ももちろんあくまでも憲法を守るという観念においては、私は何ら差はないと存じております。あくまでも憲法を守り、現憲法下において、いろいろな形態の任務についての研究がなされたのでありまして、憲法を犯すとか、憲法に抵触するとかというような意図なんか毛頭あったとは考えておらないのでございます。今後もまた十分に、あくまでも憲法を順守して、民主制度のもとにおける自衛隊の健全な発達を私どもは指導しなければならないと考えておる次第でございます。
  57. 加藤進

    加藤(進)分科員 質問の趣旨と非常に違いますね、お答えは。私の聞いておるのは、それが図上の作戦であれ、想定であれ、国家の公務員、憲法を擁護し、憲法そのものを守らなくてはならぬという義務のある国家公務員が、その作業の中に、憲法そのものに違反する許しがたいような事項、こういう事項を想定するにしろ、図上作戦にしろやるということは、あなたは許していいと考えておられるかどうか、公務員として許していいと考えておられるかどうか。
  58. 小泉純也

    小泉国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この図上作戦研究をするにつきまして、憲法を犯すとか憲法に抵触するとかいうようなことは毛頭考えていないのでございまして、そういう点は誤解のないようにお願いいたします。
  59. 加藤進

    加藤(進)分科員 あなたは、もういつも逃げるばかりの一方で、私は質問にも非常に困るわけです。私の言っているのは、あの三矢研究の中に、先ほど申し上げましたことを含めて、現在の憲法下では許しがたいようなさまざまな想定、さまざまな計画、さまざまな項目が含まれている、これは事実でしょう。そういうことを、想定の上であるといえ、机上計画であるといえ、やるということは、国家公務員の立場から見ていいかということです。いままでやらしておりませんという問題ではないです。いいかどうかということです。その点、はっきりしてください。
  60. 小泉純也

    小泉国務大臣 図上作戦の研究をやることは、憲法違反ではございませんし、憲法に抵触するものではなく、今回問題になっておりまするいわゆる三矢研究につきましても、憲法を犯すというような考え方があってやったわけでは毛頭ないということを申し上げておるわけでございます。
  61. 加藤進

    加藤(進)分科員 私は防衛庁長官や、また担当者の主観的な意図を聞いておるわけじゃないのです。事実において、その机上計画の中身が、その一つ一つの中に、現在の憲法においては許しがたいような項目がある。この項目を想定して、そうしてこれを国家公務員の立場から、自分たちの業務として長い期間にわたってその作業を行なう。これは何も個人の趣味でもないです。個人のかってな思いつきじゃないのです。国家公務員が命ぜられた任務に従ってこのような作業を行なう、こういうことがそれ自体許されるかどうか、こういうことを私は聞いているのです。
  62. 海原治

    海原政府委員 事実関係のお尋ねでございますので、私から御説明申し上げますが、先生の御質問の趣旨は、今回問題となっておりますこの図上研究において、たとえ想定ではあっても、現行憲法では許されないようなことが入っておるという前提をどうもお立てになっておるようでございますが、私、やはり責任者の一人でございますので、関係の資料を全部通読いたしましたが、先生のおっしゃっておられるような、現行憲法上許されないような事態というものは想定上ございません。このことを事実関係として申し上げますが、しかしこのことは、小委員会において今後御検討になるべきことでございますので、再度同じことを繰り返して恐縮でございますが、ひとつ小委員会における検討の結果をお待ち願いたい、こう感ずる次第でございます。
  63. 加藤進

    加藤(進)分科員 いまの発言は、非常に私は重大だと思いますよ。今後明らかになるでありましょうし、また私たち自身が所持しておる資料のその想定や内容が、現在の憲法下でも当然許し得る、こういう御判断ですね。まずそれだけはっきりしていただきます。
  64. 海原治

    海原政府委員 私がお答え申しましたのは、想定その他において、現行憲法上許されないような事態が入っておるのではないかというお尋ねでございますから、そういう事実はございませんということを申し上げておるわけでございまして、この点は、先ほど大臣長官として、最高責任者としての御所信を御表明になっておるわけでございますが、警察予備隊以来、私どもはいろいろ法令のもとにおいて、それぞれの部隊が任務を尽くす場合にはどういうことであるべきかということの研究はいたしておりますが、その際、これらはすべて現行憲法及び関係諸法令のワクのもとでわれわれはものを考えるように、絶えずそのつどそのつど上司から教えられております。また私どもも、そういうつもりで行動しております。先ほど公務員としての規律の点についてのお話もございましたが、私どもはあくまでも善良な国民に対しての忠実な国家公務員としての義務ということは、常に念頭を離れません。自衛隊の制服の諸君が、練習をいたすにしましても、教育、訓練に参加いたすにしましても、常にそういう気持ちで仕事をやってきたし、今後もやっていくだろうということは重ねて申し上げておきますので、ぜひそのように自衛隊というものの姿を御認識願いたいと、この機会にお願いしておきます。
  65. 加藤進

    加藤(進)分科員 だから、私は一番初めに前提を申し上げて質問を始めたわけです。三矢作戦というものが、何をおいてもまず第一に大きな前提を持っている。それは、朝鮮において第二次朝鮮戦争が勃発する、こういう想定のもとで、アメリカと協力して日本と韓国とを含む三軍がこれに対処すべきさまざまな作戦、さらにこれに対応する国家の総動員体制というものをちゃんと予定している。したがって、このことの中身が、現在の憲法においては許されるような内容であるかどうかということを、再三にわたってあなたに質問しているわけです。ところがあなたは、そういうことまで含めて、現在の自衛隊の中で行なわれておる作戦、自衛官の行なっておるこのような作戦計画というものが、その内容全般にわたって憲法には何ら触れないのだ、こういうお答えですね。その点だけはっきりしておきます。
  66. 海原治

    海原政府委員 このことも、冒頭申し上げましたことに関連いたします。先生も、冒頭先生のおっしゃいましたことを御引用になっておるわけでございますが、内容につきましてどのような前提をとっておられるかによりまして、私はそういう点は非常に変わってくると思います。しかし再度申し上げておきますことは、前回のこの研究の内容として、想定として考えられたことが、現行憲法上許されないような事項が入っておるとは私は考えておりません。特定の事項が法令違反であるかどうかということにつきまして、最終的な責任を持って判断されるところはほかにございますけれども、少なくとも私どもは、防衛庁に職を奉ずるものといたしましても、先ほど申しましたように、常に法令に対して忠実であり、法令の中において行動するということが私どもの考えの基本でございます。したがいまして、幕僚の研究にあたりましても、すべての幕僚が、現行の憲法というものが順守する、そのたてまえにおいてものを考えておることは事実でございます。ひとつこの点は、どうぞそのように御了解願いたいと思います。
  67. 加藤進

    加藤(進)分科員 いま言われたことの真偽の判断は、あなたたちの所持しておられる三矢作戦の全貌を、一日も早く国会国民の前に明らかにして、その上で全面的な検討をさしていただきたい。それだけの責任をとってもらわなければ、あなたが現憲法下においてもこのような想定はできるなどというようなことをぬけぬけと断言することは、私は許しがたいと思うのです。至急、そのことを防衛庁長官にもお願いします。よろしいですか。  第二に、ただいまの答弁におきましても、三矢作戦というものは単なる図上研究だ、こう言っております。しかし、それは私は国民を欺くものだと思っております。決してこれは、単なる図上研究や想定だけではないのです。事実がありますよ。この三矢作戦が立案され、作業が進行しておるのと相前後いたしまして、昭和三十八年十月、臨時国防基本法なるものが作成されたということは事実でしょう。その内容は、三矢作戦の想定を全く具体化したものです。そして、その内容の実現を企図しているものです。  たとえば、その内容の中に、次のようなものが含まれております。第一、民間防空隊及び郷土防衛隊の編成。二、国家非常事態の布告。こういうことがあります。その布告の内容の中には、住民の強制徴用と強制疎開。第二に集会、大衆運動の禁止。第三、新聞、放送の統制。第四、個人財産の使用及び処分。第五、予防拘禁の復活。第六、地方自治体の業務の統制。第七、交通、産業の統制。その他です。これらはみんな三矢作戦なるものの内容と完全に合致するじゃありませんか。三矢作戦が単なる図上作戦だと言い張ろうとおっしゃるならば、このような法案までつくる必要が一体どこにあるのか、そのことをお聞きしたい。
  68. 海原治

    海原政府委員 ただいま先生の御指摘になりました臨時国防基本法、これは(私案)というものがついておりますが、それにつきましては、これが週刊雑誌等に掲載されまして、国会の各委員会におきまして当時いろいろと御質問のあったところでございます。衆議院の内閣委員会等におきましても、私から当時御説明したことを記憶しております。  そこで、冒頭にまずお願いいたしたいことは、私がここで申し上げますことは、あくまでやはり防衛庁政府委員として真実のことを誠実に申し上げておるということの前提をまずお願いしたいわけです。おまえの言っていることはうそじゃないかということになりますと、何を申し上げてみましてもお取り上げにならないわけでありますけれども、しかし私どもは、あくまで政府委員として御説明をしておるわけでございますから、常に真実を申し上げておるということをひとつお願いいたします。  当時これは申し上げたことでございますが、臨時国防基本法(私案)というものが、たとえそれが私案という形でありましても、それが某幕僚監部の名前が入って、極秘として印刷され配付されたということはきわめて遺憾なことである。しかし、その内容をつぶさにお読みいただけばわかりますように、どういう事情で、どういう条件のもとにおいてこれが配付されたかということも御説明してございます。何と申しますか、全く未熟な、言うなればとるに足りないことが書き連ねてあるものでございますからということを、私のほうから御説明いたしました。私のほうといたしましては、その当時一応御了解願ったものでございます。たまたま三矢研究なるものが出てまいりまして、これとの関連において、幾らおまえらがそう言っても関連があるのだというようなお話でございますが、私ども判断は、これは絶対に関係ございません。臨時国防基本法(私案)というものは、某幕僚監部の一事務官がある研究の際に自分でいろいろと調べましたものを、上司の検閲、推敲を経ずしてたまたま資料として配付したというのが実態でございます。そういうものを配付すべきでなかった、事実そのとおりでございますが、たまたま一事務官の書いたものが出たということが真相でありますので、重ねて同じことを申し上げて恐縮でございますが、そういうものが防衛庁の制服のところで考えられておるのだ、お前らはそういう考え方を持っておるじゃないかというお考えをひとつ御変更願いたい、このように考えるわけでございます。
  69. 加藤進

    加藤(進)分科員 防衛庁というところは、そういうところですか。あなたたち上司の知らぬ間に、ひそかに私案なるものが配付されて、そうして相当広くこれは流布されておる。これはいかぬというので焼却を命ずるとか、またうそ発見機などというものを使って処分されたとか、たいへんなことを防衛庁はやられている。私はそのことだけをあえて言うわけじゃないのです。あなたたちもいわゆる三矢作戦なるものを長い期間にわたって、図上研究にしろやってきている。このことを防衛庁長官も知らなかったと言っておられる。国会でその文書を出して追及したときに、初めて、いや、そういうものを調べてみましたら、千四百九十何ページにわたるものがございましたとぬけぬけとおっしゃったじゃないですか。こういうものが自衛隊ですか。政府の責任ある人たちの知らない間に、部下の諸君が長期にわたってそういうことを実際の作業として行なっている、それを流布している、こういうことが自衛隊の内部で絶えず行なわれる、これが自衛隊のほんとうの姿ですか。私はそういう点について、この臨時国防基本法なるものも、ただそれが一事務官の私案であったとか、こういうものは不届きなものだといって処分したとかいうようなことで逃げ隠れをさせてはならぬと思うのです。というのは、三矢作戦で想定されたような内容が、この法案の中にはちゃんと具体化されておるということです。しかも、法案として出されておるということです。私もそれはちゃんとここに持っています。ちゃんと岡崎という判も押してある。そういう事実に基づいて三矢作戦なるものの問題、これは単なる図上想定ではなしに、これをもとにして実施する、これをもとにして実行する、そのために必要な法案まで準備する、こういうことが防衛庁内部で公然と行なわれている。あなたたちは知らなかったというけれども、行なわれているのは事実じゃないですか。そのことをはっきり申し上げまして、私は次の問題に移ります。  なお、一つお聞きしたいことがあります。図上作戦、また図上演習とか申しますけれども、この図上作戦とか図上演習というのは、一体どういうことを意味するのですか。その点を防衛庁のほうの正式見解としてお聞きしたい。
  70. 海原治

    海原政府委員 図上演習、図上作戦といういろいろなことばが使われておりますが、これは、部隊の教育、訓練、演習等を実施いたします前に、あらかじめ、たとえばどういうふうな形でもって部隊を動かすことが適当かという意味で、実兵ということばを使いますが、実兵を指導する場合の予備的演習として図上でもって演習をする、こういう場合もございます。これが通常図上演習といわれていることの一つでございます。しかし、高級の幕僚等につきましては、その幕僚の勉強のために、いわゆる演練のために、ないしは作戦計画等行動を考えます場合のいろいろな勉強をするために想定を与えまして、いろいろとものを考えさせる、こういうことは世界各国で行なっております。これもまた図上演習、略称して図演でございます。したがいまして、図上演習あるいは図上研究等につきましての公的な権威を持った解釈というものはございませんが、おおむねそういうものを総称して図演であるとか、あるいは図上作戦、こういうふうに言っておる次第でございます。
  71. 加藤進

    加藤(進)分科員 そうすると、いま最初に言われたのでは、図上演習、図上計画とは言うけれども、実兵を指導するに必要な予備的な演習の場合がある、こういうことをおっしゃいましたね。それは事実ですね。——そういうあなたの御答弁に基づいて、この三矢作戦なるものは決して机上だけに終わるいわゆる夢物語ではない、こういうことを私はあえて指摘したいと思うのです。図上作戦とか図上計画というものは、必ず一定の目的があって作成される。これは、いまあなたのおっしゃたように、あるいは勉強のためとか等々ありますけれども、一定の目的に基づいて作成される、そういうのが図上作戦の私は任務だと思います。さらに、そればかりではないのです。それに基づいて実施演習を行ない、実戦に備えるということが、実兵を指導するということの意味でしょう。そこにこの三矢作戦を含めて図上作戦の目的がある、これはもう一般の軍事常識です。こんなことはあなたにくどくどとお聞きしなくても、これは一般常識です。私はそこで聞きたい。もし単にこれが一つの図上作戦である、そういう限りのものである、こういうふうに言われるならば、なぜ一体政府がこれを高度の秘密文書である——これは佐藤さんがちゃんとおっしゃいましたよ。高度の秘密文書である、またそれが外部に漏洩したことが重大問題だ、こう言っておられる。さらにその上に、こういうことが漏洩するような状態では困るから、機密保護法までつくろうという動きがあったじゃないですか。そして、防衛庁の内部には、その機密保全のための機密保全委員会を設けるということがきまったじゃありませんか。その発端はどこにあります。単なる机上作戦だと言われる。準備的な演習である、こう言っておられる。しかし、事柄はそれにとどまらないということです。これは重大な高度の機密を要する問題である。防衛庁の内部でも、それに対する機密保全に十全の配慮を払わなければならぬということをはっきりと言われておるじゃありませんか。まだあります。なぜ政府は、進んでこのような資料を国民の前に、国会の前にみずから出されなかったのですか。そういうことから、三矢作戦なるものには重大な目的が想定され、それに基づいて作成されたということを、私たちは判断せざるを得ないのです。  現に、この三矢作戦の前文には、そういう目的として書かれておる項目があります。それには、次年度以降の統合及び各自衛隊年度防衛及び警備の計画作成に資する。と書いてあるのです。計画を作成するためにこれを使うということです。第二には、米軍及び国家施設に対する要請を明らかにして、何々をしてもらいたいという要請を明らかにして、防衛のための諸措置の具体化を推進する資料とする。と書いてあります。具体化を推進するのですよ。そういうための資料だ。こういうことが明確に書いてある。そうですね。そのことは、あなたたちがいかにそうでないと言われても、それはもうはっきりしている。  私は次に移ります。この図上作戦は、現実にすでに実行に移されつつある。第一に、日本の海上自衛隊が対馬海峡を中心に置いて、アメリカ、韓国、日本の合同演習を行なっております。さらに佐世保から沖之島に向けて演習が行なわれておる。岩手演習なるものもやられております。名古屋から進発して静岡海岸に向かった上陸作戦演習が行なわれておる。またF105D水爆搭載機が板付から東京に移された。これにも明らかに軍事的な内容が含まれていると同時に、この前線援護のためのF101、F104戦闘機を急遽九州に移したという事実があります。また同時に、対空ミサイル、ナイキ部隊をも九州に配置しました。特に私はここに指摘しておかなければならない重要なことは、先ほどの対馬海峡における合同演習です。これは、第二の朝鮮戦争が想定されておりますよ。日本の自衛隊が米・韓国軍と共同して演習したものである。また佐世保から沖之島への演習は、これまた朝鮮戦争を想定して敵前上陸作戦じゃないですか。さらに、いわゆる岩手作戦というものは、明らかに仮想戦場を朝鮮にちゃんと想定しておりますよ。もうこういうことは私はここで追及しない。すでに国会その他ではっきりとその事実は明らかにされておる。だから、私があえてここで言いたいのは、こういうことが、すなわち、三矢作戦は単なる想定ではなしに、これによって具体的にすでに各種の演習、各種の行動が行なわれているということの明らかな証拠じゃないか。こういう各種の朝鮮を仮想戦場と想定するような演習が三矢作戦と関係が全くない、こういうことをあえてあなたたちはおっしゃったのかどうか、お聞きしたい。
  72. 海原治

    海原政府委員 先ほど先生はいろいろな演習の名前を申されましたが、私の知る限りでは、日本の自衛隊がアメリカと韓国と一緒になってやったという演習はございません。アメリカとの間の合同演習というものは、これは毎年いろいろな形において行なわれてきております。そういうものはすべて朝鮮半島というものに対する想定でもって行なわれておるのだということは絶対に事実ではございません。したがいまして、私ども判断では、この三矢研究の研究の結果というものといま先生がお述べになりましたようなこととは全く無関係でございます。このように考えます。
  73. 加藤進

    加藤(進)分科員 時期から申しますと、六二年から六四年にわたって、以上申し上げましたような演習を含めて、非常に重要な意味を持つ演習が次から次へと行なわれた。私は、そういう点につきまして政府の責任ある答弁をいま聞いたわけですけれども、絶対にこれはないとおっしゃいました。しかし、今後この問題については、私たちも責任を持って事態を明らかにしたいと考えております。  次に、私は三矢作戦とアメリカとの関係について質問をしたい。昭和三十八年の二月、アメリカの国防次官ギルパトリックが日本に参りました。そのときに随行団として連れてきた多数の軍事研究班があとに残って、自衛隊の作戦計画に多くの指示を与えたということは、隠れもない事実です。しかも、ギルパトリックが帰国すると同時にワシントンにおいてどう言ったかといえば、将来日本が朝鮮半島を防衛するのに十分な戦力を持つものと期待する、したがって、韓国に紛争が起こるならば、アメリカ軍の強化に依存しなくても済むのである、こういうふうに述べております。これは、一体どういう意味でしょうか。防衛庁長官にお聞きしたい。これは政治的な問題です。
  74. 海原治

    海原政府委員 長官は当時御在任でございません。私は当時から防衛局長をいたしておりますので、事実関係でございますので、私からお答えすることをお許し願いたいと思います。  アメリカのギルパトリック氏が来られましたあとに多数の随行員が残って、アメリカから自衛隊について各種の指示を与えた、こういう御指摘でございますが、そういう事実はございません。  それから、ギルパトリック氏がアメリカへ帰られましてからおっしゃっているということにつきましては、私は全くの初耳でございます。
  75. 加藤進

    加藤(進)分科員 そういうことをおっしゃいますけれども、私たちは新聞その他の報道において大っぴらに国民とともにそのことは知っているのです。それをいまなお存じませんというような返事や逃げ口上で、実際日本の防衛を担当するということができますか。私の聞きたいのは、このアメリカで行なった発言は、きわめて重要な内容をもっているということです。日本の防衛当局がそういうことは知らぬ、存ぜぬという態度は、一体何事かと言いたいのです。アメリカだから知らぬとは言いがたいです。言わせないです。アメリカで言っておることでも、日本に参ったアメリカの国務次官が公然とこういうことを言っている。もしこれが日本に差しさわりがある場合に、日本の将来を危うくするような問題であったならば、政府は責任を持ってこの取り消しを要求しなければならぬじゃないか。知らぬ存ぜぬという態度は一体どういうことですか。
  76. 海原治

    海原政府委員 私が申し上げましたのは、先ほど先生が御引用になりましたようなギルパトリック氏の発言というものにつきましては、全くの初耳でございますということを、その事実を率直に申し上げた次第でございます。そういうことで防衛の担当者としてどうだ、こういう御批判がございますようでございますが、私自身は、いろいろと日本の防衛に関連しました私の勉強を私なりにしているつもりでございます。過去四年三ヵ月、防衛局長をつとめておりますその間におきまして、いろいろ日本の防衛につきまして外国の要人がおっしゃいますことは、私なりにいろいろと調べております。しかし、ただいま先生のおっしゃいましたような発言については、私は初耳でございますということを申し上げた次第でございます。また外国の方がいろいろ申されますことが、直接わが自衛隊に影響があるということではございません。ひとつそれはそのようにお考え願いたいと思います。
  77. 加藤進

    加藤(進)分科員 そうすると、国民は非常に多数このことを知っている。新聞を通じて知っている、読んでいる。関心を持っている。心配している。ところが、政府はそのことについていまなお知らぬというのですね。わかりました。いまなお知らぬという発言は重大ですよ。こんなことまで知らないような状態で政府が責任を果たせますか。この二月十八日にアメリカの下院軍事委員会でマクナマラが発言をいたしました。このことも、先ほどのギルパトリツクの発言と非常に関係が深い、これは御存じですか。
  78. 海原治

    海原政府委員 二月のアメリカにおきましてのマクナマラ長官の発言ということでございますが、アメリカにおきましては、毎年国会予算を提出いたします際に、国防長官予算提出の前提と申しますか、バックグランドと申しておりますが、そういうものについて、大部な、かれこれ一千ページくらいございますが、そういうものを出すわけでございます。これはステートメントでございます。そのステートメントの中に、アメリカの国防当局が見ました世界各国の事情が書いてございます。これにはアメリカの援助を与えている国の、あるいはアメリカと同盟関係にある国のそういうことにつきましての詳細な見積もりがございます。昨年もそういうことがございました。その一部として、先般新聞が伝えたところのものが載っておると思いますが、私どもはまだ現物は入手いたしておりません。したがいまして、現物にどういうことが載っておったかということにつきましては、いましばらく時日をおかしいただきたい。なお御参考までに申し上げますが、たまたま私一先般出張いたしまして台湾に参りましたときにも、台湾の新聞には、昨年防衛二法案が通りました直後に、防衛庁が省になった、こういう報道が出ております。このように新聞記事といたしましては、間々事実と違う報道がございます。したがいまして、政府当局として、この事実についてどうこうということでございますと、現物を私どもが入手してからお答えさしていただきたい、
  79. 加藤進

    加藤(進)分科員 これは、報道人に責任を転嫁して、自分の知らぬこと、自分の研究不足をごまかしている。私は、少なくとも国会に対しては、たとえ新聞報道にしろ、日本の現在と将来について重要な問題の発言については、政府はやはり責任を持ってその見解を明らかにすべきだと思うのです。ここにこう書いてあるでしょう。日本の防衛力増強問題に触れて、これは、十八日のアメリカの下院軍事委員会での国防に関する先ほど年次報告、日本が日本列島の防衛に全面的責任をとろうとするならば、防衛力の一そうの拡充が必要とされるだろう、こういうふうに指摘しております。これは関係ないですか。こんなことは新聞報道であって、おれたちは知らぬ、こういう態度で政府はこの問題にほおかぶりをしていいですか。
  80. 海原治

    海原政府委員 私の御説明が不十分で申しわけございませんが、その日本の新聞は私も読んでおります。同時にアメリカのスターズ・アンド・ストライプスに出たものも読みました。そこに書いてありますことは、とろうとするならばという日本語の表現が、英語ではイズ・ツー・ビーという形になっております。もしそういうことになるとするならばということで、もし日本が日本の力だけでこの日本列島の防衛を全部引き受けるということになるならば、今日以上の防衛費が必要になるだろう、こういうことをいったものだと私は判断いたしますが、先ほど申しましたように、政府としまして申し上げる場合には、公電、公文を取ってからでなければ正式なことは申し上げられません。したがいまして、アメリカにあります日本大使館より外務省にそのステートメントが送付されましたあとで、事実こうでございますということを御報告させていただきたい、こう申し上げた次第でございまして、その新聞については私も読んでおります。
  81. 加藤進

    加藤(進)分科員 知らぬとおっしゃっても御存じじゃないですか。至急アメリカにある日本の大使館を通じてその資料を取って研究してください。またそればかりじゃいかぬのです。あなたたちの持っておられる資料も、国会にどんどん出して、国会審議国民の信頼と期待にこたえてくださいよ。  私はなお質問したいことが多々ございますけれども、以上のような私の質問に対する政府答弁では納得いきませんよ。国民のいま持っておる疑惑と不安についても、皆さんの答弁は、国民を納得させるものではないと思うのです。私はこの問題につきましては、今後国会を通じてさらに一そう追及をいたします。覚悟していただきたいと思います。  最後に、時間もございませんので、私はこの三矢作戦計画なるものの背後にある政治的な背景について言及したいと思うのです。  そもそもアメリカのアジア政策は、一貫して中国をはじめアジアの社会主義諸国を敵視しております。そして、これを侵略すると同時に、周辺の諸民族を支配することが常に彼らの目的になっております。そのために、アメリカは韓国と日本と台湾とを拠点に置いて、東北アジア軍事同盟を結成することに全力をあげておる。日韓会談はその具体的なあらわれです。これは、東南アジア軍事同盟、特に南ベトナム、ラオス、タイを拠点とする最近の凶暴な侵略と戦争拡大政策とともに、全アジア人民がとうていこれを許すことができない内容です。  このアメリカの侵略と戦争の政策を貫くものは、常に反共です。反共産主義、反社会主義です。反共政策ですよ。反共の名前さえあれば、どんな無法でもあえて意に介さない。ここに彼らの本質があります。このためにこそ、日本に軍国主義の復活を強要したり、韓国においては国連軍を僣称して、核武装部隊を配置し、朴かいらい政権に対してばく大な軍事援助を行なっておるではありませんか。  アメリカのいまねらうところは、あくまでも三十八度線以北ですよ。日本政府もまたこれに積極的に加担して、安保条約をたてにとって自衛隊の増強、沖縄を含むアメリカ軍事基地の拡大、さらには憲法の改悪までたくらみながら、今回特に日朝雨人民の激しい反対を無視して、無法にも韓国が全朝鮮を支配するものとしてこれを承認するような、日韓基本条約の仮調印までアメリカに強要された。この条約は、朝鮮民主主義人民共和国にまっこうから敵対してこれを抹殺する内容のもので、国際史上、未曽有の侮辱を与えたものと言わなくてはならぬ。三矢作戦というのは、まさにこのようなアメリカの反共侵略政策に全面的に対応する日本の国内における軍事的ファッショ計画そのものです。こういう問題は、政府がどのようにやみからやみにほうむったり、またさまざまな手段をもって隠蔽しようとも、わが党は、国民とともにこの点については今後とも徹底的に追及して、必ず事態の真相を明らかにし、政府の考えておるような憲法の完全な違反、憲法改悪の野望を粉砕する、こういう決意でありますから、ここにその決意の一端を述べて、私は本日の質問を終わりたいと思います。
  82. 中野四郎

    中野主査 本日の質疑はこの程度にとどめます。  明二十四日は午前十時より開会して大蔵省所管について質疑を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会