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1965-02-26 第48回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十六日(金曜日)    午前十時十四分開議  出席分科員    主査 古川 丈吉君       赤澤 正道君    仮谷 忠男君       川俣 清音君    栗原 俊夫君       中澤 茂一君    永井勝次郎君       武藤 山治君    兼務 大原  亨君 兼務 高田 富之君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  大口 駿一君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         林野庁長官   田中 重五君         水産庁長官   松岡  亮君  分科員外出席者         建設事務官         (河川局次長) 国宗 正義君     ————————————— 二月二十六日  分科員永井勝次郎君及び竹本孫一委員辞任に  つき、その補欠として武藤山治君及び玉置一徳  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員中澤茂一君、武藤山治君及び玉置一徳君  委員辞任につき、その補欠として永井勝次郎君、  栗原俊夫君及び竹本孫一君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員栗原俊夫委員辞任につき、その補欠と  して中澤茂一君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  第三分科員大原亨君及び高田富之君が本分科兼  務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算農林省所管  昭和四十年度特別会計予算農林省所管      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  質疑に入ります前に一言申し上げます。本日は多数の質疑者質疑が予定されておりますので、質疑の持ち時間は、本務員は一時間、兼務員もしくは交代で分科員となった方は三十分にとどめ、議事の進行に御協力願いたいと存じます。  質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。  永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井分科員 大臣が所用のようでありますから、大臣についての問題点だけ二、三お尋ねいたしたいと思います。  農産物自由化方針について伺いたいと思います。外国では、国内農産物を育成いたしますために、自由化については相当慎重な態度で、一般物資とは差別して扱っているようでありますが、日本の場合はわりあいにその点は相当急テンポで自由化が進められている。まだ開放されていない部分について、今後どのような方針で臨まれるのか、お伺いいたします。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自由化問題につきましては、いまお話のように、各国とも相当慎重な態度で進んでおります。しかし、一方、日本などにとりましても、南北問題、低開発国問題等もありますので、その問いろいろ複雑な事情はございます。しかしながら、どこの国でも、国内農業に対する保護政策開放経済との摩擦等につきまして慎重な考慮を払っておるわけでございます。御承知のように、日本自由化につきましても、九二%、そこまで農産物についても自由化になっております。あと七十数品目でございますが、これにつきましては、緩急の度あるいは、重要性の度というものを各品目別検討をいたしております。慎重な検討をしておりますので、毎々申し上げておりますように、政府の管理する米麦あるいはでん粉あるいは酪農、こういうものにつきましては、自由化ということは当分やり得ない、こういうふうに考えていますが、その他の品目等につきましても、品目別に、国内の、さっき申し上げました保護的立場等勘案しまして、悪影響を及ぼさない対策を講じ、あるいは悪影響を及ぼすようなものは避け、そういう手だてをしてからでないと容易に踏み切れない、こういうふうに考えております。
  5. 永井勝次郎

    永井分科員 いま大臣の御答弁のように、表面上は自由化されてない、形式的には自由化されてない、しかし実質的には自由化されたと同じような輸入状態でもあるし、国内製品に対する圧迫の強化についても同じような結果になっておるのであります。御承知のように、農産物輸入関係は、最近漸次激増いたしております。三十九年なども、たとえば大豆であるとか、トウモロコシであるとか、小麦あるいは砂糖砂糖自由化されていますが、こういったものだけでも六千億前後の輸入価格に達しておるというような状態であります。国内農産物価格が値上がりする、その価格を抑制するという意味で直ちに輸入する、あるいは需要に対し不足であるということで直ちにこれが輸入される、こういう形で、実質的には自由化されていると同じ効果をもたらして圧迫している。そういう輸入の数量と見合って国内生産というものが制限されている。このことは今後非常に大きな問題になってくると思うのであります。その実際の輸入影響についてどのように評価され、またそれに対してどのような対処の措置をお考えになっておられるのか、伺いたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに、世界においても日本農産物輸入国としては上位に位するというか、そういう状況でございます。でございますが、いま御指摘のように、国内農産物が値上がりするからそれに対して輸入するというのは、まあ豚肉等にはそういうことがございますが、一般的には、需要が相当ふえておる、あるいは日本で耕作が非常に減ったという、たとえば小麦飼料等でございますが、そういう面から輸入を余儀なくされておるというような事情が非常に多いと思います。値上がりであるからというようなことでは、特に消費者物価の問題で手を加えるものもありますけれども、これは一時的な問題と思います。とにかく、農業基本法にもありますように、日本農産物の総生産を増大するといいますか、自給度を増していくということが農業政策としては大切なことであり、その方針は依然として堅持しておるわけであります。ものによりましては自給が非常に困難であるというものもありますけれども国内生産を必要とする等のものにつきましては、自給度を増していくというようなことに力をいたしております。そういう面におきましては、あるいは生産性向上等のためにいろいろな施策を申し上げるまでもなくいたしておりますが、そういうことによりまして、いまのところ八四%から三十八年度八一%くらいの自給度でございますけれども、この自給度を堅持していくための農業政策を行なっていく、こういうふうに向かっております。
  7. 永井勝次郎

    永井分科員 この問題についてはあとでまた食糧庁その他について質問します。  次に、大臣酪農関係の二、三の問題についてお尋ねいたしておきます。  いま、酪農地帯中心である北海道では、生産農民が団結をしまして、生乳共販制度確立する、こういう運動が具体的に起こっております。生産農民による共販制度確立して、乳業会社に隷属している立場から独立の立場に回復しようということでやっております。これらについては、価格支持制度その他が政府によって基本的になされなければ目的を達成できないのでありますが、この共販制度確立についての大臣のお考えを承りたいと思います。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 酪農政策を推進することにつきまして一つの問題は、流通過程のコストの引き下げ等を十分考慮していかなければならぬということでございますので、私どもといたしましても、集乳等経費等を少なくする、こういう意味におきましても、集乳を各県あるいは道を一本化していくというようなことで進んでいきたいと思っておるところであります。そういう意味におきまして、生産酪農家共販体制確立していくという進み方に対しましては、私どもも、これはそうあるべきである、こういう観点から奨励もし指導もいたしております。
  9. 永井勝次郎

    永井分科員 従来は、合理化目標という点については一応目標を立てて具体的にお話があるのでありますが、実行の面においてそれが伴っていない。生産農民は、安い乳価の中で、生産の現場では血の出るような合理化を追求いたしております。たとえば、われわれのほうの地域考えましても、もう一頭、二頭飼うというような副業的なものはだんだん整理されて、最低五頭、六頭、もう本格的な腰を据えた酪農生産体制に置きかわってきておりますし、農家の経営戸数から言っても、三分の一は酪農業に切りかわってきております。経営の内容にいたしましても、正常管理が行き届いて、乳牛頭数もふえてきましたし、飼育管理も高くなってきた、あるいは人工授精どもアングルの使用なんかが非常に減ってきた。したがって、獣医などはその地帯ではだんだんめしが食えなくなってきたというほど正常管理が行き届いてきております。そうして多頭飼育の中における経営合理化もきびしく追求しているところでありますが、生産牛乳価格は大体国際価格であると思います。そして、それが流通過程、製造の過程で、国際価格の二倍ないし三倍に上がってしまって、生産農民の血の出るような合理化が少しも消費者のところに生かされておらない。製品過程合理化が追求されていない。こういうことに対して農民は非常な憤りを持っております。そういうことを幾ら言ったってしょうがないから、われわれでひとつ共販体制確立しよう、こういうことで、いま一元集荷と大乳業区の設定、生産者の自七性の確立農協酪農民中心に立たなければならないということで、従来ピンハネだけの役割りを、手数料だけをとっておった農協中心に立たせようとしてやっておるのであります。それには国の価格支持政策が絶対必要な条件になってくるわけでありますが、この生かすか殺すかの分岐点にある価格支持に対しての政府考え方、それから、もう一つは、農協中心に立ちますためには、農協系統投資による貯蔵タンク施設をつくることが、これは絶対必要な条件でございまして、これらの資金その他の関係については、長期資金の融通その他が政府によって配慮されなければならない、こう思うのですが、この点について、価格の点と、それから農協系統による共販体制に必要な諸施設に対する長期資金その他の補助等の点についてお伺いいたします。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま生産者合理化対策に非常に尽力していることをお聞きいたしまして意を強うするわけでございます。私どももそういう合理化対策には相当の関心と助成というか指導をしていかなくてはならぬと考えておるわけでございます。そこで、そういうふうに生産者合理化対策をしておる、また生乳については国際的の価格と大体同じである、しかし消費者の面に行って相当高くなっておる、そういう観点から価格対策について考慮を払わなくてはならぬじゃないかという御説でございます。ごもっともでございまして、この点につきましては、数年来、あるいは昨年来、特に事務当局にも検討を命じまして、ことしの予算ではその準備予算しか載っておりませんが、来年から不足払いぐらいのことを行なって価格支持をしていこう、こういう考え方で進めております。したがって、予算の面からは来年度となりますが、準備費はことしの予算の中に含まれております。また、法律につきましては、そういう制度を行なっていく法律を今国会に提出して価格支持をしていく、こういう方針でございます。  第二の、生産者団体農協等におきまして貯蔵をする必要があるが、それに対して金融面あっせん等をするかしないかということでございますが、これは、公庫資金及び近代化資金等によりまして、そういう貯蔵の設備に対しましての金融面あっせん等いたしたい、こう思っております。
  11. 永井勝次郎

    永井分科員 生産農民共販体制確立する過程では、これはなかなか安易な道ではないと思う。メーカーその他が利害が対立いたしますから、その点でいろいろな問題が出てくると思う。その場合、指導に当たる農林省当局が、メーカー立場で問題を処理するか、生産農民の自主的な活動を助長して正しい方向に導いてやる、その過程のいろいろな問題については大いに助けてやるという立場でこの問題を処理していくかは、これらの問題の成否を決定する重要なポイントだと思う。大臣は、いろいろなメーカーその他からの圧力もあるでしょうし、対立関係も出る、出た場合、生産者農民のこの自主的活動を支持育成していくんだ、育て上げていくんだ、こういう立場で断固これを指導される御覚悟であるか、この点をお伺いいたします。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 乳業者等のいろいろな意見もあるようです。しかし、何といたしましても、いまの私どものとっている方針は、酪農振興のためにも、また生産者のためにもとるべき対策である、こういうふうに強く信じておりますので、メーカー等におきまして御議論があるものはできるだけ納得させるつもりでございますけれども、納得しないからといって、後退するという気持ちはございません。生産者立場に立って対策を進めていく、こういうつもりでございます。
  13. 永井勝次郎

    永井分科員 なおこの問題は、あとでいろいろ当局から伺うことにして、もう一つ、次に、国有林経営の問題についてお伺いしたいと思います。  いま、木材需要は非常にふえてきております。そうして、それに対する供給力は非常に減ってきております。シェアの条件がだんだん拡大してきておるわけであります。そうして、その中で一番大きな供給源である国有林の荒廃の状況が一番ひどいんじゃないか、こう思うのでありまして、木材資源供給力ばかりではなくして、国土保全立場からも、いろいろ手配をしなければならぬ、あるいは新しい資源を増殖するためのいろんな施設をしなければならぬ、あるいは奥地林開発のための林道その他の投資が必要だというふうに、まあ内外多事な状態にあるわけでありますが、これに対して、現在の国有林のこの運営の状態では十分これに対応できないのではないかという問題がいろいろ提起されているわけでありますが、これに対して大臣はどのようなお考えでありますか、伺いたいと思います。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のように、国有林につきましては、木材資源供給源として、非常に輸入がふえておる現段階におきまして、よい供給源として強化していかなければならぬ立場にあります。また、国土保全という意味におきましても大事な国有林でございます。こういう大事な機能を持っているところの国有林を育成していくという立場に立って、いまの機能ではやり得られるかどうかというようなお尋ねでございますが、いまの機能を十分活用して私はこれに対処していきたい、こう考えております。
  15. 永井勝次郎

    永井分科員 大臣、参議院のほらに行くようでありますから、最後に一点だけお尋ねしたいのは、公務員規律節制についての問題であります。  私は人のあらを探すほど時間の余裕はない。また、陰でいろいろ言うというような卑屈なことは私はしたくない。しかし、いま問題にいたしますのは、北海道駐在営林局長の方でありますが、赴任にあたりまして、自分春秋会から派遣されて赴任したのだということで、しょっぱなから、そういう党の派閥の線に乗って自分は乗り込んできたというようなことを公然となにしまして、ずいぶんひどい——ひどいというよりは常軌を逸したいろいろな行動がなされている。また、何というのですか、北海道所在営林局長なんかも、これはみんな二流どころで問題にならないのだ、こういうことで、自分所管でない営林局の管轄のところまでいろいろ口出しをしたり、指示したり、いろいろサゼスチョンしたりというようなことをし、あるいは中央の親分に大きな石、珍しい石を送るというようなことで、業者にそういうことをしたり、あるいはいろいろな市町村長等の選挙に、政治家気どりでいろいろなにする、仕事の上にもいろいろ問題がある、こういう実情であります。これは、たとえば公正であるとかなんとかいったって、それにはおのずから許容度という幅があると思うのですが、この人の言動行動というものは、許容度をもはるかに逸脱するし、現地でいろいろな問題をずっと起こしていると思うのです。こういうふうに地方における高級官僚が、役人が、そういうことで派閥で汚染されたり、あるいはそれによって公正な仕事が疑われたりというような事態になりますことは、私は、これは役人一つ規律としても許せないことでもあるし、行政の公正という立場からもこれは許せない、こう思うのであります。この問題については、林野庁長官もある程度は御存じであろうと思います。しかし、これが派閥関係し、いろいろ政治的な背景を持っておりますために、長官立場だけで問題は処理できないと思う。やはり大臣がこれらの問題について公正な立場で峻厳に措置いたしませんければ、影響するところ甚大である、こら思うのであります。大臣の良識ある決断を期待したいわけですが、これに対して決意を伺いたい。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いろいろの言動の、言のほうは、これはあろうと思います。あろうと思うというのは、いろいろしゃべっていることについて私が制限を加えるというわけにはいきませんが、しかし、それに伴う行動につきまして逸脱するようなことがあっては、私は公務員としてならないと思います。そういう点がございますならば、厳に注意をいたしまするし、注意を聞かぬというようなことならば、またそれだけの措置をしなければならぬと思います。公正なる職務執行、こういうことが必要でありますので、そういうふうにするように厳に注意をいたしていきたい、こう思っております。
  17. 永井勝次郎

    永井分科員 注意程度という、そんな段階じゃないのです。
  18. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その事情はよく聞いておりませんので、そこまでのことをいま申し上げることには相なりません。調査いたします。
  19. 永井勝次郎

    永井分科員 先ほど大臣にお尋ねいたしました農産物自由化方針についてでありますが、実際に、形式的には自由化はしていないのですが、自由化したと同じやり方になっておるわけです。たとえば、小麦トウモロコシ砂糖大豆で申しますと、三十八年は、小麦は七百八十一億、トウモロコシは五百七十億、大豆は六百億、雑豆等も何百億、乳製品等も百数十億、こういうふうに、国内では選択拡大で大いに助長しなければならない領域にどんどんこれが輸入されて、国内生産意欲の頭をたたきつける。あるいはくだものその他についてもたたく。あるいはアラスカのサケ、あるいはソ連のニシン、こういうものも入れて、そうして国内のいろいろなそういう関係影響を与えておる。今度の日韓会談等によって、これが成立しますならば、ノリは別といたしましても、いろいろなメンタイであるとかあるいはスルメであるとか、そういったものの輸入も予定されておる。あるいは今後東南アジア後進地域との貿易が相当活発になってまいりますならば、こちらからはプラントを輸出する、いやおうなしに向こうからは第一次製品輸入しなければならない、こういうようなことで、国内の出産と競合するものを、プラントの輸出をするために、国内農民がその犠牲になってどんどんこれが輸入されるというような事態になりますならば、農業の面における自給度を高めていくという政策と矛盾する形になって、これはどんどんひどくなってくると思うのでありますが、これらの諸点について、当局としてどういうふうに考え、それから、それぞれの品目についてどのような取っ組み方をしていこうとしておられるのか、これらの点について伺いたいと思います。
  20. 久宗高

    久宗政府委員 自由化全般につきましては、先ほど大臣から全般的なお話を申し上げたところでございます。ただいまの質問に関連いたしまして若干補足して申し上げますと、自由化という形でいろいろ論議が進んでまいりまして、また個々の品目についてもいろいろな経緯があったわけでございますが、全体といたしましては、御承知のとおり、ガットの規定に伴いましていろいろ交渉が進みまして、ドイツでございますとか、イタリアでございますとか、それぞれ爼上にあげられて討議が行なわれたことはある時期にあったわけでございますが、御承知のとおり、そういう形での個別的な問題の取り上げ方では、全体の貿易拡大と必ずしもタイミングが合わないというようなことから、いわゆるケネディラウンドという問題に移りまして、広い意味ではもちろん自由化一環をなすわけでありますけれども関税を引き下げますとか、要するに貿易の障害になっているものをどう調整していくかという形に、現在のところ世界におきます交渉過程はそういうふうに問題が移行しているように思われるわけでございます。私どもといたしましては、広い意味自由化対策一環といたしまして、また、現に進行しております関税一括引き下げという問題との関連におきまして、品目別にまた国別対策を練って今日まで来ておるわけでございます。  そこで、現在の段階で申し上げますと御承知のとおり、ケネディラウンドのほうは、工業製品について一応例外的なしかたをしなければならぬものにつきまして、各国が昨年十一月に品物を持ち寄ったわけでございますけれども農産物につきましては、これはどこの国も非常にまごついておりまして、なかなか簡単ではないわけでございます。特にEECとアメリカの間におきまして、農産物の問題についてどういう方式でそれぞれの国が貿易拡大に寄与するか、また、それぞれの国で農業保護の必要があるわけでございますので、そういう農業保護貿易拡大の問題をどういうふうに調整したらいいだろうかということで、このルールを発見しようとして非常に努力しておるわけでございますけれども、何ともむずかしいわけでございまして、今日までケネディラウンドのほうもこのルールがきまりませんために、具体的な発足が農産物については動きにくいというふうな形になっておるわけであります。さような意味から、具体的に申し上げれば、いわゆる狭い意味自由化のほうは少したな上げになっておりまして、それにかかわらず貿易量をいかにして拡大するかという問題のほうに問題が移行しているように思うのであります。したがいまして、私どものほうでは、国内的には、たとえば砂糖でございますとか、あるいはバナナでございますとか、いろいろな問題がございまして、非常に自由化論議を激成したわけでございますけれども、全体といたしましては、ただいま私どもで特に準備しておりますのは、さようなもう少し広い意味貿易拡大農業保護をいかに調整しようかということにつきましての交渉にどういう態度で臨むかということでございます。その基本的な態度につきましては、すでに大臣から、構造的な基本的な問題につきましては、もちろん農業保護に徹して、しかし大勢に即応しまして処理をしていく、したがって、その大勢をいたしましては、文字どおり生産性を上げること、つまり国際競争力をふやすことに努力しなければならぬという考え方を申し上げたと思うわけでございます。  なお、お触れになりました一次産品との関係についてでございますが、御指摘のように、特に東南アジアにつきましては、相当こちらからいろいろ工業製品が出ておりまして、それとの関連におきまして一次産品輸入が非常に強く要請されて、その関係はどうかということでございます。現にさような問題は非常に強い要請になって出ておるわけでございますが、ただ、農林省といたしましては、しばしば問題になります一次産品につきまして、たとえば東南アジアについて国別にあげてまいりますと、いろいろな品目が浮かぶわけでございますが、特にそういう問題の指摘を受けます国別日本からの輸出と私のほうで入れますものとのギャップが相当激しい形で出ているものがあるわけでございますけれども、ただ、かりにそういう先方でこれを買ってほしいというものを、こちらの問題を一応抜きにいたしまして全部買ったといたしましても、現在でございます国別のギャップの非常にわずかな部分しか埋まらないという問題がございます。さような意味で、単に現在問題になっておりますような一次産品を直ちに買い上げるというような形だけでよろしいのかどうかという根本的な問題があるように思うわけでございます。御承知のとおり、あそこの地域におきましては、人口増と食糧の増産のギャップが非常に多うございまして、そういう根本問題もございますので、私どもといたしましては、決して一次産品の問題について不熱心ではないわけでございまして、また必要だと思うわけでございますけれども、なおもう少し掘り下げた市場確保という点だけから考えましても、現在行なわれておりますような一次産品をただ買えばよろしいといった議論には必ずしも同調できないという感じを持っておるわけでございます。もう少し根本的な取り組みが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  21. 永井勝次郎

    永井分科員 それならば、ひとつ品目別対策を伺いたいと思います。大豆に対してはどうか、それから乳製品に対してはどうか、雑豆に対してはどういうふうにお考えになっておるか。
  22. 久宗高

    久宗政府委員 それぞれの品目について、具体的な検討はいたしております。しかしながら、現在、御承知のとおり、農産物につきまして、当然ある時期に、どういうものをどの程度貿易拡大に即させるかといういわゆるオファーをしなければならぬ。それにつきまして、この段階で事前にそれを申し上げることは必ずしも適当でないのではないかというふうに考えております。それは全部交渉ごとになるわけでございまして、ちょうど、工業製品につきまして、昨年の十一月に、ある時期を限りまして一斉に各国が持ち寄りまして、それがたとえばケネディラウンドにおきます例外品目になるという形で、たしか十一月十六日に全部一緒に持ち寄って、一斉にふたをあけるというようなやり方をいたしたわけでございますので、御指摘のようなそれぞれの品目につきまして、今日までいろいろ論議があったことも存じておりまして、私ども十分な検討をいたしておりますけれども、基本的な態度は、それによりまして日本農業に非常な構造的な障害を来たすようなことはできるだけ避けて、しかし貿易拡大の全体の体制にもちろん即応していこうという考え方で臨みますので、この段階で各品目についての具体的な考え方を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  23. 永井勝次郎

    永井分科員 一面においては、農業構造の改善事業が推進されておる。そして近代化推進が要請されておる。一面において、貿易の副次的な産物として、単に必要というよりは、そういう輸出入のバランスの面から輸入を強要される。そういうことがこちらで進められている構造改善事業なり近代化への大きな影響になってきている。それが頭打ちになっている。こちらでつくってこちらでくずしていく。両面の矛盾をあえてしているわけなんで、こういう点が、大豆はどうなんだ、雑豆はどうなんだ、トウモロコシはどうなんだ、こういう関係が個別にこまかく緻密に計画されて、こういうふうに臨むのだということになりますと、国内生産体制なり経営の方向というものが大体長期にわたって展望ができるわけです。そのときそのときのスポット買いでぽんぽんとやられたのでは、国内の恒久的な生産体制というものは根本からくずされてしまう。構造改善事業をこれから推進していく上に、これがそのとおり進むのかどうか、また、根本からこれは考え直さなければいけないという問題に当面するのか、これの大きなファクターがこの点にあると思うのです。でありますから、もう一つ、その面の担当だけでなくて、その面を日本の農政として総合的に評価する担当の面から、ひとつ意見を聞かしてもらいたいと思います。官房長。
  24. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話しの点、もちろん十分考えなければならない問題であると思います。特に、構造改善事業あるいは農業の近代化を進めていくにあたりまして、生産性の向上というようなことを目ざすのですけれども、その際に、主産地形成ということもあわせて考えられなければならない。その場合に、対外的な施策いかんによりまして、主産地形成にいろいろな水をさすような結果になる。そういうことがありますと、せっかくの選択的拡大、構造改善ということにもひびが入るという御指摘であろうと思います。そういう点について、原則的には、たとえば酪農乳製品等に例をとりますと、やはり全面的な自由化といいますかAA制度に切りかえていく、現在残っていますバター、チーズ等についてそれを一挙にやるというようなことは、やはり差し控えなければならないというふうに考えます。ただ、一般的に申しまして、日本の食糧需要の強さは他の諸国に比べても伸びが相当高いわけです。国内でもちろん生産をしていくわけですけれども、その生産需要とのギャップについては、割当制のもとでもやはり輸入はせざるを得ないというようなことも、物によっては見通されるわけです。雑益等についてもそういう感じがいたすわけです。大豆とかあるいは小麦砂糖等についてもお話がございましたが、大豆砂糖自由化されていることは御承知のとおり。トウモロコシ自由化されておりますけれども、特に将来の生産性向上という意味での試験研究とか、それの実用的な段階でのいろんな諸施策は将来も続けていかなければならない。特に長期的な視野に立ってそれは強力にやらなければならないと思いますけれども、当面はなかなか国内生産の伸びないものも多うございます。そういう意味で、先ほど来申し上げました需要と年産とのギャップについては、所要の輸入はこれはやむを得ないのではないかというふうに考えるわけです。
  25. 永井勝次郎

    永井分科員 砂糖については、きのうの閣議で決定したとしてきょうの新聞に発表されている。事業団の問題等が発表されておるわけですが、あの記事の中にも、国際価格の安いものがどんどん輸入できるのに、国産を維持するために高い価格国内で維持するというようなことは間違いではないかというような業界の意見が相当にあるというふうに出ている。今後やはり、国内における自給度を高めていくという政策と、国際価格の安いものならばどんどんそれを輸入すればいいではないかというものとが衝突してくると思うのです。砂糖の問題については、まだ事業団のあの決定だけでは中身が不十分ではっきりしておりませんから、これらについて中西さん一番わかるのだから、砂糖関係についてこれをひとつ説明していただきたい。  それから、国際競争力、国際関係と競争して対応する力を養っていくんだと言いながら、メーカーの面においてはちっとも合理化が推進されておりません。たとえば、原料集荷の区域の設定の問題だって、長距離輸送を依然としてやっておる。それから満度操業をやっておらない、あるいは一部の工場では二月近くまでも原料をたくさんかかえて一〇〇%以上の消化をする、あるところでは七〇%くらいより消化しないというようなちぐはぐな状態で、年産の体制が合理化の線に乗っておりません。そうしておいて、原料の生産の面だけは、これはどんどん合理化合理化と頭打ちしておいてたたいているというようなことについては、農民はこれは納得しないわけであります。でありますから、輸入の問題を解決するとともに、国内生産体制を合理化する面の追求を今後どのようにおやりになるか、それから、生産農民生産意欲を増強するにはどうしたらよいのか、どういう考えでおやりになるのか、現実にはあまり伸びない、横ばい状態になっておるわけでありますが、その壁を破るにはどうしたらいいか、お考えがあったらこの際明確にしていただきたいと思います。
  26. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話しの事業団の問題ですが、これは新聞には出ておりますが、あれは研究段階一つの研究会での結論ということで、まだ閣議までは実は至っておりません。さらに内容を詰めまして政府間で具体化していくという段取りがまだ残っておるわけでございます。  内容は、お話にもございましたが、何といいますか、国際価格が安くて国内のコストが高い、高いものはつくらぬでもいいじゃないかというようなことでなしに、やはり、北海道あるいは西南諸島においては、その地域農業として、いわば宿命的に甘味資源作物をつくらざるを得ない。そのことが将来生産性の向上というようなことを伴っていくことによって、何と言いますか、国民経済全体の負担も将来は軽くし得るんだという見通しがあってやっておることでございます。そういう意味で、当面国際価格が非常に安いから、国内のものはつくらなくていいんじゃないかというようなことには、われわれとしてもくみし得ないわけです。  そこで、輸入糖あるいは国産糖についてのメーカーの操業度の問題、あるいは生産性の向上の問題についての御指摘がございました。長い間の懸案でございますが、やはりその段階での合理化が進むということが生産者にとっても利益であり、また消費者にとっても利益であるということでございますから、当然そちらの方向にいろんな施策の努力を積み上げていく必要が十分あろうと思います。そういう意味で、現在の政府買い入れ価格の設定にあたりましても、かかったコストを全部政府買い入れ価格で吸収できるというような態度は実はメーカーもとっていないので、若干の期間はかかると思いますけれども長期的には合理化を推進していく方向で施策を進めておるわけです。輸入糖については、これは自由化されまして、いろんな激しい競争関係に実はなっておりますが、あの競争関係は、やはり将来の合理化のためには必要な環境であろうというふうに考えておるわけです。  なお、ビートその他についての生産をもっとふやしていく方法はどうかということでございますが、このことは、ビートについて言いますと、北海道農業など全体を合理化していきますために、北海道農業の基盤の確立というようなことがやはり一番大切であろうと思いますが、それにあわせて、ビートのあるべき地位についての営農の指導ということも従来に劣らず積極的にやっていく、さらに、ビートについての価格安定、価格の支持ということもあわせて講ずることによりまして面積の拡大をはかり、今後の操業度の向上をはかる、そういう線で進めていくのが妥当であろう、かように考えます。
  27. 永井勝次郎

    永井分科員 時間がたちますから次に進みます。経済秩序といいますか、あるいは日本の資本が海外に進出して国内のものと競合する問題、この調整をどうするかという問題になろうかと思いますが、最近日本のミカンのかん詰めがイギリスやカナダにはあまり売れなくなった。その原因を調べてみたら、住友がスペインでミカンの栽培をやって、そうしてサツマオレンジとして、あるいは商標スミトとして、そこからイギリス、カナダのほうへ輸出しておる。そのために国内の輸出商品が圧迫を受けて、そっちのほうへいけないのだということのようでありますが、これらの問題については、農林省はどのように国の内外の関係について調整をするお考えなのか。こういう問題は、えさの場合にも、あるいはいろいろなくだものの場合、あるいは砂糖の場合等にも出てくるであろうと思うのですが、どのようなお考えでありますか。
  28. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 最初のミカンかん詰めの問題につきまして、私からお答え申し上げます。  ミカンかん詰めをスペインで住友がつくりまして、アメリカ、カナダに輸出しておるという話は、カン詰めのことは私は聞いていないのですが、スペインでは、御承知のように、日本の温州ミカンと同じミカンの栽培をやっておりまして、そのなまミカンを、昨年は日本のなまミカンの価格が高かったものでありますから、カナダがスペインから輸入をしておるということを承知をいたしております。それで、やはりミカンのかん詰めの問題もそうなんでございますが、従来日本のなまミカンが相当高価に国内で売れておった、したがって輸出のほうに十分回り切れないというような点もございまして、これからはやはり輸出を振興していくということを第一に考えませんと、外国におきまして同じようなものが生産されて、将来日本価格が安くなって日本が輸出しようとした場合に、外国に販路をとられてしまう、そういうおそれが出てくる次第でございます。それで、実は、ミカンかん詰めにつきましては、基金をつくりまして、かん詰め業者がなまミカンを買い入れる場合に保証をするというようなことにいたししております。そういうことで、できるだけ、ミカンかん詰めの輸出を振興していくという政策をとっておるような次第でございます。それで、今後はなお一そう加工について有利なような政策をとってまいりまして、ジェトロを通じましてできるだけ海外の販路を開拓いたしまして、輸出の振興をはかっていきたい、かように存じております。
  29. 永井勝次郎

    永井分科員 日本の資本が外国でやる問題について、その調整はどうですか。
  30. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 日本の資本が外国でやる場合につきましては、これはミカンばかりでなくて、ほかのいろいろな水産のかん詰めとか、そういうようなものもあると存じまするが、なかなか調整はむずかしいわけでございます。できるだけ、業界を指導いたしまして、日本の原料の生産者に損害を与えないような方法で考えていきたいと存じます。
  31. 永井勝次郎

    永井分科員 じゃ、林野庁長官に林業関係について二、三お尋ねいたします。  外材の輸入がどんどんふえて、本年あたりは二千億くらいになるのではないかと思うのであります。日本の荒廃した山に投資して、これを若返らしていく、緑化していくというほうの資金が、こういう外材の輸入に食われてしまって、ほんとうの投資ができないというようなことは、これは今後大きな問題になってくると思うのでありますが、そういうものも含めて、国内資源の問題、外材の輸入がいつごろまでどのようにふえて、そのあと国内の補充、資源開発によって十分カバーしていけるというお考えなのか。あるいは、外材の輸入によって、いま国内の工場の再整備が相当進められている。いままで木材加工の工場が山元にあったのが、今度海岸に出てきて、木材は海を渡ってくる、こういう形に構造的に変わりつつあるそういう状況に対して、木材加工のこれからの構造的な変革をどのように指導されておられるのか。これらの点について伺いたいと思います。
  32. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 確かに、仰せのとおりに、外材が現在どんどん流入をいたしております。これは、わが国の高度経済成長の結果として、まず設備投資拡大というようなこと、並びに各般にわたる経済面の飛躍の結果として、それに伴う木材需要が非常に拡大をした。ところで、わが国の木材生産自給率の面で見ますと、いろいろ自然的、経済的制約がございまして、なかなか伸びにくい。その不足を埋めるということで入っているわけでございます。現在、そういうような状況では、国内の林業生産、林業経営を危うくするのではないか、そういうような意識ももとになりまして、昨年林業基本法を制定いたしまして、わが国の林業総生産の増大、生産性の向上、あわせて林業経営者の所得も増大をはかるような施策を講じようとしておるわけであります。それで、外材につきましては、いま申し上げましたような意味合いから、できるだけ自給率を高めてまいりまして、外材の輸入はその補充的な程度でこれに期待するようにいたしたい、こういう考え方でいるわけでございます。  そこで、自給率の向上といいますか、要するに林業生産の面を拡大させていくために、四十年度の予算といたしましても、まず、林業生産基盤の整備なりあるいは林業経営の規模の拡大、そういうことから始めることにいたしまして、何といっても、生産の基盤の拡充としては、林道の開設、これがまず第一でございまして、その面の措置を十分に講ずるというようなことから、この林道の整備について特に予算措置を講じたわけでございます。あわせて、経営規模の拡大、特に、わが国の林業経営は、御承知のとおりに、二百七十万戸の林業経営者の中で、その九割までが五町歩未満の山林経営者であるという、非常に零細な状態であることの是正をはかるために、林業構造改善事業、これを、四十年度を初年度といたしまして、その経営規模の拡大をはかり、さらに、それの協業化を促進すると同時に、機械化をできるだけ進めていく。そういう面に助成を極力はかりまして、小規模林業経営者の経営、さらに、財産保持的な大山林所有者の経営、これの企業的な計画生産を進めていくというようなことで助長をはかっていくことによって、この経営合理化し近代化して生産性を上げ、その結果として、全体の総生産を上げてまいる、こういう考え方で、わが国の林業の将来に向かっての飛躍を考え、わが国は林業生産に適した地理的条件も持っているわけでございますから、できるだけ助長してまいりたい、こういう考えでございます。
  33. 永井勝次郎

    永井分科員 長官の御答弁は、これは文字としてけっこうだと思うのです。しかし、実際の体制として、そういう一つの計画に対応していろいろな具体的な措置が進められているかといえば、そうではないのではないか。国内資源が少なくなってきているのに、パルプ工場をはじめとして工場はどんどん増設されていく。需要はどんどんふくれる形が出てくる。そうすれば、国内の需給の関係から、当然価格は値上がりするわけであります。数年前は非常な値上がりをしたわけでありますが、その値上がりを押えるために外材をどんどん輸入してきて、安い価格にそれを押えて、そうして、そういうふうに押えておる間に、今度は国内における小さな中小企業の工場を整理して、そうしてその原料が大企業のところに流れ込む体制を整備していく。そういうふうな形において外材の輸入を弾力的に操作していく。経済の実勢としてはそういう形にあらわれてくる。あるいは民林関係におきましては、これはやはり三分五厘の従来の金利ではとてもいろんなことをやっていけないと思うのです。やはり国際的な水準である二分ないし二分五厘ぐらいの低利のものにして民林の活動を刺激していく。あるいは、民林の中でも国土保全の上から必要な部分については、やはり国がいろいろな施設をしていかなければならない問題が相当多かろうと思う。そういうふうに、林業基本法は通りましたけれども関連法律はまだ全然動いていない。それと、それの実際の行動の体制としての具体的な問題は少しも進んでおらない。あるいは大きな役割り中心である国有林経営の形が少しもまだ整備されておらない。こういうふうな状態は、ますます林業政策というもの、森林政策というものを今日混迷させておるのではないかと率直に言わざるを得ないと思うのですが、これに対して長官の率直な御見解を伺いたいと思います。時間がありませんので、これが最後のお尋ねでありますから、大体林政の宵写真が理解できる程度にひとつ御説明を願いたいと思います。
  34. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 ただいまパルプの問題がございましたが、パルプ工場等の新設、増設等に対しましては、これはいまも申し上げました林業総生産全体の拡大の中で考えておるわけでございまして、現在、パルプの工場としても、その主材料である針葉樹が非常に減って、広葉樹のほうに転換をしていく。特に低質広葉樹のほうに転換させるように指導をいたしまして、そのためにも、この低質広葉樹が廉価に出てくるということで、いまの林道の開設を極力はかっておるわけでございます。そして、その結果として、その広葉樹の使用量は急激に針葉樹に対して伸びております。さらに、チップの生産についても各般の助成をはかりまして、これの消費量が急激に拡大をしておるというのが現状でございます。供給面に対しましては、国内自給ができるものは、できるだけできるような状態に持っていくようにしておりますし、また、これを経営する側に対しましては、いま申し上げました林業生産のにない手としての小規模林業経営者に対しては、林業構造改善事業の推進によってその合理化をはかっていく、大規模林業経営者に対しては、計画的、企業的な経営を助長するような方向へ持ってまいる。特に最近農山村から労働力の流出することによって、林業経営の危うくならないように、これも昭和四十年度の新しい予算といたしまして、林業労働確保の対策というような予算を取って、この林業労務者の確保、これをはかるようにいたしておるわけでございます。  それから、国有林好事業につきましては、これは、先ほど大臣に対する御質問にございましたように、確かにその経営が、いままでに比べますと苦しくなっておることを率直に認めたいと思います。これは、いまも先生のお話のように、外材の輸入等で木材価格が安定的傾向を示しておる。これは、国民経済の面から言いますと、木材価格は、昭和三十六年当時のように急激な伸びを示すことをやめて、安定的な状態に推移しておるという傾向でございますけれども、一方、そのことのために、国有林の職員の給与その他いろいろな値上がり等に対応し得なくなってきておるという形がございまして、その点については、国有林野事業の合理化、近代化を一そう促進をいたしまして、そうしてその生産性を上げることによって、その内容を健全化してまいる。そうして国有林の林業生産のにない手としての役割りも十分果たしていく。いま申し上げましたように、小規模の林業経営者、大規模の林業経営者、国有林、それらが三位一体となりまして、将来のわが国の林業経営を飛躍発展させると同時に、特に、最後にお話がございました国土保全の面につきましても、この四十年度において、治山治水緊急措置法、これの改正によってさらにその充実をはかっていく。一方また、保安林の整備につきましては、保安林整備臨時措置法の一部改正を行ないまして、これも本年度から将来に向かって十分整備をいたしまして、国土保全に万全を期する、こういうふうに考えている次第でございます。
  35. 古川丈吉

    古川主査 これにて永井勝次郎君の質疑は終了いたしました。  次は、武藤山治君。
  36. 武藤山治

    武藤分科員 大臣がおりませんので、各担当局長にお尋ねいたしたいと思いますが、私きょうは三十分という持ち時間でありますから、深く広く質問することができないと思います。最初に養鶏問題についてお尋ねをし、それから、農地局長おられましたらいまから検討しておいていただきたいのでありますが、農耕地の中に国有地がたくさんございます。青地というやつですね。明治時代に地租改正のころ国有地に編入してしまってあるような青地、これの問題について少々最後にお尋ねをしておきたいと思いますから、もし御用意がなかったら、これから用意しておいていただきたいと思います。  まず最初に、現在卵価が非常に低下して養鶏農家が非常に困っておる。これじゃとても農林省指導する畜産振興などは信頼できないという不信感が各農村に充満をいたしております。なあんだ、養鶏か、こう一口に、小さな問題として片すみに追いやられているような傾向がなきにしもあらずであります。そこで、まず冒頭に数字を確認しておきたいのでありますが、現在農畜産物の順位で言いますと、米が幾らというように、おもなものを五番くらいまで明らかにしていただきたい。
  37. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私の手持ちの資料で申し上げますので、畜産局所管外のものもございまして、あるいは多少間違いがあるかもしれませんが、もし誤謬がございましたら、他の局長から訂正をしていただくということでお答えをいたします。  三十八年の農業総産出額が二兆四千七百十三億円でございまして、そのうち最も大きいものが米でございます。それから続きまして果実が第二、第三が鶏卵、それから第四が、これは総轄されておりますが、工芸作物、第五が豚、大体そういう順序になります。
  38. 武藤山治

    武藤分科員 ただいま担当官から明らかにいたしましたように、農民生産物として見た場合、米、果実、鶏卵。したがって、鶏卵の生産額というものが非常に大きい。大体一年間二千億円の生産がなされておる。さらに、それを生産する農家数は三百五十万戸といわれておる。この一事を見ても、養鶏振興に対する農林省指導は非常にウエートを置かなければいかぬと私は考えるのであります。大体農林省が、養鶏はよろしいぞと大いに奨励をして、あちらでも羽数をふやせ、こちらでもふやせと、構造改善事業に養鶏事業をくみ入れたのは、一体いつのことですか。
  39. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 養鶏につきましては、それの生産物であります鶏卵というものが相対的に廉価なたん白源でございまするところから、日本国内でも他のたん白食品に比して早くから需要の増進があったわけでございます。そういう事情がございまして、養鶏の振興ということは、一面において農家の現金収入の源として比較的容易に取り組みやすいということが一つと、国内の鶏卵の需要というものに対応する道としても養鶏の振興をはかる必要があるということで、構造改善事業が始まりましたときも、養鶏主産地としての条件を備えておる地域については、これを主幹作目として取り上げることを認めるということは、構造改善事業発足の当初から農林省の示しておったところでございます。
  40. 武藤山治

    武藤分科員 そこで、実は農林省が羽数をふやすために昭和四十六年までぐらいの計画を立てた。ところが、その計画が、四十六年どころではない、もう来年、四十一年には農林省の指示した羽数が突破されそうだ。すなわち、五年間かあるいは七年間で達成しようとした目標が、三年か二年半ぐらいでとにかく達成されてしまうというこの趨勢ですね。これがすなわち今日の卵価を非常に低落させておる最大の原因だと私は思うのです。だから、今日農民が、キロ当たり百六十円前後で、もうほとんどえさ代にも足りぬ、手間賃も利益も出ないという実情に追い込まれたのは、農林省のこの計画自体がずさんであった、そう私は考えるのですが、あなたどう考えますか。
  41. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 農林省の農畜産物の需要生産に関する長期見通しに基づきますと、昭和四十五年において鶏卵の需要の伸びに対応する飼養羽数は約一億五千万羽という推計をいたしておるのでございます。それに対しまして、御指摘のように、昭和三十八年の後半から三十九年にかけての羽数の伸びが急激でございまして、昭和三十九年二月一日の羽数が一億二千万羽ということで、私どもが見込みました計画数量を相当大きく上回る羽数に達した。これが産卵が始まって、今日の鶏卵の過剰状態ということから卵価の低迷を来たしておることは御指摘のとおりです。私どもの推計いたしました四十五年における一億五千万羽という数字は、これは過大ではないと信じております。その数字に基づきますれば、三十九年の羽数はおおむね一億五百万羽程度になることが妥当である、つまりその程度の数字のときに需給のバランスが合うというふうに見ておりますので、過大な数字とは思わないのであります。むしろ、私の個人的見解からすれば、四十五年の一億五千万羽は、ブロイラー、いわゆる食肉鶏を含めて覆えばやや低目ではないか、むしろやや大きな数字に修正する必要があるのではないかというふうに思っておりますので、計画ないしは見通しそのものについては、私は過大ということはないと思います。
  42. 武藤山治

    武藤分科員 計画自体は過大ではない、適切な計画だ、しかし、あなた、計画というのは、農民にも適当な労賃なり所得が保障され、消費者にもできるだけ合理的な安い値で販売される、そういう計画を、とにかく四十五年度までのものを立てて、二年間でぱっと目標が達成されるような指導のしかたに問題があるのです。数字そのものは一億五千万羽でもって適当であったとあなたが弁解をするならば、目標どおりに年々の生産量が推移しなかったという結果は、農林省指導の欠陥があるわけですよ。具体的にその計画を実施させる指導というものを、たとえばふ卵所に、全国のふ卵所というのはわかっておるのですから、一年間に何%ずつぐらいとにかくひなをふやすことが農林省としては望ましい、そうしないと羽数が多過ぎて卵価が下がりますよ、そういうような計画なり指導というものが全くなされていない。まあ四十五年に一億五千万羽ぐらいの羽数ならば需給関係はよかろうという机上プランですな。それの適切な指導を怠ったというそしりは免れないのじゃないですか。どうお考えですか。
  43. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 先ほど申し上げましたように、三十八年までは、卵価の水準というのは、若干季節による変動はございましたが、畜産物ないしは農産物の中では最も安定的に推移したものであったわけでございます。ところが、三十八年には鶏の飼養羽数がわずかに五%程度の伸びにとどまりましたために、三十八年は総体的に高卵価の年であったわけでございます。それが、三十八年の秋びなの発生ないしえつけ羽数の増加を刺激いたしまして、ただいま申し上げましたような事情の羽数の激増に相なったわけでございますが、その間にそのような急増の傾向が何となく空気としては私どもわかっておったのでございますが、数字的に十分に把握されてなかったということから、私どもがそういう情報の周知あるいはそれに基づく指導等に手おくれであったことは、率直に私も認めざるを得ないと思います。でございますので、今後の問題としては、統計の把握の期間、公表の時期等については、急速にこの問題を改めたいというふうに考えておる次第でございます。
  44. 武藤山治

    武藤分科員 問題は、そういうアンバランスをどう是正するかという方法が問題なんです。そこで、私は、まず鶏のほうの生産計画の問題、これについて全国のふ卵所に対して農林省がある程度の目安というものを行政指導するということは越権なのか、資本主義経済の中においてはできないことなのかできることなのか、それをひとつ明らかにしていただきたい。
  45. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私は、おも立ったふ卵業者に当該年度における適正なひな発生羽数の数字を示すことは越権ではないと思います。ないと思いますが、それによって規制をするということになれば、これは現在の自由経済のもとにおいては、私は、越権といいますか、許されざることであるというふうに思います。なお、その数字を示すことが妥当かどうかということになると、私は適当ではないと思います。と申しますのは、現在ふ卵業者の販売数というのは非常に激増いたしておると聞いております。つまり、優良なひなを供給する業者には注文がふえております。そうでない者は減少しつつあると聞いておりまして、発生羽数を個別に示す、パーセンテージ等で示すということになりますと、むしろ養鶏のもとになりますひなの品質の固定化を招くという点で、必ずしも適当ではないというふうに思っております。
  46. 武藤山治

    武藤分科員 そうすると、局長の見解では、生産農民は、卵価が下がり、羽数はどんどんふえ、採算のとれないものはみなつぶれていってもやむを得ない、そういう淘汰されていくのは養鶏業者の必然なんだ、そう考えておるのですか。
  47. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 さように考えておるわけではございませんで、ふ卵業者のところでものを考えるのではなくて、鶏卵の需要に即して養鶏家ないし養鶏団体というものが、生産の計画といいますか、心組みをどう持つかということで私は指導をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。このためには、養鶏農家組織化の問題と、その組織を通じる、長期といいますか、かなりの期間をおいた先の主要市場への適当な出荷量の予示ということをすることによって、現在のひなのえつけが適当なペースであるかどうかということを判断する、そういうことによってひなの発注はそれぞれみずから選択させるという方向が適当ではないかというふうに思っております。
  48. 武藤山治

    武藤分科員 現在の卵価のきめ方にも問題があるのですよ。きょうは三十分の時間ですから詳細の質問ができないのは残念でありますが、いま東京へ鶏卵を持ってきた場合に、二百五十人くらいの落札業者がおって、そこで値段がせりできめられているわけですね。農民立場からしたら、いまの流通方法は、もう農民の所得や生産費というものは全く無視されている。こういうものももっと改善をしなければいかぬと思うし、いまあなたは予示制度を設けて何かうまい方法を考えているというような御意見でありますが、具体的に予示方法で卵価の保障というものができますか。どんな方法でやるのですか。私はもう時間がないから端的にお尋ねしますが、畜産振興事業団の買い出動の対象に鶏卵を入れたらどうか、これはどうですか。一つずつ聞いていきます。
  49. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 主要市場への予示制度というのは、系統の農協の組織を通じてやればやれないことはない。また、そのことによって完全に価格の支持をするということは、私は自由経済のもとでむずかしいと思うのです。しかし、三十九年の春から今日に至るまでのような状態、オーバープロダクションというものを避けることには役立つと思っておるわけでございます。事業団の買い上げにつきましては、私は、現在のところ、それは有効な方法ではないというふうに考えております。
  50. 武藤山治

    武藤分科員 有効であるか有効でないかは、これは一応論争し、実際にやってみないとわからない。それでは、不足払い制度をやっておる県がある。そういうものを農林省が取り上げて、卵価が暴落をした場合にはひとつ不足払い制でカバーしてやろう、この施策についてはあなたどう考えますか。
  51. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 不足払い制ということの中身にもよるわけでございますが、一定の価格水準を保障するために、生産の量のいかんにかかわらず、財政負担あるいは府県等が共同で不足払いをするということについては、私は日本の鶏卵生産の構造から見まして適当ではないというふうに思っておりますが、先ほど申し上げました養鶏農家の組織化による生産の調整とからみ、卵価については季節的な高低があるわけでございますから、農民の受け取り卵価の平衡機能を自主的にやるということについては、今後私ども関係団体等と十分協議をしまして検討を進めていきたいというふうに思います。
  52. 武藤山治

    武藤分科員 農林大臣に政治的な御見解、判断をお尋ねするのでありますが、いま全国で養鶏農家三百五十万戸、生産金額にして二千億円、農畜産物の順位で言うと第三位の生産額になっておる。これは農家にとっては重要な収入源であります。ところが、いま畜産局長に聞いてみると、羽数がどんどんふえちゃって、とにかく四十五、六年の計画が来年あたりは実現してしまう、そのくらい羽数がどんどんふえる、そのために生産過剰になって卵価は下がる、下がってもこれは農民が損をする以外に農林省としては手がない、不足払いもできない、事業団の買い出動も適用できない、そうかといって、ふ卵所の生産計画で調整したらどうかといっても、これは資本主義経済だからその生産調整はなかなか農林省としては指示することがむずかしいということで、何も対策がないんですね。農民のための農林大臣、特に自分みずから農業をやっておって、全国の農家が赤城さんに非常な期待をしておる。あなたはこういうような農林省の今日の養鶏農家に対する無策の状態を放置していていいとお考えになりますか。大臣としてどうお考えになりますか。
  53. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 無策ではなく、昨年におきましても、その卵価に対して手を打ったために、ある程度は安定したという効果もあがっておりますので、全然これを放てきしているわけではなく、あなたと同様、この点につきましては憂慮しておるわけでございます。でございますので、事業団の買い出動ということはいま考えておりませんけれども生産団体である協同組合等の調整保管等によりましてその価格をとりあえず安定するということは、これは去年も行なおうとしたことでありまするし、ことしも、そういう時期に際会して、その方法はとるということを考えます。それから、長く需給——長くといいましても、臨時的というのを除いては、やはり卵の値段は需給関係によって決定するのがいま本筋になっております。でありますので、需給の調整ということが必要でございますので、消費の拡大につきましても考えておりまするし、それから、生産の調整というところで、羽数といいますか、生まれるのを相当調整するということでなければ供給がふえるわけであります。そういう面につきましても対策を講じて、需給を調整していくという方法をとっていって、価格を安定させるといことでいっておりまするし、また、いくつもりでございます。何らこれを放置しているということじゃございません。
  54. 武藤山治

    武藤分科員 いま大臣の答弁では、やや五〇%満足できる。生産のほうの調整も今後ひとつ検討する、こういうんですね。先ほど局長は、生産に手をつけるのは、ある程度パーセントで生産などを指導するということは、資本主義経済でできないと言う。大臣はそれを何らかの検討をしようというのでありますから、私はその答弁に期待をいたします。それは、大臣の答弁というのは法律ですからね。本来大臣の答弁というのはそのくらいの権威を持つんですよ。ところが、いまの日本の政党政治の与党の大臣の答弁は、そういう権威がない。その場だけ答弁をして言いのがれをして、あとで何もやらぬ。こういうことでは、赤城さん、戦前からの大政治家で、あなたの権威を失墜しますから、ひとつ答弁は忠実に実行してもらいたい。  第二に、とにかく三十分ではどうにもなりませんが、消費の拡大ということで、各単協が、団地——三万人くらい住んでおる住宅団地があちこちにできつつある。こういうところへ直接販売所を農林省があっせんをして指導したり、あるいは学校の給食に半熟卵を食わせる。すぐできなければ、小学校三年生までとか、五年生までとか、順次、牛乳ばかりでなくて、鶏卵もたん白源として子供の体位に非常にいいのでありますから、そういうことなどの検討はいかがなものであろうか。学校給食に卵を出してやる。いかがですか。
  55. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その調査も検討も進めたのでございますが、いまの段階では学校給食に卵を回すということは困難のようでございます。なお、畜産局長から困難な事情等を申し上げてみたいと思います。
  56. 武藤山治

    武藤分科員 もう時間が惜しいから、局長答弁はよろしいです。あとで資料で下さい。  それから、いま大臣は、畜産物価格安定法に基づく調整保管というものを昨年も八月ごろ実は用意しておった、ところが、農林省考えるほど卵価が低下しなかったから発動しなかった、こう言いたかったのでありましょうが、それでは、一体卵価が今年の場合幾らまで下がったら調整保管の発動をやるのですか。大臣に伺いたい。
  57. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 技術的な問題でございますので、事務当局のほうから答えさせます。
  58. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私どもとしては、おおむね主要市場における卸売り価格が百六十円を割るというような段階になれば調整保管を考えております。
  59. 武藤山治

    武藤分科員 卸売り価格が百六十円を割る場合には調整保管を考える。これは実際百六十円の一キロ単価で農民の所得や労賃は保障されておるのですか。あなたの考えはどうですか。
  60. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 卸売り価格一キロ百六十円という水準は、卵の生産費をカバーしておる金額であるとは考えておりません。
  61. 武藤山治

    武藤分科員 カバーしている価格とは思わないのですね。安過ぎるのですよ。私も実際に養鶏組合連合会の顧問をやっておりまして、個々の農家の生産費調査を実際自分でやってみた。農林省のこの年産費調査は、実際の農民の今日の実態に合っておらぬのです。この生産費調査は本年度はやり直す必要がある。したがって、発動する際にも、生産費の再調査をやって、適正な価格というものを私は算定し直さなければいかぬと思うのですが、その点について、大臣、去年の例ではいかぬ、本年は生産費調査を算定し直す意思はございますか。
  62. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 詳しいことを私承知しておりませんが、よく検討してみたいと思います。
  63. 武藤山治

    武藤分科員 それから、大臣の耳にぜひ入れておきたいのは、外国ひなの今日の国内における状況ですね。日本の各県にある種畜場ですか、ここでは、外国からいま日本に入ってきているひなを、ほとんどというか、全く生産していない、そこで、業者は独占的にアメリカの品種を日本の養鶏家に高い値で売りつけている。一羽二百二十円です。外国ひなは大体安いのでも二百円、ハイラインにしてもハイスドロフにしてもデカルブにしても、とにかく全部高いのです。日本のひなでしたら八十円、安いのは四十円。確かに、それは、アメリカの鶏のほうが、体格は小さいけれども、卵は産む。いいのです。確かに。ところが、今日そのいい品種が自由に安い値で農民の手に入らずに、途中の商社が権利を確保しておって、アメリカの資本と日本の資本が、農民をしぼれるだけしぼるという体制です。この外国ひなの問題について、何とか農林省として再検討し、農民の要望にこたえられるようにすべきだと思いますが、大臣の所見はいかがですか。
  64. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 輸入の制限とか、そういうことはむずかしい問題でございますが、途中で、流通過程におきまして相当な利潤というか不当な利益を獲得しているというようなことは、これはまずいと思います。そういう点につきましては指導を行なっていきたいと思います。
  65. 武藤山治

    武藤分科員 それも、大臣の答弁をひとつ権威あるものとして信頼をして、、十分指導をしてもらう。あとでまた、来年予算委員会でその指導の結果を尋ねますから、よろしゅうございますね。議事録をよくとっておいて確認をいたします。  それから、次に、割り当ての時間でありますから、あと一問だけお許しをいただきたいと思いますが、いま全国の農耕地の中に、明治初年の地租改正のときに農道を全部青地として国有地にされているところがある。この面積は膨大な面積です。登記所の調査では神奈川県だけで百六十五万坪。千葉県、茨城県、大臣の県でもおそらくこの青地の面積というのは非常な面積です。この青地が、いま農民が払い下げを受けようとすると、大蔵省は、その近隣の地価で、高い値で売りつけるわけです。坪三千円、坪五千円なんという宅地の値段で払い下げをする。そこで、私は、農林省として、ひとつ農地局で徹底的な調査をして、農民立場に立った施策をこの辺で考えてもらいたい。それは四十年も五十年も昔から平穏かつ公然と農地と思って耕作しているわけですよ。そんなところに道路があったなんということを知っている人はいないわけです。いよいよ図面を見るとこれは国有地だ。払い下げ申請をしてみると、その青地がまだ国有財産台帳に載っていないのですね。申請すると、あわてて市役所がとにかく図面をつくらせて、県の土木課かどこかへ書類を出して、三カ月くらいたってから国有財産台帳に載るのです。それを今度は近隣の地価で農民に売りつける。これはまことにけしからぬ話です。これは私は法的には取得時効だと思うのです。平穏かつ公然と四十年、五十年その土地を使っておったのですから。一体農地についてそういう取得時効の法の恩恵というものは及ばないのかどうか。どうでしょう、農林省の見解は。それから、大臣には、そういうものが調べてあるというのならば、農林省として、農耕地としての青地は無償で払い下げをしろという強力な談判を大蔵省にすべきだと思うのだが、大臣の見解はどうですか。
  66. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 不敏にして青地というのを私知らないのですが、道路には私はないと思います。私も、御承知のように乱流地帯の生まれで、ずいぶん原野や荒地をいじったことがありますが、道路についての問題はあまりない。ただ、排水とか用水路の敷地などについては、農民がいつの間にか耕地の中へ繰り入れてしまって耕作しているというのがありますが、地租改正のときに国有地として残っておったものを農民が使用しておる、それが青地として相当面積あるようないまお話でございますが、これは私も調べてみたいと思います。私の生まれたところの近く等においてあまり気がつかなかったのでございます。
  67. 武藤山治

    武藤分科員 大臣、あなた、それはちょっと認識が違っておるのです。最近土地改良とか河川改修でできた青地じゃないのですよ。それはもう明治の初年に、特に栃木県、茨城が多いのは、三島通庸が県令をして、もう一斉に青地にみな指定したわけですよ。これは地租改正の書物を図書館でぼくがきのう調べてみたら明らかになった。国有財産局長に聞いてみたら、なるほどそうです。茨城でもそういう面積が百万坪以上あるのです。ぼくは今度は関東全体を調べているのですが、それをいまの正当な近隣の宅地価格で払い下げをさせるということは、農民にとってまことに深刻だと私は思う。これは時効ですよ。五十年も六十年も平穏かつ公然と自分の土地と思って——平地なんですから。たんぼのまん中に道路があると図面の上でなっているのです。茨城県にたくさんありますから、もう一回それを調査をし直して、農民の——ただし私が言っているのは農耕地だけです。宅地までそんなことをやる必要はない。農民は特に低収入で、とにかく所得倍増計画の恩恵を受けていないのですから、ちょうど高度成長のひずみの一番谷間の暗いところにおる人々なんですから、そういう人たちのために、農林省としては、強硬にひとつ大蔵省に談判してやってしかるべきだと思います。大臣の見解をもう一回……。
  68. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 原野等においては、道路だか原野だかわからないようなところがあることは、私も承知しております。なお調べてみます。そしてまた、そういうのは公用を廃止して払い下げすべきであります。この払い下げの価格等も、そう言っては失礼だが、ただに近いようなものでなければならぬと思います。よく調べてみて対処いたします。
  69. 武藤山治

    武藤分科員 はなはだ不本意、残念しごくでありますが、割り当ての時間をオーバーすると古川主査の名誉を傷つけるような気がいたしますので、この程度で約束を果たしたいと思います。
  70. 古川丈吉

    古川主査 これにて武藤山治君の質疑は終了いたしました。  次は高田富之君。
  71. 高田富之

    高田分科員 本日は蚕糸関係だけにつきまして御質問申し上げたいと思います。  最初に大臣に一言お尋ねしたいのでありますが、先般の臨時行政調査会の答申の中にも、局の廃止とか局の機構の大幅な縮減というようなことが答申されております。一般的に、どうもとかく蚕糸業というものは斜陽産業である、もう化学繊維等に圧倒されてきて、次第に先細りのものであるといったような印象が非常に流布されておりまして、養蚕農家といたしましても非常に迷っておるわけでございます。最近特に若い者がどんどん養蚕業から離れていくというような傾向もございまして、このままではなかなか蚕糸局あたりでいろいろ計画を立てられましても、強力に実施するというような空気にならない。非常にこれは大きな問題だと思うのでありまして、私ども特に、埼玉県、群馬県とか、長野、山梨、福島あたりに、主要な養蚕地帯におりまして痛感するのでありますが、実際に将来性のないものであるならば、やはりしかるべく転換方法を講ずるなりして、強力に転換をさせて、希望のある農業というものをさせなければいかぬ。いつまでも暗い気持ちで、しようがないからというようなことでやらしておるというようなことは、これは九問題だと思います。特にこの間そういうふうな答申なんか出ましたものですから、一そうそういう空気がこのところ濃厚に出ておるのです。この際、やはり大臣としまして、蚕糸業というものについて、これは斜陽産業であるのかないのか、それからどういうふうに持っていこうとするのかというふうな点についての明確な方針を出していただくということが、今後の蚕糸行政の上で基本的に大事な点だろうと思いますので、ひとつこの席を活用いたしまして大臣の御言明をいただいておきたい、こう思います。
  72. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、養蚕業というものを斜陽産業というふうに規定づけることは間違っており、当を得ていない、こう思います。生産者立場から、農民立場から言いまするならば、また日本農業政策から言いますならば、選択的拡大ということをうたっております。選択的拡大が必ずしも果樹、畜産ということではなくて、私は、養蚕というようなものも選択的拡大の対象にしていいものだ、こう思っております。しかし、拡大とまではいかないかもしれませんが、選択的作物、選択的作物というか、選択的農業の部門である、こういうふうに考えておりますので、斜陽産業ということは考えておりません。また、需要の面につきましても、御承知のように、国内需要は相当ふえております。また、輸出の面におきまして、相当輸出も伸びてきたのでありますが、最近におきましてちょっと頭打ちというようなことでございますが、日本の輸出品目といたしましても重要な輸出品目でございます。そういう意味におきまして、この養蚕業は斜陽産業とは考えないでやっていってもらいたいと思います。ただ、御承知のように、人手不足や、一時に相当な労力を要するものでございますので、省力飼育とか屋外飼育とかというような方法によりましてこれはカバーして続けていくべき産業だ、こういうふうに考えております。
  73. 高田富之

    高田分科員 ただいまの大臣の御言明は全く賛成でございます。いままで選択的拡大といって、畜産とか果樹というようなものにつきましては、特にかねや太鼓で宣伝をされて、かえってそのために、これに飛びついてやった農家の中には、借金が非常にふえたとか、価格の変動のために非常に損をしたとか、そういうようなことまで起きておるのでありますが、反面、蚕糸業のほうは、しばらく前から斜陽産業だといったような空気をずっと流されておりました中においても、着実にふえるというほどではないにしましても、減ってはおりませんし、そうして生産性もかなり高まりつつありまして、経営の改善等も進められてきておりまして、特に最近は価格も比較的ずっと安定しておりました関係で、逆に、大臣のおっしゃいますように、捨て去られたもののほうにむしろ大事なものがあったのではないか。ここでもう一ぺん着目し直して、どうしたらこれをもっと一いま、いわば停滞的なものですから、これを思い切って前進させるというふうなことで、ちょっと角度を変えて取り組む必要があるのではないか。ここ数年間、大沢さんが局長をなされておりました時代からずっと、何とはなしに消極的なんです。極端に相手にされない部門のようなあれがあるわけです。私はこれは間違いではないかと思うのです。特に、ずっと長い戦前からの、明治から以後のこれだけの伝統があり、これだけの技術があり、そして、諸外国でも競争相手になるようなものはない。最近中国や韓国が出てきてはおりますけれども、比較してみたらおそらく問題にはならないと思いますので、やはり確信を持って、伸ばすという態勢で取り組む必要があるのではないかと思う。需要などにしても、数年前は人絹やなんかの化学繊維、合成繊維のために押されていって、これとは競争できないものである、結局だめなんだというような印象がありましたが、やはり、国際的に見ましても着実に需要が伸びております。ですから、私は、いまの大臣の御言明はまことに賛成でありまして、ひとつそういうふうな態勢で思い切って強力な手を打っていただきたいと思うのです。特に、先ほど申しました主要な養蚕県におきます養蚕農民立場は、いま果樹がいいとか、酪農がいいとか何とか言われましても、どうしても養蚕以外にはないのです。これの代替物というものはいまのところ考えられないという現状でありまして、主要な収入源を依然として養蚕に負っているという農家が非常に多いのであります。もちろん全国的には必ずしもそうではないけれども。主要養蚕県におきましては全く代替物はございません。そのために、同じ県で、たとえば私の埼玉県で見ても、北部方面の養蚕を主とする地帯におきましては、いまなお専業農家が比較的多い。全県的に見まして六割以上占めておる。これはほとんど養蚕をやるのですから、そういうようなところを、何とか経営自体をもっと合理化した近代的なものに高めていくということのためには、思い切った指導、助成をおやりになるというような積極政策をぜひひとつおとり願いたい。  そこで、それにつけましても、最大の問題は、何といいましても価格の安定でありまして、過去数年間比較的ひどい上昇、下落を見なかったということが、今日とにもかくにも現状維持を保っておると思うのですが、最近になりましてから、特に去年の暮れあたりからこの二、三日前までというものは、ものすごい糸価の暴騰を再び見ておるわけであります。こんなことをやっておったのでは、これはもう養蚕から離れざるを得なくなると思いますし、また、需要もずっと減退せざるを得ないと思います。海外需要もだめになるだろうと思うのですが、こういうようなことにつきましては、前にも苦い経験がありまして、取引所に対する規制ということがずいぶん論じられたこともあるわけでありますが、今日最高価格すれすれのようなところまでまいります間に、はたして政府は適切な手段、強力な手段を講じたかどうか。また、これから何かやろうとする御計画を持っておるかどうか。これは当面の非常に重大な問題でありますので、いままでおやりになりましたことについても、ごくかいつまんででけっこうですから要点を述べていただき、また、その効果があうたかなかったかというようなことについて御説明願いたいと思います。
  74. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 繭の価格が安定するということは必要でございます。現在のごとく異常に糸価が暴騰していることは困ったことでございます。それに対して対策をどういうふうに講じたかというようなことになりますと、非常に専門的なことでございますので、蚕糸局長のほうからお答えを申し上げることにいたします。
  75. 大口駿一

    ○大口政府委員 生糸の相場は、昨年一年間ほとんど四千二百円前後のいわば低迷した状態にございましたが、十二月の末から今年の初頭にかけまして横浜及び神戸の地糸取引所におきます出来高が急に膨張いたしましたことに伴いまして、相場も急速に上昇に転じまして、最高価格たる五千五百円に近いところまでのぼったのでありますが、蚕糸局といたしましては、本年の一月八日以来、逐次生糸取引所に対するもろもろの規制措置を講じたのであります。  その概要をごくかいつまんで申し上げますと、まず第一に、証拠金の金額の引き上げを行なったのであります。すなわち、一月二十日に、従来委託証拠金が二万円でありましたのを三万円に引き上げるというような一連の措置をとったのであります。それから、臨時増し証拠金という制度がございますが、この臨時増し証拠金の引き上げと申しますか、新たに徴収する措置を講じまして、またその後引き上げまして、現在では売買一枚につきまして二万円の臨時増し証拠金を徴収する体制となっております。それから、売買両建て玉が同数になっておりますいわゆる両建て部分につきましては、両建て証拠金という制度がございますが、この徴収を一月二十日以来実施をいたしまして、その後逐次金額の引き上げを行ないまして、現在では五百一枚以上の売買両建て玉につきましては一枚につき三万五千円の両建て証拠金を徴収することにいたしております。そのほか、こまかいいろいろな措置を講じたのでありますが、これらの措置は、できるだけ金で締めることによりまして、取引所を利用しておりますいわゆる生糸の実需に直接つながりを持たない人たちにできるだけブレーキをかけて、売買の数量が異常に膨脹しないようにという見地でやったのでありますが、この措置の効果があったかどうか、私どもはある程度の功を奏したのではないかと思っておりますが、最近におきましては、従来生糸地場以外のところから入ってまいりました大衆筋が、だいぶ生糸取引所から去りまして、昨日、一昨日あたりはキロ当たり五千二、三百円の相場に落ちつきを見せております。しかしながら、まだまだ売買数量が平常な時代に比べますと相当大きな数量でございますので、引き続きその推移を見守って、必要があればさらに規制措置を講ずべきであろうかと思っております。  なお、このような規制措置を講じておりますのは、現在の糸価水準が必ずしも需給の実勢から来る相場ではない、すなわち売買の数量が異常に膨脹したことによる過当騰貴であるというふうな判断からやっておるのでありまして、需給の事情そのものは必ずしもさような価格が実現するような窮屈な状態にはないというふうに判断をいたしております。
  76. 高田富之

    高田分科員 ここ一日、二日のところ頭打ちになっておるというようなことでありますので、あるいは次第に強化されてまいりました規制措置がある程度功を奏したのではないかとも思われるわけでありますが、しかし、いずれにしましても、輸出の状況も去年あたりからずっと悪くなっておりますし、この暴騰はおっしゃるように、実需の方面からの問題でなく、完全な過当投機と目されるものに対しましてとる措置としましては、どうも少しゆるいのではないかという感じがいたします。むろん取引所自体を直ちに廃止しようとかなんとかというようなことになりますと相当問題があろうと思います。必要があってあるものだとは思うのですけれども、しかし、だれが見ても明らかに投機の対象としてやられておるということが明白であって、他の商品、小豆や何かのほうに張っておった連中がこっちへくらがえをしてきて買いあさるというようなことに対しまする措置としては、どうも手ぬるいのではないか、もう少し強力な手段を講じまして、全体としての蚕糸業の安定ということを考える必要がある。特に輸出の問題など考えますと、こういうふうなことを繰り返していくというようなことで満足すべきものであろうかどうか、相当私は疑問に思うのです。一方で法律でもって価格の安定をはかるようにしており、また、いまも価格安定措置については相当業界あげていろいろな問題を検討されておるさ中に、一方よそから入ってくる投機師にどんどんあふり上げられてしまうというようなことが適切にぴしゃりと措置できないということは、いかんとしてもこれは大きな欠陥だと考えます。これらについて、こういう機会に何か研究されて、早急に新しい制度なり何なりをおやりになるお考えはございませんか。
  77. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話しのように、投機師に左右されて価格が暴騰したり、その他不安定な状況は好ましくないことでございますので、今回の経験にかんがみまして、打つべき手等につきまして事務当局も相当検討いたしております。いい手がありましたならばまた考えて、その方向に持っていかなければならぬ、こう考えております。
  78. 古川丈吉

    古川主査 栗原君から関連質問の申し出がありますので、これを許します。栗原君。
  79. 栗原俊夫

    栗原分科員 ただいま、生糸市場、これに関連して乾繭市場が非常に暴騰している、こういうことなんですが、輸出を中心として考えられた制度で、異常な値動きに対して上限下限をきめると繭糸価格安定法にきめておる。ところで、問題は、いま確かに暴騰しておるのですが、異常な暴騰、暴落に対しては上限下限がある、こういうことになると、理屈を言うと上限下限の中の動きは異常ではない、こういう理屈になるわけだと思うんですよ。しかし、実際には、上限下限の間でいま動いておる相場だけれども、現象的に見ればこれは異常な暴騰だ、こういうことになる。このことが安定生糸価格を望んでおる海外需要者にとっては非常に大問題になる。こう考えてみますと、どうも現在の上限下限の幅が、言うならば異常に幅があり過ぎる、こういうことになってくるのではないか、こう思うのですが、上限下限、このことを、輸出生糸の需要家が安定価格を求めておるという実態に即して、いま少し狭めていく。そのことが、言いかえると今度は清算市場にとっては、どうも値幅の動きのない市場では味がない、こういう形になって、市場経営の面からは好ましくないかもしれぬけれども、蚕糸業、特に生糸の輸出という面に焦点を当てれば、もっと上限下限の値幅を狭めていくことが必要である。このように考えられるわけですが、この点いかがでございましょう。
  80. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 上限下限の幅があり過ぎて、その幅のうちでは非常に不安定といいますか動揺するということで、その幅を狭めたらどうか、あるいはまた、それと関連して、同一の考え方かもしれませんが、中間安定価格というような構想が考えられております。私どもとしましても、そういうこともありますので、蚕糸業振興審議会等の小委員会で、そういう構想がどうだろうかということに対して検討してもらっております。その結論を得た上で対処したいと思っております。なお、どうも蚕糸の問題はなかなか専門的でございますから、局長のほうからお答えいたします。
  81. 大口駿一

    ○大口政府委員 繭糸価格安定法にきめております最高ないし最低価格はどういうことをねらいとして運用していくかという問題につきましては、まず異常変動の防止ということを第一の眼目といたしております関係上、いま栗原先生の御指摘のように、その中においては異常ではないのだということになるわけでありますが、ただ、政府が直接市場に介入をいたします制度といたしましては、財政上の考慮もありまして、そう狭い幅で運用するわけにもまいらないというような事情があって、現在のような幅の帯になっておるわけでありますが、ただいま大臣が答弁されましたように、業界におきましても、その中でさらにもっと狭いところで生糸の価格を安定させる、あるいは繭の価格を養蚕に対して保障するというような内容の、いわゆる中間安定構想というようなものが昨年の秋以来提示されまして、蚕糸業振興審議会におきましては小委員会を設けて目下検討いたしております。まだ結論を得るにはあと一、二回の小委員会を開く必要があろうかと思いますが、その結論を得ました上で、現在の繭糸価格安定制度と、その新しく考えられておる構想との組み合わせをどういうふうにするかといういろいろ法律上の問題等もございますが、小委員会の結論、検討の結果をも見ました上で、いろいろ今後の問題は善処してまいりたい、かように考えております。
  82. 栗原俊夫

    栗原分科員 お話は一応わからないでもありませんが、私も、海外へ行かしてもらったおりに、アメリカでいろいろ調査もしてまいりました。もちろん、品物の売買でありますから、同じ品物であれば値がさの安いほうがいいのにはさまっておりますけれども、やはり、値がさの問題もさることながら、何としても日本の生糸の値動きの激しいことによって、アメリカの加工業者としてはこれに熱意を欠く、こういうことを言っておるわけです。もちろん私たちには的確には把握できませんけれども農林省の中の特に生糸を担当する蚕糸局あたりが調査をすれば、もちろん品物でありますから一本値というわけにはまいりますまいけれども、原糸として使うその値幅のマキシマム、最大限どのくらいまでならば安心して使えるか、原料として向こうが受け取れるか、こういう点あたりはやはりわかることではないか。いま言う財政的な負担があってあまり値幅は縮められない、上限下限は縮められないとはいうけれども、やはり、ねらいは輸出をいかにして伸長するかというところに焦点があるとするならば、需要家である主としてアメリカの加工業者が、どのくらいの値幅までは耐えられるというようなことをある程度調査して、そしてまず値幅を規定し、相手方がどの辺までならばという値ごろをきめていく、こういう二段がまえ、値ごろと値幅をきめ、その値ごろをどこへ持っていくかということをよく研究され、これが設定されることがやはり急務であろうかと思うのですが、こういう点について積極的に調査をなさったことがあるのでしょうか。もしないとするならば、これから御調査をなさる御意思があるかどうか、この辺を明らかにしていただきたい、このように考えます。
  83. 大口駿一

    ○大口政府委員 外国の生糸を使います需要面は、国内よりも値動きに対して非常に敏感であることは事実でございまして、国内の織物業者は最高価格たる五千五百円でもまだ織物をつくって採算がとれるという業種もあるようでございますが、外国の場合は、綿業協会事務所等を通じていろいろ調査いたしておりますが、ごく大ざっぱに申しますと、五千円をこえる水準になりますと急速に需要が落ちるのではないかというふうに考えられております。ただ、最近中共並びに韓国の生糸が非常に日本の糸価よりも安値で輸出され、しかも、用途によっては、若干日本の糸よりも劣るそれらの糸が使えるという状況になっておりますので、いままでの調査の結果得られました見当よりもさらに少し低目のところでないと、外国の需要者としては安心して日本の生糸を使わないという事情があるかと思いますが、なお、最近非常に中共、韓国の生糸が外国市場に進出いたしておりますので、さらに今後とも詳細な調査を続けてまいりたいと思っております。
  84. 栗原俊夫

    栗原分科員 いまの局長のお答えは、二つの要件の中の値ごろの問題について御答弁を願ったわけです。五千五百円になりますと、大体需要が頭打ちになってくる。まあこういうことは他国との値ごろの問題でそういう事情になるのかもしれませんが、いま一つは値動きの値幅の問題ですね。五千五百円になるかと思うと四千円を割るかというような値ごろに落ちる。こういうところに計画的に生産に入るということになかなか不安感があろうかと思うのです。他国の生糸というものがそれほど値動きするものなのかどうなのか、日本のようにべらぼうに値動きするものなのかどうなのか、この辺はどうですか。
  85. 大口駿一

    ○大口政府委員 目下外国に輸出されております数量の一番大きいのは中共の生糸でありまして、これはヨーロッパに輸出されております生糸でありますが、輸出されております価格の動きを見ますと、わが国の輸出価格にくっついて動かしておる。したがって、動かさないでと思えば動かさないで済むのではないかと思われる節がございます。
  86. 高田富之

    高田分科員 まあ、いろいろ問題はありますけれども、当面やはり何といいましても価格の安定という問題が蚕糸業にとりましては基本的な問題であり、いままでの、長い間の宿題だと思うのです。それで、ただいまお話しの中間安定のことが審議会に諮問されておりますことは私も承知しておるのでありますが、この考え方の根本ですね、これを私はよほど明確にして推進する必要があると思うのです。考え方自体など必ずしも固まっているのではないと言えるのではないかと思うが、いまの栗原さんから質問のありました、現在までありました安定法というものと、いまお考えになっておる仲間安定というものの考え方は、よほどはっきりさせて推進する必要があるのではないかと思う。私、賛成ですけれども、ちょっとあいまいさがあると、このたてまえが非常に弱い。たとえば、いまもちょっと御指摘があっ一たが、私は、もしも繭糸価格安定法というものが文字どおり強力に運営されているとすれば、これにまさる制度はないんじゃないかと思うのです。かつて大暴落がありましたとき、三十三年だったですか一あのころにはたしか最低が十九万で最高が二十三万じゃなかったかと思うのです。三万ですか四万ですか、非常に値幅が狭いわけです。十九万を堅持するというので相当の努力をしたけれども、とうとう堅持できなかったわけですよ。それ以後というものは、もういわば繭糸価格安定法というものはなきにひとしいのです。実際は安定制度がなくなってしまったと言っても過言でないと思うのです。それ以後の状態は。なぜかといいますと、いま最高と最低がこんなに開いてしまったのですから、おそらく最高までは上がらないであろうと思われるようなところしか最高はっけないし、これより下がりっこないところしか最低は置けなくしてしまいましたから、実際には安定法というものは有名無実の飾りものみたいなものになってしまった。ですから、安定法というものはあるけれども、使わない程度の、発動しないで済むような安定法にしちゃったということが言えるのじゃないかと思うのです。そこにやはり根本問題があると思うのでありまして、ほんとうに価格を安定させなければならぬのだということで、そこに重点を置いてやるならば、やはり前と同じように——多少動くのは年々動くとしましても、幅をこう広げていくということはないはずだと私は思うのです。どんどん幅を広げてしまうということは、これは実際使わない、なるべく使わないということなんですね。だから、それでは済まないから、中間安定、こういうふうに今度は中間安定の問題がそういうところへ出てこざるを得ないことになってしまったと思うのですが、ここらあたりは、やはり蚕糸業というものに対する、先ほど最初に申し上げましたような熱の入れ方ということに相当私は影響があると思うのです。もし、あのときでも、いまだってぼくは思うのですけれども、十九万円でほんとうに堅持し切ったら、ずいぶん財政負担は大きかったと思いますけれども、その後の相場の動きを見ますと、政府は損しなかったんですね。あれからどんどん値が上がっちゃっているんですから。ですから、あそこでむしろあの価格安定法に信頼感がつながれているとすれば、いまこういう問題は起きていないと思うのです。ですから、繭糸価格安定法はなかったと同じだと思うのです。これは何とかしなければならぬというので、業界のほうでも何かやれる範囲のことをやってということでああいうものが出、また政府のほうでもこれに協力されているということなんですが、そこで、それならば、その中間安定制度というものをほんとうに強力に機能できるようなものにして、そして将来行く行くはこの繭糸価格安定法というものがなくてもそれにかわり得るほどの強力な需給安定がはかれるところまでこれを強化していくようなお考えで進めていくのか、それとも、初めから限界を小さく置いて、そのワクの中でだけ中間安定をやらしておいて、そうして依然として繭糸価格安定法というもので根本は押えていく、これによって安心感を与える、これによって海外に信頼も与えていこうというような、かなりのウエートを安定法そのものに置きながら、なおかつ中間安定をやっていこうということであると、非常にこれが中途はんぱなことになって、もし異常事態が起こりますと、また再び中間安定がすぐだめになってしまう。すぐまた本来の繭糸価格安定法のほうへ持っていかなければならぬ。ところが、持っていくにしてはあまりに幅は広過ぎますし、また、財政的な準備等が十分でなければ、これもまただめだ。前のようなことを繰り返すのでは、まことにこれはどっちつかずになっちゃうと思うのですね。そういうような点で、どのような考えをお持ちなんですか。中間安定とこの繭糸価格安定法との関係ですね。
  87. 大口駿一

    ○大口政府委員 目下蚕糸業振興審議会で検討されておりまする問題の一番大きな問題は、いま高田先生御指摘の、中間安定の制度と、それから現在ある繭糸価格安定制度との関連性をどうするかという問題が、やはり一番大きな問題であろうかと思います。確かに、業界で中間安定構想を考え出しました直接の動機といたしましては、現在の繭糸価格安定制度の最高、最低価格の幅が広過ぎる、したがってあまり役に立たないというような印象から中間安定構想というものが考えられたのに間違いはないわけでございまするが、しかし、中間安定構想として唱えられておりまする内容の中で、一番大きな問題としましては、年間を通じて養蚕に対して一定の最低繭価を保障する、必ずその条件以下では繭を買わないという約束をする、その約束を制度的に裏打ちをするというところに非常に大きなねらいがあるわけでありまして、いわば繭の段階の安定。従来は糸を安定させることが繭の価格の安定に資するゆえんであるということでやっておりましたのを、今度は直接的な方法で繭を安定させるために、まず製糸業者の義務を制度化する、それで、その製糸家が繭の価格を保障した義務の見返りとしまして、糸の値段について、事業団等を通じて買い上げ措置を講ずる等の方法で安定をはかるということになっておりまするので、ことばを変えて申しますならば、やはり中間安定構想というのは、主として繭の価格を直接的な方法で安定をするということをねらいとするというふうに言えると思うのでありまして、その意味で、現在の繭糸価格安定制度と、設計いかんによっては十分併存し得る制度であろうかというふうに思っております。したがいまして、この制度がもしかりに実現をいたします場合、どちらにウエートを置いて運用するかという心がまえにつきましては、もちろん現在の安定帯価格を幅の広いままでおいていいかどうかという問題は将来検討する必要があろうかと思いますが、主として繭の価格を安定させるというところに中間安定構想の力点を置く、それから、さらに、糸につきましては、繭糸価格安定制度という最後の防波堤を設けておくというふうな考えで運用すべきではなかろうか、かように考えておりますが、何しろまだ中間安定構想につきましての最終的な構想が十分細目の点まで固まっておりませんので、ただいまの御指摘、御注意を十分頭に置きまして、今後検討してまいりたいと思っております。
  88. 高田富之

    高田分科員 審議会で専門家の方々の検討にいまゆだねられておる過程でありますから、何ですけれども、いままでのあれでいきますと、私は、この際、せっかく業界も養蚕側も製糸側も話がある程度まとまり、養蚕家なんかそのために必要な資金まで集めているわけですから、こういう機運の盛り上がったときに、価格安定のための機構を自分たちの手でやっていこうというのですから、これはむしろ相当思い切って強力に機能できるようなものにさせてやるほうがいいのではないかと思うのですね。いままでの繭糸価格安定法というのは、ある意味で試験済みですよ。たてまえとすれば非常にいいのです。ほんとうに動かされればほかのものはあまり要らないようなものですが、残念ながらそうなっておらない。ですから、逆にそこに力を徹底的に入れて、そうして中間安定機構で持ち切れなくなってくる、あるいはたえ切れなくなってくるときには、あまり限界を置かないで、どんどん政府のほうでバックアップしていくというぐらいの機構にしてやったらいいのではないか。将来それによって完全にやれるならば、安定法なんてなくったって、これはいわばこれにかわるもんですから、安定法を改正したもんですから、むしろそういうものに重点を置いて強力に進めて、とにかく出発させる、出発させてやってみなければよくわかりませんけれども、その過程でさらにこれを強化していくという考えで育てていったらいいのではないかと思います。そういうふうにしていくには、やはり政府の腹がまえも、業界がやるのだから適当にやれ、限度を置いてこの程度というのではなしに、これはやはり、新しい機運に向かってきたのだということで、強力に進めるという態度でお進めになることを特に要望したいのですが、何かお考えがありましたら大臣から伺いたい。
  89. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 たいへん貴重な御意見を拝聴して、なお検討を進めていきます。
  90. 古川丈吉

    古川主査 関連質問を許します。栗原君。
  91. 栗原俊夫

    栗原分科員 ただいま中間安定機構の問題について構想の御説明があったわけですが、先ほど来大臣から蚕糸業に対する認識について、これは斜陽産業ではなくて、これから少なくとも、選択的拡大とまでは言えないけれども、選択投資の中に入るものだ、こういう認識、私はこれは非常によかったと思うのです。三十三年の大暴落のあと大沢君が局長をやっていた当時は、蚕糸業は合成繊維に押されて、これは没落産業なんだ、もう輸出産業として取り上げるべきではないのだという時代も、実はそれからここ数年の間にあったわけです。しかし、そうではない、認識が変わってきたということは、生糸に対する需要というものは、たとえ新しい繊維が発明されても、決してこれは心配ないのだという前提のもとに、そういう認識に立ち戻られたと思うのです。そこで、そのあと蚕糸局長のほうからは、いろいろな諸制度もけっこうだが、財政的な負担の問題がある、こういうことです。確かに財政的な負担があります。現に三十三年のときには百五十億という緊急出資をしてもらった当時、国会の中でも、蚕糸業に百五十億も金を出すなら中小企業をどうするのだというような議論もあったわけですが、この蚕糸業に対する金の出し方は、出しっぱなしでないというところに、だいぶ他の金の使い方と意味が違うわけです。見返りの品物がちゃんとある。しかも、かつては政府が五万俵もかかえるというとこれが一つのかさになって蚕糸業界は全く低迷するのだと言われておりましたが、実際には、わずか一年半足らずに、繭糸価格安定法で買い上げた五万俵、それから臨時措置法で買い上げた五万俵、十万俵がたちまちなくなって、二年、三年あとの値上がりには、もう火消しの役目をする政府手持ちはなくなった、こういう経過を経ておるわけです。このことは、あの三十三年の大暴落が、新しい繊維に押されたのではなくて、いわゆる必需繊維でなくておしゃれの繊維、趣味の繊維である生糸が、アメリカの不況によってまずたな上げされた、こういうところにああいう谷間ができた。だから、景気の回復と相まって政府手持ちの生糸も一挙に出ていく、こういう形になったんだと私は認識しているわけなんです。したがって、そういう認識に立つと、大需要者であるアメリカにも況不況の波がありましょうから、不況のときにはやはり谷間ができるだろう。しかし、その谷間は、これでだめになったのではなくて、その谷間を越えればまた需要は復活してくるんだ、こういう強い安心感のもとに、言うならば、谷間に橋をかけて渡る、言うならば政府が買い上げて、暫時その間を手持ちして過ごす政策が成り立つんだ、こういうぐあいに私は考えておるわけなんです。したがって、中間機構をつくる、しかしその中間機構から政府が受けるその財政負担というものはある程度チェックしなければだめなんだという一つ考え方があるようですけれども、できるだけ中間機構にやらせる、そして、そのしりは、それでも渡れない谷間ができるならば、政府が受けて橋をかけてやっても、それは景気の循環の中から必ず数年にして解消できるのだ、こういう立場に立って、いま少し度胸よく、しかもこれっぱかりの金でなくて、最低で買って、売るときは最高ですから、金倉を引いてもまだ残るという形になるわけなんですから、その点はいま少し、財政の負担ということでなくて、まあ言うならば融資なんですから、安心のできる担保を持った融資なんですから、ひとつ度胸よく、不況時あるいはたまたま糸価の低落するという現象を救う政策を打って出てもらいたい、こう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  92. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御意見十分考慮に入れて対策を講じてまいりたいと思います。
  93. 中澤茂一

    中澤分科員 関連質問。私も、大臣、審議会の委員なんですが、総会で小委員会をつくることを了承して検討しようということになったのだが、そのときあなた都合が悪くて出席できなくて、舘林君が来たのです。舘林君には一応念をついておいたのですが、安定帯構想というのも、これは、要するに、繭糸価格安定法の大幅な帯の中でまた小幅をつくろうということです。そこで、一つ問題なのは、若干不安のあるのは、それによって政府が責任のがれをしないかということです。農民も金を出し、政府も金を出す。ところが、その資金範囲というものは極小なものなんだな。そういう場合、政府は、いまの安定法の大幅値幅をとっている限りは、これを守り切れないときは、最低価格まで落ちないと買わないわけだ。ここに一つ問題があるのです。これに対して政府は、業者がそういうふうにみんなでやるんだから、おれのほうは責任ない、業者がやってみればいいじゃないか、こういう責任のがれをするかしないかということは、ぼくは総会の席上で舘林君に念をついてあるのだ。そういうことは政府としてはいたしませんと舘林君は言っておるのだが、あなたからはっきりと、それは責任のがれはしないということを言ってもらいたい。政府は逃げるのじゃないかという一つの不安があるので、これはもうこの席上ではっきりしてもらいたい。  それから、中間安定の資金問題なんだ。これは業者も出す。養蚕農民からも集めておる。ところが、その資金総額は知れたものなんです。とても、もし下落という事態が来たら、この中間安定なんか守れる資金量じゃないのですよ。わずかなものです。そうなると、結局値幅の最低値でなければ繭糸価格安定法は発動しないのだから、中間安定構想というものはこれは意味がないということになる。その資金問題に対して、ぼくは、政府がバックアップするなり、あるいはこれは立法上はできないが、高田君がさっき言ったように、できるならば政府が中間安定資金に対する保証措置というものを考えたらどうか。そうすればある程度これを守っていける。資金量の問題にかかってくるのですよ。だから、この辺について、高田君のことで大臣から答弁があるだろうが、責任のがれをするのじゃないだろうか、業者がやるんだから政府は知っちゃいないということになるのじゃないかということ。同時に、矛盾があるのは、いま言うように、価格安定法では、最低限にならなければ、中間安定が崩壊した場合でも政府は買わないのですから、だから、この下限を上げるということが必要なんですから、幅を小さく、下をもう少し上げていく、業者の考えている中間安定構想までこれを詰めていく、こういう基本的な考え方がないと、この中間安定構想というのは意味ないのですよ。私は、審議会の総会の席上でも言ったが、意味ないじゃないか、政府はこれに対して責任を持って、先ほど高田君も言ったような強力な資金バックをやる、この言質がなければこの構想というものはむしろ御破算にしたほうがいい。農民からまで金を取って意味ないものをやるなら御破算にして、繭糸価格安定法の再検討にかかったほうがいいというのが、ぼくの主張なんです。この二点に対して、ひとつ大臣から御答弁願います。
  94. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 中間安定構想ですか、この構想は、いま審議会の結論を待っているわけでございますが、もしそれを実現するという場合には、これは私のしろうと流の考えでございますが、いまの糸価安定法を強化するという意味の中間安定構想というものは生まれてくると思います。責任のがれで、それに籍口して、そっちに逃げていくという考え方での中間構想ではなかろうと思うのです。ですから、そういう中間安定価格構想というものができ上がった場合においては、これは当然政府が責任を持っていくというたてまえでなければならないと私は思うのであります。  また、資金の問題につきましても、そういう点から言いますならば考慮すべきところがなければならない、そういうふうに考えます。
  95. 高田富之

    高田分科員 非常に重要な問題でありますので、また機会をあらためましていろいろ申し上げたり御意向を承りたいと思います。  最後に、もう時間を超過しておりますので、一点だけ輸出振興の問題についての考えをお聞きしたいのです。先ほどちょっとお話がありましたように、最近は中国糸、韓国糸というような新しい競争相手が出てまいりまして、いままでとだいぶ様相がかわっておるわけであります。相手は非常におくれた国でありますし、最近急速に養蚕、製糸をやるようになった段階でありますので、おそらく品質等においては劣っておると思いますし、生産性等も比較にならぬほどおくれておるとは思いますけれども、しかし、最近のあの急速の進出ぶりを見ますと、とてものんびりかまえてはおれないと思いますので、これに対しましては、いままで程度の輸出振興方策じゃなしに、やはり考え方を新たにしました海外市場確保または拡大のための手を打たなければならぬと思うのです。また、打てば必ず効果はあると思うのですが、その点ではちょっと弱気のような意見が間々出るのですが、非常に心配するわけなんです。どうも給料の安い国でもってどんどんやられたのではとても競争ができない、日本も生活程度が高くなったので、そろそろそういうものにやられるのじゃないかと言うが、私はそうは思わないのです。日本の繭、生糸の生産というものの蓄積されました技術、経験、それから来ておるいまの品質というようなものは、そう簡単に追いつかれるものじゃありません。さらに、加工ですね。いま伸びておるのは、生糸そのものよりも、撚糸とか織物という加工品が伸びる傾向にあるのですから、もっともっとこの方面に力を入れるべきだと私は思うのです。そうすると、生糸の加工、織物、染色、柄模様なんていう点では世界に並ぶところがないのです。そういう点では、宣伝にしましても、また海外の機屋さんやそういう需要者に対する働きかけなんかにしましても、全くと言っていいほどないのじゃないかと思うのです。わが国のいまの実情は。ここらはやはり最初の御言明に従って一つ政策を打ち出したらばどんどん海外市場の開拓はできるのではないか。国内需要はものすごい勢いで激増しつつあるわけであります。ほんとに、おっしゃるとおり、成長産業の花形と言ってもいいくらいの産業であります。しかし、そうは言っても、私はある意味では無理もないと思います。というのは、養蚕家、それから中小企業の多い製糸家、その間に商人がたくさん入っており、機屋さんに至っては大小さまざまですね。こういう業態であるだけに、そうは言ってもなかなか海外まで統一的な大きな働きかけができるような情勢に業界自体がない。だから、これをやれるのはやはり政府以外にはないのです。それだけに、私は、蚕糸局をどうこうという議論がありますけれども、とんでもない話なんで、むしろこの際、国家的見地から、そういった強力な輸出振興方策、そのための制度というものを一つ打ち出していただきたいと思うのです。実はこの間新聞を見ましたら、日本絹業協会ニューヨーク事務所から勤務を終えてお帰りになった大村さんという方の記事が新聞に出ておるのです。これはなかなかいい意見だと思うのですが、向こうの機屋さんなんかとの間にもっと連携を緊密にして有機的にしなければいけないのだということを強調されておるのですが、そういう点では、いままでの輸出振興方策程度のものではない、ほんとうに革命的な転換をした方法をこの際講ずる必要があることを痛感するわけなんです。この点については何かお考えをお持ちですか。
  96. 大口駿一

    ○大口政府委員 輸出の振興の必要なことは御指摘のとおりでありまして、蚕糸局として決して軽視をいたしておるわけではないわけであります。あるいは私の私見にわたるかもしれませんが、輸出をほんとうに伸ばすのは、やはり系列取引と申しますか、向こうの需要者とこちらの製糸家のはっきりとした結びつきが強化されることが輸出の振興の一番大きな問題だと思います。価格の問題を除きましては。ところが、従来の日本の製糸家のものの考え方というのは、品質につきましては、横浜、神戸の生糸検査所の検査を通ってしまえばおしまい。それから、値段は、商社がつけた値段で売ってしまえばおしまい。したがって、自分の糸を使った需要者からどのような注文があるのかということにつきましては、他の業界に比べると比較的関心の度合いが薄いという傾向があったのではないかと思っておりますので、そこの辺を根本的に直すことが必要だろうと思います。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕 それ以外には、やはり価格の安定ということが非常に必要でありまして、実は、輸出についてはさらに強力に価格を安定させる必要があろうかと思いまして、蚕糸局では輸出体制についての試案というものを業界に示しております。先ほど来申し上げておりますように、振興審議会におきましてこの問題もあわせて御検討いただくことになっておりますが、目下中間安定構想の検討のほうに追われておりますので、それが目鼻がつき次第、審議会において御検討いただくことになっております。問題は、やはり、繭糸価格安定法にきめられております最高価格に近くなった場合におきまして、輸出につきましてはそれよりもやや低いところで、それ以上の価格では海外に売らないというような責任体制を確立することが必要だろうかと思いますが、そのような点について御検討いただいているわけでありますので、いずれ中間安定構想のほうの検討の済み次第、その問題の検討をしていただくつもりになっております。
  97. 中澤茂一

    中澤分科員 御承知のように、私は、IPUで行ったときに、フランスのジェトロの駐在員を集めて、君らは生糸や絹織物についてどういう宣伝をしているんだと聞いた。ところが、われわれは前には一生懸命にこれと取り組んだ、ところが、大暴騰で、話をつけた商社や業者からさんざん恨まれてしまった、先生方がしっかりしてくれないからわれわれが恥をかいてしまったのだと言って、私はハッパをかけようと思って行ったら、向こうからさかねじを食ったのです。そして、今後それさえやってくれるならばわれわれは全力をあげてやると言っているのです。  そこで、私は、第一次産品、特に生糸を中心にした予算というものは、農林省が通産大臣と話をして、ジェトロの予算の中から一部押えるべきじゃないかと思う。そうして宣伝資金を豊富に駐在員諸君に与えてくれというのが彼らの要望なんです。価格さえ安定してくれればわれわれは全力をあげて絹織物について努力すると言っている。私はフランスでジェトロ駐在員を集めて、この問題だけで二時間ばかり懇談したのですよ。それで、ジェトロがいま少し日本の絹織物と生糸に対して熱意を持ってやるように。それには連中に言わせるとこっちの価格安定が第一なんです。これはぜひ考えてもらいたいと思うのですよ。
  98. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 理屈を言うわけじゃございませんが、綿業協会は、御承知のように、ニューヨークとリヨンでやっています。前にはジェトロのほうでもやっていたように記憶しておりましたが、いつしかそういう関係で生糸のほうはあまりやらぬようです。しかし、同じ輸出品ですから、力をいたすようにひとつ努力いたします。
  99. 高田富之

    高田分科員 時間も参りましたので終わりますが、問題点もまだいろいろあります。中間安定のことについてお話があったのですけれども、初めから理想的な完ぺきなものにということであまりに慎重を期せられて時間を費すよりは、私をして言わしむれば、いま実際は安定法というのはなきにひとしい状態なんですから、どういうものでもいい、しかも幸いに業界の気持ちが一つになってきたのですから、とにかく早く踏み出して、その過程で、先ほど私が申しましたようにどんどん強化していくという機運が出てくれば、それをどんどん充実強化していくという方向で育てればいいと思う。さしあたってはせっかく業界が共同してとにかく何らかの方法で実際的な価格安定をしようということになっているのですから、すみやかにひとつ結論を出して、できれば今国会中に制度としてこれを確立してしまったほうがいいと思うのです。そのくらいの気持ちで促進されることを特に御要望申し上げて、さらにあとの輸出の問題も、あまり先へ行かないうちに結論を出して実行するようにしていただきたいと思います。これを要望申し上げて、終わりたいと思います。
  100. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 これにて高田富之君の質疑は終了いたしました。  午後は本会議散会後再開し、農林省所管について質疑を続行することといたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後三時五十五分開議
  101. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所書について質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますから、順次これを許します。  大原亨君。
  102. 大原亨

    大原分科員 私はきょうは二つの問題につきまして質疑をいたします。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕  一つは豚の集団飼育に伴う公害の問題、豚の集団飼育の政策上の問題と公害の問題、それから開拓政策につきましてお伺いしたいわけです。  その第一の質問は、豚の集団飼育、これに伴うていろいろと公害が発生をいたしておるわけです。選択的な拡大ということで畜産を奨励をするという政府方針ですけれども、最初に質問したいと思いますが、全国的に見てみまして、豚の集団飼育、こういう実態といいますか、私があらかじめ質問通告をいたしておりますが、そういうふうなところが全国的にございますか。
  103. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 豚につきましては、畜食肉の需要の急速な増大によりまして、年々、多少豚特有のサイクルは描いておりますが、飼養の頭数が非常にふえておるということで、順次飼養の形態も集団的な飼養の姿がふえておるのでございます。その集団の形は、豚については、比較的共同飼育というような形あるいは個人の多頭飼育というような形で需要都市に比較的近い地域に集団の養豚が行なわれる場合と、それから、純農村地帯で集団的に飼っておる場合というふうにございますが、いずれにしましても、現在全国の豚の飼養頭数の平均が五頭程度でございますけれども、相当集団的な飼育が進んでいるということは事実でございます。
  104. 大原亨

    大原分科員 具体的なことから入ったほうがかえって能率的ですから申し上げるのですが、私が取り上げて申し上げるのは、乳牛とか肉牛とは違った問題がここに発生しているのです。というのは、広島県の市外の佐伯郡の五日市町の石内というところなんですけれども、そこに高橋牧場というのがあって、二千頭ぐらいの豚が、これは配合飼料で飼っておったわけですが、おったわけであります。そこへ、広島市の福島町のスラム街解消で、豚を広島市内で飼っておりましたのを、朝鮮人の諸君が多いわけですが、これが建設省の方針——広島県知事が管轄している改良地区ですけれども、そこの方針で、知事のあっせんによりまして二千頭ほど豚をその地域で集団飼育をするようになりまして、合計四千頭であります−大体これは残飯で飼っているもんですから、人間の排出するふん尿の大体六倍から十倍ぐらいのふん尿を排出するわけであります。ですから、石内川という八幡川の支流の上流の地域ですけれども、まあ八倍といたしまして、三万二千人の町が突然できたことになりまして、そのふん尿を、その小さな川の水を揚げまして、ここにまた水利権の問題が出てまいりますが、揚げまして、そして清掃するわけでありますが、それと一緒に川や付近のたんぼにどっと流上込むわけです。そういうことで、事実をまあ概略申し上げたわけですが、そういうことによって付近の田畑はアンモニアが発生して、米や麦が徒長いたしまして、ばたばた倒れて、数町歩の地域にわたりまして収穫が激減するというふうな現象が出ておる。それから、小さな川へ午前午後というふうに二、三回にわたってふん尿を流すものですから、川がふん尿で一ぱいなんです。だから、これから四月に入ってまいりますると、窓をあけておることもできない。いままで洗たくをやったり野菜を洗ったりしておっても、そこは一切使えないで、別の地域の奥のほうへ行くということで、飲料水も困る。そして真水を小さな川から毎日二百五十トンも午前午後にわたって吸い揚げるものですから、井戸が枯渇をいたしまして、枯渇をしただけでなしに、若干出てまいりましても、くさい。こういうふうなことで衛生上も非常に大きな問題が発生をいたしておるわけであります。したがって、これは、豚の集団飼育というふうな選択的拡大、畜産の奨励という政策面から言えば、集団飼育自体はもちろん望ましい一つの現象でございますが、しかし、これから発生する公害の問題、あるいは突然県知事があっせんをいたしましてそこへ多頭飼育が行なわれていることによって、付近の農民が非常に困るだけでなしに、石内川という川を通じて八幡川、五日市町、広島市の郊外へそういう汚水が流されるということで、非常に問題が発生をいたしておるわけであります。  そこで、逐次質問に入っていくわけですけれども、建設省がそういうスラム街の解消などをやる際には、建設省は河川の関係もあるわけでありますが、しかし、スラム街を解消してそういう豚の疎開をするというふうな場合等においては、行く先においてどういう現象が発生するか、こういうことについては、あらかじめこれを想定をしながら、施設その他についての移動が必要なのではないか、そういう点において建設省の手ぬかりがあるのではないか、これは県知事の疎開面のそういう点において手ぬかりがあるのではないかという点と、そういう河川にそういうふうにどんどん自由に豚のふん尿を捨ててもよろしいものであるかどうか、そういう法律関係について、逐次質問してまいりますが、二点についてまずお答えをいただきたいと思うのです。
  105. 国宗正義

    国宗説明員 本件につきましては、広島市の福島地区の土地区画整理事業に関する移転者の移転先に関するものでございまするが、土地区画整理に伴いまして移転を要することとなった人につきましては、担当いたしますこの土木部は、農林の担当部局とも十分相談いたしました上で、すでに養豚業者のある地区で比較的都市に近く、さらにその他立地条件に恵まれたところを相談してあっせんしたところでございます。特にそれにつきまして強制的に移転先決定というふうに処理したものではございません。  次に、河川の関係でございますが、まず、この問題に関しましては、関係各省が非常に多いのみならず、やはり農林部局当局においても、県の報告によりますと、しばしば警告を発する等の措置考えておられ、かつその対策についても現在関係部局においても協議して検討中と承っております。河川管理者といたしましては、河川法によりまして、そのような行為、汚物投棄を規制できるかという点でございますが、当該養豚場のあります区域は、八幡川支川の石内川上流の普通河川の区域でございまして、すなわち、河川法が適用されたりあるいは準用されておる区域でない区域に属するところでございますので、たまたまその地区は砂防指定地域でございまして、砂防に関する工事は施工いたしておりますが、河川に関する工事はもとより、規制も行なっておらないところでございます。したがいまして、河川法及びこれに基づく命令による措置では規制はいたさないのがたてまえでございます。なお、このような場合におきましては、清掃法等による規制はあるのではないかと考えられるところでございます。
  106. 大原亨

    大原分科員 いまの御答弁に関連して、清掃法による規制について厚生省の考え方を聞きたいのです。つまり、河川には、ふん尿というのは、人間のふん尿を流すと、これはいろいろ問題があるでしょう。しかし、豚でも同じじゃないかと思うのです。残飯を食べまして、申し上げたように、人間の大体八倍、四千頭おれば三万人くらいの都市ができたことになって、それがたれ流しをやっているということになる。それは厚生省関係でどういう法律関係になりますか。
  107. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 清掃法によりまして、ふん尿は、人間のふん尿のみならず、牛、豚、家畜のふん尿も含まれていると解釈いたします。この法律の規定によりますと、特別清掃地域内にございましては、集められたふん尿は市町村長がそれを収集処分しなければならない、あまり多量の汚物が収集をせられた場合は、市町村長はその汚物を出す者に対して、その運搬処分を命ずることができる、こういう規定がございます。また、同じ清掃法の中で、河川その他公共の水域にふん尿を捨ててはならない、これは罰則がついておりますが、そういう規定もございます。問題は、その動物を飼育しておる地域がこの清掃法第四条に基づく特別清掃地域であるかどうか、こういう問題があるわけでございます。清掃法による清掃の義務地域というのは、特に清掃を必要とする、多数の住民の住んでおるような地域を普通都道府県知事が指定しておるわけでございまして、したがいまして、問題は、豚を飼育している場所がそのような地域に該当するかどうか、この問題が一つございます。特に一般的に汚染せられるような観光地でございますとか、季節的に人が非常に集まるというようなところは、特別清掃地域に指定してございますが、人家がそれほどない地域は、一般的には特別清掃地域に指定しないのが通例でございまして、このような豚の集落地域を特別清掃地域によって処理するということにはちょっと問題があるかと思います。いま一つ、へい獣処理場等に関する法律がございまして、その法律の第九条によりまして、特別清掃地域で多数の豚その他の家畜などを飼う場合は都道府県知事の許可が要ります。その際一定の衛生基準を守らなければならないという規定がございまして、その規定を守らない場合は、不完全であるときには衛生当局は改善命令を出すことができる。さらにその命令を順守しなければ許可を取り消すことができるという規定がございますが、これも特別清掃地域に対してでございまして、その他の地域に対してはそのような規定がないわけでございます。この点が本問題の一番問題点でございまして、この豚を飼っております地域が特別清掃地域として指定せられる地域であるかどうかということが一つの問題であろうかと思います。
  108. 大原亨

    大原分科員 その指定はだれがやるのですか。
  109. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 都道府県知事でございます。
  110. 大原亨

    大原分科員 人間が数万人住んでおりましたら、密集して住んでおりましたら、これはおそらく特別清掃地域になるんでしょうね。それで、広島市のすぐ郊外で石内川ですが、本流の八幡川を通じて、製菓会社その他住宅街へずっと流れていくわけですが、ふん尿を川へ流しっぱなしということなんです。水を午前午後二百五十トンくらい吸い揚げて、だあっと流していくわけです。そうすると、ふん尿の川ができるわけです。それで、竹なんかを川に突き刺してみますと、こんなに厚いふん尿の層ができているわけです。それが豚であったら特別清掃地域にならぬで、人間が集まったらなる、しかし出すものはそれ以上出す、それはちょっとおかしいじゃないですか。
  111. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 ただ、ちょっと問題になりますのは、そのように動物が多数おるところのふん尿の始末を市町村長の義務にいたしますと、牧場等のふん尿は全部市町村長の義務でこれを処理するという問題が起こってまいりますので、一般的にはやはり人間を対象として清掃地域をつくるわけでございます。
  112. 大原亨

    大原分科員 そこで、どなたでもいいのですが、飲料水としてすでにいままで利用していた川に、水利権の問題はあとでやりますが、川にふん尿を流す、そしてとにかく洗たくにも使えない、野菜洗いもできない、ふろもわかせない。火事が起きたといって川にホースを通してやると、ふん尿をかけることになる。火事は消えるかもしれませんが、ふん尿で家は全然だめになっちゃう。こういうようなことが公然とできて、これに対して何にも取り締まる法規がない。あるいは処理を助成すべき制度もない。その政策上の問題はあとで言うけれども、ないということはどうなんですかね。どこへ何をやってもいいということはないでしょう。
  113. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、清掃法の第十一条に、一般的に河川その他公共の水域にふん尿を捨ててはならないということで、これを犯した者は罰則があるわけです。当然これに従って処罰されるべきであります。
  114. 大原亨

    大原分科員 罰則は何ですか。
  115. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 罰則は、罰金、拘留、科料。
  116. 大原亨

    大原分科員 幾らですか。
  117. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 罰金二万円です。正確なことま……。  それで、問題は、はっきり捨てたということであれば処罰にかかりますけれども、不完全なためおけからだらだらと流れて出ておるというようなものを、捨てたという解釈が成り立つかどうかに問題があるような場合があるかと思います。
  118. 大原亨

    大原分科員 だいぶわかりました。ふん尿を河川に流してはいけない、これに二万円の罰金というのはおかしいけれども、何回も繰り返しているのかどうかわからないけれども、それはともかくとして、これは政策上の問題とぶつかってきますが、自然に流れてくるのか、あるいは計画的に流しているのか、こういうことになる。これは相当高いところにあるわけですよ。五十メートル高いところにあって、あとで問題を申し上げますが、ダムというか、そこに池みたいなものをかってにつくっておいて、そこへ電気ポンプを突っ込んでモーターで引き揚げてしまう。午前午後二百五十トンくらいやっています。小さな川ですが、水量は若干あります。それをやっているわけです。そうすると、その水が使えないという問題が出てくる。水利権の問題も出てきます。これもあとでよく考えて御答弁いただきたいのですが、私はあげ足をとるつもりはないので、この問題は事実関係に基づいてどういうふうに処理するかということを、七、八の関係者に集ってきてもらっておりますから、十分討議したいと思うのですが、それは、計画的にということになると、午前午後その水を使って、だあっとコンクリの集団飼育の養豚のふん尿を流すわけです。その川は、ふん尿を流しましたら行くところがないわけですよ。下のたんぼにずっと行くか、川に行くか、川にだあっと流れていくわけです。流すときには、川は茶色の色をなしてだあっといく。ふん尿の川ができるわけです。二百五十トンの水と一緒にふん尿をずっと流すわけです。浄化槽も何もないのです。池もないわけです。だから、それは計画的ということになる。そこだけ言いますと計画的ということになる。その点いかがですか。
  119. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 実際行為から認定して、当然他に行く場所がなく、川に入ることを承知の上で捨てておるという認定ができれば、これは当然処罰の対象かと思います。  なお、先ほど申し上げました二万円は三万円の誤りです。
  120. 大原亨

    大原分科員 これは取るのが目的じゃないわけですが、そういう法律関係が発生するわけですね。  そこで、もう一つ、これに関連しておるのですが、いままでそういうふうに、家庭用水、いろいろな洗たくから野菜洗いから井戸水、それからその近くに水田が多いわけですが、水田、麦作、そういうものに使っていた水を横から取っている。県知事があっせんしたわけです。このことは、最初に御答弁になった河川局次長の御答弁はちょっと了承できないから、またあとで議論いたしますが、それがその川の上流にポンプを突っ込みましてモーターで揚げておるわけです。そこで、従来の既得権としての水の利用権が横合いから剥奪をされた、こういう現象が出ているわけですね。その法律関係は、農林省の方どなたでもよい、あるいは建設省でもよいが、どういう法律関係になりますか。
  121. 国宗正義

    国宗説明員 当該の場所につきましては、いわゆる普通河川と申しますか、川ではございますが、法律が適用され、あるいは準用されておらないところでございますが、おっしゃるように、川はみんなが使う公共のものでございますので、さような放置する状態ではぐあいが悪いということになり、取り締まりの必要があるということに相なりますれば、県知事とも相談いたしました上で、そこに河川法を準用するなり適用するなりする方法を将来検討していかなければならないと考えます。  なお、ちなみに、この河川は、七月一日から二級水系として知事が管理する川になります。現在におきましても準用河川でございまして、下流において若干の改修工事を三十八年度から実施いたしておりますが、やはり県の管理するところでございますので、十分そのあたりは将来検討いたしたいと思います。  お尋ねの川から水を取る場合の関係でございますが、普通河川でございますので、河川法の許可を要しないのでございますが、おおむね農家等の需要、特に季節的な需要、もの洗いとか家畜の飼育、水飼い等の目的のための取水は少量でございますれば慣行上許可を要しないという取り扱いをされている場合が多いわけでございます。いま御指摘の二百五十トンと申しますのは、一秒間に一トン流れますれば一日では八万六千トンに相なるわけでありまして、トン数にいたしますれば〇・〇〇三トン見当でございまして、水量的には必ずしも多い水量とは申されないと思います。問題は水質でございます。いまお話のように、清掃法その他の環境衛生からの規制はあることはもとよりでございますが、河川におきましても、その水量を取ったがゆえに他の作物に支障を来たすという関係でございませんが、汚濁した水質、清潔が保たれない水を出すという方法における水害のかっこうになろうかと思います。さような場合に、水量と異なりまして、水質につきましては直ちに理想を追求することはきわめて困難な分野でございまして、現状から出発して、できるだけの処理をいたさなくちゃならないという方向がまず第一だ思といます。  なお、それに伴い、それと並行して、河川には汚物を捨ててはならないという規制も環境衛生の面から行なわれているところでございますので、私どもは、それらの結果とも相まちまして、河川の水質の維持と河川管理上の関係からもはかっていかなければならないと思います。  なお、この河川は準用河川でございますが、若干の水量はございまして、下流におきましては、つまり八幡川あたりにおきまして、旧五日市町の上水道、これは簡易水道でございますが、それから中国醸造、だるましょうちゅうというものを製造する製造会社、それから造幣局の支所が、合計いたしまして〇・八トン、おおよそ一トンくらいの水を本川下流において使用いたしております。そのほかかんがい用水が若干ございます。
  122. 大原亨

    大原分科員 それで、水の量と質の問題で、いままでの状況が変わって損害を受ける。こういう問題で、私、水利権の問題を考えてみたい、こういうふうに問題を提起したのです。というのは、たとえば入り会い権とか、いろいろあるのですよ、法律上の論争が。論争というのは、法律はないけれど、一つの権利として保障されておる部落全体の権利になる問題があるわけですよ。そういう意味で、いままで川が流れていた。きれいな川だった。水量は多い川じゃなかった。しかし影響が大きいのですよ。いま言っただるましょうちゅうとか、ずっと下へ行きましたら二、三万の人が住んでおりまして、広島の郊外地ですから、どんどん住宅ができている。また若干中小企業もできている。そこへこつ然として上流で三、四万人分に相当するふん尿を自由に放出しておるという状況ですから、いかなる状態になるか想像ができるわけです。豚は四千頭、それを残飯で飼っておる。配合飼料でやったらそうは出ないのだそうですか、残飯を食べるから特にそういうことになる。そういうことですから、現状が変わってくるわけです。そういう場合に既得権が侵害される。だから、地元の直接被害を受けておる数十軒、百軒に及ぶような部落の人は、ダムへ行ってくわでたたきこわしてやろうかという意見も出ておる。あるいは農薬を流してやろうかといううわさまで飛んでおる。何か県知事やその他が処置してくれるだろう、そういうことを期待しておったけれど、ほっておくから、そんなことになるのだ。その近くの水田は稲が腐ってできやしない。アンモニアが多過ぎて、稲が徒長して実が乗らない。ちょっと大きくなると、ばたばたみんな倒れてしまう。そういうふうに農作物にも被害がある。現状では、人も住めやしませんし、住宅としても値打ちがない。水もくさいし、四月、五月、六月、もちろん八月になりましたら、幾ら暑くても窓をあけておくことができない。ふん尿を流す午前と午後の二回は窓をあけておくこともできない。そういうところには人も来ないし、地価ももちろん非常に安い。こういうことになって、既得権が侵害されるというふうな問題で、こつ然とそういうふうに横合いから出た形でいままでの権利が侵害されるというふうなことは、やはり法律上もう少し明確な解釈が、対策を立てる前提としてなければならない。豚の飼育というのは、養鶏とか乳牛とか放牧とは違うのです。そういう点、もう少し水利権というのかどうかしらないが、既得権の侵害ということで住民が納得できるような法律の解釈や適用はないであろうかということです。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕
  123. 国宗正義

    国宗説明員 水利権と申しますか、水質を通じての既得権の侵害に対する河川からの考え方でございますが、河川の水質は、天然の状態においても山の崩壊等によって水質が汚濁することがあり、人口の増加によりまして若干その排出物による悪化、あるいは土地の開発改良等に伴う悪化も考えられるわけでございますが、いまの場合は、養豚場がいわゆる工場、事業場に当たるかどうか、私、詳しくはございませんが、言うならば、加害するほうの側の産業と被害を受ける側の産業との関係に相なるかと思います。さような場合におきましては、水質保全法におきましても、両産業間の調和と申しますか、両方の産業が成り立つようにし、かつ環境の衛生の向上維持もはかりながら、現状から出発して徐々に改善の方向にいくわけです。そういう政策政府としては立てておるところでございます。したがいまして、河川の管理といたしましては、現行法第十九条によりますと、河川の清潔に影響を及ぼす行為につきましては、「許可ヲ受ケシムルコトヲ得」というような規則を制定いたしまして、許可を受けるように一般にいたしておるところでございます。しかしながら、これらは、河川の中と申しますか、河川法を適用する区域あるいは準用区域においてでございまして、いま御指摘の渓流と申しますか、いわゆる普通河川におきましては、特に県が管理のための条例をつくらない限りは、その方面からする対策はないわけであります。さらに、その場合におきましても、河川から水を取り、かつ水を排出するためには、若干の施設を直接川に向かって設置いたさなくてはならないわけでございますが、この場合は、県の報告によってある程度しか承知しておりませんが、どのような施設を河川において設置しておるかということも明らかでございませんし、一般的に申せば以上申し上げたようなところでございます。
  124. 大原亨

    大原分科員 それで、地域の住民が、いままでの生活を脅かされる、農作の生活のかてになるところを脅かされる、侵害される、そういうことで、…覇防衛だということで、水をちょっと集めておるダム、小さい川ですけれども、しかしきれいな水が流れておる、そこに対しまして、これはだめだ、こわす、こういうことをやったらどうなりますか。そこに水がたまらない、もとどおりに水を流す、こういう措置を、上へ揚げるか揚げないかの問題じゃなしに、そういう措置をとりましたらどうなりますか。
  125. 国宗正義

    国宗説明員 自分の権利が侵害されたがゆえにといって、直ちにそういうことをされましても、正当防衛になるかどうか、私自身つまびらかではございませんが、さような問題が起こりますることが考えられるならば、河川局といたしましては、県当局とも十分相談をいたしまして、河川の法制に乗かった上で、それの規制あるいは解決をいたすことが適当であろうかと考えます。
  126. 大原亨

    大原分科員 これは、お話の石内川下流の本流の八幡川は二級河川で、知事が管理するのである。河川法を準用されることはできないわけですか。
  127. 国宗正義

    国宗説明員 八幡川は仰せのとおりでございます。石内川の下流部分の一部は準用河川の区域に入っております。いまの問題の個所はその河川に入っておらないわけでございます。これは、現行河川法における法体系を申しておるのでございまして、本年の四月一日からは、この水系は二級河川になる、こういうことになるわけでございます。すなわち、一級水系にならなかったものはすべて二級水系になるという経過措置に基づくものでございます。二級水系あるいは一級水系なるものは、その上流区域を準用河川に指定するということは不可能でございます。なぜならば、準用河川とは、一級水系、二級水系でない単独の水系についてのみ準用することでございまして、この公害の個所に問題がございます場合は、二級河川そのものの区域に入れて規制するというたてまえになっております。
  128. 大原亨

    大原分科員 四月からは二級河川というふうに考えてよろしいですか。
  129. 国宗正義

    国宗説明員 そのとおりでございます。
  130. 大原亨

    大原分科員 そうしましたら、新しい法律関係がそこに発生するわけですか。しかし、従来からあった住民の権利を侵害するという問題について、二級河川になる以前にできた事態に対してはどういうふうないわゆる法律解釈が発生いたしますか。
  131. 国宗正義

    国宗説明員 理論的に申せば、河川法の区域外のできごとでございますので、二級水系の区域に下流のほうがなったといたしましても、それらは河川法によって処理するところではございません。しかしながら、お話のように問題がございますれば、直ちに、二月中にでも準用河川に指定することは、建設大臣の認可を得ればできるところでございますし、さらに四月一日には新河川法で知事みずからが指定するところに相なりますので、さような河川の区域の中に織り込むことに相なれば、以前に起こった問題につきましても、現在からさかのぼって、現状から出発して、若干の処理は将来に向かってできると思います。
  132. 大原亨

    大原分科員 それから被害者のほうは、水田の耕作あるいは井戸水その他でうんと遠いところへ行かなければならぬわけです。自分のところはみなくさいのだから、洗たくなんかできぬ。炊事もできない。井戸もだめですから。あとで簡易水道の問題を申し上げるけれども、簡易水道は下流の町にはあるけれども、ここにはきれいな水が流れておったから、ないわけです。そういうことでずいぶん損害があるわけですが、経営者に対して損害賠償の要求ができますか。経営者というか、私は知事に対してできるのじゃないかと思う。つまり知事が広島市内のスラム街を解消するために疎開をするという方針をきめて、そうして、県のものを売ったんではないけれども、あっせんをしたわけであります。ここへ行きなさいと言って知事があっせんをしたわけです。ですから、行った者の立場に立つと、個人々々は知事の言ったことを聞いたのだから、何だといって知事に文句を言いたいところであります。ですから、私は、県知事に対して、地域の住民にそういう政策をとるのはけしからぬといって損害賠償の要求をすることができるのではないか。あるいは集団飼育をしている経営者に対してやるのかどうか。現実に、私は表を持っておりますが、水稲の耕作量はうんと減っている。ほとんどとれないと言ってもいい地域があるわけです。
  133. 国宗正義

    国宗説明員 土地区画整理事業の施行者としての知事があっせんしたということが損害賠償をとり得る原因になるか、あるいは河川の側から損害賠償の問題になるかという点は、それで直ちに損害賠償の関係が発生するとは考えられないと思います。しかしながら、飲み水なり一平常の使用に困難を来たすということに相なりますれば、やはり、県とも相談をいたしますが、河川の更生とあわせて将来解決する必要があろうと思います。私のみが御答弁することは妥当でないと存じますが、かような場合に、経験的に申して、損害賠償の解決もさることながら、水を供給することが大切だと思いますので、たとえばさらに上流において簡易水道等によって取水を行なうならば、その付近住民の水道供給あるいは雑用水の供給はむしろスムーズに解決するのではないかと考えられます。
  134. 大原亨

    大原分科員 あなたは、わしが言おうと思ったことを先に言われたが、簡易水道をやりますね。やりましても、くさいとかなんとかいうふうなものは消えてなくなりませんよ。そして、高いところからふん尿を流しておるのですから、たんぼにも川にも流れるわけです。ふん尿といえば、肥を流すのだから農作物がよくできるだろうと思うけれども、そうじゃないのですよ。アンモニアを流し過ぎて土地が枯れてしまうわけです。そういう行為によって損害を及ぼしておるわけですよ。そうしたら、損害を受けた人は、だれかに損害補償を要求したいということになるのは当然でしょう。相当消毒その他を県は、これから気をつけられるでしょうが、そのままにしておいて、もし広島その他の残飯なんかで一あなたにだけ言うのじゃない。厚生省にも言うのです。わかった人は答弁してください。残飯その他持ってくるのだから、伝染病やいろいろなものの源泉になる可能性もあるわけです。菓子工場もあれば、食料品工場もあり、カキをやっているところもあれば、住宅もあるわけですから、そういうところで損害発生のおそれもあるわけです。いままで井戸や川でやっておったものが、遠いところへ行く。そういうことで、三ちゃん農業だが、婦人は働くことができぬで、いつも行ったり来たりしている。かなわないので逃げ出そうという人もあるが、しかし、祖先伝来住んでいるところだから、なかなか動けない。こういうことになって損害が発生するわけですから、私は事実関係法律関係をはっきりしてもらえばいいわけです。それで、だれを責めようというわけではないけれども、そういう点がはっきりしなければおかしいじゃないか、こう言っているのです。県知事があっせんして、町村長も中へ入ってあっせんして、これで豚の集団飼育ができれば、ここで一つの大きな事業ができてくるといって、四、五年前は歓迎しておった。しかし、スラム街解消の名目で二千頭が加わってきたのだから、十倍ふんをすれば四万人分になるけれども、四万人の人がそこへこつ然として来てふん尿をたれ流しておるようなことになっている。そういうことで現実に損害を受けておるということから、だれに損害要求をすればよろしいか、法律関係はどうなるかということを、これは厚生省でも農林省でもいいです。農林省は選択的拡大、畜産業の奨励、農業構造改善をやっているわけだから。これはここだけではない。広島県の沼隈というところでもあったし、あるいは長野県あたりでしたか、全国的にどんどんできていきつつあるし、豚についてはそういう話があるのですが、その損害については法律関係はあるでしょう。だれでもいいからひとつ答えてください。答える人がいなかったら大臣でもいいです。
  135. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 たいへん複雑でありまして、損害賠償の責任者というものをどこにきめるかということは、検討しないと、私もいま直ちにお答えできないような状況でございます。農林省といたしましては、そういう事態がほうぼうに出てくると思います。いま養鶏とかあるいは牛などのふん尿処理につきましては、浄化槽などをつくったり、それをまた草地のかんがいに、きれいな水にしてやっておりますが、豚の飼育の場合にはまだ研究をしておりません。でありますので、考えられるところは、やはり浄化槽、畜舎等においては補助金なども出していますし、金なども金融していますが、浄化槽等をつくらして、その金融をあっせんするといいますか、そういう方向でやっていきたい、こういうふうにいま考えております。
  136. 大原亨

    大原分科員 それで、入っておる人は金持ちではないわけですよ。結局豚やその他の立ちのきの補償料でそこで土地を買って、または借金をしたりして入っておるのです。だから零細な人たちです。畜産センターの高橋という理事長は、これはやや持っているかもしれない。しかし、それは大体汚物は半分ぐらいでしょう、配合飼料ですから。それは人間の一人半分ぐらいだ。片方は六倍から十倍くらい、こういうのだが、一頭おれば十人ほどおるということになると、それが野放しになっておる。それが川へ流しておるわけです。便所も何もないわけですから、くみ取りも何もない。くみ取って海洋投棄をするとか、あるいは水田やその他牧草をやるというふうなこともないわけです。これは全部たれ流しで川や田へ流している。質から言ったって、人間以上のものを出しているわけですから、やっぱり放任しておるのはおかしいわけですよ。だから、これは知事も非常に最近は一生懸命になっておられると思いますが、やはり、知事だけではどうにもならぬという、こういうふうな意見もあるわけです。全く新しいケースだから。それで、たとえば、そういう集団飼育などの場合に、零細なその企業家に対しては設備費に対して助成してやる。これは農民とはいえないのだけれども、しかし、豚飼っているから農民だろう。朝鮮人の諸君だってなんだって、町から出ていって豚を飼っているのだから、豚の工場と言ってもいいし、あるいは農民と言ってもいい。農民でしょう。農林大臣の管轄だろう。農業の選択的拡大だから。そういうことで、そういう浄化槽なりその他便所、豚の便所というのも聞いたことはないが、浄化槽その他の施設をするという、そういう施設に対する補助なりあるいは金融なりの措置と一緒に、やっぱり何か政策があってもよさそうなものであるが、私は不勉強でわからぬだけれども関係局長その他に出ていただくわけだが、それに対する現在できる方法はありませんか。
  137. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 いわゆる農山村地帯で畜産の集団飼育をいたします場合には、これはふん尿が必要な自給肥料資源でございますから、田畑あるいは草地への還元を進めるということで、当初の事業計画の際からそういうことを考え、また指導して進めておるのでございますが、都市近郊においける家畜の集団飼育ということはなかなかむずかしい問題が、お話に出ましたような公害との関係で出るわけでございます。私どものほうとしましても、都市近郊等で自給肥料としての利用がむずかしというようなところはこれは、ふん尿の処理の問題を技術的に解決する方途をもって事業を開始させる、あるいは継続させるということは必要だというふうに考えておるわけでございます。でございますので、豚の飼育の場合には、大臣からもお話がございましたように、ふん尿の浄化槽について現在も引き続き畜産試験場で技術的な研究を取り進めておるところでございます。ある程度まで最近になりまして曝気法による浄水、浄化槽というものの効果が認められるようになっておるのでございます。たとえば千葉県の旭市等においては、新しい浄化槽によって相当程度浄化の効果をあげ、公害の問題を起こしておりません。問題は、現在のところまだ相当の経費がかかる、また相当の水量を必要とする。水を注入する必要がありますので、したがって、水が要り、かつ維持費等もかかるというような経済問題が起こっておるわけでございます。農林省としては、いわゆる農業近代化資金による貸し付けの対象として浄化槽の設置に長期資金を貸すということを認めておるわけであります。また、新たに養豚等で大規模の飼養をなす場合には、家畜の導入とともに、畜産経営拡大資金という貸し付けの際に浄化槽も含めて融資の対象にするというようなことをやって解決につとめておるわけでございますが、たまたま広島の問題については、実は私どもも御質問の通告がありまして初めて承知をいたしたようなわけでございます。現地の事情等を十分承知いたしませんが、農林省の畜産指導の面からも、関係各省あるいは府県の関係部局等の意見を聞く等、協議などいたしまして、問題の解決に当たっていきたいと思います。
  138. 大原亨

    大原分科員 どろぼうを見てなわをなうような話でありますが、それはとにかくとして、豚が集団的におれば、ふん尿を出すから、それを処理しなければならぬわけです。肥料として土地に還元できるかといったって、とってもこれは不可能なんだ。  そこで、問題は、対策はいろいろ言われているのですが、そこはやめちまって、県か国が土地改良事業をやった補償金をもう一回ダブって出すことになるが、県その他が助成を出して、これをどこかへ移転するか、これはまだきまっても何もおりはせぬのだが、そういう案もあるでしょう。そうして、そこを住宅地域にすれば、峠一つ越えればばっと住宅地区ですから、その広い地域をそうした設備をやったわけですから、そこを県なら県が買い上げて、ただし、これは人間を送り込む場合には上下水道なんか要りますよ。何世帯来るかわからない。豚の場合は黙っておって何も言わぬけれども、人間の場合にはそういう施設が要るわけだ。そういうふうにやるか、そういう場合には立ちのきの補償やその他の問題が出るでしょう。しかし、いまのように浄化槽その他に対して融資だけでなしに、助成の措置があるとすれば、零細企業ですから、みな集まっているのですから、夜昼を問わず賃金の計算をしないで残飯を広島に取りに行っては自動車でばっと持ってきてやっているわけで、残飯だからよけいふん尿が出る、くさいし、非衛生的だ、そういうことですから、それに対して、ふん尿を処理する浄化槽あるいは海洋投棄する自動車や設備、船、こういうようなものも厚生省その他の関係でつくるという以外にないですよ。これから春や夏へかけましてますます問題は広がってきます。その地域だけではありません。問題が発生したらますます大きな問題になります。生きているのですから、毎日毎日出すわけです。ほっておくわけにはいかない、とめるわけにいかないわけですから、だから、これを移すか、現場で処理するかという以外にないわけです。これは、どなたでもいいから、いい知恵はありませんか。厚生省の海洋投棄でもよろしいし、浄化槽でもいいし、農林省の畜産奨励という選択的拡大という方針から、設備の助成でもいいし、演説でなしに具体的な話ですよ。具体的に迫っている話です。具体的な指導方針なり、県知事にこうさせる、あるいは国がどういうふうに助成する、どういうふうにあっせんする、こういうような話をもう少し端的に関係局長からお答えいただきたい。
  139. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 農林省として、現行制度予算の中で、この問題に協力できます範囲は、ただいまちょっと触れましたが、九名の飼育者がおるようでございますので、農業法人を結成するならば、近代化資金一千万円などの融資の道がございますので、それの活用によることによって現実的な処理をする、あるいは移転をした場合には、やはり近代化資金、ないしは大きな経営をやるわけですから経営拡大資金、これは金額は一千万円でございますが、農林漁業金融公庫からの融資を考えるというようなことが現在考えられる道筋でございます。
  140. 大原亨

    大原分科員 融資の方法は示されましたが、助成の方法はないということです。そうすると、浄化槽をつくるということは、農林省仕事か厚生省の仕事かということになります。人間であれば厚生省の仕事でしょう、同じ畜類でも人間だから。豚の場合は、浄化槽の場合などは施設をやるとかいうふうな必要があるとすれば、研究するとすれば、これは農林省仕事ですか、厚生省の仕事ですか、何ですか。
  141. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 御質問自身はたいへんむずかしい問題だという意味でお聞きいただいておると思うのですが、私どもこれは非常にむずかしい限界の問題だと思っております。農林省所管で厚生省所管でないと言い切るだけの確信はございませんけれども、少なくとも畜産の経営をやります場合に、他の周囲の環境との調和を保って経営をするというためには浄化の装置を必要とするわけでございますので、経営施設としての対象である、経営施設そのものであるというふうにも理解されますので、農林省において金融その他の行政所管をしてさしつかえないのではないかというふうに思います。
  142. 大原亨

    大原分科員 それは近代化資金を十分活用できるでしょう。ただ、浄化槽的なことをやるとすれば、衛生上の見地から、公衆衛生の、広島市の郊外でもあるから、そういうこともあるでしょう。  それから、もう一つは、簡易水道ですけれども、とても急ぐのは、すぐ移動するわけにいきませんから、簡易水道については、これは町長も問題を提起されると思いますが、町長ともよく話をして、早急にこの問題は処理するように努力をしてもらいたい。厚生省関係
  143. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 この対象地域が、簡易水道は御承知のように五千人以下の対象でございますが、簡易水道の対象として適当なものであれば優先的に扱います。
  144. 大原亨

    大原分科員 五日市町というのは二、三万人だと思うのです。どんどんふえておりますから。その地域は旧村ですから、村というところでしょう。だから、それはそれで方法はあるでしょうが、そのことは十分考えてもらいたいということです。  もう一つ、建設省にお聞きするのですが、つまり、スラム街解消都市改造事業で、建設大臣が相当の努力をいたしまして、福島町で相当の努力をされたと思うのです。私はそれは非常に大きな努力だったと思うのです。スラム街解消と着々やられて、一応形の上では進んでいるわけですね、都市改造が。そのやり方が、末端まで十分に最後の最後まで見届けなかったわけです。追い出したのはいいが、追い出されたところが非常に迷惑だということで社会問題が起きているのですね。そういう場合には、もう一度、二重補助になるかどうかわからぬが、スラム街都市改造事業を完遂するということで、移転やその他の問題が起きた場合においては国として助成の道がありますか、どうですか。
  145. 国宗正義

    国宗説明員 御指摘の事案につきましては、改良事業、俗にスラム・クリアランスと言っておりますが、改良住宅を建設いたしますために、それにあわせて区画整理事業を施行し、その事業の結果移転を要する人は、いま御指摘の移転料を差し上げるわけであります。それにつきましては、広島県知事が土木のみならず産業関係の行政も総合的に担当しております関係上、最も適当だと考えて、いまの場所へあっせんいたしたわけでございます。さようにいたしました結果、お話のような問題が起こりましても、すでに完了いたしました土地区画整理事業についての補償を重ねてなすことはきわめて困難であろうかと思います。  なお、さきにも申しましたように、産業の関係、農林あるいは厚生、そういう関係をも担当いたしておりますので、総合的な対策を私どものほうからもお願いしたいと考えるところでございます。
  146. 大原亨

    大原分科員 それでだいぶわかったわけですが、この点は河川局次長に一応全部建設大臣代理で局の違うところも答弁してもらったわけですが、二重の補助になるということも常識的には考えられるし、それから、いままで足りなかった点を補足をする、実際やってみると補償料が足りなかった、そういう事実ができたら補償するとか、——こういう問題が起きて移転するということになれば、地元の人は、これが住宅地域とかあるいは他の果樹や園芸の地域とかいうことになれば、また別の角度から歓迎をするわけですね。だから、そういうことになればいいんだが、でないとすれば、やはり二、三万人の人間が五十メートルの山のところに住んでいる、こういう現実の上に立って政策を進める以外にないわけですね。融資の方法等ございましたけれども、大体事実問題と法律関係は一応まだ足りない点は出たと思うのですが、私は農林大臣にお答えいただきたいのです。やはりこれはなお未開拓の分野、未研究の分野が多いわけですから、ここでこれは早く解決してもらいたい。これは春から夏にかけて非常にたいへんだ、こういう事態ですけれども、早急に建設省も進んで十分ひとつ地元の知事とも話をしていただいて、そして事態が解決できるようにすみやかに研究して、おざなりの研究とか検討でなしに、善処をしていただきたいと思います。その点を強く要請をいたしたいと思うのですが、農林大臣のほうからお答えをいただきたいと思います。
  147. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 詳しいお話も承りましたので、建設当局とよく連絡をとり、各省とも連絡をとってその解決方法を研究するように、事務当局にも厳重に進めていくように命令したいと思います。
  148. 大原亨

    大原分科員 私は開拓の問題はまた別の機会に質問することにいたしまして、以上をもちまして質問を終わります。
  149. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。  次は、栗原俊夫君。
  150. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は、恒例なんですが、コンニャクの問題について少しくお尋ねをいたしたいと思います。  いまコンニャクの産地では、そうたくさん手持ちをしておるわけではありませんけれども、外産コンニャクが輸入されて放出される。それでどうも値がさえないというようなことで、たいへん戦々恐々としております。例年大臣にはお尋ねするのですが、コンニャク対策は、コンニャクの値が高くなっても、コンニャクが食えないからといって社会問題にはならない。しかし、一方、コンニャクが安過ぎて、おまえはコンニャクづくりでは食えないならば他に転作したらどうだと言われても、これは立地条件から転作はできない立場に置かれておるので、コンニャクについての対策は、生産農民対策がやはり筋でなければならないだろうというようなことを述べ、大体そういう方向については大臣に御了承を得てきておるつもりなんですが、今日日本貿易自由化の方向へ進む、こういう中で、外産コンニャクを入れることについては、どこまでもコンニャク生産農民中心にして立案し実行していくのだという立場は今日も変わらぬでほしい、こう思っておりますが、大臣のお考えはいかがでございましょう。
  151. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 大筋はお話のところにあると思います。ただ、ちょっと輸入をしたようなこともございますが、これは第一次産品の問題で、南北問題というような関係で、御承知のようにインドネシア等からの輸入を行なったことがあります。しかし、農業政策の大宗といいますか、根本的な考え方は、生産者の問題を重点として考えておるということであります。
  152. 栗原俊夫

    栗原分科員 ただいま、大綱についてはそのとおりだ、しかし南北問題があって、日本貿易関係、いろいろの中からある程度の輸入はやむを得ないというように承れるようなお答えでありますが、私が一番おそれるのは、何といっても、原産地の南方でこれが肥培管理による栽培という形になると、これはなかなか問題になると思うのです。そのことは、日本がいつでも恒常的に毎年買うのだという条件が一応展望できると、相手方はこれを一つの目途として肥培管理栽培に入る危険があるのではないか。これは私しろうとで現地もよく知りませんからわからぬけれども、常識的にそう考えるのです。そうなると、地内のコンニャク生産農民が非常にたいへんなので、もちろん、日本貿易、特に国際的ないろいろな関係のあることは承知しておりますけれども、そういう中にあっても、向こうで肥培管理をやって栽培に入るような条件だけはぜひ避けてほしい、このように思うのですが、いかがでございましょう。
  153. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のとおりでございます。南北問題とはいいながら、恒常的にというわけで輸入したわけではございません。消費者物価対策等もあったものですから臨時に入れたというようなことでありますので、恒常的に買うのだというような考え方は持っておりません。
  154. 栗原俊夫

    栗原分科員 こういう外産のコンニャクの輸入の問題をめぐって、長い間、何としても内地産と外産との格差があり過ぎるというようなことで、いまから数年前までは、バナナや砂糖と一緒に特殊物資の指定という形で、かりに内地産の供給が足らない、その足らない分を輸入するにしても、輸入に当たる人に特別な利益を得させないというような措置がされておりましたが、一昨々年の九月一ぱいですか、特殊物資の指定が切れた。その切れたあとの問題とからんで、コンニャク関係業者、言うならば生産者あるいは原料屋、粉屋、練り屋、こういう人たちがそれぞれいろいろと論議の結果、私はこれはかなり批判的であり、異論もあったのですが、日本こんにゃく協会というものができました。当時、これは、内地の供給が足らぬ、需給が逼迫して価格が暴騰する、このために輸入するということが一つ機能であり、いま一つは、そうして得た差金を積み立てておいて、内地で価格が暴落した、言うならば生産農家がやりきれないというようなところまで暴落したときには、この下値ささえに役立たしめるのだ、こういう上限、下限の二つの機能を持って設立されたように聞いておりますが、そのとおりでございますか。これはだいぶ話が専門的になってまいりますから、担当の局長さんのほうでけっこうでございます。
  155. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 そのとおりでございます。
  156. 栗原俊夫

    栗原分科員 一昨年はようやく七百トンでしたか輸入が許される、昨年は千トン許される、こういう状況にあったのですが、その間の値動きと輸入との関係、こういうようなものを、ある程度事実問題をひとつ説明していただき、また、そういう輸入したことによってというよりも、なぜ輸入しなければならなかったのか、そうして、輸入したことによってこういう効果があったというようなことを、時間もございませんので、概略ひとつ説明をお願いしたいと思います。
  157. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 三十八年にコンニャクの精粉価格が上がってまいりまして、二月ごろに四十キロ九万円いたしたわけでございます。大体、コンニャクの精粉の価格は、三十七年の四月ごろまで四万円台で、それから徐々に上がってまいりまして、十二月に七万円台になったわけでございます。そうして、三十八年の二月ごろ九万円、三月が八万九千円というように急に上がってまいりまして、そこで輸入考えるということになりまして、仰せのように、荒粉で七百五十トン輸入をいたしたわけでございます。三十九年度におきましては、日本こんにゃく協会ができておりまして、いろいろ価格の点について相談をいたし、また需給の点についても相談をいたしたわけでありますが、価格の推移を見ながら、三十九年度に荒粉千トンの輸入割り当てをいたしまして、十二月ごろ全量が入ってきたということでございます。  それで、輸入の結果によりまして、三十九年は高いときに精粉四十キロで七万五千円くらい、安いときには五万円台、それから現在は少し安くなりまして四万六千円台というような状況になっております。
  158. 栗原俊夫

    栗原分科員 三十八年度に荒粉七百五十トンを輸入したとき、これはどの時期にどんなぐあいに放出をされたのでございますか。
  159. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 大体こんにゃく協会で上限の価格と下限の価格というようなものを一応設けておりまして、下限の価格としましては五万円、上限の価格としましては七万五千円というようなことにいたしておったわけでございます。それで、三十八年度のものは、大体七万円以上にその時分の精粉の価格がなっておりましたので、入ってくるにつれて放出をしたという状況でございます。ところが、三十九年のものにつきましては、現在四万円台になっているというようなことでございますので、まだ放出をいたさずに、ただ、十月に六万四千円の高値を呼びましたので、その当時、六十トンくらいでございましたが、放出をしたということがあったわけでございます。
  160. 栗原俊夫

    栗原分科員 この外産と内地産との値ざやというものは、これは普通の商品と違って、何割というような値ざやではなくて、実に何倍というようなべらぼうな値ざやがある。特殊物資の指定のときには、内地時価に見合って、その差額というものを国庫納金という形で払っておったのですが、これは特殊物資の指定が解けたあとのこうした輸入品の値ざやというものは協会の手に握られる仕組みになっていると思うのですが、どんなぐあいになっているのでございますか。
  161. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 三十八年度につきまして申し上げますと、売り上げ金が二億二千万円くらいございまして、それで、輸入したものの原価が一億三千二百万円くらいについているわけでございます。したがいまして、九千万円近い差益がそこに出るということになったわけでございます。それで、税金なんかを払いまして、残りましたものが六千万円ほどございまして、そのうちの半分三千万円を基本財産に繰り入れまして、そして、実は三十八年度におきましては、そういう残ったものでいろいろ生産の改善のために試験研究を試験場に委託してやるとか、あるいは消費宣伝をやるということを考えておったわけでございまするが、三十九年度に持ち越しまして、三十九年度の事業といたしましてそういう仕事をやっておるということでございます。
  162. 栗原俊夫

    栗原分科員 外国産は同じコンニャクといっても内地産に比べると品質についていろいろな格差もあるんではないかと思うのですが、上限を七万五千、下限を五万、こういうことで外座を輸入したり、また外座を輸出したならばその差益金をその基金に充てる、こういうことなんですが、大体、外産を入れた場合に、内地に放出するときの価格というものは一体どんなぐあいになっておるのでございますか。
  163. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 先ほど申しましたように、上限価格と下限価格を設けておりまするので、大体上限価格に近いところの金額で放出をしておりまして、四十キロ六万円の精粉の国内価格に見合う歩どまりなんかをかけまして、それで放出をしておるわけでございます。
  164. 栗原俊夫

    栗原分科員 ここに一つの参考資料を持っているのですが、三十八年度輸入決定の際きめた標準価格、精紡一俵六万円、内地産四十キログラムを基準として品質差により算定するとともに、内地産の時価を勘案して決定したということで、ここに、インドネシア産A規格品一俵三万三千円、B規格品二万円、こういうぐあいに書いてあるわけなんですが、これは、もちろん、その品質によって、インドネシアのA規格は五五%の粘度を持っておる、規格は三〇%の粘度を持っておる、こういうことなんですが、実は、こういう規格は一応わからぬではないわけです。しかし、それでは、たとえばインドネシアのA規格というものは五五%以上がA規格だ、こういう規定をしておくと、かりに、A規格なるものの中に、粘度八〇のもの、あるいは八五のもの、極端に言えば内地産と全く同じもの、こういうものがあっても、A規格は粘度五五である、したがって、内地品は六万円で売れておるけれども、外国から来たなるがゆえに、そしてA規格ではあるけれどもその基準は五五であるから、三万三千円で取引するんだ、こういうぐあいにいくものなのですか。それとも、最低は五五でなくてはいけない、あとは実質に応じて、八〇あるものは四万八千円、こういう取引をするものなんですか。これはどうなんです。
  165. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 仰せのように、Aにつきましては五五の粘度価、それからBにつきましては三〇の粘度価ということにいたしておりまして、その二種類で売っておるということでございます。
  166. 栗原俊夫

    栗原分科員 そうすると、五五以下ではだめだということはわかりますが、五五以上のものは、たとえ七〇あっても八〇あっても五五で計算するのですか。この辺はどうなんです。ここはなかなかデリケートなところですからね。
  167. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 理論的には、五五以上ありまして、たとえば八〇あるという場合は八〇で売らなければいかぬということになるわけなんでございますけれども、実際的に、向こうの粘度価が、いろいろ計算したのですが、検査の結果六〇以上あったというものはなかった次第でございます。だから、大体この二つの基準で売っておるということでございます。
  168. 栗原俊夫

    栗原分科員 きょうは時間がありませんから、あまり深い議論には入れませんですけれども、率直に言って、なかなか高価なものですからね。一俵六千円そこそこの米あるいは二千円台の麦でも一俵検査をやる、こういうものなんです。もちろん、試験は、竹筒で刺してちょっと見るというように簡単にいかないことはよくわかりますけれども、理論としてなかなかこの辺に問題点があるのですよ。ということは、このことは内地産と外地産との価格差というものをだれが受けるかという問題と関連してくるわけなんです。ここで五五と規定して、五五以上あるものは全部五五で計算するということになると、それを買って受ける者が格差の中の大きな部分を享受するという問題が発生するところに問題点があるわけなんです。まあそういうことはないと言うかもしれませんけれどもね。しかし、やはりこういう点についてはひとつ十分指導して、一%ごとというわけにはまいらぬでしょうけれども、少なくとも五%ごとか、そのくらいな基準にして、いま少し綿密な等級別をつけて、一俵五万も六万もする品物なんですから、配慮を願ってしかるべきだ、このように思いますが、御所見はいかがでしょう。
  169. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 非常に高い品物でございまして、仰せのとおりですから、十分その辺検討さしていただきます。
  170. 栗原俊夫

    栗原分科員 それから、今年の千トンの輸入の問題に関していろいろ問題もあったようであります。私は、率直に言って、初めから品物が足らなくて暴騰するような場合には、コンニャクの消費というものがそうべらぼうに特殊な理由で伸びたり減ったりするのでなくて、価格問題でその消長というものが大きな規制をされる、こういう立場に立って、品物が足らなくて単価が高くなった場合には、結局生産者が収穫する数量が少ないからだ、単価は高いけれども握る金にはやはり制限ができてしまう、したがって、そういう場面には輸入はいいけれども輸入によるところの価格差金というものは、収穫が少ない農民に相当大きな部分を還元してやるべきではないか、こういうものの考えをしておったわけです。したがって、輸入権というか、価格差を受ける権利とでもいうべきものを農民中心に与えるべきではなかったかと、こう思うのですが、現実には生産協会もまぜた四社で輸入協会ができた、こういう形なんですが、そういう段階では当面は輸入協会に価格の差金というものが一応帰属する、こういうことになろうかと思うのですが、輸入にあたって、完全にそういう瞬間タッチ方式とでもいいますか、輸入手続はそのほうのエキスパートである輸入商社にやらせるが、具体的な品物は、手数料だけで、あと輸入協会に価格の差益が得られるような取引の取りきめができているのですか、この辺はどうなんですか。
  171. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 三十八年度におきましては、日本こんにゃく協会が実需割り当てをしまして、需割りで輸入をしたわけでございます。三十九年度は商割りと需割りと半分半分ということにいたしまして、しかしながら、すべてこんにゃく協会へ売らなければいかぬということで輸入をしたような次第でございます。それで、商割りの一部分につきまして直接インドネシアのほうへ参りまして買い付けてきておるというものもございまするが、ほとんどはこんにやく協会がむしろ代行みたいな形で輸入商社にやってもらっておるというようなものでございます。
  172. 栗原俊夫

    栗原分科員 そうなりますると、私は、先ほども申し上げましたとおり、価格差益金というものは、そのあとは合理的に分配される、使用されるということを前提として、日本こんにゃく協会にすべてが帰属するような方法が、当面現在のこんにゃく協会には一応批判があるにしてもそうあるべきだ、こういう前提でお尋ねするのですが、そういうときに、そういうたてまえからすれば、千トンが一〇〇%こんにゃく協会へ割り当てられて、こんにゃく協会が輸入の段取りを商社に代行してもらう、こういう形になるのがいいのではないかと思っておったわけです。それが、五割五割で商社と実需割り当て、こういうことになった。ところが、商社割り当てになったものは、輸入は商社が入れるけれども、これは協会に売り渡すべきものなのだ、こういう約定だ、こういうお話なんですが、日本こんにゃく協会へ売り渡せば、それは商社輸入で買ったのだから、買った品物はおれのものなのだ、幾らで売ってもいいというたてまえで、売り先だけはこんにやく協会なんだということなのですか。それとも、扱いを商社が割り当てを受けて、そうして買って、手数料という形で、コンニャクの値から値の値幅という商売は別個にこんにゃく協会へ渡すという内容を持った取りきめなんですか。この辺はこれまたなかなかデリケートなんですが、どうも実需割り当てと商社割り当てとしたところに、少しくその辺に不分明なところがあるように思えるのですが、その辺はどうなんですか。
  173. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 商社割り当ての場合、やはり商社が向こうへ参りまして、そうしていろいろ調査をしたりあるいは集配をしたりして買ってきておる。したがいまして、輸入のコストというものがあるのだろうと思います。したがいまして、日本へ入った場合にそれをこんにゃく協会に売るということになるわけでございまして、その辺の価格については、両者が協定を結びまして、いろいろ話し合ってきめるということになっておるのだろうと存じます。
  174. 栗原俊夫

    栗原分科員 これは、なったのだろうと思いますと、こうおっしゃるのだけれども、とにかく、協会をつくったときは、関係業者としてかなりいろいろそれぞれの立場で問題があるし、何としても価格差があり過ぎる品物で、特殊物資の指定のないという段階においては、これは問題が起こるのが当然なんです。そういう中でいろいろ議論をして協会をつくった、こういう形でひとまずそちらの対立関係は済んだわけですが、ここへまた実需割り当てということでなくて商社割り当てということが出てくると、また新たな対立がここに発生するわけです。その間、やはりこういう協会をつくってコンニャク価というものを安定させていくという指導に当たった農林省当局は、輸入等についてももう少しきめこまかな、あとに問題の残らないような指導をし、そうしてまたはっきりした明確な線を確立しておくべきだったと思うのですよ。したがって、そういう意味から言えば、ある意味において実需割り当てを一〇〇%すべきであったのに、五割五割で一方商社割り当てをしたということは、これは農林当局が腰が弱かったというように私は率直に思うのですが、いまから振り返ってみて、あとから今年のこともお尋ねしたいと思うのですが、振り返ってみて、これでよかったのだ、こう言い切れますか。いま少し考えればよかったんだな、こういう反省がありますか。これはどうですか。
  175. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 実は、権限の問題を申し上げますると恐縮でございますけれども貿易の問題は、農林省がやっておるというより、むしろ通産省が実はやっておるような次第でございまして、通産省と相談しながらやるということがあるわけでございます。そういうようなことで、貿易業者を相当尊重するというような立場もございまするし、そういうようなことで、今回のような実需者割り当てと商社割り当てとの両建てになるということになった次第でございまして、いろいろな経緯をかんがみてみまして、なお検討を要する点は相当残っておるというように存じております。
  176. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は先ほど言いましたとおり、南北の関係、いろいろ国際関係等を考慮の外におけば、できる限り外地産コンニャクは入れずに、でき得るならば内地産の増産ということで内地の需要を満たしていくという方向をまず基本的に立ててもらいたいこと。しかし、そうはこいねがっても、実際には入れなければならぬ場合が将来も起こるかもしらぬ。その場合にはできるだけ実需割り当てを一〇〇%にやってもらいたいことを願います。貿易は通産省関係だということの中から、どうしてもそうはいかぬという場合がかりにあったとしても、そのあとで持ってきた品物の問題でいざこざのないような取りきめを事前にぴしゃりときめて、品物が来てからああでもないこうでもないというような問題が起こらぬように、そのことはすぐ内地の生産農民の頭の上にかかってくるのですから、この点を強く要望しておきたい、かように思います。  そこで、次は今年の問題に移るわけですが、先ほど来お聞きしますと、一千トン昨年輸入を許したけれども、そのうちで一部六十トンばかりまだ放出したにすぎない、こういうお話ですが、そのとおりでございますか。
  177. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 そのとおりでございます。
  178. 栗原俊夫

    栗原分科員 ことしの需給関係についてどのような見通しをお持ちでございますか。
  179. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 本年のまず生産でございまするが、現在調査中なんでございます。しかし、はっきりした数字はわからないんでございますけれども、大体いままでの様子では昨年よりも生産はふえておるんじゃないかと考えておるような次第でございます。そこで、一千トン荒粉として輸入しておるというのが供給の数字でございます。
  180. 栗原俊夫

    栗原分科員 今年は昨年よりも内地供給がたとえ幾らかでもふえるという展望、しかも一方には昨年輸入した一千トンの荒粉があるということになれば、本年は、この一千トンの荒粉というものが実際に消化されていくという段階に入るまでは、まずまず輸入という問題は起こらないという展望ですか。その辺はどうですか。コンニャクが足らなくなったからさあよこせといっても、向こうは機械でつくっている品物ではありませんからそうはいかぬよということもわからぬではありませんが、大体において今年の輸入関係の展望はどうでございますか。
  181. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 御承知のように、コンニャクの価格というものはなかなか微妙なものでございまして、いろいろな要素で動くというものでございます。したがいまして、供給のほうから考えましたならばそういう状況なんでございまするが、もう少し価格の今後の推移を見まして、輸入をどういうように取り扱うべきものかということを考えたいと存じております。
  182. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は一つの懸念を持っておるのです。それは実情を離れた相場が出る場面があるのではないかということなんです。それは、栗原、おまえあんまりとんでもない心配をしておると言うかもしれないけれども、株式市場がああいう低迷の中で、株式で遊んだ金がアズキ市場へ飛んだわけです。アズキ市場を荒らしまくって、ここで一応一勝負が済んだら、いま生糸、乾繭相場へ飛んできておるわけです。それで、いま蚕糸局あたりでいろいろと大臣指導のもとに、こういうばかなことがあってはならぬということで、証拠金の引き上げやら、あるいはつけ出し枚数の制限やらして、いま整理にかかっておりますが、こうなって一通りこれが済むと、コンニャク相場へもこの金が流れ込む危険なしとしないのです。そういうことを考えますと、存外実需とは別個な問題が発生しないとも限りません。こういうような場面を、ただ単に値が上ったからというようなことで、これは供給が足らぬからだということで輸入とこう結んでくると、これはたいへん大きな問題が起こるのではないか、こう思うのですが、そういうことを一応頭に描いて今年のコンニャク対策というものをお考えなさったことはございますか。もしあったらお聞かせ願いたいと思うのです。
  183. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 本年の供給の状況から申しましたならば、千トンの荒粉はまだそのままあるわけでございますから、まあこれでたいした問題じゃないのじゃないかということが考えられる次第でございます。しかしながら、御承知のように、これから三月、四月と実需期に入ってまいりまして、その時分の価格が毎年上がっていくという趨勢にもございまするし、その辺をにらみ合わせながら考えていきたい、かように存じておる次第でございます。
  184. 栗原俊夫

    栗原分科員 われわれの聞いておるところでは、日本こんにゃく協会は生産者をはじめとして各関係業者四団体が集まってつくっておる、輸入するときには、生産者も含めた輸入協会が十分論議をして、その結論を農林省に持ち込み、農林省の御了解を得てというようなことになっておるやに・聞いておりますけれども、そのこんにゃく協会が今年は大体輸入は見送ろうというようなことを申し合わせたやに聞いておりますけれども、そういう話はまだ農林省当局へは入っておりませんか。
  185. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 現在そういうことでこんにゃく協会の中で研究をしてもらっております。まだその結論については私たちのほうは聞いておりません。
  186. 栗原俊夫

    栗原分科員 それでは、きょうは時間がありませんから、協会についてはまだいろいろ意見もあり、同僚にも意見もあるのですけれども、最後にお願いしておきたいことは、現在、上限下限を守るという立場でできた協会が、五万円を下限としておりながら、下限を割っておっても実際は買い出動してない、こういう不平不満が生産者の中にあります。しかし、これがすぐ買い出動することがいいのか悪いのか、またその力があるのかないのか、この辺についてはつまびらかでありませんけれども、少なくとも一千トンをかかえておるということが相当大きな圧迫になっていることは間違いございませんので、外産輸入をしたその品物が現に手持ちされておっても、換金を急ぐのあまりこれがいたずらな時期に放出されないような強い指導は、これはぜひ農林当局からやっていただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、コンニャク関係は一応これで終わります。  次に、農地の問題を少しお伺いしたいと思います。これもまた毎年お尋ねしているのですが、国営の土地改良の問題です。かねがねお世話になっておりました群馬県の鏑川用水も、計画変更の再調印ということが九割以上の調印を集めて幸い出発したことは、まことに御苦労さまであったと心からお礼を申し上げるわけであります。ただ、私も再調印の式に臨んで話をしたのですが、再調印した人たちの中へ入ってみますと、今回再調印するにあたって、従来は、国営の事業部分、県営の事業部分、団体営の事業部分、こういうものがばらばらな農民負担の姿で、率直に言って、受益農民が一体自分の田ができて水が来るのに一反幾らかかるというようなことがわからなかった。また、わからない上に、さらに土地改良の経費負担がスライド的になっておりますから、ますますもってこれがわからなくなる。こういうことの中で、いろいろ地元でも国の指導を受けながら苦労した結果、国営、県営、団体営分を含めて、反当三万五百円で仕上げるのだ、こういうような説得の中でこの九割何分という再調印が集まったわけでございます。ところが、実際にそうした再調印に応じた農民の中へ入ってみますと、まだ私には心配があるのです。これは大臣もかつて地元で経験なさったことだと思うのですが、団体営あるいは県営の土地改良をするにしましても、計画面積と実施面積というものが必ずしも従来一致しておりません。特に、県営等をやる場合には、県営に持ち込む面積が五百町ないし六百町なければ——いまではだいぶん規模を小さく下げてきましたけれども、なければ県営に入らぬというようなことの中で、実際は二百五十町なり三百町を開くのだけれども、県営に入るためには六百町なければならぬから、おつき合いにというようないわゆる受益面積構成をやった場合が多いわけです。そうして実際に工事ができる。できるというと、農民負担分は実際に開田をした人たちからのみ徴収をしておったわけです。そしてまた、大体それで事足りてきたのが今日までの実情なんですが、農民はそういうことになれておるのです。したがって、今回再調印した農民の人たちは、かりに一町五反受益区域に自分が田畑を持っておると、一町五反について全部その単位負担金がかかると思っておらぬのです。自分がかりに一町五反持っておる、たんぼをそれでは五反つくろう、畑地かん水を五反やろう、一町それでは水にごやっかいになろう、こういう考えになっておるというと、一町分だけ今度きめた単価がかかってくるものだと心得て再調印している者が多い。おそらく指導の側では、そんなばかなことがと、こう言うことだろうと思うのですが、実際問題として、さてこれができ上がって金の徴収の場合に、おまえは、たんぼにもしない、畑かんもしない、水は引かないのだけれども、受益面積の中へ入っているのだから、当然負担金は払うのだよといってこれが徴収できるかどうかということについて、私はどうもなかなか問題の発生する危険があるように思えてならぬのですが、この辺はどのようなぐあいになってまいるのでございましょうか。また、いま一つお聞きするのですが、いままで執行した中で、現実に受益面積に入っておって、そしていつでも引ける条件にはあるでしょうけれども、現実に開田もしない、畑かんもしないという面積から負担金というものを現実に徴収した例があって、これがスムーズにいったかどうか、あるいはトラブルがあったのかどうか、これらについてお話ができればひとつお話を承りたい、このように思います。
  187. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 たいへんむずかしい御質問なのでございますが、第一点は、在来におきましては、国営をやります場合に国営負担金だけを離しておるという傾向がございます。しかし、国営だけで現実にたんぼの利益が発生するわけではございませんので、付帯しまして県営、団体営があります場合には、それの見当をつけまして、合わせて、要するに全体としてどうなるかということが、最近農民の方々も進歩したといいますか、そういった立場でいろいろ御批判し、お考えになる。鏑川等におきましても、先生御指摘の三万五百円なり、最近お話の出ている四万円の問題につきましても、そういう問題として議論されておる。そこで、私ども考え方あるいは法制から申しますと、常に平均ということばで御説明をいたしておるわけです。というのは、事業費に対しまして農民負担を算定いたしまして、それを国営なら国営の総受益面積で割りまして、平均幾らになるということを算定をして、先生十分御存じの、農民への直接の負担にかえて土地改良区にかける、土地改良区はその農民事業費の賦課金の問題として組合員の利益の限度を勘案してそれぞれにかける、こういう形に相なっておりますので、受益の高いところにはより高くいくところもあるし、受益の少ないところは低くいく、これは一つの総合的な皆さんがおつくりになりました土地改良区の総会なりなんなりで御審議してきめてもらいたい、こういう法制になります。したがいまして、率直に申しまして、農林省は過去におきましては、土地改良区におろしましたものがどういう形で土地改良区内で振り分けられておるかという点に対します調査と研究が不十分でございます。私は率直に反省して、その点をもっと農林省はつかみ、指導すべきだという立場で最近対処いたしておりますが、今日までの経過は、そこから先はよろしくやってもらっておる、こういう形でございます。そこで、法制から言えば、土地改良区は受益限度に応じて個々の組合員にかけるわけでございますから、法制的には、受益のない組合員にかけるということにはならない、かように存じております。実態的には、おつき合いでかかっているという形はないとは申せない、あるいは相当にある、かように思います。  答弁が長くなって恐縮でございますが、もう一言つけ加えさしていただきたい問題といたしましては、鏑なら鏑をとります。鏑川用水事業は、すでにございます水田に補給水をやるとか、あるいはたんぼを開いて水を配るという水の問題だけでなく、畑かん、田畑輪換等、あるいは開田等含めまして事業が行なわれて、そこに鏑の水が来るから全体として効果が発生する、こういう関係にございますので、受益の見方も、鏑の流れる水だけの、水量割りといいますか、水だけの考え方ではなくて、先ほど申した開田あるいは田畑輪換のための田畑の整備、そういうものと相合わせてこの水が役立つ、そういう形で個々の負担は考えるべきもの、かように考えております。
  188. 大原亨

    大原分科員 これは非常にむずかしい問題だと率直に農地局の方も申しておられるわけですが、実際第一線に立つとなかなかむずかしいので、私も六百町歩の土地改良をやって、現実には百八十五町歩しか水が回らない。もちろん、その中には、ここでそんなことを言っていいかどうかわからぬけれども、大体三百町歩はおつき合いで水を回そうということでやったわけです。したがって、三百町歩に対しても金が取れるつもりでやったところが、百八十五町しか水が回ってこない。したがって、その田にはあらかじめ水が回る予定でやりましたから、金は取っていった。水が来ないということで、掘り井戸をつくってこれを補うというようなことが起こったわけですが、そういう事態が起こっても、もちろんこれはおつき合いの受益面積の方々からは金は取ることはできないのが実情でした。そこで、鏑川でああいういきさつもあって、一たん工事を始める、中止になる、今回計画変更で再開をする、こういうことになったのですが、群馬にいま一つ大きな群馬用水というものを国営をやっていただくことになっております。これは公団のほうへお願いしたようですが、このことについては、鏑川用水のああいういきさつがありましたから、群馬用水を取りまとめていく過程においては、鏑川用水の第一次の調印をとるときのようなことではなくて、もっともっと掘り下げた受益面積内の関係住民の農民の理解を得て取りまとめたと思いますけれども、これはいかがでしょう。自信を持って、鏡川のようなことはないと、少なくとも群馬用水のほうは完全に事態をよくわからせ、そして農民が理解の上でこれはでき上がったと胸を張って御答弁願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  189. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先生十分御承知のとおり、鏑川の事業は、三十三年に始めましたときに、率直に申しまして、関係者、計画者が相当積極的にものを考えた。決して農民のために悪かれという意味ではないのですが、積極的に考えた。そこに桑の問題がからみまして、御承知のような形でトラブルが起きた。ことに、田畑輪換、畑かんにつきましては、現地の方々の理解も非常に不十分であったと思います。一方、面積の問題、それから反当負担金の問題につきましても、非常な紛糾をいたしました。その経験がございまして、群馬用水、これは一万ヘクタールでございますが、大きな受益をかかえての事業でございますから、私どももずいぶん懸念をいたし、いままでも決して十分安心をしておるわけではございません。ただ、くれぐれも念を押しまして、公団、それから県、それから農地事務局、一緒になりまして、受益の面積につきましては詳細に当たったというふうに報告を受けておるわけです。胸を張ってということでございますが、それを信じ、かつ今後この事業が鏑のような紛糾を起こさないように重々注意して進めてまいりたいと思っております。
  190. 栗原俊夫

    栗原分科員 時間も来たようでございますから、せっかく国帑を使ってお骨折り願うことでございますから、遺漏のないようにさらに御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  191. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 これにて栗原俊夫君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にとどめます。次会は明二十七日午前十時から開会し、経済企画庁所管農林省所管及び通商産業省所管についてそれぞれ質疑を続行することにいたします。  これにて散会いたします。    午後五時四十八分散会