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1965-02-24 第48回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十四日(水曜日)    午時十時十七分開議  出席分科員    主査 古川 丈吉君       赤澤 正道君    仮谷 忠男君       川俣 清音君    田口 誠治君       中澤 茂一君    永井勝次郎君       楢崎弥之助君    芳賀  貢君       安井 吉典君    竹本 孫一君       玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         食糧庁長官   齋藤  誠君         林野庁長官   田中 重吾君         水産庁長官   松岡  亮君         水産庁次長   和田 正明君  分科員外出席者         外務事務官         (アジア局外務         参事官)    広瀬 達夫君         外務事務官         (欧亜局東欧課         長)      山田 淳治君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      尾中  悟君     ————————————— 二月二十四日  分科員中澤茂一君、永井勝次郎君及び竹本孫一  君委員辞任につき、その補欠として田口誠治、  芳賀貢君及び玉置一徳君が委員長指名分科  員に選任された。 同日  分科員芳賀貢君及び玉置一徳委員辞任につ  き、その補欠として安井吉典君及び吉田賢一君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員安井吉典委員辞任につき、その補欠と  して楢崎弥之助君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員田口誠治君、楢崎弥之助君及び吉田賢一  君委員辞任につき、その補欠として中澤茂一君、  永井勝次郎君及び竹本孫一君が委員長指名で  分科員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算農林省所管  昭和四十年度特別会計予算農林省所管      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  この際一言申し上げます。質疑の持ち時間は一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員となった方は三十分程度にとどめていただきたいと存じます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。  田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)分科員 経済成長によって非常に物価上昇いたしておりまして、農林省関係をしておるいろいろな食物も非常に値上がりをいたして、市民は困っておるわけです。そこで私、時間もございませんので、ずばりと申し上げて、ずばりと御答弁をいただきたいと思いますが、去年北海道冷害発表がございましたら、いわゆる赤いダイヤアズキですね。アズキ値段が一飛びに上昇いたしております。したがって、このアズキ不足の面については、おそらく農林省としても輸入等で補強されるような手配はされておると思いまするが、一応、私、質問に入る前にお聞きをいたしたいことは、従来、このアズキというのはどの程度一年間に消化をしておったか、まずこれからお伺いをいたしたいと思います。
  4. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 お答えを申し上げます。  アズキは大体毎年十四、五万トンの収穫になっておる次第でございます。それに輸入が大体一万トンないし二万トンくらいございまして、十五、六万トンが消費をされておるという状況でございます。
  5. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、輸入先というのは大体どことどこになっておりますか。
  6. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 大体中国韓国ということになっております。
  7. 田口誠治

    田口(誠)分科員 昨年の数字をちょっとお知らせいただきたいと思います。
  8. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 昨年の生産量を申し上げますると、十三万八千五百トンであります。それから輸入量が一万二千二百七十七トン。
  9. 田口誠治

    田口(誠)分科員 中国からどれだけ、韓国からどれだけ……。
  10. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 中国から一万一千七百四十二トンでございます。あとは大体韓国でございます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、昨年は北海道冷害によって非常に凶作であったわけなんですが、昨年の全収穫高はどの程度になっておりますか。特に全収穫高がどれだけで、北海道の分がどれだけ減になったかということを……。
  12. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 アズキの三十九年産は全国で収穫量八万四千五百トンでございます。そのうち北海道が二万七千四百トンでございます。
  13. 田口誠治

    田口(誠)分科員 昨年は北海道が二万七千四百トンですが、例年豊作のときはどの程度でございましたですか。
  14. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 北海道は大体七万トンないし八万トンというところでございます。
  15. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、七万トンなり八万トン北海道収穫のあったものが、昨年の冷害凶作によって二万七千四百トンということでございますので、この補充を輸入カバーしていただいたと思いまするが、どこの国からどの程度輸入をしていただいたのか、その点をお示しいただきたいと思います。   〔主査退席仮谷主査代理着席
  16. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 仰せのように減収でございましたので、下期の雑豆輸入を、例年でありましたならば五万トン程度輸入するのでありまするが、今回は七万五千トン、五〇%増の割り当てを行ないまして、そのうちアズキにつきましては、直ちに中国LT貿易商社人たちが参りまして交渉を行なった次第でございます。
  17. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その結果はどうなりましたですか。
  18. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 LT貿易交渉の結果が不調に終わりまして、それで現在友好商社ベースによりまする申し込みをしておる次第でございます。なお、そのほか韓国との輸入交渉も行なっております。
  19. 田口誠治

    田口(誠)分科員 中国の場合五割増しということになると、トン数であまりふえていませんですね。ということは、北海道が従来七万あるいは八万トンあったものが、凶作で二万七千四百トンに減収になったのだから、他の国から輸入しなければならない。それには一番大きいのは中国であるけれども、中国は一万一千七百四十二トンです。その五割増しということだから、北海道減収になった分をカバーするということは数字的にできないことになるわけですね。
  20. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 雑豆全体といたしまして五割増しということにいたしておりまして、実は、アズキにつきましては、先ほど申し上げましたように、中国韓国よりほかに輸入できないということでございまして、大量のものはあまり望めないという状況なのでございます。そこで、この雑豆全体の中でアズキを操作しておるわけでございまして、昨年が一万二千トン入っておるわけでございまするが、必ずしもそれのきっちりと五割増しというのじゃなくて、その辺には弾力性を持って考えておるわけであります。
  21. 田口誠治

    田口(誠)分科員 弾力性はあるといたしましても、減収になった分を輸入カバーするということになりますと、五割増しということでは非常に総量として足りないわけなんですが、これは足りないままで放置しておくのか、それとも農林省として何らかの手を打っておるのかどうかということです。それというのは、まあアズキというほどにはなりませんけれども、大手亡とかあるいは大納言、こういうようなものが代替されて使用されておるわけなんですけれども、その辺のところはどういう処置をされておりますか、これを伺いたいと思います。というのは、特にこのアズキというのは、月刊雑誌等を見ましても、赤いダイヤといわれるくらい非常に国民の使用に重要な位置を示しておるのですから、こういうアズキが、去年の北海道凶作によって、七、八万トンあったものが二万七千四百トンぐらいに減収になったのだから、そのカバーをどこかから求めなくてはならないし、そしてまたほかの品種の豆によってカバーをしなければならないと思うのですが、この対策をどういうようになされたかということをお聞きしたい。
  22. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 仰せのように、アズキ代替といたしまして、大手亡とか大納言とか、そういうものをできるだけ使いたいということも考えておるわけでございます。それで、そういう豆類につきましては、実は三十九年の七月に、輸入発表を五百七十五万ドル、約五万トンいたしまして、その輸入いたします雑豆が、ビルマ産の菜豆類を中心にいたしまして、十月の下旬から十一月にかけまして集中して入荷をしてきておりまして、したがいまして、大手亡あたり価格は、大体前年より若干高いとうような状況にある次第でございます。
  23. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これは、ビルマのほうは、アズキでなくて大手亡が主だと思うのですが、これを代替させるという計画なんですか。
  24. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 全面的に代替できる性質のものではございませんが、なま菓子あんの種類によりまして、そういうものでも代がえできるというものもございますので、そういうものをできるだけ使わしたいということでございます。
  25. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いずれにいたしましても、北海道冷害によって減収になったということで、アズキ価格が非常に引き上げられ、そのために製品の品質が非常に落ちると同時に、量的にも小さくなって、そして国民大衆としては非常に高いものを買わなければならない、こういうことになっておるわけです。国民大衆が高いものを買えば業者はもうかるかといえば、業者にも大きなしわ寄せが来ておるわけで、したがって、こういうような事態が起きたときには、それをカバーするだけの処置輸入等でやっていただかなければ、なかなか業者あるいは消費者の現在の実態を守り続けるということはできないと思うので、そういう点でお伺いをいたしたわけなんです。この小豆の値段というのは、あれは六十キロが単位だと思いますが、昨年は、四千五、六百円から、高いときで七千円という時期が少しございましたけれども、けさ新聞あたりでは、東京では、一万一千六百五十円、北海道では、一万一千五百円、こういうように非常にアズキ値段が引き上げられておるわけです。したがって、こういうような状態を放任しておきますれば、このことは業者あるいは消費者しわ寄せが来るわけでございますので、ここで政治力を発揮していただいて、こうした面の解消努力をしていただくのが農林省の仕事でございますので、私はけさ新聞を見まして、昨年四千四、五百円、あるいは一時高いところで七千円に一回なったことがございますけれども、ほとんど昨年の倍の値段が現在の相場になっておるということは、この物価高に悩んでおる国民、あるいは物価上昇を抑制しようとする政府考え方からいきましても、何とか手を打たなければならない問題であろうと思うわけでありまして、こういう点についてどういうような方法をとって現在の状態解消されるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。もちろん、これは事務的な問題もございますけれども、一つの政治問題として取り扱うには、大臣のお考え方も伺って、そして大臣考え方の上にのっとってこの措置をやっていただかなくてはならないのではないか、こういうように考えますので、大臣のお考えをここでお示しをいただきたいと思います。大体いままでの経過はお聞きになっておわかりだろうと思いますので、政治家として、政治問題として解決するにはどうしたらいいか、そして現状をどうするのかということについて一言お示しをいただきたいと思います。
  26. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 大体いままでの需要輸入と合わせて十五万トンですが、そのうちでビルマ等からいまお話しのようにインゲン等が五万トン、中共が三十九年度は、先ほど園芸局長は一万一千トンと言っているが、約二万トンです。それに国内産が、北海道と合わせて、北海道は二万七千トンでございましたが、五万トンでございますから、十二万トンほど充足されるわけで、十五万トンに対してはまだ三万トン不足しておる、こういうような計算になるようです。いまのお話のように、供給需要とがマッチしておりませんので、非常に高くなって、消費者相当痛手をこうむるということでございます。  それに対して対策はどうかということでございますが、やはり供給需要に見合って充足するということだと思います。しかし国内ではできませんから、やはり輸入によって充足していくということでなければなりません。そういう意味で、いま中共との関係もなお商談に入ろうということがあるということを私、聞いております。そういうことによって供給を充足していく、こういうふうに考えております。
  27. 田口誠治

    田口(誠)分科員 すっきりいたしませんが、もかりやすく申し上げますれば、北海道冷害によって非常にアズキ減収した、しかもその内応がざっと三分の一の収穫しかなかった、こういうことなのですから、したがって、それでは日本の従来からの需給量を確保していく上においては輸入によってこの問題を解消していかなくてはならない。輸入をするということになりますと、ただいま答弁のありましたように、ビルマ韓国中国、いろいろございますけれども、ビルマの場合には、これはほとんどが大手亡でございまして、アズキはやはり中国韓国でございますが、この輸入の量というものが、北海道冷害によって減収になった分だけカバーされておらないところに、今日のアズキ値段の非常に上昇いたしておるという原因があるわけなんですから、物価は全体的に上昇いたしておりますけれども、特にアズキのように倍以上にもなっておるというものは、国民が日々生活の上においてとっておる食物一つでございますから、この食物一つが倍にも値上がりをいたしておるということを、政治的に解決せずにそのまま放置しておくということはいけないと思うし、やってはならないと思う。早急にこの対策は立てなければならないと思うので、いま大臣の御答弁をいただいたのですが、大臣の御答弁は、今日までやってきた経過お話しになっただけで、今日までの経過だけでは、けさ新聞で見ましたように、東京都が六十キロ当たり一万一千六百五十円、北海道で一万一千五百円というべらぼうな値段につり上がっておるわけなんです。先ほども繰り返し申しましたように、昨年の場合は一時七千円ということになりましたけれども、四千五、六百円というのがおさまった相場であったわけで、このものが一万一千六百五十円、二倍、二倍半といったようなつり上がりをいたしておるということは、何といっても解決をしてもらわなければならない問題であろうと思うので、私はきょうは質問に立ったわけですが、現在のところでは、私の了解のできるような対策というものは立てられておらないということがいまの質疑応答によって確認されました。これは何といっても解消をするように努力をしてもらわなければなりませんので、今後どういう方法をとって北海道冷害による減収カバーする対策を立て、そしてこのべらぼうにつり上がっておるアズキ相場というものを引き下げるように努力していただけるか、この点をひとつ了解のできるように答弁をしてもらいたいと思います。実際において業者も困っておりますし、そしてお菓子等の質は非常に落ちております。しかも質の落ちたものの値段が高くなっておりますので、両方合わせますと消費者に対しましては非常な損害になるわけでございますので、私はあえてこの点を追及してお聞きをいたしたいと思います。対策がなかったら何にもなりませんので、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  28. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私が経過を報告したということでございますが、経過じゃないので、実際十五万トンの需要があるところ、いろいろいままで十二万トンの手当はできておるという現状を申し上げたのです。その結果、三万トンほどいつもの例から見ますならば供給のほうが足らぬ、でありますから、その供給を充足させる、その充足する方法輸入によるほかない、輸入によって充足していこう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  29. 田口誠治

    田口(誠)分科員 輸入によって充足していくということですが、その対策を立てられておるかどうかということです。
  30. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 先ほども申し上げましたように、中国友好商社ベースによります取引を開始しようとしております。それから香港筋へもいろいろ探りを入れております。それから韓国につきましては、すでに韓国からある程度オファーがきておりまして、大体三千トンぐらい現在きておるようでございますが、これが間もなく成立するのではないかというように考えております。
  31. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いろいろとお骨折りはいただいておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、四千五、六百円で手に入ったものが、けさ新聞等では、東京は一万一千六百五十円、北海道でも一万一千五百円、こういうべらぼうな値上がりをいたしておるのですから、ただここで単に三千トン中国友好商社から充足するということだけではなかなかこの問題は解決しないと思うのです。その他もう方法はございませんですか。それと同時に、もう少し中国あたりから大量に輸入する方法がないかどうか、これをお伺いしたい。
  32. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 いまの三千トンと申し上げましたのは韓国の分です。それで、中国の分につきましては、相当量友好商社を通じましてできるということになろうかと思っております。それから、そのほかに、アズキ以外の雑豆につきましてすでにビルマへ買いに行っておりますから、これが入ってこようと思っております。それから、先ほど大臣が三十九年度に二万トンというように申されましたように、この十月から十一月へかけましてその二万トンの分が相当量入ってきておるというような状況でございます。
  33. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ビルマからアズキを求めるということは実際的に困難でしょう。
  34. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 ビルマからはアズキ以外の雑豆で、アズキ代替できるような大手亡のようなものをできるだけ早く入れたいということで、現在向こうですでにその商談を行なっておるわけであります。
  35. 田口誠治

    田口(誠)分科員 大手亡の場合の相場は六千五百五十円が現状ですが、これは大手亡代替すると言われましても、ごまかしに赤い染色を使って、そしてアズキあんのように見せかけるわけですけれども、これは食べてみれば完全にわかりますし、見てもわかるわけなんで、したがって、いつまでたってもアズキ値段を引き下げるということには——大手亡輸入ビルマに求めてみても私は解消しないのではないか、こう思うわけなんですが、もう中国からはこれ以上輸入を求めるということはアズキの場合は絶対にできないのかどうか。それとも中国とそうした貿易を拡大していくことを政府の方針としてきらっておられるのかどうか。この点もあわせてお聞きをしたいと思うのです。私の考え方からいきますと、中国へ求めれば中国にはある、手に入るというように考えておるわけなんです。その点どうなんです。
  36. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 中国との貿易をきらっておるというようなことは全然ないわけでございまして、できるだけ中国から入れたいということで交渉をしておるようなわけでございます。ただ、私たち聞いておりますところによると、中国でも実はことしはそう豊作でなく、むしろ不作状況だということであります。
  37. 田口誠治

    田口(誠)分科員 中国の場合の不作北海道冷害不作とは違うわけなんです。年々日本の米の収穫が、今年は例年並みだとか、ちょっと下がったとか上がった、こういうことを言っておりますが、中国の場合の減収というのはそうした面に該当するものであって、そんなに減収しておるものではないわけなんです。幾らでもあるわけなんです。したがって、政府がもう少し中国から輸入するということに熱意を込めて交渉された場合には、私は容易に話が成立するのではないか、こういうように考えておるわけなんです。したがって、現在中国とも交渉中ということでございますが、具体的にだれがどのようにやっておるか、この点もお伺いをしておきたいと思います。これはアズキの問題であり、小さな問題のようでございますけれども、先ほど来申し上げておりまするように、赤いダイヤといわれておるだけに、アズキの問題は大きく相場影響もし、また消費者にも非常に影響を与えるわけでございまするので、そういう面から、くどいようですけれども、突っ込んでお伺いをするわけなんです。中国交渉の経緯というようなもの、見通しというようなもの毒もう少しはっきりしていただかなければ、単なる答弁のための答弁で終わってもらっては困る。
  38. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 LT貿易関係商社が一月の中旬過ぎから中国のほうへ参りまして、中国と話し合いを続けたわけでございます。それが不調に終わりまして、実は本日ぐらいその連中日本へ帰ってくるという状況でございます。それでもうすでに友好商社連中中国に話をしておる、商社を通じまして私たちのほうではそれを指導しながら、早く商談が成立するようにということで努力をしておるわけでございます。
  39. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間がございませんので、この問題はこの程度で打ち切りますが、私はいままでの質疑応答から政府に対して要望をいたしておきたいと思いまするが、いままでの質疑応答からいきますると、北海道冷害によって一気にアズキ値段というものは引き上げられた。しかも、その引き上げられた全額の内容を見ますると、昨年の春では四千五、六百円というようなものが、きょうの場合は、六十キロ当たり東京では一万一千六百五十円、北海道では一万一千五百円というような相場になっております。したがって、こういう高いアズキによっていろいろな菓子等製品にして出す業者も非常に困っておるわけでございます。しかも、これらを扱う業者中小企業業者でございまするから、少し影響がありましても、事業経営面からいきますると非常に打撃を受けておるわけです。それと同時に、消費者も非常にこの点で不利益を受けておるわけなんです。したがって、こういう状態でございまするので、政府といたしましては、一応中国韓国ビルマ等からアズキなりアズキ代替大手亡等の輸人によって緩和していこう、カバーしていこうというお考え方で今日までやっていただいておりまするけれども、なお今日絶対消化量からいきまするとまだまだ相当不足になっておりまするので、この不足分政府としてはなおこれから中国交渉をして、そうして中国からも輸入をし、あるいはできるものはビルマから大手亡輸入してこれを代替させ、そうすることにおいて現在のべらぼうに引き上げられておるアズキ相場が下がるようにはなるのじゃないか。下がるということになりますれば、業者消費者も非常に利益を得るわけでございますので、そういう面から最大のこれは努力をしていただきたいと思う。ただアズキといって小さな問題のように取り扱っていただいておっては、これは困るわけなんで、お米と同じようにアズキはほとんどの家庭で消費しておりまするし、そうしてこれに従事しておる事業主相当中小企業が多いわけでございまするので、現在の物価上昇を抑制する一つ対策の一環としても、また国民が非常に物価上昇によって悩んでおる、この悩みを解消する上においても、ぜひとも中国韓国ビルマ等からの輸入を成功させて、そうしていま国民から要望されておるところのこの赤いダイヤ、すなわちアズキ相場を引き下げるようにしていただきたいと思うのです。ほかの物価と比較いたしましても、いかに冷害があったとか、品不足といいましても、これは六十キロ当たり八千円くらいになるのが私は相場でないかと思うわけなんです。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕 それが一万一千六百五十円もするということになり、しかも昨年の場合には四千五、六百円で手に入った。これが相場になっておったのですから、そういう点を考えてみますると、まだまだ農林省のこうした問題に対する対策に非常に手が欠けておるのではないか、熱意が薄いのではないかというように疑惑の目をもって国民は見ておるわけなんでございますから、そういう点を十分に把握していただいて、ひとつこの問題を解決していただくように努力をしていただきたい。この点を強く要望を申し上げておきます。  ちょうど時間が参りましたので、ちょっとほんの少し一問だけおまけに時間をいただきたいと思います。  そこで、幾つか用意をしてきましたが、私ここで確認をしておきたいと思いますことは、昨年の九月七日、九月八日に全農林が交渉一つの戦いの戦術として職場大会等を行なったわけでございます。なお、それと同時に、職員組合が、非常に関心を持っておる問題の経過を全組合員に徹底するためにはどうしても職場大会等をもって徹底しなければならないというような事態に当局との交渉の面から追い込まれて、やむを得ずそうした行動を行なったわけなんですが、しかも、その職場大会なるものは原則としてお昼の休憩時間を利用してやるということでやりましたけれども、勢い、質問等がございまして、時間内に食い込んだところも相当にできたわけなんで、非常にこのことは労働組合のほうも当局もあまり好ましいとは考えておりませんが、しかし、このことをやったというので懲戒処分を、それぞれの処分を相当数の人たちにやられたわけなんですが、あのときの処分は、これは九月の七日とか八日に行なった職場大会が時間内に食い込んだために責任者を処分したのかどうかということをここで確かめておきたいと思います。その他理由があるのかどうか。
  40. 尾中悟

    ○尾中説明員 お答え申し上げます。  昨年秋、賃上げの問題に関連いたしまして、全農林労働組合のほうでは下部の機関に指令をいたしまして、八月の一日、九月の七日、九月の十四日、それから九月の二十八日等、前後四、五回にわたりまして勤務時間内に食い込む職場大会を指令いたしたわけでございます。それに対しまして、末端では全部やったわけではございませんで、延べにいたしまして三百余個所勤務時間内に食い込む職場大会が実施されまして、従来からそういう問題につきましては休憩時間等に職場大会は実施すべきであるということでやっておったのでございますが、そういう説得なり注意を聞かずに、あえて勤務時間内に食い込む職大を実施したということで、その責任者に対しまして法律に基づく処分を実施したということでございます。
  41. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ただいまの答弁からいきますと、私の申し上げた日にち以外の職場大会も入っておりまするが、あの処分は、ただいま御答弁のありました日にちにいわゆる職場大会をやったために、その職場大会が勤務時間内に食い込んだので、責任者にそれぞれ懲戒処分を行なった、こういうことなんですが。それともほかに理由があるのか、これを確かめておきたい。
  42. 尾中悟

    ○尾中説明員 ごく一部の場所におきましては、いま申し上げました日と前後いたしまして実施いたした個所もあるわけでございますが、いずれも勤務時間内に食い込む職場大会なり集会が実施されたということを理由にいたしまして処分をいたしたわけでございます。
  43. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あなたのほうで職場大会と集会というものの定義をどういうように位置づけをしておられるか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  44. 尾中悟

    ○尾中説明員 厳密に申しますと、職場大会というのは、それぞれ組合の規約等によりまして、定期大会なり臨時大会等で、定足数なり何なりその手続がきまっておるのが職場大会でございます。しかし、通常はやはり開催者のほうで職場大会をやるとかあるいは集会をやるというような発言をしておりまして、法律的にははっきり明確になっておりますけれども、実際上は大会とか集会とかいうことがほとんど同一に取り扱われているような事態もあるようでございます。
  45. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その点はあまり明快な答弁でございませんし、私のほうでも議論はございまするが、いろいろ言っておりますると時間がたちますから次に移りまするが、あの懲戒処分の処分書をいただいたときに、何月何日に職場大会をやったから、その責任をとってもらうために、だれそれはこういう懲戒処分に付するのだという通知が来ておるのですね。だから、それをやっておらなんだらこれを取り消すのですか。
  46. 尾中悟

    ○尾中説明員 錯誤等によりまして、全然事実がなかったというようなことは、今回の場合はないと確信しておりますけれども、かりにそういう事態があった場合には、それは錯誤に基づくものとして取り消すこともあり得ると思います。
  47. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いずれにしても、懲戒処分の処分書というか、通知書といいますか、それには必ず何月何日にこういうことをやったから、その責任をとってあなたは訓戒するとか、減給するとか、いろいろそういう通知が来るわけなんです。それで、その通知に全然該当しておらなんだ場合にはどうなるかということです。その日とは間違っておった場合にはどうなるか。
  48. 尾中悟

    ○尾中説明員 これは仮定の議論でございますが、その当時の前後外遊しておったとかなんとかいうような、客観的にきわめてはっきりした事態がございまして、そのの本人が現場で指導行為をやっておるということが立証できないということが客観的にきわめて明快な場合には、これはそういう処分は無効ないしは取り消すということになろうかと思います。しかし、今回の処分につきましては、いずれも本人が現場におきましてはっきり指導行為をやっておるということで立証可能な者だけに限定いたしまして、厳密な審査等を現場でやりましてやっておりますので、そういうことはないというふうに確信しております。
  49. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あなたはないと言われるけれども、岐阜県の食糧事務所では、懲戒処分書に明記してあるようなことはだれもやっていないのです。それにもかかわらず、そこの県の委員長に訓戒でしたか、そういう懲戒処分書が来ておるわけなんです。訓戒等のものは小さなものではありますけれども、しかし、それといたしましても、間違ったものを公文書として出されて、そうした人たちを処分の対象にするというようなことは、これはあってはならないと思うのです。だから、そういう人に対しては完全に取り消すのか取り消さぬのかということを、私は国会の場において明確にしておきたいと思う。
  50. 尾中悟

    ○尾中説明員 岐阜の食糧事務所の件につきましては、現場においてもはっきりそういう事実行為を確認しております。間違いないという報告を受けております。
  51. 田口誠治

    田口(誠)分科員 九月二十八日の日に職場大会を開いて、そして今日までの交渉経過、戦いの経過というものを報告せよという指令が来て、そうしてそれをやろうといたしましたら、食糧事務所長から次の警告が来ておるわけなんです。「伝えられるところによれば、貴組合は九月二十八日勤務時間内に食い込む職場集会を計画しているとのことでありますが、これは明らかに国家公務員法ならびに人事院規則により禁止されている違法行為であります。貴組合がこのような違法行為を行なう場合は当局も関係法令に照らして然るべき措置をとらざるを得ませんので自重されるよう要望します。」というのが来ておるわけです。だから、やらなかったわけです。二十八日にはやっておらない。ところが、あとで訓戒処分の通達をもらったら、二十八日職場大会をやっておるからそれであなたは訓戒ですか、にするのだという、こういう通知をもらったわけなんです。だから、私はこれは間違っておると思う。岐阜の食糧事務所にはそういうことはなかったと言われるけれども、指示、指令の来たときには、もう管理者のほうから警告が文書であったわけなんです。警告があったからそれをやめたわけです。ところが、上部機関のほうから、その日にやったから訓戒処分にするのだという。こういう懲戒処分のしかたは私は誤りだと思う。大体、懲戒処分そのものに対しても、処分のしかたについてはいろいろ問題は私どもは持っておりますけれども、こうした間違ったものに対してどうしてやったのか、この点を明確にしてもらいたいと思うのです。それと同時に、これは職場大会ということなんです。
  52. 尾中悟

    ○尾中説明員 岐阜の食糧事務所につきましては、処分理由といたしまして、九月七日の職場大会、それから九月二十八日でなくて二十九日の職場集会を指導したということで処分をしておるわけでございます。
  53. 田口誠治

    田口(誠)分科員 岐阜の食糧事務所の所長は、県評が行って交渉したら、まっさおになってふるえてしまったわけです。なぜ正しいことをやって——いかに訓戒処分でも、与えておる者か、抗議を受けてふるえてしまうということは、事実に反しておるということではないですか。あなた方が考えてそう思われぬですか。これははっきりしてもらわなければ、私困るわけです。二十八日、二十九日、二日間もやっておりません。
  54. 尾中悟

    ○尾中説明員 二日間ではなくて、九月七日と九月二十九日の両日の職場大会あるいは職場集会ということでございます。  なお、この件につきましては、現地において処分権者である食糧事務所長を相手にしまして人事院に公平審査が提起されておるようでございますので、事実関係についてはいずれ争いのある点は明確になるだろうというふうに思います。
  55. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は、人事院でさばいてもらわなくても、私が質問しておるんだから明確にしてもらわなければ困るわけです。特に処分の問題なんかは、いつも問題になるのだから、間違った処分の懲戒処分書を交付するというようなことは、これはもってのほかなんですよ。それをあえてやっておるから私は追及しておるのですよ。だから、岐阜の場合は私は取り消すべきであると思うのです。どうですか。
  56. 尾中悟

    ○尾中説明員 その後の報告等も受けておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、九月七日の職場大会及び九月二十九日の職場集会を指導したという事実には間違いないということで、われわれのほうといたしましては、その処分を取り消す意思はございません。
  57. 田口誠治

    田口(誠)分科員 懲戒処分書にはそういうことが書いてないのです。なぜそうならそのように書いてないのですか。事実やったことが悪いから処分をすると、こういうことなんでしょう。そうすれば、事実やって悪かったことを処分書の理由に書かなくちゃならないけれども、書いてない。それはどういうわけなんですか。どういうような人事管理のしかたをしておるのですか。
  58. 尾中悟

    ○尾中説明員 日時、場所、それから違法行為の内容を明記して、処分理由説明書を書くべきであるということで、これは当然法律等の例に従いまして現在やっておる次第でございます。
  59. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それが間違っておるわけなんです。それが該当しておらないわけなんです。だから、私は、そういうものは無効だ、こう言っているのですよ。どうですか。
  60. 尾中悟

    ○尾中説明員 間違ってないと思っておりますが、もう一度よく調査をしてみたいというふうに考えております。
  61. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますと、確認しておきまするが、懲戒処分の内容に書いてある理由によって訓戒をされておるのでなかったら、その内容が違っておるなら、それは取り消すということなんですか、調べるということは。
  62. 尾中悟

    ○尾中説明員 それは全然事実無根であるというような場合には、そういうこともあり得ると思います。
  63. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あなたは先ほど言われたように、職場大会とか職場集会とか、こういう言い方をされましたが、職場大会というのは、大会をやるときに議長をつくって、そしてみなに徹底をして集まってもらって、それから報告なりいろいろなことをきめるわけです。そういう報告なりきめたりするときに、質問者やその他が出てきて時間内に食い込むということができてきたりした個所が、それは事実相当にあるわけです。ところが、岐阜の場合は、そういう職場大会というようなものはやっておらないわけです。いまあなたの言われた七日にしても、二十八日にしても、職場大会という形のものはやっておらないわけです。ただ、組合であるから、上のほうから指示があれば、そのことは組合員に徹底しなければならぬ。徹底することは、これは当然民主主義のルールによってやらなければならない。その徹底をするときに、お昼休みに皆さんが事務所を出ず食事をして休んでおられるときに報告をするということで報告をすると、それはどうだったこうだったといっていろいろ聞かれる場合がある。その聞かれる場合に、ちょうど時間が来たので、あなた聞かれたけれども、もう時間が来ましたのでこれで終わりますというようにきちょうめんにやるところは、日本じゅうどこの組合に行ったって一つもない。管理者だってそうです。管理者のふだんの勤務状況を見ましたとて、きちんと九時に来て五時に退庁するかどうか、用務で外に出ていくのが完全に公務であるかどうかということを厳密にやれば、そうはないわけです。そういう人たちは全然何も懲戒の対象にせずに、ただ労働組合が集団的にやったというだけで懲戒の処分の対象にしておる。しかも、その時間が来たときには、自分の職場におるのだから、自分の職場で食事をし事務をとっておるわけですから、時間が来れば、また時間が来なくても、手元の仕事の非常にせわしい人は、話を聞きつつも休憩中でも仕事をやっておる人もある。それから、時間内になれば、話はどこかでしておっても、だれかが質問しておっても、自分は仕事をやっておるわけです。こういうものに対してきちょうめんに国家公務員法あるいは人事院規則によって懲戒処分をやらなければならないという画一的なそういう方法は、現在の労働者が労働基本権を認められており、職場の職務については職務時間中はまじめに働くということは公務員として当然であろうと思いまするけれども、このことは、きちょうめんにそういっておらないわけです。これは管理者の場合でも同じことですよ。管理者はそういうことで処分を受けたというようなことは聞いたことがございません。そういう人事の管理のしかたが私は気に入らぬし、それが誤っておるということなのです。管理者の場合は気随にしておいて、労働県合が良心的に、上から来たところの指令、指示に従ってやらずに、なるべくそうした迷惑をかけないように、休憩時間に食事をしておるところに行って話をし、話をしたついでには、それはいろいろ質問者もありまするが、その中には事務をとっておる者もあれば聞いておる者もあります。執務中であったとて、全部が筆をとって執務をしておるわけではありませんよ、公務員の場合。こういう点は民間と公務員とはだいぶ職場の内容が違うのです。私は別に学者でも何でもありませんけれども、労働運動やそういうことの指導の面については専門家でありますから、私は公務員の場合でも民間の場合でも自信を持って申し上げるのですけれども、あくまでも岐阜の場合は、こういう文書を出しておるということは違法ですよ。ここに文書の写しがありますが、こういう間違った文書を出した責任者はどうなるんですか。そういう責任者の処分なんかはやるのですか。
  64. 中西一郎

    ○中西政府委員 だんだんのお話を伺いまして、岐阜自体の問題といたしましては、事実をさらに確認いたしまして、その間に管理者のほうで仕事の上の誤りがございましたならば、所要の注意あるいは処分も考えなければならない、かように思います。  従来の例としましては、やむを得ず何分間か勤務時間に食い込んだということだけでは処分はいたしていないのでございますけれども、明確に勤務時間の中に食い込む計画があって、それを計画的に遂行して、当局に対する一種の怠業行為という結果になった、そういうような場合には処分もやむを得ない、こういう態度で臨んでおります。  繰り返して申し上げますが、お話も伺いましたので、岐阜の問題につきましては、さらに調査を進めさせていただきます。
  65. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間が超過して、まことに申しわけございませんでしたが、これでやめますが、これは、調査をするということは、管理者から聞くだけではだめですよ。管理者の報告によってあなた方は間違った懲戒処分書を出しておるのだから、組合のほうにも同じことを聞いてもらわなくては、これは正しいものはできませんよ。管理者から一方的に聞いたことを信じてあなた方は出しておられるのだから、それが間違っておるのだから、調査をするということなら、これは組合のほうも管理者のほうも、両方ともよく調査をし、意見を聞いてもらって、そしてあの処分書の内容に書いてあるものは事実と相違がある、またその事実が違っておるということなら、取り消すということも先ほどお話がありましたので、私はそういう点に期待をいたしまして、質問を終わらしていただきます。
  66. 古川丈吉

    古川主査 これにて田口誠治君の質疑は終了いたしました。  次は玉置一徳君。
  67. 玉置一徳

    玉置分科員 ちょうど三年前でしたか、四年前でしたか、この委員会におきまして後継者対策につきまして善処を要望したのでありますが、昨年度からこれの実施をしていただきましたことにつきましては敬意を表する次第でございます。  そこで、お伺いを申し上げたいのは、後継者対策でございますが、大体現在の動向といたしましては、必要な後継者が獲得されておるのか、あるいは憂慮すべき事態であるのか、将来はどういうように見るか、思い切った後継者対策を確立せなければいかぬのじゃないかというような点につきましてて、まず当局から御説明をいただきたいと思います。
  68. 昌谷孝

    昌谷政府委員 お尋ねの点で、まずごく最近におきまする農家子弟の農業への就農の状況について、三十九年の三月に卒業いたしました農家子弟の動向等につきまして申し上げ、なお御参考に供したいと思います。  三十九年に農家の子弟で中学校及び高等学校を卒業いたしました者の数は、まず百二十四万人というふうになっております。全国の三十九年の卒業者総数が大体二百四十万人程度、そういう数字になっておりますが、その中で農業に就職をいたしました者がおおむね五・三%、人数にいたしまして約六万六千人ということになっております。三十八年が約九万人でございましたから、いわゆる新規学卒者の農業への就農状況としては、三十九年にさらに低下をしているというような点が見られます。ただ、これをしさいに見ますと、必ずしも悲観的な要素ばかりではございませんので、たとえば経営階層別にそれらの後継者の得られました分布を見ますと、一町以上あるいは一町五反以上の層における子弟の農業就業状況というものは、五〇%以上あるいは七割近い就農状況示しておる階層もございます。全国的に平均的に申し上げますと、先ほどのような傾向が見られます。私どもが後継者対策をいろいろと展開いたします際に、やはり後継者対策の基本は、農業経営自体の将来に明るい見通しと自信を持ち得るような条件をつくり上げることが、何よりも後継者対策としての基本であるということを申し上げ、またそういうふうに実施しておりますのもその辺の動向から来ておるのでございます。  なお、足りませんところは、また御質問に応じて補いたいと思います。   〔主査退席仮谷主査代理着席
  69. 玉置一徳

    玉置分科員 三十八年度から三十九年度にかけまして、総数で言いましてもかなり大きな減少を示しておりますが、私がここで注意を喚起しておきたいのは、卒業の年はそういう員数が出るのでありますが、これが二、三年しますと、そのうちの五〇%近くがまた離農するのじゃないか。私のほうの高等学校の農科を卒業した者のうちで十一人が、農業をやろうじゃないか、年々一回集まって御飯を食べながら研究会をやろうというので、まる二年続けておりましたが、三年目に、たった一人になりました。あまりにさびしくて、その人もいま違うところへ転業しております。こういうことで、卒業しましたときの員数は何ということなしにとどまるものでありますけれども、これが二年、三年たちますと、ひょっとしたらものすごい数字になって出ておるのじゃないかということを心配いたしております。将来でき得ればこういう資料をおとりいただきまして、私にもお教えいただきたいし、農林省の御勉強にひとつ思い切ってそれを御利用いただきたいということをお願いいたしておきたいと思います。  そこで、時間の関係もございますので、そのまま具体的な問題に入りたいと思います。  先般こしらえていただきました後継者対策は、何ぶんまだ一年目でございますので、いろいろな資料もできておらないと思いますし、内容その他もぴたっと先方が希望しておるようにはなってないところもあるかと思いますけれども、このうちで特に目立ったところを申し上げますと、経営資金でございます。経営資金は五十万円を貸す、そして親と別のものにするのだ、しかも、くふうをしたのでしょうが、おやじと離れ離れになったらいかぬから、保証人の一人はおやじでなければいけないというようにお書きなすったと思います。私は、各地を歩きまして実例を調べてみますと、後継者が農業を営んでおるところはやはり中階層以上の農家だと思います。したがって、それは与れなりにかなりの基盤を持っておるわけでありますが、若い青年諸君としては、在来の営農のしかたでなくて、それを思い切って近代的にやっていきたいという考え方でやっておるのが多いので去りますが、違うものでなければいかぬというので、つい鶏とかなんとかというようなことになってくる可能性が多いわけであります。こういう点、ひとつなるべくすみやかに改めていただきたいと思うのですが、当局のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  70. 昌谷孝

    昌谷政府委員 いま御指摘の点は、初年度実行してみまして、各地で、運用上、何と申しますか、当事者の希望と、制度の仕組みと申しますか、こちらの指導方針とがうまくいかなかったということで、意見の多かった点でございます。実を申しますと、私どもが考えましたときには、経営主の基幹的経営部門と同種でないことに限ることとし、特に限定はしない。同種のものを除外する趣旨は、経営主の経営と混同を生じ、実質的に経営主の担当する部門に対する無利子貸し付けをするということになると同様の結果になるから避けたいということで、明確にいわゆる独立部門としての実を備えるということに主眼を置いて指導をいたしました。その結果が、仰せのように、同一種目である場合にはまず貸さない。おそらく資金が希望に対して十分でなかったために、同種のものについての希望者に対して、特に経営主の経営との混同の有無を明確に分けて、実質審査に立ち至ってまで貸すことをしてもよろしいわけなんですけれども、他にもっと外形的に明確に区分のできる借り入れ希望者が多かったために、県当局としてはそこまでの実質審査をやって貸す相手方まで貸し付け対象が及ばなかったという実情ではなかったかと存じます。資金量の充実ということがその面でまず考えられなければならないという趣旨で、四十年度も若干の、不十分とは思いますが、増加をいたしました。運用面でも、いまのようなことを十分地方に、実質審査が可能であればそれも考慮し得る旨の指導を十分尽くしたつもりでおります。
  71. 玉置一徳

    玉置分科員 農林省のほうでも運営でかなりお考えをいただいておるように私も聞いておりまして、喜んでおるのでありますが、何を申しましても、せっかく基盤が確立をしておるのに、それを思い切って近代化し経営を改善しようと思っておる意欲を全然他のほうに持っていく、これはおそらく無利子五カ年というところに大蔵省あたりのそういうようなきつい条件があったのだろうと思いますけれども、大蔵省は金を貸すことはわかっておるけれども、営農ということはわからぬのだから、農林省のほうで、こういうせっかくの中基盤以上の青年諸君が後継者となって、それをさらに近代化し経営的に確立していこう、こういう気持ちでおるわけでありますので、この点ひとつ十分御勘案をいただきたい。  その次に、経営改善費が五カ年無利子五十万円までというのはよくわかります。この人たちがほんとうにおやじの基盤を受けてさらに経営を安定していこうと思うのには、現在の金額にしてみれば、五十万円というのは些少に過ぎる、こういうふうに思います。できれば最低とりあえず百万円くらいまでに限度を上げていただきたい。それから、五カ年無利子というところにあれがあるんでしょうが、十カ年無利子まで延ばしていただきたいけれども、それが一挙にでき得ないならば、五年間は無利子、あと五年間は年二分というふうにして、農業経営の拡大資金でございますので、やはり最低とりあえず十カ年くらいな期間に延ばしていただかなければ、この点も落ちついたことがやれない。つい目の前で運転し得るようなものをつかむおそれがあるわけでありますので、腰を落ちつけて、ほんとうに後継者となって、自分の経営を拡大していくんだ、安定さしていくんだというような信念に燃えて立ち上がらせるように、いまの二つの条件をひとつ御検討いただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  72. 昌谷孝

    昌谷政府委員 制度の成果を一そう充実する観点に立っての御指摘でございますので、私どもとしても、なお将来にわたって改善の努力はいたしていきたいと思います。  一言申し上げますが、何さま、改良資金という、一つの何と申しますか、いわゆる融資と違った独特の普及事業の一環としての役割りを持っておりますので、場合によりますと、これだけでは仰せのような趣旨を全部満たすことは、制度の趣旨から言ってかなり無理があるかと思います。将来考えます際には、他の制度金融機関との有機的な連関、つながりというようなことをあわせて考えていくことが、あるいは現実的な解決ではなかろうかというふうにも考えております。いずれにいたしましても、検討さしていただきたいと思います。
  73. 玉置一徳

    玉置分科員 次に、生活改善資金でございますが、居室を独立をさす、台所改善等に五万円・五カ年の無利子金融ができるようにしていただいておるわけでありますが、私、数字を忘れたんでありますが、デンマーク等ではずいぶん長い期間思い切った住宅の資金を貸しておると思うのですが、もしもわかっておりますればお教えをいただきたいと思います。
  74. 昌谷孝

    昌谷政府委員 私どももまだ十分調査を尽くしておりませんのですが、当面当たりましたところでは、海外のそういった住宅制度のことにつきましては、住宅公団が専門家に委託をして調査せられたレポートがございます。それについて調査をいたしてみたのでございますが、遺憾ながら、先生御指摘のような点についての事実がございません。なお今後にわたってよく検討してみたいと思います。
  75. 玉置一徳

    玉置分科員 私、たしか覚えておりますのは、百年近いような長期で、年二分くらいのやつで貸しておるように記憶をしておるわけですが、そういう点少々数字が違っておるかと思いますけれども、そういう点から比較いたしましても、まあ初年度出していただいたことでありますので、そう無理に一ぺんなことは言えないことも私も承知しておりますが、あまりにもかけ離れておる、こういうように考えますので、ひとつ外国の例その他も御勘案をいただきまして、さらにこれは一そうの拡充をしていただきたい、かように思います。  もう一つ伺いをしたいのは、この資金については、青年諸君並びに技術改良普及員諸君がいろいろ指導するにつきましても、非常に武器を得たような気持ちで喜んでおります。一体どのくらいの資金量の需要があるのか、このくらいの資金で足るか足らぬのか、これにつきまして、数字をあげないでけっこうでございますので、一般的なお答えをいただきたいと思います。
  76. 昌谷孝

    昌谷政府委員 初年度につきましては、御承知のように、例のいわゆる後継者育成資金のほうは、貸し付けワクは四億五千万円ということで計画をしたわけでございます。他の技術改良資金等との資金の調整をやりまして、実は昨年内にある程度の希望を満たすためのワク内操作をやりまして、一億五千万円程度他の部門からの捻出をいたしまして、約六億にして期待に応じました。もちろんそれでは不十分でございますので、明年は十億ということにいたしたわけでございます。県の担当者が初めから一応のそういったワクを意識して指導いたしますために、ほんとうの意味でなまの希望はなかなか私たちのところまでにはつながりにくいのでございますけれども、とりあえず今年やった経験からすれば、明年約倍、十億になったことでまずまずいけるのではなかろうかという、県の担当者諸君の気持ちはそういうふうに理解いたしております。  なお、生活改善資金のほうは、一億五千で発足いたしまして、約二億に運用上広げて対処いたしました。これのほうも、明年度五億ということで、おおむねこれも県の担当者諸君の現状でのせめてこのくらいはという気持ちを実現し得たものじゃなかろうかと思います。  なお、先ほど仰せのような貸し付け方法その他についてのくふう等を伴いますれば、また資金需要もおのずから変わってくると思いますし、なまのほんとうに希望したような形での資金需要ではございませんので、その点は御承知おき願いたいと思います。
  77. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、大臣にお答えをいただきたいのですが、以上御質問申し上げましたとおり、後継者対策を三十九年度から新たに出発さしていただきましたことにつきましては、幾分なりとも非常に希望をつなぐような曙光が見えました非常にけっこうなことだ、こう思うのですが、先ほど質問なり御意見なり申し上げておりましたように、せっかくできましたものでございますので、さらに一そう現地の現場のこれに該当する方方の希望に沿い、しかも経営が拡大できるような方向に一そうの御推進をいただきたいと思いますが、これにつきまして、どういうようにお考えいただいておりますか。
  78. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私も各地に行ってみまして、この後継者対策資金とか、あるいは生活改善資金、こういうものの要望が非常に強いことを自分でも見聞きしております。その他後継者対策につきまして、非常に憂慮し、また、それを推進しなければならないというような要望が非常に強いのを承知しております。ことしもそれに見合いの資金として、ふやしたようなわけでございますが、この要望にはぜひこたえていきたいと強く考えております。
  79. 玉置一徳

    玉置分科員 これに関連いたしまして、実は質問として御相談は申し上げてないことに走りましてまことに恐縮なんですが、実は毎年農協青年部の会がございまして、その帰った後に、われわれのほうへも一部隊が陳情にお見えになりました。そのときに、汽車賃の割り引きを学生と同じようにできないのか、こういう話がございました。汽車賃の割り引きは、言い出したら産業青年全部じゃないか、学生を割り引きしておるのは、向こうの営業政策であって、学生がよく遊びにいくから、そういうことだという話をしておりまして、私はそのときに申しましたのは、そうじゃなしに、いまユース・ホステルという制度がございますが、これもやはり大体学生及び会社のサラリーマンの青年諸君が多い。そこで、先ほどの汽車賃の割り引きにかえまして、那須とか阿蘇とか富士のすそ野とか、大体ブロックごとにかなりでかい国有地の所在地の、しかも温泉も含んでおるようなところがございますから、年々ガソリン税の見返り等で十億円くらいの実にりっぱな伝習農場兼いこいの場所、こういうものを農家の青年諸君にでかいやつをこしらえていただく。そこで、ちょうど農閑期その他のときに実習に来まして、大農場、大機械なんというものを経験する。そこへ府県及び市町村もしくは農業委員の経費から、一泊実費三百円くらいで行けるように、それぞれが補助をしてあげれば、汽車賃よりもはるかによくなるぞということを言っておったわけです。私はいまでもそれをひとつやってもらいたいと思う。ガソリン税の問題に触れていかぬですが、あれが真にむずかしいのであれば、技術上あるいは税体系上非常に困難であれば、今度のあのティラーなんかが通りやすい大きな農道をつくり、林道をつくるという考え方もよろしゅうございますが、あれは特定のところを何十本ということに限定されるわけですし、ガソリン税というのは不特定多数全部が使っておるわけでございますから、したがって、そういう皆さんいらっしゃいというものをつくっていただくのが、ガソリン税の見返りとしては非常に好ましいのではないか、こういうように考えますし、また、いまの府県の、農事試験場のことまで入りまして恐縮ですが、時間がないから一言だけ申しますと、どこもここもがもう大した意味がなくなってまいっております。しかも交通が便利です。私は京都府の府会議員のときから言っておったのですが、思い切ってブロックごとにひとつ特徴を盛って、これは大阪府を見に行け、この県は滋賀県を見に行けとやらなければ、何もかも財政の少ないところで、おまけに自活をせいということがほとんどしいられているような現状で、見に行った者が感心するようなものは少ないのです。私は、府県及び国がブロックごとに、先ほど申しましたような構想のもとに、そこに併置して、大農事試験場と、伝習ができ、しかも思い切っていこいのあれができるというようなものをお考えいただいたらうれしいんじゃないか、かように思うのですが、唐突でまことに恐縮だったのですが、いかがでしょうか。
  80. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに同感できるいい構想だと思います。そのとおりにはいきませんが、それに近いようなこともやりつつあるのでございますけれども、さらにそういうような方法に沿って進めていくことを検討したいと思います。
  81. 玉置一徳

    玉置分科員 今回の予算を見ましても、いろいろな似た費目がありますので、どれもこれもが寸足らずということにもなるおそれがありますから、ひとつ農業青年は年に一ぺんはそういうところに行けるのだというような大構想を、赤城農林大臣のとぎに打ち立てていただくことをお願いいたしたいと思います。  それから、もう一つ、私は前から後継者対策と関連いたしまして三、四年前から予算委員会その他農林委員会等でお願いしておったのは、資金も、農道をつくる、なにをつくる、豚を購入するという場合、六分五厘だとか、三分だとかいう利子がありますが、人によっても利子を少し変えてもいいのではないかということを言っておったのです。農家適任証というのを渡して、その人には二分でいきますぞ、一分でいきますぞ、長期でしますぞというようなものがあっていいのではないかということ。これは後継者対策と重なるわけですが、こういう点も含めまして、先ほどお願いいたしましたように、後継者対策その他に十全を期していただきたい、かように思います。  そこで、次に移るわけでありますが、時間がございませんのでそのものずばりでお願いしたいと思います。こういうように農家の経営が苦しくなってまいります。いわんや終戦後開拓営農に入植された方々の苦労はなおさらだと思います。そこで、三十五年に設立され、三十六年十一月に答申されました開拓営農振興審議会の答申に基づきまして、既存の入植者の営農をどうするか、一類、二類、三類をお分けいただきまして、三類には離農資金、二類には借り入れ金を自創資金に切りかえるような運用をいまやっていただいておりまして、けっこうなことなんでありますが、私たちずっと現地を回りまして思いますのは、せっかく非常な努力をもちましてあるところまで行っておりますが、借り入れ金の返還の圧迫で、もう一つというところが新しく伸びていくための蓄積にならないというのが現状だと思います。自創資金三年据え置き、十七年の、合計二十年に切りかえることをやっていただいておるのは非常にけっこうでありますが、なお一段、政府資金でございますので、開拓者資金特別会計から御融通をいただいた分につきましては、その営農の実態、個々の実態に照らし合わせて、たな上げというところまでは申しませんけれども、はるかに長期に、あるいは一時無利子で五年なら五年いけるところまでやってあげる、つまり個々にわたる非常に地についたと申しますか、きめこまやかな、総理がよく言うことばですが、きめこまやかな営農指導をやっていけるようにやっていただければしあわせだと思うのですが、これについて大臣のお答えをいただきたいと思います。
  82. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 すべて同感なんでございますが、なかなか思うようにいかないのは私も遺憾に存じております。こういう点、なおさらに検討していきたいと思います。
  83. 玉置一徳

    玉置分科員 次に質問を移しまして、野菜の指定生産地の制度でございます。野菜の指定生産地制度につきましては、これは四、五年前からお願いを申し上げておったわけでございますが、現在徐々にやっていただいておるわけです。この指定生産地制度のいまの現状は、ただ大体を把握していくというところが主眼になっておると思います。一挙にいろんなことを申し上げることもどうかと思うのですが、将来図は一体どういうような構想で野菜の指定生産地の制度を設けておるのか。結論づけて申しますと、いま農業構造改善事業とかいろんなやり方でもって、主産地形成というようなことで、そっちにもこっちにも指導しているわけです。どのくらいやれば大体需給関係がおさまるのだということを抜きにして、全国一斉に指定生産地をやりあいをしているわけでありまして、これはみんなが一緒にだめになれというやり方にしかならないと思うわけです。したがって、野菜の指定生産地のごときは、ある程度各主要都市の市場の需給を満たす程度までいかなければしようがないのじゃないか。したがって、そこで一番問題になりますのは、市場の取引制度がせりである、それから到着順番にだれでも持っていったものはみんな扱わなければいかぬ、ここに問題がございまして、将来は指定生産地制度はどこまでも出荷予約制度になり、出荷契約をしないところはだめなんだというような、これは憲法の問題もありましてむずかしい問題もあると思いますが、行くならそこまで行かない限り、いまのようなことをやっておっては切りがないのじゃないか。ただ、問題点が出尽くす意味ではいまのやり方を進めていただくのは非常にけっこうだと思っておるのですが、局長から、将来図はどうだ、大臣から言うていただくのは遠慮いたしまして、局長にひとつお願いいたします。
  84. 桧垣徳太郎

    林田政府委員 出荷予約制度というのは、先生のおっしゃいますように望ましいことであるとは考えられるのであります。ところが、御承知のように、野菜の性格といたしまして、豊作の場合、あるいはまた不作の場合がございまして、豊作の場合は価格がうんと下がるというようなこともございます。そういうことで、数量の上におきましても、あるいは価格の上におきましても、あらかじめ契約を結んでおくというのは非常にむずかしいという点があるわけであります。  それから、もう一つは、御承知のように、この市場の卸というものの性格が、大体委託を受けましてそれをせりにかけておるということに原則的になっておりまして、そういうところから特定のものに予約をしておくということが、その性格上むずかしいという点もあるわけでございます。しかしながら、そういう困難性をいろいろ検討いたしまして、今後前向きにひとつ研究を進めていきたいというように考えておる次第であります。
  85. 玉置一徳

    玉置分科員 これはむずかしい問題でして、私も自分なりの考えを持っておりますが、それを言うことはかえってマイナスだ、いろんな弊害も考えられますので遠慮いたしますが、どちらにいたしましても、いまの農政を続けていく限り、当たったところ、勝負で当たればもうかる、損すればかってやぞということなんです。農民は大体自分の生産費を償うところまでといいますか、もっと平たく言えば、大体月の生活費をこれだけやっておればまかなえるんだというところで安定を一応さす必要があるのじゃないか。それにはいろんな問題はあるけれども、予約栽培のところまでいかなければ切りがない。しかも、その予約栽培は天候その他のあれはございますけれども、三割くらいはいつもよけいできるくらいの分を予約しておけば、その三割に対しては、全出荷者及び国や府県で、その三割のほかすやつはかげんはできるというふうに考えるわけですが、この点は日本農政の根本問題でございますので、またいつか大臣とも質疑応答ができると思いますので、とりやめておきます。  その次は、土地基盤整備でございますが、土地基盤整備の場合は、いまの速度——非常に速度は早めつつありますけれども、これでもまだ相当な年月がかかるのじゃないか。農業の近代化あるいは農地管理事業団、農地信託、その他政府のイメージである二町五反歩、こういうものはすべて基盤整備が前提であって、基盤整備のない、いまのような筆数が多くて各地に点在しておって、かってかってな形のたんぼである以上は、考え方はいいけれどもなかなか現実には運べない、こういうことになるのですが、そこで、いろんな問題を抜きまして、土地基盤整備は大圃場主義でやらなければならぬ。農道はいまでも四メートルくらいになっておりますが、規格を定めておいでになると思いますが、そこまでいけば普通の町道よりも上じゃないか。だから、公共事業として、幹線水路並びにそういう幹線農道というものは公共事業で取り上げてもらうわけにはいかないか。この一端を将来御検討いただけないか。当局から伺います。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕
  86. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 御承知のとおり、土地改良事業として農道事業をやっておりまして、土地改良事業は一応公共事業ということに予算上なっておるわけですが、先生のおっしゃる意味の公共事業というのは、結局農民負担を伴わないでやるという御趣旨と考えるわけです。市町村道、県道等につきましては、先生御承知のとおり、地方公共団体がやって、国の補助がつく。私どもの考え方といたしましては、農林省でやる農道は、やはり農業に何らかの意味において結びつくものをやるというたてまえをとっておりまするので、できるだけ国または地方公共団体の助成をふやしていく考えはとっておりますが、全部公共体でやるということに相なりますと、いまの道路法のたてまえその他と非常にデリケートな問題がございますので、極力実際の農民の負担を少なくするという立場では進みたいと思いますが、全部公共体というのはいかがなものか、かように考えております。
  87. 玉置一徳

    玉置分科員 私は先般党の農業政策を一夜づけですけれども見ましたときに、いままで八割五分補助、一割五分地元負担、農民負担、こう書いてあったのを、思い切って十割補助と変えてしまったのはもう満点を差し上げてよいが、さあお百姓してくださいと言ってもなかなか後継者が得られぬじゃないか。それを六割五分をことしは五分上げてやった、七割だぞといばっておる。農家の青年は全部、どうぞごかってにと言うて、農業をやっていないのが現状です。だから土地改良は十割補助だ、基幹農道及び基幹水路はいわゆる農民負担を伴わない公共事業として取り扱うというようなことにすぱっとやったのは、現状を見ればもうそこまで来てるんじゃないか。だから、政府の施策も、なるほど思い切ったことをやりよったと言われるくらいに、清水の舞台から飛びおりるくらいの気持ちでやらなければ、まあ去年よりは少しはいいんだということで思っておいでになる間に、農家の青年諸君はほとんどおらなくなるというのが現状だと思います。こういう点もお考えいただきまして、土地基盤整備等につきましてもひとつ思い切った施策を御要望しておきます。  日本農業の未来像につきまして、一時間ほどあるという話だったので、大臣にひとついろいろお伺いをしたいと思っておりましたが、三十分しかないそうでございますので、最後にもう一言、具体的な問題に落としまして終わっていきたいと思います。  河床低下の問題でございますが、具体的な例を申し上げますと、私のほうに、木津川という、宇治川、淀川の三川合流します前のかなり大きい、支流と申しましても本流に近い川がございます。ここ三年ほど洪水がございませんおかげで、全然上から土砂が流れてまいりません。そこで、大阪の重要な建設資材である砂の採取が避けられないわけでございまして、現在一メートル五十ほど河床が低下いたしました。したがって自然流水で入っておりましたその直轄の堤防にございます樋門が全部干上がってしまったわけであります。これはかなわぬというので、京都府は農地事務局と相談をいたしまして、はるか上流に堰堤をこしらえて、ものすごい費用でもって下まで持ってくるわけであります。十七、八億円かかるように聞いております。そこで、私はその問題点は、農地が湿潤だというので一メートル五十農地をかさ上げしたのだったら、農家が、六割補助、四割地元負担でやるのは当然だ。そうじゃなくて、こっちは明治の初めから、おそらく古来から同じところに豊地はあるわけです。だから、砂利を採取したからということは言いませんが、管理者がどこで河床を一定させるかということをやらなければいかぬ。私は近畿地建の局長や淀川工事事務所の事務所長に五回ほど、どこできめるのかきめなさいということを頼みに行ったわけです。ところが、技術的なことですので、きょう行ってあしたできません。やはり半年くらい遠慮しなければなりませんが、行くたびに局長、所長がかわっている。川は永久に流れておるし、田は永久にそこにあるのに、おまえのところみたいに人がかわったのではということを申したのですが、これは、現場の長というものがそのくらいの速度でかわっていいのかどうかというところにも一つの問題がございますけれども、いま申しますように、河床のあれをきめてもらわない限りは話にならぬわけです。そういうようなことで、私は建設委員会でやろうと思ったところが、きのうの本会議が長くて、流れまして、土曜日になるそうですが、建設省には、少なくとも農林省がそういうことをやっているということはわかっておるじゃないか、君のところに会いに来ているはずだ、それに一つも協力しようという気持ちがないのは一体どうなんだということでやろうと思うのです。したがって、私の言うのは、六割国庫補助しましょう、四割のうちで二割府県が持ってくれるといたしましても、二割は持たなければならぬ。十五年賦で低利資金を借りるとしましても、倍になるのが普通の相場です。したがって、十七、八億円のうちの四割を農家が持たなければいかぬというわけです。いままでなかったものを新しく開拓してそこにやるのだったら、御の字でやりますけれども。私は、愛知用水でどれだけ金が集まっているかということを質問しようと思った。そうしたら、もうかんべんしてくれということを庄野さんも言っているから遠慮申し上げたのですが、あれを考えてもなかなかむずかしいのですよ。新しくいいことをしてもらっても金はなかなか集まらぬ。それは農家が経営がむずかしいし、苦しいからです。ましていわんや、先ほど申しましたように、昔から木津川があって、その川の流れによって周辺一万町歩以上の田畑が潤っておった。これは管理者の不行き届きじゃございませんけれども、管理者もこれは協力あってしかるべきだ。六割補助をもらってやるわけですが、そういう問題は六割ではいかぬ。ほんとうは管理者もしくは原因者がその農家負担分は持つべきじゃないか、こう思うのです。これもこまかく申すと、こういう河川が全国で十数本あるはずなんです。いま建設省で調査してもらっているのです。それと同時に、もっと小さく言えば、よく原因者がやる事故がございます。そういうときはやはり農家負担分を原因者負担にしなければいかぬのじゃないか。大きく、こういうように不特定多数の原因者の場合は、管理者がその分を持つべきだ。ただ、研究しましたが、農林省の六割補助の上に四割を建設省が同じ政府部内でありながら持つという形態がいままでございませんから、それならば建設省が床どめだけはやるべきじゃないだろうか。それから後の部分を六割補助で農林省でやっていただくというようにやるべきだ。これは少なくともまじめに考えなければいかぬじゃないかということを私は建設省に言うておいたわけですが、こういう問題について、原因者負担の問題は、小さい問題ではたくさんあると私は思います。けれども、こういう大きな不特定多数の、一般管理者の不注意ということばは誤弊がありますが、不作為と申しましょうか、そのことによりまして農家が非常な迷惑をこうむっておるというような問題につきましては、——しかもそういう傾向はこれからますます多くなると思います。たしかこの東京周辺で三川だけは砂利採取をストップいたしました。全国にそういうストップしなければいかぬところもたくさんありますけれども、何しろ大阪近辺の公共事業を全部それでまかなっておるわけでありますので、にわかにこれはストップするわけにもまいりません。したがいまして、ひとり迷惑をこうむっておるのは農家だけだ、こういうことになっておりますので、こういう点について将来ひとつ十分に御検討いただきたいと思うのですが、農地局長にまずひとつお答えをいただきたい。
  88. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 ごもっともなお話でございます。実は、木津川につきましては、いま御指摘のとおり、河床が低下いたしまして、農業用水をどうするかという問題で、現在その対策を土地改良計画として調査中でございまして、大体本年度終える予定でございます。  それから、先生の御指摘の問題はその負担関係でございますが、建設省も、あるいは建設審議会等での御質問に対する私どもの御回答といたしましても、原因者がはっきりしているものは原因者から取る、これははっきりいたしております。ところが、河川は常時流れておりまして非常に複雑でございまして、砂利採取だけで河床が低下したかどうか断定できないで原因者に押しつけようとするところに、非常な紛糾が起きております。そこで問題は分かれまして、砂利採取によって河川の利水あるいは治水に影響がある場合には、河川管理者は砂利採取の禁止をすることにいたしまして、御指摘のとおり多摩川と相模川は禁止をした。全国的に管理者としてそういう立場で禁止をするという問題があり得るわけです。また、やっていただかなければならぬ問題です。もう一つは、河床低下の床どめの問題でございますが、これも治水上、利水上、弊害がある場合には建設省にやってもらう、建設省もそういう考えを持っておるということは、これは明らかであります。問題は、そういう河床の低下によりまして、農業取水路の移動をしなければならぬ場合の工事の負担の問題でありますが、これは、先ほど申しましたように、原因が必ずしも原因者に持っていけない、ここに非常に紛争が起きておるという実態にかんがみまして、私どもは、たとえば多摩川とか相模川のように、現に建設省も砂利採取を禁止するというような地区から手始めに、現在、昨年度から用水障害対策事業という立場で事業を取り組むことに手をつけております。これは一般の自然の影響によって河川の取り入れが変更したというようなケースとは分けまして、国の補助率も高め、当然県の負担率も高め、農民についてはごくわずかでそれをやれるような体制を、県営から現在手をつけておりますが、その実績等も考えまして、将来国営の事業等につきましても考えていきたい、またいくべき問題であろう、いまのところはそういう禁止されました河川から手始めに一昨年からそういう制度を要求して手をつけております。なお今後研究いたしまして、これらの問題をやっていきたいと思っております。
  89. 玉置一徳

    玉置分科員 先ほどの後継者対策やら何やらでなく、これはもう現実に被害がある。しかも、私のほうは、二、三万町歩、もっと多いのではないか、こう思いますので、将来順番になんというような話ではきょうはちょっとおさまりません。それで、問題は、調査をやっておる、私も承知しておるわけです。それで農家負担分はまたそれと並行しながらあとで考えるのだ、そういうのが私は役人の仕事だと言うのです。これは手きびしく言いますが、それが役人仕事だと言うのです。お百姓のほうは、地元負担分を先に調査してからしてくれるのならしてくれというのが百姓です。だから、この点は、砂利採取はとめろということはちっとも言ってない。これは必要なんです。公共事業でこれだけの予算を消化していくために絶対要るわけです。これはこれでいいわけです。だから、気の毒な人、どちらにも属さない、やられておる被害者は農家なんです。自然流水でちゃんといままで入っておったのです。それを私の足元の加茂まで堰堤を持ってきてやってくれる。だれがこれを企画したのだといって、ぼくは林田さんが局長時代にどなり込んだことがあるのです。林田さんには遠慮してどなり込まなかったのですが……。だから、これは即刻、大臣大臣で、これは農林省は遠慮する必要はないのです。何も十割せよとは言ってないのです。建設省にも持たすべきだと言っているのです。それを農林省が遠慮してぽつぽつやりますなんといってやっておったら、二十年せぬと話にならぬわけです。来年いよいよ着工するかどうか。これはいまのままでやるのだったら地元の農家の諸君と一緒に立ち上がろうと思っておるのです。まあ役所がやっていただいておることになるべく茶々を入れぬほうがいいから遠慮申し上げているわけですけれども、ほんとうに床どめ堰堤は要るわけです。河床がそこまで低下してしまった。建設省でついでに話しますと、向こうの河川局長は代々、先生、それは内側に何か石垣護岸でもあったら、護岸がつくということになればそれはできまずからと言うから、一生懸命探したけれども、残念ながら、外側は全部石垣ができておるけれども丙側は全部自然河川だ。どうともならぬのだ。だから、そんな話でいままでほっておるのです。ぼくは河川局長の上田君に、今度だけははっきり返事をしなかったら国会で問題にするぞとおどかしておいたのですが、問題はやはり、つとめてやっております、これはだれが何だかわかりませんからでは農家はやれない。私は、水利権の問題でやってもやれるのじゃないか、訴訟でも起こせるのではないかというくらいに思います。そういうような意味で、農林省にどうしろと言うのじゃないのです。建設省と話し合って、農林省は農家の代弁者なんだから、建設省に、これではあまりじゃないか、農家が気の毒じゃないかということをひとつ言うていただきたい。同時に、私が心配するのは、去年のような干ばつが起こりますと、木津川の水はちょろちょろしか流れておらぬ。あれで下の数万町歩のものをやろうと思えば、あの渇水したときだったら全部水を持っていかなければならぬ。そうしますと、通常のあれでいたしますと、一メートル五十河床が低下しただけでも、井戸がみんな枯れるとか、いろいろな現象が起こる。あの水を全部外に持ってまいりますとどんな異変が起こるかわからぬのです。だから、われわれが想定しても、技術屋が想定してもわからぬ問題が一ぱい出るはずだ。ついては、ただでやってくれるのだったらそれもけっこうだから、全額どこかが負担してくれ、せめて堰堤だけは建設省が床どめしなさいということです。そこから流水を持っていくやつは、農林省のあれでやるのはやむを得ぬと思います。けれども、加茂まで堰堤を持っていかぬでも、三つあります樋門のうちの、一番上部の樋門のところで河床を安定するための堰堤を掘り込んでもらえば、もう実に微々たる費用でいくわけです。こういうような自分の足元のことを申し上げてまことに恐縮なんですが、私は三十五年にこちらに参りましで、お百姓がいままで土地改良でポンプで排水しております。田の上に降った水だけは、直接田の上にぽつんと落ちてきた水はお百姓がかいましょう、なぜ山の上の水やら屋根の上の水まで農家の負担にするのだ。これは公共事業として扱わなければうそだというので、そっちこっちやりまくりまして、三十七年から排水ポンプの増設分は、建設省が府県と負担して、農家の負担なしに公共事業で扱う、同時に農林省で湛水防除のあれをやっていただいたわけです。そこで、ほめてもらえるかと思って帰ったら、それから後は雨が降りませんから、木津川の河床低下で今度は水がないということでしかられてばかりいる。だから、冗談を申し上げて恐縮なんですが、おそらく全国的に十数本同じ状況になっておると思いますし、なお今後もそういう傾向は続いていくはずです。多くなっていくはずです。だから、この機会に、ひとつ大臣大臣が御折衝いただきまして、建設省がその負担分を持つというやり方はむずかしいと思いますので、床どめ一本は掘り込む、それから後のやつは農林省の系統で、地元負担分も少々要りましょうけれども、先ほどお話しのように普通のやつよりはこういうやつは農林省も補助を少し増していただく、それで一番金の要ります分は建設省が自分のところで河床安定のための床どめを入れるというような方向にひとつ御協議をいただきたい、かように思うのですが、大臣いかがでございますか。
  90. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお話、非常によくわかるのです。私もそういう経験がありまして、河川の堤防を建設省で改築すると、耕地整理地区内の排水の土管の移動をしなければならぬ。そういうわけで、排水路を移動しまして、排水路を移動すると地区内の用排水路がまたそこへ向かっていかなければなりませんから、それを改修しなければならない。その費用をすべて建設省関係で負担してもらって、地元で一切負担なしでやった経験もございます。これは小さいので、いまの木津川の問題は大きいが、大きい小さいにかかわらず、そういう原因者のほうで負担するということがあたりまえだと私は思うのでございます。そういう関係でございますから、お話のように、よく現地というか実情を聴取しまして、建設大臣とも相談してみたいと思います。また、地区内の改良、改修、土地改良をやり直すというようなことがあると思いますが、そういう点につきましては、農林省としての考え方として、いまのお話のように、地元の土地の所有者の負担が少ないような方法を何か考えてみたい、こう思います。
  91. 玉置一徳

    玉置分科員 ひとつ大臣も、お百姓の苦労をよく御存じになっていただける方でございますので、この点、むずかしいというだけでなく、気の毒なことは初めからわかっておることなんですから、どうぞひとつそれだけをお考えいただきまして、いま調査はやっておりますけれども、やりかけておりますが、それはそれでやっていただいてけっこうです。途中でそういうものがいいほうに変更になりますように、ひとつ御努力いただきたい、かように思います。
  92. 古川丈吉

    古川主査 これにて玉置一徳君の質疑は終了いたしました。  午後は一時十五分から再開し、引き続き農林省所管について質疑を続行することにいたします。  暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ————◇—————    午後一時二十三分開議
  93. 古川丈吉

    古川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管について質疑を続行いたします。  芳賀貢君。
  94. 芳賀貢

    芳賀分科員 農林大臣にお尋ねしますが、特に予算審議に関係のある農林関係の問題だけに限定して、お答えを願いたいと思うわけです。  第一の点は、学校給食牛乳の問題でありますが、この問題については、昨年の十二月四日の予算委員会におきまして、農林大臣から、学校給食用の牛乳については、昭和四十五年までに全面的に国産牛乳にこれを切りかえるというような答弁があったわけでございます。そうしますと、当然年次計画というものが必要になるわけでございますが、この際、政府の方針として、四十五年までに全面実施をするということになれば、その間どういうような数量、計画等によって行なわれるか、その内容について明らかにしてもらいたいと思います。
  95. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 率直に申し上げまして、まだ年次計画はでき上がっておりません。御承知のように、三十九年度は四十万石でありましたが、四十年度におきましても、これも御承知のとおり七十万石にいたしております。四十五年には約三百五十万石、こういう予定のもとで、年次計画を立てていくための検討をいましております。そういう現状でございます。
  96. 芳賀貢

    芳賀分科員 ことしの政府の予算から見ると七十万石ですから、四十五年までに二百八十万石増加しないと、三百五十万石に達しないわけでありますが、これは正式な計画でなくても、担当の畜産局長からでもいいですから、明年度以降おおよそ何十万石程度ずつふやして到達させるか、これは非常に大事な問題ですから、ただやるやると言っても、そのときになってできなかったというのではいけませんから、農林大臣並びに文部大臣が臨時国会で明確にその方針を明らかにしておるわけですから、その点御答弁願います。
  97. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 ただいま年次計画が明らかになる段階でないということは、大臣からおっしゃいましたとおりですが、私どもは、昭和四十五年ごろまでには生乳の学校給食を完全に実施したいということで、長期的な需給の推算としては可能であるというふうに見ているのでございますが、年々の生産量の見通しをどういうふうに見ていくか、また一般需要というものをどういうふうに見ていくか、その際むずかしい問題としましては、大消費地には学童も集中的に就学をいたしているわけでございまして、この大量に消費します大消費地向けの学校給食用の生乳をどういう地域からどういう方法で輸送供給をしていくかという問題を詰めませんと、年次の計画が明確に相なりませんので、その点を目下検討中でございます。  なお、酪農振興法の一部改正法案を提出いたしまして、政府として生乳による学校給食の全面実施という問題を計画的に進めるという法的な根拠を御承認いただきたいということで準備中でございますが、その法案の審議をいただきます段階までには、確定的とは言いませんでも、農林省の見通し的な年次数量の概要というようなものはお示しをして御参考に供するようにしたいというふうに思っております。
  98. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、政府が予定されている酪農振興法の改正の際、その中に学校給食の関係が盛り込まれると思うわけですが、その法案が提案された時期には、必ず年次計画等についても明らかにする、そういうことですか。
  99. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これは厳密な意味で申し上げますと、法案を通過していただきました後、政府並びに関係各省が協議をして確定するということに相なるかと思うのでございます。したがって、法案の御審査を願いますための必要な参考資料としての年次計画の概要という問題は、私どもとしても提出を要するであろうというふうに心がけている次第であります。
  100. 芳賀貢

    芳賀分科員 そう神経質にならぬでもいいですよ。法案が出れば当然委員会で審議するわけですから。法案の内容とか政府の方針が明らかにならぬ限り審議は進まないし、したがって、その法律は通らないということになるわけですからね。だから、その場合は年次計画等についても十分納得できるような案を策定してお出しにならぬと、せっかく一年待っているわけですから、昨年出すのをもう一年ぜひ待ってもらいたいというせっかくの農林大臣の懇請があったわけですから、われわれとしては、それではりっぱなものができるまで一年待ちましょうということで待ってあげた経緯もあるわけだから、その機会には、必ず農林大臣からその内容を明らかにしてもらいたい。それはよろしいですか。
  101. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま申し上げましたように、法律審議の重要な参考でございますので、見通しといいますか、はっきり動かすべからざる計画というようなものはできませんが、見通し等につきましては御提示申し上げたい、こう思います。
  102. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、今年度の予算によると、数量は七千万石、国の助成は一合について五円ということになっておるわけですが、この補助対象になる学校給食として生乳を給食するその牛乳の価格ですね、いわゆる単価を幾らに見て五円を助成するか、その点がまだ明らかになっていないのです。
  103. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 昨年の単価が御承知のように四円五十銭でございまして、ことしは五円ということで五十銭の単価アップをお願いしておるわけでございます。五十銭の単価アップをいたしました考え方といたしましては、その後の事情によりまして、また地域によっても違うわけでございますが、昨年六月にいわゆる市乳の価格の引上げがございまして、それに伴いまして原料乳の価格の引き上げ、及び乳業者の卸売り価格の引き上げもあったわけでございます。その引き上げ額の幅が約一円十銭ということになっておるのでございますが、この一円十銭を学校給食についても全面的に認めるということは、私は必ずしも合理的ではない部面があろうかと思うのでございますが、おおむね一円ないし一円二十銭の引き上げが行なわれておる。そのうちほぼ半額に相当する五十銭分というものは政府において助成をするという考え方で、したがって、少なくとも値上がりに伴います政府の助成比率というものを落とすことは適当でないという考え方で、五十銭の単価アップをいたしたわけでございます。
  104. 芳賀貢

    芳賀分科員 昨年の場合には、九円八十銭を基礎にして、それに四円五十銭ですね。ですから、本年度の場合には、結局補助額を五十銭ふやしたわけですからして、いま局長の言われた点もおおよそわかりますが、補助の対象になるそのもとになる牛乳の価格が幾らかということがわからぬと、補助金だけ五円出すからあとは適当に安くやってくれというわけにはいかぬと思うのです。しかも、昨年は市乳においては一合二円ですね。これは市乳価格農林省が指導して上げておるわけですから。そういう関係もありますから、給食用の牛乳の価格をこの際明らかにしておいてもらいたい。十一円にするか、十二円にするかですね。
  105. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 主たる都市におきます生乳の卸売り価格は十一円五十銭ということになっておるわけでございますが、昨年はこれが十円四十銭であったわけでございます。先ほど一円十銭の値上がりと言ったのは大消費地における市乳の卸価格の基準的な価格を申し上げたわけでございます。十円四十銭という金額からスタートして考えてみましても、学校給食には学校給食のコストダウンの部分があり得るわけでございます。たとえば配送乳の経費を必要としない、あるいは宣伝費等を学校給食の価格に織り込むことは適当でないというようなことで、そういうようなことを考慮いたしますと、十円四十銭を基準にしまして、おおむね九円八十銭程度が妥当なところであるということで御説明を申し上げたのでございますが、学校給食のための基礎単価というのは、地域によりあるいは供給の形態によって区々まちまちでございまして、したがって、これに画一的な干与をいたしますことは、学校給食を行ないます場合の供給者、学校側との取りきめという問題にかえって円滑を欠くようになるおそれがありますので、昨年も画一的な指導はいたさなかったのでございますが、私どもの考えとして、市乳の卸売り価格の中から控除すべき金額は控除するという考え方で、各県の教育委員会と都道府県知事、それから牛乳の生産者団体あるいは供給者側の意見を徴した上で適正に決定をするようにという通達をいたしまして指導いたしておるわけであります。でございますので、画一的に幾ら妥当なのであるということは逆にまた問題も起こり得ますので、考え方だけははっきり示しておるわけでございます。
  106. 芳賀貢

    芳賀分科員 それで平均的に幾らなんですか。とにかく大蔵省と折衝されて、結局五円助成する、七十万石を対象にするということになったわけだが、一番肝心な給食する牛乳の値段を幾らの基準にきめて、それに対して五円助成するということに当然なるわけですから、画一的でなくてもいいが、基準になる価格あるいは標準的な価格を幾らに見ておる、それなら混乱が起きないでしょう。
  107. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私どもの一応の考え方としましては、予算折衝の際に、昨年標準的な経費が御指摘のように九円八十銭でまかなえるはずだということで、それに卸売り価格のアップ一円十銭を加えました十円九十銭をこえざる線が妥当な線であるというふうに考えて、予算折衝をしておるのでございます。
  108. 芳賀貢

    芳賀分科員 そうすると、大体十一円そこそこというわけですね。それでわかりました。  その次に、飲用牛乳を中心として今後農林省が国内の牛乳に対する施策を進めるわけでございますが、その場合、消費地と主産地が偏在しておる、必ずしも符合しない点があるわけですね。たとえば北海道においては、北海道における生産乳量の大体三〇%程度が市乳に供されて、残り七〇%が加工原料ということになっておるわけです。ところが、西日本地方、特に大阪等を中心とした西日本のほうでは、消費相当伸びておるけれども、供給する生乳の伸び方が頭打ちになっておるわけです。ですから、地域的に見ると非常に生乳の生産と消費の形が結びついていないわけですね。ですから、乳業メーカーのごときは、昨年の暮れにすでに、西日本においては、生乳の確保ができないから飲用牛乳の場合には還元牛乳あるいは加工牛乳をもってこれに充てるということを公言しておるわけです。ですから、これを解消して、国民に対して新鮮な牛乳を供給するということになれば、主産地の牛乳を消費地に輸送するという施設や方法が必要になってくるわけですね。これは消極的な方針では実現できないと思いますが、たとえばイギリス等においては、四百キロ以上の遠距離等の牛乳の輸送については、国が牛乳列車、いわゆる牛乳専用の貨車を建造して、それでロンドンならロンドンに輸送しておるというような、そういう実例があるわけです。ですから、この際国としてもそういう牛乳専用の貨車とかあるいは牛乳専用の牛乳船等を建設して、これによって大量な牛乳を大消費地に送乳する、こういうことは当然施策としてはすみやかに講ずべき 点だと思いますが、農林大臣のお考えを聞かしてもらいたい。
  109. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 主産地から消費地への需給を円滑にするための輸送等につきましては、列車等をもってするというまでにはいきませんけれども、輸送の方法につきまして、補助を出して円滑にする、タンクローリー等によって輸送するというような施策は、すでにお示ししたようにやるつもりでございます。しかし、列車等の大がかりのことは、まだそれまでは考えておりません。
  110. 芳賀貢

    芳賀分科員 いま農林省が考えておるようなちゃちなやり方では大量に送乳することはできないと思うし、また、それを生産者あるいはメーカー側の負担で施設を設けて輸送するということになれば、自然コストが高くなるわけですから、市乳の場合でもあるいは乳製品の場合においても、そういう長距離を輸送した原料乳でコストの安い飲用牛乳あるいは乳製品をつくるということはできないと思うのです。たとえば、北海道開発の予算はことし六百万円計上して、これによって北海道を中心とした主産地から東京あるいは大阪等の大消費地に対して大量輸送をする方法を研究することになっておるわけですが、しかし、研究といっても、すでに昨年までに、たとえば北海道に企業を興しておる乳業メーカーあるいは北連においても、東京あるいは大阪に北海道から牛乳を輸送した場合にその質が変化するかどうかとか、いろいろな綿密な実験研究を行なって、差しつかえはないということになっておるわけです。問題は、輸送経費というものを国民に負担させないで、国の政策の中で輸送施設というものを設けて、そうして大消費地に主産地から送乳を行なうということ以外に方法はないわけです。だから、これは当然新しい制度の一環としてこれを実現する必要があるわけですが、まだ考えがきまっていないとすれば、関係法案が提案されるまでに十分政府としての部内の検討とか意見の統一をはかって、そうして明らかにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  111. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 たてまえに問題があると思います。牛乳の国家管理でもするということであれば、一挙にそういうふうになりますけれども、いま国家管理というようなことをいたしておりません。しかし、円滑な輸送を消費地にするということは、これは考えていかなくちゃなりません。それを政府が全部持つということにつきましては、たてまえ上相当検討をする必要があろうと思います。ただ、輸送を円滑化するということにつきましては、一そう検討していかなくちゃならぬかと思います。
  112. 芳賀貢

    芳賀分科員 私の言っているのは、輸送設備を国が建設して行なうべきであるということです。牛乳そのものの輸送費については、これを無料で輸送しろということは言ってないのです。専用の貨車とかミルク船をつくるということになれば、相当の建造費というものがかかるわけです。それには、国鉄でも、たとえば客車にしても貨車にしても、施設は国鉄が建設して輸送する、旅客運賃とか貨物運賃は利用者から徴収するということになっておるわけだが、現在そういう施設もしてないわけでしょう。だから、せめて設備については国が行なおう、そして送乳するものについては特別割引料金等で輸送するということになれば、問題の解決はできると思うのです。とにかく、昭和四十五年までに全国の学校に牛乳を給食する場合においても、そういう事態が起きるでしょう。東京だけでも人口が一千万人ということになれば、大体小中学校の生徒は、その二割にしても、二百万人程度はおると思うのです。それに一年間生乳を供給するということになれば、当然主産地から積極的な方法で牛乳を運んでくるということにしなければ、具体的な実行はできないと思うのです。北海道の場合には、最近年間三百万石生乳が生産されて、そのうち百万石程度が市乳に用いられて、残り二百万石は安い加工原料ということになっておるわけですから、そういうものを百万石、二百万石大消費地に運ぶということになれば、やはり新たなる施設が当然必要になってくるわけですから、こういう点については、あわせて速急に検討を進めて、方針を示していただきたいと思うわけです。きょう答弁ができないとすれば、これはこの法案提出等の機会でいいわけですが、問題としてこの際提起しておくわけです。
  113. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 よく検討を続けてみたいと思います。
  114. 芳賀貢

    芳賀分科員 その次にお尋ねしたいのは、政府のいま考えておられる牛乳の不足払い方式でありますが、これは、政府のおおよその構想は、加工原料乳を対象にして、この分に対して一定額の交付金を交付するということでありますが、国が交付金を交付する場合の財源を、畜産振興事業団に外国から乳製品輸入させて、その差益金を財源として不足払いをやるということが政府の方針のように聞いておるわけでありますが、これは、結局、開放体制というものを前提に置いて、貿易の自由化を認める立場に立ってのこのような案が策定されておるのではないかと考えるわけです。そのことは、昭和三十六年に大豆、なたねを自由化して、そのときに大豆・なたね交付金法というものを国会に出して、現在それが交付金法として運用されておるわけでございますが、あの場合の交付金制度も、貿易の自由化ということが前提になって、その引きかえのような形でおざなりにごまかし政策として交付金法がとられておるわけでございますが、今回の場合にも、やはり、差益金をもって交付金を交付するということは、同じような考えに立っておると思うわけです。これは非常に危険な思想でもあり構想でもあるので、この際、はたしてそういうことであるかどうか、農林大臣から明らかにしてもらいたいと思います。
  115. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 生乳及び乳製品需要の円滑な拡大をはかりたい、酪農経営の安定的発展をはかりたい、こういうことで、いま御指摘のように加工原料乳につきまして不足払いを行なうということにいたしたいと思っております。こういう観点から、新しい価格安定制度の確実な運営を確保するということで、畜産事業団に指定乳製品等の一元的輸入を行なわせる、こういうことにいたしたい。その輸入の差益金につきましては、不足払い財源の一部に充てる。不足払いの財源は一般財源でございます。その一部に畜産事業団による輸入差益を充てていこうということで、輸入差益でもって不足払いの財源に全部しょうというような考え方ではないことをまず申し上げておきたいと思います。  それから、これが、大豆、なたねのときのように、不足払い制度を設けておいて自由化していく、その前提ではないかということでございますが、それではございません。酪農品の場合に、自由化しようとして、こういうことを行なうということではございません。畜産振興事業団による輸入差益を充てるということは、御承知のように、自由化しなくても、自由化すればなおひどいですが、自由化しなくても輸入品と日本の乳製品加工品とはたいへんコストといいますか価格が違っております。そういうので、その価格を平均的にたらそうというような考え方で、輸入差益を取って、国内の価格と同じような価格にしていこうというようなことでございますので、自由化を前程として、自由化をするために輸入差益金を取っていくという考え方でございません。全然それとは別でございます。前提といたしておりません。
  116. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、たとえば政府の構想が制度化する場合、当然見込みというものはあると思うのです。たとえばどのくらいの数量の生乳を対象にするかという数量の問題と、その数量に対してどのくらいの金額の交付金を交付するかという点と、それから、交付すべき財源は、輸入差益金をごく一部のものにするとすれば、大部分は国の負担ということになるわけですからして、総体の交付金の見積もり額のうちで一体差益金の割合と国が負担すべき割合というものはおよそどのような比重でやることになるか。こういう点はおおよそわかると思うわけですね。明らかにできればしてもらいたい。
  117. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実は、そういうことまでも明らかにしてことしから実施に移す、こういうつもりでおったのでございますけれども、なかなか、その量あるいは金額、そういう点で実は十分な計算が出ておりません。そのために、折衝も実はおくれて、ことしの予算には間に合わないので、法律としてはそういう制度を確立していくという法律を出すつもりでございますけれども、そういう数的の裏づけについては、私の手元ではまだまだでき上がっておらぬ、こういう現状でございます。
  118. 芳賀貢

    芳賀分科員 法律をお出しになるまでには、おおよその構想は固まるわけですね。法律が出たときにまだ全然中味がわからぬというわけにいかぬでしょう。
  119. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 おおよそのめどはできると思いますが、あまり固まった数字は出ないのじゃないか。いまもっぱら検討しておりますが、そういうふうな見通しでございます。
  120. 芳賀貢

    芳賀分科員 われわれとしては、大蔵省と農林省の折衝の過程においては、交付金の財源はその大部分を輸入差益金によるから、国の負担は軽少で済むということで了解を取りつけて、法案を出す準備を進めておるというふうに聞いておるわけです。これは内容のことはよくわからぬが、大体そういうことでなければ大蔵省が納得しないから、そうされておると思うのですが、それが事実とすれば、農林大臣が絶対に差益金中心ではないと言われても、運用はそういうことになると思いますね。ですから、これらの点は、当然法案を提出されたときに問題点としてわれわれとしても明らかにしたいわけですから、十分案を固めてお出し願いたいと思うわけです。  その次にお尋ねしたい点は、これも大体牛乳の関係と類似しておりますが、甘味の問題です。これは農林大臣が国会で説明された昭和四十年に行なう農業施策の中にもうたわれておるわけでありますが、今後のわが国の国産糖業というものをどうやっていくかというような問題と、一方においては池田内閣の時代に突如として粗糖の自由化をやって一大混乱を巻き起こした経過があるのですが、この砂糖の自由化と国産保護というものは、これは必ずしも一致するものではないと思うのです。自由化を無計画にやって、国内産業の保護育成をやるということは、これは非常に不可能なことにもなるわけですから、この際、国産糖業の振興発展という問題と、国外からの輸入粗糖の管理方式というものを今後どうやるかという点については、具体的に方針を示してもらいたい。
  121. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 甘味資源の問題の前に、先ほどの、畜産振興事業団による輸入差益でまかなうということで、不足払いの話が成り立ったといいますか、そうなったというわけではございません。財政当局で相当反対しておったのは、私から言うまでもありませんが、米と同じように牛乳の食管会計みたようになっては容易じゃない、こういうことでなかなか大蔵当局もうんと言わなかった、こういう事情でございまして、それだから差益金でそれをまかなっていくということで話し合いがまとまったということではございません。この問題は、なお数字的にいろいろこれから研究していかなくちゃならない問題でございますから、いずれその概略を申し述べる機会があると思います。  それから、甘味資源関係で、国内と一般の輸入粗糖との関連においてどういうふうに措置をしていくかということでございますが、これにつきましては、輸入粗糖と国内との関連において、甘味資源全体について、生産者の保護といいますか、こういうものと、甘味砂糖等の価格を安定していくという調整をどうとっていくかということにつきまして、ずっと引き続き研究を続けておるわけでございます。その研究の結果、だんだん事業団等の構想をもって進めておるのですが、はたしてこれがその目的どおりにいくかいかないかというのは、まだ相当議論がありますが、私から言いますれば、まだ検討中ということでございます。その経過等につきまして、もしあれならば、食糧庁長官を中心として研究会で研究しておりますので、ある程度経過は申し上げられると思います。
  122. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま農林大臣からお話がありましたように、糖価自身が非常に投機性がありまして、これが国内の生産にいろいろの悪影響を与え、また一般の消費者にも影響を与える、他方最近におきましては非常に糖価が低迷しておるような状態にありますので、甘味資源特別措置法によりまして一応国内産糖の保護体制というものはできておるわけでございますけれども、現状のような状態において今後なお推移するということになりますと、甘味法自身の運用につきましても、いろいろ補強し、補充し、改正すべき点が多々出てきておる。そこで、現段階におきましては、輸入糖の価格と国内糖の価格との間におきまする調整とあわせまして、国内糖のいまの甘味資源特別措置法の運用の補充をどのように考えるべきであるかというような観点に立ちまして、一応糖価安定対策についての食糧庁限りの試案、構想というものをまとめたのであります。これにつきましては、非常に各方面に影響するところがありますので、二月に入りまして、第三者的な学識経験者にお願いいたしまして研究会を持ったわけでございます。今日まで四回研究会をやりまして、糖価安定の必要性あるいはそのやる方法等につきまして、今日まで大体の討議をし、意見のとりまとめをやってまいった、こういうことになっておるわけでございます。
  123. 芳賀貢

    芳賀分科員 伝えられる管理法というもの、いわゆる輸入糖に対する価格安定のための管理事業団的なものは、まだ固まっていないでしょうね。新聞等で、いま長官の言われた内部的な研究会ですか、これが大体食糧庁長官構想というものを支持するということになったので、農林省としては速急に法制化に入った、そういうことが伝えられておるわけですが、この国会に提案されるかどうかということはまだ未定なんですか。
  124. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いまお話がありましたようなことで、研究会におきまして、いろいろ各方面の意見が出たわけでございますけれども、委員会としては、今日まで討議の結果、一応の意見がとりまとめ得る段階に相なりましたので、事務当局といたしましては、このまとめられた意見を中心に、できるだけ関係方面ともそれぞれ折衝いたしまして、成案を得るように御協力いたしたいと存じております。成案を得た結果について、どのように取り扱いますかは、その後におきまして考えることにいたしたいと思います。
  125. 芳賀貢

    芳賀分科員 農林省の「四十年度において講じようとする農業施策」の中には、輸入糖についても価格安定のための制度を速急に確立する、こういうことになっておるし、これは農林大臣の施策の中にもやることが明らかにされておるのです。いまになってまだ検討中でわからぬというのは、おかしいじゃないですか。大臣から直接宣伝だけして、やるのかやらぬのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  126. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 せっかく検討中ですから、まとまればやろうと思っております。なるたけいい案にまとめていきたい、こう思って、せっかく検討中でございます。
  127. 芳賀貢

    芳賀分科員 そういう定見のない態度ではいけないと思うのです。とにかく、国会においても、あるいは農林大臣として、輸入糖については自由化政策は明らかに失敗であるから、これを何らかの形で是正しなければ国産糖の保護対策もできないということで、結局考えられたのは管理方式を制度に持つということなんです。それが絶えず業界の反対とか一部の党内事情で足を引っぱられて、せっかくやるべき施策が進まぬということになると、これはたいへんだと思うのです。牛乳の場合もそうだと思うのです。いま農林省の構想は非常に消極的な案ではあるけれども、これに対して乳業メーカーは一斉に反対しておるわけですね。そういう反対が巻き起こると、もうすぐ立ち消えになることは、従来しばしば繰り返えされておる点ですから、この道を行けばいいという確信がついた場合には、やはり相当困難があっても、それを排除して、直ちに実行するというだけの熱意と勇気をぜひ農林大臣に持ってもらわぬと、あらゆる壁に当面しておるわけですから、打開はできないと思うのです。どうでしょう。
  128. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それはそのとおりです。しかし、自信を持つような案がまとまらなければやれないということは、申すまでもないと思います。でありまするから、何も反対があるとかないとかということじゃなくて、いい案ができることを私も待っているわけです。急がしているわけですから、いい案ができれば、それは反対するなら反対するほうが間違っておる。これは、そのときに、いまのお話じゃなくても、思い切ってやるつもりでございます。いまのところまとまっておらないものですから、実際自信を持ってこれでいいのだという案を提示することができないものですから、いま検討中で、自信の持てるような案をつくりつつある、こういうことを申し上げる次第でございます。
  129. 芳賀貢

    芳賀分科員 政府や与党にそういう政策的なものがないとすれば、たとえば、昨年の国会では、政府提案の甘味資源特別措置法と、社会党提案の甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案と両案が出て、審議したわけですが、内容の豊富な、整った社会党案が残念ながら少数で成立しないで、非常に内容の貧弱な政府案が通って、今日に至っておるわけです。だから、政府案というものは、輸入糖に対する国の管理というものは全然うたわれていないわけです。ですから、政府に案がない、与党自民党にそういう政策がないとすれば、社会党が昨年提案したりっぱな管理法案というものがあるんですから、それを十分検討して、たとい社会党が策定した法案であっても、これは国家国民の利益になるという場合には、政府がそれを十分取り入れて案をつくってお出しになっても差しつかえないと思うのです。社会党としても、社会党の案を政府が用いたからけしからぬなどと、そういう度量の小さい社会党ではないから、案がなければ、社会党案というものを十分参考にして、速急に方針を立てるべきだと思うのですがいかがでしょうか。
  130. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 与党にも政府にも案はあり過ぎるほどあるんです。どういうふうな案でやっていくか、もちろん社会党の案もりっぱな案でございますから、これも参考にして検討している次第であります。
  131. 芳賀貢

    芳賀分科員 これに関連して、コーンスターチの問題ですが、これは去年の臨時国会においても私質問をいたしました。コーンスターチの生産がことしの三月末には大体年産二十五万トンをこえるような状態でありますし、本年の秋までには、放任しておくと三十万トンに達すると思うわけです。これが国内におけるバレイショでん粉、カンショでん粉と競合して一国産のイモ類でん粉を大きく圧迫することは否定できない事実です。これに対してどうするかということを私はただしたわけでありますが、その場合、農林大臣あるいは食糧庁長官としては、政府の方針としては、今後コーンスターチの生産に対して規制を行ないますということを言明されたわけでありますが、現在のでん粉の消流状態価格の事情、ことし生産されるイモ類でん粉の状態というものを考えた場合には、すみやかにコーンスーチの生産規制あるいはその原料であるコーンに対する輸入規制等を講じないと、これは重大な問題になると思うわけです。それでは、この際コーンスターチの生産の規制するとすれば、具体的にどういう方針でやるか、あるいはその原料であるトウモロコシの輸入に対して実効のあがる規制措置を講ずるとすれば、どうやればできるかという、その二点についてこの際明確にしてもらいたい。
  132. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お話のように、コーンスターチがどんどん生産がふえるという事態になりましたならば、コーンスターチの持つ固有用途を離れまして、国内でん粉と用途が競合する、さらにまたコーンスータ自身も、ある程度の設備過剰というようなことになりますると、その面から販売競争が行なわれるというようなことによって、価格面からも国内でん粉一般に悪響を及ぼすということも懸念されるわけであります。いま先生がお話しになりましたように、確かにコーンスターチが一時でん粉の価格の高騰に伴いましてどんどん伸びてまいったわけでありますが、現状から今後の伸びを考えてみますと、確かにこれ以上無秩序に増加することについてはいろいろ問題があるというふうに考えております。  そこで、しからばどういうふうにそれに対処するかということでございますが、先般お話にありましたように、第一段といたしましては分野調整をはかるように指導をいたしたわけでありますが、どうも分野調整だけでは十分の効果をあげ得ない。そこで、やる方法といたしましては、行政庁のいわば勧告指示に基づく直接的な数量規制をやるというふうなことが考えられるわけでございます。この数量規制をやるにつきましては、私どものほうも必要じゃないかという考え方で、その手段方法につきまして、一つ方法は、国内的に出回ったものの生産量につきまして規制をするという、これはいわば、多少違いますが、企業で言いますと勧告操短に近いような形になるわけでございます。そういう手法を使いましてコーンスターチの各企業についての操短を指導するというやり方もあると思います。このやり方につきましても、それぞれ関係の、たとえば公正取引委員会等との話し合いも一応了しておるわけであります。そこで、当面の方法としましては、それの具体化を今後どのようにやっていくかということに、いませっかく努力いたしておるわけでございます。ただ、これだけではどうも不十分である、しかし、自由化された今日において再びこれの輸入を直接規制するということは困難である、もっと違う方法、たとえば関税割り当てみたいな方法をとったらどうだろうかというふうな御意見もございますが、まず前段のような考え方で、いま具体化につきましていろいろ鋭意検討しているという段階でございます。
  133. 芳賀貢

    芳賀分科員 その具体策はいつごろ固まるのですか。
  134. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いまそれらにつきましての具体的な資料なりあるいは基準なりというようなことにつきまして検討いたしておりますが、いずれにしても、やるとすれば、やるということをきめてから後準備その他で一カ月以上もかかるようでありますので、いますぐということにはあるいはならないと思いますが、しかし、前々から、業界に対しましては、いまの国内でん粉とコーンスターチとの用途先分野の調整についての指導を加え、あるいは生産の調整について自主的にひとつ業界としても研究してもらいたいというようなことで推し進めておりますので、いまいつということは申し上げかねますけれども、目下鋭意検討努力いたしておるわけでございます。
  135. 芳賀貢

    芳賀分科員 大臣に申し上げますが、とにかく、甘味問題にしても、でん粉問題にしても、病人で言えば病状が相当悪化しているわけですね。赤城さんが名医であるということはわかるが、あまり診断に慎重を期して処置を誤ると、薬も飲ませぬし注射もしないで診断にひまをかけると、病人は死ぬ場合もあるし、また、回復できない場合もあるわけですから、大体こういう病状だという診断ができたら、それに対応する具体的な策というものを直ちに立て、問題の解決に当たってもらいたいと思うのですが、その点はどうでしょうか。  もう一つ、砂糖の管理事業団構想がなかなか固まらぬとすれば、たとえば、いまある甘味資源特別措置法に基づく審議会の開会の問題ですが、昨年一度審議会を開いただけで、その後九月にやるというのが延び、また十一月も開会ができないで今日にまで延びてきているわけです。ですから、事業団構想等が明らかにされるとすれば、当然これは現行法との関係もあるので審議会の開会が若干おくれるとしても、新しい構想のめどがつかないとすれば、やはり現行法に基づいてすみやかに第二回の審議会を開いて、甘味の関係の長期計画の問題であるとか、あるいは年次行なうべき問題であるとか、そういうものを審議しなければならぬ。いまこれが全然扱われていないのですね。ですから、この点もあわせてお答えを願います。
  136. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 管理事業団の構想といいますか、甘味資源全体にわたって総合的な対策につきましては鋭意検討中だと申し上げたのでございますが、そういつまでもほうっておくという考えではございませんので、相当まとまりかけているといいますか、そういう方向には進んでおるわけでございます。でございますので、診断ばかりしていて病人を殺してしまうというようなことは、いま御注意もありまするし、そういうことにしたくない、こう思って進めております。  それから、いまの審議会の問題ですが、まとまらぬければ、審議会にでもかけて意見を聞いてみたらどうかということでございます。まとまるまとまらないにかかわらず、——私はこの構想はまとまると思いますが、審議会のほうも並行して三月中くらいにはやりたいと思っております。
  137. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に卵価問題とえさの問題です。鶏の卵の価格が値下がりして、一方で、えさは上がるということになると、これもゆゆしい問題だと思いますが、特に卵価対策について何ら具体的な方策が示されておらないわけです。制度的に言うと、いまの畜産物価格安定法の中に、鶏卵についても、生産者団体に調整保管を行なわした場合には、それの金利、倉敷等については政府が助成するという根拠がありますけれども、きめ手にはならぬわけですね。したがって、最近の価格がキロ当たり百四十円程度を低迷しておるわけでして、決して安定した価格ということにはならぬと思われます。しかも、卵の消費量は日本は世界一でありまして、国民一人が一年間に大体百七十五個です。二日に一個くらいの消費量ですからして、これをさらに消費拡大するということはなかなか困難な事情にもあると思うわけですが、この現状にかんがみて、どういう方策を講じた場合において卵価が回復し安定するかという問題と、もう一つは、いまの飼料対策が、ほとんど国外の濃厚飼料輸入依存という形でいっておるわけですから、結局外国のほうが日本の市場に対しては売り手市場のような立場を示しておるわけです。そういう関係は将来続けていくべきではないと思うので、この際輸入依存から脱却するためにはどうするかということが一番大切な点になると思うわけです。もちろん、草地造成法の新しい方式も漸次表面には出てきておるわけですが、これだけでも解決できないと思うのです。一つ方法としては、この際畑作の中において飼料用の作物を速急に増産させるということが一番きき目があるのじゃないかと思うのです。外国等においても飼料制度というものは相当確立しておりまして、国内の農業生産の全体の計画の中で必要な家畜の飼料というものの作付をふやすというような場合には、従来耕作しておった他作物のたとえば反当たりの収益と飼料作物を栽培した場合の単位当たりの収益の差というものを比較しまして、飼料作物のほうが採算性が低いという場合には、その差額を国が一定の方法で助成等をしまして、積極的に農家が飼料作物を栽培する、自家用あるいは販売に供するということにしないと、国内における資料資源の開発とか確保ということは不可能であると思いますが、この点については農林省としては具体的な施策を打ち出していないわけですね。したがって、この際、卵価対策をあわせて国内における自給飼料の一大増産というものについて、制度的にもあるいは国の方策としてもどうするかということを、構想があれば明らかにされたいわけです。
  138. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 卵価対策につきましては、しばしば御指摘があるように、非常に値下がりしていましたが、最近におきましては少し安定しているのは御承知のとおりでございます。需要供給のバランスということがまず必要であろうと思いますが、そういう点におきまして、供給の調整等もし、あるいは消費の宣伝といいますか、そういう対策も講じてきておるのでございます。しかし、いますぐ手を打つということは、先ほど御指摘がありましたように、畜産物価格安定法によりまして、生産者団体の調整保管ということだと思います。昨年中にも二回ほどそういうことをやるということになりまして、ある程度安定はしましたが、その後におきましても供給相当多いので、現状のような状況でございますが、その生産者団体の調整保管ということが必要であれば、もうやってもいい、こういうふうに考えております。長期的な見通しで言いますならば、やはり需給安定が保たれるということと、それから御指摘の飼料対策だと思います。何といたしましても、購入飼料特に輸入の飼料に依存しておりますので、生産者といたしましてもコスト高というようなことになっておりますし、また、飼料の入手が不安定なことでございます。輸入でございますから、今度のようにメキシコ湾のストのようなことがありますと輸入がおくれる、ちょっと途絶するというようなこともありまして、価格にも変動が来ると思います。輸入飼料につきましては飼料需給安定法によって操作をしていきたいと思いますが、なお、アメリカばかりでなく、輸入先等につきましても、東南アジアとかアフリカとか、あるいはまた南米という方面にも輸入先を変えていくということも必要であると思います。それから、何といたしましても、国内の自給飼料によりましてやっていくということが大切なことでございます。残念ながら輸入飼料に非常に依存しているということでございますので、国内の畑作等につきまして、飼料の作付を進めていくということにいたしたいと思います。そのために、イモ等につきましては、でん粉との競合の点も相当緩和されましたので、品種の改良等も進めていきたい。麦等につきまして、裏作に相当不作地がございますから、これを解消する意味におきまして麦作を進めていきたい。価格の面でございますが、これは、飼料として食管の対象となっておるというようなことが、価格の面で思わしくない面が麦等にはございます。そういう点につきましてどういうふうにこれを措置していくかということについて、いま成案は持っておりませんが、そういう問題点等を解消いたしまして、自給飼料を増産していく、こういうことに進めていきたい、こういうふうに考えております。
  139. 芳賀貢

    芳賀分科員 鶏のえさの場合は、イモ類とか麦類、これを主要なる飼料にするわけにいかぬですね。やはりトウモロコシとかマイロが中心になるわけですが、たとえば、農林省ではやっておりませんけれども、九州においては一部マイロの栽培試験等をやっておるわけですね。当然輸入の相手国よりも生産条件が悪いわけですが、国産に適するような品種の適応性の問題であるとか、それを国がある程度助成して、国内において条件は悪いけれどもある程度の生産を高めさしていく、そうして漸次自給度を向上させるということは非常に大事な点だと思うわけでありまして、いずれ、酪振法の改正とか、畜安法の改正とか、機械開発公団法の改正とか、そういう一連の関係法が出てくるわけですから、それまでに、国内における自給飼料の生産対策等について一応の方針を固めてもらいたいと思うのです。  最後にもう一点だけお尋ねしたいのは、これは農業白書の中にもうたわれておるわけですが、特に農民の場合には社会保障の恩恵が国民の中で一番おくれているわけですね。これは白書の中で明確にされておるわけです。そうすると、健康保険の問題であるとか年金制度の問題が直ちに対象になるわけでございますが、特に年金の場合には、農漁民は国民年金の対象者になっておるわけです。これはもう内容が非常に貧弱であって、いまの国民年金制度をもって、農漁民に社会保障制度として安心させることはできないわけですね。したがって、いまのような恩給とか年金制度の中においては、国民年金の対象者は農民、漁民、あるいは自営企業である中小企業の経営者だけが対象になって、それ以外は、政府の恩給制度とか、組合年金の制度であるとか、あるいは厚生年金の対象になっているわけです。ですから、この際農漁民に対する社会保障制度を急速に確立するということであれば、当然年金制度の面においてもこれは独立して農民年金制度というものを速急に打ち立てる必要があると思うわけです。厚生年金の改正においても一万円年金の実現ということが政府の案としても出されておる時期ですからして、少なくとも農漁民の側においても、三十年、四十年農業あるいは漁業に専念して、そうして非常に不遇な状態の中で老齢になる、その場合にやはり国の農民年金制度等によって十分老後の安定が得られるという制度が確立しておれば、いまのような兼業化の増大の問題とか老齢化、婦女子化のこの一番ネックになる問題の解決はできると思うわけです。したがって、この点は農林大臣もときどき農民年金制度の問題等についても言及されておるわけですからして、これは一挙にとはいかぬとしても、むしろこの際、国民年金でなくて、農民年金制度を実現させるという方向に政府としても進路を定めてはどうかと思いますが、この点はいかがですか。
  140. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 社会保障制度を手厚く農漁民に及ぼすということは、必要緊迫した問題だと思います。ただ、これをいまの一般の社会保障制度のもとでやっていくか、特別に農漁民だけにやっていくかということにつきましては、社会保障制度全体としても相当検討を要することだと思います。私も農民年金というような考え方には同意するものが相当多いのでございますが、いまの段階におきましては、やはり国民年金の充実強化という線から入っていってみて、それで十分でないというような場合におきまして農民年金というような方向へ持っていくのがいいのじゃないかというふうに、いまのところは考えております。御意見の点もあり、私もそれぞれ考えておる点もありますので、なおこの点につきましてはよく検討いたしたい、こう思っております。
  141. 昌谷孝

    昌谷政府委員 検討の方向といたしましては、いま大臣がお答えになりましたような方向で私どもも関係各省と詰めております。特に、国民年金制度につきましては、御承知のように、実質的には三十五年度から給付を始めたわけでありまして、この制度は五年目ごとに料率その他の仕組みの再検討をするというふうに法制が仕組まれておりますので、四十一年度のそういう国民年金制度全体の検討の際、特に積極的に、いまお話しのような点を煮詰めてまいりたい、さような目算でやっております。
  142. 古川丈吉

    古川主査 芳賀貢君の質疑は終了いたしました。  次は安井吉典君。
  143. 安井吉典

    安井分科員 私、この機会に三月一日から始まります日ソ漁業交渉の問題について伺いたいと思うのでありますが、その前に、当面の農林水産行政につきまして若干のお尋ねをいたします。  昨年の北海道冷害凶作に対しまして、天災融資法の一部改正が行なわれたわけであります。これに対しまして、社会党の私どもは、単なる限度額の引き上げではだめだ、やはり金利を下げる等の措置が必要だということを主張したのに対して、政府からは、通常国会にさらに天災融資法の一部改正をいたしたいと考えますという御答弁をいただいていたわけでありますが、現在なお天災融資法の一部改正法案が国会に出ていないわけであります。そのおくれている理由等についてひとつお尋ねしたいと思います。
  144. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 慣例といいますか、予算関係法案を予算審議中にできるだけ早く出すということで、予算関係法案の作成を急いでおります。そういう関係で、天災融資法の改正は直接予算関係ということにはなっておらぬ部類に入っているものですから、そのほうがおくれている、こういう事情であります。
  145. 安井吉典

    安井分科員 今度改正案の中に含めようと考えられておる点はどういう点ですか。
  146. 久宗高

    ○久宗政府委員 まだ検討中の段階でございますが、金利と、それに関係いたしました償還期限の問題につきましてお約束しているわけでございます。しかし、抜本的にというお話で検討いたしますと、限度額につきましても若干の問題があるわけでございます。そこで、天災融資法そのものに限定しますと、ある程度限定できるわけでございますが、もう少し問題を広げるような性質も含まれておりますので、若干手間どっておるわけであります。
  147. 安井吉典

    安井分科員 一説によると、農林省考え方に対して大蔵省がなかなか同調しないので成案がおくれている、こういうふうな話も聞くわけでありますが、昨年のようなああいう強烈な冷害といったような事態は、いつ何時起らぬとも限らぬわけであります。今日、農林漁業についての金融体系は、世界的な傾向としてどんどん金利も下がっているし、国内のいままで出てまいりました傾向も、みなやはり金利引き下げの傾向になっているわけです。農業改善資金だとかそういうものも非常に低いのに、災害の資金だけがずっと昔きめたままになっているという事態は、私どもはどうしても理解できないわけであります。ですから、ぜひ農民あるいは漁民の納得できるような法案に仕上げて、一日も早く提出していただくことをお願いしておきます。  そこで、一月八日、九日の低気圧による暴風雪、高潮の漁業災害復旧の問題が北海道から東北にかけて起きていたはずでありますが、これに対しても天災融資法の適用をどうするかについて検討中だというふうな御答弁が以前にあったわけでありますけれども、現在の段階においてどうなっているか、それをひとつ伺います。
  148. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 その後高潮の被害地について実情を調査しておったのでございますが、先般の高潮による天災融資法関係の被害は大体六億六千万円でございます。これは、今日までの事例から言いますと、なかなか天災融資法の発動される規模にはならないのでございます。しかしながら、事態が事態でございますので、なお検討いたしたいと考えております。
  149. 安井吉典

    安井分科員 漁業災害は大体どの程度から天災融資法の適用の対象にしておりますか。
  150. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 過去の事例では、漁業災害だけで天災融資法の対象になったという事例はほとんどございません。天災法ができる以前に、オホーツク海の方面で起きた被害について特別法があったことがございますけれども、その後においてはほとんどございません。たいてい農業関係あるいは林業関係の被害と同時に対象になっておったのでございます。そういった関係で、いままでの事例から言いますと、通常、私どもとしては、三十億円くらいの規模を上回る災害について発動されておる、こう了解いたします。
  151. 安井吉典

    安井分科員 私、その点ちょっとふに落ちないわけであります。農業災害ですと相当幅広く起きる可能性があるわけです。起きていいという意味じゃありませんけれども。たとえば、北海道のように冷害ということになりますと、これは問題が全面的広範囲にいくわけです。しかし、漁業災害になりますと、そうはいかぬと私は思うのです。そしてまた、他の公共災害と抱き合わせという問題も、漁業災害の特質から言って、高潮で水が押し寄せてきた、こういうような事態の中からは、なかなか三十億円まとまって災害の結果が出てくるというふうな形にはならぬのではないかと思うわけです。ですから、私は、漁業というのは、これも海岸線に沿って起きる問題でありますから、おそらく三十億という大きな数字を掲げておっては、永久に漁業災害は天災融資法の適用にならぬのじゃないか、そういうふうな気もするわけであります。ですから、漁業災害については、そういうしゃくし定木ではなしに、何か特殊な当てはめ方を御研究になる必要があるのではないかと思うのですが、どうですか。
  152. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 確かにただいま御指摘になりましたような問題がありまして、私ども割り切れない点があるというような感じがしておるのでございます。そこで、もしもこの国会に天災融資法の改正法律が提出せられるような機会がありますならば、その点につきまして、これは法律の改正を必ずしも要しないわけですが、そういう機会もあるかと考えまして、現在検討を進めております。ただやはりどんな災害でも適用するというわけにもまいらぬと思うのであります。それから、一定の規模で、これは農業だけであろうと、あるいは農業、林業、漁業と含めてであろうと、やはり一定の規模というものは考えなければならぬ。その辺どういうふうに調整するか、いろいろと検討を進めておる段階でございます。
  153. 安井吉典

    安井分科員 御検討中だということでありますが、ぜひ今度の国会中に一つの結論を出していただくことを期待しておきます。  それから、いまの高潮災害について、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第十一条の共同利用小型漁船の建造費の補助について、この災害を指定することによって措置するということは非常に大切な問題だと思うのでありますが、これについて作業はどういうふうに進んでおりますか。これは必ずやっていただかなければならない問題だと思うのですが。
  154. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 今回の高潮によります北海道、三陸方面の被害は、この小型漁船につきましてかなりございます。私どもとしましても、その実態をそれぞれの道なり県別に十分調査したのでございますが、過去の事例から言いますと、激甚災法を適用するにやや問題がございます。問題がございますけれども、とにかく相当な被害でありますので、できるだけ発動いたす方向で検討し、今後折衝もいたしたいと考えております。
  155. 安井吉典

    安井分科員 結論はいつごろ出ますか。
  156. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 いつごろとはっきり申し上げかねまするが、あまり遠からず出せると考えております。
  157. 安井吉典

    安井分科員 そのこともぜひお願いをしておきます。  そこで、次に農山漁村電気導入法の関係でありますが、僻地の無電灯地帯に対する対策として、今日までこの法律が相当な役割りを果たしてきたわけです。しかし、これからあと電灯をつけるという地帯は、山奥が多かったり、幹線から離れていたり、そういうような地帯が多いものですから、たしか、ことしの予算の中でも、政府は単価の是正等の措置を講ぜられているはずであります。私はその単価でも十分ではないと思うものでありますが、きょうは時間がありませんので、その問題はその問題でまた別に論議することにいたしまして、今後の問題点を一つだけ指摘しておきたいわけであります。  そのことは、共同受電等の措置がありました場合に、非常に単価が高くついているものですから、電灯料が高いわけです。たとえば、この共同受電あるいは自家発電というふうなものは、電線や電柱等の資材もあまりいいものを使っていないし、変圧器の配置だとか、配線の方式なんかもなかなか本職のものと比べるとそうりっぱにはいっていないわけであります。あるいは主任技師を置かなければいけないし、職員その他の人件費もあるし、施設の改修費、こういうものも、すべて物価や人件費が上がっているわけですから、なかなかたいへんだ。特に大きいのは減価償却費で、ところによっては、この間もこういう話を聞いたのですが、六メートルスパンの電柱を十本も立てなければならない。六百メートルもあるところもある。こういうようなものも含んでおりますと、どうしても単価は高くなってしまうわけです。それを料金で償却していかなければならない。こういう事態がありまして、大体一戸当たりの電灯料は普通の電力会社のもに比べますと二倍から三倍くらいになっているわけです。農家の場合ですと、電力会社からの電灯料は、大体一軒当たり五百円か八百円くらい普通払っているようです。ところが、こういったような農電地帯に参りますと、一カ月二千五百円から三千円くらい払っている。こういうふうな事態があるわけです。今日までこの法律が新しく電灯をつけるという意味において果たしてきた役割りは、私も大きく評価をする一人でありますけれども、今後の問題として、そういうふうな電灯料がべらぼうに高いという問題をやはり何か解決する方法を考えていくべきではないか、こういうふうに思うわけであります。農家経済も、農業白書がはっきり言っているように、そういいほうにいっておりません。特に、こういう僻地に行きましたら、兼業収入もわりとなくて、たいへんなわけであります。どうでしょう、こういうふうな問題につきまして、今日まで何らかの検討がなされたか、あるいは今後どうしようというふうなお考えをお持ちか、それをひとつ伺いたいと思います。
  158. 昌谷孝

    昌谷政府委員 御指摘のように、特に北海道の農村の電気導入がまだ自家用施設に依存している割合が非常に高いわけであります。そういう意味で、内地の場合には、おおむねそれらが電力会社に施設の管理がえ、吸収をされまして、直接的な負担が軽くなっておりますのが、北海道の場合には、自家用共同受電という形が数多く残されておりますために、お話のような結果が出ておるように私どもも思います。四十度年の予算措置におきまして、北海道の共同受電施設、あるいは開拓地を含めまして、それらの助成のあり方につきまして、かなり思い切った改善を加えたつもりでおります。  単価につきましては、それぞれの電力会社の事業単価を採用しておりますから、比較的無理はないと思いますけれども、従来は補助対象の事業の足切りをいたしましたり、頭打ちをいたしましたりして、かなり限定的な補助のやり方をいたしております。それを、本年から足切りをやめ、また補助率等も一般に引き上げましたので、まず施設費あるいは施設改修費についての農家負担はかなり軽減を見る結果になろうと期待をいたしております。そのことがまた、ひいては、まず共同受電施設の改修をやることによりまして、電力会社への移管、切りかえを容易にする一つの前提条件とも相なるわけで、そういう意味で、今後もそういった施設の改修事業につきましては予算の充実をはかりたい。それによって、現在北海道庁でもたいへん御熱心に、電力会社への施設の移管切りかえ等の具体的措置について、関係通産当局あるいは電力会社と具体的に御交渉中と承っております。私どもも、その施設の改修に伴いまして、そのような内地並みの維持管理のあり方にだんだん接近をする、そのことによって、御指摘のような受益農家の電力料負担が特に割り高にならないように実現してまいりたい、かように存じております。
  159. 安井吉典

    安井分科員 ただいまおっしゃったように、施設に対する補助等では逐次改善が行なわれてきているととは私も認めるところです。たいへんいいことだと思います。しかし、それだけではいまの問題は解決できないわけで、これは将来にわたってはもちろんそれがプラスになってまいりますことはわかります。しかし、それもほんの徐々にしか出てこないわけで、現在でも、たとえば古い施設を改修して電力会社に渡そうとすると、改修費が相当かかる。その上に変電所も新しくつくらなければならぬ、変電所は会社のほうでつくってくれといったら、会社は、慈善事業じゃないからそれはできませんと言う。そこで、地元は百分の九九・九の負担というところで話がつく。全然会社は持たないというわけじゃないわけです。百分の九九・九が地元負担だ。こういうふうな形で、地元は何もかも負担しなければならない。そういうふうな事態があるわけです。やはり二千五百円も三千円も電灯代がかかるということでは、これはなかなかたいへんなことではないかと思います。私が会った農民の人は、電灯がついてなるほど家の中は明るくなった、しかし、高い電灯料をこれから払わなければいけないので、気持ちが暗くなった、こういう述懐をしておりました。やはり、電力会社から、共同受電のところまでいくコースでもけっこうでありますし、何らかの方法でこの金を下げてあげるというふうな仕組みが考えられないかと思うわけです。これは、いますぐことしの予算の中で見てくれ、こう言ったって無理だろうと思うのですが、近い将来における宿題として、ぜひお考えおきを願いたいわけでます。その点どうでしょう。
  160. 昌谷孝

    昌谷政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、内地の場合でございますと、おおむねそれらの端末までの電力会社への移管が行き渡っておりますので、よほど事情が違っております。北海道の場合、特にそういう切り換えのおくれが目立つようでございます。いませっかく道庁も熱心にその移管の促進をはかっておられますので、御指摘のように、私どもも道庁のそういった御意図が実現いたしますよう、いろいろと御援助をいたします。  なお、その過程におきまして、現在その移管を前提とした施設の改修等の助成をやっておるわけでございますけれども、それらの結果が移管の促進になりますよう、今後ともさらに検討を重ね、促進されるよう努力いたしたいと思います。
  161. 安井吉典

    安井分科員 大臣、どうでしょう、家の中も明るくなるし、農民の気持ちの中も明るくなるように、この問題についてもう少し御検討いただきたいと思うのですが。
  162. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私のほうの事務当局にも、そういう線に沿うて十分検討さしていきたいと思います。
  163. 安井吉典

    安井分科員 三月一日から、霞ケ関の外務省で、第九回の日ソ港業交渉が始まるわけであります。今度の交渉は、いろいろな意味におきまして非常に重大な意義を持っていると私は思うわけであります。この交渉を通じまして、一年限りで、しかも毎年毎年後退をするという結果になっているような交渉の事態、さらにまた、出漁期が間近に迫らなければ漁獲量がきまらない、そういう交渉方式、こういうような形ではなしに、これはもちろん年によって違ってきておりますし、去年なんかわりあいにこういうふうな事態を若干避けることができておるわけでありますが、いずれにいたしましても、今日考えられるいろいろな欠陥を除去しながら、長期安定操業ができるような、そういう有利な結果を得たいものだ、漁民も、そして国民全部も、そう考えておるわけです。まず農林大臣のこの交渉に臨まれる基本的な態度につきまして伺いたいと思います。
  164. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日ソ関係の北西太平洋のサケ、マス、カニの漁獲量の決定は、条約によりまして、毎年両国の委員会において決定する、こういうことになっております。でありますが、いまお話しのように、実は二年とか三年とか、長期的に漁獲量などがきまっておることが非常に望ましいのでございます。これは七、八年前にこの漁業交渉の始まったときからの懸案でございまして、少なくとも二年間はきめていこうじゃないかという折衝をしたことがございます。一九六三年ですか、このときには二年分きめようじゃないかということできめておいたことがあります。でありますので、一昨年でしたか、私もカナダからソ連に向かいましたときに、そういう交渉をまた続けたのでございます。ところが、二年分の実績といいますか、統計等がなかなかまとまらなかった。安定的な漁獲数量というものに対する統計ができていないという向こうの言いわけです。こういうわけで、その年の漁獲量についてもその前の漁獲量を基準としてきめますが、その統計もなかなかまとまってこないというような言い分で、二年間のきめというものはあのときだけで、その後またもとへ戻って一年ごとにきめるということになっております。でありますので、私としても、二年間くらいのきめというものはぜひしたいと思いますけれども、しかし、ことにことしは、非常に去年の漁獲量が減って、資源が減っておるというような状況もございますので、ことしから来年に向かって二年間の取りきめということは非常にむずかしい、ことしだけでもなかなかむずかしい段階であろう、こういうふうに見通しをしておるわけです。
  165. 安井吉典

    安井分科員 いまの御答弁のとおりだと思うのです。むずかしいことはわかりますけれども、しかし、一般的な期待は、できるだけ長期の安定したものをということでございますので、ぜひそういう御努力を願っておきたいと思います。  そこで、問題点につきまして数点伺いたいと思いますが、まず漁獲量の問題であります。去年はA地区、B地区に分けてそれぞれ五万五千トンずつというふうな決定でありますが、しかし、ことしはマスの豊漁年に当たっており、そういうふうな事態の中から、少なくも一昨年の量を下らない量で妥結をしてもらいたい、こういうふうな大日本水産会あるいはまたその他一般的な期待があるわけです。しかし、一方、昨年の漁獲実績は、水産庁の発表によりましても若干落ちておりますし、それからまた、ソ連側のサケ、マスの実績も相当目標を下回っているようであります。こういうふうな事態がからみ合いまして、交渉はむずかしい段階も経るのではないか、こういうような観測もあるようでございますが、この漁獲量の問題につきまして、どういうふうにお考えですか。
  166. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 三月一日となっておりましたが、向こうの首席代表がおくれまして、三月二日から交渉を始めるのであります。交渉を始めますと同時に、両方の科学者によりまして資源の状態についての検討をいたすわけでございます。その際、もちろん日本側も、すでに科学者、研究陣を動員しまして、本年のサケ、マスの資源の状態、カニの資源の状態等につきまして、ほぼ検討を終わっております。ただ、交渉以前でございますので、日本側の腹を示すようなことを具体的に申し上げかねるわけでございますが、日本側の科学研究陣の見ておりますところでは、いまお話しのありましたように、沿岸への来遊量、回帰量におきましてはほぼ一昨年の状態が期待できるのではないか、こういう見通しのようでございます。しかしながら、いまお話のありましたように、日本側におきましても、昨年のマスの漁獲実績等におきまして、四十八度以南の水域の漁獲がふるいませんでした。ソ連側におきましても、マスが非常に不漁であり、特に西カムチャッカにおいて不漁である、また、樺太におきましては相当に病気の魚が発生したというような状態もありまして、資源の状態は来遊量としては一昨年程度であろうと見ておりますが、必ずしもそう楽観していい状態とは考えていないのでございます。そういうことも考えあわせまして、両方の科学者において十分研究してもらいまして、その辺で先を考えた妥当な結論を出していただくことを期待しておるわけでございます。
  167. 安井吉典

    安井分科員 昨年の特にB区域における不振がやはり焦点になってくるのではないかというふうな気がするのでありますが、しかし、一方では、私はしろうとだからよくわかりませんけれども、北西太平洋の潮流の変化でマスの回遊状況が変わったというふうなこと、北海道は去年陸のほうもかってない大冷害があったのですから、海流にもそういうふうな変化があったのではないかというふうな観測、あるいはまた、しけ続きで去年の操業期間が非常に短かかったというふうなこと、そういうふうな反論をいろいろ漁民のほうからも私ども聞くわけでありますけれども、やはり科学的に、昨年はこうであって、そしてことしは新たな展望に立ってこうなのだ、こういうきっちりした根拠をお示しになることが非常に大切な問題ではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  168. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 一般に昨年のB水域における不漁が冷水塊の発達による水温の低下によるもの、これはサンマやイカにもそのために不漁が起きたのではないかという観測がございます。あるいはそのとおりであるかとも思うのでございますが、これはもちろん昨年の不漁につきましての一つの説明でございます。そのためにしからばサケ、マスの資源がいいか悪いかということとは、また別の問題になるわけでございます。昨年の不漁についての一つの説明でございますけれども、北海道——北海道といいますより、B水域の海流の状態が変わっても、資源が減ったとかふえたということとちょっと別の問題でございますので、その辺のことは十分両方の科学者に討議してもらいまして、妥当な結果が出るように願っておるわけでございます。
  169. 安井吉典

    安井分科員 大臣、いずれにしましても、私は、今度の交渉の段階において一昨年の数字を絶対に下回らない、こういうふうなお気持ちで最後まで交渉に当たっていただかなくちゃならないと思うわけでありますが、どうですか。
  170. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 状況等につきましては、安井さんのお話のとおり、あるいは水産庁長官が答えたような状態と私ども承知をしております。でありますので、そういう状況を基礎として、なお資源の保存にも十分な考慮を払いながら、いまお話しのようにことしはマスの豊漁年だというこでありますので、豊漁年にかかわらず状況が悪いのだということも頭に入れなければなりませんが、できるだけお話のような線に沿うて合意に達するように努力したい、こう思っております。
  171. 安井吉典

    安井分科員 次に、西カムチャッカのカニ漁の問題でありますが、従来と違った一つの問題点をここで引き起こしているような気がするわけです。例のアメリカが大陸だな条約の発効でブリストル湾のカニ漁を規制してきているわけであります。日米タラバガニ交渉でも、前の年から五万箱も削られた、こういうような事態が起きているわけで、今度の場合も、ソ連側は必ずその問題を持ち出してきて、この西カムのカニ漁についての問題に、日本側の要求に対してきつい態度で臨んでくるのではないかということを私は予想するわけであります。この点につきましてはどういうふうなお考えをお持ちですか。
  172. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 一般にそういう危惧が持たれておるようでございますが、私どもとしましては、ソ連がどう出るかということの疑心暗鬼であまりものを考えないほうがよろしいと考えて、むしろ資源の状態などからいろいろなことを割り出しておるわけであります。その点におきましては、西カムチャッカのカニの資源はいまのところ安定しておる、こう考えておるのでございます。アメリカと日本との間にタラバガニに関する協定が結ばれましたけれども、これは双方の立場を傷つけることなく、日本としてはあくまでもタラバガニは公海資源であるという立場に立ち、アメリカは大陸だな資源であるという立場を明らかにし、両方明文をもってその立場を保留した協定になっております。ソ連は大陸だな条約に加盟しておりまして、前から、カニは大陸だな資源である、こう申しておりますけれども、日本としては、アメリカに対する態度と同じに、公海資源である、したがって日ソ漁業条約のワク内において処理すべきものであるという考え方に立って交渉に当たる考えでございます。ソ連がどう出るかはまだわからないのでございますが、そういう気がまえでおるのでございます。
  173. 安井吉典

    安井分科員 アメリカとの交渉の中で、日本側の考え方もアメリカ側の考え方も併記してきたのだ、こういうお話でございますけれども、しかし、第三者的なもののとり方としては、日本側がどうも譲歩したのではないか、そういうふうな印象を与えているおそれがあるわけです。これはもうそうであってはいけないし、日本はあくまで認めてないのですから、その態度でいかなければいけませんけれども、あそこで行なった譲歩がいつまでも日ソ漁業条約の中にも影響を持ってくるのではないか、そのことを私は非常に心配するわけであります。たとえばけさの産経新聞に、産経のモスクワ支局長とモイセーエフ首席代表とが二月二十二日にモスクワで会ったという会見記が出ています。その中でモイセーエフは、「新しい状況がカニ漁の禁止につながる可能性もあるといえる。交渉をひかえていまのところそれ以上のことはしゃべれない。」、こういう言い方をしているようです。これはことばのとおりかどうかわかりませんけれども、そういうふうな報道が現にきているわけです。ですから、これに対するきちっとした反論を十分に日本政府は持たなければいかぬというふうに私は思うのですが、どうでしょう。
  174. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 仰せのとおり、日本側としては、あくまでもカニは公海資源であるという立場に立ちまして、また、資源の面から言いましても現在は不安の状態にないという態度で、それぞれ準備し、交渉に当たる考えでございます。  なお、いま日米交渉につきまして、漁獲量について譲歩したという話があったのでございますが、ブリストル湾におけるタラバガニにつきましては、これは、日本の科学者においても、最近あの資源状態に若干の危惧を持っておるわけでございます。それで、最大の持続生産量を維持するための妥当な漁獲量はどのくらいであるかという立場に立って資源の保護をしようという長期にわたる見通しに立って、十八万五千ケースという結論を出したわけでございます。その漁獲量のきめ方については、ソ連とアメリカの間においてもほぼ同様の基礎に立った取りきめができておるようでございます。
  175. 安井吉典

    安井分科員 交渉の前ですから深く入ったお尋ねはいたしませんけれども、私どもはあくまで大陸だな条約は認めないのだということ、そしてまた、日ソ漁業条約の中にもはっきり明記されているように、西カムチャッカのカニ漁については、これは日本の歴史的な権益として明らかになっている点だということ、そういう点を十分に強調しなくてはならないと思うわけです。この点、いままでカニ漁については比較的スムーズな結論になっておりましたのが、どうもブリストル湾のあの規制以来新たな事態に入ったということから、私どもはさきの日米タラバガニ交渉の結論に大きな不満を表明するとともに、この西カムチャッカのカニ漁の問題についてはぜひ筋を通した結論を得ていただきたい、そういうことを望んでおきたいと思います。  次に、監視の問題でありますが、特にB区域に対する監視船の乗り入れを、昨年の場合もソ連側は相当強く主張してきたということも私聞いているわけであります。この問題についての今度の交渉に臨まれる政府のお考えはどうですか。
  176. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 お話のように、昨年ソ連側はB水域にソ連の監視船を乗り入れたいということを強く主張した模様でございます。今年の交渉におきましても、あるいは同様の態度で出るかとも思っております。しかしながら、日本側としましては、いままでの交渉の経緯もありますし、また、この水域については日本側の監視船によって取り締まりをやるという考え方、これは国民的な感情から言いましてもそうあるべきものと考えて、交渉に臨みたいと思っております。
  177. 安井吉典

    安井分科員 その他漁具や網目に至るまでこまかな規制があって、こういうような問題がわずらわしい、特に小型漁船の場合は、そういうようなものに縛られているような、そういう印象をぬぐうことができない、こういうような意見も非常に強いようであります。そういうような問題についても交渉の中でぜひ解決をしていただきたいと思うのでありますが、特にオホーツク海の問題であります。たしか昭和三十五年禁漁になったわけでありますが、それ以来もうずいぶん日がたっており、いわゆる資源問題も新しい状態になっているのではないかということも予想される。それにもかかわらず、相変わらずこの地域はオフリミットになっている。こういうような問題について漁民の間から強い要求があって、ぜひこの区域の解放を交渉の中からかちとってもらいたい、こういうふうな要望が強いわけであります。この点につきましてはどういうふうに今度の交渉では当たられますか。
  178. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 関係している漁民、特にオホーツク海にかつて出漁していた北海道の漁業者の方々の間に、オホーツク海の禁止区域を解除するように交渉せよという要望が非常に強いということを、私どもも承知いたしております。この問題につきましては、実はホオーツクを禁止区域にした結果どうなったであろうかということを日本側としても検討いたしております。まだ全体的に的確な結果がつかめていないわけでありますが、一部の地域においては明らかに資源の回復の傾向が見られる。しかし、その他の地域においてはそういう結果が出ていないということでございます。現在は三十七年以来調査船を出しまして、あの水域について調査を実施いたしております。その調査の結果を待ちまして、いろいろな科学的な根拠も持ちましてこの問題の処理に当たるのが妥当ではないか、こう考えておる次第であります。
  179. 安井吉典

    安井分科員 これは日本だけの調査ではなしに、ソ連も一緒に共同調査して問題の解決の糸口を見つけよう、こういうふうな持ち出し方でなくてはいけないと思うのですが、どうですか。
  180. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 あるいはそういった面も考える必要があるかとも思います。また、交渉の場におきましても、十分双方の資料を交換して、相互に検討する必要があるかと考えます。
  181. 安井吉典

    安井分科員 この問題につきましては、これまでの約四、五年の間政府はソ連側に対してきちっとした手を何も打ってはいないではないか、こういうふうな批判が非常に強いわけです。それだけに、今度の交渉の中で解決の糸口を見つけるような、そういう努力を私はぜひ願っておきたいと思うのでありますが、これは非常に大事な問題だと思いまするので、大臣からもひとつお考えを承りたいと思います。
  182. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 オホーツク海に入らないことに約束しましたときには、いずれ資源の回復を待てばそれを解放するというような話し合いがあったわけでございます。あれは従来母船二つだけ入っておったと思いますが、三十五年から御承知のようにやめました。その後毎年資源の回復が全体として思わしくないようなものですから、毎年問題としては提起をいたしますが、あそこを解放するという段階に立ち至っていないのでございます。しかし、約束が資源の回復等によりましてあそこも解放するんだということにはなっておるのです。そういうことですから、毎年その権利だけは主張してきておるのでございますが、いま水産庁長官の申し上げましたとおり資源状況の調査をしています。いまのお話のように、ソ連も一緒になって共同調査というような方向も、これは望ましいことでありますし、そういうような方向で、このオホーツク海も禁漁地区を解除するというような方向へは十分努力して交渉当たりたい、こう思っております。
  183. 安井吉典

    安井分科員 今度の協定が終わって、また明年を迎えますと、明年は条約そのものの期限が切れる時期に入るわけであります。したがって、今度の交渉の中にも、次の条約改定についての基本的な交渉といいますか、考え方といいますか、そういうようなものも含めて話し合いをなさるお気持ちかどうか、それについての政府のお考えはどうなのか、つまり、条約を今後どうするかということについてのお考えはどうなのか、その点について伺います。
  184. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 日ソの漁業条約は、ただいまお話がありましたように、来年一ぱいで満期になるわけでございますが、その後は双方のいずれかが廃棄を通告しない限りそのまま継続される、こういうことになるわけでありますので、この条約そのものにつきましては、日ソ条約は、日米加条約と違いまして、日本側から見ますと、重要な改正点、これはぜひ改正しなければならぬというほどの重大な点はないのではないか、これは目下検討中でございますが、というように考えております。できれば改正したほうがいいというような技術的な問題はあるのでございますが、日本側から見ますとそういうことでございます。ソ連側がどういう改正を望むかということはまだわかりませんが、今度の委員会の交渉においてそれを持ち出すかどうか、これもはっきりいたしません。日本側としては、もしソ連が改正点等について具体的な提案をしてきた場合には、よくソ連の考えを聞いてみたい、まだ十分改正のための瞬間はございますので、そういうような態度で臨んではどうか、こう考えておるのでございます。
  185. 安井吉典

    安井分科員 予定時間があるそうでございますので急ぎますが、この日ソ漁業協定に関連いたしまして、せっかくソ連側から漁業の責任者が見えるわけですから、例の日ソコンブ協定、北海道ノサップ岬沖の貝殻島付近の例のコンブ採取についての協定でありますが、こういう話し合いも同時に行なうことが望ましいし、現にそういうふうな運びも行なわれておるというふうに聞くわけでありますが、これは農林省ですか、農林省が直接の交渉ではないわけですが、世話は農林省がされるであろうし、それからまた外務省のほうも連絡その他に当たるわけでありますが、その問題についての政府側の御見解をひとつ伺いたいと思います。
  186. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 外務省からも見えておりますが、一応私から便宜申し上げますと、貝殻島周辺のコング採取につきましてのこれは民間協定でございますが、これについては、つい最近、大日本水産会の中部会長からソ連のビノグラドフ大使に、その延長について、二年延長を申し入れた模様でございます。ソ連側は、それに対して、その要請にこたえるという態度であった、こういうように聞いておるのでございます。
  187. 安井吉典

    安井分科員 外務省のほうは……。
  188. 山田淳治

    ○山田説明員 コンブ協定につきましては、ただいま水産庁長官の言われましたとおり、一月二十九日大日本水産会から在京ソ連大使に延長について申し入れまして、ソ連側も原則的にそれに同意しております。そうして、従来交渉はモスクワで行なっておりましたが、今般は、日ソ漁業委員会に参りますソ連の漁業生産国家委員会の人が大日本水産会と東京において交渉する、かつ、従来と違って二年間延長する、なお、対象漁種にコンブ以外にさらに小魚を含めるという点について原則的な了解をつけております。この点につきましては、外務省においても、東京において行なう、この点について全く問題はない、こう考えております。
  189. 安井吉典

    安井分科員 コンブだけでなしに小魚も含むという点については、はっきり向こう側のほうはオーケーを出しているわけですね。
  190. 山田淳治

    ○山田説明員 この点につきましては、日本側よりもむしろソ連側から、小魚を含めたらどうかというふうに提案をしてきたように、私は聞いております。
  191. 安井吉典

    安井分科員 このコンブ協定の問題については、過去二年間、操業上何らの支障が起きておりません。きわめてスムーズにいっているわけです。ですから、日ソ漁業協定のサケ、マスのほうは、これは大企業の関係でありますけれども、しかし、その大企業の問題が解決しなければ、あるいはまた沖合いの漁業に影響が出てくるし、それから沿岸漁業にもしたがって影響が出てくるわけですから、そういうような意味で、よい結論を出さなければいけないわけでありますが、このコンブ協定の問題は、もうほんとうに零細漁民の問題であります。それだけに、農林省のほうも、この結果がよい形であらわれるようにぜひ御努力を願っておかなければならないと思うわけでありますが、大臣どうですか。
  192. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま外務省当局からもお話がありましたように、この点は民間協定ができてから非常に円滑に行なわれております。そしてまた、ソ連側も非常に好意をもってこの折衝に臨んできておりますので、零細漁民のために円満に、またためになるような協定のできることを期待しておりますが、たぶんできることと思います。
  193. 安井吉典

    安井分科員 もう一つこの際に協定に対しまして御注文申し上げておきたいのは、いわゆる安全操業の問題です。すでに一月になりましてから、稚内の底びき船が宗谷海峡で、十六人乗り組みの八十五トンぐらいの船でありますが、拿捕されておる。二月十四日にも根室の漁船が択捉島の方向でこれも拿捕されておる。同じ日に海馬島沖で稚内の船が拿捕されておる。こういうふうな事件がことしになっても相次いでおるようであります。いつまでたってもこういうふうな問題が解決できないままにいるということは、ほんとうに残念なことでありますが、これは一回や二回の交渉で結論が出る問題ではもちろんないのですけれども、やはり、こういうふうな交渉の機会を通しまして、円満な解決ができますように、政府はぜひ主張をしていただかなければならないと思うのでありますが、大臣どうですか。
  194. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 安全操業の問題につきましても、交渉のつど、特別に関係者あるいは全漁連の会長なんかも、あるいはモスクワにおいても東京におきましても、強く要望して折衝を続けておるわけでございます。今回も、こちらへ来たついでにといいますか、そういう交渉もいたしたいと思います。しかし、この点は貝殻島と違いまして強硬でございます。強硬だからといって引っ込むわけにまいりませんが、そのつど続けてまいりたい、今回におきましても続けていきたい、こう思っています。
  195. 安井吉典

    安井分科員 最後に伺いたいのは、早期妥結の問題であります。毎年長期を要しているわけでありますが、B区域四月三十日、A区域五月十五日ですか、この出漁日までに船団の準備その他で相当な準備期間も必要なわけであります。したがって、一日も早く結論が出るということに、みんな望みをかけているわけでありますが、これは相手があることですから、一方的にどうしろと言ったって結論になるわけではありませんけれども、やはり、これは、交渉に当たる側の日本政府がしっかりした見通しと十分な決意をもって当たるということによって処理するよりほかない問題だと思うのです。百日交渉と前からいわれていたわけでありますが、今度もずいぶんいろいろなむずかしい問題も含まれているようです。しかし、早期妥結という期待は、これまた一方で強いわけでありますが、農林大臣のこの問題についてのお考え方を承っておきたいと思います。
  196. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 百日交渉といわれておったことも、だんだん交渉を重ねるたびに直ってきておることも御承知のとおりでございます。出漁の準備等もございますので、できるだけ早急に妥結したい。ただ、妥結をあせって日本にまことに不利なような状況で妥結することも好ましくないことでございますが、しかし、日本にも相当に有利に、そうして早期に妥結したい、こういう方針で交渉に進むつもりでございます。
  197. 安井吉典

    安井分科員 終わります。
  198. 古川丈吉

    古川主査 これにて安井吉典君の質疑は終了いたしました。  次は、楢崎弥之助君。
  199. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 去る二十日に椎名外相が訪韓されまして、基本条約のイニシアルをして帰ってまいりました。いよいよ日韓会談も新時代を迎えたわけでありますが、問題は今後日韓漁業交渉にかかってきておると思うのです。そこで、赤城農林大臣は、椎名外務大臣が二十日に帰国された後お会いになりましたかどうか、それをまずお伺いいたします。
  200. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 会いました。
  201. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 二十日の共同コミュニケでは、韓国漁業問題を合理的に解決するため、できるだけ早く農相会談を開催することで合意に達したとあります。したがって、当然、外務大臣とお会いになったときに、外務大臣のほうから、早く合意に達するように努力してくれという話があったと思いますが、農林大臣はこの日韓漁業交渉の妥結の見通しについてどのようにいま考えておられますか。
  202. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いわゆる折衝中でございますから、なかなか見通しを端的に申し上げることは困難でございますが、私の考えでは、なかなかそう簡単にきまるものではないというふうに考えております。
  203. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、いわれております第二回の両国農相会談は、一応の見通しが立たないと開かれないことになりますか。
  204. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 韓国側で会談をしてくれということならば、見通しのいかんにかかわらず会談はいたすつもりでございますけれども、私のほうの考え方からすれば、相当専門的、事務的にまとまって、そうして農相会談で大きなところが残ってその面をどういうふうに話し合うかというような段階が一番適当だと思います。しかし、その前にも、この前の農相会談のように、会って話したいということでありますならば、私はそれに応ずるつもりでございます。
  205. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 椎名・李外相会談で、李外相のほうから椎名外相に対して、早急にソウルで第二回の農相会談を聞きたいという要望があったと思うのですが、その点は椎名外相からお話をお聞きになりませんでしたか。
  206. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 できることならば農相会談をソウルでやってもらいたいというような要請があったことを外務大臣からも聞きました。しかし、こういう予算の審議に追われておるときでございますので、私のほうとしては、会談をするということならば東京でしてほしい、そういうふうに連絡してくれというふうに外務大臣に言いました。
  207. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、先ほどの話では、両国農相会談を開きたいという申し入れがあれば煮詰まらない段階でも会っていいというお話でしたが、いまのお話では、すでに向こうからそういう要望があって、それについて、椎名外務大臣を通じ、第二回農相会談を開くとすればソウルでなくて東京で開きたいという連絡をされたわけですね。
  208. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 外務大臣から、会談をしてほしいという向こうからの話、それから日本でもやったらどうか、こういう話を私は受けております。
  209. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それで、赤城農相としては、開くならば東京でやりたいという意思を椎名外相を通じて向こうに連絡されたわけですか。
  210. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 椎名外務大臣からその後の結果は聞いていませんが、椎名外務大臣に対しましては、交渉の場所といたしましては私は日本でやりたいという意思であるということを外務大臣までは通じておりますから、多分外務大臣のほうから韓国側へ話をしたとは思いますが、結果は聞いておりません。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、第二回の農相会談の時期並びに場所については、時期は向こうから正式に要請があればやるということ、場所については赤城農相としては東京を希望する、それでいいですか。
  212. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 さようでございます。要請があれば会談をしてよろしい、会談の場所としては東京を希望する、こういうことを、一方的ですが、私のほうからは返事してあるわけであります。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、二十日の共同コミュニケから考えましても、合意に達しておるのですから、できるだけ早く農相会談を開くことが——私は早急に要請があろうと思うのですが、そうすると、大体の時期としては三月の上旬くらいだと思うのですけれども、直ちにそういう要請があれば応じられる。それから、場所については、あなたは一応東京を望んでおられるけれども、たって向こうからソウルということを重ねて言うてこられたらどうされますか。
  214. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 たって望まれれば、相談してと、こういうことを答えるほかないのですが、こういうところで言うのはどうかと思いますけれども、私は、たって望まれても、予算の審議中に向こうでやるということは好ましいことじゃないと思います。
  215. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 かねてから、大平外務大臣のときからもそうですが、外務省に対して農林大臣は、直接日本の漁業と関係のある利害の問題であるし、非常に明確な態度をとられてきたことには、ある点についてはたいへん敬意を表するわけです。予算の審議中に、あなたが属しておられる佐藤内閣の外務大臣は、この重要な時期に三日間飛んだわけです。いまの農林大臣のおことばから言うと、椎名外務大臣の行動はたいへん国会軽視であってけしからぬことになるわけですが、農相のいまの考え方は、私は、たいへん妥当だ、このように思います。それでは、第二回の両国農相会談は近々のうちに行なわれる、場所は東京をがんばるという農林大臣のおことばをそのまま承っておきます。  次に、今度椎名外相が訪韓しまして基本条約のイニシアルをしてきた。そこで、われわれ社会党としては、これは池田内閣時代に言われておりました一括解決の方式を変更したのではなかろうかということを追及をしておるところですが、これもかねてから当委員会なり関係委員会で農林大臣から言明を得ておりましたけれども、この漁業問題が解決しなければ日韓会談は成立しないのだ、池田総理もそういう言明をされました。その方針はいまも変わらないでしょうか。
  216. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 もちろん、その方針に変わりはありません。
  217. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、これはあなたの所管ではないが、椎名外務大臣が向こうに行かれて基本条約のイニシアルをされてきたことは、一括解決の方針と違わないと思われますか、あるいは一部変更だとあなたとしては思われますか。
  218. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 外交用語を私もよく存じませんが、よく聞いてみますと、イニシアルというのは必ずしも仮調印というような日本語に訳すべきものでもなさそうに考えております。しかし、それは別としても、これは、一括にきまっていかないのならば、この間のイニシアルなんて無効になってしまう、そういう意味におきましては、あれがもう動かすべからざるものだ、こういうものとは考えておりません。たとえば漁業なら漁業がきまらなければイニシアルしたものはそのまま効力を発生しないということなんてすから、一括妥結の方針というのは変わらない、こういうふうに私は了解しております。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 外務省おられますか。今度とられましたイニシアルは、日本政府あるいは今後の日韓会談の交渉を拘束すると思われますか、しないと思われますか。
  220. 広瀬達夫

    ○広瀬説明員 何ら拘束するものではございません。
  221. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、何の役にも立たないようなイニシアルを、わざわざ問題のあるときにしたということは、別の意図があってだと思うわけですが、そこで、農林大臣としては、愚にもつかないようなイニシアルというような考えがありましょうが、この日韓漁業会談が一応曲がりなりに交渉がもしあれでまとまったとすれば、いわゆるイニシアルをなさるおつもりですかどうですか。
  222. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほども申し上げましたように、イニシアルというものがどういうものかよく研究してからにしますが、とにかく、漁業だけできまったらきまったという何らかの話し合いを確かめておくような方法は、きまった場合にはとっておくというようなことになるかと思います。
  223. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体いま考えられたようなことでイニシアルしてきたと外務省は称しておる。もしいまのような農林大臣考え方で、何らかのサインを必要とすればやるということならば、これはイニシアルになるのです。もしそういうことをイニシアルと言うんだったら、なさいますか。
  224. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは、外交慣例といいますか、外交的な一つの専門的なことでございますので、その場合にどういうふうにするかは、外務当局の先例やらその他をよく検討して処置したい、こう思っています。
  225. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 外務大臣としては、漁業交渉が成立したら、イニシアルをさせたいと思ってますか、どうですか。
  226. 広瀬達夫

    ○広瀬説明員 私からちょっと申し上げかねます。
  227. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が外務省から代表に来てくださいと言った際に、外務省を代表して答弁ができる方であればだれでもいいと言ったら、あなたが見えた。じゃ、あなたはその資格がないから、かわってきなさい。その答弁のできる人にかわってもらう。そうでしょう。それをあらかじめ約束したのです。まだほかにも聞くことがあるのですが、外務省を代表して答弁できないようなことでは、ここにおってもらっても何もなりません。
  228. 古川丈吉

    古川主査 広瀬さん、外務省を代表して答弁できるでしょう。
  229. 広瀬達夫

    ○広瀬説明員 大臣の考えをそのまま言えとおっしゃられても、これは申し上げられませんが、事務当局として申し上げられることは申し上げます。  いまのイニシアルということは、赤城大臣からもお話がございましたが、これは、ある何らかの具体的な交渉について事務的な手続の一つとして当事者が合意に達した点を確認するという単なる事務的な手続でございます。その意味において、漁業に関する協定なりあるいは要綱なりが合意に達したときに、そういう意味においてのイニシアルもあり得るかと思いますが、必ずできるかどうかというようなことは、私も大臣でありませんから、やるということは申し上げられませんが、そういう可能性はあり得るとお答えするよりほかないと思います。
  230. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 農林大臣、いまお聞きのとおりでございますが、イニシアルの内容というのはああいうことですが、先ほど大臣がおっしゃったことと大体一致しますね。そうすると、交渉が成立したら、そういう意味のイニシアルだったらやるということですね。
  231. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま外務当局の話を聞きますと、事務当局が合意に達したことを確認してイニシアルをするということですから、そういうことなら、私は合意に達した場合にやっても差しつかえないんじゃないかというふうに考えております。
  232. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そういうやり方には、わが党は一貫して反対しておるわけですが、ここで議論はいたしません。時間がないようですから、その点はまた別の機会に譲ります。  それでは、漁業交渉を早く成立させたいところでございましょうが、問題の李ラインの取り扱いについては、せんだっての委員会で農林大臣は、何らかの形で、名前を変えても李ラインのごときものが残るとすれば、漁業交渉は御破算になる、もし調印後そういう問題が残るとすれば、調印は取り消しになるし、批准後そういう問題が起これば、その条約は破棄せらるべきものだという明確な御答弁を得たわけですが、いまでもそのお考えは変わりませんか。
  233. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日本としては、漁業交渉をして漁業条約をつくるというようなことで妥結するとするならば、李ラインの撤回ということは前提でございます。公海の中へ線を引いて領土的な一方的な権限を行使するということは、国際法上も認めていないことであります。利害関係から言いましても、そういうことは認められない、こういうことであります。
  234. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ただいままでの交渉の中で李ラインの撤廃の問題について話をされたことがありますか。
  235. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今度は私は交渉していません。第七次会談では事務的な折衝だけですから、李ラインの問題に触れません。しかし、この前に韓国の元農務長官と交渉した場合には、表から李ラインの撤廃という旗を大きく掲げてはあなたのほうで非常にやかましいだろうから、結果において、この条約ができたならば李ラインというものは撤回する、そういうような話し合いでこの漁業交渉を進めようということから入ったわけでございます。ですから、いまのような結果でございます。
  236. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、第一回の農相会談のときには、この漁業交渉がまとまれば、その結果必然的に李ラインはなくなるものということを向こうの農林大臣とも確認の上で入られておるということですか。
  237. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 さっきのイニシアルみたいな署名やなんかはとりませんが、話の上ではもちろんそういうことで話し合ったわけであります。
  238. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまの問題は、もし向こうの農林大臣がそういうことを言ったとしても、向こうの国会では国防ラインは残すということを言っておるのです。そうすると、もし向こうがかってに国防ラインは引けるんだという見解で、日本は反対なさってもけっこうです、こっちはとにかくかってに国防ラインというものは置くんだというような態度で出てきたら、どうしますか。
  239. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、世界的に公海の上の国防ラインというのはどこにもないと思うのです。ですから、私のほうでは認めません。
  240. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 こっちで認めないでも、向こうがかってにつくるというようなことがあったら、せんだっての委員会では、そういうことは認めぬ、漁業交渉は御破算にするとおっしゃいましたが、私はあり得ると思うのです。くどいようですが、重ねて御見解を聞きたい。
  241. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 原則として私は認めません。しかし、その国防ラインを引いて、向こうがいまの李ラインと同じような権限といいますか、何か行使するということであれば、これは李ラインと同質ですから、そういうものを復活するというか、残すということがあれば、漁業交渉全体として、これを御破算にするというか、成り立たないことになると思います。
  242. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、いままでみたいな李ラインで起こったいろいろなトラブル、そういうものが起こらなければ日本とは関係ないから、向こうがかってに国防ラインをつくろうと、それは黙殺をするということになるのでしょうか。
  243. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは抗議を申し込みますが、どうも内政干渉まではできないと私は思います。でございますから、李ラインと同じように公海上に制限を設ける、こういうことであれば、漁業条約そのものが成り立たないことになるというふうに私は考えております。
  244. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 たいへん微妙なところなんですが、日本だけに限って、日本の船舶にそう影響のないラインであれば、向こうが国防ラインをつくっても、それは内政干渉になるから知らないとおっしゃるのですか。
  245. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、国防ラインを置いたということになれば、影響ないとは見られません。ですから、原則的には国防ラインというものはあってはいけないと思います。漁船に関係ないといっても、国防ラインであります以上、そこの線を越えるときにどう監視するとか、何かのあれはやると思います。そうすれば、やはり李ラインと同じことになりますから、大きなというか、基本的な考え方から見れば、国防ラインというものも認めることができない、こういうことでございます。
  246. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だんだん大臣の声が小さくなってきたのですが、さっきの、抗議はしますが、内政干渉にわたるからということばはどうも気にかかるのです。内政干渉にわたるから抗議以上のことはできない、一方においては、そういうものが残るということになると日韓漁業交渉は成立しないと言われている。その辺の関係はどうなるのでしょう。
  247. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは、漁業交渉との関係においては、漁業条約を出す場合にはそういうものがあっては困りますが、しかし、いまでもそうじゃないですか。李承晩ラインがある。これを撤回しろ撤回しろと言っても、撤回しないときにはどうもそのままなんです。そのままでこういうふうに十数年来たのです。ですから、漁業交渉というものと関連すれば国防ラインも認めることができませんが、向こうで、たとえば国防ラインというものをいつの日にかつくった、それに対してこれを撤回しろという抗議をしても撤回しない場合に、それ以上内政干渉的に日本としてやる手は持っていないという原則論的なことを申し上げたのでございますが、漁業交渉との関係におきましてはそういうものもあってはならない、こう思います。
  248. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは二つに問題を分けてお伺いしますが、李ラインの撤廃あるいは李ラインに類似する国防ラインみたいなもの、そういうものを今後つくらせないという確約を、この漁業交渉の際に何らかの形で明文化されるのでしょうか。
  249. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは折衝でございますから、そこまで確認はできません。明文化はむずかしかろうと思いますが、明文化でなく、そういうものを設けることについては、そういうことをすべきでないという話は当然進めるべきだと思います。
  250. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 話だけでは外交的に意味をなさないのである。先ほどもおっしゃったように、イニシアルというのは、そういうことで一つの問題として出てきているわけですが、何らかの形で外交上有効な手段をとられる考えはないのですか。
  251. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 交渉の場において十分考えていきたいと思います。
  252. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、漁業交渉を成立させる際にはこの李ラインの問題は一応結果的に形が消えたようになる場合があるかもしりませんが、一応成立した後に時間をおいて国防ラインみたいなものがまたできたときには、漁業条約は破棄するつもりでございますね。せんだっての委員会ではそういうお考えでございましたが、どうですか。
  253. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 発効する前でありまするならば、効力を生じないようになると思います。発効したあとにおきましては、まだこれは、破棄するかどうかということにつきましては、その場合によく検討してみなくちゃならぬと思います。
  254. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いままでの韓国のやり方からすると、こういう可能性はあるのです。あるから、それができたのじゃ何にもならない。むしろ、この日韓漁業問題解決の内容の基本は、李ラインの撤廃ということです。安全操業ということなんですね。これが解決の基本なんです。これが将来の見通しも含めてあやふやな関係で放置されるならば、この日韓漁業を急いで成立なさる意味は何もなくなる。だから私はそういう場合を想定して農林大臣の確固たる決意を聞いておきたいのです。そうなったらそのとき考えるじゃ困る。いまそれを考えておかないと、あとの祭りになります。そういう国防ラインみたいなものが出ないという保証について、私はもう少し大臣の確固たる決意をお伺いしたいと思います。
  255. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、漁業交渉の発効前においてそういうものをつくらしてはならぬということは、折衝ですから当然考えなくちゃなりません。しかし、発効してからあとやるかもしれないからというようなことで交渉をしたのでは話がまとまらぬと思います。でございまするから、漁業条約がかりにできて発効したあとで、そうして一年か二年たった、あるいはその半カ月後に国防ラインを設けて、李ラインであったと同じようなことになるということであれば、さらに再折衝して、あるいは破棄にするか、何らかまた撤回させるかというようなことは、そのときに措置してやっていくべきだと思います。
  256. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、この安全操業とからめて、日韓漁業交渉の中でもし条約が妥結する場合は、何らかの形で外交的な拘束力のあるものを明記すべきではなかろうか、それを私は言っているわけです。どうでしょう。
  257. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、条約の中にそういうものを書きあげるかどうかという、また別途に何かの確約をしていくかというような問題、いろいろ外交的にあろうと思います。でございますので、そういう趣旨というか考え方については同感なんでございますから、これは、一つ交渉の過程においてどういうように扱うが、その扱い方についてはおまかせ願うといいますか、そういうようなことにしておいていただきたいと思います。   〔主査退席仮谷主査代理着席
  258. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、ただいまの農林大臣のお答えは、何らかの形で外交上拘束力のあるような、李ラインの撤廃問題については拘束力のあるような形で、これはいろいろ外交的な手続の問題もあるから研究を要するが、いずれにしても何らかの形でそれを保証するものを一札取るという方針と了解してよろしゅうございますね。
  259. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、解決していこうというときですから、向こうの国内情勢もなかなかやかましいのです。解決しようというのには、初めからはっきりしちゃってもまずいこともあるので、あまりはっきりしたことは実は言いたくないのです。しかし、私の腹の中はきまっておるのでございますが、いま、御承知のように、李ラインを撤廃するということになれば、それだけで韓国側は沸騰して、とても話に入らない、そういうような立場も考えて、そうして、どういうふうにこれを両国のためにこういう漁業条約を締結していくかということを考えることがいまの段階としては必要だと思いますので、あまり問い詰められてはっきりしたことを言われて、また私がはっきりしたことを答弁してもいかがかと思いますが、もう相当はっきりしておるのですから、それ以上はどうぞ適当に……。
  260. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今度の基本条約でも、向こうがやかましいから、旧保護条約はもはや無効になったのだとか、問題をあとに残す方法や、それから管轄権の及ぶ範囲でも非常にぼかしてイニシアルなさったですね、問題はあとに残して。少なくとも漁業問題については、季ラインの問題については、私はこういうことがあってはいかないと思うのです。これが解決の中心ですから、少なくとも李ライン撤廃の問題については、はっきりとした保証がなくては成立はあり得ない。大臣の腹の中もそのとおりだということでございますから、それで先に話を進めます。  次に、基線の問題についてお伺いをしたいのですが、事務的なものを先にちょっとお伺いしておきますが、フィッシング・ゾーンというのは、基線から十二海里というのが一応国際海洋法の常識になっておるのでしょうか。それとも領海プラスの六海里ということになっておるのでしょうか。
  261. 和田正明

    ○和田政府委員 最近の各種の国際条約の先例等では、領海プラス六海里ということではないので、低潮線あるいは直線基線から合計十二海里ということだと思います。
  262. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、漁業交渉にあたっては、現在そういう考えで日本側は進めておられるわけですね。
  263. 和田正明

    ○和田政府委員 そのとおりでございます。
  264. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 せんだっての委員会から問題になっておって明確なお答えを得ていない点について、領海をどういうふうに考えて交渉なさっておられますか。
  265. 和田正明

    ○和田政府委員 領海が何海里であるかということは、この問題には関係がございませんで、合計して十二海里の範囲までが韓国の専管水域であるということであります。
  266. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 関係がないとは何ですか。ないのですか。どうしてないのでしょう。入会権の問題があるじゃないですか。十二海里マイナスの領海の残ったゾーンについては入り会い権の問題があるから、領海が幾らになるかということは重大な関係がありますよ。そんな無関係なんていうことは、たいへんな問題じゃないですか。それは、領海が三海里の場合は、九海里について入り会い権がある。領海が六海里の場合については、残りの六海里について入り会い権がある。重大な問題じゃないですか。どうして無関係なんですか。無関係である根拠を聞かしてください。
  267. 和田正明

    ○和田政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の韓国の専属的に漁業し得る範囲というのは低潮線または直線基線から十二海里の範囲内であるということで議論をいたしております。韓国側が領海を何海里説をとっておるかということについては必ずしも明白ではございませんが、現段階での韓国の立場は三海里説であるという前提で話をしておるわけであります。
  268. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、私からお伺いする前に、専門家会議で技術的な問題で煮詰まっておる事項とまだ煮詰まっていない事項を分けて、説明されるだけでいいですから、していただきます。
  269. 和田正明

    ○和田政府委員 専管水域が十二海里という場合に、国際条約あるいは最近の国際先例では、原則は低潮線かである、それから、海岸線が非常に入り組んでおりましたり、本土の至近距離に多数の島々があります場合には、直線基線を引いて処理するということになっておりますが、その直線基線をどこからどういうふうに引くかということについては最終的な意見の合意はまだありません。  それから、その区域の外に、資源保護の立場で両国が平等に規制措置を受ける海域というのは、話し合いをしているのですが、これについてもまだ最終的にどの海域にするかということについて完全な合意には達しておりません。規制区域の内容につきましては、いつかの農林水産委員会でも申し上げましたように、底びき、トロールそれから、まき網、この三つの漁業につきまして、その共同規制水域内に出漁をいたす場合の両国の漁船の大きさ、それから、使用いたします網の目の広さ、それから、まき網で使用いたします光力、光の何キロワットまでを使うということ、それから、資源保護のために休漁期間を設けるとすればどうしたらいいのかというような点について、ただいま技術的に話を詰めておる段階でございます。
  270. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまのお話を伺っておりますと、まだ重要な点で問題が残っておるようです。そうしますと、大体基線の取り扱いで煮詰まってきて、残っておる点は、いままでの経過から言うと、大体済州島の東西の問題である、それは専管水域と関連をしてであろうと思うのです。  まずその点にしぼってお伺いしたいのですが、せんだって委員会で大臣のほうから、済州島の低潮線から十二海里、そうすると、半島の南西部から十二海里とるということになると、済州島と半島の南西部との間にくびれるところ、公海が入り込むところができる、その点について韓国側から修正の意見が出ておる、それについて目下いろいろ折衝をしておるというところまで、せんだっての委員会でお伺いをしたわけです。それで、もう少し話も進んでおろうと思うのですが、新聞にもこれは載っておることです。いわゆる済州島の西のほうは、東経百二十六度に含まれるくびれた分は専管水域にする、それは話がまとまっておる。東のほうについて、百二十七度七分と、韓国側が言っておる百二十七度十三分の問題については、いまだに話し合いがつかず、平行線になっておるということですか。
  271. 和田正明

    ○和田政府委員 ただいまお話しの百二十六度なり百二十七度七分なりというのは、日本側の案でございまして、韓国はまだそれに同意したということは今日の段階までないわけであります。
  272. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その辺が最後に問題が残るところであろうと思うのでありますが、その日本側の百二十七度七分と韓国側の百二十七度十三分の折衝の見通しはどうなんですか。
  273. 和田正明

    ○和田政府委員 何分にも相手のあることでございますから、何とも申しかねますが、私ども事務当局といたしましては、百二十六度なり百二十七度七分なりで私ども交渉の段階では交渉してきておりますし、今後もそのように考えております。
  274. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、念のためにお伺いしておきますが、そういうくびれを修正するのに、百二十七度七分で線を引いたときに漁獲量の減産は何割か、十三分で引かれた場合には漁獲量の減産は何割くらいになるか、おおよその見当をお教え願いたいと思う。
  275. 和田正明

    ○和田政府委員 サケ、マスとかクジラのようにその海域に行かないととれない魚ではございませんので、海の上に線を引いていって、幾らとれたかということは、必ずしも正確な計算ができませんので、まだ事務当局としては、百二十六度、それから東は百二十七度七分ということで主張いたしておりますので、それが引かれたらどうなるかということは、実は試算いたしたことはございませんので、よくわかりません。
  276. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは日本の漁民にとって重大な利害関係があるんですよ。だから、おおよそこのくらいの減産があるというくらいのことは頭に置いてなさっていらっしゃると私は思うのですが、こまかい統計は出てないかもしれませんが、おおよそのところを教えてくれませんか。
  277. 和田正明

    ○和田政府委員 先ほども申し上げましたように、どうも、海の上に線を引いて、こっちから幾らとれたかということを言われても、泳ぎ回る魚でございますので、統計がございません。全くわかりません。
  278. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体の把握はできるのじゃございませんか。これは言えないんですか。そういうことは全然考えずにやっていることなんですか。
  279. 和田正明

    ○和田政府委員 交渉にいろいろ微妙な段階でもございますし、その点につきましては、この辺でごかんべんいただきたいと思います。
  280. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 交渉に微妙な点は、私は日本の不利になるようなことは聞きたくないんですが、これは日本側の問題ですよ。何も交渉関係ないじゃないですか。これくらいだと大体これくらい損する、これくらいだとこのくらい損するということがどうして言えないんですか。
  281. 和田正明

    ○和田政府委員 いま交渉の段階でもございますので、この辺でお許しをいただきたいと思います。
  282. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体四割なり五割といわれているんですよ。その辺はわかり切った話なんですが、どうもおっしゃらないから、それでいいです。また別の機会に保留いたしておきます。  私はなぜこういうことを言うかというと、当然損害を受ける漁家が出てくるからです。その辺を考えながら交渉しておられると思うのです。日本の漁業代表としてはそうでしょう。ちょっとの引き方でずいぶん漁獲量に影響してまいりますですよ。あたりまえの話です。それだったら、いまのような態度だったら、じゃ、引き方によって損害を受ける漁家についての補償をどのように考えていらっしゃるのですか。
  283. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 どれくらいの損害があるかどうかということを、いま専門家に検討さしているのですけれども、いま和田次長が申し上げましたように、的確に出ないというのです。しかし、ありそうだということはしろうとでもわかるのですが、その数量等につきましては、ちょっと計算いたしかねるというふうな専門家の意見でございます。でございますので、そのために許可を取り消すというか、それだけの船の補償をするということになるかならないかは、もっと検討してみなければわからぬと思いますが、いますぐにストレートにそれだけの船を減らす、あるいはそれだけの補償をしなければならぬということにはならぬのじゃないか、ストレートにはちょっと申しかねる、こう思います。
  284. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは国内の問題でございますから、そういう損害を受ける日本の漁家については、私は補償ということは当然起こると思うのです。それはどうですか。
  285. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは今度の水域全体に関連することだと思います。また、ここでもどうだ、こう言えば、そういう場合もあり得ると思いますが、これで実は全隻数の折衝中なんです。それだけ日本で減らすというような形になれば、その隻数をやはり向こうでも率直に言うとそれだけ減らしてやろうじゃないかというようなことになって、これまた全体として不利になります。そういう点もありますので、少しその点はデリケートなところだということは、あなたも御承知だと思うので、ここであまりはっきりそれは言いたくないのです。
  286. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 しかし、この点は漁民も非常に注目をしておると思うのです。だから、そういう点についての補償問題は当然起こるし、また、その補償の方法とか内容とかは別として、国として当然それは考えなければならない問題として残るであろうと思う。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕
  287. 和田正明

    ○和田政府委員 いま楢崎先生のおっしゃる四割とか五割という数字はどういうところから出ました数字かよくわかりませんが、専管水域を十二海里とれば、当然操業し得る海面積というのがそれだけ日本漁船として減ることは事実でございます。あそこを主漁場としておりますのは、サバとかアジとかいう、御承知のように非常に広い範囲を回遊しておる魚でございます。操業海面積が何がしか減るということと、それに伴って漁獲量が減るということとは関係がないだろうと思います。その点ひとつ、何か誤解をしておられるのじゃないかと思いますので、つけ加えます。
  288. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それはおっしゃるとおりですが、もしその点回遊性の問題について論議をなされば、私もするところがあるのですよ。せんだっても魚族保護の立場からその点を出しておるのですが、まあ長くなりますから、その点はあとに譲りたいと思います。  それでは、時間も相当経過しましたから、問題をあとに残すとして、最後に一点だけお伺いをしておきたいと思うのです。漁業協力の問題ですが、漁業協力の話し合いについてはどの程度まで進んでおりますか。
  289. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは、前に話しただけで、全然進んでおりません。それまで入っておりません。
  290. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これはやはり専門家会議の段階で話が進められておるのですか。
  291. 和田正明

    ○和田政府委員 第七回の会談は、開始後われわれベースでは今日までまだ話し合いはしておりません。
  292. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、いまの段階では、日本側は七千万ドル、韓国側は一億あるいは一億一千万ドルといわれておるのですが、そういうところで話は平行線をたどっておるということですか。
  293. 和田正明

    ○和田政府委員 そのとおりでございます。
  294. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、その点はこれ以上聞かぬことにします。  大体漁業協力の内容はどういうものが考えられておりますか。
  295. 和田正明

    ○和田政府委員 韓国側が非公式によこしております資料によりますと、一つには沿岸漁船等の補修の資材、それから、ディーゼルエンジン、それから各種の試験場等における調査船、指導船、それから漁民の研修のための施設並びに各種の漁船でございます。
  296. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その際に、漁業協力という以上は、国として協力をなさるわけでしょう。
  297. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国としてではなくて、民間べースでそういうものをやるということです。
  298. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、国としてどういう民間貿易についての援助のしかた、協力のしかたを考えておられるか。
  299. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 輸銀を通じて融資をしてやるということでございます。そういう点だと思います。
  300. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、輸銀を通じて延べ払いでやっていく。そうすると、輸銀ベース以外のことも考えられるのでしょう。
  301. 和田正明

    ○和田政府委員 先ほど申し上げましたように、政府として現在原則として民間ベースによる協力ならするという考え方でございます。
  302. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その輸銀ベースということと民間ベースというところ、どうなんです。
  303. 和田正明

    ○和田政府委員 いま民間ベースということばを使いましたが、輸銀ベースという意味と同意義でございます。
  304. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、輸銀ベースということになりますと、金利その他はきまっておるのでございましょう。
  305. 広瀬達夫

    ○広瀬説明員 金利については全部きまっておるわけではございません。ケースバイケースでございます。
  306. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、ケースバイケースでやるということですが、じゃ、その金利の幅はどのくらいあるのですか。
  307. 広瀬達夫

    ○広瀬説明員 現在、先ほど和田次長から申し上げましたように、鋭意この問題については事務的に案を練って、そして向こうと折衝しようという段階でございます。向こうは、できるだけ低利で、しかも一般的に有利な条件を獲得したいということで交渉に臨んでおる。私のほうとしてその内容について申し上げるのはちょっと控えさせていただきたいということでございます。
  308. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、金利の点については向こうから当然低利なやつを要望するでしょうが、まあその辺の問題も最後はいわゆる政治的な解決になるのであろうと思いますけれども、ぎりぎり譲ったとして、どれくらいなんですか。
  309. 広瀬達夫

    ○広瀬説明員 ちょっと申し上げかねます。
  310. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 まだ入り会い権の問題等いろいろあるのですが、別の機会に譲るとしまして、きょうお伺いしただけでもずいぶん懸案が残っておりますですね。まるで残っておると言いたいが……。そうすると、こういう段階で三月初めころ、もし第二回の農相会議があると、問題がそう残っておる段階では、第一回の農相会談と同じようなケースになるということでしょうか。それとも、乾坤一てき、政治的に妥結ムードが高まっておるから、一挙に政治的な解決へ持っていくということなのか。かつては農林大臣はそういうことはしないとおっしゃいましたが、現在はどうです。
  311. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは、こうするああするということより、交渉ですから、両方が合意に達しなければきまらぬ問題でございます。ですから、この委員会の冒頭で述べましたように、私の見通しとしては、事務的に早くまとめて、そのまとめた上に、われわれ農相会談に臨みたいと思いますけれども、なかなか合意に達するのはむずかしかろうといういま見通しは持っています。
  312. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、時間が経過しましたから、もしこの当分科会でまたチャンスがございましたら、ひとつ残りの問題について時間を与えていただきたいと思います。
  313. 古川丈吉

    古川主査 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十五日午前十時から開会し、経済企画庁所管及び通産省所管について質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会