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村山(喜)
分科員 私は
地方公共
団体の交通安全の問題について、一点だけにしぼりまして
質問をいたします。
きょうの毎日新聞にも出されておりましたが、事故の件数が五十五万二千二百四十四件、死者が一万三千三百十八名、負傷者は三十九万三千二百四十名という、たいへんな交通災害が今日起こっておるわけであります。一月から六月までの交通違反
検挙件数を調べてみますと、これまた二百六十二万三千六百四十八件という膨大な数でございます。片一方四十年度のいわゆる
予算の
内容を調べてみますと、
罰金収入が百六十七億八千九百八十三万四千円という
予算が立てられている。まことに膨大な
罰金の収入額であります。このうちの八〇%が交通違反と推定されているということであります。とするならば、百三十四億円という膨大な
罰金収入が国家にはあるわけであります。そういう立場から、実は具体的な問題をこの場で私は
大臣に申し上げまして、見解を
お尋ねをするわけでありますが、ちょうど昨年の十月、鹿児島市に河頭という中学校がございます。これは一級国道に沿いました中学校でございますが、その河頭中学校の前で、三年生の小浜正人君というのがトラックにはねられて死にました。小浜君はその河頭中学校の
先生などと一緒に、登校途中の生徒の安全誘導のために、国道におきまして交道整理をやっていたのであります。ブレーキがきかないそのトラックが小浜君を殺したばかりでなく、一緒におりました河頭中学校の
先生も負傷をさせました。これはいろいろ調査をいたしてみますと、勤務時間ではございません。しかしながら校長の話では、
教育の特別活動として、担任の
先生が勤務時間外に交通整理に当たっていたということであります。しかし三年生の担任がそれに当たることになっておりますから、男ばかりではございません。女の
先生もそういう交通安全の処理に当たっておる。ところがあまりにも責任がある。重過ぎる。そうして勤務が朝の七時半ごろから行なわれますので、非常に過重な労務になりまして、ノイローゼになって病院に入院をいたしました。そういう事件が出ましてから、組合あたりでもやかましく申し入れを
教育委員会にいたしまして、市の
教育委員会も、ついにこれを認めまして、中止させたのであります。ところがその結果、鹿児島市内に、シグナル灯もございません
地域で、あるいは横断歩道等も十分行なわれていない、安全施設がない危険な区域が十五カ所ございます。しかし学校のほうが、いままで児童生徒の安全のために、上級生の生徒並びにその学校の
先生がそういうような補導に当たっておったのでありますが、しかしながらこれをやめるということになりましたので、市におきましては、PTAに相談をいたしました。そうしてPTAの中から補導員を選びまして、市の嘱託員として今日、月に三千円という金額で、登校途中の七時三十分から八時三十分までの間の交通安全の業務に当たらしているのであります。この人は市の嘱託員で身分も不安定であります。そこで、こういうような
事態に立ち至りましたので、市の議会としては、国民の生命を守るために交通の
取り締まりに当たっておる警察に対しまして、補導を行なってもらいたいという要請を行なったのであります。ところが、これに対しまして警察
当局が言うには、登校のときは時間的にちょうど交通ラッシュになるときでございます。それは警察署の交代勤務の時間に当たる。なるほど警察の業務
内容から
考えまして、徹夜等の業務も行なわれますから、そのときがちょうど警官の勤務の交代時期に当たるので、したがって交通
関係の警察官というのも不足をしているし、そういうような事情があるので申し入れについては御期待に沿うことはできないと答えてしまったのであります。
そこで、こういうような状態の中でいま
地方の住民が
地方自治体に対して期待をしておりますのは、一昨年、
昭和三十八年の法九十九号によりまして
地方自治法の
改正が行なわれました。第二条の三項八号によりまして「交通安全の保持」というのが
地方公共
団体の行政事務として
地方公共
団体が責任を負うことになったのであります。しかしながら、
大臣、ふしぎなことがあるのです。
地方自治法の上ではそういうふうにされましたけれ
ども、今日に至るまで、自治省がこの交通安全の保持に対しまして指導を行なった事実をわれわれは知らないのであります。行政指導がなされた事実がない。市町村のこれくらいの規模のところにおいてはこういう基準でやりなさいというその基準を示されたことも知らない。しかもこれにはやはり人を雇ってやる仕事もありましょうし、あるいは道路管理者が構造物を営造しなければならない場合もありましょう。こういうようなものに対して財源
措置がなされていないのであります。ことしに至るまで放置されてきた。この事実は一体何を物語るのかと私は言いたいのであります。本年の一月、総理も人命尊重の立場から、いまも
横路委員のほうから
お話がございましたように、人命を尊重するという政治をやるということによりまして、まことにけっこうなことでございますが、総理府に
対策本部ができた、交通安全の国民
会議というのを来月発足させるそうであります。まことにけっこうなことでありますが、その委員の顔ぶれを新聞が発表しているのをのぞいてみましたら、これには知事会の代表は入っておりますけれ
ども、現実にそういうような仕事を仰せつかりました市町村の代表は一人も入っていないのであります。今日警察が行なっておりますところの交通行政は、もう
取り締まりと事故の処理に追われておりますがゆえに、とても交通安全
対策、予防
対策、予防
対策というところまで手は出し得ない段階に来ていると私は思う。ことしの
予算書を見てみますと、安全施設の補助というのが三億九千七百八十九万円あるようであります。わずかにこれだけです。先ほど私が冒頭において申しましたように、交通違反の
罰金の収入額が百二十四億円もあるのに対しまして、交通安全
対策予算の補助というのは、四億足らずでしょう。こういう姿の中で住民はシグナルや横断歩道やあるいはオーバー・ブリッジ等の建設をしてもらいたい、学童の生命を守るための要求をたくさん持っております。それについて市町村長に話にいこうと思いましても、それを受け付ける窓口がないじゃありませんか。しかし市町村はそういう住民の期待にこたえて、やりたいという気持ちは十分に持っております。持っておるけれ
ども、一体何をやったらいいのか、どういうふうにやればいいのかさっぱりわからない、こういうのが今日の姿でございます。そこで
予算措置につきましても、法制的にも盲点になっているのが
地方自治法第二条の三項八号で定めますところのこの
内容の規定だろうと思うのであります。そこできょうの毎日新聞に出ているように、これは交通安全に対するところの死角になっている、まさにこれは死角になり過ぎておる、そういうことを私は現実の状態の中から見まして、次のような問題について、
大臣からお答えを願いたいのであります。
自治省といたしましては、こういうような予防
措置について、交通安全の
措置についてやらなければならないということが、法律の中で規定されたにもかかわらず、なぜ今日まで行政指導として行なう方向をおとりにならなかったのか、もう二年たったわけでありますが、財源
措置はなぜなされなかったのだろう、この点についてまずお答え願いたいのであります。