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1965-02-24 第48回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十四日(水曜日)    午前十時七分開議  出席分科員    主査 今松 治郎君       上林榮吉君    正示啓次郎君       二階堂 進君    片島  港君       田原 春次君    中井徳次郎君       帆足  計君    堀  昌雄君       森本  靖君    山口丈太郎君       山花 秀雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 徳安 實藏君  出席政府委員         郵政政務次官  服部 安司君         郵政事務官         (大臣官房長) 淺野 賢澄君         郵政事務官         (電気通信監理         官)      畠山 一郎君         郵政事務官         (監察局長)  稲増 久義君         郵政事務官         (郵務局長)  長田 裕二君         郵政事務官         (貯金局長)  武田  功君         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君         郵政事務官         (人事局長)  曾山 克巳君         郵政事務官         (経理局長)  北脇 信夫君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         文部事務官         (社会教育局視         聴覚教育課長) 小川 修三君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    米沢  滋君         日本電信電話公         社総務理事   平山  温君         日本電信電話公         社総務理事   金光  昭君         日本電信電話公         社営業局長   千代  健君         日本電信電話公         社計画局長   宮崎 政義君         日本電信電話公         社施設局長   橋本 一郎君         日本電信電話公         社経理局長   井田 勝造君     ————————————— 二月二十四日  分科員中井徳次郎委員辞任につき、その補欠  として堀昌雄君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員堀昌雄委員辞任につき、その補欠とし  て中井徳次郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員片島港君委員辞任につき、その補欠とし  て山口丈太郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員山口丈太郎委員辞任につき、その補欠  として森本靖君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員森本靖委員辞任につき、その補欠とし  て帆足計君が委員長指名分科員選任され  た。 同日  分科員帆足計委員辞任につき、その補欠とし  て田原春次君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員田原春次委員辞任につき、その補欠と  して片島港君が委員長指名分科員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算郵政省所管  昭和四十年度特別会計予算郵政省所管  昭和四十年度政府関係機関予算郵政省所管      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 これより会議を開きます。  主査所用のため、指名により私が主査の職務を行ないます。  昭和四十年度一般会計予算及び昭和四十年度特別会計予算中、郵政省所管、並びに、昭和四十年度政府関係機関予算中、日本電信電話公社関係を議題といたします。  質疑に先立ちまして、念のため申し上げますが、質疑者が多数のため、質疑をされる方の持ち時間は、本務員は一時間程度兼務員及び委員交代をして分科員となられました方は三十分程度としていただきたいと存じます。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。上林榮吉君。
  3. 上林山榮吉

    上林分科員 日本行政は、どちらかといえば頭でっかちでしり細りといいますか、言いかえますと、末端に血の通う行政があまり行なわれていない。これは郵政大臣に限らず、各国務大臣所管事項についてよくお考えにならなければならないポイントの一つだと私は思います。  そういう視野に立って郵政事業所管をながめてみますというと、末端に血の通う行政一つとして簡易郵便局があり、あるいは農村公衆電話がある。この二つの事業は、当局としては、郵政省に限らず電電公社に限らず、あまり重きを置いた考え方を従来していなかったわけでありますが、幸い、最近に至っては、これに対して非常に思いやりを持って、それぞれ仕事をしておられるようでございまして、私は末端に血の通う行政のよきサンプルであると思いまして、この点敬意を表するにやぶさかでございません。  そのうち、まず簡易郵便局の問題でございますが、郵政省は非常に安い経費で、一部の郵政事業を除いては、大部分郵政事業をこの簡易郵便局で、山村僻地においては仕事をしておられるわけです。そこで私は、たとえば貯金を一億円募集するのに、簡易郵便局の場合、特定郵便局の場合、普通郵便局の場合、同じ一億円の貯金あるいは保険の双方について御説明願えれば幸いでありますが、どれくらいの経費がかかっておりますか。一億円の単位が悪ければ十億円でもけっこうでございますが、同じ十億円なら十億円の貯金をとるあるいは保険をとる、この経費簡易郵便局の場合と特定郵便局の場合と普通郵便局の場合で、人件費その他事務費、合わせて一人当たりどれだけの経費がかかっておるか、募集高に対する経費比率、これを私はまず伺っておきたいと思います。
  4. 徳安實藏

    徳安国務大臣 非常に参考になる御意見だと思いますが、政府委員のほうから御答弁いたさせます。
  5. 武田功

    武田(功)政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、一億円かりに募集いたしますといたしました場合の計算でございますけれども計算の立て方がいろいろございますので、いまかりに募集手当を主にして考えてみますと、これは普通局特定局も同じでございますし、また同時に、簡易局の場合でも手当においては同額ということで、約一万円というふうに見ていただければいいかと思います。
  6. 上林山榮吉

    上林分科員 それは私の質問の十分の一か三分の一か答えた答えでございまして、突然のことであったから御答弁ができなかったのかもしれませんが、これを裏返して考えると、かねてそうしたような緻密な計算の上に立った経営をしていないと言われても、私は、あるいは返すことばがないんじゃなかろうか、こういうように思われる。私はそういうふうに思わない。募集手当だけをピックアップして、特定局普通郵便局も、またいま問題のテーマになっている簡易郵便局も一億円募集するについて一万円の手当である、こういうお話でありますが、それは当たらない。これは簡易郵便局の何倍かの経費、何割増しかの経費が、特定局の場合あるいは普通郵便局の場合はかかっているんですね。その数字をいまここで割り出すのは時間がありませんが、かかっている。これはあなた方も御承知のとおりだと思うのです。こういうように、いわゆる安い経費で、一部の郵政事業を除いて大部分郵政事業山間僻地において苦労しておるわけです。いわゆる地域民に対して非常に貢献をしているわけです。末端に血の通う行政を担当しているわけです。私は、ここがこれからの日本の政治の非常にキーポイントになるところだと思うのです。頭でっかちでしり細りである。これを何とかある程度是正していくという考え方が必要じゃないでしょうか、大臣。私はここにほんとうに、日本町村会議員地域民と非常に密接であるけれども国会議員地域民と密接でないなどといわれる理由一つはあるんですよ。私はそうは思わぬけれども。——しかし、このパイプを、国と国民とのつながりのパイプというものをもう少し大きくして、末端に血の通う行政をしていくという、これが必要なんだと私は思うのです。そこでいま簡易郵便局を取り上げたわけなんです。私はこの意味合いにおいて、簡易郵便局手数料の値上げというか、待遇改善というか、これは特定郵便局普通郵便局公務員給料に匹敵する性質のものです。単なる手数料じゃないんです。どちらかといえば、給料にも匹敵するいわゆる手数料ですよ。だから、そういうような意味において、三十九年度は一万四百円でしょう。今度の予算で、われわれ自民党としては二万一千円を要求し、あるいは郵政省もそういう気持ちでおられただろうと思う。だが、残念ながら今度実現したのは一万三千五百円。二十円足らぬですかな。一万三千五百円。まあ相当考えていただいたと思うけれども、こんなものではとても足らない。だから、私としては、これは実行予算の面でどういうことができるのか、あるいはまた四十一年度については、われわれが、あるいは郵政省も考えておられるようですが、大蔵省が少し渋ったために、残念ながらその程度で押えられたわけですけれども、四十一年度は少なくとも平均二万一千円くらいになるように最善努力をしていただかなければならぬのではないか、こういうように考えるわけです、これに対する大臣ないし事務当局からお答えがあれば承っておきたいと思います。
  7. 徳安實藏

    徳安国務大臣 ただいまの御質問、御希望、ごもっともだと思います。四十年度の予算につきましても、党からも、委員各位からも非常に強い要請もございますし、また実情に即するためには、もちろん現状に甘んずべきものではございませんので、強く大蔵省と折衝いたしまして、最後まで努力したのでありますが、とうとう、三〇%近くまでは上げられましたけれども、それ以上上げることはできませんでした。しかし、そのときの話し合いもございまして、何か昨年は一時ストップしておったような関係もあるようでありますが、四十一年度には続けて相当額上げるというような話し合いもございますので、これはむろん今年の予算編成時期になりましたら、当然前約を重んじて、そうしたものに対しては、相当大幅に上げてもらうように最善努力を払うことはもちろんだと思います。その努力を払いたいということをいまから考えておるわけでありますが、実行予算につきましては、先ほどお話しのように、予算の面で、ただいま御審議を願っておりますのは一万三千五百円足らずでございますけれども、何か取り扱い関係につきまして、少しくらいゆとりがあるような話もあるようでございますから、これは事務当局からひとつお答えをさせたいと思います。
  8. 上林山榮吉

    上林分科員 それはあくまでも実行予算であるので、正式の予算書による予算考え方ではございませんので、私は単にその点は要望にとどめておいて、答弁は求めませんが、少なくとも、でき得る範囲内において現段階で処置し、さらに四十一年度に対しては、私どもが強く要望しておる平均二万一千円程度のものには手数料を引き上げていく。これは現制度において何らの改正を要することなくして、でき得る最善一つ方法です。そういう意味合いにおいて、もっと郵政事業というものを、間違いのないように、能率をあげるために、していかなければならぬ。私は、感心しているのは、この簡易郵便局に、郵政省にいつもつきまとっておるところの不正事件、いわゆる貯金がどうなったとか、保険の掛け金がどうなったとかというような、いわゆる郵政省内の犯罪、常に郵政省は話題の中心になっているようで、まことにわれわれも残念に思っているのですが、この簡易郵便局の諸君は、そんなわずかの手数料で生活をしながら、そうしたいまわしい犯罪というものがほとんど起こっておらぬ。これは郵政大臣、ひとつ、実質的な待遇改善と同時に、精神的な待遇改善というものをもっと郵政大臣は考えていいんじゃないかと私は思うのです。郵政事業普通局特定局がやっているんだという従来の考え方のみでは、私はいかぬのではなかろうかと実は考えるわけです。この点を私は強く要望しておきます。  それから第二の点は、見解の違う委員の方々もおられるかもわからぬけれども、私は簡易郵便局の局員は、これは公務員にしてもいいと思っているんですよ。これはまあ、話し合いに時間がかかると思うから、私はそれは本日は強く要請をいたしませんが、せめて個人受託ですね、個人範囲にまでこれを広げるということは何ら支障はない。現段階においても町村役場、あるいは農協などが受託をしてやらしておるわけですけれども実質はほとんど個人と同じことです。ただ形式的にそうしたような受託無給受託をしておるわけでありますけれども、ほとんど九十何%個人と同じ実質の状態で行なわれておるわけですね。私はなぜこう言うかというと、実質がそうであるばかりでなく、たとえば町村において理解のないところなどは、地域民要望するんだけれども無給嘱託を置く制度がないのですよ。そういうことから、地域民要望しているんだが、簡易郵便局をつくってくれないわけですね。まことにこれは実情に適しないと私は思うので、個人範囲にこれを広げるということは、決して郵政事業本来の仕事を曲げるものではない、こういうように考えるのですが、これに対してどういう見解を持っておられるか、お尋ねしたいのであります。
  9. 徳安實藏

    徳安国務大臣 御説のとおりに、実態個人受託にほとんどひとしいものであるということも、これは私ども承知いたしておりますので、私も就任以来この問題について他に適当な方法はないかということでいろいろ研究さしておりますが、結論はやはりいまの法律を改正せねばいけないという結論のようでございますので、これらにつきましては今後に残された大きな課題として検討を進めるようにということで、ただいま検討いたしておる現状であります。どうしても法的な措置を講じなくちゃ、そうした方面は前進できないようであります。もうしばらく検討さしていただくようにお願いしたいと思います。
  10. 上林山榮吉

    上林分科員 公務員にするのはいろいろな問題もあり、また話し合いも十分しなければならぬと思いますけれども個人受託範囲を拡大するというとは、私は郵政省が心配しているほどではないと思う。だから、前向きで、ひとつ建設的な気持ちで、せめて四十一年度にはこれが実現するような努力を、各方面に向かってお互いしていくという考え方を持ってほしいという要望にとどめておきたいと思います。  次に、この事務取り扱い者身分ですが、これはほとんど保障されていないわけですね。これは形式的にいえば、市町村嘱託をして、しかもその事務をやらしているわけですから。しかし、これは無給でございまして、これは市町村といえども郵政事業地域民要望に沿ってやらせるという意味でやらしているわけであるので、身分保障をこの方面からもしていないわけですね。だから、私は身分保障というものをある程度考えてやる必要があるのじゃないかと思います。たとえば十年間あるいは十五年間、その取り扱い者がその地域のために、あるいは郵政事業のために貢献してきた。ところが人家がふえ、人口がふえて、その簡易郵便局が廃止される。廃止した場合に職を失う人が多い。中には昇格というような意味で、そこの局長となれる人もあるけれども、やめるときには、特定局に切りかえるときには、ほとんど身分保障はない。まあ適任者らしい者がいればそれはピックアップされる場合もありますけれども、ほとんどないですね。これは、私はやはり制度の欠陥だと思う。盲点だと思います。こういうこまかいところに、私はもう少し思いやりを持った制度の改革というものをやらなければならないのではないかと思います。私はこの問題について実際の例をお聞きしますが、どうなんですか、簡易郵便局特定郵便局に、その地域が発達したために切りかえる場合、過去の実例は私が言う方向であるのか、いや、大部分はみんな救い上げて適当な道を与えておりますということになるのか、実情はどうですか。そしてまた、十年なり十五年なりまじめにそこでやっていただいたものを、ただそのまま、どうもありがとうございましたと一言あいさつをするだけでお別れしているようでありますが、この程度でいいものかどうか。
  11. 徳安實藏

    徳安国務大臣 ただいまのお話、私もごもっとものように考えます。ただ過去における行き方がどういうぐあいになっておりますか、一応事務当局のほうから説明させますから、お聞き取りいただきたい。
  12. 長田裕二

    長田政府委員 簡易郵便局の置かれております場所の地況がだんだん発展して、無集配局を置くのに適当な地況になってまいりました場合に、地元の要望等もあり、省側におきまして無集配局を設置するということを決意してなる場合はずいぶんございます。その際、簡易郵便局事務取り扱い責任者でありました者が、その過去に非常にりっぱな業績をあげておったということ、その他のことからしまして、特定局長になる例も、私ども非常に数多く聞いております。  ただ、特定局長になるにつきましては、また特定局長任用資格のほうのあれもございまして、それが非常にはっきりした基準というものもありまして、それに抵触するような場合に特定局長になり得ないというような例も、また年齢制限等関係から幾つかの例も耳にしているわけでございますが、りっぱに業績をあげた者につきましては、明らかな基準に違背するということのない場合には、各郵政局ともそれぞれ本人の従来の功績等は相当考慮して取り進めているのではないかというふうに考えております。
  13. 上林山榮吉

    上林分科員 ぼくの質問に半分お答えになっていますが、あとでここ十年間くらいの間の分、あるいはそれができなきやせめて五年間くらいの間の比率資料をお出し願っておきたい。適任者があれば、あるいは相当業績をあげた者があれば、これは特定局長にするにやぶさかでないし、その例もたくさんある。そのたくさんあるというところに疑問があるのであります。それについての資料をお出しを願っておきたい。  ただ、制度上、たとえば年齢の制限なりそうしたようなもののためにできない場合は、その者は何ら退職金あるいは慰労金、その他の名目でもけっこうでございますが、何らかの名目で、これらの人々に御苦労さまでございましたという、何か方法を過去においてやってきた例があるかどうか、この点を承っておきたい。
  14. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 お答えいたします。御承知のように、十一条によりまして、簡易郵便局の事実上の委託者も公務に従事しておる者と見なされております。反面同じ条文によりまして、国家公務員法適用から除外されております。したがって、ただいま先生のお尋ねになりました国家公務員に対する諸恩典退職金あるいは年金等につきましては、残念ながらこの法の適用を受けないのでございます。  ただ、先ほど先生からいろいろと前向きの姿勢で応援しろという話もございました。私ども、何か事実上 そういった恩典というものが与えられないかどうか等につきまして、目下検討中でございます。
  15. 上林山榮吉

    上林分科員 本来ならば公務員に準じた待遇をするのが当然だと思いますけれども、それがとりあえずできないとするならば、ただいま曾山局長答弁されたように、少なくとも実質的に十年なりあるいは十五年なり長くつとめた人、それが年をとっているために特定局長になれないというような場合は、もっとあたたかみのある処置をとるべきだと思う。単に口先だけで御苦労さまでございましたというだけでは、これもやっているかどうかわからぬが、それだけでは私は末端に血の通う行政、これは私の口癖でございますが、それがどうも行なわれていない。役人が、やはりどこか足らぬところがあるという気がして、役人全般に対する私の気持ちになってしまいますけれども、その辺が微妙なんですよ。これが生きた行政だと私は思っております。この辺にもっと思いやりを持って、大臣、あなたの在任中にその方針をおきめなさい。小さいことのようでありますが、これが私は潤滑油になって、日本行政がなだらかになっていく最大の原因だと思うのです。これをひとつ、私は強く要望をいたしておきます。  その次に申し上げたいことは、郵便業務全般を取り扱うように方針を変えたらどうか、いまは一部除いておるわけですね。もう一部除く必要がなくなったんじゃないか、時代の進んだことによって。ことに、私どもが最近気になるのは、老齢年金等受給者が非常にふえたんですね。そして、電話普及も、これは五年前に比べますと非常なる普及です。こういうことから考えまして、年金支払い事務とか電話料金収納事務とかというような取り扱いなどは、一日も早くやったほうがいいのじゃないかと思うのですよ。そういうような意味で、少なくとも私はこういうことぐらいはやって拡大していいんじゃないか。その他、除かれていることで、どうしてもこういう理由によって現段階ではできないというものは何ですか。いまの段階では幾ら研究してみてもだめであるというのは何か。あるいはいま私が指摘したこういうような問題はできないのかどうか、これはこの時期にくれば当然じゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  16. 長田裕二

    長田政府委員 郵便関係につきましては、大体無集配局に近いような取り扱い内容になっておりまして、ただ、特に料金別納料金後納郵便取り扱いとか内容証明郵便、そういう非常に手数がかかったり、あるいは大量に一度に差し出されまして、簡易局実態にふさわしくないようなものを除きましては、全部郵便関係は取り扱うことになっています。
  17. 武田功

    武田(功)政府委員 簡易郵便局の取り扱っております事務範囲の中で、特に制限されておりますのは、いま御指摘のような貯金関係仕事でございます。これは、第一には、現在の法のたてまえからいたしまして、第六条で、「郵便郵便貯金郵便為替郵便振替貯金簡易生命保険及び郵便年金に関する郵政窓口事務のうち省令で定めるもの」こういうふうになっております関係で、ただいま御指摘年金とかあるいは電話料の徴収とか、こういうことは現在のところ現行法のもとでは委託できないという形でございます。  また、これを法改正してするかどうかという問題でございますが、私どもいろいろ研究しておりまして、現在のような形の簡易局の組織なり仕組みでこれがどこまでできるかということはいろいろ研究しております。もう少しこれは時間をおかしいただきたいと思います。また、現行法の中でも、貯金関係では、たとえば積み立て貯金のように、これもかなり御要望はございますけれども、また、私どもも、あるいは奨励面からいたしますとお願いしたいという向きもございますが、これは、やはりたてまえが集金を原則といたします関係で、現在の簡易局では非常に手続きその他においても無理があるんじゃなかろうかということで、これまた現在研究しております。  なお、そのほかこまかいところではございますけれども、たとえば、電信為替を受け付けるかどうかというような点とか、あるいは振替電信払い込みを取り扱わせるかというような点は、現在のたてまえの中でもできるようにも考えますので、なるべくこういう範囲も広めまして、また、貯金関係も、現在貯金を扱っておらない簡易局がかなり多数あります。全体で約五百ちょっとございます。こういう点も、いろいろその受託者との関係で問題もございますけれども、私どもといたしましては、貯蓄の奨励、健全な郵貯の普及という観点から、こういうものもできるだけ委託をしてもらうように今後進めていきたい、かように考えております。
  18. 上林山榮吉

    上林分科員 全面的な改正をやるのが当然だと私は思うのですが、もちろん、それをやるについては、最近研修もだんだんやっているようでございますが、この研修というものをもっと徹底せしめて、そうして、各県ごとに年一回ぐらいは研修をやらせる、こういうことと同時に、私は、法の改正を全面的にやってこれが符節を合わしていく、こういうやり方が堅実な前進主義だ、こういうふうに考えております。  しかし、いま私が指摘した二、三の点については、これはもう前向きでやらなきゃならぬのじゃないか。老齢年金を支払うのに、町の郵便局までお年寄りが歩いて行かなければならぬ、あるいはバスに乗って行かなければならぬ、そういうやり方でなくて、その自分の近くの簡易郵便局で老齢年金くらいはもらえるようにするとか、電話料くらいは町までいかなくても、あるいは郵便で送らなくても、簡易郵便局がすぐ近くにあるのですから、そこに行って、これは電話料金です、受け取ってくださいと言うてやることがどうして支障を来たしますか。いわゆる電話料金を納めに来る。それは取ったっていいじゃありませんか。近いほうが便利じゃありませんか。ことに、お年寄りが老齢年金をもらいに行くのに、町の郵便局まで、バスを使ったり、歩いていったりして受け取ってこなきゃならぬというのは、私は、これもまた時代に適合しない、いわゆる血の通わない行政だと思うのですよ。老齢年金制度の趣旨は御承知でしょう。何がゆえに老齢年金制度をつくったか、これがわかれば、それくらいの便利というものは勇断を持ってやるべきですよ。天下の大勢に影響ないじゃないですか。それくらいの改正すらもどうもサザエのようにふたをじって閉じて、いまの場合は、これはもうここ五年なり十年は改正できませんという考え方じゃ私はだめだと思う。これはひとつ大臣、きょうはこれを強く要望するにとどめておきますけれども、もっと事務当局も、こういうことはやればできることですよ。やればできることもほっておくという考え方は、私はまことに遺憾にたえないわけです。  次に申し上げたいことは、この貯金とか保険などの奨励金を簡易郵便局にも支給することは、これは同じ貯金なり保険の成績をあげている以上当然なことじゃありませんか、こう思うのでございますが、この点はどういうふうに考えておられるか。あるいはまた、前向きで準備しているならば、いつごろからこれを実施したいと考えておられるか、答弁をお願いしたいと思います。
  19. 武田功

    武田(功)政府委員 貯金関係についてお答え申し上げます。  この、ただいまお尋ねの奨励金というのは、多分先生の御質問は、奨励のための手当てなりということと、同時にまた、奨励のための諸経費と申しますか、そういう御趣旨と思いますので、お答え申し上げますが、奨励手当てのほうは、これは貯金をとりますと支給することになって、これは手数料の中に含まれております。  それから次に、奨励のための物品でございますが、これは何ぶん貯金全体といたしましても、そう巨額の予算を組んでおるわけでございませんで、なかなか各局ともにいろいろと要望があって、たとえば手ぬぐいを配りたいとか、いろいろございますが、それも思うにまかせないような現状でございます。その中で、局によりましては、簡易局で相当募集していただいたところあたりにも、いわゆる受け持ちの局のほうから回しておるというところもあるように聞いておりますが、全体としてはなかなか簡易局のほうまで回らないという現状でございます。ただし、やはり貯金奨励のためにいろいろと尽力してもらっておるわけでございますので、四十年度からはなるべくそういう方面にも回すようにと、目下検討中でございます。
  20. 上林山榮吉

    上林分科員 前向きの御答弁でありますから、それが実現することを期待するにとどめておきますが、ここでさらに伺っておきたいことは、昭和四十年一月末現在で、全国で簡易郵便局というのが二千三百三十九局あるわけですね。この結果、三十八年度の未消化は何局か。三十九年度分の未消化は何局か、この辺から伺っておきたいと思います。
  21. 長田裕二

    長田政府委員 三十八年度は五百局設置を計画いたしまして、四百八局できました。三十九年度も同じく五百局の計画でございまして、ただいま進行中でございますが、現在の段階で、二百六十ないし七十ぐらいまでいくのじゃないかというふうに考えております。
  22. 上林山榮吉

    上林分科員 私は、郵政省が千局大蔵省要望したときに、いまのような簡易郵便局制度であれば、従来の消化の状態から見て、千局は無理だから五百局ぐらいにして大蔵省要望されてはどうかと進言を申し上げたことを覚えておりますが、その当時に比べて幾らか待遇がよくなったにもかかわらず、三十八年度は四百八、まだ約百局未消化である。三十九年度は驚くなかれ、これやっと半分をこえたというところですね。もういまは二月ですよ。二月になって二百六十局程度だ、こういう状態である。これは私どもが先ほどからだんだん言ったように、待遇が非常に悪い、物質的にも精神的にも待遇が悪い、大事な仕事をしている、しかも不正事件一つ起こしていない、こういうりっぱな功績をあけているのにこういう状態である。だから強く申し上げるわけですよ。やはりそう思うでしょう。ほんとうはどうなんですか。そういうつもりで自分たちもやっているんだが、大蔵省がどうも予算を削るもんだから、ほかの予算関係もあって、大蔵省にどうも調子が悪いので、残念ながらこういう状態である、こういうことになるのですよ。これを私は、いまの消化の状態を聞いて、待遇を改善したからもっと消化してもいいだろうと思った。ところが、待遇の改善が、先ほど申し上げるとおりまだまだ足らない。この点は大臣郵政事業一つの盲点です。だから、この盲点についても、ほかの事業と同様に格を上げてもらって、ひとつ再検討をお願いをいたしたい、こういうように考えます。  その次に、これもこまかいといえばこまかいというような問題でございますが、大事な問題でございます。いま、収入印紙等の売りさばき手数料などの雑収入として四十九億二千九百万円、これをあげておられるわけですが、これもあなた方がかねて心がけておられないから数字はお出しになりにくいかもしれぬけれども、たとえば特定局以上が売りさばいているところと、それから個人がやっている売りさばき所というのがございますね。あれが売りさばいている売りさばき、それはどれくらいの比率になっていますか。四局長、どなたでもけっこうです。
  23. 長田裕二

    長田政府委員 いま数字を調べますので、ちょっと御猶予をいただきたいと思います。
  24. 上林山榮吉

    上林分科員 それなら、時間の関係がありますから進みますが、どうですか、大体の勘でいいです。あとで正確な資料は出してもらうことにして、ただいまの感じてよろしい。一体その比率はどれくらいですか。当たらぬでもいい。大体のところでいい。その当たらぬでもいいという意味は、一〇〇%当たらぬでもいいが、まあまあというところでよろしい。
  25. 長田裕二

    長田政府委員 特定局以上で売りさばきますものと、それから売りさばき所で売りさばきますものの比率でございますが、収入印紙につきましては、売りさばき所の比率が割合に高うございまして、これが六三・七%くらいでございます。残りの三六・三%が普通局特定局で売りさばかれるわけです。切手類はこれと逆に、普通局特定局で売りさばかれる比率が高うございまして、これが六九%、売りさばき所が二二%でございます。
  26. 上林山榮吉

    上林分科員 両方合わせると、大体五〇対五〇、遠からずといえども、それに近い答弁になるようですね。多少は違っておるが、五〇対五〇あるいは五五対四五くらいの比率になると思う。そういうことを考えると、これも気の毒に思いませんか。多少手数料も上がってきておるようですし、けっこうだと思いますが、これなどもまだ売れるのです。ただ郵便局から持っていく数が少なかったり、割り当てが少なかったり、そうしたようなことがあるのです。それをほかの事業をやりながらちゃんと売って、そして金もちゃんと正確に納めている。間違いはほとんどない。私は郵政事業従業員全般が悪いとはいわぬけれども、一部非常なる不正事件を金銭においてやっておる。そういうものと比較して、わずかの手数料でこういう効果を国民の側はあげるのです。だからその手数料の引き上げ、これはもう少し大幅に考えてやっても、物価問題には影響はない。だからそうしたような問題について、やはり一々かゆいところへ手の届く行政、これを私はきょうは強調いたしまして、時間の関係で、あと七分ありますが、遠慮しましょう。遠慮して、この辺でピリオドを打っておきたいと思います。
  27. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 次に、山花秀雄君。
  28. 山花秀雄

    ○山花分科員 お尋ねいたしますが、御承知のように、最近高度経済成長に伴って工業の集中が大都市を中心として行なわれてまいりました。当然の結果として労働力の不足、これを補うために地方から労働力を都市へ移動してきたのでありますが、特に農業の近代化によってあふれた農村人口がどっと大都市に集まってきております。このため大都市の人口が急激にふくれ上がって、俗にいうマンモス都市が出現し、このために住宅難や交通地獄、もろもろの公害が発生しておることは御承知のとおりであります。いわゆる過密都市問題としての悩みを解消するために政府自身も人口や工業の地方分散を考えまして、同時に東京では首都圏整備とからみ、都心から都会あるいは近県へ、たとえば東京、大阪、名古屋、神戸、横浜というような一般的にいわれておる大都市からその周辺が、ぐんぐんと人口移動が積極的に行なわれており、また政府も指導しておることは御承知のとおりであります。この結果、大都市中心の近郷地は移住者によって人口がどんどんふえ、学校、上下水道、環境衛生の増設、改善に取り組んでおりますが、その中で最も大きい悩みは俗にいう郵便問題であることは御承知のとおりであります。人口や工業の分散に伴って当然郵便事情の変化を事前に考慮し、その対策を講じたものと思いますが、大都市周辺地帯の郵便行政のあり方について、ひとつ簡単に御方針を聞かしていただきたいのであります。
  29. 徳安實藏

    徳安国務大臣 お説のとおりでございます。そこでなるべく政府の方針並びに行政関係につきまして、郵政省がおくれをとらないように、これにマッチするように努力すべきことは当然でございますので、そうした点につきましては、注意深く努力しておるつもりでございますが、たまたまピントが合わなかったりあるいは想像以上の発展というようなこともございまして、非常にたくさんな方に御迷惑をかけていることは申しわけないと思います。そうした計画等につきましては、政府委員のほうから、東京周辺なり、大阪周辺等につきまして、ただいまやっておりますこと等についての説明をいたしたいと思いますから、お聞き取りいただきたいと思います。
  30. 長田裕二

    長田政府委員 仰せのように、東京都下あるいは東京周辺の近県の人口が相当ふえまして、郵便物もたいへんふえてまいりました。それに対して、郵便の施設がおくれがちで、結果として郵便遅配を生ずるというような傾向は確かにございまして、そういう点もございましたので、郵政省としましては、郵便局舎の面、それからあるいは集配関係の面、あるいは定員の面、それらにここ数年相当力を入れてまいってきております。局舎の面につきましては、局舎が非常に狭隘に過ぎるところがたくさん出てまいるあるいは担当の集配地域が広過ぎて十分にサービスが行き届かないというようなこともございますので、普通局特定局を通じまして、そういう地域の局舎の改善には、全般で相当力を入れております中で、特に力を入れております。たとえば東京近辺をとってみますと、昭和三十八年度におきまして、普通局は十三局局舎を新築しております。そのうちの六局は、新しく郵便局をつくっているわけでございます。たとえば小平、石神井、保土ケ谷西というような郊外地に新しく郵便局をつくりまして、局舎面積の狭過ぎるのを救済すると同時に、集配の改善もしているわけであります。三十九年度におきましては、十五局新築しております。四十年度はただいま御審議を願っております予算におきまして十三局の新築を計画しているわけでございまして、普通局におきまして、この三年間で四十一局新築ということにしております。なおこの近県の集配特定局につきましても、同じく相当国費での改築に力を入れてまいっております。私費局を別にいたしまして、国費の改築だけにつきましても、この三年間で三十四局計画しているわけでございます。  それから、集配関係の改善の問題につきましては、最初に、大部分地域が、まず郵便の集配の面から申しますと、市街地になりまして、一日一回配達、距離も集配局から相当離れております、速達配達区域でないところが相当ございますが、これらのところは大体が取り集めと配達を兼ねて行なっておりますので、物数がふえてまいるにつれまして、まず取り集めということは専門に機動車を配りまして、それに当たらせる、配達は、配達郵便物を相当多く持ち出せるように専門にするという措置が第一、それから速達地域も家屋がずっと連檐している地域がだんだん多くなってまいりますので、速達地域を拡張し、機動車等も配置し、定員も配ってやってまいるわけであります。なお一般的な郵便物数の増加につきましては、担当の区をふやさなければなりませんので、増区とそれに伴う定員の裏づけなどもしまして、相当力を入れてまいっているわけでございます。したがいまして、例を少しとって申し上げますと、たとえば東京西郊の田無とか国立あたりでございますが、田無の局につきましては、過去三年間に外勤十三人、内勤七人、日野あたりで外勤六人、内勤四人、調布におきましては、外勤二十一人、内勤七人、武蔵府中で外勤十二人、内勤五人というような増員をしておりますし、これに伴う機動車等も担当増備してきているわけでございます。  なお、従来その土地の状況を報告いたしまして、定員措置、車両の措置などをいたしますものを、年一回の報告を基礎にしてやっておりましたが、年に一回の報告では実態に即応するのに少しおくれるきらいもございましたので、最近このやり方を変えまして、少なくとも年二回は地況を報告するということにいたしまして、そのほか随時必要に応じてまた措置をとることに変えた次第でございます。
  31. 山花秀雄

    ○山花分科員 ただいま詳細な報告がございましたが、大体当局の基本的な考え方はよくわかりました。特に最近人口増加率を急速に早めております都下の西のほうの部類、一般的には三多摩地方といっておりますが、その地方に関してのいろいろ具体的報告がございましたので、便宜的でございますが、その地方の問題を中心に質問を続けていきたいと思います。なおこれは特定地域の問題でなくして、大阪周辺あるいは名古屋周辺というようなものも同様の関連性があると考えるようお考え願って答弁を願いたいと思います。たいへん努力をされておることは、ただいまの説明によってもよく理解できるのであるますが、その努力と一方の具体的変化との尺度がどうも合わないような感じがするのです。もっともっと努力しないと、とうてい間に合わないという感じがするのであります。  そこで具体的な例をあげてお尋ねしたいと思いますが、都下三多摩における人口の増加は、過去四年間に百三十四万から百八十万人をこえるという、全国でもまれに見る増加率を示しておることは、もう数字ではっきりしておるのであります。東京を中心に考えますと、千葉、埼玉、神奈川などもほぼ同様のふえ方をしておるのであります。また最近では、土地の値上がりから、住宅公団などもこうした周辺地帯にどんどん進出をしていく。東京へ人口が集まるとは一般的にいわれておりますが、都心地区においては、むしろ人口が最近では少し残りつつあるというような実態が明らかにされておることも御承知のとおりであります。この地域の近郷地帯にどんどん拍車をかけている人口増加に伴って、当然郵便物件の増加は、きわめて、その人口増加に伴ってふえておることは御承知のとおりであります。郵便物件が増加すれば、これを消化するために職員をふやし、また取り扱いを行なうところの郵便局舎の増改築も当然行なわなくてはならぬと思いますが。この点についてさらに詳しくお尋ねいたします。特に人口増加の多い都下三多摩における過去三カ年の郵便物の増加数は、一体どのくらいか、その伸び率を、どのくらい将来伸びるというように予想されておるかという点が、もしいろいろな統計資料でおわかりになればお示しを願いたいと思います。
  32. 長田裕二

    長田政府委員 東京都下一円の郵便物の伸びでございますが、二十六年度五百六十三万通でございましたのが、三十七年度には六百二十五万通と一一%上がりました。さらに、三十八年度には七百五十二万通、前年度に比べて二〇%ふえております。詳しく将来を予測したデータはただいま持ち合わせがございませんけれども、大体一〇%をこえ、二〇%前後くらいでふえていくということを予想いたしまして、局舎計画をしておるわけでございます。
  33. 山花秀雄

    ○山花分科員 三十九年度のものはまだはっきりしていないが、三十八年度には郵便物は前年度に比べて大体二〇%の増加という御報告でありましたが、そういたしますと、一千二百七十万通以上もふえたということになるのじゃなかろうかと思いますが、都下一円では七千五百万通以上となっております。これに対して外務職員、すなわち集配を行なう職員はわずか九十六名の増員、一三%の増員の伸びであります。千葉県全体の量を見ても約一千万通の増加、前年に比べて一四%の伸びでありますが、人員のほうの増加は半分の七%しかふやしておりません。埼玉県でも郵便物は一六%の伸びでありますが、人員は八%、これは大体半分であります。郵便物数がこのように伸びてい、人員の配置の伸びのバランスが全然とれておりません、こういうところからいろいろな欠陥が出てくるんじゃないかと思います。同時に最近の住宅の新築状態などをちょっとお考えになってもわかりますように、高層建築が、どんどん五階、六階、八階というような、そういう形になりますと、集配の技術的な問題もたいへんむずかしくなってまいるのであります。この問題は結論はなかなか得られないと思いますが、しかしこういうような情勢に対して、先ほど集配は人員増加で何とかというような、また配達区域の増区をやって解消したい、こういうように言われましたが、いま言ったように郵便物数の異常なる増加に伴う、これに適当な人員増が行なわれていないという点でありますが、これらの点につきまして、この問題をどう解決するのか、いまのような人員増の伸びで郵便物の集配が円満に行なわれるとお考えになっておるかどうかという点であります。
  34. 長田裕二

    長田政府委員 ただいまのお話でございますが、郵便物数の伸びが東京都下におきまして、三十六年度から三十八年度にかけまして、約一千八百万通くらいふえておるという状況でございますが、これに対しましての郵便担当職員の増加は九百九十五人から一千三百二人ということでございまして、三百七人——これは内勤と外勤とに区別されますが、外勤のほうにむしろ比重が置かれておるわけでございまして、少なくとも過去三年間くらいをとってみます場合には、郵便物数の伸びと定員の伸びとは決してアンバランスになっておらないと考えております。場合によりますと、郵便職員の定員のほうがふえている場合がございます。もっともこれは過去の地況の発展にそぐわなかった点を補うという点もときにございますが、少なくともこの三年間を比較してみますと、あまり郵便の定員の配置が少ないというようなことにはならないんじゃないかと考えております。
  35. 山花秀雄

    ○山花分科員 ただいまの報告を聞いておりますと、人員もふやしたから、何とかやり繰ってでも従来の実績を落とさないようにやれるというような安易な考え方の御答弁だと思いますが、実例を申し上げますと、ただいま私の住んでおりますところ、これは十二、三年前は村でありました。急速に発展して町になりました。ちょうどことしで十年の、市の合併の祝賀会をやるというような状態で、今日市になっておる。ところが、その村当時にきめた集配度数が、市になってぐっと発展して、人口も倍数以上の人口になっておりますが、それでもなお村当時の集配の度数しか行なわれていないということであるが、こういう点は、いま言った御答弁とだいぶん食い違っておると思う。これは実例の一つとして申し上げたいと思います。特にいま、三多摩の人口増加が多いという関係もありますので、話が三多摩を中心に進んでおりますので、勢い三多摩を中心にいろいろな問題をお尋ねすることになりますが、保険業務を除く職員は、昭和三十八年度において前年度に比べて一一五%、三十九年度では一一六%の伸びであります。この数字を見ると、なるほど大きな伸び率を示しておりますが、具体的な定員数になりますと、三十九年度の外務職員の増加は何とわずか九十六人であります。何か、先ほどの御答弁は、外務のほうは非常に大きいようなお話でございましたが、郵政省が発行しておるいろいろな調査報告書によりますと、こういう数字が出てまいっております。百八十万人の人口を持つ三多摩全域で、郵便物を集配する職員の総数が大体九百人そこそこであります。定員のワクそのものが最初から絶対的に不足しておる。そこからずっと割り出して、常識的に定員数をふやすということでは、いつまでも絶対的不足というところがあらわれてくるのであります。大体人口二千に対して一人の割合でしか配置されていないようでありますが、これでは職員が幾ら努力しても遅配が起こってくるのは私は当然であろうと考えます。そしてまじめに働いている人々に対して、一般住民から相当不平が出て、その不平が感情的にもいろいろとんがって当たっておる。私は、下で働いておる職員諸君は非常に気の毒だと感じております。特に最近は、デパートや銀行などが郊外に住むサラリーマンに対していろいろ宣伝物を大量に郵送しておることは御案内のとおりであります。毎日のように新しい家がどんどん建ち、配達する方はたいへんな苦労で、また高層建築物になりますと時間もかかかる。こうして遅配——配達能力の限界にきておるために、一日に一回のところが実際問題として二日に一回しか配達されていない、こういう現象が起きて、会議の通知が会議をする日に通知が来たとか、非常にお気の毒な点は、就職の出頭の通知が来なかったために、そういうチャンスがつかめなかったというような、そういう結果もずいぶんあらわれておるのであります。そういうところから非常に苦情が出てくる。単に人口数だけでは、配達職員の割合をきめることは私はできないと思うのです。人口に対して何人ということは、先ほど申し上げましたように、特別に大都市周辺地区の郵便物件が多く、その点何か特別な配慮が私は必要じゃないかと思うのでありますが、これらの問題についてなお具体的対策をひとつお示しを願いたいと思います。
  36. 長田裕二

    長田政府委員 先ほど申し上げましたように、一般的な措置としましては、従来年に一回ずつ地況の報告、状況の報告をさせておりましたのを、年に二回させることにいたしたのでございますけれども、さらに関係の東京、大阪、名古屋等の郵政局に対しましては、集配関係は東京、大阪、名古屋の近郊地帯に重点を置いて、あらかじめ手を打つようなくらいにやるように、関係の者と打ち合わせをしてございます。今後ともそういう近郊地帯は、郵便事業の一大重点地域といたしまして、各般の面につきまして気をつけてまいりたいと思っております。
  37. 山花秀雄

    ○山花分科員 特にこの大都市の近郊地帯の急激なる人口増については、十分配慮して、一年一回の査定報告を二回にしたり、また回数をふやしたりして、万遺漏のないように努力をしておるという御報告でございましたが、努力をしておるという御報告はありましても、現実問題としては——これは私の関係だから一番よくわかっておりますが、一回配達のところを二日目に一回というふうに度数が減っておる。これはやはり人員が足らぬというところに原因があると思う。郵便配達を円満にするためには、各自治体でも非常に協力しておると思うのです。最近は町名番地を整理し、飛び地の番号などを調整しておることは顕著な事実だと思うのです。これは郵便物をどうして円満に配達してもらえるかというようなところから、地方自治体もこういう意味では郵便業務に相当協力しておると思う。しかし、それでも最近は誤配があったり、差し戻しが非常に多い。現に私のところは相当くるのです。郵便物はたいてい一日に平均して三十通くらい来ますが、よく他人さんのものがまぎれ込んであるのです。誤配した人には気の毒で、しかられるのじゃないかと思いながらも、やはり私どもだけでなくて、御近所の方などほかにもあるといけないというので、郵便局へときどき注意をすることがあるのですが、この場合だんだん調査してみると、俗にいう本採用の職員がやってないのです。アルバイトを採用してやっておるが、大体アルバイトの人がそういう誤配とか、あるいはいろいろなれないものだから、悪意でなくても、なれないところからそういうミスが出てきておる。そして、結局配達人の能力以上の仕事をやらした、あるいはいま言ったように、本職員でなくして臨時アルバイトを雇ったところから、こうしたあやまちが出てきておるというのが実情なんであります。この仕事は簡単にだれでもできるというような、そういうものではないと私は思います。相当の体力と記憶力が必要だと思います。そして、最近は交通事情がきわめて悪く、必要以上の神経を使っているわけなのでありますが、こう考えてまいりますと、定員ぎりぎり一ぱいという状態を改めなければ、集配のサービスの完璧はとてもできないと私は思う。もし事故があるときはすみやかにかわり得るような予備員なども、ある程度置いておかないと、郵便業務の円満な遂行は私はできないと思います。また、危険手当てというような優遇策をも講じてやるべきだと思いますが、この点につきまして予備員を置くかどうか。あるいは、いまの、定員はアルバイトを雇っておる状態でありますから、アルバイトを一日も早く廃止して、なるべく本雇いの本職員を置くように努力すべきが当然だと思います。いまいろいろお答えになりました定員数では、とてもこの問題の解決はできないと思いますが、将来定員をうんとふやして、少なくとも予備員を若干ぐらい置くというように人員採用する、そういう用意があるかどうかということを、この際あらためてお伺いいたしたいと思います。
  38. 長田裕二

    長田政府委員 郵便関係の適正な要員を確保するということにつきましては、予算上の措置も、あるいは現実に実際に運用する面からいたしましても、今後とも格別に努力してまいりたいと存じております。  ただいまお話のございました予備員でございますが、現在、一週間に一日の週休の関係は全部定員としてもらっております。年に二十日までもらえます年次休暇のあと補充につきましても、その相当の部分につきましては、予備員の制度がとられているわけでございますけれども、年次休暇等は必ずしも平均してとられるわけでもございませんので、ときとしてはそのために予備員である本務者が使えないということも間々できてきまして、その面でも非常勤職員が実際問題としては働かなければならないということもございます。さらに病気のものが出ました場合には、これは全く臨時者にたよらなければならないという状況でございまして、そのような関係から、ふなれなものがときどき郵便を扱わなければならぬということにもなりますわけで、臨時者の勤務につきましては相当気をつけてもまいっているわけでございますけれども、今後とも一そう努力しなければならない点でございます。  大都市の外勤が非常に交通関係等で危険にさらされているという点は、御指摘のとおりでございます。そのために集配の時間も以前より増してくるということもございます。いろいろ困難な点もございまして、実は外勤者に対して処遇の面でもだんだん考えてまいらなければならないのじゃないかということから、いろいろ現在検討を進めているところでございます。
  39. 山花秀雄

    ○山花分科員 これは私はなるべくもう少し定員をふやしてもらいたいと思うのです。そうでないと、口で幾ら解決するすると言っても、現実問題としてはできないと思います。  そこで次には、局舎の整備も大いにやっておるという御報告がございましたが、この局舎問題について少しお尋ねしたいと思います。  膨大な郵便物件の増加に伴って、職員の働く量も相当大きくなりました。いわゆる労働強化が現在の定員では余儀なくされておる。これが実情であります。したがって、職員の疲労の度合いもふえ、これが深刻な問題になっております。定員は少なく、取り扱い件数はふえ、しかも局舎の構造にも大きな欠陥がある。これが一人一人の職員にしわ寄せがやってきております。現場へ行ってみますと、ほとんどの局で郵便物が山のように積まれて足の踏み場もないというのが、現場の実況であります。これは私が言うまでもなく、局側のほうが十分御承知だろうと思います。技術革新と近代化の進む中で、郵便局舎だけが相も変わらず狭く暗く、ほこりの舞う中で職員が汗だくだくで働いておるというのが、現場の実情じゃなかろうかと思います。郵政省基準によれば、定員や郵便物数に応じた割合で局舎の大きさが定められておりますが、大部分がこの基準に満たないものであります。この現象は、やはり大員市周辺の、最近人口の急激にふえた衛星都市に多いのでありますが、急速に対策を立てる必要があると思いますが、どうお考えになっておるか。それからその基準が全部満たないような局舎がありますが、これについてはやはり一応周辺の局舎をふやして解決するよりほかないと思います。先ほど昭和三十九年度にはこれこれというようなお話がございましたが、もう一度これらの問題について詳しいお答えを願いたいと思います。
  40. 長田裕二

    長田政府委員 ただいまお話しのように、局舎がその郵便物数あるいは定員等に比べまして狭過ぎるというところも現実に相当ございます。昭和三十六年から郵便局舎につきましての四十年度で終わります五カ年計画、長期計画を立てたわけでございますが、この計画はほぼ大部分実行されておりまして、そういう局舎につきましては、ただいま御指摘のようなことはあまりないんではないかと考えておりますが、それ以前につくられました局舎につきましては、予算の幅の問題あるいは見通しに対する問題等がございまして、新築されたのに間もなく狭くなってしまったというような局舎がかなりございます。仰せのように相当問題もあるわけでございまして、そういう局舎につきましては、いま増築等の問題が起こっているわけでございます。  なお、東京近郊、大都会の近郊の局につきましては、ごく最近できましたものは別としまして、古い局舎は、もともとがそう広くなかったところに、地況の激しい変転がございまして、非常なアンバランスになっている局が幾つかございます。それらにつきましては、最重点的に局舎の改築を進めているわけでございまして、先ほどお話のございました東京西郊のほうにつきましても、府中の局は三十九年度の計画に入っておりますし、調布局につきましても四十年度の予算に計上されておりまして、近く敷地等の手配から着工してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  41. 山花秀雄

    ○山花分科員 ただいまの答弁によりますと、三十九年度は府中、四十年度は調布というようなお話がございましたが、四十年度調布というのは、これは間違いございませんか。
  42. 長田裕二

    長田政府委員 調布の局を計画しております。
  43. 山花秀雄

    ○山花分科員 そういたしますと、第二局舎というような意味ですか。いま一応建っておるのはもう古いからやり直すわけなんですか。
  44. 長田裕二

    長田政府委員 現在の局舎の東のほうに新築する予定でございます。なおそれに伴いまして、先ほどもちょっとお話がございました調布市につきましては、局舎を新しくすると同時に、集配関係についても新たな観点から検討をしてまいらなければならない。市内地、市外地等につきまして、いままで過度的な手も打っておるのでございますが、この機会にさらに改善の問題を検討したいと思っております。
  45. 山花秀雄

    ○山花分科員 局舎の構造上の欠陥があまりにも多いし、これが作業に悪い影響を与えていることはいなめない事実だと思いますが、この点につきましては、ただいまの御答弁によりましても、お認めになっておられると思います。能率を上げたいが、働く場所が狭く、逆に職員の疲労だけがふえておるというようなことは、現場の管理者の諸君でもこれを認めて、よく私たちに訴えられておるのであります。そこで職員は、待遇の改善を要求するとき、あわせて単にベースアップだけでなくして、作業所の改善や厚生施設の改善を要求しておることは御存じのとおりであります。ところが、こうした要求にこたえないで、逆に監察を強化して、職員を犯罪者扱いにするような監察をしたり、時計を見ながら能率を上げるようなことを要求しておる例もあるのであります。これは全くあまりにも私は片手落ちではなかろうかと思います。どうしたら能率が上がるか、その条件をまず第一に考えることであろうと思います。たとえば作業所の広さが十分にあるかどうか、郵便物の保管するところがきちんとしてあるかどうか、窓口が狭くないかどうか、職員が休憩する場所があるかどうか、食事をするところがあるかというように、十分に働きやすい環境と条件をつくることが先決問題であろうと思います。こういう条件について現場の職員と十分に話し合って、これを前向きに解決するようなことに当局努力すべきであると思います。そういう機会を持つべきだと思いますが、これらについて当局のお考えをお示し願いたいと思います。
  46. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 職員の厚生福利施設等につきましては、さらに安全衛生の問題等につきましては、御案内のように労働基準法並びに労働衛生安全規則等によりまして、使用者のほうで守らなければならない基準もございます。そういった基準につきましては、私ども十分守っているのでございます。なお厚生福利施設等につきましても、いろいろ先生から御指摘ございましたけれども、十分配慮いたしまして、予算の配算等につきましても気をつけてまいっております。特に都下を中心といたします近郊地帯につきましても、さように心得ておるのであります。  なお、監察官がいわば締めつけ的行為をやっておるということでございますが、これは所管の監察局からお答えすべきでございますが、労務管理の立場からいたしましては、絶対にそういう観点でいたしておりません。  さらに、職員と話し合っていったらどうかというただいまのお尋ねでございますが、私ども、職員の希望はかねがね職制を通じまして十分吸収し、かつまた理解しておるつもりでございます。なおまた、私どものとっている施策につきまして苦情等がございましたら、それぞれの手続きを通じまして十分これを吸い上げることになっておりますので、いわゆる団体交渉という形においてはその必要は認めておりません。ただ職場におきまして、局長が職員と、あるいは労働組合と正式の団交をいたすこともございます。たとえて申しますならば、超過勤務協定を結ぶというようなときにおきまして、いろいろと付則的に話が出てまいります。先生のおっしゃった話もそういった機会に十分承っておる次第でございます。
  47. 山花秀雄

    ○山花分科員 これは、私は、胸襟を開いて、現場の職員と、作業所の環境をよくするために、どんどん話し合いを進めていただきたいと思います。最近三カ年で東京における普通局の改善状況を見ますと、相変わらず何か、従来の習慣と申しましょうか、考えが改まっていないような感じがするわけです。俗に言って、都心を中心に偏重しているような感じが強いのであります。先ほどいろいろ御答弁にもございましたように、人口の移動が都市周辺に行なわれております関係上、これはどうしてもそういうところに力を入れるのが当然ではないかと思うのであります。都心部より、都内と申しますか、都下と申しましょうか、そちらのほうに重点を置くのが私は当然ではないかと思うのでありますが、しかし、都心部に建てる局舎は比較的大きいのが建ってまいりますが、都下、あるいは各市町村にある局舎は、どっちかといえば貧弱な、そして何か場当たりと言ば語弊がありますが、まあひとつ建てておけという調子のような感じのする局舎が建っておるのであります。増改築の必要が今日ほど迫られているときはないと思うのでありますが、近年人口が急速にふえ、扱い量もふえ、これを消化し切れないような、都下のような局舎はどうするかということは重要問題になっておると思います。私の知るところでは、三十八年度は、普通局の改善では、小平が一つ、三十九年度は二局、ことしはただいまの御説明でも調布をやるという。二局と聞いておりますが、ただいま三十九年度は府中というようなお話でございました。これは私の調査間違いか何かわかりませんが、しかし、これでは過密都市対策としては完全に置き忘れておるような感じがするのです。いま三多摩地域では年間大体十五万人くらい人口がふえておる。これは人口の絶対量がふえてまいりますと、またそれにどんどんふえてまいって、おそらく年間二十万くらいの人口がふえてくるのじゃないかと思うのです。そうなりますと、ますます庁舎の問題が、局舎の問題が問題になると思いますが、いまのような考え方で、これらの問題が解決できるとお考えになっておれば、これは非常に甘い考えだと思いますけれども、もう一度この問題について、ひとつお答えを願いたい、と思います。
  48. 長田裕二

    長田政府委員 東京近辺の新しい局が幾つかという問題でございますけれども、三十九年度におきましても、武蔵、府中のほかに、拝島、それから足立北等も新築の計画に入っております。それから四十年度におきましても、調布、杉並、高井戸、志村というように——志村は近郊地と言っていいかどうか問題でございますが、そういうところに力を入れて建てておるわけでございます。非常に発展の激しいところにおきまして新築が完成しますと、数年間は若干余裕含みということになりますが、できるまでの間は、やはり非常な狭さを感じながら仕事をするというような状況は、ある程度やむを得ないかとも思います。しかし、おことばのとおり、そういう地域におきます今後の趨勢をよく見きわめまして、できるだけ先手をとりながら対策を進めてまいるように、今後ともよく気をつけてまいりたいと思います。
  49. 山花秀雄

    ○山花分科員 三十九年度は、ただいま三多摩地域の話をしていたものですから、私は二局と承って——ただいまの説明で拝島が入っているから一応そういう数字になりますが、四十年度はこれは一局ということになりますと、ますます人口増加にそぐわないような結果が出てくるのではないかと思います。局舎の構造で、私は問題がたくさんあると思います。たとえば都下の普通局で、郵政省基準に示されておりますところの更衣室、休憩室、洗面所、便所、あるいは食堂、この基準を備えている局が十一局のうち一つもないのであります。これは私はひとつはっきりしていただきたいと思います。実に驚くべきことであります。基準できめられていることがかんぺきに整備された局舎が一つもないということです。あればひとつお示しを願いたいと思う。ここに全部見取り図がある。各局舎の基準見取り図がございますが、全部不足しているのです。たとえば、この場所は五坪というところが四坪であったり、この場所はどうしても十一坪要るというようなところが全然なかったりというように、基準どおりある局舎は一つもないということ、これは一体どうお考えになっているかということです。山のように積まれた郵便物の中で、食堂も完備されていないから弁当も開けない。雨に打たれて配達から帰っても、その疲れたからだを休める場所も十分にない。疲労を早く回復することが次の仕事を準備することでありますが、そういう場所もない。これでは労働意欲を失うのはあたりまえじゃないですか。交通戦争といわれる中を、文字どおり命がけで仕事をしている神経は、おそらくくたくたになっている。こうした職員が、雨にぬれたからだで、郵便物の山の中で弁当を広げている。この姿を想像してごらんなさい。これはもう見ちゃいられないということであります。局長室だけは、これはまた基準を大きく上回っているのが、この三多摩の十一局の中でも四局あるのです。局長室だけが基準を上回っていて、ほかは全部基準を下回っているというようなことは、これは労務管理の上からいっても、感情の上からいっても、あまり得策じゃないと思うのであります。窓口事務所や郵便物外務室などは、もっともっと仕事量が多いところがほとんど基準以下の狭さであるが、こういうことでは能率が悪くなり、職員の疲労は増すだけでありますが、これらの対策について、今後建てる局舎、現在ある局舎——現在ある局舎は政善するとか、今後建てる局舎は基準どおりの面積の用地を確保した、あるいは厚生施設を完備した局舎を建てられるかどうか。これは予算との関係がある、予算がないからと、こういう言いわけを言っていたのでは済まされないと思うのでありますが、こういう問題につきましては、ひとつ大臣のほうからも御答弁を願いたいと思います。もちろん、こまかい詳しい問題は事務当局から御答弁願ってもけっこうでありますが、ただ予算がないから基準どおり建てられないということでは許されないことだと思いますので、この問題につきましては、ひとつ大臣のほうから御答弁願いたい。
  50. 徳安實藏

    徳安国務大臣 職場に対する改善等につきましては、非常に御親切な御質問、私も全く同感であります。ちょいちょい局を見まして、一体これでいいのかということをしばしば考えながら、地方局長等にも指図をいたしまして、話し合って、そうして改善できるものならばどんどんやれるようにひとつ骨折ってくれ——しかし、国の予算もございますから、無制限ではあり得ないわけでありますけれども、その日その日の職場に働く諸君が毎日不平不満を持っておるようなことでは好成績があがるわけはないわけでありますから、少しどこかから工面して金を振り向ければ多少の不平も緩和でき、職務にも好影響を及ぼすようなものにつきましては、いいものはどんどんほかのものを倹約してでもしてあげるような考え方でやってほしいということを申しておるわけであります。現在では、そうした面につきましてはだいぶん取り上げてまいりまして、努力いたしておるようでございますが、何しろ限られた予算でございますので、思うにまかせない点が多かろうかと思います。しかし、私は元来職場を明朗にして、そうして労使の関係を摩擦のないようにしていく、そしてお互いに励まし合って業務を遂行してもらうということが、この郵政業務の一番大きなねらいであると考えておりますので、したがって労組にも正しい要望等につきましては、現場においてできるだけ親切に話し合いをして、そうした問題の解決に努力するようにという方針をただいま堅持しておるわけであります。何しろ一万幾つの局のことでありますから、そういう方針は立てましても、すぐさま思うようにはまいっていないと思いますが、ただいまのような御趣旨を私ども体しまして、極力完ぺきを期するように努力いたしたい、かように考えております。  なおこの機会に遅配等の問題についても申し上げたいと思いますが、いろいろ事務当局から御答弁申し上げましたが、しかし私自身も、私どもの同志の諸君あるいは国会議員諸君等に会いますと三多摩のごときは、座談会を開いても、もう郵便遅配のことでどこでも終始している、一体これはどうするんだというお話をしばしば聞きます。そのたんびに郵政局を通じましてその真実を把握することに努力しているのでありますが、なかなかこれは机の上では議論は確かに成り立っておりましても、実際問題としては非常に不平と不満を買っているように思います。少し予算等も通りまして手がすきましたら、局長自身が山を越えて谷を越えて歩いてみるくらいでなけりゃあ、この根本的な解決はつかぬじゃないかという気持ちがするのであります。欠員はないかといえば欠員もない、それじゃできるはずじゃないか、できますと言うが、やはりいまお話しの三多摩のごときは、もう遅配が一つの習慣になってしまっている。もうその日に来るものが、二日も三日もおくれてきてもやむを得ないのだというあきらめのような事態もあるとか聞いておりまして、私の友だちもたくさんそういうことを実見しておるわけであります。これを何とか解決いたしたいと考えておりますが、つまり机の上だけで、地図で考えずに、みずから責任者が配達する諸君と一緒になって実地に味わいながら、そうしてどこに欠陥があるか、定員が充足されておりましても、どういうわけでこの配達が遅配するのか、そういう問題と真剣に取り組んでいただかなければこれは解決しないのじゃないかと思っておりますので、私まだ省議を開いておりませんが、多くの非難も聞いておりますから、適当なときに一つの非常の措置と言ってはいかがかと思いますが、東京、大阪周辺あるいは京都、神戸もありましょう、あるいは名古屋もありましょう、そういう周辺の遅配の慢性になっておる、あるいはそうして一時はしのげても、またすぐ慢性になるような場所、そういうところはひとつ徹底的に調べ上げまして、そして五年、十年先にも対応し得るような対策を立てる。もし郵便物を集配する局が不足でございますならば、地方のほうの配置される局を多少は犠牲にいたしましても、この周辺のほうには局も増加いたしまして、そうしてきょうでなしに、二年先に備えるという考え方をいたしませんというと、あとからあとから追っかけられてくる。そうして理屈には合っておりましても、現実には皆さんの御満足を得られない、郵便が、通知がことごとく、あるいは通信の内容が必要でなくなってから届くという例がしばしばございます。私どももそういう書類、はがきや手紙をもらいまして、あるいは私ばかりではございません、郵政省の相当の地位の諸君もしばしばそういうものを実見しておるわけでございます。これは何とかせんならぬということですぐ調べる、その調べたことに対しましては一応の回答は出るのでありますが、しかしそれが一つの慢性的になっているような傾きも一面にはあるわけでございます。こういう点につきましては、私は労使関係の不信感を去って、そうして手を握り合ってその職責にいそしんで努力してもらうという慣行をつくりますと同時に、どこにほんとうの原因があるのか、かゆいところに手の届くような処置をひとつ考えてみたい、かように考えております。もういまは理屈の時代ではない、すでに三多摩のごときは理屈を離れて、現実に幾ら言いわけをいたしましても言いわけが立たないような状況でありますから、こういう点については、国の事業としてこれくらい不名誉であり、不信用なことはございませんので、組合の諸君とも十分理解し合って話し合って、そうして国民の信頼を裏切らないような措置をとりたい。組合でも、最近ではそうした問題に非常に協力的でありまして、とにかくお互いの共同責任においていこうじゃないか、もしそういう問題についてわれわれの力が必要であるならば、いつでもわれわれも飛び出していくというようなぐらいの話もしばしばいたしておるわけであります。現にそうした力も借りつつある場所もあるのでございます。まことに、完ぺきを期しておりますと言いたいのだけれども、言い得ない実情でありますことは残念でございますけれども、もし方々においてそういう遅配あるいはふしだらな点がございましたら、機会あるごとに御指摘いただきまして、そうしてたとえこう薬ばりでも一時をしのげるように努力をすると同時に、根本的にこの東京周辺あるいは大阪、名古屋周辺の遅配等による不信感、国民が私どもに対する不信感を払拭するような抜本的な措置を適当な機会に立てなければなるまい、立てなければいけぬ、かように考えておるわけでございます。
  51. 山花秀雄

    ○山花分科員 大臣から非常に懇切な決意を込めた御説明がございまして、私もその大臣の誠意ある答弁には満足するものであります。しかし説明と実情が違うということになりますと、何だあの大臣、うまいことだけ委員会では言ったということになるのでありまして、ひとつそのいま表明されたことを実行に移していただきたいことをこの際要望しておきたいと思います。  なお、私の調べたところで、特にひどい問題がありますところを一カ所だけ指摘して、考慮していただきたいと思います。  都下で、田無局のことでございますが、せんだってこれは新築された局であります。先般郵政省から取り寄せた資料には、この局がどういう関係か漏れておりましたが、この田無局が、これは一番ひどいという意味もございますが、一例として申し上げますと、男子と女子の更衣室、休憩室がないのであります。郵政省基準に従いますと、更衣所は三十八平方メートル、休憩室が二十六平方メートルが必要だということになっておりますが、これが全然ないのであります。しかしこの局はつい最近できたのであります。人口の増加、郵便物数の増加、こうした労働量の増加、したがって定員の増加など十分に考慮されてできた新しい局舎であります。この局舎が休憩室も更衣所もない、男女別の洗面所もないのでありますから、一体女子職員はどこで着がえをするのかと反問をしたくなるような状態でございます。郵便物は山のように積んである、この陰で着がえをしろとでも言っておるような状態の局舎であります。女子職員は私はまことに気の毒だと思うのです。この局では、男子の便所と局長室だけがかろうじて基準に合格をしておる。最近できたばかりのところでさえこんな状態でありますから、労働条件も職場の環境も全く無視したやり方であります。これで能率をあげようとしても無理であります。人権さえ無視したような職場で、どうして能率があがるかという点であります。大臣は、ひまになればひとつわらじがけででも一ぺん現場を視察して、改善に努力したいというただいまの決意表明でございましたが、私は最も近いうちに、これは遠いところへ行けというのじゃございません。ここから車を飛ばせば一時間で行ける局でありますから、ひとつこういう例もあるということを、御参考のために大臣行っていただきたいと思うのであります。先ほどの大臣の熱意ある御答弁でございますので、ひとつその御答弁を実践する意味で、一局特に事例的にあげました田無局が、新しい局が、こういう事例にあるということだけをひとつ御視察願ったら、今後の行政上非常に役に立つと思いますが、行っていただけるでしょうか、どうでしょうか。いますぐとは申しません。
  52. 徳安實藏

    徳安国務大臣 何とか都合をつけまして拝見に出かけるようにいたしましょう。
  53. 山花秀雄

    ○山花分科員 たいへんけっこうな御答弁をいただきまして、ぜひこれだけは近いうちに実行をしていただいて、今後の役立ちのためにひとつ見ていただきたい。  時間の制限がございますので、私はこの一問で終わりたいと思いますが、本年度の特別会計のうちでは局舎その他の施設工事に百十億円あまりが計上されてありますが、これは工事に多くの日数を要するため、あらかじめ本年中に四十二年度の分まで契約を済ませる必要があるということから算出された国庫の債務負担行為でありますが、そこで私は、本年度中に契約をする以上、当然向こう三カ年の工事目標ができているものと判断いたします。工事計画がなければ、その必要経費の額もわかるはずはないと思います。四十年、四十一年、四十二年、この三カ年の局舎の増改築の計画を御提出願いたい。また御説明願いたいのであります。  同時に、この計画の重点施策として私がしばしば申しました、マンモス都市の衛星都市として、あるいは勤労者の住宅都市として最近急激に人口のふくらんだ地域に対処する郵政行政のあり方を尊重するという意味で、こうした地域こそ重点的にその悩みを解消していただきたいと思うのであります。過密都市対策の一環として機能を果たせるよう、もう一度関係者の決意をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  54. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 ただいま御質問の国庫債務の関係でございますが、御指摘のように国庫債務の総額としましては百十億でございますが、そのうち昭和四十年度に三十五億ございまして、四十一年度で六十八億四千八百万円、四十二年度で七億三千二百万円、合わせまして四十一年度以降で七十五億八千万円。それから歳出予算で、昭和四十年度で百十五億円ございます。
  55. 山花秀雄

    ○山花分科員 もう一つ念のために、だめ押しといえば語弊がございますが、先々のことまで一応計画をされておるのでありますが、その計画の中に、私はどうしても、これは東京、大阪あるいは名古屋周辺における人口の急激に増加しておる過密都市対策の一環として機能を果たせるように、予算を十分能率的に使っていただくようにしていただきたいと思います。そして予算を使う場合に基準にはずれないような庁舎、局舎なりを建設していただきたいことをこの際お願いをしたいと思いますが、これについてもう一度御答弁を願いたい。
  56. 長田裕二

    長田政府委員 おことばの御趣旨を十分気をつけまして今後に対処してまいりたいと思います。
  57. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 続いて堀昌雄君。
  58. 堀昌雄

    ○堀分科員 いま局舎の問題が出ておりましたから、先に私も局舎の問題について少しお伺いしたいと思います。  いま郵務局長ですかがお答えになったのはよくわからないのですが、昭和四十年度の郵便局舎の建設予算は、三十九年度の七十一億五千八百六十七万三千円に対比するものは幾らになるのか、ちょっとお答えをいただきたい。
  59. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 御質問は、三十九年度の七十二億一千万円に対比するのは何ほどか、こういうことだと思いますが、四十年度の郵便局舎の建設予算は、予定としましては八十四億九百万円でございます。
  60. 堀昌雄

    ○堀分科員 その中で普通局は幾らで、普通局の中の新増築分は幾らになるか、ちょっとお答えを願います。
  61. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 八十四億九百万円のうち、新増築分としましては三十八局の七十億八千四百万円を予定しております。
  62. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまの七十億というのは、昨年度の四十七億八千六百万円に見合うものでありますか。実はそれは土地買収その他が含まれると、ちょっと計算がわからなくなりますので、昨年度は、私が持っております資料では、普通局として六十三億、その中の新増築部分が四十七億八千幾ら、こうなっておるのですが、それに見合う形でお答えをいただきたい。
  63. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 昨年度は、御指摘のとおり、普通局の新築で四十七億八千六百万円、それから土地買収で十五億五千三百万円、合わせまして六十三億三千九百万円でございまして、四十年度の予定額としましては、普通局の新増築に五十三億六千七百万円、土地の買収に十七億一千六百万円、合わせまして七十億八千四百万円でございます。
  64. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで新増築のあり方でありますけれども、土地が入手できたら、直ちにそこに建物を建てるというのが順序ではないかと私は思うのですが、土地は土地でまず買っておいて、一年遊ばせておいて、その次の年に建物を建てるというようなやり方が郵政省では一般的なのか。土地が購入されれば、局舎を新築するのが目的で土地が購入されるのだから、当然、購入された土地の上には次年度には新築の予算がつくのが普通ではないかと私は思うのですが、郵政省取り扱い方はどうなっていますか。
  65. 長田裕二

    長田政府委員 土地の購入の計画と局舎の新築の計画をなるべく近く合わせてやるというのが原則であることは仰せのとおりでございますが、実際問題として、土地を確保しましたあとで建てることは、内部関係がおもでございまして、わりあいに見通しがはっきりつくのでありますが、土地を入手するということが、計画は立てましても、しっかりした期日の見通しなどがなかなかつかない例が多うございますので、場合によっては、まず、ある年度で土地の予算をつけて買う、次の年度ごろから局舎にかかるということもやむを得ない事情もございます。
  66. 堀昌雄

    ○堀分科員 いま山花さんがいろいろ質問をなすった中で、私もちょっと関連があるものですから、事実関係で申し上げますけれども、実は尼崎は人口が五十万をこえておりますけれども集配局一つしかない。集配局一つしかない五十万以上の都市というのはおそらく尼崎市一つだろうと思うのであります。そこで、かねてからあまりに問題があるものですから——と申しますのは、私どもの家から南のほうに約五キロくらいのところに一つ郵便局がありまして、私は毎週往復しておるんですから、家に相互に連絡するために速達で実は郵便を出します。そうすると、その速達を配達するのに、五キロもあるところから配達に来てくれるということで、私どもそういうのを見ておりまして、集配関係が非常に大きな都市に一つしかないなどということはまことにおかしいと思って、実は新しい局舎の建設をお願いをしておりましたところが、伝え聞くところによると、土地の購入は昨年終わったようでありますが、四十年度には新築予算がついてないんだというふうに実はちょっと聞いたものですから、せっかく土地が購入をされていながら、いま申し上げたように五十万の都市にたった一つ集配局しかないなどという特異な条件の中で、なぜ四十年度に新築の予算がついていないのか、ちょっと納得しかねたものですから、あわせていまの山花さんの御質問に引き続き、関連もありますので、最初にお伺いをいたしますが、これは四十年度に新築の予算がついているのでしょうか、どうでしょうか。
  67. 長田裕二

    長田政府委員 四十年度の予算の中に計上されておりません。
  68. 堀昌雄

    ○堀分科員 それでは、土地は購入は終わっておりますね。これは、私、確認をしてまいりました。
  69. 長田裕二

    長田政府委員 実は土地のほうは適地が得られる見込みがつきまして、早く予算に計上して入手したわけでございましたが、局舎のほうにつきましては、大阪近辺の局舎で、より急がなければならないような局舎がわりあいに多うございまして、その関係でちょっと局舎のほうがおくれております。
  70. 堀昌雄

    ○堀分科員 より急がなければならぬのはどこですか。客観的にそれをずっと御説明を願います。
  71. 長田裕二

    長田政府委員 大阪福島、西淀川、それからあとはちょっと離れますが、神戸中央郵便局、それから姫路、そういうようなものでございます。
  72. 堀昌雄

    ○堀分科員 福島、西淀川ですね。これはおのおの、神戸中央はもちろん木造の部分もありましょうが、何か知りませんが、姫路はたしか集配局が二つか三つぐらいあるんじゃないですか。人口はまだ四十万余りしかないんじゃないですか。三つあると思うんですが、どうですか、現状では。
  73. 長田裕二

    長田政府委員 私、姫路の地況を詳しく存じません。
  74. 堀昌雄

    ○堀分科員 詳しく存じないのでは、私、これは引き下がるわけにいかないのです。五十万の都市で集配局一つしかない。非常にこれまでも困っておって、私どもいろいろお願いしてようやく土地を買った。土地を買ってこれから一年間遊ばせるということなんですね。いまあなたの話では、原則として土地を買ったら建物は建てるんだというお話です。しかし、優先順位があって、これは最低だという。これに合わないというなら合わない理由を示さなければ、予算の執行が不適正であるということにならざるを得ないんじゃないでしょうか。それではちょっとこれを明らかにしてください、待っていますから。姫路は集配局が幾ら、人口が幾ら、どういう規模の集配局がどうなっておるのか、待っていますから、ひとつ……。
  75. 長田裕二

    長田政府委員 調べましてお答え申し上げます。
  76. 堀昌雄

    ○堀分科員 時間があれですから、ちょっと電電公社のほうの問題に先に移ります。  電電公社総裁にお伺いをいたします。昨年の当分科会におきまして、私、二、三質問をさしていただきまして、そのときにお約束がございます。それは電話加入申し込み者の優先順位についてでありますが、総裁はこういうふうに答えておいでになります。「優先順位についてはいろいろいままでも意見を聞いたことはあります。ところが、前にきめたものを今日まで手を触れずにきているわけでありまして、今日の時勢に合わない点もあろうかと思います。至急よく調査をいたしまして、是正すべき点があれば是正したいと考えております。」こうお答えになっておる。時勢に合わない点は、私実は御指摘を申し上げておるわけですが、調査の結果、どういう点が是正をされたのか、ひとつお答えをいただきたい。
  77. 大橋八郎

    ○大橋説明員 昨年の通常国会に御指摘のような御質問があったことは承知いたしております。私もその後、関係をいろいろ調査いたしておりますが、まだ十分その調査が完了してないと思います。そこで、そのときに御指摘になりました例として、お医者さまは第一順位にたしかなっておる。弁護士は第三順位ですか第四順位ですか——第四順位になっておる。一方、たとえば国会議員は第一順位になっておるのだが、地方の公共団体の議員は第四順位になっておる。
  78. 堀昌雄

    ○堀分科員 みな五になっておる。
  79. 大橋八郎

    ○大橋説明員 第五順位になっておる。そういうことで、私もなるほどという感じを持ってお答えも申し上げたのであります。いろいろ手をつけて基準を直そうといたしますと、またそれに関連していろいろなこまかい問題が起こりますので、その権衡等も十分考える必要がありますので、まだ今日まで決定を見ておりません。ただし、一応私だけのよりどころを申し上げますれば、お医者さまはどうしても人間の生命に関することでありますから、これは何といっても第一順位になるのが当然だ。弁護士となりますと、お医者さまとは緊急の程度がだいぶ違うのではないか、必ずしもこれを同一に取り扱わなくともいいのではないかという考えも浮かぶわけです。また国会議員の方々と地方の村会議員の方々と必ずしも同一に扱わなくともいいのではないかという気もいたします。これは一例でありますが、直そうといたしますと、いろいろな権衡問題が起こってむずかしいのであります。今日までの模様を局長からひとつお話しさせますから、御了承願います。
  80. 千代健

    ○千代説明員 ただいま総裁からお答えしたとおりでございますが、実は、長い間あれでやっておって、非常に現在の時勢に合わない点がある。この問題、お説のとおりという点を昨年当分科会でも総裁からお答え申し上げたのであります。私ども、そのときの積滞の状況、なるほど総数では非常に多うございますが、電話のつきぐあいというものをいま個別に職種をあげて洗っております。これがいい、これが悪いということを、社会的に見て妥当性のあるものはなかなか得がたいということもございまして、非常に慎重を期しておるわけでありますが、たまたま私どものほうで内部監査で問題がございまして、よくございます例は、申し込んで、いよいよつけようとすると、建築ができないとか、これは職種にかかわらずそういうものがございます。そういった問題が指摘されたわけでございます。そのために少しく調査あるいはその方向がおくれておりまして、今日まだ結論を得ておらないようなわけでございます。  なお、昨年御指摘になった中に、自由業と申しますか、弁護士の方の申し込み、それから地方公共団体の議員の方々の申し込み、これも実際に当たってみまして、私ども具体的な問題としては、ある程度そういった地域のところでは、絶対数としては解決しておるというようなぐあいの結果を得ておりますが、ただ、特別に当時その職種だけを調べたわけでございます。全職種にわたっておりませんので、いましばらくその結論を得るまで御猶予願いたいと思っております。
  81. 堀昌雄

    ○堀分科員 御検討いただいておるでしょうから、もうしばらく、もう一年待ちます。待ちますが、ほんとうは非常にどんどん電話がついているわけですから、まあ職種がどうであろうと、希望すればつくようになるのが一番いいわけでありますけれども、残念ながら、地域的にはまだ非常に積滞しておるところがあります。その場合に、公共性の問題ということになりますと、私は、なるほど国会議員、もちろんこれは国の段階でありますから、公共性が高いということが言えると思いますが、しかし、地方議員といえども、やはりいまの議員の仕事というものは、これは電話なくして成り立つ職業ではないと思うのです。また、日本の従来の考え方が、まあ議員というのは、国会議員が一番偉くて、県会議員がその次で、市会議員が三番目だ、そういうものの考え方は私はおかしいと思うのです。これは、たまたま国の問題を扱っておるのが国会議員であり、県のものを扱うのは県会議員であって、その中にあまり公共性に差をつけるというのは、私は、やや事大主義的な考え方ではないかと思いますので、その点は実情を御検討中でありますから、いましばらく検討を進めていただきたいと思います。  もう一つ検討をお約束いただいておりますのは、電話加入債券の持ち方といいますか、このときにも私、申し上げておりますけれども、実は市外通話の電話料収入というものは非常に減ってきたわけであります。ですから、全体の収入の中に占めるウエートというものから見ますと、だんだん減りつつあるわけで、最近のことはよくわかりませんけれども、私、三十七年までのものを持っておりますが、かつて四三%くらい収益の中に占めた市外通話料が、三十七年では三七%くらいに下がっている、こういうふうに見てまいりますと、大企業で特に負担能力のあるところは、優先順位では早くつけてもらえるという特例が開かれておるわけでありますし、さらに、市外通話が最近の自動制にかわれば、これまでの企業から見ますと非常に合理化をされておるので、その点については、負担能力のあるところにもう少し加入者債券を持ってもらうということによって、優先順位の低い人たちの加入債券の額に多少検討を加えたらどうか、こういう提案をいたしましたところが、こうお答えになっておるわけであります。「ちょっと見て感じで差別をつけるということは、これは公平の問題としてよほど慎重に考えないと、すぐここでそうやったほうがいいというまでの結論には達しにくいと思います。十分ひとつ研究させていただきます。」こういうふうなお答えです。この研究の結果をちょっと承りたいと思います。
  82. 大橋八郎

    ○大橋説明員 これは一面、御主張のような面も相当考慮に値するものと考えております。ただしかし、一方からいいますと、電話に加入する場合に、お金をよけい出せば早くつくという感じを与えることもはたしていいものかどうかということに、実は相当疑問があると思います。現在は緊急な、必要度の高い人も、比較的緊急度の低いと見られる住宅電話なんというものも、これは同じ東京ならばいずれも十五万円。ところが今度もしこれが改正されますと、緊急度の高い低いという意味で順位がきまっているのでありますが、そのほかにもう一つ早くつけるということについては、なるべくよけい金を出せば早くつくという感じを一般に与えることが、はたしてどうであろうかということについて、私ども多少疑問を差しはさむ余地があると思うので、直ちにここで賛成に踏み切りをつけることがどうもちゅうちょされている現在の状態でございます。
  83. 堀昌雄

    ○堀分科員 研究をしたい、やるというお約束でしたから、研究していただいたんだと思いますが、私が申しておりますことは、優先順位の高い低いでつけてくれというのではなくて、要するに大きな企業は優先順位がいまは高いのですから、だから個人と企業が同じ負担で電話を引くということは、私はその点でいかがかと思うわけなんです。だから個人、いわゆる住宅電話というのと、それから事業所の電話というものは、電話料、基本料金その他でももちろんこれは区別をしておいでになると思うのですけれども、そこらの点で、加入者債券を持たせる場合には、企業のほうが個人に比べれば負担能力があるわけですから、負担能力もあるし、利用もするわけですから、そういうふうな意味で私は申し上げたので、ただ順位だけ言っているわけではないのです。ただ、裏返して言えば、そういう企業のほう、負担能力のあるものが順位が早くつくようにいまの仕組みはなっておるのです。だから、そういう仕組みであるならば、もう少しそういう事業をしておるもののほうに、債券のようなものは持ってもらったほうがいいのではないか。そうして一般の住宅の人たちの負担を少しでも軽減してあげるというのが、私は考え方として常識ではないか、こういうふうに思うのです。郵政大臣どうでしょうね。これは常識論で、法律の問題ではないのですよ。常識の問題として、私はそういうふうに感じるのですけれどもね。一般の住宅の電話というのは、加入順位が非常におそいです。そうして企業のほうなら早くつく、こういう仕組みになっておるわけです。ですから、そういう場合には、私は、企業のほうがもう少し債券の負担をしたところで——いま一般の人が十五万円、大企業、八幡製鉄が電話をつけても十五万円というのは、これははたして公平なのかどうか。あまり公平でないのではないかという気がするのですね。ですから、そこらの点は郵政大臣だったらどういうふうにお考えになりますか。
  84. 徳安實藏

    徳安国務大臣 とっさの御質問でございますから、どうも正確な答弁ができるかどうかわかりませんが、感じといたしましては、お話のとおりだと私も思います。ただ、電電公社には電電公社の立場があって、いろいろ、客観情勢や何かから考えて、ちゅうちょしているのではないかと思いますが、すなおにお話を聞けば、これはそうたいして深く研究する問題じゃないのではないか、もう少し踏み切られてもいいのじゃないかと考えますけれども、これは全くのしろうとの考え方でありますから、だからといって、電電公社にそうと言うわけにもいかぬと思いますから、その点はひとつよろしく御了承いただきたいと思います。
  85. 堀昌雄

    ○堀分科員 公社がどういう事情で困ると言われれば、私もしろうとの常識ですから、何ともそれをどうこう言いませんけれども、ただしかし、政治であるとか、いろいろ行政でもそうですが、一般的に、人間のやることは常識というのが一番基準ではないかと私は思うのですね。だから、その常識が通らないというのは、常識、一般的な基準が通らない何らかの、それはこういう理由でだめなんですというものが出てくれば、それを私どもが納得できたときに、なるほどこれは常識でそう感じるけれども、それは違うんだなということが、私はあり得ると思うのです。ところが、いま公社の総裁お話を、私よく聞いておったところでは、納得しないのです。私の常識のほうがもう少し普遍な感じがするものだから、そこで大臣も常識として、しろうととして考えれば同感だとおっしゃるのは——これはやはり私や大臣だけでなく、現在の分科会の委員の皆さんも、何かそんな感じをお持ちになる。そうすると、その点では一つ挙証責任が公社側にあるのではないか。これはこういう理由でだめなんですという挙証責任がある。私がいま申し上げておるのは、何も片一方十五万円、片一方百五十万円取りなさい、こういうのではないのです。しかし、片一方十五万円なら片一方三十万円ぐらい出したって、これは負担能力から見たら知れているわけですね。だから、そこらに多少その程度の差がついたっていいのじゃないか。そうすれば、その分だけ住宅用の分は低くなりますよ。だから、少しそうやって、片一方三十万円になれば、結果として片一方十万円ぐらいで済むのかもしれません。だから、そういう意味で私は御検討をお願いしたのですが、これも、一年たちましたけれども、なるほど検討されたなというところの検討はあまりできていないと思うのですが、事務当局どうですか、挙証責任を果たせるだけの反証がありますか。
  86. 千代健

    ○千代説明員 はたしてその挙証責任を果たせるかどうか疑問でございますけれども、現在の電話加入申し込みの承諾にあたって、東京でいくと十五万円、共同の場合は五万円でございますが、この債券負担という問題でございますが、これは三十五年でございますか、例の法律ができました際にいろいろございまして、そういった趣旨は、大体いまの共同電話の場合に盛り込むことで手一ぱいというのが現状だろうと思います。優先順位の問題でどれを先につけるかという問題とは全然違いますけれども、いまの住宅を安くして、同じ単独で業務用のものをとる、こういうふうになりますと、あの法律の趣旨そのものが、建設費の一部を分担していただく、こういう関係にあるものですから、法律として、われわれの法律の案ができます過程で、五万円と、共同を安くしておる、こういったところで手一ぱいだったと思います。いまこれを改めて、これからどうするというような問題は、従来やっております架設済みの方と非常なアンバランス、不公平の問題が起きますので、この点では、なるほど常識であるというお話もございますけれども、共同を安くしておるという点で御了承願えないだろうか、こう考えております。
  87. 堀昌雄

    ○堀分科員 どうもこれまでの場合、この前、法律を変えたときにも、いろいろ変わったわけでして、もし今度法律が変われば、その時点で新しい形になるんだから、私は、これまではこれまでの処理であり、これからとこれまでがつながらなければならないとは思いません。そこで、あわせて、先に電電債の問題を少しお伺いをしておきたいと思います。  昭和四十年度の電信電話債券の発行の予定額は千四百九十六億四千五百万円ですね。
  88. 井田勝造

    ○井田説明員 加入者引き受けの電電債券は…。
  89. 堀昌雄

    ○堀分科員 いや、加入者引き受け債券ではなくて、電信電話債券です。
  90. 井田勝造

    ○井田説明員 電信電話債券全額でございますと千四百九十七億でございます。
  91. 堀昌雄

    ○堀分科員 予算書で千四百九十六億四千五百万円となっておりますから、それでいいと思います。そこで、昨年の電信電話債券、これはもう時間がありませんから、こちらから申し上げますが、千百九十四億と、こう予算書には出ているんですが、これでよろしいですか。
  92. 井田勝造

    ○井田説明員 そのとおりでございます。
  93. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまの千四百九十六億——概数で千四百九十七億でもいいのですが、これは昭和四十年度に発行する電話債券の予定しておる総額ですね。
  94. 井田勝造

    ○井田説明員 そのとおりでございます。
  95. 堀昌雄

    ○堀分科員 皆さん方の資料では、三十九年度には債券千三百二億円発行して、内訳が、加入者が九百九十四億、財投が、外債七十二億、公募債百二十六億、縁故債百十億、合わせて三百八億、これで合計千三百二億になっているんですね。それといまの千百九十四億と千三百二億の関係はどういう関係になっておりますか。
  96. 井田勝造

    ○井田説明員 ちょっと御質問がはっきりいたしませんですが、いまの千三百億とおっしゃいました計数は、どこにあがっておる計数でございますか。
  97. 堀昌雄

    ○堀分科員 「昭和三十九年度日本電信電話公予算参考資料(第四十六回国会提出)昭和三十九年二月」という資料の中に、この金額が書かれております、資金調達計画として。
  98. 井田勝造

    ○井田説明員 加入者債券につきましては、収入、支出予算にあがっております数字以上に、予算総則で限度額が設けられておりますので、若干収入支出予算の計数よりも売り上げが多くなるのが例でございますので、その数字だと思うのでございます。
  99. 堀昌雄

    ○堀分科員 これは去年の国会で提出された資料で、千三百二億でこまかい内訳がついておる。そうすると、昨年の千百九十四億千六百万円として予算が計上された分の内訳をちょっとおっしゃってください。それを、いまの加入者、外債、公募債、縁故債の内訳にして言ってください。
  100. 井田勝造

    ○井田説明員 四十年度の内訳でございますか。
  101. 堀昌雄

    ○堀分科員 三十九年度です。
  102. 井田勝造

    ○井田説明員 三十九年度で、加入者債券が八百八十六億でございますが、さらに内訳ますと、拡充法関係が八百七十八億、公衆法関係が八億でございます。縁故債が百十億、公募債及び外債は、三十九年度予算ではこの両者を分けておりまして、外債が七十二億、公募債が百二十六億でございます。
  103. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうすると、結局皆さんの方では、これはどっちが予算なのですか。そうすると、昨年のだけ見ると、国会にあなた方のほうは二つ予算を提出しておる。要するに千百九十四億というのも予算として提出されており、片一方政府の方でも、千三百二億というのを、やはり予算の説明として、資金計画として提出されておる。そうすると、こういうのは本年度も当然そのことが起こると思うのですが、これはどっちが正しいのですか。ちょっとこれじゃわれわれ納得できないのですがね。予算が二つあるというのはおかしい。
  104. 井田勝造

    ○井田説明員 予算が二つに違った数字が出ておる、そういうはずは絶対ございませんので、何か集計の分類の間違いではないかと思いますが その計数には設備料が入っておるのと違いましょうか。
  105. 堀昌雄

    ○堀分科員 私がここにもっておるのも、皆さんのほうから持ってきた資料。私がつくったんじゃないですよ。それにこう書いてあるのですよ。「この資金調達につきましては内部資金千六百九十四億円、外部資金千三百二億円を予定いたしました。特に外部資金につきましては加入者債券等」とあるから、九百九十四億の中にはほかのものが入っておる、こういうことですか。
  106. 井田勝造

    ○井田説明員 設備料の百八億が入っておるわけでございます。これは債券ではございません。
  107. 堀昌雄

    ○堀分科員 それを足すと、千三百二億、こういうことですね。
  108. 井田勝造

    ○井田説明員 はい。
  109. 堀昌雄

    ○堀分科員 わかりました。では「等」の字がそういうことですね。どうも百八億も違うのが「等」になっていては、われわれ調べるほうは困るわけですが、それでいまのことはわかりましたが、そこでもう一つお伺いをしておきたいことは、今度は貸借対照表をひとつ見ていただきたいのですが、その電信電話債券の昭和三十八年度末決算額と昭和三十九年度末予定額との差額が千三百十四億四千八百万円、こういうふうになっているのです。これはさっきのお話のほうで、いまの電話債券だけで見れば、千百九十四億というのが正しいんだということがわかったのです。なぜ貸借対照表の中の負債の部の電信電話債券の残高がこんなに違うんですか。
  110. 井田勝造

    ○井田説明員 先生の言っておられますのは、本年度の予算資料の計数でございますが、それは償還分を差し引いておるからでございます。
  111. 堀昌雄

    ○堀分科員 償還分を差し引いたら、残高は小さくなるんじゃないですか。逆じゃないですか。
  112. 井田勝造

    ○井田説明員 ちょっと御質問意味をもう一度確かめたいのでございますが、先生の御質問は、この一一五ページの資料につきまして、電話債券の残額が、三十八年度としては四千九百六十二億になっております。三十九年度末は六千二百七十六億になっておりますが、それはどうしてそうなっておるかといったような御質問でございますか。
  113. 堀昌雄

    ○堀分科員 その差額を私、計算したのです。三十九年末と三十八年末との差額が、三十九年に発行される電信電話債券の総額に合わなければいかぬのです。償還分はもちろん操作していいですよ。操作してもいいけれども、合わなければならぬ。ところが、あなたのほうでは、千百九十四億が昭和三十九年度の債券発行の予算になっておるわけです。それから償還を引いたとしたら、残高は千百九十四億以下にしかふえてはおかしいですよ。ところが、これを差し引くと千三百十四億になる。償還をしないでさらに約百億以上もふえている。これは一体どういうことなんですか。
  114. 井田勝造

    ○井田説明員 この三十九年度の予定額と三十八年度との差額は、御説のように千三百十四億になります。
  115. 堀昌雄

    ○堀分科員 これが三十九年に発行された総額でしょう。
  116. 井田勝造

    ○井田説明員 割引債は、御存じのように、十万円の額面を五万円で発行しております。したがいまして、割引債を予算面には払い込み額で計上しております。ところが発行額ということになりますと、割引債の部分はその倍になるわけでございまして、その関係で、こういうふうに違ってきておるわけでございます。
  117. 堀昌雄

    ○堀分科員 それでは、そこのところがはっきりするように、償還といまの割引債のその倍になった部分のことをちょっと説明してください。それで合うのかどうか。
  118. 井田勝造

    ○井田説明員 これは精細に予算で計上してありますので入りますが、資料をちょっと取り寄せなければいけませんので、ちょっとお時間をいただけませんでしょうか。
  119. 堀昌雄

    ○堀分科員 それでは、実はその次も残高で非常に差が出るものですから、そういうことがこの予算書には全然書いてありませんものですから、それはそれではあとで資料で出してください。  だいぶ時間が来たようですから、最後にちょっと、これからまた宿題になっているのを申し上げます。  私は、よく申し上げておきますけれども予算委員会で一ぺんやったらそれこっきりじゃなくて、毎年確認するわけです。国鉄も昨年ちゃんと確認した。確認をすることにすると、大体一年間十分よくやっていただけるので、毎年私は確認をいたします。一ぺん言ったのを言いっぱなしにしませんから、その点十分覚えておいていただきたいのです。  実は昨年、未収入金の関係で問題の論議をいたしました。私もちょっと忙しくて、事前にこまかく伺っておけばよかったのですが、時間がなかったものですから、昨年の実情だけを申し上げておきますと、この未収金というのは二百一億くらいずっと貸借対照表には出ておるのです。私は、この貸借対照表は何か形式的なものだという感じがするのですが、資産の部なんかを見ると、三十八年度末決算額と三十九年度末予定額、四十年度末予定額がみな同じものになっておるのがたくさんある。たとえば現金は、三十八年度末決算額が八千三百七十五万九千五百十二円、三十九年度末予定額も八千三百七十五万九千五百十二円、四十年度末予定額も八千三百七十五万九千五百十二円です。こんな資料というのは一体必要なのかどうか、よくわからないのですが、これは現金では全部同じです。預託金はちょっと違います。次の預金も完全に同じです。それから未着品も完全に同じです。未収金はどう違うかというと、未収金の収入が一億二千万円あるのでこれが引いてあるだけで、毎年同じです。ところが、わからないのは、未収金というのは、この前のお答えでは非常に動くものだろうと思いますが、未収金は毎年同じ額、三十八年度末決算、三十九年度予定、四十年度予定が同じようになって、ただ、一億二千万円の未収金の回収部分だけが引いてあるものが出てくるというならば、電信電話公社の貸借対照表というものは形式を書いたものであって、内容はちっともないではないか。一、貸借対照表をつくる姿勢はどういうことになっておるのか。何かつくっておけばいいということなんでしょうか。
  120. 井田勝造

    ○井田説明員 予算のたてまえとしては、入りましたものは、大体におきまして、その年度に全部使われるわけでございます。こういうことでできておるわけでございます。ところが、実際には、この予算にあらわれておりませんいろいろな現金でございますとか、固定資産の動きとか、いろいろなものがございます。これを貸借対照表であらわします場合には、現金の出入り以外に、固定資産の増減でございますとか、運転資金の増減でございますとか、そういうものを予測しなければならぬのでございますが、そうなりますと、実はたいへんわからない要素が非常にたくさんございますので、一応いま先生の御指摘になりました現金は、はっきり要ったようなところはあまり大きく変わらないというふうに考えまして、いまの予算の上から、理論的にはどうしても変わってくるという未収金の一億二千万というものだけを書いて、予算の使用として、この中に入れておるわけであります。
  121. 堀昌雄

    ○堀分科員 事実とは何ら無関係に書いてある、そういうふうに理解していいですね。未収金のようなものは、毎年同じようなものになる可能性はないのではないかと思いますが、二百十何億という未収金については非常に問題があると思いますけれども、きょうは時間がかかりますから、昨年お答えいただいた問題だけを先にちょっと触れておきますと、未収金関係で、「十二月末の未収金をあげますと、これが二百十五億でございまして、そのうち六カ月以上経過したものが十九億でございます。」というので、ここにこまかくちょっと申し上げておきましょう。このうち十七億七千万円、これがいまの警察の専用電話関係でございます。その他の残りのおもなものを申し上げますと、一般の電話収入で六千万円、電信収入で三百万円、電話専用料で百二十万円、それから雑収入で六千八百万円、こういうふうになっております。こうなっておる。そこで私が、これは六カ月でこうなんだから二カ月以後はどうなるのか、ひとつ次回には報告をしてもらいたい、こういうふうにお願いをしておいたわけですが、時点はこの時点でもいいし、昨年十二月末もいいのですが、二カ月以後の未収金をちょっとお答えいただきたい。
  122. 千代健

    ○千代説明員 ただいまお話のございました二カ月以後六カ月未満、このただいまから申し上げます数字は昨年の九月末現在の数字でございます。これが私どものほうの報告のうち一番新しいものでございますが、これが二カ月以上のもので六カ月未満、これが三千五百七十万円、これは一般電話料関係でございます。それから六カ月以上のもの、これが七千三百九十万五千円、こういうぐあいに相なっております。双方で一億九百万円であります。
  123. 堀昌雄

    ○堀分科員 あと電信収入、電話専用料、雑収入をちょっとお答えいただきたい。
  124. 千代健

    ○千代説明員 電信料は三億円……。
  125. 堀昌雄

    ○堀分科員 それは六カ月未満ですか。
  126. 千代健

    ○千代説明員 このほうは内訳になっておりません。電話料だけを書いたわけであります。
  127. 堀昌雄

    ○堀分科員 総計でいいですが、いまの六カ月以後だけでもいいです。
  128. 千代健

    ○千代説明員 一般電信電話三億、警察電話専用料十七億、電話専用料十一億、電信専用料四億、雑収入六億、それからこの前一般電話料が二百十三億と申し上げましたが、二百五十四億というのがトータルだと思います。
  129. 堀昌雄

    ○堀分科員 電信で三億というのは、これはその時点における残高でしょう。その年間のものではないのじゃないですか。
  130. 千代健

    ○千代説明員 電報料で、いま一一五五でおかけになりまして、電報を御発信になるという場合は、都会地では八〇%ないし九〇%を占めておりますが、それが一月おくれて実は請求されるというかっこうに相なりますので、請求した場合には未収金として処理をする、それから徐々に入ってくる、こういうかっこうになります。それが三億でございます。
  131. 堀昌雄

    ○堀分科員 それではその処置は複雑ですから、この前の六カ月以上で伺いますけれども電話収入のほうはいまちょっとわかりましたが、わからないのは電信で三百万円六カ月以上の未収金がある、電話専用料で百二十万円の未収金がある、こういうことですね。いまの電信収入の未収金六カ月以上は三百万円残っているというのは何でしょう。
  132. 千代健

    ○千代説明員 この問題は非常に古い時代からの累積したものであります。それから倒産等による未払いのもので請求中のものというのがございます。電話料でも同様でございますが、すでに加入者でなくなったという人の電話料、それから電報料でございますと、いまの問題の場合は全部電話で申し込まれたものでございますから、すでに電話加入者でなくなったというようなものあるいは行くえ不明の人、こういったものがやはり重なっております。
  133. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこでいまお話を伺いますと、二カ月から六カ月までの間に一般電話で、昨年の九月末で七千三百九十万円滞納があるわけですね。それでいまのは二カ月から六カ月が三千五百七十万円ですね。この三千五百七十万円というのは、だからたまっておるものではないわけですから、いまの皆さんのほうの電話を切るやり方ですね、専用料金の滞納になった場合の処理のしかたでいくと、大体五十日で切っているのですね。二カ月から六カ月の間に三千五百七十万円の電話の滞納があるのですが、この電話はつないでいるのですか、切っているのですか。
  134. 千代健

    ○千代説明員 電話を切るというおことばでございますが、いまは通話停止でございます。これは払い込みの日から二十日後に通知いたします。それからそれでもいろいろなにしまして契約解除は七十日を過ぎてから契約解除をする、こういうぐあいになっております。したがいまして、二カ月以上六カ月未満、こういうものの中には通話停止中のものが何割かございまして、解除になったものが大部分である、こういうぐあいにお考え願います。
  135. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 堀君に申し上げますが、お約束の時間がだいぶ過ぎましたので、お急ぎ願います。
  136. 堀昌雄

    ○堀分科員 実は昨年私が質問いたしましたのは、切ってあるのと切ってないのがあるということの御答弁があったのです。それでこれは片方は一般加入電話、普通の住宅用といいますか、個人の場合は二十日、企業なら五十日まで待つという話があった。それでは私は公平を欠くじゃないか、こういうような気持ちがして、実はその問題についての議論をしたわけですが、現在はもう全部二十日で切ることになったのですか。
  137. 千代健

    ○千代説明員 突発事故で御主人が大けがをしたとかいろいろそういった場合には、現場の長の判断で若干のゆとりをとって、その方々の御便宜なりをはかっておる場合もございますが、大体二十日になりますと、発信を停止いたします。着信は自由にできるわけであります。昨年大企業が云々というお話がございましたが、その問題は、そういった電話専用料の処理が支払い期日から契約解除までが八十日、それから一般の加入電話が支払い期日から七十日、十日間の差異がある問題を御指摘いただいたと私は思っております。大きな企業だからということは決してありません。
  138. 堀昌雄

    ○堀分科員 時間がありませんから、もうちょっと詳しく伺いたかったのですけれども、一応電信電話公社の問題についてさらに御検討いただく問題はひとつ御検討いただくとして、予算等の資料を拝見をしておりまして、やや形式的に過ぎるような面もあるのではないかと思いますので、これらについてはもう少し過年度の状態をこまかく調べてみれば、未収金等の状態もよくわかったと思いますが、時間がなかったものですから、過年度の決算を詳しく調べておりませんけれども、貸借対照表等についてはあまりにも機械的な処理に過ぎるのではないかという感じがありますので、その点をひとつ指摘しておきます。  電電公社のほうを終わって、さっきの郵政のほうの答弁をお願いいたします。
  139. 長田裕二

    長田政府委員 尼崎区内に郵便局を一つ新設する、私ども尼崎北というように予定しておりますが、その問題につきましての先ほどの私のお答え申し上げました中で、内容を補足させていただきます。  尼崎北郵便局というのは、前からの当方の懸案でございましたが、四十年度の予算要求を準備をいたします昨年の夏ころに、とりあえず土地を四十年度に計画して要求しようということになりまして、局舎のほうは一般のあれから申しまして、次年度、ですから、四十一年度ごろに要求しようかということで、四十年度の内容といたしましては、土地だけを要求いたしただけであります。ところがその後各方面の御協力の次第もございまして、土地については適地が得られそうな状況になってまいりましたので、ああいう市内のことでもございますし、得られる時期を逸してはというような観点からしまして、現在その土地の入手の交渉を進めている次第でございます。したがいまして、現在の時点から見ますと、三十九年度中にある程度土地の話が進み、局舎は四十年度には出てない、四十一年度以降しか要求、あらわれないような形になっておりまして、少し変則でございますけれども、あの土地柄といたしまして、やむを得ないような形になっているわけでございます。
  140. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうすると、姫路のほうをちょっと聞いたのですが、これはどうなんですか、人口は幾らですか。
  141. 長田裕二

    長田政府委員 姫路は人目二十二万八千ばかりでございます。面積が二百三十七平方キロでございます。尼崎につきましては、人口が、これはいずれも三十五年の国勢調査の統計でございますが、その後ふえているかと思いますけれども四十万五千、面積が四十八平方キロでございまして、人口は尼崎のほうが多うございますが、面積は姫路のほうが約五倍くらいもございまして、やはりそういう関係から集配局も姫路、飾磨、広畑、網干と四つございます。
  142. 堀昌雄

    ○堀分科員 なるほどこれは合併になっておりますから、範囲が非常に広いだけでして、尼崎の場合は古く合併した部分だけで、周囲はみな市ですから、その相違はありますけれども、しかし、人口からいっても非常に差があるし、御承知のようにこれは工業都市ですから、普通の都市と違って郵便は非常に錯綜しておるわけです。ですから、この点については、予算等もありましょうが、計画その他の実行の段階でできるだけ繰り上げていただいて、これは先ほどの山花さんの質問もありましたけれども、配慮していただきたい。予定計画を拝見しましても、予定したところ、必ずしも全部が全部そのように動いてないようでありますから、何とか弾力がつく範囲において速急な着工をお願いしたいと思いますので、その点強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  143. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 午後二時より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      ————◇—————    午後二時三分開議
  144. 今松治郎

    ○今松主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵政省所管及び日本電信電話公社関係について質疑を続行いたします。山口丈太郎君。
  145. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 まず電話関係について二、三お伺いをいたしたいと思います。  昨年のこの分科会、一昨年の分科会におきましても、行政区をそのまま電話局の区域と一致させる、こういうことは非常にむずかしい。たとえば大阪の電話局に兵庫県が入るとか、いろいろありますから、それはそれでいいわけですけれども町村合併促進法に基づいて合併をした町村、それもまた昨年の御答弁にありましたように、非常に広範囲にわたっているその地域を一局区域内にする、これもまたむずかしい問題だと思うのです。けれども、主として町村といったような範囲の小さいところで、しかも従来からそういうところでは一つの村に郵便局が一局、主としてこれは特定局あるいは無配局ですけれども、そういうところへ電話委託をされて委託局になっていることは御承知のとおりであります。ところが、それが一局区域になっておりまして、同じ町でも市外通話で話をしなければならぬ。最近は即時通話的に取り扱っていただいて非常に便利になってはおるんですけれども、料金その他では非常に負担を重くしておる。統廃合をなぜやってもらえないのか、こういう声が利用者には非常に多い。ところが、いなかでありますから、したがって、局長さんとかなんとか、顔役の人であります。ですから、なかなかそういうものが障害になるのかどうかしりませんけれども、統廃合できない。ところが、昨年の、一昨年でも、順次質問要旨のごとく改善をしていく、こういうふうに御答弁いただいておるんですけれども、どのくらいここ二年ほどの間に解消されましたか。また、本年はどれだけこれを統廃合をして合理化しようとされておりますのか。これは利用者の立場に立って私は御質問を申し上げておるのですから、明確にお答え願いたいと思います。
  146. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただいまのお尋ねの点については局長から詳しく御説明いたさせます。
  147. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生お話で、ちょっと明確にわからぬところがありますけれども、公社が町村合併におきましてどういう通信対策をやっていくかという問題と、先生のおっしゃっておるように、町村合併やられたところは、将来としては考えるけれども、それをどの程度やったか、こういうように二つにとれるような解釈があるのですが、公社がいま考えておりますのは、すでにお約束しておりますように、町村合併された場合に、その町村の中に二つ以上の電話局がございましたときには、非常に近い距離だけは合併いたしまして市内サービスといたしておるわけです。ただし、同じ町村でありますので、通話交流その他を考えまして、遠いところにおきましては即時化をするということは、前からかねがねお約束しておりまして、逐次進めてきておるわけであります。  この方針どおり進めまして、現在の進みぐあいを大体お話しいたしますと、三十九年度末で約九〇%が、われわれの考えた線に到達しております。四十年度はさらに進みまして、九五%ぐらいになると思いますが、あとに残っておるものは、どうしても地元で、公社のいま申しましたような方針に御反対の方があるということが一つ。もう一つは、電話局は新しい局を建てないと、どうしてもできないというようなところがございまして、これは逐次改式の点においてやっていく。それから地元の反対につきましても、十分お話した上で御協力を得られればやっていくという考えで進んでおります。  第二の先生お話のような同一市町村になったのだから、それを市内全部全サービスにしろというようなもしお話だとしますと、そういう点では進んでおりません。
  148. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 そこが問題なんでして、町村合併促進法に基づいてやったことは、それは公社と関係ないかもしれませんけれども、その町村合併促進法に基づいて合併する場合のいろいろの特典としてそういうものがあげられておる。そしてまた法律の中にもそういうことが明記されておるわけですね。地方住民の福祉の向上、あるいはそういう公共施設の統廃合による、合理化による便益の供与、こういうことは明らかに載っておる。ところが、一向に進まない。たとえば、例を引くと、これは私どものほうの話で恐縮でありますけれども、猪名川町といえば千二百戸しか戸数がありません。しかし大体三軒に一軒ぐらいで普及率は非常に高い。ところが三つ局があるのです。そして市内通話にならない。これはまことにもって不都合千万である。こういうところが各所にある。ですからこれを解消してもらいたいというのがずっとその後の要望なんです。ところが、順次そういう方向に向けていくという御答弁はいただいたのですが、いまの答弁によると一向に進んでおらぬ。これは私は一つはどこにそのむずかしさがあるかといえば、委託局収入その他に影響があるということが第一。第二には、また従業員の整理統合が行なわれるのじゃないか、合理化、これによっていわゆる首切りが行なわれるのじゃないかというような観点から、これが進まないということになる。私は、こういうような従業員の点については、これは一つの局舎を建ててやるということになりましたら、そこへ収容できるのであって、決してこれは人員整理の対象にはならぬ。むしろ委託するために労働力の需要はそれによってふえるかもしれない。ですからそういう不安は少しもない。問題は委託局のほうで多少の収入減になる、これはやむを得ないことであろうと私は思います。しかし、そのために地域住民の福祉という点から見て、年々膨大な負担増をされておるということは考えなければならぬ。こういう点の合理的な解決をはかってもらうということが私は当面の問題じゃないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  149. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 ただいま先生お話しになりました中で、収入の減になることは確かに私ども市外通話が市内通話になれば収入は減になります。ただ首切りの問題というようなお話がありましたけれども、これは別にこの問題には関係ないと思うのです。先生もそういうぐあいに御理解になっておると思います。  先生がお気づきにならぬ点で非常にわれわれが問題にしておりますのは、料金が下がりますと通話量がふえるのが原則でございます。そうしますと、いま市外通話でやっております局間相互の設備としては、その後にふえた通話に見合っただけの設備を投資しないと、言いかえれば、そのままでかけるとすぐ待ち合わせ通話になるわけです。二つの電話局をこのように合併すると、片一方は在来から市内通話で即時通話になって、いま合併した片一方はこれが待ち合わせという非常に不合理なサービスを来たすことになるわけでございます。したがいまして、こういう場合におきましては、やはり設備を増設しなければならぬ。そこで、先般、先生からもいろいろお話がありましたので、われわれとしても一応全国的にどのくらいの金が要るかということで検討してみたのでありますが、その金は大体千億をこえるものと認められます。したがいまして、そう簡単に、現在の公社の基盤ではそれをすぐ実現していくという形は非常に困難じゃないか、かように考えておるわけでございます。
  150. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 私はそういうぐあいに万全のことを一気にやろう、一気に設備をやろう、これはむずかしいので、それは私も肯定する。ところが、そういう理想的なことではなくて、やはりできることからやっていく、ですから手動式でもこれはやむを得ないと思うのです。けれども、問題は、いわゆる加入者の、その地域の人の負担にある。ですから、この負担を軽減してやるということが第一の目標でなくちゃならぬと私は思っておる。ですから、その点ででき得る限りの、許容される範囲内において、こういうような加入区域の合理化を促進してもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  151. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 ただいまのお説はごもっともで、われわれも逐次——先ほども総裁からもお話がございましたように考えておるわけでございますが、いま先生お話の中で、手動でもいいとおっしゃられましたが、私の申しましたのは、手動でやはり相当の設備がかかるわけです。手動であっても回線をふやすわけでございますから、どうしても相当の金がかかるということになるわけでございます。ただ、公社が非常にしゃくし定木に考えておるのではないか、こういうような御指摘もあるのではないかと思います。先般御指摘になりましたところをいろいろ検討してみましたが、猪名川町という町がございまして、役場のあるのは中谷というところですが、先生のおっしゃっておるのは、その中谷というところにある局と、そのほかに六瀬と杉生の二局があるわけでございます。この点を検討してみますと、中谷と六瀬との間にはかなりのトラフィックもありますし、われわれの持っておる条件にも、いろいろ考えてみますと検討すべきところはあります。したがいまして、杉生については、非常に困難ではないかと思うのでございますが、いまのようなお考えについて、われわれもいろいろな現地の事情を個別的にもっと検討してみたい、こういうぐあいに考えておりまして、この六瀬については合併してもいいんじゃなかろうか、かように事務当局としてはいま考えておる次第でございます。
  152. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 具体的に地名をあげての御答弁でまことに恐縮でありますが、こういったことが多いと考えられますので、ぜひともひとつでき得る範囲内において御考慮を願いたいと思います。  それから電話の積滞についてお伺いをしたいのですが、地方の増設工事につきましては、実際にあたって調べてみると、各省庁間、建設省、運輸省あるいは国鉄というようにいろいろ機関がありますので、工事の促進等についてもたいへん苦労されておる、これは私も非常に同情しておるわけです。しかし、電話の需要というのは、特に京浜間あるいは京阪神間というような人口の集中するところにおきましては、その需要が非常に多くて、積滞を解消することがなかなか困難である。本年の提出されております資料によりますと、積滞数は依然として百八十三万にも達する見込みである。ところが、本年度は三十九年度に比べるとなお二十万の積滞増加ということがここに資料として提出されておるわけでありますが、これではいつになったら積滞が解消するのか、むしろ増加の傾向にある。これも昨年、一昨年と御答弁によって局の増設等の方針が明示されて、そのとおり実行されておるわけでありますけれども、なおかつ、これだと従来の計画を変更して、もっと大規模のことにしなければならぬのではないかと思いますけれども、計画は、ただ積滞が増加するということのみで、その対策はどうなっておりますか。
  153. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がありましたように、電話の需要が非常に伸びておりまして、当初第三次五カ年計画を作成しておりました当時に比べまして、格段と経済の発展あるいは生活水準の向上等によりまして申し込みが非常にふえてきております。最近われわれが見直しています需要によりますと、どんな状態になっているかと申しますと、大体東京とか大阪は三次に見込んだ状態とそう変わらない伸びの状態でございます。ところが、東京の周辺、あるいは大阪市の周辺、こういうような、たとえば首都圏整備法とか、あるいは近畿圏整備法というようなものでかなり経済拡張を進められているところ、あるいは地方の県庁所在地等、こういうところにきわめて多くの需要ができております。しかもその需要の内容は、主として住宅需要がかなり伸びております。このような需要をながめますと、現在の第三次、五カ年計画を遂行していった、つまり三次で五百万という増設をした状態でいきますと、四十二年度末には二百四十六万くらいの積滞になるのじゃなかろうか、かように考えております。したがいまして、現在、公社としましては、昭和三十七年度末の積滞は百一万でありますから、その五カ年間に逆に倍になるというような状態はきわめて好ましくない。また公社は、四十七年度末までには、国民の皆さまにはすぐ引ける電話ということを約束しておりますので、目下充足をふやすべく検討をいたしております。
  154. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 大臣にお伺いしますが、四十七年までにどこでもすぐに引ける電話をというスローガンでやっておられるようでありますけれども、いま私が質問申し上げましたように、今日進められている計画によりますと、積滞数というのは、だんだん減るのじゃなくて、逆にふえていく。これはただ事務的に処理するというだけじゃなくて、やはり国の高度な政策的見地から、もう少し積極的な手を打っていくべきではないか。それには、私はやはりもっと積極的な資金の、いわゆる投資等を思い切ってやる必要があるんじゃないか、それでなかったら、かけ声はなるほど四十七年度末には自由に引ける電話を完成するんだと幾ら意気込んでみたところで、年々積滞数がふえていくというような状態では、私は解決しないと思うのですが、ひとつ政府としてはどんな政策でこの計画を実行しようとなさっているのか、御答弁願いたいと思います。
  155. 徳安實藏

    徳安国務大臣 電話の需要が、当初計画いたしましたものよりか先行して、需要を満たすよりか、満たざるほうの要求がどんどん多くなりつつある。これはほんとうにすばらしい需要の上昇率であります。電電公社のほうにおきましても、四十年度におきましても百万以上の架設をしたいという申し出もございました。そうした観点から見ますと、もちろんその要求は過大ではないと思いますし、当然百万個以上の増設ということを考えたわけでありますけれども、国のほうの財政の関係もございますし、他との均衡等もございまして、百万個でようやく納得して、四十年度計画が立ったようなわけであります。  いま申し上げましたように、四十一年度にはおおよその需要が満たされるのではなかろうか、そうして需要がだんだん満たされることにおいて要望される数が少なくなるだろうという、考え方が逆になりまして、いまの情勢でいきますと、四十七年度にならぬと、その需要は大体満たされないではないかというような情勢であります。  しかし、一方、ひるがえって考えてみますと、現在国内の電話が幾らあるかということを考えてみますれば、まあ六百万かあるいは七百万に足らざる状態でございますから、前からありまする電話の量をここ二、三年のうちに倍にもするというようなことも、あるいは計画といたしましてはいかがかとも考えられますし、一応百万個ぐらいな程度が現段階においては妥当ではないかということで、電電のほうにもごしんぼう願っておるわけであります。しかし、文化の発達に従いまして、その需要がますます農村等にも普及されて必要になってまいりますから、いずれ調査会等も開かれて、電電のほうでも調査をなさっておるようでありますから、そういう調査の結果等を待ちまして、もっと抜本的な計画を立てねばならぬという結論に到達いたしますれば、政府のほうもこれに協力いたしまして、そして案の樹立に努力いたしたい、かように考えております。
  156. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 総裁にお伺いをいたしますが、いま大臣から御答弁があったわけでございますけれども、この資料によりますと、第三次五カ年計画に基づく加入電話の数を百万個、これは農村の集団自動電話の六万を含んでの話であるのですが、これにより四十年度の需要充足率は三五・五%となる。三十九年度の三三・六%に比して若干向上はしておるが、しかし、それにもかかわらず増勢を続けて、なお本年の申し込み積滞数見込み額は百八十三万個に達する見込みである。これは三十九年度末に比べると二十万個の積滞数の増加である、こういわれているのです。そうすると、これは四十七年度に解消どころの騒ぎではなくて、このままいきましたら、これはいつになったって解消するということにならぬですね。これでは五カ年計画なんといったって計画になりませんね。どういうぐあいにこれを解消するつもりなんですか。ひとつ大綱がありましたら総裁からお示し願いたい。
  157. 大橋八郎

    ○大橋説明員 御承知のとおり、公社が二十七年に設立いたしましてから、第一次五カ年計画、第二次五カ年計画で、現在第三次の五カ年計画の途中にあるわけでございます。そこで第二次五カ年計画の終わりごろ、三十六年度末のいわゆる積滞数は百万ちょっとこした数でございます。百二万程度だったかと思います。そこで、それを基礎にして第三次五カ年計画をつくったのでございますが、そのときには、第三次五カ年計画の五カ年間に五百万の新規の増設をする。そういたしますと、当時の見込みでは、第三次計画の終わりの四十二年度の終わりには積滞数がやや減って七十万程度になるだろう。そこでさらに、その翌年度かう第四次の五カ年計画をやりまして、七百七十万の架設を五カ年間にいたしますれば、その五カ年間の終わりの四十七年度末にはまず積滞を一掃することができるであろう、こういう大体の計画のもとに第三次計画を立てたわけでございます。  ところが、最近の経済界の発達並びに一般文化生活の向上によりまして、近ごろは——もとはどちらかと申しますと事務的な電話あるいは業務上の電話というものが一番主たるものであった。住宅電話というものはむしろ添えもののような形であったわけであります。最近は社会生活の中にとけ込みまして、家庭生活の上に電話というものは必要欠くべからざるものという、こういうふうな感じが一般に侵透いたしました結果、住宅電話の申し込みが非常にふえてまいったのであります。その結果といたしまして、先ほど御指摘のように、現在三十九年度の結果を見ると、減るどころか、ますます増加の状態にある。そして五カ年計画の終わりにおいても、百七、八十万あるいは二百万くらいの電話の積滞になっておりはせぬか、こういう状態に現在のところでは見られるのであります。  そこで来年度、四十年度の計画においては百万個ということで予算をつくったのでありますが、あとに残った四十一年度、四十二年度というものは従来の計画のままでは、いま御指摘のとおりますます積滞がふえる一方だ。したがいまして、私どもとしては、何とかもう少し五カ年計画の残った二カ年も拡大修正をやらなければならぬ時代に臨んでいるのじゃないか。さらにそれに続く第四次の五カ年計画も、初めに考えたよりももう少し大幅な計画を立てなければならぬのじゃないか、かような状態が考えられますので、現在電信電話の調査会をつくりまして、民間の有識者にお集まりを願って、これらの点について有識者の意見を聞いておるところでございます。この調査会の答申を待ちまして 私どものほうとしては、できるならば拡大修正をやって、四十七年度までには所期のごとくすぐにつく電話という状態に持ち来たさなければならない、かように考えているわけであります。
  158. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これは、時間がありませんから、あまり詳しくやっておれませんので申し上げておきますけれども大臣もひとつ、こういう調子では、この五カ年計画を幾ら立てられましても、とうていこれでは需要に追いつくことはできない。ここで私は思い切った計画の修正をやって、そしてその積滞の解消に向かっていま少し積極性を持ってもらうようにお願いしたいと思うのです。  それから、その次に電波関係で、これも長年私は言っているのですが、ラジオだと、これは音さえ出ればいいのでありますからいいわけでありますけれども、これだけテレビが発達してまいりますと、ラジオのようなわけにはまいりませんで、やはり映像の透明といいますか、聴視状況というものが大きく左右されるのですけれども、どうも難視聴地域の解消がいまだその緒についていないのではないか。同じ料金を払いながら、ほとんど半分の価値もないような受像しかできない。こういう地域が非常に多いのですが、いま難視聴地域の解消にどういう手を打っておられるのか、その積極策があれば、これをお示しいただきたい。
  159. 徳安實藏

    徳安国務大臣 テレビジョン放送の映像につきまして、見えないことでは、これは価値がありません。特に全国民に公平に見てもらうという大きな性格、公共性を持っておるわけでありますから、一日もすみやかに全国すみずみまで満足のいくような施設が行なわれねばならぬことは当然のことであります。したがって、郵政省としましては、一応NHK等を督励し、民放を督励いたしまして、中断所等の増設を行って、すみやかに不平不満の解消に努力しておるわけでありますが、数字上の最近の報告によりますれば、九〇%近く見てもらえるような状態に進んでまいった。四十年度一ぱい今度やりますと、九三%くらいまでは見ていただけるようになるのだという数字の報告が参っております。しかし、私も詳しい数字は存じておりませんから、政府委員からその内容等につきましては御報告をいたさせますが、できるだけ早く国民の御期待に沿うように努力はいたしておるつもりでございますけれども、時と場所によりましては、幾ら言っても見えないじゃないかという場所も、まだまだ相当あるようでございますので、今後各既設の放送局を督励をいたしまして、そうして中継局等の施設を完備して、すみずみまで相当のテレビが見えるようにいたすべく努力をいたしております。その詳細のことにつきましては政府委員から御説明申し上げますから、お聞き取りいただきたいと思います。
  160. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 テレビの難視聴地域の解消を一刻も早くはかるべきであるということはまことにそのとおりでございます。ただいまも大臣からそのことを御答弁申し上げたわけでありますが、テレビの難視聴地域の解消にはやはり局を新しくつくらなければならないのでありまして、そのために一昨年テレビのチャンネルプランを改正いたしまして、新たに二百二十九の地区を追加いたしました。それにはいままで使っておりましたVHFという波のほかにUHFという波も使うことにいたしまして、新しい局を設けまして置局ができるように措置をいたしたわけでございます。  この第二次チャンネルプランの計画地区が三百十一地区ございますが、現在NHKにおきまして置局をしておりますのが、その三百十一地区のうち総合百八十八、教育百八十五という数字になっております。現在なお置局を続けておるものもございますので 三十九年度末の置局数は総合百九十四、教育百九十一になるようになっております。  民間放送におきましても これに大体歩調をそろえまして、NHKが置局をするときに一緒に置局をするように指導いたしておりますので、現在若干NHKの数よりも少なくなっておりますが、置局を進めておるわけでございます。  なお、NHKにおきましては、さらにこの置局を進めることを積極的に計画をいたしておりまして、来年度の予算におきまして、さらに百二十地区に中継局を設置する予定になっておりまして、それが完全に建設が終わりますと全国世帯数の九三%というところがテレビ放送が及ぶ地区になる、こういうことになっております。  これにつきまして、NHK予算の審議のときにおきましても、国会方面から、テレビ難視聴地域の解消を一刻も早くということはたびたび御要求もございますし、省といたしましても、意見書その他におきましてこのことを取り上げておるわけでございます。  以上のような次第で、一応昨年はことにオリンピック等もございましたので、特にこのことに力を入れまして、現在ただいま申し上げましたような事態にまで難視聴地域の解消が進んでおる次第でございます。
  161. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 私は、三十八年の終わり三十九年におけて、中継局の設置によって難視聴地域の解消が非常に進められているという点で、実はほっとしておったのです。ところが、オリンピックもあって、いま言われるように相当努力をされたようでありますけれども、一向に実効のあがらぬ地区があるわけです。それでテレビ視聴料の不払い同盟もやろうかなというようなことを言っておどされるわけです。おどされるというと語弊があるかもしれませんけれども、それは待ってくれ、いませったく努力しておるのだから、いましばらく様子を見てからにしてくれということでなだめておるわけです。オリンピックなどもありまして、逆に、よけいにそういう難視聴地域の住民を刺激したようです。このままいきますと、至るところでそういう不払い同盟をやろうかなという穏やかならぬ話が出てきて、われわれも非常に追い詰められる。これは私だけじゃなくて、いなかへ入ると皆そうだと思う。地域の調査をやっておられるのでしょうけれども、もう少し積極的に何とか解消の方法を出してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。地区で言うと、鳥取だとか島根あるいは兵庫県の日本海側、六甲裏、あるいは大阪で言いましたら西北部の端から、京都の西南部、近畿圏で言いますとああいうところですけれども、まあほとんど半分の価値もありません。非常にやかましく言われる。これらの地域は調査されたことがあるのでしょうか。また、あるとすれば、中継局をつくられるとすれば、具体的にいつ時分にどういうところにできるのでしょうか、聞かしてもらいたい。
  162. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 先に御説明いたしました数字は日本全部を通じましての数字でございますが、日本の一部におきましては、まだ難視聴地域解消の進んでいない個所が若干あることは御指摘のとおりでございまして、ただいま御指摘の近畿の地区におきましてそれがあるのでございます。ただいま兵庫県というようなおことばもいただきましたけれども、兵庫県の西北、あるいは和歌山県の南、あるいは京都府の北、あるいは奈良県の南というほうにつきましては、難視聴地域が現在もなお解消されていないということは御指摘のとおりでございます。これは、先ほど御説明いたしました二百二十九地区の中に入って、置局の地区の割り当ては済んでいるわけでございますが、この地区におきまして民間放送の割り当てがまだ未決定なのでございます。そういうようなことで、現在これの解決策につきましてわれわれ苦慮しているところでございますけれども、NHKにおきましては、これの解消に向かっての努力を進めております。兵庫県におきましては、ちょうど大阪から入ります電波は大体兵庫県の東南のほうへ入りまして、その入らないところに新たに十二の地区を設定いたしまして、それに向かって建設を進めているわけでございますが、現在までに姫路地区だけがその置局が終わっております。しかしながら、先ほど御説明いたしましたように、残りの地区につきましても、来年度中にNHKは全局置局を完了するように計画を立てております。
  163. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 私近畿圏におるものですから、近畿圏だけを例にとっておるわけですが、私は近畿圏をよく旅行しますけれども、さっき指摘したように、いわゆる日本海側、たとえば鳥取の北東、島根県の東部地区ですか、それから兵庫県の北東部、京都府の西南部、和歌山県の南部、それから奈良県のいわゆる奈良県と和歌山県の県境のほうですから、あれは西南部ですか、こういう地区は全然だめです。あれだったら、半分の料金を出しても困る。これはただ単に難視聴だからといってほっておくわけにいかない。子供なんか全部目を悪くしたり、子供の発育とかそういうようなものに非常に関係します。それで、これはもうたいへん迷惑をかけておるわけですから、やはりもっと積極的にやってもらいたい。本年度には百二十地区に中継局を設けると言われますが、それがほんとうに完成されますと、一体教育テレビ百九十一——これはもう完成しておるのですね。そうすると、百二十入れますと相当の数になるわけですけれども、それでもなおかつ私は十分ではないのではないかと思うのですけれども、これはどうですか、完全にいきますか。
  164. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 先ほど御説明いたしましたように、来年度の置局によりまして、第二次チャンネルプランというものに予定しております地区が全部完了いたしました暁には、NHKは総合で四百八局、教育で四百八局というものが完成いたします。それによりまして、日本中で九三%までの世帯数が見られるようになるわけでございます。しかし、これは九三%でございますから、まだ残り七%があるわけでございます。で、その七%の解消につきましては、これは非常に小さい世帯数の部落あるいは山間部あるいは島嶼、そういうようなところがございますので、これはチャンネルプランとは別に微小電力局設置という方針を立てまして、いわば非常に小さい豆中継局を設置いたしまして、解消するようにしております。現在までにNHKにおきまして、総合十八局、教育十四局がすでに微小電力局でできております。この微小電力局の割り当て地区の建設のほかに、この微小電力局による置局を進めて、さらに山奥、山間僻地、そういうところの解消に資したいというふうに考えております。
  165. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 時間がありませんからこれでおきますけれども、阪神地区だけといいましても——阪神地区というと非常に都会地のように見えますけれども、六甲の阪神地区というのは十万ぐらいしか人口がありませんが、これが全然ないんですよ。ですから、やはり経済価値も認めて、もう少し積極的な施策をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。
  166. 今松治郎

    ○今松主査 森本靖君。
  167. 森本靖

    森本分科員 電電公社総裁がおられますので、先ほどの質疑応答で聞いておりましたら、ちょっと気にかかる点がありますので、実は電電公社にはきょうは聞かぬつもりでありましたけれども、ちょっと伺っておきます。  先ほど、第三次五カ年計画については拡大修正をしなければならぬということを答弁せられたわけでありますが、積滞数を解消するためには、これは拡大修正をしていかなければならぬということは当然であろうと思います。それについては、いま調査会で審議をしておる、その調査会の答申があり次第やらなければならぬ、こういうことも言っておるわけでありますが、これは調査会の答申があろうがなかろうが、いまの答弁で見ましてもわかりますように、積滞数が当初の第三次五カ年計画では、当然解消されない。これを拡大修正していかなければならぬということは当然でありますが、ただ問題になりますのは、その際に、その資金計画をいかように拡大修正していくかということが一番の予算編成のポイントになると思います。そこで公社の総裁としては、この第三次五カ年計画のあとの拡大修正をする場合、資金計画をいかように考えておられるのか。たとえばその資金計画については、一つは財投をもっと多く求める、あるいはまた当面のことになりますけれども事業の合理化あるいはその他によってある程度予算の捻出等を考える、しかしこれはたいしたことはございませんが、要するに財投に求めるか、あるいは合理化を行なって料金の値上げをするかという、この二つに尽きると思うのです。将来公社の総裁としては、いずれにいたしましても、第三次五カ年計画を拡大修正をしていかなければならぬ。それについては、その調達しなければならぬ資金については、一体公社総裁としてはどう考えているか、政府の考え方は別にあろうと思いますが、公社当局としてはどうお考えになっておるかということをちょっと聞いておきたいと思うわけです。
  168. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただいま森本さんの御指摘のとおり、拡大修正ということは、私どもとしては、長期計画のいままでのいきさつから考えましても、ぜひ必要がある、かように考えておりますが、それには結局の問題は、資金の問題、財源の問題だと思います。しかしこれは非常にむずかしい問題でありまして、私どもとしても多少の腹案なきにあらずと思いますが、しかしわれわれだけで狭い視野で考えても必ずしもいい知恵が浮ぶかどうかわかりませんので、それで先ほど申し上げました民間の有識者にお願いいたしまして、根本的にお考えを願う、こういうことで実は諮問をしているわけでございます。もうしばらく御猶予を願いたいと思います。
  169. 森本靖

    森本分科員 先ほど私が言ったように、電信電話調査会に諮問をしておるということはよくわかる。ただこれははっきり言って、いまこの原資を獲得するについては二つしか道がないわけです。だから政府は政府なりに、国家財政の見方あるいはその他の予算の編成の方法から、政府並びに政党方面はそれぞれの考え方があろうと思うのです。だから私はその考え方を聞いておるわけではなしに、公社の総裁としては、事務的にその資金源の獲得については一体どう考えておるか。それがさらに発展をしていって、郵政省の問題なり閣議の問題になるということになりますと、これは一つの政治問題でありますから、それに立ち至って総裁がどうこう答弁をせよということを私は聞いているわけじゃない。公社の総裁として、いままでの公社の経営というものを十分知っておりまするし、さらに公社の内容についても十分承知しておる総裁でありまするから、公社の総裁としては事務的にどう考えておるか、こういうことを聞いておるわけです。これは将来の予算編成の参考になるわけでありますから……。
  170. 大橋八郎

    ○大橋説明員 そのことを申し上げるのは時期が少し尚早だと思います。もう少しお待ち願います。
  171. 森本靖

    森本分科員 無理であると言っても、実際問題として予算を審議する際に拡大修正をしなければならぬということを総裁ははっきり答弁しておるわけです。当然拡大修正しなければならぬということになるとするならば、その拡大修正というものは一体事務的にはどういう腹案があるか、こういう質問があるのは当然である。それに対していましばらく答弁ができないという答弁では、予算の審議は進みませんよ。私は政治的な問題を聞いておるわけじゃない。総裁総裁として、公社は公社として、事務的にはどう考えておるか。要するに料金の値上げを若干してもらいたいとか、あるいは財投を多くふやしてもらいたいとか、この二つしかないわけでありますから、そのどちらもやってもらいたいと考えておるのか、料金は値上げをせずに財投だけふやしてもらいたいと考えておるのか、それが一番不難な回答なんですよ。財投を十分ふやしてもらいたい、料金は上げたくないと考えておる、こういう考え方が公社の考え方であったとするならば、それはしかし政府や自民党の諸君が、国家的な見地から見て、それは料金の値上げのほうでやらねばいかぬということになれば、これは公社の責任じゃないわけだ。私は公社の腹案というものはどういうところにあるのかということを聞いておるわけでありますから、これはいま言うべき段階じゃありませんということじゃ予算の審議は進みませんよ。
  172. 大橋八郎

    ○大橋説明員 これは御承知のとおり四十年度の予算を審議願っておるわけでございます。四十一年度以降の問題は、先ほど申し上げたようにまだ予算の編成に手をつけておりません。
  173. 森本靖

    森本分科員 そういう詭弁を弄するものじゃない。四十年度の予算というものを審議する際には、将来の見通しに立って進めておるわけです。そんなばかな予算の編成の方法があるか。四十年度の予算を編成する場合は、四十一年、四十二年、第三次五カ年計画というものはどういうふうになるという見通しをもって四十年度予算をきめなければならぬ。四十年は四十年でやりっぱなしなんという、そんな無責任なやりかたはないはずだ。公社は公社として事務的にそういう方面の腹案があるはずだ。ただそれがそのときの国家財政の情勢からして政治的にいれられる、いれられぬということは政治問題だ。だから私はその答弁総裁に聞いておるわけじゃない。公社は公社なりに、第三次計画に従っての一つの腹案があるはずだ。それがないと、四十年度予算と切り離して審議してくれと言ったって、前後の問題と関連して考えていかなければ、当然予算の審議はできないはずだ。そんな無責任な答弁はないですよ。はっきり言うと、拡大修正をしなければならぬ、資金が要ることは考えなければならぬ、その資金を獲得するためには、料金の値上げの問題もあろうし、電信の赤字の料金の合理化という問題もあろうし、財投に多くを求める問題もあろうし、あらゆる角度から公社としては検討し、さらに最終的な腹案が得たい、こういうことなら話はわかるけれども、その内容は一つも言えませんということでは、何を言っておるか、こういうことになるわけですよ。私がいま言ったようなことでしょう。
  174. 大橋八郎

    ○大橋説明員 それはただいまお話しのとおりであります。ただ、方法としては、先ほど御指摘になったような政府の財投というものをうんと増してもらうか、どうしても財投が出なければ最後は値上げという問題も一つの問題として提起をされるし、そのほかに財界が回復して民間の資金引き受けがあるとすれば、これも一つ方法でしょうが、これは今後の推移によってきまることで、いまから無理にそれを言うてみたところで何ともしかたがないことだと思います。
  175. 森本靖

    森本分科員 言うてみたところでしょうがないという、そんな投げやりな答弁があるか。四十年度の予算を組むときには、やはりこういう方法もある、こういう方法もある、こういう方法をやったときにはどうなるといったようにあらゆる想定作戦を——三矢作戦ではないけれども、公社は公社としての将来のそういうものについての考え方を想定して考えていかなければならぬと思う。いま私が言ったように、財投のやり方についても、そのときの財政のやり方からいろいろなやり方があるわけだ。だから財投の問題、あるいは料金値上げの問題、あるいは電信料金の赤字をどうするか、そういう問題を総合的に考えながら資金獲得の方向に努力していきたいと考えております、親切に初めからこういう答弁をすれば、それで私は引き下がるのに、そんな木で鼻をくくったようなことを言うからおこられるのだ。おこられないように初めから親切に答弁すればいいのです。
  176. 大橋八郎

    ○大橋説明員 そういう抽象的な話ならお説のとおりです。ただ、あなたの御質問は、お前の一体財投に依存するのか、値上げをやるのか、一体金はどうするのかということになりますと、非常に具体的な話になりますので、私は先ほど申し上げたような答弁をしたわけであります。しかし抽象的におっしゃるならば、いまのお説のとおりです。そのほかにそうたいした妙案があるとは考えておりません。
  177. 森本靖

    森本分科員 それは要するに料金の値上げと財投と両方を求めることに、いまの公社なり、いまの政府の方針からいくとするならば、なる。だからそういう方針を一応総裁に聞いておきたいと思ったけれども、これ以上お年寄りに質問しても気の毒に思うので、この辺でやめておきますが、総裁答弁をする場合には、ここは国会ですから、そういう答弁のしかたをされてはだめですよ。総裁としては、親切に国民にわかりやすいような答弁をするという心がけでやってもらわなければ困る。これはひとつ、とくと私は総裁に忠告をしておきたいと思います。  ただ、ここで私がいまなぜそういうことを言ったかというと、やはり電信料金の赤字の問題に関連をして、電報料金の値上げの問題が当然あがってこようし、あるいはまたいまの財投の資金を獲得するという問題がむずかしいということになってまいりますと、電話料金の値上げという問題が起こってきはせぬかということを懸念をしたから聞いたわけであります。  そこで、これは電電公社予算とやはり非常に似たり寄ったりになっておることは、今年度の郵政省予算です。この郵政省予算で最も特徴的なことは、三千六百億円の予算を組んでおりますけれども、これは郵政事業特別会計始まって以来の赤字予算を組んでおるわけであります。こんなことは、いままで郵政事業特別会計ではなかったことであります。実際問題として、初めから五十六億円の赤字であります。歳入歳出をずっと見てみますると、どんなにやっても歳入が五十六億円足らないという赤字予算を組んでおるわけです。こういうふうな赤字予算を組むということに対しましては、これは健全な予算の組み方ではありません。いままでずっと調べてみますると、こういう赤字予算を組んだ例というのは、国有林野特別会計に一回あったきりでありまして、それ以外にこれはあまり見ておりません。そこでこういう赤字予算を組むということは、郵政事業特別会計というものを置いた趣旨からしても、私は今年度の郵政事業特別会計の予算の組み方ということは、非常に変則的な問題ではないかというふうに考えるわけでありますが、特に今年度のこの予算の中に書いてありますように、本年の昭和四十年三月三十一日のいわゆる繰り越し金をもってこの五十六億の赤字に充てると、こういうことになっておるわけでありますが、現実に本年の三月三十一日の決算をやってみなければ、五十六億円のいわゆる黒字が出てくるものかあるいは欠損になるのか、それもはっきりしないというものを予算に組んでおるわけであります。こういう予算の組み方というものがはたして妥当であるかどうか、これはひとつ大臣からお聞きしたいと思います。
  178. 徳安實藏

    徳安国務大臣 五十六億円の赤字につきましては、文字の上には、三十八年度決算までずっと書いてありますが、あれは六十億に近い金というものは、三十九年度の当初にずっとこれまでの残額を組み入れた金がございまして、その金が六十何億あるわけであります。そのうちから五十六億ばかり本年度に入れようということでございますので、不確定の財源ではございません。これはあとからまた政府委員のほうから御納得のいくように御答弁をさせたいと思います。  なお、こういうことはめったにない予算ではないかというお話でございまして、これは私どももそう思います。私も今度初めてこの予算を組んでみたわけなんですが、概算を出しますときには、しりのほうが合うか合わぬかということは次といたしまして、収入はおおよそこれ、支出はこれだけほしいということを、あまり大きな違いはないでありましょうが、しっぽがちょうちょうにならぬでも、概算要求は出し得ておりますので、そこで収入の見積もり額を出し、なおこれを運営するのにはこれだけのものがほしい、要るんだということで、大蔵省に出したわけでございます。従来でございますれば、大蔵省のほうも収入のほうはもっとあるだろう、もっとあるだろうというので、なるべくふやさせるように努力をし、また支出のほうは、これはよけいだ、もっとここをちょん切れということでだんだんちょん切っていきまして、そうしてしっぽを合わせるという行き方をこれまでやってきたようなわけであります。しかしことしは大蔵省は幸いに郵政省に非常に理解を持って、収入の点についてはこちらのほうから提出したものがまずこれは妥当ではなかろうか、よかろうかということで話がつきまして、支出については、それではその収入に見合うだけのものに切り落とせということにいたしますれば、もちろんこれでちょうちょう、しっぽが合うわけでありますけれども、いろいろと合理化の問題であるとか、あるいは環境の整備であるとか、あるいは職場の関係であるとか、医療の関係であるとか、私ども盛りだくさんにいろいろな要請をいたしまして、それでこれももっともだということでだんだんと切り詰めてまいりますと、結局五十何億というものが足らなくなってきたということであります。無理にこれをどこかを切り落としてしまえばもう何も問題はないのでありますけれども、私ども切り落とされることははなはだ困るので、ぜひこれだけは認めてほしいということなりまして、それでは五十何億をどうするかという問題になったのでありますが、幸いに六十億以上の金がこれまでもずっと残ってきたわけでございますので、一応これを充当してことしはケリをつけようということで、相互理解の上にそうした措置をとったわけでございます。そこで今後の問題にもちろんなるわけでございますが、では来年からどうするのだという問題が起きますけれども、私どもの現在の見解でいたしますと、収入の点についても、来年度は相当大幅に期待できるのではなかろうか。かりにベースアップ等の問題がございましても、従来はこれを補ってなお多少でも残っておったわけでございますが、できることならば内容の合理化等によって、現段階では料金値上げということは一応考えなくとも処置ができるのではなかろうかという考えを持っておりますけれども、しかし従業員を犠牲にしたり、職場の環境をほったらかしにいたしまして、そうしてただむやみに合わせるばかりが能ではございませんで、私どももこの予算通過の後には真剣に来年度の問題につきましては考えまして、検討も加えまして、そうして資金面からの予算の拡充を考えたい、かように考えておるわけでございます。  その他の詳しい数字的なことにつきましては、政府委員から御答弁させますから、お聞き取りいただきたいと思います。
  179. 森本靖

    森本分科員 大臣のその答弁はよくわかるのでありますが、これは昭和二十八年から毎年四億ないし二億、少ないときには一億、多いときには九億というような持ち越し現金がずっと出てまのりまして、それが結局六十六億二千五百二十二万七千円という数字に、昭和三十八年度の決算においてなっておるわけであります。これを経理局は、三十九年度の年度末の繰り越し金額というものがどの程度になるというとかうに見ておりますか。
  180. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 その前に郵政会計で初めてではないかというお話でございますが、実は郵政会計の前身の昭和十九年の通信事業特別会計の場合にも、そういう例がございます。  それからただいまの御質問の点でございますが、これは実は先ほど電電公社のほうにも貸借対照表の見込みについての御質問もありましたが、やはり本年度の収支をやってみませんとわかりませんので、現在収支見込みをいろいろやっておりますが、三十八年度の決算は固まった数字でございますけれども、三十九年度の収支は現在地方の支出官段階、また本省段階からも資料を取り寄せまして、それから年度末のいろいろな支出状況見込みを立てましてやっておりますが、大体とんとんにいくのではないか。あるいは一、二億程度持ち越しの現金がこれ以上ふえるのではないかというのが大体の見込みでございます。
  181. 森本靖

    森本分科員 そうしますと、六十六億二千五百二十二万円というものから五十六億差し引いて、それに一億ないし二億足したものの程度の積み立て金が出る、こう見ておるわけですか。
  182. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 先ほど積み立て金とおっしゃいましたが、これは現金面の収支でございまして、収納済みの歳入額から支払い済みの歳出額を引きました差額の剰余金でございますが、つまり一、二億ふえますから、おっしゃるとおりの数字になろうかと思います。
  183. 森本靖

    森本分科員 その見込みがそのとおりいっても、結局現在まで営々として約十年以上かかって、ようやく持ち越し現金として、最初昭和二十八年の場合が二十二億円であったのが、三十八年の決算においては六十六億円になった。それが一躍して十億円程度にこの予算からいくと減る。まったく裸のままの郵政特別会計予算になる。そうすると、この上にさらに春闘その他における問題でベース改定その他をすれば、これは絶対的な赤字になる、こういう形になるわけですね。
  184. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 いま申されました春闘による赤字という意味がわからないのでございますが、春闘が来年度の仲裁裁定の問題になりますと、これは来年度の歳出になりますし、それからいまやっておりますのは三十九年度の収支の問題でございますから、直接は関係はないかと思うのでございます。
  185. 森本靖

    森本分科員 だから三十九年度の収支がそういうことになって大体十億くらいの持ち越しということになったとするならば、要するに昭和四十一年三月三十一日の持ち越し現金というものが、やはりそれに一、二億足したものしか出てこない。そうなってくると、昭和四十一年三月三十一日の持ち越し現金というものが、この予算の編成からいくと、十一億ないし十二億程度になる。こうなるわけです。そこでその場合に、それじゃちょっと聞いておきたいと思いますが、この間郵政大臣が全逓に対して初任給千円引き上げの回答をしておる。その回答した金額はむろん組合は不満で調停委員会に申請をしておりますので、最終的には仲裁裁定という形になって、もっと大きな金額になろうと思いますが、とにかくこの間大臣が回答した金額が、総額幾らになりますか。
  186. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 総額で二十八億三千四百万円でございます。
  187. 森本靖

    森本分科員 大臣にお聞きしたいと思いますが、この間回答した金額は、どこからその財源を持ってくる予定ですか。
  188. 徳安實藏

    徳安国務大臣 国の予算が、帳じりが合っておりましても、増収等によりましてベースアップができておりますように、この特別会計も、いろいろ聞いてみまして調べてみますと、最初はしりが合っておりましても、ベースアップの場合に、かりに二百億要るというようなときには、従来の増収、あるいは貯金でありますとか、その他の切手だとか、そういう増収が初めに見積ったよりか上回って増収があるというので、このままずっとまかなってきたようであります。前年度から繰り越して余っておったものを使わなくても、どうにかその年に考えておったよりか増収になったものでまかなっていたというような状態のようでございます。本来からいえば、そういうときに間に合わせるために増収分を別において、これだけは収入があるので、これはベースアップに取っておくんだよという考え方があるいは正しいいき方かもしれませんが、国の予算が一応増収というものをそっちのほうに充てるというような考え方でいっておると同様に、うちのほうのこの特別会計でもそうした関係で処理しておったらしゅうございます。いまから考えますと、大体それくらいな、いな、それを少し上のぼりましても、どうにか増収等が得られるんじゃなかろうか。またみんなで極力努力して増収をはかりながら、そのベースアップにも応じていくという形でいくよりしようがなかろうかと考えておるわけです。
  189. 森本靖

    森本分科員 大臣、いまの経理局長答弁をよく聞いてもらいたいのですよ。だから最初に大臣質問をする前に私は経理局長質問をしておるのです。いいですか、三十八年の決算において六十六億二千五百二十二万円というものが持ち越し現金になっておる。この中から当然五十六億円というものがのくわけですから、十億円しかないわけですね。そこで今年、三十九年の三月三十一日現在において一億円ないし二億円——よくいって一億円ないし二億円の持ち越し現金が増収によってできることになろう。そうなってくると、その増収をのけて、結局四十一年の三月三十一日の持ち越し現金というものが、前年度からの繰り越しが十一億ないし十二億ということになる、三十九年の実績からいった場合にはさらにそれに一、二億の上積みがせられる、こういう答弁をしておる。そうすると、三千六百億円の予算にプラスアルファというものが、この予算面から見ると十二億なしい十三億しか出てこないということになる。そうでしょう。いま大臣は、それ以外に増収があって云々という話だったけれども、それ以外に増収が云々ということは、いまの説明では出てこないでしょう。だから、私はうそかほんとうか知らぬけれども、とにかく二十八億三千四百万円というあの回答においてすらそれが要るというわけですから、そうすると、この中で十二億円というものは一応あるとしても、あとの十五億円程度というものはないということになるのでしょう。
  190. 徳安實藏

    徳安国務大臣 私も説明がへたで御納得がいかぬかと思いますが、先ほど申し上げましたように、国の予算がちょうどしりがきちっと合っておりまして、ベースアップが出ましても、いまの予算面から見れば、どこからか借りてこなければ出し場がない。それが税金の増収等によりまして、ベースアップしても、ほかにももう少し利用できるような関係がずっと続いてきておるわけです。郵政特別会計におきましても、初めから見積もりをうんと過大にして、支出がそれに見合っておれば全然余地がありません。ありませんけれども、従来の慣行でいきますと、大体その年度限りにおいて、その年度にベースアップをしなければならないような金額が出ましても、収入の面においてそれだけ増収がこれまでずっとある、見積っておったよりかよけいあったということで、これまではつなぎができておったということでありますけれども、もし、来年度はつなぎができればよい、できなかったときには、もちろんこれは裁定によって追加更正予算をしなくてもいい場合は別ですけれども、そうでない場合には、やはり予算措置というものは講じなければなりませんから、もし足らなかったときには、借り入れの方法をとるとか、何か国会のほうの御承認を受けるということになろうかと思います。
  191. 森本靖

    森本分科員 ベース改定をするのに借り入れはできぬわけですから、その他の——もっとも局舎建築資金のものをくらがえして財投をふやすというやり方をやれば別ですが、それ以外にやりようがないと思うのです。ただ補正予算を組んで、結局他会計からの繰り入れも自然に増になるという形になるので、そういう面を考えても、しかし一応補正予算を組まなければ、この二十八億三千四百万円の金は出てこぬでしょう、経理局長
  192. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 先般の回答の最後のほうにも書いてありましたように、この財源は企業努力により、かつ所定の手続を経てやるものとするということでございまして、企業努力と申しますのは、つまり増収を上げる、あるいは節約をする、あるいはまだ予備費による方法もございますが、それから所定の手続と申しますのは、四十年度の予算総則の第九条に給与総額がございますが、その中のただし書きによりまして給与総額を変更する場合がございます。これは、予算の基礎となった給与準則を実施するため必要を生じた場合、あるいは弾力条項の規定によって給与を支給する場合、それから給与に関する公共企業体等労働委員会の裁定を企業経営に及ぼす影響等を考慮した上で実施することが適当であると認める場合において大蔵大臣の承認を受けて、こういう三つの場合がございますが、いずれにしましても、大蔵大臣の承認を受けてやる場合でございまして、われわれの考えておりますのは、まず予備費、現在二十億を予定しておりますが、その場合は当然仲裁裁定の場合で他会計からもそれに見合う分は繰り入れてもらえる、それから増収の場合、それから予算の節減、これを考えておりまして、先ほど年度末の持ち越し現金の話が出ましたが、われわれ従来の例によりまして、多少の増収が出ましても、予算外のいろいろな人件費、物件費の増額に充てられるだろう、したがってそういったものは相殺されまして、年度末になりますと大体一、二億程度の持ち越し現金の増にとどまるのではないか、こういうふうな御説明をしたつもりでございます。
  193. 森本靖

    森本分科員 だから、結局最終的には、やはり補正予算を組まなければ、給与改定についてはこの予算ではできないということが言えるでしょう。
  194. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 ただいま申し上げましたとおり、給与総額による節減とかあるいは弾力条項でやれる範囲でございますと、補正予算を組まないで、この特別会計においては実施できますが、ただ、増収もない、節減もできない、あるいは予備費の使用の範囲内でできない、こういうことになりますと、たとえば借り入れ金を財源とするところの補正予算を組むとか、こういうことを考えねばならぬかと思います。
  195. 森本靖

    森本分科員 だから、給与関係については、この予算では全然できない予算になっておる。実際に二十八億三千四百万円ということであっても、最高度に企業能力を発揮し、そうして予備費を全部たたき込んでしまって、さらに持ち越し現金というものはからになるというぐらいに、さいふをからっぽにしてしまわなければ、郵政特別会計の中からいま回答をしております千円の問題についても、なかなか出てこない。まあ千円程度ならば、あるいはいま言ったように、総ざらい的にやればどうにかつじつまが合うかどうかというせとぎわであって、あと若干でも、五百円でも千円でも上がれば、もはや郵政特別会計の本年度の予算では、どうにもしようがないという予算である。その場合には、補正予算を組まなければ、どうにも動かしようのない予算であるということは言えるでしょう。
  196. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 特に本年度の歳出予算がきびしい査定を受けているというわけではございません。ただ財源の面で、持ち越し現金を使っておりますが、歳出予算そのものは前年度比一六・七%増になっておりますし、節減の余地が全然ないかと仰せられますと、ないということも言えませんし、また、過去におきましても、企業努力によりまして増収を六十億とか七十億やっておりますので——ただ全般的に見まして、郵便物数の伸びが多少鈍化の傾向がございますので、従来どおりの物数の伸びも期待できませんし、また三十九年度はオリンピック等の特殊切手の発行等もございましたが、そのとおり四十年度に特殊切手の発行ができるかどうか、そういったものをあまりは期待できませんが、将来窮屈で、とうていこれ以上全然見込みがないかと申されますと、それほどまでに窮屈かどうかということも、いまの段階では申しかねる段階かと思います。
  197. 森本靖

    森本分科員 君は、何か言ったら人にあげ足を取られるという考え方でこわごわ答弁をしておるので、そういうような回答になると思うが、いま言ったような二十八億三千四百万円という金については、これをかりに充てるとしたならば、先ほどの持ち越し現金が十一億円あるいは十二億円、予備費が二十億円ということになって、それを全部ぶち込んだにいたしましても、なかなか、かつかつである。それから、企業能力によるところの、さらに弾力条項というようなものについては、その年度内においてそれぞれやるべきですから、それは予算外の問題として考えていかなければならぬ。だから、この予算全体から見た場合には、いま全逓に回答をしておる金額においてすら、なかなか手一ぱいのやり方になる。これ以上のベース改定をやるということになれば、補正予算を組むなり別途の財政措置をしなければ、非常に窮屈な郵政予算であろう、こういう質問をしているわけです。だから、そのとおりですという答弁をすればそれでいいわけです。大臣
  198. 徳安實藏

    徳安国務大臣 私の説明が少し不明瞭で御理解ができないのじゃないかと思うのですが、本年の四月一日から来年の三月三十一日に至りますまでの間において、予算にあらわれております給与総額、これを動かすということにつきましては、よく皆さん御承知のように、裁定が行なわれました場合には、もし財政上の余裕ができておりますれば、別に補正を組まなくても、その範囲内でやっていけるわけであります。でありますから、従来はそういう関係でしりのほうはきちんと合うような収支が出ておりましても、予算総則を動かさなければならぬほどの大きな、あるいは百億とか二百億というベースアップの金が余分にふえましても、その年にそれくらいな金が要するに企業努力によってふえておる。ふえておって、しかしこれは調停段階ではどうしても補正を組まなければなりませんが、最後に裁定に持ち込まれまして裁定が出ますと、もうそれは法律上給与総額というものを動かさなくても、そのある金でベースアップができるという形でございますから、補正予算を組まなくてもよろしい。来年はどうかということでありますが、従来長い間の経験から見ますと、内輪に見ておるわけではございませんが、結局ベースアップが相当ありますと一職員諸君もどうしても借金はできないから、うんともうけようじゃないか、うんと働かなければならぬという気持ちになってくれまして、案外増収が見込まれた。そこで二百億円要る場合には、二百億円近いもの——それをオーバーするような増収があった。それを充当いたしまして、しかもそれが調停から越えて今度は裁定にいってきまっておりますから、その二百億円は補正予算を組まなくても、国会の承認を得なくても支出ができた、こういう形になっておるわけであります。来年度もどういう結果になりますか、私どもはそうあまり大きなベースアップは考えておりませんけれども、しかし、これはやはり第三者の公平なものでございますから、それが出ます以上は、これに私どもは従っていくことは当然であります。ですから、それにきまりましたときに、お互いが話し合って、協力し合って、そうしてそれ以上の増収が得られるように努力をいたします。もし努力してもどうしてもなお足りなくてどうにもならぬというときは、補正予算を組んで、そうしてこれを借り入れの方法をとりますか、何か穴埋めの方法を考えなければならぬ。しかし、そういうことのないようにみんなで努力したい、かように考えておる次第であります。
  199. 森本靖

    森本分科員 ちょっと経理局長に聞きますが、三十九年度の決算において予算に比しての増収分がどの程度出る見込みですか。もう二月の終わりですから、あと一カ月ですから、その見通しは大体立つと思いますが、どの程度の見通しですか。
  200. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 私どもで見ておりますのは、郵便業務収入でございますが、一月末で年間目標に対しまして九〇・二%いっておりまして、それから月別に予定目標額を立てておりますが、一月末までの予定の収入に対しましては五十七億二千六百万円増収といいますか、そういう数字になっております。したがいまして、あと二月分、三月分がございますが、できれば七十億円はやっていただきたいと思っておりますが、去年の事情の変化等を考えますと、あるいは七十億円に達しないのじゃないかというふうにも考えております。
  201. 森本靖

    森本分科員 あと、それに残るところは、貯金保険の特別会計ですが、これは郵政事業特別会計の中におけるものは七十億円の増収ということになりますと、本年度の予備費は予算面で幾らありますか。
  202. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 予備費は十億円でございます。
  203. 森本靖

    森本分科員 その十億円はほとんど使っておりますか。
  204. 北脇信夫

    ○北脇政府委員 実は予備費等は、これは年度末に一括していろいろ大蔵省との話し合いで、弾力条項の使い方、それから科目間の流用関係とかその他をやりますので、全体としての財源の中には考えておりますが、予備費自体を使ったということにはまだなっていないと思います。
  205. 森本靖

    森本分科員 この七十億円の、要するに増収ということでありますが、三十九年度のオリンピック関係の記念切手の収入は幾らですか。
  206. 長田裕二

    長田政府委員 いま正確な数字を覚えておりませんが、たしか三十億前後だったと思います。
  207. 森本靖

    森本分科員 これは大臣、いまだんだん明らかになってきたと思うのですが、郵便増収の面が七十億円ということであっても、その中におけるオリンピック関係の切手収入というものが約三十億円ということになると、実際の増収というものはやはり三十億円から四十億円の間になる、こういうことに現実にはなってくると思うのです。だから、いまの千円においてすら二十八億三千四百万円という数字であるとするならば——大臣はばく然と弾力条項でもうけたらと言うが、もうける、もうけるといっても、郵便事業とかこういうものについては一定の限度がある。それから記念切手でも発行するのに限度がある。私はほんとうを言うと、去年オリンピックのときに、もっと記念切手を出して、もっと郵政省はもうけるべきだと思っておったところが、印刷局が間に合わぬということで、それ以上は記念切手は発行できぬというようなことを聞いたことがあります。いずれにいたしましても、この郵政事業特別会計というのは、かりに増収をやるにしても、増収というものはある一定の限度があって、それ以上には困難である。増収増収というけれども、それは予算の組み方によるところのいわゆる郵便収入を幾らに見るかということによっても増収が出てくるわけです。実際、毎年予算編成の場合にも、若干そこに大蔵省郵政省とのやりとりがあるので、そういうところの差額が出てくる。しかし七十億円、本年度の決算でかりにこうなったとしても、実際にはオリンピック関係が三十億だということになると、現実には四十億円程度にしかならぬということになるとするならば、いまの千円程度でもなかなか窮屈だ。これが実際問題として、これ以上、倍以上のベース改定ということになると、当然補正予算を組まなければどうにもならぬのじゃないか。さらに本年、局舎の建築の問題にいたしましても、郵便事業の合理化の問題にいたしましても、あるいはまた簡易保険郵便貯金等のあらゆる取り扱いについても、国民に対するサービスの改善という方面から見ても、なかなか金がまだ要ることばかりである。特に局舎の整備改善あるいはまた郵便局の統廃合、こういう問題は、かなりまだ国民に不便をかけている点が非常に多いわけであります。こういう点で、やらなければならぬ点が非常に多いわけでありますけれども、本年の予算を詳細に見てみますと、確かに昨年よりはつじつまを合わしたような形にはなっておりますけれども、まだまだ施策不十分という点が多いわけであります。そういう点を考えた場合には、やはり相当これは窮屈な郵政事業特別会計の予算であるということは大まかにいっても言えるのではないか。その一つの例として、いまベース改定の問題を出したのだけれども、これは単にベース改定の問題だけではありません。時間がありましたならば、私は、郵便事業の近代化と合理化の問題について触れていったならば、問題の重点がよく解明されてくると思いますけれども、これは時間がありませんので、そういう点には触れませんが、いずれにいたしましても、今年度の郵政事業特別会計というものの予算は窮屈だということは一言にして言えるのではないか、こういう点を大臣に聞いておきたいと思うわけです。
  208. 徳安實藏

    徳安国務大臣 たいへん御理解のある、御同情ある御意見で、まことにありがとうございますが、私どもも決して余裕があるしゃくしゃくたる予算だとは考えておりません。見たがって、もしベースアップが大幅にでもなりましたらどうするかということについて、まことに戦々恐々たる気持でございますが、しかし、同じ職員でございますから、政府につかえておる職員が、ほかの職場の職員に負けるようなことでもいけないので、何とか一人前のことはせねばならぬ。おそらく裁定が出ましても、それを勘案して出ると思います。ですから、もしそれで足らぬような場合には、先ほど申しましたように、みんなが手を取り合って、一生懸命働いて、もうけるということに努力をし、なおかつそれでもやむを得なかった場合には、いまお話しのように、まことに不体裁のことかもしれませんが、補正予算を組むということ以外にはないと思いますが、なるべくならそうしなくて、お互いの業務の中で節約もし、またもうけもたくさんにいたしまして、もしそういう裁定が出ましたら、それを忠実に守り得るような結果を生み出したい、かように職員一同考えておるわけであります。
  209. 森本靖

    森本分科員 そういう点を考えてみますと、私は、これには頭から、まっこうから反対でありますが、それ以外にいろいろなやり方があると思います。ただここで大事なことは聞いておきたいと思いますが、四十一年度以降、郵政省として、この現行の郵便料金というものを合理化する考え方があるのか、あるいはまた、値上げをする考え方があるのか、先ほどの電信電話料金に関連をいたしまして、四十一年度以降、この郵便料金についてどうお考えになっておるか、この点をひとつ聞いておきたいと思います。
  210. 徳安實藏

    徳安国務大臣 郵便料金は、公共料金の中でも、国民生活に至大な影響を及ぼします重大な事柄でございます。したがって、ただバランスが合わぬからということから考えますれば、あるいは事はきわめて簡単かとも思いますけれども、国民生活にも非常に大きな影響もございますので、先ほど申し上げましたように、本年五十何億というつじつまの合わぬような予算になりましたことにつきましても、料金等と結びつければ、議論があると思いますが、何しろ非常に重大な問題でありますから、本年はそういう問題には取り組まずに、四十年度は値上げはしないという一つの原則を立てまして、この予算をこしらえたわけであります。来年度等につきましては、いずれこの予算が通りましたら、来年度予算にも、取り組むわけでございますから、政府としましては、要するに、日本の物価、経済、そういうものと十分にらみ合わせまして、政府の施策の一つの大きな筋として、考慮をすべきだ、こう考えておりますので、予算編成期に至るまでには、そうした問題に対する結論を得て、皆さま方と御相談するようになろうかと思います。
  211. 森本靖

    森本分科員 郵便料金の値上げということは、国民に対する影響力が非常に大きいわけでありますので、安易に料金の値上げということに求めずその他にいろいろな方法があろうと思いますので、やはりそういう方向における検討をぜひひとつお願いしたいということを、最後に申し上げておきまして、まだいろいろ質問がありますけれども、時間が来ましたので、他日の委員会に譲りまして、私の質問は終わります。
  212. 今松治郎

    ○今松主査 帆足計君。
  213. 帆足計

    帆足分科員 私は、日ごろは外務委員会におりまして、郵政大臣にお目にかかる機会もないのでありますが、きょうは親しくお目にかかりましてたいへん光栄の至りに存じます。この分科会におきましては、ただいまの森本委員からの御質問のように、それぞれ専門の方が、国民にかわりまして、こまかく予算を審議いたします。と同時に、端的に庶民の常識をもちまして、日ごろ御要望申し上げお尋ねしたいと思っておることを率直に伺っておくことは、あわせて必要じゃなかろうかと思いまして、出席いたしました次第でございます。  実は、私のうちには四人子供がおりまして、ちょうど大学の入学試験の時期でありましたものですから、この数年間テレビをうちに置きませんで、見たことがなかったのでございますが、やっと四人とも、無事東大その他しかるべき大学に入りましたので、十九インチの最新式のテレビを買いまして、見ております。そうしますと、ついおもしろくて、これにかじりつきます。読書ができなくてまことに迷惑いたしておりますが、まことに楽しいものでございます。しかしテレビを見まして、一方では、心から非常に感心いかしております番組も多いですが、他方では、同じカンシンでも寒いほうの寒心で、心にぞくぞくいたしますようなものもあるわけでございます。ぞくぞくと申しましても、スリルという意味ではございませんで、政治家といたしまして、こういうことでよかろうかと思うようなことを痛感いたしますので、だれしも痛感いたしておっても、長いものには巻かれろ、泣く子と地頭には勝てぬというのが、国民の長い間の弊風でございますから、やはりこういう予算審議のときに、思うことを国民にかわって申し上げまして、しかるべき措置をしていただくことが必要であるまいかと思うのでございます。  そこで第一にお尋ねいたしたいのですが、国民の大部分はテレビを見ておりますが、そうして多くこれが社会教育になっておるわけでございますが、私どもは、テレビはもちろん一つの公共的性格を持っておるもの、しかるがゆえに、技術的見地からだけでなくて、その公共的性格のゆえをもって、認可制度になっておるものと考えておりますが、技術上の問題等でこれは郵政省に所属しておりますが、この国には文化省がございませんので、同時に、文部省も子弟の成人教育等の立場から、当然関心を持っておられることと思います。文化、芸術、教育の問題につきましては、政府がこれを指導いたすと申しましても、何も、大臣諸賢が、孔孟の学徒であるわけでも、聖人君子であるわけでもございませんから、むしろ常識的に考えまして、よき教育、よき文化が育つような環境を、大局的見地から監視し、誘掖される、そういう態度が必要でありまして、政府または政府の息のかかった機関で、独断的に人間像だとか、その他個人の特殊の御経歴からきた陳腐な哲学を国民に強制されましては、人それぞれの哲学を持っている次第でございますから、まことに迷惑でございます。したがいまして、積極的に文化政策に対してかれこれ聖人君子がましきことを言うていただきたいというわけではありませんけれども、世の中にはおのずから常識というものがございましてこれはもうだれが見ても見るに見かねるというようなことは互いに慎み合うということが、この国を清らかにし、いわゆる文化国家という名にふさわしいものに育て上げるゆえんであろうと思っております。したがいまして、端的にお尋ねいたしますが、テレビ、ラジオに対する、そういう文化的な見守りというものは、郵政省が行なっておりますが、または総理府で行なっておりますか、文部省で行なっておりますか、その辺の緩急よろしきを得るためのお打ち合わせば、どういうふうになっておりますか、まず伺っておきたいと思います。
  214. 徳安實藏

    徳安国務大臣 法律上の解釈等につきましては、政府委員から御答弁させたいと思いますが、放送法あるいは電波法が制定せられました当時の趣旨、質疑応答等から考えまして、いまお話しのように、政府みずからがこの問題にタッチをいたしましたり、関与をいたしますことは、最も厳に慎むべきことだというように考えられて、これは一つの不文律として守っておるわけであります。しかし、ただいまお話しになりましたように、見るに見かねるようなものも番組の中にはあるということであり、しかも各方面からの批判も相当ございますので、私どもは許された範囲において、各当事者が自制されることを望んでおるわけであります。と同時に、放送番組の編成にあたりましては、各社とも、法律の命ずるところによって、審査会と申しますか、審議会というものをこしらえて、外部の者を加えて、そうしてそれを一応通して編成されるというような、自主性を認めた法がございます。それにのっとってやってほしいということで、目をつぶっておるわけでもございませんし、放任しておるわけでもございません。そういう自主性にゆだねておるわけでございます。しかし、いかに自主性にまかしておりましても、あまりだらしのないものや、目をおおうようなものは、世間の非難を買いますので、その非難を謙虚な気持ちで聞きながら、改善してほしいということを、私どももしばしば当該者には申しております。  同時にまた、放送法の精神から申しまして、公正を欠きましたり、あるいは法の精神を逸脱するようなものにつきましては、政府にも責任なしとは言えないのでありまして、さような方々が、もしあくまでも反省をされなくて、そうして国民の大きな指弾を受けながらも、てんとして顧みないような事態がありますれば、これは再免許というような時期も到来いたすわけでありますから、そういう場合には、そうしたものは十二分に検討の対象になるという考え方でおります。本年は、あたかも六月の一日がテレビ、ラジオ等の再免許の年にもなっておりますので、私どもは、不幸なことがこないように、自主的に、各経営者が、その当事者が責任者となって、自分の責任だということで、十二分の検討を加えてほしいということを、機会あるごとに申しておるわけであります。ただ、政府がむやみに干渉いたしましたり、あまり差し出がましいことをいたしますと、いろいろな問題を起す憂いもございますので、なるべく自主性にまかして、そうして一方は世の批判、世の世論というものに謙虚な形で耳を傾けて、番組を組んでほしいということを、機会あるごとに注意しておるわけでございます。  法その他に対しまする解釈等につきましては、政府委員から御答弁したいと思います。
  215. 帆足計

    帆足分科員 ちょっと先ほど聞き落としました点もございますから……。大局的ないまの放送、テレビの見守り方の責任者は郵政省ですか。それから文部省との関係、総理府との関係はどうなっておりますか。その責任及び協議の状況は……。
  216. 徳安實藏

    徳安国務大臣 放送法によりまして、免許いたしました郵政省が、当該の第一の責任者だと思います。
  217. 帆足計

    帆足分科員 そうすると、文部省やそれから総理府の青少年問題協議会、そういうような機関は、テレビ、ラジオに対してどの程度の関心をお持ちになり、御助言をなさるようになっておりますか。
  218. 徳安實藏

    徳安国務大臣 政府委員から答弁させます。
  219. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 ただいま大臣から答弁いたしましたように、放送番組の内容におきましての責任所管官庁は、郵政省でございます。現在放送法によりまして、自主的な番組規制というもののたてまえといたしまして、番組内容に対しまして、各放送事業者が、責任と自覚を持って番組内容の向上につとめるたてまえで、郵政省としても指導しております。もちろん文部省その他におきましても、それぞれいろいろなマスコミというような立場から、その中の一環といたしまして、放送ということが取り上げられることがございましょうし、そういう観点からいろいろ御議論があることはよく伺っております。そういうような中におきまして出てきました結論というものを、われわれは参考といたしまして、NHKその他一般放送事業者に放送法を通じまして、注意を促したり自覚を求めたりというような形で、指導をしておるわけであります。
  220. 帆足計

    帆足分科員 私は、この放送というものは、限られた電波を利用して、そして社会公衆の胸深く侵透をする機関でございますから、ある意味ではまた、聞こうと思わず、見ようと思わずでも、目に映り、耳に聞こえるものでございますから、新聞以上に公共性が強いものであってしかるべしと思っております。したがいまして、本来は、特定の資本関係とか営利関係とかいうもののバックなしに、もっと公共性の強いものでなくてはならぬのではないか。かねて、たとえば日経連系の放送局があるならば、総評系の放送局があってしかるべし、こういうことにもなりますから、資本の経過といたしまして、過去の経過上、今日の事態に至っておりますことは、今日の社会的制度の諸関係のもとではかりに了といたしましても、放送内容につきましては、やはり無党無派と申しますか、常識的な意味で、社会公共的性格を持つというふうに一そうつとめなければならぬ性格のものであろう。しかるに、外務委員をいたしております私までが、こうして時間をいただいて発言せざるを得ないというのは、よほど痛感しておることがあるからでございます。  文部省は教育を担当いたしておりますが、教育を担当しております文部省が——教育というものは総合的なものでございまして、学校の中だけできまるものではございません。実は、両大臣に御一緒に聞いていただきたいくらいの思いがするのでございます。たとえば学校の教育一つにいたしましても、まず校舎の建築からです。もちろんあの校舎の建築には、明治時代の牧歌調がございまして、なつかしい要素がございますけれども、もう今日の時代に新しくできる校舎を見まして、私はやはり一つの教育的風格というものがないと思うのです。外国のミッション・スクールを見ましても、それぞれ風格がありまして、特に校庭などは、一木一草に心を注いでおります。感じやすい少年時代には、花にも涙を流し、草の葉のそよぎ、青葉町のかおりにも、非常に自然に対するよき感受性、自然に対する愛情を、それを通じて覚えるわけでございます。教室一つでもそうです。ましてや教育の任に当たられる先生待遇などは相当よくないと、いい先生を得ることは困難でございます。学校一つ例にとりましても、ただ教科書だけではなく、先生、校庭、学校の建築にも一種のかおりがなくてはならぬ。私は、教科書なども、本来ならば小学校のときの教科書は一生とっておいて、座右に置いて——私どもでも、小学校の教科書から学ぶべきものはあるわけでございます。これはおじいさんの教科書であったというようなものは——印刷も最高にして、そして子供がうちへ帰っても愛するようなものでなくてはならぬ。私どもの中学生のころは——いまはよほどよくなっておりまして、子供の教科書見て、私どももときどき感心している。おとうさん、どうして感心してそう読んでいるの。先日も娘の教科書読んでいましたら、「ロダンの遺言」というすばらしい文章、がありまして、私は感嘆して読みまして、卒業したらこれをパパにくれないかと言って、もらいました。ところが昔は、学校というところは、魅力ある人生のいろいろなできごとを、最も魅力のないような形で教えるのが学校でございまして、たとえば万葉集の歌を一つ教えますのにも、青年の心に一番理解しやすい歌、中には相聞の歌などはなるべく省いて、そしておもしろくない歌、索莫たる歌を無理に集める。学校の唱歌でもそうでございます。たとえば佐渡のおけさにいたしましても、私はおけさという歌はいい歌だと思いますけれども、学校では教えないらしゅうございまして、どこから聞きかじったか、もう悪童どもはちゃんと覚えておりまして、忘年会となると次々と飛び出し、あげくの果てはちゃんこ節くらいやって、これはというようなぶざまな風景等々と、民謡の最もすぐれたものを格調ゆかしく子供に教えておけば、ちゃんこ節などという悲しきものを歌わなくても済んだろうとよく思うのでございます。私どもの少年時代には、「ここはお国を何百里」とか「ホタルの光」もろくに歌えないような状況で、そういう諸君が、忘年会などになりますと、ばかに元気を出しまして、蛮声を張り上げて、聞くにたえない卑わいな歌を歌って、そして平素のコンプレックスを発散しておる。こういう風景を見まして、教育というものは総合的なものでなくてはならぬ。したがって、文部省として教育をいたすには、教科書だけでなくて、先生待遇、学校、それから子供たちの健康に責任が持てないような先生では私はだめだと思うのです。大学では、学生の健康、保健というものは最も必要である。学生の下宿は認可制度にすべきものではあるまいか、こう思っておるくらいでございます。そのかわりに、学生が下宿料を踏み倒すようなことのないように、学校で責任をとる。そういうような総合的な施策なくして、そして二流の学者に、人間像——ちゃちな、私どもから見ますと、まことにあわれな人間像、平凡な、常識的な、夢のない人間像をお急ぎになる。御努力気持ちはわかりますけれども、拙速主義の人間像をおつくりになる。そして肝心の、もっと注目せねばならぬ、子供の社会教育とか健康とか学校の建築とか校庭とか、それからテレビ、ラジオというようなことに対してはあまり関心を持っておられないかのごとく私どもには感ぜられる。教育は総合的なものであって、先生の任務というものは実に限られたものであるということに、ひとつ思いをいたしていただきたい。  さて、そういう観点から、いま、今日のラジオ——ラジオより、問題はもうテレビに移りつつありますが、テレビを見ますと、二つの問題があると思うのです。一つは番組編成の問題、もう一つはコマーシャルの広告の問題だと思うのです。最近、番組編成等、それから広告等に対して適切な注意を与えますために、たいへんけっこうな委員会をおつくりになったということを伺いましたが、委員会を発足して、若干の御助言でもなし、効果があらわれつつありますか。当委員会におきまして、ちょっとその辺の概略だけ伺っておきたいと思います。
  221. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 ただいま御指摘のございました番組の向上の会のことでございますが、実は先ほども御説明申し上げましたように、日本の放送の主体でございますNHK及び一般放送事業者は、法によりまして、それぞれ自主的な番組審議機関をつくりまして、自社の番組についての向上を自主的にはかっていくことに相なっております。しかし、昨年あるいは一昨年等におきまして、世論におきまして、相当、番組のいわゆる低俗化というようなことが起こりまして、それぞれの自主的な番組機関は大いに努力を傾けて、自社の番組につきまして向上をはかったと思うのでございますが、そういう団体がさらに一緒になりまして、一つの放送番組の向上のための努力を何らかしていったらどうかというような動きが出まして、この番組審議会の委員の代表者をもちまして、放送番組懇談会というものができて、その進め方についていろいろ協議したのでございますが、その結論といたしまして、放送番組向上のための、放送番組向上委員会というものをつくることにいたしたのでございます。それは日本放送連合と申しまして、一般放送事業者と、日本放送協会と、その他の団体が一緒になっております場がございますので、この日本放送連合の中に、この番組向上委員会をつくりました。それは、NHKと民間放送連盟及び日本放送連合が推薦いたしますところの学識経験者の委員をもって構成いたしまして、放送番組全般に関する批判であるとか、あるいはいろいろな意見、また世の中の聴視者の希望など、その世論を収集調査し、それらの結果に基づきまして、いろいろ協議を行ない、必要に応じまして、関係の諸団体とも会合を開いてその意見を交換し、こういうような意見があったというようなことは、それぞれの事業者に通知をして、さらに一そうの番組向上の努力を促す、こういうような仕組みによりまして、会ができたわけでございます。その会は、委員長渋沢秀雄氏外七氏が決定されておりまして、現在第一回の会合を開きまして、さらにこれの進め方につきまして、いろいろと協議をしておるわけでございます。この会がどういうような——これによりましてすぐ効果があったかというような御質問でございますが、まだ一回でございますので、今後の活動その他につきましては、今後に待つべきものが多いと考えますけれども、これらの放送番組の向上委員会ができました経過、その経過の中におきまして、そういうような番組向上に対する世論というものが非常に高まった、こういうようなことによりまして、番組の自主規制というものが、少なくとも一昨年、昨年に比べましては、高まってきているというふうに考えてもよいのではなかろうかと考えております。なお、こういうような番組向上委員会ができましたものですから、これらがさらに活動を続けまして、よりよい番組ができることを願っている次第でございます。
  222. 帆足計

    帆足分科員 それではちょっとお尋ねいたしすが、私はこの半年ばかりテレビを見るようになりましてから、最近は西部劇は多少下火にありますけれども、何といっても多いのは、ギャングの映画、犯罪映画です。犯罪については、封建時代には、一種のもの珍しさから黙阿弥なども書きましたし、また封建時代の末期から資本主義の初期においては、自由、平等、博愛、いわゆるヒューマニズムの見地から、ビクトル・ユーゴーが「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンを書きましたときでも、犯罪に興味を持って賛美するのではなくて、その背後にある痛ましい社会の欠陥や人間性の弱さを書いて、そして人の心に人間性のとうとぶべきことを訴えようとしたのでございます。有名なドストエフスキーの「罪と罰」でも、やはりそういう心持ちから出ているのでございます。しかるに、最近の犯罪小説犯罪映画、またスリラーものというのは、犯罪そのものを楽しんでおるのでございまして、まことに非人間的なものであります。こういう環境のもとで子供たちを、しかも傷つきやすい十八、九のときにこういうもので全部取り囲んでしまうというようなことでは、私は、犯罪を一方の手で取り締まりながら他方の手で奨励しているようなものだと思うのです。書物の場合には相当の年配に達しまして、一応浮き世の苦労をなめて、そして碁や将棋に興味を持つような意味で推理小説を読むというようなことでありましょうけれども、テレビ、ラジオの場合——特にテレビの場合はそういう選択の余地はなくて、そのまま子供たちが集まってきて見るのでございますから、文部省から視聴覚教育課長もお見えでございますから釈迦に説法でございましょうけれども、そういう性質のものでございます。しかるに、劇映画の大部分が——大部分と言って悪ければ、相当部分犯罪ものだ。しかもアメリカものですけれども日本ものもそれに追随している。驚くべきことだと思って見ております。ソ連や中国は保守党の方はお気に召さぬ。また、その社会制度が人類の実験として行なわれておりますことについての批評は、もちろん歴史的にいろいろあることは当然でありますけれども、しかし、テレビ、ラジオに関する限りは実にりっぱな、清潔なものでありまして、こういうような、犯罪奨励せぬまでも、犯罪そのものに興味を持つというような悪趣味は人生最劣等の趣味とされておりまして、私はこれは健康な考えではなかろうか、ソ連、中国の誇り得るものではなかろうかと思っております。驚きましたのは、私は北朝鮮のテレビを約二週間見ました。そしてその美しく清らかなことに驚いてしまいました。アメリカはその点だけは恥ずかしいと思わねばならぬ。侵略国朝鮮よ、侵略国中国よと言いながら、なんじのテレビを見よと言われたら、アメリカはどうするでしょう。最近は、アメリカインデアンものをアフリカで映しておりましたのでいよいよ人気が悪くなりまして、アメさんがやられてインデアンの勝つ映画を西ドイツでつくりました。こういう皮肉な結果が流行しておるということを西ドイツの映画輸出業者から聞きまして、私は驚きました。一体郵政省の皆さんがおりながら、そして文部省もおりながら、一般の大衆の好みが、今日のような機械文明の弱点があらわになった時代だからといって、圧倒的な部分犯罪そのものに興味を感ずるというようなことを一方になさるのは、一体どういう気持ちでしょうか。皆さんはお子さんがかわいいと思わないのでしょうか。また、文部省からこれに対して、一言でも皆さんのほうに抗議なり御相談があったでしょうか、ちょっと念のために尋ねておきたいと思います。
  223. 徳安實藏

    徳安国務大臣 帆足先生お話、私もほんとうにごもっともな御意見だと思っております。私も常にひんしゅくをしておるわけでございますが、立場が立場でありますだけに、その発言をきわめて慎重にいたしておりませんと、とんでもない誤解を受けましたり、問題を起こすものでありますから、歯がゆく思いながら、言いたいことも言い得ない場面も過去においてはあるわけでございます。しかし、先ほど電波監理局長から申し上げましたように、すでに委員会もでき懇談会もできまして、そうして、いまのお話等につきましては、長い間の計画でございましょうから、いま直ちにどうということもあるいは不可能ではないかと思いますけれども、私どもも機会あるたんびに、そうした方面関係される代表の諸君には話をいたしております。またその諸君も、個人的には、ごもっともだという御意見の開陳も得ておるわけであります。したがって、こういう機関がはたしてNHKや民放をどの程度に指導をし、あるいは悪い点については牽制される力があるかということは、今後に徴さねばわからぬと思いますが、世の大きな指弾や批判をこうむらないようにするためにできた委員会であり懇談会でございますから、ただいまのようなお話は、漸次そういう機関を通じて直っていくんではないかと思います。いまのようなお話は非常に貴重なお話でございますから、私もさらにまた機会を得まして、そうした方面の責任者には十分伝えたいと思います。文部省や総理府との関係がございますが、おそらくは役所同士の話し合いは、正式のものはもちろんないと思いますが、文部省のあらゆる機関を通じて、あるいは総理府の青少年問題等に対する協議会等の機関を通じまして、皆さんの声というものは相当に強く伝えられておるようにも考えます。でありますから、そういうことに対しまして、謙虚な気分でこれらの当事者がこれを受け入れて、そうして指弾を受けないように、最も清らかな、正しい——国民を低劣な方面に引っぱっていく、あるいは犯罪、ギャング等に興味を持つようなことのみに引っぱっていくというようなことでなしに、公共性の強い機関であることに徹して、だんだんに自覚していっていただこう、実はこういう考えでおりましたので、まことに手ぬるいような——もしそういうことがあったらすぐ呼びつけて、これはいけないじゃないかというようなことが言えるような現在の法のたてまえでございますれば、非常にけっこう——けっこうといえば語弊がございますが、単刀直入に言えるわけでございますけれども、いまの法のたてまえが、そこまで私どもが踏み込んでいけないような情勢でございます。世論の力、それから事業者としての良心、こういうものに訴えて自主的に改善をしていただくという考え方でございますので、もし今後におきましても、そうした点につきましていろいろと御意見がございましたらひとつお知らせいただきまして、ともどもに、そうした関係の機関にこれを伝えて、是正、反省されるようにいたしたいものと考えるわけでございます。
  224. 帆足計

    帆足分科員 ただいまのお話は、郵政大臣としてはごもっともでございますけれども、私はいずれ予算委員会におきまして、文部大臣にこのことを厳重に言います。と申しますのは、文部大臣の、少年たちによい環境を与えるということでは、これはもう党派を離れて賛成なんです。しかし、これに特定の哲学や独自の独断的な人間像を押しつけることには私どもは反対ですし、与党の方でも、自由の何であるかを御理解の方はやはり慎重であられようと思うのでございます。しかるに、今日のテレビの状況は目に余る状況がある。それでは、そういうもの以外に写すものがないかといえば、世の中に美しいものはもう限りなくある。科学の進歩、文化の進歩、それから古い映画の見落したものの中で永久に新しいもの、限りなくあるのでございます。それを、何を好んでかくも安直な、安易な方法をなさるか。ですから私は、なんじら教育に対して不感症であるというおしかりでなくて、なんじらあまりにも安易な道を歩み過ぎる、それでテレビ編成者の一体資格があるか、こういうふうにおしかりになったほうがむしろ適当であろうと思うくらいでございます。いずれ文部大臣のほうからそちらに御連絡があろうと思いますから、受けて立って、ひとつそういう世論を喚起していただきたいと思うのでございます。  第二には、編成と同時に広告でございます。広告の中で最もはなはだしいのは、いま死傷者を出しておる薬の広告でございます。御承知の、最近、おまえへそねえじゃねえか、というようなやつとか、いいと思うよ、とか、そういうのはちょっといま姿を消し始めているようですが、これはなんですか、官房長のほうの御注告や世論の圧力があってあれはひっ込んだのですか、自然にひっ込んだのでございましょうか。
  225. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 私、そのコマーシャルをよく存じておりませんが、省のほうから注意をいたしたようなことはございません。
  226. 帆足計

    帆足分科員 外務委員たる私が気をつけて読んでおるのに、電波監理局長、また官房長のお耳にこういうことが入っていないというのは——これは、へそねえじゃねえかというのはいいんですよ。そしてそのカエルをいじめる必要はないと思うんです。意地悪い顔をしてカエルをいじめる。そうすると、カエルは苦しまぎれにコルゲン・コーワと言うておる。こういう固有名詞は省きましょう。かえってそれに有利になっては困りますからね。とにかく、あるセキの薬、かぜ薬、それがまことに子供の嗜虐性を増長するような——それからまたへある大財閥会社が、宮沢賢治君の「雨ニモマケズ」というすぐれた、これは日本の民族の歴史に永久に残る美しい詩ですが、この詩をもじって、そしてコマーシャルに使っておる。まことに世にもあわれなることだと思います。——その財閥の名前は言いませんが、おそらくそのコンツェルンの指導者の幹部は御存じないかもしれぬけれども、しかし、自分のところのコマーシャルですから、うちへ帰って見て知っておるでしょう。そうすると、その会社の品位を低め、何百万円の金を出して自分の会社の品位を低める放送をしておるとは、これまたどういう教育を受けられたのか、そういう方が社長になる資格があるかどうか、私はそれも疑問だと思います。これはその会社の株主総会で論議すべきことかもしれませんが、われわれは迷惑をこうむっております。というのは、子供の教育のために万葉集と並んで、万葉、藤村、泣菫、何人かのすぐれた日本の詩人と並んでわれわれが心のかてにしておる宮沢賢治君のこの「雨ニモマケズ」のすぐれた詩をもじってコマーシャルに使っておる。その詩が厳粛であればあるほど、われわれの憤りは深いわけであります。また、ある種の下剤に使っているコマーシャルに至っては、もう世にも奇妙な女性の声を出しまして人を挑発する。それだけでも旧憲法ならば懲役二十年くらいになるかも存じません。かどうか知りませんけれども、それを幕の合い間合い間にはさむならまだ許すべし、その間スイッチを切っておればいいわけですが、しかし 幕間に幾つもはさむわけです。先日も悲劇ハムレットで、古典的な劇のまん中で、最も最高調のところで、突如としてインスタントラーメンと叫ぶ。われわれの大脳生理学によりますと大脳の流れはナイアガラの水の流れほど激しい力を持って流れているのだそうですが、その悲劇の絶頂において、今度はインスタントラーメンとは、これ何事か。こういうことをすればノイローゼ患者がふえ、精神簿弱の患者がふえ、理解しがたき犯罪がふえるのはあたりまえであります。犯罪製造株式会社は、すなわち郵政省の監督下にそれが行なわれている、こういうことを言われても返すことばはないと思うのです。一体こんな下品なコマーシャルが世界のどこにあるでしょう。もちろんコマーシャルの中にも、ある種の化粧品のコマーシャルなどたいへん美しいものがありました。広告もこういうふうだといいね、そうして買いたくなるねと 思わず私は家内に言いましたが、この化粧品はとても高いのですよということを家内は言っていた。それはとにかくといたしまして、最近スカラ座などに参りますと、幕間の広告は非常に美しくなっております。世界的の水準です。しかるに、テレビは大衆をばかにしているのでしょうか、また、ばかにされて買うようなばかな国民が多いためだとすれば、互いに嘆かわしいきわみですが、もう度を過ぎているわけです。したがいまして、コマーシャルは全部幕間に入れていただきたい、これは、映画の合い間には間奏曲を入れ、幕間にコマーシャルを入れるのです。それは私どもは反対をいたしません。しかし、映画を見ている最中、劇を見ている最中に、一度ならず、二度、三度入れるということはまっぴらごめんこうむりたい。それは、NHKには料金を払っているけれども、こっちはただじゃないか——ただであろうがあるまいが、そんなことは問題になりません。そんなことは言いわけになりません。したがいまして、私は、郵政大臣の態度は手ぬるいと思うのです。幕間以外には入れさせない。入れさせたら、私は、郵政大臣のうちに行ってテレビをたたきこわしてやろうと思っている。ここまで教養あり、良識あって、心やさしいわれわれ外務委員を憤激させる状況にすでになっているということです。これをひとつ記録にとどめていただきたい。  それから最後に、同じ問題がいわゆる街頭放送にあります。駅の表に出てしばらく家内とデートしようと思って、春先の風に吹かれてぼんやり立っていると、めちゃくちゃな放送がなされる。駅のプラットホームに対して、向こうの道からめちゃくちゃな放送がなされる。コマーシャルです。私は、これを許すということは、声の暴力を許すということだと思うのです。われわれは一人静かに道ばたにたたずんでデートする権利もあるし、ましてやデートの相手が家内ならば一そうそれはよいことだと思う。それだけの権利はあると思う。心静かに春先の風に吹かれながら駅でデートする。しかるに、なぜわれわれがくだらぬコマーシャルの、しかも調子はずれの声を聞かねばならぬか。郵政省は、われわれが海外に旅行するとか、それから東京都内で静かな集会をするとか、そういうときに、憲法違反をして、公共の福祉のために二十四時間以内に届けろとか、条約のない国にパスポートは出さないとか言う。それも公共の福祉のためだと言う。公共の福祉ということをそういうことに乱用しながら、ほんとうに公共の福祉のために許しがたいものには一向に権力の発動をしないで、権力の発動をしないでいいところには発動する傾向がある。きょうは、超党派的立場で大臣に御協力願わねばならぬことでありますから、私は与党の悪口を言うことは控えますが、しかし、とにかく、公共の福祉のために発動してもいいこと、それも、野党も賛成し、与党も賛成することについてはもう少し積極的であってよくはないか。与党の諸君は、われわれ野党の者によく言います。自由というものは放らつではならない。権利を主張するのには義務が伴う、私は全くそのとおりだと思います。だとするならば、放送の問題においてもやはりそうだと思うのです。権利を主張するのには義務が伴わねばならぬ。したがって、いまの街頭放送の問題は現に行なわれていることですから、それをやめさせるにはいろいろ問題があるでしょうが、私は、やめさせる方向に至急向かっていただきたい。きょうは一応の御返答だけを伺っておいて、そうして解決しないようでしたら何回でも出さしていただきます。そうして要求したいと思うのであります。
  227. 徳安實藏

    徳安国務大臣 非常に貴重なとうとい御意見をいただきまして、私も近来にない喜びを感じます。ただ、法のたてまえから、御趣旨に直ちに沿うようなこともできないこともあろうかと思いますが、最善を尽して御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  228. 帆足計

    帆足分科員 いまの街頭放送のことを一言。あれだけはやめさせたいのです。朝から晩までやっているのだからたまったものではない。
  229. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 ただいま帆足先生に御指示いただきました点、まことにごもっともな拝聴すべき御意見と思います。私どもとしましては、きわめて今後考えていかなければならないことと思っております。ただ、ただいま大臣が申し上げましたように、現在の法律のたてまえからいたしまして、いま直ちにこれが実現はきわめて困難でございます。(帆足委員「街頭だけですよ」と呼ぶ)もちろんそうでございます。街頭放送につきましても、現在、有線放送業務の運用の規正に関する法律がございまして、番組につきましても、放送法を準用いたしております。放送法全般の問題にも相なってまいります。なかなか現在の体制におきましては、私どもといたしましても、これらに対する対策はきわめて困難でございますが、今後は、こういう方面につきまして十分考えていかなければならないと思っております。その意味で御了承いただきたいと思います。
  230. 帆足計

    帆足分科員 あなたのほうの御所管だということを伺って、私は驚きました。こういうことが行なわれておって、そして他のほうで合理的なことを御主張なさっても、それは筋が通らぬと思うのです。野党が賛成するのですから、こういうようなぶざまな都市というのは世界じゅうにありません。こんな見苦しいことってあるんですか。それで、これは超党派的に、こういう問題を力を合わせて解決するように、私も御協力いたしますから、また御研究のほどを至急お願いいたしまして、私の質問を終わります。
  231. 今松治郎

    ○今松主査 田原春次君。
  232. 田原春次

    田原分科員 私もテレビに関連する数点について、友人帆足君の質問に続いて、なるべく重複しないように、お尋ねしたいと思います。  まず最初にお尋ねしておきたいのは、日本放送連合のもとにある番組向上委員会に、いろいろ聞きたいこと、希望がある。これを、七名全員を参考人としてここに呼ぶか、あるいは七名委員会の席に、特別委員かオブザーバーか何かの形でわれわれを呼ぶか、そうやらぬと、具体化する問題を、普通のおざなりのお上品な学識経験者だけではだめだと思うのです。私はその点については資料も持っておるのですから、今後の運び方として、そのどれかをおとりになってはどうかと思いますが、まずその点についてお尋ねしたい。
  233. 徳安實藏

    徳安国務大臣 ただいまの御要望でございますが、この予算委員会あるいは分科会等に、そういう諸君においで願うということは、やはりそのほうの委員会の手続をとっていただかなくちゃならぬことだと思います。もし逓信委員会のほうでいいということであれば、逓信委員会のほうでやはり手続をとっていただきまして、私もその旨を受けて、出席するように努力したいと思います。
  234. 田原春次

    田原分科員 わかりました。それではそれは逓信委員会の席で御相談願うことといたします。  次は、テレビの免許の基準ですね。免許は何によってするのか、それから免許違反等があった場合には、免許を取り消すのか。私が言う免許違反というのは、公序良俗に反するような、いま帆足君の言ったようなプログラム内容を持ったもの、一たん認可したからといって、免許の取り消しもできないのか、そういう点について、局長見解を聞いておきたい。
  235. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 テレビというお話でございますけれども日本のテレビ、ラジオ放送局というものは、現在の法律におきましては、無線局という形でとらえられておりまして、これにつきましては、電波法の第七条によりまして、「左の各号に適合しているかどうかを審査しなければならない。」ということがあるわけでございます。それは工事設計が技術基準に適合しているか、周波数の割り当てが可能であるか、当該業務を維持するに足りる財政的基礎があるか、四といたしまして、「前三号に掲げるものの外、郵政省令で定める無線局の開設の根本的基準に合致すること。」ということがございまして、これによりまして審査をいたすのでございます。そのうちの前三号は、お読みいただけばそのままでございますが、第四号の「開設の根本的基準」というものにつきましては、無線局の開設の根本基準と、特に放送局の開設の根本基準というものを省令によって定めております。その放送局の開設の根本的基準の第三条には、「国内放送を行う放送局は、左の各号の条件を満たすものでなければならない。」ということがございまして、その中にいろいろと基準があるわけでございます。「その局の放送番組の編集及び放送は、左に掲げる事項に適合するものでなければならない。」ということで、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は、事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」というようなことがきめてございます。なお、特別な事業計画をもって行なう放送、たとえば、特殊な教育的効果を目的とする放送というものはどういうものでなければならないか、というようなことが書いてございます。そのほか、学校向けの教育番組の放送を行なう場合には、先ほどの御質問にもちょっと関係がございますが、番組に学校教育の妨げになると認められる広告を含めるものであってはならないというようなことも、この基準の中に取り入れられております。そのほか、その局は、毎日放送を行なうというようなこととか、番組を特定の者からのみ供給を受けるような協定を結んではならないとか、他人の利用に供するものについては、その利用の度合いにおいて一部の利用者の独占となるものでないこと、といいうようないろいろな基準がございます。こういうような基準によりまして、われわれがこれを審査をいたしまして、免許をいたし、そのうちの各条項に適合している度合い、公共の福祉に適合している度合いが高いものは免許をするというたてまえによって、現在免許を与えている次第でございます。
  236. 田原春次

    田原分科員 取り消しの例があったかどうか。つまり免許当時の条件と異なった場合に、忠告、警告、取り消し、役員の交代、そういったようなことはしないのですか。
  237. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 一般の無線局の場合と放送局の場合とではいろいろ事情が変わっておりまして……(出原分科員「テレビに関して」と呼ぶ)テレビの放送事業者におきまして、いままで免許の取り消しを行なったものはございません。
  238. 田原春次

    田原分科員 具体的な例を二つ、しろうとながら私は気がついておるから……。それは、いまの開設条件の第一に触れるのではないかと思いますので、お尋ねいたしますが、第一は、日本教育テレビが変質してきたこと、第二は、科学技術放送と称して最もおそくできました十二チャンネルの変質です。第一の、日本教育テレビがなくなって、NET、ネットというのですか、英語でニッポン・エデュケーショナル・テレビジョンというのですか、違ったらお許し願いたいけれども、要するにNETということになってしまった。日本教育テレビの名前が日本字から横文字になったに従いまして、内容はうんと変わりまして、アメリカのギャング映画、西部劇専門のようになってしまっておる。それから、役員も、当時、岡村二一君その他おったのが、ほとんどかわりまして、二代目も何か旺文社のだれか、これもかわって、いまでは水野成夫君かだれかがなっているというんです。そうしますと、免許当時の条件と変わっているのじゃないかと思います。免許当時は日本教育テレビであった。NHKの教育テレビの補完的な、民間の特色を生かすという意味じゃなかったかと思っておりましたが、全くそんなものは最近じゃありません。内容をごらんになっていると思う。なってなければ電波監理局長、怠慢ですよ。電波監理局で許可しながら、あとほったらかすことはないと思う。したがって、NETに対し、免許取り消しあるいは警告、役員交代に対する指導なり何かそういう処置に出たかどうか。  それから次は、十二チャンネルも、最近じゃ「ドクター・キルデア」とかいろいろなドラマものになってきている。これはNETにしてもその他の民放、またNHKもそうでありますが、アメリカの使い古しのテレビ映画を安く仕入れてくるのですね。それが一番楽なんです。日本で新たにくふうしてつくるということはない。私はNHKのファンだから特によくNHKを見るのですが、最近は「シベリア」とか、ラテン・アメリカとか、カリブ海とか、自分でカメラを持っていってつくったいいものが相当あります。ドキュメンタリーものが相当あります。きのうでしたか、見たのは、青森県のむつ市のむつ製鉄の問題、市長や山崎知事等のことも出ておった。かなり雪の中で市長が歩いたりして、生き生きとしている。われわれが知りたいのは、そういうファクト、事実を知りたい。ところが、アメリカで興味本位につくったものを売れ残ったから安く買ってきて、それで時間をふさぐ。こういうことは——少なくともNETには気の毒です。NETには私の知った者がおるのです。初代社長以下みんな知っておりますが、これは免許時代と状況が変わっているのだから、取り消すくらいのことがあってもしかるべきじゃないですか。何にもせぬということは、あなた方がいま言った免許基準がテクニカルのものになっている。設備とかそういうものだけで、肝心かなめの運営面、プログラム面についてはほんのちょっとあとに出ている程度だから、何かそういうことを官僚統制というか、権力統制くらいに思って、やっているかもしれぬが、それは間違っていると思う。全国に千五百万の聴視者があって、ちょっと聞けばどこでも聞ける。おもしろいものがあれば、みな見ます。私もNETの五時の「ララミー牧場」なんか見ます。しかし、これが教育テレビだということに疑問を持つ。当初許可するときは教育テレビで許可をとったものが、換骨奪胎したものになっている。郵政省方針は設備だけを見るから、設備がよければいいということになって、何ら教育的効果はない。だからどういう処置をしたか、もう一ぺんお尋ねしておきたい。
  239. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 いろいろ番組の問題につきまして御心配いただいておることに対しまして、たいへん恐縮いたしておりますが、いま問題になりましたNETでございますが、日本教育テレビにおきましては、五〇%教育ということがきめられております。それから教養その他のものという形になっておりまして、これらのものにつきましては、番組計画というものを出させまして、われわれはその全体の編集計画を見ているわけでございますが、さらに再免許の時期におきましては、当然その免許期間中の実績というものをよく参照いたしまして、再免許をいたしたい。そういうような場合におきまして、免許期間中に免許条件を満たさないような番組内容である、あるいは明らかなる放送法違反のような番組をやっているというようなときにおきましては、再免許の場合におきまして考えていくべきものと考えております。
  240. 田原春次

    田原分科員 これは議論ですから、それはその程度として、しばらくおきましょう。  ただ問題は、国会で問題になったときだけ、模様を見ますとか、対策を講じますと言うのですが、あなたの郵政大臣古池さんも、やはり分科会で私が聞いたら、ごもっとも質問でございます、番組委員会もつくりますし、御趣旨全く御同感ですと言って、ぱっとやめてしまった。徳安さんもおそらくこの次はやめられて、大蔵大臣か何かになるかもしらぬ、あるいは政務調査会長になるかもしれませんが、あなたがおる間にひとつきちっとやってもらいたいと思う。これは党派心で言っておるのじゃない。国民の大部分が最近のかっぱらいから人殺し、あるいは誘拐なんというものが、間接にはテレビの番組から影響されておるわけです。これはみんな認めておるのです。それは結局許可するときの開設基準が整っておるからそれ以上はできませんとか、教育内容が五〇%であればそれでもいいですとか、あまり内容に干渉できませんと言って逃げておるのは、無責任きわまると思う。ここに私は時間の関係で自分の思いつきの案を言います。そういうふうに行なえばだいぶ弊害がなくなるという案を言います。いままでのテレビは乱戦状態なんですね。たとえば相撲放送にしても、NHKもあれば、TBSもある。夜十一時から十チャンネルもやっておるわけです。同じ相撲を二組も三組もでやることはない。解説者が違うのだけれども、相撲自身は同じです。そういうふうに内容についての指導性がない。したがっていま私が私案を申しますから、この私案に対する御検討を願いたい。即答はどうでもいいです。私は、縦割りにやってもらいたいと思う。特色別縦割りに民放、官放とともに協力してやってもらいたいと思うのです。その点を番組向上委員会にお話ししたいと思う。所有権の廃止とかそういうことではない、設備の廃止や改良ではない。問題は、プログラムに対して、総合的企画性を持たせていただきたい。その意味で縦割り案を持っているのです。  第一は、NHKという名でもいいし、日本放送テレビでもいいけれども、とにかく従来の日本教育テレビとNHKを一本にします、可能か不可能かは別にしまして。そしてニュース、ドキュメンタリーなもの、それからサイエンスあるいはいわゆる公序良俗に反しないものであって、一切劇ものはやらぬ。アメリカのテレビで、コロンビアの例を見ますと、いつ見てもニュースをやっていますよ。毎日、毎時間です。ところがNHKのいまの放送でも「うず潮」なんというドラマを朝八時半ごろにやっておる。これは評判はいいに違いない。しかし八時半だと、七時から出勤しておる人は見ることができない。昼間また再放送をしますが、しかし、これも工場におる者は見ることができない。そんなに劇ものをNHKがやる必要はない。これは民放にやらせたらいい。それが第一放送です。第一放送はNHKが二本合わせて、そうしてもっぱら事実に基づいたものを報道する。政府声明もよろしい、社会党の意見もよろしい。そういうもの入れる。  それから第二は、これは外国放送と名をつけたいと思うのです。いままで一番から七番までのテレビでやっております外国もの一切をこに持ち込む。しかもこれは原語でやる。翻訳しておるのは、私が英語ができるから言うわけではありませんけれども、ほんとうのニュアンスが出てこないのです。原語でなければ出ないものをへたくそな日本語に直したり何かして味がわからない。また日本には外国人も相当おるのですから、彼らはなまのまま聞きたいのが聞けない。ですから、吹きかえをせずになまでやる、そのかわりアメリカのものばかじゃありません。英米独仏露あるいは中国、イタリア、ブラジル、メキシコ、各国のものを集めて——それは具体的には交換放送でもいい、日本のものを三十分売るのに対して向こうからも三十分買うというふうにして、そしていま帆足さんの言ったように名曲ものをやるとか、それから語学も、この外国放送の中で毎朝十分なら十分ずつ、たとえば五時から七時までやれば十二回やれますから、英独仏露、スペイン、ポルトガルあるいはアラビア、イスラエル、ユダヤ語等できるでしょう。早朝にはそういう語学の練習をやらせる。そしてあとはその国のニュース、あるいはその国の名曲、その国の各画、あるいはその国からの声明等同時交換等の放送でやらせれば設備費はかからぬと思うのです。そして、いながらにしてわれわれは世界各国のものを聞ける。アメリカのものだけじゃないということになります。それを引き受ける民間放送が出てくればいい。私は第一だけはNHKで、あとは民間ということにしておるのです。  それから第三放送は、名前を少年少女テレビと初めからきめてしまう。小学校、中学校、幼稚園程度のものだけを専門に放送する。そのためには、二階に小さなテレビを子供用にやっておいてもよろしい。おとなの時間に子供の漫画が食い込んだり、それからよろめき映画なんかを子供に見せたりすることはもってのほかだ。したがって少年少女に、それこそよい日本人になるような誇り高き、かおり高き番組をつくってやったらどうか。それは民間でやらせてよろしい。  それから第四は、婦人家庭放送とでも名をつけますか、これは料理の時間とか生け花の時間とか、この時間には、夜十時ごろから先の子供が寝たあとは、多少ドラマをやってもいいと思います。奥さん方の教養になるならいいと思います。婦人、家庭専門のものにする。それをどこかの民間放送にやらせる。  それから第五は、科学技術放送、いまの十二チャンネルは少し墜落しております。見たい、聞きたいと思っておることが半分になっておりまして。これは経営上やむを得ないのです。いまのようにばらばらにギャング映画から西部劇からやるものだから、十二チャンネルもあわてて経営上コマーシャルを入れております。これは惜しいことだと思うのです。したがって科学技術、大学、高等学校の科学関係の科目あるいはまた工場、鉱山等の技術、発明発見等のものを、多少は興味のものを入れてもいいけれども、科学技術を専門にすることによってやっていくような引き受け者があれば、それをやらせる。  最後はスポーツ放送です。これは朝から晩までスポーツをやってもよろしい。相撲もよろしい。プロ野球もよろしい。あるいはボクシング、レスリング何でもよろしい。  こうなりますと六つになりますが、一般的なNHKのもの、二番目は外国放送、三番目は少年少女放送、四番は婦人家庭放送、五番は科学技術放送、六番はスポーツ放送というように、縦割りに整理をするようなことを勧告してはどうか。これは放送法を改正する必要もございません。それから業界は乱戦状態です。したがってこういうふうに縦割りにしますというと、富裕の家庭では三台ぐらい買って、奥さん用と高等学校に行く子供のスポーツ用と、それから小中学生用を分けることができる。こういう勧告ぐらいしたいと思うのです。したがって、私が最初に聞きましたように番組向上委員会は渋沢さんほかりっぱな方が七名なっております。それを逓信委員会に特別に一日を設けるか、あなたの在職中に——五月改造でどうなるかわかりませんが、あなたのようないい郵政大臣を持っておることを私どもは誇りに思っておりますけれども、しかし佐藤内閣もまだ後任に大臣候補がたくさんいるから、この際思い切ってテレビ番組に対する国会の声を聞く。国会と言ったって、われわれだけの意見ではありません。みんながこれは困ったなという国民の声をぼくらが集約して、帆足さんなり私が申し上げているのだから、それを生かしていただく。縦割り専門にするような方向に持っていくことによって幾らか弊害が軽減される。そしてコマーシャルもいいから、コマーシャルそのものを否定するわけではないので、ただコマーシャルもどぎついものがないように、コマーシャルの文句、あるいは企画に対する、これも番組向上委員会の中にコマーシャル部会をつくって、これこそ事前審査でもして、三菱がコマーシャルを入れることはよろしい、あるいは資生堂が入れることはよろしいけれども、ことばには気をつけてもらいたい。われわれはそこの品物を買いますよ。そういうことを含めて、こういうりっぱなおだんな衆のお上品な会合ではどの程度できるかわかりませんから、われわれ野人を入れて、そうしてテレビのプログラム編成委員を呼んで、もっとよくしようじゃないか、しなければおまえたちの免許を取り消すぞという、最後の断を郵政大臣持っているのだから、やれると思うのです。  だいぶ私の意見を申し上げたけれども、この意見に対する即答があれば即答をしてもらいたい。そうして具体的にこれがどこかで実を結ぶような機会を与えていただきたい。こういうことをつけ加えて、質問を終わります。
  241. 徳安實藏

    徳安国務大臣 私が就任いたしまして以来、各方面でテレビ、ラジオの番組に対して、国を憂うるという立場から非常に痛烈な批判、御注意をしばしば受けております。私どももやきもきしている点はたくさんあるのでありますけれども、再再申し上げますように、放送、言論というものに対しましてははれものにさわるような立場でございまして、へたなことをするとすぐ社会党あたりから不法だと言われてはたいへんだということで自重しておりますけれども、きょう御両氏の御意見を聞きまして、これは百万の味方を得たような気がするのであります。そこで、いずれにいたしましても時期は到来しておりまして、六月一日が再免許の時期に到達いたしておりますから、いろいろの御批判等も聞いておりますので、郵政省としてはやはり断固たる立場において処置をいたさねばならぬと考えております。どうぞひとつ、これは与野党一致して御協力をいただきまして、そしてりっぱなテレビ、ラジオ放送をつくり出すように御支援をいただきたいと思います。  なお、先ほど田原先生の御意見等もございますから、これは逓信委員会の諸君ともはかりまして、そうしてそちらのほうとも連絡をとりながら、あるいは公式にでも非公式にでも御意見等を浸透いたしますような努力を、私どものほうでもはかりたいと思います。
  242. 今松治郎

    ○今松主査 次会は明二十五日午前十時より開会し、運輸省所管及び日本国有鉄道関係について質疑を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会