○
三木(喜)
分科員 青田買いの問題は、
大臣、もう少し具体的な策を立てなければいかぬと思うのです。そういうことをやった会社名を文部省としては公表しなさい、公表して反省を求め、その道義的
責任を負わさなければいかぬです。あなた方は、せめて文部省だけは、こういう産業界に頭を下げて、産業界に遠慮しておってもらったら、国の大事な大学の研究
機関、研究する場が乱されてしまう、人間をつくるところであり、学問をするところが、ふらふらふらふらと行き回るようなうわついた人間をつくる、それでは学問の研究はできないのですから、産業界に重大な反省を求めるために私はやってもらいたいと思う。産業界も、読売新聞を見ますと、いまの大学生は
ものを知らんねえとか、いまの大学卒業生は頭ができておらぬ、なっとらん、こういうことを言っておりますけれども、なっとらんようには一体だれがするのかということを、強く反省を求めてください。
そこで、いまの
大臣の認識の中で、私はたいへんな錯覚を起こされているのではないかと思うことが二つあります。その
一つは、
あとで
湯山さんも触れられるだろうと思いますが、農業高校けっこうです。こうおっしゃっておるけれども、しかしながら、いまの入学
試験地獄の中でいまの青年
たちはどういうことを
考えているか。農業高校必ずしも受けがいいことないのですよ。これは
あとで
湯山さんが言われますから、よく聞いていただきたいと思います。それから高等専門学校、高専、これは人気がいいのでたくさんつくったと言われる。私
たちは、そんな
ものをつくったって、インスタントに人をつくろうとしたってだめだ、もっと根底につちかうようなところの教育をやらねばいけない。これはインスタントである。工業教員養成所の問題も同じことです。このときに非常に論議したのですけれども、高専はいまやはり受けが悪い。総スカンを食っている。そうして中においても、大学へやはり昇格させてもらいたいというような意向が出てきておる。これもひとつお
考えの中に入れて
考えてもらいたいと思うのです。
そこで、いま英国の話が出ましたけれども、英国は、要するに、
日本の経済成長が非常に進展をしておる、これは一体どこに
原因があるだろうかということを
検討してみた結果、私も昨年英国へ行ってそのことをどこへいっても言いました、やはり
日本は、質は多少落ちても大学教育があれだけ進んで量産しておるからだということを指摘しております。このことのよしあしは別問題にいたしまして、いま大学をどんどんふやしていく、あるいは大学生をふやすという方向に向いておるということはいなめない事実ですし、それから私は、いま一番産業界にも協力を求め、あるいは
大臣も言われましたように、文部省だけではできなければ、
内閣全体の
責任として、国の富を増すのも、貿易を盛んにするのも、いまの
日本で一番望まれておる
ものは、科学、そして次にくる技術です。その科学者を養成するのですから、このあり方という
ものは、学校で、大学で
考えてもらわなければならない。そして技術を革新して、技術を売るわけなんです。私は昨日、日立の研究所も見てきましたし、そのほか国立の研究所もずっと見て回りました。そして産業人が、いま静かに
考えてみると、技術者養成技術者養成ということで先を急いでは困る、
もの静かなところで人間からつくっていくというようなことで、日立はそういうように
考えております。しかしながら、日立のいまの研究費という
ものは、好況が続けばいいけれども、続かない場合には、国としてこの技術者養成に対するプールしたところの財源をつくってもらいたい、それは国の
責任でやってもらいたい、いまは企業の
責任でやっておるけれどもということを、非常に口をすくして言っておりました。これはここで申し上げるのは場所柄が違うかもしれませんけれども、そう
考えてきたときに、科学技術庁の
大臣が、はやここ五、六年ほどの間に十人もかわった――これは日立の会長の話なんですが、それからあそこの科学館ができてからはや五人も
大臣がかわっておる、一体
日本の科学技術政策という
ものはどちらを向いておるかということで、中には、私は科学のことは全然わかりませんというようなめでたい
大臣まで出てきたということで、非常に遺憾に思っておられました。私は、そういうように
日本の国力、国富をふやすということがいまの最大の使命だと思うのです。何だかだいってもね。そういう
考え方からすれば、大学教育のあり方という
ものを文部省こそ
ほんとうにたいへんな決意を持ってやってもらわなければならぬ、こういう立場から申し上げるわけです。
次に、大学の研究のあり方、これをどういうぐあいに
考えていくという問題です。これも私は、数日来、科学技術会議と学術会議と科学技術庁、
国会議員、四者の会合を持って、例の、御存じであろうと思いますけれども、科学技術基本法をどうするかという問題でした。学術会議は、依然として人文科学、基礎科学、こういう
ものを主体に置いてそして基本法をつくらなければならぬという
考え方です。私
たちも大体それに同調する
考え方を持ってきておるわけです。しかしながら、科学技術会議は、いや、科学と技術のうちの技術に主体を置いてつくるべきだ、私
たちはこう思うと言う。あなたも科学技術会議の一員ですから、そこの
考えをしっかり聞いておかなければいかぬと思うのです。そうすると、それを両者
一致する
考え方でなかったら、別に文部省はまた学術振興の基本法をつくらなければならぬ、こういうことになるわけです。これが
一つの
考え方にあるということですね。そして大学教育をどうするかということを
考えてもらいたい。
第二は、これは文部省からいただいたのですが、私も全く
意見が
一致しておる。これは科学技術対策特別
委員会で、大屋さんも来られ、あるいは高木宇宙開発本
部長もおいでになって、そこでいろいろ討議しておる間にはっきりしてきたわけですが、大学の経常費を一括計上して科学技術庁で握る、そうしてそこから全部を統制してやっていこう、それが科学技術を推進する道である、そうして科学技術庁を強化することが科学技術振興になるという、こういう錯覚はこの際改めるべきではないか。大学は大学独自のやはりりっぱなところがあるのですから、これはいま文部省が強調しなかったら、科学技術庁科学会議という
ものができて、技術技術ということに足をとられてしまって、足もとの研究ということ、科学ということが私は宙に浮くと思うのです。そういう点を、
大臣として、あなたは幸いにも科学技術庁の長官でもあり、文部
大臣でもあるのですから、その点をひとつはっきりとここでお聞きしたいと思うのです。どういう態度で進んでいくか、これは四者会談ではその
意見がまだまとまっていないのです。